(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】物品を輸送するための垂直コンベアおよび垂直に輸送するための方法
(51)【国際特許分類】
B65G 11/10 20060101AFI20250109BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20250109BHJP
B65G 1/00 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B65G11/10 Z
B65G43/08 E
B65G1/00 511F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541661
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2022086326
(87)【国際公開番号】W WO2023134959
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389064
【氏名又は名称】ベクトン・ディッキンソン・ロワ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディートマル グロス
【テーマコード(参考)】
3F011
3F022
3F027
【Fターム(参考)】
3F011BA05
3F011BB08
3F011BC01
3F022AA02
3F022AA10
3F022CC03
3F022DD01
3F022LL14
3F022MM52
3F027AA09
3F027CA01
3F027EA01
(57)【要約】
既知の垂直コンベアでは、輸送中に物品が破損されるリスクがある。これを回避するために、本発明による垂直コンベアは、物品のための受入区域および送出区域を備えるフレーム構造と、垂直向きの誘導機構であって、可逆的に変形可能な材料を含む第1の案内手段と、少なくとも1つの第2の案内手段とを備える、誘導機構と、垂直に移動可能な支持ユニットであって、閉位置と解放位置との間で水平に移動可能な少なくとも1つの支持アームを有する支持ユニットとを含み、支持アームは、少なくとも部分的に第1の案内手段を挟持し、第1の案内手段および第2の案内手段と支持アームとは、支持アームが、支持アームの垂直移動時に第1の案内手段を可逆的に変形させ、閉位置で、第1の案内手段および第2の案内手段から緩衝区域を形成し、緩衝区域が物品の下降移動を妨げるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品のための受入区域(20)および送出区域(30)を備えるフレーム構造(10)と、
物品を案内して垂直に移動させるための垂直向きの誘導機構(200)であって、可逆的に変形可能な材料を含む第1の案内手段(201a)と、少なくとも1つの第2の案内手段(201b、12)とを備え、前記第1の案内手段(201a)は、前記受入区域(20)および前記送出区域(30)において前記フレーム構造(10)に固定されている、誘導機構(200)と、
受入区域(20)と送出区域(30)との間で垂直に移動可能な支持ユニット(100)であって、閉位置と解放位置との間で水平に移動可能な少なくとも1つの支持アーム(110a、110b)を有する支持ユニット(100)と
を備える垂直コンベア(1)において、
前記支持アーム(110a、110b)は、少なくとも部分的に前記第1の案内手段(201a)を挟持し、
前記誘導機構(200)の前記第1の案内手段(201a)および前記第2の案内手段(201b、12)と前記支持アーム(110a、110b)とは、前記支持アーム(110a、110b)が、前記支持アームの垂直移動時に前記第1の案内手段(201a)を少なくとも部分的に可逆的に変形し、前記閉位置で、前記第1の案内手段(201a)および前記第2の案内手段(201b、12)から、物品によって少なくとも部分的に可逆的に変形することができる緩衝区域(202)を形成し、前記緩衝区域(202)が前記物品の下降移動を妨げるように構成されている
ことを特徴とする物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項2】
前記第2の案内手段(12)は、可逆的に変形可能なコーティング(14)を少なくとも部分的に有することを特徴とする請求項1に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項3】
前記垂直コンベア(1)は2つの支持アーム(110a、110b)を含み、前記第2の案内手段(201b)も可逆的に変形可能な材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項4】
