(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】元素金属のクロマト分離および精製
(51)【国際特許分類】
B01J 20/287 20060101AFI20250115BHJP
G01N 30/00 20060101ALI20250115BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20250115BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20250115BHJP
G01N 30/34 20060101ALI20250115BHJP
G01N 30/84 20060101ALI20250115BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20250115BHJP
G01N 30/32 20060101ALI20250115BHJP
C22B 11/00 20060101ALI20250115BHJP
C22B 59/00 20060101ALI20250115BHJP
C22B 3/24 20060101ALI20250115BHJP
B01D 15/22 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
B01J20/287
G01N30/00 B
B01J20/281 G
B01J20/281 X
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N30/84 J
G01N30/88 H
G01N30/32 A
G01N30/84 E
G01N30/84 A
C22B11/00 101
C22B59/00
C22B3/24 101
B01D15/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536436
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022053411
(87)【国際公開番号】W WO2023114551
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524229831
【氏名又は名称】レア・アース・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Rare Earth Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】キフレ,デイェネ
(72)【発明者】
【氏名】レビン,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4D017
4K001
【Fターム(参考)】
4D017AA01
4D017BA12
4D017CA14
4D017DA03
4D017DB10
4D017EB07
4K001AA39
4K001AA41
4K001DB35
(57)【要約】
本発明は、希土類元素(REE)および白金族金属(PGM)の実験室規模から産業規模(小規模から産業規模)までの抽出クロマト分離に関し、容量(すなわち、1回のクロマトグラフィの実行において精製される材料の量)が実質的に向上した抽出カラムの製造および固定相の開発に関する。
より具体的には、本発明は、REEまたはPGM(典型的なREEまたはPGMフィードストックのマトリクスを含むものに由来するグループとしてのREEまたはPGM)を抽出するための抽出カラムおよび固定相の製造ならびにREEまたはPGMの個々の互いからの分離および精製に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
REEおよび/またはPGMをクロマト分離および/または精製するための固定相であって、当該固定相は、抽出剤を含んで成り、前記抽出剤は、支持体に固定されており、
前記支持体は、逆相シリカ粒子を含んで成り、前記逆相シリカ粒子は、2,000Å未満の平均ポアサイズによって特徴付けられているものであり、
前記抽出剤は、有機化合物を含んで成り、前記有機化合物は、REEおよび/またはPGMを保持および分離することができる錯体形成特性を有し、前記錯体形成特性は、様々なREEおよび/またはPGMのイオンと錯体を形成することによるものであり、前記錯体は、様々な安定性の定数を有し、
前記抽出剤は、前記支持体に含浸されており、前記含浸の条件は、以下の2つの条件:
35℃~80℃の範囲内の温度、
超音波処理工程
のうち少なくとも一方の条件下である、固定相。
【請求項2】
前記逆相シリカ粒子が、300Å未満の平均ポアサイズおよび170m
2/gよりも大きい表面積によって特徴付けられている、請求項1に記載の固定相。
【請求項3】
前記逆相シリカ粒子が、50Å~150Åの範囲内の平均ポアサイズおよび200~600m
2/gの範囲内の表面積によって特徴付けられている、請求項1に記載の固定相。
[請求項3.1]
前記温度が、50℃~60℃の範囲内である、請求項1~3に記載の固定相。
【請求項4】
前記抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物、またはそれらの1以上の組み合わせを含んで成る、請求項1~3.1に記載の固定相。
【請求項5】
前記抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物、またはそれらの1以上の組み合わせを含んで成り、以下の一般式:
【化1】
[式中、
R
1およびR
2は、独立して、親油性の炭化水素または修飾された炭化水素であり、前記炭化水素は、C6-20アルキル、C6-20アリールを含む群から選択され、
R
3は、H、C1-C6アルキルおよびC1-C6アリールである]
を有する、請求項1~4に記載の固定相。
【請求項6】
前記抽出剤は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(DHEHP)、ジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])および2-エチルヘキシル,2-エチルヘキシルホスホン酸(H[(EH)EHP])、アリクアット-336[N(CH
3)
4]、ジオクチルスルフィド[S(CH
2)
2]、またはそれらの1以上の組み合わせを含んで成る、請求項5に記載の固定相。
【請求項7】
REEおよび/またはPGMをクロマト分離および/または精製するための抽出カラムであって、当該抽出カラムは、請求項1~6に記載の固定相を含んで成る、抽出カラム。
【請求項8】
REEおよび/またはPGMをクロマト分離および/または精製するための固定相を製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程(i)および(ii):
(i)
支持体を提供する工程であって、前記支持体は、逆相シリカ粒子を含んで成り、前記逆相シリカ粒子は、2,000Å未満の平均ポアサイズによって特徴付けられているものである、工程、
(ii)
前記工程(i)の逆相シリカ粒子に少なくとも1つの抽出剤を含浸させる工程であって、
前記少なくとも1つの抽出剤は、有機化合物であり、前記有機化合物は、REEおよび/またはPGMを保持および分離することができる錯体形成特性を有し、前記錯体形成特性は、様々なREEおよび/またはPGMのイオンと錯体を形成することによるものであり、前記錯体は、様々な安定性の定数を有する、工程
を含み、
前記抽出剤は、前記支持体に含浸されており、前記含浸の条件は、以下の2つの条件:
35℃~80℃の範囲内の温度、
超音波処理工程
のうち少なくとも一方の条件下である、方法。
【請求項9】
前記逆相シリカ粒子が、300Å未満の平均ポアサイズおよび170m
2/gよりも大きい表面積によって特徴付けられている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記逆相シリカ粒子が、50Å~150Åの範囲内の平均ポアサイズおよび200~600m
2/gの範囲内の表面積によって特徴付けられている、請求項8~9に記載の方法。
[請求項10.1]
前記温度が、50℃~60℃の範囲内である、請求項8~10に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物、またはそれらの1以上の組み合わせを含んで成る、請求項8~10.1に記載の方法。
【請求項12】
前記抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物、またはそれらの1以上の組み合わせを含んで成り、以下の一般式:
【化2】
[式中、
R
1およびR
2は、独立して、親油性の炭化水素または修飾された炭化水素であり、前記炭化水素は、C6-20アルキル、C6-20アリールを含む群から選択され、
R
3は、H、C1-C6アルキルおよびC1-C6アリールである]
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出剤は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(DHEHP)、ジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])および2-エチルヘキシル,2-エチルヘキシルホスホン酸(H[(EH)EHP])、アリクアット-336[N(CH
3)
4]、ジオクチルスルフィド[S(CH
2)
2]、またはそれらの組み合わせを含んで成る、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
REEおよび/またはPGMを含む水溶液から、REEおよび/またはPGMを分離および/または精製するための方法であって、当該方法は、以下の工程(a)~(d):
(a)
請求項7に記載の抽出カラムを提供する工程、
(b)
前記REEおよび/またはPGMを含む水溶液を抽出カラムに充填する工程、
(c)
REEおよび/またはPGMを分離させるために溶離液モードを使用する工程、および
(d)
前記抽出カラムから、分離したREEおよび/またはPGMを溶出させる工程
を含む、方法。
【請求項15】
前記溶離液モードは、溶離液の濃度モードおよび/または溶離液のフロー・レート勾配モードであり、必要に応じて、前記溶出させる工程は、以下の(i)、(ii)または(iii):
(i)
前記水溶液における溶離液の鉱酸の無勾配濃度、
(ii)
前記水溶液における溶離液の鉱酸のリニア勾配の濃度、または
(iii)
前記水溶液における溶離液の鉱酸のステップ・ワイズ勾配の濃度
によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下の工程:
(e)
REEおよび/またはPGMを含む溶出液のフラクションを回収する工程、
(f)
溶出させたREEおよび/またはPGMのフラクションを最終的に濃縮させる工程、および
(g)
溶離液の鉱酸および水を回収する工程
の少なくとも1つをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記工程(d)および(e)におけるフラクションの溶出および回収は、1または1以上の抽出カラムから、REEおよび/またはPGMを回収するような様式で制御され、REEおよび/またはPGMが所定の抽出カラムにおける同様の保持容量を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記カラムに充填されるREEおよび/またはPGMの溶液は、酸のマトリクスを含み、前記マトリクスは、REEおよび/またはPGMを所定のカラムによって定量的に保持させることができる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記定量的に保持されるREEおよび/またはPGMは、REEであり、溶離液を用いて溶出され、酸の濃度および/または溶離液のフロー・レートを増加させて、最初に、ライトREEグループ、その後、SEG-REEグループ、そして、その後、ヘビーREE+Yのグループを溶出させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(i)
前記ライトREEグループは、全く存在しないか、La、PrおよびNdの少なくとも1つを含み、
(ii)
前記SEG-REEグループは、全く存在しないか、Sm、EuおよびGdの少なくとも1つを含み、
(iii)
前記ヘビーREE+Yのグループは、全く存在しないか、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYの少なくとも1つを含み、
前記3つのグループ(i)、(ii)および(iii)のうちの少なくとも1つが存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記REEおよび/またはPGMは、PGMを含み、前記PGMは、定量的に保持され、溶離液を用いて溶出され、酸の濃度および/または溶離液のフロー・レートを増加させて、
(i)
PGMの第1グループが1番目に溶出され、PGMの第1グループは、PdおよびPtの少なくとも1つを含み、
(ii)
PGMの第2グループが2番目に溶出され、PGMの第2グループは、Rh、RuおよびIrの少なくとも1つを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記工程(d)および/または(e)におけるフラクションの溶出および回収は、REEおよび/またはPGMに由来する各々の金属の実質的に純粋なフラクションを回収するように制御される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
REEのグループ、各々のREE、PGMのグループまたはPGMを含むフラクションは、回収され、蒸留、イオン交換、膜ろ過、遠心分離、溶媒抽出、蒸発、共沸蒸留、液液抽出、またはそれらの組み合わせによって、溶離液を回収するために濃縮される、請求項14~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記濃縮されたフラクションの1以上を不溶性の塩、金属の酸化物に変換し、それぞれ回収して乾燥させる、請求項14~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記溶出は、50~100barの圧力の下で行われる、請求項14~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶液は、酸性である、請求項14~25に記載の方法。
【請求項27】
前記定量的に保持されたREEは、溶離液を用いて溶出され、酸の濃度および/または溶離液のフロー・レートを増加させて、まずは、ライトREEグループ、そして、その後、SEG-REEグループ、そして、ヘビーREE+Yのグループを溶出させて、
前記ライトREEグループは、La、PrおよびNdを主に含み、
前記SEG-REEグループは、Sm、EuおよびGdを含み、
前記ヘビーREE+Yのグループは、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYを主に含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記定量的に保持されたPGMは、溶離液を用いて溶出され、酸の濃度および/または溶離液のフロー・レートを増加させて、まずは、PGMの第1グループ、そして、その後、PGMの第2グループを溶出させて、
前記PGMの第1グループは、PdおよびPtを含み、
前記PGMの第2グループは、Rh、RuおよびIrを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記フラクションの溶出および回収を制御して、各々のREEまたはPGMの実質的に純粋なフラクションを回収する、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
REEおよび/またはPGMの混合水溶液から、各々のREEおよび/またはPGMを産業として分離および精製するための方法であって、入ってくる混合されたREEおよび/またはPGMを含む溶液から、
(i)
まずは、REEおよび/またはPGMを請求項15~21のいずれか1項に記載の方法によって、REEおよびPGMのサブグループに分離し、そして、その後、
(ii)
前記REEおよび/またはPGMのサブグループの1以上を請求項22に従って分離する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、米国仮出願第63/290,829号(出願日:2021年12月17日)の利益を主張する(その全体が本開示において参考として組み込まれている)。
【0002】
(技術分野)
本発明は、抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)の固定相(又はステーショナリー・フェーズ)、このような固定相の製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)、このような固定相を含んで成る抽出カラム、およびこのような抽出カラムを製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)するための方法に関する。
このような抽出カラムは、1回(又は単回又はシングル)のクロマトグラフィのラン(又は実行)において精製される材料の量に関して、実質的に向上した容量(又はキャパシティ)を有する。
とりわけ、このような抽出カラムは、希土類元素(又はレア・アース・エレメント(Rare Earth Element))(REE)および/または白金族金属(又はプラチナ・グループ・メタル(Platinum Group Metal))(PGM)の小規模(又はスモール・スケール)および産業規模(又は工業規模又はインダストリアル・スケール)の抽出(又はエクストラクション)およびクロマト分離(又はクロマトグラフィによる分離)に有用である。
【0003】
より具体的には、本発明は、以下の(i)および(ii)のための固定相(又はステーショナリー・フェーズ)および抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)の製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)に関する。
(i)
REEおよび/またはPGMを含む典型的なフィードストック(又は供給原料)からのREEまたはPGM(グループ(又は群)として)の抽出(又はエクストラクション)、および
(ii)
REEおよび/またはPGMの互いから個々(又はそれぞれ)の分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)。
【背景技術】
【0004】
(背景)
希土類元素(レア・アース・エレメント(Rare Earth Element))(以下、省略して、REEと記載する)として、以下の(i)および(ii)が挙げられる。
(i)
元素の周期表の原子番号57~71の15元素であって、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる元素、および
(ii)
スカンジウム(原子番号:21)およびイットリウム(原子番号:39)
従って、REEの総数は17である。
しかし、これら17個の希土類元素(Rare Earth Element)(RRE)のうち、16個だけが一般的な関心になっている。なぜなら、唯一、プロメチウム(Pm)は、放射性同位元素であるからである。
REEは、同様の多くの特性(又はプロパティ)を共有し、地質学的な堆積物(又はジオロジカル・デポジット)から一緒に出現する。
それらの特性に基づいて、REEは、概して、以下の2つのグループ(1)および(2)に分けられる。
(1)
ライト(又は軽い又は軽量又は軽質)なREE(La~Gd)および
(2)
ヘビー(又は重い又は重量又は重質)なREE(Tb~Lu)
イットリウムは、最もライト(又は最も軽い又は最も軽量又は最も軽質)なREEのうちの一つであるが、ヘビー(又は重い又は重量又は重質)なREEにグループ分けされている。なぜなら、その物理化学的な特性(又はフィジコケミカル・プロパティ)は、より重い(又は重量又は重質)なREEと同様であるからである。
【0005】
自然界では、REEは、いくつかの無機質(又は鉱物又はミネラル)、典型的には、ハライド(又はハロゲン化物)、カーボネート(又は炭酸塩)、オキシド(又は酸化物)、ホスフェート(又はリン酸塩)およびシリケート(又はケイ酸塩)として発見されている。
しかしながら、REEの最も重要な供給源(又は源又はソース)は、鉱物(又は無機質又はミネラル)であるバストネサイト(又はバストネス石(bastnaesite))、モナザイト(又はモナズ石(monazite))およびゼノタイム(xenotime)である。
典型的には、これらの鉱物(又は無機質又はミネラル)は、数重量%のREEを含む。
【0006】
また、白金族金属(又はプラチナ・グループ・メタル(Platinum Group Metal))(PGM)は、高価(又はプレシャス)な金属および高貴(又はノーブル)な金属として知られているものであり、希少であり、天然物であって、金属性で化学的な元素であり、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)およびプラチナ(又は白金)(Pt)の6つの元素(又はエレメント)からなる。
用語「高価(又はプレシャス)」とは、その高価で経済的に価値があることを意味する。その一方で、用語「高貴(又はノーブル)」とは、その化学的に不活性(又はイナートネス)であることを意味する。
PGMは、元素の周期システムの同じ族(又はグループ)に存在する他のベース金属(又はベース・メタル)(例えば、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅)から、明確な物理学的な特性および化学的な特性によって特徴付けられている(又はキャラクタリゼーション)。
