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特表2025-501431太陽電池の製造方法、太陽電池及び積層型太陽電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法、太陽電池及び積層型太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20250115BHJP
   H10K 39/15 20230101ALI20250115BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20250115BHJP
   H10K 85/50 20230101ALI20250115BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20250115BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K39/15
H10K30/40
H10K85/50
H10K71/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510680
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2022140841
(87)【国際公開番号】W WO2024124611
(87)【国際公開日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】202211601215.X
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】張遠方
(72)【発明者】
【氏名】徐孟雷
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【テーマコード(参考)】
3K107
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA03
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG28
5F251AA01
5F251AA08
5F251AA09
5F251AA10
5F251AA20
5F251BA12
5F251BA14
5F251BA17
5F251DA04
5F251DA07
5F251DA15
5F251XA01
5F251XA61
(57)【要約】
【課題】本願実施例は、太陽電池の製造方法、太陽電池及び積層型太陽電池に関する。
【解決手段】太陽電池の製造方法は、順次積層されたキャリアプレート及び分離補助層を提供することと、分離補助層のキャリアプレートから離れた表面に接着基質と、接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子とを含むペロブスカイト吸収層を形成することであって、接着基質は、対向する第1表面及び第2表面を含み、第1表面が分離補助層から離れ、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子は、第1表面に対して突出した第1凸面と第2表面に対して突出した第2凸面とを備え、且つ単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層が形成されていることと、ペロブスカイト吸収層に第1キャリア輸送層を形成することでことと、第1キャリア輸送層に第1導電層を形成することと、キャリアプレートと分離補助層を除去し、ペロブスカイト吸収層に第2導電層を形成することと、を含む。本願実施例は、ペロブスカイト太陽電池の安定性及び光電変換能力を向上させることに有利である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って順次積層設置されたキャリアプレート及び分離補助層を提供することと、
前記分離補助層の前記キャリアプレートから離れた表面にペロブスカイト吸収層を形成することであって、前記ペロブスカイト吸収層は、接着基質と、前記接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子とを含み、前記第1方向において、前記接着基質は、対向する第1表面及び第2表面を含み、前記第1表面が前記分離補助層から離れ、少なくとも一部の前記単結晶ペロブスカイト粒子は、第1凸面と第2凸面とを備え、前記第1凸面が前記第1表面に対して突出し、前記第2凸面が前記第2表面に対して突出し、且つ、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層が形成されていることと、
第1キャリア輸送層を形成することであって、前記第1キャリア輸送層が前記ペロブスカイト吸収層の前記分離補助層から離れた表面に位置することと、
第1導電層を形成することであって、前記第1導電層が前記第1キャリア輸送層の前記第1表面から離れた表面に位置することと、
前記キャリアプレートと前記分離補助層を除去し、第2導電層を形成することであって、前記第2導電層が前記ペロブスカイト吸収層の前記第1キャリア輸送層から離れた表面に位置することと、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記機能層は、
前記単結晶ペロブスカイト粒子を機能層成長母液に浸漬し、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面に前記単結晶ペロブスカイト粒子の全ての表面を覆う第1機能層を形成する方式で、形成されることができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記ペロブスカイト吸収層を形成した後、さらに、
前記第1凸面における前記第1機能層を除去することを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記第1凸面における前記第1機能層を除去した後、さらに、
前記第1表面と前記第1凸面を覆う第2機能層を形成することを含み、
前記第1キャリア輸送層を形成することは、前記第2機能層の前記第1表面から離れた表面に前記第1キャリア輸送層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記分離補助層及び前記キャリアプレートを除去した後、さらに、
前記第2凸面における前記第1機能層を除去することを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記第2凸面における前記第1機能層を除去した後、さらに、
前記第2表面及び前記第2凸面を覆う第3機能層を形成することを含み、
前記第2導電層を形成することは、前記第3機能層の前記第2表面から離れた表面に前記第2導電層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記機能層は、
前記ペロブスカイト吸収層を形成した後、前記第1表面と前記第1凸面を覆う第4機能層を前記ペロブスカイト吸収層の前記分離補助層から離れた表面に形成する方式で、形成されることができ、
前記第1キャリア輸送層を形成することは、前記第4機能層の前記第1表面から離れた表面に前記第1キャリア輸送層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記機能層は、
前記キャリアプレート及び前記分離補助層を除去した後、前記第2表面及び前記第2凸面を覆う第5機能層を前記ペロブスカイト吸収層の前記第1キャリア輸送層から離れた表面に形成する方式で、形成されることができ、
前記第2導電層を形成することは、前記第5機能層の前記第2表面から離れた表面に前記第2導電層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記キャリアプレート及び前記分離補助層を除去した後、第2キャリア輸送層を形成することであって、前記第2キャリア輸送層が前記ペロブスカイト吸収層の前記第1キャリア輸送層から離れた表面に位置することをさらに含み、
前記第2導電層を形成することは、前記第2キャリア輸送層の前記第2表面から離れた表面に前記第2導電層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
第1方向に沿って順次積層設置された第1導電層、第1キャリア輸送層、ペロブスカイト吸収層及び第2導電層を含み、
前記ペロブスカイト吸収層は、接着基質と、前記接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子と、を含み、前記第1方向において、前記接着基質が対向する第1表面及び第2表面を含み、前記第1表面が前記第1導電層に向かい、少なくとも一部の前記単結晶ペロブスカイト粒子が第1凸面と第2凸面とを備え、前記第1凸面が前記第1表面に対して突出し、前記第2凸面が前記第2表面に対して突出し、且つ、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層が形成されている、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項11】
前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の全ての表面を覆う第1機能層を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1凸面を除いた全ての表面を覆う第2機能層を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第2凸面を除いた全ての表面を覆う第3機能層を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1凸面及び前記第2凸面を除いた全ての表面を覆う第4機能層を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記機能層は、前記第1凸面及び前記第1表面を覆う第5機能層を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記機能層は、前記第2凸面及び前記第2表面を覆う第6機能層を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記機能層の厚さは、0.1nm~1μmである、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項18】
いずれかの前記単結晶ペロブスカイト粒子について、現在の単結晶ペロブスカイト粒子と隣接する前記単結晶ペロブスカイト粒子との間隔は、前記現在の単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の2点間の最大間隔以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の2点間の最大間隔は、5μm~100μmを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記ペロブスカイト吸収層の前記第1導電層における正射影の面積を第1面積とし、前記複数の単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1導電層における正射影の面積を第2面積とし、前記第2面積の前記第1面積に対する比は、0.3~0.9である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項21】
前記第1方向において、前記第1凸面における任意の1点と前記第1表面との間隔及び/又は前記第2凸面における任意の1点と前記第2表面との間隔は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1方向における最大長さの半分以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項22】
前記第1方向において、前記接着基質の厚さは、100nm以上である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項23】
前記接着基質は、前記第1キャリア輸送層及び/又は前記第2導電層に向かう光トラッピング面を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項24】
前記光トラッピング面は、第1光トラッピング構造を含み、前記第1方向において、前記第1光トラッピング構造が前記接着基質の外部へ延びている、
ことを特徴とする請求項23に記載の太陽電池。
【請求項25】
前記光トラッピング面は、第2光トラッピング構造を含み、前記第1方向において、前記第2光トラッピング構造が前記接着基質の内部に凹んでいる、
ことを特徴とする請求項23に記載の太陽電池。
【請求項26】
前記第1キャリア輸送層は、電子輸送層又は正孔輸送層である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項27】
第2キャリア輸送層をさらに含み、前記第2キャリア輸送層は、前記ペロブスカイト吸収層と前記第2導電層との間に位置し、かつ、それぞれ前記ペロブスカイト吸収層と前記第2導電層と接触している、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項28】
前記第1キャリア輸送層が正孔輸送層である場合、前記第2キャリア輸送層は、電子輸送層であり、
前記第1キャリア輸送層が電子輸送層である場合、前記第2キャリア輸送層は、正孔輸送層である、
ことを特徴とする請求項27に記載の太陽電池。
【請求項29】
順次積層設置されたトップ電池、貼り合わせ層及びボトム電池を含み、
ここで、前記トップ電池が請求項11~28のいずれか1項に記載の太陽電池である、
ことを特徴とする積層型太陽電池。
【請求項30】
前記ボトム電池は、結晶シリコン太陽電池、CIGS薄膜太陽電池、テルル化カドミウム薄膜太陽電池、III-V薄膜太陽電池又はナローバンドギャップペロブスカイト薄膜太陽電池を含む、
ことを特徴とする請求項29に記載の積層型太陽電池。
【請求項31】
前記貼り合わせ層は、導電性接着剤で構成された機械的な貼り合わせ層を含む、
ことを特徴とする請求項29に記載の積層型太陽電池。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が202211601215X、出願日が2022年12月13日である中国特許出願に基づいて提出され、この中国特許出願の優先権を主張するものであり、この中国特許出願の開示全体は、ここで援用により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
(発明の分野)
本願の実施例は、太陽電池の分野に関し、特に太陽電池の製造方法、太陽電池及び積層型太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
化石エネルギーは、大気汚染があり、埋蔵量が限られているという特徴があるが、太陽エネルギーはクリーンで、汚染がなく、資源が豊かであるなどの利点を持っている。このため、太陽エネルギーは徐々に化石エネルギーに代わる核心的なクリーンエネルギーになりつつあり、太陽電池が良好な光電変換効率を有するため、太陽電池はクリーンエネルギー利用の最も重要な一環となっている。
