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特表2025-501394スリットと撓みインサートとを有するゴルフクラブヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】スリットと撓みインサートとを有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20250109BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20250109BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024541879
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 US2023010700
(87)【国際公開番号】W WO2023137125
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/266,722
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/371,613
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラビス ディ. ミレマン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. モラレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア エー. ディガーネス
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH02
2C002MM01
2C002MM04
2C002MM08
(57)【要約】
本明細書には、スリット及び撓みインサートを有するゴルフクラブヘッドの実施形態が記載されている。スリットは、クラブヘッドの外部と中空の内部キャビティとの間を連通する、クラブヘッドボディを貫通する開口を有する。撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備えることができる。ばね部品は、撓みインサート内にばね効果を生じさせ、インパクト時のクラブヘッドの内部エネルギーを増大させ、ボール速度及び他のゴルフボール性能特性の改善につながる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフボールに衝突するための打撃面を備える打撃フェースと、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、
前記打撃フェース及び前記ボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、
前記ソールは、前記打撃フェースに近接してスリットを画定し、前記スリットは、前記中空の内部キャビティと前記クラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、
前記スリットは、前記打撃フェースに隣接する前方縁部と、前記前方縁部の反対側の後方縁部と、を有し、
前記前方縁部と前記後方縁部とは、前記スリットの境界を画定し、
前記スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、
前記撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、
前記ばね部品は、第1の弾性係数を有する第1の材料を備え、
前記キャップは、第2の弾性係数を有する第2の材料を備え、
前記第1の弾性係数は、前記第2の弾性係数よりも大きく、
前記撓みインサートは、前記スリットの前記前方縁部と前記後方縁部とに接続されており、
前記撓みインサートは、前記開口を埋め、前記内部キャビティをシールし、
前記撓みインサートは、ゴルフボールのインパクト時に前記ソールと一緒に撓むように構成されている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ばね部品は、少なくとも部分的に前記キャップ内に埋め込まれている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1の弾性係数は、20GPaから210GPaの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第2の材料は、射出成形ポリマーである、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第2の弾性係数は、0.1GPaから30GPaの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記スリットは、前記スリットの前面に形成された前方凹部と、前記スリットの後面に形成された後方凹部と、をさらに備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ばね部品は、前壁と後壁とを備え、
前記前壁は、前記前壁から前方に延びる前方突出部を備え、
前記後壁は、前記後壁から後方に延びる後方突出部を備え、
前記前方突出部は、前記前方凹部内に受け入れられるように構成され、
前記後方突出部は、前記後方凹部内に受け入れられるように構成される、請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記スリットは、前記スリットの最もヒール側の点と前記スリットの最もトウ側の点との間のヒールからトウまでの距離として測定されるスリット長さを有し、
前記ばね部品は、前記ばね部品の最もヒール側の点から前記ばね部品の最もトウ側の点までのヒールからトウまでの距離であるばね部品長さを有し、
前記ばね部品長さは、前記スリット長さの10%から50%の間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記スリットは、前記クラブヘッドのヒール側に位置するスリットヒール部分と、前記クラブヘッドのトウ側に位置するスリットトウ部分と、前記スリットヒール部分と前記スリットトウ部分との間に位置するスリット中央部分と、をさらに備え、
前記ばね部品は、前記スリット中央部分内に位置し、
前記スリットヒール部分と前記スリットトウ部分とには前記ばね部品がない、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ソールの内面に一体的に形成された内側質量パッドをさらに備え、
前記内側質量パッドは、前記スリットの後方にあり、前記ソールの一部によって前記スリットから間隔をあけている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記内側質量パッドは、25グラムと40グラムとの間の質量を有する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
ゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフボールに衝突するための打撃面と幾何学的中心とを備える打撃フェースと、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、
前記打撃フェース及び前記ボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、
前記打撃フェースは、前記打撃面の上部から後方に延びるクラウンリターンをさらに備え、前記クラウンリターンは、前記クラウンの少なくとも前方部分を形成し、
前記ソールは、前記打撃フェースに近接してスリットを画定し、前記スリットは、前記中空の内部キャビティと前記クラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、
前記スリットは、前記打撃フェースに隣接する前方縁部と、前記前方縁部と反対側の後方縁部と、を有し、
前記前方縁部と前記後方縁部とは、前記スリットの境界を画定し、
前記スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、
前記撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、
前記ばね部品は、第1の弾性係数を有する第1の材料を備え、
前記キャップは、第2の弾性係数を有する第2の材料を備え、
前記第1の弾性係数は、前記第2の弾性係数よりも大きく、
前記撓みインサートは、前記スリットの前記前方縁部と前記後方縁部とに接続され、
前記撓みインサートは、前記開口を埋め、前記内部キャビティをシールし、
前記撓みインサートは、ゴルフボールのインパクトの間に前記ソールと一緒に撓むように構成されており、
前記クラブヘッドは、ばね部品のないインサートを備える類似のクラブヘッドと比較して、100mphのクラブヘッド速度で0.5mphから4.5mphの間のボール速度の増加を実現する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記クラウンリターンは、0.030インチ未満のクラウンリターン厚さを有する、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記打撃フェースは、前記クラウンリターンの後縁部に沿って位置する上方外周部をさらに備え、
前記上方外周部は、前記打撃フェースと前記クラウンとの間の境界を形成する、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記クラウンリターンは、前記幾何学的中心から前記上方外周部まで前後方向に測定されたクラウンリターン深さを有し、
前記クラウンリターン深さは、0.50インチより大きい、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
ゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフボールに衝突するための打撃面を備える打撃フェースと、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、
前記打撃フェース及び前記ボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、
前記ソールは、前記打撃フェースに近接してスリットを画定し、前記スリットは、前記中空の内部キャビティと前記クラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、
前記スリットは、前記打撃フェースに隣接する前方縁部と、前記前方縁部と反対側の後方縁部と、を有し、
前記前方縁部と前記後方縁部とは、前記スリットの境界を画定し、
前記スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、
前記撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、
前記ばね部品は、第1の材料を備え、
前記キャップは、第2の材料を備え、
前記ばね部品は、前壁、後壁、及びU字形状の上壁を備え、
前記U字形状の上壁は、前記内部キャビティ内へ湾曲して延び、前記前壁と前記後壁とを接続し、
前記スリットは、前記スリットの前面に形成された前方凹部と、前記スリットの後面に形成された後方凹部と、をさらに備え、
前記前壁は、前記前壁から前方に延びる前方突出部を備え、
前記後壁は、前記後壁から後方に延びる後方突出部を備え、
前記前方突出部は、前記前方凹部内に受け入れられるように構成され、
前記後方突出部は、前記後方凹部内に受け入れられるように構成される、ゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記ばね部品は、少なくとも部分的に前記キャップ内に埋め込まれている、請求項17に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択される、請求項18に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記第2の材料は、射出成形ポリマーである、請求項19に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(クロスリファレンス優先権)
本願は、2022年8月16日に出願された米国仮出願第63/371,613号、及び2022年1月12日に出願された米国仮出願第63/266,722号の利益を主張するものであり、これらの内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にゴルフ用具に関し、より詳細には、クラブヘッドのロフト、ボール速度、及びボールスピンを操作するために打撃フェースの撓みを増加させるスリット及び撓みインサートを有するゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
多くのゴルフクラブヘッド、特にウッド型のゴルフクラブヘッド(即ち、ドライバー、フェアウェイウッド、及びハイブリッド)は、インパクト時の打撃フェースの撓みを制御するように設計された特徴を有する。一般に、打撃フェースの撓みを増加させることによりクラブヘッドの性能が向上し、これはボール速度が増加してスピンが低下することによるものであり、この両方がボールの飛距離の増加につながり得る。多くの先行技術のクラブヘッドは、打撃フェースの近傍に、クラブヘッド本体の一部を通って内部キャビティに入る開口を有する細長いスリット(本明細書では「スロット」とも呼ぶ)を設けることによって、打撃フェースの撓みを増加させようとしている。次いで、スリットは、典型的には、開口を塞ぎ、内部キャビティをシールするために、軽量で可撓性のある挿入物で充填される。軽量で可撓性のあるインサートは、スリットの撓みを制限しないように、典型的には柔らかい粘弾性材料から作られる。
【0004】
多くの先行技術のクラブヘッドは、粘弾性を有し材料が均一のインサートを設けることに焦点を当てている。先行技術のスリット内で使用されるインサートの純粋に粘弾性的な構造のために、先述のインサートは、圧縮下でエネルギーを吸収及び散逸し、これは、クラブヘッドとゴルフボールとの間の全体的なエネルギー伝達を減少させる。クラブヘッドとゴルフボールとの間のエネルギー伝達が少なくなると、ボール速度が低下し、クラブヘッドの性能に悪影響を及ぼす。
【0005】
さらに、先行技術のインサートの均一な材料及び/又は均一な形状の構造は、スリット全体にわたって均一な撓みを提供する。先行技術のインサートは、スリットの様々な部分に沿って撓みを制御するようには設計されていない。先行技術のインサートは、スリットの高応力領域を局所的に補強するものではなく、スリットの低応力領域で最大限の撓みを許容するものでもない。従って、打撃フェース及びスリットの撓みを局所的に制御し、クラブヘッドとゴルフボールとの間のエネルギー伝達を最大化するように構成されたスリット及びインサートの組合せを有するゴルフクラブヘッドに対する必要性が当技術分野において存在する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】スリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの上面透視図である。
【0007】
図2図1のウッド型クラブヘッドの正面図である。
【0008】
図3図1のウッド型クラブヘッドのヒール側図である。
【0009】
図4】撓みインサートを除いた図1のウッド型クラブヘッドのソール図である。
【0010】
図5図1のウッド型クラブヘッドのソール図である。
【0011】
図6】第1の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの詳細断面図である。
【0012】
図7】第1の実施形態によるスリット及び撓みインサートを備える図6のウッド型クラブヘッドの詳細断面図である。
【0013】
図8図6のスリットと撓みインサートの上方内部キャビティ図である。
【0014】
図9】撓みインサートのない、図6のスリットの透視内部キャビティ図である。
【0015】
図10】第2の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの詳細断面図である。
【0016】
図11図10の撓みインサートからのばね部品の上方断面図である。
【0017】
図12】第3の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0018】
図13図12のスリットと撓みインサートの詳細断面図である。
【0019】
図14図12のスリットと撓みインサートの上方内部図である。
【0020】
図15】第4の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの詳細断面図である。
【0021】
図16図15のスリットと撓みインサートの詳細断面図である。
【0022】
図17図15のスリットと撓みインサートの上方内部図である。
【0023】
図18】第5の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0024】
図19】第6の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0025】
図20】第7の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0026】
図21】第8の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0027】
図22】第9の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0028】
図23】第10の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0029】
図24】第11の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0030】
図25】第12の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0031】
図26】第13の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0032】
図27】第14の実施形態によるスリットと撓みインサートとを備えるウッド型クラブヘッドの断面図である。
【0033】
図28】ヒールからトウへの方向に延びるスリットを備えるウッド型クラブヘッドのソール図である。
【0034】
図29】第1の実施形態による、複数の保持壁によって形成されたスリットを備える図28のゴルフクラブヘッドの断面図である。
【0035】
図30】第2の実施形態による、複数の保持壁によって形成されたスリットを備えるゴルフクラブヘッドの断面図である。
【0036】
図31】一実施形態による、スリット、撓みインサート、及び打撃フェースクラウンリターンを備えるゴルフクラブヘッドの上方透視図である。
【0037】
図32】スリット、撓みインサート、及び打撃フェースクラウンリターンを備える図31のゴルフクラブヘッドの断面図である。
【発明の概要】
【0038】
本明細書では、打撃フェースの撓みを戦略的に増加させるためのスリット及び撓みインサートを備えるウッド型ゴルフクラブヘッド(例えば、ドライバー、フェアウェイウッド、又はハイブリッド)の様々な実施形態について説明する。クラブヘッドは、所望の量の打撃フェースの撓みを提供するように調整された撓みインサートを備える。撓みインサートは、スリット全体にわたって均一な剛性と曲げ特性とを有する均一な先行技術のインサートと比較して利点をもたらす。撓みインサートは、スリットの高応力領域を局所的に補強し、スリットの低応力領域では局所的に最大限の撓みを許容するように、剛性と曲げ特性を可変に設計することができる。多くの実施形態では、撓みインサートは複数材料構造を有し、撓みインサートはキャップとばね部品とを備える。撓みインサートは常に2つ以上の材料を有する。撓みインサートは、単一の材料を有するスリットインサートよりも利点がある。ばね部品はスリットの特定の領域に設けることができ、撓みインサートの所望の剛性プロファイルを提供する。さらに、ばね部品は、クラブヘッドとゴルフボールとの間のエネルギー伝達を増加させるばね効果を提供する。撓みインサートは、スリットの異なる位置でスリットの剛性及び可撓性を変化させることを可能にし、打撃フェースの撓みをより正確に制御することを可能にする。複数材料の撓みインサートを備えるクラブヘッドは先行技術のインサートを凌ぐ性能上の利点を提供し、先行技術のインサートは典型的には、均一な形状及び材料で作られており、従ってスリットの剛性又は可撓性のプロファイルに可変性をもたらさない。
【0039】
さらに、本明細書に記載される撓みインサートの実施形態は、クラブヘッドとゴルフボールとの間のエネルギー伝達の増加をもたらし得る。ばね部品は、線形弾性特性を有する材料で形成され得る。ばね部品は、インパクト時に撓みインサートが圧縮する際に内部エネルギーを効率的に蓄積し、膨張時に先述の内部エネルギーを放出する。ばね部品の線形弾性の性質により、先行技術のような粘弾性インサートよりも多くの内部エネルギーを保持し、放出して打撃面に戻すことができる。先行技術の純粋な粘弾性インサートは、より多くのエネルギーを消散させる。ばね部品を有する撓みインサートを備えるクラブヘッドは、純粋な粘弾性材料からなるインサートを有するクラブヘッドよりも、ボール速度を向上させ、他の性能上の利点を提供する。
【0040】
本明細書で説明するスリットと複数材料の撓みインサートとを備えるクラブヘッドは、単一材料の粘弾性の先行技術のインサートと比較して、打撃フェースの撓みと打ち出し条件を著しく改善することができる。特に、スリットと撓みインサートがばね部品を備えているため、ボール速度の0.5mphから4.5mphの間での増加と、内部エネルギーの3ポンド力インチから20ポンド力インチの間での増加につながり得る。さらに、ばね部品を備えるスリットと撓みインサートは、打撃フェースの撓みの増加、ダイナミックロフトの増加、ボールスピン率の減少などの他の性能上の利点を提供することができる。
