(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】パワーモジュール及びそれを備える電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20250115BHJP
H01L 23/13 20060101ALI20250115BHJP
H01L 23/04 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 C
H01L23/04 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519347
(86)(22)【出願日】2023-10-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2023127874
(87)【国際公開番号】W WO2024104114
(87)【国際公開日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】202310495887.5
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211442177.8
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202321635269.8
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517383847
【氏名又は名称】海信家電集団股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hisense Home Appliances Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8 Ronggang Road, Ronggui, Shunde, Foshan, Guangdong, P.R.C
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】成 章明
(72)【発明者】
【氏名】李 正▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】周 文▲ケツ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲剣▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 地林
(72)【発明者】
【氏名】▲別▼ 清峰
(57)【要約】
パワーモジュール及びそれを備える電子機器が提供される。パワーモジュールは、パッケージング体、パッケージング体内に設けられる放熱基板、および複数のパワーチップを備える。パッケージング体は、パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第1面と第2面とを有し、且つ第1面に位置する1つ以上の残留部を含む。放熱基板は、パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第3面と第4面とを有する。放熱基板は導電層を含み、当該導電層の第1面に近い面が第3面であり、第4面が第2面と面一であることにより、第4面がパッケージング体から露出している。複数のパワーチップが導電層上に設けられ、且つパワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる。1つ以上の残留部の縁の導電層上の正投影と、パワーチップの縁の導電層上の正投影とは、互いにずれている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールであって、
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第1面と第2面とを有し、且つ第1面に位置する1つ以上の残留部を含むパッケージング体と、
前記パッケージング体内に設けられ、且つ前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第3面と第4面とを有し、導電層を含む放熱基板であって、前記導電層の前記第1面に近い面が前記第3面であり、前記第4面が前記第2面と面一であることにより、前記第4面が前記パッケージング体から露出している放熱基板と、
前記導電層上に設けられ、且つ前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のパワーチップと、を備え、
前記1つ以上の残留部の縁の前記導電層上の正投影と、前記パワーチップの縁の前記導電層上の正投影とは、互いにずれている、
パワーモジュール。
【請求項2】
前記複数のパワーチップのうち、前記残留部に最も近いパワーチップの前記導電層上の正投影と、前記残留部の縁の前記導電層上の正投影との最小距離Aは、A>0.45mmを満たす、
請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記導電層は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島を含み、前記複数のパワーチップは、前記複数のベース島上に設けられ、
前記放熱基板の前記パワーモジュールの長さ方向に沿った寸法をLとし、前記1つ以上の残留部の数をnとする場合、L≦40mmであり且つ2≦n≦4であり、ここで、Lとnは正の整数であり、
前記n個の残留部は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って両端に位置する2つの残留部を少なくとも含み、且つ前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記した両端に位置する残留部は、前記複数のベース島のうち前記パワーモジュールの長手方向に沿って両端に位置する2つのベース島にそれぞれ対応している、
請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
L≦25mmの場合、n=2であり、隣接する2つのパワーチップ間の最小距離をBとし、前記残留部の最大断面寸法をCとすると、前記BおよびCは、B<C+0.8mmを満たし、
25mm<L≦32mmの場合、n=3であり、前記n個の残留部のうち、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って中間に位置する1つの残留部の前記導電層上の正投影は、前記複数のベース島のうち、隣接する2つのベース島と同時に重なり、
32mm<L≦40mmの場合、n=4であり、前記n個の残留部のうち、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って中間に位置する2つの残留部の前記導電層上の正投影は、前記複数のベース島のうち中間に位置する2つのベース島とそれぞれ重なる、
請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記導電層は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島を含み、前記複数のパワーチップは、前記複数のベース島上に設けられ、
前記パワーモジュールの長さ方向に沿った前記放熱基板の寸法をLとし、前記1つ以上の残留部は、n個の残留部である場合、L>40mm且つn>4であり、ここで、Lとnは正の整数であり、
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、各ベース島は少なくとも1つの残留部に対応する、
請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
n=5であり、前記複数のベース島は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って順次に間隔を置いて設けられる第1ベース島、第2ベース島、第3ベース島、及び第4ベース島を含み、前記第4ベース島の面積は、前記第1ベース島の面積、前記第2ベース島の面積、及び第3ベース島の面積よりも大きく、
前記n個の残留部のうち、3つの残留部の前記導電層上の正投影は、それぞれ、前記第1ベース島、前記第2ベース島、および前記第3ベース島と重なり、前記n個の残留部のうち、残りの2つ残留部の前記導電層上の正投影は、前記第4ベース島と重なる、
請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
n>5であり、前記複数のベース島は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って順次に間隔を置いて設けられる第1ベース島、第2ベース島、第3ベース島、及び第4ベース島を含み、前記第4ベース島の面積は、前記第1ベース島の面積、前記第2ベース島の面積、及び第3ベース島の面積よりも大きく、
前記n個の残留部のうち、1つの残留部の前記導電層上の正投影は、前記第1ベース島の前記第2ベース島から離れた側の縁と重なり、他の3つの残留部の前記導電層上の正投影は、それぞれ、前記第1ベース島と前記第2ベース島の互いに近接する縁、前記第2ベース島と前記第3ベース島の互いに近接する縁、及び前記第3ベース島と前記第4ベース島の互いに近接する縁と重なり、残りの残留部の前記導電層上の正投影は、前記第4ベース島と重なる、
請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記パワーモジュールの幅方向に沿った両側はそれぞれ駆動側、パワー側であり、前記導電層は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島を含み、前記1つ以上の残留部は、n個の残留部であり、
n≦5である場合、前記n個の残留部の前記導電層上の正投影は、前記駆動側に位置する前記複数のベース島の縁と重合し、
n>5である場合、前記n個の残留部の前記導電層上の正投影は、前記パワーモジュールの幅方向に沿った前記複数のベース島の中央部に位置する、
請求項1~7のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項9】
n≦5である場合、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って両端に位置する2つの残留部の中心の前記導電層上の正投影は、それぞれ、前記導電層の前記駆動側の2つの角に位置する頂点と重合する、
請求項8に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記パッケージング体は、前記第2面に位置する複数の離型部をさらに含み、前記複数の離型部は、
複数の第1離型部及び複数の第2離型部であって、それぞれ、前記パワーモジュールの幅方向に沿った前記第2面の両縁に位置し、且つ前記複数の第1離型部は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列され、前記複数の第2離型部は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列される複数の第1離型部及び複数の第2離型部と、
複数の第3離型部及び複数の第4離型部であって、前記パワーモジュールの幅方向に沿って前記複数の第1モールド部と前記複数の第2モールド部との間に位置し、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って、前記複数の第3離型部は、前記放熱基板と前記パッケージング体の第1側面との間に位置し、前記複数の第4離型部は、前記放熱基板と前記パッケージング体の第2側面との間に位置する複数の第3離型部及び複数の第4離型部と、を含む、
請求項1~9のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記複数の第3離型部は、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの幅方向に沿った中心に関して平面対称であり、且つ前記複数の第4離型部は、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの幅方向に沿った中心に関して平面対称であり、及び/又は、
前記複数の第3離型部及び前記複数の第4離型部は、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの長さ方向に沿った中心に関して平面対称である、
請求項10に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記パッケージング体は、2つの切り欠きをさらに含み、前記2つの切り欠きは、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの長さ方向に沿った両端に位置し、
前記複数の第3離型部は2つの第3離型部であり、前記パワーモジュールの幅方向に沿って、前記2つの第3離型部は前記第1側面に近い切り欠きの両側に位置し、
前記複数の第4離型部は2つの第4離型部であり、前記パワーモジュールの幅方向に沿って、前記2つの第4離型部は前記第2側面に近い切り欠きの両側に位置する、
