IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーアール1エックス,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2025-501245IL-10を発現するポリドナーCD4+T細胞およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】IL-10を発現するポリドナーCD4+T細胞およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20250109BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 35/17 20250101ALI20250109BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20250109BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20250109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20250109BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C12N5/10
C07K14/54 ZNA
C12N15/24
C12N15/867 Z
A61K35/17
A61P37/06
A61K35/12
A61K35/28
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00
A61P37/02
A61P3/10
A61P27/02
A61P1/16
A61P17/00
A61P17/14
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P25/00
A61P1/04
A61P21/04
A61P9/00
A61P7/06
A61P37/08
A61P11/06
A61P11/02
A61K35/545
A61P31/14
A61P31/12
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539565
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 US2022082422
(87)【国際公開番号】W WO2023129922
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/295,389
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523000846
【氏名又は名称】ティーアール1エックス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】デ フリーズ,ジャン,エグバート
(72)【発明者】
【氏名】ロンカロロ,マリア,グラツィア
(72)【発明者】
【氏名】パリアード,ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】デ フリーズ,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AA97Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB44
4C087BB57
4C087BB63
4C087BB65
4C087DA32
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA33
4C087ZA36
4C087ZA55
4C087ZA59
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA89
4C087ZA92
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB09
4C087ZB11
4C087ZB13
4C087ZB15
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA02
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーからのCD4T細胞を遺伝子改変することによって生成されたポリドナーCD4IL-10細胞集団を提供する。さらに、ポリドナーCD4IL-10細胞を生成する方法、および免疫寛容のためにポリドナーCD4IL-10細胞を使用する方法、GvHD、細胞および臓器移植、がん、自己免疫疾患および炎症疾患、および他の免疫障害を処置する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変されているCD4T細胞(ポリドナーCD4IL-10細胞)の集団であって、前記CD4T細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られた、CD4T細胞集団。
【請求項2】
前記CD4T細胞が、2、3、4、5、6、7、8、9、または10人の異なるT細胞ドナーから得られた、請求項1に記載のCD4T細胞集団。
【請求項3】
前記集団中のCD4T細胞が、集合的に6、7、8、9、10、11、12個またはそれより多くの異なるHLAハプロタイプを有する、請求項1または請求項2に記載のCD4T細胞集団。
【請求項4】
前記集団中のCD4T細胞が全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくともl/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10の一致を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項5】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して少なくとも1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8の一致を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項6】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-A座で互いに対して2/2の一致を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項7】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-B座で互いに対して2/2の一致を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項8】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-C座で互いに対して2/2の一致を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項9】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも3/4または4/4の一致を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項10】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項11】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する、請求項10に記載のCD4T細胞集団。
【請求項12】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する、請求項10~11のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項13】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項14】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する、請求項10~13のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項15】
前記集団中の全てのCD4T細胞が、前記HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して2/4、3/4、または4/4未満の一致を有する、請求項10~14のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項16】
前記集団中のCD4T細胞が全て、A02またはA24対立遺伝子を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項17】
前記CD4T細胞のいずれも、不死化されていない、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項18】
前記外因性ポリヌクレオチドが、発現制御エレメントに作動可能に連結されたIL-10コードポリヌクレオチドセグメントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項19】
前記IL-10がヒトIL-10である、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項20】
前記IL-10がウイルスIL-10である、請求項1~19のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項21】
前記IL-10コードポリヌクレオチドセグメントが、配列番号1の配列を有するタンパク質をコードする、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項22】
前記IL-10コードポリヌクレオチドセグメントが、配列番号2の配列を有する、請求項21に記載のCD4T細胞集団。
【請求項23】
前記IL-10コードポリヌクレオチドセグメントが、配列番号6の配列を有するタンパク質をコードする、請求項20に記載のCD4T細胞集団。
【請求項24】
前記IL-10コードポリヌクレオチドセグメントが、配列番号7の配列を有する、請求項23に記載のCD4T細胞集団。
【請求項25】
前記発現制御エレメントが、コードされるIL-10の構成的発現を駆動する、請求項18~24のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項26】
前記外因性ポリヌクレオチドが、選択マーカーをコードするポリヌクレオチドセグメントをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項27】
前記選択マーカーが、ΔNGFRである、請求項26に記載のCD4T細胞集団。
【請求項28】
前記ΔNGFRが、配列番号3の配列を有する、請求項27に記載のCD4T細胞集団。
【請求項29】
前記ポリヌクレオチドセグメントが、配列番号4の配列を含む、請求項27に記載のCD4T細胞集団。
【請求項30】
前記選択マーカーが、EGFRポリペプチドの切断型である、請求項26に記載のCD4T細胞集団。
【請求項31】
前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号5の配列を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項32】
前記外因性ポリヌクレオチドが、T細胞核ゲノムに組み込まれている、請求項1~31のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項33】
前記外因性ポリヌクレオチドが、T細胞核ゲノムに組み込まれていない、請求項1~31のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項34】
前記外因性ポリヌクレオチドが、レンチウイルスベクター配列をさらに含む、請求項32または33に記載のCD4T細胞集団。
【請求項35】
前記外因性ポリヌクレオチドが、T細胞核ゲノムに組み込まれていない、請求項1~34のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項36】
前記集団内のCD4T細胞の少なくとも70%が、IL-10を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項37】
前記集団内のCD4T細胞の少なくとも90%が、IL-10を発現する、請求項36に記載のCD4T細胞集団。
【請求項38】
前記集団内のCD4T細胞の少なくとも95%または98%が、IL-10を発現する、請求項37に記載のCD4T細胞集団。
【請求項39】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、CD4T細胞10個/mL培養培地あたり少なくとも100pgのIL-10を構成的に発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項40】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、CD4T細胞10個/mLあたり、少なくとも100pg、200pg、500pg、1ng、5ng、10ng、または50ngのIL-10を構成的に発現する、請求項39に記載のCD4T細胞集団。
【請求項41】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、抗CD3および抗CD28抗体による活性化後、CD4T細胞10個/mLあたり少なくとも1ngのIL-10を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項42】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、抗CD3および抗CD28抗体による活性化後、CD4T細胞10個/mLあたり少なくとも2ng、5ng、10ng、100ng、200ng、または500ngのIL-10を発現する、請求項41に記載のCD4T細胞集団。
【請求項43】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、非改変CD4T細胞より少なくとも5倍高いレベルでIL-10を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項44】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、非改変CD4T細胞より少なくとも10倍高いレベルでIL-10を発現する、請求項43に記載のCD4T細胞集団。
【請求項45】
前記集団内のCD4T細胞の少なくとも70%が、前記外因性ポリヌクレオチドからの選択マーカーを発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項46】
前記集団内のCD4T細胞の少なくとも90%が、前記外因性ポリヌクレオチドからの選択マーカーを発現する、請求項45に記載のCD4T細胞集団。
【請求項47】
前記集団内のCD4T細胞の少なくとも95%または98%が、前記外因性ポリヌクレオチドからの選択マーカーを発現する、請求項46に記載のCD4T細胞集団。
【請求項48】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、CD49bを発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項49】
前記遺伝子改変CD4T細胞が、LAG-3を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項50】
前記遺伝子改変CD4T細胞がTGF-βを発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項51】
前記遺伝子改変CD4T細胞がIFN-γを発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項52】
前記遺伝子改変CD4T細胞がGzBを発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項53】
前記遺伝子改変CD4T細胞がパーフォリンを発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項54】
前記遺伝子改変CD4T細胞がCD18を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項55】
前記遺伝子改変CD4T細胞がCD2を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項56】
前記遺伝子改変CD4T細胞がCD226を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項57】
前記遺伝子改変CD4T細胞がIL-22を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項58】
前記CD4T細胞が、宿主からの末梢血単核細胞(PBMC)の存在下でアネルギー化されていない、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項59】
前記CD4T細胞が、組換えIL-10タンパク質の存在下でアネルギー化されておらず、前記組換えIL-10タンパク質が、前記CD4T細胞から発現されない、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項60】
前記CD4T細胞が、宿主からのDC10細胞の存在下でアネルギー化されていない、先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項61】
前記CD4T細胞が、凍結浮遊液中に存在する、請求項1~60のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項62】
前記CD4T細胞が、液体浮遊液中に存在する、請求項1~60のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団。
【請求項63】
前記液体浮遊液が事前に凍結されている、請求項62に記載のCD4T細胞集団。
【請求項64】
(ii)薬学的に許容される担体に浮遊させた;
(i)先行請求項のいずれか一項に記載のCD4T細胞集団
を含む医薬組成物。
【請求項65】
ポリドナーCD4IL-10細胞を作製する方法であって、
(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得た初代培養CD4T細胞をプールするステップ;および
(ii)IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって、プールしたCD4T細胞を改変し、
それによってポリドナーCD4IL-10細胞を得るステップ
を含む方法。
【請求項66】
ポリドナーCD4IL-10細胞を作製する方法であって、
(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから初代培養CD4T細胞を得るステップ;および
(ii)IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって各ドナーのCD4T細胞を個別に改変するステップ、次に
(iii)遺伝子改変CD4T細胞をプールし、
それによってポリドナーCD4IL-10細胞を得るステップ
を含む方法。
【請求項67】
ステップ(i)の後かつステップ(ii)の前、ステップ(ii)の後、ステップ(ii)の後かつステップ(iii)の前、またはステップ(iii)の後に、
前記初代培養CD4T細胞を、抗CD3抗体および抗CD28抗体、または抗CD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズの存在下でインキュベートするステップ
をさらに含む、請求項65または請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記初代培養CD4T細胞が、IL-2の存在下でさらにインキュベートされる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記外因性ポリヌクレオチドが、ウイルスベクターを使用して前記初代培養CD4T細胞に導入される、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号1の配列を有するIL-10をコードするセグメントを含む、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記IL-10コードポリヌクレオチドセグメントが、配列番号2または7の配列を有する、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記外因性ポリヌクレオチドが、選択マーカーをコードするセグメントをさらに含む、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記コードされる選択マーカーがΔNGFRである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記コードされる選択マーカーが、配列番号3の配列を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
ステップ(ii)の後に、
前記選択マーカーを発現する前記遺伝子改変CD4T細胞を単離し、それによって遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団を生成するステップをさらに含む、請求項73~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記濃縮集団中の前記遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも70%が、IL-10を発現する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記濃縮集団中の前記遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも90%、95%、または98%が、IL-10を発現する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記濃縮集団中の前記遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも70%が、選択マーカーを発現する、請求項76~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記濃縮集団中の前記遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも90%、95%、または98%が、選択マーカーを発現する、請求項70に記載の方法。
【請求項81】
遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップをさらに含む、請求項76~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップが、抗CD3抗体および抗CD28抗体、またはCD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズの存在下、IL-2の存在下で実施される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記遺伝子改変CD4T細胞を凍結する後のステップをさらに含む、請求項65~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
ステップ(i)において、前記初代培養CD4T細胞が、2、3、4、5、6、7、8、9、または10人の異なるT細胞ドナーから得られる、請求項65~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも1/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10の一致を有する、請求項84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して少なくとも1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8の一致を有する、請求項65~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-A座で互いに対して2/2の一致を有する、請求項65~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-B座で互いに対して2/2の一致を有する、請求項65~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-C座で互いに対して2/2の一致を有する、請求項65~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも3/4または4/4の一致を有する、請求項65~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する、請求項84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する、請求項84または91に記載の方法。
【請求項93】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する、請求項84および91~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する、請求項84および91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する、請求項84および91~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーが、前記HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して3/4、または4/4未満の一致を有する、請求項84および91~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも2人のT細胞ドナーの各々が、A02またはA24対立遺伝子を有する、請求項65~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
ステップ(i)において、前記初代培養CD4T細胞が、1つまたは複数の凍結保存物から得られる、請求項65~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
ステップ(i)において、前記初代培養CD4T細胞が、前記少なくとも2人の異なるT細胞ドナーの凍結していない末梢血単核細胞から得られる、請求項65~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記末梢血単核細胞からCD4T細胞を単離するステップをさらに含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
患者を処置する方法であって、
請求項1~63のいずれか一項に記載のポリドナーCD4IL-10細胞、または請求項64に記載の医薬組成物を、免疫寛容を必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項102】
ポリドナーCD4IL-10細胞の凍結浮遊液を融解する事前のステップをさらに含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、前記患者における病原性のT細胞応答を防止するかまたはその重症度を低減する、請求項101または102に記載の方法。
【請求項104】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、炎症を低減させるか、または免疫寛容を増強する、請求項101または102に記載の方法。
【請求項105】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、組織修復を増強する、請求項101または102に記載の方法。
【請求項106】
単核細胞を前記患者に投与するステップをさらに含む、請求項101~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物および前記単核細胞が同時に投与される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記単核細胞が、前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに投与される、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、HSCドナーの造血幹細胞(HSC)を前記患者に投与するステップをさらに含む、請求項101~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記HSCドナーが、前記患者に対して部分的にHLA不一致である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記HSCドナーが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で前記患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10または10/10未満の一致を有する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記HSCドナーが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で前記患者に対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記HSCドナーが、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で前記患者に対して2/2未満の一致を有する、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
前記HSCドナーが、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で前記患者に対して3/4または4/4未満の一致を有する、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、前記患者に対してHLA不一致であるかまたは部分的にHLA不一致である、請求項101~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で前記患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10または10/10未満の一致を有する、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で前記患者に対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で前記患者に対して2/2未満の一致を有する、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で前記患者に対して2/4、3/4または4/4未満の一致を有する、請求項115に記載の方法。
【請求項120】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、前記HSCドナーとHLA不一致であるか、または部分的にHLA不一致である、請求項101~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で前記HSCドナーに対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10または10/10未満の一致を有する、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で前記HSCドナーに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で前記HSCドナーに対して2/2未満の一致を有する、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
前記T細胞ドナーの1人または複数が、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で前記HSCドナーに対して3/4または4/4未満の一致を有する、請求項120に記載の方法。
