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特表2025-501361電解液、ナトリウムイオン二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電解液、ナトリウムイオン二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20250109BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M10/054
H01M10/0568
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540942
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2022099798
(87)【国際公開番号】W WO2023245331
(87)【国際公開日】2023-12-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄒海林
(72)【発明者】
【氏名】陳培培
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ01
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ14
(57)【要約】
本出願は、電解質塩と、有機溶媒と、添加剤とを含む二次電池用電解液に関し、ここで、前記添加剤は、アミン系化合物と沸点が70℃以下の硫黄含有化合物とを含み、前記硫黄含有化合物が電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、前記硫黄含有化合物とアミン系化合物との質量比は、1:(0.08~13)である。本出願の電解液は、二次電池のサイクル性能を明らかに改善するとともに、硫黄含有ガスの揮発を低減させ、二次電池の貯蔵性能をさらに改善することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用電解液であって、
電解質塩と、有機溶媒と、添加剤とを含み、
前記添加剤は、アミン系化合物と、沸点が70℃以下の硫黄含有化合物とを含み、
前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、
前記硫黄含有化合物とアミン系化合物との質量比は、1:(0.08~13)である、二次電池用電解液。
【請求項2】
前記アミン系化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%である、請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
前記アミン系化合物と前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める合計質量百分率は、0.5%から10%である、請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項4】
前記アミン系化合物は、以下の式Iの化合物、式IIの化合物、および式IIIの化合物のうちの一つ又は複数から選択される電解液であって、

~R、R、R、R15、およびR16は、それぞれ独立して以下の置換基:水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、及び、
-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C26アリール基、C-C20アルキレンカルボキシル基、カルボニルC-C20アルキル基、C-C26アリールオキシ基、から選択される一つ又は複数の基により置換され、
とR又はR、RとR、R15とR16は、化学結合によって連結されてC-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、C-C26アリーレンオキシ基を形成することができ、
-RとR10-R14は、それぞれ独立して以下の置換基:C-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、C-C26アリーレンオキシ基、から選択される一つ又は複数の基により置換される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項5】
前記式Iの化合物は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、5-(ジエチルアミノ)ペンチルアミン、1-メチルピロリジン、およびトリアリルアミンのうちの一つ又は複数から選択され、
前記式IIの化合物は、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、1,2-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、1-アリルピペラジン、ピペラジン、および1-エチルホモピペラジンのうちの一つ又は複数から選択され、
前記式IIIの化合物は、ヘキサメチレンテトラミン、1,3,6,8-テトラアザトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン、3,7-ジメチル-1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン、1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-メチルアミン、およびN,N´-ジニトロソペンタメチレンテトラミンのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項6】
前記硫黄含有化合物の分子量は、50g/molから200g/molである、請求項1から5のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項7】
前記硫黄含有化合物は、六フッ化硫黄、四フッ化硫黄、フッ化スルフリル、二酸化硫黄、三酸化硫黄、二硫化炭素、硫化ジメチル、メチルエチルスルフィド、一フッ化硫黄、二フッ化硫黄、フッ化チオニル、および四フッ化チオニルのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項8】
前記電解質塩は、NaPF、NaBF、NaN(SOF)、NaClO、NaAsF、NaB(C、NaBF(C)、NaN(SO、およびNaN(SOF)(SO)のうちの一つ又は複数から選択され、ここで、Rは、C2b+1を代表し、bは、1~10の整数である、請求項1から7のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項9】
前記有機溶媒は、カーボネート系有機溶媒を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項10】
前記カーボネート系有機溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、およびブチレンカーボネートのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項11】
前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートをさらに含み、それが前記電解液に占める質量百分率は、0.01%から10%である、請求項1から10のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項12】
二次電池であって、正極極板と、セパレータと、負極極板と、請求項1から11のいずれか1項に記載の電解液とを含む、二次電池。
【請求項13】
電池モジュールであって、請求項12に記載の二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項14】
電池パックであって、請求項13に記載の電池モジュールを含む、電池パック。
【請求項15】
電力消費装置であって、請求項12に記載の二次電池、請求項13に記載の電池モジュール又は請求項14に記載の電池パックから選択される少なくとも一つを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ナトリウムイオン電池の技術分野に関し、特に二次電池用電解液、ナトリウムイオン二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー需要の増加、化石燃料の精製コストの上昇、及び化石エネルギーの使用による深刻な環境汚染のため、人々は環境にやさしいエネルギー生産と貯蔵方式を求めている。電池ベースの電気化学エネルギー貯蔵技術は、効率が高く、配置が柔軟で、異なる電力消費網の需要を満たすことができ、サイクル寿命が長く、メンテナンスコストが低いなどの優れた特性を備え、特に、間欠的な自然資源(例えば風力エネルギー、太陽エネルギーなど)を用いてグリッドに接続して発電を行うために、実行可能なエネルギー貯蔵問題の解決方法を提供する。ここで、ナトリウムイオン電池は、豊富なナトリウム資源と低コストという利点を有するため、有望なエネルギー貯蔵電池システムである。ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池の構造と類似しており、ナトリウムイオンを吸蔵放出できる正極と負極、及びナトリウムイオン伝送作用を有する電解液を含む。リチウムイオン電池と類似しており、最初の充電プロセスで、電解液の還元分解の生成物が負極界面にパッシベーション膜を形成して、電解液のさらなる還元分解を阻止するため、このパッシベーション膜の性能は、電池の性能に直接に影響を与える。
【0003】
