IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】雑草を防除するための方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/02 20060101AFI20250109BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20250109BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20250109BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20250109BHJP
   A01N 47/36 20060101ALI20250109BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01N37/02
A01P13/00
A01N43/40 101J
A01N43/40 101E
A01N43/90 105
A01N47/36 101E
A01N25/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539338
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022087645
(87)【国際公開番号】W WO2023126327
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】21218052.5
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100232909
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢太
(72)【発明者】
【氏名】バーク ロデリック ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ショーム レミ
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA06
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB14
4H011DA13
4H011DD04
4H011DE15
4H011DF04
(57)【要約】
本発明は、生息地の双子葉雑草を、ペラルゴン酸と、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル、クロピラリド、フロラスラム、フラザスルフロン及びプロスルフロンから選択される第2除草剤とを含む水性散布組成物を用いて防除する方法であって;ペラルゴン酸は、0.5~6kg/haの薬量で施用される、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑草を含む生息地において双子葉雑草を防除するための方法であって、ペラルゴン酸と、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル、フロラスラム、フラザスルフロン及びプロスルフロンから選択される第2除草剤とを含む水性散布組成物を双子葉雑草防除量で前記生息地に施用することを含み;前記水性散布組成物の散布液量は100~500l/haであり、前記ペラルゴン酸は0.5~6kg/haの薬量で施用される、方法。
【請求項2】
前記第2除草剤は、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル、フロラスラム及びプロスルフロンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フルロキシピルは、196~200g/haの薬量で施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フロラスラムは、4~6g/haの薬量で施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アミノピラリドは、48~50g/haの薬量で施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロスルフロンは、15~20g/haの薬量で施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記トリクロピルは、400~480g/haの薬量で施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2除草剤は、フルロキシピル及びフロラスラムの混合物である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第2除草剤は、プロスルフロン、ジカンバ及びジフルフェニカンの混合物である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第2除草剤は、アミノピラリド及びトリクロピルの混合物である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記フルロキシピルは、196~200g/haの薬量で施用され、前記フロラスラムは4~6g/haの薬量で施用され;好ましくは、フルロキシピルは196g/haの薬量で施用され、フルラスラムは4.9g/haの薬量で施用される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記アミノピラリドは、48~50g/haの薬量で施用され、前記トリクロピルは、400~480g/haの薬量で施用される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ペラルゴン酸は、1.6~6kg/haの薬量で施用され;好ましくは2~6kg/haの薬量で施用される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記水性散布組成物の散布液量は、200~400l/haである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水性散布組成物の散布液量は、200l/haである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記水性散布組成物の散布液量は、400l/haである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
