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特表2025-501238IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法
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  • 特表-IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法 図1
  • 特表-IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法 図2
  • 特表-IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法 図3
  • 特表-IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法 図4A
  • 特表-IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用による腫瘍の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/20 20060101AFI20250109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20250109BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250109BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20250109BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20250109BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20250109BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250109BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20250109BHJP
   C12N 15/24 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 5/062 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 5/083 20060101ALN20250109BHJP
   C07K 5/103 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
A61K38/20
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P37/04
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K38/05
A61K38/06
A61K38/07
A61K38/08
A61K47/68
A61K47/62
A61K47/60
A61K47/61
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K48/00
A61K31/7105
A61K31/713
A61K31/7088
A61P35/02
C07K16/24 ZNA
C07K14/54
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/24
C07K7/06
C07K5/062
C07K5/083
C07K5/103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539521
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022082639
(87)【国際公開番号】W WO2023130081
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/295,336
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2022-0000051
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521208309
【氏名又は名称】ネオイミューンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】516351304
【氏名又は名称】ジェネクシン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENEXINE, INC.
【住所又は居所原語表記】172 Magokjungang-ro, Gangseo-gu, Seoul 07789 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】イム, ソン‐キョン
(72)【発明者】
【氏名】ジ, マンキュー
(72)【発明者】
【氏名】イ, ミンジ
(72)【発明者】
【氏名】ペク, スンテ
(72)【発明者】
【氏名】ウ, ジョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ホ, ミン キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒ ウォン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076BB40
4C076CC27
4C076EE23Q
4C076EE38Q
4C076EE41Q
4C076FF31
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA44
4C084DA12
4C084MA17
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA65
4C084MA66
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA41
4H045DA02
4H045DA75
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせによってがん(または腫瘍)を治療する方法に関する。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、さらなる治療薬(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することをさらに含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の治療を必要とする対象の腫瘍を治療する方法であって、IL-7タンパク質を血管内皮増殖因子(「VEGF」)のアンタゴニスト(「VEGFアンタゴニスト」)と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
腫瘍体積が、前記投与後の前記対象において減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腫瘍体積が、前記投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抗腫瘍免疫応答を増加させる必要のある対象の抗腫瘍免疫応答を増加させる方法であって、IL-7タンパク質を血管内皮増殖因子(「VEGF」)のアンタゴニスト(「VEGFアンタゴニスト」)と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
前記対象の前記抗腫瘍免疫応答が、前記投与後に、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抗腫瘍免疫応答の増加が、(i)腫瘍体積の減少、(ii)腫瘍特異的T細胞のエフェクター活性の増加、(iii)腫瘍特異的エフェクターT細胞の数の増加、(iv)腫瘍内の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)数の増加、(v)腫瘍中の骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)数の減少、(vi)腫瘍中の制御性T細胞(Treg)数の減少、(vii)前記対象の生存期間の増加、(viii)腫瘍、腫瘍排出リンパ節(TDLN)、またはその両方におけるCD8+T細胞でのTOXの発現の減少、(ix)腫瘍、TDLN、またはその両方における幹細胞様T細胞の数の増加、または(x)それらの組み合わせを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記IL-7タンパク質と前記VEGFアンタゴニストが前記対象に同時に投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記IL-7タンパク質と前記VEGFアンタゴニストが前記対象に順次投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象にさらなる治療薬が投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記さらなる治療薬が、免疫チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント活性化剤、標準治療、またはそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫チェックポイント活性化剤が、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記標準治療が、化学療法、放射線、またはその両方を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記IL-7タンパク質が、野生型IL-7ではない、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記IL-7タンパク質が、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記オリゴペプチドが、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン(MM)、グリシン-グリシン(GG)、メチオニン-グリシン(MG)、グリシン-メチオニン(GM)、メチオニン-メチオニン-メチオニン(MMM)、メチオニン-メチオニン-グリシン(MMG)、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)、グリシン-メチオニン-メチオニン(GMM)、メチオニン-グリシン-グリシン(MGG)、グリシン-メチオニン-グリシン(GMG)、グリシン-グリシン-メチオニン(GGM)、グリシン-グリシン-グリシン(GGG)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGM)(配列番号41)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(MMGG)(配列番号42)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGMM)(配列番号43)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MGMG)(配列番号44)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMG)(配列番号45)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGM)(配列番号46)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MGGG)(配列番号47)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMGG)(配列番号48)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン(GGMG)(配列番号49)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(GGMMM)(配列番号50)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGGMM)(配列番号51)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGGM)(配列番号52)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(MGMMM)(配列番号53)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MGGMM)(配列番号54)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGGM)(配列番号55)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MMGMM)(配列番号56)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MMGGM)(配列番号57)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MMGGG)(配列番号58)、メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MMMGM)(配列番号59)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MGMGM)(配列番号60)、グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(GMGMG)(配列番号61)、グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMMG)(配列番号62)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GGMGM)(配列番号63)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GGMMG)(配列番号64)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GMMGM)(配列番号65)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(MGMMG)(配列番号66)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(GMGGM)(配列番号67)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MMGMG)(配列番号68)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMMGG)(配列番号69)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(GMGGG)(配列番号70)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GGMGG)(配列番号71)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-グリシン(GGGGG)(配列番号72)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記オリゴペプチドが、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)である、請求項18に記載の方法。
【請求項18】
前記IL-7タンパク質が、半減期延長部分を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記半減期延長部分が、Fc、アルブミン、アルブミン結合性ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長い構造不定の親水性アミノ酸配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性小分子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記半減期延長部分が、Fcである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記Fcが、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むハイブリッドFcであり、
前記ヒンジ領域が、ヒトIgDヒンジ領域を含み、
前記CH2ドメインが、ヒトIgD CH2ドメインの一部とヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含み、
前記CH3ドメインが、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む、請求項18または20に記載の方法。
【請求項22】
前記IL-7タンパク質が、配列番号1~6、15~26、及び80~85のいずれか1つに記載の配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記VEGFアンタゴニストは、VEGFに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(「抗VEGF抗体」)、抗VEGF抗体をコードするポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGFを標的とするsiRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、PNA、またはそれらを含むベクターを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記VEGFアンタゴニストが、抗VEGF抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗VEGF抗体が、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標)及びZALTRAP(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ZIRABEV(登録商標)、及びMVASI(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)、BYOOVIZ(登録商標)、SUSVIMO(登録商標))、またはそれらの組み合わせを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記腫瘍が、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳腫瘍、皮膚癌、腎癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃の癌(胃癌)、胃腸癌、卵巣癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含むがんに由来する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記脳腫瘍が、神経膠芽腫を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記神経膠芽腫が、再発性神経膠芽腫を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記神経膠芽腫が、標準治療に対して抵抗性である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記皮膚癌が、メルケル細胞癌(MCC)、基底細胞癌(BCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、黒色腫、またはそれらの組み合わせを含む、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記IL-7タンパク質が、前記対象に、筋肉内投与、非経口投与、皮下投与、眼内投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記VEGFアンタゴニストが、前記対象に、静脈内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記さらなる治療薬が、前記対象に、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される、請求項9~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記IL-7タンパク質が、約600μg/kg超、約700μg/kg超、約800μg/kg超、約900μg/kg超、約1,000μg/kg超、約1,100μg/kg超、約1,200μg/kg超、約1,300μg/kg超、約1,400μg/kg超、約1,500μg/kg超、約1,600μg/kg超、約1,700μg/kg超、約1,800μg/kg超、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kg超の用量で投与される、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記IL-7タンパク質が、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記IL-7タンパク質が、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記IL-7タンパク質が、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記IL-7タンパク質が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投薬頻度で投与される、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記IL-7タンパク質が、8週間に1回の投薬頻度で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記VEGFアンタゴニストが、約0.1mg/kg~約20mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記VEGFアンタゴニストが、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投薬頻度で投与される、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記VEGFアンタゴニストが、2週間に1回の投薬頻度で投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記抗VEGF抗体が、ベバシズマブである、請求項25~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ベバシズマブが、約5mg/kg~約15mg/kgの用量で投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ベバシズマブが、約5mg/kg、約7.5mg/kg、約10mg/kg、約12.5mg/kg、または約15mg/kgの用量で投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記抗VEGF抗体が、アフリベルセプトである、請求項25~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記アフリベルセプトが、約4mg/kg~約15mg/kgの用量で投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記アフリベルセプトが、約4mg/kgの用量で投与される、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2021年12月30日出願の米国仮特許出願第63/295,336号、及び2022年1月3日出願の韓国特許出願第10-2022-0000051号の優先権の利益を主張するものであり、その全容を参照によって本明細書に援用するものである。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願と共に出願され、電子的に提出された、.XMLテキストファイル(名称:4241_029PC02_SequenceListing_ST26、サイズ:122,317バイト、作成日:2022年12月30日)の配列表の全容を参照により本明細書に援用するものである。
【0003】
本開示は、一般に、対象、例えば、ヒト対象における腫瘍の治療に有用な併用治療レジメンに関する。具体的には、本明細書で提供される治療レジメンは、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせを含む。いくつかの態様では、治療レジメンは、免疫チェックポイント阻害剤などのさらなる治療薬をさらに含む本明細書では、かかる治療レジメンを使用して抗腫瘍免疫応答を高めることを含む、腫瘍を治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
ヒトのがんは、多数の遺伝的な及びエピジェネティックな変異を有し、免疫系によって潜在的に認識可能なネオアンチゲンを生成する(Sjoblom et al., Science 314:268-74(2006))。Tリンパ球とBリンパ球で構成される適応免疫系は、強力な抗がん能を有し、多様な腫瘍抗原に応答する幅広い能力と優れた特異性を備えている。さらに、この免疫系は相当の可塑性と記憶コンポーネントを示す。免疫療法は、適応免疫系のこれらすべての属性をうまく利用することですべてのがん治療モダリティの中でも独特のものとなっている。
【0005】
がん免疫療法は、近年で十分に確立されており、現在、多くのがん患者にとって利用可能な、より奏功率の高い治療選択肢のうちの1つとなっている(Scott, A.M., et al.,Cancer Immun 12:14(2012))。抗体は、がん細胞の増殖及び生存に関与する抗原を標的化することに加えて、がんの免疫監視において重要な免疫学的経路を活性化またはアンタゴナイズすることもできる。そして、重点的な取り組みにより、いくつかの免疫チェックポイント経路阻害剤の開発が成功しており、そのうちのいくつか、例えば、抗CTLA-4抗体であるイピリムマブ(ヤーボイ(YERVOY)(登録商標))、抗PD-1抗体であるニボルマブ(オプジーボ(OPDIVO)(登録商標))、ペムブロリズマブ(キートルーダ(KEYTRUDA)(登録商標))、及び抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブ(テセントリク(TECENTRIQ(登録商標))、デュルバルマブ(イミフィンジ(IMFINZI(登録商標))、アベルマブ(バベンチオ(BAVENCIO(登録商標))が米国食品医薬品局によって承認されている。
【0006】
