(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】保護特徴部を備える高拒絶型渦巻型エレメント
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20250109BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539398
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022082394
(87)【国際公開番号】W WO2023129906
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クルト,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA62
4D006JA05A
4D006JA05C
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006JB01
4D006JB06
4D006MA03
4D006MA06
4D006PA01
(57)【要約】
印刷スペーサ膜エレメントには、膜表面に任意のパターンを施してフィードスペーサ材料として機能させるというユニークな利点がある。これは、メッシュ全体の厚みと密度が均一な従来のフィードスペーサメッシュ材料とは対照的である。より開かれたフィード空間を利用することができるが、応力集中が高くなり、スペーサ材料が対向する膜リーフと接触する可能性がある。本特許は、膜リーフへの応力集中が最大になる中央管近傍の印刷パターンの集中度を高めること、巻く間のスリップによる損傷を最小化するために巻く前に膜シートを方向付けること、挿入点での漏れを最小化するために折り目を第1の特徴部から遠ざけることにより、膜リーフへの損傷を低減する概念を提示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻型エレメントであって、
(a)中央管と、
(b)1つ又は複数の膜シートであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、前記折り目線が前記中央管の近位にある状態で前記中央管の周りに渦巻状に巻かれる、1つ又は複数の膜シートと、
(c)前記第1の半部の前記内面に配置された複数の間隔保持特徴部を有する各膜シートと、
(d)前記第1の半部の前記内面及び前記第2の半部の前記内面に取り付けられた折り目保護エレメントであって、前記折り目保護エレメントは前記折り目から前記第1の半部上を第1の距離だけ、及び前記第2の半部上を第2の距離だけ延び、前記第2の距離は前記第1の距離を上回る、折り目保護エレメントと
を含む渦巻型エレメント。
【請求項2】
前記折り目保護エレメントが、前記第2の半部の前記内面及び前記第1の半部の前記内面の領域を含み、その上に前記間隔保持特徴部の材料と同じ材料が配置される、請求項1に記載のエレメント。
【請求項3】
前記折り目保護エレメントが、片側のみに接着剤を有するテープを含み、前記テープの前記接着側は、前記第1及び第2の半部の前記内面に隣接し、前記テープは不透過性である、請求項1に記載のエレメント。
【請求項4】
渦巻型エレメントであって、
(a)中央管と、
(b)1つ又は複数の膜シートであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、前記折り目線が前記中央管の近位にある状態で前記中央管の周りに渦巻状に巻かれる、1つ又は複数の膜シートと、
(c)前記第1の半部の前記内面上に配置された複数の間隔保持特徴部を有する各膜シートと、
(d)前記第1の半部の前記内面上に配置された複数の内側巻き支持特徴部を含む内側巻き支持エレメントであって、前記内側巻き支持特徴部は第1の密度で配置され、前記間隔保持特徴部は前記第1の密度よりも低い第2の密度で配置される、内側巻き支持エレメントと
を含む渦巻型エレメント。
【請求項5】
前記内側巻き支持特徴部が、前記中央管に平行な密度と、前記中央管に直交する密度とで配置され、前記中央管に平行な密度は一定であり、前記中央管に直交する密度は、前記折り目からの距離が増すにつれて低下する、請求項4に記載のエレメント。
【請求項6】
渦巻型エレメントを製造する方法であって、
(a)中央管を提供することと、
(b)1つ又は複数の膜シートを提供することであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、前記折り目線が前記中央管の近位にある状態で前記中央管の周りに渦巻状に巻かれ、各膜シートは、前記第1の半部の前記内面に配置された複数の間隔保持特徴部を有する、1つ又は複数の膜シートを提供することと、
(c)前記第1の半部の前記内面及び前記第2の半部の前記内面に取り付けられた折り目保護エレメントを提供することであって、前記折り目保護エレメントは、前記折り目から、前記第1の半部上に第1の距離だけ、及び前記第2の半部上に第2の距離だけ延び、前記第2の距離は前記第1の距離を上回る、折り目保護エレメントを提供することと、
(d)前記1つ又は複数の膜シートを前記中央管の周囲に渦巻状に巻くことと
