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特表2025-501430遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/705 20060101AFI20250115BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250115BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20250115BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20250115BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C07K14/705 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K16/00
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N5/071
C12P21/02 C
A61K38/16
A61P35/00
A61P35/02
A61P15/00
A61P13/00
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577369
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022052373
(87)【国際公開番号】W WO2023121887
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,267
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523440260
【氏名又は名称】エフビーデー バイオロジクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジインタン
(72)【発明者】
【氏名】テン ハンファン
(72)【発明者】
【氏名】クオ パンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン チーリン
(72)【発明者】
【氏名】チュオ ゾン シェン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG26
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4B065AA90X
4B065AA93Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA06
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA22
4C084BA34
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
シグナル調節タンパク質α(SIRPα)は、SIRPファミリー由来の調節膜糖タンパク質である。これは主に骨髄細胞によって発現され、幹細胞又はニューロンによっても発現される。SIRPαは、阻害性受容体として作用し、広く発現される膜貫通タンパク質CD47と相互作用する。本開示は、遺伝子操作されたSIRPαバリアント、及びその使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、BCループ、C’Dループ、及び/又はDEループに1つ以上のアミノ酸変異を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項2】
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、A、H、N、I、R、G、S、D、又はLである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、W、F、Q、L、D、K、R、A、又はPである、及び
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、P、I、T、N、V、R、L、S、G、又はQである、
のうち、1つ以上を含む、請求項1に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、I、T、N、V、L、S、G、又はQである、請求項1又は2に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、W、K、Y、L、A、N、又はTである、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、W、K、Y、L、A、又はNである、請求項4に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項6】
(a)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Q又はNである、及び
(b)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである、
のうち、1つ以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項7】
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、N又はTである、及び
(b)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである、
のうち、1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項8】
(a)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、G、F、R、A、L、又はTである、
(b)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、R又はYである、及び
(c)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである、
のうち、1つ以上を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1のK53に対応するアミノ酸がRである、請求項1~8のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1のK53に対応するアミノ酸がRではない、請求項1~8のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項11】
(a)配列番号1の位置27に対応するアミノ酸が、V又はLである、
(b)配列番号1の位置63に対応するアミノ酸が、Vである、及び
(c)配列番号1の位置68に対応するアミノ酸が、Kである、
のうち、1つ以上を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項12】
配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、又は45と少なくとも85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項13】
配列番号1又は配列番号2と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Wである、及び
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項14】
配列番号2と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項15】
配列番号1又は配列番号3と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Fである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Iである、及び
(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Gである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項16】
配列番号3と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項17】
配列番号1又は配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Nである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Hである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Qである、及び
(f)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項18】
配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項19】
配列番号1又は配列番号5と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Nである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Lである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Iである、及び
(d)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項20】
配列番号5と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項21】
配列番号1又は配列番号6と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Iである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Lである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び
(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Yである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項22】
配列番号6と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項23】
配列番号1又は配列番号7と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Kである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び
(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項24】
配列番号7と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項25】
配列番号1又は配列番号8と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Gである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Nである、及び
(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Fである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項26】
配列番号8と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項27】
配列番号1又は配列番号9と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び
(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Fである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項28】
配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項29】
配列番号1又は配列番号10と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Vである、及び
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Rである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項30】
配列番号10と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項31】
配列番号1又は配列番号11と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Gである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、及び
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Aである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項32】
配列番号11と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項33】
配列番号1又は配列番号12と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Dである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Fである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Lである、及び
(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項34】
配列番号12と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項35】
配列番号1又は配列番号13と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Aである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Lである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Sである、及び
(e)配列番号1のN71に対応するアミノ酸が、Sである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項36】
配列番号13と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項37】
配列番号1又は配列番号14と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Tである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである、及び
(f)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項38】
配列番号14と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項39】
配列番号1又は配列番号33と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Aである、及び
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項40】
配列番号33と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項41】
配列番号1又は配列番号34と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Pである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、及び
(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Lである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項42】
配列番号34と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項41に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項43】
配列番号1又は配列番号35と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、及び
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Rである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項44】
配列番号34と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項45】
配列番号1又は配列番号36と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Gである、及び
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Tである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項46】
配列番号36と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項45に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項47】
配列番号1又は配列番号37と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のS29に対応するアミノ酸が、Qである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Hである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び
(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Nである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項48】
配列番号37と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項47に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項49】
配列番号1又は配列番号38と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Pである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、及び
(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Lである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項50】
配列番号38と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項51】
配列番号1又は配列番号39と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、及び
(d)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項52】
配列番号39と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項51に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項53】
配列番号1又は配列番号40と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Tである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、及び
(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Gである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項54】
配列番号40と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項53に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項55】
配列番号1又は配列番号41と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、及び
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項56】
配列番号41と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項55に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項57】
配列番号1又は配列番号42と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Nである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、及び
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項58】
配列番号42と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項57に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項59】
配列番号1又は配列番号43と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、及び
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項60】
配列番号43と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項61】
配列番号1又は配列番号44と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Nである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、及び
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項62】
配列番号44と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項61に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項63】
配列番号1又は配列番号45と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、及び
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである、
のうち、1つ以上を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項64】
配列番号45と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項63に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項65】
CH2ドメインと、CH3ドメインとを更に含む、請求項1~64のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項66】
ヒンジ領域を更に含む、請求項65に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項67】
前記CH2ドメインがIgG CH2ドメインであり、かつ前記CH3ドメインがIgG CH3ドメインである、請求項65に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項68】
配列番号15~28及び46~58のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項65に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド。
【請求項69】
請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを含む、タンパク質構築物。
【請求項70】
2つ以上の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを含む、請求項69に記載のタンパク質構築物。
【請求項71】
少なくとも2つの遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドが同一である、請求項70に記載のタンパク質構築物。
【請求項72】
