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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】重力着底構造(GBS)
(51)【国際特許分類】
   E02B 17/00 20060101AFI20250115BHJP
   E02D 23/02 20060101ALI20250115BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20250115BHJP
   E02B 17/02 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
E02B17/00 Z
E02D23/02 Z
B63B35/44 Z
E02B17/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532248
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 RU2022000310
(87)【国際公開番号】W WO2023113640
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2021137146
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519333859
【氏名又は名称】ブリクノエ アクツィオネルノエ オブシェストボ “ノバテック”
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミケルソン、レオニード ヴィクトロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】レティヴォフ、ヴァレリー ニコラエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ソロビエフ、セルゲイ ゲンナジーヴィッチ
(57)【要約】
本発明は、水力発電施設に適用可能であり、沿岸の場所及び沖合の場所での様々な用途で生産、輸送、積み替え及び倉庫複合体を組み立てるために使用することができる。GBSは、矩形の頂部スラブ2及び底部スラブ4と、区画に分離するための外側の壁及び内側の垂直壁とを有する。GBSは、中央部分1と、突出部分3とを有する。GBSの中央部分1は、前記頂部スラブ2を有する矩形のプリズムとして成形される。GBS突出部分3は、その周辺部の周り全体に中央部分1の両側に沿って伸び、垂直の外側の壁5を有する。突出部分3及び中央部分1は、底部スラブ4を共有しており、突出部分3は、中央部分1より高さが低い。中央部分1は、区画6、7を形成する内側の垂直の長手方向及び横方向壁5を有し、突出部分3は、その外側の壁に直交し、短い端部から区画15を形成し、両側にバラスト区画8を形成する内側の垂直壁5を有する。追加の区画20を形成する垂直の長手方向及び横方向壁が、中間の水平スラブ13と底部スラブ4との間に配置される。新たなGBS設計は、浅い水深を通る輸送に適しており、北極条件及び氷の衝撃に対して適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の底部スラブ及び矩形の頂部スラブと、区画を形成する外側の壁及び内側の垂直壁とを有する重力着底構造であって、中央部分と、突出部分とを有し、前記中央部分は、前記頂部スラブを備えた矩形プリズムであり、前記突出部分は、その周辺部の周り全体に前記中央部分の両側に沿って伸び、前記突出部分の両側にバラスト区画を形成する外側の垂直壁及び内側の垂直壁を有しており、前記突出部分及び前記中央部分は、前記底部スラブを共有しており、前記突出部分は、前記中央部分より高さが低いことを特徴とする、重力着底構造。
【請求項2】
前記中央部分が、区画を形成する内側の垂直の長手方向及び横方向の壁を有し、前記突出部分の内側の垂直壁が、その外側の壁に直交していることを特徴とする、請求項1に記載の重力着底構造。
【請求項3】
中間の水平スラブであって、垂直の長手方向及び横方向の壁を備え、これらの壁が、中間の水平スラブと前記底部スラブとの間に追加の区画を形成する、中間の水平スラブを有することを特徴とする、請求項1に記載の重力着底構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電施設に適用可能であり、沿岸の場所及び沖合の場所での様々な用途で生産、輸送、積み替え及び倉庫複合体を組み立てるために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
