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特表2025-501337電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体
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  • 特表-電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体 図1
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  • 特表-電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体 図3B
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  • 特表-電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体 図9
  • 特表-電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体 図10
  • 特表-電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電気泳動粒子と電荷制御剤の組合せとを含む電気泳動媒体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20250109BHJP
   G02F 1/1681 20190101ALI20250109BHJP
   G02F 1/16766 20190101ALI20250109BHJP
   G02F 1/16757 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1681
G02F1/16766
G02F1/16757
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540602
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 US2022054136
(87)【国際公開番号】W WO2023132958
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/296,179
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イェゼック, リー
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, シェリー シン-イー
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ジヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブズオウェイ, ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】サーヴィ, アリ
(72)【発明者】
【氏名】ギボー, クレイグ アール.
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB05
2K101BB06
2K101BB44
2K101BB54
2K101BB64
2K101BB92
2K101BC02
2K101BC13
2K101BC14
2K101BC19
2K101BC23
2K101BC26
2K101BC28
2K101BE07
2K101BE09
2K101BE22
2K101BE32
2K101EC08
2K101ED13
2K101ED26
2K101ED27
2K101ED51
2K101ED74
2K101EE02
2K101EE06
2K101EG52
(57)【要約】
4種類の粒子を含む電気泳動媒体が開示される。第1の種類の粒子は、第1の電荷極性を有する。第2および第3の種類の粒子は、第1の電荷極性とは反対の第2の電荷極性を有する。電気泳動媒体は、第1の電荷制御剤および第2の電荷制御剤をさらに含み、第1の電荷制御剤の分子構造は、四級アンモニウム基および非極性尾部を含み、第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含む。一態様では、本発明は、カラー電気泳動ディスプレイ用の改善された電気泳動媒体を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極性流体と、
第1の種類の顔料を含む第1の種類の粒子であって、前記第1の種類の顔料は無機であり、第1の色を有し、前記第1の種類の粒子は第1の電荷極性を有する、第1の種類の粒子と、
第2の種類の顔料を含む第2の種類の粒子であって、前記第2の種類の顔料は第2の色を有し、前記第2の色は前記第1の色とは異なり、前記第2の種類の粒子は第2の電荷極性を有し、前記第2の電荷極性は前記第1の電荷極性とは反対である、第2の種類の粒子と、
第3の色を有する第3の種類の顔料を含む第3の種類の粒子であって、前記第3の色は前記第1および第2の色とは異なり、前記第3の種類の粒子は前記第2の電荷極性を有する、第3の種類の粒子と、
第4の色を有する第4の種類の顔料を含む第4の種類の粒子であって、前記第4の色は前記第1、第2および第3の色とは異なり、前記第4の種類の粒子は前記第1の電荷極性または前記第2の電荷極性を有する、第4の種類の粒子と、
分子構造を有する第1の電荷制御剤であって、前記第1の電荷制御剤の前記分子構造は、少なくとも1つの四級アンモニウム基および非極性尾部を含む、第1の電荷制御剤と、
分子構造を有する第2の電荷制御剤であって、前記第2の電荷制御剤の前記分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含み、前記2つまたはそれより多くの極性基は、アミノ基、スルホネート基、スルフェート基、スルフィネート基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィネート基、ホスフェート基、ヒドロキシル基、チオール基、アルファジケトン基、ベータジケトン基、エチレンオキシド基、およびプロピレンオキシド基からなる群から選択され、前記非極性尾部はポリマー基を含み、前記ポリマー基は、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含むモノマーにより形成される、第2の電荷制御剤と
を含む、電気泳動媒体。
【請求項2】
前記第2の電荷制御剤の前記非極性尾部の前記ポリマー基を形成するために使用される前記モノマーの前記分子構造が、カルボン酸、カルボン酸無水物、またはカルボン酸ハロゲン化物を含み、前記カルボン酸および前記カルボン酸ハロゲン化物が、10~22個の炭素原子を含み、前記カルボン酸無水物が、20~44個の炭素原子を含む、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項3】
前記第2の電荷制御剤の前記ポリマー尾部を形成する前記モノマーの前記分子構造が、ヒドロキシル基またはアミン基をさらに含む、請求項2に記載の電気泳動媒体。
【請求項4】
前記第2の電荷制御剤の前記ポリマー尾部を形成するために使用される前記モノマーが、リシノール酸、リノール酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸の酸ハロゲン化物、リノール酸の酸ハロゲン化物、リノレン酸の酸ハロゲン化物、リシノール酸無水物、リノール酸無水物、オレイン酸無水物、およびリノレン酸無水物からなる群から選択される、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項5】
前記第2の電荷制御剤の前記分子構造が、アルキルまたはアルケニル分岐および2つの末端極性官能基を有する櫛形ポリマーを含む、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項6】
水溶性エーテルをさらに含み、前記水溶性エーテルは、75~5,000ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項7】
前記第1、第2、第3および第4の種類の粒子が、ポリマーの層を有し、前記ポリマーは、前記第1、第2、第3および第4の種類の顔料に複合体化、吸着、または共有結合している、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項8】
前記第2および第4の種類の粒子が、メチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとにより形成されたポリマーを含む、請求項7に記載の電気泳動媒体。
【請求項9】
前記第3の種類の粒子が、(a)メチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとによる、または(b)ビニルベンジルクロリドとアクリレートもしくはメタクリレートモノマーとによる、顔料粒子の処理により形成される、請求項7に記載の電気泳動媒体。
【請求項10】
水溶性エーテルをさらに含み、前記水溶性エーテルは、75~5,000ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項11】
前記第2、第3および第4の種類の粒子の前記極性が全て正であり、前記第2の種類の粒子が、第2のゼータ電位を有し、前記第3の種類の粒子が、第3のゼータ電位を有し、前記第4の種類の粒子が、第4のゼータ電位を有し、前記第1のゼータ電位は、前記第2および第3のゼータ電位より大きく、前記第4のゼータ電位は、前記第3のゼータ電位より小さい、請求項1に記載の電気泳動媒体。
【請求項12】
前記第1の色が白色であり、前記第2の色がシアンであり、前記第3の色がマゼンタであり、前記第4の色が黄色である、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項13】
観察表面における第1の光透過性の第1の電極層と、
画素電極に結合された薄膜トランジスタのアレイを含む第2の電極層と、
請求項1に記載の電気泳動媒体を含む電気光学材料層であって、前記第1の光透過性電極層と前記第2の電極層との間に配置される電気光学材料層と
を備える、カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項14】
第1の光透過性電極層と、
複数のマイクロセルを備えるマイクロセル層であって、前記複数のマイクロセルの各マイクロセルは、開口部を有し、前記複数のマイクロセルの各マイクロセルは、電気泳動媒体を含む、マイクロセル層と、
シール膜が各マイクロセルの前記開口部にわたるシール層と、
第2の電極層と
を備えるカラー電気泳動ディスプレイであって、
前記電気泳動媒体は、
非極性流体と、
第1の種類の顔料を含む第1の種類の粒子であって、前記第1の種類の顔料は無機であり、第1の色を有し、前記第1の種類の粒子は第1の電荷極性を有する、第1の種類の粒子と、
第2の種類の顔料を含む第2の種類の粒子であって、前記第2の種類の顔料は第2の色を有し、前記第2の色は前記第1の色とは異なり、前記第2の種類の粒子は第2の電荷極性を有し、前記第2の電荷極性は前記第1の電荷極性とは反対である、第2の種類の粒子と、
第3の色を有する第3の種類の顔料を含む第3の種類の粒子であって、前記第3の色は前記第1および第2の色とは異なり、前記第3の種類の粒子は前記第2の電荷極性を有する、第3の種類の粒子と、
第4の色を有する第4の種類の顔料を含む第4の種類の粒子であって、前記第4の色は前記第1、第2および第3の色とは異なり、前記第4の種類の粒子は前記第1の電荷極性または前記第2の電荷極性を有する、第4の種類の粒子と、
分子構造を有する第1の電荷制御剤であって、前記第1の電荷制御剤の前記分子構造は、四級アンモニウム基および非極性尾部を含む、第1の電荷制御剤と
を含み、
前記カラー電気泳動ディスプレイは、水溶性エーテルを含み、前記水溶性エーテルは、75~5,000ダルトンの分子量を有し、前記水溶性エーテルは、前記カラー電気泳動ディスプレイの前記シール層にまたは前記電気泳動層に存在する、カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項15】
前記電気泳動媒体が、分子構造を有する第2の電荷制御剤をさらに含み、前記第2の電荷制御剤の前記分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含み、前記2つまたはそれより多くの極性基は、アミノ基、スルホネート基、スルフェート基、スルフィネート基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィネート基、ホスフェート基、ヒドロキシル基、チオール基、アルファジケトン基、ベータジケトン基、エチレンオキシド基、およびプロピレンオキシド基からなる群から選択され、前記非極性尾部はポリマー基を含み、前記ポリマー基は、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含むモノマーにより形成される、請求項14に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項16】
前記第2の種類の粒子が、第2のゼータ電位を有し、前記第3の種類の粒子が、第3のゼータ電位を有し、前記第4の種類の粒子が、第4のゼータ電位を有し、前記第2、第3および第4のゼータ電位は正であり、前記第2のゼータ電位は、前記第3第4のゼータ電位より大きく、前記第4のゼータ電位は、前記第3のゼータ電位より小さい、請求項14に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項17】
前記第4の種類の粒子が、顔料粒子およびポリマーを含み、前記ポリマーは、前記粒子の重量の35重量パーセント未満の含有量を有する、請求項14に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項18】
前記第1の色が白色であり、前記第2の色がシアンであり、前記第3の色がマゼンタであり、前記第4の色が黄色である、請求項14に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項19】
前記第2および前記第4の種類の粒子が、メチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとにより形成されたポリマーを含む、請求項14に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項20】
前記第3の種類の粒子が、(a)メチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとによる、または(b)ビニルベンジルクロリドとアクリレートもしくはメタクリレートモノマーとによる、顔料粒子の処理により形成される、請求項14に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月4日に出願された米国仮特許出願第63/296,179号に対する優先権を主張し、この仮特許出願は、本明細書に開示される他の全ての特許および特許出願と共に、参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
電気泳動ディスプレイは、光透過性観察表面に対する荷電着色粒子の位置を修正することにより色を変化させる。そのような電気泳動ディスプレイは、得られるディスプレイが紙上のインクと良く類似して高いコントラストを有し、太陽光下で可読であるため、典型的には「電子ペーパー」または「ePaper」と呼ばれる。電気泳動ディスプレイは、本のような読書体験を提供し、使用電力もわずかであり、またユーザーが軽量の可搬デバイスに数百もの書籍のライブラリを持つことができるため、電気泳動ディスプレイは、AMAZON KINDLE(登録商標)等のeReaderにおいて幅広く導入されている。
【0003】
長年、電気泳動ディスプレイは、2種類の荷電着色粒子、すなわち黒色および白色のみを含んでいた。本明細書において使用される場合、「色」という用語は、黒色および白色を含む。白色粒子は多くの場合、光散乱型であり、例えば二酸化チタンを含み、一方黒色粒子は、可視領域にわたり吸光性であり、カーボンブラック、または吸光性金属酸化物、例えば銅クロマイトを含み得る。最も単純な意味では、白黒電気泳動ディスプレイは、観察表面における光透過性電極層、第2の電極層(裏面電極または下部電極とも呼ばれる)、ならびに反対の電荷を有する白色および黒色粒子を含む電気泳動媒体のみを必要とする。電気泳動媒体にわたって一方の極性の電圧が印加されると、白色粒子が観察表面に移動し、反対の極性の電圧が提供されると、黒色粒子が観察表面に移動する。第2の電極層(裏面電極)が、分割電極、またはトランジスタにより制御される画素電極の活性マトリックスのいずれかである制御可能域(画素)を含む場合、観察表面に電子的にパターンを出現させることができる。パターンは、例えば本に対する文章であってもよい。
【0004】
より最近では、3色ディスプレイ(黒、白、赤、および黒、白、黄)ならびに4色ディスプレイ(黒、白、赤、黄)を含む様々な色のオプションが電気泳動ディスプレイにおいて商業的に利用可能となっている。白黒電気泳動ディスプレイの動作に類似して、3つまたは4つの反射粒子を用いた電気泳動ディスプレイは、所望の色粒子が観察表面に駆動されるため、単純な白黒ディスプレイと同様に動作する。白黒のみと比較して駆動スキームははるかに複雑であるが、結局粒子の光学機能は同じである。
【0005】
高機能カラー電子ペーパー(ACeP(商標))もまた4つの粒子を含んでいたが、シアン、黄色およびマゼンタ粒子は反射性ではなく減法混色的であり、それにより画素毎に数千もの色を生成することができる。色生成プロセスは、オフセット印刷およびインクジェットプリンタにおいて長年使用されてきた印刷方法と機能的に等しい。所与の色は、明るい白色紙背景においてシアン、黄色およびマゼンタの適性比率を使用することによって生成される。ACePの例では、観察表面に対するシアン、黄色、マゼンタおよび白色粒子の相対位置が、画素毎の色を決定付ける。この種類の電気泳動ディスプレイは画素毎に数千もの色を可能にするが、約10~20マイクロメートルの厚さの作業空間内での(50~500ナノメートルサイズ)顔料のそれぞれの位置を慎重に制御することが重要である。言うまでもなく、粒子の位置のばらつきにより、所与の画素において不正確な色が表示されることになる。したがって、そのようなシステムでは、精巧な電圧制御が必要となる。このシステムのさらなる詳細は、全て参照によりその全体が組み込まれる以下の米国特許において入手可能である:米国特許第9,361,836号、米国特許第9,921,451号、米国特許第10,276,109号、米国特許第10,353,266号、米国特許第10,467,984号、および米国特許第10,593,272号。
【0006】
灰色状態という用語は、本明細書において、画像化技術におけるその従来の意味で使用され、画素の2つの極端な光学状態の中間状態を指し、必ずしもこれらの2つの極端な状態の間の黒-白遷移を暗示するものではない。例えば、以下で言及されるE Inkの特許および出願公開のいくつかは、極端な状態が白色および藍色であり、したがって中間的な灰色状態が実際には淡青色である電気泳動ディスプレイを記載している。確かに、すでに言及したように、光学状態の変化は、全く色変化ではない場合がある。以降では、黒色および白色という用語は、ディスプレイの2つの極端な光学状態を指すように使用され得、通常は、厳密には黒色および白色ではない極端な光学状態、例えば上述の白色および暗青色状態を含むものとして理解されるべきである。
【0007】
「双安定」および「双安定性」という用語は、本明細書において、当技術分野におけるその従来の意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ素子を備えるディスプレイを指し、したがって、任意の所与の素子が有限期間のアドレスパルスを用いて駆動された後、その第1または第2のディスプレイ状態のいずれかを呈する。アドレスパルスが停止された後、その状態は、ディスプレイ素子の状態を変化させるのに必要なアドレスパルスの最低期間の少なくとも数倍、例えば少なくとも4倍だけ持続する。米国特許第7,170,670号では、グレースケールが可能ないくつかの粒子ベース電気泳動ディスプレイが、その極端な黒色および白色状態だけでなく、中間的な灰色状態においても安定であり、いくつかの他の種類の電気光学ディスプレイについても同様であることが示されている。この種類のディスプレイは、正しくは双安定ではなく多安定と呼ばれるが、便宜上、双安定という用語は、本明細書において双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するように使用され得る。
【0008】
インパルスという用語は、本明細書において、電気泳動ディスプレイの駆動を指すように使用される場合、ディスプレイが駆動される期間の時間に関する印加電圧の積分を指す。