ナトリウムイオン電池に現在よく使われる溶媒は、線状カーボネートと環状カーボネートであり、負極界面にパッシベーション膜を形成する成分は、主にアルキル炭酸ナトリウム(ROCONa)と炭酸ナトリウムである。しかしながら、アルキル炭酸ナトリウムは、アルキル炭酸リチウムに比べてカーボネート溶媒での溶解度がより高い。これにより、ナトリウムイオン電池の負極界面パッシベーション膜が非常に不安定になり、電解液が負極と持続的に副反応を起こす。その結果、ナトリウムイオン電池の耐用年数が実際の応用需要を満たすことが困難となる。
【0004】
リチウムイオン電池の電解液添加剤に関する技術は、すでに成熟しており、いくつかの技術は、すでにナトリウムイオン電池電解液に用いられていれる。コマバ(S.Komaba)らは、リチウムイオン電池における周知の電解液添加剤のフルオロエチレンカーボネート(FEC)と、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)と、ビニレンカーボネート(VC)と、エチレンサルファイト(ES)とのナトリウムイオン電池における改善効果を比較し、そのうちフルオロエチレンカーボネート(FEC)だけがナトリウムイオン電池に対して顕著な寿命改善効果を有することを発見した(ACS Applied Mater.Inter.,3(2011)4165-4168)。CN109786827Aには、フルオロエチレンカーボネート、スルトン系化合物と硫酸エステル系化合物の複合使用が報告されている。これらの電解液添加剤の相乗作用を利用し、ナトリウムイオン電池の正負極界面に良好な安定性を持たせ、それによって良好な耐用年数を得る。しかしながら、これらの有機物添加剤が負極で還元して形成されるポリ有機物は、電池コアの内部抵抗を著しく悪化させる。
【0005】
CN112310473Aには、リチウムイオン電池電解液において非金属酸化物を使用して負極SEI(solid electrolyte interphase)中の無機成分を増加させ、前記非金属酸化物が二酸化硫黄、三酸化硫黄、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素などのガス非金属酸化物を含むことが報告されている。これらのガス非金属酸化物は、電解液において一定の溶解度を有するが、依然として非常に強い揮発性を有し、特にいくつかの物質は、環境に優しくなく、生産製造プロセスに困難をもたらす。
【0006】
CN106415909Aには、イオン液体に大量の飽和の二酸化硫黄を添加して無機電解液の電導率を向上させることで、ナトリウム-二酸化硫黄二次電池の電池コア性能を改善するとともに、低揮発性イオン液体がSOの大量使用による電池コアのガス生成問題を抑えることができることが報道された。しかしながらイオン液体は、価格が高く、炭素材料負極と互換性がなく、従来のアモルファス炭素材料負極系のナトリウムイオン電池に直接に使用できない。
【0007】
現在ナトリウムイオン二次電池に用いられる電解液添加剤は、使用プロセスで多くの問題が存在する。そのため、新たな二次電池用電解液を開発して、ナトリウムイオン二次電池の電気的性能を改善するとともに、ナトリウムイオン二次電池の耐用年数を延ばすことが急務となっている。
【発明の概要】
【0008】
本出願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次電池用電解液、ナトリウムイオン二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供することであり、ナトリウムイオン二次電池の負極界面パッシベーション膜の電解液での安定性を改善するとともに、ナトリウムイオン二次電池の耐用年数を延ばすことを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本出願の第一の態様は、電解質塩と、有機溶媒と、添加剤とを含む二次電池用電解液を提供する。ここで、前記添加剤は、アミン系化合物と、沸点が70℃以下の硫黄含有化合物とを含む。前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、好ましくは0.08%から6%である。前記硫黄含有化合物とアミン系化合物との質量比は、1:(0.08~13)であり、好ましくは1:(0.1~11)であり、さらに好ましくは1:(0.5~2.5)である。
【0010】
他の実施形態において、前記アミン系化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、好ましくは0.08%から6%である。
【0011】
他の実施形態において、前記アミン系化合物と前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める合計質量百分率は、0.5%から10%であり、好ましくは1%から7%である。
【0012】
他の実施形態において、前記アミン系化合物は、以下の式Iの化合物、式IIの化合物、および式IIIの化合物のうちの一つ又は複数から選択される。

ここで、R~R、R、R、R15とR16は、それぞれ独立して以下の置換基に置換され得る。
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、及び、
-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C26アリール基、C-C20アルキレンカルボキシル基、カルボニルC-C20アルキル基、およびC-C26アリールオキシ基、好ましくはC-Cアルキル基から選択され、さらに任意選択的には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、およびスルホニル基から選択される一つ又は複数の基。
そして、RとR又はR、RとR、R15とR16は、化学結合によって連結されてC-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、およびC-C26アリーレンオキシ基、好ましくはC-Cアルキレン基を形成することができる。ここで、前記置換基は、さらに任意選択的には、C-Cアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基、およびスルホニル基から選択される一つ又は複数の基により置換され得る。
-RとR10-R14は、それぞれ独立して以下の置換基に置換され得る。C-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、およびC-C26アリーレンオキシ基、好ましくはC-Cアルキレン基から選択される基。ここで、前記置換基は、さらに任意選択的には、C-Cアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基、およびスルホニル基から選択される一つ又は複数の基である。
前記ハロゲン原子は、F、Cl、およびBrのうちの一つ又は複数から選択される。
【0013】
他の実施形態において、前記式Iの化合物は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、5-(ジエチルアミノ)ペンチルアミン、1-メチルピロリジン、およびトリアリルアミンのうちの一つ又は複数から選択される。
前記式IIの化合物は、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、1,2-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、1-アリルピペラジン、ピペラジン、および1-エチルホモピペラジンのうちの一つ又は複数から選択される。
前記式IIIの化合物は、ヘキサメチレンテトラミン、1,3,6,8-テトラアザトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン(CAS番号125251-91-4)、3,7-ジメチル-1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン(CAS番号124469-89-2)、1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-メチルアミン(CAS番号69470-05-9)、およびN,N´-ジニトロソペンタメチレンテトラミンのうちの一つ又は複数から選択される。
【0014】
他の実施形態において、前記硫黄含有化合物の分子量は、50g/molから200g/molである。
【0015】
他の実施形態において、前記硫黄含有化合物は、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化硫黄(SF)、フッ化スルフリル(SO)、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CHSCH)、メチルエチルスルフィド(CHSCHCH)、一フッ化硫黄(S)、二フッ化硫黄(SF)、フッ化チオニル(SOF)、および四フッ化チオニル(SOF)のうちの一つ又は複数から選択される。
【0016】
他の実施形態において、前記電解質塩は、NaPF、NaBF、NaN(SOF)(NaFSI)、NaClO、NaAsF、NaB(C(NaBOB)、NaBF(C)(NaDFOB)、NaN(SO、およびNaN(SOF)(SO)のうちの一つ又は複数から選択される。ここで、Rは、C2b+1を代表する。bは、1~10の整数であり、好ましくは、1~3の整数であり、さらに好ましくは、Rは、-CF、-C又は-CFCFCFである。
他の実施形態において、前記有機溶媒は、カーボネート系有機溶媒を含む。
【0017】
他の実施形態において、前記カーボネート系有機溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、およびブチレンカーボネートのうちの一つ又は複数から選択される。
【0018】
他の実施形態において、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートをさらに含み、それが電解液に占める質量百分率は、0.01%から10%であり、好ましくは0.1%から8%である。
【0019】