前記垂直コンベア(1)は、位置決め凹部(41)を有する垂直向きの支持アーム調整機構(40)を備え、支持アーム(110a、110b)は、前記位置決め凹部(41)に係入する作動区域(111a、111b)を備え、前記位置決め凹部(41)は、ロック区域(42)と、少なくとも1つの開口区域(43)とを備え、開口区域は、前記支持ユニット(100)の垂直移動中に支持アーム(110a、110b)の水平移動を引き起こすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項5】
支持アーム(110a、110b)は、前記支持ユニットに枢動可能に固定され、開口区域が円弧状に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項6】
支持アーム(110a、110b)は、案内手段(201a、201b)の前記可逆的に変形可能な材料との接触領域に、少なくとも1つの回転可能な走行ローラ(114)を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項7】
可逆的に変形可能な材料からなる前記第1の案内手段(201a)および前記第2の案内手段(201b)は、垂直向きの2つの平行な織物ストリップによって提供されており、前記織物ストリップは、前記受入区域(20)および前記送出区域(30)でそれぞれ前記フレーム構造(10)に固定されていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項8】
可逆的に変形可能な材料からなる案内手段(201a、201b)は、予め張力をかけられて前記受入区域(20)および/または前記送出区域(30)で前記フレーム構造に固定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項9】
前記垂直コンベアは排出機構(50)を含み、前記排出機構(50)によって物品が側方に放出されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項10】
前記排出機構(50)は、調整可能な排出手段(53)を含むことを特徴とする請求項9に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項11】
前記垂直コンベアは、垂直に配置された駆動ベルト(61)を備えるベルト駆動手段(60)を含み、前記駆動ベルト(61)は、前記支持ユニット(100)に連結されており、これを垂直に移動させることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の物品(2)を輸送するための垂直コンベア(1)。
【請求項12】
物品を垂直に輸送するための方法であって、
可逆的に変形可能な材料を含む第1の案内手段(201a)と少なくとも1つの第2の案内手段(201b、12)とからなる垂直コンベア(1)のフレーム構造(10)の受入区域(20)に、物品のための緩衝領域(203)を有する緩衝区域(202)が提供され、これは、可逆的に変形可能な材料からなる前記第1の案内手段(201a)を少なくとも部分的に挟持する少なくとも1つの水平に移動可能な支持アーム(110a、110b)を備えた垂直に移動可能な支持ユニット(100)が前記受入区域(20)まで移動され、前記支持アーム(110a、110b)が、前記第2の案内手段(201b、12)に向かって水平に閉位置に移動され、前記閉位置が物品の垂直移動を妨げる、ことによって行われ、
少なくとも1つの物品は、前記緩衝区域(202)の前記緩衝領域(203)に移送され、前記少なくとも1つの物品は、前記可逆的に変形可能な材料を変形させ、前記可逆的に変形可能な材料は、前記物品の衝突を緩衝し、
前記支持ユニット(100)は、前記閉位置で前記フレーム構造(10)の送出区域(30)まで移動され、前記支持ユニット(100)の前記移動中、前記可逆性材料(201a、201b)を少なくとも部分的に挟持する支持アーム(110a、110b)は、前記移動中に前記可逆的に変形可能な材料を連続的に変形し、それにより前記緩衝区域(202)を下方に移動させ、
前記送出区域(30)に到達すると、前記支持アーム(110a、110b)は解放位置へと互いに引き離され、前記形成された開口部を通して前記少なくとも1つの物品が送出される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を輸送するための垂直コンベアおよび物品を垂直に輸送するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直コンベアは、コンベア技術に基づくシステムであり、(通常は物品の形態での)製品の流れを上下に輸送するために使用される。また、垂直コンベアは、例えば医療分野の消耗品(医薬品パッケージ、栄養補助食品パッケージ、パッケージングされた包帯材など)を保管するための全自動オーダーピッキング装置と組み合わせて薬局で使用される。
【0003】