【0009】
広帯域において、または選択された波長でのいずれかで、光を吸収、散乱または反射する粒子は、本明細書において着色または顔料粒子と呼ばれる。光を吸収または反射する、顔料(不溶性着色材料を意味するその用語の厳密な意味で)以外の様々な材料、例えば染料またはフォトニック結晶等もまた、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用され得る。
【0010】
粒子ベース電気泳動ディスプレイは、何年もの間、集中的な研究開発の対象である。そのようなディスプレイにおいて、顔料粒子とも呼ばれることがある複数の荷電粒子は、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良好な輝度およびコントラスト、広い視野角、状態双安定性、ならびに低い消費電力の属性を有し得る。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画像品質の問題が、その広範な使用を妨げていた。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は沈降する傾向があり、したがってこれらのディスプレイの耐用期間は不十分である。
【0011】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。先行技術の電気泳動媒体のほとんどにおいて、この流体は液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成されてもよく、例えば、Kitamura, T., et al., Electrical toner movement for electronic paper-like display, IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1、およびYamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectrically, IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4)を参照されたい。また、米国特許第7,321,459号および米国特許第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、粒子沈降に起因して、媒体がそのような沈降を許容する方向で、例えば媒体が垂直平面内に配置される符号で使用された場合、液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと思われる。確かに、液体懸濁流体と比較したガス状懸濁流体のより低い粘度により、電気泳動粒子がより急速に沈降し得るため、粒子沈降は、液体ベース電気泳動媒体よりもガスベース電気泳動媒体において深刻な問題となると思われる。
【0012】
マサチューセッツ工科大学(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義での数多くの特許および特許出願は、カプセル化電気泳動媒体および他の電気光学媒体において使用された様々な技術を記載している。そのようなカプセル化媒体は、数多くの微小カプセルを含み、その各カプセルはそれ自体、流体中に電気泳動移動性粒子を含む内部相、および内部相を包囲するカプセル壁を備える。典型的には、カプセルはそれ自体、ポリマー結合剤中に保持され、2つの電極層の間に位置付けられたコヒーレント層を形成する。これらの特許および特許出願に記載される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体および流体添加剤、例えば米国特許第7,002,728号、米国特許第7,679,814号、米国特許第10,214,647号、および米国特許第11,098,206号、ならびに米国特許出願公開第2020/0355978号を参照されたい;
(b)カプセル、結合剤およびカプセル化プロセス、例えば米国特許第6,922,276号および米国特許第7,411,719号を参照されたい;
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法、例えば、米国特許第7,072,095号および米国特許第9,279,906号を参照されたい;
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法、例えば、米国特許第7,144,942号および米国特許第7,715,088号を参照されたい;
(e)電気光学材料を含有する膜およびサブアセンブリ、例えば、米国特許第6,982,178号および米国特許第7,839,564号を参照されたい;
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着剤層および他の補助層ならびに方法、例えば、米国特許第7,116,318号および米国特許第7,535,624号を参照されたい;
(g)色形成色調節、例えば、米国特許第6,017,584号、米国特許第6,545,797号、米国特許第6,664,944号、米国特許第6,788,452号、米国特許第6,864,875号、米国特許第6,914,714号、米国特許第6,972,893号、米国特許第7,038,656号、米国特許第7,038,670号、米国特許第7,046,228号、米国特許第7,052,571号、米国特許第7,075,502***号、米国特許第7,167,155号、米国特許第7,385,751号、米国特許第7,492,505号、米国特許第7,667,684号、米国特許第7,684,108号、米国特許第7,791,789号、米国特許第7,800,813号、米国特許第7,821,702号、米国特許第7,839,564***号、米国特許第7,910,175号、米国特許第7,952,790号、米国特許第7,956,841号、米国特許第7,982,941号、米国特許第8,040,594号、米国特許第8,054,526号、米国特許第8,098,418号、米国特許第8,159,636号、米国特許第8,213,076号、米国特許第8,363,299号、米国特許第8,422,116号、米国特許第8,441,714号、米国特許第8,441,716号、米国特許第8,466,852号、米国特許第8,503,063号、米国特許第8,576,470号、米国特許第8,576,475号、米国特許第8,593,721号、米国特許第8,605,354号、米国特許第8,649,084号、米国特許第8,670,174号、米国特許第8,704,756号、米国特許第8,717,664号、米国特許第8,786,935号、米国特許第8,797,634号、米国特許第8,810,899号、米国特許第8,830,559号、米国特許第8,873,129号、米国特許第8,902,153号、米国特許第8,902,491号、米国特許第8,917,439号、米国特許第8,964,282号、米国特許第9,013,783号、米国特許第9,116,412号、米国特許第9,146,439号、米国特許第9,164,207号、米国特許第9,170,467号、米国特許第9,170,468号、米国特許第9,182,646号、米国特許第9,195,111号、米国特許第9,199,441号、米国特許第9,268,191号、米国特許第9,285,649号、米国特許第9,293,511号、米国特許第9,341,916号、米国特許第9,360,733号、米国特許第9,361,836号、米国特許第9,383,623号、および米国特許第9,423,666号、ならびに米国特許出願公開第2008/0043318号、米国特許出願公開第2008/0048970号、米国特許出願公開第2009/0225398号、米国特許出願公開第2010/0156780号、米国特許出願公開第2011/0043543号、米国特許出願公開第2012/0326957号、米国特許出願公開第2013/0242378号、米国特許出願公開第2013/0278995号、米国特許出願公開第2014/0055840号、米国特許出願公開第2014/0078576号、米国特許出願公開第2014/0340430号、米国特許出願公開第2014/0340736号、米国特許出願公開第2014/0362213号、米国特許出願公開第2015/0103394号、米国特許出願公開第2015/0118390号、米国特許出願公開第2015/0124345号、米国特許出願公開第2015/0198858号、米国特許出願公開第2015/0234250号、米国特許出願公開第2015/0268531号、米国特許出願公開第2015/0301246号、米国特許出願公開第2016/0011484号、米国特許出願公開第2016/0026062号、米国特許出願公開第2016/0048054号、米国特許出願公開第2016/0116816号、米国特許出願公開第2016/0116818号、および米国特許出願公開第2016/0140909号;
(h)ディスプレイを駆動するための方法、例えば、米国特許第5,930,026号、米国特許第6,445,489号、米国特許第6,504,524号、米国特許第6,512,354号、米国特許第6,531,997号、米国特許第6,753,999号、米国特許第6,825,970号、米国特許第6,900,851号、米国特許第6,995,550号、米国特許第7,012,600号、米国特許第7,023,420号、米国特許第7,034,783号、米国特許第7,061,166号、米国特許第7,061,662号、米国特許第7,116,466号、米国特許第7,119,772号、米国特許第7,177,066号、米国特許第7,193,625号、米国特許第7,202,847号、米国特許第7,242,514号、米国特許第7,259,744号、米国特許第7,304,787号、米国特許第7,312,794号、米国特許第7,327,511号、米国特許第7,408,699号、米国特許第7,453,445号、米国特許第7,492,339号、米国特許第7,528,822号、米国特許第7,545,358号、米国特許第7,583,251号、米国特許第7,602,374号、米国特許第7,612,760号、米国特許第7,679,599号、米国特許第7,679,813号、米国特許第7,683,606号、米国特許第7,688,297号、米国特許第7,729,039号、米国特許第7,733,311号、米国特許第7,733,335号、米国特許第7,787,169号、米国特許第7,859,742号、米国特許第7,952,557号、米国特許第7,956,841号、米国特許第7,982,479号、米国特許第7,999,787号、米国特許第8,077,141号、米国特許第8,125,501号、米国特許第8,139,050号、米国特許第8,174,490号、米国特許第8,243,013号、米国特許第8,274,472号、米国特許第8,289,250号、米国特許第8,300,006号、米国特許第8,305,341号、米国特許第8,314,784号、米国特許第8,373,649号、米国特許第8,384,658号、米国特許第8,456,414号、米国特許第8,462,102号、米国特許第8,514,168号、米国特許第8,537,105号、米国特許第8,558,783号、米国特許第8,558,785号、米国特許第8,558,786号、米国特許第8,558,855号、米国特許第8,576,164号、米国特許第8,576,259号、米国特許第8,593,396号、米国特許第8,605,032号、米国特許第8,643,595号、米国特許第8,665,206号、米国特許第8,681,191号、米国特許第8,730,153号、米国特許第8,810,525号、米国特許第8,928,562号、米国特許第8,928,641号、米国特許第8,976,444号、米国特許第9,013,394号、米国特許第9,019,197号、米国特許第9,019,198号、米国特許第9,019,318号、米国特許第9,082,352号、米国特許第9,171,508号、米国特許第9,218,773号、米国特許第9,224,338号、米国特許第9,224,342号、米国特許第9,224,344号、米国特許第9,230,492号、米国特許第9,251,736号、米国特許第9,262,973号、米国特許第9,269,311号、米国特許第9,299,294号、米国特許第9,373,289号、米国特許第9,390,066号、米国特許第9,390,661号、および米国特許第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、米国特許出願公開第2004/0246562号、米国特許出願公開第2005/0253777号、米国特許出願公開第2007/0091418号、米国特許出願公開第2007/0103427号、米国特許出願公開第2007/0176912号、米国特許出願公開第2008/0024429号、米国特許出願公開第2008/0024482号、米国特許出願公開第2008/0136774号、米国特許出願公開第2008/0291129号、米国特許出願公開第2008/0303780号、米国特許出願公開第2009/0174651号、米国特許出願公開第2009/0195568号、米国特許出願公開第2009/0322721号、米国特許出願公開第2010/0194733号、米国特許出願公開第2010/0194789号、米国特許出願公開第2010/0220121号、米国特許出願公開第2010/0265561号、米国特許出願公開第2010/0283804号、米国特許出願公開第2011/0063314号、米国特許出願公開第2011/0175875号、米国特許出願公開第2011/0193840号、米国特許出願公開第2011/0193841号、米国特許出願公開第2011/0199671号、米国特許出願公開第2011/0221740号、米国特許出願公開第2012/0001957号、米国特許出願公開第2012/0098740号、米国特許出願公開第2013/0063333号、米国特許出願公開第2013/0194250号、米国特許出願公開第2013/0249782号、米国特許出願公開第2013/0321278号、米国特許出願公開第2014/0009817号、米国特許出願公開第2014/0085355号、米国特許出願公開第2014/0204012号、米国特許出願公開第2014/0218277号、米国特許出願公開第2014/0240210号、米国特許出願公開第2014/0240373号、米国特許出願公開第2014/0253425号、米国特許出願公開第2014/0292830号、米国特許出願公開第2014/0293398号、米国特許出願公開第2014/0333685号、米国特許出願公開第2014/0340734号、米国特許出願公開第2015/0070744号、米国特許出願公開第2015/0097877号、米国特許出願公開第2015/0109283号、米国特許出願公開第2015/0213749号、米国特許出願公開第2015/0213765号、米国特許出願公開第2015/0221257号、米国特許出願公開第2015/0262255号、米国特許出願公開第2015/0262551号、米国特許出願公開第2016/0071465号、米国特許出願公開第2016/0078820号、米国特許出願公開第2016/0093253号、米国特許出願公開第2016/0140910、および米国特許出願公開第2016/0180777号(これらの特許および特許出願は、以降、MEDEOD(電気光学ディスプレイを駆動するための方法(MEthods for Driving Electro-optic Displays))出願と呼ばれ得る);
(i)ディスプレイのアプリケーション、例えば米国特許第7,312,784号および米国特許第8,009,348号を参照されたい;ならびに
(j)米国特許第6,241,921号、ならびに米国特許出願公開第2015/0277160号および米国特許出願公開第2015/0005720号および米国特許出願公開第2016/0012710号に記載のような、非電気泳動ディスプレイ。
【0013】
上述の特許および特許出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体中の個別のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相により置き換えられ得、したがっていわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイを生成し得ること、ここで電気泳動媒体は、流体の複数の個別の液滴およびポリマー材料の連続相を含み、ならびにそのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動媒体の個別の液滴は、個別のカプセル膜が個々の液滴のそれぞれに関連していなくても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なすことができることを認識している。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。したがって、本出願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0014】
関連した種類の電気泳動ディスプレイは、いわゆるマイクロセル電気泳動ディスプレイである。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されていないが、その代わりにキャリア媒体、典型的にはポリマー膜内に形成された複数の空隙内に保持される。例えば、米国特許第6,672,921号および米国特許第6,788,449号を参照されたい。
【0015】
電気泳動媒体は多くの場合不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体において、粒子はディスプレイを通した可視光の透過を実質的にブロックするため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは光透過性である、いわゆるシャッタモードで動作するようにされ得る。例えば、米国特許第5,872,552号、米国特許第6,130,774号、米国特許第6,144,361号、米国特許第6,172,798号、米国特許第6,271,823号、米国特許第6,225,971号、および米国特許第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと同様であるが電場強度の変動に依存する誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の複数層構造において使用され得、そのような構造では、ディスプレイの観察表面に隣接する少なくとも1つの層はシャッタモードで動作し、観察表面からより離れた第2の層を曝露または隠蔽する。
【0016】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来の電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降不良モードの影響を受けず、多種多様な可撓性および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコートする能力等のさらなる利点を提供する。「印刷」という用語の使用は、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図し、限定されないが、事前計量コーティング、例えばパッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティング、例えばナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、刷毛塗り、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号を参照されたい)、ならびに他の同様の技法を含む。したがって、得られるディスプレイは可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は印刷され得るため(様々な方法を使用して)、ディスプレイ自体は安価に製造され得る。
【0017】
