IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクア メンブレインズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2025-501194渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ
<図1>
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図1
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図2
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図3
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図4
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図5
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図6
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図7A
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図7B
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図8
  • 特表-渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】渦巻型膜エレメントのテーパ状スペーサ
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20250109BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539341
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022082393
(87)【国際公開番号】W WO2023129905
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/294,378
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/294,377
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クルト,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA62
4D006JA05A
4D006JA05B
4D006JA05C
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006MA03
4D006PA01
(57)【要約】
印刷スペーサ膜エレメントには、膜表面に任意のパターンを施してフィードスペーサ材料として機能させるというユニークな利点がある。これは、メッシュ全体の厚みと密度が均一な従来のフィードスペーサメッシュ材料とは対照的である。フィード空間内の膜シート間のより緊密な間隔保持を可能にしながら、より多くの開かれたフィード空間を利用することができ、これにより、より多くの膜シートを膜エレメントに巻き付けることができ、その結果、より多くの透過液の流れが得られると同時に、エレメントのフィード端から拒絶端までの圧力損失を低減することができる。印刷スペーサのユニークな設計特徴は、従来技術のフィードスペーサメッシュエレメントとは対照的に、膜エレメントの性能を劇的に向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻型水処理エレメントであって、
(a)収集管と、
(b)1つ又は複数の膜シートであって、それぞれが、処理される水と接触するのに適した第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有し、前記膜シートは前記収集管の周りに渦巻状に巻かれている、1つ又は複数の膜シートと、
(c)各膜シートの第1の半部の前記第1の表面に配置された複数の間隔保持エレメントであって、各間隔保持エレメントは、第1の端部と第2の端部とを有し前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる前記収集管の軸に垂直な断面を有し、前記第1の端部は前記第2の端部よりも広い、複数の間隔保持エレメントと
を含む、渦巻型水処理エレメント。
【請求項2】
前記間隔保持エレメントの前記第1の端部が、対応する膜シートの前記第1の半部と接触し、前記膜シートの前記第1の半部の前記第1の表面が、前記収集管から離れる方向を向いている、請求項1に記載のエレメント。
【請求項3】
前記間隔保持エレメントの前記第1の端部が、対応する膜シートの前記第1の半部と接触し、前記膜シートの前記第1の半部の前記第1の表面が、前記収集管の方を向いている、請求項1に記載のエレメント。
【請求項4】
前記第1の端部の幅に対する前記第2の端部の幅の比が0.98未満である、請求項1に記載のエレメント。
【請求項5】
前記第1の端部の幅に対する前記第2の端部の幅の比が0.95未満である、請求項1に記載のエレメント。
【請求項6】
前記第1の端部の幅に対する前記第2の端部の幅の比が0.85未満である、請求項1に記載のエレメント。
【請求項7】
前記間隔保持エレメントが、熱可塑性プラスチック、反応性ポリマー、ワックス、又は樹脂のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のエレメント。
