(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】光吸収領域を含むコンタクトレンズ及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20250115BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20250115BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20250115BHJP
G02B 5/23 20060101ALI20250115BHJP
C08F 12/00 20060101ALI20250115BHJP
C08F 16/00 20060101ALI20250115BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20250115BHJP
C08F 26/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C7/10
G02B5/22
G02B5/23
C08F12/00
C08F16/00
C08F20/00
C08F26/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537126
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2022061558
(87)【国際公開番号】W WO2023119021
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エイトケン・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン・シブクマル
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
4J100
【Fターム(参考)】
2H006BC06
2H006BE02
2H006BE04
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA20
2H148DA04
2H148DA24
4J100AB07T
4J100AL08P
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4J100AL08T
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4J100FA03
4J100FA19
4J100FA27
4J100HE20
4J100JA33
(57)【要約】
光吸収発色団を含有するコンタクトレンズであって、光吸収発色団がレンズの1つ以上の選択領域に集中しているコンタクトレンズが記載される。また、そのようなコンタクトレンズを製造する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域と、
第2の領域と、
可視光吸収発色団と、
前記可視光吸収発色団の誘導体と、
を備えるコンタクトレンズであって、
前記第1の領域が前記可視光吸収発色団を含み、前記第2の領域が前記可視光吸収発色団の前記誘導体を含み、
前記第2の領域が、400nm~600nmの波長範囲にわたって、前記第1の領域よりも大きい平均透過率を有する、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記第2の領域の前記平均透過率が、前記第1の領域の平均透過率よりも、少なくとも5パーセント大きい、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
400~600nmの波長範囲にわたる前記可視光吸収発色団の平均透過率が、95パーセント以下である、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記可視光吸収発色団が、酸化可能な官能基を含有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記誘導体が、前記可視光吸収発色団の酸化誘導体である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記可視光吸収発色団が、スタティック発色団であるか、又はフォトクロミック発色団である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記第1の領域が、前記コンタクトレンズの中央ゾーンを含み、前記第2の領域が、前記コンタクトレンズの周辺ゾーンを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記可視光吸収発色団が、ベンゾトリアゾール、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アゾ、ジフェニルジアジン、アルコキシアニリン、テトラヒドロナフタレン、アントラキノン、アントラセン、ジヒドロアントラセン、セレノキサンテン、チオキサンテン、及びアクリジンから選択される1つ以上の光吸収官能基を含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記可視光吸収発色団が、クロメン、スピロピラン、オキサジン、水銀ジチゾネート、フルギド、フルギミド、有機金属ジチオゾネート、及びナフタセンジオンから選択される1つ以上の光吸収官能基を含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記可視光吸収発色団が、式I:
【化1】
の下部構造を有し、
式中、R
Bが、-C(=O)H又はEWGであり;Xが、NR、S、又はSeであり;Rが、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;EWGが、出現ごとに、独立して、電子求引基である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記可視光吸収発色団の前記誘導体が、式II:
【化2】
の下部構造を有し、
式中、X’が、N
+RO
-、SO、SO
2、SeO、又はSeO
2である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
請求項1に記載のコンタクトレンズを製造するための方法であって、前記方法が、
第1の領域及び第2の領域を有し、前記第1の領域及び前記第2の領域に可視光吸収発色団を含有する、レンズ前駆体を提供することと、
前記第2の領域内の前記可視光吸収発色団を選択的に誘導体化して、前記可視光吸収発色団の誘導体を形成することであって、前記誘導体が、400nm~600nmの波長範囲にわたって、前記可視光吸収発色団よりも大きい平均透過率を有する、ことと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記レンズ前駆体が、(a)発色団含有モノマーと、(b)前記コンタクトレンズ前駆体を作製するのに適したモノマーと、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記発色団含有モノマーが、式IV:
【化3】
の化合物であり、
式中、
m及びnが、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
R
Cが、EWC又は式-T-Y-P
gの基であり、Tが、結合、O、又はNRであり、Yが、連結基であり、P
gが、重合性基であり;
Xが、NR、S、又はSeであり;
Rが、出現ごとに、独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり;
R
1及びR
2が、存在する場合、出現ごとに独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、又は-Y-P
gであり、R
3及びR
4が、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し;
EWGは、出現ごとに、独立して電子求引基であり、
前記式Iの化合物が、少なくとも1個のP
g基を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
m及びnが、それぞれ独立して、0又は1である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Yが、出現ごとに独立して、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はこれらの組み合わせである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
P
gが、出現ごとに独立して、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
Xが、S又はNRである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
EWGが、出現ごとに、シアノである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記発色団含有モノマーが、式III:
【化4】
の化合物であり、
式中:
m及びnが、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
R
Cが、EWC又は式-T-Y-P
gの基であり、Tが、結合、O、又はNRであり、Yが、連結基であり、P
gが、重合性基であり;
Xが、O、NR、S、又はSeであり;
Rが、出現ごとに独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり;
R
1及びR
2が、存在する場合、出現ごとに独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、又は-Y-P
gであり、R
3及びR
4が、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し;
EWGが、出現ごとに、独立して、電子求引基であり、
前記式IIIの化合物が、少なくとも1個のP
g基及び少なくとも1個の酸化可能な官能基を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記発色団含有モノマーが:
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルアクリレート;
N-(2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
N-(2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチル)アクリルアミド;
2-(2-シアノ-N-メチル-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)-N-(2-(N-ビニルアセトアミド)エチル)アセトアミド;
2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルアクリレート;
N-(2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
N-(2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチル)アクリルアミド;
2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノ-N-メチルアセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノ-N-(2-(N-ビニルアセトアミド)エチル)アセトアミド;
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)-2-メチルプロピルメタクリレート;
(Z)-2-(2-シアノ-2-(3-ヒドロキシアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(3,6-ジヒドロキシアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-シアノ-2-(2,4-ジクロロ-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-(2-クロロ-9H-チオキサンテン-9-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-シアノ-2-(2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-シアノ-2-(4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)プロパンアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)ブタンアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-メトキシ-3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)プロパンアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-アミノ-3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)プロパンアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(10,10-ジオキシド-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
N-(2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトキシ)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
N-(2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
2-(2-(10-ブチル-2-メトキシアクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレート;
2-((9-(ジシアノメチレン)-9H-チオキサンテン-2-イル)オキシ)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(3-(プロピルチオ)-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(3-(プロピルチオ)-9H-キサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
3-((9-(1-シアノ-2-((2-(メタクリロイルオキシ)エチル)アミノ)-2-オキソエチリデン)-9H-チオキサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;
3-((9-(1-シアノ-2-((2-(メタクリロイルオキシ)エチル)アミノ)-2-オキソエチリデン)-9H-キサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;
3-((9-(ジシアノメチレン)-9H-チオキサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;
3-((9-(ジシアノメチレン)-9H-キサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;又は
これらの2種以上の混合物、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記コンタクトレンズ前駆体を作製するのに適した前記モノマーが、親水性成分、シリコーン含有成分、又はこれらの混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年11月2日に出願された米国特許出願第18/052,010号及び2021年12月20日に出願された米国仮特許出願第63/265,705号の優先権を主張し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、光吸収発色団を含有するコンタクトレンズに関する。より詳細には、本発明は、光吸収発色団がレンズの1つ以上の選択領域に集中しているコンタクトレンズに関する。本発明はまた、そのようなレンズを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コンタクトレンズは、1950年代以来、視力を改善するために商業的に使用されてきた。現在利用可能なコンタクトレンズは、依然として、視力矯正の費用効果の高い手段である。薄いレンズを眼の角膜にかぶせて装着し、近視、遠視、乱視、すなわち角膜の非球面性、及び老眼、すなわち遠近調節する水晶体の能力の損失を含む視覚障害を矯正する。
【0004】
近年、可視光線及び/又は紫外線の特定の波長を吸収するスペクトルフィルタを組み込んだコンタクトレンズが開発されており、したがって、有害な又は望ましくない放射線波長からの角膜、水晶体及び網膜の保護を含む様々な用途に合わせてレンズを調整することが可能になっている。例えば、高エネルギー可視光(high-energy visible light、HEVL)吸収剤、緑色光吸収剤などを含む可視光吸収発色団を組み込んだコンタクトレンズがこれまでに公にされてきた。更に、スタティック発色団及びフォトクロミック発色団の両方がコンタクトレンズに組み込まれている。
【0005】
一般に、スペクトルフィルタリングコンタクトレンズは、エッジツーエッジであるが、それは、吸収発色団がレンズ全体にわたって分布していることを意味する。レンズ全体にわたる発色団の分布は、レンズの製造を容易にするが、欠点がある。例えば、可視光吸収発色団はそれ自体非常に目立つ色を示すことがあるので、このような材料をエッジツーエッジで(端から端まで)組み込むことは、美容上の理由から望ましくないことがある。
【0006】
美容上の問題を軽減するための1つの可能なアプローチは、光吸収発色団をレンズの中央領域に局在させて、それが主に眼の瞳孔を覆うようにすることである。瞳孔のみの光吸収コンタクトレンズを作製するためのプロセスがこれまでに公にされてきたが、そのようなプロセスは、典型的には、複雑であり、製造プロセスに有意なコストを追加し得るものであり、レンズの光学的特性及び/若しくは機械的特性を歪め得るか、又は別様に望ましくない影響を及ぼし得るものである。
【0007】
したがって、レンズの特定の領域に局在した光吸収発色団を有する新規な光吸収コンタクトレンズを開発し、このようなコンタクトレンズを作製するための商業的に実行可能なプロセスを開発することは、当該分野における進歩である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば高エネルギー可視光を含む様々な波長の可視光を吸収することができるような、光吸収特性を有するコンタクトレンズに関する。レンズ内の光吸収材料、すなわち発色団は、レンズ全体にわたって実質的に均一に分布される代わりに、レンズの1つ以上の選択領域に集中する。このような選択的な集中は、発色団をレンズの全体に組み込む場合と比べて、例えば、改善された審美性を含む、多くの利点を提供する。
【0009】
本発明者らは、レンズの選択領域、例えば中央ゾーンに可視光発色団を含有する本明細書に記載のコンタクトレンズが、容易な製造方法によって調製され得ることを発見した。その製造方法は、採用するのが簡単であり、レンズの歪み又はレンズの機械的特性に悪影響を与えるなどの望ましくない副作用を最小限に抑えるものである。
