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▶ ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ランディングパッド細胞株の生成
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20250109BHJP
   C12N 15/90 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/64 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/65 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C12Q1/04 ZNA
C12N15/90 104Z
C12N15/09 100
C12N15/09 110
C12N5/10
C12N15/64 Z
C12N15/65 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539465
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2022082485
(87)【国際公開番号】W WO2023129974
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/294,605
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】マクベイ,ダンカン ロキエル
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ,チャル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】トレムル,ガブリエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ケタン,アヌラグ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ13
4B063QQ43
4B063QR33
4B063QR48
4B063QR77
4B063QS33
4B063QS36
4B063QS38
4B063QX01
4B063QX02
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065BA25
4B065CA24
4B065CA25
(57)【要約】
本開示は、標的化遺伝子組み込みのためのランディングパッド細胞を生成する方法であって、例えば相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内にランディングパッドプラスミドを組み込むことを含む方法を提供する。一態様において、2つの部位特異的組換え部位(SSRS)はポリヌクレオチド配列にフランキングし、2つの相同組換え部位は、SSRSに対して5’および3’末端側に位置する。ランディングパッドプラスミドの2つの相同組換え部位は、親プラスミド上の対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込むことができる。開示される方法は、ホット細胞株における標的化組み込みのためのホットスポットを同定することにより、高発現細胞株の生成を可能にする。本開示はまた、本開示のランディングパッド細胞の生成のための細胞ならびに細胞および/または試薬を含むキットを提供する。標的化組み込みのための新規ホットスポットも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランディングパッド細胞株の造成に好適な親細胞を選択する方法であって、
(i)目的遺伝子(GOI)の発現力価が高い細胞株をスクリーニングし選択すること、および
(ii)さらに(i)の細胞をスクリーニングし、GOIをコードする核酸を含む親プラスミドのコピー数が低い細胞を選択することであって、コピー数が1または2である、選択すること
を含む方法。
【請求項2】
親プラスミドは、2つの部位特異的組換え部位(SSRS)を含むか、1つのSSRSを含むか、またはSSRSを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ランディングパッド細胞を選択する方法であって、
(i)親細胞株における親プラスミドまたはその一部の喪失についてスクリーニングし、そのような喪失(欠失)がある細胞を選択すること、および
(ii)ランディングパッドの存在について(i)の細胞をさらにスクリーニングし、ランディングパッドが存在する細胞を選択すること
を含む方法。
【請求項4】
ランディングパッド細胞を選択する方法であって、
(i)親細胞株における少なくとも1つの親プラスミドまたはその一部の喪失についてスクリーニングし、そのような喪失(欠失)がある細胞を選択すること、および
(ii)少なくとも1つのランディングパッドの存在について(i)の細胞をさらにスクリーニングし、ランディングパッドが存在する細胞を選択すること
を含む方法。
【請求項5】
ランディングパッド細胞におけるランディングパッド配列を、
(i)低複雑性または高複雑性の領域の存在または非存在、
(ii)レトロトランスポゾン配列の存在または非存在、
(iii)Aluリピートの存在または非存在、
(iv)長鎖散在核要素(LINE)の存在または非存在、
(v)CpGアイランドの存在または非存在、
(vi)シトシンメチル化のレベル、
(vii)ヒストンアセチル化のレベル、
(viii)活発な転写の存在または非存在、および、
(ix)それらのいずれかの組合せ
からなる群から選択される特徴についてスクリーニングすることをさらに含む、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ランディングパッド細胞を生成する方法であって、
(i)親細胞株における第1 GOIを含む少なくとも1つの親プラスミドまたはその一部を欠失させること、および
(ii)少なくとも1つの欠失の後に、ランディングパッドを含むランディングパッドプラスミドまたはその一部を細胞に導入すること
を含む方法。
【請求項7】
ランディングパッドを含むランディングパッドプラスミドまたはその一部は、(i)の欠失の部位において挿入される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ランディングパッドを含むランディングパッドプラスミドまたはその一部は、(i)の欠失の部位ではない部位において挿入される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ランディングパッド細胞を生成する方法であって、
相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内にランディングパッドプラスミドを組み込むことを含み、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に位置し、
各ランディングパッドプラスミドが、
(1)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、
(3)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(2)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位と
を含み、
ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、方法。
【請求項10】
親プラスミドは、2つ以上のゲノム座位に位置する、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ランディングパッド細胞を同定するための方法であって、
(1)親細胞のゲノム配列に組み込まれた親プラスミドから第1 GOIの少なくとも一部を除去すること、
(2)代替的ゲノム座位においてランディングパッドプラスミドを組み込むこと、
(3)少なくとも1つの代替的ゲノム座位において組み込まれたランディングパッドプラスミドを少なくとも1コピー含む候補細胞のライブラリーをスクリーニングすることであって、候補細胞株が、以下の特性
(a)細胞力価が既定の閾値レベルを超えること、
(b)ランディングパッドプラスミドまたはランディングパッドのコピー数が既定の値であること、
(c)既定の閾値レベルを超えるRNA発現レベル、
(d)複数のプラスミドコピーが、存在する場合、特定のプラスミド構成を有すること、
(e)親プラスミドからの第1 GOIの少なくとも一部の欠失、および、
(f)機能的SSRSを含む少なくとも1つのランディングパッドの存在
のうちの1つまたは複数について評価される、スクリーニングすること
を含む方法。
【請求項12】
親細胞は、歴史的細胞株である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
候補細胞のライブラリーは、親細胞のゲノム内の複数の場所におけるランディングパッド配列のランダム組み込みによって生成されたライブラリーである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ホットスポットに組み込まれたランディングパッド配列を含むホット細胞を選択する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
親細胞株は、CHO細胞株である、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
発現細胞を生成する方法であって、部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、請求項3~15に記載のランディングパッド細胞のゲノム内に第2 GOIプラスミドを組み込むことを含み、結果として得られた発現プラスミドが、
(1)第2 GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSと
を含み、
ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、第2 GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、方法。
【請求項17】
発現細胞を生成する方法であって、
(a)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内にランディングパッドプラスミドまたはその一部を組み込むことであって、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に位置し、
各ランディングパッドプラスミドまたはその一部が、
(1a)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、
(2a)(1a)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つのSSRSと、
(3a)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(2a)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位と
を含み、
ランディングパッドプラスミドまたはその一部の相同組換え部位が、異なるゲノム座位においてランディングパッド内で親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNA中の異なるゲノム座位においてランディングパッドの内部の場所におけるランディングパッドプラスミドまたはその一部を組み込む、組み込むこと、ならびに、
(b)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、ランディングパッド細胞のゲノム内に第2 GOIプラスミドを組み込むことであって、発現プラスミドが、
(1b)GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、
(2b)(1b)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSと
を含み、
ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、組み込むこと
を含む方法。
【請求項18】
ランディングパッド細胞を生成する方法であって、
(a)親細胞株における第1のホットスポット場所から親プラスミドの少なくとも一部を除去すること、および、
(b)相同組換えまたはランダム組み込みを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内の第2のホットスポット場所にランディングパッドプラスミドを組み込むことであって、相同組換えまたはランダム組み込みのために標的化される配列が、ランディングパッドプラスミドに存在したものであり、
各ランディングパッドプラスミドが、
(1)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、
(3)親細胞株ゲノム内の対応する相同組換え部位と相同である、(2)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位と
を含む、組み込むこと
を含む方法。
【請求項19】
発現細胞を生成する方法であって、
(a)親細胞株における第1のホットスポット場所から親プラスミドまたはその一部を除去すること、
(b)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内の第2のホットスポット場所にランディングパッドプラスミドを組み込むことであって、相同組換えのために標的化される配列が、親細胞株に存在したものであり、
各ランディングパッドプラスミドが、
(1b)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、
(2b)(1b)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、
(3b)親細胞株中の対応する相同組換え部位と相同である、(2b)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位と
を含み、
ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親細胞株の対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、組み込むこと、ならびに、
(c)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、ランディングパッド細胞のゲノム内にGOIプラスミドを組み込むことであって、発現プラスミドが、
(1c)第1 GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、
(2c)(1c)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSと
を含み、
ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、組み込むこと
を含む方法。
【請求項20】
ランディングパッド細胞は、記述
CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-/CG
CG/-([P1]-([P2])n-[P1])-/CG2、
-[P1]-[P2]-[P1]-、または、
-([P1]-([P2])n-[P1])-
[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[M]は、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを有するプラスミドを含む、
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
発現細胞に組み込まれるプラスミドのトポロジーは、記述
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[P3]-[=SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG2、
CG/-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含むプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応する、請求項16、17、または19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
相同組換えは、CRISPR/Casシステム、TALENシステム、またはZFNシステムによって媒介される、請求項9または17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
CRISPR/Casシステムは、シングルガイドRNA(sgRNA)をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
部位特異的リコンビナーゼ組換え部位(SSRS)は、Tyr-リコンビナーゼ部位、Tyr-インテグラーゼ部位、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位、またはセリン-インテグラーゼ部位である、請求項2または9から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
Tyr-リコンビナーゼ部位は、Cre、Dre、Flp、KD、B3、またはB3 Tyr-リコンビナーゼ部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
Tyr-インテグラーゼ部位は、λ(ラムダ)、HK022、またはHP1 Tyr-インテグラーゼ部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位は、γδ(ガンマデルタ)、ParA、Tn3、またはGinセリン-リゾルバーゼ/インテグラーゼ部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
セリン-インテグラーゼ部位は、PhiC31、Bxb1、またはR4セリン-インテグラーゼ部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
Tyr-リコンビナーゼ部位は、Cre Tyr-リコンビナーゼ部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
SSRSは、LoxP部位である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
LoxP部位は、配列番号1に定める核酸配列(野生型LoxP)を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
LoxP部位は、突然変異型LoxP部位を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
突然変異型LoxP部位は、配列番号2に定める核酸配列(突然変異型LoxP)を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
突然変異型LoxP部位は、配列番号3(Lox 511)、配列番号4(Lox 5171)、配列番号5(Lox 2272)、配列番号6(Lox M2)、配列番号7(Lox M3)、配列番号8(Lox M7)、配列番号9(Lox M11)、配列番号10(Lox 71)、および配列番号11(Lox 66)からなる群から選択される核酸を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
Tyr-リコンビナーゼ部位は、Flp Tyr-リコンビナーゼ部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
SSRSは、短いフリッパーゼ認識標的(FRT)部位である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
セリン-インテグラーゼ部位は、attPまたはattB部位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、グルタミンシンテターゼ(GS)および/またはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である、請求項9、10、または17から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、薬物耐性遺伝子である、請求項9、10、または17から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
薬物耐性遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
抗生物質耐性遺伝子は、ピューロマイシン耐性遺伝子である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ピューロマイシン耐性遺伝子は、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、タンパク質を構成する、請求項9、10、または17から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
タンパク質は、蛍光タンパク質である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
蛍光タンパク質は、mCherryである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
蛍光タンパク質は、GFP、ZsGreen1、AcGFP1、EGFP、GFPuv、AcGFP、EBFP、EYFP、ECFP、tdTomato、mCherry、DsRed、AmCyan、ZsGreen、ZsYellow、DsRed2、DsRed-Express、HcRed、AsRed、mOrange、mOrange2、mPlum、mStrawberry、mBanana、YFP、mRaspberry、HcRed1、E2-Crimson、またはそれらのいずれかの組合せを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
細胞は、HEK293またはNS0である、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
GOIをコードする核酸は、少なくとも1つのポリペプチドをコードする、請求項1、2、6から8、11から17、または19から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つのポリペプチドは、抗体または融合タンパク質である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
発現プラスミドは、1コピー、2コピー、または3コピー以上のGOI、検出可能マーカー、またはそれらの組合せを含む、請求項16、17または19から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
GOI、検出可能マーカー、またはそれらの組合せの発現を決定することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
GOIの発現は、定量的におよび/または定性的に決定される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
GOIの発現は、細胞選別、FACS、細胞表面染色、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、カラムクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、マイクロフルイディクス、UV吸光度、免疫組織化学、細胞サイズ、分泌タンパク質レベル、転写物レベル、またはそれらのいずれかの組合せによって決定される、請求項52または請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミドは、1のコピー数で細胞のゲノムに組み込まれる、請求項3から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミドは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のコピー数で細胞のゲノムに組み込まれる、請求項3から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
(i)5’相同組換え部位は、配列番号18のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号19のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含むか、
(ii)5’相同組換え部位は、配列番号114のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号115のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含むか、または、
(iii)5’相同組換え部位および3’相同組換え部位は、親プラスミドにフランキングするポリヌクレオチド配列を含む、
請求項9もしくは10または17から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
親プラスミドは、抗体などの第1 GOIをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、請求項1から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
記述
CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-/CG
CG/-([P1]-([P2])n-[P1])-/CG2、
-[P1]-[P2]-[P1]-、または、
-([P1]-([P2])n-[P1])-
[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[M]は、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを有するプラスミドを含むランディングパッド細胞。
【請求項60】
記述、
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG、または、
CG/-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含むプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを持つプラスミドを含む発現細胞。
【請求項61】
請求項3から60のいずれか一項に記載の方法によって生産された細胞株。
【請求項62】
請求項61に記載の細胞または請求項1から61のいずれか一項に記載の方法に従って生成された細胞と、それらの使用に関する説明書とを含むキット。
【請求項63】
細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含む単離細胞であって、座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、単離細胞。
【請求項64】
目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列をCHO細胞に導入することと、CHO細胞のゲノムの特定座位において核酸が組み込まれたCHO細胞を得ることとを含む方法であって、座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、方法。
【請求項65】
目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含む細胞を用意することを含む方法であって、ポリヌクレオチド配列が、プロモーターに作動可能に連結された目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含み、核酸が、CHO細胞のゲノムの特定座位において組み込まれ、座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、方法。
【請求項66】
(i)配列番号20の中のヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列を含むか、または(ii)配列番号116の中のヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列を含む、請求項63に記載の単離細胞または請求項64もしくは65に記載の方法。
【請求項67】
(i)配列番号20の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列からなるか、または(ii)配列番号116の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列からなる、請求項63に記載の単離細胞または請求項64もしくは65に記載の方法。
【請求項68】
(i)配列番号20の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列に対して上流の(配列番号20の5’末端の方の)部分配列であるか、または(ii)配列番号116の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列に対して上流の(配列番号116の5’末端の方の)部分配列である、請求項63に記載の単離細胞または請求項64もしくは65に記載の方法。
【請求項69】
(i)配列番号20の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列に対して下流の(配列番号20の3’末端の方の)部分配列であるか、または(ii)配列番号116の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列に対して下流の(配列番号116の3’末端の方の)部分配列である、請求項63に記載の単離細胞または請求項64もしくは65に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも2つのランディングパッドプラスミドまたは少なくとも2つの発現プラスミドを含む、請求項1から58もしくは64から69のいずれか一項に記載の方法、請求項59もしくは60、63もしくは66から69のいずれか一項に記載の細胞、請求項61に記載の細胞株、または請求項62に記載のキット。
【請求項71】
2つのランディングパッドプラスミドまたは2つの発現プラスミドは、ヘッド・トゥ・ヘッド、テール・トゥ・テール、テール・トゥ・ヘッド、およびヘッド・トゥ・テールからなる群から選択される構成にある、請求項70に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項72】
各発現プラスミドは、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を少なくとも含む、請求項70または71に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項73】
すべてのGOIは同じである、請求項72に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項74】
すべてのGOIは異なっている、請求項72に記載の方法、細胞株、キット、または単離細胞。
【請求項75】
少なくとも1つのGOIは残りと異なっている、請求項72に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項76】
第1 GOIは抗体の重鎖(HC)を含み、第2 GOIは抗体の軽鎖(LC)を含む、請求項74または75に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項77】
少なくとも1つの発現プラスミドは、バイシストロン性である、請求項70から76のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項78】
バイシストロン性発現プラスミドは、抗体のHCを含む第1 GOIと、抗体のLCを含む第2 GOIとをコードする、請求項77に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項79】
少なくとも1つのランディングパッドプラスミドは、アドレス指定可能である、請求項70から78のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項80】
各ランディングパッドプラスミドは、2つのLox部位を含む、請求項70から79のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項81】
Lox部位は、Lox PおよびLox 511である、請求項80に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項82】
各ランディングパッドプラスミドは、Lox部位およびFrt部位を含む、請求項70から81のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項83】
各ランディングパッドプラスミドは、1つまたは2つのaat部位を含む、請求項70から81のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項84】
各ランディングパッドプラスミドは、アドレス指定可能である、請求項70から83のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項85】
各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドは、ランディングパッドに対してユニークである一対のアドレス指定可能SSRSを含む、請求項84に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項86】
少なくとも一対のアドレス指定可能SSRSは、一対のLox部位である、請求項85に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項87】
少なくとも一対のLox部位は、Lox 511およびLox Pである、請求項86に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項88】
少なくとも一対のLox部位は、Lox m3およびLox m7である、請求項86に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項89】
Lox 511およびLox Pの対のLox部位を含む第1のアドレス指定可能ランディングパッドプラスミドと、Lox m3およびLox m7の対のLox部位を含む第2のアドレス指定可能ランディングパッドプラスミドとを含む、請求項84から88のいずれか一項に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項90】
各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドは、非相互適合性att部位を含む、請求項84に記載の方法、細胞、細胞株、またはキット。
【請求項91】
細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、座位が、配列番号20もしくは配列番号116またはそれらのオルソロガス配列の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、細胞。
【請求項92】
細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、座位が、配列番号21もしくは配列番号117またはそれらのオルソロガス配列の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、細胞。
【請求項93】
細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、座位が、配列番号20もしくは配列番号116またはそれらのオルソロガス配列と重なるまたはそれを包含するポリヌクレオチド部分配列である、細胞。
【請求項94】
細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、座位が、配列番号21もしくは配列番号117またはそれらのオルソロガス配列と重なるまたはそれを包含するポリヌクレオチド部分配列である、細胞。
【請求項95】
CHO細胞である、請求項91から94のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項96】
オルソロガス配列は、配列番号20、21、116、117、またはそれらの部分配列との約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約96%、約97%、約98%、または約99%の配列同一性を有する、請求項91から95のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項97】
配列同一性は、Needleman-Wunschアルゴリズムの実行を使用したペアワイズアラインメントによって決定される、請求項98に記載の細胞。
【請求項98】
2つのランディングパッドプラスミドまたは2つの発現プラスミドを含む、請求項91から95のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項99】
3つ以上のランディングパッドプラスミドまたは3つ以上の発現プラスミドを含む、請求項91から98のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項100】
2つのランディングパッドプラスミドは、アドレス指定可能である、請求項98または99に記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
EFS-WEBを介して電子提出された配列表の参照
電子提出された配列表(名称:3338_196PC02_Seqlisting_ST26.txt、サイズ:45,039,473バイト、および作成日:2022年12月27日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、標的化遺伝子組み込みに好適なランディングパッド細胞(landing pad cell)の生成のための方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、発現プラスミドDNAを通常は線状化した状態で細胞にトランスフェクトし、それを本質的にランダムな様式で細胞ゲノムに組み込ませることにより、細胞株が作製されてきた。このプラスミドは薬物耐性または栄養要求体相補性などの選択的利点をもたらすため、発現プラスミドを含む細胞のみが生存する。いくつかあるパラメータの中でも、高い力価、翻訳後修飾、発現安定性、細胞密度、およびバイオリアクターにおける生存能のような性能の許容可能なレベルを維持しながら、目的の生物製剤(biologic)を発現する細胞株を作製するのにかかる時間を最小限に抑え、予測可能性を高めることが所望されている。
【0004】
この目標を達成する方途の1つは、細胞株の造成中に発現カセットまたは発現プラスミドを細胞株の同じ座位に挿入する標的化組み込み(TI)(Targeted Integration)(TI)という技術を使用することである。標的化される座位はランディングパッドとも呼ばれ、ランディングパッドを含む細胞株はランディングパッド細胞株とも呼ばれる。発現カセットまたは発現プラスミドは、組換え媒介カセット交換(RMCE:recombination mediated cassette exchange)もしくは部位特異的組換え(SSR:site specific recombination)と呼ばれることもあるCre/Lox技術などを使用した部位指向性組換えによって、またはCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)、TALEN、もしくは他のそのような部位特異的ヌクレアーゼにより刺激される相同組換えを使用することによって、ランディングパッドに組み込まれ得る。
【0005】
TIに対する大きな課題は、使用すべき細胞株および座位を同定することである。細胞株自体が良好に機能することができなければならず、ランディングパッドは、高い転写が起こり、生物製剤の転写がエピジェネティック修飾などによってサイレンシングされない座位(「ホットスポット」)にある必要がある。TIランディングパッド宿主細胞株は、高発現のために染色体中に「ホットスポット」を有する必要があるが、この「ホットスポット」には、生物製剤の高タンパク質発現に必要な中間工程のすべてをサポートする「ホット細胞(hot cell)」の環境が必要であると理解されている。ランディングパッド細胞株の生成および同定を可能にすることは、宿主細胞ゲノムに固有の柔軟性によって引き起こされる変動性を1つの理由として非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、信頼でき再現可能なタンパク質発現が可能なランディングパッド細胞を生成するための効率的な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ランディングパッド細胞株の造成に好適な親細胞を選択する方法であって、(i)目的遺伝子(GOI)の発現力価が高い細胞株をスクリーニングし選択すること、および(ii)さらに(i)の細胞をスクリーニングし、GOIをコードする核酸を含む親プラスミドのコピー数が低い細胞を選択することであって、コピー数が1または2である、選択することを含む方法を提供する。いくつかの態様において、親プラスミドは、2つの部位特異的組換え部位(SSRS)を含むか、1つのSSRSを含むか、またはSSRSを含まない。
【0008】
本開示はまた、ランディングパッド細胞を選択する方法であって、(i)親細胞株における親プラスミドまたはその一部の喪失についてスクリーニングし、そのような喪失(欠失)がある細胞を選択すること、および(ii)ランディングパッドの存在について(i)の細胞をさらにスクリーニングし、ランディングパッドが存在する細胞を選択することを含む方法を提供する。
【0009】
また、ランディングパッド細胞を選択する方法であって、(i)親細胞株における少なくとも1つの親プラスミドまたはその一部の喪失についてスクリーニングし、そのような喪失(欠失)がある細胞を選択すること、および(ii)少なくとも1つのランディングパッドの存在について(i)の細胞をさらにスクリーニングし、ランディングパッドが存在する細胞を選択することを含む方法も提供される。いくつかの態様において、この方法は、ランディングパッド細胞におけるランディングパッド配列を、(i)低複雑性または高複雑性の領域の存在または非存在、(ii)レトロトランスポゾン配列の存在または非存在、(iii)Aluリピートの存在または非存在、(iv)長鎖散在核要素(long interspersed nuclear element)(LINE)の存在または非存在、(v)CpGアイランドの存在または非存在、(vi)シトシンメチル化のレベル、(vii)ヒストンアセチル化のレベル、(viii)活発な転写の存在または非存在、および、(ix)それらのいずれかの組合せからなる群から選択される特徴についてスクリーニングすることをさらに含む。
【0010】
また、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、(i)親細胞株における第1 GOIを含む少なくとも1つの親プラスミドまたはその一部を欠失させること、および(ii)少なくとも1つの欠失の後に、ランディングパッドを含むランディングパッドプラスミドまたはその一部を細胞に導入することを含む方法も提供される。いくつかの態様において、ランディングパッドを含むランディングパッドプラスミドまたはその一部は、(i)の欠失の部位において挿入される。いくつかの態様において、ランディングパッドを含むランディングパッドプラスミドまたはその一部は、(i)の欠失の部位ではない部位において挿入される。
【0011】
本開示はまた、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内にランディングパッドプラスミドを組み込むことを含み、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に位置し、各ランディングパッドプラスミドが、(1)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(2)(1)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、(3)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(2)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含み、ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、方法を提供する。いくつかの態様において、親プラスミドは、2つ以上のゲノム座位に位置する。
【0012】
本開示はまた、ランディングパッド細胞株を同定するための方法であって、(1)親細胞のゲノム配列に組み込まれた親プラスミドから第1 GOIの少なくとも一部を除去すること、(2)代替的ゲノム座位においてランディングパッドプラスミドを組み込むこと、(3)少なくとも1つの代替的ゲノム座位において組み込まれたランディングパッドプラスミドを少なくとも1コピー含む候補細胞のライブラリーをスクリーニングすることであって、候補細胞株が、以下の特性:(a)細胞力価が既定の閾値レベルを超えること、(b)ランディングパッドプラスミドまたはランディングパッドのコピー数が既定の値であること、(c)既定の閾値レベルを超えるRNA発現レベル、(d)複数のプラスミドコピーが、存在する場合、特定のプラスミド構成を有すること、(e)親プラスミドからの第1 GOIの少なくとも一部の欠失、および、(f)機能的SSRSを含む少なくとも1つのランディングパッドの存在のうちの1つまたは複数について評価される、スクリーニングすることを含む方法を提供する。いくつかの態様において、親細胞は、歴史的細胞株(historical cell line)である。いくつかの態様において、候補細胞のライブラリーは、親細胞のゲノム内の複数の場所におけるランディングパッド配列のランダム組み込みによって生成されたライブラリーである。いくつかの態様において、この方法は、ホットスポットに組み込まれたランディングパッド配列を含むホット細胞を選択する。いくつかの態様において、親細胞株は、CHO細胞株である。
【0013】
本開示はまた、部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用することにより、上記で開示した方法のいずれかに従ってランディングパッド細胞のゲノム内に第2 GOIプラスミドを組み込むことを含む発現細胞を生成する方法であって、結果として得られた発現プラスミドが、(1)第2 GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、(2)(1)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSとを含み、ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、第2 GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0014】
また、発現細胞を生成する方法であって、
(a)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内にランディングパッドプラスミドまたはその一部を組み込むことであって、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に位置し、各ランディングパッドプラスミドまたはその一部が、(1a)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(2a)(1a)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つのSSRSと、(3a)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(2a)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含み、ランディングパッドプラスミドまたはその一部の相同組換え部位が、異なるゲノム座位においてランディングパッド内で親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNA中の異なるゲノム座位においてランディングパッドの内部の場所におけるランディングパッドプラスミドまたはその一部を組み込む、組み込むこと、ならびに、
(b)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、ランディングパッド細胞のゲノム内に第2 GOIプラスミドを組み込むことであって、発現プラスミドが、(1b)GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、(2b)(1b)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSとを含み、ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、組み込むこと
を含む方法も開示される。
【0015】
また、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、
(a)親細胞株における第1のホットスポット場所から親プラスミドの少なくとも一部を除去すること、および、
(b)相同組換えまたはランダム組み込みを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内の第2のホットスポット場所にランディングパッドプラスミドを組み込むことであって、相同組換えまたはランダム組み込みのために標的化される配列が、ランディングパッドプラスミドに存在したものであり、各ランディングパッドプラスミドが、(1b)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(2b)(1b)ポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、(3b)親細胞株ゲノム内の対応する相同組換え部位と相同である、SSRS(2b)に対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含む、組み込むこと
を含む方法も提供される。
【0016】
また、発現細胞を生成する方法であって、
(a)親細胞株における第1のホットスポット場所から親プラスミドまたはその一部を除去すること、
(b)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内の第2のホットスポット場所にランディングパッドプラスミドを組み込むことであって、相同組換えのために標的化される配列が、親細胞株に存在したものであり、各ランディングパッドプラスミドが、(1b)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(2b)(1b)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、(3b)親細胞株中の対応する相同組換え部位と相同である、(2b)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含み、ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親細胞株の対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、組み込むこと、ならびに、
(c)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、ランディングパッド細胞のゲノム内にGOIプラスミドを組み込むことであって、発現プラスミドが、(1c)第1 GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、(2c)(1c)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSとを含み、ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、組み込むこと
を含む方法も提供される。
【0017】
上記で開示した方法のいくつかの態様において、ランディングパッド細胞は、記述
CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-/CG
CG/-([P1]-([P2])n-[P1])-/CG2、
-[P1]-[P2]-[P1]-、または、
-([P1]-([P2])n-[P1])-
[ここで、
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[M]は、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを有するプラスミドを含む。
【0018】
上記で開示した方法のいくつかの態様において、発現細胞に組み込まれるプラスミドのトポロジーは、記述:
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG2、
CG/-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG

[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含むプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応する。
【0019】
上記で開示した方法のいくつかの態様において、相同組換えは、CRISPR/Casシステム、TALENシステム、またはZFNシステムによって媒介される。いくつかの態様において、CRISPR/Casシステムは、シングルガイドRNA(sgRNA)をさらに含む。上記で開示した方法のいくつかの態様において、部位特異的リコンビナーゼ組換え部位(SSRS)は、Tyr-リコンビナーゼ部位、Tyr-インテグラーゼ部位、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位、またはセリン-インテグラーゼ部位である。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ部位は、Cre、Dre、Flp、KD、B3、またはB3 Tyr-リコンビナーゼ部位を含む。いくつかの態様において、Tyr-インテグラーゼ部位は、λ(ラムダ)、HK022、またはHP1 Tyr-インテグラーゼ部位を含む。いくつかの態様において、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位は、γδ(ガンマデルタ)、ParA、Tn3、またはGinセリン-リゾルバーゼ/インテグラーゼ部位を含む。いくつかの態様において、セリン-インテグラーゼ部位は、PhiC31、Bxb1、またはR4セリン-インテグラーゼ部位を含む。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ部位は、Cre Tyr-リコンビナーゼ部位を含む。いくつかの態様において、SSRSは、LoxP部位である。いくつかの態様において、LoxP部位は、配列番号1に定める核酸配列(野生型LoxP)を含む。いくつかの態様において、LoxP部位は、突然変異型LoxP部位を含む。いくつかの態様において、突然変異型LoxP部位は、配列番号2に定める核酸配列(突然変異型LoxP)を含む。いくつかの態様において、突然変異型LoxP部位は、配列番号3(Lox 511)、配列番号4(Lox 5171)、配列番号5(Lox 2272)、配列番号6(Lox M2)、配列番号7(Lox M3)、配列番号8(Lox M7)、配列番号9(Lox M11)、配列番号10(Lox 71)、および配列番号11(Lox 66)からなる群から選択される核酸を含む。いくつかの態様において、突然変異型LoxP部位は、本明細書において開示されるいずれかのLoxP部位を含む。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ部位は、Flp Tyr-リコンビナーゼ部位を含む。いくつかの態様において、SSRSは、短いフリッパーゼ認識標的(FRT:flippase recognition target)部位である。いくつかの態様において、SSRSは、本明細書において開示されるいずれかのFRT部位配列を含む。いくつかの態様において、セリン-インテグラーゼ部位は、att部位、例えば、attPまたはattB部位を含む。いくつかの態様において、SSRSは、本願において開示されるいずれかのatt部位を含む。
【0020】
上記で開示した方法のいくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、グルタミンシンテターゼ(GS)および/またはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、薬物耐性遺伝子である。いくつかの態様において、薬物耐性遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、抗生物質耐性遺伝子は、ピューロマイシン耐性遺伝子である。いくつかの態様において、ピューロマイシン耐性遺伝子は、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼである。いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、タンパク質を構成する。いくつかの態様において、タンパク質は、蛍光タンパク質である。いくつかの態様において、蛍光タンパク質は、mCherryである。いくつかの態様において、蛍光タンパク質は、GFP、ZsGreen1、AcGFP1、EGFP、GFPuv、AcGFP、EBFP、EYFP、ECFP、tdTomato、mCherry、DsRed、AmCyan、ZsGreen、ZsYellow、DsRed2、DsRed-Express、HcRed、AsRed、mOrange、mOrange2、mPlum、mStrawberry、mBanana、YFP、mRaspberry、HcRed1、E2-Crimson、またはそれらのいずれかの組合せを含む。
【0021】
上記で開示した方法のいくつかの態様において、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、HEK293またはNS0である。
【0022】
上記で開示した方法のいくつかの態様において、GOIをコードする核酸は、少なくとも1つのポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、少なくとも1つのポリペプチドは、抗体または融合タンパク質である。いくつかの態様において、発現プラスミドは、1コピー、2コピー、もしくは3コピー以上のGOI、検出可能マーカー、またはそれらの組合せを含む。
【0023】
いくつかの態様において、上記で開示した方法は、GOI、検出可能マーカー、またはそれらの組合せの発現を決定することをさらに含む。いくつかの態様において、GOIの発現は、定量的におよび/または定性的に決定される。いくつかの態様において、GOIの発現は、細胞選別、FACS、細胞表面染色、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、カラムクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、マイクロフルイディクス、UV吸光度、免疫組織化学、細胞サイズ、分泌タンパク質レベル、転写物レベル、またはそれらのいずれかの組合せによって決定される。
【0024】
本明細書において開示される方法のいくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミドは、1のコピー数で細胞のゲノムに組み込まれる。いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミドは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のコピー数で細胞のゲノムに組み込まれる。
【0025】
本明細書において開示される方法のいくつかの態様において、(i)5’相同組換え部位は、配列番号18のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号19のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含むか、(ii)5’相同組換え部位は、配列番号114のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号115のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含むか、または、(iii)5’相同組換え部位および3’相同組換え部位は、親プラスミドにフランキングするポリヌクレオチド配列を含む。
