(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】超清浄ポリプロピレン樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 10/06 20060101AFI20250109BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C08F10/06
C08F4/654
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539903
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2022135817
(87)【国際公開番号】W WO2023124742
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111660076.3
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211069952.X
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512172224
【氏名又は名称】ペトロチャイナ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PETROCHINA COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.9 Dongzhimen North Street, Dongcheng District, Beijing 100007, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、フーシャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、コアンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、イェン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、アンピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シア
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、サイナン
(72)【発明者】
【氏名】ポン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】イェー、ポンポー
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA03P
4J100CA01
4J100CA11
4J100DA41
4J100DA42
4J100FA04
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4J128AC02
4J128AC05
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4J128BB01B
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4J128CB27A
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4J128CB43A
4J128CB45A
4J128DA02
4J128DA08
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4J128ED02
4J128ED08
4J128EF03
4J128EF04
4J128EF05
4J128EF06
4J128FA01
4J128FA04
4J128GA05
4J128GA14
4J128GB01
(57)【要約】
超清浄ポリプロピレン樹脂及びその製造方法であって、前記方法は、プロピレン予備重合、液相塊状重合、気相重合、ポリプロピレン乾燥、精製及び押出造粒を含み、当該方法では、まず、高活性ポリプロピレン触媒に対して段階的な予備重合処理し、次に、プレポリマースラリーを直列に接続された2基の槽型反応器に注入して液相塊状重合を行い、そして1基の流動床反応器に注入して気相重合を行い、炭化水素系及びアルコール系溶剤で製造された配合溶剤でポリプロピレンベースを洗浄し、触媒残留物及びアモルファスポリプロピレンを除去し、低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤を用いて不純物によるポリプロピレン製品の二次汚染を回避し、超浄ポリプロピレンの工業化生産を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン予備重合、液相塊状重合、気相重合、ポリプロピレン乾燥、精製及び押出造粒を含む製造方法であって、
プロピレン予備重合:
予備重合反応器に、主触媒、助触媒及び溶媒を含む触媒スラリーを調製した後、プロピレンを導入して予備重合反応を行い、プレポリマースラリーを得る;
液相塊状重合:
プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品スラリーを得て、前記外部電子供与体は9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンである;
気相重合:
液相塊状重合で得られたポリプロピレン粗製品スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行う;
ポリプロピレン乾燥:
気相流動床反応器の出口材料は、まず気固分離を行い、固相成分を乾燥器に入れて乾燥させ、ポリプロピレン粉体を得る;
精製:
乾燥されたポリプロピレン粉体を複合溶媒でスラリーに調製し、撹拌して精製した後、スラリーを固液分離し、ポリプロピレン湿粉体を得て、乾燥した後、超清浄ポリプロピレン粉体を得る;
押出造粒:
精製された超清浄ポリプロピレン粉体と酸化防止複合助剤を混合した後、押出造粒し、前記超清浄ポリプロピレン樹脂を得る、
ことを特徴とする超清浄ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記予備重合反応は、予備重合温度が-5℃~15℃であり、プロピレン供給速度が10~45kg/hであり、予備重合時間が0.5~3hである第1段階と、予備重合温度が5℃~35℃であり、プロピレン供給速度が15~55kg/hであり、予備重合用プロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまでの第2段階と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記プロピレン予備重合過程では、プロピレンと主触媒との質量比は2.5~10kg/kgであり、助触媒と主触媒との質量比は0.027~0.075kg/kgである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記触媒スラリーにおける溶媒は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンから選ばれる1種又は複数種の組合せである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記主触媒は、MgCl
2担体、TiCl
4活性中心及び内部電子供与体を含むZ-N系触媒であり、前記内部電子供与体は、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類、マロン酸エステル類及びジオールエステル類から選ばれる1種又は複数種の組合せである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記助触媒は、アルキルアルミニウム化合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記液相塊状重合は、以下のステップを含み、
プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリーの流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリーの流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記液相塊状重合過程では、前記主触媒とプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、助触媒とプロピレンとの質量比は0.015~0.0225kg/tであり、外部電子供与体と助触媒との質量比は0~0.015kg/kgであり、0を含まない、ことを特徴とする請求項1又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記気相重合過程では、前記重合の温度は75~85℃であり、重合圧力は1.5~2.0MPaであり、気相流動床反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは2.8~3.2g/10minであり、灰分は30ppm未満であり、アイソタクティシティは98.5%より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ポリプロピレン乾燥過程では、前記固相成分は乾燥器に入り、対流する窒素ガスにより乾燥され、前記乾燥の温度は100~110℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記精製の温度は30~150℃であり、時間は0.1~5hである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
ポリプロピレン粉体の総質量を100%として、前記ポリプロピレン湿粉体における溶媒の割合は15~35%である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記精製過程では、調製されたスラリーにおけるポリプロピレン粉体の質量濃度は10~40%である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記超清浄ポリプロピレン粉体の灰分は10ppm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記複合溶媒は、炭化水素系物質及びアルキルアルコールを含み、前記炭化水素系物質は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン又はデカンから選ばれ、前記アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールから選ばれ、前記炭化水素系物質とアルキルアルコールとの質量比は、(2~6):1である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記押出造粒により得られる超清浄ポリプロピレン樹脂の灰分は20ppm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤を含み、
前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と酸捕捉剤との質量比は(10000~100000):1であり、
前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と主酸化防止剤との質量比は(1000~10000):1であり、
前記補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と補助酸化防止剤との質量比は(100~10000):1である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の製造方法により製造された超清浄ポリプロピレン樹脂。
【請求項19】
プロピレンを原料として重合してポリプロピレン粗製品を得るステップと、
得られたポリプロピレン粗製品を精製して前記ポリプロピレン樹脂を得るステップと、を含む方法であって、
前記精製は、ポリプロピレン粗製品を複合溶媒に加え、30~120℃でポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを十分に接触させてポリプロピレンスラリーを形成した後、ポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得て、ポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む、ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項20】
前記複合溶媒は、炭素数1~10のアルキルアルコールから選ばれる少なくとも1種、及び炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンから選ばれる少なくとも1種の混合溶媒である、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記十分な接触は、攪拌条件下で、ポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを0.1~5h接触させることを含む、請求項19又は20に記載の製造方法。
【請求項22】
ポリプロピレンスラリーにおけるポリプロピレンの質量濃度は10~40%である、請求項19~21のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記精製は、遠心分離によりポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得た後、95~120℃でポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む、請求項19~22のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項24】
前記方法は、得られた前記ポリプロピレン樹脂と酸化防止複合助剤とを混合した後、押出造粒するステップをさらに含む、請求項19~23のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項25】
前記酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤から選ばれる組合せであり、前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記酸化防止複合助剤の総質量を100%として、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤の質量百分率含有量は、それぞれ0.1~1%、65~90%及び9.4~34.4%である、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
得られたポリプロピレン樹脂の質量を100%として、酸化防止複合助剤の質量百分率含有量は0.2%~1%である、請求項24又は25に記載の製造方法。
【請求項27】
プロピレンを原料として重合するステップは、以下のステップを含み、
プロピレン予備重合ステップ:所定量のプロピレンを主触媒及び助触媒の存在下で重合反応させることにより、触媒粒子の表面にポリプロピレン薄層を形成するとともに、プレポリマースラリーを得ることを含み、その中、予備重合ステップのプロピレンと主触媒との質量比が2.5~10kg/kgであり、予備重合ステップの助触媒と主触媒との質量比が0.18~0.5kg/kgである;
重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む、
請求項19~26のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項28】
プロピレン予備重合ステップは、主触媒及び助触媒の存在下で、プロピレンを10~45kg/hで導入し、-5℃~15℃で0.5~3h重合した後、残存のプロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまで、プロピレンを15~55kg/hで導入し、5℃~35℃で重合することを含む、請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
プロピレン予備重合ステップは、主触媒を炭素数4~10の直鎖又は分岐鎖アルカンに加え、前記アルカンの溶液における主触媒の質量濃度が0.1~3%であり、さらにプロピレン及び助触媒を加えて重合反応を行うことを含む、請求項19又は28に記載の製造方法。
【請求項30】