少なくとも2つの遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドが異なる、請求項70に記載のタンパク質構築物。
【請求項73】
Fc領域を更に含む、請求項69に記載のタンパク質構築物。
【請求項74】
前記Fc領域が、IgG4 Fc領域である、請求項73に記載のタンパク質構築物。
【請求項75】
前記Fc領域が、IgG1 Fc領域(例えば、LALA変異又はLALA-PG変異を有する)である、請求項73に記載のタンパク質構築物。
【請求項76】
タンパク質構築物であって、
請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドと、第1のCH2ドメインと、第1のCH3ドメインとを含む、第1の融合ポリペプチドと、
第2のCH2ドメインと、第2のCH3ドメインとを含む、第2の融合ポリペプチドと
を含み、
前記第1の融合ポリペプチド及び前記第2の融合ポリペプチドが互いに会合して二量体を形成している、
タンパク質構築物。
【請求項77】
前記第2の融合ポリペプチドが、第2の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを更に含む、請求項76に記載のタンパク質構築物。
【請求項78】
請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は請求項69~77のいずれか一項に記載のタンパク質構築物と、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項79】
請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は請求項69~77のいずれか一項に記載のタンパク質構築物をコードする、核酸。
【請求項80】
請求項79に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項81】
請求項79に記載の核酸を含む、細胞。
【請求項82】
CHO細胞である、請求項81に記載の細胞。
【請求項83】
遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は前記遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを含むタンパク質構築物を産生する方法であって、
(a)請求項81又は82に記載の細胞を、前記細胞が前記遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は前記タンパク質構築物を産生するのに十分な条件下で培養することと、
(b)前記細胞によって産生された、前記遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は前記タンパク質構築物を回収することと
を含む、方法。
【請求項84】
がんを有する対象を治療する方法であって、請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は請求項69~77のいずれか一項に記載のタンパク質構築物を含む組成物の治療有効量を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項85】
前記対象が固形腫瘍又は血液がんを有する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記がんが、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳がん、膀胱がん、卵巣がん、又は小細胞肺がん腫瘍である、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
腫瘍増殖の速度を低下させる方法であって、
腫瘍細胞を、請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は請求項69~77のいずれか一項に記載のタンパク質構築物を含む組成物の有効量と接触させること
を含む、方法。
【請求項88】
腫瘍細胞を殺滅する方法であって、
腫瘍細胞を、請求項1~68のいずれか一項に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は請求項69~77のいずれか一項に記載のタンパク質構築物を含む組成物の有効量と接触させること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年12月21日出願の米国特許仮出願第63/292,267号の優先権及び利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、52246-0004WO1_SL_ST26.xmlという名称のXMLファイルとして電子的に提出された配列表を含む。2022年12月5日に作成されたXMLファイルは、65,094バイトのサイズである。XMLファイル内の資料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本開示は、遺伝子操作されたSIRPαバリアント、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
シグナル調節タンパク質α(SIRPα)は、SIRPファミリー由来の調節膜糖タンパク質である。これは主に骨髄細胞によって発現され、幹細胞又はニューロンによっても発現される。SIRPαは、阻害性受容体として作用し、広く発現される膜貫通タンパク質CD47と相互作用する。この相互作用は、宿主細胞貪食などの自然免疫細胞のエフェクター機能を負に制御する。SIRPαは、マクロファージ膜上で横方向に拡散し、貪食シナプスに蓄積してCD47に結合し、これがマクロファージによる貪食の細胞骨格集中プロセスを阻害する。
【0005】
CD47は、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)のN末端に結合することによって「do not eat」シグナルを提供する。これは、多くの異なる腫瘍細胞において過剰発現されることが見出されている。CD47及び/又はSIRPαを標的とすることは、がん免疫療法に有用であり得る。しかし、CD47とSIRPαとの間の相互作用は、赤血球、血小板、及びリンパ球を脾臓マクロファージによる迅速な排除から保護するために必要である。限定された毒性を有するCD47/SIRPα経路を標的とするがん療法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
概要
本開示は、遺伝子操作されたSIRPαバリアント、及びその使用方法に関する。
【0007】
一態様では、本開示は、配列番号1と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、BCループ、C’Dループ、及び/又はDEループに1つ以上のアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、A、H、N、I、R、G、S、D、又はLである、(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、W、F、Q、L、D、K、R、A、又はPである、及び(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、P、I、T、N、V、R、L、S、G、又はQである。
【0008】
いくつかの実施形態では、配列番号1のH56に対応するアミノ酸は、I、T、N、V、L、S、G、又はQである。いくつかの実施形態では、配列番号1のI31に対応するアミノ酸は、W、K、Y、L、A、N、又はTである。いくつかの実施形態では、配列番号1のI31に対応するアミノ酸は、W、K、Y、L、A、又はNである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Q又はNである、及び(b)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、N又はTである、(b)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、G、F、R、A、L、又はTである、(b)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、R又はYである、及び(c)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである。
【0010】
いくつかの実施形態では、配列番号1のK53に対応するアミノ酸は、Rである。いくつかの実施形態では、配列番号1のK53に対応するアミノ酸は、Rではない。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1の位置27に対応するアミノ酸が、V又はLである、(b)配列番号1の位置63に対応するアミノ酸が、Vである、及び(c)配列番号1の位置68に対応するアミノ酸が、Kである。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、又は45と少なくとも85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0013】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号2と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Wである、及び(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号2と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0014】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号3と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Fである、(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Iである、及び(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Gである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号3と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0015】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Nである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Hである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Qである、及び(f)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0016】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号5と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Nである、(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Lである、(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Iである、及び(d)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号5と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0017】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号6と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Iである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Lである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Yである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号6と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0018】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号7と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Kである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号7と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0019】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号8と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Gである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Nである、及び(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Fである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号8と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0020】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号9と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Fである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0021】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号10と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Lである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Vである、及び(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Rである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号10と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0022】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号11と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Gである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Rである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、及び(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Aである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号11と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0023】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号12と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Lである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Dである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Fである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Lである、及び(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号12と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0024】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号13と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Aである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Lである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Sである、及び(e)配列番号1のN71に対応するアミノ酸が、Sである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号13と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0025】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号14と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Tである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである、及び(f)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号14と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0026】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号33と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Aである、及び(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号33と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0027】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号34と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Pである、(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、及び(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Lである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号34と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0028】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号35と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、及び(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Rである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号34と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0029】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号36と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Aである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Gである、及び(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Tである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号36と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0030】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号37と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のS29に対応するアミノ酸が、Qである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Hである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Rである、(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、及び(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Nである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号37と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0031】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号38と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Pである、(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、及び(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Lである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号38と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0032】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号39と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、及び(d)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号39と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0033】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号40と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Tである、(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、及び(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Gである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号40と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0034】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号41と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、及び(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号41と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0035】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号42と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Nである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、及び(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号42と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0036】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号43と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、及び(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号43と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0037】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号44と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Nである、(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、及び(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号44と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0038】
