(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コロナウイルス疾患を処置する方法及びそのための化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20250109BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20250109BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P31/12
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539436
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022082557
(87)【国際公開番号】W WO2023130026
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523166359
【氏名又は名称】スカイマウント メディカル ユーエス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520061826
【氏名又は名称】ザ ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステート ユニバーシティ アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベス,アダム
(72)【発明者】
【氏名】バーグリンド,フレジ,クヌート,ゴスタ
(72)【発明者】
【氏名】ムコッパッダーエ,スプラティク
(72)【発明者】
【氏名】ワサン,キショー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ガリアーノ,クリス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
COVID-19及び/又はその関連する症状の処置における使用のためのトポテカン。また、コロナウイルスに感染した個人を処置する方法であって、トポテカンを提供するステップと、前記トポテカンを、コロナウイルス感染と関連する危険性及び/又は症状を予防/安定化/低減するのに十分な投与量で前記個人に投与するステップとを含む方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルスに曝露された対象を処置する方法であって、
(a)治療有効量のトポテカンを提供するステップと、
(b)前記治療有効量を前記対象に投与するステップと
を含み、前記処置することは、前記対象におけるコロナウイルス関連疾患の症状の一部又は実質的に全てを改善及び/又は阻害することを含む、方法。
【請求項2】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2又はそのバリアントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
標的細胞/トポテカン複合体を形成する方法であって、
(a)治療有効量のトポテカンを前記標的細胞に投与するステップと、
(b)前記標的細胞/トポテカン複合体を形成するステップと
を含み、前記標的細胞/複合体は、前記標的細胞とのコロナウイルスの融合を阻害し、前記標的細胞中への前記コロナウイルスの侵入を阻害し、及び/又は前記標的細胞内での前記コロナウイルスの複製を阻害する、方法。
【請求項4】
標的ビリオン/トポテカン複合体を形成する方法であって、
(a)治療有効量のトポテカンを前記標的ビリオンに投与するステップと、
(b)前記標的ビリオン/トポテカン複合体を形成するステップと
を含み、前記標的ビリオン/複合体は、標的細胞との標的ビリオンの融合を阻害し、前記標的細胞中への前記標的ビリオンの侵入を阻害し、及び/又は前記標的細胞内での前記標的ビリオンの複製を阻害する、方法。
【請求項5】
前記治療有効量は、約75nM~約2100nMである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記治療有効量は、約100nM~2000nMである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2又はそのバリアントである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記標的ビリオンは、SARS-CoV-2又はそのバリアントである、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記標的細胞は、上気道及び誘導気道の上皮細胞(繊毛及び非繊毛);肺胞上皮細胞(1型又は2型のいずれか);嗅覚系の上皮細胞、嗅覚系のニューロン;中枢神経系のニューロン、末梢神経系のニューロン;胃腸管の上皮細胞、胃腸管の腸細胞、胃腸管の腺細胞;白血球、赤血球、血小板、免疫エフェクター細胞;心血管細胞及び腎細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