主触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、重合ステップで加えられる助触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.1~0.15kg/tであり、外部電子供与体と重合ステップで加えられる助触媒との質量比は0~0.1kg/kgである、請求項27~29のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項31】
前記重合ステップは、以下のステップを含み、
液相塊状重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで液相塊状重合を行うことを含む;
気相重合ステップ:液相塊状重合で得られたスラリーを温度75℃~85℃、圧力1.5~2.0MPaで気相重合を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む、
請求項27~30のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項32】
前記液相塊状重合ステップは、プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリーの流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリーの流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmであることを含む、請求項31に記載の製造方法。
【請求項33】
プロピレンを原料として重合するステップは、重合反応後に得られた固形分を95℃~115℃で乾燥するステップをさらに含み、これにより、ポリプロピレン粗製品を得る、請求項19~32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項34】
前記主触媒はZ-N系触媒であり、助触媒はアルキルアルミニウム化合物であり、外部電子供与体は、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、p-ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン及びジイソブチルジメトキシシランから選ばれる1種又は複数種の組合せである、請求項19~33のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項35】
前記Z-N系触媒は、MgCl
2を担体とし、TiCl
4を活性中心とし、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類及びマロン酸エステル類から選ばれる1種を内部電子供与体とする触媒のうち1種又は複数種の組合せである、請求項34に記載の製造方法。
【請求項36】
前記アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハロゲン化物との組合せ、又はトリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウム水素化物との組合せから選ばれる1種又は複数種の組合せである、請求項34に記載の製造方法。
【請求項37】
請求項19~36のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたポリプロピレン樹脂。
【請求項38】
前記ポリプロピレン樹脂は、酸化防止複合助剤と混合した後、押出造粒して得られたポリプロピレン樹脂であり、その灰分が30ppm以下である、請求項37に記載のポリプロピレン樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマー樹脂分野に関し、具体的には、本発明は超清浄ポリプロピレン樹脂及びその製造方法に関し、特に、本発明は超浄ポリプロピレン樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンはPPと略称され、無色、無臭、無毒、半透明の固体物質である。ポリプロピレンは、優れた性能を有する熱可塑性合成樹脂であり、無色半透明の熱可塑性軽質汎用プラスチックである。耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性、高強度機械的性能及び良好な耐摩耗加工性能などを有することにより、ポリプロピレンは、登場以来、機械、自動車、電子機器、建築、紡績、包装、農林漁業及び食品工業などの多くの分野で急速に開発・応用されている。近年、包装、電子、自動車などの産業の急速な発展に伴い、産業の発展が大いに促進されている。
【0003】
ポリプロピレンは、家電製品の絶縁筐体及び洗濯機のライナーを製造するために用いられ、一般的に電線ケーブル及び他の電気機器の絶縁材料に用いられている。バリア性フィルムを製造する場合、従来の製膜プロセスを用いて製造することができ、プロセスが簡単であり、製造コストが低い。
【0004】
中国特許201310519301.0には、リチウムイオン電池ホモポリプロピレンバリアフィルム専用材料の生産方法が開示されている。本発明では、高活性、水素感受性が適切なプロピレン重合触媒が使用され、プロピレン重合活性化剤はトリエチルアルミニウムであり、その添加量が7.0L/h以下に制御され、外部電子供与体がジシクロペンチルジメトキシシランとテトラエトキシシランを1:1~1:8モル比で配合したものであり、製品のアイソタクティシティが98%を超え、メルトフローレートが2.6~3.0g/10minであり、灰分が50~100ppmであり、灰分指標は高級電気応用分野の要求を満たすことができない。
【0005】
中国特許201080045745.Xには、ジオールエステル型及びジエーテル型内部電子供与体を用いた、オレフィン重合用の触媒成分が開示されており、前記触媒成分の製造方法、該触媒成分を含む触媒、及び前記触媒を用いたオレフィン重合方法が開示されており、低灰分ポリプロピレン製品の製造に用いられる。この技術により製造された製品の灰分は30ppmと低いが、依然として高級乾式電力電子コンデンサの要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0006】
上記従来技術にある単に高活性触媒のみを使用して直接重合することによる製品の灰分が依然として高い問題に対して、本発明は、超清浄ポリプロピレン樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、超清浄ポリプロピレン樹脂を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、ポリプロピレン樹脂の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、ポリプロピレン樹脂を提供することである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、一形態において、プロピレン予備重合、液相塊状重合、気相重合、ポリプロピレン乾燥、精製及び押出造粒を含む超清浄ポリプロピレン樹脂の製造方法を提供する。
【0011】
プロピレン予備重合:
予備重合反応器に、主触媒、助触媒及び溶媒を含む触媒スラリーを調製した後、プロピレンを導入して予備重合反応を行い、プレポリマースラリーを得る。
【0012】
液相塊状重合:
プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品スラリーを得て、前記外部電子供与体は9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンである。
【0013】
気相重合:
液相塊状重合で得られたポリプロピレン粗製品スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行う。
【0014】
ポリプロピレン乾燥:
気相流動床反応器の出口材料は、まず気固分離を行い、固相成分を乾燥器に入れて乾燥させ、ポリプロピレン粉体を得る。
【0015】
精製:
乾燥されたポリプロピレン粉体を複合溶媒でスラリーに調製し、撹拌して精製した後、スラリーを固液分離し、ポリプロピレン湿粉体を得て、乾燥した後、超清浄ポリプロピレン粉体を得る。
【0016】
押出造粒:
精製された超清浄ポリプロピレン粉体と酸化防止複合助剤を混合した後、押出造粒し、前記超清浄ポリプロピレン樹脂を得る。
【0017】
以下、プロピレン予備重合、液相塊状重合、気相重合、ポリプロピレン乾燥、精製及び押出造粒の各過程について詳しく説明する。
【0018】
一.プロピレン予備重合:予備重合反応器に、主触媒、助触媒及び溶媒を含む触媒スラリーを調製した後、プロピレンを導入して予備重合反応を行い、プレポリマースラリーを得る。
【0019】
予備重合過程では、触媒粒子表面にポリプロピレン薄層が形成される。
【0020】
好ましくは、予備重合過程では、プロピレンと主触媒との質量比は2.5~10kg/kgであり、助触媒と主触媒との質量比は0.027~0.075kg/kgである。
【0021】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記予備重合反応は、予備重合温度が-5℃~15℃であり、プロピレン供給速度が10~45kg/hであり、予備重合時間が0.5~3hである第1段階と、予備重合温度が5℃~35℃であり、プロピレン供給速度が15~55kg/hであり、予備重合用プロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまでの第2段階と、を含む。
【0022】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記触媒スラリーにおける溶媒は炭素数4~10のアルカンから選ばれる。より好ましくは、前記炭素数4~10のアルカンはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、最も好ましくはヘキサンである。
本発明に係る主触媒は、中国特許201080045745.Xに記載されており、合わせて本発明に取り込まれてもよく、市販されるものであってもよい。即ち、本発明の主触媒は活性要求を満たせばよく、前記主触媒の活性が少なくとも10万倍であり、触媒活性の具体的な計算方法は、単位時間当たりの触媒によるプロピレン重合により得られる重合体と触媒との質量比である。
【0023】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記主触媒は、MgCl2担体、TiCl4活性中心及び内部電子供与体を含むZ-N系触媒であり、前記内部電子供与体は、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類、マロン酸エステル類及びジオールエステル類から選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0024】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記アリール置換1,3-ジエーテル類のアリール基は、単環又は多環のC4-16アリール基から選ばれる。より具体的には、前記アリール置換1,3-ジエーテル類のアリール基は、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル及びその誘導体から選ばれる1種である。
【0025】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記アルキル置換1,3-ジエーテル類の構造は下記式(I)で表され、アリール置換1,3-ジエーテル類の構造は下記式(II)又は式(III)で表される。
【化1】
【0026】
ただし、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、同一又は異なり、それぞれ独立して、C1-10の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0027】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、同一又は異なり、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。
【0028】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記コハク酸エステル類及びマロン酸エステル類の構造は、それぞれ下記式(IV)及び式(V)で表される。
【化2】
【0029】
ただし、R7、R8、R9及びR10は、同一又は異なり、それぞれ独立してC1-10の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。
【0030】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記助触媒は、アルキルアルミニウム化合物であり、より好ましくは、前記助触媒は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハロゲン化物との組合せ、又はトリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウム水素化物との組合せから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、最も好ましくは、トリエチルアルミニウムである。
【0031】
二.液相塊状重合:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品を得て、前記外部電子供与体は9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンである。
【0032】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記液相塊状重合は、以下のステップを含む。
【0033】
プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融体)の流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融体)の流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmである。
【0034】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記液相塊状重合過程では、前記主触媒とプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、助触媒とプロピレンとの質量比は0.015~0.0225kg/tであり、外部電子供与体と助触媒との質量比は0~0.015kg/kgであり、0を含まない。
【0035】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、第1反応容器及び第2反応容器は、いずれも槽型重合反応器であり、直列に接続されている(完全混合流れ多段反応器直列重合プロセスとなる)。
【0036】
三.気相重合:液相塊状重合で得られたポリプロピレン粗製品スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行う。
【0037】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、気相重合における前記重合の温度は75~85℃であり、重合圧力は1.5~2.0MPaであり、気相流動床反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは2.8~3.2g/10minであり、灰分は30ppm未満であり、アイソタクティシティは98.5%より大きい。
【0038】
四.ポリプロピレン乾燥:気相流動床反応器の出口材料は、まず気固分離を行い、固相成分(ポリプロピレン粉体)(分離された気相部分は、回収システムに入り回収・利用される)を乾燥器に入れて乾燥させ、ポリプロピレン粉体を得る。
【0039】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記固相成分は乾燥器に入り、対流する不活性ガスにより乾燥される。前記不活性ガスは窒素ガスが好ましく、乾燥温度は100~110℃が好ましい。
【0040】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記乾燥の温度は95~115℃であり、より好ましくは100~110℃である。
【0041】
五.精製:乾燥されたポリプロピレン粉体を複合溶媒でスラリーに調製し、撹拌して精製した後、スラリーを固液分離し、ポリプロピレン湿粉体を得て、乾燥した後、超清浄ポリプロピレン粉体を得る。
