(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】案内装置、対象物を移動させる搬器、搬器の使用、およびエレベータのガイドレールを構築する方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B66B7/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539842
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2022050080
(87)【国際公開番号】W WO2023131397
(87)【国際公開日】2023-07-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591159044
【氏名又は名称】コネ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルック ハイバラ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ハーグ
(72)【発明者】
【氏名】ハルリ マキネン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス ヨケラ
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305AA22
3F305DA07
3F305DA21
(57)【要約】
搬器(1)をエレベータのガイドレール(11)に沿って案内する案内装置は、フレーム(3)と、フレーム(3)に連結されガイドレール(11)の対向する支持面(12a、12b)上を転動するように構成され、旋回軸(5)を中心に制限された角度だけ旋回できるように構成された案内輪対(4)と、案内輪対の下方および上方においてフレーム(3)に連結され、ガイドレール(11)の案内面(12c)と協働して案内装置のガイドレール(11)方向への動きを制限するように構成された第1および第2の制限要素(6、7)とを備える。案内装置は、案内輪(4a、4b)を介して、ガイドレール(11)の支持面(12a、12b)に力を加えるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の搬器(1)をエレベータの垂直ガイドレール(11)に沿って案内する案内装置であって、前記搬器(1)は少なくとも1つの巻上部材(20)によって移動可能に構成され、前記ガイドレール(11)は、垂直方向に延在している第1の支持面(12a)と、第1の支持面(12a)に平行して反対方向に面する第2の支持面(12b)とを含み、前記垂直方向を第1の方向(A)と定義し、第1および第2の支持面(12a、12b)に垂直な水平方向を第2の方向(B)と定義し、第1の方向(A)および第2の方向(B)に垂直な方向を第3の方向(C)と定義し、該案内装置は、
- フレーム(3)と、
- 該フレーム(3)に連結され、前記ガイドレール(11)の第1の支持面(12a)上を転動するように構成された第1の案内輪(4a)と、第1の案内輪(4b)とは反対側にあり前記ガイドレール(11)の第2の支持面(12b)上を転動するように構成された第2の案内輪(4b)とを含む第1の案内輪対であって、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4a)はそれぞれ、第2の方向(B)に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方向(C)の前記案内輪(4a、4b)の仮想中心面(D)から離れた位置に配置される旋回軸(5)を中心として旋回できるように構成され、前記案内輪(4a、4b)の前記仮想中心面(D)が第1の方向(A)と平行である方向から、前記旋回軸(5)を中心に各方向に制限された角度だけ、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4b)を回動可能にするように該案内装置を構成している第1の案内輪対(4)と、
- 前記フレーム(3)に連結され、該案内装置の使用位置で第1の案内輪対(4)の下方に配置される第1の制限要素(6)と、
- 前記フレーム(3)に連結され、該案内装置の使用位置で第1の案内輪対(4)の上方に配置される第2の制限要素(7)とを備え、
第1および第2の制限要素(6、7)はそれぞれ、前記ガイドレール(11)の案内面(12c)と協働して、該案内装置の第3の方向(C)における前記ガイドレール(11)方向への動きを制限するように構成され、
該案内装置は、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4b)を介して、第2の方向(B)に働く力を第1および第2の支持面(12a、12b)に加えるように構成されている案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の案内装置において、該案内装置は、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4b)を、前記旋回軸(5)を中心にして各方向に最大で5度、好ましくは最大で2度の回動を可能にするように構成されている案内装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の案内装置において、該案内装置は、前記フレーム(3)に連結され、前記ガイドレール(11)の第1の支持面(12a)上を転動するように構成された第3の案内輪(14a)と、第3の案内輪(5a)とは反対側にあり前記ガイドレール(11)の第2の支持面(12b)上を転動するように構成された第4の案内輪とを含む第2の案内輪対(14)を備え、第3の案内輪(14a)および第4の案内輪はそれぞれ、第2の方向(B)に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方向(C)の前記案内輪(14a)の仮想中心面(E)から離れた位置に配される旋回軸(15)を中心として旋回できるように構成され、該案内装置は、前記案内輪(14a)の前記仮想中心面(E)が第1の方向(A)と平行である方向から、前記旋回軸(15)を中心に各方向に制限された角度だけ、第3の案内輪(14a)および第4の案内輪の回動を可能にするように構成され、該案内装置は、第3の案内輪(14a)および第4の案内輪を介して、第2の方向(B)に働く力を第1および第2の支持面(12a、12b)に加えるように構成されている案内装置。
【請求項4】
可動の搬器(1)をエレベータの垂直ガイドレール(11)に沿って案内する案内装置であって、前記搬器(1)は少なくとも1つの巻上部材(20)によって移動可能に構成され、前記ガイドレール(11)は、垂直方向に延在している第1の支持面(12a)と、第1の支持面(12a)に平行して反対方向に面する第2の支持面(12b)とを含み、前記垂直方向を第1の方向(A)と定義し、第1および第2の支持面(12a、12b)に垂直な水平方向を第2の方向(B)と定義し、第1の方向(A)および第2の方向(B)に垂直な方向を第3の方向(C)と定義し、該案内装置は、
- フレーム(3)と、
