(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】モジュール式ロボット車両
(51)【国際特許分類】
B62D 55/06 20060101AFI20250109BHJP
B62D 55/125 20060101ALI20250109BHJP
B62D 55/14 20060101ALI20250109BHJP
B62D 55/12 20060101ALI20250109BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
B62D55/06
B62D55/125
B62D55/14
B62D55/12 A
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539480
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-23
(86)【国際出願番号】 US2022029448
(87)【国際公開番号】W WO2023129201
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524243734
【氏名又は名称】エーモス パワー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AMOS POWER, INC.
【住所又は居所原語表記】6325 Nordic Drive Cedar Falls, IA 50613 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】ベー,トーマス,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ウェルス,パーカー
(72)【発明者】
【氏名】コーイストラ,ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】ベーラー,フォレスト
(72)【発明者】
【氏名】ベー,カイル
(72)【発明者】
【氏名】マツーフ,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】デュシャルム,ブロック
(72)【発明者】
【氏名】ズワルト,テリー
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA11
3D235BB20
3D235CC15
3D235DD32
3D235FF32
3D235HH52
(57)【要約】
シャーシから分離可能なモジュラー式無限軌道アセンブリを備えたロボット車両であって、駆動ユニットがモータコントローラとともに各無限軌道アセンブリに内蔵されており、冷却システムが、無限軌道の上方に配置された外装カバー内に設けられ、冷却システムの冷却器がモータおよびモータコントローラの後方に配置され、モータが最終駆動体の上方に配置された無限軌道を駆動する最終駆動体にモータを結合するために、左無限軌道アセンブリの内側で外装カバーの外側に接続されたギアボックスを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右側面と左側面とを有するシャーシと、
前記シャーシの右側から分離可能な右無限軌道アセンブリと、
前記シャーシの左側から分離可能な左無限軌道アセンブリと、を備え、
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、無限軌道に動作可能に連結されたモータを備えることを特徴とする、ロボット車両。
【請求項2】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、
無限軌道フレームと、
前記無限軌道とともに回転するように前記無限軌道に結合された無限軌道リンクと、
前記無限軌道リンクおよび前記無限軌道を回転させるために前記無限軌道リンクに係合されたスプロケットと、
前記無限軌道のアライメントを維持するために前記無限軌道リンクと係合する少なくとも1つのアイドラローラおよび少なくとも1つのローラと、を備え、
最終駆動体が、前記スプロケットに組み合わされ、前記モータによって駆動され、前記無限軌道フレームに対して前記無限軌道を回転させる、請求項1に記載のロボット車両。
【請求項3】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、前記最終駆動体の垂直方向上側に配置された前記モータを含むギアボックスアセンブリをさらに備える、請求項2に記載のロボット車両。
【請求項4】
前記モータの出力の回転軸が、前記最終駆動体の回転軸の上方に配置され、かつ、前記最終駆動体の回転軸と整列されることにより、前記モータを地面より高くして、前記モータが汚れないようにすることを特徴とする、請求項3に記載のロボット車両。
【請求項5】
前記ギアボックスアセンブリは、前記モータの出力の回転を止めるブレーキをさらに備える、請求項4に記載のロボット車両。
【請求項6】
