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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】非環式チオールプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/24 20060101AFI20250109BHJP
   A61K 31/661 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20250109BHJP
   A61K 31/131 20060101ALI20250109BHJP
   C07F 9/165 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C07F9/24 F CSP
A61K31/661
A61P33/06
A61P3/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P1/16
A61P39/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61K47/54
A61K31/131
C07F9/165 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539918
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022054129
(87)【国際公開番号】W WO2023129576
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/296,052
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/394,760
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522133196
【氏名又は名称】ライラック セラピューティクス, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】デサイ, マノージュ チャンドラシンウジ
(72)【発明者】
【氏名】カンマ, シバ アール.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
4H050
【Fターム(参考)】
4C076CC21
4C076CC42
4C076EE59
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA34
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA12
4C086ZA15
4C086ZA22
4C086ZA75
4C086ZA96
4C086ZB15
4C086ZB37
4C086ZC21
4C086ZC37
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206JA51
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA12
4C206ZA15
4C206ZA22
4C206ZA75
4C206ZA96
4C206ZB15
4C206ZB37
4C206ZC21
4C206ZC37
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
(57)【要約】
本明細書には、非環式チオールプロドラッグ及びその医薬組成物が開示される。プロドラッグ及びその医薬組成物は、医学的障害を処置又は防止するために、たとえば、シスチン蓄積症、シスチン尿症、癌神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、放射線防護、ウィルソン病、又は関節リウマチなどに使用されうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
【化1】
(式中、
は、1000ダルトン未満の分子量のチオール残基であり、
Yは、-NRであり、
Xは、-OR又は-SRであり、
及びRは、独立して、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、置換ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニルであり、又はR及びRは、それらが装着されている原子と一緒になってシクロアルキル環、置換シクロアルキル環、シクロアルケニル環、置換シクロアルケニル環 ヘテロシクロアルキル環、置換ヘテロシクロアルキル環、ヘテロシクロアルケニル環、又は置換ヘテロシクロアルケニル環を形成し、且つ
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、又は置換ヘテロアリールアルキルであり、
ただし、R及びRは、両方が-Hであることはなく、且つR及びRが、それらが装着されている原子と一緒になってシクロアルキル環、置換シクロアルキル環、シクロアルケニル環、置換シクロアルケニル環 ヘテロシクロアルキル環、置換ヘテロシクロアルキル環、ヘテロシクロアルケニル環、又は置換ヘテロシクロアルケニル環を形成しない限り、R及びRの一方は-Hである)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項2】
が、500ダルトン未満の分子量のチオール残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、
【化2】
であり、R101~R103、R106、R109、R116118が、独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであり、且つR104、R105、R107、R108、R110~R115、及びR119~R129が、独立して、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
101~R103、R106、R109、R116118が、独立して、アルキル又はアルケニルであり、且つR104、R105、R107、R108、R110~R115、及びR119~R129が、独立して、-H、アルキル、又はアルケニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、独立して、-H、置換アルキル、置換アルケニル、置換アリールアルキル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、置換ヘテロアルケニル、置換ヘテロアリールアルキル、又は置換ヘテロアリールアルケニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが、独立して、-H、置換アルキル、置換アルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、又は置換ヘテロアルケニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
及びRが、独立して、-H、置換アルキル、又は置換アルケニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
及びRが、独立して、-H又は-CHRCOであり、Rが、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、且つRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、又は置換シクロヘテロアルケニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
及びRが、独立して、-H又は-CHRCOであり、Rが、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、又は置換アルケニルであり、且つRが、アルキル、アルケニル又はアリールアルケニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
及びRが、独立して、-H、又は
【化3】
である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
及びRの一方が-Hであり、且つR及びRの他方が
【化4】
である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
が、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、又は置換ヘテロアリールアルキルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、アルキル、アルケニル、アリール、又は置換アリールである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、
【化5】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
構造式:
【化6】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項16】
前記薬学的に許容可能な塩がトリフルオロアセテート塩である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
構造式:
【化7】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項18】
前記薬学的に許容可能な塩がトリフルオロアセテート塩である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
構造式:
【化8】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項20】
前記薬学的に許容可能な塩がトリフルオロアセテート塩である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
前記薬学的に許容可能な塩がフマレート塩である、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
構造式:
【化9】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項23】
前記薬学的に許容可能な塩がトリフルオロアセテート塩である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
前記薬学的に許容可能な塩がフマレート塩である、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
構造式:
【化10】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項26】
前記薬学的に許容可能な塩がトリフルオロアセテート塩である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記薬学的に許容可能な塩がフマレート塩である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物のいずれかと薬学的に許容可能な媒質とを含む医薬組成物。
【請求項29】
必要とする患者に治療有効量の請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物のいずれか又は請求項28に記載の医薬組成物を投与することを含む、シスチン尿症の処置方法。
【請求項30】
必要とする患者に治療有効量の請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物のいずれか又は請求項28に記載の医薬組成物を投与することを含む、シスチン蓄積症、シスチン尿症、癌神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、放射線防護、ウィルソン病、又は関節リウマチの処置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により2022年1月3日出願の米国仮出願第63/296,052号及び2022年8月3日出願の同第63/394,760号(各々その全体が本願をもって参照により組み込まれる)に基づく利益を主張する。
【0002】
本明細書には、非環式チオールプロドラッグ及びその医薬組成物が開示される。プロドラッグ及びその医薬組成物は、医学的障害を処置又は防止するために、たとえば、シスチン蓄積症、シスチン尿症、癌神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、放射線防護、ウィルソン病、関節リウマチなどに使用されうる。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの生存生物は、さまざまな反応性化学種、たとえば、反応性酸素種(ROS)、反応性窒素種、反応性求電子種、メタロイド、いくつかの抗生物質などから細胞を保護するレドックス緩衝剤の働きをする低分子量(LMW)チオールを高濃度で含有する。グルタチオン(GSH)は、こうしたLMWチオールのうち最もユビキタスであるが、ある特定の細胞は、他の硫黄化合物、たとえば、システイン(Cys)、c-グルタミルシステイン(cGC)、バシリチオール(BSH)、マイコチオール(MSH)、トリパノチオン(TSG)、オボチオール、補酵素A(CoA)、エルゴチオニン(ESH)などを高濃度で含有する。こうしたさまざまなLMWチオールの濃度及びチオール/ジスルフィド比は、多くの代謝プロセスに必須の細胞内還元性環境のレドックス電位に影響を及ぼす。
【0004】
チオール(-SH)官能基は、いくつかの薬剤化合物さらにヒト代謝物に見いだされ、有用な性質のユニークな組合せをもたらす。チオール含有薬剤は、ラジカル及び他の毒性求電子体の還元、細胞チオールプールの復元、並びに鉛、ヒ素、銅などの重金属との安定錯体の形成が可能である。このため、チオール薬剤は、ラジカルスカベンジャー、GSHプロドラッグ、又は金属キレーターの働きをすることによりさまざまな病態を処置可能である。多くのチオール薬剤は、何十年かにわたり使用されてきたうえに、それらの性質の探究の継続により、臨床用途の新しい処置の開発及び最適化についての見識が得られてきた。チオール及びその共役塩基チオラートはまた、良好な求核体であるので、ROS/RNSをはじめとする求電子種に対して反応性である。このため、タンパク質、脂質、及びDNAをはじめとする近くの分子がそれらにより酸化されるのを防止するために、チオール薬剤はROS/RNSスカベンジャーとして使用される。
【0005】
よく知られているチオールは、N-アセチルシステイン(NAC)及びその誘導体である。NACは、システインプロドラッグ及びGSH前駆体として作用することが、in vitro及びin vivo研究により示されている。NACはまた、タンパク質中のジスルフィド結合の還元、フリーラジカルの捕捉、及び金属に結合して錯体の形成が可能である。しかしながら、その主な薬理学的使用は、アセトアミノフェン毒性に起因して失われたシステイン及びGSHを補充することである。最もよく知られているNAC製剤は、MucomystTM(又はそのジェネリックバージョン)である。アセトアミノフェン過剰投与の処置のために普通は経口投与されるが、その製剤は、強い不愉快な風味を有するので、通常は摂取前にフルーツジュース又はソフトドリンクと混合される。さらに、その製剤の効果的使用に必要とされる処置期間は、経口NACに対してより長期の入院及びより高額の全ヘルスケア費用をもたらす(Kondala et al.,Current Opinion in Pharmacology 2007,7:355-359)。
【0006】
臨床現場で使用される別のチオールは、アミノチオールであるシステアミンである。内因的には、システアミンは、補酵素A分解に由来するが、その血漿中濃度は低い。シスチン蓄積症の処置用としてシステアミンの2つの製剤が承認されており、その際、システアミンは、リソソーム内シスチン蓄積を減少させるように処方される。チオールの臭気、とくにシステアミンなどの低分子量のものは、多くの場合、強くひどく不快である。(Besouw et al.,Drug Discovery Today 18,(2013)785)。
【0007】
NACやシステアミンなどのチオール薬剤は、それらの活性を細胞内で発揮する。必要とされているのは、LMWチオールの細胞内送達を可能にする新規ストラテジーである。かかるアプローチは、合計用量を低減するとともに投与頻度を低減するであろう。LMWチオールの細胞内投与は、シスチン尿症、シスチン蓄積症、癌、神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、ウィルソン病、又は関節リウマチの処置につながりうるとともに(https://doi.org/10.1016/j.nbd.2019.104530)、これらの化合物の多くの臨床用途を最適化しうる。(Annalise R.et al.,Mini-Reviews in Medicinal Chemistry,(2019)1)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、一態様では、構造式(I):
【化1】
(式中、Rは、1000ダルトン未満の分子量のチオール残基であり、Yは、-NRであり、Xは、-OR又は-SRであり、R及びRは、独立して、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、置換ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニルであり、又はR及びRは、それらが装着されている原子と一緒になってシクロアルキル環、置換シクロアルキル環、シクロアルケニル環、置換シクロアルケニル環 ヘテロシクロアルキル環、置換ヘテロシクロアルキル環、ヘテロシクロアルケニル環、又は置換ヘテロシクロアルケニル環を形成し、且つRは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、又は置換ヘテロアリールアルキルであり、ただし、R及びRは、両方が-Hであることはなく、且つR及びRが、それらが装着されている原子と一緒になってシクロアルキル環、置換シクロアルキル環、シクロアルケニル環、置換シクロアルケニル環 ヘテロシクロアルキル環、置換ヘテロシクロアルキル環、ヘテロシクロアルケニル環、又は置換ヘテロシクロアルケニル環を形成しない限り、R及びRの一方は-Hである)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物を提供することによりこれらの及び他のニーズを満たす。
【0009】
また、本明細書に記載の化合物の塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、溶媒和物、水和物、代謝物、及びプロドラッグをはじめとする誘導体も提供される。さらに、本明細書に提供される化合物と薬学的に許容可能な媒質とを含む医薬組成物が提供される。
【0010】
医学的障害、たとえば、シスチン尿症、シスチン蓄積症、癌神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、ウィルソン病、関節リウマチなどの症状の処置、防止、又は回復方法もまた、本明細書に提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
とくに定義がない限り、本明細書で用いられる技術科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者により普通に理解されるものと同一の意味を有する。ある用語に対して複数の定義が本明細書に存在する場合、とくに明記されていない限り、このセクションのものが優先する。
【0012】
本明細書で用いられる場合、とくに明記されていない限り、数値又は値の範囲を伴う性質との関連で用いられるとき「約」及び「おおよそ」という用語は、値又は値の範囲が依然として特定の性質を記述しつつ当業者に合理的とみなされる範囲内で偏倚しうることを示唆する。具体的には、これとの関連で用いられるとき「約」及び「おおよそ」という用語は、数値又は値の範囲が列挙された値又は値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%変動しうることを示唆する。また、単数形の「a」及び「the」は、とくに文脈上明確に規定されない限り、複数の参照対象を含む。そのため、たとえば、「化合物」への参照は、複数のかかる化合物を含み、「アッセイ」への参照は、1つ以上のアッセイ及び当業者に公知のその均等物への参照を含む。
【0013】
2つの文字間又は記号間にないダッシュ(「-」)は、置換基の装着点を示唆するものとして用いられる。たとえば、-C(O)NHは、炭素原子を介して装着される。化学基の前又は後のダッシュは、便宜的なものであり、化学基は、その通常の意味を失うことなく1つ以上のダッシュを用いて又は用いずに描かれうる。構造中の線を通って描かれた波線は、基の装着点を示唆する。化学的又は構造的に必要とされない限り、方向性は、化学基が書かれる又は名付けられる順序により示唆も暗示もされない。
【0014】
接頭辞「Cu~v」は、それに続く基がu~v個の炭素原子を有することを示唆する。u~v個の炭素は、u+1~v、u+2~v、u+3+v個などの炭素、u+1~u+3~v、u+1~u+4~v、u+2~u+4~v個などを含み、u及びvのすべての可能な並替えをカバーすることが理解されるべきである。
【0015】
「アルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルカンの単一炭素原子から1個の水素原子の除去により誘導される飽和又は不飽和の分岐状、直鎖状、又は環状1価炭化水素基を意味する。典型的アルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、たとえば、プロパン-1-イル、プロパン-2-イルなど、ブチル、たとえば、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イルなど、その他が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~20個の炭素原子を含む(C~C20アルキル)。他の実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を含む(C~C10アルキル)。そのほか他の実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子を含む(C~Cアルキル)。
【0016】
「アルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルケンの単一炭素原子から1個の水素原子の除去により誘導される少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の分岐状、直鎖状、又は環状アルキル基を意味する。この基は、二重結合の周りがcis又はtransコンフォメーションのどちらかでありうる。典型的アルケニル基としては、限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、たとえば、プロプ-1-エン-1-イル、プロプ-1-エン-2-イル、プロプ-2-エン-1-イル(アリル)、プロプ-2-エン-2-イル、シクロプロプ-1-エン-1-イル、シクロプロプ-2-エン-1-イル、ブテニル、たとえば、ブト-1-エン-1-イル、ブト-1-エン-2-イル、2-メチル-プロプ-1-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル、ブト-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブト-1-エン-1-イル、シクロブト-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなど、その他が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、1~20個の炭素原子を含む(C~C20アルケニル)。他の実施形態では、アルケニル基は、1~10個の炭素原子を含む(C~C10アルケニル)。そのほか他の実施形態では、アルケニル基は、1~6個の炭素原子を含む(C~Cアルケニル)。
【0017】
「アルキニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルキンの単一炭素原子から1個の水素原子の除去により誘導される少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和の分岐状、直鎖状、又は環状アルキル基を意味する。典型的アルキニル基としては、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、たとえば、プロプ-1-イン-1-イル、プロプ-2-イン-1-イルなど、ブチニル、たとえば、ブト-1-イン-1-イル、ブト-1-イン-3-イル、ブト-3-イン-1-イルなど、その他が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、1~20個の炭素原子を含む(C~C20アルキニル)。他の実施形態では、アルキニル基は、1~10個の炭素原子を含む(C~C10アルキニル)。そのほか他の実施形態では、アルキニル基は、1~6個の炭素原子を含む(C~Cアルキニル)。