【0010】
したがって、一態様では、本発明は、コンタクトレンズを提供する。そのコンタクトレンズは:第1の領域と、第2の領域と、可視光吸収発色団と、その可視光吸収発色団の誘導体とを含み、第1の領域が、可視光吸収発色団を含有し、第2の領域が、可視光吸収発色団の誘導体を含有し、第2の領域が、400nm~600nmの波長範囲にわたって、第1の領域よりも大きい平均透過率を有する。
【0011】
本発明はまた、コンタクトレンズを作製するための方法を更に提供する。またこの製造方法は、第1の領域及び第2の領域を有し、第1の領域及び第2の領域に可視光吸収発色団を含有するレンズ前駆体を提供することと、第2の領域内の可視光吸収発色団を選択的に誘導体化して可視光吸収発色団の誘導体を形成することであって、誘導体が、400nm~600nmの波長範囲にわたって可視光吸収発色団よりも大きい平均透過率を有する、こととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1A~1Cに従って調製された例示的なコンタクトレンズのUV-VIS透過スペクトルを、誘導体化を受けていないレンズ前駆体と比較して示す図である。
【
図2】マイナス1ジオプターレンズについて、実施例に記載される(誘導体化されていない)前駆体2レンズ、並びに本発明の実施例2Aレンズ及び実施例2Bレンズ(周辺部を誘導体化した後に中央ゾーンを染色したもの)のUV-VIS透過スペクトルを示す図である。
【
図3】マイナス12ジオプターレンズについて、実施例に記載される(誘導体化されていない)前駆体2レンズ、並びに本発明の実施例2Aレンズ及び実施例2Bレンズ(周辺部を誘導体化した後に中央ゾーンを染色したもの)のUV-VIS透過スペクトルを示す図である。
【
図4】前駆体3レンズ及び実施例3レンズを滅菌した後の、UV-VIS透過スペクトルを示す図である。
【
図5】前駆体4レンズ及び実施例4レンズの、UV-VIS透過スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下の説明に記載されている構造又はプロセス工程の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、本明細書に記載の教示を用いた様々な方法によって実行又は実施することが可能である。
【0014】
本開示において使用される用語に関しては、以下の定義が提供される。
【0015】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。ポリマーの定義は、Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示される定義に一致する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意選択のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0017】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された代替的選択肢を、任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、ある構造が置換基R*及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9通りの組み合わせが開示されるということになる。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0018】
一般式[***]nにおける「n」などの下付き文字が、ポリマーの化学式における繰り返し単位の数を表示するために使用されるとき、式は、高分子の数平均分子量を表すと解釈すべきである。
【0019】
「個体」という用語は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0020】
「生物医学用デバイス」という用語は、哺乳類の組織又は体液の中又は上のいずれか、好ましくは、ヒトの組織又は体液の中又はその上でのいずれかにおいて用いられるように設計されている、任意の物品を指す。これらのデバイスの例としては、創傷包帯、シーラント、組織補填体、薬物送達システム、コーティング、癒着防止バリア、カテーテル、インプラント、ステント、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズなどの眼科用デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。生物医学用デバイスは、眼科用デバイス、具体的にはコンタクトレンズ、最も具体的にはシリコーンヒドロゲル又は従来のヒドロゲルから作製されるコンタクトレンズであってもよい。
【0021】
「眼の表面」という用語は、角膜、結膜、涙腺、副涙腺、鼻涙管、及びマイボーム腺の表面及び腺上皮、並びにそれらの先端及び基部マトリクス、点、並びに神経支配による上皮の連続性と内分泌系及び免疫系との両方によって機能的システムとして連結されている瞼を含む隣接した又は関連する構造を含む。
【0022】
「眼科用装置」という用語とは、眼若しくは眼の任意の一部(眼の表面を含む)の中又は上に存在する任意の光学装置を意味する。これらの装置は、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科用デバイスの例としては、限定されるものではないが、レンズ、光学及び眼挿入物(限定されるものではないが、涙点プラグを含む)などが挙げられる。「レンズ」は、眼鏡レンズ、サングラスレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズを含む。眼科用デバイスは、コンタクトレンズを含み得る。
【0023】
「コンタクトレンズ」という用語は、個体の眼の角膜上に置くことができる眼科用デバイスを指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の送達、診断的評価若しくはモニタリング、紫外線吸収、可視光若しくはグレアの低減、又はこれらの任意の組み合わせを含む、矯正的、美容的、又は治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光透過率、若しくはこれらの組み合わせなどの、異なる物理特性、機械特性、若しくは光学特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0024】
本発明の生物医学用デバイス、眼科用デバイス、及びレンズは、シリコーンヒドロゲル又は従来のヒドロゲルで構成され得る。シリコーンヒドロゲルは、典型的には、硬化されたデバイス内で互いに共有結合した、少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含有する。
【0025】
「標的高分子」は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、希釈剤などを含む反応性モノマー混合物から合成されている高分子を意味する。
【0026】
「重合性化合物」という用語は、1つ以上の重合性基を含有する化合物を意味する。この用語は、例えば、モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、架橋剤などを包含する。
【0027】
「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、好ましくはフリーラジカル重合などの、例えばラジカル重合開始条件に供されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。重合性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート基、スチリル基、(メタ)アクリルアミド基、及びビニル基が挙げられる。好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート官能基、(メタ)アクリルアミド官能基、N-ビニルラクタム官能基、N-ビニルアミド官能基、ビニルカーボネート官能基、ビニルエーテル官能基、ビニルカルバメート官能基、及びスチリル官能基から選択される。より好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドから選択される。重合性基は、非置換であってもよく、又は置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよいか、又は、水素は、アルキル若しくはシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)によって置換されてもよい。
【0028】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0029】
「モノマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的高分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量パーセントの濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量パーセントの濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。「疎水性成分」は、25℃で脱イオン水中でわずかに可溶性又は不溶性であるモノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。
【0030】
「高分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0031】
「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的高分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる1つの基を有する高分子である。一般的に、マクロマーの化学構造は、標的高分子の化学構造とは異なり、すなわち、マクロマーのペンダント基の繰り返し単位は、標的高分子又はその主鎖の繰り返し単位とは異なる。モノマーとマクロマーとの間の差は、ペンダント基の化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。結果として、かつ本明細書で使用するとき、特許文献は、約1,500ダルトン以下の比較的低い分子量を有する重合性化合物としてモノマーを定義することがあり、これは、本質的にいくつかのマクロマーを含む。具体的には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、モノマー又はマクロマーと称され得る。更に、特許文献は、1つ以上の重合性基を有するものとしてマクロマーを定義することがあり、マクロマーの一般的な定義を本質的に拡大してプレポリマーを含む。結果として、かつ本明細書で使用するとき、二官能性及び多官能性マクロマー、プレポリマー、及び架橋剤は、互換的に使用され得る。
【0032】
「シリコーン含有成分」は、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性混合物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はポリマーである。
【0033】
本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
「ポリマー」は、重合中に使用されるモノマーの繰り返し単位で構成される標的高分子である。
【0035】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントからなる。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0036】
「繰り返し単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の原子の最小の基である。
【0037】
「開始剤」は、続いてモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるラジカルに分解可能である分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型例は、1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学過程により分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0038】
「架橋剤」は、分子上の2つ以上の位置でフリーラジカル重合を受け、それによって分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことができる、二官能性又は多官能性モノマー又はマクロマーである。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0039】
「プレポリマー」は、更に反応を受けてポリマーを形成可能である、残存している重合性基を含有するモノマーの反応生成物である。
【0040】
「ポリマーネットワーク」は、膨潤し得るが溶媒に溶解できない架橋高分子である。「ヒドロゲル」は、典型的には少なくとも10重量%の水を吸収しながら、水又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分とともに少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0041】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しない成分から作製されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、親水性モノマーを含む反応性混合物から調製される。例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルが挙げられる。米国特許第4,436,887号、同第4,495,313号、同第4,889,664号、同第5,006,622号、同第5,039459号、同第5,236,969号、同第5,270,418号、同第5,298,533号、同第5,824,719号、同第6,420,453号、同第6,423,761号、同第6,767,979号、同第7,934,830号、同第8,138,290号、及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示している。市販の従来のヒドロゲルとしては、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びビフィルコン(vifilcon)(それらの変形の全てを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分及び少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるポリマーネットワークを指す。反応性混合物中に存在してもよい親水性成分の好適な族の例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニルウレア、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーン含有成分は周知であり、特許文献に広く記載されている。例えば、シリコーン含有成分は、少なくとも1つの重合性基(例えば、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又は前述の混合物)、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基をシロキサン基に接続する1つ以上の連結基(化学結合であり得る)を含んでよい。シリコーン含有成分は、例えば、1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有し得る。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1個のフッ素原子も含有し得る。シリコーンヒドロゲルレンズはコーティングを含んでもよく、コーティングは、基質と同じ又は異なる材料であってもよい。
【0043】
シリコーンヒドロゲルの例としては、アクアフィルコン(acquafilcon)、アスモフィルコン(asmofilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、サムフィルコン(samfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)、及びステンフィルコン(stenfilcon)(これらの変形の全てを含む)に加えて、米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/0048847号で調製されるようなシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
「相互貫入ポリマーネットワーク」は、分子スケールで少なくとも部分的に絡み合っているが、互いに共有結合しておらず、制動化学結合なしに分離することができない、2つ以上のネットワークを含む。「半相互貫入ポリマーネットワーク」は、1つ以上のネットワークと、少なくとも1つのネットワークと少なくとも1つのポリマーとの間の分子レベルで何らかの混合によって特徴付けられる1つ以上のポリマーと、を含む。異なるポリマーの混合物は、「ポリマーブレンド」である。半相互貫入ネットワークは、技術的にはポリマーブレンドであるが、場合によっては、ポリマーは、容易に除去することができないように絡まっている。
【0045】
「反応性成分」は、(以下で定義された)反応性混合物中の重合性化合物(モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、及び架橋剤など)であり、同様に、重合並びに全てのワークアップ工程(抽出工程など)及び包装工程が完了した後、結果として得られるポリマーネットワーク内に実質的に残留することが意図される反応性混合物中の任意の他の成分である。反応性成分は、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互貫入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の手段によって、ポリマーネットワーク内に保持され得る。使用時にポリマーネットワークから放出することを意図した成分は、まだ「反応性成分」と考えられる。例えば、装用中に放出されることが意図されるコンタクトレンズ内の医薬又は栄養補助成分は、「反応性成分」とみなされる。希釈剤などの製造プロセス中(例えば、抽出によって)ポリマーネットワークから除去されることが意図される構成成分は、「反応性成分」ではない。
【0046】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」という用語は、一緒に混合され、重合条件に供されると、ポリマーネットワーク(従来の又はシリコーンヒドロゲルなど)、並びにこれらから作製される、生物医学的デバイス、眼科用デバイス、及びコンタクトレンズの形成をもたらす成分の混合物を指す。反応性モノマー混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び開始剤などの反応性成分、湿潤剤、ポリマー、染料、UV吸収剤などの光吸収化合物、顔料、染料、及びフォトックロミック化合物、並びに医薬化合物及び栄養補助化合物などの添加剤(これらはいずれも重合性又は非重合性であってよいが、得られる生物医学用デバイス(例えばコンタクトレンズ)内に保持されることが可能である)、を含んでいてよい。反応性混合物はまた、希釈剤などの使用前にデバイスから除去されることが意図される他の成分を含有してもよい。製造されるコンタクトレンズ及び意図する用途に応じて、広範囲の添加物が添加され得ることが理解されよう。反応性混合物の成分の濃度は、したがって希釈剤を除く、反応性混合物中の全ての成分の重量百分率として表される。希釈剤が使用される場合、それらの濃度は、反応性混合物中の全ての成分(希釈剤を含む)の量に基づき重量パーセントで表される。
