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特表2025-501187駆動トレイン用の回転軸を有する振り子ロッカーダンパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】駆動トレイン用の回転軸を有する振り子ロッカーダンパー
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/12 20060101AFI20250109BHJP
   F16F 15/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F16F15/12 M
F16F15/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539315
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 DE2022100894
(87)【国際公開番号】W WO2023134807
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022100596.8
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ダーゲンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ ヴェアナー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル グヴォズデフ
(57)【要約】
本発明は、駆動トレイン(3)用の回転軸(2)を有する振り子ロッカーダンパーであって、以下の構成要素:第1の外側結合部(6)に、トルク伝達的に結合されている一次側(4)と、少なくとも1つのロッカー要素(8)と、第1のプレテンション力(10)を及ぼすための少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(9)と、少なくとも1つのローラ(11、12)と、第2の外側結合部(7)に、トルク伝達的に結合されている二次側(5)と、を少なくとも有し、少なくとも1つのローラ(11、12)は、この少なくとも1つのローラが、ロッカー側ローラトラック(13)、及びロッカー側ローラトラック(13)に相補的である外側ローラトラック(14)上で転がることができ、かつ少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(9)の第1のプレテンション力(10)を使用して、ローラトラック(13、14)に対してプレテンションがかけられ得るように、取り付けられている、振り子ロッカーダンパーに関する。振り子ロッカーダンパー(1)は、主として、第2のプレテンション力(16)を及ぼすために、ローラ(11、12)、又はローラトラック(13、14)のうちの少なくとも1つの中に少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素(15)が提供されており、ローラ(11、12)が、第2のプレテンション力(16)を使用して、第1のエネルギー貯蔵要素(9)の少なくとも休止位置において、トラックに対して垂直に、ローラトラック(13、14)のうちの少なくとも1つに対してプレテンションがかけられることを特徴とする。
本発明による振り子ロッカー要素を使用することで、干渉ノイズを低減することができ、固有周波数数を非臨界範囲に移動させることによってローラの摺動を安全に防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動トレイン(3)用の回転軸(2)を有する振り子ロッカーダンパー(1)であって、以下の構成要素:
-第1の外側結合部(6)に、トルクが伝達するように結合されている一次側(4)と、
-少なくとも1つのロッカー要素(8)と、
-第1のプレテンション力(10)を及ぼすための少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(9)と、
-少なくとも1つのローラ(11、12)と、
-第2の外側結合部(7)に、トルクが伝達するように結合されている二次側(5)と、を少なくとも有し、
前記少なくとも1つのローラ(11、12)は、前記少なくとも1つのローラ(11、12)が、ロッカー側ローラトラック(13)、及び前記ロッカー側ローラトラック(13)に相補的である外側ローラトラック(14)上で転がることができ、かつ前記少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(9)の前記第1のプレテンション力(10)によって前記ローラトラック(13、14)に対してプレテンションがかけられるように、取り付けられており、
第2のプレテンション力(16)を及ぼすために、前記ローラ(11、12)、又は前記ローラトラック(13、14)のうちの少なくとも1つの中に少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素(15)が提供されており、前記ローラ(11、12)が、前記第1のエネルギー貯蔵要素(9)の少なくとも休止位置において、前記第2のプレテンション力(16)によって、前記トラックに対して垂直に、前記ローラトラック(13、14)のうちの少なくとも1つに対してプレテンションがかけられることを特徴とする、振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項2】
第2のプレテンション力(16)が、少なくとも1つのローラトラック(13、14)によって、関連付けられた前記ローラ(11、12)に及ぼされ、好ましくは、前記ローラトラック(13、14)が、前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)よりも剛性の高い材料を有する、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項3】
前記ロッカー要素(8)が、いずれの場合にも、少なくとも1つのローラ(11、12)によって、前記一次側(4)及び前記二次側(5)上で支持されており、前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)が、いずれの場合にも、前記少なくとも2つのローラ(11、12)に前記第2のプレテンション力(16)を及ぼすために、前記ロッカー側ローラトラック(13)間に配置されている、請求項2に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項4】
前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)の前記第2のプレテンション力(16)が、前記一次側(4)と前記二次側(5)との間のねじれ角(17)に応じて可変であるばね剛性を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項5】
前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)のうちの少なくとも1つが、前記ローラ(11)のうちの1つによって構成されており、
好ましくは、前記ローラ(11)の各々が、前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)のうちの1つを備える、請求項1から4までのいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項6】
前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)のうちの少なくとも1つが、前記関連付けられたローラ(11)に、局所的に限定されるような様態で前記第2のプレテンション力(16)を及ぼすように配置されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項7】
