(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】飲料注文を取り込み、分析し、分配するための方法
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20250109BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20250109BHJP
G07F 13/06 20060101ALI20250109BHJP
A23L 2/00 20060101ALN20250109BHJP
A23F 5/24 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
A47J31/40 102
A47J31/40 104
G07F13/06 A
B67D1/08 A
A23L2/00 Z
A23F5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539584
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 US2022053975
(87)【国際公開番号】W WO2023129511
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500027208
【氏名又は名称】スターバックス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ポール アレクサンダー ブルフェット
(72)【発明者】
【氏名】タイソン マーク コルビー
【テーマコード(参考)】
3E047
3E082
4B027
4B104
4B117
【Fターム(参考)】
3E047AA01
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3E047DC03
3E047FA01
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4B027FB24
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4B117LK18
4B117LP20
4B117LT02
4B117LT05
(57)【要約】
本開示は概して、飲料レシピを管理し、動的に生成するためのシステムに関する。システムは、原材料変更子を取得することができ、原材料変更子およびレシピ生成ポリシーに基づいて飲料レシピを生成することができる。システムは、自動分配システムに飲料レシピに従って原材料グループを自動分配させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数の飲料のための飲料レシピコレクションを識別するレシピカタログを維持するステップであって、前記飲料レシピコレクションは、前記複数の飲料のうちの第1の飲料のための標準レシピを含み、前記標準レシピは、第1の原材料グループと前記第1の原材料グループの各原材料に関連付けられた分量とを含むステップと、
前記第1の飲料を識別する第1の飲料識別子を受信するステップと、
前記第1の原材料グループまたは前記第1の原材料グループの特定の原材料のそれぞれの分量のうちの少なくとも1つに対する変更を示す、原材料変更子を受信するステップと、
前記標準レシピ、前記原材料変更子およびレシピ生成ポリシーに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の飲料のための変更レシピを生成するステップであって、前記変更レシピは、第2の原材料グループと前記第2の原材料グループの各原材料に関連付けられた分量とを含むステップと、
複数のディスペンサを備える自動分配システムに前記変更レシピの指示を伝達するステップであって、前記自動分配システムのコントローラは、複数のモジュール式ディスペンサに前記変更レシピに従って前記第2の原材料グループを分配させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記原材料変更子は、追加原材料の存在を示し、前記第1の原材料グループは、前記追加原材料を含まず、前記第2の原材料グループは、前記追加原材料を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記原材料変更子は、前記第1の原材料グループの第1の原材料の第1の分量の変更を示す、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第2の原材料グループは、前記第1の原材料グループと同じであり、
前記第1の原材料グループの第1の原材料の第1の分量は、前記第2の原材料グループの前記第1の原材料の第2の分量と異なる、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記レシピ生成ポリシーは、前記第1の原材料グループの総体積が前記第2の原材料グループの総体積と等しくあるべきことを示す、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記標準レシピは、前記第1の原材料グループのための特定の比率を示し、
前記レシピ生成ポリシーは、前記第2の原材料グループのために前記特定の比率を保持することを示す、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記原材料変更子は、特定量の追加原材料の存在を示し、
前記変更レシピを生成するステップは、前記標準レシピに従った前記第1の原材料グループの総体積が前記変更レシピに従った前記第2の原材料グループの総体積に等しくなるように、前記第1の原材料グループの分量を比例的に変更するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記第1の飲料のための変更レシピを、後の検索のために前記レシピカタログに保存するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第1の飲料識別子および前記第1の原材料変更子を受信するステップは、飲料注文に応じて行われ、
前記飲料注文は、前記第1の飲料の変更を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記自動分配システムは、複数の自動分配システムのうちの1つであり、
前記第1の飲料のための変更レシピの指示を伝達するステップは、前記第1の飲料のための変更レシピの指示を前記複数の自動分配システムのそれぞれに伝達するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記自動分配システムから前記変更レシピに関する要求を受信するステップをさらに含み、
前記変更レシピの指示を伝達するステップは、前記要求の受信に応じて行われる、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
原材料セットの残量を示す在庫データベースを維持するステップと、
前記自動分配システムが前記変更レシピに従って前記第2の原材料グループを分配することに応じて、前記第2の原材料グループに関連する在庫を分配量に基づいて減らすように前記在庫データベースを更新するステップと、
をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
メモリおよび前記メモリに結合された1つもしくは複数のプロセッサを備えるコンピューティングシステムであって、
前記メモリは、複数の飲料のための飲料レシピコレクションを識別するレシピカタログを保存し、前記飲料レシピコレクションは、前記複数の飲料のうちの第1の飲料のための標準レシピを含み、前記標準レシピは、第1の原材料グループと前記第1の原材料グループの各原材料に関連付けられた分量とを含み、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、
前記第1の飲料を識別する第1の飲料識別子を受信するステップと、
前記第1の原材料グループまたは前記第1の原材料グループの特定の原材料の分量のうちの少なくとも1つに対する変更を示す、原材料変更子を受信するステップと、
前記標準レシピ、前記原材料変更子およびレシピ生成ポリシーに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の飲料のための変更レシピを生成するステップであって、前記変更レシピは、第2の原材料グループと前記第2の原材料グループの各原材料に関連付けられた分量とを含むステップと、
複数のディスペンサを備える自動分配システムに前記変更レシピの指示を伝達するステップであって、前記自動分配システムのコントローラは、複数のモジュール式ディスペンサに前記変更レシピに従って前記第2の原材料グループを分配させるステップと、
を行うように構成されている、
コンピューティングシステム。
【請求項14】
前記原材料変更子は、特定量の追加原材料の存在を示し、
前記変更レシピを生成するために、前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記標準レシピに従った前記第1の原材料グループの総体積が前記変更レシピに従った前記第2の原材料グループの総体積に等しくなるように、前記第1の原材料グループの分量を比例的に変更するように構成されている、
請求項13記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記第1の飲料のための変更レシピを、後の検索のために前記レシピカタログに保存するように構成されている、
請求項13記載のコンピューティングシステム。
【請求項16】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、飲料注文に応じて、前記第1の飲料識別子および前記第1の原材料変更子を受信するように構成されており、
