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特表2025-501204リチウム系二次バッテリのためのセル形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】リチウム系二次バッテリのためのセル形成システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20250109BHJP
【FI】
H01M10/058
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539400
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022054228
(87)【国際公開番号】W WO2023129640
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/266,202
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323006529
【氏名又は名称】エノビクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Enovix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】ドゥヴォイリス,イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】フォスラー,ロス エム
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029CJ16
5H029CJ30
(57)【要約】
リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムは、バッテリトレイ及び形成ベースを含む。バッテリトレイは、ベースと、第1の端子及び第2の端子がバッテリトレイのベースを通って延在する状態で、リチウム系二次バッテリを保持するように構成されているバッテリスロットの集団と、を含む。形成ベースは、バッテリトレイに取り付けるように構成されている。形成ベースは、コネクタグループ及び事前リチウム化モジュールを含む。各コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び/又は第2の端子との電気接触を行うように構成されている。各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、コネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムであって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、前記二重層の集団、前記電極バスバー、及び前記対極バスバーを囲むエンクロージャと、前記電極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第1の端子と、前記対極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第2の端子と、を備え、前記二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、前記二重層集団の各部材の前記電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、前記二重層集団の各部材の前記対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、前記セル形成システムは、
側面の集団、及び前記側面の集団に接続されたベースを有するバッテリトレイであって、前記バッテリトレイは、前記ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、前記バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、前記第1の端子及び前記第2の端子が前記バッテリトレイの前記ベースを通って前記バッテリトレイの前記ベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、バッテリトレイと、
前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側から前記バッテリトレイに取り付けるように構成された形成ベースであって、前記形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、前記事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、形成ベースと、を備える、セル形成システム。
【請求項2】
前記形成ベースは、支持体の集団を備え、前記事前リチウム化モジュールの集団は、前記支持体の集団上に形成され、前記支持体の集団の各支持体は、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項3】
前記支持体の集団の各支持体は、2つ以上の事前リチウム化モジュールを含む、請求項2に記載のセル形成システム。
【請求項4】
前記支持体の集団の各支持体は、1つの事前リチウム化モジュールを含む、請求項2に記載のセル形成システム。
【請求項5】
各事前リチウム化モジュールは、スイッチトキャパシタ回路を備える、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項6】
各事前リチウム化モジュールは、そのスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを含み、各事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記スイッチトキャパシタ回路を動作させて、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの前記電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を選択的に伝導させるように、前記事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、請求項5に記載のセル形成システム。
【請求項7】
前記形成ベースは、2つ以上のスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを備え、前記事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記スイッチトキャパシタ回路を動作させて、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの前記電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を各々選択的に伝導させるように、前記事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、請求項5に記載のセル形成システム。
【請求項8】
前記バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、前記形成ベースは、前記バッテリトレイを前記形成ベースに機械的に接続するように、前記第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含む、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項9】
前記第1のアセンブリコネクタは、前記バッテリトレイの前記ベース内に長方形スロットを備え、前記第2のアセンブリコネクタは、前記形成ベースから延在し、かつ前記バッテリトレイの前記ベース内の前記長方形スロットよりも小さい長方形寸法を有する、回転可能な長方形バーを備える、請求項8に記載のセル形成システム。
【請求項10】
前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールを含む充電ステーションを更に備え、前記充電ステーションは、前記形成ベースが取り付けられていない前記バッテリトレイを受容するように構成され、前記充電ステーションは、前記充電モジュールに電気的に接続された充電コネクタグループの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各充電コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子との電気接触を行うように構成されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項11】
前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールの集団を含む充電ステーションを更に備え、前記充電ステーションは、前記形成ベースが取り付けられていない前記バッテリトレイを受容するように構成され、前記充電ステーションは、異なる充電モジュールに各々電気的に接続された充電コネクタグループの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各充電コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子との電気接触を行うように構成されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項12】
前記バッテリスロットの集団は、120個のバッテリスロットからなる、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項13】
リチウム系二次バッテリのためのセル形成方法であって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、前記二重層の集団、前記電極バスバー、及び前記対極バスバーを囲むエンクロージャと、前記電極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第1の端子と、前記対極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第2の端子と、を備え、前記二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を含み、前記二重層集団の各部材の前記電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、前記二重層集団の各部材の前記対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、前記方法は、
(i)リチウム系二次バッテリの集団をバッテリトレイ中に装填することであって、前記バッテリトレイは、側面の集団と、前記側面の集団に接続されたベースと、を有し、前記バッテリトレイは、前記ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、前記バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、前記第1の端子及び前記第2の端子が前記バッテリトレイの前記ベースを通って前記バッテリトレイの前記ベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、前記リチウム系二次バッテリの集団のうちの1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、装填することと、
(ii)形成アセンブリを形成するように、前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側から前記バッテリトレイに形成ベースを取り付けることであって、前記形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、前記事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、取り付けることと、
(iii)前記形成アセンブリを形成ステーション内に位置付けることと、
(iv)前記事前リチウム化モジュールを使用して、前記形成アセンブリ内の前記リチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、
(v)前記形成ベースを前記バッテリトレイから除去することと、
(vi)前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリの集団に対して追加のプロセスを実施することと、を含む、方法。
【請求項14】
(vii)リチウム系二次バッテリの追加の集団を追加のバッテリトレイ中に装填することと、
(viii)追加の形成アセンブリを形成するように、前記形成ベースを前記追加のバッテリトレイに取り付けることと、
(ix)前記追加の形成アセンブリを前記形成ステーション内に位置付けることと、
(x)前記事前リチウム化モジュールを使用して、前記追加の形成アセンブリ内の前記リチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、
(xi)前記形成ベースを、前記追加のバッテリトレイから除去することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)の後、かつ(ii)の前に、
(i’)前記バッテリトレイを充電ステーション内に位置付けることと、
(i”)前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリの集団を充電することと、
(i’’’)前記バッテリトレイを、前記充電ステーションから除去することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記リチウム系二次バッテリの集団を前記バッテリトレイ中に装填することは、120個のリチウム系二次バッテリを前記バッテリトレイ中に装填することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、前記形成ベースは、前記バッテリトレイを前記形成ベースに機械的に接続するように、前記第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含み、(ii)前記形成アセンブリを形成するように、前記形成ベースを前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側から前記バッテリトレイに取り付けることは、前記バッテリトレイを前記形成ベースの上部に位置付け、かつ前記第2のアセンブリコネクタを前記第1のアセンブリコネクタに係合するように、前記第2のアセンブリコネクタを作動させること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムであって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、前記二重層の集団、前記電極バスバー、及び前記対極バスバーを囲むエンクロージャと、前記電極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第1の端子と、前記対極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第2の端子と、を備え、前記二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、前記二重層集団の各部材の前記電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、前記二重層集団の各部材の前記対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、前記セル形成システムは、
側面の集団、及び前記側面の集団に接続されたベースを有するバッテリトレイであって、前記バッテリトレイは、前記ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、前記バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、前記第1の端子及び前記第2の端子が前記バッテリトレイの前記ベースを通って前記バッテリトレイの前記ベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、バッテリトレイと、
前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側から前記バッテリトレイに取り付けるように構成された形成ベースであって、前記形成ベースは、
コネクタグループの集団であって、前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成されている、コネクタグループの集団と、
形成クラスタの集団であって、各形成クラスタは、
前記コネクタグループのうちの1つに接続され、かつ前記コネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールと、
前記コネクタグループのうちの1つに接続され、かつ前記コネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成された事前リチウム化モジュールと、
前記コネクタグループのうちの1つに接続され、かつ前記コネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリを放電させるように構成された放電モジュールと、を含む、形成クラスタの集団と、を含む、形成ベースと、を備える、セル形成システム。
【請求項19】
前記形成ベースは、支持体の集団を備え、前記集団形成クラスタは、前記支持体の集団上に形成され、前記支持体の集団の各支持体は、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続されている、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項20】
前記支持体の集団の各支持体は、形成クラスタよりも多く含む、請求項19に記載のセル形成システム。
【請求項21】
前記支持体の集団の各支持体は、1つの形成クラスタを含む、請求項19に記載のセル形成システム。
【請求項22】
各事前リチウム化モジュールは、スイッチトキャパシタ回路を備える、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項23】
各事前リチウム化モジュールは、そのスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを含み、各事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記スイッチトキャパシタ回路を動作させて、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの前記電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を選択的に伝導させるように、前記事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、請求項22に記載のセル形成システム。
【請求項24】
前記形成ベースは、2つ以上のスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを備え、前記事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記スイッチトキャパシタ回路を動作させて、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの前記電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を各々選択的に伝導させるように、前記事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、請求項22に記載のセル形成システム。
【請求項25】
前記バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、前記形成ベースは、前記バッテリトレイを前記形成ベースに機械的に接続するように、前記第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含む、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項26】
前記第1のアセンブリコネクタは、前記バッテリトレイの前記ベース内に長方形スロットを備え、前記第2のアセンブリコネクタは、前記形成ベースから延在し、かつ前記バッテリトレイの前記ベース内の前記長方形スロットよりも小さい長方形寸法を有する、回転可能な長方形バーを備える、請求項25に記載のセル形成システム。
【請求項27】
前記バッテリスロットの集団は、120個のバッテリスロットからなる、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項28】
前記バッテリスロットの集団は、前記バッテリトレイ内に一体的に形成されている、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項29】
前記バッテリスロットの集団は、前記バッテリトレイに取り外し可能に取り付けられている、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項30】
リチウム系二次バッテリのためのセル形成方法であって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、前記二重層の集団、前記電極バスバー、及び前記対極バスバーを囲むエンクロージャと、前記電極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第1の端子と、前記対極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第2の端子と、を備え、前記二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、前記二重層集団の各部材の前記電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、前記二重層集団の各部材の前記対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、前記方法は、
(i)第1の場所において、各々がリチウム系二次バッテリの集団を有するバッテリトレイの集団を装填することであって、各バッテリトレイは、前記第1の端子及び前記第2の端子が前記バッテリトレイを通って前記バッテリトレイの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、リチウム系二次バッテリのその集団を保持するように構成されている、装填することと、
(ii)前記バッテリトレイの集団を、少なくとも1つの充電ステーションを有する第2の場所に輸送することと、
(iii)前記バッテリトレイを前記充電ステーション内に位置付けることと、
(iv)前記充電ステーションにおいて、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリの集団を充電することと、
(v)前記バッテリトレイを、前記充電ステーションから除去することと、
(vi)前記バッテリトレイに形成ベースの集団を取り付けることであって、各バッテリトレイは、それに取り付けられた異なる形成ベースを有し、各形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、前記事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、取り付けることと、
(vii)前記取り付けられた形成ベースを有する前記バッテリトレイを、少なくとも1つの形成ステーションを有する第3の場所に輸送することと、
(viii)前記取り付けられた形成ベースを有する前記バッテリトレイを、前記形成ステーション内に位置付けることと、
(ix)前記形成ベース内の前記事前リチウム化モジュールを使用して、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、
(x)前記取り付けられた形成ベースを有する前記バッテリトレイを、前記形成ステーションから除去することと、
(xi)前記形成ベースを前記バッテリトレイから除去することと、
(xii)前記バッテリトレイを第4の場所に輸送することと、
(xiii)前記第4の場所において、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリの集団に対して追加のプロセスを実施することと、を含む、方法。
【請求項31】
(xiv)前記第1の場所において、各々が追加のリチウム系二次バッテリの集団を有する追加のバッテリトレイの集団を装填することと、
(xv)前記追加のバッテリトレイの集団を、前記第2の場所に輸送することと、
(xvi)前記追加のバッテリトレイを、前記充電ステーション内に位置付けることと、
(xvii)前記充電ステーションにおいて、前記追加のバッテリトレイ内の前記追加のリチウム系二次バッテリの集団を充電することと、
(xviii)前記追加のバッテリトレイを、前記充電ステーションから除去することと、
(xix)前記形成ベースを、前記追加のバッテリトレイの集団に取り付けることと、
(xv)(vii)~(x)を、前記取り付けられた形成ベースを有する前記追加のバッテリトレイについて繰り返すことと、を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記バッテリスロットの集団は、前記バッテリトレイ内に一体的に形成されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項33】
前記バッテリスロットの集団は、前記バッテリトレイに取り外し可能に取り付けられている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項34】
各リチウム系二次バッテリは、前記エンクロージャ内に補助極を更に備え、導電性タブが、前記補助極に電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから、前記バッテリトレイの前記ベースを通って、前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側からアクセス可能な位置まで延在しており、前記形成ベースの前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記導電性タブとの電気接触を行うように構成されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項35】
各リチウム系二次バッテリは、前記エンクロージャ内に囲まれた補助極を更に備え、導電性タブが、前記補助極に電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在し、前記導電性タブは、前記バッテリトレイの前記ベースを通って、前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側からアクセス可能な位置まで延在しており、前記形成ベースの前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記導電性タブとの電気接触を行うように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項36】
各リチウム系二次バッテリは、前記エンクロージャ内に補助極を更に備え、導電性タブが、前記補助極に電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから、前記バッテリトレイの前記ベースを通って、前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側からアクセス可能な位置まで延在しており、前記形成ベースの前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記導電性タブとの電気接触を行うように構成されている、請求項18に記載のセル形成システム。
【請求項37】
各リチウム系二次バッテリは、前記エンクロージャ内に囲まれた補助極を更に備え、導電性タブが、前記補助極に電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在し、前記導電性タブは、前記バッテリトレイを通って、前記バッテリトレイの前記下側からアクセス可能な位置まで延在しており、前記形成ベースの前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記導電性タブとの電気接触を行うように構成されている、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、概して、二次バッテリの形成に関し、より具体的には、リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッキングチェア型バッテリセルでは、二次バッテリの正極及び負極の両方は、リチウムなどのキャリアイオンが挿入及び抽出される材料を含む。バッテリが放電されると、キャリアイオンが負極から抽出され、正極に挿入される。バッテリが充電されると、キャリアイオンが正極から抽出され、負極に挿入される。