前記ロッカー要素(8)が、その重心を移動させるための追加の質量(18)を備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項8】
駆動トレイン(3)であって、以下の構成要素:
-トルクを出力するための少なくとも1つの駆動機械(19、20)と、
-トルクを受けるための少なくとも1つの消費部(21、22)と、
-前記少なくとも1つの駆動機械(19、20)と消費部(21、22)との間でトルクを伝達するための変速機(23)と、
-請求項1から7までのいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)と、を少なくとも有し、
前記振り子ロッカーダンパー(1)によって、前記少なくとも1つの駆動機械(19、20)と前記消費部(21、22)との間で、調節される様態でトルクが伝達され得る、駆動トレイン(3)。
【請求項9】
自動車(24)であって、請求項8に記載の駆動トレイン(3)と、少なくとも1つの駆動輪(21、22)と、を有し、前記少なくとも1つの駆動輪(21、22)が、前記自動車(24)を推進させるために、前記駆動トレイン(3)によって駆動され得る、自動車(24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動トレイン用の回転軸を有する振り子ロッカーダンパー、そのような振り子ロッカーダンパーを有する駆動トレイン、及びそのような駆動トレインを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる、振り子ロッカーダンパーは、従来技術から既に知られている。例えば、駆動トレイン内の回転シャフト又は回転シャフトシステムの剛性を調節する概念が、独国特許出願公開第102019121204号明細書及び独国特許出願公開第102019121205号明細書によって知られている。これらの振り子ロッカーダンパーは、入力側と出力側とを含み、これらの入力側と出力側とは、トルクが伝達するように互いに(両方向に)結合されている。複数のロッカー要素(ロッカーとも称される)及び複数のエネルギー貯蔵要素が介在される。ロッカー要素は、入力側及び/又は出力側の少なくとも1つの回転要素によって相対的に変位可能に支持されている。回転要素は、それぞれの伝達軌道と相補的な嵌合軌道との間に、ばね要素によって完全に挟持されており、その結果、これらの回転要素は転がることができ、これによりローラと称される。この振り子ロッカーダンパーによって、入力側と出力側との間の相対的なねじれ角は、エネルギー貯蔵要素のばねのたわみに変換される。ランプギアを形成し、ローラトラックとも称される伝達軌道及び相補的な嵌合軌道によって、伝達比を設定することができ、これにより、振り子ロッカーダンパーの剛性を調整することができる。ここでも、伝達比が一定である必要はなく、入力側から出力側へのねじれ角を介してランプギアの傾きを可変に調整することができることが有利である。
【0003】
全ての境界条件下で振り子ロッカーダンパーの所望の特性曲線を実現することができるためには、ローラが常に画定された位置にあることを確実にしなければならない。これは、隣接する接触相手、すなわち、ロッカー要素及び一次側、並びに二次側又はそれらのローラトラックに対する、必要なローラ運動が、専ら転がり運動によって(すなわち、重畳する滑りなしに)行われる場合にのみ達成され得る。このため、ローラとローラトラックとの間の著しい摺動運動、及び一時的な接触力の完全な喪失は、いかなる場合でも回避しなければならない。これが保証されない場合、不必要なローラ運動によるノイズの増加、並びにローラ、及びローラトラック上の接触面の摩耗が大幅に増加する危険性もある。最小ねじれ角又は低トルクレベルでの動作中、すなわち、ローラが休止位置にあるときに遊びが生じる可能性があり、これによりガタつきが生じる場合があることが示されている。自動車に使用されるとき、このガタつきは、自動車の乗員に負の音響効果(いわゆるノイズ・振動・ハーシュネス)として知覚される。
【0004】
振り子ロッカーダンパーは、内部振動モードを有する。原理的には、この点で、少なくとも1つのロッカー要素を外部励起によって共振させることができる。複数のロッカー要素がある場合、互いに同位相で振動することも、互いに逆位相で振動することもできる。この文脈では、システムの固有周波数数は、少なくとも第1のエネルギー貯蔵要素によって決定されるが、とりわけ接触剛性及び構成要素の剛性によっても決定される。低負荷において、最も低い同位相モードは、15Hz[15ヘルツ]~40Hzの周波数範囲にある。したがって、自動車では運転動作中に励磁が起こる可能性がある。振動は、ローラへの接触力の調節につながる。この調節が、加えられた静的プレテンションよりも大きい場合、ローラは浮き上がり、前述の問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、全てのローラ又は個々のローラが、動的作用の結果として、それらのローラトラックのうちの少なくとも1つから浮き上がること、及び/又は摺動することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこから進んで、本発明の目的は、先行技術から知られている欠点を少なくとも部分的に解消することである。本発明による特徴は、有利な実施形態が従属請求項に示されている独立請求項から生じる。特許請求の範囲の特徴は、任意の技術的に合理的であるように組み合わせることができ、本発明の追加の実施形態を含む、以下の記載における説明及び図面からの特徴もまた、この目的のために使用することができる。
【0007】
本発明は、駆動トレイン用の回転軸を有する振り子ロッカーダンパーであって、以下の構成要素:
-第1の外側結合部に、トルクが伝達するように結合されている一次側と、
-少なくとも1つのロッカー要素と、
-第1のプレテンション力を及ぼすための少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素と、
-少なくとも1つのローラと、
-第2の外側結合部に、トルクが伝達するように結合されている二次側と、を少なくとも有し、
少なくとも1つのローラは、この少なくとも1つのローラが、ロッカー側ローラトラック、及びロッカー側ローラトラックに相補的である外側ローラトラック上で転がることができ、かつ少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素の第1のプレテンション力によってローラトラックに対してプレテンションがかけられるように、取り付けられている、振り子ロッカーダンパーに関する。
【0008】
振り子ロッカーダンパーは、特に、少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素が、第2のプレテンション力を及ぼすためにローラ又はローラトラックのうちの少なくとも1つに提供されており、ローラが、第1のエネルギー貯蔵要素の少なくとも休止位置において、第2のプレテンション力によって、トラックに対して垂直に、ローラトラックのうちの少なくとも1つに対してプレテンションがかけられることを特徴とする。
【0009】
以下では、特に明記されていない限り、軸方向、半径方向又は回転の方向、及び対応する用語が使用されるとき、明記された回転軸が参照される。特に明記されていない限り、前及び後の説明で使用される序数は、明確に区別する目的でのみ使用され、指定された構成要素の順序又は順位を示すものではない。1よりも大きい序数は、更なるこのような構成要素が存在しなければならないことを必ずしも意味するものではない。
【0010】
振り子ロッカーダンパーは、駆動トレイン内のトルクを調節するように構成されている。伝達されるトルクは、動作中に回転軸の周りに整列される。この点で、振り子ロッカーダンパーは、この回転軸に対して(好ましくは、回転対称的に)バランスが取られている。
