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特表2025-501227歯車を機械加工するための工作機械の装填および脱着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】歯車を機械加工するための工作機械の装填および脱着装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/04 20060101AFI20250109BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B23F23/04
B23Q7/04 H
B23Q7/04 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539487
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2022083889
(87)【国際公開番号】W WO2023126117
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】70807/2021
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】306026913
【氏名又は名称】ライスハウアー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Reishauer AG
【住所又は居所原語表記】36 Industriestrasse, CH-8304 Wallisellen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ミヒェル
【テーマコード(参考)】
3C025
3C033
【Fターム(参考)】
3C025HH02
3C025HH06
3C033BB04
3C033HH16
3C033HH22
3C033HH25
(57)【要約】
歯車を機械加工するための工作機械(30)、特に、硬質精密機械加工機(30)にワークピース(40、41)を装填および脱着する装置(1)であって、装置(1)は、基部(2)と、基部(2)上に配置され、基部(2)に対して第1の回転軸線(D)を中心に回転可能なキャリア(3)と、ワークピース(40、41)を把持および解放するための、キャリア(3)上に配置された把持装置(11)と、を備え、把持装置(11)は、それぞれ第2の回転軸線(D)に互いに独立して枢動可能である少なくとも2つの把持アーム(13、14、15)を有し、把持アーム(13、14、15)が、ワークピース(40、41)を把持する把持位置と、ワークピース(40、41)を解放する解放位置とを互いに対してとることができるように、把持アーム(13、14、15)は、第2の回転軸線(D)を中心に互いに対して枢動可能であり、把持アーム(13,14,15)は、少なくとも把持位置において互いに同期して第2の回転軸線(D)を中心に枢動可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車を機械加工するための工作機械(30)、特に、硬質精密機械加工機(30)にワークピース(40、41)を装填および脱着するための装置(1)であって、前記装置(1)は、
(a)基部(2)と、
(b)前記基部(2)上に配置され、前記基部(2)に対して、第1の回転軸線(D)を中心に回転可能なキャリア(3)と、
(c)前記ワークピース(40、41)を把持および解放するための前記キャリア(3)上に配置された把持装置(11)と、
を備え、
(d)前記把持装置(11)は、それぞれ第2の回転軸線(D)を中心に互いに独立して枢動可能である少なくとも2つの把持アーム(13、14、15)を有し、
(d1)前記把持アーム(13、14、15)が、前記ワークピース(40、41)を把持するための把持位置と、前記ワークピース(40、41)を解放するための解放位置とを互いに対してとることができるように、前記把持アーム(13、14、15)は、前記第2の回転軸線(D)を中心に互いに対して枢動可能であり、
(d2)前記把持アーム(13,14,15)は、少なくとも前記把持位置において互いに同期して前記第2の回転軸線(D)を中心に枢動可能である、装置(1)。
【請求項2】
前記ワークピース(40、41)を回転させるためのワークピーススピンドル(7)が前記キャリア(3)上に配置されており、前記把持装置(11)は、前記ワークピーススピンドル(7)にワークピース(40、41)を装填および脱着するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記把持装置(11)は、前記第2の回転軸線(D)に沿って軸線方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第2の回転軸線(D)は、前記第1の回転軸線(D)に対して平行に変位されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記把持装置(11)は、前記キャリア(3)の位置および/または回転運動とは独立して、ワークピース(40、41)を把持または解放するように設計されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記把持装置(11)は、前記把持アーム(13、14、15)を互いに独立して駆動するように設計された駆動機構(23)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記駆動機構(23)は、複数の駆動手段(24,25,26)、好ましくは複数の同期モータ(24,25,26)を備え、各駆動手段(24,25,26)、好ましくは各同期モータ(24,25,26)は、それぞれの把持アーム(13,14,15)に割り当てられていることを特徴とする、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
各把持アーム(13、14、15)は、各ケースにおいて、前記第2の回転軸線(D)を中心に回転可能な駆動リング(16、17、18)上に配置されており、それぞれの前記把持アーム(13、14、15)は、対応する前記駆動リング(16、17、18)が第2の回転軸線(D)を中心に回転するとき、前記第2の回転軸線(D)を中心に枢動されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
各駆動リング(16、17、18)は内歯(20)を有し、各駆動手段(24、25、26)は外歯(28)を有する平歯車(27)を有し、前記駆動リング(16、17、18)に配置された前記把持アーム(13、14、15)を駆動するために、前記外歯(28)は、対応する駆動リング(16、17、18)の前記内歯(20)に係合していることを特徴とする、請求項7と組み合わせた請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの把持手段(21)は、前記把持アーム(13、14、15)のそれぞれに配置されており、前記把持手段(21)は、前記把持位置において前記ワークピース(40、41)にクランプ力を加えるように設計されており、かつ/または前記ワークピース(40、41)の下で把持するための突出部(22)を有していることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記把持装置(11)は、いくつかのワークピース(40、41)が前記把持装置(11)によって同時に把持され得るように設計されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記把持装置(11)は、第1の把持アーム(13)と、第2の把持アーム(14)と、第3の把持アーム(15)と、を備え、前記第2の把持アーム(14)は、前記第1の把持アーム(13)と前記第3の把持アーム(15)との間に前記第2の回転軸線(D)の周方向に設けられていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記把持装置(11)は、前記第2の把持アーム(14)が、
前記第1の把持アーム(13)に対して把持位置または解放位置をとることができ、かつ
前記第3の把持アーム(15)に対して把持位置または解放位置をとることができるように設計されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記キャリア(3)を、前記装置によって前記工作機械(30)に前記ワークピース(40、41)を装填および脱着できる動作位置と、前記工作機械(30)および/または前記装置(1)を保守できる、かつ/または手動で装填できる保守位置との間で回転させることができるように、前記キャリア(3)は、前記第1の回転軸線(D)を中心に回転可能であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記キャリア(3)は、垂直に配置されたキャリアタワー(4)を有し、前記把持装置(11)は、前記キャリアタワー(4)の外側面(5)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記工作機械(30)の研磨材(33)をドレッシングするためのドレッシング装置(6)は、前記キャリア(3)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記ドレッシング装置(6)は、前記キャリア(3)に対して移動可能であり、好ましくは並進移動可能および/または回転移動可能であることを特徴とする、請求項16に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記工作機械(30)の研磨材(33)を予備倣い加工するための倣い加工装置(29)は、前記キャリア(3)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記装置(1)は、前記ワークピース(40、41)を芯出しするための、好ましくは請求項2に記載の前記ワークピーススピンドル(7)上で前記ワークピース(40、41)を芯出しするための、芯出し装置(8)、好ましくは心押し台(8)を備えることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項20】
