(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】メディアギャップモータ、燃料電池システム及び使用
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20250109BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20250109BHJP
H01M 8/04111 20160101ALI20250109BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20250109BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F04D29/44 S
H01M8/04 Z
H01M8/04111
H01M8/00 Z
F04D29/44 P
H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540918
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2023050095
(87)【国際公開番号】W WO2023131614
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524255069
【氏名又は名称】ジープラスエル イノテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒーバー、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴデケ、ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】クランカー、クリストフ
【テーマコード(参考)】
3H130
5H127
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AA24
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB62
3H130AC13
3H130BA24B
3H130BA66B
3H130BA97B
3H130CA03
3H130CA08
3H130CB14
3H130DA02Z
3H130EA06B
3H130EA07B
5H127AB04
5H127AC07
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127EE18
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC05
5H607DD03
5H607FF07
(57)【要約】
本願は、メディアギャップモータ(10)に、及びメディアギャップモータ(10)を含む燃料電池システム(1)にも関する。本願は追加的に、メディアギャップモータ(10)及び燃料電池システム(1)の使用に関する。例えば燃料電池システム(1)のための提案されるメディアギャップモータ(10)は、ロータマグネット(22)が収容されるシャフト(15)を有する。メディアギャップモータ(10)は追加的に、シャフト(15)の回転を電気的に駆動するためのステータ巻線(23)を伴うステータを有する。メディアギャップモータ(10)は更に、シャフト(15)及びステータの間に形成される流れ空間(12)を画定するハウジング(26)を有する。メディアギャップモータ(10)は更に、流れ空間(12)に、かつシャフト上に配置されるインペラ(13)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータマグネットが収容されるシャフト、
前記シャフトの回転を電気的に駆動するための、ステータ巻線を有するステータ、
前記シャフト及び前記ステータの間に形成される流れ空間を画定するハウジング、及び
前記流れ空間に、且つ、前記シャフト上に配置されるインペラ
を備え、
前記シャフトを径方向に支持するために前記ハウジング及び前記シャフトの間の前記流れ空間において延在する保持リブを更に備える、
メディアギャップモータ。
【請求項2】
前記シャフト上に配置されるタービンホイールを特徴とし、ここで、前記ハウジングは、更なる流れ空間を画定し、前記タービンホイールは、前記更なる流れ空間に配置され、前記シャフトを径方向に支持するために前記ハウジング及び前記シャフトの間の前記更なる流れ空間に延在する更なる保持リブを備える、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項3】
前記タービンホイールが前記更なる保持リブ及び前記インペラの間に配置される、請求項2に記載のメディアギャップモータ。
【請求項4】
前記インペラ及び前記タービンホイールは、前記保持リブ及び前記更なる保持リブの間に配置される、請求項2に記載のメディアギャップモータ。
【請求項5】
前記更なる流れ空間に配置される前記シャフトの部分に収容される更なるロータマグネットが提供され、前記シャフトの回転を電気的に駆動するために、前記更なるロータマグネットと協働するように構成される更なるステータ巻線が提供される、請求項2に記載のメディアギャップモータ。
【請求項6】
前記更なる保持リブが、前記更なるロータマグネット及び/又は前記更なるステータ巻線との軸方向の重複を有するように、前記更なる保持リブが前記更なる流れ空間に配置される、請求項5に記載のメディアギャップモータ。
【請求項7】
前記シャフトを軸方向に支持するための部分を備え、前記部分は、前記保持リブの一部として具現化されるか、又は、前記保持リブに接続され、前記部分は、前記シャフトを軸方向に支持するために、前記シャフトの表面に作用する、請求項2に記載のメディアギャップモータ。
【請求項8】
前記シャフトについての第2径方向ベアリングを特徴とし、ここで前記第2径方向ベアリングは、前記メディアギャップモータの前記ハウジングに配置される、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項9】
前記シャフトは、第1部分及び第2部分を伴う一体の補強材を有し、前記ロータマグネットは、前記補強材の前記第1部分の内側に収容され、前記インペラは、前記補強材の前記第2部分上に配置される、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項10】