防除すべき前記双子葉雑草は、スカビオサ・コロンバリア(Scabiosa columbaria)、プランタゴ・ランセオラタ(Plantago lanceolata)、タラクサクム・オフィキナレ(Taraxacum officinale)、ルブス・フルクチコス(Rubus fructicosu)、セネシオ・インアクイデンス(Senecio inaequidens)、エリゲロン・カナデンシス(Erigeron canadensis)、ベリス・ペレニス(Bellis perennis)及びプルヌス・スピノサ(Prunus spinosa)から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害雑草及び外来植物を含む望ましくない植生の生育を抑制するための方法に関する。特に本発明は、望ましくない双子葉植物の生育を、ペラルゴン酸と1種又は複数種の選択性除草剤との組合せを含む除草組成物を用いて抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不要な植物及び他の有害雑草や外来植物などの望ましくない植生を除去する必要性は、農業のみならず、景観設計された地域や工業地域においても繰り返し発生し続けている課題である。例えば、通行権のある用地(rights-of-way)を安全に維持するため、標識及び定着物の視認性及び機能性が良くなるようにこれらをはっきりと見せるため、道路の排水溝に十分な水はけを与えるため、火災の危険性を減らすため、並びに/又は有害雑草の拡散を遅らせる若しくは防ぐために、道路脇、農道(field road)、フェンスロウ、共同溝、線路周辺及び線路間の区域、飛行場並びに他の基盤施設及び工業地域から、問題のある雑草及び外来種を選択的に除去することが望まれる場合が多い。
【0003】
このような植生の問題に対抗し、これらを管理することを助けるために、合成化学分野の研究者らは、このような不要な生育の抑制に有効な広範な種類の化学物質及び化学製剤を創り出してきた。多くの種類の化学的除草剤が文献に開示されており、多くが商業的に使用されている。市販の除草剤及びまだ開発途中にある一部のものが、例えば、英国作物保護協議会(British Crop Protection Council)による「The Pesticide Manual」、第19版、2021年刊に記載されている。
【0004】
除草剤の活性は、最大限の効果が得られるように、様々な方法で高めることができる。除草効力を高める方法の一つが混用を用いることである。しかしながら、環境負荷を低減しながら、広葉雑草及び雑木(brush weed)を幅広く防除するために、適切な有効成分の組合せ、施用量及び散布する水の量を見極めることは簡単ではない。
【0005】
ノナン酸とも呼ばれるペラルゴン酸は、構造式CH3(CH27CO2Hを有する非選択性除草剤である。公開特許出願である国際公開第9105472号には、ペラルゴン酸などの脂肪酸を含む除草組成物が開示されている。公開特許である欧州特許第3245873号明細書には、ペラルゴン酸と、ヨードスルフロンメチル、ホラムスルフロン、メソスルフロンメチル、フラザスルフロン、アミドスルフロン、エトキシスルフロン及びチエンカルバゾンメチルから選択される少なくとも1種のALS阻害剤とを含む特定の除草剤の組合せが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改良された双子葉雑草防除方法、特に、許容される雑草防除を達成するのに必要な化学的除草剤の量を低減しながら、高い残効性除草剤活性が得られる、広葉植物及び低木防除方法が今もなお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、特定の選択性除草剤を、薬量を減らしたペラルゴン酸と共施用すると、不要な双子葉植物の防除における効力が高くなることをここに見出した。
【0008】
したがって本発明は、ペラルゴン酸を、ピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体、アセト乳酸合成酵素阻害剤、カロチノイド生合成阻害剤及び安息香酸エステル(benzoate)-オーキシン模倣体からなる群から選択される少なくとも1種の除草化合物と組み合わせて散布施用することによる、不要な双子葉植物を防除又は管理する方法であって、ペラルゴン酸は0.5~6kg/haの薬量で施用される、方法を提供する。
【0009】
より具体的には、本発明は、ある生息地(locus)の不要な双子葉植物を防除するための方法であって、双子葉植物防除量の水性散布組成物をその生息地に施用することを含み、この組成物は、ペラルゴン酸と、ピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体、アセト乳酸合成酵素阻害剤、カロチノイド生合成阻害剤及び安息香酸エステル-オーキシン模倣体からなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草化合物とを含み;その生息地に施用される水性散布組成物の水量は100~500l/haであり、ペラルゴン酸はその生息地に0.5~6kg/haの薬量で施用される、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の方法による実施形態を以下に示す。