【0003】
ケイ素は、その高い比容量のために、陽極として炭素質材料に代わる有望な候補となっている。例えば、LiCから形成されたグラファイト陽極は、約370ミリアンペア時/グラム(mAh/g)の比容量を有し得るが、一方、Li15Siから形成された結晶ケイ素陽極は、約3600mAh/gの比容量を有することができ、グラファイト陽極よりも10倍近く増加する。しかしながら、Liキャリアイオンがケイ素陽極に挿入された際のケイ素の大きい体積変化(例えば、300%)に起因して、ケイ素陽極の使用は制限されてきた。この体積増加と、充電及び放電サイクルと関連するクラッキング及び微粉化とにより、ケイ素陽極の実際の使用は制限されてきた。加えて、ケイ素陽極を利用する二次バッテリの初期形成中の容量損失につながる、ケイ素陽極の不十分な初期クーロン効率(ICE)に起因して、ケイ素陽極の使用は制限されてきた。
【0004】
リチウム系二次バッテリが組み立てられた後、組み立てられたバッテリは、典型的には形成プロセスに供される。形成プロセス中、バッテリはゆっくりと1回以上充電及び放電される。少なくとも一部の既知の形成プロセスは、リチウムをバッテリに添加するための事前リチウム化プロセスを含む。これらの形成プロセスは、典型的には、大規模な集中型システムによって実施されている。かかるシステムは、形成プロセスを受ける全てのバッテリに接続された中央制御センターを含む。中央制御センターは、それが接続されている全てのバッテリの充電、放電、及び(適用可能な場合には)事前リチウム化を直接制御している。形成プロセスを制御し、電力を多数のバッテリに分配することを可能にするため、中央制御センターは、相当量の電力を使用し、相当量の空間を占有し、形成を受けているバッテリの全てに接続するために大量のワイヤを利用する、比較的大規模で高価なシステムである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムである。各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、二重層の集団、電極バスバー、及び対極バスバーを囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、を含む。二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を含む。二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を含み、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を含む。セル形成システムは、バッテリトレイと、形成ベースと、を含む。バッテリトレイは、側面の集団と、側面の集団に接続されたベースと、を有する。バッテリトレイは、ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、第1の端子及び第2の端子がバッテリトレイのベースを通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている。形成ベースは、バッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに取り付けるように構成されている。形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成されている。事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている。
【0006】
本開示の別の態様は、リチウム系二次バッテリのためのセル形成方法である。各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、二重層の集団、電極バスバー、及び対極バスバーを囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、を含む。二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を含む。二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を含み、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を含む。方法は、(i)リチウム系二次バッテリの集団をバッテリトレイ中に装填することであって、バッテリトレイは、側面の集団と、側面の集団に接続されたベースと、を有し、バッテリトレイは、ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、第1の端子及び第2の端子がバッテリトレイのベースを通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、リチウム系二次バッテリの集団のうちの1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、装填することと、(ii)形成アセンブリを形成するように、バッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに形成ベースを取り付けることであって、形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、取り付けることと、(iii)形成アセンブリを形成ステーション内に位置付けることと、(iv)事前リチウム化モジュールを使用して、形成アセンブリ内のリチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、(v)形成ベースをバッテリトレイから除去することと、(vi)バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団に対して追加のプロセスを実施することと、を含む。
【0007】
本開示の別の態様は、リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムである。各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、二重層の集団、電極バスバー、及び対極バスバーを囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、を含む。二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を含む。二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を含み、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を含む。セル形成システムは、バッテリトレイと、形成ベースと、を含む。バッテリトレイは、側面の集団と、側面の集団に接続されたベースと、を有する。バッテリトレイは、ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、第1の端子及び第2の端子がバッテリトレイのベースを通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成される。形成ベースは、バッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに取り付けるように構成されている。形成ベースは、コネクタグループの集団と、形成クラスタの集団と、を含む。コネクタグループの集団の各コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成される。各形成クラスタは、コネクタグループのうちの1つに接続され、かつコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールと、コネクタグループのうちの1つに接続され、かつコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料層にリチウムを拡散させるように構成された事前リチウム化モジュールと、コネクタグループのうちの1つに接続され、かつコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリを放電させるように構成された放電モジュールと、を含む。
【0008】
更に別の態様は、リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムの方法である。各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、二重層の集団、電極バスバー、及び対極バスバーを囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、を含む。二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を含む。二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を含み、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を含む。方法は、(i)第1の場所において、各々がリチウム系二次バッテリの集団を有するバッテリトレイの集団を装填することであって、各バッテリトレイは、第1の端子及び第2の端子がバッテリトレイを通ってバッテリトレイの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、リチウム系二次バッテリのその集団を保持するように構成されている、装填することと、(ii)バッテリトレイの集団を、少なくとも1つの充電ステーションを有する第2の場所に輸送することと、(iii)バッテリトレイを充電ステーション内に位置付けることと、(iv)充電ステーションにおいて、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団を充電することと、(v)バッテリトレイを、充電ステーションから除去することと、(vi)バッテリトレイに形成ベースの集団を取り付けることであって、各バッテリトレイは、それに取り付けられた異なる形成ベースを有し、各形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、取り付けることと、(vii)取り付けられた形成ベースを有するバッテリトレイを、少なくとも1つの形成ステーションを有する第3の場所に輸送することと、(viii)取り付けられた形成ベースを有するバッテリトレイを、形成ステーション内に位置付けることと、(ix)形成ベース内の事前リチウム化モジュールを使用して、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、(x)取り付けられた形成ベースを有するバッテリトレイを、形成ステーションから除去することと、(xi)形成ベースをバッテリトレイから除去することと、(xii)バッテリトレイを第4の場所に輸送することと、(xiii)第4の場所において、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団に対して追加のプロセスを実施することと、を含む。
【0009】
上述の態様に関連して述べた特徴には、種々の改良が存在する。更なる特徴が、上述の態様に組み込まれてもよい。これらの改良及び追加の特徴は、個々に又は任意の組み合わせで存在し得る。例えば、例示される実施形態のいずれかに関連して以下で考察される種々の特徴は、単独で、又は任意の組み合わせで、前述の態様のいずれかに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な実施形態の二次バッテリの斜視図である。
図2図1の二次バッテリアセンブリのユニットセルを描画する。
図3】例示的な実施形態の図2のユニットセルのための陰極構造を描画する。
図4図2のユニットセルの陽極構造を描画する。
図5】例示的な実施形態の緩衝システムの斜視図を描画する。
図6図5の緩衝システムの分解図を描画する。
図7】例示的な実施形態の補助極の斜視図を描画する。
図8図7の補助極の分解図を描画する。
図9図7の補助極の組立プロセスの一段階における図7の補助極の斜視図である。
図10図7の補助極の組立プロセスの別の段階における図7の補助極の斜視図である。
図11図7の補助極に延在タブを追加する組立プロセスの更に別の段階における図7の補助極の斜視図である。
図12】緩衝システムの組立プロセスの一段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図13】緩衝システムの組立プロセスの一段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図14】緩衝システムの組立プロセスの一段階における図5の緩衝システムの斜視図である。
図15図14の緩衝システムの一部分の断面図である。
図16】緩衝システムの組立プロセスの一段階における図5図6の緩衝システムの斜視図である。
図17】二次バッテリ上で緩衝プロセスを実施した後の図5の緩衝システムの斜視図である。
図18】例示的な実施形態の補助極を使用して、キャリアイオンで二次バッテリを事前リチウム化する方法のフローチャートである。
図19図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図20図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図21図18の方法の更なる詳細を描画するフローチャートである。
図22】例示的なセル形成システムのブロック図である。
図23図22のセル形成システムのための例示的なバッテリトレイの図である。
図24図22のセル形成システムのための例示的な形成ベーストレイの図である。
図26図24の形成ベースに取り付けて形成アセンブリを形成するように位置付けられている、図23のバッテリトレイの側面図である。
図27】アセンブリコネクタが位置合わせされた状態で、図24の形成ベース上に位置付けられた図23のバッテリトレイの部分図である。
図28図24の形成ベースに下げられた図23のバッテリトレイの部分図である。
図29】アセンブリコネクタが係合された状態で、図24の形成ベース上に下げられた図23のバッテリトレイの部分図である。
図30】リチウム系二次バッテリのための例示的なセル形成システムのブロック図である。
図31図30のセル形成システムで使用するための例示的なセル形成クラスタのブロック図である。
図32図31のセル形成クラスタで使用するための例示的な事前リチウム化モジュールのブロック図である。
図33図32の事前リチウム化モジュールで使用するためのスイッチトキャパシタ回路の例示的な実施形態の簡略化された回路図である。
図34A】時間の関数として、図33のスイッチトキャパシタ回路のスイッチに印加された一連のPFM制御パルスのグラフである。
図34B】時間の関数として、図34Aの制御パルスに応答して補助極を通る、結果として得られた電流のグラフである。
図35図32の事前リチウム化モジュール内で使用するためのスイッチトキャパシタ回路の例示的な実施態様の回路図である。
図36A】例示的な事前リチウム化プロファイルの一部として使用するための緩衝電流のグラフである。
図36B】例示的な事前リチウム化プロファイルについてのパルスの期間のグラフである。
図36C】例示的な事前リチウム化プロファイルについてのパルス数のグラフである。
図37A図36A図36Cの事前リチウム化プロファイルを使用して事前リチウム化するときの、時間の関数としての陰極-陽極間電圧及び陰極-補助極間電圧のグラフである。
図37B図36A図36Cの事前リチウム化プロファイルを使用して事前リチウム化するときの、時間の関数としての緩衝電流のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本明細書で使用される「A」、「an」、及び「the」(すなわち、単数形)は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を指す。例えば、一例では、「電極(an electrode)」への言及は、単一の電極及び複数の同様の電極の両方を含む。
【0012】
本明細書で使用される「約」及び「およそ」は、記載された値のプラス又はマイナス10%、5%、又は1%を指す。例えば、一例では、約250マイクロメートル(μm)は、225μm~275μmを含む。更なる例として、一例では、約1,000μmは、900μm~1,100μmを含む。別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量(例えば、測定値など)などを表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、別途逆の意味が示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、近似値である。各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0013】
二次バッテリの文脈において本明細書で使用される「陽極」は、二次バッテリ中の負極を指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「陽極材料」又は「陽極活性」とは、二次バッテリの負極として使用するのに適した材料を意味する。
【0015】
二次バッテリの文脈で本明細書で使用される場合の「陰極」とは、二次バッテリにおける正極を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「陰極材料」又は「陰極活性」は、二次バッテリの正極として使用するのに適した材料を意味する。
【0017】
「変換化学活性材料」又は「変換化学材料」は、二次バッテリの充放電サイクル中に化学反応を起こす材料を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「対極」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極又は正極(陽極又は陰極)を指し得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「対極電流コレクタ」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極電流コネクタの反対側の負又は正(陽極又は陰極)電流コレクタを指し得る。
【0020】
充電状態と放電状態との間の二次バッテリのサイクルの文脈で本明細書で使用される「サイクル」は、充電状態又は放電状態のいずれかである第1の状態から、第1の状態の反対である第2の状態(すなわち、第1の状態が放電された場合は充電状態、又は第1の状態が充電された場合は放電状態)へのサイクルでバッテリを移動させるためにバッテリを充電及び/又は放電し、次いで、バッテリを第1の状態に戻してサイクルを完了することを指す。例えば、充電状態と放電状態との間の二次バッテリの単一サイクルは、充電サイクルのように、放電状態から充電状態にバッテリを充電し、次いで、放電状態に放電して、サイクルを完了することを含んでもよい。単一サイクルはまた、放電サイクルのように、バッテリを充電状態から放電状態に放電し、次いで充電状態に充電してサイクルを完了することを含み得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「電気化学的活性材料」は、陽極活性材料又は陰極活性材料を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「電極」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリの負極又は正極(陽極又は陰極)を指し得る。
【0023】
本明細書で使用される「二次バッテリ電流コレクタ」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、電極の負又は正(陽極又は陰極)電流コレクタを指し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「電極材料」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、陽極材料又は陰極材料を指し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「電極構造」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリで使用するために適合された陽極構造(例えば、負極構造)又は陰極構造(例えば、正極構造)を指し得る。
【0026】
「容量」又は「C」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリ(又は二重層を形成する電極構造及び対極構造の1つ以上の対を含むバッテリの下位部分)が所定の電圧において送達することができる電荷の量を指す。
【0027】
本明細書で使用される「電解質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、バッテリで使用するように適合されたイオンの移動によって電流が運ばれる非金属の液体、ゲル、又は固体材料を指す。
【0028】
二次バッテリの状態の文脈において本明細書で使用される「充電状態」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリがその規定容量の少なくとも75%まで充電された状態を指す。例えば、バッテリは、その定格容量の少なくとも80%、その定格容量の少なくとも90%、更にはその定格容量の少なくとも95%、例えばその定格容量の100%まで充電されてもよい。
【0029】
負極に関連して本明細書で使用される「放電容量」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、所定の組のセル充電終了電圧限界とセル放電終了電圧限界との間のバッテリの放電動作中に、負極からの抽出及び正極への挿入に利用可能なキャリアイオンの量を意味する。
【0030】
二次バッテリの状態の文脈において本明細書で使用される「放電状態」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、二次バッテリがその規定容量の25%未満まで放電される状態を指す。例えば、バッテリは、その定格容量の20%未満、例えばその定格容量の10%未満、更にはその定格容量の5%未満、例えばその定格容量の0%まで放電されてもよい。
【0031】
電極(すなわち、正極、負極、又は補助極)に関連して本明細書で使用される「可逆的クーロン容量」は、対極との可逆的交換に利用可能なキャリアイオンについての電極の総容量を意味する。
【0032】
本明細書で使用される「長手方向軸」、「横軸」、及び「縦軸」は、互いに垂直な軸を指す(すなわち、各々が互いに直交する)。例えば、本明細書で使用される「長手方向軸」、「横軸」、及び「縦軸」は、三次元の態様又は配向を定義するために使用されるデカルト座標系に類似している。このように、本明細書で開示される主題の要素の説明は、要素の三次元配向を記述するために使用される特定の軸(複数可)に限定されない。代替的に述べると、軸は、開示の主題の三次元態様を参照するときに置き換え可能であり得る。
【0033】
本明細書で使用される「複合材料(Composite material)」又は「複合材(Composite)」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、2つ以上の構成材料を含む材料を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「空隙率」又は「孔隙率」又は「空隙体積分率」は、材料中の空隙(すなわち、空の)空間の測定値を指し、0~1、又は0%~100%の百分率としての材料の全体積に対する空隙の体積の分率である。
【0035】
「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、高分子の繰り返しサブユニットからなる物質又は材料を指し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「微細構造」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約25倍を超える倍率の光学顕微鏡によって明らかにされた材料の表面の構造を指し得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「微多孔質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約2ナノメートル未満の直径を有する細孔を含有する材料を指し得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「マクロ多孔質」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、約50ナノメートル超の直径を有する細孔を含有する材料を指し得る。
【0039】
本明細書で使用される「ナノスケール」又は「ナノスコピックスケール」は、約1ナノメートル~約100ナノメートルの範囲の長さスケールを有する構造を指し得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「事前リチウム化」又は「事前リチウム化する」という用語は、活性リチウムの損失を補償するために、バッテリ動作前の形成プロセスの一部としてリチウム系二次バッテリの活性リチウム含有量にリチウムを添加することを指し得る。
【0041】
本開示の実施形態は、現代の電子機器及び分散型組み込みネットワーク戦略が採用される、分散型形成プロセスを提供する。したがって、形成プロセスを受ける全てのバッテリへの専用の接続を必要とし、数百個又は数千個のバッテリの形成プロセスを制御する集中型システムの代わりに、本開示の例示的な実施形態における形成プロセスは、より小さいクラスタ間に分散され、その各々は、それが接続されたバッテリの形成プロセスを直接処理する。これらの実施形態は、より強力でない中央コントローラ及びより少ない相互接続配線を必要とすることにより、形成システムの構築を単純化することができ、一方で、形成処理システムをより容易に拡大又は縮小させ、所望の場所に物理的に分散させることを可能にする。
【0042】
本開示の一部の実施形態は、初期バッテリ形成中及び/又はその後に、追加のキャリアイオンを提供する二次バッテリと電気化学的に結合された補助陽極を利用する二次バッテリにおいて、ケイ素ベースの陽極に関連する不十分なICEの軽減又は改善などの利点を提供することができる。補助陽極の使用により、初期形成中の二次バッテリ内のキャリアイオンの初期損失が軽減され、それによって、例えば、形成後の二次バッテリの容量を増加させるという技術的利点を提供する。更に、バッテリ形成後の追加のキャリアイオンの導入により、二次反応を通して典型的に失われるキャリアイオンのサイクルベースの減少が軽減され、それによって、二次バッテリにおけるサイクルごとの容量損失を減少させるという技術的利点を提供する。更になお、バッテリ形成後の追加のキャリアイオンの導入は、陽極が追加のキャリアイオンを含むため、放電時に二次バッテリの陽極をより低い電位電圧に維持することによって二次バッテリのサイクル性能を改善する。一部の実施形態では、補助陽極は、形成後、二次バッテリから除去され、それによって、バッテリのエネルギー密度を増加させる技術的利点を提供する。
【0043】
図1は、例示的な実施形態の二次バッテリ100の斜視図であり、図2は、二次バッテリ100のためのユニットセル200を描画している。図1の二次バッテリ100は、以下で更に説明するように、二次バッテリの内部構造の一部分を示す露出した部分を有する。
【0044】
図1に例示するように、二次バッテリ100は、隣接する複数のサブユニット102を含む。電極サブユニット102の各々は、それぞれ、X軸、Y軸、及びZ軸の寸法を有する。X軸、Y軸、及びZ軸は、デカルト座標系と同様に、各々互いに垂直である。本明細書で使用されるとき、Z軸の各電極サブユニット102の寸法は「高さ」と称され得、X軸の寸法は「長さ」と称され得、Y軸の寸法は「幅」と称され得る。電極サブユニット102は、1つ以上ユニットセル200(図2参照)に組み合わせられてもよい。ユニットセル200の各々は、少なくとも1つの陽極活性材料層104と、少なくとも1つの陰極活性材料層106と、を含む。陽極活性材料層104及び陰極活性材料層106は、セパレータ層108によって互いに電気的に絶縁されている。本開示の好適な実施形態では、二次バッテリ100内の1~200個以上の電極サブユニット102など、任意の数の電極サブユニット102が使用され得ることを理解されたい。
【0045】