こうした進歩にもかかわらず、特定の悪性腫瘍(例えば、転移性または難治性の固形腫瘍)を有する患者は、依然として予後がきわめて不良である。そのような患者の中で実際にがんの長期寛解を経験するのはほんの一部であり、多くの患者は抗体に応答しないか、または最初は抗体に応答しても最終的には耐性を発現するかのいずれかである。Sharma,P.,et al.,Cell 168(4):707-723(2017)。さらに、利用可能な標準治療のがん治療(例えば、化学療法及び放射線療法)の多くがリンパ球減少症を引き起こすことが知られているため、多くのがん患者はリンパ球減少性である。Grossman,S.A.,et al.,J Natl Compr Canc Netw 13(10):1225-31(2015)。抗PD-1抗体などのチェックポイント阻害剤は、このようながん患者では効力が限られていることが示されている。Yarchoan,M.,et al.,J Clin Oncol 35:e14512(2017)。したがって、リンパ球減少症患者を含むがん患者において、許容できる安全性プロファイル及び高い効力を有する新たな治療選択肢が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、腫瘍の治療を必要とする対象の腫瘍を治療する方法であって、IL-7タンパク質を血管内皮増殖因子(「VEGF」)のアンタゴニスト(「VEGFアンタゴニスト」)と組み合わせて対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0008】
いくつかの態様では、腫瘍体積は、投与後の対象において減少する。いくつかの態様では、腫瘍体積は、投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0009】
本明細書ではまた、抗腫瘍免疫応答を増加させる必要のある対象の抗腫瘍免疫応答を増加させる方法であって、IL-7タンパク質を血管内皮増殖因子(「VEGF」)のアンタゴニスト(「VEGFアンタゴニスト」)と組み合わせて対象に投与することを含む、方法も提供される。
【0010】
いくつかの態様では、対象の抗腫瘍免疫応答は、投与後に、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、抗腫瘍免疫応答の増加は、(i)腫瘍体積の減少、(ii)腫瘍特異的T細胞のエフェクター活性の増加、(iii)腫瘍特異的エフェクターT細胞の数の増加、(iv)腫瘍内の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)数の増加、(v)腫瘍中の骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)数の減少、(vi)腫瘍中の制御性T細胞(Treg)数の減少、(vii)対象の生存期間の増加、(viii)腫瘍、腫瘍排出リンパ節(TDLN)、またはその両方におけるCD8+T細胞でのTOXの発現の減少、(ix)腫瘍、TDLN、またはその両方における幹細胞様T細胞の数の増加、または(x)それらの組み合わせを含む。
【0011】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストは、対象に同時に投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストは、対象に順次投与される。
【0012】
いくつかの態様では、さらなる治療薬が対象に投与される。いくつかの態様では、さらなる治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント活性化剤、標準治療、またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、免疫チェックポイント活性化剤は、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、標準治療は、化学療法、放射線、またはその両方を含む。
【0014】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、野生型IL-7ではない。
【0015】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドを含む。いくつかの態様では、オリゴペプチドは、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン(MM)、グリシン-グリシン(GG)、メチオニン-グリシン(MG)、グリシン-メチオニン(GM)、メチオニン-メチオニン-メチオニン(MMM)、メチオニン-メチオニン-グリシン(MMG)、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)、グリシン-メチオニン-メチオニン(GMM)、メチオニン-グリシン-グリシン(MGG)、グリシン-メチオニン-グリシン(GMG)、グリシン-グリシン-メチオニン(GGM)、グリシン-グリシン-グリシン(GGG)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGM)(配列番号41)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(MMGG)(配列番号42)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGMM)(配列番号43)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MGMG)(配列番号44)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMG)(配列番号45)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGM)(配列番号46)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MGGG)(配列番号47)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMGG)(配列番号48)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン(GGMG)(配列番号49)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(GGMMM)(配列番号50)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGGMM)(配列番号51)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGGM)(配列番号52)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(MGMMM)(配列番号53)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MGGMM)(配列番号54)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGGM)(配列番号55)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MMGMM)(配列番号56)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MMGGM)(配列番号57)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MMGGG)(配列番号58)、メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MMMGM)(配列番号59)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MGMGM)(配列番号60)、グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(GMGMG)(配列番号61)、グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMMG)(配列番号62)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GGMGM)(配列番号63)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GGMMG)(配列番号64)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GMMGM)(配列番号65)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(MGMMG)(配列番号66)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(GMGGM)(配列番号67)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MMGMG)(配列番号68)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMMGG)(配列番号69)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(GMGGG)(配列番号70)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GGMGG)(配列番号71)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-グリシン(GGGGG)(配列番号72)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、オリゴペプチドは、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)である。
【0016】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、半減期延長部分を含む。いくつかの態様では、半減期延長部分は、Fc、アルブミン、アルブミン結合性ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長い構造不定の親水性アミノ酸配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性小分子、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、半減期延長部分はFcである。
【0017】
いくつかの態様では、Fcは、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むハイブリッドFcであり、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、CH2ドメインは、ヒトIgD CH2ドメインの一部とヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含み、CH3ドメインは、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む。
【0018】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号1~6、15~26、及び80~85のいずれか1つに記載の配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、VEGFに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(「抗VEGF抗体」)、抗VEGF抗体をコードするポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGFを標的とするsiRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、PNA、またはそれらを含むベクターを含む。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは抗VEGF抗体である。いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標)及びZALTRAP(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ZIRABEV(登録商標)、及びMVASI(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)、BYOOVIZ(登録商標)、SUSVIMO(登録商標))、またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの態様では、腫瘍は、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳腫瘍、皮膚癌、腎癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃(stomach, gastric)癌、胃腸癌、卵巣癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含むがんに由来する。いくつかの態様では、脳腫瘍は、神経膠芽腫を含む。いくつかの態様では、神経膠芽腫は、再発性神経膠芽腫を含む。いくつかの態様では、神経膠芽腫は、標準治療に対して難治性である。いくつかの態様では、皮膚がんは、メルケル細胞癌(MCC)、基底細胞癌(BCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、黒色腫、またはそれらの組み合わせを含む。
【0021】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、対象に、筋肉内投与、非経口投与、皮下投与、眼内投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、対象に、静脈内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様では、さらなる治療薬は、対象に、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。
【0022】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約600μg/kg超、約700μg/kg超、約800μg/kg超、約900μg/kg超、約1,000μg/kg超、約1,100μg/kg超、約1,200μg/kg超、約1,300μg/kg超、約1,400μg/kg超、約1,500μg/kg超、約1,600μg/kg超、約1,700μg/kg超、約1,800μg/kg超、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kg超の用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される。
【0023】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投薬頻度で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で投与される。
【0024】
いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約0.1mg/kg~約20mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投薬頻度で投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、2週間に1回の投薬頻度で投与される。
【0025】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブである。いくつかの態様では、ベバシズマブは、約5mg/kg~約15mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブは、約5mg/kg、約7.5mg/kg、約10mg/kg、約12.5mg/kg、または約15mg/kgの用量で投与される。
【0026】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、アフリベルセプトである。いくつかの態様では、アフリベルセプトは、約4mg/kg~約15mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、アフリベルセプトは、約4mg/kgの用量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】結腸腺癌動物モデルにおけるIL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用処置の抗腫瘍効果を示す。Aは、腫瘍接種及び処置投与のスケジュールの概略図を示す。Bは、異なる処置群の動物における腫瘍播種後の異なる時点における腫瘍体積(mm)の比較を示す。処置群は、(1)IL-7製剤化バッファー+アイソタイプコントロール抗体(「コントロール」)、(2)IL-7タンパク質+アイソタイプコントロール抗体(「IL-7」)、(3)IL-7製剤化バッファー+VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)(「a-VEGF」)、及び(4)IL-7タンパク質+VEGFアンタゴニスト(「IL-7+a-VEGF」)とした。データは平均±SEMとして示す。GraphPad Prism9.1.0ソフトウェアを使用して、統計解析(一元配置分散分析)を行った。「**」=p<0.01、及び「****」=p<0.0001。
図2】実施例3及び4に記載の第2相試験の投与スケジュールの概略図を示す。
図3】実施例3及び4に記載の第2相試験の投与スケジュールの一般的概要を示す。
図4A】実施例3及び4に記載の第2相試験の中間結果を示す。図4Aは、第2相試験に登録された20名の被験者の現在の状態を示す。具体的には、以下の被験者の状態を示す:(1)生存(灰色のバー)、(2)死亡(濃灰色のバー)、(3)処置に対する部分的な反応(黒塗りの円)、(4)安定した疾患(黒塗りの三角形)、(5)確認されていない疾患の進行(白抜きの四角)、(6)確認された疾患の進行(黒塗りの四角)、及び(7)治療終了(黒塗りのひし形)。
図4B】実施例3及び4に記載の第2相試験の中間結果を示す。図4Bは、処置の初回投与の0週及び4週後の絶対リンパ球数を示す。(*)は、ウィルコクサンの対応のある符号付き順位検定による4週目と0週目(ベースライン)との間の統計的有意差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、腫瘍の治療に使用することができる、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせを含む併用レジメンを提供する。本明細書で実証されるように、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせの投与は、IL-7タンパク質またはVEGFアンタゴニストのいずれか単独と比較して、抗腫瘍免疫を大幅に改善することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の併用レジメンは、多くのがんに対する効果的かつ実行可能な治療選択肢を提供するものである。本開示のさらなる態様は、本願全体を通じて提供される。
【0029】
本開示をより詳細に記載するのに先立って、本開示は記載される特定の組成物または方法に限定されるものではなく、これらは無論のこと異なりうる点を理解されたい。本開示を読むことで当業者に明らかとなるように、本明細書に記載及び例示される個々の態様の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離するかまたはそれらの特徴と組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有する。記載されるいずれの方法も、記載される事象の順序で、または論理的に可能な他のいずれの順序でも実行することができる。
【0030】
本明細書に示される見出しは本開示のさまざまな態様を限定するものではなく、本開示の態様は、本明細書の全体を参照することによって定義されうるものである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるので、本明細書で使用される用語は、あくまで特定の態様を説明することを目的としたものであって、限定することを目的としたものではない点も理解されるべきである。
【0031】
I.定義
本開示をより容易に理解できるようにするために、特定の用語をまず定義する。本出願で使用する場合、本明細書に別段明記されない限り、以下の用語のそれぞれは、下記に記載する意味を有するものとする。さらなる定義は、本出願の全体を通じて記載される。
【0032】
用語「a」または「an」実体と言う場合、その実体の1つ以上を指し、例えば、「a nucleotide sequence(ヌクレオチド配列)」は、1つ以上のヌクレオチド配列を指すものと理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0033】
さらに、本明細書で使用する場合、「及び/または」とは、他方を伴うかまたは伴わない、2つの特定の特性または要素のそれぞれの具体的な開示として理解されるべきである。したがって、本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」といった語句で使用される「及び/または」なる用語は、以下の態様、すなわち、A、B、及びC、A、B、またはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(のみ)、B(のみ)、ならびにC(のみ)のそれぞれを包含するものとする。
【0034】
態様が「を含むこと」という文言を用いて本明細書に記載される場合、別途「からなる」及び/または「から本質的になる」に関して記載される類似の態様も提供されることが理解される。
【0035】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有するものとする。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology,5th ed.,2013,Academic Press、及びOxford Dictionary Of Biochemistry and Molecular Biology, 2nd ed.,2008,Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くについての一般的な辞書を当業者に与えるものである。
【0036】
単位、接頭語、及び記号は、国際単位系(SI)で認められた形式で記載する。数値範囲は、その範囲を定義する数を含むものとする。値の範囲が列挙される場合、その範囲について列挙される上限値と下限値との間の介在する各整数値、及びそれらの各小数部も、そのような値の間の各部分範囲とともに、明確に開示されると理解されたい。あらゆる範囲の上限値及び下限値が、独立して範囲に含まれ得るか、または範囲から除外され得、上限値及び下限値のいずれかが含まれる各範囲、いずれも含まれない各範囲、または両方が含まれる各範囲も本開示に包含される。したがって、本明細書において列挙される範囲は、列挙される端点を含む範囲内の値のすべての省略表現であると理解される。例えば、1~10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むものとして理解される。
【0037】
値が明示的に記載されている場合、記載されている値(例えば、10)とほぼ同じ数または量である値(例えば、±10%)もまた、本開示の範囲内に含まれる点を理解されたい。ある組み合わせが開示される場合、その組み合わせの要素の部分的な組み合わせのそれぞれも具体的に開示され、本開示の範囲内に含まれる。反対に、異なる要素または要素群が個別に開示される場合、それらの組み合わせも開示される。ある開示の任意の要素が複数の代替例を有すると開示される場合、各代替例が単独で、または他の代替例との任意に組み合わせで除外される、その開示の例も本明細書に開示され、ある開示の2つ以上の要素が、そのような除外を有し得、そのような除外を有する要素のすべての組み合わせが本明細書に開示される。
【0038】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、大体、おおよそ、またはその範囲内の意味で使用される。「約」という用語が数値範囲とともに使用される場合、記載される数値よりも上及び下の境界値を広げることによって、その範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、ある数値を、例えば10パーセント上または下の(より高いかまたはより低い)差異で、記載された値を上回るかまたは下回るように修飾することができる。
【0039】
本明細書で使用する場合、「インターロイキン-7」または「IL-7」という用語は、IL-7ポリペプチド、ならびに、例えば、IL-7受容体結合親和性の標準的なバイオアッセイまたはアッセイにおいて、野生型成体哺乳動物IL-7と実質的なアミノ酸配列同一性を有し、かつ実質的に均等な生物学的活性を有する、その誘導体及び類似体を意味する。例えば、IL-7は、i)IL-7ポリペプチドの天然もしくは天然に存在する対立遺伝子バリアント、ii)IL-7ポリペプチドの生物学的活性のある断片、iii)IL-7ポリペプチドの生物学的活性のあるポリペプチド類似体、またはiv)IL-7ポリペプチドの生物学的活性のあるバリアントのアミノ酸配列を有する、組換えまたは非組換えポリペプチドのアミノ酸配列を意味する。本開示のIL-7ポリペプチドは、任意の種、例えば、ヒト、ウシ、またはヒツジから得ることができる。IL-7の核酸配列及びアミノ酸配列は当該技術分野で周知のものである。例えば、ヒトIL-7アミノ酸配列は、P13232のGenbankアクセッション番号(配列番号1)を有し、マウスIL-7アミノ酸配列は、P10168のGenbankアクセッション番号(配列番号3)を有し、ラットIL-7アミノ酸配列は、P56478(配列番号2)のGenbankアクセッション番号を有し、サルIL-7アミノ酸配列は、NP_001279008(配列番号4)のGenbankアクセッション番号を有し、ウシIL-7アミノ酸配列は、P26895(配列番号5)のGenbankアクセッション番号を有し、ヒツジIL-7アミノ酸配列は、Q28540(配列番号6)のGenbankアクセッション番号を有する。いくつかの態様では、本開示のIL-7ポリペプチドは、IL-7タンパク質のバリアントである。本開示から明らかなように、いくつかの態様では、本発明で有用なIL-7ポリペプチドは、シグナルペプチドを含まない(例えば、表1A参照)。
【表1-1】

【表1-2】
【0040】
本明細書で使用する場合、「血管内皮増殖因子」または「VEGF」という用語は、多くの細胞によって産生され、血管の形成(すなわち、血管新生)を刺激するタンパク質を指す。VEGFは、5つの主要なメンバー、すなわち、VEGF-A(単に「VEGF」とも呼ばれる)、胎盤成長因子(PGF)、VEGF-B、VEGF-C、及びVEGF-Dを含むタンパク質ファミリーの一部である。特に明記しない限り、「VEGF」という用語は、すべてのアイソフォーム(例えば、表1Bを参照されたい)及びそのバリアントを含めた、ファミリーのVEGF-Aメンバーを指す。選択的プロモーターの使用、選択的スプライシング、及び/または選択的開始に起因して、少なくとも17種類の既知のヒトVEGFのアイソフォーム(すなわち、VEGF-A)が存在している。異なるVEGFアイソフォームの配列を表1B(下記)に示す。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5】

【表2-6】
【0041】