【0007】
PGMは、REEなどのあまり豊富でない元素の多くと比較しても、極度に希少である。
PGMは、突出してチャルコフィリック(chalcophillic)(すなわち、親硫黄性又は好硫黄性)である。従って、主にスルフィドの無機質(又は鉱物又はミネラル)において発見されている。
また、PGMのいくつかは、鉱物(又は無機質又はミネラル)として存在する(例えば、クロマイト(又はクロム鉄鉱)(chromite)、テルライド(又はテルル化物)(telluride)、セレニド(セレン化物)(selenide)、アルセニド(又はヒ化物)(arsenide)およびアンチモニド(アンチモン化物)(antimonide))。
PGMの第一の供給源(又はプライマリ・ソース)として天然の鉱石が挙げられるが、スクラップ(又は廃棄物)または二次的な材料(又はセカンダリ・マテリアル)もその重要な供給源(又は源又はソース)である。
特に、廃棄された電子スクラップ、使用済の自動車の触媒コンバータ、使用済のバッテリー、使用された電灯、スーパーアロイ、ジュエリー・スクラップおよび産業廃棄物(例えば、メッキ・ソリューション(又はメッキ液)およびメッキ・スラッジ)は、潜在的なPGMの供給源(又は源又はソース)として挙げられる。
【0008】
REEおよびPGMは、金属のグループであり、かかる金属は、我々の現代世界において、重要な役割を果たすものである。
これらは、多くの新興のハイテク(又はハイ・テクノロジー)、新エネルギー(又はニュー・エネルギー)および防衛(又はディフェンス)の産業の重要な要素(又は成分又はコンポーネント)である。その理由としては、それらの個性的(又はユニーク)な核、冶金、化学、触媒、電気、磁気、さらに光学的な特性(又はプロパティ)が挙げられるからである。
【0009】
REEおよびPGMの適用(又は応用又はアプリケーション)は、それらの特徴(又はキャラクタリスティクス)だけでなく、それらの純度(又はピュアリティ)にも依存する。
従って、それらの市場価格は、純度に応じて、顕著に増加する。
REEおよび/またはPGMの供給源(又は源又はソース)は、無機質(又は鉱物又はミネラル)および二次的な材料(又はマテリアル)であり、これらは、いくつかのREEおよび/またはPGMの混合物からなるものである。
従って、ハイテク用途(又は適用又は応用又はハイ・テクノロジー・アプリケーション)において使用するためには、それらをそれらのそれぞれのマトリクス成分(又はマトリクス・コンポーネント)から分離する必要がある。そして、また、高度の純度で互いに分離する必要がある。
しかし、同様の物理化学的な特性(又はプロパティ)によって、REEおよび/またはPGMの分離が難しいものになり、困難な産業上の課題となっている。
【0010】
それぞれのREEまたはそれぞれのPGMの市販品の製造は、採鉱(又はマイニング)のプロセス(又は工程又は処理又は方法)から出発する。このプロセスでは、大地からそれぞれの鉱石材料を取り出し、砕石して、適切な粒子の大きさ(又は寸法又はサイズ)にまで粉にする。
このあと、REEおよび/またはPGMを含む無機質(又は鉱物又はミネラル)を単離することを目的として、さらに処理する。
この処理工程(又は処理ステップ)は、無機質(又は鉱物又はミネラル)を含むREEおよび/またはPGMを濃縮(又は富化又は豊富化又はエンリッチメント)するためのものであり、典型的には、フローテーションおよび磁気分離(又はマグネティック・セパレーション)が含まれる。
かなり純度の高いREEおよび/またはPGMを含む無機質(又は鉱物又はミネラル)の濃縮物は、このアプローチによって製造することができる。
【0011】
その後、それぞれの鉱石の濃縮物は、さらに精製されて、REEおよび/またはPGMの濃縮液にする。
このことは、適切な鉱酸(又はミネラル・アシッド)(例えば、塩化水素酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)、王水(3HCl+1HNO3))、または強塩基(例えば、苛性ソーダ(NaOH)または苛性カリ(KOH))において岩石材料(又はロック・マテリアル)を溶解させることによって行われる。
溶解は、しばしば、昇温させた温度での処理が必要となる。
その後、得られるREEおよび/またはPGMの塩、典型的には、クロリド(又はクロライド又は塩化物)、スルフェート(又は硫酸塩)およびニトレート(又は硝酸塩)、またはREEおよび/またはPGMのヒドロキシド(又は水酸化物)は、単一の元素(又はシングル・エレメント)に分離される。困難なプロセス(又は工程又は処理又は方法)は、REEおよび/またはPGMの同様の物理化学的な特性(又はプロパティ)に起因するものである。
【0012】
溶媒抽出(又はソルベント・エクストラクション)は、最も共通の分離方法である。溶媒抽出において、有機溶媒(錯化剤(又は錯体化剤又は錯体形成剤又はコンプレキセーション・エージェント)(例えば、抽出剤(又はエクストラクタント))を含む)を水の流れ(又はストリーム)(混合されたREEおよび/またはPGMの入ってくる塩(又は流入する塩又はインカミング・ソルト)を含む)に向流(又はカウンターカレント)で流す(又はフローする)。
(REEおよび/またはPGMのイオン)と(抽出剤の分子)との間で錯体(又はコンプレックス)が形成され、様々なREE錯体および/またはPGM錯体の安定性(又はスタビリティ)の定数(又は係数又はコンスタント)(又はスタビリティ・コンスタント)の差に基づいて、REEおよび/またはPGMを分離する。
【0013】
溶媒抽出は、十分な分離(又はセパレーション)および十分な純度(又はピュアリティ)を達成するために、数百あるいは数千の抽出工程を必要とすることから、これは処理に重大な不利益をもたらす。
さらに、各プラントは、特定の原料および分離される生成物の特定の純度にあわせて、特注しなければならない(又はカスタム・メイド又はオーダー・メイド)。
溶媒抽出は、大量のプロセス化学物質を消費し、それに伴う健康(Health)、安全(Safety)および環境(Environment)(HSE)の課題がある。
【0014】
イオン交換クロマトグラフィ(又はイオン・エクスチェンジ・クロマトグラフィ)またはリガンド・アシスト置換クロマトグラフィ(又は配位子アシスト置換クロマトグラフィ又はリガンド・アシスト・ディスプレイスメント・クロマトグラフィ)は、代替のプロセス(又は工程又は処理又は方法)である。このプロセスは、広く使用されていたが、その後、1970年代には溶媒抽出プロセスに引き継がれた。
典型的には、REEの強カチオン交換材料(又はストロング・カチオン・エクスチェンジ・マテリアル)としてポリビニルスルホニル酸を使用し、PGMの強アニオン交換剤(又はストロング・アニオン・エクスチェンジャ)として第4級アンモニウムを使用した。
充填(又はロード又はローディング)した後、REEまたはPGMのイオンをリガンド(又は配位子)の存在下で適切なイオンと交換する。
このような混合物は、高純度を達成するために、いくつかのカラムを通過しなければならず、大量のリガンド溶液(又は配位子溶液)を必要とし、数グラムのREEまたはPGMを分離するために、極めて長い置換時間(最大で数週間)を必要とする。その結果、生産性は(又はプロダクティビティ)は低くなる。
さらに、それぞれのラン(又は実行)の後、カラムは適切な溶液で再生させる必要がある。
このことは、製造コストのより顕著な増加をもたらす(40$/kgの範囲内)。このことは、不経済となる。従って、大規模(又はラージ・スケール)での製造(又は生産又はプロダクション)には不適切である。
【0015】
最近では、金属イオン、特に希土類元素(Rare Earth Element)(REE)を分離するためのリガンド・アシスト溶出クロマトグラフィ(又は配位子アシスト溶出クロマトグラフィ又はリガンド・アシスト・エリューション・クロマトグラフィ)のプロセス(又は工程又は処理又は方法)が公開されている(Wangら、2020、米国特許第10,597,751B2号)。
この方法は、2セットのカラムシステムに基づくものであり、2セットの溶出リガンド溶液を組み合わせて用いる。
第1セットのカラムは、強酸カチオン交換樹脂を含む。
第2セットのクロマトグラフィのカラムは、多価(又はポリバレント)の金属酸化物(含水)(例えば、TiO2、ZrO2またはSnO2)を含み、溶出リガンドは、EDTAおよび/またはDTPAの溶液である。
この提案された方法は、バッチ・モードおよび連続クロマトグラフィ・モードの両方において、実質的に純粋(又はピュア)で合理的に高い生産性(又はプロダクティビティ)および比較的に低い製造コスト(又は生産コスト又はプロダクション・コスト)を有する希土類元素を製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)できることを主張している。従って、大規模製造(又は大規模生産又はラージ・スケール・プロダクション)に適している。
【0016】
しかし、この提案されたプロセスは、比較的に複雑である。このプロセスでは、2セットのカラム・システムと複数の溶媒(洗浄(又はウォッシング)、溶出(又はエリューション)および再生(又はリジェネレーション)のための溶媒)(これらのうち、いくつかは、非常に高価な化学物質である)を利用する。
さらに、この方法は、より長いサイクル時間(又はサイクル・タイム)(12時間以上)を必要とする。実際、このサイクル時間は、リガンド・アシスト置換クロマトグラフィ(又は配位子アシスト置換クロマトグラフィ又はリガンド・アシスト・ディスプレイスメント・クロマトグラフィ)のサイクル時間(すなわち、約3週間)と比較して、顕著に短い。しかし、まだ、サイクル時間は、はるかに長い。
さらに、この文献のデータによると、主張されるより低い製造コスト(3.4~8.9$/kg)は、リサイクル(又は再利用)されてリユース(又は再使用)される溶出リガンド(又は溶出配位子又はエリューション・リガンド)の量に大きく依存し、なおかつ、このような溶出リガンドに大いに敏感である。
なお、この文献のデータによると、溶出リガンドのリサイクルされた量の割合(又はパーセンテージ又は%)がわずかに減少することによって(例えば、99%~95%)、製造コストが約265%を超えて増加するようになる。このような増加は、顕著に大きく、リスクも高い。
そのうえ、このプロセスにおける有機化合物の溶液の使用は、環境に悪い廃棄物を必然的に生じさせるものであり、このような廃棄物は、処理しなければならない。
【0017】
抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)は、REEの分離(又はセパレーション)を達成するために使用される別の方法である。尚、抽出クロマトグラフィは、もともとは、溶媒抽出(又はソルベント・エクストラクション)の出現とともに、1960年代に開発されていた。
抽出クロマトグラフィにおいて、分離カラム(又はセパレーション・カラム)は、キレート化剤(又はキレーティング・エージェント)(溶媒抽出で使用されているものが多い)で含浸されていて、それにより、REEまたはPGMの吸着材(又は吸着剤又はソーベント)の選択性(又はセレクティビティ)を増加させる。
【0018】
抽出クロマトグラフィの大きな制限は、その固有の低い容量(又はキャパシティ)である。このような固有の低い容量は、少量の抽出剤(又はエクストラクタント)が抽出カラムに存在することに起因するものである。次いで、低い生産性(又はプロダクティビティ)および極めて高い樹脂のコスト(16,000/Kg以上)をもたらす。
結果として、この方法は、産業規模(又は工業規模又はインダストリアル・スケール)まで、さらには全く開発されておらず、分析のクロマトグラフィのみに限定されている。
【0019】
無機質(又は鉱物又はミネラル)を含むREEおよびPGMの採鉱(又はマイニング)および濃縮(又は富化又は豊富化又はエンリッチメント)については、とりわけ、www.mineralsUK.com および書籍(Nature's building blocks an A - Z guide to the elements, John Emsley, Oxford University press, ISBN 0-19-8500340-7)に要約されていて、見出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
既存のREEおよびPGMの分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)の方法は、技術的に不十分であり、環境に悪影響を与えるものであり、複雑で冗長なプロセスによって特徴付けられている。従って、大規模(又はラージ・スケール)の製造(又は生産又はプロダクション)には適していない。そして/または、大きな投資や製造コストを必要とする。
REEおよびPGMのユニークな特性(又はプロパティ)に依存する新たな技術が出現および成長すると、世界中のハイテク産業(又はハイ・テクノロジー・インダストリ)および防衛産業(又はディフェンス・インダストリ)から、高純度の個々のREEおよびPGMが求められることが増えている。
また、現行のREEおよびPGMの分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)の技術によって引き起こされる汚染レベル(又はポリューション・レベル)を減少させるために、国際的および国内的の両方から、圧倒的な圧力がかけられている。
そこには、革新的で、効率的で、費用効果が高く、環境に優しくREEおよびPGMを分離する方法およびシステムが必要とされている。
【0021】
現在、分取の用途(又は適用又は応用又はアプリケーション)を可能にするために、抽出クロマトグラフィの固有の制限(すなわち、抽出カラムの容量(又はキャパシティ)が低いこと(又はロー・キャパシティ))を改善(又は改良)しようとする試みが行われていた。
様々な種類(又はタイプ)の逆相シリカ材料(又はリバース・フェーズ・シリカ材料又はリバース・フェーズ・シリカ・マテリアル)を採用して、抽出剤(又はエクストラクタント)を様々な含浸技術を用いて物理的に含浸させている。
【0022】
大きな孔(又は細孔又はポア)(又はワイド・ポア)(300Åよりも大きい)の逆相(又はリバース・フェーズ)(RP)のシリカは、小さな孔(又は細孔又はポア)(又はナロー・ポア)(100Å)のRP-シリカと比較して、表面積が半分未満であるにも関わらず、より良好な抽出剤(又はエクストラクタント)の保持容量(又はリテンション容量又はリテンション・キャパシティ)を示した(約183%)。
換言すると、これまでの研究によって、抽出クロマトグラフィに関して、300Åよりも大きな孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)を有するワイド・ポア・シリカを用いることが支持されていて、300Å未満のナロー・ポアのRP-シリカを用いることは拒絶されている。
【0023】
ナロー・ポアのRP-シリカによると、抽出剤(又はエクストラクタント)の保持容量(又はリテンション容量又はリテンション・キャパシティ)または抽出剤(又はエクストラクタント)の密度(又はデンシティ)(又はリアクタント・デンシティ)が低くなることの主な理由は、その粘度が高い性質(又はビスコス・ネイチャ)に起因して、抽出剤(又はエクストラクタント)の拡散(又はディフュージョン)が低下することに関連していた。このことによって、ナロー・ポアのRP-シリカのすべての利用可能な結合部位(又はバインディング・サイト)への抽出剤の分子の到達が妨害されていた。
有機溶媒(例えば、希釈剤)の使用は、有用ではなかった。なぜなら、有機溶媒は、抽出剤(又はエクストラクタント)をフラッシュして(又は流して)、さらに低い抽出剤の密度をもたらすからである。
換言すると、ナロー・ポアのRP-シリカは、ワイド・ポアのRP-シリカ(300Åよりも大きな孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)を有するもの)と比較して、抽出剤の密度が所望していたものよりも小さいことが分かった。
【0024】
本発明の包括的な目的は、混合されたREE濃縮物またはPGM濃縮物の市販品として入手可能な供給源(又は源又はソース)から、REEおよびPGMをそれぞれ分離(又はセパレーション)するための代替の方法論(又はメソドロジー)および産業上(又は工業上)のプロセス(又は工程又は処理又は方法)(すなわち、より環境に優しく、費用効果に優れる上記の方法の代替の方法)を開発すること、ならびに、先行技術のテクノロジーに付随する技術、環境および他の問題を回避または実質的に減少させることである。
【0025】
本発明の具体的な目的の一つは、実質的に向上した容量(又はキャパシティ)(すなわち、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ))を有する固定相(又はステーショナリー・フェーズ)であって、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)および固相抽出(又はソリッド・フェーズ・エクストラクション)によって、REEおよび/またはPGMを分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)するための固定相を開発することであった。
【0026】
他の目的は、本明細書を読むことによって、当業者には明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0027】
(発明の要旨)
特定の態様において、本発明は、REEおよび/またはPGMをクロマト分離(又はクロマトグラフィによる分離又はクロマトグラフィック・セパレーション)および/または精製(又はピュアリフィケーション)するための固定相(又はステーショナリー・フェーズ)に関する。
当該固定相は、抽出剤(又はエクストラクタント)を含んで成り、抽出剤は、支持体(又はサポート)に固定(又はイモビライゼーション)されており、
支持体は、逆相シリカ粒子(又はリバース・フェーズ・シリカ粒子又はリバース・フェーズ・シリカ・パーティクル)を含んで成り、逆相シリカ粒子は、2,000Å未満の平均ポアサイズ(又は平均の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)又は平均孔径又は平均細孔径又はアベレージ・ポアサイズ)によって特徴付けられているものである(又はキャラクタリゼーション)。
抽出剤は、有機化合物を含んで成り、このような有機化合物は、REEおよび/またはPGMを保持および分離することができる錯体形成特性(又はコンプレックス・フォーミング・プロパティ)を有し、このような錯体形成特性は、様々なREEおよび/またはPGMのイオンと錯体(又はコンプレックス)を形成することによるものであり、錯体(又はコンプレックス)は、様々な安定性(又はスタビリティ)の定数(又は係数又はコンスタント)を有する。
抽出剤は、35℃~80℃の範囲内の温度、例えば、70℃、および/または、超音波処理工程において、支持体に含浸されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、逆相シリカ粒子は、300Å未満の平均ポアサイズおよび170m2/gよりも大きい表面積によって特徴付けられている(又はキャラクタリゼーション)。
【0029】
いくつかの実施形態において、逆相シリカ粒子は、50Å~150Åの範囲内の平均ポアサイズ、例えば、60Åの平均ポアサイズおよび200~600m2/gの範囲内の表面積、例えば、560m2/gの表面積によって特徴付けられている(又はキャラクタリゼーション)。
【0030】
いくつかの実施形態において、温度は、50℃~60℃の範囲内である。
【0031】
いくつかの実施形態において、抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物(又は硫黄含有有機化合物又はサルファー・ベアリング・オーガニック・コンパウンド(sulfur bearing organic compound))、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を含んで成る。
【0032】
いくつかの実施形態において、抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物(又は硫黄含有有機化合物又はサルファー・ベアリング・オーガニック・コンパウンド(sulfur bearing organic compound))、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を含んで成り、以下の一般式を有する。
【化1】
[式中、
R
1およびR
2は、独立して、親油性(又はリポフィリック)の炭化水素または修飾された炭化水素であり、前記炭化水素は、C6-20アルキル、C6-20アリールを含む群から選択され、
R
3は、H、C1-C6アルキルおよびC1-C6アリールである]
【0033】
いくつかの実施形態において、抽出剤は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(DHEHP)、ジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])および2-エチルヘキシル,2-エチルヘキシルホスホン酸(H[(EH)EHP])、アリクアット(aliquat)-336[N(CH3)4]、ジオクチルスルフィド[S(CH2)2]、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を含んで成る。
【0034】
特定の態様において、本発明は、REEおよび/またはPGMをクロマト分離および/または精製するための抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)に関する。当該抽出カラムは、本開示で説明する固定相を含んで成る。
【0035】
