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特表2025-501466ポンピング並びに処理装置、及びその処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ポンピング並びに処理装置、及びその処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20250115BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20250115BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20250115BHJP
   F04C 28/08 20060101ALI20250115BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C23C16/44 E
H05H1/24
F04C25/02 B
F04C25/02 K
F04C28/08 A
F04C23/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534164
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022083224
(87)【国際公開番号】W WO2023104539
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】2113163
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148259
【氏名又は名称】ファイファー バキユーム
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ボージョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ヴァランタン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ダルブール
【テーマコード(参考)】
2G084
3H129
4K030
【Fターム(参考)】
2G084AA18
3H129AA06
3H129AB06
3H129BB42
3H129CC07
3H129CC55
3H129CC62
4K030AA05
4K030AA06
4K030AA11
4K030AA17
(57)【要約】
ポンプセット(2)は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向(F1)において、プロセスチャンバ(101)の下流及びガス処理装置(3)の上流に流体的に接続される。前記ポンプセット(2)は、プライマリ真空ポンプ(4)の上流に直列に取り付けられたルーツ二次真空ポンプ(5)を備え、前記ポンプセット(2)は、入力パラメータの関数として前記ポンプセット(2)及び/又は前記ガス処理装置(3)の出力パラメータを制御するように構成された制御ユニット(17)をさらに備え、前記入力パラメータは、ルーツ二次真空ポンプ(5)のモータ(M2)によって消費される電力である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポンプセット(2)と、処理ユニット(6)を含む少なくとも1つのガス処理装置(3)とを含むポンピング並びに処理装置(1)であって、
前記ポンプセット(2)は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向(F1)において、プロセスチャンバ(101)の下流かつ前記ガス処理装置(3)の上流に流体的に接続されるものであり、
前記ポンプセット(2)は、プライマリ真空ポンプ(4)と、前記プライマリ真空ポンプ(4)の上流に直列に取り付けられ、モータ(M2)を含むルーツ二次真空ポンプ(5)を含み、
前記ポンプセット(2)は、前記ガス処理装置(3)の出力パラメータを入力パラメータの関数として制御するように構成された制御ユニット(17)を備えており、前記入力パラメータは、前記ルーツ二次真空ポンプ(5)の前記モータ(M2)によって消費される電力であることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項2】
請求項1において、さらに、前記プロセスチャンバ(101)の出力と前記ガス処理装置(3)の入力との間の前記ポンプ搬送される前記ガスの流路にパージガスを注入するように構成されたパージ装置(15)を備えており、
前記制御ユニット(17)は、前記ポンプセット(2)の出力パラメータも制御するように構成され、
前記ポンプセット(2)の前記出力パラメータは、前記パージ装置(15)によって注入される前記パージガスの流量であることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
第1の電力による前記ルーツ二次真空ポンプ(5)の第1の動作状態において、注入される前記パージガスの流量は、前記第1の電力よりも高い第2の電力による前記ルーツ二次真空ポンプ(5)の第2の動作状態の場合の流量よりも多いことを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記制御ユニット(17)は、前記ルーツ二次真空ポンプ(5)の前記モータ(M2)によって消費される複数の電力範囲に対応して、前記パージ装置(15)によって注入される前記パージガスの複数の流量を制御できるように構成され、
前記各電力範囲は、前記プロセスチャンバ(101)で実行できる個別のレシピ(103)に対応することを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項5】
請求項1において、
さらに、前記プロセスチャンバ(101)の出力と前記ガス処理装置(3)の入力との間の前記ポンプ搬送される前記ガスの流路にパージガスを注入するように構成されたパージ装置(15)を備え、
前記パージ装置(15)は、前記パージガスを加熱するための加熱装置(18)を備え、前記制御ユニット(17)は、前記ポンプセット(2)の出力パラメータを制御するように構成され、
前記ポンプセット(2)の前記出力パラメータは、前記加熱装置(18)の電力であることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記処理ユニット(6)が燃焼器(7)を備え、前記燃焼器(7)がさらに、ポンプ搬送されるガスの流路に酸化剤及び燃料を注入するように構成された酸化剤及び燃料噴射装置(11)を備え、