本出願の第二の態様は、ナトリウムイオン二次電池を提供する。このナトリウムイオン二次電池は、正極極板と、セパレータと、負極極板と、本出願の第一の態様に記載の二次電池用電解液とを含む。
【0020】
本出願の第三の態様は、電池モジュールを提供する。この電池モジュールは、本出願の第二の態様に記載のナトリウムイオン二次電池を含む。
【0021】
本出願の第四の態様は、電池パックを提供する。この電池パックは、本出願の第三の態様に記載の電池モジュールを含む。
【0022】
本出願の第五の態様は、電力消費装置を提供する。この電力消費装置は、本出願の第二の態様に記載のナトリウムイオン二次電池、本出願の第三の態様に記載の電池モジュール又は本出願の第四の態様に記載の電池パックから選択される少なくとも一つを含む。
【0023】
本出願の電解液は、ナトリウムイオン二次電池のサイクル性能を明らかに改善するとともに、硫黄含有化合物の揮発を低減させ、ナトリウムイオン二次電池の貯蔵性能をさらに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本出願の一実施形態の二次電池の概略図である。
図2図1に示す本出願の一実施形態の二次電池の分解図である。
図3】本出願の一実施形態の電池モジュールの概略図である。
図4】本出願の一実施形態の電池パックの概略図である。
図5図4に示す本出願の一実施形態の電池パックの分解図である。
図6】本出願の一実施形態の、二次電池が電源として用いられる電力消費装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を適宜参照しながら本出願の二次電池用電解液、ナトリウムイオン二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置の実施形態を詳細に説明して具体的に開示する。しかしながら、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者の理解を容易にするためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載されたテーマを限定するものではない。
【0026】
本出願に開示された「範囲」は、下限と上限の形式で限定される。与えられた範囲は、一つの下限と一つの上限を選定することで限定されるものであり、選定された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定した。このように限定される範囲は、端値を含んでも又は含まなくてもよく、且つ任意の組み合わせが可能である。即ち任意の下限は、任意の上限と組み合わせて、一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60~120と80~110の範囲がリストアップされている場合、60~110と80~120の範囲も想定できると理解される。なお、最小範囲値として1と2がリストアップされており、最大範囲値として3、4及び5がリストアップされている場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5という範囲がすべて想定できる。本出願では、特に断りのない限り、「a~b」という数値範囲は、a~bの任意の実数の組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書においてすでに「0~5」の間のすべての実数をリストアップしたことを表し、「0~5」は、これらの数値の組み合わせの短縮表現である。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現すると、このパラメータが例えば整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0027】
特に説明しない場合、本出願のすべての実施形態及び好ましい実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0028】
特に説明しない場合、本出願のすべての技術的特徴及び好ましい技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0029】
特に説明しない場合、本出願に言及された「含む」と「包含する」は、開放型であっても閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含する」は、リストアップされていない他の成分をさらに含む、又は包含してもよく、リストアップされている成分のみを含む、又は包含してもよい。
【0030】
特に説明しない場合、本出願では、「又は」は包括的な意味である。例を挙げると、「A又はB」というフレーズは、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在する)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも、「A又はB」を満たしている。
【0031】
特に説明しない場合、本出願では、すべての操作は、いずれも常温(25℃)および常圧(101kPa)で行われる。
【0032】
予期せぬことに、発明者は、ナトリウムイオン電池の電解液に低沸点(例えば≦70℃)の硫黄含有化合物を添加する時、負極上のパッシベーション膜をより安定化させ、それによってナトリウムイオン電池のサイクル寿命を顕著に延ばすことができることを発見した。任意の理論に束縛されるものではないが、現在、硫黄含有化合物が酸化と還元に対して耐性がなく、且つ非常に良好な拡散速度を有する。そのため、カーボネート溶媒よりも優先して負極表面で反応し、硫黄含有ナトリウムの無機塩生成物を形成する。したがって、このような無機塩のカーボネート溶媒における溶解度がアルキル炭酸ナトリウムよりも低いと考えられている。
【0033】
なお、当分野でよく使われる高沸点の硫黄含有化合物に比べて、低沸点の硫黄含有化合物を採用すると、電池の内部抵抗を効果的に改善し、常温サイクル性能を顕著に改善することができる。これは、低沸点の硫黄含有化合物が電解液の粘度を低減させるだけではなく、安定し且つ内部抵抗が低い負極パッシベーション膜を形成できるためである。
【0034】
しかしながら、このような低沸点の硫黄含有化合物は、電解液に溶解した後も揮発性が非常に高く、電池コア生産中で漏れると、環境汚染を招く。また、高い気圧も電池コアの膨らみを招き、安全上の問題を招く。発明者は、さらに、予期せぬことに、本出願のアミン系化合物と低沸点の硫黄含有化合物をナトリウムイオン電池電解液に同時に使用するとき、ナトリウムイオン二次電池の電気的性能を低下させないだけではなく、ナトリウムイオン電池のサイクルと貯蔵寿命を顕著に延ばすとともに、低沸点の硫黄含有化合物の揮発を顕著に低減させることを発見した。
【0035】
このため、本出願の第一の態様は、電解質塩と、有機溶媒と、添加剤とを含む二次電池用電解液を提供する。
ここで、前記添加剤は、アミン系化合物と沸点が70℃以下の硫黄含有化合物とを含む。前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、好ましくは0.08%から6%であり、さらに好ましくは0.1%から2%である。前記硫黄含有化合物とアミン系化合物との質量比は、1:(0.08~13)であり、好ましくは1:(0.1~11)であり、より好ましくは1:(0.3~6)、さらに好ましくは1:(0.5~2.5)である。
【0036】
前記硫黄含有化合物の質量百分率が低すぎると、含有量が少なすぎるため、形成される正負極パッシベーション膜が電解液のさらなる反応を防ぐのに十分でなく、電池性能の改善も明らかではない。質量百分率が高すぎると、酸化分解によって発生した反応生成物を正極上に堆積し、正極活物質層と電解質界面の膜抵抗を上げ、それによって電池性能を悪化させる。
【0037】
アミン系化合物中の窒素原子が孤立電子対を含有するため、アミン系物質は、典型的なルイス塩基である。アミン系化合物を電解液に添加し、それは、電解液中の低沸点の硫黄含有化合物と錯体作用して、低沸点の硫黄含有化合物の揮発性を顕著に低減させる。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記アミン系化合物が電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、好ましくは0.08%から6%であり、さらに好ましくは1%から4.5%である。
【0039】
前記アミン系化合物の含有量を上記範囲内にすることにより、一方では錯体するに十分なアミン系化合物と硫黄含有化合物を提供し、硫黄含有化合物の揮発を抑える効果をさらに改善することができ、他方では酸化に対して耐性がないアミン系化合物の含有量を制御することにより、サイクル性能をさらに改善することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記アミン系化合物と前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める合計質量百分率は、0.5%から10%であり、好ましくは1%から7%である。
【0041】
本出願では、電解液中の低沸点の硫黄含有化合物の検出は、GT/T 17040-2008『石油及び石油製品の硫黄含有量測定エネルギー分散X線蛍光分光法』を参照して電解液中の低沸点の硫黄含有化合物の検出を行う。X線蛍光強度と基準サンプルの含有量関係に従って基準曲線を作成し、未知サンプルを定量する。
【0042】
本出願では、「沸点が70℃以下の硫黄含有化合物」とは、常圧下で測定される沸点が70℃以下の硫黄含有化合物を意味する。
【0043】
本出願では、沸点は、GB/T 616-2006に基づいて測定することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記硫黄含有化合物は、常圧および常温でガスである。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記アミン系化合物は、以下の式Iの化合物、式IIの化合物と式IIIの化合物のうちの一つ又は複数から選択される。