【0004】
エネルギー利用に占める太陽エネルギーの割合に影響する重要な要素の一つは、太陽電池の光電変換効率である。太陽電池の光電変換効率を高めるために、太陽電池の構造設計及び材料構成を最適化することは、基本的な解決案である。ペロブスカイト太陽電池は、長い使用寿命及び比較的安定した光電変換効率を持っているため、発展の見通しがよい。
【0005】
しかしながら、現在のペロブスカイト太陽電池には、光電変換効率が限られており、安定性が悪いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願実施例に提供された太陽電池の製造方法、太陽電池及び積層型太陽電池は、少なくとも、良好な光電変換効率を持っている大面積のペロブスカイト電池の製造を実現し、ペロブスカイト太陽電池の光電変換能力及び安定性を向上させることに有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願実施例には、太陽電池の製造方法が提供され、太陽電池の製造方法は、第1方向に沿って順次積層設置されたキャリアプレート及び分離補助層を提供することと、前記分離補助層の前記キャリアプレートから離れた表面にペロブスカイト吸収層を形成することであって、前記ペロブスカイト吸収層は、接着基質と、前記接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子とを含み、前記第1方向において、前記接着基質は、対向する第1表面及び第2表面を含み、前記第1表面が前記分離補助層から離れ、少なくとも一部の前記単結晶ペロブスカイト粒子は、第1凸面と第2凸面とを備え、前記第1凸面が前記第1表面に対して突出し、前記第2凸面が前記第2表面に対して突出し、且つ、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層が形成されていることと、第1キャリア輸送層を形成することであって、前記第1キャリア輸送層が前記ペロブスカイト吸収層の前記分離補助層から離れた表面に位置することと、第1導電層を形成することであって、前記第1導電層が前記第1キャリア輸送層の前記第1表面から離れた表面に位置することと、前記キャリアプレートと前記分離補助層を除去し、第2導電層を形成することであって、前記第2導電層が前記ペロブスカイト吸収層の前記第1キャリア輸送層から離れた表面に位置することと、を含む。
【0008】
また、前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子を機能層成長母液に浸漬し、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面に前記単結晶ペロブスカイト粒子の全ての表面を覆う第1機能層を形成する方式で、形成されることができる。
【0009】
また、前記ペロブスカイト吸収層を形成した後、さらに、前記第1凸面における前記第1機能層を除去することを含む。
【0010】
また、前記第1凸面における前記第1機能層を除去した後、さらに、前記第1表面と前記第1凸面を覆う第2機能層を形成することを含み、前記第1キャリア輸送層を形成することは、前記第2機能層の前記第1表面から離れた表面に前記第1キャリア輸送層を形成することを含む。
【0011】
また、前記分離補助層及び前記キャリアプレートを除去した後、さらに、前記第2凸面における前記第1機能層を除去することを含む。
【0012】
また、前記第2凸面における前記第1機能層を除去した後、さらに、前記第2表面及び前記第2凸面を覆う第3機能層を形成することを含み、前記第2導電層を形成することは、前記第3機能層の前記第2表面から離れた表面に前記第2導電層を形成することを含む。
【0013】
また、前記機能層は、前記ペロブスカイト吸収層を形成した後、前記第1表面と前記第1凸面を覆う第4機能層を前記ペロブスカイト吸収層の前記分離補助層から離れた表面に形成する方式で、形成されることができ、前記第1キャリア輸送層を形成することは、前記第4機能層の前記第1表面から離れた表面に前記第1キャリア輸送層を形成することを含む。
【0014】
また、前記機能層は、前記キャリアプレート及び前記分離補助層を除去した後、前記第2表面及び前記第2凸面を覆う第5機能層を前記ペロブスカイト吸収層の前記第1キャリア輸送層から離れた表面に形成する方式で、形成されることができ、前記第2導電層を形成することは、前記第5機能層の前記第2表面から離れた表面に前記第2導電層を形成することを含む。
【0015】
また、前記太陽電池の製造方法は、前記キャリアプレート及び前記分離補助層を除去した後、第2キャリア輸送層を形成することであって、前記第2キャリア輸送層が前記ペロブスカイト吸収層の前記第1キャリア輸送層から離れた表面に位置することをさらに含み、前記第2導電層を形成することは、前記第2キャリア輸送層の前記第2表面から離れた表面に前記第2導電層を形成することを含む。
【0016】
以上に対応して、本願実施例には、太陽電池がさらに提供され、太陽電池は、第1方向に沿って順次積層設置された第1導電層、第1キャリア輸送層、ペロブスカイト吸収層及び第2導電層を含み、前記ペロブスカイト吸収層は、接着基質と、前記接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子と、を含み、前記第1方向において、前記接着基質が対向する第1表面及び第2表面を含み、前記第1表面が前記第1導電層に向かい、少なくとも一部の前記単結晶ペロブスカイト粒子が第1凸面と第2凸面とを備え、前記第1凸面が前記第1表面に対して突出し、前記第2凸面が前記第2表面に対して突出し、且つ、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層が形成されている。
【0017】
また、前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の全ての表面を覆う第1機能層を含む。
【0018】
また、前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1凸面を除いた全ての表面を覆う第2機能層を含む。
【0019】
また、前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第2凸面を除いた全ての表面を覆う第3機能層を含む。
【0020】
前記機能層は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1凸面及び前記第2凸面を除いた全ての表面を覆う第4機能層を含む。
【0021】
また、前記機能層は、前記第1凸面及び前記第1表面を覆う第5機能層を含む。
【0022】
また、前記機能層は、前記第2凸面及び前記第2表面を覆う第6機能層を含む。
【0023】
また、前記機能層の厚さは、0.1nm~1μmである。
【0024】
また、いずれかの前記単結晶ペロブスカイト粒子について、現在の単結晶ペロブスカイト粒子と隣接する前記単結晶ペロブスカイト粒子との間隔は、前記現在の単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の2点間の最大間隔以下である。
【0025】
また、前記単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の2点間の最大間隔は、5μm~100μmである。
【0026】
また、前記ペロブスカイト吸収層の前記第1導電層における正射影の面積を第1面積とし、前記複数の単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1導電層における正射影の面積を第2面積とし、前記第2面積の前記第1面積に対する比は、0.3~0.9である。
【0027】
また、前記第1方向において、前記第1凸面における任意の1点と前記第1表面との間隔及び/又は前記第2凸面における任意の1点と前記第2表面との間隔は、前記単結晶ペロブスカイト粒子の前記第1方向における最大長さの半分以下である。
【0028】
また、前記第1方向において、前記接着基質の厚さは、100nm以上である。
【0029】
また、前記接着基質は、前記第1キャリア輸送層及び/又は前記第2導電層に向かう光トラッピング面を含む。
【0030】
また、前記光トラッピング面は、第1光トラッピング構造を含み、前記第1方向において、前記第1光トラッピング構造が前記接着基質の外部へ延びている。
【0031】
また、前記光トラッピング面は、第2光トラッピング構造を含み、前記第1方向において、前記第2光トラッピング構造が前記接着基質の内部に凹んでいる。
【0032】
また、前記第1キャリア輸送層は、電子輸送層又は正孔輸送層である。
【0033】
また、前記太陽電池は、第2キャリア輸送層をさらに含み、前記第2キャリア輸送層は、前記ペロブスカイト吸収層と前記第2導電層との間に位置し、かつ、それぞれ前記ペロブスカイト吸収層と前記第2導電層と接触している。
【0034】
また、前記第1キャリア輸送層が正孔輸送層である場合、前記第2キャリア輸送層は、電子輸送層であり、前記第1キャリア輸送層が電子輸送層である場合、前記第2キャリア輸送層は、正孔輸送層である。
【0035】
以上に対応して、本願実施例には、積層型太陽電池がさらに提供され、積層型太陽電池は、順次積層設置されたトップ電池、貼り合わせ層及びボトム電池を含み、ここで、前記の太陽電池である。
【0036】
また、前記ボトム電池は、結晶シリコン太陽電池、CIGS薄膜太陽電池、テルル化カドミウム薄膜太陽電池、III-V薄膜太陽電池又はナローバンドギャップペロブスカイト薄膜太陽電池を含む。
【0037】
また、前記貼り合わせ層は、導電性接着剤で構成された機械的な貼り合わせ層を含む。
【発明の効果】
【0038】
本願実施例に提供された技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0039】
本願の一実施例によって提供された太陽電池の製造方法では、接着基質と接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子とを利用して太陽電池のペロブスカイト吸収層を構成し、単結晶ペロブスカイト粒子でペロブスカイト吸収層を構築することで、ペロブスカイト吸収層の安定性を確保し、単結晶ペロブスカイト粒子を接着基質に配列する形態を用いることで、カット工程の単結晶ペロブスカイトに対する損傷を回避し、太陽電池の効率を確保しており、同時に、単結晶粒子を配列する方式でペロブスカイト吸収層を構築することで、大面積の単結晶ペロブスカイト太陽電池の製造に寄与する。接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子のうち、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子は、それぞれ接着基質の第1表面より突出した第1凸面と接着基質の第2表面より突出した第2凸面とを備え、接着基質の対向する両面に露出した単結晶ペロブスカイト粒子でペロブスカイト吸収層を構築することにより、ペロブスカイト吸収層自体にテクスチャ構造を持たせるようになり、さらに良好な光吸収能力を持たせるとともに、光生成キャリアがペロブスカイト吸収層から導電層又はキャリア輸送層へ輸送する能力を向上させ、太陽電池の光電変換効率と能力を高めている。単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層が形成されているため、ペロブスカイト単結晶粒子が動作中に分解する確率をさらに下げ、太陽電池の安定性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
1つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。
図1図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法のフローチャートである。
図2図2は、本願の一実施例に係る半製品の電池の構造を示す図である。
図3図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の構造を示す図である。
図4図4は、本願の一実施例に係る太陽電池の断面図である。
図5図5は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図6図6は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図7図7は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図8図8は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図9図9は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図10図10は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図11図11は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の構造を示す図である。
図12図12は、本願の別の実施例に係る太陽電池の構造を示す図である。
図13図13は、本願の一実施例に係る太陽電池の断面図である。
図14図14は、本願の一実施例に係るペロブスカイト吸収層の上面図である。
図15図15は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図16図16は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図17図17は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図18図18は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図19図19は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図20図20は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図21図21は、本願の一実施例に係る2種類の太陽電池の断面図である。
図22図22は、本願の一実施例に係る別のペロブスカイト吸収層の断面図である。
図23図23は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図24図24は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図25図25は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図26図26は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図27図27は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面図である。
