IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】分散剤
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/48 20060101AFI20250109BHJP
   C09K 23/52 20220101ALI20250109BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20250109BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C08G65/48
C09K23/52
C08L71/00 Z
C08L101/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539494
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2022087520
(87)【国際公開番号】W WO2023126312
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】21217914.7
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】パテル、チンタンクマール ジャヤンティラル
(72)【発明者】
【氏名】ハートリーブ,カレル
(72)【発明者】
【氏名】ブロンディン,ホリー マリー
【テーマコード(参考)】
4D077
4J002
4J005
【Fターム(参考)】
4D077AB06
4D077DC19Y
4D077DC19Z
4J002AA00X
4J002CH05W
4J002EU056
4J002FD096
4J002FD20W
4J002HA07
4J002HA08
4J005AA04
4J005BD02
4J005BD03
(57)【要約】
特許請求する本発明は、a)3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、b)少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、c)少なくとも1つのポリアルキレンオキシド鎖を有する少なくとも1つの化合物(S)であって、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(S)とを反応させることによって得られる、ポリマー(D)である。本発明はさらに、顔料用の水性分散剤としてのポリマー(D)の使用方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化1】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物と
を反応させることによって得られる、ポリマー(D)。
【請求項2】
エポキシド(E)が3~10の範囲の平均官能価を有する、請求項1に記載のポリマー(D)。
【請求項3】
少なくとも1つのエポキシド(E)が、以下、
【化2】


これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、請求項1または2に記載のポリマー(D)。
【請求項4】
エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)が、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化3】

(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、-NHR11-、または-SHで置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
C(1)、C(2)、C(3)またはC(4)、
【化4】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)、
【化5】
(式中、点線は任意の結合を表す)、
【化6】
(式中、R22は、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20ヘテロアルキレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、
点線は、任意の結合を表す)、および
【化7】
(式中、R23およびR24は、水素、ハロゲン、-NO、またはSOH、または-COOHから独立に選択され、そして
点線は任意の結合を表す)、
から選択される式(C)の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、請求項1または2に記載のポリマー(D)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの無水物が、以下
【化8】




またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、請求項4に記載のポリマー(D)。
【請求項6】
式(I)の少なくとも1つの化合物が、
【化9】
であり、
式中、Xは、C~C18アルキル、C~C18アルケニルまたはC~C15アリールアルキルから選択され、
Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10脂環式のものまたはC芳香族のものから選択され、
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される、請求項1または2に記載のポリマー(D)。
【請求項7】
式(I)の化合物がランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして式(I)の化合物の全質量に対して少なくとも50質量%の重合形態のエチレンオキシドを含む、請求項1または2に記載のポリマー(D)。
【請求項8】
式(I)の化合物がランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして50~100質量%の範囲のエチレンオキシドおよび0~50質量%の範囲のプロピレンオキシドをそれぞれ式(I)の化合物の全質量に対して有する、請求項1または2に記載のポリマー(D)。
【請求項9】
溶媒としてTHFまたはクロロホルムを用いるGPCによって測定して2000~100000g/モルの範囲の数平均分子量を有する、請求項1または2に記載のポリマー(D)。
【請求項10】
ポリマー(D)の調製方法であって、以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化10】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供して混合物を得る工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物(D)を得る工程と
を含む方法。
【請求項11】
請求項1または2に記載のポリマー(D)の、粒子状固体材料用の分散剤としての使用方法。
【請求項12】
前記粒子状固体材料が顔料である、請求項11に記載の使用方法。
【請求項13】
a. 請求項1に記載のポリマー(D)、および
b. 顔料またはフィラーから選択される少なくとも1つの粒子状固体材料、
c. 少なくとも1つの液体希釈剤、および
d. 少なくとも1つのポリマーバインダー
を含み、
前記粒子状固体材料が、有機溶媒または水またはその両方からの混合物から選択される液体希釈剤中に分散される、分散体の形態の組成物。
【請求項14】
a) 前記組成物の総質量に対して≧1~≦70質量%の、顔料またはフィラーから選択される粒子状固体材料、
b) 前記組成物の総質量に対して≧0.5~≦50質量%の、請求項1に記載のポリマー(D)、および
c) 前記組成物の総質量に対して≧10~≦98.5質量%の液体希釈剤
を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
動的光散乱技術を用いて測定して10~500nmの範囲の粒径(D50)を有する、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求する本発明は、a)3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、b)少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、c)少なくとも1つのポリアルキレンオキシド鎖を有する少なくとも1つの化合物(S)であって、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(S)とを反応させることによって得られる、ポリマー(D)である。本発明はさらに、顔料用の水性分散剤としてのポリマー(D)の使用方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
顔料コーティング組成物は、耐腐食性プライマーおよび装飾トップコートとして自動車産業で広く使用されている。自動車産業の車両商品化セグメントにおいて色は主要な要素であるため、高透明色と豊かな彩度(chroma)が自動車市場において求められる傾向にある。高い透明性と豊かな彩度は、一般的にベースコートおよびクリアコート中でサブミクロンサイズに達する有機顔料が安定して微細に分散することにより達成される。しかし、小さなサイズ、例えば100nm未満の顔料粒子が、コーティングへの適用中およびコーティング組成物中での長期貯蔵中に凝集することは、コーティング産業における大きな課題である。顔料分散体は、顔料の滞留および粘度変化を最小限として、微細に分散した形態で実質的に安定したままであることが望ましい。
【0003】
一般に、ランダムコポリマーは顔料分散体組成物の分散剤として使用される。これらのコポリマーは、複数のアンカーセグメントおよび安定化セグメントを含有する。しかしながら、分散剤としてのこれらの適用は、特に顔料粒径が非常に小さい場合には、十分な安定化をもたらさない。さらに、微細に分散した有機顔料を安定化させるための市販の超分散剤は、特殊な制御された重合技術に由来する制御された構造を有しており、その合成には特定の製造設定および厳しいプロセス条件などのいくつかの制限がある。従って、従来の単純な重合設定で製造することができ、比較的堅牢な処理条件でありながら、制御された重合技術によって調製された超分散剤と同等以上の性能を発揮する顔料分散剤の継続的な開発が必要とされている。
【0004】
U.S.2016/257774A1には、少なくとも1つのペンダント状に結合したイミド基を有するアクリル骨格を含むポリマー分散剤組成物が記載されており、イミドのカルボニルは、縮合芳香族環に化学結合している。
【0005】
U.S.6,037,414Aには、アクリル骨格、ポリエステル側鎖、環状イミド基および第四級アンモニウム基を有するグラフトポリマーを含むポリマー顔料分散剤が記載されている。U.S.8,129,466B2には、ナフトエ酸と反応したグリシジル(メタ)アクリレートを含む第一のブロック、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む第二のブロック、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む第三のブロックを有するトリブロックポリマーを含む分散剤を含むナノ粒子分散体が記載されており、前記第三のブロックは前記第二のブロックとは異なる。
【0006】
U.S.7,723,425B2には、原子移動ラジカル重合(ATRP)によって調製され、塩形成基で修飾された修飾ブロックコポリマー分散剤を含有する組成物が記載されている。塩形成基は、特定の単環式スルホン酸または多環式スルホン酸、または単環式または多環式カルボン酸およびホスホン酸、または単環式または多環式基を含有するアルキルハロゲニド、または単環式または多環式スルホン酸のエステルから選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】U.S.2016/257774A1
【特許文献2】U.S.6,037,414A
【特許文献3】U.S.8,129,466B2
【特許文献4】U.S.7,723,425B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術に開示された方法および組成物には制限がある。上述した先行技術の組成物は、サブミクロンサイズに達する顔料粒子の微細な分散を達成するための、効果的な脱凝集および顔料粒子との強い相互作用を提供する効率的な顔料分散剤を提供しない。顔料粒子との強い相互作用がないことは、市場で所望される透明性および色に影響を与える。コーティング市場において、高彩度(saturation)のニッチな色空間の需要が増加しているため、上記の欠点を克服し、且つ特にサブミクロン粒径を有するより安定した顔料分散体を提供することができる、顔料用の新規の分散体の合成が必要とされている。
【0009】
よって、特許請求する本発明の目的は、顔料、特に有機顔料のための分散剤として機能することができ、且つサブミクロン粒径を有する顔料分散体を提供することができるポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 少なくとも1つのポリアルキレンオキシド単位およびエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることによって得られるポリマー(D)が、所望の特性を有する分散剤としての機能を提供できることが見出された。
【0011】
よって、第一の態様において、特許請求する本発明は:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化1】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることによって得られるポリマー(D)に関するものである。
【0012】
特許請求する本発明の第二の態様は、第一の態様によるポリマー(D)の調製方法に関するものであり、該方法は以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化2】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供して混合物を得る工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0013】
特許請求する本発明の第三の態様は、第一の態様および/または第二の態様によるポリマー(D)の、粒子状固体材料用の分散剤としての使用方法に関するものである。
【0014】
特許請求する本発明の第四の態様は、
a.第一の態様によるポリマー(D)、および
b.顔料またはフィラーから選択される少なくとも1つの粒子状固体材料、
c.少なくとも1つの液体希釈剤、および
d.少なくとも1つのポリマーバインダー
を含む分散体の形態の組成物に関するものであり、
該粒子状固体材料は、有機溶媒または水またはその両方からの混合物から選択される液体希釈剤中に分散される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特許請求する本発明の組成物および配合物を記載する前に、そのような組成物および配合物は無論変化し得るので、本発明は記載する特定の組成物および配合物に限定されないことを理解されたい。また、特許請求する本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書において使用される用語は、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0016】
以下で、群が、少なくとも或る数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も包含することを意味する。さらに、本明細書および特許請求の範囲における用語「第一の」、「第二の」、「第三の」または「a」、「b」、「c」などは、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも連続的または時系列的な順序を記載するために使用されるものではない。このように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、そして本明細書に記載される特許請求する本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示される以外の順序で動作可能であることを理解されたい。用語「第一の」、「第二の」、「第三の」、または「(A)」、「(B)」、および「(C)」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などが、方法または使用またはアッセイの工程に関連する場合、本明細書において上記または下記で本願に別段の記載がない限り、工程間に時間または時間間隔の一貫性はない、すなわち、工程は同時に実施されてよく、またはそのような工程間に数秒、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月、またはさらに数年の時間間隔があってもよい。
【0017】
本明細書で使用する化合物の「顔料-親和性基」または「アンカー基」という用語は、顔料表面に対して固有の強い親和性を有する化学部分を指す。化合物の「顔料-親和性基」または「アンカー基」は顔料表面に吸着し、それによって顔料の如何なる再凝集にも反対に作用することにより顔料を安定化させる。「顔料-親和性基」または「アンカー基」は、化学部分の性質に基づいて以下のカテゴリーに分類することができる:
a) 酸性顔料-親和性基は、カルボキシル部分(-COH)、ホスホン酸部分(-PO)およびスルホン酸(-SOH)部分を含み、それらの中和型および誘導体化型が含まれる、
b) 電気中性顔料-親和性基は、ポリエーテル、置換または非置換の脂肪族環、置換または非置換の芳香族環(例えばフェニルおよびナフチル)、およびそれらの置換または非置換の複素環誘導体を含む、
c) アミン系顔料-親和性基は、アルカリ窒素含有部分、例えばアニリン、インドール、イミダゾール、イミド、モルホリン、オキサゾリン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、ピリジン、トリアルキルアミン、トリアゾールを含む、
d) 第四級アミン顔料-親和性基は、第四級アミン部分を含む。
【0018】
さらに、本明細書を通して定義される範囲には終了値も含まれる、すなわち、1~10の範囲は、1と10との両方が範囲に含まれることを意味する。疑義を避けるため、出願人は、適用される法律に従って、いかなる均等物に対しても権利を有するものとする。
【0019】
以下の節において、特許請求する本発明の異なる態様を、より詳細に定義する。このように定義される各態様は、明確に反対の指示がない限り、任意の他の態様(単数又は複数)と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示される任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示される任意の他の特徴(単数又は複数)と組み合わせることができる。
【0020】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」という表現は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が、特許請求する本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通して様々な箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではなく、その可能性がある。
【0021】
さらに、特定の特徴、構造または特性は、本開示から当業者に明らかであるように、1つまたは複数の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではなく、いくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるように、特許請求する本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0022】
第一の態様において、特許請求する本発明は:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化3】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることによって得られるポリマー(D)に関するものである。
【0023】
より好ましくは、ポリマー(D)は:
a. 平均官能価が3.0以上10以下であり、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定した数平均モル質量が250~20000g/モルの範囲である少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化4】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることにより得られる。
【0024】
さらにより好ましくは、ポリマー(D)は:
a. 平均官能価が3.0以上10以下であり、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定した数平均モル質量が250~20000g/モルの範囲である少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化5】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~300であり、
nは、0~50であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることにより得られる。
【0025】
最も好ましくは、ポリマー(D)は:
a. 平均官能価が3.0以上6.0以下であり、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定した数平均モル質量が250~10000g/モルの範囲である少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化6】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~30であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、または-ORC(O)OHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることにより得られる。
【0026】
特に、ポリマー(D)は:
a. 平均官能価が3.0以上6.0以下であり、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定した数平均モル質量が250~10000g/モルの範囲である少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化7】
(式中、Yは、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~C15アリールアルキルから選択され、
Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C脂環式またはC芳香族から選択される)
の少なくとも1つの化合物(S)と
を反応させることにより得られる。
【0027】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明によるエポキシド(E)は3~10の範囲の平均官能価を有し、より好ましくは、エポキシド(E)は3~8の範囲の平均官能価を有し、さらにより好ましくは、エポキシド(E)は3~6の範囲の平均官能価を有し、最も好ましくは、エポキシド(E)は3~5の範囲の平均官能価を有し、そして特に、エポキシド(E)は3~5の範囲の平均官能価を有する。
【0028】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明によるエポキシド(E)は、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均分子量を有し、より好ましくは、エポキシド(E)は、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定して500~20000g/モルの範囲の数平均分子量を有し、さらにより好ましくは、エポキシド(E)は、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定して500~10000g/モルの範囲の数平均分子量を有し、最も好ましくは、エポキシド(E)は、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定して500~8000g/モルの範囲の数平均分子量を有し、そして特に、エポキシド(E)は、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定して500~5000g/モルの範囲の数平均分子量を有する。
【0029】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明による少なくとも1つのエポキシド(E)は、以下、
【化8】


これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0030】
より好ましくは、少なくとも1つのエポキシド(E)は、以下、
【化9】

これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0031】
さらにより好ましくは、少なくとも1つのエポキシド(E)は、以下、
【化10】

これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0032】
最も好ましくは、少なくとも1つのエポキシド(E)は、以下、
【化11】
これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0033】
特に、少なくとも1つのエポキシド(E)は、以下、
【化12】
これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0034】
別の好ましい実施形態において、エポキシド(E)のポリマー形態には、二量体、三量体、オリゴマー、およびより高次の同族体が含まれる。
【0035】
複数のエポキシド(E)を使用する場合、ポリマー形態は、異なるエポキシド(E)を任意の量で含む混合ポリマーであってもよい。
【0036】
ポリマー分散剤は、典型的には、最新技術においてアンカー基としても知られる顔料親和性基を複数含有し、これは顔料表面への容易な吸着のための特定の構造を有し、顔料表面に対して高い親和性を示し、分散させる顔料の表面上に耐久性のある吸着をもたらす。
【0037】
別の好ましい実施形態において、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化13】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、-NHR11-、または-SHで置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
C(1)、C(2)、C(3)またはC(4)
【化14】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)、
【化15】
(式中、点線は任意の結合を表す)、
【化16】
(式中、R22は、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20ヘテロアルキレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、
点線は、任意の結合を表す)、および
【化17】
(式中、R23およびR24は、水素、ハロゲン、-NO、またはSOHから独立に選択され、そして点線は任意の結合を表す)、
から選択される式の少なくとも1つの無水物(C)とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0038】
より好ましくは、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化18】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、-NHR11-、または-SHで置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
式C(1)
【化19】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0039】
さらにより好ましくは、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化20】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、-NHR11-、または-SHで置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
式(C1)
【化21】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~10員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0040】
最も好ましくは、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化22】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~10員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、または-NHR11-で置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
式C(1)
【化23】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~10員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0041】
特に好ましくは、エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化24】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~Cアリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてOまたはNから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~10員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、または-NHR11-で置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
式C(1)
【化25】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~10員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0042】
別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレン尿素と、式C(1)
【化26】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物である。
【0043】
より好ましくは、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレン尿素と、式C(1)
【化27】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルケニル、置換または非置換のC~C14シクロアルキル、置換または非置換のC~C14シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)、
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物である。
【0044】
さらにより好ましくは、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレン尿素と、式C(1)
【化28】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~Cアリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~10員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物である。
【0045】
最も好ましくは、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレン尿素と、式C(1)
【化29】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルケニル、置換または非置換のC~Cシクロアルキル、置換または非置換のC~Cシクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~Cアリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~8員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物である。
【0046】
特に、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)は、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレン尿素と、式C(1)
【化30】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルケニル、置換または非置換のC~Cシクロアルキル、置換または非置換のC~Cシクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のCアリールから独立に選択され、または
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、またはNから選択される1、または2個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~6員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、または1から選択される)
の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物である。
【0047】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明による少なくとも1つの無水物は、以下:
【化31】





またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0048】
より好ましくは、特許請求する本発明による少なくとも1つの無水物は、以下:
【化32】




またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0049】
さらにより好ましくは、特許請求する本発明による少なくとも1つの無水物は、以下:
【化33】



またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0050】
最も好ましくは、特許請求する本発明による少なくとも1つの無水物は、以下:
【化34】


またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0051】
特に、特許請求する本発明による少なくとも1つの無水物は、以下:
【化35】

またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0052】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明によれば、式(I)の少なくとも1つの化合物は
【化36】
であり、
式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択され、
より好ましくは、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルケニル、または直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~200であり、
nは、0~50であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択され、さらにより好ましくは、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C16アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~25であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択され、最も好ましくは、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、または置換または非置換のC~Cシクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のCアリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはCアリールから選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、または-ORC(O)OHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択され、そして特に、Yは、水素、C~C18アルキル、C~C18アルケニルまたはC~C15アリールアルキルから選択され、Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10脂環式のものまたはC芳香族のものから選択され、
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される。
【0053】
別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物はランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして式(I)の化合物の全質量に対して少なくとも50質量%の重合形態のエチレンオキシドを含み、より好ましくは、式(I)の化合物はランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、式(I)の化合物の全質量に対して少なくとも70質量%の重合形態のエチレンオキシドを含み、さらに、式(I)の化合物はランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、式(I)の化合物の全質量に対して少なくとも75質量%の重合形態のエチレンオキシドを含み、最も、式(I)の化合物はランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、式(I)の化合物の全質量に対して少なくとも90質量%の重合形態のエチレンオキシドを含み、そして特に、式(I)の化合物はランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、式(I)の化合物の全質量に対して100質量%の重合形態のエチレンオキシドを含む。
【0054】
別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物はランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして式(I)の化合物の全質量に対して50~100質量%の重合形態のエチレンオキシドを含む。
【0055】
別の好ましい実施態様において、特許請求する本発明による式(I)の化合物は、50~100質量%の範囲の重合形態のエチレンオキシドおよび0~50質量%の範囲の重合形態のプロピレンオキシドをそれぞれ式(I)の化合物の全質量に対して含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、より好ましくは、式(I)の化合物は、60~100質量%の範囲の重合形態のエチレンオキシドおよび0~40質量%の範囲の重合形態のプロピレンオキシドをそれぞれ式(I)の化合物の全質量に対して含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、さらにより好ましくは、式(I)の化合物は、75~100質量%の範囲の重合形態のエチレンオキシドおよび0~25質量%の範囲の重合形態のプロピレンオキシドをそれぞれ式(I)の化合物の全質量に対して含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、最も好ましくは、式(I)の化合物は、90~100質量%の範囲の重合形態のエチレンオキシドおよび0~10質量%の範囲の重合形態のプロピレンオキシドをそれぞれ式(I)の化合物の全質量に対して含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして特に、式(I)の化合物は、式(I)の化合物の全質量に対して100質量%のエチレンオキシドを含むポリマーである。
【0056】
別の好ましい実施形態において、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの化合物(P)の総モルeqに対する比は、1:0.25~1:0.90の範囲であり、より好ましくは、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの化合物(P)の総モルeqに対する比は、1:0.35~1:0.80の範囲であり、さらにより好ましくは、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの化合物(P)の総モルeqに対する比は、1:0.4~1:0.80の範囲であり、最も好ましくは、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの化合物(P)の総モルeqに対する比は、1:0.40~1:0.75の範囲であり、そして特に、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの化合物(P)の総モルeqに対する比は、0.55~0.75の範囲である。
【0057】
別の好ましい実施形態において、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの式(I)の化合物の総モルeqに対する比は、1:0.10~1:0.75の範囲であり、より好ましくは、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの式(I)の化合物の総モルeqに対する比は、1:0.10~1:0.65の範囲であり、さらにより好ましくは、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの式(I)の化合物の総モルeqに対する比は、1:0.20~1:0.50の範囲であり、最も好ましくは、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの式(I)の化合物の総モルeqに対する比は、1:0.20~1:0.45の範囲であり、そして特に、分散剤中のエポキシド(E)の総モルeqの式(I)の化合物の総モルeqに対する比は、1:0.25~1:0.40の範囲である。
【0058】
別の好ましい実施形態において、エポキシド(E)のモルeqの、式(I)の化合物と式(P)の化合物とのモルeqの合計に対する比は、1:0.50~1:1.75の範囲であり、より好ましくは、エポキシド(E)のモルeqの、式(I)の化合物と式(P)の化合物とのモルeqの合計に対する比は、1:0.70~1:1.5の範囲であり、さらにより好ましくは、エポキシド(E)のモルeqの、式(I)の化合物と式(P)の化合物とのモルeqの合計に対する比は、1:0.80~1:1.2の範囲であり、最も好ましくは、エポキシド(E)のモルeqの、式(I)の化合物と式(P)の化合物とのモルeqの合計に対する比は、1:0.90~1:1.1の範囲であり、そして特に、エポキシド(E)のモルeqの、式(I)の化合物と式(P)の化合物とのモルeqの合計に対する比は、1:0.95~1:1の範囲である。
【0059】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明によるポリマー(D)は、超分岐ポリマー構造を有する。特許請求する本発明の文脈における用語「超分岐」とは、複数の分岐点および多官能性分岐を有するポリマーを意味する。超分岐ポリマーは、様々な程度の分岐を有する多分散系を形成する。
【0060】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明によるポリマー(D)は、GPCを使用しTHF中1モル/Lの酢酸を溶離液として用いて測定して1000~100000g/モルの範囲の数平均分子量を有するものであり、より好ましくは、ポリマー(D)は、GPCを使用しTHF中1モル/Lの酢酸を溶離液として用いて測定して1000~80000g/モルの範囲の数平均分子量を有するものであり、さらにより好ましくは、特許請求する本発明によるポリマー(D)は、GPCを使用しTHF中1モル/Lの酢酸を溶離液として用いて測定して1000~60000g/モルの範囲の数平均分子量を有するものであり、そして最も好ましくは、特許請求する本発明によるポリマー(D)は、GPCを使用しTHF中1モル/Lの酢酸を溶離液として用いて測定して1000~50000g/モルの範囲の数平均分子量を有するものである。使用したカラムはPSS SDV 10e6+10e5+10e3、8×300mm、5μmであり、35℃に保った。装置はポリメチルメタクリレートで校正し、溶出液の流速は1mL/分とした。
【0061】
別の実施形態において、特許請求する本発明はポリマー(D)の調製方法に関し、該方法は以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化37】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供して混合物を得る工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0062】
より好ましくは、特許請求する本発明はポリマー(D)の調製方法に関し、該方法は以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化38】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~300であり、
nは、0~50であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供する工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0063】
さらにより好ましくは、特許請求する本発明はポリマー(D)の調製方法に関し、該方法は以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化39】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~30であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、または-ORC(O)OHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供する工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0064】
最も好ましくは、特許請求する本発明はポリマー(D)の調製方法に関し、該方法は以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化40】
(式中、Xは、C~C18アルキル、C~C18アルケニルまたはC~C15アリールアルキルから選択され、
Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10脂環式のものまたはC芳香族のものから選択され、
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供する工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0065】
特に、特許請求する本発明はポリマー(D)の調製方法に関し、該方法は以下の工程:
a.以下、
【化41】


これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化42】
(式中、Xは、C~C18アルキル、C~C18アルケニルまたはC~C15アリールアルキルから選択され、
Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10脂環式のものまたはC芳香族のものから選択され、
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供する工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0066】
別の好ましい実施形態において、特許請求する本発明はポリマー(D)の調製方法に関し、該方法は以下の工程:
a. 以下、
【化43】


これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化44】
(式中、Xは、C~C18アルキル、C~C18アルケニルまたはC~C15アリールアルキルから選択され、
Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10脂環式のものまたはC芳香族のものから選択され、
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供する工程と、
c. エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも2つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程であって、該化合物(P)が、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化45】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、-NHR11-、または-SHで置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
C(1)、C(2)、C(3)またはC(4)、
【化46】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)、
【化47】
(式中、点線は任意の結合を表す)、
【化48】
(式中、R22は、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20ヘテロアルキレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、
点線は、任意の結合を表す)、および
【化49】
(式中、R23およびR24は、水素、ハロゲン、-NO、またはSOH、または-COOHから独立に選択され、そして点線は任意の結合を表す)
から選択される式(C)の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの混合物から選択される、工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む。
【0067】
別の実施態様において、当業者は、各反応成分の添加プロセスを交換できる。特許請求する本発明において、エポキシド(E)を式(I)の少なくとも1つの化合物と最初に反応させて中間体を得、そしてその中間体を、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)とさらに反応させて分散剤を得ることも想定される。同様に、当業者は、まずエポキシド(P)と、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)とを反応させて中間体を得てもよい。この中間体を式(I)の少なくとも1つの化合物とさらに反応させて分散剤を得る。
【0068】
別の好ましい実施形態において、プロセスは、触媒を添加する工程をさらに含む。
【0069】
別の好ましい実施形態において、触媒は、(トリエタノラートアミン)Ti-O-R20(式中、R20は直鎖状または分岐状の(C1~12)アルキル、好ましくは直鎖状または分岐状の(C1~6)アルキルである)、例えばトリエタノラートアミンチタンイソプロパノラート(CAS番号74665-17-1)、ジルコニウムテトラブタノラート(CAS番号1071-76-7)、トリス(ジエチルホスフィナト)アルミニウム(CAS番号225789-38-8)、アルミニウムジステアレート(CAS番号300-92-5)、ジオクチルスズジラウレート(CAS番号3648-18-81)、チタントリステアレートモノイソプロパノラート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、銅(II)アセチルアセトナート(CAS番号:13395-16-9)、チタンジアセチルアセトナートジイソプロパノラート(CAS番号:27858-32-8)、チタン(IV)ブトキシド(CAS番号5593-70-4)、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)(CAS番号17927-72-9)、チタンイソプロポキシド(4)(CAS番号546-68-9)、テトラキス(2-エチルヘキシル)オルトチタネート(CAS番号1070-10-6)、テトラキス(トリエタノールアミナト)ジルコニウム(IV)(CAS番号101033-44-7)、亜鉛ステアレート(CAS番号557-05-1)、またはホウ素トリフルオリドエチルアミン錯体(CAS番号75-23-0)から選択され、最も好ましくは、触媒は亜鉛(II)アセチルアセトナートである。
【0070】
酸-エポキシ反応に使用される触媒の種類は当業者に知られており、文献にも記載されている(参考文献:waterborne and solvent based epoxies and their end use applications、John Wiley and Sons and SITA technology Ltd.(ISBN0947798498))。
【0071】
酸-エポキシ反応には、アルカリ性物質、例えば第三級アミン、トリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを、触媒として使用することができる。用いられる他の触媒として、有機金属化合物、例えば亜鉛アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、Zrオクトエート、亜鉛オクトエート、Liステアレート、スタナスオクトエートが挙げられ、アミンエポキシ、チオールエポキシの場合、触媒に第三級アミン触媒が選択される。
【0072】
別の好ましい実施形態において、本方法によれば、工程d.反応は、20~250℃の範囲の温度で行われ、より好ましくは、工程d.反応は、50~200℃の範囲の温度で行われ、さらにより好ましくは、工程d.反応は80~180℃の範囲の温度で行われ、最も好ましくは、工程d.反応は80~150℃の範囲の温度で行われ、そして特に工程d.反応は100~140℃の範囲の温度で行われる。
【0073】
別の好ましい実施形態において、工程a.からd.は、少なくとも1つの溶媒の存在下または溶媒の非存在下で行われる。
【0074】
別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの溶媒は、アルコール、ケトン、エステル、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、環状エーテル、エーテル、エーテルアルコール、またはこれらの2つ以上の混合物から選択され、より好ましくは、少なくとも1つの溶媒は、ケトン、エステル、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、環状エーテル、エーテル、またはこれらの2つ以上の混合物から選択され、さらにより好ましくは、少なくとも1つの溶媒は、ケトン、エステル、環状エーテル、エーテル、またはこれらの2つ以上の混合物から選択され、最も好ましくは、少なくとも1つの溶媒は、ケトン、エステル、環状エーテル、またはこれらの2つ以上の混合物から選択され、そして特に、少なくとも1つの溶媒は、ケトン、エステル、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0075】
別の好ましい実施態様において、工程d.の反応は、10分~10時間の範囲の時間行われ、より好ましくは、工程d.の反応は、10分~8時間の範囲の時間行われ、さらにより好ましくは、工程d.の反応は、30分~5時間の範囲の時間行われ、最も好ましくは、工程d.の反応は、30分~3時間の範囲の時間行われ、そして特に、工程d.の反応は、30分~2時間の範囲の時間行われる。
【0076】
別の好ましい実施態様において、特許請求する本発明は、粒子状固体材料のための分散剤としての、上述のポリマー(D)の使用方法に関するものである。
【0077】
別の好ましい実施形態において、粒子状固体材料は顔料であり、より好ましくは有機顔料である。
【0078】
別の実施形態において、特許請求する本発明は:
上記のポリマー(D)、および
顔料またはフィラーから選択される少なくとも1つの粒子状固体材料、および
少なくとも1つの液体希釈剤、
を含む分散体の形態の組成物に関するものであり、
より好ましくは、特許請求する本発明は:
上記のポリマー(D)、および
顔料またはフィラーから選択される少なくとも1つの粒子状固体材料、
少なくとも1つの液体希釈剤、および
少なくとも1つのポリマーバインダー
を含む分散体の形態の組成物に関するものであり、
該粒子状固体材料は、有機溶媒または水またはその両方からの混合物から選択される液体希釈剤中に分散される。
【0079】
別の好ましい実施形態において、バインダーは、塗料、フィラー、添加剤、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。添加剤の代表例は、限定するものではないが、界面活性剤、光安定剤、UV吸収剤、消泡剤、染料、可塑剤、レベリング剤、皮張り防止剤、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。より好ましくは、少なくとも1つのバインダーは、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、アルキド、ポリサッカリド、ポリウレタン、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0080】
別の好ましい実施形態において、上記の組成物は、粒子状固体材料の、特許請求する本発明によるポリマー(D)に対する質量比が20:1~1:20の範囲であり、より好ましくは、粒子状固体材料の、特許請求する本発明による分散剤に対する質量比が20:1~1:10の範囲であり、そして最も好ましくは、粒子状固体材料の、特許請求する本発明による分散剤に対する質量比が20:1~1:5.0の範囲である。
【0081】
別の好ましい実施形態において、上記の組成物は、
組成物の総質量に対して≧1~≦70質量%の、顔料またはフィラーから選択される粒子状固体材料、
組成物の総質量に対して≧0.5~≦50質量%の、上記のポリマー(D)、および
組成物の総質量に対して≧10~≦98.5質量%の液体希釈剤
を含む。
【0082】
別の好ましい実施形態において、組成物はミルベース、またはコーティング組成物の形態である。
【0083】
別の好ましい実施形態において、組成物は、動的光散乱技術を用いて測定して10~500nmの範囲の粒径(D50)を有し、より好ましくは、組成物は、動的光散乱技術を用いて測定して10~300nmの範囲の粒径(D50)を有し、さらにより好ましくは、組成物は、動的光散乱技術を用いて測定して30~250nmの範囲の粒径(D50)を有し、最も好ましくは、組成物は、動的光散乱技術を用いて測定して50~200nmの範囲の粒径(D50)を有し、そして特に、組成物は、動的光散乱技術を用いて測定して80~175nmの範囲の粒径(D50)を有する。
【0084】
特許請求する本発明は、以下の利点の少なくとも1つに関連する:
・ サブミクロンの粒径で顔料分散体を達成することができる、
・ 顔料親和性基の種類、および式1の化合物の数および長さを変えることで、分散剤の特性を調整することが可能である。
【0085】
実施形態
以下において、本開示を以下に列挙する特定の実施形態に限定することを意図することなく、本開示をさらに説明するために実施形態のリストを提供する。
【0086】
1. a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)と、
b. 少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)であって、該顔料親和性基がエポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する、少なくとも1つの化合物(P)と、
c. 式(I)
【化50】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物と
を反応させることによって得られるポリマー(D)。
【0087】
2. エポキシド(E)が3~10の範囲の平均官能価を有する、実施形態1によるポリマー(D)。
【0088】
3. エポキシド(E)が、溶媒としてTHFを用いるGPCによって決定して500~10000g/モルの範囲の数平均分子量を有する、実施形態1から2のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0089】
4. 少なくとも1つのエポキシド(E)が、以下、
【化51】


