(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】低磁場片面式MRIスキャナを用いる緩和ベース磁気共鳴温度測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 331
A61B5/055 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540060
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022082551
(87)【国際公開番号】W WO2023133071
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355832
【氏名又は名称】プロマクソ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】デ・マトス・ゴメス、ミュラー、フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタラマン、スリラーマ
(72)【発明者】
【氏名】ナセブ、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA04
4C096AD06
4C096AD14
4C096BB03
4C096CA06
4C096CA15
4C096DC36
(57)【要約】
フェイスを備えるハウジングであって、第1の軸がフェイスを貫通して視野内に延在する、ハウジングと、ハウジング内に位置する永久磁石のアレイであって、固有の勾配磁場が第1の軸に対して永久磁石のアレイから視野内に延在している、永久磁石のアレイとを備える磁気撮像装置が開示されている。磁気撮像装置は更に、勾配コイルセット、少なくとも1つの無線周波数コイル、電力回路、組織タイプについての緩和モデルを記憶するメモリ、および制御回路を備える。制御回路は、視野内に配置された構造物に関連するT2データセットを取得することと、構造物のT2強調画像を生成することと、組織タイプについての緩和モデルに基づいて構造物のT2強調画像をヒートマップに変換することと、を実行するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスを備えるハウジングであって、第1の軸が前記フェイスを貫通して視野内に延在する、ハウジングと、
前記ハウジング内に位置する永久磁石のアレイであって、固有の勾配磁場が前記第1の軸に対して前記永久磁石のアレイから前記視野内に延在している、永久磁石のアレイと、
勾配コイルセットと、
少なくとも1つの無線周波数コイルと、
電力回路と、
組織タイプについての緩和モデルを記憶するメモリと、
前記勾配コイルセット、前記少なくとも1つの無線周波数コイル、前記電力回路、および前記メモリと信号通信する制御回路であって、前記制御回路が、
前記視野内に配置された、前記組織タイプに対応する構造物に関連するT2データセットを取得することと、
前記構造物のT2強調画像を生成することと、
前記組織タイプについての前記緩和モデルに基づいて前記構造物の前記T2強調画像をヒートマップに変換することと、
を実行するように構成されている、制御回路と、
を備える、磁気撮像装置。
【請求項2】
前記緩和モデルがモノエクスポネンシャルモデルを含む、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項3】
前記勾配コイルおよび前記少なくとも1つの無線周波数コイルが前記電力回路に結合されている、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項4】
前記制御回路が更に複数の掃引周波数パルスを含むパルスシーケンスを送信するように構成されている、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項5】
前記T2データセットが前記複数の掃引周波数パルスから生成される、請求項4に記載の磁気撮像装置。
【請求項6】
各掃引周波数パルスは持続期間が2ミリ秒乃至20ミリ秒であるエコーを生成する、請求項4に記載の磁気撮像装置。
【請求項7】
前記複数の掃引周波数パルスが10個乃至100個の前記エコーを生成する、請求項6に記載の磁気撮像装置。
【請求項8】
各掃引周波数パルスの帯域幅が10KHz乃至200KHzである、請求項6に記載の磁気撮像装置。
【請求項9】
前記無線周波数コイルは周波数が1メガヘルツ乃至21メガヘルツであるパルスを送信するように構成されている、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項10】
前記視野内における磁場強度が1テスラ未満である、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項11】
前記視野内における磁場の不均一性が200ppm乃至200,000ppmである、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項12】
前記緩和モデルが、前記組織タイプについての異なる温度に対する複数のT2緩和データを含む校正データから生成される、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項13】
前記磁気撮像装置が片面式磁気撮像装置であり、前記ハウジングおよび前記勾配コイルセットが前記視野の第1の側に位置する、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項14】
前記構造物の前記組織タイプを受信するように構成されたユーザー入力デバイスを更に備える、請求項1に記載の磁気撮像装置。
【請求項15】
請求項1に記載の磁気撮像装置であって、
前記構造物に対応する組織タイプモデルを特定することと、
前記組織タイプモデルを前記構造物と共に記録することと、
を実行するように構成された自動化された組織タイプ認識モジュールを更に備える、装置。
【請求項16】
永久磁石のアレイを備えるハウジングであって、固有の勾配磁場が1の軸に対して前記永久磁石のアレイから視野内に延在し、前記視野は前記ハウジングに隣接している、ハウジングと、
無線周波数コイルと、
前記無線周波数コイルに結合された電力回路と、
異なる温度における組織についての緩和モデルを記憶するメモリと、
前記無線周波数コイル、前記電力回路、および前記メモリと信号通信する制御回路であって、前記制御回路が、
前記無線周波数コイルに波形シーケンスを送信してエコートレインシーケンスを生成することと、
前記視野内に配置された構造物に関連するT2データセットを取得することと、
前記構造物のT2強調画像を生成することと、
前記メモリに記憶された前記緩和モデルに基づいて前記構造物の前記T2強調画像をヒートマップに変換することと、
を実行するように構成されている、制御回路と、
を備える、片面式磁気撮像装置。
【請求項17】
前記緩和モデルがモノエクスポネンシャルモデルを含む、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項18】
前記エコートレインシーケンスが位相符号化を含む、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項19】
前記T2データセットが前記エコートレインシーケンスに基づいて生成される、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項20】
前記エコートレインシーケンスは持続期間が2ミリ秒乃至20ミリ秒であるエコーを含む、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項21】
前記エコートレインシーケンスが10個乃至100個のエコーを含む、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項22】
前記エコートレインシーケンスは帯域幅が10KHz乃至200KHzである複数の掃引周波数パルスにより生成される、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項23】
前記無線周波数コイルは周波数が1メガヘルツ乃至21メガヘルツであるパルスを送信するように構成されている、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項24】
前記視野内における磁場強度が1テスラ未満である、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項25】
前記視野内における磁場の不均一性が200ppm乃至200,000ppmである、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項26】
前記緩和モデルが異なる組織タイプについての異なる温度における複数のT2データを含む校正データから生成される、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項27】
前記ハウジング内に位置する勾配コイルセットを更に備え、前記勾配コイルセット、前記無線周波数コイル、および前記ハウジングが前記視野の第1の側に位置する、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項28】
前記無線周波数コイルが無線周波数送信コイルを備え、前記片面式磁気撮像装置が無線周波数受信コイルを更に備える、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項29】
前記緩和モデル毎に組織タイプに対応しており、前記構造物の組織タイプを受信するように構成されたユーザー入力デバイスを更に備える、請求項16に記載の片面式磁気撮像装置。
【請求項30】
請求項16に記載の片面式磁気撮像装置であって、
前記構造物に対応する組織タイプモデルを特定することと、
前記組織タイプモデルを前記構造物と共に記録することであって、前記緩和モデル毎に組織タイプに対応している、記録することと、
を実行するように構成された自動化された組織タイプ認識モジュールを更に備える、装置。
【請求項31】
磁気共鳴撮像装置を使用して第1の組織タイプで構成される関心対象物における温度を検出する方法であって、前記方法が、
前記第1の組織タイプを含む異なる組織タイプについての異なる温度に対するT2データを含む校正データを取得することと、
前記校正データから前記異なる組織タイプについてモデルを生成することと、
視野内に前記関心対象物を配置することと、
掃引周波数パルスを含むパルスシーケンスを送信することと、
前記関心対象物に対応する前記T2データを受信することと、
前記関心対象物のT2強調画像を生成することと、
