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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】太陽光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10F 19/80 20250101AFI20250109BHJP
   H02S 30/10 20140101ALI20250109BHJP
   H10F 19/90 20250101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H02S30/10
H01L31/04 570
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539299
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022085149
(87)【国際公開番号】W WO2023126147
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】2119061.6
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246639
【氏名又は名称】レック ソーラー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘン,フック ハイ
(72)【発明者】
【氏名】スリダラ,シャンカー ガウリ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251EA19
5F251FA14
5F251JA02
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251JA09
5F251JA27
(57)【要約】
太陽光モジュールであって、前面及び裏面を有する1つ以上の太陽電池であって、当該太陽電池が、1つ以上の導電性相互接続部材を介して端子に電気的に接続され、かつ封入材によって囲まれている、1つ以上の太陽電池と、モジュールの裏面側で1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置された絶縁裏シートと、封入材と裏シートとの間に介在する積層中間層であって、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置された状態で備える、積層中間層と、を備え、積層中間層が、裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する、太陽光モジュール。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光モジュールであって、
前面及び裏面を有する1つ以上の太陽電池であって、前記太陽電池が、1つ以上の導電性相互接続部材を介して端子に電気的に接続され、かつ封入材によって囲まれている、1つ以上の太陽電池と、
前記モジュールの裏面側で前記1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置された絶縁裏シートと、
前記封入材と前記裏シートとの間に介在する積層中間層であって、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序で前記モジュールの前面側から前記モジュールの前記裏面側まで配置された状態で備える、積層中間層と、
を備え、
前記積層中間層が、前記裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する、太陽光モジュール。
【請求項2】

(i)前記太陽光モジュールが、導電性フレームを更に備え、第1の所定の最小沿面距離が、前記積層中間層の縁部と前記導電性フレームとの間に提供される、
(ii)前記1つ以上の導電性相互接続部材は、前記積層中間層が位置する水平平面を貫いて延在し、第2の所定の最小沿面距離が、前記積層中間層の縁部と前記1つ以上の導電性相互接続部材との間に提供される、
のうちの一方又は両方が適用される、
請求項1に記載の太陽光モジュール。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2の所定の最小沿面距離が、IEC61730-1:2016の表3に基づいて選択される、請求項2に記載の太陽光モジュール。
【請求項4】
(i)が適用され、前記第1の所定の最小沿面距離が、少なくとも単一モジュール電圧又はVOC、及び前記モジュールの汚染度について、IEC61730-1:2016の表3の行1(a)又は行3に与えられた値以上であるように選択される、請求項2又は3に記載の太陽光モジュール。
【請求項5】
(ii)が適用され、前記第2の所定の最小沿面距離が、少なくとも単一モジュール電圧又はVOC、及び前記モジュールの汚染度について、IEC61730-1:2016の表3の行1(a)又は行3に与えられた値以上であるように選択される、請求項2、3、又は4に記載の太陽光モジュール。
【請求項6】
前記積層中間層が、裏面側で前記1つ以上の太陽電池の全てに実質的に重なる、請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項7】
前記積層中間層が、2つ以上の非連続領域を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項8】
(ii)が適用され、前記1つ以上の導電性相互接続部材が、前記中間層の前記非連続領域間の間隙を通って延在する、請求項2に従属する、請求項7に記載の太陽光モジュール。
【請求項9】
前記1つ以上の導電性相互接続部材が、相互接続バスバーを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項10】
前記端子が、前記モジュールの裏面側に位置付けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項11】
前記電気絶縁層が、90℃よりも大きい相対熱指数(RTI)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項12】
前記電気絶縁層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、及びポリカーボネート(PC)からなる群から選択される材料を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項13】
前記電気絶縁層が、0.01mm以上の厚さを有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項14】
前記金属バリアフィルムが、箔層、任意選択的にアルミニウム箔層又は銅箔層を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項15】
前記金属バリアフィルムが、5μm以上の厚さを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項16】
前記積層中間層が、前記中間層の前面側及び/又は裏面側に配設された1つ以上のプライマー層を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項17】
前記1つ以上のプライマー層が、ポリオレフィン材料を含む、請求項16に記載の太陽光モジュール。
【請求項18】
前記1つ以上のプライマー層の各々が、エチレン酢酸ビニル(EVA)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むポリエチレン(PE)、及びポリオレフィンエラストマー(POE)からなる群から選択される材料を含む、請求項17に記載の太陽光モジュール。
【請求項19】
前記1つ以上のプライマー層が、接着剤層を介して前記電気絶縁層及び/又は金属バリアフィルムに積層される、請求項16~18のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項20】
前記裏シートがポリマー裏シートである、請求項1から19のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項21】
前記1つ以上の太陽電池が、ヘテロ接合技術(HJT)電池である、請求項1から20のいずれか一項に記載の太陽光モジュール。
【請求項22】
太陽光モジュールを製造するための方法であって、前記方法が、
(i)1つ以上の太陽電池を提供するステップであって、前記太陽電池が、1つ以上の導電性相互接続部材を介して端子に電気的に接続される、ステップと、
(ii)前記1つ以上の太陽電池を囲むように封入材を配置するステップと、