を含む方法。
【請求項7】
前記テープがポリオレフィン又はポリエステルを含む、請求項3に記載のエレメント。
【請求項8】
前記折り目から始まり第3の距離だけ延びる前記第1の半部の領域が、間隔保持特徴部を有さず、前記第2の距離は前記第3の距離を上回る、請求項1に記載のエレメント。
【請求項9】
前記折り目から始まり第3の距離だけ延びる前記第1の半部の領域が、間隔保持特徴部を有さず、前記第2の距離は前記第3の距離を上回る、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記折り目保護エレメントが、前記第1及び第2の膜半部の第2の表面上に配置され前記第2の表面を通って対応する膜シートに浸透する、ポリウレタン又はエポキシベースの接着剤を含む、請求項1に記載のエレメント。
【請求項11】
渦巻型エレメントであって、
(a)中央管と、
(b)1つ又は複数の膜シートであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、前記折り目線が前記中央管の近位にある状態で前記中央管の周りに渦巻状に巻かれる、1つ又は複数の膜シートと、
(c)前記第1の半部の前記内面上に配置された複数の間隔保持特徴部を有する各膜シートと、
(d)前記第1の半部の前記内面上に配置された複数の内側巻き支持特徴部を含む内側巻き支持エレメントであって、前記内側巻き支持特徴部は第1の密度で配置され、前記間隔保持特徴部は前記第1の密度よりも高い第2の密度で配置される、内側巻き支持エレメントと
を含む渦巻型エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離に利用される膜システムに関し、特に渦巻型膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
クロスフロー濾過では、フィード流体はフィルタを通って流れ、他端で放出されるが、流体の一部は、流体の流れ方向と平行な膜表面を介した濾過によって除去される。クロスフロー濾過には、プレートアンドフレームシステム、カセットシステム、中空糸システム、及び渦巻システムなど、様々な形態がある。プレートアンドフレームシステム、カセットシステム、及び渦巻システムの濾過モジュールは、隣接する濾過膜層間に間隔保持を提供するスタックされた膜層に依存することが多く、本発明は、主に、渦巻型膜エレメントに関する。
【0003】
膜を通過して中央管へ至る流体の除去のための経路を、中央管の軸に対して長手方向に形成する多孔性透過液担体に又はその周囲にシールされた膜シートから構成されたラミネート構造からなる渦巻型膜濾過エレメントが当該技術分野で知られているが、このラミネート構造は、中央管の周囲に渦巻状に巻き付けられ、多孔性フィードスペーサ(feed spacer)でそれ自体から間隔をあけられ、エレメントのフィード端から拒絶端へ至るエレメントを通る流体の軸方向の流れを可能にする。従来、フィードスペーサメッシュは、フィード水(その一部は膜を通過する)の流れが渦巻型エレメントに入るのを可能にし、拒絶水が中央管に平行な方向であってエレメント構造の軸方向の方向にエレメントから出るのを可能にするために使用される。
【0004】
渦巻型エレメントの設計に対する改良は、Bargerらに付与された米国特許第6,632,357号、Bradfordらに付与された米国特許第7,311,831号、及びRoderickらに付与された“Improved Spiral Wound Element Construction”と題するオーストラリア(第2014223490号)、日本(第6499089号)、中国(CN第105163834B号)、イスラエル(第240883号)及び韓国(第10-2196776号)の特許に開示されており、この特許は、フィードスペーサを、膜の内側若しくは外側の表面に、又は透過液担体に直接印刷、堆積、又はエンボス加工された島又は突起で置き換えている。Roderickらに付与された“Graded spacers for filtration wound elements”と題する米国特許第11,090,612号は、渦巻型エレメントにおけるフィードフロー特性を変更するために使用される高さ傾斜型スペーサ特徴部の使用を記載している。Roderickらに付与された“Interference Patterns for Spiral Wound Elements”と題する米国特許出願PCT/US17/62424号は、膜フィード空間を開かれた状態に保つが、巻き付ける間に膜エンベロープ接着領域の支持を提供する渦巻型エレメントのパターンを記載している。Roderickらに付与された“Bridge Support and Reduced Feed Spacers for Spiral-Wound Elements”と題する米国特許出願PCT/US18/55671号は、渦巻型エレメントの接着及び巻き付け中に支持を提供するために膜エンベロープの遠位端(中央管から最も遠い端)に適用される支持特徴部を記載している。