【請求項125】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、前記移植された造血幹細胞によるGvHDを防止するかまたはその重症度を低減させる、請求項101~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、前記移植された造血細胞からのリンパ系細胞の病原性の応答を防止するかまたはその重症度を低減させる、請求項109~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記患者が、腫瘍性細胞を有する、請求項101~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記腫瘍性細胞が、CD13、HLA-クラスI、およびCD54を発現する、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記腫瘍性細胞が、CD112、CD58、またはCD155を発現する、請求項127~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記患者が、がんを有し、任意選択で、前記がんが固形または血液の腫瘍(neoplasm)である、請求項127~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記患者が、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、成人の脳/CNS腫瘍、小児の脳/CNS腫瘍、乳がん、男性乳がん、原発不明がん、キャッスルマン病、子宮頸がん、結腸/直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、ユーイングファミリー腫瘍、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭下咽頭がん、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML、骨髄肉腫および皮膚白血病を含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性(CML)白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、小児白血病、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、口腔中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫-成人軟部組織がん、皮膚がん、皮膚がん-基底細胞および扁平上皮、皮膚がん-黒色腫、皮膚がん-メルケル細胞、小腸がん、胃がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなる群から選択されるがんを有する、請求項101~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記患者が、骨髄系のがんを有する、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記患者が、AMLまたはCMLを有する、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
前記患者が、炎症疾患または自己免疫疾患を有する、請求項101に記載の方法。
【請求項135】
前記炎症または自己免疫疾患が、1型糖尿病、自己免疫性ぶどう膜炎、自己免疫性肝炎、白斑、円形脱毛症、リウマチ性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性狼瘡、炎症性腸疾患、アジソン病、グレーヴス病、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性血管炎、悪性貧血、潰瘍性大腸炎、水疱疾患、強皮症、およびセリアック病からなる群から選択される、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記炎症疾患または自己免疫疾患が、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、1型糖尿病、狼瘡、乾癬、乾癬性関節炎、またはリウマチ性関節炎である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記患者が、NLPR3インフラマソームの過剰活性を伴う疾患または障害を有する、請求項101~129または134~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記患者が、2型糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、または炎症性腸疾患を有する、請求項101~129、または134~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記患者が、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-1β産生の増加を伴う疾患または障害を有する、請求項101~129または134~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記患者が、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-18産生の増加を伴う疾患または障害を有する、請求項101~129または134~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記患者が、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞による成熟カスパーゼ-1産生の増加を伴う疾患または障害を有する、請求項101~129または134~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記患者が、アレルギー性またはアトピー性疾患を有する、請求項101~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記アレルギー性またはアトピー性疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、および鼻炎からなる群から選択される、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記患者が、食物アレルギーを有する、請求項101~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記CD4T細胞集団または前記医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、前記患者に臓器移植を行うステップをさらに含む、請求項101~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、前記臓器移植の宿主拒絶を防止するかまたはその重症度を低減させる、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記CD4T細胞集団または前記医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、iPS細胞由来細胞または組織を前記患者に移植するステップをさらに含む、請求項101~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、前記細胞移植の宿主拒絶を防止するかまたはその重症度を低減させる、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、組換えAAVを前記患者に投与するステップをさらに含む、請求項101~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞または前記医薬組成物が、前記組換えAAVに対する免疫応答を低減させる、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記CD4IL-10/CAR細胞、前記CD4IL-10/CAR細胞集団、または前記医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、免疫原性治療タンパク質を前記患者に投与することをさらに含む、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記CD4IL-10/CAR細胞、前記CD4IL-10/CAR細胞集団、または前記医薬組成物が、免疫原性治療タンパク質に対する免疫応答を低減させる、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記免疫原性治療タンパク質が、治療抗体、第VIII因子置換、サイトカイン、およびサイトカイン変異タンパク質から選択される、請求項151または152に記載の方法。
【請求項154】
前記患者が、ウイルスまたは細菌感染症に対して過剰な免疫応答を有する、請求項101~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記患者がコロナウイルス感染症を有する、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記患者が、臓器および/または組織損傷を有する、請求項149または155に記載の方法。
【請求項157】
前記患者から得た生物試料中の前記選択マーカーを検出し、
それによってポリドナーCD4IL-10T細胞の存在または非存在を検出するステップをさらに含む、請求項101~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記生物試料が、前記患者からの生検または血液である、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
悪性疾患を有する患者を処置する方法であって、
アロ-HSCTを前記患者に投与すること、および
ポリドナーCD4IL-10細胞の治療有効量を投与すること
を含む方法。
【請求項160】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞中のCD4IL-10細胞のドナーがいずれも、HSCTのドナーではない、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
血液がんを処置する方法であって、
血液がん患者に、抗がん効果を誘導するために十分な量のポリドナーCD4IL-10細胞を投与することを含み、
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られ、構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されたCD4T細胞を含む、方法。
【請求項162】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞の投与前または投与後にアロHSCTを前記患者に投与するステップをさらに含む、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
ポリドナーCD4IL-10細胞の前記量が、アロHSCTの移植片対白血病(GvL)または移植片対腫瘍(GvT)有効性を抑制することなく、移植片対宿主病(GvHD)を抑制または防止するためにさらに十分である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記血液がんが、骨髄性白血病である、請求項161~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、CD13を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、HLA-クラスIを発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記骨髄性白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項161~166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
前記アロ-HSCTが、レシピエントに関して血縁または非血縁のドナーから得られる、請求項161~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記レシピエントに対して非自己である、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記レシピエントに対して同種である、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、宿主への投与前に宿主アロ抗原に対してアネルギー化されない、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞がTr1様細胞である、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が多クローン性である、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が多クローン性であり、前記レシピエントに対して非自己である、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人のドナーから単離された後に遺伝子改変される、請求項161~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記少なくとも2人のドナーがいずれもアロ-HSCTドナーと同じではない、請求項170に記載の方法。
【請求項177】
前記アロ-HSCTが、前記レシピエントに関して一致または不一致のドナーから得られる、請求項161~176のいずれか一項に記載の方法。
【請求項178】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、CD54を発現する細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、HLA-クラスIおよびCD54を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、CD112を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、CD58を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~180のいずれか一項に記載の方法。
【請求項182】
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記宿主におけるがん細胞を標的とし、かつ殺滅する、請求項161~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項183】
同種造血幹細胞移植(アロ-HSCT)によって血液がんを処置する方法であって、
アロ-HSCTを対象に投与すること;
前記アロ-HSCTの移植片対白血病(GvL)または移植片対腫瘍(GvT)有効性を抑制することなく、移植片対宿主病(GvHD)を抑制または防止するために十分な量のポリドナーCD4IL-10細胞を前記対象に投与すること
を含み、
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られ、構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されているCD4T細胞を含み;
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記対象に対して非自己であり、アロ-HSCTドナーに対して非自己であり;
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記対象に投与される前に対象のアロ抗原に対してアネルギー化されず;および
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、多クローン性であり、Tr1様である、
方法。
【請求項184】
前記アロ-HSCTが、前記ポリドナーCD4IL-10細胞の投与後に投与される、請求項183に記載の方法。
【請求項185】
前記アロ-HSCTが、前記ポリドナーCD4IL-10細胞の投与前に投与される、請求項183に記載の方法。
【請求項186】
同種造血幹細胞移植(アロ-HSCT)によって血液がんを処置する方法であって、
アロ-HSCTを対象に投与すること;
前記アロ-HSCTの移植片対白血病(GvL)または移植片対腫瘍(GvT)有効性を抑制することなく、移植片対宿主病(GvHD)を抑制または防止するために十分な量のポリドナーCD4IL-10細胞を前記対象に投与すること
を含み、
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られ、構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されたCD4T細胞を含み、
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記対象におけるがん細胞を標的とし、かつ殺滅し、
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記対象に投与される前に対象のアロ抗原に対してアネルギー化されず、および
前記ポリドナーCD4IL-10細胞が、前記対象に対して非自己であり、多クローン性であり、Tr1様である、
方法。
【請求項187】
前記アロ-HSCTが、前記ポリドナーCD4IL-10細胞の投与後に投与される、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
前記アロ-HSCTが、前記ポリドナーCD4IL-10細胞の投与前に投与される、請求項186に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年12月30日に出願された米国仮特許出願第63/295,389号明細書の利益を主張する。
【0002】
2.配列表
本出願は、XMLフォーマットで提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。前記XMLコピーは、2022年12月23日に作成され、名称は37104-49835Sequence-Listing.xmlであり、サイズは、30.7キロバイト(KB)である。
【背景技術】
【0003】
3.背景
制御性T細胞は、自己抗原および非病原性抗原に対する免疫寛容を維持し、免疫系の恒常性を維持する小さいが重要なT細胞サブセットに属する。制御性T細胞には2つの主要な集団、すなわちCD4、FOXP3 CD25T細胞(FOXP3細胞)および1型制御性T(Tr1)細胞が存在する。FOXP3およびTr1細胞はいずれも、様々な前臨床の臓器および膵島移植モデル、移植片対宿主病(GvHD)、ならびに様々な自己免疫および炎症疾患において病原性のT細胞応答を下方調節する。
【0004】
Tr1細胞は、臨床試験において有効であることが示されている。クローン化した抗原特異的な自己Tr1細胞を、進行中の中等度から重度クローン病を有する患者に投与すると、客観的な一過性の寛解をもたらした(Desreumaux et al., Gastroenterology. 2012;143(5):1207-1217.e2.)。加えて、Tr1細胞に関して濃縮したドナー由来アロ特異的CD4T細胞集団を、同種造血幹細胞移植(アロ-HSCT)後の白血病患者に養子移入すると、重度のGvHDを引き起こすことなく、免疫系の迅速な再構成ならびに微生物およびウイルス感染症に対する保護をもたらした。レスポンダーの患者では、治癒をもたらす長期間の寛解および寛容(>7年)が達成された(Bacchetta et al., Front Immunol. 2014; 5:16)。
【0005】
これらの勇気づけられる結果にもかかわらず、アンメットメディカルニーズが高い患者に関する大規模治療のためのドナー由来または自己Tr1細胞の産生は、必ずしも実現可能ではなく、非常に面倒であり、純粋なTr1細胞を大量に生成することは可能ではない。
【0006】
最近、Locafaroと共同研究者は、単一ドナーからの精製CD4T細胞に、ヒトIL-10遺伝子を含有する双方向性レンチウイルスベクターを形質導入することによってこれらの問題の一部を回避した。得られた単一ドナーCD4IL-10集団は、天然に存在するTr1細胞の主な機能を共有した。Tr1細胞と同様に、単一ドナーCD4IL-10細胞は、高レベルのIL-10を産生し、同種CD4T細胞および同種CD8T細胞の両方の増殖を下方調節する。加えて、それらは、正常な骨髄系細胞(抗原提示細胞、APCを含む)および骨髄性白血病細胞の両方に対して細胞傷害性である。ヒト化xeno-GvHDモデルでは、これらの単一ドナーCD4IL-10細胞は、移植片対白血病(GvL)活性を保持しながら、ヒト化xeno-GvHDモデルにおけるGvHDの低減において有効であることが示された。Locafaro et al. Mol Ther. 2017;25(10):2254-2269および国際公開第2016/146,542号パンフレットを参照されたい。
【0007】
治療的使用のために高度精製された単一ドナーCD4IL-10細胞を産生することは可能であるが、依然として顕著な制約があり、その理由は、様々な個々のバッチ間での定性的および定量的な差のためであり、それらは、バフィーコートの品質の変動に加えて様々なドナー間の固有の差に関連する可能性が最も高い。
【発明の概要】
【0008】
4.概要
本開示は、ポリドナー(polydonor)CD4IL-10細胞集団を使用する新規Tr1ベースの治療を提供する。ポリドナーCD4IL-10細胞は、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られた後、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変されたCD4T細胞を指す。T細胞ドナーは、ポリドナーCD4IL-10細胞によって処置される宿主ではなく、HSCまたは臓器移植ドナーでもない第三者のドナーである。ポリドナーCD4IL-10細胞は、アロ抗原特異的ではなく、すなわち、それらは、投与前に宿主からの細胞によってプライミングまたは刺激されていない。
【0009】
本出願人は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、単一ドナーCD4IL-10細胞と同等のサイトカイン産生プロファイル、免疫抑制能および細胞傷害能を有することを実証した。加えて、in vivoで、それらは、単独でGvHDを誘導することなく、CD4T細胞によって媒介されるxeno GvHDの防止において、単一ドナーCD4IL-10細胞より有効である。全体としてこれらのポリドナーCD4IL-10細胞のin vitroおよびin vivoの両方における機能的特性は、単一ドナーCD4IL-10細胞の特性と同等であるかまたはそれより良好であった。
【0010】
これらの結果に基づき、本出願人は、ポリドナー同種(allogeneic)CD4IL-10細胞を、GvHD、細胞および臓器移植、自己免疫疾患および炎症疾患における治療目的のために使用することができると主張する。
【0011】
さらに、第三者のT細胞を使用することおよびアロ特異性の要件を排除することによって、ポリドナーCD4IL-10細胞は、Tr1ベースの細胞治療を、様々な遺伝的背景を有する患者のより大きい集団に利用可能にする。
【0012】
したがって、第1の態様では、本開示は、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変されているCD4T細胞集団であって、CD4T細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られた(ポリドナーCD4IL-10細胞)CD4T細胞集団を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、CD4T細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10人の異なるT細胞ドナーから得られた。一部の実施形態では、集団におけるCD4T細胞は集合的に、6、7、8、9、10、11、12、またはそれより多くの異なるHLAハプロタイプを有する。
【0014】
一部の実施形態では、集団における全てのCD4T細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも1/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10の一致を有する。一部の実施形態では、集団における全てのCD4T細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して少なくとも1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-B座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-C座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも3/4または4/4の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、A02またはA24対立遺伝子を有する。
【0015】
一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団における全てのCD4T細胞は、HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0016】
一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して一致を有しない。一部の実施形態では、集団における全てのCD4T細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して一致を有しない。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A座で互いに対して一致を有しない。一部の実施形態では、集団における全てのCD4T細胞は、HLA-B座で互いに対して一致を有しない。一部の実施形態では、集団における全てのCD4T細胞は、HLA-C座で互いに対して一致を有しない。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して一致を有しない。
【0017】
一部の実施形態では、CD4T細胞はいずれも不死化されていない。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、発現制御エレメントに作動可能に連結されたIL-10コード(encoding)ポリヌクレオチドセグメントを含む。一部の実施形態では、IL-10はヒトIL-10である。一部の実施形態では、IL-10はウイルスIL-10である。一部の実施形態では、IL-10は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸修飾を有するヒトIL-10の配列を有するヒトIL-10のバリアントである。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸修飾は、対応するアミノ酸位置でウイルスIL-10のアミノ酸(複数可)との置換である。一部の実施形態では、ヒトIL-10のバリアントは、配列番号8または9の配列を有する。
【0018】
一部の実施形態では、IL-10コードポリヌクレオチドセグメントは、配列番号1の配列を有するタンパク質をコードする。一部の実施形態では、IL-10コードポリヌクレオチドセグメントは、配列番号2の配列を有する。一部の実施形態では、発現制御エレメントは、コードされるIL-10の構成的発現を駆動する。一部の実施形態では、発現制御エレメントは、活性化CD4T細胞におけるIL-10の発現を駆動する。一部の実施形態では、発現制御エレメントは、組織特異的またはCD4T細胞特異的発現を駆動する。
【0019】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、選択マーカーをコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、選択マーカーは、ΔNGFRである。一部の実施形態では、ΔNGFRは、配列番号3の配列を有する。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号4の配列を含む。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号5の配列を有する。
【0020】
一部の実施形態では、選択マーカーは、切断型EGFRポリペプチドである。一部の実施形態では、選択マーカーは、切断型ヒトEGFRポリペプチドである。
【0021】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれている。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれていない。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、レンチウイルスベクター配列をさらに含む。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれていない。
【0022】
一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞の少なくとも70%が、IL-10を発現する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞の少なくとも90%が、IL-10を発現する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞の少なくとも95%、98%または99%が、IL-10を発現する。一部の実施形態では、選択マーカーはΔNGFRである。一部の実施形態では、IL-10の発現レベルは、選択マーカーの発現レベルと線形に相関する。場合によっては、IL-10発現レベルを、選択マーカーの発現レベルによって決定することができる。
【0023】
一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、CD4T細胞10個/mL培養培地あたり少なくとも100pgのIL-10を構成的に発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、CD4T細胞10個/mLあたり少なくとも200pg、500pg、1ng、5ng、10ng、または50ngのIL-10を構成的に発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、抗CD3および抗CD28抗体による活性化後、CD4T細胞10個/mLあたり少なくとも1または2ngのIL-10を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、抗CD3および抗CD28抗体による活性化後、CD4T細胞10個/mLあたり少なくとも2ng、5ng、10ng、100ng、200ng、または500ngのIL-10を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、非改変CD4T細胞より少なくとも5倍高いレベルでIL-10を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、非改変CD4T細胞より少なくとも10倍高いレベルでIL-10を発現する。
【0024】
一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞の少なくとも70%が、外因性ポリヌクレオチドからの選択マーカーを発現する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞の少なくとも90%が、外因性ポリヌクレオチドからの選択マーカーを発現する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞の少なくとも95%、98%または99%が、外因性ポリヌクレオチドからの選択マーカーを発現する。
【0025】
一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、CD49bを発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、LAG-3を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、TGF-βを発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、IFN-γを発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、グランザイムB(GzB)を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、パーフォリンを発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、CD18を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、CD2を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、CD226を発現する。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞は、IL-22を発現する。
【0026】
一部の実施形態では、CD4T細胞は、宿主からの末梢血単核細胞(PBMC)の存在下でアネルギー化(anergized)されていない。一部の実施形態では、CD4T細胞は、組換えIL-10タンパク質の存在下でアネルギー化されておらず、組換えIL-10タンパク質は、CD4T細胞から発現されない。一部の実施形態では、CD4T細胞は、宿主からのDC10細胞の存在下でアネルギー化されていない。
