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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】標的核酸を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20250109BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539077
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2022142406
(87)【国際公開番号】W WO2023125552
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111614026.1
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211539752.6
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211271772.X
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523104890
【氏名又は名称】マキュラ バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ユハン
(72)【発明者】
【氏名】フー, ワンアー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ハイシン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, キウピン
(72)【発明者】
【氏名】ゲ, ジキ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS39
4B063QX02
(57)【要約】
標的核酸を検出する方法を提供し、特に、汎用プローブを用いてデジタルPCRにおいて一重又は多重の標的核酸を検出することを実現する方法を提供する。該検出方法を採用すると、単管超多重の検出を実現することができ、蛍光バックグラウンドが低く、融解温度が調整可能であり、包容性が良く、コストが低く、操作が簡単であり、汚染を引き起こしにくく、感度が高く、適用範囲が広いなどの利点を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップS100と、
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT1であるステップS200と、
以下のいずれかの操作を行うステップS300と、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS310と、
2回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT2であるS320とを含む操作1、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS310’を含む操作2、
2回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT2であるS310’’と、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS320’’とを含む操作3、
以上の操作はT2<T1、T2<t1を満たし、好ましくは、40℃≦T2<T1≦75℃、及び/又は0℃≦t1<t2≦90℃であり、
第2の信号採集温度t2で2回目の信号採集を行い、前記t2>t1、且つt2>T1であるステップS400と、を含み、
ここで、被検サンプルにおける被検標的の種類は1種であり、
前記1回目の信号採集、2回目の信号採集において、多くとも1回の信号採集においてのみ標的の信号が含まれる、ことを特徴とする標的核酸を検出する方法。
【請求項2】
ステップS200における前記1回目のPCR増幅の反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、
及び/又は、ステップS300における前記2回目のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒インキュベートする反応条件を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プライマープローブ組成物は、プローブ(P)及びプライマーを含み、前記プライマーが前記被検サンプルにおける標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、プローブに特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成によりプローブ信号の変化を引き起こし、好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、より好ましくは、1-100個の塩基の伸長であり、及び/又は、前記プライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、プローブに検出標識が修飾され、前記プライマーはフォワードプライマー(F)及び/又はリバースプライマー(R)を含み、
前記フォワードプライマー(F)は、標的配列と特異的に対合結合する標的配列結合領域を含み、
前記リバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、且つプライマー信号検出領域(h)が標的配列結合領域の5’末端に位置するか、又は前記リバースプライマー(R)は、5’末端から3’末端まで順に伸長ブロック領域(M)、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、
ここで、前記リバースプライマー(R)の標的配列結合領域は、標的配列と特異的に対合結合する配列であり、前記リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、いずれも任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、前記プライマー信号検出領域(h)の相補的配列(h’)は、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と特異的に対合結合し、前記リバースプライマー(R)の伸長ブロック領域(M)は、プローブ(P)のいずれの部分の配列又は任意の標的配列とも同一又は相補的ではない自由設計配列であり、
好ましくは、前記リバースプライマー(R)におけるプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔がある、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フォワードプライマー(F)はさらにプローブアンカー領域(A)を含み、前記フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)は前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、前記プローブアンカー領域(A)は任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、好ましくは、前記フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、
前記プローブ(P)はプライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記プライマーアンカー領域(A’)は前記フォワードプライマー(F)のプローブアンカー領域(A)と相補的な配列であり、好ましくは、前記プローブ(P)における前記プライマーアンカー領域(A’)と前記プローブ信号検出領域(H)との間に0-20個の塩基の間隔がある、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のプローブ(P)及び異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーを含むプライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップと、
前記反応系に対してn回のPCR増幅とn回の信号採集を行うステップと、を含み、毎回のPCR増幅後に信号採集を1回行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャネル採集を含み、毎回の信号チャネル採集において多くとも1種類の標的の信号を含み、
前記n回目のPCR増幅時に用いられるアニーリング温度はTnであり、前記n回目の信号採集時に用いられる採集温度はtnであり、Tn<T(n-1)、且つTn<t(n-1)であり、tn>t(n-1)、且つtn>T(n-1)であり、好ましくは、40℃≦Tn<T(n-1)≦75℃、及び/又は0℃≦t(n-1)<tn≦90℃であり、
前記nは≧2の整数であり、前記nは≦被検サンプルにおける被検標的の種類数であり、
好ましくは、前記少なくとも1回の信号採集は、m回の信号チャネル採集を含み、前記mは、前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出標識の種類数であり、且つ、nとmとの積は≧被検サンプルにおける被検標的の種類数である、ことを特徴とする2種以上の標的核酸を検出する方法。
【請求項8】
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、約20-約60サイクル行い、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒間インキュベートすることを含み、
好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒間インキュベートすることを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記1回目のPCR増幅の後の他のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で10-1800秒インキュベートする反応条件を含む、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種の前記プライマーが標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物にはプローブ(P)に特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物はプローブ(P)に特異的に結合して伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成はプローブ信号の変化を引き起こし、好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、より好ましくは、前記伸長は1-100個の塩基の伸長であり、及び/又は、前記プライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである、ことを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーは、以下のいずれか1種を含み、
(1)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも1種類のリバースプライマー(R)
(2)少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
(3)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
異なる前記フォワードプライマー(F)は、それぞれ独立して、異なる標的配列と特異的に対合結合する標的配列結合領域を含み、
及び/又は、前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、前記プローブには検出標識が修飾されており、
及び/又は、前記リバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域とを含み、且つ前記プライマー信号検出領域(h)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、異なる前記リバースプライマー(R)の標的配列結合領域は、異なる標的配列と特異的に対合結合する配列であり、異なる前記リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、いずれも任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、前記プライマー信号検出領域(h)の相補的配列が、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と特異的に対合結合し、好ましくは、異なるリバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)の配列は互いに異なる、ことを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記プライマーにおいて、少なくとも1種類の前記リバースプライマー(R)は、5’末端から3’末端まで順に伸長ブロック領域(M)、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、前記伸長ブロック領域(M)は、プローブ(P)のいずれかの部分の配列又はいずれかの標的配列と同一でも相補的でもない自由設計配列であり、他の種類のリバースプライマーがあれば、前記他の種類のリバースプライマー(R)の5’末端は伸長ブロック領域(M)を含まない、ことを特徴とする請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記プライマーにおいて、少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)は、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、前記プローブアンカー領域(A)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、異なるフォワードプライマー(F)の標的配列結合領域の配列は異なり、好ましくは、フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、
前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、プライマーアンカー領域(A’)とプローブ信号検出領域(H)とを含み、前記プライマーアンカー領域(A’)は、フォワードプライマー(F)のプローブアンカー領域(A)と相補的な配列であり、好ましくは、前記プローブ(P)における前記プライマーアンカー領域(A’)と前記プローブ信号検出領域(H)との間に0-20個の塩基の間隔がある、ことを特徴とする請求項7~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年12月27日に提出された以下の特許出願の優先権を要求する。
1.名称が「プライマープローブ組成物、検出方法及び検出装置」であり、出願番号がCN202111614026.1である中国特許出願。
本願は、2022年12月02日に提出された以下の特許出願の優先権も要求する。
2.名称が「プライマープローブ組成物及び検出方法」であり、出願番号がCN202211539752.6である中国特許出願。
本願は、2022年10月18日に提出された以下の特許出願の優先権も要求する。
3.名称が「多重時分割核酸検出装置及び検出方法」であり、出願番号がCN202211271772.Xである中国特許出願。
以上の内容は、本発明と一致する程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、核酸配列検出の分野に関し、特に標的核酸を検出する方法に関し、より具体的には、汎用プローブを用いてデジタルPCRにおいて一重又は多重の標的核酸を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、生きた生体を用いずにDNAを酵素複製する分子生物学的技術である。PCRは、一般的に医学及び生物学的研究実験室に用いられ、様々なタスク、例えば感染性疾患の診断、遺伝子クローン、実験動物表現型同定、トランスクリプトーム研究、遺伝性疾患の検出、遺伝子指紋の鑑定、親子鑑定などを担う。比べ物にならない複製能力及び正確性を有するため、PCRは、分子生物学者によって核酸検出の好適な方法として認識される。前世紀の90年代の後期に、米国ABI社から提出されたリアルタイム蛍光定量PCR(Real Time Quantitative PCR、qPCR)技術及び関連製品は、PCRを高感度、高特異性及び正確に定量する核酸配列分析技術に発展させた。
【0004】
デジタルPCR(digital PCR、dPCR)技術は、核酸分子絶対定量技術であり、限界希釈の原理を利用して1つの蛍光定量PCR反応系を数千から数万個分の単独のナノリットルレベルのマイクロリアクターに分配し、各マイクロリアクターに1つ又は複数のコピーの目的核酸分子(DNA標的)を含むか又は含まないようにし、同時に単一分子テンプレートPCR増幅を行う。蛍光定量PCRでは各増幅サイクルを行う時に蛍光を採集する方法と異なり、デジタルPCRは増幅終了後に各反応セルの蛍光信号を独立して採集し、最後にポアソン分布の原理及び陽性/陰性の反応セルの割合によって目的分子の元のコピー数又は濃度を得る。
【0005】
蛍光定量PCRと比較して、デジタルPCRは、Ct値及び検量線に依存せずに正確な絶対定量検出を行うことができ、高感度及び高精度の利点を有する。デジタルPCRは、結果判定を行う際に、「あり/なし」の二つの増幅状態のみを判定するため、蛍光信号と設定閾値線との交点を検出する必要もなく、Ct値の同定に全く依存しないため、デジタルPCR反応及び結果判定は増幅効率の影響を大幅に低減し、PCR反応阻害物に対する耐性が大幅に向上する。また、デジタルPCR実験において反応系に分配する過程は、標的配列と競合作用を有するバックグラウンド配列の濃度を局所的に大幅に低減することができるため、デジタルPCRは、特に複雑なバックグラウンドにおいて希少変異を検出することに適し、現在、液体生検に多く応用され、腫瘍患者の末梢血において希少変異マーカーを検出することを実現する。
【0006】
従来の試料検出装置は、多重核酸検出を行う過程において、まず、被検標的配列を含む核酸を増幅し、その後、異なる温度で信号採集を行い、異なる温度で取得された信号に信号が重なる場合があり(即ち、異なる標的配列が同時に信号を発生する)、従来の計算方法は、画像処理又は他の信号計算方法によって、重なった信号を分離して、各標的配列が発生した信号値をそれぞれ計算するものであり、このような方法は計算が複雑で、計算誤差をもたらしやすい。
【発明の概要】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明は、標的核酸を検出する方法を提供し、1種の標的又は2種以上の標的核酸の検出を行うことができ、該方法は、まず、被検標的配列を含む核酸を増幅し、その後、信号採集を行い、増幅時のアニーリング温度及び信号採集時の採集温度を設定することにより、異なる温度で単一の信号を取得することができる(1回の信号採集時に多くとも1種の標的配列のみが信号を発生する)。2種以上の標的が存在する場合、本発明が解決しようとする課題は、単管反応において如何にして複数種の異なる標的を検出して区別し、複数組のプライマーが存在する場合に、プライマーダイマーによる偽陽性信号の発生を回避するかも含む。
【0008】
そのため、第1の態様では、本発明は、
プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップS100と、
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT1であるステップS200と、
以下のいずれかの操作を行うステップS300と、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS310と、
2回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT2であるS320とを含む操作1、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS310’を含む操作2、
2回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT2であるS310’’と、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS320’’とを含む操作3、
以上の操作はT1>T2、T2<t1を満たし、
第2の信号採集温度t2で2回目の信号採集を行い、前記t2>t1、且つt2>T1であるステップS400と、を含み、
ここで、被検サンプルにおける被検標的の種類は1種であり、
前記1回目の信号採集、2回目の信号採集において、多くとも1回の信号採集においてのみ標的の信号が含まれる、標的核酸を検出する方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施例において、1回目のPCR増幅の後、又は1回目と2回目のPCR増幅の後に1回の信号採集を行い、信号採集温度が順次に高くなる(t2>t1)。いくつかの実施例において、PCRを2回連続して行うか、又はPCRを1回のみ行うと、いずれもプローブに結合した二本鎖産物を生成することができ、比較的低い温度(t1)で信号を採集すると、二本鎖産物の形成により、検出可能な信号の変化が生じ、その後、より高い温度(t2)で信号を採集すると、t2が前記二本鎖産物の融解温度よりも高いため、二本鎖産物が一本鎖状態になり、t2で採集された信号がt1で採集された信号と異なり、即ち、2回採集された信号が異なり、標的核酸の存在をより正確に証明することができる。
【0010】
いくつかの実施例において、2回のPCRと2回の信号採集を行い、且つPCRと信号採集を交互に行う。PCR増幅に採用されるアニーリング温度は順次低くなるが(T2<T1)、信号採集温度は順次高くなる(t2>t1)。すなわち、ある温度をPCRのアニーリング温度として用いてPCRサイクル増幅を行う場合、標的核酸により形成された一本鎖プレ産物のアニーリング温度がこの温度よりも低く、プローブと結合して二本鎖産物を形成することができず、検出信号の変化が生じない。このPCR増幅の直後、別の温度で信号を採集すると、標的核酸により形成された一本鎖プレ産物とプローブとの二本鎖産物が二本鎖状態になり、検出可能な標的核酸信号を発生する。2回採取した信号が異なり、標的核酸の存在をより正確に証明する。
【0011】
したがって、上記のPCR検出方法を採用することにより、標的核酸の存在又は非存在をより正確に証明することができる。標的核酸が存在する場合、2回採取した信号が異なり、1回の信号採集においてのみ、多くとも1種類の標的核酸の信号が含まれる。該標的核酸が存在しない場合、2回の信号採集のいずれにも標的核酸の信号が存在しない。
【0012】
T2<T1とは、2回目のPCRのアニーリング温度は、1回目のPCRのアニーリング温度と大きさの差があり、両者のアニーリング温度の差により、2回目のPCR増幅後、あるプローブと形成される二本鎖産物の種類の数が、1回目のPCR増幅後、そのプローブと形成される二本鎖産物の種類の数より、多くとも1種類増加する(増加しないとは、被検産物には対応する標的核酸がないことを意味する)。いくつかの実施例において、T2とT1との温度の差が4℃以上であり、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。
【0013】
t2>t1とは、2回目の信号採集の温度は、1回目の信号採集の温度と大きさの差があり、2つの温度の差により、2回目の信号採集の信号が1回目の信号採集の信号と異なる。いくつかの実施例において、t2とt1との温度の差が6℃以上であり、例えば、差が6-46℃であり、また、例えば、差が6-40℃、6-35℃、6-30℃、6-25℃、6-20℃、6-18℃、6-15℃、6-12℃、6-10℃、6-8℃又は6-7℃などである。
【0014】
T2<t1とは、2回目のPCRのアニーリング温度は、1回目の信号採集の温度と大きさの差がある。いくつかの実施例において、T2とt1との温度の差が5℃以上であり、例えば、差が5-50℃であり、また、例えば、差が5-40℃、5-30℃、5-20℃、5-18℃、5-15℃、5-12℃、5-10℃、5-8℃、5-7℃又は5-6℃などである。
【0015】
t2>T1とは、1回目のPCRのアニーリング温度は、2回目の信号採集の温度と大きさの差がある。いくつかの実施例において、t2とT1との温度の差が7℃以上であり、例えば、差が7-50℃であり、また、例えば、差が7-40℃、7-30℃、7-20℃、7-18℃、7-15℃、7-12℃、7-10℃又は7-8℃などである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の検出方法において、前記1回目のPCR増幅時に用いられるアニーリング温度はT1であり、前記1回目の信号採集時に用いられる採集温度はt1であり、前記T1≦t1である。
【0017】
いくつかの実施例において、1回目のPCR増幅時(そのアニーリング温度はT1である)に、プライマーセットとプローブによって生成された一本鎖プレ産物のうち、1種類の一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合して0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、該一本鎖プレ産物のアニーリング温度がその融解温度よりやや低い(通常の場合、オリゴヌクレオチドのアニーリング温度は、通常、該オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い)。t1(T1≦t1<その融解温度)で信号採集を行い、この時、該一本鎖プレ産物とプローブは二本鎖状態を呈し、プローブに検出可能な信号変化を生じさせる。いくつかの実施例において、t1(t1≦T1)で信号採集を行ってもよく、この時も、該一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態を呈し、プローブに検出可能な信号変化を生じさせる。当業者は、実際のニーズ(例えば、信号採集時に、一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態にあり、採集された信号強度が大きいなどの実際のニーズ)に応じて、信号採集温度t1の温度を具体的に選択することができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、アニーリング温度範囲は40℃-75℃であり、即ち、40℃≦T2<T1≦75℃である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、信号採集温度は0-95℃であり、即ち、0℃≦t1<t2≦90℃である。通常、信号採集温度の選択は、設計されたプライマープローブ組成物の実際の状況に応じて当業者が決定することができる。例えば、プライマープローブ組成物の設計により、当業者は、標的核酸を表す反応産物の融解温度がTであり、該標的核酸の信号を検出したい場合、信号採集温度≦Tであり、標的核酸の信号を検出したくない場合、信号採集温度>Tであると予想することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップS200における前記1回目のPCR増幅の反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、
及び/又は、ステップS300における前記2回目のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒インキュベートする反応条件を含む。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップS200における前記1回目のPCR増幅の反応条件は、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、35-50サイクル行うことを含み、さらに好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒アニーリング及び伸長、35-50サイクル行うことを含み、
及び/又は、ステップS300における前記2回目のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約2-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約10-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒インキュベートする反応条件を含む。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、さらに好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマープローブ組成物は、プローブ(P)及びプライマーを含み、前記プライマーが前記被検サンプルにおける標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、プローブに特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成によりプローブ信号の変化を引き起こし、さらに好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、さらにより好ましくは、前記伸長は1-100個の塩基の伸長であり、伸長された塩基の個数の上限がプローブの全長であり、及び/又は、前記プライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである。本発明において、濃度単位nMとは、nmol/Lを意味する。
【0024】
具体的には、0個の塩基伸長とは、当該一本鎖プレ産物がプローブ(P)と特異的に結合(ハイブリダイゼーション)した後に伸長しないことを意味する。当業者は、実際のニーズに応じて、プライマーセットにおけるプライマー配列及び/又はプローブの配列を設計することにより、上記「特異的に結合するが伸長しない」という効果を実現することができ、例えば、生成された第1の一本鎖プレ産物をプローブの5’末端に結合させるように設計し、又は、生成された第1の一本鎖プレ産物の3’末端にプローブと相補的に対合しない領域を含むように設計する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、プローブに検出標識が修飾され、前記プライマーはフォワードプライマー(F)及び/又はリバースプライマー(R)を含み、
前記フォワードプライマー(F)は、標的配列と特異的に対合結合する標的配列結合領域を含み、
前記リバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、且つプライマー信号検出領域(h)が標的配列結合領域の5’末端に位置するか、又は前記リバースプライマー(R)は、5’末端から3’末端まで順に伸長ブロック領域(M)、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、
ここで、前記リバースプライマー(R)の標的配列結合領域は、標的配列と特異的に対合結合する配列であり、前記リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、いずれも任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、前記プライマー信号検出領域(h)の相補的配列(h’)は、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と特異的に対合結合し、前記リバースプライマー(R)の伸長ブロック領域(M)は、プローブ(P)のいずれの部分の配列又は任意の標的配列とも同一又は相補的ではない自由設計配列であり、
さらに好ましくは、前記リバースプライマー(R)におけるプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。いくつかの実施例において、リバースプライマー(R)における伸長ブロック領域(M)とプライマー信号検出領域(h)との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0026】
本発明において、「特異的に対合結合する」又は「特異的に結合する」とは、相補的配列を有する2本の一本鎖核酸分子が一定の条件下(適切な温度及びイオン強度等)で塩基が相補的に対合結合することを指す。当業者によく知られているように、2本の一本鎖核酸分子は完全に相補的に対合しなければ特異的に結合できないわけではなく、少数の塩基ミスマッチが存在する場合にも特異的に結合できる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記フォワードプライマー(F)はさらにプローブアンカー領域(A)を含み、前記フォワードプライマー(F)は5’末端から3’末端まで順にプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域とを含み、ここで、前記プローブアンカー領域(A)は任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、さらに好ましくは、前記プローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、ここで、間隔の塩基数は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよく、
前記プローブ(P)はプライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記プライマーアンカー領域(A’)は前記フォワードプライマー(F)のプローブアンカー領域(A)と相補的な配列であり、さらに好ましくは、前記プローブ(P)における前記プライマーアンカー領域(A’)と前記プローブ信号検出領域(H)との間に0-20個の塩基の間隔がある。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記フォワードプライマーと前記リバースプライマーの構造は交換可能であり、例えば、「リバースプライマー(R)はプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、フォワードプライマー(F)は標的配列結合領域を含む」ことについて、プライマー構造は「フォワードプライマー(F)はプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、リバースプライマー(R)は標的配列結合領域を含む」に交換可能であり、又は、「リバースプライマー(R)はプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、フォワードプライマー(F)はプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域を含む」ことについて、プライマー構造は「フォワードプライマー(F)はプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、リバースプライマー(R)はプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域を含む」に交換可能である。
【0029】
プライマーダイマーを回避するために、フォワードプライマー(F)における標的配列結合領域はリバースプライマー(R)における標的配列結合領域と異なり、特異的に結合することもできないことは当業者には周知である。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種の前記フォワードプライマー(F)は、第1のフォワードプライマーと第2のフォワードプライマーとを含み、前記第1のフォワードプライマーは5’末端から3’末端まで順にフォワード増幅産物捕捉領域(B)と標的配列結合領域とを含み、及び、前記第2のフォワードプライマーはフォワード増幅産物捕捉領域(B)を含み、前記フォワード増幅産物捕捉領域(B)は、標的配列又はその任意の断片と対合結合しない。さらに好ましくは、前記第1のフォワードプライマーにおける前記フォワード増幅産物捕捉領域(B)と前記標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔がある。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2のフォワードプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、さらに好ましくは、前記第2のフォワードプライマーにおける前記プローブアンカー領域(A)と前記フォワード増幅産物捕捉領域(B)との間に0-20個の塩基の間隔がある。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種の前記リバースプライマー(R)は、第1のリバースプライマーと第2のリバースプライマーとを含み、前記第1のリバースプライマーは、5’末端から3’末端まで順にリバース増幅産物捕捉領域(C)と標的配列結合領域とを含み、及び、前記第2のリバースプライマーは、5’末端から3’末端まで順にプライマー信号検出領域(h)とリバース増幅産物捕捉領域(C)とを含み、前記リバース増幅産物捕捉領域(C)は、標的配列又はその任意の断片と対合結合せず、