コロナウイルスに曝露されたか又はコロナウイルスに感染した対象を処置するためのトポテカンの使用。
【請求項11】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2又はそのバリアントである、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 本開示は、コロナウイルス疾患の処置における使用のための化合物及び組成物に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、コロナウイルス及び対象細胞間の相互作用のモードを標的とすることができる化合物及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] SARS-CoV-2と称される新たなコロナウイルスが世界の舞台に出現したことは、世界の実質的に全ての集団に影響を与えている。このウイルスは、数百万人の個人を苦しめており、COVID-19と称される疾患をもたらした。COVID-19は、かなりの健康上のリスクに発展し得、死亡をもたらし、これは、ヘルスケア資源及び社会全体に対して重圧を課している。
【0003】
[0003] SARS-CoV-2は、SARS-CoV及びMERS-CoVのものと同様の受容体結合ドメイン構造を有する一本鎖プラス鎖リボ核酸(RNA)ウイルスである。SARS-CoV-2は、鼻粘膜に到達する飛沫を介して個人間で伝染する。鼻粘膜内では、SARS-CoV-2は、急速に再産生し得、鼻汁(痰)中に放たれ得る。痰は、空気中の飛沫を介して他の個人に伝わり得、このようにして伝染サイクルを繰り返す。SARS-CoV-2ウイルスは、症状の発生前、症候性期間中及び回復後でも個人間で伝播し得る。
【0004】
[0004] 感染の臨床上のスペクトルは、上気道感染の軽度の徴候から重度の肺炎、多臓器不全及び死亡までの範囲にわたって広範である。発症時、SARS-CoV-2は、呼吸器系が宿主への主要な侵入点となるため、呼吸器系を主に攻撃するが、SARS-CoV-2は、また、感染者の多臓器にも影響を与え得る。COVID-19の重症度は、典型的には、高血圧症、糖尿病、肥満症、心血管疾患及び/又はCOVID-19の帰結を増悪し得る高齢などの併存症と関連するが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] 感染者に対する生理学的影響を鈍化させるような様式でCOVID-19の影響を緩和することができる治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] 本開示の実施形態は、コロナウイルスに感染した対象における重度の疾患の危険性、症状及び発症の一部又は実質的に全てを改善及び/又は阻害するための1つ以上の治療を提供する。本開示の一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。SARS-CoV-2パンデミックの急速さ及び規模を考えれば、他の適応症を処置するために既に承認されている処置のための化合物及び組成物を同定することは、有利であり得る。
【0007】
[0007] 本開示のいくつかの実施形態は、コロナウイルス感染によってもたらされる重度の疾患の危険性、症状及び発症の一部又は実質的に全てを改善及び/又は阻害するためのトポテカンの使用に関する。
【0008】
[0008] 本開示のいくつかの実施形態は、コロナウイルスに曝露されたか又は感染した個人を処置する方法に関し、前記方法は、治療有効量のトポテカンを提供するステップと、治療有効量のトポテカンを前記個人に投与して、コロナウイルスに感染した対象における重度の疾患の危険性、症状及び発症の一部又は実質的に全てを改善及び/又は阻害するステップとを含む。
【0009】
[0009] 本開示のいくつかの実施形態は、トポテカン/標的細胞複合体を作製する方法に関し、この方法は、治療有効量のトポテカンを対象に投与するステップを含み、トポテカン/標的細胞複合体は、コロナウイルスがトポテカン/標的細胞複合体中に進入すること、トポテカン/標的細胞複合体と融合すること、及び/又はトポテカン/標的細胞複合体内で複製することを阻害する。
【0010】
[0010] 本開示のいくつかの実施形態は、トポテカン及び少なくとも1種の賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0011】
[0011] 任意の特定の理論に束縛されるものではないが、トポテカンは、対象の細胞へのウイルスの侵入又は融合を阻害し、及び/又は対象の細胞内に入るとウイルスの複製を阻害することにより、SARS-CoV-2ウイルスを標的とし得ると仮定される。トポテカンは、公知の抗癌薬である一方、驚くべきことに、これは、COVID-19の処置でも有用であり得る。
【0012】
図面の簡単な説明
