(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】エアロゾル供給装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/49 20200101AFI20250109BHJP
A24F 40/53 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
A24F40/49
A24F40/53
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540045
(86)(22)【出願日】2023-01-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 GB2023050101
(87)【国際公開番号】W WO2023139371
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベーカー, ダリル
(72)【発明者】
【氏名】ロッサー, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ブルートン, コーナー
(72)【発明者】
【氏名】クロージャー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】カーシー, ロバート
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC34
4B162AC50
4B162AD12
4B162AD13
4B162AD20
4B162AD22
4B162AD23
4B162AD32
(57)【要約】
エアロゾル供給装置(100)が開示される。このエアロゾル供給装置は、エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路(112、212)を備えるエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスのユーザ(130、230、250、304、326)に関連付けられた特性を検出し、制御回路(112、212)に信号(140、240、260)を提供するように構成されたバイオメトリック検出器(120、220)とを備える。制御回路(112、212)は、許可ユーザに関連付けられたバイオメトリック検出器(120、220)からの信号(140、240、260)を受信したときにエアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成される。バイオメトリック検出器(120、220)は節点識別を使用する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路を備えるエアロゾル供給デバイスと、
前記エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、前記制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器と、
を備えるエアロゾル供給装置であって、
前記制御回路が、許可ユーザに関連付けられた前記バイオメトリック検出器からの信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成され、
前記バイオメトリック検出器が節点識別を使用する、エアロゾル供給装置。
【請求項2】
前記バイオメトリック検出器が顔スキャナを備える、請求項1に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項3】
前記バイオメトリック検出器がプロジェクタスキャナを備える、請求項1に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項4】
前記制御回路が、前記バイオメトリック検出器から第1の信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から第1の作動状態に変更するように構成され、前記制御回路が、前記バイオメトリック検出器から第2の信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から第2の作動状態に変更するように構成され、前記第1の信号が第1のユーザに関連付けられ、前記第2の信号が第2のユーザに関連付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項5】
前記第1のユーザが第1の許可ユーザであり、前記第1の作動状態が第1の動作状態である、請求項4に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項6】
前記第2のユーザが第2の許可ユーザであり、前記第2の作動状態が第2の動作状態であり、前記第2の動作状態が前記第1の動作状態と異なる、請求項5に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項7】
前記第2のユーザが、無許可ユーザであり、前記第2の作動状態が非動作のロック状態である、請求項4又は5に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項8】
前記デフォルト作動状態が非動作状態である、請求項4~7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項9】
エアロゾル供給デバイスであって、
当該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路と、