- 該フレーム(3)に連結され、前記ガイドレール(11)の第1の支持面(12a)上を転動するように構成された第1の案内輪(4a)と、前記ガイドレール(11)の第1の案内輪(4b)とは反対側にあり第2の支持面(12b)上を転動するように構成された第2の案内輪(4b)とを含む第1の案内輪対(4)であって、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4a)はそれぞれ、第2の方向(B)に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方向(C)の前記案内輪(4a、4b)の仮想中心面(D)から離れた位置に配置される旋回軸(5)を中心として旋回できるように構成され、前記案内輪(4a、4b)の前記仮想中心面(D)が第1の方向(A)と平行である方向から、前記旋回軸(5)を中心に各方向に制限された角度だけ、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4b)を回動可能にするように該案内装置を構成している第1の案内輪対(4)と、
- 該フレーム(3)に連結され、前記ガイドレール(11)の第1の支持面(12a)上を転動するように構成された第3の案内輪(14a)と、第3の案内輪(5a)とは反対側にあり前記ガイドレール(11)の第2の支持面(12b)上を転動するように構成された第4の案内輪とを含む第2の案内輪対(14)であって、第3の案内輪(14a)および第4の案内輪はそれぞれ、第2の方向(B)に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方向(C)の前記案内輪(14a)の仮想中心面(E)から離れた位置に配置される旋回軸(15)を中心として旋回できるように構成され、前記案内輪(14a)の前記仮想中心面(E)が第1の方向(A)と平行である方向から、前記旋回軸(15)を中心に各方向に制限された角度だけ、第3の案内輪(14a)および第4の案内輪を回動可能にするように該案内装置を構成している第2の案内輪対(14)と、
- 前記フレーム(3)に連結され、第1の案内輪対(4)と第2の案内輪対(14)の間に配置される第1の制限要素(6)とを備え、
第1の制限要素(6)は、前記ガイドレール(11)の案内面(12c)と協働して、該案内装置の第3の方向(C)における前記ガイドレール(11)方向への動きを制限するように構成され、
該案内装置は、第1の案内輪(4a)および第2の案内輪(4b)を介して、第2の方向(B)に働く力を第1および第2の支持面(12a、12b)に加えるように構成され、
該案内装置は、第3の案内輪(14a)および第4の案内輪を介して、第2の方向(B)に働く力を第1および第2の支持面(12a、12b)に加えるように構成されている案内装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の案内装置において、該案内装置は第3の案内輪(14a)および第4の案内輪を、前記旋回軸(15)を中心にして各方向に最大で5度、好ましくは最大で2度の回動を可能にするように構成されている案内装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の案内装置において、該案内装置はさらに、前記フレーム(3)に連結され該案内装置の使用位置において2対の案内輪(4、14)のうち上側の案内輪対の上方に配置される第2の制限要素(7)を備え、第2の制限要素(7)は、前記ガイドレール(11)の前記案内面(12c)と協働して、該案内装置の第3の方向(C)における該ガイドレール(11)方向への動きを制限するように構成されている案内装置。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかに記載の案内装置において、第2の案内輪対(14)は該案内装置の使用位置において第1の制限要素(6)の下方に配置され、該案内装置はさらに、前記フレーム(3)に連結され該案内装置の使用位置において第2の案内輪対(14)の下方に配置される第3の制限要素(16)を備え、第3の制限要素(16)は、前記ガイドレール(11)の案内面(12c)と協働して、該案内装置の第3の方向(C)における前記ガイドレール(11)方向への動きを制限するように構成されている案内装置。
【請求項8】
請求項7に記載の案内装置において、該案内装置はさらに、第2の案内輪対(14)と第1の制限要素(6)の間に配置される第4の制限要素(17)を備え、第4の制限要素(17)は、前記ガイドレール(11)の案内面(12c)と協働して、該案内装置の第3の方向(C)における前記ガイドレール(11)方向への動きを制限するように構成されている案内装置。
【請求項9】
請求項8に記載の案内装置において、第2の案内輪対(14)、第3の制限要素(16)および第4の制限要素(17)は、第2の車輪アセンブリに配設され、第2の案内輪対(14)の前記旋回軸(15)は共通の旋回軸を構成し、該共通の旋回軸を中心にして第2の車輪アセンブリが旋回可能である案内装置。
【請求項10】
請求項9に記載の案内装置において、第2の車輪アセンブリは、第3の方向において前記旋回軸(15)の、第2の案内輪対(14)とは反対側に配設されるカウンタウェイトを含む案内装置。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の案内装置において、第1の案内輪対(4)、第1の制限要素(6)および第2の制限要素(7)は、第1の車輪アセンブリに配設され、第1の案内輪対(4)の前記旋回軸(5)は共通の旋回軸を構成し、該共通の旋回軸を中心にして第1の車輪アセンブリが旋回可能である案内装置。
【請求項12】
請求項11に記載の案内装置において、第1の車輪アセンブリは、第3の方向(C)において前記旋回軸(5)の、第1の案内輪対(4)とは反対側に配設されるカウンタウェイト(18)を含む案内装置。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の案内装置において、前記制限要素(6、7、16、17)は、第1の支持面(12a)と第2の支持面(12b)を接続している案内面(12c)と協働するように構成されている案内装置。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の案内装置において、該案内装置は、前記案内輪(4a、4b、14a)を介して前記支持面(12a、12b)に働く力を調整する手段を含む案内装置。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の案内装置において、前記制限要素(6、7、16、17)は制限輪を含む案内装置。
【請求項16】
前記請求項のいずれかに記載の案内装置において、前記案内輪(4a、4b、14a)と前記ガイドレール(11)の間の摩擦係数は少なくとも0.15となるように設定されている案内装置。
【請求項17】
エレベータの垂直ガイドレール(11)に沿って対象物を移動させる搬器(1)であって、前記請求項のいずれかに記載の案内装置を含む搬器。
【請求項18】
請求項17に記載の搬器(1)において、該搬器(1)はエレベータのガイドレール(11)を構築するガイドレール要素(11a)を持ち上げるように構成されている搬器。
【請求項19】
請求項17または18に記載の搬器(1)において、前記案内装置は、前記案内輪(4a、4b、14a)を介して力を前記ガイドレール(11)に加えるように構成され、前記力は、該搬器(1)の最大設計負荷が該搬器(1)にかかるときに該搬器(1)に働く重力の0.5~3倍である搬器。
【請求項20】
エレベータシャフト(10)内の対象物を持ち上げる、請求項17ないし19のいずれかに記載の搬器(1)の使用。
【請求項21】
エレベータのガイドレール(11)を構築する方法において、該方法は、
- 少なくとも1つのガイドレール要素(11a)をエレベータシャフト(10)の壁に、該エレベータシャフト(10)の下端において取り付けて、設置済みガイドレール部分を形成する工程(101)と、