全自動オーダーピッキング装置の大きな利点は、手動操作の保管システムで可能であるよりも多くの物品を特定の床面積に保管することができることである。医薬品に関して、以前は薬局で、それらを種類ごとに水平に引き出すことができる引出しに保管し、必要なときに手動で取り出すのが一般的であった。引出しが多数あり、奥行きもあるため、手動保管システムを使用するときには大きな保管スペースが必要である。そのため、薬局店舗は通常、保管スペース自体よりもかなり小さい。
【0004】
全自動オーダーピッキング装置を使用することによって空間的利益を得ることが可能であるが、オーダーピッキング装置を使用する場合でも比較的大きい床面積が必要とされる。現代のオーダーピッキング装置は全自動で駆動されるので、装置自体およびそこに保管されている物品への迅速なアクセスはそれほど重要ではなく、したがって、オーダーピッキング装置を薬局店舗の上の階に設置することができるようになっている。このようにして、薬局店舗をできるだけ大きく設計することができる。
【0005】
薬局用の従来の垂直コンベアは、特にスパイラルスライドまたはリフトである。スパイラルスライドは、例えば約60cmの直径を有する比較的広いスペースを必要とするという欠点を有する。既知のリフトは複雑であり、入念なメンテナンスを必要とする。さらに、前述した垂直コンベアは、オーダーピッキング装置から垂直コンベアへのパッケージの移送時にパッケージ自体の破損が生じることが多いという欠点も有し、パッケージの破損は通常、患者にネガティブな印象を抱かせるので、特に医薬品パッケージの場合にはこれを回避すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、物品が優しく輸送され、構造的に複雑でなく、したがってメンテナンスの手間が少ない、物品を垂直に輸送するための垂直コンベアおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の物品を輸送するための垂直コンベアによって解決される。本発明による垂直コンベアは、物品のための受入区域および送出区域を備えるフレーム構造と、物品を案内して垂直に移動させるための垂直向きの誘導機構であって、可逆的に変形可能な材料を含む第1の案内手段と、少なくとも1つの第2の案内手段とを備え、第1の案内手段が、受入区域および送出区域でフレーム構造に固定されている、誘導機構と、受入区域と送出区域との間で可逆に移動可能な支持ユニットであって、閉位置と解放位置との間で水平に移動可能な少なくとも1つの支持アームを有する支持ユニットとを含む。
【0008】
本発明によれば、支持アームは、少なくとも部分的に第1の案内手段を挟持し、誘導機構の第1の案内手段および第2の案内手段と支持アームとは、支持アームが、支持アームの垂直移動時に第1の案内手段を少なくとも部分的に可逆的に変形し、閉位置で、第1の案内手段および第2の案内手段から、物品によって少なくとも部分的に可逆的に変形することができる緩衝区域を形成し、緩衝区域が物品の下降移動を妨げるように構成されていることが企図されている。
【0009】
本発明による垂直コンベアでは、物品は、物品との接触時にそれらを破損する恐れのある例えば輸送トラフやシュートなどに単に移送されるのではなく、物品の衝突を緩衝して物品を優しく受け入れる緩衝区域が提供される。
【0010】
本発明による垂直コンベアでは、この緩衝区域は、受入位置と送出位置との間で移動される規定の部品によって提供されているのではなく、誘導機構の第1の案内手段の可逆的に変形可能な材料の一区域が第2の案内手段と相互作用して変形することによって提供され、すなわち、支持アームが、可逆的に変形可能な材料を第2の案内手段に対して水平に移動させ、それにより下向きに閉じた緩衝領域が形成されることによって提供される。
【0011】
緩衝特性を達成するために、第1の案内手段を垂直コンベア内に適切に配置すること、および/または(第1の案内手段の)可逆的に変形可能な材料に、例えば第1の案内手段を弾性的に構成するための追加の材料特性を与えることが必要である。
【0012】
誘導機構は2つの案内手段を含み、少なくとも1つの案内手段が、可逆的に変形可能な材料を含む。第2の案内手段は、異なる構成にすることができる。すなわち、例えば垂直コンベアの垂直ハウジング区域によって提供することができる。そのような場合、緩衝区域は、支持アームが第1の案内手段(すなわち案内手段の可逆的に変形可能な材料)をハウジング壁に押し付ける、または少なくともその近くまで移動して、物品が垂直方向で保持されるようにすることによって形成される。
【0013】
そのような場合、物品が所定の方法で垂直コンベアに移送される、すなわち第1の案内手段の領域内で衝突する(その際、緩衝される)ことも好適である。
【0014】
第2の案内手段にも緩衝特性を提供するために、支持アームを使用する場合、第2の案内手段が可逆的に変形可能なコーティングを少なくとも部分的に有することが好ましい。
【0015】
