(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】アトマイザー及び電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/05 20200101AFI20250109BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
A24F40/05
A24F40/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541037
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2022131240
(87)【国際公開番号】W WO2023151330
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】202220281366.0
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】游 俊
(72)【発明者】
【氏名】周 宏明
(72)【発明者】
【氏名】李 日紅
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA12
4B162AB14
4B162AC27
4B162AD22
(57)【要約】
本願は、アトマイザー(10)及び電子霧化装置(100)に関する。アトマイザー(10)は、内部に搬送通路(21)及びマイクロ波共振キャビティ(23)が形成され、搬送通路(21)がエアロゾル発生基質を収容するように構成され、搬送通路(21)の少なくとも一部がマイクロ波共振キャビティ(23)と連通して霧化領域を形成する霧化アセンブリ(20)と、少なくとも一部が搬送通路(21)内に入り込み、エアロゾル発生基質を駆動して搬送通路(21)内で移動させるように制御される伝動アセンブリ(40)と、を含む。搬送通路(21)は、霧化領域を有し、霧化領域は、マイクロ波共振キャビティ(23)と連通し、かつエアロゾル発生基質の移動経路に位置し、エアロゾル発生基質は、伝動アセンブリ(40)により押されて自体の軸方向に沿って移動することができる。霧化の過程全体において、エアロゾル発生基質の霧化されない部分を常に霧化領域に搬送し、異なる期間に霧化領域内のエアロゾル発生基質の材質及び誘電特性がほぼ一致し、霧化の吸い感を常に一致させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に搬送通路及びマイクロ波共振キャビティが形成され、前記搬送通路がエアロゾル発生基質を収容するように構成され、前記搬送通路の少なくとも一部が前記マイクロ波共振キャビティと連通して霧化領域を形成する霧化アセンブリと、
少なくとも一部が前記搬送通路内に入り込み、前記エアロゾル発生基質を駆動して前記搬送通路内で移動させるように制御される伝動アセンブリと、を含む、アトマイザー。
【請求項2】
前記搬送通路は、軸方向に対向して設けられた第1端及び第2端を含み、前記マイクロ波共振キャビティは、前記第1端から離間し、かつ前記搬送通路と連通して前記霧化領域を形成し、
前記伝動アセンブリは、前記エアロゾル発生基質を駆動して前記搬送通路内で前記第1端から前記第2端に向かう方向に沿って移動させるように制御される、請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項3】
前記搬送通路は、同軸に設けられた第1搬送通路及び第2搬送通路を含み、前記第1搬送通路は、前記第1端に隣接し、前記第2搬送通路は、前記第2端に隣接し、前記マイクロ波共振キャビティは、前記第1搬送通路と前記第2搬送通路との間に連通して前記霧化領域を形成する、請求項2に記載のアトマイザー。
【請求項4】
前記霧化アセンブリは、互いに嵌設されたインナーハウジング及びアウターハウジングを含み、前記インナーハウジングの内部に前記搬送通路が形成され、前記アウターハウジングと前記インナーハウジングの少なくとも一部とが互いに間隔をあけて設けられ、両者の間に前記マイクロ波共振キャビティが画定され、
前記インナーハウジングには、前記マイクロ波共振キャビティと前記搬送通路とを連通する開口が形成され、前記搬送通路において、それ自体の径方向に沿って前記開口と連通する領域は、前記霧化領域である、請求項3に記載のアトマイザー。
【請求項5】
前記インナーハウジングは、内導体を含み、前記アウターハウジングは、外導体を含み、前記内導体と前記外導体とは、間隔をあけて前記マイクロ波共振キャビティを形成し、前記内導体は、前記開口の前記第1端に隣接するエッジを画定し、前記外導体は、前記開口の前記第2端に隣接するエッジを画定する、請求項4に記載のアトマイザー。
【請求項6】
前記インナーハウジングは、前記第2端に隣接する上ハウジングをさらに含み、前記上ハウジングは、前記外導体に接続され、前記外導体と共に前記開口の前記第2端に隣接するエッジを画定し、
前記内導体自体の内部には、前記第1搬送通路が形成され、前記上ハウジング自体の内部には、前記第2搬送通路が形成される、請求項5に記載のアトマイザー。
【請求項7】
前記伝動アセンブリは、伝動部材を含み、前記伝動部材の一端は、前記搬送通路内に入り込み、前記エアロゾル発生基質を支持する載置面を有し、
前記伝動部材は、前記搬送通路の軸方向に沿って昇降するように制御される、請求項1~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項8】
前記搬送通路の内壁に嵌設された通気管をさらに含み、前記通気管は、前記開口を遮蔽し、マイクロ波の透過を許容し、前記通気管は、前記エアロゾル発生基質を収容するものであり、前記伝動アセンブリの少なくとも一部は、前記通気管内に入り込む、請求項4~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項9】