前記補強材は、一定の材料特性を伴う連続片からできているコンポーネントとして及び非接合コンポーネントとして具現化され、前記補強材は鋼からできている、請求項9に記載のメディアギャップモータ。
【請求項11】
前記補強材は、前記インペラを通るように延び、その第2部分は、前記インペラの軸方向長さの少なくとも3分の2にわたる、請求項9に記載のメディアギャップモータ。
【請求項12】
前記補強材の前記第1部分は、前記補強材の前記第2部分より大きい外径を有する、請求項9に記載のメディアギャップモータ。
【請求項13】
前記補強材の前記第1部分及び前記第2部分の間には、前記補強材の前記外径が連続的に低減する領域が形成される、請求項12に記載のメディアギャップモータ。
【請求項14】
前記補強材の前記第2部分は、前記インペラが当たる段部で終端する、請求項9に記載のメディアギャップモータ。
【請求項15】
前記補強材は、前記補強材の前記段部の領域において、前記補強材及び前記インペラの間の実質的に平坦な移行が提供されるように具現化される、請求項14に記載のメディアギャップモータ。
【請求項16】
前記ハウジングの前記流れ空間に配置される液滴分離器を備える、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項17】
前記液滴分離器が、前記インペラを収容する前記流れ空間の部分への移行部に配置される、請求項16に記載のメディアギャップモータ。
【請求項18】
前記液滴分離器は、前記保持リブの下流に配置される、請求項16に記載のメディアギャップモータ。
【請求項19】
前記保持リブは、前記流れ空間において伝達される媒体において渦を生成するように構成される、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項20】
前記媒体が前記保持リブに対して流れる結果として前記伝達される媒体において渦が生成されるように、前記保持リブが軸方向に対して角度を付けて延びる、請求項19に記載のメディアギャップモータ。
【請求項21】
前記保持リブが、前記インペラの上流に配置される、請求項19に記載のメディアギャップモータ。
【請求項22】
前記シャフトを軸方向に支持するための部分を備え、ここで前記部分は、前記保持リブの一部として具現化されるか、又は、前記保持リブに接続される、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項23】
前記部分は、前記シャフトを軸方向に支持するために、例えば軸方向に垂直な表面を有する前記シャフトの表面に作用する、請求項22に記載のメディアギャップモータ。
【請求項24】
前記保持リブが前記ロータマグネット及び/又は前記ステータ巻線との軸方向の重複を有するように、前記保持リブが配置される、請求項1に記載のメディアギャップモータ。
【請求項25】
前記保持リブは、磁束を最適化するために、前記ロータマグネット及び前記ステータ巻線によって形成される磁気回路のアクティブ部を形成する、請求項24に記載のメディアギャップモータ。
【請求項26】
前記保持リブが磁気伝導特性を有する、請求項25に記載のメディアギャップモータ。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載のメディアギャップモータを備える燃料電池システム。
【請求項28】
前記インペラが、燃料を誘導するためのチャネルに、又は、酸化剤を誘導するためのチャネルに配置される、請求項27に記載の燃料電池システム。
【請求項29】
前記メディアギャップモータは、請求項2に記載のメディアギャップモータであり、酸化剤を燃料電池に供給するための酸化剤供給ライン、及び、酸化剤及び/又は反応生成物を前記燃料電池から排出するための排出ラインを備え、ここで前記インペラが配置される前記流れ空間は、前記酸化剤供給ラインの一部を形成し、ここで、前記タービンホイールが配置される前記更なる流れ空間は、前記排出ラインの一部を形成する、請求項28に記載の燃料電池システム。
【請求項30】
車両における電気駆動力を提供するための、請求項1から26のいずれか一項に記載のメディアギャップモータ、又は、請求項27に記載の燃料電池システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、特に燃料電池システムのためのメディアギャップモータ及びメディアギャップモータを含む燃料電池システムに関する。本願は追加的に、メディアギャップモータ及び燃料電池システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電気駆動力を提供する燃料電池システムを有する車両が知られている。典型的には、プロトン交換膜を有する水素-酸素燃料電池がここで使用される。ここで燃料は、水素であり、アノード回路を介して燃料電池のアノード側に供給される。ここで酸化剤は酸素であり、カソード回路を介して燃料電池のカソードに供給され、ここで燃料と反応してエネルギーを生成する。例えば、公報DE 10 2016 015 266 A1は、関連する種類の従来技術を説明しており、ここでは、タービンホイール及びインペラを有する空気供給デバイスがカソード回路に配置される。ここでエアベアリングが径方向及び軸方向ベアリングの両方の役割を実行する。
【発明の概要】
【0003】
対照的に、改善されたメディアギャップモータ及び改善された燃料電池システム及びそれらの使用を提案することが本願の目的である。特に、本願の目的は、特に小型かつ耐久性のある構成を伴って高効率を確実にすると同時に比較的容易に製造されるメディアギャップモータを提案することである。さらに、本願の目的は、対応して有利な燃料電池システム及び対応して有利な使用を提案することである。
【0004】
これらの目的は、請求項1の特徴を有するメディアギャップモータによって、及び、更なる請求項の特徴を有する燃料電池システム及び使用によって達成される。有利な発展は、従属請求項及び例示的な実施形態の特徴において見られ得る。
【0005】
例えば燃料電池システムのための提案されたメディアギャップモータは、シャフトを有し、その中にはロータマグネットが収容されている。メディアギャップモータは追加的に、シャフトの回転を電気的に駆動するためのステータ巻線を有するステータを有する。ステータ巻線及びロータマグネットは、この目的のために連携し得る。メディアギャップモータはさらに、シャフト及びステータの間に形成される流れ空間を画定するハウジングを有する。メディアギャップモータは更に、流れ空間において且つシャフト上に配置されるインペラを有する。