前記ガス処理装置(3)の出力パラメータが、前記酸化剤及び燃料噴射装置(11)によって注入された前記酸化剤及び前記燃料の流量であることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記処理ユニット(6)が電気システム及び/又はプラズマ生成装置を備え、前記ガス処理装置(3)の前記出力パラメータが前記電気システム又は前記プラズマ生成装置の電力であることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記ポンプセット(2)によって前記ポンプ搬送されるガスを前記ガス処理装置(3)の前記処理ユニット(6)又は前記ガス処理装置(3)の洗浄機(8)又は中央洗浄機又は別のガス処理装置に向けるように構成された接続装置(20)を備え、
前記ガス処理装置(3)の前記出力パラメータが前記接続装置(20)の向きであることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載のポンプおよび処理装置(1)において、
前記制御ユニット(17)は、製造プラントの中央ユニット(9)と通信するように構成されており、
前記製造プラントは、特に、半導体素子または太陽光発電パネルまたはフラットスクリーンを製造するための装置であって、製造設備(100)と、前記製造設備(100)に流体的に接続された前記ポンプおよび処理装置(1)とを備えることを特徴とするポンピング並びに処理装置。
【請求項10】
請求項1又は2のいずれかに記載のポンピング並びに処理装置(1)によってガスをポンプ搬送及び処理する方法であって、前記ガス処理装置(3)の出力パラメータが、前記ルーツ二次真空ポンプ(5)のモータ(M2)によって消費される電力である入力パラメータの関数として制御されることを特徴とするガスをポンプ搬送及び処理する方法。
【請求項11】
請求項10において、前記ポンプ搬送及び処理する方法が、堆積ステップとクリーニングステップとを交互に行うレシピ(103)が実行されるプロセスチャンバ(101)内で実行されることを特徴とするガスをポンプ搬送及び処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向において、製造設備の下流に流体的に接続され、ガス処理装置の上流に接続される、ポンプセットに関する。本発明はまた、ポンピング並びに処理装置とその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、フラットスクリーン、又は太陽光発電の製造業界では、その製造方法にガスが使用され、これらのガスはプライマリ真空ポンプを通過した後、一般にガス処理装置で処理される。
これらの方法の幾つかは、真空ラインで運ばれるガスが可燃性及び/又は爆発性であるため、危険であると言われている。これらのガスの例として、水素、シラン、TEOS、及び水素化物が挙げられる。
【0003】
これらの危険なガス種に加えて、シリコンダストやポリシランのポリマー等、真空ラインで還元された、つまり酸化されていない固体種の堆積物も存在する可能性がある。これらの堆積物は時間の経過とともに蓄積し、さらなる危険な状態の発生を促進する可能性がある。実際、一部の非酸化堆積物は非常に可燃性である。これらの堆積物は、特に、例えば、ガスの突然の強いポンピングによって、又は単に、保守作業中にオペレーターがパイプライン又は真空ポンプを空気にさらすことによって、発火する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の爆発は、非常に大きな放出エネルギーがあるために特に破壊的である可能性がある。これは、特に階段状に連続した複数の爆発の場合に該当する。最初の爆発は、まず可燃性ガスによって開始される。この爆発により、パイプライン内に、還元された固体種の堆積物が浮遊して存在する可能性がある。この爆発の衝撃波によって浮遊したこれらの可燃性の固体堆積物は、「超爆発」により、次々と爆発する。
従って、この爆発が人や装置に損傷を与えるリスクは非常に大きい。
【0005】
この問題に対処するために現在使用されている方法は、ポンプ搬送されるガスを中性ガス、通常は窒素で継続的に希釈することである。この中性ガスの流量は、追加の安全マージンで、最も不利なポンプ条件にも対処できるように決定される。従って、殆どの場合、この流量は、大幅に過剰に設計されており、多くの欠点がある。
まず、真空ラインに窒素を大量に投入することにより、ガス消費に関連する追加コストが発生するだけでなく、真空ポンプ、真空ラインの加熱装置、及びガス処理装置のエネルギー消費にも関連する、追加コストも発生する。
【0006】
さらに、ガスの希釈によって引き起こされる真空ラインの冷却により、特に加熱装置の要素のコストと故障のリスクのために、他の欠点が生じる。
この中性ガスの大量投入は、ガス処理装置及び一次ポンプ装置の大型化も必要とする。
希釈窒素は、ガス処理装置内で窒素酸化物又は「NOx」(NO等)の形成も引き起こす。窒素酸化物は有毒であり、大気汚染物質を構成するため、処理する必要がある。
【0007】
さらに、注入される希釈ガスの量とは無関係に、ガスのポンピング並びに処理装置の動作パラメータは、処理する必要のあるガスの量に対して常に最適化されるとは限らない。実際、プロセスチャンバに注入されるプロセスガスに関する情報は、ガスポンピング並びに処理装置によって下流で利用できるように、確実かつ完全にアクセス可能なものではない。通常は、プロセスチャンバへのガスの導入に関する情報のみを取得できる電気スイッチを閉じる必要がある。さらに、この情報は、すべての製造設備で常にアクセスできるとは限らない。実際、下流で処理する必要のあるガスが少ないプロセスチャンバ内の製造ステップでは、過剰なサイズの希釈及び処理手段が動員され、過剰なエネルギー消費が発生する可能性がある。
【0008】
本発明の目的の1つは、特に、ガスポンプ及び/又は処理装置のエネルギー消費を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実際、本発明の主題は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向でプロセスチャンバの下流及びガス処理装置の上流に流体的に接続されるポンプセットであり、
該ポンプセットは、
プライマリ真空ポンプと、
前記プライマリ真空ポンプの上流に直列に取り付けられ、モータを含むルーツ二次真空ポンプを含んでおり、
前記ポンプセットは、入力パラメーターの関数として前記ポンプセット及び/又は前記ガス処理装置の出力パラメーターを制御するように構成された制御ユニットを備えており、前記入力パラメーターは、前記ルーツ二次真空ポンプの前記モータによって消費される電力であることを特徴とする。