請求項11に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
前記2つの切り欠きの中心は、前記パワーモジュールの幅方向に沿った中心軸上に位置し、
前記2つの第3離型部の間の接続線と前記中心軸との交点は、前記第1側面に近い前記切り欠きの中心と、この切り欠きと前記中軸線の交点との間に位置し、
前記2つの第4離型部の間の接続線と前記中軸線との交点は、前記第2側面に近い切り欠きの中心と、この切り欠きと前記中軸線の交点との間に位置する、
請求項12に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記放熱基板は、セラミック層及び放熱層をさらに含み、前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記導電層および前記放熱層は、前記セラミック層の両側にそれぞれ位置し、前記放熱層の前記導電層から離れる面は、前記第4面であり、又は、
前記放熱基板は、前記導電層の前記第1面から離れる側に位置するセラミック層をさらに含み、前記セラミック層の前記導電層から離れる面は第4面である、
請求項1~13のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記パッケージング体内に設けられる駆動フレームと、
前記駆動フレーム上に設けられ、前記複数のパワーチップに電気的に接続される少なくとも1つの駆動チップと、
前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられ、一端が前記駆動フレームに接続され、他端が前記パッケージング体の外に伸ばしている複数の駆動ピンと、
前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられ、一端が前記導電層に接続され、他端が前記パッケージング体の外に伸ばしている複数のパワーピンと、をさらに備え、
前記複数の駆動ピン及び前記複数のパワーピンは、前記パワーモジュールの幅方向に沿った両側に位置する、
請求項1~14のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項16】
前記パッケージング体は、
前記複数のパワーピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分の前記パッケージング体の第2面に近い側に位置し、且つ前記複数のパワーピンが前記複数の駆動ピンに向かう方向に凹んでいる第2段差部であって、前記第2段差面と、前記第2段差面と前記第2面との間に接続される第2接続面とを有する第2段差部をさらに含み、
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記第2段差部の第2段差面から前記パッケージング体の第2面までの距離は、前記パワーチップの前記導電層から離れる面から前記パッケージング体の第2面までの距離よりも小さい、
請求項15に記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記パッケージング体は、前記複数の駆動ピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分の前記パッケージング体の第2面に近い側に位置し、且つ前記複数の駆動ピンが前記複数の駆動ピンに向かう方向に凹んでいる第1段差部であって、前記第1段差面と、前記第1段差面と前記第2面との間に接続される第1接続面とを有する第1段差部をさらに含み、
複数の離型部は、
前記第1段差面上に位置し、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列される複数の第1離型部と、
前記第2段差面上に位置し、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列される複数の第2離型部と、
前記第2面上に位置する複数の第3離型部及び複数の第4離型部であって、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って、前記複数の第3離型部は前記放熱基板と前記パッケージング体の第1側面との間に位置し、前記複数の第4離型部は前記放熱基板と前記パッケージング体の第2側面との間に位置する複数の第3離型部及び複数の第4離型部と、を含み、
請求項16に記載のパワーモジュール。
【請求項18】
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記第2段差部の第2段差面から前記パッケージング体500の第2面までの距離は、前記第1段差部の第1段差面から前記パッケージング体の第2面までの距離と略等しく、および/または、前記パワーモジュールの幅方向に沿って、前記第2段差部の第2接続面から前記パワーピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分に近い前記パッケージング体の第3側面までの距離は、前記第1段差部の第1接続面から前記駆動ピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分に近い前記パッケージング体の第4側面までの距離と略等しい、
請求項17に記載のパワーモジュール。
【請求項19】
前記第1段差部は、角部に位置する第1導流部を含み、及び/又は、前記第2段差部は、角部に位置する第2導流部を含む、
請求項18に記載のパワーモジュール。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載のパワーモジュールを備える、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年11月17日に出願された出願番号が202211442177.8である中国特許出願、2023年4月28日に出願された出願番号が202310495887.5である中国特許出願、2023年6月26日に出願された出願番号が202321635269.8である中国特許出願を基礎出願とする優先権を主張し、その開示内容の全ては参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は電子機器技術分野に関し、特に、パワーモジュール及びそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module、IPM)は、高電流密度、低飽和電圧、低駆動電力、高スイッチング周波数、高機能集積化、高信頼性などの特徴を持ち、エレクトロニクス、自動車、鉄道系交通、産業機器、新エネルギー、イスマートグリッドなどの多くの分野に幅広く使用できる。通常、パワーモジュールは、高集積化の特徴を実現するために、パワーチップと制御チップを樹脂でパッケージングする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、パワーモジュールが提供される。当該パワーモジュールは、パッケージング体、パッケージング体内に設けられる放熱基板、および複数のパワーチップを備える。パッケージング体は、パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第1面と第2面とを有し、且つ第1面に位置する1つ以上の残留部を含む。放熱基板は、パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第3面と第4面とを有する。放熱基板は導電層を含み、当該導電層の第1面に近い面が第3面であり、第4面が第2面と面一であることにより、第4面がパッケージング体から露出している。複数のパワーチップが導電層上に設けられ、且つパワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる。1つ以上の残留部の縁の導電層上の正投影と、パワーチップの縁の導電層上の正投影とは、互いにずれている。
【0005】
別の態様では、上記パワーモジュールを備える電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】関連技術のパワーモジュールの構造図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの構造図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の構成図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の構成図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの平面図である。
【
図6】
図5に示すパワーモジュールにおけるN領域の拡大図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの正面パッケージ効果図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの斜視図である。
【
図9】
図8に示すパワーモジュールにおけるM領域の拡大図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の平面図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の平面図である。
【
図12】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の平面図である。
【
図13】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の平面図である。
【
図14】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの背面パッケージ効果図である。
【
図15】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの斜視図である。
【
図16】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールのパッケージング過程の概略図である。
【
図17】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールのパッケージング過程の概略図である。
【
図18】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールのパッケージング過程の概略図である。
【
図19】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの第1面の環状凹部の概略図である。
【
図20】本開示のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの別の構成図である。
【
図21】
図20に示すパワーモジュールに対応するパッケージ金型の概略図である。
【
図22】本開示のいくつかの実施例に係る電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本開示の幾つかの実施例を明確かつ完全に説明する。無論、ここに記載された実施例はあくまで本開示の実施例の一部のみであり、全ての実施例ではない。本開示における実施例に基づいて、当業者にとっては想到可能な他のすべての実施例は、本開示の保護範囲に含まれるものとする。
【0008】
文脈において別途指摘されない限り、本明細書及び特許請求の範囲において、用語「含む(comprise)」及びその他の形態、例えば、第三人称の単数形である「含む(comprises)」及び現在分詞の形式である「含む(comprising)」は、開放、包括的な意味、即ち「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。明細書の説明において、用語「一実施例(one embodiment)」、「幾つかの実施例(some embodiments)」、「例示的な実施例(exemplary embodiments)」、「例(example)」、「特定例(specific example)」、又は「幾つかの例(some examples)」などは、この実施例又はその例に関連する特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを示すことが意図される。上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の適切な態様で、任意の1つ又は複数の実施例又は例に含まれ得る。
【0009】
以下において、「第1」、「第2」という用語は、単に目的を説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして、若しくは指示された技術的特徴の数量を暗示するものと理解されるべきでない。従って、「第1」、「第2」と定義された特徴は、1つ又は複数の当該特徴を明示的又は暗示的に含み得る。本開示の実施例の説明では、特に明記しない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0010】
