(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】油圧統合制御モジュール及びそれを有する油圧サスペンションシステム、車両
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B60G17/015 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539372
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2022144182
(87)【国際公開番号】W WO2023125983
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111651770.9
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼豪▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】廖▲銀▼生
(72)【発明者】
【氏名】黄泰▲碩▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼宏洲
(72)【発明者】
【氏名】黄▲飛▼
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA02
3D301AA48
3D301CA01
3D301DA08
3D301DA27
3D301DA33
3D301DA68
3D301DA82
3D301DB35
3D301DB39
3D301DB40
3D301DB41
3D301DB48
3D301EA04
3D301EB16
3D301EC01
3D301EC06
(57)【要約】
油圧統合制御モジュール(100)は、統合ベース(32)、タンク(1)、制御弁(12)及びアキュムレータモジュールを含み、統合ベース(32)内に油路(44)が設置され、統合ベース(32)の外周壁には、油路(44)に接続された外部接続口(320)が設置され、外部接続口(320)は、ダンパ(200)に連通するように構成され、タンク(1)は、統合ベース(32)に取り付けられ、油路(44)に連通し、制御弁(12)は、油路(44)内に直列接続されて油路(44)の開放又は遮断を制御し、アキュムレータモジュールは、統合ベース(32)に取り付けられ、油路(44)に接続され、油路(44)内のオイルの量を調整する。油圧統合制御モジュール全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減し、油圧統合制御モジュールを有する油圧サスペンションシステムは、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合ベース、タンク、制御弁及びアキュムレータモジュールを含み、前記統合ベース内に油路が設置され、前記統合ベースの外周壁には、前記油路に接続された外部接続口が設置され、前記外部接続口は、ダンパに連通するように構成され、
前記タンクは、前記統合ベースに取り付けられ、前記油路に連通し、
前記制御弁は、前記油路内に直列接続されて前記油路の開放又は遮断を制御し、
前記アキュムレータモジュールは、前記統合ベースに取り付けられ、前記油路に接続され、前記油路内のオイルの量を調整する、油圧統合制御モジュール。
【請求項2】
前記統合ベース内には、第1分岐路が設置され、前記第1分岐路は、前記油路に接続され、
前記アキュムレータモジュールは、剛性調整アキュムレータ及び剛性調整弁を含み、前記剛性調整弁は、前記第1分岐路に直列接続されて前記第1分岐路を開放又は遮断し、前記剛性調整アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記第1分岐路に連通する、請求項1に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項3】
前記剛性調整アキュムレータは、前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に取り付けられる、請求項2に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項4】
前記アキュムレータモジュールは、減衰調整弁及び減衰アキュムレータを含み、前記減衰調整弁は、前記油路に直列接続されて前記油路の減衰を調整し、
前記減衰アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記油路に連通する、請求項1~3のいずれか一項に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項5】
前記減衰アキュムレータの前記統合ベースにおける取付平面は、前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に垂直であり、前記減衰アキュムレータ及び前記減衰調整弁は、同じ取付平面に位置する、請求項4に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項6】
前記統合ベース内には、第3分岐路及び第4分岐路が設置され、前記第3分岐路は、それぞれ前記油路と前記タンクのオイル出口に接続され、前記第4分岐路は、それぞれ前記油路と前記タンクのオイル入口に接続され、前記第3分岐路には、前記タンク内のオイルを前記油路にガイドするように制御ポンプが設置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項7】
前記第4分岐路には、それを開放又は遮断するオイル戻し弁が直列接続される、請求項6に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項8】
前記第3分岐路には、逆止弁が設置され、前記逆止弁は、オイルを前記油路に一方向にガイドする、請求項6又は7に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項9】
前記第3分岐路には、圧力安定化アキュムレータが設置され、前記圧力安定化アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に取り付けられる、請求項6~8のいずれか一項に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項10】
信号受信機をさらに含み、前記信号受信機は、前記統合ベースに設置され、前記制御弁と協働して前記制御弁の動作状態を制御する、請求項1~9のいずれか一項に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項11】
前記制御弁は、電磁弁であり、前記信号受信機は、コイルである、請求項10に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項12】
複数の油圧統合制御モジュール及び複数のダンパを含み、前記油圧統合制御モジュールは、請求項1~11のいずれか一項に記載の油圧統合制御モジュールであり、
前記ダンパは、第1シリンダ、ピストン及びピストンロッドを含み、前記ピストンは、前記第1シリンダ内に位置し、前記第1シリンダと協働して上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドは、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドの上端は、車体に接続されるように構成され、前記複数のダンパは、複数の前記油圧統合制御モジュールに1対1に対応して設置され、各前記統合ベースの前記外部接続口は、前記下チャンバに連通する、油圧サスペンションシステム。
【請求項13】
車両であって、
車体及び制御ユニットと、油圧サスペンションシステムとを含み、
前記油圧サスペンションシステムは、請求項12に記載の油圧サスペンションシステムであり、各前記ピストンロッドの上端は、前記車体に接続され、複数の油圧統合制御モジュールの前記制御弁は、それぞれ前記車両の制御ユニットに接続される、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202111651770.9である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、車両の分野に関し、特に、油圧統合制御モジュール及びそれを有する油圧サスペンションシステム、車両に関する。
【背景技術】
【0003】
サスペンションは、車体と車軸との間の相互作用力を伝達する装置であり、自動車の4つの主な構成要素の1つであり、自動車の走行性能に影響を与える重要な構成である。サスペンションは、路面からフィードバックされた作用力及びモーメントを伝達し、車輪の振動を減衰し、衝撃を緩和し、運転者の運転体験を向上させることにより、車両が理想的な運動特性及び安定した走行能力を得ることができる。関連技術のサスペンションは、スプリング、ガイド機構及びダンパなどで構成されることが多く、ダンパは、減衰係数及びスプリングの剛性がいずれも一定であり、快適性と操作安定性を両立することが困難である。関連技術では、油圧によりサスペンションの剛性及び/又は減衰を調整するサスペンションもあるが、オイルを流通させるために様々な配管を接続する必要があるため、サスペンションの体積が大きく、接続箇所でオイル漏れのリスクが生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
そのため、本願の1つの目的は、全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する、油圧統合制御モジュールを提供することである。
【0006】
本願は、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させることができる、上記油圧統合制御モジュールを有する油圧サスペンションシステムをさらに提供する。
【0007】
本願は、上記油圧サスペンションシステムを有する車両をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の実施例に係る油圧統合制御モジュールは、統合ベース、タンク、制御弁及びアキュムレータモジュールを含み、前記統合ベース内に油路が設置され、前記統合ベースの外周壁には、前記油路に接続された外部接続口が設置され、前記外部接続口は、ダンパに連通するように構成され、前記タンクは、前記統合ベースに取り付けられ、前記油路に連通し、前記制御弁は、前記油路内に直列接続されて前記油路の開放又は遮断を制御し、前記アキュムレータモジュールは、前記統合ベースに取り付けられ、前記油路に接続され、前記油路内のオイルの量を調整する。
【0009】
本願の実施例に係る油圧統合制御モジュールにおいて、油路を統合ベース内に統合することにより、タンク及びアキュムレータモジュールを統合ベースに取り付けて油路に接続し、これにより、油路、タンク及びアキュムレータモジュールが一体に統合されて、油圧統合制御モジュール全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する。それが車両に用いられる場合、車両の快適性と操縦安定性との矛盾を効果的に解決する。
【0010】
