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特表2025-501176修飾多糖ポリマーならびにその関連する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】修飾多糖ポリマーならびにその関連する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/04 20060101AFI20250109BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250109BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20250109BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20250109BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20250109BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20250109BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250109BHJP
   C07K 5/08 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
C08B37/04
A61K47/36
A61L27/20
A61L27/38
A61L27/44
A61L27/52
A61K35/12
A61P5/00
A61P43/00 111
C07K5/08 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539267
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 US2022054383
(87)【国際公開番号】W WO2023129738
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/295,290
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519118164
【氏名又は名称】シギロン セラピューティクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SIGILON THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブキャナン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デ パオリス, オマール
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ウェイヘン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C087
4C090
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB11
4C076BB32
4C076CC29
4C076CC30
4C076DD23
4C076DD23D
4C076EE36
4C076EE36A
4C076EE36P
4C076EE47
4C076EE47A
4C076EE47P
4C076FF11
4C076FF35
4C076FF67
4C081AB11
4C081BA17
4C081CD04
4C081CD041
4C081CD34
4C081DA12
4C081DC11
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087MA05
4C087MA28
4C087MA66
4C087MA67
4C087NA06
4C087NA07
4C087ZC02
4C087ZC03
4C087ZC19
4C090AA02
4C090AA09
4C090BA72
4C090BA97
4C090BB62
4C090BB63
4C090BB65
4C090BB77
4C090DA03
4C090DA23
4C090DA24
4H045AA10
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA50
4H045BA53
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本明細書には、ヒドロキシル修飾剤で修飾された糖部位(例えば、式(I)の糖モノマー)を含む多糖ポリマー、ならびにその関連する組成物、ヒドロゲル、移植可能要素、及び使用方法が記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、前記糖モノマーは、式(I-a):
【化1】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、
Xは、O、NR、またはSであり;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;
各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
は、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
または、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;
は、ペプチドまたは非線維性化合物であり;
各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、前記多糖ポリマー。
【請求項2】
XはOである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項3】
はOである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項4】
は、C(O)ORまたはC(O)N(R)(R)である、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項5】
は、C(O)N(R)(R)であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)、またはペプチド(例えば、表3に示されるペプチド、例えば、RGDペプチド)である、請求項4に記載の多糖ポリマー。
【請求項6】
及びRの一方は独立して水素であり、R及びRの他方は独立して非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である、請求項5に記載の多糖ポリマー。
【請求項7】
は、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項8】
は、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項9】
及びRの一方は独立してC1-6アルキレン-S(O)-Rであり、R及びRの他方は独立して水素である、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項10】
は、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)である、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項11】
前記糖モノマーは、式(I-b):
【化2】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項1で定義されるとおりである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項12】
前記糖モノマーは、式(I-c):
【化3】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R及びその副次可変要素は、請求項1で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項13】
前記糖モノマーは、式(I-d):
【化4】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項1で定義されるとおりである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項14】
前記糖モノマーは、式(I-e):
【化5】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項1で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項15】
は、非線維性化合物である、請求項12または14に記載の多糖ポリマー。
【請求項16】
nは2であり、mは1である、請求項12または14に記載の多糖ポリマー。
【請求項17】
前記糖モノマーは、式(I-f):
【化6】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項1で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、請求項1で定義されるとおりである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項18】
前記糖モノマーは、式(I-g):
【化7】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R12、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項1で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、請求項1で定義されるとおりである、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項19】
はヘテロアリール(例えばトリアゾリル)である、請求項17または18に記載の多糖。
【請求項20】

【化8】

であり、R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロである、請求項19に記載の多糖ポリマー。
【請求項21】
は、非存在、またはC1-6アルキレン(例えば、-CH-)である、請求項17または18に記載の多糖ポリマー。
【請求項22】
は、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである、請求項17または18に記載の多糖ポリマー。
【請求項23】
は、ヘテロシクリルである、請求項17または18に記載の多糖ポリマー。
【請求項24】
は、
【化9】

