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特表2025-501517電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体及びその製造方法
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  • 特表-電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体及びその製造方法 図1
  • 特表-電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20250115BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20250115BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20250115BHJP
   B32B 15/095 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J163/00
C09J11/06
B32B15/095
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536065
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022020643
(87)【国際公開番号】W WO2023113560
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0181910
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ, ボンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ノ, テヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ドンギュ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AB03B
4F100AH06A
4F100AK51A
4F100AK53A
4F100BA02
4F100BA08
4F100EH46A
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100EJ67A
4F100GB32
4F100JB13A
4F100JJ10
4F100JK06
4J040EC002
4J040EF051
4J040EF301
4J040EK112
4J040HC01
4J040HC24
4J040HD32
4J040JA02
4J040JB01
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA30
4J040KA39
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA02
4J040NA19
4J040PA30
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、電磁鋼板の間に形成される融着層の成分を制御して、電磁鋼板間の接着力を向上させた電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体、及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、前記ポリウレタン樹脂55~98重量部及び前記エポキシ樹脂2~45重量部を含み、ポリウレタン樹脂は芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成されるものである、電磁鋼板接着コーティング組成物、これを用いた電磁鋼板積層体及びその製造方法である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、
前記混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、前記ポリウレタン樹脂55~98重量部及び前記エポキシ樹脂2~45重量部を含み、
前記ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成されるものであることを特徴とする電磁鋼板接着コーティング組成物。
【化1】
上記化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、
~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、
~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、
及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、
Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、
nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【請求項2】
前記化学式1中、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネートであり、
及びRが同時にイソシアネートである場合は除外され、
及びR10が同時にイソシアネートである場合がさらに除外されることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項3】
前記化学式1中、
~Rのうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネートであり、
~Rのうちのいずれか一つ及びR~R10のうちのいずれか一つがLを中心にして対称で同時にイソシアネートである場合がさらに除外されることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項4】
前記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマーは下記化学式2で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【化2】
上記化学式2中、
Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基である。
【請求項5】
前記ポリオールは下記化学式3で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【化3】
上記化学式3中、