ここで、R~R、R、R、R15とR16は、それぞれ独立して以下の置換基に置換され得る。水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、及び
-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C26アリール基、C-C20アルキレンカルボキシル基、カルボニルC-C20アルキル基、およびC-C26アリールオキシ基、好ましくはC-Cアルキル基から選択され、さらに任意選択的には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、およびスルホニル基から選択される一つ又は複数の基。
とR又はR、RとR、R15とR16は、化学結合によって連結されてC-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、およびC-C26アリーレンオキシ基、好ましくはC-Cアルキレン基を形成することができる。ここで、前記置換基は、さらに任意選択的には、C-Cアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基、およびスルホニル基のうちの一つ又は複数の基により置換され得る。
-RとR10-R14は、それぞれ独立して以下のものに置換される。C-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、およびC-C26アリーレンオキシ基、好ましくはC-Cアルキレン基から選択される基。ここで、前記置換基は、さらに任意選択的には、C-Cアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基、およびスルホニル基から選択される一つ又は複数の基により置換され得る。
前記ハロゲン原子は、F、Cl、およびBrのうちの一つ又は複数から選択される。
【0046】
本出願では、「C-C20アルキル基」とは、1~20個の炭素原子を有する飽和直鎖炭化水素又は分枝鎖炭化水素を意味する。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,3-ジメチルブチル基、1,4-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチルブチル基、および2-エチルブチル基を含む。さらに好ましくは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、特にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基を意味する。「C-C20アルキレン基」とは、上記「C-C20アルキル基」の二価基である。
【0047】
本出願では、「C-C20アルケニル基」とは、2~20個の炭素原子を有し、且つ、いずれかの位置に一つの二重結合を有する不飽和の直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する。例えば、エチレン基、アリール基、1-イソプロペニル基、イソイソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1,3-ペンタジエニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、および1,4-ヘキサジエニル基を含むが、これらに限らない。「C-C20アルケニレン基」とは、上記「C-C20アルケニル基」の二価基を意味する。
【0048】
本出願では、「C-C26アリール基」とは、6~26個の炭素原子を有する単環式、二環式又は多環式芳香族系を意味する。例えば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、および、アントラセニル基、フェナントリル基を含むが、これらに限らない。好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、および、n-プロピルフェニル基を含む。「C-C26アリーレン基」とは、上記「C-C26アリール基」の二価基を意味する。
【0049】
本出願では、「C-C26アリールオキシ基」とは、6~26個の炭素原子及び少なくとも一つの酸素原子を有する芳香族炭化水素基を意味する。例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、イソプロポキシナフチル基、ブトキシナフチル基、イソブトキシナフチル基、メトキシアントラセニル基、エトキシアントラセニル基、プロポキシアントラセニル基、メトキシフェナントリル基、エトキシフェナントリル基、および、プロポキシフェナントリル基を含むが、これらに限らない。好ましくは、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、および、ブトキシフェニル基を含む。「C-C26アリーレンオキシ基」とは、上記「C-C26アリールオキシ基」の二価基を意味する。
【0050】
本出願では、「化学結合」とは、当業者によく知られている様々な化学結合、例えば炭素原子と炭素原子との間に形成される単結合、二重結合又は三重結合、あるいは炭素原子と他のヘテロ原子で形成される単結合、二重結合又は三重結合を意味してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記式Iの化合物は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、5-(ジエチルアミノ)ペンチルアミン、1-メチルピロリジン、およびトリアリルアミンのうちの一つ又は複数から選択される。
前記式IIの化合物は、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、1,2-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、1-アリルピペラジン、ピペラジン、および1-エチルホモピペラジンのうちの一つ又は複数から選択される。
前記式IIIの化合物は、ヘキサメチレンテトラミン、1,3,6,8-テトラアザトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン(CAS番号125251-91-4)、3,7-ジメチル-1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン(CAS番号124469-89-2)、1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-メチルアミン(CAS番号69470-05-9)、および、N,N´-ジニトロソペンタメチレンテトラミンのうちの一つ又は複数から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記硫黄含有化合物の分子量は、50g/molから200g/mol、好ましくは、52g/molから100g/molである。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記硫黄含有化合物は、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化硫黄(SF)、フッ化スルフリル(SO)、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CHSCH)、メチルエチルスルフィド(CHSCHCH)、一フッ化硫黄(S)、二フッ化硫黄(SF)、フッ化チオニル(SOF)、および、四フッ化チオニル(SOF)のうちの一つ又は複数から選択される。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記電解質塩は、NaPF、NaBF、NaN(SOF)(NaFSI)、NaClO、NaAsF、NaB(C(NaBOB)、NaBF(C)(NaDFOB)、NaN(SO、およびNaN(SOF)(SO)のうちの一つ又は複数から選択される。ここで、Rは、C2b+1を代表し、bは、1~10の整数であり、好ましくは、1~3の整数であり、さらに好ましくは、Rは、-CF、-C又は-CFCFCFである。
好ましくは、前記電解質塩は、NaPF、NaN(SOF)、NaN(CFSO、NaB(C、およびNaBF(C)のうちの一つ又は複数から選択される。
さらに好ましくは、前記電解質塩は、NaPF、NaN(SOF)、およびNaBF(C)のうちの一つ又は複数から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記アミン系化合物は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、トリエチレンジアミン、および、ヘキサメチレンテトラミンのうちの一つ又は複数から選択される。好ましくは、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチレンジアミン、および、ヘキサメチレンテトラミンのうちの一つ又は複数から選択される。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記アミン系化合物の分子量は、40g/molから200g/molであり、好ましくは、44g/molから190g/molである。
【0057】
本出願では、前記硫黄含有化合物と前記アミン系化合物の分子量は、当分野の一般的な方法によって測定される。例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計で測定されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記硫黄含有化合物は、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化硫黄(SF)、フッ化スルフリル(SO)、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、二硫化炭素(CS)、硫化ジメチル(CHSCH)、メチルエチルスルフィド(CHSCHCH)、一フッ化硫黄(S)、二フッ化硫黄(SF)、フッ化チオニル(SOF)、および四フッ化チオニル(SOF)のうちの一つ又は複数から選択される。好ましくは、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化硫黄(SF)、フッ化スルフリル(SO)、二酸化硫黄(SO)、および三酸化硫黄(SO)のうちの一つ又は複数から選択される。