【0047】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」という用語は、少なくとも1つのシリコーン含有化合物から作製されるヒドロゲルコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、全般的に、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0048】
「フォトクロミック」という用語は、特定の波長の電磁放射に曝露されると、材料内の光化学反応によって引き起こされるその吸収特性(すなわち、色)を可逆的に変化させる材料を指す。一例として、フォトクロミック材料は、UV又はHEV光に曝露されたときに、電磁スペクトルの可視部分(例えば、約380nm~約760nmの波長範囲)において、5%以上、又は10%以上、又は20%以上の平均透過の可逆的変化を示し得る。発色団への言及中に用いられている「スタティック」とは、フォトクロミックではない材料であり、したがってその材料は、その色を可逆的に変化させる光化学反応を受けない。
【0049】
「可視光吸収発色団」という用語又は同様の用語は、レンズを通る可視光の1つ以上の波長、例えば380~760nm、又は好ましくは400~600nmの範囲の透過を制限する化学部分を指す。ある材料が特定の波長の光を吸収する能力は、そのUV/Vis透過スペクトルを測定することによって決定され得る。特定の波長で吸収を呈さない材料は、その波長で実質的に100パーセントの透過率を呈する。逆に、特定の波長で完全に吸収する材料は、その波長で実質的に0%の透過率を呈する。本明細書で使用される場合、「平均透過」、「平均透過率」、及び関連する用語は、特定された範囲にわたる(範囲が特定されない場合、400~600nmの範囲にわたる)1nm増単位での透過率の平均として計算され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「誘導体」という用語は、親部分に由来する部分を指す。例えば、可視光吸収発色団の「誘導体」は、可視光吸収発色団を誘導体化することによって形成された部分を意味する。「誘導体化する」、「誘導する」という用語及び類似の用語は、可視光吸収発色団及びその誘導体の文脈において本明細書で使用される場合、可視光吸収発色団が、誘導体を形成する条件下で処理されることを示す。そのような処理は、例えば、化学的、光化学的、電子ビーム、若しくは他の手段(又はそれらの組み合わせ)であってもよい。本発明において、誘導体化は、好ましくは、親部分における1つ以上の官能基の化学的酸化などによって化学的に行われる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「中央ゾーン」という用語は、コンタクトレンズの中央部分を指し、レンズの瞳孔領域を包含し得る。中央ゾーンは、例えば、約3mm~約12mm、好ましくは約5mm~約11mm、より好ましくは約7mm~約10mmの範囲の直径を有することができる。「周辺ゾーン」とは、コンタクトレンズの中央ゾーンを円周方向に取り囲むレンズの領域を意味する。周辺ゾーンは、レンズの縁部まで延在してもよい。
【0052】
「多官能性」という用語は、2つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0053】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0054】
「アルキル」は、指定された数の炭素原子を含有する任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が指定されていない場合、アルキル(アルキル上の任意選択の置換基を含む)は、1~16個の炭素原子を含有していてよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso-、sec-、及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アルキレン」は、二価のアルキル基、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、及び-CH2CH2CH2CH2-を意味する。
【0055】
「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン原子によって置換され、上で定義したアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、-CF3-又は-CF2CF3-などのペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、-CH2CF2-などの二価ハロアルキル基を意味する。
【0056】
「シクロアルキル」は、指定された数の環炭素原子を含有する、任意選択的に置換された環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくは、C3~C8シクロアルキル基、C3~C7シクロアルキル基、より好ましくは、C4~C7シクロアルキル基、更により好ましくは、C5~C6シクロアルキル基である。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される、1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0057】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置換されている、上で定義したシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意選択的に、他のヘテロシクロアルキル環及び/若しくは非芳香族炭化水素環及び/若しくはフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0058】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する、任意選択的に置換された芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意選択的に、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよいか、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される、1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0059】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよいか、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0060】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して親分子に結合しているアルキル基を意味する。チオアルキル基の例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、及びイソプロピルチオが挙げられる。「セレノアルキル」は、セレニウム架橋を介して親分子に結合しているアルキル基を意味する。セレノアルキル基の例としては、例えば、メチルセレノ、エチルセレノ、n-プロピルセレノ、及びイソ-プロピルセレノが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0061】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、-CH2CH2NH-などの二価アルキルアミン基を意味する。
【0062】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー構造(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー構造/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]n-であって、式中、nが2以上である構造)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるRA基(RAは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義されるとおりである)によって置換されている。
【0063】
「シリル」は、式R3Si-の構造を指し、「シロキシ」は、式R3Si-O-の構造を指し、式中、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C1~C8アルキル(好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC3~C8シクロアルキルから独立して選択される。
【0064】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O-)p-又は-(O-アルキレン)p-の基を指し、式中、アルキレンは、上で定義したとおりであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ以上の基によって、独立して任意選択的に置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中の末端基を形成する場合、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CH2CH2O]p-又はCH3O-[CH2CH2O]p-)であり得る。アルキレンオキシの例としては、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0065】
「オキサアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH2基が酸素原子によって置換されている、-CH2CH2OCH(CH3)CH2-などの、上で定義したアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH2基が硫黄原子によって置換されている、-CH2CH2SCH(CH3)CH2-などの、上で定義したアルキレン基を指す。「セレノアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH2基がセレニウム原子によって置換されている、-CH2CH2SeCH(CH3)CH2-などの、上で定義したアルキレン基を指す。
【0066】
「連結基」という用語は、重合性基を親分子に連結させる部分を指す。連結基は、連結基がその一部である化合物に適合し、化合物の重合を望ましくない形で妨害せず、重合条件、更には最終生成物の加工及び保管の条件下で安定である任意の部分であってよい。例えば、連結基は、結合であってもよく、又は1つ以上の、アルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、エステル(-CO2-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ以上のハロ基によって置換されたアルキレンオキシ、例えば、-OCF2-、-OCF2CF2-、-OCF2CH2-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。連結基は、1つ以上の置換基によって、任意選択的に置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、MeO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(2つ以上のアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルによって、任意選択的に置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバマート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。連結基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基によって置換されてもよい(連結基が連結している重合性基に加えて)。
【0067】
好ましい連結基としては、C1~C8アルキレン(好ましくはC2~C6アルキレン)、C1~C8オキサアルキレン(好ましくはC2~C6オキサアルキレン)、C1~C8チアアルキレン、C1~C8アルキレン-カルボキシレート-C1~C8アルキレン、C1~C8アルキレン-アミド-C1~C8アルキレン、及びC1~C8アルキレン-アミン-C1~C8アルキレンが挙げられ、これらの各々は、ヒドロキシル及びシロキシからそれぞれ独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0068】
連結基が上述のような部分(例えば、アルキレン及びシクロアルキレン)の組み合わせからなる場合、そのような部分は、任意の順序で存在してもよい。例えば、下記の式Aにおいて、Lが、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-、又はRg-シクロアルキレン-アルキレン-のいずれかであってもよい。これにかかわらず、列記する順序は、連結基が結合している末端重合性基(Rg又はPg)から始まって、その部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。例えば、式Aにおいて、Lが、アルキレン-シクロアルキレンであると示されている場合、Rg-Lは、好ましくは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-である。
【0069】
連結基は、1つ以上の酸化可能な官能基であってもよく、又はそれを含んでもよい。酸化可能な官能基を含有する上記の例示的な連結基としては、例えば、チアアルキレン、アルキレンアミン、及びセレノアルキレンが挙げられる。
【0070】
「光吸収化合物」という用語とは、(例えば、380~780nmの範囲の)可視スペクトル内の光を吸収する化学物質を意味する。ある材料が特定の波長の光を吸収する能力は、そのUV/Vis透過スペクトル又は吸光スペクトルを測定することによって決定され得る。
【0071】
本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含有する場合、別途に特定しない限り、化合物は、シス、トランス、Z-、及びE-配置を包含することを意図する。同様に、全ての互変異性体及び塩形態も包含することを意図する。
【0072】
「任意選択の置換基」という用語は、基礎にある水素原子が置換基によって任意選択的に置換されることを意味する。置換部位において立体的に実用的であり、合成的に実現可能な任意の置換基が使用され得る。適切な任意の置換基の同定は、当業者の能力の範囲内である。「任意の置換基」の例としては、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6チオアルキル、C1~C6セレノアルキル、C3~C7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR4R5、ベンジル、SO3H、SO3Na、又は-L-Pgが挙げられるがこれらに限定されず、式中、R4及びR5は、独立して、H又はC1~C6アルキルであり、Lは連結基であり、Pgは重合性基である。前述の置換基は、任意選択の置換基(これは、別途指示がない限り、好ましくは、更に置換されていない)によって、任意選択で置換されてもよい。例えば、アルキルは、ハロによって置換されてもよい(例えば、その結果、CF3をもたらす)。
【0073】
「酸化可能な官能基」という用語は、酸素含有量の増加などの酸化を受けることができる官能基を指す。好ましい酸化可能な官能基としては、酸化可能な硫黄、セレン、及び/又は窒素原子を含む基が挙げられる。
【0074】
「下位構造」とは、(原子又は基がその他の原子又は基に結合し得る)任意のその他の原子又は基による1つ以上の水素原子の置換を介した、特定された化学構造を有する化合物、並びにその特定された化学構造から誘導される任意の化合物を意味する。置換は、例えば、独立して選択される任意の置換基を有する1個以上、好ましくは1又は3個、より好ましくは1又は2個の水素原子であってもよい。「下位構造」の定義に包含されるのは、特定された化学構造が、(例えば、1つ以上の重合性基を含有する)モノマー、ポリマー、巨大分子、又はポリマーネットワークなどの、より大きな化合物のフラグメントを形成する材料である。
【0075】
「可視光吸収極大」とは、光の吸光度が最大である可視光波長範囲(380nm~760nm)内の波長を意味する。定義は、UV領域内などの可視光範囲外の、全体的な吸収極大を示す材料を包含する。
【0076】
上述のように、一態様では、本発明は、コンタクトレンズを提供する。コンタクトレンズは、第1の領域と、第2の領域と、可視光吸収発色団と、その可視光吸収発色団の誘導体とを含み、第1の領域が可視光吸収発色団を含有し、第2の領域が可視光吸収発色団の誘導体を含有し、第2の領域が、400nm~600nmの波長範囲にわたって、第1の領域よりも大きい平均透過率を有する。
【0077】
コンタクトレンズは、少なくとも第1の領域及び第2の領域を画定する。第1の領域及び第2の領域は、レンズの様々な部分に対応し得る。例えば、第1の領域は、レンズの瞳孔領域を包含する、レンズの中央ゾーンに対応してもよく、第2の領域は、レンズの周辺ゾーンに対応してもよい。あるいは、第2の領域が中央ゾーンに対応し、第1の領域が周辺ゾーンに対応してもよい。
【0078】
本発明によれば、レンズは、第1の領域に可視光吸収発色団を含み、第2の領域に可視光吸収発色団の誘導体を含む。可視光吸収発色団の誘導体は、400~600nmの波長範囲にわたって可視光吸収発色団よりも大きな平均光透過率を示す。結果として、400~600nmの範囲にわたるレンズの第2の領域の平均透過率は、第1の領域の平均パーセント透過率より大きい。したがって、第1の領域がレンズの中央ゾーンに対応し、第2の領域が周辺ゾーンに対応する場合、光吸収発色団(それ自体が可視色を示すことができる)は主に中央領域に集中し、周辺ゾーンでより少ない色を示すことができるレンズをもたらす。このようにして、可視光吸収発色団がレンズ全体に均一に分布された場合に得られるよりも、より美容的に心地よいレンズを達成することができる。
【0079】
本発明のレンズの可視光吸収発色団は、好ましくは、380nm~760nm、又は400~600nm、又は400~500nm、又は400~470nmの波長範囲の光を吸収する。例えば、400~600nmの範囲にわたる可視光吸収発色団の平均透過率は、95パーセント以下、又は85パーセント以下であってよい。更なる例として、400~500nmの範囲にわたる可視光吸収発色団の平均透過率は、95パーセント以下、又は85パーセント以下、又は70パーセント以下であってよい。更なる例として、400~460nmの範囲にわたる可視光吸収発色団の平均透過率は、95パーセント以下、又は85パーセント以下、又は70パーセント以下、又は60パーセント以下であってよい。更なる例として、380~450nmの範囲にわたる可視光吸収発色団の平均透過率は、95パーセント以下、又は85パーセント以下、又は70パーセント以下、又は65パーセント以下、又は60パーセント以下であってよい。
