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特表2025-501326軽量骨材を使用して軽量コンクリート混合物を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】軽量骨材を使用して軽量コンクリート混合物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20250109BHJP
   C04B 28/26 20060101ALI20250109BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20250109BHJP
   C04B 14/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B28C7/04
C04B28/26
C04B28/02
C04B14/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540050
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2021087908
(87)【国際公開番号】W WO2023126069
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524247846
【氏名又は名称】ベ-トン・アイピー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジーファース
【テーマコード(参考)】
4G056
4G112
【Fターム(参考)】
4G056AA08
4G056AA11
4G056AA13
4G056AA14
4G056AA18
4G056AA19
4G056CB01
4G056CB15
4G056CB19
4G056CB31
4G056CB35
4G056CC04
4G056CD14
4G056DA05
4G112PA02
4G112PA15
4G112PA17
4G112PA24
4G112PA27
4G112PA29
4G112PA30
4G112PB01
4G112PB27
4G112PC01
4G112PE01
(57)【要約】
本発明は、少なくとも二段階の混合プロセスを含む、軽量骨材を使用して軽量コンクリート混合物を製造する方法であって、最初に、セメント又はジオポリマーと水とを高速撹拌することによって、結合剤組成物を含む懸濁液混合物が調製され、次いで、軽量骨材の構成成分と共に低速撹拌することによって、懸濁液混合物が混合される、方法を提供する。本発明は、適切に製造された軽量コンクリート及び軽量コンクリート混合物も包含する。結合剤組成物の候補としては、例えば:- 60~80質量%の微粉砕されたスラグ砂セメント、10~60質量%のフライアッシュ- 2~25質量%のアルカリ金属水酸化物/アルカリ金属ケイ酸塩、75~98質量%の微粉砕されたスラグ砂- 2~20質量%のアルカリ金属水酸化物/アルカリ金属ケイ酸塩、60~78質量%の微粉砕されたスラグ砂- 20~38質量%のフライアッシュセメント、30~50kg/m(軽量コンクリート混合物中における)マイクロシリカセメント、10~60質量%の籾殻フライアッシュセメント、1~5質量%の苛性焼成CaO/MgO等が挙げられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量コンクリート混合物を製造する方法であって、少なくとも以下の工程:
(A)少なくとも水と結合剤組成物とを一緒にし、高速撹拌ツールによって混合して懸濁液混合物を得る工程であり、
結合剤組成物が、結合剤として少なくともセメント又はジオポリマーを含み、
懸濁液混合物中における水の結合剤組成物に対する質量比が、1:5~1:1、特に1:2~2:3であり、
結合剤が、結合剤組成物の少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%を占め、
結合剤が、粉末状固体として加えられる、
工程、並びに
(B)懸濁液混合物又は懸濁液混合物の一部を少なくとも軽量骨材又は軽量骨材の一部と一緒にし、低速撹拌ツールによって混合して軽量コンクリート混合物を得る工程であり、
軽量骨材が、40~1000kg/m、好ましくは50~500kg/m、特に60~300kg/mの嵩密度を有し、
高速撹拌ツールによる混合が、低速撹拌ツールによって混合するときの円周速度の3倍を超える円周速度において行われる、
工程
を含む、方法。
【請求項2】
低速撹拌ツールによる混合が、2.5未満、特に1.5未満のフルード数において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
低速撹拌ツールによる混合が、自由落下ミキサー又はコーンミキサーにおいて行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
高速撹拌ツールによる混合が、10超、特に25超のフルード数において行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
懸濁液混合物を得るための、高速撹拌ツールによる混合が、懸濁ミキサーにおいて行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
低速撹拌ツールによる混合及び高速撹拌ツールによる混合が、各場合において同じコーンミキサー及び同じ撹拌ツールにおいて、各場合において異なる円周速度で行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
結合剤が、懸濁液混合物のみに加えられ、結合剤組成物が、特に、懸濁液混合物のみに加えられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
最初に、20~70質量%、特に40~60質量%の軽量骨材と、20~70質量%、特に40~60質量%の懸濁液混合物とが、低速撹拌ツールによる混合に供され、続いて、残りの軽量骨材及び残りの懸濁液混合物が、低速撹拌ツールによる混合を続けることによって、一段階又はいくつかの段階において加えられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水が最初に提供され、結合剤組成物が、水と結合剤組成物とを一緒にするときに、好ましくは粉末状固体として加えられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
軽量骨材が、懸濁液混合物又は懸濁液混合物の一部を少なくとも軽量骨材又は軽量骨材の一部と一緒にするときに、最初に提供される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
懸濁液混合物を得るために、岩粉及び/又は岩石粒子0~2mmの形態の充填剤が加えられ、並びに高速撹拌ツールによる混合が、好ましくは、50超、特に100超のフルード数において、特に少なくとも30秒間、特に好ましくは少なくとも60秒間、行われ、
岩粉は、好ましくは、軽量コンクリート混合物1mあたり50~150kgの量で加えられ、
岩石粒子0~2mmは、好ましくは、軽量コンクリート混合物1mあたり100~500kgの量で加えられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
懸濁液混合物を得るために、好ましくはポリカルボキシレート、特にポリカルボン酸エーテルに基づく可塑剤が0.1~4質量%、好ましくは0.5~2質量%で加えられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
懸濁液混合物を得るために、軽量骨材が全く加えられない、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくともF6の流動性を有する懸濁液混合物を軽量骨材と一緒にすること、及び、少なくとも1質量%、好ましくは2~5質量%の軽量骨材と混合することを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
22~40質量%の水が、懸濁液混合物に加えられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
軽量骨材が、各場合においてDIN EN 13055に従って、0mm~6mmの範囲の粒径、粒子群として特に0~2mm、0mm~3mm、3~5mm、又は2~8mmの粒径を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
軽量骨材が、発泡パーライト、膨張頁岩、発泡クレイ、発泡ガラス、廃棄ガラス、又はそれぞれ二酸化ケイ素/粗パーライト混合物、籾殻灰、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
懸濁液混合物と接触させられる前に、疎水化剤が、軽量骨材に適用される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
軽量骨材が、懸濁液混合物と接触させられる前に、特に噴霧によって、水で湿潤される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
結合剤組成物が、結合剤添加剤として粉砕高炉スラグを、好ましくは60~80質量%含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
