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  • 特表-廃棄物処理装置の反応器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置の反応器
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20250109BHJP
   C02F 1/30 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
H05H1/24
C02F1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539892
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2022058935
(87)【国際公開番号】W WO2023126698
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】2021140063
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524246159
【氏名又は名称】メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチ
【氏名又は名称原語表記】MESHCHANINOV, Mikhail Aleksandrovich
【住所又は居所原語表記】ul. Gagarina, d. 38, k. 2, kv. 33 Zhukovskiy, 140184 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】524246160
【氏名又は名称】アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチ
【氏名又は名称原語表記】AGASAROV, Dmitrii Yanovich
【住所又は居所原語表記】Anrapetutyan Street, d.62, apt.95 0010, Yerevan (AM)
(71)【出願人】
【識別番号】524246171
【氏名又は名称】セルゲイブ, アントン ヴィクトロヴィッチ
【氏名又は名称原語表記】SERGEEV, Anton Viktorovich
【住所又は居所原語表記】ul. im. Ivana Kiyashko, d. 18, Krasnodar, 350078 (RU)
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチ
【テーマコード(参考)】
2G084
4D037
【Fターム(参考)】
2G084AA11
2G084AA13
2G084AA18
2G084AA19
2G084AA20
2G084CC08
2G084CC22
2G084CC34
2G084DD12
4D037AA11
4D037AB02
4D037BA16
4D037CA04
(57)【要約】
本発明は固体、液体及び気体廃棄物を処理するための装置に関し、特に、本発明はプラズマ化学破壊により廃棄物を処理する装置に関する。本発明により得られた技術的効果は、住宅の固体及び/又は液体廃棄物の有機及び無機物質を破壊する反応器を実施することである。該技術的効果は、密閉空洞形式で提供される反応器により得られ、該密閉空洞は廃棄物供給装置に接続される送入口と、破壊された気体生成物を送出するための送出口とを有する。空洞の内表面を完全又は部分的に導電させ、さらに電極を反応器中に挿入する。電極は導電表面と離されて、高圧パルス源に接続される。さらに電極と空洞の導電表面との間の間隙寸法により、コロナ放電によってプラズマ流が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞の形式で提供され、前記空洞が廃棄物供給設備に接続される送入口と、破壊された気体生成物を送出するための送出口とを有する、廃棄物処理装置に用いられる反応器であって、前記空洞の内表面が完全又は部分的に導電であり、さらに電極が前記反応器中に挿入され、前記電極が前記導電表面から離されて、高圧パルス源と接続され、さらに前記高圧パルスが前記電極に供給されたとき、前記電極と前記空洞の前記導電表面との間の間隙寸法により、パルスコロナ放電のプラズマ流が形成されることを特徴とする反応器。
【請求項2】
前記電極が円柱形電極であり、鋭利な先端を有することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項3】
前記電極がスチールで製造されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項4】
前記空洞の底部が導電の含水液で覆われることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項5】
前記電極と、前記空洞の少なくとも一部の導電内表面との間の間隙寸法が、5~50mmであることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項6】
前記電極と、前記空洞の部分的な導電内表面を覆う導電含水液の表面との間の間隙寸法が、5~50mmであることを特徴とする、請求項4に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項7】
前記空洞の内表面の導電部分が、スチール又はその他の金属で製造されて接地されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項8】
前記空洞の非導電の内表面が誘電材料で製造された保護コートを有することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項9】