前記第1の組織タイプについての前記モデルに基づいて前記関心対象物の前記T2強調画像をヒートマップに変換することと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記関心対象物の前記第1の組織タイプを特定する第1の入力を受信することを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
RFコイルセットが掃引周波数パルスを含む前記パルスシーケンスを送信することと、前記関心対象物に対応するT2データを受信することと、を更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記磁気共鳴撮像装置が永久磁石アセンブリを備え、前記方法は前記永久磁石アセンブリが前記視野内に固有の勾配磁場を生成することを更に含む、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
インビボで(in vivo)温度を測定することにより、軟組織の熱アブレーションをガイドすることができる。しかし、一定の例において既存のシステムを使用してインビボで温度を測定することは困難である。
【発明の概要】
【0003】
1つの概括的な態様では、本開示は、フェイスを備えるハウジングを備える磁気撮像装置であって、第1の軸がフェイスを貫通して視野内に延在する、磁気撮像装置を提供する。磁気撮像装置は更に、ハウジング内に位置する永久磁石のアレイを備え、固有の勾配磁場が第1の軸に対して永久磁石のアレイから視野内に延在している。磁気撮像装置は更に、勾配コイルセットと、少なくとも1つの無線周波数コイルと、電力回路と、組織タイプについての緩和モデルを記憶するメモリと、勾配コイルセット、少なくとも1つの無線周波数コイル、電力回路、およびメモリと信号通信する制御回路とを備える。制御回路は、視野内に配置された、組織タイプに対応する構造物に関連するT2データセットを取得するように構成されている。制御回路は更に、構造物のT2強調画像(T2-weighed image)を生成することと、組織タイプについての緩和モデルに基づいて構造物のT2強調画像をヒートマップに変換することと、を実行するように構成されている。
別の態様では、本開示は、永久磁石のアレイを備えるハウジングを備える片面式磁気撮像装置を提供し、固有の勾配磁場が第1の軸に対して永久磁石のアレイから視野内に延在し、視野はハウジングに隣接している。片面式磁気撮像装置は更に、無線周波数コイル、無線周波数コイルに結合された電力回路、異なる温度における組織についての緩和モデルを記憶するメモリ、および、制御回路を備える。制御回路は、無線周波数コイル、電力回路、およびメモリと信号通信する。制御回路は、無線周波数コイルに波形シーケンスを送信してエコートレインシーケンスを生成するとと、視野内に配置された構造物に関連するT2データセットを取得することと、構造物のT2強調画像を生成することと、メモリに記憶された緩和モデルに基づいて構造物のT2強調画像をヒートマップに変換することと、を実行するように構成されている。
【0004】
別の態様では、本開示は、磁気共鳴撮像装置を使用して第1の組織タイプで構成される関心対象物における温度を検出する方法を提供する。本方法は、第1の組織タイプを含む異なる組織タイプについての異なる温度に対するT2データを含む校正データを取得することと、校正データから異なる組織タイプについてのモデルを生成することと、視野内に関心対象物を配置することと、掃引周波数パルスを含むパルスシーケンスを送信することとを含む。本方法は更に、関心対象物に対応するT2データを受信することと、関心対象物のT2強調画像を生成することと、第1の組織タイプについてのモデルに基づいて関心対象物のT2強調画像をヒートマップに変換することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
様々な態様の新規な特徴が、添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。しかし、機構と動作方法の両方に関して説明される態様は、添付図面と併せて以下の説明を参照することにより最も良く理解され得る。
【0006】
【
図1】本開示の様々な態様による磁気共鳴撮像(MRI)スキャナの斜視図である。
【0007】
【
図2】
図1のMRIスキャナの分解斜視図であり、本開示の様々な態様によるハウジング内の永久磁石アセンブリおよび勾配コイルセットが露出している。
【0008】
【
図3】本開示の様々な態様による、
図1のMRIスキャナの立面図である。
【0009】
【
図4】本開示の様々な態様による、
図1のMRIスキャナの立面図である。
【0010】
【
図5】本開示の様々な態様による、
図1のMRIスキャナの永久磁石アセンブリの斜視図である。
【0011】
【
図6】本開示の様々な態様による、
図1に示されているMRIシステムの勾配コイルセットおよび永久磁石アセンブリの立面図である。
【0012】
【
図7】本開示の様々な態様による、片面式MRIシステムの制御ブロック図である。
【0013】
【
図8】本開示の様々な態様による、Z軸に沿った磁気勾配の概略図である。
【0014】
【
図9】本開示の様々な態様による、Z軸に沿ったスライスにおける視野の変動を補償するパルスシーケンスの図である。
【0015】
【
図10】本開示の様々な態様による、掃引周波数パルスの代表的なグラフである。
【0016】
【
図11】本開示の様々な態様による、視野内の構造物のT2緩和時間を収集するためのパルスシーケンスの図である。
【0017】
【
図12】本開示の様々な態様による、校正データを収集してT2緩和時間対温度モデルを生成するためのフロー図である。
【0018】
【
図13】本開示の様々な態様による、T2緩和時間対温度の例示的な緩和モデルのグラフ表示である。
【0019】
【
図14】本開示の様々な態様による、T2緩和データを収集してヒートマップを生成するためのフロー図である。
【0020】
【
図15】本開示の様々な態様による、緩和モデルを用いてT2緩和データから生成された例示的なヒートマップの図である。
【0021】
添付図面は、一定の縮尺で描かれることを意図したものではない。複数の図面にわたり、対応する参照符号は対応する部分を示す。明確化のため、各図において全てのコンポーネントに符号が付されているわけではない。本明細書に記載されている例示は1つの形態により本発明の一定の実施形態を示しており、このような例示は、いかなる手法によっても、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の国際特許出願は、それらのそれぞれが全体として本明細書に参照により組み込まれる。
・現時点の国際公開第WO2020/168233号に対応し、2020年2月14日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR ULTRALOW FIELD RELAXATION DISPERSION」を発明の名称とする国際特許出願第PCT/US2020/018352号
・現時点の国際公開第WO2020/172673号に対応し、2020年2月24日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR PERFORMING MAGNETIC RESONANCE IMAGING」を発明の名称とする国際特許出願第PCT/US2020/019530号
・現時点の国際公開第WO2020/172672号に対応し、2020年2月24日に出願された、「PSEUDO-BIRDCAGE COIL WITH VARIABLE TUNING AND APPLICATIONS THEREOF」を発明の名称とする国際特許出願第PCT/US2020/019524号
・現時点の国際公開第WO2020/198395号に対応し、2020年3月25日に出願された、「SINGLE-SIDED FAST MRI GRADIENT FIELD COILS AND APPLICATIONS THEREOF」を発明の名称とする、国際特許出願第PCT/US2020/024776号
・現時点の国際公開第WO2020/198396号に対応し、2020年3月25日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR VOLUMETRIC ACQUISITION IN A SINGLE-SIDED MRI SYSTEM」を発明の名称とする、国際特許出願第PCT/US2020/024778号
・現時点の国際公開第WO2020/264194号に対応し、2020年6月25日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR IMAGE RECONSTRUCTIONS IN MAGNETIC RESONANCE IMAGING」を発明の名称とする国際特許出願第PCT/US2020/039667号
・2021年1月22日に出願された、「MRI-GUIDED ROBOTIC SYSTEMS AND METHODS FOR BIOPSY」を発明の名称とする国際特許出願第PCT/US2021/014628号、および、
・2021年2月19日に出願された、「RADIO FREQUENCY RECEPTION COIL NETWORKS FOR SINGLE-SIDED MAGNETIC RESONANCE IMAGING」を発明の名称とする国際特許出願第PCT/US2021/018834号
・2021年3月9日に出願された、「PHASE ENCODING WITH FREQUENCY SWEEP PULSES FOR MAGNETIC RESONANCE IMAGING IN INHOMOGENEOUS MAGNETIC FIELDS」を発明の名称とする国際特許出願PCT/US2021/021464、および、
・2021年3月9日に出願された、「PULSE SEQUENCES AND FREQUENCY SWEEP PULSES FOR SINGLE-SIDED MAGNETIC RESONANCE IMAGING」を発明の名称とする国際特許出願PCT/US2021/021461
【0023】
2018年12月13日に公開された、「UNILATERAL MAGNETIC RESONANCE IMAGING SYSTEM WITH APERTURE FOR INTERVENTIONS AND METHODOLOGIES FOR OPERATING SAME」を発明の名称とする米国特許出願公開第2018/0356480号もまた、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0024】
2021年4月26日に出願された、「LOCALIZATION GUIDE AND METHOD FOR MRI GUIDED PELVIC INTERVENTIONS」を発明の名称とする米国仮特許出願第63/180,013号もまた、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0025】