懸濁液混合物を得るために、岩粉が、0.001mm~0.1mm、好ましくは最高でも0.063mmの粒子径の充填剤として加えられる、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
結合剤組成物が、結合剤添加剤としてのフライアッシュ及び結合剤としてのセメントを含み、フライアッシュが、好ましくは、結合剤組成物の10~60質量%を占める、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
結合剤組成物が、
- 2~25質量%の水酸化アルカリ及び/若しくはアルカリケイ酸塩、並びに
- 75~98質量%の粉砕高炉スラグ、
又は、
- 2~20質量%の水酸化アルカリ及び/若しくはアルカリケイ酸塩、並びに、
- 60~78質量%の粉砕高炉スラグ、並びに、
- 20~38質量%のフライアッシュ
を含む、ジオポリマーである、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
結合剤組成物が、結合剤添加剤としてのマイクロシリカ及び結合剤としてのセメントを含み、マイクロシリカは、マイクロシリカの濃度が軽量コンクリート混合物において30~50kg/mを占める量で加えられる、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
結合剤組成物が、結合剤添加物としての、粉砕によって調製された籾殻フライアッシュ及び結合剤としてのセメントを含み、籾殻フライアッシュが、結合剤組成物の10~60質量%を占める、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
懸濁液混合物又は軽量コンクリート混合物を得るために、苛性焼成されたCaO及び苛性焼成されたMgOが、結合剤組成物に対して1~5質量%の量で加えられる、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
軽量コンクリート混合物に対して75~650g/mの量のグラフェンが、軽量コンクリート混合物に加えられ、グラフェンが、好ましくは、少なくとも2つ以上のグラフェン層を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
軽量コンクリート混合物が、DIN EN 12620に従って0.01~8mmの粒子径の岩石粒子を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
軽量骨材の添加と共に又は添加の後に、2~18mmの繊維長を有する、有機ポリマー、ガラス、石炭、鉄鋼、又は玄武岩の繊維が加えられる、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
空気連行剤が、軽量コンクリート混合物に加えられる、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
請求項1から30のいずれか一項に記載の方法に従って得ることができる、軽量コンクリート混合物。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか一項に記載の方法に従って得られた軽量コンクリート混合物を硬化させることによって軽量コンクリートを得る方法であって、請求項1から31のいずれか一項に規定の軽量コンクリート混合物を鋳型において水硬化する工程を含む、方法。
【請求項33】
軽量コンクリート混合物が、30℃から85℃、好ましくは35℃から60℃の気候室において、鋳型内で少なくとも部分的に軽量コンクリートへと硬化する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
軽量コンクリートが、250~1.999kg/mの乾燥嵩密度を有する、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
軽量コンクリートは、500超のA数値を有する、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
鋳型内の下側層及び上側層が、次に続く層又は次に続く更に内側に位置する層より高い密度を有する、請求項32から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
軽量コンクリート混合物を鋳型に充填する前又は充填中に、断熱体又は中空体が鋳型内に導入される、請求項32から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
軽量コンクリート混合物が、ブロック成形機における鋳型に導入され、並びに振盪及び/又は加圧によって圧縮され、それらから軽量コンクリートブロックが得られる、請求項32から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
補強材及び/又は輸送補助材、特に鉄鋼及び/又は織物補強材が、好ましくは各場合において軽量コンクリート混合物の導入の前に、鋳型内に配置される、請求項32から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項32から39のいずれか一項に記載の方法に従って得ることができる構成成分としての軽量コンクリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による、軽量骨材を使用して軽量コンクリート混合物を製造するための方法は、最初に、セメント又はジオポリマーと水とを高速撹拌することによって、結合剤組成物を含む懸濁液混合物を製造し、次いで、とりわけ、軽量骨材と共に低速撹拌することによって懸濁液混合物を混合する、少なくとも二段階の混合プロセスを含む。本発明は、このようにして製造された軽量コンクリート混合物及び軽量コンクリートを更に含む。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、8N/mmの最小圧縮強度による乾燥嵩密度(dry gross density)として測定された、2,000kg/mから2,600kg/mの定義された相対密度を有する。軽量コンクリートは、2,000kg/m未満の乾燥嵩密度を有するコンクリートとして定義される。軽量コンクリートの場合、低密度は、例えば、軽量骨材の混和によって達成される。軽量骨材の密度がより低いほど、それらから製造される軽量コンクリートの密度は低くなり得る。軽量骨材は、例えば、40~1200kg/mの嵩密度を有する。
【0003】
軽量コンクリートは、建築製品を製造するために使用される。第一に、軽量コンクリートは、成形前の建築材料であり、少なくとも部分的に硬化した後の構成成分である。構成成分は、物理的構造物に恒久的に設置されるために製造される。例えば、建造物等、地面に接続されるように製造された、建築材料及び構成成分から製造された構造物も、同様に、建築製品である。建造物は、プレハブ住宅、プレハブガレージ、及びサイロ、又は様々な場所において繰り返し建設し、一時的に建設して再び解体したりするのに好適な、いわゆる「仮設構造物」でもあり得る。典型的な構成成分は、軽量コンクリート壁要素又は軽量コンクリート天井要素又は軽量コンクリートレンガである。
【0004】
2~100N/mm超の圧縮強度(DIN EN 1520、DIN 4213、DIN EN 206-1、又はDIN 1045-2に従って)を有する構成成分は、異なる建築要件に対して異なる様式で適合させることができる。
【0005】
軽量コンクリートは、アパート建造物、並びに農業、公共、又は工業建築物及び橋梁のための、地下から屋根に至るまでの外壁及び内壁にとって好適である。
断熱目的又は火災防護等のための軽量建築用板材等も、軽量コンクリートで作製することができるが、その圧縮強度も、より低くなり得る。
【0006】
軽量コンクリートで作製された構成成分は、乾燥嵩密度に対する圧縮強度の高い比率を有する。無次元のいわゆるA数値は、乾燥嵩密度に対する圧縮強度の計算的関係から得られる。A数値はSiegfried G. Zurnの「Einfluss der Sandminerale auf die Bildung von Calciumsilikathydraten (CSH-Phasen), das Gefuge und die mechanischen Eigenschaften von Porenbetonprodukten」、 Logos-Verlag、Berlin,、1997に記載される。それは、相対的圧縮強度を表す。A数値が大きいほど、圧縮強度のレベルはより良好である。A数値は、以下のように計算される:
A数値=圧縮強度(N/mm):[乾燥嵩密度(kg/dm・0.016]
【0007】
例えば、それぞれ、トラック又はレデーミックス・コンクリートミキサー車による輸送の際における、構成成分又は建築材料のより低い質量は、工事現場への輸送のコストを簡素化及び削減し、追加の積載能力に起因してCO排出量を減少させ、迅速で正確な作業を提供する。特に、軽量コンクリートで作製されたプレハブ部品(それらは、統合された供給ラインによって工場で生産することができる)、ドア、及び窓、並びに仕上げ面により、短い建設期間を達成することができる。更に、軽量要素は、困難な場所の建設現場に輸送することもできる。
【0008】
構成成分の場合に適用されるのは、質量が重いほど、遮音指数もより高いということである。非常に軽い質量にもかかわらず、軽量コンクリートで作製された構成成分は、高い吸音性、すなわち、良好な防音能力を有する。