【0041】
本開示に記載のウッド型ゴルフクラブヘッドは、スリット及び撓みインサートを、性能を向上させる他のクラブヘッドの特徴と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、クラブヘッドは、MOIを増加させるために複数材料設計を利用することができる。いくつかの実施形態では、クラブヘッドは、望ましいCG位置を提供し、ボール速度及びボール距離を増加させ、打ち出し条件を改善するために、スリットの後方に位置する大きな質量パッドを備えることができる。上述した特徴のいずれか1つ又は組合せをスリット及び撓みインサートと組み合わせることで、高性能なクラブヘッドを提供することができる。
【0042】
(定義)本明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、もしあれば、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の一連の順序又は時系列的順序を説明するために使用されるものではない。このように使用される用語は、本明細書で説明される実施形態が、例えば、本明細書で図示又はその他の方法で説明される順序以外の順序での動作が可能なように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。さらに、「含む(include)」、及び「有する(have)」といった用語、並びにそれらの変形は、一式の要素を有するプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は装置が、必ずしもそれらの要素に限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することを意図している。
【0043】
本明細書及び特許請求の範囲における「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「~の上」、「~の下」等の用語は、もしあれば、説明の目的で使用されており、必ずしも恒久的な相対位置を説明するためのものではない。このように使用される用語は、本明細書に記載される装置、方法、及び/又は製造品の実施形態が、例えば、本明細書に図示されるか、又は別様に記載される向き以外の向きで動作可能であるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。
【0044】
本明細書で使用される「打撃フェース」という用語は、ゴルフボールを打撃するように構成されたクラブヘッド前面を指す。打撃フェースという用語は、「フェース」という用語と互換的に使用することができる。
【0045】
本明細書で使用する「打撃フェース外周部」という用語は、打撃フェースの縁部を指すことができる。打撃フェース外周部は、曲率が打撃フェースのバルジ及び/又はロールから逸脱する、打撃フェースの外側縁部に沿って位置することができる。
【0046】
本明細書で使用する打撃フェースの「幾何学的中心点」又は「幾何学的中心」という用語は、打撃フェース外周部の幾何学的中心点、及び打撃フェースのフェース高さの中間点を指すことができる。同じ例又は他の例では、幾何学的中心点はまた、工学的インパクトゾーンに関しても中心とすることができ、これは打撃フェース上の溝の領域によって画定され得る。別のアプローチとして、打撃フェースの幾何学的中心点は、米国ゴルフ協会(USGA)のようなゴルフ運営組織の定義に従って配置することができる。
【0047】
本明細書で使用する「接地面」という用語は、ゴルフボールが置かれる表面に関連する基準面を指すことができる。接地面は、アドレス位置でソールに接する水平面とすることができる。
【0048】
本明細書で使用する「ロフト面」という用語は、打撃フェースの幾何学的中心点に接する基準面を指すことができる。
【0049】
本明細書で使用する「ロフト角」という用語は、ロフト面と(XYZ座標系に関連して以下に定義される)XY面との間で測定される角度を指すことができる。
【0050】
本明細書で使用する「フェース高さ」という用語は、打撃フェース外周部の上端と打撃フェース外周部の下端との間のロフト面に平行に測定した距離を指すことができる。
【0051】
本明細書で使用する「ライ角」という用語は、ホーゼルを通って延びるホーゼル軸と接地面との間の角度を指すことができる。ライ角は正面から見て測定される。
【0052】
本明細書で使用するゴルフクラブヘッドの「深さ」は、ゴルフクラブヘッドの前部から後部までの寸法として定義することができる。
【0053】
本明細書で使用するゴルフクラブヘッドの「高さ」は、ゴルフクラブヘッドのクラウンからソールまでの寸法として定義することができる。多くの実施形態において、クラブヘッドの高さは、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営組織に従って測定することができる。
【0054】
本明細書で使用するゴルフクラブヘッドの「長さ」は、ゴルフクラブヘッドのヒールからトウまでの寸法として定義することができる。多くの実施形態において、クラブヘッドの長さは、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営組織に従って測定することができる。
【0055】
本明細書で使用するゴルフクラブヘッドの「フェース高さ」は、クラウン付近の打撃フェース外周部の上端とソール付近の打撃フェース外周部の下端との間のロフト面に平行に測定された高さとして定義することができる。
【0056】
本明細書に記載されるフェアウェイ型ゴルフクラブヘッドの「幾何学的中心高さ」とは、接地面からゴルフクラブヘッドの幾何学的中心点に対して垂直に測定された高さである。
【0057】
本明細書で説明するクラブヘッドの「リーディングエッジ」は、打撃フェース外周部の最もソール側の部分として特定することができる。
【0058】
図2及び図3に図示されるように、本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100の「XYZ」座標系は、打撃フェース102の幾何学的中心120に基づいている。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100の寸法は、以下に定義されるような座標系に基づいて測定することができる。打撃フェース102の幾何学的中心120は、打撃フェース102の幾何学的中心120に位置する原点を有する座標系を定義する。座標系は、X軸3040、Y軸3050、及びZ軸3060を定義する。X軸3040は、クラブヘッド100のヒール104からトウ106に向かう方向に、打撃フェース102の幾何学的中心120を通って延びる。Y軸3050は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン110からソール112に向かう方向に、打撃フェース102の幾何学的中心120を通って延びる。Y軸3050はX軸3040に垂直である。Z軸3060は、ゴルフクラブヘッド100の前端108から後端111に向かう方向に、打撃フェース102の幾何学的中心120を通って延びる。Z軸3060は、X軸3040及びY軸3050の両方に対して垂直である。
【0059】
「重心位置」又は「CG位置」という用語又は語句は、XYZ座標系に対するクラブヘッド重心(CG)199の位置を指すことができ、CG位置は、X軸3040、Y軸3050、及びZ軸3060に沿った位置によって特徴付けられる。「CGx」という用語は、原点120から測定された、X軸3050に沿ったCG位置を指すことができる。「CG高さ」という用語は、原点120から測定された、Y軸3050に沿ったCG位置を指すことができる。「CGy」という用語は、CG高さと同義であり得る。「CG深さ」という用語は、原点120から測定されたZ軸3060に沿ったCG位置を指すことができる。「CGz」という用語は、CG深さと同義であり得る。
【0060】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッドのXYZ座標系は、X軸3040及びY軸3050を通って延びるXY平面を定義する。座標系は、X軸1040及びZ軸3060を通って延びるXZ平面を定義する。座標系はさらに、Y軸3050及びZ軸3060を通って延びるYZ平面を定義する。XY平面、XZ平面、及びYZ平面はすべて互いに垂直であり、打撃フェース102の幾何学的中心120に位置する座標系の原点で交差する。これらの実施形態又は他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド100は、XY平面に垂直な方向から打撃フェース102を見たときに正面から見ることができる。さらに、これらの実施形態又は他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド100は、ヒール104がYZ平面に垂直な方向から見られるとき、側方又は側方断面から見ることができる。
【0061】
図2及び図3に示されるように、ゴルフクラブヘッド100は重心199を中心とする座標系をさらに有する。座標系は、X´軸3070、Y´軸3080、及びZ´軸3090を有する。X´軸3070は、ヒールからトウの方向に延びている。X´軸3070は、ヒール104に向かって正であり、トウ106に向かって負である。Y´軸3080はソールからクラウンの方向に延び、Z´軸3090及びX´軸3070の両方に直交する。Y´軸3080はクラウン110に向かって正であり、ソール112に向かって負である。Z´軸3090は前後方向に延び、接地面に平行で、X´軸3070とY´軸3080の両方に直交する。Z´軸3090は打撃フェース102に向かって正であり、後部111に向かって負である。
【0062】
「慣性モーメント」(以下「MOI」)という用語又は語句は、CG199について測定された値を指すことができる。「MOIxx」という用語は、X´軸3070について、ヒールからトウの方向に測定されたMOIを指すことができる。「MOIyy」という用語は、Y´軸3080について、ソールからクラウンの方向に測定されたMOIを指すことができる。「MOIzz」という用語は、Z´軸3090について、前後方向に測定されたMOIを指すことができる。MOI値MOIxx、MOIyy、及びMOIzzは、クラブヘッド100がゴルフボールとの中心を外れたインパクトに対してどの程度寛容であるかを決定する。
【0063】
本明細書で使用される「ドライバー」又は「ドライバー型」クラブヘッドは、約16度未満、約15度未満、約14度未満、約13度未満、約12度未満、約11度未満、又は約10度未満のロフト角を有する。さらに、多くの実施形態において、本明細書で使用される「ドライバーゴルフクラブヘッド」は、約400ccより大きい、約425ccより大きい、約445ccより大きい、約450ccより大きい、約455ccより大きい、約460ccより大きい、約475ccより大きい、約500ccより大きい、約525ccより大きい、約550ccより大きい、約575ccより大きい、約600ccより大きい、約625ccより大きい、約650ccより大きい、約675ccより大きい、又は約700ccより大きい体積を有する。いくつかの実施形態では、ドライバーの体積は、約400ccから600cc、425ccから500cc、約500ccから600cc、約500ccから650cc、約550ccから700cc、約600ccから650cc、約600ccから700cc、又は約600ccから800ccであり得る。
【0064】
本明細書で使用される「フェアウェイウッド」又は「フェアウェイウッド型」クラブヘッドは、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、又は約30度未満のロフト角を有する。さらに、いくつかの実施形態では、フェアウェイウッドクラブヘッドのロフト角は、約12度より大きく、約13度より大きく、約14度より大きく、約15度より大きく、約16度より大きく、約17度より大きく、約18度より大きく、約19度より大きく、又は約20度より大きくなり得る。例えば、他の実施形態では、フェアウェイウッドのロフト角は、12度と35度の間、15度と35度の間、20度と35度の間、又は12度と30度の間になり得る。
【0065】
さらに、本明細書で使用される「フェアウェイウッド」又は「フェアウェイウッド型」クラブヘッドは、約400cc未満、約375cc未満、約350cc未満、約325cc未満、約300cc未満、約275cc未満、約250cc未満、約225cc未満、又は約200cc未満の体積を有し得る。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッドの体積は、約100ccから200cc、約150ccから250cc、約150ccから300cc、約150ccから350cc、約150ccから400cc、約300ccから400cc、約325ccから400cc、約350ccから400cc、約250ccから400cc、約250ccから350cc、又は約275ccから375ccであり得る。
【0066】
本明細書で使用される「ハイブリッド」又は「ハイブリッド型」クラブヘッドは、約40度未満、約39度未満、約38度未満、約37度未満、約36度未満、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、又は約30度未満のロフト角を有する。さらに、多くの実施形態において、ハイブリッドのロフト角は、約16度より大きく、約17度より大きく、約18度より大きく、約19度より大きく、約20度より大きく、約21度より大きく、約22度より大きく、約23度より大きく、約24度より大きく、又は約25度より大きくなり得る。
【0067】
さらに、本明細書で使用される「ハイブリッド」又は「ハイブリッド型」は、約200cc未満、約175cc未満、約150cc未満、約125cc未満、約100cc未満、又は約75cc未満の体積を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッドの体積は、約100ccから約150cc、約75ccから約100cc、約100ccから約125cc、又は約75ccから約125ccであり得る。
【0068】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、金属、金属合金、複合材料、又は金属と複合材料の組み合わせから形成することができる。例えば、ゴルフクラブヘッドは、鋼、鋼合金、ステンレス鋼合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、チタン合金、非晶質金属合金、又は他の同様の材料から形成することができるが、これらに限定されない。さらなる例として、ゴルフクラブヘッドは、C300鋼、C350鋼、17-4ステンレス鋼、又はT9s+チタンから形成することができるが、これらに限定されない。
【0069】
他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載される、又は図面に図示されるような詳細又は実施形態及びコンポーネントの配置に限定されないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態をサポートすることが可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。特定の実施形態の説明は、本開示の精神及び範囲に属する全ての変更、等価物及び代替物を網羅することから本開示を制限することを意図するものではないことを理解されたい。また、本明細書で使用される言い回し及び用語は、説明のためのものであり、限定的なものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0070】
I.ゴルフクラブヘッドの概要
図面を参照すると、様々な図において同様の参照数字が、同様の、又は同一のコンポーネントを識別するために使用されており、図1から3は、様々な図におけるウッド型ゴルフクラブヘッド100を概略的に示している。具体的には、図1は、ウッド型クラブヘッド100の正面透視図を示す。本明細書で説明される特徴はフェアウェイウッドに図示されているが、スリット及び撓みインサートを含む任意の特徴は、ドライバー又はハイブリッド型のクラブヘッドに適用できることに留意されたい。クラブヘッド100は、実質的に閉じた/中空の内部キャビティ107を画定するように一緒に固定された打撃フェース102及びボディ101を備えることができる。クラブヘッド100は、クラウン110と、クラウン110の反対側のソール112と、ヒール104と、ヒール104の反対側のトウ106と、前部108と、前部108の反対側の後部111とを備える。ボディ101は、クラウン110とソール112との間に位置し、隣接するスカート114をさらに含むことができ、スカート114はクラブヘッド100のヒール104付近からトウ106付近まで延びている。
【0071】
打撃フェース102及びボディ101は、クラブヘッド100の(以下のさらなる図に示す)内部キャビティ107を画定することができる。ボディ101は、クラウン110、ソール112、ヒール104、トウ106、後部111、及び前部108の外周部にわたって延びることができる。これらの実施形態では、打撃フェース102はクラブヘッド100の前部108のみに位置することができる。他の実施形態では、打撃フェース102は、前部108の周囲にわたって延びることができ、クラウン110、ソール112、ヒール104、及びトウ106のうちの少なくとも1つの前方部分を形成することができる。そのような実施形態では、クラブヘッド100は「カップフェース」又は「フェースラップ」設計に類似し得る。打撃フェース102は、ゴルフボールに衝突するように構成された打撃面113と、打撃面113の反対側のバックフェース(後の実施形態に図示)とを備える。
【0072】
図1から3に示されるように、クラブヘッド100は、ホーゼル構造105を備える。ホーゼル構造105は、ゴルフシャフト(図示せず)を受け入れることができる。多くの実施形態において、ホーゼル構造105は、ホーゼルスリーブ116をさらに備えることができ、ホーゼルスリーブ116は、ゴルフシャフトの端部に連結することができる。そのような実施形態において、ホーゼルスリーブ116は、複数の構成でホーゼル構造105と連結することができ、それにより、ゴルフシャフトが複数の角度でホーゼル構造105に固定されることを可能にする。そのような実施形態では、ホーゼルスリーブ116は、クラブヘッド100にロフト角及び/又はライ角の調節可能性を提供することができる。
【0073】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は複数材料設計を有することができる。打撃フェース102は金属材料から形成することができ、ボディ101は1つ又は複数の金属又は非金属材料から形成することができる。そのような実施形態では、ボディ101は、金属製の第1のコンポーネント118及び非金属製の第2のコンポーネント119を有することができる。図1に示されるように、クラブヘッド100は、第2のコンポーネント119がクラウン110、スカート114、ヒール104、トウ106、及びソール112の一部を形成するようなラップアラウンド非金属設計を構成することができる。他の実施形態では、クラブヘッド100は、任意の他の複数材料設計を有することができ、非金属の第2のコンポーネント119が打撃フェース102、クラウン112、スカート114、ヒール104、トウ106、及び/又はソール112の任意の部分を形成することができる。クラブヘッド100を複数材料設計で提供することにより、裁量的な質量を増加させることができ、これはクラブヘッド100全体にわたって再分配してMOI又はCG199位置のような質量特性を改善することができる。他の実施形態では、クラブヘッド100は、ボディ101がすべて同じ材料又は類似の材料で形成される単一材料設計を有することができる。
【0074】
II.スリットの一般的説明
図4及び図5を参照すると、クラブヘッド100は、撓みインサート150を受け入れるように構成されたスリット130を備える。スリット130は、クラブヘッド100の外部と内部キャビティ107との間を連通する貫通スリット130とすることができる。多くの実施形態では、スリット130はソール112に位置するが、他の実施形態では、クラブヘッド100は、ソール112、ヒール104、トウ106、スカート114、クラウン110、又はそれらの任意の組み合わせに1つ又は複数のスリットを構成することができる。図4の図示された実施形態を参照すると、スリット130は、ヒールからトウの方向にソール112の一部を横切って延びるソール112の開口とすることができる。スリット130はソール112に戦略的な脆弱性を与え、ソール112はスリット130のないソールよりも柔軟である。従って、スリット130はクラブヘッドボディ101の撓みを促す。スリット130は、打撃フェース102に隣接する前方縁部132と、前方縁部132の反対側の後方縁部134とを有することができ、前方縁部132及び後方縁部134がスリット130の境界を画定する。スリット130はさらに、ヒール端129と、ヒール端129の反対側のトウ端131とを有する。前方縁部132及び後方縁部134は、ヒール端129とトウ端131との間を延びることができる。
【0075】
多くの実施形態では、スリット130は打撃フェース112に近接して配置することができ、前方ソール部117によってリーディングエッジ103から離すことができる。打撃フェース112に近接することで、スリット130はインパクト時の打撃フェース102の撓みを増加させる。さらに、スリット130が打撃フェース102に近接していることで、ダイナミックロフトを増加させ、及び/又はスピンを減少させることができる。スリット130の位置、形状、及び形状の詳細については、さらに後述する。