幾つかの実施例を説明する際に、「接続」及びそれに由来する表現を使用する場合がある。例えば、幾つかの実施例を説明する際に、2つ又は2つ以上の構成要素が互いに直接的な物理的又は電気的接触を有することを示すように、「接続」という用語を使用する場合がある。
【0011】
「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、及びAとBの組合せの3つの組合せを含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」、「おおよそ」、又は「近似」は、記載された値、及び特定値の許容可能な偏差範囲内の平均値を含み、ここで、前記許容可能な偏差範囲は、当業者によって検討されている測定及び特定量の測定に関連する誤差(即ち、測定システムの制限性)を考慮して決定される。
【0013】
本明細書では理想化された例示的な図面である断面図及び/又は平面図を参照して例示的な実施例を説明している。図面において、層及び領域の厚さは、明確的に表示するために拡大されている。本開示の例示的な実施例は、本明細書に例示した領域の形状に限定されるものではなく、製造などによる形状の偏差を含むものと解釈されるべきである。例えば、矩形として示されるエッチング領域は、通常、湾曲した特徴を有する。従って、図面に示される領域は、本質的に例示的なものであり、それらの形状は、設備の領域の実際の形状を示すことを意図するものではなく、例示的な実施例の範囲を限定することを意図するものではない。
【0014】
電子機器の内部には通常、その機能を実現するための電力モジュールが構築されている。関連技術では、パワーモジュールのパッケージング体は、通常、射出成形プロセスを用いて駆動チップとパワーチップをパッケージングして得ることができる。
図1はパワーモジュールの構造図を示す。当該パワーモジュール10は、放熱基板100と、放熱基板100上に設けられるパワーチップ200と、駆動フレーム300と、駆動フレーム300上に設けられる駆動チップ400と、放熱基板100、パワーチップ200、駆動フレーム300、及び駆動チップ400をパッケージングするように構成されるパッケージング体500とを備える。
【0015】
射出成形過程中、パワーチップ200が設けられる放熱基板100と、駆動チップ400が設けられる駆動フレーム300をパッケージ金型のキャビティ内に固定し、パッケージ金型の樹脂注入口を介してキャビティ内に樹脂を注入し、樹脂が硬化した後に離型することにより、パワーモジュールのパッケージングが完了することができる。しかし、樹脂を注入する過程で、放熱基板100の非固定端がパッケージ金型の表面に完全に貼り合わせることができず、熱を受けると放熱基板100が反る可能性があり、また、流動する樹脂が放熱基板100に衝撃を与えることもあり、放熱基板100とパッケージ金型との貼り合わせ性に影響を与え、流動した樹脂が放熱基板100の裏面(パワーチップ200から離れる面)に溢れる可能性があり、その結果、基板の裏面に接着剤が溢れ、パワーモジュール10の使用性能に影響を与える。
【0016】
これに基づいて、本開示の実施例には、パワーモジュールが提供され、当該パワーモジュールは、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module、IPM)であってもよい。
図2~
図5に示すように、当該パワーモジュール10は、放熱基板100と、放熱基板100上に設けられる複数のパワーチップ200と、放熱基板100及びパワーチップ200の外側に設けられるパッケージング体500とを含む。ここで、放熱基板100は、導電層110を含み、導電層110は、その上に複数のパワーチップ200が設けられるように構成され、即ち、導電層110はパワーチップ200のパッドとして用いられる。複数のパワーチップ200は、導電層110上に設けられ、且つパワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて設けられる。
【0017】
パッケージング体500は、パワーモジュール10の厚さ方向Zにおいて対向する第1面501および第2面502を有する。第1面501は、パワーチップ200の放熱基板100から離れる側に位置し、パッケージング体500の頂面と呼んでもよい。第2面502は、放熱基板100のパワーチップ200から離れた側に位置し、パッケージング体500の底面と呼んでもよい。
【0018】
放熱基板100は、パッケージング体500の内部に位置し、パワーモジュール10の厚さ方向Zにおいて対向する第3面101および第4面102を有する。第3面101は、放熱基板100の第1面501に近い面であり、第4面102は、放熱基板100の第2面502に近い面である。第4面102は、第2面502と面一であることにより、第4面102は、パッケージング体500の第2面502(例えば、底面)から露出している。ここで、導電層110の第1面501に近い面は、放熱基板100の第3面101である。すなわち、導電層110は、放熱基板100の第1面501に最も近い(例えば、最も上方に位置する)膜層である。
【0019】
放熱基板100の第4面102の面積がパッケージング体500の第2面502の面積よりも小さいため、第4面102が第2面502と面一になると、第4面102が第2面502の一部のみを占めることは、理解される。
【0020】
なお、パワーモジュール10の構成を説明する際には、パワーモジュール10の長手方向X、幅方向Y、厚さ方向Zを参照する。ここで、パワーモジュール10の厚さ方向Zは放熱基板100が位置する平面に垂直な方向を指し、パワーモジュール10の長さ方向Xと幅方向Yはいずれも放熱基板100が位置する平面に平行な方向であり、且つパワーモジュール10の長さ方向Xは複数のパワーチップ200を設けるように構成される複数のパッドの配列方向を指し、パワーモジュール10の幅方向Yはいずれかのパッドの延在方向を指す。
【0021】
これに基づいて、パワーモジュール10のパッケージング過程中に放熱基板100の裏面に接着剤が溢れる問題を回避するために、
図7から
図13に示すように、パッケージング体500の第1面501には、1つ以上の残留部510が設けられており、且つ残留部510の縁の導電層110上の正投影と、パワーチップ200の縁の導電層110上の正投影とは、互いにずれている。残留部510とは、パワーモジュール10のパッケージングが完了した後、パッケージ金型の突き出しピンによってパッケージング体500の表面に残された凹みを指すことは、理解される。
【0022】
例示的に、
図16は射出成形プロセス中にパッケージモジュールの突き出しピンが放熱基板を押圧している模式図であり、
図17は射出成形プロセス中に突き出しピンがリセットを開始する模式図であり、
図18は射出成形プロセス中に突き出しピンが完全にリセットされるの模式図である。
図16~
図18に示すように、パワーモジュール10の主要構造をパッケージングする際には、パッケージ金型の突き出しピン810により、放熱基板100の上方(パワーチップ200が設けられている側)から、突き出しピンプレートおよびスリーブを通し、放熱基板100を押圧する。パッケージ金型のキャビティ820に樹脂を注入する過程で、放熱基板100の位置を安定させることができる。樹脂の硬化がほぼ完了する場合、突き出しピン810がリセットを開始するように制御し、パッケージング完了後にパッケージ金型を完全に除去することにより、パッケージング全過程において放熱基板100がパッケージ金型の表面に密着するように制御することができる。ここから分かるように、パッケージ金型の突き出しピン810は、伸縮可能な突き出しピンであってもよく、樹脂が注入される時、放熱基板100を固定するために突き出しピン810がスリーブを伸ばして、樹脂充填が完了して圧力保持を開始する時、突き出しピン810が縮んでプラスチックパッケージングフロー全体が完了することになる。このようにして、突き出しピン810は、スリーブによって画定された空間内で伸縮し、突き出しピン810の上下移動の正確性を向上させるのに有利である。
【0023】
なお、突き出しピン810を使用して放熱基板100を固定する場合、突き出しピン810を押し出すように、突き出しピン810は、突き出しピンプレートおよびスリーブを通して底板によって固定され、オイル回路から電力が供給される。オイル回路動力が遮断された後、突き出しピン810は、リターンスプリングまたは逆オイル回路動作によりリセットされる。
【0024】
突き出しピンとスリーブのリセット位置はパッケージ金型のキャビティ面よりも放熱基板100に近いことにより、スリーブ内部への樹脂の充填を防ぐため、最終的にパッケージング体500の第1面501には、互いに嵌合された2つの環状凹み(円環状凹みなど)が形成される。ここで、突き出しピン810のリセット位置は、スリーブのリセット位置よりも放熱基板100に近いことにより、
図9および
図19に示すように、最終的にパッケージング体500の第1面501に形成される環状凹みは、突き出しピン810とスリーブによって形成される段差孔512であり、スリーブの縁は、環状凹みのうち外部の円形(すなわち、スリーブに対応する凹み511の縁)に対応し、突き出しピンの縁は、環状凹みのうち内部の円形(すなわち、上記残留部510の縁)に対応し、且つ残留部510の深さは、スリーブに対応する凹み511の深さよりも大きい。
【0025】
このようにして、樹脂充填過程中に、突き出しピン810が放熱基板100に圧力を加えることができるため、放熱基板100が流動する樹脂の衝撃によって容易に傾くことがなく、それによって放熱基板100の位置が安定され、それによって、注入された樹脂が放熱基板100の裏面まであふれることを防止することができる。突き出しピン810を取り外す際には、樹脂が硬化しているため、放熱基板100の位置を安定させることができる。これにより、放熱基板100がパッケージング金型の底部に確実に密着することが確保され、放熱基板100の裏面に接着剤が溢れることが防止される。
【0026】
本発明の実施例により提供されるパワーモジュール10では、パッケージング体500は、パッケージ金型のキャビティ内に注入された樹脂を硬化させることにより形成される。パワーモジュール10のパッケージング過程中、パッケージ金型の突き出しピンによって放熱基板100の頂面を押圧することにより、樹脂の注入過程において放熱基板100が傾斜を生じることなく、パッケージ金型の底面に密着させることができ、樹脂が放熱基板100の裏側まで溢れることが回避され、パワーモジュール10のパッケージングに有利である。これに基づいて、形成されたパワーモジュール10は、パッケージング体500の第1面501上に1つ以上の残留部510を残し、且つ放熱基板100のパワーチップ200から離れた第4面102が第2面502(底面)は面一であることにより、放熱基板100の第4面102がパッケージング体500の底面に露出し、パワーモジュール10の良好なパッケージ効果を確保することができる。また、突き出しピンが放熱基板100を押圧する際に、突き出しピンの位置を放熱基板100上のパワーチップ200の位置からずらすように制御することにより、残留部510の放熱基板100の導電層110上の正投影とパワーチップ200の縁の導電層110上の正投影とが互いにずれていることが実現される。これにより、パッケージング過程において突き出しピンがパワーチップ200と接触しなく、突き出しピンとパワーチップ200の間の干渉が回避され、それによってパワーチップ200の損傷が回避され、パワーチップ200の正常な動作が確保され、ひいてはパワーモジュール10の通常な使用が確保される。
【0027】
説明の便宜上、
図5、
図10~
図15に示すように、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った両側をそれぞれ駆動側10A、パワー側10Bと呼んでもよい。いくつかの実施形態では、パワーモジュール10は、放熱基板100と、放熱基板100上に設けられる複数のパワーチップ200と、放熱基板100に接続される複数のパワーピン600と、駆動フレーム300と、駆動フレーム300上の少なくとも1つの駆動チップ400と、駆動フレーム300に接続される複数の駆動ピン700と、パッケージング体500とを備える。ここで、複数のパワーピン600は、パワーモジュール10の長さ方向に沿って間隔を置いて設けられ、一端が放熱基板100に接続され、他端がパッケージング体500の外に伸ばしている。複数の駆動ピン700は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて設けられ、一端が駆動フレーム300に接続され、他端がパッケージング体500の外に伸ばしている。複数の駆動ピン700および複数のパワーピン600は、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った両側に位置する。複数の駆動ピン700が位置する側を駆動側10Aと呼び、複数のパワーピン600が位置する側を駆動側10Bと呼ぶ。
【0028】