図28図28は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の構造を示す図である。
図29図29は、本願の別の実施例に係る積層型太陽電池の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
背景技術からわかるように、ペロブスカイト太陽電池は、使用寿命と光電変換効率の利点によって、良好な見通しを持っているが、現在のペロブスカイト太陽電池セルは、光電変換効率が限られており、且つ安定性が悪い。
【0042】
本願の一実施例には、太陽電池の製造方法が提供され、太陽電池の製造過程において、接着基質と接着基質に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子を利用して太陽電池のペロブスカイト吸収層を構成し、単結晶ペロブスカイト粒子でペロブスカイト吸収層を構築することで、ペロブスカイト吸収層の安定性を確保し、単結晶ペロブスカイト粒子を接着基質に配列する形態を用いることで、カット工程の単結晶ペロブスカイトに対する損傷を回避し、太陽電池の効率を確保しており、単結晶粒子を配列する方式でペロブスカイト吸収層を構築することによって、大面積の単結晶ペロブスカイト太陽電池の製造に寄与する。接着基質中に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子のうち、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子は、それぞれ接着基質の第1表面より突出した第1凸面と接着基質の第2表面より突出した第2凸面とを備え、接着基質の対向する両面に露出した単結晶ペロブスカイト粒子でペロブスカイト吸収層を構築することにより、ペロブスカイト吸収層自体にテクスチャ構造を持たせるようになり、さらに良好な光吸収能力を持たせるとともに、光生成キャリアがペロブスカイト吸収層から導電層又はキャリア輸送層へ輸送する能力を向上させ、太陽電池の光電変換効率と能力を高めている。単結晶ペロブスカイト粒子の表面に機能層を形成することで、単結晶ペロブスカイト粒子が動作中に分解する可能性をさらに低減し、太陽電池の安定性をさらに向上させることができる。
【0043】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0044】
本願の一実施例は、電池製造装置に適用される太陽電池の製造方法を提供する。太陽電池の製造プロセスは、図1を参照することができる。
【0045】
図1図2に示すように、第1方向に沿って順次積層設置されたキャリアプレート201及び分離補助層202を提供する。ここで、図2は、太陽電池の第1導電層205の製造終了後の構造を示す図であり、X方向が第1方向である。
【0046】
太陽電池を製造する過程において、まず、第1方向に沿って積層設置されたキャリアプレート201及び分離補助層202を提供することができ、キャリアプレート201の機能は、仮基板として、その後の製造作業を仮基板にて正確に行うことができることである。分離補助層202の機能は、製品又は半製品の太陽電池をキャリアプレート201から隔離して、キャリアプレート201の除去を簡単にすることである。したがって、キャリアプレート201の材質は、変形しにくく且つ安定したポリアミド、ガラス又は安定した金属などであってよい。分離補助層202はキャリアプレート201を電池から隔離するだけでなく、除去しやすくする必要があるため、分離補助層202の材質はエッチングと除去が便利な二酸化チタン、金属又はフォトレジストなどを選ぶことができる。第1方向に沿って順次積層設置されたキャリアプレート201及び分離補助層202を提供することで、太陽電池の製造に安定した仮担体を持たせるとともに、仮担体の除去が簡単に実現でき、太陽電池の製造効率と効果を確保している。
【0047】
なお、キャリアプレート201と分離補助層202の設置方法として、まず、分離補助層202を製造し、そして、分離補助層202の片側の表面にキャリアプレート201を製造し、製造された分離補助層202とキャリアプレート201を第1方向に沿ってキャリアプレート201と分離補助層202の順に積層設置する位置関係によって並べてもよい。また、まず、キャリアプレート201を製造し、そして、キャリアプレート201の片側の表面に分離補助層202を製造し、製造された分離補助層202とキャリアプレート201を第1方向に沿ってキャリアプレート201と分離補助層202の順に積層設置する位置関係によって並べてもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0048】
分離補助層202のキャリアプレート201から離れた表面にペロブスカイト吸収層203を形成する。
【0049】
第1方向に沿って順次積層設置されたキャリアプレート201及び分離補助層202を提供した後、電池製造装置は、分離補助層202のキャリアプレート201から離れた表面にペロブスカイト吸収層203を形成する。ペロブスカイト吸収層203は、接着基質2031と、接着基質2031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子2032とを含み、第1方向において、接着基質2031は、対向する第1表面及び第2表面を含み、第1表面が分離補助層202から離れ、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子2032は、第1凸面と第2凸面とを備え、第1凸面が第1表面に対して突出し、第2凸面が第2表面に対して突出し、且つ、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に機能層30が形成されている。
【0050】
接着基質2031と接着基質2031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子2032とを利用して太陽電池のペロブスカイト吸収層203を構成することで、ペロブスカイト吸収層203の安定性を確保することができる。単結晶ペロブスカイト粒子2032を接着基質2031に配列する形態を用いることで、カット工程の単結晶ペロブスカイトに対する損傷を回避し、太陽電池の効率を確保している。それとともに、単結晶粒子を配列する方式でペロブスカイト吸収層203を構築することにより、大面積の吸収層と単結晶ペロブスカイト太陽電池の形成が容易になり、生産効率を高めている。
【0051】
接着基質2031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子2032のうち、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子2032は、それぞれ、接着基質2031の第1表面より突出した第1凸面と、接着基質2031の第2表面より突出した第2凸面とを備える。接着基質2031の対向する両面に露出した単結晶ペロブスカイト粒子2032でペロブスカイト吸収層203を構築することで、ペロブスカイト吸収層203にテクスチャ構造を持たせ、良好な光吸収能力を備えるようになる。それとともに、単結晶ペロブスカイト粒子2032が接着基質2031から露出したため、光生成キャリアのペロブスカイト吸収層203から導電層又はキャリア輸送層にへの輸送能力を強め、太陽電池の光電変換効率と能力を高めている。
【0052】
単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に機能層30が形成されているため、単結晶ペロブスカイト粒子2032が動作中に分解する確率をさらに下げ、太陽電池の安定性をさらに向上させている。
【0053】
なお、ペロブスカイト吸収層203は、分離補助層202のキャリアプレート201から離れた表面に接着基質2031を形成してから、接着基質2031に単結晶ペロブスカイト粒子2032を配列することで形成されてもよい。先に接着基質2031を形成する方式で、単結晶ペロブスカイト粒子2032の配列と固定が容易になる。また、分離補助層202のキャリアプレート201から離れた表面に単結晶ペロブスカイト粒子2032を複数配列してから、接着基質2031を形成してもよい。先に単結晶ペロブスカイト粒子2032を配列することで、第1凸面と第2凸面を正確に形成することが容易になる。さらに、あらかじめ完全なペロブスカイト吸収層203を形成してから、ペロブスカイト吸収層203を直接に分離補助層202のキャリアプレート201から離れた表面に移転させることもできる。本願の実施例では、ペロブスカイト吸収層203の具体的な形成方式について限定しない。
【0054】
また、機能層30は、パッシベーション処理によって得られるパッシベーション層であってもよいし、堆積または成長などによって形成される化粧層であってもよい。本願の実施例では、機能層30の具体的なタイプと形成方式について限定しない。
【0055】
第1キャリア輸送層204を形成する。
【0056】
ペロブスカイト吸収層203を形成した後、電池製造装置は、ペロブスカイト吸収層203の表面に第1キャリア輸送層204を形成し、第1キャリア輸送層204がペロブスカイト吸収層203の分離補助層202から離れた表面に位置する。ペロブスカイト吸収層203の分離補助層202から離れた表面に第1キャリア輸送層204を形成することで、太陽電池はあるタイプの光生成キャリアに対して良好な収集と輸送能力を備え、異なるキャリア間の再結合を低減し、製品の太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0057】
第1導電層205を形成する。
【0058】
第1キャリア輸送層204を形成した後、電池製造装置は、第1キャリア輸送層204の表面に第1導電層205を形成し、第1導電層205が第1キャリア輸送層204のペロブスカイト吸収層203の第1表面から離れた表面に位置する。第1キャリア輸送層204のペロブスカイト吸収層203の第1表面から離れた表面に第1導電層205を形成することで、電気エネルギーの出力を簡単にする。
【0059】
図2図3に示すように、キャリアプレート201と分離補助層202を除去し、第2導電層206を形成する。
【0060】
第1導電層205を形成した後、電池製造装置は、半製品の電池を反転させてから、キャリアプレート201と分離補助層202を順次除去するか、又は、直接分離補助層202とペロブスカイト吸収層203の境界に沿って、分離補助層202とキャリアプレート201を同期除去することができる。キャリアプレート201及び分離補助層202を除去した後、ペロブスカイト吸収層203の表面に第2導電層206を形成し、第2導電層206がペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に位置する。ペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に第2導電層206を形成することで、第1導電層205と第2導電層206を協働させた時に、太陽電池で発生された電気エネルギーを効果的に出力することができる。
【0061】
図2図4に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、単結晶ペロブスカイト粒子2032を機能層成長母液に浸漬し、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に単結晶ペロブスカイト粒子2032の全ての表面を覆う第1機能層31を形成する方式で、形成されることができる。
【0062】
図4は太陽電池の断面図である。電池製造装置は、太陽電池を製造する過程において、ペロブスカイト吸収層203を形成する前に、まず、各単結晶ペロブスカイト粒子2032を機能層成長母液に浸漬し、予め設定された時間を経過した後又は単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に単結晶ペロブスカイト粒子2032の全ての表面を覆った第1機能層31を形成した後、単結晶ペロブスカイト粒子2032を取り出す。その後、粒子の全ての表面が第1機能層31で覆われた単結晶ペロブスカイト粒子2032を利用してペロブスカイト吸収層203を形成し、第1機能層31をペロブスカイト吸収層203のうちの各単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とする。
【0063】
単結晶ペロブスカイト粒子2032を機能層成長母液に浸漬し、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に全ての表面を覆う第1機能層31を形成することで、単結晶ペロブスカイト粒子2032は動作中の任意の時点においても良好な安定性を有することを確保し、ひいては太陽電池の安定性を確保する。
【0064】
ここで、機能層成長母液は、フェネチルアミンX塩(PEAX、X=I、Br又はCl)又はイソブチルアミンX塩(BAX、X=I、Br又はCl)をインドールプロピオン酸(C1111NO、IPA)に溶解することによって形成されることができる。本願の実施例では、成長母液の調合方式について限定しない。
【0065】
なお、機能層成長母液は、特定の塩をインドールプロピオン酸に溶解することで形成された液状母液であってもよいし、気化したアセトニトリル(CN)、インドールプロピオン酸又は水からなるガス状母液であってもよい。単結晶ペロブスカイト粒子2032を気化したアセトニトリル(CN)、インドールプロピオン酸又は水に入れても、同様に単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に機能層30を形成することができる。本願の実施例では、機能層成長母液の具体的なタイプと調合方法について限定しない。
【0066】
図2図5に示すように、いくつかの実施例では、ペロブスカイト吸収層203を形成した後、さらに、第1凸面における第1機能層31を除去することを含む。
【0067】
太陽電池を製造する過程において、電池製造装置は、ペロブスカイト吸収層203を形成した後、物理エッチング又は化学エッチングなどによって、単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1における第1機能層31を除去する。第1凸面T1は、接着基質2031の第2導電層206から離れた第1表面に対して突出している。第1凸面T1における第1機能層31を除去した後、残りの第1機能層31を各単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とする。
【0068】
ペロブスカイト吸収層203を形成した後、第1凸面T1における第1機能層31を除去し、残りの第1機能層31を各単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とすることで、単結晶ペロブスカイト粒子2032は動作中の安定性をできる限り確保しながら、第1凸面T1の光反射率を下げ、単結晶ペロブスカイト粒子2032が良好な光吸収能力を備えることを確保し、ひいては単結晶ペロブスカイト粒子2032のキャリア生成能力と太陽電池の光電変換能力を確保する。
【0069】
なお、第1凸面T1における第1機能層31を除去する過程において、第1凸面T1における第1機能層31を完全に除去してもよいし、第1凸面T1における第1機能層31を完全に除去しなくてもよい。除去する程度は、単結晶ペロブスカイト粒子2032の安定性及び/又は光吸収能力に対するニーズに応じて調整されることができる。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0070】
図2図6に示すように、いくつかの実施例では、第1凸面T1における第1機能層31を除去した後、さらに、接着基質2031の第1表面と第1凸面T1を覆う第2機能層32を形成することを含み、第1キャリア輸送層204を形成することは、第2機能層32の接着基質2031の第1表面から離れた表面に第1キャリア輸送層204を形成することを含む。
【0071】
電池製造装置は、第1凸面T1における第1機能層31を除去した後、接着基質2031の分離補助層202から離れた第1表面に第2機能層32を形成し、第2機能層32が単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1と接着基質2031の第1表面を覆い、第1凸面T1に位置する第2機能層32と第1凸面T1における第1機能層31を除去して残った第1機能層31とを単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とする。
【0072】
第1凸面T1と接着基質2031の第1表面に位置する第2機能層32を製造することで、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30の被覆面積を増やし、ペロブスカイト吸収層203の安定性を向上させるとともに、第2機能層32が接着基質2031の第1表面を覆うことで、光の接着基質2031内部での反射率を増やし、ペロブスカイト吸収層203の光吸収能力を強め、太陽電池の光電変換能力を高める。
【0073】
なお、第2機能層32は、ペロブスカイト吸収層203の表面に直接全体として形成され、各単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1を覆ってもよいし、全ての単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1と接着基質2031の第1表面の全ての領域を覆うことなく、予め設定されたパターンによってペロブスカイト吸収層203の表面に選択的に形成されてもよい。第2機能層32は第1凸面T1全体を完全に覆ってもよいし、第1凸面T1の一部だけを覆ってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0074】
図2図7に示すように、いくつかの実施例では、分離補助層202及びキャリアプレート201を除去した後、さらに、第2凸面T2における第1機能層31を除去することを含む。
【0075】
電池製造装置は、分離補助層202及びキャリアプレート201を除去した後、物理エッチング又は化学エッチング等の方式により、単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2における第1機能層31を除去する。第2凸面T2は、接着基質2031の第1キャリア輸送層204から離れた第2表面に対して突出する。第2凸面T2における第1機能層31を除去して残った第1機能層31を各単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とする。
【0076】
ペロブスカイト吸収層203を形成した後、第2凸面T2における第1機能層31を除去し、残った第1機能層31を各単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とすることで、単結晶ペロブスカイト粒子2032の動作中の安定性をできる限り確保するとともに、第2凸面T2の光反射率を下げ、単結晶ペロブスカイト粒子2032が良好な光吸収能力を有することを確保し、ひいては単結晶ペロブスカイト粒子2032のキャリア生成能力と太陽電池の光電変換能力を確保する。
【0077】
なお、第2凸面T2における第1機能層31を除去する過程において、第2凸面T2における第1機能層31を完全に除去してもよいし、第2凸面T2における第1機能層31を完全に除去しなくてもよい。除去する程度は、単結晶ペロブスカイト粒子2032の安定性及び/又は光吸収能力に対するニーズに応じて調整されることができる。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0078】
図2図8に示すように、いくつかの実施例では、第2凸面T2における第1機能層31を除去した後、さらに、接着基質2031の第2表面及び第2凸面T2を覆う第3機能層33を形成することを含み、第2導電層206を形成することは、第3機能層33の接着基質2031の第2表面から離れた表面に第2導電層206を形成することを含む。
【0079】
電池製造装置は、第2凸面T2における第1機能層31を除去した後、接着基質2031の第2表面に第3機能層33を形成し、第3機能層33が単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2と接着基質2031の第2表面を覆い、第2凸面T2に位置する第3機能層33と第2凸面T2における第1機能層31を除去して残った第1機能層31とを単結晶ペロブスカイト粒子2032表面における機能層30とする。
【0080】
第2凸面T2と接着基質2031の第2表面に位置する第3機能層33を製造することで、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30の被覆面積を増やし、ペロブスカイト吸収層203の安定性を向上させるとともに、第3機能層33が接着基質2031の第2表面を覆うことで、接着基質2031内部での光の反射率を増やし、ペロブスカイト吸収層203の光吸収能力を強め、太陽電池の光電変換能力を向上させる。
【0081】
なお、第3機能層33はペロブスカイト吸収層203の表面に直接全体としてに形成されて、各単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2を覆ってもよいし、全ての単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2と接着基質2031の第2表面における全ての領域を覆うことなく、一定のパターンによってペロブスカイト吸収層203の表面に選択的に形成されてもよい。第3機能層33は、第2凸面T2全体を完全に覆ってもよいし、第2凸面T2の一部のみを覆ってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0082】
また、太陽電池を製造する過程において、ペロブスカイト吸収層203の表面に第3機能層33のみ又は第2機能層32のみを形成してもよいし、ペロブスカイト吸収層203の表面に第3機能層33と第2機能層32の両方を形成してもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0083】
図2図9に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、ペロブスカイト吸収層203を形成した後、第1表面と第1凸面T1を覆う第4機能層34をペロブスカイト吸収層203の分離補助層202から離れた表面に形成する方式で、形成されることができる。第1キャリア輸送層204を形成することは、第4機能層34の第1表面から離れた表面に第1キャリア輸送層204を形成することを含む。
【0084】
電池製造装置は、太陽電池を製造する過程において、ペロブスカイト吸収層203を形成した後、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面にパッシベーション処理又は化粧処理を行ったか否かにかかわらず、ペロブスカイト吸収層203の分離補助層202から離れた表面に直接第4機能層34を形成し、第4機能層34が接着基質2031の第1表面と単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1を覆い、単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1における第4機能層34を単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とする。その後、第4機能層34の接着基質2031の第1表面から離れた表面に、第1キャリア輸送層204を形成する。
【0085】
接着基質2031の第1表面と単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1を覆う第4機能層34を製造することで、単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1の表面に機能層30を持たせ、単結晶ペロブスカイト粒子2032の動作中の安定性を高めるとともに、第4機能層34が接着基質2031の第1表面を覆うことで、光の接着基質2031内部での反射率を増やし、ペロブスカイト吸収層203の光吸収能力を強め、太陽電池の光電変換能力を向上させる。
【0086】
なお、第4機能層34は、ペロブスカイト吸収層203の表面に直接全体として形成されて、各単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1を覆ってもよいし、全ての単結晶ペロブスカイト粒子2032の第1凸面T1と接着基質2031の第1表面における全ての領域を覆うことなく、一定のパターンによってペロブスカイト吸収層203の表面に選択的に形成されてもよい。第4機能層34は、第1凸面T1全体を完全に覆ってもよいし、第1凸面T1の一部のみを覆ってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0087】
図2図10に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、キャリアプレート201及び分離補助層202を除去した後、第2表面及び第2凸面T2を覆う第5機能層35をペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に形成する方式で、形成されることができる。第2導電層206を形成することは、第5機能層35の第2表面から離れた表面に第2導電層206を形成することを含む。
【0088】
電池製造装置は、太陽電池を製造する過程において、キャリアプレート201と分離補助層202を除去した後、単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面にパッシベーション処理又は化粧処理を行ったか否かにかかわらず、ペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に第5機能層35を直接形成し、第5機能層35が接着基質2031の第2表面と単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2を覆い、単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2における第5機能層35を単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面における機能層30とする。その後、第5機能層35の接着基質2031の第1表面から離れた表面に第2導電層206を形成する。
【0089】
接着基質2031の第2表面と単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2を覆う第5機能層35を製造することで、単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2の表面に機能層30を持たせ、単結晶ペロブスカイト粒子2032の動作中の安定性を向上させるとともに、第5機能層35が接着基質2031の第2表面を覆うことで、光の接着基質2031内部での反射率を増やし、ペロブスカイト吸収層203の光吸収能力を強め、太陽電池の光電変換能力を高める。
【0090】
なお、第5機能層35は、ペロブスカイト吸収層203の表面に直接全体として形成されて、各単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2を覆ってもよいし、全ての単結晶ペロブスカイト粒子2032の第2凸面T2と接着基質2031の第2表面における全ての領域を覆うことなく、一定のパターンによってペロブスカイト吸収層203の表面に選択的に形成されてもよい。第5機能層35は、第2凸面T2全体を完全に覆ってもよいし、第2凸面T2の一部のみを覆ってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0091】
また、太陽電池を製造する過程において、ペロブスカイト吸収層203の表面に第5機能層35のみ又は第4機能層34のみを形成してもよいし、ペロブスカイト吸収層203の表面に第5機能層35及び第4機能層34の両方を形成してもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0092】
図2図11に示すように、いくつかの実施例では、太陽電池の製造方法は、さらに、キャリアプレート201及び分離補助層202を除去した後、第2キャリア輸送層207を形成することであって、第2キャリア輸送層207がペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に位置することを含む。第2導電層206を形成することは、第2キャリア輸送層207の第2表面から離れた表面に第2導電層206を形成することを含む。
【0093】
電池製造装置は、太陽電池を製造する過程において、ペロブスカイト吸収層203の表面に第2キャリア輸送層207を形成し、第2キャリア輸送層207がペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に位置する。その後、第2キャリア輸送層207の接着基質2031の第2表面から離れた表面に第2導電層206を形成する。ペロブスカイト吸収層203の第1キャリア輸送層204から離れた表面に第2キャリア輸送層207を形成することで、太陽電池は、2つのキャリア輸送層が互いに協力するもとで、異なる種類の光生成キャリアに対して良好な集積と輸送能力を備え、異なるキャリア間の再結合をできる限り低減し、製品の太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0094】
