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特表2025-501422車両のためのアクティブ・サスペンション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-21
(54)【発明の名称】車両のためのアクティブ・サスペンション
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/015 20060101AFI20250114BHJP
   B60G 11/26 20060101ALI20250114BHJP
   B60G 17/056 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
B60G17/015 B
B60G11/26
B60G17/056
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533237
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2022061657
(87)【国際公開番号】W WO2023119028
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021000031739
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522499601
【氏名又は名称】ウェイ アソート ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(71)【出願人】
【識別番号】524210002
【氏名又は名称】インスティチュート テクノロジコ イ デ エストゥディオス スペリオーレス デ モンテレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルッツィ、レナト
(72)【発明者】
【氏名】コット、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】アマティ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】トルナベーネ、マンフレディ
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA02
3D301DA26
3D301DB39
3D301DB43
3D301EB02
3D301EB09
3D301EC01
3D301EC05
(57)【要約】
サスペンション10は、油圧アクチュエータ12と、油圧アクチュエータ12の圧縮チャンバ20及び伸張チャンバ22に作動流体を供給するために油圧アクチュエータ12に接続された供給油圧回路14とを含む。供給油圧回路14は、油圧ポンプ26と、油圧ポンプ26の送出ポート30に接続された高圧ライン28と、油圧ポンプ26の吸込ポート34に接続された低圧ライン32と、一方側において油圧アクチュエータ12の圧縮チャンバ20及び伸張チャンバ22に接続され、他方側において高圧ライン28及び低圧ライン32に接続された流量制御弁36とを含む。流量制御弁36は、第1の方向において休止位置と第1の終端動作位置との間に設けられ、第1の方向と反対の第2の方向において休止位置と第2の終端動作位置との間に設けられた複数の動作位置の間で連続的に回転可能であるスプール40を備える回転スプール弁である。流量制御弁36は、第1の終端動作位置と第2の終端動作位置との間のスプール40の各動作位置において、油圧アクチュエータ12の圧縮チャンバ20及び伸張チャンバ22のうちの少なくとも1つを高圧ライン28に接続するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのアクティブ・サスペンション(10)であり、
前記車両のそれぞれのホイール(W)と前記車両のボディ(B)との間に配置されるように設計された油圧アクチュエータ(12)であって、シリンダ(16)と、前記シリンダ(16)の内部容積を、共に作動流体を含む一対の可変容積チャンバ(20、22)、すなわち圧縮チャンバ(20)及び伸張チャンバ(22)に分割するように前記シリンダ(16)の内側に摺動可能に装着されたピストン(18)とを備える油圧アクチュエータ(12)と、
前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)に前記作動流体を供給するために前記油圧アクチュエータ(12)に接続された供給油圧回路(14)と
を含み、
前記供給油圧回路(14)は、油圧ポンプ(26)と、前記油圧ポンプ(26)の送出ポート(30)に接続された高圧ライン(28)と、前記油圧ポンプ(26)の吸込ポート(34)に接続された低圧ライン(32)と、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮及び伸張チャンバ(20、22)を前記供給油圧回路(14)の前記高圧及び低圧ライン(28、32)と流体連通させるように、一方側において前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)に接続され、他方側において前記高圧ライン(28)及び前記低圧ライン(32)に接続された流量制御弁(36)とを備え、
前記流量制御弁(36)は、第1の方向においてゼロ位置と第1の終端動作位置との間に設けられ、前記第1の方向と反対の第2の方向において前記ゼロ位置と第2の終端動作位置との間に設けられた複数の動作位置の間で連続的に移動可能であるスプール(40)を備えるスプール弁であり、
前記流量制御弁(36)は、前記第1の終端動作位置と前記第2の終端動作位置との間の前記スプール(40)の各動作位置において、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)のうちの少なくとも1つを前記高圧ライン(28)に接続するように構成される、アクティブ・サスペンション(10)であって、
前記流量制御弁(36)の前記スプール(40)は、回転軸(x)の周りでの回転によって前記第1及び第2の終端動作位置の間で移動するように構成された回転スプールであり、前記流量制御弁(36)は、前記スプール(40)を駆動して前記回転軸(x)の周りで一の方向又は他の方向に回転させるための作動ユニット(42)を更に備え、前記作動ユニット(42)は、前記スプール(40)と同軸に装着された、ロータ(48)と、ステータ(50)と、共に回転するために駆動可能に接続された前記ロータ(48)が装着されたシャフト(52)とを備える電気モータによって形成され、前記シャフト(52)は前記スプール(40)に堅固に接続されていることを特徴とする、アクティブ・サスペンション(10)。
【請求項2】
前記電気モータの前記シャフト(52)は前記スプール(40)と一体に形成される、請求項1に記載のサスペンション。
【請求項3】
前記流量制御弁(36)は、前記作動ユニット(42)を含む前記弁のための外側筐体として働く外側ボディ(44)と、前記外側ボディ(44)の円筒状内側空洞(44a)内に挿入され、円筒状内側空洞(46a)を有する内側スリーブ(46)であって、円筒状内側空洞(46a)の軸は前記回転軸(x)を定め、円筒状内側空洞(46a)内には前記スプール(40)が挿入される、内側スリーブ(46)とを更に備える、請求項1又は2に記載のサスペンション。
【請求項4】
前記流量制御弁(36)の前記外側ボディ(44)は、前記高圧ライン(28)に接続された少なくとも1つの第1の入口ポート(58)と、前記低圧ライン(32)に接続された少なくとも1つの第2の入口ポート(60’、60”)と、前記アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)に接続された少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)と、前記アクチュエータ(12)の前記伸張チャンバ(22)に接続された少なくとも1つの第2の出口ポート(62”)とを有し、
前記流量制御弁(36)の前記内側スリーブ(46)は、前記内側スリーブ(46)の全体的厚さを貫通して延在する流体通路ポート(80’、80”、82”、82”)が中に設けられた複数の円筒状領域(64、66、68、70、72)と、前記円筒状領域(64、66、68、70、72)の直径よりも大きな直径を有し、前記円筒状領域(64、66、68、70、72)を液密に互いから離間させる複数の円環状セクタ(74)とを有し、