【0027】
一部の実施形態では、CD4T細胞は、凍結浮遊液(suspension)中に存在する。一部の実施形態では、CD4T細胞は、液体浮遊液中に存在する。一部の実施形態では、液体浮遊液は、事前に凍結されている。
【0028】
別の態様では、本開示は、
(i)本明細書に記載されるCD4T細胞集団;および
(ii)CD4T細胞集団を浮遊させた薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物を提供する。
【0029】
なお別の態様では、本開示は、ポリドナーCD4IL-10細胞を作製する方法であって、
(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得た初代培養(primary)CD4T細胞をプールするステップ;および
(ii)IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって、プールしたCD4T細胞を改変し、それによって遺伝子改変CD4T細胞を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0030】
一態様では、本開示は、ポリドナーCD4IL-10細胞を作製する方法であって、
(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから初代培養CD4T細胞を得るステップ;および
(ii)IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって、各ドナーのCD4T細胞を個別に改変するステップ、次に
(iii)遺伝子改変CD4T細胞をプールし、それによって遺伝子改変CD4T細胞を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0031】
一部の実施形態では、方法は、ステップ(i)の後でステップ(ii)の前、ステップ(ii)の後、ステップ(ii)の後でステップ(iii)の前、またはステップ(iii)の後に、
初代培養CD4T細胞を、抗CD3抗体および抗CD28抗体、または抗CD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズ(anti-CD3 antibody and CD28 antibody coated beads)の存在下でインキュベートするステップ
をさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、Miltenyi BiotecのT Cell TransAct(商標)の存在下で培養されている。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、STEMCELL TechnologiesのImmunoCult Human T Cell Activator(商標)の存在下で培養されている。
【0032】
一部の実施形態では、方法は、初代培養CD4T細胞をさらにIL-2の存在下でインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターを使用して初代培養CD4T細胞に導入される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、キメラウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターである。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号1の配列を有するIL-10をコードするセグメントを含む。一部の実施形態では、IL-10コードポリヌクレオチドセグメント(IL-10-encoding polynucleotide segment)は、配列番号2の配列を有する。
【0033】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、選択マーカーをコードするセグメントをさらに含む。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーはΔNGFRである。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、配列番号3の配列を有する。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、切断型EGFRポリペプチドである。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、切断型ヒトEGFRポリペプチドである。
【0034】
一部の実施形態では、方法は、ステップ(ii)の後に、
選択マーカーを発現する遺伝子改変CD4T細胞を単離し、それによって遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団を生成するステップをさらに含む。
【0035】
一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも70%が、IL-10を発現する。一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも90%、95%、または98%が、IL-10を発現する。一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも70%が、選択マーカーを発現する。一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも90%、95%、または98%が、選択マーカーを発現する。
【0036】
一部の実施形態では、方法は、遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップは、IL-2の存在下、抗CD3抗体および抗CD28抗体、またはCD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズの存在下で実施される。
【0037】
一部の実施形態では、方法は、遺伝子改変CD4T細胞を凍結する後のステップをさらに含む。一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10人の異なるT細胞ドナーから得られる。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくともl/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して少なくとも1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-B座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-C座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも3/4または4/4の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーの各々は、A02またはA24対立遺伝子を有する。
【0038】
一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0039】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、1つまたは複数の凍結保存物(stock)から得られる。一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーの凍結していない末梢血単核細胞から得られる。
【0040】
一部の実施形態では、方法は、末梢血単核細胞からCD4T細胞を単離するステップをさらに含む。一部の実施形態では、末梢血単核細胞は、バフィーコートまたはアフェレーシスから得られる。
【0041】
別の態様では、本開示は、患者を処置する方法であって、
ポリドナーCD4IL-10細胞または本開示の医薬組成物を、免疫寛容を必要とする患者に投与するステップ
を含む方法を提供する。
【0042】
一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞の凍結浮遊液を融解する事前のステップをさらに含む。
【0043】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、患者における病原性のT細胞応答を防止するかまたはその重症度を低減する。
【0044】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、炎症応答または自己免疫応答を防止するかまたはその重症度を低減する。
【0045】
一部の実施形態では、方法は、造血幹細胞(HSC)ドナーからの単核細胞を患者に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物およびHSCドナーからの単核細胞は、同時に投与される。一部の実施形態では、HSCドナーからの単核細胞は、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに投与される。一部の実施形態では、単核細胞は、PBMC中に存在する。一部の実施形態では、単核細胞は、骨髄中に存在する。一部の実施形態では、単核細胞は、臍帯血中に存在する。一部の実施形態では、単核細胞は、PBMC、骨髄、または臍帯血から単離されている。
【0046】
一部の実施形態では、方法は、
ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、患者にHSCドナーの造血幹細胞(HSC)を投与するステップ、
をさらに含む。
【0047】
一部の実施形態では、HSCドナーは、患者に対して部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で患者に対して4/8、5/8,6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で患者に対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で患者に対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0048】
一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、患者に対してHLA不一致または部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で患者に対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で患者に対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で患者に対して2/4、3/4または4/4未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HSCドナーとHLA不一致であるか、または部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座でHSCドナーに対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座でHSCドナーに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座でHSCドナーに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座でHSCドナーに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0049】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、移植された造血幹細胞によるGvHDを防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0050】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、移植された造血幹細胞集団に存在するリンパ系細胞の病原性の応答を防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0051】
一部の実施形態では、患者はがんを有する。一部の実施形態では、患者は、腫瘍性(neoplastic)細胞を有する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞は、CD13、HLA-クラスIおよびCD54を発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞は、CD112、CD58、またはCD155を発現する。
【0052】
一部の実施形態では、患者はがんを有する。一部の実施形態では、がんは固形または血液の腫瘍(neoplasm)である。一部の実施形態では、患者は、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、成人の脳/CNS腫瘍、小児の脳/CNS腫瘍、乳がん、男性乳がん、原発不明がん、キャッスルマン病、子宮頸がん、結腸/直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、ユーイングファミリー腫瘍、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭下咽頭がん、白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML、骨髄肉腫および皮膚白血病を含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性(CML)白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、小児白血病、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、口腔中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫-成人軟部組織がん、皮膚がん、皮膚がん-基底細胞および扁平細胞、皮膚がん-黒色腫、皮膚がん-メルケル細胞、小腸がん、胃がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなる群から選択されるがんを有する。
【0053】
一部の実施形態では、がんは、骨髄系のがんである。一部の実施形態では、がんは、AMLまたはCMLである。
【0054】
一部の実施形態では、患者は、炎症疾患または自己免疫疾患を有する。一部の実施形態では、炎症疾患または自己免疫疾患は、1型糖尿病、自己免疫性ぶどう膜炎、自己免疫性肝炎、白斑、円形脱毛症、リウマチ性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、アジソン病、グレーヴス病、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性血管炎、悪性貧血、潰瘍性大腸炎、水疱疾患、強皮症、クローン病、およびセリアック病からなる群から選択される。
【0055】
一部の実施形態では、炎症疾患または自己免疫疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、1型糖尿病、狼瘡、乾癬、乾癬性関節炎、またはリウマチ性関節炎である。
【0056】
一部の実施形態では、患者は、NLPR3インフラマソームの過剰活性を伴う疾患または障害を有する。一部の実施形態では、患者は、2型糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、または炎症性腸疾患を有する。
【0057】
一部の実施形態では、患者は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-1β産生の増加を伴う疾患または障害を有する。
【0058】
一部の実施形態では、患者は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-18産生の増加を伴う疾患または障害を有する。
【0059】
一部の実施形態では、患者は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞による成熟カスパーゼ-1産生の増加を伴う疾患または障害を有する。
【0060】
一部の実施形態では、患者は、アレルギー性またはアトピー性疾患を有する。一部の実施形態では、アレルギー性またはアトピー性疾患は、喘息、アトピー性皮膚炎、および鼻炎からなる群から選択される。一部の実施形態では、患者は、食物アレルギーを有する。
【0061】
一部の実施形態では、方法は、CD4T細胞集団または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、患者に細胞および臓器移植を行うステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、細胞および臓器移植の宿主拒絶を防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0062】
一部の実施形態では、方法は、CD4T細胞集団または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、患者にiPS細胞由来細胞または組織を移植するステップをさらに含む。
【0063】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、移植片の宿主拒絶を防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0064】
一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、組換えアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レトロウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、麻疹ウイルス、ニューキャッスル病ウイルス、ポックスウイルス、またはピコルナウイルスを患者に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、組換えアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レトロウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、麻疹ウイルス、ニューキャッスル病ウイルス、ポックスウイルス、またはピコルナウイルスに対する免疫応答を低減させる。
【0065】
一部の実施形態では、患者は、ウイルスまたは細菌感染症に対して過剰な免疫応答を有する。一部の実施形態では、患者は、コロナウイルス感染症を有する。一部の実施形態では、患者は、臓器および/または組織の損傷を有する。
【0066】
一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞集団または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、患者に免疫原性治療タンパク質を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞集団または医薬組成物は、免疫原性治療タンパク質に対する免疫応答を低減させる。一部の実施形態では、免疫原性治療タンパク質は、治療抗体、第VIII因子置換、サイトカイン、およびサイトカイン変異タンパク質から選択される。
【0067】
一部の実施形態では、方法は、患者から得た生物試料中の選択マーカーを検出し、それによってポリドナーCD4IL-10T細胞の存在または非存在を検出するステップをさらに含む。一部の実施形態では、生物試料は、患者からの生検または血液である。
【0068】
一態様では、本開示は、悪性疾患を有する患者を処置する方法であって、アロ(allo)-HSCTを患者に投与すること、およびポリドナーCD4IL-10細胞の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、アロ-HSCTは、ポリドナーCD4IL-10細胞の投与前に投与される。一部の実施形態では、アロ-HSCTは、ポリドナーCD4IL-10細胞の投与後に投与される。
【0069】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞中のCD4IL-10細胞のドナーのいずれも、HSCTのドナーではない。
【0070】
別の態様では、本開示は、血液がんを処置する方法であって、血液がん患者に、抗がん効果を誘導するために十分な量のポリドナーCD4IL-10細胞を投与することを含み、ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られており、その後構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されているCD4T細胞を含む、方法を提供する。
【0071】
一部の実施形態では、血液がんを処置する方法は、抗がん効果を誘導するために十分である、投与されたポリドナーCD4T細胞が、個々のドナーから得られており、構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって最初に個別に遺伝子改変されており、その後プールされるステップを含む。
【0072】
一部の実施形態では、血液がんを処置する方法は、抗がん効果を誘導するために十分である、投与されたポリドナーCD4T細胞が、最初にプールされた個々のドナーから得られており、その後プールが、構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されるステップを含む。
【0073】
一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞の投与前または投与後に患者にアロ-HSCTを投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞の量は、アロHSCTの移植片対白血病(GvL)または移植片対腫瘍(GvT)有効性を抑制することなく、移植片対宿主病(GvHD)を抑制または防止するためにさらに十分である。
【0074】
一部の実施形態では、血液がんは、骨髄性白血病である。
【0075】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、CD13を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、HLA-クラスIを発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する。一部の実施形態では、骨髄性白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。
【0076】
一部の実施形態では、アロ-HSCTは、レシピエントに関して血縁または非血縁のドナーから得られる。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、レシピエントに対して非自己(non-autologous)である。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、レシピエントに対して同種(allogeneic)である。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、宿主に投与する前に宿主アロ抗原に対してアネルギー化されない。
【0077】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、Tr1様細胞である。
【0078】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、多クローン性である。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、多クローン性であり、レシピエントに対して非自己である。
【0079】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、少なくとも2人のドナーから単離された後に遺伝子改変される。一部の実施形態では、少なくとも2人のドナーのいずれも、アロ-HSCTドナーと同じドナーではない。一部の実施形態では、アロHSCTは、レシピエントに関して一致または不一致のドナーから得られる。
【0080】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、CD54を発現する細胞を標的とし、かつ殺滅する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、HLA-クラスIおよびCD54を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、CD112を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、CD58を発現するがん細胞を標的とし、かつ殺滅する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、宿主におけるがん細胞を標的とし、かつ殺滅する。
【0081】
本開示の一態様は、同種造血幹細胞移植(アロ-HSCT)によって血液がんを処置する方法であって、
アロ-HSCTを対象(宿主)に投与すること;
アロ-HSCT移植片の移植片対白血病(GvL)または移植片対腫瘍(GvT)有効性を抑制することなく、移植片対宿主病(GvHD)を抑制または防止するために十分な量のポリドナーCD4IL-10細胞を宿主に投与すること
を含み、
ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られ、構成的または誘導型プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されているCD4T細胞を含み;
ポリドナーCD4IL-10細胞が、宿主に対して非自己であり、アロ-HSCTドナーに対して非自己であり;
ポリドナーCD4IL-10細胞が、宿主に投与される前に宿主アロ抗原に対してアネルギー化されず;および
ポリドナーCD4IL-10細胞が、多クローン性であり、Tr1様である、
方法を提供する。
【0082】
一部の実施形態では、アロ-HSCTは、ポリドナーCD4IL-10細胞の投与前に投与される。一部の実施形態では、アロ-HSCTは、ポリドナーCD4IL-10細胞の投与後に投与される。
【0083】
本開示の別の態様は、同種造血幹細胞移植(アロ-HSCT)によって血液がんを処置する方法であって、
アロ-HSCTを対象(宿主)に投与すること;
アロ-HSCTの移植片対白血病(GvL)または移植片対腫瘍(GvT)有効性を抑制することなく、移植片対宿主病(GvHD)を抑制または防止するために十分な量のポリドナーCD4IL-10細胞を宿主に投与すること;
を含み、
ポリドナーCD4IL-10細胞が、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られ、構成的プロモーターの制御下でヒトIL-10のコード配列のベクター媒介遺伝子導入によって遺伝子改変されたCD4T細胞を含み;
ポリドナーCD4IL-10細胞が宿主におけるがん細胞を標的とし、かつ殺滅し;
ポリドナーCD4IL-10細胞が、宿主への投与前に宿主アロ抗原に対してアネルギー化されず;および
ポリドナーCD4IL-10細胞が全て、宿主に対して非自己であり、多クローン性であり、Tr1様である、
方法を提供する。
【0084】
本開示の別の態様は、IL-10がウイルスIL-10である、単一ドナーまたは複数のドナーからのCD4IL-10細胞を提供する。ウイルスIL-10は、配列番号6、19、20、または21の配列を有する。一部の実施形態では、ウイルスIL-10は、配列番号7の配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる。一部の実施形態では、IL-10は、ヒトIL-10からの1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸がウイルスIL-10からの対応するアミノ酸配列によって交換されているヒトIL-10である。一部の実施形態では、CD4T細胞は、構成的プロモーターの制御下で外因性のウイルスIL-10を形質導入される。一部の実施形態では、発現制御エレメントは、活性化CD4T細胞においてウイルスIL-10の発現を駆動する。一部の実施形態では、ウイルスIL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれている。一部の実施形態では、ウイルスIL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれていない。一部の実施形態では、ウイルスIL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号7の配列を有する。
【0085】
本開示の別の態様は、単一ドナーまたは複数のドナーからのCD4IL-10細胞であって、IL-10が、マウス(配列番号10)、ラット(配列番号11)、アカゲザル(Macaca mulatta)(MACMU)(配列番号12)、ゴリラ(配列番号13)、カニクイザル(CYNO)(配列番号14)、アヌビスヒヒ(配列番号15)、ボノボ(配列番号16)、チンパンジー(配列番号17)、またはEBVB9(配列番号18)のIL-10であるCD4IL-10細胞を提供する。一部の実施形態では、IL-10は、マウス(配列番号10)、ラット(配列番号11)、アカゲザル(Macaca mulatta)(MACMU)(配列番号12)、ゴリラ(配列番号13)、カニクイザル(CYNO)(配列番号14)、アヌビスヒヒ(配列番号15)、ボノボ(配列番号16)、チンパンジー(配列番号17)、またはEBVB9(配列番号18)のIL-10と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有するタンパク質である。
【0086】
本開示の別の態様は、IL-10がヒトIL-10のバリアントである、単一ドナーまたは複数のドナーからのCD4IL-10細胞を提供する。ヒトIL-10のバリアントは、配列番号19または配列番号20の配列を有する。一部の実施形態では、IL-10は、ヒトIL-10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸が、別の種のIL-10(例えば、マウス(配列番号10)、ラット(配列番号11)、アカゲザル(Macaca mulatta)(MACMU)(配列番号12)、ゴリラ(配列番号13)、カニクイザル(CYNO)(配列番号14)、アヌビスヒヒ(配列番号15)、ボノボ(配列番号16)、チンパンジー(配列番号17)、またはEBVB9(配列番号18)のIL-10)からの対応するアミノ酸配列によって交換されているヒトIL-10である。一部の実施形態では、CD4T細胞は、構成的プロモーターの制御下で外因性のIL-10バリアントを形質導入されている。一部の実施形態では、発現制御エレメントは、活性化CD4T細胞においてIL-10バリアントの発現を駆動する。一部の実施形態では、IL-10バリアントをコードする外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれている。一部の実施形態では、IL-10バリアントをコードする外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれていない。
【0087】
なお別の態様では、本開示は、ウイルスIL-10 CD4IL-10を作製する方法であって、以下のステップ:
(i)単一のT細胞ドナーから初代培養CD4T細胞を得るステップ;および
(ii)ウイルスIL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによってドナーCD4T細胞を改変し、それによって遺伝子改変CD4T細胞を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0088】
一部の実施形態では、方法は、ステップ(i)の後またはステップ(ii)の後に、抗CD3抗体および抗CD28抗体、または抗CD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズの存在下で初代培養CD4T細胞をインキュベートするステップをさらに含む。
【0089】
一部の実施形態では、方法は、さらにIL-2の存在下で初代培養CD4T細胞をインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、ベクターを使用してウイルスIL-10をコードする外因性ポリヌクレオチド。
【0090】
一部の実施形態では、ウイルスIL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドは、選択マーカーをコードするセグメントを含む。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、ΔNGFRである。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、配列番号3の配列を有する。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、切断型EGFRポリペプチドである。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、切断型ヒトEGFRポリペプチドである。