である、請求項28に記載の多糖ポリマー。
【請求項25】
前記非線維性化合物は、表2の部位(例えば、化合物218、化合物219、または化合物222)から選択される、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項26】
前記ペプチドは、表1のペプチド(例えば、配列RGDを含むペプチド)を含む、請求項1に記載の多糖ポリマー。
【請求項27】
前記多糖ポリマーはアルギネートである、請求項1に記載の多糖。
【請求項28】
前記アルギネートは、高グルロン酸(G)アルギネートまたは高マンヌロン酸(M)アルギネートである、請求項27に記載の多糖。
【請求項29】
マンヌロネートまたはグルロネートモノマーを含むアルギネートであって、前記マンヌロネートまたはグルロネートモノマーは、式(I-a):
【化10】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、
Xは、O、NR、またはSであり;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;
各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
は、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;または、
及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;
は、ペプチドまたは非線維性化合物であり;
各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、前記アルギネート。
【請求項30】
XはOである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項31】
はOである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項32】
は、C(O)ORまたはC(O)N(R)(R)である、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項33】
は、C(O)N(R)(R)であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)、またはペプチド(例えば、表3に示されるペプチド、例えば、RGDペプチド)である、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項34】
及びRの一方は独立して水素であり、R及びRの他方は独立して非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である、請求項33に記載のアルギネート。
【請求項35】
は、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項36】
は、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項37】
及びRの一方は独立してC1-6アルキレン-S(O)-Rであり、R及びRの他方は独立して水素である、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項38】
は、非線維性化合物である、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項39】
前記モノマーは、式(I-b):
【化11】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項29で定義されるとおりである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項40】
前記モノマーは、式(I-c):
【化12】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R及びその副次可変要素は、請求項29で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項41】
前記モノマーは、式(I-d):
【化13】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項29で定義されるとおりである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項42】
前記モノマーは、式(I-e):
【化14】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項29で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項43】
は、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)である、請求項40または42に記載のアルギネート。
【請求項44】
nは2であり、mは1である、請求項40または42に記載のアルギネート。
【請求項45】
前記モノマーは、式(I-f):
【化15】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項29で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、請求項29で定義されるとおりである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項46】
前記モノマーは、式(I-g):
【化16】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R12、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、請求項29で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、請求項29で定義されるとおりである、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項47】
前記非線維性化合物は、表1の部位から選択される、請求項29に記載のアルギネート。
【請求項48】
請求項1~28のいずれか1項に記載の多糖ポリマーまたは請求項29~47のいずれか1項に記載のアルギネートを含む、ヒドロゲル。
【請求項49】
請求項1~28のいずれか1項に記載の多糖ポリマー、請求項29~47のいずれか1項に記載のアルギネート、または請求項48に記載のヒドロゲルを含む、移植可能要素。
【請求項50】
請求項1~28のいずれか1項に記載の多糖ポリマー、請求項29~47のいずれか1項に記載のアルギネート、または請求項48に記載のヒドロゲルを含む、移植可能要素。
【請求項51】
細胞(例えば、操作された細胞)をさらに含む、請求項50に記載の移植可能要素。
【請求項52】
前記細胞は、治療物質(例えば、酵素、抗体、ホルモン、または血液凝固因子)を生成する、請求項51に記載の移植可能要素。
【請求項53】
請求項1~28のいずれか1項に記載の多糖ポリマー、請求項29~47のいずれか1項に記載のアルギネート、請求項48に記載のヒドロゲル、または請求項50~52のいずれか1項に記載の移植可能要素、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項54】
処置を必要とする対象等の対象の疾患、障害、または病態を処置する方法であって、実施形態50~52のいずれか1つに記載の移植可能要素または実施形態53に記載の医薬組成物を前記対象に投与することにより、その結果、前記対象の前記疾患、障害、または病態を処置する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2022年12月30日に出願された米国特許出願第63/295,290号に対する優先権を主張し、その内容全体を全体として参照することにより本明細書に組み込む。
【0002】
移植デバイスの機能は、レシピエントの生物学的免疫反応経路に大きく依存する(Anderson et al.,Semin.Immunol.20:86-100(2008);Langer,Adv.Mater.21:3235-3236(2009))。免疫反応の調節は、これらのデバイスの忠実度及び機能に有益な効果をもたらし得る。そのため、この目標を達成する新しい化合物、組成物、及びデバイスが当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、所定のヒドロキシル基修飾を含むポリマー、ならびにその関連する組成物及び方法について記載する。1つの態様では、本開示は、ヒドロキシル部位を有する糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、糖モノマーが、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む、多糖ポリマーを特徴とする。一実施形態では、糖モノマーは、複数のヒドロキシル部位を有し、糖モノマーは、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む。別の態様では、本開示は、ヒドロキシル部位を有する糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、糖モノマーが、ヒドロキシル部位の場所にヒドロキシル修飾剤を含む、多糖ポリマーを特徴とする。いくつかの実施形態では、糖モノマーは、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトロース、タロース、イドース、グロース、フルクトース、リボース、アラビノース、リキソース、キシロース、ラムノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、及びグルロン酸から選択される。一実施形態では、多糖ポリマーは、ヒアルロネート、アルギネート、セルロース、キトサン、キチン、アミロース、デキストラン、デンプン、グリコーゲン、コンドロイチン、及びペクチンから選択される。一実施形態では、ヒドロキシル修飾剤は、窒素含有ヒドロキシル修飾剤である。一実施形態では、ヒドロキシル修飾剤は、アミンまたはアミドを含む。
【0004】
1つの態様では、本開示は、糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、糖モノマーが、式(I):
【化1】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有する、多糖ポリマーを特徴とし、式中、可変要素X、R、R、R、R、R5a、R5b、及びそれらの副次可変要素は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、式(I)の糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩は、本明細書に記載の式(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、または(I-g)の構造を有する。いくつかの実施形態では、式(I)の糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩は、本明細書の表1に示されている。
【0005】
別の態様では、本開示は、糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、糖モノマーが、式(I-a):
【化2】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有する、多糖ポリマーを特徴とし、式中、可変要素X、R、R、R、R、R、及びそれらの副次可変要素は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、式(I)の糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩は、式(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、または(I-g)の構造を有する。いくつかの実施形態では、式(I-a)の糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩は、本明細書の表1に示されている。
【0006】
別の態様では、本開示は、糖モノマーを含むアルギネートであって、糖モノマーが、式(I-a):
【化3】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有する、アルギネートを特徴とし、式中、可変要素X、R、R、R、R、R、及びそれらの副次可変要素は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、式(I)の糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩は、式(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、または(I-f)の構造を有する。いくつかの実施形態では、式(I-a)の糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩は、本明細書の表1に示されている。
【0007】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される多糖ポリマー(例えば、アルギネート)を含むヒドロゲル、及びそれを含む移植可能要素(例えば、デバイスまたは材料)を特徴とする。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルまたは移植可能要素は、細胞を含む。例示的な細胞タイプには、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、及び幹細胞(例えば、iPSCまたはMSC)が含まれる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルまたは移植可能要素は、上皮細胞、例えば網膜色素上皮細胞(RPE細胞)を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルまたは移植可能要素は、操作された細胞(例えば、操作された上皮細胞、例えば、操作されたRPE細胞)を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、操作された細胞)は、物質、例えば、治療剤を生成する。例示的な治療剤としては、核酸(例えば、RNAまたはDNA)、タンパク質(例えば、ホルモン、酵素、抗体、抗体断片、抗原、またはエピトープ)、小分子、脂質、薬物、ワクチン、またはそれらの誘導体が挙げられる。例えば、移植可能要素は、タンパク質(例えば、血液凝固因子(例えば、第VIII因子タンパク質)またはホルモン(例えば、インスリン))を生成することが可能な操作された細胞を含み得る。
【0009】
別の態様では、本開示は、物質(例えば、治療剤)を対象に提供する方法であって、(i)本明細書に記載の式(I)の糖モノマーを含む多糖ポリマー(例えば、アルギネート)と、(ii)物質(例えば、治療剤)を生成することが可能な細胞とを含むヒドロゲルまたは移植可能要素を対象に投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、物質は、タンパク質(例えば、血液凝固因子(例えば、第VIII因子タンパク質)またはホルモン(例えば、インスリン))等の治療剤である。
【0010】
別の態様では、本開示は、疾患、障害または病態を処置することが可能な治療剤により、対象の当該疾患、障害、または病態を処置する方法であって、(i)本明細書に記載の式(I)の糖モノマーを含む多糖ポリマー(例えば、アルギネート)と、(ii)治療剤を生成することが可能な細胞とを含むヒドロゲルまたは移植可能要素を対象に投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、障害は、血液凝固障害(例えば、血友病A)、リソソーム蓄積障害(例えば、ファブリー病、MPS I)、内分泌障害、糖尿病、または神経変性疾患である。
【0011】
いくつかの実施形態では、物質を提供する方法または処置する方法は、投与された移植可能要素に対する異物反応を低減すること(例えば、移植可能要素における被膜周囲線維過成長(pericapsular fibrotic overgrowth)(PFO)の形成を最小限に抑えること)を含む。
【0012】
本開示のあらゆる態様において、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多糖ポリマー、例えば、式(I)の糖モノマーを含むもの、またはそのヒドロゲルもしくは移植可能要素(例えば、デバイスもしくは材料)は、WO2012/112982、WO2012/167223、WO2014/153126、WO2016/187225、WO2016/019391、WO2017/075630、WO2017/075631、WO2018/067615、WO2019/169333、及びUS2016-0030359のいずれか1つに記載の多糖ポリマー、ヒドロゲル、または移植可能要素ではない。
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、本明細書に記載される。本発明の他の特長、目的、及び利点は、発明を実施するための形態、図面、実施例、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、ヒドロキシル修飾剤で修飾されたヒドロキシル部位を有する糖モノマーを含む多糖ポリマー、ならびにその関連する組成物、及び作製方法及び使用を提供する。一実施形態では、糖モノマーは、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む。一実施形態では、例えば、式(I)の糖モノマーを含む多糖ポリマー、ならびにそれを含むヒドロゲル及び移植可能要素(例えば、デバイス及び材料)、ならびにその関連する組成物及び使用方法。特に、本明細書に記載の多糖ポリマー、ヒドロゲル、及び移植可能要素は、対象の疾患、障害または病態の予防及び処置の方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、式(I)の糖モノマーを含む多糖ポリマー、ならびにそれを含むヒドロゲル及び移植可能要素、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体は、対象における免疫反応を緩和することが可能である。
【0015】
定義
本発明がより容易に理解され得るように、所定の技術的及び科学的用語が以下に具体的に定義される。この文書における他の箇所で具体的に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての他の技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0016】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、例えば、「a」、「an」、及び「the」等の用語の単数形には、文脈が別途明らかに示さない限り、それらの対応する複数の言及が含まれる。
【0017】
「約」は、数値的に定義されるパラメータ(例えば、本明細書に記載のポリマーまたは移植可能要素の物理的記載、例えば、直径、球形度、粒子(例えばヒドロゲル)中の細胞の数、調製物における粒子の数)を修飾するために本明細書で使用される場合、パラメータが、そのパラメータについて記述された数値を15%上回るまたは下回るほど様々であり得ることを意味する。例えば、約1.5ミリメートル(mm)の平均直径を有し、かつ約5百万(M)個の細胞を封入するものとして定義される移植可能要素は、1.275~1.725mmの平均直径を有し得、約4.25M~5.75Mの細胞を封入し得る。いくつかの実施形態では、用語「約」は、パラメータが、そのパラメータについて記述された数値を10%または5%上回るまたは下回るほど様々であり得ることを意味する。
【0018】
「取得する」または「取得すること」は、本明細書で使用される場合、値または物理的実体を「直接的に取得すること」または「間接的に取得すること」によって、値の所有物、例えば、数値、または画像、または物理的実体(例えば、サンプル)を得ることを指す。「直接的に取得すること」は、値または物理的実体を得るためにプロセスを実施すること(例えば、分析的方法またはプロトコルを実施すること)を意味する。「間接的に取得すること」は、他者または他の源(例えば、物理的実体または値を直接的に取得した第三者のラボラトリ)から値または物理的実体を取得することを指す。値または物理的実体を直接的に取得することには、物理的物質の物理的変化を含むプロセスまたは機械もしくはデバイスの使用を実施することが含まれる。値を直接的に取得することの例には、ヒト対象からサンプルを得ることが含まれる。値を直接的に取得することには、蛍光顕微鏡等の機械またはデバイスを使用するプロセスを実施して、蛍光顕微鏡検査データを取得することが含まれる。
【0019】
「投与する」、「投与すること」、または「投与」は、本明細書で使用される場合、対象に本明細書に記載の実体(例えば、本明細書に記載の多糖ポリマー、またはそれを含むヒドロゲルもしくは移植可能要素、例えば細胞を封入したヒドロゲルもしくは移植可能要素)、または前記粒子を含む組成物)を移植すること、吸収させること、摂取させること、注射すること、配置すること、またはそうでなければ導入すること、または投与のために対象に当該実体を提供することを指す。
【0020】
「非線維性(afibrotic)」は、本明細書で使用される場合、化合物または材料を含むインプラントに対する異物反応(FBR)の少なくとも1つの態様を軽減する、例えば、インプラントにおける被膜周囲線維過成長(PFO)の形成を最小限に抑える、化合物または材料を意味する。例えば、非線維性化合物を含む多糖ポリマーまたはデバイス(例えば、ヒドロゲルまたは移植可能要素)(例えば、表1に列挙された化合物で共有結合的に修飾された多糖ポリマーを含むヒドロゲル)を生物学的組織または組織液に移植することによって誘導される当該組織または組織液中のFBRは、非線維性ヌル参照ポリマーまたはデバイス(すなわち、あらゆる非線維性化合物を欠くことを除いては実質的に同じ組成を有するもの)(例えば、同じ非修飾ポリマーから形成され、実質的に同じ形状及びサイズを有するヒドロゲルカプセル)の移植によって誘導されるFBRよりも低い量で、またはそれよりも遅い時点で発生する。一実施形態では、FBRの程度は、例えば、WO2017/075630に記載されているような当該技術分野で知られているアッセイを使用して、または、Vegas,A.,et al.,Nature Biotechnol(上掲)に記載のアッセイ/方法(例えば、移植されたカプセルの皮下カテプシン測定、組織切片のマッソン・トリクローム(MT)、ヘマトキシリンもしくはエオシン染色、コラーゲン密度の定量化、マクロファージ(CD68もしくはF4/80)、顆粒球(Siglec-F、Ly-6G)、筋線維芽細胞(アルファ筋アクチン、SMA)もしくは全般的細胞沈着の細胞染色及び共焦点顕微鏡検査、既知の炎症因子及び免疫細胞マーカーの79種のRNA配列の定量化、または免疫適格マウス等の好適な試験対象の腹腔内に14日間置いた後に回収されたデバイス(例えば、カプセル)におけるマクロファージ及び好中球細胞のFACS分析のうちの1つ以上を使用して、例えば、タンパク質吸着、マクロファージ、多核化異物巨細胞、好酸球、好中球、T細胞、B細胞、線維芽細胞、及び血管新生を含み得る、移植されたデバイス(例えば、ヒドロゲルカプセル)を含有する組織または組織液における免疫学的反応によって評価される。一実施形態では、FBRは、インプラントを含む組織または組織液中の、カテプシン、TNF-α、IL-13、IL-6、G-CSF、GM-CSF、IL-1、IL-4、IL-5、CCL2、CCL4、TIMP-1等の1つ以上の免疫反応バイオマーカーのレベルを測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、FBRは、好適な試験対象(例えば、免疫適格マウス)への投与後の1つ以上の時点で、インプラント(例えば、ヒドロゲルカプセル)におけるPFOの量を調べることによって評価される。この評価は、当該技術分野で知られているアッセイ、例えば、この定義に記載されているアッセイのいずれかを使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、本発明の修飾ポリマーまたはデバイス(例えば、外部表面に配置された本明細書に記載の非線維性化合物を含むヒドロゲルカプセル)によって誘導されるFBR(例えば、PFO)の一態様は、非線維性ヌル参照ポリマーまたはデバイスによって誘導される同じFBRの態様よりも少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、もしくは約100%低いか、または少なくとも約10%、約20%、約40%、もしくは約50%遅く発生する。いくつかの実施形態では、FBR(例えば、バイオマーカー(複数可)のレベル)は、約30分後、約1時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約1週間後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、またはそれよりも後に測定される。
【0021】
本明細書で使用される「細胞」は、操作された細胞または操作されていない細胞を指す。
【0022】
本明細書で使用される「有効量」とは、生物学的反応を軽減または誘発する、例えば、免疫反応を最小限に抑える、または疾患、障害、もしくは病態を処置するのに十分な、本明細書に記載の化合物、修飾ポリマー、または移植可能要素(例えば、操作された細胞等の細胞、または、操作された細胞等の細胞によって生成された治療剤等の薬剤をさらに含む)の量を指す。当業者には理解されるように、有効量は、所望の生物学的エンドポイント、治療剤、組成物または移植可能要素の薬物動態、処置される病態、投与様式、ならびに対象の年齢及び健康等の因子に応じて変化し得る。有効量には、治療上及び予防上の処置が包含される。例えば、移植可能要素によって誘導される異物反応(例えば、PFO)を低減するために、本明細書に記載の化合物を、PFOを低減するのに有効な量で、または移植可能要素上もしくはその近くの線維性組織の成長もしくは拡散を止めるのに有効な量で、移植可能要素の表面に配置することができる。
【0023】
「内因性核酸」は、本明細書で使用される場合、対象細胞において天然に存在する核酸である。
【0024】
「内因性ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、対象細胞において天然に存在するポリペプチドである。
【0025】
「操作された細胞」は、本明細書で使用される場合、天然に存在しない改変を有する細胞であり、典型的には、操作されていない同様の条件下で他の点では同様の細胞に存在しない(または異なるレベルで存在する)核酸配列(例えば、DNAまたはRNA)(例えば、外因性核酸配列)またはポリペプチドを含む。一実施形態では、操作された細胞は、外因性核酸(例えば、ベクターまたは改変された染色体性配列)を含む。一実施形態では、操作された細胞は、外因性ポリペプチドを含む。一実施形態では、操作された細胞は、外因性核酸配列、例えば、操作されていない同様の細胞に存在しない配列、例えば、DNAまたはRNAを含む。一実施形態では、外因性核酸配列は、染色体性であり、例えば、外因性核酸配列は、内因性染色体配列内に配置された外因性配列である。一実施形態では、外因性核酸配列は、染色体性または染色体外性、例えば、非組み込みベクターである。一実施形態では、外因性核酸配列は、RNA配列、例えば、mRNAを含む。一実施形態では、外因性核酸配列は、RNA、例えば、mRNAまたは制御性RNAとして発現する配列を含む染色体性または染色体外性外因性核酸配列を含む。一実施形態では、外因性核酸配列は、ポリペプチドをコードする、またはポリペプチドとして発現する配列を含む染色体性または染色体外性核酸配列を含む。一実施形態では、外因性核酸配列は、第2の核酸配列のコンフォメーションまたは発現を調節する第1の染色体性または染色体外性外因性核酸配列を含み、第2のアミノ酸配列は、外因性または内因性であり得る。例えば、操作された細胞は、内因性配列の発現をコントロールする外因性核酸を含み得る。一実施形態では、操作された細胞は、操作されていない同様の細胞に見られるレベルとは異なるレベルまたは分布で存在するポリペプチドを含む。一実施形態では、操作された細胞は、RNAまたはポリペプチドをもたらすように操作された細胞を含む。例えば、操作された細胞は、RNA、例えば、mRNAまたは制御性RNAとして発現する配列を含む染色体性または染色体外性外因性核酸配列を含む外因性核酸配列を含み得る。一実施形態では、操作された細胞は、ポリペプチドをコードする、またはポリペプチドとして発現する配列を含む染色体性または染色体外性核酸配列を含む外因性核酸配列を含む。一実施形態では、操作された細胞は、内因性配列のコンフォメーションまたは発現を調節する外因性核酸配列を含む。一実施形態では、操作された細胞(例えば、RPE細胞)は、安定的にトランスフェクションされた細胞の集団から、またはモノクローナル細胞株から培養される。
【0026】
「外因性核酸」は、本明細書で使用される場合、操作された細胞等の対象細胞において天然に存在しない核酸である。
【0027】
「外因性ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、操作された細胞等の対象細胞において天然に存在しないポリペプチドである。
【0028】
本明細書で使用される「移植可能要素」は、細胞、例えば複数の細胞、例えば細胞クラスターを含み、細胞または細胞群は、封じ込め成分(封じ込め成分は細胞以外である)内に全体的または部分的に配置され、例えば封じ込め成分は非細胞成分を含む。「移植可能要素」という用語は、本明細書に記載されるデバイスまたは材料を含む。一実施形態では、移植可能要素は、封じ込められた細胞または細胞群に対する免疫攻撃または免疫攻撃の影響を阻害する。一実施形態では、移植可能要素は、半透膜または半透性のポリマーマトリックスもしくはコーティングを含む。本明細書に記載の移植可能要素は、式(I)の構造を有する糖モノマーまたはその薬学的に許容可能な塩を含む多糖ポリマー(例えば、アルギネート)を含む。本明細書に記載の移植可能要素は、任意に別の化合物(例えば、非線維性化合物またはペプチド)で修飾されたポリマー(例えば、多糖ポリマー、例えば、アルギネート)または他の材料を含んでもよい。
【0029】
本明細書で使用される「被膜周囲線維過成長」または「PFO」は、移植可能要素に対する異物反応の結果として、ヒドロゲルまたは移植可能要素の一部または全体に生じる線維性細胞層を指す。
【0030】
「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合を介して連結されたアミノ酸残基を含み、かつ少なくとも2、諸実施形態では少なくとも10、100、または200のアミノ酸残基を有するポリマーを指す。
【0031】
「予防」、「予防する」、及び「予防すること」は、本明細書で使用される場合、疾患、障害、または病態の身体的兆候を防ぐために前記疾患、障害、または病態の開始前に、療法を投与または適用すること、例えば、細胞を封入した移植可能要素の組成物(例えば、本明細書に記載のもの)を投与することを含む処置を指す。いくつかの実施形態では、「予防」、「予防する」、及び「予防すること」は、疾患、障害、または病態の兆候または症状が発症していないことまたは観察されていないことを必要とする。
【0032】
「補充療法」または「補充タンパク質」とは、減少、変化、または欠如したタンパク質に関連する疾患または病態を有する対象において減少している、不十分な量で存在する、変化(例えば、変異)している、または欠如しているタンパク質を補充または増強する治療タンパク質またはその機能的断片である。例としては、所定の血液凝固障害における所定の血液凝固因子、または所定のリソソーム蓄積症における所定のリソソーム酵素が挙げられる。一実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、内因性タンパク質の機能をもたらす。一実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、補充されるタンパク質の天然に存在するバリアント、例えば野生型アレルまたは障害に関連しないアレルと同じアミノ酸配列を有する。一実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、天然に存在するバリアント、例えば野生型アレルまたは障害に関連しないアレル、例えば対象が保有するアレルと、アミノ酸残基の約1、2、3、4、5、10、15または20%以下でアミノ酸配列が異なる。
【0033】
「対象」は、本明細書で使用される場合、ヒトまたは非ヒト動物を指す。一実施形態では、対象は、ヒト(すなわち、例えば、任意の年齢群の男性または女性、小児対象(例えば、幼児期、小児期、思春期)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))である。一実施形態では、対象は、非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル))である。一実施形態では、対象は、商業的に関連する哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、またはイヌ)または鳥(例えば、商業的に関連する鳥、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、またはシチメンチョウ)である。所定の実施形態では、動物は、哺乳動物である。動物は、雄または雌であり、任意の発達段階のものであり得る。非ヒト動物は、トランスジェニック動物であり得る。
【0034】
「処置」、「処置する」、及び「処置すること」は、本明細書で使用される場合、疾患、障害、または病態の症状、兆候、または根本原因のうちの1つ以上を低減すること、逆行させること、緩和すること、その開始を遅延させること、またはその進行を阻害することのうちの1つ以上を指す。一実施形態では、処置することは、疾患、障害、または病態の症状を低減すること、逆行させること、緩和すること、その開始を遅延させること、またはその進行を阻害することを含む。一実施形態では、処置することは、疾患、障害、または病態の兆候を低減すること、逆行させること、緩和すること、その開始を遅延させること、またはその進行を阻害することを含む。一実施形態では、処置することは、疾患、障害、または病態の根本原因を低減すること、逆行させること、緩和すること、低減すること、またはその開始を遅延させることを含む。いくつかの実施形態では、「処置」、「処置する」、及び「処置すること」は、疾患、障害、または病態の兆候または症状が発症したことまたは観察されたことを必要とする。他の実施形態では、処置は、例えば、予防的処置において、疾患または病態の兆候または症状の非存在下で投与され得る。例えば、処置は、症状の開始前の罹患しやすい個体に投与され得る(例えば、症状の履歴を考慮して及び/または遺伝子的または他の感受性要因の観点から)。処置はまた、症状が解消された後に、例えば、再発を遅延させるためにまたは予防するために継続され得る。いくつかの実施形態では、処置は、予防を含み、他の実施形態では予防を含まない。
【0035】
選択された化学的定義
特定の官能基及び化学的用語の定義は、以下により詳細に記載されている。化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.(表紙裏)に従って特定され、特定の官能基は通常、そこに記載されるとおり定義される。また、有機化学の一般的原理、ならびに特定の官能性部位及び反応性はThomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
【0036】
本明細書で使用される略語は、化学的及び生物学的分野内のそれらの従来の意味を有する。本明細書に示される化学的構造及び式は、化学的分野で知られている化学的価数の標準的な規則に従って構築される。
【0037】
値の範囲が列挙される場合、範囲内の各値及び副次的範囲を包含することが意図される。例えば、「C-Cアルキル」は、C、C、C、C、C、C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、及びC-Cアルキルを包含することが意図される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、1~24個の炭素原子を有する直鎖または分岐状飽和炭化水素基のラジカル(「C-C24アルキル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~12個の炭素原子(「C-C12アルキル」)、1~8個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、1~6個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、1~5個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、1~4個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、1~3個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、1~2個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、または1個の炭素原子(「Cアルキル」)を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C-Cアルキル」)。C-Cアルキル基の例には、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、イソプロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、iso-ブチル(C)、n-ペンチル(C)、3-ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3-メチル-2-ブタニル(C)、第3級アミル(C)、及びn-ヘキシル(C)が含まれる。アルキル基の追加の例には、n-ヘプチル(C)、n-オクチル(C)等が含まれる。アルキル基の各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換アルキル」)または1つ以上の置換基;例えば、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基、または1個の置換基で置換されている(「置換アルキル」)。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、2~24個の炭素原子、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、三重結合を有しない直鎖または分岐状炭化水素基のラジカル(「C-C24アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~10個の炭素原子(「C-C10アルケニル」)、2~8個の炭素原子(「C-Cアルケニル」)、2~6個の炭素原子(「C-Cアルケニル」)、2~5個の炭素原子(「C-Cアルケニル」)、2~4個の炭素原子(「C-Cアルケニル」)、2~3個の炭素原子(「C-Cアルケニル」)、または2個の炭素原子(「Cアルケニル」)を有する。1つ以上の炭素-炭素二重結合は、内部(例えば、2-ブテニルにおけるもの)または末端(例えば、1-ブテニルにおけるもの)であり得る。C-Cアルケニル基の例には、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)等が含まれる。C-Cアルケニル基の例には、前述したC2-4アルケニル基及びペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)等が含まれる。アルケニル基の各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換アルケニル」)または1つ以上の置換基;例えば、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基、または1個の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、2~24個の炭素原子、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分岐状炭化水素基のラジカル(「C-C24アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~10個の炭素原子(「C-C10アルキニル」)、2~8個の炭素原子(「C-Cアルキニル」)、2~6個の炭素原子(「C-Cアルキニル」)、2~5個の炭素原子(「C-Cアルキニル」)、2~4個の炭素原子(「C-Cアルキニル」)、2~3個の炭素原子(「C-Cアルキニル」)、または2個の炭素原子(「Cアルキニル」)を有する。1つ以上の炭素-炭素三重結合は、内部(例えば、2-ブチニルにおけるもの)または末端(例えば、1-ブチニルにおけるもの)であり得る。C-Cアルキニル基の例には、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)等が含まれる。アルキニル基の各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換アルキニル」)または1つ以上の置換基;例えば、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基、または1個の置換基で置換されている(「置換アルキニル」)。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、少なくとも1つの炭素原子ならびにO、N、P、Si、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む非環状安定直鎖もしくは分岐鎖、またはそれらの組み合わせであって、窒素、リン、ケイ素、または硫黄原子は、任意に酸化され得、窒素ヘテロ原子は、任意に四級化され得るものを指す。ヘテロ原子(複数可)O、N、P、S、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の位置で置き換えられ得る。例示的なヘテロアルキル基には、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、-CH=CH-N(CH)-CH、-O-CH、及び-O-CH-CHが含まれるがこれらに限定されない。最大で2または3個のヘテロ原子は、連続的、例えば、-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CH等であり得る。「ヘテロアルキル」が記述され、それに続いて特定のヘテロアルキル基、例えば、-CHO、-NR等が記述される場合、ヘテロアルキルという用語及び-CHOまたは-NRは、冗長ではなく、相互に排他的でもないことが理解される。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確性を付与するために記述される。よって、用語「ヘテロアルキル」は、特定のヘテロアルキル基、例えば、-CHO、-NR等を除くものとして本明細書で解釈されるべきではない。
【0042】
用語「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキニレン」、または「ヘテロアルキレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、別途記述されない限り、それぞれアルキル、アルケニル、アルキニル、またはヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、またはヘテロアルキレン基は、例えば、C-Cアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、またはC-Cヘテロアルキレンとして記載され得る。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子はまた、鎖末端のいずれかまたは両方を占有し得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。またさらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基について、連結基の配向は、連結基の式が記載される方向によって示されない。例えば、式-C(O)R’-は、-C(O)R’-及び-R’C(O)-の両方を表し得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、芳香族環系で提供される6~14個の環炭素原子及び0個のヘテロ原子を有する単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)の4n+2芳香族環系(例えば、環状アレイで共有される6、10、または14個のπ電子を有する)のラジカル(「C-C14アリール」)を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、ナフチル、例えば、1-ナフチル及び2-ナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。アリール基は、例えば、C-C10員アリールとして記載され得、用語「員」は、部位内の非水素環原子を指す。アリール基には、フェニル、ナフチル、インデニル、及びテトラヒドロナフチルが含まれる。アリール基の各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換アリール」)または1つ以上の置換基で置換されている(「置換アリール」)。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、芳香族環系で提供される環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員単環式または二環式4n+2芳香族環系(例えば、環状アレイで共有される6または10個のπ電子を有する)のラジカルであって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素及び硫黄から選択されるもの(「5~10員ヘテロアリール」)を指す。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、結合点は、原子価が許す場合、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール二環式環系には、一方または両方の環において1つ以上のヘテロ原子が含まれ得る。「ヘテロアリール」にはまた、上記で定義されるヘテロアリール環が、アリールまたはヘテロアリール環上のいずれかに結合点がある1つ以上のアリール基と縮合された環系が含まれ、そのような例では、環員の数は、縮合(アリール/ヘテロアリール)環系における環員の数を示す。一方の環がヘテロ原子を含有しない二環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリル等)結合点は、いずれかの環上にあり、すなわち、ヘテロ原子を保有する環上(例えば、2-インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環上(例えば、5-インドリル)にあり得る。ヘテロアリール基は、例えば、6~10員ヘテロアリールとして記載され得、用語「員」は、部位内の非水素環原子を指す。
【0045】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環系で提供される環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員芳香族環系であって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるもの(「5~10員ヘテロアリール」)である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環系で提供される環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員芳香族環系であって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるもの(「5~8員ヘテロアリール」)である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環系で提供される環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員芳香族環系であって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるもの(「5~6員ヘテロアリール」)である。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換ヘテロアリール」)または1つ以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール」)。
【0046】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基には、限定されないが、ピロリル、フラニル及びチオフェニルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基には、限定されないが、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが含まれる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基には、限定されないが、トリアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルが含まれる。4個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基には、限定されないが、テトラゾリルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基には、限定されないが、ピリジニルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基には、限定されないが、ピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが含まれる。3または4個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基には、限定されないが、トリアジニル及びテトラジニルがそれぞれ含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリール基には、限定されないが、アゼピニル、オキセピニル、及びチエピニルが含まれる。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基には、限定されないが、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが含まれる。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基には、限定されないが、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが含まれる。他の例示的なヘテロアリール基には、ヘム及びヘム誘導体が含まれる。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれアリール及びヘテロアリールに由来する二価ラジカルを意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、非芳香族環系において3~10個の環炭素原子を有し(「C-C10シクロアルキル」)、ヘテロ原子を有しない非芳香族環状炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子(「C-Cシクロアルキル」)、3~6個の環炭素原子(「C-Cシクロアルキル」)、または5~10個の環炭素原子(「C-C10シクロアルキル」)を有する。シクロアルキル基は、例えば、C-C員シクロアルキルとして記載され得、用語「員」は、部位内の非水素環原子を指す。例示的なC-Cシクロアルキル基には、限定されないが、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)等が含まれる。例示的なC-Cシクロアルキル基には、限定されないが、前述したC-Cシクロアルキル基及びシクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、キュバニル(C)、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル(C)、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(C)等が含まれる。例示的なC-C10シクロアルキル基には、限定されないが、前述したC-Cシクロアルキル基及びシクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)等が含まれる。前述の例が示すように、所定の実施形態では、シクロアルキル基は、単環式(「単環式シクロアルキル」)であり、または縮合、架橋またはスピロ環系、例えば、二環式系(「二環式シクロアルキル」)を含有し、飽和であり得、または部分的に不飽和であり得る。「シクロアルキル」にはまた、上記で定義されるシクロアルキル環が、シクロアルキル環上に結合点がある1つ以上のアリール基と縮合された環系が含まれ、そのような例では、炭素の数は、シクロアルキル環系における炭素の数を指定し続ける。シクロアルキル基の各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換シクロアルキル」)または1つ以上の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。
【0049】
「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用される場合、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する3~10員非芳香族環系のラジカルであって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から選択されるもの(「3~10員ヘテロシクリル」)である。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、結合点は、原子価が許す場合、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または縮合、架橋もしくはスピロ環系、例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)のいずれかであり得、飽和であり得、または部分的に不飽和であり得る。ヘテロシクリル二環式環系には、一方または両方の環において1つ以上のヘテロ原子が含まれ得る。「ヘテロシクリル」にはまた、上記で定義されるヘテロシクリル環が、シクロアルキルまたはヘテロシクリル環上のいずれかに結合点がある1つ以上のシクロアルキル基と縮合された環系、または上記で定義されるヘテロシクリル環が、ヘテロシクリル環上に結合点がある1つ以上のアリールまたはヘテロアリール基と縮合された環系が含まれ、そのような例では、環員の数は、ヘテロシクリル環系における環員の数を指定し続ける。ヘテロシクリル基は、例えば、3~7員ヘテロシクリルとして記載され得、用語「員」は、部位内の非水素環原子、すなわち、炭素、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素を指す。ヘテロシクリルの各例は、独立して、任意に置換されていてもよく、すなわち、非置換であり(「非置換ヘテロシクリル」)または1つ以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。所定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、非置換3~10員ヘテロシクリルである。所定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、置換された3~10員ヘテロシクリルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員非芳香族環系であって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から選択されるもの(「5~10員ヘテロシクリル」)である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員非芳香族環系であって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるもの(「5~8員ヘテロシクリル」)である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員非芳香族環系であって、各ヘテロ原子が、独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるもの(「5~6員ヘテロシクリル」)である。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0051】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基には、限定されないが、アジルジニル、オキシラニル、チオレニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基には、限定されないが、アゼチジニル、オキセタニル及びチエタニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基には、限定されないが、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル及びピロリル-2,5-ジオンが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基には、限定されないが、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、及びオキサゾリジン-2-オンが含まれる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基には、限定されないが、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基には、限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基には、限定されないが、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが含まれる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基には、限定されないが、トリアジナニルまたはチオモルホリニル-1,1-ジオキシドが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基には、限定されないが、アゼパニル、オキセパニル及びチエパニルが含まれる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基には、限定されないが、アゾカニル、オキセカニル及びチオカニルが含まれる。Cアリール環に縮合された例示的な5員ヘテロシクリル基(本明細書で5,6-二環式複素環式環とも称される)には、限定されないが、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニル等が含まれる。アリール環に縮合された例示的な6員ヘテロシクリル基(本明細書で6,6-二環式複素環式環とも称される)には、限定されないが、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等が含まれる。
【0052】
「アミノ」は、本明細書で使用される場合、ラジカル-NR(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C-C12アルキル、C-C10シクロアルキル、C-C10ヘテロシクリル、C-C10アリール、及びC-C10ヘテロアリールである)を指す。いくつかの実施形態では、アミノは、NHを指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「シアノ」は、ラジカル-CNを指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、独立してまたは別の置換基の一部として、別途記述されない限り、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)原子を意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は、ラジカル-OHを指す。
【0056】
本明細書において、「ヒドロキシル修飾剤」とは、ヒドロキシル部位(すなわち、-OH)を含む材料にヒドロキシル部位の位置で結合することが可能な物質または化合物等の部位である。例えば、ヒドロキシル修飾剤は、ヒドロキシル部位に共有結合した炭素原子に結合し得る。例示的なヒドロキシル修飾剤は、アミン、エステル、及びチオールを含む。例えば、本明細書に記載のように、ヒドロキシル部位を含む材料にヒドロキシル修飾剤を共有結合させるには、ヒドロキシル部位を含む糖部位を、酸化、還元、またはアミノ化等の所定の反応に供して、ヒドロキシル部位の周囲の原子を活性化することができる。
【0057】
アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリール基は、本明細書で定義される場合、任意に置換されている(例えば、「置換」または「非置換」アルキル、「置換」または「非置換」アルケニル、「置換」または「非置換」アルキニル、「置換」または「非置換」ヘテロアルキル、「置換」または「非置換」シクロアルキル、「置換」または「非置換」ヘテロシクリル、「置換」または「非置換」アリールまたは「置換」または「非置換」ヘテロアリール基)。通常、用語「置換された」は、用語「任意に」が先行するかどうかにかかわらず、基(例えば、炭素または窒素原子)上に存在する少なくとも1つの水素が、許容可能な置換基、例えば、置換により安定な化合物(例えば、転位、環化、脱離、または他の反応によって自発的に変換を受けない化合物)をもたらす置換基で置き換えられていることを意味する。別途示されない限り、「置換された」基は、基の1つ以上の置換可能な位置で置換基を有し、任意の所与の構造における複数の位置が置換される場合、置換基は、各位置で同じであり、または異なる。用語「置換された」は、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれか等の有機化合物のすべての許容可能な置換基での置換を含むことが企図される。本発明は、安定な化合物に到達するためのあらゆるそのような組み合わせを企図する。本発明の目的では、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基、及び/またはヘテロ原子の価数を満たし、かつ安定な部位の形成をもたらす本明細書に記載される任意の好適な置換基を有し得る。
【0058】
2つ以上の置換基は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル基を形成するように任意に接続され得る。そのようないわゆる環形成置換基は、典型的には、環状基本構造に結合していることが分かるがかならずしも、そうではない。1つの実施形態では、環形成置換基は、基本構造の隣接員に結合される。例えば、環状基本構造の隣接員に結合した2つの環形成置換基は、縮合環構造を生成する。別の実施形態では、環形成置換基は、基本構造の単一員に結合される。例えば、環状基本構造の単一員に結合した2つの環形成置換基は、スピロ環式構造を生成する。さらに別の実施形態では、環形成置換基は、基本構造の非隣接員に結合される。
【0059】
本明細書に記載の式(I)の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得、よって、様々な異性体形態、例えば、エナンチオマー及び/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であり得、またはラセミ混合物及び1つ以上の立体異性体が濃縮された混合物を含む、立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)及びキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に知られている方法によって混合物から単離され得;または好ましい異性体は、不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、及び代替的に、様々な異性体の混合物として本明細書に記載の化合物を追加的に包含する。
【0060】
本明細書で使用される場合、純粋なエナンチオマー化合物は、化合物の他のエナンチオマーまたは立体異性体を実質的に含まない(すなわち、エナンチオマー過剰である)。すなわち、化合物の「S」形態は、化合物の「R」形態を実質的に含まず、よって、「R」形態のエナンチオマー過剰である。用語「エナンチオマー的に純粋」または「純粋なエナンチオマー」は、化合物が、75重量%を超える、80重量%を超える、85重量%を超える、90重量%を超える、91重量%を超える、92重量%を超える、93重量%を超える、94重量%を超える、95重量%を超える、96重量%を超える、97重量%を超える、98重量%を超える、99重量%を超える、99.5重量%を超える、または99.9%を超えるエナンチオマーを含むこと示す。所定の実施形態では、重量は、化合物のすべてのエナンチオマーまたは立体異性体の総重量に基づく。
【0061】
本明細書に記載の式(I)の化合物はまた、1つ以上の同位体置換を含み得る。例えば、Hは、H、H(Dまたは重水素)、及びH(Tまたはトリチウム)を含む任意の同位体形態であり得る;Cは、12C、13C、及び14Cを含む任意の同位体形態であり得る;Oは、16O及び18Oを含む任意の同位体形態であり得る;などである。
【0062】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書に記載の化合物に見られる特定の置換基に応じて、相対的に非毒性の酸または塩基を用いて調製された活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示で使用される化合物が、相対的に酸性の機能性を含有する場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を、十分な量の所望の塩基と、そのままでまたは好適な不活性溶媒中で接触させることによって得られ得る。薬学的に許容可能な塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、または同様の塩が含まれる。本開示で使用される化合物が、相対的に塩基性の機能性を含有する場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、十分な量の所望の酸と、そのままでまたは好適な不活性溶媒中で接触させることによって得られ得る。薬学的に許容可能な酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸等のような無機酸に由来するもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等のような有機酸に由来する塩が含まれる。また、アミノ酸、例えば、アルギネート等の塩、及びグルクロン酸またはガラクツロン酸等のような有機酸の塩が含まれる(例えば、Berge et al,Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19(1977)を参照されたい)。本開示において使用される所定の特定の化合物は、化合物が塩基または酸付加塩のいずれかに変換されることを可能とする塩基性及び酸性機能性の両方を含有する。これらの塩は、当業者に知られている方法によって調製され得る。当業者に知られている他の薬学的に許容可能な担体は、本開示における使用のために好適である。
【0063】
塩形態に加えて、本開示は、式(I)の化合物をプロドラッグ形態で用いる場合がある。プロドラッグは、本発明において有用な化合物を提供するために生理的条件下で化学的変化を容易に受けるそれらの化合物である。また、プロドラッグは、ex vivo環境で化学的または生化学的方法によって式(I)の有用な化合物に変換され得る。
【0064】
本明細書に記載の式(I)の所定の化合物は、非溶媒和形態及び水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。通常、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に包含される。本明細書に記載の式(I)の所定の化合物は、多結晶性または非晶質形態で存在し得る。通常、すべての物理的形態は、本開示によって企図される使用のために同等であり、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0065】
用語「溶媒和物」は、通常は加溶媒分解反応によって、溶媒に関連付けられた化合物の形態を指す。この物理的関連付けには、水素結合が含まれ得る。従来の溶媒には、水、メタノール、エタノール、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等が含まれる。本明細書に記載の化合物は、例えば、結晶形態で調製され得、溶媒和され得る。好適な溶媒和物には、薬学的に許容可能な溶媒和物が含まれ、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方がさらに含まれる。
【0066】
用語「水和物」は、水に関連付けられた化合物を指す。典型的には、化合物の水和物に含有される水分子の数は、水和物における化合物分子の数に対する限定された比内にある。そのため、化合物の水和物は、例えば、一般式R・xHO(式中、Rは、化合物であり、xは、0を超える数である)によって表され得る。
【0067】
本明細書で使用する場合、用語「互変異性体」とは、互換性のある形態の化合物構造であり、水素原子及び電子の置き換えに変化がある化合物を意味する。したがって、2つの構造は、π電子と原子(通常、H)の移動の間も平衡であり得る。例えば、エノール及びケトンは、酸または塩基のいずれかで処理することによって迅速に相互変換されるので、互変異性体である。互変異性形態は、対象となる化合物の最適な化学反応性及び生物学的効果の実現と関連し得る。
【0068】
記号
【化4】