さらに好ましくは、前記第1のリバースプライマーにおける前記リバース増幅産物捕捉領域(C)と前記標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、及び/又は、前記第2のリバースプライマーにおける前記プライマー信号検出領域(h)と前記リバース増幅産物捕捉領域(C)との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸を検出する方法は、デジタルPCR検出方法である。本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸を検出する方法は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである。上記の標的核酸を検出する方法において、プライマープローブ組成物は、本分野の通常のプライマープローブ組成物であってもよく、例えば、モレキュラービーコンを含むプライマープローブ組成物であってもよく、下記の第3の態様で提供される核酸配列検出用のプライマープローブ組成物であってもよい。
【0034】
そのため、第2の態様において、本発明は、
少なくとも1種のプローブ(P)及び異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーを含むプライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップと、
前記反応系に対してn回のPCR増幅とn回の信号採集を行うステップと、を含み、毎回のPCR増幅後に信号採集を1回行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャネル採集を含み、毎回の信号チャネル採集において多くとも1種類の標的の信号を含み、
前記n回目のPCR増幅時に用いられるアニーリング温度はTnであり、前記n回目の信号採集時に用いられる採集温度はtnであり、Tn<tnであり、Tn<T(n-1)、且つTn<t(n-1)であり、tn>t(n-1)、且つtn>T(n-1)であり、
前記nは≧2の整数であり、前記nは≦被検サンプルにおける被検標的の種類数である、2種以上の標的核酸を検出する方法を提供する。
【0035】
いくつかの実施例において、毎回のPCR増幅の後に1回の信号採集を行い、PCR増幅に用いられるアニーリング温度は順次に低くなる(Tn<T(n-1))が、信号採集温度は順次に高くなる(tn>t(n-1))。すなわち、ある温度をPCRのアニーリング温度としてPCRサイクル増幅を行う場合、アニーリング温度が該温度よりも高い一本鎖プレ産物は、いずれもプローブと結合して二本鎖産物を形成して検出信号の変化を引き起こすことができ、アニーリング温度が該温度よりも低い一本鎖プレ産物は、依然として一本鎖状態にあり、このPCR増幅の直後、別の温度で信号採集を行い、1種類の一本鎖プレ産物のみ、プローブとの二本鎖産物が二本鎖状態になり、検出可能な標的核酸信号を発生する。(他の種類の一本鎖プレ産物については、一部はアニーリング温度がより低いため、PCRサイクル増幅段階においてプローブとアニーリングして二本鎖産物を形成することができず、他の一部はアニーリング温度が高いため、PCRサイクル増幅段階においてプローブとアニーリングして二本鎖産物を形成することができるが、これらの二本鎖産物の融解温度がより低く、信号採集の温度より低いため、生成された二本鎖産物も該信号採集温度で一本鎖状態を呈するからである。)したがって、上記のPCR検出方法によれば、毎回の信号チャンネル採集の信号には、多くとも1種類の標的核酸の信号しかなく、当該標的核酸が存在しなければ、標的核酸の信号は何もないことを実現することができる。
【0036】
Tn<T(n-1)とは、n回目のPCRのアニーリング温度は、n-1回目のPCRのアニーリング温度と大きさの差があり、両者のアニーリング温度の差によって、n回目のPCR増幅後、あるプローブと形成した二本鎖産物の種類数は、n-1回目のPCR増幅後、その種類のプローブと形成した二本鎖産物の種類数に比べて、多くとも1種類増加する(増加しないとは、被検産物には対応する標的核酸がないことを意味する)。いくつかの実施例において、TnとT(n-1)の温度の差が4℃以上であり、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。
【0037】
tn>t(n-1)とは、n回目の信号採集の温度は、n-1回目の信号採集の温度と大きさの差があり、2つの温度の差により、n回目の信号採集時の二本鎖産物は、n-1回目の信号採集時の二本鎖産物と異なる。例えば、n-1回目の信号採集時の二本鎖産物は甲であり、n回目の信号採集時の二本鎖産物は乙である(n回目の信号採集時に、二本鎖産物である甲の融解温度がn回目の信号採集時の温度より低いため、この時、二本鎖産物である甲は一本鎖状態になる)。いくつかの実施例において、tnとt(n-1)との温度の差が6℃以上であり、例えば、差が6-46℃であり、また、例えば、差が6-40℃、6-35℃、6-30℃、6-25℃、6-20℃、6-18℃、6-15℃、6-12℃、6-10℃、6-8℃又は6-7℃などである。
【0038】
Tn<tnとは、n回目のPCRのアニーリング温度は、n回目の信号採集の温度と大きさの差があり、2つの温度の差により、n回目のPCR増幅後に特定の二本鎖産物を得ることができ、n回目の信号採集時に該二本鎖産物の信号を得ることができる。該二本鎖産物の信号を得るために、n回目の信号採集時(信号採集温度tnの条件下)に、該二本鎖産物は一本鎖状態を示さない。いくつかの実施例において、Tnとtnとの差が1℃以上であり、例えば、差が1-50℃、1-40℃、1-30℃、1-25℃、2-20℃、2-15℃、2-12℃、2-10℃、2-7℃、2-6℃、2-5℃、3-5℃又は4-5℃などである。いくつかの実施例において、用いられる信号採集温度tnは、該二本鎖産物の融解温度以下である。
【0039】
Tn<t(n-1)とは、n回目のPCRのアニーリング温度は、n-1回目の信号採集の温度と大きさの差があり、2つの温度の差により、n-1回目の信号採集時の二本鎖産物は、n回目のPCR時に該二本鎖産物が依然として存在し、同時に、該二本鎖産物とは異なる別の二本鎖産物が生成される。いくつかの実施例において、Tnとt(n-1)との温度の差が5℃以上であり、例えば、差が5-50℃であり、また、例えば、差が5-40℃、5-30℃、5-20℃、5-18℃、5-15℃、5-12℃、5-10℃、5-8℃、5-7℃又は5-6℃などである。
【0040】
tn>T(n-1)とは、n-1回目のPCRのアニーリング温度は、n回目の信号採集の温度と大きさの差がある。いくつかの実施例において、tnとT(n-1)との温度の差が7℃以上であり、例えば、差が7-50℃であり、また、例えば、差が7-40℃、7-30℃、7-20℃、7-18℃、7-15℃、7-12℃、7-10℃又は7-8℃などである。
【0041】
本発明において、プローブの種類数は、その検出標識の種類数によって分類される。異なる種類のプローブは、その修飾された検出標識が異なり(いくつかの実施例において、検出標識は即ち検出基である)、異なる信号チャネル(又は蛍光チャネル)で信号採集を実現することができる。例えば、本発明のプライマープローブ組成物には2種のプローブが含まれ、1種のプローブで修飾された検出基はVICとBHQ1であり、この種のプローブと特異的に結合して形成された二本鎖産物はVICチャンネルで信号採集され、もう1種のプローブで修飾された検出基はFAMとBHQ1であり、この種のプローブと特異的に結合して形成された二本鎖産物はFAMチャンネルで信号採集される。
【0042】
いくつかの実施例において、毎回のPCR増幅後に1回の信号採集を行い、毎回の信号採集はm回の信号チャネル採集を含み、mは≧1の整数であり、mは前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出基の種類数である。前述したように、毎回のPCR増幅後は、前回のPCR増幅より、同種のプローブと形成される二本鎖産物の種類数が多くとも1種類増加する。プライマープローブ組成物において、プローブの種類数がmであれば、毎回のPCR増幅後、前回のPCR増幅より、m種類のプローブと形成される二本鎖産物の種類数が多くともm種類増加する(1種類のプローブあたりに形成する二本鎖産物の種類数が多くとも1種類増加する)。m回の異なる信号チャネル採集により、増加したm種類の二本鎖産物に対応する標的核酸信号を区別し、且つ互いに交差しないことを実現し、多重検出を実現することができる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1回の信号採集は、m回の信号チャネル採集を含み、前記mは、前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出標識の種類数であり、且つ、nとmとの積は≧被検サンプルにおける被検標的の種類数である。検出機器のプログラム設計を容易にするために、いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物に2種類のプローブがある場合、毎回の信号採集は2つの信号チャネルで2回の信号チャネル採集を行う。いくつかの実施例において、被検サンプルには5種類の標的があり、この5種類の標的に対するプライマープローブ組成物には、2種類のプローブが含まれ、第1のプローブによって検出される標的の種類は3種類であり、第2のプローブによって検出される標的の種類は2種類である場合、反応産物に対して3回の信号採集を行えばよく、毎回の信号採集はいずれも2つの信号チャネルで行われる2回の信号チャネル採集である。このように、ある信号チャンネルにおいて、3回の信号採集を行ったが、対応する標的が2種類しかなく、ある信号チャンネル採集の信号に標的がないか、又は隣接する2回の信号チャンネル採集の信号が同じである場合がある。これらの実施例において、標的の数が最も多い検出チャネルを基準として、信号採集回数を設定し、信号採集回数<標的核酸の種類数を実現し、信号採集回数を減少させる。他の信号チャネルの信号採集回数が最も少ないことを完全に満たすものではないが、機器プログラムの設定がより簡便であり、当業者は実際のニーズに応じて選択することができる。いくつかの実施例において、当業者は、プライマープローブ組成物の設計状況に応じて、所望の標的がないチャネルで信号採集を行わないように選択することにより、信号採集の回数を減らし、操作ステップを簡略化する。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の検出方法において、前記1回目のPCR増幅時に用いられるアニーリング温度はT1であり、前記1回目の信号採集時に用いられる採集温度はt1であり、前記T1≦t1である。
【0045】
いくつかの実施例において、1回目のPCR増幅時(そのアニーリング温度はT1である)に、プライマーセットとプローブによって生成された一本鎖プレ産物のうち、1種類の一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合して0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、該一本鎖プレ産物のアニーリング温度がその融解温度よりやや低い(通常の場合、オリゴヌクレオチドのアニーリング温度は、通常、該オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い)。t1(T1≦t1<その融解温度)で信号採集を行い、この時、該一本鎖プレ産物とプローブは二本鎖状態を呈し、プローブに検出可能な信号変化を生じさせる。いくつかの実施例において、t1(t1≦T1)で信号採集を行ってもよく、この時、該一本鎖プレ産物とプローブも二本鎖状態を呈し、プローブに検出可能な信号変化を生じさせる。当業者は、実際のニーズ(例えば、信号採集時に、一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態にあり、採集された信号強度が大きいなどの実際のニーズ)に応じて、信号採集温度t1の温度を具体的に選択することができる。
【0046】
いくつかの実施例において、アニーリング温度は、40℃≦Tn<T(n-1)≦75℃(nは≧2の整数)である。
【0047】
いくつかの実施例において、採取温度は、0℃≦t(n-1)<tn≦90℃(nは≧2の整数)である。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含む。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、35-50サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、35-50サイクル行うことを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、約20-約60サイクル行い、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒間インキュベートすることを含み、
好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒間インキュベートすることを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、約35-約50サイクル行い、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、35-50サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1000秒インキュベートすることを含み、
好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、35-50サイクル行い、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約90℃-約96℃で約5-約15分間予備変性し、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約50℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、35-50サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1000秒インキュベートすることを含む。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記1回目のPCR増幅の後の他のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で10-1800秒インキュベートする反応条件を含む。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記1回目のPCR増幅の後の他のPCR増幅は、約90℃-約95℃で約10-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約30-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で10-1000秒インキュベートする反応条件を含む。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の前記プライマーが標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物にはプローブ(P)に特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物はプローブ(P)に特異的に結合して伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成はプローブ信号の変化を引き起こし、好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、より好ましくは1-100個の塩基の伸長であり、伸長した塩基の個数の上限はプローブの全長であり、及び/又は、前記プライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである。複数の標的が1種類のプローブを共用する場合、プローブの使用量はより多くなり、例えば、1300nM、1400nM、1500nM、1600nM、1700nM、1800nM、1900nM、2000nM又はそれ以上となる。
【0055】
具体的には、0個の塩基の伸長とは、当該一本鎖プレ産物がプローブ(P)と特異的に結合(ハイブリダイゼーション)した後に伸長しないことを意味する。当業者は、実際のニーズに応じて、プライマーセットにおけるプライマー配列及び/又はプローブの配列を設計することにより、上記の「特異的に結合するが伸長しない」という効果を実現することができ、例えば、生成された第1の一本鎖プレ産物をプローブの5’末端に結合させるように設計し、又は、生成された第1の一本鎖プレ産物の3’末端にはプローブと相補的に対合しない領域を含むように設計する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーは、以下のいずれか1種を含む。
(1)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも1種類のリバースプライマー(R)
(2)少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
(3)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
異なる前記フォワードプライマー(F)は、それぞれ独立して、異なる標的配列と特異的に対合結合する標的配列結合領域を含み、
及び/又は、前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、前記プローブには検出標識が修飾されており、
及び/又は、前記リバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域とを含み、且つ前記プライマー信号検出領域(h)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、異なる前記リバースプライマー(R)の標的配列結合領域は、異なる標的配列と特異的に対合結合する配列であり、異なる前記リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、いずれも任意の標的配列とも対合結合しないが、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、好ましくは、異なるリバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)の配列は、互いに異なる。
【0057】
本発明において、リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであるとは、リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)の相補的な配列が、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と特異的に対合結合することを意味する。
【0058】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーが少なくとも2種類の前記プライマーを含む場合、フォワードプライマーとリバースプライマーの構造が交換可能であるため、フォワードプライマーとリバースプライマーの比率は限定されない。いくつかの実施例において、プライマー信号検出領域hを含まないプライマーの含有量は、他のプライマー信号検出領域hを含むプライマーよりも多く、好ましくは、プライマー信号検出領域hを含まないプライマーの含有量は、他のプライマー信号検出領域hを含むプライマーの含有量の1.2-20倍であり、より好ましくは、プライマー信号検出領域hを含まないプライマーの含有量は、他のプライマー信号検出領域hを含むプライマーの含有量の2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍である。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種類の前記リバースプライマー(R)は、5’末端から3’末端まで順に伸長ブロック領域(M)、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、前記伸長ブロック領域(M)は、プローブ(P)のいずれかの部分の配列又はいずれかの標的配列と同一でも相補的でもない自由設計配列であり、他の種類のリバースプライマーがあれば、前記他の種類のリバースプライマー(R)の5’末端は伸長ブロック領域(M)を含まない。
【0060】
いくつかの実施例において、他の種類のリバースプライマーがあれば、前記他の種類のリバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、且つ前記プライマー信号検出領域(h)が標的配列結合領域の3’末端に位置する。いくつかの実施例において、他の種類のリバースプライマーがあれば、前記他の種類のリバースプライマー(R)は5’末端から3’末端まで順にプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含む。
【0061】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)は、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、前記プローブアンカー領域(A)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、異なるフォワードプライマー(F)の標的配列結合領域の配列は異なり、さらに好ましくは、フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよく、
前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、プライマーアンカー領域(A’)とプローブ信号検出領域(H)とを含み、前記プライマーアンカー領域(A’)は、フォワードプライマー(F)のプローブアンカー領域(A)と相補的な配列であり、さらに好ましくは、前記プローブ(P)における前記プライマーアンカー領域(A’)と前記プローブ信号検出領域(H)との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)は、5’末端から3’末端まで順にプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域とを含み、ここで、前記プローブアンカー領域(A)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、異なるフォワードプライマー(F)の標的配列結合領域の配列は異なり、好ましくは、フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよく、
前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、プライマーアンカー領域(A’)とプローブ信号検出領域(H)とを含み、前記プライマーアンカー領域(A’)は、フォワードプライマー(F)のプローブアンカー領域(A)と逆相補的な配列であり、好ましくは、前記プローブ(P)における前記プライマーアンカー領域(A’)と前記プローブ信号検出領域(H)との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0063】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種類の前記フォワードプライマー(F)は、第1のフォワードプライマーと第2のフォワードプライマーとを含み、前記第1のフォワードプライマーは5’末端から3’末端まで順にフォワード増幅産物捕捉領域(B)と標的配列結合領域とを含み、及び、前記第2のフォワードプライマーはフォワード増幅産物捕捉領域(B)を含み、前記フォワード増幅産物捕捉領域(B)は標的配列又はその任意の断片と対合結合せず、さらに好ましくは、前記第1のフォワードプライマーにおける前記フォワード増幅産物捕捉領域(B)と前記標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0064】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第2のフォワードプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、好ましくは、前記第2のフォワードプライマーにおけるプローブアンカー領域(A)とフォワード増幅産物捕捉領域(B)との間に0-20個の塩基の間隔がある。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマーにおいて、少なくとも1種類の前記リバースプライマー(R)は、第1のリバースプライマーと第2のリバースプライマーとを含み、前記第1のリバースプライマーは、5’末端から3’末端まで順に、リバース増幅産物捕捉領域(C)と標的配列結合領域とを含み、及び、前記第2のリバースプライマーは、5’末端から3’末端まで順に、プライマー信号検出領域(h)とリバース増幅産物捕捉領域(C)とを含み、前記リバース増幅産物捕捉領域(C)は、標的配列又はその任意の断片と対合結合せず、
好ましくは、前記第1のリバースプライマーにおけるリバース増幅産物捕捉領域(C)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、及び/又は、前記第2のリバースプライマーにおけるプライマー信号検出領域(h)とリバース増幅産物捕捉領域(C)との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の2種以上の標的核酸を検出する方法は、デジタルPCR検出方法であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである。
【0067】
上記の標的核酸を検出する方法において、プライマープローブ組成物は、本分野の通常のプライマープローブ組成物であってもよく、例えば、モレキュラービーコンを含むプライマープローブ組成物であってもよく、下記の第3の態様で提供される核酸配列検出用のプライマープローブ組成物であってもよい。
【0068】
そのため、第3の態様において、本発明は、第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含む核酸配列検出用プライマープローブ組成物を提供する。
前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットはそれぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合する。
前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブのアニーリング温度が、第2の一本鎖プレ産物と第1のプローブのアニーリング温度より高い場合、前記第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度は、前記第2の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度より低い。
【0069】
前記第1のプローブとは、修飾された検出標識が同じであり、その塩基配列が同じであってもよく、異なってもよい1種類のプローブである。すなわち、プローブの種類数は、その検出標識の種類数に応じて分類される。いくつかの実施例において、1種類のプローブによって生成された信号は、1つの検出チャネル(又は蛍光チャネル)において信号採集され得、2種類のプローブによって生成された信号は、2つの異なる検出チャネルにおいて信号採集される必要がある。いくつかの実施例において、検出標識が同じであるとは、修飾された検出基が完全に同じであることを意味せず、例えば、検出基が蛍光基と消光基を含み、蛍光基が同じであれば、プローブによって生成された信号を1つの検出チャネル(又は蛍光チャネル)において信号採集することができる。
【0070】
「少なくとも2種類のプライマーセット」とは、プライマーセットの種類が少なくとも2種類であり、プライマーセット毎に標的核酸の種類が異なり、すなわち、プライマーセット毎にそれに対応する標的核酸と特異的に結合できることを意味する。いくつかの実施例において、1種類のプライマーセットは、1類の非分型の別の標的核酸に対して特異的結合を実現できれば、この1類の非分型の標的核酸も、1種類の標的核酸と見なすことができる。
【0071】
いくつかの実施例において、プライマーセットはダブルプライマーであり、即ち、同一の標的核酸に対する一対の上流プライマー及び下流プライマーを含む。いくつかの実施例において、プライマーセットは単一プライマーであり、即ち、ある標的核酸に対する1種のプライマーのみを含み、当該プライマーは、それに対応する標的核酸に特異的に結合でき、他の種類の標的核酸に特異的に結合できない。
【0072】
いくつかの実施例において、異なる種類のプライマーセットに共通プライマーが存在する可能性があり、例えば、2種類のプライマーセットは、いずれも同様の1種のプライマーを含む。同様の1種のプライマーは、プライマーの配列が完全に同じであることを意味する。
【0073】
通常の場合、オリゴヌクレオチドのアニーリング温度は、通常、該オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より約5℃低いが、前記オリゴヌクレオチドのTmより約4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0℃又はそれ以下、又はその間の任意の範囲(端値を含む)に決定されることができる。オリゴヌクレオチドのアニーリング温度、融解温度は、オリゴヌクレオチドの長さ、組成等の因子に関連する。当業者は、実際のニーズに応じて、オリゴヌクレオチドのアニーリング温度及び融解温度を調節することができ、例えば、オリゴヌクレオチドのGC含有量を高めたり、オリゴヌクレオチドの長さをより長くしたりすることで、より高い融解温度を得ることができる。
【0074】
いくつかの実施例において、あるプライマーセットとその標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合するために必要なアニーリング温度が低いほど、該一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合して≧0個の塩基伸長して形成された二本鎖産物の融解温度が高くなる。例えば、プライマーセットの長さ及び/又は配列を調整することにより、プライマーセットと標的核酸とを特異的に結合させて得られる一本鎖プレ産物が異なる。異なる一本鎖プレ産物と同一のプローブとの結合位置が異なることにより、第1の一本鎖プレ産物とプローブとのアニーリング温度(ここでは「第1のアニーリング温度」と略称する)が、第2の一本鎖プレ産物とプローブとのアニーリング温度(ここでは「第2のアニーリング温度」と略称する)よりも高く、即ち、第1のアニーリング温度が第2のアニーリング温度よりも高いことを実現する。また、異なる一本鎖プレ産物と同一のプローブとの結合位置が異なるため、異なる一本鎖プレ産物とプローブとが結合して伸長する長さを調整することも実現でき、第1の一本鎖プレ産物とプローブとによって生成される二本鎖産物の融解温度(ここでは「第1の融解温度」と略称する)が、前記第2の一本鎖プレ産物とプローブとによって生成される二本鎖産物の融解温度(ここでは「第2の融解温度」と略称する)よりも低く、即ち、第1の融解温度が第2の融解温度よりも低いことを実現する。
【0075】
本発明において、「~より高い」、「~より低い」という表現は、2つの温度の間に差異が存在し、且つ該差異の存在により、異なる種類の一本鎖プレ産物がある特定の温度で信号を採集する時、一本鎖又は二本鎖の異なる状態を実現できることを説明するために用いられ、例えば、ある特定の信号温度で、第1の一本鎖プレ産物は一本鎖状態を呈し、第2の一本鎖プレ産物はプローブと結合して二本鎖状態を呈する。いくつかの実施例において、「~より高い」とは、2つのアニーリング温度の間の差が4℃以上であることを説明するために用いられ、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。いくつかの実施例において、「~より低い」とは、2つの融解温度の間の差が6℃以上であることを説明するために用いられ、例えば、差が6-46℃であり、また、例えば、差が6-40℃、6-35℃、6-30℃、6-25℃、6-20℃、6-18℃、6-15℃、6-12℃、6-10℃、6-8℃又は6-7℃などである。
【0076】
上記のプライマープローブ組成物を用いて、アニーリング温度と融解温度の高さ、低さの差を設定することにより、ある温度で信号を採集する時に、多くとも1種類の一本鎖プレ産物のみがプローブと二本鎖状態にあり、そのため、多くとも1種類の標的核酸の信号が発生する(前記「多くとも」とは、被検サンプルには該標的核酸がなければ信号が発生せず、あれば、該標的核酸の信号のみが発生し、他の標的核酸信号が同時に発生しないことを意味する)ことを実現することができる。したがって、同じ温度で採集された信号が重ならないことが実現される。
【0077】
いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物において、1種類のプローブ(第1のプローブ)と2種類のプライマーセットがあり、2種類のプライマーセットがそれぞれ第1のプライマーセットと第2のプライマーセットであり、第1のプライマーセットと第2のプライマーセットがそれぞれ第1の標的核酸と第2の標的核酸に特異的に結合した後、それぞれ第1の一本鎖プレ産物と第2の一本鎖プレ産物を生成し、第1の一本鎖プレ産物とプローブのアニーリング温度が第1のアニーリング温度であり、第2の一本鎖プレ産物とプローブのアニーリング温度が第2のアニーリング温度であり、第1の一本鎖プレ産物とプローブにより生成された二本鎖産物が第1の二本鎖産物であり、その融解温度が第1の融解温度であり、第2の一本鎖プレ産物とプローブにより生成された二本鎖産物が第2の二本鎖産物であり、その融解温度が第2の融解温度である。T1(第1のアニーリング温度≧T1>第2のアニーリング温度)のアニーリング温度でPCRサイクルを行った後、第1の二本鎖産物のみを生成し、そしてt1の温度で1回目の信号採集(t1<第1の融解温度)を行い、この時、第1の二本鎖産物のみが二本鎖状態にあり、生成された信号が第1の標的核酸の信号である。そしてT2(第2のアニーリング温度≧T2)のアニーリング温度でPCRサイクルを行った後、第2の二本鎖産物が生成され、且つ反応系に第1の二本鎖産物がさらに含まれる。そしてt2の温度で2回目の信号採集(第1の融解温度<t2<第2の融解温度)を行い、この時、第2の二本鎖産物のみが二本鎖状態にあり、生成された信号が第2の標的核酸の信号である(t2>第1の融解温度であるため、第1の二本鎖産物は脱鎖状態であり、信号の生成がない)。
【0078】
同様に、3種類以上のプライマーセットを含む場合、ある温度をPCRのアニーリング温度としてPCRサイクル増幅を行うとき、アニーリング温度が該温度よりも高い一本鎖プレ産物は、いずれもプローブと結合して二本鎖産物を形成することができ、アニーリング温度が該温度よりも低い一本鎖プレ産物は、依然として一本鎖状態にある。ある温度を用いて信号を採集するとき、1種類の一本鎖プレ産物のみがプローブとの二本鎖産物が二本鎖状態になり、検出可能な標的核酸信号を発生する。他の種類の一本鎖プレ産物は、一部がアニーリング温度が低いため、PCRサイクル増幅段階においてプローブとアニーリングして二本鎖産物を形成することができず、他の一部がアニーリング温度が高いため、PCRサイクル増幅段階においてプローブとアニーリングして二本鎖産物を形成することができるが、これらの二本鎖産物の融解温度が信号採集の温度よりも低いため、生成された二本鎖産物も該信号採集温度で一本鎖状態を呈する。
【0079】
本発明において、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」及び「第5」等の表現は、説明の目的のみに用いられ、限定された対象を区別するために用いられ、順序又は主従を何ら限定するものではない。
【0080】
いくつかの実施例において、上記標的核酸検出用プライマープローブ組成物については、前記プライマープローブ組成物は、第1の標的核酸に対する第1のプライマーセットを含み、前記第1のプライマーセットは、第1の標的核酸と特異的に結合した後に第1のプレ産物を生成し、前記第1のプレ産物は、プローブと特異的に結合する第1の一本鎖プレ産物を含み、前記第1の一本鎖プレ産物は、プローブと特異的に結合して0個の塩基伸長した後に第1の二本鎖産物を形成し、前記第1の二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。前記第1の一本鎖プレ産物とプローブとのアニーリング温度は、他の一本鎖プレ産物と同一のプローブとのアニーリング温度より高く、前記第1の一本鎖プレ産物とプローブとによって生成される第1の二本鎖産物の融解温度は、他の一本鎖プレ産物と同一のプローブとによって生成される二本鎖産物の融解温度より低い。
【0081】
当該実施例において、ある標的核酸に対するプライマーセット(ここでは「第1のプライマーセット」と記載する)は、生成した第1の一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合した後に伸長しない。当業者は、実際のニーズに応じて、プライマーセットにおけるプライマー配列及び/又はプローブの配列を設計することにより、上記の「特異的に結合するが伸長しない」という効果を実現することができ、例えば、生成された第1の一本鎖プレ産物をプローブの5’末端に結合させるように設計し、又は、生成された第1の一本鎖プレ産物の3’末端にプローブと相補的に対合しない領域を含むように設計する。
【0082】
上記の「第1」は、説明、区別の目的のみで用いられ、限定された対象を区別するために用いられ、順序又は主従を何ら限定するものではなく、標的核酸、プライマーセット、プレ産物、一本鎖プレ産物、又は二本鎖産物の種類の数を限定するために使用されない。ここでは、上述したプライマープローブ組成物において、1種類のプライマーセットによって生成される一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合した後に伸長しない場合があり、かつ、当該一本鎖プレ産物とプローブとのアニーリング温度が最も高く(他のいずれかの種類の一本鎖プレ産物と同一のプローブとのアニーリング温度よりも高く)、形成された二本鎖産物の融解温度が最も低い(他のいずれかの種類の二本鎖産物の融解温度よりも低い)ことを説明するためにのみ用いられる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸検出用プライマープローブ組成物については、前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含み、前記第2のプローブは、前記第1のプローブの塩基配列と異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は、少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、それぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合する。