上記のように、単純な先行技術の電気泳動媒体のほとんどは、本質的に2つの色のみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第1の色を有する単一種類の電気泳動粒子を第2の異なる色を有する着色流体中で使用するか、または、異なる第1および第2の色を有する第1および第2の種類の電気泳動粒子を非着色流体中で使用するかのいずれかである。第1の場合では、粒子がディスプレイの観察表面に隣接する場合、第1の色が表示され、粒子が観察表面から離間している場合、第2の色が表示される。第2の場合では、第1の種類の粒子がディスプレイの観察表面に隣接する場合、第1の色が表示され、第2の種類の粒子が観察表面に隣接する場合、第2の色が表示される。典型的には、2つの色は黒色および白色である。フルカラーディスプレイが望ましい場合、モノクロ(黒色および白色)ディスプレイの観察表面上にカラーフィルタアレイが配置されてもよい。カラーフィルタアレイを有するディスプレイは、色刺激を作るために領域共有およびカラーブレンドに依存する。利用可能なディスプレイ領域は、3つまたは4つの原色、例えば赤/緑/青(RGB)または赤/緑/青/白(RGBW)の間で共有され、フィルタは、1次元(縞)または2次元(2×2)の繰り返しパターンで配置され得る。他の原色の選択、または3つより多くの原色もまた、当技術分野において公知である。RGBディスプレイの場合、3つの部分画素、またはRGBWディスプレイの場合、4つの部分画素が、意図される観察距離でそれらが均一の色刺激を有する単一画素へと互いに視覚的にブレンドするように(「色ブレンド」)十分小さく選択される。領域共有の固有の欠点は、着色剤が常に存在し、色はその下のモノクロディスプレイの対応する画素を白色または黒色に切り替え、対応する原色をオンまたはオフに切り替えることによってのみ調整され得ることである。例えば、理想的なRGBWディスプレイにおいて、赤、緑、青、および白の原色のそれぞれがディスプレイ領域の4分の1(4つの部分画素のうちの1つ)を占有し、白の部分画素は、その下のモノクロディスプレイの白と同程度の輝度を有し、着色部分画素のそれぞれはモノクロディスプレイの白の3分の1ほど明るくない。全体としてのディスプレイにより示される白色の輝度は、白色部分画素の輝度の半分より高くなり得ない(ディスプレイの白色領域は、各4つの部分画素のうちの1つの白色部分画素を表示することにより生成され、またその着色形態における各着色部分画素は、白色部分画素の3分の1に等しいため、3つの着色部分画素は組み合わさっても1つの白色部分画素に寄与するにすぎない)。色の輝度および飽和度は、黒色に切り替えられた色画素との領域共有により低下する。黄色は等しい輝度の任意の他の色より明るく、飽和した黄色は白色とほぼ同程度の輝度を有するため、領域共有は、黄色を混合する場合に特に問題となる。青色画素(ディスプレイ領域の4分の1)を黒色に切り替えると、黄色は過度に暗くなる。
【0018】
米国特許第8,576,476号および米国特許第8,797,634号は、独立してアドレス可能な画素電極を備える単一バックプレーンと、共通の光透過性の第1の電極層(前面電極または上部電極とも呼ばれる)とを有するマルチカラー電気泳動ディスプレイを記載している。バックプレーンと第1の光透過性電極層との間には、複数の電気泳動層が配置されている。これらの出願に記載されているディスプレイは、任意の画素位置に原色(赤色、緑色、青色、シアン、マゼンタ、黄色、白色および黒色)のいずれをもレンダリングすることができる。しかしながら、単一セットのアドレス電極間に位置された複数の電気泳動層の使用には欠点がある。特定の層において粒子が受ける電場は、同じ電圧でアドレスされる単一電気泳動層の場合よりも低い。さらに、観察表面に最も近い電気泳動層における光学損失(例えば、光散乱または望ましくない吸光により引き起こされる)は、その下の電気泳動層において形成された像の外観に影響し得る。
【0019】
電気泳動ディスプレイシステムの他の種類は、任意の画素位置で色をレンダリングすることができる単一電気泳動媒体を提供する。具体的には、米国特許第9,697,778号は、染色された溶媒が、低い印加電圧でアドレスされた場合第1の方向に、またより高い電圧でアドレスされた場合反対方向に移動する白色(光散乱)粒子と組み合わされたディスプレイを記載している。白色粒子および染色された溶媒が、白色粒子と反対電荷の2つの追加的な粒子と組み合わされた場合、フルカラーディスプレイをレンダリングすることが可能である。しかしながら、’778特許の色状態は、テキストリーダ等のアプリケーションには許容されない。特に、観察表面から白色散乱粒子を分離する染色された流体の一部が常に存在し、これがディスプレイの白色状態において色合いをもたらす。
【0020】
米国特許第10,475,399号には、任意の画素位置に様々な色をレンダリングすることができる電気泳動媒体が記載されている。この場合、電気泳動媒体は、第1の電荷極性を有する白色顔料粒子と、第1の電荷極性と反対の第2の電荷極性を有する2種類の着色顔料粒子と、流体に可溶で電気泳動媒体に色を提供する染料とを含む。
【0021】
任意の画素位置で任意の色をレンダリングすることができるさらに別の形態の電気泳動媒体は、米国特許第9,921,451号および米国特許第10,678,111号に記載されている。便宜上「I型」電気泳動媒体と呼ぶことができるこれらの特許で開示されている電気泳動媒体は、4種類の粒子、すなわち白色、シアン、マゼンタおよび黄色を含み、粒子の種類の2つは正電荷を有し、2種類の粒子は負電荷を有する。しかしながら、対応するディスプレイは、白色状態との色混合の影響を受ける。1種類の粒子は白色粒子と同じ電荷を有するため、ある程度の量の同じ電荷の粒子は、白色状態が望ましい場合、白色粒子と共に観察表面に向かって移動する。すなわち、白色顔料粒子と同じ電荷極性を有する1種類の着色顔料粒子から白色顔料を分離することが困難である。複雑な波形を有するこの望ましくない色合いを克服することは可能であるが、そのような波形は、ディスプレイの更新時間を大幅に増加させ、いくつかの例では、像の間の許容できない「点滅」をもたらす。例えば、白色光学状態と黒色光学状態との間の切替えは、I型電気泳動媒体では遅くなり得る。一方、I型電気泳動媒体により達成され得る色域は広いことが観察された。
任意の画素位置で任意の色をレンダリングすることができる別の形態の電気泳動媒体は、米国特許出願公開第2022/0082896号(シリアル番号17/474,582)に記載されている。便宜上「II型」電気泳動媒体と呼ぶことができる電気泳動媒体のこの形態における電気泳動媒体は、4種類の粒子、すなわち白色、シアン、マゼンタおよび黄色を含む。白色粒子は負電荷を有し、シアン、マゼンタおよび黄色粒子は正電荷を有する。同等に、白色粒子は正電荷を有し得、シアン、マゼンタおよび黄色粒子は負電荷を有し得る。II型媒体中に白色顔料と反対の極性を有する3つの着色顔料を有することにより、汚染されていない白色状態が可能となる。さらに、II型電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイは、異なる光学状態の間の切替え、例えば白色光学状態と黒色光学状態との間の切替えが遅い問題を解決することが観察された。一方、本発明の発明者らは、同じ電荷極性の3種類の着色粒子を分離して、様々な色をレンダリングするのに必要な組合せにすることが困難であることを見出した。したがって、II型電気泳動媒体により達成される色域は、I型電気泳動媒体の色域よりも狭いことが観察された。
上記は、良好な色域、および対応する電気泳動ディスプレイの異なる光学状態間の迅速な切替えを達成し得る電気泳動媒体を開発することが必要であることを示している。驚くべきことに、本発明の発明者らは、4種類の粒子を含み(I型またはII型)、ならびに第1の電荷制御剤および第2の電荷制御剤の組合せをさらに含む電気泳動媒体が、広い色域および迅速な切替えの両方を有する対応するディスプレイの構築を可能にすることを見出した。第1の電荷制御剤の分子構造は、四級アンモニウム基および非極性尾部を含む。第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第9,361,836号明細書
【特許文献2】米国特許第9,921,451号明細書
【特許文献3】米国特許第10,276,109号明細書
【特許文献4】米国特許第10,353,266号明細書
【特許文献5】米国特許第10,467,984号明細書
【特許文献6】米国特許第10,593,272号明細書
【特許文献7】米国特許第7,170,670号明細書
【特許文献8】米国特許第7,321,459号明細書
【特許文献9】米国特許第7,236,291号明細書
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Kitamura, T., et al., Electrical toner movement for electronic paper-like display, IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1
【非特許文献2】Yamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectrically, IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
概要
一態様では、本発明は、カラー電気泳動ディスプレイ用の改善された電気泳動媒体を開示する。電気泳動媒体は、非極性流体と、第1の種類の粒子、第2の種類の粒子、第3の種類の粒子、および第4の種類の粒子の4種類の粒子と、第1の電荷制御剤と、第2の種類の電荷制御剤とを含む。第1の種類の粒子は第1の種類の顔料を含み、第1の種類の顔料は無機であり、第1の色を有し、第1の種類の粒子は第1の電荷極性を有する。第2の種類の粒子は第2の種類の顔料を含み、第2の種類の顔料は第2の色を有し、第2の色は第1および第2の色とは異なり、第2の種類の粒子は第2の電荷極性を有し、第2の電荷極性は第1の電荷極性とは反対である。第3の種類の粒子は第3の色を有する第3の種類の顔料を含み、第3の色は第1および第2の色とは異なり、第3の種類の粒子は第2の電荷極性を有する。第4の種類の粒子は第4の色を有する第4の種類の顔料を含み、第4の色は第1、第2および第3の色とは異なり、第4の種類の粒子は第1の電荷極性または第2の電荷極性を有する。第2、第3および第4の種類の顔料は、吸光性有機顔料であってもよい。第4の種類の粒子は、顔料粒子およびポリマーを含んでもよく、ポリマーは、粒子の重量の35重量パーセント未満の含有量を有する。第1の色は白色であってもよく、第2の色はシアンであってもよく、第3の色はマゼンタであってもよく、第4の色は黄色であってもよい。黄色、マゼンタおよびシアン顔料は、各粒子が1.55未満の屈折率を有する非極性流体中に15体積%(流体の体積に対する粒子体積)でほぼ等方的に分布している場合、650、550および450nmでそれぞれ拡散反射を示し得る。
【0025】
本発明の電気泳動媒体は、カラー電気泳動ディスプレイにおいて使用され得る。カラー電気泳動ディスプレイは、観察表面における第1の光透過性電極層、第2の電極層、および電気光学材料層を備えてもよい。第2の電極層は、画素電極に結合された薄膜トランジスタのアレイを含む。本発明の電気泳動媒体を含む電気光学材料層は、第1の光透過性電極層と第2の電極層との間に配置される。
【0026】
第1の電荷制御剤は、分子構造を有する。第1の電荷制御剤の分子構造は、少なくとも1つの四級アンモニウム基および非極性尾部を含む。第2の電荷制御剤は、分子構造を有する。第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含む。2つまたはそれより多くの極性基は、アミノ基、スルホネート基、スルフェート基、スルフィネート基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィネート基、ホスフェート基、ヒドロキシル基、チオール基、アルファジケトン基、ベータジケトン基、エチレンオキシド基、およびプロピレンオキシド基からなる群から選択される。第2の電荷制御剤の極性基は、一級または二級アミノ基であってもよい。極性基はまた三級アミノ基であってもよいが、四級アンモニウムではない。アミノ基の窒素は、芳香族または非芳香族であるヘテロ環の一部であってもよい。第1の電荷制御剤(および第2の電荷制御剤)の分子構造は、少なくとも1つのアミド基を含んでもよい。アミド基は、非極性尾部の一部であってもよい。
【0027】
非極性尾部は、ポリマー基を含む。ポリマー基は、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含むモノマーにより形成される。
【0028】
第2の電荷制御剤の非極性尾部(第1の電荷制御剤の非極性尾部も)のポリマー基を形成するために使用されるモノマーの分子構造は、カルボン酸、カルボン酸無水物、またはカルボン酸ハロゲン化物を含んでもよい。カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物は、10~22個の炭素原子を含み得る。カルボン酸無水物は、20~44個の炭素原子を含み得る。第2の電荷制御剤のポリマー尾部を形成するモノマーの分子構造は、ヒドロキシル基またはアミン基をさらに含んでもよい。第2の電荷制御剤(および第1の電荷制御剤)のポリマー尾部を形成するために使用されるモノマーは、リシノール酸、リノール酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸の酸ハロゲン化物、リノール酸の酸ハロゲン化物、リノレン酸の酸ハロゲン化物、リシノール酸無水物、リノール酸無水物、オレイン酸無水物、およびリノレン酸無水物からなる群から選択され得る。
【0029】
第2の電荷制御剤の分子構造は、アルキルまたはアルケニル分岐および2つの末端極性官能基を有する櫛形ポリマーを含んでもよい。
【0030】
第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性官能基を含んでもよく、それらはいずれも四級アンモニウム基ではない。すなわち、第2の電荷制御剤の分子構造は、1つまたはそれより多くの四級アンモニウム官能基を含んでもよい。代替として、第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基を含んでもよく、それらの1つまたはそれより多くは四級アンモニウム官能基であってもよい。
【0031】
電気泳動媒体は、水溶性エーテルをさらに含んでもよい。水溶性エーテルは、75~5,000ダルトンの分子量を有する。水溶性エーテルは、式I、式IIまたは式IIIで表すことができ、式中、nは、1~145であり;R1は、水素、メチルまたはエチル基であり;R2、R3、R4、R5、R6およびR7は、独立して、水素、1個の炭素原子から6個の炭素原子を含む直鎖または分岐状アルキル基、フェニル、およびベンジル基からなる群から選択される。式I、IIおよびIIIのそれぞれは、少なくとも1つのエーテル官能基を含む。式Iについては、nはまた1~10であってもよい。
【化1】
【化2】
【0032】
第1、第2、第3および第4の種類の粒子は、ポリマーの層を有してもよい。ポリマーは、第1、第2、第3および第4の種類の顔料に複合体化、吸着、または共有結合していてもよい。第1の種類の粒子は、光散乱粒子であってもよい。第1の種類の粒子は、シランおよびモノマーまたはモノマーの組合せで処理される、二酸化チタン等の無機顔料粒子を含んでもよい。モノマーは、ラウリルメタクリレート等のアルキルメチルメタクリレート、またはラウリルアクリレート等のアルキルアクリレートであってもよい。モノマーの組合せは、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートを含んでもよい。第1の種類の粒子は、アルキルメチルメタクリレートおよび2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート等のモノマーで処理される、二酸化チタン等の無機顔料粒子を含んでもよい。第2の種類の粒子は、第2の種類の顔料粒子、例えばフタロシアニンブルー(ピグメントブルー15:3)、ならびにメチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとにより形成されたポリマー、例えばモノメチルメタクリレートポリ(ジメチルシロキサン)を含んでもよい。第3の種類の粒子は、第3の種類の顔料粒子、ならびにメチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとにより形成されたポリマー、例えばモノメチルメタクリレートポリ(ジメチルシロキサン)を含んでもよい。第4の種類の粒子は、第4の種類の顔料粒子、ならびにメチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとにより形成されたポリマー、例えばモノメチルメタクリレートポリ(ジメチルシロキサン)を含んでもよい。第3の種類の粒子は、ビニルベンジルクロリドおよびメチルメタクリレート等のモノマーで処理される、ピグメントレッド122等の第3の種類の顔料粒子を含んでもよい。第4の種類の粒子は、メチルメタクリレートとジメチルシロキサンを含むモノマーとで、例えばモノメチルメタクリレートポリ(ジメチルシロキサン)で処理される、ピグメントイエロー155等の第4の種類の粒子を含んでもよい。
【0033】
第2および第3の種類の粒子の極性は、正等の第2の極性を有してもよく、第1および第4の種類の粒子は、負等の第1の極性を有してもよい。第2、第3および第4の種類の粒子は、全て第1の極性とは反対の第2の極性を有してもよい。すなわち、第1の種類の粒子は、正の極性を有してもよく、第2、第3および第4の種類の粒子は、負の極性を有してもよい。
【0034】
代替として、第1の種類の粒子は、負の極性を有してもよく、第2、第3および第4の種類の粒子は、正の極性を有してもよい。第2の種類の粒子は、第2のゼータ電位を有し、第3の種類の粒子は、第3のゼータ電位を有し、第4の種類の粒子は、第4のゼータ電位を有する。第2、第3および第4のゼータ電位は、全て正であってもよい。第2のゼータ電位は、第3第4のゼータ電位より大きくてもよく、第4のゼータ電位は、第3のゼータ電位より小さくてもよい。
【0035】
別の態様では、本発明は、(a)第1の光透過性電極層と、(b)複数のマイクロセルを備えるマイクロセル層と、(c)シール層と、(d)第2の電極層とを備えるカラー電気泳動ディスプレイを提供する。複数のマイクロセルの各マイクロセルは、開口部を有する。シール層は、複数のマイクロセルの各マイクロセルの開口部にわたる。複数のマイクロセルの各マイクロセルは、電気泳動媒体を含む。電気泳動媒体は、非極性流体と、第1の種類の粒子、第2の種類の粒子、第3の種類の粒子、第4の種類の粒子の4種類の粒子と、第1の種類の電荷制御剤とを含む。第1の種類の粒子は第1の種類の顔料を含み、第1の種類の顔料は無機であり、第1の色を有し、第1の種類の粒子は第1の電荷極性を有する。第2の種類の粒子は第2の種類の顔料を含み、第2の種類の顔料は第2の色を有し、第2の色は第1および第2の色とは異なり、第2の種類の粒子は第2の電荷極性を有し、第2の電荷極性は第1の電荷極性とは反対である。第3の種類の粒子は第3の色を有する第3の種類の顔料を含み、第3の色は第1および第2の色とは異なり、第3の種類の粒子は第2の電荷極性を有する。第4の種類の粒子は第4の色を有する第4の種類の顔料を含み、第4の色は第1、第2および第3の色とは異なり、第4の種類の粒子は第1の電荷極性または第2の電荷極性を有する。第4の種類の粒子は、顔料粒子およびポリマーを含んでもよい。ポリマーは、粒子の重量の35重量パーセント未満の含有量を有してもよい。第1の色は白色であってもよく、第2の色はシアンであってもよく、第3の色はマゼンタであってもよく、第4の色は黄色であってもよい。
【0036】
第1の電荷制御剤は分子構造を有し、第1の電荷制御剤の分子構造は、四級アンモニウム基および非極性尾部を含む。
【0037】
カラー電気泳動ディスプレイはまた、水溶性エーテルを含む。水溶性エーテルは、75~5,000ダルトンの分子量を有する。水溶性エーテルは、カラー電気泳動ディスプレイのシール層にまたは電気泳動層に存在する。水溶性エーテルは、カラー電気泳動ディスプレイのシール層および電気泳動層に存在してもよい。水溶性エーテルは、式I、式IIまたは式IIIで表すことができ、式中、nは、1~145であり;R1は、水素、メチルまたはエチル基であり;R2、R3、R4、R5、R6およびR7は、独立して、水素、1個の炭素原子から6個の炭素原子を含む直鎖または分岐状アルキル基、フェニル、およびベンジル基からなる群から選択される。式I、IIおよびIIIのそれぞれは、少なくとも1つのエーテル官能基を含む。式Iについては、nはまた1~10であってもよい。水溶性エーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールn-モノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールn-モノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコールジイソプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノイソブチルエーテルからなる群から選択され得る。
【0038】