【0006】
有利な実施形態において、メディアギャップモータは、ハウジング及びシャフトの間のシャフトの径方向支持のために流れ空間において延在する保持リブを有し得る。従って、保持リブは一般に、シャフトについての径方向ベアリング、又は、シャフトについての径方向ベアリングの一部を形成する。流れ空間において延在する保持リブを提供することによって、メディアギャップモータが特にロバストかつ耐久性があることを確実にすることが可能である。典型的には、保持リブは完全に流れ空間内に位置する。一般に、保持リブは、上流に位置する軸方向端、及び、下流に位置する軸方向端を有し、ここで両方の端部は流れ空間に配置され、例えば、伝達される媒体はそれらの周りを流れる。いくつかの実施形態において、シャフトについての第2径方向ベアリングが提供され得、いくつかの実施形態において、シャフトは、メディアギャップモータのハウジング内に配置され得る。一般に、伝達される媒体は、シャフトについての第2径方向ベアリングの周りを流れない。流れ空間において保持リブを提供することによって、第2径方向ベアリングは、比較的省スペースかつ低い複雑性で形成され得る。従って、保持リブはまた、メディアギャップモータが特にロバストであり、小型であり、省スペースであり、比較的単純な構造であるという利点を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、保持リブはインペラの上流に配置されている。これにより、特にロバストな構造が達成されることが可能にする。保持リブは、例えば、シャフトの軸方向端の領域において、特に上流側で、シャフトを径方向に支持し得る。例えば、それは、インペラが流れ空間の径方向に広がった部分に収容されるように提供され得る。いくつかの実施形態において、保持リブは、比較的狭い流れ空間の部分に配置され得る。
【0008】
メディアギャップモータのいくつかの実施形態はタービンホイールを有する。タービンホイールはシャフト上に配置され得る。典型的には、ハウジングは更なる流れ空間を画定する。タービンホイールは更なる流れ空間に配置され得る。追加の保持リブも提供され得る。更なる保持リブは、シャフトを径方向に支持するために、ハウジング及びシャフトの間の更なる流れ空間において延在し得る。従って、更なる保持リブは一般に、シャフトについての更なる径方向ベアリング、又は、シャフトについての更なる径方向ベアリングの一部を形成する。保持リブ及び追加の保持リブを伴う実施形態は特にここで有利である。なぜなら、特に小型かつ安定的な構造を結果としてもたらすからである。保持リブ及び更なる保持リブの提供は、流れ空間及び更なる流れ空間におけるシャフトの安定的な径方向の支持を結果としてもたらし、その結果、ハウジングにおける、又は、流れ空間の外側の更なる径方向ベアリングは一般に必要でなく、それにより、小さい全体サイズが達成され得る。流れ空間及び更なる流れ空間は一般に、互いに流体的に分離されている。この目的のために、流体シールがインペラ及びタービンホイールの間の領域におけるシャフトの周りに提供され得る。インペラ及びタービンホイールの間の径方向ベアリングが提供され得るが、従来技術であるDE 10 2016 015 266 A1とは対照的に、大部分の実施形態において全く必要ない。なぜなら、例えば、径方向支持は通常、それぞれの流れ空間における保持リブ及び更なる保持リブによって十分に提供されるからである。これは、追加の設置空間が、複雑なベアリング技術に必要でないことを意味する。
【0009】
いくつかの実施形態において、タービンホイールは、更なる保持リブ及びインペラの間に配置される。これにより、ロバストであると同時に省スペースの構成を生成する。いくつかの実施形態において、インペラ及びタービンホイールが保持リブ及び更なる保持リブの間に配置されることが提供される。これにより、保持リブ及び更なる保持リブを通じる特にロバストな支持及び高い剛性が達成されることを可能にする。保持リブ及び更なる保持リブは各々、シャフトの反対の端部に配置されるシャフトの2つの部分のうち一方に作用し得る。
【0010】
タービンホイールを提供することによって、更なる流れ空間を通じて流れ出る媒体のエネルギーの一部が、インペラを駆動するために使用され得る。インペラの駆動は、メディアギャップモータのステータ巻線及びロータマグネットによって実装され得る、又はこれらによって支援され得る。特に、メディアギャップモータの効率を増加させるために、メディアギャップモータがインペラを電気的に始動することは有利であり得る。タービンホイールを有する実施形態において、流れ空間は、取入システムの一部及び流出システムの更なる流れ空間部分を形成し得る。メディアギャップモータがより多くの媒体を供給し、効率が増加され得るように、流出システムにおけるタービンホイールを駆動することによって、取入システムにおける媒体圧力は増加され得る。燃料電池システムについてのメディアギャップモータの適用の場合において、例えば、燃料電池についての水素供給ラインにおける水素圧力は、このようにして効率的に増加され得る。
【0011】
ロータマグネットは典型的には、流れ空間に配置されるシャフトの部分に収容される。シャフトの別の部分に収容され、例えば、更なる流れ空間に配置されるシャフトの部分に収容される、更なるロータマグネットも提供され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、更なる流れ空間に、又は、流れ空間の外側に配置されるシャフトの部分にロータマグネットが収容されることが提供され得る。更なる流れ空間に配置されるシャフトの部分に収容される更なるロータマグネットを伴う実施形態において、更なるロータマグネットと協働してシャフトの回転を電気的に駆動するように構成される更なるステータ巻線が提供され得る。この実施形態は特にバランスがよく、シャフトの結果的な回転が、第1ステータ巻線及び第2ステータ巻線における、対象とされる電流の流れによって、及び、したがって、シャフトの異なる軸方向部分に対する作用によって駆動されるロバストな構成を可能にする。更なる保持リブが、更なるロータマグネット及び/又は更なるステータ巻線との軸方向の重複を有するように、更なる保持リブは更なる流れ空間に配置されることが提供され得る。