(iii)前記モジュールの裏面側で前記1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように、裏シートを配置するステップと、
(iv)前記裏シートの前記側方範囲よりも小さい側方範囲を有する積層中間層を、前記太陽光モジュールの前記封入材と前記裏シートとの間に介在させるように配置するステップであって、前記積層中間層が、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序で前記モジュールの前面側から前記モジュールの前記裏面側まで配置された状態で備える、ステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
積層中間層を前記太陽光モジュールの前記封入材と前記裏シートとの間に介在させるように配置する前記ステップ(iv)が、封入材を、前記1つ以上の太陽電池を囲むように配置する前記ステップ(ii)と、裏シートを、前記モジュールの裏面側で前記1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置する前記ステップ(iii)と、の間で実行される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記積層中間層は、前記裏シートが前記モジュールの裏面側で前記1つ以上の太陽光モジュール及び封入材に重なるように配置される前に、前記裏シートに取り付けられ、ステップ(iii)及び(iv)が、組み合わせの中間層-裏シートを、前記モジュールの裏面側で前記1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置する単一の方法ステップとして実行される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光モジュール、及び太陽光モジュールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光からの電気エネルギーを提供するための太陽光モジュールは、典型的には、太陽電池(本明細書では光起電力電池又はPV電池とも称される)のアレイを備える。典型的な太陽光モジュールアーキテクチャは、透明な前シート(典型的にはガラス)と、太陽電池のアレイを囲む封入材層と、保護裏シート(「バッキングシート」又は「バッキング層」とも称されることがある)と、アルミニウム周囲フレームと、を含む。前シート、封入材層、裏シート、及び周囲フレームの主な目的は、太陽電池を物理的に(例えば、機械的衝撃に対して)かつ化学的に(例えば、水分浸透に対して)保護することである。好適なモジュールアーキテクチャを提供することは、太陽電池の予想される寿命及び効率を増加させることができ、それによって太陽光モジュールによって生成される電気エネルギーの平均コストを低減する。
【0003】
従来、太陽光モジュール裏シートは、ポリマーなどの絶縁材料から製造されている。裏シートに絶縁材料を使用することは、例えば、IEC61730-1:2016「太陽(PV)光モジュールの安全適合認定-第1部:構造に対する要求事項」などに記載されているような国際的な安全規格を満たすために、モジュールのジャンクションボックスの周りに好適な量の絶縁を提供することが容易であるという多くの利点を有し、この規格は参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
しかしながら、いくつかの太陽光モジュール、特に、ヘテロ接合セル(HJT)製品などの比較的高出力のモジュールの場合、ポリマー裏シートは、好適な放熱及び/又は耐湿性を提供しない。したがって、ヘテロ接合セル(HJT)製品を含むいくつかの太陽光モジュールの場合、アルミニウム裏シートを使用することが典型的である。アルミニウム裏シートの使用は、ポリマー裏シートの使用と比較して、改善された放熱及び耐湿性を提供することができる。
【0005】
いくつかの裏シート配置は、金属層及びポリマー層が組み合わされて使用されることが知られている。例えば、WO2010/073735A1は、電気絶縁ベースシートがアルミニウム鉄合金シートの少なくとも1つの表面に積層されている太陽電池モジュール用の裏表面保護シートを開示している。
【0006】
US2008/053512A1は、太陽光モジュール用の裏シートを開示しており、裏シートは、前面側の樹脂フィルム、バリアフィルム、及び裏面側の樹脂フィルムを、その順序で備える積層体であり、前面側の樹脂フィルムは、主成分としてポリオレフィンを含む。
【0007】
本発明は、上記の考慮事項に照らして考案されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、太陽光モジュール内の好適な積層中間層の提供が、既存の太陽光モジュールアーキテクチャに関連するいくつかの既知の問題を緩和又は回避し得る太陽光モジュールのための改善されたアーキテクチャを提供することができることに気付いた。
【0009】
したがって、第1の態様では、本発明は、以下を備える太陽光モジュールを提供する:前面及び裏面を有する1つ以上の太陽電池であって、当該太陽電池が、1つ以上の導電性相互接続部材を介して端子に電気的に接続され、かつ封入材によって囲まれている、1つ以上の太陽電池;モジュールの裏面側で1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置された絶縁裏シート;封入材と裏シートとの間に介在する積層中間層であって、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置された状態で備える、積層中間層。積層中間層は、裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する。
【0010】
絶縁裏シートと、太陽電池を囲む封入材と裏シートとの間に介在する電気絶縁層及び金属バリアフィルムを備える積層中間層と、を有し、積層中間層が裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する、モジュールを提供することによって、純アルミニウム裏シートを有する従来のモジュールと比較して、同様又は改善された信頼性を有するモジュールを提供する(太陽光モジュール内への侵入ガス及び/又は液体分子の浸透の好適な低減を提供することによって、並びに太陽電池から離れる改善された熱伝達を提供することによって)ことが可能であるが、積層中間層と太陽光モジュールの他の部分との間に提供される側方間隔に起因するモジュールの導電性部分間の静電気蓄積及び放電のリスクは低減される。対称的に、アルミニウム裏シートを有するモジュールでは、モジュールの電気端子を含むジャンクションボックスコネクタと裏シートとの間に比較的高い短絡率が観察され得る。短絡のリスクの増加は安全上のリスクであり、更にモジュールのエネルギー収率の低下につながり、モジュールの廃棄につながる可能性がある。別の問題は、裏シートとジャンクションボックスとの間の距離が短いため、アルミニウム裏シートが高電圧で充電される傾向があることである。これは、高電圧でモジュールの周囲フレームへの静電気放電をもたらす可能性があり、望ましくない。
【0011】
更なる利点は、上述したモジュールアーキテクチャが、モジュールの特定の部分における追加の絶縁材料の提供の必要性を低減することができ、特に、裏シート自体をモジュールの他の部分から分離する必要性を排除することができ、これにより、太陽光モジュールの製造の複雑さ及びコストを低減することができることである。これと比較して、1つ以上のポリマー層を組み込む既知のアルミニウム又は複合裏シートは、典型的には、金属層と、アルミニウム周囲フレーム及び/又はジャンクションボックスなどの太陽光モジュールの他の電気的活性部分又は導電性部分との間に好適な絶縁を提供する必要がある。なぜなら、複合裏シートの金属層が存在する場合、これは、裏シートの他の層(絶縁層を含む)と同じ側方範囲を有するためである。これにより、そのような裏シートを組み込む太陽光モジュールの製造の複雑さ及びコストが、金属含有裏シートの適切な分離を確保するために導入される追加の構成要素及びプロセスに起因して、増加する可能性がある。
【0012】
「積層中間層」という用語は、本明細書では、積層構造体を有する中間層を説明するために使用される。それは、互いに積層された材料の1つ以上の層を備える素子である。1つ以上の層は、物理的及び/又は化学的接合を介して互いに積層され得る。本配置では、1つ以上の層は、少なくとも2つの異なる材料、すなわち、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを含む。積層中間層の構造及び組成に関する更なる詳細を以下に記載する。
【0013】