電気泳動媒体は、分子構造を有する第2の電荷制御剤をさらに含んでもよい。第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含んでもよい。2つまたはそれより多くの極性基は、アミノ基、スルホネート基、スルフェート基、スルフィネート基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィネート基、ホスフェート基、ヒドロキシル基、チオール基、アルファジケトン基、ベータジケトン基、エチレンオキシド基、およびプロピレンオキシド基からなる群から選択され得る。非極性尾部は、ポリマー基を含む。ポリマー基は、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含むモノマーにより形成されてもよい。第2の電荷制御剤の非極性尾部のポリマー基を形成するために使用されるモノマーの分子構造は、カルボン酸、カルボン酸無水物、またはカルボン酸ハロゲン化物を含んでもよい。カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物は、10~22個の炭素原子を含み得る。カルボン酸無水物は、20~44個の炭素原子を含み得る。第2の電荷制御剤のポリマー尾部を形成するモノマーの分子構造は、ヒドロキシル基またはアミン基をさらに含んでもよい。第2の電荷制御剤のポリマー尾部を形成するために使用されるモノマーは、リシノール酸、リノール酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸の酸ハロゲン化物、リノール酸の酸ハロゲン化物、リノレン酸の酸ハロゲン化物、リシノール酸無水物、リノール酸無水物、オレイン酸無水物、およびリノレン酸無水物からなる群から選択され得る。第2の電荷制御剤の分子構造は、アルキルまたはアルケニル分岐および2つの末端極性官能基を有する櫛形ポリマーを含んでもよい。
【0039】
第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性官能基を含んでもよく、それらはいずれも四級アンモニウム基ではない。すなわち、第2の電荷制御剤の分子構造は、1つまたはそれより多くの四級アンモニウム官能基を含んでもよい。代替として、第2の電荷制御剤の分子構造は、2つまたはそれより多くの極性基を含んでもよく、それらの1つまたはそれより多くは四級アンモニウム官能基であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、黒色、白色、3つの減法混色的な原色、および3つの加法混色的な原色を表示する場合の、本発明の電気泳動媒体中の様々な種類の粒子の位置を示す概略断面図である。
【0041】
図2図2は、非極性流体中に4種類の粒子を有するI型電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイの概略的な説明図である。
【0042】
図3A図3Aは、非極性流体中に4種類の粒子を有するII型電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイの概略的な説明図である。
【0043】
図3B図3Bは、第1の電荷極性の粒子の全てが観察表面にある第1の光学状態と、第2の(反対の)極性を有する粒子が観察表面にある第2の光学状態との間の遷移を示す。
【0044】
図3C図3Cは、第1の電荷極性の粒子の全てが観察表面にある第1の光学状態と、観察表面に位置する第1の極性の中間荷電粒子の後ろに第2の(反対の)極性を有する粒子を有する第3の光学状態との間の遷移を示す。
【0045】
図3D図3Dは、第1の電荷極性の粒子の全てが観察表面にある第1の光学状態と、観察表面に位置する第1の極性の低荷電粒子の後ろに第2の(反対の)極性を有する粒子を有する第4の光学状態との間の遷移を示す。
【0046】
図3E図3Eは、第1の電荷極性の粒子の全てが観察表面にある第1の光学状態と、観察表面に位置する第1の極性の低荷電粒子および中間荷電粒子の組合せの後ろに第2の(反対の)極性を有する粒子を有する第5の光学状態との間の遷移を示す。
【0047】
図4図4は、3つの減法混色的な粒子および散乱(白色)粒子を含む電気泳動媒体をアドレスするための例示的なプッシュプル駆動スキームを示す。
【0048】
図5図5は、電気泳動ディスプレイの単一画素の例示的な等価回路を示す。
【0049】
図6図6は、例示的なマイクロセル電気泳動カラーディスプレイの層を示す。
【0050】
図7図7は、ポリマー表面処理を有する白色顔料を含む電気泳動媒体における、ゼータ電位対電荷制御剤の重量比率のグラフを示す。
【0051】
図8図8は、白色、黄色、シアン、およびマゼンタ粒子、ならびに3つの異なる比率の2つの電荷制御剤を有する電気泳動媒体を備える電気泳動ディスプレイの、白色光学状態の色対印加電圧のグラフを示す。
【0052】
図9図9は、異なる比率の2つの電荷制御剤を有する3つの電気泳動組成物において、黒色状態から白色状態に切り替わるのに必要な時間を決定するためのグラフを示す。
【0053】
図10図10は、本発明および対照の電気光学デバイスの色域の決定に使用される試験波形を示す。
【0054】
図11図11は、白色、黄色、シアン、およびマゼンタ粒子、ならびに3つの異なる比率の2つの電荷制御剤を有する電気泳動媒体を備える電気泳動ディスプレイの色域を決定するためのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
「ポリアミン」という用語は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれより多くのアミノ基を含む分子構造を有する有機化合物である。アミノ基は、一級、二級または三級アミノ基であってもよい。
【0056】
「カルボン酸誘導体」という用語は、カルボン酸ハロゲン化物またはカルボン酸無水物を含む分子構造を有する化合物である。
【0057】
「縮重合」という用語は、モノマーおよび/またはオリゴマーが互いに反応してより大きい構造を形成する一方で、副生成物としてより小さい分子、例えば水、塩酸、メタノール等を放出する重合の形態である。
【0058】
本明細書で使用される場合、「分子量」は、別段に指定されない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準のサイズ排除カラムクロマトグラフィーを使用して測定される。
【0059】
「アミン」、「アミノ基」および「アミノ官能基」という用語は、一級、二級および三級アミン、ならびに一級、二級および三級アミン官能基を含む。この用語は、「四級アミン」および「四級アミン官能基」を含まない。
【0060】
「四級アミン」または「四級アンモニウム」または「四級アンモニウム塩」または「四級アミン官能基」という用語は、窒素原子がいずれも水素ではない4つの置換基を有する官能基を含む。すなわち、四級アミンの窒素原子には水素原子が直接接続していない。「カチオン性電荷制御剤」という用語は、電荷制御剤が「四級アミン」を含むことを意味する。
【0061】
「顔料」および「顔料粒子」という用語は、本出願において同義的である。
【0062】
本発明は、第1の種類、第2の種類、第3の種類および第4の種類の粒子の4種類の粒子を非極性流体中に含む、改善された4粒子電気泳動媒体を含む。第1の種類の粒子は、第1の色を有する第1の種類の顔料を含み、第1の種類の顔料は無機である。第1の種類の粒子は、第1の電荷極性を有する。第2の種類の粒子は、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の種類の顔料を含む。第2の種類の粒子は、第2の電荷極性を有し、第2の電荷極性は、第1の電荷極性とは反対である。第3の種類の粒子は、第1および第2の色とは異なる第3の色を有する第3の種類の顔料を含む。第3の種類の粒子は、第2の電荷極性を有する。第4の種類の粒子は、第1、第2および第3の色とは異なる第4の色を有する第4の種類の顔料を含む。第4の種類の粒子は、第1または第2の電荷極性を有する。
【0063】
電荷制御剤
【0064】
電荷制御剤(CCA)は、電気泳動粒子の電荷を制御するために、電気泳動ディスプレイの電気泳動媒体において使用される。典型的には、CCAは、以降で頭部基と呼ばれるイオン性または他の極性基、および以降で尾部と呼ばれる非極性鎖(典型的には炭化水素鎖)を有する、界面活性剤様分子である。CCAは、荷電粒子と複合体化されてもよく、または粒子中に吸収されてもよい。すなわち、電気泳動粒子およびCCAは、電荷複合体として存在してもよく、またはファンデルワールス力により緩く会合していてもよい。CCAは電気泳動媒体中で逆ミセルを形成すること、および媒体における電気伝導をもたらすのは荷電逆ミセルの小集団であることが考えられる。逆ミセルは、CCA分子の非極性尾部基によって包囲された、1nm~数十ナノメートルの様々なサイズを有してよく、および球状、円筒状または他の幾何構造を有してもよい、極性コアを備える。電気泳動媒体において、典型的には3つの相、すなわち表面を有する固体粒子、極めて微小な液滴(逆ミセル)の形態で分布している極めて極性の相、および非極性流体を含む連続相が区別され得る。電気泳動粒子および荷電逆ミセルは共に、電場を印加すると流体を通って移動することができ、したがって、流体(典型的にはそれ自体無視できるほど微小な電気伝導性を有する)を通した電気伝導には2つの並行経路がある。
【0065】
逆ミセルの極性コアは、表面への吸着により表面上の電荷に影響すると考えられる。電気泳動ディスプレイにおいて、そのような吸着は電気泳動粒子の表面上またはマイクロカプセルの内壁(もしくは他の固相、例えばマイクロセルの壁)上で生じて逆ミセルに類似した構造を形成することができ、これらの構造は以降で半ミセルと呼ばれる。あるイオン対のイオンが他のイオンより強力に表面に結合した場合、半ミセルと未結合逆ミセルとの間のイオン交換が電荷分離をもたらし得、より強力に結合したイオンは粒子と会合したままとなり、より弱く結合したイオンは遊離した逆ミセルのコア内に組み込まれる。
【0066】
また、CCAの頭部基のイオン性物質が、粒子(または他の)表面でイオン対形成を誘引することも可能である。したがって、CCAは、表面での電荷生成および表面からの電荷分離という2つの基本的機能を実行し得る。電荷生成は、CCA分子内に存在するいくつかの部分(または逆ミセルコアもしくは流体に別様に組み込まれている)と粒子表面との間の酸-塩基またはイオン交換反応の結果であり得る。したがって、有用なCCA物質は、そのような相互作用、または当技術分野において公知である任意の他の荷電相互作用に関与し得るものである。
【0067】
電気泳動媒体中の粒子制御のメカニズムは、完全には理解されていない。制御されていないプロセスは、電気泳動媒体の望ましくないほど高い導電性をもたらし得る。さらに、電荷制御剤が粒子上に物理吸着しているだけである場合、条件の変化が粒子からの電荷制御剤の部分的または完全な脱着を引き起こす可能性があり、その結果、粒子の電気泳動特性に望ましくない変化が生じ得る。脱着した電荷制御剤は、電気泳動媒体中の他の表面上に再吸着し得、そのような再吸着は、追加的な問題を引き起こす可能性を有する。電荷制御剤の効果は、複数種類の電気泳動粒子を含む電気泳動媒体においては特に予測が困難であり、電荷制御剤は、異なる種類の粒子の表面上に吸着し得る。カプセル化された電気泳動媒体の場合、電荷制御剤がカプセル壁上に吸着することも可能である。
【0068】
電荷制御剤は、500グラム/モル超、または1,000グラム/モル超、または1,500グラム/モル超、または3,000超、または5,000超、または10,000超の平均分子量を有してもよい。例えば、電荷制御剤の平均分子量は、500グラム/モル~12,000グラム/モル、1,000~10,000、2,000~8,000グラム/モル、600グラム/モル~2,000グラム/モル、または2,000~11,000グラム/モルであってもよい。
【0069】
本発明の電気泳動媒体は、第1および第2の電荷制御剤の組合せを含む。第1および第2の電荷制御剤は、電気泳動媒体の非極性流体に可溶である。
【0070】
第1の電荷制御剤の分子構造は、四級アンモニウム基および非極性尾部を含む。
【0071】
第1の電荷制御剤の非極性尾部は、少なくとも10個の炭素原子を含むモノマーにより形成されたポリマー基を含んでもよい。第1の電荷制御剤の非極性尾部は、モノマーにより形成されたポリマー基を含んでもよく、モノマーの分子構造は、少なくとも10個の炭素原子を含む。
【0072】
第1の電荷制御剤の非極性尾部を形成するために使用されるモノマーの分子構造は、カルボン酸、カルボン酸無水物、またはカルボン酸ハロゲン化物を含んでもよく、カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物は、10~22個の炭素原子を含み、カルボン酸無水物は、20~44個の炭素原子を含む。
【0073】
第1の電荷制御剤の非極性尾部を形成するモノマーの分子構造は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含んでもよい。第1の電荷制御剤のポリマー尾部を形成するために使用されるモノマーの分子構造は、ヒドロキシル基をさらに含んでもよい。第1の電荷制御剤のポリマー尾部を形成するために使用されるモノマーは、8-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、オレイン酸、リノール酸、8-ヒドロキシステアリン酸の酸ハロゲン化物、リシノール酸の酸ハロゲン化物、リノール酸の酸ハロゲン化物、リノレン酸の酸ハロゲン化物、8-ヒドロキシステアリン酸無水物、リシノール酸無水物、リノール酸無水物、オレイン酸無水物、およびリノレン酸無水物からなる群から選択され得る。
【0074】
第1の電荷制御剤の分子構造は、1つまたはそれより多くの四級アンモニウム基を含んでもよい。第1の電荷制御剤の分子構造は、1~12個の四級アンモニウム基を含んでもよい。四級アンモニウム基は、構造[NRで表すことができ、R、R、RおよびRの例は、アルキル基およびアリール基を含み得る。第1の電荷制御剤の分子構造は、非極性尾部および少なくとも1つの四級アンモニウム基を含む。第1の電荷制御剤の調製に有用な試薬は、Akzo NobelによりARQUAD(商標)の商品名で提供されている脂肪酸四級アンモニウム化合物のクラスである。
【0075】
第1の電荷制御剤の構造基準を満たす電荷制御剤の限定されない例は、Lubrizol Corporationにより供給されているSolsperse(商標)17000、Solsperse(商標)16000およびSolsperse(商標)19000等の市販のポリマー材料を含む。Solsperse(商標)17000は、12-ヒドロキシ-オクタデカン酸ホモポリマーとN,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミンおよび重硫酸メチルとの反応生成物である。Solsperse(商標)16000およびSolsperse(商標)19000は、その非極性尾部に炭素-炭素結合を有する。不飽和四級アンモニウム電荷制御剤が電気泳動媒体中に含まれる場合、媒体は、低温での改善された切替え速度を有することが観察されている。四級アンモニウム電荷制御剤の非極性尾部は、ポリマーまたはオリゴマー化合物、例えばポリエステルから形成され得る。いくつかの例では、ポリエステルは、二級アミンを有するカルボン酸、例えば脂肪酸の縮合反応により形成され得る。そのような例では、縮合反応は、飽和または不飽和であってもよい繰り返しペンダント炭素鎖を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する(すなわち不飽和)繰り返し単位をもたらす。モノマーから尾部が形成される前記モノマーの全体的な長さは、少なくとも10個の炭素原子の長さ、例えば14個の炭素原子の長さ、例えば18個の炭素原子の長さである。
【0076】
第1の電荷制御剤の構造基準を満たす他の化合物は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2020/0355978号に開示されている。第1の電荷制御剤の限定されない例は、以下の式IV~Xの構造で提供され、式中、R1はポリリシノール酸であり、R2はポリイソブチレンである。これらの化合物は、一級アミノ基(またはヒドロキシル基)および三級アミンを含む分子とモノマー(例えばリシノール酸またはイソブチレン)とを反応させ、続いて形成されたポリマーを硫酸ジメチルと反応させて三級アミンを四級化することにより調製され得る。アミン試薬は、例えば、3-(ジメチルアミノ)-1-プロピルアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロパノール、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、およびトリス(3-アミノプロピル)アミンから選択され得る。
【化3】
【化4】
【化5】
【0077】
第1の電荷制御剤は、電気泳動粒子100g当たり0.2g超の電荷制御剤、または電気泳動粒子100g当たり0.5g超の電荷制御剤、または電気泳動粒子100g当たり1.0g超の電荷制御剤の濃度で電気泳動媒体に添加されてもよい。第1の電荷制御剤は、電気泳動粒子100g当たり1g超の電荷制御剤の濃度で電気泳動媒体に添加されてもよい。例えば、第1の電荷制御剤対電気泳動粒子の比率は、1:30(wt/wt)、例えば1:25(wt/wt)、例えば1:20(wt/wt)であってもよい。
【0078】
第2の電荷制御剤の分子構造は2つまたはそれより多くの極性基および非極性尾部を含む。極性基は、アミノ基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基、チオール基、アルファジケトン基、ベータジケトン基、エチレンオキシド基、およびプロピレンオキシド基からなる群から選択される。アミノ基は、一級、二級または三級であってもよい。アミノ基の窒素原子は、芳香族または非芳香族であるヘテロ環の一部であってもよい。そのようなヘテロ環の限定されない例は、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、トリアジン、アザインドール、ピリジン、ビピリジン、インドール(indoe)、ピペリジン、ピリダジン、ピロリジン、キノキサリン、トリアゾール、アゼチジン、カルバゾール、イミダゾール、イミダゾリン、インドリン、イソインドリン、ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、アジリジン、イソキノリン、プリン、ピラゾロ[1,5,α]ピリミジン、キナゾリン、およびそれらの誘導体である。アルファジケトン基は、スクアリン酸および誘導体、またはクロコン酸および誘導体等の環の一部であってもよい。
【0079】
第2の電荷制御剤の非極性尾部は、1つまたはそれより多くの飽和アルキル官能基を有するポリマー基を含み得る。第2の電荷制御剤の非極性尾部は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するポリマー基を含み得る。ポリマー基は、少なくとも10個の炭素原子を含むモノマーにより形成されてもよい。モノマーの分子構造は、カルボン酸、カルボン酸無水物、またはカルボン酸ハロゲン化物を含んでもよく、カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物は、10~22個の炭素原子および炭素-炭素二重結合を含み、カルボン酸無水物は、20~44個の炭素原子および2つの炭素-炭素二重結合を含む。モノマーの分子構造はまた、ヒドロキシル基を含んでもよい。第2の電荷制御剤のポリマー尾部を形成するために使用されるモノマーの限定されない例は、リシノール酸、リノール酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸の酸ハロゲン化物、リノール酸の酸ハロゲン化物、リノレン酸の酸ハロゲン化物、リシノール酸無水物、リノール酸無水物、オレイン酸無水物、およびリノレン酸無水物からなる群から選択され得る。第2の電荷制御剤は、連結基を介して2つまたはそれより多くの極性基(頭部基)に結合した長い非極性(疎水性)鎖を有するブラシ状ポリマーであってもよい。第2の電荷制御剤の頭部基は、独立して、電気泳動粒子の表面と相互作用しそれに吸着し得る。複数の頭部基の存在は、ある種の電気泳動粒子上への第2の電荷制御剤の強力な吸着を導入し得る。その結果、第2の電荷制御剤を含む粒子表面に対する親和性を有する第1の電荷制御剤は、粒子上に強力に吸着して、粒子のゼータ電位を変更し得る。粒子(顔料および他の粒子)の表面改質は、多くの産業において一般的である。多くの場合では、これは、粒子の合成経路を変更してカスタマイズされた粒子を形成することにより達成される。この方法は費用を要し得、合成された生成物は特定のシステムにのみ使用され得る。一方、2つの電荷制御剤の組合せを使用して粒子のゼータ電位を調節する方法は、本出願の組成物自体で直接実行することができる。具体的には、1つまたはそれより多くの電荷制御剤は、電気泳動媒体の調製に使用される粒子分散液のミリングの前またはその間に直接添加され得る。換言すれば、カスタマイズされた顔料を事前に合成する必要なく、市販の顔料製品を使用することができる。さらに、対応する電荷制御剤の性質および重量比を調節することによって、粒子のゼータ電位を所望のレベルに調節することができる。したがって、様々な電気泳動媒体に対して同じ顔料を使用することができ、粒子は媒体のそれぞれにおいて異なるゼータ電位を有する。ここで、液体キャリア中の粒子上へのポリマー(または他の材料)の吸着という用語が、キャリアに可溶であるポリマーに対して使用される場合、粒子表面とキャリア中の可溶性ポリマーとの間のポリマーの動的平衡が存在することが認識されることに留意しなければならない。粒子上へのポリマーのより強力な吸着は、存在するポリマーの総量に対する粒子上のポリマーの量が増加することを意味する。