前記霧化アセンブリは、金属部材であり、前記マイクロ波共振キャビティ及び前記搬送通路のキャビティ壁は、いずれも金属材質である、請求項1~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項10】
結合アンテナをさらに含み、前記結合アンテナは、一端がマイクロ波発生器に接続され、他端が前記マイクロ波共振キャビティに入り込んでマイクロ波を放出する、請求項1~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項11】
マイクロ波発生器と、上記請求項1~10のいずれか一項に記載のアトマイザーと、を含み、前記マイクロ波発生器は、前記マイクロ波共振キャビティ内にマイクロ波を放出するように構成される、電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年2月11日に提出された、出願番号が202220281366.0であり、発明の名称が「アトマイザー及び電子霧化装置」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、霧化の技術分野に関し、特に、アトマイザー及び電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゾルは、固体又は液体の微小粒子がガス媒体に分散して浮遊して形成されたコロイド分散系であり、エアロゾルが呼吸器系統を介して人体に吸入されるため、ユーザに新しい代替的な吸入方式を提供する。例えば、草本類又はペースト類のエアロゾル発生基質をベーク加熱してエアロゾルを発生させる霧化装置は、異なる分野に適用され、通常の製品形態及び吸入方式を代替して、ユーザに吸入可能なエアロゾルを供給することができる。
【0004】
電子霧化装置は、通常、抵抗式の方式によりエアロゾル発生基材を加熱するが、このような加熱方式に必要な予熱待ち時間が長く、かつ発熱が不均一であり、局部温度が高すぎ、発熱ピンや発熱シートの空焼き及びコーキングなどの問題が存在するとともに、ピンやシートにカーボン及びタールが堆積され、清掃が不便であるなどの問題も存在する。近年、マイクロ波加熱は、非燃焼加熱霧化の研究方向として抵抗式加熱のペインポイントを解決するが、マイクロ波加熱原理の制限により、エアロゾル発生基質全体は、加熱過程においてエネルギー結合効率が低く、味の一致性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、マイクロ波加熱霧化の吸い感の一致性が低いという問題に対して、アトマイザー及び電子霧化装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
アトマイザーは、
内部に搬送通路及びマイクロ波共振キャビティが形成され、前記搬送通路がエアロゾル発生基質を収容するように構成され、前記搬送通路の少なくとも一部が前記マイクロ波共振キャビティと連通して霧化領域を形成する霧化アセンブリと、
少なくとも一部が前記搬送通路内に入り込み、前記エアロゾル発生基質を駆動して前記搬送通路内で移動させるように制御される伝動アセンブリと、を含む。
【0007】
上記アトマイザーを使用する際に、エアロゾル発生基質を搬送通路内に入れると、エアロゾル発生基質は、伝動アセンブリによって押されて伝動アセンブリの軸方向に沿って移動することができ、さらに、エアロゾル発生基質の異なる部分が順に霧化領域を通過し、それにより、霧化領域に伝達されたマイクロ波を利用して現在の部分のエアロゾル発生基質を加熱霧化する。使用中に、エアロゾル発生基質の現在の部分が霧化されて内部材質が変化した後、伝動アセンブリによってエアロゾル発生基質の霧化された現在の部分の次の部分を押して霧化領域に移動させてマイクロ波加熱霧化を行うことができる。このように、霧化の過程全体において、エアロゾル発生基質の霧化されない部分を常に霧化領域に搬送し、異なる期間に霧化領域内のエアロゾル発生基質の材質及び誘電特性がほぼ一致し、霧化領域内のエアロゾル発生基質の性能が安定し、さらに霧化の吸い感を常に一致させ、霧化性能を向上させる。
【0008】
一実施例において、前記搬送通路は、軸方向に対向して設けられた第1端及び第2端を含み、前記マイクロ波共振キャビティは、前記第1端から離間し、かつ前記搬送通路と連通して前記霧化領域を形成し、前記伝動アセンブリは、前記エアロゾル発生基質を駆動して前記搬送通路内で前記第1端から前記第2端に向かう方向に沿って移動させるように制御される。
【0009】
一実施例において、前記搬送通路は、同軸に設けられた第1搬送通路及び第2搬送通路を含み、前記第1搬送通路は、前記第1端に隣接し、前記第2搬送通路は、前記第2端に隣接し、前記マイクロ波共振キャビティは、前記第1搬送通路と前記第2搬送通路との間に連通して前記霧化領域を形成する。
【0010】
一実施例において、前記霧化アセンブリは、互いに嵌設されたインナーハウジング及びアウターハウジングを含み、前記インナーハウジングの内部に前記搬送通路が形成され、前記アウターハウジングと前記インナーハウジングの少なくとも一部とが互いに間隔をあけて設けられ、両者の間に前記マイクロ波共振キャビティが画定され、前記インナーハウジングには、前記マイクロ波共振キャビティと前記搬送通路とを連通する開口が形成され、前記搬送通路において、それ自体の径方向に沿って前記開口と連通する領域は、前記霧化領域である。
【0011】
一実施例において、前記インナーハウジングは、内導体を含み、前記アウターハウジングは、外導体を含み、前記内導体と前記外導体とは、間隔をあけて前記マイクロ波共振キャビティを形成し、前記内導体は、前記開口の前記第1端に隣接するエッジを画定し、前記外導体は、前記開口の前記第2端に隣接するエッジを画定する。
【0012】