【0042】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記精製の温度は30~150℃であり、時間は0.1~5hであり、より好ましくは、前記精製の温度は50~120℃であり、時間は0.5~3hである。
【0043】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記ポリプロピレン湿粉体における溶媒の割合は15~35%(ポリプロピレン粉体の総質量を100%とする)であり、より好ましくは15~30%である。
【0044】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記精製過程では、調製されたスラリーにおけるポリプロピレン粉体の質量濃度は10~40%である。
【0045】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記超清浄ポリプロピレン粉体の灰分は10ppm未満である。
【0046】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記固液分離は遠心分離により行われてもよい。
【0047】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、前記複合溶媒は、炭化水素系物質及びアルキルアルコールを含み、前記炭化水素系物質は、好ましくは、C5-C20のノルマルアルカン又はイソアルカン、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン又はデカンなどであり、前記アルキルアルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールなどである。前記炭化水素系物質とアルキルアルコールとの質量比は、(2~6):1であることが好ましい。
【0048】
より好ましくは、前記複合溶媒はヘキサンとエタノールの複合溶媒であり、質量比は4:1である。
【0049】
六.押出造粒:精製された超清浄ポリプロピレン粉体と酸化防止複合助剤を混合した後、押出造粒し、前記超清浄ポリプロピレン樹脂を得る。
【0050】
本発明の押出造粒により得られる超清浄ポリプロピレン樹脂の灰分は20ppm未満である。
【0051】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、好ましくは、酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤を含む。
【0052】
好ましくは、前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、好ましくは、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と酸捕捉剤との質量比は(10000~100000):1である。
【0053】
好ましくは、前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸](即ち、酸化防止剤1010)及び1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオンが好ましい。
【0054】
好ましくは、前記超清浄ポリプロピレン粉体と主酸化防止剤との質量比は(1000~10000):1である。
【0055】
好ましくは、前記補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、チオジプロピオン酸ジラウリル及びトリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト(即ち、酸化防止剤168)が好ましい。
【0056】
好ましくは、前記超清浄ポリプロピレン粉体と補助酸化防止剤との質量比は(100~10000):1である。
【0057】
一方、本発明は、上記製造方法により製造された超清浄ポリプロピレン樹脂を提供する。
【0058】
本発明の製造方法において、まず、高活性ポリプロピレン触媒に対して段階的な予備重合処理を行い、次に、プレポリマースラリーを直列に接続された2基の槽型反応器に注入して液相塊状重合を行い、そして1基の流動床反応器に注入して気相重合を行い、炭化水素系及びアルコール系溶剤で製造された配合溶剤でポリプロピレンベースを洗浄し、触媒残留物及びアモルファスポリプロピレンを除去し、低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤を用いて不純物によるポリプロピレン製品の二次汚染を回避し、超浄ポリプロピレンの工業化生産を実現する。
【0059】
さらに、本発明は、プロピレンを原料として重合してポリプロピレン粗製品を得るステップと、
得られたポリプロピレン粗製品を精製して前記ポリプロピレン樹脂を得るステップと、を含むポリプロピレン樹脂の製造方法であって、
前記精製は、ポリプロピレン粗製品を複合溶媒に加え、30~120℃でポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを十分に接触させてポリプロピレンスラリーを形成した後、ポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得て、ポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂(超浄ポリプロピレン粉体)を得ることを含む、ポリプロピレン樹脂の製造方法を提供する。
【0060】
ポリプロピレンと複合溶媒を分離して得られたポリプロピレン粉体において、溶媒の比率は15~35%(ポリプロピレン粉体の総質量を100%とする)である。
【0061】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ポリプロピレン粗製品は、メルトフローレートが0.1~1000g/10minであり、分子量分布が3~15(重量平均/数平均)である。
【0062】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記複合溶媒は、炭素数1~10のアルキルアルコールから選ばれる少なくとも1種、及び炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンから選ばれる少なくとも1種の混合溶媒である。
【0063】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記炭素数1~10のアルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0064】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0065】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、炭素数1~10のアルキルアルコールと炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンとの質量比は、1:(2~6)である。
【0066】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、炭素数1~10のアルキルアルコールと炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンとの質量比は、1:4である。
【0067】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記精製は、ポリプロピレン粗製品を複合溶媒に加え、50~100℃でポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを十分に接触させてポリプロピレンスラリーを形成することを含む。
【0068】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記十分な接触は、攪拌条件下で、ポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを0.1~5h(スラリーが反応容器に滞留する時間)接触させることを含む。
【0069】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記十分な接触は、撹拌条件下で、ポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを0.5~3h接触させることを含む。
【0070】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記十分な接触は、撹拌速度10~150rpmの撹拌条件下で、ポリプロピレン粗製品と複合溶媒と接触させることを含む。
【0071】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、ポリプロピレンスラリーにおけるポリプロピレンの質量濃度は10~40%である。
【0072】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、ポリプロピレンスラリーにおけるポリプロピレンの質量濃度は15~30%である。
【0073】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記精製は、遠心分離によりポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得た後、95~120℃でポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む。
【0074】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記精製は、遠心分離によりポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得た後、95~115℃でポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む。
【0075】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、乾燥時間は0.5-2hである。
【0076】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、ポリプロピレン粉体を乾燥して得られたポリプロピレン樹脂の灰分は10ppm未満である。
【0077】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、ポリプロピレン粉体を乾燥して得られたポリプロピレン樹脂の灰分は5~10ppmである。
【0078】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記方法は、得られた前記ポリプロピレン樹脂と酸化防止複合助剤とを混合した後、押出造粒するステップをさらに含む。
【0079】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤から選ばれる組合せである。
【0080】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記酸化防止複合助剤の総質量を100%として、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤の質量百分率含有量は、それぞれ0.1~1%、65~90%及び9.4~34.4%である。
【0081】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0082】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記金属ステアリン酸塩は、ステアリン酸亜鉛及び/又はステアリン酸カルシウムから選ばれる。
【0083】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0084】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]及び1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオンから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0085】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0086】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル及び/又はトリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0087】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、得られたポリプロピレン樹脂の質量を100%として、酸化防止複合助剤の質量百分率含有量は0.2%~1%である。
【0088】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレンを原料として重合するステップは、以下のステップを含む。
【0089】
プロピレン予備重合ステップ:所定量のプロピレンを主触媒及び助触媒の存在下で重合反応させることにより、触媒粒子の表面にポリプロピレン薄層を形成することを含み、その中、予備重合ステップのプロピレンと主触媒との質量比が2.5~10kg/kgであり、予備重合ステップの助触媒と主触媒との質量比が0.18~0.5kg/kgであり、プレポリマースラリーを得る。
【0090】
重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む。
【0091】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレン予備重合ステップは、主触媒及び助触媒の存在下で、プロピレンを10~45kg/hで導入し、-5℃~15℃で0.5~3h重合した後、残存のプロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまで、プロピレンを15~55kg/hで導入し、5℃~35℃で重合することを含む。
【0092】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレン予備重合ステップは、主触媒及び助触媒の存在下で、プロピレンを10~45kg/hで導入し、-5℃~15℃で0.5~3h重合した後、さらにプロピレンを15~55kg/hで導入し、5℃~35℃で1~4h重合することを含む。
【0093】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレン予備重合ステップは、主触媒を炭素数4~10の直鎖又は分岐鎖アルカンに加え、前記アルカンの溶液における主触媒の質量濃度が0.1~3%であり、さらにプロピレン及び助触媒を加えて重合反応を行うことを含む。
【0094】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、予備重合ステップの反応熱は、冷凍水によって除去される。
【0095】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、予備重合ステップでプレポリマースラリーを得た後、さらに所定量の炭素数4~10のアルカンを加えてプレポリマースラリーを希釈し、希釈後のプレポリマースラリーにおけるポリマーの質量濃度は0.01~5.5%である。
【0096】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記炭素数4~10のアルカンは、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0097】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、主触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、重合ステップで加えられる助触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.1~0.15kg/tであり、外部電子供与体と重合ステップで加えられる助触媒との質量比は0~0.1kg/kgである。
【0098】
ここで、外部電子供与体と助触媒との質量比が0である場合、外部電子供与体を添加しなくてもよいことを示すと理解できる。
【0099】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、重合ステップで加えられる助触媒と主触媒との質量比は3.2~3.6kg/kgである。