本願のいくつかの実施例では、前記統合ベース内には、第1分岐路が設置され、前記第1分岐路は、前記油路に接続され、前記アキュムレータモジュールは、剛性調整アキュムレータ及び剛性調整弁を含み、前記剛性調整弁は、前記第1分岐路に直列接続されて前記第1分岐路を開放又は遮断し、前記剛性調整アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ第1分岐路に連通する。
【0011】
本願のいくつかの実施例では、前記剛性調整アキュムレータは、前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に取り付けられる。
【0012】
本願のいくつかの実施例では、前記アキュムレータモジュールは、減衰調整弁及び減衰アキュムレータを含み、前記減衰調整弁は、前記油路に直列接続されて前記油路の減衰を調整し、前記減衰アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記油路に連通する。
【0013】
本願のいくつかの実施例では、前記減衰アキュムレータの前記統合ベースにおける取付平面は、前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に垂直であり、前記減衰アキュムレータ及び前記減衰調整弁は、同じ取付平面に位置する。
【0014】
本願のいくつかの実施例では、前記統合ベース内には、第3分岐路及び第4分岐路が設置され、前記第3分岐路は、それぞれ前記油路と前記タンクのオイル出口に接続され、前記第4分岐路は、それぞれ前記油路と前記タンクのオイル入口に接続され、前記第3分岐路には、前記タンク内のオイルを前記油路にガイドするように制御ポンプが設置される。
【0015】
本願のいくつかの実施例では、前記第4分岐路には、それを開放又は遮断するオイル戻し弁が直列接続される。
【0016】
本願のいくつかの実施例では、前記第3分岐路には、逆止弁が設置され、前記逆止弁は、オイルを前記油路に一方向にガイドする。
【0017】
本願のいくつかの実施例では、前記第3分岐路には、圧力安定化アキュムレータが設置され、前記圧力安定化アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に取り付けられる。
【0018】
本願のいくつかの実施例では、油圧統合制御モジュールは、信号受信機をさらに含み、前記信号受信機は、前記統合ベースに設置され、前記制御弁と協働して前記制御弁の動作状態を制御する。
【0019】
本願のいくつかの実施例では、前記制御弁は、電磁弁であり、前記信号受信機は、コイルである。
【0020】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステムは、複数の油圧統合制御モジュール及び複数のダンパを含み、前記油圧統合制御モジュールは、本願の上記いずれか一項に記載の油圧統合制御モジュールであり、前記ダンパは、第1シリンダ、ピストン及びピストンロッドを含み、前記ピストンは、前記第1シリンダ内に位置し、前記第1シリンダと協働して上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドは、ピストンに接続され、前記ピストンロッドの上端は、車体に接続されるように構成され、前記複数のダンパは、複数の前記油圧統合制御モジュールに1対1に対応して設置され、各前記統合ベースの前記外部接続口は、前記下チャンバに連通する。
【0021】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステムにおいて、油路を統合ベース内に統合することにより、タンク及びアキュムレータモジュールを統合ベースに取り付けて油路に接続し、これにより、油路、タンク及びアキュムレータモジュールが一体に統合されて、油圧統合制御モジュール全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する。それが車両に用いられる場合、車両の快適性と操縦安定性との矛盾を効果的に解決する。
【0022】
本願の実施例に係る車両は、車体及び制御ユニットと、油圧サスペンションシステムとを含み、前記油圧サスペンションシステムは、本願の上記実施例に記載の油圧サスペンションシステムであり、各前記ピストンロッドの上端は、前記車体に接続され、複数の油圧統合制御モジュールの前記制御弁は、それぞれ前記車両の制御ユニットに接続される。
【0023】
本願の実施例に係る車両は、独立して制御される複数組の油圧統合制御モジュールを含み、実際の状況に応じて車体の異なる位置の高さ及びサスペンション剛性を調整することができることにより、油圧サスペンションシステムは、異なるニーズを満たし、アンチロール及びアンチピッチングなどの目的を達成し、車両の操作安定性を向上させることができ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決される。油路を統合ベース内に統合することにより、タンク及びアキュムレータモジュールを統合ベースに取り付けて油路に接続し、これにより、油路、タンク及びアキュムレータモジュールが一体に統合されて、油圧統合制御モジュール全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する。
【0024】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の実施例に係る統合型油路モジュールの異なる角度での概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る統合型油路モジュールの異なる角度での概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る統合型油路モジュールの異なる角度での概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る統合型油路モジュールの油路図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図6】本願の別のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図7】本願の実施例に係る左前側ダンパアセンブリ及び右前側ダンパアセンブリの概略図である。
【
図8】
図7に示すダンパアセンブリの断面図である。
【
図9】本願の実施例に係る中央制御シリンダの断面図である。
【
図10】本願の実施例に係る中央制御シリンダの斜視図である。
【
図11】本願の実施例に係る金属ベローズアキュムレータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、説明する実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0027】
以下、
図1~
図4を参照して、本願の実施例に係る油圧統合制御モジュール100を説明し、該油圧統合制御モジュール100は、統合ベース32、タンク1、制御弁12及びアキュムレータモジュールを含み、統合ベース32内に油路44が設置され、統合ベース32の外周壁には、上記油路44に接続された外部接続口320が設置され、外部接続口320は、ダンパ200に連通するように構成される。タンク1は、統合ベース32に取り付けられ、油路44に連通する。制御弁12は、油路44内に直列接続されて油路44の開放又は遮断を制御する。アキュムレータモジュールは、統合ベース32に取り付けられ、油路44に接続され、油路44内のオイルの量を調整する。
【0028】
具体的には、タンク1内にオイルが貯留され、タンク1内のオイルは、油路44に吐出することができる。油圧統合制御モジュール100が車両に取り付けられていない場合、制御弁12は、油路44を遮断するように閉状態にあることにより、外部接続口320からのオイルの吐出によるオイル漏れ現象を回避する。
【0029】
理解できるように、アキュムレータモジュールは、エネルギーを蓄える役割を果たし、即ち、オイルがアキュムレータモジュール内に流入してエネルギーを蓄えることができ、油圧統合制御モジュール100に需要がある場合、アキュムレータモジュール内のオイルを吐出して油路44内に補給する。
【0030】
なお、アキュムレータモジュールが油路44内のオイルの量を調整することは、アキュムレータモジュールが油路44内のオイルの量を調整して油路44の減衰を調整することができること、及び/又は、アキュムレータモジュールが、油路44に連通するか又は油路44との連通が遮断されて油路44の剛性を調整することができることを意味する。
【0031】
油圧統合制御モジュール100が車両に取り付けられている場合、外部接続口320がダンパ200に接続されることにより、油路44内のオイルがダンパ200内に吐出することができる。制御弁12は、車両の制御ユニットに電気的に接続されて、受信した信号に基づいて開閉される。具体的には、ダンパ200は、第1シリンダ201、ピストン202及びピストンロッド203を含み、第1シリンダ201は、車軸に接続されるように構成され、ピストン202は、第1シリンダ201内に位置し、かつ第1シリンダ201と協働して上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203の一端は、ピストン202に接続され、ピストンロッド203は、車体に接続されるように構成され、外部接続口320は、下チャンバ2012に連通する。
【0032】
制御弁12が開けられた場合、タンク1及び/又はアキュムレータモジュール内のオイルをダンパ200内に吐出することができ、オイルがダンパ200内に吐出されると、ダンパ200の下チャンバ2012内のオイルが増加することにより、ピストンロッド203が上方に移動し、車体をリフトする目的を達成する。ダンパ200の下チャンバ2012内のオイルが油路44を通って油圧統合制御モジュール100内に戻ると、ダンパ200の下チャンバ2012の油圧が低下することにより、ピストン202が下方に移動し、ピストン202の下方への移動により、ピストンロッド203を下方に移動させて、車体を下方に移動させ、車体の高さを下げる目的を達成する。
【0033】
車両は、走行中に様々な道路状況に遭遇し、関連技術における車両のサスペンションシステムが選定された後、自動車の走行中に調整することができなくなるため、従来のサスペンションは、自動車が特定の道路及び速度条件で性能の最適なマッチングを達成することしか保証できず、地面の車体に対する作用力を受動的に受けることしかできず、道路及び車速に応じてサスペンションパラメータを変更することができず、さらに、地面の車体に対する作用力を能動的に制御することができない。
【0034】
本願の実施例に係る油圧統合制御モジュール100は、車両に用いられる場合、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を通過する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体の走行速度に対する影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0035】
アキュムレータモジュールが油路44の減衰/又は剛性を調整する場合、ダンパ200の減衰及び/又は剛性の調整を実現し、これにより、実際の状況、例えば道路状況に応じて調整し、減衰及び/又は剛性が制振要求を満たすことができることを保証することができ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決される。
【0036】