前記装置(1)は、前記ワークピース(40、41)を、特に前記ワークピース(40、41)の少なくとも1つの歯溝を、位置判定するための位置判定装置(9)を有し、前記位置判定装置は、少なくとも1つのセンサ(10)を備えることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項21】
ワークピース(40、41)の歯車研削のための、好ましくは予め歯が形成されたワークピース(40、41)の硬質精密機械加工のための工作機械(30)であって、前記工作機械(30)は、
機械ハウジング(31)と、
前記機械ハウジング(31)上に配置されており、前記ワークピース(40、41)を研削する研削装置(32)と、
請求項1から20のいずれか一項に記載の、前記工作機械(30)にワークピース(40、41)を装填するための装置(1)と、を備え、
研削機(30)の前記機械ハウジング(31)は、前記装置(1)の前記基部(2)である、工作機械(30)。
【請求項22】
前記研削装置(32)の研磨材(33)をドレッシングするためのドレッシング装置(6)は、前記キャリア(3)上に配置されており、
前記ワークピース(40、41)を第3の回転軸線(D)を中心に回転させるためのワークピーススピンドル(7)は、前記キャリア(3)上に配置されており、
前記キャリア(3)が、前記ワークピーススピンドル(7)が前記研削装置(32)の方を向く研削位置と、前記ドレッシング装置(6)が前記研削装置(32)の方を向く保守位置との間で回転できるように、前記キャリア(3)は、前記第1の回転軸線(D)を中心に回転可能であることを特徴とする、請求項21に記載の工作機械(30)。
【請求項23】
前記キャリア(3)が、ユーザが前記ワークピーススピンドル(7)にアクセスできるアクセス位置をとるように、前記キャリア(3)は、前記第1の回転軸線(D)を中心に回転させることができることを特徴とする、請求項21または22に記載の工作機械(30)。
【請求項24】
請求項1から20のいずれか一項に記載の装置(1)によって、工作機械(30)に少なくとも1つのワークピース(40、41)を装填および脱着する方法であって、
前記装置(1)は、第1の把持アーム(13)と、第2の把持アーム(14)と、第3の把持アーム(15)とを備える、方法。
【請求項25】
ワークピース交換プロセス中に、
前記第1の把持アーム(13)および前記第2の把持アーム(14)は、前記第1の把持アーム(13)および前記第2の把持アーム(14)が解放位置から把持位置へと互いに対して変化するように、または前記把持位置から前記解放位置へと変化するように、第2の回転軸線(D)を中心に互いに対して枢動され、
前記第3の把持アーム(15)が前記第2の把持アーム(14)に同期して追従するように、前記第3の把持アーム(15)は前記第2の回転軸線(D)を中心に枢動されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ワークピース交換プロセスは、第1のワークピース交換プロセスであり、前記第2の把持アーム(14)は、前記第1のワークピース交換プロセス中に前記第2の回転軸線(D)を中心に第1の枢動方向に枢動され、前記第2の把持アーム(14)は、第2のワークピース交換プロセス中に前記第1の枢動方向とは反対の第2の枢動方向に前記第2の回転軸線(D)を中心に枢動されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2のワークピース交換プロセス中に、
前記第2の把持アーム(14)および前記第3の把持アーム(15)は、前記第2の把持アーム(14)および前記第3の把持アーム(15)が前記解放位置から前記把持位置へと互いに対して変化するように、または前記把持位置から前記解放位置へと変化するように、前記第2の回転軸線(D)を中心に互いに対して枢動され、
前記第1の把持アーム(13)が前記第2の把持アーム(14)に同期して追従するように、前記第1の把持アーム(13)は前記第2の回転軸線(D)を中心に枢動されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
搬送動作中に、
第1のワークピース(40)が前記第1の把持アーム(13)と前記第2の把持アーム(14)との間に配置されており、前記第1の把持アーム(13)と前記第2の把持アーム(14)が互いに対して把持位置をとり、
第2のワークピース(41)が前記第2の把持アーム(14)と第3の把持アーム(15)との間に配置されており、前記第2の把持アーム(14)および前記第3の把持アーム(15)が互いに対して把持位置をとり、
前記第1の把持アーム(13)、前記第2の把持アーム(14)および前記第3の把持アーム(15)が、前記第1のワークピース(40)および前記第2のワークピース(41)を搬送するために、特に前記第1のワークピース(40)および前記第2のワークピース(41)を前記第2の回転軸線(D)を中心に枢動させるために、前記第2の回転軸線(D)を中心に互いに対して同期して枢動されることを特徴とする、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車を機械加工するための工作機械にワークピースを装填および脱着するための装置に関する。この装置は、基部と、基部上に配置されたキャリアとを有する。キャリアは、第1の回転軸線を中心に基部に対して回転可能であり、ワークピースを把持および解放するための把持装置を備える。
【0002】
本発明は、ワークピースを歯車研削するための工作機械であって、上述のタイプの装置を備える工作機械にさらに関する。さらに、本発明は、本発明による装置を用いて工作機械を装填および脱着する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
いわゆるリングローダの概念は、従来技術から知られている。リングローダの概念による装置は把持装置を有し、把持装置は通常、回転軸を中心に回転可能であり、いくつかの対の把持アームを備える。各対の把持アームは、他の対の把持アームから独立してワークピースを把持または解放するように設計されている。1つ以上のワークピースを搬送するために、把持装置は、少なくとも1対の把持アームがワークピースを把持した後に回転軸を中心に回転される。これにより、ワークピースを把持した一対の把持アームを含むすべての対の把持アームは、同時に回転軸を中心に枢動される。
【0004】
従来技術から既知のかかる装置は、一方の対の把持アームの他方の対の把持アームに対する位置が固定されているか、または把持装置の設計により変更できないという欠点を有する。これは、把持装置を回転軸を中心に回転させることにより、すべての対の把持アームが同時に枢動することを意味する。把持アームの対は、ワークピースを把持または解放するために柔軟に使用することができない。これは、既知の装置の装填および脱着速度の低下または制限につながる。さらに、特に、把持装置は、装填および脱着される工作機械に対して常に空間的に固定されているため、既知の装置の保守性も制限されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、冒頭で記述した技術分野に属し、従来技術の上述した問題および欠点を解消する、工作機械を装填および脱着するための装置を提供することである。特に、本発明の課題は、ワークピースの迅速かつ効率的な装填および脱着を可能にし、保守性も向上させた、工作機械を装填および脱着するための装置を提供することである。
【0006】
この問題を解決するために、工作機械にワークピースを装填および脱着するための本発明に係る装置は、基部と、キャリアと、把持装置と、を備える。好ましくは、装置は、ワークピース、特に二重歯の歯車素材のような予め歯が形成されたワークピースを、硬質精密機械加工機に装填および脱着するのに適している。
【0007】
代替的にまたは追加的に、装置はクランプ手段、砥石車、または工作機械のために設けられた同様の手段を工作機械に装填または脱着するのに好適であり得る。
したがって、本発明の目的のために、「ワークピース」という用語は、工作機械によって機械加工される物体に限定されない。むしろ、「ワークピース」という用語は、工作機械のために、特に工作機械の操作および/または保守のために設けられた手段も含み得る。
【0008】
本発明による装置のキャリアは、基部上に配置され、基部に対して第1の回転軸線を中心に回転可能である。把持装置は、キャリア上に設けられ、ワークピースを把持および解放するように設計される。有利には、把持装置は、キャリアが第1の回転軸線を中心に回転するときに把持装置が第1の回転軸線を中心に枢動するように、キャリア上に配置される。
【0009】
本発明によれば、把持装置は、少なくとも2つの把持アームを備える。把持アームはそれぞれ、第2の回転軸線を中心に互いに独立して枢動可能である。各把持アームは、少なくとも2つの把持アームが互いに対して把持位置および解放位置をとることができるように、第2の回転軸線を中心に他方の把持アームに対して枢動可能である。解放位置において、把持アームは、把持アームがワークピースを解放することができるように互いに対して配置される。これは、把持アームが好ましくは解放位置においてワークピースを搬送できないことを意味する。把持位置において、把持アームは、把持アームがワークピースを好ましくは一緒に把持することができるように互いに対して配置される。例えば、把持アームは、把持位置においてワークピースを搬送することができ、特に、ワークピースを一緒に搬送することができる。さらに、把持アームは、少なくとも把持位置において、第2の回転軸線を中心に互いに同期して枢動可能である。これとは独立して、把持アームは、解放位置において第2の回転軸線を中心に互いに同期して枢動可能であることも提供され得る。
【0010】
本発明の目的のために、「把持」という用語は、2つの把持アーム間のワークピースのクランプ、特にクランプまたはジャミングを意味すると理解される。代替的または追加的に、「把持」という用語は、把持アームによってワークピースの下を把持することも含み得る。好ましくは、把持アームは、把持位置においてワークピースに摩擦接続および/または形状嵌合接続で接続される。
【0011】