これにより、特にロバストな構成が達成されることを可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態において、保持リブは、流れ空間において伝達される媒体において渦を生成するように構成される。このように、保持リブは例えば、伝達される媒体における渦を生成するために、インペラの上流に先端グリッド及び/又は下流に末端グリッドを形成し得る。この目的のために、保持リブ又は保持リブの少なくとも一部が、渦を生成するように角度を付けられていることが提供され得る。例えば、上記媒体が保持リブに対して流れる結果として、伝達される媒体において渦が生成されるように、保持リブは、軸方向に対して角度を付けて延びている。このように、流れ特性は、保持リブによって最適化され得る。この場合、インペラブレードは、角度を付けられていない保持リブと比べて異なる流れに晒され、これは、メディアギャップモータのより高い効率が達成され得ることを意味する。従って、保持リブがインペラの上流に配置される場合、特に有利であり得る。従って、保持リブはまた、媒体における渦を生成する機能を有する。特に、下で記載される液滴分離器と併せて、媒体における渦の生成は、下で説明されるように特に有利であり得る。
【0013】
保持リブを通じて保持リブの上流端から保持リブの下流端へ媒体が流れるように、保持リブは一般に、流れ空間に収容される。流れ空間は、少なくとも部分的又は完全に、シャフト及びハウジングの間の間隙、特に、実質的に中空の円筒形の間隙によって形成され得る。保持リブは、円周に沿って均等に又は規則的に配置され得る。典型的な実施形態において、メディアギャップモータは、少なくとも2つの又は少なくとも3つの及び/又は最大24の保持リブを周方向に沿った流れ空間に有する。空間は一般に、隣接する保持リブの間に形成され、それを通じて、伝達される媒体の全体、又は、伝達される媒体の少なくとも一部が流れる。典型的な実施形態において、保持リブは、軸方向に長く、軸方向に延在する。加えて、典型的な実施形態において、保持リブは、実質的に径方向に、シャフト及びハウジングの間に延在する。原則として、ステータのコイル又は巻線、及び特に、固体の物体は、媒体が流れる間隙に配置されない。間隙は典型的には、保持リブによって周方向に両方の側で限定される。径方向外側領域において、間隙は通常、ハウジングの内壁によって限定される。媒体が流れる間隙の程度は一般に、保持リブが配置される軸方向領域におけるシャフトの外径の少なくとも4分の1、特に、少なくとも半分、及び/又は、最大8倍、特に最大4倍である。ステータ巻線は、流れ空間の径方向のシールを越えて配置され、それにより、磁束及び流れ特性の両方が最適化され得ることが提供され得る。
【0014】
例えば、保持リブに接続された保持リブ及び/又はベアリング部分はシャフトについての径方向エアベアリングを形成することが提供され得る。しかしながら、保持リブ及び/又は接続されたベアリング部分がシャフトと接触する径方向ベアリングを形成することも可能である。ベアリング部分は2又はより多くの保持リブを接続し得る。ベアリング部分は典型的には、保持リブによって保持される。ベアリング部分は、スリーブ、例えば特に円筒スリーブであり得る。スリーブは、シャフトを特に全体的に囲み得る。スリーブが保持リブの径方向内側部分に接続されることが可能である。いくつかの実施形態において、間隙は、スリーブによって径方向内側領域において画定されることも提供され得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、メディアギャップモータは、シャフトの軸方向支持の部分を有する。当該部分は、保持リブの一部として具現化され得るか、又は、保持リブに接続され得る。特に、保持リブの径方向内側領域における部分は、保持リブの一部として具現化され得るか、又は保持リブに接続され得る。当該部分は例えば、上に記載されたスリーブの一部として形成され得る。当該部分は例えば、軸方向支持のためにシャフトを囲む、又は、軸方向支持のためにシャフトと係合する突起部を有し得る。特に、当該部分は、シャフトの軸方向端を部分的又は完全に囲むことが提供され得る。いくつかの実施形態において、シャフトを軸方向に支持するための部分は、例えば軸方向における垂直な表面を有するシャフトの表面に作用することが提供される。シャフトの表面は例えば、シャフトの端部面であり得る。本実施形態において、表面は、シャフトの軸方向端を画定し得る。ベアリング部分は、シャフトの段部に、例えば、軸方向に垂直な表面を有する表面に作用することも提供され得る。当該部分は通常、保持リブの少なくとも1つに接続される。従って、保持リブはまた、シャフトの軸方向支持に寄与する機能を有し得る。
【0016】
言及されたように、ロータマグネットは典型的には、流れ空間に配置されるシャフトの部分に収容される。典型的な実施形態において、ロータマグネットは、インペラの上流、特に、流れ空間のより狭い部分に配置され得る。保持リブがロータマグネット及び/又はステータ巻線と軸方向の重複を有するように、保持リブが配置されることもさらに提供され得る。このように、比較的短い軸方向長さを有する小型の構造が達成され得る。このように、保持リブはまた、媒体フローを介して、ステータの効率的冷却を達成するために使用され得る。なぜなら、媒体は、ロータマグネット及び/又はステータ巻線の領域において、より大きい壁接触を有するからである。特に好ましい実施形態において、保持リブは、磁束を最適化し、ロータマグネット及びステータ巻線によって形成される磁気回路のアクティブ部を形成する。例えば、保持リブが流れ空間におけるステータ歯を継続し、すなわち、そうして、特に有利な方式で磁束を改善することが可能であり得る。磁場はここで、流れ空間を通じてロータへ径方向に、保持リブを介して、流れ空間の外側に配置され得るステータ巻線から誘導され得る。保持リブは、この目的のために磁気伝導特性を有し得る。例えば、保持リブは、ステータラミネーションを有し得る。ステータは、ステータラミネーションも有し得る。保持リブが流れ空間へステータラミネーションを継続することが可能である。保持リブ及びステータのステータラミネーションは、個別のラミネーションを伴う一体のステータラミネートコアとして、すなわち、特に個別のラミネーションに関して連続的なステータラミネートコアとして形成され得る。このことは、保持リブは、シャフトを支持するそれらの機能に加えて、磁束の改善にも貢献し得ることを意味する。保持リブはここで、ステータからロータマグネットへの磁束線を集束し、漏洩損失を低減するために使用され得る。
【0017】