本願の実施例に係る油圧統合制御モジュール100において、油路44を統合ベース32内に統合することにより、タンク1及びアキュムレータモジュールを統合ベース32に取り付けて油路44に接続し、これにより、油路44、タンク1及びアキュムレータモジュールが一体に統合されて、油圧統合制御モジュール100全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する。
【0037】
本願のいくつかの実施例では、統合ベース32内には、第1分岐路が設置され、第1分岐路は、油路44に接続される。アキュムレータモジュールは、剛性調整アキュムレータ10及び剛性調整弁11を含み、剛性調整弁11は、第1分岐路に直列接続されて第1分岐路を開放又は遮断し、剛性調整アキュムレータ10は、統合ベース32に取り付けられ、かつ第1分岐路に連通する。具体的には、剛性調整弁11は、車両の制御ユニットに電気的に接続される。
【0038】
剛性を向上させる必要がある場合、剛性調整弁11を閉じて、剛性調整アキュムレータ10をダンパ200から遮断することにより、ダンパ200の剛性を向上させることができる。例えば、制動時のアンチノーズダイブ状況及びコーナリング時のアンチロール状況において、高い剛性を提供する必要がある場合、剛性調整弁11を閉じることができる。
【0039】
好ましくは、剛性調整アキュムレータ10は、タンク1の統合ベース32における取付平面に取り付けられる。即ち、剛性調整アキュムレータ10及びタンク1が同じ取付平面に取り付けられることにより、空間を合理的に利用し、油圧統合制御モジュール100のコンパクト性を向上させることができる。
【0040】
本願のいくつかの実施例では、アキュムレータモジュールは、減衰調整弁8及び減衰アキュムレータ9を含み、減衰調整弁8は、油路44に直列接続されて油路44の減衰を調整し、減衰アキュムレータ9は、統合ベース32に取り付けられ、かつ油路44に連通する。なお、減衰調整弁8は、対応する油路44のオイルの流量を調整することができるため、対応する油路44の減衰を調整して、ダンパ200の減衰を調整する目的を達成することができ、これにより、実際の状況に応じてダンパ200の減衰を調整することができ、例えば、道路状況などに応じて調整し、ダンパ200の減衰が制振要求を満たすことができることを保証することができ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決される。本願のいくつかの例では、減衰調整弁8は、第1モータ及び第1弁体を含み、第1モータは、第1弁体内の弁の動作を制御して、第1弁体の流通面積を変化させ、流量を調整する目的を達成することができる。
【0041】
好ましくは、減衰アキュムレータ9の統合ベース32における取付平面は、タンク1の統合ベース32における取付平面に垂直であり、減衰アキュムレータ9及び減衰調整弁8は、同じ取付平面に位置する。これにより、統合ベース32の空間を合理的に利用することができる。
【0042】
本願のいくつかの実施例では、統合ベース32内には、第3分岐路45及び第4分岐路46が設置され、第3分岐路45は、それぞれ油路44とタンク1のオイル出口に接続され、第4分岐路46は、それぞれ油路44とタンク1のオイル入口に接続され、第3分岐路45には、タンク1内のオイルを油路44にガイドするように制御ポンプ26が設置される。即ち、タンク11は、独立したオイル戻し通路(即ち、第4分岐路46)及びオイル吐出通路(即ち、第3分岐路45)を有し、これにより、2つの独立した通路を設置することにより、オイル吐出及びオイル戻しの確実な進行を保証する。
【0043】
好ましくは、第4分岐路46には、それを開放又は遮断するオイル戻し弁27が直列接続される。オイルを吐出する必要がある場合、制御ポンプ26を開き、オイル戻し弁27を閉状態にし、制御ポンプ26は、オイルを油路44にガイドする。オイルを戻す必要がある場合、制御ポンプ26を閉じ、オイル戻し弁27を開き、油路44内のオイルは、オイル戻し弁27を通ってタンク11に流れることができる。これにより、2つの独立した通路を設置することにより、オイル吐出及びオイル戻しの確実な進行を保証する。
【0044】
本願のいくつかの例では、
図1~
図2に示すように、制御ポンプ26は、制御弁体260及び駆動モータ261を含み、駆動モータ261は、制御弁体260内の弁に電気的に接続され、駆動モータ261が回転して弁の回転を制御して制御ポンプ26の開閉を実現する。これにより、駆動モータ261と弁との協働により制御ポンプ26の開閉を実現し、制御ポンプ26の確実な動作を保証し、オイルの制御ポンプ26の開閉に対する影響を低減することができる。
【0045】
本願のいくつかの例では、
図4に示すように、第3分岐路45には、逆止弁28が設置され、逆止弁28は、オイルを油路44に一方向にガイドする。したがって、オイルを戻す場合、逆止弁28の存在により、オイルが制御ポンプ26に流れることを効果的に回避し、制御ポンプ26の不具合の場合にオイルが制御ポンプ26を通ってオイル出口に流れることを回避することができる。
【0046】
本出願のいくつかの実施例では、
図4に示すように、第3分岐路45には、圧力安定化アキュムレータ29が設置され、圧力安定化アキュムレータ29は、統合ベース32に取り付けられ、かつタンク1の統合ベース32における取付平面に取り付けられる。これにより、圧力安定化アキュムレータ29は、圧力を安定化して制御ポンプ26の出口端での流量変動を除去することができ、空間配置を合理的に利用することもできる。
【0047】
本願のいくつかの例では、圧力安定化アキュムレータ29は、金属ベローズアキュムレータを用いることができ、
図11に示すように、金属ベローズアキュムレータは、筒体アセンブリ及びベローズアセンブリで構成される。筒体アセンブリは、上カバー、パッキン、シリンダチューブ、スナップリング及びシールリングを含み、ベローズアセンブリは、シールカバー、ガイドリング、ベローズ及び下カバーを含む。金属ベローズアキュムレータは、エアバッグ又はダイヤフラムを代替し、金属ベローズ101を流体と気体との間の可撓性分離部品として用いてもよい。該ベローズは、非常に広い温度範囲で用いることができる。金属ベローズは、他の部材に溶接されるため、完全に気密である。それは、アキュムレータ内部で摩擦又は摩耗を生じさせることなく上下に移動でき、一度に調整するだけで長時間動作することができる。
【0048】
本願のいくつかの実施例では、油圧統合制御モジュール100は、信号受信機をさらに含み、信号受信機は、統合ベース32に設置され、制御弁12と協働して制御弁12の動作状態を制御する。これにより、油圧統合制御モジュール100は、信号を独立して受信することができ、油圧統合制御モジュール100と車両の制御ユニットとの電気的接続を容易にする。
【0049】
好ましくは、制御弁12は、電磁弁であり、信号受信機は、コイルであることにより、信号の受信を簡単で確実にする。
【0050】
本願のいくつかの例では、
図1~
図3に示すように、剛性調整アキュムレータ10及び圧力安定化アキュムレータ29は、それぞれ統合ベース32にねじ接続され、制御ポンプ26の近傍に固定される。統合ベース32は、一側には、制御ポンプ26が3つの固定ナットによって固定され、他側には、剛性調整弁11及び制御弁12が固定される。制御弁12は、統合ベース32内の油路44の開放及び遮断を直接制御する。
【0051】
タンク1は、制御ポンプ26の上方を固定する。減衰調整弁8及び減衰アキュムレータ9は、統合ベース32にねじ接続され、制御ポンプ26の下側に固定される。
【0052】
本願のいくつかの実施例では、剛性調整弁11及び制御弁12は、それぞれ電磁弁であり、統合ベース32には、外部信号を入力するコイル33が設置され、コイル33は、剛性調整弁11及び制御弁12と協働する。即ち、コイル33は、外部信号を受信してから、剛性調整弁11及び制御弁12は、外部信号に応じて開閉される。これにより、剛性調整弁11及び制御弁12の制御方式が簡単で確実で自動化である。理解できるように、コイル33内に流す電流の大きさ及び方向を制御することにより、剛性調整弁11及び制御弁12の動作状態を制御することができる。
【0053】
好ましくは、剛性調整弁11及び制御弁12は、それぞれ2位置2方電磁弁である。本願のいくつかの例では、オイル戻し弁27は、電磁弁であり、コイル33と協働する。好ましくは、オイル戻し弁27は、2位置2方電磁弁である。
【0054】
本願のいくつかの例では、
図3に示すように、剛性調整弁11、制御弁12及びオイル戻し弁27は、いずれもエンドキャップ42内に配置され、これにより、エンドキャップ42を設置することで、剛性調整弁11、制御弁12及びオイル戻し弁27に対して保護作用を果たし、統合性を向上させることもできる。
【0055】
勿論、理解できるように、タンク1、剛性調整アキュムレータ10、剛性調整弁11及び制御弁12の取付位置は、実際の状況、例えば車両全体の配置空間に応じて調整することができる。例えば、本願のいくつかの例では、減衰調整弁8と外部接続口320とが同じ側に設置され、減衰アキュムレータ9がタンク1の反対側に配置されることにより、外部接続口320の空間を合理的に利用して減衰調整弁8の位置を配置することができる。
【0056】
本願のいくつかの例では、減衰調整弁8は、タンク1の反対側に配置され、減衰アキュムレータ9は、統合ベース32の前側に配置され、この場合、統合ベース32の前側には、制御ポンプ26、圧力安定化アキュムレータ29、剛性調整アキュムレータ10及び減衰アキュムレータ9も配置され、このような配置方式は、統合ベース32の周辺空間の節約に役立ち、これにより、統合ベース32の周辺領域を合理的に利用して車両全体の配置を行う。
【0057】
本願のさらに他の例では、減衰調整弁8は、タンク1の反対側に配置され、減衰アキュムレータ9は、外部接続口320の反対側に配置され、減衰アキュムレータ9と減衰調整弁8が垂直であるように設置され、このような配置方式は、統合ベース32内の流路の配置に役立つ。
【0058】
以下、
図1~
図11を参照して、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000を説明し、油圧サスペンションシステム1000は、車両に用いられ、車両の車軸と車体とを接続する。なお、本願の説明において、前とは、車のヘッドに向かう方向を指し、後とは、車のテールに向かう方向を指し、前向きの方向で、主運転者の右手方向を右側、主運転者の左手方向を左側とする。
【0059】
図1~
図10に示すように、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、複数組の油圧統合制御モジュール100及び複数のダンパ200を含み、複数組の油圧統合制御モジュール100は、それぞれ車両の複数のハブに1対1に対応する。具体的には、複数組の油圧統合制御モジュール100は、左前油圧統合制御モジュール100、右前油圧統合制御モジュール100、左後油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100を含み、左前油圧統合制御モジュール100は、左前車体を制御し、右前油圧統合制御モジュール100は、右前車体を制御し、左後油圧統合制御モジュール100は、左後車体を制御し、右後油圧統合制御モジュール100は、右後車体を制御する。
【0060】
ダンパ200は、第1シリンダ201、ピストン202及びピストンロッド203を含み、ピストン202は、第1シリンダ201内に位置し、第1シリンダ201と協働して上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203は、ピストン202に接続され、ピストンロッド203の上端は、車体に接続されるように構成され、複数のダンパ200は、複数の油圧統合制御モジュール100に1対1に対応して設置され、各統合ベース32の外部接続口320は、下チャンバ2012に連通する。