【0076】
本明細書には、打撃フェース120の曲がりを改善するためのスリット130を備えるゴルフクラブヘッドの様々な実施形態が記載されている。ソール112はスリット130を画定する。スリット130は、撓みインサート150を保持するように構成されている。スリット130の寸法、特性、及び特徴はクラブヘッド100に関連して記載されているが、本明細書に記載されている任意のスリット130、230、330、430、530、630、730、930、1030、1130、1230、1330、1430、1530、1630、1730、1830は、本明細書に記載されている任意のクラブヘッドの実施形態と組み合わせることができる。例えば、以下の実施形態で説明される撓みインサート150、250、350、450、550、650、750、950、1050、1150、1250、1350、1450、1550、1650、1750、1850のいずれかを、本明細書で説明される任意のスリット形状に適用することができる。上述した撓みインサートの実施形態のいずれも、基本的なスリット130に適用することができ、この場合、スリット130には、保持壁や複雑な形状がない。他の実施形態では、上述した撓みインサートのいずれかを、以下の実施形態で説明及び図示される1つ又は複数の保持壁又は他の特徴を含むスリット130に適用することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の保持壁又は他のスリット130の形状は、打撃フェース152の撓みをさらに制御することによって、又はスリット130内に撓みインサート150を保持するのを助けることによって、撓みインサート150を補完することができる。
【0077】
上述し、図4及び図5に図示したように、クラブヘッド100のソール112はスリット130を画定する。スリット130は、スリット130がクラブヘッド100の外部と内部キャビティ107との間の開口を提供するような、貫通スリット130とすることができる。多くの実施形態では、スリット130は打撃フェース102に近接して位置する。スリット130は、打撃フェース102に隣接する前方縁部132と、前方縁部132の反対側の後方縁部134とを備える。多くの実施形態では、スリット130はソール112の前方部分に位置し、後部111よりも前端108に近い。図4を参照すると、スリット130は打撃フェース102のリーディングエッジ103から前方ソール部117によって間隔を空けることができる。スリット130は、ソール112にわたってヒールからトウの方向に延びている。
【0078】
スリット130は、打撃フェース102に近接するソール112を戦略的に弱め、打撃フェース102がインパクト時に曲がることを可能にする。従って、スリット130は、打撃フェース102の曲げ力学を改善し、スピードの増加、高い打出し、及び低スピンなどの有益なゴルフボール性能特性を提供する。以下により詳細に説明するように、ソール112は、打撃フェース102の撓みを改善するために、様々なスリット130の実施形態を定めることができる。
【0079】
スリット130の形状と寸法は、インパクト時の打撃フェース102の撓みの性質を決定する上で重要である。図4が示すように、ソールから見たときのスリット130のサイズ、形状、及び位置は、スリット130の「プロファイル」として定義することができる。スリット130のプロファイルは、打撃フェース102の全体的な撓み量だけでなく、打撃フェース102の個々の部分が互いにどの程度相対的に撓むか(即ち、打撃フェース102が、打撃フェース102の外周部付近よりも幾何学的中心120に近い位置で撓むかどうかなど)にも影響する。
【0080】
図28を参照すると、スリットプロファイルは、クラブヘッド100のリーディングエッジ103からスリット前方縁部132まで測定されたスリットオフセット距離141によって特徴付けることができる。スリットオフセット距離141は、クラブヘッドリーディングエッジ103からスリット前方縁部132まで測定される。多くの実施形態では、スリットオフセット距離141は20mm未満であり得る。いくつかの実施形態では、スリットオフセット距離141は、15mm未満、10mm未満、又は5mm未満であり得る。いくつかの実施形態では、スリットオフセット距離141は、約20mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、又は5mmであり得る。
【0081】
スリット130のプロファイルは、スリット幅及びスリット長さによってさらに特徴付けることができる。スリットの幅は、前方縁部と後方縁部との間の横幅として測定することができる。多くの実施形態において、スリットの幅は、3.5mmから10mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、スリットの幅は、約3.5mm、3.8mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、又は10mmであり得る。スリット長さは、X軸1040に平行に測定された、スリット130の最もヒール側の点からスリット130の最もトウ側の点までの間の距離として測定することができる。多くの実施形態において、スリット130の長さは、70mmから90mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、スリットの長さは、約70mm、75mm、80mm、85mm、又は90mmであり得る。
【0082】
スリット130のプロファイルは、スリット130の形状によってさらに特徴付けることができる。スリット130は、ヒールからトウの方向にソール112にわたって延びる細長いスリット130とすることができる。図28は、細長いスリット130の実施形態を示す。スリット130は、ヒール端219及びトウ端131を有することができる。ヒール端129及びトウ端131は、丸みを帯びた端部を有することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、スリット130のヒール端129及びトウ端131は、スリット130の中心に対して角度を付けることができる。スリット130のヒール端129及びトウ端131は、クラブヘッド101の後部111に向かって後方に角度を付けることができる。スリット130の角度のついたトウ端129及びヒール端131は、スリット130のヒールからトウ方向の長さLsを長くする。スリット130のヒール端129及びトウ端131は、打撃フェース102の後方に延びることができる。別の言い方をすれば、スリット130の前方縁部132の一部は打撃フェース102と平行にすることができるが、スリット前方縁部132の他の部分は非平行である。スリット前方縁部132の向きは、スリット130を長くし、それによってソール112の撓みを増加させることに寄与する。スリット130の長さLsを長くすると、ソール112の撓みが大きくなる。角度のついたヒール端129とトウ端131は、撓みインサートをスリット130内に固定するのにも役立つ。
【0084】
さらに、ヒール端129及びトウ端131の角度は、スリット130が受ける全体的な応力を低減するのに役立ち得る。細長いスリット130の形状により、クラブヘッド100は、ゴルフボールとのインパクト時に端部129、131において応力の蓄積を受ける。インパクト時、スリット130の前方縁部132は、中央部よりも後方にたわむ。スリット130がたわむと、応力がトウ端129とヒール端131に蓄積される。ヒール端129とトウ端131の角度は、応力の蓄積に耐えることができるように、スリット130の両端部により多くの質量を配置することを可能にする。
【0085】
他の実施形態では、スリット130のプロファイルは、スリット130の撓み及び耐久性を高めるために、他の形状及び幾何学的形状を有することができる。例えば、ヒール端129及びトウ端131は、より大きな角度を有することができる。また、スリット130の中央は、リーディングエッジに対して角度を付けたり湾曲させたりしてもよい。ヒール端129及びトウ端131はまた、ダンベル形状に似て、より大きな幅又はより丸みを帯びた端部を有していてもよい。
【0086】
III.撓みインサート
上述したように、また、図5に図示されているように、クラブヘッド100は、スリット130に挿入されるように構成された撓みインサート150をさらに備える。撓みインサート150は複数の機能を果たす。撓みインサート150は、スリット130によって形成された開口を埋めて内部キャビティ107をシールする。撓みインサート150はまた、インパクト時のスリット130の過度の曲がりに対する抵抗力を提供する。インパクト時にスリット130が曲がる量は、撓みインサート150の剛性に関係し得る。撓みインサート150の剛性が高いほど、インパクト時のスリット130の撓みは小さくなる。撓みインサート150は、破損に至るまで過度に曲がるという危険を冒すことなく、可能な限り最大量のスリット130の曲がりを提供するように設計することができる。撓みインサート150は、スリット130を囲む壁が薄くあってもよいように、スリット130の耐久性を向上させることができる。また、撓みインサート150により、打撃フェースを薄くすることもできる。いくつかの実施形態では、撓みインサート150は、スリット130に沿った異なる点で可変剛性を有することができる。このような実施形態では、撓みインサート150は、打撃フェース102の撓みをより正確に制御することができる。
【0087】
撓みインサート150は、スリット130の全体的な剛性を調整して、スリット130の所望の撓み及び支えを達成するための様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、撓みインサート150は、スリット130の中央付近を、ヒール端129又はトウ端131付近よりも硬くすることができる。他の実施形態では、撓みインサート150は、望まれる場合は、ヒール端129又はトウ端131付近をより硬くすることができる。さらに、撓みインサート150の硬さの程度も、スリット130の所望の撓み及び支えを提供するように調節することができる。このように、撓みインサート150は、スリット130の全体的な性能を調整するようにカスタマイズ又は特別に設計され、スリット130の特定の領域をより硬くするように、又は撓みインサート150自体の硬さを調整することにより、所望の撓み及び支えを達成することができる。
【0088】
撓みインサート150の剛性は、撓みインサート150に少なくとも2つの材料を用いることによって調整することができる。本明細書で説明する撓みインサートは、少なくとも2つの材料を有する。第1の材料は第1の剛性値を有し、第2の材料は第1の剛性値とは異なる第2の剛性値を有することができる。第1の材料及び第2の材料は、上述したように、スリットの所望の剛性プロファイルを提供するために任意の構成で配置される。
【0089】
多くの実施形態では、図示し後述するように、撓みインサート150はばね部品160とキャップ180とを備えることができる。撓みインサート150は、打撃フェース102やボディ101とは異なる材料で形成された別個のコンポーネントである。撓みインサート150はクラブヘッド100と一体ではない(即ち、ソール112と同じ材料から形成されていない)。ばね部品160は、スリット130が破損するほど過度に撓むのを防ぐブレース又は支持構造のような働きをする。ばね部品160はさらに、ゴルフボールとのインパクト時にクラブヘッド100の内部エネルギーを増大させるのを助けることができる。ばね部品160は、インパクト時に圧縮されるとエネルギーを蓄え、膨張するとエネルギーを戻し、それによりスリット130の全体的な性能を増大させる。ばね部品160は、より多くのエネルギーをクラブヘッドに戻すことにより、従来使用されたインサートよりも改善される。ばね部品は線弾性的に機能するが、従来使用されていたインサート(ポリマー及び類似の挿入物)は粘弾性的に機能する。粘弾性圧縮は、線形弾性圧縮と比較すると、エネルギー損失をもたらす。粘弾性圧縮は、エネルギーがシステムに戻らないようにエネルギーを吸収して散逸させるので、著しいエネルギー損失をもたらす。ばね部品160は、プラスチック、複合材、ばね鋼、チタン、又は他の十分な線形弾性圧縮を提供する材料を有することができる。線形弾性圧縮は、すべてではないにしても、エネルギーの大部分をシステム及びクラブヘッドに戻し、エネルギーの増加をもたらす。キャップ180はクラブヘッド100の内部キャビティ107をシールする。キャップ180はポリマー材料から形成することができる。キャップ180はスリット130の残りの空間を埋め、クラブヘッド100の外部と内部キャビティ107との間の連通を遮断する。
【0090】
ゴルフボールのインパクトの間、スリット130により、スリット130のないクラブヘッドソールよりもクラブヘッドボディ101は撓むことができる。しかし、スリット130が撓み過ぎると、このスリット130の過度の撓みが亀裂や故障につながる。過度の撓みを防止するために、撓みインサート150は、ゴルフボールのインパクト時にソール112が撓むときにスリット130を支えたり補強したりする。撓みインサート150は、ゴルフボールのインパクト時にソール112が撓み過ぎるのを防止し、それによりクラブヘッドの耐久性を向上させる。クラブヘッドの耐久性が向上することにより、クラブヘッド100は、ボール速度、スピン、及び/又は飛距離を増加させるために望ましい打撃フェース102の撓みを達成することができる。いくつかの実施形態では、撓みインサート150は、スリット130の周囲に構築されたソール壁の必要性を減らすことができる。追加で構築される壁は、ソール前方部分に不必要な重量を追加し、MOI特性やCG位置に悪影響を及ぼす。さらに、スリットのすぐ周辺のソール壁を薄くすることで、撓みとボール速度を増すことができ、同時に裁量質量の増加ももたらす。本発明のスリット130及び撓みインサート150は、ゴルフボールの性能(例えば、ボール速度、スピン、及び飛距離)を向上させながら、打撃フェース102及びソール112の最大撓みを提供する。
【0091】
ばね部品160を有する撓みインサート150は、ばね部品のない従来のインサートと比較して性能上の利点をもたらす。従来のインサートは均一な粘弾性材料で作られており、インパクト時にエネルギーを打撃フェース102に戻すのではなく、エネルギーを放散させる。これと比較して、撓みインサート150は線形弾性ばね部品160を備え、これはインパクト時に内部エネルギーを効率的に蓄積して戻し、ボール速度とクラブヘッドの全体的な内部エネルギーを増加させる。
【0092】
多くの実施形態では、ばね部品160を備える撓みインサート150は、ばね部品のないインサートを備えるクラブヘッドよりも、インパクト時の内部エネルギーを3ポンド・インチ(lbf・in)から25ポンド・インチの間だけ増加させることができる。多くの実施形態では、インパクト時の内部エネルギーの増加は、3ポンド・インチから5ポンド・インチの間、5ポンド・インチから10ポンド・インチの間、10ポンド・インチから15ポンド・インチの間、15ポンド・インチから20ポンド・インチの間、又は20ポンド・インチから25ポンド・インチの間であり得る。多くの実施形態において、衝撃時の内部エネルギーの増加は、約3ポンド・インチ、約4ポンド・インチ、約5ポンド・インチ、約6ポンド・インチ、約7ポンド・インチ、約8ポンド・インチ、約9ポンド・インチ、約10ポンド・インチ、約11ポンド・インチ、約12ポンド・インチ、約13ポンド・インチ、約14ポンド・インチ、約15ポンド・インチ、約16ポンド・インチ、約17ポンド・インチ、約18ポンド・インチ、約19ポンド・インチ、約20ポンド・インチ、約21ポンド・インチ、約22ポンド・インチ、約23ポンド・インチ、約24ポンド・インチ、又は約25ポンド・インチであり得る。
【0093】
同様に、多くの実施形態において、ばね部品160を備える撓みインサート150は、ばね部品を含まないインサートを備えるクラブヘッドよりも、インパクト時のボール速度(100mphのクラブヘッド速度で測定)を0.5mphと4.5mphの間だけ増加させることができる。多くの実施形態において、インパクト時のボール速度の増加は、0.5mphと1.0mphの間、1.0mphと1.5mphの間、1.5mphと2.0mphの間、2.0mphと2.5mphの間、2.5mphと3.0mphの間、3.0mphと3.5mphの間、3.5mphと4.0mphの間、又は4.0mphと4.5mphの間であり得る。いくつかの実施形態では、インパクト時のボール速度の増加は、約0.5mph、約0.6mph、約0.7mph、約0.8mph、約0.9mph、約1.0mph、約1.1mph、約1.2mph、約1.3mph、約1.4mph、約1.5mph、約1.6mph、約1.7mph、約1.8mph、約1.9mph、約2.0mph、約2.1mph、約2.2mph、約2.3mph、約2.4mph、約2.5mph、約2.6mph、約2.7mph、約2.8mph、約2.9mph、約3.0mph、約3.1mph、約3.2mph、約3.3mph、約3.4mph、約3.5mph、約3.6mph、約3.7mph、約3.8mph、約3.9mph、約4.0mph、約4.1mph、約4.2mph、約4.3mph、約4.4mph、又は約4.5mphであり得る。
【0094】
IV.複数材料撓みインサートの概要
以下により詳細に説明されるように、クラブヘッド100はスリット130内に挿入されるように構成された撓みインサート150を備える。一実施形態では、撓みインサート150は、ばね部品160及びキャップ180を備えることができる。ばね部品160は、ゴルフボールのインパクト時にスリット130の撓みを制限するように構成される一方、クラブヘッド100の内部エネルギーを増加させる。キャップ180は、クラブヘッド100の内部キャビティ107をシールするように構成される。ばね部品160は、ポリマー、プラスチック、複合材、ばね鋼、又はチタンから形成することができる。キャップ180は、ポリマー又はプラスチック材料から形成することができる。
【0095】
多くの実施形態では、ばね部品160はスリット130の中央に配置される。他の実施形態では、ばね部品160は、スリット130のヒール端129付近、スリット130の中央付近、スリット130のトウ端131付近、又はそれらの任意の組み合わせに配置することができる。一般に、打撃フェース102に近いソール112の中央部は、ヒール104又はトウ106に近いソール112の部分と比較して、より大きく撓む。多くの実施形態では、ばね部品160は、ソール112が最も大きく撓むスリット130の中央付近に配置される。
【0096】
撓みインサート150は、1つのばね部品160を備えることができる。他の実施形態では、撓みインサートは、1つ、2つ、又は3つのばね部品160を備えることができる。2つのばね部品(図示せず)を備える実施形態の場合、第1のばね部品をスリット130の中央付近に配置することができ、第2のばね部品をスリット130のヒール端129付近又はトウ端131付近に配置することができる。3つのばね部品を備える実施形態の場合、第1のばね部品をスリット130の中央部分に配置し、第2のばね部品をスリット130のヒール端129付近に配置し、第3のばね部品をスリット130のトウ端131付近に配置することができる。
【0097】
ばねと同様に、ばね部品160は、線形弾性的な圧縮時にエネルギーを蓄積する。撓みインサート150のばね部品160は、ゴルフボールのインパクト時に圧縮を受ける。インパクトの際、スリット130の前方縁部132は撓み、即ち後方に変形し、それにより撓みインサート150を圧縮する。ばね部品160は、スリット130の前方縁部132の変形又は撓みの量を制限して故障を防止し、減圧中にスリット130に戻されるエネルギーを増加させる。換言すれば、ばね部品160はスリット130の撓みを制限するが、スリット130を元の形状に押し戻す、即ちばねとなり、性能と耐久性を向上させる。これにより、構造的完全性が向上し、粘弾性ポリマーインサートよりも内部エネルギーが増加する。
【0098】
ばね部品160は第1の材料を有する。第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択されてもよい。
【0099】
ばね部品160は、第1の弾性係数値をさらに有する。いくつかの実施形態において、第1の弾性係数値は、約20から210GPaの範囲であり得る。例えば、第1の弾性係数値は、約20から70GPa、70から120GPa、120から170GPa、又は170から210GPaの範囲であり得る。
【0100】
上述したように、撓みインサート150は、クラブヘッドの内部キャビティ157をシールするように構成されたキャップ180を備える。キャップ180は、スリット160のプロファイルのヒール端129からトウ端131まで、及び前方縁部132から後方縁部134まで、全体にわたって延びることができる。キャップ180はスリット130を閉じ、内部キャビティ107をクラブヘッド100の外部から分離する。キャップ180は、スリット130においてソール112の一部を形成するキャップ外面188を有することができる。キャップ180は、水やごみが中空の内部キャビティ107に入るのを阻止し、また、スリット130が過度に撓むのを防止するのを補助するために、スリット130を構造的に支えてもよい。
【0101】
上述したように、撓みインサート150は、ばね部品160に加えてキャップ180を備える。キャップ180は第2の材料を有する。第2の材料は、TPE、TPU、シリコン、ブチルゴム、発泡金属などの射出成形ポリマー、又は他の適切な材料もしくはそれらの組み合わせであってもよい。
【0102】
キャップ180は、第2の弾性係数値をさらに有する。いくつかの実施形態では、第2の弾性係数値は、約0.1GPaから30GPaの範囲であり得る。例えば、第2の弾性係数値は、約0.1から1GPa、1から5GPa、5から10GPa、10から20GPa、又は20から30GPaの範囲であり得る。他の実施形態では、ばね部品は、少なくとも30GPa、少なくとも31GPa、少なくとも32GPa、少なくとも33GPa、少なくとも33GPa、少なくとも34GPa、少なくとも35GPa、少なくとも40GPa、少なくとも45GPa、少なくとも50GPa、少なくとも60GPa、少なくとも70GPa、少なくとも80GPa、少なくとも90GPa、又は少なくとも100GPaの弾性係数を有し得る。ばね部品160は、第1の弾性係数値が第2の弾性係数値よりも大きくなるように、キャップ180よりも大きな弾性係数値を有する。