【請求項8】
渦巻型水処理エレメントであって、
(a)収集管と、
(b)複数の膜シートであって、それぞれが活性表面と、前記活性表面の反対側の不活性表面とを有し、各膜シートは、前記活性表面が互いに対向するように、前記膜シートの第1及び第2の半部を形成する折り目線に沿って折り畳まれ、各膜シートは、前記収集管の近位に前記折り目線がある状態で配置される、複数の膜シートとを含み、
(c)各膜シートは、それの前記活性表面上に複数の間隔保持エレメントが配置されており、各間隔保持エレメントは、第1の端部と第2の端部とを有し前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる前記収集管の軸に垂直な断面を有し、前記第1の端部は前記第2の端部よりも広い、
渦巻型水処理エレメント。
【請求項9】
前記間隔保持エレメントの前記第1の端部が、対応する膜シートの前記第1の半部の前記活性表面と接触し、前記対応する膜シートの前記第1の半部の前記活性表面が、前記収集管から離れる方向を向いている、請求項8に記載のエレメント。
【請求項10】
前記間隔保持エレメントの前記第1の端部が、対応する膜シートの前記第1の半部の前記活性表面と接触し、前記対応する膜シートの前記第1の半部の前記活性表面が、前記収集管からの方を向いている、請求項8に記載のエレメント。
【請求項11】
前記第1の端部の幅に対する前記第2の端部の幅の比が0.98未満である、請求項8に記載のエレメント。
【請求項12】
前記第1の端部の幅に対する前記第2の端部の幅の比が0.95未満である、請求項8に記載のエレメント。
【請求項13】
前記第1の端部の幅に対する前記第2の端部の幅の比が0.85未満である、請求項8に記載のエレメント。
【請求項14】
前記間隔保持エレメントが、熱可塑性プラスチック、反応性ポリマー、ワックス、又は樹脂のうちの1つ又は複数を含む、請求項8に記載のエレメント。
【請求項15】
膜上に配置された印刷特徴部を含む渦巻型エレメントであって、前記膜の表面における特徴部の幅Rは、前記特徴部の頂部における前記特徴部の幅Sとは異なり、S<Rであり、前記膜のシートは、所与の特徴部について、前記幅Rの位置が前記幅Sの位置よりも中央管から遠くなるように配向されている、渦巻型エレメント。
【請求項16】
前記間隔保持特徴部が、対応する膜から0.003インチ~0.050インチの距離だけ延びる、請求項1に記載のエレメント。
【請求項17】
前記間隔保持特徴部が、対応する膜から0.003インチ~0.050インチの距離だけ延びる、請求項8に記載のエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離に利用される膜システムに関し、特に渦巻型膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
クロスフロー濾過では、フィード流体は渦巻型フィルタを通って流れ、他端で放出されるが、流体の一部は、流体の流れ方向と平行な膜表面を介した濾過によって除去される。クロスフロー濾過には、プレートアンドフレームシステム、カセットシステム、中空糸システム、又は渦巻システムなど、様々な形態がある。プレートアンドフレームシステム、カセットシステム、及び渦巻システムの濾過モジュールは、隣接する濾過膜層間に間隔保持を提供するスタックされた膜層に依存することが多く、本発明はこのようなシステムに適用できる。
【0003】
膜を通過して中央管へ至る流体の除去のための経路を、中央管の軸に対して長手方向に形成する多孔性透過液担体に又はその周囲にシールされた膜シートから構成されたラミネート構造からなる渦巻型膜濾過エレメントが当該技術分野でよく知られているが、このラミネート構造は、中央管の周囲に渦巻状に巻き付けられ、多孔性フィードスペーサ(feed spacer)でそれ自体から間隔をあけられ、エレメントのフィード端から拒絶端へ至るエレメントを通る流体の軸方向の流れを可能にする。従来、フィードスペーサメッシュは、フィード水(その一部は膜を通過する)の流れが渦巻型エレメントに入るのを可能にし、拒絶水が中央管に平行な方向であってエレメント構造の軸方向の方向にエレメントから出るのを可能にするために使用される。
【0004】
渦巻型エレメントの設計に対する改良は、Bargerらに付与された米国特許第6,632,357号、Bradfordらに付与された米国特許第7,311,831号、及びHerringtonらに付与された“Improved Spiral Wound Element Construction”と題するオーストラリア(第2014223490号)、日本(第6499089号)、中国(CN第105163834B号)、イスラエル(第240883号)及び韓国(第10-2196776号)の特許に開示されており、この特許は、フィードスペーサを、膜の内側若しくは外側の表面に、又は透過液担体に直接印刷、堆積、又はエンボス加工された島又は突起で置き換えている。Roderickらに付与された“Graded spacers for filtration wound elements”と題する米国特許第11,090,612号は、渦巻型エレメントにおけるフィードフロー特性を変更するために使用される高さ傾斜型スペーサ特徴部の使用を記載している。Roderickらに付与された“Interference Patterns for Spiral Wound Elements”と題する米国特許出願PCT/US17/62424号は、膜フィード空間を開かれた状態に保つが、巻き付ける間に膜エンベロープ接着領域の支持を提供する渦巻型エレメントのパターンを記載している。