(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ノットレスアンカー挿入器ツールの抜去
(51)【国際特許分類】
A61B 17/90 20060101AFI20250109BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20250109BHJP
A61B 17/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B17/90
A61B17/56
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539640
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2022088033
(87)【国際公開番号】W WO2023126493
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブズ・ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】パテル・ラビ
(72)【発明者】
【氏名】シャインウォルド・マーク
(72)【発明者】
【氏名】レパート・ティモシー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB30
4C160LL30
4C160LL56
4C160LL59
(57)【要約】
ノットレスアンカー挿入器ツールを抜去するための様々な例示的なデバイス、システム、及び方法が提供される。概して、挿入器ツールは、軟組織修復外科的処置におけるノットレスアンカー挿入のために構成されている。挿入器ツールは、アンカーを患者の骨内に挿入して、骨に対して軟組織を固着させるように構成されている。挿入器ツールは、挿入器ツールをアンカー内から除去させるように構成された後退機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
骨に埋め込まれるように構成されたアンカーと、
挿入器ツールであって、
前記アンカーを前記挿入器ツールの長手方向軸に沿って遠位に押すように構成された外側シャフトと、
前記外側シャフト内及び前記アンカー内に位置付けられた内側シャフトであって、前記内側シャフトの遠位端は、前記外側シャフト及び前記アンカーの遠位側に位置付けられ、前記内側シャフトの前記遠位端は、縫合糸に解放可能に結合するように構成されている、内側シャフトと、
前記内側シャフトを前記挿入器ツールの前記長手方向軸に沿って前記外側シャフト及び前記アンカーに対して近位に移動させるように作動されるように構成された後退機構と、を備える、挿入器ツールと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記後退機構は、レバーとして構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記後退機構は、前記内側シャフトに動作可能に結合され、前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動させられ、それによって、前記内側シャフトを前記外側シャフト及び前記アンカーに対して近位に移動させるように構成される、レバーハンドルを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記後退機構は、前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押す前に前記レバーハンドルが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動することを防止するように構成された係止部を更に備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押すことは、前記レバーハンドルが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動することを前記係止部が防止する係止位置から、前記レバーハンドルが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動することを前記係止部が可能にする係止解除位置まで、前記係止部を移動させるように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記後退機構は、親ねじ機構として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記後退機構は、前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押す前に前記後退機構が作動されることを防止するように構成された係止部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記挿入器ツールは、ハンドルを更に備え、前記ハンドルは、前記後退機構の前記作動中に前記外側シャフトを前記ハンドルに対して定位置に保持するように構成された保持機構を含み、
前記内側シャフトはまた、前記後退機構の作動によって、前記ハンドルに対して近位に移動させられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記挿入器ツールは、前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨内の穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるように構成されたハンドルを更に備え、
前記外側シャフトは、前記ハンドルから遠位に延在し、
前記内側シャフトは、前記ハンドルから遠位に延在し、
前記後退機構は、前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨内の前記穴内に位置付けられた状態で、前記患者の前記身体の外側に位置付けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記挿入器ツールは、縫合糸を中に通して据え付け、前記内側シャフトを前記縫合糸に解放可能に結合するように構成される、密閉通路を有し、
前記後退機構の前記作動は、前記内側シャフトが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して近位に移動することに応答して、前記挿入器ツールの柔軟な部材を自動的に広げ、それによって、前記密閉通路を開かせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記密閉通路を通して据え付けられた前記縫合糸を更に備え、
前記縫合糸は、前記後退機構の作動に先立って、かつ前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨内の穴内に位置付けられることに先立って、前記密閉通路を通して据え付けられ、前記アンカーが前記アンカーの外面と前記骨内の前記穴の壁との間に前記縫合糸を捕捉するように、前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押した後に、前記密閉通路を通して据え付けられる、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ノットレスアンカー挿入器ツールの抜去に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な障害及び症状が、軟組織損傷の修復、又は骨及び/若しくは周辺組織への軟組織の再付着を必要とする。例えば、健康であった組織が骨から剥離されてしまった場合、例えば、関節唇が関節窩から剥離した場合(肩関節不安定性)は、治癒及び自然な再付着を生じさせるために、組織を骨に再付着させる手術を必要とすることが多い。これらの外科的修復を実施するために、数多くのデバイス及び方法が開発されてきた。より良い結果をもたらす方法のいくつかは、縫合糸アンカーなどの縫合固定部材の使用を含むものであり、この縫合糸固定部材は通常、縫合糸取り付け機構を有するアンカー本体と、縫合糸アンカーを組織若しくは骨の中に、又は組織若しくは骨に隣接して保持するための、組織又は骨係合機構とを有している。特定の傷害に応じて、縫合糸の1つ以上のセグメントに接続された、あるいは縫合糸の1つ以上のセグメントで相互に接続された1つ以上の縫合糸アンカーが、修復を実施するために使用され得る。
【0003】
単一の種類の組織の大部分において断裂が生じる場合にもまた、外科手術が必要となることがある。そのような組織の断裂を修復するために、1つ以上の縫合糸アンカーとともに縫合糸を使用することもできる。縫合糸は、修復手技の間に外科医によって結ばれた結び目を用いて、あるいは、外科医が外科手術の間に結び目を結ぶことを必要とせずに、1つ以上のアンカーと1つ以上の縫合糸とが接続され、かつ張力付与され得る「ノットレス(knotless)」デバイス及び方法を用いて、縫合糸アンカー及び組織に締結することができる。ノットレス式の固定は、内視鏡又は関節鏡による修復など、低侵襲外科手術に特に有用なものである。低侵襲外科手術では、外科医は、小径のカニューレ、内視鏡チューブを通して、又は別の方法で経皮的に挿入されたツールを使用して、外科部位において縫合糸を遠隔式で操作するので、結ぶプロセスは困難でかつ時間を要するものとなり得る。しかしながら、ノットレスアンカーは軟組織を骨に再付着させるのに非常に有効であり得るが、アンカーの大きさが小さいことと、患者の解剖学的構造とが、骨穴を位置決めし、アンカーを骨穴内に挿入することを困難にする場合がある。加えて、困難な角度及び関節空間の緊密な性質のために、穴及びアンカーの可視化は困難である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ノットレスアンカー挿入のための改善されたデバイス、システム、及び方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、ノットレスアンカー挿入器ツールの抜去のためのデバイス、システム、及び方法が提供される。
【0006】
一態様では、外科用システムが提供され、一実施形態では、外科用システムは、アンカー及び挿入器ツールを含む。アンカーは、骨内に埋め込まれるように構成される。挿入器ツールは、外側シャフトと、内側シャフトと、後退機構と、を含む。外側シャフトは、アンカーを挿入器ツールの長手方向軸に沿って遠位に押すように構成されている。内側シャフトは、外側シャフト内及びアンカー内に位置付けられ、内側シャフトの遠位端は、外側シャフト及びアンカーの遠位側に位置付けられる。内側シャフトの遠位端は、縫合糸に解放可能に結合するように構成されている。後退機構は、内側シャフトを挿入器ツールの長手方向軸に沿って外側シャフト及びアンカーに対して近位に移動させるように作動されるように構成されている。
【0007】
外科用システムは、あらゆる方法で変更可能である。例えば、後退機構は、レバーとして構成することができる。後退機構は、内側シャフトに動作可能に結合され、外側シャフト及びアンカーに対して移動させられ、それによって、内側シャフトを外側シャフト及びアンカーに対して近位に移動させるように構成される、レバーハンドルを含むことができる。後退機構は、外側シャフトがアンカーを遠位側に押す前に、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動するのを防止するように構成された係止部を更に含むことができる。外側シャフトがアンカーを遠位に押すことは、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを係止部が防止する係止位置から、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを係止部が可能にする係止解除位置まで、係止部を移動させるように構成されている。後退機構はまた、内側シャフトに固定して取り付けられたヨークを含むことができ、外側シャフト及びアンカーに対して移動されるレバーハンドルはまた、ヨークを外側シャフト及びアンカーに対して近位に移動させることができる。
【0008】
別の例として、後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成することができる。
【0009】
更に別の例では、後退機構は、親ねじ機構として構成することができる。
【0010】
更に別の例では、後退機構は、外側シャフトがアンカーを遠位側に押す前に後退機構が作動されるのを防止するように構成された係止部を含むことができる。挿入器ツールは、外側シャフトがアンカーを遠位に押すことを係止機構が防止する係止位置から、外側シャフトがアンカーを遠位に押すことを係止機構が可能にする係止解除位置まで移動するように構成された係止機構を更に含むことができる。
【0011】
更に別の例では、挿入器ツールはまた、後退機構の作動中に外側シャフトをハンドルに対して定位置に保持するように構成された保持機構を含むハンドルを含むことができ、内側シャフトはまた、後退機構の作動によってハンドルに対して近位に移動させることができる。外側シャフトは、ハンドルに対して遠位に移動して、アンカーを挿入器ツールの長手方向軸に沿って遠位に押すように構成することができる。
【0012】
別の例では、挿入器ツールは、内側シャフトの遠位端が骨の穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるように構成されたハンドルを更に含むことができ、外側シャフトは、ハンドルから遠位に延在することができ、内側シャフトは、ハンドルから遠位に延在することができ、後退機構は、内側シャフトの遠位端が骨の穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるように構成され得る。
【0013】
更に別の例では、挿入器ツールは、縫合糸を中に通して据え付け、内側シャフトを縫合糸に解放可能に結合するように構成された、密閉通路を有し得る。後退機構の作動は、内側シャフトが外側シャフト及びアンカーに対して近位に移動することに応答して、挿入器ツールの柔軟な部材を自動的に広げ、それによって、密閉通路を開かせるように構成され得る。外科用システムは、密閉通路を通して据え付けられた縫合糸を更に含むことができる。縫合糸は、後退機構の作動に先立って、かつ内側シャフトの遠位端が骨内の穴内に位置付けられることに先立って、密閉通路を通して据え付けられ得、アンカーがアンカーの外面と骨内の穴の壁との間に縫合糸を捕捉するように、外側シャフトがアンカーを遠位に押した後に、密閉通路を通して据え付けられ得る。柔軟な部材は、内側シャフトと一体化され得るか、又は柔軟な部材は、内側シャフトに取り付けられた別個の要素であり得る。
【0014】
更に別の例では、内側シャフトの遠位端は、縫合糸を通して据え付けて内側シャフトを縫合糸に解放可能に結合するように構成された縫合糸保持チャネルを含むことができ、縫合糸保持チャネルは、外側シャフトがアンカーを骨内に遠位に押し込む前に、骨の穴内に位置付けられるように構成され得る。