【0026】
本明細書において開示される方法のいくつかの態様において、親プラスミドは、抗体などの第1 GOIをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。
【0027】
本開示は、記述
CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1])-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-[P2]-[P1]-/CG
CG/-[P1]-/CG
CG/-([P1]-([P2])n-[P1])-/CG2、
-[P1]-[P2]-[P1]-、または、
-([P1]-([P2])n-[P1])-
[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[M]は、少なくとも1つの選択マーカーおよび/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを有するプラスミドを含む、
ランディングパッド細胞を提供する。
【0028】
本開示は、記述
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1]-/CG
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG
CG/-[P1]-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG、または、
CG/-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
[ここで
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含むプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを持つプラスミドを含む発現細胞を提供する。
【0029】
本開示は、本明細書において開示される方法のいずれかによって生産された細胞株を提供する。また、本明細書において開示される細胞または本明細書において開示される方法のいずれかに従って生成された細胞と、それらの使用に関する説明書とを含むキットも提供される。
【0030】
本開示はまた、細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含む単離細胞であって、当該座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、単離細胞を提供する。
【0031】
また、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列をCHO細胞に導入することと、CHO細胞のゲノムの特定座位において当該核酸が組み込まれたCHO細胞を得ることとを含む方法であって、当該座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、方法も提供される。また、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含む細胞を用意することを含む方法であって、当該ポリヌクレオチド配列が、プロモーターに作動可能に連結された目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含み、当該核酸が、CHO細胞のゲノムの特定座位において組み込まれ、当該座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、方法も提供される。本明細書において開示される方法または単離細胞のいくつかの態様において、(i)配列番号20の中のヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列を含むか、または(ii)配列番号116の中のヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列を含む。本明細書において開示される方法または単離細胞のいくつかの態様において、(i)配列番号20の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列からなるか、または(ii)配列番号116の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列からなる。本明細書において開示される方法または単離細胞のいくつかの態様において、(i)配列番号20の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列に対して上流の(配列番号20の5’末端の方の)部分配列であるか、または(ii)配列番号116の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列に対して上流の(配列番号116の5’末端の方の)部分配列である。本明細書において開示される方法または単離細胞のいくつかの態様において、(i)配列番号20の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列に対して下流の(配列番号20の3’末端の方の)部分配列であるか、または(ii)配列番号116の中からのヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列に対して下流の(配列番号116の3’末端の方の)部分配列である。
【0032】
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法、細胞、細胞株、またはキットは、少なくとも2つのランディングパッドプラスミドまたは少なくとも2つの発現プラスミドを含むか、またはそれらの使用を含む。いくつかの態様において、2つのランディングパッドプラスミドまたは2つの発現プラスミドは、ヘッド・トゥ・ヘッド、テール・トゥ・テール、テール・トゥ・ヘッド、およびヘッド・トゥ・テールからなる群から選択される構成にある。いくつかの態様において、各発現プラスミドは、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を少なくとも含む。いくつかの態様において、すべてのGOIが同じである。いくつかの態様において、すべてのGOIが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのGOIは残りと異なっている。いくつかの態様において、第1 GOIは抗体の重鎖(HC)を含み、第2 GOIは抗体の軽鎖(LC)を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの発現プラスミドはバイシストロン性である。いくつかの態様において、バイシストロン性発現プラスミドは、抗体のHCを含む第1 GOIと、抗体のLCを含む第2 GOIとをコードする。いくつかの態様において、少なくとも1つのランディングパッドプラスミドは、アドレス指定可能である。いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、2つのLox部位を含む。いくつかの態様において、Lox部位は、Lox PおよびLox 511である。いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、Lox部位およびFrt部位を含む。いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、1つまたは2つのaat部位を含む。いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、アドレス指定可能である。いくつかの態様において、各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドが、ランディングパッドに対してユニークである一対のアドレス指定可能SSRSを含む。いくつかの態様において、少なくとも一対のアドレス指定可能SSRSは、一対のLox部位である。いくつかの態様において、少なくとも一対のLox部位は、Lox 511およびLox Pである。いくつかの態様において、少なくとも一対のLox部位は、Lox m3およびLox m7である。いくつかの態様において、第1のアドレス指定可能ランディングパッドプラスミドは、Lox 511およびLox部位のLox Pの対を含み、第2のアドレス指定可能ランディングパッドプラスミドは、Lox m3およびLox部位のLox m7の対を含む。いくつかの態様において、各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドが、非相互適合性(non cross-compatible)att部位を含む。
【0033】
本開示はまた、細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、当該座位が、配列番号20もしくは配列番号116またはそれらのオルソロガス配列の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、細胞を提供する。また、細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、当該座位が、配列番号21もしくは配列番号117またはそれらのオルソロガス配列の中のヌクレオチド位置またはポリヌクレオチド部分配列である、細胞も提供される。また、細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、当該座位が、配列番号20もしくは配列番号116またはそれらのオルソロガス配列と重なるか、あるいはそれを包含するポリヌクレオチド部分配列である、細胞も提供される。また、細胞のゲノムの特定座位において組み込まれた、目的遺伝子(GOI)、選択マーカー、検出可能マーカー、またはそれらの組合せをコードする核酸を含む異種ポリヌクレオチド配列を含む細胞であって、当該座位が、配列番号21もしくは配列番号117またはそれらのオルソロガス配列と重なるか、あるいはそれを包含するポリヌクレオチド部分配列である、細胞も提供される。いくつかの態様において、細胞は、CHO細胞である。いくつかの態様において、オルソロガス配列は、配列番号20、21、116、117、またはそれらの部分配列との約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約96%、約97%、約98%、または約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様において、配列同一性は、Needleman-Wunschアルゴリズムの実行を使用したペアワイズアラインメントによって決定される。いくつかの態様において、細胞は、2つのランディングパッドプラスミドまたは2つの発現プラスミドを含む。いくつかの態様において、細胞は、3つ以上のランディングパッドプラスミドまたは3つ以上の発現プラスミドを含む。いくつかの態様において、2つのランディングパッドプラスミドは、アドレス指定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、細胞に発現プラスミドをトランスフェクトした結果、それが細胞のゲノム内のランダムな場所で組み込まれる、標準的な発現細胞株造成方策を描写する概略表現である。
図2図2は、ランディングパッド細胞造成に好適な2つの親細胞株を同定するために使用した方策を概括する。親細胞株1および2は、それぞれ、タンパク質1およびタンパク質2に対する指向性を持つ親プラスミド由来のモノクローナル抗体を発現する細胞株である。矢印およびGSはグルタミンシンテターゼ相補性を表す。mAb=モノクローナル抗体;LC=軽鎖;HC=重鎖;コピー数=細胞株における発現プラスミド数(各発現プラスミドがLCおよびHCの発現カセットを含有する。コピー数はGAPDHを内部対照として使用したqPCRにより決定した);spPCR=スプリンケレットPCR(splinkeret PCR)(プラスミドジャンクション配列の同定を可能にする技術)。LC RNAおよびHC RNAのレベルは、タンパク質1に対する抗体について見出されたレベルに対して正規化した(すなわち、タンパク質1に対する抗体=1.00)。
図3図3は、細胞株1および細胞株2の両方において見出された構成を示す親プラスミドの簡略化された描写である。両細胞株における親プラスミドがヘッド・トゥ・テール構成にある。細胞株1および細胞株2における構成は、サザンブロット分析、およびプラスミドとプラスミドの融合が検出されたプラスミド配列ジャンクションの決定によって確立された。矢印およびGSは、グルタミンシンテターゼ相補性を表す。
図4図4Aおよび4Bは、それぞれ、LoxPなどの部位指向性組換え部位を含むランディングパッド細胞株を生成するための2つの方策を示す。両方策において、ランディングパッドプラスミドは、鋏によって表されるCRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas)などの部位特異的ヌクレアーゼにより親細胞株のゲノムを制限することによって刺激される相同組換えによって細胞に導入される。図4Aでは、親細胞株が、その性能、および発現プラスミド/カセットがそのゲノム内に見出される部位の数に基づいて同定されている。図4Bでは、図4Aの親細胞株がランディングパッド細胞株として使用されている。図4Aおよび4Bの両方において、細胞ゲノムの配列の知識が必要とされ、細胞ゲノムと相同である配列(相同性1、相同性2)が、発現カセットにフランキングするようにクローニングされる。mCherryは、蛍光マーカーをコードするオープンリーディングフレームを表し、LoxP部位は、Creリコンビナーゼによって使用される配列であり、矢印およびGSは、グルタミンシンテターゼ相補性を表し、矢印およびPuroは、ピューロマイシン耐性を表す。
図5図5Aおよび5Bは、本開示の汎用性(universal)TI方策を概略的に提示する。本明細書において開示されるTI技術は、第2のDNAとの相同組換えを刺激するための、親細胞株における(図5A)、またはランディングパッド細胞株における(図5B)、親プラスミド配列に対する指向性を持つ部位特異的エンドヌクレアーゼの使用を含む。親細胞株(図5A)は、ランディングパッド細胞株(図5B)として機能することもできる。これらの方策は、ゲノム配列の知識および使用が必要とされる技術とは対照的である(例えば、図4Aおよび4Bを参照されたい)。ゲノム配列の隣りにある縦線および波線の付いたボックスは、異なるプラスミドの間の相同性の領域を表す。各相同性領域の隣りにある黒塗りのボックスは、CRISPR/Casによって標的化される、図5Aの親細胞株または図5Bのランディングパッド細胞株には存在するが、これらの細胞株中に組換えられるプラスミドには存在しない配列である。鋏は、CRISPR/Casを表し、mCherryオープンリーディングフレームは、蛍光マーカーをコードし、LoxP部位は、Creリコンビナーゼによって使用される配列であり、矢印およびGSは、グルタミンシンテターゼ相補性を表し、矢印およびPuroは、ピューロマイシン耐性を表す。図5Cは、本明細書において開示される方法に従って生成された発現細胞における発現プラスミド(P4)の配列編成を描写する。これらの略図は、親プラスミド(P1)、ランディングパッドプラスミド(P2)、および第2 GOIプラスミド(P3)から生じる配列の場所を示す。「細胞ゲノム」はフランキングゲノム配列を示す。図5Dは、単一のSSRS部位を使用する汎用性TI方策を示す。ここでは、部位特異的エンドヌクレアーゼが、親細胞株における親プラスミド配列に対する指向性を持ち、相同組換えを刺激する。ゲノム配列の隣りにある縦線および波線の付いたボックスは、異なるプラスミドの間の相同性の領域を表す。各相同性領域の隣りにある黒塗りのボックスは、配列特異的エンドヌクレアーゼ、例えば、CRISPR/Casによって標的化される、親細胞株には存在するが、これらの細胞株中に組換えられるプラスミドには存在しない配列である。ランディングパッド細胞株には単一のSSRS部位が存在し、ここでは一例としてattBを使用して示されている。単一のSSRS部位を通して、GOIプラスミド(P3)が標的化座位に挿入される。鋏は、配列特異的エンドヌクレアーゼ、例えば、CRISPR/Casを表し、mCherryオープンリーディングフレームは、例示的な蛍光マーカーをコードし、attBおよびattP部位は、インテグラーゼによって使用される配列である。矢印はプロモーターを表し、GSはグルタミンシンテターゼ相補性を表す。AnはポリAシグナル配列である。mAbは、特有のプロモーターおよびポリAシグナルを含むモノクローナル抗体発現カセットである。図5Eは、ランディングパッドを作出する相同組換えのために細胞ゲノム配列を使用するTI方策を示す。ここでは、部位特異的エンドヌクレアーゼが、細胞ゲノム配列に対する指向性を持ち、相同組換えを刺激する。ゲノム配列は、ランディングパッドプラスミドと親細胞との間の相同性の領域を表す。各相同性領域の隣りにある黒塗りのボックスは、CRISPR/Casによって標的化される、親細胞株には存在するが、これらの細胞株中に組換えられるプラスミドには存在しない配列である。ランディングパッド細胞株には単一のSSRS部位が存在し、ここでは一例としてattBを使用して示されている。単一のSSRS組換えを通して、GOIプラスミド(P3)が標的化座位に挿入される。鋏は、CRISPR/Casを表し、mCherryオープンリーディングフレームは、蛍光マーカーをコードする。attBおよびattP部位は、インテグラーゼによって使用される配列である。矢印はプロモーターを表し、GSはグルタミンシンテターゼ相補性を表す。AnはポリAシグナル配列である。mAbは、特有のプロモーターおよびポリAを含むモノクローナル抗体発現カセットを表す。図5Fは、図5Eに記述される方法に従って、または新しいゲノム座位へのランダム組み込みを使用して生成された、発現細胞株における発現プラスミド(P5)の配列編成を描写する。これらの略図は、ランディングパッドプラスミド(P2)および第2 GOIプラスミド(P3)から生じる配列の場所を示す。「細胞ゲノム」はフランキングゲノム配列を示す。プラスミドP1は完全に除去されているか座位に存在しないかのいずれかであるため、この発現プラスミド構成にはP1部分がない。
図6図6Aおよび6Bは、本開示に係るランディングパッド細胞株の生成を概括する。図6Aは、親細胞株におけるモノクローナル抗体(mAb)をコードするプラスミドを、ランディングパッドプラスミドのタンパク質(例えば、LoxP部位によってフランキングされたmCherryおよびピューロマイシン耐性遺伝子をコードするオープンリーディングフレームを含む線状プラスミド)の一部に置き換えることによる、マーカー(例えば、mCherry)を発現するランディングパッド細胞株の生成を示す。図6A中の構成要素の説明は、上記の図5Aおよび5Bの説明に見出すことができる。図6Bは、CRISPR/Cas技術に必要なシングルガイドRNA(sgRNA)の存在によって刺激されたmCherryランディングパッド細胞株の生成における頻度の増加を示す。単一のmCherry発現カセットが存在し、mAbが存在しないという、所望の表現型を有するクローンのパーセント(約25%)。TIのために使用されたランディングパッド細胞株は、その発現レベル(平均蛍光強度MFI)、転写物レベル、および細胞を継代した際のこれら2つのパラメータの安定性によって同定された。
図7図7Aおよび7Bは、図5A、5B、6A、および6Bの細胞において提示された標的化組み込みの方法論の実際の適用を示す。図7Aでは、mCherry発現カセットを、Creリコンビナーゼの使用により、タンパク質3に対する抗体(mAb3)を発現するものに交換している。mAb3のみを発現した細胞を、Berkley Lights(BL)およびFACS技術によって単細胞クローニングした。AMBR(登録商標)15、AMBR(登録商標)250バイオリアクターシステムにおいて、かつ24ディープウェルフェドバッチ(24DW FB)により、細胞を増殖させ、タンパク質発現について評価した。図7Bは、GS相補性についての選択後の結果として得られた細胞集団を、タンパク質3の細胞表面発現(縦軸)、およびmCherryの発現(横軸)について、FACSによってスクリーニングしたことを示す。細胞の5.24%はタンパク質3のみを発現し、90.06%は両タンパク質を発現し、4.12%はmCherryのみを発現し、0.68%はいずれのタンパク質も発現しなかった。タンパク質3に対するmAb(mAb3)の細胞表面染色だけがある細胞が、所望の細胞である。スクリーニングしたクローンから得られた生産性は、FACSデータの隣りにある文章に概括されている。
図8図8Aおよび8Bは、4つの異なる方策(方策A、方策B、方策C、および方策D)を使用して実行され得る汎用性標的化組み込み(UTI)技術を概括する。本明細書において開示される汎用性TI技術は、ランディングパッドプラスミドとの相同組換えを刺激するための、ランディングパッドプラスミドには存在しない、親細胞株における親プラスミド配列に対する指向性を持つ部位特異的エンドヌクレアーゼの使用を含む。この方策の利点は、フランキングゲノムDNA配列の知識が必要ないことである。図8Aに描写されるようなこのUTI技術では、親細胞株における親発現プラスミドが、ランディングパッドによって置き換えられるか(方策A)、または親発現プラスミドが欠失して、ランディングパッドが細胞ゲノム内の代替的座位に挿入される(方策B)。両方の場合において、組換えを刺激するために部位特異的エンドヌクレアーゼが使用される。ランディングパッド細胞株が作出されたら、これが、Creリコンビナーゼの使用によりランディングパッドが第2 GOIに置き換えられた発現細胞株を作製するために使用される。図8Bに描写されるようなこのUTI技術では、方策Cおよび方策Dにおいて発現細胞株を作出するために、単一のSSRS部位が使用される。縦線および波線の付いたボックスは、異なるプラスミドの間の相同性の領域を表す。黒塗りのボックスは、例えば、CRISPR/Casによって標的化される、親発現プラスミドには存在するが、これらの細胞株中に組換えられるプラスミドには存在しない配列を表す。鋏は、CRISPR/Casを表す。mCherryオープンリーディングフレームは、蛍光マーカーをコードする。LoxPおよびLox511部位は、Creリコンビナーゼによって使用される配列である。attBおよびattP部位は、インテグラーゼによって使用される配列である。矢印およびGSは、GS相補性をコードする。矢印およびPuroは、ピューロマイシン耐性をコードする。これら4つの代替的方策の描写は、例示的であり、図面に示される構成要素(例えば、CRISPR/Cas、mCherry、Lox部位、att部位)は、本明細書において開示される機能的均等物に置き換えられ得る。
図9図9は、図8Aおよび8Bに示される方策を使用したランディングパッド細胞株の作製におけるデータの概要を示す。写真は、CRISPR/Cas技術に必要なシングルガイドRNA(sgRNA)の存在によって刺激されたmCherryランディングパッド細胞株の生成における頻度の増加を示す。25%のパーセントのクローンが、mCherry発現カセットが存在し、親細胞株からのmAbが存在しないという、所望の表現型を有する。TIのために使用されたランディングパッド細胞株は、それらのmCherry遺伝子コピー数、発現レベル(平均蛍光強度MFI)、転写物レベル、および細胞を継代した際のこれら2つのパラメータの安定性によって同定された。
図10図10は、mAbの軽鎖2コピーおよび重鎖2コピーをコードする第2 GOIプラスミドならびにCreをコードするプラスミドを使用して発現細胞株を構築するために12個のランディングパッド細胞株を使用した実験の結果を概括する。発現細胞株のパーセントは、選択後のバルク培養物中のmCherry陰性[Red(-)]細胞のパーセントである。
図11図11Aおよび11Bは、細胞株造成を経た5つのランディングパッド細胞株を使用した実験の結果を概括する。単細胞クローニング後、各ランディングパッド細胞株から32個の発現細胞株をランダムに選定し、増殖させ、24ディープウェルプレート(DWP)での14日間のフェドバッチアッセイにおいて試験した。これは、ランディングパッド細胞株の潜在力の総合的な特性解析を可能にする。データは図11Aに概括され、図11Bに箱ひげ図で表されている。
図12図12Aは、ヘッド・トゥ・ヘッドのデュオランディングパッド(duo-landing pad)構成を示す。各ランディングパッドが、指向性組換えのための2つの別個のSSRS部位を含有する。組換えにより、各ランディングパッド座位に1つのGOI(mAb)が挿入された。結果として得られたmAb発現プラスミドは、依然としてヘッド・トゥ・ヘッド構成にある。図12Bは、デュオランディングパッド構成、およびデュオランディングパッドに対するCreリコンビナーゼの影響の描写である。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。両方のランディングパッドがLoxPおよびLox511を使用する。ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成は、Creの存在下でインタクトな状態を保つ。他の2つの構成では、ランディングパッドの一方が恒久的に欠失し得る。2つ以上のランディングパッドを有することの目的は、例えば、二重特異性mAbを作製し、力価を上昇させることを可能にすることである。同じ調節性配列(例えば、同じプロモーター)の制御下にあるとき、複数のランディングパッドは、同じ活性を有する確率が高い。いくつかの態様において、複数のランディングパッドが、例えば、3つ、4つまたはそれよりも多くが、1:1の比率で、または1:2もしくは2:1などの代替的比率で存在し得る。
図13図13は、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールのデュオランディングパッド構成における第2 GOIのTIの結果を示す。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。両方のランディングパッドがLoxPおよびLox511を使用する。第2 GOIは黒塗りの長方形として示されている。両方の場合において、発現細胞株は2つの第2 GOIを有する。
図14図14は、テール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールのデュオランディングパッド構成における第2 GOIのTIの結果を示す。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。両方のランディングパッドがLoxPおよびLox511を使用する。第2 GOIは黒塗りの長方形として示されている。両方の場合において、2つの異なる発現細胞株が作出され、その1つは第2 GOIを1つ有し、2つ目は第2 GOIを2つ有する。
図15図15は、FrtおよびLox部位を含むデュオランディングパッド構成、ならびにデュオランディングパッドに対するCreおよびFlpリコンビナーゼの影響の描写を示す。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。両方のランディングパッドがLoxPおよびFrtを使用する。ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成は、Cre+Flpの存在下でインタクトな状態を保つ。他の2つの構成では、ランディングパッドの一方が恒久的に欠失し得る。これは、図12Bにおいて観察されたものに相当する。
図16図16は、すべてのランディングパッドにフランキングするように同じaatP部位を使用するデュオランディングパッド構成、ならびに第2 GOIプラスミドおよびIntが細胞にトランスフェクトされた後の結果の描写を示す。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。GOIは黒塗りの長方形として示されている。
図17図17Aおよび17Bは、デュオランディングパッドが、所望の複合生物製剤を作製するようにアセンブリーする異なるサブユニットの発現の多様性を高めるために使用され得ることを概略的に提示する。実線および破線の矢印は、生物製剤を作製するために必要とされる異なる構成要素を表す。例示の目的で、複合生物製剤は、各矢印を少なくとも1つ必要とする。各GOIプラスミドは、異なる構成の複合生物製剤の各サブユニット、すなわち、複合生物製剤の矢印を含有し得る。第2 GOIは、異なる順序の複数の矢印または各矢印自体から構成され得る。第2 GOIプラスミドは、リコンビナーゼと併せてデュオランディングパッド細胞株にトランスフェクトされる。サブユニット発現のレベルを調整するために、異なる組合せの第2 GOIプラスミドがデュオランディングパッド細胞株にトランスフェクトされる。TIが完了した後の実線矢印と破線矢印との遺伝子コピー比を1:2、1:1、および2:1にするような、第2 GOIの異なるトランスフェクションが示されている。例えば、図17Aの1:2比では、一方の第2 GOIが破線矢印を1コピー含み、他方の第2 GOIプラスミドが2つのうち1つの構成で実線および破線の矢印を含む。図17Aに示すように、これには、デュオランディングパッド細胞株の2回の独立したトランスフェクションが必要になる。これが起こり得る結果またはインプットの網羅的リストではないことは明らかである。また、サブセットのみが、すなわち1つの実線のみ、または破線矢印のみがランディングパッドに組み込まれる故に複合生物製剤が作製されない構成は示されていない。図17Bは、ユニークなSSRSを持つアドレス指定可能ランディングパッドを使用する簡略図を示す。1つのランディングパッドはLox 511およびLox Pから構成され、2つ目はLox部位2272およびM3を含む。第2 GOIプラスミドは、対応するLox部位を使用して、一方のランディングパッドまたは他方に対して特異的に標的化されることになる。
図18図18は、アドレス指定可能ランディングパッドを含むデュオランディングパッドを有することの有用性を示す。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。第2 GOIプラスミドは、黒塗りの長方形または縦線付きの長方形として示されている。この例では、各ランディングパッドが、相互にしか組換わらないユニークな組合せのLox部位によってフランキングされている。この例は説明のためのものであり、他のリコンビナーゼおよびそれらの標的部位を使用してもよい。アドレス指定可能ランディングパッドを有することで、デュオランディングパッドの4つの構成すべてが、図12Bに示したようなテール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの構成におけるランディングパッドのうちの1つの喪失を起こさずに、規定の第2 GOIを有することが確実になる。
図19図19は、各ランディングパッドに単一のaatB部位を含むデュオランディングパッドを有することで、ランディングパッドの欠失がなくなることを説明する図を示す。一方のランディングパッドは斜線付き矢印として示され、他方は網目パターン付き矢印として示されている。第2 GOIプラスミドは黒塗りの長方形として示されている。使用されるattP部位が相互適合性でなければ、デュオランディングパッドはアドレス指定可能になる。
図20図20は、デュオランディングパッド細胞株を用いた標的化組み込みの概念実証(POC)を示す。mCherry発現カセットを、図8bに概説したように、Creリコンビナーゼの使用により、第2 GOI mAb発現カセットに交換する。GS相補性選択後の結果として得られた細胞集団を、mCherryの発現(横軸)およびmAbの細胞表面発現(縦軸)について、FACSによってスクリーニングした。ここでは、細胞の5.24%がmAbのみを発現し、90.06%が両タンパク質を発現し、4.12%がmCherryのみを発現し、0.68%はいずれのタンパク質も発現しない。
図21図21は、GOIの標的化組み込みが、ランダム組み込みに対して生産性のより高い細胞をもたらすことを示す。第2 GOIプラスミド形態のmAb AおよびBを、ランダム組み込みまたは標的化組み込みのいずれかにより、宿主細胞に組み込んだ。ランディングパッド細胞株は、ランダム組み込みに使用された細胞株の直系子孫である。単細胞クローニングに使用した細胞集団の力価を決定した。標的化組み込み集団は、ランダム組み込みの力価のおおよそ3倍から4倍高い力価を有し、ランダム組み込みの業界標準を凌駕し得るランディングパッド細胞株を生成するためのこの技術の価値を実証している。
図22図22は、1LC+1HCまたは2LC+2HCを含む第2 GOIプラスミドを使用して発現細胞株を作製するためのデュオランディングパッド細胞株の使用の概要を示す。mAb AおよびBの1LC+1HC、または2LC+2HCのいずれかを含む第2 GOIプラスミドをTI細胞株造成において使用した。各群からの上位6クローンの生産性が示されている。両方の場合において、LCおよびHCのコピー数を増加させることにより、平均力価が25%~37%改善し、力価中央値が35%~37%改善した。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、目的遺伝子(例えば、抗体をコードする1つまたは複数のオープンリーディングフレーム)を含む線状プラスミドなどの線状プラスミドを宿主細胞のゲノムに挿入することができ、その標的化挿入のために宿主細胞のゲノム配列に関する事前の知識を必要としない方法を提供する。線状プラスミドが好ましいことが多いが、環状プラスミドを使用してランディングパッド細胞を生成することもできる。
【0036】
「標的化挿入」および「標的化組み込み」という用語は交換可能に使用され、ゲノム上の特定場所に対する指向性を遺伝子または核酸配列の直接的な挿入または組み込みに持たせる、すなわち、連続するポリヌクレオチド鎖における2つのヌクレオチドの間の特定部位に対する指向性を遺伝子または核酸配列に持たせるために用いられる遺伝子標的化方法を指す。標的化挿入は、少数のヌクレオチドを導入するために行われることもあれば、例えば、複数の遺伝子、調節要素、および/または核酸配列を含む遺伝子カセット全体を導入するために行われることもある。「挿入」および「組み込み」ならびにそれらの文法的変形は、本明細書を通して交換可能に使用される。いくつかの態様において、標的化組み込みは、組換え、例えば、部位特異的組換え、相同組換え、またはそれらの組合せによって遂行され得る。
【0037】
これらの方法によれば、目的タンパク質の発現に関する有利な特性(例えば、組換え型タンパク質収量の高さ、タンパク質分解もしくはミスフォールディングの低さ、特定のグリコシル化パターン、または翻訳後修飾に関連する他の特性)を示すことが歴史的に知られている細胞株などの細胞株を親細胞株として使用することで、他の目的遺伝子を発現させるために使用され得るランディングパッド細胞株を生成することができる。親細胞株は、ホット細胞である(すなわち、高力価の組換え型タンパク質を生産する)、かつ1つまたは複数のホットスポット(目的タンパク質をコードする外来核酸の導入が問題を起こさず、高レベルの組換え型タンパク質発現をもたらすゲノム上のエリア)を有する細胞であるのが理想的である。本明細書において開示される親細胞選択プロセスの一環として、2つのホットスポットが同定された。
【0038】
親細胞株のゲノムに組み込まれた発現カセットを含む親細胞内のプラスミド(親プラスミド)は、親プラスミドに内在する2つの場所(例えば、組換え部位)の間でそれを(例えば、相同組換えによって)切除することにより(すなわち、親細胞ゲノムDNAをカット/破壊することなく)部分的に除去され、切除された領域は、少なくとも1つのマーカー(例えば、選択可能および/またはスクリーニング可能なマーカー)にフランキングする2つの新しい組換え部位を含む別のDNA配列(ランディングパッドプラスミド)に置き換えられる。この方法は、2つの新たに導入された組換え部位における組換えによって、異なる目的遺伝子(すなわち、親細胞に存在する目的遺伝子とは異なる目的遺伝子)を含む核酸配列(例えば、発現プラスミドまたは目的遺伝子プラスミド)を挿入するために使用され得るランディングパッド細胞をもたらす。本願では、この概略的プロセスに関連する異なる方策を開示する。
【0039】
これらの方法は本質的に汎用性であり、親プラスミドの配列の知識に基づいて、あらゆる特に有利な親細胞株をランディングパッド細胞株として使用することを可能にする。大抵は当技術分野において公知の商業的プラスミドである、親細胞株に存在するプラスミド(親プラスミド)の知識により、ランディングパッドプラスミドまたはその一部を親細胞のゲノムに導入するのに好適な組換え部位の選択が容易にできる。ひいては、ランディングパッドプラスミドにおける新たに導入された組換え部位を使用して、目的遺伝子を含む線状または環状プラスミドなどのプラスミドまたはその一部を親細胞のゲノムに組み込むことにより、発現細胞をもたらすことができる。例えば、図4A図5A図6A、および図8Aを参照されたい。汎用性標的化組み込みの方策は、例えば、図8A(方策Aおよび方策B)および図8B(方策Cおよび方策D)にて描写されている。異なる構成における複数のランディングパッドを含むコンストラクトも提供され(例えば、図12Bを参照されたい)、ユニークなSSRSの組合せを使用することにより、各パッドをユニークに同定することができる(例えば、図18を参照されたい)。
【0040】
「ホット細胞株」である(すなわち、組換え型タンパク質の高い収量または別の有利な特性を有する)親細胞株を同定し、その後に親プラスミドが挿入された「ホットスポット」を同定することは、親細胞ゲノムの配列の知識を必要としない、ランディングパッド細胞を作製および使用するための方法、ならびに、これらの方法および/またはランディングパッド細胞を使用したモノクローナル抗体などの適切な代替的生物製剤の発現の改善をサポートする。
【0041】
したがって、本開示はまた、ランディングパッド細胞、ランディングパッドプラスミド、ならびに、例えばランディングパッド細胞株の生成および/または発現細胞株の生成のための試薬を含むキットを提供する。本開示は、単一のランディングパッドプラスミドを含有するランディングパッド細胞を提供することに加えて、複数のランディングパッドを含むランディングパッド細胞を提供する。いくつかの態様において、本開示のランディングパッド細胞における複数のランディングパッドは、例えば、各ランディングパッドをユニークに同定する部位特異的組換え部位またはそれらの組合せを含有することにより、アドレス指定可能であり得る。
【0042】
I.用語
本開示がより容易に理解され得るように、ある特定の用語をまず定義する。本願において使用される場合、本明細書において別段明記されていない限り、以下の用語の各々は、以下に定める意味を有するものとする。さらなる定義は、本願の随所で定められる。
【0043】
「1つの(a)」、「1つの(an)」および「the」という単数形には、文脈上明らかに別段の記載がない限り、複数形の参照対象が含まれる。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つまたは複数の」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用され得る。ある特定の態様において、「a」または「an」という用語は「単一」を意味する。他の態様において、「a」または「an」という用語は「2つ以上」または「複数」を含む。
【0044】
さらに、「および/または」は、本明細書において使用される場合、2つの特定された特徴または構成要素の各々の具体的な開示として解釈され、他方の有無を問わないものとする。よって、本明細書中の「Aおよび/またはB」などの語句において使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むよう意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される「および/または」という用語は、次の態様の各々を包含するよう意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0045】
「約」または「を本質的に含む(comprising essentially of)」という用語は、当業者によって決定される、特定の値または組成についての許容できる誤差範囲内にある値または組成を指し、この誤差範囲は、値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定系の限界に部分的に依存する。例えば、「約」または「を本質的に含む」は、当技術分野における慣例に従い、1または1を超える標準偏差以内を意味し得る。あるいは、「約」または「を本質的に含む」は、10%までの範囲を意味し得る。さらに、生物学的システムまたはプロセスに関しては特に、これらの用語は、値の一桁まで、または5倍までを意味し得る。特定の値または組成が本願および特許請求の範囲において提供される場合、別段の定めがない限り、「約」または「を本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成についての許容できる誤差範囲以内にあると想定されるべきである。
【0046】
態様が「含む(comprising)」という文言を用いて本明細書に記述される場合は常に、「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を用いて記述される、さもなければ同様の態様も提供されるものと理解される。
【0047】
本明細書において使用される場合、1つまたは複数の対象値に適用される「おおよそ」という用語は、規定の参照値と同様の値を指す。ある特定の態様では、別段の定めがない限り、または文脈から別の解釈が明らかでない限り、「おおよそ」という用語は、規定の参照値から10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれよりも少なく上下する(上回るまたは下回る)値の範囲を指す(ただし、そのような数が可能な値の100%を超える場合はこの限りではない)。
【0048】
本明細書に記述される場合、いかなる濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲も、別段の記載がない限り、記載された範囲以内のあらゆる整数値を含み、適切な場合には、その分数(例えば整数の1/10および1/100)も含むと理解されるべきである。
【0049】
別段定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press、およびOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示において使用される用語の多くの一般的辞書を当業者に提供する。
【0050】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)の認める形態にて表記される。本明細書において提供される見出しは、本開示の様々な態様を限定するものではなく、本開示の諸態様は本明細書全体を参照することにより理解され得る。したがって、定義される用語は、本明細書の全体を参照することによってさらに詳細に定義される。
【0051】
本明細書において使用される略語は、本開示の随所で定義される。本開示の様々な態様については、以下の小節においてさらに詳細に記述する。
【0052】
ヌクレオチドは、一般的に認められている一文字コードによって言及される。別段の記載がない限り、核酸は、左から右に5’から3’の向きで書かれる。ヌクレオチドは、本明細書では、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されている一般的に知られている一文字記号によって言及される。したがって、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Uはウラシルを表す。
【0053】
アミノ酸は、本明細書では、一般的に知られている三文字記号、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されている一文字記号のいずれかによって言及される。別段の記載がない限り、アミノ酸配列は、左から右にアミノからカルボキシの向きで書かれる。
【0054】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの類似体、またはそれらの混合物を含む、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマーを指す。この用語は、分子の一次構造を指す。よって、この用語には、三重鎖、二重鎖、および一重鎖のデオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三重鎖、二重鎖、および一重鎖のリボ核酸(「RNA」)が含まれる。また、例えばアルキル化および/またはキャッピングによって修飾された形態のポリヌクレオチド、ならびに未修飾の形態のポリヌクレオチドも含まれる。より具体的には、「ポリヌクレオチド」という用語には、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)(mRNAおよびgRNAを含み、スプライシングされているかスプライシングされていないかを問わない)、プリンまたはピリミジン塩基のN-グリコシドまたはC-グリコシドである、任意の他の種類のポリヌクレオチド、および非ヌクレオチド(normucleotidic)骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)およびポリモルホリノポリマー、ならびに他の合成配列特異的核酸ポリマーが含まれるが、ただし、ポリマーが、DNAおよびRNAにおいて見出されるような塩基対合および塩基スタッキングを可能にする構成における核酸塩基を含有することを条件とする。
【0055】
「核酸配列」および「ヌクレオチド配列」という用語は交換可能に使用され、連続する核酸配列を指す。配列は、一重鎖または二重鎖のDNAまたはRNA(例えば、gRNA)のいずれであってもよい。
【0056】
本明細書において使用される場合、「部分配列」という用語は、配列(物理的配列またはその記号表現のいずれか)における連続するヌクレオチドのサブセットを指す。
【0057】
本明細書において開示される方法は、例えば、抗体などの生物製剤の生産のために使用され得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「抗体」(Ab)という用語は、限定されるものではないが、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む、糖タンパク質免疫グロブリン、またはその抗原結合部分を含むものとする。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメイン、Cを含む。VおよびV領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分することができ、それらの間には、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が存在する。各VおよびVは、アミノ末端からカルボキシ末端へFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の順序で配置された、3つのCDRおよび4つのFRを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、様々な免疫系細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介することができる。したがって、例えば、「抗PD-1抗体」という用語には、2本の重鎖および2本の軽鎖を有し、PD-1に特異的に結合する完全抗体、ならびに完全抗体の抗原結合部分が含まれる。抗原結合部分の非限定的な例は、本明細書における他の箇所で示される。本開示のいくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブまたはその抗原結合部分である。
【0059】
いくつかの態様において、抗体は二重特異性抗体である。「二重特異性抗体」は、「二重特異性分子」または「二重特異性結合分子」の特定の種類である。「二重特異性抗体」という用語は、2つの異なる抗原結合部位を介して少なくとも2つの抗原決定基(例えば、エピトープ)に結合することができる抗体を意味する。ある特定の態様において、二重特異性抗体は、2つの抗原決定基(例えば、エピトープ)に同時に結合することが可能である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、その結合アームのうちの1つ(一対の重鎖/軽鎖)において1つの抗原(またはエピトープ)に結合し、その第2の結合アーム(異なる一対の重鎖/軽鎖)において異なる抗原(またはエピトープ)に結合する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2つの別個の抗原結合アーム(特異性およびCDR配列の両方において)を有することができ、それが結合する各抗原に対して一価である。二重特異性抗体には、例えば、クアドローマ技術[Milstein & Cuello (1983) Nature 305(5934):537-40]によって、2つの異なるモノクローナル抗体の化学的コンジュゲーション[Staerz et al. (1985) Nature 314(6012):628-31]によって、またはノブ・イントゥ・ホールもしくはFc領域に突然変異を導入する同様の手法[Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90(14):6444-6448]によって生成されたものが含まれる。
【0060】
近年になって、三価または四価の二重特異性抗体など、多種多様な組換え型抗体フォーマットが造成されている。例としては、IgG抗体フォーマットと単鎖ドメインとの融合が挙げられる[異なるフォーマットについては、例えば、Coloma, M.J., et al, Nature Biotech 15 (1997), 159-163、WO2001/077342、Morrison, S.L., Nature Biotech 25 (2007), 1233-1234、Holliger. P. et. al, Nature Biotech. 23 (2005), 1 126-1 136、Fischer, N., and Leger, O., Pathobiology 74 (2007), 3-14、Shen, J., et. al, J. Immunol. Methods 318 (2007), 65-74、Wu, C, et al., Nature Biotech. 25 (2007), 1290-1297を参照されたい]。二重特異性抗体には、WO2009/080251、WO2009/080252、WO2009/080253、WO2009/080254、WO2010/112193、WO2010/115589、WO2010/136172、WO2010/145792、WO2010/145793、およびWO2011/117330において開示されている方法に従って生産された三価または四価の二重特異性抗体が含まれ、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。当業者は、より高次の価数も使用され得ることを理解するであろう。
【0061】
近年になって、多種多様な組換え型二重特異性抗体フォーマットが、例えばIgG抗体フォーマットと単鎖ドメインとの融合などによって造成されている[Kontermann RE, mAbs 4:2, (2012) 1-16を参照されたい]。可変ドメインVLおよびVHまたは定常ドメインCLおよびCH1が互いにより置き換えられた二重特異性抗体は、WO2009080251およびWO2009080252において記述されている。
【0062】
誤対合した副産物の問題を避けるための「ノブ・イントゥ・ホール」として知られる手法は、突然変異をCH3ドメイン内に導入して接触界面を修飾することにより、2つの異なる抗体重鎖を強制的に対合させることを目的とする。一方の鎖では、嵩高のアミノ酸が、短い側鎖を持つアミノ酸により置き換えられて、「ホール」が作出された。反対に、大きな側鎖を持つアミノ酸が他方のCH3ドメインに導入されて、「ノブ」が作出された。これら2つの重鎖(および、両方の重鎖に対して適切でなければならない2つの同一の軽鎖)を共発現させることにより、ホモ二量体形成(「ホール・ホール」または「ノブ・ノブ」)に対して高収量のヘテロ二量体形成(「ノブ・ホール」)が観察された(Ridgway JB, Presta LG, Carter P、およびWO1996027011)。ヘテロ二量体のパーセンテージは、ファージディスプレイ手法を使用した2つのCH3ドメインの相互作用表面のリモデリングと、ヘテロ二量体を安定化するためのジスルフィド橋の導入とにより、さらに増加させることができた[Merchant A.M, et al, Nature Biotech 16 (1998) 677-681、Atwell S, Ridgway JB, Wells JA, Carter P., J Mol Biol 270 (1997) 26-35]。ノブ・イントゥ・ホール技術の新しい手法は、例えばEP1870459A1に記述されている。Xie, Z., et al, J Immunol Methods 286 (2005) 95-101は、Fc部に対するノブ・イントゥ・ホール技術と組み合わせたscFvを使用する二重特異性抗体のフォーマットに言及している。Godar et al. (2018) “Therapeutic bispecific antibody formats: a patent applications review (1994-2017)” Expert. Opin. Ther. Pat. 28(3):251-276、およびBrinkmann & Kontermann (2017) “The making of bispecific antibodies” mAbs 9:182-212を参照されたい。これらはいずれも、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。また、Ridgway et al (1996) Protein Eng 9:617-21、Atwell et al (1997) J. Mol. Biol. 270:26-35、Merchant et al (1998) Nat. Biotechnol. 16:677-681、Moore et al (2011) MAbs 3:546-55、Von Kreudenstein et al (2013) MAbs 5:646-54、Gunasekaran et al (2010) J. Biol. Chem. 285:19637-47、Geuijen et al (2014) J. Clin. Oncology 32:suppl:560、Strop et al (2012) J. Mol. Biol. 420:204-19、Choi et al (2013) Mol. Cancer Ther. 12:2748-59、Choi et al (2015) Mol. Immunol. 65:377-83、Labrijn et al (2013) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110:5145-50、Davis et al (2010) Protein Eng. 23:195-202、Moretti et al (2013) BMC Proceedings 7(Suppl 6):O9、およびLeaver-Fey et al (2016) Structure 24:641-51を参照されたい。これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。軽鎖対合の方策は、例えば、Schaefer et al (2011) Proc Natl Acad Sci U S A. 108(27):11187-92、Lewis et al. (2014) Nat Biotechnol. 32(2):191-8、Mazor et al. (2015) MAbs. 7(2):377-89、Liu et al. (2015) J Biol Chem. 290(12):7535-62、Dillon et al. (2017) MAbs. 9(2):213-230、および米国特許第9,914,785号において開示されており、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0063】
免疫グロブリンは、IgA、分泌性IgA、IgGおよびIgMを含むがこれらに限定されない、広く知られているアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むがこれらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体のクラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。「抗体」という用語には、例として、自然において存在する抗体と自然において存在しない抗体の両方、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体、ヒト抗体または非ヒト抗体、完全に合成の抗体、ならびに単鎖抗体が含まれる。非ヒト抗体は、ヒトにおけるその免疫原性を低減するために組換え法によってヒト化され得る。明記されていない場合は、文脈上別段の記載がない限り、「抗体」という用語は、前述の免疫グロブリンのいずれかの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分も含み、一価および二価のフラグメントまたは部分、ならびに単鎖抗体も含む。
【0064】
「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、PD-1などの抗原に特異的に結合する単離抗体は、PD-1以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、PD-1に特異的に結合する単離抗体は、異なる種からのPD-1分子のような他の抗原との交差反応性を有し得る。さらに、単離抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0065】
「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、単一分子組成の抗体分子、すなわち、一次配列が本質的に同一であり、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を呈する抗体分子の、自然において存在しない調製物を指す。モノクローナル抗体は単離抗体の一例である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技法、組換え技法、トランスジェニック技法、または当業者に公知の他の技法によって生産することができる。
【0066】
「ヒト抗体」(HuMAb)は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基[例えば、インビトロ(in vitro)のランダムもしくは部位特異的な突然変異誘発またはインビボ(in vivo)の体細胞突然変異によって導入される突然変異]を含み得る。しかしながら、本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図してはいない。「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」という用語は同義に使用される。
【0067】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体のCDR外のアミノ酸の一部、大部分、または全部が、ヒト免疫グロブリンに由来する対応するアミノ酸に置き換えられた抗体を指す。ヒト化型の抗体の一態様では、CDR外のアミノ酸の一部、大部分、または全部が、ヒト免疫グロブリンからのアミノ酸に置き換えられているが、1つまたは複数のCDRの中のアミノ酸の一部、大部分、または全部は変化していない。アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換、または修飾は、特定の抗原に結合する抗体の能力を消失させない限り許容可能である。「ヒト化抗体」は、元の抗体の抗原特異性と同様の抗原特異性を保持する。
【0068】
「キメラ抗体」とは、可変領域が1つの種に由来し、定常領域が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域がマウス抗体に由来し、定常領域がヒト抗体に由来する抗体を指す。
【0069】
「抗抗原抗体」は、抗原に特異的に結合する抗体を指す。例えば、抗PD-1抗体はPD-1抗原に特異的に結合し、抗PD-L1抗体はPD-L1抗原に特異的に結合する。
【0070】