当該エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、前記制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器と、
を備え、
前記制御回路が、許可ユーザに関連付けられた前記バイオメトリック検出器からの信号を受信したときに当該エアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成され、
前記バイオメトリック検出器が節点識別を使用する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記バイオメトリック検出器が顔スキャナを備える、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記バイオメトリック検出器がプロジェクタスキャナを備える、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
エアロゾル供給装置からエアロゾルを供給する方法であって、
許可ユーザに関連付けられた信号をバイオメトリック検出器が送信するステップと、
エアロゾル供給デバイスの制御回路が前記信号を受信するステップと、
前記制御回路が前記エアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から、ある動作状態に変更するステップと、
を備える方法。
【請求項13】
前記デフォルト作動状態が非動作状態である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記デフォルト作動状態がロック状態である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御手段を備えるエアロゾル供給デバイスと、
前記エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、前記制御手段に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出手段と、
を備えるエアロゾル供給手段であって、
前記制御手段が、許可ユーザに関連付けられた前記バイオメトリック検出手段からの信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成され、
前記バイオメトリック検出手段が節点識別を使用する、エアロゾル供給手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給装置、エアロゾル供給デバイス、エアロゾル供給装置内でエアロゾルを供給する方法、及びエアロゾル供給手段に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル供給システムが知られている。一般的なシステムは、ユーザが作動させるヒータを用いて、エアロゾル供給デバイスによりエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成し、このエアロゾルは、その後、ユーザによって吸入される。このデバイスは、ボタンを押したときに、又は単に吸入行為によって、ユーザが作動させることができる。最近のシステムは、エアロゾル生成材料を含む消耗部品を使用することができる。システムの作動を制御できるようにすることが製造者にとって望ましい可能性がある。これにより、望ましくない状況でシステムが作動することを避けることができる。
【0003】
本発明は、上記の問題のいくつかを解決することを目的としている。
【発明の概要】
【0004】
本発明のさまざまな側面が添付の請求項において規定されている。
【0005】
本書に記載されるいくつかの実施形態によれば、エアロゾル供給装置が提供される。このエアロゾル供給装置は、エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路を備えるエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器とを備える。制御回路は、許可ユーザに関連付けられたバイオメトリック検出器からの信号を受信したときにエアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成される。バイオメトリック検出器は節点識別を使用する。
【0006】
このような装置は、無許可ユーザによる装置の使用を防ぎつつ、許可ユーザによる装置の使用を可能にすることを確実に実行できる。したがって、デバイスの使用に対するセキュリティと制御が向上する。
【0007】
本書に記載されるいくつかの実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスが提供される。このエアロゾル供給デバイスは、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路と、エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器とを備える。制御回路は、許可ユーザに関連付けられたバイオメトリック検出器からの信号を受信したときにエアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成される。バイオメトリック検出器は節点識別を使用する。
【0008】
本書に記載されるいくつかの実施形態によれば、エアロゾル供給装置からエアロゾルを供給する方法が提供される。この方法は、許可ユーザに関連付けられた信号をバイオメトリック検出器が送信するステップと、エアロゾル供給デバイスの制御回路がこの信号を受信するステップと、制御回路がエアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から、ある動作状態に変更するステップとを備える。