【0015】
別の態様では、一実施形態では、挿入器ツールの内側シャフトの遠位端を骨穴内に位置付けることを含む、外科的方法が提供される。内側シャフトの遠位端は、縫合糸に解放可能に結合され、その結果、縫合糸もまた、骨穴内に位置付けられる。外科的方法はまた、挿入器ツールの外側シャフトを内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動させ、それによって、アンカーを内側シャフトに沿って摺動させ、アンカーがアンカーの外面と骨穴の壁との間で縫合糸を捕捉するようにアンカーを骨穴内に位置付けることを含む。外科的方法はまた、外側シャフトを軸方向かつ遠位に移動させた後に、挿入器ツールの後退機構を作動させ、それによって、内側シャフトが骨穴から除去され、アンカー及び縫合糸が骨穴内に留まるように、内側シャフトを外側シャフト及びアンカーに対して軸方向かつ近位に移動させることを含む。
【0016】
外科的方法は、任意の数の変形例を有することができる。例えば、後退機構は、レバーとして構成することができる。後退機構は、レバーハンドルを含むことができ、後退機構は、内側シャフトに固定して取り付けられたヨークを含むことができ、後退機構を作動させることは、レバーハンドルを外側シャフト及びアンカーに対して移動させ、それによってヨーク及び内側シャフトを外側シャフト及びアンカーに対して近位に移動させることを含むことができる。後退機構は、外側シャフトがアンカーを遠位側に押す前に、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを防止する係止部を更に含むことができる。外側シャフトがアンカーを遠位に押すことは、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを係止部が防止する係止位置から、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを係止部が可能にする係止解除位置まで、係止部を移動させることができる。
【0017】
別の例として、後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成することができる。
【0018】
更に別の例では、後退機構は、親ねじ機構として構成することができる。
【0019】
更に別の例では、外側シャフトを軸方向かつ遠位に移動させる前に、挿入器ツールは、縫合糸が据え付けられる密閉通路を有することができ、後退機構の作動はまた、挿入器ツールの柔軟な部材を外側シャフト及びアンカーに対して移動させ、密閉通路が開くように屈曲させることができる。柔軟な部材は、内側シャフトと一体化され得るか、又は柔軟な部材は、内側シャフトに取り付けられた別個の要素であり得る。
【0020】
別の例では、挿入器ツールの打撃キャップを打撃することにより、外側シャフトを軸方向かつ遠位に移動させることができ、打撃キャップを打撃することにより、後退機構の係止部を、係止部が後退機構の作動を防止する係止位置から、係止部が後退機構の作動を可能にする係止解除位置に移動させることができる。挿入器ツールのハンドルの保持機構は、後退機構の作動中に外側シャフトをハンドルに対して定位置に保持することができる。外科的方法はまた、係止機構を、外側シャフトが内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動することを係止機構が防止する係止位置から、外側シャフトが内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動することを係止機構が可能にする係止解除位置に移動させることを含むことができる。
【0021】
更に別の例では、挿入器ツールは、内側シャフトの遠位端が骨穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるハンドルを含むことができ、外側シャフトは、ハンドルから遠位に延在することができ、内側シャフトは、ハンドルから遠位に延在することができ、後退機構は、内側シャフトの遠位端が骨穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられることができる。
【0022】
別の実施形態では、外科的方法は、挿入器ツールの内側シャフトの遠位端を位置付けることと、挿入器ツールの柔軟な部材を骨穴内に位置付けることと、を含む。外科的方法はまた、挿入器ツールの外側シャフトを内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動させ、それによって、アンカーを軸方向かつ遠位に移動させ、それによって、アンカーがアンカーの外面と骨穴の壁との間で縫合糸を捕捉するように、骨穴内に位置付けられることを含む。外科的方法はまた、外側シャフトを軸方向かつ遠位に移動させた後に、挿入器ツールの後退機構を作動させ、それによって、内側シャフト及び柔軟な部材が骨穴から除去され、アンカー及び縫合糸が骨穴内に留まるように、内側シャフト及び柔軟な部材を外側シャフト及びアンカーに対して軸方向かつ近位に移動させることを含む。柔軟な部材は、柔軟な部材の軸方向かつ近位への移動中に広がる。
【0023】
外科的方法は、あらゆる方法で変更可能である。例えば、後退機構は、レバーとして構成することができる。後退機構は、レバーハンドルを含むことができ、後退機構は、内側シャフトに固定して取り付けられたヨークを含むことができ、後退機構を作動させることは、レバーハンドルを外側シャフト及びアンカーに対して移動させ、それによってヨーク及び内側シャフトを外側シャフト及びアンカーに対して近位に移動させることを含むことができる。後退機構は、外側シャフトが内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動する前に、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを防止する係止部を更に含むことができる。外側シャフトが内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動することにより、係止は、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを係止部が防止する係止位置から、レバーハンドルが外側シャフト及びアンカーに対して移動することを係止部が可能にする係止解除位置まで移動することができる。
【0024】
別の例として、後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成することができる。
【0025】
更に別の例では、後退機構は、親ねじ機構として構成することができる。
【0026】
更に別の例では、挿入器ツールの打撃キャップを打撃することにより、外側シャフトを軸方向かつ遠位に移動させることができ、打撃キャップを打撃することにより、後退機構の係止部を、係止部が後退機構の作動を防止する係止位置から、係止部が後退機構の作動を可能にする係止解除位置まで移動させることができる。挿入器ツールのハンドルの保持機構は、後退機構の作動中に外側シャフトをハンドルに対して定位置に保持することができる。外科的方法はまた、係止機構を、外側シャフトが内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動することを係止機構が防止する係止位置から、外側シャフトが内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動することを係止機構が可能にする係止解除位置に移動させることを含むことができる。
【0027】
更に別の例では、挿入器ツールは、内側シャフトの遠位端が骨穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるハンドルを含むことができ、外側シャフトは、ハンドルから遠位に延在することができ、内側シャフトは、ハンドルから遠位に延在することができ、後退機構は、内側シャフトの遠位端が骨穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられることができる。
【0028】
更に別の例では、柔軟な部材は、内側シャフトと一体であってもよく、又は柔軟な部材は、内側シャフトに取り付けられた別個の要素であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示は、以下の詳細な説明を添付図面と併せ読むことで、より完全に理解されよう。
【
図1】挿入器ツールの一実施形態、及び挿入器ツールに解放可能に結合されたアンカーの一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1の挿入器ツール及びアンカーの側面図である。
【
図3】
図1の挿入器ツール及びアンカー、並びに挿入器ツールに結合された装填補助具の一実施形態の別の斜視図である。
【
図4】
図3の挿入器ツール、アンカー、及び装填補助具の上面図である。
【
図5】
図3の挿入器ツール、アンカー、及び装填補助具の側面図である。
【
図6】
図1の挿入器ツール及びアンカーの遠位部分の側面図である。
【
図8】
図1の挿入器ツールの近位部分の断面図である。
【
図9】
図3の挿入器ツール及び装填補助具の近位端面図である。
【
図10】挿入器ツールの打撃キャップを打撃する前の、挿入器ツールの係止機構が係止解除位置にある、
図1の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図11】挿入器ツールの係止機構が係止位置にある、
図1の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図12】打撃キャップを打撃した後の
図10の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図13】挿入器ツールのハンドルが部分的に省略された、
図1の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図14】
図1の挿入器ツールの部分の斜視断面図である。
【
図15】
図1の挿入器ツールの部分の別の斜視断面図である。
【
図16】
図1の挿入器ツールの近位部分の別の斜視断面図である。
【
図17】装填補助具のループを通って延在する縫合糸の一実施形態を伴う、
図3の装填補助具及び挿入器ツールの遠位部分の斜視図である。
【
図19】
図17の挿入器ツールの近位部分の別の斜視図である。
【
図20】挿入器ツールのハンドルが部分的に省略された、
図17の挿入器ツールの部分の別の斜視図である。
【
図21】縫合糸が結合され、挿入器ツールの内側シャフトの遠位部分が骨穴の一実施形態の中に配置された、
図17の挿入器ツールの遠位部分の側面部分断面図である。
【
図23】縫合糸が挿入器ツールの縫合糸保持部材によって保持されている、
図22の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図24】挿入器ツールの係止機構が係止解除位置にある、
図23の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図25】アンカーが骨穴内に配置された、
図24の挿入器ツールの遠位部分の側面部分断面図である。
【
図26】挿入器ツールのハンドルが部分的に省略された、
図25の挿入器ツールの部分の斜視図である。
【
図27】挿入器ツールのハンドルが部分的に省略された、
図26の挿入器ツールの部分の別の斜視図である。
【
図28】打撃キャップ打撃した後の
図27の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図29】縫合糸が挿入器ツールの縫合糸保持部材によって保持されていない、
図28の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図30】骨が省略され、挿入器ツールの後退機構が非作動位置にある、
図29の挿入器ツールの近位部分及び遠位部分の斜視図である。
【
図31】骨が省略され、挿入器ツールの後退機構が作動位置にある、
図30の挿入器ツールの近位部分及び遠位部分の斜視図である。
【
図32】骨が省略され、挿入器ツールの内側シャフトがアンカーに対して後退させられた、
図31の挿入器ツールの近位部分及び遠位部分の斜視図である。
【
図33】挿入器ツールの除去の方向を示す、
図32の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図34】挿入器ツールの除去後の
図32の骨穴、アンカー、及び縫合糸の上面図である。
【
図35】
図34の骨穴、アンカー、及び縫合糸の側面断面図である。
【
図36】
図1のアンカー及び
図3の装填補助具に結合された挿入器ツールの別の実施形態の斜視図である。
【
図37】
図36の挿入器ツール、アンカー、及び装填補助具の上面図である。
【
図40】
図38の挿入器ツール及びアンカーの遠位部分の斜視図である。
【
図41】
図36の挿入器ツールの外側シャフトの斜視図である。
【
図42】挿入器ツールの別の実施形態の近位部分の斜視図である。
【
図43】挿入器ツールのハンドルが部分的に省略された、
図42の挿入器ツールの近位部分の斜視図である。
【
図44】挿入器ツールのハンドルが部分的に省略された、挿入器ツールの別の実施形態の部分の斜視図である。
【
図45】ハンドルが省略されていない、
図44の挿入器ツールの部分の斜視図である。
【
図46】
図44の挿入器ツールのリングアクチュエータ及び親ねじの斜視図である。
【
図47】
図46のリングアクチュエータ及び親ねじの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本明細書で開示するデバイス及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示されるデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような修正例及び変形例は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0031】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に判定することができる点が認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが内部で使用される対象の解剖学的構造、システム及びデバイスが使用される構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及びデバイスが使用される方法及び手技に依存し得る。
【0032】