フィルム、シート、又は基板などの素子が、素子に対して「上に」、「隣接して」、又は「反対側に」存在すると称されるとき、それは、その更なる素子に対して「直接上に」、「直接隣接して」、又は「直接反対側に」存在し得、代替的に、1つ以上の間に挟まる素子が存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、素子が別の素子の「直接上に」、「直接隣接して」、又は「直接反対側に」存在するものとして言及される場合、間に挟まる素子は存在しない。
【0014】
太陽光モジュールは、幅、長さ、及び高さ(厚さと称されることもある)を備える。典型的には、太陽光モジュールの高さ(又は厚さ)は、その長さ及び幅よりも実質的に小さい。モジュールの長さ及び幅は、(正方形モジュールの場合)実質的に等しくてもよく、又は(長方形モジュールの場合)異なっていてもよい。太陽光モジュールは、前面(代替的に、前表面と称される)及び裏面(代替的に、裏表面と称される)を有し、前面側及び裏面側は、使用中のモジュール内の太陽電池の典型的な向きに基づいて画定される。太陽電池は、前面及び裏面を有する。本明細書では、「前」及び「前方」という用語は、使用中の光源(例えば、太陽)に向かい、太陽光モジュールの前面に直交する方向を指すために使用され、「裏」、「後」、及び「後方に」という用語は、前/前方方向とは反対の方向を指すことが意図されている。
【0015】
「側方」という用語は、例えば、「側方範囲」という文脈では、本明細書において、太陽光モジュールの高さ方向に実質的に直交し、かつ太陽光モジュールの上面及び下面に実質的に平行な平面に位置する方向を指すように使用される。したがって、「側方範囲」という用語は、そのような平面内の面積を指す。積層中間層は、裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有するため、積層中間層は、側方向において裏シートのそれぞれの縁部に部分的に重なる少なくとも1つの縁部を有し得る。いくつかの配置では、積層中間層の各縁部は、側方向において裏シートのそれぞれの縁部に重なり得る。
【0016】
本明細書で使用される「導電性」及び「絶縁する」という用語は、それぞれ、導電性及び電気的な絶縁を意味することが明示的に意図される。これらの用語の意味は、本開示の技術的文脈、すなわち光起電力太陽光モジュールの文脈を考慮すると、特に明らかであろう。
【0017】
次に任意選択的な機能について述べる。これらは、単独で、又は任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0018】
まず、積層中間層の構成、及びモジュール内の当該層の配置に関する任意選択的な特徴について考察する。次いで、モジュールの全体的なアーキテクチャに関連する任意選択的な特徴について考察する。
【0019】
積層体が、導電性素子である金属バリアフィルムを備えるので、モジュールの導電性部分間の静電気の蓄積及び放電のリスクを最小化するために、積層中間層とモジュールの導電性素子との間に最小の所定の沿面距離を提供することが好ましい場合がある。ここでは、沿面距離は、IEC61730-1:2016で提供されている定義に従って定義されている。すなわち、沿面距離は、2つの導電性活性部分の間、又は導電性活性部分とアクセス可能部分(ここでのアクセス可能とは、通常の使用中にアクセス可能な部分を指す)との間の固体絶縁材料の表面に沿った最短距離として定義される。沿面距離は、「cr」と略されることがある。好ましくは、所定の最小沿面距離は、積層中間層の金属バリアフィルム層との間、及びモジュールの1つ以上の導電性活性部分又は導電性アクセス可能部分との間に提供される。
【0020】
太陽光モジュールは、典型的には、多くの導電性活性部分及び/又はアクセス可能部分を含む。例えば、太陽光モジュールは、フレーム、又は1つ以上のフレーム素子を備え得る(以下、モジュールアーキテクチャ全体に関するセクションで更に詳細に考察する)。太陽光モジュールが導電性フレーム又はフレーム部材(例えば、金属フレーム又はフレーム部材)を備える場合、第1の所定の最小沿面距離は、積層中間層の縁部と導電性フレーム又はフレーム部材との間に提供されることが好ましい。第1の所定の最小沿面距離は、積層中間層の金属バリアフィルム層の縁部と導電性フレーム又はフレーム部材との間に提供されてもよく、ここでは、金属バリアフィルム層と積層中間層の縁部とは、整列されていない。しかしながら、いくつかの配置では、太陽光モジュールは、導電性フレームを備えなくてもよい。
【0021】
全体的なモジュールアーキテクチャに関するセクションにおいて、以下でより詳細に考察するように、モジュールの端子への1つ以上の太陽電池の電気的接続のために提供された1つ以上の導電性相互接続部材は、積層中間層が位置する水平平面を貫いて延在し得る。この場合、第2の所定の最小沿面距離は、積層中間層の縁部と1つ以上の導電性相互接続部材との間に提供されることが好ましい。第2の所定の最小沿面距離は、積層中間層の金属バリアフィルム層の縁部と、1つ以上の導電性相互接続部材との間に提供されてもよく、ここでは、金属バリアフィルム層の縁部と積層中間層の縁部とは、整列されていない。しかしながら、いくつかの配置では、1つ以上の導電性相互接続部材は、積層中間層が存在する水平平面を貫いて延在しなくてもよい。
【0022】
必要に応じて、第1及び/又は第2の所定の最小沿面距離は、伝達されるシステム電圧及び汚染度を考慮して、IEC61730-1:2016の表3に基づいて、この表に示されるように選択され得、この表は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
汚染度は、微小環境の予想される汚染の数値分類特性である。汚染度は、1、2、又は3であり得るが、好ましくは1である。埃及び水分の侵入からの保護を提供するために閉じられた又は封入された部分について、試験シーケンスB.1を含むIEC61730-2に従う試験要件が満たされている場合、汚染度は1であるとみなすことができる。
【0024】
システム電圧は、動作条件下での動作電圧である。単一モジュールの場合、これは、使用中にその単一モジュールによって伝達される電圧(「単一モジュール伝達電圧」)、又はモジュールVOCであり得る。しかしながら、強化された安全性のために、複数のモジュールが単一設備の一部として接続されるシステムでは、複数のモジュールを含む設備全体の総システム電圧は、第1の又は第2の所定の沿面距離の一方又は両方の決定のために考慮され得る。
【0025】
したがって、第1の所定の最小沿面距離は、少なくとも単一モジュール電圧又はVOC、及びモジュールの汚染度について、IEC61730-1:2016の表3の行1(a)又は行3に与えられる値(これらの値は、全てのシステム電圧及び汚染度で同じである)以上であるように選択され得る。例えば、100V DCの電圧又はVOC、及び1の汚染度を有するモジュールの場合、第1の所定の最小沿面距離は、0.5mm以上であり得る。300V DCの電圧又はVOC、及び1の汚染度を有するモジュールの場合、第1の所定の最小沿面距離は、1.4mm以上であり得る。1000V DCの電圧又はVOC、及び1の汚染度を有するモジュールの場合、第1の所定の最小沿面距離は、6.4mm以上であり得る。
【0026】
これは、上で考察したように、最小の好ましい沿面距離であるが、単一のモジュール電圧に基づいて必要とされるよりも大きい沿面距離が使用され得る。例えば、上で考察したように、モジュールが複数のそのようなモジュールを組み込むシステムに設置される場合、複数のモジュールを含む設備全体の総システム電圧を考慮することが好ましい場合がある。したがって、一例では、約50VのVoc及び1の汚染度(すなわち、IEC61730-1:2016の表3に基づく0.5mmのみの必要最小沿面距離)を有する単一のモジュールが、複数のそのようなモジュールを組み込むシステムに設置され、総システム電圧が1000Vである場合、第1の所定の最小沿面距離は、1000Vのシステム電圧について表3に示される値に併せて、6.4mm以上であるように選択され得る。
【0027】
第2の所定の最小沿面距離は、少なくとも単一モジュールシステム電圧又はVOC、及びモジュールの汚染度について、IEC61730-1:2016の表3の行1(a)又は行3に与えられる値(これらの値は、全てのシステム電圧及び汚染度で同じである)以上であるように選択され得る。例えば、100V DCの電圧又はVOC、及び1の汚染度を有するモジュールの場合、第2の所定の最小沿面距離は、0.5mm以上であり得る。300V DCの電圧又はVOC、及び1の汚染度を有するモジュールの場合、第2の所定の最小沿面距離は、1.4mm以上であり得る。1000V DCの電圧又はVOC、及び1の汚染度を有するモジュールの場合、第2の所定の最小沿面距離は、6.4mm以上であり得る。上記と同様に、これは、モジュールについての最小の好ましい沿面距離であり、安全性のために、より大きな沿面距離が選択され得る(例えば、複数のそのようなモジュールを組み込むシステムの総システム電圧に基づいて)。