【0018】
「アリール」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、本明細書に定義される親芳香環系の単一炭素原子から1個の水素原子の除去により誘導される1価芳香族炭化水素基を意味する。典型的アリール基としては、限定されるものではないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基が挙げられる。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~20個の炭素原子を含む(C~C20アリール)。他の実施形態では、アリール基は、6~15個の炭素原子を含む(C~C15アリール)。そのほか他の実施形態では、アリール基は、6~10個の炭素原子を含む(C~C10アリール)。
【0019】
「アリールアルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端又はsp炭素原子に結合された水素原子の1つが本明細書に定義されるアリール基に置き換えられた非環式アルキル基を意味する。典型的アリールアルキル基としては、限定されるものではないが、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アリールアルキル基は、(C~C30)アリールアルキルであり、たとえば、アリールアルキル基のアルキル部分は(C~C10)アルキルであり、且つアリール部分は(C~C20)アリールである。他の実施形態では、アリールアルキル基は、(C~C20)アリールアルキルであり、たとえば、アリールアルキル基のアルキル部分は(C~C)アルキルであり、且つアリール部分は(C~C12)アリールである。そのほか他の実施形態では、アリールアルキル基は、(C~C15)アリールアルキルであり、たとえば、アリールアルキル基のアルキル部分は(C~C)アルキルであり、且つアリール部分は(C~C10)アリールである。
【0020】
「アリールアルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子に結合された水素原子の1つが本明細書に定義されるアリール基に置き換えられた非環式アルケニル基を意味する。いくつかの実施形態では、アリールアルケニル基は、(C~C30)アリールアルケニルであり、たとえば、アリールアルケニル基のアルケニル部分は(C~C10)アルケニルであり、且つアリール部分は(C~C20)アリールである。他の実施形態では、アリールアルケニル基は、(C~C20)アリールアルケニルであり、たとえば、アリールアルケニル基のアルケニル部分は(C~C)アルケニルであり、且つアリール部分は(C~C12)アリールである。そのほか他の実施形態では、アリールアルケニル基は、(C~C15)アリールアルケニルであり、たとえば、アリールアルケニル基のアルケニル部分は(C~C)アルケニルであり、且つアリール部分は(C~C10)アリールである。
【0021】
「アリールアルキニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子に結合された水素原子の1つが本明細書に定義されるアリール基に置き換えられた非環式アルキニル基を意味する。いくつかの実施形態では、アリールアルキニル基は、(C~C30)アリールアルキニルであり、たとえば、アリールアルキニル基のアルキニル部分は(C~C10)アルキニルであり、且つアリール部分は(C~C20)アリールである。他の実施形態では、アリールアルキニル基は、(C~C20)アリールアルキニルであり、たとえば、アリールアルケニル基のアルキニル部分は(C~C)アルキニルであり、且つアリール部分は(C~C12)アリールである。そのほか他の実施形態では、アリールアルキニル基は、(C~C15)アリールアルキニルであり、たとえば、アリールアルキニル基のアルキニル部分は(C~C)アルキニルであり、且つアリール部分は(C~C10)アリールである。
【0022】
「シクロアルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親シクロアルカンの単一炭素原子から1個の水素原子の除去により誘導される飽和環式1価炭化水素基を意味する。典型的シクロアルキル基としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルシコペンテニルなど、その他が挙げられる。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~20個の炭素原子を含む(C~C15シクロアルキル)。他の実施形態では、シクロアルキル基は、3~10個の炭素原子を含む(C~C10シクロアルキル)。そのほか他の実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の炭素原子を含む(C~Cシクロアルキル)。「環式1価炭化水素基」という用語には、単一基と3~12個の炭素原子とを有する多環式炭化水素環系も含まれる。模範的多環式シクロアルキル環としては、たとえば、ノルボルニル、ピニル、及びアダマンチルが挙げられる。
【0023】
「シクロアルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親シクロアルケンの単一炭素原子から1個の水素原子の除去により誘導される不飽和環式1価炭化水素基を意味する。典型的シクロアルケニル基としては、限定されるものではないが、シクロプロペン、シクロブテンシクロペンテンなど、その他が挙げられる。いくつかの実施形態では、シクロアルケニル基は、3~20個の炭素原子を含む(C~C20シクロアルケニル)。他の実施形態では、シクロアルケニル基は、3~10個の炭素原子を含む(C~C10シクロアルケニル)。そのほか他の実施形態では、シクロアルケニル基は、3~8個の炭素原子を含む(C~Cシクロアルケニル)。「環式1価炭化水素基」という用語には、単一基と3~12個の炭素原子とを有する多環式炭化水素環系も含まれる。
【0024】
「シクロヘテロアルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子の1つ以上(及び任意にいずれかの関連水素原子)が各々互いに独立して以下の「ヘテロアルキル」に定義されるものと同一又は異なるヘテロ原子又はヘテロ原子基に置き換えられた本明細書に定義されるシクロアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、シクロヘテロアルキル基は、3~20個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~20シクロヘテロアルキル)。他の実施形態では、シクロヘテロアルキル基は、3~10個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~10シクロヘテロアルキル)。そのほか他の実施形態では、シクロヘテロアルキル基は、3~8個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~8シクロヘテロアルキル)。「環式1価ヘテロアルキル基」という用語には、単一基と3~12個の炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子とを有する多環式ヘテロアルキル環系も含まれる。
【0025】
「シクロヘテロアルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子の1つ以上(及び任意にいずれかの関連水素原子)が各々互いに独立して以下の「ヘテロアルケニル」に定義されるものと同一又は異なるヘテロ原子又はヘテロ原子基に置き換えられた本明細書に定義されるシクロアルケニル基を意味する。いくつかの実施形態では、シクロヘテロアルケニル基は、3~20個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~20シクロヘテロアルケニル)。他の実施形態では、シクロヘテロアルケニル基は、3~10個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~10)シクロヘテロアルケニル)。そのほか他の実施形態では、シクロヘテロアルケニル基は、3~8個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~8シクロヘテロアルケニル)。「環式1価ヘテロアルケニル基」という用語には、単一基と3~12個の炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子とを有する多環式ヘテロアルケニル環系も含まれる。
【0026】
「化合物」は、本明細書に開示される構造式に包含される化合物を意味し、本明細書に構造が開示される式の範囲内のいずれの具体的化合物も含む。化合物は、その化学構造及び/又は化学名のどちらかで同定されうる。化学構造は、化合物のアイデンティティーの決定因子である。本明細書に記載の化合物は、1つ以上のキラル中心及び/又は二重結合を含有しうるので、二重結合異性体(すなわちジオメトリックアイソマー)、エナンチオマー、ジアステレオマーなどのステレオアイソマーとして存在しうる。それゆえ、本明細書に描かれる化学構造は、構造に描かれるステレオアイソマー的純粋形(たとえば、ジオメトリー的純粋形、エナンチオマー的純粋形、又はジアステレオマー的純粋形)を包含する。本明細書に描かれる化学構造は、描かれる化合物のエナンチオメリック及びステレオアイソメリック誘導体も包含する。エナンチオメリック及びステレオアイソメリック混合物は、当業者に周知の分離技術又はキラル合成技術を用いてそれらの成分エナンチオマー又はステレオアイソマーに分割可能である。化合物はまた、エノール形、ケト形、及びそれらの混合物をはじめとするいくつかの互変異性形で存在しうる。それゆえ、本明細書に描かれる化学構造は、例示される化合物のすべての可能な互変異性形を包含する。記載の化合物はまた、1つ以上の原子が従来から天然に見いだされる原子質量とは異なる原子質量を有する同位体標識化合物を含む。本明細書に開示される化合物に組み込みうる同位体の例としては、限定されるものではないが、H、H、11C、13C、14C、15N、18O、17Oなどが挙げられる。化合物は、非溶媒和形さらには溶媒和形(水和形を含む)で存在しうる。一般的には、化合物は、水和又は溶媒和されうる。ある特定の化合物は、複数の結晶形又はアモルファス形で存在しうる。一般的には、すべての物理形は、本明細書で企図される使用に関して等価であり、本開示の範囲内にあることが意図される。さらに、化合物の部分構造が例示されたとき、そのブラケットは、分子の残りの部分への部分構造の装着点を示唆することが理解されるべきである。
【0027】
「ハロ」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、基-F、-Cl、-Br、又は-Iを意味する。
【0028】
「ヘテロアルキル」は、炭素原子の1つ以上(及び任意にいずれかの関連水素原子)が各々互いに独立して同一又は異なるヘテロ原子又はヘテロ原子基に置き換えられたアルキル(基)を意味する。炭素原子を置換え可能な典型的ヘテロ原子又はヘテロ原子基としては、限定されるものではないが、-O-、-S-、-N-、-Si-、-NH-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NH-、-S(O)NH-など、及びそれらの組合せが挙げられる。ヘテロ原子又はヘテロ原子基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の内側位置のいずれかに配置されうる。これらの基に含まれうる典型的ヘテロ原子基としては、限定されるものではないが、-O-、-S-、-O-O-、-S-S-、-O-S-、-NR501502、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR503404、-PR505-、-P(O)-、-POR506-、-O-P(O)-、-SO-、-SO-、-SnR507508などが挙げられ、その場合、R501、R502、R503、R504、R505、R506、R507、及びR508は、独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基は、1~20個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~20ヘテロアルキル)。他の実施形態では、ヘテロアルキル基は、1~10個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~10ヘテロアルキル)。そのほか他の実施形態では、ヘテロアルキル基は、1~6個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~6ヘテロアルキル)。
【0029】
「ヘテロアルケニル」は、炭素原子の1つ以上(及び任意にいずれかの関連水素原子)が各々互いに独立して同一又は異なるヘテロ原子又はヘテロ原子基に置き換えられたアルケニル基を意味する。炭素原子を置換え可能な典型的ヘテロ原子又はヘテロ原子基としては、限定されるものではないが、-O-、-S-、-N-、-Si-、-NH-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NH-、-S(O)NH-など、及びそれらの組合せが挙げられる。ヘテロ原子又はヘテロ原子基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の内側位置のいずれかに配置されうる。これらの基に含まれうる典型的ヘテロ原子基としては、限定されるものではないが、-O-、-S-、-O-O-、-S-S-、-O-S-、-NR501502、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR503404、-PR505-、-P(O)-、-POR506-、-O-P(O)-、-SO-、-SO-、-SnR507508などが挙げられ、その場合、R501、R502、R503、R504、R505、R506、R507、及びR508は、独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基は、1~20個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~20ヘテロアルケニル)。他の実施形態では、ヘテロアルケニル基は、1~10個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~10ヘテロアルケニル)。そのほか他の実施形態では、ヘテロアルケニル基は、1~6個の炭素原子及びヘテロ原子を含む(1~6ヘテロアルケニル)。
【0030】
「ヘテロアリール」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、本明細書に定義される親ヘテロ芳香環系の単一原子から1個の水素原子の除去により誘導される1価ヘテロ芳香族基を意味する。典型的ヘテロアリール基としては、限定されるものではないが、アクリジン、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどに由来する基が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20個の環原子を含む(5~20員ヘテロアリール)。他の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~10個の環原子を含む(5~10員ヘテロアリール)。模範的ヘテロアリール基としては、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、インドール、ピリジン、ピラゾール、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、及びピラジンに由来するものが挙げられる。
【0031】
「ヘテロアリールアルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端又はsp炭素原子に結合された水素原子の1つがヘテロアリール基に置き換えられた非環式アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールアルキル基は、6~21員ヘテロアリールアルキルであり、たとえば、ヘテロアリールアルキルのアルキル部分は(C~C)アルキルであり、且つヘテロアリール部分は5~15員ヘテロアリールである。他の実施形態では、ヘテロアリールアルキルは、6~13員ヘテロアリールアルキルであり、たとえば、アルキル部分は(C~C)アルキルであり、且つヘテロアリール部分は5~10員ヘテロアリールである。
【0032】
「ヘテロアリールアルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子に結合された水素原子の1つがヘテロアリール基に置き換えられた非環式アルケニル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールアルケニル基は、6~21員ヘテロアリールアルキルであり、たとえば、ヘテロアリールアルケニルのアルケニル部分は(C~C)アルケニルであり、且つヘテロアリール部分は5~15員ヘテロアリールである。他の実施形態では、ヘテロアリールアルケニルは、6~13員ヘテロアリールアルケニルであり、たとえば、アルケニル部分は(C~C)アルキルであり、且つヘテロアリール部分は5~10員ヘテロアリールである。
【0033】
「ヘテロアリールアルキニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、炭素原子に結合された水素原子の1つがヘテロアリール基に置き換えられた非環式アルケニル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールアルキニル基は、6~21員ヘテロアリールアルキルであり、たとえば、ヘテロアリールアルキニルのアルキニル部分は(C~C)アルキニルであり、且つヘテロアリール部分は5~15員ヘテロアリールである。他の実施形態では、ヘテロアリールアルキニルは、6~13員ヘテロアリールアルキニルであり、たとえば、アルキニル部分は(C~C)アルキルであり、且つヘテロアリール部分は5~10員ヘテロアリールである。
【0034】
「水和物」は、化学量論的割合で付加物の形成をもたらす本明細書に記載の化合物の結晶格子中への水の組込みを意味する。水和物の作製方法は、限定されるものではないが、水蒸気を含有する雰囲気、水を含む剤形での貯蔵、又はルーチン医薬処理ステップ、たとえば、結晶化(すなわち、水又は混合水性溶媒から)、凍結乾燥、湿式顆粒化、水性フィルム被覆、スプレー乾燥などを含む。水和物はまた、ある特定の状況下では、水蒸気への暴露の際又は水中への無水材料の懸濁の際に結晶性溶媒和物から形成されうる。水和物はまた、2つ以上の形で結晶化し水和物多形をもたらしうる。たとえば、(Guillory,K.,Chapter 5,pp.202-205 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1999)を参照されたい。水和物の以上の調製方法は、十分に当業者の範囲内にあり、完全に従来のものであり、当該技術の典型的な枠を超えた実験をなんら必要としない。水和物は、当業者に周知の方法、たとえば、単結晶X線回折、X線粉末回折、偏光光学顕微鏡法、サーマル顕微鏡法、熱重量測定、示差熱分析、示差走査熱量測定、IR分光法、ラマン分光法、NMR分光法などにより特徴付け及び/又は分析されうる。(Brittain,H.,Chapter 6,pp.205-208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.New York,1999)。そのほか、多くの営利会社は、たとえば、HOLODIAG,Pharmaparc II,Voie de l’Innovation,27100 Val de Reuil,France(http://www.holodiag.com)など、水和物の調製及び/又は特徴付けを含むサービスをルーチンで提供する。
【0035】
「親芳香環系」は、共役p電子系を有する不飽和環式又は多環式環系を意味する。具体的には、「親芳香環系」の定義内に含まれるのは、環の1つ以上が芳香族であり且つ環の1つ以上が飽和又は不飽和である縮合環系、たとえば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどである。典型的親芳香環系としては、限定されるものではないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどが挙げられる。
【0036】
「親ヘテロ芳香環系」は、1個以上の炭素原子(及び任意にいずれかの関連水素原子)が各々独立して同一又は異なるヘテロ原子に置き換えられた親芳香環系を意味する。炭素原子を置き換える典型的ヘテロ原子としては、限定されるものではないが、N、P、O、S、Siなどが挙げられる。具体的には、「親ヘテロ芳香環系」の定義内に含まれるのは、環の1つ以上が芳香族であり且つ環の1つ以上が飽和又は不飽和である縮合環系、たとえば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどである。典型的親ヘテロ芳香環系としては、限定されるものではないが、アルシンドール、カルバゾール、b-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが挙げられる。
【0037】
「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物の所望の薬理学的活性を保有する化合物の塩を意味する。かかる塩としては、(1)無機酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などで形成される、又は有機酸、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフト工酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などで形成される酸付加塩、或いは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、たとえば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンに置き換えられたときに、又は有機塩基、たとえば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどに配位したときに形成される塩が挙げられる。
【0038】
「preventing(~を防止すること)」又は「prevention(防止)」は、疾患又は障害を患うリスクの低減(すなわち、疾患に晒されたり又は疾患の素因を有したりしうるが疾患の症状をまだ経験も発症もしていない患者において疾患の臨床症状の少なくとも1つを発生させないようにすること)を意味する。疾患又は障害を防止するための又はその防止のための治療剤の適用は、「予防」として知られる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は、長期間にわたる長期副作用がより少ないため優れた予防を提供する。
【0039】
本明細書で用いられる「プロドラッグ」は、活性薬剤を放出するために体内での変換を必要とする薬剤分子の誘導体を意味する。プロドラッグは、多くの場合、必ずとは限らないが、親薬剤に変換されるまで薬理学的に不活性である。
【0040】
本明細書で用いられる「プロモイエティー」は、薬剤分子内の官能基をマスクするために使用されたときに薬剤をプロドラッグに変換する保護基の形態を意味する。典型的には、プロモイエティーは、酵素的又は非酵素的手段によりin vivoで切断される結合を介して薬剤に装着されるであろう。
【0041】
「保護基」は、分子中の反応性官能基に装着されたときに化学合成時の官能基の反応性をマスク、低減、又は防止する一群の原子を意味する。保護基の例は、Green et al.,“Protective Groups in Organic Chemistry”,(Wiley,2nd ed.1991)及びHarrison et al.,“Compendium of Synthetic Organic Methods”,Vols.1-8(John Wiley and Sons,1971-1996)に見いだされうる。代表的アミノ保護基としては、限定されるものではないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(「SES」)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられる。代表的ヒドロキシ保護基としては、限定されるものではないが、ヒドロキシ基にアシル化又はアルキル化のどちらかが行われるもの、たとえば、ベンジルエーテル及びトリチルエーテル、さらにはアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル、及びアリルエーテルが挙げられる。
【0042】