これらのポリマー形態、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、実施形態1から3のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0090】
5. 少なくとも1つのエポキシド(E)が、E1、E2、E3、これらのポリマー形態またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、実施形態4によるポリマー(D)。
【0091】
6. エポキシド基に対して反応性の少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)が、ジフェノール酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、ジアルカノールアミン、ジアルキルアミン、ジベンジルアミン、または(B1)または(B2)
【化52】
(式中、Gは、-NH-、または-CH-から選択され、
点線は、任意の結合を表し、
、R、R、R、RおよびR10は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびR10は、それらが結合している炭素原子と共に、または
、およびRは、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
ただし、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、少なくとも1つの-OH、-NHR11-、または-SHで置換されていることが条件であり、
11は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される)
から選択される式(B)の少なくとも1つの化合物と、
C(1)、C(2)、C(3)またはC(4)、
【化53】
(式中、R20およびR21は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、置換または非置換のC~C24シクロアルキル、置換または非置換のC~C24シクロアルケニル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから独立に選択され、
20およびR21は、それらが結合している炭素原子と共に、環員(複数可)としてO、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子(複数可)を任意に含有する、置換または非置換の、不飽和または芳香族の5~20員の炭素環式環を形成し、
点線は、任意の結合を表し、そして
pは、0、1または2から選択される)、
【化54】
(式中、点線は任意の結合を表す)、
【化55】
(式中、R22は、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C20ヘテロアルキレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、
点線は、任意の結合を表す)、および
【化56】
(式中、R23およびR24は、水素、ハロゲン、-NO、SOH、または-COOHから独立に選択され、そして
点線は任意の結合を表す)
から選択される式(C)の少なくとも1つの無水物とを反応させることによって得られる反応生成物、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、実施形態1によるポリマー(D)。
【0092】
7. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)が、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレン尿素と、式(C1)の少なくとも1つの無水物とを反応させることにより得られる反応生成物である、実施形態6によるポリマー(D)。
【0093】
8. 少なくとも1つの無水物が、以下
【化57】




またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、実施形態6から7のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0094】
9. 式(I)の少なくとも1つの化合物が、
【化58】
であり、
式中、Xは、C~C18アルキル、C~C18アルケニルまたはC~C15アリールアルキルから選択され、
Zは、-CH、-C、-C、または-Cから独立に選択され、
mは、5~100であり、
nは、0~20であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NHC(O)-R-C(O)OHまたは-ORC(O)OHから選択され、式中、
Rは、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10脂環式のものまたはC芳香族のものから選択され、
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択される、実施形態1から8のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0095】
10. 式(I)の化合物がランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして式(I)の化合物の全質量に対して少なくとも50質量%の重合形態のエチレンオキシドを含む、実施形態1から9のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0096】
11. 式(I)の化合物がランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして式(I)の化合物の全質量に対して50~100質量%の範囲の重合形態のエチレンオキシドを含む、実施形態10によるポリマー(D)。
【0097】
12. 式(I)の化合物がランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、そして式(I)の化合物の全質量に対して50~100質量%の範囲のエチレンオキシドおよび0~50質量%の範囲のプロピレンオキシドを有する、実施形態10によるポリマー(D)。
【0098】
13. 少なくとも1つのエポキシド(E)の少なくとも1つの化合物(P)に対するモル比が0.25~0.90の範囲である、実施形態1から実施形態12のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0099】
14. 少なくとも1つのエポキシド(E)の式(I)の化合物に対するモル比が0.10~0.75の範囲である、実施形態1から実施形態13のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0100】
15. 溶媒としてTHFまたはクロロホルムを用いるGPCによって測定した数平均分子量が2000~100000g/モルの範囲である、実施形態1から実施形態14のいずれか1つによるポリマー(D)。
【0101】
16. 溶媒としてTHFを用いるGPCによって測定した数平均分子量が10000~50000g/モルの範囲である、実施形態15によるポリマー(D)。
【0102】
17. 実施形態1から16のいずれか1つによるポリマー(D)の調製方法であって、以下の工程:
a. 3.0以上の平均官能価、およびTHFを溶媒として用いるGPCによって決定して250~25000g/モルの範囲の数平均モル質量を有する少なくとも1つのエポキシド(E)を提供する工程と、
b. 式(I)
【化59】
(式中、Yは、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C30アルケニル、または置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C15アリールアルキル、置換または非置換のC~C10アリールアルキル、または置換または非置換のC~C10アリールから選択され、
Zは、C~CアルキルまたはC~C10アリールから選択され、
mは、5~500であり、
nは、0~100であり、
Xは、-OC(O)-R-C(O)OH、-NRC(O)-R-C(O)OH、-ORC(O)OH、-OC(O)-R-SH、-NHRまたは-O-R-SHから選択され、
式中、Rは、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキレン、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニレン、置換または非置換のC~C10シクロアルキレン、または置換または非置換のC~C10アリーレンから選択され、そして
は、水素、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルキル、直鎖状または分岐状の、置換または非置換のC~C10アルケニル、置換または非置換のC~C10シクロアルキル、置換または非置換のC~C10アリール、または置換または非置換のC~C10アリールアルキルから選択される)
の少なくとも1つの化合物を提供して混合物を得る工程と、
c. 少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの顔料親和性基を有する少なくとも1つの化合物(P)を提供して三成分混合物を得る工程と、
d. 工程c.で得た混合物を所望の温度まで加熱して生成物を得る工程と
を含む方法。
【0103】
18. 工程d.において、反応が20~250℃の範囲の温度(好ましくは100~140℃)で行われる、実施形態17による方法。
【0104】
19. 工程a.からd.が、少なくとも1つの溶媒の存在下または溶媒の非存在下で行われる、実施形態17から18のいずれか1つによる方法。
【0105】
20. 少なくとも1つの溶媒が、アルコール、ケトン、エステル、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、環状エーテル、エーテル、エーテルアルコール、またはこれらの2つ以上の混合物から選択される、実施形態19による方法。
【0106】
21. 工程d.における反応が、10分~10時間の範囲の時間行われる、実施形態16から20のいずれか1つによる方法。
【0107】
22. 実施形態1から16のいずれか1つによるポリマー(D)の、粒子状固体材料用の分散剤としての使用方法。
【0108】
23. 粒子状固体材料が顔料である、実施形態22による使用方法。
【0109】
24. a. 実施形態1から16のいずれか1つによるポリマー(D)、および
b. 顔料またはフィラーから選択される少なくとも1つの粒子状固体材料、
c. 少なくとも1つの液体希釈剤、および
d. 少なくとも1つのポリマーバインダー
を含み、
該粒子状固体材料が、有機溶媒または水またはその両方からの混合物から選択される液体希釈剤中に分散される、分散体の形態の組成物。
【0110】
25. 粒子状固体材料の、実施形態1から16のいずれか1つに記載のポリマー(D)に対する質量比が20:1~1:20の範囲((100部の顔料5部の分散剤)~(100部の顔料対500部の分散剤)である、実施形態24による組成物。
【0111】
26. 実施形態24または25による組成物であって、
a) 組成物の総質量に対して≧1~≦70質量%の、顔料またはフィラーから選択される粒子状固体材料、
b) 組成物の総質量に対して≧0.5~≦50質量%の、実施形態1から16のいずれか1つによるポリマー(D)、および
c) 組成物の総質量に対して≧10~≦98.5質量%の液体希釈剤
を含む、組成物。
【0112】
27. ミルベース、またはコーティング組成物の形態である、実施形態24から26のいずれか1つによる組成物。
【0113】
28. 動的光散乱技術を用いて測定して10~500nmの範囲の粒径(D50)を有する、実施形態24から27のいずれか1つによる組成物。
【実施例
【0114】
特許請求する本発明を、以下の非制限的な実施例により詳細に説明する。より具体的には、以下に特定する試験方法は、本出願の一般的開示の一部であり、特定の実施例に限定されるものではない。
【0115】
材料および方法
1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、SR512としてSartomer USA社から入手可能。
無水コハク酸は、Sigma Aldrich社から入手可能である。
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(MPEG-2K)は、Clariant社から入手した(Polyglykol M2000)。
1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルは、Epokukdo KDT-4400としてKukdo Chemical社から入手可能である。
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸は、Sigma Aldrich社から入手可能である。
Paliogen(登録商標)Maroon L3920、BASF社
Perrindo(登録商標)Maroon179 229-8801、Sun Chemicals社。
【0116】
中間体1(P)の調製:
溶融した1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾロジノン(38.64g)を、撹拌機、熱電対および窒素導入フラスコを備えた3つ口フラスコに装入し、そこに無水コハク酸(29.71g)を装入した。混合物を、FTIRによってモニターしながら無水物が完全に反応するまで100~105℃で反応させて、化合物顔料親和性基(P)を得た。
【0117】
中間体2(式Iの化合物)の調製:
平均分子量(Mw)2000を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(447.5g)を無水コハク酸(25.92g)と120℃で2.5時間反応させて、中間体2を得た。
【0118】
合成例2(C51)
撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素導入口を備えた4つ口フラスコに、溶融した中間体2(167.6g)および1.66gの亜鉛アセチルアセトナートを装入し、そして撹拌下、1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテル(KDT-4400(47.6g))および25gのメチルイソブチルケトンを添加し、115℃に加熱した。次に、中間体1(6.66g)を装入し、110~111℃で40分間反応させ、続いて4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸(23.2g)およびメチルエチルケトン(5g)を加えた。反応は、120~125℃の温度で、エポキシ当量が13000g/eqを超えていることをモニターすることにより確認して所望の反応完了まで行った。このプロセスの間に処理溶媒を留去した。加熱を停止し、そしてポリマーをメチルエチルケトン(80g)およびプロピレングリコールn-プロピルエーテル(20g)で希釈して均一溶液とした。生成物は粘度が中程度の濃い黄色がかった琥珀色の透明溶液として得られ、不揮発分は70.0%であった(110℃、1時間)。