特定の態様において、本発明は、REEおよび/またはPGMをクロマト分離および/または精製するための固定相を製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)するための方法に関する。
当該方法は、以下の工程(i)および(ii)を含む。
(i)
支持体を提供する工程であって、支持体は、逆相シリカ粒子を含んで成り、逆相シリカ粒子は、2,000Å未満の平均ポアサイズによって特徴付けられているものである、工程、
(ii)
工程(i)の逆相シリカ粒子に少なくとも1つの抽出剤を含浸させる工程であって、
少なくとも1つの抽出剤は、有機化合物であり、有機化合物は、REEおよび/またはPGMを保持および分離することができる錯体形成特性(又はコンプレックス・フォーミング・プロパティ)を有し、このような錯体形成特性は、様々なREEおよび/またはPGMのイオンと錯体(又はコンプレックス)を形成することによるものであり、錯体(又はコンプレックス)は、様々な安定性(又はスタビリティ)の定数(又は係数又はコンスタント)(又はスタビリティ・コンスタント)を有する、工程。
抽出剤は、支持体に含浸されており、含浸の条件は、以下の2つの条件:
50℃~80℃の範囲内の温度、例えば、70℃、
超音波処理工程(又はウルトラソニック・トリートメント・ステップ)
のうち少なくとも一方の条件下である。
いくつかの実施形態において、温度は、50℃~60℃の範囲内である。
【0036】
いくつかの実施形態において、逆相シリカ粒子は、300Å未満の平均ポアサイズ(又は平均の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)又は平均孔径又は平均細孔径又はアベレージ・ポアサイズ)および170m2/gよりも大きい表面積によって特徴付けられている(又はキャラクタリゼーション)。
【0037】
いくつかの実施形態において、逆相シリカ粒子は、50Å~150Åの範囲内の平均ポアサイズ、例えば、60Åの平均ポアサイズおよび200~600m2/gの範囲内の表面積、例えば、560m2/gの表面積によって特徴付けられている(又はキャラクタリゼーション)。
【0038】
いくつかの実施形態において、抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物(又は硫黄含有有機化合物又はサルファー・ベアリング・オーガニック・コンパウンド(sulfur bearing organic compound))、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を含んで成る。
【0039】
いくつかの実施形態において、抽出剤は、有機リン化合物、アミン、第四級アンモニウム塩、硫黄を含む有機化合物(又は硫黄含有有機化合物又はサルファー・ベアリング・オーガニック・コンパウンド(sulfur bearing organic compound))、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を含んで成り、以下の一般式を有する。
【化2】
[式中、
R
1およびR
2は、独立して、親油性(又はリポフィリック)の炭化水素または修飾された炭化水素であり、前記炭化水素は、C6-20アルキル、C6-20アリールを含む群から選択され、
R
3は、H、C1-C6アルキルおよびC1-C6アリールである]
【0040】
いくつかの実施形態において、抽出剤は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(DHEHP)、ジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])および2-エチルヘキシル,2-エチルヘキシルホスホン酸(H[(EH)EHP])、アリクアット(aliquat)-336[N(CH3)4]、ジオクチルスルフィド[S(CH2)2]、またはそれらの組み合わせを含んで成る。
【0041】
特定の態様において、本発明は、REEおよび/またはPGMを含む水溶液から、REEおよび/またはPGMを分離および/または精製するための方法に関する。
当該方法は、以下の工程(又はステップ)(a)~(d)を含む。:
(a)
本開示に記載の抽出カラムを提供する工程(又はステップ)、
(b)
REEおよび/またはPGMを含む水溶液を抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)する工程(又はステップ)、
(c)
REEおよび/またはPGMを分離させるために溶離液モード(又はエリューエント・モード)を使用する工程(又はステップ)、および
(d)
抽出カラムから、分離したREEおよび/またはPGMを溶出させる工程(又はステップ)。
【0042】
いくつかの実施形態において、溶離液モード(又はエリューエント・モード)は、溶離液(又はエリューエント)の濃度モード(又は濃縮モード又はコンセントレーション・モード)および/または溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流量)の勾配モード(又はグラジエント・モード)である。そして、必要に応じて、この溶出させる工程は、以下の(i)、(ii)または(iii)によって行われる。
(i)
水溶液における溶離液の鉱酸(又はミネラル・アシッド)の無勾配濃度(又はアイソクラティック・コンセントレーション(isocratic concentration))、
(ii)
水溶液における溶離液(又はエリューエント)の鉱酸(又はミネラル・アシッド)のリニア勾配濃度(又はリニア・グラジエント・コンセントレーション)、または
(iii)
水溶液における溶離液(又はエリューエント)の鉱酸(又はミネラル・アシッド)のステップ・ワイズ勾配(又はステップ・ワイズ・グラジエント)の濃度(又はコンセントレーション)。
【0043】
いくつかの実施形態において、当該方法は、以下の工程(又はステップ)(e)~(g)の少なくとも1つをさらに含む。
(e)
REEおよび/またはPGMを含む溶出液(又はエリュエート)のフラクション(又は画分)を回収(又はコレクション)する工程(又はステップ)(collecting)、
(f)
溶出させたREEおよび/またはPGMのフラクション(又は画分)を最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)する工程(又はステップ)(up-concentrating)、および
(g)
溶離液(又はエリューエント)の鉱酸(又はミネラル・アシッド)および水を回収(又はリカバリ)する工程(又はステップ)(recovering)。
【0044】
当該方法のいくつかの実施形態において、工程(d)および(e)におけるフラクション(又は画分)の溶出(又はエリューション)および回収(又はコレクション)は、1または1以上の抽出カラムから、REEおよび/またはPGM(所定の抽出カラムにおいて同様の保持容量(又はリテンション容量又はリテンション・キャパシティ)を有するもの)を回収するような様式(又は方法又はマナー)で制御(又は管理又はコントロール)される。
【0045】
いくつかの実施形態において、カラムに充填(又はロード又はローディング)されるREEおよび/またはPGMの溶液は、酸のマトリクスを含み、このようなマトリクスは、所定のカラムによって、REEおよび/またはPGMを定量的に保持させることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、定量的に保持されるREEおよび/またはPGMは、REEであり、溶離液(又はエリューエント)を用いて溶出され、この溶離液によって、酸の濃度(又はコンセントレーション)および/または溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流暢)が増加して、最初に、ライトREEグループ、その後、SEG-REEグループ、そして、その後、ヘビーREE+Yのグループを溶出させる。
【0047】
本開示において考えられている通り、当該方法のいくつかの実施形態において、
(i)
ライトREEグループは、全く存在しないか、La、PrおよびNdの少なくとも1つを含み、
(ii)
SEG-REEグループは、全く存在しないか、Sm、EuおよびGdの少なくとも1つを含み、
(iii)
ヘビーREE+Yグループは、全く存在しないか、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYの少なくとも1つを含み、
3つのグループ(i)、(ii)および(iii)のうちの少なくとも1つが存在する。
【0048】
いくつかの実施形態において、REEおよび/またはPGMは、PGMを含み、PGMは、定量的に保持され、溶離液(又はエリューエント)を用いて溶出され、この溶離液によって、酸の濃度(又はコンセントレーション)および/または溶離液のフロー・レート(又は流速又は流量)が増加して、
(i)
PGMの第1グループ(又はプライマリ・グループPGM)が1番目に溶出され、PGMの第1グループは、PdおよびPtの少なくとも1つを含み、
(ii)
PGMの第2グループ(又はセカンダリ・グループPGM)が2番目に溶出され、PGMの第2グループは、Rh、RuおよびIrの少なくとも1つを含む。
【0049】
当該方法のいくつかの実施形態において、工程(d)および/または(e)におけるフラクション(又は画分)の溶出(又はエリューション)および回収(又はコレクション)は、REEおよび/またはPGMに由来する各々の金属の実質的に純粋(又はピュア)なフラクション(又は画分)を回収するように制御(又はコントロール)される。
【0050】
いくつかの実施形態において、REEのグループ、各々のREE,PGMのグループまたはPGMを含むフラクション(又は画分)は、回収され、蒸留、イオン交換、膜ろ過、遠心分離、溶媒抽出、蒸発(又はエバポレーション)、共沸蒸留、液液抽出(又は液体-液体の抽出)、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)によって、溶離液を回収するために濃縮される。
【0051】
いくつかの実施形態において、濃縮されたフラクションの1以上を不溶性の塩、金属の酸化物に変換し、それぞれ回収して乾燥させる。
【0052】
いくつかの実施形態において、溶出(又はエリューション)は、50~100barの圧力の下で行われる。
【0053】
いくつかの実施形態において、水溶液は、酸性である。
【0054】
いくつかの実施形態において、定量的に保持されたREEは、溶離液(又はエリューエント)を用いて溶出され、この溶離液によって、酸の濃度(又はコンセントレーション)および/または溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流量)が増加して、まずは、ライトREEグループ、その後、SEG-REEグループ、そして、ヘビーREE+Yのグループを溶出させる。
ライトREEグループは、La、PrおよびNdを主に含む。
SEG-REEグループは、Sm、EuおよびGdを含む。
ヘビーREE+Yのグループは、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYを主に含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、定量的に保持されたPGMは、溶離液(又はエリューエント)を用いて溶出され、この溶離液によって、酸の濃度(又はコンセントレーション)および/または溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流量)が増加して、まずは、PGMの第1グループ(又はプライマリ・グループPGM)、その後、PGMの第2グループ(又はセカンダリ・グループPGM)を溶出させる。
PGMの第1グループは、PdおよびPtを含む。
PGMの第2グループは、Rh、RuおよびIrを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、フラクション(又は画分)の溶出(又はエリューション)および回収(又はコレクション)を制御(又は管理又はコントロール)して、各々のREEまたはPGMの実質的に純粋(又はピュア)なフラクション(又は画分)を回収する。
【0057】
特定の態様において、本発明は、REEおよび/またはPGMの混合水溶液から、各々のREEおよび/またはPGMを産業として分離および精製するための方法に関する。
当該方法において、混合されたREEおよび/またはPGMを含む入ってくる溶液(又は流入する溶液又はインカミング・ソリューション)から、
(i)
まずは、REEおよび/またはPGMを本開示に記載の方法によってREEおよびPGMのサブグループに分離(又はセパレーション)し、そして、その後、
(ii)
REEおよび/またはPGMのサブグループの1以上を本開示の記載に従って分離(又はセパレーション)する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
コア発明
【
図1】
図1は、標準化されたエフェクト(又は効果又は影響)のパレート図(又はパレート・チャート)であって、実験による変数(又はエクスペリメンタル・バリアブル(experimental variables))の有意性を示す図である。参照ライン(又はリファレンス・ライン)である2.31を超えるファクター(又は因子又は要因)は、レスポンス(又は応答)に対して顕著なエフェクト(又は効果又は影響)を有している。影響(又はインフルーエンス)の程度は、それぞれのバー(又は棒グラフ)の長さに比例している。
【
図2】
図2は、ファクター・デザイン(又はファクトリアル・デザイン(factorial design))に由来するレスポンス・サーフェス(又はレスポンス表面又は応答表面)を示し、固定相の抽出剤の密度に対する(a)孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)および超音波の影響(又はインフルーエンス)、(b)孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)および温度の影響(又はインフルーエンス)、および(c)温度および超音波の影響(又はインフルーエンス)を示している。
【
図3】
図3は、有機リン化合物(モデル抽出剤(又はモデル・エクストラクタント)として)の多孔性(又は多孔質又はポーラス)のRP-シリカ粒子への固定(又はイモビライゼーション)を示す(本発明)。
【
図4】
図4は、本発明に従う抽出カラムの充填方法を示す簡略図である。
【
図5】
図5は、本発明に従うプロセス(又は工程又は処理又は方法)を示す簡略化されたフロー図(又はフロー・ダイアグラム)である。(実験室規模のテスト(又はラボ・スケール・テスト))
【
図6】
図6は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を用いる同じ条件下で様々な鉱酸(又はミネラル・アシッド)を用いた溶出(又はエリューション)の後に得られるよりライト(又は軽量又は軽質)なREEの溶出プロファイル(又はエリューション・プロファイル)を示す。
【
図7】
図7は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を用いる同じ条件下で様々な鉱酸(又はミネラル・アシッド)を用いた溶出(又はエリューション)の後に得られるREEの保持時間(又はリテンション・タイム)(Rt)を示す。
【
図8】
図8は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を用いた同じ条件下で様々な酸を用いた溶出(又はエリューション)の後のREEの分解能(又は分離能又はレゾリューション)(Rs)を示す。
【
図9】
図9は、同じクロマトグラフィの条件下で様々な密度のリガンド(又は配位子)を含む抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)を用いて得られるREEの溶出プロファイル(又はエリューション・プロファイル)を示す。
【
図10】
図10は、溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流量)(u)の関数(又は機能又はファンクション)としてREEのピーク幅(w)を示す。
【
図11】
図11は、溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流量)(u)の関数(又は機能又はファンクション)として隣接するREEの間の分解能(又は分離能又はレゾリューション)(Rs)を示す。
【
図12】
図12は、温度(T)のファンクション(又は機能又は関数)としてのREEのピーク幅(w)を示す。
【
図13】
図13は、温度(T)のファンクション(又は機能又は関数)としてのREEの分解能(又は分離能又はレゾリューション)(Rs)を示す。
【
図14】
図14は、高REE充填(又はハイREEローディング)でのREEのピーク形状を示すクロマトグラムである。
【
図15】
図15は、アリクアット(Aliquat)-336の抽出カラムを使用するPGM(ベース金属(又はベース・メタル)を伴うものから、グループとして)の分離(又はセパレーション)を示す。
【
図16】
図16は、ジ-オクチル スルフィド(di-octyl sulfide)(DOS)の抽出カラムを使用するPdの他のPGMからのそれぞれの分離(又はセパレーション)を示す。
【
図17】
図17は、ジ-エチル トリ-アミン(di-ethyl tri-amine)(DETA)の抽出カラムを使用するRhの他のPGMからのそれぞれの分離(又はセパレーション)を示す。(試験規模のテスト(又はパイロット・スケール・テスト))
【
図18】
図18は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を使用するパイロット・スケール・テストに由来するREEのグループ分離(又はグループ・セパレーション)を示すクロマトグラムである。
【
図19】
図19は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を使用するパイロット・スケール・テストに由来するよりライト(又は軽い又は軽量又は軽質)なREEの個々の分離(又はセパレーション)を示すクロマトグラムである。
【
図20】
図20は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を使用するパイロット・スケール・テストに由来するSEG-REEの個々の分離(又はセパレーション)を示すクロマトグラムである。
【
図21】
図21は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を使用するパイロット・スケール・テストに由来するヘビー(又は重い又は重量又は重質)なREEの個々の分離(又はセパレーション)を示すクロマトグラムである。
【
図22】
図22は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を使用するパイロット・スケール・テストに由来するヘビー(又は重い又は重量又は重質)なREE+Yの個々の分離(又はセパレーション)を示すクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
(本発明の第1の態様の詳細な説明)
本明細書の文脈上、本明細書において言及されている全ての公開公報、特許出願、特許および他の文献は、他に記載されていない限り、全ての目的から、それらが完全に記載されているかのように、その全体が本開示に参考として明らかに組み込まれている。
【0060】
他に定義(又は規定)されていない限り、本開示で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当該分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含む本明細書が優先される。
【0061】
明示的に記載されている場合を除き、商標(又はトレードマーク)は、大文字で表示されている。
【0062】
他に記載されていない限り、割合(又はパーセンテージ又は%)、部(又はパート)、比(又はレシオ)などは、すべて、重量基準である。
【0063】
他に記載されていない限り、psi単位で表されている圧力は、ゲージ圧であり、kPa単位で表わされている圧力は、絶対圧である。
しかし、圧力の差は、絶対圧として表されている(例えば、圧力1は、圧力2よりも25psi高い)。
【0064】
量、濃度または他の値もしくはパラメータが範囲として、または上限値および下限値の列挙として記載されている場合、これは、範囲が個別に開示されている場合にも関わらず、任意の上限範囲および任意の下限範囲の任意の組み合わせ(又はペア又は組)から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。
本開示において、数値の範囲が記載されている場合、他に記載されていなければ、その範囲は、その終点(又はエンドポイント)、ならびに、その範囲内のすべての整数および分数(又は端数又はフラクション)が含まれていることが意図されている。
範囲が規定されている場合、本開示の範囲が具体的に記載されている値に限定されることは意図されていない。
【0065】
「約(about)」という用語が使用される場合、一定の効果または結果が一定の許容範囲内で得ることができ、当業者はその許容範囲を得る方法を知っているという意味で使用されている。
ある値または範囲の終点(又はエンド・ポイント)を記載する際に用語「約(about)」を使用する場合、その開示は、記載されている具体的な値または終点(又はエンドポイント)を含むことを理解するべきである。
【0066】
本開示で使用する場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはその任意の他の変形(又はバリエーション)は、非排他的な包含を含む(又はカバーする)ことが意図されている。