【0011】
更に、振り子ロッカーダンパーは、第1の外側結合部に、トルクが伝達するように結合されている一次側と、第2の外側結合部に、トルクが伝達するように結合されている二次側と、を備える。一次側及び/又は二次側は、好ましくは、円盤若しくは円盤セグメントの形態で板金から形成されており、特に好ましくは、打ち抜き加工及び/又は板金成形によって形成されている。
【0012】
トルクを調節するために、振り子ロッカーダンパーは、少なくとも1つのロッカー要素と、第1のプレテンション力を及ぼすように構成された少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素と、を備える。ロッカー要素は、少なくとも1つ以上(好ましくは、2つ又は3つ)のローラによって一次側上及び/又は二次側上に取り付けられており、その結果、回転の方向に対して枢動、すなわち、揺動され得る(又は、回転の方向に重畳され得る)。好ましくは、2つのエネルギー貯蔵要素及び2つのロッカー要素が提供される。
【0013】
2つ以上のロッカー要素が提供される場合、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素は、好ましくは、2つのロッカー要素の間に提供され、2つのロッカー要素の揺動運動は、2つのロッカー要素の互いに対する相対運動をもたらす。この相対運動により、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素のエネルギーポテンシャルに変化をもたらす。2つのロッカー要素が提供される場合、好ましくは、1つ又は2つのエネルギー貯蔵要素が提供され、これらのエネルギー貯蔵要素は、好ましくは、各場合においてロッカー要素の両端部に配置される。3つのロッカー要素が提供される場合、好ましくは、3つのエネルギー貯蔵要素が提供される。ロッカー要素が1つだけ提供される場合、エネルギー貯蔵要素は、好ましくは、ロッカー要素と、二次側又は一次側のいずれかとの間に配置され、その結果、エネルギー貯蔵要素のエネルギーポテンシャルは、揺動運動の結果として生じる、ロッカー要素と、二次側又は一次側との間の相対運動中に変化する。
【0014】
この点で、少なくとも1つのローラは、動作中、トルクが加えられていない状態でローラトラック内の休止位置にあり、転がることができるようにローラトラック内に取り付けられるように、ロッカー側ローラトラック及び相補的な外側ローラトラック上に配置される。少なくとも1つのローラは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素によって、又はそれによって及ぼされる第1のプレテンション力によって、ローラトラックに対してプレテンションがかけられ、これにより、ランプギアが形成される。
【0015】
ローラトラックは、勾配を克服するために、追加の(運動)エネルギー又は仕事が必要となるように選択された勾配を有する。必要な(運動)エネルギーは、ねじり振動又は調節されるトルクを低減することによって達成され得る。例えば、ローラトラックの勾配及び/又はエネルギー貯蔵要素の剛性、ひいては第1のプレテンション力の絶対値によって、剛性又は減衰値を定義又は調整することができる。これにより、一次側から二次側へ、又はその逆へと、トルク伝達を調節することができる。少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素は、例えば、直線状のばね軸を有する、例えば、らせん状の圧縮ばね、弓形ばね又はガス蓄圧器である。エネルギー貯蔵要素は、一次側及び二次側が互いに対して動くことによって伸縮され得る。
【0016】
ここでは、振り子ロッカーダンパーが少なくとも第2のエネルギー貯蔵要素を備え、第2のエネルギー貯蔵要素が、第2のプレテンション力を及ぼすように構成されていることがここで提案される。第2のプレテンション力は、少なくとも1つのローラが、ローラトラックのうちの少なくとも1つに対して、トラックに対して垂直にプレテンションがかけられるように方向付けられる。ローラは、それぞれのローラトラックと(例えば、線の形で)接触を形成することに留意されたい。それぞれのローラのローラ中心及び接点を通る線は、トラックに対して垂直である。これに直交する線は、トラックに対して接線方向である。加えられたトルクは、ローラによって伝達又は支持されるため、結果として、全てのローラには接線方向の力成分が生じる。一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素は、特定の調整された材料剛性、固体ばね、圧縮ばね、引張ばね、又はレバーばねによって形成されている。第2のエネルギー貯蔵要素は、例えば、外側で(振り子ロッカーダンパーの回転軸に対して)半径方向に支持され、内側で半径方向に力が伝達するように少なくとも1つのローラに結合されている。代替的に、第2のエネルギー貯蔵要素は、例えば、内側で半径方向に支持され、外側で半径方向に力が伝達するように、少なくとも1つのローラに結合されている。したがって、少なくとも1つのローラは、対応する半径方向内側のローラトラック及び/又は半径方向外側のローラトラックに対して半径方向にプレテンションがかけられている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのローラは、例えば、ばね板として構成されている第2のエネルギー貯蔵要素によって、半径方向外側のローラトラックに対して半径方向内側から(又はその逆から)プリテンションがかけられている。
【0017】
構成要素の公差は、プレテンションの減少につながる可能性がある、問題を更に悪化させる。したがって、一実施形態では、ローラは、過大寸法にされており、その結果、これにより、例えば、製造公差による極値を考慮して、目標とする第2のプレテンション力が得られる。
【0018】
この少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素は、休止位置(中立位置とも称される)では、第1のエネルギー貯蔵要素の力が最小であり、これにより、ガタつきの傾向が最大であるという事実を補償する。最小のプレテンション力は、第2のエネルギー貯蔵要素によって確保される。このことは、休止位置において第1のプレテンション力が非常に低くなるように第1のエネルギー貯蔵要素を構成する可能性を開くものであり、実際には、構成関連又は公差関連の遊びの結果、ローラへのプレテンション力が過度に低くなり、ガタつきを抑制できないほど低くなる。第2のエネルギー貯蔵要素により、これは、第1のプレテンション力の構成にかかわらず、常に簡単な手段で確保することができる。したがって、公差補償を達成することができ、その結果、プレテンションの損失は、公差関連の状況において最小限に抑えられる。
【0019】
更なる態様によれば、振り子ロッカーダンパー、特に自由に動くロッカー要素の固有周波数数は、第2のエネルギー貯蔵要素によって変化させることができる。ここでは、第2のエネルギー貯蔵要素によって、関連する負荷範囲のシステムに目標とする弾性を導入することが提案される。この弾性によって、問題となる固有周波数数が低い周波数に移動し、その結果、動作中に励起されなくなる可能性がある。その結果、全ての公差条件下での動的な挙動に対しても、堅牢な機能を達成することができる。これは、図2に示すシミュレーションのグラフ(図3と比較して)で例示的に確認される。
【0020】
一実施形態では、第2のプレテンション力は、トラックに対して垂直にのみ方向付けられていることに留意されたい。これにより、ローラは(少なくとも休止位置では)トラックに対して垂直に、対応するローラトラックにプレテンションをかける。代替的に又は追加的に、第2のプレテンション力は、トラックに対して垂直な力成分に加えて、トラックに対して接線方向の力成分を含む。第2のプレテンション力は、トラックに対して接線方向の力成分のみが含まれることは決してない。