【0009】
軽量骨材の吸収性、したがって、吸引挙動は、軽量コンクリートにおける骨材として使用される場合に影響力を有する。吸水がより高く、より速いほど、軽量コンクリートの製造の際の挙動の影響は、問題の多いものになり得、と言うのも、水が混合物から除去されてしまい、その結果、もはや結合剤及び加工性に利用可能ではなくなるためである。
【0010】
実際には、壁及び天井要素及びレンガ等の建築材料における使用のために、低い嵩密度及び粒子強度の軽量骨材を使用する試みにも、不足はなかった。特に、これらの軽量骨材の吸収能力が高く、それにより、軽量骨材をセメントと同時に混合する場合に、水がセメントから除去されてしまうため、現在まで、そのような使用は、失敗している。低い粒子強度は、問題が多く、と言うのも、産業標準コンクリートミキサーで混合する場合、軽量骨材は混合プロセスの際に細分され、結果として、表面がより大きくなり、その結果、水及び結合剤の必要量は、更なる増加し、結果として、他の好ましくない特性、例えば、より大きい収縮率及びクラッキングのリスク等に加えて、最終生産物の密度も、意図せず増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE 10354888 B4
【特許文献2】DE 102011102988 A1
【特許文献3】EP 0808959 B1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Siegfried G. Zurnの「Einfluss der Sandminerale auf die Bildung von Calciumsilikathydraten (CSH-Phasen), das Gefuge und die mechanischen Eigenschaften von Porenbetonprodukten」、Logos-Verlag、Berlin、1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、低い粒子強度及び嵩密度を有する軽量骨材を使用しても製造することができる、建築製品を製造するための軽量コンクリートであって、200kg/m~1999kg/mの乾燥嵩密度(105℃の加熱キャビネットにおいてDIN EN 12390-7に従って測定)及び0.5N/mm~100N/mm超の圧縮強度を有する、軽量コンクリートを提供する目的に基づく。
【0014】
軽量コンクリートで作製された構成成分は、低い乾燥嵩密度、向上した断熱値、及び非常に良好な遮音値、並びに、製造タイプに応じてA数値が500を超える、密度と比較して高い最終強度を有するためのものである。
【0015】
CO削減のために、結合剤は、軽量コンクリート、例えば、ジオポリマー、又はクリンカー含量が低く且つ及び粉砕高炉スラグ等の代替材料の含量が低いセメントの製造の際に使用するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
今日まで、この目標は、既知の強制混合式及び自由落下ミキサーを使用した従来の混合プロセス及び混合手順では達成することができなかった。
【0017】
本発明の目的は、独立請求項において定義される。好ましい実施形態は、従属項の主題であるか、又は下記において説明される。軽量コンクリート混合物及び軽量コンクリートの製造に加えて、本発明は、軽量コンクリート混合物及び鋳型において硬化された軽量コンクリートにも関する。
【0018】
軽量コンクリート混合物を製造する方法は、少なくとも下記の工程:
(A)特に軽量骨材の不在下において、少なくとも水と結合剤組成物とを一緒にし、高速撹拌ツールによって混合して懸濁液混合物を生成する工程であり、
結合剤組成物が、結合剤として少なくともセメント又はジオポリマーを含み、好ましくは最初に水が加えられ、混合することによって結合剤組成物が加えられ、
懸濁液混合物中における水の結合剤組成物に対する質量比が、1:5~1:1、特に1:2~2:3であり;
結合剤が、結合剤組成物の少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%を占め;
結合剤が、粉末状固体として加えられる、
工程;並びに
(B)懸濁液混合物又は懸濁液混合物の一部を少なくとも軽量骨材又は軽量骨材の一部と一緒にし、低速撹拌ツールによって混合して軽量コンクリート混合物を生成する工程であり、
好ましくは、少なくとも軽量骨材は、最初に加えられ、混合によって懸濁液混合物が加えられ、
軽量骨材は、40~1000kg/m、好ましくは50~500kg/m、特に60~300kg/mの嵩密度を有し、
高速撹拌ツールによる混合は、低速撹拌ツールによって混合するときの円周速度の3倍を超える円周速度において行われ、
及び/又は、別の定義に従って、
高速撹拌ツールによる混合は、10超、特に25超のフルード数において行われ、低速撹拌ツールによる混合は、2.5未満、特に1.5未満のフルード数において行われる、
工程
を含む。
【0019】
工程A及び工程Bは、異なる混合エネルギーの入力、すなわち、高速撹拌ツール(A)及び低速撹拌ツール(B)によって混合することによって行われる。
【0020】
工程Aは、好ましくは、例えば、60~360秒間、特に120~240秒間行われ(セメント/ジオポリマーの添加の後に開始)、それとは独立して、工程Bは、少なくとも120秒間、特に180~360秒間行われる(懸濁液混合物の添加の後に開始)。
【0021】
「混合水」は、最初に、それぞれセメント又はジオポリマー(この方式では、結合剤組成物の更なる物質を含む)と接触させられ、一般的に吸収性である軽量骨材が混合水と接触させられる前に、懸濁液混合物を得るために高速撹拌ツールによって混合することによって、「アンロック」される。次いで、軽量骨材は、懸濁液混合物と接触させられる。驚くべきことに、水は、それぞれ水-セメント反応又はジオポリマー-水反応に対してより良く利用可能であり、軽量骨材は、もはや水の可用性に対してもう競合しなくなることが見出された。まとめると、結果として、使用する水の量がより少なくなり得る。
【0022】
本発明による方法は、少なくとも2つの混合プロセス:
- 水と少なくともセメント又はジオポリマーを含む結合剤組成物とを軽量骨材の不在下で混合して懸濁液混合物を製造すること、及び
- 懸濁液混合物を、少なくとも軽量骨材と一緒にして、混合することで軽量コンクリート混合物を得ること、
を含む。それぞれ結合剤又は結合剤組成物は、好ましくは、懸濁液混合物に対してのみ加えられる。
【0023】
工程Aにおいて混合した後、懸濁液混合物は、少なくともF6の流動性を有する。好ましくは、22~40質量%の水が、好ましくはそれぞれ22~40質量%の水を含む懸濁液混合物又は懸濁液混合物に加えられる。
【0024】
懸濁液混合物を製造するための結合剤組成物は、
- 特に結合剤組成物に対して10~60質量%の、結合剤としてのセメント及び結合剤添加剤としてのフライアッシュ;
- 特に軽量コンクリート混合物に対して30~50質量%の、結合剤としてのセメント及び結合剤添加剤としてのマイクロシリカ;
- 特に結合剤組成物に対して10~60質量%の、結合剤としてのセメント及び粉砕によって調製された、結合剤添加剤としての籾殻フライアッシュ
を含有し得る。或いは、結合剤組成物は、2~25質量%の水酸化アルカリ及び/又はアルカリケイ酸塩及び75~98質量%の粉砕高炉スラグ、又は2~20質量%の水酸化アルカリ及び/若しくはアルカリケイ酸塩並びに60~78質量%の粉砕高炉スラグ並びに20~38質量%のフライアッシュを含むジオポリマーであり得る。
【0025】
以下のものは、最初に用意することができるか、又は懸濁液混合物の製造の際に加えることができる:
- 充填剤としての岩粉、特に0.001mm~0.1mm、好ましくは最高でも0.063mmの粒子径のもの、及び/又は
- 0.1~4質量%、好ましくは0.5~2質量%の可塑剤。
【0026】
岩粉及び/又は岩石粒子0~2mmの形態の充填剤が加えられ、次いで、好ましくは、高速撹拌ツールによる混合が、好ましくは、50超、特に100超のフルード数において、特に少なくとも30秒間、特に好ましくは少なくとも60秒間、一時的に行われ、好ましくは、岩粉は、軽量コンクリート混合物1mあたり50~150kgの量で加えられ、並びに、好ましくは、岩石粒子0~2mmは、軽量コンクリート混合物1mあたり100~500kgの量で加えられる。
【0027】
軽量骨材は、各場合においてDIN EN 13055に従って、0mm~6mmの範囲の粒径、粒子群として特に0~2mm、0mm~3mm、3~5mm、又は2~8mmの粒径を有し得る。懸濁液混合物を加える前に、疎水化剤を、軽量骨材に適用することができ、軽量骨材は、追加的に又は二者択一的に、懸濁液混合物を加える前に、特に噴霧によって、水で湿潤させることができる。
【0028】
軽量コンクリートは、好ましくは250~1999kg/mの間の乾燥嵩密度と、それらから独立して、500超のA数値も有する。
【0029】
軽量コンクリート混合物は、鋳型のブロック造型機に導入することができ、それらから軽量コンクリートブロックの形態の軽量コンクリートを製造するために、震盪及び/又は加圧によって圧縮することができる。
【0030】
軽量コンクリート混合物は、例えば、以下の成分(軽量コンクリート混合物の総質量に対して):
- 10~90質量%の範囲、したがって、例えば、25~85質量%の範囲又は40~80質量%の範囲等の結合剤組成物;