上記のように、本願の一実施例で提供された太陽電池の製造方法では、接着基質2031と接着基質2031中に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子2032とを用いて太陽電池のペロブスカイト吸収層203を構成する。単結晶ペロブスカイト粒子2032でペロブスカイト吸収層203を構築することで、ペロブスカイト吸収層203の安定性を確保しており、単結晶ペロブスカイト粒子2032を接着基質2031に配列する形態を用いることで、カット工程の単結晶ペロブスカイトに対する損傷を回避し、太陽電池の効率を確保している。それとともに、単結晶粒子を配列する方式でペロブスカイト吸収層203を構築することで、大面積の単結晶ペロブスカイト太陽電池の製造に寄与する。接着基質2031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子2032のうち、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子2032は、それぞれ接着基質2031の第1表面より突出した第1凸面と接着基質2031の第2表面より突出した第2凸面とを有し、接着基質2031の対向する両面に露出した単結晶ペロブスカイト粒子2032を用いてペロブスカイト吸収層203の構築を行うことで、ペロブスカイト吸収層203自体にテクスチャ構造を持たせるようになり、良好な光吸収能力を有するとともに、光生成キャリアのペロブスカイト吸収層203から導電層又はキャリア輸送層への輸送能力を向上させ、太陽電池の光電変換効率と能力を高めている。単結晶ペロブスカイト粒子2032の表面に機能層30を形成することで、単結晶ペロブスカイト粒子2032が動作中に分解する確率をさらに下げ、ひいては太陽電池の安定性を高めることができる。
【0095】
これに対応して、本願実施例の別の態様では、太陽電池がさらに提供される。図12図14を参照して、ここで、図12は、太陽電池の全体構造を示す図であり、図13は、太陽電池の断面構造を示す図であり、図14は、ペロブスカイト吸収層103の上面図であり、ここで、X方向が第1方向である。
【0096】
太陽電池は、第1方向に沿って順次積層設置された第2導電層104、ペロブスカイト吸収層103、第1キャリア輸送層102及び第1導電層101及びを含み、ペロブスカイト吸収層103は、接着基質1031と、接着基質1031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子1032と、を含み、第1方向において、接着基質1031が対向する第1表面及び第2表面を含み、第1表面が第1導電層101に向かい、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032が第1凸面と第2凸面とを備え、第1凸面が第1表面に対して突出し、第2凸面が第2表面に対して突出し、且つ、単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に機能層30が形成されている。
【0097】
接着基質1031は、接着基質1031に配列された単結晶ペロブスカイト粒子1032を収容かつ固定するために使われる。これにより、接着基質1031は、透明硬化性接着剤又はコロイドで構築されることができる。例えば、アクリル接着剤又は樹脂接着剤などの紫外線硬化性接着剤又は他の種類の硬化性透明接着剤で接着基質1031を構築することができる。ここで、透明とは、可視光に対して良好な光透過率を有することを示し、例えば、400nm以上の光に対して80%以上の透過率を有すること、又は、450nm以上の光に対して75%以上の透過率を有することなどである。
【0098】
太陽電池は、ペロブスカイト吸収層103を通じて太陽電池に照射された光を吸収し、そして、単結晶ペロブスカイト粒子1032によって光生成キャリアを生じさせ、第1キャリア輸送層102と第2導電層104によってそれぞれ異なる光生成キャリアを収集し、最終的に、第1導電層101と第2導電層104を介して太陽電池によって発生された電気エネルギーを外部モジュールに輸送する。
【0099】
太陽電池の作動中、電池セルの光電変換効率は、主に光生成キャリアの生成能力と光生成キャリア収集利用能力の影響を受ける。ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、接着基質1031と接着基質1031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子1032でペロブスカイト吸収層103を構築することで、単結晶ペロブスカイト粒子1032の完全性を確保し、ペロブスカイト吸収層103の構築過程で単結晶ペロブスカイト材料に損傷を与えることを回避し、ペロブスカイト吸収層103の光生成キャリアの生成能力をできるだけ良好にすることを確保している。
【0100】
また、単結晶ペロブスカイト粒子1032でペロブスカイト吸収層103を構築することで、電池作動中におけるペロブスカイト吸収層103の分解速度を下げ、ペロブスカイト吸収層103と太陽電池セルの安定性を確保し、単結晶ペロブスカイト粒子1032は、キャリア寿命がより長く、キャリア移動度がより高く、キャリアの拡散長さがより長い。したがって、太陽電池は、より高い光電変換効率と使用寿命を持っている。
【0101】
同時に、接着基質1031に単結晶ペロブスカイト粒子1032を配列する方式でペロブスカイト吸収層103を構築することで、簡単かつ高効率的に大面積のペロブスカイト吸収層103を製造することに役立ち、単結晶ペロブスカイト原材料の生成効率のペロブスカイト吸収層103とペロブスカイト太陽電池セルの面積に対する制約を突破し、安定性の良好な大面積のペロブスカイト太陽電池の製造効率を大幅に向上させ、単結晶ペロブスカイト太陽電池の応用の見通しを高めている。
【0102】
ペロブスカイト単結晶粒子1032の表面には、機能層30が形成されている。機能層30の役割は、ペロブスカイト単結晶粒子1032の欠陥を穴埋めすること及び/又はペロブスカイト単結晶粒子1032の分解を抑制することである。したがって、機能層30を設けることで、ペロブスカイト単結晶粒子1032が動作中に分解する確率をさらに下げ、ペロブスカイト吸収層103と太陽電池の安定性を高めている。
【0103】
図13に示すように、第1方向において、接着基質1031は、対向する第1表面及び第2表面を含み、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032が第1凸面と第2凸面とを備え、第1凸面が第1表面に対して突出し、第2凸面が第2表面に対して突出する。ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032が接着基質1031の対向する2つの表面にそれぞれ表面より突出した第1凸面と第2凸面を有することを確保し、即ち、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032は接着基質1031を貫通して第1キャリア輸送層102と第2導電層104と接触する。少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032が第1凸面と第2凸面とを備えているため、ペロブスカイト吸収層103の対向する2つの表面はテクスチャであり、ペロブスカイト吸収層103の光吸収能力を向上させている。同時に、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032が接着基質1031を貫通して第1キャリア輸送層102と第2導電層104と接触しているため、光生成キャリアを生成した後、光生成キャリアが第1キャリア輸送層102と第2導電層104に移動する難易度は大幅に低下し、ペロブスカイト吸収層103の光生成キャリア輸送能力を高めている。ひいては光吸収能力とキャリア輸送能力の両方からペロブスカイト吸収層103の光電変換効率を向上させている。
【0104】
なお、単結晶ペロブスカイト粒子1032の形状は、球体、球近似体、立方体を含んだ規則的多面体又は不規則的な多面体などであってもよく、且つ、ペロブスカイト吸収層103に含まれた各単結晶ペロブスカイト粒子1032の大きさと形状は一致してもよいし、一致しなくてもよい。本願実施例では、これについて限定しない。理解と説明の便宜上、本願実施例では、ペロブスカイト粒子が球体である場合を例として説明する。実際の使用過程において、必要に応じて単結晶ペロブスカイト粒子1032の形状を調整してもよい。本願実施例では、これについて限定しない。
【0105】
また、ペロブスカイト吸収層103に含まれた単結晶ペロブスカイト粒子1032はいずれも第1凸面と第2凸面を備えてもよいし、一部の粒子は第1凸面と第2凸面を備え、残りの粒子は第1凸面のみを備え、第2凸面のみを備え、又は第1凸面と第2凸面を備えない粒子のうちの1種又は複数種類の粒子であってもよい。本願実施例では、これについて限定しない。各単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面にはいずれも機能層30が形成されてもよいし、一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面には機能層30が形成されてもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0106】
また、ペロブスカイト吸収層103における各単結晶ペロブスカイト粒子1032は、一定間隔で接着基質1031の中に規則的なアレイ、例えば、矩形、近似矩形、円形、楕円形などの形状に配列されてもよく、ペロブスカイト吸収層103の光吸収とキャリア出力の均一性を高めることができる。また、接着基質1031に任意な間隔と順序で自由に配列されてもよい。本願実施例では、これについて限定しない。
【0107】
図13及び図15を参照すると、いくつかの実施例において、機能層30は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の全ての表面を覆う第1機能層31を含む。
【0108】
太陽電池を製造する過程において、ペロブスカイト吸収層103を形成する前に、単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に単結晶ペロブスカイト粒子1032の全ての表面を覆う第1機能層31を形成する。そして、粒子の全ての表面が第1機能層31で覆われた単結晶ペロブスカイト粒子1032によってペロブスカイト吸収層103を形成し、第1機能層31をペロブスカイト吸収層103における各単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面上の機能層30とする。
【0109】
単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に全ての表面を覆う第1機能層31を形成することで、単結晶ペロブスカイト粒子1032は動作中の任意の時点においても良好な安定性を備えることを確保し、ひいては太陽電池の安定性を確保する。
【0110】
図13図16に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1を除いた全ての表面を覆う第2機能層32を含む。
【0111】
図16は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通る太陽電池の断面図である。太陽電池を製造する過程において、まず、単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に単結晶ペロブスカイト粒子1032の全ての表面を覆う機能性膜層を形成することができる。そして、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1における機能性膜層を除去し、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1を除いた全ての表面を覆う第2機能層32を得て、第2機能層32を単結晶ペロブスカイト粒子1032表面における機能層30とする。
【0112】
単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1を除いた全ての表面を覆う第2機能層32を単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における機能層30として形成することにより、単結晶ペロブスカイト粒子1032の動作中の安定性をできる限り確保するとともに、第1凸面T1の光反射率を下げ、単結晶ペロブスカイト粒子1032が良好な光吸収能力を備えることを確保し、ひいては単結晶ペロブスカイト粒子1032のキャリア生成能力と太陽電池の光電変換能力を確保することができる。
【0113】
なお、本願の実施例では、第2機能層32が第1凸面T1を全く覆わないことを例として説明しているが、具体的な応用では、第2機能層32を形成する過程において、第2機能層32は第1凸面T1を全く覆わなくてもよいし、第2機能層32は第1凸面T1の一部のみを覆ってもよい。具体的な設置方式は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の安定性及び/又は光吸収能力に対するニーズに応じて調整されることができる。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0114】
図13図17に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2を除いた全ての表面を覆う第3機能層33を含む。
【0115】
図17は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通る太陽電池の断面図である。太陽電池を製造する過程において、まず、単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に単結晶ペロブスカイト粒子1032の全ての表面を覆う機能性膜層を形成することができる。そして、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2における機能性膜層を除去し、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2を除いた全ての表面を覆う第3機能層33を得て、第3機能層33を単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における機能層30とする。
【0116】
単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2を除いた表面を覆う第3機能層33を単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における機能層30として形成することで、単結晶ペロブスカイト粒子1032の動作中の安定性をできる限り確保するとともに、第2凸面T2の光反射率を下げ、単結晶ペロブスカイト粒子1032が良好な光吸収能力を備えることを確保し、ひいては単結晶ペロブスカイト粒子1032のキャリア生成能力と太陽電池の光電変換能力を確保することができる。
【0117】
なお、本願の実施例では、第3機能層33が第2凸面T2を全く覆わないことを例として説明しているが、具体的な応用では、第3機能層33を形成する過程において、第3機能層33は第2凸面T2を全く覆わなくてもよいし、第3機能層33は第2凸面T2の一部のみを覆ってもよい。具体的な設置方式は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の安定性及び/又は光吸収能力に対するニーズに応じて調整されることができる。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0118】