- 請求項17ないし19のいずれかに記載の搬器(1)を前記設置済みガイドレール部分上に配設する工程(102)と、
- 前記搬器(1)を使用して、ガイドレール要素(11a)を前記設置済みガイドレール部分の上端まで持ち上げる工程(103)と、
- 該持ち上げたガイドレール要素(11a)を、前記設置済みガイドレール部分の上方にある前記エレベータシャフト(10)の壁に取り付ける工程(104)とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1および4で定義する、可動搬器をエレベータの垂直ガイドレールに沿って案内する案内装置に関する。本発明はさらに、対象物をエレベータの垂直ガイドレールに沿って移動させる搬器に関する。また、本発明は、別の独立請求項で定義する、そのような搬器の使用およびエレベータのガイドレールを構築する方法に関する。
【背景】
【0002】
ほとんどのエレベータには垂直型のガイドレールが設けられ、エレベータカーおよびカウンタウェイトを案内する用途に使用される。多くの場合、エレベータにはエレベータカー用とカウンタウェイト用のガイドレールがそれぞれ設けられる。ガイドレールは、エレベータシャフトの底部から最上部まで垂直方向に延在している。各ガイドレールは、一般的に、複数の垂直型構成部で構成されている。ガイドレールは、設置現場においてこれらの構成部を相互に連結させて組み立てられる。標準的なガイドレールは、T字の断面形状を有する。断面形状の腕部分はガイドレールをエレベータシャフトに取り付けるために用いられ、取付けはガイドレール用ブラケットを用いて行われることが多い。断面形状の軸部分はエレベータカーまたはカウンタウェイトを支持する支持面としての機能を果たす突出部を構成する。一般的に、エレベータカーおよびカウンタウェイトはそれぞれ、1対の対向するガイドレール間に支持される。
【0003】
また、ガイドレールは、エレベータの構築段階時にも利用可能である。例えば、ガイドレールは、エレベータに必要な部材を持ち上げるために使用する可動足場や持上げ装置を案内できる。ガイドレールは、例えば、組立てをエレベータシャフトの底部から開始し、ガイドレールが既に組み立てられた部分を利用して、ガイドレール構成部を持ち上げて組み立てるために使用される持上げ装置を案内することもできる。このような持上げ装置は、1対のガイドレール間で支持可能である。ただし、その場合、両方のガイドレールを同時に組み立てる必要がある。
【0004】
持上げ装置を1本のガイドレールで支持するのは困難である。その理由は、ガイドレールがエレベータシャフトの壁に取り付けられているため、ガイドレールの背面に係合する案内手段を利用できないからである。そのため、案内手段は、T字断面形状のガイドレールの軸部分にしか係合できない。持上げロープおよび重力が持上げ装置に及ぼす力により、持上げ装置がガイドレール上で回動しやすくなり、持上げ装置がレールから外れるおそれがある。
【概要】
【0005】
本発明の目的は、可動の搬器をエレベータの垂直ガイドレールに沿って案内する改良された案内装置を提供することにあり、搬器は、少なくとも1つの巻上部材によって移動可能に構成され、ガイドレールは、垂直方向に延在している第1の支持面と、第1の支持面に平行して反対方向に面する第2の支持面とを含み、垂直方向を第1の方向と定義し、第1および第2の支持面に垂直な水平方向を第2の方向と定義し、第1の方向および第2の方向に垂直な方向を第3の方向と定義する。本発明に係る案内装置の特徴的な構成を、特許請求項1および4に定める。本発明の別の目的は、エレベータのガイドレールを構築する改良された方法を提供することにある。本方法の特徴的な機能を、別の独立請求項に規定する。また、本発明は、対象物をエレベータの垂直ガイドレールに沿って移動させる改良された搬器を提供すること、およびこのような搬器を使用してエレベータシャフト内で対象物を持ち上げることを目的とする。
【0006】
本発明に係る案内装置は、フレームと、フレームに連結され、ガイドレールの第1の支持面上を転動するように構成された第1の案内輪および第1の案内輪とは反対側にありガイドレールの第2の支持面上を転動するように構成された第2の案内輪を含み、第1の案内輪および第2の案内輪はそれぞれ、第2の方向に平行な案内装置の使用位置にあって第3の方向の案内輪の仮想中心面から離れた位置に配置される旋回軸を中心として旋回できるように構成され、案内輪の仮想中心面が第1の方向と平行である方向から、旋回軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第1の案内輪および第2の案内輪を回動可能にするように案内装置を構成している第1の案内輪対と、フレームに連結され案内装置の使用位置で第1の案内輪対の下方に配置される第1の制限要素と、フレームに連結され案内装置の使用位置で第1の案内輪対の上方に配置される第2の制限要素とを備え、第1および第2の制限要素はそれぞれ、ガイドレールの表面と協働して、案内装置の第3の方向におけるガイドレール方向への動きを制限するように構成され、案内装置は、第1の案内輪および第2の案内輪を介して、第2の方向に働く力を第1および第2の支持面に加えるように構成されている。
【0007】
別の構成として、案内装置は、上述のフレームおよび上述の第1の案内輪対に加え、フレームに連結され、ガイドレールの第1の支持面上を転動するように構成された第3の案内輪および第3の案内輪とは反対側にありガイドレールの第2の支持面上を転動するように構成された第4の案内輪を含み、第3の案内輪および第4の案内輪はそれぞれ、第2の方向に平行する案内装置の使用位置にあって第3の方向の案内輪の仮想中心面から離れた位置に配置される旋回軸を中心として旋回できるように構成され、案内輪の仮想中心面が第1の方向と平行である方向から、旋回軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第3の案内輪および第4の案内輪を回動可能にするように案内装置を構成している第2の案内輪対と、フレームに連結され、第1の案内輪対と第2の案内輪対の間に配置される第1の制限要素とを備え、第1の制限要素は、ガイドレールの案内面と協働して、案内装置の第3の方向におけるガイドレール方向への動きを制限するように構成され、案内装置は、第3の案内輪および第4の案内輪を介して、第2の方向に働く力を第1および第2の支持面に加えるように構成されている。
【0008】
したがって、本発明に係る案内装置は、少なくとも第1の案内輪対および少なくとも1つの制限要素を備える。また、案内装置は、少なくとも第2の案内輪対または第2の制限要素を備える。
【0009】
よって、本発明に係る案内装置において、案内装置は、制限された範囲内で回動できる。案内輪はガイドレールの支持面に押し当てられるため、各案内輪とガイドレールの対応する支持面との間に生じる摩擦により、重力に対抗する力または案内装置に働く持上げ力が発生する。案内輪の旋回軸は案内輪の中心面から離れた位置にあり、上述の力によって案内輪が旋回軸を中心に回動する。案内装置が上方に動くと、案内輪の上縁部がガイドレールの方向に、すなわち、典型的な装置ではガイドレールが取り付けられるエレベータシャフトの壁の方向に向く。案内装置が下方に動くと、案内輪の下縁部がガイドレールの方向に回動する。案内装置はガイドレールに向かってどちらの移動方向にも案内されるため、案内装置の脱線を効果的に防止できる。制限要素は、案内装置が所定の制限を超えて第3の方向に動くことを防止する。これにより、案内装置は第3の方向において一定の位置に保たれる。案内輪の回動角度を制限することにより、案内輪を円滑に転動させることができる。