抗体の「抗原結合部分」(「抗原結合フラグメント」とも呼ばれる)は、全抗体が結合する抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体のフラグメントによって果たされ得ることが示されている。抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体などの抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、(i)Fabフラグメント(パパイン切断からのフラグメント)、またはV、V、LCおよびCH1ドメインからなる同様の一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント(ペプシン切断からのフラグメント)、またはヒンジ領域にてジスルフィド橋により連結された2つのFabフラグメントを含む同様の二価フラグメント;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の片腕のVおよびVドメインからなるFvフラグメント、(v)VドメインからなるdAbフラグメント[Ward et al., (1989) Nature 341:544-546];(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、ならびに(vii)合成リンカーにより接合されていてもよい2つ以上の単離されたCDRの組合せが挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVおよびVは別々の遺伝子によってコードされるが、組換え法を使用して、それらを単一のタンパク質鎖(VおよびV領域が対合して一価分子を形成したもの)にすることができる合成リンカーにより、それらを接合させることができる[単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426、およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい]。そのような単鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることが意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来の技法を使用して得られ、フラグメントは、インタクトな抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技法によって、またはインタクトな免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的な切断によって生産され得る。
【0071】
いくつかの態様において、生物製剤は、タンパク質、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり得る。いくつかの態様において、生物製剤は、酵素、受容体、受容体リガンド、タンパク質抗生物質、融合タンパク質、構造タンパク質、調節性タンパク質、ワクチン、成長因子、ホルモン、またはサイトカインである。いくつかの態様において、生物製剤は、1つまたは複数の異種部分、例えば、生物製剤の血漿半減期を延長するための部分、膜もしくは脳血液関門を横断する輸送を円滑化するための部分、クリアランス速度を増大もしくは減少させるための部分、または生物製剤に、特定の細胞もしくは組織型に対する指向性を持たせるための部分(すなわち、標的化部位)を含むことができる。
【0072】
本明細書において開示される、「単離」されているポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、細胞、またはいずれかの組成物は、天然に見出されない形態にあるポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、細胞、または組成物である。単離されたポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、または組成物には、それらが天然に見出される形態ではなくなる程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの態様において、単離されているポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、または組成物は、実質的に純粋である。
【0073】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを指す。このポリマーは、修飾されたアミノ酸を含み得る。これらの用語には、天然に、または介入により、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの何らかの他の操作もしくは修飾により修飾された、アミノ酸ポリマーも包含される。この定義には、例えば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、およびクレアチンなどの非天然アミノ酸を含む)、および当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。
【0074】
2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の「パーセント配列同一性」という用語は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入されなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮に入れた、比較ウィンドウにおいて当該配列が共有する同一のマッチする位置の数を指す。マッチする位置とは、標的配列と参照配列との両方において同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が現れる任意の位置である。ギャップはヌクレオチドでもアミノ酸でもないので、標的配列に現れるギャップはカウントされない。同様に、参照配列のヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸がカウントされるので、参照配列に現れるギャップはカウントされない。DNAおよびRNAを比較する際、チミン(T)およびウラシル(U)は均等とみなされ得る。
【0075】
配列同一性のパーセンテージは、両配列において同一のアミノ酸残基または核酸塩基が生じる位置の数を決定して、マッチする位置の数を求め、マッチする位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを求めることによって算出される。配列の比較および2配列間のパーセント配列同一性の決定は、オンライン使用とダウンロードとの両方で容易に利用可能なソフトウェアを使用して達成することができる。好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給源から、タンパク質およびヌクレオチドの両方の配列のアラインメントのために利用可能である。パーセント配列同一性を決定するための好適なプログラムの1つはbl2seqであり、これは、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLASTスイートの一部である。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPのいずれかのアルゴリズムを使用して2配列間の比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために使用され、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、これらは、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSスイートの一部であり、また、European Bioinformatics Institute(EBI)からwww.ebi.ac.uk/Tools/psaにおいて入手可能である。
【0076】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインする単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列の中の異なる領域は、各々、特有のパーセント配列同一性を有し得る。パーセント配列同一性値は小数第1位に丸められることは注記すべき点である。例えば、80.11、80.12、80.13、および80.14は80.1に丸められ、80.15、80.16、80.17、80.18、および80.19は80.2に丸められる。長さの値は常に整数になることも注記すべき点である。
【0077】
ある特定の態様において、第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の、第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対するパーセンテージ同一性「%ID」は、%ID=100×(Y/Z)として算出され、式中、Yは、第1および第2の配列のアラインメントにおいて(目視検査または特定の配列アラインメントプログラムによりアラインされた場合に)同一のマッチとしてスコアリングされるアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長ければ、第2の配列に対する第1の配列のパーセント同一性は、第1の配列に対する第2の配列のパーセント同一性よりも高くなる。
【0078】
当業者には理解されるであろうが、パーセント配列同一性の算出のための配列アラインメントの生成は、もっぱら一次配列データによって決められるバイナリの配列間比較に限定されない。また、例えば構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能的データ(例えば、突然変異の場所)、または系統学的データのような異質なソースからのデータと、配列データを統合することにより、配列アラインメントが生成され得ることも理解されるであろう。多重配列アラインメントを生成するために異質データを統合する好適なプログラムにはT-Coffeeがあり、これはwww.tcoffee.orgにおいて入手可能であり、代替的には、EBIなどからも入手可能である。また、パーセント配列同一性を算出するために使用される最終的なアラインメントが自動または手動でキュレートされ得ることも理解されるであろう。
【0079】
「遺伝子」、「コーディング配列」、「エンコーディング核酸」、「オープンリーディングフレーム」、「ORF」という用語、およびそれらの文法的変形は、本開示では交換可能に使用され、大抵は抗体のような生物製剤などのタンパク質である目的遺伝子(GOI)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を指す。コーディング配列には、核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞における発現に指向性を持たせることが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に作動可能に連結された開始シグナルおよび終結シグナルがさらに含まれ得る。コーディング配列はコドン最適化されていてもよい。
【0080】
本明細書において使用される場合、「目的遺伝子」という用語は、「GOI」と略され、本明細書において開示される細胞によって発現される外因性タンパク質を指す。いくつかの態様において、GOIは、生物製剤、例えば抗体またはその一部である。いくつかの態様において、GOIは、例えば、1つもしくは複数のプロモーターおよび/または他の調節性配列に作動可能に連結された、1つまたは複数の組換え型タンパク質をコードする、1つまたは複数のオープンリーディングフレームを含む。いくつかの態様において、本明細書において開示される細胞は、第1 GOIを含有することができ、これは、第2 GOIによって置き換えられ得る。いくつかの態様において、第1 GOI(例えば、親プラスミド上に位置するGOI)および第2 GOI(例えば、第2 GOIプラスミド上に位置するGOI)は、同じ分子クラスに属する。例えば、第1 GOIが抗体であった場合、親細胞株はその種類の組換え型タンパク質を効率的に発現したので、第2 GOIも抗体であり得る。いくつかの態様において、GOIは、治療用核酸などの核酸である。いくつかの態様において、GOIおよびORFという用語は、特にGOIが単一のORFによってコードされる場合は、交換可能に使用され得る。いくつかの態様において、GOIは、2つ以上のORFによってコードされ得る。いくつかの態様において、GOIは、検出可能な分子、例えば、マーカーであり得る。
【0081】
本明細書において使用される「相補体」または「相補的」は、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の間のワトソン-クリック型(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン型の塩基対合を指す。「相補性」は、2つの核酸配列が互いに逆平行にアラインされたとき、各位置におけるヌクレオチド塩基が相補的になるような、それらの間で共有される特性を指す。
【0082】
「ベクター」、「発現ベクター」、「プラスミド」という用語、およびそれらの文法的変形は、本開示では交換可能に使用され、宿主細胞のゲノム内の特定場所に挿入される、宿主細胞のゲノムにとって外因性のポリヌクレオチドを指す。概して、プラスミドは、組換え部位(例えば、相同組換え部位および/または部位特異的組換え部位)、マーカー(例えば、検出マーカーおよび/または選択マーカー)、1つもしくは複数の発現カセット、またはそれらのいずれかの組合せのような複数の要素を含む。いくつかの態様において、プラスミドは、線状プラスミドであり得る。他の態様において、プラスミドは、環状プラスミド、例えば、インタクトな環状プラスミドであり得る。
【0083】
「発現カセット」は、プロモーターに作動可能に連結されたDNAコーディング配列を含む。「作動可能に連結された」とは、そのように記述された複数の構成要素が意図された様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。例えば、プロモーターがコーディング配列に作動可能に連結されているというのは、プロモーターがその転写または発現に影響を及ぼす場合である。
【0084】
本明細書において使用される「宿主細胞」は、インビボまたはインビトロの真核細胞、原核細胞(例えば、細菌または古細菌の細胞)、または単細胞物として培養された多細胞生物からの細胞(例えば、細胞株)を意味し、この真核細胞または原核細胞は、異種核酸を受けるものとして使用されることにより組換え型宿主細胞になることができるか、またはなったものである。したがって、宿主細胞という用語には、元の宿主細胞(すなわち、異種核酸を受ける前の宿主細胞)の子孫が異種核酸によって形質転換されたもの、すなわち、組換え型宿主細胞も含まれる。単細胞の子孫は、天然、偶発性、または故意の突然変異に起因して、形態またはゲノムもしくは全DNA相補体において、必ずしも元の親と完全に同一であるとは限らないと理解されている。
【0085】
「組換え型宿主細胞」または「遺伝子修飾型宿主細胞」は、発現ベクターなどの異種核酸が導入された宿主細胞である。例えば、真核宿主細胞は、真核宿主細胞への外因性核酸の導入によって、組換え型または遺伝子修飾型の真核宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)になる。
【0086】
本明細書において使用される場合、「ホット細胞」、「ホットクローン」、および「ホット細胞株」という用語はそれぞれ、有利な特性を有する、例えば、同じ組換え型タンパク質を発現する他の細胞、クローン、または細胞株と比較して組換え型タンパク質の収量が高い、細胞、クローン、または細胞株を指す。例えば、ホット細胞、ホットクローン、またはホット細胞株は、増量した組換え型タンパク質を発現することができるか、上昇したレベルの正しくフォールディングした組換え型タンパク質を発現することができるか、高分子量凝集体のレベルが低下した組換え型タンパク質を発現することができるか、フラグメント化のレベルが低下した組換え型タンパク質を発現することができるか、もしくはそれらのいずれかの組合せであるか、または望ましい何らかの他の特性がある。
【0087】
本明細書において使用される場合、「ホットスポット」という用語は、組換え発現のためのタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミドなどの外因性配列を挿入することができ、(i)外因性配列の転写がサイレンシングされない(例えば、エピジェネティック修飾によって)、かつ(ii)外因性配列の転写が、外因性配列が他の場所(例えば、参照場所)において挿入されたときに観察される転写レベルと比較して高いレベルで起こる、ゲノム上の位置(座位)を指す。いくつかの態様において、ホットスポットは、機能的ORFを含有しない。よって、いくつかの態様において、ホットスポットは、活発に転写される1つまたは複数の遺伝子を含有しない。活発に転写される遺伝子を欠いているホットスポットは、外因性遺伝子(目的遺伝子)をコードするポリヌクレオチド配列を挿入するためのそれらの部分的または全体的な欠失が内因性タンパク質の生産を妨害しないため、特に有利である。いくつかの態様において、本開示のホットスポットは、1つの活発に転写される遺伝子に隣接して位置するか、または2つの活発に転写される遺伝子の間に位置し、すなわち、ホットスポットは、2つの活発に転写される遺伝子によってフランキングされていてもよい。いくつかの態様において、外因性遺伝子(目的遺伝子)をコードするポリヌクレオチド配列を本開示のホットスポットに挿入することは、ホットスポットに隣接またはフランキングする1つまたは複数の活発に転写される遺伝子の発現に影響を及ぼさない。いくつかの態様において、外因性遺伝子(目的遺伝子)をコードするポリヌクレオチド配列を本開示のホットスポットに挿入することは、ホットスポットに隣接またはフランキングする1つまたは複数の活発に転写される遺伝子の発現を、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満低減させる。
【0088】
本明細書において使用される場合、本明細書において開示されるポリヌクレオチド配列、例えば、本明細書において開示されるランディングパッド配列に適用される、「アドレス指定可能」という用語は、ユニークな部位特異的組換え部位(SSRS)またはそれらの組合せの存在によってユニークに同定されるポリヌクレオチド配列を指す。例えば、Lox 511およびLox P部位を有する第1のランディングパッドと、Lox m3およびLox m7部位を有する第2のランディングパッドとは、互いに対してアドレス指定可能である。よって、いくつかの態様において、ランディングパッドは、2つのSSRSの特定の組合せの存在に起因してアドレス指定可能であり得る。他の態様において、ランディングパッドは、単一のSSRSを介して、第2のランディングパッドに対してアドレス指定され得る。例えば、第1のランディングパッドは、第1の単一のaatP部位を有し得、第2のランディングパッドは、第2の単一のaatP部位を有し得、これらのaatP部位は、相互適合性ではない。本開示のいくつかの態様では、複数の連接したランディングパッドが存在することができ、各ランディングパッドは、所定のランディングパッドを特異的に同定する(アドレス指定する)ユニークなSSRSまたはそれらの組合せが存在することにより、ユニークにアドレス指定可能である。
【0089】
本明細書において使用される場合、「アドレス指定可能SSRS」という用語は、組換えのために特異的に標的化され得るユニークなSSRSまたはそれらの組合せを指す。本明細書において使用される場合、「アドレス指定可能ランディングパッドプラスミド」という用語は、組換えのために特異的に標的化され得るアドレス指定可能SSRSまたはそれらの組合せを含むランディングパッドプラスミドを指す。
【0090】
本明細書において使用される場合、一対の部位特異的組換え部位に適用される「非相互適合性」という用語は、代替的SSRSとの組換えに欠陥のある、すなわち、組換えできないか、または代替的SSRSとの交差反応性が一部しか残っていない部位を指す。例えば、互いとの組換え能力が低減しているLoxPおよびLox511などの2つのLox部位は、非相互適合性とみなされる。同様に、互いとの組換え能力が低減している2つのattP-aatB部位対は、非相互適合性とみなされる。
【0091】
本明細書において使用される場合、「ヘッド・トゥ・ヘッド」、「テール・トゥ・テール」、「テール・トゥ・ヘッド」、および「ヘッド・トゥ・テール」という用語は、本明細書において開示される遺伝子コンストラクトにおける2つのランディングパッド、ランディングパッドプラスミド、発現プラスミド、または目的遺伝子などの2つのポリヌクレオチド配列の相対的な向きを指す。「ヘッド」という用語は核酸配列の5’末端を指し、「テール」という用語は核酸配列の3’末端を指す。よって、3’-5’5’-3’構成は、(コンストラクトにとっての5’~3’末端を考慮すると)元の配列の両5’末端(ヘッド)が互いの隣りにあるため、ヘッド・トゥ・ヘッドである。したがって、5’-3’3’-5’構成はテール・トゥ・テールとなり、5’-3’5’-3’はテール・トゥ・ヘッドとなり、3’-5’3’-5’はヘッド・トゥ・テールとなる。
【0092】
II.ランディングパッド細胞
本開示は、少なくとも1つの目的遺伝子(GOI)の組換え発現のために使用され得るランディングパッド細胞を提供する。いくつかの態様において、これらの細胞株には、「ランディングパッド」、すなわち、親細胞のゲノムに挿入される1つまたは複数の特定のポリヌクレオチド配列であって、例えば組換えにより、少なくとも1つのGOIをコードするヌクレオチド配列を含む別の1つまたは複数の特定のポリヌクレオチド配列に置き換えられ得る、ポリヌクレオチド配列が含まれる。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド配列を例えば組換えにより置き換える代わりに、少なくとも1つのGOIをコードするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数の特定のポリヌクレオチド配列を、ランディングパッドの中の場所において、例えば、aat部位を介して挿入することができる。
【0093】
本明細書において開示されるプロセスのうちの1つの概説としては、親細胞株(例えば、特定の生物製剤を効率的に発現することが知られている「歴史的」細胞株)が、親のGOIまたは第1 GOIを含む外因性ポリヌクレオチド配列(すなわち、「親プラスミド」)を第2の外因性ポリヌクレオチド配列(すなわち、「ランディングパッドプラスミドまたはその一部」)に完全にまたは部分的に置き換えることによって修飾される。結果として得られた、親プラスミド全体ではなくランディングパッドプラスミドまたはその一部を組み込んだ細胞株は、「ランディングパッド細胞」となる。いくつかの態様において、本開示のランディングパッドプラスミドは、親プラスミドからのフランキング配列を含む。
【0094】
次に、ランディングパッド細胞におけるランディングパッドプラスミドが、組換えにより、異なるGOIまたは第2 GOIを含む別のポリヌクレオチド(「GOIプラスミド」)に置き換えられ(例えば、部分的に)、それにより「発現細胞」がもたらされ得る。例えば、図5Aおよび図5Bに描写したプロセスならびに表1を参照されたい。
【0095】
【表1】
【0096】
したがって、いくつかの態様において、本開示は、ゲノム配列に組み込まれた、少なくとも1つの発現プラスミド(P4)、例えば線状プラスミドを含む発現細胞であって、各発現プラスミドは、
(i)目的遺伝子(第2 GOI)をコードする核酸を含む、発現プラスミド(P4)に由来するポリヌクレオチド配列、
(ii)(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つのSSRS(例えば、Loxなどのリコンビナーゼシステムが使用される場合)、または単一のSSRS(例えば、attなどのインテグラーゼシステムが使用される場合)、
(iii)(i)のポリヌクレオチドおよび(ii)のSSRSに対して遠位に位置するポリヌクレオチド配列[ここで、(iii)の両方のフランキングポリヌクレオチド配列は、ランディングパッドプラスミド(P2)に由来する]、
(iv)(iii)のポリヌクレオチド配列に遠位にフランキングするポリヌクレオチド配列[ここで、(iv)の両方のフランキングポリヌクレオチド配列は、親プラスミド(P1)に由来する]を含む、発現細胞を提供する。
【0097】
「部位特異的組換え部位」という用語は、「SSRS」と略され、本明細書で使用される場合、部位特異的リコンビナーゼによって認識されて組換え事象のための基質として機能することができるヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、本明細書において開示されるコンストラクト(例えば、ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミド)は、GOIまたはマーカーをコードする核酸に対して上流に位置するものと下流に位置するものとの、2つのSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本明細書において開示されるコンストラクト(例えば、ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミド)は、GOIまたはマーカーをコードする核酸に対して上流または下流のいずれかに位置する単一のSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本明細書において開示されるコンストラクト(例えば、ランディングパッドプラスミドまたは発現プラスミド)は、3つ以上のSSRSを含むことができ、それらのすべてがGOIまたはマーカーをコードする核酸に対して上流に位置するか、それらのすべてがGOIまたはマーカーをコードする核酸に対して下流に位置するか、またはそれらのいくつかはGOIまたはマーカーをコードする核酸に対して上流に位置し、それらのいくつかは下流に位置する。
【0098】
本願において開示される、2つのSSRSを含む式では、2つのSSRS(loxまたはFrtなど)を必要とする組換えシステムの代わりに、単一のSSRS(例えば、att)を必要とするシステムを使用して組換えが起こる場合には、式中の2つのSSRSのうちの1つは省略可能であり、存在しなくてもよいと理解されたい。上記式中のSSRS部位のうちの1つが存在しない場合の単一のSSRS部位は、[M]または[P3]構成要素に対して上流のSSRSまたは下流のSSRSのいずれであってもよい。いくつかの態様において、単一のSSRSは、att部位である。
【0099】
本明細書において使用される「部位特異的リコンビナーゼ」という用語には、「組換え部位」間の組換えを生じさせることが可能な酵素群が含まれ、2つの組換え部位は、単一の核酸分子の中か、または別個の核酸分子の上に位置する。「部位特異的リコンビナーゼ」の例は、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、部位特異的リコンビナーゼは、インテグラーゼ、例えば、λ(ラムダ)インテグラーゼである。いくつかの態様において、部位特異的リコンビナーゼは、Bxbインテグラーゼ、例えば、Bxb1インテグラーゼである。マイコバクテリオファージBxb1によってコードされるインテグラーゼであるBxb1は、セリン-リコンビナーゼファミリーのメンバーであり、attPおよびattB(それぞれ、ファージおよび細菌宿主のための結合部位)の間の鎖交換を触媒する。
【0100】
本開示は、ゲノム配列に組み込まれた、少なくとも1つのプラスミド、例えば、線状プラスミドもしくは環状プラスミドまたはそれらの組合せを含むランディングパッド細胞であって、各プラスミドは、
(i)少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)(Loxなどのリコンビナーゼシステムが使用される場合。attなどのインテグラーゼシステムが使用される場合には単一のSSRS)とを含む、ランディングパッドプラスミド(P2)に由来するポリヌクレオチド配列、ならびに、
(ii)(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングするポリヌクレオチド配列[ここで、(ii)の両方のフランキングポリヌクレオチド配列は、親プラスミド(P1)に由来する]を含む、ランディングパッド細胞を提供する。
【0101】
単一のSSRSが存在する場合には、式中の別の要素、例えば、[P2]または[P3]要素(すなわち、マーカーまたはGOIをコードする要素)に「フランキング」しているものとしてのその場所の記述は、フランキングされた要素に対してすぐ上流または下流にあるSSRSの場所を指すと理解されたい。一例として、式CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[P3]-[P2]-[P1]-/CGにおける[SSRS]は、GOIをコードすることになる[P3]にフランキングしていることになる。
【0102】
本開示は、そのゲノム配列に挿入された線状プラスミドなどのプラスミドを含む発現細胞であって、プラスミドのトポロジーは、式
CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2]-[P1]-/CG
[式中
CGおよびCGは、挿入された線状プラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含む第2 GOIプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)である]に対応する、発現細胞を提供する。
【0103】
本開示はまた、複数のプラスミド、例えば、ランディングプラスミドまたはその一部を含むランディングパッド細胞を想定する。よって、本開示はまた、ゲノム配列に組み込まれた、少なくとも1つのプラスミド、例えば、1つ、2つ、3つもしくはそれよりも多くの線状プラスミドまたは環状プラスミドを含むランディングパッド細胞であて、各プラスミドは、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含む、ランディングパッドプラスミド(P2)に由来するポリヌクレオチド配列、ならびに、(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングするポリヌクレオチド配列を含み、(ii)の両方のフランキングポリヌクレオチド配列は、親プラスミド(P1)に由来する、ランディングパッド細胞を提供する。
【0104】
したがって、本開示は、そのゲノム配列に挿入された線状プラスミドなどのプラスミドを含む発現細胞であって、プラスミドのトポロジーは、式
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG
[式中
CGおよびCGは、挿入された線状プラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含むプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1~10の間の整数である]に対応する、発現細胞を提供する。
【0105】
場合によっては、[P3]は、単一のGOIまたは複数のGOIを含み得る。いくつかの態様において、5’[SSRS]または3’[SSRSA]のいずれかは省略可能である。いくつかの態様において、発現細胞はプラスミドを含み、プラスミドは発現プラスミドである。
【0106】
いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが同一である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのプラスミドは異なっている。
【0107】
いくつかの態様において、CGは、配列番号18のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、CGは、配列番号19のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。
【0108】
いくつかの態様において、CGは、配列番号114のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、CGは、配列番号115のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。
【0109】
本開示は、ゲノム配列に組み込まれた、少なくとも1つのプラスミド、例えば、線状プラスミドを含むランディングパッド細胞であって、プラスミドは、
a.少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、
b.(1)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つのSSRSと、
c.親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(2)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位と
を含む、ランディングパッド細胞を提供する。
【0110】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞における線状プラスミドなどのプラスミドのトポロジーは、式
CG/-[P1]-[P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2]-[P1]-/CG
[式中
CGおよびCGは、挿入された線状プラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[M]は、少なくとも1つのマーカー、例えば、スクリーニング可能マーカー、選択可能マーカー、またはそれらの組合せを含む、ポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)である]に対応する。
【0111】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞における線状プラスミドなどのプラスミドのトポロジーは、式
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG
[式中CGおよびCGは、挿入された線状プラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[M]は、少なくとも1つのマーカー、例えば、スクリーニング可能マーカー、選択可能マーカー、またはそれらの組合せを含む、ポリヌクレオチド配列であり、
[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、
nは、1~10の間の整数である]に対応する。
いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが同一である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのプラスミドは異なっている。
【0112】
本開示はまた、そのゲノム配列に挿入された線状プラスミドなどのプラスミドを含むランディングパッド細胞であって、プラスミドのトポロジーは、記述
CG/-[P1]-[P2]-[P1]-/CG
[ここで、
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含む、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列である]に対応する、ランディングパッド細胞を提供する。
【0113】
本開示はまた、そのゲノム配列に挿入された線状プラスミドなどのプラスミドを含むランディングパッド細胞であって、ラスミドのトポロジーは、以下の記述
CG/-[P1]-/CG
CG/-[P2]-/CG
[ここで、
CGおよびCGは、第1のホットスポットにおける挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
CGおよびCGは、第2のホットスポットにおける挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、少なくとも部分的な欠失を含む親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含む、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列である]対応する、ランディングパッド細胞を提供する。
【0114】
本開示はまた、そのゲノム配列に挿入された線状プラスミドなどのプラスミドを含むランディングパッド細胞であって、プラスミドのトポロジーは、記述
CG/-([P1]-([P2])n-[P1])-/CG
[ここで、
CGおよびCGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含む、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、nは、1~10の間の整数である]に対応する、ランディングパッド細胞を提供する。いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが同一である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのプラスミドは異なっている。
【0115】
本開示はまた、そのゲノム配列に挿入された線状プラスミドなどのプラスミドを含むランディングパッド細胞であって、プラスミドのトポロジーは、以下の記述
CG/-([P1]-/CG
CG/-([P2])n-/CG
[ここで、
CGおよびCGは、第1のホットスポットにおける挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
CGおよびCGは、第2のホットスポットにおける挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、
[P1]は、少なくとも部分的な欠失を含む親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含む、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、nは、1~10の間の整数である]に対応する、ランディングパッド細胞を提供する。いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが同一である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのプラスミドは異なっている。
【0116】
いくつかの態様において、CGは、配列番号18のポリヌクレオチド配列、またはそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、CGは、配列番号19のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。
【0117】
いくつかの態様において、CGは、配列番号114のポリヌクレオチド配列、またはそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、CGは、配列番号115のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。
【0118】
いくつかの態様において、例えば、線状プラスミドが、親細胞株における元のホットスポットとは異なるホットスポットに挿入される場合、CGおよびCGゲノム配列(挿入された線状プラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列)は、それぞれ、代替的なホットスポットにおいて挿入された線状プラスミドにフランキングするゲノム配列に対応するCGおよびCGゲノム配列によって置き換えられることになる。
【0119】
本開示はまた、線状プラスミドなどのプラスミドを含む、宿主細胞のゲノムへの標的化組み込みのためのランディングパッドプラスミドであって、プラスミドのトポロジーは、式
-[P1]-[P2]-[P1]-
[式中
[P1]は、相同組換え部位を含む宿主に組み込まれた親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、
[P2]は、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含むポリヌクレオチド配列である]に対応する、ランディングパッドプラスミドを提供する。
【0120】
本開示はまた、線状プラスミドなどのプラスミドを含む、宿主細胞のゲノムへの標的化組み込みのためのランディングパッドプラスミドであって、プラスミドのトポロジーは、式
-([P1]-([P2])n-[P1])-
[式中
[P1]は、相同組換え部位を含む宿主に組み込まれた親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、[P2]は、少なくとも1つのマーカーと、少なくとも1つのマーカーにフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)とを含むポリヌクレオチド配列であり、nは、1~10の間の整数である]に対応する、ランディングパッドプラスミドを提供する。いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが同一である。いくつかの態様において、すべてのプラスミドが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのプラスミドは異なっている。
【0121】
本明細書において開示されるプラスミドの簡略化されたトポロジー(例えば、-[P1]-[P2]-[P1]-)は、「記述」または「式」という用語を交換可能に使用して記述され得ることを理解されたい。
【0122】
本開示はまた、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、
(a)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内にランディングパッドプラスミドまたはその一部を組み込むことを含み、
ランディングパッドプラスミドが、
(1)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つのSSRSと、
(3)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(2)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位と
を含み、
ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0123】
本明細書において開示される標的化組み込みプロセスは、プラスミドにおける2つの組換え部位の間に位置するポリヌクレオチド部分配列を、別のプラスミドにおける2つの対応する組換え部位の間に位置する別のポリヌクレオチド部分配列に置換することを含む。よって、例えば、図4A、5A、8A、および8Bにおいて例示されるような、親プラスミドにおけるランディングパッドプラスミドの標的化組み込みは、親プラスミドの部分配列を、ランディングパッドプラスミドからの対応する部分配列に置き換え、ゲノム配列における組換え部位の間の親プラスミド配列からの残余物を残す。この標的化組み込みでは、あるプラスミドを別のプラスミドに完全に置換する必要はない。
【0124】
同様に、第2 GOIプラスミドがランディングパッドプラスミドと組換えられる際には、SSRS(例えば、LoxP部位)間の部分配列が交換されることになるが、ランディングパッドプラスミドの残余物が組換え部位とゲノム配列との間に残ることになる。この場合、第2 GOIプラスミドに由来する配列は、ランディングパッドプラスミドから生じた配列によってフランキングされることになり、次いで、ランディングパッドプラスミドから生じた配列は、親プラスミドから生じた配列によってフランキングされることになる。
【0125】
これらの説明から分かるように、本願における、あるプラスミドを別のプラスミドに挿入することへの言及は、概して、一方のプラスミドを他方に完全に置き換えることを必要としない。むしろ、プラスミドは別のプラスミドによって完全にもしくは部分的に置き換えられるか、または切除されるプラスミドは完全にもしくは部分的に切除される。
【0126】
いくつかの態様において、本開示は、発現細胞を生成する方法であって、
(a)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、標的化組み込み部位において本開示のランディングパッド細胞のゲノム内に線状プラスミドなどの第2 GOIプラスミドを組み込むことを含み、発現プラスミド(P4)が、
(1)GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSと
を含み、
ランディングパッドプラスミドの部位特異的リコンビナーゼ組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的リコンビナーゼ組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞ゲノムDNAに挿入されたランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0127】
本開示はまた、発現細胞を生成する方法であって、
(a)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親プラスミドを含む親細胞のゲノム内に線状プラスミドなどの第2 GOIプラスミドを組み込むことを含み、発現プラスミドが、
(1)GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSと
を含み、
親プラスミドの部位特異的リコンビナーゼ組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的リコンビナーゼ組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0128】
本開示はまた、発現細胞を生成する方法であって、
相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親プラスミドを含む親細胞のゲノム内に線状プラスミドなどの第2 GOIプラスミドを組み込むことを含み、結果として得られた発現プラスミドが、GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含み、
親プラスミドがGOIプラスミドと組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0129】
本開示はまた、発現細胞を生成する方法であって、
相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親プラスミドを含む親細胞のゲノム内に線状プラスミドなどの第2 GOIプラスミドを組み込むことを含み、
親プラスミドがフランキングゲノム配列と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの中にGOIプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0130】
本明細書において開示される方法は、2つの入れ子になったヌクレアーゼ媒介組換え事象、例えば、親細胞における親プラスミドとランディングパッドプラスミドとの間の相同組換え、およびランディングパッド細胞におけるランディングパッドプラスミドと第2 GOIプラスミドとの間の部位特異的リコンビナーゼ組換えに関するが、組換え事象の他の組合せ、例えば、P1とP2との間の第1の相同組換え事象、およびP2とP3との間の第2の相同組換えも、等しく適用可能となることを理解されたい。
【0131】
また、ランディングパッドプラスミドまたはGOIプラスミドなどの本開示に関連するプラスミドの組み込みに関する教示は、複数のプラスミド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)の挿入を包含することを意図しており、これらのプラスミドは、同じであっても異なっていてもよく、かつ、最終的なコンストラクトにおけるそれらの向き(例えば、最終的なコンストラクトにおけるプラスミドの各々が、元のコンストラクトおよび最終的なコンストラクトにおける他のプラスミドに対して5’-3’の向きにあるか3’-5’の向きにあるか)に関して異なっていてもよいことを理解されたい。
【0132】
いくつかの態様において、本開示はまた、発現細胞を生成する方法であって、
相同組換えを使用して、親細胞のゲノム内に線状プラスミドなどのGOIプラスミドを組み込むことを含み、発現プラスミドが、GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含み、
GOIプラスミドが、ホットスポットに対応すると決定された場所において、相同組換えにより組み込まれる、方法を提供する。いくつかの態様において、親プラスミドの少なくとも一部が除去される。いくつかの態様において、親プラスミド全体が除去される。
【0133】
いくつかの態様において、本開示はまた、高力価をもたらすことが可能なランディングパッド細胞株を作製するために効率的な様式で出発細胞(親細胞株)を同定する方法を提供する。よって、本開示は、例えば、実施例1および実施例2において開示されるような、発現細胞を生成するための親細胞を選択する方法を提供する。
【0134】
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、少なくとも1つの親プラスミドの少なくとも一部を除去することと、ランディングパッドを含む1つもしくは複数のランディングパッドプラスミドまたはその一部を細胞ゲノムに導入することとを含む。いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、少なくとも1つの親プラスミドの一部だけを除去することと、ランディングパッドを含む1つもしくは複数のランディングパッドプラスミドまたはその一部を細胞ゲノムに導入することとを含む。
【0135】
いくつかの態様において、本開示のランディング細胞株の造成に好適な親細胞株を選択する方法は、
(i)目的遺伝子の発現力価が高い細胞株を選択すること、
(ii)目的遺伝子をコードするORFのコピー数が低い細胞をさらに選択すること
を含む。
いくつかの態様において、親細胞は、目的遺伝子をコードするORFを1または2コピー有する。いくつかの態様において、親細胞は、目的遺伝子をコードするORFを3コピー以上有する。
【0136】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株を選択する方法は、親プラスミドまたはその一部の喪失についてスクリーニングし、そのような喪失(欠失)がある細胞を選択することを含む。いくつかの態様において、親細胞株を選択する方法は、ランディングパッドの存在についてスクリーニングし、ランディングパッドが存在する細胞を選択することをさらに含む。いくつかの態様において、この方法は、ランディングパッドを、低複雑性または高複雑性の領域の存在または非存在、レトロトランスポゾン配列の存在または非存在、Aluリピートの存在または非存在、長鎖散在核要素(LINE)の存在または非存在、アイランドの存在または非存在、シトシンメチル化のレベル、ヒストンアセチル化のレベル、ORFの存在または非存在、およびそれらのいずれかの組合せなどの特徴についてスクリーニングすることをさらに含む。
【0137】
いくつかの態様において、細胞は、CHO細胞である。いくつかの態様において、ホットスポット場所は、配列番号18またはそのフラグメントおよび配列番号19またはそのフラグメントから選択される配列を含む。いくつかの態様において、ホットスポット場所は、配列番号114またはそのフラグメントおよび配列番号115またはそのフラグメントから選択される配列を含む。
【0138】
いくつかの態様において、GOIプラスミドは、相同組換えまたはランダム組み込みにより、配列番号18のゲノム配列の中の場所において挿入され、組み込まれる。いくつかの態様において、GOIプラスミドは、相同組換えまたはランダム組み込みにより、配列番号19のゲノム配列の中のゲノム配列の中の場所において挿入され、組み込まれる。いくつかの態様において、GOIプラスミドは、相同組換えまたはランダム組み込みにより、配列番号114のゲノム配列の中の場所において挿入され、組み込まれる。いくつかの態様において、GOIプラスミドは、相同組換えまたはランダム組み込みにより、配列番号115のゲノム配列の中の場所において挿入され、組み込まれる。
【0139】
いくつかの態様において、GOIプラスミドは、相同組換えにより、ゲノム配列の中の場所において組み込まれ、5’相同組換え部位は、配列番号18のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含み、かつ/または3’相同組換え部位は、配列番号19のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含む。
【0140】
いくつかの態様において、GOIプラスミドは、相同組換えにより、ゲノム配列の中の場所において組み込まれ、5’相同組換え部位は、配列番号114のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含み、かつ/または3’相同組換え部位は、配列番号115のポリヌクレオチド配列もしくはその部分配列を含む。
【0141】
いくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号18または配列番号114からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、または少なくとも約600個の連続するヌクレオチドを含む。
【0142】
いくつかの態様において、3’相同組換え部位は、配列番号19または配列番号115からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、または少なくとも約600個の連続するヌクレオチドを含む。
【0143】
いくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号18または配列番号114からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、または少なくとも約600個の連続するヌクレオチドを含み、3’相同組換え部位は、配列番号19または配列番号115からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、または少なくとも約600個の連続するヌクレオチドを含む。
【0144】
いくつかの態様において、GOIは、抗体である。いくつかの態様において、GOIは、抗体の重鎖(HC)を含む。いくつかの態様において、GOIは、抗体の軽鎖(LC)を含む。いくつかの態様において、GOIは、抗体のHCおよびLCを含む。いくつかの態様において、GOIは、抗体の抗原結合部分を含む。いくつかの態様において、発現プラスミドは、1コピー、2コピー、またはそれよりも多くのGOIのコピーを含む。いくつかの態様において、発現プラスミドは、1つ、2つ、またはそれよりも多くの発現カセットを含む。いくつかの態様において、発現プラスミドはバイシストロン性である。いくつかの態様において、発現プラスミドはマルチシストロン性である。
【0145】
いくつかの態様において、発現プラスミドは、少なくとも1のコピー数で発現細胞のゲノムに組み込まれる。いくつかの態様において、発現プラスミドは、1のコピー数で発現細胞のゲノムに組み込まれる。他の態様において、発現プラスミドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または少なくとも30コピーのコピー数で発現細胞のゲノムに組み込まれる。いくつかの態様において、30より多くのコピーが発現細胞のゲノムに存在する。
【0146】
他の態様において、発現プラスミドは、約1から約3、約3から約6、約6から約9、約9から約12、約12から約15、約15から約18、約18から約21、約21から約24、約24から約27、約27から約30、約5から約10、約10から約15、約15から約20、約20から約25、約25から約30、約1から約10、約5から約15、約10から約20、約15から約25、約20から約30、約1から約15、約5から約20、約10から約25、約15から約30、約1から約20、約5から約25、約10から約30コピーのコピー数で発現細胞のゲノムに組み込まれる。
【0147】
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、発現プラスミド(P4;例えば、図5Aを参照されたい)を生成するためのランディングパッド細胞株における第2 GOIプラスミド(P3;例えば、図5Aを参照されたい)の標的化組み込みの後に宿主細胞によって生産されたGOIの発現を決定することを含む。いくつかの態様において、発現レベルは定量的に決定される。他の態様において、発現は定性的に決定される。GOIの発現は、当技術分野において公知のいずれかの方法、例えば、細胞選別、FACS、細胞表面染色、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、カラムクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、マイクロフルイディクス、UV吸光度、細胞サイズ、分泌タンパク質レベル、転写物レベル、免疫組織化学、またはそれらのいずれかの組合せを使用することによって決定され得る。
【0148】
本開示の文脈において、第2 GOIの組換え発現レベルは、本開示の方法に従って生成された発現細胞を使用した、単一の発現カセットからの発現、または複数の発現カセットからの発現に対応し得る。いくつかの態様において、GOIの発現は、同じ部位において挿入されたGOIを含む複数のカセットに対応し得る。
【0149】
本開示は、本明細書において開示される方法に従って生産されたランディングパッド細胞および発現細胞を提供する。いくつかの態様において、本開示の方法に従って生成された発現細胞を使用した際に得られる第2 GOI(例えば、第2の抗体などの第2の生物製剤)の組換え型タンパク質発現レベルは、親細胞を同じ条件下で培養した際に観察される第1 GOI(例えば、第1の抗体などの第1の生物製剤)の組換え型タンパク質発現レベルの少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約125%、少なくとも約130%、少なくとも約135%、少なくとも約140%、少なくとも約145%、少なくとも約150%、少なくとも約155%、少なくとも約160%、少なくとも約165%、少なくとも約170%、少なくとも約175%、少なくとも約180%、少なくとも約185%、少なくとも約190%、少なくとも約195%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%である。
【0150】
本開示は、本明細書において開示される方法に従って生産されたランディングパッド細胞および発現細胞を提供する。いくつかの態様において、本開示の方法に従って生成された発現細胞を使用した際に得られる第2 GOI(例えば、第2の抗体などの第2の生物製剤)の組換え型タンパク質発現レベルは、親細胞を同じ条件下で培養した際に観察される第1 GOI(例えば、第1の抗体などの第1の生物製剤)の組換え型タンパク質発現レベルの約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約100%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、約175%、約180%、約185%、約190%、約195%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、または1000%超である。
【0151】
本開示は、本明細書において開示される方法に従って生産されたランディングパッド細胞および発現細胞を提供する。いくつかの態様において、本開示の方法に従って生成された発現細胞を使用した際に得られる第2 GOI(例えば、第2の抗体などの第2の生物製剤)の組換え型タンパク質発現レベルは、親細胞を同じ条件下で培養した際に観察される第1 GOI(例えば、第1の抗体などの第1の生物製剤)の組換え型タンパク質発現レベルの約50%から約55%、約55%から約60%、約65%から約70%、約70%から約75%、約75%から約80%、約80%から約85%、約85%から約90%、約90%から約100%、約100%から約110%、約110%から約120%、約120%から約125%、約125%から約130%、約130%から約135%、約135%から約140%、約140%から約145%、約145%から約150%、約150%から約155%、約155%から約160%、約160%から約165%、約165%から約170%、約170%から約1175%、約175%から約180%、約180%から約185%、約185%から約190%、約190%から約195%、約195%から約200%、約200%から約300%、約300%から約400%、約400%から約500%、約500%から約600%、約600%から約700%、約700%から約800%、約800%から約900%、約900%から約1000%、または1000%超である。
【0152】
本開示のいくつかの態様において、本明細書において開示される細胞は、細胞株、すなわち、単細胞から造成された故に均一な遺伝子構成を持つ細胞からなる細胞培養物として樹立することができ、これらの細胞は、ある特定の条件下では研究所内で無限に増殖し、発現細胞株の場合には、1つまたは複数の目的遺伝子が細胞のゲノムに安定に組み込まれている。
【0153】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、「Chr3 TIコンティグ」または3番染色体標的化組み込み座位の中に位置し、これは、モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus)(チャイニーズハムスター)の3番染色体からのポリヌクレオチドであって、(i)ポリヌクレオチドの5’末端における配列番号23(gi|1497155598|ref|NW_020822499.1 26Mbaseコンティグの5’末端5kb配列)と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、または少なくとも約96.6%同一の配列、および(ii)ポリヌクレオチドの3’末端における配列番号24(gi|1497155598|ref|NW_020822499.1 26Mbaseコンティグの3’末端5kb配列)と少なくとも96.6%同一の配列を含む、ポリヌクレオチドとして定義され、このポリヌクレオチドの長さは、25Mbase(メガベース)から26.5Mbase(メガベース)の間である。