図13図18に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1及び第2凸面T2を除いた全ての表面を覆う第4機能層34を含む。
【0119】
図18は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通る太陽電池の断面図である。太陽電池を製造する過程において、まず、単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に単結晶ペロブスカイト粒子1032の全ての表面を覆う機能性膜層を形成することができる。そして、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1及び第2凸面T2における機能性膜層を除去し、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1及び第2凸面T2を除いた全ての表面を覆う第4機能層34を得て、第4機能層34を単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における機能層30とする。
【0120】
単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1と第2凸面T2を除いた全ての表面を覆う第4機能層34を単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における機能層30として形成することで、単結晶ペロブスカイト粒子1032の動作中の安定性をある程度で確保するとともに、第1凸面T1と第2凸面T2の光反射率を下げ、単結晶ペロブスカイト粒子1032が良好な光吸収能力を備えることを確保し、ひいては単結晶ペロブスカイト粒子1032のキャリア生成能力と太陽電池の光電変換能力を確保することができる。
【0121】
図13図19に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、第1凸面T1及び第1表面を覆う第5機能層35を含む。
【0122】
図19は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通る太陽電池の断面図である。太陽電池を製造する過程において、予め単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に対してパッシベーション処理又は化粧処理を行ったか否かにかかわらず、ペロブスカイト吸収層103の第1導電層101に向かう表面に第5機能層35を直接形成する。第5機能層35は、接着基質1031の第1表面及び単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1を覆い、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1における第5機能層35を単結晶ペロブスカイト粒子1032表面における機能層30とする。
【0123】
接着基質1031の第1表面及び単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1を覆う第5機能層35を機能層30とすることで、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1の表面に機能層30を持たせ、単結晶ペロブスカイト粒子1032の動作中の安定性を高めるとともに、第5機能層35が接着基質1031の第1表面を覆うことで、光の接着基質1031内部での反射率を増やし、ペロブスカイト吸収層103の光吸収能力を強め、太陽電池の光電変換能力を高める。
【0124】
なお、第5機能層35は、ペロブスカイト吸収層103の表面に直接全体として形成されて、各単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1を覆ってもよいし、全ての単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面T1と接着基質1031の第1表面における全ての領域を覆うことなく、一定のパターンによってペロブスカイト吸収層103の表面に選択的に形成されてもよい。第5機能層35は、第1凸面T1全体を完全に覆ってもよいし、第1凸面T1の一部のみを覆ってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0125】
図13図20に示すように、いくつかの実施例では、機能層30は、第2凸面T2及び第2表面を覆う第6機能層36を含む。
【0126】
図20は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通る太陽電池の断面図である。太陽電池を製造する過程において、予め単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に対してパッシベーション処理又は化粧処理を行ったか否かにかかわらず、第1方向に沿って第1導電層101に向かう第1表面に対向するペロブスカイト吸収層103の第2表面に直接第6機能層36を形成する。第6機能層36は、接着基質1031の第2表面及び単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2を覆い、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2における第6機能層36を単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における機能層30とする。
【0127】
接着基質1031の第2表面及び単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2を覆う第6機能層36を機能層30とすることで、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2の表面に機能層30を持たせ、単結晶ペロブスカイト粒子1032の動作中の安定性を向上させるとともに、第6機能層36が接着基質1031の第2表面を覆うことで、光の接着基質1031内部での反射率を増やし、ペロブスカイト吸収層103の光吸収能力を強め、太陽電池の光電変換能力を高める。
【0128】
なお、第6機能層36は、ペロブスカイト吸収層103の表面に直接全体として形成されて、各単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2を覆ってもよいし、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面T2と接着基質1031の第2表面の全ての領域を覆うことなく、一定のパターンによってペロブスカイト吸収層103の表面に選択的に形成されてもよい。第6機能層36は、第2凸面T2全体を完全に覆ってもよいし、第2凸面T2の一部のみを覆ってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0129】
なお、前記機能層30は、独立して設置されてもよいし、互いに組み合わせて設置されてもよい。図13図21に示すように、図21は、機能層30がペロブスカイト単結晶粒子の第1凸面T1と第2凸面T2を除いた表面のみを覆う第4機能層34と、第1凸面T1及び接着基質1031の第1表面を覆う第5機能層35と第2凸面T2及び接着基質1031の第2表面を覆う第6機能層36とで構成された太陽電池の断面図、並びに、機能層30がペロブスカイト単結晶粒子の第1凸面T1を除いた全ての表面を覆う第2機能層32と第2凸面T2及び接着基質1031の第2表面を覆う第6機能層36とで構成された太陽電池の断面図を示している。機能層30は、第1機能層31~第6機能層36のいずれか1つのみを備える方式、第1機能層31と、第5機能層35及び/又は第6機能層36とを備える方式、第2機能層32と、第5機能層35及び/又は第6機能層36とを備える方式、第3機能層33と、第5機能層35及び/又は第6機能層36とを備える方式、第4機能層34と、第5機能層35及び/又は第6機能層36とを備える方式、第5機能層35と第6機能層36とを備える方式で構築することができる。機能層30に他の構築方式を採用した太陽電池の断面図は、ここでそれぞれ示していない。
【0130】
また、第1機能層31~第6機能層36を構築する過程において、接触面積が最も大きいキャリア輸送層の具体的なタイプに応じて、選択された構築材料を調整することもできる。キャリア輸送層は、電子輸送層及び正孔輸送層を含み、接触面積が最も大きいキャリア輸送層が電子輸送層である場合、構築材料としてフッ化リチウム(LiF)又はフッ化マグネシウム(MgF)などを構築材料として選択することができ、接触面積が最も大きいキャリア輸送層が正孔輸送層である場合、ポリ[(9,9-ビス(3′-((N,N-ジメチル)-N-エチルアンモニウム)-プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)]二臭化物(PFN-Br)又はポリ〔N,N′-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N′-ビス(フェニル)ベンジジン〕(TPD)を構築材料として選択することができる。2つの異なるキャリア輸送層との接触面積が大きく異なっていない場合、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジントリナトリウム塩(TTTS)を構築材料として選択することができる。異なるキャリア輸送層と接触する面積に応じて、選択的に適切な材料を選択して機能層30の構築を行うことにより、機能層30の構築の正確性と使用効果を高めることができる。本願の実施例では、具体的な構築方式について限定しない。
【0131】
いくつかの実施例では、機能層30の厚さは、0.1nm~1μmである。
【0132】
図15図21に示すように、機能層30の厚さは、機能層30の構成と相関している。機能層30が第5機能層35及び/又は第6機能層36を含んだ場合、機能層30の厚さは、第5機能層35及び/又は第6機能層36の第1方向における対向する2点間の平均ピッチ又は最大ピッチで示されることができる。機能層30が第1機能層31~第4機能層34のうちのいずれかを含んだ場合、機能層30の厚さは、含まれた第1機能層31、第2機能層32、第3機能層33又は第4機能層34の単結晶ペロブスカイト粒子1032から離れた表面において、いずれかの1点とペロブスカイト単結晶粒子の機能層30に近接する表面の平均間隔又は最大間隔で示されることができる。
【0133】
機能層30の厚さが大きすぎる場合、単結晶ペロブスカイト粒子1032の安定性を効果的に高めることができるが、単結晶ペロブスカイト粒子1032の光吸収能力の低下を招き、ひいては太陽電池の光電変換能力の低下を招いてしまう。機能層30の厚さが小さすぎる場合、単結晶ペロブスカイト粒子1032の光吸収能力を確保しているが、分解する確率が大きくなり、太陽電池の安定性を確保できず、太陽電池の光吸収能力の向上にもあまり寄与していない。
【0134】
したがって、機能層30の厚さを、0.1nm~1μmの範囲内、例えば、0.1nm、0.5nm、1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、500nm、750nm又は900nmなどに設定する。機能層30の厚さを設定することで、単結晶ペロブスカイト粒子1032と太陽電池に良好な光吸収能力を持たせることを確保し、太陽電池の光電変換能力を確保するとともに、太陽エネルギーの安定性をできる限り向上させることができる。
【0135】
いくつかの実施例では、いずれかの単結晶ペロブスカイト粒子1032について、現在の単結晶ペロブスカイト粒子と隣接する単結晶ペロブスカイト粒子1032との間隔は、現在の単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における任意の2点間の最大間隔以下である。
【0136】
図14に示すように、図中の2つの最大の円は、水平方向に沿って隣接する2つの単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通って形成された円であり、現在の単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の2点間の最大間隔をdとし、現在の単結晶ペロブスカイト粒子と隣接する単結晶ペロブスカイト粒子1032との間隔をDとし、ここで、Dが現在の単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の1点と隣接する単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における任意の1点との間隔の最小値を示すことができる。隣接する2つの単結晶ペロブスカイト粒子1032の間の間隔が大きすぎる場合、隣接する2つの単結晶ペロブスカイト粒子1032の間の領域に照射される光に対するペロブスカイト吸収層103の吸収能力が極めて悪くなり、ペロブスカイト吸収層103の光に対する吸収能力が低下してしまい、ペロブスカイト吸収層103の光電変換能力に影響してしまう。
【0137】
単結晶ペロブスカイト粒子1032の光吸収能力は自体と光との距離が大きくなるにつれて次第に減少するため、ペロブスカイト吸収層103における隣接する2つの単結晶ペロブスカイト粒子1032の間の間隔Dを限定する必要があり、現在の単結晶ペロブスカイト粒子と隣接する単結晶ペロブスカイト粒子1032間の間隔Dを、現在のペロブスカイト粒子のサイズよりも小さい範囲内、即ち現在の単結晶ペロブスカイト粒子の表面における任意の2点間の最大間隔dよりも小さい範囲内に設定し、例えば、Dを、0.1d、0.2d、0.35d、0.45d、0.5d、0.75d又は0.9dなどに設定してもよい。現在の単結晶ペロブスカイト粒子と隣接する単結晶ペロブスカイト粒子1032との間隔を現在の単結晶ペロブスカイト粒子のサイズ以下の範囲内に設定することで、ペロブスカイト吸収層103が光に対して良好な吸収能力を持つようになり、光吸収能力の低下に起因する太陽電池の光電変換効率の低下の問題を回避することができる。
【0138】
いくつかの実施例では、第1方向において、第1凸面における任意の1点と第1表面との間隔及び/又は第2凸面における任意の1点と第2表面との間隔は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1方向における最大長さの半分以下である。
【0139】
図13図22に示すように、図22は、鉛直方向に沿って3つの同じ大きさの単結晶ペロブスカイト粒子1032の球心を通って形成されたペロブスカイト吸収層103の断面図である。ペロブスカイト吸収層103において、第1方向において、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面における任意の1点と接着基質1031の第1表面との間隔の最大値は、第1凸面における第1表面から最も遠い点Aと第1表面との間隔aであり、類似しているように、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第2凸面における任意の1点と接着基質1031の第2表面との間隔の最大値は、第2凸面における第2表面から最も遠い点Bと第2表面との間隔bであり、単結晶ペロブスカイト粒子1032の最大長さはLである。