例えば、プロセス(又は工程又は処理又は方法)、方法、物品(又はアーティクル)、または装置(構成要素(又は成分又はエレメント)の列挙(又はリスト)を含むもの)は、必ずしも、記載された構成要素(又は成分又はエレメント)のみに限定されるものではない。このようなプロセス、方法、物品または装置に明確に列挙されていない他の構成要素(又は成分又はエレメント)またはこのようなプロセス、方法、物品または装置に固有ではない他の構成要素(又は成分又はエレメント)を含んでよい。
【0067】
移行句(又はトランジショナル・フレーズ)である「~からなる(consisting of)」は、その請求項に具体的に記載されていない任意の構成要素(又は成分又はエレメント)、工程(又はステップ)、または成分(又はイングレジエント)を排除し、記載したもの以外の材料を含むように請求項を閉じる(ただし、通常、それらに付随する不純物は含まれる)。
移行句(又はトランジショナル・フレーズ)である「~からなる(consisting of)」が請求項の本体部分に出現する場合(ただし、プリアンブルの直後ではない)、これは、その部分に記載される構成要素(又は成分又はエレメント)を限定するだけであり、全体として、その請求項から、他の構成要素(又は成分又はエレメント)が排除されるものではない。
【0068】
移行句(又はトランジショナル・フレーズ)である「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、具体的に記載されたもの(又は物質又は材料又はマテリアル)または工程(又はステップ)ならびに請求項に記載の発明の基本的かつ新しい特徴(又はキャラクタリスティク(ス))(単数又は複数)に大きく影響を与えないものに請求項の範囲を限定する。
「~から本質的になる(consisting essentially of)」の請求項は、「~からなる(consisting of)」の形式で記載される閉じた請求項(又はクローズド・クレーム)と、「~を含む(又は含んで成る)(comprising)」の形式で記載される完全に開いた請求項(又はフル・オープン・クレーム)との間の中間の立場を占める。
本開示に定義(又は規定)されるような任意の添加剤(このような添加剤に適したレベルのもの)および少量の不純物は、「~から本質的になる(consisting essentially of)」の用語によって、組成(又は組成物又はコンポジション)から排除されない。
【0069】
さらに、明示的に反対の記載がない限り、「または(or)」および「および/または(and/or)」は、包含すること、および排他的でないことを意味している。
例えば、条件(又はコンディション)AまたはB、あるいはAおよび/またはBは、以下のいずれか1つによって満たされている。
Aが正しく(またはAが存在し)、Bが間違い(またはBが存在しない)、
Aが間違いで(またはAが存在しない)、Bが正しい(またはBが存在する)、
AもBも正しい(またはAもBも存在する)。
【0070】
「a」または「an」は、本開示の様々な構成要素(又はエレメント)および成分(又はコンポーネント)を説明するために使用されるものであり、単に利便性のために使用され、本開示の一般的な意味を示す。
他の意味を明確に示さない限り、1(one)または少なくとも1つ(at least one)および単一(singular)も複数の場合を含むことがこの開示に含まれると解釈するべきである。
【0071】
(定義)
「希土類元素(又はレア・アース・エレメント(Rare Earth Element))」とは、17個の金属性の元素のセット(又は組)を意味する。
17個の金属元素として、以下の元素が挙げられる。
(i)
15個のランタニドのグループ(元素の周期表の原子番号57~71の元素)、すなわち、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテニウム(Lu)、ならびに
(ii)
スカンジウム(原子番号21)およびイットリウム(原子番号39)
【0072】
「白金族金属(又はプラチナ・グループ・メタル(Platinum Group Metal))」とは、6個の高貴(又はノーブル)で高価(又はプレシャス)な金属性の元素、すなわち、白金(又はプラチナ)、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムを意味する。
【0073】
「孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)(Pore Size)」とは、支持材料(又はサポート材料又はサポート・マテリアル)に含まれる孔(又は細孔又はポア)の平均値(又はミーン(mean))または平均(又はアベレージ(average))の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)を意味する。支持材料は、固定相(又はステーショナリー・フェーズ)を製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)するために使用されるものである。
【0074】
「逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)(Reversed-Phase Silica)」とは、液体クロマトグラフィで使用される固定相(又はステーショナリー・フェーズ)を意味する。固定相は、シリカ粒子に結合した長い炭素鎖を有するものであり、シリカ粒子は、支配的な極性の特徴(ドミナント・ポーラー・キャラクター)を有していないものである。
【0075】
「抽出剤(又はエクストラクタント)の密度(又は濃度又はデンシティ)(又はエクストラクタント・デンシティ)(Extractant Density)」とは、1gの固体の支持体(本件の場合、逆相シリカ粒子)によって保持(又はリテンション)される抽出剤(又はエクストラクタント)の量を意味する。
【0076】
逆相シリカ粒子は、様々な供給者(又は供給源又は源又はソース)から市販品として入手可能であり、クロマトグラフィにおける固定相として共通して使用されており、極性の表面(又はポーラー・サーフェス)を有するシリカ粒子を修飾すること(以下のように、シリカ粒子の表面にアルキル基を結合させること)によって製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)されるものである。
【化3】
【0077】
Rは、典型的には、アルキル鎖であり、このようなアルキル鎖は、4、8または18個のC原子を有するものである。
【0078】
このように修飾されたシリカ粒子は、このように修飾された非極性の粒子の表面に対して様々な親和性(又はアフィニティ)を有する化合物のクロマト分離(又はクロマトグラフィによる分離(又はセパレーション))に広く(又は共通して)使用されている。
また、このように修飾されたシリカ粒子は、このように修飾された粒子にファンデルワールス結合によってリガンド(又は配位子)(非極性の端部を有するもの)を固定(又はイモビライゼーション)するために使用されてよい。
【0079】
本発明によると、抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)の容量(又はキャパシティ)(すなわち、1回のクロマトグラフィのサイクルにおいて精製される材料(又はマテリアル)の量)は、抽出カラムに含まれる抽出剤の量が増加する分だけ増加する。後者(抽出カラムに含まれる抽出剤の量)は、抽出剤(又はエクストラクタント)の密度(又はデンシティ)(又はエクストラクタント・デンシティ)(すなわち、1gの固体の支持体(本件では、逆相シリカ粒子)によって保持(又はリテンション)される抽出剤の量)として記載されてもよい。
【0080】
その親水性(又はヒドロフィリック)または親油性(又はリポフィリック)の性質に起因して、元々(又はネイティブ)のシリカ粒子は、抽出剤(又はエクストラクタント)を保持(又はリテンション)しない。抽出剤は、概して疎水性(又はヒドロホビック)である。
元々(又はネイティブ)のシリカ材料の極性の表面は、修飾されて、その表面に炭化水素(R) [Rは、典型的には、アルキルで鎖あり、このようなアルキル鎖は、4、8または18個のC原子を有するものである]を結合することによって、疎水性になる(以下参照)。
元々のシリカ(又はネイティブ・シリカ)は、順相(又はノーマル・フェーズ)(NP)のシリカとしても知られていて、これとは反対に、上記の材料は、その非極性の表面にちなんで、逆相(又はリバース・フェーズ)(RP)シリカと呼ばれている。
【0081】
一実施形態において、本発明は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を使用して、REEおよび/またはPGMを分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)することに関する。
クロマトグラフィのカラムは、逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)である固定相(又はステーショナリー・フェーズ)を充填(又はロード又はローディング)することによって製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)される。
本発明のRP-シリカは、抽出剤(又はエクストラクタント)を含み、抽出剤は、その多孔性(又は多孔質又はポーラス)の表面に含浸されて、固定(又はイモビライゼーション)されている。
含浸は、2つの突出した駆動力(又はドライビング・フォース)(すなわち、高い温度(又は高温)および超音波処理(又はウルトラソニケーション))のもとで行われる。
結果として、RP-シリカにおける抽出剤の濃度は、かなり高い。このことは、REEおよび/またはPGMの分離効率(又はセパレーション・エフィシエンシ)に直接的に相関している。
REEおよび/またはPGMの第1の供給源(又は源又はソース)(又はプライマリ・ソース)および第2の供給源(又は源又はソース)(又はセカンダリ・ソース)は、本発明のカラムおよびプロセス(又は工程又は処理又は方法)によって処理(又はトリートメント)することができる。
【0082】
具体的な用途(又はアプリケーション)に応じて、現在、好ましい抽出剤(又はエクストラクタント)は、ジアルキルリン酸、例えば、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(DHEHP);ジ-(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスホン酸(H[TMPeP]);および2-エチルヘキシル 2-エチルヘキシルホスホン酸(H[(EH)EHP]);アリクアット(aliquat)-336[N(CH3)4];ジオクチルスルフィド[S(CH2)2];および2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステルである。
【0083】
一実施形態において、抽出剤(又はエクストラクタント)は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(希H2SO4/HCl/HNO3中)、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキシルホスホン酸、トリブチルホスフェート、ジ(2-エチルヘキシル)リン酸(DEHPA)、2-エチル-ヘキシル-2-エチル-ヘキシル-リン酸、トリ-ブチルホスフェート、過酢酸および/または過酢酸10の1以上を含む。
【0084】
一実施形態において、抽出剤(又はエクストラクタント)は、ビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスホン酸、フェニルホスホン酸、2-エチルヘキシルホスホン酸、モノ-2-エチルヘキシルエステルおよび/またはそれらの塩の1以上である。
【0085】
別の実施形態において、抽出剤(又はエクストラクタント)は、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステルトリアルキルメチルアンモニウムまたはジ-2-エチルヘキシルリン酸トリアルキルメチルアンモニウム、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステルトリアルキルメチルアンモニウム([A336][P507])、ジ-2-エチルヘキシルリン酸、トリアルキルメチルアンモニウム([A336][P204])および/または第四級アンモニウムのイオン性の液体の抽出剤におけるカチオンおよびアニオン(すなわち、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステルトリアルキルメチルアンモニウムおよびジ-2-エチルヘキシルリン酸トリアルキルメチルアンモニウム)の1以上である。
【0086】
一実施形態において、抽出剤(又はエクストラクタント)は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)、モノ(2-エチルヘキシル)2-エチルヘキシルホスホネート(HEH/EHP)、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)モノチオホスフィン酸)、オクチルフェニルホスフェート(OPAP)、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル(PC88A)および必要に応じてトルエン、トリブチルホスフェート、ジ-イソアミルメチルホスホネート、7-(4-エチル-1-メチルオクチル)-8-ヒドロキシキノリン、ジ-(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸、8-ヒドロキシキノリン、(2-エチルヘキシル)ホスホン酸、および/またはそれらの混合物の1以上である。
【0087】
このような抽出剤の溶媒は、米国特許第9,752,212号および米国特許公開第2015/0104361号に記載されている(これらは、本開示において参考として全体が組み込まれている)。
【0088】
逆相(又はリバース・フェーズ(Reversed Phase))(RP)シリカ粒子は、様々な供給者(又は供給源又は源又はソース)から市販品として入手可能であり、逆相液体クロマトグラフィ(又はリバース・フェーズ・リキッド・クロマトグラフィ)における固定相(又はステーショナリー・フェーズ)として、医薬の産業によって、広く(又は共通して)使用されている。
【0089】
本発明に関して、使用することができる逆相シリカ粒子の平均の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又は平均ポアサイズ)は、約50Å(オングストローム)~約2000Å(オングストローム)の範囲内である。
一実施形態において、平均ポアサイズ(又は平均の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)は、以下の数から選択される任意の数、または以下の任意の2つの数によって規定(又は定義)される範囲内の数(このような範囲の終点(又はエンドポイント)も含まれる)である(Å(オングストローム)で測定されるもの):
50,60,70,80,90,100,120,140,160,180,200,220,240,260,280,300,320,340,360,380,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900および2000。
【0090】
本発明に関して、使用することができる逆相シリカ粒子の表面積は、約20m2/g~約600m2/gの範囲内である。
一実施形態において、表面積は、以下の数から選択される任意の数、または以下の任意の2つの数によって規定(又は定義)される範囲内の数(このような範囲の終点(又はエンドポイント)も含まれる)である(m2/gで測定されるもの)。
【0091】
20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250,260,270,280,290,300,310,320,330,340,350,360,370,380,390,400,410,420,430,440,450,460,470,480,490,500,510,520,530,540,550,560,570,580,590および600。
【0092】
好ましい実施形態において、表面積は、約170m2/g~約560m2/gの範囲内である。
【0093】
本発明に関して、超音波処理(又はウルトラソニック・トリートメント)のもとで、逆相シリカへの抽出剤の含浸を行う。
一実施形態において、含浸のために、上昇させた温度と超音波処理を組み合わせる。
超音波処理は、連続的であっても、断続的であってもよい。
また、周期的であっても、ランダムであってもよい。
超音波のパワー出力(又はパワー・アウトプット)は、0~100%の範囲内である。
換言すると、パワー出力は、以下に列挙したものからの任意の数であり、以下の任意の2つの数によって規定(又は定義)される範囲内の数が挙げられ、このような範囲の端部(又はエンドポイント)も含まれる(%で測定されるもの)。
【0094】
0,10,20,30,40,50,60,70,80,90および100。
【0095】
好ましい実施形態において、パワー出力は、40~50%の範囲内である。
【0096】
一実施形態において、含侵の温度は、周囲温度~80℃の範囲内である。
別の実施形態において、温度は、以下に列挙したものからの任意の数であり、以下の任意の2つの数によって規定(又は定義)される範囲内の数が挙げられ、このような範囲の端部(又はエンドポイント)も含まれる(℃で測定されるもの)。
【0097】
20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75および80。
【0098】
好ましい実施形態において、温度の範囲は、約50℃~約60℃である。
【0099】
一実施形態において、抽出剤の含浸のために、超音波処理(又はウルトラソニック・トリートメント)を使用した。
【0100】
別の実施形態において、使用した超音波の周波数の範囲は、20kHz~約100kHzの範囲内であり、最も良く作用するのは、40kHz~60kHzの範囲内である。
【0101】
一実施形態において、超音波の周波数の範囲は、20kHz~100kHzである。
換言すると、超音波の周波数は、以下に列挙したものからの任意の数であり、以下の任意の2つの数によって規定(又は定義)される範囲内の数が挙げられ、このような範囲の端部(又はエンドポイント)も含まれる(kHzで測定されるもの)。
【0102】
20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95および100。
【0103】
抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ(extraction chromatography))(ExC)において、錯体形成特性(又は又はコンプレックス・フォーミング・プロパティ)を有する有機化合物(抽出剤)は、不活性(又はイナート)の固体の支持体(又はイナート・ソリッド・サポート)に固定(又はイモビライゼーション)され、固定相(又はステーショナリー・フェーズ)として使用される。
式1(Equation-1)(Eq-1)は、抽出剤(HLnで示す)(固定相として)および鉱酸(又はミネラル・アシッド)(溶離液として)を用いるExCによって、REEを分離(又はセパレーション)するための責務がある一般式を示す。
【0104】
【0105】
抽出剤は、モノ・イオン化することができる分子であると考えられ、3つの分子が1つのREEカチオンに結合している。このとき、水素の結合が崩壊し、酸素原子を介している。酸素原子は、交換されるプロトンによって、以前は結合していたものである。
【0106】
Eq-1の平衡定数(K)は、式2(Equation-2)(Eq-2)として記載される。ここで、Eq-1の平衡定数(K)は、金属-抽出剤の錯体(又はコンプレックス)の安定性(又はスタビリティ)の定数(又は係数又はコンスタント)(又はスタビリティ・コンスタント)としても知られているものである。
K=[RE(Ln)3]org*[H+]3
aq/[RE3+]aq*[HLn]3
org
(Eq-2)
【0107】
分配比(又はディストリビューション・レシオ(distribution ratio))(D)は、2つの混和しない溶媒における溶質の分布を測定したものであり、有機相中に抽出された金属イオンの全濃度を水相での全濃度で除算することによって計算することができる。
カラム抽出クロマトグラフィにおいて、分配比(D)は、固定相における金属イオン(すなわち、支持体に含浸させた抽出剤)のモル濃度/移動相における金属イオン(溶離液の酸)のモル濃度の比と同様である。
D=[RE(Ln)3]org/[RE3+]aq
(Eq-3)
【0108】
Eq-3をEq-2で除算して、再び整理すると、Eq-4が得られる。
D=K*[HLn]3
org/[H+]3
aq
(Eq-4)
【0109】
また、分配比(又はディストリビューション・レシオ(distribution ratio))(D)は、特定のカラムのパラメータに数学的に関連していてよい。例えば、保持容量(又は保持容積又は保持体積又はリテンション・ボリューム(retention volume))(Vr)および固定相(又はステーショナリー・フェーズ)の容量(又は容積又は体積又はボリューム)(Vs)に関連してよく、Eq-5に示す通りである。
D=Vr/Vs
(Eq-5)
【0110】
保持容量(Vr)=保持時間(tR)と仮定して、Eq-5をEq-4と合わせると、Eq-6が得られる。
tR/Vs=K*[HLn]3
org/[H+]3
aq
(Eq-6)
【0111】
式のlogの値をとって、整理すると、以下のような形になる。
log tR=3log[HLn]-3log[H+]+log Vs+K
(Eq-7)
【0112】