重力着底構造(GBS:gravity-based structure、固定式の重力着底沖合プラットフォーム)は、プラットフォームであり、それ自体の重量の助けを借りて海底に固定される。重力着底構造は、ひとたびGBSが海底に設置されると、必要な高さが水レベルを超える超大型構造を支持するのに水深が十分である、氷のある状態を含む、海岸付近及び岸から離れた水中で使用される。GBSは、強化コンクリートで作製され、未精製の炭化水素の生産、貯蔵、加工及び積み替え装備のための基礎として使用することができる。重力着底構造は、その設置場所までの輸送中のその浮遊性を可能にするための内部区画を特徴とすることができる。GBSは、浮かせることが可能であり、バラスト積みシステムを有することで、費用のかかる持ち上げ及び輸送装備を使用することなく、長距離輸送、及び意図される沖合の場所での稼働のための設置を可能にするように設計される。
【0003】
沖合LNG生産、貯蔵及び荷降ろし構造(KR20180051852A、公開日:2018年5月17日)のための重力着底構造が存在する。GBSは、鋼で作製され、固体のバラスト積みの助けを借りて岸の近くの海底に準備された下層基礎の上に設置される。GBSがひとたび海底に設置されると、LNG加工設備がその上に設置される。GBSは、その下方面が岸の近くの海底に準備された基礎の上に着座した状態のボックス形態の外側の鋼ケーソンと、最小の可能な隙間を有して外側のケーソンの内部に設置された、LNG貯蔵空間を有するボックス形態の内側の鋼ケーソンと、外側鋼ケーソン上に据え付けられた頂部デッキと、液化ガスを隔離するために、内側鋼ケーソンの内面及び頂部デッキの内面に据え付けられた防水断熱プレートから作製された壁と、頂部デッキ上に配置された液化設備及び荷降ろし設備と、重力による、海底上での構造の安定性を確実にするために、外側ケーソンと内側ケーソンとの間に空間を満たす固体バラストとを備える。
【0004】
この設計は以下の欠点を特色とする。
1.GBS鋼本体は、より腐食を受けやすく、このことは、耐久性を低くする。
2.GBS鋼本体は、氷の衝撃に耐えるためにかなり厚みがある必要があり、このことは、より大きな鋼強度を意味する。
3.固体バラストは、GBSのバラスト積み作業/バラスト降ろし作業をより難しくする。
4.GBSは、氷の衝撃又は緊急の船の衝撃などの外部の影響から保護されない。
5.矩形のプリズム形状のGBSは、設置場所まで輸送されるとき、大きな喫水を有し、これは、水深の浅い領域を通る輸送を不可能にする。
【0005】
重力着底構造(GBS)上の沖合の天然ガス処理施設(WO2021/106151A1、公開日2021年6月3日)が知られており、底部スラブ及び頂部スラブと、内部の垂直壁及びその上に1つ又は複数のLNGタンクが1つの区画の中に配置される中間スラブと、また、GBS全体に沿って伸びているバラスト区画と、頂部スラブ上に据え付けられ、その上で支持する上側モジュールとを有する矩形のプリズム形状のGBSを備える。
【0006】
そのようなGBSは、以下の欠点を特色としており、
- 矩形のプリズム形状のGBSは、фT設置場所まで輸送されるときに大きな喫水を有し、これは、水深の浅い領域を通る輸送を不可能にすること、
- 長いバラスト積み作業区画が、いかなる横方向の仕切りもなしにGBS全体に沿って伸びているため、GBSバラスト積み作業が難しくなること、
- 同じ区画内にLNGタンクが一列に配列された状態で、最も低い鋼強度を特色とするメンブレンタンクを使用することは不可能であること、
- GBSは、氷の衝撃又は緊急の船の衝撃などの外部の影響から保護されていないことである。
【0007】
提案されるものに最も近い解決策は、頂部スラブ及び底部スラブと、外側の壁と、区画に分離するための内側の長手方向及び横方向の壁と、タンクのための中間支持スラブとを含む、プリズム形状のボックス型のコンクリート構造である重力着底構造(GBS)である(Design and Construction on Gravity Based Structure and Modularized LNG Tanks for the Adriatic LNG Terminal.Lisa B.Waters et al.ExxonMobil Development Company.2007.http://www.ivt.ntnu.no/ept/fag/tep4215/innhold/LNG%20Conferences/2007/fscommand/PS6_7_Waters_s.pdf(file PS6_7_Waters_s)。
【0008】
このGBSの欠点はまた、プリズム形状のGBSは、設置場所までの輸送中に大きな喫水を有し、浅い水深を通る輸送を不可能にすること、同様に、GBSは、氷の衝撃から保護されないという事実であり、緊急停泊の衝撃からの保護を提供するには、停泊設備を、トラス構造で、GBS外壁から離れるように移動させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】KR20180051852A