Roderickらに付与された“Bridge Support and Reduced Feed Spacers for Spiral-Wound Elements”と題する米国特許出願PCT/US18/55671号は、渦巻型エレメントの接着及び巻き付け中に支持を提供するために膜エンベロープの遠位端(中央管から最も遠い端)に適用される支持特徴部を記載している。Herringtonらに付与された“Variable Velocity Patterns in Cross Flow Filtration”と題する米国仮特許出願第63,051,738号は、フィード溶液の濃度が渦巻型エレメントのフィード端から拒絶端まで増加するにつれてフィード溶液の速度を制御するために、中央管に平行なフィード流路内で膜フィード空間のフィード端から拒絶端までサイズが変化する支持パターンを記載している。“Non-Nesting, Non-Deforming Patterns in Spiral Wound Elements”と題するRoderickら他に付与された米国特許第11,083,997号は、エレメント製造中に接着線において印刷パターンが入れ子状になるのを避けるために、膜フィード空間のフィード端と拒絶端により高密度のパターンを設け、中間部により開放的なパターンを設けることを記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、従来のメッシュフィードスペーサを使用する既存の最先端技術で利用可能なものに対して、低減されたエネルギー消費と同時に増大された透過液の流れを提供する渦巻型膜エレメントを製造する新規な方法を記載する。
【0006】
本発明の実施形態は、1つ又は複数の膜シートを含む渦巻型エレメントを提供し、各膜シートは、互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた膜シートは、折り目線が中央管の近位にある状態で中央管の周りに渦巻状に巻かれ、第1の膜半部は第2の膜半部に対して内側の巻き付きを形成し、各膜シートは、第1及び第2の膜半部の少なくとも一方の表面に配置された複数の間隔保持特徴部を有し、折り目線から第1の間隔保持特徴部までの距離は、中央管の近位に折り目線を有する膜シートの数で割った中央管の直径以上である。
【0007】
いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は第1の膜半部上に配置され、第2の膜半部上には配置されない。いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は第2の膜半部上に配置され、第1の膜半部上には配置されない。いくつかの実施形態はさらに、隣接する折り畳まれた膜シートの各対の間に透過性透過液担体を含み、透過液担体は折り畳まれた膜シートの不活性側に隣接して取り付けられる。渦巻型エレメントには、1つ又は複数の折り畳まれた膜シートが存在し得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、エレメント内の膜の面充填密度は33in2/in3より高い。いくつかの実施形態において、エレメント内の膜の面充填密度は35in2/in3より高い。いくつかの実施形態において、エレメント内の膜の面充填密度は39in2/in3より高い。いくつかの実施形態において、エレメント内の膜の面充填密度は41in2/in3より高い。いくつかの実施形態において、エレメント内の膜の面充填密度は43in2/in3より高い。
【0009】
いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、対応する膜の上方に延びる高さを有し、ここで、折れ目線に近い間隔保持特徴部の高さは、折れ線から離れた間隔保持特徴部の高さよりも小さい。いくつかの実施形態において、折り目線から中央管の半径超離れた間隔保持特徴部は、一定の高さを有し、中央管の直径より折り目線に近い間隔保持特徴部は、折り目線からの距離とともに増加する高さを有する。いくつかの実施形態において、折り目線から中央管の直径超離れた間隔保持特徴部は、一定の高さを有し、中央管の直径より折り目線に近い間隔保持特徴部は、折り目線からの距離とともに増加する高さを有する。いくつかの実施形態において、折り目線から中央管の円周超離れた間隔保持特徴部は、一定の高さを有し、中央管の直径より折り目線に近い間隔保持特徴部は、折り目線からの距離とともに増加する高さを有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、膜半部間の体積の7%未満を占める。いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は膜半部間の体積の5%未満を占める。いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、膜半部間の体積の2%未満を占める。いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、それらが堆積される膜の面積の7%未満を占める。いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、それらが堆積される膜の面積の5%未満を占める。いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、それらが堆積される膜の面積の2%未満を占める。
【0011】
本発明の実施形態は、(a)複数の折り畳まれた膜であって、各折り畳まれた膜は、活性表面と、活性表面の反対側の非活性表面とを有する膜シートを含み、膜シートは、活性表面が互いに対向するように折り目線に沿って半分に折り畳まれ、膜シートには複数の間隔保持特徴部が配置されているが、折り目線から0.1インチ未満の領域には間隔保持特徴部はない、複数の折り畳まれた膜と、(b)複数の透過性透過液担体シートと、(c)中央管とを含み、(d)透過液担体シートは中央管の周りに渦巻状に巻かれ、透過液担体シートの各対の間に折り畳まれた膜を挟んだ状態で一緒に溶接される、アセンブリを提供する。
