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特表2025-501439PIPCにより微細構造化レンズを封入する方法
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  • 特表-PIPCにより微細構造化レンズを封入する方法 図1
  • 特表-PIPCにより微細構造化レンズを封入する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】PIPCにより微細構造化レンズを封入する方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/02 20060101AFI20250115BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20250115BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20250115BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20250115BHJP
   G02B 5/23 20060101ALI20250115BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20250115BHJP
   G02B 3/00 20060101ALN20250115BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/00
G02C7/10
G02B1/14
G02B5/23
G02B5/22
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527219
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2022085681
(87)【国際公開番号】W WO2023110912
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21306816.6
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハオ-ウェン・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】アレフ・ジャルリ
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
2K009
【Fターム(参考)】
2H006BA01
2H006BE02
2H148CA04
2H148CA09
2H148CA12
2H148CA13
2H148CA14
2H148CA20
2H148DA04
2H148DA09
2H148DA24
2K009BB24
2K009BB25
2K009CC24
(57)【要約】
光学レンズを形成する方法は、接触面を有するモールディングデバイスの第1のモールドインサートを用意することであって、接触面は、接触面上に配置された複数の反転微細構造体を含み、複数の反転微細構造体の各微細構造体は、成形されたベースレンズの表面上の微細構造体の形状に逆相関する形状を有する、用意することと、第1のモールドインサートを、第2のモールドインサートの接触面を有する第2のモールドインサートと交換することと、微細構造体が上に形成されたベースレンズの表面に硬化性コーティングを適用することと、第2のモールドインサートの接触面を、ベースレンズの表面に適用された硬化性コーティングの少なくとも一部分に押し付けることと、硬化性コーティングを硬化性層へと硬化させることであって、微細構造体は、硬化性層内に実質的に完全に封入される、硬化させることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズを形成する方法であって、
接触面を有するモールドデバイスの第1のモールドインサートを用意することであって、前記接触面は、前記接触面上に配置された複数の反転微細構造体を含み、前記複数の反転微細構造体の各微細構造体は、ベースレンズの表面上の微細構造体の形状に逆相関する形状を有する、用意することと、
前記第1のモールドインサートを、第2のモールドインサートの接触面を有する前記第2のモールドインサートと交換することと、
前記微細構造体が上に形成された前記ベースレンズの表面に硬化性コーティングを適用することと、
前記第2のモールドインサートの前記接触面を、前記ベースレンズの前記表面に適用された前記硬化性コーティングの少なくとも一部分に押し付けることと、
前記硬化性コーティングを硬化性層へと硬化させることであって、前記微細構造体は、前記硬化性層内に実質的に完全に封入される、硬化させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記接触面を有する前記第1のモールドインサートを含む前記モールドデバイス内で前記ベースレンズを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモールドインサートを交換することは、前記モールドデバイスのキャビティ内に前記ベースレンズを残したまま前記モールドデバイスを開くことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ベースレンズの材料は、ポリカーボネート、イソソルビドポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、コポリエステル、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリペンテン、ポリオレフィン、アイオノマー、エチレンメタクリル酸、環状オレフィンコポリマー、アクリロニトリル、スチレン無水マレイン酸、それらのコポリマー、及びそれらの誘導体又は混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベースレンズは、射出成形によって、前記ベースレンズのガラス転移温度よりも少なくとも200°F高い射出ポリマー溶融温度で形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のモールドインサート及び前記モールドデバイスは、前記ベースレンズのガラス転移温度よりも5°F低い温度から前記ベースレンズの前記ガラス転移温度よりも50°F低い温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ベースレンズの前記表面に前記硬化性コーティングを適用することは、前記ベースレンズの表面温度が所定のベースレンズ表面温度に達したときに前記ベースレンズの前記表面に前記硬化性コーティングを適用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記所定のベースレンズ表面温度は、30°F~300°Fである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化性コーティングは、フォトクロミック色素、ブルーカット色素、近赤外光カット色素、UVカット色素、又は他の光フィルタを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化性コーティングは、アクリレート系コーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のモールドインサートは、前記第2のモールドインサートの平滑な接触面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のモールドインサートは、反転微細構造体の第2のパターンを含む接触面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のモールドインサートを、第3のモールドインサートのパターン化された接触面を有する前記第3のモールドインサートと交換する工程と、
最近形成された表面に前記硬化性コーティングを適用する工程と、
前記第3のモールドインサートの前記接触面を、前記ベースレンズ上に複数の微細構造化層を形成するために、適用された前記硬化性コーティングの少なくとも一部分に押し付ける工程と
を繰り返すことを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
眼科用レンズである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法に従って得られる光学要素。
【請求項15】
第1のモールド側の第1のモールドインサートであって、前記第1のモールドインサートは、接触面を含み、前記接触面は、前記接触面上に形成された複数の反転微細構造体を有する、第1のモールドインサートと、
第2のモールド側の第2のモールドインサートと、
平滑な接触面を有する第3のモールドインサートと、
を含み、
前記第1のモールドインサートは、前記第1のモールド側の前記第3のモールドインサートと交換可能である、モールドデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形中にレンズの表面上の微細構造体を封入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供される背景技術の説明は、本開示の背景を大まかに提示することを目的とする。この背景技術の項で説明される範囲における本発明者の研究及び出願時に先行技術として認定されていないであろう記載の態様は、本発明に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められない。
【0003】
微細構造化レンズのコーティングは、本来のマイクロレンズ設計からの逸脱を生じさせる可能性があり、各コーティングの設計補正に到達するためにいくつかの概念ループが必要となる場合がある。これにより、ひいては、より長い開発時間及びより高いコストが必要となる場合がある。更に、Pi-フレネルなどのいくつかの微細構造化レンズは、光学設計が失われるために、ディップコーティング又はスピンコーティングなどの一般的な方法によってコーティングされない場合がある。
【0004】
本開示の態様は、特に特許請求の範囲に記載の解決策を用いて、当該技術分野における上述の欠点のいくつかに対処することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、光学レンズを形成する方法であって、接触面を有するモールディングデバイスの第1のモールドインサートを用意することであって、接触面は、接触面上に配置された複数の反転微細構造体を含み、複数の反転微細構造体の各微細構造体は、成形されたベースレンズの表面上の微細構造体の形状に逆相関する形状を有する、用意することと、第1のモールドインサートを、第2のモールドインサートの接触面を有する第2のモールドインサートと交換することと、微細構造体が上に形成されたベースレンズの表面に硬化性コーティングを適用することと、第2のモールドインサートの接触面を、ベースレンズの表面に適用された硬化性コーティングの少なくとも一部分に押し付けることと、硬化性コーティングを硬化性層へと硬化させることであって、微細構造体は、硬化性層内に実質的に完全に封入される、硬化させることと、を含む、方法に関する。本開示は、請求項1に開示される、光学レンズを形成する方法に関する。本開示による方法の有利な態様は、請求項2~13に開示されている。本開示は更に、本発明の方法に従って得られる光学要素に関し、本発明の光学要素は、眼科用レンズである。