前記ギアボックスアセンブリの各々が、前記モータに機械的に結合されたモータギアと、前記ブレーキに機械的に結合され、前記モータギアと逆回転可能に係合したブレーキギアと、前記最終駆動体に機械的に結合され、前記ブレーキギアと逆回転可能に係合した最終駆動体ギアとを収容するギアボックスと、をさらに備え、前記モータギア、前記ブレーキギア、前記最終駆動体ギアの各々が、垂直面に沿って整列された回転軸を有する、請求項5に記載のロボット車両。
【請求項7】
前記ギアボックスの各々が、センターギアボックスプレートによって隔てられたフロントギアボックスプレートおよびリアギアボックスプレートをさらに備え、前記モータギアが、前記フロントギアボックスプレートの外側および前記モータに取り付けられるモータシャフトハウジング内に実質的に収容されるモータシャフトアセンブリによって前記モータに結合され、前記ブレーキギアが、前記リアギアボックスプレートの外側および前記ブレーキに取り付けられたブレーキシャフトハウジングに実質的に収容されたブレーキシャフトアセンブリによって前記ブレーキに結合され、前記最終駆動体ギアが、前記フロントギアボックスプレートの外側および前記最終駆動体に取り付けられた最終駆動体シャフトハウジングに収容された最終駆動体シャフトアセンブリによって前記最終駆動体に結合される、請求項6に記載のロボット車両。
【請求項8】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、バッテリユニットに電気的に接続可能であり、かつ前記モータに電気的に接続され前記バッテリユニットからの電力を前記モータのために変換するモータコントローラをさらに備える、請求項1に記載のロボット車両。
【請求項9】
前記モータの各々はACモータであり、前記モータコントローラの各々は、前記バッテリユニットからの電力をモータ用の可変周波数AC電力に変換する、請求項8に記載のロボット車両。
【請求項10】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、前記モータコントローラおよび前記モータからの熱を放熱するために、前記モータコントローラおよび前記モータに動作可能に接続された冷却システムをさらに備える、請求項9に記載のロボット車両。
【請求項11】
前記冷却システムは、冷却器と、前記コントローラおよび前記モータの周囲にある冷却剤を前記冷却器に循環させるポンプと、を含み、前記コントローラは、前記モータと前記ポンプとの間に配置されていることを特徴とする、請求項10に記載のロボット車両。
【請求項12】
前記冷却システムの各々および前記モータコントローラの各々が前記無限軌道の上方に配置されている、請求項11に記載のロボット車両。
【請求項13】
前記冷却器の各々が対応する前記モータの後方に配置され、最終駆動体が前記モータの各々の出力に組み合わされる、請求項12に記載のロボット車両。
【請求項14】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、無限軌道フレームと、前記無限軌道フレームを前記シャーシに取り外し可能に取り付ける取り付け機構とをさらに備える、請求項1に記載のロボット車両。
【請求項15】
前記取り付け機構の各々が、前記無限軌道フレームに組み合わされ、前記シャーシに摺動可能に組み合わされた一対のチューブと、前記シャーシに組み合わされ、前記一対のチューブの少なくとも一方のチューブに取り付けられ、前記ロボット車両の無限軌道間幅を増減させるために前記無限軌道フレームを前記シャーシに向かっておよび前記シャーシから離れる方向に駆動するアクチュエータと、をさらに備える、請求項14に記載のロボット車両。
【請求項16】
前記取り付け機構の各々が、一端が前記無限軌道フレームに取り付けられ、他端が前記シャーシに取り付けられ、前記シャーシを地面より高くし、前記ロボット車両の無限軌道間幅を増加させる一対のアングルアームをさらに備える、請求項14に記載のロボット車両。
【請求項17】
前記左無限軌道アセンブリは(i)前記モータ、モータコントローラ、および冷却システムが、前記シャーシに結合された操作ユニットおよびバッテリユニットを含む中央ユニットから前記左無限軌道アセンブリとともに全体として分離可能である状態で、取り付け機構および電気コネクタによって前記シャーシから分離可能であり、(ii)外装カバーが前記無限軌道の上方に配置され、前記モータ、前記モータコントローラ、および前記冷却システムの全てが前記外装カバーに包まれ、前記冷却システムの冷却器が前記ロボット車両の前面で前記モータおよび前記モータコントローラの後方に配置され、前記外装カバーと前記左無限軌道アセンブリの内側で前記外装カバーの外側に連結され、前記無限軌道を駆動する最終駆動体に前記モータを連結するギアボックスであって、前記モータの出力の回転軸が前記最終駆動体の出力の回転軸と垂直に整列して同一平面上にある状態で、前記モータが前記最終駆動体の上方に配置されているギアボックスを備える、請求項1に記載のロボット車両。
【請求項18】
右側面と左側面を有するシャーシと、
前記シャーシの後方に配置された操作ユニットと、
前記シャーシの前方に配置されたバッテリユニットと、