は、本明細書で使用される場合、多糖ポリマー(例えば、アルギネート等のヒドロゲル形成ポリマー)または移植可能要素(例えば、デバイスまたは材料)等の実体への接続を指す。
【化5】

によって表される接続は、ポリマーまたは移植可能要素等の実体への直接的結合を指す場合もあれば、結合基を介する実体への連結を指す場合もある。「結合基」は、本明細書に記載される場合、実体(例えば、本明細書に記載されるポリマーまたは移植可能要素)への式(I)の化合物の連結のための部位を指し、当該技術分野で知られている任意の結合化学を含み得る。例示的な結合基のリストは、Bioconjugate Techniques(3rd ed,Greg T.Hermanson,Waltham,MA:Elsevier,Inc,2013)で概説されている。いくつかの実施形態では、結合基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)-、-OC(O)-、-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)N(R)-、-NCN-、-C(=N(R)(R))O-、-S-、-S(O)-、-OS(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-P(R-、-Si(OR-、-Si(R)(OR)-、-B(OR)-、または金属を含み、R、R、R、R、R、x及びyの各々は、独立して、本明細書に記載されるとおりである。いくつかの実施形態では、結合基は、アミン、ケトン、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはチオールを含む。いくつかの実施形態では、結合基は、架橋剤である。いくつかの実施形態では、結合基は、-C(O)(C-C-アルキレン)-であり、アルキレンは、Rで置換されており、Rは、本明細書に記載されるとおりである。いくつかの実施形態では、結合基は、-C(O)(C-C-アルキレン)-であり、アルキレンは、1~2個のアルキル基(例えば、1~2個のメチル基)で置換されている。いくつかの実施形態では、結合基は、-C(O)C(CH-である。いくつかの実施形態では、結合基は、-C(O)(メチレン)-であり、アルキレンは、1~2個のアルキル基(例えば、1~2個のメチル基)で置換されている。いくつかの実施形態では、結合基は、-C(O)CH(CH)-である。いくつかの実施形態では、結合基は、-C(O)C(CH)-である。
【0069】
修飾糖モノマー
本発明は、糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、糖モノマーが、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む、多糖ポリマーを特徴とする。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル修飾剤は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミン、アミド、ハロアルキル、ハロアルコキシ、エステル、エーテル、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル部位を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル修飾剤は、アミンを含む。
【0070】
糖モノマーは、任意の糖モノマー、例えば、天然に存在する糖モノマーまたは天然に存在しない糖モノマーであり得る。糖モノマーは、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のヒドロキシル部位を含み得る。一実施形態では、糖モノマーは、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、またはオクトースである。一実施形態では、糖モノマーは、追加の官能基、例えばカルボン酸またはアミンをさらに含む。一実施形態では、糖モノマーは、複数の追加の官能基をさらに含む。一実施形態では、糖モノマーは、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトロース、タロース、イドース、グロース、フルクトース、リボース、アラビノース、リキソース、キシロース、ラムノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、及びグルロン酸から選択される。一実施形態では、糖モノマーは、マンヌロン酸またはグルロン酸である。
【0071】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I):
【化6】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、Xは、O、NR、またはSであり;Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;各R5a及びR5bは、独立して、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Rは、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;R7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;Rは、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;R、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;または、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;Rは、ペプチドまたは非線維性化合物であり;各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである。
【0072】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-a):
【化7】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、Xは、O、NR、またはSであり;Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Rは、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;R7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;Rは、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;R、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;または、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;Rは、ペプチドまたは非線維性化合物であり;各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである。
【0073】
一実施形態では、XはOである。一実施形態では、RはORである。一実施形態では、Rは、C(O)ORまたはC(O)N(R)(R)である。一実施形態では、Rは、C(O)ORである。一実施形態では、Rは水素である。一実施形態では、Rは、C(O)N(R)(R)である。一実施形態では、R及びRは、それぞれ独立して、水素、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)、またはペプチドである。一実施形態では、R及びRの一方は水素であり、R及びRの他方は独立して非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)またはペプチドである。
【0074】
一実施形態では、Rは、C1-6アルキレン-S(O)-RまたはC1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rである。一実施形態では、Rは、C1-6アルキレン-S(O)-RまたはC1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rである。一実施形態では、Rは水素であり、Rは、C1-6アルキレン-S(O)-RまたはC1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rである。一実施形態では、Rは、C1-6アルキレン-S(O)-RまたはC1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、Rは水素である。
【0075】
いくつかの実施形態では、RはOである。いくつかの実施形態では、Rは、C(O)ORまたはC(O)N(R)(R)である。いくつかの実施形態では、RはC(O)N(R)(R)であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)、またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である。いくつかの実施形態では、R及びRの一方は独立して水素であり、R及びRの他方は独立して非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である。いくつかの実施形態では、Rは、非線維性化合物(例えば、表2に示される化合物)である。
【0076】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-b):
【化8】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりである。
【0077】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-c):
【化9】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R3a、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である。
【0078】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-d):
【化10】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びR、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりである。
【0079】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-e):
【化11】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R3a、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である。一実施形態では、Rは、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)である。一実施形態では、nは2である。一実施形態では、mは1である。
【0080】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-f):
【化12】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0081】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-g):
【化13】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R12、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0082】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-h):
【化14】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12及びR13は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0083】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-i):
【化15】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12及びR13は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0084】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-j):
【化16】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12及びR13は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0085】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-k):
【化17】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12及びR13は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0086】
一実施形態では、Pは、ヘテロアリール(例えば、トリアゾリル)である。一実施形態では、P
【化18】

であり、R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロである。
【0087】
一実施形態では、Pは、1つ以上のR12によって置換されたトリアゾリルである。一実施形態では、R12は、重水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、-N(RC1)(RD1)、-N(RC1)C(O)RB1、-C(O)N(RC1)、-S(O)E1、-N(RC1)S(O)E1、-S(O)N(RC1)(RD1)、-P(RF1、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールである。一実施形態では、R12は、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、またはアジドである。一実施形態では、R12は、クロロである。一実施形態では、P
【化19】

であり、R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロである。一実施形態では、P
【化20】

である。
【0088】
一実施形態では、Lは、非存在、またはC1-6アルキレン(例えば、-CH-)である。一実施形態では、Zは、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである。一実施形態では、Zは、ヘテロシクリルである。一実施形態では、Z
【化21】

である。
【0089】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-l):
【化22】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R3a、R、R、及びそれらの副次可変要素は、本明細書で定義されるとおりであり;R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;n及びmの各々は1、2、3、4、または5である。
【0090】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-m):
【化23】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R3a、R、R、R、及びそれらの副次可変要素は、本明細書で定義されるとおりであり;R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;n及びmの各々は1、2、3、4、または5である。
【0091】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-n):
【化24】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0092】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-o):
【化25】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0093】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-p):
【化26】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R12、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Mは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0094】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-q):
【化27】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、R12、及びそれらの副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;Pは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;Lは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Zは、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0095】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-r):
【化28】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R3a、R、R、及びそれらの副次可変要素は、本明細書で定義されるとおりであり;R13a、R13b、R14a、及びR14bは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;n及びmの各々は1、2、3、4、または5である。
【0096】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-s):
【化29】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R及びその副次可変要素は、本明細書で定義されるとおりであり;P及びPは、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;L及びL2は、それぞれ独立して、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Z及びZは、それぞれ独立して、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12、R12a、R12b、R13a、R13b、R14a及びR14bは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0097】
一実施形態では、糖モノマーは、式(I-t):
【化30】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R及びその副次可変要素の各々は、本明細書で定義されるとおりであり;M及びMは、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;L及びLは、それぞれ独立して、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;Z及びZは、それぞれ独立して、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;R12、R12a、R12b、R13a、R13b、R14a及びR14bは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;nは、1、2、3、4、または5であり;R7a及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0098】
一実施形態では、糖部位は、表1の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】
【0099】
一実施形態では、糖部位は化合物100~109から選択される。一実施形態では、糖部位は化合物100である。一実施形態では、糖部位は化合物101である。一実施形態では、糖部位は化合物102である。一実施形態では、糖部位は化合物103である。一実施形態では、糖部位は化合物104である。一実施形態では、糖部位は化合物105である。一実施形態では、糖部位は化合物106である。一実施形態では、糖部位は化合物107である。一実施形態では、糖部位は化合物108である。一実施形態では、糖部位は化合物109である。一実施形態では、糖部位は化合物110である。一実施形態では、糖部位は化合物111である。一実施形態では、糖部位は化合物112である。一実施形態では、糖部位は化合物113である。一実施形態では、糖部位は化合物114である。一実施形態では、糖部位は化合物115である。一実施形態では、糖部位は化合物116である。一実施形態では、糖部位は化合物117である。一実施形態では、糖部位は化合物118である。一実施形態では、糖部位は化合物119である。一実施形態では、糖部位は化合物120である。一実施形態では、糖部位は化合物121である。
【0100】
一実施形態では、糖部位は、例えば糖部位上の別の官能基に共有結合した非線維性化合物をさらに含む。一実施形態では、非線維性化合物は、表2に示される化合物から選択される。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5】