前記複数の円筒状領域(64、66、68、70、72)は、
前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)及び前記少なくとも1つの第2の出口ポート(60”)にそれぞれ対向し、複数の第1の低圧ポート(80’)及び複数の第2の低圧ポート(80”)をそれぞれ有する一対の軸方向で最も外側の円筒状領域(64、72)と、
前記少なくとも1つの第1の入口ポート(58)に対向し、隣り合って位置する2つの周縁に配置された複数の第1の高圧ポート(82’)及び第2の高圧ポート(82”)を有する中央円筒状領域(68)と、
それぞれの軸方向で最も外側の円筒状領域(64、72)と前記中央円筒状領域(68)との間に各々が配置された一対の軸方向中間円筒状領域(66、70)であって、前記軸方向中間円筒状領域(66、70)のうちの一方(68)は前記少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)に対向し、複数の第1のポート(84)を有し、他方(70)は前記少なくとも1つの第2の出口ポート(62”)に対向し、複数の第2のポート(86)を有する、一対の軸方向中間円筒状領域(66、70)と
を含み、
前記スプール(40)は、その外側円筒状面(40a)に、前記回転軸(x)に平行に延在し、前記第1の低圧ポート(80’)、前記第1のポート(84)及び前記第1の高圧ポート(82’)と選択的に重複可能な長さ及び構成を有する複数の第1の長手方向チャンネル(88)と、前記回転軸(x)に平行に延在し、特にはそれぞれの第1の長手方向チャンネル(88)と各々が整列しており、前記第2の低圧ポート(80’)、前記第2のポート(86)及び前記第2の高圧ポート(82’)と選択的に重複可能な長さ及び構成を有する複数の第2の長手方向チャンネル(90)とを有し、
前記第1の長手方向チャンネル(88)及び前記第2の長手方向チャンネル(90)は、周縁方向において角度的に等しく離間されて配置され、
前記第1の長手方向チャンネル(88)は第1の径方向チャンネル(92)を介して互いに流体連通し、前記第2の長手方向チャンネル(90)は第2の径方向チャンネル(94)を介して互いに流体連通する、請求項3に記載のサスペンション。
【請求項5】
前記第1の低圧ポート(80’)及び前記第2の低圧ポート(80”)は、前記周縁方向において角度的に等しく離間されて配置され、前記複数の第1の低圧ポート(80’)及び前記複数の第2の低圧ポート(80”)の各々は、好ましくは、互いに対して90度の角度で配置された4つのポートを備え、前記第1の低圧ポート(80’)は、特には、前記第2の低圧ポート(80”)に対して45度の角度でオフセットされている、請求項4に記載のサスペンション。
【請求項6】
前記第1の高圧ポート(82’)は、第1の周縁上に角度的に等しく離間されて、特には互いに対して90度の角度で離間されて配置され、前記第2の高圧ポート(82’)は、第2の周縁上に角度的に等しく離間されて、特には互いに対して90度の角度で離間されて配置され、前記第1の高圧ポート(82’)に対して特定の角度、特には45度未満の角度でオフセットされている、請求項4又は5に記載のサスペンション。
【請求項7】
前記第1のポート(84)及び前記第2のポート(86)は、前記周縁方向に長細状になったスロットの形態に作られ、前記周縁方向において角度的に等しく離間されて配置され、特には、互いに対して90度の角度で配置された4つの第1のポート(84)及び4つの第2のポート(86)が設けられている、請求項4から6までのいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項8】
前記流量制御弁(36)の前記スプール(40)は、前記スプール(40)の前記周縁に沿って延在し、前記第1の長手方向チャンネル(88)を互いに対して接続する第1の安全溝(96)と、前記スプール(40)の前記周縁に沿って延在し、前記第2の長手方向チャンネル(90)を互いに対して接続する第2の安全溝(98)とを更に有し、前記第1及び第2の安全溝(96、98)は、前記スプール(40)の前記第1及び第2の長手方向チャンネル(88、90)及び前記内側スリーブ(46)の前記第1及び第2のポート(84、86)の両方と比べて低減された流動断面積を有する、請求項4から7までのいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)と前記少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)との間の流路(F1)に配置され、前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)から前記少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)への方向にだけ前記作動流体が流動することを可能とするように構成された第1のチェック弁(100)と、前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)と前記少なくとも1つの第2の出口ポート(62’)との間の流路(F2)に配置され、前記少なくとも1つの第2の出口ポート(62’)から前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)への方向にだけ前記作動流体が流動することを可能とするように構成された第2のチェック弁(102)とを更に備える、請求項4から8までのいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項10】
前記流量制御弁(36)は、
前記スプール(40)の前記ゼロ位置において、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)の両方が、前記高圧ライン(28)だけに、及び前記流量制御弁(36)を介して互いに対して接続され、
前記スプール(40)の前記第1の終端動作位置において、前記圧縮チャンバ(20)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記伸張チャンバ(22)が前記低圧ライン(32)だけに接続され、
前記ゼロ位置と前記第1の終端動作位置との間の前記スプール(40)の各中間動作位置において、前記圧縮チャンバ(20)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記伸張チャンバ(22)が前記高圧ライン(28)及び/又は前記低圧ライン(32)に接続され、
前記スプール(40)の前記第2の終端動作位置において、前記伸張チャンバ(22)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記圧縮チャンバ(20)が前記低圧ライン(32)だけに接続され、
前記ゼロ位置と前記第2の終端動作位置との間の前記スプール(40)の各中間動作位置において、前記伸張チャンバ(22)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記圧縮チャンバ(20)が前記高圧ライン(28)及び/又は前記低圧ライン(32)に接続されるように構成される、請求項1から9までのいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項11】
前記流量制御弁(36)は、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)の両方が前記低圧ライン(32)だけに接続される安全位置へと前記スプール(40)が移動可能であるようにも構成される、請求項1から10までのいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項12】
前記流量制御弁(36)は、前記安全位置において、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)が前記第1の安全溝(96)及び前記第2の安全溝(98)をそれぞれ介して前記低圧ライン(32)に接続されるように構成される、請求項8と11に記載のサスペンション。
【請求項13】
前記流量制御弁(36)は、前記スプール(40)を前記安全位置に動かす傾向のある弾性リアクション・トルクを前記スプール(40)に及ぼすように配置された弾性手段(54)、特にはトーション・バーを更に備える、請求項11又は12に記載のサスペンション。
【請求項14】