図1を参照すると、二次バッテリ100は、第1のバスバー110及び第2のバスバー112を含み、これらは、電極タブ114を介して、それぞれ、電極サブユニット102の各々の陽極活性材料層104及び陰極活性材料層106と電気的に接触している。電極タブ114は、図1の二次バッテリ100の第1の側面120上にのみ見えているが、異なる組の電極タブ114が二次バッテリの第2の側面121上に存在する。二次バッテリ100の第1の側面120上の電極タブ114は、陽極バスバーと称されることがある第1のバスバー110と電気的に結合される。二次バッテリ100(図1では見えない)の第2の側面121上の電極タブ114は、陰極バスバーと称されることがある第2のバスバー112に電気的に結合される。この実施形態では、第1のバスバー110は、導電性である二次バッテリ100の第1の電気端子124と電気的に結合される。第1のバスバー110が二次バッテリのための陽極バスバーを含む場合、第1の電気端子124は、二次バッテリ100のための負極端子を含む。更に、この実施形態では、第2のバスバー112は、導電性である二次バッテリ100の第2の電気端子125と電気的に結合される。第2のバスバー112が二次バッテリのための陰極バスバーを含む場合、第2の電気端子125は、二次バッテリ100のための正極端子を含む。
【0046】
一実施形態では、制約部と称され得るケーシング116が、二次バッテリ100のX-Y表面の一方又は両方の上に適用され得る。図1に示される実施形態では、ケーシング116は、二次バッテリ100が完全に組み立てられると、電解質の分配又は流れを容易にするための複数の穿孔118を含む。一実施形態では、ケーシング116は、SS301、SS316、440C又は440C硬質などのステンレス鋼を含む。他の実施形態では、ケーシング116は、アルミニウム(例えば、アルミニウム7075-T6、ハードH18など)、チタン(例えば、6Al-4V)、ベリリウム、ベリリウム銅(ハード)、銅(Oフリー、ハード)、ニッケル、他の金属若しくは金属合金、複合材料、ポリマー、セラミック(例えば、アルミナ(例えば、焼結若しくはCoorstek AD96)、ジルコニア(例えば、Coorstek YZTP)、イットリア安定化ジルコニア(例えば、ENrG E-Strate(登録商標)))、ガラス、強化ガラス、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(例:Aptiv1102)、炭素を含むPEEK(例えば、Victrex90HMF40若しくはXycomp1000-04)、炭素を含むポリフェニレン硫化物(PPS)(例えば、Tepex Dynalite207)、30%のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ガラス(例えば、Victrex90HMF40若しくはXycomp1000-04)、ポリイミド(例えば、Kapton(登録商標))、E Glass Std Fabric/Epoxy、0度、E Glass UD/Epoxy、0度、Kevlar Std Fabric/Epoxy、0度、Kevlar UD/Epoxy、0度、Carbon Std Fabric/Epoxy、0度、Carbon UD/Epoxy、0度、Toyobo Zylon(登録商標)HM Fiber/Epoxy、Kevlar 49 Aramid Fiber、S Glass Fibers、Carbon Fibers、Vectran UM LCP Fibers、Dyneema、Zylon、又は他の好適な材料を含む。
【0047】
一部の実施形態では、ケーシング116は、約10~約100マイクロメートルの範囲の厚さを有するシートを含む。一実施形態では、ケーシング116は、約30μmの厚さを有するステンレス鋼シート(例えば、SS316)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約40μmの厚さを有するアルミニウムシート(例えば、7075-T6)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約30μmの厚さを有するジルコニアシート(例えば、Coorstek YZTP)を含む。別の実施形態では、ケーシング116は、約75μmの厚さを有するEガラスUD/エポキシ0度シートを含む。別の実施形態では、ケーシング116は、>50%の充填密度で12μmの炭素繊維を含む。
【0048】
この実施形態では、二次バッテリ100は、第1の主面126と、第1の主面126の反対側の第2の主面127と、を含む。二次バッテリ100の主面126、127は、一部の実施形態では、実質的に平面であり得る。
【0049】
図1の切断線D-Dに沿って二次バッテリ100を示す図2を参照すると、電極サブユニット102と同一又は類似であり得るユニットセル200の個々の層が描画されている。ユニットセル200の各々について、一部の実施形態では、セパレータ層108は、二次バッテリにおけるセパレータとしての使用に好適なイオン透過性の微多孔質ポリマー材料である。一実施形態では、セパレータ層108は、片側又は両側がセラミック粒子でコーティングされる。この実施形態では、ユニットセル200は、中央に陽極電流コレクタ202を含み、これは、二次バッテリ100(図1参照)の側面120、121のうちの1つ上のタブ114のうちの1つを含むか、又はそれと電気的に結合されてもよい。ユニットセル200は、積層形成内に、陽極活性材料層104と、セパレータ層108と、陰極活性材料層106と、陰極電流コレクタ204と、を更に含む。陰極電流コレクタ204は、陽極電流コレクタ202とは異なる、二次バッテリ100の側面120、121のうちの1つ上のタブ114のうちの1つを含んでもよく、又はそれと電気的に結合されてもよい。
【0050】
代替の実施形態では、陰極活性材料層106及び陽極活性材料層104の配置は、陰極活性材料層が中心に向かっており、陽極活性材料層が陰極活性材料層に対して遠位にあるように交換されてもよい。一実施形態では、ユニットセル200Aは、左から右に、連続して積層された、陽極電流コレクタ202、陽極活性材料層104、セパレータ層108、陰極活性材料層106、及び陰極電流コレクタ204を含む。代替の実施形態では、ユニットセル200Bは、左から右に連続して積層された、セパレータ層108、陰極活性材料層106の第1の層、陰極電流コレクタ204、陰極活性材料層の第2の層、セパレータ層、陽極活性材料層104の第1の層、陽極電流コレクタ202、陽極活性材料層の第2の層、及びセパレータ層を含む。
【0051】
図2では、陰極活性材料層106及び陰極電流コレクタ204を備える層状構造は、陰極構造206と称されることがあり、一方、陽極活性材料層104及び陽極電流コレクタ202を備える層状構造は、陽極構造207と称されることがある。ひとまとめにして、二次バッテリ100のための陰極構造206の集団は、二次バッテリの正極208と称されることがあり、二次バッテリ100のための陽極構造207の集団(陽極構造のうちの1つのみが図2に示されている)は、二次バッテリの負極209と称されることがある。
【0052】
電圧差Vは、隣接する陰極構造206と陽極構造207との間に存在し、隣接する構造は、一部の実施形態では、二重層とみなされる。各二重層は、陰極構造206及び陽極構造207の構成及び構成によって決定される容量Cを有する。この実施形態では、各二重層は、約4.35ボルトの電圧差を生じる。他の実施形態では、各二重層は、約0.5ボルト、約1.0ボルト、約1.5ボルト、約2.0ボルト、約2.5ボルト、約3.0ボルト、約3.5ボルト、約4.0ボルト、4.5ボルト、約5.0ボルト、4~5ボルト、又は任意の他の好適な電圧の電圧差を有する。充電状態と放電状態との間のサイクル中、電圧は、例えば、約2.5ボルトと約4.35ボルトとの間で変動し得る。この実施形態における二重層の容量Cは、約3.5ミリアンペア時(mAh)である。他の実施形態では、二重層の容量Cは、約2mAh、5mAh未満、又は任意の他の好適な容量である。一部の実施形態では、二重層の容量Cは、最大約10mAhであり得る。
【0053】
陰極電流コレクタ204は、アルミニウム、ニッケル、コバルト、チタン、及びタングステン、若しくはそれらの合金、又は陰極電流コレクタ層として使用するのに好適な任意の他の材料を含み得る。概して、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。例えば、かかる一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。一般に、陰極電流コレクタ204は、アルミニウム、炭素、クロム、金、ニッケル、NiP、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ケイ素及びニッケルの合金、チタン、又はそれらの組み合わせなどの金属を含み得る(A.H.Whitehead及びM.Schreiberによる「Current collectors for positive electrodes of lithium-based batteries」、Journal of the Electrochemical Society、152(11)A2105-A2113(2005)を参照されたい)。更なる例として、一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、金又は金シリサイドなどのその合金を含む。更なる例として、一実施形態では、陰極電流コレクタ204は、ニッケル、又はニッケルシリサイドなどのその合金を含む。
【0054】
陰極活性材料層106は、インターカレーション型化学活性材料、変換化学活性材料、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0055】
本開示で有用な例示的な変換化学材料としては、S(又はリチウム化状態のLiS)、LiF、Fe、Cu、Ni、FeF、FeO3.2d、FeF、CoF、CoF、CuF、NiFなどが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、式中、0≦d≦0.5及び同様のものである。
【0056】
例示的な陰極活性材料層106はまた、広範囲のインターカレーション型陰極活性材料のいずれかも含む。例えば、リチウムイオンバッテリの場合、陰極活性材料は、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属硫化物から選択される陰極活性材料を含み得、リチウム遷移金属窒化物は、選択的に使用され得る。これらの遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、及び遷移金属窒化物の遷移金属元素は、d殻又はf殻を有する金属元素を含み得る。かかる金属元素の具体例として、Sc、Y、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pb、Pt、Cu、Ag、及びAuなどを挙げることができる。追加のカソード活性材料としては、LiCoO、LiNi0.5Mn1.5、Li(NiCoAl)O、LiFePO、LiMnO、V、オキシ硫化モリブデン、リン酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩、硫黄、硫黄化合物、酸素(空気)、Li(NiMnCo)O、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
概して、陰極活性材料層106は、少なくとも約20μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約40μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約60μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陰極活性材料層106は、少なくとも約100μmの厚さを有する。典型的には、陰極活性材料層106は、約90μm未満又は約70μm未満の厚さを有する。
【0058】
図3は、図2の陰極構造206を描画している。各陰極構造206は、長手方向軸(ACE)に沿って測定された長さ(LCE)と、幅(WCE)と、長さLCE及び幅WCEの測定方向の各々に対して垂直である方向に測定された高さ(HCE)と、を有する。
【0059】
陰極構造206の全長LCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、各陰極構造206は、典型的には、約5ミリメートル(mm)~約500mmの範囲の長さLCEを有する。例えば、かかる一実施形態では、各陰極構造206は、約10mm~約250mmの長さLCEを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、各陰極構造206は、約25mm~約100mmの長さLCEを有する。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の長さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる長さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる長さを有する電極アセンブリ形状などの電極アセンブリの所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0060】
陰極構造206の幅WCEはまた、二次バッテリ100及びその意図される用途に応じて変化する。しかしながら、概して、陰極構造206は、典型的には、約0.01mm~2.5mmの範囲内の幅WCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206の幅WCEは、約0.025mm~約2mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陰極構造206の幅WCEは、約0.05mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の幅を有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の幅とは異なる第2の幅を有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる幅は、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる幅を有するアセンブリなどの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリの所定の性能特性を提供するように、選択され得る。
【0061】
陰極構造206の高さHCEは、二次バッテリ100及びその意図される用途に依存して変化する。しかしながら、概して、陰極構造206は、典型的には、約0.05mm~約25mmの範囲内の高さHCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206の高さHCEは、約0.05mm~約5mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陰極構造206の高さHCEは、約0.1mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陰極構造206は、第1の高さを有する1つ以上の第1の陰極部材と、第1の高さとは異なる第2の高さを有する1つ以上の第2の陰極部材と、を含む更に別の実施形態では、1つ以上の第1の陰極部材及び1つ以上の第2の陰極部材の異なる高さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる高さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリの所定の性能特性を提供するように、選択され得る。
【0062】
概して、各陰極構造206は、幅WCEよりも実質的に大きく、かつその高さHCEよりも実質的に大きい、長さLCEを有する。例えば、一実施形態では、各陰極構造206について、LCEとWCE及びHCEの各々との比は、それぞれ少なくとも5:1である(すなわち、LCEとWCEとの比は、それぞれ少なくとも5:1であり、LCEとHCEとの比は、それぞれ少なくとも5:1である)。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも15:1である。更なる例として、一実施形態では、WCE及びHCEの各々に対するLCEの比は、各陰極構造206について少なくとも20:1である。
【0063】
一実施形態では、陰極構造206の幅WCEに対する高さHCEの比は、それぞれ少なくとも0.4:1である。例えば、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ少なくとも20:1である。しかしながら、典型的には、HCE対WCEの比は、概して、各陰極構造206について、それぞれ1,000:1未満である。例えば、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ500:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCEのWCEに対する比は、それぞれ100:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCEのWCEに対する比は、それぞれ10:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HCE対WCEの比は、各陰極構造206について、それぞれ約2:1~約100:1の範囲内である。
【0064】
陽極型構造及び材料
再び図2を参照すると、ユニットセル200内の陽極電流コレクタ202は、銅、炭素、ニッケル、ステンレス鋼、コバルト、チタン、及びタングステン、並びにそれらの合金などの導電性材料、又は陽極電流コレクタ層として好適な任意の他の材料を含み得る。概して、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。例えば、かかる一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、少なくとも約10シーメンス/cmの導電率を有する。
【0065】
概して、ユニットセル200内の陽極活性材料層104は、(a)ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びカドミウム(Cd)、(b)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Ni、Co、又はCdと他の元素との合金又は金属間化合物、(c)Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Zn、Al、Ti、Fe、Ni、Co、V、又はCdの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、リン化物、セレン化物、及びテルル化物、並びにそれらの混合物、複合物、又はリチウム含有複合物、(d)Snの塩及び水酸化物、(e)チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、アルミン酸リチウム、リチウム含有酸化チタン、リチウム遷移金属酸化物、ZnCo2O4、(f)グラファイト及び炭素の粒子、(g)リチウム金属、及び(h)それらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0066】
例示的な陽極活性材料層104としては、グラファイト及び軟質又は硬質炭素、又はグラフェン(例えば、単層又は多層カーボンナノチューブ)などの炭素材料、若しくは、リチウムをインターカレートしたり、リチウムと合金を形成したりすることができる金属、半金属、合金、酸化物、窒化物、及び化合物の範囲のいずれかが挙げられる。陽極材料を構成することができる金属又は半金属の具体的な例としては、グラファイト、スズ、鉛、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ケイ素、Si/C複合材料、Si/グラファイトブレンド、酸化ケイ素(SiOx)、多孔質Si、金属間Si合金、インジウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、ビスマス、カドミウム、アンチモン、銀、亜鉛、ヒ素、ハフニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、グラファイト、炭素、チタン酸リチウム、パラジウム、及びそれらの混合物が挙げられる。1つの例示的な実施形態では、アノード活性材料は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの酸化物、それらの窒化物、それらのフッ化物、若しくはそれらの他の合金を含む。別の例示的な実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素又はその合金若しくは酸化物を含む。
【0067】
一実施形態では、陽極活性材料層104は、二次バッテリ100の充電プロセス及び放電プロセス中に、リチウムイオン(又は他のキャリアイオン)が陽極活性材料層内に組み込まれるか、又は陽極活性材料層から出るときの体積膨張及び収縮に対応するために、著しい空隙体積分率を提供するように微細構造化される。概して、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、少なくとも0.1である。しかしながら、典型的には、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、0.8以下である。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.15~約0.75である。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.2~約0.7である。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104(の各々)の空隙体積分率は、約0.25~約0.6である。
【0068】
微細構造化陽極活性材料層104の組成及びそれらの形成方法に応じて、微細構造化陽極活性材料層は、マクロ多孔質、微多孔質、若しくはメソ多孔質材料層、又はメソ多孔質とマクロ多孔質との組み合わせなどのそれらの組み合わせを含み得る。微多孔質材料は、典型的には、10ナノメートル(nm)未満の細孔寸法、10nm未満の壁寸法、1μm~50μmの細孔深さ、及び「スポンジ状」で不規則な外観、滑らかでない壁、及び分岐した細孔によって概して特徴付けられる細孔形態によって特徴付けられる。メソ多孔質材料は、典型的には、10nm~50nmの細孔寸法、10nm~50nmの壁寸法、1μm~100μmの細孔深さ、及び幾分明確に画定された分岐細孔又は樹枝状細孔によって概して特徴付けられる細孔形態によって特徴付けられる。マクロ多孔質材料は、典型的には、50nm超の細孔寸法、50nm超の壁寸法、1μm~500μmの細孔深さ、及び種々の、直線状、分岐状、又は樹枝状、及び平滑又は粗壁であり得る細孔形態によって特徴付けられる。加えて、空隙体積は、開いた空隙又は閉じた空隙、若しくはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、空隙体積は、開いた空隙を含み、すなわち、陽極活性材料層104は、陽極活性材料層の側面に、リチウムイオン(又は他のキャリアイオン)が出入りすることができる開口部を有する空隙を含む。例えば、リチウムイオンは、陰極活性材料層106を離れた後、空隙開口部を通って陽極活性材料層104に入ることができる。別の実施形態では、空隙体積は閉じた空隙を含み、すなわち、陽極活性材料層104は、囲まれている空隙を含む。概して、開いた空隙は、キャリアイオンに対してより大きい界面表面積を提供することができ、一方、閉じた空隙は、SEI形成の影響を受けにくい傾向があり、各々がキャリアイオンの進入時に陽極活性材料層104の膨張のための余地を提供する。したがって、特定の実施形態では、陽極活性材料層は、開いた空隙と閉じた空隙との組み合わせを含むことが好ましい。
【0069】
一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金、酸化物、若しくは窒化物を含む。多孔質ケイ素層は、例えば、陽極酸化によって、エッチングによって(例えば、金、白金、銀、又は金/パラジウムなどの貴金属を単結晶ケイ素の表面に堆積させ、表面をフッ化水素酸及び過酸化水素の混合物でエッチングすることによって)、又はパターン化された化学エッチングなどの当技術分野で既知の他の方法によって形成され得る。加えて、多孔質陽極活性材料層104は、概して、少なくとも約0.1であるが0.8未満の多孔率を有し、約1μm~約100μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約5μm~約100μmの厚さを有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約10μm~約80μmの厚さを有し、約0.15~約0.7の多孔率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素を含み、約20μm~約50μmの厚さを有し、約0.25~約0.6の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、多孔質ケイ素合金(ニッケルシリサイドなど)を含み、約5μm~約100μmの厚さを有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0070】
別の実施形態では、陽極活性材料層104は、アルミニウム、スズ、若しくはケイ素、又はそれらの合金の繊維を含む。個々の繊維は、約5nm~約10,000nmの直径(厚さ寸法)と、陽極活性材料層の厚さに概ね対応する長さと、を有し得る。ケイ素の繊維(ナノワイヤ)は、例えば、化学気相堆積又は気相液体固体(VLS)成長及び固体液体固体(SLS)成長などの当技術分野で既知の他の技法によって形成され得る。加えて、陽極活性材料層104は、概して、少なくとも約0.1であるが0.8未満の多孔率を有し、約1μm~約200μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約5μm~約100μmの厚さ、及び約0.15~約0.75の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約10μm~約80μmの厚さ、及び約0.15~約0.7の多孔率を有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素ナノワイヤを含み、約20μm~約50μmの厚さ、及び約0.25~約0.6の多孔率を有する。更なる例として、一実施形態では、陽極活性材料層104は、ケイ素合金(ニッケルシリサイドなど)のナノワイヤを含み、約5μm~約100μmの厚さ、及び約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0071】
更に他の実施形態では、陽極活性材料層104は、安定化リチウム金属粒子、例えば、炭酸リチウム安定化リチウム金属粉末、ケイ酸リチウム安定化リチウム金属粉末、又は安定化リチウム金属粉末若しくはインクの他の供給源からなる群から選択される粒子状リチウム材料でコーティングされる。粒子状リチウム材料は、約0.05mg/cm~5mg/cm、例えば、約0.1mg/cm~4mg/cm、又は更には約0.5mg/cm~3mg/cmの充填量で、リチウム粒子状材料を陽極活性材料層上に噴霧、充填、又は別様に配設することによって、陽極活性材料層104上に適用されてもよい。リチウム粒子状材料の平均粒径(D50)は、5μm~200μm、例えば、約10μm~100μm、20μm~80μm、又は更には約30μm~50μmであり得る。平均粒径(D50)は、累積体積ベースの粒径分布曲線での50%に対応する粒径として定義され得る。平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法を使用して測定され得る。
【0072】
一実施形態では、陽極電流コレクタ202は、その関連する陽極活性材料層104の導電率よりも実質的に大きい導電率を有する。例えば、一実施形態では、二次バッテリ100にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリを放電するための印加負荷があるときに、陽極電流コレクタ202の導電率と陽極活性材料層104の導電率との比は、少なくとも100:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリを放電するための印加負荷があるときに、陽極電流コレクタ202の導電率と陽極活性材料層104の導電率との比は、少なくとも500:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリを放電するための印加負荷があるときに、陽極電流コレクタ202の導電率と陽極活性材料層104の導電率との比は、少なくとも1000:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリを放電するための印加負荷があるときに、陽極電流コレクタ202の導電率と陽極活性材料層104の導電率との比は、少なくとも5000:1である。更なる例として、一部の実施形態では、二次バッテリ100内にエネルギーを蓄積するための印加電流、又は二次バッテリを放電するための印加負荷があるときに、陽極電流コレクタ202の導電率と陽極活性材料層104の導電率との比は、少なくとも10000:1である。
