(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】識別ラベル、識別システム及び識別ラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20250115BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20250115BHJP
G06F 21/86 20130101ALN20250115BHJP
【FI】
G06K19/077 144
G06K19/077 200
B29C63/02
G06F21/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536238
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022086103
(87)【国際公開番号】W WO2023111162
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133664.3
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521440529
【氏名又は名称】シュレイネル グループ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アクスニヒ,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】アーデルスベルガー,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルナー,フランク
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AD09
4F211AG03
4F211AH42
4F211SA08
4F211SC05
4F211SD01
4F211SD12
4F211SP03
4F211SP33
(57)【要約】
識別ラベル(1)は、信号技術的に互いに結合されたRFIDチップ(5)及びアンテナ構造(6)を有するRFIDトランスポンダ(3)と、RFIDトランスポンダ(3)を覆うシーリング層(2,4)と、を備える。シーリング層(2,4)は、溶着によって基材(4,8,13)と材料結合的に接続されている。したがって、RFIDチップ(5)及び/又はアンテナ構造(6)は、溶着シーム(7)によって取り囲まれており、シーリング層(2,4)と基材(4,8,13)との間に封入されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別ラベルであって:
- 信号技術的に互いに結合されたRFIDチップ及びアンテナ構造を有するRFIDトランスポンダと;
- 前記RFIDトランスポンダを覆い、溶着によって基材と材料結合的に接続されているシーリング層であって、したがって、前記RFIDチップ及び/又は前記アンテナ構造は、溶着シームによって取り囲まれており、前記シーリング層と前記基材との間に封入されている、シーリング層と、
を備える、識別ラベル。
【請求項2】
前記RFIDトランスポンダは、キャリア層を備え、前記キャリア層の上に前記RFIDチップと前記アンテナ構造とが配置されており、
前記キャリア層は、シーリング層を形成しており、前記溶着シームによって前記基材と材料結合的に接続されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項3】
前記RFIDトランスポンダは、キャリア層を備え、前記キャリア層の上に前記RFIDチップと前記アンテナ構造が配置されており、
前記キャリア層は基材を形成しており、前記シーリング層は前記基材と前記溶着シームによって材料結合的に接続されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項4】
前記基材を形成する下部層であって、前記シーリング層は前記基材と前記溶着シームによって材料結合的に接続されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項5】
前記シーリング層は接着層によって前記基材と接続されており、したがって、前記接着層は、少なくとも部分的に前記溶着シーム内で前記溶着シームによって取り囲まれており、前記シーリング層と前記基材との間に封入されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項6】
前記溶着シームは、前記識別ラベルの主延在面に対して0.2mm以上10mm以下の範囲内の所定の幅で形成されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項7】
前記溶着シームは、前記識別ラベルの主延在面に対して所定の構造経路で形成されており、波型構造、ジグザグ構造及び/又はワッフル構造を有する、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項8】
前記溶着シームは、前記RFIDチップ及び/又は前記アンテナ構造の周囲に局所的又は周方向に形成されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項9】
前記シーリング層及び/又は前記基材は、前記溶着シームによって材料結合的に互いに接続されており、したがって、前記識別ラベルは所定の湾曲した識別媒体を形成している、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項10】
前記RFIDトランスポンダ、前記シーリング層及び/又は前記基材に結合されており、前記RFIDチップ及び/又は前記アンテナ構造を有する封入領域への吸湿を防止するように適合されたフィルム要素を有する、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項11】
前記RFIDトランスポンダ、前記シーリング層及び/又は前記基材に結合され、前記RFIDチップ及び/又は前記アンテナ構造の機械的保護を形成するように適合された機能要素を有する、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項12】
前記機能要素は、不織布層及び/又は発泡体及び/又はゴム要素を含む、
請求項11記載の識別ラベル。
【請求項13】