駆動チップ400は、パワーチップ200に電気的に接続され、パワーモジュール10の機能を実現するためにパワーチップ200を駆動して動作させるように構成される。例示的に、駆動チップ400は、低電圧駆動チップと高電圧駆動チップとを含み、複数の駆動ピン700のうちの一部は低電圧駆動チップに電気的に接続され、他の部分は高電圧駆動チップに電気的に接続される。パワーモジュール10が動作しているとき、複数のドライブピン700および複数のパワーピン600は外部コントローラに接続することにより、パワーモジュール10の内部回路と外部回路との間の電気的接続が実現され、パワーモジュール10の通常な使用が実現される。
【0029】
放熱基板100、パワーチップ200、駆動フレーム300、駆動チップ400はいずれもパッケージング体500内に設けられる。パッケージング体500は、例えば、パッケージング樹脂で形成される保護シェルであり、その内部構造を保護するように構成され、駆動フレーム300と放熱基板100との組立ての信頼性を高め、駆動チップ400およびパワーチップ200に良好な保護を提供し、それによってパワーモジュール10の使用性能および信頼性を向上させる。
【0030】
本開示の実施例では、
図5および
図10~
図13に示すように、導電層110は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島、例えば間隔を置いて設けられる第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、第4ベース島114を含んでもよい。複数のパワーチップ200は、複数のベース島上に設けられる。各ベース島に設けられるパワーチップ200の数については、実際のニーズに応じて設計してもよい。
【0031】
なお、第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、第4ベース島114の面積は異なっていてもよいので、各ベース島に設けられるパワーチップ200の数も異なる可能性がある。例示的に、第1ベース島111、第2ベース島112、および第3ベース島113の面積は、いずれも第4ベース島114の面積よりも小さく、すなわち第4ベース島114の面積が一番大きい。この場合、第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113には、低圧電源チップなどのパワーチップ200が1つ配置され、第4ベース島114には、高圧電源チップなどのパワーチップ200が3つ配置され、且つ高圧電源チップ及び低圧電源チップはいずれも駆動側10Aに近い側に設けられている。このようにして、複数の高電圧パワーチップが第4ベース島114上に集積され、スペースを節約し、パワーモジュール10の構造のコンパクト性を向上させることができる。さらに、低電圧パワーチップ及び高電圧パワーチップは、間隔を置いて設けられ、さまざまな回路の電力要件を満たすだけでなく、異なる電力領域間の相互干渉を回避し、それによってパワーチップの安定性と信頼性を確保する。
【0032】
例示的に、パワーチップ200は、MOS(metal-oxide-semiconductor、金属酸化物半導体)チップ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)チップ、FRD(Fast Recovery Diode、ファストリカバリダイオード)チップ、IGBTチップとFRDチップからなる2つのチップ、またはIGBTチップにFRDチップを内蔵したRC-IGBT(Reverse-Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor)チップを含んでもよい。これにより、必要に応じてIGBTチップ、FRDチップ、RC-IGBTチップの少なくとも1つを選択して使用してもよく、利便性が向上する。
【0033】
上記の実施例に基づいて分かるように、パッケージング体500の第1面501上には、1つ以上の残留部510が設けられる。残留部510がパッケージング過程において突き出しピンによってパッケージング体500の表面に残された凹みであり、突き出しピンが放熱基板100の裏面での接着剤の溢れを避けるために設けられることを考慮すると、突き出しピンの数および分布は、放熱基板100の寸法に関連付けられている。
【0034】
いくつかの実施例では、
図10及び
図11に示すように、放熱基板100のパワーモジュール10の長さ方向Xに沿った寸法をLとし、1つ以上の残留部510の数をnとする。L≦40mmの場合、2≦n≦4であり、ここで、Lとnは正の整数である。つまり、放熱基板100の長さが40mm以下である場合、設けられる残留部510の数は2~4である。このとき、これらの残留部510は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って両端に位置する2つの残留部510を少なくとも含み、且つパワーモジュール10の厚さ方向Zに沿って、これらの2つの残留部510は、複数のベース島のうちパワーモジュール10の長手方向Xに沿って両端に位置する2つのベース島にそれぞれ対応している。
【0035】
なお、残留部510とベース島との対応とは、パワーモジュール10の厚さ方向Zにおいて、残留部510の放熱基板100の導電層110上の正投影の少なくとも一部がベース島上に位置し、すなわち、残留部510の導電層110上の正投影が、ベース島と重なることを意味する。
【0036】
例示的に、放熱基板100の導電層110は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って順次間隔を置いて設けられる第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、及び第4ベース島114を含む。放熱基板100の長さLは40μm以下である。パッケージング体500の第1面501には、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて2つ、3つまたは4つの残留部510が設けられている。これらの残留部510のうち、導電層110上の残留部510の両端に位置する2つの残留部510の正投影は、それぞれ第1基部島111及び第4基部島114と重なる。
【0037】
このように、放熱基板100のパワーモジュール10の長手方向Xに沿った寸法Lが40mmを超えない場合には、パッケージング過程において2~4個の突き出しピンにより放熱基板100を固定してもよく、この場合にはパッケージング体500の第1面501に2~4個の残留部510が対応して形成される。放熱基板100の寸法は相対的に小さいため、複数のベース島のうちパワーモジュール10の長手方向Xに沿って両端に位置する2つのベース島はそれぞれ1つの残留部510に対応し、すなわちパッケージ過程において両端に位置する2つのベース島はそれぞれ対応する突き出しピンで押圧されるため、寸法の小さい放熱基板100とパッケージ金型の表面とをより貼り合わせることができ、それによって放熱基板100の裏面での接着剤の溢れを防止し、パワーモジュール10のパッケージ効果を確保し、パワーモジュール10の信頼性を高めるのに有利である。
【0038】
いくつかの例では、
図10に示すように、L≦25mmの場合、n=2である。つまり、放熱基板100の長さが25mm以下である場合、設けられる残留部510の数は2つである。2つの残留部510の導電層110上の正投影は、複数のベース島のうち両端に位置する2つのベース島(例えば、第1ベース島111および第4ベース島114)に重なる。パッケージング過程中に、例えば突き出しピンが第1ベース島111および第4ベース島114を押圧する。
【0039】
例示的に、放熱基板100の寸法が25×12mm以下である場合(例えば、パッケージング体500の最大寸法が35.6mm×18.8mmであり、放熱基板100の寸法が22.7mm×9.15mmである場合)、2点固定法を用いて(つまり2つの突き出しピンを用いて)放熱基板100を固定して、これらの2つの突き出しピンが第1ベース島111および第4ベース島114の非固定端(駆動側10Aの端部に位置する)に押圧され、例えば、導電層110の駆動側10Aに位置する2つの頂角に押圧されてもよい。
【0040】
この場合、両端に位置する2つのベース島のみが固定されることにより、寸法Lが25mm以下の放熱基板100がパッケージ金型の表面によく貼り合わせ、パワーモジュール10のパッケージング速度がさらに向上する。
【0041】
これに基づいて、隣接する2つのパワーチップ200間の最小距離をBとし、残留部510の最大断面寸法をCとすると、BおよびCは、B<C+0.8mmを満たす。例示的に、第1ベース島111に設けられるパワーチップ200と第2ベース島112に設けられるパワーチップ200との間の最小距離をBとする。残留部510の形状は円環状であり、その外部円形の直径をCとし、且つB<C+0.8mmである。
【0042】
B=C+0.8mmの場合、隣接する2つのパワーチップ200の距離Bは、パッケージング時に突き出しピンの端部の縁とパワーチップ200との間の距離を安全な範囲内に制御することができる。言い換えると、隣接する2つのパワーチップ200の間に突き出しピンが設けられない場合には、B<C+0.8mmを満たすことができ、即ち、隣接する2つのパワーチップ200間の距離がより小さくなる。このような構成によれば、パワーモジュール10の長さ方向Xの寸法が小さい放熱基板100にも適用することができ、パワーモジュール10の小型化を実現することに有利である。
【0043】
さらに、残留部510の最大断面寸法Cは、C=1.2mmを満たし、隣接する2つのパワーチップ200間の最小距離Bは、B<2mmを満たしてもよい。例えば、突き出しピン810の端面が円形であり、突き出しピン810の直径Cが1.2mmである場合、パワーモジュール10の長さ方向Xにおける隣接する2つのパワーチップ200間の最小距離Bは、2mm未満である。このような配置により、隣接する2つのパワーチップ200間の距離を小さくすることができ、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿った寸法を縮小することができる。
【0044】
他の例では、
図11に示すように、25mm<L≦32mmの場合、n=3である。すなわち、放熱基板100の長さが25mmより大きく32mm以下である場合、設けられる残留部510の数は3つである。3つの残留部510のうち、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って中間に位置する残留部510の導電層110上の正投影は、複数のベース島のうち隣接する2つのベース島(例えば、第2ベース島112と第3ベース島113、または第3ベース島113と第4ベース島114)と同時に重なり、且つパワーモジュール10の長さ方向Xに沿って両端に位置する2つの残留部510の導電層110上の正投影は、複数のベース島のうち両端に位置する2つのベース島(例えば、第1ベース島111および第4ベース島114)と重なる。パッケージング過程中、突き出しピンは、例えば、第1ベース島111、第4ベース島114、および中間の少なくとも1つのベース島を押圧する。
【0045】
例示的に、放熱基板100の寸法が25mm×12mm~32mm×15mmである場合(例えば、パッケージング体500の最大寸法は38mm×24mmであり、放熱基板100の寸法は30.2mm×14.2mmである場合)、3点固定法を用いて(つまり3つの突き出しピンを利用)で放熱基板100を固定して、これらの3つの突き出しピンが放熱基板100の非固定端の2つの頂角と中央位置に押圧してもよく、そのうちの1つの突き出しピンが、2つのベース島を同時に固定するために隣接する2つのベース島に対応する放熱基板100の駆動側10Aに位置する縁の中間位置に押圧され、残りの2つの突き出しピンが、放熱基板100の両端を固定するために、放熱基板100の駆動側10Aに位置する2つの頂点に押圧されてもよい。
【0046】
この場合、両端に位置する2つのベース島及び導電層110のパワーモジュール10の長手方向Xに沿った中間位置を固定することにより、寸法Lが25mmより大きく32mm以下の放熱基板100をパッケージ金型の表面に良く貼り合わせることができる。また、3つの残留部510の中心は、同一直線上に設けられてもよい。このようにして、3つの突き出しピンが同時に放熱基板100に押し付けられるとき、放熱基板100の非固定端にかかる力を均一に保つことができ、それによって樹脂流動過程における生じる発生する応力による放熱基板100の変形を回避することができ、放熱基板100とパッケージ金型との密着性がさらに向上する。
【0047】
さらにいくつかの例では、32mm<L≦40mmの場合、n=4である。つまり、放熱基板100の長さが32mmより大きく40mm以下である場合、設けられる残留部510の数は4つである。これらの4つの残留部510のうち、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って中間に位置する2つの残留部510の導電層110上の正投影は、複数のベース島のうち中間に位置する2つのベース島(例えば、第2ベース島112と第3ベース島113)とそれぞれ重なり、且つパワーモジュール10の長さ方向Xに沿って両端に位置する2つの残留部510の導電層110上の正投影は、複数のベース島のうち両端に位置する2つのベース島(例えば、第1ベース島111と第4ベース島114)とそれぞれ重なる。パッケージング過程中、突き出しピンは、第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、および第4ベース島114を押圧してもよい。