【0061】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000において、油路44を統合ベース32内に統合することにより、タンク1及びアキュムレータモジュールを統合ベース32に取り付けて油路44に接続し、これにより、油路44、タンク1及びアキュムレータモジュールが一体に統合されて、油圧統合制御モジュール100全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する。それが車両に用いられる場合、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決される。
【0062】
本願のいくつかの実施例では、剛性調整アキュムレータ10のオイル出入口は、第1分岐路を介して油路44に接続され、第1分岐路には、剛性調整弁11が直列接続され、剛性調整弁11は、上記第1分岐路を開放又は遮断する。
【0063】
制御弁12は、油路44に直列接続されて、オイルが上記ダンパ200に流れるか否かを制御し、剛性調整弁11が開かれ制御弁12が閉じられた場合、タンク1内のオイルが第1分岐路を通って剛性調整アキュムレータ10内に流入することで、剛性調整アキュムレータ10がエネルギーを蓄え、剛性調整弁11及び制御弁12がいずれも開けられた場合、剛性調整アキュムレータ10内のオイルがダンパ200内に流入することができ、剛性調整弁11及び制御弁12は、それぞれ車両の制御ユニット2000に接続されるように構成される。
【0064】
具体的には、油圧サスペンションシステム1000は、増圧モードを有し、増圧モードでは、剛性調整弁11が開かれ、制御弁12が閉じられ、オイル溜めアセンブリ内のオイルが剛性調整アキュムレータ10内に流入することで、剛性調整アキュムレータ10がエネルギーを蓄える。
【0065】
対応する車体をリフトする必要がある場合、例えば、車体全体の高さを上げる必要がある場合、各油圧制御モードでは制御信号を受信し、制御ユニット2000は、各組の油圧統合制御モジュール100における剛性調整弁11及び制御弁12をいずれも開状態にするように制御し、剛性調整アキュムレータ10内のオイルが対応するダンパ200の下チャンバ2012内に流入することにより、下チャンバ2012内のオイルが増加してピストン202を上方に移動するようにプッシュして、ピストン202の上方への移動により、ピストンロッド203を上方に移動させて車体を持ち上げ、これにより、車体に対するリフト機能を完了し、本願のいくつかの例では、本願の油圧サスペンションシステム1000は、エネルギーを蓄えるたびにリフトを1回完了することができる。再度リフトする場合、剛性調整アキュムレータ10に対してエネルギーを蓄える必要がある。
【0066】
車体の高さを下げる必要がある場合、下チャンバ2012内のオイルは、車両の重力の作用で油路44内に吐出されてオイル溜めアセンブリ内に戻り、車体の高さを下げることを実現することもできる。
【0067】
車両は、走行中に様々な道路状況に遭遇し、関連技術における車両のサスペンションシステムが選定された後、自動車の走行中に調整することができなくなるため、従来のサスペンションは、自動車が特定の道路及び速度条件で性能の最適なマッチングを達成することしか保証できず、地面の車体に対する作用力を受動的に受けることしかできず、道路及び車速に応じてサスペンションパラメータを変更することができず、さらに、地面の車体に対する作用力を能動的に制御することができない。
【0068】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を通過する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体の走行速度に対する影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0069】
剛性を向上させる必要がある場合、剛性調整弁11を閉じて、剛性調整アキュムレータ10をダンパ200から遮断することにより、油圧統合制御モジュール100の剛性を向上させることができる。例えば、制動時のアンチノーズダイブ状況及びコーナリング時のアンチロール状況において、前軸が高い剛性を提供する必要があり、この場合、左前油圧統合制御モジュール100の剛性調整弁11を閉じ、右前油圧統合制御モジュール100の剛性調整弁11を閉じることができる。
【0070】
理解できるように、各組の油圧統合制御モジュール100がいずれも剛性調整アキュムレータ10、剛性調整弁11及び制御弁12を含み、各組の油圧統合制御モジュール100の剛性調整弁11及び制御弁12がいずれも制御ユニット2000に電気的に接続されるため、各組の油圧統合制御モジュール100を独立して制御することができ、即ち、左前車体を独立してリフトすること、左前車体及び右前車体を独立してリフトすることなどであってもよく、実際のニーズに応じて選択することができる。
【0071】
車両の走行中に、左前輪が障害物、例えば石に遭遇して持ち上げられた場合、左前油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が下方に移動して下チャンバ2012を押圧し、下チャンバ2012内のオイルが対応するオイル溜めアセンブリ内に吐出される。この場合、制御ユニット2000は、右前油圧統合制御モジュール100、左後油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100における剛性調整弁11及び制御弁12をいずれも開状態にするように制御し、右前車体、右後車体及び左後車体を持ち上げるように制御することにより、ロール現象の発生を回避することができる。
【0072】
車両の走行中に、緊急事態に遭遇した場合に急ブレーキがかかると、ピッチング現象におけるノーズダイブ状況が発生しやすく、この場合、制御ユニット2000は、左前油圧統合制御モジュール100及び右前油圧統合制御モジュール100における剛性調整弁11及び制御弁12をいずれも開状態にして、左前車体及び右前車体を持ち上げるように制御することにより、アンチノーズダイブの目的を達成することができる。
【0073】
なお、上記は、2つの例示的な説明に過ぎず、車両の走行中に、車速、道路状況、車両の起動時のアンチリフトの必要性、車両の急ブレーキ時のアンチノーズダイブの必要性などの状況に応じて、各組の油圧統合制御モジュール100における剛性調整弁11及び制御弁12の開閉状況を制御することにより、様々なニーズを満たすことができる。
【0074】
本願のいくつかの具体例では、自動高さ調整モードは、走行状態において車高が所定のプログラムに従って車速に応じて変化するモード、荷重バランス、トレーラモード、被牽引モード、ジャッキモード、自動高さ抑制機能、車体を持ち上げて脱出するモードなどを含む。トレーラモードでは、車体の高さを上げることができ、被牽引モードでは、車体の高さを下げることができる。
【0075】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、独立して制御される複数組の油圧統合制御モジュール100を含み、実際の状況に応じて車体の異なる位置の高さ及びサスペンション剛性を調整することができることにより、異なるニーズを満たし、アンチロール及びアンチピッチングなどの目的を達成し、車両の操作安定性を向上させることができ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決される。
【0076】
本願のいくつかの実施例では、
図5~
図6に示すように、油圧サスペンションシステム1000は、リリーフ弁31をさらに含み、リリーフ弁31は、油路44に接続され、即ち、リリーフ弁31は、制御ポンプ26の出口端に位置し、制御ポンプ26のオイル出口の圧力が一定の閾値に達すると、リリーフ弁31が開かれて圧力を解放して、油圧サスペンションシステム1000が正常な圧力範囲内にあるように保護する。なお、リリーフ弁31の動作原理は、既に従来技術となり、ここでは、詳細に説明しない。本願のいくつかの例では、
図5及び
図6に示すように、各組の油圧統合制御モジュール100は、圧力センサ34を含み、圧力センサ34は、制御ポンプ26の出口端の圧力を検出して、制御ポンプ26のオイル出口の圧力が一定の閾値に達することを適時に検出できることを保証し、油圧サスペンションシステム1000が正常な圧力範囲内にあることを保証する。
【0077】
本願のいくつかの実施例では、
図5~
図8に示すように、各ピストンロッド203内には、オイル通路204が設置され、オイル通路204は、下チャンバ2012に連通し、油路44は、ピストンロッド203に接続される。これにより、中空のピストンロッド203を設置することでオイル通路204を画定し、タンク1内のオイルは、オイル通路204を通って下チャンバ2012内に流入することができ、下チャンバ2012内のオイルは、オイル通路204を通ってダンパ200から吐出することができ、これにより、ダンパ200に対するオイルのスムーズな出入りを保証した上で、ダンパ200の重量を低減することができるだけでなく、コストを削減することができ、調整方式が簡単であり、信頼性が高く、対応する速度が速い。
【0078】
理解できるように、各組の油圧統合制御モジュール100は、実際のニーズに応じてその減衰を調整することができ、即ち、4組の油圧統合制御モジュール100が減衰を同時に調整してもよく、そのうちの1組、2組又は3組が減衰を調整してもよい。
【0079】
本願のいくつかの例では、油圧サスペンションシステム1000は、ハンマリング感度制御、大振幅制御、ロール制御、アンチノーズダイブ/アンチリフト制御、及び高速制御のモードで減衰を調整する必要がある。上記ハンマリング感度制御は、主に、道路の起伏が小さく、オフロード状況に達しない場合にトリガーされ、小さな起伏に対処するために、減衰を増加せず、主に車体の快適性の要求を保証する。上記大振幅制御は、主に、道路に大きな起伏があるオフロード状況でトリガーされ、低速の場合で起伏が大きいと、減衰が増加し、車体の操縦安定性の要求を保証する。上記ロール制御は、主に、コーナリング時に、減衰力を変化させ、ロールを低減するようにトリガーされる。制御ユニット2000は、横加速度がある値よりも大きい(例えば、0.2gよりも大きい)ことを識別すると、ロール時に外側の減衰を増加させ、この操作は、一定時間(例えば0.5s)保持され、この時に高さ変化機能が抑制される。上記アンチノーズダイブ制御は、主に、制動時に、減衰力を変化させ、ノーズダイブを低減するようにトリガーされる。制御ユニット2000は、加速度がある値よりも大きい(例えば、0.2gよりも大きい)ことを識別すると、高さ変化を抑制し、ノーズダイブ時に前側の減衰を増加させ、前側の剛性を向上させる。高さ抑制機能は、加速度がある値よりも小さい(例えば、0.2gよりも小さい)まで保持され、かつ1秒保持される。上記アンチリフト制御は、主に、加速時に減衰力を変化させ、ノーズダイブを低減して、加速時に後側の減衰を増加させるようにトリガーされる。上記高速制御は、主に、車速に応じて減衰力の大きさを変化させるようにトリガーされ、即ち、低速時に減衰が小さく、高速時に減衰が大きい。
【0080】