【0080】
第2の電荷制御剤として使用され得る市販のポリマー材料の限定されない例は、Lubrizol Corporationにより供給されているSolsperse(商標)8000である。
【0081】
第2の電荷制御剤は、ポリアミンの存在下でのヒドロキシカルボン酸(またはヒドロキシカルボン酸誘導体)の縮合反応により形成され得る。重合反応は、試薬間の縮重合である。縮合反応は、(a)ヒドロキシカルボン酸(またはヒドロキシカルボン酸誘導体)のヒドロキシル基とヒドロキシカルボン酸(またはヒドロキシカルボン酸誘導体)の別の分子のカルボキシル基(またはカルボン酸ハロゲン化物もしくはカルボン酸無水物)との間のエステル結合、および(b)ポリアミンのアミン基とヒドロキシカルボン酸(またはヒドロキシカルボン酸誘導体)のカルボキシル基(またはカルボン酸ハロゲン化物もしくはカルボン酸無水物)との間アミド結合を形成する。
【0082】
第2の電荷制御剤は、電気泳動粒子100g当たり0.2g超の電荷制御剤、または電気泳動粒子100g当たり0.5g超の電荷制御剤、または電気泳動粒子100g当たり1.0g超の電荷制御剤の濃度で電気泳動媒体に添加されてもよい。例えば、第1の電荷制御剤対電気泳動粒子の比率は、1:30(wt/wt)、例えば1:25(wt/wt)、例えば1:20(wt/wt)であってもよい。
【0083】
第2の電荷制御剤の第1の電荷制御剤に対する重量比は、約1:10~約10:1、または約1:9~約10:9、または約1:8~約8:1、または約1:6~約6:1、または約1:5~約5:1、または約1:3~約3:1、または約1:2~約2:1、または約1:1:5~1.5:1であってもよい。
【0084】
電気泳動粒子
【0085】
一実施形態では、本発明の電気泳動媒体は、第1、第2、第3および第4の種類の粒子の4種類の粒子を含み、第1および第4の種類の粒子は第1の電荷極性を有し、第2および第3の種類の粒子は第2の極性を有し、第2の極性は第1の極性とは反対である。これは、I型電気泳動媒体を表す。典型的には、そのようなシステムは、負電荷を有する白色型粒子、負電荷を有する黄色型粒子、正電荷を有するシアン型粒子、および正電荷を有するマゼンタ型粒子を含む。黄色、シアンおよびマゼンタは、減法混色的な原色を表す。
【0086】
別の実施形態では、本発明の電気泳動媒体は、第1、第2、第3および第4の種類の粒子の4種類の粒子を含み、第1の種類の粒子は第1の電荷極性を有し、第2、第3および第4の種類の粒子は第2の極性を有し、第2の極性は第1の極性とは反対である。これは、II型電気泳動媒体を表す。典型的には、そのようなシステムは、負の白色型粒子、ならびに減法混色的な原色を有する黄色、マゼンタおよびシアンの正電荷を有する型の粒子を含む。
【0087】
さらに、1つまたはそれより多くの種類の粒子(I型およびII型電気泳動媒体の両方において)が、その電気泳動移動度が印加電場の強度に対して非線形であるように設計されてもよい。したがって、正しい極性の高電場(例えば20Vまたはそれより高い)の印加により、1つまたはそれより多くの種類の粒子は電気泳動移動度が減少することになる。そのような4粒子システム(I型およびII型)の様々な光学状態が、図1に概略的に示されている。対応するディスプレイは、白、黄、赤、マゼンタ、青、シアン、緑、および黒の色状態を各画素において提供することができる。
【0088】
図1に示されるように、8つの主要色(赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、黒および白)のそれぞれは、観察者が白色型粒子(すなわち光を散乱する唯一の種類の粒子)の観察側にある着色粒子のみが見えるように、4種類の粒子の異なる配置に対応する。広範囲の色を達成するためには、粒子の種類のより細かい制御のために追加的な電圧レベルを使用しなければならない。説明された配合では、第1の種類の粒子は反射性(典型的には白色)であり、他の3つの種類の粒子は、3つの実質的に非光散乱性(「SNLS」)を含む。上述のように、SNLS粒子の使用は色の混合を可能にし、同じ数の散乱型の粒子により達成され得るものより多くの色の結果を提供する。これらの閾値は、クロストークを回避するために十分に分離されなければならず、この分離は、一部の色に対しては高いアドレス電圧の使用を必要とする。開示された4粒子電気泳動媒体はまた、迅速に更新され得、「点滅しにくい」遷移を必要とし、観察者に快い色のスペクトルを生成し得る(したがって商業的に価値がある)。さらに、開示された配合は、黒色画素と白色画素との間の迅速な(例えば500ms未満、例えば300ms未満、例えば200ms未満、例えば100ms未満の)更新を提供し、これにより、白色に対する黒色の文章において迅速なページめくりを可能にする。
【0089】
図1において、ディスプレイの観察表面は上部にあり(示される通り)、すなわち、使用者は、この方向からディスプレイを観察し、光はこの方向から入射すると想定される。前述したように、好ましい実施形態では、本発明の電気泳動媒体において使用される4種類の粒子の1つだけが光を実質的に散乱し、図1では、この種類の粒子は白色顔料であると想定される。この光散乱性の白色型粒子は、白色型粒子の上の任意の粒子がそれに対して観察される(図1に示される通り)白色反射体を形成する。ディスプレイの観察表面に入る光は、これらの種類の粒子を通過し、白色型粒子から反射し、再びこれらの種類の粒子を通過してディスプレイから出る。したがって、白色型粒子の上の粒子は、様々な色を吸収し得、使用者に見える色は、白色粒子の上の粒子の組合せから生じる色である。白色型粒子の下(使用者の視点から後方)に配置される任意の粒子は白色型粒子によってマスクされ、表示される色に影響しない。第2、第3および第4の種類の粒子は実質的に非光散乱性であるため、互いに対するそれらの順番または配置は重要ではないが、前述した理由から、白色(光散乱)粒子に対するそれらの順番または配置は非常に重要である。
【0090】
より具体的には、シアン、マゼンタおよび黄色型粒子が白色型粒子の下にある場合(図1の状況[A])、白色粒子の上には粒子はなく、画素は単に白色を表示する。単一種類の粒子が白色型粒子の上にある場合、その単一種類の粒子の色が表示され、図1の状況[B]、[D]および[F]においてそれぞれ黄色、マゼンタおよびシアンが表示される。2種類の粒子が白色型粒子の上にある場合、表示される色は、これらの2種類の粒子の色の組合せであり、図1の状況[C]においてはマゼンタおよび黄色型粒子が赤色を表示し、状況[E]においてはシアンおよびマゼンタ粒子が青色を表示し、状況[G]においては黄色およびシアン型粒子が緑色を表示する。最後に、3つ全ての種類の着色粒子が白色型粒子の上にある場合(図1の状況[H])、入射光の全てが3つの減法混色的な原色型粒子により吸収され、画素は黒色を表示する。
【0091】
ディスプレイが2種類の光散乱粒子を含み、そのうち1つは白色粒子で他方は着色粒子であるように、1つの減法混色的な原色が、光を散乱する粒子の種類によってレンダリングされることが可能である。しかしながら、この場合、白色型粒子を覆う他の着色型粒子に対する光散乱性の着色型粒子の位置が重要となる。例えば、黒色をレンダリングする際(3つの着色型粒子が全て白色型粒子の上にある場合)、散乱性の着色型粒子は、非散乱性の着色型粒子の上にあることはできない(さもなくば、それらは散乱型粒子の後ろに部分的または完全に隠され、レンダリングされる色は黒色ではなく散乱性の着色型粒子の色となる)。
【0092】
図1は、色が汚染されない(すなわち、光散乱性の白色型粒子が、白色型粒子の後ろにある任意の種類の粒子を完全にマスクする)理想的な状況を示している。実際には、白色型粒子によるマスキングは不完全となり得、したがって、理想的には完全にマスクされるであろう粒子の種類により、ある程度のわずかな光の吸収が生じ得る。そのような汚染は、典型的には、レンダリングされている色の明度および彩度の両方を低減する。本発明の電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成された色が演色の業界標準に見合うものとなる点まで最小限化されるはずである。特に好ましい標準はSNAP(新聞広告製作の標準)であり、これは、上述の8つの原色のそれぞれに対してL、aおよびb値を指定している。以降において、「原色」は、図1に示されるように、黒色、白色、3つの減法混色的な原色、および3つの加法混色的な原色の8つの色を指すように使用される。
【0093】
図2は、本発明において使用されるI型電気泳動媒体の4種類の粒子の概略断面図を示す。
【0094】
改善された電気泳動媒体を利用したディスプレイ層は、観察側の第1の(観察)表面23、および第1の表面23とは反対側の第2の表面24を含む。電気泳動媒体は、2つの表面の間に配置される。2つの垂直な点線の間の各空間は、画素を示す。各画素内で、電気泳動媒体がアドレスされ得、各画素の観察表面23は、追加の層を必要とすることなく、またカラーフィルタアレイなしで図1に示される色状態を達成し得る。
【0095】
電気泳動ディスプレイに関する標準として、第1の表面23は、その上にインジウムスズ酸化物(ITO)が配置されたPETのシートから構築された第1の光透過性電極層21を含む。第2の表面(24)上には、複数の画素電極25を含む第2の電極層22がある。そのような画素電極は、米国特許第7,046,228号に記載されており、その内容は参照により参照により全体が本明細書に組み込まれる。薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンにより駆動する活性マトリックスが画素電極の層に関して言及されているが、本発明の範囲は、電極が所望の機能を果たす限り、他の種類の電極アドレスも包含することが留意される。例えば、第1および第2の電極層(または上部および下部電極)は連続していてもよい。さらに、’228特許に記載されているものとは異なる画素電極バックプレーンもまた好適であり、非晶質ケイ素薄膜トランジスタバックプレーンで典型的に見られるものより高い駆動電圧を提供することができる活性マトリックスバックプレーンを含み得る。
【0096】
新たに開発された活性マトリックスバックプレーンは、金属酸化物材料、例えば酸化タングステン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、またはより複雑な金属酸化物、例えばインジウムガリウムジルコニウム酸化物を組み込んだ薄膜トランジスタを含んでもよい。これらの応用において、そのような金属酸化物材料を使用して各トランジスタに対してチャネル形成域が形成され、より高い電圧のより迅速な切替えが可能となる。そのような金属酸化物トランジスタはまた、例えば非晶質ケイ素TFTにより達成され得るものと比べて、薄膜トランジスタ(TFT)の「オフ」状態におけるより低い漏洩を可能にする。n本のラインを含む典型的なスキャニングTFTバックプレーンでは、トランジスタは、ディスプレイのあらゆるラインをリフレッシュするのに必要な時間のほぼ(n-1)/nの割合の期間、「オフ」状態となる。各画素に関連した蓄電コンデンサからの電荷のいかなる漏洩も、ディスプレイの電気光学性能の劣化をもたらす。TFTは、典型的には、ゲート電極、ゲート絶縁膜(典型的にはSiO)、金属ソース電極、金属ドレイン電極、ならびにゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を少なくとも部分的に覆うゲート絶縁膜上の金属酸化物半導体膜を含む。そのようなバックプレーンは、Sharp/Foxconn、LG、およびBOE等の製造業者から入手可能である。そのようなバックプレーンは、±30Vの(またはそれより大きい)駆動電圧を提供し得る。一部の実施形態では、得られる駆動波形が5つのレベル、または7つのレベル、または9つのレベル、またはそれより多くのレベルを含み得るように、中間電圧ドライバが含まれる。
【0097】
そのような応用のための1つの好ましい金属酸化物は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である。IGZO-TFTは、非晶質ケイ素の電子移動度の20~50倍の電子移動度を有する。活性マトリックスバックプレーンにおいてIGZO TFTを使用することにより、好適なディスプレイドライバを介して30V超の電圧を提供することが可能である。さらに、少なくとも5つ、好ましくは7つのレベルを供給することができるソースドライバは、4粒子電気泳動ディスプレイシステムの異なる駆動パラダイムを提供する。一実施形態では、2つの正電圧、2つの負電圧およびゼロボルトがある。別の実施形態では、3つの正電圧、3つの負電圧およびゼロボルトがある。一実施形態では、4つの正電圧、4つの負電圧およびゼロボルトがある。これらのレベルは、上述のトッププレーン切替えにより強いられる制限なしに、約-27V~+27Vの範囲内で選択され得る。
【0098】
図2の電気泳動ディスプレイは、本発明のI型電気泳動媒体を備える。これは、非極性流体27中に4種類の電気泳動粒子を含む。第1の種類の粒子(W-;白丸)は負電荷を有し、第1の種類の粒子の電気泳動移動度が駆動電場の強度に依存するように表面処理されてもよい(以下で詳細に議論する)。そのような例では、この種類の粒子の電気泳動移動度は、実際にはより強い電場の存在下で減少し、これは幾分直感に反する。
【0099】
第2の種類の粒子(C++;灰色の丸)は、第3の種類の粒子より高い正電荷を有し得る。これは、表面処理を有してもよい。図2に示されるように、この種類の粒子の色は名目上白、マゼンタ、黄、およびシアンであり、図1に示される色を生成する。しかしながら、本発明はこの特定の色の組に限定されず、また1つの反射型粒子および3つの吸光型粒子に限定されない。例えば、システムは、1つの黒色吸光型粒子、ならびに適切にマッチした反射スペクトルを有する赤、黄および青の3つの反射型粒子を含んでもよく、3つ全ての反射粒子が混合されて表面で観察可能である場合にプロセス白色状態を生成し得る。
【0100】
第3の種類の粒子(M+;暗色の丸)は正電荷を有し、また、第3の種類の粒子の電気泳動移動度が駆動電場の強度に依存する、または、電場方向の逆転時にその種類の粒子を含む空隙の一方側に駆動された後の第2および第3の種類の粒子の集合の解放速度が、第2の種類の粒子の集合の解放速度より遅くなるように、表面処理されていてもよい(または意図的に未処理であってもよい)。
【0101】
第4の種類の粒子(Y-;格子柄の丸)は、負電荷を有する。これは、第1の種類の粒子の電荷の大きさより高い、または低い電荷の大きさを有し得る。さらに、第4の種類の粒子は、表面処理されてもよい。第4の種類の粒子の電気泳動移動度は、駆動電場の強度に依存しても、または依存しなくてもよい。すなわち、第4の種類の粒子は、表面処理を有してもよいが、そのような表面処理は、電場の増加に伴う上述の電気泳動移動度の低減をもたらさなくてもよい。
【0102】
図3Aは、本発明において使用されるII型電気泳動媒体の4種類の粒子の概略断面図を示す。図3Aに示されるディスプレイは、図2に示されるディスプレイに類似しているが、異なる電気泳動媒体を有する(図2のI型に対して図3AではII型)。
【0103】
本発明のII型電気泳動媒体は、図3A~3Eに示されるように、非極性流体27中に4種類の電気泳動粒子を含む。第1の種類の粒子(W-;白丸)は負電荷を有し、第1の種類の粒子の電気泳動移動度が駆動電場の強度に依存するように表面処理されてもよい(以下で詳細に議論する)。そのような例では、この種類の粒子の電気泳動移動度は、実際にはより強い電場の存在下で減少し、これは幾分直感に反する。
【0104】
第2の種類の粒子(C+++;灰色の丸)は、最も高い大きさの正電荷を有し、第3および第4の種類の粒子と同じ種類の表面処理を有する。図3Aに示されるように、この種類の粒子の色は名目上白、マゼンタ、黄、およびシアンであり、図1に示される色を生成する。しかしながら、本発明はこの特定の色の組に限定されず、また1つの反射型粒子および3つの吸光型粒子に限定されない。例えば、システムは、1つの黒色吸光型粒子、ならびに適切にマッチした反射スペクトルを有する赤、黄および青の3つの反射型粒子を含んでもよく、3つ全ての反射粒子が混合されて表面で観察可能である場合にプロセス白色状態を生成し得る。
【0105】
第3の種類の粒子(M++;暗色の丸)は正電荷を有し、また、第3の種類の粒子の電気泳動移動度が駆動電場の強度に依存する、または、電場方向の逆転時にその種類の粒子を含む空隙の一方側に駆動された後の第3の粒子の集合の解放速度が、第2および第4の種類の粒子の集合の解放速度より遅くなるように、表面処理されていてもよい(または意図的に未処理であってもよい)。
【0106】
第4の種類の粒子(Y+;格子柄の丸)は正であるが、第3の種類の粒子より小さい電荷の大きさを有する。さらに、第4の種類の粒子は、表面処理されてもよいが、第4の種類の粒子の電気泳動移動度が駆動電場の強度に依存するような様式ではない。すなわち、第4の種類の粒子は、表面処理を有してもよいが、そのような表面処理は、電場の増加に伴う上述の電気泳動移動度の低減をもたらさない。
【0107】
図3B~3Eは、本発明において使用される4種類の粒子(II型)を有する表示画素の異なる光学状態の概略断面図を示す。
【0108】
一実施形態では、第1の種類の粒子(負)は白色であり、散乱性である。第2の種類の粒子(正、高い電荷の大きさ)はシアンであり、吸光性である。第3の種類の粒子(正、中程度の電荷の大きさ)はマゼンタであり、吸光性である。第4の種類の粒子(正、低い電荷の大きさ)は黄色であり、吸光性である。別の実施形態では、第1の種類の粒子(負)は白色であり、散乱性である。第2の種類の粒子(正、高い電荷の大きさ)はシアンであり、吸光性である。第3の種類の粒子(正、中程度の電荷の大きさ)はマゼンタであり、吸光性である。第4の種類の粒子(負)は黄色であり、吸光性である。以下の表1は、本発明の電気泳動媒体において有用な例示的な黄色、マゼンタ、シアンおよび白色粒子の、ポリ(イソブチレン)マトリックス中に分散させた場合のこれらの材料のクベルカ-ムンク分析に従う拡散反射率を、それらの吸光および散乱係数の比率と共に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
本発明の電気泳動媒体は、上で議論された形態のいずれであってもよい。したがって、電気泳動媒体は、カプセル化されていなくてもよく、カプセル壁により包囲された個別のカプセル内にカプセル化されていてもよく、シールされたマイクロセル内にカプセル化されていてもよく、またはポリマー分散媒体の形態であってもよい。顔料は別の場所で、例えば米国特許第9,697,778号および米国特許第9,921,451号で詳細に説明されている。簡潔に説明すると、白色型粒子W1は、米国特許第7,002,728号に記載のようにラウリルメタクリレート(LMA)モノマーを含むポリマー材料が結合したシラノール官能化光散乱性顔料(二酸化チタン)である。白色型粒子W2は、実質的に米国特許第5,852,196号の実施例1に記載のように生成されたポリマーコーティングチタニアであり、ポリマーコーティングは、約99:1の比率のラウリルメタクリレートおよび2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートを含む。黄色型粒子Y1は、米国特許第9,697,778号に概説されているように、コーティングなしで使用され、Solsperse(商標)19000の存在下での摩砕により分散された、C.I.ピグメントイエロー180である。黄色型粒子Y2は、米国特許第9,697,778号に概説されているように、コーティングなしで使用され、Solsperse(商標)19000の存在下での摩砕により分散された、C.I.ピグメントイエロー155である。黄色型粒子Y3は、米国特許第9,697,778号に概説されているように、コーティングなしで使用され、Solsperse(商標)19000の存在下での摩砕により分散された、C.I.ピグメントイエロー139である。黄色型粒子Y4は、米国特許第9,921,451号の実施例4に記載のように、分散重合によりコーティングされ、トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレートおよびジメチルシロキサン含有モノマーを組み込んだ、C.I.ピグメントイエロー139である。マゼンタ型粒子M1は、米国特許第9,697,778号および米国特許第9,921,451号の実施例5に記載のように、ビニルベンジルクロリドおよびLMAを使用してコーティングされた、正電荷を有するマゼンタ材料(ジメチルキナクリドン、C.I.ピグメントレッド122)である。
【0111】