「溶媒和物」は、化学量論的割合で付加物の形成をもたらす本明細書に記載の化合物の結晶格子中への溶媒の組込みを意味する。溶媒和物の作製方法は、限定されるものではないが、溶媒を含有する雰囲気、溶媒を含む剤形での貯蔵、又はルーチン医薬処理ステップ、たとえば、結晶化(すなわち、溶媒又は混合溶媒から)蒸気拡散などを含む。溶媒和物はまた、ある特定の状況下では、溶媒への暴露の際に又は溶媒中の懸濁材料により他の結晶性溶媒和物又は水和物から形成されうる。溶媒和物はまた、2つ以上の形で結晶化し溶媒和物多形をもたらしうる。たとえば、(Guillory,K.,Chapter 5,pp.202-205 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1999))を参照されたい。溶媒和物の以上の調製方法は、十分に当業者の範囲内にあり、完全に従来のものであり、当該技術の典型的な枠を超えた実験をなんら必要としない。溶媒和物は、当業者に周知の方法、たとえば、単結晶X線回折、X線粉末回折、偏光光学顕微鏡法、サーマル顕微鏡法、熱重量測定、示差熱分析、示差走査熱量測定、IR分光法、ラマン分光法、NMR分光法などにより特徴付け及び/又は分析されうる。(Brittain,H.,Chapter 6,pp.205-208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.New York,1999)。そのほか、多くの営利会社は、たとえば、HOLODIAG,Pharmaparc II,Voie de l’Innovation,27100 Val de Reuil,France(http://www.holodiag.com)など、溶媒和物の調製及び/又は特徴付けを含むサービスをルーチンで提供する。
【0043】
「置換」は、具体的に示された基(group又はradical)を修飾するために用いられるとき、具体的に示された基の水素原子の1つ以上が各々互いに独立して同一又は異なる置換基に置き換えられることを意味する。具体的に示された基の飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、R、ハロ、-O-、=O、-OR、-SR、-S-、=S、-NR、=NR、=N-OR、トリハロメチル、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N-OR、-N-NR、-NRS(O)、=N、-N、-S(O)R、-S(O)NR、-S(O)O-、-S(O)OR、-OS(O)、-OS(O)O-、-OS(O)OR、-OS(O)NRNR、-P(O)(O-)、-P(O)(OR)(O-)、-P(O)(OR)(OR)、-C(O)R、-C(O)NR-OR-C(S)R、-C(NR)R、-C(O)O-、-C(O)OR、-C(S)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OC(O)R、-OC(S)R、-OC(O)O-、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-OC(NCN)NR-OC(S)OR、-NRC(O)R、-NRC(S)R、-NRC(O)O-、-NRC(O)OR、-NRC(NCN)OR、-NRS(O)NR、-NRC(S)OR、-NRC(O)NR、-NRC(S)NR、-NRC(S)NRC(O)R、-NRS(O)OR、-NRS(O)、-NRC(NCN)NR、-NRC(NR)R、及び-NRC(NR)NR(式中、各Rは、独立して、アリール、置換アリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、各Rは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、又は置換ヘテロアリールアルキルであり、且つ各Rは、独立して、Rであり、或いは代替的に2つのRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって4、5、6、若しくは7員シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、又はアリール基融合シクロヘテロアルキルを形成するとともに、O、N、及びSからなる群から選択される同一又は異なる追加のヘテロ原子を1~4個任意に含みうる)が挙げられる。具体例として、-NRは、-NH、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、及びN-モルホリニルを含むものとする。他の実施形態では、具体的に示された基の飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、R、ハロ、-OR、-NR、トリハロメチル、-CN、-NRS(O)、-C(O)R、-C(O)NR-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OS(O)NRNR、-OC(O)NR、及び-NRC(O)OR(式中、各Rは、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、各Rは、独立して、水素、R、ヘテロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであり、且つ各Rは、独立して、Rであり、又は代替的に2つのRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって4、5、6、7員シクロヘテロアルキル環を形成する)が挙げられる。
【0044】
具体的に示された基の不飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、-R、ハロ、-O-、-OR、-SR、-S-、-NR、トリハロメチル、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N、-S(O)O-、-S(O)OR、-OS(O)、-OS(O)OR、-OS(O)O-、-P(O)(O-)、-P(O)(OR)(O-)、-P(O)(OR)(OR)、-C(O)R、-C(S)R、-C(NR)R、-C(O)O-、-C(O)OR、-C(S)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OC(O)R、-OC(S)R、-OC(O)O-、-OC(O)OR、-OC(S)OR、-OC(O)NR、-OS(O)NRNR、-NRC(O)R、-NRC(S)R、-NRC(O)O-、-NRC(O)OR、-NRS(O)OR、-NRS(O)、-NRC(S)OR、-NRC(O)NR、-NRC(NR)R-NRC(NR)NR、及び-C(NR)NRC(NR)NR(式中、R、R、及びRは、先に定義された通りである)が挙げられる。他の実施形態では、具体的に示された基の不飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、-R、ハロ、-OR、-SR、-NR、トリハロメチル、-CN、-S(O)OR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OS(O)NRNR、-NRC(O)R、及び-NRC(O)OR(式中、R、R、及びRは、先に定義された通りである)が挙げられる。
【0045】
ヘテロアルキル基及びシクロヘテロアルキル基の窒素原子の置換に有用な置換基としては、限定されるものではないが、-R、-O-、-OR、-SR、-S-、-NR、トリハロメチル、-CF、-CN、-NO、-NO、-S(O)R、-S(O)O-、-S(O)OR、-OS(O)、-OS(O)O-、-OS(O)OR、-P(O)(O-)、-P(O)(OR)(O-)、-P(O)(OR)(OR)、-C(O)R、-C(S)R、-C(NR)R、-C(O)OR、-C(S)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OC(O)R、-OC(S)R、-OC(O)OR、-OC(S)OR、-NRC(O)R、-NRC(S)R、-NRC(O)OR、-NRC(S)OR、-NRC(O)NR、-NRC(NR)R-NRC(NR)NR、及び-C(NR)NRC(NR)NR(式中、R、R、及びRは、先に定義された通りである)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基及びシクロヘテロアルキル基の窒素原子の置換に有用な置換基としては、R、ハロ、-OR、-NR、トリハロメチル、-CN、-S(O)OR、-OS(O)、-OS(O)OR、-C(O)R、-C(NR)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OS(O)NRNR、-NRC(O)R及び-NRC(O)OR(式中、R、R、及びRは、先に定義された通りである)が挙げられる。
【0046】
他の具体的に示された基又は原子の置換に有用な以上のリストからの置換基は、当業者には明らかであろう。
【0047】
具体的に示された基の置換に使用される置換基は、典型的には、以上に具体的に示された各種基から選択される同一又は異なる基の1つ以上でさらに置換可能である。
【0048】
「被験者」、「個体」、又は「患者」は、本明細書では互換的に用いられ、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を意味する。哺乳動物としては、限定されるものではないが、ネズミ、齧歯動物、サル、ヒト、農場動物、スポーツ動物、及びペットが挙げられる。
【0049】
いずれかの疾患又は障害の「treating(~を処置すること)」又は「treatment(処置)」は、いくつかの実施形態では、疾患又は障害を回復すること(すなわち、疾患の発生又はその臨床症状の少なくとも1つを抑止又は低減すること)を意味する。処置はまた、疾患の発生又は臨床症状の少なくとも1つを回復、抑止、又は防止するための先制投与又は予防投与を含むものとみなされうる。さらなる特徴として、提示される処置は、多年にわたり長期副作用の可能性がより低い。他の実施形態では、「treating(~を処置すること)」又は「treatment(処置)」は、患者により見分けられないおそれのある少なくとも1つの物理的パラメーターを回復することを意味する。さらに他の実施形態では、「treating(~を処置すること)」又は「treatment(処置)」は、物理的に(たとえば、見分けられる症状の安定化)、生理学的に(たとえば、物理的パラメーターの安定化)、又はその両方のどれかで疾患又は障害を阻害することを意味する。さらに他の実施形態では、「treating(~を処置すること)」又は「treatment(処置)」は、疾患又は障害の発症を遅延すことを意味する。
【0050】
「治療有効量」は、疾患を処置するために患者に投与されたときに疾患を処置するのに十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度、並びに処置される患者の年齢、体重、吸着、分布、代謝、排泄などに依存して変動するであろう。
【0051】
「媒質」は、被験者への化合物の投与に用いられる希釈剤、賦形剤、又は担体を意味する。いくつかの実施形態では、媒質は薬学的に許容可能である。
【0052】
化合物
本明細書には、構造式(I):
【化2】
(式中、各Rは、独立して、1000ダルトン未満の分子量のチオール残基であり、Yは、-NRであり、Xは、-OR又は-SRであり、R及びRは、独立して、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、置換ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、置換ヘテロアリールアルケニルであり、又はR及びRは、それらが装着されている原子と一緒になってシクロアルキル環、置換シクロアルキル環、シクロアルケニル環、置換シクロアルケニル環 ヘテロシクロアルキル環、置換ヘテロシクロアルキル環、ヘテロシクロアルケニル環、又は置換ヘテロシクロアルケニル環を形成し、且つRは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、又は置換ヘテロアリールアルキルであり、ただし、R及びRは、両方が-Hであることはなく、且つR及びRが、それらが装着されている原子と一緒になってシクロアルキル環、置換シクロアルキル環、シクロアルケニル環、置換シクロアルケニル環 ヘテロシクロアルキル環、置換ヘテロシクロアルキル環、ヘテロシクロアルケニル環、又は置換ヘテロシクロアルケニル環を形成しない限り、R及びRの一方は-Hである)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物が提供される。
【0053】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、500ダルトン未満の分子量のチオール残基である。他の実施形態では、Rは、
【化3】
であり、R101~R103、R106、R109、R116118は、独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであり、且つR104、R105、R107、R108、R110~R115、及びR119~R129は、独立して、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルである。そのほか他の実施形態では、R101~R103、R106、R109、R116118は、独立して、アルキル又はアルケニルである。そのほか他の実施形態では、R104、R105、R107、R108、R110~R115、及びR119~R129は、独立して、-H、アルキル、又はアルケニルである。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rは、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアルケニル、置換ヘテロアルキニル、置換アリール、又は置換ヘテロアリールである。他の実施形態では、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、-NH又はNHC(O)R130置換ヘテロアリール(式中、R130は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルである)である。そのほか他の実施形態では、R130は、アルキル又はアルケニルである。
【0055】
いくつかの実施形態では、R及びRは、独立して、-H、置換アルキル、置換アルケニル、置換アリールアルキル、置換アリールアルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、置換ヘテロアルケニル、置換ヘテロアリールアルキル、又は置換ヘテロアリールアルケニルである。他の実施形態では、R及びRは、独立して、-H、置換アルキル、置換アルケニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、又は置換ヘテロアルケニルである。そのほか他の実施形態では、R及びRは、独立して、-H、置換アルキル、又は置換アルケニルである。
【0056】
いくつかの実施形態では、R及びRは、独立して、-H又は-CHRCOであり、Rは、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、且つRは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、又は置換シクロヘテロアルケニルである。他の実施形態では、R及びRは、独立して、-H又は-CHRCOであり、Rは、-H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、又は置換アルケニルであり、且つRは、アルキル、アルケニル又はアリールアルケニルである。そのほか他の実施形態では、R及びRは、独立して、-H、又は
【化4】
である。そのほか他の実施形態では、R及びRの一方は-Hであり、且つR及びRの他方は
【化5】
である。
【0057】
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルケニル、置換アリールアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、又は置換ヘテロアリールアルキルである。他の実施形態では、Rは、アルキル、アルケニル、アリール、又は置換アリールである。
【0058】
いくつかの実施形態では、構造式:
【化6】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物が提供される。他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はトリフルオロアセテート塩である。
【0059】
いくつかの実施形態では、構造式:
【化7】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物が提供される。他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はトリフルオロアセテート塩である。
【0060】
いくつかの実施形態では、構造式:
【化8】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物が提供される。他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はトリフルオロアセテート塩である。そのほか他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はフマレート塩である。
【0061】
いくつかの実施形態では、構造式:
【化9】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物が提供される。他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はトリフルオロアセテート塩である。そのほか他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はフマレート塩である。
【0062】
いくつかの実施形態では、構造式:
【化10】
の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩、水和物、又は溶媒和物が提供される。他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はトリフルオロアセテート塩である。そのほか他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はフマレート塩である。
【0063】
構造式(I)の化合物は、以下の表1に例示される。表1に例示される化合物が遊離アミンを含むとき、描かれる構造は、アミンの代わりのアミンのトリフルオロアセテート塩を任意に含みうることが理解されるべきである。
【表1】
【0064】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化11】
からなる群から選択される。
【0065】
組成物及び投与方法
本明細書に提供される組成物は、本明細書に記載の疾患又は障害の症状の1つ以上の防止、処置、又は回復に有用な治療有効量の1つ以上の本明細書に提供される化合物と媒質とを含有する。本明細書に提供される化合物の投与に好適な媒質は、特定投与モードに好適な当業者に公知のいずれかのかかる担体を含む。そのほか、化合物は、組成物中の唯一の活性成分として製剤化されうるか、又は他の活性成分と組み合わされうる。
【0066】
組成物は、1つ以上の本明細書に提供される化合物を含有する。化合物は、いくつかの実施形態では、経口投与用として溶液剤、サスペンジョン剤、錠剤、分散性錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、持続放出製剤、エリキシル剤などの、又は非経口投与、さらには外用投与、経真皮投与、並びにネブライザー、加圧計量用量インヘラー、及び乾燥粉末インヘラーを介する経口吸入用として無菌溶液剤やサスペンジョン剤などの好適な調製物に製剤化される。いくつかの実施形態では、以上に記載の化合物は、当技術分野で周知の技術及び手順を用いて組成物に製剤化される(たとえば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Seventh Edition(1999)を参照されたい)。
【0067】
組成物において、有効濃度の1つ以上の化合物又はその誘導体は、好適な媒質と混合される。化合物は、以上に記載の製剤化の前に、対応する塩、エステル、エノールエーテル又はエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、イオン対、水和物、又はプロドラッグとして誘導体化されうる。組成物中の化合物の濃度は、投与の際、本明細書に記載の疾患又は障害を処置しその症状の1つ以上の防止又は回復をもたらす量で送達するのに有効なものである。いくつかの実施形態では、組成物は、単回投与量投与用として製剤化される。組成物を製剤化するために、重量分率の化合物は、処置病態の軽減、防止、又は症状の1つ以上の回復が行われるように有効濃度で選択媒質中に溶解、懸濁、分散、さもなければ混合される。
【0068】
活性化合物は、処置患者に及ぼす望ましくない副作用の不在下で治療有用効果を発揮するのに十分な量で媒質中に含まれる。治療有効濃度は、当業者に周知のin vitro及びin vivo系で化合物を検査することにより経験的に予測されうるとともに、次いで、それからヒトへの投与量に関して推断されうる。次いで、ヒト用量は、典型的には臨床トライアルでファインチューニングされ、奏効するように漸増減される。
【0069】
組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化、及び排出速度、化合物の物理化学的特性、投与スケジュール、並びに投与量、さらには当業者に公知の他の因子に依存するであろう。たとえば、送達される量は、本明細書に記載の疾患又は障害の症状の1つ以上を回復するのに十分なものである。
【0070】
化合物が不十分な溶解性を呈する場合、リポソーム、プロドラッグ、錯体化/キレート化、ナノ粒子、又はエマルジョン若しくは3次テンプレーティングの使用など、化合物の可溶化方法を使用しうる。かかる方法は、当業者に公知であり、限定されるものではないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒の使用、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤若しくは表面改質剤、シクロデキストリンなどの複合体化剤の使用、又はイオン化増強による溶解(すなわち、水性重炭酸ナトリウム中への溶解)を含む。化合物の誘導体、たとえば、化合物のプロドラッグもまた、有効組成物の製剤化に使用されうる。
【0071】
化合物の添加又は混合の際、得られる混合物は、溶液、サスペンジョン、エマルジョンなどでありうる。得られる混合物の形態は、意図される投与モード及び選択媒質中への化合物の溶解性をはじめとするいくつかの因子に依存する。有効濃度は、処置される疾患、障害、又は病態の症状を回復するのに十分なものであり、経験的に決定されうる。
【0072】
組成物は、適応症に適切な剤形で、たとえば、好適量の化合物又はその誘導体を含有する乾燥粉末インヘラー剤(DPI)、加圧計量用量インヘラー剤(pMDI)、ネブライザー剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、舌下テープ剤/バイオ侵食性ストリップ剤、錠剤、又はカプセル剤、粉末剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、ローション剤、サルブ剤、坐剤、ファーストメルト剤、経真皮パッチ剤又は他の経真皮適用デバイス/調製物、無菌非経口溶液剤又はサスペンジョン剤、及び経口溶液剤又はサスペンジョン剤、並びに油-水エマルジョン剤で、ヒト及び動物への投与のために提供される。治療活性化合物及びその誘導体は、いくつかの実施形態では、ユニット剤形又はマルチプル剤形で製剤化され投与される。本明細書で用いられるユニット剤形は、当技術分野で公知のようにヒト及び動物被験者に好適な個別にパッケージされた物理的にディスクリートなユニットを意味する。各ユニット用量は、所要の媒質を併用して所望の治療効果を生じるのに十分なあらかじめ決められた量の治療活性化合物を含有する。ユニット剤形の例としては、アンプル及びシリンジ並びに個別にパッケージされた錠剤又はカプセル剤が挙げられる。ユニット剤形は、その何分のいくつか又は何倍かで投与されうる。マルチプル剤形は、分離ユニット剤形で投与されるように単一容器中にパッケージされた複数の同等ユニット剤形である。マルチプル剤形の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤のボトル、又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。そのため、マルチプル剤形は、パッケージングの際に分離されない複数のユニット用量である。
【0073】
液状組成物は、たとえば、以上に定義される活性化合物及び任意のアジュバントを媒質、たとえば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどに溶解、分散、さもなければ混合し、それにより溶液若しくはサスペンジョン、コロイダルディスパージョン、エマルジョン、又はリポソーム製剤を形成することにより調製される。所望により、投与される組成物はまた、マイナー量の非毒性補助物質、たとえば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など、たとえば、アセテート、ナトリウムシトレート、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート、トリエタノールアミンオレエート、及び他のかかる作用剤を含有しうる。