本発明の目的のために、「解放」という用語は、把持アームとワークピースとの間の接触の解放を意味すると理解される。例えば、把持アームとワークピースとの間の接触は、把持アームが把持位置から解放位置に変化するときに解放され得る。ワークピースは好ましくは、ワークピースが1つの把持アームとのみ接触しているときに解放されていると既に考えられる。
【0012】
本発明の目的のために、「同期枢動」という用語は、把持アームの互いに対する相対位置が変化しない、把持アームの同時枢動を意味すると理解される。例えば、把持アームは、ワークピースが把持アームの枢動運動に応じて把持アーム間で搬送されるように、把持位置において同期して枢動され得る。言い換えれば、把持位置にある2つの把持アームの間に配置されたワークピースは、把持アームが第2の回転軸線を中心に互いに同期して旋回するときに、第2の回転軸線を中心に旋回する。
【0013】
本発明による第2の回転軸線に対する把持アームの枢動可能性は、把持アームが柔軟にかつ互いに独立して制御され得ることを意味する。これは、異なる把持アームが必要に応じて把持アームの異なる対を形成することができ、したがって、工作機械にワークピースをより迅速に装填および脱着することができるという利点を有する。さらに、把持アームは、ワークピースが工作機械によって邪魔されることなく加工され得るように、解放位置において間隔を置いて配置され得る。例えば、把持アームは、把持アーム間の距離が工作機械の研削装置の研磨材の幅よりも大きくなるように、解放位置において、第2の回転軸線を中心に互いに対して枢動させることができる。追加的にまたはこれとは独立して、回転可能なキャリア上に把持装置を配置することは、個々の構成要素のアクセスしやすさを向上させるという効果を有する。
【0014】
これにより、装置全体の保守性が向上するという利点がある。
装置の第1の例示的な実施形態では、ワークピーススピンドルがキャリア上に配置される。ワークピーススピンドルは、ワークピーススピンドル上に配置されたワークピースを回転させるように設計されている。有利には、把持装置は、ワークピーススピンドルにワークピースを装填および脱着するように設計されている。例えば、把持装置の把持アームは、ワークピースを解放または把持するために、装填地点において把持位置から解放位置へ、または解放位置から把持位置へと変化することが提供され得る。装填地点は、ワークピーススピンドルの近傍、特にワークピーススピンドルの上方に配置されることが好ましい。
【0015】
ワークピーススピンドルがキャリア上に配置される一実施形態は、有利にも、キャリアが第1の回転軸を中心に回転するときに、ワークピーススピンドルを第1の回転軸線を中心に枢動させる。これは、ワークピーススピンドルが、保守性の改善のためにより容易にアクセス可能となり得、または測定位置に移動し得るという利点を有する。さらに、ワークピーススピンドルが、キャリアを回転させることによってユーザがアクセスできるようにされると、ワークピーススピンドルは、有利にも手動で装填することもできる。
【0016】
ワークピーススピンドルは、第3の回転軸線を中心に回転可能であり、特に第3の回転軸線を中心に回転することができる。好ましくは、第3の回転軸線は、第1の回転軸線に平行にオフセットされる。代替的または追加的に、第3の回転軸線は、第2の回転軸線に平行に配置され得る。
【0017】
別の例示的な実施形態では、把持装置は、第2の回転軸線に沿って移動可能であり、特に軸線方向に移動可能である。好ましくは、把持装置は、把持アームが把持位置から解放位置へ、および/または解放位置から把持位置へ変化した後に、第2の回転軸線に沿って移動される。これにより、有利には、特に把持アームが解放位置から把持位置に変化した後、または把持アームが把持位置から解放位置に変化する前に、ワークピースが把持装置によって上昇または下降される。
【0018】
好ましくは、第2の回転軸は、第1の回転軸線に対して平行に変位される。これは、装置がコンパクトな設計を有し、個々の構成要素へのアクセスしやすさが向上するという利点を有する。
【0019】
さらに、2つの回転軸線のオフセットは、多数の調整位置が装置によってとられ得ることを意味し、これにより、装置の使用の柔軟性が向上する。
さらなる有利な実施形態では、把持装置は、キャリアの位置とは無関係にワークピースを把持または解放することができる。例えば、把持装置は、第1の回転軸線に対するキャリアの位置とは無関係にワークピースを把持または解放するように設計することができる。代替的または追加的に、把持装置は、第1の回転軸線に対するキャリアの回転運動中にワークピースを把持または解放することができることが提供され得る。そのような実施形態は、有利なことに、装置が非常に柔軟な方法で工作機械を装填および脱着することを可能にする。特に、キャリアが保守のための位置を占有していても、工作機械が装置によって装填され得ることが考えられる。これは、装置の運用即応性が連続的に、すなわち保守作業中にも少なくとも部分的に確実にされ得るという利点を有する。
【0020】
工作機械を装填および脱着するための装置は、駆動機構を備えることができる。好ましくは、把持装置は駆動機構を備える。例えば、駆動機構は把持装置上に配置され、特に把持装置上に直接配置される。駆動機構は、把持アームを互いに独立して駆動するように設計することができる。このような駆動機構は、把持アームが常に第2の回転軸線を中心に互いに独立して枢動可能であるという利点を有する。好ましくは、駆動機構は回転駆動装置として設計される。
【0021】
上述の実施形態のさらなる発展形態では、駆動機構は複数の駆動手段を備える。駆動手段は、例えば、電気モータおよび/または同期モータであり得る。各駆動手段は、それぞれの把持アームに割り当てられ得る。例えば、第1の駆動手段を第1の把持アームに割り当て、第2の駆動手段を第2の把持アームに割り当てることができる。複数の駆動手段を有する駆動機構は、把持アームが常に第2の回転軸線を中心に互いに独立して枢動可能であり得るという利点を有する。特に、1つの駆動手段が故障した場合、他の駆動手段が他の把持アームを継続して駆動することが確実にされ得る。例えば、駆動手段は、故障の場合に駆動手段がアイドルモードに切り替わるように設計することができるので、割り当てられた把持アームは、第2の回転軸線を中心に自由に枢動可能である。
【0022】
各把持アームは、駆動リング上に配置され得る。各駆動リングは、第2の回転軸線を中心に回転できるように取り付けられる。例えば、駆動リングは、ころ軸受および/または滑り軸受を介して互いに対して回転できるように、把持装置の基体に支持することができる。有利には、駆動リングのそれぞれの把持アームは、対応する駆動リングが第2の回転軸線を中心に回転するとき、第2の回転軸線を中心に枢動される。把持アームを駆動リングに直接割り当てることは、把持アームを個々にかつ互いに独立して駆動することができるという利点を有する。駆動リングは、環状、特に円形、半環状、または部分的に環状とすることができる。駆動リングは、圧力嵌め、形状嵌めおよび/または材料嵌め方式でそれぞれの把持アームに接続することができる。代替的に、駆動リングとそれぞれの把持アームとが一体に形成されていること、特に、互いに一体的に形成されていることも考えられる。
【0023】
好ましくは、それぞれの把持アームは、第2の回転軸線に対してそれぞれの駆動リングの半径方向外側面上に配置される。
装置が駆動手段および駆動リングを有するさらなる実施形態では、各駆動リングは内歯を有することができ、各駆動手段は外歯を有する平歯車を有することができる。有利には、駆動手段および駆動リングは、駆動手段の外歯が駆動リングの内歯と係合するように互いに対して配置される。有利には、係合により、駆動リングが第2の回転軸線を中心に回転するように、駆動手段によって生成された回転運動が対応する駆動リングに伝達される。特に、これは、対応する駆動リング上に配置された把持アームを駆動する。このようなさらなる発展形態は、駆動手段によって生成された回転運動が、実質的に損失なく、駆動リングに伝達され、それにより対応する把持アームにも伝達され得るという利点を有する。
【0024】
代替的にまたは追加的に、駆動手段は、他の駆動接続を介して駆動リングを駆動することもできる。例えば、それぞれの駆動手段が係合する1つ以上の駆動リングに外歯を設けることができる。これとは独立して、チェーンドライブおよび/またはベルトドライブも、駆動リングと駆動手段との間の駆動接続として考えられる。リニアモータを使用することもできる。
【0025】
あるいは、湾曲したガイドを使用して把持アームを案内することができる。
駆動機構と把持アームとの間に歯車箱を設けることも考えられる。例えば、各駆動手段と対応する駆動リングとの間に歯車箱を設けることができる。代替的に、歯車箱は、個々の駆動手段と駆動リングとの間にのみ配置することもできる。歯車箱は、駆動機構、特にそれぞれの駆動手段の回転運動の増速駆動および/または低減のために設計され得る。歯車箱の使用は、第2の回転軸線を中心とした把持アームの枢動運動が非常に微細でなければならない場合、および/または増大した把持力が必要とされる場合、特に有利であり得る。
【0026】
別の例示的な実施形態では、1つの把持手段が、把持アームのうちの1つ、いくつか、または各々に配置され得る。これとは関係なく、複数の把持手段を1つの把持アームに配置することができる。有利には、把持手段は、協働する把持アーム、特に協働する把持アームの把持手段の方を向くように、対応する把持アーム上に配置される。把持手段は、把持アームが把持位置にあるときにワークピースに接触するように設計されることが好ましい。例えば、把持手段は、把持位置においてワークピースにクランプ力を加えるように設計することができる。代替的にまたは追加的に、把持手段は、ワークピースを下から把持できる突出部を備えることができる。これは、特に、対応する把持アームが解放位置から把持位置に変化するとき、または把持位置にあるときに、ワークピースが1つ以上の把持手段の突出部によって下から把持されることを意味する。
【0027】
把持手段は有利にも、把持位置における把持アームとワークピースとの間の摩擦ロッキングおよび/またはポジティブロッキングを改善する。これは、ワークピースを把持装置によってより安全に搬送することができ、特に、ワークピースを第2の回転軸線を中心として安全に枢動させることができるという利点を有する。
【0028】
把持装置は、いくつかのワークピースを同時に把持するように設計することができる。有利なことに、これは、工作機械を装填および脱着するための装置によって、工作機械を迅速かつ効果的に装填および脱着することができることを意味する。