本明細書で使用する場合、「投与すること」とは、当業者には周知のさまざまな方法及び送達系のいずれかを用いて、対象に対して治療薬または治療薬を含む組成物を物理的に導入することを指す。本明細書に記載の治療薬に関する様々な投与経路としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射または注入によるものが挙げられる。本明細書で使用される、「非経口投与」という句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、これは、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、気管内、経肺、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、心室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨内注射及び注入に加えて、インビボエレクトロポレーションを含むがこれらに限定されない。代替的に、本明細書に記載の治療薬は、局所、表皮、または粘膜投与経路等の非経口ではない経路によって、例えば、鼻腔内、経口、膣内、直腸内、舌下または局所的に投与され得る。投与は、例えば1回、複数回及び/または1つ以上の長い期間にわたって行うこともできる。
【0042】
「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」という用語は、技術用語であり、本明細書では同義に使用される場合があり、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を意味する。本明細書で使用されるこれらの用語は、全抗体、及びそれらの任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)または単鎖を含む。「抗体」とは、一態様では、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2個の重(H)鎖及び2個の軽(L)鎖、またはそれらの抗原結合部分を含む糖タンパク質を意味する。いくつかの態様では、「抗体」は、単一の可変ドメイン、例えば、VHHドメインを含む単鎖抗体を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でVHと略記される)と重鎖定常領域からなる。特定の天然に存在する抗体において、重鎖定常領域は、CH1、CH2、及びCH3の3つのドメインからなる。特定の天然に存在する抗体において、各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記される)と軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLからなる。
【0043】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域に、さらに細分され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合性ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0044】
抗体は、典型的に、10-5~10-11M以下の解離定数(K)に反映される高い親和性で同族の抗原に特異的に結合する。約10-4Mを超えるKは、一般的に、非特異的結合を示すとみなされる。本明細書で使用する場合、抗原に「特異的に結合する」抗体とは、抗原及び実質的に同一の抗原に高い親和性で結合する、つまり、KDが10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、または10-8M~10-10M以下であるが、無関係の抗原には高い親和性で結合しない、抗体を意味する。抗原は、所与の抗原に対して高度の配列同一性を呈する場合、例えば、所与の抗原の配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%の配列同一性を呈する場合、所与の抗原と「実質的に同一」である。例として、VEGFに特異的に結合する抗体は、特定の態様では、特定の霊長類種由来のVEGF抗原(例えば、カニクイザル抗VEGF抗体)との交差反応性を有してもよいが、他の種由来のVEGF分子またはVEGF以外の分子と交差反応することはできない。
【0045】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、及びIgMを含むがこれらに限定されない、一般的に知られているアイソタイプのいずれに由来してもよい。IgGサブクラスもまた、当業者には周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が含まれる(ただし、これらに限定されない)。「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。いくつかの態様では、アイソタイプの1つ以上のアミノ酸を変異させて、エフェクター機能を変化させることができる。「抗体」という用語は、例として、天然に存在する抗体(Ab)及び天然に存在しない抗体、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体、ヒト抗体または非ヒト抗体、完全に合成の抗体、ならびに単鎖抗体のいずれをも含む。非ヒト抗体は、組換え法によってヒト化して、ヒトにおけるその免疫原性を低減させることができる。明示的に述べられていない場合、かつ文脈上特に指定のない限り、「抗体」という用語には、前述の免疫グロブリンのいずれかの抗原結合性断片または抗原結合性部分も含まれ、一価及び二価の断片または部分、ならびに単鎖抗体が含まれる。
【0046】
「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を意味する(例えば、VEGFに特異的に結合する単離された抗体は、VEGF以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、VEGFに特異的に結合する単離された抗体は、異なる種のVEGF分子のような他の抗原との交差反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質及び/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0047】
「モノクローナル抗体」(「mAb」)という用語は、単一分子組成の抗体分子、すなわち、一次配列が本質的に同一であり、かつ特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を呈する抗体分子の、天然に存在しない調製物を意味する。mAbは単離された抗体の一例である。MAbは、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニック、または当業者に知られている他の技術によって産生することができる。
【0048】
「ヒト」抗体(HuMAb)は、フレームワークとCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を意味する。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的な変異誘発によって、またはインビボでの体細胞変異によって導入される変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書で使用する「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。「ヒト」抗体及び「完全ヒト」抗体という用語は、同義語として使用される。
【0049】
「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、ほとんど、または全てが、ヒト免疫グロブリンに由来する対応するアミノ酸で置き換えられている抗体を意味する。ヒト化形態の抗体の一態様では、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、ほとんど、または全てがヒト免疫グロブリンのアミノ酸で置き換えられているが、1以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、ほとんど、または全ては変化していない。アミノ酸のわずかな付加、欠失、挿入、置換、または改変は、特定の抗原に結合する抗体の能力を抑止しない限り許容される。「ヒト化」抗体は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持する。
【0050】
「キメラ抗体」とは、可変領域がマウス抗体に由来し、定常領域がヒト抗体に由来する抗体のような、可変領域が1つの種に由来し、定常領域が別の種に由来する抗体を意味する。
【0051】
「抗抗原」抗体は、抗原に特異的に結合する抗体を意味する。例えば、抗PD-1抗体は、PD-1に特異的に結合し、抗VEGF抗体は、VEGFに特異的に結合する。
【0052】
抗体の「抗原結合部分」(「抗原結合断片」とも呼ばれる)は、抗体全体が結合する抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つ以上の断片を意味する。
【0053】
本明細書で使用する場合、「特異的結合」、「選択的結合」、「選択的に結合する」、及び「特異的に結合する」という用語は、抗体が所定の抗原上のエピトープに結合することを意味する。通常、抗体は、(i)例えば、分析物としての所定の抗原及びリガンドとしての抗体を使用したBIACORE(商標)2000機器での表面プラズモン共鳴(SPR)技術、または抗原陽性細胞への抗体の結合のScatchard分析によって決定した場合、およそ10-7M未満、例えばおよそ10-8M、10-9M、もしくは10-10M未満、またはさらに低い平衡解離定数(K)で結合し、かつ(ii)所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合する親和性よりも少なくとも2倍高い親和性で所定の抗原に結合する。
【0054】
本明細書で使用する「天然に存在する」という用語は、ある対象に適用される場合、対象を天然に見出すことができるという事実を指す。例えば、天然の由来源から単離することができ、かつ研究室で人為的に意図的に改変されていない生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0055】
「ポリペプチド」は、少なくとも2個の連続的に連結されたアミノ酸残基を含む鎖を指し、鎖の長さに上限はない。タンパク質の1つ以上のアミノ酸残基は、グリコシル化、リン酸化、またはジスルフィド結合の形成など(ただし、これらに限定されない)の修飾を含むことができる。「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチドを含み得る。特に指定のない限り、「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、同義で使用され得る。
【0056】
本明細書で使用される、「核酸分子」という用語は、DNA分子及びRNA分子を含むことを意図している。核酸分子は、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、cDNAであってもよい。
【0057】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されることを意味する。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。いくつかの態様では、抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換えられる。抗原結合性を消失させないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を特定する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Brummell et al.,Biochem.32:1180-1187(1993)、Kobayashi et al.Protein Eng. 12(10):879-884(1999);及びBurks et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:412-417(1997)を参照)。
【0058】
核酸の場合、「実質的な相同性」という用語は、2つの核酸、またはそれらの指定された配列が、最適にアラインされ比較された場合、適切なヌクレオチドの挿入または欠失を伴って、ヌクレオチドの少なくとも約80%、少なくとも約90%~95%、またはヌクレオチドの少なくとも約98%~99.5%で同一であることを示す。あるいは、セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で鎖の相補体にハイブリダイズする場合に、実質的な相同性が存在する。
【0059】
ポリペプチドの場合、「実質的な相同性」という用語は、2つのポリペプチド、またはそれらの指定された配列が、最適にアラインされ比較された場合、適切なアミノ酸の挿入または欠失を伴って、アミノ酸の少なくとも約80%、少なくとも約90%~95%、またはアミノ酸の少なくとも約98%~99.5%で同一であることを示す。
【0060】
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列に共通する同一の位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列間の配列の比較及び同一性パーセントの決定は、例えば以下の非限定的な例に記載されるような数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0061】
2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(worldwideweb.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリックスと40、50、60、70、または80のギャップ加重及び1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して決定することができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers and W.Miller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズムを使用して、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して決定することもできる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(worldwideweb.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))アルゴリズムを使用して、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかと、16、14、12、10、8、6、または4のギャップ加重及び1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して決定することができる。
【0062】
本明細書に記載の核酸及びタンパク質配列をさらに、例えば、関連する配列を同定するために公共データベースに対して検索を行うための「クエリ配列」として使用することができる。このような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行することができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書に記載のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行することができる。比較目的でギャップ付きのアラインメントを得るために、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402に記載されている通りに、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトのパラメータを使用することができる。worldwideweb.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0063】
核酸は、全細胞に、細胞溶解物に、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、他の細胞成分または他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸(例えば、染色体の他の部分)またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、及び当該技術分野で周知の他の技術を含む標準的技術によって精製されている場合、「単離されている」または「実質的に純粋になっている」。F.Ausubel,et al.,ed.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York(1987)を参照されたい。
【0064】
核酸、例えばcDNAを、標準的技術に従って変異させて、遺伝子配列をもたらすことができる。コード配列の場合、これらの変異は、所望のようにアミノ酸配列に影響を与えることができる。特に、天然のV、D、J、定常配列、スイッチ、及び本明細書に記載される他のかかる配列と実質的に相同であるか、またはそれらに由来するDNA配列が想定される(ここで、「由来」は、配列が別の配列と同一であるか、またはそれから改変されていることを示す)。
【0065】
本明細書で使用する「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を意味することが意図される。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプベクターは、ウイルスベクターであり、ここでは、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲートされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれることが可能であり、それによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが機能的に連結された遺伝子の発現を指示することが可能である。かかるベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。プラスミドは最も一般的に使用される形態のベクターであるため、本明細書において「プラスミド」及び「ベクター」は同義に使用され得る。しかしながら、同様に含まれるのは、他の形態の発現ベクター、例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)であり、これらは、同等の機能を果たす。
【0066】
本明細書で使用する「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、細胞に天然に存在しない核酸を含む細胞を意味するよう意図され、組換え発現ベクターが導入されている細胞であってもよい。かかる用語は、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の子孫も指すように意図されることを理解されたい。突然変異または環境的影響のいずれかによって後続の世代で特定の修飾が起こる場合があるため、かかる子孫は、実際には、親細胞と同一とはなりえないが、本明細書で使用される用語「宿主細胞」の範囲内に依然として含まれる。
【0067】
本明細書で使用する場合、「連結された」という用語は、2つ以上の分子の結合を意味する。この結合は、共有結合性であっても非共有結合性であってもよい。この結合は、遺伝子学的な(すなわち、組換え的に融合された)ものであってもよい。このような結合は、化学的コンジュゲーション及び組換えタンパク質の産生といった、当該技術分野で認識されている広範な技術を使用して実現することができる。
【0068】
「がん」とは、体内の異常細胞の成長がコントロールされないことを特徴とする様々な疾患の広範な群を意味する。細胞の分裂及び成長が制御されないことによって悪性腫瘍が形成され、隣接組織に浸潤し、リンパ系または血流を通って身体の遠位部に転移する場合もある。本明細書で使用する場合、「がん」とは、原発性癌、転移癌、及び再発癌を意味する。本開示により治療することができる適当ながんの非限定的な例は、本開示の他の箇所に示されている。
【0069】
「融合タンパク質」という用語は、元々別々のタンパク質をコードしていた2つ以上の遺伝子の結合によって作出されるタンパク質を意味する。この融合遺伝子の翻訳により、元のタンパク質の各々に由来する機能的特性を備えた単一のポリペプチドまたは複数のポリペプチドがもたらされる。いくつかの態様において、2つ以上の遺伝子は、そのヌクレオチド配列に置換、欠失、及び/または付加を含み得る。
【0070】
「Fc受容体」または「FcR」は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRは、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び選択的スプライシング型を含め、FcγRファミリーの受容体を含む。FcγRファミリーは、3つの活性化受容体(マウスではFcγRI、FcγRIII、及びFcγRIV;ヒトではFcγRIA、FcγRIIA、及びFcγRIIIA)及び1つの阻害性受容体(FcγRIIB)からなる。ヒトFcγRの様々な特性が当該技術分野で知られている。先天性エフェクター細胞型の大部分は1以上の活性化FcγR及び阻害性FcγRIIBを共発現するのに対し、ナチュラルキラー(NK)細胞は、1つの活性化Fc受容体(マウスではFcγRIII、ヒトではFcγRIIIA)を選択的に発現するが、マウス及びヒトの阻害性FcγRIIBを選択的に発現しない。ヒトIgG1は、ほとんどのヒトFc受容体に結合し、結合する活性化Fc受容体のタイプに関してマウスIgG2aと均等であると考えられている。
【0071】
「Fc領域」(断片結晶化可能領域)または「Fcドメイン」または「Fc」は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)上に位置するFc受容体または古典的補体系の第1成分(C1q)への結合を含め、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介する、抗体の重鎖のC末端領域を意味する。したがって、Fc領域は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1またはCL)を除く抗体の定常領域を含む。IgG、IgA及びIgDの抗体アイソタイプでは、Fc領域は、抗体の2つの重鎖の第2(CH2)及び第3(CH3)の定常ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片を含み、IgM及びIgEのFc領域は、3つの重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を各ポリペプチド鎖に含む。IgGの場合、Fc領域は、免疫グロブリンドメインのCH2及びCH3、ならびにCH1ドメインとCH2ドメインとの間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界の定義は、本明細書で定義するように様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、IgG1ではアミノ酸残基D221、IgG2ではV222、IgG3ではL221、そしてIgG4ではP224から、重鎖のカルボキシ末端まで広がると定義され、ここで付番は、Kabatと同様にEUインデックスに従う。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは、アミノ酸237からアミノ酸340まで延び、CH3ドメインは、Fc領域内のCH2ドメインのC末端側に位置している。すなわち、IgGのアミノ酸341からアミノ酸447もしくは446(C末端リジン残基が存在しない場合)または445(C末端グリシン及びリジン残基が存在しない場合)まで延びる。本明細書で使用する場合、Fc領域は、あらゆるアロタイプバリアントを含む天然配列Fcであっても、バリアントFc(例えば、天然に存在しないFc)であってもよい。Fcは、この領域を、単独で、または「Fc融合タンパク質」(例えば、抗体またはイムノアドヘシン)とも称される「Fc領域を含む結合性タンパク質」といった、Fcを含むタンパク質ポリペプチドとの関連で意味する場合もある。
【0072】
「天然配列Fc領域」または「天然配列Fc」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1 Fc領域、天然配列ヒトIgG2 Fc領域、天然配列ヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびにそれらの天然に存在するバリアントが含まれる。天然配列Fcには、Fcのさまざまなアロタイプが含まれる(例えば、Jefferis et al.(2009)mAbs 1:1を参照されたい)。
【0073】
さらに、本開示のFc(天然またはバリアント)は、天然形態と比較して、天然の糖鎖、より多い糖鎖、もしくはより少ない糖鎖を有する形態であってもよく、または脱グリコシル化形態であってもよい。免疫グロブリンのFc糖鎖は、化学的方法、酵素的方法、及び微生物を使用する遺伝子操作方法などの従来の方法によって改変することができる。Fc断片から糖鎖を除去すると、補体第1成分C1のC1q部分への結合親和性が大幅に減少し、ADCCまたはCDCが減少または喪失するため、インビボで不要な免疫応答が誘導されることはない。これに関して、脱グリコシル化または非グリコシル化形態の免疫グロブリンFc領域は、薬物担体としての本開示の目的により適当となり得る。本明細書で使用する場合、「脱グリコシル化」という用語は、糖がFc断片から酵素的に除去されているFc領域を意味する。さらに、「非グリコシル化」という用語は、Fc断片が、原核生物により、好ましくは大腸菌において、グリコシル化されていない形態で産生されることを意味する。
【0074】
本明細書で使用する場合、「免疫応答」という用語は、外来作用物質に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答は、これらの作用物質及びそれらによって引き起こされる疾患から生体を保護する。本明細書で使用する場合、「抗腫瘍免疫応答」という用語は、腫瘍抗原に対する免疫応答を指す。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球)ならびにこれらの細胞のいずれかまたは肝臓によって産生される、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がんもしくは他の異常な細胞、または自己免疫もしくは病理学的炎症の場合は正常なヒト細胞もしくは組織に対する選択的標的化、それらとの結合、それらに対する損傷、それらの破壊、及び/または脊椎動物の体内からの排除をもたらす可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用によって媒介される。免疫反応としては、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞もしくはTh細胞、例えば、CD4もしくはCD8T細胞などの活性化もしくは阻害、またはTreg細胞の阻害が挙げられる。
【0075】