軸方向における保持リブの好適な長さは一般に、少なくとも5mm及び/又は最大150mm、特に最大100mmである。流路における保持リブの径方向の広がりは、一般に、少なくとも5mm、及び/又は、最大250mm、特に最大150mmである。周方向における保持リブの幅は、少なくとも0.5mm及び/又は最大10mm、特に最大5mmであり得る。存在し得るステータラミネーションに加えて、保持リブは一般に、プラスチック又はアルミニウム合金などの非磁気伝導材料からできている。保持リブについての固定方法は、挿入スリーブ、接着/溶接接続、ステータハウジングに統合されたコーキング及び/又は射出成形されたコンポーネントであり得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、シャフトが一体の補強材を有するメディアギャップモータが提供される。補強材は、第1部分及び第2部分を有し得る。ロータマグネットは、補強材の第1部分の内側に収容され得る。さらに、インペラは、補強材の第2部分に配置され得る。補強材の第1部分及び第2部分は、互いに直接隣接し得るか、又は軸方向に隔てられ得る。インペラは例えば、補強材の第2部分に押し当てられ得る。特にロバストかつ耐ねじれ構成については、補強材が、インペラを通るように延び、第2部分がインペラの軸方向長さの大きな領域にわたっていることが提供され得る。例えば、補強材がインペラを通るように延び、第2部分が、インペラの軸方向長さの少なくとも3分の2、好ましくは、軸方向長さ全体にわたっていることが提供され得る。そうして、いくつかの実施形態において、補強材の第2部分は、軸方向において少なくともインペラと同じ長さであり得る。有利なことに、いくつかの実施形態において、インペラは、補強材上にマウントされるだけであり、シャフトの他コンポーネント上にマウントされないことがあり得る。これにより、一方で生産を簡略化し、他方でシャフトの安定性を増加させる。補強材は通常、ロータマグネットを収容するために、内側が少なくとも部分的に中空である。シャフトはまた、補強材の内側の空洞に収容されるシャフトロッドを有し得る。ロータマグネットはまた、シャフトロッドに取り付けられ得る。シャフト又は補強材は、その内側に連続キャビティ、すなわち、特に、シャフト又は補強材の軸方向長さ全体にわたって延在する空洞を有することが提供され得る。従って、いくつかの実施形態において、シャフトは中空シャフトとして具現化され得る。ロータマグネット及びシャフトロッドは連続キャビティに収容され得る。特に、シャフト又は補強材の連続キャビティは、提供される場合、少なくとも1つの領域において、インペラからタービンホイールに延在することが提供され得る。記載される補強材の使用は、製造上の利点をもたらし、結果として、特に高速の動作に好適である、特に良好な屈曲挙動及び低不安定性を伴う堅牢な構成をもたらす。補強材は通常、非磁気材料からできている。補強材の一体的な実施形態、すなわち、特に、一定の材料特性を有する連続片からできているコンポーネント及び/又は非接合コンポーネントとしての補強材の実施形態は、ロータマグネットと併せてインペラの改善された支持に関して特定の利点を達成する。例えば、補強材は、鋼、特にクロム鋼からできていることがあり得る。補強材が連続的な鋼部品から作られている場合、これは結果として、特に、ロータマグネット及びインペラを収容する第1部分及び第2部分についての耐ねじれ構成をもたらす。インペラは例えばアルミニウムからできていることがあり得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、補強材の第1部分は、補強材の第2部分より大きい外径を有することが提供される。これは、ロータマグネットが、より大きい直径の補強材の部分に配置され得ることを意味する。この結果、好ましい流れ効率を伴う改善された安定性、及び、改善された磁気効率をもたらす。特に、この目的のために、ロータマグネット及びインペラは、径方向の重複を有し、例えばその結果、インペラの一部及びロータマグネットの一部が同一の径方向位置、ただし異なる軸方向位置に配置されることが提供され得る。いくつかの実施形態において、領域が補強材の第1部分及び第2部分の間に形成され、この領域において、補強材の外径は、例えば徐々に、すなわち、例えば連続的に低減する。外径は例えば、70度の最大ピッチ角度、特に、50度の最大ピッチ角度が達成されるように、第1部分の方向における領域において連続的に増加し得る。このように、ロバストかつ流体的に特に有利な構成が達成され得る。特に、第1部分及び第2部分の間の移行部における縁が回避され得る。領域は、第1部分及び下で言及される段部の間に形成され得る。いくつかの実施形態において、補強材の外径が、例えば徐々に、すなわち連続的に減少する領域が補強材の第1部分及び段部の間に形成されることが提供され得る。例えば、補強材、及び、特に補強材の第1部分及び段部の間のシャフトの外側には、段部が無いことがあり得る。
【0020】
特に有利な実施形態において、補強材の第2部分は段部で終端する。インペラは、段部と接触し得る。段部は、特に第1部分の方向において補強材の第2部分を限定し得る。段部は通常、第2部分においてより小さい外径が、第2部分から見たときに段部を越えて増加するように形成される。典型的には、インペラは段部上で支持される。これにより、シャフト又は補強材の揺れる動きの結果として生じる力が有利な方式で吸収されることを可能にする。このように、シャフトの剛性が追加的に増加され得る。好ましい実施形態において、補強材は、補強材及び補強材の段部の領域におけるインペラの間において、実質的に平坦な、例えば連続的な移行が生成されるように、具現化される。従って、一般に、シャフト及びインペラを含む構造は、補強材段部の領域において構造の径方向外側に段部を有さず、結果として、外形における円滑な移行をもたらす。この目的のために、補強材の段部の高さが、段部に対するインペラベアリングの径方向の広がりに対応し得る。このように、一方で流れ特性が改善され得、他方で安定性が更に増加される。
【0021】
補強材は特に、シャフトの径方向支持のための保持リブとの組み合わせにおいて有利であり、この結果、特に、保持リブ又は関連付けられたベアリング部分が補強材の領域においてシャフトを径方向に支持する場合に、特に安定的な構造がもたらされる。しかしながら、保持リブが提供されない場合でも、補強材はそれ自体で有利である。例えば、本願は、ロータマグネットが収容されるシャフト、シャフトの回転を電気的に駆動するためのステータ巻線を有するステータ、シャフト及びステータの間に形成される流れ空間を画定するハウジング、流れ空間内及びシャフト上に配置されたインペラ、及び一体の補強材を備える、例えば燃料電池システムのためのメディアギャップモータに関し得る。メディアギャップモータはまた、上又は下に記載される有利な特徴を有し得る。
