IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョイント ストック カンパニー“アトムエネルゴプロエクト”の特許一覧 ▶ サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズの特許一覧

<>
  • 特表-ごみ収集・濾過用タンク 図1
  • 特表-ごみ収集・濾過用タンク 図2
  • 特表-ごみ収集・濾過用タンク 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ごみ収集・濾過用タンク
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/06 20060101AFI20250115BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20250115BHJP
   B01D 21/02 20060101ALI20250115BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G21F9/06 521E
B01D21/00 C
B01D21/02 S
B01D21/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536210
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 RU2022000402
(87)【国際公開番号】W WO2023128811
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】2021139683
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516233088
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー アトムエネルゴプロエクト
【氏名又は名称原語表記】JOINT STOCK COMPANY ATOMENERGOPROEKT
【住所又は居所原語表記】ul. Bakuninskaya,7,str.1 Moscow,105005 Russia
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】マテュシェフ,レオニード・アレクサンドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ミトルヒン,アンドレイ・ゲンナディエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シャムレー,エフゲニヤ・レオニドヴナ
(72)【発明者】
【氏名】コロベイニコフ,キリル・ユリエヴィッチ
(57)【要約】
ごみ収集・濾過用タンクは、多くのごみを含む大量の液体を濾過するための装置に関するものであり、特に原子力産業、具体的には原子力発電所(NPP)のサンプタンクにおいて、事故時に大量の冷却水を濾過する目的で使用することができる。
ごみ収集・濾過用タンクは、蓋部に設けられた入口穴と、濾過装置が設置された出口穴と、前記入口穴に取り付けられ、当該タンクの底部上に設置された垂直立坑と、前記垂直立坑に設けられた液体排出用のウィンドウと、を備え、前記ウィンドウは、前記垂直立坑の下部に設けられ、前記濾過装置とは反対側の方向に向けられており、垂直立坑の上部が漏斗の形状に形成されている。ごみ収集・濾過用タンクは、特に原子力発電所の安全システムにおいて、大量のごみを含む大流量の液体の濾過に使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ収集・濾過用タンクであって、
蓋部に設けられた入口穴と、
濾過装置が設置された出口穴と、
前記入口穴に取り付けられ、当該タンクの底部上に設置された垂直立坑と、
前記垂直立坑に設けられた液体排出用のウィンドウと、
を備え、
前記ウィンドウは、前記垂直立坑の下部に設けられ、前記濾過装置とは反対側の方向に向けられていることを特徴とするごみ収集・濾過用タンク。
【請求項2】
前記垂直立坑の上部が漏斗の形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のごみ収集・濾過用タンク。
【請求項3】
前記垂直立坑の壁に、垂直リブが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のごみ収集・濾過用タンク。
【請求項4】
前記漏斗の壁に、水平リブが設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のごみ収集・濾過用タンク。
【請求項5】
前記漏斗の上に、ガードが設置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のごみ収集・濾過用タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くのごみを含む大量の液体を濾過するための装置に関するものであり、特に原子力産業、具体的には原子力発電所(NPP)のサンプタンクにおいて、事故時に大量の冷却水を濾過する目的で使用することができる。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の運転中における重要な問題は、事故の際に損傷した一次回路のパイプラインから流出する冷却剤(通常は水)を濾過することである。
【0003】
事故後の炉心を冷却するために冷却材を使用することは、通常運転時と同様に重要であり、冷却材が不足すると、炉心溶融という深刻な事故につながる可能性がある。このため、損傷したパイプラインから漏れた冷却材を収集して、炉心をさらに冷却するために緊急炉心冷却システム(ECCS)に送る必要がある。
【0004】
同時に問題なのは、一次冷却材の流出を伴う事故では、構造物や施設の破壊によるごみ(デブリ)が格納容器に大量に発生することである。
【0005】
そのデブリは、ホウ酸溶液と混合され、ECCSにより原子炉プラントの長期冷却に使用される。デブリの成分は、ECCSをブロックし、原子炉ユニットの冷却効率を低下させる可能性がある。デブリの主な成分は、以下の通りである。
・埃、汚れ、衣類の繊維、紙片、プラスチック片、錆、乾燥した塗料の滴などを含む潜在破片。この潜在破片とは、格納容器の下での基本的な建設・補修工事の過程や、原子力発電所の運転過程で発生するデブリのことである。
・断熱構造の破壊による破片。
・塗膜の破壊による破片。
・化学物質の破片。
【0006】
大量のデブリを含む冷却材は、特殊なサンプタンクに収集され、ここに取り付けられた濾過装置により、ECCSに供給される前に浄化される。
【0007】
