(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ストレス状態で心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20250115BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20250115BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/50 511G
A61B6/50 500B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536423
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2022062070
(87)【国際公開番号】W WO2023111814
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021000031475
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524229370
【氏名又は名称】セントロ カルディオロジコ モンジノ エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ディ グレゴリオ,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ポントン,ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】クアルテロニ,アルフィオ
(72)【発明者】
【氏名】ベルガラ,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA21
4C093AA24
4C093DA02
4C093FF16
4C093FF22
(57)【要約】
ストレス状態で心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法は、心筋灌流のシミュレートマルチフィジックスモデルを生成するステップ(2)を含み、生成ステップ(2)は、三次元流体力学記述によって、心外膜血管のシミュレーションモデルを生成するステップ(21)と;多コンパートメント多孔質媒体によって、心壁内血管のシミュレーションモデルを生成するステップ(22)と;心外膜血管のシミュレーションモデルと心壁内血管のシミュレーションモデルを結合するステップ(23)と;ストレス状態での心筋灌流のシミュレートマルチフィジックスモデルの物理的パラメータを自動較正するステップ(3)と、をさらに含み、較正された物理的パラメータは、透水係数テンソル(Ki、i=1、2、3)、心外膜冠動脈と壁内血管との間のコンダクタンス(αj、j=1、…、J)、及びコンパートメント(i、k)間のコンダクタンス(βi、k,i、k=1、2、3)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安静時冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影装置上で実行される、ストレス状態での心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法であって、心筋灌流のシミュレートマルチフィジックスモデルを生成するステップ(2)を含み、前記生成ステップ(2)は、さらに以下を含む:
-三次元流体力学記述による心外膜血管のシミュレーションモデルを生成するステップ(21)と;
-多区画多孔質媒体によって、壁内血管のシミュレーションモデルを生成するステップ(22)と;
-前記心外膜血管の前記シミュレーションモデルと前記壁内血管の前記シミュレーションモデルとを結合するステップ(23)と;
ストレス状態での前記心筋灌流の前記シミュレートマルチフィジックスモデルの物理的パラメータを自動較正するステップ(3)を含むことを特徴とし、ここで、前記較正された物理パラメータは:
-透水係数テンソル(K
i、i=1、2、3);
-心外膜冠動脈と壁内血管との間のコンダクタンス(α
j,j=1、...、J);及び
-コンパートメント(i、k)間のコンダクタンス(β
i,k、i
,k=1、2、3)であり:
ここで、前記自動較正のステップ(3)は、以下のステップ:
-安静状態における前記壁内血管の幾何学的特性及び流体力学特性を利用することによる安静状態の前記物理的パラメータの推定ステップ(31)と;
-ストレス状態での血管拡張を考慮して、前記物理的パラメータを調整するステップ(32)と;
-特に前記隔壁内の物理的パラメータを増加させることによって、前記隔壁における前記物理的パラメータを修正するステップ(33)と;を含み、
ここで、前記物理的パラメータの前記調整ステップ(32)は、以下のステップを実行すること:
-安静状態及びストレス状態で得られた軸方向スキャンで確認できる心外膜冠動脈のサンプルを選択することと;
-前記サンプル心外膜冠動脈における安静状態の半径の値R
rest-sample及びストレス状態の半径の値R
stress-sampleを測定することと;
-前記血管拡張係数v
strを次のように計算することと;
【数1】
-安静時コンピュータ断層撮影血管造影(CTA)から再構築された前記心外膜冠動脈の中心線を計算し、前記中心線の各ポイントにおける前記血管の半径を計算することと;
-前記中心線から管状表面を押し出すことによって新しい心外膜冠動脈表面を生成することであって、各管の半径は、次のように計算される:
【数2】
式中、sは、中心線に沿った曲線横座標である、方法。
【請求項2】
前記推定ステップ(31)が、グローバル定数透水係数テンソルK
iを以下のように計算することを含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンピュータ実装方法:
【数3】
【請求項3】
前記透水係数テンソルK