【0084】
この実施形態では、プライマープローブ組成物は、別の種類のプローブ(第2のプローブ)を含む。プローブの種類数は、その検出標識の種類数によって分類される。異なる種類のプローブは、検出標識が異なるため、異なる検出チャネルで信号採集を行う必要がある。いくつかの実施例において、検出標識が異なるとは、修飾された検出基が完全に異なることを意味せず、例えば、検出基が蛍光基と消光基を含み、蛍光基が異なる限り(消光基が同じであっても異なってもよい)、2種類のプローブによって生成された信号を2つの検出チャネル(又は蛍光チャネル)で信号採集することを実現することもできる。該実施例において、プローブの種類数を増加させることで、異なる標的核酸に対して異なるチャネルで信号検出を行うことを実現でき、より多重の標的核酸の検出を実現できる。
【0085】
本実施例において、「第1のプローブ」、「第2のプローブ」が現れるが、限定する役割として用いられるものではなく、本実施例において2種類のプローブしかないことを限定するものでもなく、ここでは、「第1のプローブ」と「第2のプローブ」が異なる種類のプローブに属することを区別するために用いられ、2種類のプローブが修飾する検出標識が異なり、且つ塩基配列も異なる。いくつかの実施例において、より多くの種類の標的核酸を検出するために、標的核酸検出用のプライマープローブ組成物は、第3のプローブ及び第3のプライマー混合物、第4のプローブ及び第4のプライマー混合物、第5のプローブ及び第5のプライマー混合物、第6のプローブ及び第6のプライマー混合物、又はより多くのプローブ及びプライマー混合物をさらに含む。異なるプローブが修飾する検出標識が異なり、且つ塩基配列も異なり、異なるプライマー混合物におけるプライマーセットも異なる。つまり、より多重の標的核酸の検出を実現するために、当業者は、必要に応じて、標的核酸に対応するより多くの種類のプライマーセット、及びプライマーセットに対応するより多くの種類のプローブを設計することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸検出用プライマープローブ組成物は、前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットがそれに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は検出可能な信号変化を引き起こす。
【0087】
好ましくは、第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとのアニーリング温度が、第4の一本鎖プレ産物と第2のプローブとのアニーリング温度より高い場合、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度は、前記第4の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度より低い。
【0088】
上記のアニーリング温度と融解温度との高低関係を設定することにより、ある検出チャネルのある検出温度において、採集された信号が多くとも1種類の標的核酸の信号であることを実現することができる(前記「多くとも」とは、被検サンプルに該標的核酸がなければ、信号が発生せず、あれば、該種類の標的核酸の信号のみがあり、他の標的核酸の信号が同時に現れないことを意味する)。
【0089】
本発明において、「第3」、「第4」等は、説明の目的のみに用いられ、限定された対象を区別するために用いられ、順序又は主従を何ら限定するものではない。この実施例における「第3」は、「第4」と区別するために使用され、即ち、「第3の一本鎖プレ産物」と「第4の一本鎖プレ産物」は、異なる種類に属し、対応する標的核酸の種類が異なる。
【0090】
本発明において、「第3」、「第4」等は、説明の目的のみに用いられ、限定された対象を区別するために用いられるものであり、一本鎖プレ産物の種類数を限定するためにも用いられない。例えば、本実施例において「第4の一本鎖プレ産物」が現れるが、本実施例において4種類の標的核酸しかないことを限定するものではない。いくつかの実施例において、4種以上の標的核酸をさらに含み、4種以上の一本鎖プレ産物を生成する。いくつかの実施例において、第2のプライマー混合物には3種以上のプライマーセットが含まれ、これらのプライマーセットとそれに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物のアニーリング温度、融解温度は、第3の一本鎖プレ産物、第4の一本鎖プレ産物と類似し、即ち、ある種類のプライマーセットとその標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合するのに必要なアニーリング温度が低いほど、当該一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長して形成された二本鎖産物の融解温度が高くなる。ある温度をPCRのアニーリング温度としてPCRサイクル増幅を行う場合、アニーリング温度が該温度よりも高い一本鎖プレ産物は、いずれも第2のプローブと結合して二本鎖産物を形成することができ、アニーリング温度が該温度よりも低い一本鎖プレ産物は、依然として一本鎖状態にあり、ある温度を用いて信号を採集する場合、1種類の一本鎖プレ産物のみが第2のプローブとの二本鎖産物が二本鎖状態を呈し、検出可能な標的核酸信号を発生するという効果を実現する。他の種類の一本鎖プレ産物は、一部がアニーリング温度が低いため、PCRサイクル増幅段階において第2のプローブとアニーリングして二本鎖産物を形成することができず、他の一部がアニーリング温度が高いため、PCRサイクル増幅段階において第2のプローブとアニーリングして二本鎖産物を形成することができるが、これらの二本鎖産物の融解温度が信号採集の温度よりも低いため、生成された二本鎖産物も該信号採集温度で一本鎖状態を呈する。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸検出用プライマープローブ組成物において、前記第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度は、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度と等しいか又はそれに近く、好ましくは、前記第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとのアニーリング温度は、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとのアニーリング温度と等しいか又はそれに近い。
【0092】
この実施形態では、プライマープローブ組成物には、2種以上のプローブが含まれる。プローブの種類数は、その検出標識の種類数によって分類される。異なる種類のプローブは、検出標識が異なるため、異なる検出チャネルで信号採集を行う必要がある。
【0093】
本発明において、「等しい」、「近い」という表現は、2つの温度の間に差異がないか、又は差異が小さいことを説明するために用いられる。また、差異が小さいため、又は差異がないため、異なる種類の一本鎖プレ産物がある特定の温度で信号を採集する場合、一本鎖又は二本鎖の同じ状態を実現する。例えば、ある特定の温度において、第1の一本鎖プレ産物と第3の一本鎖プレ産物はいずれも一本鎖状態にあり、又は第1の一本鎖プレ産物と第3の一本鎖プレ産物はいずれも二本鎖状態にある。なお、それらがある特定の温度で信号を採集する時に、いずれも二本鎖状態を保持できるが、それらが二本鎖状態を呈する時に結合したプローブの種類が異なる。いくつかの実施例において、「等しい」、「近い」は、2つのアニーリング温度/2つの融解温度の間の差が4℃以内であることを説明するために用いられ、例えば、差が0-4℃であり、好ましくは、差が0~2℃であり、より好ましくは、差が0~1℃である。
【0094】
この実施形態では、「第1」、「第2」、「第3」などは、説明の目的のみに用いられ、限定された対象を区別するために用いられ、順序又は主従を何ら限定するものではなく、一本鎖プレ産物やプローブの種類数を限定するものでもない。例えば、本実施例において「第3の一本鎖プレ産物」が現れるが、本実施例において3種類の標的核酸のみがあり、3種類の一本鎖プレ産物のみがあることを限定するものではない。この実施例における「第3」は、単に「第一」と区別するために用いられ、即ち、「第1の一本鎖プレ産物」と「第3の一本鎖プレ産物」は、異なる種類に属し、対応する標的核酸の種類が異なる。また、例えば、本実施例において「第1のプローブ」、「第2のプローブ」が現れるが、本実施例において2種類のプローブのみがあることを限定するものではなく、ここでは単に「第1のプローブ」と「第2のプローブ」が異なる種類のプローブに属することを区別するために用いられ、2種類のプローブによって修飾される検出基が異なり、且つ塩基配列も異なる。この実施例は、3種類、又は3種類以上のプローブの場合も含む。より多重の標的核酸の検出を実現するために、当業者は、必要に応じて、より多くの種類のプローブを設計することができる。
【0095】
上記の融解温度が同じ又は近いように設定することにより、ある温度で信号採集を行う場合、2種以上の一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態にあることを実現できる。しかし、この温度では、二本鎖状態を呈する異なる一本鎖プレ産物に結合したプローブの種類が異なるため、同じ温度を採用するが、異なる検出チャネルで信号を採集することにより、異なる一本鎖プレ産物に対応する標的核酸を識別することを実現することができる。このように、検出チャネル(蛍光チャネル)を増やすことで、より多重の核酸の検出が可能となる。また、信号採集温度の変化回数を減少させることができ、即ち、ある信号採集温度において、検出チャンネルを変換するだけで異なる標的を検出することを実現でき、PCRサイクルの回数を減少させることもでき、即ち、あるPCRサイクル後に、前回のPCR増幅に比べて、1種類のプローブあたりに形成される二本鎖産物の種類数が多くとも1種類増加する(2種類のプローブがあれば、2種類の二本鎖産物が増加する)。
【0096】
なお、上記の融解温度が同じ又は近いように設定した場合に限って、ある温度で信号採集を行う時に、2種以上の一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態にあることができるわけではない(二本鎖状態を呈する異なる一本鎖プレ産物が結合するプローブの種類が異なる)。融解温度が同じではなく又は近くない(例えば、両者の差が6℃以上である)場合、信号採集の温度を調整することにより、異なる一本鎖プレ産物と異なる種類のプローブとによって生成された異なる二本鎖産物の融解温度よりも低くしても、上記効果を実現できる。例えば、第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度Tm1は、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度Tm2に等しくないか又は近くなく、信号採集の温度を調整することにより、Tm1及びTm2よりも低くなるようにすると、該信号採集の温度で、2種の二本鎖産物は依然として二本鎖状態を呈する。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸検出用プライマープローブ組成物において、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、いずれの標的核酸とも特異的に結合しない配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、異なるプローブのプローブ信号検出領域(H)の配列は互いに異なる。
【0098】
前記プライマーセットは、標的配列結合領域1を含む第1のプライマーと、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2を含み、且つプライマー信号検出領域(h)が標的配列結合領域2の5’末端に位置する第2のプライマーとを含み、前記プライマー信号検出領域(h)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、且つ対応するプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列は互いに異なる。
【0099】
いくつかの実施例において、前記標的配列結合領域1と標的配列結合領域2は、それぞれ標的核酸の異なる位置に特異的に結合する。
【0100】
いくつかの実施例において、プライマー信号検出領域(h)がプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するとは、プライマー信号検出領域(h)の逆相補配列(h’)が、プローブのプローブ信号検出領域(H)の一部の配列又は全部の配列と特異的に結合できることを意味する。
【0101】
いくつかの実施例において、上記の第1のプライマー及び第2のプライマーは、標的核酸と特異的に結合した後、プライマー信号検出領域(h)の逆相補配列(h’)を有する1本の一本鎖プレ産物を含むプレ産物を生成し、該一本鎖プレ産物の逆相補配列(h’)は、プローブのプローブ信号検出領域(H)と特異的に結合した後、≧0個の塩基伸長した後、二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
【0102】
いくつかの実施例において、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列が互いに異なり、即ち、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列の塩基が異なる及び/又は長さが異なることにより、異なる一本鎖プレ産物の逆相補配列(h’)の配列が異なり、異なる一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合して0個、又は>0個の塩基伸長した後に異なる二本鎖産物を形成し、異なる二本鎖産物の融解温度が互いに分離することができる。又は、異なる一本鎖プレ産物がそれぞれ異なる種類のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に、異なる二本鎖産物を形成し、異なる二本鎖産物の融解温度が互いに分離することができないが、異なる二本鎖産物のプローブの種類が異なるため、異なる検出チャネルによりそれらを区別することができる。すなわち、融解温度及び/又は検出チャネルによって、異なる種類の標的核酸を区別し、多重検出を実現することができる。
【0103】
いくつかの実施例において、第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸検出用プライマープローブ組成物において、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、プライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合物の少なくとも1種のプライマーセットの第1のプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記プローブアンカー領域(A)は、標的配列結合領域1の5’末端に位置し、前記プローブアンカー領域(A)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合しないが、前記プライマーアンカー領域(A’)と特異的に結合する。
【0105】
上記プライマーセットにおける第1のプライマー及び第2のプライマーは、標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、該プレ産物には、プローブアンカー領域(A)、プライマー信号検出領域(h)の逆相補配列(h’)を有する1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物のプローブアンカー領域(A)及び逆相補配列(h’)は、それぞれプローブのプライマーアンカー領域(A’)、プローブ信号検出領域(H)と特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、プローブが検出可能な信号変化を生じることを引き起こす。
【0106】
異なるプライマーセットにおける第1のプライマーのプローブアンカー領域(A)、及び/又は、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列組成及び/又は長さを調整することにより、異なるプライマーセットとその標的核酸によって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合することによって生成されたアニーリング温度が異なり、特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に形成された二本鎖産物の融解温度も異なり、あるプライマーセットとその標的核酸によって生成された一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合するのに必要なアニーリング温度が低いほど、当該一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に形成された二本鎖産物の融解温度が高くなることを実現する。
【0107】
いくつかの実施例において、異なるプライマーセットにおける第1のプライマーの標的配列結合領域1の配列は異なる。異なるプライマーセットにおける第1のプライマーのプローブアンカー領域(A)の配列は同じであっても異なってもよい。好ましくは、第1のプライマーのプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域1との間に0-20個の塩基の間隔がある。ここで、間隔の塩基数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれらによって構成されている範囲であってもよい。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の標的核酸検出用プライマープローブ組成物は、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)の5’末端に位置する伸長ブロック領域(M)をさらに含み、前記伸長ブロック領域(M)及びその相補的配列はいずれも、いずれのプローブ又はいずれの標的核酸とも特異的に結合しない。
【0109】
上記第1のプライマー及び伸長ブロック領域(M)を含む第2のプライマーは、それぞれ標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、プライマー信号検出領域(h)の逆相補配列(h’)を有する1本の一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物の逆相補配列(h’)は、プローブと特異的に結合して0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し(伸長ブロック領域の存在により、一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合した後に伸長しない)、プローブに検出可能な信号変化を生じさせることを引き起こす。
【0110】
本発明のいくつかの実施例において、プライマーが標的核酸に特異的に結合した後、生成された一本鎖プレ産物はプローブに特異的に結合した後に伸長しない(即ち、0個の塩基伸長した)。当業者は、実際のニーズに応じて、プライマーセットにおけるプライマー配列及び/又はプローブの配列を設計することにより、上記の「特異的に結合するが伸長しない」という効果を実現することができる。例えば、生成された第1の一本鎖プレ産物をプローブの5’末端に結合させるように設計し、又は、生成された第1の一本鎖プレ産物の3’末端にプローブと相補的に対合しない領域を含むように設計する。
【0111】
「第1のプライマー混合物」、「第2のプライマー混合物」等は、説明の目的のみに用いられ、限定された対象を区別するために用いられる。両者はいずれもプローブに特異的に結合する一組のプライマー混合物を示し、該プライマー混合物には複数種のプライマーセットが含まれ、これらのプライマーセットにおける第2のプライマーに含まれるプライマー信号検出領域(h)の逆相補配列(h’)はいずれも同一種類のプローブに特異的に結合することができる。ただし、「第1のプライマー混合物」と「第2のプライマー混合物」とでは、そのプライマーセットが特異的に結合するプローブの種類が異なる。
【0112】
いくつかの実施例において、同一種類のプローブに特異的に結合する一組のプライマー混合物において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーは伸長ブロック領域(M)を含み、この種のプライマーセットが標的核酸に特異的に結合した後に生成された一本鎖プレ産物は、プローブに特異的に結合するのに必要なアニーリング温度が最も高く、プローブに特異的に結合した後に伸長せずに生成された二本鎖産物の融解温度が最も低い。
【0113】
本発明において、「第1のプライマー」、「第2のプライマー」は、説明の目的のみに用いられ、限定された対象を区別するために用いられ、順序又は主従を何ら限定するものではない。例えば、上記プライマープローブ組成物において、プライマーセットの第1のプライマーと第2のプライマーの構造は交換可能であり、例えば、第1のプライマーはプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、第2のプライマーは標的配列結合領域を含み、また、例えば、第1のプライマーはプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、第2のプライマーはプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域を含む。いくつかの実施例において、「第1のプライマー」は「フォワードプライマー」とも呼ばれ、「第2のプライマー」は「リバースプライマー」とも呼ばれる。
【0114】
本発明において、プローブは、いずれの標的核酸とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブには検出標識が修飾されている。好ましくは、前記検出標識は第1の検出基と第2の検出基を含み、且つ前記第1の検出基と第2の検出基は距離の変化により信号の変化を生じる。好ましくは、前記第1の検出基と前記第2の検出基との間は3-250オングストロームの間隔があり、好ましくは、3-201オングストロームの間隔があり、より好ましくは、3-140オングストロームの間隔があり、及び/又は、前記第1の検出基は蛍光レポーター基であり、前記第2の検出基は消光基又は他の前記第1の検出基と蛍光共鳴エネルギー移動により信号変化を生じることができる修飾基である。
【0115】
本発明において、前記第1の検出基及び第2の検出基のプローブにおける位置により、一本鎖プレ産物の逆相補配列(h’)とプローブ(P)とが特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、該二本鎖産物の形成により、前記第1の検出基と第2の検出基の位置が変化すれば、プローブに検出可能な信号変化を生じさせることを引き起こすことができる。前記第1の検出基と前記第2の検出基の位置は交換可能である。
【0116】
いくつかの実施例において、被検標的核酸が存在しない場合、一本鎖プレ産物とプローブとの特異的結合がなく、プローブが一本鎖状態又は他の二次構造を呈し、このとき、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が近く、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が高い。第1のプライマーにプローブアンカー領域(A)が含まれる場合、被検標的核酸が存在しない場合、プローブのプライマーアンカー領域(A’)と第1のプライマーにおけるプローブアンカー領域(A)とが相補的であっても、プローブの他の部分が一本鎖状態又は他の二次構造を呈し、このとき、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が依然として近く、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が高い。標的核酸が存在する場合、第1のプライマーと第2のプライマーはそれぞれ標的配列と特異的に結合して伸長して二本鎖増幅産物を生成し、そのうち1本の一本鎖増幅産物とプローブが特異的に結合して二本鎖産物を形成し、このとき、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が長くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低下し、蛍光信号が変化し、機器により検出される。
【0117】
そのため、第4の態様では、本発明は、第3の態様の標的核酸検出用プライマープローブ組成物を含むPCR検出キットを提供する。当業者は、PCR検出を実現するために、当該キットは、増幅のための増幅試薬、例えば、DNAポリメラーゼ及びdNTPsをさらに含むことを知っている。前記核酸テンプレートがRNAである場合、前記増幅試薬は、逆転写酵素をさらに含む。増幅試薬は、PCR反応を促進するいくつかの試薬、例えばKCl、MgCl、Tris-HCl、ジチオスレイトール(DTT)、(NHSOなどをさらに含む。いくつかの好ましい実施例において、本発明によるPCR検出キットは、第3の態様の標的核酸検出用プライマープローブ組成物を含むデジタルPCR検出キットである。
【0118】
そのため、第5の態様において、本発明は、試料及び試薬を含む複数の微小液体を収容するための反応液収容部と、
前記反応液収容部における微小液体の温度を調節するための温度調節部と、
前記反応液収容部における微小液体により生成された信号を検出するための信号検出部と、
前記温度調節部を制御して第1の温度調節モードで前記反応液収容部の温度を調節し、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
前記温度調節部を制御して第2の温度調節モードで前記反応液収容部の温度を調節し、同一の前記反応液収容部に収容されている複数の微小液体に、前記第1の部分の微小液体とは異なる第2の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する制御部とを含む多重時分割核酸検出装置を提供する。
【0119】
前記微小液体は、試料と試薬とを含む混合物である。
【0120】
上記第1の温度調節モードと第2の温度調節モードとは異なる。いくつかの実施例において、前記異なるとは、2つの温度調節モードで使用される最低温度が異なることを意味する。いくつかの実施例において、第1の温度調節モードで使用される最低温度は、第2の温度調節モードで使用される最低温度よりも高い。
【0121】
そのうちの一実施例において、前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を温度t2に調整した状態で、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を温度t3に調整した状態で、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、t2<t3である。
【0122】
いくつかの実施例において、t2とt3との温度の差が6℃以上であり、例えば、差が6-46℃であり、また、例えば、差が6-40℃、6-35℃、6-30℃、6-25℃、6-20℃、6-18℃、6-15℃、6-12℃、6-10℃、6-8℃又は6-7℃などである。
【0123】
そのうちの一実施例において、前記試薬は、第1の試薬及び第2の試薬を含み、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt3のとき、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生する。
【0124】
他の一実施例において、前記第1の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、前記温度調節部は、前記反応液収容部が高温温度から低温温度T2まで繰り返して低下するように、前記反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させ、又は、前記温度調節部は、前記反応液収容部を恒温温度T2に維持させ、
信号採集段階において、前記信号検出部は、前記反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得する。
【0125】
そのうちの一実施例において、前記第2の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、前記反応液収容部が高温温度から低温温度T3まで繰り返して低下するように、前記反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させ、又は、前記温度調節部は、前記反応液収容部を恒温温度T3に維持させ、
信号採集段階において、前記信号検出部は、前記反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、T2>T3、t2>T3である。
【0126】
いくつかの実施例において、T2とT3との温度の差が4℃以上であり、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。
【0127】
いくつかの実施例において、t2とT3との温度の差が5℃以上であり、例えば、差が5-50℃であり、また、例えば、差が5-40℃、5-30℃、5-20℃、5-18℃、5-15℃、5-12℃、5-10℃、5-8℃、5-7℃又は5-6℃などである。
【0128】
そのうちの一実施例において、前記反応液収容部における微小液体の温度がT2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬は試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT3のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬は試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬は試料と結合して信号を発生する。
【0129】
そのうちの一実施例において、第1の温度調節モード及び第2の温度調節モードで前記反応液収容部内の微小液体の温度を調節するように前記制御部が前記温度調節部を制御する前に、
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させることにより、前記反応液収容部を高温温度から低温温度T1まで繰り返して低下させて、複数の微小液体のうち第4の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、第4の部分の微小液体は、第1の部分の微小液体及び第2の部分の微小液体のいずれとも異なり、ただし、T1>T2である。
【0130】
いくつかの実施例において、T1とT2との温度の差が4℃以上であり、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。
【0131】
そのうちの一実施例において、前記試薬は、第4の試薬をさらに含み、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT1のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT2のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合して信号を発生し、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT3のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合して信号を発生し、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生する。
【0132】
そのうちの一実施例において、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行い、第4の信号を取得する。
【0133】
【0134】
そのうちの一実施例において、前記信号検出部が前記反応液収容部に対して信号検出を行って第4の信号を取得する過程において、前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度をt1に調整又はT1に保持し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT1又はt1である状態で、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合したまま信号を発生し続ける。
【0135】
そのうちの一実施例において、初期状態において、多くとも一単位の試料が前記微小液体に分配される。
【0136】
そのうちの一実施例において、前記信号は蛍光信号であり、前記信号検出部はカメラである。
【0137】
そのうちの一実施例において、前記制御部は、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部において微小液体が敷き詰められている位置で、前記反応液収容部に対して信号検出を行う。
【0138】
そのうちの一実施例において、前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部において微小液体が敷き詰められている位置で、前記反応液収容部に対して温度調節を行う。
【0139】
そのため、第6の態様では、本発明は、第1の温度調節モードで複数の微小液体の温度を調節することにより、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、複数の微小液体に対して信号検出を行って第1の信号を取得するステップと、
第2の温度調節モードで前記微小液体の温度を調節することにより、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体と異なる第2の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、複数の微小液体に対して信号検出を行って第2の信号を取得するステップとを含む、試料及び試薬を含む複数の微小液体を検出するための検出方法を提供する。
【0140】
そのうちの一実施例において、複数の微小液体の温度をt2に調整した状態で、複数の微小液体に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
複数の微小液体の温度をt3に調整した状態で、複数の微小液体に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、t2<t3である。
【0141】
いくつかの実施例において、t2とt3との温度の差が6℃以上であり、例えば、差が6-46℃であり、また、例えば、差が6-40℃、6-35℃、6-30℃、6-25℃、6-20℃、6-18℃、6-15℃、6-12℃、6-10℃、6-8℃又は6-7℃などである。
【0142】
そのうちの一実施例において、前記試薬は、第1の試薬及び第2の試薬を含み、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt3のとき、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生する。
【0143】
そのうちの一実施例において、前記第1の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、複数の微小液体が高温温度から低温温度T2まで繰り返して低下するように複数の微小液体の温度を調節し、又は複数の微小液体が恒温温度T2を維持するように複数の微小液体の温度を調節し、
信号採集段階において、複数の微小液体に対して信号検出を行って第1の信号を取得する。
【0144】
そのうちの一実施例において、前記第2の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、複数の微小液体が高温温度から低温温度T3まで繰り返して低下するように複数の微小液体の温度を調節し、又は複数の微小液体が恒温温度T3を維持するように複数の微小液体の温度を調節し、
信号採集段階において、複数の微小液体に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、T2>T3、t2>T3である。
【0145】
いくつかの実施例において、T2とT3との温度の差が4℃以上であり、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。
【0146】
いくつかの実施例において、t2とT3との温度の差が5℃以上であり、例えば、差が5-50℃であり、また、例えば、差が5-40℃、5-30℃、5-20℃、5-18℃、5-15℃、5-12℃、5-10℃、5-8℃、5-7℃又は5-6℃などである。
【0147】
そのうちの一実施例において、複数の微小液体の温度がT2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
複数の微小液体の温度がT3のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生する。
【0148】
そのうちの一実施例において、第1の温度調節モードと第2の調節モードで複数の微小液体の温度を調節する前に、
