(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】照準装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/90 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61B17/90
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024563754
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2023051024
(87)【国際公開番号】W WO2023139069
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524269745
【氏名又は名称】クリエイテック ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】CREATEC GMBH & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マティス、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル、ベルトルト
(72)【発明者】
【氏名】コップリン、アンドリス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL42
(57)【要約】
本発明は、骨固定要素(5)を用いて骨へのプロテーゼ(8)の固定を形成するための照準装置(1)に関し、プロテーゼ(8)を第1の軸(X1)に位置決めするための保持手段(15)と、第2の軸(X2)に沿って方向づけされ、照準装置を貫通し、かつ保護スリーブを収容するように設計されている、ガイド開口(22)を形成する収容部(20)と、第2の軸(X2)に対して軸方向及び又は半径方向に撓むことができる少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガ(50)を含むロック手段(40)と、を有し、第1の軸(X1)と第2の軸(X2)とが交差し、少なくとも1つのフィンガ(50)がガイド開口(22)内に突出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定要素(5)を用いて骨へのプロテーゼ(8)の固定を形成するための照準装置(1)であって、
前記プロテーゼ(8)を第1の軸(X1)に位置決めするための保持手段(15)と、
第2の軸(X2)に沿って方向づけされ、前記照準装置を貫通し、かつ保護スリーブ(60)を収容するように設計されているガイド開口(22)を形成する収容部(20)と、
前記第2の軸(X2)に対して軸方向及び又は半径方向に撓むことができる少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガ(50)を含むロック手段(40)と、を有し、
前記第1の軸(X1)と前記第2の軸(X2)とが交差し、
前記少なくとも1つのフィンガ(50)が前記ガイド開口(22)内に突出する、照準装置(1)。
【請求項2】
前記ロック手段(40)がブッシュ(42)を含む、請求項1に記載の照準装置(1)。
【請求項3】
前記ブッシュ(42)が前記収容部(20)内に配置されている、請求項1又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項4】
前記収容部(20)には、環状空間(26)が形成され、
前記少なくとも1つのフィンガ(50)は、自由に動くように前記環状空間(26)内に突出可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項5】
前記環状空間(26)内にフラッシングチャネル(30)が開口する、請求項1~4のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項6】
前記フラッシングチャネル(30)は、前記第2の軸(X2)に対して接線方向に方向づけされた向きで、前記収容部(20)に開口する、請求項1~5のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項7】
前記ロック手段(40)は、断面がU字形である、請求項1~6のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項8】
前記ロック手段(40)を前記収容部(20)に力結合的、形状結合的及び又は材料結合的に配置して保持することができる接続手段が設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項9】
前記ロック手段(40)がプラスチック製である、請求項1~8のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項10】
複数の自立したフィンガ(50)が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項11】