「免疫療法」という用語は、疾患を罹患しているか、または疾患に罹患するリスクがあるかもしくは再発を有する対象の、免疫応答を誘導、増強、抑制、または他の形で改変することを含む方法による治療のことを指す。対象の「治療」または「療法」とは、症状、合併症もしくは病態、または疾患に関連する生化学的兆候の発生、進行、発達、重篤度もしくは再発を逆転、軽減、回復、阻害、緩徐化、または防止する目的で、対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象に対する活性剤の投与を意味する。
【0076】
「エフェクターT細胞」(Teff)という用語は、細胞溶解活性を有するT細胞(例えば、CD4及びCD8T細胞)、ならびにサイトカインを分泌して他の免疫細胞を活性化し誘導するTヘルパー(Th)細胞を意味するが、制御性T細胞(Treg細胞)は含まない。IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)との組み合わせにより、対象の腫瘍または血液中のTeff細胞、例えば、CD4及びCD8T細胞が活性化され、及び/またはその頻度が増大する。
【0077】
本明細書で使用する場合、「制御性T細胞」(Treg)という用語は、エフェクターT細胞の誘導及び増殖を低減または抑制し、これによって免疫応答を調節する能力を有するT細胞の集団を意味する。いくつかの態様において、Tregは、ナイーブT細胞の活性化及びエフェクターT細胞への分化を妨げ得る、IL-10、TGF-β、及びIL-35などの抗炎症性サイトカインの分泌により、免疫応答を抑制し得る。いくつかの態様において、Tregは、エフェクターT細胞のアポトーシスを誘導し得るグランザイムBなどの細胞溶解性分子を産生することもできる。いくつかの態様において、制御性T細胞は、内在性制御性T細胞(nTreg)である(すなわち、胸腺内で発達する)。いくつかの態様では、制御性T細胞は、誘導制御性T細胞(iTreg)(すなわち、特定の刺激への曝露時に末梢組織でTregに分化するナイーブT細胞)である。Tregを同定するための方法は、当該技術分野では周知のものである。例えば、Tregは、フローサイトメトリーを使用して測定することができる特定の表現型マーカー(例えば、CD25、Foxp3、またはCD39)を発現する。例えば、国際公開第WO2017/062035号A1、Gu J.,et al.,Cell Mol Immunol 14(6):521-528(2017)を参照されたい。いくつかの態様において、Tregは、CD45RACD39T細胞である。
【0078】
本明細書で使用する場合、「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」という用語は、末梢から(例えば、血液から)腫瘍中に遊走したリンパ球(例えば、エフェクターT細胞)を意味する。いくつかの態様では、腫瘍浸潤リンパ球はCD4+TILである。いくつかの態様では、腫瘍浸潤リンパ球はCD8+TILである。
【0079】
免疫応答または免疫系を刺激する能力の増大は、T細胞共刺激受容体のアゴニスト活性の向上及び/または抑制性受容体のアンタゴニスト活性の向上に起因し得る。免疫応答または免疫系を刺激する能力の増大は、免疫応答を測定するアッセイ、例えば、サイトカインまたはケモカインの放出、細胞溶解活性(標的細胞で直接的に、またはCD107aもしくはグランザイムを検出することによって間接的に決定される)、及び増殖の変化を測定するアッセイにおける、EC50または最大活性レベルの増大倍率に反映され得る。免疫応答または免疫系の活性を刺激する能力は、少なくとも10%、30%、50%、75%、2倍、3倍、5倍、またはそれ以上向上し得る。
【0080】
例えば、IL-7タンパク質の「バリアント」は、1個以上のアミノ酸が変化しているアミノ酸配列として定義される。バリアントは、置換されたアミノ酸が同様の構造特性または化学特性を有する、例えば、ロイシンのイソロイシンでの置き換えのような、「保存的」変化を有し得る。さほど一般的ではないが、バリアントは、「非保存的」変化、例えば、グリシンのトリプトファンでの置き換えを有してもよい。同様のマイナーな変化には、アミノ酸の欠失もしくは挿入、またはその両方も含まれ得る。生物学的活性を損なうことなく置換、挿入、または欠失できるアミノ酸残基の種類及び数を決定する際の指針は、当該技術分野で周知のコンピュータプログラム、例えば分子モデリングまたはアラインメント生成のためのソフトウェアを使用して見出すことができる。例えば、本開示に含まれるバリアントIL-7タンパク質は、IL-7活性を保持するIL-7タンパク質を含む。同様に、本明細書に記載のVEGFアンタゴニストのバリアントは、VEGFに対するアンタゴニスト活性を維持しているものを指す。付加、置換または欠失も含むバリアントはまた、それらバリアントが対応するノンバリアント(例えば、野生型)と実質的に同等の生物活性を保持する限り、本開示内に含まれる。例えば、完全長型のIL-7タンパク質と同等の生物学的活性を保持するIL-7の切断型は本開示に含まれる。本明細書に記載の治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)の活性は、当該技術分野では周知の任意の適当な方法を使用して測定することができる。
【0081】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するには、配列を最適に比較する目的でアラインする(例えば、第1のアミノ酸の配列または核酸配列に、第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのためにギャップを導入することができる)。2つの配列間の同一性パーセントは、配列に共通する同一の位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列間の相同性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-77にあるように改変された、Karlin and Altschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-68のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、Altschul,et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行することができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行することができる。比較目的でギャップ付きのアラインメントを得るために、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Research 25(17):3389-3402に記載されている通りに、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトのパラメータを使用することができる。
【0082】
「対象」には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語には、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、及び、齧歯動物、例えば、マウス、ラット、及びモルモットが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、対象は、ヒトである。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では同義に使用される。
【0083】
「治療有効量」または「治療上有効な投与量」という用語は、所望の生物学的結果、治療結果、及び/または予防結果をもたらす薬剤の量を意味する。その結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因のうちの1以上の低減、回復、緩和、減弱、遅延、及び/または軽減、または生物学的システムの任意の他の所望の変化であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を縮小させる、及び/または腫瘍の成長速度を減少させる(例えば、腫瘍成長を抑制する)、または他の望ましくない細胞増殖を防止または遅延させるのに十分な量を含む。いくつかの態様では、有効量は、腫瘍の進展を遅延させるのに十分な量である。いくつかの態様では、有効量は、腫瘍の再発を予防または遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。有効量の薬物または組成物は、(i)がん細胞の数を低減させ、(ii)腫瘍サイズを縮小し、(iii)末梢器官へのがん細胞の浸潤を阻害し、遅らせ、ある程度緩徐化し、停止する場合もあり、(iv)腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度緩徐化し、停止する場合もあり、(v)腫瘍成長を阻害し、(vi)腫瘍の発生及び/または再発を防止もしくは遅延させ、及び/または(vii)がんに関連する症状のうちの1以上をある程度軽減することができる。いくつかの態様では、「治療有効量」は、進行固形腫瘍などのがんの有意な減少またはがんの進行の緩徐化(退行)に影響することが臨床的に証明されている、IL-7タンパク質の量とVEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)の量の組み合わせである。疾患退行を促進する治療約の能力は、熟練した医師に知られているさまざまな方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象で、ヒトにおける効能を予測する動物モデル系で、またはインビトロアッセイで薬剤の活性をアッセイすることで評価することができる。
【0084】
「投薬頻度」という用語は、治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)が特定の期間内に対象に投与される回数を意味する。投薬頻度は、例えば、1日1回、1週間に1回、または2週間に1回など、所与の時間当たりの投薬回数として示すことができる。本明細書で使用する場合、「投薬頻度」は、対象が治療剤の複数(または反復)投与を受ける場合に適用可能である。本明細書に記載のIL-7タンパク質及びVEGFアンタゴニストのいずれかの適当な投薬頻度は、本開示の他の箇所に示される。
【0085】
本明細書で使用される、「標準治療」という用語は、特定のタイプの疾患に対する適切な治療として医療専門家によって受け入れられ、医療従事者によって広く使用されている治療を指す。この用語は、次の用語:「ベストプラクティス」、「標準的医療」、及び「標準的治療」のいずれとも同義で使用され得る。本開示の他の箇所でさらに記載されるように、いくつかの態様では、標準治療は、化学療法(例えば、テモゾロミド)を含む。いくつかの態様では、標準治療は、放射線療法を含む。いくつかの態様では、標準治療は、放射線療法及び化学療法(例えば、テモゾロミド)の両方を含む。
【0086】
本明細書で使用する場合、「薬物」という用語は、疾患または他の望ましくない状態を防止または治療するためにヒトまたは非ヒト哺乳動物に投与することが意図される任意の生物活性剤(例えば、本明細書で開示されるIL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)を意味する。薬物には、ホルモン、成長因子、タンパク質、ペプチド、及び他の化合物が含まれる。いくつかの態様では、本明細書で開示される薬物は、抗がん剤である。特に断らない限り、「薬物」という用語は、用語「治療薬」と同義で使用され得る。
【0087】
例として、「抗がん剤」は、対象のがんの退縮を促進するか、またはさらなる腫瘍成長を防止する。いくつかの態様では、薬物の治療有効量は、がんが消失する点までがんの退縮を促進する。「がんの退縮を促進する」とは、該薬物の有効量を単独で、または抗腫瘍薬と組み合わせて投与することにより、腫瘍の成長もしくはサイズが減少するか、該腫瘍が壊死するか、少なくとも1つの疾患症状の重症度が低下するか、疾患の無症状期間の頻度及び持続期間が延長されるか、または疾患の苦痛に起因する機能障害もしくは身体障害が防止されることを意味する。さらに、治療に関する「有効」及び「有効性」という用語は、薬理学的有効性と生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、患者のがんの退行を促進する薬物の能力を意味する。生理学的安全性とは、薬物の投与に起因する、細胞、器官、及び/または生物のレベルでの毒性または他の有害な生理学的効果(有害作用)のレベルを意味する。
【0088】
例として、腫瘍の治療において、治療有効量の抗がん剤は、未治療の対象と比して、またはいくつかの態様では、標準治療療法で治療された患者と比較して、細胞増殖または腫瘍増殖を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%阻害することができる。いくつかの態様では、少なくとも約20日、少なくとも約40日、または少なくとも約60日の期間にわたり、腫瘍の退行が観察され、継続し得る。治療有効性のこれらの最終的な測定値にかかわらず、免疫療法薬の評価は、「免疫関連」応答パターンも考慮に入れなければならない。
【0089】
本明細書で使用される、「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、1つ以上の免疫チェックポイントタンパク質を完全または部分的に減少させる、阻害する、妨げる、または調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を調節する。CTLA-4ならびにそのリガンドであるCD80及びCD86、ならびにPD-1とそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2等の多数のチェックポイントタンパク質が知られている。Pardoll,D.M.,Nat Rev Cancer 12(4):252-64(2012)。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激または抑制性相互作用を担う。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容、ならびに生理学的免疫応答の期間及び程度を調節して維持する。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体に由来する。本開示に有用な適当な免疫チェックポイント阻害剤は、本開示の他の箇所に示される。
【0090】
本明細書で使用する場合、「基準対象」という用語は、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)が投与されなかった対応する対象(例えば、がん対象)を指す。いくつかの態様では、基準対象は、IL-7タンパク質単独またはVEGFアンタゴニスト単独が投与された対応する対象を指す。いくつかの態様では、基準対象は、IL-7タンパク質もVEGFアンタゴニストも投与されなかったものである。「基準対象」という用語はまた、同じ対象(すなわち、本明細書で提供される方法で処置された対象)であるが、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの組み合わせの投与前の対象を指す場合もある。特定の態様において、「基準対象」という用語は、対象(例えば、がん対象)の集団の平均を指す。
【0091】
本明細書で使用する場合、「ug」及び「uM」という用語は、それぞれ、「μg」及び「μM」と互換的に使用される。
【0092】
本明細書に記載される様々な態様は、以下の小節においてさらに詳しく記載される。
【0093】
II.開示の方法
本明細書では、腫瘍(またはがん)の治療を必要とする対象の腫瘍を治療する方法であって、対象に、インターロイキン-7(IL-7)タンパク質と血管内皮増殖因子(「VEGF」)のアンタゴニスト(「VEGFアンタゴニスト」)との組み合わせを投与することを含む、方法が提供される。本方法で有用なIL-7タンパク質及びVEGFアンタゴニストの非限定的な例は、本開示の他の箇所に示されている。本明細書で実証されるように、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニスト(本明細書に記載されるものなど)を含む治療レジメンは、いずれかの治療薬単独と比較してはるかに改善された抗腫瘍免疫に関連し得る。
【0094】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象における抗腫瘍免疫応答を増加させることができる。いくつかの態様では、投与後、抗腫瘍免疫応答は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。例えば、いくつかの態様では、対象における抗腫瘍免疫応答は、併用治療の投与前の対象における抗腫瘍免疫応答と比較して増加する。いくつかの態様では、対象における抗腫瘍免疫応答は、IL-7タンパク質単独またはVEGFアンタゴニスト単独を投与した対応する対象と比較して増加する。いくつかの態様では、対象における抗腫瘍免疫応答は、IL-7タンパク質もVEGFアンタゴニスト単独も投与されていない対応する対象と比較して増加する。
【0095】
いくつかの態様では、抗腫瘍免疫応答の増加は、以下の治療効果のうちの1つ以上と関連し得る。すなわち、(i)腫瘍体積及び/または増殖の減少、(ii)腫瘍特異的T細胞のエフェクター活性(例えば、腫瘍細胞を殺傷する能力)の増加、(iii)例えば腫瘍における腫瘍特異的エフェクターT細胞の数の増加、(iv)例えば腫瘍内の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)数の増加、(v)例えば腫瘍内の骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の数の減少、(vi)例えば腫瘍内の制御性T細胞(Treg)数の減少、(vii)対象の生存期間の増加、(viii)例えば、腫瘍、腫瘍排出リンパ節(TDLN)、またはその両方におけるCD8+T細胞上のTOXの発現の減少、(ix)例えば、腫瘍、TDLN、またはその両方における幹細胞様T細胞の数の増加、または(x)それらの任意の組み合わせ。特に明記しない限り、「数」という用語は、絶対数及びパーセンテージの両方を指す。本開示の上記または他の箇所に記載されている治療効果のいずれも、本明細書で提供される、及び/または当該技術分野では周知の適当な方法のいずれかを使用して判定することができる。
【0096】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象における腫瘍体積が減少する。いくつかの態様では、腫瘍体積は、投与後に、基準対象における対応する値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少する。いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象における腫瘍の増殖を減少させることができる。いくつかの態様では、腫瘍増殖は、基準対象における対応する値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少する。
【0097】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象における腫瘍特異的T細胞(例えば、CD8T細胞及び/またはCD4T細胞)のエフェクター活性を増加させることができる。いくつかの態様では、エフェクター活性は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、エフェクター活性は、がんの治療に有用であり得るT細胞(例えば、CD8T細胞及び/またはCD4T細胞)の任意の細胞溶解活性を含む。かかるエフェクター活性の非限定的な例としては、抗原刺激時にエフェクター分子(例えば、サイトカイン、パーフォリン、及び/またはグランザイム)を産生する能力、腫瘍細胞を認識して殺傷する能力、またはその両方が挙げられる。
【0098】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象における腫瘍特異的エフェクターT細胞(例えば、CD8T細胞及び/またはCD4T細胞)の数を増加させることができる。いくつかの態様では、腫瘍特異的エフェクターT細胞の数は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0099】
いずれの1つの理論にも束縛されるものではないが、いくつかの態様では、数の増加は、腫瘍特異的エフェクターT細胞の増殖の増加によるものである。したがって、いくつかの態様では、腫瘍特異的エフェクターT細胞の増殖は、本明細書に記載の併用治療(例えば、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせ)の投与後、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、腫瘍特異的エフェクターT細胞の数の増加は、T細胞が生存及び/または持続する能力によるものである。いくつかの態様では、腫瘍特異的エフェクターT細胞峨々対象内で生存及び/または持続する能力は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)は、対象に投与された場合、腫瘍特異的エフェクターT細胞の増殖及び生存/持続の両方を増加させることができる。
【0100】
いくつかの態様では、腫瘍特異的エフェクターT細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象の腫瘍内のTILの数を増加させることができる。いくつかの態様では、対象の腫瘍内のTILの数は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、対象の腫瘍内のTIL数の増加は、末梢から腫瘍へのTILの動員の増加に関連し得る。いくつかの態様では、腫瘍内へのTILの動員は、本明細書に記載の併用治療(例えば、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせ)の投与後、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0101】
いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象の腫瘍中の制御性T細胞(Treg)の数を減少させることができる。いくつかの態様では、制御性T細胞は、CD4制御性T細胞である。いくつかの態様では、制御性T細胞は、Foxp3である。いくつかの態様では、制御性T細胞の数及び/または割合は、基準対象における対応する値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0102】
いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象の腫瘍内の骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の数を減少させることができる。本明細書で使用される、「骨髄由来サプレッサー細胞」(MDSC)という用語は、それらの骨髄起源、未成熟状態、及びT細胞応答を強力に抑制する能力によって定義される、不均一な免疫細胞集団を指す。これらは、慢性感染及びがんなどの特定の病理学的状態で増殖することが知られている。いくつかの態様では、MDSCは、単球性のMDSC(M-MDSC)である。いくつかの態様では、MDSCは、多形核MDSC(PMN-MDSC)である。いくつかの態様では、投与後、腫瘍内のMDSCの数は、基準対象における対応する値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0103】
当業者には明らかなように、いくつかの態様では、上記に記載の治療効果の1つ以上は、(i)対象の生存期間(例えば、無増悪生存期間)の増加、(ii)奏効率の増加、(iii)疾患の進行の減少、または(iv)それらの組み合わせをもたらしうる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象(例えば腫瘍を有する)の生存期間を増加させることができる。いくつかの態様では、生存期間は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、投与後、対象の生存期間は、基準対象と比較して、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年、またはそれ以上増加する。いくつかの態様では、投与後、対象の生存期間は、基準対象の生存期間よりも高い(約1ヶ月高い、約2ヶ月高い、約3ヶ月高い、約4ヶ月高い、約5ヶ月高い、約6ヶ月高い、約7ヶ月高い、約8ヶ月高い、約9ヶ月高い、約10ヶ月高い、約11ヶ月高い、または約1年高い)レベルで増加する。
【0104】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象(例えば、がん患者)の無増悪生存期間を増加させることができる。例えば、いくつかの態様では、対象の無増悪生存期間は、基準対象と比較して、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年増加する。
【0105】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、対象群における奏効率を高めることができる。例えば、対象群における奏効率は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍高くなる。
【0106】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、がんの進行を減少させることができる。いくつかの態様では、投与後、疾患の進行は、基準対象における対応する値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0107】
いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を投与することにより、例えば、腫瘍、腫瘍排出リンパ節、またはその両方に存在するCD8+T細胞におけるTOXの発現を減少させることができる。いくつかの態様では、投与後、CD8+T細胞におけるTOXの発現は、基準対象における対応する値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少する。いずれの理論にも拘束されるものではないが、少なくともCD8+T細胞において、TOXはT細胞疲弊の誘導に重要な役割を果たしていると考えられる(例えば、Khan et al.,Nature 571: 211-218(2019)を参照)。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)は、対象に投与された場合、T細胞疲弊の低減を助長することができる。
【0108】
いくつかの態様では、本明細書に記載される併用治療を投与することにより、例えば、腫瘍、腫瘍排出リンパ節、またはその両方に存在する幹細胞様T細胞の数を増加させることができる。本明細書で使用される、「幹細胞様T細胞」は、エフェクター活性(例えば、腫瘍細胞を殺傷する能力)を保持しながら、低分化であるT細胞を指す。幹細胞様T細胞は、当該技術分野では周知の任意の適当な方法(例えば、フローサイトメトリー)を使用してそれらの表現型の発現によって特定することができる。いくつかの態様では、本開示に有用な幹細胞様T細胞はTCF1+及びTOX-である。いくつかの態様では、幹細胞様T細胞は、さらにTIM3-である。いくつかの態様では、投与後、幹細胞様T細胞の数は、基準対象における対応する値と比較して少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0109】
いくつかの態様では、本方法で治療される対象は、ラットまたはマウスなどの非ヒト動物である。いくつかの態様では、本方法で治療される対象は、ヒトである。