一態様では、本開示は、配列番号1又は配列番号45と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドに関し、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を含む:(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、及び(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号45と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、CH2ドメイン及びCH3ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、ヒンジ領域を更に含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインはIgG CH2ドメインであり、CH3ドメインはIgG CH3ドメインである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号15~28及び46~58のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0040】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを含むタンパク質構築物に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質構築物は、2つ以上の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質構築物は、Fc領域を更に含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgG4 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgG1 Fc領域(例えば、LALA変異又はLALA-PG変異を有する)である。
【0041】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドと、第1のCH2ドメインと、第1のCH3ドメインとを含む、第1の融合ポリペプチドと、第2のCH2ドメインと、第2のCH3ドメインとを含む、第2の融合ポリペプチドとを含む、タンパク質構築物に関する。いくつかの実施形態では、第1の融合ポリペプチド及び第2の融合ポリペプチドは、互いに会合して、二量体を形成する。いくつかの実施形態では、第2の融合ポリペプチドは、第2の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを更に含む。
【0042】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は本明細書に記載のタンパク質構築物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物に関する。
【0043】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は本明細書に記載のタンパク質構築物をコードする、核酸に関する。一態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸を含む、ベクターに関する。一態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸を含む、細胞に関する。いくつかの実施形態では、細胞はCHO細胞である。
【0044】
一態様では、本開示は、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドを含むタンパク質構築物を産生する方法に関し、この方法は、(a)本明細書に記載の細胞を、この細胞が遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又はタンパク質構築物を産生するのに十分な条件下で培養することと、(b)細胞によって産生された、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又はタンパク質構築物を回収することとを含む。
【0045】
一態様では、本開示は、がんを有する対象を治療する方法に関し、この方法は、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は本明細書に記載のタンパク質構築物を含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、固形腫瘍又は血液がんを有する。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳がん、膀胱がん、卵巣がん、又は小細胞肺がん腫瘍である。
【0046】
一態様では、本開示は、腫瘍増殖の速度を低下させる方法に関し、この方法は、腫瘍細胞を、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は本明細書に記載のタンパク質構築物を含む組成物の有効量と接触させることを含む。
【0047】
一態様では、本開示は、腫瘍細胞を殺滅する方法に関し、この方法は、腫瘍細胞を、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド又は本明細書に記載のタンパク質構築物を含む組成物の有効量と接触させることを含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「遺伝子操作されたSIRPαポリペプチド」という用語は、1つ以上の変異(例えば、挿入、欠失、又は置換)を有する野生型SIRPαポリペプチド又はその一部(例えば、SIRPαの細胞外領域、又はSIRPαのIgVドメイン)に由来するポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、SIRPαの細胞外領域を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、SIRPαのIgVドメインを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、改変されたIgVドメインである。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「タンパク質構築物」という用語は、1つ以上のポリペプチドを有する複合体を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質構築物は2つ以上のポリペプチドを有し、ポリペプチドは互いに会合して二量体又は多量体を形成することができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、未制御で自律的な増殖の能力を有する細胞を指す。このような細胞の例としては、急速に増殖する細胞成長によって特徴付けられる異常な段階又は状態を有する細胞が挙げられる。この用語は、がん性増殖、例えば腫瘍、組織病理学的タイプ又は侵襲性の段階にかかわらず、腫瘍形成プロセス、転移組織、及び悪性形質転換した細胞、組織、又は器官を含むことを意味する。呼吸器系、心血管系、腎臓系、生殖系、血液系、神経系、肝臓系、消化器系、及び内分泌系などの様々な臓器系の悪性腫瘍、並びに、多くの結腸がん、腎細胞がん、前立腺がん及び/又は精巣腫瘍、非肺小細胞がん、及び小腸がんなどの悪性腫瘍を含む腺がんも含まれる。「自然発生する」がんは、対象へのがん細胞の移植によって実験的に誘導されていない任意のがんを含み、例えば、自然発生的ながん、患者の発がん物質への曝露によって引き起こされるがん、トランスジェニックがん遺伝子の挿入又は腫瘍抑制遺伝子のノックアウトから生じるがん、及び感染症、例えば、ウイルス感染症によって引き起こされるがんを含む。「がん腫」という用語は当技術分野で認識されており、上皮組織又は内分泌組織の悪性腫瘍を指す。この用語はまた、がん性及び肉腫性組織から構成される悪性腫瘍を含むがん肉腫を含む。「腺がん」は、腺組織に由来するがん腫、又は腫瘍細胞が認識可能な腺状構造を形成するがん腫を指す。「肉腫」という用語は当技術分野で認識されており、間葉由来の悪性腫瘍を指す。「造血器腫瘍性疾患」という用語は、造血起源の過形成/新生細胞が関与する疾患を含む。造血器腫瘍性疾患は、骨髄系統、リンパ系統若しくは赤血球系統、又はそれらの前駆細胞から生じ得る。血液がんは、骨髄などの造血組織において、又は免疫系の細胞において始まるがんである。血液がんの例としては、例えば、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫などが挙げられる。
【0051】
本明細書中で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書全体を通して互換的に使用され、本発明の方法による処置が提供される動物(ヒト又は非ヒト)を説明する。獣医学的及び非獣医学的適用が、本開示において企図される。ヒト患者は、成人又は若年者(例えば、18歳未満のヒト)であり得る。ヒトに加えて、患者としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、フェレット、ネコ、イヌ、及び霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ゴリラなど)、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、フェレット、ウサギ)、ウサギ類、ブタ(swine)(例えば、ブタ、ミニブタ)、ウマ、イヌ、ネコ、ウシ、並びに他の飼育動物、家畜、及び動物園の動物が含まれる。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、少なくとも2つのアミノ酸である任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。
【0053】
本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」、「核酸分子」、及び「核酸配列」という用語は、本明細書中で互換的に使用され、少なくとも2つのヌクレオチドである任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、及びそれらの改変体を含むが、これらに限定されない。
【0054】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されており、当技術分野で既知の他の適切な方法及び材料も使用することができる。材料、方法、及び実施例は、単に例示的なものであり、限定を意図したものではない。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、及び他の参考文献は、その全体が参考として組み込まれる。矛盾のある場合、定義を含め本明細書が適用される。
【0055】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】ヒトSIRPαのIgVドメインの3Dタンパク質構造を示す。9つのβ鎖(A-B-C-C’-D-E-F-G-G2)及び5つのループ領域(BCループ、CC’ループ、C’Dループ、DEループ、及びFGループ)が表示されている。
図2】ヒトSIRPαのIgVドメインのアミノ酸残基を示す。この配列(配列番号1)は、GenBankアクセッション番号CAA71403.1(配列番号30)のアミノ酸31~148と同一である。BCループ、C’Dループ、及びDEループ内の残基に下線を付す。
図3】A~Dは、K53、G55、E54、及びH56の残基スキャン結果を示す。
図4A】56個の選択されたクローンの発現レベル(450nmでの吸光度又はOD450)、hCD47/hSIRPα遮断(450nmでの吸光度又はOD450)、hCD47/hSIRPα遮断能、ヒトCD47結合(450nmでの吸光度又はOD450)、ヒトCD47結合能(B)/発現(E)比、及びマウスCD47結合(450nmでの吸光度又はOD450)のデータを示す表である。
図4B】56個の選択されたクローンの発現レベル(450nmでの吸光度又はOD450)、hCD47/hSIRPα遮断(450nmでの吸光度又はOD450)、hCD47/hSIRPα遮断能、ヒトCD47結合(450nmでの吸光度又はOD450)、ヒトCD47結合能(B)/発現(E)比、及びマウスCD47結合(450nmでの吸光度又はOD450)のデータを示す表である。
図5】hSIRPα-Fcタンパク質の概略構造を示す。2つのSIRPα IgVドメインが、ヒトIgG4ヒンジ及びFc領域のN末端に接続されている。
図6】野生型SIRPα IgVドメイン及び13個の選択されたクローン(mt3~mt15)のBCループ領域、C’Dループ領域、及びDEループ領域内の特定のアミノ酸変異を示す。
図7】hSIRPα-Fc変異タンパク質のHPLC-SECによる精製結果を示す。
図8】hSIRPα-Fc変異タンパク質のCD47-ECD-Hisに対するOctet(登録商標)システムによる結合親和性の結果を示す。
図9A】それぞれ、CD47トランスフェクトCHO-S細胞、Jurkat細胞、及びRaji細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図9B】それぞれ、CD47トランスフェクトCHO-S細胞、Jurkat細胞、及びRaji細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図9C】それぞれ、CD47トランスフェクトCHO-S細胞、Jurkat細胞、及びRaji細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図9D】それぞれ、CD47 tf CHO-S及びRaji細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図9E】それぞれ、CD47 tf CHO-S及びRaji細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図10A】hSIRPα-Fc変異タンパク質のRBC結合結果を示す。ヒト赤血球を2人のドナーから採取した。
図10B】hSIRPα-Fc変異タンパク質のRBC結合結果を示す。ヒト赤血球を2人のドナーから採取した。
図10C】hSIRPα-Fc変異タンパク質のRBC結合結果を示す。ヒト赤血球を2人のドナーから採取した。
図10D】hSIRPα-Fc変異タンパク質のRBC結合結果を示す。ヒト赤血球を2人のドナーから採取した。
図11A】hSIRPα-Fc変異タンパク質の血小板結合結果を示す。ヒト血小板を2人のドナーから採取した。
図11B】hSIRPα-Fc変異タンパク質の血小板結合結果を示す。ヒト血小板を2人のドナーから採取した。
図11C】hSIRPα-Fc変異タンパク質の血小板結合結果を示す。ヒト血小板を2人のドナーから採取した。
図11D】hSIRPα-Fc変異タンパク質の血小板結合結果を示す。ヒト血小板を2人のドナーから採取した。
図12A】cynoCD47 tf CHO-S細胞、又はLLC-MK2細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図12B】cynoCD47 tf CHO-S細胞、又はLLC-MK2細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図12C】cynoCD47 tf CHO-S細胞、又はLLC-MK2細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図13A】EMT-6細胞に対するhSIRPα-Fc変異タンパク質の全細胞結合の結果を示す。
図13B図13Aの低MFI領域の拡大図である。
図14A】hSIRPα-Fc変異タンパク質を用いたRBC赤血球凝集アッセイの結果を示す。ヒトRBC細胞を3人のドナーから採取した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用して赤血球凝集を誘導した。
図14B】hSIRPα-Fc変異タンパク質を用いたRBC赤血球凝集アッセイの結果を示す。ヒトRBC細胞を3人のドナーから採取した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用して赤血球凝集を誘導した。
図14C】hSIRPα-Fc変異タンパク質を用いたRBC赤血球凝集アッセイの結果を示す。ヒトRBC細胞を3人のドナーから採取した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用して赤血球凝集を誘導した。
図15A】それぞれCD47 tf CHO-S細胞、FaDu細胞、及びRaji細胞を使用したhSIRPα-Fc変異タンパク質のhCD47/hSIRPα遮断能を示す。
図15B】それぞれCD47 tf CHO-S細胞、FaDu細胞、及びRaji細胞を使用したhSIRPα-Fc変異タンパク質のhCD47/hSIRPα遮断能を示す。
図15C】それぞれCD47 tf CHO-S細胞、FaDu細胞、及びRaji細胞を使用したhSIRPα-Fc変異タンパク質のhCD47/hSIRPα遮断能を示す。
図15D】CD47 tf CHO-S細胞を使用したhSIRPα-Fc変異タンパク質のhCD47/hSIRPα遮断能を示す。
図15E】CD47 tf CHO-S細胞を使用したhSIRPα-Fc変異タンパク質のhCD47/hSIRPα遮断能を示す。
図16A】それぞれJurkat、FaDu、及びRaji細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図16B】それぞれJurkat、FaDu、及びRaji細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図16C】それぞれJurkat、FaDu、及びRaji細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図16D】それぞれDLD1、及びRaji細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図16E】それぞれDLD1、及びRaji細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図17A】ヒトRBC細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図17B】ヒト血小板に対するRaw264.7マウスマクロファージによるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図18A】それぞれ、Raji、DLD1、及びJurkat細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図18B】それぞれ、Raji、DLD1、及びJurkat細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図18C】それぞれ、Raji、DLD1、及びJurkat細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図18D】DLD1細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。
図19A】RBC細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。ヒトRBC細胞を2人のドナーから採取した。
図19B】RBC細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。ヒトRBC細胞を2人のドナーから採取した。
図19C】RBC細胞に対するヒト単球由来マクロファージ(MDM)によるhSIRPα-Fc変異タンパク質により誘導された貪食能を示す。ヒトRBC細胞を2人のドナーから採取した。
図20A】hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-wt(Trillium TTI-622)、又はHu5F9-IgG4で処置したRaji異種移植片担持NOD/SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示す。対照群マウスにはプラセボを投与した。
図20B】hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-wt(Trillium TTI-622)、Hu5F9-IgG4、又はプラセボで処置したRaji異種移植片担持NOD/SCIDマウスにおける接種後18日目の個々の腫瘍体積を示す。
図20C】hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-wt(Trillium TTI-622)、Hu5F9-IgG4、又はプラセボで処置したRaji異種移植片担持NOD/SCIDマウスの生存曲線を示す。
図21A】hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-wt(Trillium TTI-622)、又はHu5F9-IgG4で処置したNCI_H82異種移植片担持NOD/SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示す。対照群マウスにはプラセボを投与した。
図21B】hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-wt(Trillium TTI-622)、Hu5F9-IgG4、又はプラセボで処置したNCI_H82異種移植片担持NOD/SCIDマウスにおける接種後25日目の個々の腫瘍体積を示す。
図21C】hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-wt(Trillium TTI-622)、Hu5F9-IgG4、又はプラセボで処置したNCI_H82異種移植片担持NOD/SCIDマウスの生存曲線を示す。
図22-1】ヒトSIRPαの野生型IgVドメイン又はIgVドメイン変異体のアミノ酸配列を列挙する。
図22-2】ヒトSIRPαの野生型IgVドメイン又はIgVドメイン変異体のアミノ酸配列を列挙する。
図23-1】本開示で説明されるタンパク質配列を列挙する。
図23-2】本開示で説明されるタンパク質配列を列挙する。
図23-3】本開示で説明されるタンパク質配列を列挙する。
図23-4】本開示で説明されるタンパク質配列を列挙する。
図23-5】本開示で説明されるタンパク質配列を列挙する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
詳細な説明
シグナル調節タンパク質α(SIRPα、SIRPa、又はCD172A)は、膜貫通タンパク質である。これは、3つのIg様ドメインを含む細胞外領域と、タンパク質チロシンホスファターゼSHP1及びSHP2の結合を媒介する免疫受容体チロシン系阻害モチーフを含む細胞質領域とを有する。SIRPαのチロシンリン酸化は、種々の増殖因子及びサイトカインによって、並びに細胞外マトリックスタンパク質へのインテグリン媒介細胞接着によって調節される。SIRPαは、マクロファージ及び樹状細胞などの骨髄細胞において特に豊富であるが、T、B、NK、及びNKT細胞においては低レベルでしか発現されない。
【0058】
SIRPαの細胞外領域は、そのリガンドのCD47と相互作用することができる。マクロファージ上のSIRPαと赤血球上のCD47との相互作用は、インビトロ及びインビボでマクロファージによるIgオプソニン化赤血球の貪食を防止する。隣接細胞上に発現されたCD47による食細胞上へのSIRPαのライゲーションは、SIRPαの細胞質免疫受容体チロシン系阻害(ITIM)モチーフのリン酸化をもたらし、SHP-1及びSHP-2ホスファターゼの動員をもたらす。1つの結果として生じる下流効果は、貪食シナプスにおけるミオシン-IIA蓄積の防止、及びその結果としての貪食の阻害である。したがって、CD47-SIRPα相互作用は、健康な自己細胞が不適切に貪食されないことを確実にするために「don’t eat me」シグナルを送信する負の免疫チェックポイントとして機能する。しかしながら、CD47の過剰発現は、ほとんど全てのタイプの腫瘍においても見出されており、そのいくつかには、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、膀胱がん、及び乳がんが含まれる。マクロファージのそのような負の調節は、CD47のSIRPαへの結合を遮断することによって最小限に抑えることができる。
【0059】
CD47/SIRPα相互作用の遮断は、細胞貪食を促進することができ、したがって、様々ながんを治療するために使用することができる。それは、自然免疫によるがん細胞の認識及び排除を誘発する。CD47又はSIRPαを標的とする薬剤は、様々な腫瘍及びがん、例えば、固形腫瘍、血液悪性腫瘍(例えば、再発性又は難治性血液悪性腫瘍)、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳がん、膀胱がん、卵巣がん、及び小細胞肺がん腫瘍を治療するために使用することができる。
【0060】