【0021】
第1の実施形態では、振り子ロッカーダンパー内の1つのローラ又は複数のローラは、1つ又は両方の接触相手に対してばね負荷がかけられている。第2の実施形態では、ローラの半径及び/又は関連するローラトラックの形状は、定義された第2のプレテンション力が接点内に生成されるように選択される。第3の実施形態では、結果として生じるばね剛性及びプレテンション力は、ローラと接触相手との間の予想される動的相対運動と組み合わせた予想される公差が、接触力の消失につながらないように選択される。第4の実施形態では、結果として生じるばね剛性は、結果として生じる共振が駆動範囲で励起されないように選択される。第5の実施形態では、ばね負荷によって生じる剛性の特性曲線の変化は、構成に考慮される。一実施形態では、前述の特性のうちの少なくとも2つは、組み合わせられている。
【0022】
振り子ロッカーダンパーの有利な実施形態では、第2のプレテンション力は、少なくとも1つのローラトラックによって、関連付けられたローラに及ぼされることが更に提案され、好ましくは、ローラトラックは、第2のエネルギー貯蔵要素よりも剛性の高い材料を有する。
【0023】
ここでは、第2のエネルギー貯蔵要素は、(関連する)ローラトラック自体によって形成され、したがって、第2のプレテンション力は、ローラトラック自体によって、関連付けられたローラに及ぼされることが提案される。一実施形態では、それぞれの要素(ロッカー要素、一次側、又は二次側)とローラトラックとの間に別個のばね要素が導入される。代替的に、ローラトラック自体は、好適な(低い)剛性を有する材料で作製されている。一実施形態では、ローラトラックは、例えば、プラスチック(ポリアミド[PA]など)であって、好ましくは、射出成形によってベース本体に結合されている、それぞれの要素のベース本体に結合されている別個の材料から形成されている。
【0024】
有利な実施形態では、ローラトラック自体は、この点で、第2のエネルギー貯蔵要素よりも剛性の高い材料から形成され、その結果、ローラは、ローラトラックに沈み込むことが防止される。ローラがローラトラックに沈み込むと、ローラが最初に乗り越えなければならないハードルが生じる。多くの場合、これは、滑りを回避するために望ましくない。一実施形態では、ローラトラックは、硬化されている(ローラ又はその表面は硬化されていない)。
【0025】
振り子ロッカーダンパーの有利な実施形態では、ロッカー要素は、各場合において少なくとも1つのローラによって、一次側で、及び二次側で支持されており、第2のエネルギー貯蔵要素は、各場合において少なくとも2つのローラに第2のプレテンション力を及ぼすために、ロッカー側ローラトラックの間に配置されることが更に提案される。
【0026】
ここでは、第2のエネルギー貯蔵要素を両方のロッカー側ローラトラックに提供することが提案される。この点で、この第2のエネルギー貯蔵要素は、例えば、ロッカー要素の中央に配置され、その結果、ロッカー要素が押し広げられ、これにより、その(ロッカー側)ローラトラックを用いて2つのローラ、すなわち、一次側及び二次側に対して押圧する。このような第2のエネルギー貯蔵要素は、例えば、らせん状の圧縮ばね又は板ばねである。
【0027】
振り子ロッカーダンパーの有利な実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素の第2のプレテンション力は、一次側と二次側との間のねじれ角に応じて可変であるばね剛性を有することが更に提案される。
【0028】
ここでは、ばね剛性は、(一次側と二次側との間の)ねじれ角に依存し、その結果、第2のプレテンション力は、ねじれ角全体にわたって一定ではないことが提案される。例えば、第2のプレテンション力は、対応するばね要素が、例えば、板ばねを停止させるという点で可変である。例えば、第2のプレテンション力は、第2のエネルギー貯蔵要素が領域内のローラ又はローラトラックに作用するようにのみ配置されるという点で可変である。例えば、第2のプレテンション力は、第2のエネルギー貯蔵要素が局所的に依存する(可変の)剛性を有するという点で可変であり、次いで、第2のエネルギー貯蔵要素は、好ましくは、ローラトラック側に配置され、例えば、複数の個々のばね要素で構成されている。代替的に、例えば、第2のエネルギー貯蔵要素の局所的に依存する剛性は、湾曲した板ばね(両側で挟持されている)を使用することによって形成され、この板ばねは、関連付けられたローラトラックから外側に最大に伸長した状態で最大のばねのたわみを有し、この最大湾曲の外側ではより小さなばねのたわみを有し、したがって、最大湾曲と比較してより早く停止させられる。
【0029】
一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素は、カンチレバーとして構成されており、特に好ましくは、ばね板で作製され、カンチレバーは、カンチレバー上の位置に応じて可変であるばね作用に加えて、好ましくは、ローラ又はローラトラックに局所的に限定されるように作用する。
【0030】
一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素は、ばね板で作製されたカンチレバーとして構成されており、第2のプレテンション力に必要なばね剛性をカンチレバーの曲げ変形から引き出すように構成されている。この点で、ばね剛性は、ばね板に作用する力(この場合、第2のプレテンション力)と、結果として生じるばね板のたわみとの比率を示す。第2のエネルギー貯蔵要素のばね剛性は、この点で、第2のプレテンション力の方向に所定のばね剛性を有するように構成されている。
【0031】
カンチレバーは、好ましくは、(一次側と二次側との間の)ねじれ角がゼロに等しくならないように、すなわち、少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素の第1のプレテンション力が増大するときに、第2のプレテンション力が減少するように、挿入されるか、又は方向付けられる。逆に、休止位置に向かって減少する第1のプレテンション力は、少なくとも十分に補償され得る。これは、少なくとも1つのローラが、動作中に対応するローラトラックに対して常にプレテンションがかけられていることを意味する。
【0032】
振り子ロッカーダンパーの有利な実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素のうちの少なくとも1つは、ローラのうちの1つによって構成されていることが更に提案され、好ましくは、ローラの各々は、第2のエネルギー貯蔵要素のうちの1つを含む。
【0033】
この実施形態では、ローラのうちの少なくとも1つ自体は、第2のエネルギー貯蔵要素を有し、これは、例えば、円周の周りに、例えば、プラスチックコーティングとして、又はローラ中心から半径方向に延在する個々の要素として形成されている。個々の要素は、好ましくは、一次側と二次側との間のねじれ角に依存する剛性が本明細書にも反映され得るように、異なるばね剛性及び/又は異なる最大のばねのたわみの長さを用いて構成することができる。
【0034】
振り子ロッカーダンパーの有利な実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素のうちの少なくとも1つは、関連付けられたローラに局所的に限定されるように第2のプレテンション力を及ぼすように配置されることが更に提案される。
【0035】
この実施形態では(別の文脈で既に上記で説明したように)、第2のプレテンション力の一次側と二次側との間のねじれ角に対する依存性は、第2のエネルギー貯蔵要素が局所的に限定されるようにのみそれぞれのローラに作用することによって生じる。例えば、第2のエネルギー貯蔵要素は、その第2のプレテンション力が休止位置においてのみ又は休止位置の領域においてのみそれぞれのローラに作用する状態で配置されるように構成されている。休止位置の外側又は休止位置の領域の外側では、第2のプレテンション力は、ローラに作用しない。このため、第2のエネルギー貯蔵要素は、それぞれのローラトラックに一体化されるか、又はローラトラックと平行にそれぞれのローラに作用する別個の要素である。