Herringtonらに付与された“Variable Velocity Patterns in Cross Flow Filtration”と題する米国仮特許出願第63,051,738号は、フィード溶液の濃度が渦巻型エレメントのフィード端から拒絶端まで増加するにつれてフィード溶液の速度を制御するために、中央管に平行なフィード流路内で膜フィード空間のフィード端から拒絶端までサイズが変化する支持パターンを記載している。Roderickら他に付与された米国特許第11,083,997号は、エレメント製造中に印刷パターンが入れ子状になるのを避けるために、膜フィード空間のフィード端と拒絶端により高密度のパターンを設け、中間部により開放的なパターンを設けることを記載している。上記の参考文献は本発明の理解を促すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の実施形態は、以下を含む渦巻型エレメントを提供する:(a)中央管;(b)1つ又は複数の膜シートであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、折り目線が中央管の近位にある状態で中央管の周りに渦巻状に巻かれる、1つ又は複数の膜シート;(c)第1の半部の内面に配置された複数の間隔保持特徴部を有する各膜シート;及び(d)第1の半部の内面及び第2の半部の内面に取り付けられた折り目保護エレメントであって、折り目保護エレメントは折り目から第1の半部上を第1の距離だけ、及び第2の半部上を第2の距離だけ延び、第2の距離は第1の距離を上回る、折り目保護エレメント。いくつかの実施形態において、折り目から始まり第3の距離だけ延びる第1の半部の領域は間隔保持特徴部を有さず、第2の距離は第3の距離を上回る。
【0006】
いくつかの実施形態において、折り目保護エレメントは、第2の半部の内面及び第1の半部の内面の領域を含み、その上に間隔保持特徴部の材料と同じ材料が配置される。本文脈で使用される際「同じ材料」とは、同じ関連特性、例えば、膜への堆積に適した条件、機械的特性等を有する材料を意味する。それは、本出願及び文脈における機械的性能及び製造に関連しない特性における同一性を必要としない。
【0007】
いくつかの実施形態において、折り目保護エレメントは、片側のみに接着剤を有するテープを含み、テープの接着側は、第1及び第2の半部の内面に隣接し、テープは、反対側の半部上の間隔保持特徴部がテープの下にある半部を損傷するのを防止するのに十分な剛性を有する。いくつかの実施形態において、テープは、折り目の近くで損傷する可能性のある膜を通る流体の流れを防止するために不透過性である。いくつかの実施形態において、折り目保護エレメントは、UV硬化インクジェット材料、ホットメルトポリオレフィン、ウレタン、デカール、又は活性膜表面に堆積可能な他の材料を含み得る。堆積された折り目保護材料の厚さは、0.010インチとすることができるが、より好ましくは0.002インチ以下である。材料は、折り目線の折り線で亀裂が入らないように柔軟であるべきである。いくつかの実施形態において、テープはポリオレフィン又はポリエステルを含む。
【0008】
本発明の実施形態は、以下を含む渦巻型エレメントを提供する:(a)中央管;(b)1つ又は複数の膜シートであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、折り目線が中央管の近位にある状態で、中央管の周りに渦巻状に巻かれる、1つ又は複数の膜シート;(c)第1の半部の内面上に配置された複数の間隔保持特徴部を有する各膜シート;及び(d)第1の半部の内面上に配置された複数の内側巻き支持特徴部を含む内側巻き支持エレメントであって、内側巻き支持特徴部はある密度で配置され、間隔保持特徴部は内側巻き支持特徴部の密度よりも低い密度で配置される、内側巻き支持エレメント。
【0009】
いくつかの実施形態において、折り目保護間隔保持特徴部は、中央管に平行な密度と、中央管に直交する密度とで配置され、中央管に平行な密度は一定であり、中央管に直交する密度は、折り目からの距離が増すにつれて低下する。
【0010】
本発明の実施形態は、以下を含む、渦巻型エレメントを製造する方法を提供する:(a)中央管を提供すること;(b)1つ又は複数の膜シートを提供することであって、各膜シートは、内面が互いに対向する第1及び第2の膜半部を提供する折り目線でそれ自体に折り畳まれ、各折り畳まれた二重膜シートは、折り目線が中央管の近位にある状態で中央管の周りに渦巻状に巻かれ、各膜シートは、第1の半部の内面に配置された複数の間隔保持特徴部を有する、1つ又は複数の膜シートを提供すること;(c)第1の半部の内面及び第2の半部の内面に取り付けられた折り目保護エレメントを提供することであって、折り目保護エレメントは、折り目から、第1の半部上に第1の距離だけ、及び第2の半部上に第2の距離だけ延び、第2の距離は第1の距離を上回る、折り目保護エレメントを提供すること;(d)1つ又は複数の膜シートを、中央管の周囲に渦巻状に巻くこと。いくつかの実施形態において、折り目保護エレメントは、第1及び第2の膜半部の第2の表面上に配置され第2の表面を通って対応する膜シートに浸透する、ポリウレタン又はエポキシベースの接着剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】部分的に組み立てられた渦巻型膜エレメントの分解図である。