輸送すべき物品に対して特に良好な緩衝特性を提供する代替実施形態では、垂直コンベアは2つの支持アームを含み、第2の案内手段も可逆的に変形可能な材料を含むことが企図されている。この場合、支持アームと誘導機構の第1の案内手段および第2の案内手段とは、支持アームが、案内手段の垂直移動時に可逆的に変形し、閉位置で、第1の案内手段および第2の案内手段から、物品によって少なくとも部分的に可逆的に変形することができる緩衝区域を形成し、緩衝区域が物品の下降移動を妨げるように構成されていることが企図されている。
【0016】
可逆的に変形可能な材料は、例えば互いに実質的に平行に並べられた2つのテキスタイル織物ストリップによって提供されており、支持アームによって挟持されており、これらが接近している場合(閉位置)、緩衝区域は、テキスタイル織物ストリップの「張力」に応じて、ややU字形またはV字形の断面を有する。
【0017】
垂直コンベアの支持ユニットの支持アームが水平に移動可能であり、受入区域に、物品を受け入れる緩衝区域を構成することができる。支持ユニットの下降移動中、支持アームは、少なくとも第2の案内手段まで(すなわち場合によっては第2の支持アームまで)移動した状態を保ち、物品の滑り抜けが防止されており、可逆的に変形可能な材料が支持アームを通り過ぎ、したがって、支持ユニットの移動と共に緩衝区域も垂直に変位される。支持ユニットが垂直コンベアの送出区域に到達すると、物品を送出するために、案内手段を互いに緩めることが必要である。これは、支持アームが互いに引き離されることによって、または支持アームが第2の案内手段から離されることによって行われる。物品を送出することができるように、緩衝区域を開くまたは緩める必要がある。
【0018】
本発明による垂直コンベアのさらなる利点は、これらが、可逆的に変形可能な材料と「動く」緩衝区域とを備えた構造により、非常に低い騒音で動作することができることである。したがって、薬局店舗の顧客がその動作によって煩わされることがない。
【0019】
上述したように、本発明による垂直コンベアは1つまたは2つの支持アームを含むことが企図されている。第1の案内手段と第2の案内手段とから緩衝区域を構成することができることが要点であり、これにより、物品の垂直移動が妨げられ、その衝突が緩衝される。以下では、通常は「1つの」支持アームについて言及するが、2つの支持アームを備える垂直コンベアの場合には、記載内容が両方の支持アームに当てはまる。
【0020】
支持アームを水平に移動させるために、支持ユニットに、支持アームの水平移動を保証する対応する駆動手段を設けることが考えられる。しかし、これは、支持ユニットの構造がより複雑になり、不具合が発生しやすくなるという欠点を有する。さらに、支持アームの水平移動のための駆動手段を設置することにより、支持ユニット自体の重量が増加する。したがって、本発明による垂直コンベアの好ましい実施形態では、垂直コンベアは、位置決め凹部を有する垂直向きの支持アーム調整機構を備え、支持アームは、位置決め凹部に係入する作動区域を備え、位置決め凹部は、ロック区域と、少なくとも1つの開口区域とを備え、開口区域は、支持ユニットの垂直移動中に支持アームの水平移動を引き起こすことが企図されている。この実施形態では、支持アームの移動は、支持ユニット自体によっては制御されず、誘導機構に沿って延びる支持アーム調整機構によって「外部から」制御される。支持アームの作動区域が位置決め凹部に係入するので、位置決め凹部の形状設定により、支持ユニットの垂直移動時に支持アームの水平移動がもたらされる。このようにして、支持アームの水平移動に専用の駆動手段を必要としない、構造的に単純な支持ユニットを使用することが可能である。支持アームに位置決め凹部および作動区域を設けることにより、支持アームの移動または位置決めのための機械的に単純で不具合のないシステムとなる。
【0021】
支持アームの開放動作を特に摩擦がなく穏やかに構成するために、本発明による垂直コンベアの好ましい実施形態では、支持アームは支持ユニットに枢動可能に固定され、位置決め凹部の開口区域は円弧状に構成されていることが企図されている。
【0022】
既に上述したように、本発明では、誘導機構の案内手段および少なくとも1つの支持アームの設計によって緩衝区域を提供することができることが要点である。さらに、支持アームは、閉じた状態で案内手段の可逆性材料を通って案内されることが企図されている。例えば、支持アームが可逆的に変形可能な材料に及ぼすクランプ力を調整し、可逆的に変形可能な材料に沿った支持アームの穏やかな移動を可能にするために、好ましい実施形態では、支持アームは、案内手段の可逆性材料との接触領域に少なくとも1つの回転可能な走行ローラを備えることが企図されている。回転抵抗の調整により、例えば緩衝区域の緩衝特性を調整することが可能である。走行ローラの回転抵抗が克服されると、これが回転し、可逆的に変形可能な材料が緩衝区域に引き込まれ、緩衝区域の一部になる。
【0023】