【特許文献2】WO2021/106151A1
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Design and Construction on Gravity Based Structure and Modularized LNG Tanks for the Adriatic LNG Terminal.Lisa B.Waters et al.ExxonMobil Development Company.2007.http://www.ivt.ntnu.no/ept/fag/tep4215/innhold/LNG%20Conferences/2007/fscommand/PS6_7_Waters_s.pdf(file PS6_7_Waters_s)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明によって解決される技術的問題は以下の通りである。北極における沿岸領域及び沖合領域を含め、未開発領域での生産施設及びインフラ施設の増大するシェアを考慮すると、浅い水深での輸送に適しており、北極での氷のある状態で水中で稼働するように適合された重力着底構造の新たな設計を開発する差迫った必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の問題に対して提案される解決策は、矩形の底部スラブ及び矩形の頂部スラブと、区画を形成する外側の壁及び内側の垂直壁とを有する重力着底構造(GBS)であり、その上、発明によると、GBSは、中央部分と、突出部分とを有し、中央部分は、前記頂部スラブを備えた矩形プリズムであり、突出部分は、その周辺部の周り全体に中央部分の両側に沿って伸び、突出部分の両側にバラスト区画を形成する外側の垂直壁及び内側の垂直壁を有しており、突出部分及び中央部分は、前記底部スラブを共有し、突出部分は、中央部分より高さが低い。
【0013】
好ましい設計は、GBS中央部分が、区画を形成する内側の垂直の長手方向及び横方向の壁を備え、突出部分の内側の垂直壁が、その外側の壁に直交し区画を形成していることを特徴とする。
【0014】
一つのより好ましい設計はまた、垂直の長手方向及び横方向の壁を備え、これらの壁が、中間の水平スラブと底部スラブとの間に追加の区画を形成する、GBSの内部の中間の水平スラブを特徴とする。
【0015】
提案される技術的解決策によって達成される技術的な結果は以下の通りである。
【0016】
GBS突出部分は、GBS及び構造全体の浮力を追加するだけでなく、設置場所への輸送中のその喫水を低下させる。
【0017】
突出部分の内部のGBSの周辺部における追加のバラスト区画は、GBSの均衡をとりやすくする、すなわちGBSを横揺れ及び喫水調整なしに等喫水に落ち着かせる。
【0018】
GBS底部の増大した幅は、その輸送中に構造全体の安定性を追加し、より大きな高さ及びより大きな重量の上側構造をGBS上に設置することを可能にする。
【0019】
GBS突出部分はまた、氷の衝撃及び緊急の船の衝撃から中央部分を保護する。
【0020】
突出部分はまた、桟橋のための基礎としても機能し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】GBSの配置上の一体式の生産複合体を示す上面図である。
図2図1に関するA-A横断図である。
図3図1に関するB-B縦断図である。
図4図1に関するC-C縦断図である。
図5】GBSメイン区画の配置の図である。
図6図2に関する断面D-Dにおける垂直壁配列の図である。
図7図2に関する断面E-Eにおける垂直壁配列の図である。
図8】GBS頂部スラブ上の上側支持体の配置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
GBSは、専用の工業用地で組み立てられ、そこでは、意図される用途に応じて適用可能であり得るような、生産、輸送、積み替え又は貯蔵用に設計された上側が構造の上に設置され、その後、設置場所まで水面に浮かべて引っ張って行かれる。GBSは、海底の特有の下層基礎の上に設置される。GBSの下及び水体の底の基礎の研磨作用を阻止するために、蛇籠又は他の同様の装置などがGBSの周りの底に配置されてよい。GBSは、専用の岸壁付近に設置され、立体交差路及び橋で岸に接続され、水中パイプライン及び/又は長い水上立体交差路を使用することなしに、岸への連絡路を敷設することを可能にし、生産複合体に容易に接近し、スタッフを素早く立ち退かせることが可能である。岸に到達する立体交差路及び橋は、GBSが稼働場所に設置された後に設置される。岸辺ラインの近くに配置されることで、GBSは、生産複合体のための供給材料の供給源である炭化水素フィールドを含む、陸上の施設と一体式になる。GBSが設置される前、岸壁は、例えば、炭化水素フィールドの開発及び陸上施設の建設などのために船荷を届けるために使用されてよい。