MRIシステムおよび方法の様々な態様を詳細に説明する前に、例示的な実施例は、添付の図面および説明に例示される部品の構成および配置の詳細への適用または使用に限定されないことに留意されたい。例示的な実施例は、他の態様、変形、および修正で実施または組み込まれてもよく、様々な方法で実施または実行されてもよい。さらに、特に明記しない限り、本明細書で使用される用語および表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されており、その限定を目的とするものではない。また、以下に記載の態様、態様の表現、および/または実施例のうちの1つまたは複数は、他の以下に記載の態様、態様の表現、および/または実施例のうちのいずれかの1つまたは複数と組み合わせることができることが理解されよう。
【0026】
様々な態様によれば、磁石の面からオフセットされることが可能な固有の撮像領域を含むことができるMRIシステムが提供される。このようなオフセットおよび片面式のMRIシステムは、従来のMRIスキャナと比較して制限が少ない。さらに、このフォームファクターは、対象領域全体に或る範囲の磁場の値を作リ出す、組み込まれたまたは固有の磁場勾配を有することができる。換言すると、固有の磁場は不均一であってもよい。片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度の不均一性は、百万分率で200(ppm)を超える可能性がある。例えば、片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度の不均一性は、200ppm~200,000ppmとすることができる。本開示の様々な態様では、対象領域における不均一性は、1,000ppmを超える場合があり、10,000ppmを超える場合がある。一例では、対象領域における不均一性は、81,000ppmであってもよい。
【0027】
固有の磁場勾配は、MRIスキャナ内の永久磁石によって生成可能である。片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度は、例えば1テスラ(T)未満とすることができる。例えば、片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度は、0.5T未満とすることができる。他の例では、磁場強度は、1Tを超える可能性があり、例えば1.5Tである場合がある。このシステムは、一般的なMRIシステムと比較して低い磁場強度で動作できるため、RXコイルの設計上の制約が緩和され、および/または、例えばロボット工学などの追加の機構がMRIスキャナで使用可能である。例示的なMRI誘導ロボットシステムはさらに、例えば、「MRI-GUIDED ROBOTIC SYSTEMS AND METHODS FOR BIOPSY」と題する2021年1月22日に出願の国際出願PCT/US2021/014628に記載されている。
【0028】
図1~
図6は、MRIスキャナ100およびMRIスキャナ100のコンポーネントを示している。
図1および
図2に示されるように、MRIスキャナ100は、凹状に窪んだフェイスまたは前面125を含むハウジング120を含む。他の態様において、ハウジング120のフェイスは、平坦で、且つ平面状にすることができる。前面125は、MRIスキャナにより撮像される対象物に面することができる。
図1および
図2に示されるように、ハウジング120は、永久磁石アセンブリ130、RF送信コイル(TX)140、勾配コイルセット150、電磁石160、およびRF受信コイル(RX)170を含む。他の例において、ハウジング120は、電磁石160を含まなくてもよい。更に、一定の例において、RF受信コイル170およびRF送信コイル140は、組み合わされてTx/Rxコイルアレイに組み込まれてもよい。様々な例において、MRIスキャナ100は片面式スキャナであり、例えば永久磁石アセンブリ130、RF送信コイル(TX)140、勾配コイルセット150、電磁石160、およびRF受信コイル(RX)170といった様々なコンポーネントが、視野の同じ側に位置する。
【0029】
主に
図3~
図5を参照すると、永久磁石アセンブリ130は、磁石のアレイを含む。永久磁石アセンブリ130を形成する磁石のアレイが、MRIスキャナ100の前面125または患者に向いた表面を覆うように構成されており(
図3参照)、
図4では水平のバーとして示される。永久磁石アセンブリ130は、並列に構成された複数の円筒永久磁石を含む。主に
図5を参照すると、永久磁石アセンブリ130は、ブラケット134により一体的に保持される並列プレート132を備える。システムは、ブラケット136においてMRIスキャナ100のハウジング120に取り付け可能である。並列プレート132には複数の孔138が存在し得る。例えば永久磁石アセンブリ130は、例としてネオジムベースの磁性材料といった希土類ベースの磁性材料を包含するがこれらに限定されない任意の適切な磁性材料を含むことができる。
【0030】
永久磁石アセンブリ130は、ハウジング120の反対側からハウジング120を通して患者にアクセスできるアクセス開口またはボア135を画定している。本開示の他の態様では、ハウジング120内に永久磁石アセンブリを形成する永久磁石のアレイは、ボアなしでよく、貫通するボアが画定されない永久磁石の途切れの無い、または連続した配置を画定するものであってよい。更に他の例では、ハウジング120内における永久磁石のアレイは、永久磁石を貫く1つより多いボア/アクセス開口を形成することができる。
【0031】
本開示の様々な態様によると、永久磁石アセンブリ130は、
図1に示されるZ軸に沿う関心領域190内に磁場B0を提供する。Z軸は、永久磁石アセンブリ130に直交する。言い方を変えれば、Z軸は、永久磁石アセンブリ130の中心から延在し、永久磁石アセンブリ130のフェイスから離れるように磁場B0の方向を画定する。Z軸は、一次磁場B0の方向を画定できる。一次磁場B0は、Z軸に沿って、すなわち、永久磁石アセンブリ130のフェイスからさらに遠く、
図1の矢印で示される方向に、固有の勾配で減少することができる。
【0032】
一態様において、関心領域190における永久磁石アセンブリ130の磁場の不均一性は、約81,000ppmであり得る。別の態様では、永久磁石アセンブリ130に対する関心領域190における磁場強度の不均一性は、200ppm乃至200,000ppmであり得、および、一定の例において1,000ppmより大きいものであり得、および、様々な例において10,000ppmより大きいものであり得る。
【0033】
一態様において、永久磁石アセンブリ130の磁場強度は、1T未満であり得る。別の態様では、永久磁石アセンブリ130の磁場強度は、0.5T未満であり得る。他の例において、永久磁石アセンブリ130の磁場強度は、1Tより大きいものであり得、例えば1.5Tであり得る。主に
図1を参照すると、Y軸はZ軸から上下に延びており、X軸はZ軸から左右に延びている。X軸、Y軸、およびZ軸は全て互いに直交しており、各軸の正の方向は、
図1では対応する矢印により示される。
【0034】
RF送信コイル140は、RF波形および関連する電磁場を送信するように構成されている。RF送信コイル140からのRFパルスは、永久磁場(例えば直交平面)の方向に対して直交するB1と呼ばれる実効磁場を生成することにより、永久磁石130により生成される磁化を回転させるように構成されている。
【0035】
主に
図3を参照すると、勾配コイルセット150は、2つの勾配コイルセット152、154を含む。勾配コイルセット152、154は、永久磁石アセンブリ130と関心領域190との間において、永久磁石アセンブリ130のフェイスまたは前面125に配置される。各勾配コイルセット152、154は、ボア135の両側にコイル部分を含む。
図1における軸を参照すると、勾配コイルセット154は、例えばX軸に対応した勾配コイルセットであり得、勾配コイルセット152は、例えばY軸に対応した勾配コイルセットであり得る。勾配コイル152、154は、本明細書で更に詳細に説明されるように、X軸およびY軸に沿った符号化を可能にする。
【0036】
ここで
図7を参照すると、片面式MRIシステム300の制御概略図が示される。片面式MRIスキャナ100および/または片面式MRIスキャナ100のコンポーネント(
図1~
図6)は、本開示の様々な態様においてMRIシステム300に組み込まれ得る。例えば、撮像システム300は、様々な例において永久磁石アセンブリ130(
図2~
図5参照)と同様であり得る永久磁石アセンブリ308を含む。撮像システム300は、例えばRF送信コイル140(
図3参照)と同様であり得るRF送信コイル310を更に含む。更に、撮像システム300は、例えばRF受信コイル170(
図3参照)と同様であり得るRF受信コイル314を含む。様々な態様において、RF送信コイル310および/またはRF受信コイルも、MRIスキャナのハウジング内に位置し得、一定の例では、RF送信コイル310およびRF受信コイル314は組み合わせてTx/Rxコイルに一体化できる。システム300は、視野312内の対象物の撮像を容易にするために勾配場を生成するように構成される勾配コイル320を更に含む。
【0037】
片面式MRIシステム300は、分光計304と信号通信するコンピュータ302を更に含み、コンピュータ302と分光計304との間で信号を送受信するように構成されている。
【0038】
永久磁石308により生成された主磁場B0は、永久磁石308から離れる方向に、且つ、RF送信コイル310から離れる方向に、視野312内に延在している。視野312は、MRIシステム300により撮像される対象物を収容する。
【0039】
撮像プロセスの間、主磁場B0は、視野312内に延在している。実効磁場(B1)の方向はRFパルスおよびRF送信コイル310からの関連する電磁場に応答して変化する。例えば、RF送信コイル310は、視野内の対象物、例えば組織にRF信号またはパルスを選択的に送信するように構成されている。これらのRFパルスは、サンプル(例えば患者の組織)内のスピンが受ける実効磁場を変化させる。RFパルスがオンであるとき、共鳴するスピンが受ける実効磁場はRFパルスのみであり、静的なB0磁場を効果的に打ち消す。RFパルスは、例えば本明細書で更に詳細に説明されるチャープまたは周波数掃引パルスであり得る。
【0040】
更に、視野312内の対象物がRF送信コイル310からのRFパルスにより励起されるとき、対象物の歳差運動が、RF受信コイル314により検出される誘導電流またはMR電流を生じさせる。RF受信コイル314は、RF前置増幅器316に励起データを送信することができる。RF前置増幅器316は、励起データ信号をブーストまたは増幅し、それらを分光計304に送信することができる。分光計304は、記憶、分析、および画像構築のために励起データをコンピュータ302に送信し得る。コンピュータ302は、例えば、複数の格納された励起データ信号を組み合わせて、画像を生成することができる。