【0154】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、「Chr5 TIコンティグ」または5番染色体標的化組み込み座位の中に位置し、これは、モンゴルキヌゲネズミ(チャイニーズハムスター)の5番染色体からのポリヌクレオチドであって、(i)ポリヌクレオチドの5’末端における配列番号119(NW_020822577.1 18Mbaseコンティグの5’末端5kb配列)と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、または少なくとも約96.6%同一の配列、および(ii)ポリヌクレオチドの3’末端における配列番号120(NW_020822577.1 18Mbaseコンティグの3’末端5kb配列)と少なくとも96.6%同一の配列を含む、ポリヌクレオチドとして定義され、このポリヌクレオチドの長さは、17Mbase(メガベース)から19Mbase(メガベース)の間である。
【0155】
配列番号22(Refseq NW_020822499.1;ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NW_020822499.1?report=genbankおよびncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NW_020822499.1?report=fastaにおいて入手可能)のホットスポットおよび配列番号118(Refseq NW_020822577.1;ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NW_020822577.1?report=genbankおよびncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NW_020822577.1?report=fastaにおいて入手可能)のホットスポットの中には、CHO RNA-seqデータセットに記述されおり[Singh et al. Biotechnol J. 2018 Oct;13(10):e1800070、およびLin et al. PLoS Comput Biol 16(12):e1008498を参照されたい。これらは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる]、出願人により実験的に確認された、活発に転写される遺伝子が存在する。NW_020822499.1の第1のホットスポットについては、ランディングパッドが存在する欠失の5’側にある最も近い遺伝子は、269kb上流にあるPrkg1であり、ランディングパッドが存在する欠失の3’側にある最も近い遺伝子は、43kb下流にあるMbl2である。Prkg1とMbl2との間で、他の活発な転写物は、出願人によってもCHO RNA-seqデータセットにおいても同定されなかった。NW_020822577.1の第2のホットスポットについては、ランディングパッドが存在する欠失の5’側にある最も近い遺伝子は、209kb上流にあるAckr1であり、ランディングパッドが存在する欠失の3’側にある最も近い遺伝子は、170kb下流にあるCrpである。Ackr1とCrpとの間で、他の活発な転写物は、出願人によってもCHO RNA-seqデータセットにおいても同定されなかった。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22または配列番号118の中の、活発に転写される1つまたは複数の遺伝子の発現に影響を及ぼさない位置に位置する。いくつかの態様において、活発に転写される1つまたは複数の遺伝子は、配列番号22のホットスポットまたは配列番号118のホットスポットの中に位置する。いくつかの態様において、活発に転写される1つまたは複数の遺伝子は、配列番号22のホットスポットまたは配列番号118のホットスポットの5’末端の近くに位置する。いくつかの態様において、活発に転写される1つまたは複数の遺伝子は、配列番号22のホットスポットまたは配列番号118のホットスポットの近くに位置する。本開示のいくつかの態様において、活発に転写される遺伝子が、本明細書において開示されるホットスポットの5’末端または3’末端から約25kb、30kb、35kb、40kb、45kb、50kb、75kb、100kb、125kb、150kb、175kb、200kb、225kb、250kb、275kb、300kb、325kb、350kb、375kb、400kb、425kb、450kb、475kb、または500kbの距離に位置するとき、活発に転写される遺伝子は、本明細書において開示されるホットスポットの5’末端または3’末端に近いとみなされる。
【0156】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における特定場所に位置する。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における、配列番号22のヌクレオチド位置1(5’開始位置)および26,290,500(3’末端位置)の中の特定場所に位置する。
【0157】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における特定場所に位置する。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における、配列番号118のヌクレオチド位置1(5’開始位置)および18,231,092(3’末端位置)の中の特定場所に位置する。
【0158】
本明細書において使用される場合、「特定場所」という用語は、例えば、組み込みが起こることになる、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグに、または配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列における特定位置(例えば、単一の塩基)を指す。例えば、100位における特定場所とは、ヌクレオチド100と101との間の挿入によって組み込みが起こることを意味することになる。いくつかの態様において、「特定場所」という用語は、組み込みが起こる際に切除されることになる2つの位置の間のヌクレオチドの特定の範囲を指す。例えば、100位と200位との間の特定場所とは、ヌクレオチド101から199を含む元の配列が欠失し、組み込まれる配列によって置き換えられることを意味することになる。
【0159】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22(配列番号21の例示的な標的化組み込み部位に対応する)、もしくはChr3 TIコンティグ、または配列番号118(配列番号117の例示的な標的化組み込み部位に対応する)、もしくはChr5 TIコンティグに定める配列における、位置の間に位置する。いくつかの態様において、囲まれた配列、すなわち、標的化組み込み部位に対応する配列は、発現プラスミド(例えば、本明細書において記載される親プラスミドまたはランディングパッドプラスミド)によって置き換えられる。いくつかの態様において、発現プラスミド(例えば、本明細書において記載される親プラスミドまたはランディングパッドプラスミド)は、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列に対応するマイナス鎖上で組み込まれる。よって、いくつかの態様において、囲まれた配列から上流(5’)および下流(3’)にある下線付きの配列は、それぞれ、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列に対応するマイナス鎖上で組み込まれる、組み込まれる発現プラスミドの3’および5’ジャンクションに対応する。
【0160】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列の1位から1,000,000位の間、1,000,000位から2,000,000位の間、2,000,000位から3,000,000位の間、3,000,000位から4,000,000位の間、4,000,000位から5,000,000位の間、5,000,000位から6,000,000位の間、6,000,000位から7,000,000位の間、7,000,000位から8,000,000位の間、8,000,000位から9,000,000位の間、9,000,000位から10,000,000位の間、10,000,000位から11,000,000位の間、11,000,000位から12,000,000位の間、12,000,000位から13,000,000位の間、13,000,000位から14,000,000位の間、14,000,000位から15,000,000位の間、15,000,000位から16,000,000位の間、16,000,000位から17,000,000位の間、17,000,000位から18,000,000位の間、18,000,000位から19,000,000位の間、19,000,000位から20,000,000位の間、20,000,000位から21,000,000位の間、21,000,000位から22,000,000位の間、22,000,000位から23,000,000位の間、23,000,000位から24,000,000位の間、24,000,000位から25,000,000位の間、25,000,000位から26,000,000位の間、または26,000,000位から26,294,056位の間である。
【0161】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列の1位~100,000位、100,000位~200,000位、200,000位~300,000位、300,000位~400,000位、400,000位~500,000位、500,000位~600,000位、600,000位~700,000位、700,000位~800,000位、800,000位~900,000位、900,000位~1,000,000位、1,000,000位~1,100,000位、1,100,000位~1,200,000位、1,200,000位~1,300,000位、1,300,000位~1,400,000位、1,400,000位~1,500,000、1,500,000位~1,600,000位、1,600,000位~1,700,000位、1,700,000位~1,800,000位、1,800,000位~1,900,000位、1,900,000位~2,000,000位、2,000,000位~2,100,000位、2,100,000位~2,200,000位、2,200,000位~2,300,000位、2,300,000位~2,400,000位、2,400,000位~2,500,000、2,500,000位~2,600,000位、2,600,000位~2,700,000位、2,700,000位~2,800,000位、2,800,000位~2,900,000位、2,900,000位~3,000,000位、3,000,000位~3,100,000位、3,100,000位~3,200,000位、3,200,000位~3,300,000位、3,300,000位~3,400,000位、3,400,000位~3,500,000、3,500,000位~3,600,000位、3,600,000位~3,700,000位、3,700,000位~3,800,000位、3,800,000位~3,900,000位、3,900,000位~4,000,000位、4,000,000位~4,100,000位、4,100,000位~4,200,000位、4,200,000位~4,300,000位、4,300,000位~4,400,000位、4,400,000位~4,500,000、4,500,000位~4,600,000位、4,600,000位~4,700,000位、4,700,000位~4,800,000位、4,800,000位~4,900,000位、4,900,000位~5,000,000位、5,000,000位~5,100,000位、5,100,000位~5,200,000位、5,200,000位~5,300,000位、5,300,000位~5,400,000位、5,400,000位~5,500,000、5,500,000位~5,600,000位、5,600,000位~5,700,000位、5,700,000位~5,800,000位、5,800,000位~5,900,000位、5,900,000位~6,000,000位、6,000,000位~6,100,000位、6,100,000位~6,200,000位、6,200,000位~6,300,000位、6,300,000位~6,400,000位、6,400,000位~6,500,000、6,500,000位~6,600,000位、6,600,000位~6,700,000位、6,700,000位~6,800,000位、6,800,000位~6,900,000位、6,900,000位~7,000,000位、7,000,000位~7,100,000位、7,100,000位~7,200,000位、7,200,000位~7,300,000位、7,300,000位~7,400,000位、7,400,000位~7,500,000、7,500,000位~7,600,000位、7,600,000位~7,700,000位、7,700,000位~7,800,000位、7,800,000位~7,900,000位、7,900,000位~8,000,000位、8,000,000位~8,100,000位、8,100,000位~8,200,000位、8,200,000位~8,300,000位、8,300,000位~8,400,000位、8,400,000位~8,500,000、8,500,000位~8,600,000位、8,600,000位~8,700,000位、8,700,000位~8,800,000位、8,800,000位~8,900,000位、8,900,000位~9,000,000位、9,000,000位~9,100,000位、9,100,000位~9,200,000位、9,200,000位~9,300,000位、9,300,000位~9,400,000位、9,400,000位~9,500,000、9,500,000位~9,600,000位、9,600,000位~9,700,000位、9,700,000位~9,800,000位、9,800,000位~9,900,000位、9,900,000位~10,000,000位、10,000,000位~10,100,000位、10,100,000位~10,200,000位、10,200,000位~10,300,000位、10,300,000位~10,400,000位、10,400,000位~10,500,000、10,500,000位~10,600,000位、10,600,000位~10,700,000位、10,700,000位~10,800,000位、10,800,000位~10,900,000位、10,900,000位~11,000,000位、11,000,000位~11,100,000位、11,100,000位~11,200,000位、11,200,000位~11,300,000位、11,300,000位~11,400,000位、11,400,000位~11,500,000、11,500,000位~11,600,000位、11,600,000位~11,700,000位、11,700,000位~11,800,000位、11,800,000位~11,900,000位、11,900,000位~12,000,000位、12,000,000位~12,100,000位、12,100,000位~12,200,000位、12,200,000位~12,300,000位、12,300,000位~12,400,000位、12,400,000位~12,500,000、12,500,000位~12,600,000位、12,600,000位~12,700,000位、12,700,000位~12,800,000位、12,800,000位~12,900,000位、12,900,000位~13,000,000位、13,000,000位~13,100,000位、13,100,000位~13,200,000位、13,200,000位~13,300,000位、13,300,000位~13,400,000位、13,400,000位~13,500,000、13,500,000位~13,600,000位、13,600,000位~13,700,000位、13,700,000位~13,800,000位、13,800,000位~13,900,000位、13,900,000位~14,000,000位、14,000,000位~14,100,000位、14,100,000位~14,200,000位、14,200,000位~14,300,000位、14,300,000位~14,400,000位、14,400,000位~14,500,000、14,500,000位~14,600,000位、14,600,000位~14,700,000位、14,700,000位~14,800,000位、14,800,000位~14,900,000位、14,900,000位~15,000,000位、15,000,000位~15,100,000位、15,100,000位~15,200,000位、15,200,000位~15,300,000位、15,300,000位~15,400,000位、15,400,000位~15,500,000、15,500,000位~15,600,000位、15,600,000位~15,700,000位、15,700,000位~15,800,000位、15,800,000位~15,900,000位、15,900,000位~16,000,000位、16,000,000位~16,100,000位、16,100,000位~16,200,000位、16,200,000位~16,300,000位、16,300,000位~16,400,000位、16,400,000位~16,500,000、16,500,000位~16,600,000位、16,600,000位~16,700,000位、16,700,000位~16,800,000位、16,800,000位~16,900,000位、16,900,000位~17,000,000位、17,000,000位~17,100,000位、17,100,000位~17,200,000位、17,200,000位~17,300,000位、17,300,000位~17,400,000位、17,400,000位~17,500,000、17,500,000位~17,600,000位、17,600,000位~17,700,000位、17,700,000位~17,800,000位、17,800,000位~17,900,000位、17,900,000位~18,000,000位、18,000,000位~18,100,000位、18,100,000位~18,200,000位、18,200,000位~18,300,000位、18,300,000位~18,400,000位、18,400,000位~18,500,000、18,500,000位~18,600,000位、18,600,000位~18,700,000位、18,700,000位~18,800,000位、18,800,000位~18,900,000位、18,900,000位~19,000,000位、19,000,000位~19,100,000位、19,100,000位~19,200,000位、19,200,000位~19,300,000位、19,300,000位~19,400,000位、19,400,000位~19,500,000、19,500,000位~19,600,000位、19,600,000位~19,700,000位、19,700,000位~19,800,000位、19,800,000位~19,900,000位、19,900,000位~20,000,000位、20,000,000位~20,100,000位、20,100,000位~20,200,000位、20,200,000位~20,300,000位、20,300,000位~20,400,000位、20,400,000位~20,500,000、20,500,000位~20,600,000位、20,600,000位~20,700,000位、20,700,000位~20,800,000位、20,800,000位~20,900,000位、20,900,000位~21,000,000位、21,000,000位~21,100,000位、21,100,000位~21,200,000位、21,200,000位~21,300,000位、21,300,000位~21,400,000位、21,400,000位~21,500,000、21,500,000位~21,600,000位、21,600,000位~21,700,000位、21,700,000位~21,800,000位、21,800,000位~21,900,000位、21,900,000位~22,000,000位、22,000,000位~22,100,000位、22
,100,000位~22,200,000位、22,200,000位~22,300,000位、22,300,000位~22,400,000位、22,400,000位~22,500,000、22,500,000位~22,600,000位、22,600,000位~22,700,000位、22,700,000位~22,800,000位、22,800,000位~22,900,000位、22,900,000位~23,000,000位、23,000,000位~23,100,000位、23,100,000位~23,200,000位、23,200,000位~23,300,000位、23,300,000位~23,400,000位、23,400,000位~23,500,000、23,500,000位~23,600,000位、23,600,000位~23,700,000位、23,700,000位~23,800,000位、23,800,000位~23,900,000位、23,900,000位~24,000,000位、24,000,000位~24,100,000位、24,100,000位~24,200,000位、24,200,000位~24,300,000位、24,300,000位~24,400,000位、24,400,000位~24,500,000、24,500,000位~24,600,000位、24,600,000位~24,700,000位、24,700,000位~24,800,000位、24,800,000位~24,900,000位、24,900,000位~25,000,000位、25,000,000位~25,100,000位、25,100,000位~25,200,000位、25,200,000位~25,300,000位、25,300,000位~25,400,000位、25,400,000位~25,500,000、25,500,000位~25,600,000位、25,600,000位~25,700,000位、25,700,000位~25,800,000位、25,800,000位~25,900,000位、25,900,000位~26,000,000位、26,000,000位~26,100,000位、26,100,000位~26,200,000位、26,200,000位~26,294,056位である。
【0162】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、上記で示した配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列の1位~100,000位から26,200,000位~26,294,056位の範囲のいずれかの、1位~1,000位、1,000位~2,000位、2,000位~3,000位、3,000位~4,000位、4,000位~5,000位、5,000位~6,000位、6,000位~7,000位、7,000位~8,000位、8,000位~9,000位、9,000位~10,000位、10,000位~11,000位、11,000位~12,000位、12,000位~13,000位、13,000位~14,000位、14,000位~15,000位、15,000位~16,000位、16,000位~17,000位、17,000位~18,000位、18,000位~19,000位、19,000位~20,000位、20,000位~21,000位、21,000位~22,000位、22,000位~23,000位、23,000位~24,000位、24,000位~25,000位、25,000位~26,000位、26,000位~27,000位、27,000位~28,000位、28,000位~29,000位、29,000位~30,000位、30,000位~31,000位、31,000位~32,000位、32,000位~33,000位、33,000位~34,000位、34,000位~35,000位、35,000位~36,000位、36,000位~37,000位、37,000位~38,000位、38,000位~39,000位、39,000位~40,000位、40,000位~41,000位、41,000位~42,000位、42,000位~43,000位、43,000位~44,000位、44,000位~45,000位、45,000位~46,000位、46,000位~47,000位、47,000位~48,000位、48,000位~49,000位、49,000位~50,000位、50,000位~51,000位、51,000位~52,000位、52,000位~53,000位、53,000位~54,000位、54,000位~55,000位、55,000位~56,000位、56,000位~57,000位、57,000位~58,000位、58,000位~59,000位、59,000位~60,000位、60,000位~61,000位、61,000位~62,000位、62,000位~63,000位、63,000位~64,000位、64,000位~65,000位、65,000位~66,000位、66,000位~67,000位、67,000位~68,000位、68,000位~69,000位、69,000位~70,000位、70,000位~71,000位、71,000位~72,000位、72,000位~73,000位、73,000位~74,000位、74,000位~75,000位、75,000位~76,000位、76,000位~77,000位、77,000位~78,000位、78,000位~79,000位、79,000位~80,000位、80,000位~81,000位、81,000位~82,000位、82,000位~83,000位、83,000位~84,000位、84,000位~85,000位、85,000位~86,000位、86,000位~87,000位、87,000位~88,000位、88,000位~89,000位、89,000位~90,000位、90,000位~91,000位、91,000位~92,000位、92,000位~93,000位、93,000位~94,000位、94,000位~95,000位、95,000位~96,000位、96,000位~97,000位、97,000位~98,000位、98,000位~99,000位、または99,000位~100,000位である。
【0163】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、上記で示した配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列の部分範囲1位~1,000位から99,000位~100,000位のいずれかの、1位~10位、10位~20位、20位~30位、30位~40位、40位~50位、50位~60位、60位~70位、70位~80位、80位~90位、90位~100位、100位~110位、110位~120位、120位~130位、130位~140位、140位~150位、150位~160位、160位~170位、170位~180位、180位~190位、190位~200位、200位~210位、210位~220位、220位~230位、230位~240位、240位~250位、250位~260位、260位~270位、270位~280位、280位~290位、290位~300位、300位~310位、310位~320位、320位~330位、330位~340位、340位~350位、350位~360位、360位~370位、370位~380位、380位~390位、390位~400位、400位~410位、410位~420位、420位~430位、430位~440位、440位~450位、450位~460位、460位~470位、470位~480位、480位~490位、490位~500位、500位~510位、510位~520位、520位~530位、530位~540位、540位~550位、550位~560位、560位~570位、570位~580位、580位~590位、590位~600位、600位~610位、610位~620位、620位~630位、630位~640位、640位~650位、650位~660位、660位~670位、670位~680位、680位~690位、690位~700位、700位~710位、710位~720位、720位~730位、730位~740位、740位~750位、750位~760位、760位~770位、770位~780位、780位~790位、790位~800位、800位~810位、810位~820位、820位~830位、830位~840位、840位~850位、850位~860位、860位~870位、870位~880位、880位~890位、890位~900位、900位~910位、910位~920位、920位~930位、930位~940位、940位~950位、950位~960位、960位~970位、970位~980位、980位~990位、990位~1000位、1位~100位、100位~200位、200位~300位、300位~400位、400位~500位、500位~600位、600位~700位、700位~800位、800位~900位、または900位~1000位である。
【0164】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117に定める配列から上流または下流の、約1位から約10位、約10位から約20位、約20位から約30位、約30位から約40位、約40位から約50位、約50位から約60位、約60位から約70位、約70位から約80位、約80位から約90位、約90位から約100位、約100位から約110位、約110位から約120位、約120位から約130位、約130位から約140位、約140位から約150位、約150位から約160位、約160位から約170位、約170位から約180位、約180位から約190位、約190位から約200位、約200位から約210位、約210位から約220位、約220位から約230位、約230位から約240位、約240位から約250位、約250位から約260位、約260位から約270位、約270位から約280位、約280位から約290位、約290位から約300位、約300位から約310位、約310位から約320位、約320位から約330位、約330位から約340位、約340位から約350位、約350位から約360位、約360位から約370位、約370位から約380位、約380位から約390位、約390位から約400位、約400位から約410位、約410位から約420位、約420位から約430位、約430位から約440位、約440位から約450位、約450位から約460位、約460位から約470位、約470位から約480位、約480位から約490位、約490位から約500位、約500位から約510位、約510位から約520位、約520位から約530位、約530位から約540位、約540位から約550位、約550位から約560位、約560位から約570位、約570位から約580位、約580位から約590位、約590位から約600位、約600位から約610位、約610位から約620位、約620位から約630位、約630位から約640位、約640位から約650位、約650位から約660位、約660位から約670位、約670位から約680位、約680位から約690位、約690位から約700位、約700位から約710位、約710位から約720位、約720位から約730位、約730位から約740位、約740位から約750位、約750位から約760位、約760位から約770位、約770位から約780位、約780位から約790位、約790位から約800位、約800位から約810位、約810位から約820位、約820位から約830位、約830位から約840位、約840位から約850位、約850位から約860位、約860位から約870位、約870位から約880位、約880位から約890位、約890位から約900位、約900位から約910位、約910位から約920位、約920位から約930位、約930位から約940位、約940位から約950位、約950位から約960位、約960位から約970位、約970位から約980位、約980位から約990位、約990位から約1000位、約1,000位から約2,000位、約2,000位から約3,000位、約3,000位から約4,000位、約4,000位から約5,000位、約5,000位から約6,000位、約6,000位から約7,000位、約7,000位から約8,000位、約8,000位から約9,000位、約9,000位から約10,000位、約10,000位から約11,000位、約11,000位から約12,000位、約12,000位から約13,000位、約13,000位から約14,000位、約14,000位から約15,000位、約15,000位から約16,000位、約16,000位から約17,000位、約17,000位から約18,000位、約18,000位から約19,000位、約19,000位から約20,000位、約20,000位から約21,000位、約21,000位から約22,000位、約22,000位から約23,000位、約23,000位から約24,000位、約24,000位から約25,000位、約25,000位から約26,000位、約26,000位から約27,000位、約27,000位から約28,000位、約28,000位から約29,000位、約29,000位から約30,000位、約30,000位から約31,000位、約31,000位から約32,000位、約32,000位から約33,000位、約33,000位から約34,000位、約34,000位から約35,000位、約35,000位から約36,000位、約36,000位から約37,000位、約37,000位から約38,000位、約38,000位から約39,000位、約39,000位から約40,000位、約40,000位から約41,000位、約41,000位から約42,000位、約42,000位から約43,000位、約43,000位から約44,000位、約44,000位から約45,000位、約45,000位から約46,000位、約46,000位から約47,000位、約47,000位から約48,000位、約48,000位から約49,000位、約49,000位から約50,000位、約50,000位から約51,000位、約51,000位から約52,000位、約52,000位から約53,000位、約53,000位から約54,000位、約54,000位から約55,000位、約55,000位から約56,000位、約56,000位から約57,000位、約57,000位から約58,000位、約58,000位から約59,000位、約59,000位から約60,000位、約60,000位から約61,000位、約61,000位から約62,000位、約62,000位から約63,000位、約63,000位から約64,000位、約64,000位から約65,000位、約65,000位から約66,000位、約66,000位から約67,000位、約67,000位から約68,000位、約68,000位から約69,000位、約69,000位から約70,000位、約70,000位から約71,000位、約71,000位から約72,000位、約72,000位から約73,000位、約73,000位から約74,000位、約74,000位から約75,000位、約75,000位から約76,000位、約76,000位から約77,000位、約77,000位から約78,000位、約78,000位から約79,000位、約79,000位から約80,000位、約80,000位から約81,000位、約81,000位から約82,000位、約82,000位から約83,000位、約83,000位から約84,000位、約84,000位から約85,000位、約85,000位から約86,000位、約86,000位から約87,000位、約87,000位から約88,000位、約88,000位から約89,000位、約89,000位から約90,000位、約90,000位から約91,000位、約91,000位から約92,000位、約92,000位から約93,000位、約93,000位から約94,000位、約94,000位から約95,000位、約95,000位から約96,000位、約96,000位から約97,000位、約97,000位から約98,000位、約98,000位から約99,000位、約99,000位から約100,000位、約100,000位から約200,000位、約200,000位から約300,000位、約300,000位から約400,000位、約400,000位から約500,000位、約500,000位から約600,000位、約600,000位から約700,000位、約700,000位から約800,000位、約800,000位から約900,000位、約900,000位から約1,000,000位、約1,000,000位から約1,100,000位、約1,100,000位から約1,200,000位、約1,200,000位から約1,300,000位、約1,300,000位から約1,400,000位、約1,400,000位から約1,500,000位、約1,500,000位から約1,600,000位、約1,600,000位から約1,700,000位、約1,700,000位から約1,800,000位、約1,800,000位から約1,900,000位、約1,900,000位から約2,000,000位、約2,000,000位から約2,100,000位、約2,100,000位から約2,200,000位、約2,200,000位から約2,300,000位、約2,300,000位から約2,400,000位、約2,400,000位から約2,500,000位、約2,500,000位から約2,600,000位、約2,600,000位から約2,700,000位、約2,700,000位から約2,800,000位、約2,800,000位から約2,900,000位、約2,900,000位から約3,000,000位、約3,000,000位から約3,100,000位、約3,100,000位から約3,200,000位、約3,200,000位から約3,300,000位、約3,300,000位から約3,400,000位、約3,400,000位から約3,500,000位、約3,500,000位から約3,600,000位、約3,600,000位から約3,700,000位、約3,700,000位から約3,800,000位、約3,800,000位から約3,900,000位、約3,900,000位から約4,000,000位、約4,000,000位から約4,100,000位、約4,100,000位から約4,200,000位、約4,200,000位から約4,300,000位、約4,300,000位から約4,400,000位、約4,400,000位から約4,500,000位、約4,500,000位から約4,600,000位、約4,600,000位から約4,700,000位、約4,700,000位から約4,800,000位、約4,800,000位から約4,900,000位、約4,900,000位から約5,000,000位、約5,000,000位から約5,100,000位、約5,100,000位から約5,200,000位、約5,200,000位から約5,300,000位、約5,300,000位から約5,400,000位、約5,400,000位から約5,500,000位、約5,500,000位から約5,600,000位、約5,600,000位から約5,700,000位、約5,700,000位から約5,800,000位、約5,800,000位から約5,900,000位、約5,900,000位から約6,000,000位、約6,000,000位から約6,100,000位、約6,100,000位から約6,200,000位、約6,200,000位から約6,300,000位、約6,300,000位から約6,400,000位、約6,400,000位から約6,500,000位、約6,500,000位から約6,600,000位、約6,600,000位から約6,700,000位、約6,700,000位から約6,800,000位、約6,800,000位から約6,900,000位、約6,900,000位から約7,000,000位、約7,000,000位から約7,100,000位、約7,100,000位から約7,200,000位、約7,200,000位から約7,300,000位、約7,300,000位から約7,400,000位、約7,400,000位から約7,500,000位、約7,500,000位から約7,600,000位、約7,600,000位から約7,700,000位、約7,700,000位から約7,800,000位、約7,800,000位から約7,900,000位、約7
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いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117に定める配列から、少なくとも約10個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約110個、少なくとも約120個、少なくとも約130個、少なくとも約140個、少なくとも約150個、少なくとも約160個、少なくとも約170個、少なくとも約180個、少なくとも約190個、少なくとも約200個、少なくとも約210個、少なくとも約220個、少なくとも約230個、少なくとも約240個、少なくとも約250個、少なくとも約260個、少なくとも約270個、少なくとも約280個、少なくとも約290個、少なくとも約300個、少なくとも約310個、少なくとも約320個、少なくとも約330個、少なくとも約340個、少なくとも約350個、少なくとも約360個、少なくとも約370個、約380個、少なくとも約390個、少なくとも約400個、少なくとも約410個、少なくとも約420個、少なくとも約430個、少なくとも約440個、少なくとも約450個、少なくとも約460個、少なくとも約470個、少なくとも約480個、少なくとも約490個、少なくとも約500個、少なくとも約510個、少なくとも約520個、少なくとも約530個、少なくとも約540個、少なくとも約550個、少なくとも約560個、少なくとも約570個、少なくとも約580個、少なくとも約590個、少なくとも約600個、少なくとも約610個、少なくとも約620個、少なくとも約630個、少なくとも約640個、少なくとも約650個、少なくとも約660個、少なくとも約670個、少なくとも約680個、少なくとも約690個、少なくとも約700個、少なくとも約710個、少なくとも約720個、少なくとも約730個、少なくとも約740個、少なくとも約750個、少なくとも約760個、少なくとも約770個、少なくとも約780個、少なくとも約790個、少なくとも約800個、少なくとも約810個、少なくとも約820個、少なくとも約830個、少なくとも約840個、少なくとも約850個、少なくとも約860個、少なくとも約870個、少なくとも約880個、少なくとも約890個、少なくとも約900個、少なくとも約910個、少なくとも約920個、少なくとも約930個、少なくとも約940個、少なくとも約950個、少なくとも約960個、少なくとも約970個、少なくとも約980個、少なくとも約990個、少なくとも約1,000個、少なくとも約2,000個、少なくとも約3,000個、少なくとも約4,000個、少なくとも約5,000個、少なくとも約6,000個、少なくとも約7,000個、少なくとも約8,000個、少なくとも約9,000個、少なくとも約10,000個、少なくとも約11,000個、少なくとも約12,000個、少なくとも約13,000個、少なくとも約14,000個、少なくとも約15,000個、少なくとも約16,000個、少なくとも約17,000個、少なくとも約18,000個、少なくとも約19,000個、少なくとも約20,000個、少なくとも約21,000個、少なくとも約22,000個、少なくとも約23,000個、少なくとも約24,000個、少なくとも約25,000個、少なくとも約26,000個、少なくとも約27,000個、少なくとも約28,000個、少なくとも約29,000個、少なくとも約30,000個、少なくとも約31,000個、少なくとも約32,000個、少なくとも約33,000個、少なくとも約34,000個、少なくとも約35,000個、少なくとも約36,000個、少なくとも約37,000個、少なくとも約38,000個、少なくとも約39,000個、少なくとも約40,000個、少なくとも約41,000個、少なくとも約42,000個、少なくとも約43,000個、少なくとも約44,000個、少なくとも約45,000個、少なくとも約46,000個、少なくとも約47,000個、少なくとも約48,000個、少なくとも約49,000個、少なくとも約50,000個、少なくとも約51,000個、少なくとも約52,000個、少なくとも約53,000個、少なくとも約54,000個、少なくとも約55,000個、少なくとも約56,000個、少なくとも約57,000個、少なくとも約58,000個、少なくとも約59,000個、少なくとも約60,000個、少なくとも約61,000個、少なくとも約62,000個、少なくとも約63,000個、少なくとも約64,000個、少なくとも約65,000個、少なくとも約66,000個、少なくとも約67,000個、少なくとも約68,000個、少なくとも約69,000個、少なくとも約70,000個、少なくとも約71,000個、少なくとも約72,000個、少なくとも約73,000個、少なくとも約74,000個、少なくとも約75,000個、少なくとも約76,000個、少なくとも約77,000個、少なくとも約78,000個、少なくとも約79,000個、少なくとも約80,000個、少なくとも約81,000個、少なくとも約82,000個、少なくとも約83,000個、少なくとも約84,000個、少なくとも約85,000個、少なくとも約86,000個、少なくとも約87,000個、少なくとも約88,000個、少なくとも約89,000個、少なくとも約90,000個、少なくとも約91,000個、少なくとも約92,000個、少なくとも約93,000個、少なくとも約94,000個、少なくとも約95,000個、少なくとも約96,000個、少なくとも約97,000個、少なくとも約98,000個、少なくとも約99,000個、少なくとも約100,000個、少なくとも約200,000個、少なくとも約300,000個、少なくとも約400,000個、少なくとも約500,000個、少なくとも約600,000個、少なくとも約700,000個、少なくとも約800,000個、少なくとも約900,000個、少なくとも約1,000,000個、少なくとも約1,100,000個、少なくとも約1,200,000個、少なくとも約1,300,000個、少なくとも約1,400,000個、少なくとも約1,500,000個、少なくとも約1,600,000個、少なくとも約1,700,000個、少なくとも約1,800,000個、少なくとも約1,900,000個、少なくとも約2,000,000個、少なくとも約2,100,000個、少なくとも約2,200,000個、少なくとも約2,300,000個、少なくとも約2,400,000個、少なくとも約2,500,000個、少なくとも約2,600,000個、少なくとも約2,700,000個、少なくとも約2,800,000個、少なくとも約2,900,000個、少なくとも約3,000,000個、少なくとも約3,100,000個、少なくとも約3,200,000個、少なくとも約3,300,000個、少なくとも約3,400,000個、少なくとも約3,500,000個、少なくとも約3,600,000個、少なくとも約3,700,000個、少なくとも約3,800,000個、少なくとも約3,900,000個、少なくとも約4,000,000個、少なくとも約4,100,000個、少なくとも約4,200,000個、少なくとも約4,300,000個、少なくとも約4,400,000個、少なくとも約4,500,000個、少なくとも約4,600,000個、少なくとも約4,700,000個、少なくとも約4,800,000個、少なくとも約4,900,000個、少なくとも約5,000,000個、少なくとも約5,100,000個、少なくとも約5,200,000個、少なくとも約5,300,000個、少なくとも約5,400,000個、少なくとも約5,500,000個、少なくとも約5,600,000個、少なくとも約5,700,000個、少なくとも約5,800,000個、少なくとも約5,900,000個、少なくとも約6,000,000個、少なくとも約6,100,000個、少なくとも約6,200,000個、少なくとも約6,300,000個、少なくとも約6,400,000個、少なくとも約6,500,000個、少なくとも約6,600,000個、少なくとも約6,700,000個、少なくとも約6,800,000個、少なくとも約6,900,000個、少なくとも約7,000,000個、少なくとも約7,100,000個、少なくとも約7,200,000個、少なくとも約7,300,000個、少なくとも約7,400,000個、少なくとも約7,500,000個、少なくとも約7,600,000個、少なくとも約7,700,000個、少なくとも約7,800,000個、少なくとも約7,900,000個、少なくとも約8,000,000個、少なくとも約8,100,000個、少なくとも約8,200,000個、少なくとも約8,300,000個、少なくとも約8,400,000個、少なくとも約8,500,000個、少なくとも約8,600,000個、少なくとも約8,700,000個、少なくとも約8,800,000個、少なくとも約8,900,000個、少なくとも約9,000,000個、少なくとも約9,100,000個、少なくとも約9,200,000個、少なくとも約9,300,000個、少なくとも約9,400,000個、少なくとも約9,500,000個、少なくとも約9,600,000個、少なくとも約9,700,000個、少なくとも約9,800,000個、少なくとも約9,900,000個、少なくとも約10,000,000個、少なくとも約10,100,000個、少なくとも約10,200,000個、少なくとも約10,300,000個、少なくとも約10,400,000個、少なくとも約10,500,000個、少なくとも約10,600,000個、少なくとも約10,700,000個、少なくとも約10,800,000個、少なくとも約10,900,000個、少なくとも約11,000,000個、少なくとも約11,100,000個、少なくとも約11,200,000個、少なくとも約11,300,000個、少なくとも約11,400,000個、少なくとも約11,500,000個、少なくとも約11,600,000個、少なくとも約11,700,000個、少なくとも約11,800,000個、少なくとも約11,900,000個、少なくとも約12,000,000個、少なくとも約12,100,000個、少なくとも約12,200,000個、少なくとも約12,300,000個、少なくとも約12,400,000個、少なくとも約12,500,000個、少なくとも約12,600,000個、少なくとも約12,700,000個、少なくとも約12,800,000個、少なくとも約12,900,000個、少なくとも約13,000,000個、少なくとも約13,100,000個、少なくとも約13,200,000個、少なくとも約13,300,000個、少なくとも約13,400,000個、少なくとも約13,500,000個、少なくとも約13,600,000個、少なくとも約13,700,000個、少なくとも約13,800,000個、少なくとも約13,900,000個、少なくとも約14,000,000個、少なくとも約14,100,000個、少なくとも約14,200,000個、少なくとも約14,300,000個、少なくとも約14,400,000個、少なくとも約14,500,000個、少なくとも約14,600,000個、少なくとも約14,700,000個、少なくとも約14,800,000個、少なくとも約14,900,000個、少なくとも約15,000,000個、少なくとも約15,100,000個、少なくとも約15,200,000個、少
なくとも約15,300,000個、少なくとも約15,400,000個、少なくとも約15,500,000個、少なくとも約15,600,000個、少なくとも約15,700,000個、少なくとも約15,800,000個、少なくとも約15,900,000個、少なくとも約16,000,000個、少なくとも約16,100,000個、少なくとも約16,200,000個、少なくとも約16,300,000個、少なくとも約16,400,000個、少なくとも約16,500,000個、少なくとも約16,600,000個、少なくとも約16,700,000個、少なくとも約16,800,000個、少なくとも約16,900,000個、少なくとも約17,000,000個、少なくとも約17,100,000個、少なくとも約17,200,000個、少なくとも約17,300,000個、少なくとも約17,400,000個、少なくとも約17,500,000個、少なくとも約17,600,000個、少なくとも約17,700,000個、少なくとも約17,800,000個、少なくとも約17,900,000個、少なくとも約18,000,000個、少なくとも約18,100,000個、少なくとも約18,200,000個、少なくとも約18,300,000個、少なくとも約18,400,000個、少なくとも約18,500,000個、少なくとも約18,600,000個、少なくとも約18,700,000個、少なくとも約18,800,000個、少なくとも約18,900,000個、少なくとも約19,000,000個、少なくとも約19,100,000個、少なくとも約19,200,000個、少なくとも約19,300,000個、少なくとも約19,400,000個、少なくとも約19,500,000個、少なくとも約19,600,000個、少なくとも約19,700,000個、少なくとも約19,800,000個、少なくとも約19,900,000個、少なくとも約20,000,000個、少なくとも約20,100,000個、少なくとも約20,200,000個、少なくとも約20,300,000個、少なくとも約20,400,000個、少なくとも約20,500,000個、少なくとも約20,600,000個、少なくとも約20,700,000個、少なくとも約20,800,000個、少なくとも約20,900,000個、少なくとも約21,000,000個、少なくとも約21,100,000個、少なくとも約21,200,000個、少なくとも約21,300,000個、少なくとも約21,400,000個、少なくとも約21,500,000個、少なくとも約21,600,000個、少なくとも約21,700,000個、少なくとも約21,800,000個、少なくとも約21,900,000個、少なくとも約22,000,000個、少なくとも約22,100,000個、少なくとも約22,200,000個、少なくとも約22,300,000個、少なくとも約22,400,000個、少なくとも約22,500,000個、少なくとも約22,600,000個、少なくとも約22,700,000個、少なくとも約22,800,000個、少なくとも約22,900,000個、少なくとも約23,000,000個、少なくとも約23,100,000個、少なくとも約23,200,000個、少なくとも約23,300,000個、少なくとも約23,400,000個、少なくとも約23,500,000個、少なくとも約23,600,000個、少なくとも約23,700,000個、少なくとも約23,800,000個、少なくとも約23,900,000個、少なくとも約24,000,000個、少なくとも約24,100,000個、少なくとも約24,200,000個、少なくとも約24,300,000個、少なくとも約24,400,000個、少なくとも約24,500,000個、少なくとも約24,600,000個、少なくとも約24,700,000個、少なくとも約24,800,000個、少なくとも約24,900,000個、少なくとも約25,000,000個、少なくとも約25,100,000個、少なくとも約25,200,000個、少なくとも約25,300,000個、少なくとも約25,400,000個、少なくとも約25,500,000個、少なくとも約25,600,000個、少なくとも約25,700,000個、少なくとも約25,800,000個、少なくとも約25,900,000個、少なくとも26,000,000個の核酸塩基、下流または上流に位置する。