前記シャーシの右側から分離可能な右無限軌道アセンブリと、
前記シャーシの左側から分離可能な左無限軌道アセンブリと、を備え、
前記左無限軌道アセンブリおよび前記右無限軌道アセンブリの各々は、取り付け機構および電気コネクタによって前記シャーシから分離可能であり、
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、
前記シャーシ上の前記バッテリユニットに作動可能に取り付けられるモータと、
前記シャーシに取り外し可能に取り付け可能な無限軌道フレームと、
地面を横切り、前記無限軌道フレームに対して回転可能な無限軌道と、
前記無限軌道とともに回転するように前記無限軌道に結合された無限軌道リンクと、
前記モータに連結され、前記無限軌道リンクと係合して前記無限軌道リンクと前記無限軌道とを回転させるスプロケットと、
前記無限軌道の整列を維持するために前記無限軌道リンクと係合する少なくとも1つのアイドラローラおよび少なくとも1つのローラと、を備え、
前記モータおよびモータコントローラが、前記左無限軌道アセンブリと、前記操作ユニットおよび前記バッテリユニットとから全体として分離可能であることを特徴とする、ロボット車両。
【請求項19】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々は、前記スプロケットに結合される最終駆動体に垂直方向上側に位置決めされて係合する前記モータを含むギアボックスアセンブリをさらに備え、前記モータの出力の回転軸が、前記モータを地面より高くするために前記最終駆動体の回転軸より上方に位置決めされ前記モータが汚れないようにされ、前記ギアボックスアセンブリが、前記モータの出力の回転を止めるブレーキをさらに備え、前記ギアボックスアセンブリが、前記モータに機械的に結合されたモータギアと、前記ブレーキに機械的に結合され、前記モータギアと逆回転可能に係合されたブレーキギアと、前記最終駆動体に機械的に結合され、前記ブレーキギアと逆回転可能に係合された最終駆動体ギアと、を収容するギアボックスをさらに備え、前記モータギア、前記ブレーキギア、および前記最終駆動体ギアの各々が、垂直面に沿って整列された回転軸を有し、前記ギアボックスが、センターギアボックスプレートによって離間されたフロントギアボックスプレートおよびリアギアボックスプレートをさらに備え、前記モータギアが、前記フロントギアボックスプレートの外側および前記モータに取り付けられたモータシャフトハウジング内に実質的に収容されるモータシャフトアセンブリによってモータに結合され、前記ブレーキギアが、前記リアギアボックスプレートの外側および前記ブレーキに取り付けられたブレーキシャフトハウジングに実質的に収容されたブレーキシャフトアセンブリによって前記ブレーキに結合され、前記最終駆動体ギアが、前記フロントギアボックスの面の外側および前記最終駆動体に取り付けられた最終駆動体シャフトハウジングに収容された最終駆動体シャフトアセンブリによって前記最終駆動体に結合される、請求項18に記載のロボット車両。
【請求項20】
前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々が、前記バッテリユニットからの電力を前記モータのために変換するために、前記バッテリユニットに電気的に接続可能で前記モータに電気的に接続されたモータコントローラをさらに備え、前記右無限軌道アセンブリおよび前記左無限軌道アセンブリの各々が、前記モータコントローラおよび前記モータからの熱を放熱するために、前記モータコントローラおよび前記モータに動作可能に接続された冷却システムをさらに備え、前記冷却システムは、冷却器と、前記モータコントローラおよび前記モータの周囲の冷却剤を前記冷却器に循環させるポンプと、を備え、前記モータコントローラは、前記モータと前記ポンプとの間に配置され、前記冷却システムおよび前記モータコントローラは、前記無限軌道の上方に配置され、前記冷却器は、前記モータの後方に配置され、前記モータに接続され、前記スプロケットに結合された最終駆動体をさらに備える、請求項18に記載のロボット車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月27日に出願された米国特許出願第17/562,847号の優先権を主張するものであり、その内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本開示は、自動制御車両、より具体的には、モジュール式無限軌道(トラック)ロボット車両に関する。
【背景技術】
【0003】
自動制御車両が、人間が操作する車両よりも好ましい例は多い。このような自動制御車両は、救急隊員や爆発物処理班が経験するような危険な作業を実行したり、危険な状況で動作したりする場合に特に有利である。また、農場の規模が大きくなっても、農作業のために許される時間は変わらない農業など、大規模な車両団が必要な状況でも有利である。どのような状況であっても、すぐに利用可能で、どのような状況でも動作するのに十分頑丈な自動制御走行車が必要とされている。
【0004】