ノットレスアンカー挿入器ツールを抜去するための様々な例示的なデバイス、システム、及び方法が提供される。概して、挿入器ツールは、軟組織修復外科的処置におけるノットレスアンカー挿入のために構成されている。挿入器ツールは、アンカーを患者の骨内に挿入して、骨に対して軟組織を固着させるように構成されている。軟組織に結合された縫合糸は、アンカーの外面とアンカーが位置付けられている骨の穴を画定する骨表面との間に捕捉されることによって骨に対して固着される。したがって、アンカーは、ノットを必要とせずに縫合糸を定位置に固着させることを可能にし、これは、小さな縫合糸直径、関節空間における限定された作業領域、湿潤外科環境、並びに/又は挑戦的な角度及び関節空間の緊密な性質のために外科部位での限定された可視化のために、手術中に時間がかかり、かつ/又は実行が困難である場合がある。
【0033】
挿入器ツールは、縫合糸及びアンカーの各々が解放可能に結合されるように構成されており、縫合糸及びアンカーが解放可能に結合されて、縫合糸及びアンカーの各々を骨穴に挿入する。挿入器ツールは、アンカーが骨穴に固着される前に、縫合糸を骨穴内に位置付けるように構成されている。したがって、挿入器ツールは、縫合糸が骨穴内に位置付けられた後、かつアンカーが骨に対して定位置に縫合糸を取り付けるために骨穴に固着される前に、縫合糸が骨及びアンカーに対して張力を受けることを可能にするように構成されており、それによって、軟組織が、治癒のための位置に固着される前に、望ましくは骨に対して位置付けられることを可能にする。挿入器ツールは、例えば、マレット、ハンマー、又は他のツールを用いて挿入具ツールに打ちつけることによって、アンカーを骨穴内に遠位方向に長手方向で並進させることによって、アンカーを骨穴内に前進させ、それによって、アンカーの外面と骨穴を画定する骨表面との間に縫合糸を捕捉するように構成されている。アンカーが骨内に挿入された後、挿入器ツールは、アンカー及び縫合糸が骨内に留まった状態で患者の身体から除去されるように構成される。
【0034】
アンカーが骨に埋め込まれ、縫合糸が骨に対して固定された状態で、挿入器ツールの部分がアンカーの内側管腔内に位置付けられる。骨内のアンカーは、アンカーの内側管腔内に位置付けられた挿入器ツールの部分に力を及ぼすことができる。したがって、アンカーは、挿入器ツールをアンカーの内側管腔内に保持する傾向がある万力として作用することができる。加えて、アンカーが埋め込まれる骨の密度が高いほど、より大きな力が挿入器ツールに加えられ得る。アンカーによって挿入器ツールに加えられる力は、挿入器ツールが患者の身体から除去され得る前に、アンカー内から挿入器ツールを除去するために克服される必要がある。挿入器ツールは、挿入器ツールをアンカー内から除去させるように構成された後退機構を含む。後退機構は、アンカー内に位置付けられた挿入器ツールの部分を、アンカーの長手方向軸と同軸である挿入器ツールの長手方向軸に沿って、アンカーに対して長手方向に並進させるように構成される。挿入器ツールの長手方向の並進は、挿入器ツールが後退されるように、挿入器ツールが患者の中へ骨まで前進され、アンカーが骨の中へ駆動された遠位方向とは対照的に、近位方向である。したがって、後退機構は、埋め込まれたアンカー内から挿入器ツールを除去するための機械的機構を提供し、それによって、アンカー内からの除去のために挿入器ツールに長手方向の力を手動で加える必要があることからユーザを解放し、アンカー及び/又は縫合糸が緩み得るか、又は骨から除去され得るように、過度の長手方向の力が加えられているという相応のユーザの懸念を解放する。挿入器ツールの長手方向軸及びアンカーの長手方向軸に沿って挿入器ツールを長手方向に並進させることによってアンカー内から挿入器ツールを除去することは、その長手方向軸の周りでツールを回転させることを含む、埋め込まれたアンカーからツールを分離する他の方法よりも、時間がかからず、かつ/又はユーザが加える力が少なくて済む場合がある。除去のために挿入器ツールを長手方向に並進させることとは異なり、除去のためにツールを回転させることは、アンカーが回転したり、かつ/又は意図しない軸外の負荷がかかる可能性があり、これにより、アンカーを骨に堅固に位置付けることができなくなり、かつ/又は縫合糸及び/又はアンカーへの損傷を引き起こす可能性がある。
【0035】
後退機構は、挿入器ツールの近位部分に位置し、この近位部分は、典型的には、外科的処置における挿入器ツールの使用中に患者の身体の完全に外側に位置する。逆に、アンカーが骨に挿入された後にアンカー内に位置付けられる挿入器ツールの部分は、外科的処置中に患者の体内に完全に位置する挿入器ツールの遠位部分に位置する。挿入器ツールの近位部分内に位置する後退機構は、後退機構によって、アンカー内に位置付けられた挿入器ツールの部分に加えられる除去力が、アンカー内に位置付けられた挿入器ツールの部分からある距離だけ離れて加えられることによって、機械的利点を提供してもよい。
【0036】
アンカーが骨に対して準同一平面に位置付けられること、角度が難しいこと、及び/又は関節空間が狭いなどの理由で、骨に埋め込まれたアンカーを可視化することは困難である可能性がある。埋め込まれたアンカーを可視化することができたとしても、骨、アンカー、アンカーの外側かつ骨の外側に位置する挿入器ツールの部分、及び/又はアンカーの外側かつ骨の外側に位置する他の物質による妨害のために、アンカー内に位置付けられた挿入器ツールの部分を可視化することは不可能となる場合がある。したがって、アンカー、挿入器ツール、又はアンカー及び挿入器ツールの両方を患者の体内で完全に又は更には部分的に可視化することができない場合があるため、挿入器ツールがアンカー内から除去されたことをユーザが視覚的に確認することは不可能となる場合がある。挿入器ツールの近位部分内に位置する後退機構は、後退機構が患者の身体の外側に位置するため、ユーザによって可視であり、したがって、ユーザが患者の身体内のアンカー及び/又は挿入器ツールを可視化することができない場合でも、挿入器ツールがアンカー内から除去されたことをユーザが視覚的に確認することを可能にすることができる。以下で更に説明するように、後退機構は、初期の非作動位置から作動位置に移動して、挿入器ツールをアンカー内から除去するように構成される。作動位置にある後退機構は、挿入器ツールがアンカー内から除去されたことをユーザに視覚的に示す。
【0037】
挿入器ツールが患者の身体内に前進する前に、縫合糸は挿入器ツールに解放可能に結合される。挿入器ツールは、縫合糸を中に据え付けるように構成された縫合糸保持チャネルを含む。縫合糸保持チャネルは、挿入器ツールに解放可能に結合されたアンカーの遠位に位置する。したがって、縫合糸保持チャネル内に据え付けられた縫合糸は、アンカーの遠位の骨穴内に位置付けられ得、それによって、縫合糸が骨穴内にすでに位置付けられた状態でアンカーが骨穴内に遠位に前進されることを可能にする。例示的な実施形態では、縫合糸は、アンカーが骨穴に固定される前及び後にU字形を有する。U字形では、縫合糸の脚部の各々は、アンカーの対向する側面に沿って長手方向に延在し、脚部を接続する縫合糸の中間部分は、アンカーの遠位先端の周りをループするように、アンカーの遠位先端に沿って延在する。アンカーに対する縫合糸のU字形構成は、アンカーが骨に対して定位置に縫合糸を固定するように押圧する縫合糸の長さを最大化することができ、これは、治癒を容易にするために、縫合糸に結合された軟組織が骨に対して定位置に留まることを確実にするのに役立ち得る。
【0038】
後退機構を使用してアンカー内から挿入器ツールを後退させることは、アンカー及び縫合糸が骨穴内に固定された後に縫合糸と干渉しない。アンカー及び縫合糸が骨穴内に固定された状態で、縫合糸の脚部の各々は、アンカーの対向する側部に沿って長手方向に、かつ骨穴から近位に延在し、挿入器ツールは、縫合糸の脚部の間でアンカーから長手方向に延在する。したがって、アンカー内から除去されるアンカー内の挿入器ツールの部分の長手方向近位移動は、挿入器ツールの両側に位置付けられる縫合糸に干渉しないため、挿入器ツールの後退前、後退中、及び後退後に、所望に応じてアンカー及び骨に対して固定されたままとすることができる。
【0039】
本明細書に記載のシステム、デバイス、及び方法は、例えば、肩、膝、又は股関節などの関節における組織修復外科的処置において、軟組織修復のための様々な外科的処置において適用可能である。
【0040】
図1~
図5は、軟組織修復外科的処置におけるノットレスアンカー挿入のための、本明細書では「挿入器」とも称される挿入器ツール100の一実施形態を示している。一般に、挿入器ツール100は、アンカー102を患者の骨に挿入して、骨に対して軟組織を固着させるように構成されている。
図6及び
図7に示すように、内側管腔102iは、アンカー102がカニューレ挿入されるように、アンカー102を通って延在する。
図1~
図6は、挿入器ツール100に解放可能に結合されたアンカー102を示している。
図7は、アンカー102を独立型要素として示している。複数の骨係合表面特徴部102fが、アンカー102の外面上に形成される。骨係合表面特徴部102fは、アンカー102を骨内に保持するために骨に係合するように、例えば、アンカー102が内部に位置付けられる骨の穴を画定する骨の表面に係合するように構成されている。骨係合表面特徴部102fは、アンカーの長手方向長さに沿った異なる軸方向位置でアンカー102の周りに円周方向に各々が延在する、複数のリブを含む。しかしながら、骨係合表面特徴部102fは、複数の棘又はアンカーの外面上に形成された他の形態の突出部などの別の構成を有し得る。骨係合表面特徴部102fはまた、骨に対して縫合糸を固着させるのに役立つために、縫合糸を骨に対して係合するように構成されている。
【0041】
この図示した実施形態におけるアンカー102は、アンカー102を補強するように構成された複数のガセット102gを含む。ガセット102gはそれぞれ、アンカー102に沿って長手方向に延在する。
図7に示すように、第1のセットのガセット102g1は、アンカーの長さに沿って互いに位置合わせされ、第2の組のガセット102g2は、アンカーの長さに沿って互いに位置合わせされ、第3のセットのガセット102g3は、アンカーの長さに沿って互いに位置合わせされ、第4のセットのガセット102gは、アンカーの長さに沿って互いに位置合わせされる。第4のセットのガセット102gは、
図7では隠れている。ガセット102gの第1、第2、第3、及び第4のセットは、アンカー102の円周の周囲に等距離に配列され、それは、その円周全体の周囲でアンカー102を補強することに役立ち得る。他の実施形態では、アンカーは、異なる数のガセットのセットを含むことができ、かつ/又はガセットのセットは、アンカーの円周の周囲に非等距離に配列されることができる。
【0042】
アンカー102は、吸収性又は非吸収性のものとすることができる。アンカー102は、任意の様々な材料、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(Polyether ether ketone、PEEK)、ポリ乳酸又はポリラクチド(Polylactic acid or polylactide、PLA)、BIOCRYL(登録商標)、BIOCRYL(登録商標)、RAPIDE(登録商標)、チタン、セラミック、炭素繊維、ステンレス鋼などから作製され得る。アンカー102は、様々な技術によって、例えば、機械加工、成形、金属射出成形、オーバーモールド、又は成形後機械加工などの成形後プロセスによって、形成され得る。アンカーの例示的な実施形態は、Healix Advance(商標)アンカー及びGryphon(登録商標)アンカー(DePuy Mitek,Inc.(Raynham,MA)から入手可能)を含み、アンカーの様々な例示的な実施形態及びその特徴が、2021年11月4日に公開された「Knotless Anchor Insertion」と題する米国特許出願公開第2012/0338223号、2012年2月14日に発行された「Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許第8,114,128号、2014年11月11日に発行された「Dual Thread Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許第8,882,801号、及び2012年3月13日に発行された「Bioabsorbable Suture Anchor System For Use In Small Joints」と題する米国特許第8,133,257号に更に記載され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
挿入器ツール100は、ハンドル106と、ハンドル106から遠位に延在する外側シャフト108(本明細書では「プッシュチューブ」とも称される)と、ハンドル106から遠位に延在する内側シャフト110と、ハンドル106から近位に延在する打撃キャップ112と、を含む。ハンドル106は、挿入器100の使用中に手で保持されるように構成されている。ロボット外科的実装形態では、ハンドル106は、ロボット外科用システムの機械的部材によって保持され得る。ハンドル106は、この図示されている実施形態では、概して円筒形で、遠位にテーパ状の形状を有するが、様々な任意の形状を有し得る。
【0044】
図1及び
図8に示すように、ハンドル106は、内部を通って延在する内側管腔106iを有する。外側及び内側シャフト108、110は、ハンドルの内側管腔106iの中に位置付けられ、ハンドルの内側管腔106iから遠位に延在する。外側及び内側シャフト108、110の一方又は両方の近位端は、ハンドルの内側管腔106i内に位置することができるか、又は外側及び内側シャフト108、110の一方又は両方は、外側及び内側シャフト108、110のそれぞれの近位端がハンドル106の近位に位置するように、ハンドル106を越えて近位に延在することができる。例えば、この図示される実施形態のように、内側シャフト110の近位端は、ハンドル106の内側管腔106i内に位置することができ、外側シャフト108の近位端は、ハンドル106を越えて近位に延在し、打撃キャップ112内に位置することができる。別の例では、内側シャフト110の近位端及び外側シャフト108の近位端は、ハンドル106の内側管腔106i内に位置することができる。
【0045】
この図示の実施形態におけるハンドル106は、対向する側面、例えば、その左側及び右側にファセット106fを含む。ファセット106fは、ユーザの把持及び微細なモータの運動を助けるように構成されている。
【0046】
この図示の実施形態におけるハンドル106は、縫合糸を所望の張力で所望の位置に保つために、縫合糸を解放可能に保持するように構成された縫合糸保持部材を含む。縫合糸は、従来、止血鉗子を使用して保持される。縫合糸保持部材を含む挿入器ツール100は、縫合糸のために止血鉗子を使用する必要性を排除することができる。縫合糸保持部材は、ハンドル106の遠位端に位置するが、上述のように、他の場所に位置してもよい。縫合糸保持機構の様々な実施形態は、例えば、前述の2021年11月4日公開の米国特許公開第2021/0338223号、発明の名称「Knotless Anchor Insertion」に更に記載されている。
【0047】