一実施例において、前記インナーハウジングは、前記第2端に隣接する上ハウジングをさらに含み、前記上ハウジングは、前記外導体に接続され、前記外導体と共に前記開口の前記第2端に隣接するエッジを画定し、前記内導体自体の内部には、前記第1搬送通路が形成され、前記上ハウジング自体の内部には、前記第2搬送通路が形成される。
【0013】
一実施例において、前記伝動アセンブリは、伝動部材を含み、前記伝動部材の一端は、前記搬送通路内に入り込み、前記エアロゾル発生基質を支持する載置面を有し、前記伝動部材は、前記搬送通路の軸方向に沿って昇降するように制御される。
【0014】
一実施例において、前記アトマイザーは、前記搬送通路の内壁に嵌設された通気管をさらに含み、前記通気管は、前記開口を遮蔽し、マイクロ波の透過を許容し、前記通気管は、前記エアロゾル発生基質を収容するものであり、前記伝動アセンブリの少なくとも一部は、前記通気管内に入り込む。
【0015】
一実施例において、前記霧化アセンブリは、金属部材であり、前記マイクロ波共振キャビティ及び前記搬送通路のキャビティ壁は、いずれも金属材質である。
【0016】
一実施例において、前記アトマイザーは、結合アンテナをさらに含み、前記結合アンテナは、一端がマイクロ波発生器に接続され、他端が前記マイクロ波共振キャビティに入り込んでマイクロ波を放出する。
【0017】
電子霧化装置は、マイクロ波発生器と、上記アトマイザーとを含み、前記マイクロ波発生器は、前記マイクロ波共振キャビティ内にマイクロ波を放出するように構成される。
【0018】
本願の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明する。明らかなように、以下の説明における図面は、本願の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずに、開示された図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願の一実施例に係る電子霧化装置の構造概略図である。
【
図2】
図1に示す電子霧化装置によって加熱されたエアロゾル発生基質の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本願の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本願は、ここで説明したものとは異なる他の多くの方法で実施することができ、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができるため、以下に開示する具体的な実施例によって本願が限定されるものではない。
【0021】
本願の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語で示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係であり、本願を説明しやすい、又は説明を簡単にするだけに用いられ、示している装置又は部品が必ず特定の方位を有し、特定の方位構造と操作を有することを表す又は暗示することではないことを理解されるべきであり、そのため本願を限定するものと解釈されるべきではない。
【0022】
また、用語「第1」、「第2」は、説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。これにより、「第1」、「第2」に限定されている特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明において、明確かつ具体的な限定がない限り、「複数」は、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。
【0023】
本願において、特に明確な規定及び限定しない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」などの用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、或いは、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的に接続してもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの部材の内部の連通又は2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願中の具体的な意味を理解することができる。
【0024】
本願において、明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあることを含み、或いは、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを表すだけである。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の直下又は斜め下にあることを含み、或いは、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことを表すだけである。
【0025】
なお、要素が別の要素に「固定される」又は「設けられる」と呼ばれる場合、それは別の要素上に直接存在する場合もあれば、介在要素が存在する場合もある。要素が別の要素に「接続される」と考えられる場合、それは別の要素に直接接続される場合もあれば、介在要素が同時に存在する場合もある。本明細書で用いられる用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び同様の表現は、説明のみを目的としており、唯一の実施形態を表すものではない。
【0026】