【0029】
例示的な実施形態では、把持装置は、第1の把持アームと、第2の把持アームと、第3の把持アームとを備えることができる。第2の把持アームは、第2の回転軸線の周方向において第1の把持アームと第3の把持アームとの間に設けられていることが好ましい。言い換えれば、第2の回転軸線の周方向における把持アームの順序は、それぞれの位置(把持位置および/または解放位置)にかかわらず一定であり得る。有利なことに、これは、把持装置の制御が非常に容易であることを意味する。これは、工作機械を装填および脱着するための装置が、費用対効果が高く、時間がかからない方法で製造および操作され得るという利点を有する。
【0030】
上述の実施形態のさらなる発展形態では、把持装置は、第2の把持アームが第1の把持アームに対して把持位置または解放位置をとることができるように設計され得る。これとは独立して、第2の把持アームが第3の把持アームに対して把持位置または解放位置をとることができるように提供されることができる。言い換えれば、第2の把持アームは、第2の把持アームが両側で把持位置および/または解放位置をとることができるように設計され得る。第2の把持アームは、第2の回転軸線の周方向の両側でワークピースに接触することができる。このようなさらなる発展形態は有利なことに、第3の把持アームに対する第2の把持アームの位置に関係なく、第1の把持アームと第2の把持アームとの間でワークピースを把持することができることを意味する。これは逆にも同様に適用される。これは、第1の把持アームに対する第2の把持アームの位置に関係なく、第2の把持アームと第3の把持アームとの間でワークピースを把持することができることを意味する。
【0031】
第2の把持アームが周方向において第1の把持アームと第3の把持アームとの間に配置されている、さらなる発展形態の利点は、把持装置が、例えば、ワークピースを把持および/または解放しないこと、第1の把持アームと第2の把持アームとの間でワークピースを把持および/または解放すること、第2の把持アームと第3の把持アームとの間でワークピースを把持および/または解放すること、または2つのワークピースを同時に把持および/または解放することができることである。これにより、迅速で効率的かつ柔軟な装填および脱着を確実にする。
【0032】
装置のさらなる例示的な実施形態では、キャリアは、キャリアが動作位置と保守位置との間で調整可能であるように、第1の回転軸線を中心に回転可能である。特に、キャリアは、動作位置と保守位置との間で切り替えることができるように、第1の回転軸線を中心に回転することができる。好ましくは、動作位置において、工作機械は、装置によってワークピースを装填および脱着される。保守位置では、工作機械および/または装置を保守することができる。代替的または追加的に、工作機械および/または装置は、保守位置において1つ以上のワークピースを手動で装填され得る。これは、装置がユーザにとって容易にアクセス可能であるという利点を有する。
【0033】
キャリアは、基部上に流体静力学的に取り付けることができる。キャリアは、特に第1の回転軸線を中心としたキャリアの回転性を改善するために、基部上に流体静力学的に取り付けることができる。これは、重い負荷、特に例えば、100kgを超える自重を有する重いワークピースであっても、キャリアが依然として、第1の回転軸線に対して回転可能である、特に滑らかに回転可能であるという利点を有する。加えて、静圧軸受は、キャリアと基部との間の接続を高剛性にすることができ、正確な位置決めを可能にする。
【0034】
これとは無関係に、キャリアはキャリアタワーを有することができる。キャリアタワーは、キャリア上に垂直に配置されることが好ましい。これとは無関係に、キャリアタワーを、第1の回転軸線に対してキャリア上に偏心して設けることができる。
【0035】
キャリアタワーの外側面は、第2の回転軸線に対して半径方向外側にキャリアタワーを画定することができる。例えば、把持装置は、キャリアタワーの外側面に配置される。これは、有利なことに、保守作業のために把持装置に容易にアクセスできることを意味する。
【0036】
ドレッシング装置をキャリア上に設けることができる。ドレッシング装置は、工作機械の研削装置の研磨材をドレッシングするように設計することができる。好ましくは、ドレッシング装置は、第1の回転軸線に対してキャリア上で半径方向にオフセットして配置される。これは、キャリアが例えば第1の回転軸線を中心に回転するとき、ドレッシング装置が第1の回転軸線を中心に枢動するという効果を有する。これは、ドレッシング装置によって研磨材をドレッシングすることができるように、第1の回転軸線を中心にキャリアを回転させることによって、ドレッシング装置を研磨材に対して位置決めすることができるという利点を有する。この目的のために、キャリアは、例えば、ドレッシング位置をとることができる。これとは無関係に、ドレッシング装置はまた、キャリアを第1の回転軸線を中心に回転させることによって、ユーザが容易にアクセス可能にすることができ、特に、保守作業のために容易にアクセス可能にすることができる。
【0037】
上述の実施形態の例示的なさらなる発展形態では、ドレッシング装置はキャリアに対して移動可能であり得る。好ましくは、ドレッシング装置は、キャリアに対して並進移動可能である。特に、ドレッシング装置は、ドレッシング装置の並進移動によりドレッシング装置と第1の回転軸線との間の距離を変化させるように、キャリアに対して移動可能であり得る。言い換えれば、ドレッシング装置の並進移動は、第1の回転軸線に直交することができる。例えば、ドレッシング装置は、キャリアに対して、特にキャリアから離れるように、100mm~200mm、好ましくは125mm~175mm、特に好ましくは150mm移動させることができる。有利なことに、これは、把持装置との衝突を効果的に防止できるという効果を有する。加えて、またはそれとは独立して、ドレッシング装置をキャリアから間隔を置かせることにより、例えば研磨材をドレッシングすることによって生じる摩耗による把持装置の汚損を大幅に低減することができる。
【0038】
代替的または追加的に、ドレッシング装置は、キャリアに対して回転移動可能であってもよい。例えば、ドレッシング装置は、キャリアに対してドレッシング装置の枢動軸を中心に枢動可能であり得る。ドレッシング装置の枢動軸は、第1の回転軸線に平行に配置することができる。ドレッシング装置をキャリアに対して並進移動および回転移動させることができる場合、ドレッシング装置の並進移動により、ドレッシング装置の枢動軸と第1の回転軸線との間の距離を変化させることができる。
【0039】
キャリアに対して移動可能なドレッシング装置を有する実施形態は、有利なことに、ドレッシング装置が研磨材に対して特に良好に位置決めされ得ることを意味する。
これは、研磨材がドレッシング装置によって特に正確にドレッシングされ得るという利点を有する。
【0040】
別の例示的な実施形態では、装置は倣い加工装置を含む。倣い加工装置は、研削装置の研磨材を倣い加工するために、特に予備倣い加工するために設計され得る。例えば、倣い加工装置は、回転切削刃を有することができ、この切削刃を通り越して、研磨材を回転させて、研磨材にプロファイルを導入することができる。好ましくは、倣い加工装置は、把持装置上に、特に駆動リング上に、または把持装置の基体上に配置される。倣い加工装置のそのような配置は、有利なことに、倣い加工装置が第2の回転軸線に対して軸線方向に移動可能であり得ること、かつ/または第2の回転軸線を中心に枢動され得ることを意味する。これは、倣い加工装置を研磨材に対して特に良好に位置決めできるという利点を有する。
【0041】
別の例示的な実施形態では、装置は芯出し装置を含む。芯出し装置は、装置の別の構成要素に対して、かつ/または工作機械の構成要素に対して、ワークピースを位置合わせするように、特に芯出しするように設計することができる。例えば、芯出し装置は、ワークピースをワークピーススピンドルに対して位置合わせするように、特に芯出しするように設けられてもよい。芯出し装置は、追加的にまたは代替的に、ワークピースを支持するように設計され得る。例えば、芯出し装置は、ワークピースがワークピーススピンドルによって駆動されるときにワークピースを支持することができる。芯出し装置は、好ましくは心押し台である。芯出し装置を有する実施形態は、装置によって工作機械に非常に正確に装填することができ、かつ/または機械加工中にワークピースを所定の位置に保持することができるという利点を有する。これにより、特に工作機械の精度が向上する。有利なことに、ワークピース上の製造公差を最小化することができる。
【0042】
装置は位置判定装置を有してもよい。位置判定装置は、ワークピース、特にワークピースの少なくとも1つの歯溝の位置を検出するように設計されることが好ましい。例えば、位置判定装置は、工作機械にワークピースが装填された後のワークピースの位置を検出する。代替的にまたは追加的に、位置判定装置は、ワークピースが把持装置によってワークピーススピンドル上に配置された後のワークピースの位置を検出する。特に、位置判定装置は、ワークピースの歯面または歯溝の位置を判定するように設計することができる。代替的にまたは追加的に、位置判定装置は、把持アームの位置を判定するように、特に、第2の回転軸線に対する把持アームの位置を判定するように設計することができる。
【0043】
それぞれの位置を判定するために、位置判定装置は少なくとも1つのセンサを備えることができる。センサは、光学センサおよび/または電磁センサ、特に距離センサとすることができる。センサは、例えばホールセンサとすることができる。位置判定装置によるワークピースの位置の検出は、工作機械の精度を向上させるという利点を有する。例えば、工作機械の研削装置の研削材を、ワークピースの判定された位置に応じて、ワークピースとより適切に位置合わせすることができ、それによって、ワークピースの公差が円周にわたって規則的に分布させられ、ワークピース上の製造公差を最小化することができる。特に、位置判定装置は、研磨材がワークピースの歯先と接触するときに衝突しないことが確実にされるように、ワークピースの位置を判定するように使用することができる。
【0044】