【0080】
可視光吸収発色団は、好ましくは、酸化可能な官能基を含む。酸化可能な官能基は、好ましくはS、Se、又はアミン基である。
【0081】
可視光吸収発色団は、フォトクロミックであってもよく、又はスタティックであってもよい。例示的な発色団としては、例えば、クロメン、スピロピラン、オキサジン、水銀ジチゾネート、フルギド、フルギミド、有機金属ジチオゾネート、ナフタセンジオン、ベンゾトリアゾール、アセトフェノン、ベンソフェノン、アゾ、ジフェニルジアジン、アルコキシアニリン、テトラヒドロナフタレンン、アントラキノン、アントラセン、ジヒドロアントラセン、セレノキサンテン、チオキサンテン、アクリジン、これらの誘導体、又はこれらの2種以上の混合物から選択される光吸収性官能基を挙げることができる。
【0082】
可視光吸収発色団は、例えば、以下の式I:
【0083】
【化1】
の下位構造を有し得、
式中、R
Bは、-C(=O)H又はEWGであり、Xは、NR、S、又はSeであり、Rは、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、EWGは、出現ごとに、それぞれ独立して電子求引基(シアノなど)である。
【0084】
式Iの好ましい下位構造としては、XがSであるものが挙げられる。
【0085】
式Iの好ましい下位構造としては、XがNRであるものが挙げられる。
【0086】
式Iの好ましい下位構造としては、XがSeであるものが挙げられる。
【0087】
式Iの好ましい下位構造としては、RBがEWG、好ましくはシアノであるものが挙げられる。より好ましくは、EWGは、出現ごとにシアノである。
【0088】
式Iの好ましい下位構造としては、RBが-C(=O)Hであるものが挙げられる。
【0089】
典型的には、本明細書に記載される発色団は可視光を吸収するので、観察者に顕著な色を示し得る。本発明の利点の1つは、可視光吸収発色団をレンズの選択領域、例えば中央ゾーンに集中させ、周辺ゾーンなどの他の領域ではその濃度を低下させることによって、発色団の存在が目立たなくなることである。
【0090】
本発明のレンズにおいて、可視光吸収発色団は、例えば、400~600nmの範囲において、発色団の色を減少又は排除することが望ましい領域において、親である発色団よりも大きな平均可視光透過率を示す形態に誘導体化される。したがって、誘導体は、観察者に対してあまり目立たない色を示し得るか、又は色を示さないことさえあり得る。例えば、400~600nm(又は400~500nm、又は400~460nm、又は380~450nm)の波長範囲にわたる誘導体の平均透過率は、同じ波長範囲にわたる可視光吸収発色団の平均透過率よりも少なくとも5パーセント大きい、又は少なくとも10パーセント大きい、又は少なくとも15パーセント大きい、又は少なくとも20パーセント大きい、又は少なくとも30パーセント大きい、又は少なくとも40パーセント大きい、又は少なくとも50パーセント大きい場合があり得る。
【0091】
可視光吸収発色団の誘導体は、可視光吸収発色団の酸化誘導体であってもよい。例えば、誘導体は、N+RO-、SO、SO2、SeO、又はSeO2などの基を含有してもよく、Rは、例えば、H、C1~C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
【0092】
誘導体は、例えばレンズ中に存在する可視光吸収発色団が上記のような式Iの下位構造を有する場合、以下の式II:
【0093】
【化2】
の下位構造を有し得、
式中、R
Bは、-C(=O)H又はEWGであり、X’は、N
+RO
-、SO、SO
2、SeO、又はSeO
2であり、Rは、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、EWGは、出現ごとに、それぞれ独立して、電子求引基(シアノなど)である。
【0094】
式IIの好ましい下位構造には、X’がSOであるものが挙げられる。
【0095】
式IIの好ましい下位構造には、X’がSO2であるものが挙げられる。
【0096】
式IIの好ましい下位構造には、X’がSO及びSO2の混合物であるものが挙げられる。
【0097】
式IIの好ましい下位構造には、X’がSeOであるものが挙げられる。
【0098】
式IIの好ましい下位構造には、X’がSeO2であるものが挙げられる。
【0099】
式IIの好ましい下位構造には、X’がSeO及びSeO2の混合物であるものが挙げられる。式IIの好ましい下位構造には、X’がN+RO-であるものが挙げられる。
【0100】
式IIの好ましい下位構造としては、RBがEWG、好ましくはシアノであるものが挙げられる。より好ましくは、EWGは、出現ごとにシアノである。
【0101】
式IIの好ましい下位構造としては、RBが-C(=O)Hであるものが挙げられる。
【0102】
上記のように、本発明はまた、本明細書に記載のコンタクトレンズを作製するための方法を提供する。この方法は、第1の領域及び第2の領域を有し、その第1の領域及び第2の領域に可視光吸収発色団を含有する、レンズ前駆体を提供することと、第2の領域内の可視光吸収発色団を選択的に誘導体化して可視光吸収発色団の誘導体を形成することであって、誘導体が、400nm~600nmの波長範囲にわたって可視光吸収発色団よりも大きい平均透過率を有するようにすることと、を含む。
【0103】
本方法において使用するためのレンズ前駆体は、単に、可視光吸収発色団を更に含有する上述のコンタクトレンズのいずれかであってもよい。例えば、レンズ前駆体は、以下(及び可視光吸収発色団を含有する):エタフィルコン、ゲンフィルコン、ヒラフィルコン、レネフィルコン、ネソフィルコン、オマフィルコン、ポリマコン、ビフィルコン、アクアフィルコン、アスモフィルコン、バラフィルコン、コムフィルコン、デレフィルコン、エンフィルコン、ファンフィルコン、フォルモフィルコン、ガリーフィルコン、ロトラフィルコン、ナラフィルコン、リオフィルコン、サムフィルコン、セノフィルコン、ソモフィルコン、及びステンフィルコン、又はこれらの変異型の任意のもの、のいずれかから選択される材料であってもよい。好ましくは、レンズ前駆体は、可視光吸収発色団を含有する従来のヒドロゲルであるか、又は可視光吸収発色団を含有するシリコーンヒドロゲルのいずれかである。より好ましくは、可視光吸収発色団を含有するシリコーンヒドロゲルである。
【0104】
本発明における使用のためのレンズ前駆体は、(a)発色団含有モノマー;及び(b)コンタクトレンズ前駆体を作製するために適切なモノマーを含む反応性混合物の重合反応生成物であり得る。本発明において使用され得る例示的なコンタクトレンズ前駆体、並びに発色団含有モノマーは、米国特許第10935695号、米国特許出願公開第2020/0407324号及び同第2020/0407337号、並びに2021年11月29日に出願された本出願人の同時係属中の米国特許出願第17/456659号に記載されており、これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0105】
例えば、発色団含有モノマーは、以下の式III:
【0106】
【化3】
の化合物を含み得、
式中、
m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり、
R
Cは、EWC又は式-T-Y-P
gの基であり、Tは、結合、O、又はNRであり、Yは、連結基であり、P
gは、重合性基であり、
Xは、O、NR、S、又はSeであり、
Rは、出現ごとに、独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり、
R
1及びR
2は、存在する場合、出現ごとに、独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、又は-Y-P
gであり、R
3及びR
4は、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し、
EWGは、出現ごとに、独立して電子求引基であり、
式IIIの化合物は、少なくとも1つのP
g基及び少なくとも1つの酸化可能な官能基を含む。
【0107】
発色団含有モノマーは、式IV:
【0108】
【化4】
の化合物を含み得、
式中、
m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり、
R
Cは、EWC又は式-T-Y-P
gの基であり、Tは、結合、O、又はNRであり、Yは、連結基であり、P
gは、重合性基であり、
Xは、NR、S、又はSeであり、
Rは、出現ごとに、独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり、
R
1及びR
2は、存在する場合、出現ごとに、独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、又は-Y-P
gであり、R
3及びR
4は、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し、
EWGは、出現ごとに、独立して電子求引基であり、
式IIIの化合物は、少なくとも1個のP
g基を含有する。
【0109】
発色団含有モノマーは、以下の式V:
【0110】
【化5】
の化合物を含み得、
式中、
m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり、
Tは、結合、O、又はNRであり、
Xは、NR、S、又はSeであり、
Yは、連結基であり、
P
gは、重合性基であり、
Rは、出現ごとに、独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり、
R
1及びR
2は、存在する場合、出現ごとに、独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、又はベンジルであり、R
3及びR
4は、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し、
EWGは、電子求引基である。
【0111】
式Vの好ましい化合物としては、Yが、出現ごとに、独立して、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はこれらの組み合わせであるものが挙げられる。
【0112】
式Vの好ましい化合物としては、Pgが、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含むものが挙げられる。
【0113】
式Vの好ましい化合物としては、XがNであるものが挙げられる。
【0114】
式Vの好ましい化合物としては、XがSであるものが挙げられる。
【0115】
式Vの好ましい化合物としては、EWGが、出現ごとに、独立して、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドであるものが挙げられる。より好ましくは、EWGは、出現ごとにシアノである。
【0116】
式Vの好ましい化合物としては、m及びnがそれぞれゼロであるものが挙げられる。
【0117】
発色団含有モノマーは、以下の式VI:
【0118】
【化6】
の化合物を含み得、
式中、EWGは、出現ごとに、それぞれ独立して電子求引基であり、R
1はY-P
gであり、Yは連結基であり、P
gは重合性基である。
【0119】
式VIの好ましい化合物としては、Pg(重合性基)が、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含むものが挙げられる。好ましい重合性基としては、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。より好ましい重合性基は、メタクリレートである。
【0120】
式VIの好ましい化合物としては、Y(連結基)が、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン(例えば、フェニレン)、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又は前述の基のいずれかの組み合わせであるものが挙げられる。好ましい連結基としては、C1~C8アルキレン(例えば、エチレン又はプロピレン)、C1~C8オキサアルキレン、C1~C8アルキレン-アミド-C1~C8アルキレン、及びC1~C8アルキレン-アミン-C1~C8アルキレンが挙げられる。特に好ましいのは、C1~C8オキサアルキレン、C2~C4オキサアルキレン、又はオキサエチレン(-O-CH2CH2-)である。
【0121】
式VIの好ましい化合物としては、EWGが、出現ごとに、独立して、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドであるものが挙げられる。EWGは、出現ごとにシアノであってもよい。
【0122】
発色団含有モノマーは、以下の式VII:
【0123】
【化7】
の化合物を含み得、
式中、
Tは、結合、O、又はNR
6であり、R
6は、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Rは、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Yは、連結基であり;
P
gは、重合性基であり;
R
7は、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル、又はアルキル若しくはハロによって置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、SO
3H、又はSO
3M(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、R
3及びR
4は、独立して、H又はC
1~C
6アルキルであり;かつ
EWGは、電子求引基である。
【0124】
式VIIの好ましい化合物としては、R7がHであるものが挙げられる。
【0125】
式VIIの好ましい化合物としては、R7がC1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、又はC1~C6チオアルキルであるものが挙げられる。
【0126】
式VIIの好ましい化合物としては、R7が、例えばエトキシ又はメトキシなどのC1~C6アルコキシ、好ましくはメトキシであるものが挙げられる。
【0127】
式VIIの好ましい化合物としては、RがH又はC1~C6アルキルであるものが挙げられる。好ましくは、RはC1~C6アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、又はsec-ブチルである。好ましくは、Rはn-プロピル又はn-ブチルである。
【0128】
式VIIの好ましい化合物としては、TがNR6であり、R6がH又はC1~C6アルキルであるものが挙げられる。特に好ましくは、R6はHである。
【0129】
式VIIの好ましい化合物としては、Pg(重合性基)が、出現ごとに、独立して、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含むものが挙げられる。好ましい重合性基としては、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。より好ましい重合性基は、メタクリレートである。
【0130】
式VIIの好ましい化合物としては、Y(連結基)が、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン(例えば、フェニレン)、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又は前述の基のいずれかの組み合わせであるものが挙げられる。好ましい連結基としては、C1~C8アルキレン(例えば、エチレン又はプロピレン)、C1~C8オキサアルキレン、C1~C8アルキレン-アミド-C1~C8アルキレン、及びC1~C8アルキレン-アミン-C1~C8アルキレンが挙げられる。特に好ましいのは、C1~C8アルキレン、特にエチレン(-CH2CH2-)である。式VIの化合物中のTがOである場合、Oが結合している連結基の炭素原子が妨害されることが好ましい。例えば、TがOであり、そしてYがアルキレンである場合、好ましいアルキレンは、-C(RH)2(CH2)x-であり、RHは、独立して、C1~C6アルキル(好ましくは、独立して、メチル又はエチル)であり、そしてxは、1~5である。
【0131】
式VIIの好ましい化合物としては、Tが結合であるか、又はNR6(好ましくはNH)であるものが挙げられる。
【0132】
式VIIの好ましい化合物としては、EWGがシアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドであるものが挙げられる。好ましくは、EWGはシアノである。
【0133】
発色団含有モノマーは、以下の式VIII:
【0134】
【化8】
の化合物を含み得、
式中、
m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり、
Tは、結合、O、又はNRであり、
Xは、O又はSであり、
Yは、連結基であり、
P
gは、重合性基であり、
Rは、出現ごとに、独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり、
R
1及びR
2は、存在する場合、出現ごとに、独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、又はベンジルであり、R
3及びR
4は、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成するが、但し、R
1及びR
2の少なくとも一方は、酸化可能な官能基を含み、
EWGは、電子求引基である。
【0135】
式VIIIの好ましい化合物としては、Yが、出現ごとに、独立して、アルキレン、チアアルキレン、セレノアルキレン、アルキレンアミン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はこれらの組み合わせであるものが挙げられる。
【0136】
式VIIIの好ましい化合物としては、Pgが、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含むものが挙げられる。
【0137】
式VIIIの好ましい化合物としては、XがNであるものが挙げられる。
【0138】
式VIIIの好ましい化合物としては、XがSであるものが挙げられる。
【0139】
式VIIIの好ましい化合物としては、XがOであるものが挙げられる。
【0140】
式VIIIの好ましい化合物としては、mが0であり、nが1であるものが挙げられる。
【0141】
式VIIIの好ましい化合物としては、mが0であり、nが1であり、R2が酸化可能な官能基を含有するものが挙げられる。好ましくは、R2は、S、Se、NH、チアアルキル、セレノアルキル、アルキルアミン、チアアルキレン、セレノアルキレン、又はアルキレンアミンを含む。
【0142】
式VIIIの好ましい化合物としては、EWGが、出現ごとに、独立して、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドであるものが挙げられる。より好ましくは、EWGは、出現ごとにシアノである。
【0143】
好ましい発色団含有モノマーとしては、これらの2種以上の混合物を含む、以下が挙げられる。