- 1~50質量%の範囲、したがって、また、例えば、5~30質量%の範囲又は5~15質量%の範囲等の軽量骨材;
- 20~40質量%の範囲、したがって、また、例えば、20~35質量%の範囲等の水;
- 必要に応じて、0~65質量%の範囲、したがって、また、例えば、20~60質量%の範囲又は10~30質量%の範囲等の更なる成分、例えば、コンクリート添加剤等
を有する。
【0031】
岩石粒子、特に0~8mmの岩石粒子、を追加的に使用した軽量コンクリート混合物は、以下の成分(軽量コンクリート混合物の総質量に対して):
- 15~70質量%の範囲、したがって、また、例えば、20~60質量%の範囲又は25~55質量%の範囲等の結合剤;
- 3~40質量%の範囲、したがって、また、例えば、5~20質量%の範囲又は1~15質量%の範囲等の軽量骨材;
- 5~65質量%の範囲、したがって、また、例えば、20~60質量%の範囲、30~60質量%の範囲、又は40~60質量%の範囲等の岩石粒子;
- 10~40質量%の範囲、したがって、また、例えば、13~35質量%の範囲等の水;
- 必要に応じて、0~20質量%の範囲、また、したがって、例えば、2~15質量%の範囲等の更なる成分、例えば、コンクリート添加剤等(岩石粒子を除く)
を含む。
【0032】
軽量骨材は、有利には、工程Bの一部としての懸濁液混合物の一部と最初に接触させることができ、好ましくは、軽量骨材が最初に加えられ、次いで、軽量骨材及び懸濁液混合物の更なる一部が、工程Bに従って混合することによって一段階又は数段階において、一緒に又は連続して加えられる。これは、最初に、20~70質量%、特に40~60質量%の軽量骨材と、20~70質量%、特に40~60質量%の懸濁液混合物とが、Bによる低速撹拌ツールによって混合される工程に供され、続いて、残りの軽量骨材及び残りの懸濁液混合物が、Bによる低速撹拌ツールによる混合を続けることによって一段階又はいくつかの段階において加えられる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の原料は、軽量コンクリート混合物を製造するために使用することができる:
【0034】
結合剤組成物は、結合剤と必要に応じて結合剤添加剤とからなる。結合剤、及び概して結合剤添加物も、粉末固体として存在する。
【0035】
本発明による方法のための結合剤は、セメント及びジオポリマーである。
【0036】
「セメント(cement)」又は「セメント(cements)」はそれぞれ、無機の微細に粉砕された物質であり、混合水との化学反応の結果として、水と混合された後に独立して固化及び硬化する(水硬性)。化学的観点から、セメントは、主に、アルミニウム及び鉄化合物の一部を伴うケイ酸カルシウムであり、複雑な物質混合物として存在する。セメントを製造するための原料は、石灰石(酸化カルシウムの供給源としての炭酸カルシウム)、クレイ(二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムのため)、砂(二酸化ケイ素のため)、及び鉄鉱石(酸化鉄(III))である。原料は、粉砕され、それらが結晶粒界において部分的に一緒に融合(焼結)し、いわゆるセメントクリンカーが生成されるまで過熱される。後者は、冷却され、最終製造物を形成するために粉砕される。
【0037】
ジオポリマーは、シリコン及び酸化アルミニウムを含む反応性固体並びに水中の水酸化アルカリ又はアルカリケイ酸塩のアルカリベースの賦活溶液からなる2成分系である。ジオポリマーは、粉砕高炉スラグ及び/若しくはフライアッシュ又はそれらの混合物からも製造することもでき、それらは、水酸化アルカリ及び/又はアルカリケイ酸塩によってアルカリ賦活される。賦活溶液は、例えば、ナトリウム、カリウム、及び/又はリチウム水ガラス、特に好ましくはカリウム水ガラスを含む。
【0038】
フライアッシュ、粉砕高炉スラグ、アモルファスシリコンジオキシド、例えば、マイクロシリカ、ポゾラン(必要に応じて、水酸化カルシウムと一緒に)、バーントシェール、酸化カルシウム及び酸化マグネシウム、粉砕パーライト、火山土、並びにグラフェンは、結合剤添加剤として好適である。
【0039】
シリカ粉塵又はMicrosit(登録商標)(BauMineral GmbH社、ヘルテン、ドイツ)は、アモルファスシリコンジオキシドとして使用することができる。ポゾランは、例えば、45μm未満の粒径を有する微粉砕パーライトとして入手可能である。
【0040】
本発明に関してフライアッシュは、例えば: 石炭燃焼発電プラントの排ガス精製のための電気集塵機に堆積する、ケイ酸リッチ又は石灰リッチ粉塵様粒子である。ケイ酸リッチフライアッシュは、主に、ポゾラン特性を有する球状のガラス質粒子からなり、一般的に、硬質石炭火力発電所に由来する。石灰リッチフライアッシュは、水硬性及び/又はポゾラン特性を有する微粒子状粉塵である。それらは、主に、リグナイト燃焼プラントに由来する。フライアッシュも、反応性を増加させるためにより微細に粉砕することができる。
【0041】
籾殻フライアッシュも、フライアッシュとして使用することができる。籾殻フライアッシュは、殻とも呼ばれる穀物を囲む籾殻を、精米所で生米から分離することによって得ることができる。これらの殻は、エネルギー源として燃やされる。このようにして得ることができる灰が、籾殻フライアッシュであり、高い割合のアモルファスシリコンジオキシドを含む。
【0042】
高炉スラグは、溶鉱炉において鉄鉱石を溶かすときに結果として生じる。主にガラス状に固化した潜在的に水硬性の物質である高炉水砕スラグは、粒状化によって、すなわち、最高でも1,500℃である溶融スラグの急冷によって作製される。
【0043】
粉砕高炉スラグとしての、微粉砕された高炉水砕スラグは、対応する外乱に対応して水硬性を発生させ得る(例えば、セメントクリンカーからの水酸化カルシウムによって)。
【0044】
シリカゲル、シリカ粉塵、又はマイクロシリカは、粒子状固体又は水中の懸濁液として使用される。それらは、特に、アモルファスシリコンジオキシドの高含有量(85質量%超)を有する非常に微細な球状粒子からなる。シリカ粉塵は、シリコン又はシリコン合金の製造の際にフィルターダストとして生じる。このための出発物質は、石英であり、石炭と共に、2500℃以上の温度で電気炉において溶融される。
【0045】
本発明に関してポゾラン(P、Q)は、ケイ酸を含有する物質又は天然源に由来するケイ酸及びアルミナである。それらは、火山由来(例えば、火山土、溶岩)のものであるか、又は、クレイ、スレート、若しくは堆積岩(フォノライト)から得られる。ポゾランは、単独の硬化能力を有さない。それらは、水と混合された後に水酸化カルシウム(例えば、ポートランドセメントクリンカーに由来する)と接触した場合にのみ反応して、硬度形成の非水溶性化合物を形成する。ポゾランは、天然ポゾランとして、又は天然の焼き戻しされた(熱処理された)ポゾラン(例えば、フォノライト)としてセメント製造のために使用される。
【0046】
バーントシェール、特にバーントオイルシェールは、天然頁岩堆積物から、約800℃の温度で特殊な炉において製造される。微粉砕されたバーントシェールは、水硬性であることが言明されているが、更にポゾラン特性も有する。
【0047】
本発明に関して酸化カルシウム(CaO)及び酸化マグネシウム(MgO)は、製造の際に異なる焼成温度及び微粉度に供される、微粉砕された物質である。区別は、一般的に、焼成、中程度の焼成(苛性とも呼ばれる)、及び硬焼の間においてなされる。本発明による使用に関して影響力を有する、異なる反応性は、焼成温度により得られる。水との接触の後の焼成の場合の反応プロセスは、例えば、急速で厳しく、中程度の焼成の場合には、より遅い。
【0048】
軽量コンクリートにおける苛性焼成された製品の使用は、既に硬化段階だけでなく硬化状態における膨張も生じさせ、したがって、亀裂形成を防ぎ、収縮挙動を減少させる。硬焼材料は、これらの特性を達成しない。このような理由で、苛性焼成された酸化カルシウム(CaO)及び苛性焼成された酸化マグネシウム(MgO)のみが、本発明による結合剤添加剤として使用される。
【0049】
45μm未満の粒径を有する微粉砕パーライトは、特に、水対セメント値(W/C値)が0.40未満、好ましくは0.35未満である場合に、セメントの代わりにポゾラン添加剤として好適である。100質量%のセメントを伴う混合物と比較して強度の損失を発生することなく、最大35質量%までのセメントを置き換えることができることが分かっている。置き換えは、乾燥嵩密度及び収縮挙動に対する好ましい効果も有しており、両方を減少させる。
【0050】
グラフェンも、結合剤組成物に加えることができる。既に軽量コンクリート混合物1mあたり75~650g/mの低添加量により、グラフェンの添加は、既に、強度の著しい増加、促進される硬化、及び大幅に減少した水吸収をもたらす。グラフェンは、二次元であるが、いくつかの層、例えば、最大5層又は最大10層等の好ましい形態において加えることもできる。
【0051】
添加剤、例えば、粉砕高炉スラグ、ポゾランは、又はフライアッシュ等を加えることにより、異なる化学的及び物理的特性を有する結合剤組成物を製造することができる。DIN EN 197-1に従って、5つの主なセメントタイプ:
1.ポルトランドクリンカーセメントCEM I
2.ポートランド複合セメントCEM II
3.高炉セメントCEM III
4.ポゾランセメントCEM IV
5.複合セメントCEM V
の間において区別がなされ、2.から5.までは、結合剤組成物を表すが、その理由は、それらが、それぞれ粉砕高炉スラグ部分又は他の結合剤添加剤も含むためである。