【0012】
いくつかの実施形態において、透過液担体シートは、各連続する透過液担体シートの前縁が、先行する透過液担体シートの前縁から、透過液担体シートの数で割った中央管の円周よりも大きく離間しないように、一緒に溶接される。いくつかの実施形態において、第2の透過液担体シートは、少なくとも中央管の円周の距離だけ離れて第1の透過液担体シートに溶接され、第3の透過液担体シートは、透過液担体シートの数で割った中央管の円周以下の距離だけ離れて第2の透過液担体シートに溶接される。
【0013】
本発明の実施形態は、渦巻型流体処理エレメントを提供するものであり、このエレメントは以下を含む:(a)収集管;(b)1つ又は複数の膜シートであって、それぞれが、処理される流体と接触するのに適した第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面とを有し、膜シートは収集管の周りに渦巻状に巻かれている、1つ又は複数の膜シート;(c)各膜シートの第1の表面の第1の半分に配置された複数の間隔保持特徴部であって、各間隔保持特徴部は、第1の端部と第2の端部とを有し第1の端部から第2の端部まで延びる収集管の軸に垂直な断面を有し、第1の端部は第2の端部よりも広い、複数の間隔保持特徴部。
【0014】
いくつかの実施形態において、間隔保持エレメントの第1の端部は、対応する膜シートの第1の半部と接触し、膜シートの第1の半部の第1の表面は、収集管から離れる方向を向いている。いくつかの実施形態において、間隔保持エレメントの第1の端部は、対応する膜シートの第1の半部と接触し、膜シートの第1の半部の第1の表面は、収集管の方を向いている。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1の端部の幅に対する第2の端部の幅の比は0.98未満である。いくつかの実施形態において、第1の端部の幅に対する第2の端部の幅の比は0.95未満である。いくつかの実施形態において、第1の端部の幅に対する第2の端部の幅の比は0.85未満である。いくつかの実施形態において、間隔保持エレメントは、熱可塑性プラスチック、反応性ポリマー、ワックス、又は樹脂のうちの1つ又は複数を含む。
【0016】
本発明の実施形態は、渦巻型流体処理エレメントを提供し、この流体処理エレメントは以下を含む:(a)収集管;(b)複数の膜シートであって、それぞれが活性表面と、活性表面の反対側の不活性表面とを有し、各膜シートは、活性表面が互いに対向するように折り目線に沿って折り畳まれ、各膜シートは、収集管の近位に折り目線がある状態で配置される、複数の膜シート;(c)ここで、各膜シートは、それの活性表面上に複数の間隔保持特徴部が配置されており、各間隔保持特徴部は、第1の端部と第2の端部とを有し第1の端部から第2の端部まで延びる収集管の軸に垂直な断面を有し、第1の端部は第2の端部よりも広い。
【0017】
本発明の実施形態は、膜上に配置された印刷特徴部を含む渦巻型エレメントを提供し、ここで、膜表面における特徴部の幅Rは、特徴部の頂部における特徴部の幅Sとは異なり、S<Rであり、膜シートは、所与の特徴部について、幅Rの位置が幅Sの位置よりも中央管から遠くなるように配向されている。
【0018】
いくつかの実施形態において、間隔保持特徴部は、対応する膜から0.003インチ~0.050インチの距離だけ延びる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面の簡単な説明
図1】渦巻型膜エレメントの分解図である。
図2】部分的に組み立てられた渦巻型膜エレメントの分解図である。
図3】中央管の周りに複数の膜シートを巻き付ける前の渦巻型エレメントの端面図である。
図4】両方とも同じ高さのフィードチャネルの現行技術のメッシュエレメント及び印刷されたスペーサエレメントのユニット断面領域を示す2つの図である。
図5】現行技術のメッシュエレメント及び、より短い高さのフィードチャネルを有する薄い印刷されたスペーサエレメントの有効流れ断面を示す2つの図である。
図6】膜シートの入口領域及び出口領域に高密度の糊付け支持線を有し、中央部に低密度の領域を有する印刷された膜シートの図である。
図7A】中央管の穴の密度が低いパターンの図である。
図7B】中央管の穴の密度が高いパターンの図である。
図8】台形のフィードスペーサエレメントを有する中央管の周りに巻かれる2枚の膜リーフの端面図である。
図9】台形のフィードスペーサエレメントを有する中央管の周りに巻かれる2枚の膜リーフの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための形態及び産業上の利用可能性
渦巻型濾過エレメントのフィードスペーサは、流体がフィードチャネルのフィード端から拒絶端まで流れるチャネルを維持するために必要であるが、スペーサの設計はまた、エレメントのフィード端から拒絶端までの差圧損失、局所的な流速、乱流、淀みゾーン、及び他の流体流れ状態に影響する。押出しメッシュフィードスペーサは、膜製造において伝統的に使用されてきたが、その設計の性質上、流体力学的特性の多くはスペーサの厚さに依存する。従来のメッシュスペーサはまた、中央管から遠位端から中央管近傍の膜シートの近位端に至るまで、フィード空間において均一な支持特性を提供する。印刷されたフィードスペーサは、従来の押出し又は織布メッシュスペーサでは得られなかったユニークな設計特性を可能にする。印刷されたスペーサの厚みや形状は独立して変更することができ、特定の用途又は渦巻型膜エレメントの用途に見られる特定の課題に合わせることができる幅広い構成を得ることができる。