【0006】
本開示は更に、第1のモールド側の第1のモールドインサートであって、第1のモールドインサートは、接触面を含み、接触面は、接触面上に形成された複数の反転微細構造体を有する、第1のモールドインサートと、第2のモールド側の第2のモールドインサートと、平滑な接触面を有する第3のモールドインサートを含むモールドインサート交換機構であって、モールドインサート交換機構は、第1のモールド側で第1のモールドインサートを第3のモールドインサートと交換するように構成されている、モールドインサート交換機構とを含む、モールドデバイスに関する。本開示は更に、請求項15に開示されるモールドデバイスに関する。
【0007】
この発明の概要セクションは、本開示又はクレームに係る発明のあらゆる特徴及び/又は漸進的に新規な態様を特定するものではないことに留意されたい。その代わりに、この発明の概要は、異なる実施形態及び新規性に関する対応点の予備的な説明のみを提供する。本実施形態の追加的な詳細及び/又は可能な発展形態については、以下に更に論じるような本開示の発明を実施するための形態のセクション及び対応する図を参照されたい。
【0008】
複数の例として提案する本開示の各種の実施形態について、以下の図を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の範囲内で有用な、封入された微細構造体を有するレンズを製造するためのPIPC方法の概略図である。
図2】本開示の範囲内で有用な、眼科用レンズを形成する方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の開示では、提供される主題の異なる特徴を実装するための多くの異なる変形又は例を提供する。本開示を分かりやすくするために、要素及び配置の具体例について以下に説明する。当然のことながら、これらは単なる例に過ぎず、本発明を限定することも、任意の順列において一緒に動作不可能であることも意図するものではない。別段の指示がない限り、本明細書に記載される特徴及び実施形態は、任意の順列において一緒に動作可能である。例えば、以下に続く説明における、第2の特徴の上方又は上に第1の特徴を形成することは、第1の特徴と第2の特徴とを直接接触させて形成する実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触し得ないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成され得る実施形態を含んでもよい。また、本開示は、各種の例で参照番号及び/又は文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは、簡潔さ及び明確さを目的とし、議論する各種の実施形態及び/又は構成間の関係についてそれ自体言及するものではない。更に、空間的に相対的な用語、例えば「最上部」、「最下部」、「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上側」等は、図示のように、ある要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係の記述を容易にするために本明細書で用いる場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示す向きに加えて、使用又は動作中のデバイスの異なる向きも包含することを意図する。発明の装置は、異なる向きに置かれ(90度又は他の向きに回転され)てもよく、したがって本明細書で用いる空間的に相対的な記述子も同様に解釈することができる。
【0011】
本明細書に記述する異なる工程の議論の順序は、明確さを目的として示される。一般に、これらの工程は、任意の適切な順序で実施することができる。また、本明細書における異なる特徴、技術、構成等の各々について本開示の異なる箇所で議論する場合があるが、各々の概念が互いに独立して又は互いに組み合わせて実行できることを意図する。したがって、本開示は、多くの異なる手法で具体化し、確認することができる。
【0012】
前述したように、追加される微細構造体の設計に影響を及ぼすことなく、平滑面を有する通常のレンズと同様にコーティングすることができる微細構造化レンズを提供する必要があり得る。その目的のために、射出後プレスコーティング(PIPC)プロセスが使用され得る。
【0013】
本明細書中に記述されるように、PIPCプロセスは、射出成形中にレンズの表面上の微細構造体を封入するために使用される。特に、PIPCプロセスは、レンズ射出工程とコーティング適用工程との間における、凹状インサートなどのモールドインサートの交換と組み合わされる。
【0014】