R’は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基である。
【請求項6】
前記ポリウレタン樹脂は、前記芳香族ジイソシアネートモノマーを30~50重量%及び前記ポリオールを50~70重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂は、分子量は5,000~20,000であり、水酸基値は2~20mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項8】
カップリング剤、湿潤剤、硬化剤、及び硬化触媒からなる群より選択される1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項9】
前記カップリング剤は、前記混合樹脂100重量部を基準にして、0.2重量部~3重量部を含むことを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項10】
前記硬化剤は、前記混合樹脂100重量部を基準にして、0.5重量部~2重量部を含むことを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項11】
前記硬化触媒は、前記混合樹脂100重量部を基準にして、0.1重量部~1重量部を含むことを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項12】
前記湿潤剤は、前記混合樹脂100重量部を基準にして、0.05重量部~0.5重量部を含むことを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項13】
複数の電磁鋼板、及び
前記複数の電磁鋼板の間に位置する融着層、を含み、
前記融着層はポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、
前記混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、前記ポリウレタン樹脂55~98重量部及び前記エポキシ樹脂2~45重量部を含み、
前記ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成されるものであることを特徴とする電磁鋼板積層体。
【化1】
上記化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、
~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、
~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、
及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、
Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、
nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【請求項14】
電磁鋼板の一面又は両面に接着コーティング組成物を塗布した後、硬化させて接着コーティング層を形成する段階、及び
前記接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して融着層を形成する段階、を含み、
前記接着コーティング組成物はポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、
前記混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、前記ポリウレタン樹脂55~98重量部及び前記エポキシ樹脂2~45重量部を含み、
前記ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成されるものであることを特徴とする電磁鋼板積層体の製造方法。
【化1】
上記化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、
~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、
~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、
及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、
Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、
nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体、及びその製造方法に関するものである。より詳細には、本発明は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を使用せず、電磁鋼板を接着(締結)することができる融着層を形成した電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体、及びその製造方法に関するものである。具体的には、本発明は、電磁鋼板の間に形成される融着層の成分を制御して、電磁鋼板積層体の接着力及び騒音抑制特性を向上させた電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無方向性電磁鋼板は、圧延板上の全ての方向に磁気的特性が均一な鋼板であって、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器などに広く使用されている。
電磁鋼板は、打ち抜き加工後磁気的特性の向上のために応力除去焼鈍(SRA)を実施しなければならないものと、応力除去焼鈍による磁気的特性効果より熱処理による経費損失が大きい場合に応力除去焼鈍を省略するものの二つ形態に区分することができる。
【0003】
絶縁被膜はモータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器など積層体の仕上げ製造工程でコーティングされる被膜であって、通常、渦電流の発生を抑制させる電気的特性が要求される。その他にも、連続打ち抜き加工性、耐粘着性、及び表面密着性などが要求される。連続打ち抜き加工性とは、所定の形状に打ち抜き加工後、複数を積層して鉄心に作る時、金型の摩耗を抑制する能力を意味する。耐粘着性とは、鋼板の加工応力を除去して磁気的特性を回復させる応力除去焼鈍過程後、鉄心鋼板間密着しない能力を意味する。