【0010】
前記ルーツ二次真空ポンプの前記モータによって消費される前記電力により、前記ガス処理装置によって処理されるガスの量を推定することが可能となり、そこから前記ポンプセット及び/又は前記ガス処理装置の前記出力パラメータを推測することが可能になる。前記ガス処理装置によって処理されるガスの量を大まかにでも知ることにより、前記ポンプセット又は前記ガス処理装置の前記出力パラメータをポンピング条件に適合させることが可能となる。
この解決策は、前記製造設備アイテムに対して自律的である、すなわち前記製造設備アイテムと通信しないポンピング並びに処理装置によって実施することができる。
【0011】
前記ポンプセットは、さらに、以下で説明する特徴の1つ以上を単独で又は組み合わせて含むことができる。
前記ポンプセットは、前記プロセスチャンバの出力と前記ガス処理装置の入力との間のポンプ搬送される前記ガスの流路にパージガスを注入するように構成されたパージ装置を備えることができる。
前記パージ装置は、前記プライマリ真空ポンプの少なくとも1つのポンプステージにパージガスを注入するように構成することができる。
前記パージ装置は、可変開度制御弁、又は、オン・オフ制御可能な調整弁を含む制御可能な流量コントローラを備えることができる。
【0012】
例示的な実施形態によれば、前記ポンプセットの前記出力パラメータは、前記パージ装置によって注入される前記パージガスの流量である。前記ルーツ二次真空ポンプのモータによって消費される前記電力により、前記ガス処理装置によって処理されるガスの量を推定することができ、そこから注入されるパージガスの流量を推測することができる。前記ガス処理装置によって処理される前記ガスの量を大まかにでも知ることにより、前記パージ装置によって注入される前記パージガスの流量を前記ポンピング条件に適合させることができる。
このようにすることで、前記パージガスの消費量を制限することが可能となり、前記ポンプセットの前記エネルギー消費量を削減すると同時に、前記ガス処理装置の前記エネルギー消費量を削減し、前記ガス処理装置における窒素酸化物の生成を最小限に抑え、さらには排除することが可能となる。
【0013】
例示的な実施形態によれば、第1の電力(入力パラメータ)によるルーツ二次真空ポンプの第1の動作状態の場合、前記出力パラメータ、ここでは注入されるパージガスの流量は、前記第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプの第2の動作状態の場合よりも多い。
例えば、特に、パージガスがルーツ真空ポンプの下流に注入される場合、第2の動作状態は、処理装置によって処理されるガスの流量が堆積ステップの流量よりも少ないクリーニングステップに対応し、既に溶解している洗浄ガス(NF)は、ガス処理装置によって処理される必要性が低い。電力が低い第1の動作状態は、堆積ステップに対応する。
【0014】
入力パラメータの値が小さい場合にパージ装置によって注入されるパージガスの流量を増加させることにより、堆積ステップ中のガスの流路におけるガスの希釈及び駆動が容易になる。
入力パラメータの値が大きい場合にパージ装置によって注入されるパージガスの流量を減らすことにより、パージガスの消費、及びポンプセット及びガス処理装置のエネルギー消費が制限され、窒素酸化物の形成が最小限に抑えられる。
第1の動作状態のパージガス流量は、例えば、第2の動作状態のパージガス流量よりも少なくとも20%多く、第2の動作状態のパージガス流量は、例えば零であるが、プライマリ真空ポンプの端部にある転がり軸受及びシール装置を保護するためにプライマリ真空ポンプの軸受に注入される。
【0015】
制御ユニットは、パージ装置によって注入されるパージガスの複数の流量を制御できるように構成することができる。これは、ルーツ二次真空ポンプのモータによって消費される複数の電力範囲に対応し、各電力範囲は、プロセスチャンバで実行できる個別のレシピに対応する。
パージ装置は、パージガス加熱装置を含むことができる。例示的な実施形態によれば、ポンプセットの出力パラメータは、パージガス加熱装置の電力である。
【0016】
例示的な実施形態によれば、第1の電力(入力パラメータ)によるルーツ二次真空ポンプの第1の動作状態の場合、出力パラメータ、ここでは加熱装置の電力は、第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプの第2の動作状態の場合よりも高い。
入力パラメータの値が小さい場合に加熱装置の電力を増加させることにより、堆積ステップ中のパージガスの温度が上昇し、ガスの流路におけるガスの希釈及び駆動が容易になる。
入力パラメータの値が大きい場合に加熱装置の電力を低減することにより、加熱装置の過剰な電力消費が回避される。従って、真空ラインの加熱の電力消費を、ガス処理装置によって処理されるガスの流量に適合させ、過剰な消費を回避することが可能である。
【0017】
第1の動作状態の加熱装置の電力は、例えば、第2の動作状態の加熱装置の第2の電力よりも少なくとも20%高い。この第2の動作状態の電力はゼロであってもよい。
制御ユニットは、さらに、ルーツ二次真空ポンプのモータによって消費される複数の電力範囲に対応する加熱装置の複数の電力を制御できるように構成することができる。各電力範囲は、プロセスチャンバで実行できる個別のレシピに対応する。このようにすることで、真空ラインの加熱をポンピング状況に正確に適応させることができる。
【0018】
本発明の別の主題は、前述の少なくとも1つのポンプセットと、処理ユニット及び/又は洗浄機及び/又は化学吸着及び/又は物理吸着カートリッジを含む少なくとも1つのガス処理装置とを含む、ポンピング並びに処理装置である。この処理ユニットは、例えば、燃焼器及び/又は電気システム及び/又はプラズマ生成装置を備えている。
【0019】
処理装置が燃焼器を含む場合、この燃焼器は、例えば、ポンプ搬送されるガスの流路に酸化剤と燃料を注入するように構成された、酸化剤及び燃料噴射装置を備えている。ガス処理装置の出力パラメータは、例えば、酸化剤及び燃料噴射装置によって注入される酸化剤及び燃料の流量である。
例えば、第1の電力(入力パラメータ)によるルーツ二次真空ポンプの第1の動作状態の場合、出力パラメータ、ここでは酸化剤及び燃料噴射装置によって注入される酸化剤及び燃料の流量は、第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプの第2の動作状態の場合よりも大きい。
【0020】