Eq-7は、保持時間(tR)(これは、容量(又はキャパシティ)のファクター(又は因子)(又は容量因子又はキャパシティ・ファクター)としても知られている)が抽出剤のモル濃度に対する直接三次依存性(又はダイレクト・サード・オーダー・ディペンデンス)と、固定相の容量(Vs)に対する直接一次依存性(ダイレクト・ファースト・オーダー・ディペンデンス)とを有していることを示している。
Eq-7は、カラムへの抽出剤の量が増加すればするほど、サンプル(又は試料)のスループット(又は処理能力)(又はサンプル・スループット)またはサンプル(又は試料)のロード(又は充填又は負荷)(又はサンプル・ロード)に関するカラム容量(又はカラム・キャパシティ)がますます増加することを明らかに示している。換言すると、生産キャパシティ(又は製造キャパシティ又はプロダクション・キャパシティ)がますます増加する。
【0113】
バルクのRP-シリカ材料および予め充填されたHPLCカラムの含浸挙動は、バッチおよびフロー・スルーの含浸技術に基づいて、従来から、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)およびジオクチルスルフィド(DOS)を用いて検討されている。これらは、それぞれ、モデル抽出剤(又はモデル・エクストラクタント)として、REEの分離およびPGMの抽出に広く(又は共通して)使用されているものである。
【0114】
予備的な実験から、従来から、抽出カラムの容量(又はキャパシティ)(すなわち、RP-シリカの支持体(又はサポート)における抽出剤(又はエクストラクタント)の密度(又はデンシティ)(又はエクストラクタント・デンシティ))は、多孔性(又は多孔質又はポーラス)のRP-シリカ粒子の孔(又は細孔又はポア)における抽出剤の拡散(又はディフュージョン)ならびにRP-シリカ材料の性質(又はネイチャ)(特に、その孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)および表面積)に大きく影響を受けることが知られていた。
【0115】
本発明は、さらなる実験に基づくものであり、このような実験によって、RP-シリカ粒子の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)(表面積)のエフェクト(又は効果又は影響)ならびに抽出剤の拡散(又はディフュージョン)を高めるための駆動力(又はドライビング・フォース)(例えば、固定相の容量(又はキャパシティ)(すなわち、抽出剤の密度)に対する温度および超音波)が研究されている。
【0116】
(実験)
抽出剤(又はエクストラクタント)およびバルクのシリカ材料(バルク・シリカ・マテリアル)
ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)(純度99%)をALFA AESAR(登録商標)(カールスルーエ(独国))から入手し、ジ-オクチルスルフィド(DOS)(純度99%)をSigma Aldrich(独国)から購入した。
Suprapur65%HNO3をMERCK(登録商標)(ダルムシュタット(独国))から購入した。
単一元素(又はシングル・エレメント)の標準La液(又はスタンダードLaソリューション)(HNO3マトリクス中)をTeknolab A/S(コルボットン(ノルウェー))から入手した。
MILLIPORE(登録商標)Milli-Qシステムから得た脱イオン水を全体を通して使用した。
バルク逆相シリカ材料(又はバルク・リバース・フェーズ・シリカ・マテリアル)であるLuna 15μm,C18-100;およびJupiter 15μm,C18-300(以下、それぞれ、小さい孔(又はナロー・ポア(Narrow pore))および大きい孔(又はワイド・ポア(Wide pore))と称する)は、PHENOMENEX(登録商標)(トーランス,CA,USA)から供給されたものであった。
RP-シリカのバルク材料の粒子および結合した相(又はフェーズ)の仕様を以下の表1に示す。
【0117】
表1:実験で使用したRP-シリカおよび裸シリカ粒子(又はベア・シリカ粒子)の仕様
【表1】
【0118】
(機器)
HPLCシステムは、AGILENT(登録商標)1200(米国)であった(オートサンプラー、4ポンプ溶媒送達システム(又はクウォータナリー・ポンプ・ソルベント・デリバリ・システム)および補助の無勾配ポンプ(又はオージリアリ・アイソクラチック・ポンプ)からなる)。
マイクロ波プラズマ原子発光分光分析器(MP-AES)(AGILENT(登録商標),USA)をHPLCシステムに接続して、検出器(又はディテクタ)として使用した。
超音波反応については、FISHER(登録商標)のSonic DismembratorModel 300(Artek Systems Corporation,ファーミングデール,NY,USA)を使用した。
【0119】
(ソフトウェアおよびデータのハンドリング(又は取り扱い))
機器の制御(又は管理又はコントロール)、データの獲得および報告にケムステーション(Chemstation)ソフトウェア(AGILENT(登録商標)Technologies,USA)を使用した。
MINITAB(登録商標)(19の統計ソフトウェアをリリースしている)(MINITAB(登録商標)Inc,USA,2019)を使用して、この実験デザイン(又はエクスペリメンタル・デザイン)を構築し、統計学的な分析を行った。
【0120】
実験による変数(又はエクスペリメンタル・バリアブル(experimental variables))およびレスポンス(又は応答)のパラメータ(又はレスポンス・パラメータ)
抽出カラムの容量(又はキャパシティ)(すなわち、1回のラン(又は実行)において、精製される材料(又はマテリアル)の量)は、抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)を調製(又は準備又は用意)するために使用される固定相(又はステーショナリー・フェーズ)における抽出剤(又はエクストラクタント)の量に直接的に関連していた。
次いで、固定相における抽出剤の量は、主として、支持体(又はサポート)として使用されるRP-シリカ粒子の孔(又は細孔又はポア)への抽出剤の拡散(又はディフュージョン)に影響を受ける。
従って、RP-シリカの孔(又は細孔又はポア)への抽出剤の拡散(又はディフュージョン)を改善(又は向上)させることによって、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)を増加させることができる。それによって、抽出カラムの容量(又はキャパシティ)を最大化させることができる。
従って、本発明では、RP-シリカ粒子の孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)ならびに拡散(又はディフュージョン)の駆動力(又はドライビング・フォース)、すなわち、高い温度(又は高温)および超音波(又はウルトラサウンド)は、実験による変数(又はエクスペリメンタル・バリアブル(experimental variable))として考慮した。
また、抽出カラムの容量(又はキャパシティ)が抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)(すなわち、1グラム(g)のRP-シリカの支持体によって保持(又はリテンション)される抽出剤の量)によって測定できると仮定されていて、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)は、実験による変数(又はエクスペリメンタル・バリアブル)に関連し得るレスポンス(又は応答)のパラメータ(又はレスポンス・パラメータ(response parameter))と考えられる。
【0121】
実験デザイン(又はエクスペリメンタル・デザイン)
考慮される実験による変数(又はエクスペリメンタル・バリアブル)が多数であることに起因して、二段階のファクター・デザイン(又はファクトリアル・デザイン(factorial design))(FD)を使用する多変量アプローチ(又は多変量解析法又はマルチ・バリエート・アプローチ(multi-variate approach))を採用して、レスポンス(又は応答)のパラメータ(又はレスポンス・パラメータ(response parameter))(すなわち、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ))への実験による変数のエフェクト(又は効果又は影響)を評価する。
単変量アプローチ(又は単変量解析法又はユニバリエート・アプローチ(univariate approach))に対して、多変量アプローチ(又は多変量解析法又はマルチ・バリエート・アプローチ(multi-variate approach))を使用することによって、変数(又はバリアブル(variable))の組み合わせ(又はコンビネーション)を得ることが可能になった。それにより、より少ない数の実験で最良の応答(又はベスト・レスポンス)が提供される。また、実験によるファクター(又は要因又は係数)(又はエクスペリメンタル・ファクター)の間の相互作用(又はインタラクション)をいずれも検出および概算することができた。
Minitab-19 統計ソフトウェア(2段階(上(又はアッパー)のレベルおよび下(又はロア)のレベル)で実験による変数(又はエクスペリメンタル・バリアブル)を試験する)を使用してファクター・デザイン(又はファクトリアル・デザイン)を構築した。
予備的な実験の結果ならびに支持体として使用されるRP-シリカ材料の供給者(又はサプライヤー)によって設けられた制限(又はリミテーション)に基づいて、上限および下限を設定(又はセット)した。
8回の実験の組み合わせ(又はコンビネーション)×2(又は2倍)(すなわち、トータルで16回のラン(又は実行))を行った。
【0122】
(手順)
上記に記載の実験デザイン(又はエクスペリメンタル・デザイン)ならびにモデル抽出剤(又はモデル・エクストラクタント)としてHDEHPを用いる以下に記載の手順(又はプロセデュア)に従って研究を行った。
2.2gの小さい孔(又は細孔又はポア)(又はナロー・ポア)または大きい孔(又は細孔又はポア)(又はワイド・ポア)のRP-シリカ粒子を正確に秤量し、それぞれ、100mLの丸底フラスコに移した。丸底フラスコは、それぞれ、50mLの抽出剤であるHDEHPおよびマグネティック・スターラーを含んでいた。
以下のことに留意すべきである。反応の各セットは、8回の異なるラン(又は実行)の組み合わせ(又はコンビネーション)であり、それぞれの反応を2回実行した(又は2ラン)。従って、トータルで16回の反応を行った。
【0123】
反応のセットアップ(又は装置)は、ホットプレートから構成されていた。その上に超音波水浴(又はウルトラソニック・ウォーター・バス)を載置した。
ホットプレートには、必要に応じて、制御(又はコントロール)された様式(又は方法又はマナー)で熱が供給された。水浴(又はウォーター・バス)は、温度を維持し、反応時間の期間にわたって、超音波の媒体として役立った。
【0124】
検討した駆動力(又はドライビングフォース)は、温度と超音波であった。
温度の下限は、室温(約20℃)であり、上限を60℃に設定(又はセット)した。
上限は、供給者(又はサプライヤー)からの仕様書に従って、RP-シリカ材料とともに使用することができる最大の操作温度(すなわち、70℃)よりも10℃低いものであった。
超音波に関して、下限は0%(すなわち、超音波なし)であった。上限を50%に設定(又はセット)した(相対的な出力(又はアウトプット))。
50%よりも高い超音波の周波数は回避した(相対的な出力(又はアウトプット))。それにより、逆相(又はリバース・フェーズ)のシリカ材料(又はシリカ・マテリアル)は、ダメージ(又は損傷)を受けなかった。
フラスコを水冷濃縮器(又はウォーター・コンデンサ)に取り付けて、反応蒸気(又はリアクション・ベーパ)を冷却した。
反応フラスコの内容物(又はコンテント)を最も遅い速度(又はスピード)で撹拌して、混合を維持した。その一方で、シリカ表面へのダメージ(又は損傷)を抑制した。
反応時間は、すべての場合において、2時間であった。
2回行う反応のそれぞれをパラレル(又は並行)で行った。
反応時間の終点において、適用可能な場合、加熱、超音波ソニケーションおよび/または撹拌を停止し、反応材料を沈降させて、室温まで冷却した。
【0125】
上記で言及した固定相の調製物(又はプレパレーション)(すなわち、正確にはそれぞれ2.2gの固定相(約50mLの懸案の抽出剤中)を含む)を16本の15cm×4.6cmのステンレス鋼製のエンプティ・カラム・バレルに従来の高圧スラリー技術を用いて充填した。
懸案の抽出剤としてHDEHPまたはDOSは、反応溶媒(又はリアクション・ソルベント)として使用されるものであり、充填溶媒(又はパッキング・ソルベント)としても使用された。
充填(又はパック又はパッキング)が完了した後、カラムを水でフラッシュして(フロー・レート(又は流速又は流量)=5mL/分、少なくとも2時間)、ゆるく(又はルーズに)結合した抽出剤をカラムから除去した。
【0126】
また、従来通り高圧を用いて、正確に2.2グラム(g)のRP-シリカ(50mLのイソプロパノール中)を含むスラリーを用いて、15cm×4.6cmのステンレス鋼製のエンプティ・バレル(同一寸法、テスト・カラム(又は試験カラム)として)において、コントロール・カラム(又は対照カラム)を充填(又はパック又はパッキング)した。
充填後、イソプロパノール溶媒をフラッシュするためのHPLCのセットアップ(又は装置)を使用して、大量の水でカラムをフラッシュした(フロー・レート(又は流速又は流量):5mL/分)。
ボイド・ボリューム(又は空容量又は空容積又は空体積)を決定するため、そして、修飾されていないRP-カラムにおけるREEの保持挙動(又はリテンション・ビヘイビア)と、本発明に従って製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)された固定相が充填(又はパック又はパッキング)されたカラムにおけるREEの保持挙動(又はリテンション・ビヘイビア)とを比較するために、このようなコントロール・カラム(又は対照カラム)が必要であった。
【0127】
(結果および考察)
(計算(容量(又はキャパシティ)の決定))
HPLCのセットアップ(又は装置)を使用したオンライン・フロンタル・クロマトグラフィ法によって、La3+(すなわち、HDEHPとともに少なくとも保持されたREEイオン)の吸着に関して、上記の手順(又はプロセデュア)に従って製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)された固定相が充填(又はパック又はパッキング)された抽出カラムの容量(又はキャパシティ)を概算した。
容量(又はキャパシティ)を決定する前に0.01MのHNO3(4カラム・ボリューム)でテスト・カラム(又は試験カラム)をプレコンディショニングに付した。
金属がブレイクスルーするまで、La溶液(5mM、0.01MのHNO3中)をプレコンディショニングに付したテスト・カラム(又は試験カラム)を1mL/分の一定のフローレート(又は流速又は流量)でポンピングにより通過させた。
カラム流出液(又はカラム・エフリューエント)からの信号(又はシグナル)を連続的にモニタリングした。そして、MP-OES検出器によって、ブレイクスルー曲線(又はブレイクスルー・カーブ)を記録した(発光線(又はエミッション・ライン)の波長:399.575nm)。
【0128】
フロー・レート(又は流速又は流量)(mL/分)を掛け算することによって、それぞれのブレイクスルー時間(分)を用いて、テスト抽出カラム(又は試験抽出カラム)のブレイクスルー・ボリューム(又はブレイクスルー容量又はブレイクスルー容積又はブレイクスルー体積)(breakthrough volume)(Vb)を決定する(以下の式8(Eq-8又はEquation-8)を参照のこと)。
Vb(mL)=Tb(分)×u(mL/分)
(Eq-8)
【0129】
抽出カラムのボイド・ボリューム(又は空容量又は空容積又は空体積)(Vo)を式9(又はEq-9またはEquation-9)を使用して概算した。ボイド・タイム(又は空時間)to(分)は、コントロール・カラム(又は対照カラム)を通して、Laの溶出から得た。移動相として、3MのHNO3を用いた。フロー・レート(又は流速又は流量)は、1mL/分であった。
移動相の濃度(すなわち、3MのHNO3溶液)は、修飾されていないRP-シリカを充填(又はパック又はパッキング)したコントロール・カラム(又は対照カラム)でLaイオンを保持(又はリテンション)させるのに十分に強いものであった。
デッド・ボリュームを1mLに決定し、すべてのテスト・カラム(又は試験カラム)に使用した。
Vo(mL)=To(分)×u(mL/分)
(Eq-9)
【0130】
テスト抽出カラムの容量(又はキャパシティ)(単位:La3+のmeq)は、対応するブレイクスルー・ボリュームおよびボイド・ボリュームおよびLaの濃度(試験溶液中)を用いて計算した(式10(又はEq-10又はEquation-10)に示す通り)。
容量(又はキャパシティ) 抽出カラム(meq)=[Vb-Vo]×Co×n
(Eq-10)
式中
Vbは、ブレイクスルー・ボリューム(mL)であり、
Voは、ボイド・ボリューム(mL)であり、
Coは、La3+の濃度(mmol/mL)であり、
nは、La3+のチャージ(又は電荷)である。
【0131】
(統計学的な評価)
実験条件のセット(又は組)(×2)からなるファクター・デザイン(又はファクトリアル・デザイン(factorial design))のモデル・マトリクスを以下の表2に示す。
対応するレスポンス(又は応答)の値として、式1(Eq-1)~式3(Eq-3)を用いて得られる抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)に、このモデルをフィッティングさせた。
このようにしてフィッティングさせたモデルを使用して、統計学的なレスポンス(又は応答又は回答)(又はスタティスティカル・レスポンス)の範囲(又はレンジ)を作成した。それにより、実験による変動(又はエクスペリメンタル・バリアブル(experimental variable))(すなわち、RP-シリカの孔の大きさ(又はポアサイズ)、高い温度(又は高温)および超音波(又はウルトラサウンド))のレスポンス(又は応答(response))(すなわち、固定相(又はステーショナリー・フェーズ)の容量(又はキャパシティ)の測定に使用した抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ))へのエフェクト(又は効果又は影響)を評価した。
パレート図(又はパレート・チャート)を作成して、レスポンス(又は応答)への実験による変動(又はエクスペリメンタル・バリアブル)の有意性を評価した(
図1)。
また、このモデルによって応答表面(又はレスポンス・サーフェス)を展開(又は開発又は顕在化)した。応答表面(又はレスポンス・サーフェス)を使用することによって、試験したドメインにおける最大の吸着剤の密度(又はデンシティ)の条件の位置決めを行った(
図2)。
【0132】
表2:ファクター・デザイン(又はファクトリアル・デザイン(factorial design))のモデル・マトリクスならびに対応するレスポンス(又は応答)の値
【表2】
【0133】
パレート図(又はパレート・チャート)(
図1)に示す通り、検討したすべての実験パラメータ(又はエクスペリメンタル・パラメータ)(すなわち、孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)、温度および超音波(又はウルトラサウンド))は、固定相(又はステーショナリー・フェーズ)の抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)への顕著な影響(又はインフルーエンス)を示した。
しかし、チャート(又は図)において、それぞれのバーの長さから明らかな通り、いくつかのパラメータは、以下にて説明する通り、他のものと比べて、より重要である。
【0134】
また、本発明は、温度および超音波(又はウルトラサウンド)を用いて抽出剤を含浸(又はインプリグネーション)させるためのプロセス(又は工程又は処理又は方法)である。
表2のレスポンス(又は応答)の値(すなわち、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ))ならびに
図2の表面プロット(又はサーフェス・プロット)から明らかな通り、最も高い抽出剤の密度(48.5mモル/g)は、小さい孔(又はナロー・ポア)のRP-シリカで達成された。このとき、含浸の駆動力(又はドライビング・フォース)として、超音波と高い温度の両方を適用した。
対照として、最も低い抽出剤の密度(5mモル/g)が記録された。このとき、小さい孔(又はナロー・ポア)のRP-シリカを使用した。駆動力(又はドライビングフォース)は全く適用しなかった。
まさしく同一の支持体(又はサポート)(ナロー・フェーズRP-シリカ)を使用して観察された抽出剤の密度における差異は、大きい(すなわち、約750%)(ただし、含浸の駆動力(又はドライビングフォース)(すなわち、高温および超音波)を除く)。
理論に拘束されることは望まないが、明らかに、駆動力(又はドライビングフォース)の適用は、全部または殆どの可能な結合部位にわたって、RP-シリカの小さい孔(又はナロー・ポア)への抽出剤の拡散(又はディフュージョン)を高める。次いで、これは、より高い抽出剤の密度をもたらす。
【0135】