前記シーリング層及び/又は前記基材は、透明フィルム要素として形成されている、
請求項1記載の識別ラベル。
【請求項14】
識別システムであって:
- 対象物と;
- 前記対象物に結合されている、請求項1乃至13いずれか1項記載の識別ラベルと;
を備える、識別システム。
【請求項15】
前記対象物の表面は、前記基材を形成しており、
前記識別ラベルの前記シーリング層は、前記溶着シームによって前記基材と形状結合的に接続されている、
請求項14記載の識別システム。
【請求項16】
識別ラベルを製造する方法であって:
- 信号技術的に互いに結合されたRFIDチップ及びアンテナ構造を有するRFIDトランスポンダを提供するステップと、
- シーリング層を提供するステップと、
- 前記RFIDトランスポンダ及び前記シーリング層を基材に適用し、したがって、前記RFIDチップ及び/又は前記アンテナ構造は、前記シーリング層と前記基材との間に配置される、ステップと、
- 前記シーリング層の溶着によって溶着シームを形成し、
したがって、前記RFIDチップ及び/又は前記アンテナ構造は、溶着シームによって取り囲まれ、前記シーリング層と前記基材との間に封入される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記溶着シームは、超音波溶着、熱溶着及び/又はレーザー溶着によって形成される、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記溶着シームを、動作中に互いに対向する相補的な曲率面を有するソノトロード及びアンビルによって実行し、したがって、前記溶着シームは、前記識別ラベルの積層方向に対して所定のように湾曲して設計されており、その結果、前記識別ラベルがその主延長面に対して所定の曲率で形成される、
請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
打ち抜きプロセス及び/又は切断プロセスと、前記識別ラベルの外郭を形成するプロセスと、を実行するステップを含み
前記シーリング層の溶着と、前記打ち抜きプロセス及び/又は前記切断プロセスとを、1つの作業ステップで実施する、
請求項16又は17記載の方法。
【請求項20】
前記RFIDトランスポンダのキャリア層の形態で、及び/又は下部層の形態で、及び/又は識別ラベルでラベリングされる対象物の表面の形態で、前記シーリング層と溶着される基材を提供するステップ、
を含む、請求項16又は17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単で費用効果の高い方法で、対象物に信頼性が高く耐久性のあるラベリングを可能にする識別ラベルに関する。本発明はまた、かかる識別ラベルを有するラベリングシステム及びかかる識別ラベルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルは、対象物の識別や確認が必要なところで、認証や原産地証明のために使用することができる。ラベルの中には、RFIDトランスポンダなどの電子部品を備えているものもあり、ラベルの情報やそれを備えるものの情報(Informationen der Etiketten und damit versehener Informationen)を好適に見つけ、電子的に記録することができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、シンプルで費用効果の高い方法で製造でき、対象物に信頼性と耐久性のあるラベリングを可能にする識別ラベルを提供することである
【0004】
この課題は、独立特許請求の範囲の特徴によって解決される。有利なさらなる発展は、それぞれの従属特許請求の範囲に示されている。
【0005】
本発明の一態様によれば、識別ラベルは、信号技術的に互いに結合されたRFIDチップ及びアンテナ構造を有するRFIDトランスポンダと、RFIDトランスポンダを覆うシーリング層とを備える。シーリング層は、RFIDチップ及び/又はアンテナ構造が溶着シームによって取り囲まれ、シーリング層と基材との間に封入される(eingeschlossen)ように、溶着によって基材と材料結合的に接続されている。
【0006】
識別ラベルは、対象物に安全で信頼性の高い電子ラベリングを設定できるシンプルでコスト効率の高い方法である。シーリング溶着シームにより、識別ラベルは、例えば湿気などの形態の不所望な外部影響から確実に保護される。例えば、識別ラベルは、溶着エッジを有するRFIDラベルとして設計することができ、通常オートクレーブなどの滅菌プロセスを使用して処理される注射器や容器をラベリングするために、医療又は製薬分野で使用される。識別ラベルの記載された構造により、RFIDトランスポンダの領域への蒸気や液体の浸透は確実に防止される(entgegengewirkt)ため、識別ラベルはその機能を著しく損なうことなく対象物に残る。
【0007】
本発明に関連して、RFID機能を備えた従来の電子ラベルは、水分の浸入によって腐食し、性能が低下するおそれがあることが分かった。保護フィルムが使用されているにもかかわらず、水分は接着層を介して横方向に浸透し、RFID機能の敏感な領域に到達し、遅かれ早かれ機能に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、このようなラベルを滅菌されるべき製品(sterilisierende Produkte)に使用することは不可能であるか、機能性の面で高いリスクをもたらす。
【0008】
記載された識別ラベルとシーリング溶着シームにより、RFID機能がオートクレーブプロセス後も維持され、化学的及び/又は物理的影響に対するRFIDトランスポンダの全般的な確実な保護が確立されるように、所期の湿気バリアが提供される。
【0009】