この図示の実施形態における縫合糸保持部材は、ハンドル106の側面に溝107を含む。挿入器100は、この図示した実施形態では単一の縫合糸保持部材を含むが、ハンドル106の両側に第1及び第2の縫合糸保持部材などの複数の縫合糸保持機構を含むことができる。溝107は、ハンドル106と、ハンドル106に固定して取り付けられたエラストマークリート109との間に画定される。エラストマークリート109は、ゴム又は他のポリマーなどのエラストマー材料から作製される。ハンドル106は、ポリカーボネートなどのプラスチック又は他のプラスチックなどの剛性の非エラストマー材料から作製される。金属(例えば、ステンレス鋼、チタンなど)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、又は他の生体適合性材料などの剛性の非エラストマー材料から作製される。したがって、溝107は、エラストマー材料と剛性材料との間の接合部に位置する。エラストマークリート109のエラストマー材料は、溝107の幅を動的に増加させて、その中に据え付けられている縫合糸のサイズ及び形状に調整し、縫合糸を溝107内に堅固に保持し、エラストマー材料と剛性材料との間に把持されることを可能にする。したがって、縫合糸保持部材は、自己調整される。異なる縫合糸は、異なるサイズ及び形状を有し、エラストマークリート109は、その中に据え付けられている縫合糸の特定のサイズ及び形状に動的に調整するように構成される。縫合糸が溝107の中に堅固に保持されることは、縫合糸が縫合糸保持部材によって保持されている間、縫合糸の張力が、例えば、弱められることなく、維持されることに役立ち得る。縫合糸が溝107から解放されると、エラストマークリート109は、もはや縫合糸を把持していないため、エラストマー材料がその元の構成に弾性的に戻るにつれて、その元のより小さい幅に戻ることができる。
【0048】
ハンドル106の近位表面及びエラストマークリート109の近位表面は、半径方向外向きに延在し、遠位にテーパ状になる。テーパ状は、溝107を据え付けるために、ハンドル106の近位表面に沿って、縫合糸をエラストマークリート109に向かって付勢するように構成される。エラストマークリート109は、溝107に面する傾斜した縁部を有し、これはまた、縫合糸を溝107内に付勢することに役立ち得る。
【0049】
図8に示すように、内側管腔108iは、外側シャフト108がカニューレ挿入されるように、外側シャフト108を通って延在する。
図1~
図6及び
図8に示す挿入器100の初期構成では、内側シャフト110は、アンカー102の内側管腔102i内及び外側シャフト108の内側管腔108i内に据え付けられる。以下で更に説明するように、内側シャフト110は、内側シャフト102の後退を容易にするために、アンカー102及び外側シャフト108に対して移動可能であるように構成され、アンカー102及び外側シャフト108はそれぞれ、骨穴内へのアンカー110の送達を容易にするために、内側シャフト110に対して移動可能であるように構成される。他の実施形態では、外側シャフト108は、カニューレ挿入されず、代わりに、開放遠位端及び閉鎖近位端を有する内側ボアを有し、その中に内側シャフト110が移動可能に据え付けられるように構成される。
【0050】
外側シャフト108の遠位端108dは、アンカー102の近位端102pの近位に位置する。例示的な実施形態では、
図6に示すように、外側シャフトの遠位端108dは、挿入器の初期構成内でアンカーの近位端102pに当接し、これは、外側シャフト108に加えられた遠位方向の力のアンカー102への伝達を最大にし、それによってアンカー102を骨穴内に効率的に遠位に前進させるのに役立ち得る。しかしながら、外側シャフトの遠位端108dは、挿入器の初期構成において、アンカーの近位端102pの近位に、ある距離だけ離間されてもよい。外側シャフト108は、遠位にテーパ状になり、外側シャフト108の遠位端108dを画定する遠位ノブ108k(本明細書では「ブッシング」とも称される)を含む。ブッシング108kの遠位のテーパ状は、外側シャフト108の近位部分が外側シャフト108の遠位端108dよりも大きい直径を有することを可能にし、その結果、外側シャフト108の遠位端108dにおけるより小さい直径は、その近位端102pにおけるアンカー102の直径に対応し、これは、外側シャフト108が遠位に向けられた力をアンカー102に効率的に加えるのに役立ち得る。
【0051】
打撃キャップ112は、その近位表面112sがマレット、ハンマー、又は他のツールで打撃されるように構成されている。この例示された実施形態における近位表面112sは、凸状に湾曲しており、これは、打撃キャップ112を打撃するユーザに対して(平坦な表面と比較して)より多くのフィードバックを提供することができる。打撃キャップ112は、しかしながら、平坦な表面を有することができ、これは、打撃キャップ112の均一な打撃、ひいては、打撃キャップ112からプッシュチューブ108への遠位力の均一な伝達を容易にし得る。しかしながら、近位表面112sは、別の形状、例えば、リブ、隆起ドーム突出部などでテクスチャ加工された、凸型などの形状を有することができる。
【0052】
打撃キャップ112の近位表面112sは、マレット、ハンマー、又は他のツールによる打撃のために露出されている。他の実施形態では、挿入器ツールは、打撃キャップと、打撃キャップの少なくとも打撃面を覆うか、又は隠すように構成された保護部材と、を含み得る。保護部材は、打撃キャップの早すぎる打撃、及び/又は打撃キャップの意図しない遠位移動、したがって、挿入器ツールに結合されたアンカーの意図しない遠位前進を防止するのに役立ち得る。一部の実施形態では、保護部材は、打撃キャップを完全に覆うか、又は隠すことができる。保護部材の様々な実施形態は、例えば、前述の2021年11月4日公開の米国特許公開第2021/0338223号、発明の名称「Knotless Anchor Insertion」に更に記載されている。
【0053】
挿入器ツール100は、係止機構118が係止位置にあるときに外側シャフト108を内側シャフト110に対して定位置に係止するように構成された係止機構118を含む。
図3、
図8、
図9、及び
図11は、係止位置にある係止機構118を示している。
図1、
図2、
図4、
図5、
図10、及び
図12は、外側シャフト108が内側シャフト110に対して定位置に係止されていない、係止解除位置にある係止機構118を示している。係止機構118は、外側シャフト108、内側シャフト110、打撃キャップ112、及びハンドル106に対して摺動することによって、係止位置から係止解除位置に移動するように構成される。係止機構118の摺動運動は、外側シャフト108及び内側シャフト110の同軸の長手方向軸に対して実質的に垂直な横方向運動である。当業者は、軸又は他の特徴が正確に垂直でなくてもよいが、それにもかかわらず、製造公差又は測定機器の感度などの1つ以上の理由のいずれかのために、実質的に垂直であると見なされることを理解するであろう。係止機構118の初期位置は、内側シャフト110に対する外側シャフト108の早すぎる遠位並進を防止するのに役立つための係止位置であり、したがって、内側シャフト110に対するアンカー102の早すぎる遠位前進を防止するのに役立つ。
【0054】
係止機構118は、その側面上に凹部118dを含む。凹部118dは、指を係止機構118のどこに置くべきかを伝えるように構成されている。凹部面は、係止機構118を係止位置から係止解除位置に押すために指を置くことができる押し面として構成されている。凹部118dの曲率は、係止解除位置にある係止機構118に隣接するハンドル106の曲率と一致する。凹部118d及びハンドル106の一致する湾曲は、係止機構118が係止解除位置に完全に移動したことをユーザに示すように構成されている。
【0055】
図9~
図12に示すように、係止機構118は、その中に形成された鍵穴120を含み、その中で打撃キャップ112が移動するように構成される。
図9に示されるようなこの図示される実施形態のように、外側シャフト108がハンドル106から打撃キャップ112内に近位に延在する実施形態では、外側シャフト108はまた、鍵穴120内で移動するように構成される。鍵穴120は、縮小直径部分120a及び拡大直径部分120bを含む。係止機構118が係止位置にある状態で、打撃キャップ112は、鍵穴120の近位に位置する。縮小直径部分120aの直径は、少なくとも打撃キャップ112の遠位端において打撃キャップ112の直径よりも小さい。したがって、打撃キャップ112は、鍵穴120内に遠位に移動することができず、それによって、打撃キャップ112の近位表面112sを打撃することによって外側シャフト108が遠位に移動することを防止する。係止機構118が係止解除位置にある状態では、打撃キャップ112も鍵穴120の近位に位置する。拡大直径部分120bの直径は、少なくとも打撃キャップ112の遠位端における打撃キャップ112の直径よりも大きい。したがって、打撃キャップ112は、鍵穴120内に遠位に移動することができ、それによって、打撃キャップ112の近位表面112sを打撃することによって外側シャフト108が遠位に移動することを可能にする。拡大直径部分120bの直径は、近位表面112sを含む打撃キャップ112の頭部の直径よりも小さいため、それによって打撃キャップ112の遠位表面が鍵穴120の周りで係止機構118に当接するため、打撃キャップ112が鍵穴120を完全に通過することを防止する。
図12は、打撃キャップ112の遠位表面が鍵穴120の周りで係止機構118に当接した状態で打撃キャップ112が打撃された後の、係止解除位置にある係止機構118を示している。
【0056】
この図示された実施形態における係止機構118は、挿入器ツール100から解放可能ではない。他の実施形態では、係止機構は、挿入器ツール100から解放可能である。係止機構の様々な実施形態は、例えば、前述の2021年11月4日公開の米国特許公開第2021/0338223号、発明の名称「Knotless Anchor Insertion」に更に記載されている。
【0057】
図6に示すように、内側シャフト110は、縫合糸保持チャネル116を画定する、その中に形成されたノッチを含む。ノッチは、内側シャフト110の遠位端に形成され、内側シャフト110の遠位アーム110aによって画定される。縫合糸保持チャネル116は、その中に縫合糸を据え付けるように構成される。縫合糸保持チャネル116は、縫合糸保持チャネル116の開放遠位端を通してその中に縫合糸を受容するように構成されている。縫合糸保持チャネル116は、この図示の実施形態では実質的に一定の直径を有するが、異なる部分では異なる直径を有することができ、例えば、縫合糸保持チャネル116の近位部分は、縫合糸保持チャネル116の遠位部分よりも大きい直径を有し、縫合糸保持チャネル116の遠位部分は、縫合糸保持チャネル116の近位部分よりも大きい直径を有し、又は他の異なる直径を有することができる。当業者であれば、直径値などの値が正確に同じでなくてもよく、それにもかかわらず、測定機器の製造公差及び感度などの1つ以上の理由のいずれかのために実質的に同じと見なされることを理解するであろう。
【0058】
挿入器ツール若しくはアンカーに結合される開口、アイレット、又は他の開口部への挿入のために縫合糸(複数可)を折り畳む必要がないため、縫合糸保持チャネル116は、他のタイプの挿入器ツールを用いる場合よりも、より多くの縫合糸及び/又はより大きな直径の縫合糸(複数可)を挿入器100に結合することを可能にすることができる。
【0059】
図6に示すように、縫合糸保持チャネル116は、挿入器ツール100に解放可能に結合されたアンカー102の遠位に位置する。縫合糸保持チャネル116内に据え付けられた縫合糸は、したがって、アンカー102に対して遠位の骨穴内に位置付けられることができ、それによって、アンカー102が、骨穴内にすでに位置付けられた縫合糸とともに骨穴内に遠位に前進されることを可能にする。
【0060】
この図示した実施形態では、
図6に示すように、挿入器ツール100は、柔軟な部材130(本明細書では「柔軟な部材」とも称される)を含む。柔軟な部材130は、その内側管腔内に位置付けられた内側シャフト110を有するアンカー102の遠位に位置する。柔軟な部材130は、破壊、亀裂、又は別様で構造的完全性を失うことなく、折り畳まれるか又は屈曲するように構成される。柔軟な部材130は、内側シャフト110に対して移動するように構成された自由端を有し、その結果、柔軟な部材130は、内側シャフト110に対して折り畳まれ得るか又は屈曲し得、以下に更に説明されるように、縫合糸保持チャネル116内からの縫合糸の解放を容易にする。この図示の実施形態における柔軟な部材130は、内側シャフト110に固定して取り付けられた金属延長フィンガであるが、他の構成、例えば、金属単一フィラメントワイヤ、金属マルチフィラメントワイヤ、編組布、織物ストランド、モノフィラメント繊維などを有することができる。柔軟な部材の様々な実施形態は、例えば、前述の2021年11月4日公開の米国特許公開第2021/0338223号、発明の名称「Knotless Anchor Insertion」に更に記載されている。
【0061】
柔軟な部材130は、縫合糸保持チャネル116を含む内側シャフト110の遠位端と協働して、密閉通路134を画定する。したがって、内側シャフト110の遠位アーム110aは、密閉通路134の部分を画定する。柔軟な部材130は、密閉通路134の遠位端を画定する。縫合糸は、以下で更に説明するように、挿入器ツール100の使用中に縫合糸保持チャネル116及び密閉通路134を通って延在するように構成される。柔軟な部材130は、密閉通路134を開くために移動するように構成され、それによって、以下に更に説明されるように、縫合糸保持チャネル116からの縫合糸の解放を可能にする。概して、柔軟な部材130は、密閉通路134の遠位端をもはや提供しないことによって、密閉通路134を開くために曲がるように構成される。
【0062】
例示的な実施形態では、柔軟な部材130は、
図6に示される静止構成と屈曲構成との間の柔軟な部材134の移動を促進し得る、ニチノール又は他の材料などの形状記憶又は超弾性材料から作製される。柔軟な部材130のデフォルト構成は、密閉通路134が存在する静止構成である。密閉通路134は、屈曲構成の柔軟な部材130には存在しない。デフォルトで静止構成にある柔軟な部材130は、所望されるまで、縫合糸が縫合糸保持チャネル116内に据え付けられたままであることを確実にするのに役立ち得る。
【0063】
縫合糸は、挿入器ツール100のユーザによって、縫合糸保持チャネル116内に、したがって、密閉通路134内に位置付けられ、これは、挿入器100のユーザに、特定の患者及び特定の外科的処置に適切である、使用する縫合糸のサイズ及びタイプを決定する際の柔軟性を提供することができる。縫合糸は、針の糸通しと同様に、ユーザによって手で縫合糸保持チャネル116及び密閉通路134内に位置付けられ得る。手による位置付けに代えて、縫合糸は、プッシャ管又は装填補助具のようなツールを用いて縫合糸保持チャネル116及び密閉通路134内に位置付けることができる。装填補助具122の一実施形態が、