【0059】
いずれかの実施形態において、前記電解質塩は、NaPF、NaBF、NaN(SOF)(NaFSIと略記)、NaClO、NaAsF、NaB(C(NaBOBと略記)、NaBF(C)(NaDFOBと略記)、NaN(SO、および、NaN(SOF)(SO)のうちの一つ又は複数から選択される。ここで、Rは、C2b+1を代表し、bは、1~10の整数であり、好ましくは、1~3の整数である。さらに好ましくは、Rは、-CF、-C又は-CFCFCFである。
好ましくは、電解質塩は、NaPF、NaN(SOF)、NaN(CFSO、NaB(C、および、NaBF(C)のうちの一つ又は複数から選択される。
さらに好ましくは、電解質塩は、NaPF、NaN(SOF)、およびNaBF(C)のうちの一つ又は複数から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態において、前記電解質の電解液中の質量百分率は、3%から30%であり、好ましくは、5%から15%である。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記有機溶媒は、カーボネート系有機溶媒を含む。好ましくは、前記有機溶媒は、カーボネート系有機溶媒である。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記カーボネート系有機溶媒が前記有機溶媒に占める質量百分率は、50%から100%であり、好ましくは60%から95%であり、より好ましくは65%から90%であり、さらに好ましくは70%から85%である。
【0063】
いくつかの実施形態において、前記カーボネート系有機溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、および、ブチレンカーボネートのうちの一つ又は複数から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記有機溶媒の電解液中の質量百分率は、50%から97%であり、好ましくは60%から90%である。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記有機溶媒は、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、および、アセトニトリルのうちの一つ又は複数をさらに含み、それが前記有機溶媒に占める質量百分率は、0.5%から50%であり、好ましくは3%から30%であり、より好ましくは5%から20%であり、さらに好ましくは8%から15%である。
【0066】
いくつかの実施形態において、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート(CAS番号114435-02-8)をさらに含み、それが電解液に占める質量百分率は、0.01%から10%であり、より好ましくは0.1%から8%であり、さらに好ましくは0.5%から5%である。
【0067】
フルオロエチレンカーボネートと硫黄含有化合物の併用により、正極と負極の表面に靭性に優れ、強度が高い一層のパッシベーション膜を形成することができる。なお、硫黄含有化合物は、フルオロエチレンカーボネートのパッシベーション膜の近くでの還元を抑え、さらにフルオロエチレンカーボネートによる内部抵抗の悪化を抑えることができる。フルオロエチレンカーボネート含有量が上記範囲内にあるとき、界面パッシベーション膜を適切に形成し、電解液のさらなる反応を防ぎ、サイクル性能をさらに改善することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、電解液は、さらに好ましくは添加剤を含む。例として、添加剤は、負極膜形成添加剤と正極膜形成添加剤を含んでもよく、さらに、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池高温又は低温性能を改善する添加剤などを含んでもよい。
【0069】
本出願の第二の態様は、ナトリウムイオン二次電池を提供する。ナトリウムイオン二次電池は、正極極板と、セパレータと、負極極板と、本出願の第一の態様に記載の二次電池用電解液とを含む。
【0070】
[正極極板]
正極極板は、一般的には正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置される正極膜層とを含み、正極膜層は正極活物質を含む。
【0071】
例として、正極集電体は、それ自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設置される。
【0072】
いくつかの実施形態では、正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層と高分子材料ベース層の少なくとも一つの表面上に形成される金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することで形成してもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、正極活物質は、当分野において公知の電池に用いられる正極活物質を採用してもよい。例として、正極活物質は、ナトリウム遷移金属酸化物、ポリアニオン型化合物、およびプルシアンブルー系化合物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。しかし、本出願は、これらの材料に限らず、さらに、ナトリウムイオン電池の正極活物質として使用できる他の従来の公知の材料を使用してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、ナトリウム遷移金属酸化物では、遷移金属は、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Ti、Zn、V、Zr及びCeのうちの少なくとも一つであってもよい。ナトリウム遷移金属酸化物は、例えば、Naである。ここで、Mは、Ti、V、Mn、Co、Ni、Fe、Cr及びCuのうちの一つ又は複数であり、0<x≦1であり、0.5<y≦1.5である。
【0075】
いくつかの実施形態では、ポリアニオン型化合物は、ナトリウムイオン、遷移金属イオン及び四面体型(YOn-アニオン単位を有する一種類の化合物であってもよい。遷移金属は、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Ti、Zn、V、Zr及びCeのうちの少なくとも一つであってもよく、Yは、P、S及びSiのうちの少なくとも一つであってもよく、nは、(YOn-の価数を表す。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリアニオン型化合物は、さらに、ナトリウムイオン、遷移金属イオン、四面体型(YOn-アニオン単位及びハロゲンアニオンを有する一種類の化合物であってもよい。遷移金属は、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Ti、Zn、V、Zr及びCeのうちの少なくとも一つであってもよい。Yは、P、S及びSiのうちの少なくとも一つであってもよい。nは、(YOn-の価数を表し、ハロゲンは、F、Cl及びBrのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0077】
いくつかの実施の形態では、ポリアニオン型化合物は、さらに、ナトリウムイオン、四面体型(YOn-アニオン単位、多面体単位(ZOm+及び選択的なハロゲンアニオンを有する一種類の化合物であってもよい。Yは、P、S及びSiのうちの少なくとも一つであってもよい。nは、(YOn-の価数を表し、Zは、遷移金属を表し、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Ti、Zn、V、Zr及びCeのうちの少なくとも一つであってもよい。mは、(ZOm+の価数を表し、ハロゲンは、F、Cl及びBrのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポリアニオン型化合物は、例えばNaFePO、Na(PO、NaM’POF(M’は、V、Fe、Mn及びNiのうちの一つ又は複数)及びNa(VO(PO3-2y(0≦y≦1)のうちの少なくとも一つである。
【0079】
いくつかの実施形態では、プルシアンブルー系化合物は、ナトリウムイオン、遷移金属イオン及びシアンイオン(CN)を有する一種類の化合物であってもよい。遷移金属は、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Ti、Zn、V、Zr及びCeのうちの少なくとも一つであってもよい。プルシアンブルー系化合物は、例えば、NaMeMe’(CN)であり、ここで、Me及びMe’は、それぞれ独立してNi、Cu、Fe、Mn、Co及びZnのうちの少なくとも一つであり、0<a≦2であり、0<b<1であり、0<c<1である。
【0080】