識別ラベルのさらなる発展形態によれば、RFIDトランスポンダはキャリア層を備え、キャリア層の上にRFIDチップ及びアンテナ構造が配置され、キャリア層は溶着シームによって基材に材料結合的に接続されるシーリング層を形成する。あるいは、RFIDトランスポンダのかかるキャリア層は、溶着シームによってシーリング層が接続される基材を形成することもできる。キャリア層は、例えば、ポリエチレン(PE)又はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム要素として設計され、溶融によって基材に接続される。さらに、他の熱可塑性プラスチック又はプラスチック又は材料全般も可能であり、これらは溶着、シーリング又は溶融によって基材に材料結合的に接続可能である。キャリア層はRFIDトランスポンダの構成要素を形成し、シーリング層としても機能することができる。あるいは、キャリア層はRFIDチップ及びアンテナの支持体を形成し、例えばフィルムベースの上部層のような形の別のシーリング層で覆われることもできる。さらに、キャリア層を備えたRFIDトランスポンダは、上部層やシーリング層及び/又は基材との固定的な結合なしに、自由に移動可能に、いわば自由に浮いた状態で、これらの構成要素の間に配置し、封入することもできる
【0010】
さらに、識別ラベルは、溶着シームによってシーリング層と材料結合的に接続される基材を形成する下部層を有することができる。下部層は、PETフィルム又はPEフィルムなどのフィルム要素として実現することができ、先に説明したRFIDトランスポンダのキャリア層に溶着される(verschweisst)ことができる。さらにシーリング層を形成する上部層がある限り、下部層は上部層と、任意でキャリア層とも溶着され、RFIDトランスポンダを取り囲むことができる。
【0011】
好ましくは、同じ種類のフィルムが互いに溶着される。例えば、シーリング層がPETフィルムであり、基材が別のPETフィルムの形態の下部層である。あるいは、溶着可能な異なる材料がシーリング層と基材に設けられることもできる。例えば、半結晶性フィルムと非結晶性フィルムを混合したり、材料結合的に接続したりすることもできる。いずれの場合も、少なくとも1つの溶融可能又は密封可能なシーリング層と、RFIDトランスポンダのキャリア材料を実現する基材との複合体を形成することができる。さらに、他の層も識別ラベルの構造に組み込むことができるため、例えば、異なる機能層を有する、多層複合システムを実現することができる。
【0012】
シーリング層及び/又は基材の加工フィルム(Die verarbeiteten Folien)は、高い柔軟性、機械的影響に対する高い耐性、又は光保護などの規定された特性を提供するために、例えば15μm~500μmの厚さを有する。この厚さは、識別ラベルの主延長面に対して横方向の積層方向を意味し、物体に適用された状態での積層方向は、本質的に物体の表面法線に対応する。
【0013】
前述した下部層は、識別ラベルの構成要素を形成することもできるし、あるいは、ラベルが適用されるべき対象物に付随させることもできる。例えば、下部層は、既に適用されているラベルや、シリンジ(Spritze)により適用されたシュリンクフィルムなどのフィルム要素によって形成される。したがって、ラベル又はシュリンクフィルムが下部層を形成することができ、この下部層は溶着によって識別ラベルのシーリング層に材料結合的に接続される。
【0014】
あるいは、対象物自体も、識別ラベルのシーリング層が溶着によって材料結合的に接続される下部層又は基材を形成することができる。例えば、プラスチックシリンジ又は注射器(Kunststoffspritze)が提供され、その表面は溶着可能な基材を形成する。この基材又はかかる表面の上にシーリング層が設けられ、溶着によって材料結合的に接続することができる。つまり、RFIDチップ及びアンテナ構造は、キャリア材料又はシーリング層によって、固体基材又は部品に直接適用することができる。キャリア材料は、RFIDトランスポンダを自己保護する役割を果たす。したがって、電子識別ラベルは、RFIDトランスポンダ及びシーリング層によって前ステップでのみ提供され、所定の基材との材料結合的溶着接続によって最終製品として形成される。
【0015】
識別ラベルは、特にシンプルで明確な構造を用いて実現することができ、RFID機能の、特に湿気や腐食に対する信頼性の高いシーリングを確立するために、追加のバリア要素、保護体、追加層を必要としない。過度の湿気による腐食は、例えば、通常は金属又は金属コンタクトを有するRFIDチップの領域で発生する。RFIDトランスポンダのアンテナ構造は、例えば銀、アルミニウム又は銅の導体トラックによって形成されているが、腐食によって著しい機能損失を被ることもある。記載されている識別ラベルによって、例えば、RFIDチップ及び/又はRFIDアンテナ構造の材料接合的影響に基づいて、湿気の侵入を確実に阻止し、腐食を防止するか、少なくとも腐食のリスクを大幅に低減するフレキシブル接着ラベルが実現可能である。そのため、例えば、RFIDを完全にモールドすることによってフレキシブル接着ラベルほどは柔軟性と汎用性を確保することができなくなるような、複雑でコストのかかる方法でRFID機能を保護する必要はない。
【0016】
識別ラベルのさらなる発展形態によれば、シーリング層は、接着層によって基材に接続され、したがって、接着層は、少なくとも部分的に溶着シーム内で溶着シームに取り囲まれ、シーリング層と基材との間に封入される。このようにして、接着層は湿気の影響からも保護され、識別ラベルの構成要素の確実な保持又は結びつき(Halt oder Zusammenhalt)に寄与することができる。例えば、接着層は、RFIDトランスポンダと基材とに対向するシーリング層の下面に局所的に塗布される。かかる接着層は、部分的に設けることも、閉リング又は閉フレームを形成することもできる。好ましくは、接着層はシーリング層の下面の全面に形成され、溶着シームは、形成中に材料結合的接着領域の内側又は外側に接着層を変位させる。したがって、接着層は、溶着シーム及び材料結合的接続が形成される領域にも存在することができる。代替的又は付加的に、接着層又はさらなる接着層は、シーリング層を先ずその接着端部領域で基材に接続し、その後接着領域内で溶着シームを形成するために、溶着シームの領域の外側に配置することができる。
【0017】
接着層は、好ましくは、溶着シームが形成される接合ゾーンの領域に完全に又は大部分が残る(ausgespart)ように設けられる。したがって、接合ゾーンは接着剤フリーに設計することができ、シーリング層を基材と確実に溶着することができる。接着層は、RFIDアンテナ構造の内側領域にのみ形成され、溶着シームによって取り囲まれることができる。代替的又は付加的に、接着層又はさらなる接着剤層を、溶着シームに隣接する外縁領域に配置することもできる。したがって、識別ラベルは、所期のように形成された接着剤フリー領域によって分離された2つ以上の接着部分を有することができる。接着剤のない領域は、溶着シームを形成するために設けられており、特に、RFIDアンテナ構造の形状に適合している。例えば、RFIDアンテナ構造及び接着剤フリー領域は、長方形、正方形又は円形形成されている。あるいは、他の幾何学的形状形成されることもできる。