【0011】
一実施形態において、生息地に施用される水性散布組成物の水量は100~500l/haであり;他の実施形態において、生息地に施用される水性散布組成物の水量は200~400l/haである。
【0012】
他の実施形態において、生息地に施用される水性散布組成物の水量は200l/haであり;他の実施形態において、生息地に施用される水性散布組成物の水量は400l/haである。
【0013】
一実施形態において、本発明の方法によれば、非選択性除草剤であるペラルゴン酸は、生息地に0.5~6kg/haの薬量で施用される。他の実施形態において、ペラルゴン酸は、生息地に、0.5~1.2kg/ha;又は1~1.7kg/ha;又は1.5~3kg/ha;又は2~3kg/ha;又は1.7~6kg/ha;又は2~6kg/ha又は3~6kg/haの薬量で施用される。好ましい実施形態において、ペラルゴン酸は、生息地に1.7~6kg/haの薬量で施用される。
【0014】
他の好ましい実施形態において、ペラルゴン酸は、生息地に1.6~6kg/ha又は1.7~6kg/haの薬量で施用され、生息地に施用される水性散布組成物の水量は200l/haである。
【0015】
他の好ましい実施形態において、ペラルゴン酸は、生息地に2~6kg/haの薬量で施用され、生息地に施用される水性散布組成物の水量は200l/haである。
【0016】
他の好ましい実施形態において、ペラルゴン酸は、生息地に2.8~6kg/ha又は3~6kg/haの薬量で施用され、生息地に施用される水性散布組成物の水量は200l/haである。
【0017】
ペラルゴン酸が生息地に1.6~6kg/ha又は1.7~6kg/haの薬量で施用され、生息地に施用される水性散布組成物の水の体積が400l/haである方法も好ましい。
【0018】
更に好ましくは、ペラルゴン酸は、生息地に2~6kg/haの薬量で施用され、生息地に施用される水性散布組成物の水量は400l/haである。
【0019】
他の好ましい実施形態において、ペラルゴン酸は、生息地に2.8~6kg/ha又は3~6kg/haの薬量で施用され、生息地に施用される水性散布組成物の水量は400l/haである。
【0020】
一実施形態において、本発明の方法に使用されるピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体化合物は、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル及びクロピラリドから選択され;好ましくはフルロキシピル、アミノピラリド及びトリクロピルから選択される。他の実施形態において、フルロキシピルは、1-メチルヘプチルエステル(フルロキシピル-メプチル)として製剤化され、生息地に196~200g/haの薬量で施用され;アミノピラリドは、生息地に48~50g/haの薬量で施用され;トリクロピルは、生息地に120g/ha、好ましくは400~480g/haの薬量で施用され;クロピラリドは、生息地に160g~200g/haの薬量で施用される。他の実施形態において、アミノピラリド及びトリクロピルの薬量は、g ae(酸当量グラム数(grams acid equivalent))に基づき評価される。
【0021】
他の実施形態において、本発明の方法に使用されるアセト乳酸合成酵素阻害剤は、フロラスラム、フラザスルフロン及びプロスルフロンから選択され、好ましくはフロラスラム及びプロスルフロンから選択される。一実施形態において、フロラスラムは、生息地に4.9~50g/ha、好ましくは4~6g/haの薬量で施用され;フラザスルフロンは、生息地に50g/haの薬量で施用され;プロスルフロンは、生息地に15~20g/haの薬量で施用される。
【0022】
ジフルフェニカンから選択されるカロチノイド生合成阻害剤を本発明の方法に使用することも好ましい。他の実施形態において、ジフルフェニカンは、生息地に75g~280g/haの薬量で施用される。
【0023】
更なる実施形態において、本発明の方法に使用される安息香酸エステル-オーキシン模倣体は、ジカンバから選択される。他の実施形態において、ジカンバは、該当する生息地に150~200g/haの薬量で施用される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、ある生息地の不要な双子葉植物を防除するための方法は、双子葉植物防除量の水性散布組成物をこの生息地に施用することを含み、この組成物は、ペラルゴン酸と、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル、クロピラリド、フロラスラム、フラザスルフロン、プロスルフロン、ジフルフェニカン及びジカンバ、好ましくは、フルロキシピル-メプチル、アミノピラリド、トリクロピル、フロラスラム、プロスルフロン、ジフルフェニカン及びジカンバからなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草化合物とを含み;この生息地に施用される水性散布組成物の散布量は100~500l/ha、好ましくは200~400l/haであり;ペラルゴン酸は、この生息地に、0.5~6kg/ha;好ましくは1.6~6kg/ha;より好ましくは1.7~6kg/haの薬量で施用され;この生息地にペラルゴン酸が2.8~6kg/ha又は3~6kg/haの薬量で施用される場合も好ましい。
【0025】