【0009】
本書に記載されるいくつかの実施形態によれば、エアロゾル供給手段が提供される。このエアロゾル供給手段は、エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御手段を備えるエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、制御手段に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出手段とを備える。制御手段は、許可ユーザに関連付けられたバイオメトリック検出手段からの信号を受信したときにエアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成される。バイオメトリック検出手段は節点識別を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本教示は、以下の図面を参照しながら、あくまで例示として説明される。
【0011】
【
図1】一例に係るエアロゾル供給装置の概略図である。
【
図2】一例に係るエアロゾル供給装置の概略図である。
【0012】
本発明は、さまざまな変形例及び代替形態を許容するが、特定の実施形態が図面に示され、詳細に説明されている。しかしながら、図面及び特定の実施形態の詳細な説明は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項によって規定される本発明の範囲内にあるすべての変形例、均等物及び代替例を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の例及び実施形態のさまざまな側面及び特徴を本書で考察/説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの側面及び特徴は従来技術で実施可能であり、それらについては簡潔さのために詳細には考察/説明しない。したがって、本書で考察される装置及び方法の側面及び特徴のうち詳細に説明されていないものは、これらの側面及び特徴を実施するための従来技術にしたがって実施できるものと理解されたい。
【0014】
本開示は、エアロゾル供給システムに関するものであり、エアロゾル供給システム、例えばe-シガレット、と呼ばれることもある。以下の記述全体を通じて、「e-シガレット」又は「電子タバコ」という用語が使用されることがあるが、この用語はエアロゾル供給システム/デバイス及び電子エアロゾル供給システム/デバイスと置き換えて使用できるものと理解されたい。また、本技術分野では一般的なように、用語「エアロゾル」及び「蒸気(ベイパー)」、並びに「蒸発」、「揮発」、「エアロゾル化」などの関連する用語は、一般に、互いに置き換えて使用することができる。
【0015】
図1は、本発明に係るエアロゾル供給装置100の一例とユーザ130の概略図を示す。エアロゾル供給装置100はエアロゾル供給デバイス110を有する。エアロゾル供給デバイス110は制御回路112を有する。制御回路112はエアロゾル供給デバイス110の作動状態を制御するように構成されている。エアロゾル供給装置100は、エアロゾル供給デバイス110のユーザ130(装置100の一部ではない)に関連付けられた特性を検出するように構成されたバイオメトリック検出器120を有する。バイオメトリック検出器120はユーザ130の特性を検出して、信号140を制御回路112に提供する。制御回路112は、許可ユーザに関連付けられたバイオメトリック検出器120からの信号を受信すると、エアロゾル供給デバイス110の作動状態を変更するように構成されている。バイオメトリック検出器120は節点識別を使用する。
【0016】
図1に示される例でのエアロゾル供給デバイス110は、エアロゾル供給デバイス110の動作面を制御することができる制御回路112を備える。特に、制御回路112は、エアロゾル供給デバイス110内のヒータ、加熱要素、アトマイザ、振動板、その他のエアロゾル生成要素等116に信号を送信し、ヒータ116の作動を可能にするか、又はヒータ116を作動させてもよい。この制御回路112からの信号は、エアロゾル供給デバイス110の使用を望むユーザ130の認証時にバイオメトリック検出器120から送信される信号140によってトリガされる。
【0017】
したがって、1つの使用シナリオでは、ユーザ130がバイオメトリック検出器120を使用してエアロゾル供給デバイス110に認証信号を送信し、エアロゾル供給デバイス110の作動を可能にする。エアロゾル供給デバイス110は、ユーザ130による使用の前にデフォルト作動状態にあってもよい。このデフォルト作動状態は非動作状態であってもよい。この例では、ユーザはバイオメトリック検出器120を介して認証が行われるまでエアロゾル供給デバイス110を操作することができない。
【0018】
バイオメトリック検出器120は、ユーザ130からデータを受信し、そのデータをメモリ等と比較して処理し、エアロゾル供給デバイス100の制御回路112に信号を提供するための制御回路122を有していてもよい。
【0019】
データの処理がバイオメトリック検出器120で行われる例では、バイオメトリック検出器120からの信号は、作動を可能にする(ユーザが許可ユーザである場合)又は作動を防止する(ユーザが許可ユーザでない場合)ことのいずれかをエアロゾル供給デバイス110に通知する信号であってもよい。処理は、ユーザからのデータ(識別された節点)を、登録及び認証済みユーザの識別された節点のデータベースと比較する形態をとってもよい。一致がある場合、信号140はユーザが許可されており、デバイス110が機能すべきことを示す。一致がない場合、バイオメトリック検出器120は、ユーザに再試行を要求し、及び/又は、ユーザが許可されていないという信号をエアロゾル供給デバイス110に送信してもよい。