【0052】
DIN EN 197-1により一覧されたセメントタイプは全て、20~100質量%の間のセメントクリンカーを含有する。
【0053】
環境保護の観点から、エネルギー集約的ポルトランドセメントクリンカー含量が可能な限り低い場合に、コンクリート製造の際に結合剤組成物を使用することは特に有利である。最も低いポルトランドセメントクリンカー含量は、目下、CEM IIIの場合であり、それは、更に、CEM III A(35~65質量%の粉砕高炉スラグ含量)、CEM III B(66~65質量%の粉砕高炉スラグ含量)、及びCEM III C(81~85質量%の粉砕高炉スラグ含量)に分けられる。
【0054】
先行技術により、CEM I及びCEM IIと比較して著しく遅い強度発達は、CEM IIIによるコンクリート製造の際の欠点であり、それは、既成コンクリート部品の製造の際の存置期間を著しく延長する。しかしながら、驚くべきことに、本発明による方法により、CEM I又はCEM IIセメントの初期強度と比べて少しも劣らない初期強度を達成する。
【0055】
したがって、本発明によれば、35質量%超、特に65質量%超の粉砕高炉スラグ含量のそれぞれセメント又は結合剤組成物、特にCEM III A及びCEM III Bセメントを使用することは好ましい。
【0056】
例えば、最高70質量%までのフライアッシュ及び/又は最高10質量%までのマイクロシリカを伴う、それぞれセメントの混合物又は結合剤組成物、例えば、CEMシリーズのセメントも使用することができる。異なる設計に従って、それぞれセメント又は結合剤組成物は、例えば、最高70質量%までの、とりわけ、籾殻フライアッシュと混合される。微粉砕ポゾランは、最高35質量%まで加えることができる。
【0057】
軽量骨材は、特に、単独において又は混合物において使用することができる。本発明により、40~1000kg/m、好ましくは50~500kg/m、又は60~300kg/mの低嵩密度の軽量骨材を使用することができ、嵩密度は、DIN EN 1097-3に従って判定される。以下において用語「軽量骨材」(複数形において)が使用される場合、これは、本質的に化学的に均一であるか又はいくらか異なる軽量骨材であり得る。したがって、用語「軽量骨材(複数)」は、用語「軽量骨材(単数)」も含む。
【0058】
本発明に関して、低粒子強度は、それが1N/mm未満であることを意味する。平均粒子強度は、それが1~5N/mmであることを意味する。高粒子強度は、5N/mm超である。本発明による方法に従って、1.0N/mm未満の低粒子強度を有する軽量骨材も使用することができる。粒子強度は、DIN EN 13055(付属書類C)に従って判定される。
【0059】
混合物における好適な軽量骨材は(例示の説明を含む):
軽石:軽石は、多孔性でガラス質の火山岩である。軽石は、ガスが豊富な火山噴火により、噴火の際に放出されたマグマが発泡して生成された。そのような軽量骨材は、例えば、平均~高粒子強度及び400~700kg/mの間の嵩密度を有する。
【0060】
発泡クレイ: 発泡クレイは、膨張性クレイから工業的に製造された軽量骨材である。発泡クレイは、例えば、その丸い粒子形によって特徴付けられる。発泡クレイは、例えば、クレイを乾燥させ、粉砕し、約1200℃で膨張させて、小さいビーズへと焼成することによって得ることができる。製造に応じて、発泡クレイは、低~高粒子強度及び220~600kg/mの間の嵩密度を有する。
【0061】
膨張頁岩: 膨張頁岩は、熱処理によって天然の原料頁岩から作製された鉱物軽量骨材である。それは、コンパクトで平坦又は角張った粒形によって特徴付けられ、燃焼の後に粉砕処理が行われるか否かに応じて、閉気孔又は開気孔表面を有するものが利用可能である。膨張頁岩は、平均~高粒子強度及び300~800kg/mの嵩密度を有する。
【0062】
噴石: 噴石は、所望の割合に従って粉砕されデリバリーされる硬質の火山岩である。高粒子強度及び800~1000kg/m超の嵩密度としての噴石。
【0063】
焼結硬質炭フライアッシュ: 焼結硬質炭フライアッシュは、現代の発電所において、粉塵形状の硬質炭の燃焼の際に生成される。造粒及びその後のビーズの焼結により、丸い粒形及び閉曲面を有する軽量骨材が生成される。焼結硬質炭フライアッシュは、平均~高粒子強度及び400~800kg/mの間の嵩密度を有する。
【0064】
炉底灰: 炉底灰は、発電所の乾燃室ボイラーにおける硬質炭の燃焼の際に生成される。炉底灰は、硬質炭の不燃性鉱物質成分の、水中において冷却された焼結製造物である。炉底灰は、平均粒子強度及び400~800kg/mの間の嵩密度を有する。
【0065】
発泡ガラス: 発泡ガラスは、再生ガラスで作製された完全に無機物の無ファイバーの軽量骨材である。廃棄ガラスがガラス粉末へと粉砕され、約900℃において発砲される。それは、一般的に、丸い粒形及び閉じた表面によって特徴付けられる。発泡ガラスは、低~平均の粒子強度及び200~400kg/mの間の嵩密度を有する。
【0066】
発泡マイカ: 発泡マイカは、クレイ鉱物に属し、風化によって生成された鉱物であるマイカ片岩の熱処理によって生成される。発泡マイカは、例えば、バーミキュライトを発泡させることによって得ることができ、並びに、低粒子強度及び60~200kg/mの間の嵩密度を有する。
【0067】
発泡パーライト: 発泡パーライトは、熱によって発泡された粗パーライトから製造される。例えば、0.2mm~1.2mmの直径を有する粗パーライト粒子を、垂直炉において800~1000℃へ急速に加熱することができる。岩石は溶融し、含有される水は、同時に蒸発する。粘着性の溶融物が、水蒸気圧によって初期体積の10倍から20倍に発泡され、強い気流によって非常に急速に高温の反応ゾーンの上方へと運ばれる。このように行われる急速な冷却により、発泡溶融物は、例えば、0~5mm等の粒径を有する粒子へと固化する。発泡パーライトは、低粒子強度及び50~300kg/m、特に60~250kg/mの嵩密度を有する。
【0068】
発泡プロセスの前に、パーライトは、発泡パーライトを得るために、好ましくは、発泡していないパーライトに対して2~3質量%の量でケイ酸塩、ホウ酸塩、及び/又はリン酸塩ガラスを用いて、特に、窒素源、特に窒化物を加えることによって、処理され得る。
【0069】
熱発泡処理において、それぞれ廃棄ガラス又は酸化ケイ素と粗パーライトとの混合物から得ることができ、80~300kg/mの間、特に80~250kg/mの間の嵩密度(それぞれ、廃棄ガラス又は二酸化ケイ素/粗パーライト混合物)を有する、軽量材料も使用することができる。
【0070】
更なる好適な軽量骨材は、植物材料、例えば、木、羊毛/チップス、膨化トウモロコシ(ポップコーン)、発泡木材繊維、及び植物の殻、特に籾殻等から得ることができる。それらは、500kg/m未満の低嵩密度を有する。
【0071】
籾殻灰も、更なる加工なしに、軽量骨材として使用することができる。
【0072】
DIN EN13055-1に従って軽量骨材としての承認にもかかわらず、特に発泡パーライト及び発泡マイカの、250kg/m未満の嵩密度を有する軽量骨材は、現在、軽量コンクリートにおいて使用されていない。その主な理由は、これらの軽量骨材は、少なくとも部分的に破壊され、それらに関連した粒子強度の減少に起因して、混合プロセスの際に非常に高い吸収挙動を有するためである。
【0073】
特に、40~1000kg/m、好ましくは50~500kg/mの間、特に60~300kg/mの嵩密度を有する、発泡パーライト、膨張頁岩、発泡クレイ、発泡ガラス、籾殻灰、及びそれらの混合物は、軽量骨材として特に好ましい。
【0074】
本発明に関するコンクリート添加剤は、少量で軽量コンクリート混合物に加えられる添加剤であり、好ましくは、軽量コンクリート混合物の化学的若しくは物理的特性又は軽量コンクリートの特性を改良するために懸濁液混合物の製造の際に先に加えられる。
【0075】
コンクリート添加剤は、例えば、コンクリート可塑剤、可塑剤、空気連行剤、封止剤、遅延剤、硬化促進剤、プレス助剤、疎水化剤、安定化剤、ファイバー、又は収縮低減剤である。
【0076】
コンクリート添加剤として強調されるのは、以下である:
- コンクリート可塑剤として:ポリカルボキシレート、特にポリカルボン酸エーテル、リグニンスルホネート類(リグノスルホン酸とも呼ばれる)、メラミンホルムアルデヒドスルホネート類、ナフタリンホルムアルデヒドスルホネート類、ヒドロキシカルボン酸類、及びそれらの塩
- 空気連行剤としての界面活性剤:例えば、変更された天然物に基づく表面活性物質、例えば、ウッドロジンソープ、
- 疎水化剤、例えば、シロキサン/アルキアルコキシシラン、脂肪酸、脂肪酸塩、ポリマー(合成樹脂分散液)等、
2~18mmの繊維長を有する繊維。繊維は、有機ポリマー(例えば、ポリアミド、例えば、アラミド又はポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン等)、ガラス、石炭、鉄鋼、又は玄武岩からなり得る。異なる繊維の混合物も使用することができ、繊維は軽量骨材と共に使用される。
- 岩粉の形態(0.063mm未満の粒径)、特に好ましくは石灰石粉末又は石英粉末の形態の充填材料、
- 2000kg/m(DIN EN 12620及びDIN 1405-2に従って)以上のグロス密度を有する0~2mm(粒径)の岩石粒子の形態の充填材料。それらは、ケイ岩、グレーワッケ、玄武岩、苦灰石、火山岩、スレート(粘板岩)、再生された(DIN EN 12620:2008-07に従って)岩石粒子等の他のもの