図3~
図5及び
図9に示されている(装填補助具122は、
図5に部分的にのみ示されている)。
【0064】
装填補助具122は、縫合糸が縫合糸保持チャネル116及び密閉通路134内に位置付けられる前に、
図3~
図5及び
図9で挿入器ツール100に解放可能に取り付けられて示されている。例示的な実施形態では、装填補助具122は、製造中に挿入器ツール100上に事前装填され、これは、装填補助具122が挿入器100上に正しく位置付けられることを確実にすることに役立ち得、かつ/又は挿入器100が患者の体内に前進させられる前に、縫合糸が挿入器100に結合されるべきであるというリマインダを挿入器100のユーザに提供することができる。あるいは、装填補助具122は、ユーザによって挿入器ツール100に装填され得、これは、挿入器100が装填補助具122なしで販売されることを可能にし得、したがって、装填補助具122とともに販売されている挿入器100よりも低いコストで販売されることを可能にすることができる。
【0065】
この例示される実施形態における装填補助具122は、縫合糸通し器を含む。縫合糸通し器は、当業者に認識されるように、様々な構成を有することができる。この図示される実施形態では、装填補助具122は、基部124と、基部124に取り付けられ、密閉通路128を画定するワイヤループ126と、を含む。装填補助具122の基部124は、装填補助具122を挿入器ツール100に解放可能に取り付けるために、外側シャフト108に解放可能にクリップ留めするように構成された複数のクリップ122cを含む。縫合糸は、ループ126によって画定された通路128内に据え付けられるように構成される。装填補助具122のループ126を通って延在する縫合糸を用いて、装填補助具122は、基部124上の矢印124aの方向に基部124によって引っ張られ、例えば、その上に印刷されるか、その中にエッチングされるか、ステッカーとしてその上に接着されるなどして、クリップ122cを外側シャフト108から解放し、内側シャフト110及び縫合糸保持器132によって画定される密閉通路134を通して縫合糸を引っ張って、縫合糸を密閉通路134及び縫合糸保持チャネル116に通すことができる。したがって、密閉通路134及び縫合糸保持チャネル116を通って延在する縫合糸は、挿入器ツール100に解放可能に結合され、挿入器ツール100がその初期構成にあるU字形を有することができる。
【0066】
挿入器ツール100は、挿入器ツール100をアンカー102内から除去させるように構成された後退機構136を含む。後退機構136は、アンカー102内に位置付けられた挿入器ツール100の部分をアンカー102に対して長手方向にかつ近位に並進させ、したがってアンカーの開放近位端を通してアンカー102から出すように作動されるように構成される。以下に更に説明するように、挿入器ツール100の内側シャフト110の遠位部分は、アンカー102が骨穴内に前進した後、アンカー102内、例えば、その内側管腔102i内に位置付けられる。したがって、後退機構136は、内側シャフト110をアンカー102に対して近位に移動させることによって、内側シャフト110をアンカー102内から抜去させるように構成される。上述したように、縫合糸保持器132は、内側シャフト110の遠位部分において内側シャフト110に固定して取り付けられる。したがって、後退機構136はまた、縫合糸保持器132を内側シャフト110とともに近位に後退させるように構成される。内側シャフト110及び縫合糸保持器132によって画定された密閉通路134内に据え付けられた縫合糸は、以下で更に説明されるように、内側シャフト110及び縫合糸保持器132とともに後退しない。アンカー102及びそれに結合された縫合糸は、したがって、後退機構136の作動中及び作動後に骨に固定されたままであり得る。
【0067】
図1~
図4に示すように、後退機構136は、ハンドル106を含む挿入器ツール100の近位部分に位置する。後退機構136は、ハンドル106に結合され、その中に部分的に収容される。ハンドル106及び後退機構136を含む挿入器ツール100の近位部分は、典型的には、挿入器ツール100の使用中に患者の身体の完全に外側に位置する。したがって、後退機構136は、挿入器ツール100の使用中にユーザにとって容易にアクセス可能かつ可視である。逆に、アンカー102が骨に挿入された後にアンカー102内に位置付けられる挿入器ツール100の部分は、挿入器ツール100の遠位部分に位置し、挿入器ツール100の使用中に患者の体内に完全に位置する。以下で更に説明するように、後退機構136は、初期の非作動位置から作動位置に移動して、挿入器ツール100をアンカー102内から除去するように構成される。
図1~
図4、
図8、及び
図13~
図16は、初期位置にある後退機構136を示している。以下で更に説明する
図31~
図33は、作動位置にある後退機構136を示している。したがって、作動位置にあり、ユーザに見える後退機構136は、挿入器ツール100及び/又はアンカー102を患者の体内で完全に又は部分的に可視化することができない場合であっても、挿入器ツール100がアンカー102内から除去されたことをユーザに視覚的に示すことができる。
【0068】
後退機構136は、様々な構成を有することができる。この図示した実施形態では、後退機構136はレバーを含む。
図8及び
図13~
図16に示すように、後退機構136は、レバーハンドル138、ヨーク140、及びレバー係止部142を含む。レバーハンドル138は、後退機構136を作動させるためにユーザによって移動させられるように構成されている。レバーハンドル138は、部分的にハンドル106の外側に配置され、部分的にハンドル106の内側に配置される。したがって、レバーハンドル138は、後退機構136の作動及び可視化を容易にするために、ハンドル106の外側からユーザにアクセス可能であり、ユーザによって可視である。ヨーク140及びレバー係止部142は、ハンドル106の内側に配置される。
【0069】
図13に示すように、レバーハンドル138は、ハンドル106によって画定された対向する穴に据え付けられるように構成された一対の対向するピン138p(ピン138pの1つは
図13では隠れている)を含む。
図13の斜視図のため、及びハンドル106が
図13に部分的にのみ示されているため、穴のうちの1つのハーフ部106hが
図13に示されている。ピン138pは、後退機構136の作動に応答して、それらのそれぞれの穴内で回転するように構成される。
【0070】
レバーハンドル138はまた、レバーハンドル138の対向するアーム138m(
図14及び
図15参照)に形成された一対の対向する開口部138g(
図13及び
図15参照)を含む。レバーハンドルの開口部138gはそれぞれ、ヨーク140の一対の対向するピン140pのうちの1つをその中に据え付けるように構成される(
図14~
図16参照)。
【0071】
レバーハンドル138はまた、ハンドル106の一対の嵌合要素106eと解放可能に嵌合するように構成される、その内側表面上の一対の嵌合特徴(
図13では隠れている)を含む(ハンドル106内に形成される空洞106v内の嵌合要素106eを示す、
図31及び
図32参照)。嵌合特徴及び嵌合要素106eの嵌合は、後退機構136の作動に先立って、レバーハンドル138をハンドル106に対して定位置に保持することに役立つように構成される。この図示の実施形態では、嵌合特徴は雄部材であり、嵌合要素106eは、雄部材をその中に解放可能に据え付けるように構成された雌部材であるが、代わりに、レバーハンドル138は雌嵌合要素を含むことができ、ハンドル106は雄嵌合特徴を含むことができる。
【0072】
図14~
図16に示すように、ヨーク140は、外側シャフト108内に形成された対向する長手方向チャネル108c内に据え付けられるように構成された一対の対向するレール140rを含む。
図15及び
図16に示すように、内側シャフト110は、その中に形成された一対の対向する溝110gを含む。ヨークのレール140rはそれぞれ、内側シャフトの溝110gのうちの1つに据え付けられるように構成される。内側シャフト110は、外側シャフトの内側管腔108i内に配設されるが、ヨーク140のレール140rは、外側シャフトの長手方向チャネル108cを通って延在し、内側シャフトの溝110g内に据え付けられるように構成される。ヨーク140のレール140rは、後退機構136の作動に応答して、外側シャフト108のそれぞれの長手方向チャネル108c内で近位に摺動するように構成されている。ヨーク140のレール140rは、内側シャフト110の溝110g内に据え付けられるため、ヨーク140の近位移動は、外側シャフト108、ハンドル106、及びアンカー102に対する近位方向への内側シャフト110(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器132)の対応する長手方向移動を引き起こすように構成される。したがって、内側シャフト110(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器132)は、後退機構136の作動に応答してアンカー102から近位に移動することによって、アンカー102内から除去され得る。外側シャフト108は、ヨーク140(例えば、そのレール140r)が外側シャフトの長手方向チャネル108cの近位端に当接したときにヨーク140の近位移動を停止させる停止部として構成されている。
【0073】
上述したように、後退機構136は、初期の非作動位置と作動位置との間で移動するように構成されている。非作動位置では、レバー係止部142は、係止位置にあり、この係止位置では、レバー係止部142は、レバーハンドル138及びヨーク140を係止するよう構成されており、その結果、レバーハンドル138をユーザが移動させて内側シャフト110(及びこれに固定的に取り付けられた縫合糸保持器132)を後退させることができないようになっている。例えば、打撃キャップ112を打撃してプッシュチューブ108を遠位側に押すことによるアンカー102の骨内への前進は、レバー係止部142を係止位置から係止解除位置に移動させるように構成されており、この係止解除位置では、レバー係止部142は、レバーハンドル138及びヨーク140を係止せず、したがって、レバーハンドル138をユーザが移動させて内側シャフト110(及びこれに固定的に取り付けられた縫合糸保持器132)を後退させることができるようになっている。
図13~
図16は、係止位置にあるレバー係止部142を示している。以下で更に説明する
図26は、係止解除位置にあるレバー係止部142を示している。したがって、後退機構136は、アンカー102が骨の中へ前進させられる前に、早まって作動させられることはない。以下で更に説明するように、レバー係止部142は、プッシュチューブ108の遠位移動が、レバー係止部142を係止位置から係止解除位置に移動させるために、遠位方向へのレバー係止部142の対応する長手方向移動を引き起こすように構成されるように、プッシュチューブ108に固定して取り付けられる。したがって、本明細書で説明するようにプッシュチューブ108を係止するように構成された係止機構118は、レバー係止部142を係止するようにも構成され、それによって、アンカー102が骨の中に前進させられる前の後退機構136の早すぎる作動を更に防止する。
【0074】
レバー係止部142は、レバーハンドル138がハンドル106に対して移動されることを防止し、したがって、ヨーク140及び内側シャフト110(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器132)がハンドル106に対して移動することを防止するように構成される。レバー係止部142の一対の対向するアーム142mは、レバーハンドル138のアーム138mの遠位に位置付けられる。したがって、レバー係止部142は、後退機構136が初期の非作動位置にある状態で、レバーハンドル138がハンドル106に対して移動することを防止するように構成されるが、これは、レバー係止部142、例えば、レバー係止部のアーム142mが、レバーハンドル138がハンドル106に対して移動することを防止するため、例えば、レバーハンドルのアーム138mがレバー係止部142によって移動を阻止されることにより、レバーハンドルのピン138pがハンドルの穴内で回転することを防止するためである。
【0075】
図15及び
図16に示すように、外側シャフト108は、その中に形成された一対の対向する溝108gを含む。レバー係止部のアーム142mはそれぞれ、外側シャフトの溝108gのうちの1つに据え付けられるように構成されている。レバー係止部142のアーム142mは、外側シャフト108の溝108g内に据え付けられるため、例えば、打撃キャップ112の打撃による外側シャフト108の遠位移動は、内側シャフト108、レバーハンドル138、ヨーク140、及びハンドル106に対する遠位方向へのレバー係止部142の対応する長手方向移動を引き起こすように構成される。したがって、レバー係止部142は、レバーハンドル138のアーム138mがレバー係止部142によってもはや拘束されないように、レバーハンドル138に対して遠位に移動するように構成され、それによって、ハンドル106に対するレバーハンドル138の移動が後退機構136を作動させることを可能にする。
【0076】
図13に示すように、外側シャフト108はまた、その中に形成された一対の対向する係止スロット108sと、その中に形成された一対の対向する係止溝108rであって、外側シャフトの一対の対向するスロット108sの近位にあり、外側シャフトの一対の対向する溝108gの遠位にある、一対の対向する係止溝108rと、を含む。ハンドル106は、打撃キャップ112を打撃した後に外側シャフト108をその遠位位置に保持するのに役立つように構成された保持機構を含む。この図示の実施形態では、保持機構は、ハンドル106の内部にある一対の対向するフィンガ106nを含み、各フィンガは、
図13に示すように、挿入器ツール100が初期構成にある状態で、外側シャフトのスロット108sのうちの1つに解放可能に据え付けられるように構成される。係止スロット108s内に据え付けられたフィンガ106nは、打撃キャップ112を打撃して外側シャフト108を遠位に前進させる前に、外側シャフト108をその近位位置に保持するのに役立つように構成され、その結果、アンカー102は、ハンドル106に対する外側シャフト108の遠位移動によって早まって遠位に前進させられない。フィンガ106nはそれぞれ、外側シャフト108が遠位に前進させられ、例えば、打撃キャップ112の打撃に応答して、アンカー102を遠位に前進させた後に、外側シャフトの係止溝108rのうちの1つの中に解放可能に据え付けられるように構成される。係止溝108r内に据え付けられたフィンガ106nは、打撃キャップ112を打撃した後に外側シャフト108をその遠位位置に保持するのに役立つように構成され、その結果、後退機構136が続いて作動されて内側シャフト110(及び縫合糸保持器132)を後退させるときに、外側シャフト108は、ハンドル106、アンカー102、及び内側シャフト110に対して定位置に留まる。外側シャフト108が、ハンドルのフィンガ106nが外側シャフトの係止スロット108s内に据え付けられるその位置から遠位に移動するにつれて、フィンガ106nは、係止スロット108s内に据え付けられた状態から係止溝106r内に据え付けられた状態に自動的に変化するように構成される。フィンガ106nの各々は自由端を有し、この自由端は、フィンガ106nを係止スロット108sから係止溝108g内に移動させるために外側シャフト108がハンドル106に対して遠位に移動するときに、必要に応じてフィンガ106nが曲がることを可能にする。フィンガ106nは、係止溝106g内に据え付けられるまで、外側シャフト108に沿って近位に摺動する。