【表2-6】

【表2-7】
【0101】
一実施形態では、非線維性化合物は、化合物200~254またはそれらの塩から選択される。一実施形態では、非線維性化合物は化合物200である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物201である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物202である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物203である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物204である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物205である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物206である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物207である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物208である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物209である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物210である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物211である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物212である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物213である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物214である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物215である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物216である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物200である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物217である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物218である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物219である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物220である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物221である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物222である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物223である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物224である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物225である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物226である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物227である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物228である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物229である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物230である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物231である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物232である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物233である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物234である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物235である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物236である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物237である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物238である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物239である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物240である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物241である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物242である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物243である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物244である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物245である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物246である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物247である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物248である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物249である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物250である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物251である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物252である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物253である。一実施形態では、非線維性化合物は化合物254である。
【0102】
一実施形態では、糖部位は、例えば糖部位(例えば式(I)の糖部位)上の別の官能基に共有結合したペプチドをさらに含む。一実施形態では、ペプチドは、細胞結合ペプチドである。「細胞結合ペプチド(CBP)」は、本明細書で使用される場合、細胞接着分子(CAM)(例えば、細胞-マトリックス接続または細胞-細胞接続を媒介する)のリガンドの細胞結合ドメインに由来するアミノ酸配列を含む線状または環状ペプチドを意味する。CBPは、50、40、30、25、20、15、または10アミノ酸未満の長さである。一実施形態では、CBPは、3~12アミノ酸の長さ、4~10アミノ酸の長さ、または3、4、5、6、7、8、9もしくは10アミノ酸の長さである。CBPアミノ酸配列は、天然に存在する結合ドメイン配列と同一でもよく、またはその保存的に置換されたバリアントでもよい。一実施形態では、CAMリガンドは、哺乳動物タンパク質である。一実施形態では、CAMリガンドは、以下の表1に列挙されるタンパク質の群から選択されるヒトタンパク質である。一実施形態では、CBPは、以下の表1に列挙される細胞結合配列またはその保存的に置換されたバリアントを含む。一実施形態では、CBPは、以下の表3に列挙される細胞結合配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、CBPは、以下の表3に列挙される細胞結合配列から本質的になる。一実施形態では、CBPはRGDペプチドであり、これは、ペプチドがアミノ酸配列RGD(配列番号20)を含み、N末端及びC末端の一方または両方に位置する1つ以上の追加のアミノ酸を任意に含むことを意味する。一実施形態では、ペプチドは表3に示されるペプチドである。この表には、例示的な細胞結合タンパク質が、関連する細胞結合配列とともに記載されている。
【表3】
【0103】
一実施形態では、ペプチドは配列番号1を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号2を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号3を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号4を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号5を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号6を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号7を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号8を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号9を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号10を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号11を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号12を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号13を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号14を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号15を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号16を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号17を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号18を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号19を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号20を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号21を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号22を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号23を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号24を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号25を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号26を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号27を含む。一実施形態では、ペプチドは配列番号28を含む。一実施形態では、ペプチドは、全体として参照することにより本明細書に組み込まれるWO2020069429A1にて開示されたペプチドである。
【0104】
修飾ポリマー
本明細書に記載の多糖ポリマーは、ヒドロキシル修飾剤で修飾された糖部位を含む。一実施形態では、多糖ポリマーは、直鎖状、分岐状、もしくは架橋状の多糖ポリマー、または選択された分子量範囲、重合度、粘度、もしくはメルトフローレートの多糖ポリマーであり得る。分岐状多糖ポリマーには、以下のタイプ:星型ポリマー、櫛型ポリマー、ブラシ型ポリマー、デンドリマー化ポリマー、グラフトコ(ポリマー)、はしご型、及びデンドリマーのうちの1つ以上が含まれ得る。多糖ポリマーは、熱応答性ポリマー、例えば、ゲル(例えば、熱または所定の温度への曝露により固体または液体になる)または光架橋性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは、単一のタイプの繰り返しモノマー単位から構成される。他の実施形態では、多糖ポリマーは、異なるタイプの繰り返しモノマー単位(例えば、2タイプの繰り返しモノマー単位、3タイプの繰り返しモノマー単位、例えばポリマーブレンド)から構成される。
【0105】
一実施形態では、多糖ポリマーは、セルロース、例えばカルボキシメチルセルロースである。一実施形態では、多糖ポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコシドまたはポリカプロラクトンである。一実施形態では、多糖ポリマーは、ヒアルロネート、例えばヒアルロン酸ナトリウムである。一実施形態では、ポリマーは、コラーゲン、エラスチン、またはゼラチンである。
【0106】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは、ヒドロゲル形成ポリマーである。ヒドロゲル形成ポリマーは親水性構造を含み、そのため三次元ネットワーク内に大量の水を保持することが可能である。ヒドロゲル形成ポリマーは、ホモポリマーヒドロゲル、コポリマーヒドロゲル、またはマルチポリマー相互浸透ポリマーヒドロゲルを形成するポリマーを含み得、例えばAhmed(2015)J Adv Res 6:105-121に記載されているように、本質的に非晶質性、半結晶性、または結晶性であり得る。例示的なヒドロゲル形成ポリマーとしては、タンパク質(コラーゲン等)、ゼラチン、多糖(デンプン、アルギネート、ヒアルロネート、アガロース等)、及び合成多糖が挙げられる。
【0107】
例示的な多糖としては、アルギネート、寒天、アガロース、カラギーナン、ヒアルロネート、アミロペクチン、グリコーゲン、ゼラチン、セルロース、アミロース、キチン、キトサン、またはそれらの誘導体もしくはバリアント(例えば、Laurienzo(2010),Mar Drugs 9:2435-65に記載されているもの)が挙げられる。多糖ポリマーは、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン、デキストラン、またはカルボキシメチルセルロースを含み得る。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは架橋ポリマーである。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは細胞表面多糖である。
【0108】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーはアルギネートである。アルギネートは、β-D-マンヌロン酸(M)及びα-L-グルロン酸(G)から構成される多糖である。いくつかの実施形態では、アルギネートは、高グルロン酸(G)アルギネートであり、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはそれを超えるグルロン酸(G)を含む。いくつかの実施形態では、アルギネートは、高マンヌロン酸(M)アルギネートであり、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはそれを超えるマンヌロン酸(M)を含む。いくつかの実施形態では、M:Gの比は、約1である。いくつかの実施形態では、M:Gの比は、1未満である。いくつかの実施形態では、M:Gの比は、1を超える。いくつかの実施形態では、アルギネートは、<75kDaのおおよその分子量を有し、任意にG:M比≧1.5を有する。いくつかの実施形態では、アルギネートは、75kDa~150kDaのおおよその分子量を有し、任意にG:M比≧1.5を有する。いくつかの実施形態では、アルギネートは、150~250kDaのおおよその分子量を有し、任意にG:M比≧1.5を有する。
【0109】
式(I)の構造を有する糖部位またはその薬学的に許容可能な塩を含む多糖ポリマー(例えば、本明細書に記載のポリマーのいずれか、例えば、本明細書に記載のアルギネートのいずれか)は、1つ以上のモノマー単位において修飾されていてもよい。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーの糖モノマーの少なくとも0.5パーセントが式(I)の構造を有する(例えば、糖モノマーの少なくとも1、2.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99パーセント、またはそれ以上が式(I)の構造を有する)。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーの糖モノマーの0.5~50%、10~90%、10~50%、または25~75%が式(I)の構造を有する。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーの糖モノマーの1~20%が式(I)の構造を有する。いくつかの実施形態では、多糖ポリマーの糖モノマーの1~10%が式(I)の構造を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは(式Iの構造を有する糖モノマーを含む場合)、重量基準で少なくとも0.1、0.2、0.5、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I)の化合物の量に対応する。
【0111】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは(式((I)の構造を有する糖モノマーを含む場合)、重量基準で0.1~10%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I)の化合物の量に対応する。
【0112】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは(式(I)の構造を有する糖モノマーを含む場合)、重量基準で0.1~2%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I)の化合物の量に対応する。
【0113】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは(式(I)の構造を有する糖モノマーを含む場合)、重量基準で2~4%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I)の化合物の量に対応する。
【0114】
いくつかの実施形態では、多糖ポリマーは(式(I)の構造を有する糖モノマーを含む場合)、重量基準で4~8%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I)の化合物の量に対応する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多糖ポリマー(例えば、アルギネート)はいずれも、式(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)の1つ以上を有する糖モノマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー(例えば、アルギネート)は、表2に示される化合物で修飾される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物で修飾されたポリマー(例えば、アルギネート)は、WO2012/112982、WO2012/167223、WO2014/153126、WO2016/187225、WO2016/019391、WO2017/075630、WO2017/075631、WO2018/067615、WO2019/169333、及びUS2016-0030359のいずれか1つに記載の修飾ポリマーではない。
【0116】
移植可能要素
本開示はまた、本明細書に記載の式(I)の多糖ポリマーまたはその薬学的に許容可能な塩を含む移植可能要素(例えば、デバイスまたは材料)を特徴とする。移植可能要素の表面は、例えば表2に示されるような非線維性化合物で修飾された材料をさらに含み得る。一実施形態では、式(I)の多糖ポリマーは、移植可能要素の表面(例えば、外部表面または内部表面)上に存在する。式(I)の多糖ポリマーを含む移植可能要素は、基準となる移植可能要素(例えば、式(I)の多糖ポリマーを欠くこと以外は同一の移植可能要素)と比較して、改善された特性を有し得る。一実施形態では、改善された特性は、対象に投与されたときの移植可能要素に対する異物反応の低減(例えば、PFOの量の減少及び/または発生の遅延)である。
【0117】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、操作された細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、移植可能要素とともに全体的または部分的に配置される。移植可能要素は、細胞を部分的または全体的に封入またはコーティングする封じ込め要素を含み得る。一実施形態では、移植可能要素は封じ込め成分を含み、封じ込め成分は、細胞、例えば複数の細胞、例えば細胞クラスター上に原位置で、もしくはその周囲に、またはマイクロキャリア、例えばビーズ、または細胞もしくは細胞群を含むマトリックス上に形成されるか、または形成され得る。
【0118】
移植可能要素は、本明細書に記載のポリマーまたは他の材料等、任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、1つの材料または多くのタイプの材料から構成される。移植可能要素は、非有機または金属の成分または材料、例えば鋼(例えばステンレス鋼)、チタン、他の金属または合金を含むことができる。移植可能要素は、セラミックまたはハイドロキシアパタイト要素等の非金属の成分または材料を含むことができる。
【0119】
移植可能要素は、伝導性材料(金、白金、パラジウム、チタン、銅、アルミニウム、銀、金属、これらの任意の組み合わせ等)で作られた成分または材料を含むことができる。
【0120】
移植可能要素は、複数の成分、例えば、本明細書で開示される複数の成分、例えば、金属、プラスチック、セラミック、複合材料、またはハイブリッド材料のうちの複数を含むことができる。
【0121】
例示的な移植可能要素は、金属、金属合金、セラミック、ポリマー、繊維、不活性材料、及びそれらの組み合わせ等の材料を含む。移植可能要素は、完全に1タイプの材料で構成される場合もあれば、表面または移植可能要素の表面(例えば、外表面または内表面)のみに関する場合もある。
【0122】
いくつかの実施形態では、移植可能要素(例えば、デバイスまたは材料)は金属または金属合金を含む。例示的な金属または金属合金は、チタン及びチタン族合金(例えば、ニチノール、ニッケルチタン合金、熱記憶合金材料)、白金、白金族合金、ステンレス鋼、タンタル、パラジウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ニッケルクロム、クロムモリブデン合金、または所定のコバルト合金(例えば、コバルトクロム及びコバルトクロムニッケル合金)を含む。例えば、金属材料はステンレス鋼グレード316(SS 316L)(Fe、<0.3%のC、16~18.5%のCr、10~14%のNi、2~3%のMo、<2%のMn、<1%のSi、<0.45%のP、及び<0.03%のSから構成されたもの)であり得る。金属含有移植可能要素において、金属の量(例えば、重量%、実重量)は、少なくとも5パーセント、例えば、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99パーセント、またはそれ以上、例えばw/w、20パーセント未満、例えば、20、15、10、5、1、0.5、0.1パーセント未満または以下であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、移植可能要素(例えば、デバイスまたは材料)はセラミックである。例示的なセラミック材料としては、チタン酸化物、ハフニウム酸化物、イリジウム酸化物、クロム酸化物、アルミニウム酸化物、及びジルコニウム酸化物等の遷移元素の酸化物、炭化物、または窒化物が挙げられる。シリカ等のケイ素ベースの材料を使用することもできる。セラミック含有移植可能要素において、セラミックの量(例えば、重量%、実重量)は、少なくとも5パーセント、例えば、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99パーセント、またはそれ以上、例えばw/w、20パーセント未満、例えば、20、15、10、5、1、0.5、0.1パーセント未満または以下であり得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、移植可能要素はポリマー(例えば、ヒドロゲル、プラスチック)成分を含む。例示的なポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル(例えば、PLA、PLG、またはPGA、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、または他の生体吸収性プラスチック)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(例えば、アクリルまたはPMMA)、ヒドロゲル(例えば、アクリルポリマーまたはアクリルポリマーとシリコーンポリマーとのブレンド)、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性エラストマー(TPEまたはTPU)、熱硬化性エラストマー(例えば、シリコーン(例えば、シリコーンエラストマー))、ポリ-p-キシリレン(パリレン)、フルオロポリマー(例えば、PTFE)、ならびにポリ(アクリル酸)及び/またはポリ(アクリルアミド)等のポリアクリル、またはそれらの混合物が含まれる。ポリマー含有移植可能要素において、ポリマーの量(例えば、重量%、実重量)は、少なくとも5パーセント、例えば、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99パーセント、またはそれ以上、例えばw/w、20パーセント未満、例えば、20、15、10、5、1、0.5、0.1パーセント未満または以下であり得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、移植可能要素(例えば、デバイスまたは材料)はポリマーを含み、ポリマーは、(i)式(I)の化合物で修飾され、(ii)移植可能要素(例えば、移植可能要素の表面)の成分と共有結合的または非共有結合的に関連付けられている。いくつかの実施形態では、ポリマーは、移植可能要素の成分と(例えば、移植可能要素の内表面または外表面上で)共有結合的に関連付けられている。いくつかの実施形態では、ポリマーは、移植可能要素の成分と(例えば、移植可能要素の内表面または外表面上で)非共有結合的に関連付けられている。ポリマーは、噴霧、湿潤、浸漬、ディッピング、例えばディップコーティング(例えば、術中ディップコーティング)、塗装、または別法で疎水性ポリマーを移植可能要素の表面に適用することを含むがこれらに限定されない、当該技術分野における様々な技術によって移植可能要素に適用され得る。
【0126】
一実施形態では、移植可能要素は、例えばアルギネート(例えば、本明細書に記載の化学的に修飾されたアルギネートのいずれか)、PLA、PLG、PEG、CMC、またはそれらの混合物等の柔軟なポリマーを含む(本明細書では「ポリマー封入移植可能デバイス」と呼ぶ)。
【0127】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、ヒドロゲル形成ポリマーを含む。ヒドロゲル形成ポリマーは親水性構造を含み、そのため三次元ネットワーク内に大量の水を保持することが可能である。ヒドロゲル形成ポリマーは、ホモポリマーヒドロゲル、コポリマーヒドロゲル、またはマルチポリマー相互浸透ポリマーヒドロゲルを形成するポリマーを含み得、例えばAhmed(2015)J Adv Res 6:105-121に記載されているように、本質的に非晶質性、半結晶性、または結晶性であり得る。例示的なヒドロゲル形成ポリマーとしては、タンパク質(コラーゲン等)、ゼラチン、多糖(デンプン、アルギネート、ヒアルロネート、アガロース等)、及び合成ポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル形成ポリマーは、多糖(例えば、アルギネート)である。
【0128】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、多糖を含む。例示的な多糖としては、アルギネート、寒天、アガロース、カラギーナン、ヒアルロネート、アミロペクチン、グリコーゲン、ゼラチン、セルロース、アミロース、キチン、キトサン、またはそれらの誘導体もしくはバリアント(例えば、Laurienzo(2010),Mar Drugs 9:2435-65に記載されているもの)が挙げられる。移植可能要素は、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン、デキストラン、またはカルボキシメチルセルロースを含む多糖を含み得る。いくつかの実施形態では、多糖は架橋ポリマーである。いくつかの実施形態では、多糖は細胞表面多糖である。
【0129】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、アルギネートを含む。いくつかの実施形態では、アルギネート中のM:Gの比は、約1である。いくつかの実施形態では、アルギネート中のM:Gの比は、1未満である。いくつかの実施形態では、アルギネート中のM:Gの比は、1を超える。いくつかの実施形態では、アルギネートは、本明細書に記載の修飾アルギネートのいずれかである。
【0130】
一実施形態では、移植可能要素は、細胞、例えば複数の細胞、例えば細胞クラスター上に原位置で、もしくはその周囲に、またはマイクロキャリア、例えばビーズ、または細胞もしくは細胞群を含むマトリックス上に形成されるか、または形成され得る。
【0131】
一実施形態では、移植可能要素は、封じ込められた細胞、例えば複数の細胞、例えば細胞クラスターと組み合わせる前に、またはマイクロキャリア、例えばビーズ、または細胞もしくは細胞群を含むマトリックス上で予め形成される。移植可能要素は、抗体、タンパク質、酵素、または成長因子等のタンパク質またはポリペプチドを含むことができる。移植可能要素は、グルコースオキシダーゼ(例えばグルコースセンサ用)、キナーゼ、ホスファターゼ、オキシゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ、またはレダクターゼ等のタンパク質またはポリペプチドの活性または不活性断片を含むことができる。
【0132】
本明細書に含まれる移植可能要素には、1つ、2つ、またはそれ以上の開口部を有するルーメン等のルーメンを設けて構成された移植可能要素、例えば管状デバイス、例えばカテーテルが含まれる。典型的なステントは、ルーメンを設けて構成され、2つの開口部を有するデバイスの一例である。他の例にはシャントが含まれる。
【0133】
本明細書に含まれる移植可能要素には、例えば、身体の形状に適合するように構成された柔軟な移植可能要素が含まれる。
【0134】
本明細書に含まれる移植可能要素には、移植可能要素の位置を安定させる構成要素、例えば接着材、または留め具、例えばトルクベースまたは摩擦ベースの留め具、例えばネジまたはピンが含まれる。
【0135】
本明細書に含まれる移植可能要素は、例えば治療剤もしくは毒素等の外因性物質、または例えばインスリンもしくはグルコース等のポリペプチド等の内因性体内生成物等の物質をモニタリングするように構成され得る。いくつかの実施形態では、移植可能要素は診断手段である。
【0136】
本明細書に含まれる移植可能要素は、例えば本明細書に記載される治療剤等の外因性物質等の物質を放出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、治療剤は生物学的材料である。いくつかの実施形態では、治療剤は核酸(例えば、RNAまたはDNA)、タンパク質(例えば、ホルモン、酵素、抗体、抗体断片、抗原、またはエピトープ)、小分子、脂質、薬物、ワクチン、またはそれらの任意の誘導体である。
【0137】
本明細書での移植可能要素は、例えば人工関節、例えば膝、股関節、または他の人工関節のように、身体のシグナルまたは動きに応じてコンフォメーションが変化するように構成され得る。
【0138】
例示的な移植可能要素には、ステント、シャント、ドレッシング、眼科用デバイス、ポート、センサ、整形外科用固定デバイス、インプラント(例えば、歯科用インプラント、眼科用インプラント、シリコンインプラント、角膜インプラント、真皮インプラント、胃内インプラント、顔面インプラント、股関節インプラント、骨インプラント、蝸牛インプラント、陰茎インプラント、失禁制御用インプラント)、皮膚被覆デバイス、透析媒体、薬物送達デバイス、人工のまたは操作された臓器(例えば、脾臓、腎臓、肝臓、または心臓)、ドレナージデバイス(例えば、膀胱ドレナージデバイス)、細胞選択システム、接着材(例えば、セメント、クランプ、クリップ)、避妊デバイス、子宮内デバイス、除細動器、線量計、電極、ポンプ(例えば、輸液ポンプ)、フィルター、塞栓術用デバイス、留め具、充填剤、固定剤、グラフト、補聴器、心臓または心臓関連のデバイス(例えば、ペースメーカー、心臓弁)、電池または電源、止血剤、失禁デバイス、椎間体融合デバイス、口腔内デバイス、レンズ、メッシュ、針、神経系刺激剤、パッチ、腹膜アクセスデバイス、プレート、プラグ、圧力モニタリングデバイス、リング、トランスポンダー、及びバルブが含まれる。また、麻酔学、心臓学、臨床化学、耳鼻咽喉学、歯科学、消化器学、泌尿器学、血液学、免疫学、微生物学、神経学、産科学/婦人科学、眼科学、整形外科、病理学、物理療法、放射線学、一般外科または形成外科、獣医学、精神医学、外科、及び/または臨床毒物学のうちの1つ以上において使用されるデバイスも含まれる。
【0139】
本明細書に含まれる移植可能要素には、FDAクラス1、2、または3のデバイス、例えば人道的使用デバイス(HUD)として未分類もしくは非分類、または分類済みのデバイスが含まれる。