【0018】
識別ラベルのさらなる発展形態によれば、溶着シームは識別ラベルのラベルエッジに沿って延在し、閉じている。溶着シームは、例えば、RFIDトランスポンダの周囲、少なくともRFIDチップ又はRFIDアンテナ構造の周囲にリング又はフレームを形成する。例えば、識別ラベルによってRFIDチップを高感度電子半導体部品として確実にシーリングし、異なるアンテナ構造も溶着されたRFIDチップと結合可能であると有益である。RFIDチップは同様の構造を有することが多いが、アンテナ構造は用途や機能仕様に応じて異なる形状や構造を有することができる。溶着シームは、RFIDチップに接続されるアンテナ構造の一部分の上に延在する。しかしながら、そのような重なり箇所であっても、溶着シームは確実に形成され、例えば銀、アルミニウム、又は銅からなる、あるいは銀、アルミニウム、又は銅を含有するアンテナ構造に材料結合的に接続される。
【0019】
識別ラベルには、積層方向と主延長面とを割り当てることができ、積層方向は実質的に主延長面に対して垂直な方向を形成する。識別ラベルは、特に、ほとんどのラベルと同様に、平坦であるため、ラベル幅とラベル長さがラベル厚さを明らかに上回る。ラベル幅とラベル長さは主延長面をまたぎ(spannen)、ラベル厚さは積層方向に沿う。例えば、その後、積層方向に沿って上部層が設けられ、その後に独自のキャリア層の有無にかかわらずRFIDトランスポンダが設けられ、その後に下部層又は基材が設けられる。
【0020】
溶着シームは、好ましくは、所定の構造プロファイルを伴って、主延在平面に対する所定の幅で設計され、例えば、0.2mm~10mmの値を有する。このような溶着シームは、特に超音波溶着によって容易かつ確実に形成することができる。あるいは、溶着シームは、レーザー溶着を使用して形成することもでき、さらに薄く、あるいは狭く、0.1 mmの幅を有することもできる。しかし、より幅の広い溶着シームも溶着又はシーリング(Siegeln)によって形成することができるので、識別ラベルの溶着シームは10mmより広くすることができる。所定の幅広の溶着シームは、溶着シームの相応の固有剛性を形成し、識別ラベルの剛性の向上に寄与し、識別ラベルの不所望なしわを打ち消すことができる。溶着シームの高さ又は厚さは、含まれるRFID機能に応じて設計することもできる。
【0021】
識別ラベルはさらに、溶着シームが主延在平面に対して所定の2次元構造を有するように、例えば波型構造、ジグザグ構造及び/又はワッフル構造を有するように設計することもできる。このようにして、溶着シームを効果的に広げることもでき、狭い直線状の溶着シームと比較して、溶着接続の固有剛性及び強度を高め、識別ラベルの剛性の向上に寄与し、識別ラベルの不所望なしわを阻止することができる。二次元構造を設計するための記載されたオプションは、識別ラベルの結合の安定性に寄与し、例えば、その後の識別ラベルの対象物上又は対象物への歪みのない適用を保証する。溶着シームは、分割して形成することも、1回の作業工程において連続して閉じることもできる。
【0022】
溶着シームは、RFIDチップ及び/又はアンテナ構造の周囲に局所的又は周方向に(umlaufend)形成することができ、これによってRFIDチップ及び/又はアンテナ構造が確実に封止される。このような材料結合的接続は、必ずしもセルフシールである必要はなく、1つ以上の補助要素、及び/又は、識別ラベル及び/又は基材の隣接構造と協働することもできる。少なくとも、シーリング層と基材との間に形成された溶着シームによる材料結合的接続は、RFIDトランスポンダ又はRFIDチップ及び/又はアンテナ構造の信頼性の高い封止に寄与する。
【0023】
識別ラベルのさらなる発展形態によれば、シーリング層及び/又は基材は、識別ラベルが所定の湾曲したラベリング媒体を形成するように、溶着シームによって予め材料結合的に相互に接続されている。従って、識別ラベルの形状がラベリングされる対象物の外形形状に適合するように、溶着シームを所定の三次元構造で形成することができる。このような適合は、識別ラベルの簡単な適用と確実な保持に有益な効果をもたらす。曲面に適用されるべき平坦なラベルと比較して、識別ラベルを平坦な位置に強制するような復元力が低減されるからである。例えば、識別ラベルは、超音波溶着を用いたソノトロードとアンビルの形態の受け台(Widerlager)とによって形成され、円筒形のシリンジ本体を有するシリンジなどの円筒形の容器に使用されることを意図している。特に好ましくは、アンビルは、シリンジ本体の円周方向の曲率に対応する曲率を有するソノトロードとのコンタクト面を有する。
【0024】
識別ラベルはさらにフィルム要素を備えることができ、フィルム要素は、RFIDトランスポンダ及び/又はシーリング層及び/又は基材に結合されており、RFIDチップ及び/又はアンテナ構造を有する封入領域への吸湿を打ち消すように設計されている。例えば、シーリング層は特別な特性を有するフィルム材料と組み合わせることができ、このフィルム材料は上部材料、中間層及び/又はインレイ基板を形成し、例えば酸素及び/又は水蒸気に対して、また腐食性のガス及び/又は液体に対しても追加のバリア効果を確立し、あるいはRFIDトランスポンダの領域への酸素及び/又は水分の吸収又は腐食性ガス及び/又は液体の吸収を打ち消す。
【0025】
さらなる発展形態によれば、識別ラベルは、RFIDトランスポンダ及び/又はシーリング層及び/又は基材に接続され、又はそれに取り付けられ、又は適用され、RFIDチップ及び/又はアンテナ構造に機械的保護を提供するように設計された機能要素を有する。例えば、フリース層を追加挿入することで、RFIDトランスポンダに機械的保護を与えることができる。代替的又は付加的に、発泡体要素及び/又はゴム弾性フィルム要素を設けることができ、これはRFIDトランスポンダの上部及び/又は下部カバー層として機能し、識別ラベルのサンドイッチ構造を共同形成する。
【0026】