複数の微小液体の温度を周期的に変化させることにより、複数の微小液体を高温温度から低温温度T1まで繰り返して低下させて、複数の微小液体のうち第4の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、第4の部分の微小液体は、第1の部分の微小液体及び第2の部分の微小液体のいずれとも異なり、ただし、T1>T2である。
【0149】
いくつかの実施例において、T1とT2との温度の差が4℃以上であり、例えば、差が4-40℃であり、また、例えば、差が4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃又は4-5℃などである。
【0150】
そのうちの一実施例において、前記試薬は、第4の試薬をさらに含み、
複数の微小液体の温度がT1のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬は試料と結合して信号を発生し、
複数の微小液体の温度がT2のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬は試料と結合して信号を発生し、第1の部分の微小液体における第1の試薬は試料と結合して信号を発生し、
複数の微小液体の温度がT3のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬は試料と結合して信号を発生し、第1の部分の微小液体における第1の試薬は試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬は試料と結合して信号を発生する。
【0151】
そのうちの一実施例において、複数の微小液体に対して信号検出を行って第4の信号を取得する。
【0152】
そのうちの一実施例において、複数の微小液体に対して信号検出を行って第4の信号を取得する過程において、複数の微小液体の温度をt1に調整又はT1に保持し、
複数の微小液体の温度がT1又はt1である状態で、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合したまま信号を発生し続ける。
【0153】
そのうちの一実施例において、初期状態において、多くとも一単位の試料が前記微小液体に分配される。
【0154】
そのうちの一実施例において、前記信号は蛍光信号であり、カメラにより複数の微小液体に対して信号検出を行う。
【0155】
本発明の検出方法及びプライマープローブ組成物は、従来技術と比較して、以下の利点を有する。
(1)検出信号が互いに交差しない。本発明によって提供される検出方法及びプライマープローブ組成物は、各蛍光チャネルに対する毎回の信号採集において、多くとも1種の標的核酸の検出信号のみがあり、検出結果がより直感的で正確であり、2種以上の標的核酸の蛍光信号が重なり、検出誤差が生じることを回避する。
(2)多重検出。本発明によって提供される検出方法及びプライマープローブ組成物は、デジタルPCR単管反応において蛍光チャネルと融解温度の2つの次元の分析を同時に行うことができ、即ち、同一の蛍光チャネルを使用しても、融解温度特徴により、異なる標的(標的核酸)を検出することができ、又は異なる蛍光チャネルを使用し、蛍光チャネルの数と融解温度特徴の積である標的種類の検出を実現することができる。
(3)蛍光バックグラウンドが低い。各蛍光チャネルに1種のプローブのみを使用すれば、異なる一本鎖プレ産物とプローブとの異なる融解温度によって区別することができ、デジタルPCR反応における蛍光バックグラウンドを大幅に低減し、反応感度を向上させ、同時に試薬において蛍光プローブの数を減少し、試薬コストを大幅に低減し、大規模な普及応用に有利である。
(4)融解温度が調整可能。本発明によって提供される方法は、二次増幅産物(標的核酸とプライマーセットの増幅によって生成された一本鎖プレ産物であり、これは「一次増幅産物」である。一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合した後に二本鎖産物を形成し、これは「二次増幅産物」である)の異なる融解温度を利用して区別するため、プライマー信号検出領域(h)の長さ又は配列組成を調整するか、又はプライマー信号検出領域(h)における、プローブ(P)の全信号検出領域(H)との逆方向に相補的な位置を調整することによって、さらにプローブ(P)と形成する二本鎖産物の融解温度を高く又は低くすることによって、異なる信号採集温度を調整する。
(5)包容性が良い。本発明に記載のプライマープローブ設計方法は、標的配列(標的核酸)とは2つの部分(第1のプライマー、第2のプライマー)が相補的に対合し(そのプローブが標的核酸と相補的に対合しない)、Taqman加水分解プローブ法では3つの部分(第1のプライマー、第2のプライマー及びTaqmanプローブ)が標的配列と対合する必要があることに比べて、標的配列に多くの高変異領域、例えばウイルス又は細菌ゲノムが存在する場合、本発明に記載のプライマープローブ設計方法は包容性が良く、設計難易度が低い。
(6)サンプルの消費が少ない。本発明によって提供されるプライマープローブ組成物及び検出方法は、サンプルの消費が少なく、特に希少サンプルの検出に適用し、検出反応に添加されるサンプルの濃度を大幅に向上させ、検出感度を向上させることができるとともに、単管反応は後続の抽出不要なOne-Tube法による検出を可能にする。
(7)感度が高い。本発明に記載の方法は標的配列の長さに対する要求が非常に低く、標的のタイプが短い断片核酸、例えば遊離核酸である場合、より短い標的配列の長さは検出においてより高い感度を有する。
(8)適用範囲が広い。本発明に記載の方法は、血清検体、血漿検体、全血検体、痰検体、拭い検体、洗浄液検体、新鮮組織検体、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)などを含む多種の検体タイプの核酸検出に適用できる。
【0156】
本発明の多重時分割核酸検出装置及び検出方法は、従来技術に比べて、異なる被検核酸が異なる時間に有効な信号を発生することを実現することができ、即ち、異なる被検核酸の信号を隔離し、信号の重なり、検出誤差の発生を回避し、多重核酸の時分割、高精度な検出を実現することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0157】
図面の説明は、本発明のさらなる理解のためであり、明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態と共に本発明を解釈するために用いられるが、本発明を限定するものではない。図面において、
図1】本発明の1種のプライマープローブの設計原理図である(3種類の標的に対する)。 サンプルに標的配列が存在しないか又は増幅が開始されていない場合、プローブ(P)は、プライマーアンカー領域(A’)とフォワードプライマー(F1/2/3)のプローブアンカー領域(A)のみが逆相補的であり、プローブの残りの部分はいずれの配列とも相互作用せず、この場合、プローブ(P)に修飾された第1の検出基と第2の検出基との間の距離はd1である。PCR増幅時に、比較的高い第1のアニーリング温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1)とリバースプライマー(R1)はそれぞれ標的配列1と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ産物(S1)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)、伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)である。フォワードプライマー(F2)とリバースプライマー(R2)はそれぞれ標的配列2と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ産物(S2)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A2)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)である。任意選択的に、フォワードプライマー(F3)とリバースプライマー(R3)が存在する場合、フォワードプライマー(F3)とリバースプライマー(R3)はそれぞれ標的配列3と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ産物(S3)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A3)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)である。PCR増幅が終了した後、比較的低い第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を行う。このとき、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ産物(S1)のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)と逆相補的に対合し、プローブ(P)のプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ産物(S1)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、プローブ(P)と形成した二本鎖産物(D1)が得られるが、一本鎖プレ産物(S1)の3’末端の伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)はプローブ(P)又は標的配列の任意の部分に相補的ではない。この時、プローブ(P)の全部又は一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生し、機器によって検出される。この時、一本鎖プレ産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と一本鎖プレ産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)のアニーリング温度はいずれも第1のアニーリング温度(T1)及び第1の信号採集温度(t1)より低いため、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を完了した後、一本鎖プレ産物(S2)の二次増幅サイクルを行い、サイクル条件は高温で脱鎖し、且つ比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1))。このとき、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A2’)は、一本鎖プレ産物(S2)の5’末端のプローブアンカー領域(A2)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ産物(S2)の3’末端は、プローブ(P)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P)の一部又は全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ産物(S2)をプライマーとし、プローブ(P)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P)と形成した増幅二本鎖産物(D2)を得る。この時、プローブ(P)の全部又は一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生する。第2のアニーリング温度(T2)でサイクル増幅が終了した後、温度を比較的高い第2の信号採集温度(t2)まで上昇させて2回目の信号採集を行う(t2>t1、且つt2>T1)。このとき、一本鎖プレ産物(S1)とプローブ(P)とが形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)は、第2の信号採集温度(t2)がハイブリッド二本鎖産物(D1)の融解温度よりも高いため、二本鎖構造を形成することができず、且つ一本鎖プレ産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)のアニーリング温度が第2のアニーリング温度(T2)よりも低いため、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。一本鎖プレ産物(S2)とプローブ(P)により形成された増幅二本鎖産物(D2)が二本鎖状態を形成し、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。第2の信号採集温度(t2)で2回目の信号採集を完了した後、一本鎖プレ産物(S3)の二次増幅サイクルを行い、サイクル条件は高温で脱鎖し、より低い第3のアニーリング温度(T3)でアニーリングする(T3<T2、且つT3<t2)。この時、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と一本鎖プレ産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)とは相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A3’)は、一本鎖プレ産物(S3)の5’末端のプローブアンカー領域(A3)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ産物(S3)の3’末端は、プローブ(P)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P)の一部又は全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ産物(S3)をプライマーとし、プローブ(P)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P)と形成した増幅二本鎖産物(D3)を得る。この時、プローブ(P)の全部又は一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生する。第3のアニーリング温度(T3)でサイクル増幅が終了した後、さらに温度をより高い第3の信号採集温度(t3)まで上昇させて2回目の信号採集を行う(t3>t2、且つt3>T2)。この時、一本鎖プレ産物(S1)とプローブ(P)が形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)は、第3の信号採集温度(t3)がハイブリッド二本鎖産物(D1)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できない。一本鎖プレ産物(S2)とプローブ(P)とによって形成された増幅二本鎖産物(D2)は、第3の信号採集温度(t3)が増幅二本鎖産物(D2)の融解温度よりも高いため、二本鎖構造を形成することができず、一本鎖プレ産物(S3)とプローブ(P)とによって形成された増幅二本鎖産物(D3)は二本鎖状態を形成した。第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。
図2A】実施例1のデジタルPCR検出反応の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図2B】実施例1のデジタルPCR検出反応の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図3A】実施例2のデジタルPCR検出反応の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図3B】実施例2のデジタルPCR検出反応の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図4A】実施例3のデジタルPCR検出反応の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図4B】実施例3のデジタルPCR検出反応の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図5A】実施例4のデジタルPCR検出反応の第1の信号採集温度(56℃)での信号図である。
図5B】実施例4のデジタルPCR検出反応の第2の信号採集温度(72℃)での信号図である。
図6A】実施例5のデジタルPCR検出反応の第1の信号採集温度(55℃)での信号図である。
図6B】実施例5のデジタルPCR検出反応の第2の信号採集温度(65℃)での信号図である。
図6C】実施例5のデジタルPCR検出反応の第3の信号採集温度(73℃)での信号図である。
図7A】実施例6のデジタルPCR検出反応の第1の信号採集温度(72℃)での信号図であり、図から、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
図7B】実施例6のデジタルPCR検出反応の第2の信号採集温度(82℃)での信号図であり、図から、いずれも陰性液滴であることが見られる。
図8A】本実施例7で第1の信号採集温度(60℃)、VIC蛍光チャネルで採集した信号図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
図8B】本実施例7で第2の信号採集温度(68℃)、VIC蛍光チャネルで採集した信号図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ該温度とチャネルで出現した陽性液滴と第1の信号採集温度(60℃)VICチャネルで出現した陽性液滴の位置が異なる。
図8C】実施例7で第2の信号採集温度(68℃)、FAM蛍光チャネルで採集した信号図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ該温度とチャネルで出現した陽性液滴と第1の信号採集温度(60℃)VICチャネルと第2の信号採集温度(68℃)VICチャネルで出現した陽性液滴の位置が異なる。
図9A】実施例8の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図9B】実施例8の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図10A】実施例9の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図10B】実施例9の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図11A】実施例10の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図11B】実施例10の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図12A】実施例11の第1の信号採集温度(60℃)での信号図である。
図12B】実施例11の第2の信号採集温度(78℃)での信号図である。
図13A】実施例1の第1の信号採集温度(61℃)での信号図である。
図13B】実施例12の第2の信号採集温度(68℃)での信号図である。
図13C】実施例12の第3の信号採集温度(76℃)での信号図である。
図14A】本出願の一実施例に開示される多重時分割核酸検出装置の模式図である。
図14B】本出願のさらに別の実施例に開示される多重時分割核酸検出装置の模式図である。
図14C】本出願のさらに別の実施例に開示される複数の反応液収容部からなるウェルプレートの構造図である。
図15A】本出願の一実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図15B】本出願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図15C】本出願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図15D】本出願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図16A】本願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図16B】本願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図16C】本願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
図16D】本願のさらに別の実施例に開示される制御器が温度調節部を制御して反応液収容部の温度を調節する温度変化曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0158】
本発明の理解を容易にするために、以下、実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は例示的な作用のみを果たし、本発明の適用範囲を限定するものではない。
【0159】
第1の実施形態
以下、具体的な実施形態及び実施例を参照しながら、本発明を具体的に説明するが、本発明の利点及び各種の効果はより明確になる。当業者は、これらの具体的な実施形態及び実施例が本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0160】
以下の実施例において、いずれも全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出及びデータ分析を行った(そのうち、実施例1-7では、Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いた。実施例8-12では、北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機及び試薬消耗品を用いた)。該デジタルPCR分析システムは、サンプル、プライマープローブ組成物及び増幅試薬を含む反応系を4つの反応ウェルに分散させて増幅及び検出を行い(各反応ウェルに複数の小液滴が含まれ、各小液滴が即ち1つの反応セルである)、簡略化のために、以下の実施例の図面はいずれもそのうちの1つの反応ウェルの液滴結果図を提供する。
【0161】
実施例1
(1)非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表1に示す。
【0162】
【表1】
【0163】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1(SEQ ID NO:3)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1全長は32bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A1)であり、プローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A1’)と逆相補的である。
【0164】
リバースプライマーR1(SEQ ID NO:2)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1全長は50bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h3)であり、プローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の13番目から34番目の塩基配列と同じである。
【0165】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表2に示す。
【0166】
【表2】
【0167】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異DNAを陽性サンプルとして用い、信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R1)を用いて非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列を検出し、単一変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0168】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表2に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0169】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0170】
データ分析(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システムを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0171】
図2Aは、リバースプライマー(R1)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0172】
図2Bは、リバースプライマー(R1)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる。
【0173】
図2A図2Bから分かるように、本発明の検出方法を採用すると、異なる信号採集温度で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オン」と「オフ」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0174】
実施例2
(1)非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表3に示す。
【0175】
【表3】
【0176】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1(SEQ ID NO:3)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1全長は32bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A1)であり、プローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A1’)と逆相補的である。
【0177】
リバースプライマーR2(SEQ ID NO:4)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2全長は33bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプライマー信号検出領域(h2)であり、プローブP1(SEQ ID NO:1)の3’末端の1番目から10番目の塩基配列と同じである。
【0178】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表4に示す。
【0179】
【表4】
【0180】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異DNAを陽性サンプルとして用い、信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R2)を用いて非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列を検出し、単一変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0181】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表4に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0182】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0183】
データ分析(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システムを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0184】
図3Aは、リバースプライマー(R2)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる。
【0185】
図3Bは、リバースプライマー(R2)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0186】
図3A図3Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オフ」と「オン」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0187】
実施例3
(1)非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表5に示す。
【0188】
【表5】
【0189】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1(SEQ ID NO:3)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1全長は32bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A1)であり、プローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A1’)と逆相補的である。
【0190】
リバースプライマーR2(SEQ ID NO:4)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2全長は33bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプライマー信号検出領域(h2)であり、プローブP1(SEQ ID NO:1)の3’末端の1番目から10番目の塩基配列と同じである。
【0191】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表6に示す。
【0192】
【表6】
【0193】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異DNAを陽性サンプルとして用い、信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R2)を用いて非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列を検出し、単一変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0194】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表6に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0195】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、40℃で5分間恒温インキュベートし、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0196】
データ分析(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システムを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0197】
図4Aは、リバースプライマー(R2)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる(エッジにある及び/又は比較的大きく見える液滴は、実験操作によるものであり、陽性液滴ではない)。
【0198】
図4Bは、リバースプライマー(R2)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0199】
図4A図4Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度(60℃、78℃)で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オフ」と「オン」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0200】
実施例4
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異を検出するための二重検出プライマープローブ系を表7に示す。
【0201】
【表7】
【0202】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-4(SEQ ID NO:6)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-4全長は37bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP2-4(SEQ ID NO:5)の5’末端の1番目から11番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0203】
リバースプライマーR1-4(SEQ ID NO:7)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-4全長は55bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が信号ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP2-4(SEQ ID NO:5)の5’末端の14番目から35番目の塩基配列と同じである。
【0204】
フォワードプライマーF2-4(SEQ ID NO:8)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-4全長は33bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP2-4(SEQ ID NO:5)の5’末端の1番目から11番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0205】
リバースプライマーR2-4(SEQ ID NO:9)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-4プライマー全長は37bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブP2-4(SEQ ID NO:5)の3’末端の1番目から10番目の塩基配列と同じである。
【0206】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表8に示す。
【0207】
【表8】
【0208】
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異核酸及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異核酸を陽性サンプルとして用い、異なる信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R1-4及びR2-4)を用いてカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異標的配列を検出し、二重変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0209】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表8に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0210】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、56℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、72℃で2回目の信号採集を行った。
【0211】
データ分析(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システムを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0212】
図5Aは、本実施例の第1の信号採集温度(56℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異陽性液滴である(エッジにある及び/又は比較的大きく見える液滴は、実験操作によるものであり、陽性液滴ではない)。
【0213】
図5Bは、本実施例の第2の信号採集温度(72℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異陽性液滴であり、かつ該温度で出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(56℃)で出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0214】
図5A図5Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度(56℃、72℃)で異なる標的配列の検出信号をそれぞれ取得し、かつ互いに交差しないことを実現することができる。
【0215】
実施例5
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異を検出するための三重検出プライマープローブ系を表9に示す。
【0216】
【表9】
【0217】
上記プライマープローブにおいて、
前記フォワードプライマーF1-5(SEQ ID NO:11)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-5全長は42bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から15番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-5(SEQ ID NO:10)の5’末端の1番目から15番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0218】