このような基本的な特性以外にコーティング溶液の優れた塗布作業性と配合後長時間使用可能な溶液安定性なども要求される。このような絶縁被膜は、溶接、クランピング、インターロッキングなど別途の締結方法を使用してこそ電磁鋼板積層体として製造が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を使用せず、電磁鋼板を接着(締結)することができる融着層を形成した電磁鋼板積層体を提供する。具体的には、電磁鋼板の間に形成される融着層の成分を制御して、電磁鋼板間の接着力を向上させた電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電磁鋼板接着コーティング組成物は、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、ポリウレタン樹脂55~98重量部及びエポキシ樹脂2~45重量部を含み、ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成されるものである。
【0006】
【化1】
【0007】
上記化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【0008】
化学式1中、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R及びRが同時にイソシアネートである場合は除外され、R及びR10が同時にイソシアネートである場合がさらに除外される。
【0009】
化学式1中、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~Rのうちのいずれか一つ及びR~R10のうちのいずれか一つがLを中心にして対称で同時にイソシアネートである場合がさらに除外される。
【0010】
化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマーは下記化学式2で表されるものである。
【0011】
【化2】
【0012】
上記化学式2中、
Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基である。
【0013】
ポリオールは下記化学式3で表される化合物である。
【0014】
【化3】
【0015】
上記化学式3中、
R’は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基である。
【0016】
ポリウレタン樹脂は、芳香族ジイソシアネートモノマーを30~50重量%及びポリオールを50~70重量%含む。
【0017】
エポキシ樹脂は、分子量は5,000~20,000であり、水酸基値は2~20mgKOH/gである。
【0018】
本発明の電磁鋼板接着コーティング組成物は、カップリング剤、湿潤剤、硬化剤、及び硬化触媒からなる群より選択される1種以上をさらに含む。
【0019】
カップリング剤は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.2重量部~3重量部を含む。
【0020】
硬化剤は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.5重量部~2重量部を含む。
【0021】
硬化触媒は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.1重量部~1重量部を含む。
【0022】
湿潤剤は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.05重量部~0.5重量部を含む。
【0023】
本発明の電磁鋼板積層体は、複数の電磁鋼板、及び複数の電磁鋼板の間に位置する融着層、を含み、融着層はポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、ポリウレタン樹脂55~98重量部及びエポキシ樹脂2~45重量部を含み、ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成される。
【0024】
【化1】
【0025】
上記化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【0026】
本発明の電磁鋼板積層体の製造方法は、電磁鋼板の一面又は両面に接着コーティング組成物を塗布した後、硬化させて接着コーティング層を形成する段階、及び接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して融着層を形成する段階、を含み、接着コーティング組成物はポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、ポリウレタン樹脂55~98重量部及びエポキシ樹脂2~45重量部を含み、ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成される。
【0027】
【化1】
【0028】
上記化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電磁鋼板の間に形成される融着層の成分を制御して、電磁鋼板間の接着力を向上させることができる。
本発明によれば、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を使用せず、電磁鋼板を接着することができて、電磁鋼板積層体の騒音及び振動抑制効果がさらに優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】電磁鋼板積層体の模式図である。
図2】本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
第1、第2、及び第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これら用語はある部分、成分、領域、層、又はセクションを他の部分、成分、領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で叙述する第1部分、成分、領域、層又はセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層、又はセクションと言及することができる。
ここで使用される専門用語はただ特定実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。明細書で使用される“含む”の意味は特定特性、領域、整数、段階、動作、要素、及び/又は成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素、及び/又は成分の存在や付加を除外させるのではない。
ある部分が他の部分“の上に”又は“上に”あると言及する場合、これは直ぐ他の部分の上に又は上にあるか、又はその間に他の部分が伴われることがある。対照的に、ある部分が他の部分“の真上に”あると言及する場合、その間に他の部分が介されない。