本発明によれば、冒頭で述べた課題は、ワークピースの歯車研削のための、特に歯車素材などの予め歯が形成されたワークピースの硬質精密機械加工のための工作機械によっても解決される。この目的のために、工作機械は、機械ハウジングと、研削装置と、上記した装置と、を備える。本発明によれば、研削装置は、機械ハウジング上に配置され、ワークピースを研削するように設計される。工作機械の機械ハウジングは、上記の実施形態による装置の基部を形成する。
【0045】
本発明による工作機械は、工作機械に装置によってワークピースをより迅速に装填および脱着できるという利点を有する。それに加えて、またはそれとは独立して、第1の回転軸線を中心に回転可能なキャリアは、工作機械の個々の構成要素へのアクセスしやすさを向上させるという効果を有する。これは、本発明による工作機械の保守がより容易であるという利点を有する。
【0046】
第1の例示的な実施形態では、工作機械は、キャリアに配置されたドレッシング装置と、キャリアに配置されたワークピーススピンドルとを備える。ドレッシング装置は、研削装置の研磨材をドレッシングするために、特に倣い加工および/または再研磨するために設計することができる。好ましくは、ドレッシング装置は、第1の回転軸線に対してキャリア上で半径方向にオフセットして配置される。これは、キャリアが例えば第1の回転軸線を中心に回転するとき、例えば、ドレッシング装置が第1の回転軸線を中心に枢動するという効果を有する。ドレッシング装置は、移動できるように、特に並進移動および/または回転移動できるように、キャリア上に配置することができる。好ましくは、ドレッシング装置は、キャリアの、ワークピーススピンドルとは反対の側に配置される。例えば、ドレッシング装置は、第1の回転軸線に関してワークピーススピンドルに対して180°ずれた位置でキャリア上に配置される。
【0047】
ワークピーススピンドルは、好ましくは、ワークピーススピンドル上に配置されたワークピースを回転させるように設計される。有利には、把持装置は、ワークピーススピンドルにワークピースを装填および脱着するように設計されている。ワークピーススピンドルは、第3の回転軸線を中心に回転可能であり、特に第3の回転軸線を中心に回転可能であり得る。好ましくは、第3の回転軸線は、第1の回転軸線に平行にオフセットされる。これは、キャリアが第1の回転軸線を中心に回転するとき、例えば、ワークピーススピンドルが第1の回転軸線を中心に枢動するという効果を有する。
【0048】
キャリアは、キャリアが研削位置と保守位置との間で回転できるように、第1の回転軸線を中心に回転することができる。好ましくは、ワークピーススピンドルは、研削位置において研削装置の方を向く。これは、有利には、ワークピースが研削位置において研削装置によってワークピーススピンドル上で機械加工され得ることを意味する。保守位置において、ドレッシング装置は研削装置の方を向くことができる。有利なことに、これは、研削装置の研磨材が保守位置にあるドレッシング装置によって保守され得ることを意味する。
【0049】
第1の実施形態に係る工作機械は、ユーザにとって取り扱いが容易であり、保守が容易であるという利点を有する。
追加的または代替的に、ワークピーススピンドルおよび/または把持装置は、アクセス位置においてユーザにとってより容易に、特に自由にアクセス可能であってもよい。キャリアのアクセス位置は、キャリアの保守位置に対応し得る。
【0050】
例示的な実施形態では、工作機械は、ドレッシング装置に加えて倣い加工装置を有する。倣い加工装置は、研削装置の研磨材を倣い加工するように、特に予備倣い加工するように設計することができる。例えば、倣い加工装置は回転切断刃を有することができ、研磨材にプロファイルを作成するために、切断刃に対して研磨材を回転させて通過させることができる。倣い加工装置は、把持装置に配置されることが好ましい。有利には、倣い加工装置は、キャリアが保守位置にあるときに研削装置の方を向く。特に、これは、研磨材を非常に迅速に次々に予備倣い加工し、次にドレッシングできることを意味する。予備倣い加工は、好ましくは倣い加工装置によって実行され、ドレッシングはドレッシング装置によって実行される。これは、研磨材の保守作業を最小限の時間に減らすことができるという利点を有する。
【0051】
本発明によれば、冒頭で述べた課題は、上記実施形態による装置を用いた方法によっても解決される。好ましくは、装置は、第1の把持アームと、第2の把持アームと、第3の把持アームとを有する。このような装置を用いて工作機械を装填および脱着する方法は、工作機械にワークピースをより迅速に装填および脱着でき、特に、いくつかのワークピースの交換をより迅速に実行できるという利点を有する。
【0052】
工作機械にワークピースを装填および脱着するための方法は、初期装填プロセス、すなわち、工作機械にワークピースを初期に装填することを含むことができる。初期装填プロセスの一部として、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、好ましくは、第1の把持アームおよび第2の把持アームが、第1のワークピースを把持するように互いに対して把持位置をとるように、第2の回転軸線を中心に互いに対して枢動される。第1の把持アームおよび第2の把持アームは、例えばピックアップ位置において第1のワークピースを把持することができる。第1のワークピースが第1の把持アームおよび第2の把持アームによって把持された後、把持装置が第2の回転軸線に沿って軸線方向に移動されることが考えられる。これは、例えば、第1のワークピースが把持後に持ち上げられる場合に有用であり得る。初期装填プロセスのさらなるプロセスステップの間、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、互いに同期して第2の回転軸線を中心に枢動される。同期枢動プロセス中、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、互いに対して把持位置のままである。これは、第1のワークピースも第2の回転軸線を中心に枢動されることを意味する。これにより、第1のワークピースをピックアップ位置から装填位置に搬送することができる。好ましくは、装填位置は、ワークピーススピンドル上に、またはワークピーススピンドルに配置される。
【0053】
任意選択的に、把持装置は、第1の把持アームおよび第2の把持アームの同期枢動後に、第2の回転軸線に沿って軸線方向に移動させることができる。これは、第1のワークピースを、例えばワークピーススピンドル上に下降させることができ、またはワークピーススピンドル上に置くことができるという利点を有する。初期装填プロセスの最終プロセスステップにおいて、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、第1の把持アームおよび第2の把持アームが互いに対して解放位置をとるように、第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動される。その結果、ワークピースは、装填位置において第1の把持アームおよび第2の把持アームから解放される。好ましくは、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、初期装填プロセスの最後のプロセスステップにおいて、第1のワークピースが装填位置において研削装置によって機械加工され得るように、特に邪魔されることなく機械加工され得るように、離隔される。
【0054】
例示的な実施形態では、方法はワークピース交換プロセスを含む。
好ましくは、ワークピース交換プロセスは、第1のワークピースを第2のワークピースに置き換える。例えば、第1のワークピースは、工作機械によって研削されていてもよく、特に、ワークピーススピンドル上に配置されていてもよい。続いて第2のワークピースを研削できるように、例えば、ワークピーススピンドル上の第1のワークピースを、第2のワークピースに置き換えるか、または第2のワークピースと交換しなければならない。
【0055】
ワークピース交換プロセスの開始時に、第2のワークピースは、第2の把持アームおよび第3の把持アームによって把持され得る。この目的のために、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、第2の把持アームおよび第3の把持アームが互いに対して把持位置をとるように、第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動させることができる。ワークピース交換プロセスのさらなるステップの間、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、第1の把持アームおよび第2の把持アームが解放位置から把持位置へと互いに対して変化するように、第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動され得る。例えば、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、解放位置から把持位置に変化することで、第1のワークピースを把持することができる。
【0056】
第3の把持アームは、第3の把持アームが第2の把持アームに同期して追従するように、第2の回転軸線を中心に枢動されることが好ましい。これにより、有利には、第2の把持アームおよび第3の把持アームが互いに対して把持位置に留まり、第2のワークピースが第2の把持アームおよび第3の把持アームの移動に追従する。
【0057】
この方法は、第1のワークピースのすぐ隣に第2のワークピースを設けることができることを意味する。有利なことに、これは、2つのワークピースを実際に交換するのに、把持アームは、例えば<90°の枢動範囲内で、好ましくは<45°の枢動範囲内で、わずかにしか枢動される必要がないことを意味する。このような小さな枢動範囲は、ワークピース交換プロセス中にワークピースを迅速かつ効果的に交換できることを確実にするという利点を有する。
【0058】