【0091】
一部の実施形態では、方法は、ステップ(ii)の後に、選択マーカーを発現する遺伝子改変CD4T細胞を単離し、それによって遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団を生成するステップをさらに含む。
【0092】
一部の実施形態では、方法は、遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップは、IL-2の存在下、抗CD3抗体および抗CD28抗体、またはCD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズの存在下で実施される。
【0093】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、凍結保存物から得られる。一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、単一T細胞ドナーの凍結していない末梢血単核細胞から得られる。
【0094】
一部の実施形態では、方法は、末梢血単核細胞からCD4T細胞を単離するステップをさらに含む。一部の実施形態では、末梢血単核細胞は、バフィーコートまたはアフェレーシスから得られる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1図1は、ヒトIL-10およびΔNGFRコード配列を複数のドナーからのCD4T細胞に送達して、ポリドナーCD4IL-10細胞を産生するための双方向性レンチウイルスベクターの構造の非限定的な例証である。
図2図2は、ヒトIL-10およびΔNGFRコード配列を、複数のドナーからのCD4T細胞に送達してポリドナーCD4IL-10細胞を産生するためのレンチウイルスベクターを生成するための双方向性レンチウイルスベクターの完全な環状構造を例証する。
図3図3は、CD4IL-10細胞を生成するための例示的なプロトコールを例証する。
図4-A】図4Aは、LV-IL-10/ΔNGFR(ヒトIL-10およびヒトNGF受容体の切断型をコードする双方向性レンチウイルスベクター)を形質導入したヒトCD4T細胞におけるCD4ΔNGFR細胞のパーセンテージ(平均値±SD、n=10、左の灰色の棒グラフ)およびベクターコピー数(VCN、平均値±SD、n=10、右の灰色の棒グラフ)を示す。図4Bは、LV-IL-10/ΔNGFRを形質導入し、抗CD271マイクロビーズを使用して精製した2人の代表的なドナー(ドナーBおよびドナーC)からのヒトCD4T細胞におけるCD4およびΔNGFRの発現のFACS解析を示す。
図4-B】図4-Aと同じ。
図5図5は、2回目(TF2)および3回目(TG3)の再刺激後の単一ドナーCD4IL-10細胞のサイトカイン産生プロファイルを示す。TF2(左のパネル)およびTF3(右のパネル)のCD4IL-10細胞を、非刺激のままとしたか(矢印によって示す)、または固定CD3(10μg/mL)および可溶性CD28 mAb(1μg/mL)によって48時間刺激した。培養上清を収集し、IL-10、IL-4、IL-5、IFN-γおよびIL-22のレベルをELISAによって決定した。全ての試料を、三連で試験した。試験したn=8ドナーの平均値±SDを表す。
図6図6Aは、FACSによって解析した、第2ラウンドの刺激(TF2)後にグランザイムB(GzB)を発現するCD4IL-10細胞のパーセンテージを示す。n=7人の異なる単一ドナーの箱ひげ図を示す。図6Bは、CD4IL-10細胞(10個/ウェル)をK562およびALL-CM細胞(10個/ウェル)と1:1の比で3日間共培養(co-culture)した場合の%死細胞を示す。箱ひげ図は、n=4のドナーからのデータを表し、ドットは、単一ドナーからのデータを表す。
図7-A】図7Aおよび7Bは、単一ドナーCD4IL-10細胞が、同種CD4T細胞の増殖を抑制することができることを示す。同種PBMC細胞を、eFluor(登録商標)670(5×10個/ウェル)によって標識し、CD4IL-10細胞(5×10個/ウェル)の非存在下または存在下で同種成熟樹状(DC)細胞(5×10個/ウェル)および可溶性抗CD3 mAbによって1:1のレスポンダー:サプレッサー比で刺激した。3日間培養後、増殖性のレスポンダー細胞のパーセンテージを、CD4ΔNGFRT細胞に関してゲート設定後、フローサイトメトリーによってeFluor(登録商標)670の希釈により決定した。図7Aは、ドナーC、ドナーE、およびドナーFからの結果を示し、図7Bは、ドナーH、ドナーIおよびドナーLからの結果を示す。増殖および抑制のパーセンテージを示す。CD4IL-10細胞によって媒介される抑制を、以下のように計算した:100-([CD4IL-10細胞の存在下でのレスポンダーの増殖/レスポンダー単独の増殖]×100)。
図7-B】図7-Aと同じ。
図8-A】図8Aおよび8Bは、単一ドナーCD4IL-10細胞が、同種CD8T細胞の増殖を抑制することができることを示す。同種PBMC細胞を、eFluor(登録商標)670(5×10個/ウェル)によって標識し、CD4IL-10細胞(5×10個/ウェル)の非存在下または存在下で同種成熟樹状(DC)細胞(5×10個/ウェル)および可溶性抗CD3 mAbによって1:1のレスポンダー:サプレッサー比で刺激した。3日間培養後、増殖性のレスポンダー細胞のパーセンテージを、CD8ΔNGFRT細胞に関してゲート設定後、フローサイトメトリーによってeFluor(登録商標)670の希釈により決定した。図8Aは、ドナーC、ドナーE、およびドナーFからの結果を示し、および図8Bは、ドナーH、ドナーIおよびドナーLからの結果を示す。増殖および抑制のパーセンテージを示す。CD4IL-10細胞によって媒介される抑制を、以下のように計算した:100-([CD4IL-10細胞の存在下でのレスポンダーの増殖/レスポンダー単独の増殖]×100)。
図8-B】図8-Aと同じ。
図9図9は、8人の個々のドナーからのCD4IL-10細胞によって産生された平均レベル(±SD)と比較した、3回目の再刺激(TF3)後のポリドナーCD4IL-10細胞のサイトカイン産生プロファイルを示す。3人のドナーからのTF3 CD4IL-10細胞を1:1:1の比でプールし、固定CD3(10μg/mL)および可溶性CD28 mAb(1μg/mL)によって48時間刺激した。培養上清を収集し、IL-10、IL-4、IL-5、IFN-γおよびIL-22レベルをELISAによって決定した。ドットは、ポリドナーCD4IL-10細胞の結果であり;灰色のバーは、n=8の単一ドナーの平均値±SDを表す。
図10図10Aは、プールを生成するために使用したn=3の単一ドナーのCD4IL-10細胞によるグランザイムB発現の平均%レベル(±SD)と比較した、グランザイムB(GzB)を発現するポリドナーCD4IL-10細胞のパーセンテージを示す。細胞を、3ラウンドの刺激(TF3)後にFACSによって解析した。図10Bは、ポリドナーCD4IL-10細胞(10個/ウェル)をK562およびALL-CM細胞(10個/ウェル)と1:1の比で3日間共培養した場合の%死細胞を示す。残存白血病細胞(CD45+、CD3-)を、各標的細胞に関してFACSによって計数した。ドットは、ポリドナーCD4IL-10の結果であり、灰色のバーは、プールを生成するために使用したn=3の単一ドナーの平均値±SDを表す。
図11-A】図11Aおよび11Bは、ポリドナーCD4IL-10細胞が、同種CD4T細胞およびCD8T細胞の増殖を抑制することができることを示している。同種PBMC細胞をeFluor(登録商標)670(5×10個/ウェル)によって標識し、ポリドナーCD4IL-10細胞(5×10個/ウェル)の非存在下または存在下で、同種成熟樹状(DC)細胞(1×10個/ウェル)および可溶性抗CD3 mAbによって1:1のレスポンダー:サプレッサー比で刺激した。3日間培養後、増殖性のレスポンダー細胞のパーセンテージを、CD4ΔNGFRT細胞およびCD8ΔNGFRT細胞に関してゲート設定後、フローサイトメトリーによってeFluor(登録商標)670の希釈により決定した。図11Aは、ドナーC、ドナーE、およびドナーFからプールしたCD4細胞を含有するポリドナーCD4IL-10細胞からの結果を示す。図11Bは、ドナーH、ドナーI、およびドナーLからプールしたCD4細胞を含有するポリドナーCD4IL-10細胞からの結果を示す。CD4IL-10細胞によって媒介される抑制を、以下のように計算した:100-([CD4IL-10細胞の存在下でのレスポンダーの増殖/レスポンダー単独の増殖]×100)。
図11-B】図11-Aと同じ。
図12図12は、放射線照射後0日目に注射したヒトPBMCおよび/またはポリドナーCD4IL-10(BC-C/E/F)細胞によるGvHDの誘導を試験するためのプロトコールを例証する。
図13図13は、PBMC(5×10個/マウス)、ポリドナー(3人のドナー;BC-C/E/F)CD4IL-10細胞(5×10個/マウス)、またはPBMC(5×10個/マウス)をポリドナーCD4IL-10細胞(3人のドナー;BC-C/E/F)(5×10個/マウス)と組み合わせて注射後の各々の日におけるGvHDを示さないNSGマウスの%を示す。
図14図14は、PBMC(5×10個/マウス)、ポリドナー(3人のドナー;(BC-C/E/F))、CD4IL-10細胞(5×10個/マウス)、またはPBMC(5×10個/マウス)をポリドナーCD4IL-10細胞(3人のドナー;(BC-C/E/F))(5×10個/マウス)と組み合わせて注射したNSGマウスにおけるCD4IL-10細胞の脾臓(左のパネル)、および骨髄(右のパネル)への遊走を示す。試験したn=8の動物の箱ひげ図を示す。
図15図15は、放射線照射後3日目に注射したCD4+T細胞およびポリドナー(BC-H/I/L)または単一ドナー(BC-H)CD4IL-10細胞によるGvHDの誘導を試験するためのプロトコールを例証する。
図16図16は、注射後の各々の日におけるGvHDを示さないNSGマウスの%を示す。
図17-A】図17A~17Cは、循環中の白血病細胞の低減および長期間の白血病無病(leukemia free)生存に基づいて試験した移植片対白血病(GvL)効果を示す。白血病を以前に記載されたように(Locafaro G. et al Molecular Therapy 2017)測定した。NSGマウスに致死量下の放射線を照射して、0日目に骨髄性白血病細胞(ALL-CM)(2.5×10個)を静脈内注射した。図17Aは、実験の例証である。図17Bは、PBMC(2.5×10個)、または単一ドナー(ドナーBC-IおよびドナーBC-Hから)CD4IL-10細胞(2.5×10個)を3日目に注射した動物の白血病無病生存率を示す。図17Cは、PBMC(2.5×10個)またはポリドナーCD4IL-10細胞(ドナーBC-IおよびドナーBC-Hから)(2.5×10個)を3日目に注射した動物における白血病無病生存率を示す。
図17-B】図17-Aと同じ。
図17-C】図17-Aと同じ。
図18-A】図18A~18Cは、致死量下の放射線を照射し、ALL-CM細胞(2.5×10個)を0日目に静脈内注射したNSGマウスにおいて測定した長期間の白血病無病生存率を示す。図18Aは、実験の例証である。図18Bは、単核細胞(PBMC)(2.5×10)単独または単核細胞(PBMC)(2.5×10個)+単一ドナー(ドナーBC-HおよびドナーBC-Iからの)CD4IL-10細胞(2.5×10個)を3日目に注射した動物からのデータを示す。図18Cは、単核細胞(PBMC)(2.5×10個)単独、または単核細胞(PBMC)(2.5×10)+ポリドナーCD4IL-10細胞(BC-I/H)(2.5×10個)を3日目に注射した動物からのデータを示す。
図18-B】図18-Aと同じ。
図18-C】図18-Aと同じ。
図19-A】図19A~19Gは、CD4IL-10細胞によるNLPR3インフラマソーム活性化の阻害を示す。図19Aは、LPS活性化単球によるIL-1βの産生に及ぼす単一ドナー(#1)からのCD4IL-10細胞上清の効果を示す。図19Bは、LPS活性化単球によるIL-1βの産生に及ぼす別の単一ドナー(#2)からのCD4IL-10細胞上清の効果を示す。図19Cは、NLPR3インフラマソーム活性化剤ニゲリシン(NIG)によって増強されたLPS誘導IL-1β産生の阻害に及ぼす単一ドナー(#1)からのCD4IL-10細胞上清の効果を示す。図19Dは、NLPR3インフラマソーム活性化剤ニゲリシン(NIG)によって増強されたLPS誘導IL-1β産生の阻害に及ぼす単一ドナー(#2)からのCD4IL-10細胞上清の効果を示す。図19Eは、抗IL-10受容体(抗IL-10R)mAbの存在下または非存在下における単球によるLPS誘導IL-1β産生に及ぼす、単一ドナー(BC-E)および2人の異なるドナー(BC-C/E)からプールした細胞からのCD4IL-10細胞上清の効果を示す棒グラフである。図19Fは、抗IL-10R mAbの存在下または非存在下における単球によるIL-1β産生に及ぼすポリドナーCD4IL-10細胞(BC-T/U/V)上清の効果を示す。図19Gは、抗IL-10R mAbの存在下または非存在下でニゲリシンと組み合わせたLPSによって誘導されたIL-18産生に及ぼすポリドナーCD4IL-10細胞(BC-T/U/V)上清の効果を示す。
図19-B】図19-Aと同じ。
図19-C】図19-Aと同じ。
図19-D】図19-Aと同じ。
図19-E】図19-Aと同じ。
図19-F】図19-Aと同じ。
図19-G】図19-Aと同じ。
図20図20は、移植片対骨髄性白血病およびxeno-GvHD効果を試験するための実験プロトコールを例証する。NSGマウスに、0日目にALL-CM細胞(2.5×10個)を静脈内注射した。3日目に、マウスを5群に分け、各群を(i)対照としての細胞なし、(ii)同種単核細胞(PBMC);(iii)同種PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/Eを1:1:1でプールしたもの);(iv)同種PBMCおよび単一ドナーCD4IL-10細胞(BC-E);または(v)ポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/E)によって、図20に表記の濃度で処置した。
図21図21は、単一ドナー(BC-V、BC-T、BC-V、およびBC-E)およびポリドナーCD4IL-10細胞(POOL:BC-E、BC-VおよびBC-Tを1:1:1でプールしたもの)のサイトカイン分泌プロファイルを描写する棒グラフである。
図22図22は、同種CD4+およびCD8+T細胞のin vitro増殖に及ぼす単一ドナー(BC-VおよびBC-E)およびポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/Eのプール)の抑制効果を示す。同種PBMC細胞を、eFluor(登録商標)670(5×10個/ウェル)によって標識し、CD4IL-10細胞(5×10個/ウェル)の非存在下または存在下で、同種成熟樹状(DC)細胞(1×10個/ウェル)および可溶性抗CD3 mAbによって1:1のレスポンダー:サプレッサー比で刺激した。3日間培養後、増殖性のレスポンダー細胞のパーセンテージを、CD4 ΔNGFR(上)、またはCD8ΔNGFR(下)T細胞に関してゲート設定後、フローサイトメトリーによってeFluor(登録商標)670の希釈により決定した。図22は、単一ドナーBC-VおよびBC-E、ならびにドナーBC-V/T/Eからプールした細胞の結果を示す。増殖および抑制のパーセンテージを示す。CD4IL-10細胞によって媒介される抑制を、以下のように計算した:100-([CD4IL-10細胞の存在下でのレスポンダーの増殖/レスポンダー単独の増殖]×100)。
図23図23は、単一(BC-EおよびBC-V)またはポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/E)と、ALL-CM骨髄腫瘍細胞またはK562細胞との共培養における生存細胞の%を示す。結果は、ALL-CM骨髄腫瘍細胞に対する単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞の選択的細胞傷害効果を示すが、クラスI MHC発現を欠如するK562細胞に対しては細胞傷害効果を示さない。
図24図24は、0日目にALL-CM細胞(2.5×10個)を静脈内注射したNSGマウスにおいて測定した白血病無病生存率を示す。3日目に、マウスを5群に分け、各群を(i)対照としての細胞なし、(ii)同種単核細胞(PBMC);(iii)同種PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/ET);(iv)同種PBMCおよび単一ドナーCD4IL-10細胞(BC-E);または(v)ポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/E)によって処置した。グラフは、各群における動物の白血病無病生存率を示す。
図25図25は、ALL-CM細胞(2.5×10個)の注射後、続いて(i)対照としての細胞なし;(ii)同種単核細胞(PBMC);(iii)同種PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/E);(iv)同種PBMCおよび単一ドナーCD4IL-10細胞(BC-E)、または(v)ポリドナーCD4IL-10細胞の投与を3日目に行った、各々の日におけるGvHDを示さないNSGマウスの%を示す。
図26図26は、2.5E+06のPBMC(ドナーC、E、FおよびHに対して同種)を投与したNSGマウスが全て、急性の致死性xeno-GvHDのために22日目に死亡したことを示している。PBMCと組み合わせた単一ドナーCD4IL-10細胞(ロットC)またはポリドナーCD4IL-10細胞(ロットCEFH)の投与はそれぞれ、マウスの75%(3/4マウス)および80%(4/5マウス)において致死性xeno-GvHDの発症を防止した。これに対し、2.5E+06ポリドナーCD4IL-10細胞の導入は、GvHDのいかなる徴候も誘導しなかった。まとめると、これらの結果は、4人の異なるドナーからのポリドナーCD4IL-10細胞が、単一ドナーCD4IL-10細胞より強力に、またはわずかに強力に病原性のヒトT細胞応答を抑制することを示している。PBMC:末梢血単核細胞;GvHD:移植片対宿主病。
図27-A】図27Aは、ヒト(配列番号1)、ハツカネズミ(Mus musculus)、「MOUSE」(配列番号10);ドブネズミ(Rattus norvegicus)、「RAT」(配列番号11);アカゲザル(Macaca mulatta)、「MACMU」(配列番号12);ニシゴリラ(Gorilla gorilla)、「GORILLA」(配列番号13);カニクイザル(Macaca fascicularis)、「CYNO」(配列番号14);アヌビスヒヒ(Papio Anubis)、「OLIVE BABOON」(配列番号15);ボノボ(Pan paniscus)、「BONOBO」(配列番号16);チンパンジー(Pan troglodytes)、「CHIMP」(配列番号17);またはEBVB9(配列番号18)を含む様々な種のIL-10タンパク質配列のアライメントを示す。
図27-B】図27Bは、ヒトIL-10の1つまたは複数のアミノ酸を、対応する位置でウイルスIL-10(EBVB9)のアミノ酸に置換することによって生成されたIL-10バリアントの配列を提供する。同様に、例示的なバリアントである、可能性があるhuIL-10ハイブリッド#1(配列番号19)および可能性があるhuIL-10ハイブリッド#2(配列番号20)の配列も提供する。「」は、置換された1つまたは複数のアミノ酸位置を示す。「#」は、IL-10ハイブリッド#2(配列番号20)に関する好ましいI105からA105へのアミノ酸置換を示す。
図27-C】図27Cは、ヒトIL-10(配列番号1)とIL10 EBVB9(配列番号18)とのアライメントを示す。「」は、IL-10ハイブリッド#1において置換された1つまたは複数のアミノ酸位置を示す。「#」は、IL-10ハイブリッド#2に関する好ましいI105からA105へのアミノ酸置換を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
図面は、単なる例証目的で本発明の様々な実施形態を描写する。当業者は、本明細書に例証した構造および方法の代替の実施形態が、本明細書に記載される本発明の原理から逸脱することなく使用され得ることを、以下の考察から容易に認識するであろう。
【0097】
6.詳細な説明
6.1.定義
特に定義していない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下に割り当てられる意味を有する。
【0098】
「移植片対白血病効果」または「GvL」は、同種造血幹細胞移植(HSCT)または骨髄移植(BMT)後に出現する効果を指す。同種移植片中のTリンパ球は、悪性の残存宿主白血病細胞を排除する。
【0099】
「移植片対腫瘍効果」または「GvT」は、同種造血幹細胞移植(HSCT)または骨髄移植(BMT)後に出現する効果を指す。同種移植片中のTリンパ球は、悪性の残存宿主がん細胞、例えば骨髄腫ならびにリンパ性白血病および骨髄性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、およびおそらく乳がんの細胞を排除する。用語GvTは、GvLの一般形である。
【0100】
用語「処置」、「処置する」、および同様のものは、本明細書において医学の技術分野で理解されるその最も広い意味で使用される。特に、用語は一般的に、所望の薬理学的効果および/または生理学的効果を得ることを意味する。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特にヒトの疾患または状態の任意の処置をその範囲に含み、(a)疾患もしくは状態に対して素因を有し得るが、まだそれを有すると診断されていない対象に疾患もしくは状態が起こるのを防止すること;(b)疾患もしくは状態を阻害すること(例えば、その発症を停止させること);または(c)疾患もしくは状態を軽減すること(例えば、疾患または状態の退縮を引き起こすこと、1つまたは複数の症状の改善を提供すること)を含む。任意の状態の改善は、当技術分野で公知の標準的な方法および技術に従って容易に評価することができる。疾患の方法によって処置される対象集団は、望ましくない状態または疾患に罹っている対象、ならびに状態または疾患の発症のリスクがある対象を含む。
【0101】
「HLA一致」とは、本明細書で使用される場合、HLAクラスI(HLA-A、HLA-B、およびHLA-C)およびクラスII(HLA-DRB1およびHLA-DQB1)座において、個体を互いに免疫学的に適合性にする、一致するHLA対立遺伝子を有する個体のペアを指す。HLA適合性は、当技術分野で利用可能な方法のいずれか、例えば参照により本明細書に組み込まれる、Tiervy, Haematologica 2016 Volume 101(6):680-687に記載される方法を使用して決定することができる。
【0102】
所定の座に関して、個体のペアは、1人の個体の2つの対立遺伝子の各々が他の個体の2つの対立遺伝子と一致する場合、2/2の一致を有する。個体のペアは、1人の個体の2つの対立遺伝子の1つのみが他の個体の2つの対立遺伝子の1つと一致する場合、1/2の一致を有する。個体のペアは、1人の個体の10個の対立遺伝子(HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座の各々の2つ)の全てが、他の個体の10個全ての対立遺伝子と一致する場合、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で10/10の一致を有する。
【0103】
好ましい実施形態では、対立遺伝子レベルタイピングを、HLA適合度の決定のために使用する。対立遺伝子レベルタイピングは、第1、第2、第3、および第4区域における全ての桁、例えばA02:01:01:01を使用することによって定義される、HLA遺伝子の一意的ヌクレオチド配列に対応する。機能的には、それぞれコード配列におけるサイレント置換および非コード配列における置換によって異なる対立遺伝子を特徴付ける第3および第4区域は、置換がHLA対立遺伝子の発現を防止する場合(例えば、無効対立遺伝子B15:01:01:02N)を除き無関係である。無効対立遺伝子の欠失は、アロ反応性T細胞によって認識される可能性が非常に高い不一致をもたらし、有害な臨床上の影響を有する。非コード配列における置換は、発現レベルに影響を及ぼし得る(例えば、A24low対立遺伝子A24:02:01:02L)。そのような多様性もまた、抗HLAアロ認識に影響を及ぼし得る。
【0104】
用語「HLA不一致」は、本明細書で使用される場合、個体を互いに免疫学的に不適合にする、HLAクラスI(HLA-A、HLA-B、およびHLA-C)およびクラスII(HLA-DRB1およびHLA-DQB1)座に不一致のHLA対立遺伝子を有する個体のペアを指す。
【0105】
用語「部分的HLA不一致」は、本明細書で使用される場合、個体を互いに許容可能な程度に免疫学的に不適合にする、HLAクラスI(HLA-A、HLA-B、およびHLA-C)およびクラスII(HLA-DRB1およびHLA-DQB1)座に不一致のHLA対立遺伝子を有する個体のペアを指す。一部の研究は、許容される不一致を同定している。一部のHLAクラスI不適合は、より許容されると考えられる。
【0106】
「HLAハプロタイプ」は、母親から受け継がれた1つおよび父親から受け継がれた1つの染色体による一連のHLA座対立遺伝子を指す。HLAクラスI(HLA-A、HLA-B、およびHLA-C)およびクラスII(HLA-DRB1およびHLA-DQB1)座の遺伝子型を使用して、HLAハプロタイプを決定することができる。
【0107】
用語「治療有効量」は、疾患の症状を処置するため、およびこのように改善するために有効である量である。
【0108】
用語「予防有効量」は、疾患、状態、またはその症状の完全または部分的な防止に関して効果を有する量である。用語「改善する」は、予防、重症度もしくは進行を弱めること、寛解、またはその治癒を含む、疾患状態、例えば神経変性疾患状態の処置における任意の治療的有益な結果を指す。
【0109】
6.2.他の解釈上の慣例
本明細書で列挙した範囲は、列挙した終点を含む範囲内の値の全ての短縮形であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと理解される。
【0110】
6.3.ポリドナーCD4IL-10細胞
第1の態様では、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変されているCD4T細胞集団を提供する(CD4IL-10細胞)。集団は、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得たCD4T細胞(ポリドナーCD4IL-10細胞)を含む。
【0111】
6.3.1.CD4T細胞およびT細胞ドナー
ポリドナーCD4IL-10集団中で使用されるCD4T細胞は、当技術分野で利用可能な方法を使用して、ドナーからの末梢血、臍帯血、または他の血液試料から単離することができる。典型的な実施形態では、CD4T細胞は、末梢血、好ましくはヒトドナーから単離される。ある特定の実施形態では、CD4T細胞は、ロイコフェレーシスによって末梢血から単離される。ある特定の実施形態では、CD4T細胞は、第三者の血液バンクから得られる。ある特定の実施形態では、CD4T細胞は、全血の遠心分離からのバフィーコートから得られる。
【0112】
一部の実施形態では、CD4T細胞は、血液の事前凍結保存物、または末梢血単核細胞(PBMC)の事前凍結保存物から単離される。一部の実施形態では、CD4T細胞は、事前に凍結されていない末梢血またはPBMCから単離される。一部の実施形態では、CD4T細胞は、複数のドナーから得た血液またはPBMCから個別に単離され、その後プールされる。一部の実施形態では、CD4T細胞は、複数のドナーから最初にプールされている血液またはPBMCから単離される。
【0113】
一部の実施形態では、CD4T細胞は、3、4、5、6、7、8、9、または10人の異なるT細胞ドナーから得られる。
【0114】
一部の実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーは、遺伝子型に関係なく選択される。一部の実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーは、遺伝子型に基づいて選択される。
【0115】
ある特定の実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーは、そのHLAハプロタイプに基づいて選択される。
【0116】
一部の実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーの一部または全ては、一致するHLAハプロタイプを有する。一部の実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーの一部または全ては、不一致のHLAハプロタイプを有する。
【0117】
一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも1/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して少なくとも1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-B座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-C座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-DRB1およびHLA DQB1座で互いに対して少なくとも3/4または4/4の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、A02またはA24対立遺伝子を有する。
【0118】
一部の実施形態では、集団中の全てのCD4T細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中の全てのCD4T細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中の全てのCD4T細胞は、HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中の全てのCD4T細胞は、HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中の全てのCD4T細胞は、HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中の全てのCD4T細胞は、HLA-DRB1およびHLA DQB1座で互いに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0119】
一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、集団中のCD4T細胞は全て、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0120】
好ましい実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーはいずれも、CD4IL-10細胞によって処置される宿主ではない。好ましい実施形態では、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーはいずれも、本明細書に記載される処置の方法においてCD4IL-10細胞と共に使用される幹細胞(例えば、HSC)、組織または臓器のドナーではない。
【0121】
一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、処置される患者(宿主)に対してHLA不一致であるか、または部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10、または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で患者に対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で患者に対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で患者に対して2/4、3/4、または4/4未満の一致を有する。
【0122】
一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HSCドナーとHLA不一致であるか、または部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座でHSCドナーに対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10、または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座でHSCドナーに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座でHSCドナーに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座でHSCドナーに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0123】
好ましい実施形態では、CD4T細胞はいずれも不死化されない。