マゼンタ型粒子M2は、米国特許第9,921,451号の実施例6に記載のように、分散重合、メチルメタクリレートおよびジメチルシロキサン含有モノマーによりコーティングされた、C.I.ピグメントレッド122である。シアン型粒子C1は、米国特許第9,921,451号の実施例7に記載のように、分散重合によりコーティングされ、メチルメタクリレートおよびジメチルシロキサン含有モノマーを組み込んだ、銅フタロシアニン材料(C.I.ピグメントブルー15:3)である。一部の実施形態では、コア黄色顔料としてインクジェットイエロー4GC(Clariant)を使用し、メチルメタクリレート表面ポリマーを組み込むことにより、色域が改善されることが見出されている。この黄色顔料のゼータ電位は、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEM)モノマーおよびモノメタクリレート末端ポリ(ジメチルシロキサン)の添加により調整され得る。
【0112】
電気泳動移動度の差を促進するための電気泳動媒体添加剤および表面処理、ならびに表面処理と周囲の電荷制御剤および/または遊離ポリマーとの間の相互作用の提案されるメカニズムは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第9,697,778号で詳細に議論されている。そのような電気泳動媒体では、様々な種類の粒子間の相互作用を制御する1つの手法は、粒子上のポリマーコーティングの種類、量および厚さを制御することによるものである。例えば、粒子-粒子相互作用が、例えば第3の種の第3の種類の粒子と第4の種類の粒子との間に比べ、第2の種類の粒子と第3および第4の種類の粒子との間でより小さくなるように粒子特性を制御するために、第2の種類の粒子はポリマー表面処理を有してもよく、一方第3および第4の種類の粒子は、ポリマー表面処理を有さないか、または第2の種類の粒子に比べ粒子表面の単位面積当たりより低い質量被覆率を有するポリマー表面処理を有してもよい。より一般的には、ハマーカー定数(2つの粒子間のファンデルワールス相互作用の強度の尺度であり、ペアポテンシャルはハマーカー定数に比例し、2つの粒子間の距離の6乗に反比例する)および/または粒子間間隔が、3種の粒子上のポリマーコーティング(複数可)の賢明な選択により調節される必要がある。
【0113】
米国特許第9,921,451号で議論されているように、異なる種類のポリマーが異なる種類のポリマー表面処理を含んでもよい。例えば、クーロン相互作用は、反対電荷を有する粒子の最近接距離が立体障害(典型的には一方または両方の粒子の表面にグラフトされた、または吸着したポリマー)により最大化された場合に弱くなり得る。ポリマーシェルは、当技術分野において周知のようにグラフト化プロセスもしくは化学吸着により作製された共有結合ポリマーであってもよく、または粒子表面上に物理吸着していてもよい。例えば、ポリマーは、不溶性および可溶性セグメントを含むブロックコポリマーであってもよい。代替として、ポリマーシェルは、電場ならびに十分な量および種類の電荷制御剤(CCA-以下で議論される)の存在下で顔料粒子と複合体化した電気泳動媒体からの遊離ポリマーの緩いネットワークであるという点で、動的であってもよい。したがって、電場の強度および極性に依存して、粒子は、より関連したポリマーを有してもよく、これによって粒子は、容器(例えばマイクロカプセルまたはマイクロセル)および他の粒子と示差的に相互作用する。ポリマーシェルの範囲は、粒子の乾燥試料の温度を上昇させ、熱分解による質量損失を温度の関数として測定する技法である、熱重量分析(TGA)により適宜評価される。TGAを使用して、ポリマーである粒子の質量の割合が測定され得、これは、コア顔料およびそれに結合したポリマーの既知の密度を使用して体積分率に変換され得る。ポリマーコーティングが失われるがコア顔料が残る条件を見つけることができる(これらの条件は、使用される正確なコア顔料粒子に依存する)。図3B~3Eに関して後述されるように作用するように、様々なポリマーの組合せが作製され得る。例えば、一部の実施形態では、粒子(典型的には第1および/または第2の粒子)は、容器(例えばマイクロセルまたはマイクロカプセル)と強力に相互作用する共有結合ポリマーシェルを有し得る。一方、同じ電荷の他の粒子は、ポリマーコーティングを有さないか、または溶液中の遊離ポリマーと複合体化し、したがってそれらの粒子は容器との相互作用をほとんど有さない。他の実施形態では、粒子(典型的には第1および/または第2の粒子)は表面コーティングを有さず、したがってその粒子はより容易に電荷二重層を形成し、強い場の存在下で電気泳動移動度が低減する。
【0114】
4種類の粒子が分散した流体27は、透明および無色である。流体は、電場の影響下で流体を通って移動する荷電電気泳動粒子を含有する。好ましい懸濁流体は、低い誘電率(約2)、高い体積抵抗率(約1015Ohm.cm)、低い粘度(5mPas未満)、低い毒性および環境影響、低い水溶性(従来の水性カプセル化方法が使用された場合10パーツパーミリオン(ppm)未満;但し、この要件は非カプセル化またはある特定のマイクロセルディスプレイでは緩和され得ることに留意)、高い沸点(約90℃超)、ならびに低い屈折率(1.5未満)を有する。最後の要件は、高い屈折率の散乱性(典型的には白色)顔料の使用によるものであり、その散乱効率は、粒子と流体との間の屈折率の不整合に依存する。
【0115】
飽和直鎖または分岐状炭化水素、シリコーン油、ハロゲン化有機溶媒、および低分子量ハロゲン含有ポリマー等の有機溶媒が、いくつかの有用な流体である。流体は、単一成分を含んでもよく、または、その化学的および物理的特性を調整するために、1つより多くの成分のブレンドであってもよい。油溶性モノマー等のマイクロカプセル化プロセスのための反応物質または溶媒(使用される場合)もまた、流体中に含有されてもよい。
【0116】
流体は、好ましくは、高い粒子移動度のために、低い粘度および約2~約30、好ましくは約2~約15の範囲内の誘電率を有する。好適な誘電性流体の例は、炭化水素、例えばIsopar(登録商標)、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼンまたはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロ-ベンゼン、ジクロロノナンまたはペンタクロロベンゼン、およびパーフルオロ化溶媒、例えば3M Company、St.Paul、MNからのFC-43、FC-70またはFC-5060、低分子量ハロゲン含有ポリマー、例えばTCI America、Portland、Oregonからのポリ(パーフルオロプロピレンオキシド)、ポリ(クロロトリフルオロ-エチレン)、例えばHalocarbon Product Corp.、River Edge、NJからのハロカーボン油、パーフルオロポリアルキルエーテル、例えばAusimontからのGaldenまたはDuPont、DelawareからのKrytoxオイルおよびグリースK-Fluidシリーズ、Dow-corningからのポリジメチルシロキサンベースシリコーン油(DC-200)を含む。
【0117】
米国特許第7,170,670号に記載のように、電気泳動媒体の双安定性は、約20,000を超える数平均分子量を有するポリマーを流体中に含めることによって改善することができ、このポリマーは、電気泳動粒子上で本質的に非吸収性であり、この目的のためにポリ(イソブチレン)またはポリジメチルシロキサンが使用され得る。さらに、例えば米国特許第6,693,620号に記載されているように、その表面上に固定された電荷を有する粒子は、周囲の流体中の反対電荷の電気二重層を構築する。CCAのイオン性頭部基は、電気泳動粒子表面上の荷電基とイオン対を生成し、固定または部分的に固定された荷電種の層を形成し得る。この層の外では、媒体中のCCA分子を含む荷電(逆)ミセルを含む拡散層がある。従来のDC電気泳動では、印加電場は、固定表面電荷に力を及ぼし、移動性の対電荷に反対の力を及ぼすため、拡散層内で滑りが生じ、粒子が流体と相対的に移動する。滑り面での電位は、ゼータ電位として知られる。
【0118】
その結果、電気泳動媒体中の粒子の種類のいくつかは、電気泳動媒体にわたる電場の強度に依存して、異なる電気泳動移動度を有する。例えば、第1の(低い強度、すなわち約±10Vまたはそれより小さい)電場が電気泳動媒体に印加された場合、第1の種類の粒子は電場に対して第1の方向に移動するが、第2の(高い強度、すなわち約±20Vまたはそれより大きい)電場が印加された場合、第1の電場と同じ極性を有するとしても、第1の種類の粒子は電場に対して反対方向に移動し始める。この挙動は、極めて非極性の流体中での伝導が、荷電逆ミセルまたは反対電荷を有する電気泳動粒子により媒介されることから生じると理論化される。したがって、任意の電気化学的に生成されたプロトン(または他のイオン)は、おそらくはミセルコア内の非極性流体を通って輸送されるか、または電気泳動粒子上に吸着される。例えば、米国特許第9,697,778号の図5Bに示されるように、正電荷を有する逆ミセルは、反対方向に動く負の電気泳動粒子に接近し得、逆ミセルは、負電荷を有する粒子の周りの電気二重層に組み込まれる。電気二重層は、対イオン濃度が増大した電荷の拡散層、および粒子上の半ミセル状表面吸着コーティングの両方を含み、後者の場合、逆ミセル電荷は、上述のように粒子のゼータ電位を定義する滑りエンベロープ内の粒子と会合する。このメカニズムを通して、正電荷を有するイオンの電気化学流は、電気泳動流体を通って流れ、負電荷を有する粒子は、より正の電荷に向けてバイアスされ得る。その結果、例えば第1の負電荷型粒子の電気泳動移動度は、電気化学流の大きさ、および粒子表面に近い正電荷の滞留時間の関数であり、滞留時間は電場の強度の関数である。
【0119】
さらに、同じく米国特許第9,697,778号に記載されているように、印加電場に依存して異なる電気泳動移動度も示し得る、正電荷を有する粒子が調製され得る。本発明において、様々な粒子のゼータ電位を調節するために、電気泳動媒体中に電荷制御剤の組合せが使用され得る。
【0120】
一部の実施形態では、最終的な配合に意図された電荷制御剤の一部は、所望のゼータ電位を設計し、強電場に起因する電気泳動移動度の低減に影響するために、電気泳動粒子の合成中に添加される。例えば、ポリマーグラフト化中に電荷制御剤を添加すると、ある量のCCAが粒子に複合体化することが観察されている。これは、電気泳動媒体から粒子を除去し、その後全ての吸着種を除去するためにTHFで顔料から表面種をストリッピングすることにより確認され得る。THF抽出物を1H NMRで評価すると、相当な量のCCAが顔料粒子に吸着した、または表面ポリマーと複合体化したことが明らかである。実験では、粒子の表面ポリマー中の高いCCA投入量が、強い電場の存在下で粒子の周りの電荷二重層の形成を促進することが示唆されている。例えば、最終的なマゼンタ粒子のグラム当たり200mg超の電荷制御剤(CCA)を有するマゼンタ粒子は、高い正電場の存在下で優れた滞留特性を有する。(例えば、図3Cおよび上記の説明を参照されたい。)
【0121】
表2は、好ましい実施形態での3種類の着色粒子および単一白色粒子の例示的な相対ゼータ電位を示す。
【0122】
【表2】
【0123】
一実施形態では、負の(白色)粒子は-30mVのゼータ電位を有し、残りの3つの粒子は、全て白色粒子に対して正である。したがって、正のシアン、マゼンタおよび黄色粒子を含むディスプレイは、黒色状態(全ての着色粒子が観察表面に対して白色粒子の前にある)と、白色粒子が観察者に最も近く、観察者が残りの3つの粒子を認識するのをブロックする白色状態との間で切り替わることができる。対照的に、白色粒子が0Vのゼータ電位を有する場合、負電荷を有する黄色粒子が全ての粒子の中で最も負であり、したがって、この粒子を含むディスプレイは、黄色と青色状態との間で切り替わる。これはまた、白色粒子が正電荷を有する場合にも生じるであろう。しかしながら、正電荷を有する黄色粒子は、白色粒子よりもそのゼータ電位が+20mVを超えない限り正であろう。
【0124】
本発明の電気泳動媒体の挙動は、印加電場に依存する白色粒子の移動度(表2中でゼータ電位として表される)と一致する。したがって、表2中に示される例では、低電圧でアドレスされた場合、白色粒子は、そのゼータ電位が-30mVであるかのように挙動し得るが、より高い電圧でアドレスされると、そのゼータ電位がより正である、場合によっては+20mV(黄色粒子のゼータ電位にマッチする)という高い電位であるかのように挙動し得る。したがって、低い電圧でアドレスされた場合、ディスプレイは、黒色状態と白色状態との間で切り替わるが、より高い電圧でアドレスされた場合、青色状態と黄色状態との間で切り替わる。
【0125】
高い(例えば「±H」、例えば±20V、例えば±25V)電場および低い(例えば「±L」、例えば±5V、例えば±10V)電場の存在下での様々な粒子の動きを、図3B~3Eに示す。例示を目的として、破線により画定された各ボックスは、第1の光透過性電極層21(前面電極)および第2の電極層22(裏面電極)により画定された画素を表し、これは活性マトリックスの画素電極を備えてもよいが、これはまた光透過性電極、または分割電極等であってもよい。正の粒子の全てが観察表面に存在する第1の状態(名目上黒色)から開始して、電気泳動媒体は、図3B~3Eに示されるように4つの異なる光学状態に駆動され得る。好ましい実施形態では、これは、白色光学状態(図3B)、マゼンタ光学状態(図3C)、黄色光学状態(図3D)、および赤色光学状態(図3E)をもたらす。図1の残りの4つの光学状態は、図4に簡略的に示されるように、初期状態の順序および駆動電場を逆にすることによって達成され得ることが明らかであろう。
【0126】
図3Bのように、低電圧でアドレスされると、粒子は、負電圧がバックプレーンに印加された場合において、矢印により示される相対的な速度で相対的なゼータ電位に従い挙動する。したがって、この例では、シアン粒子はマゼンタ粒子より迅速に移動し、マゼンタ粒子は黄色粒子より迅速に移動する。粒子はエンクロージャの壁によりすでに動きが制限されているため、第1の(正)パルスは粒子の位置を変化させない。第2の(負)パルスは着色粒子および白色粒子の位置を交換し、したがってディスプレイは黒色状態と白色状態との間で切り替わるが、着色粒子の相対移動度を反映して過渡的な色を伴う。パルスの開始位置および極性を逆転することにより、白色から黒色への遷移が可能となる。したがって、この実施形態は、プロセス黒またはプロセス白による複数色で達成された他の白黒配合と比較して、より低い電圧を必要とする(および消費電力がより低い)黒-白更新を提供する。
【0127】
図3Cでは、第1の(正)パルスは、マゼンタ粒子(すなわち、3つの正電荷を有する着色粒子のうちの中間的移動度の粒子)の移動度を低減するのに十分に高い正電圧のパルスである。低減された移動度のために、マゼンタ粒子は本質的に場所が固定され、その後の低電圧の反対方向のパルスは、マゼンタ粒子よりもシアン、白色および黄色粒子を移動させ、それにより観察表面においてマゼンタ色を生成し、負の白色粒子はマゼンタ粒子の後ろにある。重要なことに、パルスの開始位置および極性が逆転された場合(観察表面の反対側からの、すなわち第2の電極層22を通したディスプレイの観察に等しい)、このパルスシーケンスは、緑色(すなわち、黄色粒子およびシアン粒子の混合)を生成する。
【0128】
図3Dでは、第1のパルスは、低電圧のパルスであり、マゼンタ粒子または白色粒子の移動度を大きくは低減しない。しかしながら、第2のパルスは、白色粒子の移動度を低減する高い負電圧のパルスである。これは、3つの正の粒子間のより効果的な競争を可能にし、したがって、最も遅い種類の粒子(この例では黄色)は、以前の負のパルスにより移動が低下した白色粒子の前に視認可能なままである。特に、黄色粒子は、粒子を含有する空隙の上部表面に到達しない。重要なことに、パルスの開始位置および極性が逆転された場合(観察表面の反対側からの、すなわち第2の電極層22を通したディスプレイの観察に等しい)、このパルスシーケンスは、青色(すなわち、マゼンタ粒子およびシアン粒子の混合)を生成する。
【0129】
最後に、図3Eは、両方のパルスが高電圧のパルスである場合、マゼンタ粒子の移動度が第1の高い正パルスにより低減され、第2の高い負パルスにより引き起こされる白色移動度の低減により、シアンと黄色との間の競争が増強されることを示す。これにより、赤色が生成される。重要なことに、パルスの開始位置および極性が逆転された場合(観察表面の反対側からの、すなわち第2の電極層22を通したディスプレイの観察に等しい)、このパルスシーケンスは、シアン色を生成する。
【0130】
高解像度ディスプレイを得るためには、ディスプレイの個々の画素は、隣接する画素からの干渉なしにアドレス可能でなければならない。この目的を達成するための1つの手法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形素子のアレイを提供することであり、少なくとも1つの非線形素子は各画素に関連付けられて、「活性マトリックス」ディスプレイを生成する。1つの画素をアドレスするアドレス電極または画素電極は、関連付けられた非線形素子を通して適切な電圧源に接続される。典型的には、非線形素子がトランジスタである場合、画素電極は、トランジスタのドレインに接続され、以下の説明においてはこの配置が想定されるが、これは本質的に任意であり、画素電極はトランジスタのソースに接続されてもよい。従来、高解像度アレイにおいて、画素は行列の二次元アレイとして配置され、したがって任意の特定の画素が1つの指定された行および1つの指定された列の交点で一意に定義される。各列における全てのトランジスタのソースは単一の列電極に接続され、一方各行における全てのトランジスタのゲートは単一の行電極に接続される。ここでも、ソースから行およびゲートから列への指定は従来的であるが本質的に任意であり、所望により逆にされてもよい。行電極は行ドライバに接続され、これは本質的に、所与の瞬間においてただ1つの行が選択される、すなわち、例えば選択された行における全てのトランジスタが導電性であることを確実にするために、選択された行電極に対して選択された電圧が印加される一方、例えば選択されていない行における全てのトランジスタが非導電性のままであることを確実にするために、全ての他の行に対して非選択電圧が印加されることを確実にする。列電極は列ドライバに接続され、これは、様々な列電極に、選択された行における画素を所望の光学状態に駆動するように選択された電圧をかける。上述の電圧は、従来は非線形アレイから電気光学媒体の反対側に提供され、ディスプレイ全体に延在する共通前面電極(第1の光透過性電極層)と相対的である。「ラインアドレス時間」として公知である事前に選択された間隔の後、選択された行が選択解除され、次の行が選択され、列ドライバに対する電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。このプロセスは、ディスプレイ全体が行毎に書き込まれるように繰り返される。
【0131】
従来、各画素電極は、画素電極およびコンデンサ電極がコンデンサを形成するようにコンデンサ電極と関連付けられていた。例えば、国際特許出願WO01/07961を参照されたい。一部の実施形態では、トランジスタを形成するためにN型半導体(例えば非晶質ケイ素)が使用されてもよく、ゲート電極に印加される「選択」および「非選択」電圧は、それぞれ正および負であってもよい。
【0132】
添付の図面の図5は、電気泳動ディスプレイの単一画素の例示的な等価回路を示す。図示されるように、回路は、画素電極とコンデンサ電極との間に形成されたコンデンサ10を含む。電気泳動媒体20は、並列のコンデンサおよび抵抗として表されている。一部の例では、画素に関連付けられたトランジスタのゲート電極と画素電極との間の直接的または間接的結合容量30(通常「寄生容量」と呼ばれる)は、ディスプレイに対して望ましくないノイズを作り得る。通常、寄生容量30は、蓄電コンデンサ10の容量よりはるかに小さく、ディスプレイの画素行が選択されているまたは選択解除されている場合、寄生容量30は、画素電極に、「キックバック電圧」としても知られるわずかな負のオフセット電圧をもたらし得、これは通常2ボルト未満である。一部の実施形態では、望ましくない「キックバック電圧」を補償するために、第1の電極層(前面電極)および各画素に関連付けられたコンデンサ電極に共通電位Vcomが供給されてもよく、したがって、Vcomがキックバック電圧(VKB)に等しい値に設定された場合、ディスプレイに供給されたあらゆる電圧が同じ量だけ相殺され得、正味のDC不均衡は経験されない。
【0133】
しかしながら、Vcomがキックバック電圧について補償されていない電圧に設定される場合、問題が起こり得る。これは、バックプレーンのみから利用可能なものより高い電圧をディスプレイに印加することが望ましい場合に生じ得る。当技術分野では、例えば、ディスプレイに印加される最大電圧は、例えばVcomに-Vが供給される一方でバックプレーンに例えば名目上+V、0、または-Vが選択的に供給される場合、2倍になり得ることが周知である。この場合に経験される最大電圧は+2Vであり(すなわちトッププレーンに対するバックプレーンにおいて)、一方最小値はゼロである。負電圧が必要な場合は、Vcom電位は少なくともゼロに上げられなければならない。したがって、トッププレーン切替えを使用して正および負電圧でディスプレイをアドレスするために使用される波形は、1つより多くのVcom電圧設定のそれぞれに割り当てられた特定のフレームを有さなければならない。