【0119】
合成例3(C78)
撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素導入口を備えた4つ口フラスコに、溶融した中間体2(215.1g)およびKDT-4400(47.58g)を装入し、85℃に加熱した後、1.96gのベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール中40%)を加え、さらに120℃に加熱した。120℃で1時間後、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸(40.4g)およびメチルエチルケトン(10g)を装入した。反応は、120~125℃の温度で、エポキシ当量が20000g/eqを超えることをモニターすることにより確認される反応完了まで行った。このプロセスの間に処理溶媒を留去した。加熱を停止し、そしてポリマーをメチルエチルケトン(104g)およびプロピレングリコールn-プロピルエーテル(26g)で希釈して均一溶液とした。生成物は粘度が中程度の濃い黄色がかった琥珀色の透明溶液として得られ、不揮発分は69.9%であった(110℃、1時間)。
【0120】
合成例4(C79)
撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素導入口を備えた4つ口フラスコに、溶融した中間体2(175.7g)およびKDT-4400(48.8g)を装入し、85℃に加熱した後、1.4gのベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール中40%)を加え、さらに120℃に加熱した。20分後、中間体1(26.5g)を装入した。反応は、120~125℃の温度で、エポキシ当量が20000g/eqを超えていることをモニターすることにより確認して所望の反応完了までさらに行った。このプロセスの間に処理溶媒を留去した。加熱を停止し、ポリマーをメチルエチルケトン(104g)およびプロピレングリコールn-プロピルエーテル(26g)で希釈して均一溶液とした。生成物は粘度が中程度の濃い黄色がかった琥珀色の透明溶液として得られ、不揮発分は69.7%であった(110℃、1時間)。
【0121】
合成例5(C80)
撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素導入口を備えた4つ口フラスコに、溶融した中間体2(217.7g)およびKDT-4400(59.4g)を装入し、85℃に加熱した後、1.85gのベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール中40%)を加え、さらに120℃に加熱し、中間体1(17.1g)を装入した。125℃で30分後、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸(21.3g)を装入し、反応を125~127℃の温度で、エポキシ当量が20000g/eqを超えていることをモニターすることにより確認して所望の反応完了までさらに行った。加熱を止め、ポリマーをメチルエチルケトン(104g)およびプロピレングリコールn-プロピルエーテル(26g)で希釈して均一溶液とした。生成物は粘度が中程度の濃い黄色がかった琥珀色の透明溶液として得られ、不揮発分は69.2%であった(110℃で1時間)。
【0122】
合成例6(C87)
撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素導入口を備えた4つ口フラスコに、溶融した中間体1(43.1g)および中間体2(164.5g)を装入し、85℃に加熱した後、1.4gのベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール中40%)を加え、さらに105℃に加熱した。KDT-4400(59.4g)を装入し、反応塊をさらに125℃に加熱した。反応は、125~127℃の温度で、エポキシ当量が20000g/eqを超えていることをモニターすることにより確認して所望の反応完了までさらに行った。加熱を止め、ポリマーをメチルエチルケトン(152g)およびプロピレングリコールn-プロピルエーテル(26g)で希釈して均一溶液とした。生成物は粘度が中程度の濃い黄色がかった琥珀色の透明溶液として得られ、不揮発分は62.2%であった(110℃で1時間)。
【0123】
顔料分散体の調製
ピグメントレッド179(PR179)およびピグメントバイオレット29(PR29)を別々に、Vibroshakerを粉砕装置として使用し、本発明の分散剤(C51)および比較例分散剤D1を用いて、脱イオン水中に分散させた。分散プロセスは、異なる種類の粉砕メディアを使用して2段階で、0.8mmのイットリア安定化ジルコニアビーズを用いて4時間、次いで0.3mmのイットリア安定化ジルコニアビーズを用いて4時間行った。粉砕メディアのミルベースに対する比は、2:1(w/w)であった。ミルベースの組成を表1に開示する。分散剤は各段階の後に濾過して、粉砕メディアを交換した。顔料の装填量は、配合物全体において10質量%であった。得られた顔料分散体の粒径(D50)を表2に示す。
【0124】
粉砕
水性顔料ペーストは、特に断りのない限り、Lau Disperser-冷却システムを備えたモデルDAS H-TP200-K(LAU GmbH社、Hemer、ドイツ)で粉砕した。顔料を粉砕するために、Lau Disperserで振とうした各配合物に0.3mmのイットリア安定化ジルコニアビーズ(Fox Industries社、Fairfield,New Jersey、米国)を添加した。水性系の場合、ビーズは全配合物質量の約200%であり、例えば100gの配合物に200gのビーズを加えて合計300gとした。次に、前処理したサンプルをLau Disperser-冷却システムを備えたモデルDAS H-TP200-K(LAU GmbH社、Hemer、ドイツ)に載せ、ファンにより540分または9時間振とうした。運転終了後、サンプルをろ過してビーズを除去し、アルミ塗料缶に保管した。ろ過したビーズは溶媒で洗浄し、再利用した。すべての配合物例は、顔料固形分に対して40質量%の樹脂固形分を使用し、すべての配合物は顔料10質量%で調製した。実施例9は、DCP-12スーパーフローミル(Draiswerke GmbH社、Mannheim、ドイツ)で、市販の粉砕樹脂350CD0001(BASF Corp.社、26701 Telegraph Rd.Southfield,MI 48033)および0.3mmのイットリア安定化ジルコニアビーズ(Fox Industries社、Fairfield,New Jersey、米国)で粉砕したParodur EL48.6(BASF社)を用いて顔料ペーストを粉砕することにより調製した。ミルベースの組成を表3および表4に開示する。
【0125】
色評価
ペリレンレッドPaliogen Maroon L3920(BASF SE社)およびPerrindo Maroon229-8801(Sun Chemical社)の水性顔料分散体について、BASF Corp.社(26701 Telegraph Rd.Southfield,MI 48033)から市販されている1成分ベースコートであるゼネラルモーターズ(GM)水性ベースコートの、顧客配合ガイドラインに従って調製した着色されていないおよび着色された配合物における色性能を評価した。顔料を、着色されていないベースコートまたは着色されたベースコートに撹拌下で添加し、ベースコートのpHを、20質量%のN,N-ジメチルエタノールアミン水溶液(BASF社、Geismar,Louisiana、米国)を用いて8.1に調整した。pHは、Starter300pHポータブルpHメーター(Ohaus Corporation社、Parsippany,New Jersey、米国)を用いて測定した。Bykドローダウンバー上の100μmのギャップを使用して(Byk-Chemie GmbH社、Wesel、ドイツ)、メリネックスのドローダウンシート上にフィルムを形成し(Puetz GmbH+C0.Folien KG、Taunusstein、ドイツ)、約20分間フラッシュさせた。続いて、サンプルを270°Fで30分間ベークした。
【0126】
サンプルが冷めたら、Byk Mac i分光光度計(Byk-Chemie GmbH社、Wesel、ドイツ)を用いて色スペクトルを測定した。ベースコートドローダウンがあるメリネックスカードを反射鏡の上に置いた。ベースコートドローダウンは鏡面に隣接していた。次にByk Mac iをメリネックスカードおよび鏡の上に置き、ベースコートのカラーデータを、GM CieLabの重み付けを使用し、メリネックスフィルムを通してオフスペキュラー15度、25度、45度、75度および110度d65光で測定した。測定は各サンプルにつき5回行った。これらの測定データを表5に示す。
【0127】
スプレーされたパネルは、プライマー層であらかじめコーティングされたステンレス鋼パネルに、着色された水性ベースコートをスプレーし、次いでフラッシュ工程を経て、最後に市販の2液型クリアコート(BASF Corp社、26701 Telegraph Rd.Southfield,MI 48033)をスプレーし、265°Fで約25分間ベークすることによって調製した。スプレーされたパネルの色分析を表6に示す。
【0128】
この方法が使用されるのは、顔料凝集体の粒径が大きいほど散乱光が多くなり、フィルムの明度測定値が高くなるからである。110°の角度は、最も長いフィルム路長を有するので、散乱の増加を検出するのに最も敏感である。従って、110°の角度におけるL値(明度)を評価に使用した。より低い値をもたらす分散体は、より透明であり、且つより優れている。
【0129】
【表1】
【0130】
上記組成物の粒径は、デジタル光散乱技術(Desia nano C粒径分布測定器)を用いて測定した。
【0131】
【表2】
【0132】
表2から明らかであるように、特許請求する本発明による分散剤は、比較例よりも小さいサブミクロン粒径の顔料分散体を低装填量で製造することができる。
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
*顔料固形分に対して樹脂固形分40%を維持した。樹脂のバッチにより固形分含有量は異なる。
【0136】
【表5】
【0137】
C1はA1、A2、A3およびA4の比較である。C3はA6およびA7の比較である。
【0138】
【表6】
【0139】
表5および表6から明らかなように、特許請求する本発明による分散剤は、WBベースコートを有する配合物において、メリネックスドローダウン上およびスプレーされたパネル上で優れた値を示した。
【国際調査報告】