SIRPα及びその機能の詳細な説明は、例えば、Yanagita et al.「Anti-SIRPα antibodies as a potential new tool for cancer immunotherapy.」JCI insight 2.1(2017);Seiffert et al.「Signal-regulatory protein α (SIRPα)but not SIRPβ is involved in T-cell activation, binds to CD47 with high affinity,and is expressed on immature CD34+ CD38- hematopoietic cells.」Blood 97.9(2001):2741-2749;に見出すことができ、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
更に、SIRPαは、マクロファージによる、赤血球及び血小板を含むCD47発現宿主細胞のインビボクリアランスを阻害するように作用する。CD47-SIRPα相互作用はまた、造血幹細胞への生着に必須であるようである。CD47/SIRPα相互作用の遮断は、正常な赤血球の偶発的な殺滅を引き起こす可能性があり、潜在的に貧血をもたらし、炎症を誘発する。したがって、例えば、赤血球に対する限定された又は制御された影響を有する、SIRPα標的化剤とCD47との相互作用を調節することが重要である。
【0062】
本開示は、遺伝子操作されたSIRPαバリアントを提供する。これらの遺伝子操作されたSIRPαバリアントは、CD47/SIRPα経路を標的化するために使用することができるが、遺伝子操作されたSIRPαバリアントとCD47との相互作用は慎重に調節される。
【0063】
遺伝子操作されたSIRPαバリアント
ヒトSIRPαは、シグナル調節タンパク質(SIRP)のメンバーである。シグナル調節タンパク質は、必須の細胞表面タンパク質相互作用及びシグナル伝達を媒介する細胞表面Igスーパーファミリータンパク質である。SIRPは全て、N末端細胞外領域、単一の膜貫通ドメイン及びC末端細胞内領域を含む。
【0064】
ヒトSIRPα(UniProt識別子:P78324)の細胞外領域は、IgVドメイン、Ig様C1タイプ1ドメイン、及びIg様C1タイプ2ドメインを有する。これらは、ヒトSIRPαタンパク質(配列番号31、NP_542970:1)のアミノ酸32~137、アミノ酸148~247、及びアミノ酸254~348に対応する。アミノ酸1~30はシグナルペプチドである。ヒトSIRPαはまた、2つの推定される免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含む長い細胞内ドメインを有する。SIRPα ITIMの活性化は、細胞応答を負に調節する阻害シグナルを送達する。
【0065】
CD47へのSIRPαの結合は、SIRPαの細胞外IgVドメインを介して媒介される。hSIRPaのIgVドメインは、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、A-B-C-C’-D-E-F-G-G2を含む9つのβ鎖を含有する。ヘリックスは、E鎖とF鎖との間に位置する(図1)。
【0066】
hSIRPαと複合体化したヒトCD47(hCD47)の構造に基づいて、CD47と相互作用する残基が決定される。解析結果は、hSIRPα IgVドメインのBCループ(配列番号1のアミノ酸24~36に対応)、C’Dループ(配列番号1のアミノ酸53~56に対応)、及びDEループ(配列番号1のアミノ酸61~78に対応)内に位置する複数の相互作用残基が高度に保存されていることを示す。図1Bでは、これらのループ領域内のアミノ酸残基に下線が引かれている。これらの領域は変異の標的である。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、BCループ、C’Dループ、及び/又はDEループに1つ以上のアミノ酸置換を含むか、又はそれらからなる。
【0067】
更なる分析は、hSIRPαのLeu30、Gly34、Gln52、Lys53、Glu54、His56、Ser66、Thr67、Arg69、Lys93、Lys96、Gly97、及びAsp100が、CD47との相互作用に関与することを示す。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、Leu30、Gly34、Gln52、Lys53、Glu54、His56、Ser66、Thr67、Arg69、Lys93、Lys96、Gly97、及び/又はAsp100に1つ以上のアミノ酸変異を含み得る。
【0068】
加えて、Lys53及びSer66は、CD47に対するhSIRPαの結合親和性を増加させるために重要であり得ることが決定されている。Lys53はC’Dループ上に位置し、S66はDEループ上に位置する。位置53のLysの変異は、CD47に対するhSIRPαの結合親和性を増加させるために重要であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、配列番号1のK53に対応するアミノ酸は、Rである。加えて、構造変化による位置54の立体障害の排除はまた、C’Dループの構造の変化もまた示唆し、それもまた、hSIRPαのCD47への結合親和性を増加させる機会を増加させ得る。C’Dループの変異は、CD47に対する結合親和性の増加を提供できる固有の変異をスクリーニングするためのより柔軟なアプローチを提供する。
【0069】
残基スキャンの結果によれば、Lys53は、アルギニン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンなどの長い側鎖又は芳香環を有する側鎖を有するアミノ酸によって置換された場合、安定性を増加させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、配列番号1のK53に対応するアミノ酸は、アルギニン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシンである。いくつかの実施形態では、配列番号1のK53に対応するアミノ酸は、Rではない。
【0070】
一方、Glu54、Gly55、及びHis56での変異を指示することは、より柔軟であり得、より有利であり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を有し得る:(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、A、H、N、I、R、G、S、D又はLである、(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、W、F、Q、L、D、K、R、A、又はPである、(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、P、I、T、N、V、R、L、S、G、又はQである。
【0071】
Thr67は、相互作用に直接関与する残基であり、CD47に対するThr67の距離を減少させることによって、CD47に対するhSIRPαの結合親和性を増加させ得る。残基Ser66及びThr67の置換は、DEループをCD47により近くすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下のうちの1つ以上を有し得る:(a)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Q又はNである、(b)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである。
【0072】
CD47/hSIRPa複合体のいくつかの他の界面もまた、本開示において観察される。残基Ile31、Val33、及びArg69は、正電荷ポケットを形成することができる。CD47のFGループは、2つの領域の電荷及び形状の相補性のために、正電荷ポケットに完全に埋め込まれている。したがって、いくつかの実施形態では、配列番号1のI31に対応するアミノ酸は、W、K、Y、L、A、N、又はTである。いくつかの実施形態では、配列番号1のI31に対応するアミノ酸は、W、K、Y、L、A、又はNである。
【0073】
加えて、本開示における分析は、Val27、Val63、及びLys68がhSIRPαの構造を維持するために重要であり得ることを示す。したがって、いくつかの実施形態では、これらのアミノ酸残基は保持される。要約すると、Ile31、Glu54、Gly55、His56、Ser66、及びThr67が、hSIRPα変異スクリーニングの候補アミノ酸として同定される。
【0074】
したがって、一態様では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、又は45と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0075】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号9と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号14と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号41と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号42と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号43と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号44と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号45と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0076】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアントは、配列番号1~14及び33~45のいずれか1つと比較して、少なくとも又は約1個(例えば、少なくとも又は約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40個)のアミノ酸挿入、欠失、又は置換を有し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を有する:
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、A、H、N、I、R、G、S、D、又はLである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、W、F、Q、L、D、K、R、A又はPである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、P、I、T、N、V、R、L、S、G、又はQである。
【0078】
いくつかの実施形態では、配列番号1のH56に対応するアミノ酸は、I、T、N、V、L、S、G、又はQである。いくつかの実施形態では、配列番号1のI31に対応するアミノ酸は、W、K、Y、L、A、N、I、又はTである。いくつかの実施形態では、配列番号1のI31に対応するアミノ酸は、W、K、Y、L、A、N、又はIである。
【0079】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Q又はNである、
(b)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである。
【0080】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、R、N、又はTである、
(b)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである。
【0081】
いくつかの実施形態では、配列番号1のH24に対応するアミノ酸は、N又はTである。
【0082】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、G、F、R、A、L、又はTである、
(b)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、R又はYである、及び
(c)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである。
【0083】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1の位置27に対応するアミノ酸が、V又はLである、
(b)配列番号1の位置63に対応するアミノ酸が、Vである、及び
(c)配列番号1の位置68に対応するアミノ酸が、Kである。
【0084】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、R、N、又はTである、
(b)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである、
(c)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、
(d)配列番号1のS29に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、W、K、Y、L、A、又はNである、
(f)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、A、H、N、I、R、G、S、D、又はLである、
(g)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、W、F、Q、L、D、K、R、A、又はPである、
(h)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、P、I、T、N、V、R、L、S、G、又はQである、
(i)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Q又はNである、
(j)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである、
(k)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、G、F、R、A、L、又はTである、
(l)配列番号1のN71に対応するアミノ酸が、Sである、
(m)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、R又はYである、及び
(n)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである。
【0085】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含まないか、又はそれらから構成されない:
(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、I又はLである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、F、S、又はTである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Qである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、P又はRである、
(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、T又はGである、
(f)配列番号1のK68に対応するアミノ酸が、K又はRである、及び
(g)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Nである。
【0086】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Wである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである。
【0087】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号2)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0088】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Fである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Iである、
(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Gである。
【0089】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号3)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0090】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Nである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Hである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Qである、
(f)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。
【0091】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号4)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0092】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Nである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Lである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Iである、
(d)配列番号1のT67に対応するアミノ酸が、Gである。
【0093】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号5)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0094】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のT26に対応するアミノ酸が、Iである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Iである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Lである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Yである。
【0095】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号6)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0096】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Kである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。
【0097】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号7)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0098】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Gである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Nである、
(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Fである。
【0099】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号8)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0100】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
(f)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Fである。
【0101】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号9)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0102】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Vである、
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Rである。
【0103】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号10)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0104】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Gである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Aである。
【0105】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号11)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0106】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Dである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Fである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Lである、
(e)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。
【0107】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号12)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0108】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Aである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Lである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Sである、
(e)配列番号1のN71に対応するアミノ酸が、Sである。
【0109】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号13)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0110】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Tである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである、
(f)配列番号1のD73に対応するアミノ酸が、Iである。
【0111】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号14)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0112】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである。
【0113】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号33)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0114】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Pである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、
(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Lである。
【0115】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号34)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0116】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Rである。
【0117】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号35)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0118】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Wである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Gである、