いくつかの実施形態では、正極膜層は、さらに好ましくは接着剤を含む。例として、接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びフッ素含有アクリレート樹脂のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、正極膜層は、さらに好ましくは導電剤を含む。例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、以下の方式で正極極板を製造することができる。上記正極極板を製造するための成分、例えば正極活物質、導電剤、接着剤、および他の成分を溶媒(例えばN-メチルピロリドン)に分散させ、正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体上にコーティングし、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、正極極板が得られる。
【0083】
[負極極板]
負極極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面上に設置される負極膜層とを含み、前記負極膜層は負極活物質を含む。
【0084】
例として、負極集電体は、それ自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設置される。
【0085】
いくつかの実施形態では、負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層と高分子材料基材の少なくとも一つの表面上に形成される金属層を含んでもよい。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することで形成してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、負極活物質は、当分野において公知の電池に用いられる負極活物質を採用してもよい。例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコーン系材料、スズ系材料、及びチタン酸リチウムなどのうちの少なくとも一つを含んでもよい。シリコーン系材料は、シリコーン単体、シリコーン酸化物、シリコーン炭素複合体、シリコーン窒素複合体、及びシリコーン合金のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物、及びスズ合金のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。しかし、本出願は、これらの材料に限らず、電池負極活物質として使用できる他の従来材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、単独で一つのみを使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、負極膜層は、さらに好ましくは接着剤を含む。例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、負極膜層は、さらに好ましくは導電剤を含む。例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、負極膜層は、さらに好ましくは他の助剤、例えば増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、以下の方式で負極極板を製造することができる。上記負極極板を製造するための成分、例えば負極活物質、導電剤、接着剤、および他の成分を溶媒(例えば脱イオン水)に分散させ、負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体上にコーティングし、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、負極極板が得られる。
【0091】
[セパレータ]
二次電池には、セパレータがさらに含まれる。本出願は、セパレータの種類について特に限定せず、任意の公知の良好な化学的安定性と機械的安定性を持つ多孔質構造セパレータを選択してもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリビニリデンフルオライドのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよく、特に制限がない。セパレータが多層複合フィルムであるとき、各層の材料は、同じであってもよく、又は異なってもよく、特に制限がない。
【0093】
いくつかの実施形態では、正極極板、負極極板、及びセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリに製造されることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、二次電池は、外装体を含んでもよい。この外装体は、上記電極アセンブリ及び電解質をパッケージングするために用いてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、二次電池の外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。二次電池の外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチックであってもよい。プラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、及びポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0096】
本出願は、二次電池の形状に対して特に限定せず、円筒型、四角形、又は他の任意の形状であってもよい。例えば、図1は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0097】
いくつかの実施の形態では、図2を参照すると、外装体は、ケース51とカバープレート53とを含んでもよい。ケース51は、底板と、底板に接続される側板とを含んでもよく、底板と側板は、囲んで収容キャビティを形成する。ケース51は、収容キャビティと連通する開口を有する。カバープレート53は、前記収容キャビティを密閉するように前記開口に蓋設されることが可能である。正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスにより電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、前記収容キャビティ内にパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤される。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、当業者は、具体的に実際の需要に応じて選択することができる。
【0098】
本出願の第三の態様は、電池モジュールを提供する。この電池モジュールは、本出願の第二の態様に記載の二次電池を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、二次電池は、電池モジュールに組み立てられてもよい。電池モジュールに含まれる二次電池の数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池モジュールの応用と容量に応じて選択することができる。
【0100】
図3は、一例としての電池モジュール4である。図3を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で配列されてもよい。さらに、締結具によりこれらの複数の二次電池5を固定してもよい。
【0101】
好ましくは、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池5は、この収容空間に収容される。
【0102】
本出願の第四の態様は、電池パックを提供する。この電池パックは、本出願の第三の態様に記載の電池モジュールを含む。
【0103】
いくつかの実施の形態では、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられてもよい。電池パックに含まれる電池モジュールの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池パックの応用と容量に応じて選択することができる。
【0104】
図4図5は、一例としての電池パック1である。図4図5を参照すると、電池パック1には、電池ボックスと電池ボックスに設置される複数の電池モジュール4が含まれてもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3を含み、上部筐体2は、下部筐体3に蓋設され、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックスに配列されてもよい。
【0105】
また、本出願の第五の態様は、電力消費装置を提供する。この電力消費装置は、本出願の第二の態様に記載のナトリウムイオン二次電池、本出願の第三の態様に記載の電池モジュール又は本出願の第四の態様に記載の電池パックから選択される少なくとも一つを含む。前記ナトリウムイオン二次電池、電池モジュール、又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いられてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電力消費装置は、移動体機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶、及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含んでもよいが、これらに限られない。
【0106】
前記電力消費装置として、その使用需要に応じて二次電池、電池モジュール、又は電池パックを選択することができる。
【0107】
図6は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置の二次電池の高出力と高エネルギー密度に対する需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0108】
[実施例]