【0010】
案内装置は、エレベータシャフトにおいて1本のガイドレールに対して対象物を持ち上げる搬器の支持を可能にする。これにより、例えば、1つのエレベータシャフトにおいて2台の搬器を互いに独立して使用できる。
【0011】
本発明に係る搬器は、上記のように定義された案内装置を備える。
【0012】
本発明に係る方法は、以下の工程を含む。すなわち、
- エレベータシャフトの下端において、少なくとも1つのガイドレール要素をエレベータシャフトの壁に取り付けて、設置済みガイドレール部分を形成し、
- 上記に定義した搬器を設置済みガイドレール部分上に配設し、
- 搬器を使用して、1つのガイドレール要素を設置済みガイドレール部分の上端まで持ち上げ、
- 持ち上げたガイドレール要素を、設置済みガイドレール部分の上方にあるエレベータシャフトの壁に取り付ける。
【0013】
本発明に係る方法は、すでに設置されたガイドレール部分を利用して、ガイドレール要素を設置済みガイドレール部分の上に設置することを可能にする。2本のガイドレールを、互いに独立して設置できる。
【0014】
本発明の一実施形態によると、案内装置は、フレームに連結され、ガイドレールの第1の支持面上を転動するように構成された第3の案内輪と、第3の案内輪とは反対側にありガイドレールの第2の支持面上を転動するように構成された第4の案内輪とを含む第2の案内輪対を備え、第3の案内輪および第4の案内輪はそれぞれ、第2の方向に平行する案内装置の使用位置にあって第3の方向の案内輪の仮想中心面から離れた位置に配される旋回軸を中心として旋回するように構成され、案内装置は、案内輪の仮想中心面が第1の方向と平行である方向から、旋回軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第3の案内輪および第4の案内輪の回動を可能にするように構成され、第2の案内輪対は案内装置の使用位置において第1の制限要素の下方に位置し、案内装置は、第3の案内輪および第4の案内輪を介して、第2の方向に働く力を第1および第2の支持面に加えるように構成される。第2の案内輪対は、案内装置とガイドレールとの接触を維持する力を増大させる。
【0015】
本発明の一実施形態によると、案内装置は、第1の案内輪および第2の案内輪を、旋回軸を中心にして各方向に最大で5度、好ましくは最大で2度の回動を可能にするように構成されている。
【0016】
本発明の一実施形態によると、案内装置は第3の案内輪および第4の案内輪を、旋回軸を中心にして各方向に最大で5度、好ましくは最大で2度の回動を可能にするように構成されている。
【0017】
案内輪の回動を5度または2度に制限することにより、案内輪は支持面上で円滑に転動する。回動をさらに小さい角度、例えば第1の方向から±1度に制限することも可能であろう。
【0018】
本発明の一実施形態によると、案内装置はさらに、フレームに連結され案内装置の使用位置において2対の案内輪のうち上側の対の上方に配置される第2の制限要素を備え、第2の制限要素は、ガイドレールの案内面と協働して、案内装置の第3の方向におけるガイドレール方向への動きを制限するように構成されている。
【0019】
本発明の一実施形態によると、案内装置は、フレームに連結され案内装置の使用位置において第2の案内輪の下方に配置される第3の制限要素を備え、第3の制限要素は、ガイドレールの案内面と協働して、案内装置の第3の方向におけるガイドレール方向への動きを制限するように構成されている。
【0020】
2対の案内輪を有する本発明は、本案内輪対間において単一の制限要素と協動するが、案内輪の下方および/または上方に配設された制限要素により案内装置の機能が向上する。
【0021】
本発明の一実施形態によると、本装置はさらに、第2の案内輪対と第1の制限要素の間に配置される第4の制限要素を備え、第4の制限要素は、ガイドレールの案内面と協働して、案内装置の第3の方向におけるガイドレール方向への動きを制限するように構成されている。
【0022】
本発明の一実施形態によると、第1の案内輪対、第1の制限要素および第2の制限要素は、第1の車輪アセンブリに配設され、第1の案内輪対の旋回軸は共通の旋回軸を構成し、共通旋回軸を中心にして第1の車輪アセンブリが旋回可能である。案内輪および制限要素を同一の車輪アセンブリに配設することにより、各構成要素を互いに対して正確に配置できる。案内装置の他の部分に適用できる公差はそれほど厳密でなくてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によると、第1の車輪アセンブリは、第3の方向において旋回軸の、第1の案内輪対とは反対側に配設されるカウンタウェイトを含む。カウンタウェイトは、案内装置の移動方向が上方移動から下方移動に変わったときには、第1の車輪アセンブリの回動を促す。
【0024】
本発明の一実施形態によると、第2の案内輪対、第3の制限要素および第4の制限要素は、第2の車輪アセンブリに配設され、第2の案内輪対の旋回軸は共通の旋回軸を構成し、共通の旋回軸を中心にして第2の車輪アセンブリが旋回可能である。第2の車輪アセンブリは、第1の車輪アセンブリと同様の利点をもたらす。
【0025】
本発明の一実施形態によると、第2の車輪アセンブリは、第3の方向において旋回軸の、第2の案内輪対とは反対側に配設されるカウンタウェイトを含む。カウンタウェイトは、第1の車輪アセンブリと同様に第2の車輪アセンブリの回動を促す。
【0026】
本発明の一実施形態によると、制限要素は、第1の支持面を第2の支持面に接続している案内面と協働するように構成されている。よって、制限要素は、ガイドレールのT字断面形状の軸部の先端面上を転動または摺動できる。
【0027】
本発明の一実施形態によると、案内装置は、案内輪を介して支持面に働く力を調整する手段を含む。支持面に働く力が大きいほど、案内装置と支持面との接触をより良好に維持できる。その一方で、案内輪の転がり抵抗が大きくなる。力の調整手段を用いることにより、力を最適化できる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、制限要素は制限輪を含む。制限輪は、制限要素がもたらす移動抵抗を最小限に抑える。
【0029】
本発明の一実施形態によると、案内輪とガイドレールの間の摩擦係数は、少なくとも0.15となるように設定されている。十分な摩擦係数にすることで、案内装置とガイドレールの接触を効果的に維持できる。
【0030】
本発明の一実施形態によると、エレベータの垂直ガイドレールに沿って対象物を移動させる搬器は、エレベータのガイドレールを構築するガイドレール要素を持ち上げるように構成されている。
【0031】
本発明の一実施形態によると、案内装置は、案内輪を介してガイドレールに力を加えるように構成され、その力は、搬器の最大設計負荷が搬器にかかるときに搬器に働く重力の0.5~3倍である。これにより、案内装置とガイドレールとの接触を維持し、搬器の移動方向が変化したときに案内輪を旋回させる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態についてより詳細に述べる。
【
図1】本発明の実施形態によるエレベータシャフトおよび搬器を概略的に示す。
【
図2】本発明の実施形態による搬器の側面図を示す。
【
図4】
図2における搬器が上方に動く様子を表す部分図を示す。
【
図5】
図2における搬器が下方に動く様子を表す部分図を示す。
【
図6】本発明の実施形態による車輪アセンブリを示す。
【
図7】本発明の別の実施形態による車輪アセンブリを示す。
