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特表2025-501314眼球領域熱伝達デバイスおよび関連付けられるシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】眼球領域熱伝達デバイスおよび関連付けられるシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61F7/10 322
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539963
(86)(22)【出願日】2023-01-03
(85)【翻訳文提出日】2024-08-23
(86)【国際出願番号】 US2023060047
(87)【国際公開番号】W WO2023133379
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/266,400
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522031733
【氏名又は名称】ブルーエックスサーマル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャハニ, サハル
(72)【発明者】
【氏名】モナザミ, レーザ
(72)【発明者】
【氏名】アンセルモ, ニコラス キース
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA05
4C099CA06
4C099HA07
4C099JA02
4C099LA21
4C099NA10
4C099PA03
4C099PA04
(57)【要約】
装着可能熱伝達デバイスと、関連付けられるシステムおよび方法とが、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、代表的熱伝達デバイスは、(i)所望の温度で動作されるように構成される、第1の側と、第1の側に対向する、第2の側とを含む、熱電性の構成要素(TEC)と、(ii)TECに熱的に結合される、熱伝導性接触部材と、(iii)TECからの熱を分散させるように構成される、熱伝達システムとを備えることができる。熱伝達システムは、TECに熱的に結合される、熱伝達構造と、熱伝達構造に熱的に結合される、熱交換器とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達デバイスであって、
ヒトの標的エリアに熱的に結合されるように構成される第1の側と、前記第1の側に対向する第2の側とを含む熱電性の構成要素(TEC)と、
前記TECの第1の側に結合される熱伝導性接触部材であって、接触部材は、前記ヒトの標的エリアへおよび/またはそこからの熱伝達を向上させるように構成される熱スプレッダである、熱伝導性接触部材と、
前記TECからの熱を分散させるように構成される熱伝達システムであって、前記熱伝達システムは、前記TECに熱的に結合される熱伝達構造と、前記熱伝達構造に熱的に結合される熱交換器とを含む、熱伝達システムと、
前記ヒトによって装着されるように構成され、前記接触部材に結合される第1の領域と、前記熱交換器に結合される第2の領域とを含む剛性フレームであって、前記第1の領域は、前記第2の領域から離間され、前記剛性フレームが、前記ヒトによって装着されると、前記接触部材は、前記ヒトの標的エリアに隣接する、剛性フレームと
を備える、デバイス。
【請求項2】
作業流体を前記熱伝達構造に指向するように構成される低温流体通路と、前記作業流体を前記熱伝達構造から離れるように指向するように構成される高温流体通路とをさらに備え、前記熱伝達構造は、前記低温流体通路または前記高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、前記熱交換器から離間される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記低温流体通路は、前記高温流体通路より高い高度に位置付けられる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記熱伝達構造は、第1の熱伝達構造であり、前記デバイスはさらに、第2の熱伝達構造を備え、前記低温流体通路および前記高温流体通路はそれぞれ、前記第1の熱伝達構造と前記第2の熱伝達構造との間に延在し、前記熱交換器は、前記熱交換器が、動作時、伝導または対流のうちの少なくとも1つを介して、前記第2の熱伝達構造からの熱を除去するように、前記第2の熱伝達構造の上にある、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の熱伝達構造、前記第2の熱伝達構造、前記低温流体通路、および前記高温流体通路は、閉ループシステムを備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記熱伝達システムは、前記低温流体通路を介して前記第1の熱伝達構造に指向される作業流体が、液体を備え、前記高温流体通路を介して前記第1の熱伝達構造から指向される作業流体が、蒸気を備えるように、二相システムである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記TECは、直接、前記接触部材の上にあり、前記第1の熱伝達構造は、直接、前記TECの上にある、請求項4に記載のデバイス。
【請求項8】
前記TECは、前記低温流体通路または前記高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、前記熱交換器から離間される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の熱伝達構造は、前記接触部材の上にあり、前記TECは、前記第2の熱伝達構造の上にあり、前記熱伝達構造は、前記TECの上にある、請求項4に記載のデバイス。
【請求項10】
前記TECは、前記低温流体通路または前記高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、前記接触部材から離間される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項11】
前記熱伝達構造は、入口領域と、出口領域と、相互から離間され、少なくとも部分的に作業流体を受容するように構成されるチャネルを画定する微小特徴とを備え、動作時、前記作業流体は、前記入口領域から前記出口領域に流動し、前記微小特徴からの熱を吸収する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記接触部材は、前記TECに結合され、前記接触部材が、前記ヒトに取り付けられると、前記TECが、前記標的エリアに隣接するように配列されるように構成され、
前記熱伝達構造は、前記TECから前記熱交換器まで延在する熱パイプを備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記熱パイプは、前記TECに隣接する蒸発器部分と、前記熱交換器に隣接する凝縮器部分とを含み、前記熱パイプは、外側金属材料と、前記外側金属材料から半径方向内向きの毛細管現象材料と、前記外側金属材料から半径方向内向きの空隙とを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記熱パイプの前記熱交換器および前記凝縮器部分に結合される熱スプレッダをさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記剛性フレームの第1の領域は、前記剛性フレームのブリッジ部分または端部部分のうちの1つを備え、前記剛性フレームの第2の領域は、前記剛性フレームのつる部分を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
熱治療をヒトの眼球領域に提供するように構成される装着可能熱伝達デバイスであって、前記デバイスは、
アレイ内に配列され、相互から離間される熱電性の構成要素(TEC)であって、個々のTECは、ヒトの標的眼球領域に熱的に結合されるように構成される第1の側と、前記第1の側に対向する第2の側とを含む、熱電性の構成要素(TEC)と、
前記TECの第1の側に結合され、熱を前記ヒトの標的眼球領域へおよび/またはそこから伝達するように位置付けられる熱伝導性接触部材と、
前記TECからの熱を分散させるように構成される熱伝達システムであって、前記熱伝達システムは、(i)前記TECに熱的に結合される熱伝達構造と、(ii)前記熱伝達構造に熱的に結合される熱交換器とを含み、前記接触部材は、前記熱交換器から離間される、熱伝達システムと、
前記TECに結合されるコントローラであって、前記コントローラは、前記熱伝達システムが、所定の期間内に、前記TECの第2の側を第1の温度まで冷却し、前記TECが、前記標的眼球領域の温度を、前記第1の温度と異なる第2の温度に変化させるように、前記TECおよび前記熱伝達システムを動作させるように構成される、コントローラと
を備える、デバイス。
【請求項17】
作業流体を前記熱伝達構造に指向するように構成される低温流体通路と、前記作業流体を前記熱伝達構造から離れるように指向するように構成される高温流体通路とをさらに備え、前記熱伝達構造は、前記低温流体通路または前記高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、前記熱交換器から離間される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記低温流体通路は、前記高温流体通路より高い高度に位置付けられる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記熱伝達構造は、第1の熱伝達構造であり、前記デバイスはさらに、第2の熱伝達構造を備え、前記低温流体通路および前記高温流体通路はそれぞれ、前記第1の熱伝達構造と前記第2の熱伝達構造との間に延在し、前記熱交換器は、前記熱交換器が、動作時、伝導または対流のうちの少なくとも1つを介して、前記第2の熱伝達構造からの熱を除去するように、前記第2の熱伝達構造の上にある、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
前記個々のTECの第1の側は、前記個々のTECが、前記接触部材を介して、前記標的眼球領域に熱的に結合され、前記個々のTECの第2の側が、前記熱伝達構造に結合されるように、前記接触部材に結合される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記熱伝達構造は、前記接触部材の上にあり、前記個々のTECの第1の側に熱的に結合され、前記個々のTECは、前記熱交換器が前記個々のTECの第2の側を冷却するように構成されるように、前記熱交換器に結合される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
前記熱伝達構造は、前記TECの第2の側に熱的に結合される蒸発部分と、前記熱交換器に熱的に結合される凝縮器部分とを含む伸長熱パイプを備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項23】
前記熱パイプは、外側金属材料と、前記外側金属材料から半径方向内向きの毛細管現象材料と、前記外側金属材料から半径方向内向きの空隙とを含み、前記空隙は、前記デバイスの動作の間、前記蒸発部分における蒸気から前記凝縮器部分における液体に遷移する作業流体を含有する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ヒトによって装着され、縁部分と、第1の方向に前記縁部分間に延在するブリッジ部分と、前記第1の方向と異なる第2の方向に前記縁部分から延在するつる部分とを含むように構成される剛性フレームをさらに備え、前記接触部材は、前記ブリッジ部分または前記端部部分のうちの少なくとも1つに結合され、前記熱交換器は、前記つる部分に結合される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項25】
熱伝達デバイスであって、
所望の温度で動作されるように構成される第1の側と、前記第1の側に対向する第2の側とを含む熱電性の構成要素(TEC)と、
前記TECに熱的に結合される接触部材であって、前記接触部材は、熱伝導性材料を備え、ヒトの標的エリアへおよび/またはそこからの熱伝達を向上させるように構成される、接触部材と、
前記TECからの熱を分散させるように構成される熱伝達システムであって、前記熱伝達システムは、前記TECに熱的に結合される熱伝達構造と、前記熱伝達構造に熱的に結合される熱交換器とを含む、熱伝達システムと、
前記接触部材の上にあり、かつそこから半径方向外向きにある膨張可能インターフェースであって、前記膨張可能インターフェースは、膨張されると、圧力を前記接触部材に向かって印加する、膨張可能インターフェースと
を備える、デバイス。
【請求項26】
前記膨張可能インターフェースから外向きにあり、前記ヒトの第1の側の上にあるように構成される剛性フレームと、
前記剛性フレームから延在し、前記ヒトの前記第1の側に対向する第2の側の周囲に装着されるように構成される調節可能バンドと
をさらに備え、
前記ヒトによって装着されると、前記調節可能ストラップは、前記剛性フレームに、圧力を前記ヒトの第1の側に対して付与させる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記熱伝達構造は、前記接触部材と前記膨張可能インターフェースとの間に配置され、前記熱伝達システムはさらに、(i)前記熱伝達構造の入口領域に流体的に結合され、冷却された作業流体を前記熱伝達構造に提供するように構成される低温流体通路と、(ii)前記熱伝達構造の出口領域に流体的に結合され、加熱された作業流体を前記熱伝達構造から受容するように構成される高温流体通路とを備え、前記低温流体通路および前記高温流体通路は、前記調節可能ストラップの少なくとも一部に沿って延在する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記熱伝達構造は、第1の熱伝達構造であり、前記デバイスはさらに、前記TECの第1の側に熱的に結合され、前記低温流体通路および前記高温流体通路に流体的に結合される第2の熱伝達構造を備え、前記第2の熱伝達構造は、前記冷却された作業流体を前記低温流体通路に提供し、前記加熱された作業流体を前記高温流体通路から受容するように構成される、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記TECは、前記TECの第2の側が前記熱交換器によって冷却されるように構成されるように、前記熱交換器に結合され、前記TECおよび前記熱交換器は、前記接触部材から離間される、請求項25に記載のデバイス。
【請求項30】
コントローラと、
前記コントローラに動作可能に結合され、前記膨張可能インターフェースに流体的に結合されるポンプと
をさらに備え、