前記自立したフィンガ(50)は、前記第2の軸(X2)に対して円周方向に対称に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフィンガ(50)は、自由端(52)に接触領域(54)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのフィンガ(50)の前記接触領域(54)は、前記保護スリーブに面接触するように角度が付けられている、請求項1~12のいずれか一項に記載の照準装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴を有する、骨固定要素を用いて骨へのプロテーゼ、特に髄内釘の固定を形成するための照準装置(Zielvorrichtung)に関する。
【背景技術】
【0002】
このような照準装置は、従来技術から様々な形態で既に知られており、プロテーゼ、例えば髄内釘の対応する凹部に骨固定要素を的確に位置決めするために用いられ、プロテーゼを骨にしっかりと接続して、これに固着する(verankern)。このような照準装置は、骨折後に骨(例えば大腿骨や脛骨など)を安定させるために広く使用されている。
【0003】
この目的のために、使用されるプロテーゼは、プロテーゼ若しくは髄内釘を骨に固着するために骨固定要素を導入できる凹部を含む。この凹部に対応する凹部を工具によって骨に作製することができ、この対応する凹部は、ガイド開口を有する照準装置によってプロテーゼの凹部に正確に合わせて作製される。対応する凹部を作製する際に照準装置を使用する場合、周囲の組織の損傷を防ぐために、組織と工具の距離が保たれる。
【0004】
組織スプレッダ(Gewebespreizer)の他に、対応する凹部を骨に作製する際に工具を遮蔽する保護スリーブも使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、合目的に改良された照準装置を提案するという課題に特化するものである。上述の照準装置を使用した場合、対応する凹部を工具によって骨に作製する際に保護スリーブによって周囲の組織の損傷が防がれ、その際、照準装置の取り扱いが簡単で確実なものになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の特徴を有する照準装置によって解決される。
本発明による照準装置の他の有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
プロテーゼ、特に髄内釘の骨への固定を形成するための、請求項1の特徴を有する本発明による照準装置は、プロテーゼ、特に髄内釘を第1の軸に位置決めするための保持手段と、第2の軸に沿って方向づけされ、照準装置を貫通し、かつ少なくとも1つの保護スリーブを収容するように設計されている、少なくとも1つのガイド開口を形成する少なくとも1つの収容部と、第2の軸に対して軸方向及び又は半径方向に撓むことができる少なくとも1つの弾性的に撓み可能な(auslenkbar)フィンガを含む少なくとも1つのロック手段と、を有する。第1の軸と第2の軸とが交差し、更に、少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガがガイド開口内に突出することが企図されている。少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガは、保護スリーブを第2の軸に沿って固定するように設定されている。
【0007】
本発明は、保護スリーブを少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガによってガイド開口内に固定するという考えに基づいている。したがって、保護スリーブは医療関係者によって保持される必要がなく、ガイド開口から意図せずに外れるというリスクもない。
【0008】
ここで、照準装置は、ガイド開口を形成する複数の収容部を有することを述べておく。それぞれのガイド開口をそれぞれ第2の軸に沿って方向づけすることができ、第2の軸は互いに離間させられる。第2の軸を互いに平行に方向づけすることができるか、又は共通の交点で交差させることができる。第2の軸がなす角度は、好ましくは30°~60°である。
【0009】
少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガは、ガイド開口に挿入された保護スリーブと作用接触(Wirkkontakt)することができ、かつ保護スリーブとの摩擦結合的接続を達成することができる。保護スリーブをガイド開口に挿入すると、少なくとも1つの弾性フィンガが軸方向及び又は半径方向に撓み、保護スリーブを固定する保持力をもたらす。
【0010】
少なくとも1つの弾性フィンガの剛性を相応に設計することによって、保持力の大きさを定めることができ、それにより保持力をそれぞれの用途又は利用者の好みに適合させることができる。
【0011】
ガイド開口及び又は保護スリーブは、好ましくは円筒形であり、ガイド開口は照準装置を完全に貫通する。ガイド開口は、例えばすきまばめによって、保護スリーブをスムーズに挿通できるように設計されていることが好ましい。
【0012】
本発明の好ましい一発展形態は、ロック手段がブッシュを含むことを企図する。好ましくは、ブッシュが貫通部を有する中空円筒であることができ、貫通開口は、好ましくはその形状及び又は寸法がガイド開口に適合させてあるか、或いは同じであり、更に、ガイド開口の一部を形成することができる。