【0074】
かかる剤形の実際の調製方法は、公知であるか又は当業者には明らかであろう。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,15th Edition,1975又はその後版を参照されたい。
【0075】
0.005%~100%の範囲内で活性成分を含有し残部が媒質又は担体から構成される剤形又は組成物が調製されうる。こうした組成物の作製方法は当業者に公知である。企図される組成物は、活性成分を0.001%~100%、一実施形態では0.1~95%、他の一実施形態では0.4~10%含有しうる。
【0076】
ある特定の実施形態では、組成物は、たとえば、米国薬局方(USP)25-NF20(2002)にリストされた当技術分野で周知の賦形剤を含有するラクトースフリー組成物である。一般的には、ラクトースフリー組成物は、活性成分、バインダー/充填剤、及び滑沢剤を適合量で含有する。特定のラクトースフリー剤形は、活性成分、マイクロ結晶性セルロース、プレ糊化デンプン、及びマグネシウムステアレートを含有する。
【0077】
さらに、水はいくつかの化合物の分解を促進する可能性があるので、活性成分を含む無水組成物及び剤形が提供される。たとえば、製剤のシェルフライフや経時的安定性などの特性を決定するために、長期貯蔵をシミュレートする手段として水(たとえば5%)の添加が広く受け入れられている。たとえば、Jens T.Carstensen,Drug Stability:Principles & Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,1995,pp.379-80を参照されたい。事実上、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速する。このため、製剤の製造、取扱い、パッケージング、貯蔵、輸送、及び使用時には湿分及び/又は湿度に普通に遭遇することから、製剤に及ぼす水の影響はかなり重要でありうる。
【0078】
本明細書に提供される無水組成物及び剤形は、無水又は低湿分含有成分及び低湿分又は低湿度条件を用いて調製可能である。
【0079】
無水組成物は、その無水性が維持されるように調製され貯蔵されるべきである。それゆえ、無水組成物は、水への暴露を防止することが知られる材料を用いてそれが好適な処方キットに含まれうるように一般にパッケージされる。好適なパッケージングの例としては、限定されるものではないが、ハーメチックシールフォイル、プラスチック、ユニット用量容器(たとえばバイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられる。
【0080】
経口剤形は、固形、ゲル状、又は液状のどれかである。固形剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、及びバルク粉末剤である。経口錠剤のタイプには、腸溶性コーティング錠、糖コーティング錠、又はフィルムコーティング錠でありうる圧縮チュアブルロゼンジ剤及び錠剤が含まれる。カプセル剤は、ハード又はソフトゼラチンカプセル剤でありうるとともに、顆粒剤及び粉末剤は、当業者に公知の他の成分との組合せで非発泡形又は発泡形で提供されうる。
【0081】
ある特定の実施形態では、製剤は、固形剤形、たとえば、カプセル剤や錠剤などである。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、次の成分:バインダー、滑沢剤、希釈剤、流動化剤、崩壊剤、着色剤、甘味剤、風味剤、湿潤剤、腸溶コーティング剤、フィルムコーティング剤、及び修飾放出剤、又は類似の性質の化合物の1つ以上を含有可能である。バインダーの例としては、マイクロ結晶性セルロース、メチルパラベン、ポリアルキレンオキシド、トラガカントガム、グルコース溶液、アカシア粘液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロース、並びにデンプン及びデンプン誘導体が挙げられる。滑沢剤としては、タルク、デンプン、マグネシウム/カルシウムステアレート、セキショウシ、及びステアリン酸が挙げられる。希釈剤としては、たとえば、ラクトース、スクロース、トレハロース、リシン、ロイシン、レシチン、デンプン、カオリン、塩、マンニトール、及びリン酸二カルシウムが挙げられる。流動化剤としては、限定されるものではないが、コロイダル二酸化ケイ素が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤としては、たとえば、承認認証水溶性FD及びC色素、それらの混合物、並びにアルミナ水和物上に懸濁された水不溶性FD及びC色素、並びに当業者に公知の先進着色又は偽造防止色/オパール色添加剤のいずれかが挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、及び人工甘味剤、たとえば、サッカリン及びいずれかの数のスプレードライ風味剤が挙げられる。風味剤としては、果実などの植物から抽出される天然風味剤並びに快感を生じる又は不快味をマスクする化合物の合成ブレンド、たとえば、限定されるものではないがペパーミント及びメチルサリチレートが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。腸溶コーティング剤としては、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア化シェラック、及びセルロースアセテートフタレートが挙げられる。フィルムコーティング剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000、及びセルロースアセテートフタレートが挙げられる。修飾放出剤としては、Eudragit(登録商標)シリーズやセルロースエステルなどのポリマーが挙げられる。
【0082】
化合物又はその誘導体は、胃の酸性環境からそれを保護する組成物で提供可能である。たとえば、組成物は、胃内でそのインテグリティーを維持するとともに腸内で活性化合物を放出する腸溶コーティング剤で製剤化可能である。組成物はまた、制酸剤又は他のかかる成分との組合せで製剤化されうる。
【0083】
投与ユニット形がカプセル剤であるとき、それは、以上のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液状担体を含有可能である。そのほか、投与ユニット形は、物理投与ユニット形を修飾する各種他の材料、たとえば、糖コーティング剤及び他の腸溶剤を含有可能である。化合物はまた、エリキシル剤、サスペンジョン剤、シロップ剤、ウエファー剤、スプリンクル剤、チューインガムなどの成分として投与可能である。シロップ剤は、活性化合物に加えて、甘味剤としてスクロース、並びにある特定の保存剤、色素及び着色剤、並びに風味剤を含有しうる。
【0084】
活性材料はまた、所望の作用を損なわない他の活性材料と、又は所望の作用を補う材料、たとえば、制酸剤、Hブロッカー、及び利尿剤と混合可能である。活性成分は、本明細書に記載の化合物又はその誘導体である。より高濃度、最大約98重量%までの活性成分が含まれうる。
【0085】
すべての実施形態において、錠剤及びカプセル剤製剤は、活性成分の溶解を修飾又は持続するために当業者に公知のように被覆されうる。このため、たとえば、それらは、フェニルサリチレート、ワックス、セルロースアセテートフタレートなどの従来の腸溶消化性コーティングで被覆されうる。
【0086】
液状経口剤形としては、水性溶液剤、エマルジョン剤、サスペンジョン剤、非発泡性顆粒剤から再構成される溶液剤及び/又はサスペンジョン剤、並びに発泡性顆粒剤から再構成される発泡性調製物が挙げられる。水性溶液剤としては、たとえば、エリキシル剤及びシロップ剤が挙げられる。エマルジョン剤は、水中油又は油中水のどちらかである。
【0087】
エリキシル剤は、透明甘味ヒドロアルコール性調製物である。エリキシル剤で使用される媒質は、溶媒を含む。シロップ剤は、糖たとえばスクロースの濃縮水性溶液であり、保存剤を含有しうる。エマルジョン剤は、1つの液体が別の液体全体にわたり小さなグロビュールの形で分散された2相系である。エマルジョン剤で使用される担体は、非水性液体、乳化剤、及び保存剤である。サスペンジョン剤では、懸濁化剤及び保存剤が使用される。液状経口剤形に再構成される非発泡性顆粒剤で使用される許容可能な物質としては、希釈剤、甘味剤、及び湿潤剤が挙げられる。液状経口剤形に再構成される発泡性顆粒剤で使用される許容可能な物質としては、有機酸及び二酸化炭素源が挙げられる。着色剤及び風味剤は、以上の剤形のすべてにおいて使用される。
【0088】
溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、及びシロップが挙げられる。保存剤の例としては、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、ナトリウムベンゾエート、並びにアルコールが挙げられる。エマルジョン剤で利用される非水性液体の例としては、ミネラル油及びメンジツ油が挙げられる。乳化剤の例としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、及び界面活性剤、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。懸濁化剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガカント、Veegum、及びアカシアが挙げられる。甘味剤としては、スクロース、シロップ、グリセリン、及び人工甘味剤、たとえば、サッカリンが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。有機酸としては、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、承認認証水溶性FD及びC色素のいずれか並びにそれらの混合物が挙げられる。風味剤としては、果実などの植物から抽出される天然風味剤及び快い味覚を生じる化合物の合成ブレンドが挙げられる。
【0089】
固形剤形では、たとえば、プロピレンカーボネート、植物油、又はトリグリセリド中の溶液剤又はサスペンジョン剤は、いくつかの実施形態では、ゼラチンカプセルでカプセル化される。かかる溶液剤並びにその調製及びカプセル化は、米国特許第4,328,245号明細書、同第4,409,239号明細書、及び同第4,410,545号明細書に開示されている。液状剤形では、たとえば、ポリエチレングリコール中などの溶液剤は、投与のために容易に測定されるように、液状媒質、たとえば、十分量の水で希釈されうる。
【0090】
代替的に、液状又は半固形経口製剤は、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(たとえば、プロピレンカーボネート)、及び他のかかる担体中に活性化合物又は塩を溶解又は分散すること並びにこれらの溶液又はサスペンジョンをハード又はソフトゼラチンカプセルシェル中にカプセル化することにより、調製されうる。他の有用製剤としては、米国再発行特許第28,819号明細書及び米国特許第4,358,603号明細書に示されるものが挙げられる。簡潔に述べると、かかる製剤としては、限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物と、ジアルキル化モノ又はポリアルキレングリコール(限定されるものではないが、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルを含み、その場合、350、550、及び750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を意味する)と、1つ以上の抗酸化剤、たとえば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピルガレート、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸及びそのエステル、並びにジチオカルバメートと、を含有するものが挙げられる。
【0091】
他の製剤としては、限定されるものではないが、アセタールを含む水性アルコール性溶液剤が挙げられる。この製剤で使用されるアルコールは、1つ以上のヒドロキシル基を有するいずれかの水混和性溶媒(限定されるものではないが、プロピレングリコール及びエタノールを含む)である。アセタールとしては、限定されるものではないが、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、たとえば、アセトアルデヒドジエチルアセタールが挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、皮下、筋内、又は静脈内のどれかへの注射により特徴付けられる非経口投与もまた、本明細書で企図される。注射剤は、注射前に液体中に溶解若しくは懸濁するのに好適な固形形の液状溶液剤若しくはサスペンジョン剤として又はエマルジョン剤としてのどれかで、従来形で調製可能である。注射剤の溶液剤及びエマルジョン剤はまた、1つ以上の賦形剤を含有する。好適な賦形剤は、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、又はエタノールである。そのほか、所望により、投与される組成物はまた、マイナー量の非毒性補助物質、たとえば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性増強剤、及び他のかかる作用剤、たとえば、ナトリウムアセテート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、シクロデキストリンなどを含有しうる。
【0093】
一定レベルの投与量が維持されるような緩徐放出系又は持続放出系(たとえば、米国特許第3,710,795号明細書を参照されたい)の植込みもまた、本明細書で企図される。簡潔に述べると、本明細書に提供される化合物は、体液に不溶な外側ポリメリック膜、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、ビニルアセテート、ビニリデンクロリド、エチレン、及びプロピレンとのビニルクロリドコポリマー、アイオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーに取り囲まれた固形内側マトリックス、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、たとえば、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、並びに架橋部分加水分解ポリビニルアセテート中に分散される。化合物は、放出速度制御ステップで外側ポリメリック膜を介して拡散する。かかる非経口組成物に含有される活性化合物のパーセンテージは、その具体的性質さらには化合物の活性及び被験者のニーズにかなり依存する。
【0094】
組成物の非経口投与としては、静脈内、皮下、及び筋内投与が挙げられる。非経口投与用の調製物としては、即注射可能な無菌溶液剤、無菌乾燥可溶物、たとえば、使用直前に溶媒と即組合せ可能な凍結乾燥粉末剤(皮下注射用錠剤を含む)、即注射可能な無菌サスペンジョン剤、使用直前に媒質と即組合せ可能な無菌乾燥不溶物、及び無菌エマルジョン剤が挙げられる。溶液剤は、水性又は非水性のどちらかでありうる。
【0095】
静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及びグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、それらの混合物などの増粘剤や可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0096】
非経口調製物で使用される媒質は、水性媒質、非水性媒質、抗微生物剤、等張化剤、緩衝剤、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤又はキレート化剤、並びに他の物質を含む。
【0097】
水性媒質の例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース及び乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口媒質としては、野菜起源の固定油、メンジツ油、トウモロコシ油、ゴマ油、及びピーナッツ油が挙げられる。複数回投与容器中にパッケージされる非経口調製物には、静細菌又は静真菌濃度の抗微生物剤が添加されなければならず、フェノール又はクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、ベンザルコニウムクロリド、並びにベンゼトニウムクロリドが含まれる。等張化剤としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。酸化防止剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては、プロカインヒドロクロリドが挙げられる。懸濁化剤及び分散剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(Tween(登録商標)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤又はキレート化剤としては、EDTAが挙げられる。担体はまた、水混和性媒質用としてエチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、並びにpH調整用として水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、又は乳酸を含む。
【0098】
化合物の濃度は、注射液が所望の薬理学的効果を生じる有効量を提供するように調整される。厳密用量は、当技術分野で公知のように、患者又は動物の年齢、体重、体表面積、及び病態に依存する。
【0099】
ユニット用量非経口調製物は、アンプル、バイアル、又は針付きシリンジにパッケージされる。非経口投与用の調製物はすべて、当技術分野で公知のように且つ実用されているように無菌でなければならない。
【0100】
例示的に、活性化合物を含有する無菌水性溶液剤の静脈内又は動脈内注入は、有効な投与モードである。他の一実施形態は、所望の薬理学的効果を生じるように必要に応じて注射される活性材料を含有する無菌水性又は油性溶液剤又はサスペンジョン剤である。
【0101】
注射剤は、局所及び全身投与用として設計される。いくつかの実施形態では、治療有効投与量は、処置組織に対して少なくとも約0.01%w/w~約90%w/w以上まで、ある特定の実施形態では0.1%w/w超の濃度の活性化合物を含有するように製剤化される。
【0102】
化合物は、マイクロナイズされた若しくは他の好適な形態で懸濁されうるか、又はより可溶性の活性物を生じるように若しくはプロドラッグを生じるように誘導体化されうる。得られる混合物の形態は、意図される投与モード及び選択担体又は媒質中への化合物の溶解性をはじめとするいくつかの因子に依存する。有効濃度は、病態の症状を回復するのに十分なものであり、経験的に決定されうる。
【0103】
本明細書に提供される活性成分は、制御放出手段により又は当業者に周知の送達デバイスにより投与可能である。例としては、限定されるものではないが、米国特許第3,845,770明細書、同第3,916,899号明細書、同第3,536,809号明細書、同第3,598,123号明細書、同第4,008,719号明細書、同第5,674,533号明細書、同第5,059,595号明細書、同第5,591,767号明細書、同第5,120,548号明細書、同第5,073,543号明細書、同第5,639,476号明細書、同第5,354,556号明細書、同第5,639,480号明細書、同第5,733,566号明細書、同第5,739,108号明細書、同第5,891,474号明細書、同第5,922,356号明細書、同第5,972,891号明細書、同第5,980,945号明細書、同第5,993,855号明細書、同第6,045,830号明細書、同第6,087,324号明細書、同第6,113,943号明細書、同第6,197,350号明細書、同第6,248,363号明細書、同第6,264,970号明細書、同第6,267,981号明細書、同第6,376,461号明細書、同第6,419,961号明細書、同第6,589,548号明細書、同第6,613,358号明細書、同第6,699,500号明細書、及び同第6,740,634号明細書に記載のものが挙げられる。かかる剤形は、さまざまな割合で所望の放出プロファイルを提供するように、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、マルチ層コーティング、マイクロ粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はそれらの組合せを用いて、1つ以上の活性成分の緩徐又は制御放出を提供するために使用可能である。当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本明細書に記載のものを含めて、本明細書に提供される活性成分と共に使用するために簡単に選択可能である。
【0104】
制御放出物はすべて、その非制御カウンターパートにより達成されるものを超えて薬剤療法を改善するという共通目標を有する。理想的には、メディカル処置における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小量の時間で病態を治癒又は制御するために最小の薬剤物質を利用することにより特徴付けられる。制御放出製剤の利点としては、長期にわたる薬剤活性、投与頻度の低減、及び患者コンプライアンスの増加が挙げられる。そのほか、制御放出製剤は、作用開始時期又は他の特性、たとえば、血中薬剤レベルに影響を及ぼすように使用可能であり、このため、副作用(たとえば悪影響)の発生に影響を及ぼしうる。
【0105】
ほとんどの制御放出製剤は、所望の治療効果を速やかに生じる薬剤(活性成分)量を初期に放出するように、且つ他の薬剤量の放出を徐々に且つ断続的に行って長期にわたりこの治療又は予防効果レベルを維持するように設計される。体内の薬剤をこの一定レベルに維持するために、薬剤は、代謝され体から排泄される薬剤量を置き換える速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の制御放出は、限定されるものではないが、pH、温度、酵素、水、若しくは他の生理学的条件、又は化合物をはじめとする各種条件により刺激可能である。
【0106】
ある特定の実施形態では、作用剤は、静脈内注入、植込み型浸透圧ポンプ、経真皮パッチ、リポソーム、又は他の投与モードを用いて投与されうる。いくつかの実施形態では、ポンプが使用されうる(Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987)、Buchwald et al.,Surgery 88:507(1980)、Saudek et al.,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照されたい)。他の実施形態では、ポリメリック材料を使用可能である。他の実施形態では、制御放出系は、治療標的に近接して配置可能であり、すなわち、このため、全身用量の一部分のみを必要とする(たとえば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,vol.2,pp.115-138(1984)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、制御放出デバイスは、不適切な免疫活性化又は腫瘍の部位に近接して被験者に導入される。他の制御放出系は、Langer(Science 249:1527-1533(1990))によるレビューで考察されている。活性成分は、体液に不溶な外側ポリメリック膜、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、ビニルアセテート、ビニリデンクロリド、エチレン、及びプロピレンとのビニルクロリドコポリマー、アイオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーに取り囲まれた固形内側マトリックス、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、たとえば、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、並びに架橋部分加水分解ポリビニルアセテート中に分散可能である。次いで、活性成分は、放出速度制御ステップで外側ポリメリック膜を介して拡散する。かかる非経口組成物に含有される活性成分のパーセンテージは、その具体的性質さらには被験者のニーズにかなり依存する。
【0107】
また、本明細書で対象となるのは、溶液剤、エマルジョン剤、及び他の混合物として投与のために再構成可能な凍結乾燥粉末である。それらはまた、固形剤又はゲル剤として製剤化され再構成されうる。
【0108】