【0048】
例示的に、放熱基板100の寸法が32mm×15mmから40mm×16mmの間である場合、放熱基板100は、4点固定法を用いて(すなわち、4つの突き出しピンを利用)放熱基板100を固定して、これらの4つの突き出しピンが放熱基板100の非固定端の2つの頂角と中央部の2つの位置に押圧され、そのうちの2つの突き出しピンが、両端に位置するベース島を固定するために、放熱基板100の駆動側10Aに位置する2つの頂点に押圧され、残りの2つの突き出しピンが、中間に位置するベース島を固定するために、熱基板100の中間に位置する2つのベース島の駆動側10Aに位置する縁に押圧されてもよい。
【0049】
この場合、各ベース島を固定することにより、寸法Lが32mmより大きく40mm以下の放熱基板100をパッケージ金型の表面に良く貼り合わせることができ、パワーモジュール10のパッケージング速度をさらに向上させることができる。
【0050】
別の実施例では、
図12および
図13に示すように、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿った放熱基板100の寸法をLとし、1つ以上の残留部510の数をnとする。L>40mmの場合、n>4であり、ここで、Lとnは正の整数である。つまり、放熱基板100の長さが40mmよりも長い場合、設けられる残留部510の数は4つよりも大きい。このとき、パワーモジュール10の厚さ方向Zに沿って、各ベース島は少なくとも1つの残留部510に対応する。
【0051】
「各ベース島は少なくとも1つの残留部510に対応する」こととは、いずれかのベース島について、放熱基板100の導電層110上の少なくとも1つの残留部510の正投影が、このベース島と重なることを意味することは、理解される。各ベース島に対応する残留部510の数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
例示的に、放熱基板100の導電層110は、放熱基板100の長さ方向Xに沿って順に間隔を置いて設けられる第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、及び第4ベース島114を含み、第4ベース島114の面積は、他のベース島の面積よりも大きい。放熱基板100の長さLは40mより大きい。パッケージング体500の第1面501には、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて配列される5つ、6つ、またはそれ以上の残留部510が設けられている。これらの残留部510のうち、導電層110上の少なくとも1つの残留部510の正投影は第1基体島111と重なり、導電層110上の少なくとも1つの残留部510の正投影は第2基体と重なり、導電層110上の少なくとも1つの残留部510の正投影は第3ベース島113と重なり、導電層110上の少なくとも2つの残留部510の正投影は第4ベース島114と重なる。
【0053】
このようにして、放熱基板100のパワーモジュール10の長手方向Xに沿う寸法Lが40mmより大きい場合には、パッケージング過程において放熱基板100を5つ以上の突き出しピンで固定してもよく、この場合には封止体500の第1面501に2つ以上の残留部510が対応して形成される。放熱基板100の寸法が比較的大きいため、各ベース島は少なくとも1つの残留部510に対応し、即ちパッケージング過程中に各ベース島は、対応する少なくとも1つの突き出しピンによって押圧されるため、寸法の大きい放熱基板100とパッケージ金型の表面とをより貼り合わせることができ、それによって放熱基板100の裏面での接着剤の溢れを防止し、パワーモジュール10のパッケージ効果を確保し、パワーモジュール10の信頼性を高めるのに有利である。
【0054】
いくつかの例では、
図12に示すように、L>40mmの場合、n=5である。つまり、放熱基板100の長さが40mmより大きい場合、設けられる残留部510の数は5つである。これらの5つの残留部510のうち、3つの残留部510の導電層110上の正投影は、それぞれ、第1ベース島111、第2ベース島112、および第3ベース島113と重なり、残りの2つ残留部510の導電層110上の正投影は、第4ベース島114と重なる。
【0055】
例示的に、放熱基板100の寸法が40mm×16mm以上(例えば、パッケージング体500の最大寸法が52.5mm×31mm、放熱基板100の寸法が40.9mm×17.3mm)の場合、5つの突き出しピンを用いて放熱基板100の非固定端の2つの頂角及び中央部の3つの位置にそれぞれ押圧してもよい。そのうちの1つの突き出しピンは、第1ベース島111の駆動側10Aに位置する頂角に近い縁に押圧され、そのうちの1つの突き出しピンは、第2ベース島112の駆動側10Aに位置する頂角に近い縁に押圧され、そのうちの1つの突き出しピンは、第3ベース島113の駆動側10Aに位置する頂角に近い縁に押圧され、残りの2つの突き出しピンは、第4ベース島114の駆動側10Aに位置する縁の中央部に押圧されてもよい。
【0056】
パッケージング過程中、突き出しピンは、第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、および第4ベース島114を押圧し、且つ第4ベース島114の面積は第1ベース島、第2ベース島112、及び第3ベース島113よりも大きいため、第4ベース島114に押し付けられる突き出しピンの数も、他のベース島に比べて多くなる。この場合、各ベース島を押圧し、面積の広いベース島を複数箇所で押圧することにより、寸法の大きい放熱基板100とパッケージ金型の表面とをより貼り合わせることができる。
【0057】
他の例では、
図13に示すように、L>40mmの場合、n>5である。つまり、放熱基板100の長さが40mmよりも大きい場合、設けられる残留部510の数が5つより大きい。これらの残留部510のうち、1つの残留部510の導電層110上の正投影は、第1ベース島111の第2ベース島112から離れた側の縁と重なり、1つの残留部510の導電層110上の正投影は、第1ベース島111と第2ベース島112の互いに近接する縁と重なり、1つの残留部510の導電層110上の正投影は、第2ベース島112と第3ベース島113の互いに近接する縁と重なり、1つの残留部510の導電層110上の正投影は、第3ベース島113と第4ベース島114の互いに近接する縁と重なり、残りの残留部510の導電層110上の正投影は、第4ベース島114と重なる。
【0058】
例示的に、放熱基板100の寸法が40mm×16mm以上(例えば、パッケージング体500の最大寸法が52.5mm×31mm、放熱基板100の寸法が40.9mm×17.3mm)の場合、5つ以上、例えば7つの突き出しピンを用いて放熱基板100の非固定端と固定端との間の中間部の複数の位置に押圧してもよい。1つの突き出しピンは、第1ベース島111の第2ベース島112から離れた側の縁の中央部に押圧され、1つの突き出しピンは、第1ベース島111と第2ベース島112の間の互いに近い縁の中央部に押圧され、1つの突き出しピンは、第2ベース島112と第3ベース島113の間の互いに近い縁の中央部に押圧され、1つの突き出しピンは、第3ベース島113と第4ベース島114の間の互いに近い縁の中央部に押圧され、1つの突き出しピンは、第4ベース島114の第3ベース島113から離れる側の縁の中央部に押圧され、残りの2つの突き出しピンは、第4ベース島114の中間位置に押圧されてもよい。
【0059】
パッケージング過程中、突き出しピンは、放熱基板100の幅方向Yに沿った中央部で第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113、および第4ベース島114のうち任意に隣接するベース島間の位置、第1ベース島111の第4ベース島114から離れる縁、及び第4ベース島114に押圧されており、第4ベース島114の面積が第1ベース島111、第2ベース島112、第3ベース島113の面積よりも大きいため、第4ベース島114に押圧される突き出しピンの数も、他のベース島に押圧される突き出しピンの数よりも大きい。この場合、複数のベース島の縁の中央部に押圧され、且つ面積の大きいベース島を複数箇所で押圧することにより、寸法が大きい放熱基板100とパッケージ金型の表面とをより貼り合わせることができる。
【0060】
いくつかの実施例では、
図7~
図12に示すように、パッケージング体500の第1面501に設けられる残留部510の数nが5以下(n≦5)である場合、n個の残留部510の導電層110上の正投影は、駆動側10Aに位置する複数のベース島の縁と重合する。
図13に示すように、パッケージング体500の第1面501に設けられる残留部510の数nが5より大きい(n>5)場合、n個の残留部510の導電層110上の正投影は、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った複数のベース島の中央部に位置する。このような配置により、寸法の大きい放熱基板100のパワーモジュール10の幅方向Yに沿った中央位置が反りことを防止でき、放熱基板100をより安定的に固定することができ、放熱基板100の裏面での接着剤の溢れを防止することができる。
【0061】
これに基づき、
図7~
図11に示すように、パッケージング体500の第1面501に設けられる残留部510の数nが5以下(n≦5)である場合、両端に位置する2つの残留部510の中心の導電層110上の正投影は、それぞれ、導電層110の駆動側10Aの2つの角に位置する頂点と重合する。このようにして、パッケージング過程中に突き出しピンが導電層110を安定的に押圧できることを保証するだけでなく、ベース島上で突き出しピンが占める面積を最小限に抑えることができ、それによって、ベース島上のパワーチップ200が配置されるように構成される面積を増加させることができる。このような残留部510の配置方法が、あらゆる寸法の放熱基板100に適用可能であり、放熱基板100の寸法が小さくなるほど、この配置方法の利点がより明らかになることは、理解される。
【0062】
例示的に、
図7~
図10に示すように、パッケージング体500の第1面501上に2つの残留部510が設けられ、2つの残留部510の中心の導電層110上の正投影がそれぞれ導電層110との駆動面10A側の2つの角に位置する頂点と重合する。残留部510の外輪を円形であることを例とすると、一方の残留部510の中心の導電層110上の正投影は、第1ベース島111の駆動側10A側に位置し且つ第4ベース島114から離れる頂点と重合し、他方の残留部510の中心の導電層110上の正投影は、第4ベース島114の駆動面10A側に位置し且つ第1ベース島111から離れる頂点と重合する。
【0063】
このようにして、パッケージング過程中に、導電層110のパワーモジュール10の長さ方向Xに沿った両端がいずれも突き出しピンで押圧されることにより、放熱基板100が第1ベース島111に近く且つ第4ベース島114に近い位置でずれにくくなり、放熱基板100の第4面102とパッケージング体500の第2面502とが同一平面にあることを確保し、放熱基板100の裏面での接着剤の溢れをより良好に防止することができる。
【0064】
上述した実施例に基づいて分かるように、放熱基板100の大きさは、寸法の異なるパワーモジュール10に対しても異なる。各ベース島に対応する残留部510の数n(すなわち、各ベース島に対応する突き出しピンの数)及び残留部510の分布位置(すなわち、突き出しピンがベース島に押圧される位置)を、放熱基板100のパワーモジュール10の長手方向Xに沿った寸法Lに基づいて設計することにより、異なる寸法のパワーモジュール10における放熱基板100とパッケージ金型との貼り合わせ問題を的確に解決することができ、これにより、放熱基板100の裏面での接着剤の溢れを避け、良好なパッケージ効果を得ることができる。また、放熱基板100の表面から溢れた接着剤を取り除く製造工程を低減することができ、生産効率の向上に有利である。
【0065】
いくつかの実施例では、
図5および
図6に示すように、複数のパワーチップ200のうち、残留部510に最も近いパワーチップ200の導電層110上の正投影と、この残留部510の縁の導電層110上の正投影との最小距離Aは、A>0.45mmを満たす。
【0066】
例示的に、パッケージング体500の第1面501には、第1ベース島111に対応する、駆動側10Aに位置し且つ第4ベース島114の頂角から離れる位置に1つの残留部510が形成されており、第1ベース島111にはこの残留部510に近いパワーチップ200が設けられており、このパワーチップ200の左上頂点(
図5参照)とこの残留部510の導電層110上の正投影の縁との間の最小距離をAとし、A>0.45mmである。
【0067】