機能要素及び/又は上述したフィルム要素は、溶着シームの内側及び/又は外側に配置することができ、場合によっては、シーリング層に溶着することもできる。このようにして、RFIDトランスポンダの内側又は領域において、信頼性の高い機械的、物理的、及び/又は化学的保護を提供することができる。RFIDトランスポンダの外側又は反対側の溶着シームの側では、機能要素及び/又はフィルム要素がスペーサとして機能し、識別ラベルの所定の高さを形成することができる。代替的又は付加的に、例えばRFIDチップの周囲にペイントドットを配置し、それらをキャリア層に印刷することによって、内側に距離指定を実装することもできる。さらに、識別ラベルの機能要素としてフェライトフィルムを設けることができ、金属基材上でもRFIDトランスポンダのRFID機能の向上に寄与することができる。
【0027】
所望のバリア特性及びセキュリティ機能は、フィルム及び/又は機能層を有する識別ラベルを加工することによって作り出すことができる。さらに、識別ラベルを固定したり、さらに加工したりするためのラバーコーティングフィルムや非ラバーコーティングフィルム(gummierten und ungummierten Folien)の加工をラベル構造に含めることもできる。機能要素は、例えば、ボイド層の形態で設計することもでき、又はかかる層を含むこともできる。ボイド層は、改ざんに対する保護(Manipulationsschutz)を提供するボイド効果を提供する。例えば、ボイド層は2つ以上の異なる粘着構造又は剥離グラデーションで実現される。例えば、レタリングの(eines Schriftzugs)形態でより接着性が強い構造がボイド構造で実現され、ボイド構造の他の部分は粘着性が弱い。ボイド構造又はボイド層を有する識別ラベルが、ラベリングされるべき対象物に適用される場合、例えば、識別ラベルを剥がす際に、より粘着性が強いレタリングは対象物上に貼付されたまま残り、一方、粘着性が弱い部分は、識別ラベル又は対象物から剥がされたラベル部分とともに剥がされる。あるいは、記載した構造は、粘着力に関して逆に設計することもでき、例えば、レタリングの形態の構造は粘着力が弱い。
【0028】
代替的に又は付加的に、識別ラベルのラベル層の所定の弱化構造を設定するパンチ穴(Stanzungen)の形態でセキュリティ機能を設けることができる。このようにして、例えば、改ざんの試みの際にラベルが所定の方法で破れる破れ位置を設けることができる。代替的に又は付加的に、識別ラベルの1つ以上の層にミシン目を設けることもでき、このミシン目によって、それぞれの層を所期のように切断又は分離することが可能になる。
【0029】
識別ラベルのさらなる発展形態によれば、シーリング層及び/又は基材は透明フィルム要素として設計されている。透明フィルムによって、RFIDトランスポンダを封入されたラベル構造内で可視化し、光学的検査を可能にすることができる。代替的に又は付加的に、RFIDトランスポンダ及び識別ラベルの内部構造を隠すために、着色及び/又は非透明のフィルム要素を設けることもできる。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、識別システムは、物体に取り付けられる上述の識別ラベルを含む。特に、物体の表面は、溶着シームによってシーリング層が材料結合的に接続される識別ラベルの基材を形成することができる。対象物の表面は、例えば、溶着可能、可溶性及び/又は接合可能な材料で作られた容器の外面によって提供することができる。あるいは、対象物の表面に配置されるフィルム又はラベルなどの要素は、シーリング層のための溶着可能な基材を形成することができる。
【0031】
ラベリングシステムは、記載された識別ラベルの実施形態を含むため、識別ラベルの記載された特性及び特徴は、識別システムについても開示され、その逆もまた同様である。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、識別ラベルを製造する方法は、信号技術的に互いに結合されたRFIDチップ及びアンテナ構造を有するRFIDトランスポンダを提供するステップと、シーリング層を提供するステップとを含む。本方法はさらに、RFIDトランスポンダ及びシーリング層を基材に適用し、したがって、RFIDチップ及び/又はアンテナ構造は、シーリング層と基材との間に配置される、ステップを含む。RFIDトランスポンダ及びシーリング層の適用は、1つのステップで同時に行うことも、互いに時間的に別々に行うこともできる。本方法はまた、シーリング層の溶着によって溶着シームを形成し、したがって、RFIDチップ及び/又はアンテナ構造は、溶着シームによって取り囲まれ、シーリング層と基材との間に封入される、ステップを含む。
【0033】
溶着シームの形成は、特に超音波溶着によって、コスト効率よく迅速に実行することができる。溶着工具としてソノトロードとアンビルを使用し、ねじり及び/又は縦方向の超音波溶着を行うことができる。ソノトロードを動かし振動させることで、アンビルを受け台としてシーリング層の材料を共働して溶融させることができる。アンビルとソノトロードは、溶着されるべき層の対向する側に配置される。アンビルは、別個の工具とすることも、例えばシリンジなどの対象物そのものを実現することもできる。縦方向の超音波溶着では、ソノトロードはハンマーなどの役割を果たし、溶着されるべきシーリング層及び基材を叩く。ねじり超音波溶着では、ソノトロードが所定の経路に沿ってこすれて溶着シームを形成する。代替的又は付加的に、熱溶着及び/又はシーリング及び/又はレーザー溶着によって溶着シームを形成することができる。シーリングには、ヒートシール及びコールドシールが含まれる。
【0034】
本方法のさらなる発展形態によれば、溶着シームは、動作中に(betriebsgemaaess)互いに対向する相補的な曲率面を有するソノトロード及びアンビルによって実行され、したがって、溶着シームは、識別ラベルの積層方向に対して所定のように湾曲して設計されている。その結果、識別ラベルがその主延長面に対して所定の曲率で形成される。ソノトロード及びアンビルの形状又は作用面は、好ましくは、識別ラベルが取り付けられるべき対象物の外形に対応するように選択される。
【0035】
本方法は、打ち抜きプロセス及び/又は切断プロセスと、識別ラベルの外郭を形成するプロセスと、を実行するステップを含むことができる。識別ラベルは、好ましくは、連続する材料ウェブ上に複数形成され、ラベルロールとして加工される。打ち抜きプロセス及び/又は切断プロセスは特に、共通の作業ステップでシーリング層の溶着と同時に実行することができる。
【0036】