前記リバースプライマーR1-5(SEQ ID NO:12)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-5全長は56bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が信号ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から30番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-5(SEQ ID NO:10)の5’末端の17番目から41番目の塩基配列と同じである。
【0219】
前記フォワードプライマーF2-5(SEQ ID NO:13)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-5全長は37bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から15番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-5(SEQ ID NO:10)の5’末端の1番目から15番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0220】
リバースプライマーR2-5(SEQ ID NO:14)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-5全長は38bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブP1-5(SEQ ID NO:10)の3’末端の15番目から25番目の塩基配列と同じである。
【0221】
前記フォワードプライマーF3-5(SEQ ID NO:15)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F3-5全長は39bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から15番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-5(SEQ ID NO:10)の5’末端の1番目から15番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0222】
リバースプライマーR3-5(SEQ ID NO:16)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R3-5全長は33bpであり、その3’末端の1番目から22番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から8番目の塩基がプローブP1-5(SEQ ID NO:10)の3’末端の1番目から8番目の塩基配列と同じである。
【0223】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表10に示す。
【0224】
【表10】
【0225】
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異核酸サンプル、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異核酸サンプル及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異サンプルを陽性サンプルとして用い、異なる信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R1-5/R2-5/R3-5)を用いてカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異標的配列を検出し、三重変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0226】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表10に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0227】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、55℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、52℃で20秒間のアニーリング伸長、合計5サイクル行い、65℃で2回目の信号採集を行った。94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計5サイクル行い、73℃で3回目の信号採集を行った。
【0228】
データ分析(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システムを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0229】
図6Aは、本実施例のカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(55℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異陽性液滴である。
【0230】
図6Bは、本実施例のカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(65℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異陽性液滴であり、かつ該温度で出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(55℃)で出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0231】
図6Cは、本実施例のカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異陽性サンプルの第3の信号採集温度(73℃)での液滴図であり、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異陽性液滴であり、かつ該温度で出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(55℃)及び第2の信号採集温度(65℃)で出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0232】
図6A図6Cから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度(55℃、65℃、73℃)で異なる標的配列の検出信号をそれぞれ取得し、かつ互いに交差しないことを実現することができる。
【0233】
実施例6
(1)非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異及び非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表11に示す。
【0234】
【表11】
【0235】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF2-6(SEQ ID NO:18)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-6全長は32bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A2)であり、プローブP1-6(SEQ ID NO:5)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A2’)と逆相補的である。
【0236】
リバースプライマーR2-6(SEQ ID NO:17)は、非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-6全長は33bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプライマー信号検出領域(h2)であり、プローブP1-6(SEQ ID NO:5)の3’末端の1番目から10番目の塩基配列と同じである。
【0237】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表12に示す。
【0238】
【表12】
【0239】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異を陽性サンプルとして用い、テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0240】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表12に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0241】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、72℃で1回目の信号採集を行い、82℃で2回目の信号採集を行った。
【0242】
データ分析(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システムを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度で採集した信号により結果を判定した。
【0243】
図7Aは、第1の信号採集温度(72℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0244】
図7Bは、第2の信号採集温度(82℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる。
【0245】
図7A図7Bから分かるように、本発明の検出方法を採用すると、異なる信号採集温度(72℃、82℃)で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オン」と「オフ」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0246】
実施例7
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異を検出するための三重検出プライマープローブ系を表13に示す。
【0247】
【表13】
【0248】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-7(SEQ ID NO:20)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-7全長は36bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から12番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-7(SEQ ID NO:19)の5’末端の1番目から12番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0249】
リバースプライマーR1-7(SEQ ID:21)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-7全長は52bpであり、その3’末端の1番目から22番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が信号ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-7(SEQ ID NO:19)の5’末端の14番目から35番目の塩基配列と同じである。
【0250】
フォワードプライマーF2-7(SEQ ID NO:22)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-7全長は39bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から12番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-7(SEQ ID NO:19)の5’末端の1番目から12番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0251】
リバースプライマーR2-7(SEQ ID NO:23)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-7全長は37bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブP1-7(SEQ ID NO:19)の3’末端の1番目から11番目の塩基配列と同じである。
【0252】
フォワードプライマーF3-7(SEQ ID NO:24)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F3-7全長は36bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP2-7(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0253】
リバースプライマーR3-7(SEQ ID NO:19)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R3-7全長は38bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブP2-7(SEQ ID NO:1)の3’末端の1番目から10番目の塩基配列と同じである。
【0254】
上記プライマープローブを利用して検出する原理は以下のとおりである。
病原体標的を特異的増幅する時に、比較的高い第1の温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1-7)とリバースプライマー(R1-7)はそれぞれ標的配列1(カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)、伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)である。フォワードプライマー(F2-7)とリバースプライマー(R2-7)はそれぞれ標的配列2(カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A2)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)である。フォワードプライマー(F3-7)とリバースプライマー(R3-7)はそれぞれ標的配列3(カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A3)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)である。
【0255】
PCR増幅が終了した後、比較的低い第1の信号採集温度(t1)で信号採集を行う。このとき、プローブ(P1-7)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-7)のプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-7)と形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)が得られるが、一本鎖プレ増幅産物(S1)の3’末端の伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)はプローブ(P1-7)又は標的配列の任意の部分に相補的ではない。この時、プローブ(P1-7)の一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生し、機器によって検出される。この時、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)のアニーリング温度はいずれも第1のアニーリング温度(T1)及び第1の信号採集温度(t1)より低いため、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を完了した後、一本鎖プレ増幅産物(S2及びS3)の二次増幅サイクルを行い、サイクル条件は高温で脱鎖し、且つ比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1))。このとき、プローブ(P1-7)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A2’)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端のプローブアンカー領域(A2)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端は、プローブ(P)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P1-7)の全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S2)をプライマーとし、プローブ(P1-7)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P1-7)と形成した増幅二本鎖産物(D2)を得る。この時、プローブ(P1-7)の一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生する。この時、プローブ(P2-7)のプローブ信号検出領域(H)と一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)とは相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A3’)は、一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端のプローブアンカー領域(A3)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端は、プローブ(P2-7)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P2-7)の全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S3)をプライマーとし、プローブ(P2-7)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P2-7)と形成した増幅二本鎖産物(D3)を得る。この時、プローブ(P2-7)の一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生する。
【0256】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表14に示す。
【0257】
【表14】
【0258】
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異、遺伝子IMP突然変異及び遺伝子VIM突然変異を陽性サンプルとして用い、3種類のサンプルを混合して検出し、三重標的への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0259】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表14に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0260】
デジタルPCR増幅及び信号採集(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い(VICチャネル)、94℃で15秒間の変性、52℃で20秒間のアニーリング伸長、合計5サイクル行い、68℃で2回目の信号採集を行った(2回の信号チャネル採集を含み、それぞれVICチャネル及びFAMチャネルである)。
【0261】
データ分析:
異なる信号チャネル及び異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0262】
図8Aは、本実施例の第1の信号採集温度(60℃)、VIC蛍光チャネルで採集した液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異陽性液滴である。
【0263】
図8Bは、本実施例の第2の信号採集温度(68℃)、VIC蛍光チャネルで採集した液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異陽性液滴であり、かつ該温度及びチャネルで出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(60℃)VICチャネルで出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0264】
図8Cは、本実施例の第2の信号採集温度(68℃)、FAM蛍光チャネルで採集した液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異陽性液滴であり、かつ該温度及びチャネルで出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(60℃)VICチャネル及び第2の信号採集温度(68℃)VICチャネルで出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0265】
図8A乃至図8Cから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度及び異なる信号採集チャネルにより、異なる標的配列の検出信号を取得し、かつ互いに交差せず、検出結果がより直感的で、より明確である。
【0266】
実施例8
(1)非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表15に示す。
【0267】
【表15】
【0268】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-8(SEQ ID NO:27)は、非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-8全長は29bpであり、その3’末端の1番目から16番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A1)であり、プローブP1-8(SEQ ID NO:25)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A1’)と逆相補的である。
【0269】
リバースプライマーR1-8(SEQ ID NO:26)は、非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-8全長は51bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h3)であり、プローブP1-8(SEQ ID NO:25)の3’末端の26番目から47番目の塩基配列と同じである。
【0270】
上記プライマープローブを利用して検出する原理は以下のとおりである。標的を特異的増幅する時に、比較的高い第1の温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1-8)とリバースプライマー(R1-8)はそれぞれ標的配列1と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)、伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)である。PCR増幅が終了した後、比較的低い第1の信号採集温度(t1)で信号採集を行う。このとき、プローブ(P1-8)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-8)のプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-8)と形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)が得られるが、一本鎖プレ増幅産物(S1)の3’末端の伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)はプローブ(P1-8)又は標的配列の任意の部分に相補的ではない。この時、プローブ(P)の全部又は一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生し、機器によって検出される。第1の信号採集温度(t1)で信号の採集が完了した後、さらにサイクル条件が高温で脱鎖し、比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1)プロセスに入り、第2の信号採集温度(t2)で信号を採集する(t2>t1、且つt2>T1)。このとき、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P1-8)とが形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)は、第2の信号採集温度(t2)がハイブリッド二本鎖産物(D1)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できず、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。
【0271】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表16に示す。
【0272】
【表16】
【0273】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異DNAを陽性サンプルとして用い、信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R1)を用いて非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列を検出し、単一変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0274】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表16に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0275】
デジタルPCR増幅及び信号採集(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0276】
データ分析(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機分析ソフトウェアを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0277】
図9Aは、リバースプライマー(R1-8)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0278】
図9Bは、リバースプライマー(R1-8)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる。
【0279】
図9A図9Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オン」と「オフ」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0280】
実施例9
(1)非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表17に示す。
【0281】
【表17】
【0282】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-9(SEQ ID NO:27)は、非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-9全長は29bpであり、その3’末端の1番目から16番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A1)であり、プローブP1-9(SEQ ID NO:25)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A1’)と逆相補的である。
【0283】
リバースプライマーR2-9(SEQ ID NO:28)は、非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-9全長は32bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から8番目の塩基がプライマー信号検出領域(h2)であり、プローブP1-9(SEQ ID NO:25)の3’末端の1番目から8番目の塩基配列と同じである。
【0284】
上記プライマープローブを利用して検出する原理は以下のとおりである。標的を特異的増幅する時に、比較的高い第1の温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1-9)とリバースプライマー(R2-9)はそれぞれ標的配列と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)である。比較的低い第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を行い(t1>T1)、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)のアニーリング温度が第1のアニーリング温度(T1)及び第1の信号採集温度(t1)より低いため、プローブ(P1-9)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号の採集が完了した後、さらにサイクル条件が高温で脱鎖し、比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1)プロセスに入り、この時、プローブ(P1-9)のプローブ信号検出領域(H)と一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)とは相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端は、プローブ(P1-9)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P1-9)の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S2)をプライマーとし、プローブ(P1-9)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P1-9)と形成した増幅二本鎖産物(D2)を得る。このとき、温度を比較的高い第2の信号採集温度(t2)に上昇させ信号を採集し(t2>t1、且つt2>T1)、一本鎖プレ産物(S2)とプローブ(P1-9)により形成された増幅二本鎖産物(D2)が二本鎖状態を形成し、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。
【0285】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表18に示す。
【0286】
【表18】
【0287】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異DNAを陽性サンプルとして用い、信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R2-9)を用いて非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列を検出し、単一変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0288】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表18に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0289】
デジタルPCR増幅及び信号採集(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0290】
データ分析(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機分析ソフトウェアを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0291】
図10Aは、リバースプライマー(R2-9)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる。
【0292】
図10Bは、リバースプライマー(R2-9)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0293】
図10A図10Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オフ」と「オン」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0294】
実施例10
(1)非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表19に示す。
【0295】
【表19】
【0296】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-10(SEQ ID NO:27)は、非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-10全長は29bpであり、その3’末端の1番目から16番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A1)であり、プローブP1-10(SEQ ID NO:25)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A1’)と逆相補的である。
【0297】
リバースプライマーR2-10(SEQ ID NO:28)は、非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-10全長は32bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から8番目の塩基がプライマー信号検出領域(h2)であり、プローブP1-10(SEQ ID NO:25)の3’末端の1番目から8番目の塩基配列と同じである。
【0298】
上記プライマープローブを利用して検出する原理は以下のとおりである。標的を特異的増幅する時に、比較的高い第1の温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1-10)とリバースプライマー(R2-10)はそれぞれ標的配列2と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)である。比較的低い第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を行い(t1>T1)、一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)のアニーリング温度が第1のアニーリング温度(T1)及び第1の信号採集温度(t1)より低いため、プローブ(P1-10)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号の採集が完了した後、さらにサイクル条件が恒温で増幅し、恒温が比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1)プロセスに入り、この時、プローブ(P1-10)のプローブ信号検出領域(H)と一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)とは相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端は、プローブ(P1)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P1-10)の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S3)をプライマーとし、プローブ(P1-10)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P1-10)と形成した増幅二本鎖産物(D3)を得る。このとき、温度を比較的高い第2の信号採集温度(t2)に上昇させ信号を採集し(t2>t1、且つt2>T1)、一本鎖プレ産物(S3)とプローブ(P)により形成された増幅二本鎖産物(D3)が二本鎖状態を形成し、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。
【0299】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表20に示す。
【0300】
【表20】
【0301】
サンプル作製:非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異DNAを陽性サンプルとして用い、信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R2-10)を用いて非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異標的配列を検出し、単一変異への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0302】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表20に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0303】