換言すると、本発明は、小さい孔(又はナロー・ポア)または大きい孔(又はワイド・ポア)の逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)、小さい孔(又はナロー・ポア)+大きい孔(又はワイド・ポア)の逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)のブレンド(又は配合物)、逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)の分布(又はディストリビューション)(例えば、逆相シリカの孔(又は細孔又はポア)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又はポアサイズ)に関する単峰性モード(又はモノモーダル)の分布または二峰性(又はバイモーダル)の分布又は三峰性(又はトリモーダル)の分布)に関する。ここで、抽出剤の含浸は、周囲の温度~周囲よりも高い温度ならびに超音波処理(又はウルトラソニック・トリートメント)(本開示の他の部分において超音波(又はウルトラサウンド)として説明する通りである)の下で行われる。
特に、本開示で説明するように製造(又は調製又は準備又は用意又は形成)された固定相(又はステーショナリー・フェーズ)は、抽出剤の密度において、従って、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)を用いるREEおよび/またはPGMの精製(又はピュアリフィケーション)および/または分離(又はセパレーション)において、従来技術と比較して、数倍かつ驚くべき改善(又は向上又はインプルーブメント)を示す。このような固定相は、実験室規模(又はラボ・スケール)から産業規模(又は工業規模またはインダストリアル・スケール)の分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)まで使用することができる。
特に、抽出剤の含浸が問題となっている小さな孔(又はナロー・ポア)の範囲であっても、本発明は、このような問題を解決し、抽出剤の含浸および密度において、顕著な改善(又は向上又はインプルーブメント)を示す。
【0136】
孔の大きさ(又は孔径又は細孔径又はポアサイズ)を除いて、駆動力(又はドライビングフォース)の両方または片方を適用した場合、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)は、懸案のRP-シリカの表面積と直接的な相関を示した。
まったく同一の条件を使用して(ここでは、駆動力として、高い温度および超音波の両方、高い温度のみ、または超音波のみを使用した)、抽出剤の密度は、小さな孔(又はナロー・ポア)のRP-シリカの場合、大きい孔(又はワイド・ポア)のRP-シリカの場合と比較して、約2倍であることがわかった(表2)。
表1に示すように、小さな孔のRP-シリカの表面積は、大きい孔のRP-シリカの表面積の2倍を少し超えるものである。
【0137】
その一方で、含浸プロセス(又は含浸工程又は含浸処理又はインプリグネーション・プロセス)の間に駆動力(又はドライビングフォース)が存在しない場合、抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)は、大きい孔のRP-シリカの場合、小さい孔のRP-シリカの抽出剤の密度(わずか12mモル/gのみ)と比較して、表面積が半分未満であるにもかかわらず、かなり大きいことがわかった(22mモル/g)。
観察された現象は、大きい孔のRP-シリカのより大きな孔に抽出剤が比較的に良好に拡散(又はディフュージョン)することに起因し得るものであった。このことは、駆動力が存在しない場合、小さい孔のRP-シリカのかなり小さな孔とは反対であった。
【0138】
調べた駆動力の両方、すなわち、超音波および高い温度は、単独、および組み合わせること(又はコンビネーション)によって、RP-シリカの孔(又は細孔又はポア)において抽出剤(又はエクストラクタント)の拡散(又はディフュージョン)を促進させる(又は増加させる又は高める)ことにおいて、そして、その抽出剤の密度を実質的に高めること、次いで、抽出カラムの容量(又はキャパシティ)を改善(又は向上又は増加)させることにおいて、重要な役割を果たしているようである。
このようなエフェクト(又は効果又は影響)は、特に、小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカの場合に大きい。このような小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカの表面積は、大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカの表面積と比較して、2倍よりも大きい。
RP-シリカの孔の大きさ(又はポアサイズ)に関係なく、複数の駆動力のうち1つだけを採用する場合、高い温度と比較して、超音波の方がわずかに良好な結果をもたらす。
含浸の条件は、以下の順番(又はオーダー)で最も高い抽出剤の密度を示した。
【0139】
小さい孔のRP-シリカ,高い温度,超音波>>>小さい孔のRP-シリカ,超音波>>小さい孔のRP-シリカ,高い温度>>大きい孔のRP-シリカ,超音波,高い温度>大きい孔のRP-シリカ,超音波>大きい孔のRP-シリカ,高い温度>大きい孔のRP-シリカ,駆動力なし>小さい孔のRP-シリカ,駆動力なし
【0140】
換言すると、本発明は、望ましい抽出剤の密度を目的として、選択肢(又はオプション)の範囲を提供し、そこから選択する。
【0141】
一実施形態において、抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)は、以下の(1)~(7)のうちの少なくとも1つを含む。
(1) 小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカ(高い温度および超音波での処理あり)、
(2) 小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカ(超音波での処理あり)、
(3) 小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカ(高い温度での処理あり)、
(4) 大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカ(超音波および高い温度での処理あり)、
(5) 大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカ(超音波での処理あり)、
(6) 大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカ(高い温度での処理あり)、および、必要に応じて、
(7) 上記の2以上の組み合わせ(又はコンビネーション)
【0142】
別の実施形態では、上記で説明した発明は、さらに以下の(a)および/または(b)を含む。
(a) 大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカ(含浸駆動力処理(又はインプリグネーション・ドライビングフォース・トリートメント)なし)、および/または
(b) 小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカ(含浸駆動力処理(又はインプリグネーション・ドライビングフォース・トリートメント)なし)
【0143】
現在、現行の技術として、含浸プロセス(又は含浸工程又は含浸処理又はインプリグネーション・プロセス)の間に駆動力(又はドライビングフォース)は適用(又は付与)していない。
表2に示す通り、なおかつ、上記で検討した通り、含浸プロセス(又は含浸工程又は含浸処理又はインプリグネーション・プロセス)の間に駆動力(又はドライビングフォース)が存在しない場合、大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカは、小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカと比較して、表面積が半分だけであるにもかかわらず、より良好な抽出剤の密度(又はエクストラクタント・デンシティ)(約100%超)を与える。
大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカおよび小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカの両方において、本発明に従って含浸駆動力として高い温度および超音波を使用することによって、抽出剤の密度において、実質的な改善(又は改良又は向上又はインプルーブメント)がもたらされた(大きい孔(又はワイドポア)のRP-シリカ:約227%、および小さい孔(又はナローポア)のRP-シリカ:約750%)。
本発明に従う改善(又は改良又は向上又はインプルーブメント)は、現行の含浸方法で達成している最も高い抽出剤の密度から、約410%の改善である。
抽出剤の密度における改善(又は改良又は向上又はインプルーブメント)、それによって、本発明に従って達成される抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)の容量(又はキャパシティ)は、大きく、そして、抽出クロマトグラフィおよび固相抽出法と、REEおよびPGMを分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)するために産業(又は工業)として現在使用されている良好な溶媒抽出との競合を可能にすることによって、ゲーム・チェンジャーに成り得る。
本発明者の最良の知見によると、このようなことは、これまで、決して挑戦されていないし、これまでに報告もされていない。
【0144】
(まとめ)
抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)における固有の制限(又はリミテーション)は、固定相(又はステーショナリー・フェーズ)の容量(又はキャパシティ)が低いこと、および抽出カラムの製造(又は調製又は準備又は用意)に関連するコスト(又は費用)が非常に高いことであり、その多くの魅力的な特徴(単純性(又はシンプルさ又はシンプリシティ)、速度(又はスピード)および環境への優しさ(又はエンバイロメンタル・フレンドリネス)が挙げられる)にもかかわらず、その金属イオンの産業規模(又は工業規模又はインダストリアル・スケール)での分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)への適用(又は応用又は用途又はアプリケーション)が制限されていた。
【0145】
本発明は、抽出クロマトグラフィ(又はエクストラクション・クロマトグラフィ)で使用される固定相(又はステーショナリー・フェーズ)の容量(又はキャパシティ)を実質的に改善(又は改良)する。そして、抽出カラムを製造(又は調製又は準備又は用意)する方法論(又はメソドロジー)を単純化する(又はシンプルにする)。それにより、金属イオン、特にREEおよびPGMイオンの大規模(又はラージ・スケール)での製造(又は調製又は準備又は用意)に係る方法における固有の制限(又はリミテーション)を排除する。
【0146】
充填(又はロード又はローディング)されて一回のクロマトグラフィのラン(又は実行)で精製され得る材料(又はマテリアル)の量によって、固定相(又はステーショナリー・フェーズ)の容量(又はキャパシティ)を測定する。
固定相に充填され得る材料の量は、固定相における抽出剤(又はエクストラクタント)の量に直接的に依存する。そして、抽出剤の量が多いほど、その容量(又はキャパシティ)が大きくなることを意味する[15]。
それ故、固定相の容量は、固定相1グラム(g)あたりに存在する抽出剤の量あるいは抽出剤の密度によって定量化されてよい。
【0147】
固定相の固体の支持体(又はソリッド・サポート)として使用されるRP-シリカの様々なパラメータならびに固体の支持体に抽出剤を固定(又はイモビライゼーション)するために採用される含浸プロセス(又はインプリグネーション・プロセス)の様々な条件の抽出剤の密度へのエフェクト(又は効果又は影響)が研究され、その結果として、本発明が得られた。
【0148】
一実施形態では、本発明に従って達成された結果によって、抽出剤の密度(すなわち、固定相の容量(又はキャパシティ))の400~700%の増加がもたらされた(使用するRP-シリカの種類(又はタイプ)に依存する)。
本発明に従って達成される固定相の容量(又はキャパシティ)の改善(又は改良又は向上又はインプルーブメント)は、大きく、それにより、抽出クロマトグラフィの固有の制限(又はリミテーション)および抽出カラムの製造(又は調製又は準備又は用意)に関連した極端に高いコスト(又は費用)が効率よく取り除かれる。
また、かかる結果は、REEおよびPGMの大規模(又はラージ・スケール)での製造(又は生成)において、ゲーム・チェンジャーに成り得る。これは、技術的に不十分かつ/または環境に優しくない最新技術の溶媒抽出およびイオン交換クロマトグラフィの方法の代わりとなる環境に優しく、費用効果に優れる方法として、抽出クロマトグラフィを当該分野にもたらすことによるものである。
【0149】
(本発明の第2の態様の詳細な説明)
本発明によると、REEおよび/またはPGMは、抽出クロマトグラフィによって分離される。抽出クロマトグラフィにおいて、抽出カラムは、固体の支持体に物理的に含浸させた有機化合物(錯体形成特性(又はコンプレックス・フォーミング・プロパティ)を有するもの)(すなわち、抽出剤(又はエクストラクタント))を含む。このような固体の支持体は、REEイオンまたはPGMイオンとともに錯体(又はコンプレックス)を形成することによって、REEおよび/またはPGMを保持(又はリテンション)することができる。なお、錯体(又はコンプレックス)は、様々な安定性(又はスタビリティ)の定数(又は係数)(又はスタビリティ・コンスタント)を有するものである。
従って、抽出カラムによって保持されたREEおよび/またはPGMは、溶離液(又はエリューエント)として鉱酸(又はミネラル・アシッド)によって溶出させる。このような溶離液は、酸の濃度および/または移動相のフロー・レート(又は流速又は流量)を増加させるものである。
【0150】
本発明の一実施形態によると、抽出カラムをユニークな方法で製造(又は調製又は準備又は用意)する。このような方法は、小さな孔(又はナロー・ポア)または大きな表面積のRP-シリカの粒子に適切な抽出剤(又はエクストラクタント)を物理的に含浸(又はインプリグネーション)させることによるものである。
図1は、RP-シリカ(固体の支持体として)およびDHEHP(モデル抽出剤として)が関与する物理的な含浸(又はフィジカル・インプリグネーション)のメカニズム(又は機構)を示す概略図を示す。
【0151】
RP-シリカと適切な有機溶媒とからなるスラリー(充填準備のスラリー)をバッチワイス(又はバッチごと)に抽出カラムに充填(又はパック又はパッキング)する。RP-シリカに抽出剤を固定する(又はイモビライゼーション)。また、適切な有機溶媒は、好ましくは、充填溶媒としての抽出剤そのものである。
図4は、抽出カラムの充填プロセス(又はパック・プロセス又はパッキング・プロセス)を示す。
【0152】
混合REE塩の水溶液(ただし、Ceは除く)または混合PGM塩の水溶液を抽出カラムにそれぞれ充填(又はロード又はローディング)させる。
【0153】
鉱酸(又はミネラル・アシッド)の水溶液を用いて、充填したカラムから、REEイオンまたはPGM錯体を溶出させる。このような溶出は、無勾配(又は均一濃度又は均一溶媒又はアイソクラティック)、リニア・グラジエント(又はリニア勾配又は直線勾配)および/またはステップワイズ・グラジエント(又はステップ式の勾配又は段階的な勾配)の溶出モード(又は溶離モード又はエリューション・モード)および/または溶離液(又はエリューエント)のフロー・レート(又は流速又は流量)の勾配モード(又はグラジエント・モード)によるものである。
【0154】
次いで、溶出されたフラクション(又は画分)は、蒸留、イオン交換および/または濾過膜(又はフィルター・メンブレン)による濾過技術によって濃縮される。それにより、個々および/またはグループのREEあるいは個々および/またはグループのPGMを含むさらに濃縮されたフラクション(又は画分)を形成(又は生成)し、溶離液(又はエリューエント)が回収(又はリカバリ)および再利用(又はリサイクル)される。
また、他の分離技術も溶離液の回収(又はリカバリ)および再利用(又はリサイクル)に使用することができる(例えば、共沸蒸留、遠心分離、蒸発(又はエバポレーション)、液液抽出(又は液体-液体の抽出)など)。
【0155】
REEの1つ、すなわち、セリウム(Ce)が、検討した錯化剤(又は錯体化剤又は錯体形成剤又はコンプレキシング・エージェント(complexing agent))と異なって反応することが本発明の間にわかった。
この発見に従って、Ceは、有機リン系の抽出剤の存在下、より高い酸化状態(+4の酸化状態)まで明らかに酸化され、非常に安定な錯体(又はコンプレックス)を形成し、鉱酸を最大濃度で使用しても、懸案の抽出カラムから溶出させることはできなかった。
それ故、クロマトグラフィの工程(又はステップ)の前に、入ってくるREE混合物(又は流入するREE混合物)から、湿式冶金法によってCeを低減(又は激減)させて、供給材料(又はフィード・マテリアル)として、CeフリーREE混合物(又はCeを含まないREEの混合物)を使用することが好ましい。
【0156】
一回(又はシングル)のクロマトグラフィの工程(又はステップ)によって、全てのREEまたは全てのPGMを分離させることが可能であっても、産業上(又は工業上)の分離プロセス(又はセパレーション・プロセス)において、まず、入ってくる(又は流入する)REEまたはPGMの混合物をいくつかのサブ・グループに分離して、その後に第2のクロマトグラフィの分離(又はセパレーション)を行うことが好ましい。ここで、REEまたはPGMのグループは、個々のREEまたは個々のPGMにさらに分離されている。
【0157】
図5は、本発明に従うプロセス(又は工程又は処理又は方法)の典型的なフロー図(又はフロー・ダイアグラム)を示す。
図5では、市販の供給源(又は供給者又は源又はソース)から入手したREE濃縮物またはPGMを含有する材料(又はマテリアル)が適切な酸でミネラル化(又は鉱物化又はミネラライゼーション)した後にフィード水溶液(又は供給水溶液)として導入される。
ミネラル化(又は鉱物化又はミネラライゼーション)のための酸の選択は、REEまたはPGMの化学(又はケミストリ)ならびに安全性(又はセーフティ)および費用(又はコスト)の検討に依存している。
現在、REEに対する好ましい酸は、鉱酸(又はミネラル・アシッド)(例えば、塩化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸)であると考えられている。
従って、REEの塩は、好ましくは、塩化物(又はクロライド又はクロリド)、硫酸塩(又はスルフェート)、硝酸塩(又はニトレート)またはリン酸塩(又はホスフェート)である。
また、PGMに対する好ましい酸は、塩化水素酸または王酸(すなわち、3:1のHCl/HNO
3(v/v)の混合物)であると考えられている。
それ故、PGMは、好ましくは、そのアニオン性のクロロ錯体(クロロ・コンプレックス)の形態である。
【0158】
しかし、当業者は、本明細書を読むと、さらに他の酸/塩を使用することができることを理解する。
また、当業者は、必要に応じて、如何にしてREEの塩を別の塩に変換(又は転化又はコンバージョン)するかについて分かるだろう。
【0159】
REEに関して、分離され得る材料(又はマテリアル)は、REE濃縮物(主としてREEの塩またはRREの酸化物を含むもの)として提供される。
REEの塩またはRREの酸化物は、まず、選択した鉱酸(又はミネラル・アシッド)に溶解させる。
従って、さらなる原料の調製工程が行われる。ここでは、REEの混合物(上記の通り)から問題のセリウム(Ce)を低減(又は激減)させる。
本開示の記載を簡略化するために、REEの硝酸塩(又はニトレート塩又はニトレート・ソルト)および硝酸を用いて本発明を記載する。
他の酸を用いるプロセス(又は工程又は処理又は方法)が硝酸/硝酸塩を用いた場合と同じになることを当業者は理解する。
【0160】
Ceが低減(又は激減)したREEの硝酸塩(又はニトレート塩又はニトレート・ソルト)をフィード溶液システム(又は供給溶液システム)に導入する。フィード溶液システム(又は供給溶液システム)は、1以上の混合タンクと、フィード溶液タンク(又は供給溶液タンク(feed solution tank))10とを含んで成る。
REEの硝酸塩(又はニトレート)を硝酸(HNO3)の水溶液(約1~1.5のモル濃度)に溶解させる。それにより、約1~100mg/l、例えば、約50mg/lなどのREEの濃度を与え、フィード液タンク(又は供給液タンク(feed liquor tank))10に導入する。
【0161】
PGMに関して、分離され得る材料(又はマテリアル)は、PGMを含有する鉱物(又はミネラル)、二次的な材料(又はセカンダリ・マテリアル)のスクラップ(又は廃棄物)、その他、廃棄された電子スクラップ、使用済の自動車の触媒コンバータ、使用済のバッテリー、使用された電灯、スーパーアロイ、ジュエリー・スクラップおよび産業廃棄物(例えば、メッキ・ソリューション(又はメッキ液)およびメッキ・スラッジ)として提供される。
PGMを含む材料は、まず、選択されたメディア(又は媒体)(以下に記載の通り)に溶解させる。
【0162】
その高貴(又はノーブル)な性質(又はネイチャ)のために、しばしば、PGMは、適切なリガンド(又は配位子)とともに、錯体化によって、溶液中に溶解および安定化される。
PGMは、様々な異なるリガンド(又は配位子)とともに、一定範囲の錯体(又はコンプレックス)を形成することが知られている。
技術および市販の観点から、クロリド系(又はクロリド・システム)が最も費用効果に優れ、広く使用されるメディア(又は媒体)である。ここで、全てのPGMを溶液にすることができ、濃縮され得る。
それ故、本開示の説明において、本発明は、PGMクロロ錯体および王水(すなわち、3:1のHCl/HNO3(v/v)の混合物)(錯体化メディアとして)を用いることで説明される。
他の錯体化リガンド(又は錯体化されたリガンド(又は配位子))を用いるプロセスが王水を用いる場合と同じになることを当業者は理解する。