【0166】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117に定める配列から、約10個、約20個、約30個、約40個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約110個、約120個、約130個、約140個、約150個、約160個、約170個、約180個、約190個、約200個、約210個、約220個、約230個、約240個、約250個、約260個、約270個、約280個、約290個、約300個、約310個、約320個、約330個、約340個、約350個、約360個、約370個、約380個、約390個、約400個、約410個、約420個、約430個、約440個、約450個、約460個、約470個、約480個、約490個、約500個、約510個、約520個、約530個、約540個、約550個、約560個、約570個、約580個、約590個、約600個、約610個、約620個、約630個、約640個、約650個、約660個、約670個、約680個、約690個、約700個、約710個、約720個、約730個、約740個、約750個、約760個、約770個、約780個、約790個、約800個、約810個、約820個、約830個、約840個、約850個、約860個、約870個、約880個、約890個、約900個、約910個、約920個、約930個、約940個、約950個、約960個、約970個、約980個、約990個、約1,000個、約2,000個、約3,000個、約4,000個、約5,000個、約6,000個、約7,000個、約8,000個、約9,000個、約10,000個、約11,000個、約12,000個、約13,000個、約14,000個、約15,000個、約16,000個、約17,000個、約18,000個、約19,000個、約20,000個、約21,000個、約22,000個、約23,000個、約24,000個、約25,000個、約26,000個、約27,000個、約28,000個、約29,000個、約30,000個、約31,000個、約32,000個、約33,000個、約34,000個、約35,000個、約36,000個、約37,000個、約38,000個、約39,000個、約40,000個、約41,000個、約42,000個、約43,000個、約44,000個、約45,000個、約46,000個、約47,000個、約48,000個、約49,000個、約50,000個、約51,000個、約52,000個、約53,000個、約54,000個、約55,000個、約56,000個、約57,000個、約58,000個、約59,000個、約60,000個、約61,000個、約62,000個、約63,000個、約64,000個、約65,000個、約66,000個、約67,000個、約68,000個、約69,000個、約70,000個、約71,000個、約72,000個、約73,000個、約74,000個、約75,000個、約76,000個、約77,000個、約78,000個、約79,000個、約80,000個、約81,000個、約82,000個、約83,000個、約84,000個、約85,000個、約86,000個、約87,000個、約88,000個、約89,000個、約90,000個、約91,000個、約92,000個、約93,000個、約94,000個、約95,000個、約96,000個、約97,000個、約98,000個、約99,000個、約100,000個、約200,000個、約300,000個、約400,000個、約500,000個、約600,000個、約700,000個、約800,000個、約900,000個、約1,000,000個、約1,100,000個、約1,200,000個、約1,300,000個、約1,400,000個、約1,500,000個、約1,600,000個、約1,700,000個、約1,800,000個、約1,900,000個、約2,000,000個、約2,100,000個、約2,200,000個、約2,300,000個、約2,400,000個、約2,500,000個、約2,600,000個、約2,700,000個、約2,800,000個、約2,900,000個、約3,000,000個、約3,100,000個、約3,200,000個、約3,300,000個、約3,400,000個、約3,500,000個、約3,600,000個、約3,700,000個、約3,800,000個、約3,900,000個、約4,000,000個、約4,100,000個、約4,200,000個、約4,300,000個、約4,400,000個、約4,500,000個、約4,600,000個、約4,700,000個、約4,800,000個、約4,900,000個、約5,000,000個、約5,100,000個、約5,200,000個、約5,300,000個、約5,400,000個、約5,500,000個、約5,600,000個、約5,700,000個、約5,800,000個、約5,900,000個、約6,000,000個、約6,100,000個、約6,200,000個、約6,300,000個、約6,400,000個、約6,500,000個、約6,600,000個、約6,700,000個、約6,800,000個、約6,900,000個、約7,000,000個、約7,100,000個、約7,200,000個、約7,300,000個、約7,400,000個、約7,500,000個、約7,600,000個、約7,700,000個、約7,800,000個、約7,900,000個、約8,000,000個、約8,100,000個、約8,200,000個、約8,300,000個、約8,400,000個、約8,500,000個、約8,600,000個、約8,700,000個、約8,800,000個、約8,900,000個、約9,000,000個、約9,100,000個、約9,200,000個、約9,300,000個、約9,400,000個、約9,500,000個、約9,600,000個、約9,700,000個、約9,800,000個、約9,900,000個、約10,000,000個、約10,100,000個、約10,200,000個、約10,300,000個、約10,400,000個、約10,500,000個、約10,600,000個、約10,700,000個、約10,800,000個、約10,900,000個、約11,000,000個、約11,100,000個、約11,200,000個、約11,300,000個、約11,400,000個、約11,500,000個、約11,600,000個、約11,700,000個、約11,800,000個、約11,900,000個、約12,000,000個、約12,100,000個、約12,200,000個、約12,300,000個、約12,400,000個、約12,500,000個、約12,600,000個、約12,700,000個、約12,800,000個、約12,900,000個、約13,000,000個、約13,100,000個、約13,200,000個、約13,300,000個、約13,400,000個、約13,500,000個、約13,600,000個、約13,700,000個、約13,800,000個、約13,900,000個、約14,000,000個、約14,100,000個、約14,200,000個、約14,300,000個、約14,400,000個、約14,500,000個、約14,600,000個、約14,700,000個、約14,800,000個、約14,900,000個、約15,000,000個、約15,100,000個、約15,200,000個、約15,300,000個、約15,400,000個、約15,500,000個、約15,600,000個、約15,700,000個、約15,800,000個、約15,900,000個、約16,000,000個、約16,100,000個、約16,200,000個、約16,300,000個、約16,400,000個、約16,500,000個、約16,600,000個、約16,700,000個、約16,800,000個、約16,900,000個、約17,000,000個、約17,100,000個、約17,200,000個、約17,300,000個、約17,400,000個、約17,500,000個、約17,600,000個、約17,700,000個、約17,800,000個、約17,900,000個、約18,000,000個、約18,100,000個、約18,200,000個、約18,300,000個、約18,400,000個、約18,500,000個、約18,600,000個、約18,700,000個、約18,800,000個、約18,900,000個、約19,000,000個、約19,100,000個、約19,200,000個、約19,300,000個、約19,400,000個、約19,500,000個、約19,600,000個、約19,700,000個、約19,800,000個、約19,900,000個、約20,000,000個、約20,100,000個、約20,200,000個、約20,300,000個、約20,400,000個、約20,500,000個、約20,600,000個、約20,700,000個、約20,800,000個、約20,900,000個、約21,000,000個、約21,100,000個、約21,200,000個、約21,300,000個、約21,400,000個、約21,500,000個、約21,600,000個、約21,700,000個、約21,800,000個、約21,900,000個、約22,000,000個、約22,100,000個、約22,200,000個、約22,300,000個、約22,400,000個、約22,500,000個、約22,600,000個、約22,700,000個、約22,800,000個、約22,900,000個、約23,000,000個、約23,100,000個、約23,200,000個、約23,300,000個、約23,400,000個、約23,500,000個、約23,600,000個、約23,700,000個、約23,800,000個、約23,900,000個、約24,000,000個、約24,100,000個、約24,200,000個、約24,300,000個、約24,400,000個、約24,500,000個、約24,600,000個、約24,700,000個、約24,800,000個、約24,900,000個、約25,000,000個、約25,100,000個、約25,200,000個、約25,300,000個、約25,400,000個、約25,500,000個、約25,600,000個、約25,700,000個、約25,800,000個、約25,900,000個、26,000,000個の核酸塩基、下流または上流に位置する。
【0167】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における高複雑性配列内に位置する。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における高複雑性配列を含む。
【0168】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における高複雑性配列内に位置する。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における高複雑性配列を含む。
【0169】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における低複雑性配列内に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるレトロトランスポゾン配列の中に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるAluリピート(CHO Alu均等物)などの中に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における長鎖散在核要素(LINE)の中に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位/座位は、CHO Alu均等物配列を含有しない。
【0170】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における低複雑性配列内に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるレトロトランスポゾン配列の中に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるAluリピート(CHO Alu均等物)などの中に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における長鎖散在核要素(LINE)の中に位置しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位/座位は、CHO Alu均等物配列を含有しない。
【0171】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における複数の低複雑性配列で構成されない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるレトロトランスポゾン配列を含まない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるAluリピートを含まない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における長鎖散在核要素(LINE)を含まない。
【0172】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における複数の低複雑性配列で構成されない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるレトロトランスポゾン配列を含まない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるAluリピートを含まない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における長鎖散在核要素(LINE)を含まない。
【0173】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における低複雑性配列によってフランキングされていない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるレトロトランスポゾン配列によってフランキングされていない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるAluリピートによってフランキングされていない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における長鎖散在核要素(LINE)によってフランキングされていない。
【0174】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における低複雑性配列によってフランキングされていない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるレトロトランスポゾン配列によってフランキングされていない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるAluリピートによってフランキングされていない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における長鎖散在核要素(LINE)によってフランキングされていない。
【0175】
本明細書において使用される場合、「低複雑性配列」という用語は、反復要素、反復単位、またはリピートとしても知られる反復配列の存在を特徴とする核酸配列を指す。反対に、「高複雑性配列」という用語は、複数の反復配列が存在しないことを特徴とする核酸配列を指す。反復配列の主な種類は、タンデムリピート、およびレトロトランスポゾンなどの転位性要素を含む散在リピートである。
【0176】
レトロトランスポゾン(クラスI転位性要素、またはRNA中間体を介するトランスポゾンとも呼ばれる)は、RNA転位中間体を使用する逆転写のプロセスを介してRNAをDNAに逆変換することによってゲノム上の異なる場所へと自己をコピーおよびペーストする遺伝子構成要素(トランスポゾン)の一種である。レトロトランスポゾンには、長末端リピート(LTR:long terminal repeat)および非長末端リピート(非LTR)という2つの主な種類がある。レトロトランスポゾンは、配列および転位の方法に基づいて分類される。非LTRは主としてLINE(長鎖散在核要素)およびSINE(短鎖散在核要素)の2種類に分けられる。Alusは、霊長類において最もよく見られるSINEである。
【0177】
Aluファミリーは、ヒトゲノムを含む霊長類ゲノム内の反復要素のファミリーである。Alu要素は、アルスロバクター・ルテウス(Arthrobacter luteus)(Alu)制限エンドヌクレアーゼの作用によって最初に特徴付けられたDNAの短いストレッチである。Alu要素は、ヒトゲノム全体に分散した100万を超えるコピーを含む最も豊富な転位性要素である。近代のAlu要素は約300塩基対長であり、したがって反復DNA要素のクラスの中で短鎖散在核要素(SINE)に分類される。典型的な構造は、5’-パートA-ATACA-パートB-ポリAテール-3’(配列番号25)であり、ここで、パートAおよびパートB(「左腕」および「右腕」としても知られる)は、同様のヌクレオチド配列である。Aluでは、コンセンサスTGGCTCACGCC(配列番号26)を持つ5’Aボックス、およびコンセンサスGWTCGAGAC(IUPAC核酸表記)を持つ3’Bボックスという2つの主なプロモーター「ボックス」が見出される。
【0178】
本開示の文脈では、本明細書において開示されるモンゴルキヌゲネズミ配列に適用されるAlu要素への言及は、CHO Alu均等物、すなわち、Haynes et al.(1981)Molecular and Cellular Biology 1(7):573-583に記述されているようなモンゴルキヌゲネズミのゲノムに存在するAlu様要素を指す。Haynesらは、ヒトAlu配列およびマウスBl散在性反復配列と高度に相同である、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)のゲノム内の主要な散在性デオキシリボ核酸リピートのコンセンサス配列を記述した。CHOコンセンサス配列はヒトAlu配列との著しい相同性を示すため、これをCHO Alu均等物配列という。CHO Alu均等物ファミリーメンバーの周囲にある保存された構造が認識され得る。これは、ヒトAluおよびマウスBi配列の周囲にあるものと同様であり、次のように表される:ダイレクトリピートCHO-Alu-Aリッチ配列-ダイレクトリピート。CHO Alu均等物配列のコンセンサス配列は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるHaynesらの図1において開示されている。
【0179】
長鎖散在核要素(LINE)(長鎖散在ヌクレオチド要素または長鎖散在要素としても知られる)は、多くの真核生物のゲノムに広く存在する非LTR(長末端リピート)レトロトランスポゾンの一群である。それらはヒトゲノムの約21.1%を構成する。LINEはトランスポゾンのファミリーを構成し、各LINEは約7,000塩基対長である。ヒトにおいて豊富な唯一のLINEはLINE1である。ヒトゲノムは、推定100,000個の切断型LINE-1要素および4,000個の完全長LINE-1要素を含有する。ランダム突然変異の蓄積に起因して、多くのLINEの配列は、もはや転写も翻訳もされない程度まで変性している。
【0180】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるCpGアイランドを含まない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるCpGアイランドの中に存在しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列におけるCpGアイランドによってフランキングされていない。
【0181】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるCpGアイランドを含まない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるCpGアイランドの中に存在しない。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列におけるCpGアイランドによってフランキングされていない。
【0182】
CpGアイランド(またはCGアイランド)は、高頻度のCpG部位を含む領域である。CpGアイランドの客観的定義は限られているが、通常の公式定義は、少なくとも200bpであり、GCパーセンテージが50%より大きく、CpG実測値対期待値比が60%より大きい領域である。「CpG実測値対期待値比」は、実測値を(CpGの数)とし、期待値を(Cの数×Gの数)/配列の長さ、または[(Cの数+Gの数)/2]/配列の長さとして算出することで導出され得る。
【0183】
哺乳動物ゲノムにおいて、CpGアイランドは、典型的には300~3,000塩基対長であり、哺乳動物遺伝子のプロモーターのおおよそ40%の中または付近において見出されている。60%を超えるヒト遺伝子およびほとんどすべてのハウスキーピング遺伝子において、それらのプロモーターがCpGアイランドに埋め込まれている。
【0184】
ヒトの21番染色体および22番染色体の完全な配列に関する広範な調査に基づくと、500bpより大きいDNA領域は、55%より大きいGC含有量および65%のCpG実測値対期待値比を有するならば、遺伝子の5’領域に関連する「真の」CpGアイランドである可能性が高くなる。
【0185】
CpGアイランドは、統計的に期待されるもの(約4~6%)の少なくとも60%のCpGジヌクレオチド含有量を特徴とするが、ゲノムの残りは大幅に低いCpG頻度(約1%)を有し、これはCG抑制と呼ばれる現象である。遺伝子のコーディング領域内のCpG部位とは異なり、ほとんどの場合、プロモーターのCpGアイランド内のCpG部位は、遺伝子が発現される場合はメチル化されていない。組織間、または正常サンプルとがんサンプルとの間のメチル化の差異のほとんどは、アイランド自体の中ではなく、CpGアイランドから短い距離をおいて(「CpGアイランドショア」において)起こる。
【0186】
ヒストンアセチル化およびシトシン脱メチル化は転写を向上させるので、標的化組み込み部位は、例えば、平均を超えるレベルのアセチル化されたヒストンおよび/または平均を超えるレベルのメチル化されていないシトシンを含む座位の中に位置する。
【0187】
したがって、いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、平均を超えるレベルのメチル化されていないシトシンを特徴とする、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列における部分配列の中に位置するか、それを含むか、またはそれによってフランキングされている。本明細書において使用される場合、平均を超えるレベルのメチル化されていないシトシンは、特定のポリヌクレオチド長にわたる、例えばキロベース当たりの、メチル化されていないシトシンの数を基準として考慮される。よって、メチル化されていないシトシンのパーセンテージを、例えば、配列番号22または配列番号118に定める配列に関して算出して、メチル化されていないシトシンの平均レベルを得ることができる。その後、配列番号22または配列番号118における部分配列を、当該部分配列(例えば、10nt、100nt、1000nt、10000nt、それ以上)の中のメチル化されていないシトシンのパーセンテージが、配列番号22または配列番号118に定める配列全体について算出されたメチル化されていないシトシンの平均数を上回るか下回るかに従って、スコアリングすることができる。
【0188】
同様に、いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、平均を超えるレベルのアセチル化を有するヒストンに関連することを特徴とする、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはChr5 TIコンティグに定める配列における部分配列の中に位置するか、それを含むか、またはそれによってフランキングされている。本明細書において使用される場合、平均を超えるレベルのヒストンアセチル化は、特定のポリヌクレオチド長にわたる、例えばキロベース当たりの、アセチル化されたヒストンの数を基準として考慮される。よって、アセチル化されたヒストンのパーセンテージを、例えば、配列番号22または配列番号118に定める配列に関して算出して、アセチル化されたヒストンの平均レベルを得ることができる。その後、配列番号22または配列番号118における部分配列を、当該部分配列(例えば、10nt、100nt、1000nt、10000nt、それ以上)の中のアセチル化されたヒストンのパーセンテージが、配列番号22または配列番号118に定める配列全体について算出されたアセチル化されたヒストンの平均数を上回るか下回るかに従って、スコアリングすることができる。
【0189】
メチル化のマーカーおよび転写またはオープンクロマチンの境界を同定する方法は、例えば、Sharmin et al. (2016) BMC Cancer 16:88、Wang et al. (2012) Nucleic Acids Res. 40:511-29、Papin et al. (2020) J. Mol. Biol. doi:10.1016/j.jmb.2020.09.018、Li et al. (2013) BMC Genomics 14:553、Butcher & Beck (2015) Methods 72:21-8、Chen et al. (2020) Epigenetics 22:1-22、Keller et al. (2016) Mol. Biol. Evol. 33:1019-28、Symmons et al. (2014) Genome Res. 24:390-400、またはMifsud et al. (2015) Nat. Genet. 47:598-606、Collings & Anderson (2017) Epigenetics and Chromatin 10 doi.org/10.1186/s13072-017-0125-5において提供されており、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0190】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、複製の早期開始が起こる領域であることを特徴とする、配列番号22またはChr3 TIコンティグに定める配列における部分配列の中に位置するか、それを含むか、またはそれによってフランキングされている。
【0191】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、複製の早期開始が起こる領域であることを特徴とする、配列番号118またはChr5 TIコンティグに定める配列における部分配列の中に位置するか、それを含むか、またはそれによってフランキングされている。
【0192】
複製の早期開始は、オープンクロマチンおよび転写のエリアに関連している。複製起点ならびにクロマチン状態および転写とのそれらの関連を同定する方法は、例えば、Smith & Aladjem (2014) J. Mol. Biol. 426:3330-41、Dellino et al. (2013) Genome Res. 23:1-11、Boos & Ferreira (2019) Genes 10:199、Boulos et al. (2015) FEBS Lett. 489:2944-57、またはGomez & Brockdorff (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:6923-6928において提供されており、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。これらの方法に基づくと、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはCh5 TIコンティグに定める配列の中の複製起点は、早期、中期、および後期の複製開始領域として分類および順位付けされ得る。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、上位1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%以内の複製開始領域であることを特徴とする、配列番号22もしくはChr3 TIコンティグまたは配列番号118もしくはCh5 TIコンティグに定める配列における部分配列の中に位置するか、それを含むか、またはそれによってフランキングされている。
【0193】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号20の20,002位~20,019位に位置する、配列番号21に定める配列、またはその一部を含む。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号20の中の配列番号21の配列のうちの部分配列の中に位置するか、またはそれを含む。
【0194】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号117に定める配列、またはその一部を含む。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号116の中の配列番号117の配列のうちの部分配列の中に位置するか、またはそれを含む。
【0195】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117から上流に位置する。
【0196】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117から下流に位置する。
【0197】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117から、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、または約3000nt上流に位置する。
【0198】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号21または配列番号117から、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、または約3000nt下流に位置する。
【0199】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号20に定める配列、またはそのフラグメント、例えば、配列番号21とオルソロガスな配列の中に位置する。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号20に定める配列、またはそのフラグメント、例えば、配列番号21とパラロガスな配列の中に位置する。
【0200】
いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号116に定める配列、またはそのフラグメント、例えば、配列番号117とオルソロガスな配列の中に位置する。いくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号116に定める配列、またはそのフラグメント、例えば、配列番号117とパラロガスな配列の中に位置する。
【0201】
本開示のいくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号20の中に位置する。配列番号20は、配列番号21の組み込み部位の各部位上の20Kbを含む、配列番号22(モンゴルキヌゲネズミ、チャイニーズハムスターの3番染色体からの26Mbase配列)の部分配列である。
【0202】
本開示のいくつかの態様において、標的化組み込み部位は、配列番号116の中に位置する。配列番号116は、配列番号117の組み込み部位の各部位上の20Kbを含む、配列番号118(モンゴルキヌゲネズミ、チャイニーズハムスターの染色体Chr5からの18Mbase配列)の部分配列である。
【0203】
いくつかの態様において、本開示は、細胞のゲノムの特定座位の中に組み込まれた目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列(外因性核酸)を含む単離細胞であって、当該座位は、配列番号20、配列番号116またはそれらの部分配列との少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%の配列同一性を有する、単離細胞を提供する。
【0204】
本明細書において開示される配列はモンゴルキヌゲネズミに由来するが、本開示には、他の種、例えば、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、ブタ、またはイヌからのオルソロガス配列も包含されると理解されたい。よって、配列番号14~24および110~120に定める配列のいずれかへの言及には、例えば、Needleman-Wunschアルゴリズムの実行を使用したペアワイズアラインメントによって決定した場合に、それらの親または参照配列(すなわち、配列番号14~24および110~120に定めるいずれかの配列またはそのフラグメントもしくは部分配列)との少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%の配列同一性を有するバリアント配列も包含される。本明細書において使用される場合、「オルソロガス」という用語は、種分化事象によって分離されたために同様の核酸配列を有する複数のポリヌクレオチドを指し、すなわち、それらは、先祖関係のために異なる生物において相同な配列を表し、したがって異なる生物において同様の機能を果たす。よって、本明細書において開示される配列(または部分配列)とオルソロガスな配列(または部分配列)は、本明細書において開示されるモンゴルキヌゲネズミからの既知の配列と機能的に等価である、すなわち、標的化組み込みのための特定座位として同様に使用可能であるとみなされる。
【0205】
いくつかの態様において、本開示は、細胞のゲノムの特定座位の中に組み込まれた目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列(外因性核酸)を含む単離細胞であって、当該座位は、配列番号20と、配列番号116またはそれらの部分配列との少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%の配列同一性を有する。
【0206】
いくつかの態様において、部分配列は、約18、約20、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、または約2000ヌクレオチド長であり、この部分配列は、配列番号21または配列番号117に定める配列を含む。
【0207】
いくつかの態様において、部分配列は、配列番号21または配列番号117に定める配列に対して上流の約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、または約2000個のヌクレオチドを含む。
【0208】
いくつかの態様において、部分配列は、配列番号21または配列番号117に定める配列に対して下流の約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、または約2000個のヌクレオチドを含む。
【0209】
いくつかの態様において、本開示は、細胞のゲノムの特定座位の中に組み込まれた目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列(外因性核酸)を含む単離細胞であって、当該座位(例えば、本開示の標的化組み込み部位)は、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはヌクレオチド配列である、単離細胞を提供する。本開示はまた、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列(外因性核酸)をCHO細胞などの哺乳動物細胞に導入することと、CHO細胞のゲノムの特定座位に外因性核酸が組み込まれたCHO細胞などの哺乳動物細胞を得ることとを含む方法であって、当該座位が、配列番号20または配列番号116の中のヌクレオチド位置またはヌクレオチド配列である、方法を提供する。また、(a)目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列(外因性核酸)を含む細胞を用意することを含む方法であって、当該ポリヌクレオチド配列が、プロモーターに作動可能に連結された目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含み、座位が、配列番号20および配列番号116の中のヌクレオチド位置またはヌクレオチド配列である、方法も提供される。いくつかの態様において、座位は、配列番号20または配列番号16と部分的に重なる。
【0210】
いくつかの態様において、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列は、配列番号20または配列番号116のいずれかの位置における特定部位に組み込まれる。
【0211】
いくつかの態様において、特定部位は、1~1000番、1001~2000番、2001~3000番、3001~4000番、4001~5000番、5001~6000番、6001~7000番、7001~8000番、8001~9000番、9001~10000番、10001~11000番、11001~12000番、12001~13000番、13001~14000番、14001~15000番、15001~16000番、16001~17000番、17001~18000番、18001~19000番、190001~20000番、20001~21000番、21001~22000番、22001~23000番、23001~24000番、24001~25000番、25001~26000番、26001~27000番、27001~28000番、28001~29000番、29001~30000番、30001~31000番、31001~32000番、32001~33000番、33001~34000番、34001~35000番、35001~36000番、36001~37000番、37001~38000番、38001~39000番、39001~40000番、または40001~40020番の位置に及ぶヌクレオチドからなる群から選択される配列番号20の中の位置にある。
【0212】
いくつかの態様において、特定部位は、1~1000番、1001~2000番、2001~3000番、3001~4000番、4001~5000番、5001~6000番、6001~7000番、7001~8000番、8001~9000番、9001~10000番、10001~11000番、11001~12000番、12001~13000番、13001~14000番、14001~15000番、15001~16000番、16001~17000番、17001~18000番、18001~19000番、190001~20000番、20001~21000番、21001~22000番、22001~23000番、23001~24000番、24001~25000番、25001~26000番、26001~27000番、27001~28000番、28001~29000番、29001~30000番、30001~31000番、31001~32000番、32001~33000番、33001~34000番、34001~35000番、35001~36000番、36001~37000番、37001~38000番、38001~39000番、39001~40000番、40001~41000番、410001~42000番、42001~43000番、43001~44000番、44001~45000番、45001~46000番、46001~47000番、47001~48000番、49001~50000番、50001~51000番、51001~52000番、52001~53000番、53001~54000番、54001~55000番、55001~56000番、56001~5700. 57001~58000番、58001~59000番、59001~60000番、60001~61000番、61001~62000番、62001~63000番、63001~64000番、64001~65000番、65001~66000番、66001~67000番、67001~68000番、68001~69000番、69001~70000番、70001~71000番、71001~72000番、72001~7300番、73001~74000番、74001~75000番、75001~76000番、76001~77000番、77001~78000番、78001~79000番、79001~80000番、80001~81000番、81001~82000番、82001~83000番、83001~84000番、84001~85000番、85001~86000番、86001~87000番、87001~88000番、88001~89000番、89001~90000番、90001~91000番、91001~92000番、92001~93000番、93001~94000番、94001~95000番、95001~96000番、96001~97000番、97001~98000番、98001~99000番、99001~100000番、100001~101000番、101001~102000番、102001~103000番、103001~104000番、104001~105000番、105001~106000番、106001~107000番、107001~108000番、108001~109000番、109001~110000番、110001~111000番、111001~112000番、112001~113000番、113001~114000番、114001~115000番、115001~116000番、116001~117000番、117001~118000番、118001~119000番、119001~120000番、120001~121000番、121001~122000番、122001~123000番、123001~124000番、124001~125000番、125001~126000番、126001~127000番、127001~128000番、128001~129000番、129001~130000番、130001~131000番、131001~132000番、132001~133000番、133001~134000番、134001~135000番、135001~136000番、136001~137000番、137001~138000番、138001~139000番、139001~140000番、140001~141000番、141001~142000番、142001~143000番、143001~144000番、144001~145000番、145001~146000番、146001~147000番、147001~148000番、148001~149000番、149001~150000番、150001~151000番、151001~152000番、152001~153000番、153001~154000番、154001~155000番、155001~156000番、156001~157000番、157001~158000番、158001~159000番、159001~160000番、160001~161000番、161001~162000番、162001~163000番、163001~164000番、164001~165000番、165001~166000番、166001~167000番、167001~168000番、168001~169000番、169001~170000番、170001~171000番、171001~172000番、172001~173000番、173001~174000番、174001~175000番、175001~176000番、176001~177000番、177001~178000番、178001~179000番、179001~180000番、180001~181000番、181001~182000番、182001~183000番、183001~184000番、または184001~185000番の位置に及ぶヌクレオチドからなる群から選択される配列番号116の中の位置にある。
【0213】
いくつかの態様において、特定部位は、19000~21000番、18000~22000番、17000~23000番、16000~24000番、15000~25000番、14000~26000番、13000~27000番、12000~28000番、11000~29000番、10000~30000番、9000~31000番、8000~32000番、7000~33000番、6000~34000番、5000~35000番、4000~36000番、3000~37000番、2000~38000番、1000~39000番、または1~40020番の位置に及ぶヌクレオチドからなる群から選択される配列番号20の中の位置にある。
【0214】
いくつかの態様において、特定部位は、19000~19100番、19100~19200番、19200~19300番、19300~19400番、19400~19500番、19500~19600番、19600~19700番、19700~19800番、19800~19900番、19900~20000番、20000~20100番、20100~20200番、20200~20300番、20300~20400番、20400~20500番、20500~20600番、20600~20700番、20700~20800番、20800~20900番、または20900~21000番の位置に及ぶヌクレオチドからなる群から選択される配列番号20の中の位置にある。
【0215】
いくつかの態様において、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列は、配列番号20のいずれかの位置における特定部位に組み込まれ、特定部位は、20000~20020番、19990~20030番、19980~20040番、19970~20050番、19960~20060番、19950~20070番、19940~20080番、19930~20090番、19920~20100番、19910~20110番、19900~20120番、19890~20120番、19880~20130番、19870~20140番、19860~20150番、19850~20160番、19840~20170番、19830~20180番、19820~20190番、19810~20200番、19800~20210番、19790~20220番、19780~20230番、19770~20230番、19760~20240番、19750~20250番、19740~20260番、19730~20270番、19720~20280番、19710~20290番、19700~20300番、19690~20310番、19680~20320番、19670~20330番、19660~20340番、19650~20350番、19640~20360番、19630~20370番、19620~20380番、19610~20390番、19600~20400番、19590~20410番、19580~20420番、19570~20430番、19560~20440番、19550~20450番、19540~20460番、19530~20470番、19520~20480番、19510~20490番、または19500~20500番の位置に及ぶヌクレオチドからなる配列番号20の中の位置にある。
【0216】
いくつかの態様において、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列は、配列番号20(ホットスポット1を含むゲノム配列)の中もしくは配列番号116(ホットスポット2を含むゲノム配列)の中のいずれかの位置における、または配列番号20もしくは配列番号116と部分的に重なる、特定部位(ホットスポット)に組み込まれる。
【0217】
いくつかの態様において、配列番号20の中の位置における特定部位は、20,002~20,019番の位置に及ぶ(配列番号21に定める18量体配列に対応する)ヌクレオチド位置または部分配列からなる群から選択される。
【0218】
いくつかの態様において、特定部位は、ヌクレオチド位置19900、19901、19902、19903、19904、19905、19906、19907、19908、19909、19910、19911、19912、19913、19914、19915、19916、19917、19918、19919、19920、19921、19922、19923、19924、19925、19926、19927、19928、19929、19920、19921、19922、19923、19924、19925、19926、19927、19928、19929、19930、19931、19932、19933、19934、19935、19936、19937、19938、19939、19949、19941、19942、19943、19944、19945、19946、19947、19948、19949、19950、19951、19952、19953、19954、19955、19956、19956、19958、19959、19960、19961、19962、19963、19964、19965、19966、19967、19968、19969、19970、19971、19971、19972、19973、19974、19975、19976、19977、19978、19979、19980、19981、19982、19983、19984、19985、19986、19987、19988、19989、19990、19991、19992、19993、19994、19995、19996、19997、19998、19999、20000、20001、20002、20003、20004、20005、20006、20007、20008、20009、20010、20011、20012、20013、20014、20015、20016、20017、20018、20019、20020、20021、20022、20023、20024、20025、20026、20027、20028、20029、20030、20031、20032、20033、20034、20035、20036、20037、20038、20039、20040、20041、20042、20043、20044、20045、20046、20047、20048、20049、20050、20051、20052、20053、20054、20055、20056、20057、20058、20059、20060、20061、20062、20063、20064、20065、20066、20067、20068、20069、20070、20071、20072、20073、20074、20075、20076、20077、20078、20079、20080、20081、20082、20083、20084、20085、20086、20087、20088、20089、20090、20091、20092、20093、20094、20095、20096、20097、20098、20099、または20100からなる群から選択される配列番号20の中の位置にある。
【0219】
本開示はまた、親プラスミドの周囲にあるゲノム配列に関するいかなる予備知識もなしにランディングパッド細胞株および発現細胞株の生成ならびに親細胞株のゲノム内の追加のホットスポットの同定を可能にした方法を提供する。この汎用性TI技術は、ランディングパッドプラスミド中に存在しない親細胞株における親プラスミド配列に対する指向性を持つ部位特異的エンドヌクレアーゼを使用する。この方策の利点は、フランキングゲノムDNA配列の知識が必要ないことである。例えば、図4Aは、CRISPR/Casを表す鋏の隣りにある黒塗りのボックスによって示される、CRISPR/Casによって標的化されるゲノム配列を知ることの必要性を示す。これに対し、図8Aおよび8Bは、CRISPR/Casによって標的化される配列が親プラスミドに内在することを示す。縦線および波線の付いたボックスは、異なるプラスミドの間の相同性の領域を表す。
【0220】
これらの新しい方策によれば、例えば、図2および関連する開示において示されるように、高い発現力価(例えば、抗体3~4g/L)および低いコピー数(例えば、2)を持つ親細胞株が最初に選択されることになる。そのような細胞株、すなわち「ホット細胞株」が同定されたら、ホット細胞株は、2つの異なる方策に従って使用され得る。両方の方策において、ランディングパッドプラスミドは、b1mCherryのような蛍光マーカーなどのマーカーをコードし、親細胞株に存在する親プラスミドとは異なるピューロマイシン耐性などの選択マーカーを発現し、マーカーをコードするポリヌクレオチド配列は、異種の部位特異的組換え部位(SSRS)によってフランキングされている。図12A、12B、13および14に示されている例示的なSSRSは、Creリコンビナーゼの標的である2つのLox部位(LoxPおよびLox511)である。しかし、以下に開示するように、代替的SSRS、例えば、Lox、Frt、att、またはそれらの組合せを使用して、これらの方策を実施してもよい。例えば、LoxおよびFrtの組合せが図15に描写されており、att部位(結合部位)の使用が図19などに示されている。
【0221】
部位特異的エンドヌクレアーゼ(例えば、CRISPR/Cas)およびランディングパッドプラスミドの存在下で、親細胞株における第1 GOI(例えば、mAb発現カセット)は、Lox部位によってフランキングされたmCherryとして示されるランディングパッドに置き換えられるか(方策A)、または欠失して、ランディングパッドプラスミドがホット細胞株のゲノム内の代替的座位に組み込まれる(方策B)。よって、方策Aでは、ランディングパッドプラスミドが、親細胞株において使用されるものと同じホットスポットである高発現をサポートするホットスポットに挿入されることになる。方策Bでは、親細胞株における第1 GOI(例えば、mAb発現カセット)が除去され、ランディングパッドプラスミドが親細胞株のゲノム内の代替的な場所において挿入されることになる。親細胞株はホット細胞であるため、追加のホットスポットの同定は、高力価などの好ましい性状を持つ発現細胞株を生成することができるランディングパッド細胞株をもたらす。図8Aを参照されたい。
【0222】
本開示は、ランディングパッド細胞株を同定するための方法であって、
(1)親細胞(例えば、ホット細胞)のゲノム配列に組み込まれたプラスミドから第1 GOIを除去することで、第1 GOIを含まない親細胞集団を生成することと、
(2)少なくとも1つのマーカー(例えば、Cherry)を含むランディングパッドプラスミドを、代替的ゲノム座位において(1)の親細胞集団に組み込むことで、候補細胞のライブラリーを生成することと、
(3)少なくとも1つの代替的なゲノム座位において組み込まれたランディングパッドプラスミドを少なくとも1コピー含む候補細胞のライブラリーをスクリーニングすることであって、候補細胞株が、(a)細胞力価が既定の閾値レベルを超えること、(b)プラスミドコピー数が既定の値であること、(c)既定の閾値レベルを超えるようなRNA発現レベル、または、(d)複数のプラスミドコピーが、存在する場合、特定のプラスミド構成を有することなどの所望の性状を満たす場合に選択される、スクリーニングすることと
を含む方法を提供する。
【0223】
いくつかの態様において、新しく同定されたホットスポットにランディングパッドプラスミドを含有する細胞のみが選択される。いくつかの態様において、新しく同定されたホットスポットに2つ以上のランディングパッドプラスミドを含有する細胞が選択される。いくつかの態様において、親細胞は、歴史的細胞株、例えば、抗体またはその抗原結合部分などのGOIの発現における高力価を特徴とする細胞株である。いくつかの態様において、候補細胞のライブラリーは、抗体またはその抗原結合部分のような目的タンパク質をコードする発現カセットの欠失/切除/除去などによって修飾された親細胞のゲノム内の複数の場所におけるランディングパッド配列のランダム組み込みによって生成されたライブラリーである。いくつかの態様において、この方法は、新しいホットスポットに組み込まれた少なくとも1つのランディングパッドプラスミドを含むホット細胞を選択する。いくつかの態様において、親細胞株は、CHO細胞株である。
【0224】
本開示は、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、相同組換えを使用して(例えば、CRISPR/Casを使用して)、標的化組み込み部位において親細胞(例えば、CHOホット細胞)のゲノム内にランディングパッドプラスミドを組み込むことを含み、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に位置し、すなわち、相同組換えのために標的化される配列が、ゲノム配列ではなく、ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、方法を提供する。
【0225】
いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドは、(i)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(ii)(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、(iii)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(ii)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含む。
【0226】
本開示はまた、発現細胞を生成する方法であって、部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して(例えば、Cre/Loxシステムを使用して)、上記で開示したランディングパッド細胞(例えば、CHOホット細胞)のゲノム内にGOIプラスミド(例えば、抗体またはその抗原結合部分をコードするプラスミド)を組み込むことを含み、ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、GOIを組み込む、方法を提供する。いくつかの態様において、結果として得られた発現プラスミドは、(i)少なくとも1つのGOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、(ii)(i)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSとを含む。
【0227】
また、発現細胞を生成する方法であって、(a)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞(例えば、親ホット細胞)のゲノム内にランディングパッドプラスミドを組み込むことであって、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に位置し、ランディングパッドプラスミド中の相同組換え部位が、異なるゲノム座位においてランディングパッド内で親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNA中の異なるゲノム座位においてランディングパッドの内部の場所におけるランディングパッドプラスミドを組み込む、組み込むこと、ならびに、(b)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、ランディングパッド細胞のゲノム内にGOIプラスミドを組み込むことであって、ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、組み込むことを含む方法も提供される。この方法のいくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドは、(i)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチド配列と、(ii)(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つのSSRSと、(iii)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(ii)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含む。この方法のいくつかの態様において、結果として得られた発現プラスミドは、(i)少なくとも1つのGOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、(ii)(i)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSとを含む。
【0228】
また、ランディングパッド細胞を生成する方法であって、(a)親細胞株における第1のホットスポット場所から親プラスミドまたはその一部を除去すること、および、(b)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内の第2のホットスポット場所にランディングパッドプラスミドを組み込むことを含み、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミド中に存在し、ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、方法も提供される。この方法のいくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドは、(i)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(ii)(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、(iii)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(ii)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含む。工程(a)は、第1 GOI(例えば、親細胞株における発現レベルが高かった抗体)を含まない親細胞株(例えば、ホット細胞株)に由来する細胞集団を生成することになる。工程(b)では、工程(a)の細胞集団のゲノムへのランディングパッドプラスミドの挿入により、複数の場所において組み込まれたランドセルパッド(land cell pad)を含有する細胞集団が生成されることになり、次にこれらをスクリーニングすることで、新しいホット細胞およびそれらの対応するホットスポットを同定することができる。
【0229】
また、発現細胞を生成する方法であって、(a)親細胞株における第1のホットスポット場所から親プラスミドを除去すること、(b)相同組換えを使用して、標的化組み込み部位において親細胞のゲノム内の第2のホットスポット場所にランディングパッドプラスミドを組み込むことであって、相同組換えのために標的化される配列が、親プラスミドに存在したものであり、各ランディングパッドプラスミドが、例えば、(i)少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸および/または検出可能マーカーをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と、(ii)(i)のポリヌクレオチド配列にフランキングする2つの部位特異的組換え部位(SSRS)と、(iii)親プラスミド中の対応する相同組換え部位と相同である、(ii)のSSRSに対して5’および3’末端側に位置する2つの相同組換え部位とを含み、ランディングパッドプラスミドの相同組換え部位が、親プラスミドの対応する相同組換え部位と組換わり、それにより、親細胞ゲノムDNAに挿入された親プラスミドの内部の場所においてランディングパッドプラスミドを組み込む、組み込むこと、ならびに、(c)部位特異的リコンビナーゼ組換えを使用して、ランディングパッド細胞のゲノム内にGOIプラスミドを組み込むことであって、発現プラスミドが、例えば、(i)GOIをコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列と、(ii)(1)のポリヌクレオチドにフランキングする2つのSSRSとを含み、ランディングパッドプラスミドの部位特異的組換え部位が、GOIプラスミドの対応する部位特異的組換え部位と組換わり、それにより、ランディングパッド細胞のランディングパッドプラスミドの内部の場所においてGOIプラスミドを組み込む、組み込むことを含む方法も提供される。
【0230】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞は、記述
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG、
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-[P1]-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-/CG、
CG/-[P1]-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG、または、
CG/-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG
[ここで、CGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、[M]は、少なくとも1つのマーカーを含むポリヌクレオチド配列であり、[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、nは、1~10の間の整数である]に対応するトポロジーを有するプラスミドを含む。いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。
【0231】