【0023】
GBSは、強化コンクリートから作製された三次元構造であり、これは、抽出され加工された供給材料のため、並びに補助物質及び材料のための貯蔵所として機能する。それは生産複合体の上側の下にあり、それ自体の重量の助けを借りて、水体の海底25上に設置されるように設計される。GBSの中央部分1は、矩形のプリズムとして成形され、頂部スラブ2を有する(図1)。
【0024】
全周辺部に沿った中央部分1の両側に、垂直外壁を備えたGBS突出部分3が配置される。GBS中央部分1及び突出部分3は、同一の底部スラブ4を共有しており、突出部分3の高さは、GBS中央部分1の高さより低い(図2から図4)。
【0025】
GBS中央部分1は、垂直の長手方向及び横方向の壁5で区画に分離される(図5図7)。一部の区画、例えば、区画6は、抽出され加工された供給原料を貯蔵するのに使用され、他の区画、例えば区画7は、バラスト水を貯蔵するのに使用される。GBS突出部分3は、その外壁に直交する垂直壁5で区画に分離され、GBSの長い方の側に沿って配置される区画8もまた、バラストシステムに含まれる。
【0026】
GBS頂部スラブ2は、その上に上側モジュール10が設置される強化コンクリートスツール9を有する。
【0027】
GBSは、一体式の生産複合体の場所までの水上輸送中に水上に浮かんだまま留まることができ、氷のある状態の水中で氷の衝撃に耐えることができる。基礎11上の設置の場所において浮いている状態から静止状態へのGBSの状態の変更は、水で一杯になっているバラスト区画7、8及び20によって確実にされる。
【0028】
GBS外側寸法は、例えばLNGプラント用など、生産複合体の目的に応じて変動する場合があり、GBS寸法(突出部分3を含めた)は、以下の通り、長さ324m、幅154m、高さ30.2mであってよい。このケースでは、GBS中央部分1の長さは、300mであり、幅は108mであり、高さは、30.2mである。GBSの両側の突出部分3は22mの幅を有し、GBSの短い端部壁では12mである。突出部分3の高さは、13.75mである。
【0029】
GBS構造の主な一般配列解決策は、科学技術パラメータ並びに、GBS構造に影響を及ぼす内部荷重及び外部荷重によって定義され、その最大の可能な負の組み合わせを考慮に入れている。
【0030】
GBS中央部分1は、矩形のプリズム形状であり、主支承構造、すなわち垂直の長手方向及び横方向の壁5と、水平スラブ(頂部スラブ2と、底部スラブ4と、炭化水素及び/又はそれぞれの加工済み製品の貯蔵のためのメインタンク12の下の中間支持スラブ13)とを含む。支承構造は、一体式の生産複合体の輸送中、及びそれが設置されるまで浮いている間を含め、GBSのフレームの必要な空間的剛性を確実にする。強化コンクリート壁もまた、その機能的目的に従ってGBSを区画に分割することを実現する。横方向の壁5の一部は、堅固である代わりに、その中央部分に矩形の開口を有してもよい。このケースでは、それらは剛性リブの目的を基本的に果たす。
【0031】
強化コンクリート壁はまた、上側10から支持スラブ13及び基礎11まで荷重を移動させる支承構造としても機能し、そのため、上側支持体9は、GBSの垂直の長手方向及び横方向の壁5の交点より上に配置される。
【0032】
GBSの頂部スラブ2は、大気降水及びプロセスの流出の排水のために中心長手方向ラインから縁部まで傾斜している。頂部スラブ2の構造は、緊急状況の場合に爆発の荷重に耐えるように設計される。極低温液体が科学技術プロセスに含まれる場合、頂部スラブ2を極低温媒体の流出から保護するために、強化された低温耐性特徴を備えた鋼が強化材として使用される。
【0033】
水平支持スラブ13が、頂部スラブ2と底部スラブ4の間に設けられて、液体炭化水素及び/又はそれぞれの加工済み製品の貯蔵タンク12からの荷重を分散させる。このスラブ13の下の長手方向及び横方向の壁14は、底部スラブ4に荷重を移動させ、構造の空間的剛性を確実にする。
【0034】
張力をかけた強化材で改良された通常密度のコンクリートを基にした強化コンクリートが、GBS中央部分1の主材料である。
【0035】
突出部分3は、GBS中央部分1の周辺部に沿って配置され、それと共に単一の構造を形成している。突出部分3の長辺は、バラスト区画8(図5)をほとんど収容し、短い端部側は、補助及びエンジニアリング区画15をおおかた収容する。GBSの突出部分3は、以下の主要な目的を果たしており、