前記円柱形電極に翼部が配置され、前記翼部はスチールベルトの形式で前記電極の短辺を前記電極に取り付けることにより、前記スチールベルトの長辺が前記電極に向き、さらに前記翼部が前記電極に対して前記電極の鋭利な先端に向かって角度を形成するように設置されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項10】
前記スチールベルト及び前記電極軸の夾角が20~60度であることを特徴とする、請求項7に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項11】
前記円柱形電極に3~6個のスチールベルトが設けられることを特徴とする、請求項7又は8に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項12】
前記空洞の底部が平坦で導電であり、さらに前記円柱形電極が前記底部に水平方向の間隙を有するように定位されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項13】
スチール製格子が前記空洞の底部に取り付けられる絶縁スペーサにより前記底部に平行に固定され、前記スチール製格子が前記円柱形電極のための開口を有し、これにより前記円柱形電極の周囲に間隙が形成され、さらに前記翼部の自由端が前記スチール製格子に固定される前記絶縁スペーサに接することを特徴とする、請求項10又は11に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項14】
前記円柱形電極の周囲の間隙寸法が3~10mmであるが、前記電極端及び前記導電底部の間の間隙寸法より小さいことを特徴とする、請求項12に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項15】
前記反応器内部の圧力が大気圧より0.1~1Pa低いことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項16】
前記反応器内部の負圧が、静電フィルタ及び吸引ファンを前記送出口に接続することにより提供されることを特徴とする、請求項14に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項17】
反応器に進入する空気を制限することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【請求項18】
空気の吸入が、前記反応器の入口を密閉する綿状物により制限され、前記綿状物が、前記反応器に供給される前に廃棄物を加圧することにより予め形成されることを特徴とする、請求項16に記載の廃棄物処理装置に用いられる反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体、液体及び気体廃棄物を処理するための装置に関し、特に、本発明はプラズマ化学破壊により廃棄物を処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロシア国特許出願公開第2741004号明細書(2021年1月22日公開)に基づくと、既知の固体有機廃棄物を変換する方法において、固体有機廃棄物の変換は蒸気プラズマガス化で、合成ガスを得ることにより行う。高温プラズマ反応器を使用して該処理を行い、該反応器は水蒸気をプラズマ形成ガスとして使用し、活性領域で約1600~2000℃の温度を提供する。
【0003】
この種の反応器は、固体有機廃棄物の不完全な変換という限界があり、それは変換された結果も変換されるべき合成ガスであるためである。さらに住宅の固体廃棄物の非有機物質を変換することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ロシア国特許出願公開第2741004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの技術的効果は、住宅の固体及び/又は液体廃棄物の有機及び無機物質を破壊する1つの反応器を実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
該技術的効果は、1つの密閉空洞形式の反応器により得られるものである。該密閉空洞は、廃棄物供給装置に接続される送入口と、破壊された気体生成物を送出するための送出口とを有する。空洞の内表面は完全又は部分的に導電であり、さらに電極は反応器中に挿入される。電極は導電表面から離されて、高圧パルス源に接続される。電極と、空洞の導電表面との間の間隙寸法により、コロナ放電のプラズマ流が形成される。
【0007】
好ましくは、電極は円柱形であり、鋭利な先端を有する。
【0008】
好ましくは、電極はスチールで製造される。
【0009】
1つの実施例において、空洞底部は導電含水液で覆われる。
【0010】
好ましくは、電極と、空洞内部の導電表面における少なくとも一部分又は該部分を覆う導電含水液の表面との間の間隙は、5~50mmの範囲内に設定される。
【0011】
好ましくは、該空洞の内表面の導電部分は、スチール又はその他の金属で製造されて接地される。
【0012】
1つの実施例において、空洞内部の非導電表面は、誘電材料で製造された保護コートを有することができる。
【0013】
1つの実施例において、円柱形電極に翼部が配置され、該翼部はスチールベルトの形式であり、その短辺が電極に取り付けられ、スチールベルトの長辺が電極に向くように設置される。さらに翼部は電極に対して電極の鋭利な先端に向かって角度を形成するように設置される。
【0014】
好ましくは、該スチールベルト及び電極軸の夾角は20~60度である。
【0015】
好ましくは、3~6個のスチールベルトを使用する。
【0016】