【0073】
図4は、例示的な実施形態の図2の陽極構造207を描画している。図4の各陽極構造207は、電極の長手方向軸(A)に沿って測定された長さ(L)と、幅(W)と、長さL及び幅Wの測定方向の各々に直交する方向に測定された高さ(H)と、を有する。
【0074】
陽極構造207の長さLは、二次バッテリ100及びその意図される用途に応じて変化する。しかしながら、概して、陽極構造207は、典型的には、約5ミリメートル(mm)~約500mmの範囲の長さLを有する。例えば、かかる一実施形態では、陽極構造207は、約10mm~約250mmの長さLを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、陽極構造207は、約25mm~約100mmの長さLを有する。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の長さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる長さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる長さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0075】
陽極構造207の幅Wはまた、二次バッテリ100及びその意図される用途に応じても変化する。しかしながら、概して、各陽極構造207は、典型的には、約0.01mm~2.5mmの範囲内の幅Wを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207の幅Wは、約0.025mm~約2mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陽極構造207の幅Wは、約0.05mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の幅を有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の幅とは異なる第2の幅を有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材の異なる幅は、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる幅を有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリ100の所定の性能特性を提供するように選択され得る。
【0076】
陽極構造207の高さHはまた、二次バッテリ100及びその意図される用途に応じても変化する。しかしながら、概して、陽極構造207は、典型的には、約0.05mm~約25mmの範囲内の高さHを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207の高さHは、約0.05mm~約5mmの範囲である。更なる例として、一実施形態では、各陽極構造207の高さHは、約0.1mm~約1mmの範囲である。一実施形態によれば、陽極構造207は、第1の高さを有する1つ以上の第1の電極部材と、第1の高さとは異なる第2の高さを有する1つ以上の第2の電極部材と、を含む。更に別の実施形態では、1つ以上の第1の電極部材及び1つ以上の第2の電極部材についての異なる高さは、長手方向及び/又は横方向の軸のうちの1つ以上に沿って異なる高さを有する形状などの二次バッテリ100の所定の形状に適合するように、かつ/又は二次バッテリの所定の性能特性を提供するように、選択され得る。
【0077】
概して、陽極構造207は、その幅W及びその高さHの各々よりも実質的に大きい長さLを有する。例えば、一実施形態では、各陽極構造207について、LとW及びHの各々との比は、それぞれ少なくとも5:1である(すなわち、LとWとの比は、それぞれ少なくとも5:1であり、LとHとの比は、それぞれ少なくとも5:1である)。更なる例として、一実施形態では、W及びHの各々に対するLの比は、少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、W及びHの各々に対するLの比は、少なくとも15:1である。更なる例として、一実施形態では、W及びHの各々に対するLの比は、各陽極構造207について少なくとも20:1である。
【0078】
一実施形態では、陽極構造207の幅Wに対する高さHの比は、それぞれ、少なくとも0.4:1である。例えば、一実施形態では、H対Wの比は、各陽極構造207について、それぞれ少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、HのWに対する比は、それぞれ少なくとも10:1である。更なる例として、一実施形態では、HのWに対する比は、それぞれ少なくとも20:1である。しかし、典型的には、HのWに対する比は、概して、それぞれ1,000:1未満である。例えば、一実施形態では、HのWに対する比は、それぞれ500:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HのWに対する比は、それぞれ100:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HのWに対する比は、それぞれ10:1未満である。更なる例として、一実施形態では、HのWに対する比は、各陽極構造207について、それぞれ、約2:1~約100:1の範囲である。
【0079】
セパレータ構造、セパレータ材料、及び電解質
再び図2を参照すると、セパレータ層(複数可)108は、陰極構造206を陽極構造207から分離する。セパレータ層108は、電気絶縁性であるがイオン透過性のセパレータ材料から作製される。セパレータ層108は、複数の陰極構造206の各部材を複数の陽極構造207の各部材から電気的に絶縁するように適合される。各セパレータ層108は、典型的には、非水性電解質を浸透させることができる微多孔質セパレータ材料を含むことになり、例えば、一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも50オングストローム(Å)、より典型的には約2,500Åの範囲の直径、及び約25%~約75%の範囲内、より典型的には約35%~55%の範囲内の多孔率を有する細孔を含む。
【0080】
概して、セパレータ層108は各々少なくとも約4μmの厚さを有する。例えば、一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約8μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約12μmの厚さを有する。更なる例として、かかる一実施形態では、セパレータ層108は、少なくとも約15μmの厚さを有する。一部の実施形態では、セパレータ層108は、最大25μm、最大50μmの厚さ、又は任意の他の好適な厚さを有する。しかしながら、典型的には、セパレータ層108は、約12μm未満又は約10μm未満の厚さを有する。
【0081】
概して、セパレータ層108の材料は、ユニットセル200の陽極活性材料層104と陰極活性材料層106との間でキャリアイオンを伝導させる能力を有する広範囲の材料から選択することができる。例えば、セパレータ層108は、液体非水性電解質を浸透させることができる微多孔質セパレータ材料を含み得る。代替的に、セパレータ層108は、ユニットセル200の陽極活性材料層104と陰極活性材料層106との間でキャリアイオンを伝導させることができるゲル又は固体電解質を含み得る。
【0082】
一実施形態では、セパレータ層108は、ポリマー系電解質を含み得る。例示的なポリマー電解質としては、PEO系ポリマー電解質、ポリマー-セラミック複合電解質、ポリマー-セラミック複合電解質、及びポリマー-セラミック複合電解質が挙げられる。
【0083】
別の実施形態では、セパレータ層108は、酸化物系電解質を含み得る。例示的な酸化物系電解質としては、チタン酸ランタンリチウム(Li0.34La0.56TiO)、Alドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.24LaZrAl0.2411.98)、Taドープランタンジルコン酸リチウム(Li6.4LaZr1.4Ta0.612)、及びリン酸アルミニウムチタンリチウム(Li1.4Al0.4Ti1.6(PO)が挙げられる。
【0084】
別の実施形態では、セパレータ層108は、固体電解質を含み得る。例示的な固体電解質としては、硫化スズリンリチウム(Li10SnP12)、硫化リンリチウム(β-LiPS)、及びヨウ化塩化リン硫黄リチウム(LiPSCl0.90.1)などの硫化物系電解質が挙げられる。
【0085】
一部の実施形態では、セパレータ層108は、リチウム充填ガーネットなどの固体リチウムイオン伝導性セラミックを含み得る。
【0086】
一実施形態では、セパレータ層108は、粒子状材料及び結合剤を含む微多孔質セパレータ材料を含み、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも約20体積%の気孔率(空隙率)を有する。微多孔質セパレータ材料の細孔は、少なくとも50Åの直径を有し、典型的には約250Å~約2500Åの範囲内にある。微孔質セパレータ材料は、典型的には、約75%未満の多孔率を有する。一実施形態では、微多孔質セパレータ材料は、少なくとも約25体積%の多孔率(空隙率)を有する。一実施形態では、微孔質セパレータ材料は、約35~55%の多孔率を有する。
【0087】
微孔質セパレータ材料用の結合剤は、広範囲の無機又はポリマー材料から選択することができる。例えば、一実施形態では、結合剤は、ケイ酸塩、リン酸塩、アルミニウム酸塩、アルミノケイ酸塩、及び水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物からなる群から選択される有機材料である。例えば、一実施形態では、結合剤は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロプロペンなどを含有するモノマーから誘導されるフルオロポリマーである。別の実施形態では、結合剤は、種々の分子量及び密度の範囲のいずれかを有するポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブテンなどのポリオレフィンである。別の実施形態では、結合剤は、エチレン-ジエン-プロペンターポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びポリエチレンオキシドからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、アクリレート、スチレン、エポキシ、及びシリコーンからなる群から選択される。別の実施形態では、結合剤は、前述のポリマーのうちの2つ以上のコポリマー又はブレンドである。
【0088】
微孔質セパレータ材料に含まれる粒子状材料はまた、広範囲の材料から選択されてもよい。概して、かかる材料は、動作温度で比較的低い電子及びイオン伝導性を有し、微孔質セパレータ材料に接触するバッテリ電極又は電流コレクタの動作電圧下で腐食しない。例えば、一実施形態では、粒子状材料は、1×10-4S/cm未満のキャリアイオン(例えば、リチウム)に対する伝導率を有する。更なる例として、一実施形態では、粒子状材料は、1×10-5S/cm未満のキャリアイオンの導電率を有する。更なる例として、一実施形態では、粒子状材料は、1×10-6S/cm未満のキャリアイオンの導電率を有する。例示的な粒子状材料としては、粒子状ポリエチレン、ポリプロピレン、TiO-ポリマー複合体、シリカエアロゲル、フュームドシリカ、シリカゲル、シリカヒドロゲル、シリカセロゲル、シリカソル、コロイド状シリカ、アルミナ、チタン、マグネシア、カオリン、タルク、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、一実施形態では、粒子状材料は、TiO、SiO、Al、GeO、B、Bi、BaO、ZnO、ZrO、BN、Si、及びGe3N4などの粒子酸化物又は窒化物を含む。例えば、P.Arora and J.Zhang,”Battery Separators”Chemical Reviews 2004,104,4419-4462を参照されたい。一実施形態では、粒子状材料は、約20nm~2μm、より典型的には200nm~1.5μmの平均粒径を有する。一実施形態では、粒子状材料は、約500nm~1μmの平均粒径を有する。
【0089】
代替の実施形態では、微多孔質セパレータ材料によって構成される粒子状材料は、バッテリの機能のためのイオン導電率を提供するために電解質の浸入に望ましい空隙率を維持しながら、焼結、結合、硬化などの技法によって結合され得る。
【0090】
二次バッテリ100(図1参照)において、セパレータ層108の微多孔質セパレータ材料には、二次バッテリ電解質として使用するのに好適な非水性電解質が浸透している。典型的には、非水性電解質は、有機溶媒及び/又は溶媒混合物中に溶解されたリチウム塩及び/又は塩の混合物を含む。例示的なリチウム塩としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、及びLiBrなどの無機リチウム、並びにLiB(C、LiN(SOCF、LiN(SOCF、LiNSOCF、LiNSOCF、LiNSO、LiNSO11、LiNSO13、及びLiNSO15などの有機リチウム塩などが挙げられる。リチウム塩を溶解する有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、及び鎖状エーテル類が挙げられる。環状エステルの具体例としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2-メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、及びγ-ベレロラクトンが挙げられる。鎖状エステルの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキル、マロン酸ジアルキル、及び酢酸アルキルが挙げられる。環状エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、及び1,4-ジオキソランが挙げられる。鎖状エーテルの具体例としては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、及びテトラエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0091】
本開示の追加の実施形態
二次バッテリが組み立てられるときに、陽極と陰極との間の循環に利用可能なキャリアイオンの量は、多くの場合、最初に陰極に提供されるが、その理由は、リチウムコバルト酸化物などの陰極活性材料が、リチウム化グラファイトなどのリチウム化陽極材料と比較して、周囲空気中で比較的安定である(例えば、それらは、酸化に耐える)ためである。二次バッテリが初めて充電されるとき、キャリアイオンは陰極から抽出され、陽極に導入される。その結果、陽極電位は著しく(キャリアイオンの電位に向かって)低下し、陰極電位は上昇する(更に正になるために)。これらの電位の変化は、陰極と陽極の両方に寄生反応を生じさせることがあるが、時には陽極により深刻な寄生反応を生じさせることがある。例えば、固体電解質界面(SEI)として知られる、リチウム(又は他のキャリアイオン)及び電解質成分を含む分解生成物は、炭素陽極の表面上に容易に形成され得る。これらの表面又は被覆層は、キャリアイオン伝導体であり、陽極と電解質との間のイオン結合を確立し、反応がそれ以上進行するのを防止する。
【0092】
SEI層の形成は、陽極及び電解質を含むハーフセルシステムの安定性のために望ましいが、陰極を介してセルに導入されるキャリアイオンの一部分は、不可逆的に結合されるため、サイクル動作から、すなわち、ユーザに利用可能な容量から除去される。結果として、初期放電中に、初期充電動作中に陰極によって最初に提供されたよりも少ないキャリアイオンが陽極から陰極に戻され、不可逆的な容量損失をもたらす。各後続の充電及び放電サイクル中、陽極及び/又は陰極への機械的及び/又は電気的劣化から生じる容量損失は、サイクルごとにはるかに少なくなる傾向があるが、サイクルごとの比較的小さいキャリアイオン損失でさえ、バッテリが経年劣化するにつれて、エネルギー密度及びサイクル寿命の減少に有意に寄与する。加えて、化学的及び電気化学的劣化もまた、電極上で発生し、容量損失を引き起こす可能性がある。SEI(又は負極の機械的及び/又は電気的劣化などの別のキャリアイオン消費機構)の形成を補償するために、バッテリの形成後に補助極から追加の又は補足のキャリアイオンを供給することができる。
【0093】
概して、二次バッテリ100の正極208(例えば、二次バッテリ100内の陰極構造206の集団)は、好ましくは、負極209(例えば、二次バッテリ100内の陽極構造207の集団)の放電容量と一致する可逆的クーロン容量を有することが好ましい。別の言い方をすれば、二次バッテリ100の正極208は、負極209の放電容量に対応する可逆的クーロン容量を有するようにサイズ決定され、これは負極209の放電終止電圧の関数である。
【0094】
一部の実施形態では、二次バッテリ100の負極209(例えば、二次バッテリ100内の陽極構造207の集合的集団)は、正極208の可逆的クーロン容量を超える可逆的クーロン容量を有するように設計される。例えば、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の、正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ、少なくとも1.2:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の、正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ、少なくとも1.3:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の、正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ、少なくとも2:1である。更なる例として、一実施形態では、負極209の可逆的クーロン容量の、正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ、少なくとも3:1である。更なる例として、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも4:1である。更なる例として、負極209の可逆的クーロン容量の正極208の可逆的クーロン容量に対する比は、それぞれ少なくとも5:1である。都合のよいことに、負極209の過剰なクーロン容量は、陽極活性材料の供給源を提供して、サイクルの結果として負極のサイクル寿命を減少させる、負極209上の結晶相(キャリアイオンを組み込む)の形成を抑制する特定の電圧内で、二次バッテリ100が可逆的に動作することを可能にする。
【0095】
前述のように、初期充電/放電サイクル中のSEIの形成は、可逆的サイクルに利用可能なキャリアイオンの量を減少させる。二次バッテリ100のサイクル中の負極209の機械的及び/又は電気的劣化は、可逆的サイクルに利用可能なキャリアイオンの量を更に減少させ得る。したがって、SEIの形成(又は負極の機械的及び/又は電気的劣化などの別のキャリアイオン消費機構)を補償するために、二次バッテリ100の形成後に補助極から追加又は補足のキャリアイオンを供給することができる。本開示の実施形態では、補助極は、形成中及び/又は形成後に、追加のキャリアイオンを二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に電気化学的に移動させるために使用される。一実施形態では、補助極は、最終形態の二次バッテリのエネルギー密度を向上させるために、追加のキャリアイオンを二次バッテリ100に移動させた後に除去される。
【0096】
図5は、例示的な実施形態の緩衝システム500の斜視図であり、図6は、緩衝システム500の分解図である。概して、緩衝システム500は、二次バッテリ100の初期の形成中又は形成後に一時的に組み立てることができ、この緩衝システムは、補助極502(図6参照)を使用して二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に追加のキャリアイオンを導入するために使用される。この実施形態では、緩衝システム500は、補助極502(図6参照)及び二次バッテリ100をエンクロージャ504の外周506内に封入するエンクロージャ504を含む。図5において、二次バッテリ100の電気端子124、125及び導電性タブ508-1のセグメントは、エンクロージャ504の外周506から延在し、補助極502及び二次バッテリ100への電気的接続を提供する。この実施形態では、エンクロージャ504は、互いに接合されてエンクロージャ504を形成する第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を含む。
【0097】
図6を参照すると、第1のエンクロージャ層510は外周512を有し、第2のエンクロージャ層511は外周513を有する。エンクロージャ層510、511の各々は、アルミニウム、ポリマー、薄膜可撓性金属などの可撓性又は半可撓性材料を含み得る。一実施形態では、エンクロージャ層510、511のうちの1つ以上は、多層アルミニウムポリマー材料、プラスチックなどを含む。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511のうちの1つ以上は、アルミニウムなどの金属基板上に積層されたポリマー材料を含む。一実施形態では、第1のエンクロージャ層510は、二次バッテリ100の外面サイズ及び形状に一致するようにサイズ決定及び成形される、ポーチ514(例えば、くぼみ)を含む。
【0098】
補助極502は、緩衝システム500内の二次バッテリ100を部分的に取り囲み、形成後の二次バッテリ100の失われたエネルギー能力を補充する(すなわち、SEIの形成時のキャリアイオンの損失及び二次バッテリ100の第1の充電及び/又は放電サイクルにおける他のキャリアイオン損失を補償する)ためのキャリアイオンの供給源を含む。複数の実施形態では、補助極502は、金属形態のキャリアイオンのフォイル(例えば、リチウム、マグネシウム、又はアルミニウムのフォイル)、あるいはキャリアイオン含有形態の陰極活性材料層106及び/又は陽極活性材料層104(図2参照)のために使用される前述の材料のうちのいずれかを含み得る。例えば、補助極502は、リチウム化ケイ素又はリチウム化ケイ素合金を含み得る。緩衝システム500が組み立てられると、補助サブアセンブリ516(図6参照)と称され得る補助極502と二次バッテリ100との組み合わせがポーチ514に挿入され、エンクロージャ層510、511が互いに封止されて、図5に描画するような緩衝システム500が形成される。緩衝システム500のための組立プロセスの具体的な詳細、及び二次バッテリ100へのキャリアイオン移動プロセス中に緩衝システムがどのように使用されるかについては、以下でより詳細に説明される。この実施形態における補助極502は、導電性タブ508を含み、これは、例えば、製造を容易にするために、図5に描画するように、エンクロージャ504によって覆われる導電性タブ508-1と、エンクロージャによって部分的に露出される導電性タブ508-1と、にセグメント化することができる。
【0099】
図7は、本発明の一実施形態に係る補助極502の斜視図であり、図8は、補助極の分解斜視図である。図7を参照すると、補助極502は、導電層704及びキャリアイオン供給層706を覆うセパレータ702を備える。補助極502が図6に描画する形状に形成されると、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の主面126、127(図1参照)に近接して配置され、セパレータ702は、二次バッテリ100のケーシング116を導電層704及びキャリアイオン供給層706から絶縁する。セパレータ702は電解質を含み、この電解質は緩衝プロセス時にキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動を容易にする。
【0100】
図8を参照すると、補助極502は、図8の下から上へ、セパレータ702、導電層704、及びキャリアイオン供給層706の集団を含む。この実施形態における補助極502は、導電性タブ508-2を更に含み、導電性タブ508-2は、導電性であり、導電層704と電気的に結合される。導電性タブ508-2は、補助極502との電気的接続を提供する。概して、補助極502は、二次バッテリ100の形成中又は形成後に、キャリアイオンをキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動させるための緩衝プロセス中に使用される。
【0101】
セパレータ702は、二次バッテリ100のセパレータ層108に関して前述した材料のいずれかを含み得る。セパレータ702には、キャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は二次バッテリの負極209にキャリアイオンを伝導させるための媒体となる電解質が浸透されていてもよい。電解質は、二次バッテリ100に関して前述した材料のいずれかを含み得る。
【0102】
この実施形態におけるセパレータ702は、第1の表面802と、第1の表面802の反対側の第2の表面803と、を含む。セパレータ702の表面802、803は、セパレータ702の主面を形成し、図8のX-Y平面内に配設される。この実施形態におけるセパレータ702は、Y軸の方向に延在する幅804を有する。この実施形態におけるセパレータ702は、幅804において、第1の部分805と、第2の部分806と、にセグメント化される。一部の実施形態では、セパレータ702は、第1の部分805に対応する拳のセパレータ層702-1と、第2の部分806に対応する第2のセパレータ層702-2と、を備えることができる。
【0103】
一実施形態では、セパレータ702の幅804は約34mmである。他の実施形態では、セパレータの幅804は約30mm、約35mm、又は別の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の幅804は、約10mm~約200mmの値の範囲内、又はセパレータが本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な範囲内にある。
【0104】
セパレータ702は、一実施形態では、X軸の方向に延在する長さ808を有する。一実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約72mmである。他の実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約65mm、約70mm、約75mm、又はセパレータが本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の長さ808は、約30mm~約200mmの値の範囲内、又はセパレータが本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0105】
一実施形態では、セパレータ702は、Z軸の方向に延在する厚さ810を有する。概して、厚さ810は、セパレータ702の第1の表面802からセパレータの第2の表面803まで(及び第2の表面を含む)の距離である。一実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.025mmである。他の実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.015mm、約0.02mm、約0.03mm、約0.035mm、又は何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、セパレータ702の厚さ810は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又はセパレータが本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0106】
導電層704は導電性であり、金属、金属化フィルム、導電性材料が適用された絶縁ベース材料、又は他の何らかのタイプの導電性材料を含み得る。一部の実施形態では、導電層704は銅を含む。他の実施形態では、導電層704は、アルミニウム又は別の金属を含む。この実施形態では、導電層704は、同様に導電性である導電性タブ508-2と電気的に結合される。導電性タブ508-2は、導電層704に近接して配設された第1の端部812と、第1の端部812の反対側の導電層の遠位に配設された第2の端部813と、を有する。導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704に電気的に結合される。一部の実施形態では、導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704にスポット溶接される。他の実施形態では、導電性タブ508-2の第1の端部812は、導電層704にはんだ付けされる。概して、導電性タブ508-2は、導電層への機械的接続及び電気的接続を確実にする任意の好適な手段を使用して、第1の端部812において導電層704に固着され得る。導電性タブ508-2は、必要に応じて任意のタイプの導電性材料を含み得る。一実施形態では、導電性タブ508-2は金属を含む。これらの実施形態では、導電性タブ508-2は、ニッケル、銅、アルミニウム、又は導電性タブが本明細書で説明されるように機能することを可能にする他の好適な金属若しくは金属合金を含んでもよい。
