(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】接続配線構造及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20250109BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H05K1/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542220
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2022126566
(87)【国際公開番号】W WO2023138129
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210072846.0
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524260155
【氏名又は名称】武漢衷華脳機融合科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】黄 立
(72)【発明者】
【氏名】黄 晟
(72)【発明者】
【氏名】馬 占鋒
(72)【発明者】
【氏名】王 雅琴
(72)【発明者】
【氏名】王 春水
(72)【発明者】
【氏名】高 健飛
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA03
5E338CC01
5E338CD11
5E338CD32
5E338EE11
5E338EE60
(57)【要約】
本発明は、接続配線構造及びその形成方法を開示し、この接続配線構造は、パッシベーション層と、前記パッシベーション層の上に設けられた金属層と、前記金属層の上に設けられた保護層と、を備える。本発明において、単層配線の簡単な設計を採用してもよく、高速伝送を実現するために多層立体配線の設計を採用してもよい。MEMSプロセスは、接続配線を直線又は折り曲げ配置で設計することを可能にし、折り曲げ配置の接続配線は可撓性を有するため、より優れた適合性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシベーション層と、前記パッシベーション層の上に設けられた金属層と、前記金属層の上に設けられた保護層と、を備える
ことを特徴とする接続配線構造。
【請求項2】
前記金属層は、少なくとも1つの金属配線を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の接続配線構造。
【請求項3】
前記金属配線の形状は、直線状、波状、方形波状又はのこぎり状である
ことを特徴とする請求項2に記載の接続配線構造。
【請求項4】
前記接続配線構造は少なくとも2つのパッドを含み、
前記パッドは前記金属配線の両端に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の接続配線構造。
【請求項5】
前記接続配線構造は、前記金属層と前記保護層とが交互に積層されてなる複数層の前記金属層及び複数層の前記保護層を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の接続配線構造。
【請求項6】
接続配線構造の形成方法であって、
基板の上にパッシベーション層を形成するステップAと、
前記パッシベーション層の上に金属層を形成するステップBと、
前記金属層の上に保護層を形成するステップCと、を含み、
前記接続配線構造は半導体プロセスにより形成されている
ことを特徴とする形成方法。
【請求項7】
前記基板の一部を除去するステップ、をさらに含む
ことを特徴とする請求項6に記載の形成方法。
【請求項8】
前記ステップB及び前記ステップCを用いて、前記金属層と前記保護層とが交互に積層された複数層の金属層及び複数層の保護層を形成するステップ、をさらに含む
ことを特徴とする請求項6に記載の形成方法。
【請求項9】
前記保護層にはコンタクトホールを形成するステップ、をさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載の形成方法。
【請求項10】
前記パッシベーション層の上に第1層の金属層を形成すると同時に、パッドをさらに形成するステップ、をさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続配線の分野に関するものである。より具体的には、本発明は、接続配線構造及びその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブル(FFC)は導線の数及び間隔を任意に選択することができ、配線接続が便利で、電子製品を小型化することができる。可動部品とマザーボードとの間、PCB基板とPCB基板との間、及び小型の電気機器内のデータ伝送ケーブルとして適している。