ボディ(B)と、複数のホイール(W)と、前記各ホイール(W)について、それぞれの、請求項1から13までのいずれか一項に記載のサスペンション(10)とを備える車両。
【請求項15】
前記供給油圧回路(14)は、全ての油圧アクチュエータ(12a、12b、12c、12d)にそれぞれの高圧ライン(28a、28b、28c、28d)を介して供給を行うように適合された単一の油圧ポンプ(26)、又は、前記車両の第1の車軸の前記ホイールに関連付けられた全ての前記油圧アクチュエータにそれぞれの高圧ラインを介して供給を行うように適合された第1の油圧ポンプ及び前記車両の第2の車軸の前記ホイールに関連付けられた全ての前記油圧アクチュエータにそれぞれの高圧ラインを介して供給を行うように適合された第2の油圧ポンプ、更に又は、各油圧アクチュエータについて、それぞれの高圧ラインを介して前記油圧アクチュエータに供給を行うように適合されたそれぞれの油圧ポンプを備える、請求項14に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両のサスペンションの分野、特には、自動車のサスペンションの分野に関する。より具体的には、本発明は、車両のためのアクティブ・サスペンション及びこのようなサスペンションを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転快適性及び操縦性を改善し、路面の不規則性をフィルタリングし、車両(ホイールを含む)のばね下質量に対する車両(車両ボディを含む)のばね上質量の相対移動を制御するために、車両におけるサスペンションの使用が知られている。
【0003】
車両におけるいわゆるアクティブ・サスペンションの使用も知られており、このサスペンションは、各ホイールについて、電子制御ユニットの管理の下で車両ボディに対するホイールの相対移動を制御するために配置された電子制御式アクチュエータを備える。アクチュエータは、典型的には、油圧アクチュエータであり、例えば、路面の不規則性の結果として或いは車両の加速又は制動フェーズ中に、ホイールと車両ボディとの間に生成された力を相殺するために、所与の強度及び所与の方向(伸張又は圧縮)で、油圧力を生成するポンプによって与えられる圧力の下で、作動流体の供給を受ける。
【0004】
アクティブ・サスペンションは、欧州特許第3216632(A1)号及び米国特許第10076943(B2)号により知られており、このサスペンションは、油圧ポンプと、ポンプの下流の高圧ラインにおける圧力を調整するための圧力制御弁と、ダンパの伸張移動の方向に又はダンパの圧縮移動の方向に油圧力を生成するためにサスペンションのダンパの第1又は第2のチャンバに圧力の下で作動流体を送るために、2つの動作位置の間で切換え可能な流量制御弁とを備える。特には、流量制御弁は安全位置(フェイル・セーフ位置)も取り得、安全位置においては、第1のチャンバ、第2のチャンバ、高圧ライン及び低圧ラインが互いに連通して、流量制御弁のコントローラ又は圧力制御弁のコントローラのうちの一方が故障した場合にサスペンションが従来のように動作することを可能とする。
【0005】
車両のためのアクティブ・サスペンションの更なる実例が、米国特許出願第2018/022179号により知られている。
【0006】
この知られた解決策によると、サスペンションは、その上端部において車両ボディに接続され、その下端部においてホイールに接続され、円筒状つる巻きばねに同心状に及び平行に配置された油圧アクチュエータを備える。油圧アクチュエータは供給油圧回路に接続され、供給油圧回路は、油圧ポンプと、ポンプの送出ポートに接続された高圧ラインと、ポンプの吸込ポートに接続された低圧ラインと、高圧ラインに接続された蓄圧器と、一方側において油圧アクチュエータの圧縮チャンバ及び伸張チャンバに接続され、他方側において高圧ライン及び低圧ラインに接続されたスプール弁とを備える。スプール弁は、スプールが油圧アクチュエータに接続された両方の流路、すなわち、油圧アクチュエータの圧縮チャンバに接続された流路及び油圧アクチュエータの伸張チャンバに接続された流路の両方を閉じる中央位置から開始して、第1の方向において、スプールが油圧アクチュエータの伸張チャンバに接続された流路を開き、それによってそのチャンバを低圧ラインと油圧連通させる一方、油圧アクチュエータの圧縮チャンバに接続された流路は閉じられたままである第1の中間位置と、スプールが油圧アクチュエータの圧縮チャンバに接続された流路も開き、圧縮チャンバを高圧ラインと油圧連通させ、故に、油圧アクチュエータのチャンバにおける圧力差の結果として、油圧アクチュエータのロッドの伸張をもたらす第1の終端位置とを取り、第1の方向と反対の第2の方向において、スプールが油圧アクチュエータの圧縮チャンバに接続された流路を開き、それによってそのチャンバを低圧ラインと油圧連通させる一方、油圧アクチュエータの伸張チャンバに接続された流路は閉じられたままである第2の中間位置と、スプールが油圧アクチュエータの伸張チャンバに接続された流路も開き、伸張チャンバを高圧ラインと油圧連通させ、故に、油圧アクチュエータのチャンバにおける圧力差の結果として、油圧アクチュエータのロッドの後退をもたらす第2の終端位置とを取るように切換え可能である。サスペンションは、スプール弁が第1の終端位置又は第2の終端位置にあるときに、すなわち、油圧アクチュエータの2つのチャンバのいずれかが高圧ラインと油圧接続されたときにアクティブ・モードで動作する。スプール弁が第1の中間位置又は第2の中間位置にあるときにだけ、サスペンションはセミ-アクティブ・モードで動作し、というのは、油圧アクチュエータへのエネルギーの供給はないが、油圧アクチュエータの2つのチャンバのいずれかから低圧ラインに向かって流体が流出する結果として、油圧アクチュエータの剛性が変化されるからである。スプール弁の中央位置においては、流体は、圧縮チャンバ又は伸張チャンバから流動することが妨げられる。従って、弁制御の不具合の場合には、サスペンションは従来のサスペンションとして動作することができない。
【0007】
添付の独立請求項1のプリアンブルがこれに基づく本出願人の名における国際特許出願である国際公開第2021/260586号は、車両の各ホイールについて、圧縮チャンバ及び伸張チャンバを有するそれぞれの油圧アクチュエータと、一方側において油圧アクチュエータの圧縮チャンバ及び伸張チャンバに接続され、他方側において高圧ライン及び低圧ラインに接続されて、油圧アクチュエータのチャンバを高圧及び低圧ラインと流体連通させるスプール弁とを備える、車両のためのアクティブ・サスペンションを開示している。スプール弁は、第1の方向において休止位置と第1の終端位置との間に設けられ、第1の方向と反対の第2の方向において休止位置と第2の終端位置との間に設けられた複数の動作位置の間で連続的に並進するように構成されたスプールを含み、スプール弁は、スプールの各動作位置において、油圧アクチュエータの圧縮チャンバ及び伸張チャンバのうちの少なくとも1つを高圧ラインに接続するように構成される。
【0008】
加えて、欧州特許第0446543号は、例えば、車両のサスペンションにおける使用のための油圧アクチュエータのための制御システムを開示しており、この制御システムは、回転スプール弁と、弁スプールを駆動して回転させるための電気モータと、電気モータの駆動シャフトから、回転のために駆動可能に弁スプールに接続された被駆動ディスクへと運動を伝達するための伝達機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第3216632(A1)号
【特許文献2】米国特許第10076943(B2)号
【特許文献3】米国特許出願第2018/022179号
【特許文献4】国際公開第2021/260586号
【特許文献5】欧州特許第0446543号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上に論じられた従来技術よりも改善されたタイプの車両のためのアクティブ・サスペンションを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的及び他の目的は、添付の独立請求項1において定められた車両のためのアクティブ・サスペンションによって完全に達成される。
【0012】
本発明による車両のためのアクティブ・サスペンションの好ましい実施例は、従属請求項において定められる。
【0013】