【0100】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合ステップは、以下のステップを含む。
【0101】
液相塊状重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で、温度65℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで液相塊状重合を行うことを含む。
【0102】
気相重合ステップ:液相塊状重合で得られたスラリーを温度75℃~85℃、圧力1.5~2.0MPaで気相重合を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む。
【0103】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、液相塊状重合ステップにおけるプロピレン原料は精製プロピレンである。
【0104】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記精製プロピレンの水含有量は5~10mg/kgであり、一酸化炭素含有量は0.1~0.5mL/m3であり、二酸化炭素含有量は0.1~0.5mL/m3である。
【0105】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記液相塊状重合ステップは、プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融物)の流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融物)の流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmであることを含む。
【0106】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記液相塊状重合ステップは、プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度70℃、圧力3.0MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融体)の流動速度は4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は2890ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度64℃、圧力2.6MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融体)の流動速度は4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1300ppmである。
【0107】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記液相塊状重合ステップは、プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度70℃、圧力3.0MPaで重合反応を行い(液位49%)、第1反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融物)の流動速度は4.5g/10minであり、プレポリマースラリーの供給量は14.0kg/hであり、プロピレンの供給量は5.7t/hであり、トリエチルアルミニウムの供給量は0.8kg/hであり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランの供給量は0.07kg/hであり、水素ガスの供給量は4.9Nm2/hであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は2890ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、水素ガスの供給量は2.0Nm2/hであり、温度64℃、圧力2.6MPaで重合反応を行い(液位44%)、第2反応容器出口の反応スラリー(得られたポリプロピレン粉体溶融物)の流動速度は4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1300ppmであることを含む。
【0108】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、第1反応容器と第2反応容器は直列に接続されている(完全混合流れ多段反応器直列重合プロセスとなる)。
【0109】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記気相重合は、気相流動床反応器において行われる。
【0110】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、気相重合を経てポリプロピレン粉体溶融体を得て、前記ポリプロピレン粉体溶融体の気相重合の反応器出口における流動速度は2.8~3.2g/10minである。
【0111】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、気相重合ステップは、液相塊状重合で得られたスラリーを温度80℃、圧力1.8MPaで気相重合してポリプロピレン粗製品を得ることを含む。
【0112】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、気相重合により得られたポリプロピレン粗製品の灰分は30ppm未満である。
【0113】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、気相重合により得られたポリプロピレン粗製品の灰分は30ppm以下である。
【0114】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、気相重合により得られたポリプロピレン粗製品の灰分は10~30ppmである。
【0115】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレンを原料として重合するステップは、重合反応後に得られた固形分を95℃~115℃で乾燥するステップをさらに含み、これにより、ポリプロピレン粗製品を得る。
【0116】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、重合反応後に得られた固形分は、105℃で乾燥される。
【0117】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレンを原料として重合するステップにおける乾燥は、乾燥器において対流する不活性ガスにより乾燥される。
【0118】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記不活性ガスは窒素ガスである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレンを原料として重合するステップにおける乾燥の温度は100~110℃である。
【0119】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレンを原料として重合するステップは、重合反応後に得られた反応スラリーを気固分離することによって固形分を得るステップをさらに含む。
【0120】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、プロピレンを原料として重合するステップは、サイクロン分離器を用いて気固分離を行う。
【0121】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記主触媒は、高い触媒活性を有する。
【0122】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記主触媒の触媒活性は8~12万倍である。
【0123】
前記触媒活性は、単位時間当たりに生産されたポリプロピレンと消費触媒との質量比である。
【0124】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記主触媒はZ-N系触媒であり、助触媒はアルキルアルミニウム化合物であり、外部電子供与体は、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、p-ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン及びジイソブチルジメトキシシランから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0125】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記Z-N系触媒は、MgCl2を担体とし、TiCl4を活性中心とし、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類及びマロン酸エステル類から選ばれる1種を内部電子供与体とする触媒のうち1種又は複数種の組合せである。
【0126】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アリール置換1,3-ジエーテル類のアリール基は、単環又は多環のC4~16アリール基から選ばれる。
【0127】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アリール置換1,3-ジエーテル類のアリール基は、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル及びその誘導体から選ばれる1種である。
【0128】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、アルキル置換1,3-ジエーテル類の構造は下記式(I)で表され、アリール置換1,3-ジエーテル類の構造は下記式(II)又は式(III)で表される。
【化3】
【0129】
ただし、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、同一又は異なり、それぞれ独立して、C1-10の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0130】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、同一又は異なり、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。
【0131】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記コハク酸エステル類及びマロン酸エステル類の構造は、それぞれ下記式(IV)及び式(V)で表される。
【化4】
【0132】
ただし、R7、R8、R9及びR10は、同一又は異なり、それぞれ独立してC1-10の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0133】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、R7、R8、R9及びR10は、同一又は異なり、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。
【0134】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記Z-N系触媒は、北京奥達HA-R触媒である。
【0135】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハロゲン化物との組合せ、又はトリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウム水素化物との組合せから選ばれる1種又は複数種の組合せである。
【0136】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アルキルアルミニウム化合物のアルキル基は、C1-10の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0137】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アルキルアルミニウム化合物のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。
【0138】
本発明のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基は、上記基の直鎖構造であってもよく、各種の分岐鎖異性体であってもよい。
【0139】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アルキルアルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウムである。
【0140】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ポリプロピレン樹脂の製造方法は、以下のステップを含む。
【0141】
(1)プロピレン予備重合:主触媒をまず炭素数4~10のアルカンと混合して希釈し、希釈後のスラリーの質量濃度は0.1~3%であり、その後、助触媒とプロピレンを予備重合反応器に導入し、反応器内の撹拌により材料を均一に撹拌し、二段階の予備重合反応を行い、第1段階の予備重合温度は-5℃~15℃であり、プロピレンの添加量は10~45kg/hであり、予備重合時間は0.5~3hであり、第2段階予備重合温度は5℃~35℃であり、プロピレンの添加量は15~55kg/hであり、残存のプロピレンが全て予備重合反応器(予備重合槽)に添加されるまで予備重合する。
【0142】
(2)液相塊状重合:プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び適量の水素ガスを第1反応器(槽型重合反応器)に加えて液相塊状重合を行い、重合温度は60~75℃であり、重合圧力は2.5~3.5MPaであり、第1反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは4.0~4.5g/10minであり、主触媒とプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、助触媒とプロピレンとの質量比は0.1~0.15kg/tであり、外部電子供与体と助触媒との質量比は0~0.1kg/kgであり、第1反応器に水素ガスを加え、水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、第1反応器のスラリーを第2反応器(槽型重合反応器)に入れて重合反応を行い、重合温度は60~75℃であり、重合圧力は2.5~3.5MPaであり、第2反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは3.5~4.0g/10minであり、第2槽型重合反応器に水素ガスを加え、水素ガス濃度は1000~2000ppmである。
【0143】
(3)気相重合:第2反応器のスラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行い、重合温度は75~85℃であり、重合圧力は1.5~2.0MPaであり、気相流動床反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは2.8~3.2g/10minである。
【0144】
(4)ポリプロピレン乾燥:気相流動床反応器出口の材料は、まずサイクロン分離器に入り材料の気固分離を行い、固相成分(ポリプロピレン粉体)(分離された気相部分は回収システムに入り回収・利用される)は乾燥器に入り、対流する不活性ガスにより乾燥され、乾燥温度は95~115℃程度である。
【0145】
(5)ポリプロピレン精製:乾燥後の固相成分を(輸送風により)精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒を加え、スラリー濃度が10~40%であるポリマー粉体スラリーを形成し、30~120℃で、ポリマー粉体と複合溶媒を0.1~5h十分に接触させる。
【0146】
(6)押出造粒:酸化防止複合助剤と精製後のポリプロピレン粉体を同時に二軸押出機に加えて押出造粒し、ポリプロピレン樹脂を得た。
【0147】
以上、本発明のプロピレン重合は、直列に接続された2基の槽型反応器を用いて液相塊状重合を行い、そして1基の流動床反応器を用いて気相重合を行い、その後、炭化水素系及びアルコール系溶剤で製造された配合溶剤でポリプロピレンベースを洗浄し、触媒残留物及びアモルファスポリプロピレンを除去し、酸化防止複合助剤を用いて不純物によるポリプロピレン製品の二次汚染を回避し、超浄ポリプロピレンの工業化生産を実現する。