入力パラメータの値が小さい場合に燃焼器に注入される酸化剤及び燃料の流量を増やすことにより、堆積ステップ中の燃焼器の炎温度が上昇し、特にプロセスガスの残留物の可溶性物質への変換を促進することにより、ガスの処理が容易になる。
入力パラメータの値が大きい場合に燃焼器に注入される酸化剤及び燃料の流量を減らすことにより、クリーニングステップ中の炎温度が低下し、酸化剤及び燃料を節約することができる。従って、過剰な消費を避けるために、酸化剤及び燃料の流量をガス処理装置によって処理されるガスの流量に適合させることができる。
第1の動作状態の酸化剤及び燃料の流量は、例えば、第2の動作状態の酸化剤及び燃料の流量よりも少なくとも20%多い。
【0021】
処理ユニットが電気システム及び/又はプラズマ生成装置を備えている場合、ガス処理装置の出力パラメータは、電気システム又はプラズマ生成装置の電力である。
例えば、第1の電力(入力パラメータ)によるルーツ二次真空ポンプの第1の動作状態の場合、出力パラメータ(ここでは電気システム又はプラズマ生成装置の電力)は、第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプの第2の動作状態の場合よりも大きい。
【0022】
入力パラメータの値が小さい場合に電気システム又はプラズマ生成装置の電力を増加させることによって、プラズマ光の電力が増加し、これにより、特にプロセスガスの残留物を可溶性物質に変換することが容易になり、ガスの処理が容易になる。
入力パラメータの値が大きい場合に電気システム又はプラズマ生成装置の電力を低減することにより、電気システム又はプラズマ生成装置の過剰な電力消費が回避される。従って、ガス処理装置の電力消費を、処理されるガスの流量に適合させて、過剰な消費を回避することが可能である。
【0023】
第1の動作状態の電気システム又はプラズマ生成装置の電力は、例えば、第2の動作状態の電気システム又はプラズマ生成装置の電力よりも少なくとも20%大きい。
【0024】
ポンピング並びに処理装置は、ポンプセットによってポンプ搬送されるガスをガス処理装置の処理ユニット、ガス処理装置の洗浄機、中央洗浄機、又は別のガス処理装置に向けるように構成された接続装置を備えていてもよく、ガス処理装置の出力パラメータは接続装置の向きである。
この接続装置は、例えば、制御ユニットによって制御可能な三方弁又は四方弁を備えている。
例えば、制御ユニットは、第1の電力でルーツ二次真空ポンプの第1の動作状態の場合、ポンプセットによってポンプ搬送されるガスをガス処理装置に向け、第1の電力よりも高い第2の電力でルーツ二次真空ポンプの第2の動作状態の場合、ポンプセットによってポンプ搬送されるガスをガス処理装置の洗浄機、中央洗浄機、又は別のガス処理装置に向けるように構成される。
【0025】
クリーニングステップ中に使用される洗浄ガスは、十分に溶解性があり、処理ユニットによって事前に処理する必要がない。その後、ポンプセットから出るガスは、処理ユニットをバイパスして、洗浄機、中央洗浄機、又は別のガス処理装置に直接搬送することができる。
【0026】
制御ユニットは、さらに、ルーツ二次真空ポンプのモータによって消費される複数の電力範囲に応じて、ポンプセットによってポンプ搬送されるガスの方向を制御できるように構成することができ、各電力範囲は、プロセスチャンバで実行できる個別のレシピに対応する。このようにすることで、ポンプセットの出力におけるガスの方向を、さまざまなポンプ状況に正確に適応させることができる。
制御ユニットは、製造設備アイテムと、製造設備アイテムに流体的に接続されたポンピング並びに処理装置とを含む、特に半導体素子又は太陽光発電パネル又はフラットスクリーンを製造する製造プラントの中央ユニットと通信するように構成することができる。
【0027】
本発明の別の主題は、前述のポンピング並びに処理装置によってガスをポンプ搬送及び処理する方法であり、ポンプセット及び/又はガス処理装置の出力パラメータが、入力パラメータの関数として制御され、入力パラメータは、ルーツ二次真空ポンプのモータによって消費される電力であることを特徴とする。
ガスポンプ搬送及び処理方法は、堆積ステップとクリーニングステップを交互に実行するレシピが実行されるプロセスチャンバ内で実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のガスポンピング並びに処理装置に接続された製造設備の概略図である。
図2図1のポンピング並びに処理装置の概略図である。
図3】プロセスチャンバで実行可能なすべてのレシピについて、ルーツ二次真空ポンプによってポンプ搬送されるガスの流量(slm単位(1slmは1.69Pa.m/sに相当))の関数として、ルーツ二次真空ポンプによって消費される電力(ワット単位)のグラフである。
図4】本発明のポンピング並びに処理装置のパージ装置の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面に照らして、限定されない例として示される以下の説明から明らかになるであろう。これらの図において、同一の要素には同じ参照番号が付されている。
以下の実施形態は例である。説明は1つ以上の実施形態に言及しているが、これは必ずしも各参照が同じ実施形態に関連し、又は特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の1つの特徴を組み合わせ又は交換して、他の実施形態を提供することもできる。
【0030】
以下において、「上流」とは、ポンプ搬送されるガスの流れの方向F1に関して他の要素の前に配置される要素を限定するものである。一方、「下流」は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向F1に関して他の要素の後に配置された要素を限定するものである。
プライマリ真空ポンプは、2つのローターを使用して、大気圧でポンプ搬送されるガスを吸引、移送し、そして排出するように構成された、容積式真空ポンプである。このプライマリ真空ポンプは、大気圧で、又は大気圧よりも高い圧力、特に1200ミリバール(120000PA)までで排出できるように構成されている。また、プライマリ真空ポンプは大気圧で起動できるように構成されている。プライマリ真空ポンプは、プライマリ真空ポンプの少なくとも1つのモータM1によって回転駆動される2つのローターを備えている。プライマリ真空ポンプは多段式であり、通常は直列に取り付けられた3~10段のポンプステージを備えている。
【0031】
ルーツ二次真空ポンプ(「ルーツブロワー」又はルーツコンプレッサとも呼ばれる)は、2つのルーツロータを使用して、ポンプ搬送するためのガスを吸い込み、移送し、その後排出するように構成された容積式真空ポンプである。ルーツ二次真空ポンプは、プライマリ真空ポンプの上流に直列に取り付けられている。