【0013】
貫通部は、多角形、円形、又は8の字形の断面を有することができ、貫通部は、少なくとも1つのガイドスリーブを挿通できるように設計されている。8の字形の断面は、少なくとも1つのガイドスリーブを、第2の軸に対して平行及び離間という少なくとも2つの位置決めで挿通できることを可能にすることができる。
【0014】
少なくとも1つの弾性フィンガは、ロック手段若しくはブッシュから半径方向内方に、又は半径方向内方及び軸方向に突き出す。ブッシュは任意の方法で照準装置に取り付けることができ、更に好ましくは貫通部とガイド開口は第2の軸において同軸に配置されている。
【0015】
更に好ましい実施形態によれば、ロック手段若しくはブッシュを照準装置の収容部内に、殊に完全に配置可能とすることができる。特に、ブッシュを収容部内に離脱不可能に配置可能である場合が好ましい。好ましくは、収容部は、ブッシュを挿入できる円筒ねじの穴(Zylinderschraubensenkung)のような拡張部(Aufweitung)を有することが好ましい。ブッシュは、収容部内にガイド開口と同軸に位置合わせして保持される。
【0016】
更に、収容部内に環状空間が形成されている場合、及び少なくとも1つのフィンガが自由に動くように(frei beweglich)環状空間内に突出できることが有利であることが明らかになっている。特に、環状空間がロック手段若しくはブッシュの端面側に形成され、かつ一方で収容部によって、他方でブッシュによって、好ましくはU字形に取り囲まれる場合が好ましい。
【0017】
本発明の好ましい一発展形態は、環状空間内にフラッシングチャネルが開口することを企図する。照準装置を使用後又は使用前に洗浄するために、洗浄剤をフラッシング孔を通して環状空間に導入することができる。
【0018】
一発展形態によれば、フラッシングチャネルは、第2の軸に対して接線方向に方向づけされた向きで環状空間内に開口し、それによって、洗浄時に環状空間を洗浄剤で効果的にすすぐことができる。
【0019】
本発明の好ましい発展形態によれば、ブッシュは断面がU字形である。ブッシュは内側脚部(innerer Schenkel)と外側脚部(aeusserer Schenkel)と中央脚部(mittlerer Schenkel)を有し、中央脚部は内側脚部と外側脚部とを接続する。ブッシュのU字形の設計により、U字形ブッシュの脚によって環状空間を形成することができる。
【0020】
好ましくは、ロック手段を収容部内に力結合的、形状結合的及び又は材料結合的に配置して保持することができる接続手段を設けることができる。
本発明の好ましい発展形態は、内側脚部が少なくとも1つのフィンガを包囲することを企図する。
【0021】
好ましい発展形態によれば、少なくとも2つ、殊に3つ以上の自立した(freistehend)フィンガが設けられる。自立した弾性的に撓み可能な(elastisch auslenkbar)フィンガは、第2の軸の周りの円周上に分布し、互いに離間して配置され、スポーク又は櫛のようにガイド開口内に突出することができる。更に、少なくとも2つの弾性フィンガを第2の軸に沿って配置することができる。保護スリーブの保持力を弾性フィンガの数によって設計することもできる。
【0022】
本発明の好ましい発展形態は、自立した弾性のフィンガが第2の軸に対して円周方向に対称に配置されることを提供する。特に、自立したフィンガの円周方向に対称の配置は、保護スリーブをガイド開口の中心に置くことを可能にする。
【0023】
本発明の一発展形態は、少なくとも1つの弾性の撓み可能な(elastisch auslenkbar)フィンガが自由端に接触領域を有することを企図する。接触領域を、可能な限り最大の保持力と可能な限り大きい静摩擦を発生させるように構成することができる。例えば、接触領域は相応の材料から形成され、及び又は可能な限り大きい摩擦係数を有する相応に仕上げられた表面を有することができる。
【0024】
本発明の別の発展形態によれば、接触領域を少なくとも1つのフィンガの向きに対して角度を付けることができ、接触領域は保護スリーブに面接触するように構成される。
本発明による照準装置の例示的実施形態及び照準装置の発展形態について、添付の図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】プロテーゼを第1の軸に位置決めする保持手段と、第1の軸のロック手段によってガイド開口内に保持される保護スリーブとを備えた本発明による照準装置の斜視図である。
【
図1b】プロテーゼを第1の軸に位置決めする保持手段と、第1の軸のロック手段によってガイド開口内に保持される保護スリーブとを備えた本発明による照準装置の斜視図である。
【
図1c】プロテーゼを第1の軸に位置決めする保持手段と、第1の軸のロック手段によってガイド開口内に保持される保護スリーブとを備えた本発明による照準装置の斜視図である。
【
図3a】
図1によるロック手段の第2の実施形態の異なる図である。
【
図3b】
図1によるロック手段の第2の実施形態の異なる図である。
【
図3c】
図1によるロック手段の第2の実施形態の異なる図である。
【
図4a】
図1によるロック手段の第3の実施形態の異なる図である。
【
図4b】
図1によるロック手段の第3の実施形態の異なる図である。
【