【0144】
【0145】
本発明のレンズ前駆体を作製する際に使用され得る他の発色団含有モノマーとしては、以下:クロメン(例えば、ナフトピラン、ベンゾピラン、インデノナフトピラン、及びフェナントロピランなど);スピロピラン(例えば、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノノン及びスピロ(インドリン)ピラノースなど);オキサジン(例えば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ピリダベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトオキサジン及びスピロ(インドリン)ベンゾオキサジンなど);水銀ジチゾネート、フルギド、フルギミド、及びこのようなモノマーどうしの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
追加の好適な発色団含有モノマーとしては:(アリールアゾ)-チオギ酸アリールヒドラジド、例えば、水銀ジチゾン;並びにフルギド及びフルギミド、ナフトオキサジン、スピロベンゾピラン;重合性スピロベンゾピラン及びスピロベンゾピラン;重合性フルギド;重合性ナフセンジオン;重合性スピロオキサジン;及び重合性ポリアルコキシル化ナプチオランなどの、有機金属ジチオゾネートが挙げられるが、それらに限定されない。モノマーは、単独で、又は1つ以上の他の発色団含有モノマーと組み合わせて使用され得る。
【0147】
他の発色団含有モノマーは米国特許第7,556,750号に開示されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。好適なモノマーの非限定的な例としては、ナフトピランが挙げられる。これらのモノマーは、得られるコンタクトレンズと共重合されるように重合可能な官能基を含んでもよい。重合可能な官能基の例としては(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルなどが挙げられる。
【0148】
更に他の有用な発色団含有モノマーとしては、インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2-b]ピラン及びインデノ[1’,2’:4,3]ナフコ[2,1-b]ピランから選択されたインデノ縮合ナフトピラン(これらは、米国特許出願公開第2009/0072206号及び同第2006/0226401号においてより具体的に開示されているもの、並びに米国特許第7,364,291号に引用されているものである)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい発色団含有モノマーは、以下に示される、4-[4-[3、13-ジヒドロ-6-メトキシ-13,13-ジメチル-3-フェニル-7-(1-ピペリジニル)ベンゾ[3,4]フルオレノ[2,1-b]ピラン-3-イル]フェニル]-γ-オキソ、2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチルエステル1-ピペラジンブタン酸(登録番号1339922-40-5)である。
【0149】
【0150】
発色団含有モノマーは、前述の化合物の2種以上の混合物を含み得る。例えば、発色団含有モノマーは、XがSである式IIIの化合物と、XがNRである式IIIの化合物との混合物を含んでいてもよい。更なる例として、発色団含有モノマーは、XがSである式Vの化合物と式VIIの化合物との混合物を含むことができる。あるいは、発色団含有モノマーは、2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレートと、2-(2-(10-ブチル-2-メトキシアクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレートとの混合物を含んでいてもよい。あるいは、発色団含有モノマーは、2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレートと、N-(2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミドとの混合物を含んでいてもよい。
【0151】
コンタクトレンズ前駆体の形成
本発明における使用のためのコンタクトレンズ前駆体を形成するために、発色団含有モノマーは、コンタクトレンズ前駆体を作製するために適切な1つ以上のモノマーと共重合される。モノマーは、一般に、ポリマーネットワークがそれから形成される反応性混合物に添加され得る。発色団含有モノマーは、その溶解度の限界までの任意の量で反応性混合物中に存在してよい。例えば、発色団含有モノマーは、希釈剤を除く反応性混合物中の全ての成分の重量パーセントに基づいて、少なくとも0.1パーセント、少なくとも1パーセント、又は少なくとも2パーセント、かつ最大10パーセント又は最大5パーセントの濃度で存在していてよい。典型的な濃度は、1~5パーセントの範囲内であり得る。上限は、典型的には、反応性モノマー混合物中の化合物と他のコモノマー及び又は希釈剤との溶解度によって決定される。
【0152】
典型的な種類のモノマー、開始剤、希釈剤などを含む、本明細書に記載されるコンタクトレンズ前駆体を形成するための共重合条件は、当業者に周知であり、例えば、上で参照した特許文献に記載されている。
【0153】
本発明で使用するためのコンタクトレンズ前駆体は、コンタクトレンズ前駆体を作製するのに好適な1つ以上のモノマー(本明細書では、デバイス形成モノマー又はヒドロゲル形成モノマーとも呼ばれる)と、1つ以上の発色団含有モノマーと、任意選択の成分と、を含有する反応性混合物のフリーラジカル反応生成物を含み得る。重合されると、反応性混合物は、コンタクトレンズ前駆体が含まれ得るポリマーネットワークの形成をもたらす。ポリマーネットワークは、例えば、ヒドロゲル(例えば、従来のヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル)であってもよい。
【0154】
発色団含有モノマーが(例えば、モノマーとして)組み込まれ得るポリマーネットワーク組織の非限定的な例としては、上述の材料が挙げられ、例えば、エタフィルコン、ゲンフィルコン、ヒラフィルコン、レネフィルコン、ネソフィルコン、オマフィルコン、ポリマコン、ビフィルコン、アクアフィルコン、アスモフィルコン、バラフィルコン、コムフィルコン、デレフィルコン、エンフィルコン、ファンフィルコン、フォルモフィルコン、ガリーフィルコン、ロトラフィルコン、ナラフィルコン、リオフィルコン、サムフィルコン、セノフィルコン、ソモフィルコン、及びステンフィルコン、又はこれらの変異型の任意のものが挙げられる。
【0155】
更なる例として、ポリマーネットワークは、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、ポリアミドなどの湿潤剤、架橋剤及び希釈剤及び開始剤などの更なる成分のうちの1つ以上を含む反応性混合物から作製されてもよい。上述したように、反応性混合物は発色団含有モノマーも含む。本発明のレンズ前駆体が構成され得るポリマーネットワークを作製するための種々のモノマー及び他の材料の例は、以下のとおりである。
【0156】
親水性成分
反応性混合物に存在し得る親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0157】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定的な例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0158】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物など、イオン性であってもよい。このような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドペンタン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、及びメタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0159】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン;1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0160】
親水性O-ビニルカルバマートモノマー及びO-ビニルカルボナートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバマート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカルボナートモノマー又はビニルカルバマートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0161】
他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0162】
親水性モノマーはまた、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミドなどの重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有し、プレポリマーは、2つ以上の重合性基を有し得る。
【0163】
本発明の好ましい親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。好ましい親水性モノマーとしては、DMA及びHEMAの混合物が挙げられる。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0164】
概して、反応性モノマー混合物中に存在する親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込みなどを含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づいて選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定され得るが、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、例えば、約0.1~約100重量パーセントの範囲、又は約1~約80重量パーセントの範囲、又は約5~約65重量パーセントの範囲、又は約40~約60重量パーセントの範囲、又は約55~約60重量パーセントの範囲の量で存在し得る。
【0165】
シリコーン含有成分
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分は、1つ以上の重合性化合物を含み、各化合物は、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ以上の連結基を含む。シリコーン含有成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1個のフッ素原子も含有し得る。
【0166】
シリコーン含有成分は、上で定義された1つ以上の重合性基と、1つ以上の任意選択的に繰り返すシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基と、を含み得る。シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバマート、O-ビニルカルボナート、ビニル基、又はこれらの混合物である1つ以上の重合性基と、1つ以上の任意選択的に繰り返すシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基と、を含み得る。
【0167】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基と、1つ以上の任意選択的に繰り返すシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基と、を含み得る。
【0168】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基と、1つ以上の任意選択的に繰り返すシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基と、を含み得る。
【0169】
シリコーン含有成分は、式A:
【0170】
【化10】
の1つ以上の重合性化合物を含み得、
式中、
少なくとも1つのR
Aは、式R
g-L-の基であり、式中、R
gは、重合性基であり、Lは、連結基であり、残りのR
Aは、それぞれ独立して:
(a)R
g-L-、
(b)1つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、若しくはこれらの組み合わせによって、任意選択的に置換されているC
1~C
16アルキル、
(c)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、若しくはこれらの組み合わせによって、任意選択的に置換されているC
3~C
12シクロアルキル、
(d)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、若しくはこれらの組み合わせによって、任意選択的に置換されているC
6~C
14アリール基、
(e)ハロ、
(f)アルコキシ、環状アルコキシ、若しくはアリールオキシ、
(g)シロキシ、
(h)例えば、ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などの、アルキレンオキシ-アルキル若しくはアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、又は
(i)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバマート、ハロ若しくはこれらの組み合わせによって、任意選択的に置換されている1~100個のシロキサン繰り返し単位を含む一価シロキサン鎖であり;
nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR
A置換基を担持してもよく、異なるR
A置換基が存在する場合、n基は、ランダム構成又はブロック構成であってもよい。
【0171】
式Aにおいて、3つのRAは、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的に2つのRAが、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的に1つのRAが、重合性基を含んでもよい。
【0172】
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分の例としては、表Bに列挙される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。表Bの化合物がポリシロキサン基を含有する場合、このような化合物中のSiO反復単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0173】
【0174】
【0175】
好適なシリコーン含有成分の追加の非限定的な例を、表Cに列挙する。別途記載のない限り、適用可能な場合、j2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1及びj2を含有する化合物において、j1とj2との合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0176】
【0177】
【0178】
シリコーンを含有する複数の成分の混合物を使用してもよい。例として、好適な混合物としては、4個及び15個のSiO繰り返し単位を含有するOH-mPDMSの混合物などの、異なる分子量を有するモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)の混合物、異なる分子量を有するOH-mPDMS(例えば、4個及び15個の繰り返しSiO繰り返し単位を含有する)と、例えば、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)などのシリコーン系架橋剤との混合物、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)と、例えば、mPDMS1000などの、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)との混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0179】
本発明で使用するシリコーン含有成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0180】
シリコーン含有成分(複数可)は、反応性混合物(希釈剤を除く)の、全ての反応性成分に基づいて、最大約95重量%、又は約10~約80重量%、又は約20~約70重量%の量で存在し得る。
【0181】
ポリアミド
反応性混合物は、少なくとも1つのポリアミドを含んでいてよい。本明細書で使用するとき、「ポリアミド」という用語は、アミド基を含有する繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含んでいてよく、当業者に既知の任意のポリアミドであってもよい。非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0182】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式G1及びG2:
【0183】
【化11】
の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
44)-であり、R
44は、C
1~C
3アルキル基であり、R
40は、H、直鎖又は分岐鎖で、置換又は非置換C
1~C
4アルキル基から選択され、R
41は、H、直鎖又は分岐鎖で、置換又は非置換C1~C4アルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され、R
42は、H、直鎖又は分岐鎖で、置換又は非置換C
1~C
4アルキル基から選択され、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
43は、H、直鎖又は分岐鎖で、置換又は非置換C
1~C
4アルキル基から選択され、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
40及びR
41の炭素原子の数は、合計で、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下であり、R
42及びR
43の炭素原子の数は、合計で、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下である。R
40及びR
41の炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってもよい。R
42及びR
43の炭素原子の数は、合計で6以下であってもよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせによって置換されているアルキル基を含む。
【0184】
R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基から選択され得る。Xは、直接結合であってもよく、R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基から選択されてもよい。R42及びR43は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0185】