【0028】
上述したように、積層中間層は、封入材と裏シートとの間に介在する。すなわち、積層中間層は、太陽電池の裏面側に提供される。積層中間層は、裏面側で1つ以上の太陽電池の全てに実質的に重なり得る。言い換えれば、積層中間層の側方範囲は、1つ以上の太陽電池の全側方範囲よりも大きくてもよい。これは、重ねられた太陽電池の各々から離れる好適な熱伝達を可能にし、また、侵入するガス及び/又は液体分子の浸透に対して、重ねられた太陽電池の各々にある程度の保護を提供することによって、モジュールの向上した信頼性を提供することができる。
【0029】
いくつかの配置では、積層中間層は、2つ以上の非連続領域を備える。言い換えれば、積層中間層は、2つ以上の別個の部分を備えることができ、各部分は、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置された状態で備える。積層中間層が2つ以上の非連続領域を備える場合、当該領域は、実質的に同じ水平平面内に延在することが好ましい。当該領域は、同じ構造を有することが好ましい。これは、積層中間層の別個の部分が、製造プロセス中に同時に又は密接に連続して配置され得るので、モジュールの組み立ての向上した容易を可能にし得る。積層中間層が2つ以上の非連続領域を備える配置は、モジュールがモジュールの中央領域にモジュールを貫いて延在する1つ以上の導電性素子を備える場合、これは、積層中間層がそのような導電性素子との直接接続を回避するために複雑な形状に形成される必要性を低減できるので、特定の利点を提供し得る。例えば、モジュールが、積層中間層が存在する水平平面を貫いて延在する1つ以上の導電性相互接続部材を備える場合、積層中間層は、1つ以上の導電性相互接続部材が中間層の非連続領域間の間隙を通って延在するように配置され得る。これにより、モジュールの製造の複雑さを軽減することができる。
【0030】
上で考察したように、積層中間層の最小構造体は、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置された状態で含む。積層中間層の前面側に絶縁層を提供することは、封入材に囲まれた太陽電池と積層中間層の金属バリアフィルムとの間に好適な厚さの絶縁体が提供されることを可能にする。
【0031】
電気絶縁層は、その長さ及び幅よりも有意に小さい厚さを有し得る。電気絶縁層は、IEC61730-1:2016の表3に基づいて基づいて、具体的には、「薄層の厚さ」という見出しの行に与えられた層厚さの要件に基づいて選択される厚さを有し得る。したがって、電気絶縁層は、0.01mm以上の厚さを有し得る。したがって、電気絶縁層は、0.05mm以下の厚さを有し得る。例えば、電気絶縁層の厚さは、約0.01mm、約0.02mm、約0.03mm、約0.04mm又は約0.05mmであり得る。電気絶縁層は、IEC61730-1:2016に定められた規格を満たしながら、可能な限り薄くなることが有利であり得る。したがって、絶縁層の好ましい厚さは、0.01mm~0.03mmである。電気絶縁フィルム厚さは、実質的に均一であり得る。電気絶縁層は、実質的に平面であり得る。
【0032】
電気絶縁層は、90℃よりも大きい相対熱指数(RTI)を有する材料から形成され得る。RTIは、摂氏(C)単位の温度であり、この温度に長期間曝された後、特質(例えば、電気絶縁性能)が、初期値の50%に低下する温度である。RTIは指数であるが、典型的には、摂氏単位で与えられるが、当技術分野では無単位値と称されることもある。RTIは、IEC60216-5又はIEC60216-1に従って決定される。
【0033】
この電気絶縁層が好適な相対熱指数を有する材料から形成されている場合、これは、IEC61730-1:2016で定義されているように、クラスII PVモジュールの絶縁、沿面距離(cr)、又はクリアランス(cl)を通る距離を計算する際に含まれるIEC規格を満たすことができる。具体的には、絶縁材として使用される材料は、IEC60216-5又はIEC60216-1に従って、温度試験(MST21)中の特定の装着状況(例えば、屋根に装着されている状況)で測定された材料の最大正規化動作温度又は90℃のうちいずれか高い方の温度以上の最小RTIを有する必要がある。オープンラックに装着されたPVモジュールの場合、正規化された測定された最大PVモジュール動作温度は90℃であると仮定され得るので、絶縁は少なくとも90℃であることが要求される。90℃よりも小さいRTIを有する材料は、IEC61730-1:2016で定義されているクラスII PVモジュールの絶縁、沿面距離(cr)、又はクリアランス(cl)を通る距離を計算する際に含まれるIEC規格を満たさない。
【0034】
したがって、電気絶縁層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、及びポリカーボネート(PC)からなる群から選択される材料を含み得る。好ましくは、電気絶縁層は、105℃のRTIを有するPETを含む。
【0035】
金属バリアフィルムは、任意の好適な金属材料から形成され得る。好ましくは、金属バリアフィルムは、アルミニウムから形成されるが、銅などの他の金属材料の使用も企図される。アルミニウムを使用することで、耐食性が高く、空気中での酸化率が低いなどの利点がある。更に、アルミニウムは、モジュールの全体的な重量を低減するのを助けることができる低密度を有する。「フィルム」という用語は、実質的に薄い層、例えば、箔、又は材料の薄いストリップを画定する素子を指すことが理解されるであろう。バリアフィルムは、その長さ及び幅よりも有意に小さい厚さを有し得る。好ましい配置では、金属バリアフィルムは、アルミニウム箔から形成される。アルミニウム箔は、低密度(したがって軽量)であり、費用対効果が高く、製造中の作業が容易である。
【0036】
金属バリアフィルムの厚さは、0.005mm以上(すなわち、5μm以上)、例えば、0.006mm以上、又は0.007mm以上であり得る。金属バリアフィルムの厚さは、0.011mm以下、例えば、0.010mm以下、又は0.009mm以下であり得る。好ましくは、金属バリアフィルムの厚さは、0.007mm~0.009mmの範囲である。使用される金属バリアフィルムの正確な厚さは、製造業者の能力及び材料コストに依存し得る。
【0037】
バリアフィルムの厚さは、実質的に均一であり得る。バリアフィルムは、実質的に平面であり得る。
【0038】
バリアフィルムは、実質的に連続するように構成され得る。言い換えれば、バリアフィルムは、(例えば、平面)材料の単一の連続した部分として提供され得る。このようにして、バリアフィルムは、通常であれば侵入要素(例えば、ガス及び/又は液体分子)が太陽電池に向かって流れることができる経路を提供するであろう、あらゆる孔、開口部、空間、又はアパーチャを欠くように構成され得る。積層中間層が2つ以上の非連続領域を備える配置では、バリアフィルムは、積層中間層の各画定された領域内で実質的に連続し得る。このようにして、積層中間層を貫く孔、開口部、空間、又はアパーチャの数は、当該非連続領域間の空間にのみ制限され得る。
【0039】
電気絶縁層は、接着剤層を介して金属バリアフィルム上に積層され得る。任意の好適な接着剤が使用され得る。好適な接着剤の一例は、アクリル接着剤である。したがって、積層中間層は、電気絶縁層、接着剤層、金属バリアフィルム(その順序で、モジュールの前面側からモジュールの裏面側まで)を備え得るか、又はそれらからなり得る。
【0040】
積層中間層は、中間層の前面側及び/又は裏面側に配設された1つ以上のプライマー層を備え得る。そのようなプライマー層の提供は、製造中に積層中間層と太陽光モジュールの隣接層との間の向上した接着性を提供することができる。例えば、プライマー層の使用は、積層中間層が例えば、アクリルグルーで太陽光モジュールの隣接する層に直接取り付けられる配置と比較して、約150N/cmのEVAとの強い接着性を与えることができ、これは、約5~10N/cmの接着強度を提供するであろう。
【0041】
好ましくは、積層中間層は、前面側プライマー層と、裏面側プライマー層との両方を備える。したがって、積層中間層の構造は、前面側プライマー層、電気絶縁層、接着剤層、金属バリアフィルム、裏面側プライマー層を(その順序で、モジュールの前面側からモジュールの裏面側まで)備え得るか、又はそれらからなり得る。
【0042】
1つ以上のプライマー層は、ポリオレフィン材料を含み得る。ポリエフィンは、単純なオレフィンモノマー(例えば、C2n)から生産されるポリマーのタイプを定義することが理解されるであろう。ポリオレフィン材料は、熱可塑性樹脂及びエラストマーから少なくとも部分的に形成されたポリマー/充填剤ブレンドを指し得る。1つ以上のプライマー層の各々は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むポリエチレン(PE)、又はポリオレフィンエラストマー(POE)からなる群から選択される材料を含む。