要約すれば、本発明は、上に指定されたタイプの車両のためのアクティブ・サスペンションを提供するというアイディアに基づき、高圧及び低圧ライン並びに油圧アクチュエータの伸張及び圧縮チャンバの間での作動流体の流動を制御する弁は、各動作位置において、油圧アクチュエータの2つのチャンバのうちの少なくとも1つを高圧ラインに接続するように構成された回転スプール弁である。更に、本発明によると、スプールを駆動して回転させる電気モータは、スプールと同軸に装着され、スプールは、電気モータのシャフトに堅固に接続され、特には、一体に形成される。
【0014】
このような構成によって、本発明のアクティブ車両サスペンションは、流量制御弁の動作位置を適切に制御することによって、油圧アクチュエータによって生成される力を迅速に及び正確に調節することを可能とする。加えて、流量制御弁として並進スプール弁ではなく回転スプール弁を使用することによって、軸方向における全体的なサイズを低減することを可能とし、弁を駆動する電気モータのロータの位置及びスプールの位置にかかわらずほぼ一定の作動(この場合、作動トルク)を確保することを可能とし、電気モータからスプールに伝達されるトルクが電気モータを励起する電流に線形的に比例するという事実により、数学的な観点からシステムの線形性を確保することを可能とする。加えて、弁スプールが電気モータのシャフトに堅固に接続され、特には、一体に形成されるという事実により、電気モータとスプールとの間の作動遅延を最小にすることを保証する高い剛性を有する運動伝達システムが達成される。スプール及び電気モータはどちらも油に浸されているので、油圧封止が必要とされず、このことは、摩擦を低減し、システムの機械的効率を増加させることを可能とするとともに、(必要とされる作動トルクがより低いと、より小さな電気モータが使用され得るので)電気モータのサイズを低減することを可能とする。加えて、このような構成は、電気モータを制御するための位置センサがロータのどちらの端部に装着されることも可能とする。
【0015】
一実施例によると、流量制御弁は、スプールの安全位置を提供するように構成され、弁、特には弁作動システムの故障又は障害の際に、スプールは適切な弾性手段(例えば、トーション・バー)によって押されてこの安全位置に到達する。この安全位置において、油圧アクチュエータの圧縮チャンバ及び伸張チャンバの両方は、低圧ラインだけに接続される。
【0016】
本発明の追加的な特徴及び利点は、単に非限定的な実例として与えられる以下の詳細な説明から明らかであろう。
【0017】
以下の本発明の詳細な説明において、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるアクティブ車両サスペンションの概略図である。
図2図1のサスペンションの油圧アクチュエータ及び流量制御弁アセンブリの斜視図である。
図3図2の油圧アクチュエータ及び流量制御弁アセンブリの断面図である。
図4図3の断面平面に垂直な断面平面を通る、図2の油圧アクチュエータ及び流量制御弁アセンブリの断面図である。
図5図2から図4のアセンブリの流量制御弁の内側スリーブの斜視図である。
図6図2から図4のアセンブリの流量制御弁のスプールの斜視図である。
図7図6のスプールの断面図である。
図8a】スプールがゼロ位置にある状態での、図2から図4のアセンブリの流量制御弁のスプールの内側スリーブ全範囲のポート及び長手方向チャンネルの相対的配置を概略的に示す図である。
図8b図2から図4のアセンブリの油圧アクチュエータの2つのチャンバの各々について、スプールが図8aの位置にある状態での、サスペンション供給油圧回路の高圧ライン及び低圧ラインにそれぞれ関連付けられた内側スリーブのポートの流動断面積の値を示すグラフである。
図9a】スプールがゼロ位置と第1の終端動作位置との間で移動している状態での図8aと類似の図である。
図9b】スプールがゼロ位置と第1の終端動作位置との間で移動している状態での図8bと類似の図である。
図10a】スプールがゼロ位置と第1の終端動作位置との間で移動している状態での図8aと類似の図である。
図10b】スプールがゼロ位置と第1の終端動作位置との間で移動している状態での図8bと類似の図である。
図11a】スプールがゼロ位置と第1の終端動作位置との間で移動している状態での図8aと類似の図である。
図11b】スプールがゼロ位置と第1の終端動作位置との間で移動している状態での図8bと類似の図である。
図12a】スプールがゼロ位置と第2の終端動作位置との間で移動している状態での図8aと類似の図である。
図12b】スプールがゼロ位置と第2の終端動作位置との間で移動している状態での図8bと類似の図である。
図13a】スプールがゼロ位置と第2の終端動作位置との間で移動している状態での図8aと類似の図である。
図13b】スプールがゼロ位置と第2の終端動作位置との間で移動している状態での図8bと類似の図である。
図14a】スプールがゼロ位置と第2の終端動作位置との間で移動している状態での図8aと類似の図である。
図14b】スプールがゼロ位置と第2の終端動作位置との間で移動している状態での図8bと類似の図である。
図15】故障又は障害の場合に安全位置(「フェイル・セーフ」位置)にスプールがある状態での、図2から図4のアセンブリの流量制御弁のスプールのスリーブのポート及び長手方向チャンネルの相対的配置を概略的に示す図である。
図16】本発明の一実施例によるアクティブ車両サスペンション・アーキテクチャを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず図1を参照すると、本発明の一実施例による車両のためのアクティブ・サスペンション(以下において、単にサスペンションと呼ばれる)が全体的に10で示されている。
【0020】
サスペンション10は、基本的に、車両のホイールWと車両のボディBとの間に挿入された油圧線形アクチュエータ12(以下において、単にアクチュエータと呼ばれる)と、アクチュエータ12に接続された供給油圧回路14とを備える。
【0021】
アクチュエータ12は、ホイールWに接続され、その長手軸(zで示されている)が、例えば、垂直方向又は垂直方向からわずかに傾けられた方向に向けられたシリンダ16と、シリンダ16の内部容積を、作動流体(特には、油)を含む一対の可変容積チャンバ、すなわち、圧縮チャンバ20と伸張チャンバ22とに分割するように、長手軸zに沿った摺動移動のためにシリンダ16の内側に摺動可能に装着されたピストン18とを含む。アクチュエータ12はロッド24も含み、ロッド24は、その下端部において、ピストン18とともに移動するために駆動可能に接続されるようにピストン18に接続され、伸張チャンバ22の側においてシリンダ16から突出して、その上端部において車両のボディBに接続される。示されていないがそれ自体が知られているやり方において、ピストン18は、有利には、シリンダのチャンバ20及び22中の流体圧力によってピストンに及ぼされる力を制限し、高速におけるキャビテーション現象を防止する機能を有する圧力制限弁V1及びV2(それ自体が知られているので、図1においては単に概略的に示されている)、すなわち、圧縮バルブ及び伸張バルブをそれぞれ具備する。より具体的には、圧縮バルブV1は、圧縮チャンバ20における所与の圧力制限値が超えられたときに圧縮チャンバ20から伸張チャンバ22へと作動流体が流動することを可能とするように圧縮ストローク中に働き、伸張バルブV2は、伸張チャンバ22における所与の圧力制限値が超えられたときに伸張チャンバ22から圧縮チャンバ2へと作動流体が流動することを可能とするように伸張ストローク中に働く。
【0022】
供給油圧回路14は、油圧ポンプ26(以下において、単にポンプと呼ばれる)と、ポンプ26の送出ポート30に接続された高圧ライン28(以下において、その圧力はpと示される)と、ポンプ26の吸込ポート34に接続された低圧ライン32(以下において、その圧力はpと示される)と、一方側においてアクチュエータ12の圧縮チャンバ20及び伸張チャンバ22に接続され、他方側において高圧ライン28及び低圧ライン32に接続され、所定の動作のモード(以下において説明される)に従って、アクチュエータ12の2つのチャンバ20及び22を供給油圧回路14の2つのライン28及びライン32と流体連通させるための流量制御弁36とを備える。
【0023】
供給油圧回路14は、好ましくは、高圧ライン28に接続された第1の蓄圧器(図示されていないが、それ自体知られたタイプのものである)と、低圧ライン32に接続された第2の蓄圧器(同様に図示されていないが、それ自体知られたタイプのものである)とを含む。
【0024】
ポンプ26は、好ましくは、定容量形ポンプである。特定の用途に従って、車両に搭載された全てのアクチュエータ(各ホイールについて1つ)に供給するように構成されたポンプが1つだけ車両に存在してよく、又は、いくつかのポンプが存在してよく、特には、車両の前車軸のアクチュエータについて1つのポンプ及び車両の後車軸のアクチュエータについて1つのポンプが存在するか、若しくは各アクチュエータについて1つのポンプが存在するかのいずれかであってもよい。