[0012] 本開示のこれら及び他の特色は、添付の図面を参照する以下の詳細な説明でより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013] 本開示の実施形態によって使用されるトポテカンのウイルス阻害の有効性及び毒性に関して、本開示の実施形態によって得られた試料からのインビトロデータを表す折れ線グラフである。
【
図2】[0014] 様々な濃度のトポテカンについての細胞生存率に関して、本開示の実施形態によって得られた試料からのインビトロデータの折れ線グラフを示す。
【
図3】[0015] 様々な濃度のトポテカンについてのウイルス阻害に関して、本開示の実施形態によって得られた試料からのインビトロデータの折れ線グラフを示す。
【
図4A】[0016] 様々な濃度のレムデシビルについての細胞生存率に関して、本開示の実施形態による対照として得られた試料からのインビトロデータの折れ線グラフを示す。
【
図4B】[0017] 様々な濃度のレムデシビルについてのウイルス阻害に関して、本開示の実施形態による対照として得られた試料からのインビトロデータの折れ線グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
[0018] 他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示の文脈において当業者が一般に理解するような意味を有する。本明細書に記載されるものと同様の又は同等な任意の方法及び材料を本開示の実施又は試験で使用することもできるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本明細書に記述する全ての刊行物は、その刊行物が引用される方法及び/又は材料に関連して開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
[0019] 本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈によって明らかに他のことが指示されない限り、複数の参照を含む。例えば、「薬剤(an agent)」への言及は、1つ以上の薬剤を含み、「対象(a subject)」又は「その対象(the subject)」への言及は、1つ以上の対象を含む。
【0016】
[0020] 本明細書で使用する場合、用語「約」又は「概ね」は、所与の値又は範囲の約25%以内、好ましくは約20%以内、好ましくは約15%以内、好ましくは約10%以内、好ましくは約5%以内を指す。このようなバリエーションは、それが具体的に言及されていようとなかろうと、本明細書で提供する任意の所与の値に常に含まれることが理解される。
【0017】
[0021] 本明細書で使用する場合、用語「活性」は、用語「機能性」と互換的に使用され、両方の用語は、生体分子の生理的作用を指す。
【0018】
[0022] 本明細書で使用する場合、用語「薬剤」及び「治療剤」は、対象に投与されたとき、対象において、1つ以上の化学反応、及び/又は1つ以上の身体的反応、及び/又は又は1つ以上の生理学的反応、及び/又は1つ以上の薬理学的反応、及び/又は1つ以上の免疫反応をもたらす物質を指す。
【0019】
[0023] 本明細書で使用する場合、用語「改善する」は、回復させ、及び/又はより良好なものとし、及び/又はより満足なものにすることを指す。
【0020】
[0024] 本明細書で使用する場合、用語「細胞」は、単一の細胞及び複数の細胞又は同じ細胞型若しくは異なる細胞型の集団を指す。薬剤を細胞に投与することは、インビボ、インビトロ及びエクスビボ投与及び/又はこれらの組合せを含む。
【0021】
[0025] 本明細書で使用する場合、用語「複合体」は、薬剤の1つ以上の粒子及び1つ以上の標的細胞又は標的ビリオンとの間の直接的又は間接的な会合を指す。この会合は、標的細胞又は標的ビリオンの代謝又は機能性の変化をもたらす。本明細書で使用する場合、語句「代謝の変化」は、1つ以上の標的の1つ以上のタンパク質の生成及び/又は1つ以上のタンパク質の翻訳後修飾の増加又は減少を指す。本明細書で使用する場合、語句「機能性の変化」は、このような複合体の部分ではない標的と比較した、薬剤内の標的/標的複合体の1つ以上の側面の生理機能における差異を指す。
【0022】
[0026] 本明細書で使用する場合、用語「調節不全」及び「調節不全の」は、恒常性制御系が乱され及び/又は損なわれており、それにより、対象内の1つ以上の代謝系、生理学系及び/又は生化学系が前記恒常性制御系を伴わずに部分的又は完全に機能する状況又は状態を指す。
【0023】