【0043】
1つ以上のプライマー層が積層中間層の一部として存在する場合、これらは、接着剤層を介して電気絶縁層及び/又は金属バリアフィルム上に積層され得る。任意の好適な接着剤が使用され得る。好適な接着剤の一例は、アクリル接着剤である。したがって、積層中間層は、前面側プライマー層、接着剤層、電気絶縁層、接着剤層、金属バリアフィルム、接着剤層、裏面側プライマー層を(その順序で、モジュールの前面側からモジュールの裏面側まで)備え得るか、又はそれらからなり得る。
【0044】
次に、デバイスの全体的なアーキテクチャに関連する任意選択的な特徴について考察する。
【0045】
1つ以上の太陽電池の特定の構造及び構成は、特に限定されず、提案された積層中間層のいくつかの利点は、モジュール内の太陽電池の特定の性質とは独立して実現され得る。しかしながら、本発明は、事実上、全てのタイプの太陽電池に適用可能であるが、本発明は、太陽電池がヘテロ接合技術(HJT)タイプの太陽電池である場合に特定の利点を有し得る。HJT型太陽電池は、2つの異なる材料を組み合わせてpn接合で電荷分離場を作成するので、そのように命名されている。それらは、より従来の太陽電池と比較して改善された性能を提供することができるが、典型的には、そのような電池を組み込み、より良い放熱及びより良い耐湿性を提供して、好適な製品信頼性を確保する太陽光モジュールを必要とする。上で考察したように、好適な積層中間層の提供は、HJT太陽電池での使用に好適な既知の代替的なモジュールアーキテクチャに関連する問題を低減しながら、太陽光モジュールへの侵入ガス及び/又は液体分子の浸透の低減と、改善された太陽電池から離れる熱伝達との両方を可能にすることができる。したがって、太陽光モジュールは、好ましくは、1つ以上のヘテロ接合技術(HJT)太陽電池を備えるヘテロ接合技術(HJT)太陽光モジュールである。
【0046】
太陽光モジュールは、1つ以上の太陽電池を備える。好ましくは、太陽光モジュールは、複数の太陽電池を含む。太陽光モジュールが複数の太陽電池を備える場合、これらは、アレイ状に配置され得る。太陽電池のアレイは、太陽光モジュールの長手方向(例えば、長さ方向)及び/又は横方向(例えば、幅方向)に延在するアレイ内に配置され得る。太陽電池は、長方形又は正方形の格子パターンなどの格子状に配置され得る。
【0047】
複数の太陽電池が存在する場合、太陽電池のいくつか又は全ては、実質的に同じ平面内に配置され得る。したがって、太陽電池は、実質的に平面のアレイ内に配置され得る。太陽電池は、各々、それらが同じ参照平面内に整列するように配置され得る。例えば、第1の太陽電池は、第1の太陽電池の水平方向平面が第2の太陽電池の水平方向平面と整列するように配置され、例えば配向され得る。第1及び第2の太陽電池の参照平面は、太陽光モジュールの水平方向平面と実質的に整列され(例えば、平行)得る。代替的に、太陽電池のいくつか又は全ては、屋根板状又は屋根板配置で配置され得る。このように、第1の太陽電池は、第2の太陽電池と少なくとも部分的に重なるように配置され得る。
【0048】
典型的には、モジュール内の1つ以上の太陽電池は、互いに直列に又は並列に電気的に接続される。いくつかの配置では、モジュール内の全ての太陽電池は、直列に接続され得る。他の配置において、選択された数の太陽電池は、太陽電池ストリングとして直列に接続され得る。複数の太陽電池ストリングは、1つ以上のバイパスダイオードを介して並列に接続され得る。複数の可能な太陽電池配置は当該技術分野で周知であり、任意の好適な配置が本モジュールで使用され得る。
【0049】
1つ以上の太陽電池は、1つ以上の導電性相互接続部材を介してモジュールの端子に電気的に接続される。この文脈では、「端子」という用語は、モジュールの電気回路が終了する点を指すことを意図している。これは、例えば、電気コネクタであり得る。「ビア」という用語は、この文脈では、1つ以上の導電性相互接続部材が、1つ以上の太陽電池から端子までの導電性経路の一部のみを形成し得ることを示すために使用される。1つ以上の更なる導電性素子(例えば、電極、ワイヤ、及び/又はバスバー)が、導電性経路の一部として提供され得る。
【0050】
1つ以上の導電性相互接続部材は、第1の端部において、1つ以上の太陽電池の各々に提供された1つ以上の電極に、直接的又は間接的に接続し得る。1つ以上の電極は、太陽電池から光生成電荷キャリアを抽出するように構成され得る。1つ以上の電極は、それぞれの太陽電池の前表面に配置された前電極、及び/又はそれぞれの太陽電池の裏表面に配置された裏電極を備え得る。言い換えれば、太陽電池は、前接点電池、裏接点電池、又は前接点と裏接点の両方を有する電池であり得る。前及び/又は裏電極は、各々、複数のフィンガー電極を備え得る。各フィンガー電極は、その幅よりも実質的に大きい軸方向の長さを有するように構成され得る。フィンガー電極の幅及び軸方向長さの両方は、太陽電池のそれぞれの表面の平面内で垂直方向に測定され得る。フィンガー電極は、太陽電池の幅方向と平行な横方向に延在し得る。複数の前フィンガー電極及び/又は裏フィンガー電極の各々内のフィンガー電極は、太陽電池のそれぞれの前表面及び裏表面にわたって離隔されて、フィンガー電極間の横方向に延在する空間を画定し得る。フィンガー電極は、太陽電池の長さ方向と実質的に平行である長手方向に離隔され得る。各複数のフィンガー電極は、互いに実質的に平行であり得る。したがって、複数の裏フィンガー電極は、平行な長手方向に離隔された(例えば、等間隔に離隔された)フィンガー電極のアレイを形成し得る。
【0051】
1つ以上の導電性相互接続部材は、第2の端部において、モジュールの端子に直接的又は間接的に接続し得る。それらは、1つ以上のバイパスダイオードを介して当該端子に接続し得る。端子は、太陽光モジュールのジャンクションボックス内に位置付けられる。ジャンクションボックスは、典型的には、1つ以上の更なる太陽光モジュール、又はバッテリ若しくはインバータなどの他のデバイスへの太陽光モジュールの効率的な接続を可能にすることができる1つ以上のプラグコネクタを備える。モジュールがジャンクションボックスを備える場合、これは、太陽光モジュールの裏面側に配置されたハウジング構成要素を備え得る。いくつかの配置では、太陽光モジュールは、例えば、REC Solar Pte.Ltd.名義で欧州特許第EP3017520B1号に開示されているように、複数のジャンクションボックス(例えば、分割ジャンクションボックス配置)を備え得る。太陽光モジュールが複数のジャンクションボックスを備える場合、別個の導電性相互接続部材が、各別個のジャンクションボックスに接続するために提供され得る。例えば、2つのジャンクションボックスが存在する場合、太陽電池を2つのジャンクションボックスの各々に接続することを可能にするために、少なくとも2つの導電性相互接続部材が提供され得る。
【0052】
導電性相互接続部材自体は、導電性ワイヤ部分、箔ストリップ、及び/又はバスバーとして形成され得る。好ましくは、1つ以上の導電性相互接続部材は、相互接続バスバー(ICB)である。1つ以上の導電性相互接続部材が相互接続バスバーである場合、これらは、従来の構造、例えば、スズ/鉛めっき又は任意のはんだ付け可能な合金を有する銅コアを有し得る。
【0053】
1つ以上の導電性相互接続部材の少なくとも一部分が、実質的に太陽光モジュールの高さ/厚さ方向に延在し得る。当該部分は、1つ以上の太陽電池が位置する水平平面からモジュールの端子まで、厚さ方向に延在し得る。端子がモジュールの裏面側に位置付けられている場合、導電性相互接続部材の当該部分は、したがって、1つ以上の太陽電池が位置する水平平面からモジュールの裏面側まで、厚さ方向に延在し得る。したがって、当該部分は、太陽光モジュールを構成する1つ以上の層を貫いて延在し得る。例えば、当該部分は、1つ以上の太陽電池を囲む封入材を貫いて延在し得る。当該部分は、積層中間層が位置する水平平面を貫いて延在し得る。
【0054】
封入材は、1つ以上の太陽電池の封入を提供するように構成され得る。一般に、これは、湿度、水分、雨、及び紫外線(UV)を含み得る外部環境条件から太陽電池を物理的に保護する手段として定義され得る。封入材はまた、太陽光モジュールの構成要素(例えば、太陽電池)をモジュール内の所定の位置に保持するように構成され得る。封入材は、ひねり又は曲げなどの機械的応力、及び雹又は誤った発射物によって引き起こされる低エネルギーの衝撃から太陽電池を保護するように構成され得る。
【0055】