図4c】
図1によるロック手段の第3の実施形態の異なる図である。
【
図5a】
図1によるロック手段の第4の実施形態の異なる図である。
【
図5b】
図1によるロック手段の第4の実施形態の異なる図である。
【
図5c】
図1によるロック手段の第4の実施形態の異なる図である。
【
図6a】
図1によるロック手段の第5の実施形態の異なる図である。
【
図6b】
図1によるロック手段の第5の実施形態の異なる図である。
【
図6c】
図1によるロック手段の第5の実施形態の異なる図である。
【
図6d】
図1によるロック手段の第5の実施形態の異なる図である。
【
図7】
図1によるロック手段の第6の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、例示的実施形態において同じ又は機能が同じ部品には同じ参照符号が付される。明確にするために、個々の図において、全ての同じ又は機能が同じ部品に参照符号が付されているわけではない。
【0027】
図1aは、本発明の好ましい一実施形態による照準装置1の図を示す。
照準装置1は弓形に形成され、第1の端領域11及び第2の端領域12を有し、全体と称される単一部品型又は複数部品型の本体10を備えることができる。更に、照準装置1は近位側13と遠位側14を有し、近位側13は弓形照準装置1の凹面領域に位置し、遠位面14は凹面領域の反対側の凸面領域に位置する。
【0028】
第1の端領域11には、図示されないプロテーゼ、特に髄内釘を位置決めするための保持手段15が設けられ、プロテーゼを第1の軸X1に沿って方向づけして保持することができる。保持手段15は、プロテーゼとの着脱可能な接続を形成することができる。
【0029】
第2の端領域12には、少なくとも1つのガイド開口22を形成する少なくとも1つの収容部20が形成され、収容部20は照準装置1若しくは本体10を完全に貫通し、収容部20は近位側13を遠位側14に接続する。収容部20は、第2の軸X2に方向づけされており、
図1による例示的実施形態に示されるように、複数の収容部20が設けられている。明確にするために、添付の図では、更なる収容部20、更なるガイド開口22、及び更なる第2の軸X2に「´」が付されている。
【0030】
第1の軸X1と第2の軸X2とは共通の交点を有し、好ましくは照準装置1に面する側の交角は約45°~135°でなければならない。
とりわけ
図1c、
図2a、
図3a、
図4a及び
図5aに示されるように、保護スリーブ60を収容部20若しくはガイド開口22に挿入若しくは挿通することができ、保護スリーブ60を第2の軸X2に沿って収容部20及びガイド開口22にスムーズに挿入できることが好ましい。このために、保護スリーブ60及びガイド開口22の形状は互いに対応する。
【0031】
収容部20´若しくはガイド開口22´に、図示されない方法で、2つの保護スリーブ60を同様に、又は1つの保護スリーブを様々に異なる位置決めで挿入若しくは挿通することもできる。
【0032】
収容部20及び又はガイド開口22は、円形又は8の字形の断面を有することができ、ガイド開口22は、更に、第2の軸X2における保護スリーブ60の向きを予め定める。ガイド開口22は直径D22を有し、保護スリーブ60は直径D60を有し、直径D60は、好ましくはすきまばめを形成するために直径D22よりわずかに小さい。
【0033】
更に、照準装置1がロック手段40を備え、これは望まざる、又は意図せざる脱落を避けるために、保護スリーブ60を収容部20内に固定するように構成されている。
図1a~
図7によるロック手段40は、少なくとも1つの弾性フィンガ50を含み、弾性フィンガは、第2の軸X2に対して軸方向及び又は半径方向に弾性的に撓むことができ、少なくとも1つの保護スリーブ60と作用接触することができる。少なくとも1つの弾性の撓み可能なフィンガ50は、自由に動くようにガイド開口22内に突出し、ガイド開口22に保護スリーブ60を挿入した場合に、弾性的な回避運動を行うことができ、続いて、保持力により保護スリーブ60を押さえ、これをガイド開口22の所望の位置に固定する。
【0034】
少なくとも1つの弾性フィンガ50は、第2の軸X2に対して半径方向に、或いは半径方向及び軸方向にガイド開口22内に突出する。弾性フィンガ50が撓んでいない状態にあるとき、各フィンガ50の自由端52はガイド開口22内にある。ここで、添付の図では、図示を簡略化する理由で、フィンガ50は撓んでいない状態で示されていることに言及しておく。
図5aにのみ、破線により、及び両頭矢印を用いて撓み動作が示唆される。
【0035】
自由端52は、好ましくは静止摩擦特性を高めた接触領域54を有することができる。
例えば、
図2a~
図3cによる例示的実施形態による弾性の撓み可能なフィンガ50は、ガイド開口22内に半径方向に突出しているが、
図4a~
図5cによる例示的実施形態による弾性フィンガ50は、第2の軸X2に対して約45°傾斜した角度に方向づけされ、したがって、半径方向及び軸方向に方向づけされてガイド開口22内に突出する。
【0036】
図示の例示的実施形態に示されるように、ロック手段40は、収容部20に挿入することができるブッシュ42を含むことができる。弾性フィンガ50は、ブッシュ42から第2の軸X2に対して半径方向に、或いは第2の軸X2の方向において半径方向及び軸方向に自立して(freistehend)突き出す。