【0003】
フレキシブルケーブルは、イメージングモジュールにおいてPCBA(print circuit board+ Assembly:電子プリント技術で作られた電子部品)とコネクタとを接続するのに用いられる。PCBA上のチップの信号はピンを通じてフレキシブルフラットケーブルに接続され、フレキシブルフラットケーブルは信号をコネクタに伝送し、コネクタはドライバボード、プロセッサなどを接続され、チップと外部との信号通信を実現することができる。
【0004】
MEMS技術は、シリコンを主な材料とするエマージングテクノロジーであり、製造する微小電気機械デバイスは内部サイズがマイクロメートル及びサブマイクロメートルであるとの特徴をする。MEMS技術によれば、移動可能で、カンチレバー構造などの複雑な三次元構造を持つマイクロデバイスを作製することができる。従来のフレキシブルフラットケーブルの代わりに、MEMS技術を用いて信号伝送ケーブルを作製することにより、フラットケーブルのサイズを大幅に小さくし、製品のサイズを小さくすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、所望の伝送速度に応じて異なる設計のMEMS配置とすることができる、接続配線構造及びその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のこれらの目的及びその他の利点を達成するために、パッシベーション層と、前記パッシベーション層の上に設けられた金属層と、前記金属層の上に設けられた保護層と、を備える接続配線構造が提供される。
【0007】
一実施例において、前記金属層は、少なくとも1つの金属配線を含む。
【0008】
一実施例において、前記金属配線の形状は、直線状、波状、方形波状又はのこぎり状である。
【0009】
一実施例において、前記接続配線構造は少なくとも2つのパッドを含み、前記パッドは前記金属配線の両端に位置する。
【0010】
一実施例において、前記接続配線構造は、前記金属層と前記保護層とが交互に積層されてなる複数層の前記金属層及び複数層の前記保護層を含む。
【0011】
本発明のこれらの目的及びその他の利点を達成するために、接続配線構造の形成方法を提供し、前記方法は、
基板の上にパッシベーション層を形成するステップAと、
前記パッシベーション層の上に金属層を形成するステップBと、
前記金属層の上に保護層を形成するステップCと、を含み、
前記接続配線構造は半導体プロセスにより形成されている。
【0012】
一実施例において、前記基板の一部を除去するステップをさらに含む。
【0013】
一実施例において、ステップB及びステップCを用いて、前記金属層と前記保護層とが交互に積層された複数層の金属層と、複数層の保護層とを形成するステップをさらに含む。
【0014】
一実施例において、前記保護層にはコンタクトホールを形成するステップ、をさらに含む。
【0015】
一実施例において、前記パッシベーション層の上に第1層の金属層を形成すると同時に、パッドをさらに形成するステップ、をさらに含む。
【0016】
(有益な効果)
本発明は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0017】
1、 MEMS技術を用いて接続配線を製作することにより、内部サイズをマイクロメートル及びサブマイクロメートルオードーにすることができ、従来の接続配線と比べて、接続配線全体のサイズを2~4桁小さくすることができるため、製品の小型化が可能になる。
【0018】
2、 多層の立体設計とすることにより、導線の数を減らす必要がなく、接続配線全体のサイズをさらに小さくすることができる。
【0019】
3、 金属配線は折り曲げ型設計とすることができ、折り曲げ型の金属配線は可撓性を有するため、可動部品間の接続を満たすことができる。
【0020】
4、 MEMS接続配線はMEMS技術を用いて製作され、大量のバッチ生産が可能で、コストの大幅な削減が可能である。
【0021】
5、 MEMS接続配線はシリコンに基づくプロセス又は他の半導体プロセスを用いて作製することができるが、現在のチップの大部分はシリコンに基づく半導体プロセスで作製されているので、MEMS接続配線はチップへの統合及び適合がより容易である。
【0022】
本発明の他の利点、目的及び特徴は、部分的には以下の説明により明らかになり、部分的には本発明の研究及び実践により当業者に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例1における基板の上の金属層及びパッドの作製を示す断面図である。