封入材は、前封入材層と、裏封入材層と、を備え得る。前封入材層は、太陽電池の前面側に直接的又は間接的に配設され得る。裏封入材層は、太陽電池の裏面側に直接的又は間接的に配設され得る。前封入材層及び裏封入材層は、同じ材料から形成され得る。代替的に、前封入材層及び裏封入材層は、異なる材料から形成され得る。前及び/又は裏封入材層の材料は、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリオレフィンエラストマー(POE)材料、又は当該技術分野において既知である任意の他の好適な封入材材料から選択され得る。前及び裏封入材層の材料の選択は、電池の特性に依存する。例えば、POEは、より良い体積抵抗率及び水蒸気透過率(WVTR)が要求される場合に使用され得る。EVAは、より低コストの材料が要求される場合に使用され得る。1つの好ましい配置において、前封入材は、ポリオレフィン-エラストマー(POE)から形成され、裏封入材は、エチレン酢酸ビニル(EVA)から形成される。
【0056】
封入材は、その長さ及び幅よりも有意に小さい厚さを有し得る。例えば、封入材の厚さは、0.40mm~0.65mm、例えば、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm又は約0.6mmの範囲であり得る。封入材の側方範囲は、モジュールの裏シートの側方範囲と実質的に同じであり得る。
【0057】
太陽光モジュールは、外側ケーシングを備え得る。絶縁裏シートは、当該外側ケーシングの一部を形成する。外側ケーシングは、太陽光モジュールの前側に配置された前シート又は前プレートを更に備え得る。前シートは、ガラスなどの透明材料から形成され得る。
【0058】
絶縁裏シートは、任意の好適な絶縁材料から形成され得る。好ましい配置では、裏シートはポリマーであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される。ポリマーの使用は、それにもかかわらず他のモジュール構成要素に好適な保護を提供する、費用対効果の高い裏シートを提供することができる。
【0059】
太陽光モジュールは、フレーム、又は1つ以上のフレーム素子を含み得る。フレームは、太陽光モジュールの構成要素を所定の位置に保持し、外側ケーシング(例えば、前シート及び裏シート)の周りにシールを提供するように構成され得る。太陽光モジュールが前シート及び裏シートを備える場合、フレームは、当業者によって容易に理解されるように、太陽光モジュールの構成要素を所定の位置に保持するために、前シートと裏シートとの間に圧縮力を加え得る。
【0060】
第2の態様によれば、太陽光モジュールを製造するための方法が提供され、方法は以下を含む:1つ以上の太陽電池を提供するステップであって、当該太陽電池が、使用中に1つ以上の導電性相互接続部材を介して端子に電気的に接続される、ステップ;1つ以上の太陽電池を囲むように封入材を配置するステップ;裏シートを、モジュールの裏面側で1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように、配置するステップ;裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する積層中間層を、太陽光モジュールの封入材と裏シートとの間に介在させるように配置するステップであって、積層中間層が、電気絶縁層及び金属バリアフィルムを、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置された状態で備える、ステップ。
【0061】
上記の方法に記載されたステップは、記載された順序で実行されなくてもよい。例えば、積層中間層を太陽光モジュールの封入材と裏シートとの間に介在させるように配置するステップは、封入材を、1つ以上の太陽電池を囲むように配置するステップと、裏シートを、モジュールの裏面側で1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置するステップと、の間で実行され得る。
【0062】
いくつかの方法では、積層中間層は、裏シートがモジュールの裏面側で1つ以上の太陽光モジュール及び封入材に重なるように配置される前に、裏シートに取り付けられ得る。そのような方法では、「裏シートを、モジュールの裏面側で1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置する」ステップと、「裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する積層中間層を、封入材と太陽光モジュールの裏シートとの間に介在させるように配置する」ステップとは、したがって、組み合わせの中間層裏シートを、モジュールの裏面側で1つ以上の太陽電池及び封入材に重なるように配置する同じ単一の方法ステップで実行することができる。これは、太陽光モジュールの製造中に必要とされる製造ステップの総数を低減し得る。最終的なモジュールが組み立てられる前に積層中間層が裏シートに取り付けられる場合、そのような取り付けは、例えば、接着剤を適用することによって、又は機械的プレスを使用して積層中間層及び裏シートを取り付けることによって、化学的及び/又は物理的取り付けによって達成され得る。
【0063】
1つ以上の太陽電池を提供するステップは、製造プロセスによって1つ以上の太陽電池を提供することを含み得るか、又は代替的に、別の当事者、例えば、製造業者から1つ以上の太陽電池を取得することを含み得る。
【0064】
1つ以上の太陽電池を囲むように封入材を配置するステップは、1つ以上の太陽電池の前面側に前封入材層を配置するサブステップと、1つ以上の太陽電池の裏面側に裏封入材層を配置するサブステップと、を含み得る。
【0065】
上で考察したように、場合によっては、積層インターレイは、1つ以上の非連続領域を備え得る。したがって、裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する積層中間層を、封入材と太陽光モジュールの裏シートとの間に介在させるように配置するステップは、積層インターレイの第1の部分を配置するサブステップと、積層中間層の第2の部分を配置するサブステップと、を含み得る。
【0066】
この方法は、熱及び/又は圧力を加える1つ以上のステップを含み得る。熱及び/又は圧力の適用は、モジュールの1つ以上の素子の互いへの接着を促進し得る。
【0067】
当業者は、相互に排他的な場合を除き、上記の態様のいずれか1つに関連して記載された特徴又はパラメータが任意の他の態様に適用され得ることを理解するであろう。更に、相互に排他的である場合を除き、本明細書に記載される任意の特徴又はパラメータは、任意の態様に適用され得、かつ/又は本明細書に記載される任意の他の特徴又はパラメータと組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
次に、本発明の原理を示す実施形態及び実験について、添付の図面を参照して考察する。
【0069】
図1A】本発明による太陽光モジュールの概略図を示す。
図1B】本発明による太陽光モジュールの断面側面図を示す。
図2A】本発明による太陽光モジュールを通る部分概略断面図を示す。
図2B】同じモジュールの選択された他の構成要素に対する積層中間層の相対配置の概略平面図を示す。
図3図1の太陽光モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0070】
次に、本発明の態様及び実施形態を、添付図面を参照して考察する。更なる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。本明細書に記載される全ての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
図面では、太陽光モジュールの様々な素子の相対的な寸法が概略的に示されており、縮尺通りではない。例えば、シート、層、フィルムなどの厚さは、明確にするために誇張されている。更に、層、フィルム、領域、又は基板などの素子が別の素子の「上にある」又は「隣接している」ものとして言及又は図示される場合、それは他の素子の上に直接存在し得るか、又は間に挟まる素子もまた存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、素子が別の素子の「直接上にある」又は「直接隣接する」ものとして言及される場合、間に挟まる素子は存在しない。
【0072】
図1A及び図1Bは、本発明に従う太陽光モジュール10を示す。太陽光モジュール10は、格子状のパターンで配置された太陽電池12のアレイを含む。太陽電池12は、太陽光モジュール10の前面側26の透明ガラスシート24aと、太陽光モジュール10の裏面側28に配置された絶縁裏シート24bとの間に挟まれる。このように、絶縁裏シート24b及び透明ガラスシート24aは、それぞれ、太陽光モジュール10の前及び裏の外側ケーシングを画定する。
【0073】