したがって、当技術分野においては、様々な作業を実行する際に人を支援することができる方法、システム、および/または装置に対するニーズが存在する。そのような方法、システム、および/または装置は、作業を実行するための時間を短縮するため、作業を実行できる条件を改善するため、必要とされる人員の量を削減するため、またそうでなければ、農業および他の産業に関連する課題の数を低減するために使用することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様として、開示されるのは、モジュール式で、着脱可能で、交換可能で、構成可能な無限軌道アセンブリを有するロボット車両である。1つの実施形態において、ロボット車両は、シャーシの右側から分離可能な右無限軌道アセンブリおよびシャーシの左側から分離可能な左無限軌道アセンブリを有する右側および左側を含むシャーシを備え、右無限軌道アセンブリおよび左無限軌道アセンブリの各々は、無限軌道に動作可能に接続されたモータを備える。この構成において、それぞれの無限軌道アセンブリは、ロボット車両のシャーシから着脱可能であり、交換可能であり、設定可能であるので、ロボット車両は、モータ、モータコントローラ、および冷却システムがそれぞれの無限軌道アセンブリに内蔵されている状態で、デュアル無限軌道またはシングル無限軌道ロボット車両として構成することができる。
【0006】
右無限軌道アセンブリおよび左無限軌道アセンブリの各々は、無限軌道フレームと、無限軌道とともに回転するように無限軌道に組み合わされた無限軌道リンクと、無限軌道リンクおよび無限軌道を回転させるために無限軌道リンクに係合されたスプロケットと、無限軌道のアライメントを維持するとともに無限軌道アセンブリの重量を無限軌道全体で分散させるために無限軌道リンクに係合された少なくとも1つのアイドラローラおよび少なくとも1つのローラと備え、最終駆動体は、無限軌道フレームに対して無限軌道を回転させるためにスプロケットに組み合わされ、モータによって駆動される。
【0007】
各モジュラー無限軌道アセンブリをコンパクトに保つために、右無限軌道アセンブリおよび左無限軌道アセンブリの各々は、最終駆動体の垂直方向上側に配置されたモータを構成するギアボックスアセンブリをさらに備える。これに関して、モータの出力のための回転軸は、モータを地面より高くしてモータが汚れないようにするために、最終駆動体の回転軸の上方に配置される。ブレーキは、モータ、最終駆動体、またはモータと最終駆動体の両方の出力の回転を止めるために、モータと最終駆動体の反対側でギアボックスに接続することもできる。
【0008】
ギアボックスのこのようなコンパクトな構成は、ギアボックスの独特なアセンブリによって実現することができ、このアセンブリは、モータに機械的に結合されたモータギア、ブレーキに機械的に結合され、モータギアと逆回転可能に係合されたブレーキギア、および最終駆動体に機械的に結合され、ブレーキギアと逆回転可能に係合された最終駆動体ギアを収容することができ、モータギア、ブレーキギア、および最終駆動体ギアの各々は、すべてが垂直平面に沿って整列され得る回転軸を有することができる。
【0009】
より具体的には、ギアボックスは、センターギアボックスプレートによって離間されたフロントギアボックスプレートおよびリアギアボックスプレートを備え、モータギアは、フロントギアボックスプレートの外側およびモータに取り付けられるモータシャフトハウジングに実質的に収容されるモータシャフトアセンブリによってモータに結合され、ブレーキギアが、リアギアボックスプレートの外側およびブレーキに取り付けられるブレーキシャフトハウジングに実質的に収容されるブレーキシャフトアセンブリによってブレーキに結合され、最終駆動体ギアが、フロントギアボックスの面の外側および最終駆動体に取り付けられる最終駆動体シャフトハウジングに収容される最終駆動体シャフトアセンブリによって最終駆動体に結合される。この構成により、フロントギアボックスプレートからリアギアボックスプレートまでのギアボックスの全体の厚さは、厚さ数インチのオーダーで比較的薄くすることができる。
【0010】
ロボット車両の右無限軌道アセンブリおよび左無限軌道アセンブリの各々は、有利には、バッテリユニットと電気的に接続可能であり、バッテリユニットからの電力をモータ用に変換するためにモータと電気的に接続されたモータコントローラを備えることもできる。モータコントローラをモジュラー無限軌道アセンブリに配置した状態で、モータコントローラが着脱可能な電気コネクタによってロボット車両の中央ユニットに接続される構成でもよい。これにより、モータとモータコントローラは各無限軌道アセンブリ内に保持される。一実施形態では、モータはACモータであり、モータコントローラは、バッテリユニットからの電力をモータ用の可変周波数AC電力に変換する。状況に応じて、適切なモータ制御コントローラを備えたDCモータが使用されてもよい。
【0011】