前記ポンプは、前記コントローラから受信される信号に基づいて、前記膨張可能インターフェースを膨張および/または収縮させるように構成される、請求項25に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示が、それらの全体として、参照することによって本明細書に組み込まれる、2022年1月4日に出願され、「WEARABLE HEAT TRANSFER DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題され、2021年2月23日に出願された、米国特許出願第17/183,313号に関連する、米国仮特許出願第63/266,400号、および「WEARABLE HEAT TRANSFER DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題され、2023年1月3日に出願された、米国特許出願第[弁理士整理番号第135533.8008.US01号]の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイスと、関連付けられるシステムおよび方法とに関する。いくつかの実施形態では、熱伝達デバイスは、ヒトの眼球領域の周囲に装着されるように構成される。
【背景技術】
【0003】
多くのタイプのデバイスおよびシステムが、有意な熱流束を生産しており、そのような熱流束を抽出および消散し、温度を容認可能動作範囲内に保つことが可能である、高度かつ効率的システムに関する、成長しつつある需要が存在する。多くの装着可能デバイスは、例えば、標的エリアからの熱を消散させ、疼痛または腫脹を低減させる、組織構造を変化させる(例えば、脂肪組織を低減させる、および皮膚疾患を治療する)、または他の手技(例えば、レーザ治療)によって引き起こされる、組織の局在化された加熱を緩和する。装着可能デバイスは、望ましくは、軽量および可搬性であるが、これは、多くの用途において要求される、有意な熱流束を消散させるための課題を提示する。結果として、有意な隔たりが、多くの用途のために要求される熱伝達性能と、既存のデバイスおよびシステムの熱伝達性能との間に存在する。例えば、現在の熱伝達システムは、多くの場合、腫脹および他の外科手術後用途を制御するための適正な加熱または冷却を提供するには、大きくて重い。したがって、そのようなシステムは、煩雑であって、装着可能デバイスでは不快であり得、それらは、多くの場合、大きすぎて、ある解剖学的特徴の複雑な輪郭と協働することができない。さらに、眼下組織等のより敏感なエリアのための熱治療用途は、限定され、多くの場合、対応する脂肪細胞を凍結および死滅させるために必要とされる、必要時間持続時間にわたって、一貫した能動的冷却治療を提供することが不可能である。結果として、改良された装着可能熱伝達デバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
I.概要
熱伝達デバイスは、概して、高熱流束動作の効率的熱管理のための潜在性を有し、身体の異なる領域を治療する際の有用性を有し得る。例えば、顔または眼球領域、より具体的には、眼下組織におけるヒトの組織を冷却することは、他の公知の問題点の中でもとりわけ、眼下の腫れぼったさ、眼下のたるみ、眼のくま、およびくぼんだ眼を含む、一般的眼問題点のための効果的治療であり得る。例えば、眼の腫れぼったさは、眼窩周囲浮腫の結果であって、眼下の流体蓄蔵を引き起こすが、そのエリアを冷却し、炎症を低減させることによって、治療されることができる。眼下のたるみは、眼下の脂肪蓄蔵の結果であるが、5℃未満の温度を印加し、対応する脂肪細胞を凍結および死滅させる、冷却脂肪融解術として知られる手技によって、治療されることができる。眼のくまは、冷却することにより、眼皮膚下の開拡された血管を萎縮させることによって、排除されることができ、これは、血管収縮に影響を及ぼし、脈管を圧搾し、眼のくまの出現を低減させる。眼の周囲の丸みを帯びたくぼみは、コンピュータおよび電話を用いた長時間作業に起因する、筋緊張に起因して生じるが、眼の周囲を冷却することは、これらの筋肉を弛緩させ、眼筋肉にかかる圧力を低減させることに役立ち、その結果、くぼみを排除し得る。
【0005】
眼球領域と関連付けられる、これらおよび他の問題点を治療するための既存の製品は、限定され、かつ不適正である用途を有する。そのような標的組織エリアを低温で熱的に治療するために使用される、最も広く認められている装着可能熱伝達デバイスは、冷湿布または氷/ゲルパックであって、これは、多くの場合、医療施設によって推奨される。しかしながら、冷湿布は、(i)それに対して組織が暴露される、温度制御の欠如、(ii)冷却するための限定された容量または必要持続時間にわたって冷却するための限定された能力、(iii)デバイスを調節または配慮せずに、持続的冷却療法を提供することができないこと、および(iv)例えば、氷パックの剛性に起因した、デバイスの可撓性の欠如であって、そこで、ユーザまたはヒトにとって不快な適合を引き起こすことを含む、有意な欠点を有する。本最後の欠点はさらに、デバイスの非可撓性性質および嵩高性が、共形的適合を防止するため、デバイスとヒトとの間の熱伝達の量を限定し得、これは、眼下エリアとの接触を困難にし、信頼性がないものし、かつ非効率的にする。結果として、顔または眼球領域を治療するためのこれらおよび他の装着可能デバイスは、基礎疾患(例えば、疼痛、腫脹、過加熱、減少された血液灌流等)を治療する際、不適正であって、かつ概して、非効果的である。
【0006】
本開示の実施形態は、他の特徴の中でもとりわけ、より良好な温度制御を可能にし、例えば、現在の関連デバイスより可撓性であって、より軽く、より薄いことによって、デバイスとヒトとの間の向上された熱接触を可能にする、熱管理および/または熱伝達デバイスおよびシステムを提供することによって、上記に説明される問題点のうちの少なくともいくつかに対処する。例えば、本明細書の付加的詳細に説明されるように、本開示の実施形態は、(i)第1の温度で動作されるように構成される、第1の側と、第1の温度を上回る、第2の温度で動作されるように構成される、第1の側に対向する、第2の側とを含む、熱電性の構成要素(TEC)と、(ii)TECに熱的に結合される、接触部材と、(iii)TECからの熱を分散させるように構成される、熱伝達システムとを含む、熱伝達デバイスを含むことができる。熱伝達システムは、TECに熱的に結合される、熱伝達構造と、熱伝達構造に流体的に結合される、低温流体通路と、熱伝達構造に流体的に結合される、高温流体通路と、熱伝達構造に熱的に結合される、熱交換器(例えば、空気冷却された熱交換器)とを含むことができる。接触部材、TEC、および熱伝達システムは、剛性フレームが、ヒトまたはユーザによって装着されると、接触部材が、所望の標的エリアを熱的に治療することが可能であるように、剛性フレーム上に組み込まれることができる。そうすることによって、本開示の実施形態は、ヒトの標的エリアが、例えば、高速かつ制御された冷却を受け、それによって、眼球領域のある基礎疾患を治療することを可能にする。
【0007】
本開示の実施形態はさらに、接触部材に隣接して位置付けられる、膨張可能インターフェースを含むことができる。膨張されると、膨張可能インターフェースは、圧力を接触部材に向かって印加し、これは、接触部材と所望のエリアとの間のより良好な熱伝達を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、膨張可能インターフェースの圧力は、特定の接触圧を標的エリア上で維持するように設定されることができる、または、熱治療の間、交互圧力間で変動され、マッサージ感覚を誘発することができる。
【0008】
本明細書で使用されるように、用語「熱的に結合される」は、直接または間接的に、熱的に結合されることを意味することができる。例えば、第1の構成要素および第2の構成要素は、第1の構成要素から供給される、熱が、何らかの方法において、第2の構成要素に分散される場合、離間されているにもかかわらず、相互に熱的に結合され得る。したがって、用語「熱的に結合される」は、第1の構成要素から放出される熱が、直接、第2の構成要素によって吸収されることを要求するように限定されるべきではない。
【0009】
図中では、同じ参照番号は、概して、類似および/または同じ要素を識別する。図に示される、詳細、寸法、および他の特徴の多くは、単に、開示される技術の特定の実施形態の例証である。故に、他の実施形態は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の詳細、寸法、および特徴も有することができる。加えて、当業者は、種々の開示される技術のさらなる実施形態が、下記に説明される詳細のうちのいくつかを伴わずに、実践されることができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の技術の特徴、側面、および利点は、以下の図面に関してより深く理解され得る。
【0011】
図1A図1Aは、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0012】
図1B図1Bは、図1Aに示される、熱伝達デバイスの一部の分解図である。
【0013】
図2A図2Aは、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの一部の部分概略断面図である。
【0014】
図2B図2Bは、図2Aに示される、熱伝達デバイスの一部の部分概略等角図である。
【0015】
図3図3は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの熱伝達構造の部分概略等角図である。
【0016】
図4A図4Aおよび4Bは、本技術の実施形態による、熱電性の構成要素の部分概略等角図である。
図4B図4Aおよび4Bは、本技術の実施形態による、熱電性の構成要素の部分概略等角図である。
【0017】
図5図5は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの部分概略側面図である。
【0018】
図6図6は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されている、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0019】
図7図7は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの部分概略側面図である。
【0020】
図8図8は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0021】
図9図9は、図8に示される、熱伝達デバイスの一部の拡大部分概略断面等角図である。
【0022】
図10図10は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの部分概略側面図である。
【0023】
図11図11は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0024】
図12図12は、図11に示される、熱伝達デバイスの一部の拡大部分概略断面等角図である。
【0025】
図13A図13Aは、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの部分概略側面図である。
【0026】
図13B図13Bは、図13Aに示される、熱伝達構造の部分概略断面図である。
【0027】
図14A図14Aおよび14Bは、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
図14B図14Aおよび14Bは、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0028】
図15図15は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されている、熱伝達デバイスの部分概略正面図である。
【0029】
図16図16は、図15に示される、眼球デバイスの部分概略等角図である。
【0030】
図17図17は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスの部分概略断面上面図である。
【0031】
図18A図18Aは、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されている、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0032】
図18B図18Bは、図18Aに示される、熱伝達デバイスの部分概略断面図である。
【0033】
図18C図18Cは、本技術の実施形態による、図18Aおよび18Bに示される、熱伝達デバイスの部分概略側面図である。
【0034】
図19図19は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されている、熱伝達デバイスの部分概略等角図である。
【0035】
図20図20は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスを含む、システムを図示する、概略ブロック図である。
【0036】
図21図21は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスを介してヒトを熱的に治療するための方法を図示する、フロー図である。
【0037】
当業者は、図面に示される特徴が、例証目的のためのものであって、異なるおよび/または付加的特徴およびその配列を含む、変形例が、可能性として考えられることを理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0038】
II.熱伝達デバイスおよび関連付けられるシステムおよび方法
図1Aは、哺乳類またはヒト10(「ヒト10」)の一部の上に配置されるように構成される、熱伝達デバイス100(「デバイス100」)の部分概略断面側面図であって、図1Bは、デバイス100の一部の拡大部分概略断面等角図である。図1Aおよび1Bをともに参照すると、デバイス100は、(i)ヒト10の一部または標的エリア(例えば、皮膚、組織、頭部、顔、または他の身体部分エリア)の上の、接触部材105と、(ii)接触部材105の上にあり、ヒト10に熱的に結合される、熱電性の構成要素またはモジュール110(「TEC110」)と、(iii)TEC110に熱的に結合され、そこから熱を除去するように構成される、熱伝達システム115とを含む。熱伝達システム115は、閉ループシステムであることができ、(i)TEC110の上に、それに熱的に結合される、熱伝達構造120と、(ii)熱交換器150と、(iii)冷却された作業流体を、TEC110に向かって、熱交換器150から離れるように指向するように構成される、冷却または第2の流体分配通路130(「低温流体通路130」)(例えば、導管、管類、または配管)と、(iv)加熱された作業流体を、TEC110から離れるように、熱交換器150に向かって指向する(例えば、冷却するために)ように構成される、加熱または第1の流体分配通路140(「高温流体通路140」)(例えば、導管、管類、または配管)とを含むことができる。熱交換器150は、受動的または能動的に(例えば、ファンまたは別個の冷却源を介して)冷却され、加熱された作業流体を介して提供される、熱(Q)を除去することができる。本明細書の付加的詳細に説明されるように、熱伝達システム115は、単相熱伝達システムまたは二相熱伝達システム(例えば、蒸発冷却システムまたはプール沸騰システム)を含むことができる。二相熱伝達システムを含む、実施形態に関して、熱伝達構造120は、蒸発器であることができ、加熱された作業流体は、蒸気であることができ、冷却された作業流体は、液体であることができ、熱交換器150は、凝縮器であることができる。