【0020】
データの処理がエアロゾル供給デバイス110で行われる例では、バイオメトリック検出器120からの信号が、ユーザ130からのデータに関連する信号であってもよく、メモリ等との比較によるこの信号の処理は、エアロゾル供給デバイス110の制御回路112によって実行されてもよい。この例では、処理が実行され、ユーザ130が許可ユーザ又は無許可ユーザのいずれかとして識別されると、制御回路112は信号をヒータ116に送信して、ユーザが許可されている場合は、エアロゾル供給デバイス110の使用を可能にし、ユーザが無許可である場合は、エアロゾル供給デバイス110の使用を可能にしない。
【0021】
エアロゾル供給デバイス110のデフォルト作動状態は非動作状態であってもよい。この場合、ユーザ130が許可ユーザでなければ、制御回路112は、バイオメトリック検出器120から信号を受信してもヒータ116に信号を送信しなくてもよい。これは、エアロゾル供給デバイス110の状態に変化がないからである。
【0022】
エアロゾル供給デバイス110の作動状態は、広義には、動作状態又は非動作状態と考えることができる。バイオメトリック検出器120によって提供される信号は、制御回路112によって受信され、最終的にはエアロゾル供給デバイス110をある状態から別の状態に変更することとなってもよい。
【0023】
動作状態では、エアロゾルを生成するために使用されるエアロゾル供給デバイス110の要素(例えばアトマイザ、ヒータなど)を作動させることができる。デバイス110のこの特定の作動には、デバイスに対する吸引、デバイス上のボタンの押下げなどの追加の入力が必要であってもよい。他の例では、デバイス110は、ヒータ116が制御回路112からの信号の受信時に自動的にエアロゾルを生成するものであってもよい。
【0024】
非動作状態では、エアロゾルを生成するために使用されるエアロゾル供給デバイス110の要素(例えばアトマイザ、ヒータなど)を作動させることができない。この例では、デバイスを吸引したりボタンを押したりしても、ヒータやアトマイザ116などに影響を与えない。
【0025】
「動作状態」という用語は、デバイス110を動作させることが可能な多数の状態を指しうる。同様に、「非動作状態」という用語は、デバイス110を動作させることができない多数の状態を指しうる。
【0026】
図2を参照すると、
図1の装置100に類似した装置200が示されている。
図1で使用された特徴に類似した特徴が、参照番号を100だけ増やして示されている。例えば、
図1の装置100は
図2の装置200と類似している。類似又は同一の特徴については簡潔さのために考察しない可能性がある。
図2には、装置200の横に2人のユーザ230、250も示されている。
【0027】
図2は、第1のユーザ230がエアロゾル供給デバイス210にアクセスしようとし、これとは別に、第2のユーザ250がエアロゾル供給デバイス210にアクセスしようとする例を示している。バイオメトリック検出器220は、節点識別を使用してユーザ230の特性を検出し、エアロゾル供給デバイス210の制御回路212に信号240を提供する。ユーザ230が許可されている場合、制御回路212は、エアロゾル供給デバイス210が機能できるようにし、ユーザ230による使用のためにヒータ216を作動させることができる。したがって、エアロゾル供給デバイス210の動作状態は、第1のユーザ230に対してはアクティブ状態にある。
【0028】
第2のユーザ250がエアロゾル供給デバイス210の使用を試みてもよい。バイオメトリック検出器220は、節点識別を使用して第2のユーザ250の特性を検出し、エアロゾル供給デバイス210の制御回路212に信号240を提供する。ユーザ250が許可されていない場合、制御回路はエアロゾル供給デバイス210が作動することを防止してもよい。これは、エアロゾル供給デバイス210を非動作状態のままにする(デバイス210が既に非動作状態にあった場合)ことや、エアロゾル供給デバイス210の状態を動作状態から非動作状態に変更することを含みうる。
【0029】
第1のユーザ230が許可ユーザであり、第2のユーザ250が無許可である場合、エアロゾル供給デバイス210の動作状態の変更は以下に説明するものであってもよい。
【0030】
最初にデバイス210はデフォルト作動状態にあり、これは非動作状態である。第1のユーザ230は、バイオメトリック検出器220を使用してデバイス210の状態を動作状態に変更し、その後デバイス210を使用することができる。第1のユーザ230が使用を終了した後、又は1つの喫煙セッション、複数回のパフ、若しくは所定時間の後などに使用が終了したとみなされた後、デバイス210は非動作状態にリセットされてもよい。この場合、ユーザ230は、さらに使用する前にデバイス210の状態を動作状態に変更する必要があってもよい。このような構成によれば、許可ユーザがデバイス210の状態を動作状態に変更したうえで喫煙セッションを終了した後に、無許可ユーザによるデバイス210の使用を防止することにより、デバイス210の安全性が高められる。
【0031】