背景技術で述べたように、抵抗式加熱は、外部電源によって抵抗素子を加熱し、発熱した抵抗素子は、熱を熱伝導によってエアロゾル発生基質に伝達する。したがって、通常の抵抗式加熱には、以下の不都合がある。1、エアロゾル発生基質と発熱部材とが接触する局所位置の温度が高く、他の位置で熱を迅速に受けることができず、一定の温度勾配が存在し、加熱ムラが生じ、吸い感に影響を与える。2、吸い込み過程において、発熱部材が昇温し続け、潜在的な安全リスクが存在するとともに、熱分解により有害物質が発生しやすい。3、接触式加熱であるため、エアロゾル発生基質と発熱部材とが長時間接触して、カーボンの堆積が発生しやすく、焦げ臭さが発生しやすく、清掃も非常に不便である。4、伝導加熱であるため、予熱時間を短縮するために発熱部材と加熱されたエアロゾル発生基質との間に大きな温度差が必要であり、電子霧化装置100の温度が高く、断熱コストが高く、冷却時間が長いなどの欠点が存在する。5、ほとんどの加熱部材がピン又はシート状であり、エアロゾル発生基質の取り出しが不便である。
【0027】
マイクロ波加熱は、放射加熱として、発熱体の伝熱を必要とせず、上記抵抗式加熱の不足を解決することができる。しかし、関連するマイクロ波加熱霧化方式は、全て1枚のエアロゾル発生基質をマイクロ波環境に置いて全体的に加熱し、エアロゾル発生基質が約12回の吸い込み量を維持する必要があるため、加熱の過程全体において、カートリッジが各時間段階で放出する煙の組成が大きく異なり、吸い感の一致性に影響を与える。
【0028】
具体的には、マイクロ波加熱の原理により、材料のマイクロ波吸収能力(誘電率)は、温度や成分の影響を受ける。吸い込み過程において、エアロゾル発生基質の温度が常温から300℃以上に上昇し、揮発成分が霧化した後にエアロゾル発生基質の質量が約40%低下するとともに、植物繊維が炭化する。過程全体において、エアロゾル発生基質の誘電特性が激しく変化し、マイクロ波エネルギーが常に同じ材質及び誘電特性を持つエアロゾル発生基質に作用することができず、マイクロ波エネルギーのロードは、常にインピーダンスマッチングを実現することができず、加熱共振キャビティの共振周波数もマイクロ波放射源の周波数に維持することができない。つまり、マイクロ波結合効率は、常に高い状態に維持することができないため、各期間の霧化量が異なり、吸い感が一致せず、マイクロ波放射源の組み立てパワーが大きいが、効率が低い。
【0029】
また、マイクロ波電磁場環境において、測温センサは電磁干渉を受けやすい。加熱過程におけるマイクロ波エネルギー結合効率の動的変化が異なるユーザの使用によって異なり、即ち、電子霧化装置100に対する使用習慣と相関するため、固定パワー出力曲線を用いて霧化温度を制御することも極めて困難である。
【0030】
上記研究開発の背景に基づいて、本願は、従来技術に存在する上記問題に対して電子霧化装置100を提供することを目的とし、該装置は、マイクロ波によってエアロゾル発生基質を加熱霧化し、抵抗式加熱による加熱ムラ、発熱ピン・シートにおけるカーボンの堆積と過温度により有害物質が発生するという問題を回避するとともに、マイクロ波によるエアロゾル発生基質の連続的かつ均一な加熱を実現し、マイクロ波加熱効率を最大にし、迅速な霧化を実現し、霧化の吸い感の一致性を保証し、消費者の吸い込み体験感を向上させることができる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、本願は、一実施例において、電子霧化装置100を提供し、該装置100は、アトマイザー10及びマイクロ波発生器60を含む。アトマイザー10は、霧化アセンブリ20及び伝動アセンブリ40を含み、霧化アセンブリ20の内部に搬送通路21及びマイクロ波共振キャビティ23が形成される。搬送通路21は、エアロゾル発生基質を収容し、搬送通路21の少なくとも一部は、マイクロ波共振キャビティ23と連通して霧化領域213を形成する。伝動アセンブリ40は、少なくとも一部が搬送通路21内に入り込み、エアロゾル発生基質を駆動して搬送通路21に沿って移動させるように制御される。つまり、搬送通路21におけるマイクロ波共振キャビティ23との連通領域に霧化領域213が形成され、マイクロ波共振キャビティ23で発生したマイクロ波が搬送通路21の霧化領域213に伝達される。即ち、霧化アセンブリ20内にマイクロ波共振キャビティ23が形成され、マイクロ波発生器60は、マイクロ波共振キャビティ23内にマイクロ波を放出することにより、マイクロ波共振キャビティ23内に電磁振動を行う同軸共振キャビティを形成し、マイクロ波共振キャビティ23が搬送通路21の霧化領域213と連通して、マイクロ波共振キャビティ23内のマイクロ波が霧化領域213に伝達される。
【0032】
このように、搬送通路21内の霧化領域213は、エアロゾル発生基質の移動経路に位置する。電子霧化装置100を使用する際に、エアロゾル発生基質を搬送通路21内に入れると、エアロゾル発生基質は、伝動アセンブリ40によって押されて伝動アセンブリ40の軸方向に沿って移動することができ、さらに、エアロゾル発生基質の異なる部分が順に霧化領域213を通過し、それにより、霧化領域213に伝達されたマイクロ波を利用して現在の部分のエアロゾル発生基質を加熱霧化する。使用中に、エアロゾル発生基質の現在の部分が霧化されて内部材質が変化した後、伝動アセンブリ40によってエアロゾル発生基質の次の部分を押して霧化領域213に移動させてマイクロ波加熱霧化を行うことができる。このように、霧化の過程全体において、エアロゾル発生基質の霧化されない部分を常に霧化領域213に搬送し、異なる期間に霧化領域213内のエアロゾル発生基質の材質及び誘電特性がほぼ一致し、霧化領域213内のエアロゾル発生基質の性能が安定し、さらに霧化の吸い感を常に一致させ、霧化性能を向上させる。
【0033】
好ましくは、搬送通路21における霧化領域213は、マイクロ波共振キャビティ23における電界が最も強い箇所に連通し、マイクロ波共振キャビティ23内の電界強度が大きいマイクロ波を霧化領域213に伝達し、高強度の時変電界を利用して霧化領域213におけるエアロゾル発生基質を加熱する。
【0034】