本開示における式のいずれにおいても、[P1]、[P2]、および[SSRS]という標識は、コンストラクトのトポロジーを表すための構成要素の起源または種類の記述子にすぎないことに留意されたい。[P1]および[P2]の各構成要素の核酸配列は異なっており、すなわち、第1の[P1]の核酸配列は、第2の[P1]の核酸配列とは異なるが、それらは、共通の起源、すなわち、親プラスミドを共有する。同様に、第1の[P2]の核酸配列は、第2の[P2]の核酸配列とは異なるが、それらは、共通の起源、すなわち、ランディングパッドプラスミドを共有する。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞におけるCG配列は、親細胞株におけるCG配列とは異なっており、すなわち、プラスミドは、親細胞株における元のホットスポットとは異なるホットスポット内に位置する。
【0232】
[SSRS]構成要素は、例えばCre/Lox部位であり、それらの各々が異なる配列を有し得る。しかし、いくつかの態様では、本開示の随所で提示される[SSRS]対を含む式のいずれにおいても、示されている[SSRS]の一方は省略可能である。組み込みがセリン-インテグラーゼなどを使用して遂行される際には、単一の[SSRS]が必要とされる。よって、そうした特定の態様では、単一のatt部位、例えばattP部位が、[SSRS]対の代わりに存在してもよい。
【0233】
いくつかの態様において、発現細胞に組み込まれるプラスミドのトポロジーは、記述
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG、
CG/-[P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1]-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG、
CG/-[P1]-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1]-/CG、または、
CG/-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG
[ここで、CGは、挿入されたプラスミドにフランキングする親細胞ゲノム配列であり、[P1]は、親プラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、[P2]は、ランディングパッドプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、[P3]は、目的遺伝子(GOI)を含むプラスミドに由来するポリヌクレオチド配列であり、[SSRS]は、部位特異的組換え部位(SSRS)であり、nは、1~10の間の整数である]に対応する。いくつかの態様において、nは1である。いくつかの態様において、nは2である。いくつかの態様において、nは3である。いくつかの態様において、nは4である。いくつかの態様において、nは5である。いくつかの態様において、nは6である。いくつかの態様において、nは7である。いくつかの態様において、nは8である。いくつかの態様において、nは9である。いくつかの態様において、nは10である。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞におけるCG配列は、親細胞株におけるCG配列とは異なっており、すなわち、プラスミドは、親細胞株における元のホットスポットとは異なるホットスポット内に位置する。
【0234】
いくつかの態様において、相同組換えは、以下に詳細に記述する、CRISPR/Casシステム、TALENシステム、またはZFNシステムによって媒介される。いくつかの態様において、相同組換えシステム、例えば、CRISPR/Casシステムは、シングルガイドRNA(sgRNA)をさらに含む。使用される相同組換えに応じて、以下に詳細に開示するような追加の構成要素が必要とされ得る。
【0235】
いくつかの態様において、部位特異的リコンビナーゼ組換え部位(SSRS)は、Tyr-リコンビナーゼ部位、Tyr-インテグラーゼ部位、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位、セリン-インテグラーゼ部位、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ部位は、Cre、Dre、Flp、KD、B3、またはB3 Tyr-リコンビナーゼ部位を含む。いくつかの態様において、Tyr-インテグラーゼ部位は、λ(ラムダ)、HK022、またはHP1 Tyr-インテグラーゼ部位を含む。いくつかの態様において、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位は、γδ(ガンマデルタ)、ParA、Tn3、またはGinセリン-リゾルバーゼ/インテグラーゼ部位を含む。いくつかの態様において、セリン-インテグラーゼ部位は、PhiC31、Bxb1、またはR4セリン-インテグラーゼ部位を含む。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ部位は、Cre Tyr-リコンビナーゼ部位を含む。いくつかの態様において、SSRSは、LoxP部位である。いくつかの態様において、LoxP部位は、配列番号1に定める核酸配列(野生型LoxP)を含む。いくつかの態様において、LoxP部位は、突然変異型LoxP部位を含む。いくつかの態様において、突然変異型LoxP部位は、配列番号2に定める核酸配列(突然変異型LoxP)を含む。いくつかの態様において、突然変異型LoxP部位は、例えば、配列番号3(Lox 511)、配列番号4(Lox 5171)、配列番号5(Lox 2272)、配列番号6(Lox M2)、配列番号7(Lox M3)、配列番号8(Lox M7)、配列番号9(Lox M11)、配列番号10(Lox 71)、および配列番号11(Lox 66)からなる群から選択される核酸を含む。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ部位は、Flp Tyr-リコンビナーゼ部位を含む。いくつかの態様において、SSRSは、短いフリッパーゼ認識標的(FRT)部位である。いくつかの態様において、セリン-インテグラーゼ部位は、att部位、例えば、attPまたはattB部位を含む。
【0236】
いくつかの態様において、本明細書において開示されるプラスミドにおける一対のSSRSの各SSRSは、異なるクラスに属し得る。例えば、第1のSSRSは、例えばTyr-リコンビナーゼ部位であってもよく、第2のSSRSは、例えばSer-インテグラーゼ部位であってもよい。いくつかの態様において、SSRS対は、野生型LoxP、突然変異型LoxP部位、Lox 511部位、Lox 5171部位、Lox 2272部位、Lox M2部位、Lox M3部位、Lox M7部位、Lox M11部位、Lox 71部位、Lox 66部位、またはそれらのいずれかの組合せから選択される2つの部位を含む。いくつかの態様において、SSRS対は、Lox P部位およびLox 511部位を含む。いくつかの態様において、SSRS対は、Lox P部位およびFrt部位を含む。いくつかの態様において、SSRS対は、2つのaat部位、例えば、2つのattP部位を含む。いくつかの態様において、SSRS対は、2つのaat部位、例えば、2つのattR部位を含む。いくつかの態様において、SSRS対は、Lox 2272部位およびLox M3部位を含む。いくつかの態様において、SSRS対は、Lox m3部位およびLox m7部位を含む。
【0237】
いくつかの態様において、本明細書において開示されるプラスミドは、少なくとも1つの単一選択マーカーを含む。いくつかの態様において、本明細書において開示されるプラスミドは、単一選択マーカーを含む。いくつかの態様において、本明細書において開示されるプラスミドは、2つ以上の単一選択マーカー、例えば、2つの選択マーカーを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーは、グルタミンシンテターゼ(GS)である。いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーは、グルタミンシンテターゼ(GS)マーカーおよびジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)マーカーを含む。安定にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を生成するのに好適な選択マーカーはいくつかある。作用様式が異なるため、各選択マーカーには、高い生産性を得るための異なる宿主細胞における特有の最適な選択ストリンジェンシーがある。その全体が参照により本明細書に組み入れられるYeo et al. (2017) Biotechnol J 12(12)を参照されたい。
【0238】
いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーは、薬物耐性遺伝子、例えば、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、抗生物質耐性遺伝子は、アクチノマイシンD耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、G418耐性遺伝子、ハイドロマイシン耐性遺伝子、マイトマイシンC耐性遺伝子、ミコフェノール酸耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様において、抗生物質耐性遺伝子は、ピューロマイシン耐性遺伝子である。いくつかの態様において、ピューロマイシン耐性遺伝子は、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼである。
【0239】
いくつかの態様において、少なくとも1つの検出可能マーカーは、蛍光タンパク質などのタンパク質を含む。いくつかの態様において、蛍光タンパク質は、mCherryである。いくつかの態様において、蛍光タンパク質は、GFP、ZsGreen1、AcGFP1、EGFP、GFPuv、AcGFP、EBFP、EYFP、ECFP、tdTomato、mCherry、DsRed、AmCyan、ZsGreen、ZsYellow、DsRed2、DsRed-Express、HcRed、AsRed、mOrange、mOrange2、mPlum、mStrawberry、mBanana、YFP、mRaspberry、HcRed1、E2-Crimson、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
【0240】
いくつかの態様において、親細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293細胞、およびNS0細胞、またはそれらの派生物もしくは均等物からなる群から選択される。いくつかの態様において、CHO細胞は、CHO DG44細胞またはCHO K1細胞である。
【0241】
いくつかの態様において、GOIは、少なくとも1つのポリペプチド、例えば、抗体または融合タンパク質をコードする。いくつかの態様において、抗体は、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメインを含有するタンパク質3(TIM3)、tauのN末端フラグメント(eTau)などのTauタンパク質、またはPD-L1のPD-1などの免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体は、ニボルマブである。いくつかの態様において、GOIは、抗体の重鎖(HC)である。いくつかの態様において、GOIは、抗体の軽鎖(LC)である。いくつかの態様において、GOIは、抗体の(例えば、バイシストロン性コンストラクトにおける)HCおよびLCを含む。いくつかの態様において、GOIは、二重特異性抗体またはその一部、例えば、二重特異性抗体のHCもしくはLCまたはそれらのいずれかの組合せである。いくつかの態様において、発現プラスミドは、1コピー、2コピー、または3コピー以上のGOIを含む。
【0242】
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、本明細書において開示されるGOIまたはマーカーの発現を決定することを含む。いくつかの態様において、GOIまたはマーカーの発現は、定量的におよび/または定性的に決定される。いくつかの態様において、GOIまたはマーカーの発現は、例えば、細胞選別、FACS、細胞表面染色、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、カラムクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、マイクロフルイディクス、UV吸光度、免疫組織化学、細胞サイズ、分泌タンパク質レベル、転写物レベル、またはそれらのいずれかの組合せによって決定される。
【0243】
いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミド(第2 GOIプラスミド)または発現プラスミド(P4)は、1のコピー数で細胞のゲノムに組み込まれる。いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミド(第2 GOIプラスミド)または発現プラスミド(P4)は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のコピー数で細胞のゲノムに組み込まれる。
【0244】
いくつかの態様において、本明細書において開示されるプラスミドの5’相同組換え部位は、配列番号18のポリヌクレオチド配列またはその部分配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号19のポリヌクレオチド配列またはその部分配列を含む。
【0245】
いくつかの態様において、本明細書において開示されるプラスミドの5’相同組換え部位は、配列番号114のポリヌクレオチド配列またはその部分配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号115のポリヌクレオチド配列またはその部分配列を含む。
【0246】
いくつかの態様において、本開示の単離細胞または単離細胞集団は、細胞のゲノムの特定座位の中に組み込まれた目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含み、当該座位は、配列番号20および配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列を含む。いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、少なくとも1つの目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列をCHO細胞などの細胞または別の好適な細胞株に導入することと、CHO細胞などの細胞のゲノムの特定座位に外因性核酸が組み込まれたCHO細胞などの細胞を得ることとを含み、当該座位は、配列番号20および配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列を含む。いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、(a)目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含むポリヌクレオチド配列を含む細胞を用意することを含み、当該ポリヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結された目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を含み、座位は、配列番号20および配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列を含む。いくつかの態様において、配列番号20から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列を含む。いくつかの態様において、配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列を含む。いくつかの態様において、配列番号20から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列からなる。いくつかの態様において、配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列からなる。いくつかの態様において、配列番号20から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列に対して上流の(配列番号20の5’末端の方の)部分配列である。いくつかの態様において、配列番号20から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号21に定める配列に対して下流の(配列番号20の3’末端の方の)部分配列である。いくつかの態様において、配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列に対して上流の(配列番号116の5’末端の方の)部分配列である。いくつかの態様において、配列番号116から選択されるヌクレオチド部分配列は、配列番号117に定める配列に対して下流の(配列番号116の3’末端の方の)部分配列である。
【0247】
本開示は、単一のランディングパッドプラスミドを含有するランディングパッド細胞株を提供する。しかし、2つ以上のランディングパッドプラスミドを含むランディングパッド細胞株は、二重特異性モノクローナル抗体(mAb)などのマルチサブユニット生物製剤の発現をさらに洗練する機会を提供する。したがって、本明細書において開示される細胞スクリーニング方法は、同じ座位に2つのランディングパッドプラスミドを含むランディングパッド細胞株、すなわち、デュオランディングパッド細胞を同定するために使用され得る。これにより、両方のランディングパッドプラスミドが同じゲノム座位に存在するので、それら両方からの等しい発現が確実になる。
【0248】
本開示のデュオランディングパッドは、ヘッド・トゥ・ヘッド、テール・トゥ・テール、テール・トゥ・ヘッド、およびヘッド・トゥ・テールという4つの異なる向きで組み込むことができる。ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成は、互いと機能的に区別できないため、Cre/LoxまたはFlp/Frtなどの単一部位指向性リコンビナーゼが使用される際は、これらが概して使用される。Cre/Loxの存在下でランディングパッドのうちの1つの欠失をもたらし得るテール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの構成とは異なり、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成は、単純に反転を起こし、同じ始めの構成をもたらす。
【0249】
4つのデュオランディングパッド構成(ヘッド・トゥ・ヘッド、テール・トゥ・テール、テール・トゥ・ヘッド、およびヘッド・トゥ・テール)の各々を用いて第2 GOIプラスミドが使用される際には、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成は各々、プラスミドジャンクションにフランキングする2つの組換え部位の間の配列が反転し得る2つの細胞株を生成し得るが、さもなければ2つの細胞株は同じである。ヘッド・トゥ・テールまたはテール・トゥ・ヘッドの構成が第2 GOIプラスミドと共に使用される際には、2つの第2 GOIプラスミドを含む細胞株が生産される。しかし、十分な量のCre活性が存在する場合には、第2 GOIプラスミドのうちの1つを除去して、単一の第2 GOIプラスミドを含む第2 GOIプラスミド細胞株をもたらすことができる。
【0250】
ランディングパッドが、Lox 511などのLox部位の代わりにFlpのためのFrt認識部位を使用し、Cre/LoxおよびFlpの両方が使用される場合、同じ結果が得られ、テール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの向きでは欠失が起こり、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの向きでは反転が起こる。しかし、テール・トゥ・テールおよびヘッド・トゥ・ヘッドの構成では、インテグラーゼと共にattP/attBを使用してデュオランディングパッド内に第2 GOIプラスミドを組換えても反転は生じないが、テール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの構成では、ランディングパッドのうちの1つの欠失が依然として起こり得る。ランディングパッドの各々が単一のattP部位を有するならば、4つのデュオランディングパッド構成のいずれにおいても、単一のattB部位を含む第2 GOIプラスミドの単一の組み込みが起こり、欠失が起こらない結果となる。
【0251】
本明細書において使用される場合、「シングルランディングパッド(single landing pad)」という用語は、単一のランディングパッドプラスミドまたは第2 GOIプラスミドを含むランディングパッドを指す。本明細書において使用される場合、「デュオランディングパッド」という用語は、2つのランディングパッドプラスミドまたは第2 GOIプラスミドを含むランディングパッドを指す。
【0252】
デュオランディングパッドの使用は、異なるGOIを含む生物製剤、例えば、重鎖および軽鎖を含む抗体を生産するための代替的方法を提示する。一態様において、本開示は、第2 GOIプラスミドが、抗体の重鎖および軽鎖などをコードする複数の発現カセットを含む、方法および組成物を提供する。別の態様において、各発現カセットは、異なる第2 GOIプラスミド中にあってもよく、両方の第2 GOIプラスミドは、デュオランディングパッド内に位置することになる。
【0253】
デュオランディングパッド細胞株の使用には、シングルランディングパッド(すなわち、単一の第2 GOIプラスミドを含むランディングパッド)を含むランディングパッド細胞株に優る利点がある。シングルランディングパッド細胞株の場合、この細胞株は単一の第2 GOIしか受け入れないため、多成分生物製剤を作製するために必要なすべての発現カセットが、単一の第2 GOIプラスミド中に配置されなければならない。これはデュオランディングパッド細胞株には当てはまらない。デュオランディングパッド細胞株は、上昇した発現多様性レベルにおいて設計する機会をもたらし、優れた特性を持つ発現細胞株を作出する機会を提供する。多様性は、第2 GOIプラスミドの異なる構成を使用して、複数のやり方で生成され得る。1つの例では、第2 GOIプラスミドが、ユニークな構成において、複合生物製剤を作製するのに必要なすべての発現カセットを含有する。第2の例では、第2 GOIプラスミドが、発現細胞株を作製するために同じ細胞内に存在する必要のある発現カセットのサブセットを含有してもよい。第3の例は、複合生物製剤を作製するために必要とされるユニークな構成における発現カセットのすべてを有する1つまたは複数の第2 GOIプラスミドを、ユニークな構成におけるすべての発現カセットのサブセットを含有する第2 GOIプラスミドのセットと併せた、前出の2例の組合せである。
【0254】
ここで開示された、デュオランディングパッドを生成するための方法と同じものが、より高次の組合せのランディングパッドプラスミドを含む細胞株を生成するために使用され得ると理解される。例えば、本明細書において開示される、2つのランディングパッドプラスミドをホットスポットに含むランディングパッド細胞株を同定するための方法は、3つ、4つ、またはそれよりも多くのランディングパッドプラスミドを有するランディングパッド細胞株を選択するために使用され得る。3つ以上のランディングパッドプラスミドを含有するホットスポットを有するランディングパッド細胞株および発現細胞は、例えば、3つ以上の異なるサブユニットを含む生物製剤を生産するために使用され得る。
【0255】
いくつかの態様において、デュオランディングパッド構成は、同じリコンビナーゼまたはInt認識配列を有する両方のランディングパッドプラスミドを含み得るが、各ランディングパッドプラスミドにユニークな組換え「アドレス」を持たせること、すなわち、各ランディングパッドプラスミドがアドレス指定可能になることが可能である。CreおよびFlpなどのリコンビナーゼの場合、4つのユニークな認識配列が使用され得る。したがって、各ランディングパッドプラスミドは、認識部位のユニークな対を有することになる。いくつかの態様において、4つの不適合性Lox部位が使用され得る。Langer, S.J., Ghafoori, A.P., Byrd, M. and Leinwand, L. (2002) A genetic screen identifies novel non-compatible loxP sites. Nucleic Acids Res., 30, 3067-3077、Missirlis, P.I., Smailus, D.E. and Holt, R.A. (2006) A high-throughput screen identifying sequence and promiscuity characteristics of the loxP spacer region in Cre-mediated recombination. BMC Genomics, 7, 73.、およびSiegel, R.W., Jain, R. and Bradbury, A. (2001) Using an in vivo phagemid system to identify non-compatible loxP sequences. FEBS Lett., 505, 467-473を参照されたい。
【0256】
追加の方策の例としては、2つのLox部位を2つの不適合性Frt部位に置き換えること、およびCreをFrtと共に使用すること[Lauth, M., Spreafico, F., Dethleffsen, K. and Meyer, M. (2002) Stable and efficient cassette exchange under non-selectable conditions by combined use of two site-specific recombinases. Nucleic Acids Res., 30, e115を参照されたい]、インテグラーゼを2つから4つの不適合性aat部位と共に使用すること[Jusiak, B., Jagtap, K., Gaidukov, L., Duportet, X., Bandara, K., Chu, J., Zhang, L., Weiss, R. and Lu, T.K. (2019) Comparison of Integrases Identifies Bxb1-GA Mutant as the Most Efficient Site-Specific Integrase System in Mammalian Cells. ACS Synth Biol, 8, 16-24を参照されたい]、2つ以上のインテグラーゼ、例えばBxB1およびphiC3のものを使用すること[Smith, M.C., Brown, W.R., McEwan, A.R. and Rowley, P.A. (2010) Site-specific recombination by phiC31 integrase and other large serine recombinases. Biochem. Soc. Trans., 38, 388-394を参照されたい]、ならびにそれらの組合せが挙げられる。各ランディングパッドにおける単一のatt部位の使用は、各ランディングパッドへの第2 GOIプラスミドの挿入のために十分である。この場合、線状プラスミドは染色体を実質的に制限することになるので、第2 GOIプラスミドは環状である必要がある。また、各々がユニークなアドレスを含むように、ランディングパッドが複数のatt部位を含み得ることも明らかである。
【0257】
ユニークなアドレスを持つランディングパッドを用いるデュオランディングパッド構成は、それらがアドレス指定可能でない場合と比較して、発現細胞株のさらに定義された多様性、および、シングルランディングパッドを含むランディングパッド細胞株に対してより高い多様性を生成するために使用することもできる。
【0258】
アドレス指定可能ランディングパッドの追加の用途は、各々が特有の独立した機能を持つ2つの独立した生物製剤を発現させる選択肢である。生物製剤のうちの1つが、発現細胞株による第2の生物製剤の発現を助ける可能性もあれば、または、第1の生物製剤が、第2の生物製剤の特定の翻訳後修飾を引き起こす可能性もあれば、もしくは発現細胞株の何らかの他の構成要素を修飾する可能性もある。
【0259】
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法、細胞、細胞株、またはキットは、タンデム状態の少なくとも2つのランディングパッドプラスミドまたは少なくとも2つの発現プラスミドを含む。言い換えると、いくつかの態様において、式
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG、
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-[P1])-/CG、
CG/-([P1]-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[M]-[P2])n-/CG、
CG/-([P2]-[M]-[SSRS]-[P2])n-/CG、
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG、
CG/-([P1]-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-[P1])-/CG、
CG/-([P1]-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-[P1])-/CG、
CG/-([P2]-[SSRS]-[P3]-[P2])n-/CG、もしくは
CG/-([P2]-[P3]-[SSRS]-[P2])n-/CG、
または本明細書において開示されるnの値を含む任意の他の式におけるnの値は、2以上であり得る。いくつかの特定の態様において、nは2である。よって、いくつかの態様において、タンデムに配置された少なくとも2つのランディングパッドプラスミドまたは少なくとも2つの発現プラスミドが、本明細書において開示されるコンストラクトに存在する。いくつかの態様において、nは、2、3、4、5、6、7、8、9または10のような整数である。いくつかの態様において、nは10より高く、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30である。
【0260】
いくつかの態様において、2つのランディングパッドプラスミドまたは2つの発現プラスミドは、ヘッド・トゥ・ヘッド、テール・トゥ・テール、テール・トゥ・ヘッド、およびヘッド・トゥ・テールからなる群から選択される構成にある。いくつかの態様において、各発現プラスミドは、目的遺伝子(GOI)をコードする核酸を少なくとも含む。いくつかの態様において、すべてのGOIが同じである。いくつかの態様において、すべてのGOIが異なっている。いくつかの態様において、少なくとも1つのGOIは残りと異なっている。いくつかの態様において、第1 GOIは抗体のHCであり、第2 GOIは抗体のLCである。いくつかの態様において、少なくとも1つの発現プラスミドは、バイシストロン性またはポリシストロン性である。いくつかの態様において、バイシストロン性発現プラスミドは、抗体のHCを含む第1 GOIと、抗体のLCを含む第2 GOIとをコードする。
【0261】
いくつかの態様において、デュオランディングパッド内の各ランディングパッドプラスミドが、アドレス指定可能である。いくつかの態様において、各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドが一対のSSRSを含み、これらはユニークまたは不適合性であり得る。いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドは、2つのLox部位を含む。いくつかの態様において、Lox部位は、Lox PおよびLox 511である。いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、Lox部位およびFrt部位を含む。いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、1つまたは2つのaat部位、例えば、2つのaatP部位を含む。
【0262】
いくつかの態様において、各ランディングパッドプラスミドが、アドレス指定可能である。いくつかの態様において、各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドが、ランディングパッドに対してユニークである一対のアドレス指定可能SSRSを含む。いくつかの態様において、少なくとも一対のアドレス指定可能SSRSは、一対のLox部位である。いくつかの態様において、少なくとも一対のLox部位は、Lox 511およびLox Pである。いくつかの態様において、少なくとも一対のLox部位は、Lox m3およびLox m7である。
【0263】
いくつかの態様において、本開示の方法、細胞株、細胞またはキットは、Lox 511およびLox Pの対のLox部位を含む第1のアドレス指定可能ランディングパッドプラスミドと、Lox m3およびLox m7の対のLox部位を含む第2のアドレス指定可能ランディングパッドプラスミドとを含む。いくつかの態様において、各アドレス指定可能ランディングパッドプラスミドが、非相互適合性attP部位を含む。
【0264】
いくつかの態様において、LoxP部位は、配列番号1~11および28~82ならびにそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様において、Frt部位は、配列番号12および83~91ならびにそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様において、本明細書において開示されるアドレス指定可能パッドは、配列番号1~13および28~109、ならびにそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、SSRSまたはそれらの組合せを含み得る。
【0265】
いくつかの態様において、att部位は、配列番号92~109およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号92のattB部位および配列番号93のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号94のattB部位および配列番号95のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号96のattB部位および配列番号97のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号98のattB部位および配列番号99のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号100のattB部位および配列番号101のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号102のattB部位および配列番号103のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号104のattB部位および配列番号105のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号106のattB部位および配列番号107のattP部位を含む。いくつかの態様において、一対のatt部位は、配列番号108のattB部位および配列番号109のattP部位を含む。
【0266】
ヌクレアーゼ
本明細書において使用される場合、「ヌクレアーゼ」という用語は、DNA切断の触媒活性を有する酵素を指す。
【0267】
いくつかの態様において、ヌクレアーゼ剤は、本明細書において開示される線状プラスミドなどの2つのプラスミド、例えば、親プラスミドとランディングパッドプラスミドとの間の相同組換えを促進し得る。いくつかの態様において、親細胞株のゲノムに組み込まれたプラスミド(親プラスミド、P1)およびランディングパッドプラスミド(P2)は、相同性の領域を含有し、親細胞株に組み込まれた親プラスミドにおいては、各相同性領域の隣りに、CRISPR/Casヌクレアーゼなどのヌクレアーゼによって標的化される配列が存在するが、親細胞株中に組換えられるランディングパッドプラスミドにおいては存在しない。
【0268】
ヌクレアーゼ媒介相同組換えのための認識部位のサイズは様々であり得、例えば、少なくとも約4、少なくとも約6、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約12、少なくとも約14、少なくとも約16、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約28、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも約31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約40、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約45、少なくとも約46、少なくとも約47、少なくとも約48、少なくとも約49、少なくとも約50、少なくとも約51、少なくとも約52、少なくとも約53、少なくとも約54、少なくとも約55、少なくとも約56、少なくとも約57、少なくとも約58、少なくとも約59、少なくとも約60、少なくとも約61、少なくとも約62、少なくとも約63、少なくとも約64、少なくとも約65、少なくとも約66、少なくとも約67、少なくとも約68、少なくとも約69、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、少なくとも約600、少なくとも約610、少なくとも約620、少なくとも約630、少なくとも約640、少なくとも約650、少なくとも約660、少なくとも約670、少なくとも約680、少なくとも約690、少なくとも約700、少なくとも約710、少なくとも約720、少なくとも約730、少なくとも約740、少なくとも約750、少なくとも約760、少なくとも約770、少なくとも約780、少なくとも約790、少なくとも約800、少なくとも約810、少なくとも約820、少なくとも約830、少なくとも約840、少なくとも約850、少なくとも約860、少なくとも約870、少なくとも約880、少なくとも約890、少なくとも約900、少なくとも約910、少なくとも約920、少なくとも約930、少なくとも約940、少なくとも約950、少なくとも約960、少なくとも約970、少なくとも約980、少なくとも約990、少なくとも約1000、少なくとも約1010、少なくとも約1020、少なくとも約1030、少なくとも約1040、少なくとも約1050、少なくとも約1060、少なくとも約1070、少なくとも約1080、少なくとも約1090、少なくとも約1100、少なくとも約1110、少なくとも約1120、少なくとも約1130、少なくとも約1140、少なくとも約1150、少なくとも約1160、少なくとも約1170、少なくとも約1180、少なくとも約1190、少なくとも約1200、少なくとも約2010、少なくとも約2020、またはそれよりも多くのヌクレオチドの長さである認識部位を含む。
【0269】
ヌクレアーゼ媒介相同組換えのための認識部位のサイズは様々であり得、例えば、約4、約6、約8、約10、約12、約14、約16、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約310、約320、約330、約340、約350、約360、約370、約380、約390、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、約500、約510、約520、約530、約540、約550、約560、約570、約580、約590、約600、約610、約620、約630、約640、約650、約660、約670、約680、約690、約700、約710、約720、約730、約740、約750、約760、約770、約780、約790、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890、約900、約910、約920、約930、約940、約950、約960、約970、約980、約990、約1000、約1010、約1020、約1030、約1040、約1050、約1060、約1070、約1080、約1090、約1100、約1110、約1120、約1130、約1140、約1150、約1160、約1170、約1180、約1190、約1200、約2010、約2020、またはそれよりも多くのヌクレオチドの長さである認識部位を含む。
【0270】
ヌクレアーゼ媒介相同組換えのための認識部位のサイズは様々であり得、例えば、約4から約10、約10から約20、約20から約30、約30から約40、約40から約50、約50から約60、約60から約70、約70から約80、約80から約90、約90から約100、約100から約125、約125から約150、約150から約175、約175から約200、約200から約225、約225から約250、約250から約275、約275から約300、約300から約325、約325から約350、約350から約375、約375から約400、約400から約425、約425から約450、約450から約475、約475から約500、約500から約525、約525から約550、約550から約575、約575から約600、約600から約625、約625から約650、約650から約675、約675から約700、約700から約725、約725から約750、約750から約775、約775から約800、約800から約825、約825から約850、約850から約875、約875から約900、約900から約925、約925から約950、約950から約975、約975から約1000、約1000から約1100、約1100から約1200、約1200から約1300、約1300から約1400、約1400から約1500、約1500から約1600、約1600から約1700、約1700から約1800、約1800から約1900、約1900から約2000、もしくは約2000から約2100、またはそれよりも多くのヌクレオチドの長さである認識部位を含む。
【0271】
一態様において、ヌクレアーゼ剤の各モノマーは、少なくとも9ヌクレオチドの認識部位を認識する。他の態様において、認識部位は、約9~約12ヌクレオチドの長さ、約12~約15ヌクレオチドの長さ、約15~約18ヌクレオチドの長さ、または約18~約21ヌクレオチドの長さ、およびそのような部分範囲のいずれかの組合せ(例えば、9~18ヌクレオチド)である。認識部位は回分構造であり得、すなわち、一方の鎖における配列の読み取りが、相補鎖における反対方向での読み取りと同じであり得る。所定のヌクレアーゼ剤は、認識部位に結合してその結合部位を切断することができるか、または代替的に、ヌクレアーゼ剤は、認識部位とは異なる配列に結合することができると認識されている。さらに、認識部位という用語には、ヌクレアーゼ剤結合部位とニック/切断部位との両方が含まれ、ニック/切断部位がヌクレアーゼ剤結合部位の中にあるか外にあるかにかかわらない。別のバリエーションでは、ヌクレアーゼ剤による切断が、互いのすぐ反対のヌクレオチド位置で起こって平滑末端の切り口をもたらし得るか、または他の場合には、切れ目がずれて一重鎖オーバーハングをもたらし得、オーバーハングは「粘着末端」とも呼ばれ、5’オーバーハングまたは3’オーバーハングのいずれかであり得る。
【0272】
いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドにおいて欠如している親プラスミドにおける配列の一方は配列番号14であり、他方は配列番号15である。
【0273】
いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドにおいて欠如している親プラスミドにおける配列の一方は配列番号14である。
【0274】
いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドにおいて欠如している親プラスミドにおける配列の一方は配列番号15である。
【0275】
本明細書において開示される方法および組成物では、所望の認識部位へとニックまたは二重鎖切断を誘導するいずれのヌクレアーゼ剤を使用してもよい。ヌクレアーゼ剤が所望の認識部位においてニックまたは二重鎖切断を誘導する限り、自然において存在する、または天然のヌクレアーゼ剤を用いることができる。代替的には、修飾またはエンジニアリングされたヌクレアーゼ剤を用いることができる。「エンジニアリングされたヌクレアーゼ剤」には、所望の認識部位を特異的に認識して、そこにニックまたは二重鎖切断を誘導するように、天然型からエンジニアリングされた(修飾または導出された)ヌクレアーゼが含まれる。よって、エンジニアリングされたヌクレアーゼ剤は、天然の自然において存在するヌクレアーゼ剤から導出されてもよく、または人工的に作出もしくは合成されてもよい。ヌクレアーゼ剤の修飾は、タンパク質切断剤における1つのアミノ酸または核酸切断剤における1つのヌクレオチドだけであり得る。いくつかの態様において、エンジニアリングされたヌクレアーゼは、認識部位においてニックまたは二重鎖切断を誘導し、この認識部位は、天然の(エンジニアリングされていないまたは修飾されていない)ヌクレアーゼ剤によって認識されたであろう配列ではない。認識部位または他のDNAにおいてニックまたは二重鎖切断を生じさせることは、本明細書では、認識部位または他のDNAを「カットすること」または「切断すること」と称され得る。
【0276】
相同組換えシステム
本開示のいくつかの態様において、相同組換えは、CRISPR/Casシステム、TALENシステム、ZFNシステム、メガヌクレアーゼ、または制限エンドヌクレアーゼによって媒介される。
【0277】
CRISPR/Cas
いくつかの態様において、本明細書において開示される様々な方法および組成物における相同組換えのために用いられるヌクレアーゼ剤は、CRISPR/Casシステムを含み得る。「デフォルト」の相同組換えシステムとしての図面におけるCRISPR/Casの描写は例示にすぎず、図面において図式化されたプロセスは、TALENシステム、ZFNシステム、メガヌクレアーゼ、または制限エンドヌクレアーゼなどの代替的な相同組換えシステムを使用して行われ得ることに留意されたい。そのようなCRISPR/Casシステムは、例えば、Cas9ヌクレアーゼを用いることができ、これは、場合によっては、それを発現させる所望の細胞型に合わせてコドン最適化されている。そのようなシステムは、2つの別個の分子を含むガイドRNA(gRNA)を用いることもできる。例示的な2分子gRNAは、crRNA様(「CRISPR RNA」または「ターゲターRNA」または「crRNA」または「crRNAリピート」)分子と、対応するtracrRNA様(「トランス作用性CRISPR RNA」または「アクチベーターRNA」または「tracrRNA」または「足場」)分子とを含む。
【0278】
crRNAは、gRNAのDNA標的化セグメント(一重鎖)と、gRNAのタンパク質結合セグメントの二重鎖RNA(dsRNA)デュプレックスの半分を形成するヌクレオチドのストレッチとの両方を含む。対応するtracrRNA(アクチベーターRNA)は、gRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNAデュプレックスの残り半分を形成するヌクレオチドのストレッチを含む。よって、crRNAのヌクレオチドのストレッチは、tracrRNAのヌクレオチドのストレッチと相補的であり、それとハイブリダイズして、gRNAのタンパク質結合ドメインのdsRNAデュプレックスを形成する。したがって、各crRNAが対応するtracrRNAを有すると言うことができる。crRNAはさらに、一重鎖DNA標的化セグメントを提供する。したがって、gRNAは、標的配列とハイブリダイズする配列、およびtracrRNAを含む。よって、crRNAおよびtracrRNA(対応する対として)がハイブリダイズしてgRNAを形成する。細胞内での修飾のために使用される場合、所定のcrRNAまたはtracrRNA分子の厳密な配列および/または長さは、RNA分子を使用する種に特異的になるように設計され得る。
【0279】
3つの要素(Cas9、tracrRNAおよびcrRNA)をコードする自然において存在する遺伝子は、典型的には、オペロンとして編成される。自然において存在するCRISPR RNAは、Cas9システムおよび生物によって異なるが、21~46個のヌクレオチドの長さの2つのダイレクトリピート(DR)によってフランキングされた、21~72ヌクレオチド長の標的化セグメントを含有することが多い(例えば、WO2014/131833を参照されたい)。化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)の場合、DRは36ヌクレオチド長であり、標的化セグメントは30ヌクレオチド長である。3’に位置するDRは、対応するtracrRNAと相補的であり、それとハイブリダイズし、tracrRNAは、Cas9タンパク質に結合する。
【0280】
代替的には、このシステムはさらに、コドン最適化されたCas9と共に機能する融合したcrRNA-tracrRNAコンストラクト(すなわち、単一の転写物)を用いる。この単一のRNAは、しばしば、ガイドRNAまたはgRNAと称される。gRNAの中で、crRNA部分は、所定の認識部位のための「標的配列」として同定され、tracrRNAは、しばしば、「足場」と称される。簡潔に述べると、標的配列を含有する短いDNAフラグメントが、ガイドRNA発現プラスミドに挿入される。gRNA発現プラスミドは、標的配列(いくつかの態様では約20ヌクレオチド)、一形態のtracrRNA配列(足場)、ならびに細胞内で活性のある好適なプロモーターおよび真核細胞における適切なプロセシングのための必要な要素を含む。こうしたシステムの多くは、アニーリングされて二重鎖DNAを形成した後にgRNA発現プラスミドにクローニングされる特別仕様の相補的オリゴヌクレオチドに依存する。
【0281】
gRNA発現カセットおよびCas9発現カセットは、次に細胞に導入される。例えば、Mali P et al. (2013) Science 2013 Feb. 15; 339(6121):823-6、Jinek M et al. Science 2012 Aug. 17; 337(6096):816-21、Hwang W Y et al. Nat Biotechnol 2013 March; 31(3):227-9、Jiang W et al. Nat Biotechnol 2013 March; 31(3):233-9、およびCong L et al. Science 2013 Feb. 15; 339(6121):819-23を参照されたい。これらは各々、参照により本明細書に組み入れられる。また、例えば、WO/2013/176772A1、WO/2014/065596A1、WO/2014/089290A1、WO/2014/093622A2、WO/2014/099750A2、およびWO/2013142578A1を参照されたい。これらは各々、参照により本明細書に組み入れられる。
【0282】
いくつかの態様において、Cas9ヌクレアーゼは、タンパク質の形態で提供され得る。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、gRNAとの複合体の形態で提供され得る。他の態様において、Cas9ヌクレアーゼは、タンパク質をコードする核酸の形態で提供され得る。Cas9ヌクレアーゼをコードする核酸は、RNA[例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)]でもDNAであってもよい。いくつかの態様において、gRNAは、RNAの形態で提供され得る。他の態様において、gRNAは、RNAをコードするDNAの形態で提供され得る。いくつかの態様において、gRNAは、別個のcrRNAおよびtracrRNA分子、またはcrRNAおよびtracrRNAをそれぞれコードする別個のDNA分子の形態で提供され得る。
【0283】
一態様において、本明細書において開示されるランディングパッド細胞を生成するための方法は、細胞に、(a)CRISPR関連(Cas)タンパク質をコードする第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のプロモーターを含む第1の発現コンストラクト、(b)ガイドRNA(gRNA)に連結されたゲノム標的配列に作動可能に連結された第2のプロモーターを含む第2の発現コンストラクトを導入することをさらに含み、ゲノム標的配列は、プロトスペーサー隣接モチーフによってフランキングされている。ゲノム標的配列は、3’末端において、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列によってフランキングされていてもよい。
【0284】
いくつかの態様において、gRNAは、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)RNA(crRNA)およびトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)をコードする第3の酸配列を含む。一態様において、Casタンパク質は、I型Casタンパク質である。一態様において、Casタンパク質は、II型Casタンパク質である。一態様において、II型Casタンパク質は、Cas9である。一態様において、II型Cas、例えば、Cas9は、ヒトコドン最適化Casである。
【0285】
ある特定の態様において、Casタンパク質は、二重鎖DNA(dsDNA)の両鎖をカットすることなく標的部位において一重鎖切断(すなわち、「ニック」)を作出することができる「ニッカーゼ」である。Cas9は、例えば、対向するDNA鎖の切断に関与するRuvC様ヌクレアーゼドメインおよびHNH様ヌクレアーゼドメインという2つのヌクレアーゼドメインを含む。これらドメインのいずれかにおける突然変異は、ニッカーゼを作出し得る。ニッカーゼを作出する突然変異の例は、例えば、WO/2013/176772A1およびWO/2013/142578A1に見出すことができ、これらは各々、参照により本明細書に組み入れられる。
【0286】
ある特定の態様において、dsDNAの各鎖上の標的部位に特異的な2つの別個のCasタンパク質(例えば、ニッカーゼ)は、別の核酸におけるオーバーハング配列、または同じ核酸上の別個の領域と相補的なオーバーハング配列を作出し得る。dsDNAの両鎖上の標的部位に特異的な2つのニッカーゼと核酸を接触させることによって作出されるオーバーハング末端は、5’または3’のいずれかのオーバーハング末端であり得る。例えば、オーバーハング配列が作出されるように、第1のニッカーゼが、dsDNAの第1の鎖において一重鎖切断を作出してもよく、第2のニッカーゼが、dsDNAの第2の鎖において一重鎖切断を作出してもよい。一重鎖切断を作出する各ニッカーゼの標的部位は、作出されるオーバーハング末端配列が、異なる核酸分子上のオーバーハング末端配列と相補的になるように選択され得る。2つの異なる核酸分子の相補的オーバーハング末端は、本明細書において開示される方法によってアニーリングされ得る。いくつかの態様において、第1の鎖上のニッカーゼの標的部位は、第2の鎖上のニッカーゼの標的部位とは異なっている。
【0287】
いくつかの態様において、第1の核酸は、Casタンパク質中のヌクレアーゼ活性部位の少なくとも1つのアミノ酸残基を破壊する突然変異を含み、この突然変異型Casタンパク質は、標的DNA領域の1つの鎖だけに切断を生成し、この突然変異は、標的DNA領域における非相同組換えを減少させる。一態様において、Casタンパク質をコードする第1の核酸は、核局在化シグナル(NLS)をさらに含む。一態様において、核局在化シグナルは、SV40核局在化シグナルである。
【0288】
TALEN
いくつかの態様において、本明細書において開示される様々な方法および組成物における相同組換えのために用いられるヌクレアーゼ剤は、TALENシステムを含み得る。よって、一態様において、ヌクレアーゼ剤は、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)である。TALエフェクターヌクレアーゼは、原核生物または真核生物のゲノムにおける特定の標的配列において二重鎖切断を作るために使用され得る配列特異的ヌクレアーゼのクラスである。TALエフェクターヌクレアーゼは、天然のまたはエンジニアリングされた転写アクチベーター様(TAL)エフェクターまたはその機能的部分を、例えばFokIなどのエンドヌクレアーゼの触媒ドメインに融合させることによって作出される。
【0289】
ユニークなモジュラーTALエフェクターDNA結合ドメインは、いかなるDNA認識特異性も有し得るタンパク質の設計を可能にする。よって、TALエフェクターヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、特定のDNA標的部位を認識するようにエンジニアリングすることができ、したがって、所望の標的配列において二重鎖切断を作るために使用することができる。WO2010/079430、Morbitzer et al. (2010) PNAS 10.1073/pnas.1013133107、Scholze & Boch (2010) Virulence 1:428-432、Christian et al. Genetics (2010) 186:757-761、Li et al. (2010) Nuc. Acids Res. (2010) doi:10.1093/nar/gkq704、およびMiller et al. (2011) Nature Biotechnology 29:143-148を参照されたい。これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる。
【0290】
好適なTALヌクレアーゼおよび好適なTALヌクレアーゼを調製するための方法の例は、例えば、米国特許出願第2011/0239315A1号、同第2011/0269234A1号、同第2011/0145940A1号、同第2003/0232410A1号、同第2005/0208489A1号、同第2005/0026157A1号、同第2005/0064474A1号、同第2006/0188987A1号、および同第2006/0063231A1号において開示されている(各々、ここに参照することにより組み入れられる)。
【0291】
様々な態様において、例えば目的のゲノム座位内の標的核酸配列の中または付近でカットするTALエフェクターヌクレアーゼがエンジニアリングされ、この標的核酸配列は、標的化ベクターによって修飾されることになる配列またはその付近にある。本明細書において提供される様々な方法および組成物で使用するのに好適なTALヌクレアーゼには、本明細書において記述される標的化ベクターによって修飾されることになる標的核酸配列またはその付近に結合するように特別に設計されたものが含まれる。
【0292】
一態様において、TALENの各モノマーは12~25個のTALリピートを含み、各TALリピートは1bpのサブサイトに結合する。一態様において、ヌクレアーゼ剤は、非依存性ヌクレアーゼに作動可能に連結されたTALリピートベースのDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質である。一態様において、非依存性ヌクレアーゼは、FokIエンドヌクレアーゼである。一態様において、ヌクレアーゼ剤は、第1のTALリピートベースのDNA結合ドメインと、第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインとを含み、第1および第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインの各々は、FokIヌクレアーゼに作動可能に連結されており、第1および第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインは、約6bpから約40bpの切断部位によって分離された標的DNA配列の各鎖における2つの連続する標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼは二量化し、標的配列において二重鎖切断を作る。
【0293】
一態様において、ヌクレアーゼ剤は、第1のTALリピートベースのDNA結合ドメインと、第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインとを含み、第1および第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインの各々は、FokIヌクレアーゼに作動可能に連結されており、第1および第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインは、5bpまたは6bpの切断部位によって分離された標的DNA配列の各鎖における2つの連続する標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼは二量化し、二重鎖切断を作る。
【0294】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)