ルーツ二次真空ポンプは、ルーツ二次真空ポンプの1つのモータM2によって回転駆動される2つのロータを備えている。ルーツ二次真空ポンプは、直列に取り付けられた1~3段のポンプステージを備えている。
ルーツ二次真空ポンプは、以下の点で、プライマリ真空ポンプと区別される。主に、ルーツ二次真空ポンプは、ポンプステージの寸法が大きく、ポンピング容量が大きいこと、遊び許容値が大きいこと、及びルーツ真空ポンプは大気圧で排出できず、プライマリ真空ポンプの上流に直列に取り付けて使用する必要があること等である。
【0032】
製造工場、特に、半導体素子又は太陽光発電パネル又はフラットスクリーンを製造する工場は、製造設備100と、この製造設備100に流体的に接続されたポンピング並びに処理装置1とを備えている。
半導体素子又は太陽光発電パネル又はフラットスクリーンの製造設備100は、1つ以上のポンピング並びに処理装置1と流体的に接続された1つ以上のプロセスチャンバ101を備えている(図1参照)。このプロセスチャンバ101は、前記素子の製造用の1つ以上の基板102を収容するものである。
【0033】
製造設備100のプロセスチャンバ101には、このプロセスチャンバ101に注入されるガスを制御するためのレシピ103が実装されている。特に、TEOSタイプの前駆体プロセスガスによる堆積ステップと、NF等のクリーニングガスによるクリーニングステップを交互に実行するレシピ103、又は基板102の搬入又は搬出を待つレシピ103等がある。
これらのレシピ103は、プロセスチャンバ101で実施される一連のステップを含んでおり、ステップの継続時間だけでなく、ガスの性質、流量、圧力も定義されている。
【0034】
ポンピング並びに処理装置1は、少なくとも1つのポンプセット2と、少なくとも1つのガス処理装置3を備えている。ポンプセット2は、プロセスチャンバ101の下流でプロセスチャンバ101に流体接続され、図1に矢印F1で概略的に表されるポンプ搬送されるガスの流れの方向において、ガス処理装置3の上流でこのガス処理装置3に流体接続されている。
同じ1つのガス処理装置3を、複数のポンプセット2に連結することもできる。
【0035】
図2に、ポンピング並びに処理装置1の一例をさらに詳細に示す。このポンプセット2は、プライマリ真空ポンプ4と、ポンプ搬送されるガスの流れの方向においてこのプライマリ真空ポンプ4の上流に直列に取り付けられたルーツ二次真空ポンプ5とを備えている。
ルーツ二次真空ポンプ5は、このルーツ二次真空ポンプ5の2つのロータを回転駆動するように構成された1つのモータM2を備えている。
ポンプセット2は、また、ポンプ搬送されるガスの流れの方向F1において、ルーツ二次真空ポンプ5の上流で、かつこのルーツ二次真空ポンプ5と直列に配置されることにより、プロセスチャンバ101とルーツ二次真空ポンプ5との間に介在する、少なくとも1つのターボ分子真空ポンプを備えることができる。
ガス処理装置3は、ポンプセット2によってポンプ搬送されるガスを大気圧で処理するように構成されている。
【0036】
よく知られているように、ガス処理装置3は、処理ユニット6及び/又は洗浄機8及び/又は化学吸着及び/又は物理吸着カートリッジを備えている。処理ユニット6は、例えば、炭化水素の燃焼によって高温で熱反応を生じさせるように構成された燃焼器7、及び/又は、加熱電気抵抗器によって高温で熱反応を生じるように構成された電気システム、及び/又は、プラズマ発生装置を備えている。
【0037】
図2に示す例示的な実施形態によれば、ガス処理装置3は、燃焼器7と、ポンプ搬送されるガスの流れ方向F1において燃焼器7の下流に直列に配置された洗浄機8とを備えている。
燃焼器7は、製造設備100の出力と燃焼器7との間のポンプ搬送されるガスの流路、特に燃焼器7の燃焼室12に、酸素又は空気等の酸化剤とメタン等の燃料を注入するように構成された、酸化剤及び燃料噴射装置11を備えている。
酸化剤及び燃料噴射装置11は、例えば、酸化剤の注入を制御するように構成された制御可能な第1の流量コントローラ13と、燃料の注入を制御するように構成された制御可能な第2の流量コントローラ14とを備えている。
燃焼器7の燃焼室12に注入された酸化剤と燃料は燃焼し、ポンプ搬送されるガスを非常に高温に上昇させることを可能にし、これにより化学的に反応性があり溶解性のある新たな物質の形成を活性化し、この物質は、その後、洗浄機8によって捕捉される。
【0038】
ガス処理装置3の出力側では、ガスを大気中に排出するか、製造プラントの中央洗浄機に排出することができる。
ポンプセット2は、プロセスチャンバ101の出力とガス処理装置3の入力との間の、ポンプ搬送されるガスの流路に、パージガスを注入するように構成されたパージ装置15を備えることができる。
パージガスは、例えば窒素やアルゴン等の中性ガス、さらには乾燥空気である。
【0039】
パージ装置15は、例えば、ポンプセット2の入力、すなわちルーツ二次真空ポンプ5の入力、及び/又はポンプセット2内にパージガスを注入するように構成されている(図1参照)。例えば、図4の変形実施形態を参照して後述するように、プライマリ真空ポンプ4の少なくとも1つのポンプステージT1~T5、及び/又はガス処理装置3の入力にパージガスを注入するように構成されている。
【0040】
そのために、パージ装置15は、例えば、少なくとも1つの制御可能な流量コントローラ16を備えている。
この流量コントローラ16は、例えば、開度可変制御可能なバルブ、又は、オン・オフ制御可能な調節バルブを備えている。オン・オフ制御可能調節バルブは、開又は閉のいずれかの状態にあり、高速で切り替えることができ、つまり、非常に短い時間、例えば16ミリ秒未満、例えば10ミリ秒未満で状態を変えることができる。これらは、例えば、電磁弁又は圧電弁等のソレノイドバルブである。従って、これらは、矩形波制御信号によってその開閉を制御できる。オン・オフ制御可能調節バルブは、シンプルで信頼性が高く、かさばらず、安価であるという利点がある。
【0041】
ポンプセット2は、さらに、入力パラメータの関数としてポンプセット2及び/又はガス処理装置3の出力パラメータを制御するように構成された制御ユニット17を備えており、入力パラメータは、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力である。
制御ユニット17は、電子回路基板等の1つ以上のコントローラ又はマイクロコントローラ又はプロセッサ及びメモリを備えており、堆積ステップとクリーニングステップを交互に行うレシピ103が実行されるプロセスチャンバ101のための、ガスポンプ搬送及び処理方法の実施を可能にする、一連のプログラム命令を実行する。