【0041】
分光計304から、信号は更に、RF電力増幅器306を介してRF送信コイル310に、且つ勾配電力増幅器318を介して勾配コイル320に、中継可能である。RF電力増幅器306は信号を増幅し、それをRF送信コイル310に送信する。勾配電力増幅器318は勾配コイル信号を増幅し、それを勾配コイル320に送信する。
【0042】
例えば片面式MRIスキャナ100およびシステム300などを使用して不均一な場における核磁気共鳴スペクトルおよび磁気共鳴画像を効果的に収集するためのシステムおよび方法が本明細書において説明されている。
【0043】
片面式またはオープンMRIを使用する撮像は、多くの課題を提起する。典型的には、片面式システムにおける2セットの勾配コイル(
図6参照)が永久磁石アセンブリのフェイスに配置される。その結果、勾配の振幅は、永久磁石アセンブリのフェイスから離れるにつれて減少する。したがって位相符号化の所与のアレイでは、視野は永久磁場B0の軸に沿って移動するにつれて変化する。言い換えると、片面式スキャナ内のパルス勾配コイルは、永久的な勾配の方向に沿って小さなコンポーネントを有する。
【0044】
図8は、MRIスキャナ100のZ軸に沿った磁場勾配の概略
図500である。永久磁石130は、Z軸に沿った固有の勾配をもたらす。Z勾配の強度は、永久磁石130から離れるにつれて低下する。Z勾配は、永久磁石から離れるつれて曲がり、勾配の強度を低下させることが概略図で確認できる。MRIスキャナ100は、複数のスライスを撮像してスラブを生成する。各スライスは異なる周波数で撮像のために励起される。低周波数は、永久磁石から遠く離れたスライスの組織を励起し、高周波数は、磁石に近いスライスの組織を励起する。概略図において、スラブまたは軸方向画像が、Slice
0からSlice
nに向かう複数のスライスで構成される。各スライスには、f
0からf
nまでの周波数が対応し、ここで、f
0はf
nより小さい周波数である。
【0045】
本開示の様々な態様によれば、周波数掃引またはチャープ励起パルスの間に位相符号化を適用することにより、追加された位相を補償することができる。周波数掃引パルスは、パルスの間の様々な時点に様々な周波数でスピンに影響を与える可能性がある。これは、励起パルスの間に位相符号化を適用することにより、異なる周波数に異なる量の位相を与えることも可能であることを意味する。パルスの開始時に励起されるスピンは、ほとんど位相を蓄積できないパルスの終了時に励起されるスピンより多くの位相を蓄積することが可能である。
【0046】
様々な態様によれば、永久磁石からより遠いスピンが最初に励起され、且つ、位相符号化が周波数掃引励起パルスの間に適用される場合、それらの遠く離れたスピンは、最後に励起され得る永久磁石により近いスピンより多くの位相を蓄積し得る。これにより、スピンが表面勾配コイルから位相を蓄積する通常の手法を反転させ、Z軸に沿った勾配強度の通常の変動に対抗することができる。周波数掃引励起中および後続の位相符号化中に蓄積される位相の量を正確に調整することにより、永久磁石のZ軸に沿ったX-Y平面に対して均一な量の位相を適用することが可能である。
【0047】
図9は、表面勾配コイル(例えば
図6における勾配コイル152、154を参照)により生成されたZ軸に沿ったスライスにおける視野の変動を補償するように構成されたパルスシーケンス900を示す。この補償は、周波数掃引励起パルスの間に適用される位相符号化により実現される。様々な例において、本明細書に記載の周波数掃引パルスは、線形周波数掃引を有するチャープまたはチャープドパルスである。チャープ励起パルスは、低から高への線形周波数掃引を画定することができる。他の単調な低周波数から高周波数への増加も考えられる。低周波数は、永久磁石アセンブリ(例えば
図2における永久磁石アセンブリ130を参照)からより遠くの組織を励起し、高周波は、永久磁石アセンブリにより近い組織を励起するので、パルスの終わりまでに、磁石からより遠いスライスは、より長い時間にわたって位相符号化されていることになり、勾配が弱くなることを補償する。パルスシーケンス中の第1のパルス902は周波数掃引励起パルス902であり、チャープ周波数掃引方向は低から高に設定される。X方向およびY方向における勾配は、それぞれディフェーズ(918および922)し始め、パルスシーケンスの第2のパルス904により再集束(リフォーカス)される。Zの勾配は、パルスシーケンス全体にわたって一定である。第2のパルス904は、X勾配およびY勾配を再集束させる再集束パルスである。第2のパルス904の後、スペクトラルエコー906が発生し、ここで、X勾配およびY勾配はそれぞれディフェーズ(920および924)する。スペクトラルエコー906の後、信号はチャープエコートレイン908で読み取られる。チャープコートレイン908は、第3のパルス910、スピンエコー912、第4のパルス914、およびスペクトラルエコー916を含む。一態様において、第3のパルス910は第2の再集束パルスであってよく、第4のパルス914は第2の励起パルスであってもよい。
【0048】
この実施態様では、変化する視野が励起パルスの間に過剰に補償され、その後、位相符号化とバランスされる。周波数掃引中に蓄積される位相の量は、撮像されるスライスのX-Y平面に均一量の位相を適用するように正確に調整されることを必要とする。言い換えると、各スライスでの位相の量は、変化する視野を考慮するように正確に調整される必要がある。更に言い換えると、全てのスライスが対象物を同じスケールにするように、各スライスでの対象物のスケールが調節される必要がある。例えば、調整は、X-ZまたはY-Z軸に沿って2D画像を収集する間に、周波数掃引パルスの間に印加される勾配パルスのパワーを調節することにより実行可能である。勾配パワーは、対象物のサイズがZ軸に沿って変化しなくなるまで増加させることができる。そして、スライスを結合して、結合によってぼやけが全く発生することなしに、高品質のスラブ画像を合成することができる。
【0049】
図10は、掃引方向が低から高に設定されている、掃引周波数パルスまたはチャープパルスの代表的なグラフ1000を示す。。掃引方向が低から高に設定されたチャープ励起パルスは、周波数掃引励起パルスの例である。掃引方向が低から高に設定されたチャープパルスの周波数は低周波から始まり、周波数はパルスの持続期間にわたって経時的に増加する。パルスは、所望の最低周波数で開始し、最大の所望の周波数に達すると終了する。グラフ1000のパルス周波数は、ベースバンド周波数に対して負から正への周波数オフセットであり得る。言い換えると、周波数は、ベースバンド周波数を加えて負から正に掃引される。例えば、+/-100KHzの周波数掃引の場合、掃引は、ベースバンド周波数より100KHz低い周波数からベースバンド周波数より100KHz高い周波数までである。
【0050】
チャープパルスの周波数は、最小(最低)の所望の周波数から最大(最高)の所望の周波数まで変わり得る。パルスの掃引速度は、パルス内の最高周波数と最低周波数の差を、最高周波数と最低周波数の間を遷移するのに必要な時間で割ったものである。一態様では、掃引周波数パルスシーケンス900で使用される掃引周波数パルスによりカバーされる周波数範囲は、-20KHzから20KHzまで、すなわち40KHzのレンジであってもよく、中心周波数はスラブごとに変化する。例えば、スラブは、2.62MHz、2.75MHz、2.65MHz、2.72MHz、2.79MHz、2.69MHzなどを中心とすることができる。2.62MHzを中心とするスラブの場合、チャープパルスは、2.60MHzから2.64MHzまで、すなわち40KHzの範囲を掃引することになる。本開示の他の態様では、低くは10KHzから高くは200KHzまでの帯域幅が周波数掃引パルスに使用される場合がある。更に、掃引レンジは、様々な例において40KHz未満とすることができる。
【0051】
再度
図8を参照すると、f
0はチャープパルスの最低周波数に対応し、f
nはチャープパルスの最高周波数に対応することができる。チャープパルスは、最初に、永久磁石アセンブリからより遠い組織、例えばスライス
0の位置の組織を励起し、後で、永久磁石アセンブリにより近い組織、例えばslice
nの位置の組織を励起する。言い換えると、隣接するスライスは、近位スライスと遠位スライスとを含み、ここで、近位スライスは、遠位スライスより磁気撮像装置のより近くに位置し、遠位スライス内の対象物は、近位スライス内の対象物より前に励起される。チャープパルスの周波数範囲は、撮像されるスラブのスライスに対応することができる。
【0052】
再度
図9を参照すると、第1のパルス902は、掃引方向が低から高へ設定されたチャープ励起パルスである。このパルスは、永久磁石アセンブリにより近いスライス内の組織を励起する前に、永久磁石アセンブリからより遠くのスライス内の組織を励起する。チャープ励起中の位相符号化により、様々な周波数で様々な量の位相が蓄積される。具体的には、永久磁石アセンブリからより遠くのスライスは、永久磁石アセンブリにより近いスライスより多くの位相を蓄積する。言い換えると、永久磁石アセンブリからより遠位にあるスライス内の対象物は、永久磁石アセンブリのより近位にあるスライス内の対象物より多くの位相を蓄積する。周波数掃引励起パルスの間の位相符号化は、各スライスに蓄積される位相の調整と共に、各スライスでの位相を考慮し、エコーが取得ウィンドウの外へドリフトしないようにできる。Z軸に沿ってスライス内の視野の変化を考慮した後、スライスをスラブに結合して、各スライスの対象物のスケールが同じサイズである高品質のアキシャル画像を生成できる。
【0053】
磁気共鳴を使用して温度を測定する幾つかの方法が存在する。最も一般的な方法は化学シフトを使用することである。水の化学シフトは温度に応じて変化するので、化学シフトがどのように変化するかを監視することにより温度を監視できる。この方法は、水などの交換プロトンを伴うボクセルに対してのみ有効である。例えば脂肪のような他の分子は、温度に対して変化する化学シフトを伴わない。脂肪の温度を監視することは、典型的には、組織の緩和時間を測定することにより行われる。温度の変化につれて、緩和速度も変化する。緩和マップを収集し、次いで、その特定のタイプの組織についでの校正を行うことにより、温度マップに変換可能である。
【0054】
化学シフトベースの方法では、化学シフトによる周波数変化が低磁場では小さい。主磁場が不均一である場合、不均一性による周波数の広がりが、温度に起因した化学シフト変化を不明瞭にする。この問題は、化学シフトベースの方法を、低磁場の片面式MRIシステムに適さないものにする。緩和ベースの温度測定方法が低磁場の片面式システムには必要とされる。
【0055】