複数のパワーチップ200のうち残留部510と最も距離の近いパワーチップ200とこの残留部510との間の最小距離Aが0.45mm未満である場合、残留部510の導電層110上の正投影とパワーチップ200との間の間隔は小さい。つまり、パッケージング過程中の突き出しピンの端面の縁とパワーチップ200との間の間隔が小さい。この場合、突き出しピンの位置がずれると、突き出しピンがパワーチップ200に接触しやすくなり、その結果、突き出しピンがパワーチップ200を押し潰れるおそれがある。そこで、本開示の実施例は、残留部510と最も距離の近いパワーチップ200と、この残留部510の導電層110上の正投影の縁との間の最小距離AをA>0.45mmを満たすように設定し、突き出しピンの端部が導電層110と接触する際に突き出しピンの縁とパワーチップ200との間の距離を安全な範囲内に制御することができ、突き出しピンとパワーチップ200との接触を防止することができ、突き出しピンがパワーチップ200を押し潰れるリスクを回避する。
【0068】
いくつかの実施例では、
図14および
図15に示すように、パッケージング体500の第2面502上には、複数の離型部520が設けられる。例示的に、離型部520は、離型過程中にパッケージング体500の第2面502に残る凹みであるブラインド穴であってもよい。離型部520を複数設けることにより、離型過程中にパッケージング体500にかかる力を分散することができ、パッケージング体500の破損や変形を防止することができる。
【0069】
いくつかの例において、複数の離型部520は、複数の第1離型部521及び複数の第2離型部522を含んでもよい。複数の第1離型部521および複数の第2離型部522は、それぞれ、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った第2面502の両縁に位置し、且つ複数の第1離型部521および複数の第2離型部522は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて配列される。例示的に、複数の離型部520は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて設けられる3つの第1離型部521と、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って間隔を置いて設けられる3つの第2離型部522とを含んでもよい。第2離型部521はパワーモジュール10の駆動側10Aに位置し、第2離型部522はパワーモジュール10のパワー側10Bに位置する。
【0070】
このようにして、パワーモジュール10のパッケージングが完了した後、第1離型部521と第2離型部522の位置に対応して設けられた離型ピンを伸ばすことにより、パッケージング体500を金型から離脱させることができ、パワーモジュール10の離型に有利である。また、複数の第1離型部521と複数の第2離型部522とを設けることにより、パッケージング体500の対応するパワーモジュール10の長手方向Xにおける複数の位置と幅方向Yにおける複数の位置とに離型ピンが対応して設けられ、パッケージング体500の離型の安定性を高めることができる。
【0071】
他の例において、複数の離型部520は、複数の第3離型部523及び複数の第4離型部524をさらに含んでもよい。複数の第3モールド部523および複数の第4モールド部524は、パワーモジュール10の幅方向Yに沿って複数の第1モールド部521と複数の第2モールド部522との間に位置する。パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って、パッケージング体500は、対向する第1側面503及び第2側面504を有する。複数の第3離型部523は、放熱基板100とパッケージング体500の第1側面503との間に位置し、複数の第4離型部524は、放熱基板100とパッケージング体500の第2側面504との間に位置する。例示的に、複数の離型部520は、パワーモジュール10の幅方向Yにおいて第1離型部521と第2離型部522との間に位置する2つの第3離型部523と2つの第4離型部523とを含んでもよい。2つの第3離型部523は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って第1ベース島111とパッケージング体500の第1側面503との間に位置し且つパワーモジュール10の幅方向Yに沿って間隔を置いて設けられる。2つの第4離型部524は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って第4ベース島114とパッケージング体500の第2側面504との間に位置し且つパワーモジュール10の幅方向Yに沿って間隔を置いて設けられる。
【0072】
このようにして、パワーモジュール10のパッケージングが完了した後、第3離型部523および第4離型部524の位置に対応して設けられた離型ピンを伸ばすことにより、パッケージング体500を金型から外すことができ、パワーモジュール10の離型に有利である。また、第1離型部521及び第2離型部522はパッケージング体500の縁に設けられ、第3離型部523及び第4離型部524はパッケージング体500の中央部に設けられることにより、パッケージング体500の縁と中央部には、離型ピンが対応して設けられ、パッケージング体500の離型の安定性をさらに高めることができる。
【0073】
いくつかの実施例では、
図14及び
図15に示すように、複数の第3離型部523及び複数の第4離型部524は、パッケージング体500のパワーモジュール10の幅方向Yに沿った中心に関して平面対称であり、すなわち、複数の第3離型部523と複数の第4離型部524とは、
図17における上下方向に対称である。及び/又は、複数の第3離型部523及び複数の第4離型部524は、パッケージング体500のパワーモジュール10の長さX方向に沿った中心に関して平面対称であり、すなわち、複数の第3離型部523と複数の第4離型部524とは、
図17における左右方向に対称である。
【0074】
このような配置により、離型過程中にパワーモジュール10に均一な応力が確実にかかることができ、パワーモジュール10をスムーズに離型することができる。さらに、対称的に設けられる第3離型部523と第4離型部524は加工にも有利である。
【0075】
パッケージング体500の第1面501上に、離型過程中にパッケージング体500の第1面501に残る凹みである複数の離型部520も設けられることは、理解される。複数の離型部520は、第1面501上に均一に設けられることにより、離型過程中にパッケージング体500にかかる力が均一であることを保証し、パッケージング体500の損傷や変形を防止する。
【0076】
上記から分かるように、複数の第1離型部521及び複数の第2離型部522は、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った中心軸abから離れており、複数の第3離型部522および複数の第4離型部524は、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った中心軸abに近い。
【0077】
いくつかの実施例では、
図7、
図8、
図14、および
図15に示すように、パッケージング体500は、2つの切り欠き530をさらに含んでもよい。2つの切り欠き530は、パッケージング体500の固定を容易にするために、パッケージング体500のパワーモジュール10の長さ方向Xに沿った両端に位置してもよい。例示的に、切り欠き530は、パワーモジュール10と他の構成要素との組み立てを容易にするために、円形切り欠きまたはU字型切り欠きであってもよい。2つの切り欠き530の中心は、パワーモジュール10の幅方向Yに沿った中心軸ab上に位置してもよい。
【0078】
これに加えて、第3離型部523及び第4離型部524の数はいずれも2つである。パワーモジュール10の幅方向Yに沿って、2つの第3離型部523はパッケージング体500の第1側面503に近い切り欠き530の両側に位置し、2つの第4離型部524はパッケージング体500の第2側面504に近い切り欠き530の両側に位置する。
【0079】
例示的に、2つの切り欠き530の中心がパワーモジュール10の幅方向Yに沿った中心軸ab上に位置する場合、2つの第3離型部523は、中心軸abの両側に位置し、且つ中心軸に対して対称であり、2つの第4離型部524も中心軸abの両側に位置し且つ中心軸abに対して対称である。これにより、離型過程中にパッケージング体500の変形や損傷を防止することができ、パッケージ金型の耐用年数を延ばすことができる。
【0080】
いくつかの実施例では、
図14に示すように、2つの第3離型部523の間の接続線と中心軸abとの交点は、第1側面503に近い切り欠き530の中心と、この切り欠き530と中軸線abの交点との間に位置する。2つの第4離型部524の間の接続線と中軸線abとの交点は、第2側面504に近い切り欠き530の中心と、この切り欠き530と中軸線abの交点との間に位置する。
【0081】
図14に示すパワーモジュール10を例とすると、2つの切り欠き530の中心の、パッケージング体500が位置する表面上の正投影をそれぞれa点とb点(両者の接続線は前記中軸線ab)とし、2つの第3離型部523の中心をそれぞれc点とd点とし、a点がb点よりもc点とd点に近く、切り欠き530と中軸線abの交点をe点とし、c点とd点の接続線と中軸線abの交点をf点とする場合、f点はa点とe点の間に位置する。これに基づいて、パワーモジュール10の長手方向Xにおいて、2つの第3離型部523は、左端の切り欠き530の中心aに対してパッケージング体500の中心により近い。同様に、パワーモジュール10の長手方向Xにおいて、2つの第4離型部524は、右端の切り欠き530の中心bに対してパッケージング体500の中心により近い。
【0082】
このように、第3離型部523および第4離型部524は、パッケージング体500の両端に位置する切欠き530よりもパッケージング体500の中心に近くなり、これにより、パワーモジュール10の離型安定性を向上させることができ、離型過程中にパッケージング体500に対する損傷を回避するため、パッケージ金型の耐用年数が延びる。
【0083】
上記実施例に基づいて分かるように、放熱基板100は第3面101および第4面102を有し、且つ放熱基板100の第4面102はパッケージング体500の第2面502と面一である。
図2~
図4に示すように、導電層110のパワーチップ200が設けられる面が第3面101である。導電層110に加えて、放熱基板100は他のフィルム層をさらに含んでもよい。
【0084】
いくつかの実施例において、
図3に示すように、放熱基板100は、セラミック層120及び放熱層130をさらに含んでもよい。パワーモジュール10の厚さ方向Zに沿って、導電層110および放熱層130は、セラミック層120の両側にそれぞれ位置する。ここで、放熱層130の導電層110から離れる面は、パッケージング体500の第2面502と面一であり、すなわち、放熱層130の導電層110から離れる面は、第4面102である。
【0085】
例示的に、導電層110は、銅などの導電性に優れた金属材料で形成されてもよく、放熱層130は、銅などの放熱に優れた金属材料で形成されてもよく、セラミック層120は、電流が逃げるのを回避するために絶縁性の樹脂材料を使用してもよい。これに基づいて、導電層110、セラミック層120および放熱層130は、銅層、セラミック層および銅層であり、三者は、DBC(Direct Bond Copper、ダイレクトボンディング銅)構造を形成してもよい。
【0086】
このようにして、動作中にパワーチップ200によって生成される熱は、導電層110、セラミック層120および放熱層130を介して適時に放出され、これにより、パワーモジュール10の放熱が達成され、パワーモジュール10の信頼性が確保され、パワーモジュール10の使用性能を向上させる。
【0087】
他の実施例では、
図4に示すように、放熱基板100は、導電層110の第1面501から離れる側に位置するセラミック層120をさらに含んでもよい。セラミック層120の導電層110から離れる面は、パッケージング体500の第2面502と面一であり、即ち、セラミック層120の導電層110から離れる面は第4面102である。
【0088】
例示的に、導電層110は銅などの導電性に優れた金属材料で形成されてもよく、セラミック層120は放熱性に優れた絶縁材料で形成されてもよい。これに基づいて、導電層110およびセラミック層120は、片面銅張セラミック板を形成することができ、セラミック層120は、絶縁および放熱の機能を兼ね備える。
【0089】
このようにして、動作中にパワーチップ200によって生成される熱は、導電層110およびセラミック層120を通じて適時に放出され、これにより、パワーモジュール10の放熱が達成され、パワーチップ200の信頼性が確保され、パワーモジュール10の使用性能を向上させる。