j
iが、以下のように定義されることを特徴とする、請求項2に記載のコンピュータ実装方法:
【数4】
【請求項4】
前記定常間隙率Φ
j
iが、以下のように定義されることを特徴とする、請求項3に記載のコンピュータ実装方法:
【数5】
式中、
【数6】
【数7】
【請求項5】
前記推定ステップ(31)は、グローバル区分定数コンパートメント間コンダクタンスβ
i,kを以下のように計算することを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法:
【数8】
【請求項6】
前記灌流領域Ω
j
M内の前記ローカル結合係数β
j
i,kが、以下のように定義されることを特徴とする、請求項5に記載のコンピュータ実装方法:
【数9】
【数10】
(それ以外)
【数11】
【数12】
(それ以外)、
【数13】
(他の場所)
【数14】
及び
【数15】
である。
【請求項7】
前記推定ステップ(31)が、前記コンダクタンス係数α
jを次のように計算することを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法:
【数16】
【請求項8】
前記修正ステップ(33)が、前記隔壁灌流領域において、前記コンパートメント間圧力結合係数(β
1,2、β
2,3)に所定の係数を乗算することを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のストレス状態で心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法(1)のステップを実行するように構成された、安静時冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(cCTA)のための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス状態で心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋灌流は、心筋血流(MBF)としても知られており、冠状循環によって供給される、心筋と呼ばれる心臓の筋肉へ血液を供給することである。
【0003】
MBFの定量化及び冠動脈疾患(CAD)の機能評価は、ストレス心筋コンピュータ断層撮影灌流(ストレス-CTP)によって達成可能である。
【0004】
この技術では、安静時冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(cCTA)後の追加スキャンと静脈内ストレッサー投与が必要となり、これにより、患者の放射線曝露が増加し、ストレッサーに関連する副作用が発生する可能性がもたらされる。
【0005】
計算方法では、心筋灌流の定量化及び冠動脈狭窄の検出のための完全なる非侵襲的診断技術を可能にし、臨床医に対する具体的なサポートとして効果的なツールが明らかになり得る。
【0006】
この目的のために、文書「A computational model applied to myocardial perfusion in the human heart:From large coronaries to microvasculature」(Journal of Computational Physics,424:109836,2021)では、MBFを定量化するための心筋灌流のマルチフィジックス数学的及び数値モデルが提唱され、これにより、ストレスプロトコル、及び関連する潜在的な副作用を回避し、放射線曝露を減少させる。
【0007】
しかし、数学的及び数値的モデル自体は、ストレス状態でのMBFを定量化するには十分でなく、実際には、数値シミュレーションでストレス状態でのMBFを計算できるようにする好適な患者固有のパラメータのセットを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の主な目的は、特定の患者について、ストレス状態でのMBFを効果的かつ正確な方法で計算することを可能にする、ストレス状態で心筋血流のシミュレーションを行うためのコンピュータ実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、請求項1の特徴に従って、ストレス状態で心筋血流をシミュレートするための本発明のコンピュータ実装方法によって達成される。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面に例示されているが限定されない例として、ストレス状態での心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法の好ましい実施形態ではあるが、排他的ではない説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明によるコンピュータ実装方法のブロック図である。
【
図2】本発明によるコンピュータ実装方法の物理的パラメータ調整ステップのためにシミュレートされたストレス状態での血管拡張を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を特に参照すると、参照番号1で全体が示されているのは、ストレス状態で心筋血流をシミュレートするためのコンピュータ実装方法である。
【0013】
本発明によるコンピュータ実装方法1は、心筋灌流のシミュレートマルチフィジックスモデルを生成する第1のステップ2を含む。
【0014】
特に、冠動脈樹では、心外膜上に位置する主血管である心外膜血管と、組織に浸透するより小さい血管である壁内血管との間に明確なスケールの分離が観察され得る(The multi-scale modelling of coronary blood flow.Annals of Biomedical Engineering,40(11):2399-2413,2012)。
【0015】
したがって、このようなスケールの分離により、心筋灌流のシミュレートマルチフィジックスモデルを生成するステップ2は、以下を含む:
-ステップ21:三次元流体力学記述による心外膜血管のシミュレーションモデルを生成する;
-ステップ22:多区画多孔質媒体によって、壁内血管のシミュレーションモデルを生成する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、三次元流体力学記述を使用して、心外膜血管のシミュレーションモデルを生成するステップは、非圧縮ナビエ・ストークス方程式を使用して実行される。
【0017】
さらに、好ましい実施形態によれば、多区画多孔質媒体によって、壁内血管のシミュレーションモデルを生成するステップは、ダルシーの法則を使用して実行される(Multi-scale parameterisation of a myocardial perfusion model using whole-organ arterial networks.Annals of Biomedical Engineering,42(4):797-811,2014)。
【0018】
さらに、心筋灌流のマルチフィジックスシミュレーションモデルを生成するステップ2は、各灌流領域における質量及び運動量の連続性に基づく界面条件を使用して、心外膜血管のシミュレーションモデルと心筋壁内血管のシミュレーションモデルとを結合するステップ23を含み、ここで、各灌流領域は、別個の心外膜血管によって灌流される特定の心筋区域である(Visualisation of intramural coronary vasculature by an imaging cryomicrotome suggests compartmentalization of myocardial perfusion areas.Medical and Biological Engineering and Computing,43(4):431-435,2005)。
【0019】
特に、3つのコンパートメントの場合、心筋灌流のマルチフィジックスシミュレーションモデルを生成するステップ2は、次式を実行することによって実装可能である:
【0020】
【0021】
最後に、表記χAは、ドメインAの特性関数を表す。
【0022】
特に、コンパートメント間の質量保存を強制するために、
βi,k=βk,i,
【0023】
【0024】
さらに、コンパートメントiは、隣接するコンパートメントとのみ質量を交換するため、2≦i≦N-1の場合k=i±1、i=1の場合k=2、i=Nの場合k=N-1のときは、常に、βi,k≠0である。特に、結合条件には第1のコンパートメントのみが関与し、ダルシー方程式の均質化特性により、コンパートメント全体の圧力の平均Ωjが考慮される。
【0025】
「A computational model applied to myocardial perfusion in the human heart:From large coronaries to microvasculature(Journal of Computational Physics,424:109836,2021)に開示されているとおり、特に、マルチフィジックスシミュレーションモデルを生成するステップ2を実装できることが指摘されている。
【0026】
心筋血流(MBF)マップの臨床データを再現するために、本発明によるコンピュータ実装方法1によって実行されるシミュレーションは、心筋灌流のシミュレートマルチフィジックスモデルの適切なセットの特定の物理的パラメータを必要とする。
【0027】
有利なことに、本発明によるコンピュータ実装方法1は、ストレス状態における心筋灌流のマルチフィジックスシミュレーションモデルの物理的パラメータを自動較正するステップ3を含む。
【0028】
特に、較正された物理的パラメータは、以下のとおりである:
透水係数テンソルKi、i=1、2、3;
心外膜冠動脈と壁内血管との間のコンダクタンスαj、j=1、...、J、及び
コンパートメントiとkとの間のコンパートメント間コンダクタンスβi,k、i、k=1、2、3。
【0029】
このようなパラメータの好適な値は、各患者について推定され、異なる灌流領域間で異なることが想定される。
【0030】
図1に概略的に示すとおり、ストレス状態での物理的パラメータの自動較正ステップ3は、以下のステップを含む:
-安静状態における壁内血管の幾何学的特性及び流体力学特性を利用することにより、安静状態の物理的パラメータを推定するステップ31;
-ストレス状態での血管拡張を考慮して、物理的パラメータを調整するステップ32;
-特に隔壁内の物理的パラメータを増加させることによって、隔壁における物理的パラメータを修正するステップ33。
【0031】
推定ステップ31によれば、壁内血管ネットワークを利用して、安静状態での物理的パラメータの最初の可能な値を推定する。
【0032】
透水係数テンソルKi,i=1,2,3については、幾何学的な問題に基づいて初期化され、特に各コンパートメント及び灌流領域については、その領域の壁内血管の容積と全領域容積との比によって得られる。
【0033】
第1のステップは、特定のメトリックを使用して、壁内血管ネットワークを2つの血管群に分離することである。これは、最大血管を第1のコンパートメントに関連付け、最小血管を第2のコンパートメントに関連付けることが可能であるということに基づく。
【0034】
特に、文献「A computational model applied to myocardial perfusion in the human heart:From large coronaries to microvasculature」(Journal of Computational Physics, 424:109836, 2021)に従って生成された、代理壁内血管ネットワーク(surrogate intramural vascular network)では、第3のダルシーコンパートメントでモデル化されたネットワークの一部である微小血管を含まない。
【0035】