【0107】
この実施形態における導電層704は、第1の表面814と、第1の表面814の反対側の第2の表面815と、を含む。導電層704の表面814、815は、導電層の主面を形成し、図8のX-Y平面内に配設される。この実施形態における導電層704は、Y軸の方向に延在する幅816を有する。一実施形態では、導電層704の幅816は、約15mmである。他の実施形態では、導電層704の幅816は、約10mm、約20mm、又は導電層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。
【0108】
一部の実施形態では、導電層704の幅816は、約5mm~約100mmの値の範囲内、又は導電層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。この実施形態における導電層704の第1の表面814は、導電層704の第1の端部820に近接して配設された第1の領域818-1と、導電層704の第2の端部821に近接して配設された第2の領域818-2と、第1の領域818-1と第2の領域818-2との間に配設された第3の領域818-3と、にセグメント化される。
【0109】
導電層704は、X軸の方向に延在する長さ822を有する。一実施形態では、導電層704の長さ822は、約70mmである。他の実施形態では、導電層704の長さ822は、約60mm、約65mm、約75mm、又は導電層704が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、導電層704の長さ822は、約30mm~約200mmの値の範囲内、又は導電層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0110】
導電層704は、Z軸の方向に延在する厚さ824を有する。概して、厚さ824は、導電層704の第1の表面814から導電層704の第2の表面815まで(及び第2の表面を含む)の距離である。一実施形態では、導電層704の厚さ824は、約0.1mmである。他の実施形態では、導電層704の厚さ824は、約0.005mm、約0.15mm、又は約0.2mmである。一部の実施形態では、導電層704の厚さ824は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又は導電層が本明細書で記載されるように機能することを可能にする厚さの任意の他の好適な範囲内にある。
【0111】
一実施形態では、キャリアイオン供給層の集団を含むキャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209にキャリアイオンを供給するために利用され得る、前述の任意のキャリアイオン含有材料を含む。キャリアイオン供給層706は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びアルミニウムイオンのうちの1つ以上の供給源を含み得る。この実施形態では、キャリアイオン供給層706は、導電層704の第1の領域818-1及び第2の領域818-2内に配設される。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706は、導電層704の第3の領域818-3にも配設される。
【0112】
この実施形態におけるキャリアイオン供給層706は、第1の表面826と、第1の表面826の反対側の第2の表面827と、を有する。キャリアイオン供給層706の表面826、827は、キャリアイオン供給層の主面を形成し、図8のX-Y平面に配設される。この実施形態におけるキャリアイオン供給層706は、Y軸の方向に延在する幅828を有する。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約15mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約10mm、約20mm、又はキャリアイオン供給層が本明細書で記載されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な値である。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の幅828は、約5mm~約100mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0113】
キャリアイオン供給層706は、一実施形態では、X軸の方向に延在する長さ830を有する。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約23mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約15mm、約20mm、約25mm、又はキャリアイオン供給層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする何らかの他の好適な長さである。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の長さ830は、約10mm~約100mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の何らかの他の好適な範囲内にある。
【0114】
キャリアイオン供給層706は、Z軸の方向に延在する厚さ832を有する。概して、厚さ832は、キャリアイオン供給層706の第1の表面826と、キャリアイオン供給層の第2の表面827との間の距離である。一実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.13mmである。他の実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.005mm、約0.15mm、又は約0.2mmである。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706の厚さ832は、約0.01mm~約1.0mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする厚さの値の任意の他の好適な範囲内にある。
【0115】
この実施形態では、キャリアイオン供給層706は、第3の領域818-3に対応する距離834だけ互いに分離される。一実施形態では、距離834は、約23mmである。他の実施形態では、距離834は、約15mm、約20mm、約25mm、又は約30mmである。一部の実施形態では、距離834は、約10mm~約50mmの値の範囲内、又はキャリアイオン供給層が本明細書で説明されるように機能することを可能にする値の任意の他の好適な範囲内にある。
【0116】
一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも15%を提供することができるようにサイズ決定される。例えば、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも30%を提供するのに十分なキャリアイオン(例えば、リチウム、マグネシウム、又はアルミニウムイオン)を含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも100%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも200%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の少なくとも300%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。更なる例として、かかる一実施形態では、キャリアイオン供給層706は、二次バッテリ100の正極208の可逆的クーロン容量の約100%~約200%を提供するのに十分なキャリアイオンを含むようにサイズ決定される。
【0117】
補助極502の組立プロセス中に、セパレータ702は、図8に示されるような幅804及び長さ808を達成するように、ストック材料から切断されてもよく、又は予め製作されてもよい。導電層704は、図8に示される幅816及び長さ822を達成するために、ストック材料から切断されてもよく、又は予め製作されてもよい。一部の実施形態では、導電層704は、図8に描画するように、導電層704に機械的かつ電気的に固着された第1の端部812を有する導電性タブ508-2を含むように予め製作される。他の実施形態では、導電性タブ508-2は、ストック材料から切断され、(例えば、第1の端部812を導電層にスポット溶接又ははんだ付けすることによって)導電層704と機械的かつ電気的に結合される。一部の実施形態では、キャリアイオン供給層706は、ストック材料から所定のサイズに切断され、キャリアイオン供給層706の第2の表面827が導電層704の第1の表面814と接触した状態で、図8に描画される配向を達成するように、(例えば、キャリアイオン供給層706を導電層上に冷間溶接することによって)導電層704に接合されるか、又は別様に積層される。例えば、キャリアイオン供給層706を形成するために使用される材料(例えば、リチウム)は、所定のサイズに切断されたリチウムシートのロールとしてストック形態で存在してもよい。
【0118】
他の実施形態では、導電層704は、図8に描画する配向に配置されたキャリアイオン供給層706を含むように予め製作される。この実施形態では、導電層704は、X軸の方向にセパレータ702の第1の部分805内に配設され、導電層704の第2の表面815は、セパレータの第1の表面802に接触する。
【0119】
図9は、補助極の製作プロセスの中間段階における補助極502の斜視図である。この段階で、導電層704は、セパレータ702の第1の部分805上に配設され、導電性タブ508-2は、導電層704に固着された第1の端部812から、セパレータ702及び導電層704から離れて第2の端部813に向かって、図9の左(Y軸方向)に延在する。セパレータ702の第1の表面802は、セパレータの第1の部分805内で導電層704によって覆われる一方、セパレータの第1の表面802は、セパレータの第2の部分806内では覆われないままである。
【0120】
補助極502の製作プロセスを継続するために、一実施形態では、セパレータ702の第2の部分806は、セパレータ702の第2の部分806内の第1の表面802が、キャリアイオン供給層706の第1の表面826と、キャリアイオン供給層706間に露出されている導電層704の第1の表面814とに接触するように、図9の左に向かう矢印902の方向に(X軸方向に)折り畳まれる。セパレータ702が第1のセパレータ層702-1及び第2のセパレータ層702-2を含む場合、第2のセパレータ層は、第2のセパレータ層の第1の表面802がキャリアイオン供給層706の第1の表面826、及びキャリアイオン供給層の間に露出している導電層704の第1の表面814に接触するように配置されてもよい。
【0121】
図10は、製作プロセス内の別の中間段階における補助極502の斜視図である。この段階で、セパレータ702は、導電層704及びキャリアイオン供給層706を封入し、導電性タブ508-2の第1の端部812と導電性タブ508-2の第2の端部813との間の部分をセパレータ702によって覆われないままにしている。次いで、セパレータ702は、セパレータの外周1002の少なくとも一部分に沿ってそれ自体に接合されて、セパレータの第1の表面802(図10では見えない)に沿ってセパレータの第1の部分805及びセパレータの第2の部分806内に導電層704を封入することができる。
【0122】
一実施形態では、セパレータ702は、ホットメルトプロセス、溶接プロセス、接合プロセスなどを使用して、セパレータの外周1002の少なくとも一部に沿って、それ自体に接合される。図10において、この段階での補助極502は、第1の側面1004と、第1の側面1004の反対側の第2の側面1005と、を含む。第1の側面1004は、セパレータ702の第2の表面803を含み、この表面は、導電層704の第1の端部820(図10では見えない)に近接する第1の領域818-1、及び導電層の第2の端部821(この図では見えない)に近接する第2の領域818-2において、キャリアイオン供給層706を覆う。図10において、第1の領域818-1は、導電性タブ508-2の第1の端部812に近接しており、第2の領域818-2は、導電性タブ508-2の第1の端部812から離れて配設されている。一部の実施形態では、導電性タブ508-2は、延在してもよい(アセンブリ後の補助極502を描画する、図11参照)。
【0123】
補助極502の製作に応答して、緩衝システム500(図6及び図7参照)のための製作プロセスを実施することは、以下のように続く。図12図16は、製作プロセスの種々の段階における緩衝システム500の斜視図である。図12を参照すると、補助極502の第2の領域818-2は、第1のエンクロージャ層510のポーチ514内に挿入され、補助極の第2の側面1005は、ポーチ514内で第1のエンクロージャ層510に向かって配設され、補助極の第1の側面1004は、ポーチ内で第1のエンクロージャ層から離れて配設されている。補助極502の第3の領域818-3及び第1の領域818-1は、Y軸方向に沿ってポーチ514から遠ざかる方向に延在する。
【0124】
図12に描画するように、補助極502がポーチ514内で配向された状態で、二次バッテリ100は、補助極502の第2の領域818-2に対応するポーチ514内の補助極502上に配置される(図13参照)。この実施形態では、二次バッテリ100の第1の主面126(図1参照、図13では見えない)は、ポーチ514内の補助極502に接触し、二次バッテリの第2の主面127は、補助極502から離れて配設される。二次バッテリ100の電気端子124、125は、図13のY軸方向にポーチ514から離れて延在し、第1のエンクロージャ層510の外周512の外側に電気端子を配置する。緩衝システム500の製作プロセスのこの段階で、一実施形態では、電解質がポーチ514に追加される。別の実施形態では、補助極502のセパレータ702は、電解質で予め含浸される。
【0125】
二次バッテリ100がポーチ514内の補助極502の第2の領域818-2上に装填された状態で、補助極502は、補助極502の第1の領域818-1の第1の側面1004を二次バッテリ100の第2の主面127と接触させて位置付けるために、矢印1302の方向に回転され、その結果が、図14に描画されている。この構成では、二次バッテリ100(図1参照)の両方の主面126、127は、セパレータ702(図7図11参照)と、二次バッテリの主面126、127の各々とキャリアイオン供給層との間に配設された電解質と、を使用して、補助極502のキャリアイオン供給層706と電気化学的に結合されている。
【0126】
図15は、図14の切断線A-Aに沿った緩衝システム500の断面図である。この図では、第1のエンクロージャ層510のポーチ514における緩衝システム500の層が見えている。特に、図15は、ポーチ514内の二次バッテリ100及び補助極502の配置を例示しており、具体的には、上から下へ順に、セパレータ702、導電層704、キャリアイオン供給層706の1つ、セパレータ702、及びケーシング116における二次バッテリ100の第2の主面127が積層されている。図15は、下から上に順に積層された、第1のエンクロージャ層510、セパレータ702、導電層704、キャリアイオン供給層706のうちの1つ、セパレータ702、及びケーシング116における二次バッテリ100の第1の主面126を更に例示している。
【0127】
図15に例示されるように、二次バッテリ100がポーチ514内で補助極502によって挟まれた状態で、第2のエンクロージャ層511は、図16に描画されるように、第1のエンクロージャ層510に整列される。第2のエンクロージャ層511を第1のエンクロージャ層510に対して適切に配置した後、エンクロージャ層510、511は、封止線1602(図16に破線で示される)に沿って封止され、エンクロージャ504を形成する。エンクロージャ層510、511は、溶接、ヒートシール、接着剤、それらの組み合わせなどによって、封止線1602に沿って封止されてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511は、封止線1602の3つの側面に沿って封止され、その中にポケットを形成することができる。この実施形態では、二次バッテリ100をポケット内に配置することができ、その後、封止線1602の最終縁部が封止される。一実施形態では、封止線1602は、制御された温度及び圧力を封止線1602に加えて、エンクロージャ層510、511を封止線1602に沿って互いに接着又は融着させるホットプレスを使用して封止される。別の実施形態では、封止プロセス中に二次バッテリ100に真空を適用して、空気又は他のガスによって占められたあらゆる過剰な体積を排気する。封止線1602がホットプレスを受ける時間は、制御されてもよく、エンクロージャ層510、511のために選択される材料に依存する。二次バッテリ100を覆って封止されると、封止されたエンクロージャ層510、511は、緩衝システム500を形成する。封止すると、緩衝システム500は、所望の用途に応じて、液密及び/又は気密である。二次バッテリ100の電気端子124~125、及び導電性タブ508-1は、露出されたままであり、エンクロージャ層510、511によって覆われず、後続の緩衝プロセスが二次バッテリに適用されることを可能にする。
【0128】
緩衝システム500のエンクロージャ504内で、二次バッテリ100、及び補助極502(図16では見えない)のキャリアイオン供給層706が電気化学的にともに結合された状態で、キャリアイオン緩衝プロセスが、二次バッテリの初期形成中又は初期形成後に、二次バッテリ100に対して実施される。概して、このキャリアイオン緩衝プロセスは、キャリアイオンを、補助極502のキャリアイオン供給層706から、二次バッテリ100の第1の主面126、及び二次バッテリの第2の主面127の各々に移動させる(図15参照)。概して、図15に描画するように、二次バッテリ100の両方の主面126、127から二次バッテリにキャリアイオンを移動させることは、より多くのキャリアイオンが二次バッテリの陽極及び/又は陰極に装填されるため、陽極及び/又は陰極の膨張によって発生する力を二次バッテリ100のケーシング116にわたってより均等に分散させるという技術的利点を与える。
【0129】
二次バッテリ100を緩衝システム500に挿入する前又は後のいずれかに、二次バッテリの陰極構造206から二次バッテリの陽極構造207にキャリアイオンを移動させることによって、二次バッテリ100が(例えば、電気端子124、125を介して)充電される。充電は、二次バッテリ100の正極208がその充電終了設計電圧に達したときに中断され得る。初期充電サイクル中、SEIは、二次バッテリ100の陽極構造207の表面上に形成され得る。SEIへのキャリアイオンの損失を補償し、追加のキャリアイオンを更に提供して、副反応によりキャリアイオンが失われるサイクリング中の長期二次反応を軽減するために、二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209は、補助極502と陰極構造206及び/又は陽極構造207とにわたって(例えば、補助極502の導電性タブ508-1及び電気端子124、125のうちの1つを介して)電圧を加えることによって補充されて、補助極502のキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の陰極構造206及び/又は陽極構造207にキャリアイオンを駆動することができる。補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動が完了すると、二次バッテリ100の負極209は、再び充電され、今度は、キャリアイオンは、二次バッテリの陰極構造206から二次バッテリの陽極構造207に移動する。
【0130】
一実施形態では、緩衝プロセス中に補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約50%である。他の実施形態では、緩衝プロセス中に補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%である。一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約1%~約100%の値の範囲内にある。1つの特定の実施形態では、二次バッテリ100の負極209は、二次バッテリが充電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約170%を有し、二次バッテリが放電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約70%を有する。緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、初期形成時のSEIによる二次バッテリにおけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を与える。更に、緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、二次バッテリが使用中にサイクルされるときに、二次バッテリ内のキャリアイオンを枯渇させる副反応に起因する、二次バッテリにおけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を与え、これは、経時的な二次バッテリの容量損失を低減する。
【0131】
一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動は、二次バッテリの初期形成と同時に(例えば、二次バッテリの第1の充電中に)、かつ/又は初期形成後の二次バッテリのその後の充電中に行われてもよい。これらの実施形態では、キャリアイオンは、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリの負極209に移動する。時間的遅延若しくは時間パターンと同時に、又はそれに基づいて、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する。
【0132】
更に別の実施形態では、正極208は、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動させると同時に、キャリアイオンを二次バッテリの正極から二次バッテリの負極209に移動させることによって、キャリアイオンを補充することができる。図6を参照すると、電圧が、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって印加されて、キャリアイオンを、二次バッテリの正極208から負極209に駆動する。キャリアイオンが正極208から負極209に移動している間、電圧が、補助極502の導電性タブ508-1、及び二次バッテリ100の正極208にわたって印加されて、キャリアイオンを、補助極502から二次バッテリの正極208に駆動する。したがって、キャリアイオンが二次バッテリの正極から負極209に移動していると同時に、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動する。すなわち、キャリアイオンを二次バッテリの正極から負極に駆動するのに十分である電圧が、二次バッテリ100の正極208及び負極209にわたって維持され、同時に、キャリアイオンを補助極から正極に駆動するのに十分である電圧が、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリの正極にわたって維持される。別の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100の正極208へのキャリアイオンの移動の開始は、二次バッテリの正極から負極209へのキャリアイオンの移動の開始と同時に始まってもよい。一実施形態では、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動速度は、二次バッテリの補助極502から正極へのキャリアイオンの移動速度以上であり、その結果、正極を介した二次バッテリの補助極から負極へのキャリアイオンの良好な移動速度全体を維持することができる。すなわち、二次バッテリ100の正極208と負極209との間、及び補助極502と正極との間の移動の相対速度は、追加のキャリアイオンに対する正極の全容量を上回らないように維持することができる。これにより、正極208は、補助極502から新たなキャリアイオンを受け入れ可能な状態に維持され得、その後の二次バッテリ100の負極209へのキャリアイオンの移動が可能となり得る。
【0133】
一実施形態では、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、キャリアイオンは、二次バッテリの負極209の補充の一部として、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動する(補助極から二次バッテリの負極に直接移動することとは対照的に)が、その理由は、正極が、その表面にわたってキャリアイオンをより均一に受け入れることが可能であり、したがって、キャリアイオンが、二次バッテリの正極と負極との間のその移動においてより均一に関与することを可能にし得るためである。
【0134】
緩衝プロセスが、緩衝システム500を利用して二次バッテリ100に対して実施された後に、補助極502は、緩衝システムから除去されて、最終的な形態の二次バッテリ100のエネルギー密度を改善することができる。例えば、緩衝プロセスの後、キャリアイオン供給層706(図7参照)は、二次バッテリ100に電気化学的に移動されている導電層704から除去されていてもよい。したがって、補助極502は、この時点では不要であり得る。緩衝プロセスが行われた後にエンクロージャ504から補助極502を除去するために、エンクロージャのエンクロージャ層510、511は、図17に実線として例示される切断線1702に沿って切断されてもよく、エンクロージャ層510、511が補助極502に近接して剥離されることを可能にする。補助極502は緩衝システム500のエンクロージャ504から除去され、二次バッテリ100はポーチ514内に残される(図12参照)。次いで、エンクロージャ層510、511は、破線として例示される最終封止線1704に沿って再封止されて、二次バッテリ100を使用する前にその最終形態のエンクロージャ504を形成することができる。この再封止は、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を一緒に封止するための前述のプロセスのいずれかを使用して実施されてもよい。
【0135】
図18は、例示的な実施形態の補助極を使用してキャリアイオンで二次バッテリを事前リチウム化する方法1800のフローチャートであり、図19図21は、方法1800の更なる詳細を描画するフローチャートである。方法1800は、図1図17の二次バッテリ100、緩衝システム500、及び補助極502に関して説明されるが、方法1800は、示されていない他のシステムに適用されてもよい。方法1800のステップは、全てを含むものではなく、方法1800は、示されていない他のステップを含んでもよい。更に、方法1800のステップは、代替の順序で実施されてもよい。
【0136】
この実施形態では、二次バッテリ100(図1参照)は、互いに反対側にある主面126、127と、電気端子124、125と、を有する。電気端子124、125は、二次バッテリ100の正極208(例えば、図2に描画するように、二次バッテリ内の陰極構造206の集団)及び二次バッテリの負極209(例えば、図2に描画するように、二次バッテリ内の陽極構造207の集団)のうちの一方に結合される。二次バッテリ100は、負極209と正極208との間に、負極209及び正極208とイオン接触する電解質が浸透する微多孔質セパレータ層108(図2参照)を含む。負極209は、キャリアイオンに対してクーロン容量を有する、ケイ素又はその合金などの陽極活性材料104を含む。正極208は、キャリアイオンのクーロン容量を有する陰極活性材料106を含み、負極209のクーロン容量は正極208のクーロン容量を超える。
【0137】
補助極502(図6参照)は、二次バッテリ100の主面126、127と接触して配置されて補助サブアセンブリ516を形成し、そこでは、補助極502は、導電層704と、二次バッテリ100の主面126、127に近接する導電層上に配設されたキャリアイオン供給層706と、キャリアイオン供給層と二次バッテリの主面126、127との間に配設されたセパレータ702と、導電層に結合された導電性タブ508と、を含む(図18のステップ1802、及び図8図11参照)。
【0138】
補助サブアセンブリ516は、エンクロージャ504内に設置され、そこでは、電気端子124、125、及び補助極502の導電性タブ508は、エンクロージャ504の外周506から電気的に延在する(ステップ1804、及び図16参照)。