異なって定義しなかったが、ここに使用される技術用語及び科学用語を含む全ての用語は本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。通常使用される辞典に定義された用語は関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り理想的又は非常に公式的な意味に解釈されない。
【0032】
本明細書で“置換”とは別途の定義がない限り、化合物中の少なくとも一つの水素が炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、シラン基、アルキルシラン基、アルコキシシラン基、エチレンオキシル基で置換されたことを意味する。
【0033】
本明細書で“ヘテロ”とは別途の定義がない限り、N、O、S、及びPからなる群より選択される原子を意味する。
【0034】
アルキル基は炭素数1~20のアルキル基であってもよく、具体的に、炭素数1~6の低級アルキル基、炭素数7~10の中級アルキル基、炭素数11~20の高級アルキル基であってもよい。
【0035】
例えば、炭素数1~4のアルキル基はアルキル鎖に一つ~四つの炭素原子が存在するものを意味し、これはメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる群より選択されるのを示す。
典型的なアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。
【0036】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0037】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含み、混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、ポリウレタン樹脂55~98重量部及びエポキシ樹脂2~45重量部を含み、ポリウレタン樹脂は下記化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマー及びポリオールが反応して形成されるものであってもよい。
【0038】
【化1】
【0039】
化学式1中、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基、又はイソシアネート基であり、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネート基であり、R及びRが同時にイソシアネート基である場合は除外され、Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基であり、nは1~10のうちのいずれか一つの整数である。
【0040】
本発明の一実施形態で、混合樹脂は、混合樹脂100重量部を基準にして、ポリウレタン樹脂55~98重量部及びエポキシ樹脂2~45重量部を含むことができる。ポリウレタン樹脂が過度に多く含まれる場合、混合樹脂層の低い架橋度によって高温接着力が劣位になることがあり、ポリウレタン樹脂が過度に少なく含まれる場合、混合樹脂層の低い粘弾性特性によって振動抑制効果が劣位になることがある。エポキシ樹脂が過度に多く含まれる場合、混合樹脂層の高い架橋度による粘弾性特性の低下によって振動抑制効果が劣位になることがあり、エポキシ樹脂が過度に少なく含まれる場合、混合樹脂層の低い架橋度によって高温接着力が劣位になることがある。
【0041】
化学式1中、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R及びRが同時にイソシアネートである場合は除外され、R及びR10が同時にイソシアネートである場合がさらに除外されてもよい。
【0042】
化学式1中、R~Rのうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~R10のうちのいずれか一つはイソシアネートであり、R~Rのうちのいずれか一つ及びR~R10のうちのいずれか一つがLを中心にして対称で同時にイソシアネートである場合がさらに除外されてもよい。
【0043】
化学式1で、Lを中心にして対称になる位置にイソシアネートが結合されている場合には、製造された電磁鋼板積層体の塗膜密着性、剥離接着力、又は耐ATF特性が劣位してセルフボンディング用として使用することができないという問題点がある。
【0044】
化学式1で表される芳香族ジイソシアネートモノマーは、下記化学式2で表されるものであってもよい。
【0045】
【化2】
【0046】
化学式2中、Lは置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリーレン基である。
【0047】
ポリオールは、下記化学式3で表される化合物であってもよい。
【0048】
【化3】
【0049】
化学式3中、R’は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基である。具体的に、ポリオールはポリプロピレングリコールであってもよい。
【0050】
ポリオールは、数平均分子量が400~1000g/molであってもよい。
【0051】
ポリウレタン樹脂は、芳香族ジイソシアネートモノマーを30~50重量%含み、ポリオールを50~70重量%含むことができる。芳香族ジイソシアネートモノマーの比率が過度に小さい場合には、ポリウレタン樹脂の高温締結力低下の問題点が発生することがあり、過度に大きい場合には、熱融着性低下の問題点が発生することがある。ポリオールの比率が過度に小さい場合には、熱融着特性の低下が発生することがあり、ポリオールの比率が過度に大きい場合には、tackyな特性によってコイル状態で長期保管時、sticky性欠陥の問題点が発生することがある。
【0052】
エポキシ樹脂は、分子量は5,000~20,000であり、水酸基値は2~20mgKOH/gであってもよい。