前記飲料注文は、前記第1の飲料の変更を含む、
請求項13記載のコンピューティングシステム。
【請求項17】
前記自動分配システムは、複数の自動分配システムのうちの1つであり、
前記第1の飲料のための変更レシピの指示を伝達するために、前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記第1の飲料のための変更レシピの指示を前記複数の自動分配システムのそれぞれに伝達するように構成されている、
請求項13記載のコンピューティングシステム。
【請求項18】
コンピュータ実行可能命令を含む非一時性のコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、1つもしくは複数のプロセッサによって実行される際に、前記1つもしくは複数のプロセッサに、
複数の飲料のための飲料レシピコレクションを識別するレシピカタログを維持するステップであって、前記飲料レシピコレクションは、前記複数の飲料のうちの第1の飲料のための標準レシピを含み、前記標準レシピは、第1の原材料グループと前記第1の原材料グループの各原材料に関連付けられた分量とを含むステップと、
前記第1の飲料を識別する第1の飲料識別子を受信するステップと、
前記第1の原材料グループまたは前記第1の原材料グループの特定の原材料の分量のうちの少なくとも1つに対する変更を示す原材料変更子を受信するステップと、
前記標準レシピ、前記原材料変更子およびレシピ生成ポリシーに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の飲料のための変更レシピを生成するステップであって、前記変更レシピは、第2の原材料グループと前記第2の原材料グループの各原材料に関連付けられた分量とを含むステップと、
複数のディスペンサを備える自動分配システムに前記変更レシピの指示を伝達するステップであって、前記自動分配システムのコントローラは、複数のモジュール式ディスペンサに前記変更レシピに従って前記第2の原材料グループを分配させるステップと、
を行わせるためのものである、
非一時性のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記原材料変更子は、追加原材料の存在を示し、前記第1の原材料グループは、前記追加原材料を含まず、前記第2の原材料グループは、前記追加原材料を含む、
請求項18記載の非一時性のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記原材料変更子は、前記第1の原材料グループの第1の原材料の第1の分量の変更を示す、
請求項18記載の非一時性のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
2021年12月30日付にて出願された“METHOD FOR CAPTURING, ANALYZING, AND DISPENSING BEVERAGE ORDERS”なるタイトルの米国特許出願第17/646637号の全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
分野
本開示は概して、飲料レシピコレクションを維持すること、顧客注文に基づいて新しいレシピを動的に生成すること、またはレシピに従ってカスタマイズされた飲料を自動的に分配するために自動飲料分配プラットフォームを制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
コーヒー店における飲料は標準レシピに関連付けられていることが多く、顧客は、特定のフレーバの追加または除去など、標準レシピに対する修正を要求することができる。従来は、飲料注文を受けると、バリスタが記憶しているレシピを思い出し、それぞれの容器から原材料を手動で圧送することによって飲料を作っている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】飲料管理分配環境の実施形態を示す図である。
【
図3】レシピ生成ポリシーに従って飲料のためのレシピを動的に生成するための、飲料管理分配環境のさまざまな構成要素間のデータフローおよび通信の実施形態を示すデータフロー図である。
【
図4】レシピ生成ポリシーに従って飲料のためのレシピを動的に生成するためにレシピマネージャによって実行されるルーチンの実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
さまざまな実施形態を説明の目的で添付図面に描いているが、決して実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。さらに、開示している種々の実施形態のさまざまな特徴を組み合わせて、本開示の一部である追加の実施形態を形成することができる。
【0006】
コーヒー店における飲料は、標準(または既定)レシピに関連付けられていることが多い。一般に、各標準レシピは、特定の味またはカロリー数をもたらすように設計されたり、特定の食事制限に従うように設計されたりするなど、特定の原材料および原材料比率を有する所定のレシピである。従来は、飲料注文を受けると、バリスタが、記憶しているレシピを思い出し、それぞれの容器から原材料を手動で圧送することによって飲料を作っている。しかし、多くの場合、同じレシピ指示に従ったにもかかわらず、手作業で飲料を作ると、少なくとも原材料の1回の「圧送」が正確な体積でないため、一貫性のない飲料組成になることが多い。
【0007】
さらに、顧客は、標準レシピに対する修正を要求することが多い。例えば、顧客は、特定の飲料のための標準レシピと比較して砂糖を半分にしたり、またバニラフレーバの量を2倍にしたりすることを望むケースがある。従来のポンプシステムでは、手動により圧送の回数を減らすことはできるが、原材料(例えば、シロップ、ソースまたはフレーバ)の1回の圧送の一部を圧送することはできない。顧客は、正確な制御によるさらなるカスタマイズを望んでいるため、このことは、顧客の体験にとって本質的な問題となる。さらに、原材料変更が飲料注文を複雑にし、同じレシピの飲料間の一貫性のなさをさらに困難にすることが多い。例えば、同じ飲料を何度も注文した顧客が最終的に飲料組成の大きく異なる飲料を受け取り、顧客の体験に悪影響が及ぶ可能性がある。さらに、原材料変更は、変更による原材料比率の変化が避けられないため、飲料の本来の意図および/またはフレーバプロファイルを不必要に損なう可能性がある。
【0008】
これらまたは他の問題に対処するために、本明細書は、レシピカタログを維持し、レシピに従って原材料を自動分配するように分配システムを制御するためのシステムを開示する。レシピカタログをローカルで、かつ/またはネットワークを介して分配システム群にアクセス可能なリモートシステム上で維持することにより、システムは、分配システム間での飲料の均一性を有利に向上させることができる。さらに、原材料の分配を自動化することにより、システムは、飲料の品質および一貫性を有利に向上させる。
【0009】
さらに、レシピ生成ポリシーに従って飲料レシピを動的に生成するためのシステムを開示する。レシピ生成ポリシーは、原材料変更を補償するためにレシピを調整する方法を示すことができる。顧客が飲料のためにエスプレッソの追加ショットを要求するシナリオを考える。このようなシナリオでは、レシピの他の原材料を変更することなく、エスプレッソの追加ショットを標準レシピに単純に追加すると、標準レシピと比較して、わずかに苦い味の飲料となることがある。このようなシナリオでは、レシピ生成ポリシーは、エスプレッソの追加ショットによってもたらされる苦味の増量を補償するための特定のルールセットを示すことができる。例えば、レシピ生成ポリシーは、エスプレッソの苦味を打ち消すためにチョコレートソースを(例えば、追加されたエスプレッソの体積に比例して)追加し、流体体積の増大を補償するためにスチームミルクを(例えば、追加されたエスプレッソおよびチョコレートソースの体積に比例して)除去することにより、エスプレッソショットを補償することを示すことができる。原材料変更に基づいて飲料レシピを動的に生成することにより、システムは、原材料変更にかかわらず、飲料の特定のフレーバプロファイルまたは品質を有利に保持することができる。
【0010】
本明細書の説明を考慮すると、本明細書で開示する実施形態は、数千または数百万の原材料変更/組み合わせの可能性のいずれかのための原材料の導出を自動化することにより、分配システム群にわたって飲料の品質および一貫性を実質的に向上させることが理解されよう。具体的には、本明細書で開示する実施形態は、システムが、注文を受信し、レシピ(例えば、原材料、正確な原材料量およびシーケンス指示を含む)を導出し、導出されたレシピに従って飲料の正確な自動分配を容易にすることを可能にする。(例えば、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで)レシピを導出し、飲料の自動分配を容易にする能力は、導出されたレシピに従って飲料原材料を正確に分配することにより、飲料の品質および一貫性を向上させ、バリスタが原材料を計量および/または手動で圧送するのに要する時間を減らすことにより、飲料を作る時間を減らし、必要なレシピの記憶およびインテリジェントに行われるレシピの修正を減らすことにより、複雑さ、記憶労力、および訓練負担を軽減する。さらに、自動分配システムは、有利なことに、より少ないプラスチック容器またはポンプアセンブリを含み、これは、有利なことに、原材料のより小さい包装の形での無駄を減らし、ポンプおよびアセンブリの洗浄時間を減らす。さらに、分配を自動化し、正確性を向上させることにより、システムは、原材料消費に関する詳細な実績を決定および追跡する能力を向上させることができ、有利には、手作業による在庫の計数および推定を減らす、これにより、在庫の追跡および在庫補充の計画の精度を向上させることができる。
【0011】
I.