PIPCプロセスは、レンズを射出成形し、その後、モールドを開いて、最近形成されたベースレンズ表面上にコーティング又は硬化性材料を適用し、モールドを再び閉じて、適用されたコーティング又は硬化性材料を、形成されたベースレンズ上の新たなコーティングへと形成することを含むインモールドコーティング方法である。事実上、新たなコーティングは、ベースレンズの表面上に付着する。圧力、温度、及び保持時間などのパラメータは、最近形成されたベースレンズ上に適用されたコーティング又は硬化性材料の特性に基づいて調整することができる。特に、ベースレンズの表面の近位側にあるモールドインサートの表面は、平滑であり得、したがって、平滑なベースレンズが得られる。この同じ平滑なモールドインサートを使用してベースレンズの平滑面を形成することで、その後に形成される適用されたコーティングの層も平滑面を有することになり得る。したがって、レンズ製造中に、PIPCを使用して、ベースレンズの微細構造化表面加工及び微細構造化表面の封入を可能にするための成形オプションの拡張を提供する方法が本明細書中に記述される。
【0015】
図1は、本開示の範囲内で有用な、封入された微細構造体を有するレンズを製造するためのPIPC方法の概略図である。有用な範囲では、モールドデバイスは、第1のモールド側101及び第2のモールド側102と、第1のモールド側101に配置された第1のモールドインサート198と、第2のモールド側102に配置された第2のモールドインサート199とを含むことができる。第1のモールド側101及び第2のモールド側102はそれぞれ、中空部分を含み得、その内部に第1のモールドインサート198及び第2のモールドインサート199を取り外し可能に配置することができる。第1のモールドインサート198は、接触面105を含み得、接触面105は、第2のモールド側102の近位に配置されている。接触面105は、平坦若しくは湾曲した(図示のような)全体形状を有し得、又は微細構造体の全体形状を形成するために望ましい任意の他の形状を採り得る。接触面105は、成形中に微細構造体130を形成するために、結果として得られる成形されたベースレンズ125上の微細構造体130に相補的な形状である複数の反転微細構造体を含み得る。第2のモールドインサート199は、平滑面を有することができる、又は複数の反転微細構造体を有する別の接触面105を同様に含むことができる。
【0016】
第1のモールドインサート198を有する第1のモールド側101、及び第2のモールドインサート199を有する第2のモールド側102は、互いに向かって移動してキャビティを形成するように、又は互いに離れてモールドデバイスを開くように構成され得る。
【0017】
キャビティは、第1のモールド側101と第2のモールド側102との結合によって形成される中空ラインに接続され得る。ラインは、例えばスクリューフィーダ又は類似のポリマー射出デバイスを介してポリマー溶融物120を受け入れるように構成され得る。ポリマー射出器は、モールドデバイスに取り付けることができ、第1のモールド側101が第2のモールド側102と結合されると、ポリマー溶融物120をキャビティ内に射出し、接触面105及びキャビティに面する第2のモールドインサート199の表面に基づいて、ポリマー溶融物120から微細構造体130を有するベースレンズ125を形成するように構成され得る。モールドデバイスは、ベースレンズ125が形成されるまで、第1の所定の時間長にわたって閉じたままであり得る。半完成レンズに関して、レンズの凸面側に沿った曲率は固定され、ベースレンズ125の凹面側は、成形後、例えば研削及び研磨によって修正することができる。射出源からのポリマー溶融物120の射出により、1回の射出で複数のモールドデバイスを充填することができ、複数のレンズの並行製造が可能になるように、ポリマー溶融物120を受け入れるための複数のラインを接続できることに留意されたい。
【0018】
有用な範囲では、ベースレンズの材料は、ポリカーボネート、イソソルビドポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、コポリエステル、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリペンテン、ポリオレフィン、アイオノマー、エチレンメタクリル酸、環状オレフィンコポリマー、アクリロニトリル、スチレン無水マレイン酸、それらのコポリマー、及びそれらの誘導体又は混合物からなる群から選択され得る。
【0019】
有用な範囲では、ベースレンズ125は、微細構造体130を封入するための硬化性層145を形成するように更に成形され得る。ベースレンズ125が冷却され、モールドデバイスが開かれた後、第1のモールドインサート198は、取り外され、第3のモールドインサート197と交換され得る。第3のモールドインサート197は、接触面105aを含み得、第3のモールドインサート197の接触面105aは、平滑であり得る。微細構造体の別の層(この場合、第4のモールドインサート(図示せず)は、最外層を提供するために平滑であり得る)を形成するために、接触面105aも微細構造化することができることは理解され得る。有用な範囲では、第1のモールドインサート198は、第1のモールド側101から第1のモールドインサート198を取り外し、第3のモールドインサート197を第1のモールドインサート198の以前の位置に取り付けることによって交換され得る。有用な範囲では、モールドデバイスは、モールドインサート交換機構を含み得、交換機構は、複数のモールドインサートを保持し、オペレータがモールドインサートを取り外して退座させる必要なく、インサートを直ちに取り替えることができる。交換機構は更に、硬化性層145の所望の厚さを達成するために、取り替えられたモールドインサートを第2のモールドインサート199から離れた所望の距離に自動的に配置することができる(以下を参照)。例えば、交換機構は、モールドインサートを第1のモールド側101へと回転させることができるモールドインサートの回転ドラムを含み得る。有用な範囲では、モールドデバイスは、第1のモールド側101及び第1のモールドインサート198全体を交換するために第3のモールドインサート197が取り付けられた第3のモールド側(図示せず)を含み得る。例えば、ロータリ又はキューブモールドが使用され得る。