【
図2】実施例1における金属層及びパッドの上面図である。
【
図3】実施例1においてパッシベーション保護層の被覆を示す断面図である。
【
図5】実施例1において基材の一部が除去された断面図である。
【
図7】実施例2における第1層の金属層及びPADの作製を示す断面図である。
【
図9】実施例2における第2層の金属層の作製を示す断面図である。
【
図11】実施例2における第3層の金属層の作製を示す断面図である。
【
図13】実施例2においてパッドを露出させた断面図である。
【
図15】実施例2において第1層の金属層の下の基材を除去してフレキシブル接続配線を形成した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者が明細書の内容を参照して実施することができるように、以下では、添付図面に関連して本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、添付図面を参照し、実施形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。ここで説明する具体的な実施形態は本発明を解釈するためだけに使われるのであって、本発明を限定するために使われるものではないと理解しておくべきである。
【0026】
なお、本発明の実施例には方向的表示(例えば上、下、左、右、前、後...)がある場合、該方向的表示は、ある特定の姿勢(図を参照)における各部品間の相対的位置関係、移動状況等を説明するためだけに用いられ、該特定の姿勢が変わる場合、該方向的表示もそれに応じて変わる。
【0027】
(実施例1)
本実施例は、パッシベーション層と、前記パッシベーション層の上に設けられた金属層と、前記金属層の上に設けられた保護層と、を備える接続配線構造を提供する。ここで、前記金属層は、少なくとも1つの金属配線を含む。即ち、前記金属層が1つの金属配線を含むか、又は前記金属層が、それぞれ互いに独立している少なくとも2つの金属配線を含む。前記接続配線構造はMEMSプロセスを含む半導体プロセスにより形成され、この接続配線構造はフレキシブルであり、折り曲げ可能である。
【0028】
可能な実施例において、前記金属配線の形状は、直線状、波状、方形波状又はのこぎり状である。
【0029】
他の好ましい実施例において、前記接続配線構造は、前記金属層と前記保護層とが交互に積層されてなる複数層の前記金属層及び複数層の前記保護層を含む。
【0030】
本実施例において、前記接続配線構造は少なくとも2つのパッドを含み、前記パッドは前記金属配線の両端に位置する。
【0031】
(実施例2)
実施例1と組み合わせて、本実施例は、
基板の上にパッシベーション層を形成するステップAと、
前記パッシベーション層の上に金属層を形成するステップBと、
前記金属層の上に保護層を形成するステップCと、を含み、
前記接続配線構造は半導体プロセスにより形成されている。
【0032】
金属層及び保護層を形成した後に、前記基板の一部を除去し、両端に基板の一部を残してもよい。
【0033】
好ましい実施例において、ステップB及びステップCを用いて、金属層と保護層とが交互に積層された複数層の前記金属層と、複数層の前記保護層とを形成する。
【0034】
さらに、前記パッシベーション層の上に第1層の金属層を形成すると同時に、複数のパッドをさらに形成し、パッドを介して、対応するユニットと電気的に接触する。
【0035】
各前記保護層の各形成後に、保護層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールは、対応するパッドと1対1に位置が対応し、コンタクトホールの、第1層の金属層における投影が対応するパッドの一部をカバーする。当該保護層の上に次の金属層を形成する際に、対応するコンタクトホール内にも金属が充填されるため、金属層と対応するパッドとが電気的に接続される。金属層が複数の金属配線を含む場合、各金属配線の両端が対応するコンタクトホールを介してパッドにそれぞれ接続される。
【0036】
(実施例3)
上述した実施例1及び実施例2と関連して、MEMS技術を用いて単層接続配線構造を製造する方法について具体的に説明する。
【0037】
図1~