いくつかの実施例において、アトマイザー10は、結合アンテナ50をさらに含み、結合アンテナ50は、一端がマイクロ波発生器60に接続され、他端がマイクロ波共振キャビティ23内に入り込んでマイクロ波を放出し、このように、結合アンテナ50によってマイクロ波発生器60で発生したマイクロ波をマイクロ波共振キャビティ23内に伝送する。好ましくは、結合アンテナ50は、マイクロ波発生キャビティ内に浮遊して設けられ、又はマイクロ波共振キャビティ23のキャビティ壁に接続され、具体的な形式は、実際のニーズに応じて設けることができる。
【0035】
図2に示すように、いくつかの実施例において、搬送通路21は、軸方向に対向して設けられた第1端231及び第2端232を含み、マイクロ波共振キャビティ23は、第1端231から離間し、搬送通路21と連通し、さらに霧化領域213を形成する。伝動アセンブリ40は、エアロゾル発生基質を駆動して搬送通路21内で第1端231から第2端232に向かう方向に沿って移動させるように制御される。つまり、搬送通路21内のマイクロ波共振キャビティ23と連通する霧化領域213は、第1端231に対して一定の距離を隔てており、このように、伝動アセンブリ40は、エアロゾル発生基質を駆動して第1端231から第2端232に向かう方向に沿って移動させると、エアロゾル発生基質の異なる部分は、順次に第1端231から第1端231に対して一定の距離を隔てた霧化領域213へ移動し、霧化領域213でエアロゾル発生基質の異なる部分を加熱霧化する。
【0036】
好ましくは、マイクロ波共振キャビティ23内の電界強度は、第1端231から第2端232に向かう方向に沿って徐々に増強され、即ち、マイクロ波共振キャビティ23の第2端232に近い側の電界強度が最大になり、マイクロ波共振キャビティ23の第2端232に近い側は、上記マイクロ波共振キャビティ23内の電界強度が最も強い箇所である。なお、マイクロ波共振キャビティ23内に電磁振動を行う共振キャビティが形成され、共振キャビティは、具体的には、同軸共振キャビティ、容量装荷共振キャビティ又は柱状キャビティなどであり、マイクロ波共振キャビティ23内に注入されたマイクロ波エネルギーは、霧化領域213において高強度の時変電界を集中することにより、マイクロ波加熱霧化にエネルギーポイントを提供する。伝動アセンブリ40は、エアロゾル発生基質を駆動して搬送通路21内で第1端231から第2端232に向かう方向に沿って移動させるように制御され、これにより、エアロゾル発生基質の移動方向を、マイクロ波共振キャビティ23内の電界強度が弱いから強くなる方向に一致させ、これにより、エアロゾル発生基質の異なる部分を電界強度が強い霧化領域213に徐々に押して、エアロゾル発生基質を徐々に均一に加熱霧化することができる。
【0037】
図2に示すように、加熱運転過程において、長尺状のエアロゾル発生基質は、加熱対象部分s、予熱部分a、霧化加熱部分b、維持部分c及び冷却部分dに分けられる。維持部分c及び予熱部分aは、霧化加熱部分bの両側に位置し、冷却部分dは、維持部分cの霧化加熱部分bから離れた側に位置する。このように、加熱霧化システムにとって、常に新しい霧化加熱部分bが霧化領域213に搬送され、マイクロ波霧化システムは、常に定常状態にある。
【0038】
さらに、霧化アセンブリ20は、金属部材であり、マイクロ波共振キャビティ23及び搬送通路21のキャビティ壁は、いずれも金属材質である。このように、マイクロ波共振キャビティ23のキャビティ壁を金属材質とすることにより、マイクロ波共振キャビティ23内に電磁振動を行う共振キャビティを形成する。共振キャビティは、具体的には、同軸共振キャビティ、容量装荷共振キャビティ又は柱状キャビティなどであり、マイクロ波共振キャビティ23内に注入されたマイクロ波エネルギーは、霧化領域213において高強度の時変電界を集中することにより、マイクロ波加熱霧化にエネルギーポイントを提供する。また、搬送通路21のキャビティ壁を金属材質とし、配置されたマイクロ波発生器60のマイクロ波周波数をカットオフすることにより、霧化領域213から離れる方向に沿って、マイクロ波エネルギーが搬送通路21において幾何学的倍数で減衰し、即ち、霧化領域213から離れるほど、マイクロ波エネルギーが小さくなり、このように、マイクロ波エネルギーが霧化領域213に集まって小範囲の加熱霧化を行い、さらに上記吸い感の一致性を保持する目的を実現する。
【0039】
具体的には、マイクロ波伝送は、カートリッジ搬送通路21内でカットオフされ、エネルギー減衰が非常に速く、搬送通路21の直径がd(mm)であると、マイクロ波円形導波管の伝送理論によれば、搬送通路21内のマイクロ波エネルギーの減衰係数α(dB/m)の公式は、以下のとおりである。
【0040】
【数1】
ここで、α(dB/m)は、円形導波管内のマイクロ波の減衰係数であり、
λ
0(m)は、加熱用マイクロ波の波長であり、
λ
c(m)は、円形導波管内の異なるモードでのカットオフ波長であり、
半径がRの円形導波管について、
λ
c=3.41*d/2 (2)
ここで、円形導波管伝送の主モードTE11のベッセル関数の最小ルート値は、2.62である。適合したエアロゾル発生基質の直径が7mmである場合、マイクロ波共振キャビティ23の挿入遮蔽部(即ち、搬送通路21)の孔径をd=8mmに設計すると、λ
c=13.64mmである。
【0041】
加熱キャビティにおけるマイクロ波周波数が2.45Gである場合、式(1)に代入すると、α≒4(dB/mm)となり、即ち、遮蔽部の導波管において、1mmごとにマイクロ波エネルギーが4dB減衰する。
【0042】
一般的な加熱周波数とHNBタバコに必要な孔径を式(1)、(2)に代入して以下を計算した。
【表1】
【0043】
これから分かるように、霧化領域213から1mm離れるごとに、エネルギーが60%~70%減衰し、霧化領域213から2mm離れる位置のエネルギーが霧化領域213におけるエネルギーの1/10に達しないことにより、搬送通路21内のエアロゾル発生基質の霧化領域213に位置する部分のみが加熱霧化され、さらに上記吸い感の一致を保持する目的を実現する。