【0039】
図1Aに示されるように、デバイス100はさらに、コントローラ160と、TEC110と電気通信し、コントローラ160によって制御されるように構成される、電源165と、コントローラ160と電気通信する、ユーザインターフェース170と、コントローラ160と電気通信する、1つまたはそれを上回る温度センサ180とを含む。動作時、コントローラ160は、ヒト10の標的エリアを加熱および/または冷却するように構成する、TEC110のための所望の設定温度に基づいて、電源165からTEC110に送信される、電流の量を調整する。温度センサ180は、ヒト10の標的エリアの温度を検出し、フィードバックをコントローラ160に提供し、所望の温度からの任意の逸脱を決定するように位置付けられることができ、コントローラ160は、必要な調節をTEC110に提供される電流に行うために使用されることができる。デバイス100が、冷却モードにあるとき、例えば、熱は、ヒト10から、接触部材105、個々のTEC110、および熱伝達システム115に伝達する。熱が、そのような様式において、ヒト10から除去されるにつれて、冷却ゾーンが、標的エリア上に形成され、ヒト10の冷却深度まで延在し得、これは、少なくとも1ミリメートル(mm)、2mm、3mm、4mm、または5mm、または1~5mmの範囲またはその任意の増分範囲(例えば、1.5mmまたは2.1~3mm)内にあることができる。冷却ゾーンは、デバイス50が加熱モードにあるとき、加熱ゾーンに対応し得る。本明細書の付加的詳細に解説されるように、標的エリアをそのような制御された様式において冷却(または加熱)することは、デバイス100および本技術の他の実施形態が、現在の従来の熱伝達デバイスが行うことができないような、標的エリアを効率的に熱的に治療することを可能にすることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、熱伝達システム115は、1つまたはそれを上回るポンプを含むことができ、熱伝達システム115を通した作業流体の流動は、ポンプによって駆動される。他の実施形態では、熱伝達システム115(例えば、二相熱伝達システム)を通した作業流体の流動は、重力によって駆動される。例えば、重力によって駆動されると、熱交換器150は、重力が、十分な水頭圧力を提供し、作業流体を熱伝達構造120に循環し得るように、熱伝達システム115の他の部分(例えば、熱伝達構造120)の上方に物理的に位置付けられてもよい。加えて、または代替として、本明細書にさらに詳細に解説されるように、熱伝達システム115を通した作業流体の流動は、作業流体の液相をチャンバの入口からチャンバの出口に向かって駆動する、熱伝達構造のチャンバ内に存在する、チャネルを形成する、微小特徴(例えば、柱、ピン、または壁)によって誘発される、毛細管力によって駆動されることができる。加えて、または代替として、いくつかの実施形態では、熱伝達システム115は、過剰量の作業流体を保持し、例えば、作業流体の供給が、持続的に供給され得、なくならないことを確実にするように構成される、緩衝容器またはリザーバを含む。緩衝容器は、特に、デバイス100がより極限温度(例えば、45℃、-20℃等)で動作するときに有益であり得る。いくつかの実施形態では、緩衝容器および熱交換器150は、単一一体型ユニットを備えてもよい。
【0041】
接触部材105は、TEC110のそれぞれに熱的に結合され、TEC110のそれぞれ間に延在するおよび/またはそれの上に延在する。接触部材105は、熱スプレッダとして作用し、少なくとも、TEC10間の領域において、ヒト10の標的エリアへおよび/またはそこからの熱伝達を向上させる、熱伝導性および/または半剛性接触部材を備えることができる。加えて、または代替として、接触部材105は、金属、金属合金、コーティング、ポリマー、シリコーン、および/またはそれらの組み合わせを含む、伝導性材料および/または生体適合性材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、接触部材105は、生体適合性接着剤を備え、例えば、デバイス100を標的エリアに対して保定することができる。いくつかの実施形態では、接触部材105は、接触部材105の第1の側にあって、個々のTEC110と接触する、金属シートまたは材料と、接触部材105の第2の対向側にあって、ヒト10と接触する、非金属シートまたは材料とを備える。いくつかの実施形態では、接触部材105は、拡張可能(例えば、伸展可能)である。図1Aおよび1Bに示されるように、TEC110はそれぞれ、接触部材105の上に配置される。いくつかの実施形態では、接触部材105は、TEC110の個々のもの間のみに延在し、TEC110は、直接、ヒト10の上に(例えば、ヒト10と直接接触して)、配置される。いくつかの実施形態では、接触部材105は、完全に省略されることができ、TEC110は、ヒト10の上にある、または直接ヒトの上にある。
【0042】
TEC110は、熱をTEC110の片側からTEC110の第2の対向側に伝達させるように構成される、半導体ベースの電子構成要素を備えることができる。TEC110は、標的エリアとデバイス100との間の界面において、精密で、制御可能であって、および/または局在化された温度制御を提供することができる。TEC110は、コントローラ160によって、特定の温度および/または所定の温度プロファイル(例えば、一定温度プロファイル、温度サイクルプロファイル、および/または時間ベースのプロファイル)に設定され、ヒト10の隣接する標的エリアを冷却および/または加熱することができる。TEC110を、例えば、特定の温度に設定することは、その温度に対応する、電源165を介して、電流をTEC110に提供することを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、個々のTEC110は、個々に、コントローラ160によって制御される。例えば、個々のTEC110は、他の個々のTEC110から独立して制御され、例えば、所望されると、局在化および可変制御を提供することができる。したがって、デバイス100が、接触部材105がヒト10に熱的に結合されるように配置されると、デバイス100の異なる領域が、個々の領域のための所望の療法に応じて、異なる温度において、加熱および/または冷却されることができる。例えば、デバイス100が、腕または脚部の周囲に巻着されるとき、骨領域に隣接する個々のTEC110またはTEC110の群は、第1の温度に設定されてもよく、より筋肉質の領域に隣接する他のTEC110またはTEC110の他の群は、第2の温度(例えば、第1の温度より高い)に設定されてもよい。そうすることによって、ヒト10は、ある標的エリアのみにおいて、所望の療法を受けることができる。
【0044】
TEC110が動作され得る方法の実施例として、いくつかの実施形態では、ヒト10に面したTEC110の第1の側または熱伝達構造120に面したTEC110の第2の側は、45℃~-20℃の範囲内の温度(例えば、40℃、35℃、20℃、5℃、0℃、-5℃、-10℃、-15℃等)に設定されることができる。いくつかの実施形態では、TEC110は、蒸発器120のみまたはそれと組み合わせてのいずれかにおいて、TEC110の第2の側が、第1の温度または第1の温度範囲に設定または保持され、TEC110の第1の側が、正常体表温度から第2の温度または第2の温度範囲に冷却されるように制御されるように構成されることができる。そのような実施形態では、第2の温度または第2の温度範囲は、第1の温度または第1の温度範囲より高いまたはより低い(例えば、5℃、10℃、20℃、30℃、または40℃より高いまたはより低い)ことができる。加えて、または代替として、TEC110の第2の側における温度を設定することに応じて、TEC110の第1の側は、例えば、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、または60秒以下、または10~60秒の範囲内またはそれらの間の任意の増分範囲の所定の時間以内に、所望の温度に到達するように構成されることができる。本明細書に開示されるように、TEC110の動作は、標的エリア、TEC110の第1の側、またはTEC110の第2の側の温度を検出するように構成される、温度センサ180から受信される信号に基づいてもよい。
【0045】
TEC110は、加熱モード、冷却モード、または冷却と加熱との間で巡回し、標的エリアにおける温度を制御する、モードに設置されることができる。個々のTEC110を横断した熱流動は、その2つの側間の温度差および/または電源165から個々のTEC110に提供される電力入力の関数であり得る。モードおよび/またはモードの動作は、例えば、所定のサイクル時間および/または温度センサ180からのフィードバックに基づいて、選択されることができる。加熱モードにあるとき、TEC110は、TEC110の第2の側を冷却させる、TEC110の第1の側を加熱することによって、熱をヒト10の標的エリアに提供することができる(例えば、接触部材105を介して)。熱伝達構造120は、制御(例えば、オフに)され、TEC110の第2の側のさらなる冷却を緩和することができる。いくつかの実施形態では、デバイス100はさらに、コントローラを介して制御され、ヒト10の隣接する標的エリアを加熱するように構成され得る、付加的抵抗加熱器を備えることができる。
【0046】
冷却モードにあるとき、熱伝達構造120は、熱をTEC110のより高温の第2の側から除去し、それによって、TEC110の対向する第1の側が、ヒト10の隣接する標的エリアを冷却することを可能にするように構成される。したがって、冷却モードでは、熱は、ヒト10の標的エリアから、半径方向外向き方向に、TEC110に、次いで、熱伝達構造120に流動する。上記に記載されるように、TEC110はまた、冷却モードと加熱モードとの間で巡回することもでき、これは、標的エリアへの血流および灌流を向上させ得る。いくつかの実施形態では、冷却および/または加熱モードのパラメータは、最大加熱または冷却温度および/または最大量の加熱または冷却時間(例えば、15分、20分等)等の安全性考慮点に基づく、またはそれによって限定される。個々のTEC110に関する付加的詳細は、本明細書に提供される(例えば、図3および4を参照して)。
【0047】
図示される実施形態に示されるように、デバイス100は、4つの別個のTEC110を含む。他の実施形態では、TEC110の実際の数は、デバイス100の特定の最終使用およびデバイス100から必要とされる加熱/冷却容量要件に応じて、より多いまたはより少なくてもよい(例えば、2、3、5、10、20、30、またはそれを上回る)。加えて、または代替として、TEC110は、図1Aおよび1Bに示されるものと異なるように配列されてもよい。例えば、行内に配置される、個々のTEC110に加え、個々のTEC110は、標的エリアの周囲(例えば、ヒト10の円周の周囲)に配置され、または相互の上部の上にスタックされ、TEC110のその特定のスタックの加熱および/または冷却能力を増加させてもよい。そのような実施形態では、第1のTEC110の上部の上にスタックされる、第2のTEC110は、第1のTEC110と接触する、片側と、熱伝達構造120と接触する、別の対向側とを有することができる。TEC110のスタックされた配列は、特に、ヒト10の標的エリアにおけるより極限温度(例えば、0℃、-10℃、または-20℃未満)が所望されるとき、有益であり得る。TEC110の数および配列を変動させるための本能力は、デバイス100がより様々な最終使用用途の目的に合わせられることを可能にする。
【0048】
図1Aおよび1Bに示されるように、熱伝達構造120は、複数のTEC110の上にある。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるように、熱伝達構造120は、対応する単一TEC110の上にあり、各熱伝達構造120は、高温流体通路140および低温流体通路130に流体的に結合される。例えば、個々の熱伝達構造120に関して、作業流体が、冷却された分配通路130から熱伝達構造120の入口(例えば、複数の入口のうちの1つ)に供給される。作業流体が、熱伝達構造120を通して流動するにつれて、作業流体は、対応するTEC110からの熱を吸収し、熱伝達構造120の出口142(例えば、複数の出口のうちの1つ)を通して、高温流体通路140に指向される。高温流体通路140および低温流体通路130はそれぞれ、熱交換器150に流体的に結合され、閉ループシステムの一部である。熱交換器150は、空間が限定される、熱伝達構造120および/またはヒト10の標的エリアから離間されることができる。加えて、そのような様式において熱交換器150を離間させることは、熱交換器が、より大きくなることを可能にし、それによって、より多くの熱伝達を可能にし、および/またはヒト10によって装着されるとき、熱交換器150がデバイス100の快適性または適合を妨害しないことを確実にすることができる。いくつかの実施形態では、熱交換器は、高温流体通路140および低温流体通路130のそれぞれの半径方向周辺にある。加えて、または代替として、熱交換器は、熱交換器150から提供される作業流体が、有益なこととして、熱伝達構造120を通して作業流体のより良好な循環を提供し得る、付加的水頭圧力を有するように、熱伝達構造120の物理的に上方にあることができる。
【0049】
図1Aを参照して、かつ本明細書のいずれかの場所で図示および説明される、閉ループシステムは、本技術の実施形態が、従来の熱伝達デバイスに対して、向上された熱治療(例えば、向上された冷却)を提供することを可能にする。加えて、本技術の実施形態の閉ループシステムは、多くの場合、過熱、乾燥、および同等物等の劣ったデバイスを用いて提示される、問題点を緩和する。
【0050】
センサ180は、接触部材105、個々のTEC110、および/または標的エリアの所望のパラメータ(例えば、温度、圧力等)を測定するように構成されることができる。センサ180はそれぞれ、コントローラ160と通信し、コントローラ160を介して、デバイス100の安全性、有効性、および動作を立証および/または改良する(例えば、過冷却および/または高圧ゾーンを防止する)ために使用されることができる。
【0051】
上記に記載されるように、コントローラ160は、複数の動作モード(例えば、冷却モード、加熱モード、または両方)のうちの1つにおいて、デバイス100を動作させ、および/またはそこでデバイス100が動作するように構成される、プロセス値(例えば、設定温度)を提供するように構成されることができる。コントローラ160は、TEC110(例えば、第1またはTECの第2の側)が、設定点温度で動作するように構成されるように、40℃~-20℃の範囲内の設定点温度(例えば、35℃、20℃、0℃、-10℃等)をデバイス100に提供することができる。加えて、または代替として、コントローラ160は、受信された入力に基づいて、デバイス100上のセンサ180からの入力を受信し、デバイス100を制御するように構成されることができる。例えば、コントローラ160は、デバイス100の任意の異常を決定し、異常のインジケーションを自動的に発生させ、および/またはデバイス100の動作パラメータを調節することができる。加えて、または代替として、コントローラ160は、例えば、同一ヒトまたはヒトの群のために使用される以前の治療に基づいて、人工知能および/または機械学習を利用して、電力および/または他の制御パラメータを調節してもよい。