【0020】
硬化性コーティング140は、モールドデバイスが再び閉じられ、硬化性コーティング140が微細構造体130上に広げられる前に、ベースレンズ125の微細構造化表面又は微細構造体130の上に適用され得る。特に、第1の成形サイクル及び第2の成形サイクルの両方において、第1のモールドインサート198、第2のモールドインサート199、及び第3のモールドインサート197は、キャビティへのポリマー溶融物120の粘性流動を促進し、モールドインサートフィーチャを充填するように加熱され得る。更に、第2の成形サイクルにおいて、適用される硬化性コーティング140の量は、微細構造体130のフィーチャサイズに基づき得る。例えば、微細構造体130が深い裂目及び高い構造を有する場合、ボイド等の追加の体積を埋めるために、より多くの硬化性コーティング140が適用され得る。加えて、微細構造体130と第3のモールドインサート197の表面との間の間隙又は距離により、更に、結果として得られる硬化性層145の所望の厚さを達成するために適用される硬化性コーティング140の量を決定することができる。有用な範囲では、硬化性コーティング140が適用される前に、微細構造体130に沿ったベースレンズ125の表面温度に達することができる。前述したように、第1の成形サイクルは、ポリマー溶融物120の特性に基づいて、ベースレンズ125を成形するために、第1のモールドインサート198及び第2のモールドインサート199を第1の所定の温度に加熱することを含み得る。第2の成形サイクルにおいて、第3のモールドインサート197及び第2のモールドインサート199を第2の所定の温度に加熱することができ、硬化性コーティング140は、硬化性コーティング140を広げ、成形し、硬化させるためにモールドデバイスが再び閉じられる前に、所望の表面温度を有するベースレンズ125に適用され得る。当然のことながら、これらのパラメータは、硬化性コーティング140の特性に基づき得る。モールディングデバイスを第2の所定の時間長にわたって閉じたままにした後、モールドデバイスを開いて、微細構造体130を有するベースレンズ125が硬化性層145で封入された、コーティング済みレンズ150を取り出すことができる。
【0021】
有用な範囲では、硬化性コーティング140は、アクリレート系材料であり得る。例えば、硬化性コーティング140は、単官能(メタ)アクリレート、二官能メタ(アクリレート)、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ変性ビスフェノールAエポキシ、又は脂肪族ウレタンジアクリレートであり得る。特に、硬化性コーティング140は、フォトクロミック色素、ブルーカット色素、近赤外光(NIR)カット色素、UVカット色素、又は他の光フィルタのうちの1つ以上を更に含み得る。硬化性コーティング140、ベースレンズ125、及び任意の色素添加剤の屈折率に基づいて、コーティング済みレンズ150の光学特性を調整することができる。硬化性コーティング140とベースレンズ125の材料間の屈折率の所定の差又はデルタ、及び硬化性コーティング140の所定の厚さは、マイクロレンズ(微細構造体130)の光学機能を保つように調整することができる。例えば、硬化性コーティング140の屈折率は、ベースレンズ125の屈折率よりも小さくすることができ、又は硬化性コーティング140の屈折率は、ベースレンズ125の屈折率よりも大きくすることができる。
【0022】
複数の反転微細構造体は、例えば、屈折微細構造体又は回折微細/ナノ構造体を成形するために使用され得る。複数の反転微細構造体は、成形後に得られるレンズ上に形成される所望の最終パターンを反転させたものであり得る。複数の反転微細構造体は、マイクロレンズ若しくはマイクロレンズレット、又は0.1μm~50μmの物理的Z変形/高さ又は深さ及び0.5μm~2.0mmの幅/長さを有する任意の他のタイプの構造体若しくは要素を含み得る。これらの構造体は、好ましくは、周期的又は準周期的レイアウトを有するが、また、ランダムな位置を有してもよい。微細構造体の好ましいレイアウトは、一定のグリッドステップを有するグリッド、ハニカムレイアウト、複数同心円状リング、連続、例えば微細構造体間にスペースがない、である。これら構造体は、強度、曲率、又は光偏差において光学波面の修正を提供することができ、ここで、波面の強度は、構造体が吸収性することができ且つ波面強度を0%~100%の範囲で局所的に吸収することができるように構成され、曲率は、構造体が波面曲率を+/-20ジオプタの範囲で局所的に修正することができるように構成され、光偏差は、構造体が光を+/-1°~+/-30°の範囲の角度で局所的に散乱することができるように構成されている。構造体間の距離は、「X」及び/又は「Y」サイズの構造体(別個の微細構造体)の0(隣接)~3倍の範囲であり得る。
【0023】