無菌凍結乾燥粉末剤は、本明細書に提供される化合物又はその誘導体を好適な溶媒中に溶解することにより調製される。溶媒は、安定性を改善する賦形剤又は粉末剤若しくは粉末剤から調製される再構成溶液の他の薬理学的成分を含有しうる。使用されうる賦形剤は、限定されるものではないが、酸化防止剤、緩衝剤、及びバルキング剤を含みうる。いくつかの実施形態では、賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、及び他の好適な作用剤から選択される。溶媒は、緩衝剤、たとえば、クエン酸塩、リン酸ナトリウム若しくはカリウム、又は当業者に公知の他のかかる緩衝剤を約中性pHで含有しうる。溶液の後続無菌濾過それに続く当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥は、所望の製剤を提供する。いくつかの実施形態では、得られた溶液は、凍結乾燥のためにバイアル中に分配されるであろう。各バイアルは、単回投与量又は複数回投与量の化合物を含有するであろう。凍結乾燥粉末は、適切な条件下で、たとえば、約4℃~室温で貯蔵可能である。
【0109】
注射用水によるこの凍結乾燥粉末剤の再構成は、非経口投与での使用のための製剤を提供する。再構成のために、凍結乾燥粉末剤は無菌水又は他の好適な担体に添加される。精密量は、選択化合物に依存する。かかる量は、経験的に決定可能である。
【0110】
外用混合物は、局所及び全身投与に記載のように調製される。得られる混合物は、溶液剤、サスペンジョン剤、エマルジョン剤などでありうるとともに、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、エマルジョン剤、溶液剤、エリキシル剤、ローション剤、サスペンジョン剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、エアロゾル剤、灌注剤、スプレー剤、坐剤、バンデージ剤、真皮パッチ剤、又は外用投与に好適ないずれかの他の製剤として製剤化される。
【0111】
化合物又はその誘導体は、吸入などによる外用適用のためのエアロゾルとして製剤化されうる(たとえば、炎症性疾患とくに喘息の処置に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルが記載されている米国特許第4,044,126号明細書、同第4,414,209号明細書、及び同第4,364,923号明細書を参照されたい)。気道への投与のためのこうした製剤は、単独で又はラクトースなどのイナート担体との組合せで、ネブライザー用のエアロゾル剤若しくは溶液剤又は吹送用のマイクロファイン粉末剤の形態でありうる。かかる場合には、製剤の粒子は、いくつかの実施形態では5ミクロン未満、他の実施形態では10ミクロン未満の質量メジアン幾何学的直径を有する。
【0112】
吸入に好適な化合物又はその誘導体の経口吸入製剤としては、計量用量インヘラー剤、乾燥粉末インヘラー剤、及びネブライザー又は計量用量液状ディスペンシングシステムからの投与のための液状調製物が挙げられる。計量用量インヘラー剤及び乾燥粉末インヘラー剤の両方に対して、化合物又はその誘導体の結晶形は、より長い物品安定性を付与する薬剤の好ましい物理形である。
【0113】
当業者に公知の粒子サイズ低減方法に加えて、化合物又はその誘導体の結晶性粒子は、単一ステップで所望のサイズの呼吸可能粒子を生産することにより吸入送達用のかかる粒子の生産に有意な利点を呈する超臨界流体処理を用いて発生可能である。(たとえば、国際公開第2005/025506号パンフレット)。化合物又はその誘導体が有意分率で肺に堆積されるのを確保するために、マイクロ結晶の制御粒子サイズを選択可能である。いくつかの実施形態では、こうした粒子は、約0.1~約10ミクロン、他の実施形態では約1~約5ミクロン、そのほか他の実施形態では約1.2~約3ミクロンの質量メジアン空気力学的直径を有する。
【0114】
イナート及び非引火性HFA噴射剤は、HFA134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)及びHFA227e(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)から選択され、単独又は化合物若しくはその誘導体の結晶粒子の密度にマッチする比のどちらかで提供される。比はまた、物品サスペンジョン剤の有害沈降又はクリーム(それにより不可逆アグロメレーションを引き起こす可能性がある)が回避されるのを確保するために、その代わりに振盪したときに容易に分散する緩くフロキュレートした系が促進されるのを確保するために選択される。緩く揺動される系は、pMDIキャニスターに対して最適安定性を提供するものと十分にみなされる。製剤の性質の結果として、製剤は、エタノールも界面活性剤/安定化剤も含有しなかった。
【0115】
化合物は、局所又は外用適用のために、たとえば、皮膚及び粘膜(たとえば眼内)への外用適用のために、ゲル剤、クリーム剤、及びローション剤の形態で、並びに眼への適用のために、又は槽内若しくは脊髄内適用のために製剤化されうる。外用投与は、経真皮送達用として、さらにまた眼若しくは粘膜への投与のために又は吸入療法用として企図される。活性化合物の点鼻溶液はまた、単独で又は他の賦形剤との組合せで投与可能である。
【0116】
鼻投与では、調製物は、エアロゾル適用のために液状担体、特定的には水性担体中に溶解又は懸濁されたエステル化ホスホネート化合物を含有しうる。担体は、プロピレングリコールなどの可溶化剤若しくは懸濁化剤、界面活性剤、レシチンやシクロデキストリンなどの吸収増強剤、又は保存剤を含有しうる。
【0117】
溶液剤、とくに眼科使用が意図されるものは、適切な塩を含む0.01%~10%等張溶液(pH約5~7.4)として製剤化されうる。
【0118】
経真皮パッチ剤などの他の投与経路もまた、イオン泳動及び電気泳動デバイス並びに直腸投与を含めて、本明細書で企図される。
【0119】
経真皮パッチ剤は、イオン泳動及び電気泳動デバイスを含めて、当業者に周知である。たとえば、かかるパッチ剤は、米国特許第6,267,983号明細書、同第6,261,595号明細書、同第6,256,533号明細書、同第6,167,301号明細書、同第6,024,975号明細書、同第6号明細書、010715、同第5,985,317号明細書、同第5,983,134号明細書、同第5,948,433号明細書、及び同第5,860,957号明細書に開示されている。
【0120】
たとえば、直腸投与用の剤形は肛門坐剤であり、全身効果用はカプセル剤及び錠剤である。本明細書で使用される肛門坐剤は、体温で融解又は軟化して1つ以上の薬理活性又は治療活性成分を放出する直腸への挿入用の固形体を意味する。肛門坐剤で利用される物質は、基剤又は媒質及び融点上昇剤である。基剤の例としては、ココアバター(テオブロマ油)、グリセリン-ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、並びに脂肪酸のモノ、ジ、及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。各種基剤の組合せが使用されうる。坐剤の融点上昇剤としては、ゲイロウ及びワックスが挙げられる。肛門坐剤は、圧縮法によるか又は成形法によるかのどちらかで調製されうる。肛門坐剤の重量は、一実施形態では約2~3グラムである。直腸投与用の錠剤及びカプセル剤は、経口投与用の製剤と同一の物質を用いて及び同一の方法により製造される。
【0121】
本明細書に提供される化合物又はその誘導体はまた、特定組織、受容器、又は処置される被験者の身体の他の領域を標的とするように製剤化されうる。多くのかかる標的化方法は、当業者に周知である。かかる標的化方法はすべて、本組成物での使用が本明細書で企図される。標的化方法の非限定的例については、たとえば、米国特許第6,316,652号明細書、同第6,274,552号明細書、同第6,271,359号明細書、同第6,253,872号明細書、同第6,139,865号明細書、同第6,131,570号明細書、同第6,120,751号明細書、同第6,071,495号明細書、同第6,060,082号明細書、同第6,048,736号明細書、同第6,039,975号明細書、同第6,004,534号明細書、同第5,985,307号明細書、同第5,972,366号明細書、同第5,900,252号明細書、同第5,840,674号明細書、同第5,759,542号明細書、及び同第5,709,874号明細書を参照されたい。
【0122】
いくつかの実施形態では、リポソームサスペンジョン剤もまた、腫瘍標的化リポソームなどの組織標的化リポソームを含めて、担体として好適でありうる。これらは、当業者に公知の方法に従って調製されうる。たとえば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号明細書に記載のように調製されうる。簡潔に述べると、マルチラメラベシクル(MLV)などのリポソームは、フラスコ内でホスファチジルコリン及びホスファチジルセリン(モル比7:3)をドライダウンすることにより形成されうる。2価カチオンを欠如するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の本明細書に提供される化合物の溶液を添加し、脂質膜が分散されるまでフラスコを振盪させる。得られたベシクルを洗浄して非カプセル化化合物を除去し、遠心分離によりペレット化し、次いでPBS中に再懸濁させる。
【0123】
化合物又はその誘導体は、パッケージング材料と、パッケージング材料内の前掲の疾患又は障害の症状の1つ以上の処置、防止、又は回復に有効な本明細書に提供される化合物又はその誘導体と、化合物若しくは組成物又はその誘導体が前掲の疾患又は障害の症状の1つ以上の処置、防止、又は回復のために使用されることを示唆するラベルと、を含有する製造物としてパッケージされうる。
【0124】
本明細書に提供される製造物は、パッケージング材料を含有する。物品をパッケージする際に使用されるパッケージング材料は、当業者に周知である。たとえば、米国特許第5,323,907号明細書、同第5,052,558号明細書、及び同第5,033,252号明細書を参照されたい。パッケージング材料の例としては、限定されるものではないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、インヘラー、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、並びに選択される製剤及び意図される投与モード及び処置に好適ないずれかのパッケージング材料が挙げられる。本明細書に提供される化合物及び組成物の広範にわたる一連の製剤は、本明細書に記載のいずれかの疾患又は障害のさまざまな処置剤であることが企図される。
【0125】
投与量
感染性疾患を処置又は防止するための使用では、本明細書に記載の化合物又はその医薬組成物は、治療有効量で投与又は適用される。ヒト治療では、医師は、防止又は治癒処置に従ってならび年齢、体重、疾患ステージ、及び処置される被験者に特異的な他の因子に従って最も適切な投与レジメンを決定するであろう。感染性疾患の防止又は処置に有効な本明細書に提供される製剤中の活性成分の量は、疾患又は病態の性質及び重症度並びに活性成分の投与経路により変動するであろう。頻度及び投与量もまた、投与される特異的療法剤(たとえば、治療剤又は予防剤)、感染症の重症度、投与経路、さらには被験者の年齢、身体、体重、応答、及び既往歴に依存する各被験者に特異的な因子により変動するであろう。
【0126】
製剤の模範的用量は、ミリグラム又はマイクログラム量の活性化合物/キログラム(被験者)(たとえば、約1マイクログラム/キログラム~約50ミリグラム/キログラム、約10マイクログラム/キログラム~約30ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム~約10ミリグラム/キログラム、又は約100マイクログラム/キログラム~約5ミリグラム/キログラム)を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、治療有効投与量は、約0.001ng/ml~約50~200μg/mlの活性成分の血清中濃度を生成するべきである。組成物は、他の実施形態では、約0.0001mg~約70mgの化合物/キログラム体重/日の投与量を提供するべきである。投与ユニット形は、約0.01mg、0.1mg、又は1mg~約500mg、1000mg、又は5000mg、いくつかの実施形態では約10mg~約500mgの活性成分又は必須成分組合せ/投与ユニット形を提供するように調製される。
【0128】
活性成分は、一度に投与されうるか、又はいくつかのより小さな用量に分割されて時間インターバルを置いて投与されうる。精密投与量及び処置持続期間は、処置される疾患の関数であり、既知の検査プロトコルを用いて経験的に或いはin vivo若しくはin vitro検定データ又は後続臨床検査からの推断により決定されうるものと理解される。濃度及び投与量値はまた、和らげる病態の重症度により変動しうることが留意されるべきである。いずれの特定被験者に対しても、具体的投与レジメンは、個別ニーズ及び組成物を投与する者又はその投与を監督する者の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであり、且つ本明細書に定められる濃度範囲は、単に模範的なものにすぎず、特許請求された組成物の範囲又は実用を限定することを意図したものではないことが、さらに理解されるべきである。
【0129】
当業者には明らかであろうが、いくつかの場合には本明細書に開示される範囲外の活性成分の投与量を使用することが必要なこともありうる。さらに、臨床医又は処置医は、被験者応答との関連で療法をどのようにいつ中断、調整、又は停止するかを知ることに留意されたい。
【0130】
全身投与では、治療有効用量は、in vitroアッセイから初期に推定可能である。たとえば、用量は、細胞培養物で決定されるIC50(すなわち、細胞培養物の50%が致死する試験化合物の濃度)又は細胞培養物で決定されるIC100(すなわち、細胞培養物の100%が致死する化合物の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するように動物モデルで処方可能である。かかる情報を用いれば、ヒトにおいてより正確に有用用量を決定可能である。
【0131】
初期投与量はまた、当技術分野で周知の技術を用いてin vivoデータ(たとえば動物モデル)からも推定可能である。当業者であれば、動物データに基づいてヒトへの投与を簡単に最適化可能である。
【0132】
代替的に、初期投与量は、本明細書に開示される具体的化合物のIC50、MIC、及び/又はI100と既知作用剤のものとを比較してそれに応じて初期投与量を調整することにより、既知作用剤投与の投与量から決定可能である。最適投与量は、ルーチン最適化によりこうした初期値から得られうる
【0133】
局所投与又は選択的取込みの場合、使用される有効局所濃度化合物は、血漿中濃度に関係付けられないこともありうる。当業者であれば、過度の実験を行うことなく治療有効局所投与量を最適化できるであろう。
【0134】
理想的には、本明細書に記載の化合物の治療有効用量は、実質的毒性を引き起こすことなく治療利益を提供するであろう。化合物の毒性は、細胞培養物又は実験動物で標準薬学的手順を用いて、たとえば、LD50(集団の50%が致死する用量)又はLD100(集団の100%が致死する用量)を決定することにより決定可能である。毒性作用及び治療効果間の用量比は治療指数である。高い治療指数を呈する化合物が好ましい。こうした細胞培養物アッセイ及び動物試験から得られるデータは、被験者における使用で毒性のない投与量範囲を処方化する際に使用可能である。本明細書に記載の化合物の投与量は、好ましくは、毒性をほとんど又はまったく伴わない有効用量を含む循環濃度の範囲内である。投与量は、採用される剤形及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動しうる。厳密製剤、投与経路、及び投与量は、個別医師が患者の病態を考慮して選ぶことが可能である(たとえば、Fingl et al.,1975,In:The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1,p.1を参照されたい)。
【0135】
療法は、間欠的に繰り返されうる。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される同一製剤の投与が繰り返されうるとともに、投与は、少なくとも1日間、2日間、3日間、5日間、10日間、15日間、30日間、45日間、2ヵ月間、75日間、3ヵ月間、又は6ヵ月間分離されうる。
【0136】
化合物及び組成物の使用方法
本明細書には、たとえば、シスチン蓄積症、シスチン尿症、癌神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、放射線防護、ウィルソン病、関節リウマチなどに対して、本開示の化合物及び医薬組成物による医学的障害の症状の処置、防止、又は回復方法が記載される。本方法を実用する際、本明細書に記載の前掲の化合物又は組成物は、治療有効量で障害又は病態のある患者に投与される。
【0137】
組合せ療法
本明細書に開示される化合物及び組成物はまた、1つ以上の他の活性成分との組合せで使用されうる。ある特定の実施形態では、化合物は、別の治療剤との組合せで又はそれと逐次的に投与されうる。かかる他の治療剤としては、シスチン尿症、シスチン蓄積症、癌、神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、マラリア、非アルコール性脂肪肝疾患、放射能中毒、ヒ素中毒、ウィルソン病、又は関節リウマチに関連する1つ以上の症状の処置、防止、又は回復のための公知のものが挙げられる。
【0138】
本明細書に提供される化合物及び組成物と、以上の治療剤の1つ以上及び任意に1つ以上のさらなる薬理学的活性物質と、のいずれの好適な組合せも、本開示の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物及び組成物は、1つ以上の追加活性成分よりも前に又はそれに続いて投与される。
【0139】
最後に、本発明の代替実現法が存在するが留意されるべきである。それゆえ、本実施形態は、制限的ではなく例示的なものとしてとみなされるべきであり、本明細書に与えられる詳細事項に限定されるべきものではなく、添付の請求項の範囲内及び均等物内で修正されうる。本明細書に引用される刊行物及び特許はすべて、その全体が参照により組み込まれる。
【0140】
下記実施例は、単に例示を目的として提供されているにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0141】
スキーム1は、化合物7の調製を例示する。
【化12】
【0142】
イソプロピル(クロロ(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(103)
【化13】
【0143】
-78℃のDCM(120.0ml)中のL-アラニンイソプロピルエステルHCl(102)(6.0g、35.79mmol)及びフェニルジクロロホスフェート(101)(7.55gm、35.785mmol)の溶液に、DCM(20.0ml)中のトリエチルアミン(10.5ml、72.5mmol)の溶液を50分にわたり添加した。反応混合物をさらに1.5時間撹拌し、焼結ガラス漏斗に通して濾過し、減圧下で濃縮して化合物(103)(12.0gm)をガム状固形分として与え、これをさらなる精製をなんら行うことなくその次のステップに使用した。
【0144】
イソプロピル(((2-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(104)
【化14】
【0145】
DCM(120.0ml)中のイソプロピル(クロロ(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(103)(12.0gm、粗製物)の溶液に2-(Boc-アミノ)エタンチオール)(6.97gm、35.799mmol)を25℃で添加し、反応混合物を30分間撹拌した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリエチルアミン(11.05ml、77.6mmol)を20分間かけて滴下した。次いで温度を25~30℃に徐々に上昇させ、24時間撹拌し、水を添加し、有機層を分離した。水性層をDCM(100ml)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濃縮して粗化合物104を無色ガム状液体として与えた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ、10~30%エチルアセテート含有石油エーテル)により精製した。純画分を濃縮して化合物104(3.5g、21%、ジアステレオメリック混合物)を無色液体として提供した。H-NMR(400MHz,CDCl):δ:1.23-1.28(m,6H),1.40-1.43(m,12H),2.91-3.00(m,2H),3.33-3.41(m,2H),3.97-4.14(m,2H),5.00-5.07(m,2H),7.17-7.36(m,5H)。LC-MS:447.21[(M+H)]、2つの異性体の混合物。
【0146】
実施例1:イソプロピル(((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(7)
【化15】
【0147】
DCM(20ml)中のイソプロピル(((2-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(104)(1.0g、2.2mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(0.87ml、11mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を25℃に加温し、16時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を除去して粗化合物を濃厚ガム状液体として提供し、これを逆相prep-HPLCを用いることにより精製し、凍結乾燥して化合物(7)(0.2、28%、ジアステレオメリック混合物)をガム状液体として提供した。H-NMR(400MHz,CDCl):δ:1.20-1.24(m,6H),1.35-1.39(m,3H),3.01-3.26(m,4H),3.92-4.08(m,1H),4.96-5.05(m,1H),5.19-5.35(m,1H),7.17-7.35(m,5H),8.35(m,3H)。LC-MS:347.14[(M-CFCOOH)+H]
【0148】
実施例2:イソプロピル(((2-アセトアミドエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(1)
【化16】
【0149】
DCM(120ml)中の化合物イソプロピル(クロロ(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(103)(6g、粗製物)の溶液にN-アセチルシステアミン(2.13g、17.8mmol)を25℃で添加し、反応混合物を30分間撹拌した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリエチルアミン(4.9ml、35.6mmol)を20分かけて滴下した。反応混合物を25℃に加温し、24時間撹拌し、水を添加した。反応混合物をDCM(100ml、2×)で抽出し、合わせた有機抽出物を無水NaSOで脱水し、真空下で濃縮して粗化合物を淡黄色液体として与えた。逆相prepHPLCを用いることにより粗化合物を精製し、凍結乾燥して化合物(1)(0.25mg、ジアステレオメリック混合物)をガム状液体として提供した。HNMR(400MHz,DMSO-d):δ:1.16-1.21(m,6H),1.25-1.27(d,3H,J=8MHz),1.78(s,3H),2.79-2.89(m,2H),3.23-3.28(m,2H),3.83-3.90(m,1H),4.85-4.92(m,1H),6.50-6.56(m,1H),7.16-7.23(m,3H),7.36-7.40(m,2H),8.03-8.06(m,1H)。LC-MS:389.18[M+H]
【0150】
実施例3:イソプロピル(ビス((2-アセトアミドエチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(4)
【化17】
【0151】
DCM(60ml)中のL-アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(102)(2.0g、9.1mmol)の撹拌溶液にPOCl(1.82g、9.1mmol)を25℃で添加し、反応混合物を30分間撹拌した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリエチルアミンを20分間かけて滴下した。反応混合物を-78℃でさらに1時間撹拌し、N-アセチルシステアミン(2.84g、18.2mmol)を添加し、続いてトリエチルアミン(2.41g、18.2mmol)を滴下した。反応混合物を25℃に加温し、24時間撹拌した。水を添加し、反応混合物をDCM(100ml、2×)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで脱水し、真空下で濃縮して粗化合物を淡黄色液体として与えた。逆相prepHPLCを用いることにより粗材料を精製し、凍結乾燥して化合物(4)(0.38g、7.7%)をガム状液体として提供した。H-NMR(400MHz,CDCl)δ=1.25-1.29(t,6H,J=16MHz),1.44-1.46(d,3H,J=8MHz),2.0(s,3H),3.03-3.10(m,4H),3.49-3.69(m,4H),4.01-4.08(m,1H),4.23-4.29(t,1H,J=12MHz),5.02-5.08(m,1H),6.66-6.72(d,2H,J=24MHz)。LC-MS:414.13[M+H]