【0148】
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法により製造されたポリプロピレン樹脂を提供する。
【0149】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、押出造粒を経て得られたポリプロピレン樹脂の灰分は30ppm以下である。
【0150】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ポリプロピレン樹脂の灰分は10~30ppmである。
【0151】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ポリプロピレン樹脂の灰分は15~30ppmである。
【0152】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、押出造粒を経て得られたポリプロピレン樹脂のメルトフローレートは3.0~3.1g/10minである。
【0153】
以上、本発明は、ポリプロピレン樹脂及びその製造方法を提供する。本発明の方法は、以下の利点を有する。
【0154】
(1)本発明では、二段階予備重合により高活性触媒粒子内部の触媒活性点を効果的に活性化することで、触媒活性を向上させることができ、従来技術に比べて、本発明で製造されたポリプロピレンはより低い灰分を有し、製品は良好な電気特性を有し、高級コンデンサーの要求を満たすことができる。
【0155】
(2)本発明では、二段階予備重合によりチタン活性中心の周囲にポリプロピレンセグメント被覆層を形成することができ、これにより、触媒粒子の機械的強度を向上させ、本発明で製造されたポリプロピレンは、少ない微粉含有量を有し、工業装置の安定運転により有利である。
【0156】
(3)本発明に用いられる塊状重合及び高度精製プロセスは、有機複合溶媒を利用して金属不純物及びポリプロピレンオリゴマーを除去し、生産された樹脂製品は、より低い灰分、より高いアイソタクティシティを有し、高級コンデンサーの要求を満たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0157】
以下、実施例を参照して本発明の技術案を詳細に説明するが、本発明の特許請求する範囲はこれらに限定されない。
【0158】
原料又は設備由来:
プロピレンは蘭州石油化学工業公司から提供され、触媒は北京奥達触媒工場から提供され、トリエチルアルミニウムは営口市向陽触媒工場から提供され、シクロヘキシルメチルジメトキシシランは山東魯晶化学工業科技有限公司から提供され、水素ガスは蘭州石油化学工業公司から提供されている。
【0159】
評価分析方法:
1.ポリマーのメルトインデックス:GB/T 3682-2000に従って測定した。
2.ポリマーのアイソタクティシティ:GB/T 2412-2008に従って測定した。
3、ポリマーの灰分:GB/T 9345.1-2008に従って測定した。
【0160】
具体的な実施例:
【0161】
実施例1-1
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム7kgを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)25kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1500kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を10kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を-5℃以下に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を15kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を5℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0162】
実施例1-2
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン400kgとトリエチルアルミニウム7kgを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)30kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を45kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を15℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を55kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を35℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0163】
実施例1-3
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン500kgと7kgトリエチルアルミニウムを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)32.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン700kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を25kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を5℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を12℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0164】
実施例1-4
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン550kgと7kgトリエチルアルミニウムを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)34.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を8℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を15℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0165】
実施例1-5
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム7kgを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)35.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を10℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を40kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を20℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0166】
実施例1-6
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン600kgとトリエチルアルミニウム7kgを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)34.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を35kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を12℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を40kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を18℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0167】
実施例1-7
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム7.2kgを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)36kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を25kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を14℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を20℃以下に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0168】
実施例1-8
プロピレンプレポリマースラリーの製造
ヘキサン550kgとトリエチルアルミニウム5kgを触媒調製タンクに加え、その中、トリエチルアルミニウム溶液の質量濃度は15%であり、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)10kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を25kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を9℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を16℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0169】
上記実施例1-1~実施例1-8で製造された触媒スラリーを、それぞれ比較例1~比較例8のポリプロピレンの製造に用い、さらに適切な触媒スラリーを選別する。
【0170】
実施例2
ポリプロピレンの製造方法
【0171】
液相塊状重合反応
触媒スラリー、プロピレン、助触媒、外部電子供与体及び適量の水素ガスを第1槽型反応器に加えて液相塊状重合を行い、気相プロピレンは槽頂部冷却器を経て反応槽内に還流し、重合温度が70℃であり、重合圧力が3.0MPaであり、液位が49%であり、実施例1-2で製造された触媒スラリーの供給量が14.0kg/hであり、プロピレンの供給量が5.7t/hであり、トリエチルアルミニウムの供給量が0.8kg/hであり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランの供給量が0.07kg/hであり、水素ガスの供給量が4.9Nm2/hであり、水素ガス濃度が2890ppmである。出口の反応スラリー流動速度は4.5t/hである。
【0172】
第1槽型反応器出口スラリーを第2槽型反応器に入れて重合反応を行い、第2重合槽温度が64℃であり、重合圧力が2.6MPaであり、液位が44%であり、第2槽型重合反応器に水素ガスを加え、水素ガスの供給量が2.0Nm2/hであり、水素ガス濃度が1300ppmである。出口の反応スラリー流動速度は4.5t/hである。
【0173】
気相重合反応
第2槽型反応器の出口スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行い、重合温度が80℃であり、重合圧力が1.8MPaであり、原料位置が51%である。
【0174】
ポリプロピレン乾燥
気相流動床反応器の出口の材料は、まずサイクロン分離器に入り、材料の気固分離を行い、分離された固相ポリプロピレン粉体は乾燥器内に入り、対流する不活性ガスにより乾燥され、乾燥温度は105℃である。
【0175】
ポリプロピレン精製
ポリプロピレン粉体を不活性ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が10%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件(撹拌速度50rpm、スラリー供給速度20t/h)でポリマー高度精製を行い、精製温度が30℃であり、精製時間が0.1hである。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0176】
押出造粒
低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤(酸化防止剤1010が2000mg/kgであり、168が1000mg/kgであり、ステアリン酸カルシウムが80mg/kgである)と乾燥後のポリプロピレン粉体を二軸押出機に同時に加えて押出造粒(造粒温度が225℃であり、スクリュー回転数が120rpmである)を行い、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0177】
実施例3
製造プロセスは実施例2と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ポリプロピレン粉体を不活性ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が30%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件でポリマー高度精製を行い、精製温度が70℃であり、精製時間が3hである。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0178】
実施例4
製造プロセスは実施例2と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ポリプロピレン粉体を不活性ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が40%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件でポリマー高度精製を行い、精製温度が120℃であり、精製時間がで5hある。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0179】
実施例5
製造プロセスは実施例2と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ポリプロピレン粉体を不活性ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が35%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件でポリマー高度精製を行い、精製温度が60℃であり、精製時間が1hである。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0180】
実施例6
製造プロセスは実施例2と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ポリプロピレン粉体を不活性ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が40%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件でポリマー高度精製を行い、精製温度が60℃であり、精製時間が1hである。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0181】
実施例7
製造プロセスは実施例2と同じである。
相違点は、以下のとおりである。低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤(酸化防止剤1010が5000mg/kgであり、168が1600mg/kgであり、ステアリン酸カルシウムが40mg/kgである)と乾燥後のポリプロピレン粉体を二軸押出機に同時に加えて押出造粒(造粒温度が225℃であり、スクリュー回転数が120rpmである)を行い、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0182】
実施例8
製造プロセスは実施例2と同じである。