[0027] 本明細書で使用する場合、用語「賦形剤」は、対象への1つ以上の薬剤などの送達のために組成物中で使用され得るか、或いは代わりに1つ以上の担体など(例えば、医薬組成物を作製するため)と組み合わさり、その取扱い特性若しくは貯蔵特性を改善させるか、又は組成物の用量単位の形成(例えば、次いで経皮パッチに任意選択で組込まれ得る局所用ヒドロゲルの形成)を可能にするか若しくは促進する、それ自体、薬剤ではない任意の物質を指す。賦形剤は、例示であって限定するものではないが、結合剤、崩壊剤、味覚増進剤、溶媒、増粘剤又はゲル化剤(及び必要に応じて任意の中和剤)、浸透増進剤、可溶化剤、湿潤剤、抗酸化剤、滑沢剤、皮膚軟化剤、不愉快な匂い、香り又は味を遮断又は相殺するために加えられる物質、組成物の外観又は質感を改善されるために加えられる物質、及び医薬組成物を形成するために使用される物質を含む。任意のこのような賦形剤は、本開示によって任意の剤形で使用され得る。賦形剤の上記のクラスは、網羅的であることを意味せず、単に例示的であることを意味する。
【0024】
[0028] 本明細書で使用する場合、用語「阻害する」、「阻害すること」及び「阻害」は、生物学的過程、疾患、障害若しくはその症状の活性、応答、又は他の生物学的パラメーターの減少を指す。これは、活性、応答、状態又は疾患の完全な消失を含み得るが、これらに限定されない。これはまた、例えば活性、応答、状態又は疾患が、天然レベル又は対照レベルと比較して10%低減することも含み得る。したがって、低減は、天然又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又は具体的に列挙した百分率間の任意の量の低減であり得る。
【0025】
[0029] 本明細書で使用する場合、用語「医薬」は、薬剤を含み、疾患、障害若しくはその症状からの回復を促進し得る、及び/又は疾患、障害若しくはその症状を予防し得る、及び/又は疾患、障害若しくはその症状の進行を阻害し得る薬及び/又は医薬組成物を指す。
【0026】
[0030] 本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」は、必ずしも限定されないが、疾患、障害又はその症状の治療又は処置を必要としている対象に投与される1つ以上の薬剤を含む任意の組成物を意味する。医薬組成物は、薬学的に許容される担体、薬学的に許容される塩、賦形剤などの添加剤を含み得る。医薬組成物はまた、1つ以上のさらなる活性成分、例えば抗微生物剤、抗炎症剤、麻酔剤、鎮痛剤などをさらに含み得る。
【0027】
[0031] 本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される担体」は、医薬組成物又は医薬中の本質的に化学的に不活性及び無毒な成分であって、1つ以上の薬剤の有効性及び/又は安全性を阻害しないものを指す。薬学的に許容される担体及びそれらの製剤のいくつかの例は、Remington (1995, The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A. R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, PA)に記載されており、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、適当な量の薬学的に許容される担体は、前記製剤を等張性にするために製剤中で使用される。適切な薬学的に許容される担体の例は、食塩水、グリセロール溶液、エタノール、N-(1(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)及びリポソームを含むが、これらに限定されない。このような医薬組成物は、治療有効量の薬剤を、対象への適正な投与に適した形態を提供するための、適切な量の1つ以上の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とともに含有する。製剤は、投与経路に適合する。例えば、経口投与は、薬剤を対象の胃腸管の一部で分解することから保護するための腸溶性コーティングを必要とし得る。別の例では、注射による投与経路は、対象の血管系全体にわたる輸送を促進し、及び標的とされる細胞内部位の細胞膜にわたる送達を促進するためにリポソーム製剤中で投与され得る。
【0028】
[0032] 本明細書で使用する場合、語句「予防する」、「予防」及び「予防すること」は、疾患、障害又はその症状の発生若しくは進行を回避することを指す。
【0029】
[0033] 本明細書で使用する場合、用語「対象」は、薬剤を受け取る任意の治療標的を指す。対象は、脊椎動物、例えばヒトを含めた哺乳動物であり得る。用語「対象」は、特定の年齢又は性別を示さない。また、用語「対象」は、生物の1つ以上の細胞、1つ以上の組織タイプのインビトロ培養物、1つ以上の細胞型のインビトロ培養物、エクスビボ調製物及び/又は生物学的材料の試料、例えば組織及び/又は生体液を指す。
【0030】
[0034] 本明細書で使用する場合、用語「標的細胞」は、ウイルスが1つ以上の細胞型の外膜と融合し、細胞に侵入し、及び/又はその中で複製することにより、コロナウイルスと相互作用し得る対象内の1つ以上の細胞型を指す。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、対象の標的細胞は、ウイルス相互作用のために必要とされる受容体及び/又は補因子を発現する対象内の任意の細胞を含み得る。これらのタイプの細胞の例は、上気道及び誘導気道の上皮細胞(繊毛及び非繊毛);肺胞上皮細胞(1型及び2型の両方);嗅覚系の上皮細胞及びニューロン;中枢神経系又は末梢神経系のニューロン;胃腸管の上皮細胞、腸細胞及び腺細胞;免疫エフェクター細胞を含む血液の細胞;心血管細胞及び腎細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