【0140】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、封入または捕捉された細胞または組織を含む。細胞または組織は、ポリマーに封入または捕捉され得る。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、ポリマー封じ込め成分(例えばアルギネート)内に配置された細胞等の細胞を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、例えば神経系(例えば、末梢神経系(PNS)または中枢神経系(CNS))、血管系、骨格系、呼吸器系、内分泌系、リンパ系、生殖器系、または胃腸管等の身体の所定の系を標的にするか、または当該所定の系のために設計される。いくつかの実施形態では、移植可能要素はCNSを標的とする。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、血液、眼、脳、皮膚、肺、胃、口、耳、脚、足、手、肝臓、心臓、腎臓、骨、膵臓、脾臓、大腸、小腸、脊髄、筋肉、卵巣、子宮、膣、または陰茎等の身体の所定の部分を標的とするか、または当該所定の部分のために設計される。
【0142】
移植可能要素に使用される成分または材料(または移植可能要素全体)は、次のうちの1つ以上について最適化され得る:生体適合性(例えば、免疫拒絶反応または線維症を最小限に抑える);熱耐性;弾性;引張強度;化学的耐性(例えば、デバイスの生産、使用、清掃、滅菌及び消毒に用いられる油、グリース、消毒薬、漂白剤、加工助剤、または他の化学物質への耐性);電気特性;表面及び体積の伝導率または抵抗率、誘電体強度;比較トラッキング指数;機械特性;貯蔵寿命、長期耐久性滅菌能力(例えば、デバイスの使用目的に関する特性を維持しながら、例えば、蒸気、乾熱、エチレンオキシド(EtO)、電子ビーム、及び/またはガンマ放射等の滅菌プロセスに耐える能力)、例えば、オートクレーブ/蒸気条件に対する熱耐性、蒸気滅菌の際の加水分解安定性、EtOに対する化学的耐性、高エネルギー放射(例えば、電子ビーム、UV、及びガンマ)に対する耐性;または結晶構造。
【0143】
移植可能要素は、in vivoで構築することもでき(例えば、in vivoで、例えば体温で構造化された形状を形成する注射可能な物質)、ex vivoで構築することもできる。
【0144】
移植可能要素は、ナノ寸法を有することができ、例えば、PLA等の本明細書に記載のポリマーから作製されたナノ粒子等のナノ粒子を含むことができる。ナノ粒子は、例えば、マクロファージ及びKupfer細胞による取り込み(例えば、オプソニン化と呼ばれるプロセス)を防ぐように修飾された、またはナノ粒子の循環半減期を改変するように修飾された、化学的に修飾されたナノ粒子であり得る。ナノ粒子は、鉄ナノ粒子(注射可能)(例えば、Advanced Magneticsの鉄ナノ粒子)を含むことができる。例示的なナノ粒子は、Veiseh et al(2010)Adv Drug Deliv Rev 62:284-304に記載されている。
【0145】
移植可能要素は、対象の任意の身体部位への移植、投与のために構成され得るか、または当該身体部位に投与されるか、移植されるか、もしくは別様にその中もしくは上に配置され、当該身体部位は、皮膚、粘膜表面、体腔、腹腔内(IP)空間、中枢神経系(CNS)(例えば脳または脊髄)、末梢神経系、臓器(例えば心臓、肝臓、腎臓、膀胱、膵臓、前立腺、脾臓、肺)、リンパ系、血管系、口腔、鼻腔、歯、歯茎、胃腸管、骨、股関節、脂肪組織(例えば皮下脂肪)、筋肉組織、乳房組織、循環血液、眼、乳房、膣、子宮、関節(例えば膝、股関節、または脊椎)、神経に隣接したもの、及び前述のもののいずれかの上、中、または近くに位置する悪性または非悪性の腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0146】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、腹腔、網、網嚢等のIP空間への移植、投与のために構成されるか、または当該IP空間内に移植もしくは配置される。網嚢(lesser sac)は、網嚢(omental bursa)としても知られ、網によって形成された腹部に位置する腔を指し、例えば、大網、小網、胃、小腸、大腸、肝臓、脾臓、胃脾間膜、副腎、及び膵臓に近接している。典型的には、網嚢は、大網孔(すなわち、ウインスロー孔)を介して大嚢に接続されている。移植可能要素は、注射もしくはカテーテルを介して、IP空間、腹腔(例えば、網、例えば、網嚢)内に移植もしくは投与されるか、または腹腔(例えば、網、例えば、網嚢)内の表面上に配置され得る。移植可能要素の網(例えば、網嚢)への移植、投与または配置のための追加の考慮事項は、M.Pellicciaro et al.(2017)CellR4 5(3):e2410で提供されている。
【0147】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、CNS(例えば、脳または脊髄)ならびにそれらの対応する組織及び腔(例えば、頭蓋腔及び脊柱管を含む背側体腔)への移植、投与のために構成されるか、またはそれらの中に移植されるか、投与されるか、もしくは別様に配置される。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、脳内空間(例えば、実質内空間、脳室内空間、または硬膜下空間)への移植、投与のために構成されるか、または脳内空間に移植されるか、投与されるか、もしくは別様に配置される。移植可能要素は、頭蓋骨に開けた穴を通してCNS内に移植されるか、またはCNS内の表面に配置され、注射またはカテーテルによって送達され得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、例えば、網膜、角膜、上皮、房水、または硝子体空間等の眼内の任意の表面または腔のうちの1つ以上における、眼内への移植、投与のために構成されるか、または眼に移植されるか、投与されるか、もしくは別様に配置される。移植可能要素は、切開及び/または注射によって眼内に移植されるか、または眼内の表面に配置され得る。
【0149】
移植可能要素は、電気化学センサ、例えば、作用電極及び基準電極を含む電気化学センサを含むことができる。例えば、電気化学センサは、作用電極及び基準電極を含み、基準電極は、分析物と反応して、眼に装着可能なデバイスが曝露される流体中の分析物の濃度に関連するセンサ測定値を生成する。移植可能要素は、例えば、凹面及び凸面を有する透明ポリマー材料の窓、例えば、透明ポリマー材料に少なくとも部分的に埋め込まれた基板を含むことができる。移植可能要素は、アンテナと、電気化学センサ及びアンテナに電気的に接続されたコントローラとを1つ以上含む電子モジュールを含むこともでき、このコントローラは、電気化学センサをコントロールして、移植可能要素(例えば、装着可能な移植可能要素)が曝露される流体中の分析物の濃度に関連するセンサ測定値を得て、アンテナを使用してセンサ測定値を示すように構成される。
【0150】
移植可能要素は、球体、楕円体、楕円形、円盤、円筒、トーラス、立方体、スタジアム状、円錐、ピラミッド状、三角形、長方形、正方形、もしくは棒状等の任意の好適な形状をとることができ、または曲がった部分もしくは平坦な部分を含むことができる。任意の形状の、曲がった、または平坦な移植可能要素が、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩でコーティングされてもよく、または化学的に誘導体化されてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、1ミリメートル(mm)以下、または0.2mm~1mmの範囲内、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1mmのいずれかの最大線形寸法(LLD)、平均直径またはサイズを有する。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、0.5mm、1mm、または1.5mmを超えるLLD、平均直径またはサイズを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の移植可能要素は、1mm~8mm、1mm~6mm、1mm~5mm、1mm~4mm、1mm~3mm、1mm~2mm、1mm~1.5mm、1.5mm~8mm、1.5mm~6mm、1.5mm~5mm、1.5mm~4mm、1.5mm~3mm、1.5mm~2mm、2mm~8mm、2mm~7mm、2mm~6mm、2mm~5mm、2mm~4mm、2mm~3mm、2.5mm~8mm、2.5mm~7mm、2.5mm~6mm、2.5mm~5mm、2.5mm~4mm、2.5mm~3mm、3mm~8mm、3mm~7mm、3mm~6mm、3mm~5mm、3mm~4mm、3.5mm~8mm、3.5mm~7mm、3.5mm~6mm、3.5mm~5mm、3.5mm~4mm、4mm~8mm、4mm~7mm、4mm~6mm、4mm~5mm、4.5mm~8mm、4.5mm~7mm、4.5mm~6mm、4.5mm~5mm、5mm~8mm、5mm~7mm、5mm~6mm、5.5mm~8mm、5.5mm~7mm、5.5mm~6mm、6mm~8mm、6mm~7mm、6.5mm~8mm、6.5mm~7mm、7mm~8mm、または7.5mm~8mmのサイズ範囲内にある。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、0.5mm~1mmまたは1mm~4mmのLLD、平均直径またはサイズを有する。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、1mm~2mmのLLD、平均直径またはサイズを有する。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、球状形状、及び前述のいずれかの数値範囲内の平均直径を有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、例えば、材料の自由な流れを可能にするために、少なくとも1つの孔または開口部を含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素の平均孔サイズは、約0.1μm~約10μmである。例えば、平均孔サイズは、0.1μm~10μm、0.1μm~5μm、0.1μm~2μm、0.15μm~10μm、0.15μm~5μm、0.15μm~2μm、0.2μm~10μm、0.2μm~5μm、0.25μm~10μm、0.25μm~5μm、0.5μm~10μm、0.75μm~10μm、1μm~10μm、1μm~5μm、1μm~2μm、2μm~10μm、2μm~5μm、または5μm~10μmであり得る。いくつかの実施形態では、移植可能要素の平均孔サイズは、約0.1μm~10μmである。いくつかの実施形態では、移植可能要素の平均孔サイズは、約0.1μm~5μmである。いくつかの実施形態では、移植可能要素の平均孔サイズは、約0.1μm~1μmである。
【0153】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、所定のサイズを超える材料が孔または開口部を通過するのを防ぐことが可能である。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、50kD、75kD、100kD、125kD、150kD、175kD、200kD、250kD、300kD、400kD、500kD、750kD、1,000kDを超える材料の通過を防ぐことが可能である。
【0154】
移植可能要素(例えば、本明細書に記載の移植可能要素)は、対象に移植または投与するための調製物または組成物として提供され得る。いくつかの実施形態では、調製物または組成物中の移植可能要素の少なくとも20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が、本明細書に記載の特性、例えば平均孔サイズを有する。
【0155】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、数分から数年にわたる様々な期間にわたって構成または使用され得る。例えば、移植可能要素は、約1時間から約10年間にわたって構成または使用され得る。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、次の期間のいずれかよりも長い期間:約1~24時間、約1~7日間、約1~4週間、約1~24ヶ月、約2~10年間、またはそれ以上にわたって構成されるか、または使用される。移植可能要素は、予期される移植期間にわたって機能するように構成することができ、例えば、予期される期間の全体または一部にわたってPFOによる不活性化に抵抗するように構成することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、例えば、対象への傷害を引き起こすことなく、または周囲組織の重大な破壊を引き起こすことなく、対象から容易に回収可能である。一実施形態では、例えば、低侵襲性の外科的切開、摘出、または切除によって、周囲組織からの移植可能要素の外科的分離を最小限にして、または外科的分離をなくして、移植可能要素を回収することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、WO2012/112982、WO2012/167223、WO2014/153126、WO2016/187225、WO2016/019391、WO2017/075630、WO2017/075631、WO2018/067615、WO2019/169333、またはUS2016-0030359のいずれかで開示されている移植可能要素ではない。
【0158】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、式(I)の多糖ポリマーと関連付けられる。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、式(I)の多糖ポリマーと、移植可能要素内に全体的または部分的に配置された細胞とを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、操作された細胞)を含む移植可能要素の表面は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で化学的に修飾される。いくつかの実施形態では、表面は、移植可能要素の外表面または内表面を含む。いくつかの実施形態では、細胞(例えば、操作された細胞)を含む移植可能要素の表面(例えば、外表面)は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で化学的に修飾される。いくつかの実施形態では、表面(例えば、外表面)は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)に共有結合している。
【0160】
移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)もしくはその薬学的に許容可能な塩、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)もしくはその薬学的に許容可能な塩を含むポリマーでコーティングされてもよい。一実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)は、移植可能要素の内表面または外表面等の表面上に配置される。いくつかの実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)は、移植可能要素に関連付けられた封じ込め成分の内表面または外表面等の表面上に配置される。一実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)は表面全体に均一に分布している。一実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)は表面全体に不均一に分布している。
【0161】
いくつかの実施形態では、移植可能要素(またはその封じ込め成分等)は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩でコーティングされる(例えば、部分的または全体的に被覆される)。いくつかの実施形態では、移植可能要素(またはその封じ込め成分等)は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)の単層でコーティングされる。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、例えば少なくとも2層、3層、4層、5層、10層、20層、50層またはそれ以上の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)の複数の層でコーティングされる。
【0162】
一実施形態では、移植可能要素の表面の第1の部分は非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)を含み、移植可能要素の第2の部分はその化合物を含まないか、またはその化合物の実質的に低い密度を有する。
【0163】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)を含む材料、またはその薬学的に許容可能な塩で対称的にコーティングされるか、または化学的に誘導体化される。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩で非対称的にコーティングされるか、または化学的に誘導体化される。例えば、例示的な移植可能要素は、式(I)の化合物、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩で部分的にコーティングされ得る(例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または99.9%コーティングされ得る)。
【0164】
非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩でコーティングまたは化学的に誘導体化された例示的な移植可能要素は、自己集合等の当該技術分野で知られている任意の方法(例えば、ブロックコポリマー、吸着(例えば、競合吸着)、相分離、微細加工、またはマスキングによるもの)を使用して調製することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、2つ以上の異なる物理化学的特性(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の異なる物理化学的特性)を示す表面を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩による例示的な移植可能要素の表面のコーティングまたは化学誘導体化は、所定の面積当たりの付着した化合物の平均数として、例えば密度として説明される。例えば、例示的な移植可能要素のコーティングまたは化学誘導体化の密度は、例えば、前記移植可能要素の表面または内部において、平方μmまたは平方mm当たり化合物0.01、0.1、0.5、1、5、10、15、20、50、75、100、200、400、500、750、1,000、2,500、または5,000であり得る。
【0167】
非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)またはその薬学的に許容可能な塩を含む移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)またはその薬学的に許容可能な塩を含まないこと以外は同一の移植可能要素と比較して、低減した免疫反応(例えば、免疫反応マーカー)を有し得る。免疫反応マーカーは、PFO、カテプシンレベル、または免疫反応マーカーのレベル、例えばELISA等により測定されるTNF-α、IL-13、IL-6、G-CSF、GM-CSF、IL-4、CCL2、またはCCL4のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)またはその薬学的に許容可能な塩を含む移植可能要素に対する免疫反応は、少なくとも約1パーセントかつ最大約100パーセント、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99パーセント低減する。いくつかの実施形態では、低減した免疫反応(例えば、免疫反応マーカー)は、約30分後、約1時間後、約6時間後、約12時間後のいずれか、約1日後、約2日後、約3日後または約4日後のいずれか、約1週間後または約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約6ヶ月後のいずれか、あるいはそれ以上後に測定される。いくつかの実施形態では、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)を含む移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)によってコーティングされるか、または非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)を含む層(例えば、ポリマー層)内に封入される。
【0168】
移植可能要素は、滑らかな表面を有していてもよいし、突起、くぼみ、ウェル、スリット、もしくは穴、またはそれらの任意の組み合わせを備えていてもよい。前記突起、くぼみ、ウェル、スリットまたは穴は、任意のサイズ、例えば、10μm~約1nm、約5μm~約1nm、約2.5μm~約1nm、1μm~約1nm、500nm~約1nm、または約100nm~約1nmであり得る。滑らかな表面または突起、くぼみ、ウェル、スリット、もしくは穴、またはそれらの任意の組み合わせは、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたポリマー、またはその薬学的に許容可能な塩でコーティングされてもよく、または化学的に誘導体化されてもよい。
【0169】
一実施形態では、移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)またはその薬学的に許容可能な塩で修飾された、本明細書に記載のポリマーのいずれかを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、例えば定量アミンアッセイを使用して測定した場合に5~50%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)を含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、定量アミンアッセイを使用して測定した場合に、10~50%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、例えば、15~45%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、15~40%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、15~35%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、15~30%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、20~45%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、20~40%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、20~35%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)、または20~30%の非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、移植可能要素は、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)で修飾されたアルギネート(例えば、本明細書に記載のアルギネートのいずれか)を含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、表2に示される化合物で修飾されたアルギネートを含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、化合物200で修飾されたアルギネートを含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、化合物218で修飾されたアルギネートを含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、化合物219で修飾されたアルギネートを含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、化合物224で修飾されたアルギネートを含む。いくつかの実施形態では、移植可能要素は、化合物222で修飾されたアルギネートを含む。
【0172】
細胞及び治療剤
本開示の移植可能要素は、脂肪細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、膵島細胞、間葉系幹細胞、周皮細胞、前述のもののいずれかのサブタイプ、前述のもののいずれかに由来する細胞、誘導多能性幹細胞に由来する細胞、及び前述のもののいずれかの1つ以上の混合物を含むがこれらに限定されない、多種多様な異なる細胞タイプ(例えばヒト細胞)を含むことができる。例示的な細胞タイプには、WO2017/075631及びWO2019/195055に記述される細胞タイプが含まれる。一実施形態では、本明細書に記載の移植可能要素は複数の細胞を含む。一実施形態では、複数の細胞は、本明細書に記載される移植可能要素内に封入される前に、細胞懸濁液の形態である。懸濁液における細胞は、単一細胞(例えば、単層細胞培養からのもの)の形態をとり、または例えば、マイクロキャリア(例えば、ビーズまたはマトリックス)上に配置された別の形態で、または細胞の三次元凝集体(例えば、細胞クラスターまたはスフェロイド)として提供され得る。細胞懸濁液は、複数の細胞クラスター(例えば、スフェロイドとして)またはマイクロキャリアを含み得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、膵島細胞を含まず、グルコースに反応してインスリンを生成することが可能な細胞も含まない。
【0173】
本開示は、本明細書に記載の疾患、障害、または病態の予防または処置のための治療剤を生成する、または生成することが可能な細胞を特徴とする。一実施形態では、細胞は、操作された細胞である。一実施形態では、細胞は、化学的シグナル等の刺激を感知し、その刺激に応じて治療剤を発現するように操作される。治療剤は、核酸(例えば、ヌクレオチド、DNA、またはRNA)、ポリペプチド、脂質、糖(例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖)、または小分子等(これらの各々については以下でさらに詳述する)、任意の生物学的物質であり得る。例示的な治療剤としては、WO2017/075631及びWO2019/195055に収載されている薬剤が挙げられる。
【0174】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、操作された細胞)は核酸を生成する。本明細書に記載の細胞によって生成される核酸は、様々なサイズであり得、1つ以上のヌクレオシドまたはヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、10、25、50個以上のヌクレオシドまたはヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、核酸は、例えば、RNAまたはDNAの短い断片であり、レポーターとして、または診断目的で使用され得る。例示的な核酸には、単一のヌクレオシドまたはヌクレオチド(例えば、アデノシン、チミジン、シチジン、グアノシン、ウリジン一リン酸、イノシン一リン酸)、RNA(例えば、mRNA、siRNA、miRNA、RNAi)、及びDNA(例えば、ベクター、染色体DNA)が含まれる。いくつかの実施形態では、核酸は、約0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、5、10、25、50、100、150、200以上の平均分子量(kD)を有する。
【0175】
いくつかの実施形態では、治療剤は、ホルモン、酵素、サイトカイン(例えば、炎症誘発性サイトカインまたは抗炎症性サイトカイン)、成長因子、凝固因子、またはリポタンパク質等のペプチドまたはポリペプチド(例えば、タンパク質)である。移植可能要素内の細胞によって生成されるペプチドまたはポリペプチド(例えば、タンパク質、例えば、ホルモン、成長因子、凝血因子または凝固因子、抗体分子、酵素、サイトカイン、サイトカイン受容体、またはサイトカインもしくはサイトカイン受容体を含むキメラタンパク質)は、天然に存在するアミノ酸配列を有することができ、または天然に存在する配列のバリアントを含むことができる。バリアントは、天然に存在する参照配列と比べて天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸置換、変異、欠失または付加であり得る。天然に存在するアミノ酸配列は、多型バリアントであり得る。天然に存在するアミノ酸配列は、ヒトまたは非ヒトアミノ酸配列であり得る。いくつかの実施形態では、天然に存在するアミノ酸配列またはその天然に存在するバリアントは、ヒト配列である。さらに、本発明で使用するためのペプチドまたはポリペプチド(例えば、タンパク質)は、例えば化学的または酵素的な修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化)による、何らかの方法で修飾され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、または50個のアミノ酸を有する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、5、10、25、50、100、150、200、250、500以上の平均分子量(kD)を有する。
【0176】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、ホルモンである。例示的なホルモンには、抗利尿ホルモン(ADH)、オキシトシン、成長ホルモン(GH)、プロラクチン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、チロキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、アルドステロン、コルチゾール、エピネフリン、グルカゴン、インスリン、エストロゲン、プロゲステロン、及びテストステロンが含まれる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、インスリン(例えば、インスリンA-鎖、インスリンB-鎖、またはプロインスリン)である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモン、メチオン-ヒト成長ホルモン、デス-フェニルアラニンヒト成長ホルモン、及びブタ成長ホルモンである。いくつかの実施形態では、タンパク質は、インスリン(例えば、インスリンA-鎖、インスリンB-鎖、またはプロインスリン)ではない。
【0177】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、成長因子、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGF)、及びインスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II)である。
【0178】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、凝血因子または凝固因子、例えば、血液凝血因子または血液凝固因子である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、凝固、すなわち血液が液体から固体またはゲルに変換されるプロセスに関与するタンパク質である。例示的な凝血因子及び凝固因子には、第I因子(例えば、フィブリノゲン)、第II因子(例えば、プロトロンビン)、第III因子(例えば、組織因子)、第V因子(例えば、プロアクセレリン、不安定因子)、第VI因子、第VII因子(例えば、安定因子、プロコンバーチン)、第VIII因子(例えば、抗血友病因子A)、第VIIIC因子、第IX因子(例えば、抗血友病因子B)、第X因子(例えば、スチュアート・プロワー因子)、第XI因子(例えば、血漿トロンボプラスチン前駆物質)、第XII因子(例えば、ハーゲマン因子)、第XIII因子(例えば、フィブリン安定化因子)、フォン・ヴィレブランド因子、プレカリクレイン、ヘパリン補因子II、高分子量キニノゲン(例えば、フィッツジェラルド因子)、抗トロンビンIII、及びフィブロネクチンが含まれる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗凝血因子、例えば、プロテインCである。
【0179】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体分子である。本明細書で使用される場合、「抗体分子」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む、免疫グロブリン鎖またはその断片等のタンパク質を指す。用語「抗体分子」には、例えば、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)が含まれる。一実施形態では、抗体分子は、全長抗体または全長免疫グロブリン鎖を含む。一実施形態では、抗体分子は、全長抗体または全長免疫グロブリン鎖の抗原結合断片または機能的断片を含む。一実施形態では、抗体分子は、単一のエピトープに結合する単特異性抗体分子、例えば、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を有し、その各々が同じエピトープに結合する単特異性抗体分子である。一実施形態では、抗体分子は多特異性抗体分子であり、例えば、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、複数あるうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数あるうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原、例えば同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上にある。一実施形態では、多特異性抗体分子は、第3、第4、または第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。一実施形態では、多特異性抗体分子は、二特異性抗体分子、三特異性抗体分子、または四特異性抗体分子である。
【0180】