太陽光モジュール10は、太陽光モジュール10の周囲の周りに延在する長方形フレーム102内に装着される。フレーム102は、太陽光モジュール10の縁部を保護し、太陽光モジュール10を構造体(例えば、建物の屋根)に装着するための手段を提供する。フレーム102は、各々、太陽光モジュール10のそれぞれの縁部に装着され、それに沿って延在する4つの細長いフレーム部材104を備える。フレームは、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。
【0074】
図1Aは、太陽光モジュール10の上面(正面)図を示し、図1Bは、図1Aに示すように、破線A-Aに沿って取られた太陽光モジュール10の横断面を示す。太陽光モジュール10は、図1Aの水平方向寸法(すなわち、方向A-Aに沿う)である長さと、図1Aの垂直方向寸法(すなわち、方向A-Aに垂直)である幅と、を有する。
【0075】
図1Bは、太陽光モジュール10の実質的に水平な参照平面RPに配置された複数の太陽電池12を示す。参照平面RPは、太陽光モジュール10の前及び裏の外側ケーシングに実質的に平行であり、それらの間で実質的に中央に延在する。複数の太陽電池12の各々は、ヘテロ接合技術(HJT)太陽電池である。
【0076】
図1Bの上部の矢印は、太陽光モジュール10に入射する太陽放射の方向を示す。太陽電池12の各々は、前表面16(通常の使用では光が入射する)と、前表面16の反対側の後表面18と、を有する。前表面は、使用中に実質的に太陽を向くように構成される。透明ガラスシート24aは、太陽電池12が装着されている中央チャンバに光が通過することを可能にする。前封入材20aはまた、入射光が太陽電池12に到達することを可能にするために透明である。裏封入材20bはまた、透明であり得るが、これは必須ではない。
【0077】
太陽電池12は、図1Aに示すように、太陽光モジュール10の長さ方向及び幅方向の両方に延在する平面アレイ内に配置される。平面アレイは、各サブアレイ内の太陽電池から延在する導電性素子が2つのサブアレイ間のこの間隔間隙内に位置し得るように、2つのサブアレイ間に間隔が提供された2つのサブアレイを備える。
【0078】
太陽電池12は、封入材20a、20bによって囲まれ、これは、太陽光モジュール10の様々な構成要素を所定の位置に固定するのに役立つ。封入材20a、20bは、通常であれば太陽電池12を劣化させ得る、機械的及び化学的損傷の両方から太陽電池12を保護する。前部封入材20aは、ポリオレフィン-エラストマー(POE)から形成され、裏封入材20bは、エチレン酢酸ビニル(EVA)から形成される。前封入材20a及び裏封入材20bは両方とも、0.40mm~0.65mmの範囲の厚さを有する。
【0079】
積層中間層14a、14bは、封入材と裏シートとの間に介在する。積層中間層は、第1の部分14a及び第2の部分14bから形成され、積層の第1及び第2の部分は、裏面側で複数の太陽電池12に重なるように、太陽光モジュールの長さ方向及び幅方向の両方に各々延在する。積層中間層の側方範囲は、絶縁裏シートの側方範囲よりも小さい。積層中間層は、電気絶縁層36と、金属バリアフィルム38と、を備える。積層中間層の構造、及び太陽光モジュールの他の素子に関連するその相対的な配置を、以下の図2に関連してより詳細に考察する。
【0080】
太陽電池12は、導電性相互接続部材30を介して、ジャンクションボックス34内に位置付けられた端子32に対して電気的に接続される。ジャンクションボックス34は、太陽光モジュール10の裏面側に位置付けられる。1つ以上の導電性相互接続部材30は、1つ以上の太陽電池から端子までの導電性経路の一部のみを形成し、導電性経路の残りは、ここに示されていないがその構成及びレイアウトは当業者の一般的な知識の範囲内である、更なる導電性素子(例えば、電極、ワイヤ、及び/又はバスバー)によって提供される。導電性相互接続部材30は、太陽電池が位置する水平参照平面RPからモジュールの裏面側28まで、太陽光モジュールの厚さ方向に延在する。したがって、導電性相互接続部材の一部分は、太陽光モジュールを構築する1つ以上の層を貫いて延在し、ここでそれは、裏封入材層20b、及び絶縁裏シート24bを貫いて延在する。この部分はまた、積層中間層が位置する水平平面を貫いて延在するが、積層中間層と交差又は接触することはない。むしろ、図2に関連して以下で考察するように、積層中間層と導電性相互接続部材との間に側方の間隔が提供される。
【0081】
図2A及び図2Bは、太陽光モジュールの他の素子に対する積層中間層の相対的な配置をより詳細に示す。図2Aは、本発明による太陽光モジュールを通る概略的な部分断面を示す。簡略化のため、断面は、裏封入材層20bと絶縁裏シート24bとの間の太陽光モジュールの層のみを示す。図2Bは、裏シート24b、周囲フレーム102、及び導電性相互接続部材30に対する積層中間層14a、14bの相対配置の概略平面図を示す。
【0082】
積層中間層の側方範囲は、絶縁裏シートの側方範囲よりも小さい。実際、この配置では、積層中間層の各縁部は、側方方向における裏シートのそれぞれの縁部に部分的に重なる。
【0083】
この実施形態では、積層中間層は、互いに接触するか又は別様に交差することがない、すなわち、それらが非連続領域として形成される、2つの別個の部分14a、14bを備える。しかしながら、他の配置では、積層中間層は、規則的又は不規則的形状の単一の連続領域として形成され得る。積層中間層の2つの領域14a及び14bは、形状、サイズ、及び構造において実質的に同一である。したがって、図2A及び図2Bから、積層中間層は、L1+L2の全長にわたって太陽光モジュールの長さ方向に延在することが分かる。裏シートは、太陽光モジュールの長さ方向に長さL3だけ延在する。積層中間層は、太陽光モジュールの幅方向に延在し、全幅はW1+W2である。裏シートは、太陽光モジュールの幅方向に幅W3だけ延在する。したがって、積層中間層の全側方範囲(すなわち面積)は、(L1*W1)+(L2*W2)として計算される。裏シートの全側方範囲は、L3*W3として計算される。(L1*W1)+(L2*W2)<L3*W3。この例示的な実施形態では、L1及びL2は各々、830mmであり、W1及びW2は各々、985mmであり、L3は1713mmであり、W3は1020mmである。積層中間層の側方範囲は、約1.64mである。裏シートの全側方範囲は、約1.75mである。
【0084】
積層中間層の側方範囲は、積層中間層の各縁部が、裏シートのそれぞれの縁部に、側方向に下にはみだして重なるおかげで、絶縁裏シートの側方範囲よりも小さいので、裏シート及び太陽光モジュールの1つ以上の更なる素子(例えば、封入材)が各主要縁部でフレーム102に直接接触することが可能であり、一方、積層中間層は、フレームから離隔したままである。
【0085】
積層中間層は、電気絶縁層36及び金属バリアフィルム38を、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置された状態で備える。積層インターレイは、前面側プライマー層40a及び裏面側プライマー層40bの両方を更に備える。前面側プライマー層は、接着剤層(図示せず)を介して、電気絶縁層36の前面側に配設される。裏面側プライマー層は、接着剤層(図示せず)を介して、金属バリアフィルム38の裏面側に配設される。したがって、積層中間層の構造は、順に、前面側プライマー層、接着剤、電気絶縁層、金属バリアフィルム、接着剤、裏面側プライマー層である。
【0086】
電気絶縁層36は、約0.01mmの厚さを有するPET層であり、これは、IEC61730-1:2016の表3の「薄層の厚さ」の見出しの行に与えられる層の厚さの要件に基づいて選択された。PETは、90℃よりも大きいRTIを有するので、IEC61730-1:2016で定義される絶縁体を通る距離に関するIEC規格を満たし、したがって、太陽電池(図2には示されていない)と金属バリアフィルムとの間に好適な絶縁体を提供する。これは、典型的には封入材層に使用される材料(ここではEVA)は、IEC61730-1:2016の表3に記載されているように、絶縁体を通る距離を提供するための好適な材料として適格な好適な高いRTIを有しないので、有利である。
【0087】
金属バリアフィルムは、アルミニウム箔層である。市販のアルミニウム箔層は、典型的には、例えば、7μm、9μm、11μm以上の厚さで入手可能である。好都合なことに、この実施形態における金属バリアフィルムは、7μmの厚さを有する市販のアルミニウム箔である。薄い箔を使用すると、モジュール全体の重量を低減することができる。バリアフィルム38は、積層中間層の各画定領域14a、14b内で実質的に連続している。このようにして、積層中間層を貫く孔、開口部、空間、又はアパーチャの数を最小化することができる。
【0088】
前面側プライマー層40a及び裏面側プライマー層40bの各々は、ポリオレフィン材料を含む。これにより、裏封入材層20b及び絶縁裏シート24bへの積層中間層の改善された接着が可能になる。
【0089】