[0035] 本明細書で使用する場合、用語「標的ビリオン」は、標的細胞内でウイルス感染をもたらす能力を有するコロナウイルスの1つ以上のウイルス粒子を指す。本開示の一部の実施形態では、ウイルス粒子は、SARS-CoV-2の1つ以上のバリアントのものである。
【0032】
[0036] 本明細書で使用する場合、用語「治療有効量」は、疾患、障害又はその症状の1つ以上を改善、予防、処置及び/又は阻害するのに十分な量である、使用される薬剤の量を指す。「治療有効量」は、使用される薬剤、薬剤の投与経路及び疾患、障害又はその症状の重症度によって変化する。対象の年齢、体重及び遺伝的体質も、治療有効量である薬剤の量に影響を与え得る。
【0033】
[0037] 本明細書で使用する場合、用語「処置する」、「処置」及び「処置すること」は、望ましい薬理学的効果及び/又は生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患、障害若しくはその症状が起こることを完全若しくは部分的に予防することに関して予防的であり得、及び/又は効果は、疾患、障害若しくはその症状の部分的若しくは完全な改善若しくは阻害を実現することにおいて治療的であり得る。さらに、用語「処置」は、対象における疾患、障害又はその症状の任意の処置を指し、(a)疾患にかかりやすいが、それを有すると依然として診断されていない対象で疾患が起こることを予防すること、(b)疾患を阻害すること、すなわちその発生を抑止すること、及び(c)疾患を改善させることを含む。
【0034】
[0038] 本明細書で使用する場合、用語「単位剤形」及び「単位用量」は、患者のための単一の用量として適した物理的個別単位を指す。各単位は、事前決定された量の薬剤及び任意選択で1つ以上の適切な薬学的に許容される担体、1つ以上の賦形剤、1つ以上のさらなる活性成分又はこれらの組合せを含有する。各単位内の薬剤の量は、治療有効量である。
【0035】
[0039] 本開示の実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、組成物の総重量に対して約0.1%~約95%の量で1つ以上の上記のような薬剤を含む。例えば、医薬組成物の重量による薬剤の量は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%。約4.9%、約5%、約5.1%、約5.2%、約5.3%、約5.4%、約5.5%、約5.6%、約5.7%、約5.8%、約5.9%、約6%、約6.1%、約6.2%、約6.3%、約6.4%、約6.5%、約6.6%、約6.7%、約6.8%、約6.9%、約7%、約7.1%、約7.2%、約7.3%、約7.4%、約7.5%、約7.6%、約7.7%、約7.8%、約7.9%、約8%、約8.1%、約8.2%、約8.3%、約8.4%、約8.5%、約8.6%、約8.7%、約8.8%、約8.9%、約9%、約9.1%、約9.2%、約9.3%、約9.4%、約9.5%、約9.6%、約9.7%、約9.8%、約9.9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%若しくは約95%又はそれを超え得る。
【0036】
[0040] 値の範囲が本明細書で提供される場合、文脈によって明らかに他のことが指示されない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限及び下限間のそれぞれの間にある値及びその記述した範囲における任意の他の記述された値又は間にある値が本開示内に包含されることが理解される。これらのより狭い範囲の上限及び下限は、より狭い範囲に独立して含まれ得、また、本開示内に包含され、記述した範囲内の任意の特に除外された境界値にも従う。記述した範囲が境界値の1つ又は両方を含む場合、それらの含まれる境界値のいずれか又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0037】
[0041] 世界の舞台上へのCOVID-19の出現は、世界の全ての集団に影響を与えており、数百万人の個人が感染し、その数が増加し続けている。
【0038】
[0042] トポテカンは、トポイソメラーゼI/DNA複合体への結合に関連する作用機序を伴い、従来、卵巣の転移性癌及び感受性小細胞肺癌の処置のために適応がある。トポテカンは、天然に生じたアルカロイドであるカンプトテシンの半合成構造類似体であり、細胞分裂中のDNA複製を促進するように機能する酵素であるトポイソメラーゼIを阻害する。トポテカンは、酵素及び一本鎖DNAに共有結合的に結合し、最終的に一本鎖DNA切断及び二本鎖DNA切断の両方をもたらし、これは、細胞死を引き起こす。臨床治験でもインビトロ研究でも、トポテカンがヒトにおけるコロナウイルス関連疾患のための有効な処置であることを示すデータは、現在まで公表されていない。