【
図3】中央管近傍の巻き張力の増大による損傷を示す、動作及び検視後に見た膜シートの図である。
【
図4】渦巻型膜エレメントの長手方向断面図である。
【
図5】製造中により多くの支持を提供するために中央管近傍により高密度の間隔保持特徴部を有する渦巻型エレメント膜シートの図である。
【
図6】製造中により多くの支持を提供するために中央管近傍により高密度のスペーサ線を有する渦巻型エレメント膜シートの図である。
【
図7】製造中により多くの支持を提供するために中央管近傍により高密度のスペーサ点線又は破線を有する渦巻型エレメント膜シートの図である。
【
図8】製造中により多くの支持を提供するために中央管近傍により高密度のスペーサ特徴部及び線又は破線又は点線を有する渦巻型エレメント膜シートの図である。
【
図9】中心線に折り目線支持を有する渦巻型エレメント膜シートの図である。
【
図10】折り目線支持と、互いにオフセットされた中心線の両側の支持特徴部とを有する渦巻型エレメント膜シートの図である。
【
図11】膜の折り目の頂点に折り目保護を有し、中央管に隣接する膜シート上に印刷特徴部を有する、巻く前の2枚の膜リーフを有する渦巻型エレメントの端部の図である。
【
図12】膜の折り目の頂点に折り目保護を有し、中央管の反対側で膜シート上に印刷特徴部を有する、巻く前の2枚の膜リーフを有する渦巻型エレメントの端部の図である。
【
図13】膜エンベロープの構成要素を示す、渦巻型印刷スペーサエレメントの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための形態及び産業上の利用可能性
渦巻型濾過エレメントのフィードスペーサは、流体がフィードチャネルのフィード端から拒絶端まで流れるチャネルを維持するために必要であるが、スペーサの設計はまた、局所的な流速、乱流、淀みゾーン、及び他の流体流れ状態に影響する。押出しメッシュフィードスペーサは、製造プロセスにおいて一体化が容易なことから、膜製造において伝統的に使用されてきたが、その設計の性質上、流体力学的特性の多くはスペーサの厚さに依存する。従来のメッシュスペーサはまた、中央管から遠位端から中央管近傍の膜シートの近位端に至るまで、フィード空間において均一な支持特性を提供する。印刷されたフィードスペーサは、従来の押出し又は織布メッシュスペーサでは得られなかったユニークな設計特性を可能にする。それらの厚みや形状を独立して変更することができるので、特定の用途又は渦巻型膜エレメントの構築に見られる特定の課題に合わせることができる幅広い構成を得ることができる。
【0013】
クロスフロー濾過は、その性質上、フィード流体の一部がフィルタを通過して濾液の一部となることに依存するため、フィード流体がフィルタを通過する際にフィード流体の量が常に減少する状況を作り出す。生成される濾液の部分が多ければ多いほど、フィルタを通って流れ続けるフィード/濃縮流体の部分は少なくなる。流体がエレメントを通過する際、流体の一部は膜を通過する。単純にモデル化すると、膜を通過する流束が一定であれば、エレメント内をフィード空間のフィード端から拒絶端まで流れるにつれて、フィード溶液の流れは徐々に減少する。実際には、フィード流路に沿った任意の地点を通過する流体の量は、局所的な流れの状態、溶質又は懸濁物質の局所的な濃度、及び局所的な圧力に依存し、これはまたフィード空間内の背圧並びに局所的にエレメントの透過側からの背圧に依存する。
【0014】
渦巻型エレメントの製造中、透過液担体材料はテープ又は接着によって中央管に取り付けられ、膜エンベロープは透過液担体に隣接して配置され、平らなシートアセンブリは糊付けされ(透過液担体エンベロープを密封するため)、旋盤などの回転機構によって中央管の周りで回転させられる。中央管は、旋盤が中央管を回転させ、膜エンベロープと透過液担体を中央管の周りに巻き付けることができるように、旋盤に捕捉されるか、又はキーで固定される。中央管のトルクは、エンベロープ全体が中央管に巻き付けられるまでエンベロープを巻くのに十分なものでなければならない。糊が透過液担体を完全に貫通し、両方の膜リーフに接触して膜エンベロープが完全にシールされるように、膜エンベロープには十分な張力が維持されなければならない。膜エンベロープが中央管に巻き付けられるにつれて、エレメントの直径は大きくなる。しかしながら、膜エンベロープにかかるトルクと力は、直径が最も小さい中央管で最大となる。中央管の近位でより大きな力がかかると、巻く間に、膜エンベロープ、特にフィード空間により大きな力がかかる。印刷スペーサ技術の重要な利点のひとつは、より開放的なフィードスペーサチャネルを形成できることである。しかしながら、より開放されたフィード空間の1つの態様は、膜エンベロープ、ひいてはフィードスペーサに適用される力の集中であり、特に中央管近傍のフィードスペーサエレメントにより大きな力が適用されることである。この結果、フィードスペーサの支持パターンが膜層に圧縮され、膜の活性表面に損傷が生じる可能性がある。これは、活性表面の損傷によるフラックスの増加と同様に、完成したエレメントの拒絶性能の損失をもたらす。本発明は、中央管に近接する膜エンベロープのフィード空間支持特徴部の密度を高めることにより、中央管近傍の膜エンベロープにおける応力集中を制御する手段を提供する。印刷スペーサ技術は新しい分野であり、中央管近傍の支持パターン密度を高めて膜の活性表面への損傷を回避することは、従来技術では予想されていなかった。