本発明の非環状ポリアミドは、式LV若しくは式LVIの繰り返し単位を主要な部分として含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モルパーセント及び少なくとも80モルパーセントなど、式G若しくは式G1の繰り返し単位の少なくとも50モルパーセントを含み得る。式G及び式G1の繰り返し単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに以下の式G2及びG3のアクリルアミドに由来する繰り返し単位を含む:
【0186】
【0187】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式G4:
【0188】
【化13】
の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
式中、R
45は、水素原子又はメチル基であり、fは、1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
46)-であり、R
46は、C
1~C
3アルキル基である。式LIX中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式G4中、fは、6以下、例えば、5、4、3、2、又は1であり得る。式G4中、fは、2~8、例えば、2、3、4、5、6、7、又は8であり得る。式LIX中、fは、2又は3であり得る。Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0189】
本発明の環状ポリアミドは、式G4の繰り返し単位の50モルパーセント以上を含んでもよいか、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モルパーセント、及び少なくとも80モルパーセントなど、式G4の繰り返し単位の少なくとも50モルパーセントを含んでもよい。
【0190】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。追加の繰り返し単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の繰り返し単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS#148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドペンタン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT、カルボキシベタイン;CAS#79704-35-1)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS#80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0191】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得るが、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。ポリアミドは、PVP(例えば、PVP K90)とPVMA(例えば、約570KDaのMwを有する)との混合物であってもよい。
【0192】
反応性混合物中の全てのポリアミドの総量は、あらゆる場合において、反応性モノマー混合物の反応性成分の総重量に基づいて、1重量%~約15重量%の範囲内、及び約5重量%~約15重量%の範囲内など、1重量%~約35重量%の範囲内であり得る。
【0193】
理論に束縛されるものではないが、シリコーンヒドロゲルとともに使用されるとき、ポリアミドは内部湿潤剤として機能する。本発明のポリアミドは、非重合性であってもよく、この場合、半相互貫入ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル内に組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。代替的に、本発明のポリアミドは、例えば、ポリアミドマクロマー又はプレポリマーとして重合性であり得るが、この場合、シリコーンヒドロゲル内に共有結合的に組み込まれる。重合性及び非重合性のポリアミドの混合物もまた使用され得る。
【0194】
ポリアミドが反応性モノマー混合物内に組み込まれているとき、ポリアミドは、少なくとも100,000ダルトン、約150,000超、約150,000~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。反応性モノマー混合物と相溶性である場合、高分子量ポリアミドを使用することができる。
【0195】
架橋剤
概して、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ以上の架橋剤を反応性混合物に添加することが望ましい。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてもよく、これにはシリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤が含まれる。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカルボナート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性配合物100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで反応性混合物中に用いられる。代替的に、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有成分が分子設計により、又は不純物のために多官能性である場合、反応性混合物への架橋剤の添加は、任意選択である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0196】
配合物中の他の反応性成分のうちの1つ以上に対して同様の反応性を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。場合によっては、得られるシリコーンヒドロゲルのいくらかの物理的、機械的、又は生物学的特性を制御するために、異なる反応性を有する架橋剤の混合物を選択することが望ましい場合がある。シリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤(複数可)及び硬化条件によっても影響を受け得る。
【0197】
弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために、マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も含まれ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有成分の例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピルポリジメチルシロキサンが挙げられる。別の例は、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)である。
【0198】
剛直化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける重合性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な剛直構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。剛直な架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15、又は約2~10、3~7の量で含まれ得る。本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0199】
シリコーン架橋剤の非限定的な例としては、上記表Dに記載の多官能性シリコーン含有成分も挙げられる。
【0200】
更なる構成成分
反応性混合物は、希釈剤、開始剤、UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、薬剤、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、追加の構成成分を含有してもよい。
【0201】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、第一級、第二級、及び第三級アルコールであり得る。
【0202】
概して、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性混合物を形成する。好適な希釈剤は、技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6,020,445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。第一級及び第三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。使用され得る具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物などが挙げられる。アミド希釈剤の例としては、N,N-ジメチルプロピオンアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0203】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0204】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。希釈剤が存在する場合、概して、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性配合物及び非反応性配合物を含む)反応性混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量パーセントの範囲及び約15~約40重量パーセントの範囲など、約2~約70重量パーセントの範囲の量で存在し得る。複数の希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0205】
重合開始剤は、反応性混合物中で使用してもよい。重合開始剤としては、例えば、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、イソ-プロピルパーカーボネート、アゾビスイソブチロニトリルなどの、中程度の高温でフリーラジカルを発生させるもの、並びに芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び三級アミン+ジケトン、これらの混合物などの光開始剤系のうちの少なくとも1つを挙げることができる。光開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホス-フィンオキシド及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びにカンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。
【0206】
市販の(IGM Resins B.V.(The Netherlands)製の)可視光開始剤系としては、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1850、及びLucrin(登録商標)TPO開始剤が挙げられる。市販の(IGM Resins B.V.製の)UV光開始剤としては、Darocur(登録商標)1173及びDarocur(登録商標)2959が挙げられる。使用され得るこれらの及びその他の光開始剤は、Volume III、Photoinitiators for Free Radical Cationic&Anionic Photopolymerization、2nd Edition by J.V.Crivello&K.Dietliker;G.Bradley編;John Wiley and Sons;New York;1998に開示されている。開始剤は、反応性混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー混合物の100部当たり約0.1~約2重量部で、反応性混合物中で使用される。反応性混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光又は他の手段を適切に選択して使用して開始することができる。代替的に、開始は、光開始剤なしで電子ビームを使用して実施され得る。しかしながら、光開始剤が使用されるとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819)、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせなどの、ビスアシルホスフィンオキシドである。
【0207】
コンタクトレンズ前駆体の硬化及び製造
反応性混合物は、振とう又は撹拌などの技術分野で既知の方法のいずれかによって形成され、既知の方法によるポリマーネットワーク又はデバイスの形成に使用され得る。反応性成分は、反応性混合物を形成するために、希釈剤を使用するか又は使用しないかのいずれかで一緒に混合される。
【0208】
例えば、眼科用デバイスは、反応性成分及び任意選択で希釈剤(複数可)を重合開始剤と混合し、適切な条件で硬化させて、後で旋盤加工、切削などによって適切な形状に成形され得る生成物を形成することによって調製することができる。代替的に、反応性混合物は、成形型に入れた後に硬化させ、適切な物品にすることができる。
【0209】
本発明において使用するためのシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ前駆体などの、成形眼科用デバイスを作製する方法は、反応性モノマー混合物を調製することと、反応性モノマー混合物を第1の成形型に移すことと、第2の成形型を、反応性モノマー混合物で充填された第1の成形型の上に配置することと、フリーラジカル共重合によって反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズ前駆体の形状でシリコーンヒドロゲルを形成することと、を含み得る。
【0210】
反応性混合物は、回転成形及び静的成形を含む、コンタクトレンズの作製において、反応性混合物を成形するための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形方法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、静的成形方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のコンタクトレンズ前駆体は、シリコーンヒドロゲルの直接成型により形成してもよく、これは経済的であり、レンズ前駆体の最終形状を正確に制御できる。この方法では、反応性混合物は、所望の最終シリコーンヒドロゲルの形状を有する成形型内に配置され、反応性混合物は、モノマーが重合する条件に供され、それにより所望の最終製品のおよその形状のポリマーを生成する。
【0211】
可視光吸収発色団の局在化
本発明において、発色団含有モノマーを介してレンズ前駆体に導入された可視光吸収発色団は、レンズの所望の領域に集中する。可視光吸収発色団の局在濃度は、その光吸収特性が必要とされないか又は望ましくない領域において発色団を選択的に誘導体化することによって達成される。選択的誘導体化は、好ましくは化学的に達成される。より好ましくは、誘導体化は、可視光吸収発色団中の1つ以上の官能基の化学酸化によるものであり、酸化の結果として、例えば400~460nmにわたって、親である発色団よりも大きな可視光透過率を有する材料が得られる。
【0212】
誘導体化が化学酸化による場合、可視光吸収発色団は、好ましくは、親よりも高い光透過率を有する材料をもたらす条件下で、酸化反応を容易に受けることができる官能基を含有する。このような酸化のための例示的な官能基としては、S、NR、及びSeが挙げられる。したがって、好ましい可視光吸収発色団としては、酸化可能な官能基、例えば酸化可能な硫黄、セレン、又はアミン部分を含有する上記のような材料が挙げられる。
【0213】
化学的酸化は、例えば以下の実施例に記載されているように、例えば漂白によって行うことができる。様々な試薬を酸化に使用することができ、例えば、次亜塩素酸塩、Oxone(登録商標)、ジメチルジオキシラン、過酸化水素、及び/又は亜塩素酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
レンズ前駆体の選択領域(例えば、第2の領域)に可視光吸収発色団の誘導体を形成するために、誘導体化が所望されないレンズ前駆体の第1の領域は、誘導体化条件からマスクされる。例えば、誘導体化が化学的手段(例えば、化学的酸化)による場合、レンズ前駆体の第1の領域は、例えば、第1の領域から誘導体化試薬を排除するように適切にサイズ決定されたカップを使用して、誘導体化試薬からマスクされ得る。好ましくは、このようなカップは、第1の領域の適切なマスキングを提供するが、下にあるレンズ前駆体を損傷しない材料(例えば、シリコーン)から形成される。他のマスキング技術又は装置は、容易に使用され得る。
【0215】
レンズ前駆体の第1の領域が適切にマスクされると、次いで誘導体化工程が実施される。例えば、誘導体化が化学的手段による場合、誘導体化試薬は、第1の領域に有意に接触することなく第2の領域に接触するように適用され得る。試薬と第2の領域との接触は、所望のレベルの誘導体化が達成されるまで継続され得る。次いで、試薬は、例えば、洗浄によって除去される。例示的な方法を、実施例に説明する。結果として得られるコンタクトレンズは、レンズの第1の領域に可視光吸収発色団を含み、レンズの第2の領域に発色団の誘導体を含む。したがって、本方法は、可視光吸収発色団がレンズの所望の領域、例えば中央ゾーンに集中し、観察者に視覚的にあまり目立たない可能性がある吸収性の低い誘導体がレンズの周辺ゾーンに集中しているコンタクトレンズを提供する。
【0216】
上記のような誘導体化は、好ましくは、コンタクトレンズ前駆体が依然として成形型内にある間に行われる(好ましくは、成形型半体のうちの1つが除去され、したがって、他方の成形型半体内のレンズ前駆体へのアクセスを可能にする)。誘導体化の後、得られたコンタクトレンズは、未反応成分を除去するための抽出及びレンズ成形型からのレンズの離型を含む、コンタクトレンズの製造において典型的に使用される加工方法に供され得る。抽出は、アルコールなどの有機溶媒など、従来の抽出流体を使用して行われてもよいし、又は水溶液を使用して抽出してもよい。
【0217】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量パーセントの水、又は少なくとも約50重量パーセントの水、又は少なくとも約70重量パーセントの水、又は少なくとも約95重量パーセントの水を含み得る。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助剤、これらの組み合わせなどの、追加の水溶性配合物を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、成形型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較して減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理などの特別な取り扱いを必要としない場合がある。