【0163】
混合されたPGMクロロ錯体溶液(又は混合PGMクロロ錯体溶液)を1以上のフィード溶液タンク10’(又は供給溶液タンク10’)に導入する。このとき、PGMの濃度は、約1~100mg/l(例えば、約50mg/lなど)である。
【0164】
次いで、供給ライン12(又はフィード・ライン12)を介して、フィード溶液タンク10(又は供給溶液タンク10)に含まれるREE硝酸塩(又はREEニトレート)の水溶液をグループ分離ユニット11(又はグループ・セパレーション・ユニット11)に導入する。
次いで、同様にして、供給ライン12’(又はフィード・ライン12’)を介して、フィード溶液タンク10’(又は供給溶液タンク10’)に含まれるPGMクロロ錯体の溶液をグループ分離ユニット11’(又はグループ・セパレーション・ユニット11’)に導入する。
【0165】
グループ分離ユニット(又はグループ・セパレーション・ユニット)は、1以上の液体クロマトグラフィ・ユニット(又はリキッド・クロマトグラフィ・ユニット)を含んで成る。液体クロマトグラフィ・ユニットは、複数の大容量(又はラージ・ボリューム)の高圧抽出カラムを含んで成る。複数の大容量の高圧抽出カラムは、それぞれ、REEおよびPGMのそれぞれのためのものである。ここで、抽出カラムは、適切な抽出剤(又はエクストラクタント)を含んで成り、抽出剤は、裸のシリカ粒子(又はベア・シリカ粒子)に化学的に結合している。
REEイオンとの錯体形成特性(又はコンプレックス・フォーミング・プロパティ)を有する抽出剤は、好ましくは、有機リン化合物である。PGMとの錯体形成特性(又はコンプレックス・フォーミング・プロパティ)を有する抽出剤は、好ましくは、有機化合物であり、アミンまたは硫黄官能基を有するものである。以下に示す一般式を有する。
【化4】
【0166】
式中、
R3は、H、またはC1-C4アルキルであり、
R1およびR2は、独立して、親油性(又はリポフィリック)の炭化水素基または修飾された炭化水素(例えば、アルキル、アリールまたはエステル基(例えば、6~20個の炭素原子を有するもの))である。
現在、好ましい錯化剤(又は錯体化剤又は錯体形成剤又はコンプレキセーション・エージェント(complexation agent))は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)、ジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(H[TMPeP])および2-エチルヘキシル,2-エチルヘキシルホスホン酸(H[(EH)EHP])、アリクアット(aliquat)-336[N(CH3)4]、ジオクチルスルフィド[S(CH2)2]である。
本開示において、他の抽出剤のリストを他の場所に提供する。
【0167】
選択した抽出剤が固定(又はイモビライゼーション)される固体の支持体(又はソリッド・サポート)は、好ましくは、多孔性(又は多孔質又はポーラス)のRP-シリカ粒子であり、液体クロマトグラフィに適した任意の便利な固体の材料(又はソリッド・マテリアル)であってよい。
現在、好ましい固体の支持体(又はソリッド・サポート)は、小さい孔(又はナロー・ポア)または大きな表面積の多孔性(又は多孔質又はポーラス)のRP-シリカである。その粒子の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又は粒径又はパーティクル・サイズ)は、5~45μmであり、孔(又は孔径又は細孔)の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又は孔径又は細孔径又はポア・サイズ)は、60~100Å(オングストローム)である。
【0168】
上記のRP-シリカは、物理的に固定する所望のタイプ(又は種類)の抽出剤(又はエクストラクタント)によって修飾(又は改質又は改変又はモディフィケーション)されてよい。本開示において、参考として、HDEHP、(H[TMPeP])、(H[(EH)EHP])、アリクアット(aliquat)-336[N(CH3)4]、ジ-オクチル スルフィド[S(CH2)2]が記載されている。
このような抽出剤が、抽出剤のR1およびR2基の炭素(C)と、RP-シリカのアルキル基との間の結合によって、多孔性(又は多孔質又はポーラス)のRP-シリカに物理的に結合していると仮定している(例えば、何らかの物理化学的な結合、あるいは、例えば、ファンデル・ワールス力による相互作用(又はファンデル・ワールス・インタラクション)の形態)。
抽出カラムにおける抽出剤の様々な量および種類(又はタイプ)によって、様々な保持容量(又はリテンション・キャパシティ)が得られる。それにより、様々なREEおよび/またはPGMイオンの様々な充填容量(又はローディング・キャパシティ)が得られる。
REEまたはPGMの意図した分離(又はセパレーション)および精製(又はピュアリフィケーション)のために、どのような種類(又はタイプ)の抽出剤(又はエクストラクタント)、あるいは、どのような抽出剤の量が適切であるかを当業者は簡単に見出すだろう。
【0169】
REEおよび/またはPGMを分離(又はセパレーション)するための抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)では、典型的には、内径が600~1200cmであり、床(又はベッド)の長さ(又は高さ)が25~50cmである。
しかし、このように示される限界(又は境界)は、本発明の範囲から逸脱することなく、拡張することができる。
【0170】
REEグループの分離ユニット(又はセパレーション・ユニット)またはPGMグループの分離ユニット(又はセパレーション・ユニット)は、好ましくは、1よりも多くの抽出クロマトグラフィのカラム(又はエクストラクション・クロマトグラフィ・カラム)(上記で説明した通り)を含む。
カラムは、好ましくは、並行(又はパラレル)に配置され、カラムのそれぞれがバッチ・ワイズ(又はバッチ式(batch wise))で操作(又は運転)される。
並行(又はパラレル)に配置されるカラムは、連続して(又はシーケンスで)操作(又は運転)されてよい。それにより、半連続的なプロセス(又は工程又は処理又は方法)(又は半連続プロセス又はセミ連続プロセス)が可能になる。
【0171】
予め決められた容量(又は容積又は体積又はボリューム)/濃度(又はコンセントレーション)のフィード溶液(又は供給溶液)(Ceが激減した(又は排除された)混合REEを含む)(タンク10に由来するもの)を抽出カラム11に充填(又はロード又はローディング)する。
同様にして、混合PGMクロロ錯体溶液(又は混合PGMクロロ・コンプレックス溶液)(タンク10’に由来するもの)を抽出カラム11’に充填(又はロード又はローディング)する。
REEフィード溶液またはPGMフィード溶液の両方における酸の濃度(又はコンセントレーション)は、溶離液(又はエリューエント)の酸の最初の濃度(又はイニシャル濃度又はイニシャル・コンセントレーション)と同じレベルで維持する。そして、予め決められた容量(又は容積又は体積又はボリューム)/濃度(又はコンセントレーション)のフィード溶液(又は供給溶液)は、それぞれのカラムの理論的な容量(又は理論容量又は理論キャパシティ)(すなわち、カラムにおける抽出剤の量)よりも十分に低くなるように計算されている。それにより、定量的な保持(又はリテンション)が可能になる。
【0172】
充填後(又はロード後又はローディング後)、それぞれの抽出カラム(適切な溶離液の酸および適切な溶離液の酸の濃度を伴うもの)(REEの溶離液混合システム20またはPGMの溶離液混合システムに由来するもの)から、REEまたはPGMを溶出させる。
REEの溶離液混合システムおよびPGMの溶離液混合システムは、入ってくる(又は流入する)水、濃縮された酸(又は濃酸)およびリサイクル(又は再利用)された酸(様々な濃度のもの)の流れ(又はストリーム)を混合することが可能であり、それにより、必要な濃度の溶離液を送達(又はデリバリ)することができる(以下にて、さらに説明する通りである)。
【0173】
REEのサブグループまたはPGMのサブグループの分離(又はセパレーション)は、通常、リニア(linear)および/またはステップワイズ(又はステップ式(stepwise))の濃度勾配(又は濃度グラジエント)の溶出モード(又はエリューション・モード(elution mode))そして/または溶離液のフロー勾配(又はフロー・グラジエント)の溶出モード(又はエリューション・モード(elution mode))によって行われる。
【0174】
操作(又は運転)する抽出カラムの圧力は、パラメータの中でも特に、カラム管(又はカラム・チューブ)の設定した圧力、不活性(又はイナート)の固体の支持体の材料(又はイナート・ソリッド・サポート・マテリアル)の粒子の大きさ(又は寸法又はサイズ)(又は粒径又は粒子径又はパーティクル・サイズ)、充填密度(又はパック密度又はパッキング密度又はパッキング・デンシティ)、抽出カラムの床(又はベッド)の長さ(又は高さ)に依存する。
本発明において、REEの溶出(又はエリューション)の間、操作(又は運転)する抽出カラムの圧力は、典型的には、50~100barの間である。
【0175】
抽出カラムは、通常、周囲温度で操作(又は運転)される。しかし、より高い温度(例えば、20~60℃)でも操作(又は運転)させることができる。
本発明に従う好ましい抽出カラムの温度は、60℃である。
【0176】
REEまたはPGMのそれぞれの保持時間(又はリテンション・タイム)は、1回のクロマトグラフィのラン(又は実行)から次のクロマトグラフィのラン(又は実行)において、非常に安定していて、再現性がある。ただし、溶離液(又はエリューエント)の酸の濃度、抽出勾配(又は抽出グラジエント又はエリューション・グラジエント)および溶離液のフロー・レート(又は流速又は流量)は、一定(又はコンスタント)に維持する。
従って、個々のREEまたは個々のPGMのフラクション(又は画分)は、保持時間(又はリテンション・タイム)に基づいて回収されてよい。
しかし、保持時間は、好ましくは、金属の具体的な検出器(又はディテクタ)(例えば、Microwave Plasma Emission Spectrometry (MP-AES))を使用して定期的に確認(又はチェック)する。
抽出カラムから放出される溶出液の細流分割(又は細流スプリット)をMP-AES検出器に導入する。それにより、REEまたはPGMイオンのそれぞれを定量的に同定することができる(又はアイデンティフィケーション)。
【0177】
分離したREEのサブグループまたはPGMのサブグループをさらなる処理のためにそれぞれ専用のタンクに回収する。
【0178】
次いで、それぞれの抽出カラムを次のサイクルのために準備(又は用意)した(又はプレコンディショニングに付した)。そのために、溶離液の酸溶液をそれぞれ用いてフラッシングを行った。このような溶離液の酸溶液は、REEまたはPGMの混合物を含むフィード溶液(又は供給溶液)とほぼ同じ酸濃度を有するものである。
【0179】
抽出カラムから溶出させたREEのサブグループまたはPGMのサブグループは、それぞれ、それぞれの抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)したフィード溶液(又は供給溶液)のものと比較して、実質的に希釈されている。
従って、溶出させたREEのサブグループまたはPGMのサブグループは、好ましくは、一定の濃度で溶離液の回収ユニット(又はリカバリ・ユニット)でそれぞれ濃縮されて、酸をリカバー(又は回収)およびリサイクル(又は再利用する)。そして、さらなる処理のために、より濃縮されたフラクション(又は画分)を生成(又は形成又は製造)する。
【0180】
REEのサブグループのフラクション(又は画分)またはPGMのサブグループのフラクション(又は画分)の最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)は、様々な方法によって行われてよい。そのなかでも特に、希釈、イオン交換キャプチャ(又はイオン交換捕捉)、または濾過膜(又はフィルター・メンブレン)を用いて、あるいは、それら組み合わせ(又はコンビネーション)によって行われてよい。
分離したREEのフラクション(又は画分)または分離したPGMのフラクション(又は画分)のそれぞれが別々に濃縮されること、そして、このようなフラクション(又は画分)は、様々な方法によって濃縮されてよいことを当業者は理解する。
【0181】
最終的な濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)で使用した方法とは独立して、濃縮されたREEのサブグループのフラクション(又は画分)または濃縮されたPGMのサブグループのフラクション(又は画分)をそれぞれフラクション・タンク(又は画分タンク)41,42および43あるいはフラクション・タンク(又は画分タンク)41’,42’および43’で回収(又はコレクション)する。
濃縮されたREEのフラクション(又は画分)または濃縮されたPGMのフラクション(又は画分)は、同じ設備(又はファシリティ)でさらに処理されてよい。あるいは、1以上のフラクション(又は画分)が他の塩(例えば、炭酸塩(又はカーボネート))に変換されてよい。あるいは、金属をそれぞれ沈降させて、乾燥させて、最終的に最終生成物(又はファイナル・プロダクト)として販売してよい。
【0182】
好ましくは、REEのサブグループのフラクション(又は画分)のREE濃度あるいはPGMのサブグループのフラクション(又は画分)のPGM濃度は、最終的な濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)の後、採用する最終的な濃縮の方法に関係なく、50~100gのREE/L(硝酸)、または50~100gのPGM/L(塩化水素酸)である。
【0183】
分離され最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)されたREEのグループのフラクション(又は画分)(タンク41,42,43)または分離され最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)されたPGMのグループのフラクション(又は画分)(タンク41’,42’,43’)は、その後、単一成分分離ユニット50(又はシングル・コンポーネント・セパレーション・ユニット50)または単一成分分離ユニット50’(又はシングル・コンポーネント・セパレーション・ユニット50’)にそれぞれ導入される。
REEの単一成分分離ユニット50またはPGMの単一成分分離ユニット50’は、並行(又はパラレル)または直列(又はシリーズ)で配列された1以上の抽出カラムを含んで成り、それぞれ、タンク41,42,43またはタンク41’,42’,43’からのフラクション(又は画分)のそれぞれに向けられている。
REEまたはPGMの各々の分離(又はセパレーション)は、同一の抽出カラムをそれぞれ使用し、そして、グループ分離ユニット11(又はグループ・セパレーション・ユニット11)またはグループ分離ユニット11’(又はグループ・セパレーション・ユニット11’)をそれぞれ参照しながら説明した操作(又は運転)のパラメータの範囲と同じ範囲を使用して行ってよい。
【0184】
REEの単一成分分離ユニット50またはPGMの単一成分分離ユニット50’における抽出カラムの充填(又はロード又はローディング)は、ユニット11またはユニット11’における抽出カラムの充填(又はロード又はローディング)にそれぞれ対応している。
抽出カラム50から各々のREEを溶出するための溶離液の酸を溶離液の混合ユニット20において混合し、溶離液のライン51を通して導入する。
同様に、抽出カラム50’から各々のPGMを溶出するための溶離液の酸を溶離液の混合ユニット20’において混合し、溶離液のライン51’を通して導入する。
【0185】
充填(又はロード又はローディング)したそれぞれの抽出カラムから各々のREEまたはPGMを溶出すること(又はエリューション)は、適切な溶離液の酸の濃度を変化させることによって行う。このとき、ステップワイズ(又はステップ式)またはリニア(又はリニア式)の濃度勾配モード(又は濃度グラジエント・モード又はコンセントレーション・グラジエント・モード)またはフロー勾配モード(又はフロー・グラジエント・モード)、あるいはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を使用する。
所定の酸の濃度について、保持時間(又はリテンション時間又はリテンション・タイム)は、再現可能である。
溶出液の細流のMP-AES検出器または対応する測定器を使用して、個々のREEまたはPGMのピークをそれぞれ区別(又は識別)する。
【0186】
貯蔵(又はストックピリング)および後段の分離(又はセパレーション)を意図したREEまたはPGMの成分の混合物を別々の溶出液のタンク62または62’でそれぞれ回収(又はコレクション)する。
図5において、溶出液のタンクを数個だけ示している場合であっても、関心のREEまたはPGMのそれぞれにつきタンクが1つ存在することを当業者は理解するだろう。
【0187】
また、ピークの重なり(又はオーバーラップ又はオーバーラッピング)の程度を調整(又はアジャストメント)することによって、任意の個々のREEフラクションまたは任意の個々のPGMフラクションの純度(又はピュアリティ)のレベルが制御(又は管理又はコントロール)できることを当業者は理解するだろう。それにより、具体的な顧客(又はカスタマー)の仕様に応じた純度のフラクション(又は画分)を製造(又は生産又は生成)することができる。
狭いピーク(又はナロー・ピーク)のフラクション(又は画分)の回収(又はコレクション)によって、極めて純度の高い個々のREEまたは極めて純度の高い個々のPGMがもたらされる(例えば、99%以上の純度(又はピュアリティ))。
REEおよびPGMの両方の場合において、純度への要求がより低い用途(又は適用又はアプリケーション)では、より広いピークのフラクションによって、隣接するフラクション(又は画分)との重なり(又はオーバーラップ又はオーバーラッピング)が可能となってよい。
【0188】
溶出液のタンク62のREEフラクションまたは溶出液のタンク62’のPGMフラクションをそれぞれの抽出カラムに充填される溶液と比較して実質的に希釈される。
典型的には、溶出液のREEまたはPGMの濃度は、全体(又はトータル)で、それぞれ、1~3g/Lである。
従って、個々のREEフラクションまたはPGMフラクションは、最終的な濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)の溶離液の回収ユニット70または最終的な濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)の溶離液の回収ユニット70’にそれぞれ導入される。ここでは、REEの単一成分フラクションまたはPGMの単一成分フラクションを濃縮する(溶離液の回収ユニット(又はリカバリ・ユニット)40または40’をそれぞれ参照しながら説明した通りである)。
【0189】
REEフラクションから回収(又はリカバリ)される溶離液の酸(例えば、上記で説明したNHO3)は、その酸の強度に応じて、タンク25,26,27において、ライン25*,26*,27*をそれぞれ介して、回収(又はコレクション)される。
同様に、PGMフラクションから回収(又はリカバリ)される溶離液の酸(例えば、上記で説明したHCl)は、その酸の強度に応じて、タンク25’,26’,27’において、ライン25**,26**,27**をそれぞれ介して、回収(又はコレクション)される。
【0190】
REEの溶離液の回収ユニット70(又はリカバリ・ユニット70)またはPGMの溶離液の回収ユニット70’(又はリカバリ・ユニット70’)に由来する濃縮された溶出液は、それぞれ、濃縮物タンク72または72’に回収される。
【0191】
重なるREEピーク(又はオーバーラップするREEピーク又はオーバーラッピングREEピーク)のフラクション(又は画分)は、タンク61にあり、溶離液の再生ユニット70(又はリジェネレーション・ユニット70)で濃縮されてよく、REEのリサイクル・タンク90(又は再利用タンク又は循環タンク90)に導入されてよい。そして、ライン91を通して、REEのグループ分離ユニット11(又はグループ・セパレーション・ユニット11)またはREEの単一成分分離ユニット50(又はシングル・コンポーネント・セパレーション・ユニット50)にリサイクル(又は再利用又は循環)されてよい。
同様に、重なるPGMピーク(又はオーバーラップするPGMピーク又はオーバーラッピングPGMピーク)のフラクション(又は画分)は、タンク61’にあり、溶離液の再生ユニット70’(又はリジェネレーション・ユニット70’)で濃縮されてよく、PGMのリサイクル・タンク90’(又は再利用タンク又は循環タンク90’)に導入されてよい。そして、ライン91’を通して、PGMのグループ分離ユニット11’(又はグループ・セパレーション・ユニット11’)またはPGMの単一成分分離ユニット50’(又はシングル・コンポーネント・セパレーション・ユニット50’)にリサイクル(又は再利用又は循環)されてよい。
【0192】
好ましくは、タンク72のREE濃縮物は、最終的には、アンモニアによる中和および炭酸またはCO2の添加によって、変換ユニット80(又はコンバージョン・ユニット80)において炭酸塩(又はカーボネート)に変換される。
炭酸塩(又はカーボネート)のフラクション(又は画分)を乾燥させて炭酸塩タンク82(又はカーボネート・タンク82)で回収する。あるいは、焼成して、酸化物(又はオキシド)を生成(又は形成)してよい。
分離した個々のREEの炭酸塩(又はカーボネート)または酸化物(又はオキシド)、保存タンク62(又はストレージ・タンク62)からの炭酸塩(又はカーボネート)(2つのREEの重なるピーク(又はオーバーラップ・ピーク)を含むもの)、あるいはそれらの対応する酸化物(又はオキシド)は、例えば、その最終的な使用(又は用途)に応じて、さらなる処理のために、それらのユーザー(又は使用者)に販売されてよい。