【0036】
ローラが局所的に限定されたゾーンの外にある場合、一般に、ローラに作用するプレテンション力が存在しないわけではないことに留意されたい。むしろ、第2のエネルギー貯蔵要素に由来するプレテンション力のみが、もはや有効でないか、又は少なくとも他の加えられる力と比較して無視できる程度になる。
【0037】
更に、振り子ロッカーダンパーの有利な実施形態では、ロッカー要素は、その重心を移動させるための追加の質量を含むことが提案される。
【0038】
ロッカー要素への非対称な力の印加若しくは支持、又は重心の不利な位置が共振振動を増幅する。
【0039】
ここでは、ロッカー要素は、追加の質量を含むことが提案される。この追加の質量は、例えば、別個に付けられた質量であり、かつ/又はロッカー要素は、対応する方法で成形されている。したがって、この追加の質量は、必ずしもそのように認識できるわけではない。むしろ、追加の質量は、ロッカー要素の他の役割、すなわち、力の伝達、並びに少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素に対するローラトラック及び停止部の提供には余分な質量である。このような追加の質量の本来の目的は、振り子ロッカーダンパーに懸架されたロッカー要素の固有周波数数を変化させるように、ロッカー要素の重心を移動させることである。ロッカー要素の重心を移動させると、動的慣性が変化し(シュタイナーの定理)、したがって、システムの固有周波数数も変化する。
【0040】
関連する振動モードにおけるロッカー要素の傾斜成分を低減するために、ロッカー要素の重心は、追加の質量によって、力の印加点に対して最適な点に移される。
【0041】
更なる態様によれば、駆動トレインが提案され、この駆動トレインは、以下の構成要素:
-トルクを出力するための少なくとも1つの駆動機械と、
-トルクを受けるための少なくとも1つの消費部と、
-少なくとも1つの駆動機械と消費部との間でトルクを伝達するための変速機と、
-上述したような一実施形態による振り子ロッカーダンパーと、を少なくとも有し、
トルクが、少なくとも1つの駆動機械と消費部との間で、振り子ロッカーダンパーによって調節されるように伝達され得る。
【0042】
ここで提案される駆動トレインは、第1の駆動機械、例えば内燃機関シャフトを有する内燃機関と、内燃機関シャフトと消費部、例えば、自動車の駆動輪との間でトルクを伝達するための変速機と、を備える。上述したような一実施形態に従って構成された振り子ロッカーダンパーによって、内燃機関と消費部との間のトルク伝達を実施することができる。消費部と内燃機関シャフトとの間のトルク伝達は、好ましくは、両方向で可能であり、例えば、自動車では、自動車を加速するために(トラクションモード)、及び反対方向では(オーバーランモード)、例えば、自動車を減速するようにエンジンブレーキを使用するために、又はこの減速エネルギーを回収するために可能である。
【0043】
駆動トレインの好ましい実施形態では、回転子シャフトを有する電気駆動機械もまた、振り子ロッカーダンパーの出力側及び消費部の上流側でトルクフローに結合されている。例えば、クラッチが係合解除されているとき、消費部は、完全に電気的に動作することができる。一実施形態では、電気駆動機械及びクラッチはともに(振り子ロッカーダンパーの有無にかかわらず)、いわゆるハイブリッドモジュールを形成し、ハイブリッドモジュールは、構造ユニットとして駆動トレインに容易に一体化することができる。
【0044】
ここで提案される、上述した振り子ロッカーダンパーを含む駆動トレインにより、内燃機関及び変速機、又は振り子ロッカーダンパー内で、ねじり振動及び妨害的な音響ノイズの低減を達成することができる。好ましくは、ローラは、動的条件下であっても、最小のプレテンションを確保し、固有周波数数を非臨界範囲に移動させることによって、摺動するのを更に安全に防止する。
【0045】
更なる態様によれば、上述の一実施形態による駆動トレインと、少なくとも1つの駆動輪と、を有する自動車が提案され、少なくとも1つの駆動輪は、自動車を推進させるために、駆動トレインによって駆動することができる。
【0046】
自動車では、構成要素の数が増加するため、設備スペースが特に小さく、したがって、小型の駆動トレインを使用することが特に有利である。駆動機械の所望のいわゆるダウンサイジングと同時の動作速度の低減とにより、妨害的なねじり振動の強度が増大する。類似の問題は、電気駆動機械がますます頻繁に使用されるか、又はトルクの主供給源を形成し、可能な限り小さい内燃機関が使用されることになるが、より頻繁に駆動トレインに結合され、再び駆動トレインから切断されなければならない、いわゆるハイブリッド化にも生じる。したがって、回転ぶれの十分な平準化を、同時に低い部品コスト及びわずかな利用可能な設備スペースで提供することが課題である。
【0047】
この問題は、欧州分類による小型車カテゴリの乗用車の場合に悪化する。小型車カテゴリの乗用車において使用されるアセンブリは、大型車カテゴリの乗用車と比較してサイズが大幅に減少することはない。それにもかかわらず、小型車の利用可能な設備スペースはかなり小さい。
【0048】
ここで提案される自動車では、この自動車の駆動トレインが、上述した振り子ロッカーダンパーを含み、内燃機関及び変速機、又は振り子ロッカーダンパー内で、ねじり振動及び妨害的な音響ノイズの低減を達成することができる。好ましくは、ローラは、動的条件下であっても、最小のプレテンションを確保し、固有周波数数を非臨界範囲に移動させることによって、摺動するのを更に安全に防止する。
【0049】
乗用車は、例えば、サイズ、価格、重量、及び性能に応じて車両カテゴリに割り当てられ、この定義は、市場のニーズに基づいて絶えず変更される。米国市場では、欧州分類による小型車及び超小型車カテゴリの車両は、サブコンパクト車のカテゴリに割り当てられるが、英国市場では、それぞれ、スーパー小型車及びシティカーのカテゴリに相当する。ミニカーのカテゴリの例は、Volkswagen up!又はRenault Twingoである。小型車カテゴリの例は、Audi A1、Volkswagen Polo、Opel Corsa、又はRenault Clioである。既知のハイブリッド車は、BMW 330e又はToyota Yaris Hybridである。既知のマイルドハイブリッドは、例えば、Audi A6 50 TFSI e又はBMW X2 xDrive25eである。
【0050】
上述した本発明は、好ましい展開を示す関連付けられた図面を参照して、関連する技術的背景に対して以下に詳細に説明される。本発明は、純粋に概略的な図面を用いて決して制限されないが、図面は、寸法的に正確ではなく、比率を定義するには好適ではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】回転軸を中心とする振り子ロッカーダンパーの概略正面図である。
図2】理想的な振り子ロッカーダンパーにおける構成要素の伝達挙動の図である。
図3】第2のエネルギー貯蔵要素を持たない実際の振り子ロッカーダンパーにおける構成要素の伝達挙動の図である。
図4】第2のエネルギー貯蔵要素を有する実際の振り子ロッカーダンパーにおける構成要素の伝達挙動の図である。
図5図1による、第2のエネルギー貯蔵要素を有する振り子ロッカーダンパーの詳細図である。
図6】剛性の高いローラトラックを有する、一実施形態における振り子ロッカーダンパーのローラトラックの概略図である。
図7】ロッカー要素内に中央の第2のエネルギー貯蔵要素を有する、一実施形態における振り子ロッカーダンパーのローラトラックの概略図である。
図8】柔軟なローラトラックを有する、一実施形態における振り子ロッカーダンパーのローラトラックの概略図である。