【0218】
抽出は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズを曝露することを介して行うことができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズを機械的撹拌又は超音波撹拌にかけることと、少なくとも1種の浸出又は抽出助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述の工程は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0219】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ成形型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0220】
レンズは、限定されないが、高圧蒸気処理などの既知の手段により殺菌してもよい。
【0221】
上記に示されるように、好ましいコンタクトレンズは、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズである。本明細書に記載の透過波長及びパーセントは、例えば、実施例に記載される方法を使用して、様々な厚さのレンズ上で測定され得る。例として、第1の領域における透過スペクトルを測定するための好ましい中心厚は、ソフトコンタクトレンズの第1の領域が中央領域に対応する場合には、80~100ミクロン、又は90~100ミクロン、又は90~95ミクロンであり得る。典型的には、上のような場合には、例えば、4nmの器具スリット幅を使用して、レンズの中心で測定を行ってもよい。あるいは、やはり4nmのスリット幅を使用して、周辺ゾーンなどの第2の領域で測定を行ってもよい。本発明の目的のために、レンズの第1の領域と第2の領域との間の透過率の差は、透過スペクトルを収集する必要なしに、観察者に明らかであり得るということが理解されるべきである。例えば、第2の領域が有する着色量が、第1の領域よりも少ないと観察された場合、これは、第2の領域が、可視スペクトルにおいて、例えば、380nm~760nmの範囲、又は400nm~600nmの範囲において、第1の領域よりも大きい平均透過率を有するということを示し得る。
【0222】
本発明のコンタクトレンズがシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである場合、レンズは、好ましくは、以下の特性を示し得る。全ての値の前には「約」が付き、このレンズは、列挙する性質の任意の組み合わせを有してもよい。特性は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0037690号に記載されているように、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0223】
水のパーセント濃度:少なくとも20%、又は少なくとも25%、かつ最大80%、又は最大70%
曇り度:30%以下、又は10%以下
前進動的接触角(ウィルヘルミープレート法):100°以下、80°以下、又は50°以下
引張弾性率(psi):120以下、又は80~120
酸素透過性(Dk、バーラー):少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
【0224】
イオン性シリコーンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある。
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム1(PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下
【0225】
本発明の化合物は、眼科用デバイスに加えて、他の製品とともに使用してもよい。例えば、化合物は、窓部(例えば、車両若しくは建物の窓)、又は双眼鏡及びカメラ等の光学機器などに使用されてもよい。このような使用において、化合物は、例えば、装置の表面上にコーティングされてもよい。コーティングを容易にするために、化合物を溶媒中に溶解させてもよい。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例にて詳細に記述する。
【実施例】
【0227】
試験方法
含水率(WC)を重量測定した。レンズは、パッキング溶液中で24時間平衡化した。3枚の試験レンズをそれぞれ、先端がスポンジ状のスワブを使用してパッキング溶液から取り出し、パッキング溶液で湿らせておいたブロッティングワイプ上に置く。レンズの両面をこのワイプと接触させる。ピンセットを使用して試験レンズを、重さを量った秤量皿に置き、秤量する。更に2セットの試料を準備し秤量する。全ての重量測定は3回行い、それらの値の平均を計算に用いた。湿重量は、秤量皿及び湿レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。
【0228】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。圧力が少なくとも1インチHgに達するまで真空を適用したが、より低圧も許容される。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを少なくとも12時間(通常一晩)、乾燥させる。パージバルブを開口し、それによって乾燥空気又は乾燥窒素ガスが入る。オーブンを大気圧に到達させる。秤量皿を取り出し、秤量する。乾燥重量は、秤量皿及び乾燥レンズの総重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。試験レンズの含水量は、以下のように計算した:パーセント含水量=(湿重量-乾燥重量)/湿重量×100。含水量の平均及び標準偏差を計算し、平均値を、試験レンズのパーセント含水量として報告した。
【0229】
KRUSS DSA-100(商標)機器を用いる静止液滴技術を室温で使用して、そして、脱イオン水をプローブ溶液(静止液滴)として使用してレンズの湿潤性を測定した。試験すべきレンズを脱イオン水中ですすぎ、パッキング溶液を取り除いた。それぞれの試験レンズをパッキング溶液で湿らせたリントフリーの吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの吸い取り紙と接触させて、レンズを乾燥させることなく、表面の水を除去した。適切な平坦化を確保するために、レンズは、コンタクトレンズのプラスチック成形型の凸面上に「皿部を下にして」置いた。適切な中央シリンジアライメントを確実にするために、プラスチック成形型及びレンズを液滴器具ホルダ内に配置した。3~4マイクロリットルの脱イオン水の液滴を、その液滴が確実にレンズから離れて垂れるように、DSA 100-Drop Shape Analysisソフトウェアを使用して注射器の先端上に形成した。液滴を、針を下に移動することによって、レンズの表面上に円滑に放出した。針を、液滴を分注した後、直ちに回収した。液滴を、5~10秒間レンズ上で平衡状態に保ち、接触角を、液滴画像とレンズ表面との間で測定した。典型的には、3~5個のレンズを評価し、平均接触角を報告した。
【0230】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空気圧グリップコントロールを備えたInstron model 1122又は5542の引張試験機を使用して測定した。マイナス1のジオプターレンズが、その中央の均一な厚さプロファイルから、好ましいレンズ幾何学形状である。0.522インチの長さ、0.276インチの「耳」幅、及び0.213インチの「首」幅を有する、-1のジオプトリーのレンズから切断されたドッグボーン形状の試料をグリップ内に載置し、毎分2インチの一定の歪み速度で破断するまで引き伸ばした。ドッグボーン試料の中心厚さを、試験前に、電子式厚さ計を使用して測定した。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時の試料長さ(Lf)を測定した。各組成物の少なくとも5個の試験片を測定し、平均値を使用して、破断までのパーセント伸長を計算した。パーセント伸長=[(Lf-Lo)/Lo]×100。引張係数(modulus、M)を、応力-歪み曲線の初期直線部分の傾きとして計算し、弾性率の単位は、平方インチ当たりポンド又はpsiである。引張強度(tensile strength、TS)をピーク荷重及び元の断面積から計算した。引張強度は、ピーク荷重を元の断面積で除算したものであり、引張強度の単位は、psiである。靭性を、破断するためのエネルギー及び試料の元の体積から計算した。靭性は、破断するためのエネルギーを試料の元の体積で割ったものであり、靭性の単位は、in-lbs/in3である。破断伸び(elongation to break、ETB)もまた、破断時の歪みのパーセントとして記録した。
【0231】
溶液中の化合物の紫外線可視スペクトルを、Perkin Elmer社製のLambda45、又はAgilent社製のCary6000i UV/VIS走査型分光計で測定した。使用前に、機器を少なくとも30分間熱平衡化させた。Perkin Elmer機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は、毎分960nmであり、スリット幅は4nmであり、モードを透過又は吸光度に設定し、ベースライン補正を選択した。Cary機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は600nm/分であり、スリット幅は2nmであり、モードは透過又は吸光度であり、ベースライン補正を選択した。自動ゼロ関数を使用して試料を分析する前に、ベースライン補正を行った。
【0232】
請求される組成物から部分的に形成されたコンタクトレンズの紫外線可視スペクトルを、パッキング溶液を使用し、Perkin Elmer社製のLambda45 UV/VIS又はAgilent社製のCary6000i UV/VIS走査型分光計で測定した。使用前に、機器を少なくとも30分間熱平衡化させた。Perkin Elmer機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は、毎分960nmであり、スリット幅は4nmであり、モードを透過に設定し、ベースライン補正を選択した。ベースライン補正は、プラスチック2ピース型レンズホルダ及び同じ溶媒が入っているキュベットを使用して実施した。これらの2ピース型コンタクトレンズホルダは、入射光ビームが横断する位置に試料を石英キュベット内に保持するように設計した。参照キュベットはまた、2ピース型ホルダも収容していた。試料の厚さが一定であることを確実にするために、全てのレンズを同一の成形型を使用して作製した。コンタクトレンズの中心厚さは、電子式厚さ計を使用して測定した。報告された中心厚さ及び透過率スペクトルは、3つの個々のレンズデータを平均化することによって得られる。
【0233】
キュベットの外面が完全に清潔で乾燥しており、キュベット内に気泡が存在しないことを確実にすることが重要である。参照キュベット及びそのレンズホルダが一定のままであり、全ての試料が同じ試料キュベット及びそのレンズホルダを使用するときに、測定の再現性が改善され、キュベットの両方が器具に適切に挿入されることを確実にする。
【0234】
パッキング溶液中のコンタクトレンズパラメータを測定するために、較正された二重干渉法が使用された。これらのパラメータには、複数の開口における等価球面度数(ジオプター又はD)、複数の開口における円柱度数(ジオプター又はD)、直径(ミリメートル又はmm)、中心厚さ(ミリメートル又はmm)、矢状高さ(ミリメートル又はmm)、及び6.5ミリメートル口径を使用して測定したときの球面/円柱度数及び除去されたコマ収差を有するマイクロメートル又はマイクロメートル(μm)でのレンズ設計目標からの二乗平均二乗(RMS)光路波面偏差が含まれる。この機器は、波面パラメータの測定のためのカスタムのプロピオネート干渉計と、矢状高さ及び中心厚さの寸法パラメータの測定のためのLumetrics OptiGauge(登録商標)II低コヒーレンス干渉計とで構成されている。組み合わされた2つの個々の機器は、Lumetrics Clearwave(商標)Plusと同様であり、ソフトウェアは、Lumetrics OptiGauge Control Center v7.0以降に類似している。Clearwave(商標)Plusでは、カメラを使用してレンズ縁を見つけ、次いでレンズ中心を計算し、次にこれを使用して、矢状高さ及び中心厚さを測定するために、1310ナノメートル干渉計プローブをレンズ中心に位置合わせする。伝搬された波面も、波面センサ(シャックハルトマンセンサ)を使用して連続して収集する。コンタクトレンズの透過波面からの複数のパラメータを測定し、他のパラメータを、これらの測定値から計算する。
【0235】
収集されたデータから目標からの測定値を比較することによって、差異項を計算する。これらには、6.5ミリメートル口径を使用して測定したときのμm単位のレンズ設計目標(球面/円柱度数及び除去されたコマ収差)からの二乗平均平方根光路波面偏差(RMS_65)、5ミリメートルの口径を使用して測定したときのジオプター単位(D)のレンズ設計目標からの第2の等価球面度数偏差(PW2EQD)、mm単位のレンズ設計目標直径からの偏差(DMD)、ISO18369-3により測定した矢状高さから計算したときの、mm単位のレンズ設計目標ベースカーブ半径、及びレンズ直径からの偏差(BCD)、及びmm単位のレンズ設計目標中心厚さからの偏差(CTD)が含まれる。
【0236】
以下の略語は、実施例を通して使用され、以下の意味を有する。
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
PVP K90:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
SiMAA:2-プロペン酸,2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)、又は3-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロポキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
mPDMS:モノ-n-ブチル末端処理モノメタクリルオキシプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン、(Mn=800~1500グラム/モル)(Gelest)
Tegomer MA:ビス-3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(Mn=2000g/モル、n=20)(Shin Etsu)
【0237】
【化14】
HO-mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端ポリジメチルシロキサン(M
n=400~1400g/モル)(Ortec又はDSM-Polymer Technology Group)
OH-mPDMS(n=4):
【0238】
【0239】
【化16】
Omnirad403:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(IGM Resins)
Omnirad819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IGM Resins)
Omnirad1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン(IGM Resins)
Omnirad 1700:25重量%Omnirad403と75重量%Omnirad1173との混合物(IGM Resins)
Omnirad1870:70重量%Omnirad403と30重量%Omnirad1173との混合物(IGM Resins)
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
RB247:1,4-ビス[2-メタクリルオキシエチルアミノ]-9,10-アントラキノン(CAS#109561-07-1)
染料1:2-((9-(ジシアノメチレン)-9H-チオキサンテン-2-イル)オキシ)エチルメタクリレート;
【0240】
【化17】
染料2:2-(2-(10-ブチル-2-メトキシアクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレート;
【0241】
【化18】
染料3:2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート
【0242】
【化19】
染料4:N-(2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド
【0243】
【化20】
3E3P:3-エチル3-ペンタノール
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
DIW:脱イオン水
IPA:イソプロピルアルコール
PG:1,2-プロピレングリコール
HCl:塩酸
NaOCl:次亜塩素酸ナトリウム。
M:モル濃度(モル/L)
N:規定度(当量/L)
PS:ホウ酸塩緩衝パッケージ溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルメスフラスコを満たした。
BC:PP、TT、Z、又はこれらのブレンドから作製されたベースカーブプラスチック成形型
FC:PP、TT、Z、又はこれらのブレンドから作製されたフロントカーブプラスチック成形型
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
TT:水添スチレンブタジエンブロックコポリマーであるTuftec(Asahi Kasei Chemicals)
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
RMM:反応性モノマー混合物
LED:発光ダイオード
UV-VIS:紫外線-可視
g:グラム
mg:ミリグラム
kg:キログラム
L:リットル
mL:ミリリットル
μL:マイクロリットル
m:メートル
cm:センチメートル
mm:ミリメートル
μm:マイクロメートル又はミクロン
nm:ナノメートル
in:インチ
lb:ポンド
s又はsec:秒
min:分
hr:時間
「W」:ワット
mW:ミリワット
D:ジオプトリー
Wt%:重量%
【0244】
コンタクトレンズ前駆体(染色)