【0039】
[0043] 経口投与後、トポテカンは、急速に吸収され、血漿濃度のピークは、1~2時間以内に出現し、IV投与後に組織に広範に分布する。これは、pH依存性加水分解を受け不活性な開環ヒドロキシル酸形態になり、これは、血漿中で一般的である。トポテカンは、胆汁及び尿の両方によって排泄される。血漿消失半減期は、2~3時間である。
【0040】
[0044] 通常のトポテカン治療と関連する用量制限毒性は、骨髄抑制である。他の一般に報告されている効果は、悪心及び/又は嘔吐、頭痛、脱毛症(脱毛)、下痢又は便秘、腹痛、疲労/脱力、体痛/背痛/関節痛、発疹及び呼吸窮迫(呼吸困難)を含む。処置の休止により、全ての効果が可逆的である。報告されている最も重度の有害効果は、間質性肺疾患並びに血管外遊出及び組織傷害の重症例を含む。
【0041】
[0045] 作用機序と反復投与及び発達毒性研究で留意された効果に基づいて、トポテカンが、精子及び発育している中の胎児を含めた急速に分裂する細胞に悪影響を与える可能性は、決定的なデータの非存在下で除外することができない。さらに、作用機序及び陽性の遺伝毒性所見に基づいて、トポテカンは、発癌物質の可能性のあるものとしてみなされるべきである。
【0042】
[0046] 従来技術を考慮して、コロナウイルス、例えばSARS-CoV-2、による感染に関していくつかの治療上の利点を実現するトポテカンの使用の潜在用途が同定された。
【0043】
[0047] 本開示の実施形態によると、トポテカンは、COVID-19及び/又はその症状の処置、及び/又はSARS-CoV-2ウイルスへの曝露に続く感染を回避又は緩和するための予防に使用され得る。
【0044】
[0048] 本開示のいくつかの実施形態は、SARS-CoV-2ウイルスに曝露された対象を処置する方法に関する。本方法のステップは、治療有効量のトポテカンを提供すること、及びその治療有効量を対象に投与することを含む。治療有効量のトポテカンは、コロナウイルス関連疾患の症状の一部又は実質的に全てを改善又は阻害し得る。SARS-CoV-2ウイルス及びCOVID-19の関連する疾患をコロナウイルス及び関連する疾患の例として提供する一方、本開示は、SARS-CoV-2及びCOVID-19のみに限定されないこと―他のコロナウイルス及び関連する疾患が本明細書で意図されることを当業者であれば理解するであろう。
【0045】
[0049] 本開示のいくつかの実施形態は、トポテカン及び標的細胞間で複合体を形成する方法に関する。本方法は、治療有効量のトポテカンを標的細胞に投与するステップと、標的細胞/トポテカン複合体を形成するステップとを含む。複合体は、標的細胞とのコロナウイルスの融合を阻害し得る。複合体は、標的細胞中へのコロナウイルス粒子の侵入を阻害し得る。複合体は、標的細胞内でのコロナウイルスの複製を阻害し得る。本開示のいくつかの実施形態は、治療有効用量のトポテカンを投与して、標的細胞/トポテカン複合体を形成することに関する。
【0046】
[0050] 本開示のいくつかの実施形態は、コロナウイルスに曝露されたか又は感染した対象を処置するためのトポテカンの使用に関する。本開示のいくつかの実施形態は、コロナウイルスに曝露されたか又は感染した対象を処置するために有用な医薬組成物に関する。医薬組成物は、治療有効量のトポテカン及び1つ以上の賦形剤を含む。
【0047】
[0051] 本開示の一部の実施形態では、トポテカンは、治療剤として使用され得る。非限定的例として、トポテカンは、100ng~100mgの用量のトポテカンを送達する1つ以上の医薬中で提供され得る。
【0048】
[0052] 本開示の一部の実施形態では、トポテカンは、静脈内(IV)に投与され得る。IVによって投与されるとき、トポテカンの治療有効量は、連続して5日間にわたって1日当たり約1.5mg/m2であり得、これは、最初の3週間サイクルにわたって1回、2回又は3回起こり得る。この用量は、第1のサイクル中に各投与について約0.75~2mg/m2の範囲内に入り得る。第2のサイクルは、3~4週間にわたって1回、2回、3回又は4回行われ得、これは、連続して5日間で24時間にわたる約1.25mg/m2のトポテカンを含み得る。第3のサイクルは、約4~6週間にわたって週1回行われ得、これは、連続して5日にわたって1日当たり約1~2mg/m2を含み得る。骨髄抑制を経験している対象は、低減又は遅延した投与のトポテカンで処置され得ることを当業者は認識するであろう。
【0049】
[0053] 本開示の一部の実施形態では、標的細胞は、約50nM~約2200nM、約75nM~約2100nM、約100nM~約2000nM、約150nM~約1800nM、約200nM~約1600nM、約300nM~約1400nM、約400nM~約1200nM、約500nM~約1000nM、約600nM~約800nMの濃度及びそれらの間の全ての濃度範囲のトポテカンで処置される場合、治療有効量に曝露され得る。