本発明の更なる好ましい実施形態において、ある生息地の不要な双子葉植物を防除するための方法は、双子葉植物防除量の水性散布組成物をこの生息地に施用することを含み、この組成物は、ペラルゴン酸と、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル、クロピラリド、フロラスラム、フラザスルフロン及びプロスルフロン、好ましくは、フルロキシピル-メプチル、アミノピラリド、トリクロピル、フロラスラム、プロスルフロン、ジフルフェニカン及びジカンバからなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草化合物とを含み;この生息地に施用される水性散布組成物の散布量は100~500l/ha、好ましくは200~400l/haであり;ペラルゴン酸は、この生息地に、0.5~6kg/ha;好ましくは1.6~6kg/ha;より好ましくは1.7~6kg/ha;より好ましくは2.8~6kg/haの薬量で施用される。ペラルゴン酸を、生息地に2.8~6kg/ha又は3~6kg/haの薬量で施用することも好ましい。
【0026】
ある生息地の不要な双子葉植物を防除するための方法が、双子葉植物防除量の水性散布組成物をこの生息地に施用することを含み、この組成物が、ペラルゴン酸と、フルロキシピル及びフロラスラムからなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草化合物とを含み;この生息地に施用される水性散布組成物の散布量が、100~500l/ha、好ましくは200~400l/haであり;ペラルゴン酸が、この生息地に、1.6~6kg/ha;好ましくは1.7~6kg/ha;より好ましくは2.8~6kg/haの薬量で施用される場合も好ましい。ペラルゴン酸を、生息地に3~6kg/haの薬量で施用することも好ましい。
【0027】
ペラルゴン酸と少なくとも1種の選択性除草化合物との好適な重量比は、例えば、個々の化合物に関し上に説明した施用量により求められる。本発明による方法において、ペラルゴン酸の施用量は、雑草を防除するための標準的なペラルゴン酸施用量と比較して低減されている。一実施形態において、本発明の方法におけるペラルゴン酸(PA)と本発明による少なくとも1種の選択性除草化合物(SH)との混合比は、例えば:PA:SHが2:1~1200:1;又は10:1~120:1である。説明したように、他の比は、上に説明した施用量及び本発明の方法に使用される水性散布配合物の調製に使用される好適な市販の製剤中の除草剤の濃度に基づき当業者に明らかとなるであろう。
【0028】
好ましい実施形態において、水性散布組成物に使用される選択性除草剤化合物はフルロキシピルを含む。水性散布組成物に使用される選択性除草化合物がフロラスラムを含む場合も好ましい。
【0029】
他の好ましい実施形態において、水性散布組成物に使用される選択性除草化合物はプロスルフロンを含む。水性散布組成物に使用されされる選択性除草化合物がジカンバを含む場合も好ましい。水性散布組成物に使用される選択性除草化合物がフラザスルフロンを含む場合も好ましい。
【0030】
他の好ましい実施形態において、水性散布組成物に使用される選択性除草剤化合物はアミノピラリドを含む。水性散布組成物に使用される選択性除草剤化合物がトリクロピルを含む場合も好ましい。
【0031】
一実施形態において、ペラルゴン酸は、非加水分解形態にある。
【0032】
他の実施形態において、本発明の方法に使用される水性散布組成物は、ペラルゴン酸と、ピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体、アセト乳酸合成酵素阻害剤、カロチノイド生合成阻害剤及び安息香酸エステル-オーキシン模倣体からなる群から選択される少なくとも1種の除草化合物の混合物とを含む。特定の実施形態において、水性散布組成物に混合物が使用される場合は、このような除草化合物の二成分又は三成分混合物が使用される。好ましい実施形態において、本発明の方法に使用される水性散布組成物は、ペラルゴン酸と、フルロキシピル及びフロラスラムの混合物又はフルオロキシピル(fluoroxypyr)-メプチル及びフロラスラムの混合物とを含む。他の好ましい実施形態において、水性散布組成物は、ペラルゴン酸と、ジカンバ及びプロスルフロンの混合物又はプロスルフロン、ジカンバ及びジフルフェニカンの混合物を含む。更なる実施形態において、本方法に使用される水性散布組成物は、ペラルゴン酸と、アミノピラリド及びトリクロピルの混合物を含む。
【0033】
「生息地(locus)」という用語は、出芽した双子葉植物が生育又は定着している場所を意味する。したがって、本発明に関連する生息地は、典型的には、レクリエーション草地(amenity grassland)、歩行路、共用施設、道路脇、線路、高速道路、空港、関連する通行権のある用地、農道、フェンスロウ、地面に固定された植木鉢(soil-bound pot)の間の除草された(cleaning)通路、製品を保管又は配送するための施設、裸地及び他の基盤施設又は工業地域を含む、植生管理が必要となり得る非作付地となるであろう。
【0034】
例えば、基盤施設又は工業地域の生息地としては、外来双子葉広葉雑草、叢林(brush)、キイチゴ(bramble)、低木及び木本系雑草が発生し得る、製造又は加工のための施設、鉱山、坑井現場、機材置き場及び他のエネルギー生産又は資源採掘のための施設又はそれに付随する施設、伝送線路、発電所、電気事業(変電所、開閉所、伝送線路及び配電線)、パイプライン及びポンプ場並びに他の軟質又は硬質表面又は区域を挙げることができる。本発明に関連する生息地は、他の種類の植物、雑草又は植生を更に含む可能性があるが、本発明は、このような生息地に存在する、出芽した、生育中の及び定着した植生を含む不要な双子葉植物を防除するための方法に関する。
【0035】