また、右無限軌道アセンブリおよび左無限軌道アセンブリの各々が、モータコントローラおよびモータからの熱を放熱するために、モータコントローラおよびモータに動作可能に接続された冷却システムを備えることも有利である。冷却システムは、冷却器と、コントローラおよびモータの周りの冷却剤を冷却器に循環させるポンプとを備えすることができ、コントローラはモータおよびポンプの間に配置される。各無限軌道アセンブリをモジュール式でコンパクトに保つために、冷却システムおよびモータコントローラを無限軌道の上方に配置することができる。冷却器はモータと最終駆動体の後方に配置される。
【0012】
無限軌道アセンブリの各々は異なる構成となることも考えられる。右無限軌道アセンブリおよび左無限軌道アセンブリの各々は、無限軌道フレームと、無限軌道フレームをシャーシに取り外し可能に取り付けるための取り付け機構とを備えることができる。一の実施態様において、取り付け機構は、無限軌道フレームと組み合わされ、シャーシにスライド可能に組み合わされた一対のチューブと、シャーシに組み合わされ、一対のチューブの少なくとも1つのチューブに取り付けられ、ロボット車両の無限軌道間幅を増減させるためにシャーシに向かって無限軌道フレームを駆動し、シャーシから離れるように無限軌道フレームを駆動するアクチュエータとを備える。これは、畝幅が変化し得る農業作業に特に有用である。別の実施態様では、取り付け機構は、一端が無限軌道フレームに取り付けられ、他端がシャーシに取り付けられて、シャーシを地面より高くし、ロボット車両の無限軌道間幅を増加させる一対のアングルアームを備えることができる。
【0013】
いずれの実施態様の取り付け機構においても、左無限軌道アセンブリは、取り付け機構をシャーシから切り離し、電気コネクタを切り離すことによって、シャーシから分離可能である。これらの切り離しにより、各無限軌道アセンブリは、それ自身が内蔵するモータ、モータコントローラ、および冷却システムとともに、操作ユニットおよびバッテリユニットから無限軌道アセンブリを完全に分離可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のこれらの特徴または他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を、図面とともに読むことによってより理解され得る。
【0015】
【0016】
【
図2】無限軌道アセンブリが操作ユニットから取り外された状態における、
図1のロボット車両の斜視図である。
【0017】
【
図3】
図1の左無限軌道アセンブリの外側の斜視図である。
【0018】
【
図4】
図1の左無限軌道アセンブリの内側の斜視図である。
【0019】
【
図5】
図1の左無限軌道アセンブリの操作ユニットの分解斜視図である。
【0020】
【
図6】より広いベースおよびより高い地上高を有するロボット車両の代替実施態様である。
【0021】
【
図7】無限軌道アセンブリが操作ユニットから取り外された状態における、
図6のロボット車両の斜視図である。
【0022】
【
図8】
図6の左無限軌道アセンブリの外側の斜視図である。
【0023】
【
図9】
図6の左無限軌道アセンブリの内側の斜視図である。
【0024】
【
図10】
図1および
図6のロボット車両の無限軌道アセンブリ用のギアボックスアセンブリの右側斜視図である。
【0025】
【
図11】
図1および
図6のロボット車両の無限軌道アセンブリ用のギアボックスアセンブリの左側斜視図である。
【0026】
【
図12】デュアル無限軌道アセンブリユニットを備えた
図6のロボット車両の斜視図である。
【0027】
【
図13】
図1および
図6のロボット車両の無限軌道アセンブリの冷却システムの右側面斜視図である。
【0028】
【
図14】
図1および
図6のロボット車両の無限軌道アセンブリの冷却システムの左側面斜視図である。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【
図17】
図1の左無限軌道アセンブリおよび操作ユニットの底面図である。
【0033】
【
図18】左無限軌道アセンブリが操作ユニットから延ばされた状態の、
図2の左無限軌道アセンブリおよび操作ユニットの底面図である。
【0034】
【
図19】左無限軌道アセンブリから分解された取り付け機構を有する、
図6の左無限軌道アセンブリの内側の斜視図である。
【0035】
【
図20】
図1のロボット車両の電気的な構成図である。
【0036】
【
図21】
図1のロボット車両の冷却システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本開示によるロボット車両100の斜視図である。ロボット車両100は、オペレータを疲労させるまたは危険にさらすことなく、人手を要する作業またはリスクの高い作業を遂行するために、電気駆動式であり、遠隔操作可能である。ロボット車両100は、過酷な環境でも動作するように、頑丈で強堅である。その重心は低く前方にあるため、重量の何倍もの機器を牽引することや運搬することができる。容易に交換可能なバッテリパックにより、ロボット車両100は長時間動作することができ、その後速やかにバッテリパックを交換することで動作を継続することができる。
【0038】