- 必要な標的GBS浮力パラメータを達成すること、
- GBSの均衡をとることが概ね意図されたバラスト区画8を収容し、横揺れ及び喫水調整なしに、GBSが等喫水で浮いていることを確実にすること、
- 設計の緊急衝突/船の衝撃の場合に天然の保護バリアを形成し、突出部分3が、衝突エネルギーの大半を吸収し消散させ、GBSフレームの主要な部分への損傷を阻止し、メインタンク12及び上側基礎の支承構造の完全性及び維持を確実にすること、
- LNG運搬船が係留し、液体炭化水素の荷降ろしするのを確実にする補助加工及び船舶用の装備を収容することである。
【0036】
液体炭化水素及び/又はそれぞれの加工済み製品のための貯蔵タンクは、GBS区画に収容され、一体式の生産複合体の製品の貯蔵が意図される。その意図される利用に応じて、生産複合体はまた、供給原料、半加工製品及び消耗品のための貯蔵タンクを有してもよい。GBS中央部分1は、貯蔵されるべき物質の特性に応じて異なる設計を有する可能性があるいくつかのタンク12(図5)を有する。LNG及び極低温液体の加圧されていない貯蔵の場合、メンブレンタンクが使用される。このケースでは、タンク12は、コンクリート区画6の内部に設置された熱絶縁層によってコンクリート構造から分離されたステンレス鋼又はインバール(Fe-Ni合金)で作製された金属メンブレンから成る。熱絶縁層は、頂部スラブ2、中間スラブ13及びGBSの壁の上に直接配置され、タンク12からの荷重及びその液体内容物を上記に挙げた境界構造まで移動させる。GBSスラブ及び壁はよって、メンブレンタンクのための支持構造として機能し、それと共に、それらは単一の構造ユニットに統合される。いかなる漏れも阻止するために、メンブレンタンク12の底面及び側面は、追加のメンブレンが絶縁層の内側に設置された二次バリアを有する。
【0037】
LNGプラントのケースでは、液化ガスは、各々が、135×40×24mの個々の区画6内に設置された2つの115,000cbmタンク12に貯蔵される。タンク12を備えた区画6は、タンク境界構造の外側面の検査を可能にする乾燥した区画16によって囲繞される。
【0038】
低温を必要としない凝縮物及び他の液体炭化水素の貯蔵の場合、GBSコンクリート区画17が使用されてもよく、その境界構造は、保護バリアとして機能する。区画7の一部は、バラスト水、並びに低温を維持することを必要としない凝縮物及び他の液体炭化水素の貯蔵の両方に使用することができる。LNGプラントのケースでは、安定した凝縮物の貯蔵のために75,000cbmで135×30×30mの区画7が存在し、区画17の1つは、5,000cbmの容量及び30×8×30mのサイズを有し、標準以下の凝縮物貯蔵のためのものである。
【0039】
下にある水の層を含む「湿式」貯蔵は、水より小さい密度である炭化水素のために使用されてよい。このケースでは、1m前後の厚さの貯蔵された製品の底部層は、装填動作中の水と貯蔵された製品の保証された分離を確実にする混合領域とみなされる。区画7はまた、区画7への空気の侵入を阻止するために区画7の上部において窒素ブランケットを利用して(大気圧レベルから)わずかに加圧され、炭化水素蒸気との可燃性で爆発性のガス混合物が形成するのを阻止する。
【0040】
区画7内の下にある水の層の高さは、固定されても、可変であってもよい。水の層の高さが固定されたケースでは、区画内に貯蔵された凝縮物又は他の液体炭化水素の品質に関わらず、下にある水の層の高さは固定される、例えば、2メートルに固定される。区画7内の凝縮物の分量の変化は、窒素ブランケットの分量の変更によって補償される。水の層の高さが可変であるケースでは、下にある水の層の高さは、区画7が液体で永久的に満たされるように変化する。区画7が凝縮物又は他の液体炭化水素で満たされたとき、水の一部は、能動的バラストシステムでそこから取り除かれる。貯蔵された炭化水素のレベルが低下するとき、追加の水が区画7に供給される。
【0041】
大容量の炭化水素の貯蔵のための区画6がGBS中央部分1の中に配置される。タンクなどのより小さい区画(例えば、ディーゼル燃料、高温油又はグリコール溶液のための)はまた、GBSの突出部分3内に配置される場合もある。
【0042】
小さい容量を貯蔵するために、自立タンクがまた、(中央部分1又は突出部分3において)GBS区画において使用される。LNGプラントのケースでは、自立タンクは、廃水、脱塩水、真水、洗浄水、吸収材、ブタン及びプロパンのために使用される。
【0043】
GBS中央部分1内の補助及びエンジニアリング区画16は、主要な炭化水素貯蔵区画6の両側に、それらの間の中心に配置される。これらの区画16は、加工の必要性、装備の配置、加工流体のタンク、並びにスタッフのための接近及び退避ルートが意図されている。乾式区画16が炭化水素貯蔵のための主要な区画6の周辺部に沿っている状態で、炭化水素貯蔵のためのタンク12の境界壁の外側面を検査することができる。