さらなる発展形態によれば、本方法は、RFIDトランスポンダのキャリア層の形態で、及び/又は下部層の形態で、及び/又は識別ラベルでラベリングされる対象物の表面の形態で、前記シーリング層(2、4)と溶着される基材を提供するステップを含む。例えば、上部層をシーリング層としてRFIDトランスポンダのキャリア層及び基材を形成する下部層に溶着するように、記載した方法で複数の溶着シームを形成することもできる。このようにして、識別ラベルにおけるRFIDトランスポンダの特に信頼性が高く安全なカプセル化を達成することができる。
【0037】
それぞれの方法は特に前述の識別ラベルの実施形態を製造するように設定されているため、製造方法についての識別ラベルの特性及び特徴も開示されており、またその逆も同様である。
【0038】
多数の識別ラベルを、特に、準静的な、クロック式ロールツーロールプロセスで、前工程と後工程を伴って処理することができる。複数のソノトロードを設けることもでき、例えば、複数の溶着工程を同時に実施するために、一列にクロック配置される。このように、ロールツーロールプロセスは、ベルト速度の動的変化と、ソノトロードを介した振動の恒久的な導入により実施することができる。あるいは、例えばソノトロード及び/又はアンビルをローラーソノトロードやローラーアンビルとして設計すれば、ロールツーロールプロセスを動的に変化させることなく連続的に行うこともできる。
【0039】
また、個々の部品に固定的に適用するために、部品ピッキングプロセス(Stueckgutprozess)で加工を行うこともできる。インレイ又はRFID トランスポンダの処理は、例えば、パレット上の部品全体を追跡するために、バラの部品を形成し(Ausbilden eines losen Stueckguts)、バラで容器に入れる(losen Einlage in ein Behaeltnis)ように設定することもできる。
【0040】
処理周波数は、20kHz~100kHzの範囲とすることができ、特に、溶着プロセスは、単一の作業工程で打ち抜きプロセスと組み合わせることができる。分離プロセスは、レーザー、超音波ナイフ、カッティングナイフ、ロールナイフ及び/又は打ち抜き輪郭又は打ち抜きダイを使用して切断工程を実施することにより、前段階又は後段階で実施することができる。
【0041】
さらに、溶着される物品、すなわちRFIDトランスポンダに対するシーリング層及び/又は基材に対するシーリング層の位置決めは、それぞれのウェブ材料のウェブ状の供給によって行うことができる。また、定義された場所に個別のアプリケーションを設定することもできる。超音波溶着に関連して、RFIDトランスポンダ及びシーリング層は、真空を介して溶着物品をソノトロード上及び/又はアンビル上に固定することにより、ソノトロード上に直接配置することができる。代替的又は追加的に、RFIDトランスポンダ及び/又は上部層及び/又は下部層の下面にラバーコーティングを施すことで、溶着物品を基材上に局所的又は全面的に固定することができる。
【0042】
記載した製造オプションを用いれば、RFIDインレイフィルムを、例えば上部フィルムに、あるいは2枚のフィルムの間に材料結合的に溶着することにより、水分の浸透とそれに伴う腐食から確実に保護することができる。あるいは、キャリア層を有するRFIDトランスポンダを溶着によって部品に直接固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下、本発明の実施形態を、概略図面を参照して説明する。
【
図1】
図1乃至4は、識別ラベルの様々な実施例を示す側面図である。
【
図2】
図1乃至4は、識別ラベルの様々な実施例を示す側面図である。
【
図3】
図1乃至4は、識別ラベルの様々な実施例を示す側面図である。
【
図4】
図1乃至4は、識別ラベルの様々な実施例を示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図1乃至4による識別ラベルを形成するための工程ステップの実施例を示す図である。
【
図6】
図6乃至7は、それぞれの上面図における識別ラベルの実施例を示す図である。
【
図7】
図6乃至7は、それぞれの上面図における識別ラベルの実施例を示す図である。
【
図8】
図8乃至10は、識別ラベルの溶着シームの様々な実施形態を示す上面図である。
【
図9】
図8乃至10は、識別ラベルの溶着シームの様々な実施形態を示す上面図である。
【
図10】
図8乃至10は、識別ラベルの溶着シームの様々な実施形態を示す上面図である。
【
図11】
図11は、
図1乃至9による識別ラベルの製造方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
同じ構造又は機能の要素又は特徴には、図面をとおして同じ参照符号を付してある。分かりやすさのため、すべての図に示されている要素や特徴のすべてに、対応する参照符号が付されているわけではない。
【0045】
図1乃至
図4はそれぞれ、電子的識別ラベル1の様々な実施形態を模式的に示す側面図である。識別ラベル1は、信号技術的に互いに結合されたRFIDチップ5及びアンテナ構造6を有するRFIDトランスポンダ3を備える。さらに、識別ラベル1はシーリング層を備え、このシーリング層は、別個の上部層2(
図1、
図2及び
図5参照)又はRFIDトランスポンダ3のキャリア層4(
図3及び
図4参照)として実現されている。シーリング層はRFIDトランスポンダ3を覆い、溶着によって基材に材料結合的に接続されており、したがって、RFIDチップ5及び/又はアンテナ構造体6が溶着シーム7によって取り囲まれ、シーリング層と基材との間に封入される。基材は、別個の下部層8(
図1及び
図4参照)、物体10の表面13(
図3参照)、又はRFIDトランスポンダ3のキャリア層4(
図2、
図5及び
図6参照)として実現される。
【0046】
識別ラベル1によって、対象物10に安全で信頼性の高い電子的ラベルを簡単かつコスト効率の高い方法で設定することができる。シーリング溶着シーム7により、識別ラベル1は、例えば湿気の形態の不所望な外的影響から確実に保護される。識別ラベル1は、例えば、溶着エッジ12を有する密封RFIDラベルとして設計されており、特に医療又は製薬分野において、オートクレーブなどの滅菌処理によって処理される注射器又は容器を識別するために使用することができる。識別ラベル1の記載された構造により、RFIDトランスポンダ3の領域への蒸気又は液体の浸透が確実に防止され、したがって、識別ラベル1はその機能を損なうことなく対象物10上に残る。
【0047】