【0103】
多くの実施形態において、また図6から図27の実施形態に図示されているように、ばね部品160とキャップ180は組み合わされて一体型撓みインサート150を形成する。多くの実施形態において、ばね部品160は、部分的にキャップ180内に埋め込まれるか、又は全体的にキャップ180内に埋め込まれることができる。多くの実施形態において、ばね部品160の底部はキャップ180内に埋め込むことができる。そのような実施形態では、キャップ180は、ばね部品160のどの部分もクラブヘッド100の外部に露出しないように、ばね部品160の底部全体を覆う。他の実施形態では、ばね部品160の少なくとも一部分がクラブヘッド100の外部に露出するように、ばね部品160の底部はキャップ180内に完全に埋め込まれていないことがある。多くの実施形態では、ばね部品160の上部が中空の内部キャビティ107に露出する一方、ばね部品160の底部部分のみをキャップ180内に埋め込むこともできる。以下でさらに詳細に説明される多くの実施形態では、ばね部品160のどの部分もクラブヘッド100の外部又は中空の内部キャビティ107のいずれにも露出しないように、ばね部品160は完全キャップ180内に埋め込むことができる。
【0104】
上述したように、撓みインサート150は複数の利点を提供する。撓みインサート150は、内部キャビティ107をシールし、スリット130を補強し、スリット130の過剰な撓みを防止する。具体的には、ばね部品160とキャップ180とを備える複数材料撓みインサート150は、従来のインサートと比較して性能上の利点を提供することができる。ばね部品160は、クラブヘッド100とゴルフボールとの間で伝達される内部エネルギーを増加させるばね効果を生み出し、ゴルフボールの性能(即ち、ボール速度、スピン、及び飛距離)を向上させる。
【0105】
a.U字型ばね部品を有する撓みインサート
図6から図9は、スリット130と撓みインサート150とを備えるゴルフクラブヘッドの一実施形態を示し、撓みインサート150はU字形状ばね部品160を備える。U字形状ばね部品は、前壁162、後壁164、及び上壁166を備える。上壁166は、前壁162と後壁164とを接続している。上壁166は、クラブヘッドの内部へ湾曲して延び、U字形の外観を提供する。
【0106】
前壁162及び後壁164は、それぞれ、スリット130の前面及び後面に接するように構成されている。他の実施形態では、前壁162及び後壁164は、スリットの前面及び後面からオフセットされていてもよい。ばね部品160の前壁162及び後壁164は、それぞれ前方及び後方に延びる前方突出部167及び後方突出部168を備える。前方及び後方突出部167、168は、それぞれ、前方凹部140及び後方凹部142に受容されるように構成されている。突出部167、168は、ばね部品160がスリット130内に固定されることを可能にする。他の実施形態では、ばね部品160は、任意の数の他の突出部を有してもよい。例えば、ばね部品160は突出部を有していなくてもよく、ばね部品160は1つの突出部を有していてもよく、ばね部品160は3つ以上の突出部を有していてもよい。
【0107】
図8に示されるように、ばね部品160は、ヒール部分及びトウ部分にはばね部品160がないように、スリット130の中央部分190内に配置される。上述したように、スリット130の中央部分190がゴルフボールとのインパクト時に最も大きく撓むため、ばね部品160はスリット130の中央部分190を対象とする。
【0108】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット130の前面が後方にたわみ、ばね部品160の前壁162を後方に押して後壁164に近づける。ばね部品160の上壁166は、湾曲した形状のため曲がり、ばね部品160に荷重をかけ、内部エネルギーを蓄える。ばね部品160が最大圧縮と曲げに達すると、前壁162は前方へ素早く動き、スリット130の前面をインパクト前の位置に戻す。
【0109】
ばね部品160は、ばね部品160の最もヒール側の点からばね部品160の最もトウ側の点までの距離である長さLscを有する。この実施形態では、ばね部品長さLscは約0.20インチである。他の実施形態では、ばね部品長さLscは、約0.10インチから1.50インチの範囲であり得る。ばね部品長さLscは、全スリット長さLの割合として表すこともできる。図示の実施形態では、ばね部品長さLscは、全スリット長さLの約32%である。他の実施形態では、ばね部品長さLscは、全スリット長さLの約10%から50%の範囲であり得る。
【0110】
撓みインサート150は、キャップ180を更に備える。この実施形態では、キャップ180はスリット130全体を覆い、ばね部品160がクラブの外側から見えないようにばね部品160を覆っている。ばね部品160の一部がクラブヘッドの内部から見ることができるように、ばね部品160は部分的にキャップ180に埋め込まれている。キャップ180は、ヒール部分182、中央部分184、及びトウ部分186を有する。キャップ180は、キャップ180の外面187からキャップ180の内面188まで測定された厚さtをさらに有することができる。多くの実施形態において、キャップ180の厚さtは、中央部分よりもヒール部分及びトウ部分において大きくすることができる。
【0111】
撓みインサート150は、スリットの中央部分を硬くすることにより、スリットの耐久性を向上させる。さらに、U字型ばね部品160は、スリットの撓みで負荷がかかり、エネルギーを蓄える。最大撓みが発生した後、U字型ばね部品160はクラブヘッドにエネルギーを戻し、ボール速度、スピン、及び飛距離を増加させる。また、U字型ばね部品160は、スリットが割れるほど撓むのを防止することにより、スリットの不具合を防止する。
【0112】
この実施形態では、ばね部品160は、U字形の構成を有する。他の実施形態では、ばね部品160は、V字形又はW字形構成などの他の形状の構成を有することができる。これらの各実施形態において、ばね部品の一部は、ばね部品の一部がキャップ内に埋め込まれず、クラブヘッドの内部から見ることができるように、キャビティの内部に向けて延びている。これらの各実施形態において、ばね部品160はスリットの前壁と後壁の両方に接触する。
【0113】
図示のようなスリット130の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット130の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート150の形状も、撓みインサート150がスリット130の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0114】
b.浮き型ばね部品付き撓みインサート
図10及び図11は、スリット230と撓みインサート250とを備えるクラブヘッドの第2実施形態を示す。撓みインサート250は、ばね部品260を備える。この実施形態では、ばね部品260は、キャップ280内に完全に埋め込まれている。換言すれば、ばね部品はキャップ280内に浮くことができる。図10から図12の実施形態では、ばね部品260は、ばね部品260がスリット230の前面233又は後面235に接触しないように、スリット230の縁部から間隔を空けることができる。本実施形態では、ばね部品260はスリット230の壁に接続されていない。ばね部品260は、「フローティングばね」のように作用し、ばね部品260は、キャップ280内で浮き、スリット230の壁に接触しない。上述したように、ばね部品260は、キャップ280内のどこに配置されてもよい。
【0115】
図10及び図11に示されるように、ばね部品260は楕円形状を有することができる。楕円形状は、長軸270及び短軸272を有する。楕円形状の長軸270は、スリット230内でヒールからトウ方向に並べることができ、一方、楕円形状の短軸272は、前後方向に並べることができる。このように、楕円形ばね部品260は、前後方向よりもヒールからトウ方向に長くすることができる。さらに、図10及び図11に示されるように、撓みインサート250は、スリット230内に配置された一連の楕円形状のばね部品260備えることができる。楕円形状により、インパクト時にばね部品260は撓むことができる。ばね部品260は、短軸距離が減少するように短軸272に沿って撓む。他の実施形態では、クラブヘッドは、必ずしも楕円形状ではないフローティングばね部品260を備えることができる。代替的な実施形態では、フローティングばね部品は、円形、三角形、矩形、柱形状、又は任意の他の適切な形状を有することができる。これらの各実施形態において、ばね部品は、ばね部品とスリットの壁との間に異なる材料が存在するように、スリットの前面及び後面に接触しない。
【0116】
図10および図11に示されているように、キャップ280はスリット230を完全に埋めることができる。キャップ280は、キャップ厚さtcを有することができる。キャップ厚さtcは、スリット230の前方縁部におけるソール厚さに等しくすることができる。キャップ厚さtcは、スリット230の後方縁部におけるソール厚さに等しくすることができる。楕円形状のばね部品は、キャップ280がばね部品260を完全に取り囲むように、キャップ280内に配置される。
【0117】
この実施形態では、ばね部品260は連続的な外周部を有する。連続的な外周部により、ばね部品260は曲がってもとの形状に戻ることができる。ばね部品は、任意の望ましい形状にすることができ、この形状は連続的な外周部を有する。埋め込まれたばね部品の外周部が不連続であると、ばね部品がスリットの壁にしっかり固定されないため、ばね部品がエネルギーを蓄え、もとの形状に戻るばね能力に悪影響を及ぼす。
【0118】
図示のようなスリット230の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット230の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート250の形状も、撓みインサート250がスリット230の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0119】
c.N字形状ばね部品を有する撓みインサート
図12から14は、スリット330と撓みインサート350とを備えるゴルフクラブヘッドの第3の実施形態を示す。撓みインサート350は、「N字形状」ばね部品360を備える。N字形状ばね部品360は、前アーム361と、後アーム363と、前アーム361と後アーム363とを接続するクロスアーム365とを備える。N字形状ばね部品360は、スリット330の過剰な撓みに対する抵抗を与えつつ、ゴルフボールのインパクト力に応じてスリット330内で撓むように構成されている。「N字形状」ばね部品360は、「Z字形状」と見ることもでき、この場合、「Z字形状」は側面において回転している。
【0120】
前アーム361は、前アーム上端371と、前アーム上端371の反対側の前アーム下端373とを備える。前アーム361は、前アーム上端371と前アーム下端373との間に垂直に延びるばね前壁362を形成する。ばね前壁362は撓みインサート350の最前方表面を形成し、スリット330の前面に係合するように構成されている。
【0121】
同様に、後アーム363は、後アーム上端375と、前アーム上端375の反対側の後アーム下端377とを備える。後アーム363は、後アーム上端375と後アーム下端377との間に垂直に延びるばね後壁を形成する。ばね後壁363は撓みインサート350の最後方表面を形成し、スリット330の後面に係合するように構成されている。
【0122】
クロスアーム365は、前アーム361と後アーム363との間に延びる。多くの実施形態において、クロスアーム365は、前アーム上端371から後アーム下端377まで斜めに延びる。この向きは、(図12及び図13によって示されるように)断面で見たときに「N」字形を形成する。他の実施形態(図示せず)では、クロスアーム365は、前アーム下端373から後アーム上端375まで、反対方向に斜めに延びることができる。クロスアーム365の対角線方向は、ゴルフボールのインパクト中にN字形状ばね部品360が圧縮することを可能にする。
【0123】
N型ばね部品360は、クロスアーム365と前アーム361との間の接合部に位置する前ジョイント378と、クロスアーム365と後アーム363との間の接合部に位置する後ジョイント379とを形成する。前ジョイント378と後ジョイント379は、N字形状ばね部品360に戦略的な脆弱点を形成し、部品が前後方向に圧縮することを可能にする。N字形状ばね部品360はさらに、前アーム361とクロスアーム365との間に形成される鋭角として定義される前ジョイント角を規定する。同様に、N字形状ばね部品360は、後アーム363とクロスアーム365との間に形成される鋭角として定義される後ジョイント角を定義する。多くの実施形態において、前ジョイント角と後ジョイント角は実質的に類似し得る。他の実施形態では、前ジョイント角と後ジョイント角は異なり得る。多くの実施形態では、前ジョイント角及び/又は後ジョイント角は、約25度と65度との間であり得る。例えば、前ジョイント角及び/又は後ジョイント角は、約25度と35度の間、35度と45度の間、45度と55度の間、又は55度と65度の間であり得る。前ジョイント角と後ジョイント角はそれぞれ、ばね部品が、クラブヘッドがインパクト力を受けていない「静止」位置にあるときに測定される。
【0124】
N字形状ばね部品360はキャップ380と協働して撓みインサート350を形成する。いくつかの実施形態では、前アーム下端373と後アーム下端377の両方は、N字形状ばね部品360のどの部分もクラブヘッドの外部に露出しないように、キャップ380内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態では、前アーム上端371及び前アーム下端373が中空の内部キャビティに露出するように、前アーム上端371及び前アーム下端373はキャップ380内に埋め込まれなくてもよい。他の実施形態では、N字形状ばね部品360は、N字形状ばね部品360のどの部分もクラブヘッドの外部又は中空の内部キャビティのいずれにも露出しないように、キャップ380内に完全に埋め込まれてもよい。
【0125】
N字形状ばね部品360は、ゴルフボールのインパクトの荷重下で撓むように構成される一方、スリット330の過剰な撓みを防止するためにスリット330の縁部及び表面に構造的支持を与える。クラブヘッドとゴルフボールとの間のインパクト時に、前ジョイント378及び後ジョイント379は、スリット330の縁部によって前及び後アーム361、363に加えられる荷重に応じてN字形状ばね部品360を圧縮することを可能にする。N字型ばね部品360がさらに圧縮すればするほど、ばね部品360はスリット330の縁部に大きな抵抗を加える。このようにして、N形ばね部品360は、スリット330が過度に撓むことなく撓むことを可能にする。
【0126】
N字形状ばね部品360は、スリット330のヒール部とトウ部がばね部品360を欠くように、スリット330の中央部分390内に配置されるように構成されている。ばね部品360は、スリットの中央部分390を対象として補強し、曲がり過ぎを防止する。他の実施形態では、ばね部品360は、スリット330のヒール部又はトウ部に接するように構成されてもよい。
【0127】
図示したようなスリット330の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット330の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート350の形状も、撓みインサート350がスリット330の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0128】
d.フック形状ばね部品を有する撓みインサート
図15から17は、スリット430と撓みインサート450とを備えるクラブヘッドの第4の実施形態を示す。この実施形態では、撓みインサート450は、「フック形状」ばね部品460を備える。フック形状ばね部品460は、スリット430の前面433に係合するように構成されたバンパー474と、シャンク部461によってバンパー474から後方に間隔を置いたアンカー463とを備える。フック形状ばね部品460は、スリット430の過度の撓みに対する抵抗を与えつつ、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット430内で撓むように構成されている。フック形状ばね部品460は、非対称であってもよく、変化する厚さを有していてもよい。
【0129】
バンパー474は、スリット430の前面433に近接して、フック形状ばね部品460の前端に配置される。バンパー474は、ゴルフボールとのインパクト時にスリット430が撓むときにスリット前面433に接触するように構成されたバンパー表面476を形成する。バンパー474は、シャンク部461からスリット430内に延在できる。いくつかの実施形態では、バンパー表面476は、スリット430の前面433に対してぴったり接するように実質的に平坦であり得る。他の実施形態では、図15及び図16によって示されるように、バンパー表面476は湾曲し得る。いくつかの実施形態では、バンパー表面476は、クラブヘッドが静止位置にあるとき(クラブヘッドがいかなるインパクト力も受けていないとき)にスリット430の前面433に接触するように構成されることができる。他の実施形態では、クラブヘッドが静止位置にあるとき、バンパー表面476とスリット430の前面433との間に隙間を形成することができる。先述の隙間を有する実施形態では、ゴルフボールとのインパクト時に、スリット430の撓みが隙間を閉じ、スリット前面433がバンパー表面476に係合する。従って、そのような実施形態では、フック形状ばね部品460は、ゴルフボールとの衝突時にスリット430の前面430に接触するだけである。
【0130】
アンカー463は、フック形状ばね部品460の後端に位置し、スリット430の後方でソールの内側凹部470内に取り付けられる。図15から図17に示されるように、クラブヘッドは、ソールの内面に、アンカー463を受け入れるように構成された凹部470を有する。凹部470は、スリット430の後縁部434から後方に間隔をあけることができる。凹部470は、スリット430の後縁部434とほぼ平行に、実質的にヒールからトウの方向に延びることができる。アンカー463は実質的に垂直であってもよく、凹部470内へソール方向に延びる。ゴルフボールとのインパクト時に、アンカー463は凹部の後壁に押し付けられて、フック形状ばね部品460の圧縮を促進する。
【0131】
多くの実施形態では、凹部470は、特定の実施形態のフック形状ばね部品460のヒールからトウの位置に対応して配置することができる。例えば、フック形状ばね部品460がスリット430の中央部分に位置する多くの実施形態では、凹部470は、スリット430の中央部分490よりも後方のソールの中央部分490内に位置していてもよい。
【0132】
上述したように、バンパー474とフック形状ばね部品460のアンカー463とは、シャンク部461によって接続されている。シャンク部461は、実質的に前後方向に延びることができる。シャンク部461は、部分的にスリット430内に位置し、部分的に中空の内部キャビティ内に位置することができる。バンパー474はスリット430内に配置され、アンカー463はスリット430から後方に間隔を置いて配置された凹部470内に収容されるので、シャンク部461は、スリット430から内部キャビティを通って凹部470まで延びることができる。多くの実施形態では、図15から図17に示されるように、シャンク部461は、スリット後縁部434と凹部470との間に位置するソールの一部を橋渡しする。
【0133】
フック形状のばね部品460は、ゴルフボールのインパクトの荷重を受けて撓むように構成される一方、スリット430の過剰な撓みを防止するために、スリット430の縁部及び表面を構造的に支える。フック形状ばね部品460は、ゴルフボールとのインパクト時に前後方向に圧縮され得る。スリット430が撓むと、フック形状ばね部品460は、バンパー474に対して後方への力を加えるスリット前面と凹部後壁との間で圧縮され、バンパーを下方へ強制的に移動させ、ばね部品460全体を曲げ、アンカーに対して前方への力を加える。フック形状のばねが圧縮されるほど、ばね部品はスリットの縁部に大きな抵抗を加える。このようにして、フック形状のばねにより、スリットは過度に撓むことなく撓むことができる。
【0134】
図示したようなスリット430の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット430の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート450の形状も、撓みインサート450がスリット430の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0135】
e.細長いU字形状ばね部品を有する撓みインサート
図18は、スリット930及び撓みインサート950を備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート950は、キャップ980とばね部品960とを備える。この実施形態では、ばね部品960は、スリット930の前面933及び後面935に接するように構成されている。スリット930の前面933と後面935はクラブヘッドの内部へ内方向に延び、撓みインサート950が密着するのに十分な表面積を提供する。スリットの後面935はくぼみ937を有し、ばね部品960をスリット930に固定するのに役立つ。くぼみ937は後面935の上端に位置している。