(e)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Tである。
【0119】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号36)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0120】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のS29に対応するアミノ酸が、Qである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Hである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである、
(e)配列番号1のS66に対応するアミノ酸が、Nである。
【0121】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号37)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0122】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Sである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Pである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Lである。
【0123】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号38)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0124】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Dである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のM72に対応するアミノ酸が、Rである。
【0125】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号39)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0126】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のV27に対応するアミノ酸が、Lである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Tである、
(c)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Pである、
(d)配列番号1のE70に対応するアミノ酸が、Gである。
【0127】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号40)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0128】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである。
【0129】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号41)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0130】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Tである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Nである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Rである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Qである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Tである。
【0131】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号42)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0132】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Yである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである。
【0133】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号43)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0134】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のI31に対応するアミノ酸が、Nである、
(c)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(d)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(e)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである。
【0135】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号44)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0136】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、以下の変異のうちの1つ以上を含むか、又はそれらからなる:
(a)配列番号1のH24に対応するアミノ酸が、Rである、
(b)配列番号1のE54に対応するアミノ酸が、Aである、
(c)配列番号1のG55に対応するアミノ酸が、Kである、
(d)配列番号1のH56に対応するアミノ酸が、Qである。
【0137】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号45)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0138】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、図6に示すように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の変異を有する配列番号1~14及び33~45(例えば、配列番号1又は配列番号44)のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0139】
遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、更なる改変を有し得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、FcのCH2ドメイン及び/又はCH3ドメインを有し得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、CH2ドメインのN末端に(例えば、任意のヒンジ領域又はGSリンカーを介して)連結され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、CH3ドメインのC末端に(例えば、任意GSリンカーを介して)連結され得る。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、IgGヒンジ領域(例えば、IgG4ヒンジ領域)である。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、IgG CH2ドメイン(例えば、IgG4 CH2ドメイン)である。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、IgG CH3ドメイン(例えば、IgG4 CH3ドメイン)である。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域、CH2ドメイン、CH3ドメインは、配列番号29と少なくとも80%、85%、90%、95%、100%同一である配列を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαポリペプチドは、配列番号15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、又は58と少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0141】
SIRPαタンパク質構築物
本開示は、CD47に特異的に結合できる遺伝子操作されたSIRPαタンパク質構築物を提供する。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質構築物は、CD47/SIRPαシグナル伝達経路を遮断でき、したがって免疫応答を増加させることができる。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質構築物は貪食を開始させることができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαタンパク質構築物は、本明細書に記載の任意の遺伝子操作されたSIRPαバリアントを含むことができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαタンパク質構築物は、配列番号1~14及び33~45のいずれかの配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を有し得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαタンパク質構築物は、配列番号15~28及び46~58のいずれかの配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含み得るか、又はそれらからなり得る。
【0143】
本開示はまた、配列番号1~14及び33~45又は配列番号15~28及び46~58のいずれかの配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含む、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を提供する。
【0144】
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較目的のために整列される(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップを導入でき、非相同配列は、比較目的のために無視することができる)。次いで、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドが比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占められている場合、分子は、その位置において同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入の必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数に応じる。例えば、2つの配列間の配列の比較及びパーセント同一性の決定は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、及びフレームシフトギャップペナルティ5で、Blossum 62スコアリングマトリックスを使用して達成され得る。
【0145】
遺伝子操作されたSIRPαタンパク質構築物は、抗体のFc領域を更に含むことができる。これらの抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE1、IgE2)であり得る。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)に由来する。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgG4 Fc領域(例えば、ヒトIgG4 Fc領域)である。
【0146】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアントは、抗体ヒンジ領域(例えば、IgG、IgEヒンジ領域)を介してFc領域に連結される。更に、Fc領域は、所望のエフェクター機能又は血清半減期を提供するように改変され得る。
【0147】
本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、免疫細胞上に発現される内因性SIRPαとCD47との間の結合を遮断することができる。いくつかの実施形態では、CD47に結合することによって、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、免疫細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ及び樹状細胞)上に発現される内因性SIRPαへのCD47(例えば、腫瘍細胞上に発現)の結合を阻害することができ、それによって、CD47/SIRPα経路を遮断し、免疫応答を上方制御し、貪食を促進する。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、免疫細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ、樹状細胞、抗原提示細胞)の免疫応答、活性又は数を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍又は20倍増加させることができる。
【0149】
いくつかの実装形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、0.1s-1未満、0.01s-1未満、0.001s-1未満、0.0001s-1未満、又は0.00001s-1未満の解離速度(koff)で、SIRPα(例えば、ヒトSIRPα、サルSIRPα(例えば、カニクイザル(Macaca fascicularis)、マウスSIRPα)に結合することができる。いくつかの実施形態では、解離速度(koff)は、0.01s-1超、0.001s-1超、0.0001s-1超、0.00001s-1超、又は0.000001s-1超である。
【0150】
いくつかの実施形態では、動的会合速度(kon)は、1×10/Ms超、1×10/Ms超、1×10/Ms超、1×10/Ms超、又は1×10/Ms超である。いくつかの実施形態では、動的会合速度(kon)は、1×10/Ms未満、1×10/Ms未満、又は1×10/Ms未満である。
【0151】
親和性は、動態速度定数の商から推定することができる(KD=koff/kon)。いくつかの実施形態では、KDは、1×10-6M未満、1×10-7M未満、1×10-8M未満、1×10-9M未満、又は1×10-10M未満である。いくつかの実施形態では、KDは、300nM、200nM、100nM、50nM、30nM、20nM、15nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、又は10pM未満である。いくつかの実施形態では、KDは、1×10-7M超、1×10-8M超、1×10-9M超、1×10-10M超、1×10-11M超、又は1×10-12M超である。
【0152】
親和性を測定するための一般的な手法としては、例えば、ELISA、RIA、及び表面プラズモン共鳴(SPR)が挙げられる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、サルSIRPα及び/又はマウスSIRPαに結合することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、サルSIRPα及び/又はマウスSIRPαに結合することができない。
【0153】
いくつかの実施形態では、熱安定性が決定される。本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95℃を超えるTmを有し得る。いくつかの実施形態では、Tmは、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95℃未満である。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、又は200%を超える腫瘍増殖阻害率(TGI%)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物は、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、又は200%未満である腫瘍増殖阻害率を有する。TGI%は、例えば、治療開始から3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30日後、又は治療開始から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12ヶ月後に決定することができる。本明細書で使用される場合、腫瘍増殖阻害率(TGI%)は、以下の式を使用して計算される。
TGI(%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100
Tiは、i日目の処置群における平均腫瘍体積である。T0は、0日目の処置群における平均腫瘍体積である。Viは、i日目の対照群における平均腫瘍体積である。V0は、0日目の対照群における平均腫瘍体積である。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物の腫瘍阻害効果は、抗CD47参照抗体、例えば、Hu5F9-G4、又は抗SIRPα抗体、例えば、CC-95251と同等である。Hu5F9-G4は、例えば、Sikic et al.「First-in-human, first-in-class phase I trial of the anti-CD47 antibody Hu5F9-G4 in patients with advanced cancers.」Journal of Clinical Oncology 37.12(2019):946に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。CC-95251。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物の腫瘍阻害効果は、抗CD47参照抗体、例えば、Hu5F9-G4、又は抗SIRPα抗体、例えば、CC-95251よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍大きい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク構築物の腫瘍阻害効果は、Trilliumよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍大きい。TTI-622とも名付けられたhSIRPα-Fc-wt(Trillium)の詳細。hSIRPα-Fc-wt(Trillium)のアミノ酸配列を配列番号15に示す。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質構築物は、機能性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、又はヒトIgG4である。いくつかの実施形態では、機能性Fc領域のエフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)である。いくつかの実施形態では、機能性Fc領域のエフェクター機能は、貪食である。いくつかの実施形態では、機能性Fc領域のエフェクター機能は、ADCC及び貪食である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質構築物は、エフェクター機能を有さないFc領域を有する。いくつかの実施形態では、FcはヒトIgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、Fcは、機能性Fc領域を有さない。例えば、Fc領域は、LALA変異(EU番号付けにおけるL234A及びL235A変異)、又はLALA-PG変異(EU番号付けにおけるL234A、L235A、P329G変異)を有する。
【0157】
Fc領域に対するいくつかの他の修飾を行うことができる。例えば、システイン残基をFc領域に導入し、それによって、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にすることができる。このようにして生成されたホモ二量体融合タンパク質は、インビトロ及び/又はインビボで任意の増加した半減期を有し得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、IgG4は、S228P変異(EU番号付け)を有する。S228P変異は、インビボ及びインビトロでのIgG4 Fabアーム交換を防止する。
【0159】
いくつかの実施形態では、Fc領域に(直接的又は間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有するFc領域が提供される。例えば、そのようなFc領域組成物中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に結合した全ての糖鎖構造(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の約位置297(Fc領域残基のEu番号付け、又はKabat番号付けにおける位置314)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、Fc領域配列における軽微な配列変異に起因して、位置297の約±3アミノ酸上流又は下流、すなわち位置294~300に位置し得る。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。いくつかの実施形態では、グリカン不均一性を低減するために、Fc領域を更に操作して、位置297のアスパラギンをアラニンで置換することができる(N297A)。
【0160】
いくつかの実施形態では、CD47(例えば、ヒトCD47、サルCD47、マウスCD47、又はそれらの細胞外ドメイン)と、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物との間の結合親和性は、CD47と野生型SIRPα又はそのタンパク質構築物との間の結合親和性と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍である。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物は、1~1.25、1.25~1.5、1.5~1.75、1.75~2、又は2超であるB/E比(CD47結合OD450対発現OD450)を有する。ある場合には、B/E比は0.4より大きい。
【0162】