本発明による垂直コンベアの誘導機構は、可逆的に変形可能な材料を含むまたはその材料からなる第1の案内手段を必須で含む。2つの案内手段が可逆的に変形可能な材料を含むまたはその材料からなる構造的に特に単純な実施形態では、可逆的に変形可能な材料が、垂直向きの2つの平行な素材ストリップによって提供されており、素材ストリップは、受入区域および送出区域でそれぞれフレーム構造に固定されていることが企図されている。
【0024】
特別な特性を備える緩衝区域を提供するための既に上述した可能性に加えて、代替または追加として、誘導機構の実施形態では、案内手段は、例えば1つまたは複数のばねによって予め張力をかけられて受入区域および/または送出区域でフレーム構造に固定されていることが企図されている。
【0025】
既に上述したように、送出区域に到達すると、緩衝区域に配置されている物品は、緩衝区域が互いに引き離されることによって送出される。垂直向きの垂直コンベアでは、これは、重力により底部開口部を通って物品が下方に落ちる可能性があることを意味する。しかし、これもまた物品の破損のリスクを高めるので、垂直コンベアの好ましい実施形態では、垂直コンベアは排出機構を含み、排出機構によって物品が側方に放出され得ることが企図されている。これに関連して、この排出機構は、例えば2つの向かい合う側で物品を排出することができるように、調整可能な排出手段を含むことが特に好ましいことがある。
【0026】
支持ユニットの垂直移動をもたらすために、支持ユニット自体が駆動手段を含むことが企図され得る。しかし、好ましい実施形態では、垂直コンベアは、垂直に配置された駆動ベルトを備えるベルト駆動手段を含み、駆動ベルトは、支持ユニットに連結されており、これを垂直に移動させることが企図されている。そのような場合、支持ユニットの重量が不必要に増加しないように、駆動手段自体を垂直コンベアの別の位置にずらすことができる。さらに、駆動手段自体は静止状態で取り付けられており、垂直コンベアと共に常には移動されないという利点もある。
【0027】
この課題は、請求項12に記載の方法によってさらに解決される。本発明による物品を輸送するための方法において、可逆的に変形可能な材料を含む第1の案内手段と少なくとも1つの第2の案内手段とからなる垂直コンベアのフレーム構造の受入区域に、物品のための緩衝領域を有する緩衝区域が提供され、これは、可逆的に変形可能な材料からなる第1の案内手段を少なくとも部分的に挟持する少なくとも1つの水平に移動可能な支持アームを備えた垂直に移動可能な支持ユニットが受入区域まで移動され、支持アームが、第2の案内手段に向かって水平に閉位置に移動され、閉位置が物品の垂直移動を妨げる、ことによって行われる。
【0028】
続いて、少なくとも1つの物品は、緩衝区域の緩衝領域に移送され、少なくとも1つの物品は、可逆的に変形可能な材料を変形させ、可逆的に変形可能な材料は、物品の衝突を緩衝する。すべての物品が移送されると、支持ユニットは、閉位置でフレーム構造の送出区域まで移動され、支持ユニットの移動中、可逆的に変形可能な材料を少なくとも部分的に挟持する支持アームは、移動中に可逆的に変形可能な材料を連続的に変形させ、それにより緩衝区域を下方に移動させる。ここで、緩衝領域は、いわば常に新たに提供される。すなわち、支持ユニットが下方に移動するとき、可逆的に変形可能な材料の他の区域が緩衝区域の機能を引き継ぐ。厳密に言えば、機能も変わる。すなわち、物品の移送時、緩衝区域の機能は物品の衝突を緩衝してその破損を防ぐことであるが、下方への移動時には、緩衝区域の機能は物品を保持すること「だけ」である。
【0029】
送出区域に到達すると、支持アームが解放位置へと互いに引き離され、形成された開口部を通して少なくとも1つの物品が送出される。
【0030】
以下、本発明による垂直コンベアおよび垂直に輸送するための方法の好ましい実施形態を図面を参照して述べる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1b】前壁が省略されている第1の実施形態の斜視図である。
【
図6】側壁が省略されており、支持ユニットが上方へ閉位置に移動されている正面斜視図である。
【
図7】さらに誘導機構の可逆的に変形可能な材料が省略されている正面斜視図である。
【
図10a】誘導機構の可逆的に変形可能な材料と組み合わせた支持ユニットの詳細図である。
【
図10b】誘導機構の可逆的に変形可能な材料と組み合わせた支持ユニットの詳細図である。
【
図14a】垂直に輸送するための方法の第1の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図14b】垂直に輸送するための方法の第1の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図14c】垂直に輸送するための方法の第1の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図14d】垂直に輸送するための方法の第1の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図15a】垂直コンベアのさらなる実施形態における方法の第2の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図15b】垂直コンベアのさらなる実施形態における方法の第2の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図15c】垂直コンベアのさらなる実施形態における方法の第2の実施形態の1つの段階を示す図である。