【0139】
キャリアイオンは、電気端子124、125にわたって電位電圧を印加することによって、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリの負極209に移動して、二次バッテリを少なくとも部分的に充電する(ステップ1806参照)。充電は、二次バッテリ100の正極208がその充電終了設計電圧に達したときに中断され得る。初期充電サイクル中、SEIは、二次バッテリ100の負極209の内部構造表面上に形成され得る。
【0140】
SEIに対するキャリアイオンの損失を補償し、かつ追加のキャリアイオンを更に提供してキャリアイオンが副反応によって失われるサイクリング中の長期二次反応を軽減するために、キャリアイオンは、導電性タブ508、及び二次バッテリの電気端子124、125のうちの1つ以上にわたって電位電圧を印加することによって、補助極502のキャリアイオン供給層706から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する(図16のステップ1808参照)。概して、このキャリアイオン緩衝プロセスは、キャリアイオンを、補助極502のキャリアイオン供給層706から、二次バッテリ100の第1の主面126、及び二次バッテリの第2の主面127の各々に移動させる(図15参照)。概して、図15に描画するように、二次バッテリ100の主面126、127の両方から二次バッテリにキャリアイオンを移動させることは、より多くのキャリアイオンが二次バッテリ100の陰極及び/又は陽極に充填されるため、陽極及び/又は陰極の膨張によって発生する力を二次バッテリのケーシング116にわたってより均等に分散させるという技術的利点を与える。
【0141】
一実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約50%である。他の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%である。一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100に移動するキャリアイオンの量は、二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約1%~約100%の値の範囲内にある。1つの特定の実施形態では、二次バッテリ100の負極209は、二次バッテリが充電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約170%を有し、二次バッテリが放電されるときに、キャリアイオンとして蓄積される二次バッテリの正極208の可逆的クーロン容量の約70%を有する。緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、初期形成時のSEIによる二次バッテリにおけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を与える。更に、緩衝プロセス中に提供される二次バッテリ100の負極209における過剰なキャリアイオンは、二次バッテリが使用中にサイクルされるときに、二次バッテリ内のキャリアイオンを枯渇させる副反応に起因する、二次バッテリにおけるキャリアイオンの損失を軽減するという技術的利点を与え、これは、経時的な二次バッテリの容量損失を低減する。
【0142】
一部の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100へのキャリアイオンの移動は、二次バッテリの初期形成と同時に(例えば、二次バッテリの第1の充電中に)、かつ/又は初期形成後の二次バッテリのその後の充電中に行われてもよい。これらの実施形態では、キャリアイオンは、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリの負極209に移動する。時間的遅延若しくは時間パターンと同時に、又はそれに基づいて、キャリアイオンは、補助極502から二次バッテリ100の正極208及び/又は負極209に移動する。
【0143】
キャリアイオンは、二次バッテリの電気端子124、125にわたって電位電圧を印加することによって、二次バッテリ100の正極208から二次バッテリの負極209に再び移動し、負極209がキャリアイオンとして蓄積された正極208のクーロン容量の100%を超えるまで、二次バッテリを充電する(ステップ1810参照)。
【0144】
更に別の実施形態では、正極208は、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動させると同時に、キャリアイオンを二次バッテリの正極208から二次バッテリの負極209に移動させることによって、キャリアイオンで補充することができる。図6を参照すると、電圧が、二次バッテリ100の電気端子124、125にわたって印加されて、キャリアイオンを、二次バッテリの正極208から負極209に駆動する。キャリアイオンが正極208から負極209に移動している間、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリ100の正極208にわたって電圧を印加して、キャリアイオンを補助極502から二次バッテリの正極208に駆動する。したがって、キャリアイオンは、キャリアイオンが二次バッテリの正極208から負極209に移動しているのと同時に、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動する。すなわち、キャリアイオンを二次バッテリの正極208から負極209に駆動するのに十分である電圧が、二次バッテリ100の正極208及び負極209にわたって維持され、同時に、キャリアイオンを補助極502から正極208に駆動するのに十分である電圧が、補助極502の導電性タブ508-1及び二次バッテリの正極208にわたって維持される。別の実施形態では、補助極502から二次バッテリ100の正極208へのキャリアイオンの移動の開始は、二次バッテリの正極208から負極209へのキャリアイオンの移動の開始と同時に始まってもよい。一実施形態では、二次バッテリ100の正極208から負極209へのキャリアイオンの移動速度は、二次バッテリ100の補助極502から正極208へのキャリアイオンの移動速度以上であり、その結果、正極を介した二次バッテリの補助極502から負極209へのキャリアイオンの良好な移動速度全体を維持することができる。すなわち、二次バッテリ100の正極208と負極209との間、及び補助極502と正極との間の移動の相対速度は、追加のキャリアイオンに対する正極の全容量を上回らないように維持することができる。これにより、正極208は、補助極502から新たなキャリアイオンを受け入れ可能な状態に維持され得、その後の二次バッテリ100の負極209へのキャリアイオンの移動が可能となり得る。
【0145】
一実施形態では、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、キャリアイオンは、二次バッテリの負極209の補充の一部として、補助極502から二次バッテリ100の正極208に移動される(補助極502から二次バッテリの負極に直接移動することとは対照的に)が、その理由は、正極が、その表面にわたってキャリアイオンをより均一に受け入れることが可能であり得、したがって、キャリアイオンが、二次バッテリの正極と負極との間のその移動においてより均一に関与することを可能にし得るためである。
【0146】
方法1800の一部の実施形態では、エンクロージャ504が開かれ(図19のステップ1902参照)、補助極502は、エンクロージャ504から除去される(ステップ1904参照)。エンクロージャ504から補助極502を除去することに応答して、エンクロージャは、使用のために二次バッテリ100を封入するように、その最終形態に再封止される(ステップ1906参照)。他の実施形態では、補助極502は、エンクロージャ504から除去されない。
【0147】
上で詳述されたステップ1804に関して以前に説明されたように、1つの特定の実施形態は、補助サブアセンブリ516をエンクロージャ504内に設置するが、補助サブアセンブリ516を第1のエンクロージャ層510上に設置することを含む(図20のステップ2002参照)。第2のエンクロージャ層511は、第1のエンクロージャ層510上に設置され(ステップ2004参照)、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511は、封止線1602に沿って一緒に封止されて、エンクロージャ504を形成する(ステップ2006参照)。
【0148】
エンクロージャ層510、511は、溶接、ヒートシール、接着剤、それらの組み合わせなどによって、封止線1602(図16参照)に沿って封止されてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ層510、511は、封止線1602の3つの側面に沿って封止され、その中にポケットを形成することができる。この実施形態では、二次バッテリ100をポケット内に配置することができ、その後、封止線1602の最終縁部が封止される。一実施形態では、封止線1602は、制御された温度及び圧力を封止線1602に加えて、エンクロージャ層510、511を封止線1602に沿って互いに接着又は融着させるホットプレスを使用して封止される。別の実施形態では、封止プロセス中に二次バッテリ100に真空を適用して、空気又は他のガスによって占められたあらゆる過剰な体積を排気する。封止線1602がホットプレスを受ける時間は、制御されてもよく、エンクロージャ層510、511のために選択される材料に依存する。二次バッテリ100を覆って封止されると、封止されたエンクロージャ層510、511は、緩衝システム500を形成する。封止すると、緩衝システム500は、所望の用途に応じて、液密及び/又は気密である。二次バッテリ100の電気端子124、125及び導電性タブ508は、露出されたままであり、エンクロージャ層510、511によって覆われていない。
【0149】
第1のエンクロージャ層510がポーチ514を含む実施形態では、エンクロージャ504内に補助サブアセンブリ516を設置することは、最初に、ポーチ514内に補助サブアセンブリ516を配置することを含む(図21のステップ2102参照)。一部の実施形態では、電解質が、(例えば、ポーチ514内に補助サブアセンブリ516を設置する前又は後のいずれかに)ポーチに追加され、その後、エンクロージャ504は、第1のエンクロージャ層510及び第2のエンクロージャ層511を封止線1602に沿ってともに封止することによって、形成される。
【0150】
一部の実施形態では、上で考察された二次バッテリ100上で実施される形成プロセスの1つ以上のステップは、バッテリトレイ、及びバッテリトレイに取り外し可能に取り付け可能な形成ベースを使用して実施することができる。
【0151】
図22は、二次バッテリ100などのリチウム系二次バッテリのための例示的なセル形成システム2200のブロック図である。システム2200は、バッテリトレイ2202と、形成ベース2204と、装填ステーション2206と、充電ステーション2208と、形成ステーション2210と、を含む。バッテリトレイ2202及び形成ベース2204は、取り付けられたときに、形成アセンブリ2209を形成する。他の実施形態は、充電ステーション2208を含まず、セル形成システム2200によって処理されるべきバッテリは、任意の好適な充電システムを使用して充電されてもよい。
【0152】
バッテリトレイ2202は、バッテリスロット2212及び第1のアセンブリコネクタ2213を含む。各バッテリスロット2212は、二次バッテリ100を受容及び保持するように構成されている(例えば、サイズ及び形状設計されている)。例示的な実施形態では、各バッテリスロット2212は、1つの二次バッテリ100のみを受容するように構成されているが、他の実施形態では、各バッテリスロットは、2つ以上のバッテリを受容するように構成されてもよい。1つの例示的な実施形態では、バッテリトレイ2202は、40個のバッテリスロットの3列に配置された120個のバッテリスロット2212を含む。他の実施形態は、より多くの又はより少ない列に整列されたより多くの又はより少ないバッテリスロット2212を含む。開口部が、バッテリスロット2212に対応する場所でバッテリトレイ2202の下部に画定されて、二次バッテリ100がバッテリスロット2212に位置付けられるときに、第1の端子124、第2の端子125、及び導電性タブ508-1がバッテリトレイの下部を通って延在することを可能にする。
【0153】
形成ベース2204は、バッテリトレイ2202と同様のサイズ及び形状設計され、バッテリトレイに取り外し可能に取り付けるように構成されている。形成ベース2204は、コネクタグループ2214、事前リチウム化モジュール2216、及び第2のアセンブリコネクタ2218を含む。各コネクタグループ2214は、内部に装填された二次バッテリを有するバッテリトレイ2202が形成ベースに取り付けられるときに、導電性タブ508-1、並びに異なる二次バッテリ100の第1の端子124及び第2の端子125のうちの1つへの電気的接続を行うように構成されている。コネクタグループ2214が接続する異なる二次バッテリ100の第1の端子124及び第2の端子125のうちの1つは、陰極端子である。他の実施形態では、各コネクタグループ2214は、二次バッテリが内部に装填されたバッテリトレイ2202が形成ベースに取り付けられたときに、導電性タブ508-1、異なる二次バッテリ100の第1の端子124、及び第2の端子125への電気的接続を行うように構成されている。
【0154】
各事前リチウム化モジュール2216は、コネクタグループ2214のうちの異なるコネクタグループに電気的に接続され、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続された二次バッテリ100の電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている。他の実施形態では、各事前リチウム化モジュール2216は、コネクタグループ2214のうちの2つ以上のコネクタグループに電気的に接続され、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている2つ以上のコネクタグループに接続された二次バッテリ100の電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている。一例では、事前リチウム化モジュール2216は、スイッチトキャパシタ回路である。別の例では、事前リチウム化モジュール2216は、導電性タブ508-1と、第1の端子124及び第2の端子125のうちの1つとの間に電気的に接続される抵抗器と、電圧が1.5Vに低下すると(緩衝プロセスの完了を示す)ときに接続を中断する回路と、を含む。他の実施形態は、任意の他の適切な事前リチウム化モジュールを含む。一部の実施形態では、各事前リチウム化モジュールは、他の各事前リチウム化モジュールとは別個である一方、他の実施形態では、2つ以上の事前リチウム化モジュールは、共通の回路内に統合されるか、又は共通の支持体(剛性回路基板、可撓性回路基板、又は他の適切な支持体など)上に搭載される。
【0155】
第2のアセンブリコネクタ2218は、第1のアセンブリコネクタ2213と嵌合係合して、バッテリトレイ2202を形成ベース2204に機械的に接続するように構成されている。1つの例示的な実施形態では、第1のアセンブリコネクタ2213は、バッテリトレイ2202の下部を通る長方形開口部であり、第2のアセンブリコネクタ2218は、形成ベース2204から延在する回転可能なT字形コネクタである。第1の配向では、第2のアセンブリコネクタ2218は、第1のアセンブリコネクタ2213の長方形開口部を通過して、バッテリトレイ2202が形成ベース2204上の所定の位置に配置されることを可能にし得る。第2のアセンブリコネクタ2218が第2の位置(例えば、第1の位置から90度)に回転されるとき、第2のアセンブリコネクタは、第1のアセンブリコネクタ2213の長方形開口部を通過することができない。したがって、バッテリトレイ2202が形成ベース2204上の所定の位置に配置された後、第2のアセンブリコネクタ2218は、第2の位置に回転されて、バッテリトレイ及び形成ベースを形成アセンブリ2209内に一緒にロックする。他の実施形態は、第1及び第2のアセンブリコネクタとして他の接続システムを使用してもよい。
【0156】
装填ステーション2206、充電ステーション2208、及び形成ステーション2210は、それぞれ、バッテリ100をバッテリトレイ2202中に装填し、バッテリトレイ内のバッテリを充電し、形成アセンブリ2209内のバッテリを緩衝するためのステーションである。装填ステーション2206において、二次バッテリ100は、典型的には、ロボットローダ(図示せず)によってバッテリトレイ100中に装填される。他の実施形態では、二次バッテリ100は、人間のオペレータによってバッテリトレイ2202中に装填される。充電ステーション2208は、バッテリ100を装填されたバッテリトレイ2202を受容し、装填されたバッテリトレイを保管し、バッテリトレイ内のバッテリ100を充電するように構成されている。形成ステーション2210は、充電されたバッテリ100を装填されたバッテリトレイ2202を含む形成アセンブリ2209を受容し、リチウムが事前リチウム化モジュール2216によってバッテリトレイ内の二次バッテリの電極活性材料に拡散される間、形成アセンブリを格納するように構成されている。一部の実施形態はまた、バッテリトレイ2202が形成ベース2204に搭載される搭載ステーション(図示せず)も含む。バッテリトレイ2202及び形成アセンブリ2209は、装填ステーション2206、充電ステーション2208、形成ステーション2210、及びコンベヤベルト又は任意の他の好適な搬送システム上の装填ステーションの間を移動することができる。
【0157】
充電ステーション2208は、バッテリトレイ2202を保管するためのラック又は棚システム、並びにバッテリトレイ内の二次バッテリ100を充電するためにバッテリトレイに電力を供給するための電気的接続を含む。一部の実施形態では、充電ステーションは、バッテリ100の充電を制御するための充電回路を含む一方、他の実施形態では、充電回路は、バッテリトレイ2202又は形成ベース2204内に含まれる。一部の実施形態では、充電ステーション2208はまた、1つ以上のリモートコンピューティングデバイスが充電ステーション2208において二次バッテリ100の充電を制御及び/又は監視することを可能にする通信接続も含む。
【0158】
形成ステーション2210は、形成アセンブリ2209を格納するためのラック又は棚システム、並びに形成プロセスに電力を供給するための電気的接続を含む。一部の実施形態では、形成ステーション2210はまた、1つ以上のリモートコンピューティングデバイスが形成ステーション2210における形成プロセスを制御及び/又は監視することを可能にする通信接続も含む。
【0159】
図23は、バッテリトレイ2202として使用され得る例示的なバッテリトレイの図である。このバッテリトレイは、ベース2302に接続され、かつそのベースの上方に延在する側面2300を含む。例示的な実施形態では、バッテリトレイ2202は、ほぼ等しい長さ、高さ、及び厚さの4つの側面2300を含む。他の実施形態では、バッテリトレイは、より多くの又はより少ない側面2300を含んでもよく、かつ/又はそれらの側面は、それらの寸法のうちの1つ以上で変化してもよい。例示的なバッテリトレイ2202は、それぞれ40個のスロットの3列2304に整列された120個のバッテリスロット2212を含む。他の実施形態は、より多くの又はより少ない行2304に整列されたより多くの又はより少ない総スロット2212を含み得る。少なくとも1つの開口部(図23には示されておらず、図28では、2800として示されている)は、各スロット2212の場所でベース2302を通って画定され、導電性タブ508-1、第1の端子124、及び第2の端子125が、スロット2212からバッテリトレイ2202のベースを通って、バッテリトレイのベースの下側2306からアクセス可能な場所に延在することを可能にする。バッテリトレイ2202は、形成ベース2204の対応する6つの第2のアセンブリコネクタ2218と嵌合係合して、バッテリトレイ2202を形成ベース2204に機械的に接続するための6つの第1のアセンブリコネクタ2213(図23には示されていない)を含む。他の実施形態は、より多くの又はより少ない第1のアセンブリコネクタ2213及び第2のアセンブリコネクタ2218を含み得る。
【0160】
図24は、形成ベース2204として使用され得る例示的な形成ベースの図である。この形成ベースは、バッテリトレイ2202がバッテリスロット2212を有するのと同じ数のコネクタグループ2214を含む。3つのコネクタグループ2214が、図25に示されている。例示的な形成ベース2204は、バッテリトレイ2202を形成ベース2204に機械的に接続するために、バッテリトレイ2202の第1のアセンブリコネクタ2213と嵌合係合するための6つの第2のアセンブリコネクタ2218(各側に3つ、図24には一方のみが見える)を含む。
【0161】
図26は、形成ベース2204に取り付けて形成アセンブリ2209を形成するように位置付けられているバッテリトレイ2202の側面図である。図27図29は、形成ベース2204の第2のアセンブリコネクタ2218のうちの1つと、バッテリトレイ2202の第1のアセンブリコネクタ2213のうちの1つと、を係合させるプロセスを示している。形成ベース2204へのバッテリトレイ2202の接続中に、同じプロセスが、各第1のアセンブリコネクタ2213及び第2のアセンブリコネクタ2218について生じるであろう。図27に見られるように、バッテリトレイ2202は、第1のアセンブリコネクタ2213が第2のアセンブリコネクタ2218上に位置合わせされた状態で、形成ベース2204上に位置付けられる。この実施形態では、第1のアセンブリコネクタ2213は、長方形開口部であり、第2のアセンブリコネクタ2218は、支柱2704によってベース2702の上方に支持された回転可能な長方形バー2700を含む。この長方形バー2700は、第1のアセンブリコネクタ2213の長方形開口部を通って適合するようにサイズ設計され、支柱2704は、バッテリトレイのベース2302の厚さとほぼ同じ高さ、又はベース2702の上方にわずかに大きい高さにサイズ設計されている。形成アセンブリ2209の組み立てを開始するとき、第2のアセンブリコネクタ2218は、バッテリトレイを下げる(又は形成ベースを上げる)ときに、第1のアセンブリコネクタ2213の長方形開口部を通過して、そのバッテリトレイ及び形成ベースを接続することを可能にすることになる、第1の配向に長方形バーとともに配向される。形成ベース2702はまた、バッテリトレイ2202内の位置合わせ穴2708に対応する位置合わせ支柱2706の集団(そのうちの1つのみが、図27に示されている)も有する。バッテリトレイ2202が形成ベース2204上に位置付けられるとき、位置合わせ支柱2706は、位置合わせ穴の中に通過して、形成ベースとバッテリトレイとを位置合わせするのを助け、かつベース2702に平行な平面内の形成ベースに対するバッテリトレイの移動を制限する。
【0162】
図28では、バッテリトレイ2202は、形成ベース2204上に下げられており、第2のアセンブリコネクタ2218の長方形バー2700は、第1のアセンブリコネクタ2213の長方形開口部を通過している。長方形バー2700は、この時点で依然として第1の配向にあり、バッテリトレイ2202は、持ち上げられ、形成ベース2204から取り外すことができる。図29では、長方形バー2700は、第2の配向に回転されている。第2の配向では、第2のアセンブリコネクタ2218の長方形バー2700は、第1のアセンブリコネクタ2213の開口部を通過することができず、それによって、バッテリトレイ2202を形成ベース2204に固定する。第2の配向は、第1の配向から約90度であるが、2つの配向は、第1の配向に第1のアセンブリコネクタ2213の開口部を通って長方形バー2700の通過を可能にし、かつ第1のアセンブリコネクタ2213の開口部を通って長方形バー2700の通過を防止するのに十分な任意の角度だけ異なることができる。他の実施形態は、第1のアセンブリコネクタ及び第2のアセンブリコネクタのための、任意の他の好適なタイプのコネクタを使用してもよい。
【0163】
セル形成システム2200を使用するセル形成の1つの例示的な方法は、以下に説明される。セル形成システム2200は、セル形成の他の方法にも使用され得ることを理解されたい。
【0164】
まず、リチウム系二次バッテリ100の集団は、バッテリトレイ2202中に装填される。各バッテリ100は、導電性タブ508-1と、第1の端子124と、バッテリトレイのベース2302を通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置に延在する第2の端子125と、を有する、異なるバッテリスロット2212に装填される。次いで、バッテリトレイ2202は、充電ステーション2208に輸送され、そこでは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリ100が充電される。バッテリトレイ2202は、充電ステーション2208から取り外され、形成ベース2204は、バッテリトレイのベース2302の下側からバッテリトレイに取り付けられて、形成アセンブリ2209を形成する。形成アセンブリ2209は、形成ステーション2210に輸送され、形成アセンブリ2209内のリチウム系二次バッテリ100は、事前リチウム化モジュール2216を使用して事前リチウム化される。形成ベース2204は、事前リチウム化が完了した後、バッテリトレイ2202から取り外される。1つ以上の追加のプロセスが、バッテリトレイ2202内のリチウム系二次バッテリ100上で実施されてもよい。形成ベース2204は、追加のプロセスが実施されている間、再利用のために戻される。したがって、リチウム系二次バッテリ100の追加の集団は、追加のバッテリトレイ2202に装填することができ、上記のプロセスは、追加のバッテリトレイ2202及び形成ベース2204を伴って繰り返すことができる。
【0165】
一部の実施形態では、形成プロセスは、(セル形成システム2200を含むことができる)分散型形成システムによって実施され、その分散型形成システムでは、各二次バッテリ100は、別個の形成クラスタが接続される二次バッテリ100のための形成プロセスを実施する、その別個の形成クラスタに接続される。セル形成システム2200を使用する実施形態では、各二次バッテリ100のための別個の形成クラスタは、形成ベース2204に含まれてもよい。かかる実施形態では、充電及び放電は、形成ベース2204がバッテリトレイに取り付けられた状態で発生してもよく、又は形成ベース2204が取り付けられていない状態で、バッテリトレイ内で発生してもよい(例えば、充電モジュール及び放電モジュールは、バッテリトレイ内にあってもよく、事前リチウム化モジュールは、形成ベース内にあってもよい)。
【0166】
図30は、二次バッテリ100などのリチウム系二次バッテリのための例示的なセル形成システム3000のブロック図である。セル形成システムは、形成クラスタ3002の集団及び中央コントローラ3004を含む。各形成クラスタ3002は、二次バッテリ100に接続され、接続された二次バッテリ100に対して形成プロセスを実施する。
【0167】
形成クラスタ3002は、ネットワーク3006によって中央コントローラ3004に通信可能に結合される。ネットワーク3006は、形成クラスタ3002と中央コントローラ3004との間の通信に好適な任意のタイプの有線又は無線ネットワークであり得る。例えば、ネットワーク3006は、集積回路間(I2C)ネットワーク、コントローラエリアネットワーク(CAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)などであってもよい。図30では、同じネットワーク3006に接続されて示されているが、形成クラスタ3002及び中央コントローラ3004は、異なるネットワーク、又は同じ及び異なるネットワークの組み合わせに接続されてもよい。例えば、形成クラスタ3002のうちの一部は、第1のLANに接続されてもよく、形成クラスタのうちの一部は、第2のLANに接続されてもよく、第1及び第2のLANは、第1のLAN及び第2のLANの両方に接続されるWANを通して、中央コントローラ3004に接続されてもよい。
【0168】
各形成クラスタ3002は、配電網、発電機、太陽光発電システム、バッテリなどの電源3008に接続される。形成クラスタ3202は、電源3008からの電力を使用して、形成クラスタに電力を供給し、形成プロセスを実施する。図30では、同じ電源3008に接続されて例示されているが、セル形成システム3000内の形成クラスタ3002は、異なる電源に接続されてもよい。
【0169】