【0140】
ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、接着基質1031の役割は、単結晶ペロブスカイト粒子1032を固定することであり、固定効果を確保するために、接着基質1031は一定の厚さを有している。また、単結晶ペロブスカイト粒子1032がキャリアを生成する過程において、異なるキャリアがそれぞれ単結晶ペロブスカイト粒子1032の両端に収集されて移動し、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面における点Aと第1表面との間隔aがLの1/2以上であり、及び/又は、第2凸面における点Bと第2表面との間隔bがLの1/2以上である場合、第1キャリア輸送層102又は第2導電層104に収集されたキャリアが異方的なキャリアと再結合し、ペロブスカイト吸収層103の光電変換効率の低下を招くおそれがある。
【0141】
したがって、ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、第1凸面と第2凸面を含んだ単結晶ペロブスカイト粒子1032について、第1方向において、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面における任意の1点と第1表面との間隔及び/又は第2凸面における任意の1点と第2表面との間隔は、単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1方向における最大長さの半分以下であるように確保する。例えば、間隔a及び/又は間隔bを0.1L、0.15L、0.2L、0.25L、0.35L、0.45L又は0.49Lなどに設定する。単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面における任意の1点と第1表面との間隔及び/又は第2凸面における任意の1点と第2表面との間隔を限定することで、異方的なキャリア間の再結合が起こる確率をできるだけ下げ、太陽電池の光電変換効率を確保する。
【0142】
いくつかの実施例では、単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面における任意の2点間の最大間隔は、5μm~100μmである。
【0143】
ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、選択された単結晶ペロブスカイト粒子1032のサイズが大きすぎ、即ち粒子表面における任意の2点間の最大間隔dが大きすぎると、単結晶ペロブスカイト粒子1032でペロブスカイト吸収層を構築した後、光エネルギーを吸収してキャリアを生じさせてから、キャリアが第1キャリア輸送層102又は第2導電層104に移動する過程において必要な移動距離が大きすぎて、キャリアの移動を完成させにくくなり、太陽電池の光電変換効率の低下を招いてしまう。単結晶ペロブスカイト粒子1032のサイズが小さすぎ、即ち粒子表面における任意の2点間の最大間隔dが小さすぎると、キャリアが移動する過程において、異なるキャリア間のピッチが小さいため、キャリアの再結合が起こりやすくなり、太陽電池の光電変換効率の低下を招いてしまう。また、単結晶ペロブスカイト粒子1032のサイズが小さすぎる場合、ペロブスカイト吸収層103の厚さも小さくなり、両側の電位差によって単結晶ペロブスカイト粒子1032が分解する確率が大幅に上昇し、太陽電池の安定性の低下を招いてしまう。
【0144】
したがって、ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、粒子表面における任意の2点間の最大距離が5μm~100μmである単結晶ペロブスカイト粒子1032を選択して構築し、例えば、粒子表面における任意の2点間の最大距離が5μm、7.5μm、10μm、15μm、25μm、60μm、80μm、85μm又は95μmなどの単結晶ペロブスカイト粒子1032を選択してペロブスカイト吸収層103を構築する。ペロブスカイト吸収層103中のキャリアが容易に移動できることを確保するとともに、異なるキャリアの間で再結合が起こる確率及び単結晶ペロブスカイト粒子1032が分解する確率を下げ、太陽電池の光電変換効率及び安定性を確保する。
【0145】
いくつかの実施例では、ペロブスカイト吸収層103の第1導電層101における正射影の面積を第1面積とし、複数の単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1導電層101における正射影の面積を第2面積とし、第2面積の第1面積に対する比は、0.3~0.9である。
【0146】
ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、ペロブスカイト吸収層103が光電変換を行う時の光吸収面積は、全ての単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1導電層101における正投影面積の総和、即ち第2面積と見なされることができる。一方、ペロブスカイト吸収層103が光を受ける面積は、ペロブスカイト吸収層103の第1導電層101における正投影の面積、即ち第1面積と見なされることができる。第2面積と第1面積の比が小さすぎる場合、ペロブスカイト吸収層103に照射された光に対するペロブスカイト吸収層103の吸収利用率が低くなり、太陽電池の光電変換能力が弱いことを招き、光電変換を効果的に行うことが困難である。単結晶ペロブスカイト粒子1032自体の光電変換能力の制限によって、ペロブスカイト吸収層103に照射された光に対するペロブスカイト吸収層103の吸収利用率には上限があり、第2面積と第1面積の比が大きすぎる場合、ペロブスカイト吸収層103には光電変換能力が十分に活用されていない単結晶ペロブスカイト粒子1032が存在しており、太陽電池の製造コストと光電変換能力とのコストパフォーマンスが低い。
【0147】
したがって、ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、ペロブスカイト吸収層103における各単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1導電層101における正射影の面積とペロブスカイト吸収層103の第1導電層101における正射影の面積との比を制限する必要がある。第2面積の第1面積に対する比を0.3~0.9の範囲内、例えば、0.3、0.35、0.45、0.5、0.65、0.7、0.75、0.8又は0.85などに設定する。各単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1導電層101における正投影面積の総和とペロブスカイト吸収層103の第1導電層101における正投影の面積を一定の範囲内に制限することで、ペロブスカイト吸収層103の光に対する吸収利用率を確保するとともに、太陽電池の製造コストをできるだけ削減する。
【0148】
また、ペロブスカイト吸収層103を構築する過程において、ペロブスカイト電池セルをトップ電池として積層型太陽電池を構築する時のトップ電池に対する光透過性のニーズも参考することができる。ボトム電池のタイプと積層型太陽電池の最適な光電変換効率に基づいて、積層型太陽電池が最適又は良好な光電変換効率を有する場合のボトム電池に必要な光照射面積とボトム電池受光面の面積との比を決定する。決定された面積比に基づいて、ペロブスカイト吸収層103における第2面積と第1面積の比を設定する。例えば、ボトム電池とトップ電池の受光面の面積が一致している場合、ボトム電池にはトップ電池から30%、50%又は70%の光を透過してボトム電池に到着する必要がある時、積層型太陽電池が最適な光電変換効率を有し、この場合、ペロブスカイト吸収層103における第2面積と第1面積との比をそれぞれ対応して0.7、0.5及び0.3に設定することができる。
【0149】
また、太陽電池の光電変換能力を確保するために、バンドギャップが1eV~2eVの単結晶ペロブスカイト粒子1032を選択してペロブスカイト太陽電池セルを構築することができる。ペロブスカイト電池セルをトップ電池として積層型太陽電池を構築する場合、積層型太陽電池の光電変換効率はトップ電池における単結晶ペロブスカイト粒子1032のバンドギャップにも関わっている。積層型太陽電池を構築する過程において、ボトム電池のタイプに応じて、バンドギャップが1.4eV~1.8eVの単結晶ペロブスカイト粒子1032を選択してペロブスカイト電池セルを構築することができる。単結晶ペロブスカイト粒子1032を選択する過程において、積層型太陽電池に良好な光電変換効率を持たせればよい。本願実施例では、選択される単結晶ペロブスカイト粒子1032の具体的なバンドギャップについて限定しない。
【0150】
これにより、積層型太陽電池を構築する過程において、積層型太陽電池が達成する良好な光電変換効率のニーズに応じて、ペロブスカイト太陽電池セル中のペロブスカイト吸収層103における第2面積と第1面積との比及び単結晶ペロブスカイト粒子1032のバンドギャップをそれぞれ制御し、積層型太陽電池の光電変換効率をできるだけ高めることができる。
【0151】
なお、複数の単結晶ペロブスカイト粒子1032には、第1凸面及び/又は第2凸面を備えないペロブスカイト粒子が含まれる可能性があり、第1凸面と第2凸面の両方を備えない単結晶ペロブスカイト粒子1032に生じた光生成キャリアは、接着基質1031の制限によってキャリアの移動を完成させることが困難である。ペロブスカイト吸収層103の光利用率をさらに確保するために、第2面積を統計する過程において、第1凸面と第2凸面を含んだ各単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1導電層101における正射影面積の和のみを統計してもよい。また、全ての第1凸面及び/又は第2凸面を備えた単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1導電層101における正射影を統計してもよい。本願実施例では、これについて限定しない。
【0152】
いくつかの実施例では、接着基質1031の厚さは、100nm以上である。
【0153】
図13図22に示すように、接着基質1031の厚さhは、接着基質1031の第1表面と第2表面において第1方向に沿って対向する2点間の間隔で示されることができる。接着基質1031の重要な機能の1つは、接着基質1031に収容かつ固定配列された単結晶ペロブスカイト粒子1032を固定することである。これにより、接着基質1031の第1方向における厚さhが小さすぎると、単結晶ペロブスカイト粒子1032を安定的に固定することが困難になり、隠れクラックなどが起こって太陽電池の安定性の低下を招くおそれがある。同時に、異なるキャリア間のピッチが小さすぎて、異なるキャリア間の再結合が起こり、太陽電池セルの光電変換効率の低下を招くおそれがある。
【0154】
したがって、接着基質1031を製造する過程において、接着基質1031の第1方向における厚さhを100nm以上に確保する必要があり、例えば、100nm、200nm、350nm、500nm、800nm、1μm、5μm、20μm又は50μmなどであってもよい。接着基質1031の第1方向における厚さを十分大きく設定することで、接着基質1031が単結晶ペロブスカイト粒子1032を安定的に固定することを確保し、ペロブスカイト吸収層103の故障を回避し、太陽電池の安定性を高めるとともに、異なるキャリア間の間隔を十分に大きく確保し、異なるキャリアの再結合を回避し、太陽電池の光電変換効率を確保する。
【0155】
また、接着基質1031の第1方向における厚さhが大きすぎる場合、単結晶ペロブスカイト粒子1032に第1凸面と第2凸面を持たせることができるために、単結晶ペロブスカイト粒子1032のサイズ、即ち粒子表面における任意の2点間の最大間隔もそれに応じて大きくなり、単結晶ペロブスカイト粒子1032に生じた光生成キャリアの移動難易度が大きくなり、太陽電池の光電変換効率の低下を引き起こしてしまう。
【0156】
したがって、接着基質1031を設置する過程において、接着基質1031の単結晶ペロブスカイト粒子1032に対する固定効果及びキャリアの遮断効果だけでなく、選択された単結晶ペロブスカイト粒子1032の光電変換能力に与える接着基質1031の影響も考慮して、接着基質1031の第1方向における厚さhを良好な光電変換効率を持った単結晶ペロブスカイト粒子1032のサイズよりも小さい範囲内に設定することで、ペロブスカイト吸収層103が良好な光電変換効率を可能な限り持つように確保する必要がある。
【0157】
図13図23図25に示すように、いくつかの実施例では、接着基質1031は、第1キャリア輸送層102及び/又は第2導電層104に向かう光トラッピング面1033を含む。
【0158】
図23図25は、いずれも太陽電池の鉛直方向に沿った断面図であり、図23における光トラッピング面1033は接着基質1031の第1キャリア輸送層102に向かう表面のみを含み、図24における光トラッピング面1033は接着基質1031の第2導電層104に向かう表面のみを含み、図25における光トラッピング面1033は接着基質1031の第1キャリア輸送層102に向かう表面と接着基質1031の第2導電層104に向かう表面とを含む。接着基質1031のもう1つの重要な機能は、ペロブスカイト吸収層103の光吸収能力を確保することである。したがって、接着基質1031を製造する過程において、接着基質1031にペロブスカイト吸収層103の光吸収能力を高める光トラッピング面1033を製造することもできる。製造過程において、光トラッピング面1033は接着基質1031の第1キャリア輸送層102に向かう表面のみを含んだり、接着基質1031の第2導電層104に向かう表面のみを含んだりしてもよいし、接着基質1031の第1キャリア輸送層102に向かう表面と接着基質1031の第2導電層104に向かう表面の両方を同時に含んでもよい。
【0159】
接着基質1031に第1キャリア輸送層102及び/又は第2導電層104に向かう光トラッピング面1033を形成することで、ペロブスカイト吸収層103に照射される光のペロブスカイト吸収層103での光路長が増えるようになり、ペロブスカイト吸収層103の光吸収能力を向上させ、ひいてはペロブスカイト吸収層103と太陽電池の光電変換効率を高める。
【0160】
図13図26に示すように、いくつかの実施例では、光トラッピング面1033は、第1光トラッピング構造311を含み、第1方向において、第1光トラッピング構造311が接着基質1031の外部へ延びている。
【0161】
図26は、光トラッピング面1033が、接着基質1031の第1キャリア輸送層に向かう表面と接着基質1031の第2導電層104に向かう表面の両方を同時に含み、且つ、光トラッピング面1033が第1光トラッピング構造311を含んだ太陽電池の断面図である。接着基質1031に光トラッピング面1033を製造する過程において、接着基質1031の第1キャリア輸送層102及び/又は接着基質1031の第2導電層104に向かう表面に第1光トラッピング構造311を形成することができ、即ち接着基質1031から離れた方向へ延びる1つ又は複数の突起を第1表面又は第2表面に形成することができる。第1光トラッピング構造311は、第1表面及び/又は第2表面に位置し、且つ第1光トラッピング構造31におけるいずれか一方の表面とペロブスカイト吸収層103における各単結晶ペロブスカイト粒子1032の第1凸面及び/又は第2凸面との間の位置関係は、接触又は分離であり、且つ第1光トラッピング構造311は、第1凸面と第1キャリア輸送層102との接触面積及び第2凸面と第2導電層104との接触面積に影響しない。