【0090】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、導電層110とパワーピン600は一体構造を有する。すなわち、導電層110は、パッケージング体500の内部に位置する部分と、パッケージング体500の外部に伸ばす部分とを含み、導電層110の、パッケージング体500の内部に位置する部分は、パワーチップ200のパッドとして使用し、導電層110の、パッケージング体500の外部に伸ばす部分は、パワーピン600として使用され得る。これに基づき、放熱基板100は、導電層110の第1面501から離れる側に位置する絶縁樹脂放熱シートをさらに含み、絶縁樹脂放熱シートは、絶縁樹脂シート140の一側に放熱シート150が接続されているように構成される。絶縁樹脂シート140の他側は、パワーチップ200のパッドとして構成された導電層110に接続され、放熱シート150の導電層110から離れる面は、パッケージング体500の第2面502と面一とである。例示的に、放熱シート150は銅シートであってもよく、絶縁樹脂放熱シートは通常、絶縁樹脂銅シートである。
【0091】
いくつかの実施例において、
図14及び
図15に示すように、パッケージング体500は、パッケージング体500の幅方向Yにおいてパッケージング体500の両側面に対して内向きに凹んでいる第1段差部540及び第2段差部550をさらに含んでもよい。第1段差部540と第2段差部550は、対向して設けられる。ここで、凹んだ第1段差部540及び第2段差部550とは、第1段差部540及び第2段差部550がパッケージング体500の内側に向かって凹んでいることを意味する。
【0092】
第1段差部540は、複数の駆動ピン700の引出部のパッケージング体500の第2面502に近い側に位置し、且つ複数の駆動ピン700が複数のパワーピン600に向かう方向に凹んでいる。第1段差部540は、第1段差面541と、第1段差面541と第2面502との間に接続される第1接続面542とを有する。
【0093】
第2段差部550は、複数のパワーピン600の引出部のパッケージング体500の第2面502に近い側に位置し、且つ複数のパワーピン600が複数の駆動ピン700に向かう方向に凹んでいる。第2段差部550は、第2段差面551と、第2段差面551と第2面502との間に接続される第2接続面552とを有する。
【0094】
このようにして、第1段差部540及び第2段差部550を設けることにより、放熱基板100と実装金型のキャビティに対応する駆動ピン700が位置する側における側面とのスペース、及び放熱基板100とパワーピン600が位置する側における側面とのスペースを低減することができ、これにより、樹脂注入の過程においてこの2箇所に溜まる樹脂の量を減らし、放熱基板100の底面からの樹脂の溢れによるバリが発生するリスクを低減する。
【0095】
これに基づいて、
図14および
図15に示すように、複数の第1離型部521および複数の第2離型部522は、それぞれ、第1段差部540の第1段差面541および第2段差部550の第2段差面551上に設けられ、複数の第3離型部523及び複数の第4離型部524は、第2面502上に設けられてもよい。このような構成により、パッケージング体500を安定的に離型することができる。
【0096】
いくつかの実施例では、放熱基板100は、前述のDBC構造または片面銅張構造を採用してもよい。この場合、
図20に示すように、パッケージング体500は、パッケージング体500のパワーピン600が設けられている側に位置する樹脂注入部560をさらに含んでもよい。パワーモジュール10の厚さ方向Zに沿って、第2段差部550の第2段差面551からパッケージング体500の第2面502までの距離H1は、樹脂注入部560からパッケージング体500の第2面502までの距離H0よりも小さく、且つ第2段差部550の第2段差面551からパッケージング体500の第2面502までの距離H1は、パワーチップ200の導電層110から離れる面からパッケージング体500の第2面502までの距離H5よりも小さい。
【0097】
パワーモジュール10の本体構造をパッケージングする過程では、
図21に示すように、パワーモジュール10の本体構造をパッケージ金型のキャビティ820に配置してもよく、パッケージ金型は樹脂注入口Aを有し、樹脂注入口Aはキャビティ820内に注入され、パワーモジュール10の本体構造と金型キャビティのキャビティ壁との間に充填される。樹脂が硬化した後、
図20におけるパッケージング体500が形成され、パッケージング体500の樹脂注入口Aに対応する部分が樹脂注入部560であり、樹脂注入部560の粗さは、パッケージング体500の他の部分の粗さよりも大きい。
【0098】
パッケージ金型のキャビティ壁の形状が、パッケージング体500の外形とマッチングすることは、理解される。これから分かるように、パッケージ金型のキャビティ820は、パッケージング体500の第1段差部540に対応する第1段差821と、パッケージング体500の第2段差部550に対応する第2段差822とを有し、第2段差822の段差面からキャビティの底面までの距離H1′は、パワーチップ200の導電層110から離れる面からキャビティの底面までの距離よりも小さく、且つ第2段差822の段差面からキャビティの底面までの距離H1′は、樹脂注入口Aの高さ(すなわち、樹脂注入口Aからキャビティの底面までの距離)H0′よりも小さい。
【0099】
このようにして、樹脂注入口Aを介してパッケージ金型のキャビティ内に樹脂が注入されると、液状樹脂はまず第2段差822に落下する。第2段差822は液状樹脂に対して一定の緩衝作用を果たし、樹脂が放熱基板100に向かって流れる高さを低下して、放熱基板100に対する樹脂の斜め下向きの衝撃力を低減する。これに基づいて、第2段差822の高さが、パワーチップ200の頂面からキャビティの底面までの距離よりも小さく、樹脂がパワーチップ200に向かって低い方から高い方へ流れるので、樹脂の流動はより緩やかになり、樹脂圧力がさらに減少し、放熱基板100とパワーチップ200に対する樹脂の衝撃力をさらに減少させ、放熱基板100の裏面での接着剤の溢れを回避し、放熱基板100の位置ずれの問題を軽減することができる。
【0100】
いくつかの実施例では、
図20に示すように、パワーモジュール10の厚さ方向Zに沿って、第2段差部550の第2段差面551からパッケージング体500の第2面502までの距離H1は、第1段差部540の第1段差面541からパッケージング体500の第2面502までの距離H2と略等しく、および/または、
図15に示すように、パワーモジュール10の幅方向Yに沿って、第2段差部550の第2接続面552からパワーピン600のパッケージング体の外に伸ばしている部分に近いパッケージング体500の第3側面505までの距離H3は、第1段差部540の第1接続面541から駆動ピン700のパッケージング体の外に伸ばしている部分に近いパッケージング体500の第4側面506までの距離H4と略等しい。このような構成によれば、緩衝樹脂に加えて製造工程を簡略化することができる。
【0101】
いくつかの実施例では、
図15及び
図20に示すように、第1段差部540は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って延びる第1本体部と、パワーモジュール10の幅方向Yに沿って延びる第1端部と、第1本体部と第1端部との間に接続される第1導流部545を含んでもよく、および/または第2段差部550は、パワーモジュール10の長さ方向Xに沿って延びる第2本体部と、パワーモジュール10の幅方向Yに沿って延びる第2端部と、第2本体部と第2端部との間に接続される第2導流部555を含んでもよい。
【0102】
第1導流部545と第2導流部555は、いずれも、面取り、丸み付け、溝、または樹脂導流作用を実現できる他の構造であってもよい。第1段差部540及び/又は第2段差部550の角部に導流部を設けることにより、樹脂を反対側に案内する分力を発生させて樹脂の流れを推進することができ、これにより、樹脂が角部に流れる際に滞留や蓄積による樹脂空隙の発生を回避することができる。
【0103】
例えば、第1段差部540は、第1導流部545を1つだけ含んでもよいし、2つの第1ガイド部545を含んでもよく、各第1導流部545が第1端部と第1本体部との間に接続される。
【0104】
また、例えば、第2段差部550は、1つの第2導流部555のみを含んでもよいし、2つの第2導流部555を含んでもよく、各第2導流部555は、第2端部と第2本体部との間に接続される。
【0105】
なお、第1段差部540および/または第2段差部550の角部に導流部が形成されることに加えて、パッケージング体500の第1側面503、第2側面504、第3側面505及び第4側面506のうち隣接する2つの側面間の角部に導流部が形成される。
【0106】
これにより、液状樹脂が導流部に対応する金型キャビティ内の角部まで流れる際に、この導流部によって樹脂の流れが促進され、樹脂の滞留や蓄積による樹脂空隙の発生が回避される。また、導流部を設けることにより、樹脂の滞留量も低減され、放熱基板100の底面からの樹脂の溢れによるバリの発生のリスクをさらに低減することができる。
【0107】
本発明の一実施例には、電子機器が提供され、上記実施例の少なくとも1つのパワーモジュールは電子機器に適用可能である。
図22に示すように、電子機器1000は、パワーモジュール10と、パワーモジュール10に接続されるコントローラ20とを含んでもよい。
【0108】
例示的に、コントローラ20は、ユーザの指示に従って制御信号を生成し、その制御信号をパワーモジュール10に送信してもよい。パワーモジュール10は、この制御信号に従って駆動信号を生成し、対応する駆動待ち素子に出力することにより、対応する機能を実現する。
【0109】
なお、本発明の実施例により提供される電子機器は、それに含まれる上記実施例のパワーモジュールと同様の技術的効果を有するため、ここでは再度の説明を省略する。
【0110】
本開示の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」にあることは、第1特徴と第2特徴が直接接触していることを含んでもよく、また、第1特徴と第2特徴が直接接触していることではなく、それらの間の他の特徴を介して接触していることを含んでもよい。第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」、および「上側」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上および斜め上にあることを含むか、または第1特徴のレベルが第2特徴より高いことのみを示す。
【0111】
本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等によって示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、示される装置又は要素が特定の方位を有し、又は特定の方位で構成及び動作する必要であることを指示又は暗示するのではなく、単に、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものである。
【0112】
本開示の実施例を図示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の原理および目的から逸脱することなく、これらの実施例に対してさまざまな変更、修正、置換および変形を行うことができることは、理解される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【0113】
本発明の開示範囲が、上記の特定の実施例に限定されるものではなく、本出願の精神から逸脱することなく、実施例の特定要素に対して修正および置換を行うことができることは、当業者には理解され得る。 本開示の範囲は、特許請求の範囲によって限定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールであって、
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第1面と第2面とを有し、且つ第1面に位置する1つ以上の残留部を含むパッケージング体と、
前記パッケージング体内に設けられ、且つ前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って対向して設けられる第3面と第4面とを有し、導電層を含む放熱基板であって、前記導電層の前記第1面に近い面が前記第3面であり、前記第4面が前記第2面と面一であることにより、前記第4面が前記パッケージング体から露出している放熱基板と、
前記導電層上に設けられ、且つ前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のパワーチップと、を備え、
前記1つ以上の残留部の縁の前記導電層上の正投影と、前記パワーチップの縁の前記導電層上の正投影とは、互いにずれている、
パワーモジュール。
【請求項2】
前記複数のパワーチップのうち、前記残留部に最も近いパワーチップの前記導電層上の正投影と、前記残留部の縁の前記導電層上の正投影との最小距離Aは、A>0.45mmを満たす、
請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記導電層は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島を含み、前記複数のパワーチップは、前記複数のベース島上に設けられ、