【0124】
6.3.2.IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチド
本開示のポリドナーCD4IL-10細胞は、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変されているCD4T細胞である。外因性ポリヌクレオチドは、発現制御エレメントに作動可能に連結されたIL-10コードポリヌクレオチドセグメントを含む。
【0125】
IL-10コードポリヌクレオチドセグメントは、ヒト、ボノボ、またはアカゲザルのIL-10をコードし得る。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、配列番号1の配列を有するヒトIL-10をコードする。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、配列番号1と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有するヒトIL-10のバリアントをコードする。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、配列番号2のヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、配列番号2と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有する。
【0126】
一部の実施形態では、IL-10コードポリヌクレオチドセグメントは、ハツカネズミ(Mus musculus)、「MOUSE」(配列番号10);ドブネズミ(Rattus norvegicus)、「RAT」(配列番号11);アカゲザル(Macaca mulatta)、「MACMU」(配列番号12);ニシゴリラ(Gorilla gorilla)、「GORILLA」(配列番号13);カニクイザル(Macaca fascicularis)、「CYNO」(配列番号14);アヌビスヒヒ(Papio Anubis)、「OLIVE BABOON」(配列番号15);ボノボ(Pan paniscus)、「BONOBO」(配列番号16);チンパンジー(Pan troglodytes)、「CHIMP」(配列番号17);およびEBVB9(配列番号18)のIL-10をコードする。一部の実施形態では、IL-10コードポリヌクレオチドセグメントは、ハツカネズミ(Mus musculus)、「MOUSE」(配列番号10);ドブネズミ(Rattus norvegicus)、「RAT」(配列番号11);アカゲザル(Macaca mulatta)、「MACMU」(配列番号12);ニシゴリラ(Gorilla gorilla)、「GORILLA」(配列番号13);カニクイザル(Macaca fascicularis)、「CYNO」(配列番号14);アヌビスヒヒ(Papio Anubis)、「OLIVE BABOON」(配列番号15);ボノボ(Pan paniscus)、「BONOBO」(配列番号16);チンパンジー(Pan troglodytes)、「CHIMP」(配列番号17);およびEBVB9(配列番号18)のIL-10と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有するタンパク質をコードする。
【0127】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドはウイルスIL-10をコードする。様々な実施形態では、外因性ポリペプチドは、HCMV、GMCMV、RhCMV、BaCMV、MOCMV、SMCMV、EBV、ボノボ-HV、BaLCV、OvHV-2、EHV-2、CyHV-3、AngHV-1、ORFV、BPSV、PCPV、LSDV、SPV、GPV、またはCNPVからのIL-10をコードする。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、EBVまたはORFVからのウイルスIL-10をコードする。
【0128】
一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、ヒトIL-10(例えば、配列番号1)と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのアミノ酸修飾を有するヒトIL-10のバリアントをコードする。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換は、対応するアミノ酸位置(複数可)でウイルスIL-10のアミノ酸(複数可)による置換(複数可)である。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、ヒトIL-10(例えば、配列番号1)と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのアミノ酸の挿入、欠失、または改変を有するヒトIL-10のバリアントをコードする。一部の実施形態では、ヒトIL-10のバリアントは、配列番号8または9の配列を有する。
【0129】
一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、ヒトIL-10(例えば、配列番号1)と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を有するヒトIL-10のバリアントをコードする。一部の実施形態では、改変は、対応する位置での、ハツカネズミ(Mus musculus)、「MOUSE」(配列番号10);ドブネズミ(Rattus norvegicus)、「RAT」(配列番号11);アカゲザル(Macaca mulatta)、「MACMU」(配列番号12);ニシゴリラ(Gorilla gorilla)、「GORILLA」(配列番号13);カニクイザル(Macaca fascicularis)、「CYNO」(配列番号14);アヌビスヒヒ(Papio Anubis)、「OLIVE BABOON」(配列番号15);ボノボ(Pan paniscus)、「BONOBO」(配列番号16);チンパンジー(Pan troglodytes)、「CHIMP」(配列番号17);およびEBVB9(配列番号18)のアミノ酸による置換、挿入、および/または欠失である。一部の実施形態では、ヒトIL-10のバリアントは、配列番号19または配列番号20の配列を有する。
【0130】
一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、ヒトIL-10と比較して免疫刺激活性が低減されたヒトIL-10のバリアントをコードする。一部の実施形態では、ヒトIL-10のバリアントは、I105A置換を含む。一部の実施形態では、ヒトIL-10のバリアントは、A Single Amino Acid Determines the Immunostimulatory Activity of Interleukin 10, J Exp Med, 191, 2, 2000, p.213-223に記載される方法を使用して作製される。
【0131】
外因性ポリヌクレオチドは、形質導入されたCD4T細胞においてコードされるIL-10の発現を方向付ける発現制御エレメントをさらに含む。
【0132】
一部の実施形態では、発現制御エレメントは、CD4T細胞においてIL-10の発現を方向付けることが可能なプロモーターを含む。一部の実施形態では、プロモーターは、CD4T細胞においてIL-10の構成的発現を駆動する。一部の実施形態では、プロモーターは、活性化CD4T細胞においてIL-10の発現を駆動する。
【0133】
一部の実施形態では、治療上適切である場合、誘導型プロモーターを使用して、IL-10の発現を誘導する。一部の実施形態では、IL-10プロモーターを使用する。一部の実施形態では、組織特異的プロモーターを使用する。一部の実施形態では、系列特異的プロモーターを使用する。一部の実施形態では、遍在性に発現されるプロモーターを使用する。
【0134】
一部の実施形態では、天然のヒトプロモーターを使用する。一部の実施形態では、ヒト伸長因子(EF)1αプロモーターを使用する。一部の実施形態では、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PGK)を使用する。一部の実施形態では、ヒトユビキチンCプロモーター(UBI-C)を使用する。
【0135】
一部の実施形態では、合成プロモーターを使用する。ある特定の実施形態では。最小CMVコアプロモーターを使用する。特定の実施形態では、誘導型または構成的双方向性プロモーターを使用する。特異的実施形態では、Amendola et al., Nature Biotechnology, 23(1):108-116(2005)に開示される合成の双方向性プロモーターを使用する。このプロモーターは、2つのmRNAの協調された転写を遍在的または組織特異的に媒介することができる。ある特定の実施形態では、双方向性プロモーターは、IL-10および選択マーカーの発現を誘導する。
【0136】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、形質導入が成功したCD4T細胞の選択を許容する選択マーカーをコードするセグメントをさらに含む。一部の実施形態では、選択マーカーはΔNGFRである。ある特定の実施形態では、選択マーカーは、配列番号3の配列を有するポリペプチドである。ある特定の実施形態では、選択マーカーは、配列番号3と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有するポリペプチドである。特定の実施形態では、ΔNGFR選択マーカーをコードするヌクレオチド配列は、配列番号4の配列を有する。一部の実施形態では、ΔNGFR選択マーカーをコードするヌクレオチド配列は、配列番号4と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有する。
【0137】
一部の実施形態では、選択マーカーの発現は、外因性ポリヌクレオチドからのIL-10の発現と相関する。一部の実施形態では、選択マーカーの発現は、外因性ポリヌクレオチドからのIL-10の発現と線形に相関する。したがって、一部の実施形態では、選択マーカーの発現を測定して、外因性ポリヌクレオチドからのIL-10の発現を推定する。
【0138】
一部の実施形態では、選択マーカーは、EGFRポリペプチドの切断型である。一部の実施形態では、選択マーカーは、ヒトEGFRポリペプチド、任意選択でその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wang et al. "A transgene-encoded cell surface polypeptide for selection, in vivo tracking, and ablation of engineered cells", Blood, v. 118, n. 5(2011)に開示されるhuEGFRの切断型である。
【0139】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、抗生物質耐性遺伝子をコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、アンピシリン耐性遺伝子をコードする配列を含む。
【0140】
典型的な実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、ベクターを使用してCD4T細胞に送達される。一部の実施形態では、ベクターはプラスミドベクターである。一部の実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。
【0141】
ある特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、レンチウイルスベクターを使用してCD4T細胞に送達され、外因性ポリヌクレオチドは、レンチウイルスベクター配列を含む。ある特定の実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる、Matrai et al., Molecular Therapy 18(3):477-490(2010)(「Matrai」)に開示されるレンチウイルスベクターを使用する。
【0142】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、T細胞核ゲノムに組み込まれることが可能である。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、T細胞核ゲノムに組み込まれることが可能ではない。一部の実施形態では、組み込み能欠損型レンチウイルスベクターを使用する。例えば、一部の実施形態では、組み込み能欠損型またはMatraiに開示される他のレンチウイルスベクターを使用する。一部の実施形態では、インテグラーゼ欠損型レンチウイルスを使用する。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Matrai et al., Hepatology 53:1696-1707(2011)に記載される、インテグラーゼに不活化変異(D64V)を含有するインテグラーゼ欠損型レンチウイルスを使用することができる。
【0143】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、T細胞核ゲノムに組み込まれている。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、核ゲノムに組み込まれていない。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、T細胞の細胞質に存在する。
【0144】
特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号5の配列を有する。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号5と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有する。
【0145】
6.3.3.ポリドナーCD4IL-10T細胞の遺伝子発現
ポリドナーCD4IL-10T細胞は、IL-10を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、IL-10を構成的に発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、活性化されるとIL-10を発現する。
【0146】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD4T細胞10個/mL培養培地あたり少なくとも100pgのIL-10を構成的に発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD4T細胞10個/mL培養培地あたり少なくとも200pg、500pg、1ng、5ng、10ng、または50ngのIL-10を構成的に発現する。
【0147】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、抗CD3および抗CD28抗体の組合せ、または抗CD3抗体および抗CD28抗体コーティングビーズの組合せによる活性化後、CD4T細胞10個/mL培養培地あたり少なくとも1ngまたは2ngのIL-10を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、抗CD3および抗CD28抗体、またはCD3抗体およびCD28抗体コーティングビーズによる活性化後、CD4T細胞10個/mL培養培地あたり少なくとも5ng、10ng、100ng、200ng、または500ngのIL-10を発現する。
【0148】
様々な実施形態では、IL-10産生量は、タンパク質の検出および測定のための様々な方法、例えばELISA、分光手順、比色定量、アミノ酸分析、放射線標識、エドマン分解、HPLC、ウェスタンブロッティング等を使用して活性化の12時間、24時間、または48時間後に決定される。好ましい実施形態では、IL-10産生量は、抗CD3および抗CD28抗体による活性化の48時間後にELISAによって決定される。
【0149】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、非改変CD4T細胞より少なくとも5倍高いレベルでIL-10を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、非改変CD4T細胞より少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、または50倍高いレベルでIL-10を発現する。
【0150】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、選択マーカーをさらに発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、Tr1細胞において典型的に発現されるタンパク質を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、Tr1細胞に特徴的なマーカータンパク質を発現する。
【0151】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD49bを発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、LAG-3を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、TGF-βを発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、IFNγを発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、グランザイムB(GzB)を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、骨髄系抗原提示細胞または骨髄系腫瘍細胞によって活性化されると、グランザイムB(GzB)を放出する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、パーフォリンを発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、骨髄系抗原提示細胞または骨髄系腫瘍細胞によって活性化されると、パーフォリンを放出する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD18を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD2を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD226を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、IL-22を発現する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、IL-10を発現する。
【0152】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、Tr1細胞の少なくとも1つの表現型機能を示す。様々な実施形態では、機能は、IL-10の分泌、TGF-βの分泌、ならびにグランザイムB(GzB)およびパーフォリンの放出を通しての骨髄系の抗原提示細胞の特異的殺滅である。
【0153】
6.3.4.プロセスの産物
典型的な実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドによって改変することによって得られる。
【0154】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターまたはプラスミドベクターによってCD4T細胞に導入される。特定の実施形態では、CD4T細胞は、IL-10のコード配列を含有するレンチウイルスを形質導入される。
【0155】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られた初代培養CD4T細胞をプールすること;および(ii)プールされたCD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって改変すること、によって生成される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから初代培養CD4T細胞を得ること;(ii)各ドナーのCD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって個別に改変すること、および次に(iii)遺伝子改変CD4T細胞をプールすること、によって生成される。
【0156】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、CD4T細胞を活性化することが可能なタンパク質の存在下で培養されている。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、抗CD3抗体および抗CD28抗体、または抗CD3抗体および抗CD28抗体コーティングビーズの存在下で培養されている。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、抗CD3抗体、抗CD28抗体、およびIL-2、または抗CD3抗体および抗CD28抗体コーティングビーズおよびIL-2の存在下で培養されている。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、Miltenyi BiotecのT Cell TransAct(商標)の存在下で培養されている。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、STEMCELL TechnologiesのImmunoCult Human T Cell Activator(商標)の存在下で培養されている。
【0157】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、凍結保存物中に存在する。
【0158】
6.4.医薬組成物
別の態様では、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、本明細書に開示されるポリドナーCD4IL-10T細胞および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む。
【0159】
医薬組成物は、ヒト医学または獣医学にとって適切な任意の投与経路によって投与するために製剤化することができる。典型的な実施形態では、組成物は、静脈内(IV)投与のために製剤化される。一部の実施形態では、組成物は、静脈内(IV)注入のために製剤化される。IV投与のために製剤化される実施形態では、医薬組成物は、発熱物質を含まず、好適なpH、等張性、および安定性を有する、非経口投与で許容される水溶液の形態である。
【0160】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体または希釈剤は、食塩水、乳酸加リンゲル液、または他の生理的に適合性の溶液である。様々な実施形態では、医薬組成物溶液は、2~20%、好ましくは5%ヒト血清アルブミンを含む。
【0161】
一部の実施形態では、全身投与、特に静脈内投与によって医薬組成物を投与するために適合される医薬組成物の単位投与剤形が提供される。
【0162】
一部の実施形態では、単位投与剤形は、10~1011個のポリドナーCD4IL-10T細胞、10~1010個のポリドナーCD4IL-10T細胞、10~10個のポリドナーCD4IL-10T細胞、10~1010個のポリドナーCD4IL-10T細胞、10~10個のポリドナーCD4IL-10T細胞、10~10個のポリドナーCD4IL-10T細胞、または10~10個のポリドナーCD4IL-10T細胞を含有する。
【0163】
典型的な実施形態では、単位投与剤形の医薬組成物は液体形態で存在する。
【0164】
6.5.ポリドナーCD4IL-10細胞を作製する方法
別の態様では、本開示は、ポリドナーCD4IL-10細胞を作製する方法を提供する。
【0165】
一部の実施形態では、方法は、(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られた初代培養CD4T細胞をプールするステップ;および(ii)プールされたCD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって改変するステップを含む。他の実施形態では、方法は、(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから初代培養CD4T細胞を得るステップ;(ii)各ドナーのCD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって個別に改変するステップ;および次に(iii)遺伝子改変CD4T細胞をプールして、それによってポリドナーCD4IL-10細胞を得るステップを含む。当技術分野で公知の様々な方法を使用して、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを、初代培養CD4T細胞に導入することができる。
【0166】
一部の実施形態では、方法は、初代培養CD4T細胞または遺伝子改変CD4T細胞を、抗CD3抗体および抗CD28抗体、または抗CD3抗体および抗CD28抗体コーティングビーズの存在下でインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、初代培養CD4T細胞または遺伝子改変CD4T細胞を、抗CD3抗体、抗CD28抗体およびIL-2、または抗CD3抗体および抗CD28抗体コーティングビーズおよびIL-2の存在下でインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、初代培養CD4T細胞または遺伝子改変CD4T細胞を、フィーダー細胞混合物の存在下でインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、初代培養CD4T細胞または遺伝子改変CD4T細胞を、抗CD3抗体および抗CD28抗体のナノ調製物の存在下でインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、インキュベーションは、Miltenyi BiotecのT Cell TransAct(商標)の存在下で行われる。一部の実施形態では、インキュベーションは、STEMCELL TechnologiesのImmunoCult Human T Cell Activator(商標)の存在下で行われる。
【0167】
一部の実施形態では、インキュベーションステップは、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入する前に実施される。一部の実施形態では、インキュベーションステップは、(i)少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得られた初代培養CD4T細胞をプールした後であるが;(ii)プールしたCD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって改変する前に実施される。一部の実施形態では、インキュベーションステップは、(i)初代培養CD4T細胞を少なくとも2人の異なるT細胞ドナーから得た後であるが;(ii)各ドナーのCD4T細胞を、IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって個別に改変する前に実施される。
【0168】
一部の実施形態では、インキュベーションステップは、ステップ(ii)の後に実施される。言い換えれば、一部の実施形態では、インキュベーションステップは、(ii)IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって、プールしたCD4T細胞を改変するステップの後に実施される。一部の実施形態では、インキュベーションステップは、(ii)IL-10をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することによって各ドナーのCD4T細胞を個別に改変した後であるが、(iii)遺伝子改変CD4T細胞をプールして、それによって遺伝子改変CD4T細胞を得る前に実施される。一部の実施形態では、インキュベーションステップは、(iii)遺伝子改変CD4T細胞をプールして、それによってポリドナーCD4IL-10細胞を得た後に実施される。
【0169】
一部の実施形態では、インキュベーションステップは、1回より多く実施される。一部の実施形態では、インキュベーションステップは、CD4T細胞の遺伝子改変の前および後の両方で実施される。
【0170】
一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターを使用して初代培養CD4T細胞に導入される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号1の配列を有するIL-10をコードするセグメントを含む。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有するIL-10をコードするセグメントを含む。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは配列番号2の配列を有する。一部の実施形態では、IL-10をコードするポリヌクレオチドセグメントは、配列番号2と少なくとも90%、95%、98%、または99%配列同一性を有する。一部の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、形質導入が成功したCD4T細胞の選択を許容するマーカーをコードするセグメントをさらに含む。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーはΔNGFRである。ある特定の実施形態では、コードされる選択マーカーは配列番号3の配列を有する。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、配列番号4の配列を含む。一部の実施形態では、コードされる選択マーカーは、ヒトEGFRポリペプチドの切断型である。
【0171】
一部の実施形態では、方法は、選択マーカーを発現する遺伝子改変CD4T細胞を単離し、それによって遺伝子改変CD4IL-10細胞の濃縮集団を生成するステップをさらに含む。
【0172】
一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも70%が、選択マーカーを発現する。一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも95%が、選択マーカーを発現する。一部の実施形態では、濃縮集団中の遺伝子改変CD4T細胞の少なくとも96、97、98、または99%が、選択マーカーを発現する。
【0173】
一部の実施形態では、方法は、遺伝子改変CD4T細胞の濃縮集団をインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、インキュベーションは、抗CD3抗体および抗CD28抗体、または抗CD3抗体および抗CD28抗体コーティングビーズの存在下で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、さらにIL-2の存在下で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、フィーダー細胞の存在下で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、抗CD3抗体および抗CD28抗体のナノ調製物の存在下で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、Miltenyi BiotecのT Cell TransAct(商標)の存在下で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、STEMCELL TechnologiesのImmunoCult Human T Cell Activator(商標)の存在下で実施される。
【0174】
一部の実施形態では、方法は、遺伝子改変CD4T細胞を凍結するステップをさらに含む。
【0175】
一部の実施形態では、初代培養CD4T細胞は、そのHLAハプロタイプに基づいて選択されるドナーに由来する。一部の実施形態では、方法は、その遺伝情報を解析することによってT細胞ドナーを選択するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、潜在的T細胞ドナーの遺伝情報またはHLAハプロタイプを解析するステップを含む。
【0176】
一部の実施形態では、初代培養CD4T細胞は、初代培養CD4T細胞またはその改変によって処置される宿主と少なくとも部分的なHLA一致を有するドナーに由来する。一部の実施形態では、初代培養CD4T細胞は、幹細胞(HSC)、組織、または臓器ドナーと少なくとも部分的HLA一致を有するドナーに由来する。一部の実施形態では、初代培養CD4T細胞は、宿主と生物学的血縁がない第三者ドナーから得られる。一部の実施形態では、初代培養CD4T細胞は、幹細胞、組織、または臓器ドナーと生物学的血縁がない第三者ドナーから得られる。