無許可の第2ユーザ250がデバイス210へのアクセスを試みると、バイオメトリック検出器220は制御回路212に信号260を提供する。制御回路212は、デバイス210を非動作状態に維持し、それにより、第2のユーザ250がデバイス210を動作させることを防止してもよい。他の例では、制御回路212は、ユーザ250がデバイス210の使用を試みている無許可ユーザであると識別すると、デバイス210の状態をロック状態に変更してもよい。ロック状態は、非動作状態の一形態であって、デバイス210を使用してエアロゾルを提供することが可能になる前に、ロック状態を解除するために許可ユーザ230がバイオメトリック検出器220によって検出されなければならないものであってもよい。ロック状態は、ロックが解除された動作状態へロック状態を変更できるようにするために許可ユーザ230のさらなるレベルの識別を要求してもよい。これは、パスワード、パスキー、英数字列などの形態であってもよい。このようなロック状態を使用することで、無許可ユーザ250によってデバイス210の使用が試みられたという表示が許可ユーザ230に提供される。
【0032】
本書で使用される「作動状態」という用語は、動作状態及び非動作状態を含む。動作状態は、デバイスの使用が可能な状態であってもよい。他のより具体的な動作状態は、デバイスの性能を規定(例えば、使用される加熱機構、使用される加熱プロファイル、使用されるエアロゾル生成材料などを選択)してもよい。このような動作状態は、特定のユーザに関連付けられてもよい。この場合、許可ユーザ1が認識されたときは、対応する加熱機構1を用いて、エアロゾル生成媒体1に対し、加熱プロファイル1が提供される。許可ユーザ2が認識されたときは、対応する加熱機構2を用いて、エアロゾル生成媒体2に対し、加熱プロファイル2が提供される。このようにして、異なるユーザが、各ユーザの認識時に各人のパーソナライズされたエアロゾルが提供されるようにすることができる。
【0033】
非動作状態は、デバイスを使用できない状態であってもよい。他のより具体的な非動作状態には、デフォルト非動作状態が含まれる。デフォルト非動作状態は、装置による許可ユーザのバイオメトリック認証によって変更することができる。他の非動作状態、例えばロック状態は、デバイスを動作状態に変更するために、ユーザが1つの基準(例えば1つのバイオメトリック検出)を満たすこと以上のことを要求してもよい。これは、デバイスのハッキングを防止するのに役立ちうるし、無許可ユーザによってアクセスが試みられたことを許可ユーザに通知することもできる。したがって、この構成は、装置によって提供される全体的な保護を向上させる。
【0034】
節点識別は、画像上の識別可能な複数の節の位置によってユーザを認識することを可能にする。これは、顔認識システムを提供するために使用されてもよい。このような節点は、両目の位置であってもよく、両目の間の距離がユーザの識別用特徴を提供するために使用されてもよい。節点は、ユーザの顎の形状を識別するために下顎の周りの位置であってもよい。節点は、額の縁部であってもよく、これら縁部の間の距離、及び顔の外部位置が、ユーザの顔の形状を識別するために使用されてもよい。節点識別は、ユーザの顔を認識するために使用することができる。したがって、これにより、エアロゾル供給デバイスへのアクセスを可能にするために用いられるバイオメトリック検出機構を提供することができる。
【0035】
本書に記載される例におけるバイオメトリック検出器は、顔スキャナであってもよい。他の例として、バイオメトリック検出器はプロジェクタスキャナであってもよい。
【0036】
図3は、エアロゾル供給装置の使用方法300を示す。方法300では、デバイスはデフォルト状態302で開始する。ユーザがデバイスの使用を試みるとき、ユーザは識別のためにバイオメトリック検出器を使用するように求められてもよい。バイオメトリック検出器はユーザ304を検出し、ユーザの特性を検出する。バイオメトリック検出器は、検出されたユーザの特性にしたがって制御回路に信号を送信する。上述のように、バイオメトリック検出器又は制御回路の一方が、この信号をメモリ、データベース等と比較して、ユーザの許可レベル(許可又は無許可)を確認する。無許可ユーザが検出された場合(312)、方法はステップ314に進み、デバイスがロック状態にされるか、又はデフォルト状態を維持する。
【0037】
許可ユーザが検出された場合(322)は、デバイスが動作状態324に変更される。上述のように、この動作状態は、パーソナライズされたエアロゾルを提供するためにユーザに関連付けられていてもよい。したがって、ヒータ又はアトマイザは、所定のエアロゾル生成媒体に対して所定の加熱プロファイルで動作し、パーソナライズされたユーザエアロゾルをユーザ326に提供する。ユーザがそのセッションを終えた(これは、ユーザがボタンを押すことによって、又は所定の時間が経過するか所定のパフ数に達した後に、デバイスに知らされてもよい。)後、その使用セッションは終了されるか、又は終了したとみなされる(328)。その後、デバイスはステップ302のようにデフォルト状態に戻される(329)。このようにして、本書に開示されるデバイスの使用を無許可使用及び無許可ユーザから保護することができる。
【0038】
バイオメトリック検出器は、スマートフォンやタブレットなどの外部デバイスの一部であってもよい。バイオメトリック検出器とエアロゾル供給デバイスは、スマートフォンやタブレットなどのアプリケーションを介して対話してもよい。エアロゾル供給デバイスは、1つ以上のスマートフォン又はタブレットのバイオメトリック検出機能からアクセスされてもよい。1つのスマートフォンのみを使用することで、無許可ユーザがエアロゾル供給デバイスにアクセスすることを防ぐ可能性が高まる。なぜなら、無許可ユーザは、エアロゾル供給デバイスと、バイオメトリック検出器が格納されたデバイスの両方を必要とするからである。
【0039】
他の例として、バイオメトリック検出器はエアロゾル供給デバイスの一部であってもよい。これにより、ユーザにとってよりコンパクトな解決手段が提供される。