からなり得る。
【0077】
軽量コンクリートは、200kg/m~1999kg/mの乾燥嵩密度の範囲の軽量骨材の岩石粒子に対する比率によって、及び、結合剤組成物タイプ及び添加量並びに圧縮強度に関する水の量により、製造することができる。軽量コンクリートは、例えば、ポンプで吸い上げることが可能であるように、及び噴霧することが可能であるように、硬化させることができる。
【0078】
製造するための方法は、二段階混合:結合剤懸濁液を製造するための第1の混合、及びこのようにして製造された結合剤懸濁液を少なくとも軽量骨材と混合することを含む第2の混合を含む。結合剤懸濁液は、少なくとも結合剤混合物及び水を含む。
【0079】
高速撹拌ツールによる(第1の)混合は、高速撹拌ツールによる混合の際の円周速度は、少なくとも3倍速いという点において低速撹拌ツールによる(第2の)混合とは異なる。
【0080】
混合の第一段階は、例えば、100U/分超、特に150U/分の回転速度を有する高速撹拌ツールによって行われる。撹拌ツールの円周速度は、好適には、3~20m/秒の間、好ましくは8~17m/秒の間である。
【0081】
混合の第二段階は、例えば、60U/分未満、特に45U/分未満、例えば、15~25U/分の回転速度を有する低速撹拌ツールによって行われる。撹拌ツールの円周速度は、好ましくは、0.9~1.25m/秒の間、好ましくは0.3~0.8m/秒の間である。
【0082】
各場合における撹拌ツールの円周速度は、例えば、撹拌ツールとして、異なる長さのバドルが使用された場合、最も長い可能な円周を意味する。ミキサー内にいくつかの撹拌ツール又は撹拌ゾーンが存在する場合、より高い円周速度又はフルード数の撹拌ツールが関係する。撹拌ツールの回転速度は、あまり好適ではない尺度であり、と言うのも、混合効果は、撹拌ツールの幾何学的形状にも強く依存するためでもある。
【0083】
慣性と重力との間の比率の尺度を指定し、一般的に、臨界超過(混合物質加速>重力加速;1.0を超えるフルード数)及び臨界未満(混合物質加速<重力加速;1.0未満のフルード数)に分けられる、ウイリアム・フルードによる無次元固有値は、混合を説明するのに好適である。
【0084】
フルード数Frは、以下の数学的関係:
Fr=ω*r/g
ω=2*π*n
w=rad/秒で表された角速度
r=mで表された半径
g=m/sで表された重力加速度
d=直径
n=1秒あたりの回転数
によって決定され、式を更に解くと、結果は以下の通りである:
Fr=d*n*2*π/g->2*π/g=2*3.14/9.81=2.01->Fr=d*n*2.01
【0085】
懸濁ミキサーでは、混合ツールの円周速度は以下のように指定される:
v=d*π*n 及び n=v/(π*d)
したがって、以下も機能する:
Fr=v*2/(d*g)
【0086】
第1の混合は特に、懸濁液混合物を製造するためのフルード数が10超、好ましくは25超、最も好ましくは40超であるように行われる。
【0087】
第2の混合は特に、軽量コンクリート混合物を製造するためのフルード数が2未満、特に1.5未満であるように行われる。
【0088】
懸濁液混合物は、好ましくは、少なくともF6の流動性を有する。第2の混合の終了時に、軽量コンクリート混合物は、好ましくは、少なくともF2、好ましくは少なくともF4の流動性を有する。
【0089】
場合によりコロイドミキサーとも呼ばれる懸濁ミキサーは、懸濁液混合物の製造、すなわち、第1の混合にとって好適である。
【0090】
懸濁ミキサーは、高速撹拌ツールを含む。高速撹拌ツールは、好ましくは、300U/分超、特に800~2000U/分の回転速度を有する。撹拌ツールの円周速度は、好適には、3~20m/秒の間、好ましくは8~17m/秒の間である。
【0091】
特に好適な懸濁ミキサーは、DE 10354888 B4から公知であり、そこではコロイドミキサーと称されている。その点について、当該文献において懸濁ミキサーの開示及び定義について言及されており、それにより、これも、本所有権の主題となる。懸濁ミキサーは、上部のより大容量の予備混合ゾーン及び下部のより小容量の分散ゾーン、並びにガイドリングと異なるゾーンをお互いに空間的に制限するバッフルプレートとを含む2つの部分からなる分離要素を有する。予備混合ゾーン及び分散ゾーンは、それぞれ、別々の撹拌機を備える。分散ゾーンの撹拌パドルは、分散ゾーンの撹拌パドルゾーンの上方に配置された、中央に円形の凹部を有するバッフルプレートへと混合材料を押し付ける。混合材料は、続いて、バッフルプレートの上方に配置された、その外側及び内側直径に関してバッフルプレートより小さい直径を有するガイドリングに衝突する。混合材料は、ガイドリングに沿って外側及び上方へと押し出され、その結果、ガイドリングとミキサーの内壁との間の円周外環スリットによって予備混合ゾーンへと押される。混合材料は、続いて、予備混合ゾーンの中央において崩壊し、その結果、上部から見て最初の分離要素であるガイドリングを通って分散ゾーンへと戻る。
【0092】
上部循環ゾーン/予備混合ゾーン及び下部分散ゾーンを有する更なる好適な懸濁ミキサーが、DE 102011102988 A1から公知であり、混合軸及び混合パドルを含む少なくとも1つの混合ツールが、最初に分散ゾーンに設けられ、次いで、循環ゾーンと分散ゾーンをお互いに空間的に分離する少なくとも1つの分離要素が設けられており、分離要素は、撹拌軸から離れた少なくとも1つの外側通路及び撹拌軸に近い内側通路を開放し、内側通路は、分散ゾーンにおける循環ゾーンからの材料フローを達成し、外側通路は、循環ゾーンへの分散ゾーンからの材料フローを達成し、外側通路は、混合パドルの平面の上方に配置されており、少なくとも外側通路は、混合プロセスの際に、その(総)通路表面において、外側通路から変更することができる。
【0093】
この目的のため、DE 102011102988 A1による懸濁ミキサーは、好ましくは、2つのチャンバー(予備混合ゾーン及び分散ゾーン)を含む。混合材料は、混合ゾーンにおいて、液体混合材料の出口を通って分離要素を超えて受動的に動かされ、混合材料は、最初、好ましくは回転軸の上方に配置された、分散要素におけるより大きな入口を介して分散ゾーンへと吸い込まれる。混合材料は、そこで高速撹拌機によって捕捉され、外部へ、好ましくは上方にも、放射状に押され、それにより、混合材料は、流動方向において、分離ディスクのより小さな開口部を通り抜けるか、又はそれぞれ分散ディスクの外端と容器の壁との間のより小さな開口部を通り抜ける。より小さな開口部は、好ましくは、分離ディスクの外周に配置される。本明細書において、より小さい及びより大きいは、分散ゾーンにおけるより小さい出口開口部とより大きな入口開口部との相対的な面積比を意味する。
【0094】
第2の混合は、この方式において少なくとも軽量骨材を用いて製造された懸濁液混合物を混合することを含む。自由落下ミキサー及びコーンミキサーは、それらがそれぞれ低回転速度又は低円周速度において操作される場合、この目的のために好適である。
【0095】
自由落下ミキサーは、異なる設置サイズにおいて利用可能である。数リットルの容量の小型装置として、それらはDIY分野において一般的であり、建設現場での使用のために、商工業部門においても部分的に使用される。0.5平方メートル以上の容積の工業設置サイズでは、それらは、レディーミックストコンクリート及びプレハブ部品工場において定置式にて使用される。基本原理は同じである。混合プロセスは、回転可能なドラムにおいて行われる。ドラムにおいて、装填は、ドラム開口部によっても行われる。ドラム壁に固定式において設置されたスパイラル又はブレードが、ドラムの内側に取り付けられており、各回転の際に混合材料の一部を拾い上げる。
【0096】
コーンミキサーは、下部コーン壁上の側部スクレーパーと、アルキメディアンスクリューを含む中心シャフト及び/又は中心シャフトに固定された傾斜パドル及び/又はそれらの組合せを有する。底部に向けて円錐形に狭くなる.混合チャンバーを備えるこのミキサータイプは、構造形状により、混合材料は、混合の際に底部から上部へと輸送され、並びに、構造形状により、スクリュー/パドルから側方に剥がされて、重力による自由落下により再び底部へと移動することにより特徴付けられる。
【0097】
中央に配置されたシャフト/軸及びスクレーパーは、異なる回転速度において作動させることができる。したがって、設定された回転速度に応じて、コーンミキサーは、10超又は25超のフルード数において、及び2.5未満又は1.5未満のフルード数において作動させることができる。
【0098】
軽量コンクリート混合物を製造するための、本発明による方法の場合、それぞれ、2つの異なるタイプのミキサー又は1つのミキサーが、並行して及び/又は連続して使用され、それにより、懸濁液混合物は、10超のフルード数において混合され、並びに、岩石粒子及び更なる材料が、必要に応じて加えられ、軽量骨材は、低い嵩密度及び粒子強度においてさえ、続いて、材料にとって穏やかな方式において、2.5未満のフルード数によって、残りの混合材料と共に均一化される。
【0099】
好ましい実施形態により、軽量コンクリートは、建築部材として製造される場合、少なくとも一方、好ましくは両方の主要な面(したがって、建築部材の2つの大きな表面)上に被覆層を有する。鋳型(例えば、型枠)への本発明による軽量コンクリートの導入の前に、本発明による軽量コンクリート混合物と比較してより薄い、異なる水硬性硬化材料の第1の層を、所定の適用強度において導入することができ、その上に、本発明による軽量コンクリートが、適用、接続、及び硬化される。対応する強度及び/又は硬化の後、同様に本発明による軽量コンクリートに接続される、同じ又は異なる水硬性硬化材料の第2の層を、適用することができる。結果として、被覆層を伴う片面及び/又は両面上に被覆される要素を、容易に、迅速に、及び費用効率よく製造することができる。水硬性硬化材料は、漆喰モルタルを含む、いわゆる漆喰系であり得る。