印刷スペーサ技術の重要な特徴の1つは、フィードチャネルの開放構造である。従来のメッシュスペーサは、2層のストリンガを十字に交差させ、2つのストリンガの交点で溶接又は接着してメッシュに構造を提供することからなる。その性質上、流体はすべて、一方のストリンガを通過し、ストリンガを回り、反対側のストリンガを越えて戻らなければならない。メッシュのストリンガがフィードスペースを横切っている場合、たとえそれが流路に対して垂直でなくても、流れチャネルの高さに固有の制限が生じる。印刷されたフィードスペーサには固有の制限がない。印刷されたスペーサのチャネルの高さは、従来のメッシュスペーサの半分にすることができ、メッシュスペーサと同じ質量流量特性と、拒絶までの同じ圧力降下フィードとを提供する。40インチ長さのエレメントにおける従来のメッシュスペーサは、通常26~32ミル(0.026~0.032インチ)の範囲であるが、ユニークな用途ではこれより高くすることも低くすることもできる。印刷スペーサ技術により、スペーサの高さをはるかに低く、通常15~20ミル(0.015~0.020インチ)することができ、40インチ長さのエレメントのメッシュスペーサと同じ質量流量特性を、拒絶までの同等の圧力降下フィードで提供する。長さ12インチ又はそれ以下のエレメントでは、スペーサの高さは0.003インチまで低くすることができるが、通常は0.006インチ~0.008インチの高さである。一般的に利点として表現されるメッシュスペーサの主な特徴のひとつは、メッシュが、濃度分極の低減に役立つ実質的な混合を流れストリームの中で作り出すことである。濃度分極とは、流体分子が膜を通過する際に、流体ストリーム中のイオンが膜表面で積み重なり、膜表面での全溶解固形分(TDS)の濃度を増加させる傾向のことであり、それによって膜表面を流体分子が通過するのに必要な浸透圧を増加させる。濃度分極の他の欠点は、膜表面を通って移動するTDSの増加により、生成水の品質が低下することであり、これは拒絶の損失としても知られている。濃度分極は、海水などの高TDSの水において、より明白な影響を及ぼす可能性があり、海水では、エレメントの拒絶端でTDSが高くなるため、浸透圧の上昇がより劇的になる。淡水の場合、高い拒絶は通常それほど重要ではない。しかしながら、半導体加工などのいくつかの工業用途では、低TDS用途でも高い拒絶が望まれる。まれに溶解する種を含む水の場合、システム回収と分極の複合効果により、エレメントの拒絶端、又はマルチエレメント圧力容器の最後のエレメントで沈殿が生じることもある。これらの特性は、逆浸透システムの回収を制限する可能性がある。いずれにせよ、印刷スペーサ技術は、濃度分極を最小化するために必要な混合を作り出すために、多種多様な印刷特徴を有することができる。
【0021】
クロスフロー濾過は、その性質上、フィード流体の一部がフィルタを通過して濾液の一部となることに依存するため、フィード流体がフィルタを通過する際にフィード流体の量が常に減少する状況を作り出す。生成される濾液の部分が多ければ多いほど、フィルタを通って流れ続けるフィード/濃縮流体の部分は少なくなる。流体がエレメントを通過する際、流体の一部は膜を通過する。単純にモデル化すると、膜を通過する流束が一定であれば、エレメント内をフィード空間のフィード端から拒絶端まで流れるにつれて、フィード溶液の流れは徐々に減少する。実際には、フィード流路に沿った任意の地点を通過する流体の量は、局所的な流れの状態、溶質又は懸濁物質の局所的な濃度、及び局所的な圧力に依存し、これはまたフィード空間内の背圧並びに局所的にエレメントの透過側からの背圧に依存する。
【0022】
印刷スペーサ技術の重要な利点は、より開放的なフィードスペーサチャネルを形成できることである。本発明は、透過液の流れを最大にする手段、回収率を増加させる手段、又はエレメントのフィード端から拒絶端までの差圧損失を減少させる手段、スケール形成の可能性を減少させる手段、洗浄プロトコルを簡素化する手段、或いはこれらすべての利点の組合せを提供する。
【0023】
採用されるフィード成形特徴部は、丸い点、楕円、端が丸い棒、レンズ形状、引き伸ばされた多角形、円弧、線又は他の幾何学的形状を含む多数の形状のいずれかであり得る。特徴部の形状と、流体が特徴部の外側の周囲を移動しなければならないという事実により、流体の流速は、膜エレメントのフィード端から拒絶端までフィード間隔保持特徴部間の領域で局所的に変化する。
【0024】
図1は巻き付け前の従来の渦巻型膜エレメントの概略図であり、従来の渦巻型膜エレメント100の重要な要素を示している。透過液収集管12は、透過液担体22から透過液が収集される収集管12内の穴14を有する。製造において、膜シート36は、中心線30で折り曲げられる単一の連続シートであり、一方の面28上の非活性多孔性支持層、例えばポリエステル、ポリスルホン又はそれらの組合せと、支持層に接着又は流延された活性ポリマー膜表面24とから構成される。組み立てられたエレメントにおいて、透過液収集管12に巻き付けられているとき、活性ポリマー膜表面24はフィードスペーサメッシュ26に隣接し、非活性支持層28は透過液担体22に隣接している。好ましい実施形態において、フィードスペーサメッシュ26は、活性ポリマー膜表面24上の、又は代替的に非活性支持層28上の印刷された特徴部で置き換えられ、活性ポリマー膜表面28上にエンボス加工された特徴部を形成する。フィード溶液16は活性ポリマー膜表面24の間に入り、フィードスペーサメッシュ26の開いたスペースを通って流れる。フィード溶液16がフィードスペーサメッシュ26を通って流れるとき、膜によって排除される粒子、イオン、又は化学種は活性ポリマー膜表面24で拒絶され、透過液の分子、例えば水分子は活性ポリマー膜表面24を通過して多孔性透過液担体22に入る。フィード溶液16が活性ポリマー膜表面24に沿って移動するにつれて、バルクフィード溶液16中の透過液の損失により膜により排除される物質の濃度が上昇し、この濃縮された液は拒絶液18として活性ポリマー膜シート24の拒絶端部から出る。透過液担体22内の透過液は、透過液担体22の遠位端34から中央管12の方向に流れ、透過液は中央管入口穴14から中央管12に入り、透過液20として中央管12から出る。透過液がフィード溶液16で汚染されるのを避けるため、非活性ポリマー膜層28は、透過液担体22を貫いて接着線32に沿って接着剤でシールされ、これにより透過液20の唯一の出口経路が中央管12を通るシールされた膜エンベロープが形成される。通常、接着線32の幅は、巻き付けプロセスの間に接着剤が圧縮された後、1~3インチである。