【0037】
収容部20は、近位側13及び又は遠位側14に、ブッシュ42を収容するように構成された拡張部24を有することができる。拡張部24は直径D24を有し、直径D24は直径D22よりも大きい。
【0038】
ブッシュ42は外径D42aを有し、ブッシュ42の貫通部は内径D42iを有する。外径D42aは拡張部24の直径D24に対応し、内径D42iは保護スリーブ60の直径D60よりも大きい。
【0039】
接続手段によってブッシュ42を収容部20に力結合的、形状結合的及び又は材料結合的に配置して保持することができる。例えば、ブッシュ42と照準装置1の本体との間のインターフェースに汚れが侵入することを避けるために、ブッシュ42を収容部20に力結合的に配置することが有利であり得る。
【0040】
このために、ブッシュ42は、シーラント及び又は接着剤を導入できる凹所(Einstich)45を有することができる。
拡張部24は更に、段部として形成されたストッパ25を含むことができ、このストッパによって収容部20内のブッシュ42の位置を予め定めることができる。ブッシュ42の端面43、44のうちの1つが、ストッパ25に当接することができる。
【0041】
図2aを参照すると、収容部20内には拡張部24の隣に環状空間26が更に形成されており、その中に少なくとも1つの弾性フィンガ50が入り込むことができる。
環状空間26は、拡張部24若しくはストッパ25をガイド開口22に接続する円錐形部分によって形成され得る。弾性フィンガ50の妨げられない撓み運動を可能にするために、円錐形環状空間26又は円筒形環状空間26の最大直径D25は、内径D42iよりも大きくなければならない。
【0042】
図2a~
図7において、前述の一般的に説明されたロック手段40の異なる実施形態が示され、以下に詳細に説明されるロック手段40も上述の特性を有している。
図2a~
図2cによるロック手段40は、第2の軸X2の周りに円周方向に対称に配置された複数の弾性フィンガ50を有し、これらは第2の軸X2の方向において半径方向にブッシュ42の貫通部41若しくはガイド開口22内に突出する。直径方向に配置された2つの自由端52の間の距離A52は、直径D60よりも小さい。
【0043】
更に、
図2a~
図2cには、環状空間26内に開口するフラッシングチャネル30を設けることができることが示唆されている。フラッシングチャネル30は、例えば使用後の照準装置1を洗浄若しくは滅菌するために、環状空間26内に洗浄剤を導入するように構成されている。フラッシングチャネル30は、好ましくは、第2の軸X2に対して接線方向に方向づけされた向きで環状空間26内に開口することができ、これにより、洗浄時に環状空間26を効果的にすすぐことができる。
【0044】
図3a~
図3cによるロック手段40は、
図2a~
図2cによるロック手段40と同様に設計されており、複数の弾性フィンガ50が間隔を詰めて(engmaschig)設けられている。周方向において、弾性フィンガ50間の距離は弾性フィンガ50の幅よりも小さい。弾性フィンガ50の間の自由空間は、自由端52とは反対の側にリリーフ孔(Entlastungsaufbohrung)を有する。リリーフ孔は、ノッチ状の自由空間のノッチ効果を軽減することができる。
【0045】
図4a~
図4cは、断面がU字形のロック手段40を示す。ロック手段40は、
図2a~
図3cによる既に提示されたロック手段40と同等に設計されている。しかしながら、ここではブッシュ42は断面がU字形に形成され、内側脚部と外側脚部と中央脚部とを有する。中央脚部は、内側脚部と外側脚部とを接続し、これらの脚部は環状空間26を少なくとも部分的に取り囲む。
【0046】
内側脚部は弾性フィンガ50を形成し、これによりロック手段40の特にコンパクトな形式を達成することができる。
ロック手段40の別の実施形態が
図5a~
図5cから見て取れ、環状ブッシュ42の端面43、44から弾性フィンガ50が突き出ている。
【0047】
ロック手段40を形成するブッシュ42を任意の向きで収容部20に挿入することができ、弾性的に撓み可能なフィンガ50は、第2の軸X2に対して両方の方向を指すことができる。
【0048】
ロック手段40の第5の実施形態及び本体10の一発展形態が
図6a~
図6dに示される。本体は、拡張部24にアンダーカット28を有し、アンダーカットは、遠位側及び又は近位側14から離れている。アンダーカット28は環状空間26を形成することができる。撓み可能なフィンガ50は、自由に動くように(freibeweglich)環状空間26内に立ち、かつ邪魔されない回避運動を行うことができる。
【0049】
図6aから見て取れるように、環状空間26内に開口するフラッシングチャネル30を既に説明したのと同等の方法で設けることができる。
図6a~
図6dによるロック手段40は、
図4a~
図5cによる既に提示されたロック手段40と同等に設計されている。しかしここでは、ブッシュ42が第2の軸X2に沿ってより長く形成され、弾性フィンガ50はブッシュ42の端面43、44から突出する。反対側の端面43又は44は、収容部20内の第2の軸X2におけるロック手段40の位置を固定するために、ストッパ25と協働することができるフランジ部分48を有する。
【0050】