以下、本出願の実施例を説明する。以下の実施例は例示的なものであり、本出願を解釈するためのものに過ぎず、本出願に対する制限と理解されるべきではない。実施例では特定の技術又は条件が明記されていない場合、当分野内の文献に記述された技術又は条件に従って、又は製品仕様書に従って行う。使用される試薬又は器具は、メーカーが明記されておらず、いずれも市販で入手できる通常の製品である。
【0109】
二次電池の製造
(1)正極極板の製造:活物質のリン酸バナジウムナトリウム(Na(PO4))と、導電剤のアセチレンブラックと、接着剤のポリビニリデンフルオライド(PVDF)とを重量比90:5:5で、N-メチルピロリドン溶媒系において十分に攪拌した。スラリーの固形分含有量は、45%であった。スラリーを均一に混合した後、アルミニウム箔にコーティングした。塗布重量は、9mg/cmであった。その後130℃で送風乾燥を行い、最後に冷間プレス、スリットしてダイヤフラムの幅が81mmの正極極板を得た。
【0110】
(2)負極極板の製造:活物質のハードカーボンと、導電剤のアセチレンブラックと、接着剤のスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)とを、重量比90:4:4:2で脱イオン水溶媒系において十分に攪拌した。スラリーの固形分含有量は、50%であった。スラリーを均一に混合した後、アルミニウム箔にコーティングした。塗布重量は、4.5mg/cmであった。その後130℃で送風乾燥を行い、最後に冷間プレス、スリットしてダイヤフラムの幅が85mmの負極極板を得た。
【0111】
(3)セパレータ:PE多孔質ポリフィルムをセパレータとし、セパレータのスリット幅は、91mmであった。
【0112】
(4)電解液:以下の比較例と実施例で製造された電解液を使用した。
【0113】
(5)フルセルの製造:正極極板、セパレータ、負極極板を順番に積み重ねた。セパレータが正負極の間に配置されることにより絶縁の作用を果たし、捲回してベアセルを得た。ベアセルを外装体に置き、調製された電解液を注入してパッケージングした。注液量は、4g/Ahであった。
【0114】
比較例1
電解液の調製:エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の質量比で混合し、1MのNaPFナトリウム塩を溶解した。調製された電解液を、上記の二次電池の製造に用いた。
【0115】
比較例2
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%の二酸化硫黄(SO)を添加したことである。
【0116】
比較例3
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて0.05質量%の二酸化硫黄(SO)を添加したことである。
【0117】
比較例4
基本的に比較例1と同じ方法に従よって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて10質量%の二酸化硫黄(SO)を添加したことである。
【0118】
比較例5
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%の1,3-プロパンスルトン(PS)を添加したことである。
【0119】
比較例6
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%の硫酸エチレン(DTD)を添加したことである。
【0120】
比較例7
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0121】
比較例8
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて3質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0122】
比較例9
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて10質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0123】
比較例10
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%の1,3-プロパンスルトン(PS)、1質量%の硫酸エチレン(DTD)と1質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0124】
実施例1
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSOと0.1質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0125】
実施例2
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSOと1質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0126】
実施例3
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSOと2質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0127】
実施例4
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSOと5質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0128】
実施例5
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて0.1質量%のSOと1質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0129】
実施例6
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて2質量%のSOと1質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0130】
実施例7
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて5質量%のSOと1質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0131】
実施例8
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSOと1質量%のトリエチルアミンを添加したことである。
【0132】
実施例9
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSFと1質量%のトリエタノールアミンを添加したことである。
【0133】
実施例10
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSFと1質量%のジエタノールアミンを添加したことである。
【0134】
実施例11
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のCSと1質量%のトリエチレンジアミンを添加したことである。
【0135】
実施例12
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSOと1質量%のヘキサメチレンテトラミンを添加したことである。
【0136】
実施例13
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSO、1質量%のヘキサメチレンテトラミンと1質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0137】
実施例14
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSO、1質量%のヘキサメチレンテトラミンと3質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0138】
実施例15
基本的に比較例1と同じ方法によって電解液とナトリウムイオン二次電池を製造した。相違点は、この電解液の調製が比較例1をベースとして、電解液の総重量に基づいて1質量%のSO、1質量%のヘキサメチレンテトラミンと10質量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加したことである。
【0139】
ナトリウムイオン二次電池のサイクル容量保持率
25℃で、実施例と比較例で製造された新鮮なナトリウムイオン二次電池を5分間放置した。1Cレートの定電流で4.2Vまで充電し、定電圧で電流が0.05C以下になるまで充電した。その後に5分間放置し、1Cレートの定電流で2.0Vまで放電した。これは、一つの充放電サイクルであり、今回の放電容量をナトリウムイオン二次電池の1回目のサイクルの放電容量とした。ナトリウムイオン二次電池を上記方法に従って800回のサイクル充放電テストを行い、毎回のサイクルの放電容量を記録した。ナトリウムイオン二次電池を25℃、1C/1Cで800回サイクルした後の容量保持率(%)=800回目のサイクルの放電容量/1回目のサイクルの放電容量×100%であった。
【0140】
ナトリウムイオン二次電池の直流内部抵抗テスト
25℃で、新鮮なナトリウムイオン二次電池を5分間放置し、1Cレートの定電流で4.2Vまで充電し、定電圧で電流が0.05C以下になるまで充電した。このとき、電池の荷電状態(SOC)は、100%であった。その後、5分間放置し、1Cレートの定電流で放電し、ナトリウムイオン二次電池の荷電状態(SOC)を50%に調整した。
【0141】
50%SOCのナトリウムイオン二次電池を10分間放置し続け、4Cレートの定電流で30秒放電した。放置の最後1秒の電圧U1、4Cレートの定電流放電の最後1秒の電圧U2、及び4Cレートの定電流放電の電流Iを記録した。
【0142】