相違点は、以下のとおりである。低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤(酸化防止剤1010が10000mg/kg、168が1200mg/kgであり、ステアリン酸カルシウムが30mg/kgである)と乾燥後のポリプロピレン粉体を二軸押出機に同時に加えて押出造粒(造粒温度が225℃であり、スクリュー回転数が120rpmである)を行い、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。上記実施例2~実施例8で製造されたポリプロピレン樹脂に対して性能測定を行い、結果を表1に示す。
【表1】
【0183】
実施例9
プロピレン予備重合:
ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム溶液7kg(ヘキサン溶媒において、質量濃度が15%である)を触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)25kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1500kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を10kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を-5℃以下に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を15kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を5℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プロピレンプレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0184】
液相塊状重合:
プロピレンプレポリマースラリー、プロピレン、助触媒、外部電子供与体及び適量の水素ガスを第1槽型反応器に加えて液相塊状重合を行い、気相プロピレンは槽頂部冷却器を経て反応槽内に還流し、重合温度が70℃であり、重合圧力が3.0MPaであり、液位が49%であり、プレポリマースラリーの供給量が14.0kg/hであり、プロピレンの供給量が5.7t/hであり、トリエチルアルミニウム溶液の供給量が0.8kg/hであり、9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンの供給量が0.07kg/hであり、水素ガスの供給量が4.9Nm2/hであり、水素ガスの濃度が2890ppmである。出口の反応スラリー流動速度は4.5t/hである。
【0185】
第1槽型反応器出口スラリーを第2槽型反応器に入れて重合反応を行い、第2重合槽温度が64℃であり、重合圧力が2.6MPaであり、液位が44%であり、第2槽型重合反応器に水素ガスを加え、水素ガスの供給量が2.0Nm2/h、水素ガスの濃度が1300ppmである。出口の反応スラリー流動速度は4.5t/hである。
【0186】
気相重合:
第2槽型反応器の出口スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行い、重合温度が80℃であり、重合圧力が1.8MPaであり、原料位置が51%である。
【0187】
ポリプロピレン乾燥:
気相流動床反応器の出口の材料は、まずサイクロン分離器に入り、材料の気固分離を行い、分離された固相ポリプロピレン粉体は乾燥器内に入り、対流する窒素ガスにより乾燥され、乾燥温度は105℃である。
【0188】
精製:
ポリプロピレン粉体を不活性ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が30%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件(撹拌速度50rpm、スラリー供給速度20t/h)でポリマー高度精製を行い、精製温度が60℃であり、精製時間が0.5hである。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0189】
押出造粒:
低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤(酸化防止剤1010が2000mg/kgであり、168が1000mg/kgであり、ステアリン酸カルシウムが80mg/kgである)と乾燥後のポリプロピレン粉体を二軸押出機に同時に加えて押出造粒(造粒温度が225℃であり、スクリュー回転数が120rpmである)を行い、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0190】
実施例10
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン400kgとトリエチルアルミニウム溶液7kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)30kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を45kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を15℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を55kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を35℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0191】
実施例11
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム溶液7kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)32.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン700kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を25kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を5℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を12℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0192】
実施例12
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン550kgとトリエチルアルミニウム溶液7kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)34.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を8℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を15℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0193】
実施例13
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム溶液7kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)35.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を10℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を40kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を20℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0194】
実施例14
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン600kgとトリエチルアルミニウム溶液7kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)34.5kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を35kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を12℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を40kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を18℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0195】
実施例15
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム溶液7.2kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)36kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を25kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を14℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を20℃以下に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0196】
実施例16
製造プロセスは実施例9と同じである。
相違点は、以下のとおりである。ヘキサン550kgとトリエチルアルミニウム溶液5kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)10kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1400kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を25kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を9℃に低下させ、1h予備重合する。予備重合の第2段階において、プロピレン供給速度を30kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を16℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0197】
上記実施例9~実施例16で製造されたポリプロピレン樹脂に対して性能測定を行い、結果を表2に示す。
【表2】
【0198】
比較例1
ポリプロピレン製造方法
【0199】
液相塊状重合反応
触媒スラリー、プロピレン、助触媒、外部電子供与体及び適量の水素ガスを第1槽型反応器に加えて液相塊状重合を行い、気相プロピレンは槽頂部冷却器を経て反応槽内に還流し、重合温度が70℃であり、重合圧力が3.0MPaであり、液位が49%であり、実施例1-1で製造された触媒スラリーの供給量が15.0kg/hであり、プロピレンの供給量が5.7t/hであり、トリエチルアルミニウムの供給量が0.8kg/hであり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランの供給量が0.07kg/hであり、水素ガスの供給量が4.9Nm2/hであり、水素ガスの濃度が1000ppmである。
【0200】
第1槽型反応器出口スラリーを第2槽型反応器に入れて重合反応を行い、第2重合槽温度が64℃であり、重合圧力が2.6MPaであり、液位が44%であり、第2槽型重合反応器に水素ガスを加え、水素ガスの供給量が2.0Nm2/hであり、水素ガスの濃度が1300ppmである。
【0201】
気相重合反応
第2槽型反応器の出口スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行い、重合温度が80℃であり、重合圧力が1.8MPaであり、原料位置が51%である。
【0202】
ポリプロピレン乾燥
気相流動床反応器の出口の材料は、まずサイクロン分離器に入り、材料の気固分離を行い、分離された固相ポリプロピレン粉体は乾燥器内に入り、対流する不活性ガスにより乾燥され、乾燥温度が105℃である。
【0203】
押出造粒
低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤と乾燥後のポリプロピレン粉体を二軸押出機に同時に加えて押出造粒を行い、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0204】
比較例2
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-2で製造された触媒スラリーを使用し、第1槽型反応器触媒スラリーの供給量が11.0kg/hであり、プロピレンの供給量が5.7t/hであり、トリエチルアルミニウムの供給量が0.57kg/hであり、水素ガスの供給量が4.9Nm2/hであり、水素ガスの濃度が3000ppmである、ことにある。
【0205】
比較例3
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-3で製造された触媒スラリーを使用し、供給量が14.5kg/hである、ことにある。
【0206】
比較例4
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-4で製造された触媒スラリーを使用し、供給量が16.2kg/hである、ことにある。
【0207】
比較例5
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-5で製造された触媒スラリーを使用し、供給量が16.3kg/hである、ことにある。
【0208】
比較例6
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-6で製造された触媒スラリーを使用し、供給量が16.0kg/hである、ことにある。
【0209】
比較例7
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-7で製造された触媒スラリーを使用し、供給量が15.8kg/hである、ことにある。
【0210】
比較例8
製造プロセスは比較例1と同じである。
相違点は、実施例1-8で製造された触媒スラリーを使用し、供給量が15.6kg/hである、ことにある。
【0211】
上記比較例1~比較例8で製造されたポリプロピレン樹脂に対して性能測定を行い、結果を表3に示す。
【表3】
【0212】
比較例9
プロピレン予備重合:
ヘキサン500kgとトリエチルアルミニウム溶液7kgを触媒調製タンクに加え、塩化マグネシウムを担体とするチタン金属触媒(北京奥達HA-R触媒)25kgを加え、撹拌して均一な懸濁液を形成し、冷凍塩水で調製タンクの温度を5℃以下に下げ、さらに新たなヘキサン1500kgを加えて触媒スラリーの濃度を調整し、撹拌して80r/minになるまで始動させる。予備重合の第1段階において、気相プロピレン自動供給バルブを開放し、プロピレン供給速度を15kg/hに調整し、撹拌して40r/minになるまで始動させ、調製タンクの温度を5℃に低下させ、100kgのプロピレンがすべて消費されるまで予備重合し、プロピレンプレポリマースラリーを得て、上記プロピレンプレポリマースラリーを貯蔵タンクに移して使用に備える。
【0213】
液相塊状重合:
プロピレンプレポリマースラリー、プロピレン、助触媒、外部電子供与体及び適量の水素ガスを第1槽型反応器に加えて液相塊状重合を行い、気相プロピレンは槽頂部冷却器を経て反応槽内に還流し、重合温度が70℃であり、重合圧力が3.0MPaであり、液位が49%であり、プロピレンプレポリマースラリーの供給量が14.0kg/hであり、プロピレンの供給量が5.7t/hであり、トリエチルアルミニウムの供給量が0.8kg/hであり、9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンの供給量が0.07kg/hであり、水素ガスの供給量が4.9Nm2/hであり、水素ガスの濃度が2890ppmである。出口の反応スラリー流動速度は4.5t/hである。
【0214】
第1槽型反応器出口スラリーを第2槽型反応器に入れて重合反応を行い、第2重合槽温度が64℃であり、重合圧力が2.6MPaであり、液位が44%であり、第2槽型重合反応器に水素ガスを加え、水素ガスの供給量が2.0Nm2/hであり、水素ガスの濃度が1300ppmである。出口の反応スラリー流動速度は4.5t/hである。
【0215】
気相重合:
第2槽型反応器の出口スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行い、重合温度が80℃であり、重合圧力が1.8MPaであり、原料位置が51%である。