【0152】
実施例4:エチルN-アセチル-S-((((S)-1-イソプロポキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-システイネート(2)
【化18】
【0153】
DCM(30ml)中の化合物103(1.0gm、3.27mmol、粗製物)の溶液にエチルアセチル-L-システイネート(0.57gm、2.973mmol)を25℃で添加し、反応混合物を30分撹拌した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリエチルアミン(0.9ml、5.95mmol)を20分間かけて滴下した。反応混合物を25℃に上昇させ、24時間撹拌した。水を添加し、反応混合物をDCM(100ml、2×)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで脱水し、真空下で濃縮して粗化合物を淡黄色液体として与えた。粗材料を逆相prepHPLCにより精製し、凍結乾燥して化合物2(0.105g、8%ジアステレオメリック混合物)をガム状液体として提供した。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:1.15-1.20(m,9H),1.26-1.28(d,3H,J=8MHz)3.0-3.21(m,2H),3.82-3.90(m,1H),4.05-4.13(m,2H),4.44-4.50(m,1H),4.85-4.93(m,1H),6.56-6.66(m,1H),7.19-7.23(m,31H),7.367-7.41(m,2H),8.41-8.43(d,13H,J=8MHz)。LC-MS:461.21[M+H]
【0154】
実施例5:イソプロピル((((R)-2-アセトアミド-3-アミノ-3-オキソプロピル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(3)
【化19】
【0155】
DCM中の化合物103(1.0gm、3.2722mmol、粗製物)の溶液に(R)-2-アセトアミド-3-メルカプトプロパンアミド(0.483gm、2.977mmol)を25℃で添加し、30分撹拌した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリエチルアミン(0.9ml、5.95mmol)を20分間かけて滴下した。反応混合物を25℃に加温し、24時間撹拌した。水を添加し、反応混合物をDCM(100ml、2×)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで脱水し、真空下で濃縮して粗化合物を淡黄色液体として与えた。粗材料を逆相prepHPLCにより精製し、凍結乾燥して化合物3(0.075g、6%、ジアステレオメリック混合物)を白色固体として提供した。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:1.16-1.28(m,9H),1.84(S,3H),2.93-3.01(m,1H),3.08-3.16(m,1H),3.63-3.91(m,1H),4.39-4.45(m,1H),4.83-4.88(m,1H),6.49-6.58(m,1H),7.07-7.23(m,4H),7.36-7.40(m,3H),8.11-8.13(d,1H,J=8MHz)。LC-MS:432.13[M+H]
【0156】
実施例6:(S,S)及び(R,S)イソプロピル(((2-アセトアミドエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(10)及び(11)
【化20】
【0157】
逆相Prep-HPLC(Sun fire C18 150*19*5、0.1%ギ酸含有水及びアセトニトリルT/B:0/33、14/33、14.1/98、流量15ml/分 溶解性:水:ACN)を用いることによりイソプロピル(((2-アセトアミドエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート11(0.1g、0.25mmol)を精製し、25.0mgの10及び22.0mgの11を提供した。
【0158】
10:無色ガム状液体。化学式:C1625PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:8.06(t,J=5.2Hz,2H),7.39(t,J=8.4Hz,2H),7.23-7.18(m,3H),6.51(dd,J=10.0Hz,10.0Hz,1H),4.92-4.86(m,1H),3.90-3.83(m,1H),3.28-3.23(m,2H),2.86-2.79(m,2H),1.78(s,3H),1.26(d,J=6.8Hz,3H),1.20-1.16(m,6H)、HPLC:Rt=2.09分(97.3%)。
【0159】
11:無色ガム状液体。化学式:C1625PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:8.04(t,J=5.2Hz,2H),7.38(t,J=8.0Hz,2H),7.22-7.18(m,3H),6.53(dd,J=10.0Hz,10.0Hz,1H),4.91-4.85(m,1H),3.90-3.83(m,1H),3.27-3.22(m,2H),2.89-2.82(m,2H),1.78(s,3H),1.26(d,J=6.8Hz,3H),1.19-1.16(m,6H)、HPLC:Rt=2.09分(97.3%)。
【0160】
実施例7:(S,S)及び(R,S)イソプロピル(((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(12)及び(13)
【化21】
【0161】
逆相Prep-HPLC{Phenyl Hexyl(29*50Mm)U 0.1%TFA:ACN、0/22、1/22、12/33)を用いることによりイソプロピル(((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(TFA塩)7(0.1g、0.22mmol)を精製し、25.0mgの12及び20.0mgの12を提供した。
【0162】
12:TFA塩(無色ガム状液体)。化学式:C1423PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.85(bs,3H),7.40(t,J=8.0Hz,2H),7.24-7.20(m,3H),6.66(dd,J=10.0Hz,10.0Hz,1H),4.92-4.86(m,1H),3.94-3.87(m,1H),3.10-2.97(m,4H),1.27(d,J=7.2Hz,3H),1.19-1.17(m,6H)、HPLC:Rt=2.51分(97.5%)。
【0163】
13:TFA塩(無色ガム状液体)。化学式:C1423PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δppm:7.81(bs,3H),7.40(t,J=8.4Hz,2H),7.25-7.21(m,3H),6.65(dd,J=10.0Hz,10.0Hz,1H),4.93-4.87(m,1H),3.94-3.87(m,1H),3.09-2.93(m,4H),1.25(d,J=8.4Hz,3H),1.20-1.15(m,6H)、HPLC:Rt=2.57分(99%)。
【0164】
スキーム2は、化合物14、15、及び16の調製を例示する。
【化22】
【0165】
イソプロピル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート
【化23】
【0166】
無水CHCl(50mL)中のL-アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(102)(2.2g、13.12mmol)の撹拌溶液にエチルホスホロジクロリデート(105)(2.13g、13.12mmol)を室温で添加し、混合物を室温で20分撹拌した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリメチルアミン(3.68mL、26.18mmol)を20分かけて滴下した。添加後、反応混合物を同一温度でさらに1時間維持した。1時間後、tert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(2.32g、13.12mmol)及びトリメチルアミン(3.68mL、26.18mmol)を添加し、反応物を室温に加温し、16時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水を添加し、所望の生成物をDCM(100mL×2)中に抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、真空下、45℃以下で濃縮して粗化合物を淡黄色液体として与えた。40%エチルアセテート含有n-ヘキサンを溶出液として用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して純化合物を淡黄色液体106(1.0g、19.12%)として得た。化学式:C1531PS。H-NMR(400MHz,CDCl)δ:5.37-5.25(bs,1H),5.07-5.01(m,1H),4.19-4.11(m,2H),4.03-3.72(m,1H),3.44-3.41(m,1H),2.96-2.89(m,2H),1.55-1.36(s,12H),1.34-1.30(m,3H),1.28-1.21(m,6H)、LC-MS:Rt=2.25分(99%)、m/z399.27[M+H]
【0167】
実施例8:イソプロピル(エトキシ((2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-l4-アザネイル)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(14)
【化24】
【0168】
無水CHCl(20mL)中、0℃でイソプロピル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エチル)ホスホリル)-L-アラニネート(106、1.0 g、2.51mmol)の撹拌溶液にトリフルオロ酢酸(0.86mL、11.22mmol)を10分かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で24時間維持した。反応の進行をLCMSによりモニターした。反応の完了後、45℃で減圧蒸留により溶媒を除去して化合物14を淡黄色液体(0.95g、95%)として与えた。
【0169】
実施例9:(S,S)及び(R,S)イソプロピル(エトキシ((2-((2,2,2トリフルオロアセチル)-l4-アザネイル)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(15)及び(16)
【化25】
【0170】
質量ベースPrep-HPLC(移動相A:-0.1%TFA含有HO 移動相B:-ACN、カラム:-X-SELECT PHENYL HEXYL(250*21.2)mm、5u、流量:-20ml/分、方法:-(T/%B):0/5、2/5、12/30、12.1/99、17/99、17.1/5、20/5 溶解性:ACN+HO 温度:-周囲温度)を用いることによりイソプロピル(エトキシ((2-((2,2,2トリフルオロアセチル)-14アザネイル)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(14)((1.4g、4.69mmol)を精製して50.0mgの15及び70.0mgの16を提供した。
【0171】
15:無色ガム状液体。化学式:C1023PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.80(S,3H),6.20(dd,J=10.4Hz,J=10.0Hz,1H),4.93-4.87(m,1H),4.06-3.99(m,2H),3.81-3.74(m,1H),3.10-3.06(m,2H),2.96-2.89(m,2H),1.29-1.19(m,12H)、HPLC:Rt=4.72分(97.03%)。
【0172】
16:無色ガム状液体。化学式:C1023PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.77(S,3H),6.14(dd,J=10.0Hz,J=10.0Hz,1H),4.93-4.86(m,1H),4.09-4.02(m,2H),3.80-3.73(m,1H),3.08(t,J=7.2Hz,2H),2.94-2.88(m,2H),1.29-1.24(m,6H),1.21-1.18(m,6H)、HPLC:Rt=4.89分(95.06%)。
【0173】
スキーム3は、化合物13及び17の調製を例示する。
【化26】
【0174】
イソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(108)
【化27】
【0175】
THF(250mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(15.62g、88.30mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(3.17g、132.45mmol)を分割して添加した。反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で30分間維持した。反応混合物を0℃に冷却し、THF(250mL)中のイソプロピル((S)-(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(107)(40g、88.30mmol)の溶液を0℃で30分かけて滴下した。添加の完了後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で16時間維持した。反応混合物を0℃に冷却し、氷冷水(500.0mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、45℃で濃縮して淡黄色ガム状液体を与えた。溶出液として0~40%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して純化合物をガム状液状(108)(14g、35%)として得た。化学式:C1931PS。H-NMR(400MHz,CDCl)δppm:7.34(d,J=7.6Hz,2H),7.25-7.16(m,3H),5.20(bs,1H),5.07-5.03(m,1H),4.13-3.98(m,2H),3.39-3.35(m,2H),2.99-2.92(m,2H),1.43(s,9H),1.41(d,J=6.8Hz,3H),1.28-1.24(m,6H)、HPLC:Rt=7.0分(84.9%)、m/z447.19[M+H]
【0176】
実施例10:イソプロピル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(TFA塩)(13)
【化28】
【0177】
CHCl(150mL)中のイソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(108)(14g、156.95mmol)の撹拌溶液に0℃で10分かけてトリフルオロ酢酸(12mL、63.34mmol、2eq)を滴下した。添加後、反応混合物を室温に加温し、撹拌を室温で24時間継続した。反応の進行をLC-MSによりモニターした。反応の完了後、減圧下、45℃で反応混合物を濃縮し、トルエンと共蒸留して粗化合物(13)(TFA塩として14g、98%)を濃厚ガム状液体として提供した。化学式:C1423PS。H-NMR(500MHz,DMSO-d)δppm:7.89(bs,3H),7.40(t,J=7.6Hz,1H),7.25-7.21(m,3H),6.65(dd,J=10.0Hz,10.0Hz,1H),4.93-4.87(m,1H),3.94-3.87(m,1H),3.09-3.05(m,2H),3.02-2.93(m,2H),1.25(d,J=8.4Hz,3H),1.20-1.15(m,6H)、HPLC:Rt=2.40分(86.6%)
【0178】
実施例11:イソプロピル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートフマル酸塩(17)
【化29】
【0179】
イソプロピル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(17)(2.5g、5.62mmol)を水(10mL)中に溶解し、0~5℃に冷却した。次いで、pHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液を添加した。0~5℃で15分撹拌した後、反応混合物にジエチルエーテル(25mL)を添加し、有機層を分離した。水性層をジエチルエーテル(25mL)で再抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過した。濾液を0℃に冷却し、以上の反応混合物にフマル酸(0.522g、4.49mmol)を添加した。添加後、反応混合物をrtで16時間撹拌した。16時間後、固形分を濾過により単離し、真空下で乾燥させてイソプロピル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートフマレート塩(17)を灰白色固体(250mg、19.22%)として得た。化学式:C1423PS。H-NMR(500MHz,DMSO-d)δ:8.80(bs,3H),7.40(t,J=8.0Hz,1H),7.24-7.19(m,3H),6.46(s,2H),4.92-4.86(m,1H),3.91-3.87(m,1H),2.96-2.94(m,4H),1.27(d,J=7.2Hz,3H),1.19-1.17(m,6H)、HPLC:Rt=8.66分(97.49%)。
【0180】
スキーム4は、化合物19及び20の調製を例示する。
【化30】
【0181】
tert-ブチル(2-((ジエトキシホスホリル)チオ)エチル)カルバメート(110)
【0182】
マイクロ波バイアル中、室温でDMF(10mL)中のO,O-ジエチル-s-水素ホスホロチオエートカリウム塩(109)(3.0g、14.33mmol)の撹拌溶液にtert-ブチル(2-ブロモエチル)カルバメート(3.21g、14.33mmol)を添加した。添加後、バイアルをマイクロ波中に保ち、80℃に10分加熱した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応の完了後、反応混合物に氷水を添加し、エチルアセテート(2×100mL)中に抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、真空下、45℃で濃縮して粗化合物を黄色液体(5.1g)として与えた。溶出液として0~50%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(60~120メッシュ)で精製して純tert-ブチル(2-((ジエトキシホスホリル)チオ)エチル)カルバメートを無色液体110(2.2g、49%)として得た。化学式:C1124NOPS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:5.11(bs,1H),4.23-4.12(m,4H),3.42(d,J=6.0MHz,2H),3.00-2.35(m,2H),1.50(s,9H),1.38-1.35(m,6H)、HPLC:Rt=4.17分(99.9%)。
【0183】
実施例12:S-(2-アミノエチル)O,O-ジエチルホスホロチオエート(TFA塩)(1)
【化31】
【0184】
0℃でのCHCl(30.0mL)中のtert-ブチル(2-((ジエトキシホスホリル)チオ)エチル)カルバメート(110)(2.2g、7.02mmol)の撹拌溶液にトリフルオロ酢酸(2.68mL、35.08mmol)を10分かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、撹拌を室温で24時間継続した。反応の進行をTLCによりモニターした(10%メタノール含有CHCl、スポットの可視化にニンヒドリンを使用)。反応の完了後、減圧下、35℃で溶液を濃縮して粗S-(2-アミノエチル)O,O-ジエチルホスホロチオエート(18)を濃厚ガム状液体(2.0g、TFA塩、92%)として提供した。化学式:C16NOPS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δppm:4.10-4.02(m,4H),2.80-2.73(m,4H),2.35(bs,2H),1.28-1.23(m,6H)、HPLC:Rt=6.18分(96.7%)。
【0185】
実施例13:S-(2-アミノエチル)O,O-ジエチルホスホロチオエート(フマレート塩)(19)
【化32】
【0186】
S-(2-アミノエチル)O,O-ジエチルホスホロチオエートTFA塩(18)(4.0g、12.88mmol)を水(10mL)中に溶解し、0~5℃に冷却した。次いで、pHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液を添加した。0~5℃で15分撹拌した後、反応物に10%MeOH含有CHCl(200mL)を添加し、層を分離した。水性層を10%MeOH含有CHCl(200mL)で再抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して残渣(2.8g)を得た。残渣(2.8g、9.38mmol)をジエチルエーテル(10Vol)中に溶解し、0~5℃に冷却した。フマル酸(0.547g、4.71mmol)を添加し、反応混合物を室温で6時間撹拌した。固形分を濾過により単離し、真空下、45℃で乾燥してS-(2-アミノエチル)O,O-ジエチルホスホロチオエートフマレート塩(19)を灰白色固体(1.8g、85%)として提供した。化学式:C16NOPS。H-NMR(500MHz,DMSO-d)δppm:8.53(bs,2H),6.46(s,2H),4.13-4.05(m,4H),2.94-2.89(m,4H),1.29-1.25(m,6H)、HPLC:Rt=4.17分(99.9%)。
【0187】
スキーム5は、化合物21及び22の調製を例示する。
【化33】
【0188】
メチル((((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(114)
【0189】
無水CHCl(500mL)中の2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール(111)(30.0g、162.98mmol)の撹拌溶液にPOCl(15.23mL、162.98mmol)を20分かけて室温で滴下した。添加が完了した後、撹拌を室温で20分継続した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリメチルアミン(45.83mL、326.08mmol)を20分かけて滴下し、反応混合物を-78℃で1時間維持した。1時間後、L-アラニンメチルエステル塩酸塩(113)(45.5g、325.97mmol)を添加し、反応混合物を10分撹拌した。次いで、反応混合物を-78℃で維持し、トリメチルアミン(45.83mL、326.08mmol)を20分かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で16時間維持した。反応の完了後、水(100mL)を添加し、生成物をエチルアセテート(2×300mL)中に抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、45℃以下で濃縮して粗化合物を灰白色ガム状液体として与えた。溶出液として40%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して純化合物を灰白色固体(114)(15.0g、21%)得た。化学式:C1530PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:4.16-4.09(m,2H),3.77(s,6H),3.74-3.69(m,2H),1.46(t,J=4.8MHz,6H)、HPLC:Rt=5.51分(98.9%)、
【0190】
メチル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネート(115)
【化34】
【0191】