本明細書において使用される「除草剤」という用語は、植物の生育を抑制又は調節する有効成分である化合物を指す。「双子葉植物防除量」という用語は、ペラルゴン酸と、ピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体、アセト乳酸合成酵素阻害剤、カロチノイド生合成阻害剤及び安息香酸エステル-オーキシン模倣体からなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草剤化合物又はこのような化合物の組合せとを含む水性散布組成物の、ジクアット(diquat)植物の生育に抑制又は調節効果をもたらすことができる量を指す。好ましくは、「双子葉植物防除量」という用語は、ペラルゴン酸と、フルロキシピル、アミノピラリド、トリクロピル、クロピラリド、フロラスラム、フラザスルフロン及びプロスルフロンからなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草剤化合物:より好ましくはフルロキシピル-メプチル、アミノピラリド、トリクロピル、フロラスラム、プロスルフロン、ジフルフェニカン及びジカンバからなる群から選択される少なくとも1種の選択性除草剤化合物と、を含む水性散布組成物の量を指す。
【0036】
抑制又は調節効果には、自然な発育からのあらゆる逸脱、例えば:枯死、発育遅延、葉枯れ、白化、矮化、出芽阻害などが含まれる。例えば、枯死しないジクアット(diquat)植物は、多くの場合、発育が止まり、開花が阻害されて競合しなくなる。「植物」という用語は、種子、実生、稚樹、根、塊茎、茎、柄、葉及び果実などの植物のあらゆる物理的部分を表す。
【0037】
本発明の方法に使用される水性散布組成物は、最終使用者が現場で、管理又は防除すべき不要な双子葉植物の茎葉に施用する直前に、ペラルゴン酸含有組成物と、ピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体、アセト乳酸合成酵素阻害剤、カロチノイド生合成阻害剤及び安息香酸エステル-オーキシン模倣体からなる群から選択される少なくとも1種の除草化合物を含む組成物と、任意に、好適な界面活性剤又は補助剤(adjuvant)とを混合することにより調製することができる。このような組成物は、通常、「タンクミックス」組成物と称される。好適なタンクミックス組成物は、市販されている有効成分の組成物を混合することにより調製することができる。好適な市販の製剤の例としては:Katoun(登録商標)(ペラルゴン酸の乳化性濃縮物(EC)製剤)(Belchim Crop Protection);HERBATAK ULTRA(商標)(ペラルゴン酸の乳化性濃縮物(EC)製剤)(Evergreen Garden Care);Parsec(登録商標)(プロスルフロン及びジカンバの顆粒水和剤(WG)製剤)(Syngenta);Hurricane(登録商標)(ジフルフェニカンの懸濁液濃縮物(SC))(Adama);Garlon(登録商標)Ultra(アミノピラリド及びトリクロピルの水溶液)(Corteva);及びValentia(商標)(フロラスラム及びフルロキシピルのサスポエマルション(SE)製剤)(Barclay Chemicals)が挙げられる。
【0038】
或いは、本発明の方法に使用される組成物は、最終使用者に、既に施用に望ましい希釈度となるように製剤化して提供することができ(「使用準備済みの(ready to use)」組成物)、又は最終使用者が水で希釈、分散若しくは溶解することが必要な、予め配合された(pre-built)濃縮物形態(「濃縮物」組成物)で供給することもできる。使用準備済みの形態は、消費者市場に特に適している。濃縮物製剤は、消費者向け市場でも専門職向け市場でも同様に使用することができる。このような予め配合された濃縮物は、液体又は粒子状固体とすることができる。
【0039】
本発明に有用な水性散布組成物は、一般に、担体、溶媒及び界面活性剤などの製剤化助剤を使用して様々な様式で製剤化される。濃縮物組成物は、種々の物理的形態、例えば粉剤、ゲル、水和剤(粉末)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、発泡性ペレット、乳化性濃縮物、マイクロ乳化性濃縮物、水性エマルション、オイルフロアブル剤、水性懸濁製剤、油性懸濁製剤、サスポエマルション、カプセルサスペンション剤、乳化性粒剤、可溶性液体、水溶性濃縮物(担体として水又は水混和性有機溶媒を含む)、含浸ポリマーフィルムの形態又は例えばManual on Development and Use of FAO and WHO Specifications for Pesticides,United Nations,First Edition,Second Revision(2010)から知られている他の形態とすることができる。上記に示される通り、このような組成物は、直接使用することができるか、又はタンクミックスにより使用前に希釈することができる。希釈は、例えば、水、液体肥料、微量栄養素、生物有機体、油又は溶媒を用いて行うことができる。
【0040】
水性散布組成物は、ペラルゴン酸と、少なくとも1種の非選択性除草剤(「有効成分」)とを、微粉化固体、顆粒、溶液、分散液、エマルション、マイクロエマルション又はサスポエマルションの形態の組成物が得られるように、製剤化助剤と一緒に混合することにより調製することができる。また、有効成分は、微粉化固体、鉱油、植物又は動物由来の油、植物又は動物由来の変性油、有機溶媒、水、界面活性物質又はこれらの組み合わせなどの他の補助剤と共に配合することができる。
【0041】
また、有効成分は、微細なマイクロカプセル中に含有させることもできる。マイクロカプセルは、多孔質担体中に有効成分を含有する。これは、有効成分が制御された量で環境に放出される(例えば、持続放出)ことを可能にする。マイクロカプセルは、通常、0.1~500ミクロンの直径を有する。マイクロカプセルは、カプセル重量の約25~95重量%の量の有効成分を含有する。有効成分は、モノリシック固体の形態、固体又は液体分散体中の微粒子の形態又は適切な溶液の形態であり得る。カプセル化膜は、例えば、天然又は合成ゴム、セルロース、スチレン/ブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン又は化学修飾ポリマー及びデンプンキサンテート又は当業者に知られている他のポリマーを含むことができる。代わりに、有効成分が基体の固体マトリックス中に微粉化粒子の形態で含有された微細なマイクロカプセルを形成することができるが、マイクロカプセル自体は、カプセル化されない。