いくつかの実施形態では、HPLC-SECのメインピークは、プロテインAカラムによる精製後の本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物の少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%を占める。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、野生型SIRPα又はそのタンパク質構築物と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍の親和性で、ヒトCD47発現腫瘍細胞(例えば、ヒトCD47 tf CHO-S細胞、Jurkat細胞、又はRaji細胞)に結合することができる。いくつかの実施形態では、ヒトCD47発現腫瘍細胞(例えば、ヒトCD47 tf CHO-S細胞)に結合する遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物のEC50値は、5nM未満、4nM未満、3.5nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未満、1.5nM未満、又は1nM未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、野生型SIRPα又はそのタンパク質構築物と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍の親和性で、サルCD47発現細胞(例えば、cynoCD47 tf CHO-S細胞、又はLLC-MK2細胞)に結合することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、野生型SIRPα又はそのタンパク質構築物と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍の親和性で、マウスCD47発現細胞(例えば、EMT-6細胞)に結合することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%の親和性で、CD47発現腫瘍細胞(例えば、CD47 tf CHO-S細胞、Jurkat細胞、又はRaji細胞)に結合することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と比較して、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、又は1%未満の親和性で、RBC細胞又は血小板(例えば、ヒトドナー由来)に結合することができる。いくつかの実施形態では、RBC細胞に結合する遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物のEC50値は、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未満、1.5nM未満、1nM未満、又は0.5nM未満である。いくつかの実施形態では、血小板に結合する遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物のEC50値は、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、又は0.1nM未満である。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、赤血球凝集を誘導しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と比較して、500倍、2000倍、5000倍、20000倍、又は50000倍を超える最小濃度で赤血球凝集を誘導する。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、ヒトCD47とヒトSIRPαとの間の相互作用を遮断できる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、ヒトCD47発現細胞(例えば、CD47 tf CHO-S細胞、FaDu細胞、又はRaji細胞)とヒトSIRPαとの間の相互作用を遮断できる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物の遮断能は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物の遮断能は、野生型SIRPα又はそのタンパク質構築物と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物がCD47/SIRPα相互作用を遮断するためのIC50値は、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、又は0.1nM未満である。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、マウスマクロファージ(例えば、Raw264.7細胞)によるCD47発現腫瘍細胞(例えば、Jurkat細胞、FaDu細胞、又はRaji細胞)の貪食を誘導することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物がCD47発現腫瘍細胞の貪食を誘導するためのEC50値は、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、又は1nM未満である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物がCD47発現腫瘍細胞の貪食を誘導するためのEC50値は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)に匹敵する(例えば、少なくとも80%、85%、90%、又は95%)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)よりも弱い、マウスマクロファージ(例えば、Raw264.7細胞)によるRBC細胞の貪食誘導能を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)よりも弱い、マウスマクロファージ(例えば、Raw264.7細胞)による血小板の貪食誘導能を有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、ヒトマクロファージ(例えば、MDM細胞)によるCD47発現腫瘍細胞(例えば、Raji細胞、DLD1細胞、又はJurkat細胞)の貪食を誘導することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物の貪食誘導能は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)に匹敵する(少なくとも80%、85%、90%、又は95%)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物の貪食誘導能は、野生型SIRPα又はそのタンパク質構築物と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)よりも弱い、ヒトマクロファージ(例えば、MDM細胞)によるRBC細胞の貪食誘導能を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はそのタンパク質構築物は、腫瘍成長を阻害することができる。いくつかの実施形態では、Raji細胞又はNCI-H82細胞を免疫不全マウス(例えば、NOD/SCIDマウス)に注入して、異種移植モデルを作製する。
【0171】
遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物を作製する方法
本明細書に記載のSIRPαのバリアントは、SIRPαペプチド又はその一部をコードするDNAに適切なヌクレオチド変化を導入することによって、又はペプチド合成によって調製することができる。このようなバリアントとしては、例えば、アミノ酸配列内の残基の欠失、挿入、又は置換が挙げられる。
【0172】
スクリーニングを行うことができる。そのようなバリアントの集団において、いくつかの遺伝子操作されたSIRPαバリアントは、CD47に対する増加した親和性を有する。欠失、挿入及び/又は組み合わせの任意の組み合わせを行って、標的に対する結合親和性が増大したバリアントに到達することができる。バリアントに導入されるアミノ酸変化はまた、グリコシル化部位の数の変化(例えば、増加又は減少)、グリコシル化部位のタイプの変化(例えば、異なる糖が細胞中に存在する酵素によって結合されるようなアミノ酸配列の変化)、又は新たなグリコシル化部位の導入などの、ポリペプチドへの翻訳後修飾を改変又は新たに導入することができる。
【0173】
遺伝子操作されたSIRPαバリアントは、哺乳動物を含む任意の種の動物に由来し得る。SIRPαバリアントの非限定的な例としては、ヒト、霊長類、例えば、サル及び類人猿、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ラクダ類(例えば、ラクダ及びラマ)、ニワトリ、ヤギ、並びに齧歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター及びウサギ)に由来するSIRPαバリアントが挙げられる。
【0174】
本開示はまた、本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチド(例えば、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含む組換えベクター(例えば、発現ベクター)、組換えベクターが導入される宿主細胞(すなわち、宿主細胞がポリヌクレオチド及び/又はポリヌクレオチドを含むベクターを含有するように)、並びに組換え技術による組換えポリペプチド又はその断片の産生を提供する。
【0175】
本明細書中で使用される場合、「ベクター」は、ベクターが宿主細胞に導入された場合に、目的の1つ以上のポリヌクレオチドを宿主細胞に送達し得る任意の構築物である。「発現ベクター」は、発現ベクターが導入された宿主細胞において、1つ以上の目的のポリヌクレオチドをコードされたポリペプチドとして送達及び発現することができる。したがって、発現ベクターにおいて、目的のポリヌクレオチドは、目的のポリヌクレオチドが発現ベクターが導入された宿主細胞において翻訳されるように、ベクター内又は宿主細胞のゲノム中のいずれかにおいて、目的のポリヌクレオチドの組込み部位で、又はその近くで、又は隣接して、プロモーター、エンハンサー、及び/又はポリAテールなどの調節エレメントと作動可能に連結されることによって、ベクターにおける発現のために配置される。
【0176】
ベクターは、当技術分野で既知の方法、例えば、エレクトロポレーション、化学的トランスフェクション(例えば、DEAE-デキストラン)、形質転換、トランスフェクション、並びに感染及び/又は形質導入(例えば、組換えウイルスによる)によって宿主細胞に導入することができる。したがって、ベクターの非限定的な例としては、ウイルスベクター(組換えウイルスを生成するために使用され得る)、裸のDNA又はRNA、プラスミド、コスミド、ファージベクター、及びカチオン性縮合剤と会合したDNA又はRNA発現ベクターが挙げられる。
【0177】
いくつかの実施において、本明細書に開示されるポリヌクレオチド(例えば、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)は、ウイルス発現系(例えば、ワクシニア若しくは他のポックスウイルス、レトロウイルス、又はアデノウイルス)を使用して導入され、これは、非病原性(欠損)複製可能ウイルスの使用を含み得るか、又は複製欠損ウイルスを使用し得る。このような発現系にDNAを組み込むための技術は、当業者に周知である。DNAは「裸」であってもよい。裸のDNAの取り込みは、細胞内に効率的に輸送される生分解性ビーズ上にDNAをコーティングすることによって増加させることができる。
【0178】
発現のために、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むDNA挿入物は、いくつか例を挙げると、ファージλPLプロモーター、大腸菌(E.coli)のlac、trp及びtacプロモーター、SV40初期及び後期プロモーター並びにレトロウイルスLTRのプロモーターなどの適切なプロモーター(例えば、異種プロモーター)に作動可能に連結され得る。他の適切なプロモーターは当業者に既知である。いくつかの実施形態では、プロモーターはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。発現構築物は更に、転写開始、終結のための部位、及び転写領域において、翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含み得る。構築物によって発現される成熟転写物のコード部分は、翻訳されるべきポリペプチドの始めに翻訳開始コドン、及び翻訳されるべきポリペプチドの終わりに適切に位置する終止コドン(UAA、UGA、又はUAG)を含み得る。
【0179】
示されるように、発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含み得る。このようなマーカーとしては、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、並びに大腸菌及び他の細菌の培養のためのテトラサイクリン耐性遺伝子又はアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。適切な宿主の代表的な例としては、大腸菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)及びネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)細胞などの細菌細胞、酵母細胞などの真菌細胞、ショウジョウバエS2及びスポドプテラSf9細胞などの昆虫細胞、CHO、COS、Bowes黒色腫、及びHK293細胞などの動物細胞、並びに植物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の宿主細胞のための適切な培養培地及び条件は、当技術分野において既知である。
【0180】
細菌における使用のための非限定的なベクターとしては、Qiagenから入手可能なpQE70、pQE60及びpQE-9、Stratageneから入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、並びにPharmaciaから入手可能なptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5が挙げられる。非限定的な真核生物ベクターとしては、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1及びpSG、並びにPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSG及びpSVLが挙げられる。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかである。
【0181】
使用に適した非限定的な細菌プロモーターとしては、大腸菌のlacI及びlacZプロモーター、T3及びT7プロモーター、gptプロモーター、λPR及びPLプロモーター、並びにtrpプロモーターが挙げられる。適切な真核生物プロモーターとしては、CMV即時初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期及び後期SV40プロモーター、レトロウイルスLTRのプロモーター、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーター、並びにメタロチオネインプロモーター、例えば、マウスメタロチオネイン-Iプロモーターが挙げられる。
【0182】
酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、α因子、アルコールオキシダーゼ、及びPGHなどの構成的又は誘導性プロモーターを含むいくつかのベクターを使用することができる。
【0183】
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の方法によって行うことができる。そのような方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Davis et al.,Basic Methods In Molecular Biology(1986)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0184】
本開示のポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加され得る。エンハンサーは、所定の宿主細胞タイプにおいてプロモーターの転写活性を増加させるように作用する、通常約10~300bpのDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサーの例としては、複製起点の後期側の塩基対100~270に位置するSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0185】
翻訳されたタンパク質を小胞体内腔、細胞膜周辺腔又は細胞外環境に分泌するために、適切な分泌シグナルを発現したポリペプチドに組み込むことができる。シグナルは、ポリペプチドに対して内因性であってもよく、又は異種シグナルであってもよい。
【0186】
ポリペプチド(例えば、SIRPαバリアント)は、融合タンパク質(例えば、GST融合)などの改変形態で、又はヒスチジンタグと共に発現させることができ、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加のアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域をポリペプチドのN末端に付加して、精製中、又はその後の取り扱い及び保存中の宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、精製を容易にするためにペプチド部分をポリペプチドに付加することができる。このような領域は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。とりわけ、分泌又は排出を引き起こすため、安定性を改善するため、及び精製を容易にするためのポリペプチドへのペプチド部分の付加は、当技術分野においてよく知られており、日常的な技術である。
【0187】
治療方法
本開示の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、様々な治療目的のために使用することができる。
【0188】
一態様では、本開示は、対象におけるがんを治療するための方法、対象における経時的な腫瘍の体積の増加率を低下させる方法、転移の発生リスクを低下させる方法、又は対象における更なる転移の発生リスクを低下させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、治療は、がんの進行を停止、緩徐化、遅延、又は阻害することができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象におけるがんの1つ以上の症状の数、重症度、及び/又は期間の低減をもたらし得る。
【0189】
一態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示される遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク構築物を、それを必要とする対象(例えば、がん(例えば、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、カルチノイドがん、子宮頸がん、子宮内膜がん、グリオーマ、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、小細胞肺がん、リンパ種、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、結腸直腸がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、膀胱がん、尿道がん、又は血液悪性疾患)を有する、又は有すると同定若しくは診断された対象)に投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、がんは、切除不能黒色腫又は転移性黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん、又は転移性ホルモン不応性前立腺がんである。いくつかの実施形態では、対象は固形腫瘍を有する。いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、腎細胞がん(RCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、又は結腸直腸がんである。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、膵臓がん、中皮腫、血液悪性腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、慢性リンパ性白血病、又は進行性固形腫瘍である。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び方法は、がんのリスクがある患者の治療に使用することができる。がんを有する患者は、当該分野で既知の種々の方法を用いて同定され得る。
【0191】
本明細書中で使用される場合、「有効量」とは、疾患、例えば、がんの進行の停止、緩徐化、遅延、又は阻害を含む有益な結果又は所望の結果をもたらすのに十分な量又は投与量を意味する。有効量は、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、並びに/又はそれらの組成物が投与される対象の、例えば年齢及び体重、症状の重症度及び投与経路に応じて変化し、したがって、投与は個体ベースで決定することができる。
【0192】
有効量は、1回以上の投与で投与することができる。例として、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物の有効量は、患者におけるがんの進行を改善、停止、安定化、逆転、阻害、緩徐化及び/若しくは遅延させるのに十分な量であるか、又は細胞(例えば、生検細胞、本明細書に記載のがん細胞のいずれか、若しくは細胞株(例えば、がん細胞株))の増殖をインビトロで改善、停止、安定化、逆転、緩徐化及び/若しくは遅延させるのに十分な量である。当技術分野で理解されているように、有効量は、とりわけ、患者の病歴並びに使用される遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物のタイプ(及び/又は投与量)などの他の因子に応じて変動し得る。
【0193】
本明細書に開示される遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物をコードするポリヌクレオチド、並びに/又は組成物を投与するための有効量及びスケジュールは、経験的に決定されてもよく、そのような決定を行うことは、当技術分野の技術の範囲内である。当業者は、投与しなければならない投薬量が、例えば、本明細書に開示される遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物、ポリヌクレオチド、及び/又は組成物を投与される哺乳動物、投与経路、使用される本明細書に開示されるポリヌクレオチド及び/又は組成物の特定のタイプ、並びに哺乳動物に投与される他の薬物に応じて変化することを理解するであろう。
【0194】
遺伝子操作されたSIRPαバリアント及び/又はタンパク質構築物の有効量の典型的な1日投与量は、0.1mg/kg~100mg/kg(患者の体重1kg当たりのmg)である。いくつかの実施形態では、投与量は、100mg/kg、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、又は0.1mg/kg未満であり得る。いくつかの実施形態では、投与量は、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、又は0.1mg/kg超であり得る。いくつかの実施形態では、投与量は、約10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、又は1mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、約1~10mg/kg、約1~5mg/kg、又は約2~5mg/kgである。
【0195】
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、少なくとも週1回(例えば、週1回、週2回、週3回、週4回、1日1回、1日2回、又は1日3回)対象に投与され得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療剤を、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物を投与する前又は後に対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療剤は、対象における1つ以上の追加の治療剤並びに遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物の生物活性期間が重複するように、対象に投与される。
【0197】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療剤を対象に投与することができる。追加の治療剤は、B-Rafの阻害剤、EGFR阻害剤、MEKの阻害剤、ERKの阻害剤、K-Rasの阻害剤、c-Metの阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の阻害剤、Aktの阻害剤、mTORの阻害剤、二重PI3K/mTOR阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤、並びにイソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)及び/又はイソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)の阻害剤からなる群から選択される1つ以上の阻害剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ-1)(IDO1)の阻害剤(例えば、エパカドスタット)である。
【0198】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、HER3の阻害剤、LSD1の阻害剤、MDM2の阻害剤、BCL2の阻害剤、CHK1の阻害剤、活性化ヘッジホッグシグナル伝達経路の阻害剤、及びエストロゲン受容体を選択的に分解する薬剤からなる群より選択される1つ以上の阻害剤を含むことができる。
【0199】
いくつかの実施形態は、追加の治療剤は、トラベクテジン、nab-パクリタキセル、トレバナニブ、パゾパニブ、セジラニブ、パルボシクリブ、エベロリムス、フルオロピリミジン、IFL、レゴラフェニブ、Reolysin、アリムタ、ジカディア、スーテント、テムシロリムス、アキシチニブ、エベロリムス、ソラフェニブ、ヴォトリエント、パゾパニブ、IMA-901、AGS-003、カボザンチニブ、ビンフルニン、Hsp90阻害剤、Ad-GM-CSF、Temazolomide、IL-2、IFNa、ビンブラスチン、Thalomid、ダカルバジン、シクロホスファミド、レナリドミド、アザシチジン、レナリドミド、ボルテゾミド、アムルビシン、カルフィルゾミブ、プララトレキサート、及びエンザスタウリンからなる群から選択される1つ以上の治療剤を含むことができる。