本明細書に記載の移植可能要素内の細胞によって、あらゆるクラスの免疫グロブリン全体、その断片、及び抗体の抗原結合可変ドメインを少なくとも含む合成タンパク質を含め、様々なタイプの抗体分子が生成され得る。抗体分子は、例えばIgG、IgG、IgG、またはIgGのようなIgG抗体等の抗体であり得る。抗体分子は、Fab断片、F(ab’)2断片、単鎖可変領域等を含む抗原結合断片の形態をとることができる。抗体は、ポリクローナルでもモノクローナル(mAb)でもよい。モノクローナル抗体は、標的抗原に特異的に結合する及び/または所望の生物学的活性を示す限り、「キメラ」抗体(重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種であるもの)、及びかかる抗体の断片を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体分子は、単一ドメイン抗体(例えばナノボディ)である。記載された抗体を、組換え手段によって、例えばアミノ酸の欠失、付加または置換によって修飾して、所望の機能を媒介する抗体の有効性を高めることもできる。例示的な抗体としては、抗ベータ-ガラクトシダーゼ、抗コラーゲン、抗CD14、抗CD20、抗CD40、抗HER2、抗IL-1、抗IL-4、抗IL6、抗IL-13、抗IL17、抗IL18、抗IL-23、抗IL-28、抗IL-29、抗IL-33、抗EGFR、抗VEGF、抗CDF、抗フラジェリン、抗IFN-α、抗IFN-β、抗IFN-γ、抗マンノース受容体、抗VEGF、抗TLR1、抗TLR2、抗TLR3、抗TLR4、抗TLR5、抗TLR6、抗TLR9、抗PDF、抗PD1、抗PDL-1、または抗神経成長因子抗体が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体は、抗神経成長因子抗体(例えば、フルラヌマブ、ファシヌマブ、タネズマブ)である。
【0181】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、例えば、腫瘍壊死因子アルファ及びベータ、それらの受容体及びそれらの誘導体、レニン;リポタンパク質;コルヒチン;コルチコトロフィン;バソプレシン;ソマトスタチン;リプレシン;パンクレオザイミン;リュープロリド;アルファ-1-アンチトリプシン;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)以外のプラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ;ボンベシン;トロンビン;エンケファリナーゼ;RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ);血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン;ミュラー管阻害物質;リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;絨毛性ゴナドトロピン;微生物タンパク質、例えば、ベータ-ラクタマーゼ;DNase;インヒビン;アクチビン;ホルモンまたは成長因子に対する受容体;インテグリン;プロテインAまたはD;リウマチ因子;血小板由来成長因子(PDGF);上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えば、TGF-α及びTGF-β(TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含む);インスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II);デス(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えば、CD-3、CD-4、CD-8、及びCD-19;エリスロポエチン;骨誘導性因子;抗毒素;インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ(例えば、インターフェロン.アルファ.2A)、-ベータ、-ガンマ、-ラムダ及びコンセンサスインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL-1~IL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;分解促進因子;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;受胎阻害剤、例えば、プロスタグランジン;受胎促進剤;制御性タンパク質;抗体(その断片を含む)及びキメラタンパク質、例えば、イムノアドヘシン;これらの化合物の前駆体、誘導体、プロドラッグ及び類似体、ならびにこれらの化合物、またはそれらの前駆体、誘導体、プロドラッグ及び類似体の薬学的に許容可能な塩を含む、サイトカインもしくはサイトカイン受容体、またはサイトカインもしくはそれらの受容体を含むキメラタンパク質である。好適なタンパク質またはペプチドは、ネイティブまたは組換えであり得、それには、例えば、融合タンパク質が含まれる。
【0182】
本明細書に記載の移植可能要素における細胞によって生成されるポリペプチド(例えばタンパク質)の例にはまた、CCL1、CCL2(MCP-1)、CCL3(MIP-1α)、CCL4(MIP-1β)、CCL5(RANTES)、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9(CCL10)、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1(KC)、CXCL2(SDF1a)、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8(IL8)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CX3CL1、XCL1、XCL2、TNFA、TNFB(LTA)、TNFC(LTB)、TNFSF4、TNFSF5(CD40LG)、TNFSF6、TNFSF7、TNFSF8、TNFSF9、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF13B、EDA、IL2、IL15、IL4、IL13、IL7、IL9、IL21、IL3、IL5、IL6、IL11、IL27、IL30、IL31、OSM、LIF、CNTF、CTF1、IL12a、IL12b、IL23、IL27、IL35、IL14、IL16、IL32、IL34、IL10、IL22、IL19、IL20、IL24、IL26、IL29、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IL28、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA21、IFNB1、IFNK、IFNW1、IFNG、IL1A(IL1F1)、IL1B(IL1F2)、IL1Ra(IL1F3)、IL1F5(IL36RN)、IL1F6(IL36A)、IL1F7(IL37)、IL1F8(IL36B)、IL1F9(IL36G)、IL1F10(IL38)、IL33(IL1F11)、IL18(IL1G)、IL17、KITLG、IL25(IL17E)、CSF1(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(G-CSF)、SPP1、TGFB1、TGFB2、TGFB3、CCL3L1、CCL3L2、CCL3L3、CCL4L1、CCL4L2、IL17B、IL17C、IL17D、IL17F、AIMP1(SCYE1)、MIF、Areg、BC096441、Bmp1、Bmp10、Bmp15、Bmp2、Bmp3、Bmp4、Bmp5、Bmp6、Bmp7、Bmp8a、Bmp8b、C1qtnf4、Ccl21a、Ccl27a、Cd70、Cer1、Cklf、Clcf1、Cmtm2a、Cmtm2b、Cmtm3、Cmtm4、Cmtm5、Cmtm6、Cmtm7、Cmtm8、Crlf1、Ctf2、Ebi3、Edn1、Fam3b、Fasl、Fgf2、Flt3l、Gdf10、Gdf11、Gdf15、Gdf2、Gdf3、Gdf5、Gdf6、Gdf7、Gdf9、Gm12597、Gm13271、Gm13275、Gm13276、Gm13280、Gm13283、Gm2564、Gpi1、Grem1、Grem2、Grn、Hmgb1、Ifna11、Ifna12、Ifna9、Ifnab、Ifne、Il17a、Il23a、Il25、Il31、Iltifb、Inhba、Lefty1、Lefty2、Mstn、Nampt、Ndp、Nodal、Pf4、Pglyrp1、Prl7d1、Scg2、Scgb3a1、Slurp1、Spp1、Thpo、Tnfsf10、Tnfsf11、Tnfsf12、Tnfsf13、Tnfsf13b、Tnfsf14、Tnfsf15、Tnfsf18、Tnfsf4、Tnfsf8、Tnfsf9、Tslp、Vegfa、Wnt1、Wnt2、Wnt5a、Wnt7a、Xcl1、エピネフリン、メラトニン、トリヨードサイロニン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン、トロンボキサン、膵島アミロイドポリペプチド、ミュラー管阻害因子またはホルモン、アディポネクチン、コルチコトロピン、アンジオテンシン、バソプレシン、アルギニンバソプレシン、アトリオペプチン、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルシトニン、コレシストキニン、コルチスタチン、エンケファリン、エンドセリン、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、ガラニン、胃阻害性ポリペプチド、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1、ゴナドトロピン放出ホルモン、ヘプシジン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトゲン、インヒビン、ソマトメジン、レプチン、リポトロピン、メラノサイト刺激ホルモン、モチリン、オレキシン、オキシトシン、膵臓ポリペプチド、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、リラキシン、レニン、セクレチン、ソマトスタチン、トロンボポエチン、チロトロピン、チロトロピン放出ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、アンドロゲン、アルファ-グルコシダーゼ(酸マルターゼとしても知られている)、グリコーゲンホスホリラーゼ、グリコーゲン脱分岐酵素、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、ホスホグリセレートムターゼ、乳酸脱水素酵素、カルニチンパリミチルトランスフェラーゼ、カルニチン、及びミオアデニレートデアミナーゼが含まれる。
【0183】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、補充療法または補充タンパク質である。いくつかの実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、凝血因子または凝固因子、例えば、第VIII因子(例えば、天然に存在するヒト第VIII因子アミノ酸配列またはそのバリアントを含む)または第IX因子(例えば、天然に存在するヒト第IX因子アミノ酸配列またはそのバリアントを含む)である。
【0184】
いくつかの実施形態では、細胞は、例えば組換え第VIII因子等の第VIII因子を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト組織に由来し、例えば組換え第VIII因子等の第VIII因子を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、組換え第VIII因子は、Bドメイン欠失型の組換え第VIII因子(FVIII-BDD)である。
【0185】
いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト組織に由来し、例えば組換え第IX因子等の第IX因子を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、第IX因子、例えば野生型ヒト第IX因子(FIX)、またはその多型バリアントを発現するように操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、野生型FIXタンパク質の機能獲得(GIF)バリアント(FIX-GIF)を発現するように操作されており、GIFバリアントは、対応する野生型FIXよりも高い比活性を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、酵素、例えば、アルファ-ガラクトシダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ(IDUA)、またはN-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)である。いくつかの実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、酵素、例えば、アルファ-ガラクトシダーゼA(例えば、天然に存在するヒトアルファ-ガラクトシダーゼAアミノ酸配列またはそのバリアントを含む)である。いくつかの実施形態では、補充療法または補充タンパク質は、サイトカインまたは抗体である。
【0187】
いくつかの実施形態では、治療剤は、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖等の糖である。いくつかの実施形態では、糖は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、またはヘプトース部位を含む。いくつかの実施形態では、糖は、線状単糖または環状単糖を含む。いくつかの実施形態では、糖は、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラムノース、マンノース、アラビノース、グルコサミン、ガラクトサミン、シアル酸、マンノサミン、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、またはグルロン酸部位を含む。いくつかの実施形態では、糖は、タンパク質に結合している(例えば、N結合型グリカンまたはO結合型グリカン)。例示的な糖には、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、ラムノース、スクロース、リボース、キシロース、シアル酸、マルトース、アミロース、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナン、レクチン、ペクチン、デンプン、セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キチン、アミロペクチン、またはグリコーゲンが含まれる。いくつかの実施形態では、治療剤は、糖アルコールである。
【0188】
いくつかの実施形態では、治療剤は、脂質である。脂質は疎水性または両親媒性であり得、リポソーム、小胞、もしくは膜、またはリポソーム、小胞、もしくは膜への挿入物等の三次構造を形成し得る。脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、ポリケチド、またはスフィンゴ脂質を含み得る。本明細書に記載の細胞によって生成される脂質の例には、アナンダミド、ドコサヘキサエン酸、アプロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、エイコサノイド、トリグリセリド、カンナビノイド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド、エストロゲン、アンドロステロン、テストステロン、コレステロール、カロテノイド、キノン、ヒドロキノン、またはユビキノンが含まれる。
【0189】
いくつかの実施形態では、治療剤は、小分子である。小分子は、細胞によって生成される天然産物を含み得る。いくつかの実施形態では、小分子はアベイラビリティが低いか、またはリピンスキーのルール・オブ・ファイブ(小分子がヒトにおいて経口活性薬物となる可能性が高いかどうかを推定するために使用される一式のガイドライン;例えば、Lipinski,C.A.et al(2001)Adv Drug Deliv 46:2-36を参照のこと)に適合しない。例示的な小分子天然産物としては、抗細菌薬(例えば、カルモナム、ダプトマイシン、フィダキソマイシン、ホスホマイシン、イスパマイシン、硫酸ミクロノミシン、ミオカマイシン、ムピオシン、硫酸ネチルマイシン、テイコプラニン、チエナマイシン、リファマイシン、エリスロマイシン、バンコマイシン)、抗寄生体薬(例えば、アルテミシニン、イベルメクチン)、抗がん薬(例えば、ドキソルビシン、アクラルビシン、アミノレブリン酸、アルグラビン、オマセタキシンメペスクシネート、パクリタキセル、ペントスタチン、ペプロマイシン、ロミデプシン、トラベクトジン(trabectdin)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、クロモマイシンA、ダウノルビシン、ロイコボリン、ネオカルジノスタチン、ストレプトゾシン、トラベクテジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、抗糖尿病薬(例えば、ボグリボース)、中枢神経系薬(例えば、L-ドーパ、ガランタミン、ジコンチド(zicontide))、スタチン(例えば、メバスタチン)、抗真菌薬(例えば、フマギリン、シクロスポリン)、1-デオキシノジリマイシン、及びテオフィリン、ステロール(コレステロール、エストロゲン、テストステロン)が挙げられる。追加の小分子天然産物については、Newman,D.J.and Cragg,M.(2016)J Nat Prod 79:629-661及びButler,M.S.et al(2014)Nat Prod Rep 31:1612-1661に記載されている。
【0190】
いくつかの実施形態では、細胞は、非タンパク質または非ペプチドの小分子を合成するように操作される。例えば、一実施形態では、細胞は、スタチン(例えば、タウロスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、またはアトルバスタチン)を生成することができる。
【0191】
いくつかの実施形態では、治療剤は、抗原(例えば、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、植物抗原、環境抗原、または腫瘍抗原)である。抗原は、免疫刺激性、すなわち、免疫反応を刺激すること、またはその由来となる生物もしくは分子に対して有効な免疫をもたらすことが可能なものとして当業者には認識されている。抗原は、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、脂質、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0192】
細胞、例えば、操作された細胞、例えば、本明細書に記載の操作された細胞は、単一の治療剤または複数の治療剤を生成し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、単一の治療剤を生成する。いくつかの実施形態では、細胞クラスターは、単一の治療剤を生成する細胞を含む。いくつかの実施形態では、クラスター中の細胞の少なくとも約1パーセント、または約5、10、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、もしくは99パーセントが、単一の治療剤(例えば、本明細書に記載の治療剤)を生成する。いくつかの実施形態では、細胞は、複数の治療剤、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の治療剤を生成する。いくつかの実施形態では、細胞クラスターは、複数の治療剤を生成する細胞を含む。いくつかの実施形態では、クラスター中の細胞の少なくとも約1パーセント、または約5、10、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、もしくは99パーセントが、複数の治療剤(例えば、本明細書に記載の治療剤)を生成する。
【0193】
これらの治療剤は関連している場合もあれば、複合体を形成する場合もある。いくつかの実施形態では、治療剤は、活性形態で細胞から分泌または放出される。いくつかの実施形態では、治療剤は、不活性形態で、例えばプロドラッグとして、細胞から分泌または放出される。後者の場合、治療剤は、酵素等の下流の薬剤によって活性化され得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、細胞から分泌または放出されるのではなく、細胞内に維持される。例えば、治療剤は、不要な物質の解毒または代謝に関与する酵素であり得、不要な物質の解毒または代謝は細胞内で起こる。
【0194】
処置方法
本明細書では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む移植可能要素を投与または移植することにより、対象の疾患、障害、または病態を予防または処置する方法が記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、疾患、障害、または病態の少なくとも1つの症状を直接的または間接的に低減または緩和させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、疾患、障害、または病態の発症を予防または遅延する。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0195】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、例えば神経系(例えば、末梢神経系または中枢神経系)、血管系、骨格系、呼吸器系、内分泌系、リンパ系、生殖器系、または胃腸管等の身体の系に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、血液、眼、脳、皮膚、肺、胃、口、耳、脚、足、手、肝臓、心臓、腎臓、骨、膵臓、脾臓、大腸、小腸、脊髄、筋肉、卵巣、子宮、膣、または陰茎等の身体の一部に影響を及ぼす。
【0196】
いくつかの実施形態では、疾患、障害または病態は、神経変性疾患、糖尿病(1型または2型)、心臓病、自己免疫疾患、がん、肝臓病、リソソーム蓄積症、凝血障害または凝固障害、整形外科的病態、アミノ酸代謝障害である。
【0197】
いくつかの実施形態では、疾患、障害または病態は、神経変性疾患である。例示的な神経変性疾患としては、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)及び脳性麻痺(CP)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA:dentatorubro-pallidoluysian atrophy)、神経核内硝子体封入疾患(NIHID)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、ハレルフォルデン・スパッツ病、プリオン病、嗜銀顆粒性認知症、皮質基底核変性症、ボクサー認知症、びまん性神経原線維変化病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ヤコブ・クロイツフェルト病、ニーマン・ピック病3型、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、脊髄小脳失調症、ピック病、及び歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubral-pallidoluysian atrophy)が挙げられる。
【0198】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、自己免疫疾患、例えば、強皮症、多発性硬化症、狼瘡、またはアレルギーである。
【0199】
いくつかの実施形態では、疾患は、B型肝炎、C型肝炎、硬変、NASH等の肝臓病である。
【0200】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、がんである。例示的ながんとしては、白血病、リンパ腫、黒色腫、肺癌、脳癌(例えば、神経膠芽腫)、肉腫、膵臓癌、腎臓癌、肝臓癌、精巣癌、前立腺癌、または子宮癌が挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、整形外科的病態である。例示的な整形外科的病態としては、骨粗鬆症、骨壊死、パジェット病、または骨折が挙げられる。
【0202】
いくつかの実施形態では、疾患、障害または病態は、リソソーム蓄積症である。例示的なリソソーム蓄積症には、ゴーシェ病(例えば、I型、II型、III型)、テイ・サックス病、ファブリー病、ファーバー病、ハーラー症候群(別名、ムコ多糖症I型(MPS I))、ハンター症候群、リソソーム酸性リパーゼ欠損症、ニーマン・ピック病、サラ病、サンフィリッポ症候群(別名、ムコ多糖症IIIA型(MPS3A))、多発性スルファターゼ欠損症、マロトー・ラミー症候群、異染性白質ジストロフィー、クラッベ病、シャイエ症候群、ハーラー・シャイエ症候群、スライ症候群、ヒアルロニダーゼ欠損症、ポンペ病、ダノン病、ガングリオシドーシス、またはモルキオ症候群が含まれる。
【0203】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、凝血障害または凝固障害である。例示的な凝血障害または凝固障害としては、血友病(例えば、血友病Aまたは血友病B)、フォン・ヴィレブランド病、血小板減少症、尿毒症、ベルナール・スーリエ症候群、第XII因子欠損症、ビタミンK欠損症、または先天性無フィブリノゲン血症などが挙げられる。
【0204】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、アミノ酸代謝障害、例えば、フェニルケトン尿症、チロシン血症(例えば、1型または2型)、アルカプトン尿症、ホモシスチン尿症、高ホモシステイン血症、メープルシロップ尿症である。
【0205】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、脂肪酸代謝障害、例えば、高脂血症、高コレステロール血症、ガラクトース血症である。
【0206】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、プリンまたはピリミジン代謝障害、例えばレッシュ・ナイハン症候群である。
【0207】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病態は、I型糖尿病ではなく、及び/またはII型糖尿病ではない。
【0208】
本発明はさらに、本明細書に記載の疾患、障害、または病態を有するまたは有する疑いのある対象を識別し、そのような識別に応じて、細胞(例えば、任意に封じ込め成分によって封入され、任意に本明細書に記載の式(I)の化合物またはその組成物で修飾されたもの)を含む移植可能要素を対象に投与する方法を含む。一実施形態において、対象は、ヒトである。
【0209】
列挙される実施形態
1.糖モノマーを含む多糖ポリマーであって、前記糖モノマーが、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む、前記多糖ポリマー。
【0210】
2.前記ヒドロキシル修飾剤は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミン、アミド、ハロアルキル、ハロアルコキシ、エステル、エーテル、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル部位を含む、実施形態1に記載の多糖ポリマー。
【0211】
3.前記多糖ポリマーは、ヒアルロネート、アルギネート、セルロース、キトサン、キチン、アミロース、デキストラン、デンプン、グリコーゲン、コンドロイチン、及びペクチンから選択される、実施形態1~2のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0212】
4.前記糖モノマーは、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトロース、タロース、イドース、グロース、フルクトース、リボース、アラビノース、リキソース、キシロース、ラムノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、及びグルロン酸から選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0213】
5.前記糖モノマーは、マンヌロン酸またはグルロン酸である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0214】
6.前記糖モノマーは、式(I):
【化31】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、
Xは、O、NR、またはSであり;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;
各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
各R5a及びR5bは、独立して、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
は、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
または、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;
は、ペプチドまたは非線維性化合物であり;
各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0215】
7.前記糖モノマーは、式(I-a):
【化32】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、
Xは、O、NR、またはSであり;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;
各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
は、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
または、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;
は、ペプチドまたは非線維性化合物であり;
各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0216】
8.XはOである、実施形態6~7のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0217】
9.RはOである、実施形態6~8のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0218】
10.Rは、C(O)ORまたはC(O)N(R)(R)である、実施形態6~9のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0219】
11.Rは、C(O)N(R)(R)であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)、またはペプチド(例えば、表3に示されるペプチド、例えば、RGDペプチド)である、実施形態10に記載の多糖ポリマー。
【0220】
12.R及びRの一方は独立して水素であり、R及びRの他方は独立して非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である、実施形態11に記載の多糖ポリマー。
【0221】
13.Rは、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、実施形態6~12のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0222】
14.Rは、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、実施形態6~13のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0223】
15.R及びRの一方は独立してC1-6アルキレン-S(O)-Rであり、R及びRの他方は独立して水素である、実施形態6~14のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0224】
16.Rは、非線維性化合物である、実施形態6~15のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0225】
17.前記糖モノマーは、式(I-b):
【化33】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりである、実施形態1~16のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0226】
18.前記糖モノマーは、式(I-c):
【化34】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R及びその副次可変要素は、実施形態6で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0227】
19.前記糖モノマーは、式(I-d):
【化35】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりである、実施形態1~18のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0228】
20.前記糖モノマーは、式(I-e):
【化36】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、請求項1~19のいずれか1項に記載の多糖ポリマー。
【0229】
21.Rは、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)である、実施形態18~20に記載の多糖ポリマー。
【0230】
22.nは2であり、mは1である、実施形態18~21に記載の多糖ポリマー。
【0231】
23.前記糖モノマーは、式(I-f):
【化37】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、実施形態6で定義されるとおりである、実施形態1~22のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0232】
24.前記糖モノマーは、式(I-g):
【化38】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R12、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、実施形態6で定義されるとおりである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0233】
25.式(I-h)、(I-i)、(I-j)、(I-k)、(I-l)、(I-m)、(I-n)、(I-o)、(I-p)、(I-q)、(I-r)、(I-s)、及び(I-t)のいずれか1つの構造を有する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0234】
26.Pはヘテロアリール(例えばトリアゾリル)である、実施形態23~25のいずれか1つに記載の多糖。
【0235】
27.P
【化39】