THF(60mL)中のメチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(6.12g、34.54mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(1.38g、57.5mmol)を分割して添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で30分維持した。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、THF(200mL)中のメチル((((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(114)(15.0g、34.54mmol)の溶液を0℃で30分かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で16時間維持した。反応の完了後、反応混合物を0℃に冷却し、氷冷水(20.0mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、40℃で濃縮して粗化合物を黄色液体(5.1g)として与えた。溶出液として0~70%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(60~120メッシュ)で精製して純化合物を灰白色固体(115)(3.8g、25%)として得た。化学式:C1530PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.01(bs,1H),5.40-5.31(m,2H),3.89-3.81(m,2H),3.64(s,6H),3.16-3.13(m,2H),2.73-2.66(m,2H),1.37(s,9H),1.28(d,J=7.2Hz,6H)、ELSD-LS-MS:Rt=1.84分(98.2%)。
【0192】
実施例14:メチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(20)
【化35】
【0193】
CHCl(50.0ml)中のメチル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネート(115)(3.8g、8.88mmol)の撹拌溶液に0℃で10分かけてトリフルオロ酢酸(1.36ml、17.77mmol)を滴下した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、撹拌を室温で24~30時間継続した。反応の完了後、減圧下、35℃で溶媒を除去して粗化合物を濃厚ガム状液体(20)、TFA塩、4.0g、92%として得た。化学式:C1022PS。HNMR(400MHz,DMSO-d)δppm:7.88(bs,2H),5.62-5.56(s,3H),3.96-3.84(m,2H),3.64(s,6H),3.10-3.07(m,2H),2.98-2.85(m,2H),1.38(d,J=7.2Hz,6H)、HPLC:Rt=4.21分(99.9%)。
【0194】
実施例15:メチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートフマル酸塩(21)
【化36】
【0195】
メチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(21)(1.0g、2.35mmol)を水(10mL)中に溶解し、0~5℃に冷却し、次いでpHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液に添加した。0~5℃で15分撹拌した後、反応混合物に10%MeOH含有CHCl(200mL)を添加し、層を分離した。水性層を10%MeOH含有CHCl(200mL)で再抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して残渣(0.6g)を提供した。残渣をジエチルエーテル(30.0mL)中に溶解し、0~5℃に冷却した。フマル酸(0.22g、1.88mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌し、減圧下で溶媒を除去した。固形残渣をジエチルエーテルで2回洗浄し、乾燥した。ガム状固形分を凍結乾燥して化合物メチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネート(フマレート塩)(21)を灰白色吸湿性固形分(0.29g、28%)として得た。化学式:C1022PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δppm:8.96(bs,2H),6.44(s,3H),5.58-5.53(m,2H),3.90-3.85(m,2H),3.63(s,6H),3.16-2.89(m,2H),2.87-2.81(m,2H),1.29(d,J=7.2Hz,6H)、HPLC:Rt=5.87分(95.5%)。
【0196】
スキーム6は、化合物22の調製を例示する。
【化37】
【0197】
実施例16:イソプロピル((R)-((2-グアニジノエチル)チオ(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(22)
【化38】
【0198】
DMF(10mL)中のイソプロピル(((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(13)(4.0g、4.5mmol)の撹拌溶液に0℃でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.91ml、22.44mmol)を添加した。10分撹拌後、1H-ピラゾール-1-カルボキシイミドアミド塩酸塩(1.319g、9.0mmol)を0℃で20分かけて分割して添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温に加温し、撹拌を24時間継続した。反応の進行をLCMSによりモニターした。反応の完了後、真空下、45℃で反応混合物を濃縮して粗化合物をガム状液体(5.38g)として提供した。逆相Prep-HPLC{カラム:-X-SELECT CSH C18(25*150mm)、10um 緩衝液A:0.1%ギ酸 緩衝液B:ACN、溶解性:-ACN-HO 移動相条件(%B):-0/5、2/5、12/40、14/40、14.01/99 流量-19ml/分}を用いて粗化合物を精製してホルメート塩(22)(0.548g、31.49%)としてイソプロピル((R)-((2-グアニジノエチル)チオ(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートを無色ガム状液体として提供した。C1525PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.58(s,1H),7.69(bs,4H),7.39(t,J=7.2MHz,1H),7.24-7.19(m,3H),6.69-6.63(m,1H),4.93-4.87(m,1H),3.92-3.85(m,1H),3.46-3.32(m,2H),2.93-2.85(m,2H),1.27(d,J=6.8MHz,3H),1.20-1.18(m,6H)。
HPLC-97.7%、LC-MS:389.21[M+H]
【0199】
スキーム7は、化合物16及び23の調製を例示する。
【化39】
【0200】
実施例17:イソプロピル((S)-エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(119)
【化40】
【0201】
-78℃でCHCl中のエチルホスホロジクロリデート(105)(34mL、298.3mmol)の溶液にCHCl(300mL)中のL-アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(102)(50g、298.3mmol)を滴下し(約30分)、10分撹拌した。次いで、同一温度でトリエチルアミン(84mL、596.68mmol)を30分かけて添加し、同一温度で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を0℃に加温した。200mLのジクロロメタン中の2,3,4,5,6-ペンタフルロフェノール(116)(32mL、298.3mmol)の溶液及びトリエチルアミン(46mL、328.1mmol)を0℃で同時に添加した。反応物を室温に加温し、一晩撹拌した。反応混合物を氷冷水で希釈し、CHCl(2×200mL)中に抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮した、残渣(117)をMTBE(100mL)で結晶化した。白色固体を濾過により単離し、ケークをMTBE(3×50mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、得られた粗固形分を20%エチルアセテート含有ヘキサン(100mL)による結晶化により単離し、固形分を濾過により捕集し、高真空下で5~6時間かけて乾燥してイソプロピル((S)-エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(119)(99%単一異性体)を2ロットとして与えた。73g、60%、HPLC-95%、キラルHPLC-99%)。化学式:C1417NOP。H-NMR(400MHz,CDCl)δppm:5.09-5.03(m,1H),4.31-4.28(m,2H),4.05-3.97(m,2H),3.70(t,J=5.6Hz,1H),1.45(d,J=6.8Hz,3H),1.40-1.36(m,3H),1.27(t,J=6.0Hz,6H)、HPLC:Rt=4.28分(95%)、m/z406.13[M+H]。構造は単結晶X線により支持された。
【0202】
イソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(120)
【化41】
【0203】
THF(400mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(7.2g、61.72mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(2.2g、92.59mmol)を分割して添加した。反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で30分維持した。反応混合物を0℃に冷却し、THF(200mL)中のイソプロピル((R)-エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(119)(25g、61.72mmol)の溶液を30分かけて添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で16時間維持した。反応混合物を0℃に冷却し、氷冷水(500.0mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、40℃で濃縮してガム状液体を与えた。溶出液として0~80%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して純化合物を灰白色固体(120)(12g、48%)として得た。化学式:C1531PS:HNMR(400MHz,CDCl)δppm:5.33(bs,1H),5.08-5.01(m,1H),4.19-4.10(m,2H),3.95-3.74(m,1H),3.79-3.74(m,1H),3.48-3.41(m,2H),3.00-2.87(m,2H),1.60(s,9H),1.44-1.39(m,3H),1.36-1.33(m,3H),1.28-1.21(m,6H)、HPLC:Rt=4.46分(95%)、m/z400[M+H]
【0204】
実施例18:イソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(16)
【化42】
【0205】
CHCl(100mL)中の(120)(12g、30.15mmol)の撹拌溶液に0~5℃でトリフルオロ酢酸(11.59mL、150.75mmol)を滴下した。添加が完了した後、温度を室温に上昇させ、撹拌を室温で24時間継続した。反応の進行をTLCによりモニターした(10%メタノール含有CHCl、スポットの可視化にニンヒドリンを使用。出発材料及び生成物のRf値は、それぞれ0.8及び0.1である)。反応の完了後、減圧下、35℃で溶媒を除去して粗化合物を濃厚ガム状液体11gTFA塩(16)、92%として得た。化学式:C1223PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:7.94(bs,3H),4.93-4.86(m,1H),4.09-4.02(m,2H),3.81-3.74(m,1H),3.11-3.06(m,2H),2.95-2.87(m,2H),1.29-1.18(m,12H)、HPLC:Rt=5.70分(98%)。
【0206】
実施例19:イソプロピル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートフマレート塩(23)
【化43】
【0207】
イソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(16)(3.6g、9.1mmol)(HPLCにより95%)を水(18mL)中に溶解し、0~5℃に冷却した。次いで、pHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液を添加した。0~5℃で15分撹拌した後、反応物に10%MeOH含有CHCl(200mL)を添加し、層を分離した。水性層を10%MeOH含有CHCl(200mL)で再抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して残渣(2.8g)を得た。残渣(2.8g、9.38mmol)をジエチルエーテル(5Vol)中に溶解し、0~5℃に冷却した。フマル酸(0.87g、7.49mmol)を以上の反応混合物に添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、半固形分をジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥した。半固形分を凍結乾燥して化合物を灰白色固体(23)(3.3g、90%吸湿性)として得た。化学式:C1023PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:6.41(s,1H),6.1(bs,1H),4.92-4.86(m,1H),4.07-3.99(m,2H),3.76-3.75(bs,1H),2.93-2.91(t,2H),2.86-2.79(m,2H),1.28-1.23(m,6H),1.21-1.85(m,6H)。HPLC:Rt=7.2分(97.57%)。
【0208】
スキーム8は、化合物24及び25の調製を例示する。
【化44】
【0209】
エチル((((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(123)
【0210】
無水CHCl(750mL)中の2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール(116)(50.0g、271.63mmol)の撹拌溶液にPOCl3(25.39mL、271.63mmol)を20分かけて室温で滴下した。添加後、撹拌を室温で20分継続した。次いで反応混合物を-78℃に冷却し、トリメチルアミン(76.34mL、543.18mmol)を20分かけて滴下して中間体(121)を形成した。反応混合物を-78℃で1時間保持した。1時間後、L-アラニンエチルエステル塩酸塩(122)(83.45g、543.2mmol)を添加し、反応混合物を10分撹拌した。反応混合物を-78℃に冷却し、トリメチルアミン(76.34mL、543.18mmol)を20分かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で16時間維持した。反応の完了後、水(200mL)を反応混合物に添加し、生成物をCHCl(2×500mL)中に抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、45℃以下で濃縮して粗化合物を灰白色ガム状液体として与えた。溶出液として40%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して純化合物を灰白色固体(123)(20.0g、16%)として得た。化学式:C1620P。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:4.23(q,J=7.2MHz,4H),4.15-4.06(m,2H),3.76(q,J=6.0MHz,2H),1.47(q,J=6.8MHz,6H),1.30(t,J=6.8MHz,6H)、HPLC:Rt=8.28分(99.5%)。
【0211】
エチル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネート(124)
【化45】
【0212】
THF(50mL)中のメチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(5.36g、30.28mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(1.211g、50.47mmol)を分割して添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で30分維持した。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、THF(200mL)中のエチル((((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(123)(14.0g、30.28mmol)の溶液を0℃で30分かけて滴下した。添加の完了後、反応混合物を室温に徐々に加温し、室温で16時間維持した。反応の完了後、反応混合物を0℃に冷却し、氷冷水(30.0mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、40℃で濃縮して粗化合物を黄色液体(5.1g)として与えた。溶出液として0~70%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(60~120メッシュ)で精製して純化合物を灰白色固体(124)(6.0g、43.5%)として得た。化学式:C1734PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:4.22(q,J=7.2MHz,4H),4.08-4.00(m,2H),3.78-3.67(m,2H)3.42(bs,2H),2.98-2.90(m,2H),1.48-1.40(m,15H),1.30-1.25(m,6H)、HPLC:Rt=5.53分(91.5%)。
【0213】
実施例20:ステップ4:エチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(24)
【化46】
【0214】
CHCl(20.0ml)中のエチル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネート(124)(1.0g、2.19mmol)の撹拌溶液に0℃で10分かけてトリフルオロ酢酸(0.33ml、4.38mmol)を滴下した。添加後、反応混合物を室温に徐々に加温し、撹拌を室温で24時間継続した。反応の完了後、減圧下、35℃で溶媒を除去して粗化合物を濃厚ガム状液体(24)(TFA塩、1.2g)として得た。化学式:C1226PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.88(bs,3H),5.54(t,J=11.2MHz,2H),4.13-4.05(m,4H),3.92-3.81(m,2H),3.12-3.07(s,2H),2.92-2.86(m,2H),1.30(d,J=6.8MHz,6H),1.21(t,J=7.2Hz,6H)、HPLC:Rt=5.48分(99.8%)。
【0215】
実施例21:エチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートフマレート塩(25)
【化47】
【0216】
エチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(24)(0.5g、1.102mmol)を水(5mL)中に溶解し、0~5℃に冷却した。次いで、pHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液を添加した。0~5℃で15分撹拌した後、10%MeOH含有CHCl(200mL)を反応混合物に添加し、層を分離した。水性層を10%MeOH含有CHCl(200mL)で再抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して残渣(0.3g)を得た。残渣をジエチルエーテル(30.0mL)中に溶解し、0~5℃に冷却した。フマル酸(0.102g、0.87mmol)を以上の反応混合物に添加し、反応混合物は室温で16時間撹拌した。16時間後、溶媒を蒸留により除去し、半固形分をジエチルエーテルで2回洗浄し、乾燥した。ガム状固形分を凍結乾燥して化合物エチル(((2-アミノエチル)チオ)(((R)-1-エトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)ホスホリル)-L-アラニネートフマレート(25)を灰白色吸湿性固形分(0.35g、67.4%)として得た。化学式:C126NPS。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:8.57(bs,2H),6.46(s,2H),5.56-5.53(m,2H),4.12-4.04(m,4H),3.88-3.84(m,2H),3.27-3.16(m,2H),3.04-2.83(m,2H),1.29(d,J=6.4Hz,6H),1.18(t,J=6.8Hz,6H)、HPLC:Rt=7.04分(96.83%)。
【0217】
スキーム9は、化合物26の調製を例示する。
【化48】
【0218】
イソプロピル((S)-エトキシ((2-(N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)シアナミド)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(125)
【化49】
【0219】
THF(20mL)中のイソプロピル(R)-エトキシ((2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-l4-アザネイル)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(16)、3.0g、7.58mmolの撹拌溶液に0℃でDBUを添加した。反応物を室温に加温し、30分で撹拌した。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、メチルブロモアセテート(1.08mL、11.38mmol)を添加した。0℃で20分撹拌後、シアノゲンブロミド(1.2g、11.38mmol)を分割して添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温に徐々に加温し、撹拌を16時間超にわたり室温で継続した。反応の進行をLC-MSによりモニターした。LC-MSは、62%の所望の生成物及び29%の残留出発材料を示唆した。水を添加し、生成物をエチルアセテート(2×100mL)中に抽出し、減圧蒸留により溶媒を除去した。溶出液として0~80%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して純化合物125を淡黄色液体として得た。(0.7g、23%)。化学式:C1324PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:6.17-6.11(m,1H),4.92-4.86(m,1H),4.07-3.99(m,5H),3.77-3.70(m,4H),3.38-3.32(m,2H),2.94-2.86(m,2H),1.35-1.17(m,9H)。ELSD-LC-MS:Rt=1.65分(99.84%)。
【0220】
実施例22:イソプロピル((S)-エトキシ((2-(2-イミノ-4-オキソイミダゾリジン-1-イル)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(26)
【化50】
【0221】
水性アンモニア(1mL)(30%、比重=0.89)中のイソプロピル((s)-エトキシ((2-(N-2-メトキシ-2-オキソエチル)シアナミド)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(125)(700mg、1.77mmol)の溶液を室温で30分撹拌した。30分後、凍結乾燥によりイソプロピル((S)-エトキシ((2-(N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)シアナミド)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(26)を灰白色固体(500mg、74%)として提供した。化学式:C1325PS。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ:7.53(bs,2H),6.18(dd,J=10.0Hz,J=10.0Hz,1H),4.92-4.86(m,1H),4.07-3.97(m,2H),3.80-3.71(m,3H),3.62-3.47(m,2H),2.92-2.85(m,2H),1.28-1.22(m,6H),1.20-1.55(m,6H)。ELSD-LC-MS:Rt=1.30分(97.7%)。