問題は、大量のデブリを含む大量の冷却材が濾過装置の入口に障害物を作り、濾過装置への冷却材の流入を著しく減少させたり、完全に停止させたりすることである。その結果、炉心内の冷却材が不足し、炉心が加熱され、重大な事故につながる可能性がある。このため、大量のごみを運ぶ液体の流量が多い場合に、濾過装置にごみ(デブリ)が詰まらないように、ごみを収集して濾過するタンクを開発する必要がある。
【0008】
このような問題を解決するために、さまざまな技術的解決策が使用されてきた。
【0009】
水冷原子炉の緊急冷却システムにあるフィルターモジュール付きサンプタンクの保護装置が知られている(ロシア連邦の特許第2686684号、2019年4月30日公開、IPC:G21C 9/00)。
【0010】
この保護装置は、原子炉格納容器の底部にあるサンプタンクの上部の受け入れ開口部に設置されたフィルターシステムを含み、サンプタンクは、緊急冷却システムのパイプラインの吸入口に接続されており、フィルターシステムは、緊急冷却システムのパイプラインの吸入口へのデブリの進入を防ぐ、コレクターに接続された複数のフィルターモジュールから構成される。各フィルターモジュールは、側面と上部のスロット付きグリッドと、グリッド内に配置されたフィルターエレメントを有する。フィルターエレメントは、側面に複数のスロットを有するフィルターパイプの形式で作られ、そのパイプの内側には、複数の孔を有する分配管が配され、その分配管の孔の直径が流れに沿って連続的に減少し、その内部の空洞がコレクターに接続されている。
【0011】
この解決策により、フィルター表面上で均一な流れが確保され、デブリが不均一に詰まることを排除できるだけでなく、フィルターエレメント自体の表面に沿った均一な流れを確保することができる。
【0012】
この解決策の欠点は、フィルターエレメントの孔を詰まらせる可能性のある大量のごみを含んだ液体の流量が多い場合に、濾過装置の安全性を確保できないことである。
【0013】
本発明に最も近いと考えられるのは、浮遊粒子捕集用キャッチャーである(発明者証SU第1733045号、1992年5月15日発行、IPC:B01D 24/02)。
【0014】
このキャッチャーは、汚染水の入口穴と浄化水の出口穴が開口したサンプタンクと、粗い浄化の第1段目と、浄化水の流出方向に順次セル数が減少するメッシュで作られた第2段目を含む2段式フィルターと、第2段目の浄化セルのメッシュ間に設置されたひだ状のメッシュとを備えている。
【0015】
サンプタンクでは、浄水効率とキャッチャーの信頼性の向上のために、第1段目の浄化エレメントを、並列に連結した平らなメッシュエレメントとし、各エレメントには、第2段目の浄化セルの第1列のメッシュと同じセルを含む垂直メッシュがエレメントの軸に対して対称に設置される。
【0016】
そして、第1段目の最後のメッシュのセルは、第2段目の最後のメッシュよりも大きなセルを有し、キャッチャーは、サンプタンクの底部に、上記の入口穴と同軸に設置され、その入口穴の断面積を超える断面積を有する垂直立坑を備え、サンプタンクの天井部近くにおいてその立坑の壁にウィンドウが設けられ、その立坑の下部が第1段目の各メッシュエレメントと連通している。
【0017】
この解決策は、キャッチャーの効率とその動作の信頼性を向上させる。しかし、この解決策では、大量のごみを含んだ液体の流量が多い場合に濾過装置の安全な動作を確保できないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】ロシア連邦特許第2686684号明細書
【特許文献2】ソ連国発明者証第1733045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、大量のごみを含む液体の高流量下において信頼性の高い動作を確保可能なごみ収集・濾過用タンクを開発することである。
【0020】
この技術的成果は、大量のごみを含む液体の高流量化の場合にごみ収集・濾過用タンクの動作の安全性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この技術的成果は、以下の特徴により達成される。
【0022】
すなわち、ごみ収集・濾過用タンクは、蓋部に設けられた入口穴と、濾過装置が設置された出口穴と、前記入口穴に取り付けられ、当該タンクの底部上に設置された垂直立坑と、前記垂直立坑に設けられた液体排出用のウィンドウと、を備え、前記ウィンドウは、前記垂直立坑の下部に設けられ、前記濾過装置とは反対側の方向に向けられていることを特徴とする。
【0023】
前記垂直立坑の上部は、漏斗の形状とすることが好ましい。
【0024】
前記垂直立坑の壁に、垂直リブを設けることが望ましい。
【0025】
前記漏斗の壁に、水平リブを設けることが望ましい。
【0026】
前記漏斗の上に、ガードを設置するのが合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】好ましい実施形態において、垂直立坑を備えたごみ収集・濾過用タンクの断面図である。
図2】好ましい実施形態におけるごみ収集・濾過用タンクの側面断面図である。
図3】好ましい実施形態におけるごみ収集・濾過用タンクの上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ごみ収集・濾過用タンクの蓋部1に設けられた入口穴に、垂直立坑4が取り付けられており、ごみ収集・濾過用タンクの底部2に、垂直立坑4の下部が取り付けられている。
【0029】
好ましい実施形態では、垂直立坑4の上部に漏斗3が設けられており、この漏斗3には、垂直リブ5と水平リブ6が形成されている。
【0030】
垂直立坑4の下部には、濾過装置9とは反対側の方向に向けられたウィンドウ8が設けられている。
【0031】
液体の流れに含まれるごみは、主にごみ沈降ゾーン10に収集される。
【0032】
好ましい実施形態では、漏斗3にガード7が設置されている。
【0033】
好ましい実施形態において、ごみ収集・濾過用タンクは、以下のように動作する。
【0034】
大量のごみを含む大流量の液体が、ごみ収集・濾過用タンクの蓋部1から漏斗3を通って垂直立坑4内に入ると、液体の流れが形成されると同時に、漏斗3と垂直立坑4にある垂直リブ5と水平リブ6による制動によって、運動エネルギーの一部が失われる。ガード7は、特に大きなごみの破片がタンク内に入るのを防ぐ。
【0035】
次に、高所から落下する液体の流れは、垂直立坑4の底部に衝突し、これにより運動エネルギーがさらに失われ、その後、ウィンドウ8を通ってタンクの主空間に入り、濾過装置9とは反対側の方向に向けられることで、濾過装置9に向かう途中で運動エネルギーがさらに失われる。その結果、濾過装置9から可能な限り離れた位置のごみ沈降ゾーン10にごみが堆積して収集され、これにより濾過装置9の目詰まりが防止される。
【0036】
これにより、支障なく動作できるようになり、安全性が向上する。
【0037】
ごみ収集・濾過用タンクは、特に原子力発電所の安全システムにおいて、大量のごみを含む大流量の液体の濾過に使用することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】