【0022】
メディアギャップモータが液滴分離器を有することが提供され得る。液滴分離器は、ハウジングの流れ空間に、又は他の実施形態において、更なる流れ空間に配置され得る。液滴分離器は、例えば水分離器であり得る。液滴分離器は例えば、液体の水を媒体フローから分離するために使用され得る。液滴分離器は、流れ空間又はより広い流れ空間を画定するハウジングの内壁上に配置され得るか、又は内壁の一部として形成され得る。有利な実施形態において、液滴分離器は、流れ空間又は更なる流れ空間の部分、特に、インペラ又はタービンホイールを収容する流れ空間の広い部分への移行部に配置される。液滴分離器は一般に、提供される場合は保持リブ及びインペラの間に、及び/又は、ロータマグネット及びインペラの間に軸方向に配置される。液滴分離器はまた、提供される任意の更なる保持リブ及びタービンホイールの間、及び/又は、更なるロータマグネット及びタービンホイールの間に軸方向に配置され得る。液滴分離器は通常、シャフトとの軸方向の重複を有する。特に、更なる液滴分離器が必要されないように、記載されるように液滴分離器をメディアギャップモータに統合することによって、特に小型の構成が達成され得る。ここで例えば、燃料又は酸化剤を運ぶための燃料電池システムのチャネルからの、例えば、再循環ラインからの液体の水の分離は、特に小型かつ効率的な方式で達成され得る。例えば液滴分離器は、動作中に液滴が収集されるチャネル及び/又は環状チャネルとして形成され得る。放出ラインを介して液滴が放出され得るように、液滴分離器は、放出ラインに流体的に接続され得る。いくつかの実施形態において、液滴分離器は保持リブの下流に配置される。このように、一方ではシャフトのために安定的な支持を提供し、他方では液滴分離の流路において設置空間を最適に使用する、小型の構成が達成され得る。原則として、液滴分離器は、インペラ及びロータマグネットの間及び/又はインペラ及び保持リブの間に位置する軸方向位置の少なくとも一部に配置される。これにより、小型の構造で、流れ空間において最適化された機能性を生成する。
【0023】
特に、伝達される媒体において渦を生成するために保持リブがセットアップされる場合に、液滴分離器は特に、シャフトの径方向のマウントのための保持リブとの組み合わせにおいて有利である。なぜなら、これにより、液滴分離のために最適化された流れパターンがセットされることが可能になるからである。しかしながら、保持リブが提供されない場合でも、液滴分離器は、それ自体で有利である。例えば、本願は、ロータマグネットが収容されるシャフト、シャフトの回転を電気的に駆動するためのステータ巻線を有するステータ、シャフト及びステータの間に形成される流れ空間を画定するハウジング、流れ空間内及びシャフト上に配置されたインペラ、及びハウジングの流れ空間に配置された液滴分離器を備える、例えば燃料電池システムのためのメディアギャップモータに関し得る。メディアギャップモータはまた、上又は下に記載される有利な特徴を有し得る。
【0024】
本願は更に、上又は下に記載されるようなメディアギャップモータを備える燃料電池システムに関し得る。燃料電池システムはまた、燃料を伝達するためのチャネルを有し得る。流れ空間は、燃料を伝達するためのチャネルの一部を形成し得る。燃料、例えば水素を燃料電池との間で再循環させるためにチャネルがセットアップされ得る。インペラは燃料を伝達するためのチャネルに配置され得る。このように、メディアギャップモータは、燃料を燃料電池に供給するために使用され得る。結果として、燃料供給又は再循環回路は、特に耐久性があるメディアギャップモータを介して正確に負荷依存的に制御され得、これは、より低い水素消費が達成され得ることを意味する。燃料電池システムは、燃料電池及び上又は下に記載されるメディアギャップモータ、及び必要な場合、燃料を伝達するためのチャネルを有し得る。いくつかの実施形態において、燃料電池システムは、モータ車両の一部として形成される。本願は更に、上又は下に記載されるメディアギャップモータ、又は、車両における電気駆動力を提供するための上又は下に記載されるような燃料電池システムの使用に関する。
【0025】
記載される保持リブを有する実施形態におけるメディアギャップモータ及び燃料電池システムは特に有利であるが、本願はまた、上又は下に記載される保持リブを必ずしも有しないが、ロータマグネットが収容されるシャフト、シャフトの回転を電気的に駆動するためのステータ巻線を有するステータ、及び、シャフト及びステータの間に形成される流れ空間を画定するハウジング、及び、流れ空間において及びシャフト上に配置されるインペラを伴うメディアギャップモータを有する燃料電池システムに関し得る。燃料電池システムは追加的に、上又は下に記載される有利な特徴のいずれかを有し得る。
【0026】
燃料電池システムは、酸化剤、特に酸素を伝達するためのチャネルを有し得る。チャネルは、酸化剤を燃料電池に供給するための酸化剤供給ラインを有し得る。チャネルはまた、酸化剤及び/又は反応生成物、特に水を燃料電池から排出するための排出ラインを有し得る。インペラが配置される流れ空間は、酸化剤を伝達するためのチャネルの一部を形成し得る。インペラは、酸化剤を伝達するためのチャネルに配置され得る。特に、インペラが配置される流れ空間は、酸化剤供給ラインの一部を形成し得る。タービンホイールが配置される更なる流れ空間は、排出ラインの一部を形成し得る。
【0027】
本願は、特に有利な方式で燃料電池用途又は燃料電池システムのためのメディアギャップモータに関するが、また一般に、上又は下に記載される有利な特徴を有するメディアギャップモータに関し得る。例えば、本願はメディアギャップモータに関し得る。このメディアギャップモータは、記載されるステータ、記載されるロータ及び記載されるインペラを有し得る。このメディアギャップモータはまた、上又は下に記載される他の有利な特徴を含み得る。例えば、メディアギャップモータは、ターボチャージャのためのメディアギャップモータであり得る。
【0028】
メディアギャップモータに関して上又は下で言及される特徴は、対応して再循環ファン及びその使用、及び、燃料電池システムに転換可能であり、逆も成り立つ。
【図面の簡単な説明】