【0025】
高圧ライン28における圧力pは、一定であり得、又は、代替的に、連続的に調整され得る。例えば、圧力pは、30バールから40バールの間である。その一方、低圧ライン32における圧力pは、例えば、5バールから10バールの間である。
【0026】
図2から図4も参照すると、流量制御弁36は、回転スプール弁として構成され、弁ボディ38と、回転軸xの周りで回転可能に弁ボディ38に装着されたスプール40と、スプール40を駆動して回転軸xの周りで一の方向又は他の方向に回転させるように配置された作動ユニット42とを有する。より具体的には、弁ボディ38は、作動ユニット42を含む弁全体のための外側筐体として働く外側ボディ44と、外側ボディ44の円筒状内側空洞44a内に挿入された内側スリーブ46とを含む。内側スリーブ46は円筒状内側空洞46aを有し、円筒状内側空洞46aの軸は回転軸xを定め、円筒状内側空洞46a内にはスプール40が挿入される。
【0027】
作動ユニット42は、ロータ48とステータ50とを備える回転電気モータ(以下において、単に「モータ42」と呼ばれる)によって形成される。モータ42は、スプール40と同軸に装着され、より詳細には、ロータ48は、シャフト52の周りに装着され、これと共に回転するために駆動可能に接続され、シャフト52は、スプール40に堅固に接続され、特には、一体に形成される。モータ42は、スプール40を所望の位置に毎回位置付けるように電子制御ユニット(図示されず)によって適切に駆動される。
【0028】
好ましくは、スプール40は、スプールを所定の角度位置に動かす傾向のある弾性リアクション・トルクをスプール40に及ぼすように構成されたトーション・バー54、より一般的には、弾性接続部材によって弁ボディ38に接続され、以下において、所定の角度位置は、安全位置又は「フェイル・セーフ」位置と呼ばれる。例えば、トーション・バー54は、シャフト52に設けられた円筒状空洞56に、これと同軸に挿入される。
【0029】
図1図3及び図4において図示されるように、流量制御弁36の外側ボディ44は、高圧ライン28に接続された1つ又は複数の第1の入口ポート(本件の場合、1つの第1の入口ポート58)と、低圧ライン32に接続された1つ又は複数の第2の入口ポート(本件の場合、2つの第2の入口ポート60’及び60”)と、アクチュエータ12の圧縮チャンバ20に接続された第1の出口ポート62’と、アクチュエータ12の伸張チャンバ22に接続された第2の出口ポート62”とを有する。
【0030】
図5も参照すると、内側スリーブ46は、図1から図5を見る人物の観点において底部から上部に向かって順に64、66、68、70及び72でそれぞれ示された複数の円筒状領域であって、内側スリーブ46の全体的な厚さを貫通して延在する流体通路ポートが設けられている、複数の円筒状領域と、円筒状領域64、66、68、70及び72よりも大きな直径を有し、円筒状領域64、66、68、70及び72を互いから液密に離間させる複数の円環状セクタ74とを有する。円環状セクタ74の各々は、それぞれの周縁溝76を有し、外側ボディ44の内側空洞44aの円筒状表面と協働するそれぞれの封止部78が周縁溝76内に挿入される。
【0031】
なおも特に図5及び図1を参照すると、円筒状領域64及び72、すなわち軸方向で最も外側の円筒状領域は、第2の入口ポート60’及び第2の入口ポート60”(すなわち、低圧ライン32に接続された入口ポート)にそれぞれ対向し、複数の第1の低圧ポート80’及び複数の第2の低圧ポート80”をそれぞれ有し、各複数の第1の低圧ポート80’及び第2の低圧ポート80”は、特には、互いに対して90度の角度で配置された4つのポートを備える。好ましくは、更には、円筒状領域64の第1の低圧ポート80’は、円筒状領域72の第2の低圧ポート80”から45度の角度でオフセットされている。円筒状領域68、すなわち中央円筒状領域は、第1の入口ポート58(すなわち、高圧ライン28に接続された入口ポート)に対向し、2つの隣り合う周縁に配置された複数の第1の高圧ポート82’及び第2の高圧ポート82”を有し、第1の高圧ポート82’は、例えば90度離間されて第1の周縁に配置され、第2の高圧ポート82”は、例えばやはり90度離間されて第2の周縁に配置され、第1の高圧ポート82’に対して特定の角度で、特には45度未満の角度でオフセットされている。円筒状領域66、すなわち、軸方向で最も外側の円筒状領域64と中央円筒状領域68との間に配置された中間円筒状領域は、外側ボディ44の第1の出口ポート62’(すなわち、アクチュエータ12の圧縮チャンバ20に接続された出口ポート)に対向し、周縁方向に長細状になったスロットの形状に作られた複数の第1のポート84、例えば互いに対して90度の角度で配置された4つのポートを有する。同様に、円筒状領域70、すなわち、軸方向で最も外側の円筒状領域72と中央円筒状領域68との間に配置された中間円筒状領域は、外側ボディ44の第2の出口ポート62”(すなわち、アクチュエータ12の伸張チャンバ22に接続された出口ポート)に対向し、周縁方向に長細状になったスロットの形状に作られた複数の第2のポート86、例えば互いに対して90度の角度で配置された4つのポートを有する。
【0032】
次に図6及び図7を参照すると、スプール40は、その外側円筒状面(40aで示される)に、スプール40の長手軸すなわち回転軸xに平行に延在する一連の第1の長手方向チャンネル88、特には、互いに対して90度の角度で配置された4つの長手方向チャンネルを有する。第1の長手方向チャンネル88は、最も外側の円筒状領域64から中央円筒状領域68の一部まで延在し、従って、回転軸xの周りでのスプール40の回転の結果として、円筒状領域64の第1の低圧ポート80’、円筒状領域66の第1のポート84及び円筒状領域68の第1の高圧ポート82’と選択的に重複され得る長さ及び構成を有する。スプール40は、その外側円筒状面40aに、それぞれの第1の長手方向チャンネル88と各々が整列した一連の第2の長手方向チャンネル90、特には、互いに対して90度の角度で配置された4つの長手方向チャンネルも有する。第2の長手方向チャンネル90は、最も外側の円筒状領域72から中央円筒状領域68の一部まで延在し、従って、回転軸xの周りでのスプール40の回転の結果として、円筒状領域72の第2の低圧ポート80”、円筒状領域70の第2のポート86及び円筒状領域68の第2の高圧ポート82”と選択的に重複され得る長さ及び構成を有する。第1の長手方向チャンネル88は、第1の径方向チャンネル92(図7において詳細に図示される)、特には互いに対して垂直に延在する4つのチャンネルを介して互いに流体連通する。同様に、第2の長手方向チャンネル90は、第2の径方向チャンネル94(図6において部分的にだけ図示される)、特には互いに対して垂直に延在する4つのチャンネルを介して互いに流体連通する。
【0033】
スリーブ46の第1の低圧ポート80’、第2の低圧ポート80”、第1の高圧ポート82’及び第2の高圧ポート82”が、周縁方向において角度的に等しく離間されて、特には、上述されたように、互いに対して90度の角度で離間されて配置されているという事実、及び、同様に、スリーブ40の第1の長手方向チャンネル88及び第2の長手方向チャンネル90も、周縁方向において角度的に等しく離間されて、特には、上述されたように、互いに対して90度の角度で離間されて配置されているという事実によって、スリーブのチャンネルにおいて作用する圧力の平衡が得られ、故に、スリーブに作用する結果的な力がキャンセルされ、又は少なくとも最小化され、それによって、弁の改善された動作が得られる。
【0034】
次に、スプール40が回転軸xの周りでのその回転の結果としてとり得る様々な位置が、故にサスペンションの動作が、図8図15を参照して示される。
【0035】
ゼロ位置(図8a及び図8b)から開始して、スプール40は、第1の方向において、第1の終端動作位置(図11a及び図11b)に到達するまで、及び、第1の方向と反対の第2の方向において、第2の終端動作位置(図14a及び図14b)に到達するまで回転され得る。示された実例において、ゼロ位置と第1の終端動作位置との間及びゼロ位置と第2の終端動作位置との間での角度移動は、15度に等しいが、もちろん、これは、特定の用途に応じて、15度よりも大きくても小さくてもよい。
【0036】