図1A及び図1Bに関連して説明したように、太陽光モジュール10は、太陽光モジュール10の周囲の周りに延在する長方形のフレーム102内に装着される。フレーム102は、太陽光モジュール10の縁部を保護し、太陽光モジュール10を構造体(例えば、建物の屋根)に装着するための手段を提供する。フレーム102は、各々、太陽光モジュール10のそれぞれの縁部に装着され、それに沿って延在する4つの細長いフレーム部材104を備える。フレームは、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。
【0090】
モジュールは、約50Vの単一のモジュールVOCを有するモジュールであり、複数のそのようなモジュールを備えるシステムに設置するためのものであり、総システム電圧は約1500Vである。全ての沿面距離の計算におけるモジュールの汚染度は1である。
【0091】
第1の所定の最小沿面距離X1は、積層中間層の縁部と導電性フレーム部材との間に提供される。この第1の所定の最小沿面距離は、少なくとも単一のモジュール電圧、及びモジュールの汚染度について、IEC61730-1:2016の表3の行1(a)に示される値以上であるように選択される。この場合、1500Vの総システム電圧が考慮され、したがって、第1の所定の最小沿面距離は、IEC61730-1:2016の表3に基づいて10.4mm以上であるように選択され、この実施形態では12mmである。この第1の最小沿面距離は、積層中間層の金属バリアフィルム38と導電性フレーム部材104との間の固体絶縁材料の表面に沿った(ここでは、絶縁裏シートの前面側面に沿った)最短距離として定義される。誤解を避けるために、プライマー層のRTI値は典型的には90℃未満であるため、プライマー層の縁部に沿った距離は、この沿面距離を計算する際には含まれていない。したがって、IEC61730-1:2016で定義されるように、クラスII PVモジュールの絶縁、沿面距離(cr)、又はクリアランス(cl)を貫く距離を計算する際に含まれるべきIEC規格を満たしていない。したがって、この文脈における「絶縁材料」という用語は、90℃以上のRTI値を有する材料を含む。
【0092】
図1Bに関連して説明したように、導電性相互接続部材30は、太陽電池が位置する水平参照平面RP(図示せず)からモジュールの裏面側28まで、太陽光モジュールの厚さ方向に延在する。したがって、導電性相互接続部材の一部分は、裏封入材層20b及び絶縁裏シート24bを貫いて、並びに積層中間層が存在する水平平面を貫いて延在する。第2の所定の最小沿面距離X2が、積層中間層の縁部と導電性相互接続部材30との間に提供される。この第2の所定の最小沿面距離は、IEC61730-1:2016の表3に基づいて選択される。この場合、単一のモジュールVOCが考慮され、このように、第2の所定の最小沿面距離は、IEC61730-1:2016の表3に基づいて0.5mm以上であるように選択され、この実施形態では0.5mmである。この第2の最小沿面距離は、積層中間層の金属バリアフィルム38と導電性相互接続部材30との間の固体絶縁材料の表面に沿った(ここでは、絶縁裏シートの前面側面に沿った)最短距離として定義される。誤解を避けるために、プライマー層のRTI値は典型的には90℃未満であるので、プライマー層の縁部に沿った距離は、この沿面距離を計算する際には含まれていない。したがって、IEC61730-1:2016で定義されるように、クラスII PVモジュールの絶縁、沿面距離(cr)、又はクリアランス(cl)を貫く距離を計算する際に含まれるべきIEC規格を満たしていない。したがって、この文脈における「絶縁材料」という用語は、90℃以上のRTI値を有する材料を含む。
【0093】
次に、太陽光モジュール10を製造する例示的な方法を、対応する方法ステップのフローチャートを示す図3を参照して説明する。
【0094】
方法200は、複数の太陽電池12が提供される第1のステップ202から開始する。例示的な配置によれば、複数の太陽電池12は、図1A及び図1Bを参照して上述したように、平面状のアレイ又は格子に配置される。
【0095】
次いで、方法は、前封入材20aが太陽電池の前面側に重ねられ、裏封入材20bが太陽電池の裏面側に重ねられて電池を囲むステップ204に進む。方法ステップ204は、前及び裏封入材に熱及び圧力を加えて、それらを太陽電池12のそれぞれの表面に接着させる任意選択的なステップを含む。例示的な方法によれば、前及び裏封入材は、熱が封入材を少なくとも部分的に溶解し、次いで、封入材層が冷却されると、圧力がそれらを電池12に固定するように構成される。
【0096】
次いで、方法は、電気絶縁層36及び金属バリアフィルム38を含む積層中間層14a、14bが、裏封入材20bの裏面側に重ねられるステップ206に進む。積層中間層は、電気絶縁層及び金属バリアフィルムが、その順序でモジュールの前面側からモジュールの裏面側まで配置されるように、封入材上に重ねられる。積層中間層は、後続のステップで配置される裏シートの側方範囲よりも小さい側方範囲を有する。
【0097】
次いで、方法は、透明ガラスシート24aが前封入材20aの前表面に重ねられ、絶縁裏シートが積層中間層の裏表面に重ねられ、それによって、図1に示すように例示的な太陽光モジュール10を組み立てるステップ208に進む。方法ステップ208は、前封入材20aを透明ガラスシート24aに、積層中間層14、14bを裏シート24bにそれぞれ接着させるように、任意選択的に熱及び圧力を更に加えることを含む。
【0098】
本明細書に記載のモジュールアーキテクチャは、純アルミニウム裏シートを有する従来のモジュールと比較して、(太陽光モジュールへの侵入ガス及び/又は液体分子の透過の好適な低減を提供することによって、並びに太陽電池から離れる改善された熱伝達を提供することによって)同等又は改善された信頼性を有するモジュールをもたらすが、積層中間層と太陽光モジュールの他の部分との間に提供される側方の間隔に起因する、モジュールの導電性部分間の静電気蓄積及び放電のリスクは低減される。更に、モジュールは、比較的簡単に製造される一方で、IEC61730-1:2016に記載されている安全規格を満たすことができる。
【0099】
前述の明細書、又は以下の特許請求の範囲、又は添付の図面に開示された特徴は、それらの特定の形態、又は開示された機能を実行するための手段、又は開示された結果を得るための方法又はプロセスの観点から、必要に応じて、本発明をその多様な形態で実現するために、別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで利用され得る。
【0100】
本発明は、上述した例示的な実施形態と併せて記載されてきたが、多くの均等な修正及び変形が、本開示が与えられるとき、当業者には明らかであろう。したがって、上述した本発明の例示的な実施形態は、限定するものではなく、例示的なものであると考えられる。説明される実施形態に対する様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0101】
あらゆる疑義を避けるために、本明細書に提供される任意の理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的な説明のいずれかに縛られることを望まない。
【0102】
本明細書で使用される任意の章の見出しは、単に構成目的のためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0103】
文脈が別段の要求を必要としない限り、以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、単語「comprise(備える)」及び「inclde(含む)」、並びに「comprises(備える)」、「comprising(備えている)」、及び「including(含んでいる)」などの変形は、記載された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップのグループを含むことを意味するが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップのグループを除外することを意味しないと理解される。
【0104】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数参照を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書において「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用により近似として表される場合、特定の値は別の実施形態を形成することが理解される。数値に関連して、「約」という用語は任意選択的であり、例えば、+/-10%を意味する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
【国際調査報告】