図9】ローラが局所的に限定されるようにプレテンションがかけられた、一実施形態における振り子ロッカーダンパーのローラトラックの概略図である。
図10】振り子ロッカーダンパーのローラトラックの間に第2のエネルギー貯蔵要素を有するローラの概略図である。
図11】代替実施形態における、振り子ロッカーダンパーのローラトラックの間に第2のエネルギー貯蔵要素を有するローラの概略図である。
図12】駆動トレインを有する自動車の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、回転軸2を中心とする振り子ロッカーダンパー1の概略正面図である。振り子ロッカーダンパー1の全ての構成要素に参照符号が付けられているわけではなく、全体を表す一部として付けられており、場合によっては、いくつかの同一要素のうちの1つのみに参照符号が付けられていることに留意されたい。図示のように、回転軸2は、画像平面に延在しており、トルクに耐えるように二次側5に結合されている二次側外側結合部7、及びトルクに耐えるように一次側4に結合されている一次側外側結合部6に対して同軸上にある。この例示的な実施形態では、二次側外側結合部7は、例えば、シャフトとハブとの結合部のハブ25として構成されており、例えば、機械シャフト26、27(ここでは図示せず)を受けるように構成されている。一次側4は、例えば、クラッチ円盤として構成されているか、又は主ダンパーとして一次質量(フライホイールとも称される)に結合されている。2つのロッカー要素8は、二次側5の軸方向外側に配置され、トルクが伝達するように二次側5に結合されており、これらのロッカー要素8は、2つの第1のエネルギー貯蔵要素9によって休止位置でプリテンションがかけられている。ロッカー要素8は、一次側4の一次ローラ11(ここでは完全に任意選択で、各場合において2つ)と、二次側5の1つの二次ローラ12(ここでは完全に任意選択で単一)によって、トルクが伝達するように転がることができるように支持されている。この点で、一次側4及び二次側5は、外側ローラトラック14を形成し、ロッカー要素8は、相補的なロッカー側ローラトラック13を形成する。加えて、図示のようにロッカー要素8のうちの上側の1つは、(完全に任意選択で)追加の質量18を含み、追加の質量18は、ロッカー要素8の重心を移動させるように構成されている。したがって、二次側5から一次側4へのトルク伝達、及びその逆のトルク伝達は、ローラ11、12及びロッカー要素8によって実施することができる。
【0053】
一次側4の第1の相対回転の方向28と第2の相対回転の方向29、すなわち、一次側4と二次側5との間の、結果として生じる相対ねじれ角17により、第1のローラ回転の方向30を表す一次ローラ11と、第2のローラ回転の方向31を表す二次ローラ12とが、関連付けられたロッカー要素8上で転がる。ローラトラック13、14は、一次側4と二次側5との間のこのねじれを(第1の)エネルギー貯蔵要素9の圧縮に変換するために、ランプ様に構成されている。すなわち、ローラトラック13、14は、(ロッカー要素8の数に対応する、ここでは2つの)第1のエネルギー貯蔵要素9と相互作用してランプギアを形成するように構成されており、これらの要素は、ここでは各々、完全に任意選択で、直線状のばね軸を有するらせん状の圧縮ばねとして構成されている。このランプギアとエネルギー貯蔵要素9のばね剛性とによって、ねじれ角17にわたって対応する形状のランプ勾配を介してトルクを調節することができる。例えば、最初及び最後に(すなわち、最大ねじれ角17において)高い剛性を設定し、その間に低いねじり剛性を設定することができる。
【0054】
2つのエネルギー貯蔵要素9が圧縮されると、ロッカー要素8に対する第1のプレテンション力10が(ここではらせん状の圧縮ばねの作用線に沿って)増大する。振り子ロッカーダンパー1、特に目に見えてそのロッカー要素8は、その過程で休止位置(ここに示す位置)から移動される。ローラ11、12は、第1のエネルギー貯蔵要素9の第1のプレテンション力10によってローラトラック13、14に対して同時にプレテンションがかけられており、その結果、これらのローラは、ローラトラック13、14上で加えられたトルクによって滑ったり、転がったりすることができない。ねじれ角に依存するトルク剛性又は減衰値は、ローラトラック13、14の勾配及び/又は第1のエネルギー貯蔵要素9の剛性、したがって、第1のプレテンション力10の絶対値によって設定される。これにより、一次側4から二次側5へ、又はその逆へと、トルク伝達を調節することができる。
【0055】
図2は、理想的な振り子ロッカーダンパー1における構成要素の伝達挙動の図である。ここに示した図では、横軸は、励起周波数32(右に向かって増加している)である。上段の図では、縦軸にねじれ角17、すなわち、それぞれの構成要素の動きの振幅がプロットされている。下段の図では、縦軸に(それぞれの)ローラ11、12に作用する(プレテンション)力33がプロットされている。上段の図では、一次側4(上線)、ロッカー要素8(中線)、及び二次側5(下線)の、それぞれの励起周波数32による励起の結果として、ねじれ角17がプロットされている。これらの構成要素は、例えば、ねじれ角17が最大2°[360°のうち2度]までの低い励起周波数32で最大限に励起され、周波数が高くなるにつれて休止位置に近づく。
【0056】
下段の図では、ローラ11、12に伝達される(プレテンション)力33は、励起周波数32に対して一定であり、ゼロよりも大きい。したがって、理想状態では、ローラ11、12は、どの励起周波数32でも浮き上がらない。
【0057】
図3は、第2のエネルギー貯蔵要素15を持たない実際の振り子ロッカーダンパー1における構成要素の伝達挙動の図である。図2に示す図と比較して、ロッカー要素8が共振するため、ロッカー要素8において過剰な周波数上昇が観察される(曲線は、図示の部分から離れ、好ましくは、図示の部分が最大ねじれ角17を含む)。
【0058】
下段の(力33)図では、ローラ11、12への(プレテンション)力33が、ロッカー要素8の振動の結果として大きく変動していることがわかる。ローラ11、12の上部包絡線(上部接触力34)及び下部包絡線(下部接触力35)、並びに接触力36の平均値(破線で示す)が示されている。とりわけ、下部接触力35の極値としてゼロの値に達する。したがって、関連するローラ11、12が浮き上がる可能性がある。
【0059】
図4は、第2のエネルギー貯蔵要素15を有する実際の振り子ロッカーダンパー1における構成要素の伝達挙動の図である。ここで、ロッカー要素8(及び他の要素)では、図2における理想状態とほぼ同じ振幅応答が達成される。過剰な周波数上昇は観察できない。
【0060】
下段の(力33)図では、ローラ11、12への(プレテンション)力33は、ロッカー要素8の振動の結果として、低周波数範囲(上部包絡線と下部包絡線との間)において一定の平均値付近でわずかに変動するのみであることがわかる。下部接触力35の(低い)極値は、ゼロの値には達しない。したがって、関連するローラ11、12が浮き上がる可能性はない。
【0061】
図5は、図1による、第2のエネルギー貯蔵要素15を有する振り子ロッカーダンパー1の詳細図である。この詳細図は、二次側5とロッカー要素8のうちの1つとの間のランプギアの構成要素を示している。とはいえ、図示の原理は、一次側4及びロッカー要素8にも適用することができる。振り子ロッカーダンパー1が図示の休止位置にあるとき、すなわち、ねじれ角17が0°[360°のうちの0度]にあるとき、第1のプレテンション力10は、最小であり、その結果、振り子ロッカーダンパー1内のローラ11、12は、浮き上がりやすくなる。ローラ11、12の浮き上がりは、例えば、公差関連の遊び及び/又は(第1の)エネルギー貯蔵要素9の不十分な第1のプレテンション力10から生じる。休止位置における浮き上がりを防止するために、第2のエネルギー貯蔵要素15が(ここでは完全に任意選択で)二次側5に配置されており、第2のエネルギー貯蔵要素15は、一端において二次側5にしっかりと結合され、反対側の端部において外側ローラトラック14を形成している。第2のエネルギー貯蔵要素15は、この概略的な配置では複数の圧縮ばねとして示されている。結果として生じる第2のプレテンション力16は、振り子ロッカーダンパー1の休止位置において、ロッカー側ローラトラック13上の二次ローラ12に、トラックに対して垂直にプレテンションをかけるように方向付けられ、これにより、浮き上がりが防止される。