【0200】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、アジュバント、TLRアゴニスト、腫瘍壊死因子(TNF)α、IL-1、HMGB1、IL-10アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、IL-13アンタゴニスト、IL-17アンタゴニスト、HVEMアンタゴニスト、ICOSアゴニスト、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1アゴニスト、ICAM1アゴニスト、及びセレクチンアゴニストからなる群から選択される1つ以上の治療剤を含むことができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、カルボプラチン、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、FOLFOX、又はFOLFIRIが対象に投与される。
【0202】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗OX40抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗SIRPα抗体、抗CD47抗体、抗LAG-3抗体、抗TIGIT抗体、抗BTLA抗体、抗CTLA-4抗体、又は抗GITR抗体である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)又は抗EGF受容体受容体(例えば、セツキシマブ)である。
【0203】
医薬組成物及び投与経路
本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物を含有する医薬組成物も本明細書で提供される。医薬組成物は、当技術分野で既知の任意の様式で製剤化することができる。
【0204】
医薬組成物は、それらの意図される投与経路(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、又は腹腔内)に適合するように製剤化される。組成物は、滅菌希釈剤(例えば、滅菌水又は生理食塩水)、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒、抗菌剤又は抗真菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム、キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸、緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩、及び等張剤、例えば、糖(例えば、デキストロース)、ポリアルコール(例えば、マンニトール又はソルビトール)、又は塩(例えば、塩化ナトリウム)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。リポソーム懸濁液もまた、薬学的に許容される担体として使用され得る。組成物の調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、又は複数回投与バイアルに製剤化及び封入することができる。必要とされる場合(例えば、注射用製剤において)、適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング又は界面活性剤の使用によって維持され得る。薬剤の吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を含めることによって延長することができる。あるいは、制御放出は、生分解性、生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸)を含み得るインプラント及びマイクロカプセル化送達システムによって達成され得る。
【0205】
本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物を含有する組成物は、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、又は腹腔内)投与のために、投与単位形態(すなわち、投与の容易さ及び投与量の均一性のために所定の量の活性化合物を含有する物理的に別個の単位)で製剤化され得る。
【0206】
非経口投与のための医薬組成物は、好ましくは無菌で、実質的に等張であり、Good Manufacturing Practice(GMP)条件下で製造される。医薬組成物は、単位剤形(すなわち、単回投与のための用量)で提供することができる。医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤を用いて製剤化することができる。製剤は選択される投与経路に依存する。注射では、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、水溶液中で、好ましくは注射部位における不快感を低減するために生理学的に適合する緩衝液中で製剤化することができる。溶液は、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの配合剤を含有することができる。あるいは、遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水で溶解するための凍結乾燥形態であり得る。
【0207】
組成物の毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物(例えば、サル)における標準的な薬学的手順によって決定することができる。例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定することができ、治療指数は、LD50:ED50の比である。高い治療指数を示す薬剤が好ましい。薬剤が望ましくない副作用を示す場合、潜在的な被害を最小限に抑える(すなわち、望ましくない副作用を低減する)ように注意を払うべきである。毒性及び治療効力は、他の標準的な薬学的手順によって決定され得る。
【0208】
例示的な用量は、対象の体重1キログラム当たり、本明細書に記載の遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物のいずれかのミリグラム又はマイクログラム量を含む(例えば、約1μg/kg~約500mg/kg、約100μg/kg~約500mg/kg、約100μg/kg~約50mg/kg、約10μg/kg~約5mg/kg、約10μg/kg~約0.5mg/kg、約1μg/kg~約50μg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、又は約1mg/kg~約5mg/kg)。これらの用量は広い範囲をカバーするが、当業者は、治療剤がそれらの効力において変化し得、有効量が当該分野で既知の方法によって決定され得ることを理解する。典型的には、最初に比較的低用量が投与され、担当の医療専門家又は獣医専門家(治療用途の場合)又は研究者(まだ開発段階である場合)は、その後、適切な応答が得られるまで用量を徐々に増加させることができる。更に、任意の特定の対象に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、及び食事、投与時間、投与経路、排出速度、並びに遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物のインビボでの半減期を含む種々の因子に依存することが理解される。
【0209】
医薬組成物は、投与のための説明書と共に、容器、パック、又はディスペンサーに含まれ得る。本開示はまた、本明細書に記載の様々な使用のための遺伝子操作されたSIRPαバリアント及びタンパク質構築物を製造する方法を提供する。
【実施例
【0210】
本発明を以下の実施例において更に説明するが、これらは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0211】
実施例1.ヒトSIRPαの操作されたIgVドメインの設計
ヒトSIRPα(hSIRPα)のIgVドメインは、A-B-C-C’-D-E-F-G-G2を含む9つのβ鎖を含有する免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。ヘリックスは、E鎖とF鎖との間に位置する。hSIRPα IgVドメインの3D構造を図1に示す。
【0212】
CD47/hSIRPa複合体構造の詳細な分析を実施した。その構造から、hSIRPα中のLeu30、Gly34、Gln52、Lys53、Glu54、His56、Ser66、Thr67、Arg69、Lys93、Lys96、Gly97、及びAsp100が、CD47との相互作用に関与していることが判明した。これらの相互作用残基は、BCループ、C’Dループ、DEループ、及びFGループを含むhSIRPaのループ構造上に主に位置していた。結果は、hSIRPaが主にそのループ領域を介してCD47と相互作用することを示した(図2)。
【0213】
更に、hSIRPa-FD6の構造が解明されている(Weiskopf,Kipp,et al.Science 2013 July 5;341(6141))。CD47/hSIRPa-FD6複合体構造(PDB ID:4KJY)に基づくhSIRPa-FD6のCD47に対する相互作用残基は、Leu30、Gly34、Gln52、Arg53、Glu54、His56、Thr66、Thr67、Arg69、Lys93、Lys96、Gly97、及びAsp100を含むと決定された。これらの残基は、CD47/hSIRPa複合体において示されるものと同じである。野生型における2つの相互作用残基、Lys53及びSer66のみが、hSIRPa-FD6においてそれぞれArg53及びThr66に変異され、CD47に対する結合親和性の劇的な増加をもたらす。hSIRPaからhSIRPa-FD6への他の変化した残基は、CD47相互作用に関与しない。この知見は、Lys53及びSer66がCD47に対するhSIRPaの結合親和性を増加させるために重要であり得ることを暗示した。
【0214】
どの残基が結合親和性に良好であり、C’Dループにおいて安定であるかを見出すために、位置53、54、55及び56に対する残基スキャンを、MOE試験バージョンによって行った。残基スキャンの結果によれば、Lys53は、アルギニン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンなどの長い側鎖又は芳香環を有する側鎖を有するアミノ酸によって置換された場合、安定性を増加させることができる(図3A)。しかしながら、この種の置換は、hSIRPaの親和性を改善することができない。一方、Glu54、Gly55、及びHis56の置換は、より高い柔軟性を示し(図3B図3C、及び図3D)、hSIRPaの親和性及び安定性は、Glu54、Gly55、及びHis56をいくつかの他のアミノ酸に変更することによって改善され得る。そこで、スクリーニングのためにGlu54、Gly55、His56に変異を導入した。
【0215】
更に、Ile31、Glu54、Gly55、His56、Ser66、及びThr67を、構造分析によるhSIRPa変異スクリーニングのための候補アミノ酸として同定した。Val27、Val63及びLys68は、hSIRPa自体の構造の維持に関与する。hSIRPaの構造に悪影響を及ぼさないために、これらの残基の変化は推奨されない。hSIRPα(PDB ID:2JJT)と複合体化したヒトCD47(hCD47)の構造に基づいて、相互作用残基を分析した。分析結果は、hSIRPα IgVドメインのBCループ、C’Dループ、及びDEループ内の複数の相互作用残基が高度に保存されていることを示す。図2に示されるように、これらのループ領域内のアミノ酸残基に下線が引かれている。
【0216】
hCD47に対する野生型hSIRPαよりも高い遮断活性(例えば、hCD47に対する異なる結合親和性を有する)、及び抗CD47参照抗体Hu5F9-G4と比較して低いRBC結合を有するhSIRPα IgVドメイン変異体をスクリーニングするために、hSIRPα IgVドメインのBCループ、C’Dループ、及びDEループ内の選択された残基を変異させた。これらの残基は、BCループ内のHis24~Val33の10アミノ酸(例えば、Ile31)、C’Dループ内のGlu54~His56の3アミノ酸、及びDEループ内のSer66~Asp73の8アミノ酸(例えば、Ser66及びThr67)を含む。アミノ酸位置は、hSIRPaのIgVドメイン(配列番号1)に基づく。
【0217】
実施例2.スクリーニング及び再確認
ファージミド発現系をファージディスプレイによるスクリーニングに使用した。具体的には、CD47抗原又はCD47を発現している細胞株をパニングに使用した。得られたファージを使用してTG1エレクトロポレーションコンピテント大腸菌細胞に再感染させ、次いでこれをLB寒天プレート上に広げ、16時間インキュベートした。単一コロニーを採取して、10%緩衝リン酸を補充した700μLの2×YT培地に接種した。OD600が1に近づいたら、1mMイソプロピルβ-d-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して、30℃でタンパク質発現を誘導した。16時間後、細菌培養物を3200gで遠心分離し、上清をその後の実験のために回収した。
【0218】
発現レベルの決定
hSIRPα IgVドメイン変異体の発現レベルを決定するために、2μg/mLの抗His抗体(R&D、カタログ番号:MAB050-500)でコーティングしたELISAプレートを調製した。30μLの回収した上清をELISAプレートに添加し、25℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ヤギ抗c-Myc HRP(Bethy、カタログ番号:A190-104P)を1:10000の希釈比でプレートに添加し、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)(SURMODICS、カタログ番号:TMBW-0100-01)を発色のために添加した。450nmでの吸光度値(OD450)を、Varioskan(商標)LUXプレートリーダー(Thermo)を使用して測定した。
【0219】
ヒトCD47結合能の決定
hSIRPα IgVドメイン変異体のヒトCD47結合能を決定するために、1μg/mLの、Fc領域と連結したヒトCD47細胞外ドメイン(ECD)(hCD47 ECD Fc)でコーティングされたELISAプレートを調製した。30μLの回収した上清をELISAプレートに添加し、25℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ヤギ抗c-Myc HRPを1:10000の希釈比でプレートに添加し、TMBを発色のために添加した。450nmでの吸光度値を、Varioskan(商標)LUXプレートリーダーを使用して測定した。
【0220】
マウスCD47結合能の決定
hSIRPα IgVドメイン変異体のマウスCD47結合能を決定するために、1μg/mLのマウスCD47 ECD Fc(Sino Bio、カタログ番号:57231-M31H)でコーティングしたELISAプレートを調製した。100μLの回収した上清をELISAプレートに添加し、25℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ヤギ抗c-Myc HRPを1:10000の希釈比でプレートに添加し、TMBを発色のために添加した。450nmでの吸光度値を、Varioskan(商標)LUXプレートリーダーを使用して測定した。
【0221】
hCD47/hSIRPα遮断能の決定
hSIRPα IgVドメイン変異体のhCD47/hSIRPα遮断能を決定するために、1μg/mLのヒトCD47 ECD FcでコーティングしたELISAプレートを調製した。150μLの回収した上清と20μLのビオチン標識SIRPα ECD Hisタンパク質(最終濃度2.5μg/mL)をELISAプレートに添加し、25℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、アビジンHRP(BioLegend、カタログ番号:79004)を1:1000の希釈比でプレートに添加し、TMBを発色のために添加した。450nmでの吸光度値を、Varioskan(商標)LUXプレートリーダーを使用して測定した。
【0222】
タンパク質熱安定性の決定
100μLの回収した上清をPCRチューブに移し、これをPCR装置において65℃又は70℃で90分間加熱した。ヒトCD47結合アッセイを、加熱した上清及び加熱していない上清を同時に使用して行った。具体的には、1μg/mLのヒトCD47 ECD FcでコーティングしたELISAプレートを調製した。30μLの加熱又は非加熱上清をELISAプレートに添加し、25℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ヤギ抗c-Myc HRPを1:10000の希釈比でプレートに添加し、TMBを発色のために添加した。450nmでの吸光度値を、Varioskan(商標)LUXプレートリーダーを使用して測定した。
【0223】
CD47 tf CHO-S、RBC、及び血小板に対する全細胞結合能の決定
3×10個のCD47 tf CHO-S細胞(ヒトCD47を発現しているトランスフェクトされたCHO-S細胞)、1×10個のヒト赤血球(RBC)、又は3×10個のヒト血小板を、回収した上清と共に4℃で30分間インキュベートした。次いで、抗His PE(Abcam、カタログ番号:ab72467)を1:100の希釈比で添加し、フローサイトメーター(Beckman Coulter、カタログ番号:CytoFlex)を使用してMFI(平均蛍光強度)値を検出した。
【0224】
野生型hSIRPαよりも高いhCD47/hSIRPα遮断能を有するクローンを単離し、それらのヒトCD47結合OD450(B)/発現OD450(E)比に基づいてグループ分けした。具体的には、12個のクローンが、2を超えるhCD47結合B/E比を有し、5個のクローンが1.75~2の比を有し、5個のクローンが1.5~1.75の比を有し、7個のクローンが1.25~1.5の比を有し、2個のクローンが1~1.25の比を有していた。野生型hSIRPα IgVドメイン未満のB/E比を有する7個のクローンも選択した。ヒトSIRPαはマウスCD47に対して交差反応性を有さないため、0.4を超えるマウスCD47結合能対発現比を有する18個のクローンも、このスクリーニングを通して選択した。したがって、合計56個の候補クローンを選択し、詳細な発現、hCD47/hSIRPα遮断、及びCD47結合の結果を図4A図4Bに示す。
【0225】
次に、選択されたクローンを、CD47 tf CHO-S、RBC及び血小板に対する全細胞結合能、並びに高温(例えば、65℃及び70℃)でのタンパク質熱安定性を決定することによって更にスクリーニングした。全細胞結合アッセイの結果に基づいて、血小板及びRBC結合能が野生型hSIRPα IgVドメインより低いクローン、及び異なる結合能でCD47 tf CHO-Sに結合できるクローンを選択した。選択したクローンのタンパク質熱安定性を検証したところ、野生型SIRPα IgVドメインと比較して顕著な差は認められなかった。最後に、mt3~mt15(配列番号2~14)及びmt16~mt23(配列番号33~40)を含む21個のクローンを選択した。mt31~mt35(配列番号41~45)を含む5つの追加のクローンも生成した。野生型SIRPα IgVドメイン又はヒトIgG4ヒンジ及びFc領域に連結された遺伝子操作されたSIRPα IgVドメイン変異体(配列番号29)を発現するプラスミドを構築した。発現したタンパク質の概略構造を図5に示す。野生型SIRPα IgVドメイン及び26個のクローンのBCループ領域、C’Dループ領域、及びDEループ領域内の特定のアミノ酸変異を図6に示す。
【0226】
実施例3.精製、及びOctetによるCD47-ECD-Hisに対するhSIRPα-Fcの結合親和性の決定
発現したタンパク質を、プロテインAカラム、続いてHPLC-SEC(サイズ排除クロマトグラフィーと組み合わせた高速液体クロマトグラフィー、Agilent)によって精製し、高分子量ピークの割合(HMW%)、メインピークの割合(Main%)、及び低分子量ピークの割合(LMW%)を測定した。図7に示されるように、hSIRPα-Fc変異タンパク質は、上記の方法を用いて高純度で回収することができる。hSIRPα-Fc-wt及び13個のhSIRPα-Fc変異タンパク質(mt3~mt15)のアミノ酸配列を、脱免疫化ツール(Immune Epitope Database And Analysis Resource;Dhanda et al.「Development of a strategy and computational application to select candidate protein analogues with reduced HLA binding and immunogenicity.」Immunology 153.1 (2018): 118-132)を使用して分析し、免疫原性領域を同定した。免疫原性は同定されなかった。
【0227】
CD47-ECD-Hisに対するhSIRPα-Fcタンパク質の結合親和性もまた、Octet(登録商標)システムによって決定した。図8に示すように、hSIRPα-Fc-wtを陰性対照とし、抗CD47参照抗体Hu5F9-G4を陽性対照として用いて、2セットの実験を行った。各タンパク質の相対的結合親和性も、hSIRPα-Fc-wtのKD値と比較したそれぞれのKD値から推定した。結果は、遺伝子操作されたSIRPα IgVドメイン変異体の大部分が、野生型SIRPα IgVドメインと比較して、CD47に対してより強い結合を示したことを示す。
【0228】
実施例4.CD47 tf CHO-S及びCD47発現腫瘍細胞に対する全細胞結合アッセイ
hSIRPα-Fc変異タンパク質のCD47に対する全細胞結合能を決定するため、hSIRPα-Fc変異タンパク質をプロテインAクロマトグラフィーによって精製し、500nMから100nM、20nM、4nM、0.8nM、0.16nM、0.032nM、及び0.064nMまで連続希釈(5倍)した。PD1-Fc-wt(ヒトIgG4のN末端に連結された2つのヒトPD1細胞外ドメイン、概略構造を図5に示す)を陰性対照として使用した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。希釈したタンパク質を、5×10個のCD47 tf CHO-S細胞、Jurkat細胞、又はRaji細胞と共にインキュベートした。インキュベーション後、抗hFcr-PE(1:100、Invitrogen、カタログ番号:109-115-098)を添加し、MFI値をフローサイトメトリーによって測定した。
【0229】
図9A図9Cに示すように、hSIRPα-Fc-mt4、hSIRPα-Fc-mt8、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt11、hSIRPα-Fc-mt12、hSIRPα-Fc-mt13、及びhSIRPα-Fc-15は、抗CD47抗体Hu5F9-G4と比較して、CD47 tf CHO-S、Jurkat、及びRaji細胞に対して同様の全細胞結合能を示した。
【0230】
図9Dに示すように、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt19、及びhSIRPα-Fc-mt22は、hSIRPα-Fc-mt17、hSIRPα-Fc-mt18、hSIRPα-Fc-mt19、及びHu5F9-G4よりも高いCD47 tf CHO-S細胞結合能を示した。加えて、試験した全てのhSIRPα-Fc変異タンパク質は、hSIRPα-Fc-wtよりも顕著に高いCD47 tf CHO-S細胞結合能を示した。試験したhSIRPα-Fcタンパク質のEC50値を以下の表に列挙する。
【0231】
【表1】
【0232】
図9Eに示すように、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15は、hSIRPα-Fc-mt21、hSIRPα-Fc-mt16、及びhSIRPα-Fc-mt23よりも高いRaji細胞結合能を示した。試験した全てのhSIRPα-Fc変異タンパク質は、Hu5F9-G4と比較して同様のRaji細胞結合能を示し、hSIRPα-Fc-wtと比較して顕著に高いRaji細胞結合能を示した。
【0233】
実施例5.RBC結合アッセイ
hSIRPα-Fc変異タンパク質のRBC結合能を決定するため、hSIRPα-Fc変異タンパク質をプロテインAクロマトグラフィーによって精製し、500nMから100nM、20nM、4nM、0.8nM、0.16nM、0.032nM、及び0.064nMまで連続希釈(5倍)した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。希釈したタンパク質を、2人のドナー由来の1×10個のヒトRBC細胞と共にインキュベートした。インキュベーション後、抗hFcr-PE(1:100、Invitrogen)を添加し、MFI値をフローサイトメトリーによって測定した。
【0234】
図10A図10Bに示すように、hSIRPα-Fc-mt12、hSIRPα-Fc-mt13、hSIRPα-Fc-mt8、hSIRPα-Fc-mt10、及びhSIRPα-Fc-mt15は、抗CD47抗体Hu5F9-G4と比較して、より弱いRBC結合能を示した。特に、hSIRPα-Fc-mt6、hSIRPα-Fc-mt14、及びhSIRPα-Fc-wtは、RBCへのいかなる結合も示さなかった。