デジタルPCR増幅及び信号採集(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、40℃恒温で5分間インキュベートし、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0304】
データ分析(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機分析ソフトウェアを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0305】
図11Aは、リバースプライマー(R2-10)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、いずれも陰性液滴であることが見られる(エッジにある及び/又は比較的大きく見える液滴は、実験操作によるものであり、陽性液滴ではない)。
【0306】
図11Bは、リバースプライマー(R2-10)により増幅された一重PCR非小細胞肺がんEGFR 20号エクソンH773_V774insH突然変異陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られる。
【0307】
図11A図11Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号採集温度で異なる検出信号結果を取得し、標的信号に対して「オフ」と「オン」を行い、標的に対するより正確な検出を実現することができる。
【0308】
実施例11
(1)A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)を検出するための二重検出プライマープローブ系を表21に示す。
【0309】
【表21】
【0310】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-11(SEQ ID NO:30)は、RSウイルス標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-11全長は42bpであり、その3’末端の1番目から29番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-11(SEQ ID NO:25)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0311】
リバースプライマーR1-11(SEQ ID NO:29)は、RSウイルス標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-11全長は54bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から6番目の塩基が信号ブロック領域(M)であり、その5’末端の7番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-11(SEQ ID NO:25)の3’末端の26番目から46番目の塩基配列と同じである。
【0312】
フォワードプライマーF2-11(SEQ ID NO:31)は、A型インフルエンザウィルス標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-11全長は32bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-11(SEQ ID NO:25)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0313】
リバースプライマーR2-11(SEQ ID NO:32)は、A型インフルエンザウィルス標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-11プライマー全長は31bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から8番目の塩基がプローブP1-11(SEQ ID NO:25)の3’末端の1番目から8番目の塩基配列と同じである。
【0314】
上記プライマープローブを利用して検出する原理は以下のとおりである。標的を特異的増幅する時に、比較的高い第1の温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1-11)とリバースプライマー(R1-11)はそれぞれ標的配列1(RSウイルス)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)、伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)である。フォワードプライマー(F2-11)とリバースプライマー(R2-11)はそれぞれ標的配列2(A型インフルエンザウィルス)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A2)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)である。PCR増幅が終了した後、比較的低い第1の信号採集温度(t1)で信号採集を行う。このとき、プローブ(P1-11)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-11)のプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-11)と形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)が得られるが、一本鎖プレ増幅産物(S1)の3’末端の伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)はプローブ(P1-11)又は標的配列の任意の部分に相補的ではない。この時、プローブ(P1-11)の一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生し、機器によって検出される。この時、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)のアニーリング温度は第1のアニーリング温度(T1)及び第1の信号採集温度(t1)より低いため、プローブ(P1-11)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を完了した後、一本鎖プレ増幅産物(S2)の二次増幅サイクルを行い、サイクル条件は高温で脱鎖し、且つ比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1))。このとき、プローブ(P1-11)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A2’)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端のプローブアンカー領域(A2)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端は、プローブ(P1-11)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P1-11)の全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S2)をプライマーとし、プローブ(P1-11)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P1-11)と形成した増幅二本鎖産物(D2)を得る。この時、温度を比較的高い第2の信号採集温度(t2)まで上昇させて信号採集を行う(t2>t1、且つt2>T1)。一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P1-11)により形成された増幅二本鎖産物(D2)が二本鎖状態を形成し、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。この時、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P1-11)が形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)は、第2の信号採集温度(t2)がハイブリッド二本鎖産物(D1)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できない。
【0315】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表22に示す。
【0316】
【表22】
【0317】
サンプル作製:A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)を陽性サンプルとして用い、異なる信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R1-11及びR2-11)を用いてA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)標的配列を検出し、二重ウィルス感染への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0318】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表22に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0319】
デジタルPCR増幅及び信号採集(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、55℃で15分間逆転写し、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、60℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計10サイクル行い、78℃で2回目の信号採集を行った。
【0320】
データ分析(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機分析ソフトウェアを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0321】
図12Aは、本実施例のA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)陽性サンプルの第1の信号採集温度(60℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、A型インフルエンザウィルス陽性液滴である(エッジにある及び/又は比較的大きく見える液滴は、実験操作によるものであり、陽性液滴ではない)。
【0322】
図12Bは、本実施例のA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)陽性サンプルの第2の信号採集温度(78℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、RSウイルス陽性液滴であり、かつ該温度で出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(60℃)で出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0323】
図12A図12Bから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号検出温度(t1、t2)で異なる標的配列の検出信号をそれぞれ取得し、かつ互いに交差しないことを実現することができる。
【0324】
実施例12
(1)A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)を検出するための三重検出プライマープローブ系を表23に示す。
【0325】
【表23】
【0326】
上記プライマープローブにおいて、
フォワードプライマーF1-12(SEQ ID NO:35)は、A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-12全長は33bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-12(SEQ ID NO:33)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0327】
リバースプライマーR1-12(SEQ ID NO:34)は、A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-12全長は47bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が信号ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から24番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-12(SEQ ID NO:33)の3’末端の30番目から48番目の塩基配列と同じである。
【0328】
フォワードプライマーF2-12(SEQ ID NO:37)は、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-12全長は33bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-12(SEQ ID NO:33)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0329】
リバースプライマーR2-12(SEQ ID NO:36)は、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R2-12全長は35bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブP1-12(SEQ ID NO:33)の3’末端の17番目から27番目の塩基配列と同じである。
【0330】
フォワードプライマーF3-12(SEQ ID NO:39)は、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F3-12全長は35bpであり、その3’末端の1番目から22番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブアンカー領域(A)であり、プローブP1-12(SEQ ID NO:33)の5’末端の1番目から10番目の塩基配列、即ちプライマーアンカー領域(A’)と逆相補的である。
【0331】
リバースプライマーR3-12(SEQ ID NO:38)は、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R3-12全長は29bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から7番目の塩基がプローブP1-12(SEQ ID NO:33)の3’末端の1番目から7番目の塩基配列と同じである。
【0332】
上記プライマープローブを利用して検出する原理は以下のとおりである。標的を特異的増幅する時に、比較的高い第1の温度(T1)でアニーリングし、フォワードプライマー(F1-12)とリバースプライマー(R1-12)はそれぞれ標的配列1(RSウイルス)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)、伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)である。フォワードプライマー(F2-12)とリバースプライマー(R2-12)はそれぞれ標的配列2(A型インフルエンザウィルス)と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A2)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)である。フォワードプライマー(F3-12)とリバースプライマー(R3-12)はそれぞれ標的配列3と特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうちの1本の一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端から3’末端までは順にプローブアンカー領域(A3)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)である。PCR増幅が終了した後、比較的低い第1の信号採集温度(t1)で信号採集を行う。このとき、プローブ(P1-12)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h1’)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-12)のプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、プローブ(P1-12)と形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)が得られるが、一本鎖プレ増幅産物(S1)の3’末端の伸長ブロック領域の逆相補配列(M’)はプローブ(P1-12)又は標的配列の任意の部分に相補的ではない。この時、プローブ(P1-12)の一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生し、機器によって検出される。この時、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)のアニーリング温度はいずれも第1のアニーリング温度(T1)及び第1の信号採集温度(t1)より低いため、プローブ(P1-12)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第1の信号採集温度(t1)で1回目の信号採集を完了した後、一本鎖プレ増幅産物(S2)の二次増幅サイクルを行い、サイクル条件は高温で脱鎖し、且つ比較的低い第2のアニーリング温度(T2)でアニーリングする(T2<T1、且つT2<t1))。このとき、プローブ(P1-12)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h2’)と相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A2’)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端のプローブアンカー領域(A2)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端は、プローブ(P1-12)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P1-12)の全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S2)をプライマーとし、プローブ(P1-12)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P1-12)と形成した増幅二本鎖産物(D2)を得る。この時、プローブ(P1-12)の全部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生する。このとき、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P1-12)とが形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)は、第2の信号採集温度(t2)がハイブリッド二本鎖産物(D1)の融解温度よりも高いため、二本鎖構造を形成することができず、且つ一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)のアニーリング温度が第2のアニーリング温度(T2)よりも低いため、プローブ(P1-12)のプローブ信号検出領域(H)と逆相補的に伸長することがない。第2の信号採集温度(t2)で2回目の信号採集を完了した後、一本鎖プレ増幅産物(S3)の二次増幅サイクルを行い、サイクル条件は高温で脱鎖し、より低い第3のアニーリング温度(T3)でアニーリングする(T3<T2、且つT3<t2)。この時、プローブ(P1-12)のプローブ信号検出領域(H)と一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補配列(h3’)とは相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A3’)は、一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端のプローブアンカー領域(A3)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端は、プローブ(P1-12)の5’末端まで伸長し続けて、プローブ(P1-12)の一部又は全部の逆相補配列が得られ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S3)をプライマーとし、プローブ(P1-12)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P1-12)と形成した増幅二本鎖産物(D3)を得る。この時、プローブ(P1-12)の全部又は一部の配列が一本鎖から二本鎖状態になり、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が変化し、信号を発生する。第3のアニーリング温度(T3)でサイクル増幅が終了した後、さらに温度をより高い第3の信号採集温度(t3)まで上昇させて2回目の信号採集を行う(t3>t2、且つt3>T2)。この時、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P1-12)が形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)は、第3の信号採集温度(t3)がハイブリッド二本鎖産物(D1)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できない。一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P1-12)とによって形成された増幅二本鎖産物(D2)は、第3の信号採集温度(t3)が増幅二本鎖産物(D2)の融解温度よりも高いため、二本鎖構造を形成することができず、一本鎖プレ増幅産物(S3)とプローブ(P1-12)とによって形成された増幅二本鎖産物(D3)は二本鎖状態を形成した。第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。
【0333】
(2)上記プライマープローブ系を用いてPCR検出を行い、検出時に用いた反応系を表24に示す。
【0334】
【表24】
【0335】
サンプル作製:A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)を陽性サンプルとして用い、異なる信号検出領域配列を有するリバースプライマー(R1-12/R2-12/R3-12)を用いてA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)標的配列を検出し、三重ウィルス感染への検出能力を検証した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
【0336】
反応配置:
サンプルの準備が完了した後、表24に記載の配合で反応系の配置を行った。
【0337】
デジタルPCR増幅及び信号採集(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機及び試薬消耗品を用いて検出した):
デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、短時間遠心分離した後、室温で5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、55℃で15分間逆転写し、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間の変性、56℃で30秒間のアニーリング伸長、合計45サイクル行い、61℃で1回目の信号採集を行い、94℃で15秒間の変性、52℃で20秒間のアニーリング伸長、合計5サイクル行い、68℃で2回目の信号採集を行った。94℃で15秒間の変性、40℃で20秒間のアニーリング伸長、合計5サイクル行い、76℃で3回目の信号採集を行った。
【0338】
データ分析(北京達微生物科技有限公司のOS-500デジタルPCR複合機分析ソフトウェアを用いてデータ分析を行った):
異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0339】
図13Aは、本実施例のA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)陽性サンプルの第1の信号採集温度(61℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、A型インフルエンザウィルス陽性液滴である。
【0340】
図13Bは、本実施例のA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)陽性サンプルの第2の信号採集温度(68℃)での液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、B型インフルエンザウィルス陽性液滴であり、かつ該温度で出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(61℃)で出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0341】
図13Cは、本実施例のA型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)、B型インフルエンザウィルス(Influenza B virus、IBV)及びRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)陽性サンプルの第3の信号採集温度(76℃)での液滴図であり、RSウイルス陽性液滴であり、かつ該温度で出現した陽性液滴は第1の信号採集温度(61℃)及び第2の信号採集温度(68℃)で出現した陽性液滴とは位置が異なる。
【0342】
図13A乃至図13Cから分かるように、本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法を採用すると、異なる信号検出温度(t1、t2、t3)で異なる標的配列の検出信号をそれぞれ取得し、かつ互いに交差しないことを実現することができる。
【0343】
以上は、本発明の好ましい例に過ぎない。当業者であれば、本発明が提供する技術的教示の下で、本分野の公知常識として、他の同等の変形及び改良を行ってもよく、本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【0344】
第2の実施形態
なお、本願の実施例及び図面における用語「含む」及び「有する」並びにそれらの任意の変形は、非排他的に包含することをカバーすることを意図する。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、列挙されたステップ又はユニットに限定されず、列挙されていないステップ又はユニットを任意選択でさらに含み、又は、これらのプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを任意選択でさらに含む。
【0345】
本出願で使用される用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書において様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語に限定されないことが理解されよう。これらの用語は、第1の要素を他の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本願の範囲から逸脱せず、第1の移動情報を第2の移動情報と称してもよく、同様に、第2の移動情報を第1の移動情報と称してもよい。第1の移動情報と第2の移動情報の両方が移動情報であるが、同じ移動情報ではない。尚また、本出願の実施例において使用される「複数の」という用語は、2つ又は2つ以上を意味する。
【0346】
以下、実施例の形で、本願の技術的方案をさらに説明する。
【0347】
本実施形態の多重時分割核酸検出装置は、被検サンプルを検出するためのものであり、被検サンプルには、1種の被検成分が含まれてもよく、2種、3種、4種、5種乃至それ以上の被検成分が含まれてもよく、本実施形態の多重時分割核酸検出装置によれば、被検成分の多重検出を実現できる。
【0348】
図14A及び図14Bを参照すると、本実施形態の多重時分割核酸検出装置は、反応液収容部1と、温度調節部2と、信号検出部3と、制御部4とを含む。ここで、反応液収容部1は、被検成分を含む被検サンプルと、被検成分と反応可能な試薬とを収容するためのものであり、被検サンプルと試薬との様々な反応を生じさせるための場所を提供する。ここで、温度調節部2は、被検サンプルと試薬とが異なる温度で異なる反応を生じるように、反応液収容部1内の混合液の温度を調節するためのものである。ここで、信号検出部3は、混合液中の特定の反応後の特定の物質による信号を検出するものであり、当該信号は、光学信号であってもよいし、電気信号であってもよい。ここで、制御器4は、温度調節部2を制御して異なる温度パターンで反応液収容部1内の混合液の温度を調節し、信号検出部3を制御して混合液中の特定の物質による信号を検出するためのものである。
【0349】
I.試料
試料は人体又は動物体からの体液であり、試料には異なる被検成分が含まれ、被検成分は核酸又はタンパク質であってもよい。本実施形態は、被検成分を核酸として技術的方案を説明する。人体又は動物体から直接採取された試料に対して、核酸抽出精製操作を実行して核酸を抽出することができ、この操作は、手動で実行されてもよく、専門化された核酸抽出器で実行されてもよい。人体又は動物体から直接採取された試料に対して、核酸抽出精製操作を実行しなくてもよい。試料には、異なる被検核酸分子、例えば、第1の被検成分(第1の被検核酸)、第2の被検成分(第2の被検核酸)、第3の被検成分(第3の被検核酸)、第4の被検成分(第4の被検核酸)、第5の被検成分(第5の被検核酸)などが含まれる。
【0350】
II.試薬
試薬には、核酸を増幅するための増幅物質と、核酸を標識するための標識物質とが含まれ、増幅物質は、異なる核酸分子を増幅することができ、標識物質は、所定の温度で核酸と結合して検出可能な信号を生成することができる。異なる核酸は、標識物質と結合する温度範囲が異なり、結合後に標識物質と分離する温度範囲も異なる。異なる被検核酸を増幅する増幅物質におけるプライマーは異なり、異なる被検核酸を標識する標識物質は同じであっても異なっていてもよく、本出願は、同じ標識物質で異なる被検核酸を標識する。
【0351】
III.微小液体
微小液体は、エマルションに形成された微小液滴であってもよいし、容器上の細孔内に収容された微量液体であってもよい。各微小液体には、多くとも1単位の核酸分子と、複数種の標的核酸を増幅して複数種の標的核酸を標識するのに十分な試薬とが含まれている。例えば、被検サンプルに2種類の被検核酸、即ち第1の被検核酸、第2の被検核酸があれば、微小区分け処理後、各第1の被検核酸、各第2の被検核酸が異なる微小液体に分配され、1つの微小液体に十分な量の試薬があり、微小液体における第1の被検核酸の増幅と標識のニーズを満たすことができるだけでなく、微小液体における第2の被検核酸の増幅と標識のニーズも満たすことができる。
【0352】
微小液体を作製する過程は、高周波振動によって微小液体を形成する方式であってもよい。マイクロパイプによって試料及び十分な量の試薬を吸引し、マイクロパイプを油性液体の下方に挿入して高周波振動させ、振動の過程においてマイクロパイプにおける試料及び試薬の微小液体を所定の速度で排出することにより、振動によって微小液滴、即ち微小液体を振り切り、微小液体は油性液体と相溶せず、反応しない。適宜な振動周波数、振動振幅、微小液体の排出速度を設定することにより、形成された各微小液体に多くとも1単位の核酸分子しかないことを確保することができる。
【0353】
容器に複数の微小区分けを設け、試料と試薬の微小液体を複数の微小区分けに加えることにより、各微小区分けに多くとも1単位の核酸分子が存在するようにしてもよい。
【0354】
IV.反応液収容部
図14Aに示すように、反応液収容部は上方に開口したボックス状容器であり、液体注入機構によって被検核酸と試薬を該ボックス状容器に入れ(即ち、上記のような高周波振動によって微小液体を形成する方式)、実験室作業者によって被検核酸と試薬を該ボックス状容器に入れてもよい。
【0355】
図14Bに示すように、反応液収容部はマイクロ流路に連通するチャンバであり、マイクロ流体駆動構造によって被検核酸と試薬が該チャンバに入るように駆動する。
【0356】
被検核酸の絶対定量検出を実現するために、被検核酸と試薬を含む微小液体は、20000個程度の微小液体に包まれ、各微小液体には、1つの被検核酸分子が含まれ、又は被検核酸分子が含まれず、被検核酸において被検成分が何種類があるかに関わらず、いずれも異なる微小液体に分配される(これは理想的な状態であり、少量の微小液体に1つ以上の被検核酸分子が含まれる可能性がある)。
【0357】
本実施例では、反応液収容部がボックス状容器であるとして説明し、反応液収容部に試料や試薬と相溶せず、試料や試薬とも反応しない油性液体を注入し、高周波振動方式を用いて油性液体内に微小液体を形成し、微小液体を自重により反応液収容部の底部に敷き詰める。
【0358】
図14Cに示すように、ウェルプレート100は複数の反応液収容部1からなり、反応液収容部1の底部は平板形状であり、複数の微小液体を反応液収容部1の底部に敷き詰めることができる。
【0359】
V.温度調節部
図14A及び図14Bに示すように、温度調節部2は、反応液収容部1の下方、上方又は側方に設けられ、反応液収容部1に熱を与えてもよいし、反応液収容部1の熱を吸収してもよく、反応液収容部1内の微小液体を昇温及び降温する機能を果たす。温度調節部2は、反応液収容部1内の微小液体の温度を4℃~105℃の範囲で変化させることができる。図14Aに示すように、反応液収容部1が上方に開口したボックス状の容器である場合には、温度調節部に反応液収容部を載置するための専用の載置位置を設け、反応液収容部1の温度調節が必要な場合には載置位置に載置するようにしてもよい。図14Bに示すように、反応液収容部1がマイクロ流路に連通するチャンバである場合、加熱効率などの要因を組み合わせて、温度調節部2を反応液収容部1の適宜な方位に設置してもよい。
【0360】
本実施例において、温度調節部2は、複数の反応液収容部1からなるウェルプレート100の下方に設置され、接触して平坦なウェルプレート100に対して昇温、降温操作を行うことにより、ウェルプレート100内の各反応液収容部1内の微小液体をウェルプレート100の温度の昇降に伴って温度変化させる。
【0361】
VI.信号検出部
図示するように、信号検出部3は、反応液収容部1の近傍に設けられており、反応液収容部1中の微小液体により生成された信号の違いに応じて、信号検出部は、光信号(例えば蛍光信号)を検出するデバイス(カメラ又は光電デバイス)又は電気信号を検出可能なデバイスであってもよい。例えば、信号検出部がカメラである場合、反応液収容部に敷き詰められた信号を撮影してもよい。信号検出部3は、反応液収容部1に対して移動可能であり、制御部は、信号を検出する必要がある場合に、駆動機構を制御して信号検出部3を反応液収容部1に近接する位置(例えば、図14Aに示す上方)に移動させる。図14Bに示すように、信号検出部3は、反応液収容部に対して固定的に設けられてもよい。
【0362】
VII.制御部
図示するように、制御部4は、温度調節部2、信号検出部3と通信可能に接続されている。制御部は、温度調節部と通信可能に接続され、温度調節部が異なるモードで動作するように制御するための第1の制御部と、信号検出部と通信可能に接続され、信号検出部が反応液収容部内の微小液体からの信号を採集するように制御するための第2の制御部とを含んでもよい(未図示)。図14A及び図14Bに示すように、制御部4は、温度調節部と信号検出部とを同時に制御可能な単一の部材であってもよい。
【0363】
実施例13
被検サンプルには、第1の被検成分(第1の被検核酸)及び第2の被検成分(第2の被検核酸)が含まれ、なお、第1の被検核酸によって生成された第1の被検関連産物(被検核酸がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸ハイブリダイゼーション及び/又はヌクレアーゼ切断などの操作を経た後、それに対応する被検関連産物が生成され、通常の場合、被検関連産物は核酸である)は、第1の結合温度範囲内で試薬中の標識物質と結合することができ、第2の被検核酸によって生成された第2の被検関連産物は、第2の結合温度範囲内で試薬中の標識物質と結合することができ、第1の結合温度範囲と第2の結合温度範囲の最高温度が異なる。本実施例では、第2の結合温度範囲の最高温度は、第1の結合温度範囲の最高温度より低い。例えば、第1の被検関連産物は、温度A1以下である場合に標識物質と結合可能であり、第2の被検関連産物は、温度A2以下である場合に標識物質と結合可能であり、ただし、温度A2は温度A1より低い。第1の被検関連産物は、第1の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第2の被検関連産物は、第2の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第1の分離温度範囲と第2の分離温度範囲の最低温度は異なる。本実施例では、第2の分離温度範囲の最低温度は、第1の分離温度範囲の最低温度より高い。例えば、第1の被検関連産物は、温度B1以上である場合に標識物質と分離可能であり、第2の被検関連産物は、温度B2以上である場合に標識物質と分離可能であり、ただし、温度B2は温度B1より高い。