このような操作を実行するために、推定ステップ31は、壁内血管ネットワークの各ノードyiに対する階層パラメータζε[0,1]の定義ステップを含む。
【0036】
特に、定義ステップは、階層パラメータζ(yi)を、yiの遠位に位置する血管の長さの合計とネットワークのすべての血管の長さの合計との比として計算することを含む。
【0037】
このようにして、ζは、最も近いノードでは1になり、最も遠い末端ノードでは0になる。
【0038】
次に、各灌流領域Ωj
Mに値Zjε(0,1)が付与され、推定ステップ31は、手元の血管ネットワークのノードにおけるζの値の平均が、範囲[0,Zj]または範囲[Zj,1]にある場合に、ネットワークの血管を、第1の血管群または第2の血管群に属するようにソートするためのソートステップを含む。
【0039】
Zjの値は、2つの群において、ほぼ同じ数の血管を有するように選択される。
【0040】
特に、推定ステップ31は、以下のようにグローバル定数透水係数テンソルKiを計算することを含む:
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
コンダクタンスβi,k、及びαjを計算するには、血管ネットワーク内の圧力及び流量の分布に関する他の情報も必要である。特に、コンダクタンスβi,k、及びαjの近似値を求めるために、心外膜冠状動脈と壁内ネットワークとの結合によって得られる、血管ネットワークに沿ったポアズイユ流問題の解が考慮される。
【0047】
計算の労力を軽減するために、心外膜冠状動脈は、一次元管状構造としてモデル化する(これはパラメータ推定のためだけに行われ、モデルの他の部分では、冠動脈は三次元であることに留意されたい)。
【0048】
境界条件としては、入口圧力109mmHgと、抹消血管の半径に応じた出口圧力が規定されている。
【0049】
この圧力勾配から始まる生理学的流量を得るために、一定の乗法補正係数ηが、すべての血管半径に適用されるケースである。
【0050】
このポアズイユ解を参照すると、Qj
i,k=Qj
k,i、i、k=1、2、3は、コンパートメントiとコンパートメントkとの間の界面における灌流領域Ωj
Mで交換される総流量である。
【0051】
第3のコンパートメントにはいずれの血管もないため、Qj
2,3は、Ωj
Mの第2のコンパートメントの出口での総流量と等しくなるように設定される。
【0052】
また、pj
i,n、i=1,2は、灌流領域Ωj
Mにおけるコンパートメントiのn番目の血管内の圧力であり、
【0053】
【数8】
=39mmHgは、最下流血管の圧力(約56mmHg)とp
veinsの値=22.5mmHgとの間の平均値として計算された、すべてのjに対する微小血管系圧力の基準値である。
【0054】
特に、推定ステップ31は、以下のようにグローバル区分定数コンパートメント間コンダクタンスβi,kを計算することを含む:
【0055】
【0056】
特に、灌流領域Ωj
M内のローカル結合係数βj
i,kは、次のように定義される:
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
同様の方法で、推定ステップ31は、コンダクタンス係数αjを次のように計算することを含む:
【0065】
【0066】
安静状態での物理的パラメータを計算した後、冠動脈に対するストレス因子の影響を考慮する必要がある。この目的のために、安静時のCT画像から再構築された心外膜冠動脈ドメインΩCは、血管拡張を考慮して後処理した。
【0067】
特に、物理的パラメータの調整ステップ32は、以下のステップを実行することを含む:
-安静状態及びストレス状態で得られた軸方向スキャンで確認できる心外膜冠動脈のサンプルを選択することと;
-サンプル心外膜冠動脈における安静状態の半径の値Rrest-sample及びストレス状態の半径の値Rstress-sampleを測定することと;
-血管拡張係数Vstrを次のように計算することと;
【0068】
【数18】
-安静時コンピュータ断層撮影血管造影(CTA)から再構築させた心外膜冠動脈の中心線を計算し、中心線の各ポイントにおける血管の半径を計算することと(
図2のAからB);
-中心線から管状表面を押し出すことによって新しい心外膜冠動脈表面を生成する(
図2のBからC)ことであって、各管の半径は、次のように計算される:
【0069】
【数19】
式中、sは、中心線に沿った曲線横座標である。
【0070】
さらに、生理学的所見によれば、アデノシン注射により、血管抵抗の約10倍の増加がもたらされる。このため、壁内血管ネットワーク内での血管拡張を考慮するために、マルチコンパートメントダルシーモデルの物理的抵抗パラメータβ1,2、ならびにβ2,3、K1及びK2は、上記の推定ステップで安静状態に対して推定されたベースラインパラメータに対して10倍増加する。
【0071】
最終調整は、調整ステップにおいて推定された隔壁でのβ1,2及びβ2,3の値が他の心筋領域よりも低く、これにより、ストレスCTPで推定されたMBFに対して、数値シミュレーションによって計算されたMBFが、全身において過小評価されるという観察に基づいて実行される。
【0072】
これを克服するために、修正ステップ33は、心室中隔に位置する灌流領域において、コンパートメント間圧力結合係数β1,2及びβ2,3を係数5で乗算することを含む。
【0073】
本発明はまた、上記に開示されたコンピュータ実装方法1のステップを実行するように構成された安静時冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(cCTA)のための装置に関する。
【0074】
したがって、本発明による装置は、安静時冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(cCTA)に従来必要とされるすべてのハードウェア及びソフトウェアと、コンピュータ実装方法1を実行するように構成されたさらなる加工ユニット(elaboration unit)とを備える。
【国際調査報告】