【0235】
図10Cに示されるように、hSIRPα-Fc-mt18及びhSIRPα-Fc-mt19は、Hu5F9-G4よりも高いRBC(ドナー1由来)結合能を示したが、hSIRPα-Fc-mt22、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt17、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt15、及びhSIRPα-Fc-mt21は、Hu5F9-G4よりも低いRBC結合能を示した。hSIRPα-Fc-wtによってRBC細胞結合は検出されなかった。試験したhSIRPα-Fcタンパク質のEC50値を以下の表に列挙する。
【0236】
【表2】
【0237】
図10Dに示すように、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt21、hSIRPα-Fc-mt23は、Hu5F9-G4よりも顕著に低いRBC(ドナー2由来)結合能を示した。hSIRPα-Fc-wtによってRBC細胞結合は検出されなかった。
【0238】
実施例6.血小板結合アッセイ
hSIRPα-Fc変異タンパク質の血小板結合能を決定するため、hSIRPα-Fc変異タンパク質をプロテインAビーズによって精製し、500nMから100nM、20nM、4nM、0.8nM、0.16nM、0.032nM、及び0.064nMまで連続希釈(5倍)した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。希釈したタンパク質を、2人のドナー由来の5×10個のヒト血小板と共にインキュベートした。インキュベーション後、抗hFcr-PE(1:100、Invitrogen)を添加し、MFI値をフローサイトメトリーによって測定した。
【0239】
図11A図11Bに示すように、hSIRPα-Fc-mt4、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt8、hSIRPα-Fc-mt11、hSIRPα-Fc-mt12、hSIRPα-Fc-mt13、及びhSIRPα-Fc-mt15は、抗CD47抗体Hu5F9-G4と比較して強い血小板結合能を示したが、hSIRPα-Fc-mt14、hSIRPα-Fc-wt、及びhSIRPα-Fc-mt6は、顕著に低い血小板結合能を示した。
【0240】
図11Cに示すように、hSIRPα-Fc-mt19、hSIRPα-Fc-mt18、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt21、hSIRPα-Fc-mt20、hSIRPα-Fc-mt17、及びhSIRPα-Fc-mt22は、Hu5F9-G4と比較して、より強い又は同様の血小板(ドナー1由来)結合能を示した。試験したhSIRPα-Fcタンパク質のEC50値を以下の表に列挙する。
【0241】
【表3】
【0242】
図11Dに示すように、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt21、hSIRPα-Fc-mt23、及びhSIRPα-Fc-mt16は、Hu5F9-G4と比較して、より強い又は同様の血小板結合能を示した。試験したhSIRPα-Fcタンパク質のEC50値を以下の表に列挙する。
【0243】
【表4】
【0244】
実施例7.サルCD47を発現している細胞に対する全細胞結合アッセイ
hSIRPα-Fc変異タンパク質のサルCD47に対する全細胞結合能を決定するため、hSIRPα-Fc変異タンパク質をプロテインAビーズによって精製し、500nMから100nM、20nM、4nM、0.8nM、0.16nM、0.032nM、及び0.064nMまで連続希釈(5倍)した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。希釈したタンパク質を、カニクイザルCD47を発現している1×10個のトランスフェクトされたCHO-S細胞(cynoCD47 tf CHO-S)又は1×10個のアカゲザル腎臓上皮細胞株LLC-MK2と共にインキュベートした。インキュベーション後、抗hFcr-PE(1:100、Invitrogen)を添加し、MFI値をフローサイトメトリーによって測定した。図12A図12Bに示すように、全てのhSIRPα-Fc変異タンパク質は、サルCD47に結合することができる。
【0245】
図12Cに示すように、Hu5F9-G4は、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt21、及びhSIRPα-Fc-mt23よりも強いLLC-MK2結合能を示した。
【0246】
実施例8.マウスCD47を発現している細胞に対する全細胞結合アッセイ
hSIRPα-Fc変異タンパク質のマウスCD47に対する全細胞結合能を決定するために、hSIRPα-Fc変異タンパク質をプロテインAビーズによって精製し、1000nMから200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nM、及び0.0128nMへと連続希釈(5倍)した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。MIAP410(抗ヒトマウスCD47抗体)を陽性対照として使用した。希釈したタンパク質を、3×10個のEMT-6細胞と共にインキュベートした。インキュベーション後、抗hFcr-PE(1:100、Invitrogen)を添加し、MFI値をフローサイトメトリーによって測定した。MIAP410については、抗マウス(H+L)-FITC(1:100)を使用した。図13A図13Bに示すように、hSIRPα-Fc-mt13、hSIRPα-Fc-mt11、hSIRPα-Fc-mt4、hSIRPα-Fc-mt12、hSIRPα-Fc-mt8、及びhSIRPα-Fc-mt10は、マウスCD47を発現している細胞に結合することができる。しかし、hSIRPα-Fc-wt、hSIRPα-Fc-mt6、hSIRPα-Fc-mt14、及びhSIRPα-Fc-mt15は、EMT-6細胞に結合しなかった。
【0247】
実施例9.赤血球凝集(HA)活性の決定
hSIRPα-Fc変異タンパク質によって誘導されるHA活性を決定するために、10%RBC溶液を、0.9%塩化ナトリウム緩衝液で2回洗浄することによって2人の健康なドナーの全血から調製し、次いで0.9%塩化ナトリウム緩衝液中で10倍に希釈した。hSIRPα-Fc変異タンパク質を500nM、166.7nM、55.6nM、18.5nM、6.2nM、2.1nM、685.8pM、228.6pM、76.2pM、25.4pM、又は8.4pMの最終濃度に連続希釈(3倍)し、丸底96ウェルプレート中で12μLの10%RBC溶液と共に室温(RT)で一晩インキュベートした。インキュベーション後、凝集したRBCはウェルを均一に被覆したが、非凝集細胞はウェルの底に明確な赤い点を形成した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。hSIRPα-Fc-wt及びPD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。図14A図14Cに示されるように、試験したhSIRPα-Fc変異タンパク質のいずれも赤血球凝集を誘導しなかった。
【0248】
実施例10.CD47 tf CHO-S、FaDu及びRaji細胞に対する遮断能の決定
hSIRPα-Fc変異タンパク質のヒトCD47に対する遮断能を決定するために、hSIRPα-Fc変異タンパク質をプロテインAビーズによって精製し、1000nMから125nM、15.63nM、1.95nM、0.24nM、0.03nM、0.0038nM、及び0.0004nMまで連続希釈(8倍)した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。希釈したタンパク質を、3×10個のCD47 tf CHO-S細胞(ヒトCD47を発現しているトランスフェクトCHO-S細胞)、FaDu細胞、又はRaji細胞と共に、1μg/mLのビオチン標識hSIRPα-Fc-wtを加えてインキュベートした。インキュベーション後、ストレプトアビジン-PE(0.3μL/ウェル、eBioscience、カタログ番号:EBS12-4317-87)を添加し、MFI値をフローサイトメトリーによって測定した。
【0249】
図15A図15Cに示すように、試験した全てのhSIRPα-Fc変異タンパク質は、hSIRPαとCD47 tf CHO-S細胞又はCD47発現腫瘍細胞(FaDu及びRaji)との間の相互作用を遮断することができる。特に、hSIRPα-Fc-mt4、hSIRPα-Fc-mt8、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt11、hSIRPα-Fc-mt12、hSIRPα-Fc-mt13、hSIRPα-Fc-mt15、及びhSIRPα-Fc-wtは、Hu5F9-G4に匹敵する遮断能を示した。
【0250】
図15Dに示すように、試験した全てのhSIRPα-Fc変異体タンパク質は、Hu5F9-G4と比較して同様の全細胞遮断能を示した。hSIRPα-Fc-wtは、最も低いCD47/SIRPα遮断能を示した。試験したhSIRPα-Fcタンパク質のIC50値を以下の表に列挙する。
【0251】
【表5】
【0252】
図15Eに示すように、hSIRPα-Fc-mt21は、最も強い全細胞遮断能を示した。hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、及びhSIRPα-Fc-mt23は、Hu5F9-G4と比較して同様の全細胞遮断能を示した。hSIRPα-Fc-wtは、最も低いCD47/SIRPα遮断能を示した。試験したhSIRPα-Fcタンパク質のIC50値を以下の表に列挙する。
【0253】
【表6】
【0254】
実施例11.マウスマクロファージによるCD47発現腫瘍細胞の貪食の誘導
ヒトCD47発現腫瘍細胞(Jurkat、FaDu、又はRaji)の貪食を、hSIRPα-Fc変異タンパク質の存在下でRaw264.7マウスマクロファージと共に腫瘍細胞をインキュベートすることによって決定した。実験は以下のように行った。Jurkat、FaDu、又はRaji細胞を5nMのCellTrace(商標)CFSE(Thermo、カタログ番号:C34554)を用いて37℃で10分間標識した後、10%FBS(ウシ胎児血清)を含有する完全DMEM培地で洗浄した。次いで、hSIRPα-Fc変異体タンパク質を、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、及び10pMの最終濃度に連続希釈(10倍)した。Hu5F9-G4及びhSIRPα-Fc-wt(Trillium)を陽性対照として使用した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。1×10細胞/ウェルのCFSE標識Jurkat、FaDu、又はRaji細胞(標的細胞)を、希釈したhSIRPα-Fc変異タンパク質と共に、低結合型96ウェルU型プレート中、37℃で30分間インキュベートした。その後、5×10個のRaw264.7細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。Raw264.7細胞をPE-シアニン7コンジュゲートF4/80抗体(eBioscience、カタログ番号:25-4801-82)で染色した。hSIRPα-Fc変異タンパク質の貪食誘導能を、フローサイトメトリーによって、マクロファージ由来の全F4/80シグナルに対するマクロファージ由来のCFSE+F4/80+(マクロファージがCFSE標識Jurkat、FaDu、又はRaji細胞を貪食したことを示す)の割合を計算することによって評価した。
【0255】
図16A図16Cに示すように、hSIRPα-Fc-mt4、hSIRPα-Fc-mt8、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt13、及びhSIRPα-Fc-mt15は、Hu5F9-G4と比較して、同等又は更に高い、CD47発現腫瘍細胞の貪食誘導能を示した。以下の表に示すように、各腫瘍細胞に関してEC50値も計算した。
【0256】
【表7】
【0257】
【表8】
【0258】
【表9】
【0259】
図16Dに示すように、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt21、及びhSIRPα-Fc-mt23は、Hu5F9-G4と比較して、同等のDLD1細胞の貪食誘導能を示した。図16Eに示すように、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt20、hSIRPα-Fc-mt21、及びhSIRPα-Fc-mt23は、Hu5F9-G4と比較して、同等のDLD1細胞の貪食誘導能を示した。
【0260】
実施例12.マウスミクロファージによるRBC貪食の誘導
ヒトRBCの貪食を、hSIRPα-Fc変異タンパク質の存在下でRBCをRaw264.7マウスマクロファージと共にインキュベートすることによって決定した。実験は以下のように行った。RBCを5nMのCellTrace(商標)CFSE(Thermo)で37℃で10分間標識した後、10%FBSを含有する完全DMEM培地で洗浄した。次いで、hSIRPα-Fc変異体タンパク質を、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、及び10pMの最終濃度に連続希釈(10倍)した。Hu5F9-G4及びhSIRPα-Fc-wt(Trillium)を陽性対照として使用した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。1×10細胞/ウェルのCFSE標識RBC(標的細胞)を、希釈したhSIRPα-Fc変異タンパク質と共に、低結合型96ウェルU型プレート中、37℃で30分間インキュベートした。その後、5×10個のRaw264.7細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。Raw264.7細胞をPE-シアニン7コンジュゲートF4/80抗体(eBioscience)で染色した。hSIRPα-Fc変異タンパク質のRBC貪食誘導能を、フローサイトメトリーによって、マクロファージ由来の全F4/80シグナルに対するマクロファージ由来のCFSE+F4/80+(マクロファージがCFSE標識RBC細胞を貪食したことを示す)の割合を計算することによって評価した。
【0261】
図17Aに示すように、全ての試験したhSIRPα-Fc変異タンパク質は、より弱い、マクロファージ(Raw264.7)によるRBC貪食誘導能を示した。
【0262】
実施例13.マウスミクロファージによる血小板貪食の誘導
ヒト血小板の貪食を、hSIRPα-Fc変異タンパク質の存在下で血小板をRaw264.7マウスマクロファージと共にインキュベートすることによって決定した。実験は以下のように行った。血小板を5nMのCellTrace(商標)CFSE(Thermo)で37℃で10分間標識した後、10%FBSを含有する完全DMEM培地で洗浄した。次いで、hSIRPα-Fc変異タンパク質を、500nM、50nM、5nM、0.5nM、50pM、5pM、及び0.5pMの最終濃度に連続希釈(10倍)した。Hu5F9-G4及びhSIRPα-Fc-wt(Trillium)を陽性対照として使用した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。5×10細胞/ウェルのCFSE標識血小板(標的細胞)を、希釈したhSIRPα-Fc変異タンパク質と共に、低結合型96ウェルU型プレート中、37℃で30分間インキュベートした。その後、5×10個のRaw264.7細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。Raw264.7細胞をPE-シアニン7コンジュゲートF4/80抗体(eBioscience)で染色した。hSIRPα-Fc変異タンパク質の血小板貪食誘導能を、フローサイトメトリーによって、マクロファージ由来の全F4/80シグナルに対するマクロファージ由来のCFSE+F4/80+(マクロファージがCFSE標識RBC細胞を貪食したことを示す)の割合を計算することによって評価した。
【0263】
図17Bに示されるように、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt21、及びhSIRPα-Fc-mt23は、より弱い、マクロファージ(Raw264.7)による血小板貪食誘導能を示した。
【0264】
実施例14.ヒトマクロファージによるCD47発現腫瘍細胞の貪食の誘導
ヒトミクロファージによるCD47発現腫瘍細胞(Raji、DLD1、又はJurkat)の貪食を以下のように決定した。PBMCをヒト血液から単離し、10%FBS、1×ストレプトマイシン/ペニシリン、及び200U/mLのGM-CSF(BioLegend、カタログ番号:576304)を含有する完全RPMI培地中で10~14日間インキュベートすることによって、単球をマクロファージに分化させた。単球由来マクロファージ(MDM)は接着性となり、非接着細胞を洗い流した。MDMを、Accutase(登録商標)(eBioscience、カタログ番号:EBS00-4555-56)と共にインキュベートし、掻き取ってプレートから分離した。ヒトCD47発現腫瘍細胞(Raji、DLD1、又はJurkat)を5nMのCellTrace(商標)CFSE(Thermo)で37℃で10分間標識した後、10%FBSを含有する完全RPMI培地で洗浄した。次いで、候補クローンを、200nM、20nM、2nM、200pM、20pM、及び2pMの最終濃度に連続希釈(10倍)した。Hu5F9-G4及びhSIRPα-Fc-wt(Trillium)を陽性対照として使用した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。2.4×10~6×10細胞/ウェルのCFSE標識Raji、DLD1、又はJurkat細胞(標的細胞)を、希釈したhSIRPα-Fc変異体タンパク質と共に、低結合型96ウェルU型プレート中、37℃で30分間インキュベートした。その後、1.2×10~3×10細胞/ウェルのMDM細胞(標的細胞数の半分)を各ウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。MDM細胞を、PE-シアニン7コンジュゲートCD14抗体(eBioscience、カタログ番号:25-0149-42)で染色した。hSIRPα-Fc変異タンパク質の貪食誘導能を、フローサイトメトリーによって、マクロファージ由来の全CD14シグナルに対するマクロファージ由来のCFSE+CD14+(マクロファージがCFSE標識RBC細胞を貪食したことを示す)の割合を計算することによって評価した。
【0265】
図18A図18Cに示すように、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt15、及びHu5F9-G4は、hSIRPα-Fc-wt(hSIRPα-Fc)と比較して、より良好なMDM細胞によるCD47発現腫瘍細胞の貪食誘導能を示した。
【0266】
図18Dに示されるように、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt21、及びhSIRPα-Fc-mt23は、hSIRPα-Fc-wtと比較して、より良好な、MDM細胞によるDLD1細胞の貪食誘導能を示した。Hu5F9は、最も高いMDM細胞による貪食誘導能を示した。
【0267】
実施例15.ヒトミクロファージによるRBC貪食の誘導
ヒトミクロファージによるRBCの貪食を以下のように決定した。PBMCをヒト血液から単離し、10%FBS、1×ストレプトマイシン/ペニシリン、及び200U/mLのGM-CSF(BioLegend)を含有する完全RPMI培地中で10~14日間インキュベートすることによって単球をマクロファージに分化させた。MDMは接着性となり、非接着細胞を洗い流した。MDMを、Accutase(登録商標)(eBioscience)と共にインキュベートし、掻き取ってプレートから分離した。RBCを5nMのCellTrace(商標)CFSE(Thermo)で37℃で10分間標識し、10%FBSを含有する完全RPMI培地で洗浄した。次いで、候補クローンを、200nM、20nM、2nM、200pM、20pM、及び2pMの最終濃度に連続希釈(10倍)した。Hu5F9-G4及びhSIRPα-Fc-wt(Trillium)を陽性対照として使用した。PD1-Fc-wtを陰性対照として使用した。4×10細胞/ウェルのCFSE標識RBC(標的細胞)を、希釈したhSIRPα-Fc変異タンパク質と共に、低結合型96ウェルU型プレート中、37℃で30分間インキュベートした。その後、4×10個のMDM細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。MDM細胞をPE-シアニン7コンジュゲートCD14抗体(eBioscience)で染色した。hSIRPα-Fc変異タンパク質の貪食誘導能を、フローサイトメトリーによって、マクロファージ由来の全CD14シグナルに対するマクロファージ由来のCFSE+CD14+(マクロファージがCFSE標識RBC細胞を貪食したことを示す)の割合を計算することによって評価した。
【0268】
図19A図19Bに示されるように、hSIRPα-Fc-mt10、hSIRPα-Fc-mt13、及びhSIRPα-Fc-mt15は、ヒトMDMのRBC貪食を誘導しなかった。図19Cに示すように、hSIRPα-Fc-mt15、hSIRPα-Fc-mt16、hSIRPα-Fc-mt21、及びhSIRPα-Fc-mt23は、ヒトMDMのRBC貪食を誘導しなかった。
【0269】
実施例16.インビボ抗腫瘍効果の決定
hSIRPα-Fc変異タンパク質のインビボ抗腫瘍効果を、Raji細胞を使用して決定した。具体的には、0日目に、NOD/SCIDマウスにRaji細胞を接種した。4日目に、マウスを対照群及び4つの処置群に分けた。処置群マウスについて、hSIRPα-Fc-mt10(G1)、hSIRPα-Fc-mt15(G2)、hSIRPα-Fc-wt(Trillium、G3)又はHu5F9-G4(G4)を、接種後7日目及び14日目に腹腔内注射によって投与した。対照群のマウスには等量のプラセボを投与した。各群のマウスの腫瘍体積を、接種後4日目、7日目、11日目、14日目及び18日目に測定した。各群のマウスの平均腫瘍体積を以下の表に示す。腫瘍増殖阻害(TGI)及びp値も決定した。
【0270】
【表10】
注::p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001、****:p<0.0001
【0271】
図20A図20Bに示されるように、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15は、抗CD47抗体Hu5F9-G4と比較して同等の抗腫瘍効果を示した。更に、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15の両方は、腫瘍増殖の阻害において、hSIRPα-Fc-wtよりも有効であった。図20Cに示すように、各群のマウスの生存曲線も決定し、これは、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15の投与が、プラセボ対照と比較して、生存マウスの割合を顕著に延長し得ることを示す。
【0272】
異なる実験において、hSIRPα-Fc変異タンパク質のインビボ抗腫瘍効果を、NCI-H82細胞を使用して決定した。具体的には、0日目に、NOD/SCIDマウスにNCI-H82細胞を接種した。4日目に、マウスを対照群及び4つの処置群に分けた。処置群マウスについて、hSIRPα-Fc-mt10(G1)、hSIRPα-Fc-mt15(G2)、hSIRPα-Fc-wt(Trillium、G3)又はHu5F9-G4(G4)を、接種後4日目、7日目、14日目、11日目、14日目、18日目、21日目、25日目及び28日目に腹腔内注射によって投与した。対照群のマウスには等量のプラセボを投与した。各群のマウスの腫瘍体積を、接種後4日目、7日目、14日目、11日目、14日目、18日目、21日目、25日目、28日目、及び32日目に測定した。各群のマウスの平均腫瘍体積を以下の表に示す。腫瘍増殖阻害(TGI)及びp値も決定した。
【0273】
【表11】
注::p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001、****:p<0.0001。
【0274】
図21A図21Bに示されるように、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15は、抗CD47抗体Hu5F9-G4と比較して同等の抗腫瘍効果を示した。更に、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15の両方は、腫瘍増殖の阻害において、hSIRPα-Fc-wtよりも有効であった。図21Cに示すように、各群のマウスの生存曲線も決定し、これは、hSIRPα-Fc-mt10及びhSIRPα-Fc-mt15の投与が、プラセボ対照と比較して、生存マウスの割合を顕著に延長し得ることを示す。
【0275】
他の実施形態
本発明を、発明を実施するための形態と併せて説明してきたが、前述の説明は、例示を意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22-1】
図22-2】
図23-1】
図23-2】
図23-3】
図23-4】
図23-5】
【配列表】
2025501430000001.xml
【国際調査報告】