環境概説
図1には、ネットワーク102、注文管理システム110、製品データシステム120および自動分配システム130を含む、飲料管理分配環境100の実施形態が示されている。解説を簡単にし、本開示を限定しないために、
図1には、注文管理システム110、製品データシステム120および自動分配システム130を1つずつのみ示しているが、複数が使用されることもある。
【0012】
環境100の前述した構成要素またはシステムのいずれも、ネットワーク102を介して通信可能である。ネットワーク102は1つのみ示しているが、別個の、かつ/または分散した複数のネットワーク102が存在してもよい。ネットワーク102は、任意のタイプの通信ネットワークを含むことができる。例えば、ネットワーク102は、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、セルラーネットワーク(例えば、LTE、HSPA、3G、および他のセルラー技術)、アドホックネットワーク、衛星ネットワーク、有線ネットワーク、無線ネットワークなどのうちの1つもしくは複数を含むことができる。幾つかの実施形態において、ネットワーク102は、インターネットを含むことができる。
【0013】
注文管理システム110、製品データシステム120、または自動分配システム130のいずれか1つまたは任意の組み合わせなど、環境100の前述した構成要素またはシステムのいずれも、個々のコンピューティングデバイス、プロセッサ、分散処理システム、サーバ、孤立した実行環境(例えば、仮想マシン、コンテナなど)、共有コンピューティングリソースなどを使用して実装可能である。さらに、環境100の前述した構成要素もしくはシステムのいずれかは、組み合わせ可能であり、かつ/またはソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアもしくは説明する目的に適したソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、場合により、製品データシステム120またはその一部(例えば、レシピマネージャ122および/またはレシピカタログ124)は、自動分配システム130に統合可能である。
【0014】
A.注文管理システム
注文管理システム110は、顧客注文(飲料注文または注文と称することもある)を受信し、注文情報を自動分配システム130および/または製品データシステム120に伝達することができる。注文は、例えば、店内カウンタでもしくはドライブスルー注文システムを介して注文する顧客からの口頭の指示に応えてコーヒー店で顧客注文をローカルに入力するバリスタから、店内セルフサービスキオスクを介して顧客注文をローカルに入力する顧客から、モバイル注文および支払いソフトウェアアプリケーションを使用する顧客から、オンライン注文方法を使用する顧客から、かつ/または他のソースからなどのさまざまなソースのいずれかから、注文管理システム110によって受信されうる。
【0015】
注文管理システム110は、ウェブブラウザ、モバイルアプリケーションもしくは「アプリ」、ユーザによる直接的な相互作用の有無にかかわらずにさまざまな動作を行うバックグラウンドプロセス、もしくはウェブブラウザのプラグインもしくは拡張機能などの別のアプリケーションの「プラグイン」もしくは「拡張機能」を含むことができ、またはこれらに対するインタフェースを形成することができる。場合により、注文管理システム110は、任意の数のコンピューティングデバイスおよび/または仮想マシンインスタンスを広く含み得る、1つもしくは複数のホストデバイス(図示せず)によってホストまたは実行してもよい。注文管理システム110の例としては、以下に限定されるものではないが、スマートフォン、POSシステム、キオスク、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバなどを挙げることができる。
【0016】
注文は、以下に限定されるものではないが日付、時刻、顧客名、食品識別子、飲料識別子または原材料変更子を含む、さまざまな注文情報のうちのいずれかを含むことができる。飲料識別子は、顧客が注文する特定の飲料を指示することができる。例えば、飲料識別子は、特定の飲料またはその飲料に関連付けられた標準レシピを識別する任意の識別子とすることができる。飲料識別子は、以下に限定されるものではないが、飲料名、飲料に関連付けられた英数字コード(例えば、SKU)、または飲料のためのレシピを含むことができる。同様に、食品識別子は、顧客が注文する特定の食品を指示することができる。
【0017】
本明細書で説明するように、場合により、顧客は、特定の飲料を注文し、その飲料の標準レシピに対する修正を選択する。注文管理システム110は、注文を取り込んで、かつ/または分析して、本明細書では概ね原材料変更子と称するこうした変更を識別することができる。原材料変更子は、顧客が注文する特定の飲料に関連付けられた標準レシピ(または変更レシピ)に対する変更を指示することができる。原材料変更子は、追加原材料(例えば、エスプレッソの追加ショット)、既存原材料に対する変更(例えば、2%ミルクに代わるアーモンドミルク)、既存原材料の不在(例えば、氷なし、ホイップクリームなし、甘味料なしなど)などの指示を提供することができる。したがって、場合により、顧客の飲料注文は、飲料識別子および/または1つもしくは複数の原材料変更子によって表すことができる。
【0018】
B.自動分配システム
自動分配システム130は、ベース原材料マシン132、複数の原材料ディスペンサ134、コントローラ136およびデータストア138を含むことができる。本明細書で説明するように、自動分配システム130は、特定のレシピに従って正確な量の原材料を自動分配するように構成することができる。例えば、コントローラ136は、レシピ情報を取得することができ、ベース原材料マシン132および/または原材料ディスペンサ134にレシピ情報に従って原材料を分配させる命令をベース原材料マシン132および/または原材料ディスペンサ134に伝達することができる。例えば、ベース原材料マシン132および/または原材料ディスペンサ134は、原材料の正確な分配を容易にするための電子ポンプを含むことができる。データストア138(メモリ138と称することもある)は、Amazon Simple Storage Service(S3)、Elastic Block Storage(EBS)もしくはCloudWatch、Google Cloud Storage、Microsoft Azure Storage、InfluxDBなどのクラウドストレージを含むことができ、またはクラウドストレージとして実装することができる。データストア138は、本明細書で説明するレシピカタログ124のものと同様のまたは同じデータを保存する1つもしくは複数のデータストアで構成することができる。
【0019】
C.製品データシステム
製品データシステム120は、レシピマネージャ122、レシピカタログ124、および在庫管理システム126を含むことができる。本明細書で説明するように、製品データシステム120は、個々のコンピューティングデバイス、プロセッサ、分散処理システム、サーバ、孤立した実行環境(例えば、仮想マシン、コンテナなど)、共有コンピューティングリソースなどを使用して実装可能である。
【0020】
D.レシピマネージャ
レシピマネージャ122は、飲料管理分配環境100においてレシピを管理、作成、開発、または更新するために使用することができる。例えば、レシピマネージャ122は、レシピ情報によってレシピカタログ124を維持することができる。レシピマネージャ122は、受信したかつ/または生成するレシピ情報をレシピカタログ124に入力し、かつ/またはレシピカタログを経時的に更新することができる。レシピ情報が変更されると、レシピマネージャ122はレシピカタログ124を更新することができる。このようにして、レシピカタログ124は、レシピ情報の最新のデータベースを保持することができる。
【0021】
場合により、注文管理システム110および/または自動分配システム130は、レシピ情報を保存するためのローカルデータストア138を含むことができる。例えば、ローカルデータストア138は、最近に作成、開発または更新され、注文管理システム110および/または自動分配システム130に関連付けられた注文に対応するレシピ情報を含むことができる。場合により、レシピマネージャ122は、注文管理システム110および/または自動分配システム130にレシピ情報についてpingを送る(pinging)ことにより、または注文管理システム110および/または自動分配システム130によるレシピ情報の独自の報告に基づいてそれを受動的に受信することにより、レシピカタログ124を維持することができる。例えば、レシピマネージャ122は、X時間ごと、X日ごとなどの所定の時間間隔でpingを送るか、または注文管理システム110および/または自動分配システム130から情報を受信することができる。付加的にもしくは代替的に、注文管理システム110および/または自動分配システム130は、そのレシピ情報をレシピマネージャ122および/またはレシピマネージャ122に自動で送るように構成することができる。場合により、レシピカタログ124は、飲料作成者が実施したレシピの更新または新しいレシピの投入によるなど、手動で更新することができる。