本願のいくつかの例では、減衰アキュムレータ9は、金属ベローズアキュムレータを用い、剛性調整アキュムレータ10は、ダイヤフラム式アキュムレータを用い、ダイヤフラム式アキュムレータは、金属ベローズアキュムレータよりも迅速な蓄圧能力及び多くの蓄圧量を有する。ダイヤフラム式アキュムレータは、比較的短時間でより高い蓄圧量に達することができるため、剛性調整アキュムレータ10は、ダイヤフラム式アキュムレータを用いて各サスペンションの蓄圧を行って車体リフトを実現する。なお、金属ベローズアキュムレータ及びダイヤフラム式アキュムレータのエネルギー蓄え原理は、いずれも従来技術であり、ここでは詳細に説明しない。
【0081】
図6に示すように、本願のいくつかの実施例では、油圧サスペンションシステム1000は、中央制御シリンダ24をさらに含み、中央制御シリンダ24は、第2シリンダ240及び移動部材241を含み、移動部材241は、第2シリンダ240内に移動可能に設置され、かつ第2シリンダ240と協働して第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246を画定し、第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、移動部材241の移動方向に順に配列され、第1チャンバ243及び第2チャンバ244は、移動部材241の中間接触部2411の一側に分布し、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、中間接触部2411の他側に分布し、中間接触部2411は、第2シリンダ240の内壁と移動可能に係合する。
【0082】
左前油圧統合制御モジュール100の油路44は、第1チャンバ243と第2チャンバ244のうちの一方に接続され、右後油圧統合制御モジュール100に対応する油路44は、第1チャンバ243と第2チャンバ244のうちの他方に接続される。右前油圧統合制御モジュール100に対応する油路44は、第3チャンバ245と第4チャンバ246のうちの一方に接続され、左後油圧統合制御モジュール100に対応する油路44は、第3チャンバ245と第4チャンバ246のうちの他方に接続される。以下、説明の便宜上、左前油圧統合制御モジュール100の油路44が第1チャンバ243に接続され、右後油圧統合制御モジュール100の油路44が第2チャンバ244に接続され、左後油圧統合制御モジュール100の油路44が第3チャンバ245に接続され、右前油圧統合制御モジュール100の油路44が第4チャンバ246に接続されることを例として原理を説明する。
【0083】
このため、統合制御モジュールには、中央制御シリンダに接続された接続口がさらに設置される。
【0084】
具体的には、車両がロール傾向を有する場合、例えば、左前油圧統合制御モジュール100及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203が圧縮された場合、左前油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1チャンバ243に吐出され、左後油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3チャンバ245に吐出され、第1チャンバ243及び第3チャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1チャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3チャンバ245の中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、これにより、左前油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203の移動を抑制することができ、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【0085】
車両の左前輪が障害物、例えば石に遭遇すると、左前輪が持ち上げられて左前油圧統合制御モジュール100に対応する圧縮幅が左後油圧統合制御モジュール100に対応する圧縮幅よりも大きくなる場合、左前油圧統合制御モジュール100から第1チャンバ243内に吐出されたオイルの量が左後油圧統合制御モジュール100から第3チャンバ245内に吐出されたオイルの量よりも多くなるため、移動部材241が右方に移動して第3チャンバ245及び第4チャンバ246を押圧し、第3チャンバ245内のオイルが左後油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内に吐出されてピストンロッド203を上方に移動させることができ、第4チャンバ246内のオイルが右前油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内に吐出されてピストンロッド203を上方に移動させることができ、これにより、左後輪及び右前輪の地面から離れるリスクを低減し、車両の安定性を向上させる。
【0086】
勿論、理解できるように、上記いくつかの状況は、例示的な説明に過ぎず、車両が他の状況、例えば右前輪持ち上げ、左後輪持ち上げなどに遭遇する場合にも、オイルは、上記連動原理に従って流れて車両のロールを回避し、ここでは、各状況について詳細に説明しない。
【0087】
オフロード車が起伏のある道路を通過する場合、地上高及びブレークオーバーアングルが小さいと、車両の通過性に影響を与える。登坂時及び脱出時に、アプローチ角及び離脱角が小さすぎると、「ヘッドが持ち上げられ」、「テールが持ち上げられ」、車両が正常に通過できなくなる。側坂を走行する場合、側坂の勾配が大きすぎると、車両の滑り又は横転を引き起こしやすく、走行安全性が保障されない。道路を走行する場合、車両のコーナリング時の横加速度が大きすぎるか又は外力の衝撃を受けると、横転のリスクがあり、オフロード車は、重心が高いため、横転がより発生しやすく、その安全性及び安定性がより保障されにくい。上記複雑で多様な地形及び道路状況の走行ニーズに対して、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステムは、上記中央制御シリンダ24により、道路状況に応じて車体の姿勢を調整して、オフロード車の全地形状況の適応能力を改善し向上させることができる。
【0088】
本願のいくつかの実施例では、
図9に示すように、移動部材241は、移動本体部2410を含み、中間接触部2411は、移動本体部2410に設置された環状突起であり、移動部材241の移動方向において、第2シリンダ240内に中間キャビティ、左キャビティ及び右キャビティが設置され、左キャビティの入口及び右キャビティの入口は、中間キャビティの内壁に位置する。移動本体部2410の左端は、左キャビティの入口から左キャビティ内に入り込み、移動本体部2410の右端は、右キャビティの入口から右キャビティ内に入り込む。
【0089】
移動本体部2410の左端部と左キャビティとの間に第1チャンバ243が画定され、移動本体部2410の一部と左キャビティの内壁とがスライド可能に係合し、中間接触部2411と中間キャビティの内壁とがスライド可能に係合して第2チャンバ244及び第3チャンバ245を画定し、移動本体部2410の右端部と右キャビティとの間に第4チャンバ246が画定される。これにより、中央制御シリンダ24の構造は、簡単になる。
【0090】
好ましくは、
図9に示すように、中央制御シリンダ24は、第1リターンスプリング247及び第2リターンスプリング248をさらに含み、第1リターンスプリング247の両端は、それぞれ第2シリンダ240及び移動部材241の左端に当接し、第2リターンスプリング248の両端は、それぞれ第2シリンダ240及び移動部材241の右端に当接し、第1リターンスプリング247及び第2リターンスプリング248は、移動部材241をプッシュして中間に向かって復帰させる。具体的には、車両がロールして移動部材241を左に移動させる場合、第1リターンスプリング247は、移動部材241を右にプッシュして復帰させることができる。車両がロールして移動部材241を右に移動させる場合、第2リターンスプリング248は、移動部材241を左にプッシュして復帰させ、これにより、中央制御シリンダ24の信頼性を保証することができる。
【0091】
本願のいくつかの例では、
図9に示すように、中央制御シリンダ24は、ガイドアセンブリ249を含み、導線アセンブリは、第1ガイド部材2490及び第2ガイド部材2491を含み、第1ガイド部材2490と第2ガイド部材2491は、スライド可能に係合し、第1ガイド部材2490は、第2シリンダ240に固定され、第2ガイド部材2491は、移動部材241に固定され、第1リターンスプリング247は、左側のガイドアセンブリ249に外嵌され、かつ第1ガイド部材2490に当接し、第2リターンスプリング248は、右側のガイドアセンブリ249に外嵌され、かつ第1ガイド部材2490に当接し、これにより、ガイドアセンブリ249を設置することにより、第1リターンスプリング247及び第2リターンスプリング248の組み立てを容易にするだけでなく、第1リターンスプリング247及び第2リターンスプリング248の変形程度を容易に限定し、第1リターンスプリング247及び第2リターンスプリング248の過度変形による故障を回避する。
【0092】
好ましくは、第2ガイド部材2491は、ねじであり、第2ガイド部材2491の一端は、第1ガイド部材2490内に入り込んで第1ガイド部材2490と移動可能に係合し、これにより、ガイドアセンブリ249の構造は、簡単で信頼できる。
【0093】
図10に示すように、中央制御シリンダ24が4つの油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203に接続されるポートは、同じ側に位置することにより、管路の接続を容易にする。
【0094】
図5~
図6に示すように、本願のいくつかの実施例では、油圧サスペンションシステム1000は、複数の制振スプリング205をさらに含み、複数の制振スプリング205は、複数のダンパに1対1に対応して設置され、制振スプリング205の両端は、車体及び車軸に接続されるように構成される。これにより、制振スプリング205を設置することにより、各組のダンパの緩衝効果を向上させ、車両の走行中の車体の揺れを低減することができる。理解できるように、油圧サスペンションシステム1000は、ダンパアセンブリ2を含み、各ダンパアセンブリ2は、ダンパ200及び制振スプリング205を含み、これにより、ダンパアセンブリ2が車体に対して緩衝制振効果を奏する。
【0095】
好ましくは、
図5~
図6に示すように、左前油圧統合制御モジュール100の制振スプリング205は、ダンパ200に外嵌固定され、右前油圧統合制御モジュール100の制振スプリング205は、ダンパ200に外嵌固定され、左後油圧統合制御モジュール100の制振スプリング205は、ダンパ200と並列に設置され、右後油圧統合制御モジュール100の制振スプリング205は、ダンパ200と並列に設置される。
【0096】
以下、
図5~
図6を参照して、本願の2つの具体的な実施例に係る油圧サスペンションシステム1000を詳細に説明し、理解できるように、上記各実施例は、限定的な説明ではなく、例示的な説明に過ぎず、実際の状況に応じて各実施例を例示的に修正することができる。
【実施例1】
【0097】