【0110】
本開示から明らかとなるように、本明細書に記載の併用治療(例えば、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)は、当該技術分野では周知のあらゆる適当ながんを治療するために使用することができる。本明細書に示される開示によって治療することのできるがん(または腫瘍)の非限定的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)、非扁平上皮NSCLC、胃腸癌、腎癌(例えば、明細胞癌)、卵巣癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、大腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌(RCC))、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺癌)、甲状腺癌、膵臓癌、子宮頸癌、胃の癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、及び頭頸部癌(または癌腫)、胃癌、生殖細胞腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫、例えば皮膚または眼球内の悪性黒色腫)、骨癌、皮膚癌、子宮癌、肛門領域のがん、精巣癌、卵管癌、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌、膣癌、外陰部癌、食道癌(例えば、食道胃接合部癌)、小腸癌、内分泌系癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児期の固形腫瘍、尿管癌、腎盂癌、腫瘍血管新生、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘導されるものを含む環境誘発癌、ウイルス関連癌またはウイルス起源の癌(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPVに関連または由来する腫瘍))、及び2つの主な血液細胞系、すなわち、骨髄細胞系(顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージ、及びマスト細胞を産生)またはリンパ球細胞系(B細胞、T細胞、NK細胞、及び形質細胞を産生)のいずれかに由来する血液悪性疾患、例えば、あらゆる種類の白血病、リンパ腫、及び骨髄腫、例えば、急性、慢性、リンパ球性及び/または骨髄性の白血病、例えば、急性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び慢性骨髄性白血病(CML)、未分化AML(MO)、骨髄芽球性白血病(Ml)、骨髄芽球性白血病(M2;細胞成熟を伴う)、前骨髄球性白血病(M3またはM3バリアント[M3V])、骨髄単球性白血病(M4または好酸球増加を伴うM4バリアント[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)、巨核芽球性白血病(M7)、孤立性顆粒球肉腫、及び緑色腫;リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞血液悪性病変、例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、未分化(例えば、Ki1)大細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫/白血病、マントル細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、腸管T細胞リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、Tリンパ芽球性;ならびにリンパ腫/白血病(T-Lbly/T-ALL)、末梢T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、移植後リンパ増殖性障害、真性組織球性リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫(LBL)、リンパ系の造血性腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、びまん性大B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性組織球性リンパ腫(DHL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫(CTLC)(菌状息肉症またはセザリー症候群とも呼ばれる)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症を伴うリンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);骨髄腫、例えば、IgG骨髄腫、軽鎖骨髄腫、非分泌性骨髄腫、くすぶり型骨髄腫(無症候性骨髄腫とも呼ばれる)、孤立性形質細胞腫、及び多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリーセルリンパ腫;骨髄系の造血性腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉由来の腫瘍;精上皮腫、奇形腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む間葉由来の腫瘍;ならびに他の腫瘍、例えば、黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、濾胞性甲状腺癌及び奇形腫、リンパ系の造血性腫瘍、例えばT細胞腫瘍及びB細胞腫瘍、例えば、限定するものではないが、小細胞型及び大脳様細胞型を含めたT前リンパ球性白血病(T-PLL)などのT細胞障害;T細胞型の大顆粒リンパ球白血病(LGL);a/d T-NHL肝脾リンパ腫;末梢/胸腺後T細胞リンパ腫(多形性及び免疫芽球性のサブタイプ);血管中心性(鼻)T細胞リンパ腫;頭頸部癌、腎癌、直腸癌、甲状腺癌;急性骨髄性リンパ腫、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0111】
いくつかの態様では、治療することのできるがん(または腫瘍)は、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳腫瘍、皮膚癌、腎癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃の癌(胃癌)、胃腸癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、本開示で治療することのできるがん(腫瘍)は、膵臓癌である。いくつかの態様では、治療することのできるがん(または腫瘍)は、脳腫瘍である。いくつかの態様では、脳腫瘍は、神経膠腫を含む。いくつかの態様では、脳腫瘍は、神経膠芽腫を含む。いくつかの態様では、神経膠芽腫は、原発性神経膠芽腫を含む。いくつかの態様では、神経膠芽腫は、続発性神経膠芽腫を含む。いくつかの態様では、本開示で治療することができる神経膠芽腫は、難治性である(例えば、以前のがん治療、例えば、放射線療法及び/またはテモゾロミドなどの化学療法を含む標準治療に対して)。いくつかの態様では、治療することのできるがん(または腫瘍)は、皮膚がんである。皮膚がんの非限定的な例としては、メルケル細胞癌(MCC)、基底細胞癌(BCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、黒色腫、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0112】
いくつかの態様では、本明細書で提供される開示(例えば、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせ)は、転移がん、切除不能の難治性がん(例えば、以前のがん療法、例えば免疫療法及び/または標準治療に対して難治性のがん)、及び/または再発がんを治療するために使用することもできる。いくつかの態様では、以前のがん療法は、化学療法を含む。いくつかの態様では、化学療法は、白金ベースの療法を含む。いくつかの態様では、白金ベースの療法は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される白金ベースの抗新生物薬を含む。いくつかの態様では、白金ベースの療法はシスプラチンを含む。いくつかの態様では、白金ベースの療法はカルボプラチンを含む。
【0113】
いくつかの態様では、本明細書で提供される開示によって治療される対象は、1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の以前のがん治療を受けている。いくつかの態様では、対象は、治療ナイーブである(すなわち、以前にがん治療を受けたことがない)。いくつかの態様では、対象は、他のがん治療で進行したものである。いくつかの態様では、以前のがん治療は、免疫療法を含んでいた。いくつかの態様では、以前のがん治療は、化学療法を含んでいた。他の態様において、以前のがん治療は、放射線療法を含んでいた。いくつかの態様では、以前のがん治療は、標準治療、例えば、化学療法(例えば、テモゾロミド)及び/または放射線療法を含んでいた。いくつかの態様では、腫瘍は再発している。いくつかの態様では、腫瘍は転移性である。いくつかの態様では、腫瘍は転移性ではない。したがって、本開示の他の箇所でさらに記載するように、いくつかの態様では、本開示で治療される対象は、以前のがん治療(例えば、標準治療)に対して抵抗性のがんに罹患している。いくつかの態様では、本開示で治療できる対象は、標準治療(例えば、放射線療法及び/またはテモゾロミド)に対して抵抗性の神経膠芽腫に罹患している。
【0114】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7タンパク質の(例えば、ヒトに使用される)単位用量は、約0.001mg/kg~約10mg/kgの範囲とすることができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質の単位用量は、約0.01mg/kg~約2mg/kgの範囲である。いくつかの態様では、単位用量は、約0.02mg/kg~約1mg/kgの範囲である。
【0115】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、体重基準の用量で対象に投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約20μg/kg~約600μg/kgの体重基準の用量で投与することができる。いくつかの態様では、本開示のIL-7タンパク質は、約20μg/kg、約60μg/kg、約120μg/kg、約240μg/kg、約360μg/kg、約480μg/kg、または約600μg/kgの体重基準の用量で投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、60μg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、120μg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、240μg/kgの用量で対象に投与される。
【0116】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、約600μg/kg超の用量で対象に投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、対象に約600μg/kg超、約700μg/kg超、約800μg/kg超、約900μg/kg超、約1,000μg/kg超、約1,100μg/kg超、約1,200μg/kg超、約1,300μg/kg超、約1,400μg/kg超、約1,500μg/kg超、約1,600μg/kg超、約1,700μg/kg超、約1,800μg/kg超、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kg超の用量で投与される。
【0117】
いくつかの態様では、本開示のIL-7タンパク質は、610μg/kg~約1,200μg/kg、650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。
【0118】
いくつかの態様では、本開示のIL-7タンパク質は、610μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、650μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約800μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約850μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約900μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約950μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、約1,000μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,050μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,100μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,200μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,300μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,500μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,700μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約610μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約650μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約800μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約850μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、約900μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。
【0119】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約850μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約850μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約800μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約800μg/kg~約900μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約850μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。
【0120】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される。
【0121】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約650μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、約680μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約740μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約760μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約780μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約800μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約820μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約840μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約850μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約860μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約880μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約900μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約920μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約940μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約950μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約980μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,020μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,040μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,060μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,080μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,100μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,140μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,160μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,180μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,220μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,260μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,280μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,320μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,340μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,360μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,380μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,420μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,440μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,460μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,500μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,520μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,540μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,560μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,580μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,620μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,640μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,660μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,680μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,740μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,760μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,780μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,800μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,820μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,840μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,860μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,880μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,900μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,920μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,940μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,980μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約2,000μg/kgの用量で投与される。
【0122】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、一定用量で投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約0.25mg~約9mgの一定用量で投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、または約9mgの一定用量で投与することができる。
【0123】
いくつかの態様では、本明細書で開示される対象は、上記の用量のいずれかでIL-7タンパク質を単回投与される。いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、複数用量(すなわち、反復投与)で対象に投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回、またはそれ以上の回数で対象に投与される。
【0124】
対象(例えば、腫瘍を有する)にIL-7タンパク質が複数回投与される場合、いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、例えば上記に記載の用量の1つで、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回、または約12週間に1回の投薬頻度で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約10日に1回、約20日に1回、約30日に1回、約40日に1回、約50日に1回、約60日に1回、約70日に1回、約80日に1回、約90日に1回、または100日に1回の投薬頻度で投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、3週間に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、2週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、4週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、6週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、8週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、9週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、12週間に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、10日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、20日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、30日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、40日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、50日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、60日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、70日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、80日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、90日に1回投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、100日に1回投与される。本明細書で実証されるように、いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、約1,200μg/kgの用量、かつ約8週間の投薬間隔で投与される。
【0125】
いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、本明細書に記載の腫瘍を治療するために、任意の適当な用量及び/または投与頻度で、対象に(例えば、本明細書に記載のIL-7タンパク質と組み合わせて)投与することができる。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約0.001mg/kg~約20mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約1mg/kg~約20mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ)は、約5mg/kg~約15mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ)は、約5mg/kg、約7.5 mg/kg、約10mg/kg、約12.5 mg/kg、または約15mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約5mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約7.5 mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約10 mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約12.5 mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約15 mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプト)は、約4mg/kg~約15mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプト)は、約4mg/kgの用量で投与される。
【0126】
いくつかの態様では、本明細書で開示される対象は、上記の用量のいずれかでVEGFアンタゴニスト(例えば、IL-7タンパク質と組み合わせて)を単回投与される。いくつかの態様では、本明細書で開示されるVEGFアンタゴニストは、複数用量(すなわち、反復投与)で対象に投与される(例えば、単独でまたはIL-7タンパク質と組み合わせて)。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約6回、少なくとも約7回、少なくとも約8回、少なくとも約9回、または少なくとも約10回、またはそれ以上の回数で対象に投与される。
【0127】
対象(例えば、腫瘍を有する)にVEGFアンタゴニストが複数回投与される(例えば単独で、またはIL-7タンパク質と組み合わせて)場合、いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、例えば、本明細書に記載の用量の1つで、約1日1回、約2日に1回、約3日に1回、約4日に1回、約5日に1回、約6日に1回、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、7週間に約1回、8週間に1回、9週間に約1回、約10週間に1回、約11週間に1回、または約12週間に1回の投薬頻度で投与される。本明細書で実証されるように、いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、約10mg/kgの用量、かつ約2週間の投薬間隔で投与される。
【0128】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載される対象(例えば、腫瘍を有する)に、単回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のIL-7タンパク質と単回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のVEGFアンタゴニストが投与される。かかる態様では、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとは対象に同時に投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとは、薬学的に許容される担体中の単一の組成物として同時に投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質及びVEGFアンタゴニストは、別々の組成物として同時に投与することができる。かかる態様では、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとは対象に順次投与される。IL-7タンパク質及びVEGFアンタゴニストが対象に順次投与される場合、いくつかの態様では、IL-7タンパク質の投与とVEGFアンタゴニストの投与との間の期間は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、またはそれ以上の期間である。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、VEGFアンタゴニストの投与の前に対象に投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、VEGFアンタゴニストの投与の後に対象に投与される。
【0129】
いくつかの態様では、本明細書に記載される対象(例えば、腫瘍を有する)に、単回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のIL-7タンパク質と複数回用量(例えば、少なくとも約2回、少なくとも約3回、または少なくとも約4回)のVEGFアンタゴニストが投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される対象(例えば、腫瘍を有する)に、複数回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のIL-7タンパク質と単回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のVEGFアンタゴニストが投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される対象(例えば、腫瘍を有する)に、複数回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のIL-7タンパク質と複数回用量(例えば、本明細書に記載の用量の1つ)のVEGFアンタゴニストが投与される。
【0130】
対象に複数回用量のIL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニストが投与される場合、いくつかの態様では、IL-7タンパク質の用量のうちの少なくとも1つとVEGFアンタゴニストの用量のうちの少なくとも1つが対象に同時に(例えば、単一の組成物または2つの別々の組成物として)投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質の複数回用量のそれぞれとVEGFアンタゴニストの複数回用量のそれぞれが、対象に同時に(例えば、単一の組成物または2つの別々の組成物として)投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質の複数回用量のうちの1つ以上とVEGFアンタゴニストの複数回用量のうちの1つ以上が、対象に順次投与される。いくつかの態様では、(i)IL-7タンパク質の複数回用量のうちの少なくとも1つとVEGFアンタゴニストの複数回用量のうちの少なくとも1つが同時に(例えば、単一の組成物または2つの別々の組成物として)投与され、かつ(ii)IL-7タンパク質の複数回用量のうちの少なくとも1つとVEGFアンタゴニストの複数回用量のうちの少なくとも1つが順次(例えば、別々の日に)投与される。
【0131】
本開示から明らかなように、いくつかの態様では、対象は、複数サイクルの本明細書に記載の治療レジメン(VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)を受ける。いくつかの態様では、対象は、少なくとも約2サイクル、少なくとも約3サイクル、少なくとも約4サイクル、少なくとも約5サイクル、少なくとも約6サイクル、少なくとも約7サイクル、少なくとも約8サイクル、少なくとも約9サイクル、少なくとも約10サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、2サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、3サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、4サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、5サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、6サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、7サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、8サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、9サイクルの治療レジメンを受ける。いくつかの態様では、対象は、10サイクルの治療レジメンを受ける。治療レジメンの複数サイクルが対象に投与される場合、いくつかの態様では、治療サイクルのそれぞれは同じである。いくつかの態様では、治療サイクルのうちの1つ以上が異なる(例えば、異なる用量及び/または投薬間隔)。
【0132】
いくつかの態様では、各治療サイクルの長さは、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、または約12週間である。本明細書で実証されるように、いくつかの態様では、各治療サイクルの長さは、約8週間である。特に断らない限り、各治療サイクルは、少なくとも1用量のIL-7タンパク質と少なくとも1用量のVEGFアンタゴニストとを含む。いくつかの態様では、各治療サイクルは、1用量のIL-7タンパク質と1用量のVEGFアンタゴニストとを含む。いくつかの態様では、各治療サイクルは、1用量のIL-7タンパク質と2用量のVEGFアンタゴニストとを含む。いくつかの態様では、各治療サイクルは、1用量のIL-7タンパク質と3用量のVEGFアンタゴニストとを含む。いくつかの態様では、各治療サイクルは、1用量のIL-7タンパク質と4用量のVEGFアンタゴニストとを含む。いくつかの態様では、各治療サイクルは、1用量のIL-7タンパク質と5用量のVEGFアンタゴニストとを含む。本明細書で実証されるように(例えば、実施例3を参照されたい)、いくつかの態様では、各治療サイクルは、1用量のIL-7タンパク質と4用量のVEGFアンタゴニストとを含み、それらは2週間の投薬間隔で投与される。例えば、いくつかの態様では、IL-7タンパク質及びVEGFアンタゴニストが、治療サイクルの1日目に対象に投与され、その後、さらなる用量のVEGFアンタゴニストが、治療サイクルの15、29、及び/または43日目に投与される。
【0133】
いくつかの態様では、本明細書に記載のIL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの併用治療は、1つ以上のさらなる治療薬とともに使用することができる。かかるさらなる治療薬の非限定的な例としては、例えば、化学療法薬、小分子薬、放射線、特定のがんに対する免疫応答を刺激する抗体、またはこれらの組み合わせが挙げられる。したがって、いくつかの態様では、本明細書では、腫瘍の治療を必要とする対象の腫瘍を治療する方法であって、対象に、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせと、さらなる治療薬とを投与することを含む。そのような組み合わせの非限定的な例としては、腫瘍抗原提示を向上させる療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、イミキモド);例えば、CTLA-4及び/またはPD1/PD-L1/PD-L2経路の阻害、及び/またはTregもしくは他の免疫抑制細胞(例えば、骨髄系由来サプレッサー細胞)の枯渇もしくは遮断によって、負の免疫制御を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/またはCD40もしくはGITR経路を刺激する及び/またはT細胞エフェクター機能を刺激するアゴニストにより、正の免疫制御を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の発生頻度を全身的に増大させる療法;例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を使用して、もしくはex vivoの抗CD25ビーズによる枯渇により、腫瘍中のTregなどのTregを枯渇させるもしくは阻害する療法;腫瘍中のサプレッサー骨髄細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を向上させる療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子改変細胞、例えば、キメラ抗原受容体によって改変された細胞(CAR-T療法)を含む、T細胞もしくはNK細胞の養子移入;インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、もしくは一酸化窒素合成酵素などの代謝酵素を阻害する療法;T細胞のアネルギーもしくは消耗を逆転させる/防止する療法;自然免疫活性化及び/または腫瘍部位の炎症を誘発する療法;免疫刺激サイトカインの投与;または免疫抑制サイトカインの遮断が挙げられる。
【0134】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの併用治療とともに使用することができるさらなる治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路によるシグナル伝達を遮断する)を含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書では、腫瘍の治療を必要とする対象の腫瘍を治療する方法であって、対象に、IL-7タンパク質と、VEGFアンタゴニスト及び免疫チェックポイント阻害剤の両方との組み合わせを投与することを含む。本発明の方法に使用することができる免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組合せを含む。そのような免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、当該技術分野では周知のものである。例えば、適当な抗PD-1アンタゴニストは、例えば、参照によって本明細書にそれぞれの全容を援用するところの米国特許第6,808,710号、7,488,802号、同第8,008,449号、同第8,168,757号、同第8,354,509号、同第8,609,089号、同第8,779,105号、同第及び9,217,034号、同第7,635,757号、同第7,943,743号、同第8,217,149号、同第8,981,063号、及び同第9,624,298号に記載されている。適当な抗CTLA-4アンタゴニストは、例えば、参照によって本明細書にそれぞれの全容を援用するところの米国特許第5,977,318号、同第6,051,227;6,682,736号、同第6,984,720号、同第7,034,121号、同第7,605,238号、同第10,479,833号、国際公開第WO2007/113648号に記載されている。適当なTIM-3アンタゴニストは、例えば、参照によって本明細書にそれぞれの全容を援用するところの米国特許第10,508,149号、同第10,533,052号、及び同第 10,894,830号に記載されている。
【0135】
いくつかの態様では、使用することができるさらなる治療薬は、免疫チェックポイント活性化剤(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介してシグナル伝達を促進する)を含む。いくつかの態様では、免疫チェックポイント活性化剤は、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0136】
いくつかの態様では、本明細書で提供される治療レジメン(VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)は、1つ以上の他の抗がん治療と組み合わせて使用されない。したがって、いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせで治療されている対象は、以下の抗がん治療のうちの1つ以上を受けない。すわわち、(1)がんの治療のために承認されているかまたは実験的な、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、放射線療法、治験薬またはハーブ療法を含む任意の併用治療、(2)シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート及びサリドマイドを含む(ただし、これらに限定されない)免疫抑制剤、(3)顆粒球コロニー刺激因子及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(例えば、ペグフィルグラスチム)、及び(4)免疫刺激剤(例えば、IFN-α、IFN-γ、及びIL-2)。
【0137】
II.A.本開示で有用なIL-7タンパク質
本明細書では、がん(または腫瘍)を治療するためにVEGFアンタゴニストと組み合わせて使用することができるIL-7タンパク質が開示される。いくつかの態様では、本明細書における使用に有用なIL-7タンパク質は、例えば、IL-7Rに結合することができ、例えば、初期のT細胞の発生を誘導してT細胞の恒常性を促進することができるなど、IL-7の1つ以上の生物学的活性を有する限り、野生型IL-7であっても改変IL-7(すなわち、野生型IL-7タンパク質ではない)(例えば、IL-7バリアント、IL-7の機能性断片、IL-7誘導体、またはそれらの任意の組み合わせ、例えば、融合タンパク質、キメラタンパク質など)であってもよい(ElKassar and Gress.J Immunotoxicol.2010 Mar;7(1):1-7を参照)。いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、野生型IL-7タンパク質ではない(すなわち、1以上の改変を含む)。そのような改変の非限定的な例は、オリゴペプチド及び/または半減期延長部分を含み得る(例えば、その全容を参照により本明細書に援用するWO2016/200219を参照されたい)。
【0138】
IL-7は、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)と共通するIL-7Rα(CD127)(Ziegler and Liu,2006)と、IL-2、IL-15、IL-9及びIL-21と共通のγ鎖(CD132)との2つの鎖で構成される、その受容体に結合する。γcがほとんどの造血細胞で発現するのに対し、IL-7Rαはほぼリンパ球細胞だけで発現する。IL-7は、その受容体に結合した後、分化及び生存をそれぞれ担う2つの異なる経路:Jak-Stat(ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達性転写因子)及びPI3K/Aktを介してシグナルを伝達する。IL-7シグナル伝達の非存在は、抗IL-7中和モノクローナル抗体(MAb)を投与したマウス;Grabstein et al.,1993)、IL-7-/-マウス(von Freeden-Jeffry et al.,1995)、IL-7Rα-/-マウス(Peschon et al.,1994;Maki et al.,1996)、γc-/-マウス(Malissen et al.,1997)、及びJak3-/-マウス(Park et al.,1995)において観察される胸腺細胞充実性の低減の原因である。IL-7シグナル伝達の非存在下では、マウスにはT細胞、B細胞、及びNK-T細胞がない。IL-7α-/-マウス(Peschon et al.,1994)は、IL-7-/-マウス(von Freeden-Jeffry et al.,1995)と同様だがより重度の表現型を有し、これはIL-7α-/-マウスではTSLPシグナル伝達も抑止されているためと思われる。IL-7は、γδ細胞(Maki et al.,1996)及びNK-T細胞(Boesteanu et al.,1997)の発生に必要である。
【0139】
いくつかの態様では、本開示で有用なIL-7タンパク質は、配列番号1~6のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号1~6の配列と約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%、またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号1に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号2に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号3に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号4に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号5に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号6に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。
【0140】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、野生型IL-7の1つ以上の生物学的活性を保持する改変IL-7またはその断片を含む。したがって、いくつかの態様では、本開示に有用なIL-7タンパク質は、野生型IL-7タンパク質の1つ以上の生物活性を保持する、配列番号1~6のいずれか1つに示されるアミノ酸配列の断片を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、ヒト、ラット、マウス、サル、ウシ、またはヒツジに由来し得る。
【0141】
いくつかの態様では、ヒトIL-7は、配列番号1によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P13232)を有してよく、ラットIL-7は、配列番号2によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P56478)を有してよく、マウスIL-7は、配列番号3によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P10168)を有してよく、サルIL-7は、配列番号4によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号NP001279008)を有してよく、ウシIL-7は、配列番号5によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P26895)を有してよく、ヒツジIL-7は、配列番号6によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号Q28540)を有してよい。当業者にとって明らかとなるように、配列番号1~6のいずれかで示されるIL-7タンパク質は、単一のペプチドを有するが、IL-7タンパク質の成熟形態は、シグナルペプチドを含まない。したがって、本開示から明らかなように、いくつかの態様では、本明細書で提供される方法で使用することができるIL-7タンパク質は、シグナルペプチドを欠く。そのような例示的なIL-7タンパク質のアミノ酸配列を配列番号80~85に示す(表1Aも参照)。
【0142】
いくつかの態様では、本開示で有用なIL-7タンパク質は、配列番号80~85のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%、またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号80に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号81に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号81に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号82に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号82に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号83に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号83に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号84に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号84に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号85に記載の配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、配列番号85に記載のアミノ酸配列を含む。
【0143】
いくつかの態様では、本開示で有用なIL-7タンパク質は、IL-7融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、IL-7融合タンパク質は、(i)オリゴペプチドと、(i)IL-7またはそのバリアント(例えば、配列番号1~6及び80~85のいずれか1つに示されるIL-7タンパク質)とを含む。いくつかの態様では、オリゴペプチドは、IL-7またはそのバリアントのN末端領域に連結される。
【0144】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるオリゴペプチドは、1~10個のアミノ酸からなる。いくつかの態様では、オリゴペプチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または10個のアミノ酸からなる。いくつかの態様では、オリゴペプチドの1つ以上のアミノ酸は、メチオニン、グリシン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、オリゴペプチドは、メチオニン、グリシン、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、及びグリシン-グリシン-グリシンからなる群から選択される。いくつかの態様では、オリゴペプチドは、メチオニン-グリシン-メチオニンである。
【0145】
いくつかの態様では、IL-7融合タンパク質は、(i)IL-7またはそのバリアントと、(ii)半減期延長部分とを含む。いくつかの態様において、半減期延長部分は、IL-7またはそのバリアントの半減期を延長する。いくつかの態様において、半減期延長部分は、IL-7またはそのバリアントのC末端領域に連結している。
【0146】
いくつかの態様において、IL-7融合タンパク質は、(i)IL-7(第1のドメイン)、(ii)メチオニン、グリシン、またはそれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列、例えば、MGMを含む、第2のドメイン、及び(iii)半減期延長部分を含む第3のドメインを含む。いくつかの態様において、半減期延長部分は、第1のドメインまたは第2のドメインのN末端またはC末端に連結していてもよい。さらに、第1のドメイン及び第2のドメインを含むIL-7は、第3のドメインの両末端に連結していてもよい。
【0147】
半減期延長部分の非限定的な例は、Fc、アルブミン、アルブミン結合性ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長い構造不定の親水性アミノ酸配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性小分子、及びそれらの組み合わせを含む。