【0022】
さらに、レシピマネージャ122は、注文管理システム110および/または自動分配システム130の一部または全部に対する更新の一部など、注文管理システム110および/または自動分配システム130にレシピ情報を、データパケットを介して送信することができる。例えば、レシピマネージャ122は、レシピの更新を、毎日、毎週または毎月などの所定の時間間隔で自動分配システム130に伝達することができる。場合により、レシピマネージャ122は、レシピまたはその更新がレシピマネージャ122により入手可能になったときにレシピ情報を提供する。場合により、レシピマネージャ122は、飲料作成者がレシピをさらに開発したり、試飲レシピを作成したりするときにレシピ情報を提供する。別の例として、自動分配システム130は、レシピマネージャ122にレシピ情報を照会することができ、またはレシピカタログ124からレシピ情報をダウンロードすることができる。
【0023】
E.レシピカタログ
レシピカタログ124は、レシピ情報を保存することができる。幾つかの実施形態において、レシピ情報は、飲料識別子、原材料識別子、原材料変更子、原材料シーケンス指示などを含むことができる。レシピカタログ124は、レシピマネージャ122によって維持(例えば、入力、更新など)することができる。前述したように、幾つかの実施形態において、レシピマネージャ122およびレシピカタログ124は、注文管理システム110および/または自動分配システム130から分離または独立することができる。代替的に、幾つかの実施形態において、レシピマネージャ122および/またはレシピカタログ124は、注文管理システム110および/または自動分配システム130の一部である。さらに、場合により、レシピカタログ124は、レシピマネージャ122から分離されるか、またはレシピマネージャに含まれるか、またはレシピマネージャの一部であることができる。
【0024】
本明細書で説明するように、飲料識別子は、飲料のためのレシピに関連付けることができる。レシピは、原材料グループおよび/または各原材料の特定の量を含むことができる。原材料としては、以下に限定されるものではないが、ミルクオプション(例えば、2%、脱脂、全脂、ブレーヴェ、ヘビークリーム、アーモンド、ココナッツ、オートミール、または大豆)、フレーバ(例えば、アップルブラウンシュガーシロップ、ブラウンシュガーシロップ、キャラメルシロップ、シナモンドルチェシロップ、ファンネルケーキシロップ、ヘーゼルナッツシロップ、ペパーミントシロップ、ラズベリーシロップ、トフィーナッツシロップ、バニラシロップ、または無糖バニラシロップ)、ソース(例えば、モカソース、ダークキャラメルソース、パンプキンソース、またはホワイトチョコレートモカソース)、添加物(例えば、チョコレートモルトパウダーまたはバニラビーンズパウダー)、甘味料(例えば、砂糖、サトウキビ糖、合成砂糖代替品、天然砂糖代替品(例:蜂蜜)、クラシックシロップまたは蜂蜜ブレンド)などを挙げることができる。
【0025】
さらに、レシピは、原材料のシーケンスを含むことができる。例えば、クリーミーなコーヒー飲料のためのレシピは、熱いエスプレッソコーヒーエキスをカップに分配し、続いてバニラシロップを2回圧送分配し、続いてホワイトチョコレートモカソースを1回圧送分配し、続いて一定量のスチームされたアーモンドミルクを圧送分配し、最後にトフィーナッツフレーバを2回圧送分配するものとすることができる。クリーミーでない飲料のためのレシピは、同じ原材料および量であるが、異なる順序で分配することができる(例えば、ホワイトチョコレートモカソースを1回圧送分配し、続いてバニラシロップを2回圧送分配し、続いて一定量のスチームされたアーモンドミルクを1回圧送分配し、続いてトフィーナッツフレーバを2回圧送分配し、最後に熱いエスプレッソコーヒーエキスを上部に分配する)。このように、原材料のタイプまたは量および変更子(例えば、ソース、シロップ、フレーバ)を変えるだけでなく、それらを飲料に加える順序を変えることによっても、それぞれ異なる飲料が作られる。
【0026】
レシピカタログ124は、1つもしくは複数の飲料識別子を保存することができる。幾つかの実施形態において、飲料識別子は、ある飲料識別子をレシピカタログ124に保存している別の飲料識別子から一意に識別するために使用できる英数字識別子または他の識別子として実装することができる。
【0027】
場合により、各飲料識別子は、特定の飲料を識別することができる。例として、飲料識別子に関連付けられた特定の飲料としては、以下に限定されるものではないが、カフェモカ、カフェラテ、カフェアメリカーノ、パンプキンクリームコールドブリュ、アイス黒糖オートミルクシェイクンエスプレッソ、アイスピーチ緑茶レモネード、ハニーシトラスミントティー、ナイトロコールドブリュなどを挙げることができる。
【0028】
さらに、各飲料識別子は、飲料特性(例えば、飲料サイズ、ベース飲料(茶、コーヒーなど))、レシピ、レシピ原材料グループ、1つもしくは複数の原材料変更子、原材料シーケンス指示、および/またはレシピ生成ポリシーに関する情報のうちの1つもしくは複数に関連付けることができる。
【0029】
レシピカタログ124は、Amazon Simple Storage Service(S3)、Elastic Block Storage(EBS)もしくはCloudWatch、Google Cloud Storage、Microsoft Azure Storage、InfluxDBなどのクラウドストレージを含むか、またはクラウドストレージとして実装することができる。レシピカタログ124は、注文管理システム110、自動分配システム130、もしくはレシピマネージャ122のうちの1つもしくは複数から受信されたデータ、またはレシピカタログ124に直接に受信されたデータを保存する1つもしくは複数のデータストアで構成することができる。レシピカタログ124は、高い可用性、高レジリエント、低損失のデータストレージを提供するように構成することができる。レシピカタログ124は、Amazon CloudWatchメトリクスを含むことができる。場合により、高い可用性、高レジリエント、低損失のデータストレージを提供するために、レシピカタログ124は、同じおよび異なる地理的位置に、異なるタイプのデータストア(例えば、ソリッドステート、ハードドライブ、テープなど)にわたって、データの複数のコピーを保存することができる。さらに、レシピカタログ124においてデータを受信すると、これを、同じおよび/または異なる地理的位置にわたって、それぞれ異なるデータストアにレプリケーションファクタに従って自動的に複数回複製することができる。
【0030】
レシピ情報を保存するためのデータ構造の非限定的な例を表1に示す。
【0031】
【0032】
表1の例を参照すると、飲料識別子65は、飲料名「カフェモカ」および飲料サイズ「グランデ」に関連付けられている。さらに、飲料識別子65は、複数の原材料識別子(ホットエスプレッソ、モカソース、スチームされた2%ミルク)および複数の対応する原材料量(2液量オンス、4液量オンス、8液量オンス)に関連付けられている。この例では、関連付けられた原材料および原材料量が当該飲料のためのレシピに対応する。さらに、この例では、飲料識別子65は原材料変更子に関連付けられていない。場合により、原材料変更子に関連付けられていない飲料を「標準」飲料または既定飲料と称する。したがって、この例では、飲料識別子65は、標準飲料レシピであるグランデカフェモカに対応することができる。
【0033】
表1は、飲料識別子66のための行も含む。飲料識別子65と同様に、飲料識別子66もまた、飲料名「カフェモカ」および飲料サイズ「グランデ」に関連付けられている。しかし、飲料識別子66は加えて、幾つかの原材料変更子、すなわち、「+1オンス」のエスプレッソと、「2%」ミルクから「アーモンド」ミルクへの置換と、に関連付けられている。表1のこれら双方の例を見て、飲料識別子66が追加オンスのエスプレッソに関連付けられているにもかかわらず、原材料全体の総体積が14オンスであることに注意されたい。これは、レシピが、エスプレッソの体積の増量に応じてミルクの体積を減量させているためである。
【0034】
飲料識別子の入力は、さまざまな方式で構成できることが理解されよう。飲料識別子のデータ構造は、より少ない情報または追加の情報を含みうることが理解されよう。例えば、レシピのためのシーケンス指示を含めることができる、または飲料サイズを省略することができる、などである。
【0035】
F.在庫管理システム
在庫管理システム126は、1つもしくは複数の店舗における在庫を管理、追跡または注文するために使用することができる。例えば、前述したように、自動分配システム130は、正確な量の原材料を分配するように構成することができる。正確性により、使い残した原材料の正確な量を決定および/または追跡することができる。追加原材料を使用するとき、在庫管理システム126は、その変更を反映するように更新することができる。このようにして、在庫管理システム126は、原材料消費に関する詳細な実績を決定および追跡する能力を向上させることができ、有利には、手作業による在庫の計数および推定を減らし、それにより、在庫の追跡および在庫補充の計画の精度を向上させることができる。場合により、在庫管理システム126は、自動分配システム130の一部として実装される。
【0036】
II.