【
図8】本発明の実施形態による案内装置の断面図を示す。
【
図10】本発明の実施形態による搬器の細部を示す。
【
図11】本発明の別の実施形態による搬器の細部を示す。
【発明の実施形態の詳細な説明】
【0033】
図1は、エレベータシャフト10を概略的に示す。エレベータシャフト10には、エレベータのエレベータカーおよび/またはカウンタウェイトを案内するガイドレール11が設けられる。ガイドレール11は、エレベータシャフト10内を垂直方向に延伸している。各ガイドレール11は、エレベータシャフト10の底部から頂部まで延在している。各ガイドレール11は、エレベータシャフト10の壁に取り付けられる。ガイドレール11は壁に直接取り付け可能であるが、
図1ではガイドレール11はブラケットを介してエレベータシャフト10の壁に取り付けられている。
図1は、2本のガイドレール11を示す。各ガイドレール11は、複数のガイドレール要素11aで形成される。一方のガイドレール11は完全に設置された状態であり、他方のガイドレール11は構築中である。
【0034】
図1は、2台の搬器1を示す。各搬器1は、一方のガイドレール11に配設されている。搬器1は、ガイドレール11に沿って垂直方向に移動可能に構成されている。各搬器1は、少なくとも1つの巻上部材20によって持ち上げられるように構成されている。巻上部材20は、例えば、スチールワイヤなどのワイヤ、歯付きベルトもしくは平ベルトなどのベルト、または被覆ロープでよい。各巻上部材20は、モータ21によって作動される。モータ21は、好適には電気モータである。モータ21は、少なくとも搬器1を持ち上げることを目的として作動させることができる。搬器1は、モータ21、巻上部材20および/または搬器1に対して働くいずれかのブレーキが解放されると、重力によって下方に移動するように構成してもよい。しかしながら、モータ21を作動させて搬器1を下降させることもできる。
【0035】
【0036】
ガイドレール11は、垂直方向に延在している第1の支持面12aを有している。ガイドレール11はさらに、第2の支持面12bを有している。第2の支持面12bは、第1の支持面12aに平行し、反対方向を向いている。以下、垂直方向を第1の方向Aとも呼ぶ。図に示す例では、ガイドレール11はT字状の断面を有する。よって、ガイドレール11は、軸部および2本の腕部13を有する。第1および第2の支持面12a、12bは、軸部の両面に配設される。第1および第2の支持面12a、12bを接続する面12cは、案内装置の案内面を形成する。ガイドレール11は、断面形状の腕部13を介してエレベータシャフトの壁に取り付けられる。ガイドレール11は、T字の断面形状でなくてもよい。第1および第2の支持面12a、12bは、例えば、I字または矩形の断面形状の両面とすることもできる。
【0037】
以下、第1および第2の支持面12a、12bに直交する水平方向を第2の方向Bと呼ぶ。以下、垂直方向および第2の方向Bの両方に対し直交する水平方向を、第3の方向Cと呼ぶ。
【0038】
本発明に係る案内装置は、フレーム3を備える。フレーム3は、例えば、鋼板および鋼製形材で形成してもよい。このため、フレーム3は複数の部品を備え、複数の部品は、例えば溶接により、および/またはねじや、ボルトとナットなどの用途に適した固定部材を用いて、相互に取り付けられてもよい。
【0039】
案内装置はさらに、第1の案内輪対4を備える。第1の案内輪対は、第1の案内輪4aおよび第2の案内輪4bを備える。第1の案内輪4aはガイドレール11の第1の支持面12a上を転動するように構成され、第2の案内輪4bは第1の案内輪4aとは反対側にある、ガイドレール11の第2の支持面12b上を転動するように構成されている。よって、T字状のガイドレール11の場合、案内輪4a、4bはガイドレールの断面形状の軸部のそれぞれ反対側に配設される。
【0040】
第1の案内輪4aおよび第2の案内輪4bは、旋回軸5を中心に旋回可能である。案内装置の使用位置において、旋回軸5は第2の方向Bと平行である。旋回軸5は、第3の方向Cの、案内輪4a、4bの仮想中心面Dから離れた位置に配される。中心面Dとは、案内輪4a、4bの回転軸の方向にある外周の中間において、案内輪4a、4bの外周を横断する面を指す。
【0041】
案内装置はさらに、フレーム3に連結され、案内装置の使用位置において第1の案内輪対4の下方に配置される第1の制限要素6、およびフレーム3に連結され、案内装置の使用位置において第1の案内輪対4の上方に配置される第2の制限要素7を備える。第1および第2の制限要素6、7はそれぞれガイドレール11の案内面12cと協働して、第3の方向Cにおける、案内装置のガイドレール11方向への動きを制限するように構成されている。図に示す例では、案内面12cは第1支持面12aと第2の支持面12bとを接続する面である。しかしながら、案内面は別の面であってもよいであろう。
【0042】
案内装置は、第2の方向Bに働く力を、第1の案内輪4aおよび第2の案内輪4bを介して第1および第2の支持面12a、12bに加えるように構成されている。これにより、案内輪4a、4bは、ガイドレール11の支持面12a、12bに押し当てられる。
【0043】
案内輪4a、4bは、ガイドレール11に沿って垂直方向に回動可能である。これにより、案内輪4a、4bは、搬器1の上下動を可能にする。搬器1を第3の方向に動かす場合、案内輪4a、4bを接触面12a、12bに対して押圧することで生じる摩擦力を克服しなければならない。これにより、案内輪4a、4bは、搬器1とガイドレール11の接触を維持する。
【0044】
搬器1を巻上部材20によって持ち上げる際、案内輪4a、4bの転がり抵抗により動きが妨げられる。これにより、旋回軸5を中心に案内輪4a、4bを回動させる力が生じる。その結果、案内輪4a、4bが回動し、その上縁部はガイドレール11の方向に、すなわち、ガイドレール11の断面形状の腕部13の方向に向く。搬器1が上方に移動するのに伴い、案内輪4a、4bは搬器1をガイドレール11に向かわせる。しかしながら、ガイドレール11の案内面12cと協働する第2の制限要素7により、搬器1のガイドレール11方向への動きが制限される。これにより、第3の方向Cにおける搬器1の位置が一定に保たれる。
【0045】
搬器1を下降させる際、案内輪4a、4bの転がり抵抗により動きが妨げられる。これにより、旋回軸5を中心に案内輪4a、4bを回動させる力が生じる。その結果、案内輪4a、4bが回動し、その下縁部がガイドレール11の方向に向く。搬器1が下方に移動するのに伴い、案内輪4a、4bは搬器1をガイドレール11に向かわせる。しかしながら、ガイドレール11の案内面12cと協働する第1の制限要素6により、搬器1のガイドレール11方向への動きが制限される。これにより、第3の方向Cにおける搬器1の位置が一定に保たれる。
【0046】
旋回軸5を中心とした案内輪4a、4bの回動は、所定の角度に制限される。例えば、案内装置は、第1の案内輪4aおよび第2の案内輪4bを、案内輪4a、4bの仮想中心面Dが第1の方向Aに平行となる方向から、旋回軸5を中心として各方向に対し最大5度で回動可能にするように構成してもよい。
【0047】
案内輪4a、4bの回動を制限することで、案内輪4a、4bの転動を円滑にする。回動角度は、各方向に対し最大2度、または各方向に対し最大1度に制限してもよいであろう。
【0048】
図が示す実施形態では、案内装置はさらに、第2の案内輪対14を備える。第2の案内輪は、第3の案内輪14aおよび第4の案内輪(図示せず)を備える。第3の案内輪14aは、ガイドレール11の支持面12a上を転動するように構成され、第4の案内輪は、第3の案内輪14aとは反対の、ガイドレール11の支持面12b上を転動するように構成されている。したがって、第3および第4の案内輪は、ガイドレールの断面形状の軸部のそれぞれ反対側に配設される。