【0148】
いくつかの態様では、半減期延長部分は、Fcである。いくつかの態様では、Fcは、Fc受容体及び/または補体との結合親和性の改変により、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)または補体依存性細胞傷害作用(CDC)が弱められた改変免疫グロブリンに由来する。いくつかの態様では、改変免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの態様では、Fcは、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むハイブリッドFc(「hFc」または「hyFc」)である。いくつかの態様では、本明細書で開示されるハイブリッドFcのヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含む。いくつかの態様では、ハイブリッドFcのCH2ドメインは、ヒトIgD CH2ドメインの一部と、ヒトIgG4 CH2ドメインの一部とを含む。いくつかの態様では、ハイブリッドFcのCH3ドメインは、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書で開示されるハイブリッドFcは、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含み、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、CH2ドメインは、ヒトIgD CH2ドメインの一部とヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含み、CH3ドメインは、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む。
【0149】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるFcは、Fcバリアントであり得る。本明細書で使用する場合、「Fcバリアント」という用語は、Fc領域の中でアミノ酸の一部を置換することによって、または異なる種類のFc領域を組み合わせることによって調製されたFcを意味する。Fc領域バリアントは、ヒンジ領域で切断されることを防止することができる。具体的には、いくつかの態様では、Fcバリアントは、配列番号9の144番目のアミノ酸及び/または145番目のアミノ酸の改変を含む。いくつかの態様では、144番目のアミノ酸(K)及び/または145番目のアミノ酸(K)が、GまたはSに置換される。
【0150】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるFcまたはFcバリアントは、次式:N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-Cによって表すことができ、式中、
N’は、N末端を含み、
Z1は、配列番号7の90~98位のアミノ酸残基のうち、98位のアミノ酸残基からN末端に向かって5~9個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Yは、配列番号7の99~162位のアミノ酸残基のうち、162位のアミノ酸残基からN末端に向かって5~64個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Z2は、配列番号7の163~199位のアミノ酸残基のうち、163位のアミノ酸残基からC末端に向かって4~37個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Z3は、配列番号8の115~220位のアミノ酸残基のうち、220位のアミノ酸残基からN末端に向かって71~106個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Z4は、配列番号8の221~327位のアミノ酸残基のうち、221位のアミノ酸残基からC末端に向かって80~107個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む。
【0151】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるFc領域は、配列番号9(hyFc)、配列番号10(hyFcM1)、配列番号11(hyFcM2)、配列番号12(hyFcM3)、または配列番号13(hyFcM4)のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの態様において、Fc領域は、配列番号14(非溶解性マウスFc)のアミノ酸配列を含み得る。
【0152】
本開示で使用することのできるFc領域の他の非限定的な例は、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,867,491号に記載されている。
【0153】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質は、オリゴペプチドと半減期延長部分の両方を含む。
【0154】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、アルブミン、そのバリアント、または断片に融合していてもよい。IL-7-アルブミン融合タンパク質の例は、国際出願公開第WO2011/124718号A1で確認することができる。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、場合により柔軟なリンカーによって、プレプロB細胞増殖刺激因子(PPBSF)に融合している。US2002/0058791A1を参照されたい。いくつかの態様では、本開示で有用なIL-7タンパク質は、特定の三次元構造を有するIL-7の配座異性体である。US2005/0249701 A1を参照されたい。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、Ig鎖に融合していてもよく、ここで、IL-7タンパク質のアミノ酸残基70及び91は、グリコシル化されており、IL-7タンパク質のアミノ酸残基116は、グリコシル化されていない。US7,323,549 B2を参照されたい。いくつかの態様において、潜在的なT細胞エピトープを含まない(したがって抗IL-7 T細胞応答を低減させる)IL-7タンパク質を本開示で使用することもできる。US2006/0141581 A1を参照されたい。いくつかの態様では、カルボキシ末端のヘリックスD領域に1つ以上のアミノ酸残基変異を有するIL-7タンパク質を本開示で使用することができる。IL-7変異体は、受容体に対する結合親和性が低いにもかかわらず、IL-7R部分アゴニストとして作用し得る。US2005/0054054A1を参照されたい。上記の特許または刊行物に記載されているあらゆるIL-7タンパク質が、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0155】
さらに、本開示に有用なさらなるIL-7タンパク質の非限定的な例は、参照によって本明細書にそれらの全容を援用するところのUS7708985、US8034327、US8153114、US7589179、US7323549、US7960514、US8338575、US7118754、US7488482、US7670607、US6730512、WO0017362、GB2434578A、WO2010/020766A2、WO91/01143、Beqetal.,Blood,vol.114(4), 816,23 July 2009、Kang et al.,J.Virol.Doi:10.1128/JVI.02768-15、Martin et al.,Blood,vol. 121(22),4484,May 30,2013、McBride et al.,Acta Oncologica,34:3,447-451,July 8,2009、及びXu et al.,Cancer Science,109: 279-288,2018に記載されている。
【0156】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるオリゴペプチドは、IL-7またはそのバリアントのN末端領域に直接連結される。いくつかの態様では、オリゴペプチドが、リンカーを介してN末端領域に連結される。いくつかの態様では、本明細書で開示される半減期延長部分は、IL-7またはそのバリアントのC末端領域に直接連結される。いくつかの態様では、半減期延長部分が、リンカーを介してC末端領域に連結される。いくつかの態様では、リンカーはペプチドリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、Gly及びSer残基からなる10~20アミノ酸残基のペプチドを含む。いくつかの態様では、リンカーはアルブミンリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは化学結合である。いくつかの態様では、化学結合は、ジスルフィド結合、ジアミン結合、スルフィド-アミン結合、カルボキシ-アミン結合、エステル結合、共有結合、またはそれらの組み合わせを含む。リンカーがペプチドリンカーである場合、いくつかの態様では、接続は任意の連結領域で生じ得る。これらは、当該技術分野では周知の架橋剤を使用して結合することができる。いくつかの態様では、架橋剤の例として、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、及び4-アジドサリチル酸などのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル;3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオン酸)などのジスクシンイミジルエステルを含むイミドエステル、ならびにビス-Nマレイミド-1,8-オクタンなどの二官能性マレイミドを挙げることができる(ただし、これらに限定されない)。
【0157】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質のIL-7(またはそのバリアント)部分は、配列番号15~20に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ配列を含む。いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質のIL-7(またはそのバリアント)部分は、配列番号15~20に記載のアミノ酸配列を含む。
【0158】
いくつかの態様では、IL-7融合タンパク質は、IL-7の活性またはそれと同様の活性を有するポリペプチドを含む第1のドメインと、メチオニン、グリシン、またはそれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む第2のドメインと、第1のドメインのC末端に結合された、改変免疫グロブリンのFc領域である第3のドメインとを含む。
【0159】
いくつかの態様では、本方法で使用することができるIL-7融合タンパク質は、配列番号21~25に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ配列を含む。いくつかの態様では、本開示のIL-7融合タンパク質は、配列番号21~25に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質は、配列番号26及び27に記載のアミノ酸配列を含む。
【0160】
特に断らない限り、本明細書に記載されるIL-7タンパク質(融合タンパク質を含む)は、任意の適当な投与経路を使用して対象に(例えば、VEGFアンタゴニストと組み合わせて)投与することができる。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、対象に、静脈内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様では、IL-7タンパク質は、対象に筋肉内投与される。
【0161】
II.B.VEGFアンタゴニスト
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の治療を必要とする対象の腫瘍を治療する方法であって、対象に、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとの組み合わせを投与することを含む。本明細書で使用する場合、「VEGFアンタゴニスト」という用語は、1つ以上のVEGF受容体への結合を含む、VEGF活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減、及び/または妨害することができる任意の分子を指す。VEGFアンタゴニストには、VEGFと天然のVEGF受容体との相互作用を妨害する分子、例えば、VEGFまたはVEGF受容体に結合してVEGFとVEGF受容体との相互作用を防止するかまたはその他の形で妨げる分子が含まれる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載のVEGFアンタゴニストは、VEGF自体を特異的に標的とし得る。いくつかの態様では、本明細書に記載のVEGFアンタゴニストは、1つ以上のVEGF受容体を特異的に標的とする。
【0162】
別段の指示がない限り、本開示に有用なVEGFアンタゴニストは、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様では、本開示に有用なVEGFアンタゴニストは、VEGFを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、PNA(ペプチド核酸)、またはそれを含むベクターを含む。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、VEGFまたはVEGF受容体(VEGFR)の1つ以上に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合断片(それぞれ、「抗VEGF抗体」及び「抗VEGFR抗体」)、抗VEGF抗体及び/または抗VEGFR抗体をコードするポリヌクレオチド、またはそれらのポリヌクレオチドを含むベクターを含む。
【0163】
適当なVEGFアンタゴニストの非限定的な例は、当該技術分野では周知のものであり、例えば、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標)及びZALTRAP(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ZIRABEV(登録商標)、及びMVASI(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)、BYOOVIZ(登録商標)、SUSVIMO(登録商標))、ラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(登録商標))、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標))、レゴラフェニブ(STIVARGA(登録商標))、カボザンチニブ(CABOMETYX(登録商標)、COMETRIQ(登録商標))、レンバチニブ(LENVIMA(登録商標))、ポナチニブ(ICLUSIG(登録商標))、アキシチニブ(INLYTA(登録商標))、チボザニブ(FOTIVDA(登録商標))、バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標))、またはそれらの組み合わせを含む。
【0164】
いくつかの態様では、本開示に有用なVEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、参照によって本明細書にその全容を援用するところの例えば、米国特許出願公開第2015/0147317号に記載されるベバシズマブである。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、ベバシズマブのバリアントである。例えば、いくつかの態様では、そのようなバリアントは、ベバシズマブと交差競合する。いくつかの態様では、ベバシズマブバリアントは、ベバシズマブと同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、ベバシズマブバリアントは、ベバシズマブと同じCDRを有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供される方法(例えば、腫瘍を治療するための)は、それを必要とする対象に、IL-7タンパク質とベバシズマブ(またはそのバリアント)との組み合わせを投与することを含む。そのような態様では、ベバシズマブ(またはそのバリアント)は、当該技術分野では周知の任意の適当な用量(例えば、FDAにより承認された用量)、例えば、約5mg/kg~約15mg/kgで対象に投与することができる。例えば、いくつかの態様では、ベバシズマブ(またはそのバリアント)は、約5mg/kg、約7.5mg/kg、約10mg/kg、約12.5mg/kg、または約15mg/kgの用量でIL-7タンパク質と組み合わせて投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブ(またはそのバリアント)は、約10mg/kgの用量でIL-7タンパク質と組み合わせて投与される。本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、そのような方法は、さらなる治療薬(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することをさらに含む。
【0165】
いくつかの態様では、本開示で有用なVEGFアンタゴニストは、例えば、参照によって本明細書にその全容を援用する米国特許第11,135,266号に記載されるアフリベルセプトである。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、アフリベルセプトのバリアントである。いくつかの態様では、アフリベルセプトバリアントは、アフリベルセプトと交差競合する。いくつかの態様では、アフリベルセプトバリアントは、アフリベルセプトと同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、アフリベルセプトバリアントは、アフリベルセプトと同じCDRを有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供される方法(例えば、腫瘍を治療するための)は、それを必要とする対象に、IL-7タンパク質とアフリベルセプト(またはそのバリアント)との組み合わせを投与することを含む。そのような態様では、アフリベルセプト(またはそのバリアント)は、当該技術分野では周知の任意の適当な用量(例えば、FDAにより承認された用量)、例えば、約4mg/kg~約15mg/kgで対象に投与することができる。例えば、いくつかの態様では、アフリベルセプト(またはそのバリアント)は、約4mg/kgの用量でIL-7タンパク質と組み合わせて投与される。本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、そのような方法は、さらなる治療剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することをさらに含むことができる。
【0166】
いくつかの態様では、本開示で使用することができるVEGFアンタゴニストは、例えば、参照によって本明細書にその全容を援用する米国特許第7,169,901号に記載されるラニビズマブである。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、ラニビズマブのバリアントである。いくつかの態様では、ラニビズマブバリアントは、ラニビズマブと交差競合する。いくつかの態様では、ラニビズマブバリアントは、ラニビズマブと同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、ラニビズマブバリアントは、ラニビズマブと同じCDRを有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供される方法(例えば、腫瘍を治療するための)は、それを必要とする対象に、IL-7タンパク質とラニビズマブ(またはそのバリアント)との組み合わせを投与することを含む。そのような態様では、ラニビズマブ(またはそのバリアント)は、当該技術分野では周知の任意の適当な用量(例えば、FDAにより承認された用量)で対象に投与することができる。いくつかの態様では、そのような方法は、さらなる治療剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することをさらに含む。
【0167】
いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、例えば、参照によって本明細書にその全容を援用する米国特許第8,057,791号に記載されるラムシルマブである。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、ラムシルマブのバリアントである。いくつかの態様では、ラムシルマブバリアントは、ラムシルマブと交差競合する。いくつかの態様では、ラムシルマブバリアントは、ラムシルマブと同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、ラムシルマブは、ラムシルマブと同じCDRを有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供される方法(例えば、腫瘍を治療するための)は、それを必要とする対象に、IL-7タンパク質とラムシルマブ(またはそのバリアント)との組み合わせを投与することを含む。そのような態様では、ラムシルマブ(またはそのバリアント)は、当該技術分野では周知の任意の適当な用量(例えば、FDAにより承認された用量)で対象に投与することができる。いくつかの態様では、そのような方法は、さらなる治療剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することをさらに含む。
【0168】
特に断らない限り、本明細書に記載されるVEGFアンタゴニストは、任意の適当な経路を用いて対象に(例えば、IL-7タンパク質と組み合わせて)投与することができる。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、対象に、静脈内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、対象に静脈内投与される。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供される治療方法は、対象に、少なくとも1回用量のIL-7タンパク質を筋肉内投与し、少なくとも1回用量のVEGFアンタゴニストを静脈内投与することを含む。
【0169】
III.核酸、ベクター、宿主細胞
本明細書に記載されるいくつかの態様は、本明細書に記載される治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)をコードする1以上の核酸分子に関する。核酸は、全細胞中、細胞溶解物サイセート中に、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、他の細胞成分または他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば、天然に単離されたDNAに連結されている染色体DNA)またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動、及び当技術分野で周知の他のものを含む標準的な技術によって精製された場合、「単離されている」または「実質的に純粋とされている」。F.Ausubel,et al.,ed.(1987)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New Yorkを参照されたい。本明細書に記載の核酸は、例えば、DNAでもRNAでもよく、イントロン配列を含む場合も含まない場合もある。いくつかの態様では、該核酸は、cDNA分子である。本明細書に記載される核酸は、当該技術分野では周知の標準的な分子生物学技術を使用して得ることができる。
【0170】
本明細書に開示されるいくつかの核酸分子は、例えば腫瘍を治療するためにVEGFアンタゴニストと組み合わせて使用することができるIL-7タンパク質(例えば、本明細書で開示される)をコードするものである。本明細書に開示されるIL-7タンパク質をコードする例示的な核酸配列は、配列番号29~39に示されている。
【0171】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書で開示される治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)をコードする単離された核酸分子を含むベクターを提供する。いくつかの態様では、ベクターは、遺伝子療法に使用することができる。
【0172】
遺伝子療法として(例えば、ヒトにおいて)使用される場合、本明細書で開示される治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)をコードする核酸は、0.1mg~200mgの範囲の投与量で投与することができる。いくつかの態様では、投与量は、0.6mg~100mgの範囲である。いくつかの態様では、投与量は、1.2 mg~50 mgの範囲である。
【0173】
本開示で適当なベクターには、発現ベクター、ウイルスベクター、及びプラスミドベクターが含まれる。いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0174】
本明細書で使用する場合、発現ベクターとは、適切な宿主細胞に導入したときに、挿入されるコード配列の転写及び翻訳のために必要な要素、またはRNAウイルスベクターの場合には、複製及び翻訳に必要な要素を含む、任意の核酸構築物を意味する。発現ベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、及びそれらの誘導体を含み得る。
【0175】
本明細書で使用される、ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、及びラウス肉腫ウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、SV40型ウイルス、ポリオーマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、ならびにRNAウイルス、例えば、レトロウイルスに由来する核酸配列が挙げられるがこれらに限定されない。当業者は、当業者には周知の他のベクターを容易に使用することができる。いくつかのウイルスベクターは、非必須遺伝子が目的の遺伝子で置き換えられた非細胞傷害性の真核ウイルスに基づいたものである。非細胞傷害性ウイルスとしては、レトロウイルスが挙げられ、その生活環は、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写と、その後の宿主細胞DNAへのプロウイルスの組み込みを伴う。
【0176】
いくつかの態様では、ベクターはアデノ随伴ウイルスに由来する。いくつかの態様では、ベクターは、レンチウイルスに由来する。レンチウイルスベクターの例は、WO9931251、WO9712622、WO9817815、WO9817816、及びWO9818934に開示されており、これらは各々、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0177】