本開示での意味において、レンズ基材の表面上に配置された2つの光学要素が隣接するのは、2つの光学要素をリンクする前記表面により支持された経路が存在する場合、且つ光学要素が配置された基面に前記経路に沿って到達しない場合である。別の範囲によれば、瞳孔上の光学レンズが、装着者の前記眼に対する処方に基づく屈折力を有する屈折領域、又はそれぞれ独立した複数の島状領域からなる装着者の前記眼に対する処方に基づく屈折力を有する屈折領域を含まない場合、光学要素は、前記瞳孔上で隣接している。別の範囲によれば、2つの光学要素をリンクする経路がある場合に、上記の経路の一部に沿って、装着者の眼に対する処方に基づく屈折力を測定できない場合、2つの光学要素は隣接している。別の範囲によれば、隣接している光学要素は、表面的又は表面指向的な手法で定義することもできる。3mm~10mmの測定表面が考えられる。測定表面は、1mmあたり「W」光学要素の密度を含む。前記測定表面において、表面の少なくとも95%、好ましくは98%が、光学要素が位置する表面とは異なる屈折力を有する場合、前記光学要素は、隣接していると考えられる。
【0024】
更に、眼科用レンズ基材の微細構造化主面を形成する微細構造体は、レンズレットを含み得る。レンズレットは、それらが配置される主面にバンプ及び/又はキャビティ(即ち、盛り上がった又は凹んだレンズレット構造)を形成し得る。レンズレットの輪郭は、丸い又は多角形、例えば六角形であり得る。具体的には、レンズレットは、マイクロレンズであり得る。マイクロレンズは、球状、円環状、柱状、又は非球面状、又は多要素形状を作る任意の組み合わせであってもよい。マイクロレンズは、単焦点、円柱度数又は多焦点、非焦点を有し得る。マイクロレンズは、近視又は遠視の進行を阻止するために使用することができる。その場合、ベースレンズ基材は、近視又は遠視を矯正する屈折力を提供するベースレンズを含み、マイクロレンズはそれぞれ、装着者が近視を有する場合、ベースレンズの屈折力よりも大きい屈折力を提供してもよく、又は装着者が遠視を有する場合、ベースレンズの屈折力よりも小さい屈折力を有してもよい。レンズレットはまた、フレネル構造体、フレネル構造体をそれぞれ画定するマイクロレンズなどの回折構造体、永続的な技術的バンプ(盛り上がった構造体)、又は位相シフト要素であってもよい。それは、マイクロプリズム等の屈折光学要素、及び小さな突起若しくはキャビティ等の光分散光学要素、又は基材上に凹凸を生み出す任意のタイプの要素であることもできる。それはまた、米国特許出願公開第2021109379号明細書に説明されているπ-フレネルレンズレット、即ち、その位相跳躍が2πの複数値である単焦点フレネルレンズとは対照的に、その位相関数が公称波長でπ位相跳躍を有するフレネルレンズレットであってもよい。このようなレンズレットは、不連続な形状を有する構造体を含む。換言すれば、そのような構造体の形状は、レンズレットが属する光学レンズの主面のベースレベルからの距離の観点での標高関数により説明でき、その関数は不連続を呈する、又はその導関数が不連続を呈する。有用な範囲では、微細構造体は、ブランドマーク、ホログラフィックマーク、メタサーフェスなどであり得る。
【0025】
レンズレットは、0.5マイクロメートル(μm)以上且つ2.0ミリメートル(mm)以下の直径を有する円に内接できる輪郭形状を有してもよい。レンズレットは、0.1μm以上且つ50μm以下の高さを有してもよい。高さは、レンズレットが配置される主面に垂直な方向に測定される。レンズレットは周期的又は準周期的レイアウトを有することができるが、ランダムな位置も有してよい。レンズレットのレイアウトの1つは一定のグリッドステップを有するグリッド、ハニカムレイアウト、複数同心円状リング、連続、例えば微細構造体間にスペースがない、である。これら構造体は、強度、曲率、又は光偏差において光学波面の修正を提供することができ、ここで、波面の強度は、構造体が吸収性することができ且つ波面強度を0%~100%の範囲で局所的に吸収することができるように構成され、曲率は、構造体が波面曲率を+/-20、500、又は1000ジオプタの範囲で局所的に修正することができるように構成され、光偏差は、構造体が光を+/-1°~+/-30°の範囲の角度で局所的に散乱することができるように構成されている。構造体間の距離は、構造体(別個の微細構造体)の0(隣接)~3倍の範囲であり得る。
【0026】
[実施例]
実施例1 - 2キャビティモールドの各キャビティにおいて、表面上にCVマイクロレンズを有する6.50ベースの凹状(CV)インサートをモールドの上半分に取り付け、6.10ベースの平滑凸状(CX)インサートをモールドの下半分に取り付けた。前面にCXマイクロレンズを有する直径76mm及び中心厚さ9mmの半完成(SF)PCレンズを、以下のプロセスパラメータを使用して射出成形した。
【0027】
【表1】
【0028】
冷却の終了時に、モールドを開き、成形されたレンズの凸状面を露出させた。モールド上半分の6.50ベースの微細構造化CVインサートを、同一のベース曲線を持つ平滑なCVインサートと交換した。次いで、1滴又は0.15グラムのアクリレート系コーティングを、シリンジを使用して各レンズの中央に分与した。続いて、150トン(この場合、一次型締力と同じ)の二次型締力を加えてモールドを再び閉じ、コーティングをレンズ表面にわたって均一に広げた。1分後、モールドを再び開き、レンズを出した。SFレンズの前面(CX)のマイクロレンズは、コーティングによって完全に封入され、平滑面がもたらされた。
【0029】
実施例2 - 表面上にCVマイクロレンズを有する2つの5.50ベースの凹状インサートを使用し、ショットサイズが2.60インチであったことを除いて実施例1に記載したものと同じプロセスパラメータを用いて、前面にCXマイクロレンズを有する直径76mm及び中心厚さ8mmのSF PCレンズを成形した。