【0015】
採用されるフィード成形特徴部は、丸い点、楕円、端が丸い棒、レンズ形状、引き伸ばされた多角形、線又は他の幾何学的形状を含む多数の形状のいずれかであり得る。特徴部の形状と、流体が特徴部の外側の周囲を移動しなければならないという事実により、流体の流速は、膜エレメントのフィード端から拒絶端までフィード間隔保持特徴部間の領域で局所的に変化する。
【0016】
渦巻型エレメントにおいては、膜リーフは中心線で折り畳まれ、中心線は巻く前に中央管で透過液担体と接触する。折り目保護は先行技術に記載されている。折り目保護は通常、膜シートが折り畳まれる膜シートの幅に沿って適用されるテープからなる。先行技術では、折り目保護材料としてポリマー又は他の樹脂を印刷又は他の方法で適用することによって適用される折り目保護も考察されている。折り目保護は、折り線による損傷を避けるために、折り畳まれたときに折り線が付く所で膜リーフを保護するために使用される。折り目保護なしで折り線が損傷すると、完成した膜エレメントの拒絶や流束が失われる可能性がある。折り目保護は、印刷スペーサ特徴部の応力集中が膜リーフの印刷されていない側の膜の活性表面を損傷するのを避けるのを助けるために、中央管付近の印刷スペーサ特徴部の頂部に折り目保護を拡張することによって、印刷スペーサ技術においてユニークに利用することができる。
【0017】
印刷された特徴部では、印刷された特徴部の始まりに対する折り線の位置が、以前は認識されていなかった重要な設計上の特徴であることが判明した。リーフの数で割ったコア管の外周を上回る距離に折り目を配置することで、従来のメッシュを含むエレメントでは中央管の漏れにつながる挿入点から離れる傾向が低減された、より幅の狭い膜リーフを作製することができる。しかしながら、この距離はまた、チャネルの高さが狭くなるためにフィード流が減少し得るリーフの面積を最小にするために、1インチ未満にする必要がある。折り目をこの距離の範囲内に保つことにより、従来は不可能であった、より少ない挿入漏れを伴う改良されたエレメント構造を達成することができる。
【0018】
本発明者らは、折り畳まれた各膜シートの片側半分の印刷された特徴部により、各シートが印刷された特徴部を含む膜の側を巻かれたエレメントの中央管に近づけるように配向され、その結果、最終的な膜エレメントは中央管から離れる方向を向く印刷された特徴部を有する共通の配向を使用すると、欠陥の発生が減少することが観察されることを見出した。渦巻型エレメントを製造する際、折り畳まれた膜シートの中央管から離れた側が内側のシートに対して移動する差異スリップが発生する。特徴部(例えば、
図5のエレメント70)の移動を最小化することにより、対向する膜シートの損傷を低減し、エレメントの性能向上を実現することができる。
【0019】
図1は巻き付け前の従来の渦巻型膜エレメントの概略図であり、従来の渦巻型膜エレメント100の重要な要素を示している。透過液収集管12は、透過液担体22から透過液が収集される収集管12内の穴14を有する。製造において、膜シート36は、中心線30で折り曲げられる単一の連続シートであり、一方の面28上の非活性多孔性支持層、例えば、ポリスルホンと、支持層に接着又は流延された、他方の面24上の活性ポリマー膜層とから構成される。組み立てられたエレメントにおいて、活性ポリマー膜表面24はフィードスペーサメッシュ26に隣接し、非活性支持層28は透過液担体22に隣接している。フィード溶液16は活性ポリマー膜表面24の間に入り、フィードスペーサメッシュ26の開いたスペースを通って流れる。フィード溶液16がフィードスペーサメッシュ26を通って流れるとき、膜によって排除される粒子、イオン、又は化学種は活性ポリマー膜表面24で拒絶され、透過液の分子、例えば水分子は活性ポリマー膜表面24を通過して多孔性透過液担体22に入る。フィード溶液16が活性ポリマー膜表面24に沿って移動するにつれて、バルクフィード溶液16中の透過液の損失により膜により排除される物質の濃度が上昇し、この濃縮された液は拒絶液18として活性ポリマー膜シート24の拒絶端部から出る。透過液担体22内の透過液は、透過液担体22の遠位端34から中央管12の方向に流れ、透過液は中央管入口穴14から中央管12に入り、透過液20として中央管12から出る。透過液がフィード溶液16で汚染されるのを避けるため、非活性ポリマー膜層28は、透過液担体22を貫いて接着線32に沿って接着剤でシールされ、これにより透過液20の唯一の出口経路が中央管12を通るシールされた膜エンベロープが形成される。通常、接着線32の幅は、巻き付けプロセスの間に接着剤が圧縮された後、1~3インチである。
【0020】
既存の技術において、部分的に組み立てられた渦巻型膜エレメント200が
図2に示されている。膜エンベロープ40は、
図1に関連して記載したように、一端で折り曲げられた膜シート36を備え、透過液担体22が膜シートの間に配置され、適切な接着線32(