【0040】
特定の例では、本書に開示されるデバイスは、デバイス内で交換可能な香料ポッドと共に動作してもよい。香料は、タバコ及びグリコールのいずれであってもよく、また、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はミント属の任意の品種から得られるミントオイル)、香味増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物、例えば、炭、クロロフィル、ミネラル、植物性材料、又は呼気清涼化剤、を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。
【0041】
本書に開示されるエアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成媒体と組み合わされたときに、エアロゾル供給システムと呼ぶことができる。
【0042】
このように、エアロゾル供給装置をこれまで説明してきた。このエアロゾル供給装置は、エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路を備えるエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器とを備える。制御回路は、許可ユーザに関連付けられたバイオメトリック検出器からの信号を受信したときにエアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成されている。バイオメトリック検出器は節点識別を使用する。
【0043】
エアロゾル供給システムは、例えば非燃焼型エアロゾル供給システムなどのタバコ産業製品において使用されてもよい。
【0044】
一実施形態では、このタバコ産業製品は、非燃焼型エアロゾル供給システムの1つ以上の構成要素、例えばヒータ及びエアロゾル化可能基体、を備える。
【0045】
一実施形態では、エアロゾル供給システムは電子タバコであり、これはベイピングデバイスとしても知られる。
【0046】
一実施形態では、電子タバコはヒータ、ヒータに電力を供給することが可能な電源、液体又はゲルなどのエアロゾル化可能基体、ハウジング、及び任意でマウスピースを備える。
【0047】
一実施形態では、エアロゾル化可能基体は基体容器内又は基体容器上に収容される。一実施形態では、基体容器はヒータと組み合わされるか、ヒータを備える。
【0048】
一実施形態では、タバコ産業製品は、基体材料を燃焼させずに加熱することによって1つ以上の化合物を放出する加熱製品である。基体材料はエアロゾル化可能材料であり、これは例えばタバコ又は他の非タバコ製品であってもよく、これらはニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施形態では、加熱製品はタバコ加熱製品である。
【0049】
一実施形態では、加熱製品は電子デバイスである。
【0050】
一実施形態では、タバコ加熱製品はヒータ、ヒータに電力を供給することが可能な電源、及び固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能基体を備える。
【0051】
一実施形態では、加熱製品は非電子物品である。
【0052】
一実施形態では、加熱製品は、固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能基体と、例えば燃焼材料(例えば炭)を燃焼させることによって、電子手段を用いることなくエアロゾル化可能基体に熱エネルギーを供給することが可能な熱源とを備える。
【0053】
一実施形態では、加熱製品は、エアロゾル化可能基体を加熱することにより生成されたエアロゾルをろ過することが可能なフィルタも備える。
【0054】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能基体材料は、エアロゾル剤若しくはエアロゾル生成剤又は湿潤剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコールを含んでもよい。
【0055】
一実施形態では、タバコ産業製品は、複数の基体材料の組み合わせを燃焼させずに加熱することによってエアロゾルを生成するハイブリッドシステムである。これらの基体材料は、例えば固体、液体又はゲルを含んでもよく、これらはニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル基体と固体基体とを備える。固体基体は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品であってもよく、これらはニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル基体とタバコとを備える。
【0056】
種々の問題に対処し、技術を発展させるために、本開示は、全体として、請求項に記載された発明が実施されうる種々の実施形態を例示し、優れた電子エアロゾル供給システムを提供する。本開示の利点及び特徴は、さまざまな実施形態の代表的なサンプルのものにすぎず、網羅的でもなければ、排他的でもない。それらの実施形態は、請求項に記載された特徴を理解及び教示することを助けるためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、請求項によって規定される本開示を限定するものや請求項の均等物を限定するものとみなされるべきではなく、他の実施形態を利用してもよいし、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく変更を加えてもよい。種々の実施形態が、開示された要素、部品、特徴、部分、ステップ、手段などの種々の組み合わせを適切に備え、それらの組み合わせから適切に構成され、又はそれらの組み合わせから適切に本質的に構成されてもよい。また、本開示は、現在特許を請求していないが将来請求するかもしれない他の発明を含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路を備えるエアロゾル供給デバイスと、