【0029】
例示的な実施形態は、図面に基づいて下に記載される。図面において以下の内容が示される。
【0030】
【
図1】メディアギャップモータを含む燃料電池システムの概略図を示す。
【
図3】更なる実施形態によるメディアギャップモータの概略図を示す。
【
図5】更なる実施形態によるメディアギャップモータの概略図を示す。
【
図6】更なる実施形態によるメディアギャップモータの概略図を示す。
【
図7】メディアギャップモータのシャフトの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、燃料電池システム1の概略図を示す。燃料電池システム1は、車両内に設置され、電気駆動力を車両に提供するために使用される。燃料電池システム1は、カソード側3及びアノード側4を伴う燃料電池2、例えば、水素-酸素燃料電池を有する。カソード回路はカソード側3に接続され、それを介して燃料電池2は、例えば酸化剤としての酸素を供給される。この目的のために、カソード回路は、酸化剤供給ライン5、特に、空気供給ライン(それを介して、例えば空気の成分として酸化剤が燃料電池2に供給される)、及び、排出ライン6、特に、排気ライン(それを介して、排気、及び、必要な場合、水などの反応生成物が排出される)を有する。
【0032】
燃料電池2のアノード側4は、燃料供給ライン7及び燃料排出ライン8を有するチャネルに接続される。チャネルは燃料源9、例えば、燃料、特に水素のための圧縮気体貯蔵タンクに接続される。燃料が燃料供給ライン7を介して燃料電池2のアノード側4に供給される。燃料電池2において消費されなかった残留燃料が、燃料排出ライン8を介して燃料電池2から排出され得る。未使用の燃料は次に、場合によっては燃料源9からの更なる燃料と混合されて、燃料供給ライン7及び燃料電池2のアノード側4に戻るように供給され得る。
【0033】
燃料電池システム1は、図面において概略的に示される、かつ、それぞれ酸化剤供給ライン5及び排出ライン6の一部を形成する流れ空間11及び更なる流れ空間12を伴うメディアギャップモータ10を備える。下でより詳細に説明されるように、インペラ13が流れ空間11に収容され、タービンホイール14が更なる流れ空間12に収容される。カソード回路の効率を増加させるために、インペラ13及びタービンホイール14は、共通のシャフト15を介して互いに連結される。
【0034】
燃料電池システム1はまた、アノード回路において、すなわち、燃料を誘導するためのチャネルにおいて、又は、再循環ファンの一部として、より正確には燃料排出ライン8において、更なるメディアギャップモータ10'を備える。更なるメディアギャップモータ10'は、更なるメディアギャップモータ10'の流れ空間に配置される、燃料を伝達するための、下又は上でより詳細に記載されるインペラを有する。放出ライン16はまた、追加のメディアギャップモータ10'に接続され、これを介して、再循環回路において分離された水が放出され得る。この目的のために、放出ライン16は、更なるメディアギャップモータ10'の流れ空間に配置され得る、下でより詳細に記載される液滴分離器32に接続される。
【0035】
図2はメディアギャップモータ10の概略図を示す。再登場する特徴は、この図面及び以降の図面において同一の参照符号で示される。メディアギャップモータ10は、流れ空間11及び更なる流れ空間12を有し、これらは共通のハウジング26によって画定される。インペラ13は流れ空間11に配置される。流れ空間11は、酸化剤入口17を有し、それを介して空気が流れ空間11に入る。空気は次に、空気が酸化剤出口19を通じて流れ空間11から出て燃料電池2のカソード側3に供給される前に、インペラ13によって圧縮される。未使用の酸化剤及び任意の反応生成物は次に、排気入口20を介して更なる流れ空間12に入り、媒体が更なる流れ空間12の出口21を介して更なる流れ空間12から再び出る前にタービンホイール14をそこで駆動し得る。
【0036】
インペラ13及びタービンホイール14は、シャフト15上にマウントされ、そうして、結合した回転のために互いに接続される。シャフト15は中空シャフトとして具現化され、流れ空間11に配置されたロータマグネット22を端部に有し、これは、ステータラミネーションを有するステータのステータ巻線23において電流の流れを生成することによって駆動され得る。それに応じて、更なるロータマグネット24が、更なる流れ空間12内にシャフト15の更なる端部に収容され、これは、ステータラミネーションを有するステータの更なるステータ巻線25において電流の流れを生成することによって駆動され得る。このように、荷電は、シャフト15の回転のバランスがとれた電気駆動によって改善され得、その結果、燃料電池2への効率的な燃料供給が達成される。
【0037】
シャフト15は、媒体間隙における両方の反対側の端部領域において径方向にマウントされる。この目的のために、メディアギャップモータ10は、流れ空間11の領域においてハウジング26及びシャフト15の間に延在する保持リブ27を有し、これは、ステータ巻線23及びロータマグネット22の間に位置する。それに応じて、メディアギャップモータ10は、更なる流れ空間12の領域においてハウジング26及びシャフト15の間に延在する更なる保持リブ28を有し、これは、更なるステータ巻線25及び更なるロータマグネット24の間に位置する。いくつかの実施形態において、保持リブ27及び/又は更なる保持リブ28は、それらの径方向内側端において、関連付けられた円筒スリーブ29、30に接続され、それによって、シャフト15の接触する径方向ベアリング又は径方向エアベアリングが、保持リブ27及び/又は更なる保持リブ28と協働して達成される。インペラ13及びタービンホイール14の間に、ハウジング26は、シャフト15の周りに流れ空間11、12の液密シールを形成する。シャフト15の安定的な径方向のマウントは、保持リブ27、28による径方向のマウントに起因して、この点では一般に必要ない。円筒スリーブ29はまた、シャフト15の軸方向マウントのための部分31を有し、この部分は、シャフト15の軸方向端を囲む。
【0038】
いくつかの実施形態において、保持リブ27及び更なる保持リブ28は、関連付けられたステータのステータラミネーションの一部を形成するステータラミネーションを有し得、これらを関連付けられた流れ空間11、12に延在させ、その結果、シャフト15を駆動するために関連付けられたステータ巻線23、25によって生成される磁場が、関連付けられたロータマグネット22、24に近づけられる。