図1)で縁に沿ってシールされる。一旦巻かれた膜エレメントの従来設計では、フィードスペーサメッシュ26がエンベロープ40に隣接して配置され、フィード溶液16の流れが層膜エンベロープ40の間を流れ、膜シートの活性ポリマー表面24のすべてがフィード溶液に曝されるようにする。透過液、又は生成流体は、膜エンベロープ40内の透過液担体22に収集され、渦巻状に中央管12まで進み、そこで生成流体、又は透過液流体が収集される一方、拒絶流18はエレメントから出る。単一の渦巻型エレメントは、単一の膜エンベロープ及びフィードスペーサ層を備えてもよく、又はエレメントを形成するために一緒にスタックされて巻かれた複数の膜エンベロープ及びフィードスペーサ層を備えてもよい。
【0021】
図13は、印刷スペーサ特徴部70を利用した渦巻型エレメントの膜エレメント構成要素をさらに定義している。膜エンベロープ40は、印刷スペーサ特徴部70が接着された活性ポリマー膜表面である膜シート36aを含む。膜シート36bは、印刷スペーサ70が接着されていない膜シート36の活性ポリマー側である。膜シート36は折り目線30で折り畳まれ、接着線32(
図1)に沿って透過液担体22が三方に糊付けされ、膜エンベロープ40を形成し、それにより、透過溶液20(
図1)が中央管12に移動し、透過溶液20として中央管12から排出できるようにする。膜エンベロープ40は接着線32に沿って付着され、接着剤は非活性膜層28(
図1)上の膜シート36a及び36bの非活性側に付着されることが重要である。
【0022】
図3は、検視のために開かれた膜エレメントを描いている。
図3のエレメントは2つの膜エンベロープ40を含む。膜エンベロープ40は中央管12の周囲に巻き付けられ、両端が中央管12に接着剤で付着されている。透過液流体は、透過液担体22(
図2)内を、流れ方向矢印56で示すように、中央管12に向かって流れる。検視により、製造プロセスの間に巻くことによる中央管12の圧力上昇により、膜エンベロープ40上の膜シート36に損傷58があることが判明した。
【0023】
図4は、長手方向断面における渦巻型エレメントの構成要素を定義している。膜エンベロープ40は中央管12に巻き付けられる。エレメントの完成外径に対する巻きの数は、中央管12の直径と、中央管周囲の膜エンベロープ40の巻きの数とによって明確に定義される。巻きの数は、完成したアセンブリを構成する膜エンベロープ40の数によっても定義される。中央管にかかる圧力Pを定義する式は次式で与えられる:
【数1】
式中、
Pは中央管にかかる均一圧力であり、
Tは巻く間の膜エンベロープ40の張力であり、
Dは中央管の直径であり、
tは膜エンベロープ40の厚さであり、
Nは膜エンベロープ40の層の数であり、
iは現在の層であり、0は第1の層を示す。
【0024】
多くの自動渦巻型エレメント巻きシステムでは、渦巻型エレメントの均一な巻き上がりを確実にするため、また、糊が透過液担体22を貫通して膜シートの非活性表面に対してシールを形成して膜エンベロープ40をシールする必要がある場合に、接着線32(
図1)で膜エンベロープ40が確実にシールされるように適切な張力が適用されるようにするために、透過液担体22に張力が適用される。式から明らかなように、巻く間に膜エンベロープ40にかかる張力は、中央管12にかかる圧力の主要な成分であり、中央管12の直径が小さいほど、中央管12にかかる圧力が大きくなる。また、中央管12の周りの膜エンベロープ40の第1の巻きにより多くの圧縮が存在し、巻きの量が多いほど中央管12にかかる圧力が大きくなることも明らかである。その結果、中央管12の周りの膜エンベロープ40の第1の巻きは、スペーサエレメント70(
図5)において最大の圧縮力を受ける。
【0025】
例として、1812渦巻型エレメントを考える。このエレメントは直径1.8インチ(45.7mm)、長さ12インチ(304.8mm)である。第1の巻きにかかる力の計算は、寸法と力の仮定が与えられた以下のチャートで示される:
【0026】
【0027】
上に示した例のチャートから明らかなように、透過液担体に適用される張力負荷(T)は、巻きが行われるにつれて(39.76ポンドを4.41ポンドに減少させるために)10対1に減少させなければならない。これは、巻きプロセスが起こるときに自動巻き機の張力付与機構にプログラムすることができる。これは巻きが起こるにつれて各巻きの円周が大きくなるために非線形の減少であることに注意されたい。この例では、完成したエレメントの円周1.8インチ(45.7mm)を達成するために16~17回の巻きが必要である。印刷スペーサ付きの渦巻型エレメントを適切に巻くために、望ましい巻き圧がある。圧力が高すぎると中央管12付近で膜が損傷する可能性があり、圧力が低すぎると糊が透過液担体22(
図2)に浸透せず、膜エレメントの完成直径が小さくなりすぎる可能性がある。ポリアミド膜表面の損傷を避けるため、特定のスペーサエレメント70の1平方インチ当たりのポンド濃度は50psi未満、好ましくは25psi未満であるべきである。最適な巻き圧力は各サイズの膜エレメントによって異なる。また、特定のスペーサエレメントにかかる力は、個々のスペーサエレメント70の間隔密度と表面積サイズによって決定される。直径0.020インチの間隔保持特徴部を0.25インチの特徴部間隔で配置した場合の例示的な実施形態を上の表に示す。許容巻き張力は、中央管の直径、完成エレメントの直径、支持体特徴部間隔、支持体特徴部表面積、及び膜エンベロープ40をシールするために使用される接着剤の特性に基づいて、各エレメントサイズによって変化する。