【0030】
射出後にモールドを開くと、モールド上半分の5.50ベースの微細構造化CVインサートを、平滑な5.50ベースのCVインサートと交換した。実施例1と同様に、SFレンズの前面のマイクロレンズをコーティングによって完全に封入した。
【0031】
特に、開示される方法の利点には、以下、即ち、i)Transitions(登録商標)Stellest(商標)レンズ及び異なるμ構造を有する他のフォトクロミックレンズを作ることができること、ii)光学設計が失われるためにディップ又はスピンなどの標準的な方法によってコーティングできなかった新たな近視抑制レンズ設計(連続μ-レンズ及びPi-フレネルなど)をコーティングできること、iii)ブルーカットなどの光フィルタをPIPCコーティングに含むことができること、及びiv)耐引っかき性のための追加の標準的なハードコーティングの必要性を回避できること、を含む。
【0032】
図2は、本開示の範囲内で有用な、レンズを形成する方法200の例示的なフローチャートである。工程205において、モールディングデバイスの第1のモールドインサート198を用意することができ、第1のモールドインサート198は接触面105を有し、接触面105は、微細構造体130に相補的な形状である複数の反転微細構造体を含む。工程210において、モールドデバイスを閉じ、キャビティにポリマー溶融物120を射出することによってベースレンズ125を形成することができる。工程220において、モールドデバイスを開くことができ、ベースレンズを冷却することができる。第1のモールドインサート198は取り外すことができる。工程230において、モールドデバイスの第1のモールド側101で、第1のモールドインサート198を第3のモールドインサート197と交換する。工程240において、ベースレンズ125の表面温度が所定の温度に達すると、硬化性コーティング140が、ベースレンズ125上に形成された微細構造体130に適用され得る。工程250において、モールドデバイスは再び閉じられ、硬化性コーティング140が広げられ、第3のモールドインサート197及び第2のモールドインサート198が加熱される高温で硬化される。工程260において、第3のモールドインサート197を第2のモールドインサート199から分離した後、得られたコーティング済みレンズ150を取り出すことができる。硬化性コーティング140を硬化させて、ベースレンズ125の表面上の微細構造体130を封入する硬化性層145を形成することができる。光学要素を作製することができ、光学要素は、眼科用レンズ、特に眼鏡レンズである。
【0033】
上記の記述において、処理システムの特定のジオメトリ及び各種構成要素並びにそこで用いる処理等の具体的な詳細を説明した。しかし、本明細書に記述する技術は、これらの具体的な詳細と異なる他の実施形態で実施可能であり、そのような詳細は、説明目的であり、限定目的ではないことが理解されるであろう。本明細書に開示する実施形態について、添付の図面を参照して記述してきた。同様に、詳細な理解を提供するために、説明目的で特定の数、材料及び構成を記述した。それにもかかわらず、そのような具体的な詳細なしに実施形態を実施することができる。実質的に同一の機能的構造を有する構成要素は、同じ参照符号で表記し、したがって、冗長な記述は、全て省略され得る。
【0034】
各種の実施形態の理解を支援するために、各種の技術を複数の別個の動作と記述してきた。記述の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するものと解釈されるべきではない。実際、これらの動作は、提示する順序で実行される必要はない。記述された動作は、明示的に別段の指示がない限り、具体的に記述されたものとは異なる順序で実行されてもよい。様々な追加の動作が実行されてもよく、及び/又は記述された動作が省略されてもよい。
【0035】
当業者であれば、本開示の同じ目的を依然として達成しながら、上述の技術の動作に対する多くの変更形態がなされ得ることを理解するであろう。このような変更形態は、本開示の範囲に含まれるものとする。このように、実施形態の上記の記述は、限定を意図するものではない。むしろ、実施形態に対するいかなる限定も以下の請求項に提示される。
【0036】
本開示の複数の実施形態は、以下の括弧内の番号で示される通りでもあり得る。
【0037】
(1)光学レンズを形成する方法であって、接触面(105)を有するモールディングデバイスの第1のモールドインサート(198)を用意することであって、接触面(105)は、接触面(105)上に配置された複数の反転微細構造体を含み、複数の反転微細構造体の各微細構造体は、ベースレンズ(125)の表面上の微細構造体(130)の形状に逆相関する形状を有する、用意することと、第1のモールドインサート(198)を、第2のモールドインサート(197)の接触面(105a)を有する第2のモールドインサート(197)と交換することと、微細構造体(130)が上に形成されたベースレンズ(125)の表面に硬化性コーティング(140)を適用することと、第2のモールドインサート(197)の接触面(105a)を、ベースレンズ(125)の表面に適用された硬化性コーティング(140)の少なくとも一部分に押し付けることと、硬化性コーティング(140)を硬化性層(145)へと硬化させることであって、微細構造体(130)は、硬化性層(145)内に実質的に完全に封入される、硬化させることと、を含む、方法。