【
図15d】垂直コンベアのさらなる実施形態における方法の第2の実施形態の1つの段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~7は、本発明による垂直コンベア1の第1の実施形態の(より詳細に上述した)図を示す。これは、前壁11および2つの側壁12を有するフレーム構造10を含む。フレーム構造10は、受入区域20および送出区域30を含み、これは、垂直コンベアの特別な構成部品ではなく、垂直コンベアに物品が供給される区域(受入区域)と、垂直コンベアが物品を送出する区域(送出区域)とを表す。垂直コンベアは、その内部に、第1および第2の案内手段201a、201bを有する誘導機構200を含む。図示される実施形態では、2つの案内手段201a、201bは、可逆的に変形可能な材料からなる。この実施形態では、可逆的に変形可能な材料は、実質的に平行な2つのテキスタイル織物ストリップによって提供される。
【0033】
代替実施形態では、第1および/または第2の案内手段は、部分的にのみ可逆的に変形可能な材料として構成することもでき、すなわちこれ「のみ」を含むこともできる。
【0034】
第1および第2の案内手段201a、201b(以下では「案内手段」)は、受入区域20および送出区域30において、それぞれ2つの固定具21a、21b、31a、31bによってフレーム構造10に固定されている。さらに、2つの固定具31a、31bは、ばね32によって保持されており、案内手段201a、201bは、物品の衝突時に撓むことができる(そうでない場合には案内手段201a、201bが「張った状態に」張力をかけられている場合)。さらに、ばねは、案内手段201a、201bがそれらに割り当てられた支持アーム110a、110bに常に接するように長さ補正を行う働きをすることもできる。しかし、この機能は、すべての実施形態において必要なわけではなく、例えば可逆的に変形可能な材料が弾性特性も備えているときには必要ない。
【0035】
例えば
図5および6でよく見ることができるように、案内手段201a、201bは、2つの支持アーム110a、110bによって挟持される。これらの図では、支持アームは「閉位置」にある。すなわち、支持アームは水平に一緒に延びており、それらの間で案内手段201a、201b(すなわち、テキスタイル織物ストリップの形態でのその可逆的に変形可能な材料)を閉じるまたは挟む。それにより、これらが緩衝区域202を形成する。
図6では、受入区域20においてこの緩衝区域202を見ることができる。この特別な実施形態では、緩衝区域202を形成する案内手段201a、201bの両方の領域が可逆的に変形可能な材料として設計されているので、緩衝区域全体が緩衝領域203として構成されている。代替実施形態では、緩衝区域202の一部のみが緩衝特性を備えることがあり、すなわち、緩衝区域は、緩衝領域として完全には構成されていない。本発明による方法の説明でより詳細に述べるように、この位置で、緩衝区域202に物品が供給される。支持アーム110a、110bは支持ユニット100の一部であり、支持ユニット100は、図示される実施形態では、2つの後部フレーム支柱に垂直に移動可能に取り付けられている。
【0036】
フレーム支柱13の間に、支持アーム調整機構40が配置されている。これは位置決め凹部41を含み(図示される実施形態では、これは支持アーム調整機構を完全に貫いて延びている)、特に
図13で見ることができるように、この位置決め凹部41を通って、支持アーム110a、110bの作動区域111a、111bが延びている。特に
図3および7で見ることができるように、位置決め凹部41は、垂直なロック区域42と、支持アーム調整機構40の中央に延びるロック区域42から外側に弧状に延びる2つの弧状に延びる開口区域43とを含む。支持アーム110a、110bは位置決め凹部を通って延びるので、位置決め凹部が支持アームのために案内部を形成し、この案内部が、支持ユニットの垂直移動時に支持アームの移動を規定する。これについては、以下の図を参照してより詳細に述べる。
【0037】
図示される実施形態では、垂直コンベア1の下側送出区域30に、可動送出フラップ52を備えた排出機構50が配置されている。排出機構は、さらに、スライドとして斜めに配置された排出手段51を含み、この排出手段51を通って物品が側方に(図示される場合では正面から)送出され、例えば薬局の販売員のためのアクセス領域または保管容器に放出される。
【0038】