【0028】
図5は、本発明の例示的な実施形態を示しており、これにより、フィードスペーサエレメント70は、製造中に中央管12(
図1)の周囲に巻き付けるための開始点である中央折り目線30に近づくにつれて、より近い間隔Xで配置される。スペーサエレメント70のより近い間隔は、中心線30から膜シート36aの印刷された半部の長さの3分の1の距離Wで開始することができる。距離Wはまた、膜シート36aの印刷された半部の全長に対して折り目線30から4分の1の距離の所から始めることもできるが、膜シート36aの印刷された半部の全長に対して折り目線30から10分の1の距離又はそれより短い所から始めることもできる。製造の準備中、フィードスペーサエレメント70は、膜シート36aの活性表面の半分のみに印刷又はその他の方法で取り付けられる。製造の代替実施形態では、スペーサエレメント70は膜シート36aの裏面に適用される。例示的な実施形態では、フィードスペーサエレメント70は膜シート36aの活性表面に適用される。膜シート36aへのフィードスペーサエレメント70の取り付けに続いて、膜シート36a及び36bの活性表面が互いに対向するように、膜シート36は中心線30で折り畳まれる。フィードスペーサエレメント70は、フィード流体16が膜シート36の活性表面間で中心線30に平行に流れ、拒絶溶液18としてフィード空間から出ることを可能にするために、膜シート36の活性表面間に間隔を提供する。中心線30に向かってスペーサエレメント70の間隔Xを小さくすることにより、膜シート36の単位面積当たりの支持体が多くなり、製造及び巻きプロセス中の膜シート36の損傷を軽減することができる。スペーサエレメント70の高さを折り目線30付近で小さくして、それにより膜シート36bの対向する印刷されていない表面に大きな集中力を与えないようにすることができる。接着剤支持特徴部64は、スペーサエレメント70よりも高密度の間隔保持構成を含むことができ、それにより、膜シート36aをその縁部に沿って圧縮し入口及び出口フィードチャネルを閉鎖する接着剤からの支持を膜シート36bの縁部に沿って提供する。
【0029】
図6に示される本発明の例示的な実施形態は、フィード流体16から拒絶溶液18として膜シート36のフィード空間から出るまでフィード溶液流路に沿ってより多くの支持を提供するフィード間隔保持支持特徴部72の変形例を示す。この例では、支持特徴部72は連続線を含む。支持特徴部72はフィード溶液の流れ方向に対して平行であるので、フィード流体の流れに対する大きな抵抗を示さない。
【0030】
図7に示される本発明の例示的な実施形態は、フィード流体16から拒絶液18として膜シート36のフィード空間から出るまでフィード溶液流路に沿ってより多くの支持を提供するフィード間隔保持支持特徴部74の変形を示す。この例では、支持特徴部74は、セグメントの長さ及びセグメント間の間隔が多種多様であり得る破線を含む。支持特徴部74はフィード溶液の流れ方向に対して平行であるため、フィード流体の流れに対する大きな抵抗を示さない。
【0031】
本発明の例示的な実施形態が
図8に示されている。フィード間隔保持支持特徴部76、78、及び80は、連続線、間隔が近い破線、及び線内のセグメント間の間隔が広い複数の破線を含み得る線セグメントの組み合わせを含み得る。前述のように、支持特徴部76、78、及び80はフィード溶液の流れ方向に対して平行であるので、フィード流体の流れに対する大きな抵抗を示さない。
【0032】
本発明の例示的な実施形態が
図9に示されており、ここで折り目線支持体94は、膜シート36が中心線30で折り畳まれるときに分離支持を提供する印刷隆起パターン100を含む。この構成において、印刷隆起パターン100は折り目線30で交差し、流体が印刷隆起パターン100の特徴部の上及び周囲を中心管30と平行に流れることができるように互いに干渉する(折り畳まれたときに入れ子にならないことを意味する)。この構成において、印刷隆起パターン100は、中心線30の近位に支持を提供するために間隔保持特徴部70と組み合わせて使用することができる。
【0033】
図10に示す本発明の例示的な実施形態において、スペーサ特徴部70が中心線30の一方の側に存在し、交互のスペーサ特徴部96が中心線30の他方の側に存在する。間隔保持特徴部96は中央管12の近位にあり、中央管12の近傍に追加的な支持を提供する。膜シートが中心線30で折り畳まれるとき、間隔保持特徴部70及び96が巻かれる間に干渉するのは望ましくない。干渉が生じるのを回避するために、間隔保持特徴部70及び96は寸法Yだけ互いにオフセットされる。さらに、中心線30の近位での応力集中を軽減するのを助けるために、間隔保持特徴部70及び96は中心線30の近くで高さを低くすることができる。
【0034】