前記放熱基板の前記パワーモジュールの長さ方向に沿った寸法をLとし、前記1つ以上の残留部の数をnとする場合、L≦40mmであり且つ2≦n≦4であり、ここで、Lとnは正の整数であり、
前記n個の残留部は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って両端に位置する2つの残留部を少なくとも含み、且つ前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記した両端に位置する残留部は、前記複数のベース島のうち前記パワーモジュールの長手方向に沿って両端に位置する2つのベース島にそれぞれ対応している、
請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
L≦25mmの場合、n=2であり、隣接する2つのパワーチップ間の最小距離をBとし、前記残留部の最大断面寸法をCとすると、前記BおよびCは、B<C+0.8mmを満たし、
25mm<L≦32mmの場合、n=3であり、前記n個の残留部のうち、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って中間に位置する1つの残留部の前記導電層上の正投影は、前記複数のベース島のうち、隣接する2つのベース島と同時に重なり、
32mm<L≦40mmの場合、n=4であり、前記n個の残留部のうち、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って中間に位置する2つの残留部の前記導電層上の正投影は、前記複数のベース島のうち中間に位置する2つのベース島とそれぞれ重なる、
請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記導電層は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島を含み、前記複数のパワーチップは、前記複数のベース島上に設けられ、
前記パワーモジュールの長さ方向に沿った前記放熱基板の寸法をLとし、前記1つ以上の残留部は、n個の残留部である場合、L>40mm且つn>4であり、ここで、Lとnは正の整数であり、
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、各ベース島は少なくとも1つの残留部に対応する、
請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
n=5であり、前記複数のベース島は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って順次に間隔を置いて設けられる第1ベース島、第2ベース島、第3ベース島、及び第4ベース島を含み、前記第4ベース島の面積は、前記第1ベース島の面積、前記第2ベース島の面積、及び第3ベース島の面積よりも大きく、
前記n個の残留部のうち、3つの残留部の前記導電層上の正投影は、それぞれ、前記第1ベース島、前記第2ベース島、および前記第3ベース島と重なり、前記n個の残留部のうち、残りの2つ残留部の前記導電層上の正投影は、前記第4ベース島と重なる、
請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
n>5であり、前記複数のベース島は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って順次に間隔を置いて設けられる第1ベース島、第2ベース島、第3ベース島、及び第4ベース島を含み、前記第4ベース島の面積は、前記第1ベース島の面積、前記第2ベース島の面積、及び第3ベース島の面積よりも大きく、
前記n個の残留部のうち、1つの残留部の前記導電層上の正投影は、前記第1ベース島の前記第2ベース島から離れた側の縁と重なり、他の3つの残留部の前記導電層上の正投影は、それぞれ、前記第1ベース島と前記第2ベース島の互いに近接する縁、前記第2ベース島と前記第3ベース島の互いに近接する縁、及び前記第3ベース島と前記第4ベース島の互いに近接する縁と重なり、残りの残留部の前記導電層上の正投影は、前記第4ベース島と重なる、
請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記パワーモジュールの幅方向に沿った両側はそれぞれ駆動側、パワー側であり、前記導電層は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられる複数のベース島を含み、前記1つ以上の残留部は、n個の残留部であり、
n≦5である場合、前記n個の残留部の前記導電層上の正投影は、前記駆動側に位置する前記複数のベース島の縁と重合し、
n>5である場合、前記n個の残留部の前記導電層上の正投影は、前記パワーモジュールの幅方向に沿った前記複数のベース島の中央部に位置する、
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
n≦5である場合、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って両端に位置する2つの残留部の中心の前記導電層上の正投影は、それぞれ、前記導電層の前記駆動側の2つの角に位置する頂点と重合する、
請求項8に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記パッケージング体は、前記第2面に位置する複数の離型部をさらに含み、前記複数の離型部は、
複数の第1離型部及び複数の第2離型部であって、それぞれ、前記パワーモジュールの幅方向に沿った前記第2面の両縁に位置し、且つ前記複数の第1離型部は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列され、前記複数の第2離型部は、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列される複数の第1離型部及び複数の第2離型部と、
複数の第3離型部及び複数の第4離型部であって、前記パワーモジュールの幅方向に沿って前記複数の第1モールド部と前記複数の第2モールド部との間に位置し、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って、前記複数の第3離型部は、前記放熱基板と前記パッケージング体の第1側面との間に位置し、前記複数の第4離型部は、前記放熱基板と前記パッケージング体の第2側面との間に位置する複数の第3離型部及び複数の第4離型部と、を含む、
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記複数の第3離型部は、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの幅方向に沿った中心に関して平面対称であり、且つ前記複数の第4離型部は、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの幅方向に沿った中心に関して平面対称であり、及び/又は、
前記複数の第3離型部及び前記複数の第4離型部は、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの長さ方向に沿った中心に関して平面対称である、
請求項10に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記パッケージング体は、2つの切り欠きをさらに含み、前記2つの切り欠きは、前記パッケージング体の前記パワーモジュールの長さ方向に沿った両端に位置し、
前記複数の第3離型部は2つの第3離型部であり、前記パワーモジュールの幅方向に沿って、前記2つの第3離型部は前記第1側面に近い切り欠きの両側に位置し、
前記複数の第4離型部は2つの第4離型部であり、前記パワーモジュールの幅方向に沿って、前記2つの第4離型部は前記第2側面に近い切り欠きの両側に位置する、
請求項11に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
前記2つの切り欠きの中心は、前記パワーモジュールの幅方向に沿った中心軸上に位置し、
前記2つの第3離型部の間の接続線と前記中心軸との交点は、前記第1側面に近い前記切り欠きの中心と、この切り欠きと前記中軸線の交点との間に位置し、
前記2つの第4離型部の間の接続線と前記中軸線との交点は、前記第2側面に近い切り欠きの中心と、この切り欠きと前記中軸線の交点との間に位置する、
請求項12に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記放熱基板は、セラミック層及び放熱層をさらに含み、前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記導電層および前記放熱層は、前記セラミック層の両側にそれぞれ位置し、前記放熱層の前記導電層から離れる面は、前記第4面であり、又は、
前記放熱基板は、前記導電層の前記第1面から離れる側に位置するセラミック層をさらに含み、前記セラミック層の前記導電層から離れる面は第4面である、
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記パッケージング体内に設けられる駆動フレームと、
前記駆動フレーム上に設けられ、前記複数のパワーチップに電気的に接続される少なくとも1つの駆動チップと、
前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられ、一端が前記駆動フレームに接続され、他端が前記パッケージング体の外に伸ばしている複数の駆動ピンと、
前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて設けられ、一端が前記導電層に接続され、他端が前記パッケージング体の外に伸ばしている複数のパワーピンと、をさらに備え、
前記複数の駆動ピン及び前記複数のパワーピンは、前記パワーモジュールの幅方向に沿った両側に位置する、
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項16】
前記パッケージング体は、
前記複数のパワーピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分の前記パッケージング体の第2面に近い側に位置し、且つ前記複数のパワーピンが前記複数の駆動ピンに向かう方向に凹んでいる第2段差部であって、前記第2段差面と、前記第2段差面と前記第2面との間に接続される第2接続面とを有する第2段差部をさらに含み、
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記第2段差部の第2段差面から前記パッケージング体の第2面までの距離は、前記パワーチップの前記導電層から離れる面から前記パッケージング体の第2面までの距離よりも小さい、
請求項15に記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記パッケージング体は、前記複数の駆動ピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分の前記パッケージング体の第2面に近い側に位置し、且つ前記複数の駆動ピンが前記複数の駆動ピンに向かう方向に凹んでいる第1段差部であって、前記第1段差面と、前記第1段差面と前記第2面との間に接続される第1接続面とを有する第1段差部をさらに含み、
複数の離型部は、
前記第1段差面上に位置し、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列される複数の第1離型部と、
前記第2段差面上に位置し、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って間隔を置いて配列される複数の第2離型部と、
前記第2面上に位置する複数の第3離型部及び複数の第4離型部であって、前記パワーモジュールの長さ方向に沿って、前記複数の第3離型部は前記放熱基板と前記パッケージング体の第1側面との間に位置し、前記複数の第4離型部は前記放熱基板と前記パッケージング体の第2側面との間に位置する複数の第3離型部及び複数の第4離型部と、を含み、
請求項16に記載のパワーモジュール。
【請求項18】
前記パワーモジュールの厚さ方向に沿って、前記第2段差部の第2段差面から前記パッケージング体500の第2面までの距離は、前記第1段差部の第1段差面から前記パッケージング体の第2面までの距離と略等しく、および/または、前記パワーモジュールの幅方向に沿って、前記第2段差部の第2接続面から前記パワーピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分に近い前記パッケージング体の第3側面までの距離は、前記第1段差部の第1接続面から前記駆動ピンの前記パッケージング体の外に伸ばしている部分に近い前記パッケージング体の第4側面までの距離と略等しい、
請求項17に記載のパワーモジュール。
【請求項19】
前記第1段差部は、角部に位置する第1導流部を含み、及び/又は、前記第2段差部は、角部に位置する第2導流部を含む、
請求項18に記載のパワーモジュール。
【請求項20】
請求項1または2に記載のパワーモジュールを備える、
電子機器。
【国際調査報告】