本発明の要点は、とりわけ、支持ユニットの垂直移動性である。図示される実施形態では、ベルト駆動機構60が提供されることによってこれが実現される。これは駆動手段64を含み、駆動手段64は、底部プレート14に配置されている(これについては
図13を参照)。駆動手段は、駆動ベルト61を駆動する駆動輪62に連結されている(
図2)。駆動ベルト61は支持ユニット100に接続されており、駆動ベルトの移動により支持ユニット100の垂直移動が生じる。受入区域20内に、ベルト駆動装置60の偏向ローラ63が配置されている。
【0039】
図8および9は、送出区域30の領域における本発明による垂直コンベアの第1の実施形態の詳細図を示し、
図8は背面図を示し、
図9は斜視図を示す。
図8には、ベルト駆動装置の駆動輪62の配置が特に示されており、駆動ベルト61がフレーム支柱13に沿って延びている様子を見ることができる。さらに、支持ユニット100のバックプレート116が固定具117を介してベルト駆動装置61に連結されていることを見ることができる。
図8では、さらに、支持アーム110a、110bが枢動軸112a、112bによって枢動可能に取り付けられていることもよく見ることができる。既に上述したように、位置決め凹部は、ロック区域42および2つの開口区域43を含み、これらは
図8でよく見ることができる。
図8には、支持アームが2つの開口区域43に係入する位置が示され、すなわち、この位置では、支持アーム110a、110bは、既にわずかに互いから離れるように水平に移動されている。
【0040】
図9には、支持アーム110a、110bが完全に互いに離れた位置が示されている。さらに、垂直コンベアの下側領域に、排出機構の排出手段51を見ることができる。これは、物品が前方に排出されるように斜めに配置されている。
図9では、支持ユニット100が支持プレート115を含むこともさらに分かり、緩衝区域への移送後に物品が支持プレート115で支持され得る。図示される実施形態では、垂直コンベア1の支持プレート115および前壁11(
図1a参照)を誘導機構200の一部とみなすことができ、それらの必要性は、垂直コンベアの正確な設計に依存する。緩衝領域202が(物品と比較して)大きいほど、前部および後部の案内手段の必要性は低くなる。また、緩衝区域の形状は、例えば誘導機構の一部として前壁11が必要かどうかに影響を有する。しかし、案内手段201a、201bが適切に設計されている場合、これは必須というわけではない。しかし、内部が見えるのを避けるため、および起こり得る怪我のリスクを減らすために、通常は前壁が設けられる。
【0041】
図10aおよび10bは、案内手段201a、201bと、2つの支持アーム110a、110bを有する支持ユニット100との組合せの斜視図を示す。特に、2つの支持アーム110aおよび110bが、この実施形態ではストリップ状に構成された、可逆的に変形可能な材料からなるまたはその材料を含む案内手段201a、201bを含み、図示される閉位置では、案内手段201a、201bの一区域によって支持アームの上に緩衝区域202が構成されている様子を見ることができる。
【0042】
図11a、11bおよび12a、12bは、支持ユニット100の詳細図を示し、
図11a、12aは、閉位置にある支持ユニットを示し、
図11bおよび12bは、解放位置にある支持ユニット100を示す。これらの図でも、支持アーム110a、110bが枢動軸112a、112bに取り付けられていることが分かる。特に
図12bで分かるように、支持アームが作動区域を備え、
図12aにはそれらのうち支持アーム110aの作動区域111aが示されている。図示される実施形態では、作動区域は位置決め凹部に嵌まり、位置決め凹部の経路を通って支持アームの水平移動が制御される。これらの図でさらに分かるように、この実施形態での支持アームはそれぞれ複数の走行ローラ114を備え、その回転抵抗は状況に応じて適合させることができ、すなわち、誘導機構の可逆的に変形可能な材料が正確にはどのような材料から提供されているか、および輸送すべき物品においてどの程度の重量を見込むことができるかに適合させることができる。
【0043】
図13は、垂直コンベアの下側区域の詳細図を再び示し、この図では、排出機構の排出手段は省略されており、垂直コンベアの底部プレート14にベルト駆動装置の駆動手段64が配置されているのを見ることができる。さらに、この図でも、支持アーム110a、110bが位置決め凹部の開口区域43によって案内される様子を見ることができる。
【0044】
図14a~14dを参照して、本発明による物品を輸送するための方法の第1の好ましい実施形態を述べる。ここで、これらの図は、本発明による垂直コンベアの第2の実施形態を概略的に示す。
図14a~14dでは、関係のない特徴はすべて省略されており、物品を輸送するための方法が正確にどのように行われるかが概略的にのみ示されている。
【0045】