形成クラスタ3002のグループは、ハウジング3010によって支持される。ハウジング3010は、キャビネットなどのエンクロージャ、又はラックなどの開放支持体とすることができる。簡潔にするために、2つの形成クラスタ3002が1つのハウジング3010内に示され、かつ単一の形成クラスタ3002が別のハウジング内に示されているが、実際には、各ハウジング3010は、典型的には、10、25、50、100、250、又は1000個の形成クラスタなどのより多数の形成クラスタを支持するであろう。特に、中央コントローラ3004は、ハウジング3010及びそれらの形成クラスタ3002とは別個である(及びそれらから遠隔に配置されてもよい)。更に、ハウジング3010は、電源3008及びネットワーク3006へのアクセスを有する任意の場所に配置される限り、互いに異なる位置に配置されてもよい。更に、各ハウジング3010は、異なる数の形成クラスタ3002を支持することができる。
【0170】
図31は、例示的な形成クラスタ3002のブロック図である。形成クラスタ3002は、バッテリコネクタ3100と、充電モジュール3102と、事前リチウム化モジュール3104(緩衝モジュールと称されることもある)と、放電モジュール3106と、通信インターフェース3108と、形成クラスタコントローラ3110と、電力接続部3112と、電源ユニット(PSU)3113と、センサ3114と、を含む。
【0171】
バッテリコネクタ3100は、形成クラスタ3002を二次バッテリ100に接続する。バッテリコネクタ3100は、バッテリ上の同様のコネクタと嵌合するように構成されたコネクタ、クランプコネクタ(ワニ口クリップなど)、バッテリ及び形成クラスタ3002にはんだ付け又は溶接されたワイヤなどを含む、二次バッテリ100への接続に好適な任意のコネクタであってもよい。バッテリコネクタ3100は、二次バッテリ100の陽極及び陰極に接続するように構成される。一部の実施形態では、バッテリコネクタ3100はまた、形成クラスタ3002を補助極502に電気的に接続する。他の実施形態では、形成クラスタ3002は、形成クラスタ3002を補助極502に電気的に接続する、事前リチウム化コネクタと称される別個のコネクタを含む。一部の実施形態では、形成クラスタ3002は、2つ以上のバッテリコネクタ3100を含み、各バッテリコネクタは、形成クラスタのモジュールのうちの別個の1つに接続される。
【0172】
充電モジュール3102は、バッテリコネクタ3100に接続され、バッテリコネクタ3100に接続された二次バッテリ100を充電するように構成される。事前リチウム化モジュール3104は、バッテリコネクタ3100に接続され、リチウムキャリアイオンを二次バッテリ100の電極活性材料層(陰極活性材料層106及び/又は陽極活性材料層104)に拡散させるように構成されている。放電モジュール3106は、バッテリコネクタ3100に接続され、二次バッテリ100を放電するように構成されている。
【0173】
通信インターフェース3108は、形成クラスタ3002を中央コントローラ3004に接続する。通信インターフェース3108は、コントローラが直接又はネットワークを介して通信中央コントローラ3004と通信することを可能にする任意の有線又は無線通信インターフェースであってもよい。無線通信インターフェース3108は、無線周波数(RF)トランシーバ、Bluetooth(登録商標)アダプタ、Wi-Fiトランシーバ、ZigBee(登録商標)トランシーバ、赤外線(IR)トランシーバ、並びに/又は無線通信のための任意の他のデバイス及び通信プロトコル接続を含み得る。(Bluetoothは、ワシントン州カークランドのBluetooth Special Interest Groupの登録商標であり、ZigBeeは、カリフォルニア州サンラモンのZigBee Allianceの登録商標である。)有線通信インターフェース3108は、USB、RS232、I2C、SPI、アナログ、及び独自のI/Oプロトコルを含むがこれらに限定されない、直接通信のための任意の好適な有線通信プロトコルを使用することができる。一部の実施形態では、有線通信インターフェース3108は、コントローラが、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メッシュネットワーク、並びに/又はネットワークを介して遠隔デバイス及びシステムと通信するための任意の他のネットワークなどのネットワークに結合されることを可能にする、有線ネットワークアダプタを含む。
【0174】
形成クラスタコントローラ3110は、本明細書に記載されるように動作するように形成クラスタ3002の動作を制御する。形成クラスタは、プロセッサ3116及びメモリ3118を含む。プロセッサ3116は、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、及び本明細書で説明する機能を実行することが可能な任意の他の回路又はプロセッサを含む、任意のプログラマブルシステムである。メモリ3118は、本明細書で説明されるように、形成クラスタ3002の制御のためにプロセッサ3116によって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶する。メモリ3118は、限定はしないが、ダイナミックRAM(DRAM)又はスタティックRAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び不揮発性RAM(NVRAM)など、任意の好適なタイプのメモリであり得る。一部の実施形態では、プロセッサ3116及びメモリ3118は両方とも、マイクロコントローラ内に具現化される一方、他の実施形態では、プロセッサ3116及びメモリ3118は、別個の構成要素である。
【0175】
例示的な実施形態では、形成クラスタコントローラ3110は、モジュール3102、3104、及び3106の各々を直接制御するように(メモリ3118に記憶された命令によって)プログラムされる。すなわち、形成クラスタコントローラ3110は、二次バッテリ100を充電するための充電モジュールを制御し、二次バッテリ100を事前リチウム化(緩衝とも称される)するための事前リチウム化モジュール3104を制御し、二次バッテリ100を放電するための放電モジュール3106を制御するようにプログラムされる。形成クラスタコントローラ3110はまた、どのモジュールをいつ使用するべきかなど、形成プロセス全体を制御するようにもプログラムされる。
【0176】
他の実施形態では、モジュール3102、3104、及び3106のうちの1つ以上は、それ自体のモジュールコントローラ(プロセッサ及びメモリを有する)を含む。かかる実施形態では、形成クラスタコントローラ3110は、形成プロセス全体を制御するが、モジュールコントローラは、それらのモジュールの特定のタスクを制御する。例えば、形成クラスタコントローラ3110は、充電モジュール3102に、二次バッテリ100を充電するように命令してもよく、次いで、充電モジュール内のモジュールコントローラは、充電モジュールのモジュールコントローラのメモリ内に記憶された命令に従って、充電モジュールを制御して、二次バッテリ100を充電することになる。
【0177】
更なる実施形態では、形成クラスタ3002は、形成クラスタコントローラ3110を含まない。むしろ、モジュール3102、3104、及び3106の各々は、それ自体のモジュールコントローラを含む。かかる実施形態では、中央コントローラ3004は、形成プロセス全体を制御し、通信インターフェース3108を通してモジュールコントローラに命令を送信する。かかる実施形態では、形成クラスタ3002内の複数のモジュールコントローラは、分散型形成クラスタコントローラ3110とみなすことができる。
【0178】
種々のレベルの相互作用及び制御が、異なる実施形態では、中央コントローラ3004及び形成クラスタコントローラ3110によって実施され得る。例えば、一部の実施形態では、中央コントローラ3004は、単に、命令を形成クラスタ3002に送信し、形成プロセスを開始する。次いで、命令に応答して、形成クラスタコントローラ3110は、モジュール3102、3104、及び3106を制御して、形成プロセスを実施する。代替的に、命令に応答して、形成クラスタコントローラ3110は、モジュール3102、3104、及び3106に命令して、それらの機能を適切な時間に実施してもよい。他の実施形態では、中央コントローラ3004は、形成クラスタ3002に命令を送信して、形成プロセスの個々の部分(例えば、「ここでバッテリを充電する」)を実施し、形成クラスタコントローラ3110又はモジュールコントローラは、中央コントローラによって命令されたタスクを実施する。一部の実施形態では、中央コントローラ3004は、制御アルゴリズムを送信することを含む、形成タスクのうちの1つ以上をどのように実施するかについての命令を形成クラスタ3002に送信することができる。一部の実施形態では、形成クラスタコントローラ3110又はモジュールコントローラは、同じタスク(例えば、急速充電、低速充電、休止期間を伴う充電など)を実施する複数の方式のための命令を記憶してもよく、中央コントローラの命令は、どの方法を使用するべきかを形成クラスタ3002に命令してもよい。
【0179】
一部の実施形態では、中央コントローラ3004は、形成クラスタコントローラ3110又はモジュールコントローラのプログラミングをプログラム又は更新することができる。例えば、中央コントローラ3004は、制御アルゴリズムを形成クラスタ3002に送信することができ、形成クラスタコントローラ3110及び/又はモジュールコントローラは、制御アルゴリズムをそれぞれのメモリに記憶することができる。他の実施形態では、中央コントローラは、変数の変更、タイミングの変更などの、形成クラスタに既に記憶されている制御アルゴリズムの修正を送信することができる。次いで、形成クラスタコントローラ3110又はコントローラモジュールは、形成プロセスで使用するための修正をメモリ内に記憶する。
【0180】
形成クラスタコントローラ3110はまた、一部の実施形態では、情報を中央コントローラ3004に返信する。中央コントローラ3004に送信される情報は、命令が受信されたという確認、命令されたプロセスが開始したという確認、実施されている動作の状態、センサ3114から収集されたデータ、又は任意の他の好適な情報を含み得る。
【0181】
電力接続部3112は、形成クラスタ3002を電源3008に接続する。3100は、電源3008への接続のために好適な任意のコネクタとすることができ、そのコネクタには、電源の嵌合ソケットに挿入するように構成されたプラグ、電源にはんだ付け又は溶接されたワイヤ、電源の端子又はワイヤにクランプするためのクランプコネクタなどが含まれる。PSU3113は、形成プロセスで使用するために、電源からの電力を形成クラスタ3002の残りの部分に変換及び/又は分配する。PSU3113は、AC/DC電力変換器、DC/DC電力変換器、インバータ、又は電力を変換し、かつ/若しくは電力を形成クラスタに分配するのに好適な任意の他のユニットであってもよい。一部の実施形態は、PSUを含まず、電源3008からの電力を直接利用する。
【0182】
センサ3114は、形成プロセスにとって重要な変数を監視することができる任意のセンサである。例えば、センサ3114としては、二次バッテリ100の電圧を監視するための電圧センサ、形成クラスタ3002の周囲の温度を監視するための周囲温度センサ、バッテリアセンブリ、又は形成クラスタの構成要素の温度を監視するための温度センサ、バッテリアセンブリの中に、そこから外へ、又はそれを通して流動する電流を監視するための電流センサなどであってもよい。一部の実施形態は、前述のセンサの組み合わせを含む、2つ以上のセンサ3114を含む。更に、一部のセンサ3114は、上述の監視タスクのうちの2つ以上を実施することができる。
【0183】
セル形成システム3000のモジュール式及び分散型の性質は、システムが所望に応じて容易に拡張又は収縮されることを可能にする。設定された数のバッテリを一度に形成するように構成された従来の集中型システムとは異なり、システム3000は、単により多くの形成モジュールを追加する(わずか1つの追加のバッテリだけバッテリの数を増加させることを含む)ことによって、任意の数のバッテリに拡張することができる。従来の集中型システムでは、形成されるバッテリの数の増加は、追加のシステムの取得と、(取得される集中型システムのサイズ及び構成によって決定される)ある設定された数のバッテリの増加とを必要としている。更に、集中型システムは、典型的には、制御された電力及び通信を追加のバッテリに提供するために、各追加のバッテリに対してかなりの追加の配線を走らせることを必要としている。対照的に、セル形成システム3000は、追加の形成モジュール3002を電源及び既存の通信ネットワークに接続することのみを必要とする。システム3000内のセル形成クラスタ3002は、中央コントローラ3004が各クラスタの構成を認識している限り、全て同じである必要はない。更に、中央コントローラ3004又は形成クラスタコントローラ3110が、どの二次バッテリ100が形成クラスタに接続されているかを認識している限り、システム3000内のセル形成クラスタ3002を使用して、異なる時間に又は同時に、異なるバッテリを形成することができる。
【0184】
図32は、セル形成クラスタ3002で使用するための例示的な事前リチウム化モジュール3104のブロック図である。上述したように、事前リチウム化モジュール3104は、二次バッテリ100の電極活性材料層にリチウムを拡散させるように構成されている。事前リチウム化モジュール3104は、スイッチトキャパシタ回路3200と、事前リチウム化モジュールコントローラ3202と、バッテリコネクタ3204と、事前リチウム化コネクタ3206と、通信インターフェース3208と、を含む。
【0185】
スイッチトキャパシタ回路3200は、スイッチト抵抗器-キャパシタネットワークである。スイッチトキャパシタ回路3200は、図33を参照して以下でより詳細に説明される。概して、第1の段階では、回路に電流を流してキャパシタネットワークを充電することが可能であり、次いで、第2の段階では、キャパシタネットワークに蓄積されたエネルギーは、放電抵抗器を介して放電され、熱として放出される。事前リチウム化モジュール3104において、キャパシタネットワークを充電するために流れることが可能である電流は、補助極502から二次バッテリ100の電極活性材料層にリチウムを拡散させるための、補助極と、二次バッテリ100の電極のうちの一方との間の電流である。
【0186】
事前リチウム化モジュールコントローラ3202は、事前リチウム化モジュール3104の動作を制御して、補助極502に選択的に電流を流してバッテリアセンブリの電極活性材料層にリチウムを拡散させることによって、二次バッテリ100を事前リチウム化する。事前リチウム化モジュールコントローラ3202は、プロセッサ3210及びメモリ3212を含む。このメモリ3212は、プロセッサ3210によって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載されるような事前リチウム化を実施させる命令を記憶する。プロセッサ3210は、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、及び本明細書で説明する機能を実行することが可能な任意の他の回路又はプロセッサを含む、任意のプログラマブルシステムである。メモリ3212は、限定はしないが、ダイナミックRAM(DRAM)又はスタティックRAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び不揮発性RAM(NVRAM)など、任意の好適なタイプのメモリであり得る。一部の実施形態では、プロセッサ3210及びメモリ3212は、両方とも、マイクロコントローラ内に具現化される一方、他の実施形態では、プロセッサ及びメモリは、別個の構成要素である。
【0187】
バッテリコネクタ3204は、事前リチウム化モジュール3104を二次バッテリ100に接続する。バッテリコネクタ3204は、バッテリコネクタ3100であってもよく、又は事前リチウム化モジュール3104のみに接続された別個のバッテリコネクタであってもよい。バッテリコネクタ3204は、二次バッテリ100への接続に好適な任意のコネクタであってもよく、そのコネクタには、バッテリ上の同様のコネクタと嵌合するように構成されたコネクタ、クランプコネクタ(ワニ口クリップなど)、バッテリ及び事前リチウム化モジュール3104にはんだ付け又は溶接されたワイヤなどが含まれる。バッテリコネクタ3204は、二次バッテリ100の陽極及び陰極に接続するように構成される。
【0188】
事前リチウム化コネクタ3206は、事前リチウム化モジュール3104を二次バッテリ100の補助極502に接続する。事前リチウム化コネクタ3204は、二次バッテリ100への接続に好適な任意のコネクタであってもよく、そのコネクタには、バッテリ上の同様のコネクタと嵌合するように構成されたコネクタ、クランプコネクタ(ワニ口クリップなど)、バッテリ及び事前リチウム化モジュール3104にはんだ付け又は溶接されたワイヤなどが含まれる。一部の実施形態では、事前リチウム化コネクタ3206は、バッテリコネクタ3100の一部である。
【0189】
通信インターフェース3208は、事前リチウム化モジュール3104を中央コントローラ3004に接続する。通信インターフェース3208は、通信インターフェース3108であってもよく、又は別個の通信インターフェースであってもよい。通信インターフェース3208は、事前リチウム化モジュール3104が中央コントローラ3004と直接通信することを可能にし得るか、又は事前リチウム化モジュール3104が、例えば、形成クラスタコントローラ3110を介して、中央コントローラと間接的に通信することを可能にし得る。通信インターフェース3208は、コントローラが直接又はネットワークを介して通信中央コントローラ3004と通信することを可能にする任意の有線又は無線通信インターフェースであってもよい。無線通信インターフェース3208は、無線周波数(RF)トランシーバ、Bluetooth(登録商標)アダプタ、Wi-Fiトランシーバ、ZigBee(登録商標)トランシーバ、赤外線(IR)トランシーバ、並びに/又は無線通信のための任意の他のデバイス及び通信プロトコル接続を含み得る。(Bluetoothは、ワシントン州カークランドのBluetooth Special Interest Groupの登録商標であり、ZigBeeは、カリフォルニア州サンラモンのZigBee Allianceの登録商標である。)有線通信インターフェース3208は、USB、RS232、I2C、SPI、アナログ、及び独自のI/Oプロトコルを含むがこれらに限定されない、直接通信のための任意の好適な有線通信プロトコルを使用することができる。一部の実施形態では、有線通信インターフェース3108は、コントローラが、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メッシュネットワーク、並びに/又はネットワークを介して遠隔デバイス及びシステムと通信するための任意の他のネットワークなどのネットワークに結合されることを可能にする、有線ネットワークアダプタを含む。
【0190】
図33は、二次バッテリ100に接続されたスイッチトキャパシタ回路3200の例示的な実施形態の簡略化された回路図である。スイッチトキャパシタ回路は、マイクロコントローラ3300と、蓄積キャパシタ3302と、放電抵抗器3304と、第1のスイッチ3306と、第2のスイッチ3308と、を含む。
【0191】
マイクロコントローラ3300は、そのメモリに記憶された制御アルゴリズムに従ってスイッチトキャパシタ回路を制御する。例示的な実施形態では、マイクロコントローラ3300は、事前リチウム化モジュールコントローラ3202でもある。他の実施形態では、事前リチウム化モジュールコントローラ3202は、マイクロコントローラ3300とは別個である。例示的な実施形態では、マイクロコントローラは、米国アリゾナ州チャンドラーのMicrochip Technology Inc.のPIC 16F15323マイクロコントローラである。他の実施形態では、任意の他の好適なマイクロコントローラが使用されてもよい。この実施形態では、マイクロコントローラ502は、PSU3113を介して電源3008によって電力供給される。
【0192】
マイクロコントローラ3300は、第1のスイッチ3306及び第2のスイッチ3308を制御することによって、補助極502を通して電流を選択的に伝導させることによって、二次バッテリ100の事前リチウム化を制御する。第1のスイッチ3306は、NチャネルエンハンスメントモードMOSFETであり、第2のスイッチ3308は、PチャネルエンハンスメントモードMOSFETである。他の実施形態は、任意の他の好適なスイッチを使用してもよい。第1のスイッチ3306を閉じ、かつ第2のスイッチ3304を開くことによって、マイクロコントローラ3300は、二次バッテリ100の陰極バスバー112から第1のスイッチ3306を通って補助極に至る第1の電流経路を形成する。第1の電流経路は、蓄積キャパシタ3302を含む。第1の電流経路に電流が流れると、リチウムが、補助極502からバッテリアセンブリの電極活性材料層に拡散し、エネルギーが、蓄積キャパシタに蓄積される。次に、マイクロコントローラ3300は、第2のスイッチ3308を閉じ、第1のスイッチ3306を開いて、第2の電流経路を確立する。第2の電流経路は、蓄積キャパシタ3302、放電抵抗器、及び第2のスイッチ3308を含む。電流が第2の電流経路を通って流れると、キャパシタ3302に蓄積されたエネルギーは、放電抵抗器3304を介して放電され、熱として放出される。
【0193】
例示的な実施形態では、リチウムは、補助極502から正極の電極活性材料層に移動する。他の実施形態では、この拡散は、第1の電流ループが陰極バスバー112の代わりに陽極バスバー110を含むようにスイッチトキャパシタ回路3200を接続することによって、負極の電極活性材料層に対するものである。更に他の実施形態では、スイッチトキャパシタ回路3200は、一方が陽極バスバー110を含み、他方が陰極バスバー112を含む、2つの第1の電流ループが存在するように、二重化されてもよい。かかる実施形態は、単一の事前リチウム化モジュール3104が、二次バッテリ100及び補助極への接続を再構成するために形成プロセスを停止する必要がなく、かつ2つの別個の事前リチウム化モジュールを使用する必要もなく、補助極502から二次バッテリの正極及び負極の活性材料層にリチウムを移動させることを可能にする。
【0194】
スイッチトキャパシタ回路3200を使用する二次バッテリ100の事前リチウム化は、概して、バッテリアセンブリの1つの小さなパケットから電荷を、高速で一度に引き出す。したがって、平均電流は、以下によって示されるように、パケット充電/放電の周波数にクーロン単位のパケットサイズを掛けたものに等しい。
【数1】
移動する総電荷は、全ての電荷パケットの和であり、以下の式で与えられる。
【数2】
【0195】
スイッチトキャパシタ回路3200を制御するために、マイクロコントローラ3300は、第1のスイッチ3306及び第2のスイッチ3308へのパルス周波数変調(PFM)制御信号を使用する。PFMは、固定された幅を有するパルス(すなわち、各パルスがある固定された長さの時間にある)であって、パルス間の時間が可変であるパルスにより記述される。パルス間の時間は、電荷移動のための異なる周波数をもたらすように変更される。パケットが速く移動するほど(すなわち、固定幅パルスの周波数が短く高いほど)、補助極502を通って伝導される電流は高くなる。逆に、パルスの周波数が低いほど(すなわち、パルス間の時間が長いほど)、補助極を通って伝導される電流は低くなる。補助極を通して伝導される電流の上限は、スイッチトキャパシタ回路3200のRC回路素子の整定時間によって決定される。したがって、スイッチ33060及び3304への制御パルスの周波数を変動させることによって、マイクロコントローラ3300は、補助極502を通して流動する電流を制御することができる。他の実施形態では、マイクロコントローラ3300は、第1のスイッチ3306及び第2のスイッチ3308へのパルス幅変調(PWM)制御信号を使用する。PWM制御では、パルスは固定周波数で発生するが、各パルスの長さを変化させて移動する電荷の量を制御し、電流の量を制御することができる。
【0196】
図34Aは、時間の関数としてスイッチ3306及び3308に印加される一連のPFM制御パルスのグラフである。分かるように、一連のパルスの第1の部分3400では、固定幅パルスは、一連のパルスの第2の部分3402よりも高い周波数で印加される。図34Bは、時間の関数として、図34Aに示される制御パルスに応答して、補助極502を通る結果として生じる電流のグラフである。電流は、第1の部分3400の間に第1の最大電流3404まで鋸歯状パターンで増加する。パルスの周波数が第2の部分3402において低減されるとき、補助極502を通る電流は、第1の最大電流よりも低い第2の最大電流3406まで減少する。
【0197】
図35は、二次バッテリ100に接続されたスイッチトキャパシタ回路3200の例示的な実施態様の回路図である。同様の構成要素は、図33のそれらの対応する構成要素を伴う参照番号を共有する。この実施形態では、マイクロコントローラ3300は、PSU3113ではなく、二次バッテリ100によって電力供給される。マイクロコントローラ3300は、活性状態であるときを除くほとんどの状況において、概ね50nA~100nAの範囲の小さな漏れをバッテリアセンブリ上に提示する。
【0198】
事前リチウム化プロセス中に、マイクロコントローラ3300は、二次バッテリ100の陰極の電圧、及び補助極502における電圧Vを監視する。陰極電圧Vを測定するために、マイクロコントローラ3300のピンRC3は、この回路の基準点とみなされるバッテリアセンブリの陽極に対してローに駆動される。これにより分圧器が形成され、電圧Vがマイクロコントローラ3300のピンRA0で読み出される。次いで、陰極電圧Vは、マイクロコントローラ3300によって以下のように計算される。
【数3】
補助極ノードにおける電圧Vを測定することは、ノードが、マイクロコントローラ3300のための負の基準である陽極に対して負であり得るため、少し問題が生じる。したがって、マイクロコントローラ3300のピンRC3は、陰極に対してハイに結合され、この状況における分圧器は、電圧をより高く、理想的には陽極基準よりも高く引き上げる。電圧Vy及びVxは、ピンRA0及びRC2によって読み取られる。補助極ノードにおける電圧Vは、次のように計算される。
【数4】
抵抗器R1~R4が全て同じ抵抗値を有する場合、これは以下の極めて簡略化された関係をもたらす。
及び
測定していないとき、ピンRC3はHiZ(フローティング)に保たれ、抵抗分割器を通る電流はない。
【0199】
電圧を測定するとき、マイクロコントローラ3300は、測定の安定性を高めるためにフィルタリングを使用してもよい。例えば、マイクロコントローラ3300は、測定安定性を向上させるために、デシメーション、非線形IIRフィルタリング、又はかかる信号処理の一部の組み合わせを使用してもよい。フィルタリングは、データがマイクロコントローラ3300の管理機能によって消費される前に、分解能を改善し、ノイズを低減することができる。これは、別様で測定に影響を及ぼし得る任意の外部工場ノイズにかかわらず、比較的クリーンな意思決定を提供する。事前リチウム化は、比較的遅いプロセス(しばしば、数十時間を必要とする)であるため、かなり重要な信号処理が、時間に関して多くの懸念なしに使用され得る。
【0200】
図36A図36Cは、二次バッテリ100の事前リチウム化を実施するための、マイクロコントローラ3300によって使用される例示的な事前リチウム化プロファイルのグラフである。図36Aは、緩衝電流(すなわち、補助極502を通る電流)を、二次バッテリ100の陰極と補助極との間のミリボルト(mV)単位の電圧差の関数として示すグラフである。図36Bは、二次バッテリ100の陰極と補助極との間のmV単位の電圧差の関数としてのパルスの周期を示すグラフである。図36Cは、二次バッテリ100の陰極と補助極との間のmV単位の電圧差の関数としてのパルス数を示すグラフである。当然ながら、異なる容量及び/又は異なる充電電圧上限を有するバッテリアセンブリ100に対して、異なるプロファイルを使用してもよい。
【0201】
図36A図36Cに示される事前リチウム化プロファイルは、二次バッテリ100を事前リチウム化するために、図33に示されるスイッチトキャパシタ回路3200の実施態様とともに使用された。このプロセスの結果は、図37A及び図37Bに示されている。図37Aは、時間の関数としての陰極-陽極間電圧3700及び陰極-補助極間電圧3702のグラフである。図37Bは、時間の関数としての緩衝電流のグラフである。
【0202】
本開示の実施形態は、補助極を利用して、二次バッテリの初期形成中又は初期形成後に、キャリアイオンを二次バッテリに移動させるか又は緩衝する。キャリアイオンを二次バッテリに移動させること(事前リチウム化又は緩衝とも称される)は、例えばSEIによる形成中のキャリアイオン損失を軽減し、それによって二次バッテリの容量を改善するという技術的利点を提供する。更に、キャリアイオンを二次バッテリに移動又は緩衝することは、二次バッテリの負極に、二次バッテリの正極クーロン容量を超える追加のキャリアイオンを提供し、それによって、二次バッテリのサイクル寿命にわたって追加のキャリアイオンのリザーバを提供し、キャリアイオンをサイクル中の利用可能性から除去する副反応によるサイクル中のキャリアイオン損失を更に軽減する。負極における追加のキャリアイオンの結果は、1つの放電-充電サイクルから次のサイクルへの二次バッテリにおける容量損失の量を減少させ、それによってサイクル寿命中の二次バッテリの全体的な容量を向上させるという更なる技術的利点を提供する。
【0203】