【0042】
本発明の方法に使用される水性散布組成物の調製に適した製剤補助剤は、それ自体知られている。液体担体としては、水、トルエン、キシレン、石油エーテル、植物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酸無水物、アセトニトリル、アセトフェノン、酢酸アミル、2-ブタノン、炭酸ブチレン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、酢酸のアルキルエステル、ジアセトンアルコール、1,2-ジクロロプロパン、ジエタノールアミン、p-ジエチルベンゼン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールアビエタート、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジベンゾアート、ジプロキシトール、アルキルピロリドン、酢酸エチル、2-エチルヘキサノール、炭酸エチレン、1,1,1-トリクロロエタン、2-ヘプタノン、アルファ-ピネン、d-リモネン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ガンマ-ブチロラクトン、グリセロール、酢酸グリセロール、二酢酸グリセロール、三酢酸グリセロール、ヘキサデカン、ヘキシレングリコール、酢酸イソアミル、酢酸イソボルニル、イソオクタン、イソホロン、イソプロピルベンゼン、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸、ラウリルアミン、酸化メシチル、メトキシプロパノール、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、ラウリン酸メチル、オクタン酸メチル、オレイン酸メチル、塩化メチレン、m-キシレン、n-ヘキサン、n-オクチルアミン、オクタデカン酸、オクチルアミン酢酸塩、オレイン酸、オレイルアミン、o-キシレン、フェノール、ポリエチレングリコール、プロピオン酸、乳酸プロピル、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、p-キシレン、トルエン、トリエチルホスファート、トリエチレングリコール、キシレンスルホン酸、パラフィン、鉱油、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びより高分子量のアルコール、例えばアミルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、N-メチル-2-ピロリドンなどが使用され得る。
【0043】
適切な固体担体は、例えば、タルク、二酸化チタン、パイロフィライトクレイ、シリカ、アタパルジャイトクレイ、珪藻土、石灰石、炭酸カルシウム、ベントナイト、カルシウムモンモリロナイト、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、粉末クルミ殻、リグニン及び同様の物質である。
【0044】
多数の界面活性物質は、固体及び液体製剤の両方において、特に使用する前に担体により希釈され得る製剤において有利に使用することができる。界面活性物質は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は高分子であり得、乳化剤、湿潤剤若しくは懸濁化剤として又は他の目的のために使用することができる。典型的な界面活性物質には、例えば、アルキル硫酸の塩、例えばラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなど;アルキルアリールスルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなど;アルキルフェノール/アルキレンオキシド付加生成物、例えばノニルフェノールエトキシレートなど;アルコール/アルキレンオキシド付加生成物、例えばトリデシルアルコールエトキシレートなど;石鹸、例えばステアリン酸ナトリウムなど;アルキルナフタレンスルホン酸の塩、例えばジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなど;スルホコハク酸塩のジアルキルエステル、例えばジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなど;ソルビトールエステル、例えばソルビトールオレアートなど;第4級アミン、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、脂肪酸のポリエチレングリコールエステルなど、例えばステアリン酸ポリエチレングリコールなど;エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー;並びにモノ-及びジ-アルキルリン酸エステルの塩が含まれ、例えばMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual,MC Publishing Corp.,Ridgewood New Jersey(1981)に記載されるさらなる物質も含まれる。
【0045】
農薬製剤において使用することができるさらなる補助剤には、結晶化抑制剤、粘度調整剤、懸濁化剤、染料、酸化防止剤、起泡剤、光吸収剤、混合助剤、消泡剤、錯化剤、中和又はpH調整物質及び緩衝剤、防蝕剤、香料、湿潤剤、吸収増強剤、微量栄養素、可塑剤、流動化剤、潤滑剤、分散剤、増粘剤、凍結防止剤、殺菌剤並びに液体及び固体肥料が含まれる。
【0046】