【0052】
ユーザインターフェース170は、ヒト10が、例えば、モバイルデバイス(例えば、電話、タブレット、腕時計、ラップトップ等)または他のコンピューティングデバイスを通して、本デバイスを利用することを可能にする、ディスプレイおよび/またはアプリケーションまたはプログラムを含むことができる。ユーザインターフェース170は、事前にプログラムされた熱管理手技を含み、および/またはヒト10が、所望の用途に基づいて、冷却および加熱パラメータを調節することを可能にすることができる。
【0053】
図2Aは、熱伝達デバイス200(「デバイス200」)の一部の部分概略断面図であって、図2Bは、デバイス200の一部の断面等角図である。デバイス200は、二相熱伝達デバイスまたは単相熱伝達デバイスであることができ、概して、デバイス100(図1Aおよび1B)のものと類似または同じ多くの特徴に対応し、それらを含む。例えば、図2Aに示されるように、デバイス200は、前述の接触部材105およびTEC110、および熱伝達構造220(例えば、熱伝達構造120)、入口領域232を介して個々の熱伝達構造220に流体的に結合される、低温流体通路230(例えば、低温流体通路130)、および出口領域242を介して個々の熱伝達構造220に流体的に結合される、高温流体通路240(例えば、高温流体通路140)を含む。低温流体通路230および高温流体通路240は、熱交換器(例えば、熱交換器150;図1A)に流体的に結合され、これは、図2Aから省略されている。熱伝達構造220、低温流体通路230、高温流体通路240、および他の構成要素(例えば、熱交換器)は、ともに、熱伝達システムを構成することができる。図2Aに図示される、熱伝達構造220およびTEC110は、デバイス200のモジュールのうちの1つであり得る、単一モジュールに対応する。
【0054】
デバイス200は、図1Aまたは1Bにおいて視認不可能である、ある特徴を図示する。例えば、図2Aに示されるように、デバイス200のTEC110は、TEC110の第1の側にあって、接触部材105に隣接する、熱電性の第1の面212と、TEC110の第2の対向側にあって、熱伝達構造220に隣接する、熱電性の第2の面216と、第1の面212と第2の面216との間に延在する、熱電性の脚部または柱214とを含む。いくつかの実施形態では、第2の面216は、省略されてもよく、脚部214は、熱伝達構造220と直接接触する。図2Aに示されるように、TEC110および熱伝達構造220、低温流体通路230、および高温流体通路240は、1mm以下、3mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、25mm以下、または30mm以下、または1ミリメートル(mm)~30mmの範囲またはそれらの間の任意の増分範囲内の寸法(D)を有することができ、TEC110および熱伝達構造220は、1mm以下、3mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、25mm以下、または30mm以下、または1mm~30mmの範囲またはそれらの間の任意の増分範囲内の寸法(D)を上回る、寸法(D)を有することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、TEC110(例えば、第1の面212、第2の面216、および/または脚部214)は、概して、非可撓性である、剛性材料を備えることができる。そのような実施形態では、個々のTEC110の占有面積を限定し、デバイス200(または本明細書に開示される任意の他の熱伝達デバイス)の全体的可撓性を維持し、標的エリア(例えば、眼球領域)の周囲または幾何学形状に共形化し得ることを確実にすることが望ましくあり得る。すなわち、そのような実施形態における、TEC110の占有面積、そしてそこで、デバイス200の剛性部分を限定することによって、デバイス200は、例えば、接触部材105から、十分な可撓性を有し、標的エリアの周囲または幾何学形状に共形化し、ヒト10とデバイス200のTEC110との間の熱接触を改良することができる。いくつかの実施形態では、TEC110は、2mm以下、3mm以下、4mm以下、5mm以下、6mm以下、7mm以下、8mm以下、または9mm以下、または2~9mmの範囲またはそれらの間の任意の増分範囲内の占有面積を(例えば、接触部材105の上に)有することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、個々のTEC110の第1の面212、第2の面216、および/または脚部214は、可撓性材料を備え、例えば、デバイス200は、ヒト10によって装着されると、TEC110が、標的エリアにより良好に共形化することを可能にすることができる。その中でTEC110が剛性材料から形成される、それらの実施形態に関して、例えば、TEC110の第1の面212(すなわち、高温側)のために、可撓性材料を使用することは、デバイス200の可撓性がもはやTEC110によって限定されないため、TEC110の占有面積がより大きくなることを可能にすることができる。そうすることによって、より大きい熱TEC110は、熱伝達のためのより高い容量を可能にし、および/またはデバイス200のための製造コストを減少させることができる。
【0057】
図2Aに示されるように、熱伝達構造220は、チャンバ220と、チャンバ220内の基部基板または部材222と、基部部材222から突出する、微小特徴224と、微小特徴224の隣接するもの間に形成され、それによって画定される、チャネル226とを含むことができる。熱伝達構造220は、一体型構造(例えば、単一構成要素)を備え、したがって、基部部材222およびチャネル226に沿って延在する、連続的表面を含むことができる。図2に示されるように、作業流体(WF)は、チャネル226内に配置され、メニスカスを形成することができ、これは、部分的には、作業流体(WF)および微小特徴224の性質、またはより具体的には、微小特徴224の熱および相互に対しての微小特徴224の配列(例えば、間隔)に起因する。理論によって拘束されるわけではないが、メニスカスは、隣接する微小特徴壁との界面に、二相熱伝達システムのための蒸発および/またはTEC110から熱伝達構造120へ、次いで、作業流体(WF)への熱伝達を向上させる、薄膜部分を形成することができる。動作時、微小特徴224の熱および/または配列は、作業流体(WF)に対する毛細管力を誘発し、液体をチャンバ220の第1の端部における入口領域232からチャンバ220の第2の対向端における出口領域242まで移動させ、そこで、加熱された作業流体(WF)(例えば、蒸気または加熱された液体)として退出する。個々の微小特徴224は、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、50ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、または250ミクロン、または5~250ミクロンの範囲またはそれらの間の任意の増分範囲内の側方寸法(D)を有することができる。微小特徴は、5ミクロン、50ミクロン、10ミクロン、200ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、または1,000ミクロン、または5~1,000ミクロンの範囲内の側方寸法(D)だけ、隣接する微小特徴224から離間されることができる。
【0058】
図2Aに示されるように、微小特徴224は、TEC110から離れるように、基部部材222から延在する。他の実施形態では、熱伝達構造220は、対向配向に配置されることができ、基部部材222は、冷却された作業流体通路130に隣接し、微小特徴は、基部部材222からTEC110に向かって延在する。そのような実施形態では、熱伝達構造220は、TEC110に隣接し、作業流体(WF)を含有する、リザーバを含むことができ、微小特徴224の端部部分は、作業流体(WF)中に浸水される。動作時、微小特徴224は、液体作業流体(WF)に関する毛細管力を誘発し、チャンバ220から逃散する、加熱された作業流体(WF)(例えば、蒸気)を発生させ、加熱された作業流体通路240内に収集する。
【0059】
上記に説明されるように、図2Aのデバイス200は、二相熱伝達デバイスまたは単相熱伝達デバイスであることができる。単相熱伝達デバイスとして動作するとき、作業流体は、閉ループ熱伝達システム全体を通して液体としてのままであって、熱交換器から熱伝達構造220に提供される、冷却された作業流体と、熱伝達構造220から熱交換器に提供される、加熱された作業流体との間で遷移する。したがって、単相熱伝達デバイスとして動作するとき、加熱された作業流体は、熱伝達構造220のチャネル426内の作業流体の液体リザーバから加熱された作業流体通路240に供給される。
【0060】
図2Bは、図2Aの熱伝達デバイス200の一部の断面等角図である。TEC110および熱伝達構造220のみが、図2Bに示され、デバイス200の他の要素は、例証目的のために、省略される。図2Bに示されるように、熱伝達構造220は、複数の行内に配列される、連続的伸長チャネル226を形成する、連続的伸長壁によって画定される、微小特徴224を含む。チャネル226は、相互と実質的に同じであって、その長さに沿って、均一幅を有することができる。いくつかの実施形態では、チャネル226は、それらの長さに沿って変動する、幅を有することができ、例えば、それらがチャンバの入口または出口に接近するにつれて、より狭くなる。加えて、または代替として、個々のチャネルは、隣接するチャネルと異なり得る(例えば、より広いまたはより狭い)。理論によって拘束されるわけではないが、そのようなチャネル設計は、液体作業流体流動に関する付加的好ましい圧力勾配を誘発することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、熱伝達構造220の微小特徴224は、異なる形状を含むことができる。例えば、熱伝達構造320の一部の断面図である、図3に示されるように、熱伝達構造320は、行および列、またはチャネル326を微小特徴324間の空間内に画定する、他の好適な配列内に配列される、柱またはピンである、微小特徴324を含む。図3に示される、ピンタイプ微小特徴324は、直線断面を有するが、いくつかの実施形態では、微小特徴324は、円形または他の断面形状(例えば、六角形、八角形等)を有することができる。
【0062】
上記に記載されるように、熱伝達デバイスのTECは、可撓性であり、および/または可撓性材料を備えることができ、これは、TECが、屈曲し、ヒトの標的エリアにより良好に共形化し、そしてそこで、TECからより良好な熱伝達を提供することを可能にすることができる。TEC410の部分概略等角図である、図4Aおよび4Bは、1つのそのような実施形態を図示する。TEC410は、本明細書で参照される、TEC110に対応し得る。図4Aおよび4Bをともに参照すると、TEC410は、TEC410の第1の側における、熱電性の第1の面412(例えば、熱電性の第1の面212;図2A)と、TEC410の第2の対向側における、熱電性の第2の面416(例えば、熱電性の第2の面212;図2A)と、第1の面412と第2の面416との間に延在する、熱電性の脚部または柱414(例えば、熱電性の柱412;図2A)とを含む。熱電性の第1の面412および熱電性の第2の面416の一方または両方は、可撓性材料から作製され、および/またはある程度の可撓性を有するために十分に薄くあることができる。TEC410は、結合器430を介して、電源に電気的に接続され、例えば、第1の熱電性の面412から延在する。
【0063】
例証目的のために、熱電性の第2の面416を省略する、図4Bに示されるように、TEC410は、隣接する熱電性の柱414間に延在し、それに電気的に結合する、伝導性部材420、422、424を含む。伝導性部材420は、熱電性の第2の面416に近接する、熱電性の柱414の上部表面の上に、かつその間に延在することができ、伝導性部材422は、熱電性の柱414の行と平行な第1の方向において、熱電性の面416に近接する、熱電性の柱414の底部表面間に延在することができ、伝導性部材424は、熱電性の柱414の列と平行な第2の方向において、熱電性の面416に近接する、熱電性の柱414の底部表面間に延在することができる。伝導性部材420、422、424は、可撓性および伝導性である、銅(例えば、編組銅ワイヤ)または他の金属を備えることができる。
【0064】
TEC410の可撓性、より具体的には、熱電性の第1の面412、熱電性の第2の面416、および/または伝導性部材420、422、424の可撓性は、TEC410、および対応するデバイスが、概してヒトの標的エリアと直接接触する接触部材(例えば、接触部材105;図1A)または構成要素の周囲により良好に共形化することを可能にすることができる。そうすることによって、TEC410は、剛性TECに対して、接触部材との、そしてそこで、標的エリアとのより良好な熱伝達を有することができる。
【0065】
図5は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイス500(「デバイス500」)の部分概略断面図である。デバイス500は、上記に記載されるように、ヒト10の上の、接触部材105と、接触部材105の上の、ヒト10に熱的に結合される、TEC110とを含むことができる。デバイス300はさらに、TEC110の高温面の上の、それに熱的に結合される、熱スプレッダ505と、熱スプレッダ505の上の、熱交換器550と、熱交換器550の上の、熱交換器550からの熱を除去するように構成される、ファンとを含む、熱伝達システム515を備えることができる。熱交換器550は、表面積暴露を増加させ、熱伝達を改良する、フィンまたは他の伸長構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、熱スプレッダ505は、省略され、熱交換器550は、直接、TEC110の上に配置される。
【0066】