【0136】
ばね部品960は、前壁962、後壁964、及び上壁966を備え、細長いU字形の外観を形成する。後壁964は、後壁964の上端で後壁964から離れるように後方に延びる突出部969を備える。突出部969は、スリット930の後面935の凹部937によって受け入れられるように構成されている。
【0137】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット930の前面933が前方に変形し、それによってばね部品960を圧縮する。インサートの前壁962も前方に変形し、前壁962と後壁964との間の距離が減少する。前壁962と後壁964は上壁966の周りで曲がる。
【0138】
図に示されるようなスリット930の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット930の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート950の形状も、撓みインサート950がスリット930の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0139】
f.クロスアームを有する撓みの実施形態
図19は、スリット1030及び撓みインサート1050を備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1050は、キャップ1080とばね部品1060とを備える。この実施形態では、スリット1030は、前面1033、後面1035、及び上面を有する。ばね部品1060は、スリット1030の前面1033、後面1035、及び上面に接するように構成されることができる。スリット1030の前面1033と後面1035はクラブヘッドの内部へ内方向に延び、撓みインサート1050が密着するのに十分な表面積を提供する。上面1037は、後面1035から前面1033に向かう方向に延びている。上面1037は、クラブヘッドの内部から離れる方向に延びる突出部1039を備え、ばね部品1060をスリット1030に固定するのを助ける。
【0140】
ばね部品1060は、先に説明した「N」字形のばね部品360と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1060は、前アーム1062、後アーム1064、及び前アーム1061と後アーム1063とを接続するクロスアーム1066とを備える。ばね部品1060は、スリット1030の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1030内で撓むように構成される。前アーム1061、後アーム1063、及びクロスアーム1065は、「N」字形状ばね部品360の前アーム361、後アーム363、及びクロスアーム365のものと同様に接続し、機能するように構成される。上方突出部1039は、ばね部品1060のクロスアーム1065と後アーム1063の両方に接することができる。図19に示されるように、突出部1039は、クロスアーム1065及び後アーム1063の形状に対応する形状を有することができる。スリット1030の上面1037は、後アーム1063の端部に接し、ばね部品1060よりもクラブヘッドの内部にさらに位置することができる。
【0141】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1030の前面1033が前方に変形し、それによってばね部品1060を圧縮する。前アーム1062も後方に変形し、前アーム1062とクロスアーム1066との間の距離を減少させる。
【0142】
図示したようなスリット1030の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1030の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1050の形状も、撓みインサート1050がスリット1030の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0143】
g.凹型収束壁を有するばね部品を有する撓みインサート
図20は、スリット1130と撓みインサート1100とを備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1100は、キャップ1180とばね部品1160とを備える。この実施形態では、スリット1130は、前面1133と、後面1135と、前面1133の凹部1137とを有する。凹部1137は、インサートをスリット1130に位置決めして固定するのに役立つ。ばね部品1160は、前面1133及び後面1135に接するように構成されることができる。スリット1130の前面1133と後面1135はクラブヘッドの内部へ内方向に延び、撓みインサート1100が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1133及び後面1135は、前面1133及び後面1135の上端同士が下端同士よりも近接するように湾曲してクラブヘッドの内部へ内方向に延びる。言い換えれば、スリット1130の前面1133及び後面1135は凹状である。他の実施形態では、前面1133及び/又は後面1135は、凸状に湾曲していてもよく、又は湾曲していなくてもよい。
【0144】
ばね部品1160は、先に説明した「U」字形状のばね部品160と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1160は、前壁1162と、後壁1164と、前壁1162と後壁1164とを接続する上壁1166とを備える。ばね部品1160は、スリット1130の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1130内で撓むように構成される。前壁1162、後壁1164、及びクロス壁1166は、「U」字形状ばね部品160の前壁162、後壁164、及び上壁166のものと同様に接続し、機能するように構成される。ばね部品1160の前壁1162は、凹部1137によって受け入れられるように構成された突出部1169を備える。
【0145】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1130の前面1133が前方に変形し、それによってばね部品1160が圧縮される。インサートの前壁1162も前方に変形し、前壁1162と後壁11964との間の距離を減少させる。前壁1162と後壁1164は上壁1166の周囲で曲がる。
【0146】
図示したようなスリット1130の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1130の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1150の形状も、撓みインサート1150がスリット1130の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0147】
h.V字形状ばね部品を有する撓みインサート
図21は、スリット1230及び撓みインサート1250を備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1250は、キャップ1280とばね部品1260とを備える。この実施形態では、スリット1230は、前面1233及び後面1235を有する。ばね部品1260は、前面1233と後面1235とに接するように構成されることができる。スリット1230の前面1233と後面1235は、クラブヘッドの内部へ内方向に延び、撓みインサート1250が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1233及び後面1235は、湾曲してクラブヘッドの内部へ内方向に延びている。前面1233は凹形状を有し、後面1235は凸形状を有する。
【0148】
「V」字形のばね部品1160は、先に説明した「U」字形のばね部品160と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1260は、前壁1261と、後壁1263と、前壁1261と後壁1263とを接続する上壁1265とを備える。ばね部品1260は、スリット1230の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1230内で撓むように構成される。前壁1262、後壁1264、及びクロス壁1266は、「U」字形状ばね部品160の前壁162、後壁164、及び上壁166のものと同様に接続し、機能するように構成される。
【0149】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1230の前面1233は前方に変形し、それによってばね部品1260を圧縮する。インサートの前壁1262も前方に変形し、前壁1262と後壁1264との間の距離を減少させる。前壁1262と後壁1264は上壁1266の周りで曲がる。
【0150】
図に示されるようなスリット1230の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1230の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1250の形状も、撓みインサート1250がスリット1230の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0151】
i.湾曲した後壁を有するU字形状のばね部品を備える撓みインサート
図22は、スリット1330及び撓みインサート1350を備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1350は、キャップ1380とばね部品1360とを備える。この実施形態では、スリット1330は、前面1333及び後面1335を有する。ばね部品1360は、前面1333及び後面1335に接するように構成されることができる。スリット1330の前面1333と後面1335はクラブヘッドの内部へ内方向に延び、撓みインサート1350が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1333はほぼ平坦な表面を有し、後面1335は曲面を有する。後面1335は凹面である。後面1335の湾曲は、インサート1350を所定の位置に固定するのに役立つ。
【0152】
ばね部品1360は、先に説明した「U」字形状のばね部品160と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1360は、前壁1360と、後壁1362と、前壁1362と後壁1364とを接続する上壁1366とを備える。ばね部品1360は、スリット1330の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1330内で撓むように構成される。前壁1362、後壁1364、及び上壁1366は、「U」字形状ばね部品160の前壁162、後壁164、及び上壁166のものと同様に接続し、機能するように構成される。後壁1364は、スリット1330の湾曲した後面1335と相補的な形状を有する。
【0153】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1330の前面1333が前方に変形し、それによってばね部品1360が圧縮される。インサートの前壁1362も前方に変形し、前壁1362と後壁1364との間の距離を減少させる。前壁1362と後壁1364は上壁1366の周りで曲がる。
【0154】
図示のようなスリット1330の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1330の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1350の形状も、撓みインサート1350がスリット1330の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0155】
j.U字形状ばね部品と曲面とを有する撓みインサート
図23は、スリット1430及び撓みインサート1450を備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1450は、キャップ1480とばね部品1460とを備える。この実施形態では、スリット1430は、前面1433及び後面1435を有する。ばね部品1460は、前面1433及び後面1435に接するように構成されることができる。スリット1430の前面1433と後面1435はクラブヘッドの内部へ内方向に延び、撓みインサート1450が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1433はほぼ平坦な表面を有し、後面1435は曲面を有する。後面1435は凹面である。後面1435の湾曲は、インサート1450を所定の位置に固定するのに役立つ。
【0156】
ばね部品1460は、先に説明した「U」字形状のばね部品160と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1460は、前壁1460と、後壁1462と、前壁1462と後壁1464とを接続する下壁1466とを備える。ばね部品1460は、スリット1430の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1430内で撓むように構成される。前壁1462、後壁1464、及び下壁1466は、「U」字形状ばね部品160の前壁162、後壁164、及び上壁166のものと同様に接続し、機能するように構成される。後壁1464は、スリット1430の湾曲した後面1435と相補的な形状を有する。
【0157】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1430の前面1433が前方に変形し、それによってばね部品1460が圧縮される。インサートの前壁1462も前方に変形し、前壁1462と後壁1464との間の距離を減少させる。前壁1462と後壁164は下壁1466の周りで曲がる。
【0158】
図示のようなスリット1430の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1430の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1450の形状も、撓みインサート1450がスリット1430の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0159】
k.2本のクロスアームを有する撓みインサート
図24は、スリット1530と撓みインサート1550とを備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1550は、キャップ1580とばね部品1560とを備える。ばね部品1560は、前面1533及び後面1535に接するように構成されることができる。スリット1530の前面1533と後面1535はクラブヘッドの内部へ向けて内方向に延び、撓みインサート1550が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1533及び後面1535は、前面1533及び後面1535の上端同士が前面1533及び後面1535の下端同士とほぼ等しい距離になるように、概ね垂直にクラブヘッドの内部キャビティに向けて内方向に延びている。
【0160】
ばね部品1560は、先に説明した「N」字形状のばね部品360と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1560は、前アーム1562と、後アーム1564と、前アーム1562と後アーム1564とを接続する第1のクロスアーム1566と、前アーム1562と後アーム1564とを接続する第2のクロスアーム1568とを備える。第1のクロスアーム1566はクラブヘッドの内部キャビティにより近接することができる。第2のクロスアーム1568は、ゴルフクラブのソールにより近接することができる。第1のクロスアーム1566及び第2のクロスアーム1568は、互いから間隔をあけることができる。ばね部品1560は、スリット1530の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応答してスリット1530内で撓むように構成される。前アーム1562、後アーム1564、及びクロスアーム1566は、「N」字形状ばね部品360の前アーム361、後アーム363、及びクロスアーム365のものと同様に接続し、機能するように構成されている。上面突出部1539は、ばね部品1560のクロスアーム1566及び後アーム1564の両方に接することができる。図19に示されるように、突出部1539は、クロスアーム1566及び後アーム1564の形状に対応する形状を有することができる。スリット1530の上面1537は、後アーム1564の端部に接し、ばね部品1560よりもクラブヘッドのさらに内部に位置することができる。
【0161】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1530の前面1533は前方に変形し、それによってばね部品1560を圧縮する。インサートの前アーム1562も前方に変形し、前アーム1562と後アーム1564との間の距離を減少させる。第1のクロスアーム1566と第2のクロスアーム1568の向きと角度により、ばね部品1560が圧縮されると、前アーム1562もクラブヘッドの内側に向かってわずかに内方向に移動する。
【0162】
図示のようなスリット1530の形状は、限定するものとして解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1530の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1550の形状も、撓みインサート1550がスリット1530の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0163】
l.Z字形状ばね部品を有する撓みインサート
図25は、スリット1630と撓みインサート1650とを備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1650は、キャップ1680とばね部品1660とを備える。この実施形態では、スリット1630は、前壁1631と後壁1641とを有する。前壁1631は、上面1632と、傾斜面1633と、下面1635とを備える。後壁1641は、上水平面1642、上垂直面1643、傾斜面1644、下水平面1645、及び下垂直面1646を有する。前壁1631と後壁1641の表面は、クラブヘッドの内部キャビティの内部へ内方向に延び、撓みインサート1650が密着するのに十分な表面を提供する。他の実施形態では、前壁1631及び後壁1641は、スリット1630の製造可能性及び耐久性を向上させるために、他の組合せの表面及び形状を有することができる。
【0164】
ばね部品1660は、「Z字形状」構成を有することができ、ばね部品1660は、上部アーム1662、クロスアーム1664、及び下部アーム1666を備える。ばね部品1660は、スリット1630の前壁1631及び後壁1641の表面に対して相補的な形状を有する。「Z字形状」の構成は、インサート1650の、スリット1630内に保持される能力を向上させる。
【0165】
図示のようなスリット1630の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1630の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1650の形状も、撓みインサート1650がスリット1630の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0166】
m.逆U字形状ばね部品と突出部を有する撓みインサート
図26は、スリット1730と撓みインサート1750とを有するゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1750は、キャップ1780とばね部品1760とを備える。この実施形態では、スリット1730は、前面1733と、後面1735と、前面1733の第1の凹部1737と、後面1735の第2の凹部1738とを有する。第1の凹部1737及び第2の凹部1738は、撓みインサート1750をスリット1730に位置決めして固定するのを助ける。ばね部品1760は、前面1733と後面1735とに接するように構成することができる。スリット1730の前面1733と後面1735は、クラブヘッドの内部キャビティの内部へ内方向に延び、撓みインサート1750が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1733及び後面1735は、前面1733及び後面1735の上端同士が前面1733及び後面1735の下端同士とほぼ等しい距離にあるように、概ね垂直にクラブヘッドの内部キャビティの内部へ内方向に延びている。
【0167】
ばね部品1760は、先に説明した「U」字形状のばね部品160と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1760は、前壁1762と、後壁1764と、前壁1762と後壁1764とを接続する上壁1766とを備える。ばね部品1760は、スリット1730の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1730内で撓むように構成される。前壁1762、後壁1764、及び上壁1766は、「U」字形状ばね部品160の前壁162、後壁164、及び上壁166のものと同様に接続し、機能するように構成される。本実施形態では、上壁1766はゴルフクラブヘッドの内部キャビティに近接して配置される。ばね部品1760の前壁1762は、第1の凹部1737及び第2の凹部1738によって受け入れられるように構成された第1の突出部1769及び第2の突出部1770を有する。