【0222】
スキーム10は、化合物27及び28の調製を例示する。
【化51】
【0223】
エチル((S)-(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(127b)
【化52】
【0224】
-78℃でジクロロメタン(100mL)中のフェニルホスホロジクロリデート(68.67mL、325.5mmol)の撹拌溶液にCHCl(200mL)中のエチルL-アラニネート塩酸塩(122)(50g、325.5mmol)を滴下し(約30分)、10分撹拌した。次いで、同一温度でトリエチルアミン(65.88mL、650.9mmol)を30分かけて添加し、同一温度で1時間撹拌した。次いで、以上で得られた反応混合物を0℃になるようにした。ジクロロメタン(200mL)中の2,3,4,5,6-ペンタフルロフェノール(59.9g、325.5mmol)の溶液及びトリエチルアミン(36.23mL、358mmol)を反応混合物に同時に添加した。得られた反応混合物を室温に加温し、16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(250mL)で希釈し、CHCl(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮し、残渣をMTBE(100mL)で再結晶化した。白色固体を濾過により捕集し、MTBE(3×50mL)で洗浄して純127bを得た。濾液(4a及び4bを含有する)を濃縮し、得られた粗固形分を20%エチルアセテート含有ヘキサン(100mL)で再度再結晶化した。固形分を濾過により捕集し、30分かけて高真空下で乾燥して追加量の127bを与えた。最後に2つの再結晶化バッチを組合せて収集し、70g(収率49%)のエチル((S)-(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート127bを白色固体として単一ジアステレオマー(絶対立体化学は確認せず)として得た。H-NMR(400MHz,CDCl)δ:7.38-7.34(m,2H),7.27-7.20(m,3H),4.22-4.14(m,3H),3.97-3.94(m,1H),1.47(d,J=6.8Hz,3H),1.27(t,J=7.2Hz,3H)、LC-MS:87.58%、m/z440.22[M+H]、キラル純度:90.90%(SFC法による)。
【0225】
エチル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(128)
【化53】
【0226】
THF(500mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(10g、56.91mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(50%)(2.04g、85.36mmol)を分割して添加した。反応混合物を室温に徐々に加温し、さらに30分撹拌した。再度、反応混合物を0℃に冷却し、THF(100mL)中のエチル((R)-(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート127b(25g、56.91mmol)の溶液を0℃で30分かけて混合物に添加した。添加の完了後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、氷冷水(400.0mL)でクエンチした。反応混合物をエチルアセテート(2×400mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水した、減圧下、40℃で濃縮してガム状液体を与えた。溶出液として0~40%エチルアセテート含有n-ヘキサンを使用することによりシリカゲル(100~200メッシュ)カラムクロマトグラフィーで粗化合物を精製して化合物128(3g、12.5%)を黄色液体として得た。LCMS:99.33%、m/z433.36[M+H]HPLC純度:98.88%。
【0227】
実施例23:エチル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(27)
【化54】
【0228】
CHCl(80mL)中のエチル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート128(4g、9.25mmol)の撹拌溶液に0℃でトリフルオロ酢酸(3.63mL、46.22mmol)を滴下した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応の完了後(TLCによりモニターした)、減圧下、35℃で反応混合物を濃縮して粗化合物27(3.5g、TFA塩)を濃厚黄色液体として得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.87(brs,3H),7.43-7.39(m,2H),7.25-7.21(m,3H),6.67(dd,J=10,14.4Hz,1H),4.14-4.08(m,2H),4.01-3.90(m,1H),3.10-2.94(m,4H),1.29(d,J=7.2Hz,3H),1.19(t,J=7.2Hz,3H)、LCMS:99.41%、m/z333.47[M+H]、HPLC:99.15%。
【0229】
実施例24:エチル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート-フマレート(28)
【化55】
【0230】
エチル((R)-((2-アミノエチル)チオ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩27(2.5g、7.53mmol)を水(30mL)中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、pHが8.0~10.0になるまでNaHCOの水性溶液を添加した。0℃で30分撹拌した後、ジエチルエーテル(50mL)を反応混合物中に添加し、有機層を分離した。水性層をジエチルエーテル(2×25mL)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して29の遊離塩基(1.2g)を得た。残渣(1.2g)をジエチルエーテル(5vol)中に溶解し、0℃に冷却した。フマル酸(0.53g、4.566mmol)を以上の反応混合物中に添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を真空蒸留し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して固形残渣を提供し、これをペンタンで洗浄し、真空下で乾燥して28(400mg、14%)を灰白色固体として与えた。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.42-7.38(m,2H),7.25-7.20(m,3H),6.49(s,2H),4.10(q,J=7.2Hz,2H),3.97-3.92(m,1H),3.05-2.91(m,4H),1.29(d,J=6.8Hz,3H),1.18(t,J=7.2Hz,3H)、LCMS:99.82%、m/z333.25[M+H]、HPLC:99.70%。
【0231】
スキーム11は、化合物29及び30の調製を例示する。
【化56】
【0232】
エチル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(129)
【化57】
【0233】
THF(100mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(3.62g、20.44mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(60%)(736.3mg、30.69mmol)を分割して添加した。反応混合物を室温に徐々に加温し、30分撹拌した。再度、反応混合物を0℃に冷却し、THF(100mL)中のエチル(エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート126(8g、20.46mmol)を30分かけて滴下した。添加の完了後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、氷冷水(100mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、30℃で濃縮して粗化合物を与えた。溶出液として0~60%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることにより粗化合物をシリカゲル(100~200メッシュ)で精製して化合物129(5g、63%)(ジアステレオメリック混合物)を黄色ガム状液体として得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:6.96(m,1H),6.10-6.03(m,1H),4.12-4.07(m,2H),4.07-3.95(m,2H),3.82-3.75(m,1H),3.17-3.12(m,2H),2.78-2.71(m,2H),1.38(s,9H),1.34-1.24(m,3H),1.22-1.16(m,6H)。
【0234】
実施例25:エチル(((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(29)
【化58】
【0235】
CHCl(50mL)中のエチル(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート129(5g、13.02mmol)の撹拌溶液に0℃でトリフルオロ酢酸(5.3mL、65.1mmol)を滴下した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応の完了後(TLCによりモニターした)、減圧下、35℃で反応混合物を濃縮して化合物29(4.5g、TFA塩、90%)(ジアステレオメリック混合物)を濃厚ガム状液体として提供した。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:8.33-8.20(m,1H),8.00-7.82(m,3H),6.26-6.20(m,1H),4.13-4.01(m,4H),3.99-3.78(m,1H),3.10-3.08(m,2H),2.98-2.90(m,2H),1.31-1.17(m,9H)、HPLC:(81.57%及び16.77%)。
【0236】
実施例26:エチル(((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートフマル酸塩(30)
【化59】
【0237】
エチル(((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩29(4.0g、10.46mmol)を水(100mL)中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、pHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液を添加した。0℃で15分撹拌した後、10%MeOH含有CHCl(100mL)を反応混合物中に添加し、有機層を分離した。水性層を10%MeOH含有CHCl(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して残渣を提供した。残渣をジエチルエーテル(50mL)中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、フマル酸(0.68g、5.85mmol)を以上の溶液に添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応マスを真空蒸留し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して30(2.72g、65%)(ジアステレオメリック混合物)を灰白色物として得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:8.80(brs,1H),6.47(s,2H),6.24(m,1H),4.13-3.98(m,4H),3.81(m,1H),3.02-2.98(m,2H),2.94-2.86(m,2H),1.30-1.18(m,9H)、HPLC:(86.7%及び13.3%)、LCMS:(80.58%及び18.96%)(m/z 285.22[M+H])。
【0238】
スキーム12は、化合物31の調製を例示する。
【化60】
【0239】
イソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(130)
【化61】
【0240】
THF(100mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)(メチル)カルバメート(10g、52.3mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(2.0g、78.53mmol)を分割して添加した。得られた反応混合物を室温に徐々に加温し、30分撹拌した。反応混合物を0℃に再度冷却し、THF(130mL)中のイソプロピル((R)-エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(118)(25.4g、62.8mmol)の溶液を30分かけて添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を氷冷水(300.0mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、40℃で濃縮してガム状液体を与えた。溶出液として0~80%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により粗化合物を精製して化合物130をガム状液体(9.5g、44.02%)として提供した。LC-MS:95.28%(m/z413.41[M+H])。
【0241】
実施例27:イソプロピル((R)-エトキシ((2-(メチルアミノ)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(34)
【化62】
【0242】
CHCl(50mL)中のイソプロピル((R)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート130(9.58g、23.2mmol)の撹拌溶液に0~5℃でトリフルオロ酢酸(7.16mL、93.0mmol)を滴下した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応の完了後(TLCによりモニターした)、減圧下、35℃で反応マスを濃縮して粗化合物34(9.5g、TFA塩、98%)を濃厚ガム状液体として得て、これをその次の反応にさらなる精製を行うことなく使用した。LCMS:99% m/z313.39%[M+H]
【0243】
実施例28:イソプロピル((R)-((2-(3-カルバムイミドイル-1-メチルグアニジノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(31)
【化63】
【0244】
THF(18mL)中のイソプロピル((R)-エトキシ((2-(メチルアミノ)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート(TFA塩)34(1g、2.44mmol)の撹拌溶液に、N-カルバムイミドイル-1H-ピラゾール-1-カルボキシイミドアミド(408mg、2.44mmol)及びTEA(1.34mL、9.6mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を60℃で6時間加熱した。反応の終了後(LC-MSによりモニターした)、反応混合物を減圧下で濃縮して化合物を得て、これをprep-HPLCにより精製して淡黄色半固形化合物31(220mg、22%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.24(brs,2H),6.71(brs,3H),6.12(m,1H),4.93-4.86(m,1H),4.07-4.01(m,2H),3.78-3.71(m,1H),3.57-3.53(m,2H),2.97(s,3H),2.90-2.86(m,2H),1.29-1.24(m,6H),1.20-1.19(m,6H)、HPLC純度:99.53%、LCMS:99.33%(m/z397.55[M+H])。
【0245】
スキーム13は、化合物32及び33の調製を例示する。
【化64】
【0246】
エチル((S)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(131)
【化65】
【0247】
THF(40mL)中のtert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(1.61g、9.11mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(0.32g、13.67mmol、60%)を分割して添加した。反応混合物を室温に徐々に加温し、30分撹拌した。次いで反応混合物を0℃に冷却し、THF(50mL)中のエチル((R)-エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート130(3.5g、9.11mmol)の溶液を反応混合物中に30分かけて添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を氷冷水(50mL)でクエンチし、エチルアセテート(2×60mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、40℃で濃縮して黄色ガム状液体を与えた。溶出液として0~60%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いることによりシリカゲル(100~200メッシュ)で粗化合物を精製してエチル((S)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート131(1.9g、55%)を黄色ガム状液体として得た。H-NMR(400MHz,CDCl)δ:5.32(brs,1H),4.24-4.11(m,4H),4.00-3.93(m,1H),3.80-3.75(m,1H),3.44-3.40(m,2H),3.00-2.87(m,2H),1.44-1.42(m,12H),1.39-1.24(m,6H)、LCMS:99.67%、m/z385.31[M+H]
【0248】
実施例29:エチル((S)-((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩(32)
【化66】
【0249】
CHCl(20mL)中のエチル((S)-((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート131(1.9g、4.94mmol)の撹拌溶液に0℃でトリフルオロ酢酸(2.25mL、19.73mmol)を滴下した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応の完了後(TLCによりモニターした)、減圧下、35℃で反応混合物を濃縮して化合物32(TFA塩として2.5g)を濃厚ガム状液体として提供した。LC-MS:99.22%(m/z285.25[M+H])。
【0250】
実施例30:エチル((S)-((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートフマレート塩(33)
【化67】
【0251】
エチル((S)-((2-アミノエチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネートTFA塩32(1.5g、3.92mmol)を水(10mL)中に溶解し、pHが7.5~8.0になるまで水性NaHCO溶液を添加した。0℃で15分撹拌した後、反応混合物に10%MeOH含有CHCl(40mL)を添加し、有機層を分離した。水性層を10%MeOH含有CHCl(2×20mL)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して残渣を提供した。残渣をジエチルエーテル(20mL)中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、フマル酸(0.415g、3.52mmol)を以上の反応混合物中に添加し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を真空蒸留し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して33(1.46g、93%)を灰白色固体(わずかに吸湿性)として提供した。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ:9.41(brs,2H),6.48(s,2H),6.26-623(m,1H),4.13-4.01(m,4H),3.82-3.81(m,1H),3.04-2.87(m,4H),1.31-1.18(m,9H)、LC-MS:99.87%、m/z285.31[M+H]、HPLC:99.13%。
【0252】
スキーム14は、化合物35の調製を例示する。
【化68】
【0253】
実施例31:イソプロピル((R)-((2-(2、4ジオキソイミダゾリジン-1-イル)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(35)
【化69】
【0254】
イソプロピル((R)-エトキシ((2-(N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)シアナミド)エチル)チオ)ホスホリル)-L-アラニネート125(500mg、1.26mmol)をジブチルホスフェート(510mg、2.53mmol)で処理し、100℃で2h加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、石油エーテル(2×50mL)で洗浄して固形分を粗化合物として提供した。粗化合物を質量ベース逆相prep-HPLC(カラム:X-SELECT-CSH C18(25×150mm)、10μ、移動相A:0.1%FA含有水、移動相B:アセトニトリル、グラジエント:(T/%B):0/20、2/20、10/60、10.1/98、13/98、13.11/20、15/20 流量:19mL/分により精製して35(150mg、31%)を灰白色固体として提供した。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ:10.76(brs,1H),6.07(dd,J=13.6Hz,1H),4.92-4.86(m,1H),4.06-3.97(m,4H),3.78-3.71(m,1H),3.51-3.43(m,2H),2.91-2.84(m,2H),1.28-1.18(m,12H)、LCMS:99.7%(m/z382.26[M+H])。
【0255】
スキーム15は、36の調製を例示する:
【化70】
【0256】
実施例32:イソプロピル((R)-((2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)エチル)チオ)(エトキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(36)
【化71】
【0257】
THF(10mL)中の2-(2-メルカプトエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(511mg、2.46mmol)の撹拌溶液に0℃で30分かけて水素化ナトリウム(鉱油中60%)(88mg、3.70mmol)を分割して添加した。得られた反応混合物を室温に徐々に加温し、30分撹拌した。次いで反応混合物を0℃に再度冷却し、THF(20mL)中のイソプロピル((S)-エトキシ(ペルフルオロフェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(119)(1g、2.46mmol)の溶液を15分かけて添加し、室温で12時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、エチルアセテートで(2×100mL)抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、減圧下、40℃で濃縮したてガム状液体を与えた。溶出液として0~80%エチルアセテート含有n-ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により粗化合物を精製して36を灰白色固体(600mg、57%)として得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.91-7.83(m,4H),6.04(dd,J=14.0,13.6Hz,1H),4.87-4.81(m,1H),4.02-3.93(m,2H),3.85(t,J=7.2Hz,2H),3.77-3.70(m,1H),3.02-2.98(m,2H),1.26-1.15(m,12H)、LC-MS:76%(m/z429.31[M+H])。
【国際調査報告】