であり、R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロである、実施形態23~26のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0236】
28.Lは、非存在、またはC1-6アルキレン(例えば、-CH-)である、実施形態23~27のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0237】
29.Zは、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである、実施形態23~28のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0238】
30.Zは、ヘテロシクリルである、実施形態23~29に記載の多糖ポリマー。
【0239】
31.Zは、
【化40】

である、実施形態30に記載の多糖ポリマー。
【0240】
32.前記非線維性化合物は、表2の部位から選択される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0241】
33.前記ペプチドは、表3に示されるペプチド、例えば、配列RGDを含むペプチドである、実施形態1~32のいずれか1つに記載の多糖ポリマー。
【0242】
34.前記多糖ポリマーはアルギネートである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の多糖。
【0243】
35.前記アルギネートは、高グルロン酸(G)アルギネートまたは高マンヌロン酸(M)アルギネートである、実施形態34に記載の多糖。
【0244】
36.前記アルギネートは、重量基準で0.1~10%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定される、実施形態34~35のいずれか1つに記載の多糖。
【0245】
37.前記アルギネートは、重量基準で1~10%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定される、実施形態34~36のいずれか1つに記載の多糖。
【0246】
38.前記アルギネートは、重量基準で2~8%Nの%Nの増加(非修飾ポリマーと比較した場合)を含み、%Nは、元素分析によって決定され、修飾アルギネート中の式(I)の化合物の量に対応する、実施形態34~37のいずれか1つに記載の多糖。
【0247】
39.前記多糖は、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む複数の糖モノマーを含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の多糖。
【0248】
40.マンヌロネートまたはグルロネートモノマーを含むアルギネートであって、前記マンヌロネートまたはグルロネートモノマーが、ヒドロキシル部位に共有結合したヒドロキシル修飾剤を含む、前記アルギネート。
【0249】
41.前記ヒドロキシル修飾剤は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、エステル、エーテル、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル部位を含む、実施形態40に記載のアルギネート。
【0250】
42.前記アルギネートは、式(I-a):
【化41】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有するモノマーを含み、式中、
Xは、O、NR、またはSであり;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、及びハロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキレン-S(O)-C2-6アルケニル、またはC1-6アルキレン-S(O)-R、C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-R、C(O)-C1-6アルキレン-S(O)-R、またはC(O)-C1-6ヘテロアルキレン-S(O)-Rであり、ここで、各アルキレンまたはアルケニルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており、R及びRの各々が両方とも水素であることはなく;
各Rは、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、N(R7a)(R7b)、OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)(R)、N(R)C(O)R、ハロゲン、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
7a及びR7bは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、1つ以上のR10によって任意に置換されており;
各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、シアノ、アジド、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
は、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは、0~12個のR11によって置換されており;
、R、及びRは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、非線維性化合物、またはペプチドであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシクロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;または、
及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3~10員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、これらの各々は、1つ以上のR10で任意に置換されており;
は、ペプチドまたは非線維性化合物であり;
各R10は、独立して、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、オキソ、OR、N(R)(R)、C(O)OR、C(O)R、C(O)N(R)(R)、またはN(R)C(O)Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロアルキル、及びハロアルキルは、1つ以上のR11によって任意に置換されており;
各R11は、独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、オキソ、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、実施形態40~41のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0251】
43.XはOである、実施形態41~42のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0252】
44.RはOである、実施形態41~43のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0253】
45.Rは、C(O)ORまたはC(O)N(R)(R)である、実施形態41~44のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0254】
46.Rは、C(O)N(R)(R)であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)、またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である、実施形態41~45のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0255】
47.R及びRの一方は独立して水素であり、R及びRの他方は独立して非線維性化合物(例えば、表2に示される非線維性化合物)またはペプチド(例えば、RGDペプチド)である、実施形態41~46のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0256】
48.Rは、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、実施形態41~47のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0257】
49.Rは、水素またはC1-6アルキレン-S(O)-Rである、実施形態41~48のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0258】
50.R及びRの一方は独立してC1-6アルキレン-S(O)-Rであり、R及びRの他方は独立して水素である、実施形態41~49のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0259】
51.Rは、非線維性化合物である、実施形態41~50のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0260】
52.前記モノマーは、式(I-b):
【化42】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態41で定義されるとおりである、実施形態40~51のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0261】
53.前記モノマーは、式(I-c):
【化43】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R及びその副次可変要素は、請求項6で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、実施形態40~52のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0262】
54.前記モノマーは、式(I-d):
【化44】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりである、実施形態40~53のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0263】
55.前記モノマーは、式(I-e):
【化45】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態6で定義されるとおりであり、R3aは水素であり、n及びmの各々は1、2、3、4、または5である、実施形態40~54のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0264】
56.Rは、非線維性化合物(例えば、表2に示されるもの)である、実施形態53~55のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0265】
57.nは2であり、mは1である、実施形態53~55のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0266】
58.前記モノマーは、式(I-f):
【化46】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態41で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、実施形態41で定義されるとおりである、実施形態40~57のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0267】
59.前記モノマーは、式(I-g):
【化47】

またはその薬学的に許容可能な塩の構造を有し、式中、R、R12、R、R、及びそれらの副次可変要素の各々は、実施形態41で定義されるとおりであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり、これらの各々は、1つ以上のR12によって任意に置換されており;
は、非存在、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C1-6ヘテロアルキレン、C1-6ハロアルキレン、-N(R7a)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、または-N(R)C(O)-であり、ここで、各アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、及びヘテロアルキレンは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1つ以上のRによって任意に置換されており;
12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロであり;
pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;
7a及びRは、実施形態41で定義されるとおりである、実施形態40~58のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0268】
60.Pはヘテロアリール(例えばトリアゾリル)である、実施形態57~59に記載のアルギネート。
【0269】
61.P
【化48】

であり、R12は、水素、重水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、またはハロである、実施形態60に記載のアルギネート。
【0270】
62.Lは、非存在、またはC1-6アルキレン(例えば、-CH-)である、実施形態59~61のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0271】
63.Zは、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである、実施形態59~62のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0272】
64.Zは、ヘテロシクリルである、実施形態63に記載のアルギネート。
【0273】
65.Z
【化49】

である、請求項62に記載のアルギネート。
【0274】
66.前記非線維性化合物は、表2の部位から選択される、実施形態40~65のいずれか1つに記載のアルギネート。
【0275】
67.実施形態1~39のいずれか1つに記載の多糖ポリマーまたは実施形態40~66のいずれか1つに記載のアルギネートを含む、ヒドロゲル。
【0276】
68.実施形態1~39のいずれか1つに記載の多糖ポリマー、実施形態40~66のいずれか1つに記載のアルギネート、または請求項67に記載のヒドロゲルを含む、移植可能要素。
【0277】
69.実施形態1~39のいずれか1つに記載の多糖ポリマー、実施形態40~66のいずれか1つに記載のアルギネート、実施形態67に記載のヒドロゲル、または実施形態68に記載の移植可能要素、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【実施例
【0278】
本明細書に記載の発明がより十分に理解され得るように、以下の実施例が示される。本出願に記載の合成実施例及び生物学的実施例は、本明細書で提供される化合物、組成物、デバイス、及び方法を例示するために提供され、決してそれらの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0279】
本明細書で提供される化合物、修飾ポリマー、移植可能要素、及びその組成物は、当業者によく知られているであろう以下に示される特定の合成プロトコルへの変更を使用して、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。典型的なまたは好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶媒、圧力等)が示されているが、特に指示のない限り、他のプロセス条件も使用できることを理解されたい。最適な反応条件は、使用する特定の反応体または溶媒により変わり得るが、そのような条件は、当業者であれば、定型的な最適化手順によって決定することができる。
【0280】
さらに、当業者には明らかなとおり、所定の官能基が望まれない反応を起こすことを防ぐため、従来の保護基が必要な場合がある。特定の官能基に好適な保護基の選択ならびに保護及び脱保護に好適な条件は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、多数の保護基ならびにそれらの導入及び除去は、Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991、及び当該文献中に引用されている参考文献に記載されている。
【0281】
本発明の例示的な化合物、修飾ポリマー、移植可能要素、及び組成物は、以下に記載される戦略のいずれかを使用して調製することができる。
【0282】
実施例1:例示的な化合物の合成
概略的なプロトコル
以下の手順は、化学的に修飾された移植可能要素を調製するための例示的な化合物を調製する方法を説明する。本明細書で提供される化合物物は、当業者によく知られているであろう以下に示される特定の合成プロトコルへの変更を使用して、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。典型的なまたは好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶媒、圧力等)が示されているが、特に指示のない限り、他のプロセス条件も使用できることを理解されたい。最適な反応条件は、使用する特定の反応体または溶媒により変わり得るが、そのような条件は、当業者であれば、定型的な最適化手順によって決定することができる。
【0283】
さらに、当業者には明らかなとおり、所定の官能基が望まれない反応を起こすことを防ぐため、従来の保護基が必要な場合がある。特定の官能基に好適な保護基の選択ならびに保護及び脱保護に好適な条件は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、多数の保護基ならびにそれらの導入及び除去は、Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991、及び当該文献中に引用されている参考文献に記載されている。
【0284】
ビニルスルホンで修飾されたアルギネートの合成
【化50】

VLVGアルギネート(3.54g、約18.94mmol/モノマー)を500mLビーカーに入れ、室温で勢いよく撹拌しながら2%w/v濃度で0.1M NaOH(175mL)に溶解した。ジビニルスルホン(10.85g、91.83mmol)を加えると、赤色の溶液が生じた。5分後、3mlの6N HClを加えて反応をクエンチした。溶液を1N NaOHの滴下でpH5.05に調整し、次いで水(3x)に対して透析(10K)し、次いで凍結乾燥させた。最終的な修飾アルギネートを元素分析によって分析したところ、窒素0%、炭素36.6%、及び硫黄15.1%であることが示された。
【0285】
化合物100の合成
【化51】

上記で調製したビニルスルホン(0.45g、約1.3mmol/モノマー)を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝溶液pH7.0(25mL)に溶解した。アミン(約4mmol)を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0(25mL)に別途溶解し、次いでアルギネート溶液に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、タンジェンシャルフロー濾過システム(MWCO 10K)により、生理食塩水(約1L)、続いて純水(約1L)に対して精製した後、凍結乾燥させて生成物を固体として得た。最終的な修飾アルギネートを元素分析によって分析したところ、窒素4.4%、炭素36.2%、及び硫黄4.6%であることが示された。
【0286】
化合物102の合成
【化52】

化合物100について概説した条件を使用して反応を行った。最終的な修飾アルギネートを元素分析によって分析したところ、窒素3.7%、炭素33.5%、及び硫黄4.2%であることが示された。
【0287】
化合物104の合成
【化53】