【0134】
4つの粒子を有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動するための波形の組は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,921,451号に記載されている。米国特許第9,921,451号では、3つの正電圧、3つの負電圧、およびゼロの7つの異なる電圧が画素電極に印加される。しかしながら、一部の実施形態では、これらの波形において使用される最大電圧は、非晶質ケイ素薄膜トランジスタにより対応され得るものより高い。そのような例では、好適な高電圧は、トッププレーン切替えの使用により得ることができる。(上述のように)Vcomが意図的にVKBに設定される場合、別個の電源が使用され得る。しかしながら、トッププレーン切替えが使用される場合、Vcom設定と同じ数だけ別個の電源を使用することは費用を要し、不便である。さらに、トッププレーン切替えはキックバックを増加させ、それにより色状態の安定性を低下させることが公知である。
【0135】
当技術分野において公知のいくつかの手法で、本発明の電気泳動媒体を使用してディスプレイデバイスを構築することができる。電気泳動媒体は、マイクロカプセル内にカプセル化されてもよく、または、ポリマー層でその後シールされるマイクロセル構造内に組み込まれてもよい。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、電気伝導性材料の透明コーティングを有するプラスチック基板または膜上にコーティングまたはエンボス加工され得る。このアセンブリは、電気伝導性接着剤を使用して、画素電極を有するバックプレーンにラミネートされ得る。代替として、電気泳動媒体は、画素電極の活性マトリックスを含むバックプレーン上に配置された薄い開放セルグリッド上に直接分注されてもよい。充填されたグリッドは、次いで統合された保護シート/光透過性電極で上部シールされ得る。
【0136】
図6は、本発明による使用に好適なディスプレイ構造600の概略断面図(縮尺通りではない)を示す。ディスプレイ600において、電気泳動媒体はマイクロセルに閉じ込められているように示されているが、マイクロカプセルを組み込んだ同等の構造もまた使用され得る。ガラスまたはプラスチックであり得る基板602は、個々にアドレスされたセグメントであるか、または活性マトリックス配置の薄膜トランジスタに関連付けられた画素電極604を備える第2の電極層を有する。基板602と画素電極604を備える第2の電極層との組合せは、従来、ディスプレイのバックプレーンと呼ばれる。層606は、バックプレーンに適用される本発明による必要に応じた誘電体層である。好適な誘電体層を堆積させるための方法は、参照により組み込まれる米国特許出願第16/862,750号に記載されている。ディスプレイの前面は、電気伝導性コーティングにより形成され得る第1の光透過性電極層620を有する透明基板622を備える。上を覆う第1の光透過性層620は、必要に応じた誘導体層618である。層(複数可)616は、第1の光透過性電極層620へのマイクロセルの接着のためのプライマー層、およびマイクロセルの底部を含むいくつかの残留ポリマーを含み得るポリマー層である。マイクロセル612の壁は、電気泳動媒体614を含むように使用される。マイクロセルは、シール層610でシールされ、前面構造全体は、電気伝導性接着剤層608を使用してバックプレーンに接着され得る。マイクロセルを形成するためのプロセスは、従来技術において、例えば米国特許第6,930,818号に記載されている。いくつかの例において、マイクロセルは、20μm未満の深さ、例えば15μm未満の深さ、例えば12μm未満の深さ、例えば約10μmの深さ、例えば約8μmの深さである。
【0137】
ほとんどの市販の電気泳動ディスプレイは、製造施設のより広い利用可能性、および様々な出発材料の費用のために、活性マトリックスバックプレーンの構築に非晶質ケイ素ベース薄膜トランジスタ(TFT)を使用している。残念ながら、非晶質ケイ素薄膜トランジスタは、約+/-15Vより高い電圧の切替えを可能にするゲート電圧が供給された場合、不安定となる。それにもかかわらず、後述されるように、ACePの性能は、高い正電圧および負電圧の大きさが+/-15Vを超えることが許容された場合、改善される。したがって、以前の開示で説明されたように、第1の光透過性電極のバイアスをバックプレーン画素電極に対するバイアスに対してさらに変化させる(トッププレーン切替えとしても知られる)ことにより、改善された性能が達成される。したがって、+30V(バックプレーンに対して)の電圧が必要である場合、適切なバックプレーン画素が+15Vに切り替えられる一方で、トッププレーンが-15Vに切り替えられ得る。トッププレーン切替えにより4粒子電気泳動システムを駆動するための方法は、例えば、米国特許第9,921,451号により詳細に記載されている。
【0138】
これらの波形は、ディスプレイの各画素が、30V、15V、0、-15Vおよび-30Vとして例示される、+V、+V、0、-Vおよび-Vで指定される5つの異なるアドレス電圧で駆動され得ることを必要とする。実際には、より多くの数のアドレス電圧を使用することが好ましくなり得る。3つの電圧(すなわち+V、0および-V)のみが利用可能である場合、電圧Vのパルスであるが1/nのデューティサイクルでアドレスすることにより、より低い電圧(例えばV/n、nは1よりも大きい正の整数)でのアドレスと同じ結果が達成可能となり得る。
【0139】
図4は、上述の4粒子カラー電気泳動ディスプレイシステムを駆動するために使用される典型的な波形(単純化された形態)を示す。そのような波形は、「プッシュプル」構造を有し、すなわち、それらは反対の極性の2つのパルスを含む双極子からなる。これらのパルスの大きさおよび長さは、得られる色を決定付ける。最低でも、5つのそのような電圧レベルが存在すべきである。図4は、高いおよび低い正および負電圧、ならびにゼロボルトを示す。典型的には、「低」(L)は、約5~15Vの範囲を指し、一方「高」(H)は、約15~30Vの範囲を指す。一般に、「高」電圧の大きさがより高い程、ディスプレイにより達成される色域はより良好である。一部の実施形態では、さらに「中」(M)レベルが使用され、これは典型的には約15Vであるが、Mの値は、粒子の組成、および電気泳動媒体の環境に幾分依存する。
【0140】
図4は、色を形成するために必要な最も単純な双極子を示しているが、実際の波形は、これらのパターンの複数の繰り返しであってもよく、または非周期的で5つより多くの電圧レベルを使用する他のパターンであってもよい。
【0141】
当然ながら、図4の駆動パルスで所望の色を達成することは、既知の状態からプロセスを開始する粒子次第であり、これは画素上で表示される最後の色となる可能性が低い。したがって、一連のリセットパルスが駆動パルスに先行し、これは、第1の色から第2の色への画素の更新に必要な時間量を増大させる。リセットパルスは、参照により組み込まれる米国特許第10,593,272号に詳細に記載されている。これらのパルス(リフレッシュおよびアドレス)の長さ、ならびに任意の休止の長さ(すなわちそれらの間のゼロ電圧の期間)は、波形全体(すなわち、波形全体にわたる時間に関する電圧の積分)がDC平衡化される(すなわち経時的な電圧の積分が実質的にゼロである)ように選択され得る。DC平衡は、アドレス段階で供給される正味インパルスに対してリセット段階で供給される正味インパルスの大きさが等しく、その符号が反対であるように(アドレス段階の間、ディスプレイは特定の所望の色に切り替えられる)、リセット段階におけるパルスおよび休止の長さを調節することにより達成され得る。しかしながら、図3B~3Eに示されるように、8つの原色の開始状態は、黒色または白色状態であり、これは持続的な低電圧駆動パルスにより達成され得る。この開始状態を達成する単純性は、状態間の更新時間をさらに低減し、これは使用者にとってより快いものであり、また消費電力量を低減する(したがって電池寿命を増加させる)。
【0142】
さらに、上記の波形の議論、および特にDC平衡の議論は、キックバック電圧の問題を無視している。実際には、前述のように、あらゆるバックプレーン電圧は、電源により供給される電圧からキックバック電圧VKBに等しい量だけ相殺される。したがって、使用される電源が3つの電圧+V、0および-Vを提供する場合、バックプレーンは実際には電圧V+VKB、VKBおよび-V+VKBを受ける(非晶質ケイ素TFTの場合のVKBは、通常負の数であることに留意されたい)。しかしながら、同じ電源は、いかなるキックバック電圧相殺もなしに、+V、0および-Vを第1の電極(前面電極)に供給する。したがって、例えば、第1の電極(前面電極)に-Vが供給される場合、ディスプレイは、2V+VKBの最大電圧およびVKBの最小電圧を受ける。第1の電極(前面電極)にVKBを供給するために別個の電源を使用する(これは費用を要し不便となり得る)代わりに、波形がセクションに分割され、第1の電極(前面電極)に正電圧、負電圧およびVKBが供給されてもよい。
【0143】
マイクロセル電気泳動ディスプレイ
【0144】
図6に示されるように、典型的なマイクロセル電気泳動ディスプレイは、第1の光透過性電極層と、複数のマイクロセルを備えるマイクロセル層と、画素電極を備える第2の電極層とを備える。複数のマイクロセルのそれぞれは、開口部を有する。複数のマイクロセルは、電気泳動媒体を含む。シール層は、複数のマイクロセルの開口部にわたる。シール層は、水性シール組成物により形成され得る。2022年11月14日に出願された米国特許出願シリアル番号18/055,072に記載のように、水性シール組成物は、シール層の体積抵抗率に影響する。この参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、水溶性エーテルを含む水性シール組成物が、シール層の体積抵抗率を低減させ、ディスプレイ性能に影響することが判明した。水溶性エーテルは、75~5,000ダルトンの重量平均分子量を有してもよい。水溶性エーテルは、上で示された式I、式IIまたは式IIIで表すことができる。水溶性エーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールn-モノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールn-モノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコールジイソプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、またはそれらの混合物からなる群から選択され得る。水性シール組成物は、水を除く水性シール組成物の重量の1.0重量%~40重量%の水溶性エーテルを含んでもよい。シール層は、シール膜の重量の0.5重量%~25重量%の含有量で水溶性エーテルを含んでもよい。水溶性エーテルは、必要に応じてヒドロキシル基を含んでもよい。
【0145】
本発明の発明者らは、電気泳動媒体中の水溶性エーテルの含有が、以下の実施例の項で示されるように、ディスプレイの電気光学性能により達成され得る色域を改善することを観察した。
【実施例
【0146】
(実施例1)
白色粒子分散液の調製。
【0147】
米国特許第7.002.728号に記載のように、二酸化チタン顔料の分散液を調製した。調製には、二酸化チタン粒子のシラン処理に続く、シラン処理顔料へのポリ(ラウリルメタクリレート)の共有結合が含まれる。
【0148】
(実施例2)
様々な電気泳動媒体中の白色粒子のゼータ電位決定。
【0149】
実施例1からのこの分散液と、電荷制御剤(Solsperse(商標)19000およびSolsperse(商標)8000)の様々な組合せとの混合物を調製した。各混合物の白色粒子のゼータ電位を、Isopar Gに分散させた試料に対してColloidal Dynamics AcoustoSizer IIおよびZetaProbeを使用して決定した。粒子のゼータ電位対電荷制御剤の総重量(Solsperse(商標)8000+Solsperse(商標)19000)におけるSolsperse(商標)8000の重量分率のグラフを、図7に示す。図7は、Solsperse(商標)19000のみを含む(Solsperse(商標)8000を含まない)電気泳動媒体中の白色粒子のゼータ電位が負であることを示している。Solsperse(商標)8000を添加すると、ゼータ電位は次第により陰性でなくなり、約0.4のSolsperse(商標)8000の重量分率では、白色粒子のゼータ電位は正になる。おそらく、十分な量のSolsperse(商標)8000が粒子上に吸着した場合、正電荷を有するSolsperse(商標)19000の吸着量が増加し、粒子表面上の電荷を変更する。図7のデータは、電気泳動粒子の表面電荷が、使用する電荷制御剤の性質および量を変更することにより制御され得ることを実証している。
【0150】
(実施例3)
I型電気泳動媒体の調製。
【0151】
3つの異なる電気泳動媒体A、B、Cを、米国特許第10,678,111号の実施例11に従い調製したが、但し、電荷制御剤は、米国特許第10,678,111号で使用されたSolsperse(商標)19000の代わりに、式IV(Rはポリリシノール酸;MW9,000である)の化合物であった。電気泳動媒体は、米国特許第10,678,111号に従い、白色粒子(W1)、シアン粒子(C1)およびマゼンタ粒子(M1)を含む。電気泳動媒体は、米国特許第10,678,111号の実施例11に記載のように分散された黄色顔料(ピグメントイエロー155;Clariant、Basel、Switzerlandにより供給されているインクジェットイエロー4GC)をさらに含んでいた。3つの電気泳動媒体A、BおよびCは全て、電気泳動媒体組成物の重量の0.9重量パーセントの濃度でポリジメチルシロキサン(約700,000の分子量を有するPDMS DMS-T72、Gelest Corporationから入手可能)もまた含んでいた。ポリジメチルシロキサンは、像安定化剤として作用するために添加された。電気泳動媒体Aは、Solsperse(商標)8000を含まない。電気泳動媒体Bは、黄色顔料のグラム当たり140mgの電荷制御剤の濃度でSolsperse(商標)8000を含む。電気泳動媒体Cは、黄色顔料のグラム当たり280mgの電荷制御剤の濃度でSolsperse(商標)8000を含む。表3は、電気泳動媒体組成物の重量での各種類の粒子の重量パーセントとして、電気泳動媒体中の粒子の濃度を提供する。
【0152】
【表3】
【0153】
(実施例4)
電気泳動ディスプレイA、BおよびCの調製。
【0154】
実施例3からの電気泳動媒体A、BおよびCを使用して、それぞれ電気泳動ディスプレイA、BおよびCを調製した。
【0155】
実施例4からの電気泳動ディスプレイA、BおよびC(それぞれ電気泳動媒体A、BおよびCから調製された)を、25℃で1ボルト間隔で+24V~-24Vの間で変わる電圧を有する500msの期間の方形波パルスでアドレスした。密度の変化率は、分光光度計を含む電気光学測定ベンチを使用して評価した。D. Hertel, "Optical measurement standards for reflective e-paper to predict colors displayed in ambient illumination environments," Color Research & Application, 43, 6, (907-921), (2018)を参照されたい。
【0156】
変化率は、図8A~8Cに示されるように、電気泳動ディスプレイAと比較して、電気泳動ディスプレイBおよびCにおいてより高かった。図8A、8Bおよび8Cは、それぞれ電気泳動媒体A、BおよびCを含むディスプレイの光学的外観を示し、電圧はx軸上であり、時間はy軸上である。
【0157】
電気泳動ディスプレイA、BおよびCのそれぞれの白色状態の色は、様々な負電圧での500msの駆動の終わりに決定した。この調査は、白色粒子および黄色粒子の分離が、ディスプレイAよりもディスプレイBおよびCにおいてより完全であることを実証した(ディスプレイAはSolsperse(商標)8000を有さない)。白色状態と黒色状態との間の遷移を作製するのに利用可能な電圧ウィンドウは、単純な電圧パルスで可能な限り広いことが好ましい。調査では、Solsperse(商標)8000を含まない電気泳動媒体Aを有するディスプレイAにおいて、白色状態が約-8Vより負の電圧で黄色により汚染されることが示された。黄色顔料のグラム当たり140mgのSolsperse(商標)8000を含む電気泳動媒体Bを有するディスプレイBの場合、白色状態は約-10Vより負である電圧で汚染されたが、一方電気泳動媒体Cの場合、-13Vでアドレスされた場合であっても黄色の汚染はほとんどなかった。また、白色/黄色境界点は、添加剤を含まない電気泳動媒体を有するディスプレイAに比べて、Solsperse(商標)8000を含有する電気泳動媒体BおよびCを備えるディスプレイBおよびCにおいてより鮮明であることが判明した。
【0158】
白色状態を達成するためにより負の電圧を使用することができる結果、黒色から白色へのより迅速な切替えが可能となる。図9は、3つの電気泳動媒体A、BおよびCの、それぞれ-8V、-10Vおよび-13Vにおける黒色から白色への切替えのトレースを示す。これらは、黄色顔料により過度の白色状態汚染を生成しない可能な限り負の電圧である。
【0159】
電気泳動ディスプレイA、BおよびCの25℃における色域を、以下に示す色域測定方法を使用して決定した。結果を図11および表4に要約する。
【0160】
【表4】
【0161】
表4のデータは、Solsperse(商標)8000および第1の電荷制御剤を含む電気泳動媒体BおよびCを使用したディスプレイが、Solsperse(商標)8000を含まない電気泳動媒体Aを使用したディスプレイの色域よりも高い色域を有することを示している。
【0162】
色域測定方法。
【0163】
実施例4からの電気泳動ディスプレイA、BおよびCを電気的に駆動して8つの光学状態(白、黄、赤、マゼンタ、青、シアン、緑および黒)を生成した。CIELab L、aおよびbでカラーコンピュータを使用して測定を行った。電気パルスのシーケンスを使用して、電気泳動デバイスをアドレスした(そのようなシーケンスは「波形」と呼ばれる)。以下の説明において、波形で使用される電圧は、ディスプレイの第2の電極層(裏面電極)に供給されるものであり、ディスプレイの前面(観察)表面の第1の光透過性電極は、全ての画素に対する共通電極であり、アースに接続されていることを想定している。試験波形は、図10に示されるように「双極子」のシーケンスを含む。各双極子は、2つの単極子で構成され、それぞれ長さtおよび大きさVのパルスである。各双極子における2つの単極子は、反対の極性を有する。試験波長において使用される電圧は、+/-24V、+/-18V、+/-15Vおよび+/-10Vであった。時間は、「フレーム」と呼ばれる11.74msの単位に離散化された。各フレームは、85Hzの周波数でリフレッシュされた薄膜トランジスタアレイバックプレーンの1スキャンに対応するが、説明された試験においては、バックプレーンはセグメント化され、直接駆動された。2種類の試験波形を使用して、デバイスの電気光学性能を評価した。第1の試験で使用された波形は、18フレームの長さを有し、一方第2の試験で使用された波形は、42フレームの長さを有していた。それぞれの場合において、波形には、許容される数のフレーム内に適合する数の同一双極子が配置された。ディスプレイの色域は、試験波形の組により生成された各着色状態を含む凸包の体積を演算することにより測定された。色域は、DE単位で報告される。より広い色域、すなわちより広い空間は、電気泳動ディスプレイのより良好な電気光学性能を意味する。
【0164】
(実施例5)
II型電気泳動媒体および対応する電気泳動ディスプレイの調製。
【0165】
実施例1において調製されたものと同様であるが、異なる黄色粒子を用いたII型の電気泳動媒体を調製した。黄色粒子およびその調製は、以下の実施例6に記載されている。実施例6からの黄色粒子および実施例7からの対照黄色粒子を使用して、様々な含有量の第2の電荷制御剤(例えばSolsperse(商標)8000)および第1の電荷制御剤(式IV)を含む様々な電気泳動媒体を調製した(本発明および対照の両方)。
【0166】
(実施例6)
実施例5のII型電気泳動媒体用の黄色顔料の調製。
【0167】