【0025】
既存の技術において、部分的に組み立てられた渦巻型膜エレメント200が図2に示されている。膜エンベロープ40は、図1に関連して記載したように、一端で折り曲げられた膜シート36を備え、透過液担体22が膜シートの間に配置され、適切な接着線32(図1)で縁に沿ってシールされる。一旦巻かれた膜エレメントの従来設計では、フィードスペーサメッシュ26がエンベロープ40に隣接して配置され、フィード溶液16の流れが層膜エンベロープ40の間を流れ、膜シートの活性ポリマー表面24のすべてがフィード溶液に曝されるようにする。透過液、又は生成流体は、膜エンベロープ40内の透過液担体22に収集され、渦巻状に中央管12まで進み、そこで生成流体、又は透過液流体20が収集される一方、拒絶流18はエレメントから出る。単一の渦巻型エレメントは、単一の膜エンベロープ及びフィードスペーサ層を備えてもよく、又はエレメントを形成するために一緒にスタックされて巻かれた複数の膜エンベロープ及びフィードスペーサ層を備えてもよい。複数の膜シートエレメントの場合、透過液担体アセンブリ(トリコパック)は、典型的にはエレメント内のリーフ数で割った中央管外周の距離であるオフセット距離で超音波式に(又は他の方法で)溶接された複数の透過液担体シートからなる。第1の透過液担体シートは、個々の透過液リーフに過度の背圧を発生させることなく、すべてのリーフからの透過液が中央管の穴に入るための容積を確保するために、中央管の周囲に1回又は2回巻き付くことができるように、一般的により長くなっている。
【0026】
図3は、膜シート36の活性ポリマー表面24に適用される印刷スペーサ50の重要な利点を描いている。印刷スペーサ50は、従来のメッシュ26(図2)の高さの50パーセント以下の高さで印刷することができる。印刷スペーサ50を使用した膜エンベロープ40(図2)の厚さは、従来のメッシュ26よりもかなり薄いため、従来のメッシュ26で構成された膜エレメント200の同等の外径に対して、より多くの層の膜エンベロープ40(図2)を中央管12に巻き付けることができる。実際には、膜エンベロープ40のそれぞれは、透過液担体22が取り付け点23で中央管12に取り付けられている折り目線30(図1)から始まるべきである。フィードスペーサの厚さを含む膜エンベロープ40の厚さは、中央管12の周りの層ごとの合計厚さを決定する。この合計厚さは、すべての膜リーフが中央管から始まり、第1の層で中央管を包み込むように他のリーフの上に重ねられないと仮定して、透過液担体22が中央管12に取り付けられ得る最小間隔Xを決定する。長さ40インチ(1016mm)及び直径8インチ(203.2mm)のエレメントでは、中央管12は通常1.5インチ(39.1mm)の外径を有するが、これより小さくても大きくてもよい。そして当然のことながら、中央管12の直径が大きくなればなるほど、外径が8インチ(203.2mm)を超える前に中央管12に巻き付けられ得る膜の量は少なくなる。中央管12の外周はπDで与えられ、ここでDは中央管12の外径である。1.5インチ(39.2mm)の中央管の場合、円周は4.71インチ(119.6mm)である。薄いメッシュのフィードスペーサを用いた場合、約25枚の膜エンベロープ40を中央管12に巻き付けることができる。従来の製造技術を使用したフィードスペーサメッシュ26は、通常、0.028インチ(0.71mm)と低い厚さを有し、膜エレメント内のフィードから拒絶までのフィード圧力の損失により、この最小厚さに制限される。これは、間隔Xが4.71インチを25枚のリーフで割った距離、すなわち0.188インチ(4.79mm)を有することを意味する。高さ0.017インチ(0.43mm)の印刷スペーサ50では、8インチ(203.2mm)の外径が達成されるまでに、従来のメッシュスペーサエレメントと同等のリーフ長で35枚もの膜シートを使用することができる。この結果、膜の表面積は40%増える(透過水の流れは40%増える)が、フィードから拒絶までの圧力損失はメッシュエレメントと同等である。1.5インチ(39.2mm)の中央管に35枚のリーフを使用する場合、間隔Xは0.135インチ(3.43mm)と小さくすることができる。本明細書の図示及び記載は、透過液担体が中央管に直接取り付けられていることを前提としている。いくつかの実施形態では、透過液担体材料の層は、別個の要素として、又は透過液担体の1つの延長として、中央管の周りに巻かれる。このような巻き付けは、この議論の目的上、中央管の一部とみなされる。
【0027】
4インチ(101.6mm)のエレメントの場合、中央管の外径は通常0.84インチ(21.34mm)である。メッシュスペーサを有する直径4インチのエレメントは、典型的には5枚の膜リーフを有する。典型的な直径4インチのエレメントの中央管の外径は0.84インチで、円周は2.64インチ(67mm)である。中央管周囲の透過水担体リーフ間の間隔は、0.528インチ(13.41mm)である。印刷されたスペーサエレメントでは、同等の長さの膜シートに関して7枚のリーフを中央管に巻き付けることができる。この結果、透過液担体の間隔は、中央管のシート間で0.377インチ(9.58mm)となる。