ナトリウムイオン二次電池25℃、50%SOC、4Cレートの定電流で30s放電した直流内部抵抗=(U2-U1)/Iであった。
【0143】
空気中の硫黄含有物質の検出
GT-1000ポンプ吸引式複合ガス検出器を電解液の液面から上方10cmところに置き、テスト結果を読み取った。
【0144】
【表1】
【0145】
比較例1~2、5~6、10と実施例1~4、13の実験結果の比較から分かるように、よく使われる硫黄含有化合物であるPS/DTDに比べて、低沸点の硫黄含有化合物を採用すると、電池の内部抵抗を効果的に改善し、常温サイクル性能を顕著に改善することができた。これは、低沸点の硫黄含有化合物が電解液の粘度を低減させるだけではなく、安定した低内部抵抗の負極パッシベーション膜を形成できるためである。
【0146】
比較例2~4と実施例1~7の実験結果の比較から分かるように、SOの含有量が0.05質量%であるとき(比較例3を参照)、電池コアの内部抵抗とサイクル性能に対する改善が明らかではない。これは、SOの含有量が少なすぎ、形成される負極パッシベーション膜が電解液のさらなる反応を防ぐのに十分ではないためである。SOの含有量が10質量%であるとき(比較例4を参照)、サイクル性能が悪化する。これは、過量の添加剤により内部抵抗が増加し、さらに負極が1C/1Cサイクルでナトリウムを析出するためである。
【0147】
実施例1~12の実験結果から分かるように、アミン系化合物は、ガス硫黄含有化合物の揮発を顕著に低減させることができた。
【0148】
比較例7~9と実施例13~15の実験結果から分かるように、SOを含んだ上でさらに添加剤FECを添加することにより、サイクル寿命をさらに延ばし、電池コアの内部抵抗をわずかに増加させることができた。この主な原因は、FECとSOが正極と負極の表面に、靭性に優れ、強度が高い一層のパッシベーション膜を形成するとともに、SOの還元電位がFECよりも高く、FECのパッシベーション膜の近くでの還元を抑え、さらにFECによる内部抵抗の悪化を抑えることができるためである。
【0149】
比較例2と実施例8~12の実験結果から分かるように、他の低沸点の硫黄含有化合物について、貯蔵とサイクル性能を改善することができた。
【0150】
本出願は、上記実施の形態に限らない。上記実施形態は例示であり、本出願の特許請求の範囲に記載の技術的思想と実質的に同じ構成を有し、同じ作用効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれる。なお、本出願の趣旨を逸脱しない範囲内で、実施の形態に対して当業者が想到できる様々な変形を加え、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構成された他の方式も、本出願の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0151】
1電池パック、2上部筐体、3下部筐体、4電池モジュール、5二次電池、51ケース、52電極アセンブリ、53カバープレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用電解液であって、
電解質塩と、有機溶媒と、添加剤とを含み、
前記添加剤は、アミン系化合物と、沸点が70℃以下の硫黄含有化合物とを含み、
前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、選択的には0.08%から6%であり、
前記硫黄含有化合物とアミン系化合物との質量比は、1:(0.08~13)であり、選択的には1:(0.1~11)であり、さらに選択的には1:(0.5~2.5)である、二次電池用電解液。
【請求項2】
前記アミン系化合物が前記電解液に占める質量百分率は、0.06%から8%であり、選択的には0.08%から6%である、請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
前記アミン系化合物と前記硫黄含有化合物が前記電解液に占める合計質量百分率は、0.5%から10%であり、選択的には1%から7%である、請求項1に記載の電解液。
【請求項4】
前記アミン系化合物は、以下の式Iの化合物、式IIの化合物、および式IIIの化合物のうちの一つ又は複数から選択される電解液であって、

~R、R、R、R15、およびR16は、それぞれ独立して以下の置換基:水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、及び
-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C26アリール基、C-C20アルキレンカルボキシル基、カルボニルC-C20アルキル基、C-C26アリールオキシ基、選択的にはC-Cアルキル基から選択され、それは、さらに任意選択的には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基とスルホニル基から選択される一つ又は複数の基により置換され、
とR又はR、RとR、R15とR16は、化学結合によって連結されてC-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、C-C26アリーレンオキシ基、選択的にはC-Cアルキレン基を形成することができ、ここで、前記置換基は、さらに任意選択的には、C-Cアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基とスルホニル基から選択される一つ又は複数の基により置換され、
-RとR10-R14は、それぞれ独立して以下の置換基:C-C20アルキレン基、C-C20アルケニレン基、C-C26アリーレン基、カルボニルC-C20アルキレン基、C-C26アリーレンオキシ基、選択的にはC-Cアルキレン基から選択され、ここで、前記置換基は、さらに任意選択的には、C-Cアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基とスルホニル基から選択される一つ又は複数の基により置換され、
前記ハロゲン原子は、F、ClとBrのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項5】
前記式Iの化合物は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、5-(ジエチルアミノ)ペンチルアミン、1-メチルピロリジン、およびトリアリルアミンのうちの一つ又は複数から選択され、
前記式IIの化合物は、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、1,2-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、1-アリルピペラジン、ピペラジン、および1-エチルホモピペラジンのうちの一つ又は複数から選択され、
前記式IIIの化合物は、ヘキサメチレンテトラミン、1,3,6,8-テトラアザトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン、3,7-ジメチル-1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン、1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-メチルアミン、およびN,N´-ジニトロソペンタメチレンテトラミンのうちの一つ又は複数から選択される、請求項4に記載の電解液。
【請求項6】
前記硫黄含有化合物の分子量は、50g/molから200g/molである、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項7】
前記硫黄含有化合物は、六フッ化硫黄、四フッ化硫黄、フッ化スルフリル、二酸化硫黄、三酸化硫黄、二硫化炭素、硫化ジメチル、メチルエチルスルフィド、一フッ化硫黄、二フッ化硫黄、フッ化チオニル、および四フッ化チオニルのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項8】
前記電解質塩は、NaPF、NaBF、NaN(SOF)、NaClO、NaAsF、NaB(C、NaBF(C)、NaN(SO、およびNaN(SOF)(SO)のうちの一つ又は複数から選択され、ここで、Rは、C2b+1を代表し、bは、1~10の整数であり、選択的には、1~3の整数であり、さらに選択的には、Rは、-CF、-C又は-CFCFCFである、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項9】
前記有機溶媒は、カーボネート系有機溶媒を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項10】
前記カーボネート系有機溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、およびブチレンカーボネートのうちの一つ又は複数から選択される、請求項9に記載の電解液。
【請求項11】
前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートをさらに含み、それが前記電解液に占める質量百分率は、0.01%から10%であり、選択的には0.1%から8%である、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項12】
二次電池であって、正極極板と、セパレータと、負極極板と、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液とを含む、二次電池。
【請求項13】
電池モジュールであって、請求項12に記載の二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項14】
電池パックであって、請求項13に記載の電池モジュールを含む、電池パック。
【請求項15】
電力消費装置であって、請求項14に記載の電池パックを含む、電力消費装置。
【国際調査報告】