【0077】
図19~
図35は、挿入器ツールを使用する方法の一実施形態を示している。本方法は、
図1~
図5の挿入器ツール100、アンカー102、及び装填補助具122に関して説明されるが、他の挿入器ツール、アンカー、及び装填補助具も同様に使用することができる。また、上述したように、装填補助具を使用する必要は全くない。
【0078】
図17~
図20は、装填補助具122を使用して縫合糸144が挿入器ツール100上に装填される方法における挿入器ツール100の様々な部分を同時に示している。挿入器ツール100は初期構成にあり(
図17~
図20を参照)、装填補助具122は挿入器ツール100に結合されており(
図17を参照)、係止機構118はその係止位置にあり(
図18及び
図19を参照)、後退機構136は非作動位置にあり(
図18及び
図19を参照)、レバー係止部142はその係止位置にあり、ハンドルのフィンガ106nは外側シャフトの係止スロット108s内に据え付けられている(
図20を参照)。
【0079】
縫合糸144は、この図示の実施形態では単一のストランドを含むが、複数のストランドを含むことができる。縫合糸144は、骨に対して位置付けられる組織146に結合される(例えば、結ばれる、通されるなど)。組織146は、回旋腱板修復処置のための関節唇など、実施される特定の外科的処置に適切なように、天然又は人工の様々な組織のいずれかとすることができる。
【0080】
図17に示すように、装填補助具122は、挿入器ツール100に解放可能に結合され、縫合糸144は、装填補助具122のループ126を通って延在する。装填補助具122のループ126を通って延在する縫合糸144を用いて、装填補助具122は、基部124によって引っ張られ、縫合糸144が密閉通路134を通って延在するように、挿入器ツールの密閉通路134を通して縫合糸144を引っ張る。装填補助具122は、基部124上の矢印124aの方向に対応する、
図17の矢印148によって示される方向に引っ張られ、密閉通路134を通して縫合糸144を引っ張る。
【0081】
縫合糸144が、密閉通路134内に据え付けられることによって挿入器ツール100に結合され、したがって縫合糸保持チャネル116内にも据え付けられ、装填補助具122が挿入器ツール100から除去された状態で(装填補助具122が挿入器ツール100への縫合糸結合を容易にするために使用された場合)、挿入器ツール100は、縫合糸144及びアンカー102を骨152に形成された骨穴150に挿入するために使用される(
図21を参照)。挿入器100を使用して縫合糸144及びアンカー102を骨穴150に挿入する例示的な実施形態では、当業者には理解されるように、ドリル又は他の骨除去ツールが患者の体内に挿入されて骨穴150を形成する。当業者によって更に理解されるように、患者の皮膚に形成された開口部、例えば、切開部内に位置付けられたカニューレを介して、ドリル又は他の骨除去ツールを患者の身体内に前進させ、次いで、患者の身体から除去することができる。次いで、カニューレは、骨穴150に向かう挿入器の遠位前進のためのガイドとしての役割を果たすことができる。
【0082】
挿入器100は、
図21に示すように、患者の身体の中へ遠位に前進させられ、内側シャフト110の遠位端が骨穴150内にある状態で位置付けられる。
図21及び
図22は、本方法における挿入器ツール100の遠位部分及び近位部分をそれぞれ同時に示している。したがって、アンカー102が骨穴150内に固着される前に、密閉通路134及び縫合糸保持チャネル116を通って延在する縫合糸144は、骨穴150内に位置付けられる。骨穴150の底面は、例えば、内側シャフト110及び/又は縫合糸保持器132に当接することによって、骨152に対する挿入器100の遠位移動を停止させる停止面として機能することができ、及び/又は骨152の外面152eは、例えば、アンカー102又はブッシング108kに当接することによって、骨152に対する挿入器100の遠位移動を停止させる停止面として機能することができる。骨穴150の内部は、挿入器100が骨穴150内に位置付けられた状態で可視化することができず、したがって、停止部は、挿入器100が骨穴150内で可能な限り遠位に前進したことを確実にするのに役立つことができ、これは、アンカー102が、アンカーの近位端が骨穴150の近位端と同一平面又は準同一平面で骨穴150内に固着されることを確実にするのに役立ち得る。あるいは、挿入器100は、アンカー102の遠位端が骨穴150の開放近位端に係合する前に、指定された距離だけ骨穴150に挿入することができる。アンカー102は、打撃キャップ112に衝突することなく骨穴150内に容易に前進しないため、挿入器100がアンカー102から突出する距離は、挿入器100が骨穴150内に前進する距離を制御する。
【0083】
内側シャフト110の遠位端が骨穴150内に位置付けられた状態で、アンカー102を内側シャフト110に対して遠位側に前進させる前に、縫合糸144に所望に応じて張力をかけることができる。代替的に、縫合糸144の張力は、骨穴150内への挿入器100の配置の前に近似させることができ、骨穴150内への挿入器100の前進は、アンカー102の遠位端から突出する挿入器の距離の長さにほぼ等しい張力を加える。当業者であれば、値が正確に等しくなくてもよく、それにもかかわらず、測定機器の製造公差及び感度などの1つ以上の理由のいずれかのためにおおよそ等しいと見なされることを理解するであろう。縫合糸144が望ましく張力をかけられた状態で、縫合糸144は、縫合糸の張力が維持された状態で縫合糸保持部材によって保持されるように、
図23に示されるように溝107内に据え付けられる。
【0084】
縫合糸144及び内側シャフト110の遠位端が骨穴150内に位置付けられた状態で、係止機構118を係止位置から係止解除位置に移動させる。
図24は、矢印154によって示されるように押されてハンドル106、外側シャフト108、及び打撃キャップ112に対して移動することによって、
図18、
図19、
図22、及び
図23の係止位置から移動した、係止解除位置にある係止機構118を示している。外側シャフト108は、ここで、打撃キャップ112上を打撃することに応答して、内側シャフト110に対して自由に移動する。この図示の実施形態では、係止機構118は、縫合糸144が張力をかけられ、縫合糸保持機構によって保持された後に、係止位置から係止解除位置に移動することができるが、係止機構118は、縫合糸144が張力をかけられ、縫合糸保持機構によって保持される前に、係止位置から係止解除位置に移動することができる。
【0085】
内側シャフト110の遠位端が骨穴150内に位置付けられ、係止機構118が係止解除位置にある状態で、アンカー102を内側シャフト110に対して遠位方向に長手方向に並進させることによって、アンカー102を骨穴150内に遠位に前進させる。換言すれば、アンカー102は、挿入器100の長手方向軸に沿って軸方向に押される。
図25に示すように、打撃キャップ112は、マレット、ハンマー、又は他のツールで打ちつけられて、外側チューブ108を内側シャフト110に対して遠位に移動させ、これにより、アンカー102を内側シャフト110に対して遠位に移動させ、骨穴150内に遠位に前進させる。アンカー102は、
図25に示す実施形態では、骨152内で準同一平面に位置付けられるように、例えば、約1mm又は別の量だけ皮質下に位置付けられる。打撃キャップ112は、アンカー102を骨穴150内に完全に前進させるために、1回以上打ちつけられてもよい。ブッシング108kは、骨152の外面152eと位置合わせするように構成されたインジケータ、例えば、その上のレーザ線、その中に形成された溝などを含むことができ、アンカー102が骨152内で準同一平面に位置付けられると、(少なくとも挿入器100がアンカー102から除去される前に)骨穴150内のアンカー102の可視化が妨げられるため、アンカー102が骨穴150内に完全に遠位に前進したことをユーザに視覚的に示している。骨穴150内のアンカー102は、アンカー102の外面と骨穴150を画定する骨表面との間に、縫合糸144、例えばその脚部を捕捉する。
【0086】
図25~
図28は、本方法における挿入器ツール100の様々な部分を同時に示している。
図25は、外側シャフト108の遠位軸方向並進によって引き起こされる、骨穴150内で遠位に完全に前進させられたアンカー102を示している。外側シャフト108、例えば、そのブッシング108kは、アンカー102の近位端102pに当接する。
図26は、外側シャフト108の遠位前進が、レバー係止部142を遠位に前進させ、それによって、その係止位置からその係止解除位置に移動させたことを示している。
図27は、外側シャフト108の遠位への前進により、ハンドルのフィンガ106nが、外側シャフトの係止スロット108s内に据え付けられた後に外側シャフトの係止溝108r内に据え付けられ、外側シャフト108がフィンガ106nに対して遠位に移動するにつれて外側シャフト108に沿って摺動することを示している。
図28は、矢印156によって示される遠位方向に打撃キャップ112を打撃した後に、係止機構118に当接する打撃キャップの遠位表面を示している。
【0087】
図28に示すように、縫合糸144は、依然として縫合糸保持部材によって保持されている。縫合糸144はまた、アンカー102が骨穴150内に前進させられることによって骨穴150内に固定され、したがって、縫合糸144がもはや溝107内に据え付けられていない
図29に示すように、縫合糸保持部材から解放され得る。
【0088】
図28と同じ挿入器ツール100の状態に対応する
図25に示すように、内側シャフト110及び縫合糸保持器132を含む挿入器ツール100の遠位部分は、アンカー102及び縫合糸144が骨穴150内に固定された状態で、骨穴150内及びアンカー102の内側管腔102i内に位置付けられる。後退機構136を作動させて、内側シャフト110(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器132)を外側シャフト108、ハンドル106、及びアンカー102に対して近位に後退させて、アンカー102内から挿入器ツール100を除去する。後退機構136を作動させるために、レバーハンドル138は、
図30及び31に示すように、挿入器ハンドル106に対して移動させられる。
図30は、非作動位置にあるレバーハンドル138を示し、
図31は、作動位置にあるレバーハンドル138を示している。この図示の実施形態におけるレバーハンドル138は、非作動位置から作動位置まで約90°枢動するように構成されている。当業者であれば、角度値などの値は、正確にはある値ではない場合があるが、それにもかかわらず、製造公差又は測定機器の感度などの1つ以上の理由のいずれかのために、ほぼその値であると考えられることを理解するであろう。約90°枢動するレバーハンドル138は、作動位置にあるレバーハンドル138が挿入器ハンドル106に対して実質的に垂直に突出するため、後退機構136が作動されたという明確な視覚的表示をユーザに提供することができる。この図示の実施形態におけるレバーハンドル138は、その近位端で湾曲しており、これは、レバーハンドル138が枢動して後退機構を作動させるべき方向を示している。
【0089】
図31は、作動位置にあるレバーハンドル138がもはやハンドルの空洞106v内に据え付けられていないこと、及びレバーハンドルの嵌合特徴がもはや空洞106v内に位置するハンドルの嵌合要素106eと嵌合していないことを示している。空洞106v内に据え付けられているレバーハンドル138は、挿入器ツール100の近位部分の外形を低減させることに役立ち、及び/又は後退機構136の作動前にレバーハンドル138を邪魔にならないように保つことに役立ち得る。
【0090】
レバーハンドルのピン138pは、レバーハンドル138の作動中、レバーハンドル138がその非作動位置(
図30)からその作動位置(
図31)に移動するにつれて、ハンドルの穴内で回転し、ハンドル106は、レバーハンドルの枢動のための支点としての役割を果たす。レバーハンドル138は、ピン138pがハンドルの穴に据え付けられていることにより、ハンドル106に対して固定された軸方向位置にあり、したがって、レバーハンドル138は、作動されたときに長手方向に並進しない。後退機構のヨーク140は、ハンドル106に対して固定された位置にはなく、したがって、レバーハンドル138に動作可能に結合されたヨーク140は、レバーハンドル138の枢動に応答して、ハンドル106に対して長手方向に自由に並進する。ヨーク140は、上述したように、レバーハンドル138がその非作動位置からその作動位置に移動すると、外側シャフトの長手方向チャネル108c内で近位側に摺動する。したがって、内側シャフト110(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器132)は、外側シャフト108、ハンドル106、及びアンカー102に対して近位に対応して並進して、内側シャフト110(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器132)をアンカー102から引き出す。
【0091】
後退機構136の作動は、柔軟な部材130を屈曲させる。この図示の実施形態における柔軟な部材130は、それに加えられた力に応答して自動的に屈曲するように構成されることによって受動的である。後退機構136が作動されるにつれて、内側シャフト110及び縫合糸保持器132がアンカー102に対して近位方向に長手方向に移動するにつれて、柔軟な部材130は、密閉通路134及び縫合糸保持チャネル116内の縫合糸144に遭遇する。
図30に示すように、柔軟な部材130は、柔軟な部材130が内側シャフト110とともに近位に引っ張られるにつれて、縫合糸144によってそこに加えられる力に応答して、矢印160の方向に曲がる。したがって、上述したように、密閉通路134は存在しなくなり、柔軟な部材130はもはや密閉通路134の遠位端を提供しない。したがって、縫合糸144は、内側シャフト110及び縫合糸保持器132がアンカー102から除去された後、
図31及び32に示すように、縫合糸保持チャネルの開放遠位端から縫合糸保持チャネル116を出て、骨穴150内に留まることができる。