図2に示すように、基板1に第1層の金属層2及びパッド7を製作し、基板1には、シリコン、SOI、ガラスなどの材料を選択してもよい。好ましい実施例において、基板1上に、金属層を保護するためのパッシベーション層を先にめっきしておいてもよい。金属層は、チタン、アルミニウム、銅などの金属材料から形成されてもよく、少なくとも1つの金属線を含む。金属配線は直線状金属配線4であってもよく、折り曲げ型の金属配線とされてもよい。折り曲げ型の金属配線は、波状金属配線5、方形金属配線6又はのこぎり状金属配線であってもよい。金属層MEMSプロセスを用いて製造され、各金属配線の幅は0.1μm~50μmである。パッド7は外部との接続通信に用いられ、パッド7及び金属層には同じ金属が用いられ、1つのプロセスによりパッド7と金属層とが同時に形成される。
【0038】
図3~
図4に示すように、第1層の金属層2の上に、SiO
2又はSi
3N
4であってもよい第1層の保護層3がめっきされる。第1層の保護層3は、フォトリソグラフィ、エッチングなどのプロセスを用いてパターニングされ、パッド7を露出させる必要がある。
【0039】
図4~6のように、フォトリソグラフィ、ディープエッチング又はウェットエッチングプロセスを用いて第1の金属層2の下の基板1を除去し、両端にのみ基板1の一部を残し、カンチレバー接続配線構造を形成する。カンチレバー接続配線構造は、フレキシブルであるとの特徴を有し、可動部品間の信号接続に適している。
【0040】
MEMSプロセスを用いてカンチレバー接続配線構造を形成した後に、接続配線構造の上側と下側に絶縁層を塗布することにより、接続配線構造が破断しにくく、より良い防食性と靭性を有するように、接続配線構造を保護することができる。
【0041】
(実施例4)
上述した実施例1及び実施例2と関連して、MEMS技術を用いて多層接続配線構造を製造する方法について具体的に説明する。
【0042】
図7~
図8に示すように、基板1の上に第1層の金属層2及びパッド7を製作する。実施例1における単層接続配線と同様に、金属層は、少なくとも1つの金属線を含む。金属配線は直線状金属配線4であってもよく、折り曲げ型の接続配線とされてもよい。折り曲げ型の接続配線は、波状金属配線5、方形金属配線6又はのこぎり状金属配線などであってもよい。金属層MEMSプロセスを用いて製造され、各金属配線の幅は0.1μm~50μmである。パッド7は外部との接続通信に用いられ、パッド7及び金属層には同じ金属が用いられ、1つのプロセスによりパッド7と金属層とが同時に形成される。
【0043】
図9~
図10に示すように、まず、第1層の金属層2の上に第1層の保護層3をめっきし、第1層の保護層3をエッチングしてコンタクトホール8を形成し、それから、第1層の保護層3の上に第2層の金属層9を作製し、第2の金属層9はコンタクトホール8を介してパッド7に接続される。
【0044】
なお、コンタクトホール8の位置及びコンタクトホールに金属を充填する方法については、上述した実施例3を参照することができるので、ここでは省略する。
【0045】
図11~
図12に示すように、まず、第2層の金属層9の上に第2層の保護層10をめっきし、第2の保護層10をエッチングしてコンタクトホール8を形成し、それから、第2層の保護層10の上に第3層の金属層11を作製し、保護するために第3の金属層11の上に第3層の保護層15をめっきする必要がある。保護層、コンタクトホール8、金属層の作製ステップに応じて、第4層、第5層など、より多くの金属層を引き続き設計してもよい。
【0046】
図13~
図14に示すように、複数層の金属層の作製が完了した後に、最も表面のパッシベーション保護層をエッチングし、外部との導通及び通信に用いられるように、パッド7を露出させる。
【0047】
図15~
図16に示すように、接続配線の下の基板1の材料を除去し、両端の基板1の材料のみを残す。単層MEMS接続配線において基板1の材料を除去する目的と同様である。
【0048】
本願にかかる、MEMS技術を用いてソフト接続配線を製造する方法は、単層配線の簡単な設計を採用してもよく、高速伝送を実現するために多層立体配線の設計を採用してもよい。MEMSプロセスは、接続配線を直線又は折り曲げ配置で設計することを可能にし、折り曲げ配置の接続配線は可撓性を有するため、より優れた適合性を有する。
【0049】
以上の内容は、本発明創造を具体的な好ましい実施形態に関連してさらに詳しく説明したものであり、本発明創造の具体的な実施がこれらの説明に限定されると認めるべきではない。本発明創造が属する技術分野の当業者にとって、本発明創造の構造を逸脱することなく、いくつかの簡単な推断演繹又は置換を行うことができ、それらはいずれも本発明創造の保護範囲に属するとみなすべきである。
【符号の説明】
【0050】
1 基板
2 第1層の金属層
3 第1層の保護層
4 直線状金属配線
5 波状金属配線
6 方形金属配線
7 パッド
8 コンタクトホール
9 第2層の金属層
10 第2層の保護層
11 第3層の金属層
12 第3層の保護層
【国際調査報告】