【0053】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、カップリング剤、湿潤剤、硬化剤、及び硬化触媒からなる群より選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0054】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、電磁鋼板10と融着層20の界面接着力強化のためにカップリング剤をさらに含むことができる。カップリング剤としてはシランカップリング剤が含まれてもよく、より具体的にビニル系シランカップリング剤及びメタクリルオキシ系シランカップリング剤のうちの1種以上が含まれてもよい。ビニル系シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン(Vinyl trimethoxy silane)、ビニルトリエトキシシラン(Vinyl triethoxy silane)などがあり得る。メタクリルオキシ系シランカップリング剤としては、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-Methacryloxypropyl methyldimethoxysilane)、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-Methacryloxpropyl trimethoxysilane)、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン(3-Methacyloxypropyl methyldiethoxysilane)、及び3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(3-Methacryloxypropyl triethoxysilane)があり得る。
【0055】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、電磁鋼板10と融着層20の界面接着力強化のために接着コーティング組成物にシリコン系湿潤剤をさらに含むことができる。シリコン系湿潤(Wetting)添加剤の例としては、ポリエーテル改質されたポリジメチルシロキサン(Polyether-modified polydimethylsiloxane)が挙げられる。湿潤剤は、電磁鋼板と融着層の界面接着力を強化させるために電磁鋼板用ボンディング組成物に添加されてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、接着コーティング層表面の反応性を調節するために硬化剤をさらに含むことができる。硬化剤としては、脂肪族アミン系、芳香族アミン系、アミノアミン系、又はイミダゾール系を含むことができる。より具体的に、ジシアンジアミド系硬化剤が含まれてもよい。
【0057】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、コイルコーティング時、急速硬化反応による未硬化によるsticky性欠陥改善のために硬化触媒をさらに含むことができる。硬化触媒としてはイミダゾール系硬化触媒が含まれてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物はカップリング剤は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.2重量部~3重量部を含むことができる。具体的に、0.2重量部~1重量部を含むことができる。カップリング剤を過度に少なく含む場合には、電磁鋼板と融着層の界面接着力強化効果を十分に得られないことがある。カップリング剤を過度に多く含む場合には、カップリング剤間反応によって接着コーティング組成物内に沈殿物が発生することがある。
【0059】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は硬化剤は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.5重量部~2重量部を含むことができる。具体的に、0.8重量部~1.2重量部を含むことができる。硬化剤は、接着コーティング層表面の反応性を調節する役割を果たす。硬化剤が過度に少なく含まれる場合には、融着層の硬化反応が低下して、融着層表面のスティッキー(sticky)性が発生する問題が発生することがある。逆に、硬化剤が過度に多く添加される場合には、低温融着後、締結力が劣位になることがある。
【0060】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は硬化触媒は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.1重量部~1重量部を含むことができる。具体的に、0.3重量部~0.8重量部を含むことができる。硬化触媒の含量が過度に多ければ、過硬化反応によって融着後締結力が劣位になる問題点が発生することがあり、硬化触媒の含量が過度に少なければ、未硬化によって融着層表面のsticky性が発生する問題点が発生することがある。
【0061】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は湿潤剤は、混合樹脂100重量部を基準にして、0.05重量部~0.5重量部を含むことができる。具体的に、0.05重量部~0.15重量部を含むことができる。湿潤剤の含量が過度に多ければ、コーティング液に過度な気泡発生によるコーティング層欠陥の問題点が発生することがあり、湿潤剤の含量が過度に少なければ、コーティング層のぬれ性低下によってコーティング表面に欠陥が発生する問題点が発生することがある。
【0062】
前述の成分以外に、接着コーティング組成物は、塗布を容易にし、成分を均一に分散させるために溶媒を含むことができる。溶媒としては、水、アルコールなどを含むことができる。溶媒は、混合樹脂100重量部に対して1~20重量部含むことができる。
【0063】
本発明の一実施形態では、電磁鋼板積層体を提供する。
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体は、複数の電磁鋼板、及び複数の電磁鋼板の間に位置する融着層、を含む。図1では、本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体の模式図を示す。図1に示されているように、複数の電磁鋼板が積層されている形態である。
【0064】
図2では本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体の断面の概略図を示す。図2に示されているように、本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体100は、複数の電磁鋼板10、及び複数の電磁鋼板の間に位置する融着層20、を含む。
【0065】
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の方法を使用せず、単純に前述の接着コーティング組成物を使用して融着層を形成することによって、互いに異なる電磁鋼板を熱融着させた積層体であってもよい。
【0066】
この時、電磁鋼板積層体は、熱融着後にも高温接着性及び高温耐油性に優れた特性がある。
【0067】
以下では、各構成別に詳細に説明する。
電磁鋼板10は、一般的な無方向性又は方向性電磁鋼板を制限なく使用することができる。本発明の一実施形態では複数の電磁鋼板10の間に融着層20を形成して、電磁鋼板積層体100を製造することが主要構成であるので、電磁鋼板10に関する具体的な説明は省略する。