【0044】
さらに、吸い込み回数、間隔時間及び温度などの要因に応じて、電子霧化装置100は、伝動アセンブリ40の搬送速度及びマイクロ波パワーを自動的に制御して、マイクロ波パワーと、エアロゾル発生基質の霧化領域213内に位置する現在の部分とをマッチングさせて結合させ、高い電磁結合効率を保持し、吸い感の一致性を自動的に保証する。
【0045】
図1に示すように、いくつかの実施例において、搬送通路21は、同軸に設けられた第1搬送通路212及び第2搬送通路214を含み、第1搬送通路212は、第1端231に隣接し、第2搬送通路214は、第2端232に隣接し、マイクロ波共振キャビティ23は、第1搬送通路212と第2搬送通路214との間に連通して霧化領域213を形成する。つまり、搬送通路21は、霧化領域213の軸方向両側に設けられた第1搬送通路212及び第2搬送通路214を含む。霧化領域213は、第1搬送通路212と第2搬送通路214との間に位置し、搬送通路21内のエアロゾル発生基質が伝動アセンブリ40に押されて第1搬送通路212から第2搬送通路214へ移動して、エアロゾル発生基質の各部分がいずれも軸方向に沿って移動して霧化領域213を通過することを許容し、エアロゾル発生基質に十分な移動空間を提供する。
【0046】
また、マイクロ波共振キャビティ23は、第1搬送通路212及び霧化領域213の外周を囲んで設けられて、霧化領域213に伝送可能なマイクロ波エネルギーを発生する。第2搬送通路214は、マイクロ波共振キャビティ23の外に突出し、これにより、第2搬送通路214によってエアロゾル発生基質が加熱霧化された後の冷却部分dを収容する。
【0047】
さらに、
図1に示すように、霧化アセンブリ20は、互いに嵌設されたインナーハウジング26及びアウターハウジング28をさらに含む。インナーハウジング26の内部に搬送通路21が形成され、アウターハウジング28とインナーハウジング26の少なくとも一部とが互いに間隔をあけて設けられ、両者の間にマイクロ波共振キャビティ23が画定される。このように、インナーハウジング26とアウターハウジング28によって囲われて搬送通路21及びマイクロ波共振キャビティ23が形成され、搬送通路21内のエアロゾル発生基質を加熱霧化する。
【0048】
また、インナーハウジング26に、マイクロ波共振キャビティ23と搬送通路21とを連通する開口25が形成され、搬送通路21において、それ自身の径方向に沿って開口25と連通する領域は、霧化領域213であり、即ち、搬送通路21において開口25と径方向に対応して連通する領域は、霧化領域213を形成するように構成される。マイクロ波共振キャビティ23における高強度の時変電界は、開口25を介して霧化領域213に作用し、さらに霧化領域213におけるエアロゾル発生基質に対してマイクロ波加熱霧化を行うことができる。このように、伝動アセンブリ40により、エアロゾル発生基質の内部の異なる部分が連続的に霧化領域213を通過する場合、霧化領域213の電界強度が高く、領域が狭いため、単位時間内に加熱されるエアロゾル発生基質の量が小さく、昇温が速く、予熱時間が短く、切り替え慣性が小さく、即時吸い込み・即時停止を実現することができる。また、エアロゾル発生基質が完全に霧化された後、伝動アセンブリ40によって押し出され、エアロゾル発生基質の取り出しが容易になる。
【0049】
さらに、いくつかの実施例において、開口25は、環状であり、霧化領域213は、開口25内に嵌設され、このように、開口25自体の内部に形成された環状空間は、霧化領域213を形成し、開口25を介してマイクロ波エネルギーを霧化領域213に効果的に伝達する。
【0050】
いくつかの実施例において、インナーハウジング26は、内導体261を含み、アウターハウジング28は、外導体を含む。内導体261と外導体とは、間隔をあけてマイクロ波共振キャビティ23を形成する。内導体261は、開口25の第1端231に隣接するエッジを画定し、外導体は、開口25の第2端232に隣接するエッジを画定する。このように、内導体261と外導体とが互いに協働することにより、マイクロ波共振キャビティ23及び開口25を形成して、共振キャビティ内の電界が最も強い箇所のエネルギーを利用して開口25を介してエアロゾル発生基質の局所領域を霧化加熱する。
【0051】
さらに、いくつかの実施例において、インナーハウジング26は、第2端232に隣接する上ハウジング263をさらに含む。上ハウジング263は、外導体に接続され、外導体と共に開口25の第2端232に隣接するエッジを画定し、内導体261自体の内部には、第1搬送通路212が形成され、上ハウジング263自体の内部には、第2搬送通路214が形成される。このように、内導体261の上方に、外導体に接続される上ハウジング263を設けて、上ハウジング263を内導体261の先端に位置させ、内導体261と上ハウジング263とを組み合わせることにより、第1搬送通路212及び第2搬送通路214を含む搬送通路21を形成する。また、上ハウジング263と外導体との接続箇所と、内導体261との間に開口25が画定され、これにより、外導体と内導体261との間のマイクロ波共振キャビティ23がインナーハウジング26内の搬送通路21と連通する。
【0052】
さらに、いくつかの実施例において、内導体261の内部に収容キャビティがさらに形成される。収容キャビティは、第1搬送通路212の第2搬送通路214とは反対側に位置し、少なくとも一部の伝動アセンブリ40を収容する。このように、伝動アセンブリ40は、第1搬送通路212の底部に位置し、第1搬送通路212内のエアロゾル発生基質を頂部の第2搬送通路214に絶えず押すことができる。また、開口25は、内導体261の収容キャビティから離れた一端に形成され、内導体261の頂部に形成されることに相当し、即ち、内導体261の外周のマイクロ波共振キャビティの頂部に位置し、この箇所は、共振キャビティ内の電界強度が最も強い箇所であり、マイクロ波エネルギーを有効に利用して霧化加熱を行う。