図32はまた、縫合糸144が柔軟な部材130の屈曲を促すために柔軟な部材130に力をもはや加えないため、柔軟な部材130が、縫合糸144を近位に通過した後にその静止構成に戻るように曲がることを示している。
【0092】
後退機構136が作動された後、挿入器ツール100は、近位方向に長手方向に並進され、例えば、
図33の矢印162によって示されるように、挿入器ツール100の長手方向軸に沿って軸方向に引っ張られ、アンカー102及び縫合糸144が骨穴150内に残り、縫合糸144の脚部が骨穴150から外に延在した状態で、患者の身体から除去される。
図34及び
図35は、組織146が縫合糸144に結合されて骨152に対して定位置に固定された状態で、アンカー102及び縫合糸144が骨穴150内に固着された状態を示している。
【0093】
図1~
図5の挿入器ツール100の外側シャフト108及び内側シャフト110は直線状である。他の実施形態では、挿入器ツールは、湾曲した外側及び内側シャフトを有することができる。少なくともその遠位部分において湾曲している挿入器ツールの外側シャフト及び内側シャフトは、挿入器ツールに解放可能に結合されたアンカーの埋め込みのための標的部位への挿入器ツールの遠位端のアプローチを容易にし得るが、これは、関節における患者の解剖学的構造の厳しい制約が、標的部位にアプローチすることを困難にする可能性があるためである。
【0094】
図36~
図39は、湾曲した外側シャフト208及び内側シャフト210を有する挿入器ツール200の一実施形態を示している。挿入器ツール200は、軟組織修復外科的処置におけるノットレスアンカー挿入のためのものであり、外側及び内側シャフト208、210の湾曲を除いて
図1~
図5の挿入器ツール100と同じであり、例えば、骨に対して軟組織を固着させるために患者の骨にアンカー102を挿入するように構成され、ハンドル206と、ハンドル206から遠位に延在し、ブッシング208kを含む外側シャフト208と、ハンドル206から遠位に延在し、縫合糸保持チャネルを画定するその中に形成されたノッチを含む内側シャフト210と、内側シャフト210と協働して密閉通路234を画定する柔軟な部材230(
図40参照)を含む縫合糸保持器と、ハンドル206によって画定された溝207及びハンドル206に固定して取り付けられたエラストマークリート209の形態の縫合糸保持部材と、ハンドル206から近位に延在する打撃キャップ212と、係止機構218が係止位置にあるときに外側シャフト208を内側シャフト210に対して定位置に係止するように構成された係止機構218と、挿入器ツール200をアンカー102内から除去させるように構成された後退機構236と、を含む。後退機構236は、上述した後退機構136と同じであり、例えば、レバーとして構成され、レバーハンドル238、ヨーク(
図36~
図39では隠れている)、及びレバー係止部(
図36~
図39では隠れている)を含む。挿入器ツール200は、
図1~
図7のアンカー102に結合された状態で
図36~
図39に示されているが、アンカー102及び挿入器ツール100に関して上述したものと同様に、別のアンカーとともに同様に使用することができる。
図36~
図40は、初期構成の挿入器200を示している。
【0095】
挿入器ツール200は、例えば、外側及び内側シャフトの湾曲が患者の体内で見えない場合に、外側及び内側シャフトの湾曲の方向をユーザに示すように構成されたインジケータを含む。この図示した実施形態では、エラストマークリート209及びハンドル206は、インジケータとして協働する。ハンドル206は、エラストマークリート209に向かって外側に湾曲している。ハンドル206の湾曲は、外側シャフト208及び内側シャフト210と同じ方向に湾曲している。インジケータの他の実施形態は、例えば、前述の2021年11月4日公開の米国特許公開第2021/0338223号、発明の名称「Knotless Anchor Insertion」に更に記載されている。
【0096】
図36及び
図37は、
図3~
図5の装填補助具122に解放可能に結合された挿入器200を示している。しかしながら、
図3~
図5の挿入器100及び装填補助具122に関して上述したのと同様に、
図40及び
図41の挿入器200は、別の装填補助具とともに使用されてもよく、又は装填補助具とともに全く使用されなくてもよい。
【0097】
この図示した実施形態における湾曲した外側シャフト208は、
図1~
図5の挿入器ツール100の直線状の外側シャフト108とは異なり、可撓性である。他の実施形態では、挿入器の外側及び内側シャフトの曲率は、固定されることができる。可撓性である外側シャフト208は、湾曲した内側シャフト210に沿った外側シャフトの並進を容易にする。
図36~
図41に示すように、外側シャフト208の遠位部分は、外側シャフト208が曲がることを容易にするように構成された、その中に形成された複数のスリット208tを含む。この図示の実施形態における複数のスリット208tは、三日月形のスリット208tの2つの列を含むが、別の数の列を設けることができ、及び/又はスリット208tは別の形状を有することができる。湾曲した外側シャフト208の可撓性は、別の方法で提供することができる。例えば、湾曲した外側シャフト208は、複数のスリットを含む代わりに、外側シャフト208に形成された複数のスコアマークを含むことができる。別の例では、湾曲した外側シャフト208は、外側シャフトの側壁が外側シャフトの残りの部分に沿ってよりも薄くなるように、その遠位部分に材料の薄い部分を含むことができる。
【0098】
図1~
図5(挿入器100)及び
図36~
図39(挿入器200)の挿入器ツール100、200の後退機構136、236はそれぞれ、レバーとして構成される。しかしながら、上述のように、挿入器ツールの後退機構は、別の構成を有することができる。例えば、後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成され得る。別の例では、後退機構は、親ねじ機構として構成することができる。
【0099】
図42及び
図43は、ラックアンドピニオン機構として構成された後退機構336を含む挿入器ツール300の一実施形態を示している。挿入器ツール300は、軟組織修復外科的処置におけるノットレスアンカー挿入のためのものであり、後退機構336の構成を除いて
図1~
図5の挿入器ツール100と同じであり、例えば、アンカーを患者の骨に挿入して軟組織を骨に対して固着させるように構成され、ハンドル306と、ハンドル306から遠位に延在し、ブッシング(
図42及び
図43には図示せず)を含む外側シャフト308と、ハンドル306から遠位に延在し、縫合糸保持チャネル(
図42及び
図43には図示せず)を画定するその中に形成されたノッチを含む内側シャフト310と、内側シャフト310と協働して密閉通路(
図42及び
図43には図示せず)を画定する柔軟な部材(
図42及び
図43には図示せず)を含む縫合糸保持器と、ハンドル306及びハンドル306に固定して取り付けられたエラストマークリート309によって画定された溝307の形態の縫合糸保持部材と、ハンドル306から近位に延在する打撃キャップ312と、係止機構318が係止位置にあるときに外側シャフト308を内側シャフト310に対して定位置に係止するように構成された係止機構318と、挿入器ツール300をアンカー(
図42及び
図43には図示せず)内から除去させるように構成された後退機構336と、を含む。アンカーは、
図7のアンカー102とすることができ、又は本明細書で説明するように別のアンカーとすることができる。
【0100】
後退機構336は、ハンドル338と、ラック340と、基部342とを含む。後退機構ハンドル338は、後退機構336を作動させるためにユーザによって移動させられるように構成されている。レバーハンドル136と同様に、後退機構ハンドル338は、部分的に挿入器ハンドル306の外側に、かつ部分的に挿入器ハンドル306の内側に配置される。ラック340及び基部342は、挿入器ハンドル306の内側に配置される。
【0101】
後退機構ハンドル338は、レバーハンドル138のピン138pと同様に、挿入器ハンドル306によって画定される対向する穴内に据え付けられ、その中で回転するように構成される、一対の対向するピン338pを含む。後退機構ハンドル338はまた、ラック340に動作可能に結合された平歯車の形態のピニオン338nを含み、ピニオン338nの歯は、ラック340の歯と係合される。後退機構ハンドル338の移動は、ピニオン338nを挿入器ハンドル306に対して回転させ、これは、歯の係合に起因してラック340を移動させる。
【0102】
ラック340は、上述の外側シャフト308内に形成された対向する長手方向チャネル108c内に据え付けられるように構成されたヨーク140のレール140rと同様に、外側シャフト108内に形成された対向する長手方向チャネル内に据え付けられるように構成された一対の対向するレール(
図42及び
図43では隠れている)を含む。ラックのレールはそれぞれ、上記で説明される内側シャフトの溝110gの中に据え付けられるヨークのレール140rと同様に、内側シャフト310の一対の対向する溝のうちの1つの中に据え付けられるように構成される。内側シャフト310は、外側シャフトの内側管腔内に配置されるが、ラック340のレールは、外側シャフトの長手方向チャネルを通って延在し、内側シャフトの溝内に据え付けられるように構成される。ラック340のレールは、後退機構336の作動に応答して、外側シャフト308のそれぞれの長手方向チャネル内で近位に摺動するように構成されている。ラック340のレールが内側シャフト310の溝内に据え付けられるため、ラック340の近位移動は、外側シャフト308、挿入器ハンドル306、及び挿入器300に解放可能に結合されたアンカーに対する近位方向への内側シャフト310(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器)の対応する長手方向移動を引き起こすように構成される。内側シャフト310(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器)は、したがって、後退機構336の作動に応答して、アンカーから近位に移動することによって、アンカー内から除去されることができる。外側シャフト308は、ラック340、例えば、そのレールが、外側シャフトの長手方向チャネルの近位端に当接するとき、ラック340の近位移動を停止させる停止部として構成される。
【0103】
後退機構336は、上述した後退機構136と同様に、初期の非作動位置と作動位置との間で移動するように構成されている。
【0104】
係止基部は、上述した外側シャフト108の一対の対向する溝108gに据え付けられるレバー係止部142と同様に、外側シャフト308の一対の対向する溝に据え付けられることによってプッシュチューブ308に固定して取り付けられる。したがって、プッシュチューブ308の遠位移動は、遠位方向への基部342の対応する長手方向移動を引き起こして、基部342を遠位に移動させるように構成される。したがって、本明細書で説明するようにプッシュチューブ308を係止するように構成された係止機構318は、基部342を係止するようにも構成される。
【0105】
この図示した実施形態における外側シャフト308は、上述した外側シャフト108の一対の対向するスロット108s及び一対の対向する溝108gと同様に、その中に形成された一対の対向する係止スロット及びその中に形成された一対の対向する係止溝308rを含む。この図示の実施形態における挿入器ハンドル306は、上述した挿入器ハンドル106と同様に、挿入器ハンドル306の内部に一対の対向するフィンガを含む。上述したものと同様に、係止スロット内に据え付けられたフィンガは、打撃キャップ312を打撃して外側シャフト308を遠位側に前進させる前に、外側シャフト308をその近位位置に保持するのに役立つように構成され、フィンガはそれぞれ、外側シャフト308が遠位側に前進してアンカーを遠位側に前進させた後に、例えば打撃キャップ312の打撃に応答して、外側シャフトの係止溝308rのうちの1つの中に解放可能に据え付けられるように構成される。
【0106】
この図示の実施形態では、後退機構ハンドル338は、非作動位置から作動位置まで約90°枢動するように構成されている。平歯車338nのピッチ直径を変化させることは、別の枢動角度が所望される場合、後退機構ハンドル338の枢動角度を変化させる。例えば、平歯車338nのピッチ円直径は、後退機構ハンドル338が非作動位置から作動位置まで約180°枢動するように構成されるように変更され得る。約180°枢動するように構成されている後退機構ハンドル338は、後退機構の作動後にユーザが挿入器ツール300のハンドル306を保持することをより容易にすることができ、その理由は、後退機構ハンドル338が、後退機構の作動位置及び非作動位置の各々においてハンドル306に対してその最も低い外形にあるように構成されることになるためである。
【0107】
挿入器ツール300の外側シャフト308及び内側シャフト310は、
図1~
図5の挿入器100の外側シャフト108及び内側シャフト110と同様に直線状であってもよく、又は
図36~
図39の挿入器200の外側シャフト208及び内側シャフト210と同様に湾曲していてもよい。
【0108】
図42及び
図43の挿入器300は、装填補助具122とともに使用されてもよく、別の装填補助具とともに使用されてもよく、又は装填補助具とともに全く使用されなくてもよい。
【0109】
図44及び
図45は、親ねじ機構として構成された後退機構を含む挿入器ツール400の一実施形態を示している。挿入器ツール400は、軟組織修復外科的処置におけるノットレスアンカー挿入のためのものであり、後退機構436の構成を除いて
図1~
図5の挿入器ツール100と同じであり、例えば、アンカーを患者の骨に挿入して軟組織を骨に対して固着させるように構成され、ハンドル406と、ハンドル406から遠位に延在し、ブッシング(
図44及び
図45には図示せず)を含む外側シャフト408と、ハンドル406から遠位に延在し、縫合糸保持チャネル(
図44及び
図45には図示せず)を画定するその中に形成されたノッチを含む内側シャフト410と、内側シャフト410と協働して密閉通路(
図44及び
図45には図示せず)を画定する柔軟な部材(
図44及び
図45には図示せず)を含む縫合糸保持器と、縫合糸保持部材(
図44及び
図45には図示せず)と、ハンドル406から近位に延在する打撃キャップ(
図44及び
図45には図示せず)と、係止機構418が係止位置にあるときに外側シャフト408を内側シャフト410に対して定位置に係止するように構成された係止機構(
図44及び
図45には図示せず)と、挿入器ツール400をアンカー(
図44及び
図45には図示せず)内から除去させるように構成された後退機構と、を含む。アンカーは、
図7のアンカー102とすることができ、又は本明細書で説明するように別のアンカーとすることができる。
【0110】
図44~