第1のワークピースが第1の把持アームおよび第2の把持アームによって把持されており、第2のワークピースが第2の把持アームおよび第3の把持アームによって把持されている場合、以下でより詳細に説明するように、ワークピース交換プロセスの一部として搬送動作を行うことができる。搬送動作中、第1の把持アーム、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、第1のワークピースおよび第2のワークピースも第2の回転軸線を中心として互いに同期して枢動されるように、第2の回転軸線を中心として互いに同期して枢動されることが好ましい。好ましくは、第2の把持アームは、搬送動作中に両側で使用される。これは、第2の把持アームが、第1の把持アームの方を向く側で第1のワークピースと接触し、第3の把持アームの方を向く側で第2のワークピースと接触することを意味する。この利点は、可能な限り少ない数の把持アームで可能な限り多くのワークピースを一度に搬送できることである。これは、ワークピースが特に効率的に搬送されるという利点を有する。
【0059】
ワークピース交換プロセスのさらなるステップにおいて、第2のワークピースを装填位置で解放することができる。この目的のために、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、第2の把持アームおよび第3の把持アームが互いに対して解放位置をとるように、第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動される。第1のワークピースは、第1の把持アームおよび第2の把持アームを第2の回転軸線を中心に同期して枢動させることによって、保管位置に搬送され得る。続いて、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、第1の把持アームおよび第2の把持アームが互いに対して解放位置をとり、第1のワークピースを保管位置で解放するように、第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動され得る。
【0060】
好ましくは、工作機械を装填および脱着する方法は、複数のワークピース交換プロセスを含む。特に、本方法は、第1のワークピース交換プロセスおよび第2のワークピース交換プロセスを含むことができる。例えば、第1のワークピース交換プロセス中に、第1のワークピースを第2のワークピースと置き換えることができる。このプロセスは上記した通りである。
【0061】
第1のワークピース交換プロセス中、第2の把持アームは、好ましくは、第2の回転軸線を中心として第1の枢動方向に枢動される。特に、第1のワークピース交換プロセスの一部としての搬送動作中に、第2の把持アームは、第2の回転軸線を中心として第1の枢動方向に枢動される。
【0062】
第1のワークピース交換プロセスと同様に、第2のワークピースを、第2のワークピース交換プロセス中に第3のワークピースと置き換えることができる。第2のワークピース交換プロセス中、第2の把持アームは、第2の回転軸線を中心として第2の枢動方向に枢動され得る。第2の枢動方向は、好ましくは、第1の枢動方向と反対である。言い換えれば、第1の枢動方向と第2の枢動方向とは反対方向であることが好ましい。例えば、第2の把持アームは、第2のワークピース交換プロセスの一部として搬送動作中に第2の回転軸線を中心として第2の枢動方向に枢動される。有利なことに、これは、工作機械、特に工作機械のワークピーススピンドルが、異なる方向から、例えば左から、かつ右から装填および脱着され得るという効果を有する。このような方法は、ワークピースのより迅速かつより効果的な交換が確実にされるという利点を有する。
【0063】
工作機械を装填および脱着するための方法の上述した2つの実施形態の例示的なさらなる発展形態では、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、第2の把持アームおよび第3の把持アームが解放位置から把持位置へ互いに対して変化するように、第2のワークピース交換プロセス中に第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動され得る。例えば、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、解放位置から把持位置に変化することによって、第2のワークピースを把持することができる。代替的に、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、例えば第2の把持アームと第3の把持アームとの間でワークピースを解放するために、第2の把持アームおよび第3の把持アームが把持位置から解放位置へ互いに対して変化するように、ワークピース交換プロセス中に第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動され得る。
【0064】
第2の把持アームおよび第3の把持アームが解放位置から把持位置に変化するかどうか、または第2の把持アームおよび第3の把持アームが把持位置から解放位置に変化するかどうかにかかわらず、第1の把持アームは、好ましくは、第1の把持アームが第2の把持アームに同期して追従するように、第2のワークピース交換プロセス中に第2の回転軸線を中心に枢動される。有利なことに、これは、例えば、第1の把持アームおよび第2の把持アームが互いに対して把持位置をとり、第3のワークピースが第1の把持アームと第2の把持アームとの間に配置される場合、第3のワークピースが第2の把持アームの移動に追従することを意味する。このような方法の利点は、第2のワークピース交換プロセスによりワークピースを迅速かつ効果的に交換できることが確実にされることである。
【0065】
別の例示的な実施形態では、方法は搬送動作を含む。上記の説明において既に示された搬送動作は、同時に搬送される2つのワークピースに対して与えられ得る。これは、ワークピース交換プロセスの状況において特に有利であり得る。搬送動作中に、例えば、第1のワークピースを搬出することができ、特に装填位置から搬出することができ、同時に第2のワークピースを搬送することができ、特に装填位置に搬送することができる。例えば、搬送動作中に、第1のワークピースをワークピーススピンドルから搬出することができ、第2のワークピースをワークピーススピンドルに向けて搬送することができる。好ましくは、第1のワークピースは、搬送動作中に第1の把持アームと第2の把持アームとの間に配置され、第1の把持アームおよび第2の把持アームは、互いに対して把持位置をとる。さらに、第2のワークピースは、第2の把持アームと第3の把持アームとの間に配置することができ、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、互いに対して把持位置をとる。言い換えれば、第2の把持アームは、好ましくは、搬送動作中に第1のワークピースと第2のワークピースとの間に配置される。ワークピースを搬送するために、第1の把持アーム、第2の把持アームおよび第3の把持アームは、第2の回転軸線を中心として互いに同期して枢動され得る。その結果、ワークピースは同期して搬送され、特に、同時に第2の回転軸線を中心に枢動される。
【0066】
上記した異なる例示的な特徴は、技術的に理にかなっており適切である限り、本発明に従って互いに組み合わせることができる。本発明のさらなる特徴、利点および実施形態は、実施形態の例の以下の説明において、図面を参照して示される。図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】研削機械を装填および脱着するための装置を有する研削機械の一実施形態の斜視図。
図2図1に示す研削機械の装填および脱着のための装置の実施形態による把持装置の斜視図。
図3図2に示す把持装置の断面図の詳細。
図4図2に示す把持装置の別の断面図の詳細。
図5】把持装置の第2の実施形態。
図6】初期装填プロセス中の図1による実施形態の上面図。
図7】ワークピース交換プロセスの開始時における図1による実施形態の上面図。
図8】ワークピース交換プロセスの一部としての搬送動作の開始時における図1による実施形態の上面図。
図9】保守位置またはオペレータ側にワークピースを保管するための位置にある図1による実施形態の上面図。
図10図1による実施形態の一部の断面図。
図11】研削機械の装填および脱着のための装置を有する研削機械の別の実施形態の一部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、研削機械30を装填および脱着するための、特に研削機械30にワークピース40を装填および脱着するための装置1を有する研削機械30の実施形態の斜視図を示す。図示する実施形態では、研削機械30は歯車研削機械30である。歯車研削機械30は、ワークピース40を機械加工するように、特に研削するように設計されている。ワークピース40は、予め歯が形成されたワークピース40、特に歯車素材40であり得る。
【0069】
本明細書で概略的に示されている研削機械30は、ワークピース40を研削するための研磨材33を有する研削装置32を備えている。研磨材33は、例えば、研削ウォーム33である。研削装置32は、機械ハウジング31上に配置されている。機械ハウジング31はまた、研削機械30を装填および脱着するための装置1のための基部2を形成する。
【0070】
研削機械30を装填および脱着するための装置1は、キャリア3および把持装置11を有する。
キャリア3は、基部2に接続され、第1の垂直回転軸線Dを中心に基部2に対して回転可能である。キャリア3のキャリアタワー4は、第1の回転軸線Dに対して半径方向にオフセットされ、外側側面5を有する。第2の垂直回転軸線Dは、図示された実施形態例においてキャリアタワー4内に延在し、第1の回転軸線Dに対して平行にオフセットされている。
【0071】
ドレッシング装置6がキャリア3上に配置されている。ドレッシング装置6は、研削装置32の研削材33をドレッシングするように、特に研削材33を倣い加工および/または再研磨するように設計されている。さらに、ワークピーススピンドル7がキャリア3上に配置される。ワークピーススピンドル7は、第3の回転軸線Dを中心としてキャリアに対して回転可能である。ワークピーススピンドル7は、第3の回転軸線Dを中心に回転するように、特に、ワークピース40がワークピーススピンドル7上に配置されるときに回転するように設計される。
【0072】
把持装置11は、キャリア3、特にキャリアタワー4に配置され、キャリアタワー4の外側面5に沿って移動可能である。言い換えれば、把持装置11は、第2の回転軸線Dに沿って軸線方向に移動可能である。把持装置11は、ワークピース40を把持および解放するように設計されている。
【0073】