図6は、本技術の実施形態による、ヒト10によって装着されている、熱伝達デバイス600(「デバイス600」)の部分概略等角図である。デバイス600は、図5を参照して説明される構成要素が全て、デバイス600内に含まれるという点で、デバイス500に対応し得る。図6に示されるように、デバイス600は、ヒト10によって装着される、フレーム690と、フレーム690に機械的に結合され、ヒト10の左および右眼球領域を熱的に治療するように構成される、付加的構成要素とを含む。デバイス600は、フレーム690に結合される、接触部材605(例えば、接触部材105(図1A))と、接触部材605に熱的に結合される、TEC610(例えば、TEC110(図1A)またはTEC410(図4))と、TEC610の上の、そこから熱を除去するように構成される、熱交換器650(例えば、熱交換器150(図1A)または熱交換器550(図5))と、導管630を介して、熱交換器650に流体的に結合される、ファン652と、コントローラ660(例えば、コントローラ160)と、電源665(例えば、電源165;図1A)とを含む。導管630は、熱交換器650、TEC610、および接触部材605を間接的にフレーム690に機械的に結合することができる。矢印653によって示されるように、導管630は、直接冷却流体をファン652から熱交換器650に指向するように構成される。いくつかの実施形態では、ファン652は、空気を熱交換器650から離れるように周囲環境に指向し、それによって、熱を熱交換器650から引動させる。熱交換器650、導管630、およびファン652は、ともに、TEC110からの熱を除去および/または分散させるように構成される、熱伝達システムを構成することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、熱交換器650は、熱交換器650、TEC610、および/または接触部材605が、フレーム690に対して移動可能であるように、例えば、別個の機械的結合器(図示せず)を介して、フレーム690に機械的に結合される。接触部材605は、接触部材605が、ヒト10の標的エリア(例えば、眼下エリア)に接触するように、フレーム690に結合される。接触部材605は、デバイス600の残りから独立して、ヒト10が、接触部材605の位置を調節し得るように、TEC610および/または熱交換器650に枢動可能に結合されることができる。そうすることによって、ヒト10は、接触部材605を熱的に治療されるべき組織に近接して位置付けることが可能である一方、また、フレーム690の適合または快適性を妨害しない。
【0068】
動作時、コントローラ660は、TEC610の低温面(すなわち、接触部材605に結合される、TEC610の側)のための所望の温度(例えば、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、または15℃)に関する入力を受信し、電源665に、対応する電流をTEC610に送達し、所望の温度を可能にするように命令する。TEC610の低温面が、所望の温度へと冷却するにつれて、TEC610の高温面(すなわち、対向側)は、加熱する。熱交換器650は、例えば、伝導を介して、TEC610の高温面から熱を除去し、ファン652を介して冷却される。ファン652は、熱交換器650からの熱を吸収し、周囲環境に放出される、冷却流体を供給する。冷却流体は、基礎疾患が適切に治療され得るように、TEC610の低温面が、所望の温度のままであって、所望の持続時間(例えば、少なくとも10分、20分、30分、45分、60分、2時間、5時間、または10時間)にわたって、顔および眼球領域の標的エリアを冷却することを可能にする。
【0069】
図7は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイス700(「デバイス700」)の部分概略断面図である。デバイス700は、上記に記載されるように、ヒト10にの上の、接触部材105と、接触部材105の上の、ヒト10に熱的に結合される、TEC110とを含む。デバイス700はまた、TEC110に熱的に結合され、そこから熱を除去するように構成される、熱伝達システムを含む。熱伝達システムは、TEC110の上の、そこに熱的に結合される、第1の熱伝達構造720aと、第2の熱伝達構造720bと、第1の熱伝達構造720aと第2の熱伝達構造720bとの間に延在する、低温流体通路730(例えば、低温流体通路130(図1A))と、第1の熱伝達構造720aと第2の熱伝達構造720bとの間に延在する、高温流体通路740(例えば、高温流体通路140(図1A))と、熱交換器750(例えば、熱交換器550(図5))と、熱交換器の上の、熱交換器650からの熱を吸収する、冷却流体を供給するように構成される、ファン752(例えば、ファン552(図5))とを含む。低温流体通路730は、冷却された作業流体を第2の熱伝達構造720bから第1の熱伝達構造720aに提供するように構成され、高温流体通路740は、加熱された作業流体を第1の熱伝達構造720aから第2の熱伝達構造720bに提供するように構成される。
【0070】
動作時、冷却された作業流体は、第2の熱伝達構造720bから第1の熱伝達構造720aに提供され、TEC110から発生された熱を吸収する。結果として生じる加熱された作業流体は、高温流体通路740を介して、第2の熱伝達構造720bに提供され、熱交換器750を介して、冷却される。ファン752は、空気を熱交換器750から離れるように吹送し、それによって、熱を熱交換器750から引動させる。冷却された作業流体は、TEC110が、所望の持続時間にわたって、接触部材105および/またはヒト10を所望の温度に冷却し続けることを可能にする、閉ループ熱伝達システムの一部としての、第1の熱伝達構造720aに戻るように提供される。
【0071】
第1の熱伝達構造720aおよび第2の熱伝達構造720b(集合的に、「熱伝達構造720a/b」と称される)は、熱伝達構造220(図2Aおよび2B)と類似または同じであることができる。例えば、熱伝達構造720a/bはそれぞれ、図2Aおよび2Bを参照して前述で説明されるように、チャンバ220と、チャンバ220内の基部基板または部材222と、基部部材222から突出する、微小特徴224(例えば、伸長壁または柱によって画定される)と、微小特徴224の隣接するもの間に形成され、それによって画定される、チャネル226とを含むことができる。そのような実施形態では、第1の熱伝達構造720aに関して、冷却された作業流体は、チャネルを通して流動し、微小特徴から、および間接的に、TECから熱を吸収し、加熱された作業流体となることができ、これは、次いで、高温流体通路740に指向される。第2の熱伝達構造720bに関して、加熱された作業流体は、チャネルを通して流動し、熱を微小特徴に放出し、冷却された作業流体となることができ、これは、次いで、低温流体通路730に指向される。いくつかの実施形態では、熱伝達構造720a/bは、熱伝達構造220に対応せず、代わりに、熱を作業流体からおよび/またはそこに吸収および/または放出するための他の手段を含む。例えば、熱伝達構造720a/bは、微小特徴を伴わない、容器または熱交換器であってもよい。
【0072】
図7に示されるように、第1の熱伝達構造720aおよび第2の熱伝達構造720bは、低温流体通路730および/または高温流体通路740を介して、相互から離間されることができる。いくつかの実施形態では、低温流体通路730および高温流体通路740は、それぞれ、触ってみると、低温および高温であり得る、低温流体通路730および高温流体通路740の暴露を防止するために断熱されることができる。加えて、低温流体通路740は、その中に含有される冷却された作業流体の熱損失を防止するために断熱されることができる。いくつかの実施形態では、高温流体通路740は、断熱されず、熱を照射し、熱損失を助長することが可能である、伝導性金属(例えば、銅またはアルミニウム)を備えることができる。加えて、または代替として、高温流体通路740の長さは、低温流体通路730より長い、または加熱された作業流体から高温流体通路740および周囲環境への熱損失を助長するように最大限にされることができる。有利なこととして、熱交換器750をTEC110およびヒト10の標的エリアから離間させることは、熱交換器750が、より大きい占有面積を有し、それによって、より高い熱伝達/除去容量を有することを可能にすることができる。熱交換器750が、空間が限定される、TEC110および/または標的エリアの上に配置された場合、熱交換器750は、必然的に、デバイス700がヒト10によって快適に装着され得るように、より小さくなり得る。
【0073】
デバイス700の熱伝達システムは、二相または単相熱伝達システムであることができる。二相熱伝達システムとして動作するとき、冷却された作業流体は、液体として、第1の熱伝達構造720aに提供され、TEC110から吸収された熱を介して加熱され、蒸気作業流体となる。蒸気作業流体は、加熱された作業流体通路740を介して、第2の熱伝達構造720bに進行し、そこで、冷却および凝縮され、液体となる。二相熱伝達構造として動作するとき、第1の熱伝達構造720aは、第2の熱伝達構造720bの真下に、またはそれより低い高度に位置付けられ、例えば、低温流体通路730を介して進行する、冷却された液体作業流体から付加的水頭圧力を提供し、高温流体通路740を介して、加熱された蒸気作業流体の流動を促進することができる。
【0074】
図8は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイス800(「デバイス800」)の部分概略図である。デバイス800は、概して、デバイス700の構成要素の全てが、デバイス800内に含まれるという点で、デバイス700(図7)に対応する。図8に示されるように、デバイス800は、ヒト10によって装着される、フレーム890と、フレーム890に機械的に結合され、ヒト10の左および右眼球領域を熱的に治療するように構成される、付加的構成要素とを含む。フレーム890は、端部部分893と、端部部分893間に延在する、ブリッジ部分891と、鼻部分892と、端部部分893の個別のものから延在する、つる部分894とを含む。図8に示されるように、フレーム890はまた、デバイス800の構成要素のうちの1つまたはそれを上回るものをフレーム890に取り付けるように構成される、結合器895と、結合部材896とを含むことができる。
【0075】
デバイス800は、接触部材805(例えば、接触部材105(図1A))と、接触部材805に熱的結合される、TEC810(例えば、TEC110(図1A)またはTEC410(図4))と、TEC810に熱的に結合される、第1の熱伝達構造820a(例えば、第1の熱伝達構造720a(図7)または熱伝達構造220(図2Aおよび2B))とを含む。第1の熱伝達構造820aは、第1の熱伝達構造820a、TEC810、および/または接触部材805が、独立して、フレーム890(例えば、ブリッジ部分891または端部部分893)に対して移動可能であるように、結合器895および結合部材896を介して、フレーム890に枢動可能に結合される。デバイス800はさらに、第2の熱伝達構造820b(例えば、第2の熱伝達構造720b(図7)または熱伝達構造220(図2Aおよび2B))と、第2の熱伝達構造820bを第1の熱伝達構造820aに流体的に結合する、低温流体通路830(例えば、低温流体通路730(図7)または低温流体通路230(図2Aおよび2B))と、第2の熱伝達構造820bを第1の熱伝達構造820aに流体的に結合する、高温流体通路840(例えば、高温流体通路740(図7)または高温流体通路240(図2Aおよび2B))と、熱交換器850(例えば、熱交換器750(図7))と、ファン852(例えば、ファン752(図7))とを含む。第1の熱伝達構造820a、第2の熱伝達構造820b、低温流体通路830、高温流体通路840、熱交換器850、およびファン852は、ともに、TEC110からの熱を除去および/または分散させるように構成される、熱伝達システムを構成することができる。第1の熱伝達構造820aは、第2の熱伝達構造820bの真下に、またはそれより低い高度に位置付けられ、例えば、低温流体通路830を介して進行する、冷却された液体作業流体から付加的水頭圧力を提供し、二相熱伝達システムとして動作するとき、高温流体通路840を介して、加熱された蒸気作業流体の流動を促進することができる。
【0076】
図8に示されるように、デバイス800はまた、第2の熱伝達構造820bおよび低温流体通路830に流体的に結合される、ポンプ845を含む。いくつかの実施形態では、ポンプ845は、フレーム890、より具体的には、つる894に機械的に結合される。ポンプ845は、冷却された作業流体の圧力を増加させ、TEC810から第1の熱伝達構造820aへのより効果的熱伝達を可能にし、適正な作業流体が、閉ループシステムを通して流動し、TEC810を適正に冷却することを確実にする。いくつかの実施形態では、ポンプ845は、省略される。
【0077】
動作時、コントローラ(例えば、コントローラ160(図1))は、TEC810の低温面(すなわち、接触部材805に結合される、TEC810の側)のための所望の温度(例えば、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、または15℃)に関する入力を受信し、電源(例えば、電源165(図1A))に、対応する電流をTEC810に送達し、所望の温度を可能にするように命令する。TEC810の低温面が、所望の温度へと冷却するにつれて、したがって、接触部材805およびヒト10の標的エリアも、冷却する。加えて、TEC810の低温面が、冷却するにつれて、TEC810の高温面(すなわち、対向側)は、加熱する。第1の熱伝達構造820aを通して通過する、冷却された作業流体は、TEC810からの熱を吸収し、加熱された作業流体となり、これは、冷却されるべき第2の熱伝達構造820bに指向される。熱交換器850は、例えば、伝導を介して、加熱された作業流体から熱を除去し、ファン832を介して、冷却される。ファン832は、熱交換器850からの熱を吸収し、周囲環境に放出される、冷却流体を供給する。そのような冷却は、基礎疾患が適切に治療され得るように、TEC810の低温面が所望の温度のままであって、所望の持続時間にわたって、顔および眼球領域の標的エリアを冷却することを可能にする。
【0078】
図9は、図8のデバイス800の一部の拡大部分概略断面図である。図9に示されるように、第2の熱伝達構造820bは、フレーム890に機械的に結合され、熱交換器850は、第2の熱伝達構造820bに機械的に結合され、ファン852は、熱交換器850に機械的に結合される。有利なこととして、熱交換器850およびファン852を、フレーム890のつる部分894に、かつTEC810および熱的に治療されている標的エリアから離れるように結合することによって、熱交換器850は、より大きい占有面積を有し、それによって、より高い熱伝達容量を有することができる。熱交換器850が、空間が限定される、TEC810および/または標的エリアの上に配置された場合、熱交換器850は、デバイス700がヒト10によって快適に装着され得るように、より小さい必要があり得る。
【0079】
図10は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイス1000(「デバイス1000」)の部分概略断面図である。デバイス1000は、デバイス1000が、接触部材105と、第1の熱伝達構造720aと、低温流体通路730と、高温流体通路740と、第2の熱伝達構造720bと、TEC110と、熱交換器750と、ファン752とを含むという点で、デバイス800に類似する。しかしながら、図10に示されるように、デバイス1000は、これらの構成要素を、デバイス800のものと異なるように配列する。具体的には、TEC110は、直接、接触部材105に結合されるのとは対照的に、接触部材105から離間される。そのような配列では、デバイス1000は、デバイス800のものに対して若干より長い期間にわたって、ヒト10の標的エリアにおいて、より漸次的熱応答を達成することができる。加えて、または代替として、デバイス1000は、TEC110の剛性によって制約されず、より薄い構造を標的エリアにもたらすため、接触部材105が、より可撓性を有することを可能にすることができる。デバイス1000の追加される可撓性およびより薄い構造は、デバイス1000が、標的エリアの表面により良好に共形化および接触することを可能にし、デバイス1000と標的エリアとの間のより良好な熱伝達を可能にすることができる。