多くの膜エレメントは、膜リーフの活性表面の折り線又は変形によって引き起こされる漏れから折り目線を保護するために、折り目線支持特徴部を使用する。折り目線保護は様々な形態を取り得るが、一般的には何らかの形態の接着テープである。テープは、折り線で膜シートを損傷から保護し、又は折り畳み中に損傷した場合には、膜リーフを漏れから封止する。先行技術では、折り目線保護材料として印刷材料の使用も考察している。
図11は、透過液担体22が膜エレメントに巻き込まれる前に中央管12に巻き付けられた中央管12の端面図を示す。
図11は、中央管12に巻き付けられる2枚の膜エンベロープ40を描いている。しかしながら、膜エレメントの直径の大きさ、及び膜エンベロープ40の薄さに応じて、任意の数の膜エンベロープ40を中央管12に巻き付けることができる。この図では、処理される流体はフィード空間84に入り、膜シート36を通過して透過液担体22に入る。透過液流体は透過液担体22内を流れ、そこで流体穴14を介して中央管12に入り、中央管12の端部から出る。
【0035】
図11は、中央管12に近位の膜シート36の印刷された半部の端部において、支持特徴部70に隣接して開始し、折り目線30に沿って折り線で継続し、次いで、膜シート36の印刷されていない対向表面上に延び、膜シート36の印刷されていない表面に衝突する支持特徴部70の頂部の力の集中を緩和するために、適切な距離、典型的には1インチ以下にわたって支持特徴部70の頂部上に延びる、テープ又は印刷材料のいずれかの折り目線保護82の適用を表す。支持特徴部70の始点からの折り目線30の最適距離は、渦巻型膜エレメント200(
図2)を構成する膜エンベロープ40(
図2)の数で割った中央管12の外径によって決定される距離として定義することもできる。最適距離はまた、1インチ未満であることが好ましいが、その理由は、これを上回る距離は、減少したチャネル高さにより変化した流れ特性を有するエリアを増加させるからである。前述したように、支持特徴部70は、中心管12の近傍では高さを小さくすることができる。さらに、支持特徴部70は、0インチから、中央管12の直径よりも小さい距離とすることができる長さYまで間隔をあけることができる。この構成において、折り目保護82は、支持特徴部70の頂部のセグメントを覆うように長さを延長することができる。
図11に示す実施形態では、支持特徴部70は、製造後に中央管12に隣接する膜シート36の半部に適用又は他の方法で付着される。この実施形態では、支持特徴部70は支持特徴部70の頂部で幾何学的に開き、これは支持特徴部70間の流路を開き、完成された膜エレメントのフィード端から拒絶端までの中央管12の近くの流体圧力損失を低減するのに役立つ。
図12に示す実施形態では、支持特徴部70は、中央管12に隣接して巻かれ、中央管12に糊付けされた透過液担体22を介して糊付けされた印刷されない膜シート36aに対向する膜シート36bに適用することができる。
図10に示す実施形態では、支持特徴部70を膜シート36の両方の活性表面(36a及び36b)に印刷することができるが、パターン96は、それらが互いに擦り抜け合うように巻く間に干渉しないようにオフセットすることができる。
【0036】
巻き作業中、膜エンベロープ40(
図2)を中央管12に対して保持し、膜エンベロープの均一な巻きを維持するのを補助し、巻く間に膜エンベロープにしわや折り線が付かないようにするために、押さえ棒90がしばしば使用される。押さえ棒90はベアリング上で自由に回転し、巻く間に膜エレメントとの摩擦によって回転する。押さえ棒の圧力92が大きすぎると、膜シート36に損傷が生じる可能性がある。印刷スペーサエレメントでは、巻く間の膜への損傷を回避するために望ましい押さえ棒圧力は、支持特徴部70への追加的な力の集中を避けるために、できるだけ軽くするべきである。いずれにせよ、印刷スペーサエレメント用の押さえ棒70によって40インチの長さのエレメントに加えられる力は、最適には16~18ポンドであるべきであるが、25ポンド未満であるべきである。支持特徴部70への荷重集中を最小にするために、押さえ棒90は所与のサイズのエレメントに対して可能な限り大きな直径であるべきであり、又は荷重を分散するために複数の押さえ棒を利用することができる。
【0037】
折り目保護エレメントは、ポリウレタン又はエポキシベースの接着剤を折り目領域の第2の表面に適用することによっても構成することができる。使用されるポリウレタン又はエポキシベースの接着剤は、第2の表面に浸透し、浸透した領域を通る流れを防止するように、適切な粘度及びウィッキング特性を有するものを選択するべきである。接着剤を滑らかにするためにスクレーパ又はローラを使用する任意選択のステップも実行することができ、これはまた、第2の表面への接着剤の浸透を支援することができる。接着剤がまだ粘着性である間に、膜シートの取り扱い、積み重ね、及び保管を簡単にするために、テープが接着剤を覆うように適用されてもよく、組み立てられた膜エレメントに残存してもよい。
【0038】
本発明を様々な例示的実施形態に関連して記載してきた。上記の記載は、本発明の原理の適用を単に例示するものであり、その範囲は、本明細書に照らして見た特許請求の範囲によって決定されることが理解されよう。本発明の他の変形及び修正は、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】