【0168】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1730の前面1733が前方に変形し、それによってばね部品1760が圧縮される。インサートの前壁1762も前方に変形し、前壁1762と後壁1764との間の距離を減少させる。前壁1762と後壁1764は上壁1766の周りで曲がる。
【0169】
図に示されるようなスリット1730の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1730の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1750の形状も、撓みインサート1750がスリット1730の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0170】
n.突出部を有する細長いU字形状撓みばね部品
図27は、スリット1830と撓みインサート1850とを備えるゴルフクラブヘッドの別の実施形態を示す。撓みインサート1850は、キャップ1880とばね部品1860とを備える。この実施形態では、スリット1830は、前面1833と、後面1835と、前面1833の凹部1837とを有する。凹部1837は、インサートをスリット1830に位置決めして固定するのに役立つ。ばね部品1860は、前面1833と後面1835とに接するように構成されることができる。スリット1830の前面1833と後面1835はクラブヘッドの内側へ内方向に延び、撓みインサート1850が密着するのに十分な表面積を提供する。さらに、前面1833と後面1835は、前面1833と後面1835の上端同士が前面1833と後面1835の下端同士とほぼ等しい距離にあるように、概ね垂直にクラブヘッドの内部キャビティへ向けて内方向に延びている。
【0171】
ばね部品1860は、先に説明した「U」字形のばね部品160と多くの点で類似した形状を有することができる。ばね部品1860は、前壁1862と、後壁1864と、前壁1862と後壁1864とを接続する下壁1866とを備える。ばね部品1860は、スリット1830の過剰な撓みに対する抵抗を提供しながら、ゴルフボールのインパクトの力に応じてスリット1830内で撓むように構成される。前壁1862、後壁1864、及び下壁1866は、「U」字形状ばね部品160の前壁162、後壁164、及び上壁166のものと同様に接続し、機能するように構成される。本実施形態では、下壁1866は、ゴルフクラブヘッドのソールに近接して配置される。ばね部品1860の前壁1862は、第1の凹部1837及び第2の凹部1838によって受け入れられるように構成された第1の突出部1869及び第2の突出部1870を備える。
【0172】
ゴルフボールとのインパクトの際、スリット1830の前面1833が前方に変形し、それによってばね部品1860を圧縮する。インサートの前壁1862も前方に変形し、前壁1862と後壁1864との間の距離を減少させる。前壁1862と後壁1864は下壁1866の周りで曲がる。
【0173】
図に示されるようなスリット1830の形状は、限定的に解釈されるものではなく、むしろ例示的な実施形態として図示されている。例えば、スリット1830の幅、長さ、プロファイル、及び壁は、所望に応じて調整することができる。さらに、撓みインサート1850の形状も、撓みインサート1850がスリット1830の壁と相補的になるように調整されてもよい。
【0174】
V.スリット保持構造
スリット130の性能(即ち、スリットが作り出す打撃フェース102の撓みの量)は、スリット130の構造に依存し得る。スリット130の構造とは、スリット130によって形成される貫通開口を取り囲む構造を指し、スリット130の様々な壁及びスリット130に隣接するクラブヘッド100の特徴を含み得る。スリット130の構造は、撓みインサート150がスリット130内にどのように保持されるかと同様に、スリット130がどのように曲がるかに影響を及ぼし得る。場合によっては、スリット130の構造はスリット130の耐久性にさらに影響し、ソール112の破損防止に役立つ。多くの実施形態では、簡略化された製造を可能にするために、スリット130の構造の複雑さを最小限にすることが望ましい場合がある。多くの実施形態では、スリット130の構造は、スリット130の追加を補償するためにクラブヘッド100の質量特性を変更することができる、(以下でさらに詳細に説明される)質量パッドなどの特徴を含むことができる。
【0175】
上述したように、多くの実施形態では、スリット130はソール112を貫通する基本的な開口とすることができる。そのような実施形態では、スリット130の構造は、スリット130の周囲の保持壁又は構築構造によって形成されず、スリット130の壁及び表面は、単にソール112の厚さによって形成される。多くのそのような実施形態では、スリット130の前方縁部132におけるソール112の厚さは、スリット130の後方縁部134におけるソール112の厚さと同様又は等しくすることができる。
【0176】
多くの実施形態では、基本的なスリット130を形成するのではなく、クラブヘッド100は、スリット130を取り囲む1つ又は複数の保持壁又は他の構築された特徴を含む構造を有するスリット130を備えることができる。上述したように、スリット130の構造は、スリット130の耐久性及び可撓性特性、ならびにスリット130が撓みインサート150を保持する能力を向上させることができる。
【0177】
図29は、複数の保持壁592によって画定されたスリット530を備えるクラブヘッド500を示している。保持壁592はソール112によって形成され、スリット530の縁部532、534を形成する。保持壁592は、ソール512の内面521から内部キャビティ507内へ上向きに延びるソール512の特徴とすることができる。保持壁592は、撓みインサート550が保持壁592に接してスリット530を埋めるように、撓みインサート550を所定の位置に保持するように構成されている。複数の保持壁592は、スリット530の前方縁部532に位置する前方保持壁592aと、スリット530の後方縁部534に位置する後方保持壁592bとを有する。
【0178】
図29の実施形態では、前方保持壁592aは、ソール512の内面521に対して前壁592aが実質的に垂直に延びることができるような垂直壁とすることができる。前方保持壁592aはさらに、背面525に向かって配置された前面594aと、スリット530に向かって配置され、撓みインサート550と接するように構成された後面594bとを有する。前方保持壁592aは、前方保持壁592aとソール512との間の接合部にある基部596aと、基部596aの反対側の自由上端597aとを有する。
【0179】
同様に、後方保持壁592bは、ソール512の内面521に対して実質的に垂直に延びる垂直壁とすることができる。後方保持壁592bはさらに、スリット530に向かって配置され、撓みインサート550に接するように構成された前面594aと、クラブヘッド500のリア511に向かって配置された後面595bとを有する。前方保持壁592aと同様に、後方保持壁592bは、後方保持壁592bとソール512との間の接合部における基部596bと、基部596bの反対側の自由上端597bとを有する。多くの実施形態では、前方保持壁592a及び後方保持壁592bは互いに実質的に平行とすることができる。他の実施形態では、一方又は両方の保持壁592は、他方に対して角度を付けることができる。
【0180】
スリット530の前方縁部532及び後方縁部534にそれぞれ位置することにより、前方保持壁592a及び後方保持壁592bは、前後方向に互いに間隔をあけて配置され、クラブヘッド500の外部から内部キャビティ507への貫通開口を形成する。スリット530は、前方保持壁基部596aと後方保持壁基部596bとの間に外部開口538を形成する。外部開口538は、クラブヘッド500の外部からのスリット530への入口を形成する。スリット530はさらに、前方保持壁上端597aと後方保持壁上端597bとの間に内部開口536を形成する。内部開口536は、内部キャビティ507へのスリット530の出口を形成する。
【0181】
図29に図示された保持壁592は、複数の利点をもたらすことができる。撓みインサート550が接する表面(即ち、前方保持壁592aの後面595a及び後方保持壁592bの前面594b)は、撓みインサート550が密着又は連結するための増加した表面積を提供する。先述の増加した表面積は、スリット530が撓みインサート550を保持する能力を増加させることができる。さらに、保持壁592は、スリット530の縁部532、534の周りに追加の質量を提供し、スリット530を補強し、耐久性を増加させる。図29に図示した垂直保持壁592は、鋳造が困難でない単純な形状を有する。従って、保持壁592を設けることは製造工程を複雑にしない。
【0182】
図30は、複数の保持壁692を備えるクラブヘッド600の第二の実施形態を示している。保持壁692(即ち、前方保持壁692a及び後方保持壁692b)はそれぞれ、移行部693及び上部698を有することができる。移行部693をそれぞれ有する保持壁692は、スリット630の外部開口638と内部開口636との間に大きさの差を生じさせる。外部開口638と内部開口636との間の大きさの差は、撓みインサート650をスリット630内に確実に保持する機械的な止め部を形成する。
【0183】
図30を参照すると、前方保持壁692aは、前方保持壁692aの基部696aから始まり、内部キャビティ607内に延びる前壁移行部693aを含むことができる。前壁移行部693aは、ソール内面621に対して角度をつけることができる。多くの実施形態では、前壁移行部693aの前面694aは、ソール内面621に対して30度と60度との間の角度だけ傾斜することができる。いくつかの実施形態では、前壁移行部693aの前面694aとソール内面621との間の角度は、30度と40度との間、35度と45度との間、40度と50度との間、45度と55度との間、又は50度と60度との間であり得る。いくつかの実施形態では、前壁移行部693aの前面694aとソール内面621との間の角度は、約30度、約35度、約40度、約45度、約50度、約55度、又は約60度であり得る。前壁移行部693aの角度は、ソール612と前方保持壁692aとの間の形状の緩やかな変化を提供する。
【0184】
さらに、前方保持壁692aは、基部696aとは反対側にある、前方移行部693aの端部からさらに内部キャビティ607内に延びる前壁上部698aを有する。前壁上部698aは、前壁上部698aがソール内面621に対してほぼ垂直になるように、実質的に垂直にすることができる。このような形状の緩やかな変化は、前方保持壁692aの周囲に生じる応力上昇を最小限に抑えることによって耐久性を向上させることができる。
【0185】
前方保持壁692aと同様に、後方保持壁692bは、後方保持壁692bの基部696bから始まり、内部キャビティ607内に延びる後壁移行部693bを有することができる。後壁移行部693bは、ソール内面621に対して角度をつけることができる。多くの実施形態では、後壁移行部693bの後面695bは、ソール内面621に対して30度と60度との間の角度だけ角度をつけることができる。いくつかの実施形態では、後壁移行部693bの後面695bとソール内面621との間の角度は、30度と40度との間、35度と45度との間、40度と50度との間、45度と55度との間、又は50度と60度との間であり得る。いくつかの実施形態では、後壁移行部693bの後面695bとソール内面621との間の角度は、約30度、約35度、約40度、約45度、約50度、約55度、又は約60度であり得る。後壁移行部693bの角度は、ソール612と後方保持壁692bとの間の形状の緩やかな変化を提供する。このような形状の緩やかな変化は、後方保持壁692bの周囲に生じる応力上昇を最小限に抑えることによって耐久性を向上させることができる。
【0186】
さらに、後方保持壁692bは、基部696bとは反対側にある、後方移行部698bの端部からさらに内部キャビティ607内に延びる後壁上部698bを有する。後壁上部698bは、後壁上部698bがソール内面621に対してほぼ垂直であるように、実質的に垂直であり得る。多くの実施形態では、後壁上部698bは前壁上部698aと平行であり得る。
【0187】
図30の実施形態は、平坦な移行部693を有する保持壁692を示しているが、他の実施形態では、移行部693は、(断面で見て)内部キャビティ607に対して湾曲又は凹状にすることができる。このような湾曲した移行部693は、ソール612と保持壁692との間にさらに緩やかな移行を提供することができる。
【0188】
図30に示されるように、前壁移行部693a及び後壁移行部693aは、それぞれが内部キャビティの奥深くまで延びるにつれて互いに向かって近づく。近づく移行部693は、可変のスリット幅Wsを作り出す。スリット630は、外部開口638に位置する外側スリット幅Wse、及び内部開口636に位置する内側スリット幅Wsiを有する。多くの実施形態では、外側スリット幅Wseは内側スリット幅Wsiよりも大きい。スリット630の可変幅Wsは、撓みインサート650を所定の位置に保持するための機械的な止め部を形成する。撓みインサート650は、保持壁692によって形成されたスリット630のプロファイルを補完的に埋める形状にすることができ、前方保持壁692aの後面695a及び後方保持壁692bの前面694とぴったり接する。可変スリット幅Wsにより、撓みインサート650をより大きな外部開口638を通して挿入することができるが、より小さな内部開口636を通して内部キャビティ607に滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0189】
図30に示されるように、いくつかの実施形態では、撓みインサート650は、スリット630内に撓みインサート650を固定するように構成されたストッパ655をさらに有することができる。ストッパ655は、内部キャビティ607に露出した撓みインサート650の端部に配置することができる。ストッパ655は、内側スリット幅Wsiよりもわずかに大きい前後幅を有する、撓みインサート650の一部とすることができる。撓みインサート650がスリット650内に組み付けられると、ストッパ655は保持壁692の上端697に重なることができる。ストッパは保持壁692の上端697に対して抵抗を与え、撓みインサート650が外部開口638を通ってスリット630から抜け出るのを防止する。撓みインサート650の可撓性材料により、撓みインサート650がスリット630に圧入される際にストッパ655が圧縮される。ストッパ655が内部開口636を通過すると、ストッパ655は減圧して元の形状に戻り、撓みインサート650を所定の位置にしっかりとロックすることができる。
【0190】
VI.スリットを有するクラブヘッドと打撃フェースクラウンリターン
本書に記載されたクラブヘッドは、高性能クラブヘッドを提供するためにスリットと(直接的又は間接的に)連動する様々な追加的特徴を備えることができる。以下に記載される追加の特徴はいずれも、本明細書に記載される様々なスリット130、230、330、430、530、630、730、930、1030、1130、1230、1330、1430、1530、1630、1730、1830及び撓みインサート150、250、350、450、550、650、750、950、1050、1150、1250、1350、1450、1550、1650、1750、1850のいずれかと組み合わせて、提供することができる。
【0191】
図31及び図32は、クラウンリターン727を有する打撃フェース702と組み合わされたスリット730とを備えるクラブヘッド700を示す。図31に示されるように、打撃フェース702は、クラブヘッド700の前端708に位置する打撃面部728と、打撃面部728の頂部から後方に延びるクラウンリターン727とを形成する。クラウンリターン728は、後方に延び、クラウン710の少なくとも前方部分を形成することができる。打撃フェース702は、上方外周部737及び下方外周部739を有することができ、上方外周部737及び下方外周部739はそれぞれ、打撃フェース702とボディ701との間の境界として機能する。例えば、上方外周部737は、クラウンリターン727の後縁部に沿って位置し、打撃フェース702とクラウン710との間の境界を形成する。図31及び図32の実施形態では、打撃フェースの下方外周部739は前端708に位置し、打撃フェースの上方外周部737はクラウン715に位置し、前端708から後方に間隔をあけて配置されている。
【0192】
多くの実施形態では、図32に図示されているように、クラウンリターン727は、幾何学的中心720から上方外周部737まで前後方向に測定されたリターン深さDcrを有することができる。多くの実施形態において、リターン深さDcrは、0.25から1.5インチであり得る。多くの実施形態において、リターン深さDcrは、0.25と0.50インチの間、0.50と0.75インチの間、0.75と1.0インチの間、1.0と1.25インチの間、又は1.25インチと1.5インチの間であり得る。多くの実施形態において、リターン深さDcrは、0.50インチより大きく、0.60インチより大きく、0.70インチより大きく、0.80インチより大きく、0.90インチより大きく、1.0インチより大きく、1.1インチより大きく、1.2インチより大きく、1.3インチより大きく、1.4インチより大きく、又は1.5インチより大きくなり得る。
【0193】
多くの実施形態では、打撃フェース702とボディ701は異なる材料で形成されている。多くの実施形態では、打撃フェース702はボディ701よりも高強度の材料を有する。クラウンリターン727でクラウン710の一部を形成することにより、前端部708からクラウン710への移行に沿ってより強度の高い材料が提供される。それにより、クラウンリターン727は、典型的にはインパクト時に破損する危険性が増す、先述の領域の耐久性を増大させる。
【0194】
クラウンリターン727を設けることで、より強度の高い打撃フェース702材料をクラウン710の前方部分に配置し、そうすることで、耐久性を犠牲にすることなくクラウン710の先述の前方部分を薄くすることができる。クラウン710のこの部分を薄くすることによって、打撃フェース702の撓みを増加させることができ、スリット730によって生じる内部エネルギー利得を補完して、ボール速度の最大増加を提供することができる。多くの実施形態において、クラウンリターン727は、0.040インチ未満の(クラウンリターン727の外面から内面まで測定される)厚さを有することができる。多くの実施形態において、クラウンリターン727は、0.038インチ未満、0.036インチ未満、0.034インチ未満、0.032インチ未満、0.030インチ未満、0.028インチ未満、0.026インチ未満、0.024インチ未満、0.022インチ未満、又は0.020インチ未満の厚さを有することができる。
【0195】
通常、打撃フェース702は、鋳造プロセスではなく、スタンピング、プレス、又は鍛造によって形成することができる。このため、打撃フェース702を複雑な形状に形成することは困難である。スリット730を備えるクラブヘッド700の多くの実施形態、特に1つ又は複数の保持壁について説明した上記の実施形態では、スリット730の形状はソール712内へ鋳造されなければならない。多くの実施形態においてスリット730が前端708に近接しているため、打撃フェース702によってソール712の任意の部分を形成することは不利になる。そのため、打撃フェース702にはソールリターンがなくてもよい。そのような実施形態では、打撃フェース702はクラウンリターン727を介してクラウン710の一部を形成することはできるが、ソール712の一部を形成することはできない。
【0196】
(図示しない)他の実施形態、特にシンプルなスリット730設計を有する実施形態では、打撃フェース702は、ソール712に沿って打撃面部728から後方に延びるソールリターンを有していてもよい。そのような実施形態では、ソールリターンは、スリット730の1つ又は複数の縁部を形成する1つ又は複数の縁部を有していてもよい。クラウンリターン727を有する打撃フェース702は、本明細書で説明する様々なスリット形状のいずれかと組み合わせて、また、本明細書で説明する様々な撓みインサートの実施形態150、250、350、450、550、650、750、950、1050、1150、1250、1350、1450、1550、1650、1750、1850のいずれかと組み合わせて設けることができる。
【0197】
VII.スリットと質量パッドを有するクラブヘッド
多くの実施形態では、クラブヘッドは、ゴルフボールの性能特性をさらに向上させる望ましいCG位置を提供するために、内側質量パッドを備える。図32を参照すると、クラブヘッド700は、スリット730と組み合わせて内側質量パッド745を備える。多くの実施形態では、質量パッド745はソール内面721から一体的に形成される。質量パッド745は、ソール712のストック厚さよりも大きな厚さを有する質量の大きな集中部である。質量パッド745は、スリット730と後端711との間に配置することができる。しかしながら、多くの実施形態において、質量パッド745は、後端部711よりも打撃フェース702に近い位置に配置することができ、クラブヘッド700に比較的前方のCG799の位置を提供し、望ましくないゴルフボールのスピンを低減する。質量パッド745は、本明細書に記載される様々なスリット形状のいずれか、本明細書に記載される様々な撓みインサートの実施形態150、250、350、450、550、650、750、950、1050、1150、1250、1350、1450、1550、1650、1750、1850のいずれか、又は本明細書に記載される他の追加的特徴のいずれかと組み合わせて提供されることができる。
【0198】