上述のように、化学シフトによる周波数シフトを測定することは化学シフトによる差分を解明できるほど十分に場が均一であることを必要とするので、不均一な磁場内では化学シフトによる周波数シフトは検出不可能であり得る。温度変化は代替的に、例えばT2緩和時間といった緩和データを使用することにより監視できる。組織の温度が体内の結合の交換速度に影響を及ぼし、ボクセル内のスピンの全体的な運動を変化させるため、T2緩和時間が変化する。これらのT2緩和時間は、次に、T2緩和を温度に相関させるモデルを使用して温度に変換することができる。モデルは、様々な温度でのT2緩和時間を測定することにより特定の組織タイプを校正することによって、構築することができる。組織タイプ毎に異なるモデルが必要である。回転拡散の変化および交換時間の変化を組み込んだモデルにT2緩和時間をフィッティングさせることにより、各ボクセルの温度を推定できるので、低磁場温度マップが得られる。
【0056】
MRIスキャナ100(
図1)は、上述の方法を実施可能な片面式MRIシステムの例である。片面式MRIシステムはフェイスを備えるハウジングを備え、第1の軸がフェイスを貫通して視野内に延在する。片面式MRIシステムは、ハウジング内に位置する永久磁石のアレイを更に備え、固有の勾配磁が、第1の軸に対して永久磁石のアレイから視野内に延在している。片面式MRIシステムは更に、勾配コイルセットと、無線周波数コイルと、電力回路と、組織タイプについての緩和モデルを記憶するメモリと、勾配コイルセット、無線周波数コイル、およびメモリと信号通信する制御回路とを備える。制御回路は、視野内に配置された、組織タイプに対応する構造物に関連するT2データセットを無線周波数コイルから取得するように構成されている。例えば、構造物は、その組織タイプの組織で構成される。制御回路は更に、構造物のT2強調画像を生成することと、組織タイプについての緩和モデルに基づいて構造物のT2強調画像をヒートマップに変換することとを実行するように構成されている。
【0057】
片面式MRIシステムによれば、インビボでの軟組織の熱アブレーションをガイドするのに多くの利点が得られる。例えば、MRIシステムはオープン型であり、標準的なクローズドMRIシステムより患者へのアクセスが良好である。更に、片面式MRIシステムは、クローズドMRIシステムより費用対効果の高いものであり得る。様々な例において、片面式MRIシステムは、患者および熱アブレーションエリアへのより良いアクセスを可能にすること、および、熱アブレーションエリアのライブ温度マップを提供可能であることに起因して、熱アブレーションにより良い結果をもたらす。比較すると、従来の高磁場MRIシステムは多くの場合、それらの高コスト、動作の複雑さ、およびアクセスが困難なフォームファクターに起因して、熱治療用では臨床的実用性に欠ける。
【0058】
磁気共鳴を利用して温度を測定するためのこの方法は、片面式形態が不均一な磁場をもたらす装置を有するシステムのためのものであるので、エコートレインシーケンスは、場において効率良く励起して再集束するのに十分な広さのチャープルスにより、収集することができる。一態様において、パルスシーケンスは、2つの軸に沿った位相符号化を含み得るが、エコートレイン中の追加の符号化は含まない。代替的な態様において、パルスシーケンスは、2つの軸に沿った位相符号化と、エコートレイン中の追加の符号化とを含み得る。別の態様では、撮像軸のうちの一方が時空的に符号化され得るのに対し、他方は位相符号化によって符号化される。更に異なる別の一態様では、x軸とy軸の両方が時空的に符号化され得る。チャープパルスの生成は無線周波数コイルにより行い、位相符号化の適用は勾配コイルセットにより行うことができる。
【0059】
代替的な態様では、本方法の均一な磁場による適用が可能である。
【0060】
図11は、MRIシステムの視野内の構造物のT2緩和時間を収集するのに使用できるパルスシーケンス1100の図を示す。パルスシーケンスは、例えば低磁場を使用する
図1の片面式オープンMRIシステムとともに使用可能である。パルスシーケンス900(
図9)と同様に、パルスシーケンス1100中の第1のパルスは、チャープ周波数掃引方向が低から高へ設定された周波数掃引励起パルス1102である。Zの勾配はパルスシーケンス全体を通して一定である。第2のパルス1104の後、位相符号化1112および1114がそれぞれX勾配およびY勾配に沿って適用される。次に、複数の掃引周波数パルス1110が、無線周波数コイルにより送信され得る。
図11では、掃引周波数パルス1106が、複数の掃引周波数パルス1110のうちの第1のパルスであり、掃引周波数パルス1108が、複数の掃引周波数パルス1110での最後のパルスである。
【0061】
複数の掃引周波数パルス1110は、無線周波数コイルにより受信されるエコートレインシーケンスを構成する。幾つかの態様では、無線周波数コイルは送信と受信の両方を行う1つのユニットとすることができる。他の態様では、無線周波数コイルは、少なくとも1つのコイルが送信を行い、少なくとも1つのコイルが受信を行う、少なくとも2つのコイルのセットを備えるものとすることができる。各掃引周波数パルスがエコーを生成するが、各エコーのエコー時間は約2ミリ秒から約20ミリ秒までであり得る。エコートレインシーケンスは、約10個から約100個までのエコーいずれかを含み得る。代替的な態様では、エコートレインシーケンスには、100個より多いか、または10個未満のエコーが存在してもよい。掃引周波数パルスの帯域幅は、約10KHz乃至約200KHzであり得る。
【0062】
T2データは、エコートレインシーケンスでの各エコーから算出可能である。一態様において、T2データセットは、複数の掃引周波数パルスに基づいて生成可能である。別の態様では、T2データセットは、複数の掃引周波数パルスおよび複数の掃引周波数パルスの間の位相符号化に基づいて生成可能である。T2緩和時間は、エコー時間に対するエコー振幅をモノエクスポネンシャル減衰関数にフィッティングさせることにより特定することができる。
【0063】
磁気共鳴を利用してインビボで温度を測定する方法には、まず、測定される組織の種類についての校正を収集することが含まれる。校正には、摘出された組織または組織を模倣するように設計されたファントムのT2緩和時間を様々な温度で測定することが必要である。次に、温度に対する緩和時間の応答がモデルにフィッティングされる。各組織タイプは固有のモデルを有し得る。
【0064】
図12は、特定の組織タイプに対する校正データを収集するためのフロー
図1200を示す。校正データは、後で特定の組織タイプについてのT2緩和時間対温度モデルを生成するのに使用できる。T2緩和時間は、様々な温度で組織タイプについて測定される。例えば、当該組織タイプを有する構造物は、摘出された組織であってよく、組織タイプを模倣するように設計されたファントムであってもよい。ブロック1202では、例えばMRIスキャナ100(
図1)等のMRIシステムが、z軸に対して磁気撮像装置の一方側から視野内に延在する固有の勾配磁場を生成する。ブロック1204では、構造物が温度リストの所望の温度まで加熱され、または冷却される。温度リストには、組織タイプが到達することができる様々な温度を含めることができる。言い換えると、温度リストは、構造物の組織タイプで予測される複数の温度を包含可能である。ブロック1206では、構造物が所望の温度である間に、構造物が視野内に配置される。ブロック1208では、MRIシステムが、パルスシーケンス、例えばパルスシーケンス1100(
図11)を送信する。ブロック1210では、MRIシステムが、パルスシーケンスに基づくエコートレインシーケンスを受信する。ブロック1212では、MRIシステムが、エコートレインシーケンス中のエコーに基づいてT2緩和データを算出する。ブロック1214では、MRIシステムが、温度リストの各温度が対応するT2緩和時間を有しているか否かを確認する。温度リストの各温度に対するT2緩和データが存在していない場合、システムはブロック1204に進み、構造物が温度リストの別の温度まで加熱され、または冷却される。前述のデータ獲得ループは、温度リストの各温度がT2緩和データを有するまで続けることができる。各温度が対応するT2緩和データを有する場合、システムはブロック1216に進む。ブロック1216では、構造物の温度についてのモデルが温度リストの当該温度でのT2緩和データに基づいて生成される。追加のモデルが様々な組織タイプについて取得可能である。
【0065】
例示的な校正方法では、蜂蜜で充填したボトル製のファントムを構造物のために使用した。様々な温度まで水槽内での制御下の加熱をファントムに施すことにより、ファントムについての校正ステップを実施した。次に、ファントムを断熱材により囲まれた受信コイル内に配置した。断熱された受信コイル内に配置した後、MRI装置を用いてファントムのバルクT2緩和時間を取得し、更にFLIR-E6390温度カメラを用いて直ちにファントムの温度を測定した。T2緩和時間および対応する温度の測定の後、ファントムを受信コイルから取り出し、別の所望の温度まで水槽内で加熱した。所望の各温度に対するT2緩和時間の測定結果を首尾よく取得するべく、プロセスを繰り返した。T2緩和時間は、エコー時間に対するエコー振幅をモノエクスポネンシャル減衰関数にフィッティングすることにより特定された。
【0066】
例示的な校正方法のためのT2緩和時間および対応温度測定結果が
図13におけるグラフ表示1300に示されており、ここではファントム(蜂蜜で充填したボトル)が使用された。グラフ表示1300のy軸はR
2であり、ここで、R
2はT2緩和時間の逆数である。言い換えるとR
2は1/T2である。一態様において、R
2時間は、エコートレインでの信号振幅の減衰をモノエクスポネンシャル関数にフィッティングすることにより導出された。緩和時間を温度に関連付ける例示的なモデルは、グラフ表示1300の線1302により示される。線1302は次式により記述される。
【数1】
ここで、フィッティングパラメータはlog(a)=-15.8±2.3およびb=3976±770とし、R
2は1/T2であり、Tはケルビンを単位とする温度である。上記の式は線1302に対応しており、特定の試料に対する緩和時間対温度の関係の例示的なモデルである。
【0067】
様々な例において、緩和時間対温度の関係は、モノエクスポネンシャルモデルに対応することができる。例えば、例示的な校正方法および
図13に示されている関連するデータセットでは、T2緩和時間はファントムの温度に伴って単調に変化し、温度が上昇すると増加した。これは、蜂蜜が加熱されるのに伴って蜂蜜の粘性が低下することに整合しており、このことは、蜂蜜がより高温度で流れ易い態様を観測することにより明確に確認できる。更に、本開示の様々な態様において、ラーモア周波数と相関時間の積が1よりはるかに小さいと仮定し、R
2を回転相関時間に比例させることにより、上記の式で示されるモデルおよび関連性を生成することができる。
【0068】
本開示の代替的な態様では、T2緩和時間と温度データをフィッティングさせるために他の式を用いることができる。
【0069】