ロボット車両100は、右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106に支持された前端102aおよび後端102bを有するシャーシ102を有する中央ユニット101を備える。右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106の各々は、ロボット車両100を操作するのに必要な回路およびソフトウェアが配置されている操作ユニット112に取り外し可能に接続可能な、独自のモータ駆動部を有する。フロントフード114は、中央ユニット101および各モータ駆動アセンブリ108の操作ユニット112から外側に突出しており、カメラ111およびライト113のような補助装置を配置することができる。
【0039】
フロントフード114の下方であって、シャーシ102の上方であり、かつ右無限軌道アセンブリ104と左無限軌道アセンブリ106との間に、バッテリユニット200が設けられる。バッテリユニット200は、1500ポンドを超える重量のロボット車両100の総重量の25~30%となり得る。バッテリユニット200をシャーシ102上でフロントフード114の下方に配置することにより、ロボット車両100の重心が下がり、かつ前方に移動し、牽引力および牽引能力が向上する。バッテリユニット200およびシャーシ102は、2021年11月15日に出願された米国特許出願第17/526,872号にさらに詳細に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
ロボット車両100は、ロボット車両100を様々な用途に容易に構成可能にするため、ロボット車両100の中央ユニット101のシャーシ102から各々取り外し可能に取り付け可能な右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106を備える。
図1~
図4は、標準的な幅および地上高を有する右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106を有する1つの実施態様を示す。また、
図6~
図9は、後述するフレーム取り付け機構120を交換することによって、より大きな幅および地上高となる別の実施態様を示す。さらに、ロボット車両100は、より大きな牽引能力が要求される場合には、右無限軌道アセンブリ104a、104bおよび左無限軌道アセンブリ106a、106bを含むデュアル無限軌道アセンブリユニットを有する
図12に示される実施態様のように、2つ以上の右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106を含むことができる。
【0041】
図2を参照すると、中央ユニット101のシャーシ102から取り外された右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106が示されている。図示されるように、右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106の各々は、モジュール式の自己完結型ユニットであり、中央ユニット101のシャーシ102から容易に分離可能であり、唯一の接続部を備える。この接続部は、それぞれの右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106をシャーシ102に取り外し可能に結合するための、
図4、
図7、
図17および
図18に示すフレーム取り付け機構120、およびバッテリユニット200からの電力および操作ユニット112との間のデータのための電気コネクタ121である。
【0042】
図3は、
図1の左無限軌道アセンブリ106の外側を示す斜視図であり、
図4は、左無限軌道アセンブリ106の内側を示す斜視図である。右無限軌道アセンブリ104は、同じ構成要素が鏡面化されているだけで機能的に同一であるため、右無限軌道アセンブリ104が同様に構成されているものとして、左無限軌道アセンブリ106のみを説明する。
【0043】
図5を参照すると、左無限軌道アセンブリ106は、その内側にベルトまたはチェーンの形態とすることができる無限軌道リンク126を取り付けた無限軌道124を含む、無限軌道車両の標準的な構成要素を含む。最終駆動体152(
図10および
図11に関連して後述)に固定されたスプロケット128が、無限軌道リンク126に係合し、無限軌道124を地面上で走行させる。フロントアイドラローラ130、リアアイドラローラ132および1つ以上のローラ134が、ロボット車両100の重量を支持し、無限軌道124の配列を維持する。フロントアイドラローラ130、リアアイドラローラ132およびローラ134は、ロボット車両100が凹凸のある地形を走行する際の衝撃の一部を吸収するために、サスペンション部材138によって無限軌道フレーム123に対して回転可能に連結される。
【0044】
フレーム取り付け機構120は、左無限軌道アセンブリ106をシャーシ102に取り付ける。
図4に示される実施態様では、取り付け機構は、