【0162】
第1表面及び/又は第2表面に、接着基質1031から離れた方向へ延びる1つ又は複数の突起を第1光トラッピング構造311として形成することで、第1表面及び/又は第2表面を入射光のペロブスカイト吸収層103での光路長を延ばす能力を持つ光トラッピング面1033に変更し、ペロブスカイト吸収層103の入射光に対する吸収利用能力を向上させ、ひいてはペロブスカイト吸収層103の光電変換能力と効率を高める。
【0163】
なお、各第1光トラッピング構造311の形状と大きさは同じであってもよいし、異なってもよい。本願の実施例では、これについて限定しない。
【0164】
図13図27に示すように、いくつかの実施例では、光トラッピング面1033は、第2光トラッピング構造312を含み、第1方向において、第2光トラッピング構造312が接着基質1031の内部に凹んでいる。
【0165】
図27は、光トラッピング面1033が接着基質1031の第1キャリア輸送層に向かう表面と第2導電層104に向かう表面の両方を同時に含み、且つ光トラッピング面1033が第2光トラッピング構造312を含んだ太陽電池の断面図である。接着基質1031上で光トラッピング面1033を製造する過程において、接着基質1031の第1キャリア輸送層102及び/又は第2導電層104に向かう表面に第2光トラッピング構造312を形成し、即ち第1表面又は第2表面に接着基質1031の内部へ延びる1つ又は複数の凹みを形成することができる。第2光トラッピング構造312は、第1表面及び/又は第2表面に位置し、且つ第2光トラッピング構造312におけるいずれかの一方の表面とペロブスカイト吸収層103における各単結晶ペロブスカイト粒子1032の接着基質1031の内部に位置する表面との位置関係は、接触又は分離であり、且つ第2光トラッピング構造312が単結晶ペロブスカイト粒子1032と接着基質1031の接触面積に影響しない。
【0166】
第1表面又は第2表面に接着基質1031の内部へ延びる1つ又は複数の凹みを第2光トラッピング構造312として形成することで、第1表面及び/又は第2表面が入射光のペロブスカイト吸収層103における光路長を延ばす能力を持つ光トラッピング面1033に変更されるようになり、ペロブスカイト吸収層103の入射光に対する吸収利用能力を向上させ、ひいてはペロブスカイト吸収層103の光電変換能力と効率を高める。
【0167】
なお、光トラッピング面1033は、1つ又は複数の第1光トラッピング構造311のみを含んでもよいし、1つ又は複数の第2光トラッピング構造312のみを含んでもよいし、さらに、1つ又は複数の第1光トラッピング構造311を含むとともに、1つ又は複数の第2光トラッピング構造312も含んでもよい。光トラッピング面1033は、接着基質1031の第1キャリア輸送層102に向かう表面のみを含んでもよいし、接着基質1031の第2導電層104に向かう表面のみを含んでもよいし、さらに、接着基質1031の第1キャリア輸送層102に向かう表面を含むとともに、接着基質1031の第2導電層104に向かう表面も含んでもよい。本願実施例では、光トラッピング面1033の具体的な設置及び光トラッピング面1033に含まれた光トラッピング構造のタイプと数について限定しない。
【0168】
なお、各第2光トラッピング構造312の形状と大きさは、同じであってもよいし、異なってもよい。本願実施例では、これについて限定しない。
【0169】
いくつかの実施例では、第1キャリア輸送層102は、電子輸送層又は正孔輸送層である。
【0170】
第1キャリア輸送層102の役割は、ペロブスカイト吸収層103に生じたキャリアを収集して輸送することであり、太陽電池の作動メカニズムに基づいて、第1キャリア輸送層102は、正孔輸送層であってもよいし、電子輸送層であってもよい。第1キャリア輸送層102が電子輸送層である場合、第1キャリア輸送層102の機能は、電子を収集し、収集された電子を第1導電層101に輸送し、第1導電層101にて電気エネルギー出力を行うとともに、第1導電層101に直接流れないように正孔を遮断することを含む。第1キャリア輸送層102が正孔輸送層である場合、第1キャリア輸送層102の機能は、電子の第1導電層101への進入を阻止し、正孔の輸送を強め、ペロブスカイト吸収層103と第1導電層101が直接接触しないようにすることを含む。これによって、太陽電池の光電変換能力と電気エネルギーの出力を確保する。
【0171】
なお、電子輸送層は、酸化スズSnOx、二酸化チタンTiO、C60及びPCBMを含めたフラーレン及びその誘導体などの材料で構成されることができ、正孔輸送層は、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリフェニルメチル)アミン](PTAA)、2,2′,7,7′-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミノ)-9,9′-スピロビフルオレン(spiro-OMeTAD)、酸化ニッケル(NiOx)又はチオシアン酸第一銅(CuSCN)などの材料で構成されることができる。
【0172】
いくつかの実施例では、第1方向において、第1キャリア輸送層102の厚さは、1nm~1μmを含む。
【0173】
第1キャリア輸送層102の中核的な役割は、一種のキャリアに対する収集と輸送能力を向上させると同時に、他のキャリアと第1導電層101との接触を遮断することである。したがって、第1キャリア輸送層102の第1方向における厚さが大きすぎる場合、キャリアが第1導電層101に輸送される過程での移動距離が大きすぎて、キャリア再結合が起こり、大きなキャリア損失をもたらし、太陽電池の光電変換効率の低下を招くおそれがある。第1キャリア輸送層102の第1方向における厚さが小さすぎる場合、第1キャリア輸送層102のキャリアに対する収集と輸送能力が制限され、ペロブスカイト吸収層103に生じたある種類のキャリアを全部タイムリーに収集して輸送することができず、大きなキャリア損失をもたらし、太陽電池の光電変換効率に影響し、同時に、厚さが小さすぎると、他のキャリアに対する遮断能力もある程度低下し、異なる種類のキャリアの再結合を招き、太陽電池の光電変換効率に影響するおそれがある。
【0174】
したがって、第1キャリア輸送層102を構築する過程において、第1キャリア輸送層102の第1方向における厚さを1nm~1μm、例えば、1nm、5nm、10nm、50nm、100nm、200nm、250nm、400nm、500nm、650nm、750nm、800nm又は950nmなどに設定する。これによって、第1キャリア輸送層102は一種のキャリアに対して十分に高い収集と輸送能力を持ち、且つ他のキャリアに対して十分に高い遮断能力を持つことを確保し、キャリアの再結合及び移動によるキャリア損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を確保することができる。
【0175】
図28に示すように、いくつかの実施例では、太陽電池は、第2キャリア輸送層105をさらに含み、第2キャリア輸送層105は、ペロブスカイト吸収層103と第2導電層104との間に位置し、かつ、それぞれペロブスカイト吸収層103と第2導電層104と接触している。
【0176】
第2キャリア輸送層105は、第1キャリア輸送層102と類似しており、その役割はペロブスカイト吸収層103に生じた一種のキャリアを収集して輸送することである。太陽電池の作動メカニズムに基づいて、第2キャリア輸送層105は、正孔輸送層であってもよいし、電子輸送層であってもよい。第2キャリア輸送層105が電子輸送層である場合、第2キャリア輸送層105の機能は、電子を収集し、収集された電子を第1導電層101に輸送し、第1導電層101にて電気エネルギー出力を行うとともに、第1導電層101に直接流れないように正孔を遮断することを含む。第2キャリア輸送層105が正孔輸送層である場合、第2キャリア輸送層105の機能は、電子の第1導電層101への進入を阻止し、正孔の輸送を強め、ペロブスカイト吸収層103と第1導電層101が直接接触しないようにすることを含む。これによって、太陽電池の光電変換能力と電気エネルギーの出力を確保する。
【0177】
いくつかの実施例では、第1方向において、第2キャリア輸送層105の厚さは、1nm~1μmを含む。
【0178】
第2キャリア輸送層105の中核的な役割は、一種のキャリアに対する収集と輸送能力を向上させると同時に、他のキャリアと第1導電層101との接触を遮断することである。したがって、第2キャリア輸送層105の第1方向における厚さが大きすぎる場合、キャリアが第2導電層104に輸送される過程での移動距離が大きすぎて、キャリア再結合が起こり、大きなキャリア損失をもたらし、太陽電池の光電変換効率の低下を招くおそれがある。第2キャリア輸送層105の第1方向における厚さが小さすぎる場合、第2キャリア輸送層105は、キャリアに対する収集と輸送能力が制限され、ペロブスカイト吸収層103に生じたある種類のキャリアを全部タイムリーに収集して輸送することができず、大きなキャリア損失をもたらし、太陽電池の光電変換効率に影響し、同時に、厚さが小さすぎると、他のキャリアに対する遮断能力もある程度低下し、異なる種類のキャリアの再結合を招き、太陽電池の光電変換効率に影響するおそれがある。
【0179】
したがって、第2キャリア輸送層105を構築する過程において、第2キャリア輸送層105の第1方向における厚さを1nm~1μm、例えば、1nm、5nm、10nm、50nm、100nm、200nm、250nm、400nm、500nm、650nm、750nm、800nm又は950nmなどに設定する。これによって、第2キャリア輸送層105は一種のキャリアに対して十分に高い収集と輸送能力を持ち、且つ他のキャリアに対して十分に高い遮断能力を持つことを確保し、キャリアの再結合及び移動によるキャリア損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を確保することができる。
【0180】
いくつかの実施例では、第1キャリア輸送層102が正孔輸送層である場合、第2キャリア輸送層105は、電子輸送層である。第1キャリア輸送層102が電子輸送層である場合、第2キャリア輸送層105は、正孔輸送層である。
【0181】
太陽電池の効率をさらに向上させるために、異なるキャリアを収集して輸送するキャリア輸送層をペロブスカイト吸収層103の第1方向における対向する両側にそれぞれ設け、これによって、太陽電池の光電変換効率と安定性をできるだけ高めることができる。
【0182】
上記のように、本願の一実施例によって提供された太陽電池では、接着基質1031と接着基質1031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子1032とを利用して太陽電池のペロブスカイト吸収層103を構成し、単結晶ペロブスカイト粒子1032でペロブスカイト吸収層103を構築することで、ペロブスカイト吸収層103の安定性を確保し、単結晶ペロブスカイト粒子1032を接着基質1031に配列する形態を用いることで、カット工程の単結晶ペロブスカイトに対する損傷を回避し、太陽電池の効率を確保しており、同時に、単結晶粒子を配列する方式でペロブスカイト吸収層103を構築することで、大面積の単結晶ペロブスカイト太陽電池の製造に寄与する。接着基質1031に配列された複数の単結晶ペロブスカイト粒子1032のうち、少なくとも一部の単結晶ペロブスカイト粒子1032は、それぞれ接着基質1031の第1表面より突出した第1凸面と接着基質1031の第2表面より突出した第2凸面とを備え、接着基質1031の対向する両面に露出した単結晶ペロブスカイト粒子1032でペロブスカイト吸収層103を構築することにより、ペロブスカイト吸収層103自体にテクスチャ構造を持たせるようになり、さらに良好な光吸収能力を持たせるとともに、光生成キャリアがペロブスカイト吸収層103から導電層又はキャリア輸送層へ輸送する能力を向上させ、太陽電池の光電変換効率と能力を高めている。単結晶ペロブスカイト粒子1032の表面に機能層30が形成されているため、ペロブスカイト吸収層103と太陽電池の安定性を高めている。
【0183】
上記からわかるように、本実施例は、太陽電池の製造方法の実施例に対応する太陽電池の構造の実施例であり、本実施例のディテールは、太陽電池の製造方法の実施例にも適用されることができ、同様に、太陽電池の製造方法の実施例のディテールも、本実施例にされることが適用できる。
【0184】
以上に対応して、本願の別の実施例では、積層型太陽電池がさらに提供され、積層型太陽電池の構造は図29を参照することができ、積層型太陽電池は、順次積層設置されたトップ電池1001、貼り合わせ層1002及びボトム電池1003を含み、ここで、トップ電池1001が上記の太陽電池である。
【0185】
いくつかの実施例では、ボトム電池1003の種類は、結晶シリコン太陽電池、CIGS薄膜太陽電池、テルル化カドミウム薄膜太陽電池、III-V薄膜太陽電池又はナローバンドギャップペロブスカイト薄膜太陽電池を含み、ここで、ナローバンドギャップペロブスカイト薄膜太陽電池は、ナローバンドギャップ単結晶ペロブスカイト薄膜太陽電池であってもよいし、ナローバンドギャップ多結晶ペロブスカイト薄膜太陽電池であってもよい。
【0186】
いくつかの実施例では、貼り合わせ層1002は、導電性接着剤で構成された機械的な貼り合わせ層を含む。ここで、導電性接着剤は、光に対して良好な透過率を有する透明接着剤に導電性粒子を添加して形成されることができ、例えば、400nm以上の光に対して80%以上の透過率を有する接着剤又は450nm以上の光に対して80%以上の透過率を有する接着剤に導電性粒子を添加して形成されることができる。導電性接着剤は、自体に含まれた粒子が一定の導電エネルギーを持った透明薄手接着剤であってもよく、透明度が上記接着剤の透明度と類似してもよく、ここで説明を割愛する。本出願の実施例では、導電性接着剤の具体的な種類について限定しない。
【0187】
本願は、好適な実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、いずれの当業者であれば、本願の着想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって限定される範囲を基準にすべきである。
【0188】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者も、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、種々の変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。

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【国際調査報告】