1つの実施例において、空洞底部は平坦で導電であり、円柱形電極は底部に水平方向に定位され、間隙を有する。
【0017】
1つの実施例において、スチール製格子は底部に取り付けられる絶縁スペーサにより底部に平行に固定される。格子は円柱形電極のための開口を有し、これにより電極の周囲に間隙が形成される。さらに翼部の自由端は格子に固定される絶縁スペーサに接する。
【0018】
好ましくは、円柱形電極の周囲の間隙は3~10mmの範囲内に設定されるが、これは円柱形電極の先端及び導電底部の間の間隙より小さい。
【0019】
好ましくは、反応器内部の圧力は大気圧より0.1~1Pa低い。
【0020】
1つの実施例において、吸引ファンを有する静電フィルタを送出孔に接続することにより、反応器内部を負圧にする。
【0021】
好ましくは、該反応器は空気の進入を制限するように実施される。
【0022】
1つの実施案において、反応器の入口を密閉する綿状物を使用することにより、空気の吸入を制限する。反応器に材料を供給する前に、廃棄物を加圧することにより予め綿状物が形成される。
【0023】
図を使用して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、以下の設計を有する反応器の垂直横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、本体を有する反応器中で実施することができる。反応器本体は設備11に接続される送入口2を有し、設備11は処理される固体及び/又は液体廃棄物を計量、供給するのに用いられる。設備11は、反応器に送られる空気の量を制限するように配置される。反応器本体は、気体の破壊生成物を除去するのに用いられ、さらに吸引ファンを有する静電フィルタに接続される送出口3を有する。空洞の内表面5及び底部10の一部はスチールで製造される。電極6は絶縁スペーサ7を通過して本体1の空洞中に挿入される。電極6は高圧パルス源8に接続される。電極6の先端9は反応器本体1の導電底部10に対して20mmの間隙で定位される。
【0026】
該装置は以下の方式で操作する。高圧パルスは高圧パルス源8から電極6に供給される。参考文献1から既知であるように、各パルスは電極6の先端9部分で大量のプラズマ流を引き起こす。プラズマ流は倍増して本体1の導電底部10に向かって拡散され、次第に電極間の間隙に充填されて、コロナ放電が形成される。この後、例えば、一部のプレスした固体の住宅ゴミを設備11から装置中に輸送する。送入口2を介して処理されるゴミが計量、輸送されるため、送入口2を介して大気の空気が本体1中に吸入されるのを制限している。コロナ放電のプラズマは送入された廃棄物中に含まれる水に作用し、水分子を破壊するHO→OH・+H・とき、ラジカルが生成される。他に、パルスコロナ放電のプラズマ流は、反応器中でその他の活性物質を形成し、すなわち、O、O(a1Δ)、H、OH、O(P)、NO、HNO及びHNOである。コロナ放電は紫外線(UV)放射源でもある。活性物質及びUV放射は、処理される廃棄物中に含まれるいかなる有機及び無機物質にも破壊的に作用し、これにより分解されて無害の気体生成物、すなわち水及び二酸化炭素を形成することを確実に保証する。コロナ放電により、廃棄物の無機物は反応器中で形成される酸HNO及びHNOにより破壊される。有機物質の水中における酸化過程は連鎖反応である(参考文献2)。低速の連鎖反応は大気の酸素及びオゾンにより誘発することができる。高速の連鎖反応はヒドロキシラジカルにより誘発される。言い換えると、装置中で廃棄物中に含まれる有機及び無機物質をプラズマ化学破壊する。破壊された気体生成物は反応器の送出口に流入する。
【0027】
従って、該設備が住宅ゴミ中の有機及び無機物質をプラズマ化学破壊することにより、該技術的効果が得られた。
【0028】
-参考文献-
1.Аристова Н.А., Пискарев И.М., Ивановский А.В., Селемир В.Д., Спиров Г.М., Шлепкин С.И. Инициирование химических реакций под действием электрического разряда в системе твердый диэлектрик - газ - жидкость. // Журнал физической химии. 2004. Т. 78.No. 7. С. 1326-1331. (Aristova N.A.,Piskarev I.M.,Ivanovskiy A.V.,Selemir V.D.,Spirov G.M.,Shlepkin S.I.誘電体-気体-液体の配置において放電で誘発される化学反応//≪ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリ≫、2004年、第78巻、第7号、1326-1331ページ)
2.Пискарев И.М. Окислительно-восстановительные процессы в воде, инициированные электрическим разрядом над ее поверхностью. //Журнал общей химии. 2001. Т. 71. Вып. 10. С. 1622. (Piskarev I.M.水面以上の放電で誘発される水の酸化-還元過程//≪ジャーナル・オブ・ジェネラルケミストリ≫、2001年、第71巻、第10号、1622ページ。)
【符号の説明】
【0029】
1 内部空洞を有する反応器本体
2 送入口
3 送出口
4 反応器空洞の内表面
5 反応器空洞の内表面の導電部分
6 鋭利な電極
7 絶縁スペーサ
8 高圧パルス源
9 電極の先端
10 反応器の導電底部
11 処理される廃棄物を計量、供給する設備
12 吸引ファンを有する静電フィルタ
図1
【国際調査報告】