【0177】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10人の異なるT細胞ドナーから得られる。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも1/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して少なくとも1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-B座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-C座で互いに対して2/2の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して少なくとも3/4または4/4の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーの各々は、A02またはA24対立遺伝子を有する。
【0178】
一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で互いに対して5/10、6/10、7/10、8/10、または9/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で互いに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-A座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-B座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-C座で互いに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、少なくとも2人のT細胞ドナーは、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で互いに対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0179】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、1つまたは複数の凍結保存物から得られる。一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、少なくとも2人の異なるT細胞ドナーの凍結していない末梢血単核細胞から得られる。一部の実施形態では、方法は、CD4T細胞を末梢血単核細胞から単離するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ステップ(i)において、初代培養CD4T細胞は、液体浮遊液から得られる。一部の実施形態では、液体浮遊液は、事前に凍結した保存物から得られる。
【0180】
一部の実施形態では、ドナーからのCD4T細胞を、患者の抗原提示細胞(単球、樹状細胞、またはDC-10細胞)と接触させて、アロ特異的CD4T細胞を生成し、これを次に高レベルのIL-10を産生するように改変する(アロ-CD4IL-10細胞)。
【0181】
一部の実施形態では、方法は、宿主からの末梢血単核細胞(PBMC)の存在下でCD4T細胞をアネルギー化するステップを含まない。一部の実施形態では、方法は、組換えIL-10タンパク質の存在下でCD4T細胞をアネルギー化するステップを含まず、組換えIL-10タンパク質は、CD4T細胞から発現されない。一部の実施形態では、方法は、宿主からのDC10細胞の存在下でCD4T細胞をアネルギー化するステップを含まない。
【0182】
6.6.ポリドナーCD4IL-10細胞を使用する方法
なお別の態様では、本開示は、患者を処置する方法であって、本明細書に提供されるポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物を、免疫寛容を必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0183】
一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞の凍結浮遊液を融解する事前のステップをさらに含む。
【0184】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞、または医薬組成物は、患者における病原性のT細胞応答を防止するかまたはその重症度を低減させる。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、炎症を低減させる。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、組織修復を増強する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、自己および非病原性抗原に対する免疫寛容を増強し、免疫系の恒常性を維持する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、臓器移植、GvHD、ならびに様々な自己免疫および炎症疾患に関連する病原性のT細胞応答を下方調節する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、自己免疫疾患を処置する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、NLPR3インフラマソームの過剰活性を低減させる、またはNLPR3インフラマソームの過剰活性に関連する症状を低減させる。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、腫瘍細胞の死を誘導する、または腫瘍成長を低減させる。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、無病生存期間(例えば、微小残存病変の非存在)を増加させる。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、創傷治癒または組織修復を誘導する。
【0185】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、患者における病原性のT細胞応答の重症度を防止または低減させるために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、炎症を低減させるために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、組織修復を増強するために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、自己および病原性抗原に対する免疫寛容を増強するためならびに免疫系の恒常性を維持するために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、臓器移植、GvHDおよび様々な自己免疫または炎症疾患に関連する病原性のT細胞応答を下方調節するために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、自己免疫疾患を処置するために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、NLPR3インフラマソームの過剰活性を低減させるために、またはNLPR3インフラマソームの過剰活性に関連する症状を低減させるために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、腫瘍細胞の死を誘導するために、または腫瘍の成長を低減させるために有効な量で投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、無病生存期間(例えば、微小残存病変(minimal residual disease)の非存在)を増加させるために有効な量で投与される。
【0186】
一部の実施形態では、処置方法は、投与後の患者においてポリドナーCD4IL-10細胞をモニターすることをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者から得た生物試料中の選択マーカーを検出し、それによってポリドナーCD4IL-10T細胞の存在または非存在を検出するステップを含む。一部の実施形態では、選択マーカーは、患者におけるポリドナーCD4IL-10細胞の存在の変化を追跡するために複数の時点で検出される。一部の実施形態では、生物試料は、患者からの生検または血液試料である。
【0187】
ポリドナーCD4IL-10T細胞は、治療有効量で投与される。量は、体重および他の臨床要因に基づいて決定され得る。一部の実施形態では、細胞10~10個/kgが投与される。一部の実施形態では、細胞10~10個/kgが投与される。一部の実施形態では、細胞10~10個/kgが投与される。一部の実施形態では、細胞10~10個/kgが投与される。一部の実施形態では、細胞10~10個/kgが投与される。一部の実施形態では、細胞10~10個/kgが投与される。
【0188】
様々な実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、治療上有効なスケジュールで投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10T細胞は、1回投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、毎日、3日毎、7日毎、14日毎、21日毎、または毎月投与される。
【0189】
ポリドナーCD4IL-10T細胞は、異なる投与経路に従って、例えば全身、皮下、または腹腔内に投与され得る。一部の実施形態では、細胞は、2~20%、好ましくは5%ヒト血清アルブミンを含有し得る食塩水または生理的溶液中で投与される。
【0190】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10を投与することは、疾患、状態、またはその症状を完全または部分的に防止するという点で、予防的である。
【0191】
6.6.1.GvHDを低減または防止する方法
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞またはポリドナーCD4IL-10細胞を含む医薬組成物を使用して、造血幹細胞(HSC)移植(HSCT)の前、HSCTと同時、またはHSCTの後に患者を処置する。
【0192】
様々な実施形態では、HSCTは、一致した血縁のHSCTである。様々な実施形態では、HSCTは、ハプロタイプ一致HSCT、不一致の血縁HSCT、または不一致の非血縁HSCTである。
【0193】
一部の実施形態では、患者は、アロHSCTによる処置を必要とする血液悪性疾患を有する。一部の実施形態では、血液悪性疾患は、異常な骨髄系細胞によって媒介される。
【0194】
一部の実施形態では、T細胞ドナーは、ポリドナーCD4IL-10細胞およびHSCによって処置される患者の遺伝情報、および/またはHSCドナーの遺伝情報に基づいて選択される。一部の実施形態では、T細胞ドナーは、ポリドナーCD4IL-10細胞およびHSCによって処置される患者のHLAハプロタイプ、および/またはHSCドナーのHLAハプロタイプに基づいて選択される。一部の実施形態では、方法は、CD4IL-10細胞を投与する前に、T細胞ドナーの遺伝情報またはHLAハプロタイプを解析するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、宿主の遺伝情報またはHLAハプロタイプを解析するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、HSCドナーの遺伝情報またはHLAハプロタイプを解析するステップをさらに含む。
【0195】
一部の実施形態では、T細胞ドナー、宿主、およびHSCドナーは、生物学的に無関係である。一部の実施形態では、T細胞ドナー、宿主およびHSCドナーは、異なるHLAハプロタイプを有する。一部の実施形態では、T細胞ドナー、宿主、およびHSCドナーは、HLAハプロタイプに少なくとも部分的不一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーは、閾値より上のHLA一致を有するHLAハプロタイプを有する場合に選択される。
【0196】
一部の実施形態では、HSCドナーは、患者に対して部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10、または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で患者に対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で患者に対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、HSCドナーは、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で患者に対して3/4または4/4未満の一致を有する。
【0197】
一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、患者に対してHLA不一致または部分的にHLA不一致である。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座で患者に対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10、または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で患者に対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座で患者に対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座で患者に対して2/4、3/4、または4/4未満の一致を有する。
【0198】
一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HSCドナーとHLA不一致であるか、または部分的HLA不一致である。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、およびHLA-DQB1座でHSCドナーに対して5/10、6/10、7/10、8/10、9/10、または10/10未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRB1座で、HSCドナーに対して4/8、5/8、6/8、7/8、または8/8未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C座でHSCドナーに対して2/2未満の一致を有する。一部の実施形態では、T細胞ドナーの1人または複数は、HLA-DRB1およびHLA-DQB1座でHSCドナーに対して3/4または4/4未満の一致を有する。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、移植された造血幹細胞によるGvHDを防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0199】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、移植された造血細胞による病原性のT細胞応答を防止するかまたはその重症度を低減させる。特定の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、GvHDを防止するかまたは低減させる。
【0200】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、病原性のT細胞または炎症によって誘導される組織損傷を防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0201】
6.6.2.がんを処置する方法
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、がんを処置するために使用される。好ましい実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、抗腫瘍効果を直接媒介し、特定の実施形態では、抗白血病効果を直接媒介する。
【0202】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、がんを処置するために同種単核細胞またはPBMCと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、PBMCの投与前または投与後に投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞および同種単核細胞またはPBMCは、同時に投与される。
【0203】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞および同種単核細胞またはPBMCは、1:3、1:2、1:1、2:1または3:1の比で投与される。
【0204】
一部の実施形態では、腫瘍性細胞はCD13を発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞はHLA-クラスIを発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞はCD54を発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞は、CD13、HLA-クラスIおよびCD54を発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞はCD112を発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞はCD58を発現する。一部の実施形態では、腫瘍性細胞はCD155を発現する。一部の実施形態では、腫瘍は、CD112、CD58、またはCD155を発現する。様々な実施形態では、腫瘍は、固形腫瘍または血液腫瘍である。
【0205】
一部の実施形態では、患者は、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、成人の脳/CNS腫瘍、小児の脳/CNS腫瘍、乳がん、男性乳がん、原発不明がん、キャッスルマン病、子宮頸がん、結腸/直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、ユーイングファミリー腫瘍、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭下咽頭がん、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML、骨髄肉腫および皮膚白血病を含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性(CML)白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、小児白血病、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、口腔中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫-成人軟部組織がん、皮膚がん、皮膚がん-基底細胞および扁平上皮、皮膚がん-黒色腫、皮膚がん-メルケル細胞、小腸がん、胃がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなる群から選択されるがんを有する。
【0206】
一部の実施形態では、がんは骨髄腫瘍である。特定の実施形態では、がんは、AMLまたはCMLである。一部の実施形態では、がんは骨髄腫瘍である。
【0207】
一部の実施形態では、方法は、血液、骨髄、およびリンパ節に影響を及ぼす血液がんを処置するために使用される。様々な実施形態では、血液がんは、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫)、リンパ球性白血病、骨髄腫である。様々な実施形態では、血液がんは、急性または慢性骨髄性(骨髄性)白血病(AML、CML)、または骨髄異形成症候群である。
【0208】
一部の実施形態では、がんは、難治性であるか、または治療介入に対して抵抗性である。
【0209】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、治療介入と組み合わせて使用される。組合せは、同時であってもよく、または異なる時間で行われてもよい。好ましくは、治療介入は、化学療法、放射線療法、アロ-HSCT免疫抑制、輸血、骨髄移植、成長因子、生物製剤からなる群から選択される。
【0210】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、腫瘍浸潤性および腫瘍成長促進性骨髄系列細胞(例えば、単球、マクロファージ、好中球)の細胞死を誘導する。
【0211】
6.6.3.炎症疾患または自己免疫疾患を処置する方法
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、炎症疾患または自己免疫疾患を処置するために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、NLPR3インフラマソームの過剰活性を伴う疾患または障害を処置するために投与される。
【0212】
NOD様受容体ファミリー(NLR)タンパク質NLRP3は、病原体、環境、または内因性起源からの危険なシグナルを感知する細胞内シグナル伝達分子である。活性化後、NLPR3は、カスパーゼ-1と相互作用して、インフラマソームと呼ばれる複合体を形成する。これは、カスパーゼ-1の活性化をもたらし、これは炎症促進性サイトカインであるIL-1βおよびIL-18をその活性型へと切断し、パイロトーシスとして公知の炎症細胞死のタイプを媒介する。
【0213】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、マックルウェルズ症候群(MWS)、家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)および新生児発症型多系統炎症疾患(NOMID)から選択される炎症疾患を処置するために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、非アルコール性脂肪性肝炎、変形性関節症、珪肺症、石綿肺症、痛風、および肺線維症から選択される慢性疾患を処置するために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症および全身性エリテマトーデス、または炎症性眼疾患、例えば糖尿病性網膜症、急性緑内障、および加齢関連黄斑変性症を処置するために投与される。
【0214】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、NLRP3に関連する疾患を処置するために投与される。疾患は、CAPS、NASH、アルツハイマー病、パーキンソン病、心血管疾患、変形性関節症、痛風、偽痛風、腎石灰化症、II型糖尿病、シェーグレン症候群、鎌状赤血球症(SCD)、AMD、感染症、脳性マラリア、石綿肺症、接触性過敏症、日焼け、珪肺症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、腎石灰化症、ALS、骨髄異形成症候群、およびぶどう膜炎からなる群から選択され得る。
【0215】
一部の実施形態では、疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、加齢関連認知障害、前頭側頭型認知症、外傷性脳損傷、脳内出血、敗血症関連脳症、脳虚血、くも膜下出血、てんかん、アクリルアミド中毒、オピオイド誘発性神経炎症、慢性偏頭痛、周術期神経認知障害、卒中後認知障害、心停止後認知障害、社会的孤立誘発性認知障害、不安、および外傷後ストレス障害から選択される脳障害である。
【0216】
一部の実施形態では、疾患は、喘息、IR肺損傷、ARDS/COPD、粒子状物質誘発肺損傷、放射線肺炎、肺高血圧症、サルコイドーシス、嚢胞性線維症、およびアレルギー性鼻炎から選択される肺障害である。
【0217】
一部の実施形態では、疾患は、アテローム性動脈硬化症、心不全、高血圧症、心筋梗塞、心房細動、代謝機能障害によって誘発される心損傷、および内皮機能障害から選択される心障害である。
【0218】
一部の実施形態では、疾患は、消化器疾患、例えば大腸炎である。一部の実施形態では、疾患は、急性肝不全、免疫の概日リズム調節、NASH、糖尿病性認知機能障害、IR肝損傷、特異体質性薬物性肝損傷および肝線維症から選択される肝障害である。一部の実施形態では、疾患は、糖尿病性脳症、糖尿病性アテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性、島移植拒絶、慢性結晶腎症、腎線維症、I/R腎損傷、肥満関連腎疾患、および腎高血圧症から選択される膵障害または腎障害である。一部の実施形態では、疾患は、乾癬および網膜血管新生から選択される皮膚または眼障害である。一部の実施形態では、疾患は、生殖障害、例えば早産である。一部の実施形態では、疾患は、原発性月経困難症、自然免疫、自然免疫から獲得免疫、全身性エリテマトーデス-ループス腎炎、および多発性硬化症から選択される免疫障害である。一部の実施形態では、疾患は、マックルウェルズ症候群、リウマチ性関節炎、鎌状赤血球症、およびVCP関連疾患から選択される遺伝性障害である。一部の実施形態では、疾患は、多発性硬化症関連神経障害性疼痛、慢性前立腺炎/慢性骨盤痛、がん誘発性骨痛、および痛覚過敏から選択される疼痛障害である。一部の実施形態では、疾患は、がん、例えば頭部および頸部がんのヒト扁平上皮がんである。一部の実施形態では、疾患は、感染障害、例えば細菌、ウイルス、または寄生虫感染症である。
【0219】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、NLRP3関連疾患の現在利用可能な処置、例えばIL-1を標的とする生物剤と組み合わせて使用される。生物剤は、組換えIL-1受容体拮抗剤アナキンラ、中和性IL-1β抗体カナキヌマブおよび可溶性デコイIL-1受容体リロナセプトを含む。
【0220】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患、SLE、MS、CD、潰瘍性大腸炎(UC)、変形性関節症、非アルコール性脂肪性肝炎(Nash)、パーキンソン病、ALS、肺線維症、珪肺症、石綿肺症、糖尿病性網膜症、および加齢関連黄斑変性から選択される疾患を処置するために投与される。
【0221】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、炎症を処置するために投与される。炎症は、これらに限定されないが、冠動脈疾患(CAD)、2型糖尿病、神経変性疾患、または炎症性腸疾患に関係し得る。
【0222】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-1β産生の増加を伴う疾患または障害を処置するために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-18産生の増加を伴う疾患または障害を処置するために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞による成熟カスパーゼ-1産生の増加を伴う疾患または障害を処置するために投与される。
【0223】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-1β産生を低減させるために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞によるIL-18産生を低減させるために投与される。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、活性化された単球、マクロファージ、または樹状細胞による成熟カスパーゼ-1産生を低減させるために投与される。
【0224】
6.6.4.他の障害を処置する方法
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、自己免疫疾患を処置するために投与される。
【0225】
一部の実施形態では、自己免疫疾患は、1型糖尿病、自己免疫性ぶどう膜炎、自己免疫性肝炎、白斑、円形脱毛症、リウマチ性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、アジソン病、グレーヴス病、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性血管炎、悪性貧血、潰瘍性大腸炎、水疱疾患、強皮症、およびセリアック病からなる群から選択される。一部の実施形態では、自己免疫疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、1型糖尿病、狼瘡、乾癬、乾癬性関節炎、またはリウマチ性関節炎である。一部の実施形態では、患者はアレルギー性またはアトピー性疾患を有する。アレルギー性またはアトピー性疾患は、喘息、アトピー性皮膚炎、および鼻炎からなる群から選択され得る。一部の実施形態では、患者は食物アレルギーを有する。
【0226】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、HSCT以外の細胞および臓器移植に対する病原性のT細胞応答を防止するまたはその重症度を低減させるために投与される。一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10T細胞または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、患者に臓器移植を行うステップを含む。ある特定の実施形態では、臓器は、腎臓、心臓、または膵島細胞である。好ましい実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物は、臓器移植の宿主拒絶を防止するかまたはその重症度を低減させる。
【0227】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、遺伝子治療、例えば組換えAAV(rAAV)の投与に関連する免疫応答を防止または低減させるために投与される。これらの実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、患者に組換えAAVを投与するステップをさらに含む。
【0228】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、iPS細胞由来組織または細胞の移植に関連する免疫応答を防止または低減させるために投与される。iPS由来組織および細胞としては、これらに限定されないが、心筋細胞、肝細胞、上皮細胞、軟骨、骨および筋細胞、ニューロンが挙げられる。
【0229】
一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、ウイルス感染症に対する患者の過剰活性免疫応答を低減させるために投与される。一部の実施形態では、ウイルスは、SARS-coV-2である。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞は、細菌感染症に対する過剰活性免疫応答、例えば毒素性ショックおよびサイトカインストームを低減させるために投与される。
【0230】
一部の実施形態では、方法は、ポリドナーCD4IL-10細胞集団、または医薬組成物の投与前または投与後のいずれかに、免疫治療剤タンパク質を患者に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリドナーCD4IL-10細胞集団、または医薬組成物は、免疫原性治療タンパク質に対する免疫応答を低減させる。一部の実施形態では、免疫治療タンパク質は、治療抗体、第VIII因子置換、サイトカイン、およびサイトカイン変異タンパク質から選択される。
【実施例
【0231】
6.7.実施例
以下の実施例を、限定ではない例証として提供する。
【0232】
6.7.1.実験上の知見の要約
本開示は、ヒトIL-10遺伝子およびヒトNGFRの切断型の非シグナル伝達型を含有する双方向性レンチウイルスベクターが形質導入されている高度精製同種CD4T細胞の産生および使用のための方法を提供する。形質導入が成功したCD4T細胞を、NGFR特異的モノクローナル抗体を利用して精製すると、>95%純粋なIL-10産生性でNGFRを発現するCD4T細胞(CD4IL-10細胞と呼ぶ)をもたらした。3人の異なる同種HLA不一致ドナーからのCD4IL-10細胞を、1:1:1の比でプールした。
【0233】
これらのプールした集団は、本明細書においてポリドナーCD4IL-10細胞とも呼ばれ、単一ドナーCD4IL-10細胞および天然由来の1型制御性T(Tr1)細胞のプロファイルと同等のサイトカイン産生プロファイルを有した。それらは、高レベルのIL-10およびIL-22、多様なレベルのIFN-γおよびIL-5、ならびに低レベルのIL-4を産生する。ポリドナーCD4IL-10細胞は、多クローン性(複数の抗原特異性を有する)であり、同種CD4およびCD8T細胞の両方のin vitroでの増殖を抑制した。加えて、それらは、骨髄性白血病細胞をin vitroで特異的に殺滅した。加えて、ポリドナーCD4IL-10細胞は、NLPR3インフラマソーム活性化、ならびにin vitroでのヒト単球による炎症促進性IL-1βおよびIL-18産生を阻害した。