例示的な自動分配システム
図2には、レシピに従って飲料原材料を自動分配するための例示的な自動分配システム230が示されている。自動分配システム230は、ベース原材料マシン202A,202B、複数のディスペンサ234A,234B,234C,234D,234E,234F,234G(個々にまたは集合的にディスペンサ234またはディスペンサ234と称する)、ディスペンサ注ぎ口205、ディスプレイ画面242、および/またはコントローラ(
図1のコントローラ136など)を含む。自動分配システム230は、
図1の実施形態の自動分配システム130であってよい。
【0037】
ベース原材料マシン202A,202Bは、エスプレッソ、コーヒー、茶などのベース原材料を淹出または分配するように構成することができる。例えば、ベース原材料マシン202A,202Bとして、以下に限定されるものではないが、コーヒーエスプレッソマシンまたはティーマシンを挙げることができる。
図2のベース原材料マシン202A,202Bは例を表しているにすぎず、したがって、
図2は限定的に解釈されるべきでないことが理解されよう。
【0038】
ディスペンサ注ぎ口205は、温水や冷水、原材料や原材料の組み合わせ、または調製された飲料などの液体を分配するように構成される。場合により、ディスペンサ注ぎ口205は、例えばバリスタによる手動分配を容易にするものであってよい。場合により、ディスペンサ注ぎ口205は、本明細書で説明するような自動分配を容易にする。ディスペンサ注ぎ口205は、原材料セットのうちの一部または全部をディスペンサ注ぎ口205を通して分配するように構成された集中型のディスペンサ注ぎ口であってよい。付加的にもしくは代替的に、ディスペンサ注ぎ口205は、単一の原材料を分配するように構成可能である。例えば、自動分配システム230は、原材料ごとに1つずつなど、複数のディスペンサ注ぎ口205を含んでもよい。
【0039】
ディスプレイ画面242は、グラフィック、アニメーションまたは英数字のテキスト情報をバリスタに対して表示することに加えて、ディスプレイ画面242のグラフィカルユーザインタフェース上のグラフィカルボタンまたはアイコンの押下に基づくユーザ入力を受けるように構成されたタッチスクリーンディスプレイを含みうる。付加的にもしくは代替的に、ディスプレイ242は、エラー、警告やアラートの指示、レシピの指示、または他の飲料情報などの情報または指示を、バリスタまたは他のユーザに対して表示することができる。
【0040】
ディスペンサ234は、1つもしくは複数のコントローラから、または1つもしくは複数のコントローラによって制御可能である。例えば、個々のディスペンサ234は、電力および制御信号(レシピ情報などのデータまたは他の情報を含みうる)をディスペンサ234のそれぞれに供給する単一の集中型コントローラによって、または単一の集中型コントローラによって制御可能である。他の構成において、各ディスペンサ234は、専用のローカルコントローラによって制御されてもよく、またはディスペンサのサブグループがコントローラによって制御されてもよい。各ディスペンサ234は、特定のポンプ特性または分配パラメータ(例えば、圧送速度、タイミング、容量分配および分配アルゴリズム)を変更することにより、任意の原材料を分配するように変更可能でありまたは適応化可能である。
【0041】
場合により、ディスペンサ234はモジュール式である。例えば、ディスペンサ234は、他のディスペンサ234または自動分配システム230の動作に悪影響を及ぼすことなく、異なる構成で迅速かつ容易に自動分配システム230に追加し、または自動分配システムから取り外すことができる。
【0042】
分配指示(例えば、分配量)は、例えば、分配指示が飲料のための標準レシピから逸脱する場合、ディスペンサのユーザ入力装置(例えばディスプレイ242)を通して、またはディスペンサから離れた場所で、個々のバリスタが入力することができる。代替的に、分配指示は、自動分配システム230が注文管理システム110または製品データシステム120から自動受信されることもある。注文管理システム110または製品データシステム120から分配指示を受信する場合でも、ユーザ(例えばバリスタ)は、(例えば、最初の売買時の後に顧客が考えを変えた場合に)分配指示を手動で修正可能である。
【0043】
自動分配システム230は、所望に応じて、より少ないか、またはより多くの構成要素を含み得ることが理解されよう。例えば、自動分配システム230は、“AUTOMATED DISPENSING SYSTEM FOR CUSTOMIZED BEVERAGES”なるタイトルの米国特許出願公開第2021/0221667号明細書(2021年1月14日付出願)においてより詳しく説明されている実施形態の自動分配システムであることができ、この明細書はその全体が参照によって本明細書に組み込まれ、本明細書で説明する実施形態および/または特徴の任意の組み合わせとの互換性があり、これらと組み合わせて使用することのできる概念を含むものとする。
【0044】
III.