【0100】
そのような被覆層は、例えば、硬化させた無機漆喰結合剤からなり得、漆喰結合剤スラリーからもなり得る。補強材、特に繊維マットの形状のものは、好ましくは、被覆層に組み込むことができる。繊維マットは、ガラス繊維、炭素繊維、及び/又は玄武岩繊維からなり得る。繊維マットは、まず、フランジを安定させるために、特に、建築部材のそれぞれ端部又はフランジ領域のみに提供することができる。
【0101】
本発明による軽量コンクリート混合物を型枠に充填する前に、製造プロセスにおいて、収縮亀裂に対する保護のため、及び後の被覆のためのプライマーとして、繊維マットを先に挿入するか、又は少なくとも部分的な硬化の後にそれらを適用することも、同様に可能である。したがって、両面での後続の表面処理ために、予め準備を行うことも可能である。
【0102】
対応する密度及び圧縮強度を有する軽量コンクリート混合物として、建造物の静的な機能を引き受けることができる、本発明による軽量コンクリート混合物を、先に型枠に導入し、本発明に従って製造された低密度の高断熱性軽量コンクリートを、この圧縮耐久性軽量コンクリートに適用することも可能である。異なる軽量コンクリートの間の付着を改良するために、市販の付着促進剤を適用することができるが、「ウェット・オン・ウェット」で作業し、したがって、付着促進剤を使用しないことも可能である。再び、圧縮耐久性軽量コンクリートを高断熱性軽量コンクリートに適用することも同様に可能である。結果として、サンドイッチ構造が形成され、その場合、圧縮耐久性軽量コンクリートは、静的保護機能を担い、低密度の高断熱性軽量コンクリートは、断熱性及び追加の防音性を担う。
【0103】
建築部材の異なる箇所に異なるコンクリート密度を導入することにより、いわゆる勾配コンクリートを製造することができ、より高い密度及び圧縮強度を静的に必要とする場合には、コンクリートが使用され、断熱及び/又は軽量化が機能するような箇所には、本発明による軽量コンクリートが使用され、例えば、異なるコンクリートタイプの移行は、概して、それぞれ連続的に又はウェット・オン・ウェットにおいて行うことができる。
【0104】
上述の方式において、密度及び圧縮強度に関して任意のコンクリート品質の通常のコンクリートによる2層も、使用することができ、その場合、本発明の軽量コンクリートが、それぞれの所望の層厚において、第1の通常のコンクリート層に適用され、密度及び圧縮強度に関して任意のコンクリート品質の通常のコンクリートが、最後の層として再び適用される。したがって、本発明による軽量コンクリートは、このサンドイッチ構造の要素において、断熱及び/又は追加の遮音の機能を実現させ、通常のコンクリートは、静的な機能特性を実現させる。
【0105】
その上、通常のコンクリートと比較してより低い密度の軽量コンクリートを、先に鋳込み型に導入し、その上に市販の断熱材、例えば、低密度(<100kg/m)の鉱物フォーム、鉱物繊維断熱ボード、ポリウレタン断熱ボード、硬質フォームボード、ポリスチレン硬質フォームボード、コルク板、木材繊維板、セルロース繊維板、羊毛、木毛等を、それぞれ取り付けるか又は挿入して、再び、その上に本発明による軽量コンクリートを適用し、並びに、コンクリートにおいて硬化された接続手段によって、永久的に2つの軽量コンクリートを接続することも可能であり、軽量コンクリートの密度及び圧縮強度は、異なり得る。より圧縮耐久性の軽量コンクリートは、例えば、サンドイッチファサードの内殻として静的機能を担うことができる。
【0106】
軽量コンクリートを導入する前に、支持補強材及び静的補強材を、鋳込み型に導入することができる。EP 0808959 B1に記載されるように、それらは、支持構造体とも呼ばれる。上述のタイプの補強材は、本発明による軽量コンクリートの鋳込みの前に鋳型に入れられ、前記軽量コンクリートによって囲まれ、軽量コンクリートの硬化の後に、輸送補助、静的機能、並びに構造物上の接続及び接合補助としてしての所望の機能を担う。
【0107】
更に、全ての一般的な支持補助具及び接続手段を、コンクリート内に設置することができ、その場合、それらは、軽量コンクリートを充填する前に鋳型内に導入され、流し込んだ後にそれによって閉じ込められる。
【0108】
軽量コンクリートを鋳型内に導入する前に、本発明による軽量コンクリートで作製された建築製品の更なる軽量化を達成するために、全てのタイプの中空体を更に導入することができる。
【0109】
促進及び/又は制御された硬化のために、軽量コンクリートは、鋳型、特に型枠に注ぎ入れた後、気候室に移動させることができる。この気候室では、硬化気候を温風及び/又は熱蒸気によって設定することができ、気候室の温度に関して、使用した結合剤に応じて、30~85℃、特に35~60℃に設定することができる。それによって、硬化プロセスを加速させることができ、例えば、そのような方法において、軽量コンクリートを4時間後に鋳型から取り外すこともできる。
【0110】
1200kg/m以上の乾燥嵩密度の場合、軽量コンクリートの残留水分は、好ましくは、16質量%未満、特に好ましくは14質量%未満、更には13質量%未満である。
【0111】
実験パート
実験例では、下記の材料を使用した:
セメント:CEM I 52、5R、Holcim社製
セメント:CEM I 42、5R、Holcim社製
セメント:CEM II B-S 52、5R、Holcim社製
セメント:CEM III B 42、5L-LH Aqua 4、Holcim社製
フライアッシュ:HP、Baumineral社製
粉砕高炉スラグ:Holcim社製 Bremen工場
マイクロシリカ:Silicoll P、Sika社製
石灰石粉末(岩石粉末):粉末、Bauminerale社製
疎水化剤:Protec HWA(ST) HA-BE、Ha-Be Betonchemie社製、ハメルン、ドイツ(ステアリン酸塩)
CaO(酸化カルシウム):WFK 11/6、Felswerke社製
可塑剤:PCE Powerflow 5101、MC-Bauchemie社製
可塑剤:ACE 430、BASF社製
促進剤:Fastkick 111、MC-Bauchemie社製
安定化剤:Centrament 520、MC-Bauchemie社製
発泡剤:SB 2、Mapei社製
活性剤:ケイ酸ナトリウム:Impag社製
ファイバー:6~18mm SikaFiber PPM-12、Sika社製(マイクロポリプロピレン繊維)
SRA:収縮低減剤:Centrament SRA 1。MC Bauchemie社製
粒径0~2mmの岩石粒子:Manzke Baustoffe社製の砂
粒径0~5mmの岩石粒子:Manzke Baustoffe社製の砂利
粒径2~8mmの岩石粒子:Manzke Baustoffe社製の砂利
リサイクルしたレンガチップ2~8mm:Manzke Baustoffe社製
軽量骨材1:粒径0~5mmの発泡パーライト、Perliopol社製
軽量骨材2:粒径2~5mmのFibo ExClay(発泡クレイ)
【0112】
特に明記されない限り、DIN EN 13055及びそこで指定される試験方法は、リストに挙げられた軽量骨材の技術的特性を判定するために使用される。
【0113】
実験手順
下記の組成物1及び2の製造は、DE 102011102988 A1に従って最初に懸濁ミキサーに水を加え(20l=ミキサーの最大混合量)、撹拌機を作動させて、セメント、フライアッシュ、及びコンクリート添加剤を次々と加えるようにして行った。混合は、240秒以内(セメント添加後から)に懸濁液混合物を形成するために、48.3のフルード数(混合バドル速度、3つの回転パドルに基づいた8m/秒の円周速度)による懸濁ミキサーにおいて行った。懸濁液混合物は、F6を超える流動性を有した。
【0114】
次いで、懸濁液混合物を自由落下ミキサー(Atika社製、50l=ミキサーの最大混合量)に直接充填し、そこには、既に、水-疎水化剤混合物を伴う軽量骨材(軽量骨材1kgあたり300グラムの水)が先に加えられて、繊維と共に予備混合されていた。懸濁液混合物、軽量骨材1、及び繊維を、0.3のフルード数の自由落下ミキサーにおいて均一に混合した(1秒あたり0.5回転のドラム回転)。180秒後(懸濁液混合物の添加後から)に30lの軽量コンクリート混合物を得た。
【0115】
流動性は、各場合において、DIN EN 12350-5に従ってスランプクラスF1~F6によって定義した。乾燥嵩密度は、DIN EN 12390-7に従って、105℃で加熱キャビネットにおいて測定した。水/結合剤値(W/B)は、水の質量と結合剤の質量との間の比率であり、石灰石粉末(使用する場合)、マイクロシリカ、及びCaO、例えば、フライアッシュ等を結合剤に加えた。
【0116】
軽量骨材を予備湿潤するための水は、組成には含まれない。
【0117】
下記の表において、1000リットル/mあたりの不足分は、軽量コンクリートに含まれる空気空隙であった。
【0118】
上記の実験手順に従った組成物1:
【0119】
【表1】
【0120】
当該軽量コンクリート混合物は、
F6の流動性、及び0.32の水の結合剤に対する値を有した。この方式において製造される軽量コンクリートは、351kg/mの乾燥嵩密度及び2.5N/mmの平均圧縮強度並びに0.095(W/mK)の熱伝導度(ラムダ値λ)を有した。