制御ユニット17は、ポンピング並びに処理装置1(図1参照)から離れた製造工場の中央ユニット9と通信するように構成することができる。中央ユニット9は、製造工場のポンプセットの少なくとも1つの他のローカル制御ユニットと通信するように構成されており、特に、ポンプセット及び/又はガス処理装置の出力パラメータを管理できるように構成されている。
【0042】
制御ユニット17と中央ユニット9との間の通信は、有線又は無線リンクを介して処理することができる。
特に、制御ユニット17は、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力信号を受信し、それらをメモリに格納されたデータと比較し、下流のガス処理装置3によって処理できるガスの量をそこから推測するように構成されている。この情報と、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力の関数としてポンプセット2及び/又はガス処理装置3の出力パラメータの少なくとも1つの推定値を与えるルックアップテーブル等のメモリに格納されたデータとから、制御ユニット17は、1つまたは複数の出力パラメータに与えられる値を推定することができる。
【0043】
従って、ガス処理装置3によって処理されるガスの量を大まかにでも知ることによって、ルックアップテーブルを介して、プロセスチャンバ101で現在実行されているレシピのステップ、従ってポンプ搬送されるガスの性質を推測し、ポンプセット2及び/又はガス処理装置3の出力パラメータをポンプ条件に適合させることが可能である。この解決策は、製造設備100に関して自律的である。すなわち、製造設備100と通信しないポンピング並びに処理装置1で実施することができる。
【0044】
例示的な実施形態によれば、ポンプセット2の出力パラメータは、パージ装置15によって注入されるパージガスの流量である。
ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力により、ガス処理装置3によって処理されるガスの量を推定することができる。この情報と、パージガスが注入される点の関数としてパージ装置15によって注入されるパージガスの流量の少なくとも1つの推定値を与えるルックアップテーブル等のメモリに格納されたデータとから、注入されるパージガスの流量を推測することができる。
ガス処理装置3によって処理されるガスの量を大まかにでも知ることにより、パージ装置15によって注入されるパージガスの流量をポンプ条件に適合させることができる。このようにすることで、パージガスの消費量を制限することが可能となり、ポンプセット2のエネルギー消費量を削減すると同時に、ガス処理装置3のエネルギー消費量を削減することができ、ガス処理装置3における窒素酸化物の生成を最小限に抑え、さらには排除することも可能となる。
【0045】
例示的な実施形態によれば、第1の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第1の動作状態において、注入されるパージガスの流量は、前記第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第2の動作状態の場合の流量よりも多い。
これは、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力の例を、ルーツ二次真空ポンプ5によってポンプ搬送されるガスの流量の関数として示す図3のグラフを参照することで、よりよく理解できる。このグラフは、プロセスチャンバ101に流体的に接続されたポンプセット2が遭遇する可能性のあるすべてのポンプ状況をまとめて示しており、特に、このプロセスチャンバは、堆積ステップBとクリーニングステップAを交互に実行するレシピ103を実装している。
【0046】
このグラフから、クリーニングステップA中に、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力は、堆積ステップB中に消費される電力よりもはるかに大きいことがわかる。ルックアップテーブル(又は図3の曲線)がわかれば、消費される電力の関数として、プロセスチャンバ101で、堆積ステップB又はクリーニングステップが行われているかどうかを推測できる。
この実施例では、パージガスがプライマリ真空ポンプ4のポンプステージT1~T5、すなわちルーツ真空ポンプ5の下流に注入され、ルーツ真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力が最も高くなる第2の動作状態は、処理装置3によって処理されるガスの流量が堆積ステップBの流量よりも少なく、洗浄ガス(NF)がすでに溶解している、クリーニングステップAに対応する。電力が低い第1の動作状態は、堆積ステップに対応する。
【0047】
ここで、第1の動作状態は、例えば、ルーツ真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力が2000W未満であることに対応し、第2の動作状態は、例えば、2000W以上の消費電力に対応する。
ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力が低い場合に、パージ装置15によって注入されるパージガスの流量を増加させることにより、堆積ステップ中のガスの流路におけるガスの希釈及び駆動が容易になる。
ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力が高い場合に、パージ装置15によって注入されるパージガスの流量を減らすことにより、パージガスの消費、ポンプセット2及びガス処理装置3のエネルギー消費が制限され、窒素酸化物の形成が最小限に抑えられる。
【0048】
第1の動作状態のパージガスの流量は、例えば、第2の動作状態のパージガスの流量よりも少なくとも20%多く、第2の動作状態のパージガスの流量は、例えば、零であってもよい。ただし、プライマリ真空ポンプ4の端部に位置する転がり軸受及びシール装置を保護するために、プライマリ真空ポンプ4の軸受に注入されるパージガスの流量は除く。
制御ユニット17は、さらに、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される複数の電力範囲に対応して、パージ装置15が注入するパージガスの流量を、複数の流量として制御できるように構成することもできる。各電力範囲は、プロセスチャンバ101で実施できる個別のレシピ103に対応している。このようにすることで、パージガスの流量を、ポンピング状況に正確に適応させることができる。