関連する組織タイプに対する校正データが全て揃い、各組織タイプについてモデルが生成されると、関連する組織タイプについての温度マップまたはヒートマップを収集できる。本明細書で更に説明されるように3Dエコートレインシーケンスを用いてT2マップまたはT2強調画像を取得することにより、温度マップを生成することができる。3Dエコートレインシーケンスは、2つの軸に沿った位相符号化を含み得るが、エコートレイン中の追加の符号化は含まない。このようなパルスシーケンスは、各エコーがT2強調の異なる別個の画像であるデータセットをもたらす。様々な例において、各エコーは、別個の画像へと再構成され得る。一連の画像は、ピクセル強度をエコー時間に対する指数関数的減衰(例えばモノエクスポネンシャル関数)にフィッティングさせることにより1つのT2マップに変換され得る。このフィッティングから、信号を有する各ピクセルによりT2時間が生成される。このフィッティングにより得られるT2マップは、次に、例えば特定の構造物に対する上述の校正式等の校正により、温度マップに変換できる。組織タイプが既知であるならば、校正式により、T2緩和時間を温度にマッピング可能である。
【0070】
図14は、収集されたT2緩和データを用いて、本明細書で更に説明される校正方法により取得可能なT2緩和時間対温度モデルに基づいてヒートマップを生成するためのフロー
図1400を示す。ブロック1402では、MRIシステム(例えばMRIスキャナ100(
図1))が、z軸に対して磁気撮像装置の一方側から、構造物が配置される視野内に延在する固有の勾配磁場を生成する。ブロック1404では、MRIシステムは例えばパルスシーケンス1100(
図11)であるパルスシーケンスを送信する。ブロック1406では、MRIシステムがパルスシーケンスに基づくエコートレインシーケンスを受信する。一態様において、エコートレインシーケンスは、3Dエコートレインシーケンスであり得る。ブロック1408では、MRIシステムが、エコートレインシーケンス中のエコーに基づいてT2緩和データを算出する。ブロック1410では、MRIシステムが、T2緩和データに基づいてT2強調画像を生成する。ブロック1412では、MRIシステムが、T2緩和時間対温度モデルに基づいてT2強調画像をヒートマップに変換する。構造物の組織タイプは、T2緩和時間対温度モデルの組織タイプと同じである。一態様において、正しいモデルが使用されるように、構造物の組織タイプは手動で入力され得る。別の態様では、構造物の組織タイプは、所定の組織タイプモデルに基づいて自動的に算出され得る。例えば、所定のモデルからの構造情報を構造物の画像にマッピングすることにより、組織タイプを特定することができる。
【0071】
図15に示されている例示的な温度マップ1500を生成するべく、校正データのために使用した構造物を再度加熱した後、撮像のために断熱されたコイル内に配置した。3Dシングルポイント撮像スキャンを行いエコートレインを利用することにより、T2強調画像またはT2マップを収集した。各エコーを用いて別個の画像が生成され、各ピクセルの強度はエコー時間に対するモノエクスポネンシャル減衰関数にフィッティングされた。これらのフィッティングから、加熱された構造物に対するT2マップが生成され、次に、例示的な校正モデルを使用して温度マップ1500に変換された。
【0072】
ヒートマップ1500を生成するために使用されるT2マップは、永久勾配および低磁場MRIを用いる片面式オープンMRIシステムにより収集された。例えば、主磁場強度は、58mT~74mTで動作可能である。T2マップを収集するための例示的な方法は、3Dシングルポイント撮像シーケンスを使用することである。
【0073】
代替的な態様では、他のMRIシステムを用いて、ヒートマップの生成に使用されるT2マップを収集できる。
【0074】
前述の方法を使用して取得された温度マップでは、温度カメラによる測定結果に整合する顕著な温度勾配が示されている。低磁場片面式MRI装置の低磁場およびフォームファクターに起因して、前述の緩和ベースのMR温度測定を熱アブレーションデバイスと統合することにより、一定の例ではガイダンスが改善され、より良い処置結果をもたらすことができる。
【0075】
例
本明細書において説明されている主題の様々な態様が以下の番号の付された例に記載されている。
【0076】
例1-フェイスを備えるハウジングを備える磁気撮像装置であって、第1の軸がフェイスを貫通して視野内に延在する、磁気撮像装置。磁気撮像装置は更に、ハウジング内に位置する永久磁石のアレイを備え、固有の勾配磁場が、第1の軸に対して永久磁石のアレイから視野内に延在している。勾配コイルセットと、少なくとも1つの無線周波数コイルと、電力回路と、組織タイプについての緩和モデルを記憶するメモリと、勾配コイルセット、少なくとも1つの無線周波数コイル、電力回路、およびメモリと信号通信する制御回路とを更に備える磁気撮像装置。制御回路は、視野内に配置された、組織タイプに対応する構造物に関連するT2データセットを取得するように構成されている。制御回路は更に、構造物のT2強調画像を生成することと、組織タイプについての緩和モデルに基づいて構造物のT2強調画像をヒートマップに変換することと、を実行するように構成されている。
【0077】
例2-緩和モデルがモノエクスポネンシャルモデルを含む、例1に記載の磁気撮像装置。
【0078】
例3-勾配コイルおよび少なくとも1つの無線周波数コイルが電力回路に結合されている、例1または例2に記載の磁気撮像装置。
【0079】
例4-制御回路が更に複数の掃引周波数パルスを含むパルスシーケンスを送信するように構成された、例1、例2、または例3に記載の磁気撮像装置。
【0080】
例5-T2データセットが複数の掃引周波数パルスから生成される、例4に記載の磁気撮像装置。
【0081】
例6-各掃引周波数パルスは持続期間が2ミリ秒乃至20ミリ秒であるエコーを生成する、例4または例5に記載の磁気撮像装置。
【0082】
例7-複数の掃引周波数パルスが10個乃至100個のエコーを生成する、例4、例5、または例6に記載の磁気撮像装置。
【0083】
例8-各掃引周波数パルスの帯域幅が10KHz乃至200KHzである、例4、例5、例6、または例7に記載の磁気撮像装置。
【0084】
例9-無線周波数コイルは周波数が1メガヘルツ乃至21メガヘルツであるパルスを送信するように構成されている、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、または例8に記載の磁気撮像装置。
【0085】
例10-視野内における磁場強度が1テスラ未満である、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、例8、または例9に記載の磁気撮像装置。
【0086】
例11-視野内における磁場の不均一性が200ppm乃至200,000ppmである、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、例8、例9、または例10に記載の磁気撮像装置。
【0087】
例12-緩和モデルが、組織タイプについての異なる温度に対する複数のT2緩和データを含む校正データから生成される、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、例8、例9、例10、または例11に記載の磁気撮像装置。
【0088】
例13-磁気撮像装置が片面式磁気撮像装置であり、ハウジングと勾配コイルセットとが視野の第1の側に位置する、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、例8、例9、例10、例11、または例12に記載の磁気撮像装置。
【0089】
例14-構造物の組織タイプを受信するように構成されたユーザー入力デバイスを更に備える、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、例8、例9、例10、例11、例12、または例13に記載の磁気撮像装置。
【0090】
例15-構造物に対応する組織タイプモデルを特定することと、組織タイプモデルを構造物と共に記録することと、を実行するように構成された自動化された組織タイプ認識モジュールを更に備える、例1、例2、例3、例4、例5、例6、例7、例8、例9、例10、例11、例12、または例13に記載の磁気撮像装置。
【0091】
例16-永久磁石のアレイを備えるハウジングを備える片面式磁気撮像装置であって、固有の勾配磁場が第1の軸に対して永久磁石のアレイから視野内に延在し、視野はハウジングに隣接している、片面式磁気撮像装置。片面式磁気撮像装置は更に、無線周波数コイル、無線周波数コイルに結合された電力回路、異なる温度における組織についての緩和モデルを記憶するメモリ、および制御回路を備える。制御回路は、無線周波数コイル、電力回路、およびメモリと信号通信する。制御回路は、無線周波数コイルに波形シーケンスを送信してエコートレインシーケンスを生成することと、視野内に配置された構造物に関連するT2データセットを取得することと、構造物のT2強調画像を生成することと、メモリに記憶された緩和モデルに基づいて構造物のT2強調画像をヒートマップに変換することと、を実行するように構成されている。
【0092】
例17-緩和モデルがモノエクスポネンシャルモデルを含む、例16に記載の片面式磁気撮像装置。
【0093】
例18-エコートレインシーケンスが位相符号化を含む、例16または例17に記載の片面式磁気撮像装置。
【0094】
例19-T2データセットがエコートレインシーケンスに基づいて生成される、例16、例17、または例18に記載の片面式磁気撮像装置。
【0095】
例20-エコートレインシーケンスは持続期間が2ミリ秒乃至20ミリ秒であるエコーを含む、例16、例17、例18、または例19に記載の片面式磁気撮像装置。
【0096】
例21-エコートレインシーケンスが10個乃至100個のエコーを含む、例16、例17、例18、例19、または例20に記載の片面式磁気撮像装置。
【0097】
例22-エコートレインシーケンスは帯域幅が10KHz乃至200KHzである複数の掃引周波数パルスにより生成される、例16、例17、例18、例19、例20、または例21に記載の片面式磁気撮像装置。
【0098】
例23-無線周波数コイルは周波数が1メガヘルツ乃至21メガヘルツであるパルスを送信するように構成されている、例16、例17、例18、例19、例20、例21、または例22に記載の片面式磁気撮像装置。
【0099】
例24-視野内における磁場強度が1テスラ未満である、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、または例23に記載の片面式磁気撮像装置。
【0100】
例25-視野内における磁場の不均一性が200ppm乃至200,000ppmである、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、例23、または例24に記載の片面式磁気撮像装置。
【0101】
例26-緩和モデルが異なる組織タイプについての異なる温度における複数のT2データを含む校正データから生成される、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、例23、例24、または例25に記載の片面式磁気撮像装置。