【0049】
第3の案内輪14aおよび第4の案内輪は、旋回軸15を中心に旋回可能である。案内装置の使用位置において、旋回軸15は第2の方向Bと平行である。旋回軸15は、第3の方向Cの第3および第4の案内輪の仮想中心面Eから離れた位置に配される。
【0050】
案内装置は、第2の方向Bに働く力を、第3の案内輪14aおよび第4の案内輪を介して、第1および第2の支持面12a、12bに加える。これにより、案内輪はガイドレール11の支持面12a、12bに押し当てられる。
【0051】
第2の案内輪対14は、案内装置の使用位置において、第1の案内輪対4の下方に配置される。
【0052】
第2の案内輪対14は、第1の案内輪対4と同一の手法で機能を果たす。搬器1が上方に移動すると、第3および第4の案内輪の上端がガイドレール11の方向を向き、搬器1が下方に移動すると、各案内輪の下端がガイドレール11の方向を向く。
【0053】
第2の案内輪対14の回動角度は、第1の案内輪対4の回動角度と同じように制限される。
【0054】
2対の案内輪を用いて、搬器1とガイドレール11の接触を維持する力を高めてもよい。ただし、第2の案内輪対は必須ではなく、1対の案内輪だけでも十分である。
【0055】
案内装置に第1および第2の案内輪対と同様の手法で機能を果たす第3の案内輪対を設けてもよい。案内装置は、さらに多くの対の案内輪を備えていてもよい。
【0056】
図に示す実施形態では、案内装置はさらに、フレーム3に連結され、案内装置の使用位置において第2の案内輪対14の下方に配置される第3の制限要素16、およびフレーム3に連結され、案内装置の使用位置において第1の制限要素6と第2の案内輪対14との間に配置される第4の制限要素17を備える。第3および第4の制限要素16、17はそれぞれガイドレール11の案内面12cと協働して、案内装置の第3の方向Cにおけるガイドレール11方向への動きを制限するように構成されている。第4の制限要素17は必須ではなく、案内装置は3つの制限要素のみを備えていてもよいであろう。
【0057】
第2の案内輪対14は、第1の案内輪対4と第1の制限要素6との間に配設することも可能であり、この場合、第3の制限要素も不要であろう。したがって、案内装置は、2対の案内輪、および案内輪の下方および上方に制限要素を備えていてもよいであろう。2対の案内輪を有する構成は、2対の案内輪4、14の間に配設された単一の制限要素だけでも機能を果たせるであろう。
【0058】
図に示す実施形態では、制限要素6、7、16、17は制限輪を備える。制限輪は、ガイドレール11の第1の支持面12aと第2の支持面12bを接続している案内面12cに沿って転動するように構成されている。これらの車輪を使用して、制限要素と案内面12cとの間の摩擦を低減させる。ただし、制限要素は摺動要素であってもよい。また、制限要素は、単一の摺動面に組み込むことも可能であろう。摺動面は、第1および第2の案内輪対の間に配設することも可能であり、あるいは第1の案内輪対4の上方から第2の案内輪対14の下方まで延伸させることも可能であろう。2対の案内輪間に設けられる制限要素を長くすることは、とくに1つの制限要素を1つのみ有する案内装置に適しているであろう。
【0059】
また、制限要素6、7、16、17は、ガイドレール11の第1の支持面12aと第2の支持面12bを接続している面12cとは別の面と協働するように構成してもよいであろう。例えば、制限要素は、ガイドレール11のT字断面形状の腕部13と協働することも可能であろう。図に示す例では、ガイドレール11をエレベータシャフト10の壁に取り付けるボルトが腕部13から突き出しているために実用的ではないものの、腕部の表面の少なくとも一部分を使用しないままにしておく別のタイプの取付手段を使用することも可能であろう。
【0060】
図に示す実施形態では、第1の案内輪対4は第1の車輪アセンブリに配設される。2つの取り得る構成を
図6および
図7に示す。第1の車輪アセンブリは第1の案内輪4a、第2の案内輪4b、第1の制限要素6、および第2の制限要素7を備える。第1の案内輪対4の旋回軸5は、第1の車輪アセンブリの共通旋回軸を構成する。これにより、案内輪4a、4bが旋回軸5を中心に旋回すると、第1の制限要素6および第2の制限要素7もまた旋回軸5を中心に回動する。
【0061】
図に示す実施形態では、第2の案内輪対14は第2の車輪アセンブリに配設される。第2の車輪アセンブリは、第3の案内輪14a、第4の案内輪、第3の制限要素16、および第4の制限要素17を備える。第2の案内輪対14の旋回軸15は、第2の車輪アセンブリの共通旋回軸を構成する。これにより、第3および第4の案内輪が旋回軸15を中心に旋回すると、第3の制限要素16および第4の制限要素17もまた旋回軸15を中心に回動する。
【0062】
案内輪および制限要素を共通の車輪アセンブリに配設することにより、案内輪および制限要素を互いに対し十分な精度で配置できるようにしやすい。また、案内装置のフレーム3を製造するにあたって、それほど厳しくない公差を用いることも可能になる。しかしながら、制限要素6、7、16、17は旋回軸5、15を中心に旋回するように配設しなくてもよい。制限要素をフレーム3に堅く取り付けてもよいであろう。
【0063】
図7に示す実施形態では、第1の車輪アセンブリはカウンタウェイト18を備える。カウンタウェイト18は、第1の案内輪4aおよび第2の案内輪4bに対して、第2の方向Bにおける旋回軸5の反対側に配設される。第2の車輪アセンブリは、同様の方法で配設されるカウンタウェイトを備えていてもよい。カウンタウェイト18は、車輪アセンブリの平衡を保ち、搬器1が下方に動きだした時に、車輪アセンブリの回動を円滑にする。
【0064】
搬器1がガイドレール11に配設される場合、案内面12cと各車輪アセンブリの少なくとも1つの制限要素との間に隙間が空くように案内装置を配置する。これにより、車輪アセンブリの旋回が可能になる。
【0065】
本発明の一実施形態によると、案内装置は、案内輪4a、4b、14aを介して支持面12a、12bに働く力を調整する手段を備える。搬器1の脱線を防ぐには十分な力が必要である。その一方で、力が大きいほど搬器1は垂直方向の動きに抵抗するため、搬器1の持上げに要する力が大きくなる。案内装置は、案内輪4a、4b、14aを介してガイドレール11に力がかかるように構成してもよく、その力は、搬器1の最大設計負荷が搬器1にかかる際の搬器1に働く重力の0.5~3倍である。
図8は一実施形態を示し、ここでは、案内輪4a、4b、14aを介してガイドレールに働く力を調整するボルト22、23が案内装置に設けられている。ボルト22、23を締めて、それぞれの案内輪をそれぞれの支持面12a、12bに向けて動かすことで、ガイドレール11に働く力を増大させる。
【0066】
案内輪を介してガイドレール11に作用させる必要のある力は、案内輪4a、4b、14aとガイドレール11との間の摩擦係数によって決まる。摩擦係数は、好適には少なくとも0.15、より好適には少なくとも0.25となるように設定される。摩擦は、案内輪の素材または被膜の選択の影響を受ける。案内輪は、例えばポリウレタンから作成してもよい。鋼とポリウレタンの間の摩擦係数は、約0.30となるであろう。案内輪は別の素材で作成し、被覆して適切な特性を得てもよいであろう。
【0067】