変更されたバージョンの飲料のためのレシピの生成
図3は、レシピ生成ポリシーに従って飲料のためのレシピを動的に生成するための、飲料管理分配環境100のさまざまな構成要素間のデータフローおよび通信の実施形態を示すデータフロー図である。
図3のデータフロー図には、注文管理システム110と、製品データシステム120(例えば、在庫管理システム126、レシピマネージャ122、および/またはレシピカタログ124)と、自動分配システム130と、の間のデータフローおよび通信の例が示されている。なお、幾つかの実施形態において、
図3に関して本明細書で説明する機能のうちの1つもしくは複数を省略できること、同時にもしくは異なる順序で行えることおよび/または飲料管理分配環境100の異なる構成要素によって行えることが理解されるであろう。したがって、図示している実施形態および説明は限定的に解釈されるべきでない。
【0045】
(1)において、製品データシステム120は、新しいレシピ、および/または既存レシピに対する更新もしくは修正を受信する。本明細書で説明するように、製品データシステム120は、レシピ識別子(例えば、飲料名またはSKU)および関連付けられた原材料、原材料量、シーケンス指示などのレシピ情報を保存するレシピカタログ124を含むことができる。場合により、飲料作成者は、新しいレシピ、および/または既存レシピに対する更新もしくは修正を伝達するために、製品データシステム120と相互作用することができる。例えば、飲料作成者は、季節レシピ、試用または試飲レシピ、レシピに対する修正などを導入または有効化することができる。レシピマネージャ122は、この情報によってレシピカタログ124を更新することができる。さらに、場合により、レシピカタログ124の内容の一部または全部を、自動分配システム130のうちの1つ、一部または全部に伝達することができる。
【0046】
(2)において、注文管理システム110は、第1の飲料のための飲料注文を受信する。飲料注文は、例えば、店内カウンタでもしくはドライブスルー注文システムを介して注文する顧客からの口頭の指示に応えてコーヒー店で飲料注文をローカルに入力するバリスタから、店内セルフサービスキオスクを介して飲料注文をローカルに入力する顧客から、モバイル注文および支払いソフトウェアアプリケーションを使用する顧客から、オンライン注文方法を使用する顧客から、かつ/または他のソースからなどのさまざまなソースのいずれかから、注文管理システム110によって受信することができる。
【0047】
(3)において、注文管理システム110は、飲料注文の指示を自動分配システム130に伝達する。場合により、自動分配システム130に注文を伝達するために、注文管理システム110は、注文を受信し、注文情報を自動分配システム130に転送する。
【0048】
(4)において、自動分配システム130は、注文情報に関連付けられたレシピがローカルストレージ(例えば、データストア138)および/またはリモートストレージ(例えば、レシピカタログ124)で入手可能であるかどうかを判別する。例えば、本明細書で説明するように、自動分配システム130は、レシピカタログ124に保存している最近の情報のコピーなどのレシピグループを含むローカルデータストア138を含むことができ、かつ/または維持することができる。注文情報を使用して、自動分配システム130は、そのローカルデータストア138を調査して、関連するレシピが入手可能であるかどうかを判別することができる。例えば、自動分配システム130は、注文データの少なくとも一部をローカルデータストア138に保存しているデータと比較して、関連する注文が入手可能であるかどうかを判別することができる。場合により、レシピがローカルデータストア138において入手可能である場合、自動分配システム130は、レシピを識別し、自動分配システム130が飲料を分配する相互作用(9)に進むことができる。
【0049】
場合により、レシピがローカルデータストア138において入手できなければ、自動分配システム130は、レシピについてレシピカタログ124をチェックすることができる。例えば、(5)において、自動分配システム130は、レシピに関する要求または照会を、例えばデータパケットを介して、レシピマネージャ122に伝達する。場合により、要求の一部として、自動分配システム130は、飲料識別子および原材料変更子などの注文情報の少なくとも一部を伝達する。場合により、要求の一部として、自動分配システム130は、注文情報の全てを伝達する。場合により、注文情報(またはその一部)の伝達自体が要求として機能しうるので、別の要求を送る必要はない。場合により、自動分配システム130は、そのローカルデータストア138を調査する前に、またはその代わりに、レシピカタログ124を調査する。
【0050】
(6)において、自動分配システムは、注文情報に関連付けられたレシピが入手できないことを判別する。
【0051】
(7)において、自動分配システム130は、注文情報およびレシピ生成ポリシーに基づいてレシピを生成する。例えば、前述したように、情報は、飲料識別子および1つもしくは複数の原材料変更子などのデータを含むことができる。レシピを生成することの一部として、自動分配システム130は、飲料識別子を使用して、データストア138から標準レシピを取得することができる。さらに、自動分配システム130は、データストア138に同様に保存できるレシピ生成ポリシーを取得することができる。本明細書で説明するように、レシピを生成するために、自動分配システム130は、原材料変更子および/またはレシピ生成ポリシーに基づいて、標準レシピ(または別のレシピ)に対する変更を行うことができる。
【0052】
レシピ生成ポリシーは、原材料変更に応じてレシピを調整または作成する方法を示すことができる。例えば、レシピ生成ポリシーは、原材料変更が実行されるように、かつ/または他の基準(例えば、フレーバプロファイル、カロリー数、食事制限、体積閾値など)が満たされるように、原材料、原材料量、原材料順序などをどのように変更するかに関する特定のルールまたは指示のセットを含むことができる。
【0053】
場合により、レシピ生成ポリシーは、原材料の総体積が体積閾値を満たすべきであることを示す。例えば、原材料変更子が、標準レシピと比較して、追加原材料の存在または既存原材料の増量を示す場合、レシピ生成ポリシーは、新しいレシピの総体積が体積閾値を超えないように、少なくとも1つの既存原材料を減量させることを示すことができる。別の例として、原材料変更子が、標準レシピと比較して、既存原材料の不在または既存原材料の減量を示す場合、レシピ生成ポリシーは、新しいレシピの総体積が体積閾値を超えないように、少なくとも1つの既存原材料を増量することを示すことができる。増量または減量される特定の原材料は、複数の技法を使用して決定することができる。例えば、場合により、特定の原材料は、標準レシピに従って最大体積をなす原材料などの主原材料とすることができる。別の例として、場合により、特定の原材料を、変更された原材料を補完する原材料とすることができる。例えば、比較的苦い原材料(例えば、エスプレッソ)を追加する場合、同様に苦い原材料を除去し、かつ/または甘い原材料(例えばモカソース)を追加して、味の変化の可能性を補償することができる。
【0054】
体積閾値は、実施形態によって異なることができる。例えば、体積閾値は、カップのサイズ(例えば、小、中、大)、特定の原材料(例えば、ホイップクリーム)の有無、ユーザの好みなどに基づくことができる。例えば、場合により、小サイズのカップに約12オンスの液体が入る。幾つかの例では、体積閾値は約12オンスとすることができる。代替的に、カップが溢れたりこぼれたりしないように、体積閾値を12オンスから幾らか(例えば、0.25、0.5、または1オンス)オフセットしてもよい。別の例として、変更レシピがホイップクリームを含む場合、飲料を調製した後にホイップクリームを追加するために十分な余地を残すためなどに、体積閾値を低減することができる。
【0055】
場合により、レシピ生成ポリシーは、標準レシピと比較して、飲料がそのフレーバプロファイルを実質的に保持するように、特定の原材料をどのように補償するかを示す。顧客が飲料のためにエスプレッソの追加ショットを要求するシナリオを考える。このようなシナリオでは、レシピの他の原材料を変更することなく、エスプレッソの追加ショットを標準レシピに単純に追加すると、標準レシピと比較して、より苦い味の飲料になる場合がある。したがって、レシピ生成ポリシーは、エスプレッソの追加ショットによってもたらされる苦味の増量を補償するための特定のルールセットを示してもよい。例えば、レシピ生成ポリシーは、チョコレートソース(または標準レシピの他のフレーバ)を追加すること、および/または(例えば、追加されたエスプレッソおよびチョコレートソースの体積に比例して)スチームミルクを除去することにより、エスプレッソショットを補償することを示すことができる。原材料変更に基づいて飲料レシピを動的に生成することにより、システムは、原材料変更にかかわらず、飲料のフレーバプロファイルまたは品質を有利に維持することができる。
【0056】
幾つかの実現形態では、レシピ生成ポリシーは、追加原材料の存在または既存原材料の不在に応じて、全ての原材料を比例的に変化させることを示す。標準飲料に3.5オンスのスチームミルク、2オンスのチョコレートソース、2オンスのエスプレッソが含まれるシナリオを考える。さらに、原材料変更子がエスプレッソの追加ショットを示すとする。こうしたシナリオの場合、レシピ生成ポリシーは、生成されたレシピが約2.54オンスのスチームミルク、1.45オンスのチョコレートソース、および3.5オンスのエスプレッソを含むように、1.5オンスのエスプレッソの追加を考慮して、スチームミルクおよびチョコレートソースを比例的に減量させるように指示することができる。レシピ生成ポリシーは、標準レシピから原材料が除去されたときに同様の比例調整を示すことができる。