【0216】
ポリプロピレン乾燥:
気相流動床反応器の出口の材料は、まずサイクロン分離器に入り、材料の気固分離を行い、分離された固相ポリプロピレン粉体は乾燥器内に入り、対流する窒素ガスにより乾燥され、乾燥温度は105℃である。
【0217】
ポリプロピレン精製:
ポリプロピレン粉体を窒素ガスで乾燥した後、ポリマー高度精製タンクに輸送し、所定量の複合溶媒(ヘキサンとエタノールの複合溶媒、質量比4:1)を加えて、スラリー濃度が30%であるポリマー粉体スラリーを形成し、所定のプロセス条件(撹拌速度50rpm、スラリー供給速度20t/h)でポリマー高度精製を行い、精製温度が60℃であり、精製時間が0.5hである。高度精製されたポリマースラリーを遠心分離してポリマー湿粉体を得て、湿粉体における溶媒の割合は25%であり、さらに多段乾燥(乾燥温度105℃)プロセスを経て揮発性有機化合物を除去する。その後、押出造粒ユニットに輸送され、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0218】
押出造粒:
低灰分・長期効果がある酸化防止複合助剤(酸化防止剤1010が2000mg/kgであり、168が1000mg/kgであり、ステアリン酸カルシウムが80mg/kgである)と乾燥後のポリプロピレン粉体を二軸押出機に同時に加えて押出造粒(造粒温度が225℃であり、スクリュー回転数が120rpmである)を行い、コンデンサーフィルム超浄ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0219】
比較例10
製造プロセスはプロピレン予備重合がない以外、比較例9と同じである。
【0220】
比較例11
製造プロセスは比較例10と同じである。
相違点は、プロピレンプレポリマースラリーの供給量が15.0kg/hである、ことにある。
【0221】
比較例12
製造プロセスは比較例10と同じである。
相違点は、プロピレンプレポリマースラリーの供給量が16.0kg/hである、ことにある。
【0222】
比較例13
製造プロセスは比較例10と同じである。
相違点は、プロピレンプレポリマースラリーの供給量が17.0kg/hである、ことにある。
【0223】
上記比較例9~比較例13で製造されたポリプロピレン樹脂に対して性能測定を行い、結果を表4に示す。
【表4】
【0224】
表2及び表4から分かるように、液相塊状重合の前に、プロピレン予備重合プロセスを追加することにより、製造されたポリプロピレン樹脂の灰分が著しく低下し、樹脂の電気特性が改善されるとともに、ポリプロピレン粉体の微粉率が著しく低下し、装置の安定運転により有利である。
【0225】
本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するために例を挙げたものに過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではなく、当業者であれば、上記説明に基づいて他の異なる形態の変化又は変更を行うことができ、ここで全ての実施形態を網羅することはできず、本発明の技術案によって引き出された全ての明らかな変化又は変更も本発明の保護範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン予備重合、液相塊状重合、気相重合、ポリプロピレン乾燥、精製及び押出造粒を含む製造方法であって、
プロピレン予備重合:
予備重合反応器に、主触媒、助触媒及び溶媒を含む触媒スラリーを調製した後、プロピレンを導入して予備重合反応を行い、プレポリマースラリーを得る;
液相塊状重合:
プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品スラリーを得て、前記外部電子供与体は9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンである;
気相重合:
液相塊状重合で得られたポリプロピレン粗製品スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行う;
ポリプロピレン乾燥:
気相流動床反応器の出口材料は、まず気固分離を行い、固相成分を乾燥器に入れて乾燥させ、ポリプロピレン粉体を得る;
精製:
乾燥されたポリプロピレン粉体を複合溶媒でスラリーに調製し、撹拌して精製した後、スラリーを固液分離し、ポリプロピレン湿粉体を得て、乾燥した後、超清浄ポリプロピレン粉体を得る;
押出造粒:
精製された超清浄ポリプロピレン粉体と酸化防止複合助剤を混合した後、押出造粒し、前記超清浄ポリプロピレン樹脂を得る、
ことを特徴とする超清浄ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記予備重合反応は、予備重合温度が-5℃~15℃であり、プロピレン供給速度が10~45kg/hであり、予備重合時間が0.5~3hである第1段階と、予備重合温度が5℃~35℃であり、プロピレン供給速度が15~55kg/hであり、予備重合用プロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまでの第2段階と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記プロピレン予備重合過程では、プロピレンと主触媒との質量比は2.5~10kg/kgであり、助触媒と主触媒との質量比は0.027~0.075kg/kgである、ことを特徴とする請求項1
に記載の製造方法。
【請求項4】
前記触媒スラリーにおける溶媒は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンから選ばれる1種又は複数種の組合せである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記主触媒は、MgCl
2担体、TiCl
4活性中心及び内部電子供与体を含むZ-N系触媒であり、前記内部電子供与体は、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類、マロン酸エステル類及びジオールエステル類から選ばれる1種又は複数種の組合せであ
り、
前記助触媒は、アルキルアルミニウム化合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記液相塊状重合は、以下のステップを含み、
プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリーの流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリーの流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmであ
り、
前記気相重合過程では、前記重合の温度は75~85℃であり、重合圧力は1.5~2.0MPaであり、気相流動床反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは2.8~3.2g/10minであり、灰分は30ppm未満であり、アイソタクティシティは98.5%より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記液相塊状重合過程では、前記主触媒とプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、助触媒とプロピレンとの質量比は0.015~0.0225kg/tであり、外部電子供与体と助触媒との質量比は0~0.015kg/kgであり、0を含まない、ことを特徴とする請求項1
に記載の製造方法。
【請求項8】
前記精製の温度は30~150℃であり、時間は0.1~5hである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記精製過程では、調製されたスラリーにおけるポリプロピレン粉体の質量濃度は10~40%である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記複合溶媒は、炭化水素系物質及びアルキルアルコールを含み、前記炭化水素系物質は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン又はデカンから選ばれ、前記アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールから選ばれ、前記炭化水素系物質とアルキルアルコールとの質量比は、(2~6):1である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記押出造粒により得られる超清浄ポリプロピレン樹脂の灰分は20ppm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤を含み、
前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と酸捕捉剤との質量比は(10000~100000):1であり、
前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と主酸化防止剤との質量比は(1000~10000):1であり、
前記補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と補助酸化防止剤との質量比は(100~10000):1である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
プロピレンを原料として重合してポリプロピレン粗製品を得るステップと、
得られたポリプロピレン粗製品を精製して前記ポリプロピレン樹脂を得るステップと、を含む方法であって、
前記精製は、ポリプロピレン粗製品を複合溶媒に加え、30~120℃でポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを十分に接触させてポリプロピレンスラリーを形成した後、ポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得て、ポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む、ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記複合溶媒は、炭素数1~10のアルキルアルコールから選ばれる少なくとも1種、及び炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンから選ばれる少なくとも1種の混合溶媒である、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記十分な接触は、攪拌条件下で、ポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを0.1~5h接触させることを含む、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項16】
ポリプロピレンスラリーにおけるポリプロピレンの質量濃度は10~40%である、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項17】
前記精製は、遠心分離によりポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得た後、95~120℃でポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記方法は、得られた前記ポリプロピレン樹脂と酸化防止複合助剤とを混合した後、押出造粒するステップをさらに含
み、
得られたポリプロピレン樹脂の質量を100%として、酸化防止複合助剤の質量百分率含有量は0.2%~1%である、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項19】
前記酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤から選ばれる組合せであり、前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記酸化防止複合助剤の総質量を100%として、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤の質量百分率含有量は、それぞれ0.1~1%、65~90%及び9.4~34.4%である、請求項
18に記載の製造方法。
【請求項20】
プロピレンを原料として重合するステップは、以下のステップを含み、
プロピレン予備重合ステップ:所定量のプロピレンを主触媒及び助触媒の存在下で重合反応させることにより、触媒粒子の表面にポリプロピレン薄層を形成するとともに、プレポリマースラリーを得ることを含み、その中、予備重合ステップのプロピレンと主触媒との質量比が2.5~10kg/kgであり、予備重合ステップの助触媒と主触媒との質量比が0.18~0.5kg/kgである;
重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む、
請求項
13に記載の製造方法。
【請求項21】
プロピレン予備重合ステップは、主触媒及び助触媒の存在下で、プロピレンを10~45kg/hで導入し、-5℃~15℃で0.5~3h重合した後、残存のプロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまで、プロピレンを15~55kg/hで導入し、5℃~35℃で重合することを含む、請求項
20に記載の製造方法。
【請求項22】
プロピレン予備重合ステップは、主触媒を炭素数4~10の直鎖又は分岐鎖アルカンに加え、前記アルカンの溶液における主触媒の質量濃度が0.1~3%であり、さらにプロピレン及び助触媒を加えて重合反応を行うことを含む、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項23】
主触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、重合ステップで加えられる助触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.1~0.15kg/tであり、外部電子供与体と重合ステップで加えられる助触媒との質量比は0~0.1kg/kgである、請求項
20に記載の製造方法。
【請求項24】
前記重合ステップは、以下のステップを含み、
液相塊状重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで液相塊状重合を行うことを含む;
気相重合ステップ:液相塊状重合で得られたスラリーを温度75℃~85℃、圧力1.5~2.0MPaで気相重合を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む、
請求項
20に記載の製造方法。
【請求項25】
前記液相塊状重合ステップは、プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリーの流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリーの流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmであることを含む、請求項
24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記主触媒はZ-N系触媒であり、助触媒はアルキルアルミニウム化合物であり、外部電子供与体は、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、p-ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン及びジイソブチルジメトキシシランから選ばれる1種又は複数種の組合せである、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項27】
前記Z-N系触媒は、MgCl
2を担体とし、TiCl
4を活性中心とし、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類及びマロン酸エステル類から選ばれる1種を内部電子供与体とする触媒のうち1種又は複数種の組合せである、請求項
26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハロゲン化物との組合せ、又はトリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウム水素化物との組合せから選ばれる1種又は複数種の組合せである、請求項
26に記載の製造方法。