【0068】
融着層20は複数の電磁鋼板10の間に形成され、複数の電磁鋼板10を溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を使用せず、接着することができる程度に接着力が強い。
【0069】
融着層20は、接着コーティング組成物を表面にコーティングし、硬化させて接着コーティング層を形成し、これを積層し熱融着して融着層20を形成する。接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板10を積層し熱融着すると、接着コーティング層内の樹脂成分が熱融着するようになって、融着層を形成するようになる。
【0070】
本発明の一実施形態で、融着層20はポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂を含む。ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びその混合樹脂については接着コーティング組成物と関連して詳しく前述したので、重複する説明は省略する。融着層形成過程でポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂はそのまま残存する。また、カップリング剤、硬化剤、硬化触媒、及び湿潤添加剤も残存し、その含量範囲も接着コーティング組成物と同一であってもよい。カップリング剤、硬化剤、硬化触媒、及び湿潤添加剤については接着コーティング組成物と関連して詳しく前述したので、重複する説明は省略する。
【0071】
したがって、融着層は、混合樹脂100重量部、シランカップリング剤0.5重量部、シリコン系湿潤剤(wetting agent)0.1重量部、ジシアンジアミド系硬化剤1重量部、及びイミダゾール系硬化触媒0.5重量部を含むことができる。
融着層20の厚さは1μm~8μmであってもよい。融着層の厚さが過度に薄ければ接着力が急激に低下することがあり、過度に厚ければコーティング巻取り後にStikcy性による欠陥が問題になる。さらに具体的に、融着層20の厚さは4μm~6μmであってもよい。
【0072】
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体の製造方法は、電磁鋼板の一面又は両面に接着コーティング組成物を塗布した後、硬化させて接着コーティング層を形成する段階、及び接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して融着層を形成する段階、を含む。
【0073】
以下、各段階別に具体的に説明する。
まず、接着コーティング組成物を準備する。接着コーティング組成物については前述したので、重複する説明は省略する。
その次に、接着コーティング組成物を電磁鋼板の表面にコーティングした後、硬化させて接着コーティング層を形成する。この段階は、接着コーティング組成物の硬化のために150~250℃の温度範囲で行うことができる。
【0074】
接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して融着層20を形成する。熱融着する段階を通じて接着コーティング層内の高分子成分が熱融着し、融着層を形成するようになる。
熱融着する段階は、150~250℃の温度、0.05~5.0MPaの圧力、及び0.1~120分の加圧条件で熱融着することができる。条件はそれぞれ独立して満足することができ、2以上の条件を同時に満足することもできる。このように熱融着する段階での温度、圧力、時間条件を調節することによって、電磁鋼板の間に、ギャップや、有機物相なく、稠密に熱融着することができる。
熱融着する段階は、昇温段階及び融着段階を含み、昇温段階の昇温速度は10℃/分~1000℃/分になり得る。
【0075】
以下、本発明の実施例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【実施例
【0076】
実験例1
無方向性電磁鋼板(50×50mm、0.35mmt)を供試片として準備した。接着コーティング溶液をBar Coater及びRoll Coaterを用いて各準備された供試片に上部と下部に一定の厚さで塗布して板温基準200℃で20秒間硬化した後、空気中で徐々に冷却させて、接着コーティング層を形成した。
【0077】
接着コーティング溶液として、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の混合樹脂100重量部、シランカップリング剤0.5重量部、シリコン系湿潤剤(wetting agent)0.1重量部、ジシアンジアミド系硬化剤1重量部、及びイミダゾール系硬化触媒0.5重量部を含むものを使用した。ポリウレタン樹脂はポリウレタン樹脂総重量を基準にして、2,4-メチレンジフェニルジイソシアネートモノマー40重量%と水分子量425g/molのポリプロピレングリコール60重量%反応させて製造した後に使用し、エポキシ樹脂は分子量が1,000~20,000であり、水酸基値が2~20mgKOH/gであるものを使用した。使用したポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の含量比、そしてポリウレタン樹脂製造に使用されたイソシアネートモノマーとポリオールの種類及び含量比は下記表1の通りである。ポリウレタン樹脂以外にも、ポリウレタン樹脂100重量部を基準にして、シランカップリング剤0.5重量部、シリコン系湿潤剤(wetting agent)0.1重量部、ジシアンジアミド系硬化剤1重量部、及びイミダゾール系硬化触媒0.5重量部を含んでいる。
【0078】
表1のMDIはメチレンジフェニルジイソシアネートを意味し、TDIはトルエンジイソシアネートを意味し、PPGはポリプロピレングリコール(数分子量425g/mol)を意味する。
【0079】
接着コーティング層がコーティングされた電磁鋼板を高さ20mmで積層した後、0.5MPaの力で加圧して160℃、10分間熱融着して電磁鋼板積層体を製造した。熱融着後、融着層の厚さは約6μmであった。熱融着された積層体をコーティング組成物内混合樹脂の混合比及び使用された芳香族ジイソシアネートモノマーの種類別に評価した。具体的に、塗膜密着性、剥離接着力(T-peel、N/mm)、耐ATF特性、減衰比、及び高温接着性を評価して下記表1に示した。
【0080】
各特性の測定方法は次の通りである。
【0081】
塗膜密着性測定方法:塗膜密着性測定のための試片規格はISO 1519に基づいて製作した。コーティングされた試片を30×300mmでサンプルとして製作して直径10mmの鉄シリンダーに180°に合わせて曲げた後、その部位にTape接着後、コーティング層の剥離有無を肉眼で観察する。剥離発生すればNGと評価し、剥離が発生しなければOKと判断した。