【0057】
場合により、レシピ生成ポリシーは、原材料変更子に従ってレシピに対する調整を行うが、原材料に対する他の調整を行わないことを示す。例えば、標準飲料に3.5オンスのスチームミルク、2オンスのチョコレートソースおよび2オンスのエスプレッソが含まれる上記の例に戻ると、原材料変更子がエスプレッソの追加ショットを示す場合、レシピ生成ポリシーは、全ての元の原材料を保持され、生成されたレシピが約3.5オンスのスチームミルク、2オンスのチョコレートソースおよび3.5オンスのエスプレッソを含むように示すことができる。幾つかの例において、飲料を分配するときに、システムがより大きなカップ(例えば、次に大きいサイズ)を利用することが必要となる場合がある。
【0058】
(8)において、自動分配システム130は、生成されたレシピの指示をデータストア138および/またはレシピカタログ124に保存する。本明細書で説明するように、自動分配システム130は、データストア138を最新のレシピ情報によって維持することができる。同様に、レシピマネージャ122は、レシピカタログ124を最新のレシピ情報によって維持することができる。したがって、場合により、自動分配システム130が新しいレシピを生成するたびに、自動分配システム130は、生成されたレシピをデータストア138および/またはレシピカタログ124に入力することができる。場合により、生成されたレシピを入力することの一部として、自動分配システム130は、生成されたレシピに関連付けられた飲料識別子を生成することができる。さらに、本明細書で説明するように、データストア138および/またはレシピカタログ124は、飲料識別子、レシピ、原材料変更子などの間の関連付けを保存することができる。生成されたレシピを保存することにより、注文が再び行われた場合、自動分配システム130は、レシピを再生成するのではなく、レシピ情報を検索することができる。さらに、生成されたレシピを保存することにより、レシピの「ギャップ」が埋められる。
【0059】
(9)において、自動分配システム130は、生成されたレシピに従って原材料を自動分配する。本明細書で説明するように、自動分配システム130は、コントローラ136、1つもしくは複数の原材料ディスペンサ134、および/またはベース原材料マシン132を含むことができる。各原材料ディスペンサ134は、1つもしくは複数の原材料を貯蔵するように構成することができ、コントローラ136によって制御されて、それぞれの原材料の正確な量を分配することができる。コントローラ136は、レシピを取得し、レシピに基づいて、それぞれの原材料ディスペンサ134(例えば、ディスペンサポンプ)に命令を伝達する。その後、原材料ディスペンサ134のポンプは、正確な体積の原材料を、分配注ぎ口を通じて容器に分配する。
【0060】
(10)において、自動分配システム130は、生成されたレシピに従った原材料の分配に少なくとも部分的に基づいて材料の消費を追跡する。前述したように、分配システム130の正確性を向上させることにより、原材料の正確な利用量を決定し、追跡することができる。このようにして、自動分配システム130は、詳細な原材料消費を決定および追跡する能力を向上させることができ、有利には、手作業による在庫の計数および推定を減らし、それにより、在庫の追跡および在庫補充の計画の精度を向上させることができる。場合により、製品データシステム120(例えば、在庫管理システム126)は、在庫を追跡し、かつ/または在庫追跡に基づいて追加供給品の自動注文を管理することができる。
【0061】
図3に関して説明したさまざまな相互作用はさまざまな順序で実行可能であり、かつ/または、所望に応じて同時にもしくは改変された順序で実施できることが理解されよう。例えば、場合により、自動分配システム130は、データストア138およびレシピカタログ124にレシピ情報を同時に保存することができる。場合により、
図3のデータフローは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで行われる。このようにして、レシピが生成され、かつ/または顧客に著しい遅延を引き起こすことなく飲料が分配される。
【0062】
さらに、
図3のデータフローの一部として、より少ない、より多くの、または異なるブロックを使用できることが理解されるであろう。例えば、場合により、レシピカタログ124のデータは、自動分配システム130によるダウンロードのために入手可能であるか、またはレシピカタログ124のデータは、レシピマネージャ122が自動分配システム130に定期的に配布するソフトウェア更新の一部であってよい。このようにすれば、場合により、自動分配システム130にローカルに保存されているデータがレシピカタログに保存されているデータと同じになり、したがって、相互作用(4)が省略可能となる。
【0063】
別の例として、場合により、自動分配システム130は、相互作用(4)、(5)または(6)のうちの1つもしくは複数を行わなくてもよい。例えば、自動分配システム130は、レシピ生成ポリシーを保存してもよく、したがって、レシピマネージャ122と相互作用することなく、レシピ自体を生成することができる。幾つかの例では、自動分配システム130は、レシピマネージャ122がレシピカタログ124を更新できるように、生成されたレシピの指示をレシピマネージャ122に伝達することができる。
【0064】
IV.
レシピカタログの管理
図4は、レシピ生成ポリシーに従って飲料のためのレシピを動的に生成するためにレシピマネージャ122によって実行されるルーチン400の実施形態を示すフロー図である。レシピマネージャ122によって実行されるものとして説明するが、ルーチン400について概説される要素は、非限定的に、製品データシステム120、レシピカタログ124、注文管理システム110、または自動分配システム130などの飲料管理分配環境100に関連する1つもしくは複数のコンピューティングデバイスもしくは構成要素によって実行可能であることが理解されるであろう。したがって、以下の図示された実施形態は限定的に解釈されるべきでない。
【0065】
ブロック402において、レシピマネージャ122はレシピカタログ124を維持する。場合により、レシピマネージャ122は、自動分配システム130または注文管理システム110の一部または全部と通信することにより、レシピカタログ124を維持する。例えば、場合により、自動分配システム130および/または注文管理システム110は、入手可能な原材料の指示、顧客が作成したレシピ、および/またはレシピ変更などのレシピ情報を取得するまたは管理することができる。レシピマネージャ122は、レシピ情報を受信し、これを使用してレシピカタログ124を更新および/または維持することができる。特定の実施形態において、レシピマネージャ122は、自動分配システム130および/または注文管理システム110と通信してレシピ情報を受信することができ、ここから追加レシピまたはレシピ変更を判別することができ、その情報を使用してレシピカタログ124を維持することができる。
【0066】
場合により、レシピマネージャ122は、自動分配システム130および/または注文管理システム110にpingを送り、応答を受信することによって、これらと通信する。例えば、レシピマネージャ122は、60秒ごと、30分もしくは60分ごとまたは4時間、8時間もしくは12時間ごとなど、所定の時間間隔で自動分配システム130にpingを送ることができる。特定の実施形態において、自動分配システム130は、レシピデータをレシピマネージャ122に自動的に送るように構成することができる。
【0067】
レシピカタログ124は、とりわけ、複数の飲料のための飲料レシピコレクションを含むことができる。例えば、飲料ごとに、レシピカタログ124は、原材料のコレクションおよび各原材料の対応する量に関連付けられた標準レシピを含むことができる。場合により、レシピカタログ124は、飲料の入手可能なサイズごとの異なる標準レシピなど、特定の飲料のための複数の標準レシピを含む。場合により、特定の飲料について、原材料および/または原材料比率は、飲料サイズ間で同じである。代替的に、原材料および/または原材料比率は、飲料サイズ間で異なっていてもよい。原材料として、以下に限定されるものではないが、ソース、シロップ、甘味料、着色料、フレーバ、氷、水、乳製品または非乳製品、エスプレッソ、ホイップクリームなどを挙げることができる。
【0068】
場合により、レシピ情報は、1つもしくは複数の変更レシピを含む。変更レシピは、それぞれの標準レシピと比較して追加または控除を伴うバージョンなど、標準レシピの改変バージョンであることができる。場合により、変更レシピは、原材料変更子に関連付けられる。例えば、本明細書で説明するように、原材料変更子は、標準レシピと比較して、原材料の追加または除去を示すことができる。
【0069】
ブロック404において、レシピマネージャ122は、レシピカタログ124内の複数の飲料のうちの第1の飲料を識別する第1の飲料識別子を受信する。本明細書で説明するように、第1の飲料は、標準または既定レシピに関連付けられる飲料に対応することができる。例えば、レシピマネージャ122は、レシピカタログ124において第1の飲料識別子を探索して、レシピ情報、原材料、飲料名など、飲料に関連付けられたさまざまな情報を決定することができる。
【0070】