前記エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、前記制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器と、
を備えるエアロゾル供給装置であって、
前記制御回路が、許可ユーザに関連付けられた前記バイオメトリック検出器からの信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成され、
前記バイオメトリック検出器が節点識別を使用する、エアロゾル供給装置。
【請求項2】
前記バイオメトリック検出器が顔スキャナを備える、請求項1に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項3】
前記バイオメトリック検出器がプロジェクタスキャナを備える、請求項1に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項4】
前記制御回路が、前記バイオメトリック検出器から第1の信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から第1の作動状態に変更するように構成され、前記制御回路が、前記バイオメトリック検出器から第2の信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から第2の作動状態に変更するように構成され、前記第1の信号が第1のユーザに関連付けられ、前記第2の信号が第2のユーザに関連付けられる、請求項
1に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項5】
前記第1のユーザが第1の許可ユーザであり、前記第1の作動状態が第1の動作状態である、請求項4に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項6】
前記第2のユーザが第2の許可ユーザであり、前記第2の作動状態が第2の動作状態であり、前記第2の動作状態が前記第1の動作状態と異なる、請求項5に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項7】
前記第2のユーザが、無許可ユーザであり、前記第2の作動状態が非動作のロック状態である、請求項
4に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項8】
前記デフォルト作動状態が非動作状態である、請求項
4に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項9】
エアロゾル供給デバイスであって、
当該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御回路と、
当該エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、前記制御回路に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出器と、
を備え、
前記制御回路が、許可ユーザに関連付けられた前記バイオメトリック検出器からの信号を受信したときに当該エアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成され、
前記バイオメトリック検出器が節点識別を使用する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記バイオメトリック検出器が顔スキャナを備える、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記バイオメトリック検出器がプロジェクタスキャナを備える、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
エアロゾル供給装置からエアロゾルを供給する方法であって、
許可ユーザに関連付けられた信号をバイオメトリック検出器が送信するステップと、
エアロゾル供給デバイスの制御回路が前記信号を受信するステップと、
前記制御回路が前記エアロゾル供給デバイスの作動状態をデフォルト作動状態から、ある動作状態に変更するステップと、
を備える方法。
【請求項13】
前記デフォルト作動状態が非動作状態である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記デフォルト作動状態がロック状態である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エアロゾル供給デバイスであって、該エアロゾル供給デバイスの作動状態を制御するための制御手段を備えるエアロゾル供給デバイスと、
前記エアロゾル供給デバイスのユーザに関連付けられた特性を検出し、前記制御手段に信号を提供するように構成されたバイオメトリック検出手段と、
を備えるエアロゾル供給手段であって、
前記制御手段が、許可ユーザに関連付けられた前記バイオメトリック検出手段からの信号を受信したときに前記エアロゾル供給デバイスの作動状態を変更するように構成され、
前記バイオメトリック検出手段が節点識別を使用する、エアロゾル供給手段。
【国際調査報告】