【0102】
例27-ハウジング内に位置する勾配コイルセットを更に備え、勾配コイルセット、無線周波数コイル、およびハウジングが視野の第1の側に位置する、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、例23、例24、例25、または例26に記載の片面式磁気撮像装置。
【0103】
例28-無線周波数コイルが無線周波数送信コイルを備え、片面式磁気撮像装置が無線周波数受信コイルを更に備える、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、例23、例24、例25、例26、または例27に記載の片面式磁気撮像装置。
【0104】
例29-緩和モデル毎に組織タイプに対応しており、構造物の組織タイプを受信するように構成されたユーザー入力デバイスを更に備え、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、例23、例24、例25、例26、例27、または例28に記載の片面式磁気撮像装置。
【0105】
例30-構造物に対応する組織タイプモデルを特定することと、組織タイプモデルを構造物と共に記録することであって、緩和モデル毎に組織タイプに対応している、記録することとを実行するように構成された自動化された組織タイプ認識モジュールを更に備える、例16、例17、例18、例19、例20、例21、例22、例23、例24、例25、例26、例27、または例28に記載の片面式磁気撮像装置。
【0106】
例31-磁気共鳴撮像装置を使用して第1の組織タイプで構成される関心対象物における温度を検出する方法。方法は、第1の組織タイプを含む異なる組織タイプについての異なる温度に対するT2データを含む校正データを取得することと、校正データから異なる組織タイプについてのモデルを生成することと、視野内に関心対象物を配置することと、掃引周波数パルスを含むパルスシーケンスを送信することとを含む。方法は更に、関心対象物に対応するT2データを受信することと、関心対象物のT2強調画像を生成することと、第1の組織タイプについてのモデルに基づいて関心対象物のT2強調画像をヒートマップに変換することとを含む。
【0107】
例32-関心対象物の第1の組織タイプを特定する第1の入力を受信することを更に含む、例31に記載の方法。
【0108】
例33-RFコイルセットが掃引周波数パルスを含むパルスシーケンスを送信することと、関心対象物に対応したT2データを受信することとを更に備える、例31または例32に記載の方法。
【0109】
例34-磁気共鳴撮像装置が永久磁石アセンブリを備え、方法は永久磁石アセンブリが視野内に固有の勾配磁場を生成することを更に備える、例31、例32、または例33に記載の方法。
【0110】
幾つかの形態が示されて説明されているが、添付の請求項の範囲をこのような詳細に制限または限定することが出願人の意図ではない。それらの形態に対する多くの変更、バリエーション、変形、置換、組み合わせ、および均等なものが実現されてもよく、本開示の範囲から逸脱せずに当業者により考えられる。更に、説明されている形態に関連する各要素の構造は、要素により実施される機能を提供するための手段として代替的に説明されることができる。更に、特定のコンポーネントに対してある材料が開示されている場合に、他の材料が使用されてもよい。したがって、上述の説明および添付の請求項が開示されている形態の範囲に入るものとして全てのこのような変更、組み合わせ、およびバリエーションをカバーすることを意図したものであることが理解される。添付の請求項は、全てのこのような変更、バリエーション、変形、置換、変化、および均等なものをカバーすることを意図したものである。
【0111】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、および/または例の使用により様々な形態のデバイスおよび/またはプロセスを記載している。このようなブロック図、フローチャート、および/または例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限りにおいて、このようなブロック図、フローチャート、および/または例の中における各機能および/または動作が、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質的にそれらの任意の組み合わせにより個々に、および/または集合的に実現され得ることが当業者により理解される。当業者は、本明細書において開示されている形態の幾つかの態様が全体的に、または部分的に、集積回路において、1つまたは複数のコンピュータにおいて動作する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば1つまたは複数のコンピュータシステムにおいて動作する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして(例えば1つまたは複数のマイクロプロセッサにおいて動作する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、または実質的にそれらの任意の組み合わせとして同様に実現されてもよいこと、および、回路を設計すること、および/または、ソフトウェアおよび/またはファームウェアのためのコードを記述することが本開示に照らして当業者の技量の範囲に適切に入ることを認識する。加えて、当業者は、本明細書において説明されている主題のメカニズムが様々な形態で1つまたは複数のプログラム製品として分散されることが可能であること、および、本明細書において説明されている主題の例示的な形態が分散を実際に実行するために使用される特定の種類の信号伝達媒体にかかわらず適用されることを理解する。
【0112】
様々な開示されている態様を実施するための論理をプログラムするために使用される命令は、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、または他のストレージといった、システムにおけるメモリ内に記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、または他のコンピュータ可読媒体により分散され得る。したがって、機械可読媒体は、限定されないが、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、および光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気または光学カード、フラッシュメモリ、または、電気的な、光学的な、音響的な、または他の形態の伝播させられる信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介したインターネットを通した情報の送信において使用される有形な機械可読ストレージといった、機械(例えばコンピュータ)により読み取り可能な形態で情報を記憶するための、または送信するための任意のメカニズムを含み得る。したがって、非一時的なコンピュータ可読媒体は、機械(例えばコンピュータ)により読み取り可能な形態で電子命令または情報を記憶すること、または送信することに適した任意の種類の有形な機械可読媒体を包含する。
【0113】
本明細書における任意の態様において使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラム可能回路(例えば、1つまたは複数の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロ制御装置、マイクロ制御ユニット、制御装置、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、プログラム可能論理アレイ(PLA)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラム可能回路により実行される命令を記憶するファームウェア、およびそれらの任意の組み合わせを表し得る。制御回路は、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバー、スマートフォンなどの、より大きいシステムの一部を形成する回路としてまとめて、または個別に具現化され得る。したがって、本明細書において使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つのディスクリート型電気回路を含む電気回路、少なくとも1つの集積回路を含む電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を含む電気回路、コンピュータプログラムにより構成された汎用コンピューティングデバイスを形成する電気回路(例えば、本明細書において説明されているプロセスおよび/またはデバイスを少なくとも部分的に実現するコンピュータプログラムにより構成された汎用コンピュータ、または、本明細書において説明されているプロセスおよび/またはデバイスを少なくとも部分的に実現するコンピュータプログラムにより構成されたマイクロプロセッサ)、メモリデバイスを形成する電気回路(例えばランダムアクセスメモリの形態)、および/または、通信デバイスを形成する電気回路(例えば、モデム、通信スイッチ、または光電気機器)を包含するがこれらに限定されない。当業者は、本明細書において説明されている主題がアナログまたはデジタル手法またはそれらの何らかの組み合わせにより実現され得ることを認識する。
【0114】
本明細書における任意の態様において使用されるとき、「論理」という用語は、前述の動作のうちの任意のものを実施するように構成されたアプリ、ソフトウェア、ファームウェア、および/または回路を表し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、および/またはデータとして具現化され得る。ファームウェアは、メモリデバイスにハードコーディングされた(例えば不揮発性の)コード、命令、または命令セット、および/またはデータとして具現化され得る。
【0115】
本明細書における任意の態様において使用されるとき、「コンポーネント」、「システム」、「モジュール」などの用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかのコンピュータに関連するエンティティを表し得る。
【0116】
本明細書における任意の態様において使用されるとき、「アルゴリズム」は、所望の結果をもたらすステップの自己矛盾の無いシーケンスを表し、ここで、「ステップ」は、必ずという訳ではないが、記憶される、伝達される、組み合わされる、比較される、および別様に操作されることが可能な電気信号または磁気信号の形態をとり得る物理量および/または論理状態の操作を表す。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数などとして参照することは一般的な使用である。これらの用語および同様の用語は、適切な物理量に関連し得、および、これらの量および/または状態に適用される利便性の高いラベルに過ぎない。