【0028】
経済性と製造の容易さのために、メッシュスペーサを使用する直径1.8インチ(45.7mm)×長さ12インチ(304.8mm)の家庭用エレメントは、通常、1枚のリーフを有するだけである。エレメントの長さが12インチしかないため、メッシュの厚さは、40インチ長さのエレメントよりもはるかに薄くすることができる。拒絶までの差圧損失フィードがはるかにより短い距離であるからである。しかしながら、いずれにせよ、印刷スペーサのフィードスペースの高さはメッシュスペーサの半分にすることができ、メッシュエレメントの1枚のリーフに対して2枚以上のリーフを使用することができる。12インチエレメントの中央管の典型的な直径は0.67インチ(17mm)である、又は2.1インチ(53.46mm)の円周である。メッシュエレメントにより短いリーフを使用し、中央管に2枚のリーフを巻き付けることもある。まれに3枚のリーフが使われることもある。2枚のリーフと直径0.67インチの中央管の場合、透過液担体の間隔は1.05インチである。印刷スペーサエレメントは、拒絶までの同じ圧力降下フィードに対してより多くのリーフを有することができるので、中央管に対する透過液担体の間隔は1.05インチ未満とすることができる。直径3インチ×長さ12インチのエレメントも、浸透液流れがはるかにより多くなり、家庭用システムで圧力タンクが不要になる可能性があるため、普及しつつある。いずれにせよ、中央管上の透過液間隔Xは、同等の印刷スペーサエレメントについてメッシュスペーサエレメントの半分の距離になる。
【0029】
膜シートが取り付け点23から引き離されるのを防止するために、全幅が狭いことが好ましい。特に、折り目から第1の印刷特徴部までの距離Vは、透過液担体の間隔Xよりも大きいことが好ましい。これは、巻き付け中にリーフを所定の位置に保持する効果を有し、挿入点でリークが形成されるのを防止する。折り目から第1の印刷特徴部までの距離は、チャネルの高さが低いのに起因して混合特性が変化するので、この距離は4インチ未満、より好ましくは3インチ未満、より好ましくは2インチ未満、さらに好ましくは1インチ未満であることが望ましい。
【0030】
要約すると、40インチ長さのエレメントでは、メッシュタイプのエレメントよりも40パーセント多くのメンブレンリーフを使用することができ、つまり、間隔を約30%少なくすることができ(5リーフ対7リーフ=0.71)、12インチ長さのエレメントでは2倍のリーフを使用することができ、すなわち間隔を50%少なくすることができる(1リーフ対2リーフ=0.5)。当然のことながら、スペーサの幅、リーフの枚数、エレメントの長さ、及び拒絶までの許容可能な圧力損失フィードの多くの組合せが存在する。しかしながら、すべての場合において、印刷スペーサの間隔高さは、より短くすることができ、リーフの数は、拒絶までの同等の圧力損失フィードについて、メッシュタイプのエレメントに対してより多くすることができる。
【0031】
図4A及び4Bは、印刷スペーサ技術の重要な利点の1つを明確にしている。図4Aは、フィード空間にメッシュスペーサ26を有する幅Yのフィードチャネルの見た目を表す。メッシュスペーサ26は、互いに垂直に整列されたストリンガ26a及び26bを含む。実際には、ストリンガ26a及び26bは、互いに90度未満の非法線角で存在し得る。また、メッシュスペーサ26は、ストリンガが流路に対して45度に向いている。しかしながら、図4Aは、ストリング26aの効果的な閉塞を示し、流れ52aが流路幅-フィードチャネル幅Y-の半分について遮断されることを可能にする。印刷スペーサ50は、流体52bがフィードチャネル高さYの全高さで流れることを可能にする。明らかに、これは、エレメント100(図1)のフィード端から拒絶端までの流れに対するより少ない抵抗及びより低い圧力降下を提供する、はるかにより大きな断面積の流路である。図5A及び5Bは、メッシュスペーサにおける真の有効流れ52aと、高さを低くした印刷フィードスペーサエレメントにおける流れ52cとを表している。両エレメントの流れ断面積は実質的に同じである。試験は、業界標準の40インチ長さ×4インチ直径の膜エレメント、すなわち従来の28ミルフィードスペーサメッシュを有する4040エレメントを用いて実施された。比較として、13ミルの印刷スペーサエレメントでも流れ試験を実施し、エレメントのフィード端から拒絶端までの圧力降下を測定した。これらの試験では、流束と拒絶に関する性能データは収集しなかった。この試験の目的は、差圧を下げるための印刷スペーサの大きな利点を実証することであった。流量は4ガロン/分(GPM)から2GPM刻みで18GPMまで試験され、エレメントのフィード端から拒絶端までの差圧を測定した。印刷スペーサのフィードチャネルの高さ(13ミル)はメッシュスペーサエレメントの高さ(28ミル)の半分未満であるにもかかわらず、エレメントのフィード端から拒絶端までの差圧は印刷スペーサエレメントの方が低かった。
【0032】
【表1】
【0033】
さらに、フィード流れの関数としての差圧は、以下のべき乗則として最もよく記述される。
差圧=a*フィード流れ^b
ここで、bはメッシュエレメントでは約1.4であり、印刷エレメントでは1である。これにより、フィード流量が増加するにつれて節約量が増加し、エネルギー損失が大幅に低減される。本発明の渦巻型エレメントは、好ましくは指数bが1.35未満、より好ましくは1.2未満、さらにより好ましくは1.1未満、さらにより好ましくは約1である。
【0034】