【0121】
組成物2
【0122】
【表2】
【0123】
軽量骨材を、繊維及び岩石粒子と一緒に、最初に自由落下ミキサーに加えたことを除いて、上記の実験手順に従って製造した。
【0124】
当該軽量コンクリート混合物は、F6を超える流動性、及び0.36の水の結合剤に対する値を有した。
【0125】
この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に581kg/mの乾燥嵩密度及び7.8N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0126】
組成物3及び4に対して、DE 102011102988 A1に従って懸濁ミキサーに水を最初に加え(20l)、撹拌機を作動させ、以下のものを順々に加えるようにして、製造を行った:
a)組成物3の場合:セメント、フライアッシュ、岩石粒子0~2mm、及びコンクリート添加剤、並びに
b)組成物4の場合:セメント、石灰石粉末、マイクロシリカ、及び岩石粒子0~2mm、並びにコンクリート添加剤。
【0127】
混合は、240秒以内(セメント添加後から)に懸濁液混合物を形成するために、91.4のフルード数(混合バドル速度、13m/秒の円周速度)による懸濁ミキサーにおいて行った。当該懸濁液混合物は、F6を超える流動性を有した。
【0128】
次いで、懸濁液混合物を、自由落下ミキサー(Atika社製、50l)に直接充填し、そこには、既に岩石粒子2~8mmが先に加えられ、繊維と共に予備混合されていた。自由落下ミキサーで混合を続けながら、次いで、懸濁液混合物の50%を加え、続いて軽量骨材1の50%を加え、次いで、懸濁液混合物の残りの50%を加え、続いて、軽量骨材1の残りを加えた。自由落下ミキサーにおける混合は、0.3のフルード数(毎秒0.5回転)において行った。240秒後(懸濁液混合物の添加後)に30lの軽量コンクリート混合物を得た。
【0129】
組成物3:
【0130】
【表3】
【0131】
当該軽量コンクリート混合物は、F6を超える流動性、及び0.40の水の結合剤に対する値を有した。
【0132】
この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に1.214kg/mの乾燥嵩密度及び28N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0133】
組成物4:
【0134】
【表4】
【0135】
当該軽量コンクリート混合物は、F6を超える流動性、及び0.41の水の結合剤に対する値を有した。
【0136】
この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に1.649kg/mの乾燥嵩密度及び48N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0137】
組成物5及び6に対して、DE 102011 102988 A1に従って懸濁ミキサーに水を最初に加え(20l)、撹拌機を作動させ、以下のものを順々に加えるようにして、製造を行った:
a)組成物5の場合:セメント、岩石粒子0~2mm、及びコンクリート添加剤、並びに
b)組成物6の場合:セメント、フライアッシュ、及びコンクリート添加剤。
【0138】
混合は、240秒以内(セメント添加後)に懸濁液混合物を形成するために、91.4のフルード数(混合バドル速度、13m/秒の円周速度)による懸濁ミキサーにおいて行った。当該懸濁液混合物は、>F6の流動性を有した。
【0139】
組成物5の場合、次いで、懸濁液混合物の50%をコーンミキサー(Kniele社製、100l=ミキサーの最大混合量)に直接充填し、そこには、既に軽量骨材2が、繊維と共に先に用意され、予備混合されていた。次いで、懸濁液混合物の残りの50%、続いて軽量骨材1を加え、この混合物を、混合全体を通して、0.9のフルード数(毎秒1.2スクリュー回転)において均一に混合した。240秒後(懸濁液混合物の添加後)に50lの軽量コンクリート混合物を得た。
【0140】
当該軽量コンクリートを、38℃~43℃で硬化チャンバーに20時間入れ、その後に取り出した。
【0141】
組成物5:
【0142】
【表5】
【0143】
当該軽量コンクリート混合物は、F6の流動性、及び0.44の水の結合剤に対する値を有した。
【0144】
この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に1.275kg/mの乾燥嵩密度及び34N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0145】
組成物6に対して、上記のように、懸濁液混合物の50%をコーンミキサー(Kniele社製、100 l=ミキサーの最大混合量)に充填し、そこには、既にリサイクルしたレンガチップが先に加えられて、繊維及び岩石粒子0~2mmと一緒に予備混合されていた。次いで、懸濁液混合物の残りの50%を加え、続いて軽量骨材1を加え、この混合物を、混合全体を通して、0.9のフルード数(毎秒1.2スクリュー回転)において均一に混合した。240秒後(懸濁液混合物の添加後)に50lの軽量コンクリート混合物を得た。軽量コンクリートを鋳型に充填し、約40℃に温度制御された硬化チャンバーに20時間入れ、その後に取り出した。
【0146】
組成物6:
【0147】
【表6】
【0148】
当該軽量コンクリート混合物は、F6を超える流動性、及び0.42の水の結合剤に対する値を有した。
【0149】
この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に1.551kg/mの乾燥嵩密度及び42N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0150】
組成物7に対して、DE 102011102988 A1に従って、最初に水を懸濁ミキサー内に用意し(20l)、粉砕高炉スラグ及び活性剤を加えた。両方を予備混合し、その後に、フライアッシュ及びコンクリート添加剤の添加をするようにして、製造を行った。混合は、240秒以内(粉砕高炉スラグの添加後)に懸濁液混合物を得るために、91.4のフルード数(混合バドル速度、13m/秒の円周速度)による懸濁ミキサーにおいて行った。当該懸濁液混合物は、F6を超える流動性を有した。
【0151】
次いで、懸濁液混合物の50%をコーンミキサー(Kniele社製、100l)に充填し、そこには、既に岩石粒子2が繊維と共に用意されていた。混合を続けながら、次いで、軽量骨材1の50%を加え、続いて、懸濁液混合物の残りの50%を加え、続いて軽量骨材1の残りを加えた。
【0152】
当該混合物を、全時間にわたって0.9のフルード数(毎秒1.2スクリュー回転)のコーンミキサーにおいて混合した。240秒後(懸濁液混合物の添加後)に50lの軽量コンクリート混合物を得た。軽量コンクリートを鋳型に充填し、約40℃に温度制御された硬化チャンバーに20時間入れ、その後に取り出した。
【0153】
組成物7:
【0154】
【表7】
【0155】
当該軽量コンクリート混合物は、F6を超える流動性、及び0.46の水の結合剤に対する値を有した。この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に1.540kg/mの乾燥嵩密度及び38N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0156】
組成物8に対して、まず、セメント、岩石粒子0~2mm、石灰石粉末、コンクリート添加剤、繊維、及び水、並びにコンクリート添加剤を、最初にこの順番でコーンミキサー(Kniele社製、100l=ミキサーの最大混合量)に加え、撹拌機を作動させ、29.5のフルード数(毎秒7.0スクリュー回転)において180秒間均一に混合するようにして、製造を行った。続いて、軽量骨材2を同じ混合速度において充填し、更に合計180秒間混合した。続いて、軽量コンクリート混合物を形成するために、0.9のフルード数(毎秒1.2スクリュー回転)において、240秒以内(軽量骨材1の添加後)に、軽量骨材1を、軽量コンクリート混合物の構成要素と共に均一に混合した。
【0157】
軽量コンクリートを鋳型に充填し、約40℃に温度制御された硬化チャンバーに20時間入れ、その後に取り出した。
【0158】
組成物8:
【0159】
【表8】
【0160】
当該軽量コンクリート混合物は、F4の流動性、及び0.42の水の結合剤に対する値を有した。この方式において製造された軽量コンクリートは、28日後に1.489kg/mの乾燥嵩密度及び31N/mmの平均圧縮強度を有した。
【0161】
驚くべきことに、一連の実験において、本発明による軽量コンクリートの製造では、結合剤ペーストの製造の際に、配合物からの最大2mmの岩石粒子も含むCEM III B 42、5セメントを>100のフルード数で混合し、製造された製造物の硬化を、40℃の一定温度のチャンバーにおいて行った場合、CEM I 52、5 Rセメントの代わりに同量のCEM III B 42、5 Lセメントを使用したとき、最長24時間の時間範囲における初期強度及び28日後の最終強度に関して、実質的に同一強度値が達成されたことが見出された。
【0162】
岩石粒子を用いないで混合した場合と比較した場合の強度増加は、20時間後で51%、28日後で27%であった。
【国際調査報告】