【請求項29】
請求項
13に記載の製造方法により製造されたポリプロピレン樹脂。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0225
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0225】
本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するために例を挙げたものに過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではなく、当業者であれば、上記説明に基づいて他の異なる形態の変化又は変更を行うことができ、ここで全ての実施形態を網羅することはできず、本発明の技術案によって引き出された全ての明らかな変化又は変更も本発明の保護範囲内にある。
<付記>
本開示は以下の態様を含む。
<項1>
プロピレン予備重合、液相塊状重合、気相重合、ポリプロピレン乾燥、精製及び押出造粒を含む製造方法であって、
プロピレン予備重合:
予備重合反応器に、主触媒、助触媒及び溶媒を含む触媒スラリーを調製した後、プロピレンを導入して予備重合反応を行い、プレポリマースラリーを得る;
液相塊状重合:
プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品スラリーを得て、前記外部電子供与体は9,9-ジ(メトキシメチル)フルオレンである;
気相重合:
液相塊状重合で得られたポリプロピレン粗製品スラリーを気相流動床反応器に入れて重合反応を行う;
ポリプロピレン乾燥:
気相流動床反応器の出口材料は、まず気固分離を行い、固相成分を乾燥器に入れて乾燥させ、ポリプロピレン粉体を得る;
精製:
乾燥されたポリプロピレン粉体を複合溶媒でスラリーに調製し、撹拌して精製した後、スラリーを固液分離し、ポリプロピレン湿粉体を得て、乾燥した後、超清浄ポリプロピレン粉体を得る;
押出造粒:
精製された超清浄ポリプロピレン粉体と酸化防止複合助剤を混合した後、押出造粒し、前記超清浄ポリプロピレン樹脂を得る、
ことを特徴とする超清浄ポリプロピレン樹脂の製造方法。
<項2>
前記予備重合反応は、予備重合温度が-5℃~15℃であり、プロピレン供給速度が10~45kg/hであり、予備重合時間が0.5~3hである第1段階と、予備重合温度が5℃~35℃であり、プロピレン供給速度が15~55kg/hであり、予備重合用プロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまでの第2段階と、を含む、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項3>
前記プロピレン予備重合過程では、プロピレンと主触媒との質量比は2.5~10kg/kgであり、助触媒と主触媒との質量比は0.027~0.075kg/kgである、ことを特徴とする<項1>又は<項2>に記載の製造方法。
<項4>
前記触媒スラリーにおける溶媒は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンから選ばれる1種又は複数種の組合せである、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項5>
前記主触媒は、MgCl
2
担体、TiCl
4
活性中心及び内部電子供与体を含むZ-N系触媒であり、前記内部電子供与体は、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類、マロン酸エステル類及びジオールエステル類から選ばれる1種又は複数種の組合せである、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項6>
前記助触媒は、アルキルアルミニウム化合物である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項7>
前記液相塊状重合は、以下のステップを含み、
プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリーの流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリーの流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmである、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項8>
前記液相塊状重合過程では、前記主触媒とプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、助触媒とプロピレンとの質量比は0.015~0.0225kg/tであり、外部電子供与体と助触媒との質量比は0~0.015kg/kgであり、0を含まない、ことを特徴とする<項1>又は<項7>に記載の製造方法。
<項9>
前記気相重合過程では、前記重合の温度は75~85℃であり、重合圧力は1.5~2.0MPaであり、気相流動床反応器出口のポリプロピレン粉体のメルトフローレートは2.8~3.2g/10minであり、灰分は30ppm未満であり、アイソタクティシティは98.5%より大きい、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項10>
前記ポリプロピレン乾燥過程では、前記固相成分は乾燥器に入り、対流する窒素ガスにより乾燥され、前記乾燥の温度は100~110℃である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項11>
前記精製の温度は30~150℃であり、時間は0.1~5hである、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項12>
ポリプロピレン粉体の総質量を100%として、前記ポリプロピレン湿粉体における溶媒の割合は15~35%である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項13>
前記精製過程では、調製されたスラリーにおけるポリプロピレン粉体の質量濃度は10~40%である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項14>
前記超清浄ポリプロピレン粉体の灰分は10ppm未満である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項15>
前記複合溶媒は、炭化水素系物質及びアルキルアルコールを含み、前記炭化水素系物質は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン又はデカンから選ばれ、前記アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールから選ばれ、前記炭化水素系物質とアルキルアルコールとの質量比は、(2~6):1である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項16>
前記押出造粒により得られる超清浄ポリプロピレン樹脂の灰分は20ppm未満である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項17>
酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤を含み、
前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と酸捕捉剤との質量比は(10000~100000):1であり、
前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と主酸化防止剤との質量比は(1000~10000):1であり、
前記補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記超清浄ポリプロピレン粉体と補助酸化防止剤との質量比は(100~10000):1である、ことを特徴とする<項1>に記載の製造方法。
<項18>
<項1>~<項17>のいずれか1項に記載の製造方法により製造された超清浄ポリプロピレン樹脂。
<項19>
プロピレンを原料として重合してポリプロピレン粗製品を得るステップと、
得られたポリプロピレン粗製品を精製して前記ポリプロピレン樹脂を得るステップと、を含む方法であって、
前記精製は、ポリプロピレン粗製品を複合溶媒に加え、30~120℃でポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを十分に接触させてポリプロピレンスラリーを形成した後、ポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得て、ポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む、ポリプロピレン樹脂の製造方法。
<項20>
前記複合溶媒は、炭素数1~10のアルキルアルコールから選ばれる少なくとも1種、及び炭素数5~20の常温下で液体であるアルカンから選ばれる少なくとも1種の混合溶媒である、<項19>に記載の製造方法。
<項21>
前記十分な接触は、攪拌条件下で、ポリプロピレン粗製品と複合溶媒とを0.1~5h接触させることを含む、<項19>又は<項20>に記載の製造方法。
<項22>
ポリプロピレンスラリーにおけるポリプロピレンの質量濃度は10~40%である、<項19>~<項21>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項23>
前記精製は、遠心分離によりポリプロピレンと複合溶媒を分離してポリプロピレン粉体を得た後、95~120℃でポリプロピレン粉体を乾燥して前記ポリプロピレン樹脂を得ることを含む、<項19>~<項22>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項24>
前記方法は、得られた前記ポリプロピレン樹脂と酸化防止複合助剤とを混合した後、押出造粒するステップをさらに含む、<項19>~<項23>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項25>
前記酸化防止複合助剤は、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤から選ばれる組合せであり、前記酸捕捉剤は、金属ステアリン酸塩及びハイドロタルサイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記主酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、補助酸化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトから選ばれる1種又は複数種の組合せであり、前記酸化防止複合助剤の総質量を100%として、酸捕捉剤、主酸化防止剤及び補助酸化防止剤の質量百分率含有量は、それぞれ0.1~1%、65~90%及び9.4~34.4%である、<項24>に記載の製造方法。
<項26>
得られたポリプロピレン樹脂の質量を100%として、酸化防止複合助剤の質量百分率含有量は0.2%~1%である、<項24>又は<項25>に記載の製造方法。
<項27>
プロピレンを原料として重合するステップは、以下のステップを含み、
プロピレン予備重合ステップ:所定量のプロピレンを主触媒及び助触媒の存在下で重合反応させることにより、触媒粒子の表面にポリプロピレン薄層を形成するとともに、プレポリマースラリーを得ることを含み、その中、予備重合ステップのプロピレンと主触媒との質量比が2.5~10kg/kgであり、予備重合ステップの助触媒と主触媒との質量比が0.18~0.5kg/kgである;
重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で重合反応を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む、
<項19>~<項26>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項28>
プロピレン予備重合ステップは、主触媒及び助触媒の存在下で、プロピレンを10~45kg/hで導入し、-5℃~15℃で0.5~3h重合した後、残存のプロピレンが全て予備重合反応器に添加されるまで、プロピレンを15~55kg/hで導入し、5℃~35℃で重合することを含む、<項27>に記載の製造方法。
<項29>
プロピレン予備重合ステップは、主触媒を炭素数4~10の直鎖又は分岐鎖アルカンに加え、前記アルカンの溶液における主触媒の質量濃度が0.1~3%であり、さらにプロピレン及び助触媒を加えて重合反応を行うことを含む、<項19>又は<項28>に記載の製造方法。
<項30>
主触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.03~0.05kg/tであり、重合ステップで加えられる助触媒と重合ステップで加えられるプロピレンとの質量比は0.1~0.15kg/tであり、外部電子供与体と重合ステップで加えられる助触媒との質量比は0~0.1kg/kgである、<項27>~<項29>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項31>
前記重合ステップは、以下のステップを含み、
液相塊状重合ステップ:プロピレンを原料として、前記プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスの存在下で、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで液相塊状重合を行うことを含む;
気相重合ステップ:液相塊状重合で得られたスラリーを温度75℃~85℃、圧力1.5~2.0MPaで気相重合を行ってポリプロピレン粗製品を得ることを含む、
<項27>~<項30>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項32>
前記液相塊状重合ステップは、プロピレン、プレポリマースラリー、助触媒、外部電子供与体及び水素ガスを第1反応容器に加え、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第1反応容器出口の反応スラリーの流動速度は4.0~4.5g/10minであり、第1反応容器中の水素ガス濃度は1000~3000ppmであり、その後、反応スラリーを第2反応容器に加え、水素ガスを導入し、温度60℃~75℃、圧力2.5~3.5MPaで重合反応を行い、第2反応容器出口の反応スラリーの流動速度は3.5~4.5g/10minであり、第2反応容器中の水素ガス濃度は1000~2000ppmであることを含む、<項31>に記載の製造方法。
<項33>
プロピレンを原料として重合するステップは、重合反応後に得られた固形分を95℃~115℃で乾燥するステップをさらに含み、これにより、ポリプロピレン粗製品を得る、<項19>~<項32>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項34>
前記主触媒はZ-N系触媒であり、助触媒はアルキルアルミニウム化合物であり、外部電子供与体は、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、p-ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン及びジイソブチルジメトキシシランから選ばれる1種又は複数種の組合せである、<項19>~<項33>のいずれか1項に記載の製造方法。
<項35>
前記Z-N系触媒は、MgCl
2
を担体とし、TiCl
4
を活性中心とし、アルキル置換1,3-ジエーテル類、アリール置換1,3-ジエーテル類、コハク酸エステル類及びマロン酸エステル類から選ばれる1種を内部電子供与体とする触媒のうち1種又は複数種の組合せである、<項34>に記載の製造方法。
<項36>
前記アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハロゲン化物との組合せ、又はトリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウム水素化物との組合せから選ばれる1種又は複数種の組合せである、<項34>に記載の製造方法。
<項37>
<項19>~<項36>のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたポリプロピレン樹脂。
<項38>
前記ポリプロピレン樹脂は、酸化防止複合助剤と混合した後、押出造粒して得られたポリプロピレン樹脂であり、その灰分が30ppm以下である、<項37>に記載のポリプロピレン樹脂。
【国際調査報告】