【0053】
いくつかの実施例において、伝動アセンブリ40は、伝動部材44を含む。伝動部材44の一端は、搬送通路21内に入り込み、エアロゾル発生基質を支持する載置面を有し、伝動部材44は、搬送通路21の軸方向に沿って昇降するように制御され、さらに、伝動部材44を介してエアロゾル発生基質を押して搬送通路21の軸方向に沿って移動させることができる。
【0054】
さらに、伝動アセンブリ40は、駆動部材42をさらに含む。駆動部材42は、搬送通路21外に設けられる。伝動部材44の一端は、駆動部材42の出力端に接続され、伝動部材44の他端は、搬送通路21内に伸縮可能に入り込む。駆動部材42は、伝動部材44を駆動して搬送通路21の軸方向に沿って昇降させ、伝動部材44に駆動力を提供する。具体的には、駆動部材42は、内導体261の収容キャビティ内に設けられる。
【0055】
いくつかの実施例において、アトマイザー10は、搬送通路21の内壁に嵌設された通気管70をさらに含む。通気管70は、開口25を遮蔽し、マイクロ波の透過を許容する。通気管70は、エアロゾル発生基質を収容するものであり、伝動アセンブリ40は、少なくとも一部が通気管70内に入り込み、このように、エアロゾル発生基質の外に通気管70が嵌設され、通気管70によって、発生した霧化エアロゾルを集め、霧化エアロゾルが開口25を通って他の領域に流れることを防止する。同時に、通気管70は、マイクロ波の透過を許可するように構成され、霧化領域213のマイクロ波加熱に影響を与えない。
【0056】
さらに、アトマイザー10は、吸引ノズル80をさらに含み、吸引ノズル80は、霧化アセンブリ20に嵌設され、かつ搬送通路21と連通し、搬送通路21内に発生した霧化エアロゾルは、吸引ノズル80に入ってユーザに吸い込まれる。好ましくは、吸引ノズル80は、通気管70内の霧化したエアロゾルがユーザに吸い込まれるように、通気管70の内部と連通する。
【0057】
本願の一実施例において、アトマイザー10をさらに提供する。アトマイザー10は、霧化アセンブリ20及び伝動アセンブリ40を含む。霧化アセンブリ20の内部には、搬送通路21及びマイクロ波共振キャビティ23が形成される。マイクロ波共振キャビティ23は、搬送通路21の外周の少なくとも一部を囲んで設けられる。伝動アセンブリ40は、少なくとも一部が搬送通路21内に入り込み、エアロゾル発生基質を駆動して搬送通路21内で伝動アセンブリ40の軸方向に沿って移動させるように制御される。搬送通路21は、霧化領域213を有し、霧化領域213は、マイクロ波共振キャビティ23における電界強度が最も強い領域に対応して連通する。つまり、霧化アセンブリ20内にマイクロ波共振キャビティ23が形成され、マイクロ波発生器60は、マイクロ波共振キャビティ23内にマイクロ波を放出することにより、マイクロ波共振キャビティ23内に電磁振動を行う同軸共振キャビティを形成し、マイクロ波共振キャビティ23内の電界が最も強い領域が搬送通路21の霧化領域213に連通して、マイクロ波共振キャビティ23内の電界の強度が大きいマイクロ波を霧化領域213に放出する。
【0058】
また、霧化領域213は、エアロゾル発生基質の移動経路に位置する。電子霧化装置100を使用する際に、エアロゾル発生基質を搬送通路21内に入れると、エアロゾル発生基質は、伝動アセンブリ40によって押されて伝動アセンブリ40の軸方向に沿って移動することができ、さらに、エアロゾル発生基質の異なる部分が順に霧化領域213を通過し、それにより、霧化領域213に伝達された高強度の時変電界を利用して現在の部分のエアロゾル発生基質を加熱霧化する。使用中に、エアロゾル発生基質の現在の部分が霧化されて内部材質が変化した後、伝動アセンブリ40によってエアロゾル発生基質を押して伝動アセンブリ40の軸方向に沿って移動させることにより、該霧化された現在の部分の次の部分を霧化領域213に移動させてマイクロ波加熱霧化を行うことができる。このように、霧化の過程全体において、エアロゾル発生基質の霧化されない部分を常に霧化領域213に搬送し、異なる期間に霧化領域213内のエアロゾル発生基質の材質及び誘電特性がほぼ一致し、霧化領域213内のエアロゾル発生基質の性能が安定し、さらに霧化の吸い感を常に一致させ、霧化性能を向上させる。
【0059】
上記実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせ流ことができる。簡潔に説明するために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの組み合わせは矛盾がない限り全て本明細書に記載された範囲に属すると考えられるべきである。
【0060】
上記実施例は本願のいくつかの実施形態のみを説明しており、それらの説明は、具体的で詳細であるが、本特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本願の趣旨を離脱しない限り、本願に対して各種の変形及び改善を行うことができ、これらの変形及び改善は、全て本願の保護範囲に属する。よって、本願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0061】
100 電子霧化装置、10 アトマイザー、20 霧化アセンブリ、21 搬送通路、212 第1搬送通路、213 霧化領域、214 第2搬送通路、231 第1端、232 第2端、23 マイクロ波共振キャビティ、25 開口、26 インナーハウジング、261 内導体、263 上ハウジング、28 アウターハウジング、40 伝動アセンブリ、42 駆動部材、44 伝動部材、50 結合アンテナ、60 マイクロ波発生器、70 通気管、80 吸引ノズル、s 加熱対象部分、a 予熱部分、b 霧化加熱部分、c 維持部分、d 冷却部分