【0117】
ネットワークは、パケット交換ネットワークを含み得る。通信デバイスは、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。1つの例示的な通信プロトコルは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用した通信を許可することが可能であり得るEthernet通信プロトコルを含み得る。Ethernetプロトコルは、2008年12月に公開された「IEEE802.3規格」という名称の電気電子技術者協会(IEEE)により公開されたEthernet規格および/またはこの規格の後続のバージョンを遵守し、または、これらに適合し得る。代替的に、または追加的に、通信デバイスは、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。X.25通信プロトコルは、国際電気通信連合・電気通信標準化セクター(ITU-T)により公表された規格を遵守し、またはこの規格に適合し得る。代替的に、または追加的に、通信デバイスは、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。フレームリレー通信プロトコルは、国際電信電話諮問委員会(CCITT)および/または米国規格協会(ANSI)により公表された規格を遵守し、またはこの規格に適合し得る。代替的に、または追加的に、トランシーバは、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、2001年8月に公開された「ATM-MPLSネットワークインターワーキング2.0」という名称のATMフォーラムにより公開されたATM規格および/またはこの規格の後続のバージョンを遵守し、またはこれらの規格に適合し得る。もちろん、異なる、および/または後発の接続指向のネットワーク通信プロトコルが、同じく本明細書において想定される。
【0118】
上記の開示から明らかなように、そうではないことが明示的に記載されていない限り、上記の開示を通して、例えば「処理」、「演算」、「計算」、「特定」、「表示」などの用語を使用した説明は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内において物理的な(電子的な)量として表されたデータを、コンピュータシステムメモリまたはレジスタまたは他のこのような情報ストレージ、送信またはディスプレイデバイス内における物理量として同様に表される他のデータへと操作する、および変換するコンピュータシステムまたは同様の電子コンピューティングデバイスのアクションおよびプロセスを表すことが理解される。
【0119】
1つまたは複数のコンポーネントは、本明細書において、「するように構成された」、「するように構成可能である」、「するように動作可能である/動作する」、「適応された/適応可能である」、「することができる」、「に適合可能な/適合された」などと表現され得る。当業者は、「するように構成された」とは、文脈がそうでないことを必要としていない限り、概して、アクティブ状態のコンポーネントおよび/または非アクティブ状態のコンポーネントおよび/またはスタンバイ状態のコンポーネントを包含し得ることを認識する。
【0120】
「近位」および「遠位」という用語は、磁気撮像装置を基準として本明細書において使用される。「近位」という用語は磁気撮像装置に向かう方向を表し、「遠位」は磁気撮像装置から離れる方向を表す。便宜上、および明確さの観点から、「垂直」、「水平」、「上」、および「下」などの空間に関する用語は、図面を基準として本明細書において使用され得ることが更に理解される。しかし、これらの用語は、限定することおよび/または絶対的なことを意図したものではない。
【0121】
当業者は、概して本明細書において、および特に添付の請求項(例えば添付の請求項のボディ)において使用される用語が、概して「オープン」な用語であることを意図したものであること(例えば、「備える(含む、有する、もつ)」という用語は「を包含するがこれらに限定されない」と解釈されなければならないこと、「備える(含む、有する、もつ)」という用語は「少なくとも、~を含む」と解釈されなければならないこと、「備える(含む、有する、もつ)」という用語は「を包含するがこれらに限定されない」と解釈されなければならないことなど)を認識する。修飾されている請求項の要素の特定の数が意図されている場合、このような意図は請求項に明示的に記載され、このような記載が存在しない場合はこのような意図は存在しないことが当業者により更に理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の請求項は、請求項の要素を修飾するための「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という修飾表現の使用を含み得る。しかし、このような表現の使用は、同じ請求項が「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」という修飾表現および例えば英語の不定冠詞の「a」または「an」に対応した表現を含むときでも、英語の不定冠詞「a」または「an」に対応した表現による請求項の要素の修飾が、このように修飾されている請求項の要素を含む任意の特定の請求項をただ1つのこのような要素を含む請求項に限定することを意味すると解釈されてはならない(例えば英語の「a(不定冠詞)」および/または「an(不定冠詞)」に対応した表現は典型的には「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という意味であると解釈されなければならない)。請求項の要素を修飾するために使用される定冠詞の使用に対しても同じことが成り立つ。
【0122】
加えて、修飾されている請求項の要素の特定の数が明示的に記載されている場合でも、当業者は、このような要素が典型的には少なくとも記載されている数存在することを意味すると解釈されなければならないことを認識する(例えば、他の修飾語句を伴わない「2つの要素」という裸の要素は、典型的には少なくとも2つの要素または2つ以上の要素を意味する)。更に、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される例では、概して、当業者であればどのようにその慣例を理解するかに基づいてこのような構成が意図されているものとする(例えば、「AとBとCとのうちの少なくとも1つを含むシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、および/または、AとBとCとの組み合わせなどを含むシステムを包含するがこれらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される例では、概して、当業者であればどのようにその慣例を理解するかに基づいてこのような構成が意図されているものとする(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを含むシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、および/または、AとBとCとの組み合わせなどを含むシステムを包含するがこれらに限定されない)。典型的には、選言的な語句および/または2つ以上の代替的な用語を提示する表現は、本説明、請求項、または図面のいずれに含まれているかによらず、文脈上別段の指示がない限り、その用語のうちの1つ、その用語のうちのいずれか、または、その用語の両方を含む可能性を想定していると理解されなければならないことが当業者により更に理解される。例えば、「AまたはB」という表現は、典型的には「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0123】
添付の請求項に関連して、当業者は、その中に記載されている動作が概して任意の順序で実施され得ることを理解する。更に、様々な動作フロー図がある順序で提示されているが、様々な動作が示されている順序ではない他の順序で実施され得ること、または、同時に実施され得ることが理解されなければならない。このような代替的な順序の例は、文脈上別段の指示がない限り重なること、交互であること、中断されること、並べ変えられること、漸進的であること、予備的なものであること、補足的なものであること、同時なものであること、反転されること、または他の変形例の順序であることを含み得る。更に、例えば「に応じて」、「に関連する」、または他の過去時制の形容詞といった用語は、概して、文脈上別段の指示がない限り、このような変形例を排除することを意図したものではない。
【0124】
「1つの態様」、「態様」、「例示」、「1つの例示」などに対する全ての言及は、態様に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することに留意することが重要である。したがって、本明細書を通した様々な場所における「1つの態様において」、「態様において」、「例において」、および「1つの例において」という表現の使用は、全てが同じ態様に関連するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の態様において任意の適切な手法により組み合わされ得る。
【0125】
本明細書において参照されている、および/または、任意の出願データシートに列記された任意の特許出願、特許、特許されていない公報、または他の開示文献は、組み込まれた内容が本明細書と矛盾の無い限り本明細書に参照により組み込まれる。したがって、および必要とされる範囲で、本明細書に明示的に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込まれる全ての矛盾した内容より優先される。本明細書に参照により組み込まれると言及されるが、本明細書に記載されている既存の定義、記述、または他の開示内容と矛盾した任意の文献、またはその一部は、組み込まれた文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲において組み込まれるに過ぎない。
【0126】
要約すると、本明細書において説明されている概念を使用することによりもたらされる多くの利点が説明されている。1つまたは複数の形態の上述の説明は、例示および説明を目的として提示されている。網羅的であることも、開示されている厳密な形態に限定することも意図されていない。上述の教示を考慮することにより変更または変形が可能である。1つまたは複数の形態は、原理および実用的な用途を示し、以て当業者が様々な形態を使用することを可能にするために、および想定される特定の使用に適した様々な変更を伴って、選択され、および説明されている。本明細書とともに提出された請求項が全範囲を定義することが意図されている。
【国際調査報告】