スプール40は、これらの位置の間で連続的に移動可能であり、故に、ゼロ位置と第1の終端動作位置との間及びゼロ位置と第2の終端動作位置との間で任意の中間位置を取り得る。故に、アクチュエータ12のチャンバ20及び22における流体圧力を連続的に調節することが可能である。
【0037】
これらの図からわかるように、第1の終端動作位置と第2の終端動作位置との間でのスプール40の任意の位置において、スプール40の第1の長手方向チャンネル88は、内側スリーブ46の第1のポート84に重畳され、故に、第1の出口ポート62’を介してアクチュエータ12の圧縮チャンバ20と流体連通し、同様に、スプール40の第2の長手方向チャンネル90は、内側スリーブ46の第2のポート86に重畳され、故に、第2の出口ポート62’を介してアクチュエータ12の伸張チャンバ22と流体連通する。
【0038】
スプール40がゼロ位置にある状態(図8a及び図8b)で、スプール40の第1の長手方向チャンネル88は、例えば、第1の高圧ポート82’を通る作動流体の流動断面積が最大流動断面積Amaxの半分とほぼ等しくなる程度まで、第1の高圧ポート82’と部分的に重複される一方、第1の低圧ポート80’とは重複されない。加えて、スプール40の第2の長手方向チャンネル90は、特には、第1の高圧ポート82’によって定められる流動断面積と等しい流動断面積を定めるように、第2の高圧ポート82’と部分的に重複される一方、第2の低圧ポート80’とは重複されない。その結果、アクチュエータ12の圧縮器チャンバ20及び伸張チャンバ22の両方が、高圧流体だけの供給を受け、故に、両方とも同一の圧力p(高圧)になる。故に、チャンバ20及び22において流体圧力が作用する面積の間の差によって、アクチュエータ12のピストン18に上向きの力が及ぼされる。加えて、この位置において、アクチュエータ12の圧縮チャンバ20及び伸張チャンバ22は、出口ポート62’及び62”、長手方向チャンネル88及び90、並びに高圧ポート82’及び82”を介して互いに連通する。
【0039】
もしも、上に示されたゼロ位置から開始して、スプール40が、第1の終端動作位置に向かって移動された(したがって、図9a、図10a及び図11aにおいて、スプール40の第1の長手方向チャンネル88及び第2の長手方向チャンネル90が内側スリーブ46に設けられたポートに対して上向きに移動される)ならば、第1の長手方向チャンネル88と第1の高圧ポート82’との間の重複の程度は徐々に増加し、特には線形的に増加し、例えば、ゼロ位置と第1の終端動作位置との間での角度移動の中央ポイントにおいてその最大値(最大流動断面積Amaxに対応する)に到達し(図10a)、次いで、第1の終端動作位置までこの最大値を維持する(図11a)。従って、アクチュエータ12の圧縮チャンバ20は、高圧流体の供給を受け続け、故に、圧力pに維持される。スプール40の第2の長手方向チャンネル90に関しては、ゼロ位置から第1の終端動作位置への変位に伴って、第2の高圧ポート82”との重複の程度は、例えば、ゼロ位置と第1の終端動作位置との間での角度移動の中央ポイントにおいてゼロになるまで減少し(図10a)、特には線形的に減少し、次いで、第1の終端動作位置までゼロを維持する(図11a)一方、第2の低圧ポート80”との重複の程度は、第1の終端動作位置においてその最大値(最大流動断面積Amax)を取るまで増加し、特には線形的に増加する(図11a)。結果として、アクチュエータ12の伸張チャンバ22において、圧力は、ゼロ位置における値p図8b)からゼロ位置と第1の終端動作位置との間での角度移動の中央ポイントにおける値p(低圧)(図10b)へと減少し、次いで、第1の終端動作位置まで値pで一定に維持される(図11b)。
【0040】
故に、アクチュエータ12のピストン18に及ぼされる上向きの力は、図10a及び図10bの中間位置においてその最大値に達するまでゼロ位置と第1の終端動作位置との間で増加し、次いで、第1の終端動作位置までその最大値を維持する。
【0041】
図12a~図12bから図14a~図14bにおいて観察されるように、スプール40がゼロ位置から第2の終端動作位置へと移動されたとき(それによって、図12a、図13a及び図14aの概略図において、スプール40の第1の長手方向チャンネル88及び第2の長手方向チャンネル90が内側スリーブ46に設けられたポートに対して下向きに移動するとき)、高圧ライン28及び低圧ライン32に関連付けられた内側スリーブ46のポートの流動断面積における変化は、ゼロ位置から第1の終端動作位置へのスプールの移動を参照して上述されたものと対称である。従って、この移動中の流動断面積の過程は詳細には説明されないが、これらの図の観察が参照される。
【0042】
アクチュエータ12の圧縮チャンバ20における圧力は、ゼロ位置と第2の最終動作位置との間で値pから値pへと減少する一方、伸張チャンバ22における圧力は、常に値pに維持される。その結果、アクチュエータ12のピストン18への結果的な力が上方に向けられる初期状態の後、結果的な力が下方に向けられる終了状態になる。具体的には、結果的な力は、下方に向けられ、図13a及び図13bの中間位置と図14a及び図14bの第2の最終動作位置との間の角度範囲においてその最大値に維持される。
【0043】
最後に、図15は、弁、特には弁作動システムの故障又は障害の際に安全位置(すなわち「フェイル・セーフ」位置)にあるスプール40を示す。この位置には、スプール40を弁ボディ38に接続する弾性接続部材(この場合、トーション・バー54)のおかげで到達する。換言すれば、スプール40の安全位置は、弾性接続部材の休止位置、すなわち、スプール40に対して弾性接続部材によって及ぼされる弾性リアクション・トルク(本件の場合、トーション・バー54によって及ぼされる弾性リアクション・トルク)がゼロになる位置に対応する。示された実例において、ゼロ位置と安全位置との間での角度移動は45度であるが、もちろん、これは、特定の用途に応じて、(ゼロ位置と第1又は第2の終端動作位置との間での移動、本件の場合は15度の移動よりも大きい限りにおいて)45度よりも大きくても小さくてもよい。更には、本件において、安全位置は、第2の終端動作位置と同一の方向においてゼロ位置に対して回転されるが、代替的に、第1の終端動作位置と同一の方向において回転されてもよい。
【0044】
安全位置において、スプール40の第1の長手方向チャンネル88は、内側スリーブ46の第1のポート84と重複されないが、それにもかかわらず、スプール40の周縁に沿って延在して第1の長手方向チャンネル88を互いに接続する第1の安全溝96を介してこれらのポートと流体連通し、故に、第1の出口ポート62’と流体連通する(図6)。同様に、スプール40の第2の長手方向チャンネル90は、内側スリーブ46の第2のポート86と重複されないが、それにもかかわらず、スプール40の周縁に沿って延在して第2の長手方向チャンネル90を互いに接続する第2の安全溝98を介してこれらのポートと流体連通し、故に、第2の出口ポート62’と流体連通する(図6)。
【0045】
従って、安全位置において、アクチュエータ12の圧縮チャンバ20及び伸張チャンバ22の両方が、それぞれ前述の第1の安全溝96及び前述の第2の安全溝98を通じて低圧ライン32と流体連通する。第1の安全溝96及び第2の安全溝98は、スプール40の第1及び第2の長手方向チャンネル88、90並びに内側スリーブ46の第1及び第2のポート84、86の両方に比べて減少された流動断面積を有し、このことは、伸張ストローク及び圧縮ストロークの両方の最中に、油圧アクチュエータ12のロッド24の移動が「抑制」されることを可能とする。
【0046】