図1に示す識別ラベル1は、RFIDトランスポンダ3及び/又は上部層2の底部カバー層又は支持体を形成する、基材としての下部層8を有する。上部層2は、この実施例ではシーリング層を実現している。識別ラベル1のラベルエッジ12では、
図1によればRFIDチップ5、アンテナ構造体6及びキャリア層4を有するRFIDトランスポンダ3がラベルポケットの一種に溶着されるように、溶着シーム7によって上部層2と下部層8が材料結合的に接続される。好ましくは、RFIDトランスポンダ3は上部層2及び/又は下部層8に結合され、位置が固定される。あるいは、キャリア層4を備えたRFIDトランスポンダ3は、上部上層2及び/又は下部層8に結合されることなく、ラベリングポケット内で自由に移動可能、いわば自由に浮遊することもできる。さらに、識別ラベル1は接着層9を有し、この接着層9は下部層8の下側又は外側に配置され、識別ラベル1を対象物に簡単かつ確実に適用する(Applizieren)ことができる。
【0048】
本明細書において、「上部(oben)」、「下部(unten)」、「上部層(Oberschicht)」、「下部層(Unterschicht)」、「基材(Untergrund)」などの用語は、図に示されるように、識別ラベル1の構成要素の整列及び配向を意味する。さらに、識別ラベル1の積層方向Rが示されており、これは図中の縦線に相当する。対象物に適用する場合、積層方向Rは、一般に、識別ラベル1が適用されるべき対象物表面の法線に対応する。従って、下部層8は対象物に面し、シーリング層2、4は上に載って、対象物から反対方向を向いている。
【0049】
溶着シーム7は、上部層2と下部層8との間に材料結合を形成し、RFIDトランスポンダ3が内部に配置されるシール面を形成する。RFIDトランスポンダ3は、完全に封入され又は取り囲まれたインレイを形成する。
【0050】
図2は、RFIDトランスポンダ3のキャリア層4が上部層2の溶着可能な基材を形成する、識別ラベル1のさらなる実施形態を示している。上部層2は、RFIDトランスポンダ3のインレイ基材自体に溶着される。これは、識別ラベル1を特に平坦に実現することができる。特に有利には、上部層2及び下部層4、及び
図1による下部層8は、薄い可撓性フィルム要素として設計され、また好ましくは、これらは同じ材料で作られている。このようにして、信頼性の高い溶着接続部を形成し、柔軟で特に平坦な識別ラベルを設計することができる。
【0051】
図3は、識別ラベル1のさらなる実施形態を示しており、この場合、基材は対象物10自体の表面13によって提供される。表面13は、例えばプラスチック射出成形品の外面として、シーリング層2、4に溶着可能な固体的基材を提供する。例えば、
図3に示すように、シーリング層は、RFIDトランスポンダ3のキャリア層4によって実現され、このキャリア層4は、プラスチックシリンジの周面の所定の位置に溶着によって取り付けられ、それによって識別ラベル1が形成される。あるいは、対象物10は、注射瓶又はバイアルに取り付けられる薬剤包装又はラベルを実現することもできる。いずれの場合も、表面13は、シーリング層2、4に溶着できるように基材として設定される。
【0052】
図4は、識別ラベル1のさらなる実施形態を示しており、この実施形態では、シーリング層2、4は、接着層11によって基材4、8、13に接続することもできることが示されている。接着層11は、好ましくは、外部の化学的及び/又は物理的影響からも保護されるように、溶着シーム7の内側に配置される。特に、接着剤層11は、溶着によって基材4、8、13に材料結合的に接続される前に、シーリング層2、4を位置決めするために使用することができる。
【0053】
代替的又は付加的に、接着層11又はさらなる接着層は、その接着端部領域を有するシーリング層2、4を基材4、8、13に接着し、その後接着領域内に溶着シーム7を形成するために、溶着シーム7の領域外に配置することができる(
図7も参照)。接着層11は、
図4に一例として示されているが、他の実施形態にも設けることができる。特に、接着層11は、シーリング層2、4の下側の全面に形成することもでき、インレイを固定する役割を果たす。
【0054】
図5は、ソノトロード14及びアンビル15を用いた超音波溶着によって識別ラベル1を形成することができる方法を示す概略図である。この文脈において、特に以下の
図10の説明を参照されたい。
【0055】
図6は、識別ラベル1を模式的に示す図である。
図6は、アンテナ構造6が導電性トラックの形態で設計されており、RFIDチップ5に接続されていることを示している。例えば、アンテナ構造6は、銅、銀、又はアルミニウムトラックの形態でキャリア層4に印刷される。RFIDチップ5は、印刷プロセスを用いてキャリア層4に適用されることもできる。アンテナ構造体6とRFIDチップ5の両方は、溶着シーム7によって包囲されており、この溶着シーム7によって横方向に封入されており、特に水分の浸入から保護される。あるいは、RFIDチップ5のみを溶着シーム7で包囲することもできる。あるいは、識別ラベル1が少なくとも1つの溶着シーム7を有するように、さらなる溶着シームを形成することもできる。例えば、RFIDチップ5は溶着シーム7で包囲されており、さらに、アンテナ構造体6もさらなる溶着シーム7で取り囲まれることができる。相応に、アンテナ構造6及び/又はRFIDチップ5の領域への水分の浸入に対して、特に信頼性が高く安全なバリアを形成することができる。溶着シーム7は、アンテナ構造6上に位置するように、又はアンテナ構造6を横切るように設計することもできる。
【0056】
図7は、識別ラベル1のさらなる実施例を模式的に示す上面図である。粘着層11は、大きな表面積を有し、互いに離間した2つの別個の接着セクションを有することができる。2つの接着セクションを互いに分離する非接着領域16は、接着層11の2つの接着セクションの間に位置する。したがって、接剤層11は、非接着領域16において抜けている。非接着領域16は、溶着シーム7を形成するための接合領域を提供する。
図7に示す実施形態例によれば、接着剤層11は連続しておらず、RFIDアンテナ構造6の内側領域及び溶着シーム7に隣接する外縁領域に配置されている。接着剤が抜けている領域16は、RFIDアンテナ構造6の形状に適合しており、
図7に示される実施形態例によれば、基本的に矩形状である。
【0057】
溶着シーム7は、
図8乃至
図10に示すように、所定の2次元構造で形成することもできる。