図4は、搬器1が上方に動いている状態を示す。案内輪4a、4b、14aの上縁部は、ガイドレール11の方向を向いている。第2の制限要素7および第4の制限要素17は、案内面12cに接触している。第1の制限要素6および第3の制限要素16は、案内面12cから離れている。搬器1が上方に動くと、案内輪4a、4b、14aは搬器1をガイドレール11の方向に向かわせる。第2および第4の制限要素7、17は、搬器1が第3の方向Cに動くことを制限する。また、制限要素7、17は、案内輪4a、4b、14aの回動も制限する。案内輪の中心面D、Eと垂直方向Aの間の角度は、例えば、1.0度未満でよい。案内輪4a、14aの許容回動角度は、搬器1のガイドレール11上における初期位置で決まる。
【0068】
搬器1の移動方向が変わると、案内輪4a、4b、14aの転がり抵抗により動きが妨げられる。これにより、案内輪4a、4b、14aをそれぞれの旋回軸5、15を中心に回転させる力が生じる。その結果、案内輪4a、4b、14aが回動し、その下縁部がガイドレール11の方向を向く。第1および第3の制限要素6、16がガイドレール11の案内面12cと接触する。第2および第4の制限要素7、17は、案内面12cから離れる。
【0069】
図10および
図11は、案内輪の回動角度を制限する2つの異なる構成を示す。
図10および
図11の実施形態では、第1の車輪アセンブリは本体24を備える。
図10に示す実施形態では、案内装置のフレーム3は溝部25を備える。溝部25は、車輪アセンブリの本体24の動きを制限するように構成され、これにより、車輪アセンブリの旋回点5を中心とする回動角度が制限される。
図11に示す実施形態では、案内装置に制限手段26、27が設けられ、制限手段26、27は、旋回点5を中心とする車輪アセンブリの回動角度を制限するように構成されている。制限手段26、27は調整可能であり、これにより最大回動角度の調整が可能になる。
【0070】
第2の車輪アセンブリの回動角度の制限は、第1の車輪アセンブリの回動角度の場合と同様の方法で行ってもよい。案内輪が制限要素を有する車輪アセンブリに配設されない場合においても、案内輪の回動を同様の手法で制限できる。
【0071】
本発明に係る案内装置は、対象物をエレベータシャフト10においてエレベータの垂直ガイドレール11に沿って移動させるために使用される任意の搬器1に使用してもよい。
【0072】
図に示す実施形態において、搬器1は、エレベータのガイドレール11を構築するためにガイドレール要素11aを持ち上げるように構成されている。
【0073】
図9は、本発明に係るエレベータのガイドレール11を構築する方法をフローチャートで示す。
【0074】
本方法の第1の工程101では、少なくとも1つのガイドレール要素11aを、エレベータシャフト10の下端においてエレベータシャフト10の壁に取り付けて、設置済みガイドレール部分を形成する。
【0075】
本方法の第2の工程102では、本発明に係る搬器1を設置済みガイドレール部分に配設する。
【0076】
本方法の第3の工程103では、搬器1を使用してガイドレール要素11aを設置済みガイドレール部分の上端まで持ち上げる。
【0077】
本方法の第4の工程104では、持ち上げたガイドレール要素11aを、設置済みガイドレール部分の上方にあるエレベータシャフト10の壁に取り付ける。
【0078】
本発明に係る方法により、複数のガイドレール11を互いに独立して構築できる。そのため、エレベータカーまたはカウンタウェイトの2本のガイドレール11を同時に構築する必要がない。このように、別のガイドレール11の構築中に、すでに構築されたガイドレール11を利用して、本発明に係る搬器を使用して対象物を持ち上げることができる。本発明に係る方法は、完全に、または部分的に自動化されたものであってもよい。
【0079】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内において変更してもよいことは、当業者であれば理解の及ぶところであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の搬
器をエレベータの垂直ガイドレー
ルに沿って案内する案内装置であって、前記搬
器は少なくとも1つの巻上部
材によって移動可能に構成され、前記ガイドレー
ルは、垂直方向に延在している第1の支持
面と、第1の支持
面に平行して反対方向に面する第2の支持
面とを含み、前記垂直方向を第1の方
向と定義し、第1および第2の支持
面に垂直な水平方向を第2の方
向と定義し、第1の方
向および第2の方
向に垂直な方向を第3の方
向と定義し、該案内装置は、
- フレー
ムと、
- 該フレー
ムに連結され、前記ガイドレー
ルの第1の支持
面上を転動するように構成された第1の案内
輪と、第1の案内
輪とは反対側にあり前記ガイドレー
ルの第2の支持
面上を転動するように構成された第2の案内
輪とを含む第1の案内輪対であって、第1の案内
輪および第2の案内
輪はそれぞれ、第2の方
向に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方
向の前記案内
輪の仮想中心
面から離れた位置に配置される旋回
軸を中心として旋回できるように構成され、前記案内
輪の前記仮想中心
面が第1の方
向と平行である方向から、前記旋回
軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第1の案内
輪および第2の案内
輪を回動可能にするように該案内装置を構成している第1の案内輪
対と、
- 前記フレー
ムに連結され、該案内装置の使用位置で第1の案内輪
対の下方に配置される第1の制限要
素と、
- 前記フレー
ムに連結され、該案内装置の使用位置で第1の案内輪
対の上方に配置される第2の制限要
素とを備え、
第1および第2の制限要
素はそれぞれ、前記ガイドレー
ルの案内
面と協働して、該案内装置の第3の方
向における前記ガイドレー
ル方向への動きを制限するように構成され、
該案内装置は、第1の案内
輪および第2の案内
輪を介して、第2の方
向に働く力を第1および第2の支持
面に加えるように構成されている案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の案内装置において、該案内装置は、第1の案内
輪および第2の案内
輪を、前記旋回
軸を中心にして各方向に最大で5度、好ましくは最大で2度の回動を可能にするように構成されている案内装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の案内装置において、該案内装置は、前記フレー
ムに連結され、前記ガイドレー
ルの第1の支持
面上を転動するように構成された第3の案内
輪と、第3の案内
輪とは反対側にあり前記ガイドレー
ルの第2の支持
面上を転動するように構成された第4の案内輪とを含む第2の案内輪
対を備え、第3の案内
輪および第4の案内輪はそれぞれ、第2の方
向に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方
向の前記案内
輪の仮想中心
面から離れた位置に配される旋回
軸を中心として旋回できるように構成され、該案内装置は、前記案内
輪の前記仮想中心
面が第1の方
向と平行である方向から、前記旋回
軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第3の案内
輪および第4の案内輪の回動を可能にするように構成され、該案内装置は、第3の案内
輪および第4の案内輪を介して、第2の方
向に働く力を第1および第2の支持
面に加えるように構成されている案内装置。
【請求項4】
可動の搬
器をエレベータの垂直ガイドレー
ルに沿って案内する案内装置であって、前記搬