【0234】
ヒト化マウス移植片対宿主病(GvHD)モデルにおけるポリドナーCD4IL-10細胞の養子移入は、これらの細胞が、脾臓および骨髄へと効率的にホーミングすることを示した。ヒト化マウスGvHDモデルにおけるポリドナーCD4IL-10細胞の養子移入は、ヒトCD4T細胞またはPBMCによって誘導される重度のxeno-GvHDを阻害した。重要なことに、たとえ高濃度であっても、ポリドナーCD4IL-10細胞は、単独でGvHDを誘導しなかった。加えて、ポリドナーCD4IL-10細胞は、ALL-CM細胞を静脈内注射したNSGマウスにおけるがん細胞に対して細胞傷害効果を有した。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞を、ALL-CM細胞の投与の3日後(この時点で既にこれらの細胞の大量の増大が進行中である)に注射すると、腫瘍成長の阻害をもたらした。これらの結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、in vivoで直接の治療的抗骨髄性白血病効果を有することを示している。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞をPBMCと共に投与すると、CD4IL-10細胞は、同種PBMCによって誘導されるxeno-GvHDをさらに下方調節した。
【0235】
これらの結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞を、GvHDの処置および/または防止のために使用することができ;HSCTのGvLまたはGvT治療効果を保持しながらGvHDを低減させるために白血病および他の悪性疾患の処置のための同種造血幹細胞移植(HSCT)の補助として使用することができ;ならびに細胞および臓器拒絶、ならびに自己免疫および炎症疾患を処置するために使用することができることを実証する。
【0236】
[実施例1]
ポリドナーCD4IL-10細胞の生成
ベクターの産生
ポリドナーCD4IL-10細胞を、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2016/146542号パンフレットに記載されるように、ヒトIL-10およびNGFRの切断型(ΔNGFR)の両方のコード配列を含有するレンチウイルスベクター(LV-IL-10/ΔNGFR)を形質導入することによって産生した(図1および2)。LV-IL-10/ΔNGFRを製造するために使用したヒトIL-10およびΔNGFR(pLVIL-10)をコードするプラスミドの配列を、配列番号5に提供する。簡単に説明すると、pLVIL-10を、pH15C(ATCC68192)の549bp断片からのヒトIL-10のコード配列をプラスミド#1074.1071.hPGK.GFP.WPRE.mhCMV.dNGFR.SV40PAにライゲーションすることによって生成した。双方向性プロモーター(ヒトPGKプロモータープラス反対方向のCMVプロモーターの最小コアエレメント)の存在は、2つのトランスジーンの共発現を可能にする。プラスミドは、抗生物質耐性遺伝子(例えば、アンピシリンまたはカナマイシン)のコード配列をさらに含有する。
【0237】
レンチウイルスベクターを、293T細胞へのCaPO一過性4プラスミド共トランスフェクションによって産生し、超遠心分離によって濃縮した。1μM酪酸ナトリウムを、ベクター収集のために培養物に添加した。力価を、293T細胞において限界希釈によって推定し、ベクター粒子をHIV-1 Gag p24抗原免疫捕捉(NEN Life Science Products;Waltham、MA)によって測定した。ベクターの感染力を、力価と粒子の間の比として計算した。濃縮ベクターに関して、力価は、5×10~6×10形質導入単位/mL、および感染力は5×l0~5×10形質導入単位/ngの範囲であった。
【0238】
CD4IL-10細胞の産生
図3は、CD4IL-10細胞の生産プロセスの概略図である。健康なドナーからのCD4T細胞を精製した。ヒトCD4T細胞を、可溶性抗CD3、可溶性抗CD28 mAb、およびrhIL-2(50U/mL)によって最大48時間活性化した後、ヒトIL-10およびヒトNGF受容体の切断型をコードする双方向性レンチウイルスベクター(LV-IL-10/ΔNGFR)を感染多重度(MOI)20で形質導入した。
【0239】
9~11日後、形質導入した細胞を、ΔNGFRの発現に関してFACSによって解析し、ベクターコピー数(VCN)を、デジタルドロップレットPCR(ddPCR)によって定量した。
【0240】
10人の異なるドナーからのCD4T細胞の平均形質導入効率は、45±17%であり、VCNは、2.7±0.6%であった。図4Aは、LV-IL-10/ΔNGFR(ヒトIL-10およびヒトNGF受容体の切断型をコードする双方向性レンチウイルスベクター)を形質導入したヒトCD4T細胞におけるCD4ΔNGFR細胞のパーセンテージ(平均値±SD、n=10、左の棒グラフ)およびベクターコピー数(VCN、平均値±SD、n=10、右の棒グラフ)を示す。CD4ΔNGFR細胞の頻度およびベクターコピー数を、CD4IL-10細胞においてデジタルドロップレットPCR(ddPCR)によって定量した。
【0241】
ΔNGFRT細胞を、抗CD271 mAb-コーティングマイクロビーズを使用して精製し、>95%純粋なCD4IL-10細胞集団を得た。精製後、細胞を、CD4およびΔNGFRのマーカーによって染色し、FACSによって解析した。データは、精製ステップから得られた純度が98%を超えたことを示した。図4Bは、試験した10人のドナー中2人の代表的なドナー(ドナーBおよびドナーC)からのFACSデータを示す。これらの2人のドナーのCD4IL-10細胞の純度はそれぞれ、98.3%および99.2%であった。精製CD4IL-10細胞を、14日間隔で3回再刺激し、そのin vitroおよびin vivo機能を、2回目(TF2)および/または3回目の再刺激(TF3)機能後に試験した。
【0242】
休止期CD4IL-10細胞は、IL-10を構成的に産生した。活性化すると、産生されるIL-10レベルは強く増強された。
【0243】
CD4IL-10細胞は、天然由来のTr1細胞のプロファイルと同等のサイトカイン産生プロファイルを有する
【0244】
単一ドナーCD4IL-10細胞のサイトカイン産生プロファイルを、2回目(TF2)および3回目(TF3)の再刺激後に解析し、結果を図5に提供する。具体的には、CD4IL-10細胞(200μl中に2×10個)を、以前に記載されたように(Andolfi et al. Mol Ther. 2012;20(9):1778-1790およびLocafaro et al. Mol Ther. 2017;25(10):2254-2269)再刺激した。14日目、第2ラウンド(TF2)および第3ラウンド(TF3)の再刺激後、CD4IL-10細胞を、非刺激のままとしたか、または固定CD3(10μg/mL)および可溶性CD28 mAb(1μg/mL)によって48時間活性化した。培養上清を収集し、IL-10、IL-4、IL-5、IFN-γおよびIL-22のレベルを、ELISAによって決定した。全ての試料を三連で試験した。試験したn=8のドナーの平均値±SDを示す。図5に提供する結果は、固定抗CD3および可溶性抗CD28 mAbによって刺激されたCD4IL-10細胞が、Tr1細胞のサイトカイン産生プロファイルを示すことを示している。
【0245】
異なるドナー間の変動が観察されたが、2回目(TF2)(図5、左のパネル)または3回目(TF3)(図5、右のパネル)の再刺激後の全体的なサイトカイン産生プロファイルは同等であり、Tr1細胞のプロファイルを反映した(Roncarolo et al.,Immunity,2018)。Tr1細胞と同様に、CD4IL-10細胞は、高レベルのIL-10およびIL-22、多様なレベルのIL-5およびIFN-γ、比較的低レベルのIL-4、および検出不能レベルのIL-2(示していない)を産生した。
【0246】
CD4IL-10細胞は、高レベルのグランザイムを発現し、骨髄性白血病細胞を選択的に殺滅する
【0247】
CD4IL-10細胞を、第2ラウンド(TF2)の再刺激後にグランザイムB(GzB)の発現に関してさらに解析した。図6Aのデータは、7人の異なるドナーに由来する全てのCD4IL-10細胞の95%より多くが高レベルのグランザイムBを発現したことを示す。
【0248】
第2ラウンド(TF2)の再刺激からのCD4IL-10細胞を、ヒト骨髄性白血病細胞株(ALL-CM)および赤白血病細胞株(K562)に対するその細胞傷害効果に関してさらに解析した。CD4IL-10細胞(10個/ウェル)を、K562およびALL-CM細胞(10個/ウェル)と1:1の比で3日間共培養した。残存白血病細胞株(CD45low、CD3)を、各標的細胞に関してFACSによって計数した。
【0249】
CD4IL-10細胞は、図6Bに示すように骨髄性白血病細胞(ALL-CM)を選択的に殺滅した。殺滅されたALL-CM細胞の%は、62%~100%の間で変動したが、赤白血病細胞株K562(非特異的細胞傷害性およびナチュラルキラー(NK)細胞活性に対して高度に感受性である)の殺滅は、0~27%の間で変動した(試験した4人の異なるドナー)。まとめると、これらのデータは、CD4IL-10細胞がグランザイムBを発現し、骨髄性白血病細胞を有効に殺滅することを確認する。予想されたように、個々のドナーに由来するCD4IL-10細胞の殺滅能の何らかの変動が観察された。
【0250】
CD4IL-10細胞は、同種CD4およびCD8T細胞の両方の増殖性応答を抑制する
【0251】
CD4IL-10細胞をまた、同種CD4T細胞またはCD8T細胞に及ぼすその効果に関しても解析した。具体的には、同種PBMC細胞を、eFluor(登録商標)670(5×10個/ウェル)によって標識し、CD4IL-10細胞(5×10個/ウェル)の存在下または非存在下で同種成熟樹状(mDC)細胞(5×10個/ウェル)および可溶性抗CD3 mAbによって1:1のレスポンダー:サプレッサー比で刺激した。3日間培養後、増殖性のレスポンダー細胞のパーセンテージを、フローサイトメトリーによって、CD4ΔNGFRT細胞またはCD8ΔNGFRT細胞に関してゲート設定後、eFluor(登録商標)670の希釈により決定した。図7Aおよび7Bは、CD4T細胞に及ぼす、6人の異なるプールしていないドナー(図7AではドナーC、ドナーE、およびドナーF、図7BではドナーH、ドナーI、およびドナーL)からのCD4IL-10細胞の効果を、増殖および抑制のパーセンテージで示す。図8Aおよび8Bは、CD8T細胞増殖に及ぼす、6人の異なる単一ドナー(図8AではドナーC、ドナーE、およびドナーF、図8BではドナーH、ドナーI、およびドナーL)からのCD4IL-10細胞の効果を示す。
【0252】
結果は、6人の異なる単一ドナーからのプールされていない個別に試験したCD4IL-10細胞が、同種CD4およびCD8T細胞の両方の増殖応答を下方調節したことを実証した。CD4T細胞に及ぼす抑制効果は、51%~96%の間で変動したが、CD8T細胞に及ぼす抑制効果は、62%~73%の間で変動した。
【0253】
ポリドナーCD4IL-10細胞の産生および特徴付け
【0254】
CD4IL-10細胞を、複数のドナーからのCD4細胞を使用して、上記および図3に記載するように生成した。各ドナーからのCD4IL-10細胞を、2回目(TF2)および3回目(TF3)の再刺激によって刺激した。3回目の刺激後、3人のドナーからのCD4IL-10細胞を、1:1:1の比でプールし、固定CD3(10μg/mL)および可溶性CD28 mAb(1μg/mL)によって48時間刺激した。
【0255】
ポリドナーCD4IL-10細胞は、個々のドナーのCD4Il-10細胞およびTr1細胞のプロファイルと同等であるサイトカイン産生プロファイルを有する
【0256】
培養上清を収集し、IL-10、IL-4、IL-5、IFN-γおよびIL-22のレベルを、ELISAによって決定した。図9に提供される結果は、3人の異なる同種ドナーからプールした(1:1:1でプールした)ポリドナーCD4IL-10細胞のサイトカイン産生(黒色のドット)が、個々のドナー(n=8)由来のCD4IL-10細胞からのCD4IL-10細胞のそれと同等であったことを示す(灰色の棒グラフ)。ポリドナーCD4IL-10細胞は、高レベルのIL-10およびIL-22、多様なレベルのIL-5、IFN-γ、および低レベルのIL-4、および検出不能レベルのIL-2(示していない)を産生した。これらのデータは、CD4IL-10細胞をプールすることが実現可能であること、およびこれらのポリドナーCD4IL-10細胞が、単一ドナー由来のCD4IL-10細胞およびTr1細胞のサイトカイン産生シグネチャーを維持することを示している。重要なことに、プールした同種細胞集団は、>95%の生存細胞を含有し、それらが互いを殺滅しなかったことを示している。
【0257】
ポリドナーCD4IL-10細胞は、高レベルのグランザイムBを発現し、骨髄性白血病細胞株を殺滅する
【0258】
ポリドナーCD4IL-10細胞を、第3ラウンド(TF3)の再刺激後に、グランザイムB(GzB)の発現に関してさらに解析した。図10Aのデータは、ほとんどのポリドナーCD4IL-10細胞がGzBを発現することを示している。ポリドナーCD4IL-10細胞の95%より多くが、単一ドナー由来CD4IL-10細胞のGzB発現と同等であるグランザイムBを発現した(図10A)。
【0259】
第3ラウンド(TF3)の再刺激からのCD4IL-10細胞を、骨髄性白血病細胞(ALL-CM細胞株)またはK562に及ぼすその細胞傷害効果に関してさらに解析した。ポリドナーCD4IL-10細胞(10個/ウェル)を、K562およびALL-CM細胞(10個/ウェル)と、1:1の比で3日間共培養した。残存白血病細胞株(CD45low、CD3)を、各標的細胞に関してFACSにより計数した。図10Bに提供した結果は、非特異的細胞傷害性に対して高度に感受性であるK562細胞に対する何らかのレベルの細胞傷害性を示す。それにもかかわらず、単一ドナー由来CD4IL-10細胞(白色の棒グラフ)のレベルと同等である、骨髄性白血病細胞(ALL-CM)に対するポリドナーCD4IL-10細胞(黒色のドット)の選択的殺滅レベルが得られた。
【0260】
ポリドナーCD4IL-10細胞は、同種CD4+およびCD8+T細胞の両方の増殖応答を抑制する
ポリドナーCD4IL-10細胞をまた、同種CD4T細胞またはCD8T細胞に及ぼすその効果に関して解析した。具体的には、同種PBMC細胞を、eFluor(登録商標)670(5×10個/ウェル)によって標識し、ポリドナーCD4IL-10細胞(5×10個/ウェル)の存在下または非存在下、同種成熟樹状(DC)細胞(5×10個/ウェル)および可溶性抗CD3 mAbによって1:1のレスポンダー:サプレッサー比で刺激した。3日間培養後、増殖性のレスポンダー細胞のパーセンテージを、フローサイトメトリーによって、CD4ΔNGFRT細胞またはCD8ΔNGFRT細胞に関してゲート設定後、eFluor(登録商標)670の希釈により決定した。図11Aは、ドナーC、ドナーE、およびドナーF(C-E-F)からのCD4IL-10細胞を含有するポリドナーCD4IL-10細胞の結果を示す。図11Bは、試験前に凍結、保存、および融解されているドナーH、ドナーI、およびドナーL(H-I-L)からのCD4IL-10細胞を含有するポリドナーCD4IL-10細胞の結果を示す。
【0261】
図11Aは、ポリドナーCD4IL-10細胞(3人の異なるドナーから)が、CD4およびCD8T細胞応答をそれぞれ、97%および74%抑制することを示す。試験前に細胞が凍結、保存および融解されていた後に試験したポリドナーCD4IL-10細胞の第2の異なるバッチについて同等の結果が得られた(図11B)。CD4およびCD8T細胞増殖の抑制はそれぞれ、68%および75%であった。これらのデータは、ポリドナーCD4IL-10細胞を、機能を失うことなく凍結、保存および融解することができることを示している。
【0262】
集合的に、ポリドナーCD4IL10細胞について得られたデータは、これらの細胞調製物を、いかなる問題もなくプールすることができることを示している。それらは、>95%の生存細胞を含有し、単一ドナーCD4IL-10細胞の全ての関連する機能(サイトカイン産生、細胞傷害能、および同種T細胞応答の抑制)を維持する。ポリドナーCD4IL-10細胞のより大きいプールの使用は、異なる個々のドナーを起源とするCD4IL-10細胞ロット間で観察される自然の変動を低減させるはずであり、ヒト治療のための大量の既製のCD4IL-10細胞を提供するはずである。
【0263】
ポリドナーCD4IL-10細胞産物は、良好に定義された、ロット間の変動が少ない、効力、および放出基準の決定を可能にするより均質な産物に関して有意な利点を有する。加えて、これは、連続的な大規模細胞産生プロセスの開発を可能にする。
【0264】
ポリドナーCD4IL-10細胞の他の産生方法
【0265】
レンチウイルス形質導入の前に、少なくとも3~5人の異なるドナーからのバフィーコートをプールする。CD4細胞を、抗CD4抗体を使用する正の選択によってバフィーコートから単離する。プールしたCD4細胞の純度をFACSによってチェックする。あるいは、凍結したヒトCD4細胞を、少なくとも3~5人の健常ドナーから得る。凍結したヒトCD4細胞を、使用前に融解する。バフィーコートまたは凍結保存物からのCD4細胞を、CD3およびCD28抗体の組合せ、またはCD3およびCD28抗体コーティングビーズによって、IL-2の存在下で24~48時間活性化する。一部の例では、バフィーコートまたは凍結保存物からのCD4細胞を、可溶性抗CD3、可溶性抗CD28 mAb、およびrhIL-2(50U/mL)によって48時間活性化し、CD4IL-10細胞を産生するために、上記のようにヒトIL-10をコードする双方向性レンチウイルスベクターを形質導入する。
【0266】
一部の例では、T細胞ドナー(またはドナーから単離されたCD4細胞)のHLAハプロタイプを最初に決定し、所望のHLAハプロタイプを有するCD4細胞を選択的にプールして使用する。
【0267】
ポリドナーCD4IL-10細胞を、上記の活性化CD4細胞に、上記のヒトIL-10およびΔNGFRコード配列を含有するレンチウイルスベクターを形質導入することによって生成する。
【0268】
形質導入の5~9日後である7~11日目に、細胞を採取し、形質導入が成功したT細胞を、抗NGFR抗体を利用して精製する。このプロセスは一般的に、ポリドナーCD4IL-10細胞の95%純粋な集団をもたらす。
【0269】
精製されたポリドナーCD4IL-10細胞を計数し、CD3およびCD28抗体の混合物、CD3およびCD28抗体コーティングビーズによって、任意選択でフィーダー細胞の存在下、IL-2の存在下でさらに8~10日間再刺激する。一部の例では、精製されたポリドナーCD4IL-10細胞を、フィーダー細胞の存在下で再刺激する。
【0270】
5週間の総培養期間の後、CD4IL-10細胞を採取し、計数し、自然発生の、またはCD3およびCD28抗体、もしくはCD3およびCD28抗体コーティングビーズによる活性化後の、IL-10の産生能に関して試験する。加えて、GrzBおよびパーフォリンのレベルを測定する。それらが、ヒトT細胞(PBMC)ならびに精製CD4およびCD8T細胞増殖を抑制する能力もまた試験する。
【0271】
加えて、IL-22の産生を、構成的に、ならびにIFN-γ、IL-10、IL-4およびIL-5などの他のサイトカインの産生に関して以前に記載されたように、CD3およびCD28抗体の組合せを使用して200マイクロリットルの容量中で、200,000個のCD4IL-10細胞の活性化後に測定する。IL-22産生レベルを、国際公開第2016/146542号パンフレットにおいて他のサイトカインについて記載されるように、IL-22特異的ELISAにおいて測定する。プールしたCD4IL-10細胞を、凍結後、保存する。
【0272】
[実施例2]
ポリドナーCD4IL-10細胞を使用するGvHDの処置または防止
ポリドナーCD4IL-10細胞のin vivoでの効果
ポリドナーCD4IL-10細胞集団を、ヒト化xeno GvHD疾患モデル、NSGマウスモデルにおいて、図12に例証されるようにヒトPBMCによって誘導されるxeno-GvHDに及ぼすその効果に関して試験した。NSGマウスに、致死量下の放射線を照射し、(i)ヒトPBMC(5×10個/マウス)、(ii)ポリドナー(3人のドナー;BC-C/E/F)CD4IL-10細胞(5×10個/マウス)、または(iii)ヒトPBMC(5×10個/マウス)とポリドナーCD4IL-10細胞(BC-C/E/F)(5×10個/マウス)の組合せを静脈内注射した。Xeno-GvHDを、以前に記載されるように(Bondanza et al. Blood 2006)、生存、体重減少(>20%体重減少)、皮膚病変、毛並みの状態、活動度、および体を丸めることに基づいて評価した。
【0273】
図13は、注射後、各々の日においてxeno-GvHDを示さないNSGマウスの%を示す。5×10個のヒトPBMCを、放射線照射したNSGマウスに投与すると、予想外にも異常な劇症xeno-GvHDをもたらした。全てのマウスが、10日目に死亡し、これは非常に致死性のxeno-GvHDを反映する。5×10個のポリドナーCD4IL-10細胞を共投与すると、この劇症xeno-GvHDを遅らせたが、マウスが、14日目に屠殺基準である既定の人道的20%体重減少に達したために屠殺した(図13)。それにもかかわらず、これらの結果は、ポリドナーCD4IL-10が、非常に重度のxeno-GvHDを遅らせることができることを示している。重要なことに、PBMCと同じ用量(5×10個)を単独で投与したポリドナーCD4IL-10細胞は、xeno-GvHDのいかなる徴候も誘導しなかった。
【0274】
ヒトCD4IL-10細胞の存在をまた、ヒトPBMC(5×10個/マウス)、ポリドナー(3人のドナー;BC-C/E/F)CD4IL-10細胞(5×10個/マウス)、またはヒトPBMC(5×10個/マウス)とポリドナーCD4IL-10細胞(3人のドナー;BC-C/E/F)(5×10個/マウス)の組合せを、注射後14日目に注射したNSGマウスの脾臓(図14、左のパネル)および骨髄(図14、右のパネル)においても試験した。図14で提供される結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が脾臓および骨髄に遊走したことを示す。これらの細胞の低いパーセンテージが、細胞注入の14日後に存在することが見出された。これらの結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、ヒトPBMCによって誘導される劇症xeno-GvHDを遅らせたが、それ自身はいかなるxeno-GvHDも誘導しないことを示している。
【0275】
ポリドナーCD4IL-10細胞は、精製CD4細胞による重度xeno-GvHDを阻害する
ポリドナーCD4IL-10細胞を、図15に例証されるように、GvHD疾患を2.5×10個の精製ヒトCD4T細胞の投与によって誘導するヒト化xeno-GvHDモデルにおいて試験した。NSGマウスに、0日目に致死量下の放射線を照射し、3日目にヒトCD4T細胞(2.5×10個/マウス)を単独で、またはポリドナーCD4IL-10細胞(3人の異なるドナー;BC-H/I/L)(2.5×10個/マウス)との組合せ、またはプールからの単一ドナー(BC-H)からのCD4IL-10細胞(2.5×10個/マウス)との組合せを静脈内に注射した。Xeno-GvHDを、以前に記載されるように(Bondanza et al. Blood 2006)、生存、体重減少(>20%体重減少)、皮膚病変、毛並みの状態、活動度、および体を丸めることに基づいて評価した。
【0276】
図16は、注射後の各々の日にGvHDを示さないNSGマウスの%を示す。結果は、ポリドナーCD4IL-10(BC-H/I/L)細胞が、ヒト同種CD4T細胞によって媒介されるxeno-GvHDを阻害することができることを示している。この実験では、xeno-GvHDは非常に重度であり、CD4+T細胞を投与した対照群の全てのマウスが、20日目で死亡した。これに対し、2.5×10個のポリドナーCD4IL-10の共投与は、GvHDを75%阻害した。単一ドナーCD4IL-10細胞もまた、保護的であったが、効果はより弱かった。
【0277】
他の実験
ポリドナーCD4IL-10細胞の治療効果を、4つの異なる群のマウスにおいて試験する:(i)CD4IL-10細胞に対して非血縁のドナーからのヒトPBMCを投与したマウス(xeno-GvHD陽性対照);(ii)ポリドナーCD4IL-10細胞を投与したマウス(陰性対照);(iii)PBMCとポリドナーCD4IL-10細胞の1:1の比の組合せを投与したマウス;および(iv)PBMCとポリドナーCD4IL-10細胞の2:1の比または異なる比の組合せを投与したマウス。PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞の組合せを投与した動物では、一部の動物に、PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞を同時に投与し、一部の動物に、PBMCを投与した数日(例えば、5日)後にポリドナーCD4IL-10細胞を投与し、および一部の動物には、PBMCを投与する数日(例えば、5日)前にポリドナーCD4IL-10細胞を投与する。
【0278】
マウスを、PBMCおよび/またはポリドナーCD4IL-10細胞の投与後、1、2、3、4週目、および必要であれば5週目に体重を測定することにより、GvHDの発症に関してモニターする。体重減少に加えて、マウスを、皮膚病変、毛並みの状態および活動度に関して検査する。処置群のマウスを、ポリドナーCD4IL-10細胞が長期間の生存に及ぼす効果を決定するために追加の期間モニターする。
【0279】
ポリドナーCD4IL-10細胞の量および局在をまた、投与後の末梢血および組織中でもモニターする。具体的には、ポリドナーCD4IL-10細胞の存在を、末梢血および炎症部位:脾臓および骨髄でモニターする。リンパ節および腸管を含むポリドナーCD4IL-10細胞の他の部位での存在をモニターする。処置群(複数可)のマウスを、さらに3週間モニターして長期の生存を決定する。
【0280】
結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、xeno-GvHDの低減および防止において有効であることを実証する。
【0281】
[実施例3]
GvHDの阻害およびがんの処置
ポリドナーCD4IL-10細胞集団を、ヒトPBMCおよびAML腫瘍細胞を移植したNSGマウスモデルにおいて、ヒトPBMCによって誘導されたxeno-GvHDに及ぼすその効果および抗腫瘍効果に関して試験する。AML細胞(ALL-CM)を、国際公開第2016/146542号パンフレットに以前に記載されるようにi.v.投与する。PBMCまたはポリドナーCD4IL-10細胞、またはその組合せを、3日後に投与する。
【0282】
ポリドナーCD4IL-10細胞を、実施例1に記載されるように得る。ポリドナーCD4IL-10細胞の治療効果を、各々に放射線を照射し、0日目に5×10個のALL-CM細胞を投与したマウス(AMLマウス)の4つの異なる群において試験する:(i)追加の処置を行わないAMLマウス;(ii)ポリドナーCD4IL-10細胞と非血縁のドナーからの5×10個のヒトPBMCを投与したAMLマウス-PBMCは重度のxeno-GvHDを引き起こす;(iii)2.5×10個のポリドナーCD4IL-10細胞を投与したAMLマウス;ならびに(iv)PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞の1:1または2:1の比、または異なる比の組合せを投与したAMLマウス。マウスの1つの追加の群には、ALL-CML細胞を投与しないが、放射線照射の3日後に5×10個のヒトPBMCを投与する。
【0283】
ポリドナーCD4IL-10細胞がヒトPBMCによって誘導されるxeno-GvHDに及ぼす効果を、体重減少、皮膚病変、毛並みの状態、活動度、死亡率、および長期生存に基づいて試験する。ポリドナーCD4IL-10細胞の抗腫瘍または移植片対白血病(GvL)効果を、循環中の腫瘍細胞の低減および長期腫瘍無病生存に基づいて試験する。
【0284】
一部のマウスを、長期生存および完全な腫瘍退縮をモニターするために最大7週間モニターする。
【0285】
結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、xeno-GvHDの阻害およびがんの処置の両方において有効であることを実証する。
【0286】
[実施例4]
ポリドナーCD4IL-10細胞を使用するがんの処置
ポリドナーCD4IL-10細胞集団を、NSGマウスにおけるT細胞治療のALL-CM白血病モデルにおいて試験した。
【0287】
NSGマウスに、致死量下の放射線を照射して、0日目に骨髄性白血病細胞(ALL-CM)(2.5×10個)を静脈内注射した。第1の群の動物では、追加の細胞を投与しなかった。第2の群の動物では、PBMC(2.5×10個)を3日目に注射した。第3の群の動物では、ポリドナーCD4IL-10細胞(2.5×10個)を、3日目に注射した。第4の群の動物では、単一ドナー(ドナーBC-I)CD4IL-10細胞(2.5×10個)を3日目に注射した。第5の群の動物では、単一ドナー(ドナーBC-H)CD4IL-10細胞(2.5×10個)を、3日目に注射した。移植片対白血病(GvL)効果を、動物において循環中の白血病細胞の低減および長期白血病無病生存に基づいて試験した。白血病を、以前に記載されるように(Locafaro G. et al Molecular Therapy 2017)測定した。図17Aを参照されたい。
【0288】
図17Bおよび図17Cに提供されるように、ALL-CM骨髄性白血病細胞単独を注射したマウスは全て、17日目に広範な白血病の進行を示した。2.5×10個のPBMCの投与は、白血病の進行の強い阻害をもたらした。興味深いことに、白血病進行阻害の同等のレベルが、単一ドナーCD4IL10図17B)またはポリドナーCD4IL10図17C)細胞の両方によって得られた。これらのデータは、単一ドナーおよびポリドナーCD4IL10が、強い直接的な抗白血病効果を有することを示している。
【0289】
単一ドナーCD4IL10およびポリドナーCD4IL10の移植片対白血病(GvL)効果を、ALL-CM骨髄性白血病細胞を注射したマウスにおいてPBMCと組み合わせてさらに試験した(図18A)。2.5×10個のPBMCの投与は、白血病進行の強い阻害をもたらした。2.5×10個のPBMCを(2.5×10個の)単一ドナーCD4IL10細胞と組み合わせて投与すると、白血病進行のより強い阻害をもたらした(図18B)。2.5×10個のPBMCを2.5×10個のポリドナーCD4IL10細胞と組み合わせて投与すると、単一ドナーCD4IL10(2.5×10個)細胞と同等の相乗的白血病阻害効果を有した(図18C)。これらのデータは、ポリドナーCD4IL10細胞が、PBMCの保護的GVL効果を妨害せず、PBMCと相乗的に作用して、強いGvL効果を媒介することを示している。
【0290】
[実施例5]
ポリドナーCD4IL-10細胞を使用する慢性炎症および自己免疫疾患の処置
NLPR3インフラマソームの活性化は、多くの慢性炎症疾患および自己免疫疾患に関係している。NLPR3インフラマソームは、単球/マクロファージによる炎症促進性サイトカインIL-1βおよびIL-18のカスパーゼ-1媒介産生をもたらす「危険シグナル」によって活性化され得る。一連のin vitro実験を実施して、NLPR3インフラマソームおよびヒト単球によるIL-1β/IL-18産生に及ぼすポリドナーCD4IL-10細胞の効果を調べる。
【0291】
最初に、ヒトPBMCを、Ficoll/Paque(Sigma-Aldrich)上での標準的な密度勾配遠心分離により末梢血から単離する。単球を、単球単離キットII(Miltenyi)を使用して、製造元の使用説明書に従って負の選択によりヒトPBMCから単離する。正の選択または接着は、細胞の望ましくない活性化をもたらし得ることから、負の選択が好ましい。単離された単球を、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて3%毒素フリーのヒトAB血清を含有する培養培地中、2×10または1×10個のポリドナーCD4IL-10個/200μl/ウェルの存在下、細胞5×10個/200μlで播種する。
【0292】
表1は、各セットが6ウェルの細胞を含む9セットの単球に適用した処置条件を要約する。
【0293】
【表1】
【0294】
表1に概要した処置後、上清を、各群に関して6個のウェルから収集し、IL-1β/IL-18産生を、成熟IL-1βまたはIL-18(Biolegend)に対して特異的なELISAによって測定する。選択した群の6個のウェルから収集した細胞を、ウェスタンブロットによって解析し、活性化カスパーゼ1のレベルを決定する。
【0295】
実験データは、ポリドナーCD4IL-10細胞が、活性化された単球によるIL-1βおよびIL-18産生を下方調節することを示す。それらはさらに、ポリドナーCD4IL-10細胞が、活性化された単球による成熟カスパーゼ-1産生を下方調節することを示している。加えて、ポリドナーCD4IL-10およびポリドナーCD4IL-10によって産生されたIL-10は、インフラマソームを下方調節する。
【0296】
類似の実験を、単球ではなくてヒトマクロファージまたは樹状細胞について実施する。実験結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、活性化されたマクロファージおよび樹状細胞からのIL-1β、IL-18、および成熟カスパーゼ-1産生をさらに下方調節することを実証する。