流量制御弁36の弁ボディ38(図2及び図4)に取り付けられた弁ブロック104に装着され、以下においては第1のチェック弁及び第2のチェック弁とそれぞれ呼ばれる一対のチェック弁100及び102も、この状態に介入するために配置される。第1のチェック弁100は、第2の入口ポート60’(低圧ライン32に接続される)と第1の出口ポート62’(油圧アクチュエータ12の圧縮チャンバ20に接続される)との間で、図4において矢印F1で示された流路に配置され、第2の入口ポート60’から第1の出口ポート62’への方向にだけ作動流体が流動することを可能とするように構成される。第2のチェック弁102は、第2の入口ポート60”(同様に低圧ライン32に接続される)と第2の出口ポート62”(油圧アクチュエータ12の伸張チャンバ22に接続される)との間で、図4において矢印F2で示された流路に配置され、第2の出口ポート62”から第2の入口ポート60”への方向にだけ作動流体が流動することを可能とするように構成される。もしも油圧アクチュエータ12のロッド24が下向きに押されたならば(圧縮移動)、作動流体は、圧縮チャンバ20から低圧ライン32へと自由に流動し得ず、というのは、この流動は、第1のチェック弁100によって妨げられるからである。しかしながら、この段階において、作動流体は、第1の安全溝96及び第2の安全溝98の両方を通って流動可能である。次いで、圧縮チャンバ20における最大圧力は、伸張チャンバ22に対する圧縮チャンバ20における圧力を調節する油圧アクチュエータ12のピストン18の圧力制限弁V1によって、及び低圧ライン32に対する伸張チャンバ22における圧力を調節する第2のチェック弁102によって、順に制限される。その一方で、もしも油圧アクチュエータ12のロッド24が上向きに押されたならば(伸張移動)、作動流体は、第2の安全溝98及び第2のチェック弁102の両方を通って伸張チャンバ22から低圧ライン32へと流動し得る。安全状態における油圧アクチュエータ12の減衰特性を変化させるように、後者の弁の開口圧力は異なる剛性及び前負荷を有するばね106を使用して変更され得る。この段階において、作動流体は、第1のチェック弁100を通って低圧ライン32から油圧アクチュエータ12の圧縮チャンバ20へと自由に流動可能とされ、このチャンバにおけるキャビテーション現象を回避する。
【0047】
図16の図に示されるような4輪の車両に適用されるとき、本発明によるアクティブ・サスペンションは、各ホイールについて、それぞれのアクチュエータ12a、12b、12c、12dと、アクチュエータと関連付けられた車両のホイールと車両ボディとの間にアクチュエータによって及ぼされる力を制御するための回転スプール弁として構成されたそれぞれの流量制御弁36a、36b、36c、36dとを含む。各アクチュエータ12a、12b、12c、12dは、それぞれの流量制御弁36a、36b、36c、36dを介してそれぞれの高圧ライン28a、28b、28c、28d及びそれぞれの低圧ライン32a、32b、32c、32dに接続される。それぞれの第1の蓄圧器100a、100b、100c、100dは、各高圧ライン28a、28b、28c、28dに接続される。その一方で、低圧ライン32a、32b、32c、32dに関する限り、本実例おいて、これらは全て、同一の第2の蓄圧器102に接続される。加えて、本実例において、全ての高圧ライン28a、28b、28c、28dに加圧された流体を供給可能な、故に、全てのアクチュエータ12a、12b、12c、12dに加圧された流体を供給可能な、単一のポンプ26が設けられる。代替的に、車両の1つのそれぞれの車軸(前車軸及び後車軸)のホイールに関連付けられた2つのアクチュエータに加圧された流体を供給するように各々が配置された2つのポンプが存在してもよく、車両の1つのそれぞれのホイールに関連付けられたアクチュエータに加圧された流体を供給するように各々が配置された4つのポンプが存在してもよい。
【0048】
本明細書において、本発明は、その好ましい実施例を参照して説明された。以下の特許請求の範囲によって定義されているように、本明細書において説明された実施例と同一の発明的核心を共有する他の実施例が想定され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのアクティブ・サスペンション(10)であり、
前記車両のそれぞれのホイール(W)と前記車両のボディ(B)との間に配置されるように設計された油圧アクチュエータ(12)であって、シリンダ(16)と、前記シリンダ(16)の内部容積を、共に作動流体を含む一対の可変容積チャンバ(20、22)、すなわち圧縮チャンバ(20)及び伸張チャンバ(22)に分割するように前記シリンダ(16)の内側に摺動可能に装着されたピストン(18)とを備える油圧アクチュエータ(12)と、
前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)に前記作動流体を供給するために前記油圧アクチュエータ(12)に接続された供給油圧回路(14)と
を含み、
前記供給油圧回路(14)は、油圧ポンプ(26)と、前記油圧ポンプ(26)の送出ポート(30)に接続された高圧ライン(28)と、前記油圧ポンプ(26)の吸込ポート(34)に接続された低圧ライン(32)と、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮及び伸張チャンバ(20、22)を前記供給油圧回路(14)の前記高圧及び低圧ライン(28、32)と流体連通させるように、一方側において前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)に接続され、他方側において前記高圧ライン(28)及び前記低圧ライン(32)に接続された流量制御弁(36)とを備え、
前記流量制御弁(36)は、第1の方向においてゼロ位置と第1の終端動作位置との間に設けられ、前記第1の方向と反対の第2の方向において前記ゼロ位置と第2の終端動作位置との間に設けられた複数の動作位置の間で連続的に移動可能であるスプール(40)を備えるスプール弁であり、
前記流量制御弁(36)は、前記第1の終端動作位置と前記第2の終端動作位置との間の前記スプール(40)の各動作位置において、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)のうちの少なくとも1つを前記高圧ライン(28)に接続するように構成される、アクティブ・サスペンション(10)であって、
前記流量制御弁(36)の前記スプール(40)は、回転軸(x)の周りでの回転によって前記第1及び第2の終端動作位置の間で移動するように構成された回転スプールであり、前記流量制御弁(36)は、前記スプール(40)を駆動して前記回転軸(x)の周りで一の方向又は他の方向に回転させるための作動ユニット(42)を更に備え、前記作動ユニット(42)は、前記スプール(40)と同軸に装着された、ロータ(48)と、ステータ(50)と、共に回転するために駆動可能に接続された前記ロータ(48)が装着されたシャフト(52)とを備える電気モータによって形成され、前記シャフト(52)は前記スプール(40)に堅固に接続されていることを特徴とする、アクティブ・サスペンション(10)。
【請求項2】
前記電気モータの前記シャフト(52)は前記スプール(40)と一体に形成される、請求項1に記載のサスペンション。
【請求項3】
前記流量制御弁(36)は、前記作動ユニット(42)を含む前記弁のための外側筐体として働く外側ボディ(44)と、前記外側ボディ(44)の円筒状内側空洞(44a)内に挿入され、円筒状内側空洞(46a)を有する内側スリーブ(46)であって、円筒状内側空洞(46a)の軸は前記回転軸(x)を定め、円筒状内側空洞(46a)内には前記スプール(40)が挿入される、内側スリーブ(46)とを更に備える、請求項に記載のサスペンション。
【請求項4】
前記流量制御弁(36)の前記外側ボディ(44)は、前記高圧ライン(28)に接続された少なくとも1つの第1の入口ポート(58)と、前記低圧ライン(32)に接続された少なくとも1つの第2の入口ポート(60’、60”)と、前記アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)に接続された少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)と、前記アクチュエータ(12)の前記伸張チャンバ(22)に接続された少なくとも1つの第2の出口ポート(62”)とを有し、
前記流量制御弁(36)の前記内側スリーブ(46)は、前記内側スリーブ(46)の全体的厚さを貫通して延在する流体通路ポート(80’、80”、82”、82”)が中に設けられた複数の円筒状領域(64、66、68、70、72)と、前記円筒状領域(64、66、68、70、72)の直径よりも大きな直径を有し、前記円筒状領域(64、66、68、70、72)を液密に互いから離間させる複数の円環状セクタ(74)とを有し、
前記複数の円筒状領域(64、66、68、70、72)は、
前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)及び前記少なくとも1つの第2の出口ポート(60”)にそれぞれ対向し、複数の第1の低圧ポート(80’)及び複数の第2の低圧ポート(80”)をそれぞれ有する一対の軸方向で最も外側の円筒状領域(64、72)と、
前記少なくとも1つの第1の入口ポート(58)に対向し、隣り合って位置する2つの周縁に配置された複数の第1の高圧ポート(82’)及び第2の高圧ポート(82”)を有する中央円筒状領域(68)と、