【0082】
剥離接着力(T-peel、N/mm):剥離法(T-Peel off)測定のための試片規格はISO 11339に基づいて製作した。25×200mm試片二枚を25×150mmの面積で接着した後、未接着部位を90°に曲げてT形態の引張試片を製作した。
【0083】
剥離法(T-Peel off)で製作された試片を上/下部ジグ(JIG)に一定の力で固定させた後、一定の速度で引きながら積層されたサンプルの引張力を測定する装置を使用して測定した。この時、せん断法の場合、測定された値は積層されたサンプルの界面のうちの最小接着力を有する界面が脱落する地点を測定した。加熱装置を通じて試片の温度を60℃で維持した後、接着力を測定した。
【0084】
耐ATF特性評価法:駆動モーターを自動車に使用する場合、高速で長時間回転時、多くの熱が発生して、これを冷却するためにATF(Automotive Transmission Fluid、自動車ミッションオイル)を使用するようになる。よって、長期使用時に接着信頼度を確保するために高温のATFに含浸された状態で積層コイルの接着力が維持されることが重要である。よって、耐ATF特性を評価した。製造された積層コイルを温度が150℃であるATFに500時間含浸後、せん断接着力をテストした。耐ATF特性を測定するためのせん断接着力はせん断法(Shear Strength)で測定した。せん断法測定のための試片規格はISO 4587に基づいて製作した。25×100mm試片二枚を12.5×25mmの面積で接着して条件で熱融着してせん断法試片を製作した。せん断法で製作された試片を上/下部ジグ(JIG)に一定の力で固定させた後、一定の速度で引きながら積層されたサンプルの引張力を測定する装置を使用して測定した。この時、せん断法の場合、測定された値は積層されたサンプルの界面のうちの最小接着力を有する界面が脱落する地点を測定した。
【0085】
騒音抑制特性評価:駆動モーター中のモーターコア単位で発生する騒音特性評価のためにリング形態(ring type)のモーターコアを製作した。0.27mmの無方向性電磁鋼板にコーティング剤が塗布された製品を打抜及び熱融着を通じて外径128mm、内径90mm、高さ45mmのリングコア(ring core)を製作した。このように製作されたリングコア(ring core)の軸方向の動的特性を測定した。通常機械や構造の動特性(固有周波数、固有モード、減衰比)を把握するために外力(Force)を加えてこれに対する動的な応答を求める関数である伝達関数(Transfer function)を使用する。これが即ち、外力(F)に対する応答の比を示す関数であり、周波数を反応で分析する場合、特に周波数応答関数(FRF)と言って動特性解釈の基本的であり最も多く使用する基本関数となる。本FRF特性分析を通じて減衰比(Damping ratio)を測定した。減衰比が高いほど振動吸収性に優れて振動及び騒音も少なく発生するようになる。
【0086】
高温接着力評価:高温接着力を測定するためのせん断接着力は、せん断法(Shear Strength)で測定した。せん断法測定のための試片規格はISO 4587に基づいて製作した。コーティング剤を使用して25×100mm試片二枚を12.5×25mmの面積で接着し、前述の条件で熱融着してせん断法試片を製作した。せん断法で製作された試片を加熱Furnaceがある引張機で高温の雰囲気温度を設定した後、上/下部ジグ(JIG)に一定の力で固定させた後、一定の速度で引きながら積層されたサンプルの引張力を測定する装置を使用して測定した。この時、せん断法の場合、測定された値は積層されたサンプルの界面のうちの最小接着力を有する界面が脱落する地点を測定した。加熱装置を通じて試片の温度を160℃で維持した後、接着力を測定した。
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示されるように、実施例1~3のように、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂を適切な含量比に調節して混合使用し、芳香族ジイソシアネートモノマーとして2,4’-MDI(2,4-メチレンジフェニルジイソシアネート)を使用した場合には、塗膜密着性、剥離接着力、耐ATF特性、振動吸収性、及び高温接着力の全て優れた特性を示した。
【0089】
比較例1はエポキシ樹脂を混合せずポリウレタン樹脂のみ使用した場合であって、塗膜密着性、剥離接着力、及び振動吸収性は優れているが、高温接着力が1MPa未満の値を示して劣位し、耐ATF特性も劣位するのを確認することができる。
【0090】
比較例2はポリウレタン樹脂を混合せずエポキシ樹脂のみ使用した場合であって、塗膜密着性、耐ATF特性、及び高温接着力は優れているが、剥離接着力が良くなく減衰比が0.03未満の値を示して騒音及び振動抑制効果が劣位するのを確認することができる。
【0091】
比較例3はポリウレタン樹脂の含量が低くエポキシ樹脂の含量が高い場合であって、塗膜密着性、耐ATF特性、及び高温接着力は優れているが、剥離接着力及び振動吸収性が劣位するのを確認することができる。
【0092】
比較例4~12は実施例1~3で芳香族ジイソシアネートモノマーを2,4’-MDI(2,4-メチレンジフェニルジイソシアネート)以外の化合物に変更して接着コーティング層を製造したものである。
【0093】
芳香族ジイソシアネートとして2,4’-TDI(2,4-トルエンジイソシアネート)を使用した比較例4、7、及び10の場合、塗膜密着性、耐ATF特性、及び高温接着力は良好であるが、剥離接着力及び振動吸収性は実施例に比べて劣位するのを確認することができる。
【0094】
芳香族ジイソシアネートとして2,2’-MDI(2,2-メチレンジフェニルジイソシアネート)を使用した比較例5、8、及び11の場合にも、塗膜密着性、耐ATF特性、及び高温接着力は良好であるが、剥離接着力及び振動吸収性は実施例に比べて劣位するのを確認することができる。
【0095】
芳香族ジイソシアネートとして4,4’-MDI(4,4-メチレンジフェニルジイソシアネート)を使用した比較例6、9、及び12の場合、塗膜密着性、振動吸収性、及び高温接着力は良好であるが、剥離接着力及び耐ATF特性が実施例に比べて劣位するのを確認することができる。
【0096】
本発明は実施例に限定されるわけではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態に実施することができるというのを理解することができるはずである。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。
図1
図2
【国際調査報告】