パージ装置15は、パージガスを例えば50℃以上、例えば500℃以上に加熱するための、パージガス加熱装置18(図1参照)を備えることができる。
【0049】
モータM2の消費電力に応じて制御ユニット17によって制御可能なポンプセット2の出力パラメータは、パージガス加熱温度を制御するための加熱装置18の電力であってもよい。
例えば、第1の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第1の動作状態の場合、加熱装置18の電力は、第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第2の動作状態の場合よりも高い電力となる。
ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2の消費電力が低いときに加熱装置18の電力を増加させることにより、堆積ステップ中にパージガスの温度が上昇し、これによりガスの流路内でのガスの希釈及び駆動が容易になる。
ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2の消費電力が高い場合に加熱装置18の電力を低減することにより、加熱装置18の過剰な電力消費が回避される。従って、真空ラインの加熱の電力消費をガス処理装置3によって処理されるガスの流量に適合させ、過剰な消費を回避することが可能である。
【0050】
第1の動作状態の加熱装置18の電力は、例えば、零であってもよい第2の動作状態の加熱装置18の第2の電力よりも少なくとも20%高い。
制御ユニット17は、さらに、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される複数の電力範囲に対応する加熱装置18の複数の電力を制御できるように構成することができる。各電力範囲は、プロセスチャンバ101で実施できる個別のレシピ103に対応する。このようにすることで、真空ラインの加熱をポンピング状況に正確に適応させることができる。
【0051】
処理ユニット6が燃焼器7を含む場合、モータM2によって消費される電力の関数として制御ユニット17によって制御できるガス処理装置3の出力パラメータを、酸化剤及び燃料噴射装置11によって噴射される酸化剤及び燃料の流量とすることもできる。
例えば、第1の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第1の動作状態では、酸化剤及び燃料噴射装置11によって噴射される酸化剤及び燃料の流量は、第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第2の動作状態の場合よりも多い。
【0052】
ルーツ真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力が少ないときに燃焼器7に噴射される酸化剤及び燃料の流量を増やすことによって、堆積ステップ中の燃焼器7の炎の温度が上昇し、これにより、プロセスガスの残留物を可溶性物質に変換するのが容易になり、ガスの処理が容易になる。
ルーツ真空ポンプ5のモータM2の消費電力が多いときに燃焼器7に注入される酸化剤及び燃料の流量を減らすことによって、クリーニングステップ中の炎の温度が下がり、酸化剤及び燃料を節約することができる。従って、酸化剤及び燃料の流量をガス処理装置3によって処理されるガスの流量に適合させ、過剰な消費を回避することができる。
第1の動作状態の酸化剤及び燃料の流量は、例えば、第2の動作状態の酸化剤及び燃料の流量よりも少なくとも20%多い。
【0053】
第2の動作状態の酸化剤及び燃料の流量は、炎を常に点灯させておくために、特にプロセスチャンバ101内のクリーニングステップに続く堆積ステップをより迅速に再開するために、好ましくは零ではない。しかし、後述するように、プロセスチャンバ101内で実行されるレシピ103がクリーニングステップ中に十分に溶解可能なガス及び残留物を使用するか又は生成する場合、ポンプ搬送されるガスは、第2の動作状態のために迂回され、処理ユニット6をバイパスし、ガス処理装置3の洗浄機8又は中央洗浄機に直接再接続することができる。
【0054】
制御ユニット17は、さらに、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される複数の電力範囲に対応して、酸化剤及び燃料噴射装置11によって噴射される酸化剤及び燃料の複数の流量を制御できるように構成することができ、各電力範囲は、プロセスチャンバ101で実行できる個別のレシピ103に対応する。このようにすることで、酸化剤及び燃料の消費をポンプ状況に正確に適応させることができる。
流量コントローラ13、14の制御は、ポンプセット2の制御ユニット17によって直接行うことができる。又は、制御ユニット17と通信するガス処理装置3のローカル制御ユニット19によって行うこともできる。
【0055】
制御ユニット17とローカル制御ユニット19は、有線又は無線リンクによって互いに通信することができる。
制御ユニット17は、製造プラントの中央ユニット9と通信するように構成することができる。中央ユニット9は、ローカル制御ユニット19及び製造プラントの少なくとも1つの他のローカルガス処理装置制御ユニットと通信するように構成することができる。これにより、ガス処理装置のセットの酸化剤及び燃料噴射流量を管理できる。
処理ユニット6が電気システム及び/又はプラズマ生成装置を備えている場合、モータM2によって消費される電力の関数として制御ユニット17によって制御され得るガス処理装置3の出力パラメータは、電気システム又はプラズマ生成装置の電力とすることができる。
例えば、第1の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第1の動作状態の場合、電気システム又はプラズマ生成装置の電力は、第1の電力よりも高い第2の電力によるルーツ二次真空ポンプ5の第2の動作状態の場合よりも高い。
【0056】
ルーツ真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力が低いときに電気システム又はプラズマ生成装置の電力を増加させることによって、プラズマ光の電力が増加し、これにより、プロセスガスの残留物を可溶性物質に変換することが容易になり、特にガスの処理が容易になる。
消費電力が多い場合に電気システム又はプラズマ発生装置の電力を低減することにより、電気システム又はプラズマ発生装置の過剰な電力消費が回避される。従って、ガス処理装置3の電力消費を、処理されるガスの流量に適合させて、過剰な消費を回避することが可能である。