13ミルの印刷スペーサの高さを使用すると、40インチ長さのエレメントに40パーセント多い膜面積を組み込むことができる。直径4インチの28ミルのメッシュスペーサエレメントは、中央管に巻かれた5枚のリーフを含み、最終的な外径は4インチ弱となる。高さ13ミルの印刷スペーサエレメントでは、同じ長さのリーフ7枚を中央管に巻き付けても、4インチ弱の直径を維持することができる。印刷スペーサエレメントの追加された膜材料の表面積により、メッシュエレメントと印刷スペーサエレメントの両方に同じ膜シート材料を使用した場合、同じ運転条件下で透過液量が最大40パーセント増加する。実際には、印刷スペーサ50が膜シート36に直接印刷され、活性表面積の3パーセントほどを閉塞しているという事実のため、40パーセント増の表面積が上限となる。それでも、40インチ長さの印刷スペーサエレメントにおいて、拒絶までの同じ圧力降下フィードで、メッシュスペーサエレメントと比較して、37パーセント多い平方フィートの活性膜面積を利用することができる。これは、膜エレメントの面充填密度[エレメントの体積(in3)あたりの活性面積(in2)]として記載することができる。メッシュスペーサを使用した従来のエレメントの面充填密度は最大31in2/in3であった。本発明の例示的な渦巻型エレメントは、33in2/in3より高く、35in2/in3より高く、さらに好ましくは39in2/in3より高く、41in2/in3より高く、43in2/in3より高い面充填密度を達成することができる。
【0035】
図6は、印刷された活性膜表面24の入口及び出口上の高密度エッジパターン46を示す図である。この高密度エッジパターン46は、巻き付け中に接着剤が透過液担体22(図1)を通って流れるように押し付けられて膜シート28(図1)の反対側の非活性表面と接着接触させられるように、糊付けライン32(図1)が膜シート28(図1)の裏面に押し付けられる間及びその後、膜エレメントのエッジを支持するために好ましい。入口及び出口エッジパターン46の幅Wは、接着剤製造技術、接着剤の粘度、及び他の要因によって決定される幅Wを有する。手動の糊付け及び巻き付け技術を使用する40インチ長さのエレメントでは、エッジパターン46の幅Wは、典型的には、3~3.5インチ(76~89mm)である。Wの長さは、糊付けラインに圧力を供給し、パターンエリアを通してエレメントのトリミングが行われるのに十分な幅である必要があるが、この領域は、より大きな活性エリアの損失につながり、エレメントのフィード端から拒絶端までの圧力降下の増加につながるため、Wは最小化されるべきである。自動化された巻き付け及び糊付け技術を使用すると、印刷時(切断前)のエッジパターン46の幅Wは、2.0インチ(50.4mm)の幅に最小化することができるが、より好ましくは1.5インチ(38.1mm)である。
【0036】
図7A及び7Bは、透過液担体22(図1)からの流体の流れを提供する穴14を有する中央管12の図である。より短い高さの印刷スペーサ特徴部50(図3)により、より多くの膜エンベロープ40(図2)が、従来のメッシュスペーサ26(図1)で構成された任意の同等の外径エレメントで利用され得る。より多くの透過液が中央管12に流れるにつれて、穴14は、透過液担体22の背圧を増加させることなく追加の透過液の流れを収容するために、直径がより大きいか、間隔がより近いかのいずれかでなければならない。12インチ長さのエレメントでは、最大2倍の膜エンベロープ40を中央管に巻き付けることができる。したがって、12インチ長さのエレメントの場合の間隔密度は、透過水担体22内の背圧の問題を避けるために、2対1に増やさなければならない。40インチ長さのエレメントの場合、40パーセント多いリーフを中央管12に巻き付けることができる。その場合、従来のメッシュで製造されたエレメントの中央管の穴の数及び/又はサイズ(直径)に対して、穴14の数を40パーセント増やすか、穴14の断面積を40パーセント増やす必要がある。これは、大流量のウルトラフィルタ(UF)及びマイクロフィルタ(MF)渦巻型エレメントにとって特に重要である。
【0037】
図8は、渦巻型エレメント100(図1)のフィード端16(図1)から拒絶端18(図1)までの流路が、スペーサ特徴部50の形状により流路を最大化する本発明の実施形態を示す。一例として、印刷された膜36が、膜36に適用されたスペーサ特徴部50とともに中央管12の周りに巻かれるように、スペーサ特徴部50は、例えば、台形の形状に、又はSが頂部で、次に膜と接触している底部Rでより狭い特徴部50の異なる幅を有する他の形状に形成され得る。これは、流体が通過するにつれて流路がより狭く長くなり、それによってより大きな差圧に寄与するエッジ特徴部46(図6)にとって特に重要である。膜36が中央管12に巻き付けられると、スペーサ特徴部50の側面が平行な壁Pを作り、流体が渦巻型エレメント100(図1)に出入りするための、より開かれたフィード流路を提供するように、台形の頂部が接近する。巻き付け後の平行な壁の代替として、スペーサ特徴部50の側壁及びエッジ特徴部46(図6)は平行でなくてもよいが、フィードスペーサ経路が平行な壁を有する経路だけよりもより開かれるように、0度よりも大きい円弧を形成してもよい。より開かれた流路の正味の結果は、エレメントのフィード端から拒絶端までのより少ない圧力損失であり、それにより膜濾過プロセスのエネルギーが節約される。流れチャネル差圧特性を改善するために、折られた膜シート28は、所与の特徴部50に対して、幅Sによって記述されるその位置が、組み立てられた渦巻型エレメントにおいてそのRによって記述される特徴部の側よりも中央管に近いような方法で配向され得ることが見出されている。
【0038】
本発明を様々な例示的実施形態に関連して記載してきた。上記の記載は、本発明の原理の適用を単に例示するものであり、その範囲は、本明細書に照らして見た特許請求の範囲によって決定されることが理解されよう。本発明の他の変形及び修正は、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【国際調査報告】