把持装置11は、第1の把持アーム13と、第2の把持アーム14と、第3の把持アーム15とを有する。把持アーム13、14、15の各々は、他の把持アーム13、14、15とは独立して第2の回転軸線Dを中心に枢動可能である。把持アーム13,14,15の順序は、第2の把持アーム14が常に第1の把持アーム13と第3の把持アーム15との間に配置されているように、第2の回転軸線Dの周方向で決定されている。
【0074】
把持手段21は、第1および第3の把持アーム13、15の各々に配置されている。図示の実施形態例では、2つの把持手段21が中央の第2の把持アーム14に配置されている。各ケースにおいて、外側把持アーム13、15の把持手段21が、それの方を向く中央把持アーム14の把持手段21と相互作用できるように、把持手段21は、把持アーム13、14、15上に配置されている。把持手段21はそれぞれ上部と下部とを備え、対応する把持アーム13、14、15は上部と下部との間に配置されている。好ましくは、それぞれの把持手段21の上部および下部は、対応する把持アーム13、14、15を通って延びるピンを介して互いに接続されている。把持手段21は、それぞれの把持アーム13、14、15に不動に接続されている。好ましくは、把持手段21とそれぞれの把持アーム13、14、15との間の接続は、把持手段21の交換を可能にするために取り外し可能である。把持手段21の上部および下部の両方は、円形リング部分形状の内側輪郭を有する把持顎を形成し、その直径は、把持されるワークピース40の直径に適合されている。
【0075】
各把持アーム13、14、15は、駆動リング16、17、18上に配置されている(図2も参照)。図示の実施形態例では、第1の把持アーム13は第1の駆動リング16に配置され、第2の把持アーム14は第2の駆動リング17に配置され、第3の把持アーム15は第3の駆動リング18に配置されている。駆動リング16、17、18はそれぞれ、第2の回転軸線Dを中心に互いに独立して回転することができる。駆動リング16、17、18と対応する把持アーム13、14、15との間の接続は、それぞれの駆動リング16、17、18が第2の回転軸線Dを中心に回転するときに、対応する把持アーム13、14、15が第2の回転軸線Dを中心に枢動されるように設計されている。
【0076】
把持装置11は、把持アーム13、14、15を互いに独立して駆動するように設計された駆動機構23を備える。駆動機構23は、複数の駆動手段24、25、26、特に第1の駆動手段24、第2の駆動手段25、および第3の駆動手段26を備え、これらの駆動手段の各々が駆動リング16、17、18を駆動する。
【0077】
図2は、図1の実施形態による把持装置11の斜視図を示す。
図2に見られるように、ワークピース40は、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14によって把持されている。この目的のために、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14が互いに対して把持位置をとるように、第2の回転軸線Dを中心に枢動される。
【0078】
ワークピース40は、第1の把持アーム13に配置された把持手段21と、第2の把持アーム14に配置された把持手段21とによって接触される。把持手段21は、協働してワークピース40にクランプ力を加える。さらに、把持手段21はそれぞれ、第3の把持アーム15の把持手段21上に見られるように、突出部22を有する。突出部22によって、ワークピースは、把持手段21によって下から把持され得る。
【0079】
図2に示す位置では、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、互いに対して解放位置をとる。解放位置では、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、離れており、特に、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15によっていかなるワークピースも把持できないように、第2の回転軸線Dの周方向に離れている。第2の把持アーム14と第3の把持アーム15との間の距離は、把持手段21を介してワークピースにクランプ力を全く加えることができないような距離である。加えて、第2の把持アーム14と第3の把持アーム15との間の距離は、ワークピースが突出部22によって下から把持できないように選択される。
【0080】
駆動リング16、17、18は、第2の回転軸線Dに関して、軸線方向に互いに隣に、特に上下に配置される。把持装置11の基体12は、駆動リング16、17、18を軸線方向に制限する。
【0081】
図3は、把持装置11の垂直断面図の詳細として、駆動リング16、17、18の配置を示す。図3の断面図は、断面が第2の回転軸線Dに平行に延びるように選択された。
駆動リング16,17,18は、ころ軸受19を介して互いに回転可能に取り付けられている。2つの外側駆動リング、特に第1の駆動リング16および第3の駆動リング18はそれぞれ、把持装置11の基体12上のころ軸受19を介して軸線方向外側で支持されている。図3に示す軸受は、アンギュラコンタクト玉軸受のように作用し、その結果、軸線方向および半径方向の力をころ軸受19を介して伝達し得る。
【0082】
駆動リング16、17、18は、本明細書で説明する実施形態では円形である。代替の実施形態では、駆動リング16、17、18は、半円形または部分円形であり得る。
第2の把持アーム14および第2の駆動リング17の例によって図3に示すように、把持アーム13、14、15は、駆動リング16、17、18上で半径方向外向きに駆動リング16上に配置されている。
【0083】
各駆動リング16,17,18は、その内側面に内歯20を有している。
図4は、例えば、把持装置11の水平断面図の詳細として、第1の駆動リング16の内歯20を示す。より良く理解するために、第2の回転軸線Dに直交する把持装置11を通る断面が、図4の断面図のために選択された。
【0084】
既に上記したように、各把持アーム13,14,15は、対応する駆動リング16,17,18によって駆動される。次いで駆動リング16,17,18は、駆動機構23の駆動手段24,25,26によってそれぞれ駆動される。図4に示す断面図は、平歯車27に回転不能に接続された第1の駆動手段24の駆動軸を示す。平歯車27は、把持装置11の基体12内に回転可能に取り付けられている。平歯車27は、第1の駆動リング16の内歯20と係合する外歯28を有する。この係合の結果として、平歯車27が駆動手段24によって駆動されるとき、平歯車27の回転運動は、駆動リング16を第2の回転軸線Dを中心に回転させる。それに応じて、第1の駆動リング16に配置された第1の把持アーム13も第2の回転軸線Dを中心として枢動される。
【0085】
図4で例として説明した駆動リング16の駆動は、他のすべての駆動リング17、18にも同様に適用することができる。したがって、第2の駆動リング17は第2の駆動手段25によって駆動され、第3の駆動リング18は第3の駆動手段26によって駆動される。
【0086】
図5は、把持装置11の第2の例示的な実施形態を示す。第2の実施形態による把持装置11の構造は、原則として、第1の実施形態による把持装置11の構造に対応する。
把持装置11の2つの実施形態の間の唯一の違いは、第2の実施形態における把持装置11が位置判定装置9を備えることである。
【0087】
位置判定装置9は2つのセンサ10aを備えており、これらのセンサ10aはそれぞれ第2の把持アーム14に配置されている。センサ10aは、第2の把持アーム14が第1の把持アーム13および/または第3の把持アーム15との把持位置にあり、ワークピース40がそれぞれの把持アームの間に配置されているときに、センサ10aがそれぞれワークピース40の方を向くように、第2の把持アーム14に位置決めされている。
【0088】
図5に示す位置では、第2の把持アーム14は、第1の把持アーム13との把持位置にあり、ワークピース40が第2の把持アーム14と第1の把持アーム13との間に配置されている。第2の把持アーム14と第3の把持アーム15は、互いに対して解放位置にあり、その結果、第2の把持アーム14と第3の把持アーム15との間にワークピース40は配置されていない。
【0089】
センサ10aは、光学式および/または電磁式のセンサ10a、特にホールセンサであり得る。好ましくは、センサ10aは、対応するワークピース40の位置、特に、対応するワークピース40の回転角度位置を判定するように設計される。位置判定は、ワークピース40の歯面を用いて行うことができる。
【0090】
例えば、図5に示す把持位置から開始して、第1の把持アーム14および第2の把持アーム15は、ワークピース40がワークピーススピンドル7によって回転できるが、センサ10aが依然としてワークピース40の方を向いているように、解放位置に移動され得る。これにより、センサ10aは、センサ10aを通過して回転するワークピース40の歯を検出することができる。
【0091】
位置判定装置9は、それぞれの把持アーム13、14、15の位置および/またはそれぞれの把持アーム13、14、15の間に配置されたワークピース40の位置を判定するように設計されたセンサ10bをさらに備える。代替的にまたは追加的に、センサ10bは、センサ10bの前に配置されたワークピース40の位置、特にセンサ10bの前に配置されたワークピース40の回転角度位置を判定するように設計されてもよい。センサ10bは、光学および/または電磁センサ10bであり得る。
【0092】
代替的に、把持アーム13、14、15の位置判定は、駆動手段24、25、26を介して行うことができる。これは、駆動手段24、25、26が同期モータ24、25、26である場合に特に有利である。例えば、把持アーム13、14、15の位置は、各場合に同期モータ24、25、26によって実行される回転ステップの数に基づいて判定することができる。
【0093】
図6は、図1による研削機械30の上面図を示す。研削機械30、研削機械30を装填および脱着するための装置1、特に把持装置11の特定の構造に関しては、上記の説明を参照されたい。図1とは対照的に、図6では第4の回転軸線D4を見ることができる。
【0094】
研削装置32の研磨材33は、第4の回転軸線D4を中心に回転するように設計されている。