図5に示すように、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、左前油圧統合制御モジュール100、右前油圧統合制御モジュール100、左後油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100を含む。各油圧統合制御モジュール100は、タンク1、制御ポンプ26、オイル戻し弁27、逆止弁28、圧力安定化アキュムレータ29、リリーフ弁31、減衰調整弁8、減衰アキュムレータ9、剛性調整アキュムレータ10及び減圧アキュムレータ30を含む。
【0098】
左前油圧統合制御モジュール100及び右前油圧統合制御モジュール100には、いずれもダンパ200及び制振スプリング205が対応して設置され、制振スプリング205は、ダンパ200に外嵌固定される。左後油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100には、いずれもダンパ200及び制振スプリング205が対応して設置され、制振スプリング205は、ダンパ200と並列に設置され、左後油圧統合制御モジュール100に対応する制振スプリング205の両端は、それぞれ車体及び車軸に接続される。右後油圧統合制御モジュール100に対応する制振スプリング205の両端は、それぞれ車体及び車軸に接続される。各ダンパ200は、第1シリンダ201、ピストンロッド203及びピストン202を含み、ピストンロッド203は、ピストン202に接続され、ピストン202は、第1シリンダ201内に移動可能に設置されて上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203内にオイル通路204が設置され、オイル通路204は、下チャンバ2012に連通する。
【0099】
各ダンパ200のオイル通路204は、油路44を介してタンク1に接続される。制御弁12は、油路44に接続されてその開放又は遮蔽を制御する。
【0100】
タンク1は、オイル出口及びオイル入口を有し、制御ポンプ26は、それぞれオイル出口及び油路44に接続されてタンク1内のオイルを油路44にガイドする。オイル戻し弁27は、それぞれオイル入口及び油路44に接続され、オイル戻し弁27が開かれると、オイルは、油路44からオイル入口に流れる。逆止弁28は、制御ポンプ26の出口端に設置され、かつ一方向に開放する。圧力安定化アキュムレータ29は、制御ポンプ26の出口端に設置され、かつ逆止弁28と制御ポンプ26との間に位置し、圧力安定化アキュムレータ29は、圧力を安定化して制御ポンプ26の出口端での流量変動を除去することができる。
【0101】
リリーフ弁31は、油路44に接続される。
【0102】
各油圧統合制御モジュール100に対応する剛性調整アキュムレータ10は、油路44に接続され、剛性調整アキュムレータ10のオイル出入口には、剛性調整弁11が設置され、剛性調整弁11は、常閉状態にある。
【0103】
各油路44には、減衰調整弁8、減衰アキュムレータ9及び制御弁12がさらに設置され、減衰調整弁8は、対応する油路44を流れる流量を調整して油圧サスペンションシステム1000の減衰を調整する。減衰アキュムレータ9は、エネルギーを蓄えることができる。制御弁12は、減衰アキュムレータ9と剛性調整アキュムレータ10との間に設置される。
【0104】
具体的には、油圧サスペンションシステム1000は、増圧モード、リフトモード及び高さ低減モードを有し、増圧モードでは、制御弁12が閉じられ、剛性調整弁11が開かれ、制御ポンプ26が動作することにより、タンク1内のオイルは、対応する剛性調整アキュムレータ10内に流れてエネルギーを蓄える。各剛性調整アキュムレータ10を利用してエネルギーを蓄えた後に、剛性調整弁11を閉じる。
【0105】
リフトモードでは、タンク1内のオイル又は剛性調整アキュムレータ10内のオイルが対応するオイル通路204内に流入することができ、各オイル通路204内に流入した油圧オイルが下チャンバ2012内に流入することにより、下チャンバ2012内の油圧が大きくなってピストン202を上方に移動させ、ピストン202の上方への移動により、ピストンロッド203を上方に移動させる。左前油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が上方に移動し、右前油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が上方に移動し、左後油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が上方に移動し、右後油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が上方に移動して、車体を上方に移動させ、車体をリフトする目的を達成する。
【0106】
高さ低減モードでは、各油圧統合制御モジュール100のオイルがオイル通路204から流出し、各ダンパ200の下チャンバ2012の油圧が低下して、ピストン202を下方に移動させ、ピストン202の下方への移動により、ピストンロッド203を下方に移動させる。左前油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が下方に移動し、右前油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が下方に移動し、左後油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が下方に移動し、右後油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が下方に移動して、車体を下方に移動させ、車体の高さを下げる目的を達成する。油圧サスペンションシステム1000内の圧力が大きい場合、例えば、制御ポンプ26の出口での圧力が一定の閾値(30MPa)に達すると検出した場合、オイル戻し弁27を開いて圧力を解放して油圧サスペンションシステム1000が正常な圧力範囲内にあるように保護し、この場合、各ダンパ200内のオイルは、油路44及びオイル戻し弁27を通ってタンク1内に流れることができる。
【0107】
圧力を解放した後、油圧サスペンションシステム1000内の圧力が依然として大きいか又は動作中に圧力が大きい場合、リリーフ弁31を開いて圧力を解放して、油圧サスペンションシステム1000全体の確実な動作を保証することができる。
【0108】
車両の走行中に、油圧サスペンションシステム1000の減衰が大きい場合、車体が揺れて快適性に影響を与えるため、減衰調整弁8により油路44のオイルの量を調整して油圧サスペンションシステム1000の減衰を調整することができ、減衰調整弁8の開度が小さくなって油路44を流通可能なオイルの量を低減する場合、油路44内の一部のオイルは、減衰アキュムレータ9に流入してエネルギーを蓄えることができる。減衰調整弁8の開度が大きくなる場合、減衰アキュムレータ9内のオイルが油路44内に流入してオイルを補給することができ、これにより、油圧サスペンションシステム1000の減衰を確実に調整することができる。
【0109】
油圧サスペンションシステム1000の剛性が高くて車両の快適性を低減する場合、剛性調整弁11を開くように制御し、剛性調整アキュムレータ10内のオイルを各油路44内に補給することができ、これにより、油圧サスペンションシステム1000の剛性を低減し、油圧サスペンションシステム1000の揺れに対する緩衝効果を向上させることができる。
【実施例2】
【0110】
図6に示すように、該実施例では、実施例1に比べて、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、中央制御シリンダ24をさらに含む。
【0111】
中央制御シリンダ24は、第2シリンダ240及び移動部材241を含み、移動部材241は、第2シリンダ240内に移動可能に設置され、かつ第2シリンダ240と協働して第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246を画定し、第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、移動部材241の移動方向に順に配列され、第1チャンバ243及び第2チャンバ244は、移動部材241の中間接触部2411の一側に分布し、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、中間接触部2411の他側に分布し、中間接触部2411は、第2シリンダ240の内壁と移動可能に係合する。
【0112】
左前油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204は、第1チャンバ243と第2チャンバ244のうちの一方に接続され、右後油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204は、第1チャンバ243と第2チャンバ244のうちの他方に接続される。左後油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204は、第3チャンバ245と第4チャンバ246のうちの一方に接続され、右前油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204は、第3チャンバ245と第4チャンバ246のうちの他方に接続される。以下、説明の便宜上、左前油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204が第1チャンバ243に接続され、右後油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204が第2チャンバ244に接続され、左後油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204が第3チャンバ245に接続され、右前油圧統合制御モジュール100に対応するオイル通路204が第4チャンバ246に接続されることを例として原理を説明する。
【0113】
具体的には、車両がロール傾向を有する場合、例えば、左前油圧統合制御モジュール100及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203が圧縮され、右前油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203が引っ張られた場合、左前油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1チャンバ243に吐出され、左後油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3チャンバ245に吐出され、第1チャンバ243及び第3チャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1チャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3チャンバ245の中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、これにより、左前油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203の移動を抑制することができ、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【0114】