【0062】
この例示的な実施形態、並びに(図6図7による以下の例示的な実施形態)はまた、一次ローラ11にも適用することができ、(他の例示的な実施形態に適用できる限り)第2のエネルギー貯蔵要素15は、ロッカー側ローラトラック13及び/又は(ローラ11、12に割り当てられた)両方のローラトラック13、14に配置することができる。更に、一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵要素15は、ロッカー要素8のベース本体又は一次側4若しくは二次側5の弾性とは異なる弾性を有する材料のコーティングによって形成されており、代替的又は追加的に、例えば、板ばねによって形成されていることに留意されたい。
【0063】
図6は、剛性の高いローラトラック13、14を有する、一実施形態における振り子ロッカーダンパー1(例えば、図1による)のローラトラック13、14の概略図である。図5に示す例示的な実施形態とは対照的に、ロッカー側ローラトラック13は、別個の剛性要素によって形成されている。第2のエネルギー貯蔵要素15(ここでは2つの圧縮ばねで表される)によってローラ12に加えられた第2のプレテンション力16は、この例示的な実施形態では、最初にロッカー側ローラトラック13に伝達される。剛性の高いロッカー側ローラトラック13の剛性により、第2のプレテンション力16は、考慮される転がり経路にわたって均等にローラ12に加えられる。このようにして、第2のプレテンション力16は、振り子ロッカーダンパー1の休止位置の外側であっても、トラックに対して垂直にローラ12に加えられ、ローラ12は、追加の設備スペースを必要とすることなく、ローラトラック13に沈み込むことが防止される。
【0064】
図7は、ロッカー要素8内に中央の第2のエネルギー貯蔵要素15を有する、一実施形態における振り子ロッカーダンパー1(例えば、図1による)のローラトラック13、14の概略図である。この構造は、図6と同様である。図6に示す例示的な実施形態とは対照的に、両方のロッカー側ローラトラック13は、中央の第2のエネルギー貯蔵要素15によって、それぞれのローラ11、12に対してプレテンションがかけられている。これにより、必要な設備スペースが非常に小さくなり、必要に応じて、関連するロッカー要素8の質量又は重心(図1を参照)に好適な影響を与えることができる。
【0065】
図8は、柔軟なローラトラック13、14を有する、一実施形態における振り子ロッカーダンパー1(例えば、図1による)のローラトラック13、14の概略図である。図6に示す例示的な実施形態とは対照的に、ロッカー側ローラトラック13は、柔軟に構成されている。第2のエネルギー貯蔵要素15(ここでは複数の圧縮ばねで表される)の第2のプレテンション力16は、この例示的な実施形態では、ローラ11にほぼ直接伝達される。ローラトラック13、14の無限に小さい部分とも理解できる複数の圧縮ばねにより、ねじれ角17に依存する剛性を設定することができる。
【0066】
図9は、ローラ11が局所的に限定されるようにプレテンションがかけられた、一実施形態における振り子ロッカーダンパー1(例えば、図1による)のローラトラック13、14の概略図である。図5図8に示す例示的な実施形態とは対照的に、ロッカー側ローラトラック13は、別個の(例えば、剛性)要素によって一部分に形成されており、この別個の要素は、残りのローラトラック13に可動に結合されており、第2のエネルギー貯蔵要素15(ここでは圧縮ばねで表される)によって、相補的な(ここでは外側)ローラトラック14に向かってプレテンションがかけられている。したがって、第2のエネルギー貯蔵要素15及び別個の要素によって二次ローラ12に加えられた第2のプレテンション力16は、この例示的な実施形態では、局所的に限定されるだけでなく、ねじれ角17に応じて可変に(完全に任意選択で)ロッカー側ローラトラック13に伝達される。実際の実施形態では、要素は、例えば、好ましくはばね鋼で作製されたカンチレバー37によって形成されている(その場合、剛性がない)。
【0067】
図10は、(例えば、図1による)振り子ロッカーダンパー1のローラトラック13、14の間に第2のエネルギー貯蔵要素15を有する(任意選択で二次)ローラ12の概略図である。この例示的な実施形態では、ローラ12は、第2のエネルギー貯蔵要素15によって(ここでは完全に任意選択で円周方向に)取り囲まれるように構成されている。第2のエネルギー貯蔵要素15の対称的な配置により、ローラ12は、第2のプレテンション力16によって、ロッカー側ローラトラック13及び外側ローラトラック14の両方に対してばね負荷がかけられている。したがって、ローラ12(外側ローラトラック14とロッカー側ローラトラック13との間の距離が一定である)はまた、休止位置の外側でも両方のローラトラック13、14に対してプレテンションがかけられている。
【0068】
この例示的な実施形態では、ローラ12は、例えば、工具鋼で作製された剛性に構成されており、円周方向の第2のエネルギー貯蔵要素15はまた、例えば、ばね板などの剛性に構成されており、このばね板は、実際の実装形態では、例えば、波形ばねの様式でローラ12に支持されているか、又は(例えば、射出成形された)プラスチックによって形成されている。この例示的な実施形態は、代替的又は追加的に、一次ローラ11を用いても実施されることに留意されたい。ローラ11、12のうちの一方のみがこのように構成されている場合、結果として生じる第2のプレテンション力16は、それぞれ他のローラ12、11に対して十分であり得る。これは、図示された他の例示的な実施形態にも類似的に適用される。
【0069】
図11は、図10による実施形態に対する代替実施形態における、振り子ロッカーダンパー1のローラトラック13、14の間に第2のエネルギー貯蔵要素15を有するローラ11の概略図である。図10の例示的な実施形態とは対照的に、ローラ12と第2のエネルギー貯蔵要素15とは、一体的に形成され、全体として弾性に構成されている。例えば、第2のエネルギー貯蔵要素15又はローラ12は、エラストマーとして構成されている。したがって、第2のプレテンション力16は、ローラ12がロッカー側ローラトラック13に対しても、外側ローラトラック14に対してもプレテンショがかけられるように加えられ、ローラ12は、その過程で可逆的な変形を受ける。
【0070】
図12では、駆動トレイン3を有する自動車24が上面図において概略的に示されており、内燃機関シャフト26を有する第1の駆動機械19、例えば、内燃機関19と、完全に任意選択で、回転子シャフト27を有する第2の駆動機械20、例えば、電気駆動機械20とが、モータ軸38に沿って横方向前部配置で、長手方向軸39に対して交差する方向に、自動車24の運転席40の前に配置されている。この概念は、ハイブリッド駆動と称される。電気駆動機械20は、ここでは、図1による振り子ロッカーダンパー1、及び分離クラッチに対して同軸上に配置されている。駆動トレイン3は、駆動機械19、20のうちの少なくとも一方から出力されたトルクによって左側駆動輪21及び右側駆動輪22(ここでは任意選択で自動車24の前車軸)を駆動することにより、自動車24を推進するように構成されている。内燃機関19からの(また、対応する構成、例えば、P2では電気駆動機械20からの)トルク伝達は、分離クラッチによって中断することができ、内燃機関19の回転ぶれは、振り子ロッカーダンパー1によって駆動トレイン3の早い段階で低減される。回転子シャフト27は、例えば、無段変速機として構成された変速機23に恒久的に結合されている(又は、図示されていない更なるトルククラッチを用いて切断することができる)。マスタシステム、例えば、マスタシリンダを有する運転席40内のクラッチペダルは、分離クラッチの完全に任意選択の油圧作動のために提供されており、このマスタシステムは、運転中に結合されるトランスミッション入力シャフト41を介して通信するように、スレーブシステムに結合されている。分離クラッチの作動は、例えば、二酸化炭素の排出が優先される自動化されたマニュアル変速機[AMT]及び/又はハイブリッド駆動トレインの制御方式に従うことが多い。