多くの実施形態では、図32に示されるように、質量パッド745は、スリット730から後方に間隔を置く。そのような実施形態では、質量パッド745は、スリット730のどの部分も、又はどの保持壁792のどの部分も形成しない。そのような実施形態では、質量パッド745は、ソール712の一部によってスリット730から間隔を置くことができる。そのような実施形態では、質量パッド745は、スリット730の後縁部734を形成せず、任意の保持壁792とは別個かつ独立のものである。質量パッド745をスリット730から離間させることにより、スリットは最大量曲がり、又は撓むことができる。質量パッド745はソール712の残りの部分よりも厚い(従って可撓性が低い)ので、質量パッド745をスリット730の後方に間隔をあけることで、ソール712と打撃フェース702をより大きく撓ませることができる。さらに、質量パッド745をスリット730の後方に間隔をあけることで、CG799の位置をより後方にすることができ、MOIが高いクラブヘッド700をもたらすことができる。
【0199】
他の実施形態(図示せず)では、質量パッド745がスリット730の一部を形成するように、質量パッド745がスリット730のすぐ隣にあることが望ましい場合がある。このような実施形態では、質量パッド745は、スリット後縁部734の少なくとも一部を形成することができる。質量パッド745をスリット730のすぐ隣に設けることにより、よりかなり前方のCG799位置を提供することができ、その結果、ゴルフボールの打ち出し特性(即ち、より低いスピンレート)が改善される。
【0200】
多くの実施形態では、質量パッド745は、25グラムと40グラムとの間の質量を有することができる。いくつかの実施形態では、質量パッド745は、25グラムと30グラムの間、30グラムと35グラムの間、又は35グラムと40グラムの間の質量を有することができる。上述したように、多くの実施形態では、質量パッド745はソール712と一体的に形成されている。他の実施形態では、質量パッド745を別個に形成し、接着剤及び/又は機械的取り付け手段を介してソール712に(内側又は外側のいずれかから)取り付けることができる。
【0201】
VIII.重心と慣性モーメントの特性
本明細書で説明するクラブヘッドは、打撃フェースの曲げ力学を改善して、スピードの増加、高い打出し、及び低スピンなどの有益なゴルフボール性能特性を提供するための手段を提供する。上述したように、スリット130は打撃フェース102に近接して配置され、打撃フェース102の曲げ特性に影響を及ぼす。以下の質量特性は、本明細書に記載の種々のスリット130、230、330、430、530、630、730、930、1030、1130、1230、1330、1430、1530、1630、1730、1830及び撓みインサート150、250、350、450、550、650、750、950、1050、1150、1250、1350、1450、1550、1650、1750、1850の任意の組み合わせに適用可能である。
【0202】
スリットを考慮すると、重心(CG)及び慣性モーメント(MOI)特性に悪影響を及ぼし得るクラブヘッドの前部の質量が取り除かれることが多い。しかしながら、本明細書に記載されるクラブヘッドは、改良された重心位置を有し、それにより改善された慣性モーメント特性を提供する。具体的には、本明細書に記載のスリットを備えるクラブヘッドは、低く、かつ後方の重心位置を有し、これにより高い慣性モーメントを提供する。高い慣性モーメントを有するクラブヘッドは、中心を外れた打撃に対する寛容性を向上させる。従って、本明細書に記載されるようなスリットを有するクラブヘッドの様々な構成は、感覚を改善し、寛容性を増し、プレーのしやすさを改善する。
【0203】
改善された重心位置及び高い慣性モーメント特性を達成するために、クラブヘッドは、取り外し可能な重り、質量パッド、薄型化したクラウン、重り付きインサート、及び/又は非金属材料から形成された軽量クラウンなどのクラブヘッドの質量特性に影響を与える構造をさらに有することができる。これらの構造により、質量特性の調整が可能になり、低くかつ後方のCG位置、並びに高い慣性モーメント特性を達成することができる。以下に説明するのは、慣性モーメントとクラブヘッドの寛容性を高めるために、低くて後方のCG位置を提供する改善されたCG位置である。
【0204】
ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態では、CGx位置は-2mmから6mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ドライバー型のクラブヘッドは、-2mmから2mm、又は2mmから6mmの間のCGx位置を有する。いくつかの実施形態では、ドライバー型クラブヘッドは、約-2mm、-1.5mm、-1mm、0mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、又は6mmのCGx位置を有する。
【0205】
フェアウェイウッド型クラブヘッドの様々な実施形態では、CGx位置は-7mmから1mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、-7mmから-3mm、又は3mmから1mmの間のCGx位置を有する。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、約-7mm、-6mm、-5mm、-4mm、-3mm、-2mm、-1mm、0mm、0.5mm、又は1mmのCGx位置を有する。
【0206】
ハイブリッド型クラブヘッドの様々な実施形態では、CGx位置は-5mmから2mmの間であり得る。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、-5mmから-1mm、又は1mmから2mmの間のCGx位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、-4mmから0mm、-3mmから1mm、又は2mmから2mmの間のCGx位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、約-5mm、-4mm、-3mm、-2.5mm、-2mm、-1.5mm、-1mm、-0.5mm、0mm、0.5mm、1mm、1.5mm、又は2mmのCGx位置を有する。
【0207】
ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態では、CGは-4mmから-10mmの範囲のCGy位置を有する。いくつかの実施形態では、ドライバー型クラブヘッドは、-4mmから-7mm、又は7mmから-10mmの範囲のCGy位置を有する。いくつかの実施形態では、ドライバー型クラブヘッドは、約-4mm、-5mm、-6mm、-7mm、-8mm、-9mm、又は10mmのCGy位置を有する。
【0208】
フェアウェイウッド型クラブヘッドの様々な実施形態では、CGは-3mmから-12mmの範囲のCGy位置を有する。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、-3mmから-7mm、又は-7mmから-12mmの範囲のCGy位置を有する。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、約-3mm、-4mm、-5mm、-6mm、-7mm、-8mm、-9mm、-10mm、-11mm、又は12mmのCGy位置を有する。
【0209】
ハイブリッド型クラブヘッドの様々な実施形態では、CGは-3mmから-12mmの範囲のCGy位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、-3mmから-8mm、又は8mmから-12mmの範囲のCGy位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、-4mmから-8mm、-5mmから-9mm、-6mmから-10mm、-7mmから-11mm、又は8mmから-12mmの範囲のCGy位置を備える。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、約-3mm、-4mm、-5mm、-6mm、-7mm、-8mm、-9mm、-10mm、-11mm、又は12mmのCGy位置を有する。
【0210】
ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態では、CGは、38mmより大きい、40mmより大きい、42mmより大きい、45mmより大きい、又は48mmより大きいCGzの位置を有する。いくつかの実施形態では、ドライバー型クラブヘッドは、38mmから55mmの範囲のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、ドライバー型クラブヘッドは、38mmから45mm、又は45mmから55mmの範囲のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、ドライバー型クラブヘッドは、約38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、又は55mmのCGz位置を有する。
【0211】
フェアウェイウッド型クラブヘッドの様々な実施形態について、CGは、25mmより大きい、28mmより大きい、又は30mmより大きいCGz位置を有することができる。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、25mmから40mmの範囲のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、25mmから32mm、又は32mmから40mmの範囲のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドは、約25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、又は40mmのCGz位置を有する。
【0212】
ハイブリッド型クラブヘッドの様々な実施形態について、CGは、15mmより大きい、18mmより大きい、20mmより大きい、22mmより大きい、又は24mmより大きいCGz位置を有することができる。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、15mmから30mmの範囲のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、15mmから25mm、又は25mmから30mmの範囲のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、16mmから26mm、17mmから27mm、18mmから28mm、19mmから29mm、又は20mmから30mmの間のCGz位置を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドは、約15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、又は30mmのCGz位置を有する。
【0213】
上述したように、また図2から4を参照すると、重心(CG)は、CGx軸、CGy軸、及びCGz軸を有する座標系の原点を定める。CGx軸はX軸に平行であり、CGy軸はY軸に平行であり、CGz軸はZ軸に平行である。さらに、クラブヘッドは、CGx軸に関する慣性モーメントIxx(即ち、クラウンからソールへの慣性モーメント)と、CGy軸に関する慣性モーメントIyy(即ち、ヒールからトウへの慣性モーメント)とを有する。多くの実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxx及びヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、クラブヘッドの設計者が利用可能な裁量質量の量に基づいて増加又は最大化される。慣性モーメントはゴルフクラブヘッドがねじれに抵抗する能力を表す。X軸に関する慣性モーメントが大きいと、中心を外れた高い打点や低い打点に対する寛容性が向上する。Y軸に対する慣性モーメントが大きいほど、ヒールとトウの中心を外れた打撃に対する寛容性が向上する。
【0214】
ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態について、多くの実施形態において、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、約3000g・cmよりも大きく、約3250g・cmよりも大きく、約3500g・cmよりも大きく、約3750g-cm2より大きく、約4000g・cmより大きく、約4250g・cmより大きく、約4500g・cmより大きく、約4750g・cmより大きく、又は約5000g・cmより大きくあり得る。ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態について、多くの実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは3000g・cmから5000g・cmの間であり得る。他の実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは3000g・cmから4000g・cmの間、又は4000g・cmから5000g・cmの間の範囲であり得る。例えば、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、3000g・cm、3100g・cm、3200g・cm、3300g・cm、3400g・cm、3500g・cm、3600g・cm、3700g・cm、3800g・cm,3900g・cm,4000g・cm,4100g・cm,4200g・cm,4300g・cm,4400g・cm,4500g・cm,4600g・cm,4700g・cm,4800g・cm,4900g・cm,又は5000g・cmであり得る。
【0215】
フェアウェイウッド型クラブヘッドの様々な実施形態について、多くの実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、約1200g・cmよりも大きく、約1300g・cmよりも大きく、約1400g・cmよりも大きく、約1500g・cmよりも大きく、約1600g・cmよりも大きく、約1700g・cmよりも大きく、約1800g・cmよりも大きく、又は約1900g・cmよりも大きくあり得る。他の実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、1200g・cmから2200g・cmの間であり得る。他の実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、1200g・cmから1700g・cmの間、又は1700g・cmから2200g・cmの間であり得る。例えば、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、1200g・cm、1300g・cm、1400g・cm、1500g・cm、1600g・cm、1700g・cm、1800g・cm、1900g・cm、2000g・cm、2100g・cm、又は2200g・cmであり得る。
【0216】
ハイブリッド型のクラブヘッドの様々な実施形態について、多くの実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、約880g・cmよりも大きく、約890g・cmよりも大きく、約900g・cmよりも大きく、約910g・cmより大きく、約920g・cmより大きく、約930g・cmより大きく、約940g・cmより大きく、約950g・cmより大きく、又は約960g・cmより大きくあり得る。他の実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、880g・cmから1500g・cmの範囲であり得る。他の実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、880g・cmから1200g・cm、又は1200g・cmから1500g・cmの範囲であり得る。他の実施形態では、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、900g・cmから1300g・cm、1000g・cmから1400g・cm、又は1100g・cmから1500g-cm2の範囲であり得る。例えば、クラウンからソールへの慣性モーメントIxxは、880g・cm、900g・cm、920g・cm、930g・cm、940g・cm、950g・cm、960g・cm,970g・cm,980g・cm,990g・cm、1000g・cm、1020g・cm、1100g・cm、1200g・cm、1300g・cm、1400g・cm、又は1500g・cmであり得る。
【0217】
ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態について、多くの実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、約4500g・cmよりも大きく、約4800g・cmよりも大きく、約5000g・cmよりも大きく、約5150g・cmよりも大きく、約5250g・cmよりも大きく、約5500g・cmよりも大きく、約5750g・cmよりも大きく、又は約6000g・cmよりも大きくあり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、4500g-cm2から6000g・cmの間であり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、4500g・cmから5200g・cmの間、又は5200g・cmから6000g・cmの間の範囲であり得る。例えば、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、4500g・cm、4600g・cm、4700g・cm、4800g・cm、4900g・cm、5000g・cm、5100g・cm、5200g・cm、5300g・cm,5400g・cm、5500g・cm、5600g・cm、5700g・cm、5800g・cm、5900g・cm、又は6000g・cmの範囲であり得る。
【0218】
フェアウェイウッド型クラブヘッドの様々な実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは約2700g・cmよりも大きく、約2800g・cmよりも大きく、約2900g・cmよりも大きく、約3000g・cmよりも大きく、約3100g・cmよりも大きく、約3200g・cmよりも大きく、又は約3300g・cmよりも大きくあり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2700g・cmから3500g・cmの範囲であり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2700g・cmから3100g・cmの間、又は3100g・cmから3500g・cmの範囲であり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2700g・cmから3200g・cm、又は3200g・cmから3500g・cmの範囲であり得る。例えば、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2700g・cm、2800g・cm、2900g・cm、3000g・cm、3100g・cm、3200g・cm、3300g・cm、3400g・cm、又は3500g・cmであり得る。
【0219】
ハイブリッド型クラブヘッドの様々な実施形態について、多くの実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは約2400g・cmよりも大きく、約2500g・cmよりも大きく、約2600g・cmよりも大きく、約2700g・cmよりも大きく、約2800g・cmよりも大きく、約2900g・cmよりも大きく、又は約3000g・cmよりも大きくあり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2400g・cmから3200g・cmの範囲であり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2400g・cmから2700g・cm、又は2700g・cmから3200g・cmの範囲であり得る。他の実施形態では、ヒールからトウへの慣性モーメントIyyは、2400g・cmから2900g・cm、2500g・cmから3000g・cm、2600g・cmから3100g・cm、又は2700g・cmから3200g・cmの範囲であり得る。例えば、ヒールかからトウへの慣性モーメントIyyは、2400g・cm,2500g・cm、2600g・cm、2700g・cm、2750g・cm、2800g・cm、2850g・cm、2900g・cm、2950g・cm、3000g・cm、3100g・cm、又は3200g・cmであり得る。
【0220】
ドライバー型のクラブヘッドの様々な実施形態では、複合慣性モーメント(即ちクラウンからソールへの慣性モーメントIxxとヒールからソールへの慣性モーメントIyyの合計)は、8000g・cmより大きく、8500g・cmより大きく、9000g・cmより大きく、9500g・cmより大きく、10000g・cmより大きく、11000g・cmより大きく、又は12000g・cmより大きくなり得る。
【0221】
フェアウェイウッド型クラブヘッドの様々な実施形態では、複合慣性モーメント(即ちクラウンからソールへの慣性モーメントIxxとヒールからソールへの慣性モーメントIyyの合計)は4000g・cmより大きく、4100g・cmより大きく、4200g・cmより大きく、4300g・cmより大きく、4400g・cmより大きく、4500g・cmより大きく、4600g・cmより大きく、4700g・cmより大きく、又は4800g・cmより大きくあり得る。