図6に示す実施形態では、研削機械30を装填および脱着するための装置1は、初期装填プロセスにある。言い換えれば、図6は、装置1が加工サイクルにおいて最初に研削盤30を装填するときに生じる状態にある装置1を示している。このことは、ワークピーススピンドル7上にワークピースが存在せず、かつ第2の把持アーム14と第3の把持アーム15との間にワークピースが配置されていないことで認識され得る。第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、互いに対して解放位置をとっている。第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、互いに対して把持位置をとっており、例えばベルトコンベヤ上に置かれて提供された第1のワークピース40を共同で把持している。
【0095】
図6に示す位置に続いて、第1のワークピース40がワークピーススピンドル7に搬送される。第1のワークピース40を持ち上げるために、把持装置11は、第2の回転軸線Dに沿って軸線方向に見る人の方向に移動することができる。これとは無関係に、第1のワークピース40がワークピーススピンドル7の上方に配置されるまで、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14によって第1のワークピース40が第2の回転軸線Dを中心として時計回りに枢動させる。図示の例では、枢動角度は180°である。第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、第2の回転軸線Dを中心に同期して枢動される。任意選択的に、把持装置11は、次いで、第1のワークピース40をワークピーススピンドル7上に置くために、第2の回転軸線Dに沿って、特に見る者から離れるように軸線方向に再び移動することができる。初期装填プロセスを完了するために、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14はそれぞれ、第2の回転軸線Dを中心に枢動され、それにより、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、互いに対して解放位置をとり、第1のワークピース40を解放し、特にワークピーススピンドル7上で第1のワークピース40を解放する。
【0096】
図7は、初期装填プロセスの完了後の研削機械30、特に装置1を示す。これは、第1のワークピース40がワークピーススピンドル7上に配置されているという事実によって認識することができる。さらに、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、互いに対して解放位置をとっている。第1の把持アーム13と第2の把持アーム14は、第1のワークピース40が研削装置32によって、特に研削材33によって邪魔されることなく加工され得るように、間隔を置いて配置されている。第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、第1の把持アーム13と第2の把持アーム14との間の距離が研磨材33の軸線方向幅よりも大きくなるように、第2の回転軸線を中心として互いに対して枢動される。
【0097】
第2の把持アーム14および第3の把持アーム15も、互いに対して解放位置をとっている。第2のワークピース41は、コンベヤベルト34によって提供された。ワークピース交換プロセスの一部として、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、図7に示す位置から開始して、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15が互いに対して把持位置をとり、このプロセスにおいて第2のワークピース41を把持するように、第2の回転軸線Dを中心に枢動される。第2のワークピース41が第2の把持アーム14および第3の把持アーム15によって把持されたとき、把持装置11は、第2のワークピース41を持ち上げるために、第2の回転軸線Dに沿って、特に見る者に向かって軸線方向に任意選択的に移動することができる。
【0098】
ワークピース交換プロセス中、第2のワークピース41は、周方向において第1のワークピース40の隣に配置されるまで、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15によって第2の回転軸線Dを中心に時計回りに枢動される。この目的のために、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、第2の回転軸線Dを中心に同期して枢動される。任意選択的に、把持装置11の第2の回転軸線Dに沿った、特に見る者から離れる軸線方向の移動が考えられる。
【0099】
これらのステップの間、第1のワークピース40の機械加工を継続することができる。
図8に示す装置1、特に把持装置11の位置は、ワークピース交換プロセスにおける中間位置である。この位置に到達するために、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、ワークピース40の機械加工の完了後に、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14が互いに対して把持位置をとり、第1のワークピース40を把持するように、第2の回転軸線Dを中心として互いに対して枢動された。第3の把持アーム15は、第3の把持アーム15が第2の把持アーム14と同期して第2の回転軸線Dを中心として枢動され、特に第2の把持アーム14に同期して追従するように、第2の回転軸線Dを中心として枢動される。言い換えれば、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、第2の把持アーム14の移動とは無関係に把持位置のままである。第2のワークピース41は、第2の把持アーム14と第3の把持アーム15との間に留まる。
【0100】
ワークピース交換プロセスの一部として、図8に示す位置の後に搬送動作が続くことが好ましい。搬送動作中、特に、第1のワークピース40はワークピーススピンドル7から離れるように搬送され、第2のワークピース41はワークピーススピンドル7に向かって搬送される。好ましくは、第1のワークピース40は、搬送動作中、第1の把持アーム13と第2の把持アーム14との間に留まる。第2の把持アーム14と第3の把持アーム15との間の第2ワークピース41についても同様である。言い換えれば、第1の把持アーム13および第2の把持アーム14は、搬送動作中、互いに対して把持位置のままである。第2の把持アーム14および第3の把持アーム15も、搬送動作中、互いに対して把持位置のままである。ワークピース40、41を搬送するために、第1の把持アーム13、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、第2の回転軸線Dを中心に互いに同期して枢動され得る。
【0101】
好ましくは、第1の把持アーム13、第2の把持アーム14および第3の把持アーム15は、互いに同期して第2の回転軸線D2を中心に時計回りに枢動される。その結果、ワークピース40、41は同期して搬送され、特に同時に第2の回転軸線Dを中心に時計回りに枢動される。
【0102】
図9は、保守位置にある研削機械30、特に研削機械30を装填および脱着するための装置1を示す。図示の実施形態では、ユーザが研削機械30の構成要素にアクセスすることができる研削機械30の保守アクセスは、図6図9の下端に配置される。このアクセスは、研削機械30にワークピースを手動で装填するためにも使用することができる。
【0103】
装置1を保守位置に移動させるために、キャリア3は、機械ハウジング31に対して、または基部2に対して、第1の回転軸線Dを中心に時計回りに90°回転させた。これにより、把持装置11は、第1の回転軸線Dを中心に時計回りに90°枢動されている。結果として、把持装置11は、保守アクセスポイントに位置決めされ、ユーザがアクセス可能である。また、キャリア3が第1の回転軸線Dを中心にさらに回転して、例えば、ドレッシング装置6が保守アクセスポイントに位置決めされる、またはユーザがアクセスできるようにすることも考えられる。代替的にまたは追加的に、キャリア3は、第1の回転軸線Dを中心に回転させ、ワークピーススピンドル7が保守アクセスポイントに位置決めされる、またはユーザがアクセスできるようにすることができる。
【0104】
図10は、研削機械30の一部、すなわち装置1の一部の断面図を示す。図10の説明図に示すように、ドレッシング装置6は、キャリア3のキャリアタワー4の下端に配置されている。ドレッシング装置6は、矢印によって示される移動方向Rに並進移動することができる。これは、ドレッシング装置6が、キャリア3に対して、または図10に示していない第1の回転軸線Dに対して、半径方向外向きおよび半径方向内向きに移動され得ることを意味する。並進運動は第1の回転軸線Dに直交する。
【0105】
これとは独立して、ドレッシング装置は、枢動軸線Sを中心に枢動可能である。枢動軸線Sは、第1の回転軸線Dに平行に、かつ回転軸線Dからある距離に配置されている。ドレッシング装置6の並進移動および回転移動により、ドレッシング装置6は、保守位置において研磨材33に対して特に正確に位置合わせすることができる。その結果、研磨材33のドレッシングを特に正確に行うことができる。
【0106】
図11は、研削機械30の装填および脱着のための装置1を有する研削機械30のさらなる実施形態の一部の斜視図を示す。図11に示すさらなる実施形態は、さらなる実施形態の装置1が倣い加工装置29を有するという点でのみ、前述の実施形態と異なる。
【0107】
倣い加工装置29は、把持装置11の基体12に取り付けられている。倣い加工装置29は、好ましくは、装置1、特に図11に示されていないキャリア3が保守位置にあるときに、倣い加工装置29が研削装置32の研磨材33の方を向くように把持装置11上に配置される。図11は保守位置にある装置1を示す。研磨材33を倣い加工するために、研磨材33は、第4の回転軸線D4を中心に回転され、倣い加工装置29に向かって移動される。その結果、倣い加工装置29によって研磨材33から材料が除去され、こうして研磨材33が倣い加工される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】