以下の実施形態は、本開示の種々の態様を例示するために提供される。以下の実施形態は、限定することを意図するものではなく、したがって、本開示は、以下に具体的に提供されない他の態様及び/又は実施形態を更にサポートする。
【0204】
実施形態1.リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムであって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、補助極と、二重層の集団、電極バスバー、対極バスバー、及び補助極を囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、補助極に電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する導電性タブと、を備え、二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、セル形成システムは、側面の集団、及び側面の集団に接続されたベースを有するバッテリトレイであって、バッテリトレイは、ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、第1の端子、第2の端子、及び導電性タブがバッテリトレイのベースを通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、バッテリトレイと、バッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに取り付けるように構成された形成ベースであって、形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、導電性タブ、並びにバッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、形成ベースと、を備える、セル形成システム。
【0205】
実施形態2.形成ベースは、支持体の集団を備え、事前リチウム化モジュールの集団は、支持体の集団上に形成され、支持体の集団の各支持体は、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続されている、実施形態1に記載のセル形成システム。
【0206】
実施形態3.支持体の集団の各支持体は、2つ以上の事前リチウム化モジュールを含む、実施形態2に記載のセル形成システム。
【0207】
実施形態4.支持体の集団の各支持体は、1つの事前リチウム化モジュールを含む、実施形態2に記載のセル形成システム。
【0208】
実施形態5.各事前リチウム化モジュールは、スイッチトキャパシタ回路を備える、実施形態1~4のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0209】
実施形態6.各事前リチウム化モジュールは、そのスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを含み、各事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、メモリは、スイッチトキャパシタ回路を動作させて、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を選択的に伝導させるように、事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、実施形態5に記載のセル形成システム。
【0210】
実施形態7.形成ベースは、2つ以上のスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを備え、事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、メモリは、スイッチトキャパシタ回路を動作させて、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を各々選択的に伝導させるように、事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、実施形態5に記載のセル形成システム。
【0211】
実施形態8.バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、形成ベースは、バッテリトレイを形成ベースに機械的に接続するように、第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0212】
実施形態9.第1のアセンブリコネクタは、バッテリトレイのベース内に長方形スロットを備え、第2のアセンブリコネクタは、形成ベースから延在し、かつバッテリトレイのベース内の長方形スロットよりも小さい長方形寸法を有する、回転可能な長方形バーを備える、実施形態8に記載のセル形成システム。
【0213】
実施形態10.バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールを含む充電ステーションを更に備え、充電ステーションは、形成ベースが取り付けられていないバッテリトレイを受容するように構成され、充電ステーションは、充電モジュールに電気的に接続された充電コネクタグループの集団を含み、コネクタグループの集団の各充電コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子との電気接触を行うように構成されている、実施形態1~9のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0214】
実施形態11.バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールの集団を含む充電ステーションを更に備え、充電ステーションは、形成ベースが取り付けられていないバッテリトレイを受容するように構成され、充電ステーションは、異なる充電モジュールに各々電気的に接続された充電コネクタグループの集団を含み、コネクタグループの集団の各充電コネクタグループは、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子との電気接触を行うように構成されている、実施形態1~9のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0215】
実施形態12.バッテリスロットの集団は、120個のバッテリスロットからなる、実施形態1~11のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0216】
実施形態13.リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムの方法であって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、補助極と、二重層の集団、電極バスバー、対極バスバー、及び補助極を囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、補助極に電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する導電性タブと、を備え、二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、方法は、(i)リチウム系二次バッテリの集団をバッテリトレイ中に装填することであって、バッテリトレイは、側面の集団と、側面の集団に接続されたベースと、を有し、バッテリトレイは、ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、第1の端子、第2の端子、及び導電性タブがバッテリトレイのベースを通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、リチウム系二次バッテリの集団のうちの1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、装填することと、(ii)形成アセンブリを形成するように、バッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに形成ベースを取り付けることであって、形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、導電性タブ、並びにバッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、取り付けることと、(iii)形成アセンブリを形成ステーション内に位置付けることと、(iv)事前リチウム化モジュールを使用して、形成アセンブリ内のリチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、(v)形成ベースをバッテリトレイから除去することと、(vi)バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団に対して追加のプロセスを実施することと、を含む、方法。
【0217】
実施形態14.(vii)リチウム系二次バッテリの追加の集団を追加のバッテリトレイ中に装填することと、(viii)追加の形成アセンブリを形成するように、形成ベースを追加のバッテリトレイに取り付けることと、(ix)追加の形成アセンブリを形成ステーション内に位置付けることと、(x)事前リチウム化モジュールを使用して、追加の形成アセンブリ内のリチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、(xi)形成ベースを、追加のバッテリトレイから除去することと、を更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0218】
実施形態15.(i)の後、かつ(ii)の前に、(i’)バッテリトレイを充電ステーション内に位置付けることと、(i”)バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団を充電することと、(i’’’)バッテリトレイを、充電ステーションから除去することと、を更に含む、実施形態13又は実施形態14に記載の方法。
【0219】
実施形態16.(i)リチウム系二次バッテリの集団をバッテリトレイ中に装填することは、120個のリチウム系二次バッテリをバッテリトレイ中に装填することを含む、実施形態13~15のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
実施形態17.バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、形成ベースは、バッテリトレイを形成ベースに機械的に接続するように、第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含み、(ii)形成アセンブリを形成するように、形成ベースをバッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに取り付けることは、バッテリトレイを形成ベースの上部に位置付け、かつ第2のアセンブリコネクタを第1のアセンブリコネクタに係合するように、第2のアセンブリコネクタを作動させること、を含む、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
実施形態18.リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムであって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、補助極と、二重層の集団、電極バスバー、対極バスバー、及び補助極を囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、補助極に電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する導電性タブと、を備え、二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、セル形成システムは、側面の集団、及び側面の集団に接続されたベースを有するバッテリトレイであって、バッテリトレイは、ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、第1の端子、第2の端子、及び導電性タブがバッテリトレイのベースを通ってバッテリトレイのベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、バッテリトレイと、バッテリトレイのベースの下側からバッテリトレイに取り付けるように構成された形成ベースであって、形成ベースは、コネクタグループの集団であって、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、導電性タブ、並びにバッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成されている、コネクタグループの集団と、形成クラスタの集団であって、各形成クラスタは、コネクタグループのうちの1つに接続され、かつコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールと、コネクタグループのうちの1つに接続され、かつコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成された事前リチウム化モジュールと、コネクタグループのうちの1つに接続され、かつコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリを放電させるように構成された放電モジュールと、を含む、形成クラスタの集団と、を含む、形成ベースと、を備える、セル形成システム。
【0222】
実施形態19.形成ベースは、支持体の集団を備え、集団形成クラスタは、支持体の集団上に形成され、支持体の集団の各支持体は、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続されている、実施形態18に記載のセル形成システム。
【0223】
実施形態20.支持体の集団の各支持体は、形成クラスタよりも多く含む、実施形態19に記載のセル形成システム。
【0224】
実施形態21.支持体の集団の各支持体は、1つの形成クラスタを含む、実施形態19に記載のセル形成システム。
【0225】
実施形態22.各事前リチウム化モジュールは、スイッチトキャパシタ回路を備える、実施形態18~21のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0226】
実施形態23.各事前リチウム化モジュールは、そのスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを含み、各事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、メモリは、スイッチトキャパシタ回路を動作させて、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を選択的に伝導させるように、事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、実施形態22に記載のセル形成システム。
【0227】
実施形態24.形成ベースは、2つ以上のスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを備え、事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、メモリは、スイッチトキャパシタ回路を動作させて、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を各々選択的に伝導させるように、事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、実施形態22に記載のセル形成システム。
【0228】
実施形態25.バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、形成ベースは、バッテリトレイを形成ベースに機械的に接続するように、第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含む、実施形態18~24のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0229】
実施形態26.第1のアセンブリコネクタは、バッテリトレイのベース内に長方形スロットを備え、第2のアセンブリコネクタは、形成ベースから延在し、かつバッテリトレイのベース内の長方形スロットよりも小さい長方形寸法を有する、回転可能な長方形バーを備える、実施形態25に記載のセル形成システム。
【0230】
実施形態27.バッテリスロットの集団は、120個のバッテリスロットからなる、実施形態18~26のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0231】
実施形態28.バッテリスロットの集団は、バッテリトレイ内に一体的に形成されている、実施形態18~27のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0232】
実施形態29.バッテリスロットの集団は、バッテリトレイに取り外し可能に取り付けられている、実施形態18~27のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0233】
実施形態30.リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムの方法であって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、補助極と、二重層の集団、電極バスバー、対極バスバー、及び補助極を囲むエンクロージャと、電極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第1の端子と、対極バスバーに電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する第2の端子と、補助極に電気的に接続され、かつエンクロージャから延在する導電性タブと、を備え、二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、二重層集団の各部材の電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、二重層集団の各部材の対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、方法は、(i)第1の場所において、各々がリチウム系二次バッテリの集団を有するバッテリトレイの集団を装填することであって、各バッテリトレイは、第1の端子、第2の端子、及び導電性タブがバッテリトレイを通ってバッテリトレイの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、リチウム系二次バッテリのその集団を保持するように構成されている、装填することと、(ii)バッテリトレイの集団を、少なくとも1つの充電ステーションを有する第2の場所に輸送することと、(iii)バッテリトレイを充電ステーション内に位置付けることと、(iv)充電ステーションにおいて、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団を充電することと、(v)バッテリトレイを充電ステーションから除去することと、(vi)バッテリトレイに形成ベースの集団を取り付けることであって、各バッテリトレイは、それに取り付けられた異なる形成ベースを有し、各形成ベースは、コネクタグループの集団及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、コネクタグループの集団の各コネクタグループは、導電性タブ、並びにバッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの第1の端子及び第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、事前リチウム化モジュールが電気的に接続されているコネクタグループに接続されたリチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、取り付けることと、(vii)取り付けられた形成ベースを有するバッテリトレイを、少なくとも1つの形成ステーションを有する第3の場所に輸送することと、(viii)取り付けられた形成ベースを有するバッテリトレイを、形成ステーション内に位置付けることと、(ix)形成ベース内の事前リチウム化モジュールを使用して、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団を緩衝することと、(x)取り付けられた形成ベースを有するバッテリトレイを、形成ステーションから除去することと、(xi)形成ベースをバッテリトレイから除去することと、(xii)バッテリトレイを第4の場所に輸送することと、(xiii)第4の場所において、バッテリトレイ内のリチウム系二次バッテリの集団に対して追加のプロセスを実施することと、を含む、方法。
【0234】
実施形態31.(xiv)第1の場所において、各々追加のリチウム系二次バッテリの集団を有する追加のバッテリトレイの集団を装填することと、(xv)追加のバッテリトレイの集団を、第2の場所に輸送することと、(xvi)追加のバッテリトレイを、充電ステーション内に位置付けることと、(xvii)充電ステーションにおいて、追加のバッテリトレイ内の追加のリチウム系二次バッテリの集団を充電することと、(xviii)追加のバッテリトレイを、充電ステーションから除去することと、(xix)形成ベースを、追加のバッテリトレイの集団に取り付けることと、(xv)(vii)~(x)を、取り付けられた形成ベースを有する追加のバッテリトレイについて繰り返すことと、を更に含む、実施形態30に記載の方法。
【0235】
実施形態32.バッテリスロットの集団は、バッテリトレイ内に一体的に形成されている、実施形態1~12のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0236】
実施形態33.バッテリスロットの集団は、バッテリトレイに取り外し可能に取り付けられている、実施形態1~12のいずれか1つに記載のセル形成システム。
【0237】
この書面による明細書は、例を使用して、最良の態様を含む発明を開示し、かつ当業者が、任意のデバイス又はシステムの作製及び使用並びに任意の組み込まれた方法の実施を含む、本発明を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また、当業者に着想される他の例を含み得る。かかる他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない差を伴う均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。
図1
図2
図3
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図5
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図30
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図34A
図34B
図35
図36A
図36B
図36C
図37A
図37B
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム系二次バッテリのためのセル形成システムであって、各リチウム系二次バッテリは、二重層の集団と、電極バスバーと、対極バスバーと、前記二重層の集団、前記電極バスバー、及び前記対極バスバーを囲むエンクロージャと、前記電極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第1の端子と、前記対極バスバーに電気的に接続され、かつ前記エンクロージャから延在する第2の端子と、を備え、前記二重層の集団のうちの各二重層は、電極構造と、セパレータ構造と、対極構造と、を備え、前記二重層集団の各部材の前記電極構造は、電極電流コレクタ及び電極活性材料層を備え、前記二重層集団の各部材の前記対極構造は、対極電流コレクタ及び対極活性材料層を備え、前記セル形成システムは、
側面の集団、及び前記側面の集団に接続されたベースを有するバッテリトレイであって、前記バッテリトレイは、前記ベースの上側にバッテリスロットの集団を含み、前記バッテリスロットの集団の各バッテリスロットは、前記第1の端子及び前記第2の端子が前記バッテリトレイの前記ベースを通って前記バッテリトレイの前記ベースの下側からアクセス可能な位置まで延在する状態で、1つのリチウム系二次バッテリを保持するように構成されている、バッテリトレイと、
前記バッテリトレイの前記ベースの前記下側から前記バッテリトレイに取り付けるように構成された形成ベースであって、前記形成ベースは、コネクタグループの集団、及び事前リチウム化モジュールの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子のうちの少なくとも1つとの電気接触を行うように構成され、前記事前リチウム化モジュールの集団の各事前リチウム化モジュールは、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続され、各事前リチウム化モジュールは、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの電極活性材料にリチウムを拡散させるように構成されている、形成ベースと、を備える、セル形成システム。
【請求項2】
前記形成ベースは、支持体の集団を備え、前記事前リチウム化モジュールの集団は、前記支持体の集団上に形成され、前記支持体の集団の各支持体は、少なくとも1つのコネクタグループに電気的に接続されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項3】
前記支持体の集団の各支持体は、2つ以上の事前リチウム化モジュールを含む、請求項2に記載のセル形成システム。
【請求項4】
前記支持体の集団の各支持体は、1つの事前リチウム化モジュールを含む、請求項2に記載のセル形成システム。
【請求項5】
各事前リチウム化モジュールは、スイッチトキャパシタ回路を備える、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項6】
各事前リチウム化モジュールは、そのスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを含み、各事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記スイッチトキャパシタ回路を動作させて、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの前記電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を選択的に伝導させるように、前記事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、請求項5に記載のセル形成システム。
【請求項7】
前記形成ベースは、2つ以上のスイッチトキャパシタ回路に接続された事前リチウム化モジュールコントローラを備え、前記事前リチウム化モジュールコントローラは、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記スイッチトキャパシタ回路を動作させて、前記事前リチウム化モジュールが電気的に接続されている前記コネクタグループに接続された前記リチウム系二次バッテリの前記電極活性材料層にリチウムを拡散させるための電流を各々選択的に伝導させるように、前記事前リチウム化モジュールコントローラをプログラムする命令を記憶する、請求項5に記載のセル形成システム。
【請求項8】
前記バッテリトレイは、第1のアセンブリコネクタを含み、前記形成ベースは、前記バッテリトレイを前記形成ベースに機械的に接続するように、前記第1のアセンブリコネクタと嵌合して係合するように構成された第2のアセンブリコネクタを含む、請求項1に記載のセル形成システム。
【請求項9】
前記第1のアセンブリコネクタは、前記バッテリトレイの前記ベース内に長方形スロットを備え、前記第2のアセンブリコネクタは、前記形成ベースから延在し、かつ前記バッテリトレイの前記ベース内の前記長方形スロットよりも小さい長方形寸法を有する、回転可能な長方形バーを備える、請求項8に記載のセル形成システム。
【請求項10】
前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリを充電するように構成された充電モジュールを含む充電ステーションを更に備え、前記充電ステーションは、前記形成ベースが取り付けられていない前記バッテリトレイを受容するように構成され、前記充電ステーションは、前記充電モジュールに電気的に接続された充電コネクタグループの集団を含み、前記コネクタグループの集団の各充電コネクタグループは、前記バッテリトレイ内の前記リチウム系二次バッテリのうちの異なる1つの前記第1の端子及び前記第2の端子との電気接触を行うように構成されている、請求項1に記載のセル形成システム。
【国際調査報告】