それぞれの軸方向で最も外側の円筒状領域(64、72)と前記中央円筒状領域(68)との間に各々が配置された一対の軸方向中間円筒状領域(66、70)であって、前記軸方向中間円筒状領域(66、70)のうちの一方(68)は前記少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)に対向し、複数の第1のポート(84)を有し、他方(70)は前記少なくとも1つの第2の出口ポート(62”)に対向し、複数の第2のポート(86)を有する、一対の軸方向中間円筒状領域(66、70)と
を含み、
前記スプール(40)は、その外側円筒状面(40a)に、前記回転軸(x)に平行に延在し、前記第1の低圧ポート(80’)、前記第1のポート(84)及び前記第1の高圧ポート(82’)と選択的に重複可能な長さ及び構成を有する複数の第1の長手方向チャンネル(88)と、前記回転軸(x)に平行に延在し、特にはそれぞれの第1の長手方向チャンネル(88)と各々が整列しており、前記第2の低圧ポート(80’)、前記第2のポート(86)及び前記第2の高圧ポート(82’)と選択的に重複可能な長さ及び構成を有する複数の第2の長手方向チャンネル(90)とを有し、
前記第1の長手方向チャンネル(88)及び前記第2の長手方向チャンネル(90)は、周縁方向において角度的に等しく離間されて配置され、
前記第1の長手方向チャンネル(88)は第1の径方向チャンネル(92)を介して互いに流体連通し、前記第2の長手方向チャンネル(90)は第2の径方向チャンネル(94)を介して互いに流体連通する、請求項3に記載のサスペンション。
【請求項5】
前記第1の低圧ポート(80’)及び前記第2の低圧ポート(80”)は、前記周縁方向において角度的に等しく離間されて配置され、前記複数の第1の低圧ポート(80’)及び前記複数の第2の低圧ポート(80”)の各々は、好ましくは、互いに対して90度の角度で配置された4つのポートを備え、前記第1の低圧ポート(80’)は、特には、前記第2の低圧ポート(80”)に対して45度の角度でオフセットされている、請求項4に記載のサスペンション。
【請求項6】
前記第1の高圧ポート(82’)は、第1の周縁上に角度的に等しく離間されて、特には互いに対して90度の角度で離間されて配置され、前記第2の高圧ポート(82’)は、第2の周縁上に角度的に等しく離間されて、特には互いに対して90度の角度で離間されて配置され、前記第1の高圧ポート(82’)に対して特定の角度、特には45度未満の角度でオフセットされている、請求項に記載のサスペンション。
【請求項7】
前記第1のポート(84)及び前記第2のポート(86)は、前記周縁方向に長細状になったスロットの形態に作られ、前記周縁方向において角度的に等しく離間されて配置され、特には、互いに対して90度の角度で配置された4つの第1のポート(84)及び4つの第2のポート(86)が設けられている、請求項に記載のサスペンション。
【請求項8】
前記流量制御弁(36)の前記スプール(40)は、前記スプール(40)の前記周縁に沿って延在し、前記第1の長手方向チャンネル(88)を互いに対して接続する第1の安全溝(96)と、前記スプール(40)の前記周縁に沿って延在し、前記第2の長手方向チャンネル(90)を互いに対して接続する第2の安全溝(98)とを更に有し、前記第1及び第2の安全溝(96、98)は、前記スプール(40)の前記第1及び第2の長手方向チャンネル(88、90)及び前記内側スリーブ(46)の前記第1及び第2のポート(84、86)の両方と比べて低減された流動断面積を有する、請求項に記載のサスペンション。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)と前記少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)との間の流路(F1)に配置され、前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)から前記少なくとも1つの第1の出口ポート(62’)への方向にだけ前記作動流体が流動することを可能とするように構成された第1のチェック弁(100)と、前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)と前記少なくとも1つの第2の出口ポート(62’)との間の流路(F2)に配置され、前記少なくとも1つの第2の出口ポート(62’)から前記少なくとも1つの第2の入口ポート(60’)への方向にだけ前記作動流体が流動することを可能とするように構成された第2のチェック弁(102)とを更に備える、請求項に記載のサスペンション。
【請求項10】
前記流量制御弁(36)は、
前記スプール(40)の前記ゼロ位置において、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)の両方が、前記高圧ライン(28)だけに、及び前記流量制御弁(36)を介して互いに対して接続され、
前記スプール(40)の前記第1の終端動作位置において、前記圧縮チャンバ(20)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記伸張チャンバ(22)が前記低圧ライン(32)だけに接続され、
前記ゼロ位置と前記第1の終端動作位置との間の前記スプール(40)の各中間動作位置において、前記圧縮チャンバ(20)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記伸張チャンバ(22)が前記高圧ライン(28)及び/又は前記低圧ライン(32)に接続され、
前記スプール(40)の前記第2の終端動作位置において、前記伸張チャンバ(22)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記圧縮チャンバ(20)が前記低圧ライン(32)だけに接続され、
前記ゼロ位置と前記第2の終端動作位置との間の前記スプール(40)の各中間動作位置において、前記伸張チャンバ(22)が前記高圧ライン(28)だけに接続される一方、前記圧縮チャンバ(20)が前記高圧ライン(28)及び/又は前記低圧ライン(32)に接続されるように構成される、請求項に記載のサスペンション。
【請求項11】
前記流量制御弁(36)は、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)の両方が前記低圧ライン(32)だけに接続される安全位置へと前記スプール(40)が移動可能であるようにも構成される、請求項に記載のサスペンション。
【請求項12】
前記流量制御弁(36)は、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)の両方が前記低圧ライン(32)だけに接続される安全位置へと前記スプール(40)が移動可能であるようにも構成され、前記流量制御弁(36)は、前記安全位置において、前記油圧アクチュエータ(12)の前記圧縮チャンバ(20)及び前記伸張チャンバ(22)が前記第1の安全溝(96)及び前記第2の安全溝(98)をそれぞれ介して前記低圧ライン(32)に接続されるように構成される、請求項に記載のサスペンション。
【請求項13】
前記流量制御弁(36)は、前記スプール(40)を前記安全位置に動かす傾向のある弾性リアクション・トルクを前記スプール(40)に及ぼすように配置された弾性手段(54)、特にはトーション・バーを更に備える、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項14】
ボディ(B)と、複数のホイール(W)と、前記各ホイール(W)について、それぞれの、請求項1から13までのいずれか一項に記載のサスペンション(10)とを備える車両。
【請求項15】
前記供給油圧回路(14)は、全ての油圧アクチュエータ(12a、12b、12c、12d)にそれぞれの高圧ライン(28a、28b、28c、28d)を介して供給を行うように適合された単一の油圧ポンプ(26)、又は、前記車両の第1の車軸の前記ホイールに関連付けられた全ての前記油圧アクチュエータにそれぞれの高圧ラインを介して供給を行うように適合された第1の油圧ポンプ及び前記車両の第2の車軸の前記ホイールに関連付けられた全ての前記油圧アクチュエータにそれぞれの高圧ラインを介して供給を行うように適合された第2の油圧ポンプ、更に又は、各油圧アクチュエータについて、それぞれの高圧ラインを介して前記油圧アクチュエータに供給を行うように適合されたそれぞれの油圧ポンプを備える、請求項14に記載の車両。
【国際調査報告】