図8乃至10はそれぞれ、実質的に識別ラベル1の主延在平面内に延在する溶着シーム7の可能な設計の概略図を示す。溶着シーム7は、波型構造又はジグザグ構造(
図8参照)、サンレイ構造(
図9参照)、又はワッフル構造(
図10参照)を有することができる。いずれの場合も、溶着シーム7は、狭い直線状の溶着シームと比較して、溶着シームの固有の剛性を高め、識別ラベル1の剛性の向上に寄与するために、意図的に幅広に形成されている。また、このような溶着シームの構成は、識別ラベル1の不所望な皺を打ち消すのに役立ち、その後の識別ラベル1の対象物への、又は対象物上への歪みのない貼付を可能にする。溶着シーム7は、区画ごとに形成することができ、いくつかの始点と終点を有するか、又は1回の連続作業で閉じることができる。従って、
図9及び
図10の図示された線区画は、フレームの形態で図示された溶着シーム7を首尾一貫して形成するか、又は少なくともそれに寄与する、それぞれの溶着シームを実現することができる。
【0058】
図11は、識別ラベル1のデザインを製作する工程のフローチャートである。製作は、例えば、
図5に示す装置に従って超音波溶着によって行うことができる。
【0059】
ステップS1では、識別ラベル1の構成要素が提供される。RFIDトランスポンダ3は、RFIDチップ5と、アンテナ構造6とRFIDチップ5及びアンテナ構造6が配置されたキャリア層4とを備える。さらに、シーリング層が上部層2の形態で設けられている。
【0060】
さらなるステップS2において、RFIDトランスポンダ3及び上部層2は、RFIDチップ5及び/又はアンテナ構造6が上部層2とキャリア層4との間に配置されるように、互いに対して相対的に配置される。
【0061】
さらなるステップS3では、超音波溶着によって溶着シーム7を形成する。ソノトロード14及びアンビル15は互いに向かってガイドされ、上得層2及びキャリア層4が互いに押圧されて融合するように接触させられる。ソノトロード14は、例えば、アンビル15をハンマーのように叩いて、上部層2及びバッキング層4が縦方向の超音波溶着によって接合されるようにすることができる。代替的又は追加的に、ソノトロード14はアンビル15と擦れ合うので、上部層2及びキャリア層4はねじり超音波溶着によって接合される。溶着シーム7を形成することにより、RFIDチップ5及び/又はアンテナ構造6は溶着シーム7に取り囲まれ、上部層2及びキャリア層4との間に封入される(
図2及び
図4参照)。
【0062】
代替的又は追加的に、溶着シーム7は、熱溶着及び/又はレーザー溶着及び/又はシーリングによって形成することができる。
【0063】
ステップS4では、識別ラベル1の外郭を形成するために、打ち抜き工程及び/又は切断工程を実施することができる。好ましくは、ステップS3及びS4は、単一の作業工程で実施することができる。例えば、上部層2のキャリア層4との溶着は、パンチング及び/又はレーザー切断と組み合わせて実施することができる。
【0064】
図5に示す装置によれば、識別ラベル1に基本半径を導入して所定の曲率で形成するために、溶着シーム7は所定の3次元輪郭で形成されることもできる。ソノトロード14とアンビル15は、作業接点に相補的な曲面を有し、作業中は互いに対向する。したがって、溶着シーム7を積層方向Rに対して所定の曲率で形成することができ、したがって、識別ラベル1をその主延在平面に対して所定の曲率で形成することができることを意味する。
【0065】
ソノトロード14及びアンビル15の形状又は作業面は、好ましくは、識別ラベル1を適用すべき対象物10の外形、例えば注射器の周面形状に対応するように選択される。湾曲した表面に適用すべき平坦なラベルと比較して、識別ラベル1を平坦な位置に付勢する復元力が低減される。したがって、識別ラベル1の注射器への適用が特に容易になるとともに、注射器の保持力が向上する。
【0066】
識別ラベル1の形成は、特に1つ以上の材料ウェブによって連続的に行うことができるので、多数の識別ラベル1を容易かつコスト効率よく製造することができる。
【0067】
RFIDインレイは、識別ラベル1の上部材料と下部材料とを材料結合的に溶着することにより、ラベル内部に封入され、湿気から保護される。上部材料又は上部層2は、インレイ基材又はRFIDトランスポンダ3のキャリア層4に直接溶着することができる。さらなる実施形態によれば、上部材料は下部カバー層又は下部層8に溶着することができる。いずれの場合も、RFIDチップ5、アンテナ構造6、場合によっては接着箇所11を湿気から保護する完全に密閉された空間が形成される。さらに、RFIDチップ5の周囲又はアンテナ構造体6の周囲に直接、局所的な溶着のみを行うことも可能である。特に、局所的な溶着は、ラベルフォーマットの形状におけるラベルエッジ12に沿って実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 識別ラベル(Kennzeichnungsetikett)
2 シーリング層/上部層(Versiegelungsschicht/Oberschicht)
3 RFIDトランスポンダ(RFID-Transponder)
4 シーリング層/下部層/RFIDトランスポンダのキャリア層(Versiegelungsschicht/Untergrund/Traegerschicht des RFID-Transponders)
5 RFIDトランスポンダのRFIDチップ(RFID-Chip des RFID-Transponders)
6 RFIDトランスポンダのアンテナ構造(Antennenstruktur des RFID-Transponders)
7 溶着シーム(Schweissnaht)
8 基材/下部層(Untergrund/Unterschicht)
9 接着層(Klebeschicht)
10 対象物(Gegenstand)
11 接着層(Klebeschicht)
12 ラベルエッジ(Etikettenrand)
13 基材/対象物の表面(Untergrund/Oberflaeche des Gegenstandes)
14 ソノトロード(Sonotrode)
15 アンボス(Amboss)
16 接着フリー領域/接合ゾーン(klebefreier Bereich/Fuegezone)
R 識別ラベルの積層方向(Stapelrichtung des Kennzeichnungsetiketts)
S(i) 識別ラベルの製造方法のステップ
【国際調査報告】