図17および18に示される少なくとも1つのアクチュエータ125によってシャーシ102に対して内側および外側に付勢される、左無限軌道アセンブリ106の無限軌道フレーム123に連結された一対のチューブ122として構成される。一対のチューブ122は、各々単一のチューブとして、またはより大きく拡張するための複数の伸縮チューブとして構成され得る。幅の自動調節が好ましいが、伸縮チューブによる手動での幅調節でもよい。走行する地形に応じて、無限軌道間の幅を増減させることができる。これは、例えばブドウ園や農産物など、作物列間の距離が変化する農業作業での使用に特に有利である。アクチュエータ125は、電気コネクタ121を介してバッテリユニット200および操作ユニット112に電気的に接続されている。このようにして、操作ユニット112からの指令は、右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106の一方または両方を伸縮させることができる。アクチュエータ125の一端はシャーシ102に固定され、アクチュエータ125のロッドはチューブ122に固定されている。
【0045】
図6~
図9および
図19に示すように、フレーム取り付け機構120は、左無限軌道アセンブリ106の無限軌道フレーム123を長手方向に跨いで溶接、ボルト締め、または他の方法で無限軌道プレート142に一端が取り付けられ、シャーシ102を長手方向に跨いで取り付けられたシャーシプレート144に他端が取り付けられた一対のアングルアーム140として構成することができる。電気コネクタ121とそれに対応するケーブルを覆うために、ケーブルカバー146を追加することができる。一対のアングルアーム140のこの配置は、ロボット車両100の無限軌道間幅を効果的に固定し、シャーシ102の地上高を高くする。この実施形態は、より頑丈なベースおよびより大きな地上高が要求される場合に有用である。それ以外において、これら
図6~
図9に示す実施形態は、
図1に示す実施形態と同じである。地上高を上昇させる他の実施態様としては、右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106の両方に対して、中央ユニット101およびシャーシ102を効果的に上昇させる角度付きアクチュエータなどであってもよい。
【0046】
図5に示すように、左無限軌道アセンブリ106の分解図が示されており、この左無限軌道アセンブリ106は、ギアボックスアセンブリ150と冷却システム190とをさらに含んでいる。ここで
図10~11を参照すると、図示されているのは、左無限軌道アセンブリ106を駆動するギアボックスアセンブリ150である。
図10~
図11は、左無限軌道アセンブリ106を駆動するギアボックスアセンブリ150を示す。ギアボックスアセンブリ150は、左無限軌道アセンブリ106の無限軌道リンク126に係合するスプロケット128に直接連結される最終駆動体152を含む。最終駆動体152は、バッテリユニット200によって電力が供給され、操作ユニット112によって制御されるモータ154によって回転駆動される。ブレーキ156が、モータ154と最終駆動体152との間に機械的に連結され、モータ154と最終駆動体152との回転を停止させる。これらの構成部品はすべて、モータ154が最終駆動体152の上方に垂直に上昇し、モータ154の出力の回転軸が最終駆動体152の回転軸の上方にある革新的な配置で機械的に連結されている。このことにより、モータ154は左無限軌道アセンブリ106の無限軌道124の上方に配置され、汚れないよう配置される。これらの構成要素を連結する機械部品は、すべて、2インチ厚の狭いギアボックス158内に隔離されている。
【0047】
ギアボックスは、ギアボックス158の前側斜視図である
図10、同後側斜視図である
図11、
図11のギアボックスの後面図である
図15A、および
図15Aの線A-Aに沿って取った断面図である
図15B、およびギアボックスアセンブリ150の分解図である
図16に最もよく示されている。ギアボックス158は、センターギアボックスプレート161によって間隔を隔てられたフロントギアボックスプレート160とリアギアボックスプレート162を備える。ギアボックス158の内部には、モータ軸アセンブリ166によってモータ154に機械的に連結されたモータギア164があり、このモータギア164は、モータ軸ハウジング168の内部に密閉され、モータ取り付けプレート170によってモータ154に固定され整列されている。モータギア164は、ブレーキシャフトハウジング176内に密閉され、固定され、モータ154と位置合わせされたブレーキシャフトアセンブリ174によってブレーキ156と機械的に連結されたブレーキギア172と逆回転可能に噛み合っている。これにより、ブレーキ156はブレーキギア172に逆回転力を与え、モータギア164の回転を止めることができる。ブレーキギアは、最終駆動体シャフトハウジング内に密閉され、固定され、最終駆動体152と整列された最終駆動体シャフトアセンブリ180によって、最終駆動体152とスプロケット128に機械的に連結された最終駆動体ギア178に逆回転可能に噛み合っている。
【0048】