【0050】
[0054] 本開示の一部の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の担体及び/又は1つ以上の賦形剤をさらに含む。本開示の非限定的例では、医薬組成物は、トポテカン、少なくとも1種のモノグリセリド、及び/又は少なくとも1種のジグリセリド及び/又はトコフェロールポリエチレングリコールスクシネートを含む。本開示のさらなる非限定的例では、医薬組成物は、脂質をベースとする担体、例えばマイクロサイズの粒子及び/又はナノ粒子のエマルジョン、をさらに含み得る。適切なナノ粒子の少なくとも1つの例は、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)を含むものである。
【実施例】
【0051】
実施例
[0055] DeepDrug(商標)コンピューター人工知能(AI)システムを使用して、SARS-CoV-1及び他のウイルスを標的とすることが公知である抗ウイルスペプチド(AVP)に対するトポテカンの類似性に基づいて、トポテカンがSARS-CoV-2に対して有効である可能性が高いかを同定した。AVPは、ヒトタンパク質の断片であり、(1)細胞表面に結合し、エンドソームコンパートメント中に内部移行するウイルス(侵入)、(2)エンドソームコンパートメントからサイトゾルに放出されるウイルス(融合)、並びに(3)ウイルスタンパク質プロセシング及びウイルスゲノムの複製(複製)タンパク質―タンパク質結合を含む、ウイルス複製周期における重要なステップを標的とすることによってウイルス感染に応答する。
【0052】
[0056] AI技術を使用して、細胞における全てのタンパク質相互作用の数学的表現におけるトポテカン及びAVPについて「フィンガープリント」を生じさせた(Grover, A. & Leskovec, J. (2016) node2vec: Scalable Feature Learning for Networks. Kdd, 2016, 855-864によって記載されるように)。この数学的表現は、以下のデータセットに基づいて生じさせた:AVPdb、SARS-CoV-1からの98を含めた2,683のAVPのデータセット;HPIDB、981のHIV AVPのデータセット;hu.map、1750万のタンパク質間相互作用のデータセット;Corum、4,274の哺乳動物タンパク質複合体のデータセット;STRING、5,090の生物からの4,584,628のタンパク質のデータセット;DrugBank、13,491の薬物のデータセット;並びにBindingDB、846,857の薬物及び7,605のタンパク質のデータセット。
【0053】
[0057] Siamese Network(SNet)と称されるAI技術を使用して、トポテカンのフィンガープリントとAVPのフィンガープリントとを比較した。SNet予測は、最も強い抗ウイルス効果を示した少数のSARS-CoV-1AVPに基づいた。さらに、SNetは、ウイルス感染の3つの機序(例えば、侵入、融合及び複製)についての別々の予測を提供し、これは、薬物スクリーニングでより高い程度の特異性をもたらした。SNetは、フィンガープリントを多次元的空間中に投射し、それらの間の距離を計算し、予測が0に近いほど、フィンガープリントの対がより類似しており、薬物がよりAVPに類似した。0.63の最適閾値未満の予測は、薬物及びAVP(すなわち抗ウイルス効果を有する薬物)のフィンガープリント間でかなりの類似性を示す。
【0054】
[0058] トポテカンは、ウイルス機序の3つ全部(例えば、侵入、融合及び複製)について有意(すなわち0.63未満のSNet距離)を得た。以下の表Aは、トポテカンについてのSNet予測データを要約する。
【0055】
【0056】
[0059] コロナウイルス粒子と結合するトポテカンの可能性の評価を実施した。小分子についての3つの異なる機序の潜在的結合部位を使用して、AIシステムを使用してタンパク質-タンパク質結合の可能性を決定した。必須のSARS-CoV-2プロテアーゼの結晶構造のテンプレートを使用して、プロテアーゼ阻害剤結合ポケットの機能中心を同定した。
【0057】
[0060] SARSウイルスを阻害することが公知である抗ウイルスペプチドを標的として使用した。AVPのフィンガープリントを生じさせることにより、それらを、次いでトポテカンの同様に生じさせたフィンガープリント(埋込み)と比較して、最も近縁な関係があるものを同定した。
【0058】
[0061] 使用されたAVPは、3つの特定の機序:侵入、融合及び複製を標的とした。最も有効なペプチドを特に選別し、各ペプチドの公知の作用機序に基づく3つの別々のネットワークを生じさせるために使用した。これは、機序に基づく特定の特異性を有する薬物の同定を可能にした。
【0059】