他のベクターとしては、プラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターについては、当該技術分野で広く記載されており、当業者に周知である。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照されたい。過去数年において、プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製できず、宿主ゲノムに組み込まれることがないことから、インビボで細胞に遺伝子を送達するうえで特に有利であることが見出されている。しかしながら、これらのプラスミドは、宿主細胞と適合性のあるプロモーターを有し、プラスミド内に機能的にコードされた遺伝子からペプチドを発現させることができる。商業的供給元から入手可能ないくつかの一般的に使用されているプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、さまざまなpcDNAプラスミド、pRC/CMV、さまざまなpCMVプラスミド、pSV40、及びpBlueScriptが挙げられる。特定のプラスミドのさらなる例としては、いずれもInvitrogen(Carlsbad,CA.)より販売される、pcDNA3.1(カタログ番号V79020)、PCDNA3.1/hygro(カタログ番号V87020)、PCDNA4/myc-His(カタログ番号V86320)、及びpBudCE4.1(カタログ番号V53220)が挙げられる。他のプラスミドも当業者には周知である。さらに、プラスミドは、標準的な分子生物学技術を使用してカスタム設計して特定のDNA断片を除去及び/または付加することができる。
【0178】
本開示には、本明細書で開示される治療薬(例えば、IL-7タンパク質)を作製する方法も包含される。いくつかの態様では、そのような方法は、治療薬をコードする核酸分子(例えば、配列番号29~39)を含む細胞において、治療薬(例えば、IL-7タンパク質)を発現させることを含み得る。本明細書で開示されるIL-7タンパク質を作製する方法に関するさらなる詳細は、例えば、参照によって本明細書にその全容を援用するところの米国特許第11,041,007号に示されている。これらのヌクレオチド配列を含む宿主細胞は本明細書に包含されている。使用することのできる宿主細胞の非限定的な例には、不死ハイブリドーマ細胞、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト羊水由来細胞(CapT細胞)、COS細胞、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0179】
IV.医薬組成物
本明細書では、生理学的に許容できる担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)中で所望の純度を有する1つ以上の治療剤(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)を含む組成物がさらに提供される。いくつかの態様では、本明細書で開示される組成物は、IL-7タンパク質またはVEGFアンタゴニストを含む。本明細書で開示されるように、そのような組成物は、組み合わせ(例えば、IL-7タンパク質を含む第1の組成物とVEGFアンタゴニストを含む第2の組成物)で使用することができる。いくつかの態様では、本明細書で開示される組成物は、IL-7タンパク質及びVEGFアンタゴニストを両方とも含む。
【0180】
許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノールアルコール、ブチルアルコール、もしくはベンジルアルコール;メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及び他の炭水化物、例えばグルコース、マンノース、もしくはデキストリン;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0181】
いくつかの態様では、本明細書で開示される組成物は、増量剤、安定化剤、界面活性剤、緩衝剤、またはそれらの組み合わせから選択される1つ以上のさらなる成分を含む。
【0182】
本開示で有用な緩衝剤は、別の酸または塩基の添加後に溶液の酸性(pH)を選択した値付近に維持するために使用される、弱酸または弱塩基であり得る。適当な緩衝剤は、組成物のpH制御を維持することにより、本明細書に開示される医薬組成物の安定性を最大化することができる。好適な緩衝剤はまた、生理学的適合性を確実にするか、または溶解度を最適化することができる。レオロジー、粘性、及び他の特性も、組成物のpHに依存し得る。一般的な緩衝剤は、Trisバッファー、Tris-Clバッファー、ヒスチジンバッファー、TAEバッファー、HEPESバッファー、TBEバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、MESバッファー、硫酸アンモニウムバッファー、リン酸カリウムバッファー、チオシアン酸カリウムバッファー、コハク酸バッファー、酒石酸バッファー、DIPSOバッファー、HEPPSOバッファー、POPSOバッファー、PIPESバッファー、PBSバッファー、MOPSバッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファー、カコジル酸バッファー、グリシンバッファー、硫酸バッファー、イミダゾールバッファー、塩酸グアニジンバッファー、リン酸-クエン酸バッファー、ホウ酸バッファー、マロン酸バッファー、3-ピコリンバッファー、2-ピコリンバッファー、4-ピコリンバッファー、3,5-ルチジンバッファー、3,4-ルチジンバッファー、2,4-ルチジンバッファー、Aces、マロン酸ジエチルバッファー、N-メチルイミダゾールバッファー、1,2-ジメチルイミダゾールバッファー、TAPSバッファー、bis-Trisバッファー、L-アルギニンバッファー、乳酸バッファー、グリコール酸バッファー、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0183】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、増量剤をさらに含む。増量剤は、生成物に体積及び質量を加えることで、その正確な計量及び取り扱いを容易にするために、医薬品に添加され得る。本開示で使用することのできる増量剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、マンニトール、グリシン、アラニン、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0184】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、安定化剤を含んでもよい。本開示で使用することのできる安定化剤の非限定的な例には、スクロース、トレハロース、ラフィノース、アルギニン、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0185】
いくつかの態様では、本明細書で開示される組成物は、界面活性剤を含む。いくつかの態様では、界面活性剤は、以下のもの、すなわち、アルキルエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アミンエトキシレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、セチルアルコールまたはオレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート、ドデシルジメチルアミンオキシド、またはそれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20またはポリソルベート80である。
【0186】
いくつかの態様では、IL-7タンパク質を含む組成物は、VEGFアンタゴニスト(例えば、IL-7タンパク質と組み合わせて使用される)と同じ配合を使用して配合され得る。いくつかの態様では、IL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストとは、異なる配合を使用して配合される。
【0187】
医薬組成物は、対象へのあらゆる投与経路に合わせて配合することができる。投与経路の具体例としては、筋肉内、皮下、眼内、静脈内、腹腔内、皮内、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊髄内、心室内、髄腔内、大槽内、嚢内、または腫瘍内が挙げられる。皮下、筋肉内、または静脈内のいずれかの注射を特徴とする非経口投与もまた、本明細書で企図される。注射剤は、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体に溶解または懸濁するのに適した固体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製され得る。注射物、溶液、及びエマルジョンはまた、1つ以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、必要に応じて、投与される薬学的組成物はまた、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度向上剤、及び他のかかる薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、及びシクロデキストリンなどを含有してもよい。
【0188】
非経口製剤中に使用される薬学的に許容される担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、バッファー、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質が挙げられる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース、及び乳酸加リンガー注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、及びピーナッツ油が挙げられる。静菌的または静真菌的濃度の抗微生物剤を、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルpヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムを含む、複数回用量容器に包装される非経口調製物に加えることができる。等張剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。緩衝液は、リン酸塩及びクエン酸塩を含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔剤は、塩酸プロカインを含む。懸濁剤及び分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、Polysorbate80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの、金属イオン封鎖剤またはキレート剤は、EDTAを含む。医薬担体としては、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も挙げられる。
【0189】
非経口投与のための調製物は、そのまま注射できる滅菌溶液、使用直前に溶媒と組み合わせることができる滅菌し乾燥した可溶性製品、例えば凍結乾燥粉末が含まれ、皮下錠剤、そのまま注射できる滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わされる滅菌し乾燥した不溶性製品、及び滅菌したエマルジョンを含む。溶液は、水性または非水性のいずれかであり得る。
【0190】
静脈内投与される場合、適当な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびに増粘剤及び可溶化剤(グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール、ならびにこれらの混合物等)を含有する溶液が挙げられる。
【0191】
抗体を含む局部混合物は、局所及び全身投与について記載されるように調製される。結果として得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、発泡剤、エアロゾル、灌注剤、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ、または局部投与に好適な任意の他の配合物として配合され得る。
【0192】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合部分は、吸入などによる局部適用のためのエアロゾルとして配合され得る(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを投与するためのエアロゾルについて記載した米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、及び同第4,364,923号を参照されたい)。気道に投与するためのこれらの配合物は、単独で、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせて、ネブライザー用のエアロゾルまたは溶液の形態であってもよく、吹送用の超微粒粉末であってもよい。そのような場合、配合物の粒子は、一態様では50ミクロン未満、一態様では10ミクロン未満の直径を有する。
【0193】
本明細書で開示される治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)は、局所または局部適用、例えば、皮膚及び粘膜、例えば、眼への局部適用のために、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、かつ眼への適用、または嚢内もしくは髄腔内適用のために配合され得る。局部投与は、経皮送達、眼もしくは粘膜への投与、または吸入療法のために企図される。抗体単独の、または他の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせた点鼻液を投与することもできる。
【0194】
イオン泳動デバイス及び電気泳動デバイスを含む経皮パッチは、当業者に周知であり、抗体を投与するために使用することができる。例えば、そのようなパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、及び同第5,860,957号で開示されており、これらの各々は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0195】
いくつかの態様では、本明細書に記載される治療薬(例えば、IL-7タンパク質及び/またはVEGFアンタゴニスト)を含む医薬組成物は、凍結乾燥粉末であり、溶液、エマルジョン、及び他の混合物として投与するために再構成することができる。固体またはゲルとして再構成及び配合することもできる。凍結乾燥粉末は、本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合部分、またはその薬学的に許容される誘導体を適当な溶媒に溶解することによって調製される。いくつかの態様では、凍結乾燥粉末は滅菌されている。溶媒は、安定性を改善する賦形剤もしくは粉末の他の薬理学的成分、または粉末から調製された再構成された溶液を含有してもよい。使用することのできる賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の好適な薬剤を含むが、これらに限定されない。溶媒は、バッファー、例えば、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、または当業者に知られている他のかかるバッファーを、一実施形態では、ほぼ中性のpHで含んでもよい。その後、当業者に知られている標準的な条件下で溶液を滅菌濾過し、続いて凍結乾燥することにより、所望の配合物がもたらされる。いくつかの態様において、結果として得られる溶液は、凍結乾燥用のバイアルに分配され得る。各バイアルは、化合物の単一投薬量または複数回投薬量を含有し得る。凍結乾燥粉末は、約4℃で室温等の適切な条件下で保管され得る。
【0196】
この凍結乾燥粉末の注射用の水での再構成は、非経口投与に使用するための製剤を提供する。再構成する場合、凍結乾燥粉末は、滅菌水または他の適当な担体に添加される。正確な量は、選択される化合物によって決まる。かかる量は経験的に決定され得る。
【0197】
本明細書に提供する組成物は、特定の組織、受容体、または治療される対象の身体の他の領域を標的とするようにも配合され得る。そのような標的化方法の多くが当業者に周知である。本明細書では、そのような標的化方法のすべてが本発明の組成物で使用されることが想定される。標的化方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、及び同第5,709,874号を参照されたい。
【0198】
インビボ投与に使用される組成物は、滅菌することができる。これは、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって容易に行われる。
【0199】
以下の実施例は単なる例示であり、本開示を読めば当業者には多くの変形及び均等物が明らかになるので、断じて本開示の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例
【0200】
実施例1 腫瘍体積に対するIL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用治療の影響
VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせが腫瘍体積に与える影響を評価するために、結腸腺癌動物モデルを使用した。簡潔に述べると、MC-38結腸腺癌腫瘍細胞(5×10細胞、皮下)をC57BL/6マウスに移植した。腫瘍接種後8日目(平均腫瘍サイズ約60mm)に、各動物をIL-7-HyFcタンパク質及びアンタゴニスト性抗VEGF抗体(アフリベルセプト)単独またはそれらの組み合わせで処置した。コントロール動物をIL-7製剤化バッファー及びアイソタイプコントロール抗体で処置した。IL-7タンパク質を、1回(すなわち、腫瘍接種後8日目)に投与した(筋肉内、マウス当たり10mg/kg)。アンタゴニスト性抗VEGF抗体を、週2回、2週間にわたって(すなわち、腫瘍接種の8、11、15、及び18日後)投与した(静脈内、マウスあたり1用量当たり10mg/kg)。次いで、これらの動物における腫瘍体積を異なる時点でモニタリングした。図1のAは、投薬スケジュールのグラフ表示を示し、表2(下記)は、異なる処置群を示す。
【表3】
【0201】
図1のBに示されるように、コントロール動物(すなわち、第1群)と比較して、IL-7タンパク質単独(すなわち、第2群)または抗VEGF抗体単独で処置した動物(すなわち、第3群)は、腫瘍体積の減少を示した。しかしながら、併用処置群(すなわち、第4群)のマウスでは、腫瘍体積の減少ははるかに劇的であった。腫瘍接種後18日目の異なる処置群からの平均腫瘍体積は下記の通りであった:第1群:635.30mm、第2群:269.46mm、第3群: 257.99mm、及び第4群:86.33mm
【0202】
上記の結果は、本明細書に記載される併用治療(VEGFアンタゴニストとIL-7タンパク質との組み合わせ)が、特定のがんの治療に有用であり得ることを実証するものである。さらに、本データは、本明細書に記載のIL-7タンパク質が、市販されている、及び/または抗腫瘍効果を有することがこれまでに示されているものなどのVEGFアンタゴニストの抗腫瘍効果を改善することが可能であることをさらに示している。
【0203】
実施例2 IL-7タンパク質、VEGFアンタゴニスト、及び免疫チェックポイント阻害剤の3剤併用治療の抗腫瘍効果の分析
本明細書に記載の併用治療の抗腫瘍効果をさらに評価するために、腫瘍動物モデル(例えば、結腸腺癌動物モデル)を、IL-7タンパク質単独で、またはVEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)との組み合わせで処置する。いくつかの態様では、一部の動物に、さらに、免疫チェックポイント阻害剤を投与する。したがって、いくつかの態様では、一部の動物を、IL-7タンパク質、VEGFアンタゴニスト、及び免疫チェックポイント阻害剤の3剤併用で治療する。投与後、各動物における抗腫瘍免疫応答を、例えば、処置後の異なる時点での腫瘍体積をモニタリングすることによって評価する。
【0204】
実施例3 ヒト神経膠芽腫被験者におけるIL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用治療の影響
本明細書に記載の治療レジメンの有効性及び安全性の両方を評価するために、再発性神経膠芽腫に罹患したヒト被験者で第2相試験が行われている。図2に示され、以下にさらに記載するように、適格被験者(例えば、以下にさらに記載される選択基準及び除外基準を参照)に、本明細書に記載されるIL-7タンパク質をベバシズマブ(すなわち、VEGFアンタゴニスト)(本明細書では「治験薬」とも呼ばれる)と併用投与した。適格被験者に最大6サイクル(1サイクル=8週間)、または疾患の進行もしくは許容できない毒性の発症まで、併用治療を投与する。治療投与に先立って8週間ごとに腫瘍の評価を行う。図3は、試験の全体的な要約を示す。
【0205】
被験者
適格被験者は、神経膠芽腫(例えば、再発性神経膠芽腫)を有するものとして診断されており、標準的治療(同時化学療法及び/またはテモゾロミドによる補助化学療法)後の疾患の進行が確認されている。
【0206】
IL-7タンパク質のアイソフォーム
IL-7タンパク質を、1,200μg/kgの用量で8週間の投薬間隔で筋肉内投与により適格被験者に投与する。上記のように、重篤な毒性を有せず、疾患進行の臨床的に明らかなエビデンスがない被験者には、最大6サイクルのIL-7タンパク質を投与する(治験責任医師による臨床的意義及びリスク評価に基づく)。各用量段階において、被験者に投与されるIL-7タンパク質の量は、各サイクルの初日の対象の体重に基づいて決定することができる。過体重の被験者の投与量に制限は設けていない。
【0207】
ベバシズマブ投与
ベバシズマブは、疾患の進行または許容できない毒性が発生するまで2週間ごとに10mg/kgの用量で静脈内投与により適格被験者に投与する(本実施例の他の箇所に記載される通り)。
【0208】
投与量の調整
IL-7タンパク質の用量は、治験責任医師の裁量で以下の条件下、すなわち注射部位でのまたは全身的な有害皮膚反応がある場合に960μg/kgに減らすことができる。IL-7タンパク質投与後に被験者が許容できない毒性(CTCAEグレード3以上)を経験した場合、IL-7タンパク質の投与を中止する。毒性が28日以内に消失した場合、IL-7タンパク質の投与を再開することができる。臨床的に管理可能な毒性(グレード3の免疫関連有害事象)を経験しているが、明確な臨床的ベネフィットの徴候(例えば、腫瘍縮小または安定した疾患)を示している対象については、IL-7タンパク質投与を綿密な管理下で継続することができる。初回投与後、(治療に関連する)絶対リンパ球数(ALC)が20,000細胞/mmを超える場合(NCI CTCグレード3に相当)、さらなる投与を一時的に中止する。ALCが正常レベルの上限(4,000細胞/mm)を下回った場合、投与を再開することができる。
【0209】
VEGFアンタゴニストに関しては、被験者の体重の変化が約10%を上回る場合に投与量を調整することができる。それ以外の場合、投与量の調整は一般に推奨されない。有害事象が発生した場合、VEGFアゴニストの投与は、治験責任医師の裁量で、一時的または永続的に中止され得る。
【0210】
注射部位反応
注射部位に生じ得る一般的な有害反応としては、アレルギー反応(例えば、発疹、蕁麻疹、発赤)、掻痒、腫脹、及び紅斑が挙げられる。適切な用量のステロイド(例えば、約5~7.5mgの用量のプレドニゾロン)を緩和的治療として使用することができる。予防目的で抗ヒスタミン剤を使用してもよい(例えば、治療の少なくとも14日前に被験者に投与する)。
【0211】
禁止治療
本試験の過程において以下の治療、すなわち、(1)がんの治療に対して承認されている、または試験中の化学療法、ホルモン療法、免疫療法、放射線療法、治験薬または薬草療法を含む任意の併用治療、(2)シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート及びサリドマイドを含む(ただし、これらに限定されない)免疫抑制剤、(3)顆粒球コロニー刺激因子及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(例えば、ペグフィルグラスチム)、及び(4)免疫刺激剤(例えば、IFN-α、IFN-γ、及びIL-2)は禁止される。
【0212】
選択基準
被験者の適格性を判定するための選択基準には、以下、すなわち、(1)年齢19歳以上、(2)標準的療法(RT/CCRT及び/または補助化学療法(TMZ))を試みた後に疾患の進行が確認されている、組織学的に診断された神経膠芽腫患者、(3)カルノフスキーのパフォーマンスステータス(KPS)≧60またはECOGステータス0~2、(4)12週間を超える余命、及び(5)適切な血液学的及び終末器官機能が含まれた。
【0213】
除外基準
以下のうちの1つ以上を示す被験者は、試験から除外した。すなわち、(1)試験薬の初回投与前5年以内の本試験の疾患以外の悪性腫瘍、(2)本試験前のベバシズマブまたは他のVEGFアンタゴニストの投与、(3)ボディマス指数(BMI)≧30kg/m、(4)非造影CTまたはMRIで確認された頭蓋内出血、(5)臨床的に有意な心血管疾患、(6)本試験の6ヶ月前の動脈または静脈血栓塞栓症の既往歴、(7)管理されていない高血圧症(適切な抗高血圧療法による血圧≧150/90mmHg)、(8)高血圧クライシスまたは高血圧性脳症の既往歴、(9)治療用の抗凝固薬(低分子量ヘパリンまたはワルファリンを除く)の投与、(10)妊娠中または授乳中、(11)活動性のウイルス感染症、(12)自己免疫疾患/症候群、(13)サイクル1、1日目の前の4週間以内の弱毒化生ワクチンの投与、または本試験中にかかる弱毒化生ワクチンが必要とされることが予想される場合、(14)キメラ抗体もしくはヒト化抗体または融合タンパク質に対する重度のアレルギー反応、アナフィラキシー反応、または他の過敏反応の既往歴、(15)感染症の合併症、菌血症、または重度の肺炎を含む(ただしこれらに限定されない)スクリーニング期間中の重度の感染症、(16)事前の同種異系骨髄移植または事前の固形臓器移植。
【0214】
実施例4:ヒト神経膠芽腫被験者を対象としたIL-7タンパク質とVEGFアンタゴニストの併用治療を伴う第2相試験の中間結果
上記の実施例3に加えて、図4A及び4Bに試験の中間結果を示す。被験者20名が試験に登録されたが、図4Aに示されるように、14人の被験者が依然として処置を受けており(患者番号2、5、6、9、及び11~20)、4人の被験者で進行が確認されている(患者番号1、4、7、及び10)。進行が確認された被験者のうち、2人の被験者が試験を中止した(患者番号4及び7)。また、図4Bに示されるように、初回投与の4週間後、ほぼすべての被験者で絶対リンパ球数が有意に増加した。さらなる結果(例えば、臨床反応及び生存ステータス)は、現在進行中である。
【0215】
上記の結果は、神経膠芽腫などのがんの治療における、本明細書に記載の併用治療の治療可能性を示すものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【配列表】
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【国際調査報告】