いくつかの態様において、本明細書において開示される様々な方法および組成物における相同組換えのために用いられるヌクレアーゼ剤は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)システムを含み得る。一態様において、ZFNの各モノマーは、3つ以上のジンクフィンガーベースのDNA結合ドメインを含み、各ジンクフィンガーベースのDNA結合ドメインは、3bpのサブサイトに結合する。他の態様において、ZFNは、非依存性ヌクレアーゼに作動可能に連結されたジンクフィンガーベースのDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質である。一態様において、非依存性エンドヌクレアーゼは、FokIエンドヌクレアーゼである。一態様において、ヌクレアーゼ剤は、第1のZFNおよび第2のZFNを含み、第1のZFNおよび第2のZFNの各々は、FokIヌクレアーゼに作動可能に連結されており、第1および第2のZFNは、約6bpから約40bpの切断部位または約5bpから約6bpの切断部位によって分離された標的DNA配列の各鎖における2つの連続する標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼは二量化し、二重鎖切断を作る。例えば、US20060246567、US20080182332、US20020081614、US20030021776、WO/2002/057308A2、US20130123484、US20100291048、およびWO/2011/017293A2を参照されたい。これらは各々、参照により本明細書に組み入れられる。
【0295】
メガヌクレアーゼ
いくつかの態様において、本明細書において開示される様々な方法および組成物における相同組換えのために用いられるヌクレアーゼ剤は、メガヌクレアーゼシステムを含み得る。メガヌクレアーゼは、保存された配列モチーフに基づいて4つのファミリーに分類されており、これらのファミリーは、「LAGLIDADG」、「GIY-YIG」、「H-N-H」、および「His-Cysボックス」のファミリーである。これらのモチーフは、金属イオンの配位およびホスホジエステル結合の加水分解に関与する。
【0296】
HEaseは、その認識部位が長いことと、そのDNA基質におけるいくつかの配列多型を許容することで知られている。メガヌクレアーゼのドメイン、構造、および機能は公知であり、例えば、Guhan and Muniyappa (2003) Crit Rev Biochem Mol Biol 38:199-248、Lucas et al., (2001) Nucleic Acids Res 29:960-9、Jurica and Stoddard, (1999) Cell Mol Life Sci 55:1304-26、Stoddard, (2006) Q Rev Biophys 38:49-95、およびMoure et al., (2002) Nat Struct Biol 9:764を参照されたい。
【0297】
いくつかの例では、自然において存在するバリアントおよび/またはエンジニアリングされた派生的メガヌクレアーゼが使用される。動態、補因子相互作用、発現、最適条件、および/または認識部位特異性を修飾し、活性についてスクリーニングするための方法は公知であり、例えば、Epinat et al., (2003) Nucleic Acids Res 31:2952-62、Chevalier et al., (2002) Mol Cell 10:895-905、Gimble et al., (2003) Mol Biol 334:993-1008、Seligman et al., (2002) Nucleic Acids Res 30:3870-9、Sussman et al., (2004) J Mol Biol 342:31-41、Rosen et al., (2006) Nucleic Acids Res 34:4791-800、Chames et al., (2005) Nucleic Acids Res 33:e178、Smith et al., (2006) Nucleic Acids Res 34:e149、Gruen et al., (2002) Nucleic Acids Res 30:e29、Chen and Zhao, (2005) Nucleic Acids Res 33:e154、WO2005105989、WO2003078619、WO2006097854、WO2006097853、WO2006097784、およびWO2004031346を参照されたい。
【0298】
本明細書では、I-SceI、I-SceII、I-SceIII、I-SceIV、I-SceV、I-SecVI、I-SceVII、I-CeuI、I-CeuAIIP、I-CreI、I-CrepsbIP、I-CrepsbIIP、I-CrepsbIIIP、I-CrepsbIVP、I-TliI、I-PpoI、PI-PspI、F-SceI、F-SceII、F-SuvI、F-TevI、F-TevII、I-AmaI、I-AniI、I-ChuI、I-CmoeI、I-CpaI、I-CpaII、I-CsmI、I-CvuI、I-CvuAIP、I-DdiI、I-DdiII、I-DirI、I-DmoI、I-HmuI、I-HmuII、I-HsNIP、I-LlaI、I-MsoI、I-NaaI、I-NanI、I-NcIIP、I-NgrIP、I-NitI、I-NjaI、I-Nsp236IP、I-PakI、I-PboIP、I-PcuIP、I-PcuAI、I-PcuVI、I-PgrIP、I-PobIP、I-PorIIP、I-PbpIP、I-SpBetaIP、I-ScaI、I-SexIP、I-SneIP、I-SpomI、I-SpomCP、I-SpomIP、I-SpomIIP、I-SquIP、I-Ssp6803I、I-SthPhiJP、I-SthPhiST3P、I-SthPhiSTe3bP、I-TdeIP、I-TevI、I-TevII、I-TevIII、I-UarAP、I-UarHGPAIP、I-UarHGPA13P、I-VinIP、I-ZbiIP、PI-MtuI、PI-MtuHIP、PI-MtuHIIP、PI-PfuI、PI-PfuII、PI-PkoI、PI-PkoII、PI-Rma43812IP、PI-SpBetaIP、PI-SceI、PI-TfuI、PI-TfuII、PI-ThyI、PI-TliI、PI-TliII、またはそれらのいずれかの活性バリアントもしくはフラグメントを含むがこれらに限定されない、いかなるメガヌクレアーゼを使用してもよい。
【0299】
一態様において、メガヌクレアーゼは、12~40塩基対の二重鎖DNA配列を認識する。一態様において、メガヌクレアーゼは、本明細書において記述される異種プラスミドのうちの1つにおける1つの完全にマッチする標的配列を認識する。一態様において、メガヌクレアーゼは、ホーミングヌクレアーゼである。一態様において、ホーミングヌクレアーゼは、「LAGLIDADG」ファミリーのホーミングヌクレアーゼである。一態様において、「LAGLIDADG」ファミリーのホーミングヌクレアーゼは、I-SceI、I-CreI、およびI-Dmolから選択される。
【0300】
制限エンドヌクレアーゼ
いくつかの態様において、本明細書において開示される様々な方法および組成物における相同組換えのために用いられるヌクレアーゼ剤は、制限エンドヌクレアーゼを含み得、これには、I型、II型、III型、およびIV型のエンドヌクレアーゼが含まれる。I型およびIII型の制限エンドヌクレアーゼは、特定の認識部位を認識するが、典型的には、切断部位(認識部位)から何百もの塩基対、離れている場合があるヌクレアーゼ結合部位から不定の位置において切断する。II型システムでは、制限活性は、いかなるメチラーゼ活性とも無関係であり、切断は典型的には、結合部位の中または付近の特定部位において起こる。ほとんどのII型酵素は回分配列をカットするが、IIa型酵素は、非回文構造の認識部位を認識し、認識部位の外を切断し、IIb型酵素は、配列を2回カットし、その部位は両方とも認識部位の外にあり、II型酵素は、非対称な認識部位を認識し、片側において、かつ認識部位から約1~20ヌクレオチドの規定距離で切断する。IV型制限酵素は、メチル化されたDNAを標的化する。制限酵素は、例えばREBASEデータベース[ウェブページはrebase.neb.com;Roberts et al., (2003) Nucleic Acids Res 31:418-20]、Roberts et al., (2003) Nucleic Acids Res 31:1805-12、およびBelfort et al., (2002) in Mobile DNA II, pp. 761-783, Eds. Craigie et al., (ASM Press, Washington, D.C.)において、さらに記述および分類されている。
【0301】
ヌクレアーゼ剤は、当技術分野において公知のいずれの手段によって細胞に導入されてもよい。ヌクレアーゼ剤をコードするポリペプチドは、細胞に直接導入されてもよい。代替的には、ヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドが細胞に導入されてもよい。ヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドが細胞に導入される場合、ヌクレアーゼ剤は、細胞の中で一過性に、条件付きで、または構成的に発現され得る。よって、ヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドは、発現カセットに含まれ、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターに作動可能に連結されていてもよい。そのような目的のプロモーターは、本明細書における他の箇所にさらに詳細に記載される。代替的には、ヌクレアーゼ剤は、ヌクレアーゼ剤をコードするまたは構成するmRNAとして細胞に導入される。
【0302】
ヌクレアーゼ剤の活性バリアントおよびフラグメント(すなわち、エンジニアリングされたヌクレアーゼ剤)も提供される。そのような活性バリアントは、天然のヌクレアーゼ剤との少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも多くの配列同一性を含むことができ、活性バリアントは、所望の認識部位においてカットする能力を保持し、したがってニックまたは二重鎖切断の誘導活性を保持する。例えば、本明細書において記述されるヌクレアーゼ剤のいずれかを、天然のエンドヌクレアーゼ配列から修飾し、天然のヌクレアーゼ剤によって認識されなかった認識部位を認識してそこでニックまたは二重鎖切断を誘導するように設計することができる。よって、いくつかの態様において、エンジニアリングされたヌクレアーゼは、対応する天然のヌクレアーゼ剤の認識部位とは異なる認識部位においてニックまたは二重鎖切断を誘導する特異性を有する。ニックまたは二重鎖切断の誘導活性についてのアッセイは公知であり、概して、認識部位を含有するDNA基質に対するエンドヌクレアーゼの総合的な活性および特異性を測定する。
【0303】
ヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドの導入によって細胞にヌクレアーゼ剤が提供される場合、ヌクレアーゼ剤をコードするそのようなポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ剤をコードする自然において存在するポリヌクレオチド配列と比較して、目的の細胞における使用頻度がより高いコドンを置換するように修飾され得る。例えば、ヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドは、自然において存在するポリヌクレオチド配列と比較して、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、非ラット真核細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、非ラットげっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、または任意の他の目的の宿主細胞を含む、所定の目的の原核細胞または真核細胞における使用頻度がより高いコドンを置換するように修飾され得る。
【0304】
相同組換え配列
本開示の方法および組成物の決定的な利点は、ランディングパッドプラスミドまたはその一部が挿入されることになるゲノムコンテキストに関する情報を必要とせずにランディングパッド細胞を生成する可能性である。これが可能であるのは、本明細書において開示される方法が、親プラスミドによって占有される場所におけるランディングパッドプラスミドまたはその一部の標的化組み込みに依存するからである。親プラスミドに関する配列情報は、一般に利用可能であるか、または当技術分野において公知である(例えば、市販のプラスミド)。よって、そのような情報に依存して、相同組換えを介した親プラスミドの内部部分配列とランディングパッドプラスミド配列またはその一部との交換をガイドする相同組換え配列を生成することが可能である。
【0305】
本開示のいくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む。
【0306】
本開示のいくつかの態様において、3’相同組換え部位は、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む。
【0307】
本開示のいくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む。
【0308】
いくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号16からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも550、または少なくとも約553個の連続するヌクレオチドを含む。
【0309】
いくつかの態様において、3’相同組換え部位は、配列番号17からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、少なくとも約600、少なくとも約610、少なくとも約620、少なくとも約630、少なくとも約640、少なくとも約650、少なくとも約660、少なくとも約670、少なくとも約680、少なくとも約690、少なくとも約700、少なくとも約710、少なくとも約720、少なくとも約730、少なくとも約740、少なくとも約750、少なくとも約760、少なくとも約770、少なくとも約780、少なくとも約790、少なくとも約800、少なくとも約810、少なくとも約820、少なくとも約830、少なくとも約840、少なくとも約850、少なくとも約860、少なくとも約870、少なくとも約880、少なくとも約890、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約1010、少なくとも約1020、少なくとも約1030、少なくとも約1040、少なくとも約1050、少なくとも約1060、少なくとも約1070、少なくとも約1080、少なくとも約1090、少なくとも約1100、少なくとも約1110、少なくとも約1120、少なくとも約1130、少なくとも約1140、少なくとも約1150、少なくとも約1160、少なくとも約1170、少なくとも約1180、少なくとも約1190、少なくとも約1200、少なくとも約1210、少なくとも約1220、または少なくとも約1221個の連続するヌクレオチドを含む。
【0310】
いくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号16からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも550、または少なくとも約553個の連続するヌクレオチドを含み、3’相同組換え部位は、配列番号17からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、少なくとも約510、少なくとも約520、少なくとも約530、少なくとも約540、少なくとも約550、少なくとも約560、少なくとも約570、少なくとも約580、少なくとも約590、少なくとも約600、少なくとも約610、少なくとも約620、少なくとも約630、少なくとも約640、少なくとも約650、少なくとも約660、少なくとも約670、少なくとも約680、少なくとも約690、少なくとも約700、少なくとも約710、少なくとも約720、少なくとも約730、少なくとも約740、少なくとも約750、少なくとも約760、少なくとも約770、少なくとも約780、少なくとも約790、少なくとも約800、少なくとも約810、少なくとも約820、少なくとも約830、少なくとも約840、少なくとも約850、少なくとも約860、少なくとも約870、少なくとも約880、少なくとも約890、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約1010、少なくとも約1020、少なくとも約1030、少なくとも約1040、少なくとも約1050、少なくとも約1060、少なくとも約1070、少なくとも約1080、少なくとも約1090、少なくとも約1100、少なくとも約1110、少なくとも約1120、少なくとも約1130、少なくとも約1140、少なくとも約1150、少なくとも約1160、少なくとも約1170、少なくとも約1180、少なくとも約1190、少なくとも約1200、少なくとも約1210、少なくとも約1220、または少なくとも約1221個の連続するヌクレオチドを含む。
【0311】
本開示のいくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号18または配列番号114のポリヌクレオチド配列を含む。本開示のいくつかの態様において、3’相同組換え部位は、配列番号19または配列番号115のポリヌクレオチド配列を含む。本開示のいくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号18または配列番号114のポリヌクレオチド配列を含み、3’相同組換え部位は、配列番号19または配列番号115のポリヌクレオチド配列を含む。
【0312】
いくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号18または配列番号114からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、または少なくとも約508個の連続するヌクレオチドを含む。
【0313】
いくつかの態様において、3’相同組換え部位は、配列番号19または配列番号115からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、または少なくとも約298個の連続するヌクレオチドを含む。
【0314】
いくつかの態様において、5’相同組換え部位は、配列番号18または配列番号114からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、少なくとも約300、少なくとも約310、少なくとも約320、少なくとも約330、少なくとも約340、少なくとも約350、少なくとも約360、少なくとも約370、少なくとも約380、少なくとも約390、少なくとも約400、少なくとも約410、少なくとも約420、少なくとも約430、少なくとも約440、少なくとも約450、少なくとも約460、少なくとも約470、少なくとも約480、少なくとも約490、少なくとも約500、または少なくとも約508個の連続するヌクレオチドを含み、3’相同組換え部位は、配列番号19または配列番号115からの、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約280、少なくとも約290、または少なくとも約298個の連続するヌクレオチドを含む。
【0315】
いくつかの態様において、相同組換え配列(すなわち、図5Aのランディングパッドプラスミドまたは第2 GOIプラスミドなどの遊離プラスミドを、図Aの親プラスミドまたは組み込まれたランディングパッドプラスミドなどの組み込まれたプラスミドに対して標的化する、DNA標的化セグメント)は、約12ヌクレオチドから約100ヌクレオチドの長さを有し得る。例えば、相同組換え配列は、約12ヌクレオチド(nt)から約80nt、約12ntから約50nt、約12ntから約40nt、約12ntから約30nt、約12ntから約25nt、約12ntから約20nt、または約12ntから約19ntの長さを有し得る。例えば、相同組換え配列は、約19ntから約20nt、約19ntから約25nt、約19ntから約30nt、約19ntから約35nt、約19ntから約40nt、約19ntから約45nt、約19ntから約50nt、約19ntから約60nt、約19ntから約70nt、約19ntから約80nt、約19ntから約90nt、約19ntから約100nt、約20ntから約25nt、約20ntから約30nt、約20ntから約35nt、約20ntから約40nt、約20ntから約45nt、約20ntから約50nt、約20ntから約60nt、約20ntから約70nt、約20ntから約80nt、約20ntから約90nt、または約20ntから約100nt、約100ntから約125nt、約125ntから約150nt、約150ntから約175nt、約175ntから約200nt、約200ntから約225nt、約225ntから約250nt、約250ntから約300nt、約300ntから約350nt、約350ntから約400nt、約400ntから約450nt、約450ntから約500nt、約500ntから約600nt、約600ntから約700nt、約700ntから約800nt、約800ntから約900nt、約900ntから約1000nt、約1000ntから約1100nt、約1100ntから約1200nt、約1200ntから約1300nt、約1300ntから約1400nt、または約1400ntから約1500ntの長さを有し得る。
【0316】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列と相補的である遊離プラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列は、少なくとも約12nt、少なくとも約15nt、少なくとも約18nt、少なくとも約19nt、少なくとも約20nt、少なくとも約21nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約35nt、少なくとも約40nt、少なくとも約45nt、少なくとも約50nt、少なくとも約55nt、少なくとも約60nt、少なくとも約65nt、少なくとも約70nt、少なくとも約75nt、少なくとも約80nt、少なくとも約85nt、少なくとも約90nt、少なくとも約95nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約300nt、少なくとも約400nt、少なくとも約500nt、少なくとも約600nt、少なくとも約700nt、少なくとも約800nt、少なくとも約900nt、少なくとも約1000nt、少なくとも約1100nt、少なくとも約1200nt、少なくとも約1300nt、少なくとも約1400nt、または少なくとも約1500ntの長さを有し得る。
【0317】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列と相補的である遊離プラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列は、約12ヌクレオチド(nt)から約100nt、約12ntから約90nt、約12ntから約80nt、約12ntから約70nt、約12ntから約60nt、約12ntから約50nt、約12ntから約45nt、約12ntから約40nt、約12ntから約35nt、約12ntから約30nt、約12ntから約25nt、約12ntから約20nt、約12ntから約19nt、約19ntから約20nt、約19ntから約25nt、約19ntから約30nt、約19ntから約35nt、約19ntから約40nt、約19ntから約45nt、約19ntから約50nt、約19ntから約60nt、約20ntから約25nt、約20ntから約30nt、約20ntから約35nt、約20ntから約40nt、約20ntから約45nt、約20ntから約50nt、約20ntから約60nt、または約12ntから約20ntの長さを有し得る。
【0318】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列と相補的である遊離プラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列は、約12ヌクレオチド(nt)から約100nt、約12ntから約90nt、約12ntから約80nt、約12ntから約70nt、約12ntから約60nt、約12ntから約50nt、約12ntから約45nt、約12ntから約40nt、約12ntから約35nt、約12ntから約30nt、約12ntから約25nt、約12ntから約20nt、約12ntから約19nt、約19ntから約20nt、約19ntから約25nt、約19ntから約30nt、約19ntから約35nt、約19ntから約40nt、約19ntから約45nt、約19ntから約50nt、約19ntから約60nt、約20ntから約25nt、約20ntから約30nt、約20ntから約35nt、約20ntから約40nt、約20ntから約45nt、約20ntから約50nt、約20ntから約60nt、または約12ntから約20ntの長さを有し得る。
【0319】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列と相補的である遊離プラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1100、1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190、1200、1210、1220、1230、1240、1250、1260、1270、1280、1290、1300、1310、1320、1330、1340、1350、1360、1370、1380、1390、1400、1410、1420、1430、1440、1450、1460、1470、1480、1490、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、または5500ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0320】
遊離プラスミド中の相同組換え配列のヌクレオチド配列と、組み込まれたプラスミド中の対応する相同組換え配列のヌクレオチド配列との間のパーセント相補性は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相補的(すなわち、完全に相補的)であり得る。
【0321】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列と隣接するゲノム配列との間の距離は、少なくとも1nt、少なくとも2nt、少なくとも3nt、少なくとも4nt、少なくとも5nt、少なくとも6nt、少なくとも7nt、少なくとも8nt、少なくとも9nt、少なくとも10nt、少なくとも11nt、少なくとも12nt、少なくとも13nt、少なくとも14nt、少なくとも15nt、少なくとも16nt、少なくとも17nt、少なくとも18nt、少なくとも19nt、少なくとも20nt、少なくとも21nt、少なくとも22nt、少なくとも23nt、少なくとも24nt、少なくとも25nt、少なくとも26nt、少なくとも27nt、少なくとも28nt、少なくとも29nt、少なくとも30nt、少なくとも31nt、少なくとも32nt、少なくとも33nt、少なくとも34nt、少なくとも35nt、少なくとも36nt、少なくとも37nt、少なくとも38nt、少なくとも39nt、少なくとも40nt、少なくとも41nt、少なくとも42nt、少なくとも43nt、少なくとも44nt、少なくとも45nt、少なくとも46nt、少なくとも47nt、少なくとも48nt、少なくとも49nt、少なくとも50nt、少なくとも51nt、少なくとも52nt、少なくとも53nt、少なくとも54nt、少なくとも55nt、少なくとも56nt、少なくとも57nt、少なくとも58nt、少なくとも59nt、少なくとも60nt、少なくとも61nt、少なくとも62nt、少なくとも63nt、少なくとも64nt、少なくとも65nt、少なくとも66nt、少なくとも67nt、少なくとも68nt、少なくとも69nt、少なくとも70nt、少なくとも71nt、少なくとも72nt、少なくとも73nt、少なくとも74nt、少なくとも75nt、少なくとも76、少なくとも77nt、少なくとも78nt、少なくとも79nt、少なくとも80nt、少なくとも81nt、少なくとも82nt、少なくとも83nt、少なくとも84nt、少なくとも85nt、少なくとも86nt、少なくとも87nt、少なくとも88nt、少なくとも89nt、少なくとも90nt、少なくとも91、少なくとも92nt、少なくとも93nt、少なくとも94nt、少なくとも95nt、少なくとも96、少なくとも97nt、少なくとも98nt、少なくとも99nt、少なくとも100nt、少なくとも150nt、少なくとも200nt、少なくとも250nt、少なくとも300nt、少なくとも350nt、少なくとも400nt、少なくとも450nt、少なくとも500nt、少なくとも550nt、少なくとも600nt、少なくとも650nt、少なくとも700nt、少なくとも750nt、少なくとも800nt、少なくとも850nt、少なくとも900nt、少なくとも950nt、少なくとも1000nt、少なくとも1100nt、少なくとも1200nt、少なくとも1300nt、少なくとも1400nt、少なくとも1500nt、少なくとも1600nt、少なくとも1700nt、少なくとも1800nt、少なくとも1900nt、少なくとも2000nt、少なくとも2100nt、少なくとも2200nt、少なくとも2300nt、少なくとも2400nt、少なくとも2500nt、少なくとも3000nt、少なくとも3500nt、少なくとも4000nt、少なくとも4500nt、少なくとも5000nt、または少なくとも5000ntである。
【0322】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列と隣接するゲノム配列との間の距離は、1nt、2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、21nt、22nt、23nt、24nt、25nt、26nt、27nt、28nt、29nt、30nt、31nt、32nt、33nt、34nt、35nt、36nt、37nt、38nt、39nt、40nt、41nt、42nt、43nt、44nt、45nt、46nt、47nt、48nt、49nt、50nt、51nt、52nt、53nt、54nt、55nt、56nt、57nt、58nt、59nt、60nt、61nt、62nt、63nt、64nt、65nt、66nt、67nt、68nt、69nt、70nt、71nt、72nt、73nt、74nt、75nt、76、77nt、78nt、79nt、80nt、81nt、82nt、83nt、84nt、85nt、86nt、87nt、88nt、89nt、90nt、91、92nt、93nt、94nt、95nt、96、97nt、98nt、99nt、100nt、150nt、200nt、250nt、300nt、350nt、400nt、450nt、500nt、55nt、600nt、650nt、700nt、750nt、800nt、850nt、900nt、960nt、1000nt、1100nt、1200nt、1300nt、1400nt、1500nt、1600nt、1700nt、1800nt、1900nt、2000nt、2100nt、2200nt、約2300nt、約2400nt、2500nt、3000nt、3500nt、4000nt、4500nt、5000nt、または5000ntである。
【0323】
いくつかの態様において、組み込まれたプラスミド中の相同組換え配列と隣接するゲノム配列との間の距離は、約10ntから約20nt、約10ntから約20nt、約20ntから約30nt、約30ntから約40nt、約40ntから約50nt、約50ntから約60nt、約60ntから約70nt、約70ntから約80nt、約80ntから約90nt、約90ntから約100nt、約100ntから約200nt、約200ntから約300nt、約300ntから約400nt、約400ntから約500nt、約500ntから約600nt、約600ntから約700nt、約700ntから約800nt、約800ntから約900nt、約900ntから約1000nt、約1000ntから約1100nt、約1100ntから約1200nt、約1200ntから約1300nt、約1300ntから約1400nt、約1400ntから約1500nt、約1500ntから約1600nt、約1600ntから約1700nt、約1700ntから約1800nt、約1800ntから約1900nt、約1900ntから約2000nt、約2000ntから約2100nt、約2100ntから約2200nt、約2200ntから約2300nt、約2300ntから約2400nt、約2400ntから2500nt、約2500ntから約3000nt、約3000ntから約3500nt、約3500ntから約4000nt、約4000ntから約4500nt、約4500ntから約5000nt、または約5000ntから約5000ntである。
【0324】
部位特異的組換えシステム
本開示のいくつかの態様において、例えば、ランディングパッドプラスミドと第2 GOIプラスミドとの間の組換え事象において、組換えプロセスは、部位特異的組換えシステムの使用によって起こる。
【0325】
部位特異的リコンビナーゼは、リコンビナーゼポリペプチドを細胞に導入すること、または部位特異的リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することを含め、いかなる手段によって細胞に導入されてもよい。部位特異的リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドは、挿入核酸の中または別個のポリヌクレオチドの中に位置し得る。部位特異的リコンビナーゼは、例えば、誘導性プロモーター、細胞に対して内因性のプロモーター、細胞に対して異種のプロモーター、細胞特異的プロモーター、組織特異的プロモーター、または発生段階特異的プロモーターを含め、細胞内で活性のあるプロモーターに作動可能に連結されていてもよい。
【0326】
いくつかの態様において、部位特異的組換え部位は、挿入核酸の中に含まれた選択マーカーおよび/またはレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドにフランキングする。そのような場合には、例えば、CRISP/Cas媒介相同組換えを介した、親細胞における標的化座位でのランディングパッドプラスミド核酸の組み込みの後、部位特異的組換え部位(例えば、LoxP部位)の間の配列が除去され得るか、または、部位特異的組換えを介して、第2 GOIプラスミド中の部位特異的組換え部位の間に位置するGOIの対応する配列と交換され得る。
【0327】
保存的部位特異的組換えとしても知られる部位特異的組換えは、少なくともある程度の配列相同性を有するセグメント間でDNA鎖交換が起こる一種の遺伝子組換えである。部位特異的リコンビナーゼ(SSR)は、短いDNA配列(部位)を認識してそれに結合し、そこでDNA骨格を切断し、関与する2本のDNA螺旋を交換し、DNA鎖を再結合させることにより、DNAセグメントの再編成を行う。いくつかのシステムでは、リコンビナーゼ酵素および組換え部位だけの部位特異的組換えシステムが、これらの反応のすべてを行うのに十分であるが、他のシステムでは、いくつかのアクセサリータンパク質および/またはアクセサリー部位も必要である。既定のゲノム座位への転写ユニットの標的化導入のための高度な手法である、これらのリコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)の中でも、複数のゲノム修飾方策は、SSRの能力に依存する。
【0328】
部位特異的組換えシステムは、複雑な真核生物ゲノムに対しても、高度に特異的であり、高速かつ効率的である。
【0329】
組換え部位は、典型的には、30~200ヌクレオチドの間の長さであり、リコンビナーゼが結合する部分的反転リピート対称性を有する2つのモチーフからなり、これらは、組換えが起こる中央のクロスオーバー配列にフランキングする。その間で組換えが起こる部位の対は、通常は同一であるが、例外もある(例えば、λインテグラーゼのattPおよびattB)。
【0330】
いくつかの態様において、部位特異的リコンビナーゼ組換えは、Tyr-リコンビナーゼ媒介システム、Tyr-インテグラーゼ媒介システム、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ媒介システム、またはセリン-インテグラーゼ媒介システムによって媒介される。いくつかの態様において、Tyr-リコンビナーゼ媒介システムは、Cre、Dre、Flp、KD、B3、またはB3 Tyr-リコンビナーゼを含む。いくつかの態様において、Tyr-インテグラーゼ媒介システムは、λ(ラムダ)、HK022、またはHP1 Tyr-インテグラーゼを含む。いくつかの態様において、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ媒介システムは、γδ(ガンマデルタ)、ParA、Tn3、またはGinセリン-リゾルバーゼ/インテグラーゼを含む。いくつかの態様において、セリン-インテグラーゼ媒介システムは、PhiC31、Bxb1、またはR4セリン-インテグラーゼを含む。
【0331】
いくつかの特定の態様において、Tyr-リコンビナーゼ媒介システムは、Cre Tyr-リコンビナーゼを含む。Cre-Lox組換えは、細胞のDNA中の特定部位において欠失、挿入、転座および反転を行うために使用される部位特異的リコンビナーゼ技術である。これにより、DNA修飾が、特定の細胞型に標的化されること、または特定の外的刺激によって引き起こされることが可能になる。このシステムは、Lox配列と呼ばれる一対の短い標的配列を組換える単一の酵素であるCreリコンビナーゼからなる。このシステムは、いかなる追加の補足的なタンパク質または配列を挿入することなく実行され得る。Cre酵素と、LoxP配列と呼ばれる元のLox部位とは、バクテリオファージP1に由来する。
【0332】
LoxP(locus of X-over P1)は、34bpからなるバクテリオファージP1上の部位である。この部位には、2セットの対称な13bp配列の間の、中央の2塩基を除いては可変である、非対称な8bp配列が含まれる。厳密な配列を以下に示す。「N」は、可変の塩基を示し、小文字は、野生型から突然変異している塩基を示す。13bpの配列は回文構造であるが、8bpのスペーサーはそうでないため、loxP配列にはある特定の向きが与えられる。通常、loxP部位は、遺伝子操作のために対で機能する。2つのloxP部位が同じ向きであれば、フロックス(floxed)配列(2つのloxP部位によってフランキングされた配列)が切除される。しかし、2つのloxP部位が反対の向きであれば、フロックス配列が反転する。フロックスドナー配列が存在する場合には、ドナー配列が元の配列と入れ替えられ得る。リコンビナーゼ媒介カセット交換と呼ばれるこの技法は、ランディングパッドプラスミド中の2つのLoxP部位の間に位置するポリヌクレオチド配列を、第2 GOIプラスミド中の2つのLoxP部位の間に位置するポリヌクレオチド配列と入れ替えるために、本開示の方法において使用され得る。したがって、いくつかの態様において、SSRSは、LoxP部位である。
【0333】
いくつかの態様において、LoxPは、配列番号1の核酸配列、すなわち、野生型LoxP部位を含む。他の態様において、LoxP部位は、配列番号2に対応する突然変異型LoxP部位であり、Nは、いずれのヌクレオチド(例えば、A、T、CまたはG)であってもよい。
【0334】
いくつかの態様において、突然変異型LoxP部位は、配列番号3(lox 511)、配列番号4(lox 5171)、配列番号5(lox 2272)、配列番号6(M2)、配列番号7(M3)、配列番号8(M7)、配列番号9(M11)、配列番号10(lox 71)、配列番号11(lox 66)、および配列番号28~82からなる群から選択される核酸を含む。
【0335】
いくつかの態様において、本開示に従って使用される2つのLoxP部位は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、28~82、またはそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される2つのLoxP部位であり得る。いくつかの態様において、一対のLoxP部位におけるLoxP部位は同一である。いくつかの態様において、一対のLoxP部位におけるLoxP部位は異なっている。
【0336】
いくつかの態様において、両方のLoxP部位が野生型LoxP部位である。Araki, K (1997). “Targeted integration of DNA using mutant lox sites in embryonic stem cells”. Nucleic Acids Research. 25 (4):868-872を参照されたい。これは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0337】
他の態様において、Tyr-リコンビナーゼ媒介システムは、Flp Tyr-リコンビナーゼを含む。Flp-FRT組換えは、部位指向性組換え技術であり、インビボで制御された条件下で生物のDNAを操作するために使用されることが増えている。これはCre-lox組換えに類似しているが、パン酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の2μプラスミドに由来するリコンビナーゼであるフリッパーゼ(Flp)によるフリッパーゼ認識標的(FRT)部位の間の配列の組換えを要する。
【0338】
チロシンリコンビナーゼとセリンリコンビナーゼとの両方で基本的な化学反応は同じであるが、それらの間にはいくつかの相違点がある。CreまたはFLPなどのチロシンリコンビナーゼは、6~8bpずれた点で一度に1本のDNA鎖を切断し、その鎖の3’末端をチロシン求核剤のヒドロキシル基に連結させる。その後、一対の鎖のみが交換されているホリデイジャンクションに類似した交差鎖中間体を介して鎖交換が進行する。セリンリコンビナーゼの機序および制御は、これよりもはるかに理解されていない。この酵素群は、1990年代中盤になって初めて発見され、依然として比較的小さい。今や古典的なメンバーであるガンマ-デルタおよびTn3リゾルバーゼだけでなく、φC31-、Bxb1-、およびR4インテグラーゼのような新しく追加されたものも、2bpずれた点で4本のDNA鎖すべてを同時にカットする。切断の間、切断部位における5’リン酸と、保存されたセリン残基(リゾルバーゼにおけるS10)のヒドロキシル基との間のホスホセリン結合によってホスホジエステル結合が置き換えられるエステル交換反応を介して、タンパク質-DNA結合が形成される。Tyrクラスのメンバーとは違って、この組換え経路は、2つの異なる基質部位(attPおよびattB)を部位ハイブリッド(attLおよびattR)に変換する。これは、補助的な「組換え指向性因子」(RDF:recombination directionality factor)によってしか克服できない、この特定の組換え経路の非可逆的性質を説明する。
【0339】
いくつかの態様において、SSRSは、フリッパーゼ認識標的(FRT)部位である。この34bpの極小FRT部位配列は、配列番号12に定める配列を有し、そのために、フリッパーゼ(Flp)が、8bpスペーサーにフランキングする配列番号13の13bpアームの両方に結合する[すなわち、逆向きの部位特異的組換え(クロスオーバーの領域)]。FRT媒介切断は、トップ鎖上の非対称な8bpコア領域(5’-tctagaaa-3’)から少し前、かつボトム鎖上のこの配列の後に起こる。いくつかのバリアントFRT部位が存在するが、組換えは通常、2つの同一のFRTの間でしか起こり得ず、非同一の(「異種特異的な」)FRTの間では概して起こらない。いくつかの態様において、本明細書において開示されるFRT部位は、配列番号12、13、および83~91から選択される。いくつかの態様において、本明細書において開示される一対のFRT部位は、配列番号12、13、および83~91から選択される。いくつかの態様において、一対のFRT部位におけるFRT部位は同一である。いくつかの態様において、一対のFRT部位におけるFRT部位は異なっている。
【0340】
いくつかの態様において、本明細書において開示されるatt部位は、配列番号92~109から選択される。いくつかの態様において、att部位は、attB部位である。いくつかの態様において、att部位は、attP部位である。
【0341】
いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、単一のSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つ以上のSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、同じ部位特異的リコンビナーゼシステムに対応する2つのSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのTyr-リコンビナーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのTyr-インテグラーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのセリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つまたは1つのセリン-インテグラーゼ部位を含むことができる。
【0342】
いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、異なる部位特異的リコンビナーゼシステムに対応する2つのSSRSを含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのTyr-リコンビナーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのTyr-インテグラーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つのセリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、2つまたは1つのセリン-インテグラーゼ部位を含むことができる。
【0343】
いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、Tyr-リコンビナーゼ部位およびTyr-インテグラーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、Tyr-リコンビナーゼ部位およびセリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、Tyr-リコンビナーゼ部位およびセリン-インテグラーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、Tyr-インテグラーゼ部位およびセリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、Tyr-インテグラーゼ部位およびセリン-インテグラーゼ部位を含むことができる。いくつかの態様において、本開示のプラスミド、例えばGOIプラスミドまたはランディングパッドプラスミドは、セリン-リゾルバーゼ/インベルターゼ部位およびセリン-インテグラーゼ部位を含むことができる。
【0344】
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5】
【0345】
マーカー
いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミド中の部位特異的組換え部位は、マーカー(例えば、選択マーカーもしくは選択可能マーカーおよび/または検出可能マーカーもしくはスクリーニング可能なマーカー、例えばレポーター遺伝子)をコードするポリヌクレオチドにフランキングする。そのような場合には、第2 GOIプラスミドからの挿入核酸(両方のSSRSの間に位置するエリア)の組み込みの後に、ランディングパッドプラスミド上の部位特異的組換え部位の間の配列が除去される。
【0346】
マーカーシステムは、選択可能マーカーおよびスクリーニング可能マーカーという2つの広いカテゴリで存在する。選択可能マーカーは、典型的には、形質転換生物(通常は単細胞)に抗生物質の存在下で生きる能力を与える、抗生物質耐性のための遺伝子である。スクリーニング可能マーカーは、レポーター遺伝子とも呼ばれ、典型的には、細胞または形質転換生物における色の変化または他の視認できる変化を引き起こす。これにより、調査者が、形質転換された細胞について細胞の大群を素早くスクリーニングできるようになる。
【0347】
いくつかの態様において、選択マーカーは、選択カセットに含まれる。一態様において、少なくとも1つの選択マーカーは、グルタミンシンテターゼ(GS)および/またはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。
【0348】
いくつかの態様において、少なくとも1つの選択マーカーは、薬物耐性遺伝子である。いくつかの態様において、薬物耐性遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子、例えば、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼなどのピューロマイシン耐性遺伝子である。本開示の方法および組成物では、当技術分野において公知のいずれの選択マーカーを使用してもよい。そのような選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg)、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(puro)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-k)、またはそれらのいずれかの組合せを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、選択マーカーは、例えば、ピューロマイシン、ネオマイシン、ハイグロマイシンB、ブラストサイジンS、フレオマイシン、ZEOCIN(商標)(フレオマイシンD1)、またはG418(ジェネテシン)に対する耐性遺伝子であり得る。
【0349】
いくつかの態様において、ランディングパッドプラスミドは、タンパク質をコードする検出可能マーカー(例えば、レポーター遺伝子)を含むことができる。いくつかの態様において、検出可能マーカーをコードする核酸配列は、選択カセットに含まれる。いくつかの態様において、検出可能マーカーをコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結されている。
【0350】
いくつかの態様において、タンパク質は、レポータータンパク質、例えば、蛍光タンパク質である。特定の態様において、蛍光タンパク質は、mCherryである。いくつかの態様において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ZsGreen1、AcGFP1、改良型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、GFPuv、AcGFP、改良型青色蛍光タンパク質(EBFP)、改良型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、改良型シアン蛍光タンパク質(ECFP)、tdTomato、mCherry、DsRed、AmCyan、ZsGreen、ZsYellow、DsRed2、DsRed-Express、HcRed、AsRed、mOrange、mOrange2、mPlum、mStrawberry、mBanana、黄色蛍光タンパク質(YFP)、mRaspberry、HcRed1、E2-Crimson、J-Red、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、Cerulean、シアン蛍光タンパク質(CFP)、T-Sapphire、またはそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様において、レポータータンパク質は、ルシフェラーゼまたはアルカリホスファターゼである。
【0351】
そのようなレポーター遺伝子は、細胞内で活性のあるプロモーターに作動可能に連結されていてもよい。そのようなプロモーターは、誘導性プロモーター、レポーター遺伝子もしくは細胞に対して内因性のプロモーター、レポーター遺伝子もしくは細胞に対して異種のプロモーター、細胞特異的プロモーター、組織特異的プロモーター、または発生段階特異的プロモーターであり得る。
【0352】
細胞
原理上、本明細書において開示される方法は、いかなる真核細胞のゲノムへの標的化遺伝子組み込みにも使用することができる。「真核細胞」は、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、両生類細胞、例えば、カエルの卵母細胞、魚類細胞、真菌細胞および酵母細胞を含む。
【0353】
本明細書において使用される場合、「哺乳動物細胞」という用語は、ヒト、またはブタ(porcine)、ヒツジ(ovine)、ウシ、げっ歯類、有蹄類、ブタ(pig)、ヒツジ(sheep)、子ヒツジ、ヤギ、畜牛、シカ、ラバ、ウマ、サル、イヌ、ネコ、ラット、およびマウスを含むがこれらに限定されない非ヒト哺乳動物から得られるあらゆる細胞を含むことを意図している。
【0354】
いくつかの態様において、細胞は、ハイブリドーマ細胞、モノクローナル抗体産生細胞、ウイルス産生細胞、トランスフェクト細胞、がん細胞、および/または組換え型ペプチド産生細胞である。
【0355】
具体的な哺乳動物細胞としては、例えば、Cos、CHO(例えば、CHO-K1)、MDCK、HEK293、HEK293T(ラージT細胞抗原を発現するヒト胎児腎臓細胞)、NIH3T3、Swiss3T3、BHK(例えば、BHK-21)、L929マウス線維芽細胞、AHT-107ハイブリドーマ細胞、マウス骨髄腫細胞、サル線維芽細胞、X63骨髄腫細胞、HeLa細胞、NSOハイブリドーマ細胞、U-937細胞、MK2.7細胞、PER-C6細胞、5L8ハイブリドーマ細胞、Daudi細胞、El4細胞、HL-60細胞、K562細胞、Jurkat細胞、THP-1細胞、Sp2/0細胞、または本明細書において開示されるもしくは当業者に公知の任意の他の細胞型が挙げられる。
【0356】
追加の哺乳動物細胞型は、初代上皮細胞(例えば、ケラチノサイト、子宮頸部上皮細胞、気管支上皮細胞、気管上皮細胞、腎臓上皮細胞および網膜上皮細胞)ならびに樹立細胞株およびそれらの系統[例えば、293胎児腎臓細胞、BHK細胞、HeLa子宮頸部上皮細胞およびPER-C6網膜細胞、MDBK(NBL-1)細胞、911細胞、CRFK細胞、MDCK細胞、CHO細胞、BeWo細胞、Chang細胞、Detroit 562細胞、HeLa 229細胞、HeLa S3細胞、Hep-2細胞、KB細胞、LS 180細胞、LS 174T細胞、NCI-H-548細胞、RPMI 2650細胞、SW-13細胞、T24細胞、WI-28 VA13、2RA細胞、WISH細胞、BS-C-I細胞、LLC-MK.sub.2細胞、クローンM-3細胞、1-10細胞、RAG細胞、TCMK-1細胞、Y-1細胞、LLC-PK.sub.1細胞、PK(15)細胞、GH.1細胞、GH3細胞、L2細胞、LLC-RC 256細胞、MH.sub.1C1細胞、XC細胞、MDOK細胞、VSW細胞、およびTH-I、B1細胞、またはそれらの派生物]、いずれかの組織または器官[心臓、肝臓、腎臓、結腸、腸、食道、胃、神経組織(脳、脊髄)、肺、血管組織(動脈、静脈、毛細)、リンパ系組織(リンパ腺、咽頭扁桃、扁桃、骨髄、および血液)、脾臓を含むがこれらに限定されない]からの線維芽細胞、ならびに線維芽細胞および線維芽細胞様細胞株[例えば、CHO細胞、TRG-2細胞、IMR-33細胞、Don細胞、GHK-21細胞、シトルリン血症細胞、Dempsey細胞、Detroit 551細胞、Detroit 510細胞、Detroit 525細胞、Detroit 529細胞、Detroit 532細胞、Detroit 539細胞、Detroit 548細胞、Detroit 573細胞、HEL 299細胞、IMR-90細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、WI-26細胞、MiCl.sub.1細胞、CHO細胞、CV-1細胞、COS-1細胞、COS-3細胞、COS-7細胞、Vero細胞、DBS-FrhL-2細胞、BALB/3T3細胞、F9細胞、SV-T2細胞、M-MSV-BALB/3T3細胞、K-BALB細胞、BLO-11細胞、NOR-10細胞、C3H/IOTI/2細胞、HSDM.sub.1C3細胞、KLN205細胞、McCoy細胞、マウスL細胞、系統2071(マウスL)細胞、L-M系統(マウスL)細胞、L-MTK(マウスL)細胞、NCTCクローン2472および2555、SCC-PSA1細胞、Swiss/3T3細胞、インドキョン(Indian muntac)細胞、SIRC細胞、CII細胞、ならびにJensen細胞、またはそれらの派生物]を含み得るが、これらに限定されない。
【0357】
様々ながん細胞株が当業者によく知られている。本発明の方法によって培養され得るがん細胞株の代表例は、次のがん細胞株を含むが、これらに限定されない:ヒト骨髄腫(例えば、KMM-1、KMS-11、KMS-12-PE、KMS-12-BM、KMS-18、KMS-20、KMS-21-PE、U266、RPMI8226);ヒト乳がん[例えば、KPL-1、KPL4、MDA-MB-231、MCF-7、KPL-3C、T47D、SkBr3、HS578T、MDA4355、Hs 606(CRL-7368)、Hs 605.T(CRL-7365)Hs 742.T(CRL-7482)、BT474、HBL-100、HCC202、HCC1419、HCC1954、MCF7、MDA-361、MDA436、MDA453、SK-BR-3、ZR-75-30、UACC-732、UACC-812、UACC-893、UACC-3133、MX-1およびEFM-192A];乳管癌(乳癌)[例えば、HS 57HT(HTB-126)、HCC1008(CRL-2320)、HCC1954(CRL-2338);HCC38(CRL-2314)、HCC1143(CRL-2321)、HCC1187(CRL-2322)、HCC1295(CRL-2324)、HCC1599(CRL-2331)、HCC1937(CRL-2336)、HCC2157(CRL-2340)、HCC2218(CRL-2343)、Hs574.T(CRL-7345)、Hs 742.T(CRL-7482)];皮膚がん[例えば、COLO 829(CRL-1974)、TE 354.T(CRL-7762)、Hs 925.T(CRL-7677)];ヒト前立腺がん(例えば、MDA PCa 2aおよびMDA PCa 2b);骨がん[例えば、Hs 919.T(CRL-7672)、Hs 821.T(CRL-7554)、Hs 820.T(CRL-7552)、Hs 704.T(CRL-7444)、Hs 707(A).T(CRL-7448)、Hs 735.T(CRL-7471)、Hs 860.T(CRL-7595)、Hs 888.T.(CRL-7622);Hs 889.T(CRL-7626);Hs 890.T(CRL-7628)、Hs 709.T(CRL-7453)];ヒトリンパ腫(例えば、K562);ヒト子宮頸部癌(例えば、HeLA);肺癌細胞株[例えば、H125、H522、H1299、NCI-H2126(ATCC CCL-256)、NCI-H1672(ATCC CRL-5886)、NCI-2171(CRL-5929);NCI-H2195(CRL05931)];肺腺癌[例えば、NCI-H1395(CRL-5856)、NCI-H1437(CRL-5872)、NCI-H2009(CRL-5911)、NCI-H2122(CRL-5985)、NCI-H2087(CRL-5922)];転移性肺がん(例えば、骨)[例えば、NCI-H209(HTB-172)];結腸癌細胞株[例えば、LN235、DLD2、Colon A、LIM2537、LIM1215、LIM1863、LIM1899、LIM2405 LIM2412、SK-CO1(ATCC HTB-77)、HT29(ATCC HTB38)、LoVo(ATCC CCL-229)、SW1222(ATCC HB-11028)、およびSW480(ATCC CCL-228)];卵巣がん[例えば、OVCAR-3(ATCC HTB-161)およびSKOV-3(ATCC HTB-77)];中皮腫[例えば、NCI-h2052(CRL-5915)];神経内分泌癌[例えば、HCI-H1770(例えば、CRL-5893)];胃がん(例えば、LIM1839);神経膠腫(例えば、T98、U251、LN235);頭頸部扁平細胞癌細胞株(例えば、SCC4、SCC9およびSCC25);髄芽腫(例えば、Daoy、D283 MedおよびD341 Med);非セミノーマ精巣(例えば、TERA1);前立腺がん(例えば、178-2BMA、Du145、LNCaP、およびPC-3)。他のがん細胞株は当技術分野において公知である。
【0358】