第1の動作状態の電気システム又はプラズマ発生装置の電力は、例えば、第2の動作状態の電気システム又はプラズマ発生装置の電力よりも少なくとも20%多い。
【0057】
第2の動作状態の電気システム又はプラズマ発生装置の電力は、加熱電力を最小限にとどめるために、特にプロセスチャンバ101内のクリーニングステップに続く堆積ステップをより迅速に再開するために、好ましくは零ではない。しかし、後述するように、プロセスチャンバ101内で実行されるレシピ103がクリーニングステップ中に十分に溶解可能なガス及び残留物を使用するか又は生成する場合には、ポンプで送られたガスを第2の動作状態に転用して、ガス処理装置3の処理ユニット6をバイパスし、ガス処理装置3の洗浄機8又は中央洗浄機に直接再接続することができる。
制御ユニット17は、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される複数の電力範囲に対応する電気システム又はプラズマ生成装置の複数の電力を制御できるようにさらに構成することができる。各電力範囲は、プロセスチャンバ101で実行できる個別のレシピ103に対応する。このようにすることで、ガス処理装置3の電力消費を、ポンピング状況に正確に適応させることができる。
【0058】
例示的な実施形態によれば、ポンピング並びに処理装置1は、接続装置20を備えている。この接続装置20は、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力に応じて、ポンプセット2によってポンプ搬送されるガスを、ガス処理装置3の処理ユニット6、ガス処理装置3の洗浄機8、中央洗浄機、または別のガス処理装置に向けるように構成されており、ガス処理装置3の出力パラメータは、接続装置20の向きである(図1及び図2参照)。
接続装置20は、例えば、制御ユニット17によって制御可能な3方弁又は4方弁を備えている。
【0059】
例えば、制御ユニット17は、ルーツ二次真空ポンプ5を第1の電力により第1の動作状態とするために、ポンプセット2によってポンプ搬送されるガスを処理ユニット6に向けるように構成され、あるいは、ルーツ二次真空ポンプ5を第1の電力よりも大きい第2の電力での第2の動作状態とするために、ポンプセット2によってポンプ搬送されるガスを洗浄機8に、又は、中央洗浄機又は別のガス処理装置に、向けるように構成されている。
クリーニングステップ中に使用される洗浄ガスは、十分に溶解性があり、処理ユニット6で事前に処理する必要がない。ポンプセット2から出るガスは、処理ユニット6をバイパスして、洗浄機8又は中央洗浄機、又は別のガス処理装置に直接搬送することができる。
【0060】
制御ユニット17は、さらに、モータM2によって消費される複数の電力範囲に応じて、ポンプセット2によってポンプ搬送されるガスの方向を制御できるように構成することができ、各電力範囲は、プロセスチャンバ101で実行できる個別のレシピ103に対応する。これにより、ポンプセット2の出力側におけるガスの処理を、さまざまなポンピング状況に正確に適応させることができる。
【0061】
図4は、パージ装置15のより正確な例示的な実施形態を示している。このパージ装置15は、プライマリ真空ポンプ4の少なくとも1つのポンプステージT1~T5にパージガスを注入するように構成されている。
プライマリ真空ポンプ4は、吸入口21と吐出口22との間に直列に取り付けられ、ポンプ搬送されるガスが循環できる少なくとも2つのポンプステージT1~T5を形成するステータ(又はポンプ本体)を備えている。図示の例では、プライマリ真空ポンプ4は、5段のポンプステージT1~T5を備えている。吸入口21と連通するポンプステージT1は最低圧力段であり、第1ポンプステージとも呼ばれる。吐出口22と連通するポンプステージT5は最高圧力段であり、最終ポンプステージも呼ばれる。プライマリ真空ポンプ4は、さらに、ポンプステージT1~T5の圧縮チャンバ内に延びる2つのロータを備えている。連続するポンプステージT1-T5は、それぞれのステージ間チャネルによって互いに直列に接続され、前のポンプステージの出力を次のステージの入力に接続する。
ローターは、例えば「ルーツ」タイプ又は「クロー」タイプ等の同一プロファイルのローブを有するか、スクリュータイプ又は他の同様の容積式真空ポンプ原理のものである。ローターは、ポンプステージT1-T5で逆方向に同期して回転するように構成されている。回転中、吸入口から吸い込まれたガスは、ポンプステージT1-T5のローターとステーターによって作成された容積内に閉じ込められ、その後、ローターによって次のステージに駆動される。ローターは、例えば一端に配置されたプライマリ真空ポンプ4の少なくとも1つのモータM1によって回転駆動される。
ここで、パージ装置15は、パージガスをプライマリ真空ポンプ4の少なくとも1つのポンプステージT1~T5に分配するように構成された分配器23と、分配器23内のパージガスの流量を制御するように構成された少なくとも1つの流量コントローラ16とを備えている。
【0062】
分配器23は、例えば、1つの入力がパージガス源に連結される共通部分と、一方では共通部分に、他方ではそれぞれのポンプステージT1~T5に連結された少なくとも2つの分岐とを備えている。最初のポンプステージT1及び最後のポンプステージT5に連結された分岐は、例えば、プライマリ真空ポンプ4のベアリングに現れるように構成され、特に、プライマリ真空ポンプ4の両端に位置する転がり軸受及びシール装置を保護する。中間ポンプステージT2、T3、T4に連結された分岐は、例えば、ステージのそれぞれの出力に現れるように構成される。
例えば、分配器23の各分岐には流量コントローラ16が1つずつ配置されており、これらは、制御ユニット17によって、ルーツ二次真空ポンプ5のモータM2によって消費される電力、従って処理されるガスの量に応じて、制御可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 ポンピング並びに処理装置
2 ポンプセット
3 ガス処理装置
4 プライマリ真空ポンプ
5 ルーツ二次真空ポンプ
6 処理ユニット
7 燃焼器
8 洗浄機
9 中央ユニット
11 燃料噴射装置
12 燃焼室
13 第1の流量コントローラ
14 第2の流量コントローラ
15 パージ装置
16 流量コントローラ
17 制御ユニット
18 加熱装置
19 ローカル制御ユニット
20 接続装置
100 製造設備
101 プロセスチャンバ
103 レシピ
F1 ガスの流れの方向
M1、M2 モータ
T1~T5 ポンプステージ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】