モータギア164、ブレーキギア172、および最終駆動体ギア178の全ては、ギアボックス158の必要な幅を狭めるために、それぞれの軸が同じ垂直平面上に整列されている。これにより、ギアボックス158は、電気駆動ロボット車両用の標準的なギアボックスよりも十分に小さい厚さを有することもできる。リアギアボックスプレート162はまた、冷却システム190のための取り付け点を提供する大きな表面積を有する。
【0049】
図13~14および
図21を参照すると、モータ154およびモータコントローラ192に接続された冷却システム190が示されている。ACモータとして構成されたモータ154の場合、モータコントローラ192は、バッテリユニット200からのDC電圧をモータ154を駆動するための可変周波数AC電力に変換するためのインバータとして構成することができる。DCモータとして構成されたモータ154の場合、モータコントローラ192は、モータ154に加えられる電流と電圧を調整することによって、モータ154の回転速度とトルクを制御することができる。いずれの例においても、モータ154とモータコントローラ192は、最適な動作状態を維持するため冷却されることがある。冷却システム190は、冷却液リザーバ196およびポンプ198と流体連通しているファン内蔵の冷却器194を備える。ポンプ198は、一連のホース199を通して、冷却剤リザーバからモータ154とモータコントローラ192の周りの冷却剤を、余分な熱を放熱できる冷却器194に循環させる。
図5に戻ると、内蔵ファンを備えた冷却器194が、ギアボックスアセンブリ150の後方、ロボット車両100の後部付近に独自に配置されていることがわかる。
【0050】
図1~
図4に戻ると、左無限軌道アセンブリ106は、ギアボックスアセンブリ150、冷却システム190、モータ154、およびモータコントローラ192が、左無限軌道アセンブリ106の無限軌道124の上方の外装カバー118内に内蔵されているユニットであることが分かる。外装カバー118は、ギアボックス158に直接接続され得る外側カバー部118aと内側カバー部118bとを含む。これにより、電気コネクタ121とフレーム取り付け機構120を外すだけで、1つまたは複数の左無限軌道アセンブリ106を追加または取り外すことができる。
【0051】
図20は、ロボット車両100のハイレベル電気回路図である。ロボット車両100の中央ユニット101は、ロボット車両100を駆動および制御するのに必要なソフトウェアおよびハードウェアを含む操作ユニット112に対して電気的に接続されるバッテリユニット200を含む。右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106の各々は、少なくとも1つの電気コネクタ121によって操作ユニット112およびバッテリユニット200に電気的に接続されている。従って、バッテリユニット200からの電力および操作ユニット112からの双方向制御信号および応答信号は、モータコントローラ192、アクチュエータ125、ポンプ198および冷却器194に直接供給される。操作ユニット112とモータ154およびモータコントローラ192との間の双方向制御信号および応答信号のための正および負のDC供給電圧、リレー供給、ならびに双方向CANおよびVCU接続のすべては、操作ユニット112と対応する右無限軌道アセンブリ104および左無限軌道アセンブリ106との間の少なくとも1つの電気コネクタ121によって電気的に接続され得る。操作ユニット112は、本開示で説明する無限軌道アセンブリ104、106のすべてを同時に制御するように構成される。
【0052】
当業者であれば、上述した図示の実施形態が例示的なものであることを理解するであろう。ロボット車両100に対する他の変更および修正が、本開示においては想定されている。代替実施態様では、単一のモータコントローラ192を中央ユニット101に配置し、左無限軌道アセンブリ106および右無限軌道アセンブリ104用のモータ154に電力を供給するように構成することができる。同様に、単一の冷却システム190を、ホース199の追加のクイックリリースコネクションを有する中央ユニット101に配置することができる。このような変更は、図示された実施形態のモジュール式の利点を提供するが、複数のモータ154を駆動するための単一のモータコントローラ192が利用できないことや、コストがかかることから、現在のところ不利であると考えられる。
【0053】
本開示で使用される用語は、異なる意味が与えられない限り、当業者にとって通常の意味であると推定される。本開示で使用する実質的にとは、標準的な辞書の定義である、大部分は指定されたものであるが、全部は指定されたものではないことを意味する。
【0054】
本開示において本発明の原理を説明したが、この説明は例示のためにのみなされるものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを当業者は理解されたい。他の実施形態は、本開示に示され、記載された例示的な実施形態に加えて、本発明の範囲内であることを意図するものである。当業者による変更および置換は、特許請求の範囲以外によっては限定されない本発明の範囲内であると考えられる。
【国際調査報告】