【手続補正書】
【提出日】2024-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
背景技術で述べたように、抵抗式加熱は、外部電源によって抵抗素子を加熱し、発熱した抵抗素子は、熱を熱伝導によってエアロゾル発生基質に伝達する。したがって、通常の抵抗式加熱には、以下の不都合がある。1、エアロゾル発生基質と発熱部材とが接触する局所位置の温度が高く、他の位置で熱を迅速に受けることができず、一定の温度勾配が存在し、加熱ムラが生じ、吸い感に影響を与える。2、吸い込み過程において、発熱部材が昇温し続け、潜在的な安全リスクが存在するとともに、熱分解により有害物質が発生しやすい。3、接触式加熱であるため、エアロゾル発生基質と発熱部材とが長時間接触して、カーボンの堆積が発生しやすく、焦げ臭さが発生しやすく、清掃も非常に不便である。4、伝導加熱であるため、予熱時間を短縮するために発熱部材と加熱されたエアロゾル発生基質との間に大きな温度差が必要であり、電子霧化装置の温度が高く、断熱コストが高く、冷却時間が長いなどの欠点が存在する。5、ほとんどの加熱部材がピン又はシート状であり、エアロゾル発生基質の取り出しが不便である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
また、マイクロ波電磁場環境において、測温センサは電磁干渉を受けやすい。加熱過程におけるマイクロ波エネルギー結合効率の動的変化が異なるユーザの使用によって異なり、即ち、電子霧化装置に対する使用習慣と相関するため、固定パワー出力曲線を用いて霧化温度を制御することも極めて困難である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に搬送通路及びマイクロ波共振キャビティが形成され、前記搬送通路がエアロゾル発生基質を収容するように構成され、前記搬送通路の少なくとも一部が前記マイクロ波共振キャビティと連通して霧化領域を形成する霧化アセンブリと、
少なくとも一部が前記搬送通路内に入り込み、前記エアロゾル発生基質を駆動して前記搬送通路内で移動させるように制御される伝動アセンブリと、を含む、アトマイザー。
【請求項2】
前記搬送通路は、軸方向に対向して設けられた第1端及び第2端を含み、前記マイクロ波共振キャビティは、前記第1端から離間し、かつ前記搬送通路と連通して前記霧化領域を形成し、
前記伝動アセンブリは、前記エアロゾル発生基質を駆動して前記搬送通路内で前記第1端から前記第2端に向かう方向に沿って移動させるように制御される、請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項3】
前記搬送通路は、同軸に設けられた第1搬送通路及び第2搬送通路を含み、前記第1搬送通路は、前記第1端に隣接し、前記第2搬送通路は、前記第2端に隣接し、前記マイクロ波共振キャビティは、前記第1搬送通路と前記第2搬送通路との間に連通して前記霧化領域を形成する、請求項2に記載のアトマイザー。
【請求項4】
前記霧化アセンブリは、互いに嵌設されたインナーハウジング及びアウターハウジングを含み、前記インナーハウジングの内部に前記搬送通路が形成され、前記アウターハウジングと前記インナーハウジングの少なくとも一部とが互いに間隔をあけて設けられ、両者の間に前記マイクロ波共振キャビティが画定され、
前記インナーハウジングには、前記マイクロ波共振キャビティと前記搬送通路とを連通する開口が形成され、前記搬送通路において、それ自体の径方向に沿って前記開口と連通する領域は、前記霧化領域である、請求項3に記載のアトマイザー。
【請求項5】
前記インナーハウジングは、内導体を含み、前記アウターハウジングは、外導体を含み、前記内導体と前記外導体とは、間隔をあけて前記マイクロ波共振キャビティを形成し、前記内導体は、前記開口の前記第1端に隣接するエッジを画定し、前記外導体は、前記開口の前記第2端に隣接するエッジを画定する、請求項4に記載のアトマイザー。
【請求項6】
前記インナーハウジングは、前記第2端に隣接する上ハウジングをさらに含み、前記上ハウジングは、前記外導体に接続され、前記外導体と共に前記開口の前記第2端に隣接するエッジを画定し、
前記内導体自体の内部には、前記第1搬送通路が形成され、前記上ハウジング自体の内部には、前記第2搬送通路が形成される、請求項5に記載のアトマイザー。
【請求項7】
前記伝動アセンブリは、伝動部材を含み、前記伝動部材の一端は、前記搬送通路内に入り込み、前記エアロゾル発生基質を支持する載置面を有し、
前記伝動部材は、前記搬送通路の軸方向に沿って昇降するように制御される、請求項1~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項8】
前記搬送通路の内壁に嵌設された通気管をさらに含み、前記通気管は、前記開口を遮蔽し、マイクロ波の透過を許容し、前記通気管は、前記エアロゾル発生基質を収容するものであり、前記伝動アセンブリの少なくとも一部は、前記通気管内に入り込む、請求項4~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項9】
前記霧化アセンブリは、金属部材であり、前記マイクロ波共振キャビティ及び前記搬送通路のキャビティ壁は、いずれも金属材質である、請求項1~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項10】
結合アンテナをさらに含み、前記結合アンテナは、一端がマイクロ波発生器に接続され、他端が前記マイクロ波共振キャビティに入り込んでマイクロ波を放出する、請求項1~6のいずれか一項に記載のアトマイザー。
【請求項11】
マイクロ波発生器と、上記請求項1~
6のいずれか一項に記載のアトマイザーと、を含み、前記マイクロ波発生器は、前記マイクロ波共振キャビティ内にマイクロ波を放出するように構成される、電子霧化装置。
【国際調査報告】