【0038】
(2)接触面(105)を有する第1のモールドインサート(198)を含むモールドデバイス内でベースレンズ(125)を形成することを更に含む、(1)の方法。
【0039】
(3)第1のモールドインサート(198)を交換することは、モールドデバイスのキャビティ内にベースレンズ(125)を残したまままモールドデバイスを開くことを更に含む、(1)又は(2)のいずれかの方法。
【0040】
(4)ベースレンズ(125)の材料は、ポリカーボネート、イソソルビドポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、コポリエステル、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリペンテン、ポリオレフィン、アイオノマー、エチレンメタクリル酸、環状オレフィンコポリマー、アクリロニトリル、スチレン無水マレイン酸、それらのコポリマー、及びそれらの誘導体又は混合物からなる群から選択される、(1)~(3)のいずれか1つの方法。
【0041】
(5)ベースレンズ(125)は、射出成形によって、ベースレンズ(125)のガラス転移温度よりも少なくとも200°F高い射出ポリマー溶融温度で形成される、(2)~(4)のいずれか1つの方法。
【0042】
(6)第1のモールドインサート(198)及びモールドデバイスは、ベースレンズ(125)のガラス転移温度よりも5°F低い温度からベースレンズ(125)のガラス転移温度よりも50°F低い温度まで加熱される、(1)~(5)のいずれか1つの方法。
【0043】
(7)ベースレンズ(125)の表面に硬化性コーティング(140)を適用することは、ベースレンズ(125)の表面温度が所定のベースレンズ(125)表面温度に達したときにベースレンズ(125)の表面に硬化性コーティング(140)を適用することを更に含む、(1)~(6)のいずれか1つの方法。
【0044】
(8)所定のベースレンズ(125)表面温度は、30°F~300°Fである、(7)の方法。
【0045】
(9)硬化性コーティング(140)は、フォトクロミック色素、ブルーカット色素、近赤外光カット色素、UVカット色素、又は他の光フィルタを更に含む(1)~(8)のいずれか1つの方法。
【0046】
(10)硬化性コーティング(140)は、アクリレート系コーティングである、(1)~(9)のいずれか1つの方法。
【0047】
(11)第2のモールドインサート(197)は、第2のモールドインサートの平滑な接触面(105a)を有する、(1)~(10)のいずれか1つの方法。
【0048】
(12)第2のモールドインサート(197)は、反転微細構造体の第2のパターンを含む接触面(105a)を有する、(1)~(11)のいずれか1つの方法。
【0049】
(13)第1のモールドインサート(198)を、そのパターン化された接触面を有する第3のモールドインサートと交換する工程と、最近形成された表面に硬化性コーティング(140)を適用する工程と、第3のモールドインサートの接触面(105a)を、ベースレンズ(125)上に複数の微細構造化層を形成するために、適用された硬化性コーティング(140)の少なくとも一部分に押し付ける工程と、を繰り返すことを更に含む、(12)の方法。
【0050】
(14)眼科用レンズである、(1)~(13)のいずれかの方法に従って得られる光学要素。
【0051】
(15)第1のモールド側(101)の第1のモールドインサート(198)であって、第1のモールドインサート(198)は、接触面(105)を含み、接触面(105)は、その上に形成された複数の反転微細構造体を有する、第1のモールドインサート(198)と、第2のモールド側(102)の第2のモールドインサート(199)と、平滑な接触面(105a)を有する第3のモールドインサート(197)とを含み、第1のモールド側(101)で、第1のモールドインサート(198)を第3のモールドインサート(197)と交換可能である、モールドデバイス。
【0052】
(16)第1のモールドインサート(198)及びモールドデバイスは、少なくとも260°Fまで加熱され、少なくとも800psiのパッキング圧が加えられる、(1)~(14)のいずれか1つの方法。
【0053】
(17)ベースレンズ(125)は、直径が少なくとも50mm、中心厚さが少なくとも1.0mmであり、少なくとも0.05グラム、又は少なくとも0.10グラム、又はより好ましくは少なくとも0.15グラムの1滴の硬化性コーティング(140)がベースレンズ(125)の中央に適用される、(1)~(14)のいずれか1つの方法。
【0054】
(18)第2のモールドインサート(197)の接触面(105a)を硬化性コーティング(140)の少なくとも一部分に1分間にわたって押し付ける間に、150トンの型締力が加えられた、(17)の方法。
【0055】
(19)第1のモールドインサート(198)を第2のモールドインサートと交換することは、第1のモールドインサート(198)を含む第1のモールド側(101)を、第2のモールドインサート(197)を含む第2のモールド側と交換することを更に含む、(1)~(14)のいずれか1つの方法。
【符号の説明】
【0056】
101 第1のモールド側
102 第2のモールド側
105 接触面
120 ポリマー溶融物
125 ベースレンズ
130 微細構造体
140 硬化性コーティング
145 硬化性層
150 レンズ
197 モールドインサート
198 モールドインサート
199 モールドインサート
図1
図2
【国際調査報告】