【0364】
試料中の異なる被検核酸の多重検出を実現するとともに、異なる被検核酸間の信号の相互干渉を防止するために、本実施例では、試料と試薬(増幅物質と標識物質を含む)の混合液を反応液収容部に加えて複数の微小液体を形成し、制御器は以下の制御を実行する。
【0365】
図15A乃至図15Dに示すように、横軸は時間を表し、縦軸は温度値を表し、制御器は温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を調節し、試料における被検核酸に関連する被検関連産物(被検核酸は第1の被検核酸、第2の被検核酸を含むが、異なる微小液体に存在する)を生成させる。この過程において、微小液体は複数の温度サイクルを経て、各温度サイクルにおいて、微小液体は複数の異なる温度に変化し、当該温度で一定時間継続し、サイクル数は複数、例えば20-60個、例えば40個程度であってもよい。各サイクルにおいて、微小液体は高温状態(温度t5)に達し、二本鎖核酸は一本鎖核酸になり、その後、微小液体は低温状態(温度T1)に達し、一本鎖核酸はアニーリング及び伸長過程を経る(アニーリング、伸長はそれぞれ異なる温度で行われてもよく、伸長温度はアニーリング温度より高い)。複数の温度サイクルを経た後、試料中の異なる被検核酸及び/又は異なる被検関連産物の数量はいずれも増加し(即ち、各微小液体における被検核酸及び/又は被検関連産物の量はいずれも増加するが、被検核酸の種類は変わらない)、より容易に検出される。増幅過程のアニーリング温度T1を合理的に設定することにより、被検核酸及び/又は被検関連産物の数量が増加するが、試薬中の標識物質と結合しない。アニーリング温度T1(低温温度T1)は、第1の範囲内で値を取ることができるが、後続のT2の取り得る範囲(第2の範囲)と重なることが不可であり、且つ第1の範囲内の値はいずれも第2の範囲内の値よりも大きい。
【0366】
図15A乃至図15Dに示すように、40個の温度サイクルを行う前に、微小液体を温度t0まで加熱し、試料中の被検核酸を一定時間(2分程度)予備変性させてもよい。一定時間の予備変性は、核酸を二本鎖状態から一本鎖状態にするためである。
【0367】
40サイクルが完了した後、制御器は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t1に調整して一定時間維持することができ、図15A乃至図15Dに示すように、この区間は区間1であり、制御器は、信号検出部を制御して1回の検出動作を実行することができ、今回検出した信号をブランク信号とする。温度t1はアニーリング温度T1より高くても低くてもよく、サイクル完了後、温度調節部は微小液体の温度を温度T1状態に保持してもよく、制御器は信号検出部を制御して1回の検出動作を実行する。今回検出して得られた信号はブランク信号であるため、効率を向上させるために、今回の検出動作を省略してもよい。
【0368】
次に、制御器は、温度調節部を制御して第1の温度調節モードで反応液収容部における微小液体の温度を調節し、第1の温度調節モードの調節を経た後、微小液体に標識物質と結合可能な第1の被検関連産物を発生させ、第1の被検関連産物を結合した標識物質が信号を発生させ、この状態で、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得する。単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配されるため、即ち、1つの微小液体には1つの被検核酸分子のみがあり、この被検核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸である可能性もあり、第1の温度調節モードの調整を経て、第1の被検核酸を含む微小液体のみ信号を発生することができ、複数の微小液体が重なると、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重なることがない単一の微小液体が発する信号は有効信号であり、このような微小液体は第1の部分の微小液体であり、即ち、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体のみが有効信号を発生する。微小液体における第1の被検核酸を増幅する増幅物質及び第1の被検関連産物を標識する標識物質は、第1の試薬である。
【0369】
具体的には、第1の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、インキュベーション段階において、標識物質と結合可能な特定種類の被検関連産物を生成し、信号採集段階において、特定種類のうちのいくつかの種類の被検関連産物と標識物質との非結合を実現し、残りの1種類の被検関連産物が標識物質との結合を維持し、信号検出部による反応液収容部の信号検出を完了する。第1の温度調節モードのインキュベーション段階を経てインキュベートした後、1種類の被検関連産物のみが標識物質と結合すると、信号採集段階において、当該種類の被検関連産物と標識物質との結合状態を保持する。
【0370】
インキュベーション段階において、第1の被検関連産物と標識物質との結合を実現するために、温度調節部は、反応液収容部が高温温度から低温温度T2に繰り返して低下するように、反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させるか、又は、温度調節部は、反応液収容部を恒温温度T2に維持し、温度T2はアニーリング温度T1よりも低い。反応液収容部における微小液体の温度がT2である場合、第1の部分の微小液体における第1の被検関連産物は、第1の試薬と結合して信号を発生する。温度T2は、第2の範囲内で値を取ることができるが、後続のT3の取り得る範囲(第3の範囲)と重なることが不可であり、且つ第2の範囲内の値はいずれも第3の範囲内の値より大きく、第2の範囲内の値はいずれも第1の範囲内の値より小さい。
【0371】
被検核酸と標識物質との結合率を高めるために、図15A及び図15Cに示すように、第1の温度調節モードのインキュベーション段階において、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部中の微小液体の温度を周期的に変化させ、温度サイクル毎に、第1の被検核酸により生成された第1の被検関連産物がT2で標識物質と結合し、高温温度t5で標識物質と脱鎖し、複数のサイクルを繰り返した後、標識物質と結合する第1の被検関連産物の数量が理想的な最大値に達し、該サイクル数は15サイクル程度、例えば、10サイクルである。最後のサイクルにおいて、第1の被検関連産物と標識物質とが結合した状態で、制御器は、信号検出部を制御して微小液体に対して信号検出を行い、第1の信号を取得する。もちろん、図15A及び図15Cに示すように、最後のサイクルが終了した後(即ち、信号採集段階)、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t2に調整し(温度t2が第1の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達していない)、第1の被検関連産物と標識物質とを結合状態に維持し、一定時間維持し、この時間帯を区間2とし、区間2において、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得するようにしてもよい。第1の信号は、第1の部分の微小液体により生成された有効信号を含み、重なった微小液体が存在する場合、重なった微小液体により生成された無効信号をさらに含み、後続の分析過程において、このような無効信号が排除される。
【0372】
図15B及び図15Dに示すように、第1の温度調節モードのインキュベーション段階において、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度T2に保持するように調節し、微小液体をインキュベーションするために一定時間継続してもよく、この時間は10-1800秒であってもよい。インキュベーション時間終了後、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得する。もちろん、図16B及び図16Dに示すように、恒温インキュベーションの終了後(信号採集段階)、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t2に調整し、第1の被検核酸と標識物質とを結合状態に保持させ、一定時間維持し、この時間帯を区間2とし、区間2において、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得するようにしてもよい。
【0373】
次に、制御器は、温度調節部を制御して第2の温度調節モードで反応液収容部における微小液体の温度を調節し、第2の温度調節モードの調節を経た後、プレ増幅産物のうち第2の被検関連産物のみが試薬における標識物質と結合し、第2の被検関連産物を結合した標識物質が信号を発生し、この状態で、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する。同様に、単一の核酸分子は1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体には1つの核酸分子のみがあり、この核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸である可能性もあり、第2の温度調節モードの調節を経て、第2の被検核酸が位置する微小液体のみが信号を発生することができ、複数の微小液体が重なると、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重なることがない単一の微小液体が発する信号は有効信号であり、このような微小液体は第2の部分の微小液体であり、即ち、複数の微小液体のうち第2の部分の微小液体のみが有効信号を発生する。微小液体において第2の被検核酸を増幅する増幅物質と、第2の被検核酸を標識する標識物質とが第2の試薬である。
【0374】
具体的には、第2の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、インキュベーション段階において特定の種類の被検関連産物と標識物質との結合を実現し、信号採集段階において特定の種類のうちのいくつかの種類の被検関連産物と標識物質との分離を実現し、残りの1種類の被検関類連産物は標識物質との結合状態を維持し、信号検出部による反応液収容部の信号検出を完了する。
【0375】
インキュベーション段階において、第2の被検関連産物と標識物質との結合を実現するために、温度調節部は、反応液収容部が高温温度から低温温度T3に繰り返して低下するように、反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させるか、又は、温度調節部は、反応液収容部を温度T2よりも低い温度T3に維持する。反応液収容部における微小液体の温度がT3である場合、第2の部分の微小液体における第2の被検関連産物は第2の試薬と結合して信号を発生し、同時に、第1の被検関連産物を含む微小液体における第1の被検関連産物も第1の試薬と結合して信号を発生することができる。温度T3は、第3の範囲内で値を取ることができるが、後続のT4の取り得る範囲(第4の範囲)と重なることが不可であり、且つ第3の範囲内の値はいずれも第4の範囲内の値より大きく、第3の範囲内の値はいずれも第2の範囲内の値より小さい。
【0376】
被検関連産物と標識物質との結合率を向上させるために、図15A及び図15Cに示すように、第2の温度調節モードのインキュベーション段階において、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させ、温度サイクル毎に、第2の被検核酸によって生成された第2の被検関連産物は、T3において標識物質と結合し、高温温度t5において標識物質と脱鎖し、複数のサイクルを繰り返した後、標識物質と結合する第2の被検関連産物の数量が理想的な最大値に達し、そのサイクル数は15サイクル程度、例えば、10サイクルである。最後のサイクルが終了した後(即ち、信号採集段階において)、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t3に調整し(温度t3が第1の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させる温度に達し、第2の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達していない)、第1の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させ(第1の部分の微小液体における第1の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させ、結合により生じた信号が消失する)、第2の被検関連産物と標識物質とを結合状態に維持させ、一定時間維持し、この時間帯を区間3とし、区間3において、制御器は信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する。第2の信号は、第2の部分の微小液体によって生成された有効信号を含み、重なった微小液体が存在する場合、さらに、重なった微小液体によって生成された無効信号を含み、後続の分析過程において、このような無効信号は排除される。
【0377】
第3の範囲内の値がいずれも第2の範囲内の値よりも小さいため、温度が第3の温度範囲に達すると、第1の被検関連産物も標識物質と結合する。したがって、各温度サイクルにおいて、第1の被検関連産物及び第2の被検関連産物は、いずれも標識物質と結合して分離する過程を経る。最後のサイクルの後、温度がt3に達するか又はt3を超えてt4に達しない(後述するように、温度t4が第1の被検関連産物及び第2の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達するが、第3の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達しない)前に、第1の被検関連産物と標識物質とが脱鎖し、このとき、第2の被検関連産物のみが標識物質と結合し、この状態で、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する。
【0378】
図15B及び図15Dに示すように、第2の温度調節モードのインキュベーション段階で、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度T3に保持するように調節し、微小液体をインキュベーションするために一定時間継続してもよく、この時間は10-1800秒であってもよい。インキュベーション時間終了後、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する。温度T3において、第1の被検関連産物及び第2の被検関連産物がいずれも標識物質と結合し、インキュベーション終了後(即ち、信号検出段階において)、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t3に調整して一定時間維持し、温度t3において、第1の被検関連産物が標識物質と脱鎖/分離する。図15B及び図15Dに示すように、この時間帯を区間3とし、区間3において、第1の被検関連産物が標識物質と分離/脱鎖して分離/脱鎖状態を保持し、第2の被検関連産物が依然として標識物質と結合し、この状態で(区間3)、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する。
【0379】
制御器の上記制御により、信号検出部が微小液体から発生した信号を検出する際に、1種の被検核酸又はその関連産物のみが標識物質と結合することを実現でき、2種の被検核酸の微小液体から発生した信号を完全に分離し、高精度の二重核酸検出を実現する。
【0380】
実施例14
本実施例と実施例13との相違点は、試料中の核酸の増幅過程において、試薬中の標識物質との結合を同時に実現し、検出効率を向上させ、検出スループットを向上させることができることである。
【0381】
具体的には以下の通りである。
図16A乃至図16Dに示すように、制御器は、第1の温度調節モードで反応液収容部内の微小液体の温度を調節するように温度調節部を制御して、試薬中の増幅物質によって微小液体における核酸を増幅させ、数量を増加させるとともに、その産物を試薬中の標識物質に結合させることができる。この過程において、微小液体は複数の温度サイクルを経て、各温度サイクルにおいて、微小液体は複数の異なる温度に変化し、該温度で一定時間継続し、サイクル回数は40回程度である。増幅過程のアニーリング温度が温度T2であり、アニーリング温度が第1の被検関連産物(例えば、第1の被検核酸の増幅産物)と標識物質との結合が可能な温度に達したため、この第1の温度調節モードの調節で被検核酸の増幅とその増幅産物と標識物質との結合を同時に実現し、増幅を完了した後、第1の被検核酸を含む第1の部分の微小液体が信号を発生することができ、このとき、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得するようにし、具体的には、第1の温度調節モードで40サイクルを経た後、制御器は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t2に調整し、第1の被検関連産物と標識物質とを結合状態に維持させ、一定時間維持し、この時間帯を区間2とし、区間2において、制御器は信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得するようにする。もちろん、サイクル完了後に、反応液収容部における微小液体の温度をT2に保持し、制御器は信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得するようにしてもよい。
【0382】
次に、制御器は、第2の温度調節モードで反応液収容部における微小液体の温度を調節するように温度調節部を制御し、この制御は実施例13と同じであるため、説明を省略する。
【0383】
実施例15
本実施例と実施例13又は実施例14との異なる点は、以下の通りである。
第1に、試料は、第3の被検成分(第3の被検核酸)をさらに含み、なお、第3の被検核酸又は第3の被検関連産物(第3の被検核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸ハイブリダイゼーション及び/又はヌクレアーゼ切断などの操作を経た後、それに対応する第3の被検関連産物を生成し、通常の場合、第3の被検関連産物は核酸である)は、所定の温度範囲内で試薬中の標識物質と結合することができ、本実施例では、第3の被検核酸又は第3の被検関連産物が標識物質と結合する最高温度は、第2の被検核酸又は第2の被検関連産物が標識物質と結合する最高温度よりも低い。例えば、第3の被検核酸又は第3の被検関連産物は、温度A2よりも低い温度A3以下で標識物質と結合可能である(第2の被検核酸又は第2の被検関連産物は、温度A2以下で標識物質と結合可能である)。第3の被検核酸又は第3の被検関連産物は、所定の温度範囲内で試薬中の標識物質と分離可能であり、本実施例では、第3の被検核酸又は第3の被検関連産物と標識物質との分離の最低温度は、第2の被検核酸又は第2の被検関連産物と標識物質との分離の最低温度よりも高い。例えば、第3の被検核酸又は第3の被検関連産物は、温度B2よりも高い温度B3以上の場合に標識物質と分離可能である(第2の被検核酸又は第2の被検関連産物は、温度B2以上の場合に標識物質と分離可能である)。
【0384】
第2に、制御器が温度調節部を制御して第2の温度調節モードで反応液収容部における微小液体の温度を調節し、制御器が信号検出部を制御して第2の信号を取得した後、制御器はさらに以下のように制御する。
【0385】
制御器は、温度調節部を制御して第3の温度調節モードで反応液収容部における微小液体の温度を調節し、第3の温度調節モードの調節を経た後、産物のうち第3の被検核酸又は第3の被検関連産物のみが試薬中の標識物質と結合し、結合により標識物質に信号を発生させ、この状態で、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第3の信号を取得する。同様に、単一の核酸分子は1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体には1つの核酸分子のみがあり、この核酸分子は第1の被検核酸、第2の被検核酸又は第3の被検核酸である可能性があり、第3の温度調節モードの調節により、第3の被検核酸が位置する微小液体のみが信号を発生することができ、複数の微小液体が重なると、このような微小液体から発する信号は無効信号であり、重なることがない単一の微小液体から発する信号は有効信号であり、このような微小液体は第3の部分の微小液体であり、即ち、複数の微小液体のうち第3の部分の微小液体のみが有効信号を発生する。微小液体中で第3の被検核酸を増幅する増幅物質と、第3の被検核酸を標識する標識物質とが第3の試薬である。
【0386】
具体的には、第3の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、インキュベーション段階において、特定の種類の被検核酸又はそれに対応する被検関連産物と標識物質との結合を実現し、信号採集段階において、特定の種類のうちのいくつかの種類の被検核酸又はそれに対応する被検関連産物と標識物質との分離を実現し、残りの1種の被検核酸又はそれに対応する被検関連産物が標識物質との結合を維持し、信号検出部による反応液収容部の信号検出を完了する。
【0387】
インキュベーション段階において、第3の被検核酸又はそれに対応する第3の被検関連産物と標識物質との結合を実現するために、温度調節部は、反応液収容部が高温温度から低温温度T4に繰り返して低下するように、反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させるか、又は、温度調節部は、反応液収容部を恒温温度T4に維持し、温度T4は、温度T3よりも低い。反応液収容部における微小液体の温度がT4である場合、第3の被検核酸を含む微小液体における第3の被検核酸又は第3の被検関連産物は、第3の試薬と結合して信号を発生する。温度T4は、第4の範囲内で値を取ることができるが、後続のT5(第4の温度調節モードがある場合)の取り得る範囲(第5の範囲)と重なることが不可であり、且つ第4の範囲内の値はいずれも第5の範囲内の値より大きく、第4の範囲内の値はいずれも第3の範囲内の値より小さい。
【0388】
被検核酸と標識物質との結合率を高めるために、図15C及び図16Cに示すように、第3の温度調節モードのインキュベーション段階において、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部中の微小液体の温度を周期的に変化させ、温度サイクル毎に、第3の被検核酸又は第3の被検関連産物が、低温温度T4において標識物質と結合し、高温温度t5において標識物質と脱鎖/分離し、複数のサイクルを繰り返した後、標識物質と結合する第3の被検核酸又は第3の被検関連産物の数量が理想的な最大値に達し、そのサイクル数は15サイクル程度(例えば、9サイクル、10サイクルなど)である。最後のサイクルが終了した後(すなわち、信号採集段階において)、制御部は、温度調節部を制御して、反応液収容部における微小液体の温度を温度t4に調整し(温度t4は、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)及び第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)を標識物質と分離/脱鎖させる温度に達し、第3の被検核酸/第3の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達しない)、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)と標識物質とを分離/脱鎖させ(第1の被検核酸を含む微小液体において、第1の被検核酸/第1の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させ、結合によって生じた信号が消失する)、第2の被検核酸/第2の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させ(第2の被検核酸を含む微小液体において、第2の被検核酸/第2の被検関連産物と標識物質とを分離/脱鎖させ、結合によって生じた信号が消失する)、第3の被検核酸/第3の被検関連産物と標識物質とを結合状態に維持させ、一定時間を維持させ、この時間帯を区間4とし、区間4において、制御器は信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第3の信号を取得するようにする。第3の信号は、第3の部分の微小液体によって生成された有効信号を含み、重なった微小液体が存在する場合、重なった微小液体によって生成された無効信号をさらに含み、後続の分析過程において、このような無効信号が排除される。
【0389】
第4の範囲内の値がいずれも第3の範囲内の値よりも小さいため、温度が第4の範囲に達すると、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)及び第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)も標識物質と結合する。従って、各温度サイクルにおいて、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)、第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)及び第3の被検核酸(又は第3の被検関連産物)は、いずれも標識物質と結合して分離する過程を経る。最後のサイクルの後、温度がt4に達するか又はt4を超えてt5に達しない(温度t4が、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)及び第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達するが、第3の被検核酸(又は第3の被検関連産物)と標識物質とを分離/脱鎖させることができる温度に達しない)前に、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)及び第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)はいずれも標識物質と脱鎖/分離され、このとき、第3の被検核酸(又は第3の被検関連産物)のみが標識物質と結合したままであり、この状態で、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第3の信号を取得するようにする。
【0390】
図15Dに示すように、第2の温度調節モードのインキュベーション段階において、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度T4に保持するように調節し、微小液体をインキュベーションするために一定時間継続してもよく、この時間は10-1000秒であってもよい。インキュベーション時間終了後、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第3の信号を取得する。温度T4において、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)、第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)及び第3の被検核酸(又は第3の被検関連産物)はいずれも標識物質と結合し、インキュベーション終了後(即ち、信号検出段階において)、制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t4に調整して一定時間維持し、図15D及び図16Dに示すように、この時間帯を区間4とし、区間4において、第1の被検核酸(又は第1の被検関連産物)及び第2の被検核酸(又は第2の被検関連産物)はいずれも標識物質と分離/脱鎖して分離/脱鎖状態を保持し、第3の被検核酸(又は第3の被検関連産物)は依然として標識物質と結合し、この状態で(区間4)、制御器は、信号検出部を制御して反応液収容部に対して信号検出を行って第3の信号を取得する。
【0391】
制御器の上記制御により、信号検出部が微小液体から発生した信号を検出する際に、1種の被検核酸又はその関連産物のみが標識物質と結合することを実現することができ、3種の被検核酸の微小液体から発生した信号を完全に分離し、高精度の三重核酸検出を実現する。
【0392】
実施例16
本実施例と実施例13との異なる点は、試料に含まれる成分が異なるため、図15A図15Dの区間1で得られた信号はブランク信号ではなく、ある被検成分を含む微小液体による信号である。本実施例では、該被検成分は第4の被検成分(第4の被検核酸)である。
【0393】
実施例13に加えて、試料には第4の被検成分(第4の被検核酸)が含まれ、第4の被検核酸は試薬中の増幅物質によって増幅可能であり、生成された増幅産物(第4の被検関連産物)は試薬中の標識物質と結合可能であり、第4の被検核酸増幅産物が結合した標識物質は検出可能な信号を生じ得る。なお、第4の被検核酸の増幅及び標識物質との結合は、一定の温度範囲内で実現することができる。この温度範囲では、他の被検核酸、例えば、第1の被検核酸及び第2の被検核酸は、試薬中の増幅物質によって増幅され得るが、その産物は試薬中の標識物質に結合し得ない。例えば、第4の被検関連産物は、温度A4以下で標識物質と結合可能であり、温度A4が温度A1よりも高い(第1の被検核酸又はその関連産物は、温度A1以下で標識物質と結合可能である)。第4の被検核酸又はその関連産物は一定の温度範囲内で標識物質と分離/脱鎖可能であり、本実施例では、第4の被検核酸又はその関連産物と標識物質との分離の最低温度は、第1の被検核酸又はその関連産物と標識物質との分離の最低温度よりも低い。例えば、第4の被検核酸又はその関連産物は、温度B1よりも低い温度B4以上の温度で標識物質から分離され得る。
【0394】
アニーリング温度T1では、試料中の他の被検核酸、例えば、第1の被検核酸及び第2の被検核酸は、この過程において、試薬中の標識物質と結合することなく増幅されるのみであり、第4の被検核酸は、増幅されて且つ標識物質と結合することができる。温度t1では、第4の被検核酸又はその関連産物が標識物質と結合したままであり、信号検出部が検出した信号はブランク信号ではなく、第4の被検核酸を含む微小液体による信号である。温度t1は、アニーリング温度T1より高くても低くても等しくてもよい。
【0395】
その後の制御過程と実施例13との異なる点は以下の通りである。
制御器が温度調節部を制御して第1の温度調節モードで反応液収容部の温度を調節する過程において、制御部が温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度T2に調整した場合に、第4の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合し、第1の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合する。制御部が温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t2に調整した場合に、第4の被検核酸又はその関連産物が標識物質から分離/脱鎖し、第1の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合したままである。
【0396】
制御器が温度調節部を制御して第2の温度調節モードで反応液収容部の温度を調節する過程において、制御部が温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度T3に調整した場合に、第4の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合し、第1の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合し、第2の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合する。制御部が温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を温度t3に調整した場合に、第4の被検核酸又はその関連産物と第1の被検核酸又はその関連産物とがいずれも標識物質と分離/脱鎖し、第2の被検核酸又はその関連産物が標識物質に結合したままである。
【0397】
その他の制御過程は実施例13と同じ部分であり、ここでは説明を省略する。
【0398】
上記の実施例13乃至実施例16における温度t1、t2、t3、t4、t5は以下のように理解できる。
温度t1では、試料に第4の被検核酸が含まれていれば、第4の被検核酸又はその関連産物は試薬中の標識物質と結合状態を保つことができ、試料に第4の被検核酸が含まれていなければ、被検核酸又はその関連産物と試薬中の標識物質との結合がない。
温度t2では、第1の被検核酸又はその関連産物のみが試薬中の標識物質と結合状態を保つことができる。
温度t3では、第2の被検核酸又はその関連産物のみが試薬中の標識物質と結合状態を保つことができる。
温度t4では、第3の被検核酸又はその関連産物のみが試薬中の標識物質と結合状態を保つことができる。
温度t5では、全ての被検核酸又はその関連産物は、いずれも脱鎖する。
【0399】
上記の実施例13乃至実施例16における第4の試薬、第1の試薬、第2の試薬、第3の試薬は、以下のように理解できる。
第4の試薬は、第4の被検核酸を増幅可能な増幅物質と、第4の被検核酸を標識可能な標識物質とを含む。
第1の試薬は、第1の被検核酸を増幅可能な増幅物質と、第1の被検核酸を標識可能な標識物質とを含む。
第2の試薬は、第2の被検核酸を増幅可能な増幅物質と、第2の被検核酸を標識可能な標識物質とを含む。
第3の試薬は、第3の被検核酸を増幅可能な増幅物質と、第3の被検核酸を標識可能な標識物質とを含む。
【0400】
ここで、第4の被検核酸、第1の被検核酸、第2の被検核酸、第3の被検核酸を増幅する増幅物質におけるプライマーは異なり、残りの成分は同じであっても異なっていてもよい。第4の被検核酸、第1の被検核酸、第2の被検核酸、第3の被検核酸を標識する標識物質は同じであっても異なっていてもよい。
【0401】
初期状態において、即ち、微小液体をインキュベーションする前に、1つの微小液体には、多くとも1つの被検核酸(第4の被検核酸、又は第1の被検核酸、又は第2の被検核酸、又は第3の被検核酸)と、全ての被検核酸を増幅及び標識可能な十分な量の試薬とが含まれる。
【0402】
もちろん、当業者は、上記実施例に基づいて、如何にして本出願に開示された技術的方案を利用して、高精度の四重核酸検出、五重核酸検出、六重核酸検出などを実現するかを合理的に推測することができる。
【0403】
当業者であれば、上記実施例の方法における全部又は一部のフローを実現することは、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアを指令することによって完成されることができ、前記プログラムは、不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができ、該プログラムが実行される場合、上記各方法の実施例のフローを含むことができることを理解できる。ここで、該記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、ROMなどであってもよい。
【0404】
ここで使用されるメモリ、ストレージ、データベース、又は他の媒体の任意の参照は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリを含み得る。適切な不揮発性メモリは、ROM、プログラマブルROM(Programmable ROM、PROM)、消去可能PROM(Erasable PROM、EPROM)、電気的消去可能PROM(Electrically Erasable PROM、EEPROM)、又はフラッシュメモリを含み得る。揮発性メモリは、外部キャッシュメモリとして使用されるランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を含み得る。限定ではなく説明として、RAMは、例えばスタティックRAM(Static RAM、SRAM)、ダイナミックRAM(Dynamic Random Access Memory、DRAM)、シンクロナスDRAM(synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(Double Data Rate SDRAM、DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(Enhanced Synchronous DRAM、ESDRAM)、シンクロナスリンクDRAM(Synchlink DRAM、SLDRAM)、ラムバスRAM(Rambus DRAM、RDRAM)及びダイレクト型ラムバスRAM(Direct Rambus DRAM、DRDRAM)などの様々な形式であってもよい。
【0405】
明細書全文に記載の「一つの実施例」又は「一実施例」は、実施例に関する特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味することを理解されたい。したがって、明細書全体の様々な箇所に現れる「一つの実施例において」又は「一実施例において」は、必ずしも同一の実施例を指すとは限らない。また、これらの特定の特徴、構造又は特性は、任意の適切な方式で1つ又は複数の実施例に組み合わせることができる。当業者であれば、明細書に記載された実施例はいずれも選択可能な実施例に属し、関連する動作及びモジュールは必ずしも本願に必須なものではないことも理解すべきである。
【0406】
本出願の様々な実施例では、前述の各プロセスの番号の大きさは、必ずしも実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、本出願の実施例の実施プロセスを限定することなく、プロセスの機能及び内部論理によって決定されるべきであることを理解されたい。
【0407】