図6dによる詳細図から、ロック手段40を収容部20内に力結合的に保持するために、ロック手段40の接続手段が少なくとも1つの突出部46を含むことができることが見て取れる。突出部46は、円周フランジとして設計されてもよく、ロック手段40をしまりばめによって収容部20内にクランプして保持するように構成されている。複数の歯形状の突出部46を円周上に分散して設けることもできる。
【0051】
突出部46は、好ましくは、撓み可能なフィンガ50の隣に配置されている。図示の例示的実施形態では、突出部46は、フィンガ50が突き出す領域、又は厳密には、少なくとも1つのフィンガ50が突き出す端面43、44の隣に配置されている領域において第2の軸X2に沿って形成されている。
【0052】
図7は、
図1bによるロック手段40の第6の例示的な実施形態を示し、ここではロック手段に参照符号40´が付されている。
図7によるロック手段40は、
図6a~
図6dに示されるロック手段40とは異なり、断面が8の字形の貫通部41を有し、この貫通部は(図示されない)保護スリーブ60を、第2の軸X2´に対して平行及び離間という2つの位置決めで挿入及び保持できることを可能にする。断面が8の字形の貫通部41は、断面を囲む2つの円が1つ又は2つの交点で交差するように設計され得る。囲む円を互いに離間して配置することもできる。このような場合、2つの保護スリーブ60をロック手段40によって同時に保持することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…照準装置、5…骨固定要素、8…プロテーゼ、10…本体、11…第1の端領域、12…第2の端領域、13…近位側、14…遠位側、15…保持手段、20…収容部、22…ガイド開口、24…拡張部、25…ストッパ、26…環状空間、30…フラッシングチャネル、40…ロック手段、41…貫通部、42…ブッシュ、43…第1の端面、44…第2の端面、45…凹所、46…突出部、48…フランジ、50…フィンガ、52…50の自由端、54…接触領域、60…保護スリーブ、X1…第1の軸、X2…第2の軸。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定要素(5)を用いて骨へのプロテーゼ(8)の固定を形成するための照準装置(1)であって、
前記プロテーゼ(8)を第1の軸(X1)に位置決めするための保持手段(15)と、
第2の軸(X2)に沿って方向づけされ、前記照準装置を貫通し、かつ保護スリーブ(60)を収容するように設計されているガイド開口(22)を形成する収容部(20)と、
前記第2の軸(X2)に対して軸方向及び又は半径方向に撓むことができる少なくとも1つの弾性的に撓み可能なフィンガ(50)を含むロック手段(40)と、を有し、
前記第1の軸(X1)と前記第2の軸(X2)とが交差し、
前記少なくとも1つのフィンガ(50)が前記ガイド開口(22)内に突出する、照準装置(1)。
【請求項2】
前記ロック手段(40)がブッシュ(42)を含む、請求項1に記載の照準装置(1)。
【請求項3】
前記ブッシュ(42)が前記収容部(20)内に配置されている、請求
項2に記載の照準装置(1)。
【請求項4】
前記収容部(20)には、環状空間(26)が形成され、
前記少なくとも1つのフィンガ(50)は、自由に動くように前記環状空間(26)内に突出可能である、請求項1
又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項5】
前記環状空間(26)内にフラッシングチャネル(30)が開口する、請求項
4に記載の照準装置(1)。
【請求項6】
前記フラッシングチャネル(30)は、前記第2の軸(X2)に対して接線方向に方向づけされた向きで、前記収容部(20)に開口する、請求項
5に記載の照準装置(1)。
【請求項7】
前記ロック手段(40)は、断面がU字形である、請求項1
又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項8】
前記ロック手段(40)を前記収容部(20)に力結合的、形状結合的及び又は材料結合的に配置して保持することができる接続手段が設けられている、請求項1
又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項9】
前記ロック手段(40)がプラスチック製である、請求項1
又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項10】
複数の自立したフィンガ(50)が設けられている、請求項1
又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項11】
前記自立したフィンガ(50)は、前記第2の軸(X2)に対して円周方向に対称に配置されている、請求項
10に記載の照準装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフィンガ(50)は、自由端(52)に接触領域(54)を有する、請求項1
又は2に記載の照準装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのフィンガ(50)の前記接触領域(54)は、前記保護スリーブに面接触するように角度が付けられている、請求項
12に記載の照準装置(1)。
【国際調査報告】