本発明に従う組成物は、植物又は動物由来の油、鉱油、このような油のアルキルエステル又はこのような油及び油誘導体の混合物を含む添加剤を含むことができる。本発明に従う組成物中の油添加剤の量は、適用される混合物を基準として一般に0.01~10%である。例えば、油添加剤は、スプレー混合物を調製した後、所望の濃度でスプレータンクに添加することができる。好ましい油添加剤は、鉱油又は植物由来の油(例えば、菜種油、オリーブ油又はヒマワリ油)、乳化植物油、植物由来の油のアルキルエステル(例えば、メチル誘導体)又は動物由来の油(例えば、魚油又は牛脂など)を含む。好ましい油添加剤は、C8~C22脂肪酸のアルキルエステル、特にC12~C18脂肪酸のメチル誘導体、例えばラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸のメチルエステル(それぞれラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル及びオレイン酸メチル)を含む。Compendium of Herbicide Adjuvants,10th Edition,Southern Illinois University,2010から多数の油誘導体が知られている。
【0047】
本発明の方法に有用な組成物は、一般に、0.1~99重量%、特に0.1~95重量%の有効成分と、好ましくは0~25重量%の界面活性物質を含む1~99.9重量%の製剤補助剤とを含む。タンクミックスに使用される市販の製品は、好ましくは、濃縮物として配合され得るが、エンドユーザーにより施用される水性散布組成物は、通常、希釈製剤を使用するであろう。
【0048】
本方法に使用される水性散布組成物は、水性茎葉散布液の発芽後施用などの慣用的な方法(湛水、散布、霧化)で達成される水性散布液の発芽後施用によって施用される。本発明に関連する「発芽後」という用語は、対象とする双子葉植物が生息地から発芽した後に散布組成物が施用されることを意味するものとする。発芽後の対象とする双子葉植物には、生育中の植物及び定着した植物が含まれることになる。ペラルゴン酸と、ピリジルオキシカルボン酸-オーキシン模倣体、アセト乳酸合成酵素阻害剤、カロチノイド生合成阻害剤及び安息香酸エステル-オーキシン模倣体からなる群から選択される少なくとも1種の除草化合物とは、同時に施用されるか、又は生息地に順次(任意の順序で)施用することができる。この例において、構成成分は、通常、互いに3日以内、最も好ましくは24時間以内に施用される。好適には、全ての構成成分は、数時間、例えば1時間の期間内に適用される。或いは、好ましくは個々の構成成分は、水性散布液施用により、単一の水性散布除草組成物として生息地に同時に施用される。構成成分が同時に散布される場合、これらは別々に、又はタンクミックスとして、又は全ての構成成分を予め製剤化した混合物として、又は一部の構成成分を予め製剤化した混合物とし、後段で残りの構成成分とタンクミックスして、適用することができる。
【0049】
好ましい実施形態において、生息地の不要な双子葉植物を防除するための方法は、双子葉植物防除量の水性散布組成物を、発芽後の生育中の又は生息地に定着した不要な双子葉植物の茎葉に施用することを含む。本発明の方法はまた、生息地に生育している双子葉雑草のスポット処理又は生息地のあらゆる双子葉植生の一掃にも有用である。
【0050】
特定の生息地に関する一実施形態において、本発明の方法は、1回目と2回目の間に7日間の間隔を空け、3回目及び4回目までに60日間の間隔を空ける4回の散布施用を含む施用計画で実施することができる。他の実施形態において、本発明の方法は、発芽後の双子葉雑草を防除するために1シーズン1回の散布施用を含む施用計画で実施することができる。
【0051】
他の実施形態において、本発明の方法を用いて発芽後の双子葉雑草を防除するシーズンは春から秋口までの期間であり、施用計画の間に10ヶ月間の安全期間(buffer)を設ける。例えばUTC+01:00のタイムゾーンでは、本発明の方法を用いて発芽後に双子葉雑草防除を行うためのシーズンは3月/4月から8月/9月であり、施用計画の間に10ヶ月間の安全期間を設ける。
【0052】
本発明の方法は、広葉草本雑草、叢林、キイチゴ、低木及び木本系雑草を含む多くの不要な双子葉植物に対し使用することができる。好ましくは、本発明の方法は、キイチゴ、アザミ及び木本系雑草を含む不要な双子葉植物に対し使用することができる。より好ましくは、本発明の方法は、キイチゴ及び木本系雑草を含む不要な双子葉植物に対し使用することができる。
【0053】
その例として、本発明の方法により管理又は防除すべき不要な双子葉植物として、アブチロン(Abutilon)属、ノコギリソウ(Achillea)属、アマランサス(Amaranthus)属、ブタクサ(Ambrosia)属、アンセミス(Anthemis)属、ヒナギク(Bellis)属、ヒレアザミ(Carduus)属、カッシア(Cassia)属、ヤグルマギク(Centaurea)属、アカザ(Chenopodium)属、アザミ(Cirsium)属、セイヨウヒルガオ(Convolvulus)属、チョウセンアサガオ(Datura)属、イヌスイバ(Emex)属、アカバナ(Epilobium)属、ムカシヨモギ(Erigeron)属、チシマオドリコソウ(Galeopsis)属、コゴメギク(Galinsoga)属、ヤエムグラ(Galium)属、サツマイモ(Ipomoea)属、オドリコソウ(Lamium)属、マメグンバイナズナ(Lepidium)属、アゼナ(Lindernia)属、ミヤコグサ(Lotus)属、シカギク(Matricaria)属、ケシ(Papaver)属、オオバコ(Plantago)属、タデ(Polygonum)属、スベリヒユ(Portulaca)属、スモモ(Prunus)属、コナラ(Quercus)属、キンポウゲ(Ranunculus)属、イヌガラシ(Rorippa)属、キカシグサ(Rotala)属、セイヨウヤブイチゴ(Rubus)属、スイバ(Rumex)属、マツムシソウ(Scabiosa)属、キオン(Senecio)属、ツノクサネム(Sesbania)属、シロガラシ(Sinapis)属、ナス(Solanum)属、ノゲシ(Sonchus)属、ナガボノウルシ(Sphenoclea)属、ハコベ(Stellaria)属、タンポポ(Taraxacum)属、シャジクソウ(Trifolium)属、イラクサ(Urtica)属、クワガタソウ(Veronica)属、スミレ(Viola)属、オナモミ(Xanthium)属からのものが挙げられる。