【0193】
好ましくは、タンク72’のPGMの濃縮物は、最終的に、変換ユニット80’(又はコンバージョン・ユニット80’)において、水素ガスまたは他の還元剤を用いて還元することによって、金属のPGMに変換される。
金属のPGMを濾別して、保存タンク82’(又はストレージ・タンク82’)で回収する。
保存タンク62’に由来する分離された個々の金属のPGMは、PGMの重なるピークを含むものであり、例えば、その最終的な使用(又は用途)に応じて、さらなる処理のために、それらのユーザー(又は使用者)に販売されてよい。
【0194】
当業者であれば、以下のことを理解する。上記のすべての液体クロマトグラフィのユニットに関して、2以上の抽出カラムを並行(又はパラレル)または連続(又はシリーズ)で配置(又は配列又はアレンジ)してよい。あるいは、ラックのセットアップ(又は装置)(オペレータおよび/または制御システム(又はコントロール・システム)がカラムのセットアップ(又は装置)を変更できるもの)でアレンジ(又は配置又は配列)してよい。これは、例えば、連続するカラムのシーケンスを変更すること、カラムの溶出および/またはオペレーションを乱すことなく抽出カラムを交換するために1以上のカラムの接続を解除することによるものである。
【実施例】
【0195】
(実施例)
(実施例1)
REEのための溶離液(又はエリューエント(eluent))としての様々な鉱酸(又はミネラル・アシッド)の使用
様々な酸を溶出(又はエリューション)において比較するために、実験室規模(又はラボ・スケール)の抽出カラム(又はエクストラクション・カラム)(抽出剤(又はエクストラクタント)としてジ-(2-エチルヘキシル) リン酸(HDEHP)と、不活性の固体の支持体(又はイナート・ソリッド・サポート)としてRP-シリカとを含むもの)を使用して、テスト・ラン(又は試験ラン又は試験実行)を行った。
テスト(又は試験)した酸は、HNO
3、HCl、H
2SO
4、H
3PO
4であった。
図6は、様々な鉱酸を使用する溶出(又はエリューション)から得られる溶出プロファイル(又はエリューション・プロファイル)を表す。
図7および
図8は、HDEHPカラムを使用し、同じクロマトグラフィの条件下でのより軽いREE(又はライトREE)およびSEG-REEの保持時間(又はリテンション時間又はリテンション・タイム)の差(又は相違又は違い)、ならびに、分解能(又は分離能又はレゾリューション)を示す。
REEは、すべての酸に関して、保持時間における差が小さいことを示している。
ただし、H
3PO
4については、最も重いREE(又はヘビーREE)を溶出させることはできないことを示している。残りの3つの酸は、テスト(又は試験)したREEの間で良好な分解能(又は分離能又はレゾリューション)を示している。なお、HNO
3およびHClは、H
2SO
4よりも、より良好な分解能(又は分離能又はレゾリューション)を示すようである。
【0196】
これらのテスト(又は試験)から導き出され得る結果は、HNO3、HClおよびH2SO4が良好な選択(又はチョイス)であることであり、溶離液として使用することができる。このとき、HNO3およびHClがわずかに優れる。対して、H3PO4は、すべてのREEを溶出させることができない。
【0197】
(実施例2)
多様な種類(又はタイプ)の抽出剤(又はエクストラクタント)を用いるREEの分離(又はセパレーション)
実験室規模(又はラボ・スケール)の抽出カラム(同じ量の抽出剤を含むが、抽出剤の種類(又はタイプ)が異なるものを含むもの)を使用して、同じクロマトグラフィの条件下でテスト・ラン(又は試験ラン又は試験実行)を行った。
図9は、テスト(又は試験)の間に得られるより軽いREE(又はライトREE)およびSEG-REEの溶出プロファイル(又はエリューション・プロファイル)を示す。
テスト(又は試験)した3つのリガンド(又は配位子)のなかでも、HDEHPが、検討した全てのREEに関して、より大きな保持容量(又はリテンション・キャパシティ)を示し、(H[TMPeP])、(H[(EH)EHP])の順で続く。
【0198】
これらのテスト(又は試験)から導き出され得る結果は、HDEHPが、すべてのREEのグループ分離(又はグループ・セパレーション)ならびにより軽いREE(又はライトREE)およびSEG-REEの個々の分離(又はセパレーション)に適切であることである。対して、(H[TMPeP])は、速くて重いREE(又はアーリー・ヘビーREE)(すなわち、Tb~Er)+Yの個々の分離(又はセパレーション)に使用できる。
(H[(EH)EHP])は、遅くて重いREE(又はレイト・ヘビーREE)(Tm,YbおよびLu)+Scの個々の分離(又はセパレーション)に使用することができた。これらは、特に、HDEHPと非常に安定な錯体(又はコンプレックス)を形成し、(H[TMPeP])では程度がより低下する。
【0199】
(実施例3)
REEの分離(又はセパレーション)(抽出剤(又はエクストラクタント)の量のファンクション(又は関数又は機能)として)
実験室規模(又はラボ・スケール)の抽出カラム(様々な量のHDEHP(抽出剤として)を含むもの(すなわち、様々な抽出剤の密度を有するもの))を使用して、テスト・ラン(又は試験ラン又は試験実行)を行った。
図10は、同じクロマトグラフィの条件下で、すべてのREEの分離(又はセパレーション)から得られるREEの保持プロファイル(又はリテンション・プロファイル)を示す。ただし、抽出剤の量は異なっている。
このようなクロマトグラムから、抽出カラムの保持容量(又はリテンション容量又はリテンション・キャパシティ)ならびに隣接するREEピーク同士の分離(又はセパレーション)の程度が、抽出剤の量が増加するほど、より良好になることが明らかである。
【0200】
このようなテスト(又は試験)から導き出され得る結果は、HDEHPが、REEのグループ分離(又はグループ・セパレーション)ならびに大半のREE(例えば、La~Er+Y)の個々の分離(又はセパレーション)に適切であることである。対して、H([HTMeP])は、Erよりも重いREE(又はヘビーREE)(すなわち、Tm,Yb,Lu)およびScの個々の分離(又はセパレーション)に使用することができる。
これらは、HDEHPと非常に安定な錯体(又はコンプレックス)を形成し、溶離液として鉱酸(又はミネラル・アシッド)を用いて溶出させることが難しい。
H([EHEHP])は、溶離液としてH3PO4を用いて、REEの個々の分離(又はセパレーション)および/またはグループ分離(又はグループ・セパレーション)に使用することができたかもしれない。このことは、上記の通り、より弱い溶出容量(又は溶出キャパシティ)を示した。
【0201】
(実施例4)
REEの分離(又はセパレーション)(溶離液のフローレート(u)のファンクション(又は関数又は機能)として)
実験室規模(又はラボ・スケール)の抽出カラム(抽出剤(又はエクストラクタント)としてHDEHPと、不活性の固体の支持体(又はイナート・ソリッド・サポート)として逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)を含むもの)を使用して、REEのクロマト分離(又はクロマトグラフィによる分離(又はセパレーション))における溶離液(又はエリューエント)のフローレート(u)のエフェクト(又は効果又は影響)をテスト(又は試験)した。
いくつかのREEの混合物を含むフィード溶液(又は供給溶液)を抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)した。従って、溶離液のフローレート(又は流速又は流量)(u)を0.5mL/分~2mL/分で変化させることによって、その一方で、他のクロマトグラフィの条件は一定(又は不変又はコンスタント)に維持しながら、適切な濃度のHNO
3を用いて溶出した。
図11および
図12は、それぞれ、上記のテスト(又は試験)から得られる個々のREEのピーク幅(w)ならびに隣接するREEピーク同士の分解能(又は分離能又はレゾリューション)(Rs)を示す。
【0202】
このテスト(又は試験)の結果は、1.5mL/分の溶離液のフローレート(又は流速又は流量)(u)が、おそらく、最良(又は最善)の結果を示していることである。すなわち、個々のREEについては、ピーク幅が狭く(又はナロー)、隣接するREEのピーク間の分解能(又は分離能又はレゾリューション)がより高い。
従って、1.5mL/分のフロー・レート(又は流速又は流量)は、おそらく、最適のフローレートである(すなわち、直径が120cmのカラムでは、4.3m3/時間のフロー・レートに相当する)。
【0203】
(実施例5)
REEの分解能(又は分離能又はレゾリューション)(温度(T)のファンクション(又は関数又は機能)として)
実験室規模(又はラボ・スケール)の抽出カラム(抽出剤としてHDEHPと、不活性の固体の支持体(又はイナート・ソリッド・サポート)として逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)を含むもの)を使用して、REEのクロマト分離(又はクロマトグラフィによる分離(又はセパレーション))へのカラム温度(T)のエフェクト(又は効果又は影響)をテスト(又は試験)した。
いくつかのREEの混合物を含むフィード溶液(又は供給溶液)を抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)した。従って、カラム温度(T)を20℃~60℃に変更することによって、その一方で、他のクロマトグラフィの条件を一定(又は不変又はコンスタント)に維持しながら、最適なフロー・レート(1.5mL/分)で適切な濃度のHNO
3を用いて溶出した。
図13および
図14は、それぞれ、上記のテスト(又は試験)から得られる個々のREEのピーク幅(w)と、隣接するREEピーク同士の分解能(又は分離能又はレゾリューション)(Rs)とを示す。
【0204】
このテスト(又は試験)からの結果は、個々のREEピークのピーク幅(w)および隣接するREEピーク同士の分解能(又は分離能又はレゾリューション)の両方に関して、より高温のカラム温度が、より良好な結果をもたらすことである。
従って、≦70℃である逆相シリカを用いた場合に可能な最大温度を考慮すると、妥協(又は折衷)の最適として、60℃のカラム温度が選択される。
【0205】
(実施例6)
REEのカラム充填テスト
セミ・プレパラティブの抽出カラム[1cm(id)×25cm(L)、10μm(pd)、1000Å(オングストローム)(ポアサイズ)](逆相シリカ(又はリバース・フェーズ・シリカ)が充填(又はパック又はパッキング)され、31mモルのHDEHPを含むもの)を使用して、カラムの充填(又はロード又はローディング)のテスト(又は試験)を行った。
このテスト(又は試験)では、フィード溶液(又は供給溶液)(いくつかのREEの混合物を全REOの46mg/mLの濃度で含むもの)を使用した。
ロー(低)・ローディング・テスト、ミディアム(中)・ローディング・テストおよびハイ(高)・ローディング・テストにおいて、それぞれ、1mL、2.5mLおよび5mLのフィード溶液を上記の抽出カラムに注入(又はインジェクション)することによって、一連のオーバーロード(又はオーバーローディング)のテスト(又は試験)を行った。
従って、適切な濃度のHNO3(溶離液として)と、4mL/分のフロー・レートと、60℃のカラム温度とを使用して(これらは、本発明に従う最適なパラメータであることが見出されているものである)、溶出(又はエリューション)を行った。
【0206】
図15は、ロー(低)・カラム・ローディング、ミディアム(中)・カラム・ローディング、ハイ(高)・カラム・ローディングにおけるREEの溶出プロファイル(又はエリューション・プロファイル)を示す。
図に示す通り、カラムに充填(又はロード又はローディング)されるフィード溶液(又は供給溶液)の量(すなわち、ローディングの程度)が変化するとともに、個々のREEのピークの形状(又はシェイプ)およびブレイクスルーの保持時間(又はブレイクスルー・リテンション・タイム)ならびに隣接するREEピーク同士の分解能(又は分離能又はレゾリューション)が変化している。
しかし、個々のREEおよび/またはREEのグループの許容可能な分離(又はセパレーション)は、ずっと非常に高いロード(又はハイ・ロード)を維持している。
【0207】
(実施例7)
PGMのグループ分離テスト
図16は、DOS抽出カラムを用いたPGMの他のベース金属(又はベース・メタル)からの分離(又はセパレーション)を示す(グループとして)。
【0208】
(実施例8)
個々のPGMの分離テスト
図17は、DOS抽出カラムを用いたPdの他のPGMからの個々の分離(又はセパレーション)(又は個体分離又は個別分離)を示す。
【0209】
(実施例9)
個々のPGMの分離テスト
図18は、DETA抽出カラムを用いたRhの他のPGMからの個々の分離(又はセパレーション)(又は個体分離又は個別分離)を示す。
【0210】
(実施例10)
試験規模(又はパイロット・スケール)の分離テスト
REEのグループ分離(又はグループ・セパレーション)
試験規模(又はパイロット・スケール)の抽出カラムを用いて、REEの3つのサブグループ(ライトREE(La,PrおよびNd)、SEG-REE(Sm,EuおよびGd)、ヘビーREE(Tb~Er+Y))へのグループ分離(又はグループ・セパレーション)を含むテスト・ラン(又は試験実行)を行った。
カラムの寸法(又はディメンジョン)は、20cm(id)、35cm(L)であり、小さい孔(又は細孔又はポア)(又はナロー・ポア)のRP-シリカ[15μm(pd)および100Å(オングストローム)(ポアサイズ)]が充填(又はパック又はパッキング)されていて、抽出剤の密度は、48mモルのHDEHP/gである。
入ってくるREEの混合物(又は流入REE混合物)(Ceが減少(又は激減)していて、400mgのTREOを含むもの)を上記の抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)し、60℃のカラム温度を用いた濃度およびフロー(又は流れ)の勾配溶出モード(又はフロー・グラジエント・エリューション・モード)の組み合わせ(又はコンビネーション)を用いてHNO
3で溶出させた。
まずは、ライトREEを溶出させるために、リニア勾配溶出(又はリニア・グラジエント・エリューション)を9分間にわたって行った(1.25M~3MのHNO
3、800mL/分の溶離液のフローレート(又は流速又は流量))。
その後、SEG-REEおよびヘビーREEを溶出するために、さらに9分間にわたって、無勾配溶出(又はアイソクラチック・エリューション)を行った(7MのHNO
3、1600mL/分の溶離液のフローレート(又は流速又は流量))。
最後に、カラムをプレコンディショニング(1.25MのHNO
3、1600mL/分の溶離液のフローレート(又は流速又は流量)、2分間)に付して(トータルで20分間のサイクルの後)、次のグループ分離サイクル(又はグループ・セパレーション・サイクル)に備えた(又は準備した)。
図19は、このテスト(又は試験)で得られる代表的なクロマトグラムおよび溶出プロファイル(又はエリューション・プロファイル)を示す。
【0211】
個々のより軽いREE(又はライトREE)の分離(又はセパレーション)(ただし、Ceを除く)
試験規模(又はパイロット・スケール)の抽出カラムを用いて、テスト・ラン(又は試験実行)を行った。このテスト・ランには、個々のより軽いREE(又はライトREE)の単一成分(又はシングル・コンポーネント)(すなわち、La,PrおよびNd)への分離(又はセパレーション)が含まれる。
抽出カラムの寸法(又はディメンジョン)は、20cm(id)、35cm(L)であり、小さい孔(又は細孔又はポア)(又はナロー・ポア)のRP-シリカ[15μm(pd)および100Å(オングストローム)(ポアサイズ)]で充填(又はパック又はパッキング)されていて、抽出剤の密度は、48mモルのHDEHP/gである。
蒸留ユニット/イオン交換ユニットにおいて、所望のレベルの濃度まで、最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)した後、グループ分離工程(又はグループ・セパレーション・ステップ)からのライトREEフラクションを上記の抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)し、無勾配溶出モード(又はアイソクラティック・エリューション・モード)で分離した(1.25MのHNO
3溶液、1.6L/分のフローレート(又は流速又は流量)、60℃のカラム温度)。
図20は、このテスト(又は試験)で得られる代表的なクロマトグラムを示す。ここで、3つのライトREE(La、Pr、Nd)が分離され(又はベースライン分離)、10分以内にカラムから定量的に溶出されている。
【0212】
個々のSEG-REEの分離
試験規模(又はパイロット・スケール)の抽出カラムを用いて、テスト・ラン(又は試験実行)を行った。このテスト・ランは、SEG-REEの単一成分(又はシングル・コンポーネント)への個々の分離(又はセパレーション)(又は個体分離又は個別分離)を含む。
カラムの寸法(又はディメンジョン)は、20cm(id)、35cm(L)であり、小さい孔(又は細孔又はポア)(又はナロー・ポア)のRP-シリカ[10μm(pd)および100Å(オングストローム)(ポアサイズ)]が充填(又はパック又はパッキング)されていて、抽出剤の密度は、48mモルのHDEHP/gである。
蒸留ユニットにおいて、所望のレベルの濃度まで、最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)した後、グループ分離工程(又はグループ・セパレーション・ステップ)からのSEG-REEフラクションを上記の抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)し、リニア勾配溶出モード(又はリニア・グラジエント・エリューション・モード)を使用することによって分離(又はセパレーション)した(イニシャル(又は最初)1.25MのHNO
3からファイナル(又は最後)7MのHNO
3、8分間、1.6L/分のフローレート(又は流速又は流量)、60℃のカラム温度)。
最終的に、カラムをプレコンディショニングに付して(1.25MのHNO
3(勾配(又はグラジエント)の開始濃度と同じ濃度)、2分間(トータルで10分間のサイクル)、同じフロー・レート(又は流速又は流量)、上記で示したカラム温度)、次の分離サイクル(又はセパレーション・サイクル)に備えた(又は準備した)。
図21は、このテスト(又は試験)で得られる代表的なクロマトグラムを示す。
図からわかる通り、3つのSEG-REE(Sm,Eu,Gd)を分離し(又はベースライン分離)、カラムから定量的に溶出させている。
【0213】
個々の早くて重いREE(又はアーリー・ヘビーREE)+Yの分離
試験規模(又はパイロット・スケール)の抽出カラムを用いて、テスト・ラン(又は試験実行)を行った。このテスト・ランは、早くて重いREE(又はアーリー・ヘビーREE)(Tb,Dy,Ho,Er)およびYの個々の分離(又はセパレーション)(又は個体分離又は個別分離)を含む。
カラムの寸法(又はディメンジョン)は、20cm(id)、35cm(L)であり、小さい孔(又は細孔又はポア)(又はナロー・ポア)のRP-シリカ[15μm(pd)および100Å(オングストローム)(ポアサイズ)]が充填(又はパック又はパッキング)されていて、抽出剤の密度は、48mモルのH([HTMeP])/gである。
蒸留ユニットにおいて、所望のレベルの濃度まで、最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)した後、グループ分離工程(又はグループ・セパレーション・ステップ)から得られたフラクション(又は画分)(アーリー・ヘビーREE(Tb,Dy)+Yを含むもの)を上記の抽出カラムに充填(又はロード又はローディング)し、無勾配溶出モード(又はアイソクラティック・エリューション・モード)を使用して分離した(1.5MのHNO
3溶液、1.6L/分のフローレート(又は流速又は流量)、60℃のカラム温度)。
図22は、このテスト(又は試験)から得られる代表的なクロマトグラムを示す。
図19から明らかな通り、アーリー・ヘビーREE(Tb,Dy)およびYが分離され(又はベースライン分離)、10分以内にカラムから定量的に溶出させている。
【0214】
個々の遅くて重いREE(又はレイト・ヘビー・REE)の分離
試験規模(又はパイロット・スケール)の抽出カラムを用いて、テスト・ランを行った。このテスト・ランは、遅くて重いREE(又はレイト・ヘビーREE)(Tm,Yb,Lu)の個々の分離(又はセパレーション)(又は個体分離又は個別分離)を含む。
カラムの寸法(又はディメンジョン)は、20cm(id)、35cm(L)であり、RP-シリカ[15μm(pd)および100Å(オングストローム)(ポアサイズ)]で充填(又はパック又はパッキング)されており、抽出剤の密度は、48mモルのH([EHEHP])/gである。
蒸留ユニットにおいて、所望のレベルの濃度まで、最終的に濃縮(又は最終濃縮又はアップ濃縮又はアップ・コンセントレーション)した後、グループ分離工程(又はグループ・セパレーション・ステップ)から得られたフラクション(又は画分)(レイト・ヘビーREE(Tm,Yb,Lu)を含むもの)を上記のクロマトグラフィのカラムに充填(又はロード又はローディング)し、無勾配溶出モード(又はアイソクラティック・エリューション・モード)を使用して分離した(1.25MのHNO
3溶液、1.6L/分のフローレート(又は流速又は流量)、60℃のカラム温度)。
図23は、このテスト(又は試験)から得られる代表的なクロマトグラムを示す。
図からわかる通り、懸案の3つのヘビーREE(Tm,YbおよびLu)が分離され(又はベースライン分離)、10分以内にカラムから定量的に溶出させている。
【国際調査報告】