ブロック406において、レシピマネージャ122は、原材料変更子を受信する。本明細書で説明するように、原材料変更子は、標準飲料の変更を示すことができる。例えば、原材料変更子は、レシピに対する新しい原材料の追加(およびその追加量)を示すことができる。別の例として、原材料変更子は、レシピに対する既存原材料の追加(およびその追加量)を示すことができる。別の例として、原材料変更子は、レシピに対する既存原材料の削減または除去(およびその削減量)を示すことができる。別の例として、原材料変更子は、既存原材料から別の原材料への置換を示すことができる。単一の原材料変更子として説明したが、例えば飲料注文に基づいて、任意の数の原材料変更子を受信できることが理解されよう。
【0071】
ブロック408において、レシピマネージャ122は、第1の飲料のための変更レシピを生成する。本明細書で説明するように、レシピマネージャ122は、第1の飲料識別子、原材料変更子およびレシピ生成ポリシーに少なくとも部分的に基づいて、変更レシピを生成する。レシピ生成ポリシーは、原材料を変更して原材料変更を実行するための特定のルールまたは命令のセットを含むことができる。本明細書で説明するように、レシピ生成ポリシーは、実施形態間で異なりうる。例えば、場合により、レシピ生成ポリシーは、標準原材料の総体積が変更原材料の総体積と等しくあるべきことを示す。別の例として、場合により、レシピ生成ポリシーは、変更レシピを生成するときに標準レシピによる特定の原材料比率を保持することを示す。
【0072】
ブロック410において、レシピマネージャ122は、変更レシピを自動分配システム130に伝達する。自動分配システム130は、変更レシピに従って原材料を自動分配することができる。本明細書で説明するように、自動分配システム130は、コントローラ136、1つもしくは複数の原材料ディスペンサ134および/またはベース原材料マシン132を含むことができる。各ディスペンサ134は、1つもしくは複数の原材料を貯蔵するように構成することができ、コントローラ136によって制御されて、それぞれの原材料の正確な量を分配することができる。コントローラ136は、レシピを取得し、レシピに基づいて、それぞれのディスペンサ234(例えば、ディスペンサポンプ)に命令を伝達する。その後、ディスペンサ234のポンプは、正確な体積の原材料を、分配注ぎ口を通じて容器に分配する。
【0073】
V.用語
本明細書では、コーヒー飲料または茶飲料用のフレーバ、ソース、またはシロップに関連して特定の実施形態について説明してきたが、本明細書で説明するシステムは、任意のタイプの原材料または食品に使用することができる。例えば、幾つかの実施形態において、本明細書におけるシステムは、ケチャップ、マスタード、バーベキューソース、チーズソース、薬味、タマネギなどの流体または固体原材料を送達するために使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書におけるシステムは、ソーダ、ジュース、スムージー、ミルクセーキなどの他のタイプの飲料を生成するために使用することができる。
【0074】
特に「できる」、「可能である」、「してもよい」、「例えば」などの、本明細書で使用する条件付き表現は、特に別記載がない限り、または使用されている文脈内で別様に理解されない限り、一般に、特定の特徴、要素および/または状態が幾つかの実施形態が含むが他の実施形態が含まないことを伝えることを意図している。したがって、このような条件付き表現は、一般に、特徴、要素、ブロックおよび/または状態が1つもしくは複数の実施形態にとって何らかのかたちで必要であること、または別の入力もしくはプロンプトの有無にかかわらず、1つもしくは複数の実施形態が、これらの特徴、要素、および/または状態が任意の特定の実施形態に含まれるかどうかまたは行われるかどうかを判別するためのロジックを必ず含むことを意味することを意図していない。
【0075】
実施形態によっては、本明細書で説明するプロセスまたはアルゴリズムのうちのいずれかの特定の行為、事象または機能をそれぞれ異なるシーケンスで行うことができ、追加することができ、併合することができ、または完全に省略することができる(例えば、説明する全ての動作または事象がアルゴリズムの実践に必要であるとは限らない)。さらに、特定の実施形態において、動作または事象を同時に行うことができる。
【0076】
本明細書で開示する実施形態に関連して説明するさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール式ディスペンサ、ルーチンおよびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこれらの組み合わせとして実装することができる。ハードウェアとソフトウェアとのこうした交換可能性を明確に示すために、さまざまな例示的な構成要素、ブロック、モジュール式ディスペンサおよびステップについて、その機能性の観点から一般的に上述した。このような機能性をハードウェアとして実現するかソフトウェアとして実現するかは、システム全体に課される特定の用途および設計上の制約に依存する。説明した機能性は特定の各用途のためにさまざまな方法で実現可能であるが、こうした実現形態の決定は、本開示の範囲からの逸脱として解釈されるべきではない。
【0077】
さらに、本明細書で開示する実施形態に関連して説明するさまざまな例示的な論理ブロックおよびモジュール式ディスペンサは、汎用プロセッサ装置、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、離散的なゲートもしくはトランジスタ論理、離散的なハードウェア構成要素、または本明細書で説明する機能を行うように設計されたそれらの任意の組み合わせなどのマシンによって実現または実行することができる。汎用プロセッサ装置はマイクロプロセッサとすることができるが、代替案としてコントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン、これらの組み合わせなどとすることもできる。プロセッサ装置は、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態において、プロセッサ装置は、FPGA、またはコンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を行う他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサ装置は、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成など、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実装することもできる。本明細書では主にデジタル技術に関して説明したが、プロセッサ装置は主にアナログ構成要素を含んでもよい。例えば、本明細書で説明する信号処理アルゴリズムの一部または全部を、アナログ回路でまたはアナログとデジタルとの混合回路で実装することもできる。コンピューティング環境は、以下に限定されるものではないがマイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、または機器内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含む、任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0078】
本明細書で開示する実施形態に関連して説明する方法、プロセス、ルーチンまたはアルゴリズムの要素は、ハードウェアで直接、プロセッサ装置によって実行されるソフトウェアモジュールで、またはこれらの組み合わせとして具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または任意の他の形態の非一時性のコンピュータ可読記憶媒体に存在することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサ装置が記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサ装置に結合することができる。代替案として、記憶媒体はプロセッサ装置と一体であることもできる。プロセッサ装置と記憶媒体は、ASIC内に存在することができる。ASICはユーザ端末内に存在することができる。代替案として、プロセッサ装置および記憶媒体がユーザ端末内の離散的な構成要素として存在してもよい。
【0079】
上記の詳細な説明では、さまざまな実施形態に適用される新規な特徴を示し、説明し、指摘したが、例示した装置またはアルゴリズムの形態および詳細におけるさまざまな省略、置換および変更を本開示の主旨から逸脱することなく行えることを理解されたい。例えば、異なる図において、同様の構成要素または特徴について異なる番号を使用しているが(例えば、ディスペンサモジュール、ディスプレイ、コントローラなどについて異なる番号を使用している)、1つの図、実施形態または番号付き要素に関連して説明する構造的および機能的特徴を異なる番号付き構成要素または特徴に組み込むことができる、その逆も同様に可能である。認識されうるように、本明細書で説明する特定の実施形態は、幾つかの特徴を他の特徴とは別個に使用または実践できるため、本明細書で規定する特徴および利点の全てを提供するわけではない形態で具現化することができる。本明細書で開示する特定の実施形態の範囲は、前述した説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味および等価物の範囲に含まれる全ての変更はその範囲内に包含されるものである。
【国際調査報告】