図14aでは、支持ユニット100の支持アームが解放位置で示されており、すなわち、支持アームは接近しておらず、物品を受け入れるための緩衝区域を形成していない。見て分かるように、垂直コンベアにおいて、誘導機構の第1および第2の案内手段201a、201bは「緩く」配置されているが、受入区域および送出区域でフレーム構造に固定されている。代替実施形態では、例えば、ばねが長さ補正の働きをする場合、または案内手段の可逆的に変形可能な材料が弾性特性を有する場合、案内手段を「より張った状態で」配置することもできる。
【0046】
垂直コンベアの下側区域には排出機構50が示されており、この排出機構は、調整可能な排出手段53を含み、排出手段53により、物品を左側または右側に送出することができる。本発明による物品を垂直に輸送するための方法では、第1のステップで、受入区域20に物品用の緩衝区域202が提供される。これは、垂直に移動可能な支持ユニット100が受入区域20に向かって移動され、支持アームが、
図14aに示される解放位置から水平に閉位置に移動されることによって行われ、閉位置では、支持アームが、2つのストリップの形での案内手段201、201bを間に挟み込み、これにより、接近した支持アームの上方に、案内手段201、201bの区域によって緩衝区域202が提供され、この緩衝区域202に物品を移送することができる。図示される実施形態では、案内手段201、201bの2つの区域は、案内手段の特性(可逆的に変形可能な材料)により、緩衝領域203として構成されている。例えば可逆的に変形可能な材料からなる案内手段が1つだけ使用され、第2の案内手段が単に垂直コンベアの(側)壁である代替実施形態では、緩衝領域の部分領域のみが、可逆的に変形可能な材料によって提供される緩衝領域となる。
【0047】
緩衝領域202が提供されるとすぐに、そこに物品を、例えば消耗品(医薬品パッケージ、栄養補助食品パッケージなど)用のオーダーピッキング装置から移送することができる。可逆的に変形可能な材料と支持アーム110a、110bの性質および配置により、緩衝区域202は、その名前が示すように、部品2の落下移動が緩衝され、したがってその破損が回避されるような緩衝特性を備える。
図14cでは、これは、緩衝領域の可逆的に変形可能な材料が「膨らんで」表されていることによって示唆される。支持アーム110a、110bの重量およびクランプ力によっては、物品の衝突の緩衝時に、可逆的に変形可能な材料が上方に引っ張られ、それにより、場合によっては、緩衝区域202よりも下の領域で可逆的に変形可能な材料201に張力が生じることが起こり得る。
【0048】
物品が緩衝区域202に移送された後、支持ユニット100は、支持アーム110a、110bが接近した状態で送出区域30に移動され、この移動中、支持アームは、緩衝区域が下方に移動するまたはそれが下方に拡張されるように、可逆的に変形可能な材料を連続的に変形させる。「緩衝区域」の機能は、もはや緩衝自体ではなく、この区域に配置された物品の案内だけになる。
【0049】
図14dでは、支持アームが送出区域に向かって移動されたことが示唆されている。送出区域に到達すると、
図14dの2つの破線矢印で示されるように、支持ユニット100の支持アーム110a、110bが互いに引き離される。形成された開口部が十分に大きくなるとすぐに、物品2は、重力により、調節可能な排出手段53に落下し、図示される実施形態では物品が「左」に排出される。
【0050】
図15a~15dを参照して、本発明による物品を輸送するための方法の第2の好ましい実施形態を述べる。ここで、これらの図は、本発明による垂直コンベアの第3の実施形態を概略的に示す。
図15a~15dでも、関係のない特徴はすべて省略されている。繰り返しを避けるため、以下では
図14a~14dによる実施形態との相違点のみを述べる。
【0051】
垂直コンベアの第1の実施形態とは異なり、誘導機構は、2つの同一の案内手段によって形成されているのではなく、2つの異なる案内手段、すなわち、可逆的に変形可能な材料からなる/その材料を含む第1の案内手段201a(第1の実施形態と同様)と、垂直コンベアの側壁によって提供される第2の案内手段12とによって形成されている。したがって、支持ユニット100は、2つの支持アーム110aではなく、中央に配置された1つの支持アーム110aのみを含み、しかし、支持アーム110aは、他の点では同様に構成されて案内される。この実施形態では、支持アーム110aが第1の案内手段201aを第2の案内手段12に押し付けることによって緩衝区域202の形成が行われる。図示される実施形態では、第2の案内手段は、可逆的に変形可能なコーティング14を含み、この実施形態でも、支持アーム110aの上方の案内手段のすべての区域が緩衝特性を有し、すなわち緩衝領域203として構成されている。
【0052】
しかし、プロセス技術的には何も変わらない。すなわち、受入区域20に緩衝領域が提供され、物品2が移送され、支持ユニット100が閉位置で下方に移動される。その後、支持アーム110aは、
図15dの矢印に従って左へ解放位置に枢動され、物品が送出される。
【国際調査報告】