化合物100について概説した条件を使用して反応を行った。最終的な修飾アルギネートを元素分析によって分析したところ、窒素4.7%、炭素33.9%、及び硫黄4.6%であることが示された。
【0288】
化合物108の合成
【化54】

化合物100について概説した条件を使用して反応を行った。最終的な修飾アルギネートを元素分析によって分析したところ、窒素3.9%、炭素34.7%、及び硫黄2.6%であることが示された。
【0289】
実施例2:修飾多糖ポリマーを含むヒドロゲルカプセルの調製
この実施例では、本明細書に記載の修飾多糖ポリマーを含む2区画ヒドロゲルカプセルの調製について説明する。修飾アルギネート0.25gを生理食塩水4.75gに溶解することにより、化合物100を含むアルギネートの第1の5%(w/w)溶液を調製した。溶液が均質になるまで溶液を一晩混合した。RGDアルギネート0.25gを生理食塩水8.3gに溶解することにより、RGDペプチドで修飾された第2のアルギネート溶液も調製し(3%(w/w))、均質になるまで一晩混合した。3%(w/w)RGDアルギネート溶液2.16gを5%(w/w)修飾アルギネート溶液に加え、混合した。次いで、修飾アルギネート溶液を2つの別々の10mLシリンジに充填した。
【0290】
次いで、針ホルダー内にあり、接地リングに取り付けられた同軸針(17ゲージ)に、Matsusada高電圧発電機を接続した。外側の区画となる、第1(5%(w/w))のアルギネート溶液が充填されたシリンジに接続された8インチのチューブ延長部に、針の側部にあるルアーロック取付具を取り付けた。また、内側の区画となる、第2(3%(w/w))のRGDアルギネートが充填されたシリンジに接続された8インチのチューブ延長部に、針の頂部にあるルアーロック取付具を取り付ける。シリンジポンプを使用して、250mLの20mM BaCl溶液を含むガラス皿に第1及び第2のアルギネート溶液を注入し、架橋及びヒドロゲルカプセルの形成を行った。次いで、架橋ヒドロゲルカプセルをガラス皿に収集し、緩衝溶液で洗浄し(15回)、次いで、形態及びスフィア強度を評価するためにイメージングした。明視野顕微鏡を使用して、修飾多糖ポリマーと非線維性化合物の化合物222とを含むヒドロゲルカプセルの質をモニタリングしたところ、欠陥のない滑らかな表面が明らかになった。テクスチャ分析(例えば、実施例7に記載のもの)を使用して、ヒドロゲルカプセルの安定性及び強度のさらなる試験を行った。化合物222のモノマーを含む修飾多糖ポリマーを含むヒドロゲルカプセルの破砕データを、以下の表4に示す。
【表4】
【0291】
異なる非線維性化合物、具体的には化合物120及び121の修飾糖を含むアルギネートを含む他のヒドロゲルカプセルに対して、同様の破砕分析を行った。
【表5】

【表6】
【0292】
実施例3:ヒドロゲルカプセルに封入するための例示的な細胞の調製
単一細胞として封入するための操作されたARPE-19細胞。
例えば凝血因子(例えば、FVIIIまたはFIXタンパク質)等の治療剤を発現するように操作されたARPE-19細胞は、当該技術分野で知られている任意の方法に従って、例えば以下のプロトコルに従って培養することができる。
【0293】
75cm培養フラスコ内の操作されたARPE-19細胞を吸引して培養培地を除去し、細胞層を0.05%(w/v)トリプシン/0.53mM EDTA溶液(「TrypsinEDTA」)で手短に濯いで、トリプシン阻害剤を含む血清を残らず除去した。2~3mLのTrypsinEDTA溶液をフラスコに加え、細胞層が分散されるまで、通常は5~15分間、細胞を倒立顕微鏡下で観察する。凝集を避けるために、細胞を慎重に取り扱い、分散期間中にフラスコを叩くことまたは振盪することを最小限に抑える。細胞が剥がれない場合、フラスコを37℃で放置して分散を容易にする。細胞が分散したら、6~8mLの完全成長培地を添加し、細胞を穏やかなピペッティングによって吸引する。次いで、細胞懸濁液を遠心管に移し、およそ125xgで5~10分間遠沈させ、TrypsinEDTAを除去する。次いで、上清を廃棄し、細胞を新たな成長培地に再懸濁する。細胞懸濁液の適切なアリコートを新たな培養容器に添加し、これを37℃でインキュベートする。培地を毎週2~3回交換する。
【0294】
クラスターとして封入するためのARPE-19細胞
AggreWell(商標)スフェロイドプレート(STEMCELL Technologies)及び本明細書で概説するプロトコルを使用して、例示的な細胞(例えば、操作されたARPE-19細胞)のスフェロイドクラスターを調製する。1日目には、各プレートに濯ぎ液(4mL)を加え、大型遠心機にて3,000RPMで5分間プレートを遠沈する。濯ぎ液をピペットで除去し、完全成長培地4mLを加える。操作されたARPE-19細胞を所望の細胞密度でプレートに播種し、凝集を防ぐために直ちにピペッティングする。一般的な経験則では、ウェル当たり390万個の細胞が直径150μmのクラスターを生じることになる。プレートを800RPMで3分間遠沈し、プレートを37℃のインキュベータ内に一晩置く。
【0295】
2日目に、プレートをインキュベーションから取り出す。広口ピペットチップを使用して、細胞を穏やかにピペッティングし、スフェロイドクラスターを取り除く。クラスターを40μmまたは80μmのセルストレーナーで濾過して、余分な剥離した単一細胞を除去した後、遠心機で2×1分間遠沈する。広口ピペットチップを使用してクラスターを穏やかに再懸濁し、穏やかに撹拌して培地または別の材料(アルギネートなど)の全体に分散させる。
【0296】
代替的には、次のプロトコルを用いてARPE-19スフェロイドを調製する。1日目に、滅菌組織培養フード内でAggreWell(商標)プレートをパッケージから取り出す。各ウェルに2mLのAggrewell(商標)濯ぎ液を加える。プレートを2,000gで5分間遠心して気泡を除去し、ウェルからAggreWell(商標)濯ぎ液を除去する。各ウェルを2mLの完全成長培地で濯ぎ、完全成長培地3.9mL中の操作されたARPE-19細胞200万個を各ウェルに加える。プレートを100gで3分間遠心し、次いで細胞を37℃で48時間インキュベートする。3日目には、上記と同じプロトコルを使用してスフェロイドクラスターを取り除く。
【0297】
代替的には、PBS MINIバイオリアクター(PBS Biotec,Inc.,Camarillo CA,USA)を使用し、次のプロトコルを用いてARPE19スフェロイドを調製する。細胞培養培地及び2億2000万個のARPE19細胞をPBS 0.1LまたはPBS 0.5L容器に加え、次いでこの容器を、インキュベータ内に置かれたベースユニットに挿入する。PBS MINIの速度調整ダイヤルを40rpmに設定し、上記のようにスフェロイドを収集する前に、容器を37℃で少なくとも48時間インキュベートする。
【0298】
実施例4:細胞を含むヒドロゲルカプセルの調製
単一細胞としてのRPE細胞を封入したカプセル。封入の直前に、治療タンパク質を発現するように操作された単一ARPE-19細胞を1,400r.p.mで1分間遠心し、カルシウム非含有Krebs-Henseleit(KH)緩衝液(4.7mM KCl、25mM HEPES、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO×7HO、135mM NaCl、pH約7.4、約290mOsm)で洗浄する。洗浄後、細胞を再度遠心し、上清のすべてを吸引した。いくつかの実験では、次いで細胞ペレットを高分子量アルギネート溶液(70:30)に再懸濁し、アルギネート溶液1ml当たりの懸濁単一細胞を所望の密度にする。
【0299】
1区画及び2区画のヒドロゲルカプセルを作製する前に、無菌プロセスを使用して0.2μmフィルターを介した濾過によって緩衝液及びアルギネート溶液を滅菌する。
【0300】
約1.5mmの直径の2区画ヒドロゲルカプセルとして構成されたデバイスを調製するために、静電気性液滴生成器を以下のように設定することができる:ESシリーズ0-100-kV、20ワット高電圧発電機(EQシリーズ、Matsusada,NC,USA)を同軸針(内側ルーメン22G、外側ルーメン18G、Rame-Hart Instrument Co.,Succasunna,NJ,USA)の頂部及び底部に接続する。内側ルーメンは、垂直に配向したシリンジポンプに接続された、ルアーロック付きの第1の5mLシリンジに取り付ける。外側ルーメンは、水平に配向した第2のシリンジポンプに接続させることのできる第2の5mLシリンジにルアーカップリングを介して接続させた。細胞を第1(内側)の区画のみに封入するためには、細胞(単一細胞懸濁液として)を含む第1のアルギネート溶液を第1のシリンジに入れることができ、式(I)の化合物を含む第2の細胞非含有アルギネート溶液を第2のシリンジに入れた。対照となる2区画ヒドロゲルカプセルについては、式(I)の化合物を含まないアルギネート溶液を使用して第2(外側)区画を形成することができる。2つのシリンジポンプは、第1及び第2のアルギネート溶液を同軸針の両方のルーメンを介してシリンジから移動させ、両方のアルギネート溶液を含有する液滴が1滴ずつ、架橋溶液を含むガラス皿に針から押し出される。各シリンジポンプの設定を調整して、2つのアルギネート溶液の最適な流量比を実現することができる。
【0301】
2区画カプセルの作製のためには、所望の体積のアルギネート溶液の押し出し後、アルギネート液滴を、25mMのHEPES、20mMのBaCl、0.2Mのマンニトール、及びポロキサマー188を含んだ架橋溶液において5分間架橋させる。架橋容器の底部に落下したカプセルを、ピペッティングによって円錐チューブ内に収集する。カプセルがチューブ内に沈殿した後、架橋緩衝液を除去し、カプセルを洗浄する。細胞を含まないカプセルは、HEPES緩衝液(脱イオン水2リットル中、NaCl 15.428g、KCl 0.70g、MgCl・6HO 0.488g、50mlのHEPES(1M)緩衝溶液(Gibco,Life Technologies,California,USA))で4回洗浄し、使用時まで4℃で保存する。細胞を封入したカプセルは、HEPES緩衝液で4回、0.9%生理食塩水で2回、培養培地で2回洗浄し、37℃のインキュベータで保存する。
【0302】
実施例5.例示的な化合物のin vivoアッセイ
本開示の例示的な化合物の非線維性特性は、以下の手順に従って、実施例2または4に記載のとおり調製されたヒドロゲルカプセルをC57BL/6Jマウスの腹腔内(IP)空間に移植することによって解析することができる。
【0303】
準備:0.5L/分で酸素を含む1~4%イソフルランの連続流下でマウスを麻酔下に置き、手術の準備をする。術前には、すべてのマウスに、脱水を防ぐための0.9%生理食塩水0.5mlを皮下に与えるとともに、手術前の鎮痛剤として0.05~0.1mg/kg体重の用量のブプレノルフィンを皮下に与えてもよい。サイズ#40のクリッパー刃を備えたシェーバーを使用して、動物腹部の腹側正中線上の約2cm×2cmのエリアを露出させるように除毛する。剃毛したエリア全体を、最低3回のポビジンによるスクラビング(可能な場合は切開部位の中心から外側に向かって遠心方向に)の後、70%アルコールで濯ぐことにより無菌的に準備する。ポビジンによる最終的な皮膚塗装も適用する。テーブルトップ表面を70%エタノールで消毒した後、手術部位に周囲の毛髪が触れることをなくすために、使い捨て滅菌紙で手術部位を覆う。作業員は適切なPPE、ガウン、外科用マスク、及び外科用手袋を使用する。
【0304】
手術手順:鋭利な外科用メスまたは鋏を使用して、対象マウスの腹部に皮膚及び白線を貫通する0.5~0.75mmの正中切開を入れる。外科医は切開を可能な限り小さく保つよう努める。平らな滅菌ピンセットを使用して、各カプセル組成物の0.5mLアリコートを各マウスの腹腔内に移す(組成物当たりマウス4匹)。5-0 Ethicon黒シルクまたはPDS吸収性5.0-6.0モノフィラメント吸収糸で腹筋を縫合して閉じ、創傷クリップを使用して皮膚外層を閉じる。手技の合間には手術器具から血液及び組織残屑を除去し、また、動物ごとにホットビーズ滅菌器を使用して器具を再滅菌する。手術後、動物をケージに戻してヒートパッド上またはヒートランプ下に置き、麻酔から覚めるまでモニタリングする。
【0305】
術中ケア:Deltaphase等温パッドを使用して動物を保温する。手術期間中は動物の眼に滅菌眼軟膏を用いて水分補給する。低体温を避けるために、手術部位を過度に濡らさないように注意する。呼吸数及び呼吸特性を絶えずモニタリングする。バイタルサインが極度の疼痛及び苦痛を示す場合、動物を二酸化炭素チャンバーに入れた後に頸椎脱臼を行って安楽死させる。
【0306】
術後分析:移植の4週間後、カプセルの大多数をマウスから回収し、CellTiter Glo(登録商標)3D細胞生存性アッセイ(Promega Corporation,Madison,WI USA)を使用してカプセル細胞数(マウスごとに1つのカプセルを2回)を測定する。簡単に説明すると、ウェルごとに1つのカプセルを2回分析し、プレーティングした細胞の標準曲線と比較する。100μlの培地を含む各ウェルに100μlのCellTiter Glo(登録商標)3D試薬を加え、プレートを15分間400rpmのシェーカーに載せ、次いでプレートリーダーで発光を読み取る。また、テクスチャ分析器を使用して、移植前及び1ヶ月の移植期間後の回収時に、各組成物のアリコート中のカプセルの機械的強度(初期破砕)を測定する。
【0307】
実施例6:ポリマーへの追加の化合物のコンジュゲーション
例示的なポリマーは、遊離カルボキシレート等のモノマー上の別の位置で1つ以上のモノマーに追加の化合物をコンジュゲーションすることによってさらに修飾されてもよい。例えば、アルギネートポリマー上の反応性カルボン酸基に化合物をコンジュゲーションすることができる。本明細書に記載のアミン等、カルボン酸にカップリング可能な成分はいずれも、このカップリング反応の適切なパートナーとなり得る。
【0308】
遊離アミンを含む例示的な化合物は、本明細書で概説する方法を使用してアルギネートにコンジュゲーションすることができる。アルギネートポリマーを水(30mL/アルギネート1グラム)に溶解し、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(0.5eq)及びN-メチルモルホリン(1eq)で処理する。次いで、目的のアミン含有化合物をアセトニトリル(0.3M)に溶解し、アルギネート溶液に加える。次いで、反応物を55℃に16時間温め、室温に冷却し、回転蒸発を介して濃縮し、次いで水に溶解する。次いで、シアノ修飾されたシリカゲル(Silicycle)床を介して混合物を濾過し、フィルターケーキを水で洗浄する。次いで、得られた溶液を水に対して24時間透析し(10,000MWCO膜)、その間水を2回交換する。得られた溶液を凍結乾燥により濃縮して、さらに官能化されたアルギネートを得た。
【0309】
実施例7:粒子分析
粒子調製物の様々な特性は、in vitroで、または試験動物もしくはヒト患者等の対象への移植後の様々な時点で分析することができる。
【0310】
例えば、粒子(例えば、ヒドロゲルカプセル)の機械的強度は、製造後、ただし移植前に、テクスチャ分析器を使用して破砕試験を行うことにより決定され得る。一実施形態では、TA.XT plus Texture Analyzer(Stable Micro Systems,Surrey,United Kingdom)にて、5kgロードセルに取り付けられた5mmプローブを使用して、ヒドロゲルカプセルの機械的試験を行う。個々のカプセルをプラットフォーム上に置き、プローブによって上から0.5mm/秒の固定速度で圧縮する。1gの反発力が測定されると、プローブとカプセルとの接触が検出される。プローブは引き続き、プローブの接触高さとプラットフォームとの間の距離の90%を移動し、カプセルを破裂するまで圧縮する。プローブの圧縮力に対する抵抗が測定され、プローブ移動量の関数としてプロットされ得る(力対変位曲線)。典型的には、カプセルが完全に破裂する前にわずかに破砕し、プローブに加えられる力が少し減少する。分析マクロをプログラムして、力対変位曲線において0.25~0.5gの減少が発生する初回を検出することができる。これが発生するときにプローブによって加えられる力は、初期破砕力と呼ばれる。一実施形態では、本明細書に記載の装置を使用して製造されたカプセル調製物の破砕力は、少なくとも10個、20個、30個、または40個のカプセルの初期破砕力の平均である。
【0311】
粒子調製物中の平均粒子サイズは、当該技術分野で知られている任意の分析技術を使用してアリコート中の平均粒子サイズを決定することによって推定することができる。一実施形態では、所望の数の粒子(例えば、少なくとも10、20または30個)を調製物から取り出し、例えば明視野イメージング等の光学顕微鏡検査によって検査する。
【0312】
実施例8:修飾多糖ポリマーを含むヒドロゲルカプセルの調製及び特性解析
この実施例では、本明細書に記載の修飾多糖ポリマーからなる外層と、非修飾多糖ポリマーからなる内層とを含む、2区画ヒドロゲルカプセルの調製について説明する。修飾アルギネート0.25gを生理食塩水4.75gに溶解することにより、化合物101を含むアルギネートの第1の5%(w/w)溶液を調製した。溶液が均質になるまで溶液を一晩混合した。アルギネート0.25を生理食塩水8.3gに溶解することにより、第2のアルギネート溶液も調製し(3%(w/w))、均質になるまで一晩混合した。3%(w/w)非修飾アルギネート溶液2.16gを5%(w/w)修飾アルギネート溶液に加え、混合した。次いで、修飾アルギネート溶液を2つの別々の10mLシリンジに充填した。
【0313】
次いで、針ホルダー内にあり、接地リングに取り付けられた同軸針(17ゲージ)に、Matsusada高電圧発電機を接続した。外側の区画となる、第1(5%(w/w))のアルギネート溶液が充填されたシリンジに接続された8インチのチューブ延長部に、針の側部にあるルアーロック取付具を取り付けた。また、内側の区画となる、第2(3%(w/w))の非修飾アルギネートが充填されたシリンジに接続された8インチのチューブ延長部に、針の頂部にあるルアーロック取付具を取り付ける。シリンジポンプを使用して、250mLの20mM BaCl溶液を含むガラス皿に第1及び第2のアルギネート溶液を注入し、架橋及びヒドロゲルカプセルの形成を行った。次いで、架橋ヒドロゲルカプセルをガラス皿に収集し、緩衝溶液で洗浄し(15回)、次いで、形態及びスフィア強度を評価するためにイメージングした。
【0314】
均等物及び範囲
本出願は、様々な発行特許、公開特許出願、雑誌記事、及び他の刊行物に言及し、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参考文献のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書が優先されるものとする。また、先行技術に入る本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のうちの任意の1つ以上から明白に除外され得る。そのような実施形態は、当業者に知られているとみなされるので、それらは、除外が本明細書に明白に示されない場合であっても除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、任意の理由により、任意の請求項から除外され得る。
【0315】
当業者は、慣例的なものにすぎない実験を使用して、本明細書に記載の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。本明細書に記載の本実施形態の範囲は、上記の明細書、図面、または実施例に限定されることは意図されておらず、添付の特許請求の範囲に示されるとおりである。当業者は、本明細書に対する様々な変更及び修飾が、以下の特許請求の範囲において定義されるように、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。
【国際調査報告】