1リットルのプラスチックボトルに、72.0gのピグメントイエロー155(インクジェットイエロー4GC、Clariant Corporationにより供給)、28.8gの式IVで表される電荷制御剤のIsopar E溶液(21.6gの電荷制御剤および7.2gのIsopar Eを含む)、ならびに349.2のIsopar Eを加えた。Zirconoxビーズ(1.7~2.4mm)を使用して、分散液を16時間ロールミル処理した。450gの量の得られた分散液を、反応器内で、1.94gの2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、27.68gのメチルメタクリレート、52.36gのモノメタクリレート末端ポリ(ジメチルシロキサン)(Gelest MCR-M22)および65.38gのIsopar Eと混合した。反応器に窒素含浸管、オーバーヘッド撹拌インペラおよび空気凝縮器を組み付けた。オーバーヘッド撹拌を250rpmに設定し、反応混合物を窒素で65Cで60分間パージし、その後含浸管を取り外し、ロタメータ窒素レベルを設定した。小型バイアル内で、0.187gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)を2.24gの酢酸エチルに溶解し、シリンジに加えた。得られたAIBN溶液を5~10分にわたり反応器に注入し、反応混合物を65℃で16時間加熱した。反応混合物を2つの1リットル遠心ボトルに分注し、遠心分離した。上澄み液をデカンテーションし、残った顔料をIsopar Eで洗浄し、遠心分離した。洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。残った顔料を真空炉内で40℃で乾燥させた。乾燥させた顔料を、超音波処理を使用してIsopar E中に25重量パーセントまで分散させた。得られた分散液を200μmメッシュを通して濾過し、電気泳動媒体の調製に使用した。黄色粒子は、粒子の重量の31重量パーセントのポリマーを含んでいる。最終分散液中の黄色粒子のゼータ電位を、試料に対してColloidal Dynamics AcoustoSizer IIおよびZetaProbeを使用して決定し、+6mVであることが判明した。すなわち、黄色粒子はやや正の表面を有する。
【0168】
(実施例7)
実施例6のプロセスを繰り返したが、電荷制御剤を含めなかった。これは、II型媒体用の対照黄色粒子である。
【0169】
上述の色域測定方法を使用して、実施例5からの様々な本発明の電気泳動ディスプレイおよび対照ディスプレイの色域を決定した。この評価の結果を、表5に要約する。各ディスプレイに対して、対応するセル内の上の数字は、18フレームの長さの波形を使用した色域測定に対応する。対応するセル内の下の数字は、42フレームの長さの波形を使用した色域測定に対応する。II型電気泳動媒体の色域体積は、I型媒体により達成されるものよりも幾分小さい。
【0170】
【表5】
【0171】
白色状態から黒色状態に切り替わるのに必要な時間に関して、II型電気泳動媒体を備える同じディスプレイを評価した。決定は、+16Vパルスを印加し、最初の状態と最後の状態との間で30のデルタLに達するのに必要な時間を測定することにより行った。時間を測定し、表6においてミリ秒で報告する。
【0172】
【表6】
【0173】
データは、II型電気泳動媒体が、I型媒体よりもはるかに迅速に切り替わることを示している。
【0174】
上で示されたデータは、第1および第2の電荷制御剤の組合せを含む本発明の電気泳動媒体組成物が、色域および切替え速度の点で本発明によらない媒体よりも優れた性能を示すことを示している。これは、I型およびII型電気泳動媒体の両方について言える。
【0175】
(実施例8)
電荷制御剤A(2つの末端硫酸官能基および対イオンとしてH+を有する水素化ポリファルネセン)の調製。
【0176】
9.8gの量の水素化ヒドロキシル末端ポリファルネセン(Krasol F3100、3100g/モルの数平均分子量を有する;Cray Valleyにより供給)を、65mLのエチルエーテルに溶解した。クロロスルホン酸6mLのうち0.66mLの量を、窒素ガス下、0℃で一定撹拌下で溶液にゆっくりと添加した。反応物を18時間一定撹拌下で室温に温めた。エチルエーテル層を等体積の水で1回洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、材料をカラムクロマトグラフィー(0~10%メタノール/ジクロロメタン)により精製した。これにより、76%の収率で所望の生成物が得られた。
【0177】
(実施例9)
電荷制御剤B(2つの末端硫酸官能基および対イオンとしてNa+を有する水素化ポリファルネセン)の調製。
【0178】
ある量の水素化ヒドロキシル末端ポリファルネセン(Krasol F3100、3100g/モルの数平均分子量を有する;Cray Valleyにより供給)を、62mLのエチルエーテルに溶解した。クロロスルホン酸6mLのうち0.4mLの量を、窒素ガス下、一定撹拌下で溶液にゆっくりと添加した。反応物を48時間室温で撹拌した。次いで、50mLの水に溶解した0.75gのNaOHを反応物に添加し、さらに1時間撹拌した。次いで、有機層を水層から分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去すると、91%の収率で所望の生成物が得られた。
【0179】
(実施例10)
電荷制御剤Aおよび電荷制御剤Bを使用した様々な電気泳動ディスプレイの調製。
【0180】
実施例8および9の電荷制御剤は、水素化ファルネシル基および2つの末端スルフェート基を有する櫛形ポリマーである。上述のII型の電気泳動媒体を備える様々な電気泳動ディスプレイ。電気泳動媒体の顔料(白色、シアン、マゼンタおよび黄色粒子)。白色粒子は負電荷を有し、シアン、マゼンタおよび黄色は正電荷を有する。粒子の重量比は、白色:シアン:マゼンタ:黄色が72:9:11:9である。全電荷制御剤含有量は、顔料のグラム当たり42mgの電荷制御剤である。2つの電荷制御剤が存在する場合、カチオン性Solsperse(商標)8000電荷制御剤の非カチオン性Solsperse(商標)8000電荷制御剤に対する重量比は1:8である。電気泳動媒体の組成物はまた、表7に示されるような電荷制御剤または2つの電荷制御剤の組合せ、炭化水素溶媒、およびポリジメチルシロキサン流体を含む。ディスプレイを、25℃で500ミリ秒にわたり-11V~-16Vの駆動電圧掃引に曝露したが、これはディスプレイの色状態の変化を提供する。0秒の時点、および電圧掃引中の約80ミリ秒毎に、各ディスプレイの色(L、a、およびb)をカラーコンピュータにより測定した。本発明の実施例10B、10Cおよび10Dは、比較例10Aよりも大幅に迅速な色切替えを示した。最も迅速な切替えは実施例10Cのディスプレイで観察され、続いて実施例10Dのディスプレイ、続いて実施例10Bのディスプレイであった。比較例10Aのディスプレイは、500ミリ秒の試験間隔内では安定した色(定常状態)を提供しなかった。4つの例のディスプレイの評価を、0℃で500ミリ秒にわたる-18V~-22Vの電圧掃引について繰り返した。結果は、25℃での評価で観察されたものと類似していた。
【0181】
【表7-1】
【0182】
(実施例11)
シール層を形成するための水性シール組成物。
【0183】
マイクロセル電気泳動ディスプレイのシール層の評価。II型電気泳動媒体を使用して、マイクロセル様々なマイクロセル電気泳動ディスプレイを調製した。マイクロセル電気泳動ディスプレイは、第1の光透過性電極層、マイクロセル層、および第2の電極層を含んでいた。マイクロセル層は、各マイクロセルが開口部を有する複数のマイクロセルと、マイクロセルの開口部にわたるシール層とを備えていた。シール層は、米国特許出願公開第2022/0251364A1号(出願シリアル番号17/590,705)、米国特許出願公開第2022/0244612A1号(出願シリアル番号17/590,835)、および米国特許出願シリアル番号18/055,072に記載のように水性組成物をコーティングすることにより形成された。シール層の効果を評価するために、2つの異なる水性シール組成物を調製し、対応するシール層を形成するために使用した(表7の実施例11Aおよび11B)。実施例1は水溶性エーテルを含み、一方実施例12は水溶性エーテルを含まない。
【0184】
【表7-2】
【0185】
[1]ポリ(ビニルアルコール-コ-エチレン)コポリマー;Exceval(商標)RS-1717、Kurarayにより供給;
[2]ポリウレタン水性分散液;L3838水性分散液、Hauthawayにより35%水中分散液として供給;
[3]カーボンブラック;Nerox(登録商標)3500、Orion Engineered Carbonにより供給;
[4]ポリカルボジイミド(多官能性ポリカルボジイミド-水溶液);CARBODILITE(登録商標)V-02-L2、日清紡ケミカル株式会社により40%水溶液として供給;
[5]疎水性改質アルカリ膨潤性アクリルエマルジョン;Solthix(商標)A-100、Lubrizolにより供給;
[6]シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー;Silwet(登録商標)L-7607コポリマー、Momentiveにより供給。
【0186】
(実施例12)
電荷制御剤または電荷制御剤の組合せを含む電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイの調製および評価。
【0187】
異なるII型電気泳動媒体を有する一連のマイクロセル電気泳動ディスプレイを調製および評価した。マイクロセル電気泳動ディスプレイは、第1の光透過性電極層、マイクロセル層、および第2の電極層を含んでいた。マイクロセル層は、各マイクロセルが開口部を有する複数のマイクロセルと、マイクロセルの開口部にわたるシール層とを備えていた。水溶性エーテルであるジプロピレングリコールジメチルエーテルを含まない実施例11Bの水性組成物をコーティングすることより、シール層を形成した。電気泳動媒体は、負電荷を有する白色粒子、ならびに正電荷を有するシアン、マゼンタおよび黄色粒子を含んでいた。白色粒子は、メチルメタクリレートモノマーおよび2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートの共重合により形成されたポリマーで表面処理された二酸化チタン顔料をベースとしていた。シアン粒子は、米国特許第9,921,451号の実施例7に記載のようにメチルメタクリレートおよびジメチルシロキサンモノマーにより形成されたポリマーで表面処理された銅フタロシアニン顔料(PB15:3)をベースとしていた。マゼンタ粒子は、米国特許第9,697,778号および米国特許第9,921,451号の実施例5に記載のようにビニルベンジルクロリドおよびラウリルメチルアクリレートにより形成されたポリマーで表面処理されたジメチルキナクリドン(PR122)をベースとしていた。黄色粒子は、メチルメタクリレートおよびジメチルシロキサンにより形成されたポリマーで表面処理されたピグメントイエロー155をベースとしていた。電気泳動媒体は全て、US2020/0355978のCCA111の実施例1からのカチオン性電荷制御剤も含んでいた。電気泳動媒体を含む本発明の実施例のうちの2つ(12Bおよび12E)の電気泳動媒体は、別の電荷制御剤(Solsperse(商標)8000)もまた含んでいた。第2の電荷制御剤の分子構造は2つまたはそれより多くの極性基(アミノ基)および非極性尾部を含む。組成物および評価データは全て、表8の実施例12A~実施例12Eに記載されている。表中の記号Xは、組成物中の対応する成分の存在を意味する。電気泳動ディスプレイの色域は、上述の色域測定方法により測定された。表の各色状態のC(彩度)測定は、カラーコンピュータにより測定された。ゼータ電位は、実施例6に開示された方法により測定された。
【0188】
【表8-1】
【表8-2】
【0189】
表8のデータは、電荷制御剤の組合せ(US2020/0355978の実施例1 CCA111からの電荷制御剤およびSolsperse(商標)8000)を含む電気泳動媒体を用いた電気泳動ディスプレイが、改善された電気光学性能を示したことを実証している。具体的には、カチオン性電荷制御剤(および7のゼータ電位を有する黄色粒子)と組み合わせてSolsperse(商標)8000を含む電気泳動ディスプレイ電気泳動媒体の色域が、同じ黄色粒子を含むがSolsperse(商標)8000を含まない電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイよりも広い(実施例12B対比較例12A)。同様に、実施例12Eのディスプレイの色域は、実施例12Dの色域より広い。
【0190】
(実施例13)
(a)電荷制御剤または電荷制御剤の組合せを含む電気泳動媒体、および(b)水溶性エーテルを含むシール層を有する電気泳動ディスプレイの組成物および評価データ。
【0191】
異なるII型電気泳動媒体を有する別の一連のマイクロセル電気泳動ディスプレイを調製および評価した。ディスプレイの構造は、上記実施例12に記載されている。また、電気泳動粒子の性質も実施例12に記載されている。実施例12の電気泳動ディスプレイのシール層を形成する(実施例11Aからの)実施例13の水性シール組成物は全て、水溶性エーテルを含んでいた。電気泳動媒体は全て、US2020/0355978のCCA111の実施例1からのカチオン性電荷制御剤も含んでいた。表9に示されるように、様々なポリマー含有量およびゼータ電位を有する異なる黄色粒子を調製した。表中の記号Xは、組成物中の対応する成分の存在を意味する。電気泳動ディスプレイの色域は、上述の色域測定方法により測定された。表の各色状態のC(彩度)測定は、カラーコンピュータにより測定された。ゼータ電位は、実施例6に開示された方法により測定された。
【0192】
【表9-1】
【表9-2】
【0193】
表9のデータは、シール層を形成するシール組成物中の水溶性エーテルの含有が、対応する電気泳動ディスプレイの電気光学性能を大幅に改善することを実証している(実施例13A対比較例12A、実施例13B対実施例12B、実施例13C対比較例12C、実施例13E対比較例12D、実施例13F対実施例12Eの色域)。さらに、表9のデータは、同様の黄色粒子を有する電気泳動媒体中に電荷制御剤の組合せが存在するディスプレイにおいて、改善された電気光学性能が観察されることを実証している(実施例13B対実施例13A、実施例13D対実施例13C、実施例13F対実施例13D等の色域)。最後に、表9のデータは、より低いゼータ電位を有する黄色粒子を有する電気泳動媒体が、より良好な性能を示すことを実証している(実施例13H対実施例13Gの色域)。色性能の改善は、黄色状態および緑状態における増加したCにより示されるように、より良好なこれらの2つの状態に起因し得る。さらに、比較例13Aと比較した比較例13Bのより低い暗色状態Cにより(また表8の一連の例から)示されるように、より無彩色の暗色状態(黒色)もまた得ることができる。したがって、(a)電荷制御剤の組合せ(US2020/0355978の実施例1 CCA111からのカチオン性電荷制御剤およびSolsperse(商標)8000)ならびに(b)電気泳動ディスプレイの水性シール組成物中の水溶性エーテルの使用の両方が、黄色、緑色および暗色状態、ならびに対応する電気泳動ディスプレイの全般的な色域を改善する。この改善は、使用される黄色粒子とは無関係に全ての場合において観察される(実施例13D対実施例13C、実施例12E対比較例12D、および実施例13F対実施例13Eを参照されたい)。しかしながら、表1のデータは、例えば実施例13Fおよび実施例13Hの場合のように、黄色粒子のゼータ電位が6~11の範囲内であり、黄色粒子のポリマー含有量が比較的低い例において、最も高い色域が達成されることを示している。
【0194】
したがって、全般的に、(a)電荷制御剤の組合せを含む電気泳動媒体、(b)シール層を形成する水性シール組成物中の水溶性エーテル、および(c)低いゼータ電位を維持しながら比較的低いポリマー含有量を有する黄色粒子を含む電気泳動媒体(実施例13Gおよび実施例13H)を有する電気泳動ディスプレイは、黄色状態のより高い彩度(C)、緑色状態のより高い彩度(C)、および暗色状態のより低いCを示した。本発明の発明者らはまた、提供された特徴(a)、(b)および(c)を有するディスプレイが、これらの特徴を有さないディスプレイよりも、暗色状態から白色状態への大幅に迅速な切替え速度を示す(+24V~-24Vの電圧掃引で駆動された場合)ことを観察した。最も顕著な切替え速度の改善は、比較的低いポリマー含有量を有する黄色粒子を含む電気泳動媒体を有するディスプレイ、例えば、ポリマー含有量が黄色粒子の重量の32.7重量%である実施例13Fにおいて観察された。
【0195】
(実施例14)
(a)電荷制御剤または電荷制御剤の組合せを含む電気泳動媒体、および(b)水溶性エーテルを備える電気泳動ディスプレイの組成物および評価データ。
【0196】
異なるII型電気泳動媒体を有する別の一連のマイクロセル電気泳動ディスプレイを調製および評価した。ディスプレイの構造は、上記実施例12に記載されている。また、電気泳動粒子の性質も実施例12に記載されている。
【0197】
実施例14の電気泳動ディスプレイのシール層を形成する(実施例11Aからの)実施例14の水性シール組成物のうちの2つは、水溶性エーテルを含んでいた(実施例14Dおよび実施例14E)。実施例14の電気泳動ディスプレイのシール層を形成した(実施例11Bからの)実施例14の水性シール組成物の残りは、水溶性エーテルを含んでいなかった(比較例14A、実施例14B、実施例14Cおよび実施例14F)。電気泳動媒体は全て、US2020/0355978のCCA111の実施例1からのカチオン性電荷制御剤を含んでいた。実施例14の電気泳動媒体組成物のうちの3つ(実施例14B、実施例14Eおよび実施例14F)はまた、第2の電荷制御剤(Solsperse(商標)8000)を含む。第2の電荷制御剤の分子構造は2つまたはそれより多くの極性基(アミノ基)および非極性尾部を含む。例の全ての黄色粒子は、粒子の重量の33.3重量パーセントの同じポリマー含有量を含む。表中の記号Xは、組成物中の対応する成分の存在を意味する。電気泳動ディスプレイの色域は、上述の色域測定方法により測定された。表の各色状態のC(彩度)測定は、カラーコンピュータにより測定された。組成物および評価データは、表10に記載される。
【0198】
表8および表9の組み合わせたデータは、実施例12A、実施例12B、実施例13Aおよび実施例13Bを比較することにより結論付けられ得るように、(a)電気泳動媒体中のSolsperse(商標)8000、および(b)シール層中の水溶性エーテルの存在の要素に対する相乗効果があることを示していた。すなわち、(a)電気泳動媒体中のSolsperse(商標)8000、および(b)シール層中の水溶性エーテルの含有により色域を拡張する効果は、独立した要素(a)および(b)のそれぞれの相加的効果よりも大きい。
【0199】
表8および表9の組み合わせたデータはまた、実施例12A、実施例12C、実施例13Aおよび実施例13Cを比較することにより結論付けられ得るように、(b)シール層中の水溶性エーテルの存在、(c)黄色粒子に対するより低いポリマー含有量の要素に対する相乗効果があることを示していた。すなわち、(c)電気泳動媒体中のより低いポリマー含有量を有する黄色粒子、および(b)シール層中の水溶性エーテルの含有により色域を拡張する効果は、独立した要素(c)および(b)のそれぞれの相加的効果よりも大きい。
【0200】
【表10-1】
【表10-2】
【0201】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、マイクロセル電気泳動ディスプレイのシール層を形成する水性シール組成物中に水溶性エーテルを有することの、ディスプレイの色性能に対する効果が、電気泳動媒体中に水溶性エーテルを組み込むことにより部分的に達成され得ることを見出した。これは、表10のデータに示される。実施例14Cのデータは、電気泳動媒体中のジプロピレングリコールジメチルエーテルと併せた、US2020/0355978のCCA111の実施例1からの電荷制御剤の存在が、対照比較例14Aと比較して、対応するディスプレイの電気光学性能を改善することを示した。比較例14Cの電気泳動媒体中の第2の電荷制御剤(Solsperse(商標)8000)のさらなる追加は、実施例14Fに示されるようにさらなる改善をもたらしたが、その効果は、シール層を形成する水性シール組成物中に水溶性エーテルを有する場合(実施例14E)ほど顕著ではなかった。
【0202】
様々な電気泳動媒体(II型)を用いてマイクロセル電気泳動ディスプレイを構築した。ディスプレイは、第1の光透過性電極層と、複数のマイクロセルを備えるマイクロセル層であって、複数のマイクロセルの各マイクロセルは開口部を有する、マイクロセル層と、複数のマイクロセルの開口部にわたるシール層と、第2の電極層(下部電極)とを備えていた。
【0203】
このように、本出願の技術のいくつかの態様および実施形態を説明したが、当業者は、様々な改変、修正および改善を容易に思い付くことが理解されるべきである。そのような改変、修正および改善は、本出願に記載の技術の精神および範囲内であることが意図される。例えば、当業者は、本明細書に記載の機能を実行する、ならびに/または結果および/もしくは利点の1つもしくはそれより多くを得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形および/または修正はそれぞれ、本明細書に記載の実施形態の範囲内であると見なされる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】