【0071】
ここで提案される振り子ロッカーダンパーは、妨害的なノイズを低減し、また、固有周波数数を非臨界範囲に移動させることによってローラが摺動するのを確実に防止するために使用することができ、第2のエネルギー貯蔵要素15は、第2のプレテンション力16を及ぼすために、ローラ11、12又はローラトラック13、14のうちの少なくとも1つに提供されており、ローラ11、12は、第2のプレテンション力16を使用して、第1のエネルギー貯蔵要素9の、少なくとも休止位置において、トラックに対して垂直に、ローラトラック13、14のうちの少なくとも1つに対してプレテンションがかけられている。
【符号の説明】
【0072】
1 振り子ロッカーダンパー
2 回転軸
3 駆動トレイン
4 一次側
5 二次側
6 一次側外側結合部
7 二次側外側結合部
8 ロッカー要素
9 第1のエネルギー貯蔵要素
10 第1のプレテンション力
11 一次ローラ
12 二次ローラ
13 ロッカー側ローラトラック
14 外側ローラトラック
15 第2のエネルギー貯蔵要素
16 第2のプレテンション力
17 ねじれ角
18 追加の質量
19 内燃機関
20 電気駆動機械
21 左側駆動輪
22 右側駆動輪
23 変速機
24 自動車
25 ハブ
26 内燃機関シャフト
27 回転子シャフト
28 第1の回転の方向
29 第2の回転の方向
30 第1のローラ回転の方向
31 第2のローラ回転の方向
32 励起周波数
33 ローラへの力
34 ローラの上部接触力
35 ローラの下部接触力
36 ローラの接触力の平均値
37 カンチレバー
38 モータ軸
39 長手方向軸
40 運転席
41 トランスミッション入力シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動トレイン(3)用の回転軸(2)を有する振り子ロッカーダンパー(1)であって、以下の構成要素:
-第1の外側結合部(6)に、トルクが伝達するように結合されている一次側(4)と、
-少なくとも1つのロッカー要素(8)と、
-第1のプレテンション力(10)を及ぼすための少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(9)と、
-少なくとも1つのローラ(11、12)と、
-第2の外側結合部(7)に、トルクが伝達するように結合されている二次側(5)と、を少なくとも有し、
前記少なくとも1つのローラ(11、12)は、前記少なくとも1つのローラ(11、12)が、ロッカー側ローラトラック(13)、及び前記ロッカー側ローラトラック(13)に相補的である外側ローラトラック(14)上で転がることができ、かつ前記少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(9)の前記第1のプレテンション力(10)によって前記ローラトラック(13、14)に対してプレテンションがかけられるように、取り付けられており、
第2のプレテンション力(16)を及ぼすために、前記ローラ(11、12)、又は前記ローラトラック(13、14)のうちの少なくとも1つの中に少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素(15)が提供されており、前記ローラ(11、12)が、前記第1のエネルギー貯蔵要素(9)の少なくとも休止位置において、前記第2のプレテンション力(16)によって、前記トラックに対して垂直に、前記ローラトラック(13、14)のうちの少なくとも1つに対してプレテンションがかけられることを特徴とする、振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項2】
第2のプレテンション力(16)が、少なくとも1つのローラトラック(13、14)によって、関連付けられた前記ローラ(11、12)に及ぼされ、好ましくは、前記ローラトラック(13、14)が、前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)よりも剛性の高い材料を有する、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項3】
前記ロッカー要素(8)が、いずれの場合にも、少なくとも1つのローラ(11、12)によって、前記一次側(4)及び前記二次側(5)上で支持されており、前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)が、いずれの場合にも、前記少なくとも2つのローラ(11、12)に前記第2のプレテンション力(16)を及ぼすために、前記ロッカー側ローラトラック(13)間に配置されている、請求項2に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項4】
前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)の前記第2のプレテンション力(16)が、前記一次側(4)と前記二次側(5)との間のねじれ角(17)に応じて可変であるばね剛性を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項5】
前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)のうちの少なくとも1つが、前記ローラ(11)のうちの1つによって構成されており、
好ましくは、前記ローラ(11)の各々が、前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)のうちの1つを備える、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項6】
前記第2のエネルギー貯蔵要素(15)のうちの少なくとも1つが、前記関連付けられたローラ(11)に、局所的に限定されるような様態で前記第2のプレテンション力(16)を及ぼすように配置されている、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項7】
前記ロッカー要素(8)が、その重心を移動させるための追加の質量(18)を備える、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項8】
駆動トレイン(3)であって、以下の構成要素:
-トルクを出力するための少なくとも1つの駆動機械(19、20)と、
-トルクを受けるための少なくとも1つの消費部(21、22)と、
-前記少なくとも1つの駆動機械(19、20)と消費部(21、22)との間でトルクを伝達するための変速機(23)と、
-請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)と、を少なくとも有し、
前記振り子ロッカーダンパー(1)によって、前記少なくとも1つの駆動機械(19、20)と前記消費部(21、22)との間で、調節される様態でトルクが伝達され得る、駆動トレイン(3)。
【請求項9】
自動車(24)であって、請求項8に記載の駆動トレイン(3)と、少なくとも1つの駆動輪(21、22)と、を有し、前記少なくとも1つの駆動輪(21、22)が、前記自動車(24)を推進させるために、前記駆動トレイン(3)によって駆動され得る、自動車(24)。
【国際調査報告】