[0062] 3つの機序は、以下の理由のために適切である。細胞中へのウイルス侵入を阻害することは、細胞に対して作用するウイルスの量を低減させるため、侵入は、極度に重要である。同様に、複製の阻害は、細胞が感染した後に生じ、他の細胞に伝播したウイルス負荷量を低減させるために重要である。最後に、融合は、技術的に最も関連性がないが、全てのウイルス侵入が標準的な機序を介して起こらないために注目に値する。ウイルスは、感染のために細胞の膜と直接的に融合することができる。これは、標準的な侵入機序の割合の約10分の1で起こるが、これは、それでも阻害することを試みる焦点として使用することは望ましかった機序である。
【0060】
[0063] これらの特定のペプチドのフィンガープリントは、ヒトプロテオーム及びその中の全てのプロセスに関与するタンパク質の大きいグラフを使用することによって生じさせた。次いで、これらのフィンガープリントを薬物フィンガープリントと比較することにより、AVPと同様にヒトプロテオームに対する同様の(抗ウイルス)効果を有する薬物の同定を行った。
【0061】
[0064] 第1の結合機序
[0065] トポテカンは、第1の結合機序によるコロナウイルス粒子に結合するその傾向を決定するために研究された。トポテカンが哺乳動物細胞へのコロナウイルスの侵入;哺乳動物細胞とのコロナウイルス粒子の融合;及び最終的にコロナウイルス感染細胞の複製に影響を与える可能性を評価することにより、相互作用をさらに評価した。表1は、このモデリングデータ分析の第1ラウンド得られたデータを要約する。
【0062】
【0063】
[0066] 任意の特定の理論に束縛されるものではないが、トポテカンについての第1の結合機序の研究で収集されたデータは、宿主細胞内のSARS-CoV-2ウイルスの複製に影響を与える理論的傾向を示した。
【0064】
[0067] インビトロ試験
[0068] SARS-CoV-2(USA-WA1/2020分離株)に対するトポテカンのインビトロでの有効性をヒト肺癌(Calu-3)細胞で評価した。4μMのトポテカンのストック溶液をDMSO中で調製し、5000nM、1670nM、555.6nM、185.2nM、61.7nM、20.6nM、6.9nM及び2.3nMの8つの濃度で試験した。Calu-3細胞を96ウェルプレートで培養し、3連で試験した。事前処置/処置レジメンを利用し、細胞をトポテカンと共に24±4時間インキュベートし、次いで細胞毎に0.005TCID50(組織培養感染量中央値)の感染多重度(MOI)(200TCID50/ウェル)でSARS-CoV-2を接種し、60~90分間インキュベートした。インキュベーションの直後にウイルス接種材料を除去し、細胞を洗浄し、トポテカン又は対照物を含有する2%ウシ胎仔血清(FBS)を有する0.2mLのイーグル改変必須培地(EMEM)でウェルを覆い、加湿したチャンバーにおいて5±2%CO2中で37℃±2℃においてインキュベートした。ウイルス接種の48±6時間後に細胞を固定し、免疫染色アッセイによってウイルスの存在について評価した(細胞変性効果(CPE)について、MTT[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド]アッセイによる)。
【0065】
[0069] アッセイプレート上の各ウェルについて、SARS-CoV-2の阻害は、陽性対照(A
450ウイルス対照;薬物なし及び0%阻害)及び陰性対照(細胞対照のA
450;ウイルスなし及び100%阻害)として指定されたウェルからの平均吸光度値に対する吸光度値(トポテカン希釈物のA
450)の低減の百分率として以下の式によって計算した。
[0001]
【数1】
【0066】
[0070] 有効濃度(IC50)は、細胞対照(100%阻害)に対するウイルス対照(0%阻害)の平均吸光度値の50%の低減をもたらすトポテカンの濃度として定義した。また、8つの濃度におけるトポテカンの細胞毒性は、細胞生存率の阻害パーセントによって決定されるように評価された。
【0067】
[0071] 35nMのIC
50を伴うSARS-CoV-2の完全又はほぼ完全な阻害をトポテカンについて決定した(
図1を参照されたい)。細胞毒性濃度(CC
50)は、169nMであり、これは、有効濃度とこれらのヒト肺細胞で報告される細胞毒性濃度間の安全性の相対的に広範のマージンを示す。
【0068】
[0072] さらなる実験的試験
[0073]
図2は、上記のプロトコルによるトポテカンについてのインビトロでの細胞生存率データを示し、
図3は、インビトロでのウイルス複製阻害データを示す。
図4Aは、インビトロでの細胞生存率データを示し、
図4Bは、対照としてレムデシビルについての上記のプロトコルによって行ったインビトロでのウイルス阻害データを示す。
【0069】
[0074] 表2は、
図3及び
図4Bに示すインビトロでの阻害データから得られたIC
50値を要約する。
【0070】
【0071】
[0075] 任意の特定の理論に束縛されるものではないが、トポテカン及びレムデシビルのIC50の研究で収集されたデータは、トポテカンがレムデシビルと比較して有意により低いIC50を有することを示した。
【国際調査報告】