図47に示すように、後退機構は、リングアクチュエータ438と、親ねじ440と、ガイド442と、を含む。リングアクチュエータ438は、上で説明されたレバーハンドル138、238及び後退機構ハンドル338と同様に、後退機構を作動させるためにユーザによって移動させられるように構成されている。リングアクチュエータ438は、ハンドル406の外側でハンドル406の周りに周方向に配置される。親ねじ440及びガイド442は、ハンドル406の内部に配置される。
【0111】
リングアクチュエータ438は、リングアクチュエータ438の歯438tが親ねじ440の歯440tと係合した状態で、親ねじ440と動作可能に結合される。リングアクチュエータ438の移動は、親ねじ440をハンドル406に対して回転させ、これは、歯438t、440tの係合に起因して、親ねじ440を回転させる。
【0112】
親ねじ440の近位端440p及び遠位端440dは、ハンドル406に回転可能に取り付けられる。したがって、親ねじ440は、ハンドル406に対して近位又は遠位に並進することができないが、ハンドル406に対して回転することができる。親ねじ440の螺旋ねじ山440hは、ガイド442のねじ山(
図44及び
図45では隠れている)と螺合可能に係合される。ガイド442は、以下で更に説明するように、内側シャフト410に固定して取り付けられる。親ねじ440の回転は、親ねじ440の螺旋ねじ山440hとガイド442のねじ山との係合により、ガイド442を近位方向に長手方向に移動させる。したがって、ガイド442に取り付けられた内側シャフト410も近位側に移動する。
【0113】
ガイド442は、上述の外側シャフト408内に形成された対向する長手方向チャネル108c内に据え付けられるように構成されたヨーク140のレール140rと同様に、外側シャフト108内に形成された対向する長手方向チャネル内に据え付けられるように構成された一対の対向するレール(
図44及び
図45では隠れている)を含む。ガイドのレールはそれぞれ、上記で説明される内側シャフトの溝110gの中に据え付けられるヨークのレール140rと同様に、内側シャフト410の一対の対向する溝のうちの1つの中に据え付けられるように構成される。内側シャフト410は、外側シャフトの内側管腔内に配置されるが、ガイド440のレールは、外側シャフトの長手方向チャネルを通って延在し、内側シャフトの溝内に据え付けられるように構成される。ガイド440のレールは、後退機構の作動に応答して、外側シャフト408のそれらのそれぞれの長手方向チャネル内で近位に摺動するように構成される。ガイド440のレールは、内側シャフト410の溝内に据え付けられるため、ガイド440の近位移動は、外側シャフト408、ハンドル406、及び挿入器400に解放可能に結合されるアンカーに対する近位方向への内側シャフト410(及びそれに固定して取り付けられる縫合糸保持器)の対応する長手方向移動を生じさせるように構成される。内側シャフト410(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器)は、したがって、後退機構の作動に応答して、アンカーから近位に移動することによって、アンカー内から除去されることができる。外側シャフト408は、ガイド440、例えば、そのレールが外側シャフトの長手方向チャネルの近位端に当接するときに、ガイド440の近位移動を停止させる停止部として構成される。
【0114】
ガイド442は、リングアクチュエータ438がハンドル406に対して移動されることを防止し、したがって、ガイド440及び内側シャフト410(及びそれに固定して取り付けられた縫合糸保持器)がハンドル406に対して移動することを防止するように構成される、係止として構成される。親ねじ440の螺旋ねじ山440hとガイド442のねじ山との係合は、リングアクチュエータ438の回転に応答することを除いて、ガイド442、したがって、それに取り付けられた外側シャフト408の長手方向並進を防止する。
【0115】
ハンドル406は、上述のハンドル105のフィンガ106nと同様の一対の対向するフィンガ406nを含むことができ、外側シャフト408は、上述の外側シャフト108の一対の対向するスロット108s及び一対の対向する溝108gと同様の、内部に形成された一対の対向する係止スロット408及び内部に形成された一対の対向する係止溝を含むことができる。
【0116】
挿入器ツール400の外側シャフト408及び内側シャフト410は、
図1~
図5の挿入器100の外側シャフト108及び内側シャフト110と同様に直線状であってもよく、又は
図36~
図39の挿入器200の外側シャフト208及び内側シャフト210と同様に湾曲していてもよい。
【0117】
図44及び
図45の挿入器400は、装填補助具122とともに使用されてもよく、別の装填補助具とともに使用されてもよく、又は装填補助具とともに全く使用されなくてもよい。
【0118】
当業者は、上述した実施形態に基づくデバイス、システム、及び方法の更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され、かつ説明されている内容によって限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0119】
本開示は、本明細書で提供される開示全体の文脈内で、例示のみを目的として上で説明された。本開示の全体的な範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内の修正を行うことができることが理解されよう。
【0120】
〔実施の態様〕
(1) 外科用システムであって、
骨に埋め込まれるように構成されたアンカーと、
挿入器ツールであって、
前記アンカーを前記挿入器ツールの長手方向軸に沿って遠位に押すように構成された外側シャフトと、
前記外側シャフト内及び前記アンカー内に位置付けられた内側シャフトであって、前記内側シャフトの遠位端は、前記外側シャフト及び前記アンカーの遠位側に位置付けられ、前記内側シャフトの前記遠位端は、縫合糸に解放可能に結合するように構成されている、内側シャフトと、
前記内側シャフトを前記挿入器ツールの前記長手方向軸に沿って前記外側シャフト及び前記アンカーに対して近位に移動させるように作動されるように構成された後退機構と、を備える、挿入器ツールと、
を備える、システム。
(2) 前記後退機構は、レバーとして構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記後退機構は、前記内側シャフトに動作可能に結合され、前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動させられ、それによって、前記内側シャフトを前記外側シャフト及び前記アンカーに対して近位に移動させるように構成される、レバーハンドルを備える、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記後退機構は、前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押す前に前記レバーハンドルが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動することを防止するように構成された係止部を更に備える、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押すことは、前記レバーハンドルが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動することを前記係止部が防止する係止位置から、前記レバーハンドルが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動することを前記係止部が可能にする係止解除位置まで、前記係止部を移動させるように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0121】
(6) 前記後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記後退機構は、親ねじ機構として構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記後退機構は、前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押す前に前記後退機構が作動されることを防止するように構成された係止部を含む、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記挿入器ツールは、ハンドルを更に備え、前記ハンドルは、前記後退機構の前記作動中に前記外側シャフトを前記ハンドルに対して定位置に保持するように構成された保持機構を含み、
前記内側シャフトはまた、前記後退機構の作動によって、前記ハンドルに対して近位に移動させられる、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記挿入器ツールは、前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨内の穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるように構成されたハンドルを更に備え、
前記外側シャフトは、前記ハンドルから遠位に延在し、
前記内側シャフトは、前記ハンドルから遠位に延在し、
前記後退機構は、前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨内の前記穴内に位置付けられた状態で、前記患者の前記身体の外側に位置付けられるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0122】
(11) 前記挿入器ツールは、縫合糸を中に通して据え付け、前記内側シャフトを前記縫合糸に解放可能に結合するように構成される、密閉通路を有し、
前記後退機構の前記作動は、前記内側シャフトが前記外側シャフト及び前記アンカーに対して近位に移動することに応答して、前記挿入器ツールの柔軟な部材を自動的に広げ、それによって、前記密閉通路を開かせるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記密閉通路を通して据え付けられた前記縫合糸を更に備え、
前記縫合糸は、前記後退機構の作動に先立って、かつ前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨内の穴内に位置付けられることに先立って、前記密閉通路を通して据え付けられ、前記アンカーが前記アンカーの外面と前記骨内の前記穴の壁との間に前記縫合糸を捕捉するように、前記外側シャフトが前記アンカーを遠位に押した後に、前記密閉通路を通して据え付けられる、実施態様11に記載のシステム。
(13) 外科的方法であって、
挿入器ツールの内側シャフトの遠位端を骨穴内に位置付けることであって、前記内側シャフトの前記遠位端は、縫合糸に解放可能に結合され、それによって、前記縫合糸も前記骨穴内に位置付けられる、ことと、
前記挿入器ツールの外側シャフトを前記内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動させ、それによって、アンカーを前記内側シャフトに沿って摺動させ、前記アンカーが前記アンカーの外面と前記骨穴の壁との間で前記縫合糸を捕捉するように前記骨穴内に位置付けることと、
前記外側シャフトを軸方向かつ遠位に前記移動させた後に、前記挿入器ツールの後退機構を作動させ、それによって、前記内側シャフトが前記骨穴から除去され、前記アンカー及び前記縫合糸が前記骨穴内に留まるように、前記内側シャフトを前記外側シャフト及び前記アンカーに対して軸方向かつ近位に移動させることと、を含む、方法。
(14) 前記後退機構は、レバーとして構成されている、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記後退機構は、ラックアンドピニオン機構として構成されている、実施態様13に記載の方法。
【0123】
(16) 前記後退機構は、親ねじ機構として構成されている、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記外側シャフトを軸方向かつ遠位に前記移動させる前に、前記挿入器ツールは、前記縫合糸が据え付けられる密閉通路を有し、
前記後退機構の前記作動はまた、前記挿入器ツールの柔軟な部材を前記外側シャフト及び前記アンカーに対して移動させ、前記密閉通路が開くように屈曲させる、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記挿入器ツールの打撃キャップを打撃することにより、前記外側シャフトの軸方向かつ遠位への前記移動が引き起こされ、
前記打撃キャップを前記打撃することにより、前記後退機構の係止部を、前記後退機構が作動されることを前記係止部が防止する係止位置から、前記後退機構が作動されることを前記係止部が可能にする係止解除位置に移動させる、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記挿入器ツールのハンドルの保持機構は、前記後退機構の前記作動中に、前記外側シャフトを前記ハンドルに対して定位置に保持する、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記挿入器ツールは、前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨穴内に位置付けられた状態で患者の身体の外側に位置付けられるハンドルを備え、
前記外側シャフトは、前記ハンドルから遠位に延在し、
前記内側シャフトは、前記ハンドルから遠位に延在し、
前記後退機構は、前記内側シャフトの前記遠位端が前記骨穴内に位置付けられた状態で、前記患者の前記身体の外側に位置付けられる、実施態様13に記載の方法。
【0124】
(21) 外科的方法であって、
挿入器ツールの内側シャフトの遠位端を位置付け、前記挿入器ツールの柔軟な部材を骨穴内に位置付けることと、
前記挿入器ツールの外側シャフトを前記内側シャフトに対して軸方向かつ遠位に移動させ、それによって、アンカーを軸方向かつ遠位に移動させ、それによって、前記アンカーが前記アンカーの外面と前記骨穴の壁との間で前記縫合糸を捕捉するように前記骨穴内に位置付けることと、
前記外側シャフトを軸方向かつ遠位に前記移動させた後に、前記挿入器ツールの後退機構を作動させ、それによって、前記内側シャフト及び前記柔軟な部材が前記骨穴から除去され、前記アンカー及び前記縫合糸が前記骨穴内に留まるように、前記内側シャフト及び前記柔軟な部材を前記外側シャフト及び前記アンカーに対して軸方向かつ近位に移動させることであって、前記柔軟な部材は、前記柔軟な部材の前記軸方向かつ近位への移動の間に広がる、ことと、
を含む、方法。
(22) 前記後退機構は、レバーとして、ラックアンドピニオン機構として、又は親ねじ機構として構成されている、実施態様21に記載の方法。
【国際調査報告】