【0080】
図10に示されるように、第1の熱伝達構造720aは、接触部材105の上に(例えば、直接接触部材の上に)位置付けられ、それに熱的に結合される。第1の熱伝達構造720aは、低温流体通路730および高温流体通路740を介して、第2の熱伝達構造720bに流体的に結合される。TEC110は、第2の熱伝達構造720bと熱交換器750との間に位置付けられ、それに熱的に結合され、TEC110の低温面は、第2の熱伝達構造720bに近接し、および/またはそれと接触し、TEC110の高温面は、熱交換器750に近接し、および/またはそれと接触する。第1の熱伝達構造720a、第2の熱伝達構造720b、低温流体通路730、高温流体通路740、熱交換器750、およびファン752は、ともに、接触部材105および/またはTEC110からの熱を除去および/または分散させるように構成される、熱伝達システムを構成することができる。
【0081】
デバイス1000の熱伝達システムは、二相または単相熱伝達システムを含むことができる。二相熱伝達システムとして動作するとき、冷却された作業流体は、液体として、第1の熱伝達構造720aに提供され、接触部材105から吸収された熱を介して加熱され、蒸気作業流体となる。蒸気作業流体は、加熱された作業流体通路740を介して、第2の熱伝達構造720bに進行し、そこで、TEC110を介して冷却され、凝縮され、液体となる。二相熱伝達構造として動作するとき、第1の熱伝達構造720aは、第2の熱伝達構造720bの真下に、またはそれより低い高度に位置付けられ、例えば、低温流体通路730を介して進行する、冷却された液体作業流体から付加的水頭圧力を提供し、高温流体通路740を介して、加熱された蒸気作業流体の流動を促進することができる。
【0082】
図11は、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイス1100(「デバイス1100」)の部分概略等角図である。デバイス1100は、概して、デバイス1100の構成要素の全てが、デバイス800およびデバイス1000内に含まれるという点で、デバイス800(図8)およびデバイス1000(図10)に対応する。図11に示されるように、デバイス1100は、ヒトによって装着される、フレーム890と、フレーム890に機械的に結合され、ヒト10の左および右眼球領域を熱的に治療するように構成される、付加的構成要素とを含む。
【0083】
デバイス1100は、接触部材805と、接触部材805に熱的に結合される、第1の熱伝達構造820aとを含む。図11に示されるように、第1の熱伝達構造820aおよび接触部材805は、同一または類似形状を有することができ、これは、より効果的熱伝達のための表面積接触を最大限にする。第1の熱伝達構造820aは、第1の熱伝達構造820aおよび/または接触部材805が、独立して、フレーム890(例えば、ブリッジ部分891または端部部分893)に対して移動可能であるように、結合器895および結合部材896を介して、フレーム890に枢動可能に結合される。デバイス1100はさらに、第2の熱伝達構造820bと、第2の熱伝達構造820bを第1の熱伝達構造820aに流体的に結合する、低温流体通路830と、第2の熱伝達構造820bを第1の熱伝達構造820aに流体的に結合する、高温流体通路860と、熱交換器850と、熱交換器850間およびそれに熱的に結合される、TEC810と、第2の熱伝達構造820bと、熱交換器850の上の、ファン852とを含む。図11に示されるように、第2の熱伝達構造820b、熱交換器850、TEC810、およびファン852は、つる部分894に結合され、したがって、接触部材1105および熱的に治療されている標的エリアから離間される。第1の熱伝達構造820aは、第2の熱伝達構造820bの真下に、またはそれより低い高度に位置付けられ、例えば、低温流体通路830を介して進行する、冷却された液体作業流体から付加的水頭圧力を提供し、二相熱伝達システムとして動作するとき、高温流体通路840を介して、加熱された蒸気作業流体の流動を促進することができる。
【0084】
図11に示されるように、デバイス1100はまた、第2の熱伝達構造820bおよび低温流体通路830に流体的に結合される、ポンプ845を含む。いくつかの実施形態では、ポンプ845は、フレーム890、より具体的には、つる894に機械的に結合される。ポンプ845は、冷却された作業流体の圧力を増加させ、第1の熱伝達構造820aから接触部材805へのより効果的熱伝達を可能にし、適正な作業流体が閉ループシステムを通して流動し、接触部材805を適正に冷却することを確実にする。いくつかの実施形態では、ポンプ845は、省略される。
【0085】
図12は、図10のデバイス1100の一部の拡大部分概略断面図である。図12に示されるように、第2の熱伝達構造820bは、フレーム890に機械的に結合され、TEC810は、第2の熱伝達構造820bに熱的に結合および機械的に結合され、熱交換器850は、TEC810に機械的に結合され、ファン852は、熱交換器850に機械的に結合される。有利なこととして、熱交換器850およびファン852を、第2の熱伝達構造820bおよびTEC810に加え、フレーム890のつる部分894に、かつ接触部材805および熱的に治療されている標的エリアから離れるように結合することによって、熱交換器850およびファン852は、例えば、より大きい占有面積を有し、それによって、より高い熱伝達容量を有することができる。熱交換器850および/またはファン852が、空間が限定される、接触部材805および/または標的エリアの上に配置された場合、熱交換器850および/またはファン852は、デバイス1100がヒトによって快適に装着され得るように、より小さい必要があり得る。
【0086】
図13Aは、本技術の実施形態による、熱伝達デバイス1300(「デバイス1300」)の部分概略断面図である。デバイス1300は、デバイス1300が、接触部材105と、TEC110と、熱交換器750と、ファン752とを含むという点で、デバイス800に類似する。図13に示されるように、デバイス1300はさらに、熱ストラップまたはインターフェース材料1305(「熱ストラップ1305」)(例えば、熱スプレッダ505(図5))と、TEC110から熱ストラップ1305まで延在する、熱伝達構造1330とを含む。熱ストラップ1305は、可撓性をデバイス1300に追加し、熱交換器750に対する熱伝達構造1320の移動に適応することが可能である、可撓性材料であることができる。加えて、または代替として、熱ストラップ1305は、接触部材105とTEC110との間および/またはTEC110と熱伝達構造1320の蒸発器部分との間に位置付けられることができる。熱ストラップ1305は、高熱伝導性を伴う、銅、アルミニウム、または他の材料を備えてもよい。熱伝達構造1320、熱ストラップ1305、熱交換器750、およびファン852は、ともに、接触部材105および/またはTEC110からの熱を除去および/または分散させるように構成される、熱伝達システムを構成することができる。
【0087】
熱伝達構造1320は、真空シールされる、熱パイプまたは伸長構造であることができる。熱伝達構造1320は、熱伝達構造1320の近位領域における、TEC110に隣接する、蒸発器部分と、熱伝達構造1320の遠位領域における、熱ストラップ1305に隣接する、凝縮器部分とを含む。いくつかの実施形態では、デバイス1300は、伝導性ブロックをTEC110と熱伝達構造1320の蒸発部分との間に含み、そこに結合される。熱伝達構造1320の部分概略断面図である、図13Bに示されるように、熱伝達構造1320は、外側材料1332(例えば、銅またはアルミニウム)と、外側材料1332から半径方向内向きにあって、それを裏打ちする、毛細管現象材料1334と、毛細管現象材料1334から半径方向内向きにあって、それによって封入される、空隙1336とを含むことができる。空隙1336は、熱伝達構造1320の蒸発部分と凝縮器部分との間で遷移するにつれて、蒸気と液体との間で遷移する、作業流体(WF)を含有することができる。毛細管現象材料は、溝付けされる、焼結される、またはワイヤメッシュを備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイス1300は、熱伝達構造1320を囲繞する、断熱体を含み、触ってみると、低温または高温であり得る、熱伝達構造1320の暴露を防止する。
【0088】
動作時、コントローラ(例えば、コントローラ130(図1))は、TEC110の低温面(すなわち、接触部材105に結合される、TEC110の側)のための所望の温度(例えば、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、または15℃)に関する入力を受信し、電源(例えば、電源165(図1A))に、対応する電流をTEC110に送達し、所望の温度を可能にするように命令する。TEC110の低温面が、所望の温度へと冷却するにつれて、接触部材105およびヒト10の標的エリアも冷却する。加えて、TEC110の低温面が、冷却するにつれて、TEC110の高温面(すなわち、対向側)は、加熱し、これは、熱を熱伝達構造1320の蒸発部分に印加する。TEC110からの熱が、蒸発部分において、熱伝達構造1320に印加されるにつれて、熱伝達構造1320内の作業流体は、加熱され、蒸気作業流体に変化し、これは、熱伝達構造1320のシールされた真空によって促進される。蒸気作業流体は、圧力を熱伝達構造1320内で増加させ、これは、蒸気作業流体を熱伝達構造1320の冷却器側または凝縮器部分に向かって流動させる。凝縮器部分では、蒸気作業流体の熱は、解放され、蒸気作業流体は液体作業流体に凝縮する。凝縮された液体作業流体は、次いで、より高温の側または蒸発器部分に向かって戻るように流動し、そこで、サイクルは、熱がTEC110を介して印加され続ける限り、繰り返される。熱ストラップ1305は、熱伝達構造1320からの熱を吸収し、熱交換器750は、例えば、伝導を介して、熱ストラップ1305から熱を除去する。熱交換器750は、ファン752を介して冷却され、これは、熱交換器750からの熱を吸収し、周囲環境に放出される、冷却流体を供給する。そのような冷却は、基礎疾患が適切に治療され得るように、所望の持続時間にわたって、TEC110の低温面が、所望の温度のままであって、(例えば、顔および眼球領域の)標的エリアを冷却することを可能にする。
【0089】
図14Aおよび14Bは、本技術の実施形態による、ヒトによって装着されるように構成される、熱伝達デバイス1400(「デバイス1400」)の部分概略図である。デバイス1400は、概して、フレーム1490上に組み込まれている、デバイス1300(図13)に対応する。図14Aおよび14Bをともに参照すると、デバイス1400は、以前に図8を参照して説明される、フレーム890と、フレーム890に機械的に結合され、ヒト10の左および右眼球領域を熱的に治療するように構成される、付加的構成要素とを含む。
【0090】
デバイス1400は、接触部材1405(例えば、接触部材805(図8))と、接触部材1405に熱的に結合される、TEC1410(例えば、TEC810(図8))と、TEC1410に熱的に結合される、伝導性ブロック1490と、伝導性ブロック1490および/またはTEC1410に熱的に結合される、熱パイプ1430(例えば、熱伝達構造1320(図13))とを含む。熱パイプ1430、伝導性ブロック1490、および/またはTEC1410は、熱パイプ1430、伝導性ブロック1490、TEC1410、および/または接触部材1405が、独立して、フレーム890(例えば、ブリッジ部分891または端部部分893に対して移動可能であるように、結合器895および結合部材896を介して、フレーム890に枢動可能に結合されることができる。デバイス1400はさらに、熱パイプ1430の端部部分に結合される、熱交換器1450(例えば、熱交換器850(図8))と、ファン1452(例えば、ファン852(図8))とを含む。
【0091】
動作時、コントローラ(例えば、コントローラ130(図1))は、TEC1410の低温面(すなわち、接触部材1405に結合される、TEC1410の側)のための所望の温度(例えば、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、または15℃)に関する入力を受信し、電源(例えば、電源165(図1A))に、対応する電流をTEC1410に送達し、所望の温度を可能にするように命令する。TEC1410の低温面が、所望の温度へと冷却するにつれて、接触部材805およびヒト10の標的エリアも冷却する。加えて、TEC810の低温面が、冷却するにつれて、TEC810の高温面(すなわち、対向側)は、加熱し、熱を熱パイプ1430の蒸発部分に印加する。続いて、熱パイプ1430内の作業流体は、蒸発され、これは、圧力を熱伝達構造1320内で増加させ、蒸気作業流体を熱パイプ1430の凝縮器部分に向かって流動させる。熱交換器1450は、例えば、伝導を介して、熱パイプ1430の凝縮器部分から熱を除去し、熱交換器1450は、ファン1452を介して冷却される。
【0092】
図15は、本技術の実施形態による、ヒト10によって装着される、眼球フレーム1590に結合される、熱伝達デバイス1500(「デバイス1500」)の部分概略正面図であって、図16は、デバイス1500およびフレーム1590の等角図である。デバイス1500は、デバイス100、200、700、1000、1300を含む、本明細書に説明される熱伝達デバイスのいずれかに対応し得、フレーム1590は、フレーム890を含む、本明細書に説明されるフレームのいずれかに対応し得る。
【0093】
デバイス1500は、任意の締結具、接着剤、ストラップ、テープ(例えば、Velcro(登録商標))、ベルト、または他の把握手段を使用して、ヒト10の標的眼球エリアに設置されることができる。しかしながら、眼下皮膚は、比較的に敏感かつ薄いため、圧力を印加する、任意の締結具(例えば、真空、ストラップ、Velcro(登録商標)等)を使用することは、皮膚または組織への損傷を引き起こし得る。また、デバイス1500は、頭部のわずかな運動に伴って変位され得、ヒトが、熱治療の間、移動しないように控えさせることは、実践的ではあり得ない。故に、図15および16に示されるように、デバイス1500は、デバイス1500がそこに結合される、フレーム1590を使用して、標的眼球エリアに対して配置されてもよい。デバイス1500は、標的眼球エリアとの熱接触を改良するように構成されることができる。フレーム1590が、ヒト10によって装着されると、デバイス1500は、標的エリアにおいて、ヒト10と接触して設置される。そうすることによって、デバイス1500は、定位置に保持され、ヒト10内での療法が、デバイス1500が変位される限定されたリスクを伴う、その頭部の移動自由度を有することを可能にすることができる。
【0094】