【0044】
補助及びエンジニアリング15が、GBSの突出部分3内に配置される。これらの区画15は、加工の必要性、装備の配置及び加工流体のタンクが意図されている。
【0045】
GBSの頂部スラブ2上の上側10の支持体9は、上側10からGBSの主要な荷重支承構造に対する支持の反作用の知覚を確実にする。構造的には、支持体は、埋め込まれた構成要素のためのヘッドを有する強化コンクリート塔である。GBS支持体9及び上側10接続点において、特殊なシーリングが使用されて、自由回転及び所定の方向の移動を確実にすることで上側10の熱膨張を補償する。
【0046】
配置上の支持体9の場所は(図8)、上側10からの荷重の分散を確実にするために、GBS荷重支承壁5の交差に基づいて規定される。上側10を支持するデッキ24が支持体9の上に設置される。
【0047】
GBSバラストシステムは、内側バラスト区画7、垂直壁14によって形成される、支持スラブ13の下の内側バラスト区画20、並びにGBS中央部分1及びGBS突出部分3内に配置された外側バラスト区画8を含む。バラスト区画内の水の凍結を阻止するためにバラスト再循環及び加熱システムが設けられる。バラスト区画内の水は、上側10上に設置されたガスタービンの排ガスからの廃熱を利用して加熱される。
【0048】
バラストシステムは、2つの主要な機能を果たし、すなわち、
- バラスト積み作業、すなわちGBSの重量を変更し、浮いているときに必要なGBS喫水及びGBSが下層基礎上に設置されたときの構造的安定性を確実にすること、及び
- GBSの均衡をとること、すなわち、その幾何学的中心からの重力偏差の構造的な中心のためにバラスト水での補償を通して、浮いているときの横揺れや喫水調整なしに、GBSを等喫水にすることを果たす。
【0049】
液体炭化水素荷降ろし桟橋21は、GBS及び上側と構造上一体式になる。液体炭化水素の荷降ろしを可能にする荷降ろしアーム並びに他の船舶及び加工装備を備えたフェンダー及び荷降ろしプラットフォームが、GBSの海に向かう側で突出部分3に設置される。運搬船停泊のための係留装備が、上側の海に向かう側に設置される。
【0050】
桟橋21はまた、運搬船から液体炭化水素を降ろすのに使用することもできる。GBS上の生産複合体が発電設備である場合、桟橋の主な機能は、ガス運搬船からLNGを受け取ることである。
【0051】
GBS内部の区画の配置は、一体式の生産複合体の意図された使用を含め、その機能的設計に左右される。一般に、GBSは、3つのタイプの区画、すなわち、バラスト区画、炭化水素貯蔵区画、補助及びエンジニアリング区画を有するように設計される。
【0052】
GBS LNGプラントのケースでは、GBS中央部分1は、6つの主要な区画を備える(図5)。GBS中心線に沿った2つの区画6は、炭化水素の貯蔵が意図されており、4つの側部区画7は、バラスト区画と、炭化水素、例えば凝縮物の追加の貯蔵区画として両方で使用することができる。可変の水レベルでの炭化水素の「湿式」貯蔵のケースでは、区画7は、バラスト区画と、炭化水素及び/又はそれぞれの加工済み製品の貯蔵区画の両方である。補助及びエンジニアリング区画16並びに追加の炭化水素貯蔵区画17が、主要な区画6、7の間に配置される。
【0053】
追加のバラスト区画20(図2及び図4)が、主要な炭化水素貯蔵タンク6、7のために底部スラブ4と支持スラブ13との間で主要な炭化水素貯蔵区画6の下に配置される。
【0054】
突出部分3(図5)は、バラスト区画8及び補助及びエンジニアリング区画15を収容する。GBS LNGプラントのケースでは、両側にある突出部分3は、おおかたバラスト区画8を備えるが、短い端部では、それは、おおかた補助及びエンジニアリング区画15を備える。
【0055】
区画は、主要なLNG貯蔵区画6を除いて、横方向の仕切りによって分離されてよい。このケースでは、バラスト水が中を流れるように、開口がバラスト区画の内部に作製され、スタッフ並びにケーブル布線及び配管の普及のための通路が、補助及びエンジニアリング区画の仕切りに作製される。
【0056】
一体式のGBSは、配管及びケーブル布線が中に敷かれている2つの立体交差路22と、スタッフの移動及び退避のための3つの退避ブリッジ23とによって必要に応じて岸に接続される。立体交差路及び橋は、鋼から作製され、支持体上に据え付けられる。支持体は、一方でGBS頂部スラブ2上に立設され、他方で波止場側18に立設される。海底25及び水体における水レベル26が、図2から図4に示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】