【0054】
具体的な双子葉植物としては、例えば、セイヨウイトバマツムシソウ(スカビオサ・コロンバリア(Scabiosa columbaria))、ヘラオオバコ(プランタゴ・ランセオラタ(Plantago lanceolata))、セイヨウタンポポ(タラクサクム・オフィキナレ(Taraxacum officinale))、ルブス・フルクチコス(Rubus fructicosu)、シンコウサワギク(セネシオ・インアクイデンス(Senecio inaequidens))、ヒメムカシヨモギ(エリゲロン・カナデンシス(Erigeron canadensis))、ヒナギク(ベリス・ペレニス(Bellis perennis))及びスピノサスモモ(プルヌス・スピノサ(Prunus spinosa))を挙げることができる。
【0055】
防除とは、広葉草本系雑草、叢林、キイチゴ、低木及び木本系雑草を含む双子葉植物を、枯死させる、損傷させる又は生育を阻害することを意味する。一実施形態において、「生息地」という用語は、土壌、種子及び実生並びに定着した植生も含むことが意図されている。
【0056】
本発明の種々の態様及び実施形態は、ここで、例としてさらに詳細に説明されるであろう。本発明の範囲から逸脱することなく詳細の変更がなされ得ることが認識されるであろう。
【実施例
【0057】
実施例1~3
以下の除草処理に対する、双子葉雑草であるヘラオオバコ(Plantago lanceolata)(PLALA)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)(TAROF)及びセイヨウイトバマツムシソウ(Scabiosa columbaria)(SCBCO)の反応を評価するために圃場試験を実施した:
【0058】
【表1】
【0059】
試験は生育中の雑草に対し実施した。散布ブームを備え、フラットノズルを取り付けたETC型の散布機(噴射散布)を用いて発芽後施用を実施した。1ヘクタール当たりの散布液量は200L/haとする。評価の頻度:T0においては、各基本区画(elementary plot)の雑草による被度又は雑草の本数をそれぞれ評価し、全体の被度(overall coverage)を求める。処理後経過日数(DAT)T+1日、T+3日、T+7日、T+14日、T+21日、T+28日に、各基本区画の雑草ごとの目視による効力及び全体の被度を評価する。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
実施例4~7
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
キイチゴ(セイヨウヤブイチゴ(Rubus fruticosus))については、DAT0における被度を評価した。
【0068】
茎葉施用は全て、Cooper Peglerの施用用のフラットファンノズルを備えた加圧式の背負い式散布機を用いて施用した。散布設備は全て使用前に十分に較正した。
【0069】
各処理は4反復から構成されるものとし、各反復区の面積を10m2(2m×5m)とした。区画は乱塊法計画により配置した。
【0070】
キイチゴ(セイヨウヤブイチゴ(Rubus fruticosus))による被度の評価は初回施用前に行った。試験期間中、キイチゴ(セイヨウヤブイチゴ(Rubus fruticosus))に関する被度(%)及び抑制率(percentage control)を計6回:0DAA、6DAA、11DAA、28DAA、62DAA及び91DAAに評価した。
【0071】
統計解析は全てARM(バージョン21.5)を使用して行った。各評価期間に各雑草種及び全雑草に関する被度(%)及び目視による抑制率(%)の一元配置分散分析を実施した。適切な場合はスチューデント・ニューマン・コイルスによる比較検定を用いて平均値を区別し、これらをアルファベットによる検定(letter test)で示す;共通するアルファベットがない処理間には有意差がある。全ての分析において、処理間で有意差が発生しない確率をF確率値(p(F))として算出した。全ての検定は95%信頼区間で行った。残差の正規性を検定したところ、P>0.05で正規分布を示した。
【0072】
【表8】
【0073】
【表9】

【0074】
【表10】

【0075】
【表11】
【0076】
【表12】

【0077】
【表13】

【0078】
実施例5~6から分かるように、セイヨウヤブイチゴ(Rubus fruticosus)(キイチゴ)を対象とした場合、Herbatak Ultra(ペラルゴン酸)(5L/ha及び10L/haのいずれも)は、除草剤に好ましく作用し、特に、Valentia及びParsec+Hurricaneの性能を向上させ、ルブス・フルチコシウス(Rubus fruticosius)による被度が、除草剤を単独で施用した場合と比較して低下していることから、効力が向上したことが分かる。Herbatak Ultra(ペラルゴン酸)はまた、Garlon Ultraに関するキイチゴ(セイヨウヤブイチゴ(Rubus fruticosus))に対する被度(%)の評点も向上させることができた(これは雑草の見た目の損傷からも説明がつく)。実施例7~8においては、Herbatak Ultra(ペラルゴン酸)は、どちらの薬量で施用した場合も、Parsec+Hurricane、Valentia及びGarlon Ultraの性能を向上させ、特に28DAA後のセイヨウヤブイチゴ(Rubus fruticosus)(キイチゴ)に対する抑制率(%)の評点がより高かった。この結果は、本発明の方法により、キイチゴ及び木本系雑草を含む双子葉雑草の防除が改善されたことを示している。
【国際調査報告】