車両の左前輪が障害物、例えば石に遭遇すると、左前輪が持ち上げられて左前油圧統合制御モジュール100に対応する圧縮幅が左後油圧統合制御モジュール100に対応する圧縮幅よりも大きくなる場合、左前油圧統合制御モジュール100から第1チャンバ243内に吐出されたオイルの量が左後油圧統合制御モジュール100から第3チャンバ245内に吐出されたオイルの量よりも多くなるため、移動部材241が右方に移動して第3チャンバ245及び第4チャンバ246を押圧し、第3チャンバ245内のオイルが左後油圧統合制御モジュール100の下チャンバ2012内に吐出されてピストンロッド203を上方に移動させることができ、第4チャンバ246内のオイルが右前油圧統合制御モジュール100の下チャンバ2012内に吐出されてピストンロッド203を上方に移動させることができ、これにより、左後輪及び右前輪の地面から離れるリスクを低減し、車両の安定性を向上させる。
【0115】
勿論、理解できるように、上記いくつかの状況は、例示的な説明に過ぎず、車両が他の状況、例えば右前輪持ち上げ、左後輪持ち上げなどに遭遇する場合にも、オイルは、上記連動原理に従って流れて車両のロールを回避し、ここでは、各状況について詳細に説明しない。
【0116】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に記載の油圧サスペンションシステム1000を含む。
【0117】
本願のいくつかの具体例では、車両は、エンターテイメントモードを有してもよく、エンターテイメント(映画、ディスコ、音楽)のコンテンツに応じて、車両の姿勢を迅速に変化させ(車体を下げるか又は持ち上げる)、対応する状態で必要な加速度を取得することができる。本願のいくつかの例では、車両は、レーダ/カメラと組み合わせたプリクラッシュサスペンション制御機能を有してもよく、制御ユニット2000は、プリクラッシュ信号を感知した場合、フロントサスペンションの剛性を向上させるように能動的に制御し、ピッチ角を変化させ、摩擦抵抗を最適化し、制動距離を減少させる。本願のいくつかの例では、車両は、ナビゲーションマップと組み合わせて、次回に特定の道路を通過するときに以前の制御戦略に自動的に切り替える(メモリを手動で調整する)ように、サスペンションメモリ機能及び道路状況メモリ機能を有してもよい。本願のいくつかの例では、車両は、パンク走行することができ、単一の車輪がパンクした後、車両は、依然として一定の距離を安全に走行することができる。
【0118】
本願のいくつかの例では、車両には、制御キーが設置され、車両のユーザは、制御キーにより各油圧統合制御モジュール100における制御弁12及び剛性調整弁11の動作状態を手動で制御することができ、これにより、車両は、複数のモード間で切り替えることができる。
【0119】
本願の実施例に係る車両は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を通過する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体の走行速度に対する影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0120】
本願の実施例に係る車両は、独立して制御される複数組の油圧統合制御モジュール100を含み、実際の状況に応じて車体の異なる位置の高さ及びサスペンション剛性を調整することができることにより、油圧サスペンションシステム1000は、異なるニーズを満たし、アンチロール及びアンチピッチングなどの目的を達成し、車両の操作安定性を向上させることができ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決される。油路44を統合ベース32内に統合することにより、タンク1及びアキュムレータモジュールを統合ベース32に取り付けて油路44に接続することにより、油路44、タンク1及びアキュムレータモジュールが一体に統合されて、油圧統合制御モジュール100全体の体積を低減し、複雑な油路を接続する必要がなく、オイル漏れのリスクを低減する。
【0121】
本願のいくつかの実施例では、車両は、左前加速度センサ35、右前加速度センサ36及び後車体加速度センサ37をさらに含み、左前加速度センサ35、右前加速度センサ36及び後車体加速度センサ37は、それぞれ制御ユニット2000に接続され、制御ユニット2000は、左前加速度センサ35、右前加速度センサ36及び後車体加速度センサ37の検出結果に基づいて剛性調整弁11及び制御弁12の開閉状態を制御する。これにより、実際の状況に応じて車体の異なる位置の高さ及びサスペンション剛性をリアルタイムに調整することを実現でき、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決され、上記独立した調整方式は、自動車の能動的安全性を効果的に向上させることができる。
【0122】
本願のいくつかの実施例では、車両は、左前水平高さセンサ38、右前水平高さセンサ39、左後水平高さセンサ40及び右後水平高さセンサ41をさらに含み、左前水平高さセンサ38、右前水平高さセンサ39、左後水平高さセンサ40及び右後水平高さセンサ41は、それぞれ車体の対応する位置の高さを検出し、左前水平高さセンサ38、右前水平高さセンサ39、左後水平高さセンサ40及び右後水平高さセンサ41は、それぞれ制御ユニット2000に接続され、制御ユニット2000は、検出結果に基づいて剛性調整弁11及び制御弁12の開閉状態を制御する。これにより、実際の状況に応じて車体の異なる位置の高さをリアルタイムに調整することを実現でき、車両の快適性と操縦安定性との矛盾が効果的に解決され、上記独立した調整方式は、自動車の能動的安全性を効果的に向上させることができる。
【0123】
本願のいくつかの実施例では、制御ユニット2000は、横加速度がある値よりも大きい(例えば、0.2gよりも大きい)ことを識別すると、ロール時に外側減衰を増加させ、この操作は、一定時間(例えば0.5s)保持され、この時に高さ変化機能が抑制される。上記アンチノーズダイブ制御は、主に、制動時に減衰力を変化させ、ノーズダイブを低減するようにトリガーされる。制御ユニット2000は、加速度がある値よりも大きい(例えば、0.2gよりも大きい)ことを識別すると、高さ変化を抑制し、ノーズダイブ時に前側の減衰を増加させ、前側の剛性を向上させる。高さ抑制機能は、加速度がある値よりも小さい(例えば、0.2gよりも小さい)まで保持され、1秒保持される。上記アンチリフト制御は、主に、加速時に減衰力を変化させ、ノーズダイブを低減して、加速時に後側の減衰を増加させるようにトリガーされる。
【0124】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0125】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものであると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明では、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0126】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であってもよく、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0127】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表してもよい。
【0128】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、当該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合するか又は組み合わせることができる。
【0129】
以上、本願の実施例が示され、説明されるが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものとして理解すべきではなく、当業者であれば、本願の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0130】
1000 油圧サスペンションシステム
2000 制御ユニット
100 油圧統合制御モジュール
1 タンク
2 ダンパアセンブリ
200 ダンパ
201 第1シリンダ
2011 上チャンバ
2012 下チャンバ
202 ピストン
203 ピストンロッド
204 オイル通路
205 制振スプリング
8 減衰調整弁
9 減衰アキュムレータ
10 剛性調整アキュムレータ
101 金属ベローズ
11 剛性調整弁
12 制御弁
24 中央制御シリンダ
240 第2シリンダ
241 移動部材
2410 移動本体部
2411 中間接触部
243 第1チャンバ
244 第2チャンバ
245 第3チャンバ
246 第4チャンバ
247 第1リターンスプリング
248 第2リターンスプリング
249 ガイドアセンブリ
2490 第1ガイド部材
2491 第2ガイド部材
26 制御ポンプ
260 制御弁体
261 駆動モータ
27 オイル戻し弁
28 逆止弁
29 圧力安定化アキュムレータ
30 減圧アキュムレータ
31 リリーフ弁
32 統合ベース
320 外部接続口
42 エンドキャップ
33 コイル
34 圧力センサ
35 左前加速度センサ
36 右前加速度センサ
37 後車体加速度センサ
38 左前水平高さセンサ
39 右前水平高さセンサ
40 左後水平高さセンサ
41 右後水平高さセンサ
44 油路
45 第3分岐路
46 第4分岐路
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合ベース、タンク、制御弁及びアキュムレータモジュールを含み、前記統合ベース内に油路が設置され、前記統合ベースの外周壁には、前記油路に接続された外部接続口が設置され、前記外部接続口は、ダンパに連通するように構成され、
前記タンクは、前記統合ベースに取り付けられ、前記油路に連通し、
前記制御弁は、前記油路内に直列接続されて前記油路の開放又は遮断を制御し、
前記アキュムレータモジュールは、前記統合ベースに取り付けられ、前記油路に接続され、前記油路内のオイルの量を調整する、油圧統合制御モジュール。
【請求項2】
前記統合ベース内には、第1の分岐路が設置され、前記第1の分岐路は、前記油路に接続され、
前記アキュムレータモジュールは、剛性調整アキュムレータ及び剛性調整弁を含み、前記剛性調整弁は、前記第1の分岐路に直列接続されて前記第1の分岐路を開放又は遮断し、前記剛性調整アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記第1の分岐路に連通する、請求項1に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項3】
前記剛性調整アキュムレータは、前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に取り付けられる、請求項2に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項4】
前記アキュムレータモジュールは、減衰調整弁及び減衰アキュムレータを含み、前記減衰調整弁は、前記油路に直列接続されて前記油路の減衰を調整し、
前記減衰アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記油路に連通する、請求項
1に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項5】