本出願の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、各ユニットが単独で物理的に存在してもよいし、2つ又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上記統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実現されてもよく、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現されてもよい。
【0408】
上記統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータが取得可能なメモリに記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本出願の技術的方案は、本質的に、又は従来技術に貢献する部分又は当該技術的方案の全部又は一部が、ソフトウェア製品の形態で具現化されてもよく、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つのメモリに記憶され、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスなどであってもよく、具体的には、コンピュータデバイスのプロセッサであってもよい)が本出願の各実施例における前述の方法のステップの一部又は全部を実行するようにするためのいくつかの要求を含む。
【0409】
以上、本願の実施例に開示された多重時分割核酸検出装置及び検出方法について詳細に説明した。本明細書において具体的な例を用いて本願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本願の方法及びその中心思想の理解を助けるためのものに過ぎない。同時に、当業者にとって、本願の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲においていずれも変更箇所がある可能性があり、以上のように、本明細書の内容は本願を限定するものと理解すべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
【配列表】
2025501167000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップS100と、
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT1であるステップS200と、
以下のいずれかの操作を行うステップS300と、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS310と、
2回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT2であるS320とを含む操作1、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS310’を含む操作2、
2回目のPCR増幅を行い、増幅時に用いられるアニーリング温度はT2であるS310’’と、
第1の信号採集温度t1で1回目の信号採集を行うS320’’とを含む操作3、
以上の操作はT2<T1、T2<t1を満たし、好ましくは、40℃≦T2<T1≦75℃、及び/又は0℃≦t1<t2≦90℃であり、
第2の信号採集温度t2で2回目の信号採集を行い、前記t2>t1、且つt2>T1であるステップS400と、を含み、
ここで、被検サンプルにおける被検標的の種類は1種であり、
前記1回目の信号採集、2回目の信号採集において、多くとも1回の信号採集においてのみ標的の信号が含まれる、ことを特徴とする標的核酸を検出する方法。
【請求項2】
ステップS200における前記1回目のPCR増幅の反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、
及び/又は、ステップS300における前記2回目のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒インキュベートする反応条件を含
及び/又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、
及び/又は、前記プライマープローブ組成物は、プローブ(P)及びプライマーセットを含み、前記プライマーセットが前記被検サンプルにおける標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、プローブに特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成によりプローブ信号の変化を引き起こし、好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、より好ましくは、1-100個の塩基の伸長であり、及び/又は、前記プライマーセットにおける各種のプライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種のプローブ(P)及び異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーセットを含むプライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップと、
前記反応系に対してn回のPCR増幅とn回の信号採集を行うステップと、を含み、毎回のPCR増幅後に信号採集を1回行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャネル採集を含み、毎回の信号チャネル採集において多くとも1種類の標的の信号を含み、
前記n回目のPCR増幅時に用いられるアニーリング温度はTnであり、前記n回目の信号採集時に用いられる採集温度はtnであり、Tn<T(n-1)、且つTn<t(n-1)であり、tn>t(n-1)、且つtn>T(n-1)であり、好ましくは、40℃≦Tn<T(n-1)≦75℃、及び/又は0℃≦t(n-1)<tn≦90℃であり、
前記nは≧2の整数であり、前記nは≦被検サンプルにおける被検標的の種類数であり、
好ましくは、前記少なくとも1回の信号採集は、m回の信号チャネル採集を含み、前記mは、前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出標識の種類数であり、且つ、nとmとの積は≧被検サンプルにおける被検標的の種類数である、ことを特徴とする2種以上の標的核酸を検出する方法。
【請求項4】
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行うことを含又は、
前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、約20-約60サイクル行い、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒間の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒間のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒間インキュベートすることを含み、
好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行うことを含み、又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写し、約85℃-約105℃で約0-約15分間予備変性し、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約40℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、20-60サイクル行い、約20℃-約75℃で恒温で約10-約1800秒間インキュベートすることを含む、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記1回目のPCR増幅の後の他のPCR増幅は、約85℃-約105℃で約1-約60秒の変性、約20℃-約75℃で約3-約90秒のアニーリング及び伸長、1-20サイクル行い、又は、約20℃-約75℃で恒温で10-1800秒インキュベートする反応条件を含
及び/又は、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することであり、
及び/又は、少なくとも1種の前記プライマーセットが標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物にはプローブ(P)に特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物はプローブ(P)に特異的に結合して伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成はプローブ信号の変化を引き起こし、好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、より好ましくは、前記伸長は1-100個の塩基の伸長であり、及び/又は、前記プライマーセットにおける各種のプライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーセットは、以下のいずれか1種を含み、
(1)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも1種類のリバースプライマー(R)
(2)少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
(3)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
異なる前記フォワードプライマー(F)は、それぞれ独立して、異なる標的配列と特異的に対合結合する標的配列結合領域を含み、
及び/又は、前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、前記プローブには検出標識が修飾されており、
及び/又は、前記リバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域とを含み、且つ前記プライマー信号検出領域(h)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、異なる前記リバースプライマー(R)の標的配列結合領域は、異なる標的配列と特異的に対合結合する配列であり、異なる前記リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、いずれも任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、前記プライマー信号検出領域(h)の相補的配列が、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と特異的に対合結合し、好ましくは、異なるリバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)の配列は互いに異なる、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記プライマーセットにおいて、少なくとも1種類のリバースプライマー(R)は、5’末端から3’末端まで順に伸長ブロック領域(M)、プライマー信号検出領域(h)及び標的配列結合領域を含み、前記伸長ブロック領域(M)は、プローブ(P)のいずれかの部分の配列又はいずれかの標的配列と同一でも相補的でもない自由設計配列であり、他の種類のリバースプライマーがあれば、前記他の種類のリバースプライマー(R)の5’末端は伸長ブロック領域(M)を含まない、又は、
前記プライマーセットにおいて、少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)は、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、前記プローブアンカー領域(A)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、異なるフォワードプライマー(F)の標的配列結合領域の配列は異なり、好ましくは、フォワードプライマー(F)におけるプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域との間に0-20個の塩基の間隔があり、
前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない配列であり、プライマーアンカー領域(A’)とプローブ信号検出領域(H)とを含み、前記プライマーアンカー領域(A’)は、フォワードプライマー(F)のプローブアンカー領域(A)と相補的な配列であり、好ましくは、前記プローブ(P)における前記プライマーアンカー領域(A’)と前記プローブ信号検出領域(H)との間に0-20個の塩基の間隔がある、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項8】
第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含み、
前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットはそれぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、
前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブのアニーリング温度が、第2の一本鎖プレ産物と第1のプローブのアニーリング温度より高い場合、前記第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度は、前記第2の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度より低い、ことを特徴とする標的核酸検出用プライマープローブ組成物。
【請求項9】
前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含み、
前記第2のプローブは、前記第1のプローブの塩基配列と異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は、少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、それぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、
好ましくは、前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
好ましくは、前記第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブのアニーリング温度が、第4の一本鎖プレ産物と第2のプローブのアニーリング温度より高い場合、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度は、前記第4の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度より低く、
好ましくは、前記第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度は、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとによって生成された二本鎖産物の融解温度と等しいか又はそれに近く、好ましくは、前記第1の一本鎖プレ産物と第1のプローブとのアニーリング温度は、前記第3の一本鎖プレ産物と第2のプローブとのアニーリング温度と等しいか又はそれに近い、ことを特徴とする請求項8に記載の標的核酸検出用プライマープローブ組成物。
【請求項10】
試料及び試薬を含む複数の微小液体を収容するための反応液収容部と、
前記反応液収容部における微小液体の温度を調節するための温度調節部と、
前記反応液収容部における微小液体により生成された信号を検出するための信号検出部と、
前記温度調節部を制御して第1の温度調節モードで前記反応液収容部の温度を調節し、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
前記温度調節部を制御して第2の温度調節モードで前記反応液収容部の温度を調節し、同一の前記反応液収容部に収容されている複数の微小液体に、前記第1の部分の微小液体とは異なる第2の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得する制御部とを含む多重時分割核酸検出装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を温度t2に調整した状態で、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を温度t3に調整した状態で、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、t2<t3であるり、
好ましくは、前記試薬は、第1の試薬及び第2の試薬を含み、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt3のとき、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生する、ことを特徴とする請求項10に記載の多重時分割核酸検出装置。
【請求項12】
前記第1の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、前記温度調節部は、前記反応液収容部が高温温度から低温温度T2まで繰り返して低下するように、前記反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させ、又は、前記温度調節部は、前記反応液収容部を恒温温度T2に維持させ、
信号採集段階において、前記信号検出部は、前記反応液収容部に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
及び/又は、前記第2の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、前記温度調節部は、前記反応液収容部が高温温度から低温温度T3まで繰り返して低下するように、前記反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させ、又は、前記温度調節部は、前記反応液収容部を恒温温度T3に維持させ、
信号採集段階において、前記信号検出部は、前記反応液収容部に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、T2>T3、t2>T3であり、
好ましくは、前記反応液収容部における微小液体の温度がT2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬は試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT3のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬は試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬は試料と結合して信号を発生する、ことを特徴とする請求項11に記載の多重時分割核酸検出装置。
【請求項13】
第1の温度調節モード及び第2の温度調節モードで前記反応液収容部内の微小液体の温度を調節するように前記制御部が前記温度調節部を制御する前に、
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を周期的に変化させることにより、前記反応液収容部を高温温度から低温温度T1まで繰り返して低下させて、複数の微小液体のうち第4の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、第4の部分の微小液体は、第1の部分の微小液体及び第2の部分の微小液体のいずれとも異なり、ただし、T1>T2である、ことを特徴とする請求項12に記載の多重時分割核酸検出装置。
【請求項14】
前記試薬は、第4の試薬をさらに含み、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT1のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT2のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合して信号を発生し、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT3のとき、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合して信号を発生し、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生する、ことを特徴とする請求項13に記載の多重時分割核酸検出装置。
【請求項15】
前記信号検出部を制御して前記反応液収容部に対して信号検出を行い、第4の信号を取得し、
好ましくは、前記信号検出部が前記反応液収容部に対して信号検出を行って第4の信号を取得する過程において、前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度をt1に調整又はT1に保持し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がT1又はt1である状態で、第4の部分の微小液体における第4の試薬が試料と結合したまま信号を発生し続ける、ことを特徴とする請求項13に記載の多重時分割核酸検出装置。
【請求項16】
初期状態において、多くとも一単位の試料が前記微小液体に分配され、
好ましくは、前記信号は蛍光信号であり、前記信号検出部はカメラであり、
好ましくは、前記制御部は、前記信号検出部を制御して前記反応液収容部において微小液体が敷き詰められている位置で、前記反応液収容部に対して信号検出を行い、
好ましくは、前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部において微小液体が敷き詰められている位置で、前記反応液収容部に対して温度調節を行う、ことを特徴とする請求項10~15のいずれか一項に記載の多重時分割核酸検出装置。
【請求項17】
第1の温度調節モードで複数の微小液体の温度を調節することにより、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、複数の微小液体に対して信号検出を行って第1の信号を取得するステップと、
第2の温度調節モードで前記微小液体の温度を調節することにより、複数の微小液体のうち第1の部分の微小液体と異なる第2の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、複数の微小液体に対して信号検出を行って第2の信号を取得するステップとを含む、試料及び試薬を含む複数の微小液体を検出するための検出方法。
【請求項18】
初期状態において、多くとも一単位の試料が前記微小液体に分配され、
複数の微小液体の温度をt2に調整した状態で、複数の微小液体に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
複数の微小液体の温度をt3に調整した状態で、複数の微小液体に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、t2<t3であり、
好ましくは、前記試薬は、第1の試薬及び第2の試薬を含み、
反応液収容部における微小液体の温度がt2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
前記反応液収容部における微小液体の温度がt3のとき、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生し、
好ましくは、前記信号は蛍光信号であり、カメラにより複数の微小液体に対して信号検出を行う、ことを特徴とする請求項17に記載の検出方法。
【請求項19】
前記第1の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、複数の微小液体が高温温度から低温温度T2まで繰り返して低下するように複数の微小液体の温度を調節し、又は複数の微小液体が恒温温度T2を維持するように複数の微小液体の温度を調節し、
信号採集段階において、複数の微小液体に対して信号検出を行って第1の信号を取得し、
及び/又は、前記第2の温度調節モードは、インキュベーション段階と信号採集段階とを含み、
インキュベーション段階において、複数の微小液体が高温温度から低温温度T3まで繰り返して低下するように複数の微小液体の温度を調節し、又は複数の微小液体が恒温温度T3を維持するように複数の微小液体の温度を調節し、
信号採集段階において、複数の微小液体に対して信号検出を行って第2の信号を取得し、
ただし、T2>T3、t2>T3であり、
好ましくは、複数の微小液体の温度がT2のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、
複数の微小液体の温度がT3のとき、第1の部分の微小液体における第1の試薬が試料と結合して信号を発生し、第2の部分の微小液体における第2の試薬が試料と結合して信号を発生することを特徴とする請求項18に記載の検出方法。
【請求項20】
第1の温度調節モードと第2の調節モードで複数の微小液体の温度を調節する前に、
複数の微小液体の温度を周期的に変化させることにより、複数の微小液体を高温温度から低温温度T1まで繰り返して低下させて、複数の微小液体のうち第4の部分の微小液体のみに有効信号を発生させ、第4の部分の微小液体は、第1の部分の微小液体及び第2の部分の微小液体のいずれとも異なり、ただし、T1>T2である、ことを特徴とする請求項19に記載の検出方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
いくつかの実施例において、1回目のPCR増幅時(そのアニーリング温度はT1である)に、プライマーセットと標的によって生成された一本鎖プレ産物のうち、1種類の一本鎖プレ産物がプローブと特異的に結合して0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、該一本鎖プレ産物のアニーリング温度がその融解温度よりやや低い(通常の場合、オリゴヌクレオチドのアニーリング温度は、通常、該オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い)。t1(T1≦t1<その融解温度)で信号採集を行い、この時、該一本鎖プレ産物とプローブは二本鎖状態を呈し、プローブに検出可能な信号変化を生じさせる。いくつかの実施例において、t1(t1≦T1)で信号採集を行ってもよく、この時も、該一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態を呈し、プローブに検出可能な信号変化を生じさせる。当業者は、実際のニーズ(例えば、信号採集時に、一本鎖プレ産物とプローブが二本鎖状態にあり、採集された信号強度が大きいなどの実際のニーズ)に応じて、信号採集温度t1の温度を具体的に選択することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う前に、各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まないように、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、さらに好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである。
「各反応セルが1つの被検サンプルの標的核酸を含むか、又は被検サンプルの標的核酸を含まない」とは、理論上、各反応セルにおいて多くとも1つの被検サンプルの標的を含むことを意味する。しかしながら、実際の操作において、ごく少数の反応セルには2つ又は少数のいくつかの被検サンプルの標的が含まれる可能性があり、このような反応セルに複数の標的が含まれる場合は非常に少なく、標的の定量値の算出への影響が大きくない。従って、各反応セルには0個の標的、1個の標的、2個の標的又は少数のいくつかの標的が含まれても、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プライマープローブ組成物は、プローブ(P)及びプライマーセットを含み、前記プライマーセットが前記被検サンプルにおける標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、プローブに特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物がプローブに特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成によりプローブ信号の変化を引き起こし、さらに好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、さらにより好ましくは、前記伸長は1-100個の塩基の伸長であり、伸長された塩基の個数の上限がプローブの全長であり、及び/又は、前記プライマーセットにおける各種のプライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである。本発明において、濃度単位nMとは、nmol/Lを意味する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
そのため、第2の態様において、本発明は、
少なくとも1種のプローブ(P)及び異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーセットを含むプライマープローブ組成物と、被検サンプルと、DNAポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得るステップと、
前記反応系に対してn回のPCR増幅とn回の信号採集を行うステップと、を含み、毎回のPCR増幅後に信号採集を1回行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャネル採集を含み、毎回の信号チャネル採集において多くとも1種類の標的の信号を含み、
前記n回目のPCR増幅時に用いられるアニーリング温度はTnであり、前記n回目の信号採集時に用いられる採集温度はtnであり、Tn<tnであり、Tn<T(n-1)、且つTn<t(n-1)であり、tn>t(n-1)、且つtn>T(n-1)であり、
前記nは≧2の整数であり、前記nは≦被検サンプルにおける被検標的の種類数である、2種以上の標的核酸を検出する方法を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の前記プライマーセットが標的に特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物にはプローブ(P)に特異的に結合可能な1本の一本鎖プレ産物が含まれ、該一本鎖プレ産物はプローブ(P)に特異的に結合して伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成はプローブ信号の変化を引き起こし、好ましくは、前記伸長は0-100個の塩基の伸長であり、より好ましくは1-100個の塩基の伸長であり、伸長した塩基の個数の上限はプローブの全長であり、及び/又は、前記プライマーセットにおける各種のプライマーの濃度は約30nM-約1000nMであり、前記プローブ(P)の濃度は約100nM-約1200nMである。複数の標的が1種類のプローブを共用する場合、プローブの使用量はより多くなり、例えば、1300nM、1400nM、1500nM、1600nM、1700nM、1800nM、1900nM、2000nM又はそれ以上となる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記異なる標的に対する少なくとも2種のプライマーセットは、以下のいずれか1種を含む。
(1)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも1種類のリバースプライマー(R)
(2)少なくとも1種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
(3)少なくとも2種類のフォワードプライマー(F)及び少なくとも2種類のリバースプライマー(R)
異なる前記フォワードプライマー(F)は、それぞれ独立して、異なる標的配列と特異的に対合結合する標的配列結合領域を含み、
及び/又は、前記プローブ(P)は、任意の標的配列とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、前記プローブには検出標識が修飾されており、
及び/又は、前記リバースプライマー(R)は、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域とを含み、且つ前記プライマー信号検出領域(h)は、前記標的配列結合領域の5’末端に位置し、ここで、異なる前記リバースプライマー(R)の標的配列結合領域は、異なる標的配列と特異的に対合結合する配列であり、異なる前記リバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)は、いずれも任意の標的配列とも対合結合しないが、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、好ましくは、異なるリバースプライマー(R)のプライマー信号検出領域(h)の配列は、互いに異なる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0203
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0203】
リバースプライマーR1-4(SEQ ID NO:7)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-4全長は55bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP2-4(SEQ ID NO:5)の5’末端の14番目から35番目の塩基配列と同じである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0218
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0218】
前記リバースプライマーR1-5(SEQ ID NO:12)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-5全長は56bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から30番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-5(SEQ ID NO:10)の5’末端の17番目から41番目の塩基配列と同じである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0233
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0233】
実施例6
(1)非小細胞肺がんEGFR 21号エクソンL858R突然変異を検出するための一重検出プライマープローブ系を表11に示す。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0249
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0249】
リバースプライマーR1-7(SEQ ID:21)は、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC突然変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-7全長は52bpであり、その3’末端の1番目から22番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-7(SEQ ID NO:19)の5’末端の14番目から35番目の塩基配列と同じである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0311
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0311】
リバースプライマーR1-11(SEQ ID NO:29)は、RSウイルス標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-11全長は54bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から6番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の7番目から27番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-11(SEQ ID NO:25)の3’末端の26番目から46番目の塩基配列と同じである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0327
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0327】
リバースプライマーR1-12(SEQ ID:34)は、A型インフルエンザウィルス(Influenza A virus、IAV)標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、R1-12全長は47bpであり、その3’末端の1番目から20番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が伸長ブロック領域(M)であり、その5’末端の6番目から24番目の塩基がプライマー信号検出領域(h1)であり、プローブP1-12(SEQ ID NO:33)の3’末端の30番目から48番目の塩基配列と同じである。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0334
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0334】
【表24】
【国際調査報告】