【0222】
ハイブリッド型のクラブヘッドの様々な実施形態では、複合慣性モーメント(即ちクラウンからソールへの慣性モーメントIxxとヒールからソールへの慣性モーメントIyyの合計)は、3500g・cmより大きく、3600g・cmより大きく、3700g・cmより大きく、3800g・cmより大きく、3900g・cmより大きく、4000g・cmより大きく、4100g・cmより大きく、又は4200g・cmより大きくあり得る。
【0223】
(例)
A.例1-スリットとクラウンリターンとを有するクラブヘッド
対照クラブヘッドを本発明の態様による例示的な実施形態と比較する比較例が実施された。例示的な実施形態は、図18に図示されたクラブヘッドと同様のクラブヘッドであった。例示的な実施形態は、スリット及び打撃フェースクラウンリターンを備える。打撃フェースクラウンリターンは、打撃フェースと同じ高強度材料から形成される。打撃フェースクラウンリターンは、打撃面部の上部からクラウンの前方部分へと延びる。例示的な実施形態の打撃のクラウンリターンは、約0.025インチの厚さを有する。対照クラブヘッドは、クラウンリターンが打撃フェースとは異なる材料から形成されるように、スリット及びフェースインサートとを備える。対照クラブヘッドのクラウンリターンは約0.035インチであった。対照クラブヘッドと例示的な実施形態のスリットは同じ形状及び特徴を有する。
【0224】
データは有限要素解析(FEA)を使って収集された。FEAシミュレーションは、約100MPHでフェースの中心に衝突するゴルフボールを対象とした。FEAシミュレーションは、例示的な実施形態が、対照クラブヘッドよりも0.67MPHのボール速度の増加を有することを判断した。従って、クラウンリターンが打撃フェースと同じ材料からなる打撃フェースクラウンリターンは、打撃フェースクラウンリターンを欠く対照クラブヘッドよりもボール速度が改善されていた。打撃フェースクラウンリターンは、クラウンをより薄くすることを可能にし、その結果、ボール速度の増加をもたらすゴルフボールとのインパクト時に、より曲がる。
【0225】
B.例2-撓みインサートと対照インサートの比較
比較例は有限要素解析(FEA)を用いて実施される。FEAテストは、本発明の実施形態による撓みインサートを備えた例示的なクラブヘッドの性能を、インサートを備えた対照的なクラブヘッドと比較する。テストで使用される例示的な撓みインサートは、図6から図9のインサートに類似している。撓みインサートは、U字形のばね部品とキャップとを有するスリットを備える。対照クラブヘッドは、単一の粘弾性材料を備えたスリットを備える。対照クラブヘッドと例示的なクラブヘッドのスリットの形状や他のクラブヘッドの特徴はほぼ同じである。
【0226】
FEAテストは、例示的なクラブヘッドが対照クラブヘッドよりもボール速度が約0.5MPHから5MPH増加することを示すと予想される。
【0227】
(項目)
項目1:ゴルフクラブヘッドであって、ゴルフボールに衝突するための打撃面を備える打撃フェースと、クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、打撃フェース及びボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、ソールは、打撃フェースに近接してスリットを画定し、スリットは、中空の内部キャビティとクラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、スリットは、打撃フェースに隣接する前方縁部と、前方縁部の反対側の後方縁部と、を有し、前方縁部と後方縁部とは、スリットの境界を画定し、スリットは撓みインサートを受け入れるように構成されており、撓みインサートは、ばね部品とキャップを備え、ばね部品は、第1の弾性係数を有する第1の材料を備え、キャップは、第2の弾性係数を有する第2の材料を備え、第1の弾性係数は、第2の弾性係数よりも大きく、撓みインサートは、スリットの前方縁部と後方縁部とに接続されており、撓みインサートは、開口を埋め、内部キャビティをシールし、撓みインサートは、ゴルフボールのインパクト時にソールと一緒に撓むように構成されている、ゴルフクラブヘッド。
【0228】
項目2:ばね部品は、少なくとも部分的にキャップ内に埋め込まれている、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0229】
項目3:第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0230】
項目4:第1の弾性係数は、20GPaから210GPaの間である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0231】
項目5:第2の材料は、射出成形ポリマーである、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0232】
項目6:第2の弾性係数は、0.1GPaから30GPaの間である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0233】
項目7:スリットは、スリットの前面に形成された前方凹部と、スリットの後面に形成された後方凹部と、をさらに備える、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0234】
項目8:ばね部品は、前壁と後壁とを備え、前壁は、前壁から前方に延びる前方突出部を備え、後壁は、後壁から後方に延びる後方突出部を備え、前方突出部は、前方凹部内に受け入れられるように構成され、後方突出部は、後方凹部内に受け入れられるように構成される、項目7に記載のゴルフクラブヘッド。
【0235】
項目9:スリットは、スリットの最もヒール側の点とスリットの最もトウ側の点との間のヒールからトウまでの距離として測定されるスリット長さを有し、ばね部品は、ばね部品の最もヒール側の点からばね部品の最もトウ側の点までのヒールからトウまでの距離であるばね部品長さを有し、ばね部品長さは、スリット長さの10%から50%の間である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0236】
項目10:スリットは、クラブヘッドのヒール側に位置するスリットヒール部分と、クラブヘッドのトウ側に位置するスリットトウ部分と、スリットヒール部分とスリットトウ部分との間に位置するスリット中央部分と、をさらに備え、ばね部品はスリット中央部分内に位置し、スリットヒール部分とスリットトウ部分とにはばね部品がない、項目9に記載のゴルフクラブヘッド。
【0237】
項目11:ソールの内面に一体的に形成された内側質量パッドをさらに備え、内側質量パッドは、スリットの後方にあり、ソールの一部によってスリットから間隔をあけている、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0238】
項目12:内側質量パッドは、25グラムと40グラムとの間の質量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0239】
項目13:ゴルフクラブヘッドであって、ゴルフボールに衝突するための打撃面と幾何学的中心とを備える打撃フェースと、クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、打撃フェース及びボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、打撃フェースは、打撃面の上部から後方に延びるクラウンリターンをさらに備え、クラウンリターンは、クラウンの少なくとも前方部分を形成し、ソールは、打撃フェースに近接してスリットを画定し、スリットは、中空の内部キャビティとクラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、スリットは、打撃フェースに隣接する前方縁部と、前方縁部と反対側の後方縁部と、を有し、前方縁部と後方縁部とは、スリットの境界を画定し、スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、ばね部品は、第1の弾性係数を有する第1の材料を備え、キャップは、第2の弾性係数を有する第2の材料を備え、第1の弾性係数は、第2の弾性係数よりも大きく、撓みインサートは、スリットの前方縁部と後方縁部とに接続され、撓みインサートは、開口を埋め、内部キャビティをシールし、撓みインサートは、ゴルフボールのインパクトの間にソールと一緒に撓むように構成されており、クラブヘッドは、ばね部品のないインサートを備える類似のクラブヘッドと比較して、100mphのクラブヘッド速度で0.5mphから4.5mphの間のボール速度の増加を実現する、ゴルフクラブヘッド。
【0240】
項目14:クラウンリターンは、0.030インチ未満のクラウンリターン厚さを有する、項目13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0241】
項目15:打撃フェースは、クラウンリターンの後縁部に沿って位置する上方外周部をさらに備え、上方外周部は、打撃フェースとクラウンとの間の境界を形成する、項目13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0242】
項目16:クラウンリターンは、幾何学的中心から上方外周部まで前後方向に測定されたクラウンリターン深さを有し、クラウンリターン深さは0.50インチより大きい、項目15に記載のゴルフクラブヘッド。
【0243】
項目17:ゴルフクラブヘッドであって、ゴルフボールに衝突するための打撃面を備える打撃フェースと、クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、打撃フェース及びボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、ソールは、打撃フェースに近接してスリットを画定し、スリットは、中空の内部キャビティとクラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、スリットは、打撃フェースに隣接する前方縁部と、前方縁部の反対側の後方縁部と、を有し、前方縁部と後方縁部とは、スリットの境界を画定し、スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、撓みインサートは、ばね部品とキャップを備え、ばね部品は、第1の材料を備え、キャップは、第2の材料を備え、ばね部品は、前壁、後壁、及びU字形状の上壁を備え、U字形状の上壁は、内部キャビティ内へ湾曲して延び、前壁と後壁とを接続し、スリットは、スリットの前面に形成された前方凹部と、スリットの後面に形成された後方凹部と、をさらに備え、前壁は、前壁から前方に延びる前方突出部を備え、後壁は、後壁から後方に延びる後方突出部を備え、前方突出部は、前方凹部内に受け入れられるように構成され、後方突出部は、後方凹部内に受け入れられるように構成される、ゴルフクラブヘッド。
【0244】
項目18:ばね部品は、少なくとも部分的にキャップ内に埋め込まれている、項目17に記載のゴルフクラブヘッド。
【0245】
項目19:第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択される、項目18に記載のゴルフクラブヘッド。
【0246】
項目20:第2の材料は、射出成形ポリマーである、項目19に記載のゴルフクラブヘッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフボールに衝突するための打撃面を備える打撃フェースと、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、
前記打撃フェース及び前記ボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、
前記ソールは、前記打撃フェースに近接してスリットを画定し、前記スリットは、前記中空の内部キャビティと前記ゴルフクラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、
前記スリットは、前記打撃フェースに隣接する前方縁部と、前記前方縁部の反対側の後方縁部と、を有し、
前記前方縁部と前記後方縁部とは、前記スリットの境界を画定し、
前記スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、
前記撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、
前記ばね部品は、第1の弾性係数を有する第1の材料を備え、
前記キャップは、第2の弾性係数を有する第2の材料を備え、
前記第1の弾性係数は、前記第2の弾性係数よりも大きく、
前記撓みインサートは、前記スリットの前記前方縁部と前記後方縁部とに接続されており、
前記撓みインサートは、前記開口を埋め、前記内部キャビティをシールし、
前記撓みインサートは、ゴルフボールのインパクト時に前記ソールと一緒に撓むように構成されている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ばね部品は、少なくとも部分的に前記キャップ内に埋め込まれている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1の弾性係数は、20GPaから210GPaの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第2の材料は、射出成形ポリマーである、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第2の弾性係数は、0.1GPaから30GPaの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記スリットは、前記スリットの前面に形成された前方凹部と、前記スリットの後面に形成された後方凹部と、をさらに備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ばね部品は、前壁と後壁とを備え、
前記前壁は、前記前壁から前方に延びる前方突出部を備え、
前記後壁は、前記後壁から後方に延びる後方突出部を備え、
前記前方突出部は、前記前方凹部内に受け入れられるように構成され、
前記後方突出部は、前記後方凹部内に受け入れられるように構成される、請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記スリットは、前記スリットの最もヒール側の点と前記スリットの最もトウ側の点との間のヒールからトウまでの距離として測定されるスリット長さを有し、
前記ばね部品は、前記ばね部品の最もヒール側の点から前記ばね部品の最もトウ側の点までのヒールからトウまでの距離であるばね部品長さを有し、
前記ばね部品長さは、前記スリット長さの10%から50%の間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記スリットは、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置するスリットヒール部分と、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に位置するスリットトウ部分と、前記スリットヒール部分と前記スリットトウ部分との間に位置するスリット中央部分と、をさらに備え、
前記ばね部品は、前記スリット中央部分内に位置し、
前記スリットヒール部分と前記スリットトウ部分とには前記ばね部品がない、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ソールの内面に一体的に形成された内側質量パッドをさらに備え、
前記内側質量パッドは、前記スリットの後方にあり、前記ソールの一部によって前記スリットから間隔をあけている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記内側質量パッドは、25グラムと40グラムとの間の質量を有する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
ゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフボールに衝突するための打撃面と幾何学的中心とを備える打撃フェースと、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、
前記打撃フェース及び前記ボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、
前記打撃フェースは、前記打撃面の上部から後方に延びるクラウンリターンをさらに備え、前記クラウンリターンは、前記クラウンの少なくとも前方部分を形成し、
前記ソールは、前記打撃フェースに近接してスリットを画定し、前記スリットは、前記中空の内部キャビティと前記ゴルフクラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、
前記スリットは、前記打撃フェースに隣接する前方縁部と、前記前方縁部と反対側の後方縁部と、を有し、
前記前方縁部と前記後方縁部とは、前記スリットの境界を画定し、
前記スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、
前記撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、
前記ばね部品は、第1の弾性係数を有する第1の材料を備え、
前記キャップは、第2の弾性係数を有する第2の材料を備え、
前記第1の弾性係数は、前記第2の弾性係数よりも大きく、
前記撓みインサートは、前記スリットの前記前方縁部と前記後方縁部とに接続され、
前記撓みインサートは、前記開口を埋め、前記内部キャビティをシールし、
前記撓みインサートは、ゴルフボールのインパクトの間に前記ソールと一緒に撓むように構成されており、
前記ゴルフクラブヘッドは、ばね部品のないインサートを備える類似のゴルフクラブヘッドと比較して、100mphのクラブヘッド速度で0.5mphから4.5mphの間のボール速度の増加を実現
前記スリットは、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置するスリットヒール部分と、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に位置するスリットトウ部分と、前記スリットヒール部分と前記スリットトウ部分との間に位置するスリット中央部分とをさらに備え、
前記ばね部品の全体は、前記スリット中央部分内に位置する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記クラウンリターンは、0.030インチ未満のクラウンリターン厚さを有する、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記打撃フェースは、前記クラウンリターンの後縁部に沿って位置する上方外周部をさらに備え、
前記上方外周部は、前記打撃フェースと前記クラウンとの間の境界を形成する、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記クラウンリターンは、前記幾何学的中心から前記上方外周部まで前後方向に測定されたクラウンリターン深さを有し、
前記クラウンリターン深さは、0.50インチより大きい、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
ゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフボールに衝突するための打撃面を備える打撃フェースと、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、及び後端を備えるボディと、を備え、
前記打撃フェース及び前記ボディは、中空の内部キャビティを囲むように一緒に固定されるように構成されており、
前記ソールは、前記打撃フェースに近接してスリットを画定し、前記スリットは、前記中空の内部キャビティと前記ゴルフクラブヘッドの外部とを連通する開口を提供し、
前記スリットは、前記打撃フェースに隣接する前方縁部と、前記前方縁部と反対側の後方縁部と、を有し、
前記前方縁部と前記後方縁部とは、前記スリットの境界を画定し、
前記スリットは、撓みインサートを受け入れるように構成されており、
前記撓みインサートは、ばね部品とキャップとを備え、
前記ばね部品は、第1の材料を備え、
前記キャップは、第2の材料を備え、
前記ばね部品は、前壁、後壁、及びU字形状の上壁を備え、
前記U字形状の上壁は、前記内部キャビティ内へ湾曲して延び、前記前壁と前記後壁とを接続し、
前記スリットは、前記スリットの前面に形成された前方凹部と、前記スリットの後面に形成された後方凹部と、をさらに備え、
前記前壁は、前記前壁から前方に延びる前方突出部を備え、
前記後壁は、前記後壁から後方に延びる後方突出部を備え、
前記前方突出部は、前記前方凹部内に受け入れられるように構成され、
前記後方突出部は、前記後方凹部内に受け入れられるように構成される、ゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記ばね部品は、少なくとも部分的に前記キャップ内に埋め込まれている、請求項17に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記第1の材料は、プラスチック、複合熱硬化性樹脂、鋼、ステンレス鋼、ばね鋼、チタン、及びアルミニウムからなる群から選択される、請求項18に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記第2の材料は、射出成形ポリマーである、請求項19に記載のゴルフクラブヘッド。
【国際調査報告】