【0039】
図3は、
図1に示される更なるメディアギャップモータ10'であり得る、更なる実施形態によるメディアギャップモータ10の概略図を示す。メディアギャップモータ10は実質的に、上に記載されるメディアギャップモータ10に対応するが、
図2を参照して上に記載されるメディアギャップモータ10において、特に流れ空間11及び/又は更なる流れ空間12において、それに応じてまた提供され得る液滴分離器32を有するが、
図1に示されるようなアノード回路及びその流れ空間11に配置される更なるメディアギャップモータ10'と併せて使用されることが好ましい。液滴分離器32は、ステータ巻線23及びインペラ13の間に軸方向に位置する領域におけるハウジング26の内壁内に形成される周方向のチャネルを含み、ここでは媒体フローにおいて存在する任意の液滴、特に、水の液滴が分離される。液滴分離器32はそうして、保持リブ27を収容する流れ空間11のより狭い部分33より広い、インペラ13を収容する流れ空間11の部分34への移行部に配置される。液滴は、矢印によって例示される、媒体フローからハウジング26の内壁への経路に沿って流れ得、その1つは、参照符号35によって示される。液滴分離器32は放出ライン16に接続され、その結果、液滴は次に、流れ空間11から放出され得る。いくつかの実施形態において、保持リブ27が流れ方向において湾曲するように、保持リブ27は角度を付けられる(示される概略図において示されない)。このように、渦が媒体フローにおいて生成され得、これにより、インペラ13に衝突する角度、及び、液滴分離器32への液滴の経路を最適化する。
【0040】
図3に示される例示的な実施形態において、保持リブ27の径方向内側端における円筒スリーブ29はまた、シャフト15の段部36に作用することによって、シャフト15を軸方向に支持する役割を果たす。加えて、ハウジング26の一部は、シャフト15の更なる径方向ベアリング37を形成し得る。
【0041】
メディアギャップモータ10の更なる概略図は
図4に示され、これは、軸方向から見たときの、上に記載される図の各々を参照して記載されるメディアギャップモータ10、10'を例示する。下流のインペラ13のブレードが概略的に示される。保持リブ27は、インペラ13の上流に配置され、円筒スリーブ29と併せて径方向にシャフト15を支持する。示される例において、保持リブ27は、3つの個別のリブ27'、27''、27'''によって形成され、これらは、周方向において互いに等距離に配置され、ハウジング26及びスリーブ29の間に延在する。空間38、38'、38''が、隣接するリブの間に形成され、示される例において、これを通じて、伝達される媒体全体が流れる。
【0042】
図5は、更なる実施形態によるメディアギャップモータ10の概略図を示す。この例示的な実施形態において、インペラ13は、シャフト15の上流端に配置される。この下流に隣接する部分において、シャフト15の径方向支持のために、円筒スリーブ29を有する保持リブ27が配置される。この下流には、ロータマグネット22が配置され、これを介して、ステータ巻線23と協働してシャフト15が駆動可能である。これは、同様にシャフト15を径方向に支持する、更なる円筒スリーブ30を伴う更なる保持リブ28と下流端で隣接する。スリーブ29、30はまた、シャフト15の関連付けられた段部36、36'上の部分(その1つは参照符号31によって識別される)とスリーブ29、30が係合するという点で、シャフト15の軸方向ベアリングを形成する。
【0043】
図6は、更なる実施形態によるメディアギャップモータを示す。本実施形態において、複数のインペラ13、13'、13''、13'''が提供され、これらは、流れ空間11に配置され、回転しないようにシャフト15に固定される。関連付けられたスリーブ29、30を有する保持リブ27及び更なる保持リブ28に加えて、関連付けられたスリーブ30'、30''を伴う更なる保持リブ28'、28''が、シャフト15の径方向支持のために、異なる軸方向の点に提供される。保持リブ27、28、28'、28''は全て流れ空間11に配置される。シャフト15は、ロータマグネット22及び他のロータマグネット24、及び、関連付けられたステータ巻線23、25を介して駆動され得る。
【0044】
図7は、上でより詳細に記載されるシャフト15を示す断面図を示す。シャフト15は、シャフトの軸方向端40に延在する一体の補強材39を含む。補強材39はクロム鋼からできており、例えば、第1部分41及び第2部分42を有する。第2部分42は、第1部分41より小さい外径を有し、第1部分41は、周方向にシャフト15の周りに延びる段部43で終わり、これは、第2部分42から第1部分41を見たときの上向きの段部を表す。典型的な実施形態において、第2部分42は第1部分41の下流に位置する。第1部分41及び第2部分の間、及び、第1部分41及び段部43の間において、シャフト15の外径は、第2部分42の方向において減少する。
【0045】
補強材39は、第1領域45及び第2領域46を有する連続キャビティ44を有する。いくつかの実施形態において、空洞44は、シャフト15全体を通って及び/又はタービンホイール14(提供される場合、及び、上に記載される)及び/又は更なるロータマグネット24の領域内に延在する。空洞44の第1領域45は、補強材39の第1部分41において形成され、一方、空洞44の第2領域46は、補強材39の第2部分42において形成される。ロータマグネット22は、空洞44の第1領域45に収容される。シャフトロッドが第2領域46に収容され、ロータマグネット22に接続され得る。
【0046】
インペラ13は例えば、アルミニウムから作られ得、補強材39の第2部分42に配置され、例えば、補強材39に押し当てられ、それにより、インペラ13は、補強材39の段部43に対して、示される例では、軸方向に対して横に延在する段部の表面に対して、特に平坦に当たり、段部43に対して支持される。ロータマグネット22を収容する第1部分41における補強材39の内径は、インペラ13が配置される第2部分42における補強材39の外径より大きい。このようにして、ロータマグネット22は、インペラ13の内径より大きい外径を有し得、それにより、有利な磁気特性及び流れ特性を通じてメディアギャップモータのより高い効率が達成され得る。
【0047】
例示的な実施形態において開示される様々な実施形態の特徴のみが互いに組み合わされ得、個別に特許請求される。
【国際調査報告】