前記減衰アキュムレータの前記統合ベースにおける取付平面は、前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に垂直であり、前記減衰アキュムレータ及び前記減衰調整弁は、同じ取付平面に位置する、請求項4に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項6】
前記統合ベース内には、第3の分岐路及び第4の分岐路が設置され、前記第3の分岐路は、それぞれ前記油路と前記タンクのオイル出口に接続され、前記第4の分岐路は、それぞれ前記油路と前記タンクのオイル入口に接続され、前記第3の分岐路には、前記タンク内のオイルを前記油路にガイドするように制御ポンプが設置される、請求項
1に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項7】
前記第4の分岐路には、それを開放又は遮断するオイル戻し弁が直列接続される、請求項6に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項8】
前記第3の分岐路には、逆止弁が設置され、前記逆止弁は、オイルを前記油路に一方向にガイドする、請求項
6に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項9】
前記第3の分岐路には、圧力安定化アキュムレータが設置され、前記圧力安定化アキュムレータは、前記統合ベースに取り付けられ、かつ前記タンクの前記統合ベースにおける取付平面に取り付けられる、請求項
6に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項10】
信号受信機をさらに含み、前記信号受信機は、前記統合ベースに設置され、前記制御弁と協働して前記制御弁の動作状態を制御する、請求項
1に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項11】
前記制御弁は、電磁弁であり、前記信号受信機は、コイルである、請求項10に記載の油圧統合制御モジュール。
【請求項12】
複数の油圧統合制御モジュール及び複数のダンパを含み、前記油圧統合制御モジュールは、請求項1~11のいずれか一項に記載の油圧統合制御モジュールであり、
前記ダンパは、第1のシリンダ、ピストン及びピストンロッドを含み、前記ピストンは、前記第1のシリンダ内に位置し、前記第1のシリンダと協働して上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドは、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドの上端は、車体に接続されるように構成され、前記複数のダンパは、複数の前記油圧統合制御モジュールに1対1に対応して設置され、各前記統合ベースの前記外部接続口は、前記下チャンバに連通する、油圧サスペンションシステム。
【請求項13】
車両であって、
車体及び制御ユニットと、油圧サスペンションシステムとを含み、
前記油圧サスペンションシステムは、請求項12に記載の油圧サスペンションシステムであり、各前記ピストンロッドの上端は、前記車体に接続され、複数の油圧統合制御モジュールの前記制御弁は、それぞれ前記車両の制御ユニットに接続される、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
本願のいくつかの実施例では、統合ベース32内には、第3の分岐路45及び第4の分岐路46が設置され、第3の分岐路45は、それぞれ油路44とタンク1のオイル出口に接続され、第4の分岐路46は、それぞれ油路44とタンク1のオイル入口に接続され、第3の分岐路45には、タンク1内のオイルを油路44にガイドするように制御ポンプ26が設置される。即ち、タンク1は、独立したオイル戻し通路(即ち、第4の分岐路46)及びオイル吐出通路(即ち、第3の分岐路45)を有し、これにより、2つの独立した通路を設置することにより、オイル吐出及びオイル戻しの確実な進行を保証する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
好ましくは、第4の分岐路46には、それを開放又は遮断するオイル戻し弁27が直列接続される。オイルを吐出する必要がある場合、制御ポンプ26を開き、オイル戻し弁27を閉状態にし、制御ポンプ26は、オイルを油路44にガイドする。オイルを戻す必要がある場合、制御ポンプ26を閉じ、オイル戻し弁27を開き、油路44内のオイルは、オイル戻し弁27を通ってタンク1に流れることができる。これにより、2つの独立した通路を設置することにより、オイル吐出及びオイル戻しの確実な進行を保証する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
タンク1は、制御ポンプ26の上方に固定される。減衰調整弁8及び減衰アキュムレータ9は、統合ベース32にねじ接続され、制御ポンプ26の下側に固定される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
具体的には、油圧サスペンションシステム1000は、増圧モードを有し、増圧モードでは、剛性調整弁11が開かれ、制御弁12が閉じられ、タンク1内のオイルが剛性調整アキュムレータ10内に流入することで、剛性調整アキュムレータ10がエネルギーを蓄える。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
車体の高さを下げる必要がある場合、下チャンバ2012内のオイルは、車両の重力の作用で油路44内に吐出されてタンク1内に戻り、車体の高さを下げることを実現することもできる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
車両の走行中に、左前輪が障害物、例えば石に遭遇して持ち上げられた場合、左前油圧統合制御モジュール100のピストンロッド203が下方に移動して下チャンバ2012を押圧し、下チャンバ2012内のオイルが対応するタンク1内に吐出される。この場合、制御ユニット2000は、右前油圧統合制御モジュール100、左後油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100における剛性調整弁11及び制御弁12をいずれも開状態にするように制御し、右前車体、右後車体及び左後車体を持ち上げるように制御することにより、ロール現象の発生を回避することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
具体的には、車両がロール傾向を有する場合、例えば、左前油圧統合制御モジュール100及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203が圧縮された場合、左前油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1のチャンバ243に吐出され、左後油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3のチャンバ245に吐出され、第1のチャンバ243及び第3のチャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1のチャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3のチャンバ245内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、これにより、左前油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203の移動を抑制することができ、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
好ましくは、
図9に示すように、中央制御シリンダ24は、第1のリターンスプリング247及び第2のリターンスプリング248をさらに含み、第1のリターンスプリング247の両端は、それぞれ第2のシリンダ240
の左端及び移動部材241の左端に当接し、第2のリターンスプリング248の両端は、それぞれ第2のシリンダ240
の右端及び移動部材241の右端に当接し、第1のリターンスプリング247及び第2のリターンスプリング248は、移動部材241をプッシュして中間に向かって復帰させる。具体的には、車両がロールして移動部材241を左に移動させる場合、第1のリターンスプリング247は、移動部材241を右にプッシュして復帰させることができる。車両がロールして移動部材241を右に移動させる場合、第2のリターンスプリング248は、移動部材241を左にプッシュして復帰させ、これにより、中央制御シリンダ24の信頼性を保証することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
本願のいくつかの例では、
図9に示すように、中央制御シリンダ24は、ガイドアセンブリ249を含み、
ガイドアセンブリは、第1のガイド部材2490及び第2のガイド部材2491を含み、第1のガイド部材2490と第2のガイド部材2491は、スライド可能に係合し、第1のガイド部材2490は、第2のシリンダ240に固定され、第2のガイド部材2491は、移動部材241に固定され、第1のリターンスプリング247は、左側のガイドアセンブリ249に外嵌され、かつ第1のガイド部材2490に当接し、第2のリターンスプリング248は、右側のガイドアセンブリ249に外嵌され、かつ第1のガイド部材2490に当接し、これにより、ガイドアセンブリ249を設置することにより、第1のリターンスプリング247及び第2のリターンスプリング248の組み立てを容易にするだけでなく、第1のリターンスプリング247及び第2のリターンスプリング248の変形程度を容易に限定し、第1のリターンスプリング247及び第2のリターンスプリング248の過度変形による故障を回避する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
具体的には、車両がロール傾向を有する場合、例えば、左前油圧統合制御モジュール100及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203が圧縮され、右前油圧統合制御モジュール100及び右後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203が引っ張られた場合、左前油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1のチャンバ243に吐出され、左後油圧統合制御モジュール100に対応する下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3のチャンバ245に吐出され、第1のチャンバ243及び第3のチャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1のチャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3のチャンバ245内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、これにより、左前油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203及び左後油圧統合制御モジュール100に対応するピストンロッド203の移動を抑制することができ、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【国際調査報告】