図16に示されるように、フレーム1590は、異なるヒト10に適応し、デバイス1500とのより良好な熱接触を可能にするように調節されることができる。例えば、デバイス1500のフレーム1590は、Bによって図示されるように、x-軸に沿って、および/またはBによって図示されるように、y-軸に沿って、およびAによって図示されるように、y-軸に沿って、および/またはAによって図示されるように、x-軸に沿って、調節されることができる。そうすることによって、フレーム1590は、標的眼球エリアとの最適熱接触を可能にするように設置されることができる。
【0095】
図17は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイス1700(「デバイス1700」)の部分概略断面図である。デバイス1700は、デバイス1700が、接触部材105と、第1の熱伝達構造720aと、低温流体通路730と、高温流体通路740と、第2の熱伝達構造720bと、TEC110と、熱交換器750と、ファン752とを含むという点で、デバイス1000に類似する。図17に示されるように、第1の熱伝達構造720aは、接触部材105の上に(例えば、直接接触部材の上に)位置付けられ、それに熱的に結合される。第1の熱伝達構造720aは、低温流体通路730および高温流体通路740を介して、第2の熱伝達構造720bに流体的に結合される。TEC110は、第2の熱伝達構造720bと熱交換器750との間に位置付けられ、それに熱的に結合され、TEC110の低温面は、第2の熱伝達構造720bに近接し、および/またはそれと接触し、TEC110の高温面は、熱交換器750に近接し、および/またはそれと接触する。熱交換器750は、例えば、伝導を介して、TEC110から熱を除去し、ファン752を介して冷却され、これは、熱交換器750からの熱を吸収し、周囲環境に放出される、冷却流体を供給する。第1の熱伝達構造720a、第2の熱伝達構造720b、低温流体通路730、高温流体通路740、熱交換器750、およびファン752は、ともに、接触部材105および/またはTEC110からの熱を除去および/または分散させるように構成される、熱伝達システムを構成することができる。
【0096】
デバイス1700はさらに、第1の熱伝達構造720aおよび接触部材105の上の、膨張可能インターフェース1770と、膨張可能インターフェース1770に流体的に結合され、膨張可能インターフェース1770を膨張および/または収縮するように構成される、ポンプ1775とを含む。デバイス1700はさらに、ヒト10の第1の側11上における、膨張可能インターフェース1770の上の、剛性フレーム1790と、ヒト10の第2の対向側12上に配置される、剛性部材1792と、剛性フレーム1790と剛性部材1792との間に延在し、デバイス1700をヒト10に固着させるように構成される、調節可能バンドとを含む。デバイス1700が、ヒト10によって装着されると、剛性フレーム1790は、圧力を接触部材105上に印加し、それをヒト10の第1の側11に向かって押動させる。膨張可能インターフェース1770が、ポンプ1775を介して膨張されるにつれて、より多くの圧力が、第1の熱伝達構造720aおよび接触部材105に印加され、これは、接触部材105からヒト10への接触および/または熱伝達を改良する。
【0097】
デバイス1700はさらに、本明細書で前述のような(例えば、図1Aを参照する)、ユーザインターフェース170と、ユーザインターフェース170に動作可能に結合される、コントローラ160と、コントローラ160およびポンプ1775に動作可能に結合される、電源165とを含むことができる。ユーザインターフェース170、コントローラ160、および/または電源165は、剛性部材1792内に位置付けられ、および/または含有されることができる。本デバイスはさらに、コントローラ1770に動作可能に結合され、接触部材105とヒト10との間の界面に位置付けられる、圧力センサ1780を含むことができる。圧力センサ1780は、ヒト10に対して印加される、デバイス1700または接触部材105の接触圧力を検出することができ、膨張可能インターフェース1770を調節するための入力として使用されることができる。例えば、ポンプ1775は、圧力センサ1780からの信号に基づいて、膨張可能インターフェース1770を膨張および/または収縮し、例えば、熱治療の間、設定接触圧を維持する、または圧力を種々の圧力間で調節し、マッサージ感覚を誘発するように構成されることができる。
【0098】
デバイス1700の熱伝達システムは、二相または単相熱伝達システムであることができる。二相熱伝達システムとして動作するとき、冷却された作業流体は、液体として、第1の熱伝達構造720aに提供され、接触部材105から吸収された熱を介して加熱され、蒸気作業流体となる。蒸気作業流体は、加熱された作業流体通路740を介して、第2の熱伝達構造720bに進行し、そこで、TEC110を介して冷却され、凝縮され、液体となる。二相熱伝達構造として動作するとき、第1の熱伝達構造720aは、第2の熱伝達構造720bの真下に、またはそれより低い高度に位置付けられ、例えば、低温流体通路730を介して進行する、冷却された液体作業流体から付加的水頭圧力を提供し、高温流体通路740を介して、加熱された蒸気作業流体の流動を促進することができる。
【0099】
動作時、コントローラ(例えば、コントローラ130(図1))は、直接、冷却された作業流体の温度および/または接触部材105の温度に相関する、TEC110の低温面のための所望の温度(例えば、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、または15℃)に関する入力を受信する。コントローラは、電源(例えば、電源165(図1A))に、対応する電流をTEC110に送達し、所望の温度を可能にするように命令する。TEC110の低温面が、所望の温度へと冷却するにつれて、したがって、第2の熱伝達構造720bから第1の熱伝達構造720aに供給される作業流体も冷却し、これは、ひいては、接触部材105を冷却する。加えて、TEC110の低温面が、冷却するにつれて、TEC110の高温面(すなわち、対向側)は、加熱する。熱交換器750は、例えば、伝導を介して、TEC110から熱を除去し、ファン752を介して冷却され、これは、熱交換器750からの熱を吸収し、周囲環境に放出される、冷却流体を供給する。本熱治療が、生じる間、コントローラはまた、ポンプ1775を動作させ、第1の熱伝達構造720aと剛性フレーム1790との間の膨張可能インターフェース1770を膨張させることができ、これは、接触部材105によってヒト10の組織に対して印加される圧力を増加させることができる。加えて、または代替として、コントローラはまた、熱治療の間、ポンプ1775を動作させ、繰り返し、膨張可能インターフェース1770を膨張および収縮し、マッサージ感覚を提供することができる。
【0100】
図18Aは、ヒトによって装着されている、熱伝達デバイス1800(「デバイス1800」)の部分概略等角図であって、図18Bは、デバイス1800の部分概略等角断面図であって、図18Cは、調節可能バンド1785を含む、デバイス1800の部分概略側面図である。調節可能バンド1785は、例証目的のために、図18Aおよび18Bから省略される。最初に、図18Aおよび18Bを参照すると、デバイス1800は、剛性フレーム1890(例えば、剛性フレーム1790(図17))と、剛性フレーム1890から半径方向内向きにある、膨張可能インターフェース1870(例えば、膨張可能インターフェース1770(図17))と、膨張可能インターフェース1870から半径方向内向きにある、第1の熱伝達構造1820a(例えば、第1の熱伝達構造720a(図17))と、熱伝達構造1820aから半径方向内向きにあって、ヒト10の眼球領域と接触する、接触部材1805(例えば、接触部材105(図17))とを含む。接触部材1805は、デバイス1800とヒト10との間の快適な接触表面を提供することができる。いくつかの実施形態では、第1の熱伝達構造1820aおよび接触部材1805は、ヒト10の眼球領域と接触する、デバイス1800の単一要素の中に組み込まれる。図18Cに示されるように、デバイス1800は、剛性フレーム1890に対してヒトの頭部の対向側における、剛性部材1892(例えば、剛性部材1792(図17))と、剛性フレーム1890と剛性部材1892との間に延在する、調節可能バンド1885(例えば、調節可能バンド1785(図17))とを含むことができる。剛性部材1892は、第2の熱伝達構造(例えば、第2の熱伝達構造720b(図17))と、第2の熱伝達構造の上の、それに熱的に結合される、TECと、TECの上の、それに熱的に結合される、熱交換器と、熱交換器の上の、それに熱的に結合される、ファンとを備える、および/または含有することができる。調節可能バンドは、第1の熱伝達構造と第2の熱伝達構造との間に延在する、低温流体通路(例えば、低温流体通路730)と、第1の熱伝達構造と第2の熱伝達構造との間に延在する、高温流体通路(例えば、高温流体通路740)とを備える、および/または含有することができる。調節可能バンド1885は、デバイス1800が、ヒトによって装着されると、調節可能バンド1885が、デバイス1800を剛性フレーム1890に対して、そしてそこで、接触部材1805をヒト10の眼球領域に対して、圧縮するように、弾性であることができる。
【0101】
図19は、本技術の実施形態による、ヒト10によって装着されている、熱伝達デバイス1900(「デバイス1900」)の部分概略等角図である。デバイス1900は、デバイス1800(図18)に類似するが、完全に封入され、眼の周囲の開口部も含む、剛性フレーム1990を含む。デバイス1900はさらに、剛性フレーム1990から半径方向内向きにある、膨張可能インターフェース1870と、膨張可能インターフェースから半径方向内向きにある、接触部材1805とを含む。
【0102】
図20は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイス2000(「デバイス2000」)を含む、システム2090を図示する、概略ブロック図である。図1-19を参照して本明細書に説明される、熱伝達デバイス100、200、500、600、700、800、1000、1100、1300、1400、1500、1700、1800、1900のうちの任意の1つが、無数の他および/またはより複雑なシステムの中に組み込まれることができ、その代表的実施例は、図20に図式的に示される、システム2090である。システム2290は、デバイス2000(例えば、熱伝達デバイス100、200、500、600、700、800、1000、1100、1300、1400、1500、1700、1800、1900)と、デバイス2000(例えば、本デバイスのTEC)に動作可能に結合される、電源2292(例えば、可搬性電源、バッテリ等)と、本デバイスおよび電源2092に動作可能に結合される、コントローラ2094(例えば、プロセッサ)と、コントローラ2094および電源2092に動作可能に結合される、ユーザインターフェース2096と、他のサブシステムとを含むことができる。システム2090は、メモリ記憶、データ処理、および/または他の好適な機能等の多種多様な機能のいずれかを実施することができる。
【0103】
コントローラ2094は、デバイス2000を複数の動作モード(例えば、冷却モード、加熱モード、または両方)のうちの1つで動作させ、および/またはそこで本デバイスが動作させるように構成される、プロセス値(例えば、設定温度)を提供するように構成されることができる。図1Aを参照して前述で説明されるように、例えば、コントローラ2094は、TEC110(例えば、TECの第1または第2の側)が、設定点温度で動作するように構成されるように、40℃~-20℃の範囲内の設定点温度(例えば、35℃、20℃、0℃、-10℃等)をデバイス2000に提供することができる。加えて、または代替として、コントローラ2094は、センサ(例えば、本デバイス上のセンサ180(図1Aおよび1B))からの入力を受信し、受信される入力に基づいて、デバイス2000を制御するように構成されることができる。例えば、コントローラ2094は、デバイス2000の任意の異常を決定し、異常のインジケーションを自動的に発生させ、および/またはデバイス2000の動作パラメータを調節することができる。加えて、または代替として、コントローラ2094は、人工知能および/または機械学習を利用して、例えば、同一ヒトまたはヒトの群のために使用される以前の治療に基づいて、電力および/または他の制御パラメータを調節してもよい。ユーザインターフェース2096は、ヒトが、モバイルデバイス(例えば、電話、タブレット、腕時計、ラップトップ等)または他のコンピューティングデバイスを通して、本デバイスを利用することを可能にする、ディスプレイおよび/またはアプリケーションまたはプログラムを含むことができる。ユーザインターフェース2096は、事前にプログラムされた熱管理手技を含み、および/またはヒトが所望の用途に基づいて冷却および加熱パラメータを調節することを可能にしてもよい。
【0104】
図21は、本技術の実施形態による、熱伝達デバイスを介して、ヒト(例えば、眼下の腫れぼったさ、眼下のたるみ、眼のくま、またはくぼんだ眼)を治療するための方法2200を図示する、フロー図である。方法2000は、熱伝達デバイス(例えば、デバイス100、200、500、600、700、800、1000、1100、1300、1400、1500、1700、1800、1900)(プロセス部分2102)を提供することと、ヒトの標的エリア(プロセス部分2104)の上に熱伝達デバイスを配置することとを含むことができる。標的エリアの上に熱伝達デバイスを配置することは、例えば、本デバイスまたは本デバイスの接触部材が、圧縮力を標的エリア上に提供し、本デバイスのTECを標的エリアと熱接触するように位置付けるように、標的エリアの上に本デバイスを締結することを含むことができる。
【0105】
方法2100はさらに、コントローラ(例えば、コントローラ2094;図20)を介して、熱伝達デバイスの温度制御および/または動作モードを始動させ、それによって、熱をヒトの標的エリアから熱伝達デバイスまたはその逆(プロセス部分2106)に伝達させることを含むことができる。動作モードを始動させることは、冷却モード、加熱モード、または冷却モードおよび加熱モードの両方を始動させることを含むことができる。温度制御を始動させることは、TEC(例えば、TEC110;図1A、1B、2A-14B)が動作するための温度、またはそこで本デバイスが所定の時間(例えば、10秒、20秒、30秒、40秒、60秒、または120秒)以内に標的エリアを加熱または冷却するように構成される、温度を提供することを含むことができる。いくつかの実施形態では、温度は、40℃~-20℃の範囲内(例えば、35℃、20℃、0℃、-10℃等)に設定されることができる。
【0106】
III.結論