いくつかの態様において、細胞は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許公開第2006/0073591号の表2において開示されているハイブリドーマである。
【0359】
いくつかの態様において、真核細胞は、哺乳動物細胞、線維芽細胞、多能性細胞、非ヒト多能性細胞、げっ歯類多分化能細胞、マウスもしくはラットの胚幹(ES)細胞、ヒト多能性細胞、ヒト成体幹細胞、発生学的に制限されたヒト前駆細胞、またはヒト人工多能性幹(iPS)細胞からなる群から選択される。
【0360】
発現に有用な酵母には、例として、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)[例えば、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)]、カンジダ(Candida)、トルロプシス(Torulopsis)、ヤロウイア(Yarrowia)、ピキア(Pichia)[例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・ギリエルモンディ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)]が含まれる。
【0361】
細胞は、Ca2+リン酸または脂質ベースのシステムなどだがこれらに限定されない、当技術分野において公知の標準的方法を使用してトランスフェクトすることができる。
【0362】
目的遺伝子
いくつかの態様において、目的遺伝子(GOI)は、例えば、1つもしくは複数のプロモーターおよび/または他の調節性配列に作動可能に連結された、1つまたは複数の組換え型タンパク質をコードする、1つまたは複数のオープンリーディングフレームを含む。いくつかの態様において、第1 GOI(親プラスミド上に位置する目的遺伝子)および第2 GOI(第2 GOIプラスミド上に位置する目的遺伝子)は、同じ分子クラスに属する。例えば、第1 GOIが抗体であった場合、親細胞株はその種類の組換え型タンパク質を効率的に発現したので、第2 GOIも抗体であり得る。
【0363】
いくつかの態様において、GOIは、生物製剤、例えば、抗体またはその抗原結合部分をコードする、1つまたは複数のポリヌクレオチド配列を含む。
【0364】
いくつかの態様において、GOIは、次のタンパク質のうちの1つの全体または一部と同一または実質的に同様のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む:腫瘍壊死因子(TNF)、flt3リガンド(WO94/28391)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、カルシトニン、IL-2、アンジオポエチン-2[Maisonpierre et al. (1997), Science 277(5322): 55-60]、NFカッパB活性化受容体リガンド(RANKL、WO01/36637)、腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL、WO97/01633)、胸腺間質由来リンホポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、オーストラリア特許第588819号)、マスト細胞成長因子、幹細胞成長因子(米国特許第6,204,363号)、上皮成長因子、ケラチノサイト成長因子、巨核球増殖分化因子、RANTES、ヒトフィブリノゲン様2タンパク質[FGL2;NCBI受託番号NM-00682;Rueegg and Pytela (1995), Gene 160: 257-62]成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様成長因子、副甲状腺ホルモン、インターフェロン[α-インターフェロン、γ-インターフェロン、およびコンセンサスインターフェロン(米国特許第4,695,623号および同第4,897471号)を含む]、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、シナプトタグミン様タンパク質(SLP 1~5)、ニューロトロフィン-3、グルカゴン、インターロイキン、コロニー刺激因子、リンホトキシン-β、白血病抑制因子、およびオンコスタチン-M。例えば、Human Cytokines: Handbook for Basic and Clinical Research, all volumes (Aggarwal and Gutterman, eds. Blackwell Sciences, Cambridge, Mass., 1998)、Growth Factors: A Practical Approach (McKay and Leigh, eds., Oxford University Press Inc., New York, 1993)、およびThe Cytokine Handbook, Vols. 1 and 2 (Thompson and Lotze eds., Academic Press, San Diego, Calif., 2003)を参照されたい。これらは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0365】
いくつかの態様において、GOIは、上述のタンパク質のいずれかの受容体、かかる受容体もしくは上述のタンパク質のいずれかに対するアンタゴニスト、および/またはかかる受容体もしくはアンタゴニストと実質的に同様なタンパク質のアミノ酸配列の全体または一部を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。これらの受容体およびアンタゴニストには、両形態の腫瘍壊死因子受容体(TNFR、p55およびp75と称される、米国特許第5,395,760号および米国特許第5,610,279号)、インターロイキン-1(IL-1)受容体(I型およびII型;欧州特許第0460846号、米国特許第4,968,607号、および米国特許第5,767,064号)、IL-1受容体アンタゴニスト(米国特許第6,337,072号)、IL-1アンタゴニストまたは阻害剤(米国特許第5,981,713号、同第6,096,728号、および同第5,075,222号)、IL-2受容体、IL-4受容体(欧州特許第0367566号および米国特許第5,856,296号)、IL-15受容体、IL-17受容体、IL-18受容体、Fc受容体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、顆粒球コロニー刺激因子受容体、オンコスタチン-Mおよび白血病抑制因子の受容体、NFカッパB活性化受容体(RANK、WO01/36637および米国特許第6,271,349号)、オステオプロテジェリン(米国特許第6,015,938号)、TRAILの受容体(TRAIL受容体1、2、3、および4を含む)、ならびにFasまたはアポトーシス誘導受容体(AIR)などのデスドメインを含む受容体が含まれる。
【0366】
いくつかの態様において、GOIは、分化抗原(CDタンパク質と称される)もしくはそれらのリガンドまたはこれらのいずれかと実質的に同様のタンパク質のアミノ酸配列の全体または一部を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。そのような抗原の例としては、CD22、CD27、CD30、CD39、CD40、およびそれらに対するリガンド(CD27リガンド、CD30リガンドなど)が挙げられる。CD抗原のうちのいくつかは、41BBおよびOX40も含むTNF受容体ファミリーのメンバーである。これらのリガンドは、41BBリガンドおよびOX40リガンドに当てはまるように、TNFファミリーのメンバーであることが多い。
【0367】
いくつかの態様において、GOIは、酵素活性のあるタンパク質またはそのリガンドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、また、本明細書において開示される方法を使用して生産することができる。例としては、次のタンパク質もしくはそれらのリガンドまたはこれらのうちの1つと実質的に同様のタンパク質のうちの1つの全体または一部を含むタンパク質が挙げられる:TNF-アルファ変換酵素を含むADAM(a disintegrin and metalloproteinase)ドメインファミリーメンバー、様々なキナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、第VIII因子、第IX因子、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A-I、グロビン、IL-2アンタゴニスト、アルファ-1アンチトリプシン、上述の酵素のいずれかのリガンド、ならびに多数の他の酵素およびそれらのリガンド。
【0368】
いくつかの態様において、GOIは、抗体またはその抗原結合部分をコードするポリヌクレオチド配列を含む。抗体の例は、タンパク質のいずれか1つまたは組合せを認識するものを含むが、これらに限定されず、タンパク質は、上述のタンパク質および/または以下の抗原を含むが、これらに限定されない:CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD147、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-7、IL-4、IL-5、IL-8、IL-10、IL-2受容体、IL-4受容体、IL-6受容体、IL-13受容体、IL-18受容体サブユニット、FGL2、PDGF-βおよびそれらの類似体(米国特許第5,272,064号および同第5,149,792号参照)、VEGF、TGF、TGF-β2、TGF-β1、EGF受容体(米国特許第6,235,883号参照)、VEGF受容体、肝細胞成長因子、オステオプロテジェリンリガンド、インターフェロンガンマ、Bリンパ球刺激因子[BlyS、別名BAFF、THANK、TALL-1、およびzTNF4;Do and Chen-Kiang (2002), Cytokine Growth Factor Rev. 13(1): 19-25参照]、C5補体、IgE、腫瘍抗原CA125、腫瘍抗原MUC1、PEM抗原、LCG(肺がんとの関連で発現される遺伝子産物)、HER-2、HER-3、RAS(例えば、K-RAS)、腫瘍関連糖タンパク質TAG-72、SK-1抗原、結腸がんおよび/または膵臓がんを有する患者の血清中に高レベルで存在する腫瘍関連エピトープ、乳がん、結腸がん、扁平細胞がん、前立腺がん、膵臓がん、肺がん、および/もしくは腎臓がんの細胞上ならびに/または黒色腫、神経膠腫、もしくは神経芽細胞腫の細胞上で発現されるがん関連エピトープまたはタンパク質、腫瘍の壊死性コア、インテグリンアルファ4ベータ7、インテグリンVLA-4、B2インテグリン、TRAIL受容体1、2、3、および4、RANK、RANKリガンド、TNF-α、接着分子VAP-1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞内接着分子-3(ICAM-3)、ロイコインテグリンアドヘシン(leukointegrin adhesin)、血小板糖タンパク質gp IIb/IIIa、心筋ミオシン重鎖、副甲状腺ホルモン、rNAPc2(第VIIa因子組織因子の阻害剤)、MHC I、癌胎児性抗原(CEA)、アルファフェトタンパク質(AFP)、腫瘍壊死因子(TNF)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原)、Fc-γ-1受容体、HLA-DR 10ベータ、HLA-DR抗原、スクレロスチン、L-セレクチン、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ならびにスタフィロコッカス・アウレウス(Staphlycoccus aureus)。本発明の方法を使用して生産され得る既知の抗体の具体例は、アダリムマブ、ベバシズマブ、インフリキシマブ、アブシキシマブ、アレムツズマブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、コナツムマブ、デノスマブ、エクリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、ラベツズマブ、マパツムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ムロモナブ-CD3、ナタリズマブ、ニモツズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、オレゴボマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、ロベリズマブ、トシリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリゾマブ(vedolizomab)、ザルツムマブ、およびザノリムマブを含むが、これらに限定されない。
【0369】
いくつかの態様において、GOIは、例えば、上述のタンパク質のいずれかを含む組換え型融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。例えば、ロイシンジッパー、コイルドコイル、免疫グロブリンのFc部分などの多量体化ドメインを加えた上述のタンパク質のうちの1つ、または実質的に同様のタンパク質を含む、組換え型融合タンパク質は、本発明の方法を使用して生産することができる。例えば、WO94/10308、Lovejoy et al. (1993), Science 259:1288-1293、Harbury et al. (1993), Science 262:1401-05、Harbury et al. (1994), Nature 371:80-83、Hakansson et al. (1999), Structure 7:255-64を参照されたい。そのような組換え型融合タンパク質に具体的に含まれるのは、受容体の一部が、エタネルセプト(p75 TNFR:Fc)、アバタセプト、またはベラタセプト(CTLA4:Fc)などの抗体のFc部分に融合しているタンパク質である。いくつかの態様において、GOIは、GFPまたはルシフェラーゼのような上記で開示したスクリーニング可能マーカーなどのマーカーをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0370】
ランディングパッド細胞株を生成するのに好適な候補親細胞を同定する方法
本開示はまた、本明細書において開示される方法に従ってランディングパッド細胞を生成するのに好適な候補親細胞を効率的に同定する方法を提供する。本明細書において開示される方法は、抗体などの目的の生物製剤の発現に好適な細胞の選択および造成を大幅に簡略化する。例えば、典型的な選択プロセスは、各細胞株について上位の生産クローン(例えば、5~10クローン)を同定し、サザンブロットおよび/または遺伝子コピー数の決定を介して各クローンを特性解析し、次いで上位候補を親細胞株として選択する、最大10種またはそれよりも多くの異なる細胞株生成ワークフローを必要とし得る。
【0371】
いくつかの態様において、本方法は、プラスミドを含む細胞株のライブラリーをスクリーニングすることを含み、このプラスミドは、GOIをコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの発現カセットを含有する(親プラスミド)。いくつかの態様において、親プラスミドは、ゲノム上の異なる場所において親細胞のゲノム内に組み込まれ得る。
【0372】
いくつかの態様において、細胞株ライブラリーは、細胞株の歴史的セット、すなわち、親プラスミドを組み込むことによって以前に修飾されている細胞、例えば、抗体などの生物製剤を発現するように造成されている細胞株である。他の態様において、細胞株ライブラリーは、例えば、親細胞のゲノム内の複数の場所における親プラスミドのランダム組み込みによって生成される。
【0373】
次に、候補細胞、すなわち、ライブラリー内の細胞を、特定の判断基準の存在についてスクリーニングすることができ、その目標は、(i)「ホット細胞」である細胞株、すなわち、同じGOIを発現する他の細胞と比較して組換え型タンパク質の収量が高いなどの有利な特性を有する細胞株、および(ii)「ホットスポット」、すなわち、親プラスミドが高レベルで転写されるゲノム上の位置(座位)において、親プラスミドが挿入されている細胞株、または何らかの他の望ましい特徴の選択である。
【0374】
いくつかの態様において、ライブラリー内の細胞をランディングパッド細胞の造成に好適な親細胞として選択するために考慮される特定の判断基準は、以下を含む:
(a)細胞力価:候補細胞によって発現された組換え型目的タンパク質の量(大抵はグラム/L単位)、
(b)親プラスミドコピー数:例えば、GAPDHを内部対照として使用するqPCRを使用して測定される、候補細胞に組み込まれた親プラスミドのコピー数、
(c)RNA発現レベル:例えば、サザンブロットを使用して決定される、候補細胞によって発現されたRNAの量、
(d)プラスミド構成:例えば、プラスミドジャンクション配列の同定を可能にする技法であるspPCR(スプリンケレットPCR)を使用して測定された、候補細胞のゲノム内の親プラスミドの向き、
(e)発現産物(例えば、GOIによってコードされる組換え型タンパク質)の特定の特性:例えば、特定のグリコシル化パターン、免疫原性、親和性、結合特異性、凝集、熱安定性など、または、
(f)それらのいずれかの組合せ。
【0375】
いくつかの態様において、候補細胞は、細胞力価が閾値レベルを超える場合、ランディングパッド細胞株の生成のために選択される。細胞力価は、発現される目的遺伝子に依存する量であり、したがって、ある特定の目的遺伝子について高いとみなされ得る量が、別のものについては低いとみなされる場合があり、その逆も同様である。例えば、いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、少なくとも約1g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約3g/L、少なくとも約4g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約6g/L、少なくとも約7g/L、少なくとも約8g/L、少なくとも約9g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約11g/L、少なくとも約12g/L、少なくとも約13g/L、少なくとも約14g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約16g/L、少なくとも約17g/L、少なくとも約18g/L、少なくとも約19g/L、または少なくとも約20g/Lである。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、約1g/L、約2g/L、約3g/L、約4g/L、約5g/L、約6g/L、約7g/L、約8g/L、約9g/L、約10g/L、約11g/L、約12g/L、約13g/L、約14g/L、約15g/L、約16g/L、約17g/L、約18g/L、約19g/L、または約20g/Lである。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、約1g/Lから約2g/L、約2g/Lから約3g/L、約3g/Lから約4g/L、約4g/Lから約5g/L、約5g/Lから約6g/L、約6g/Lから約7g/L、約7g/Lから約8g/L、約8g/Lから約9g/L、約9g/Lから約10g/L、約10g/Lから約11g/L、約11g/Lから約12g/L、約12g/Lから約13g/L、約13g/Lから約14g/L、約14g/Lから約15g/L、約15g/Lから約16g/L、約16g/Lから約17g/L、約17g/Lから約18g/L、約18g/Lから約19g/L、または約19g/Lから約20g/Lである。
【0376】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察される力価より、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%高い。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察される力価より、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、または約200%高い。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察される力価より、約10%から約20%、約20%から約30%、約30%から約40%、約40%から約50%、約50%から約60%、約60%から約70%、約70%から約80%、約80%から約90%、約90%から約100%、約100%から約110%、約110%から約120%、約120%から約130%、約130%から約140%、約140%から約150%、約150%から約160%、約160%から約170%、約170%から約180%、約180%から約190%、または約190%から約200%高い。
【0377】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察される力価より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、または少なくとも約20倍高い。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察される力価より、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、約19倍、または約20倍高い。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するための細胞力価閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察される力価より、約2倍から約3倍、約3倍から約4倍、約4倍から約5倍、約5倍から約6倍、約6倍から約7倍、約7倍から約8倍、約8倍から約9倍、約9倍から約10倍、約10倍から約11倍、約11倍から約12倍、約12倍から約13倍、約13倍から約14倍、約14倍から約15倍、約15倍から約16倍、約16倍から約17倍、約17倍から約18倍、約18倍から約19倍、または約19倍から約20倍高い。
【0378】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するためのコピー数閾値は、親プラスミドの1コピーのみの存在である。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するためのコピー数閾値は、親プラスミドの2コピーの存在である。
【0379】
いくつかの態様において、特に、候補細胞のゲノム内の場所において組み込まれた親プラスミドが2コピー以上存在する場合には、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するためのプラスミド構成は、ヘッド・トゥ・テール構成であり、すなわち、親プラスミドの両コピーが同じ向きにある。
【0380】
いくつかの態様において、候補細胞は、親プラスミドのRNA発現レベルが閾値レベルを超える場合、ランディングパッド細胞株の生成のために選択される。いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するためのRNA発現レベル閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察されるRNA発現レベルより、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%高い。
【0381】
いくつかの態様において、ランディングパッド細胞株の生成のための候補細胞を選択するためのRNA発現レベル閾値は、同じ目的遺伝子を発現する参照細胞株において観察されるRNA発現レベルより、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、または少なくとも約20倍高い。
【0382】
好適な細胞株の同定により、親プラスミドの中の潜在的な相同組換え場所の同定が可能になり、次に、これを使用して、親株からランディングパッド細胞株を導出することができた。よって、この方法論は、ランダム組み込み細胞株造成プログラムから標的化組み込み方策への移行を可能にする。
【0383】
キット
本開示はまた、本明細書において開示される方法のいずれかを実施するためのキットおよび製品、例えば、本明細書において開示される方法に従って生成される発現細胞を作製するために使用される、細胞(例えば、ランディングパッド細胞または親細胞)、ランディングパッドプラスミド、第2 GOIプラスミドを作製するためのプラスミド、またはそれらのいずれかの組合せを含み、使用説明書を含んでいてもよいキットおよび製品を提供する。いくつかの態様において、キットは、少なくとも1つのガイドRNA、部位特異的リコンビナーゼを発現するプラスミド、リコンビナーゼタンパク質自体、リコンビナーゼをコードする転写物を作製するためのプラスミド、またはそれらのいずれかの組合せを含む。
【実施例
【0384】
[実施例1]
【0385】
ランディングパッド細胞株を生成するための親細胞株の同定
ある方策を使用して、新しい細胞株を構築する必要なく、ランディングパッド細胞株として使用される1つまたは複数の好適な親細胞株を同定した。これは、従来のランダム組み込みを用いて生成された細胞株の歴史的セットを、発現カセットがゲノム内の1つの座位だけに組み込まれる所望の生産性および性能について分析することによって達成された。この分析は、生物学的に重要な目的タンパク質を使用して、「ホット細胞」およびそれらのそれぞれの「ホットスポット」(ゲノム上の位置)を効率的に同定した。
【0386】
いくつかの細胞株造成プロジェクトに関する、サザンブロットデータ、およびqPCRによって決定された発現プラスミドコピー数データをスクリーニングして、1~2の低コピー数の発現プラスミドを含有する単一の組み込み部位を含む親細胞株を同定した。
【0387】
2つの好適な細胞株の同定の例は、2つの好適な細胞株を見出すために使用した方策を概括する図2に示されている。親細胞株である細胞株1および細胞株2は、それぞれ、特定の標的に対する指向性を持つmAbを発現する細胞株である。LC=軽鎖、HC=重鎖。コピー数=細胞株における発現プラスミドの数。各発現プラスミドは、LCおよびHCの発現カセットを含んでいた。コピー数は、GAPDHを内部対照として使用するqPCRによって決定した。spPCR=スプリンケレットPCR。この技術は、プラスミドジャンクション配列の同定を可能にした。LC RNAおよびHC RNAのレベルは、細胞株1について見出されたものに対して正規化した。したがって、細胞株2における転写物レベルは、細胞株1のものよりも20%高かった。
【0388】
各細胞株において観察されたモノクローナル抗体発現プラスミドの構成は、図2および図3に示されている。図3は、細胞株1および細胞株2の両方において見出された構成を示す親プラスミドの簡略化された描写である。両細胞株における親プラスミドがヘッド・トゥ・テール構成にあった。細胞株1および細胞株2における構成は、サザンブロット分析、およびプラスミドとプラスミドの融合が検出されたプラスミド配列ジャンクションの決定によって確立された。図3における矢印およびGSは、グルタミンシンテターゼ相補性を表す。
【0389】
好適な細胞株の同定により、親プラスミドの中の潜在的な相同組換え場所の同定が可能になり、次に、これを使用して、親株からランディングパッド細胞株を導出することができた。よって、この方法論は、ランダム組み込み細胞株造成プログラムから標的化組み込み方策への移行を可能にする。
【0390】
親細胞株1の5’および3’プラスミド配列ジャンクションが同定された。5’ジャンクションに対応するCHOゲノム配列を、配列番号18に定める配列に示し、3’ジャンクションに対応するCHOゲノム配列を、配列番号19に定める配列に示す。
[実施例2]
【0391】
候補親細胞株からのランディングパッド細胞株の生成
上述のように細胞株が同定されたら、親細胞株における発現カセットをランディングパッドプラスミドなどの代替的プラスミドに置き換えること(図4A)、またはそれをランディングパッド細胞株として直接使用すること(図4B)のいずれかが望まれる。この手法を使用した場合、親細胞株の均等物において元のプラスミドにフランキングする配列を使用することによって相同組換え反応が起こり、そのため、細胞(ゲノム)のフランキング配列の知識が必要になる。図4Bの親細胞株は、低コピー数の発現プラスミドからの高発現をサポートするものとして確立されている。
[実施例3]
【0392】
汎用性ランディングパッド細胞
当技術分野において公知のような相同組換えによって発現プラスミドまたはランディングパッドプラスミドを細胞ゲノムに直接挿入するには、相同組換えのために使用される細胞配列を同定する必要がある。この方策は、有害効果をもたらす可能性がある部位特異的ヌクレアーゼによって制限された同じ配列を持つ姉妹染色体が存在することが多いため、潜在的に良好な親細胞株を見逃すリスクがある。
【0393】
細胞(ゲノム)のフランキング配列に関する知識と無関係である、ランディングパッド細胞を作製するための、かつ、親細胞株における親プラスミドをランディングパッドそのものとして使用するための、代替的方法を開発した。この方策は、(1)好適な部位特異的エンドヌクレアーゼの設計を可能にするための十分なフランキング細胞配列の同定を必要とせず、(2)ランディングパッド上への相同組換えのための領域の生成およびクローニングを必要とせず、(3)有害な姉妹染色分体の制限の可能性の回避を必要としないことにより、現在の工業的方策に優る複数の利点を提供する。この方法は、(4)すべての発現細胞株に適用可能であることから本質的に汎用性であり、(5)代替的なゲノム依存性方策よりも高速かつ安価である。上記で開示した親細胞選択方法を、本明細書において提供される汎用性ランディングパッド細胞を生成する方法と組み合わせることで、ランディングパッド、およびそれらの関連する「ホットクローン」、またはランディングパッド細胞として使用するための「ホット細胞株」の生成および検証のための、特に効率的な方策がもたらされる。この方策を使用する場合、フランキングする染色体領域の同定を必要とせずに、同じプラスミドベクターセットアップが使用される。
【0394】
例示的な概略的方法を図5Aに提示する。本発明者らは、モノクローナル抗体を発現していた親細胞株を使用し、親細胞株における発現カセットにフランキングするプラスミド配列を相同組換えの部位として使用した。部位特異的エンドヌクレアーゼは、親細胞株におけるプラスミド配列を標的化し、それにより、姉妹染色体中の部位を回避した。部位指向性エンドヌクレアーゼによって標的化された配列は、第2のプラスミド(ランディングパッドプラスミド)には存在しなかった。標的化された配列がランディングパッドプラスミド中にあった場合、それらは除去される。図5Aに示すように、第2のプラスミド(P2)は、Lox部位を有し、蛍光マーカー(b1mCherry)をコードし、親細胞株に存在した元の発現プラスミドとは異なる選択マーカー(ピューロマイシン耐性)を発現した。
【0395】
部位特異的エンドヌクレアーゼ(CRISPR/Cas)および第2のプラスミドの存在下で、ランディングパッド細胞株を生成した(図6A)。ランディングパッド細胞株に存在するLox部位を使用して、Cre指向性組換え(図7A)によってmCherry/ピューロマイシンコーディング配列を置き換えるために、Lox部位によってフランキングされた生物製剤のための発現カセットを含む第3のプラスミド(P3)を使用した。
【0396】
したがって、図5Aに表されたすべての工程は、実施例1において試験された2つの親細胞株のうちの1つから選択された、抗体(第1目的遺伝子)を発現していた親細胞株から出発し、2.5g/L超でmAb3抗体をコードする遺伝子(第2目的遺伝子)を発現することが可能な発現細胞株を作製することによって遂行した(図7Aおよび7B)。第2の親細胞株は、ランディングパッド細胞株を作出するために使用した。
【0397】
提示した実験データにおいて、図5Aに提示したプロセス全体を遂行した。しかし、mCherry/ピューロマイシン中間体ランディングパッド細胞株を生成するために必要な工程は、図5Bに示すように完全に省いてもよい。この場合、親細胞株のmAb発現プラスミドがランディングパッドとして機能する。よって、ランディングパッドとして機能するmAb発現プラスミドが、この場合は、部位特異的エンドヌクレアーゼによって刺激された相同組換えによって直接、異なるmAb発現プラスミドに置き換えられる。この方法は、図5Aにおいて開示されるものより少ない時間を要し、標的化組み込みについての親細胞株の好適性の直接評価を可能にする。
【0398】
推定上の発明における部位特異的組換えを使用する2つの代替的フォーマットの概略が図8Aに示されている。両方のバージョンにおいて、ランディングパッドプラスミドは、蛍光マーカー(b1mCherry)をコードし、親細胞株に存在する親プラスミドとは異なる選択マーカー(ピューロマイシン耐性)を発現し、例えば、異種の部位特異的組換え部位(SSRS)によってフランキングされている。部位特異的組換え部位は、図8Aでは、Creリコンビナーゼの標的であるLox PおよびLox 511として示されている。部位特異的エンドヌクレアーゼ(CRISPR/Cas)およびランディングパッドプラスミドの存在下で、親細胞株におけるmAb発現カセットは、Lox部位によってフランキングされたmCherryとして示されるランディングパッドに置き換えられるか、または欠失して、ランディングパッドが代替的座位に組み込まれる(それぞれ、図8Aおよび8B)。図8Aのフォーマットでは、ランディングパッドは、高発現をサポートするホットスポットにある。図8Bのフォーマットでは、代替的なホットスポットが同定され得る。親細胞株はホット細胞であるため、追加のホットスポットの同定は、高力価などの好ましい性状を持つ発現細胞株を生成することができるランディングパッド細胞株をもたらす。
【0399】
図8Aおよび8Bに示されるランディングパッド細胞株を同定するためのスクリーニング方策を確立した(図9)。ランディングパッドプラスミドをCRISPR/Cas部位特異的エンドヌクレアーゼと併せて親細胞株にトランスフェクトし、ピューロマイシン耐性細胞を選択した。CRISPR/Casの使用は、組換えを促進することによってランディングパッド細胞株の生成を刺激し得る。図9参照。それぞれ左および右の写真におけるsgRNAあり(+)およびなし(-)を比較されたい。sgRNAの存在は、mCherry陽性細胞の数を増加させ、組換えの刺激を示した。FACSを使用して、mCherry陽性(Red+)ピューロマイシン耐性細胞を単細胞クローニングした。親細胞株のmAbをもはや発現しない細胞を増殖させ、PCRベースの定量的遺伝子コピー数アッセイにより、ランディングパッドならびにあらゆる残存する軽鎖および重鎖遺伝子の存在についてスクリーニングした。mAb配列を含まず、ランディングパッドを1~2コピーのみ含むものをさらに評価した。ピューロマイシン耐性細胞のおおよそ25%がランディングパッド細胞株である。これらの細胞を継代して、mCherryの蛍光強度中央値(MFI)および転写物レベルが一定のままであることを確実にした。スクリーニングした28クローンのうち14クローンは、ジャンクション特異的PCRおよびddPCRによる遺伝子コピー数の評価によって決定すると、図8Aに描写したようにmAb配列を置き換えるシングルランディングパッドを有していた。ランディングパッド細胞株の残りは、図8Bに描写したように代替的座位にあった。
【0400】
図8Aおよび図8Bの方策A、B、C、およびDに表されたすべての工程は、首尾よく遂行された。mAbを作製するための2本の軽鎖および2本の重鎖の発現カセットから構成された第2 GOIプラスミドを使用して、12個のランディングパッド細胞株の性能を評価した。評価した第1のパラメータは、Cre組換え後の発現細胞のパーセントであった。これは、選択後だが単細胞クローニングの工程の前のバルク集団に存在するRed(-)細胞のパーセントを測定することによって行った。Red(-)発現細胞のパーセントは、試験した12個のランディングパッド細胞株について11~39の範囲であり、平均は24であった(図10)。Creの非存在下では、ほぼすべてのランディングパッド細胞株でRed(+)が99%を超えている。これは、ランディングパッド細胞株およびそれらのLox部位がCre指向性組換えのために機能的であることを実証する。
【0401】
図8Aの代表的な発現細胞株を、Red(-)細胞に対するFACS選別により、12個のランディングパッド細胞株のうちの5つから生成した。ランディングパッド細胞株1つ当たり32個の発現細胞株をランダムにピッキングし、増殖させ、24ディープウェルプレート(DWP)フェドバッチアッセイを使用してそれらの生産性を決定した。その結果を図11Aおよび11Bに示す。すべてのランディングパッド細胞株が力価中央値1.69g/L超で複数の発現細胞株を生成し、複数のクローンは各々3g/L超の力価を有し、少数は4g/L超の力価を有していた。これは、ランディングパッド細胞株のすべてが製造目的に好適な発現細胞株を生成できることを実証する。
【0402】
これらの高発現細胞株は、わずか32個のランダムに選定されたクローンからの単細胞クローニングの後に中間スクリーニングを用いずに同定された。それにより何週間もの時間が短縮され、スクリーニングする必要のあるクローンの数が大幅に低減し、これらはいずれも高い価値を持つ。さらに、試験した5つのランディングパッド細胞株は、互いと統計的に区別不能である。これらのデータは、親プラスミド座位がホットスポットであること、そして、この1つの座位から、比較的わずかなスクリーニングを用いて複数のランディングパッド細胞株が生成されたので、図8Aおよび8Bに概説した汎用性TI方策が有効であることを実証する。
【0403】
図8Aおよび8Bに示されるような発現細胞株を生産する技術は、ランディングパッドの少なくとも一部を置き換える。当技術分野では、置き換えが必要とされないランディングパッド技術が公知であり、それには、[Thyagarajan, B., Olivares, E.C., Hollis, R.P., Ginsburg, D.S. and Calos, M.P. (2001) Site-specific genomic integration in mammalian cells mediated by phage phiC31 integrase. Mol. Cell. Biol., 21, 3926-3934、Gaidukov, L., Wroblewska, L., Teague, B., Nelson, T., Zhang, X., Liu, Y., Jagtap, K., Mamo, S., Tseng, W.A., Lowe, A. et al. (2018) A multi-landing pad DNA integration platform for mammalian cell engineering. Nucleic Acids Res., 46, 4072-4086、Sauer, B. and Henderson, N. (1990) Targeted insertion of exogenous DNA into the eukaryotic genome by the Cre recombinase. New Biol, 2, 441-449、Fukushige, S. and Sauer, B. (1992) Genomic targeting with a positive-selection lox integration vector allows highly reproducible gene expression in mammalian cells. Proc Natl Acad Sci U S A, 89, 7905-7909]が含まれる。これらの代替的なランディングパッドおよび関連技術は、図8Aにおいて開示されるCre/Loxランディングパッド設計の代わりに使用され得る。
[実施例4]
【0404】
デュオランディングパッド細胞
上文では、シングルランディングパッドを含有するランディングパッド細胞株について記述している。しかし、2つ以上のランディングパッドを含むランディングパッド細胞株は、二重特異性モノクローナル抗体などのマルチサブユニット生物製剤の発現をさらに洗練する機会を提供する。したがって、本発明者らは、同じ座位にある2つのランディングパッド、デュオランディングパッドを含むランディングパッド細胞株についてスクリーニングした。これにより、両方のランディングパッドが同じ座位に存在するので、それら両方からの等しい発現が確実になるであろう。デュオランディングパッドは、ヘッド・トゥ・ヘッド、テール・トゥ・テール、テール・トゥ・ヘッド、およびヘッド・トゥ・テール(図12B)という4つの異なる向きで組み込むことができる。CreまたはFlpなどの単一部位指向性リコンビナーゼが使用される際は、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成が好ましく、互いに機能的に区別できない。Creの存在下でランディングパッドのうちの1つの欠失をもたらし得るテール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの構成とは異なり、他の2つの構成は、単純に反転を起こし、同じ始めの構成をもたらす(図12B)。本発明者らは、そのようなデュオランディングパッド細胞株をヘッド・トゥ・ヘッド構成で生成した。これは、図8Bに示したような親細胞株のmAbが存在したところ以外の代替座位である。
【0405】
図12Bの4つのデュオランディングパッド構成の各々を用いて第2 GOIプラスミドが使用される際には、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの構成は各々、プラスミドジャンクションにフランキングする2つの組換え部位の間の配列が反転し得る2つの細胞株を生成し得るが、さもなければ2つの細胞株は同じである(図13)。ヘッド・トゥ・テールまたはテール・トゥ・ヘッドの構成が第2 GOIプラスミドと共に使用される際には、2つの第2 GOIを含む細胞株が生産される。しかし、十分な量のCre活性が存在する場合には、第2 GOIのうちの1つを除去して、単一の第2 GOIを含む第2 GOIプラスミド細胞株をもたらすことができる(図14)。
【0406】
ランディングパッドが、例えば図12BのLox 511の代わりにFlpのためのFrt認識部位を使用し、CreおよびFlpの両方が使用される場合、同じ結果が得られ(図12A図15と比較されたい)、テール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの向きでは欠失が起こり、一方、ヘッド・トゥ・ヘッドおよびテール・トゥ・テールの向きでは反転が起こる(図15)。しかし、テール・トゥ・テールおよびヘッド・トゥ・ヘッドの構成では、インテグラーゼと共にattP/attBを使用してデュオランディングパッド内に第2 GOIを組換えても反転は生じないが、テール・トゥ・ヘッドおよびヘッド・トゥ・テールの構成では、ランディングパッドのうちの1つの欠失が依然として起こり得る(図16)。ランディングパッドの各々が例えばattP部位を1つだけ有するならば、図16の4つのデュオランディングパッド構成のいずれにおいても、単一のattB部位を含む環状の第2 GOIプラスミドの単一の組み込みが起こり、欠失が起こらない結果となる。
【0407】
デュオランディングパッドは、複数の異なるGOIプラスミドと同時に使用することができる。生物製剤を作製するために必要な複数の異なる発現カセットを含むシングルランディングパッドを含むランディングパッド細胞株の使用が開示されている。デュオランディングパッド細胞株の使用には、シングルランディングパッドを含むランディングパッド細胞株に優る利点がある。シングルランディングパッド細胞株の場合、この細胞株は単一の第2 GOIしか受け入れないため、多成分生物製剤を作製するために必要なすべての発現カセットが、単一の第2 GOIプラスミド中に配置されなければならない。これはデュオランディングパッド細胞株には当てはまらない。デュオランディングパッド細胞株は、上昇した発現多様性レベルにおいて設計する機会をもたらし、優れた特性を持つ発現細胞株を作出する機会を提供する。
【0408】
多様性は、第2 GOIプラスミドの異なる構成を使用して、複数のやり方で生成され得る。1つの例では、第2 GOIプラスミドが、ユニークな構成において、複合生物製剤を作製するのに必要なすべての発現カセットを含有する。第2の例では、第2 GOIプラスミドが、発現細胞株を作製するために同じ細胞内に存在する必要のある発現カセットのサブセットを含有してもよい。第3の例は、複合生物製剤を作製するために必要とされるユニークな構成における発現カセットのすべてを有する1つまたは複数の第2 GOIプラスミドを、ユニークな構成におけるすべての発現カセットのサブセットを含有する第2 GOIプラスミドのセットと併せた、前出の2例の組合せである。
【0409】
例示のみを目的として、実現され得る多様性の簡略化された表現を図17Aに示す。各ランディングパッドは、Lox 511およびLox Pの対から構成されている。ここでは、複合生物製剤を作製するために必要な発現カセットが2つのセットに分割されており、その一方は実線の矢印によって表され、他方は破線の矢印によって表されている。両セットが単一の第2 GOIプラスミド中に見出される場合、それらは、実線-破線および破線-実線の配置におけるタンデムの矢印によって示されるように、異なる構成であり得る。また、単一の矢印として示されているのは、発現プラスミドの2つのセットのうちの1つのみを含有する第2 GOIプラスミドである。各ランディングパッドにおける単一の実線および破線の矢印は示されていない。発現カセットの2つのセットを異なる組合せで含む7つの異なる発現細胞株が示されている。発現細胞株における2つのセットの比率は左側に示されている。容易に分かるように、複雑性は、シングルランディングパッドを有するものと比較すると大きく増加する。このような多様な発現細胞株セットを容易にスクリーニングして、優れた特性のうちの1つを見出すことは可能である[Altamura, R., Doshi, J. and Benenson, Y. (2022) Rational design and construction of multi-copy biomanufacturing islands in mammalian cells. Nucleic Acids Res., 50, 561-578]。
【0410】
図12A~17Aは、両方のランディングパッドが同じリコンビナーゼまたはInt認識配列を有するデュオランディングパッド構成を示すが、各ランディングパッドにユニークな組換え「アドレス」を持たせることが可能である。CreおよびFlpなどのリコンビナーゼの場合、4つのユニークな認識配列が使用されることになる。各ランディングパッドは、認識部位のユニークな対を有することになる。4つの不適合性Lox部位を使用する例が図18に示されている[Langer, S.J., Ghafoori, A.P., Byrd, M. and Leinwand, L. (2002) A genetic screen identifies novel non-compatible loxP sites. Nucleic Acids Res., 30, 3067-3077、Missirlis, P.I., Smailus, D.E. and Holt, R.A. (2006) A high-throughput screen identifying sequence and promiscuity characteristics of the loxP spacer region in Cre-mediated recombination. BMC Genomics, 7, 73、Siegel, R.W., Jain, R. and Bradbury, A. (2001) Using an in vivo phagemid system to identify non-compatible loxP sequences. FEBS Lett., 505, 467-473]。追加の方策の例としては、図18における2つのLox部位を2つの不適合性Frt部位に置き換えること、およびCreをFrtと共に使用すること[Lauth, M., Spreafico, F., Dethleffsen, K. and Meyer, M. (2002) Stable and efficient cassette exchange under non-selectable conditions by combined use of two site-specific recombinases. Nucleic Acids Res., 30, e115]、インテグラーゼを2つから4つの不適合性aat部位と共に使用すること[Jusiak, B., Jagtap, K., Gaidukov, L., Duportet, X., Bandara, K., Chu, J., Zhang, L., Weiss, R. and Lu, T.K. (2019) Comparison of Integrases Identifies Bxb1-GA Mutant as the Most Efficient Site-Specific Integrase System in Mammalian Cells. ACS Synth Biol, 8, 16-24.]、2つ以上のインテグラーゼ、例えばBxB1[Jusiak, B., Jagtap, K., Gaidukov, L., Duportet, X., Bandara, K., Chu, J., Zhang, L., Weiss, R. and Lu, T.K. (2019) Comparison of Integrases Identifies Bxb1-GA Mutant as the Most Efficient Site-Specific Integrase System in Mammalian Cells. ACS Synth Biol, 8, 16-24.]およびphiC31のものを使用すること[Smith, M.C., Brown, W.R., McEwan, A.R. and Rowley, P.A. (2010) Site-specific recombination by phiC31 integrase and other large serine recombinases. Biochem. Soc. Trans., 38, 388-394]、ならびにそれらの組合せが挙げられる。各ランディングパッドにおける単一のatt部位の使用は、各ランディングパッドへの第2 GOIプラスミドの挿入のために十分である(図19)。この場合、線状プラスミドは染色体を実質的に制限することになるので、第2 GOIプラスミドは環状である必要がある。また、各々がユニークなアドレスを含むように、ランディングパッドが複数のatt部位を含み得ることも明らかである。これらの例は範囲を限定することを意図してはいない。
【0411】
ユニークなアドレスを持つランディングパッドを用いるデュオランディングパッド構成は、それらがアドレス指定可能でない場合と比較して(図17Aおよび17Bを参照されたい)、発現細胞株のさらに定義された多様性、およびシングルランディングパッドを含むランディングパッド細胞株に対してより高い多様性を生成するために使用することもできる。図17Bには、ユニークなアドレスを持つランディングパッドを使用する簡略図が示されている。1つのランディングパッドはLox 511およびLox Pから構成され、2つ目はLox部位2272およびM3を含む。矢印の説明は、上記の図17Aのものと同じである。この例では、特定の第2 GOIが所望されることは分かっているが、複合生物製剤を発現するために必要なものの残りは十分に定義されていないため、4つの異なる第2 GOが隣接するランディングパッド内に配置された結果、4つの異なる発現細胞株が生じている。このような多様な発現細胞株セットを容易にスクリーニングして、優れた特性のうちの1つを見出すことは可能である[Altamura, R., Doshi, J. and Benenson, Y. (2022) Rational design and construction of multi-copy biomanufacturing islands in mammalian cells. Nucleic Acids Res., 50, 561-578]。
【0412】
アドレス指定可能ランディングパッドの追加の用途は、各々が特有の独立した機能を持つ2つの独立した生物製剤を発現させる選択肢である。生物製剤のうちの1つが、発現細胞株による第2の生物製剤の発現を助ける可能性もあれば、または、第1の生物製剤が、第2の生物製剤の特定の翻訳後修飾を引き起こす可能性もあれば、もしくは発現細胞株の何らかの他の構成要素を修飾する可能性もある。これらは単に例であり、本質的に限定的であることを意図してはいない。図17Aのように2つのランディングパッドがユニークなアドレスを有しない場合にこれらの同じ使用が該当し、より高レベルの多様性が得られるだけであることは明らかである。
【0413】
親細胞株の親プラスミドのものとは代替的な座位におけるヘッド・トゥ・ヘッド構成の使用を実践するため、デュオランディングパッド細胞株の有用性を低減させた。この第2 GOIプラスミドは、軽鎖および重鎖遺伝子の単一コピー、ならびに図8Aおよび8Bに示したようなGS選択カセットを含有する。Cre組換え後の発現細胞のパーセントを決定した。これは、mAb発現がIgG細胞表面染色によって検出されたRed(-)mAb(+)細胞の数を測定することによって行った。その結果を(図20)に示す。選択からの回復後、両ランディングパッドの6.24%が第2 GOIによって置き換えられた。本質的にすべてのRed(-)細胞がmAb(+)であるため、例えばFACSによるRed(-)細胞における単細胞クローニングは、発現細胞株のみの単離を可能にする。
【0414】
これにより、選択段階中の増殖およびC50生産性スクリーニング、ならびに細胞株造成におけるクローン造成中の静的スクリーニング(図1)をなくすことができる。また、クローン造成段階(図1)においてスクリーニングする必要のある発現細胞株の数も低減する。図1は、ランダム組み込みを使用した歴史的細胞株の造成を描写する。これは、細胞株に線状発現プラスミドをトランスフェクトした結果、それが細胞のゲノム内のランダムな場所で組み込まれる、標準的な細胞株造成方策であった。トランスフェクション後、細胞を細分してプレートに入れ、薬物(ピューロマイシン)または栄養要求体相補性[グルタミンシンテターゼ(GS)]などの選択に供した。発現プラスミドを含む細胞のみが生存し、これらをマスターウェル造成中に増殖させた。高発現クローンが見出され得ることを確実にするために、生産性上位のマスターウェルからの細胞数千個をクローン造成のために単細胞クローニングした。クローンを増殖させ、上位候補クローンが同定されるまで複数回のスクリーニングに供した。上位6クローンが同定され(上位6つのRCB)、これらを製造目的での好適性についてさらに評価し(RCBクローン選択)、その最後に最上位クローンが同定された。
【0415】
2つのmAbに対する発現細胞株を作製することにより、ランダム組み込みと比べた標的化組み込みの価値を評価した。デュオランディングパッド細胞株およびCHO宿主細胞株に、それぞれCreリコンビナーゼありまたはなしで、それぞれの第2 GOIプラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を選択にかけ、c50チューブに播種するのに十分な細胞が利用可能になるまで増殖させ、それらの生産性を試験した。その結果を図21に提示する。標的化組み込みは、ランダムに組み込まれた細胞の力価の3倍を超える力価を生成した。これらは総集団であるため、このことは、標的化組み込みが、平均して、ランダム組み込みと比較して著しく高く発現する細胞株を作製することを実証する。
【0416】
デュオランディングパッド細胞株は、適切なレベルで生物製剤を生産することができる。1LCおよび1HCまたは2LCおよび2HCのいずれかの発現カセットを有する2つの異なる第2 GOIプラスミド構成をデュオランディングパッド細胞株で使用して、mAb AおよびmAb Bを作製した。各々からの上位6クローンを製造バイオリアクターのスケールダウンモデルにおいて各mAbについて評価した(図22)。1LCおよび1HC構成では、mAb AおよびmAb Bの力価はそれぞれ3.1~5.7g/Lおよび3.5~4.8g/Lの範囲であった。2LCおよび2HCの第2 GOIプラスミドを使用した場合、mAb AおよびmAb Bの両方の力価が上昇し、それぞれ3.8~6.6g/Lおよび4.3~6.7g/Lの範囲の力価が生じた。これは、mAb AおよびmAb Bについてそれぞれ25%および38%の平均力価上昇に相当し、GOIプラスミド構成の変化が力価を上昇させ得ることを実証している。このデータは、デュオランディングパッドが高力価発現細胞株を再現可能に生成することも実証する。12個の発現細胞株のサザンブロットおよびロングリードDNAシーケンシングによる遺伝子特性解析は、それらがすべてランディングパッド内へのCre指向性組換えから生じたことを実証した(データは示さない)。
【0417】
これらのデータは、図5Bおよび8に概説したようなTIランディングパッド細胞株を作製するための汎用性方策が明らかな有用性を有し、ランダム組み込み技術と比較して、より高く発現する発現細胞株を含む集団を生成し、適切な生産性を有する発現細胞株を作製するのにかかる時間を削減することを立証する。これはまた、デュオランディングパッド設計、およびホットスポットとしてのデュオランディングパッドが存在する座位の機能性を立証する。
[実施例5]
【0418】
ランディングパッドホットスポット
前述の開示に加えて、本発明者らは、同定された「ホットスポット」の座位も提供する。これらの「ホットスポット」座位はユニークであり、1つまたは複数のランディングパッドが挿入され得る場所を提供する。これらの座位は、互いと無関係に使用することも、組合せで使用することもできる。本開示は、2つのランディングパッドホットスポット(ホットスポット1およびホットスポット2)を提供する。
【0419】
ホットスポット1は、モンゴルキヌゲネズミのgi|1497155598|ref|NW_020822499.1(配列番号22)の中に位置する。いくつかの態様において、ホットスポット1は、配列番号20の中に位置する。相同組換えに好適な5’配列を配列番号16および18に示す。相同組換えに好適な3’配列を配列番号17および19に示す。いくつかの態様において、ホットスポット1における組み込み部位は、配列番号21に定める配列を含むかまたはそれからなる。
【0420】
ホットスポット2は、モンゴルキヌゲネズミのref|NW_020822577.1(配列番号118)の中に位置する。いくつかの態様において、ホットスポット2は、配列番号116の中に位置する。相同組換えに好適な5’配列を配列番号112および114に示す。相同組換えに好適な3’配列を配列番号113および115に示す。いくつかの態様において、ホットスポット2における組み込み部位は、配列番号117に定める配列を含むかまたはそれからなる。ホットスポット2は、その配列にオープンリーディングフレームが含まれないため、特に有利である。
【0421】
発明の概要および要約のセクションではなく、発明を実施するための形態のセクションが、特許請求の範囲を解釈するために使用されるよう意図されていることを理解されたい。発明の概要および要約のセクションは、本発明者が想定する本発明の例示的な実施形態の1つまたは複数を定め得るが、すべてを定めるとは限らず、そのため、本発明および添付の特許請求の範囲を何らかのかたちで限定することを意図したものではない。
【0422】
特定の機能およびそれらの関係の実施態様を例示する機能的構成要素を用いて本発明を上記で説明した。これら機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。特定の機能およびその関係が適切に果たされる限り、代替の境界が定義され得る。
【0423】
特定の実施形態についての前述の説明は、本発明の概略的性質を十分に明らかにして、他者が、過度の実験を行うことなく、本発明の概略的概念から逸脱することなく、当業者が備えている技能の範囲内の知識を適用することにより、そのような特定の実施形態を様々な用途のために容易に改変および/または応用することができるようにするものである。したがって、そのような応用および改変は、本明細書において提示される教示および指針に基づいて、開示される実施形態の均等物の意味および範囲に入るよう意図されている。本明細書における表現または専門用語は、当業者が当該教示および指針を踏まえて本明細書の専門用語または表現を解釈するように、限定ではなく説明を目的としたものであることを理解されたい。
【0424】
本発明の広さおよび範囲は、上述の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびそれらの均等物のみに従って定義されるべきである。
【0425】
本願の随所で引用され得る、引用されたすべての参照物(参考文献、特許、特許出願、およびウェブサイトを含む)の内容は、2022年11月15日付けで公的に利用可能なバージョンにおいて、その中で引用されている参照物と共に、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により、ここに明示的に組み入れられる。データベース受託番号および対象データベースエントリーに含まれる他の情報(例えば、特定のGenbank受託番号に対応するデータベースエントリー内の配列に関連しない内容)によって同定されるタンパク質および核酸配列は、参照により組み入れられ、2022年11月15日付けで公的に利用可能な対応するデータベースリリースに対応する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
2025501221000001.xml
【国際調査報告】