【0297】
これらのデータは、ポリドナーCD4IL-10細胞を使用して、NLPR3インフラマソームの過剰活性化を伴う疾患または障害を処置することができることを示唆している。特に、ポリドナーCD4IL-10細胞を使用して、慢性炎症疾患および自己免疫疾患を処置することができる。NLPR3インフラマソームは、外因性または内因性の「危険シグナル」、例えば病原体関連分子パターン(PAMP)、シリカ、アスベスト、損傷を受けたミトコンドリア、壊死した細胞、およびストレスを受けた細胞からの危険関連分子パターン(DAMP)様産物、ならびに尿酸結晶によって活性化され得る。
【0298】
[実施例6]
ポリドナーCD4IL-10細胞上清は、NLPR3インフラマソーム活性化、ならびにヒト単球によるIL-1βおよびIL-18産生を阻害する
CD14単球を、汎単球単離キット(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)を使用してPBMCから単離し、96ウェル平底マイクロタイターウェルに2×10個/200μL/ウェルで播種し、LPSの存在下で培養した。細胞を、表1に要約するように、Z-YVADfmk(20マイクロモル)、MMC950(10マイクロモル)、IL-10(10ng/mL)または様々な濃度の単一ドナーもしくはプールしたドナーCD4IL-10細胞上清の存在下でさらに培養した。
【0299】
上清を、以前に記載されたように(Andolfi et al. 2012,Mol. Therapy Vol. 20,1778-1790,Locafaro et al. Mol Ther 2017,25,2254)、CD3およびCD28抗体の組合せによって72時間活性化した単一ドナーまたはプールしたドナーCD4IL-10細胞から得た。一部の例では(図19Cおよび19D)、単球を、LPS活性化の最後の30分間に添加したNLPR3インフラマソーム活性化剤であるニゲリシン(「NIG」)と組み合わせてLPSと共にインキュベートした。
【0300】
NLPR3インフラマソームを、LPSによって活性化すると、成熟カスパーゼ1ならびにIL-1βおよびIL-18の生物活性型の産生をもたらした。LPS活性化の非存在下で播種した単球は、インキュベーション期間の間検出可能レベルのIL-10を産生しなかった(示していない)。
【0301】
単一ドナー由来CD4IL-10細胞の上清(1769pg IL-10/mLを含有する)を添加すると、ドナー#1および#2からのLPS活性化単球によるIL-1β産生をそれぞれ、50%、25%および12.5%の濃度で用量依存的に阻害した(図19Aおよび図19B)。GFPを形質導入したCD4+細胞の上清を対照として使用した。IL-1β産生の完全な阻害が、50%および25%の濃度で観察されるが、GFPを形質導入した対照CD4+細胞の上清は、濃度50%で無効であった。
【0302】
様々な濃度のCD4IL-10T細胞上清(50%、25%、または12.5%)、Z-YVADfmk、またはMCC950を、LPSおよびニゲリシン(「NIG」)によって活性化した単球についてさらに試験した。単一ドナー(BC-E)またはプールしたドナーCD4IL-10細胞からの上清はそれぞれ、5295または3532pg IL-10/mLを含有した。単一ドナーCD4IL-10細胞の上清はまた、NLPR3インフラマソーム活性化剤ニゲリシンによって増強されたLPS誘導IL-1β産生の阻害においても非常に有効であった(図19Cおよび図19D)。
【0303】
データは、CD4IL-10細胞からの上清が、50%の濃度で、不可逆的カスパーゼ1阻害剤Z-YVADfmk(Guo et al. 2015, Nature Med 21, 677)、選択的NLPR3インフラマソーム阻害剤MCC950(Coll et al. 2019,Nature Chem. Biol 15,556)、および組換えIL-10と同程度に有効であったことを実証し、IL-10含有上清が、NLPR3インフラマソーム活性化および成熟カスパーゼ1産生を阻害し、炎症促進性サイトカインIL-1βの産生の強い阻害をもたらすことを示している(図19A~19D)。
【0304】
同等の結果が、単一ドナー(BC-E)および2人の異なるドナー(BC-C/E)からプールしたCD4IL-10細胞の上清による第2のシリーズの実験において得られた。CD4IL-10細胞を、記載されるように(Andolfi et al. 2012)CD3およびCD28抗体の組合せによって活性化した。3日後、CD4IL-10細胞からの上清を収集した。これらの上清はそれぞれ、5295および3532pg IL-10/mLを含有し、ドナー#3からの単球によるLPS誘導IL-1β産生を用量依存的に阻害した(図19E)。上清は50%濃度で、Z-YVADfmkおよびMCC950と同程度に有効であった。プールしたCD4IL-10細胞の上清の阻害効果は、抗IL-10受容体抗体によって完全に中和された。同様に、2589pg IL-10/mLを含有する3人の異なるドナーからプールした上清は、ドナー#4からの単球によるIL-1β産生を用量依存的に阻害した(図19F)。上清の阻害効果は、IL-10受容体抗体によって完全に中和され、NLPR3活性化がIL-10によって媒介されることを実証している。結果は、炎症促進性サイトカインであるIL-1βの産生が、ポリドナーCD4IL-10T細胞によって産生されるIL-10によって強く阻害されることを示している。予想されるように、抗IL-10受容体抗体は、Z-VADfmkおよびMCC950によって媒介されるIL-1β産生の阻害効果を有しなかった(図19E)。
【0305】
CD4IL-10T細胞を、LPSおよびニゲリシンによって活性化されたドナー#4からの単球についてさらに試験した。2583または2589pg IL-10/mLをそれぞれ含有する、様々な濃度の単一ドナー(BC-V)またはポリドナー(3人のドナー;BC-T/U/V)CD4IL-10細胞上清、ZYVADfmk、またはMCC950を試験した。図19Gに提供するデータは、3人の異なるドナー(BC T-U-V)のプールした上清が、LPSとニゲリシンとの組合せによって誘導されるIL-18産生を下方調節することを示す。
【0306】
集合的に、これらのデータは、単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞によって産生されたIL-10が、NLPR3インフラマソームを強く下方調節し、炎症促進性サイトカインIL-1βおよびIL-18の強い阻害をもたらすことを示している。
【0307】
[実施例7]
単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞は、xeno GvHDおよびin vivoでの骨髄腫瘍の成長を阻害する
単一ドナー(BC-T、BC-V、およびBC-E)またはポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞の機能的特性および品質を、Andolfi et al. Mol Ther 2012,20,177およびLocafaro et al. Mol Ther 2017, 25, 2254に記載されるように試験した。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞は、高レベルのIL-10、多様なレベルのIFN-γ、非常に低レベルのIL-4および検出不能なIL-2(後者は示していない)を産生し、Tr1細胞の特徴的なサイトカイン産生プロファイルを反映する(図21)。
【0308】
さらに、単一ドナー(BC-T、BC-V、およびBC-E)またはポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞がCD4+およびCD8+T細胞増殖に及ぼす抑制能を、in vitroで同種PBMCについて測定した。PBMCを、eFLuor670(Invitrogen)によって標識した。標識したPBMC(1×10個)を、固定CD3(10mg/mL)および可溶性CD28抗体(1mg/mL)によって活性化した。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞を、96ウェル丸底プレートに最終容量0.2mLで1:1の比で添加した。4日間共培養後、eFluor670標識レスポンダー細胞の増殖に及ぼすその抑制効果を、記載されるように(Locafaro et al. Mol Ther 2017,25,2254)、フローサイトメトリーを使用してeFluor670の希釈により決定した。図22は、フローサイトメトリーの結果を提供する。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞は、同種CD4+およびCD8+T細胞の両方のin vitro増殖を80%より大きく強く阻害した(図22)。
【0309】
CD4IL-10細胞を、骨髄性白血病細胞(ALL-CM)および赤白血病細胞株(K562)に対するその細胞傷害効果に関してさらに解析した。単一ドナー(BC-EおよびBC-V)、またはポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞を、ALL-CMまたはK562細胞と1:1の比で共培養した。3日後、細胞を採取し、生き残ったCD45low、CD3-標的細胞を計数し、記載のように(Locafaro et al. Mol Ther 2017, 25, 2254)、FACSによって解析した。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞はまた、ALL-CM骨髄腫瘍細胞に対して強い直接の細胞傷害効果を媒介したが、それらは、その細胞傷害活性にとって必要なクラスI MHC発現を欠如する感受性のK562細胞を殺滅することはできなかった(図23)。単一ドナー(BC-EおよびBC-V)またはポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞は、これらの2つの標的細胞株(ALL-CMおよびK562)に対して同等の細胞傷害活性を有した。
【0310】
単一ドナー(BC-E)およびポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞の細胞傷害作用をまた、ヒト化xeno GvHD疾患モデル、すなわちALL-CM細胞(2.5×10個)を静脈内注射したNSGマウスを使用してin vivoでも試験した。同種ドナーからのヒトPBMCによって誘導されたGvHDに及ぼすその効果ならびに治療状況での急性骨髄性白血病細胞株ALL CMの成長に及ぼすその効果を、図20に例証するように試験した。
【0311】
8~10週齢の雌性NOD scidガンマ、(NSG)マウスを、Charles-River Italia(Calco、Italy)から得た。実験プロトコールは、Ospedale San Raffaeleの動物試験に関する内部委員会(Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC))の承認を受けた。0日目に、マウスに、線形加速器からの全身照射を行った。ALL-CM細胞(2.5×10個)を0日目に注射した。0日目に、異なる群のマウスに、細胞なし、同種PBMC(2.5×10個)、単一ドナー(BC-E、2.5×10個)、または3人の異なるドナーから1:1:1の比でプールしたポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/E、2.5×10個)と同種PBMC(2.5×10)またはポリドナーCD4IL-10細胞(2.5×10)の組合せを3日目に注射した。全ての細胞を、イスコフ改変ダルベッコ培地250μlの容量でi.v.投与した。マウスを週に3~4回モニターした。
【0312】
NSGマウスを、マウス5匹の5つのコホートに分け、各群を、0日目に(i)対照としての細胞なし;(ii)同種単核細胞(PBMC);(iii)同種PBMCおよびポリドナーCD4IL-10細胞(BC-V/T/E);(iv)同種PBMCおよび単一ドナーCD4IL-10細胞(BC-E);、または(v)ポリドナーCD4IL-10(BC-V/T/E)細胞を3日目に投与することによって処置した。骨髄性白血病の進行を、以前に記載されたように(Locafaro et al. Mol Ther 2017, 25, 2254)測定した。
【0313】
ALL-CM細胞をNSGマウスに投与すると、これらの細胞の急速な増大をもたらし、全てのマウスが死亡したか、または20日目に屠殺しなければならなかった。PBMCの注射は、予想されたように白血病の進行を防止した。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL10細胞の両方を、同種PBMCと組み合わせて投与しても、PBMCの抗骨髄性白血病効果を妨害しなかった。
【0314】
ポリドナーCD4IL-10(BC-V/T/E)細胞を、ALL-CM細胞の投与の3日後(この時点で既にこれらの細胞の大量の増大が進行中である)に注射すると、腫瘍成長の阻害をもたらした。これらの結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、in vivoで直接の治療的抗骨髄性白血病効果を有することを示している(図24)。
【0315】
しかし、その有益な抗骨髄性白血病効果にもかかわらず、PBMCは、非常に重度のxeno-GvHDを誘導し、全てのマウスが24日までに死亡した(図25)。試験において、単一ドナー(BC-E)およびポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞を、NSGマウスに投与後のPBMCによって誘導されるxeno-GvHDのその阻害能に関して試験した。0日目に、NSGマウスにALL-CM細胞(2.5×10個)を注射した。マウスを5群に分け、各群を、(i)対照としての細胞なし;(ii)同種単核細胞(PBMC);(iii)同種PBMCおよびポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞;(iv)同種PBMCおよび単一ドナーCD4IL-10細胞(BC-E)、またはポリドナー(BC-V/T/E)CD4IL-10細胞を3日目に注射することによって処置した。動物において、xeno-GvHDを、生存および体重減少によって測定した。加えて、体を丸める、毛並みの状態および皮膚の完全性を、記載されるように(Bondanza et al,Blood, 2006, 107, 1828)モニターした。体重減少が20%より多くに達した場合、マウスを倫理的理由から屠殺した。図25は、ALL-CM細胞(2.5×10個)を1日目に注射し、単一ドナーまたはポリドナーCD4IL-10細胞の存在下または非存在下でPBMCによる処置を行った後、各々の日におけるGvHDを示さないNSDマウスの%を示す。
【0316】
結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、xeno-GvHDを誘導せず、同種PBMCによって誘導されるxeno-GvHDを下方調節したことを示す。集合的に、これらの結果は、ポリドナーCD4IL-10細胞が、重度のxeno-GvHDを下方調節し、治療状況で直接の抗骨髄性白血病効果を有し、PBMCの保護的な抗骨髄性白血病効果を妨害しないことを示している。
【0317】
[実施例8]
4人の異なるドナーに由来するポリドナーCD4IL-10細胞の養子移入
4人の異なるドナーに由来するポリドナーCD4IL-10細胞の養子移入を、移入がPBMC誘導xeno-GvHDを阻害する能力に関して試験した。
【0318】
これらの実験では、単一ドナーCD4IL-10細胞(ドナーC;ロットC)および4人の異なるドナーに由来するポリドナーCD4IL-10細胞(ドナーC、E、F、およびH;ロットCEFH)を、同種PBMCによって誘導されるヒト化マウスGvHDモデルにおいて試験した。このモデルでは、NSGマウスに、0日目に致死量下の放射線を照射し、3日目に(i)2.5E+06同種PBMC、(ii)2.5E+06同種PBMCと2.5E+06単一ドナーCD4IL-10細胞(ロットC)の組合せ、(iii)2.5E+06同種PBMCと2.5E+06細胞ポリドナーCD4IL-10細胞(ロットCEFH)の組合せ、または(iv)2.5E+06細胞ポリドナーCD4IL-10細胞(ロットCEFH)単独を注射(ゆっくりのボーラスi.v.)した。xeno-GvHDを、体重減少、毛並みの外観、皮膚の外観、体を丸める、および活動度の複合スコアを使用して決定した(Bondanza A,et al. Blood 2006;107:1828-36を参照されたい)。図26に示すように、ポリドナーCD4IL-10細胞を投与したマウスのみが試験終了時にxeno-GvHDを全く(100%)示さなかった。
【0319】
要約すると、このデータは、4人の異なるドナーに由来するポリドナーCD4IL-10細胞の養子移入が、PBMC誘導xeno-GvHDを阻害するが、xeno GvHDを誘導しないことを実証した。
【0320】
[実施例9]
IL-10のバリアントの生成
ヒトIL-10のバリアントを、他の種のIL-10配列に関してアミノ酸修飾(複数可)(例えば、置換、挿入、欠失)を導入することによって生成する。修飾部位を、図27Aに提供される配列アライメントによって決定する。種の間で異なるアミノ酸を有するアミノ酸位置をアライメントから同定し、アミノ酸の置換、挿入、または欠失を導入することによって改変する。
【0321】
ヒトIL-10のバリアントの2つの例を図27Bに提供する。可能性があるhuIL-10ハイブリッド#1(配列番号19)は、ヒトIL-10の3つのアミノ酸(D、IおよびA)を、対応する位置のウイルスIL-10(EBVB9)の3つの異なるアミノ酸(E、A、およびD)に置換することによって生成される。可能性があるhuIL-10ハイブリッド#2(配列番号20)は、ヒトIL-10の1つのアミノ酸(I105)を、対応する位置でウイルスIL-10(EBVB9)の別のアミノ酸(A105)に置換することによって生成される。図27Cは、ヒトIL-10(配列番号1)とIL10 EBVB9(配列番号18)とのアライメントを示し、「」は、IL-10ハイブリッド#1において置換されている1つまたは複数のアミノ酸位置を示し、「#」は、IL-10ハイブリッド#2に関する好ましいI105からA105へのアミノ酸置換を示す。
【0322】
ヒトIL-10のバリアントを、上記の節で記載されるように発現ベクターにクローニングし、バリアントタンパク質の発現および機能に関して試験する。ヒトIL-10の選択されたバリアントを使用して、CD4IL-10細胞を生成する。CD4IL-10細胞の有効性を、本明細書に提供されるように試験する。
【0323】
実験方法および材料
細胞の調製および細胞株。末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll-Hypaque勾配上での遠心分離によって調製した。CD4T細胞を、CD4T細胞単離キット(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)によって精製し、得られた純度は>95%であった。成熟樹状細胞(DC)を、CD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotech、Germany)を製造元の使用説明書に従って使用して正の選択を行った末梢血CD14単球から生成し、10%ウシ胎児血清(FBS;Lonza、Italy)、100U/mLペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza、Italy)、2mM L-グルタミン(Lonza、Italy)を補充したRPMI1640(Lonza、Italy)中、37℃で10ng/mL組換えヒト(rh)IL-4(R&D Systems、Minneapolis MN、USA)および100ng/mL rhGM-CSF(Genzyme、Seattle、WA、USA)の存在下で5日間培養し、1mg/mLリポ多糖類(LPS、Sigma、CA、USA)によってさらに2日間成熟させた。
【0324】
プラスミドの構築。ヒトIL-10のコード配列を、pH15C(ATCC番号68192)から切り出し、549bp断片を、pBluKSM(Invitrogen)のマルチクローニングサイトにクローニングしてpBluKSM-hIL-10を得た。555bpの断片を、pBluKSM-hIL-10からhIL-10を切り出すことによって得て、1074.1071.hPGK.GFP.WPRE.mhCMV.dNGFR.SV40PA(本明細書においてLV-ΔNGFRと命名する)とのライゲーションによりpLVIL-10を得た。双方向性プロモーター(ヒトPGKプロモータープラス反対方向のCMVプロモーターの最小コアエレメント)の存在は、2つのトランスジーンの共発現を可能にする(Locafaro et al. Mol Ther. 2017;25(10):2254-2269)。pLVIL-10の配列をパイロシーケンシング(Primm)によって確認した。
【0325】
ベクターの産生および力価測定。VSV-G-シュードタイプ第3世代双方向性レンチウイルスベクターを、293T細胞へのCaPO一過性4プラスミド共トランスフェクションによって産生し、記載されるように(Locafaro et al. Mol Ther. 2017;25(10):2254-2269)超遠心分離によって濃縮した。力価を、限界希釈によって推定し、ベクター粒子をHIV-1 Gag p24抗原免疫捕捉(NEN Life Science Products;Waltham、MA)によって測定し、ベクターの感染力を、力価と粒子の間の比として計算した。力価は、5×10~6×10形質導入単位/mLであり、感染力は、5×10~10形質導入単位/ng p24であった。
【0326】
CD4IL-10細胞株の生成。ポリクローナルCD4形質導入細胞を、以前に記載されたように(Andolfi et al. Mol Ther. 2012;20(9):1778-1790, Locafaro et al. Mol Ther 2017, 25, 2254)得た。簡単に説明すると、CD4精製T細胞を、可溶性抗CD3モノクローナル抗体(mAb、30ng/mL、OKT3、Janssen-Cilag、Raritan、NJ、USA)、抗CD28 mAb(1μg/mL、BD)およびrhIL-2(50U/mL、PROLEUKIN、Novartis、Italy)によって48時間活性化した。T細胞に、LV-IL-10/ΔNGFR(CD4IL-10)を感染多重度(MOI)20で形質導入した。11日目、CD4ΔNGFR細胞を、CD271マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)を使用してビーズ選別し、5%ヒト血清(BioWhittaker-Lonza、Washington)、100U/mLペニシリン-ストレプトマイシン(BioWhittaker)、および50U/mL rhIL-2(PROLEUKIN、Novartis、Italy)を有するX-VIVO15培地中で増大させた。7および10日目に、培地を、50U/mL rhIL-2を補充した新鮮な培地に交換した。14日目に、細胞を収集して洗浄し、以前に記載されたように(Locafaro et al. Mol Ther 2017, 25, 2254)同種フィーダー混合物によって再刺激した。14日後、細胞を収集して凍結した。融解したCD4IL-10細胞を、再刺激し、2回目および3回目の再刺激後、増大をin vitroで機能的に特徴付け、in vivo実験のために使用した。
【0327】
ベクターコピー数解析。細胞を、非組み込みベクター形体を除外するために形質導入後11日間培養した。ゲノムDNAを、QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN、51106)によって製造元の使用説明書に従って単離した。ベクターの組み込みを、QX200ドロップレットデジタルPCRシステム(Bio-Rad)によって製造元の使用説明書に従って定量した。
【0328】
サイトカインの決定。サイトカイン産生を測定するために、2回目および3回目の再刺激後、単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞を非刺激のままとしたか、または培地200μLの最終容積中で固定抗CD3(10μg/mL)および可溶性抗CD28(1μg/mL)mAbによって刺激した(96ウェル丸底プレート、2×10個/ウェル)。上清を、48時間培養後に採取し、IL-10、IL-4、IL-5、IFN-γ、およびIL-22のレベルを、ELISAによって製造元の使用説明書(BD Biosciences)に従って決定した。
【0329】
フローサイトメトリー解析。CD4による表面染色後のグランザイムB(クローンMHGB04、Invitrogen、USA)の発現に関して、CD4IL-10細胞を、固定し、透過処理し、およびBD Cytofix/Cytoperm(商標)キットを使用して製造元の使用説明書に従って染色した(カタログ番号554714、Biolegend、USA)。染色した細胞を、1%FBSを補充したPBSによって2回洗浄し、FlowJo 10ソフトウェアを利用して解析するBD LSRFortessaによって解析した。
【0330】
殺滅アッセイ。2回目および3回目の再刺激後、単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞の細胞傷害性を、共培養実験において解析した(Locafaro et al. Mol Ther 2017, 25, 2254)。簡単に説明すると、非骨髄性白血病および骨髄性白血病細胞株、K562およびALL-CMをそれぞれ、標的細胞として使用して、CD4IL-10細胞と共に1:1の比(10個の標的細胞および10個のCD4IL-10細胞)で3日間播種した。
共培養の終了時、細胞を採取し、K562およびALL-CM細胞を、CD45、CD3発現に基づいて解析し、FACSにより計数した。
【0331】
抑制アッセイ。単一ドナーおよびポリドナーCD4IL-10細胞の抑制能を測定するために、同種PBMCを、細胞増殖色素eFluor(登録商標)670(Invitrogen、CA、USA)によって製造元の使用説明書に従って標識した。標識細胞を、CD14細胞からの同種成熟樹状細胞(DC)によって、GM-CSFおよびIL-4の存在下、抗CD3 mAb(50ng/mL)の存在下で活性化した。末梢血CD14単球を、CD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して、製造元の使用説明書に従って正の選択を行った。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mLペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza)、2mM L-グルタミン(Lonza)を補充したRPMI1640(Lonza)中、37℃で、10ng/mL組換えヒト(rh)IL-4(R&D Systems)および100ng/mL組換えヒト顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(rhGM-CSF)(Genzyme)の存在下で5日間培養した。成熟樹状細胞(mDC)を生成するために、5日目に細胞を、1mg/mLリポ多糖類(LPS;Sigma)によってさらに2日間刺激した。7日目に、DCを収集し、表現型を解析し、T細胞を刺激するために使用した。DCの純度および成熟状態を、フローサイトメトリーによってチェックし、CD1a、CD14、CD86、CD83、およびHLA-DRの発現を決定した。
【0332】
標識した細胞を、96ウェル丸底プレートにおいて、最終容積200μLで播種し、以下のように3日間インキュベートした:(i)標識PBMC単独5×10個/ウェル;(ii)標識PBMC 5×10個/ウェル+成熟DC 5×10個/ウェル+抗CD3 mAb(50ng/mL);(iii)標識PBMC 5×10個/ウェル+単一ドナーまたはポリドナーCD4IL-10細胞 5×10個/ウェル+成熟DC 5×10個/ウェル+抗CD3 mAb(50ng/mL)。
【0333】
3日間培養後、細胞を、採取し、免疫蛍光染色のために96ウェルV底プレートに移した。細胞を、生きているCD4 eFluor670およびCD8 eFluor670細胞に関してゲート設定したFACSによって解析した。阻害のパーセンテージを、以前に記載されたように(Locafaro et al. Mol Ther 2017,25,2254)eFluor670標識の希釈を測定することによって計算した。
【0334】
移植片対宿主病のモデル:全ての実験において、6/8週齢の雌性NSGマウスを使用した。0日目にマウスに、マウスの体重に従って線形加速器から175~200cGyの1回線量を全身に照射した。一部の実験では、マウスに350cGyの1回線量を照射した。マウスに、PBMC細胞(5×10個または2.5×10個)、またはCD4IL-10細胞(単一ドナーまたは3人のドナーのプールであるポリドナーの5×10個または2.5×10個)、またはPBMC(5×10個または2.5×10個)とCD4IL-10細胞(5×10個または2.5×10個)の組合せを静脈内注射した。生存、体重減少、活動度、毛並み、皮膚、および体を丸めることを、以前に記載されたように(Bondanza et al. Blood. 2006;107(5):1828-1836)週に少なくとも3回モニターした。マウスの体重減少が20%であった場合、マウスを倫理上の理由から安楽死させた。
【0335】
あるいは、0日目に、マウスに上記のように全身照射した。3日目に、マウスに、CD4T細胞(2.5×10個)、単一ドナーおよびポリドナー(3人のドナーからのプール)CD4IL-10細胞(2.5×10個)、またはCD4T細胞(2.5×10個)を、単一ドナーおよびポリドナー(3人のドナーからのプール)CD4IL-10細胞(2.5×10個)と組み合わせて注射した。GvHDの誘導を、上記のようにモニターした。
【0336】
7.参照による組み入れ
本出願で引用した全ての刊行物、特許、特許出願、および他の文書は、各々の個々の刊行物、特許、特許出願、または他の文書が全ての目的に関して参照により本明細書に組み込まれることが個々に示されているのと同程度に、全ての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0337】
8.均等物
様々な特定の実施形態を説明し、記載してきたが、上記の明細書は限定的ではない。様々な変化を本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることが認識される。多くの変形形態が、本明細書を再検討することにより当業者に明らかとなるであろう。
【0338】
9.配列
配列番号1(ヒトIL-10アミノ酸配列-タンパク質配列:Ref P22301)
【0339】
【化1】
【0340】
配列番号2(ヒトIL-10の例示的な核酸配列)
【0341】
【化2】
配列番号3(ΔNGFRアミノ酸配列)
【0342】
【化3】
配列番号4(ΔNGFRの例示的な核酸配列)
【0343】
【化4】
配列番号5(pLVIL-10のヌクレオチド配列):
【0344】
【化5-1】
【0345】
【化5-2】
【0346】
【化5-3】
【0347】
【化5-4】
配列番号6(ウイルスインターロイキン-10ホモログ、別名インターロイキン-10 BCRF1、別名IL10H_EBVB9)タンパク質配列:Ref:P03180
【0348】
【化6】
配列番号7(ウイルスインターロイキン-10ホモログcDNA配列)
ヌクレオチド配列(cDNA):Ref:NC_007605.1
【0349】
【化7】
配列番号8(ウイルスIL-10に基づくアミノ酸置換を有する例示的なヒトIL-10バリアント)
【0350】
【化8】
配列番号9(ウイルスIL-10に基づくアミノ酸置換を有する例示的なヒトIL-10バリアント)
【0351】
【化9】
配列番号10(ハツカネズミ(Mus musculus);「MOUSE」)
【0352】
【化10】
配列番号11(ドブネズミ(Rattus norvegicus);「RAT」)
【0353】
【化11】
配列番号12(アカゲザル(Macaca mulatta);「MACMU」)
【0354】
【化12】
配列番号13(ニシゴリラ(Gorilla gorilla);「GORILLA」)
【0355】
【化13】
配列番号14(カニクイザル(Macaca fascicularis);「CYNO」)
【0356】
【化14】
配列番号15(アヌビスヒヒ(Papio Anubis);「OLIVE BABOON」)
【0357】
【化15】
配列番号16(ボノボ(Pan paniscus);「BONOBO」)
【0358】
【化16】
配列番号17(チンパンジー(Pan troglodytes);「CHIMP」)
【0359】
【化17】
配列番号18(EBVB9)
【0360】
【化18】
配列番号19 huIL-10ハイブリッド#1
【0361】
【化19】
配列番号20 huIL-10ハイブリッド#2
【0362】
【化20】
図1
図2
図3
図4-A】
図4-B】
図5
図6
図7-A】
図7-B】
図8-A】
図8-B】
図9
図10
図11-A】
図11-B】
図12
図13
図14
図15
図16
図17-A】
図17-B】
図17-C】
図18-A】
図18-B】
図18-C】
図19-A】
図19-B】
図19-C】
図19-D】
図19-E】
図19-F】
図19-G】
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27-A】
図27-B】
図27-C】
【配列表】
2025501245000001.xml
【国際調査報告】