変更が、本開示の基礎原理から逸脱することなく、上記に説明される実施形態の詳細に行われ得ることが、当業者に明白であろう。ある場合には、周知の構造および機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、詳細に示されていない、または説明されていない。方法のステップが、特定の順序で本明細書に提示され得るが、代替実施形態は、異なる順序において、ステップを実施してもよい。同様に、特定の実施形態の文脈に開示される、本技術のある側面は、他の実施形態では、組み合わせられる、または排除されることができる。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられる、利点が、それらの実施形態の文脈に開示され得るが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈することができ、全ての実施形態が、必ずしも、本技術の範囲内に該当するために、本明細書に開示されるそのような利点または他の利点を呈する必要はない。故に、本開示および関連付けられる技術は、本明細書に明示的に示されない、または説明されない、他の実施形態も包含することができ、本発明は、添付の請求項によるものを除き、限定されない。
【0107】
本開示全体を通して、単数形用語「a」、「an」、および「the」は、文脈によってそうでないことが明確に示されない限り、複数参照を含む。用語「および/または」は、2つまたはそれを上回るアイテムのリストを参照して使用されるとき、(a)リスト内の任意の単一アイテム、(b)リスト内のアイテムの全て、または(c)リスト内のアイテムの任意の組み合わせを含むものとして解釈されるべきである。加えて、用語「comprising(~を備える)」、「including(~を含む)」、および「having(~を有する)」は、任意のより多数の同一特徴および/または付加的タイプの他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙される特徴を含むことを意味するものとして解釈されるべきである。
【0108】
本明細書では、「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、または類似定型句の言及は、実施形態に関連して説明される、特定の特徴、構造、動作、または特性が、本技術の少なくとも一実施形態では含まれることができることを意味する。したがって、本明細書のそのような語句または定型句の表出は、必ずしも、全て同一実施形態を参照するわけではない。さらに、種々の特定の特徴、構造、動作、または特性は、1つまたはそれを上回る実施形態では、任意の好適な様式において組み合わせられてもよい。
【0109】
別様に示されない限り、明細書および請求項において使用される、数値を表す全ての数は、全ての事例において、用語「約」または「おおよそ」によって修飾されているものとして理解されるべきである。用語「約」または「おおよそ」は、値を参照して使用されるとき、述べられた値の10%以内を意味するように解釈されるべきである。故に、対照的に示されない限り、以下の明細書および添付の請求項に記載される、数値パラメータは、本技術によって取得されるように求められる所望の性質に応じて変動し得る、近似値である、最低限でも、かつ請求項の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。加えて、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包摂されるあらゆる下位範囲を包含するものとして理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲は、1の最小値と10の最大値との間の、あらゆる下位範囲(かつそれらを含む)、すなわち、1に等しいまたはそれを上回る最小値と、10に等しいまたはそれ未満の最大値とを有する、あらゆる下位範囲、例えば、5.5~10を含む。
【0110】
上記に記載される開示は、任意の請求項がその請求項内で明示的に列挙されるものより多くの特徴を要求する意図を反映させるものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映させるように、本発明の側面は、任意の単一の前述の開示される実施形態の全ての特徴より少ないものの組み合わせ内にある。したがって、本詳細な説明に続く請求項は、本明細書によって、本詳細な説明の中に明示的に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として、その独自のものとして独立する。本開示は、独立請求項とともに、それらの従属請求項の全ての列挙を含む。
【0111】
本技術は、例えば、付番された付記(1、2、3等)として下記に説明される、種々の側面に従って、例証される。これらの付記は、実施例として提供され、本技術を限定するものではない。従属付記のいずれかは、任意の組み合わせにおいて、組み合わせられ、個別の独立付記の中に設置され得ることに留意されたい。他の付記も、類似様式で提示され得る。
(付記1)
熱伝達デバイスであって、
ヒトの標的エリアに熱的に結合されるように構成される第1の側と、第1の側に対向する第2の側とを含む、熱電性の構成要素(TEC)と、
TECの第1の側に結合される熱伝導性接触部材であって、接触部材は、ヒトの標的エリアへおよび/またはそこからの熱伝達を向上させるように構成される、熱スプレッダである、熱伝導性接触部材と、
TECからの熱を分散させるように構成される熱伝達システムであって、熱伝達システムは、TECに熱的に結合される熱伝達構造と、熱伝達構造に熱的に結合される熱交換器とを含む、熱伝達システムと、
ヒトによって装着されるように構成され、接触部材に結合される第1の領域と、熱交換器に結合される第2の領域とを含む剛性フレームであって、第1の領域は、第2の領域から離間され、剛性フレームが、ヒトによって装着されると、接触部材は、ヒトの標的エリアに隣接する、剛性フレームと
を備える、デバイス。
(付記2)
作業流体を熱伝達構造に指向するように構成される低温流体通路と、作業流体を熱伝達構造から離れるように指向するように構成される高温流体通路とをさらに備え、熱伝達構造は、低温流体通路または高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、熱交換器から離間される、付記1に記載のデバイス。
(付記3)
低温流体通路は、高温流体通路より高い高度に位置付けられる、付記2に記載のデバイス。
(付記4)
熱伝達構造は、第1の熱伝達構造であり、本デバイスはさらに、第2の熱伝達構造を備え、低温流体通路および高温流体通路はそれぞれ、第1の熱伝達構造と第2の熱伝達構造との間に延在し、熱交換器は、熱交換器が、動作時、伝導または対流のうちの少なくとも1つを介して、第2の熱伝達構造からの熱を除去するように、第2の熱伝達構造の上にある、付記2または3に記載のデバイス。
(付記5)
第1の熱伝達構造、第2の熱伝達構造、低温流体通路、および高温流体通路は、閉ループシステムを備える、付記4に記載のデバイス。
(付記6)
熱伝達システムは、低温流体通路を介して第1の熱伝達構造に指向される作業流体が、液体を備え、高温流体通路を介して第1の熱伝達構造から指向される作業流体が、蒸気を備えるように、二相システムである、付記4または5に記載のデバイス。
(付記7)
TECは、直接、接触部材の上にあり、第1の熱伝達構造は、直接、TECの上にある、付記4に記載のデバイス。
(付記8)
TECは、低温流体通路または高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、熱交換器から離間される、付記4に記載のデバイス。
(付記9)
第1の熱伝達構造は、接触部材の上にあり、TECは、第2の熱伝達構造の上にあり、熱伝達構造は、TECの上にある、付記4に記載のデバイス。
(付記10)
TECは、低温流体通路または高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、接触部材から離間される、付記4に記載のデバイス。
(付記11)
熱伝達構造は、入口領域と、出口領域と、相互から離間され、少なくとも部分的に、作業流体を受容するように構成されるチャネルを画定する微小特徴とを備え、動作時、作業流体は、入口領域から出口領域に流動し、微小特徴からの熱を吸収する、本明細書の付記のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記12)
接触部材は、TECに結合され、接触部材が、ヒトに取り付けられると、TECが、標的エリアに隣接するように配列されるように構成され、
熱伝達構造は、TECから熱交換器まで延在する熱パイプを備える、
付記1に記載のデバイス。
(付記13)
熱パイプは、TECに隣接する蒸発器部分と、熱交換器に隣接する凝縮器部分とを含み、熱パイプは、外側金属材料と、外側金属材料から半径方向内向きの毛細管現象材料と、外側金属材料から半径方向内向きの空隙とを含む、付記12に記載のデバイス。
(付記14)
熱パイプの熱交換器および凝縮器部分に結合される熱スプレッダをさらに備える、付記13に記載のデバイス。
(付記15)
剛性フレームの第1の領域は、剛性フレームのブリッジ部分または端部部分のうちの1つを備え、剛性フレームの第2の領域は、剛性フレームのつる部分を備える、本明細書の付記のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記16)
熱治療をヒトの眼球領域に提供するように構成される装着可能熱伝達デバイスであって、デバイスは、
アレイ内に配列され、相互から離間される熱電性の構成要素(TEC)であって、個々のTECは、ヒトの標的眼球領域に熱的に結合されるように構成される第1の側と、第1の側に対向する第2の側とを含む、熱電性の構成要素(TEC)と、
TECの第1の側に結合され、熱をヒトの標的眼球領域へおよび/またはそこから伝達するように位置付けられる熱伝導性接触部材と、
TECからの熱を分散させるように構成される熱伝達システムであって、熱伝達システムは、TECに熱的に結合される熱伝達構造と、熱伝達構造に熱的に結合される熱交換器とを含み、接触部材は、熱交換器から離間される、熱伝達システムと、
TECに結合されるコントローラであって、コントローラは、熱伝達システムが、所定の期間内に、TECの第2の側を第1の温度まで冷却し、TECが、標的眼球領域の温度を、第1の温度と異なる第2の温度に変化させるように、TECおよび熱伝達システムを動作させるように構成される、コントローラと
を備える、デバイス。
(付記17)
作業流体を熱伝達構造に指向するように構成される低温流体通路と、作業流体を熱伝達構造から離れるように指向するように構成される高温流体通路とをさらに備え、熱伝達構造は、低温流体通路または高温流体通路のうちの少なくとも1つを介して、熱交換器から離間される、付記16に記載のデバイス。
(付記18)
低温流体通路は、高温流体通路より高い高度に位置付けられる、付記17に記載のデバイス。
(付記19)
熱伝達構造は、第1の熱伝達構造であって、本デバイスはさらに、第2の熱伝達構造を備え、低温流体通路および高温流体通路はそれぞれ、第1の熱伝達構造と第2の熱伝達構造との間に延在し、熱交換器は、熱交換器が、動作時、伝導または対流のうちの少なくとも1つを介して、第2の熱伝達構造からの熱を除去するように、第2の熱伝達構造の上にある、付記17または18に記載のデバイス。
(付記20)
個々のTECの第1の側は、個々のTECが、接触部材を介して、標的眼球領域に熱的に結合され、個々のTECの第2の側が、熱伝達構造に結合されるように、接触部材に結合される、付記16に記載のデバイス。
(付記21)
熱伝達構造は、接触部材の上にあり、個々のTECの第1の側に熱的に結合され、個々のTECは、熱交換器が個々のTECの第2の側を冷却するように構成されるように、熱交換器に結合される、付記16に記載のデバイス。
(付記22)
熱伝達構造は、TECの第2の側に熱的に結合される、蒸発部分と、熱交換器に熱的に結合される凝縮器部分とを含む伸長熱パイプを備える、付記16に記載のデバイス。
(付記23)
熱パイプは、外側金属材料と、外側金属材料から半径方向内向きの毛細管現象材料と、外側金属材料から半径方向内向きの空隙とを含み、空隙は、本デバイスの動作の間、蒸発部分における蒸気から凝縮器部分における液体に遷移する作業流体を含有する、付記22に記載のデバイス。
(付記24)
ヒトによって装着され、縁部分と、第1の方向に縁部分間に延在するブリッジ部分と、第1の方向と異なる第2の方向に縁部分から延在するつる部分とを含むように構成される剛性フレームをさらに備え、接触部材は、ブリッジ部分または端部部分のうちの少なくとも1つに結合され、熱交換器は、つる部分に結合される、本明細書の付記のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記25)
熱伝達デバイスであって、
所望の温度で動作されるように構成される第1の側と、第1の側に対向する第2の側とを含む熱電性の構成要素(TEC)と、
TECに熱的に結合される接触部材であって、接触部材は、熱伝導性材料を備え、ヒトの標的エリアへおよび/またはそこからの熱伝達を向上させるように構成される、接触部材と、
TECからの熱を分散させるように構成される熱伝達システムであって、熱伝達システムは、TECに熱的に結合される熱伝達構造と、熱伝達構造に熱的に結合される熱交換器とを含む、熱伝達システムと、
接触部材の上にあり、かつそこから半径方向外向きにある膨張可能インターフェースであって、膨張可能インターフェースは、膨張されると、圧力を接触部材に向かって印加する、膨張可能インターフェースと
を備える、デバイス。
(付記26)
膨張可能インターフェースの半径方向外向きにあり、ヒトの第1の側の上にある構成される剛性フレームと、剛性フレームから延在し、ヒトの第1の側に対向する第2の側の周囲に装着されるように構成される調節可能バンドとをさらに備え、ヒトによって装着されると、調節可能ストラップは、剛性フレームに、圧力をヒトの第1の側に対して付与させる、付記25に記載のデバイス。
(付記27)
熱伝達構造は、接触部材と膨張可能インターフェースとの間に配置され、熱伝達システムはさらに、(i)熱伝達構造の入口領域に流体的に結合され、冷却された作業流体を熱伝達構造に提供するように構成される低温流体通路と、(ii)熱伝達構造の出口領域に流体的に結合され、加熱された作業流体を熱伝達構造から受容するように構成される高温流体通路とを備え、低温流体通路および高温流体通路は、調節可能ストラップの少なくとも一部に沿って延在する、付記26に記載のデバイス。
(付記28)
熱伝達構造は、第1の熱伝達構造であり、本デバイスはさらに、TECの第1の側に熱的に結合され、低温流体通路および高温流体通路に流体的に結合される第2の熱伝達構造を備え、第2の熱伝達構造は、冷却された作業流体を低温流体通路に提供し、加熱された作業流体を高温流体通路から受容するように構成される、付記27に記載のデバイス。
(付記29)
TECは、TECの第2の側が熱交換器によって冷却されるように構成されるように、熱交換器に結合され、TECおよび熱交換器は、接触部材から離間される、付記25に記載のデバイス。
(付記30)
コントローラと、コントローラに動作可能に結合され、膨張可能インターフェースに流体的に結合されるポンプとをさらに備え、ポンプは、コントローラから受信される信号に基づいて、膨張可能インターフェースを膨張および/または収縮させるように構成される、付記25に記載のデバイス。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
【国際調査報告】