器は少なくとも1つの巻上部
材によって移動可能に構成され、前記ガイドレー
ルは、垂直方向に延在している第1の支持
面と、第1の支持
面に平行して反対方向に面する第2の支持
面とを含み、前記垂直方向を第1の方
向と定義し、第1および第2の支持
面に垂直な水平方向を第2の方
向と定義し、第1の方
向および第2の方
向に垂直な方向を第3の方
向と定義し、該案内装置は、
- フレー
ムと、
- 該フレー
ムに連結され、前記ガイドレー
ルの第1の支持
面上を転動するように構成された第1の案内
輪と、前記ガイドレー
ルの第1の案内
輪とは反対側にあり第2の支持
面上を転動するように構成された第2の案内
輪とを含む第1の案内輪
対であって、第1の案内
輪および第2の案内
輪はそれぞれ、第2の方
向に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方
向の前記案内
輪の仮想中心
面から離れた位置に配置される旋回
軸を中心として旋回できるように構成され、前記案内
輪の前記仮想中心
面が第1の方
向と平行である方向から、前記旋回
軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第1の案内
輪および第2の案内
輪を回動可能にするように該案内装置を構成している第1の案内輪
対と、
- 該フレー
ムに連結され、前記ガイドレー
ルの第1の支持
面上を転動するように構成された第3の案内
輪と、第3の案内
輪とは反対側にあり前記ガイドレー
ルの第2の支持
面上を転動するように構成された第4の案内輪とを含む第2の案内輪
対であって、第3の案内
輪および第4の案内輪はそれぞれ、第2の方
向に平行する該案内装置の使用位置にあって第3の方
向の前記案内
輪の仮想中心
面から離れた位置に配置される旋回
軸を中心として旋回できるように構成され、前記案内
輪の前記仮想中心
面が第1の方
向と平行である方向から、前記旋回
軸を中心に各方向に制限された角度だけ、第3の案内
輪および第4の案内輪を回動可能にするように該案内装置を構成している第2の案内輪
対と、
- 前記フレー
ムに連結され、第1の案内輪
対と第2の案内輪
対の間に配置される第1の制限要
素とを備え、
第1の制限要
素は、前記ガイドレー
ルの案内
面と協働して、該案内装置の第3の方
向における前記ガイドレー
ル方向への動きを制限するように構成され、
該案内装置は、第1の案内
輪および第2の案内
輪を介して、第2の方
向に働く力を第1および第2の支持
面に加えるように構成され、
該案内装置は、第3の案内
輪および第4の案内輪を介して、第2の方
向に働く力を第1および第2の支持
面に加えるように構成されている案内装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の案内装置において、該案内装置は第3の案内
輪および第4の案内輪を、前記旋回
軸を中心にして各方向に最大で5度、好ましくは最大で2度の回動を可能にするように構成されている案内装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の案内装置において、該案内装置はさらに、前記フレー
ムに連結され該案内装置の使用位置において2対の案内
輪のうち上側の案内輪対の上方に配置される第2の制限要
素を備え、第2の制限要
素は、前記ガイドレー
ルの前記案内
面と協働して、該案内装置の第3の方
向における該ガイドレー
ル方向への動きを制限するように構成されている案内装置。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかに記載の案内装置において、第2の案内輪
対は該案内装置の使用位置において第1の制限要
素の下方に配置され、該案内装置はさらに、前記フレー
ムに連結され該案内装置の使用位置において第2の案内輪
対の下方に配置される第3の制限要
素を備え、第3の制限要
素は、前記ガイドレー
ルの案内
面と協働して、該案内装置の第3の方
向における前記ガイドレー
ル方向への動きを制限するように構成されている案内装置。
【請求項8】
請求項7に記載の案内装置において、該案内装置はさらに、第2の案内輪
対と第1の制限要
素の間に配置される第4の制限要
素を備え、第4の制限要
素は、前記ガイドレー
ルの案内
面と協働して、該案内装置の第3の方
向における前記ガイドレー
ル方向への動きを制限するように構成されている案内装置。
【請求項9】
請求項8に記載の案内装置において、第2の案内輪
対、第3の制限要
素および第4の制限要
素は、第2の車輪アセンブリに配設され、第2の案内輪
対の前記旋回
軸は共通の旋回軸を構成し、該共通の旋回軸を中心にして第2の車輪アセンブリが旋回可能である案内装置。
【請求項10】
請求項9に記載の案内装置において、第2の車輪アセンブリは、第3の方向において前記旋回
軸の、第2の案内輪
対とは反対側に配設されるカウンタウェイトを含む案内装置。
【請求項11】
請求項
1ないし10のいずれかに記載の案内装置において、第1の案内輪
対、第1の制限要
素および第2の制限要
素は、第1の車輪アセンブリに配設され、第1の案内輪
対の前記旋回
軸は共通の旋回軸を構成し、該共通の旋回軸を中心にして第1の車輪アセンブリが旋回可能である案内装置。
【請求項12】
請求項11に記載の案内装置において、第1の車輪アセンブリは、第3の方
向において前記旋回
軸の、第1の案内輪
対とは反対側に配設されるカウンタウェイ
トを含む案内装置。
【請求項13】
請求項
1ないし12のいずれかに記載の案内装置において、前記制限要
素は、第1の支持
面と第2の支持
面を接続している案内
面と協働するように構成されている案内装置。
【請求項14】
請求項
1ないし13のいずれかに記載の案内装置において、該案内装置は、前記案内
輪を介して前記支持
面に働く力を調整する手段を含む案内装置。
【請求項15】
請求項
1ないし14のいずれかに記載の案内装置において、前記制限要
素は制限輪を含む案内装置。
【請求項16】
請求項
1ないし15のいずれかに記載の案内装置において、前記案内
輪と前記ガイドレー
ルの間の摩擦係数は少なくとも0.15となるように設定されている案内装置。
【請求項17】
エレベータの垂直ガイドレー
ルに沿って対象物を移動させる搬
器であって
、請求項
1ないし16のいずれかに記載の案内装置を含む搬器。
【請求項18】
請求項17に記載の搬
器において、該搬
器はエレベータのガイドレー
ルを構築するガイドレール要
素を持ち上げるように構成されている搬器。
【請求項19】
請求項17または18に記載の搬
器において、前記案内装置は、前記案内
輪を介して力を前記ガイドレー
ルに加えるように構成され、前記力は、該搬
器の最大設計負荷が該搬
器にかかるときに該搬
器に働く重力の0.5~3倍である搬器。
【請求項20】
エレベータシャフ
ト内の対象物を持ち上げる、請求項17ないし19のいずれかに記載の搬
器の使用。
【請求項21】
エレベータのガイドレー
ルを構築する方法において、該方法は、
- 少なくとも1つのガイドレール要
素をエレベータシャフ
トの壁に、該エレベータシャフ
トの下端において取り付けて、設置済みガイドレール部分を形成する工
程と、
- 請求項17ないし19のいずれかに記載の搬
器を前記設置済みガイドレール部分上に配設する工
程と、
- 前記搬
器を使用して、ガイドレール要
素を前記設置済みガイドレール部分の上端まで持ち上げる工
程と、
- 該持ち上げたガイドレール要
素を、前記設置済みガイドレール部分の上方にある前記エレベータシャフ
トの壁に取り付ける工
程とを含む方法。
【国際調査報告】