前駆体1レンズ:表1に列挙した反応性構成成分を、3M3Pと混合することによって、反応性構成成分対3M3Pの重量比が77:23(w/w)となるように、反応性モノマー混合物を形成した。この場合、PVP K90及び3M3P以外の配合成分を、ジクロロメタン溶液中で合わせ、次いで、ロータリーエバポレータ中で減圧下にてジクロロメタンを除去した後、必要量のPVP K90及び3M3Pを添加して、最終反応性モノマー混合物を形成した。この配合物を、ステンレス鋼注射器を使用して3μmフィルタを通して濾過し、真空(約40mmHg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び約0.2パーセント未満の酸素ガスの入ったグローブボックス内で、室温でエッペンドルフピペットを使用して、約75μLの反応性混合物を、90:10(w/w)Zeonor/TTブレンドで作製されたFCに投入した。次いで、90:10(w/w)のZ:PPブレンドからなるBCを、FC上に配置した。成形型設計の目標球面度数は、公称マイナス1ジオプトリーであった。成形型を、分注前にグローブボックス内で最低12時間平衡化させた。それぞれ8つの成形型アセンブリを収容するパレットを、65℃に維持された隣接するグローブボックス内へと移し、トレイの場所で約1.5mW/cm2の輝度を有する420nmの発光ダイオード光を使用して3分間、また次に、トレイの場所で5mW/cm2の輝度を有する420nmの発光ダイオード光を使用して5分間、最上部から底部までレンズを硬化させた。得られたレンズ[前駆体1レンズ]をベースカーブ成形型から機械的に離型し、前駆体1レンズを、フロントカーブ成形型に付着させたままにした。次いで、フロントカーブ成形型に付着した前駆体1レンズをパレット内に戻し、続いて、選択的漂白工程のため、各レンズ前駆体の中央ゾーンを保護するためにシリコーンカップを適用することによってパレットを選択的にマスクした。
【0245】
前駆体2レンズ前駆体1レンズ:表1に列挙した反応性構成成分を、D3Oと混合することによって、反応性構成成分対D3Oの重量比が62:38(w/w)となるように、反応性モノマー混合物を形成した。この配合物を、ステンレス鋼注射器を使用して3μmフィルタを通して濾過し、真空(約40mmHg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び約0.2パーセント未満の酸素ガスの入ったグローブボックス内で、室温でエッペンドルフピペットを使用して、約75μLの反応性混合物を、90:10(w/w)Zeonor/TTブレンドで作製されたFCに投入した。次いで、90:10(w/w)のZ:PPブレンドからなるBCを、FC上に配置した。成形型設計の目標球面度数は、公称マイナス1ジオプトリーであった。成形型を、分注前にグローブボックス内で最低12時間平衡化させた。それぞれ8つの成形型アセンブリを収容するパレットを、約65℃に維持された隣接するグローブボックス内へと移し、約2mW/cm2の強度を有する405nmの発光ダイオード光を使用して約10分間、最上部から底部までレンズを硬化させた。得られたレンズ[前駆体2レンズ]をベースカーブ成形型から機械的に離型し、前駆体2レンズを、フロントカーブ成形型に付着させたままにした。次いで、フロントカーブ成形型に付着した前駆体2レンズをパレット内に戻し、続いて、選択的漂白工程のため、各レンズ前駆体の中央ゾーンを保護するためにシリコーンカップを適用することによって、パレットをマスクした。2組の前駆体2レンズを製造した:一方の組はマイナス1ジオプターの公称球面屈折力を有し、他方の組はマイナス12ジオプターの公称球面屈折力を有していた。
【0246】
前駆体3レンズ:表1に列挙した反応性構成成分を、D3Oと混合することによって、反応性構成成分対D3Oの重量比が77:23(w/w)となるように、反応性モノマー混合物を形成した。この配合物を、ステンレス鋼注射器を使用して3μmフィルタを通して濾過し、真空(約40mmHg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び約0.2パーセント未満の酸素ガスの入ったグローブボックス内で、室温でエッペンドルフピペットを使用して、約75μLの反応性混合物を、90:10(w/w)Zeonor/TTブレンドで作製されたFCに投入した。次いで、90:10(w/w)のZ:PPブレンドからなるBCを、FC上に配置した。成形型設計の目標球面度数は、公称マイナス1ジオプトリーであった。成形型を、分注前にグローブボックス内で最低12時間平衡化させた。それぞれ8つの成形型アセンブリを収容するパレットを、約65℃に維持された隣接するグローブボックス内へと移し、トレイの場所で約2mW/cm2の強度を有する405nmの発光ダイオード光を使用して約10分間、最上部から底部までレンズを硬化させた。得られたレンズ[前駆体3レンズ]をベースカーブ成形型から機械的に離型し、前駆体3レンズをフロントカーブ成形型に付着させたままにした。次いで、フロントカーブ成形型に付着した前駆体3レンズをパレット内に戻し、続いて、選択的漂白工程のため、各レンズ前駆体の中央ゾーンを保護するためにシリコーンカップを適用することによって、パレットをマスクした。
【0247】
【0248】
(実施例1)
フロントカーブ成形型に接着された前駆体1レンズを含むパレットをセットアップし、各レンズ前駆体の中央ゾーンを、軟質シリコーンカップを用いて、酸化剤溶液からマスクした。軟質シリコーンカップの直径は、10mmであった。フロントカーブ成形型に付着したレンズは、10mmより大きい直径を有していた。軟質シリコーンカップのアレイをレンズ上に下げ、酸化剤溶液がレンズの中央部分に到達するのを防止するのにちょうど十分な圧縮が、カップとレンズとの間に存在し、それによってレンズの周辺部のみが酸化剤溶液に曝露されることを可能にした。
【0249】
pH7.2に中和した約1mLの0.5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を各フロントカーブ成形型に添加した。酸化溶液は、5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、9部の脱イオン水で希釈した後、3NのHCl水溶液を用いて、pHを7.2に調整することによって調製した。0.5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に5秒間(実施例1Aレンズ)、30秒間(実施例1Bレンズ)、及び60秒間(実施例1Cレンズ)曝露した後、中央のみ染色のレンズを取り出し、直ちにDIWですすいだ。酸化レンズを、次に70%(v/v)の水性IPA中に(約1時間)浸漬することによって取り出し、70%(v/v)水性IPAで30分間2回抽出し、脱イオン水で30分間水和し、次いで、パッキング溶液で平衡化した。得られたレンズを、バイアル中のパッキング溶液中に保存した。5秒後に、周辺部の顕著な漂白が観察された。
図1に示すように、これらの実施例1A~1Cのレンズの中央未漂白ゾーンで測定されたUV-VISスペクトルは、元の完全に染色された前駆体1のレンズと同一であった。更に、実施例1A~1Cのレンズの球面度数及びレンズ直径は、表2に列挙されるように、周辺部の酸化によって実質的に影響を受けなかった。
【0250】
【0251】
(実施例2)
直径10ミリメートルのカップの代わりに直径7ミリメートルの軟質シリコーンカップを使用して、それによってより広い周辺部を漂白し、0.5重量パーセント次亜塩素酸ナトリウム水溶液への曝露時間を1回のみ使用して、実施例1を本質的に繰り返した。露光時間は60秒であった。
【0252】
フロントカーブ成形型に接着された前駆体2レンズを含むパレットをセットアップし、各レンズ前駆体の中央ゾーンを、軟質シリコーンカップを使用して、酸化剤溶液からマスクした。軟質シリコーンカップの直径は、7mmであった。フロントカーブ成形型に付着したレンズは、10ミリメートルより大きい直径を有していた。軟質シリコーンカップのアレイをレンズ上に下げ、酸化剤溶液がレンズの中央部分に到達するのを防止するのにちょうど十分な圧縮が、カップとレンズとの間に存在し、それによってレンズの周辺部のみが酸化剤溶液に曝露されることを可能にした。
【0253】
pH7.2に中和した約1mLの0.5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を各フロントカーブ成形型に添加した。0.5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に60秒間曝露した後、中央のみ染色のレンズを取り出し、直ちにDIWですすいだ。酸化レンズを、次に70%(v/v)の水性IPA中に(約1時間)浸漬することによって取り出し、70%(v/v)水性IPAで30分間2回抽出し、脱イオン水で30分間水和し、次いで、パッキング溶液で平衡化した。レンズを、バイアル中のパッキング溶液中に保存した。
【0254】
漂白工程の前後に、これらのレンズの様々な物理的特性、機械的特性、及びレンズパラメータを測定したものを、表3に列挙する。実施例2Aレンズを、マイナス1ジオプターの球面度数を有する前駆体2レンズの周辺部を漂白することによって、作製した。実施例2Bレンズを、マイナス12ジオプターの球面度数を有する前駆体2レンズの周辺部を漂白することによって、作製した。周辺部の漂白後に観察された特性及びパラメータの変化はいずれも統計的に有意ではなかった。漂白前後のマイナス12ジオプターのレンズに関するデータは、マイナス1ジオプターのレンズに関するデータよりも、変動が大きかった。実施例2A及び2Bのレンズの周辺部は透明であり、すなわち、染色領域と比較して染色されていないように見えた。前駆体2レンズ(未漂白)並びに実施例2A及び2Bレンズ(周辺を漂白した後の染色された中央ゾーン)のUV-VIS透過スペクトルを、マイナス1ジオプターレンズについては
図2に、マイナス12ジオプターレンズについては
図3に示す。UV-VISスペクトルは、周辺漂白プロセスが、レンズの可視光透過プロファイルに対して、許容可能な小さい影響を及ぼすことを示した。
【0255】
【0256】
(実施例3)
前駆体3レンズ用のフロントカーブ成形型に接着された前駆体3レンズを含有するパレットを、周囲温度で3分間、pH7.2に中和された0.5重量パーセントの次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理した。レンズは、その全体が完全に脱色された。これらの酸化したレンズを、直ちにDIWですすいだ。酸化レンズを、次に70%(v/v)の水性IPA中に(約1時間)浸漬することによって取り出し、70%(v/v)水性IPAで30分間2回抽出し、脱イオン水で30分間水和し、次いで、パッキング溶液で平衡化した。酸化されたレンズ[実施例3レンズ]をバイアル中のパッキング溶液中に保存した。いくつかの前駆体3レンズ及びいくつかの実施例3レンズを、121℃で30分間オートクレーブすることによって滅菌した。
図4に示されるように、前駆体3レンズ及び実施例3レンズの両方のUV-VISスペクトルは、滅菌によって本質的に変化しなかった。更に、前駆体3のレンズを酸化して実施例3のレンズにした場合、滅菌前及び滅菌後の両方で、400nm~600nmの平均透過率が増加した。データを表4に示す。実施例3を、軟質シリコーンカップを使用して前駆体3レンズの中央ゾーンを酸化剤溶液から隔離して行い、周辺のみが酸化されることを可能にした場合、中央ゾーンと周辺との間には、透過率の同様の差が予想される。測定される位置の厚さプロファイルの差によって、何らかの差が引き起こされる可能性が高い。
【0257】
【0258】
前駆体4レンズ
前駆体5レンズ:表1に列挙した反応性構成成分を、3M3Pと混合することによって、反応性構成成分対3M3Pの重量比が77:23(w/w)となるように、反応性モノマー混合物を形成した。この配合物を、ステンレス鋼注射器を使用して3μmフィルタを通して濾過し、使用前に、真空(約40mmHg)を適用することによって脱気した。この反応性モノマー混合物を使用して、前駆体4レンズを、窒素ガス雰囲気(3.0±0.5%未満の酸素ガス)下で、トンネルの上部及び底部から照射を行う2ゾーン硬化トンネルからなるパイロットライン上で調製した。8つの成形型アセンブリを収容するパレットは、それぞれトンネルを下って移動させた。反応性モノマー混合物を、90:10(w/w)のZeonor/TTブレンドから作製されたフロントカーブ成形型にドーズし、続いて、同じポリマーブレンドから作製されたベースカーブ成形型を、ドーズされたフロントカーブの上に配置し、それによって、両者の間にレンズ形状のキャビティを形成することによって、成形型アセンブリを作製した。硬化トンネル内の第1のゾーンは、成形型アセンブリを支持するパレット上で測定したときに約5mW/cm2の強度を有する435nmのLEDランプを使用した。第2のゾーンは、同じランプを使用したが、成形型アセンブリを支持するパレット上で測定したときに、約12mW/cm2の強度であった。温度は、両方のゾーンにおいて65℃で一定に保たれた。パレットは、硬化トンネルの第1のゾーンで6分間、第2のゾーンで3分間照射され、合計硬化時間は9分であった。
【0259】
得られた前駆体4レンズを、ベースカーブ成形型から機械的に取り外し、レンズをフロントカーブ成形型に付着させたままにした。次いで、フロントカーブ成形型に付着した前駆体4レンズをパレット内に戻し、続いて、選択的漂白工程のため、各前駆体4レンズの中央ゾーンを保護するためにシリコーンカップを適用することによって、パレットをマスクした。
【0260】
【0261】
(実施例4)
フロントカーブ成形型に接着されたレンズを含むパレットをセットアップし、各レンズ前駆体の中央ゾーンを、軟質シリコーンカップを使用して、酸化剤溶液からマスクした。軟質シリコーンカップの直径は、10mmであった。フロントカーブ成形型に付着したレンズは、10ミリメートルより大きい直径を有していた。機械的固定具を用いて、軟質シリコーンカップのアレイをレンズ上に下げ、その結果、酸化剤溶液がレンズの中央部分に到達するのを防止するのにちょうど十分な圧縮がカップとレンズとの間に存在し、それによってレンズの周辺部のみが酸化剤溶液に曝露されることを可能にした。
【0262】
二次容器に、pH7.2に中和した0.5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を充填した。酸化溶液は、5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、9部の脱イオン水で希釈した後、3NのHCl水溶液を用いて、pHを7.2に調整することによって調製した。シリコーンカップで保護されたコンタクトレンズを含む機械的固定具を、酸化溶液中に沈めた。0.5重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に180秒間曝露した後、中央のみ染色のレンズ(実施例4レンズ)を取り出し、直ちにDIWですすいだ。実施例4レンズを、次に70%(v/v)の水性IPA中に(約1時間)浸漬することによって取り出し、70%(v/v)水性IPAで30分間2回抽出し、脱イオン水で30分間水和し、次いで、パッキング溶液で平衡化した。得られたレンズを、バイアル中のパッキング溶液中に保存した。
【0263】
漂白工程の前後に、これらのレンズの様々な物理的特性、機械的特性、及びレンズパラメータを測定したものを、表6に列挙する。実施例4レンズを、マイナス1ジオプターの球面度数を有する前駆体4レンズの周辺部を漂白することによって、作製した。周辺部の漂白後、特性及びパラメータに小さな変化があった。
図5に示されるように、中央の未漂白ゾーンにおいて測定された実施例4のレンズ(5つのレンズの平均)のUV-VISスペクトルは、元の完全に染色された前駆体4のレンズ(3つのレンズの平均)のUV-VISスペクトルとわずかに異なるだけであった。
【0264】
【0265】
〔実施の態様〕
(1) 第1の領域と、
第2の領域と、
可視光吸収発色団と、
前記可視光吸収発色団の誘導体と、
を備えるコンタクトレンズであって、
前記第1の領域が前記可視光吸収発色団を含み、前記第2の領域が前記可視光吸収発色団の前記誘導体を含み、
前記第2の領域が、400nm~600nmの波長範囲にわたって、前記第1の領域よりも大きい平均透過率を有する、コンタクトレンズ。
(2) 前記第2の領域の前記平均透過率が、前記第1の領域の平均透過率よりも、少なくとも5パーセント大きい、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(3) 400~600nmの波長範囲にわたる前記可視光吸収発色団の平均透過率が、95パーセント以下である、実施態様1又は2に記載のコンタクトレンズ。
(4) 前記可視光吸収発色団が、酸化可能な官能基を含有する、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(5) 前記誘導体が、前記可視光吸収発色団の酸化誘導体である、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
【0266】
(6) 前記可視光吸収発色団が、スタティック発色団(static chromophore)であるか、又はフォトクロミック発色団である、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(7) 前記第1の領域が、前記コンタクトレンズの中央ゾーンを含み、前記第2の領域が、前記コンタクトレンズの周辺ゾーンを含む、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(8) 前記可視光吸収発色団が、ベンゾトリアゾール、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アゾ、ジフェニルジアジン、アルコキシアニリン、テトラヒドロナフタレン、アントラキノン、アントラセン、ジヒドロアントラセン、セレノキサンテン、チオキサンテン、及びアクリジンから選択される1つ以上の光吸収官能基を含む、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(9) 前記可視光吸収発色団が、クロメン、スピロピラン、オキサジン、水銀ジチゾネート、フルギド、フルギミド、有機金属ジチオゾネート(organo-metal dithiozonate)、及びナフタセンジオンから選択される1つ以上の光吸収官能基を含む、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(10) 前記可視光吸収発色団が、式I:
【化21】
の下部構造を有し、
式中、R
Bが、-C(=O)H又はEWGであり;Xが、NR、S、又はSeであり;Rが、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;EWGが、出現ごとに、独立して、電子求引基である、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
【0267】
(11) 前記可視光吸収発色団の前記誘導体が、式II:
【化22】
の下部構造を有し、
式中、X’が、N
+RO
-、SO、SO
2、SeO、又はSeO
2である、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(12) 実施態様1に記載のコンタクトレンズを製造するための方法であって、前記方法が、
第1の領域及び第2の領域を有し、前記第1の領域及び前記第2の領域に可視光吸収発色団を含有する、レンズ前駆体を提供することと、
前記第2の領域内の前記可視光吸収発色団を選択的に誘導体化して、前記可視光吸収発色団の誘導体を形成することであって、前記誘導体が、400nm~600nmの波長範囲にわたって、前記可視光吸収発色団よりも大きい平均透過率を有する、ことと、
を含む、方法。
(13) 前記レンズ前駆体が、(a)発色団含有モノマーと、(b)前記コンタクトレンズ前駆体を作製するのに適したモノマーと、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記発色団含有モノマーが、式IV:
【化23】
の化合物であり、
式中、
m及びnが、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
R
Cが、EWC又は式-T-Y-P
gの基であり、Tが、結合、O、又はNRであり、Yが、連結基であり、P
gが、重合性基であり;
Xが、NR、S、又はSeであり;
Rが、出現ごとに、独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり;
R
1及びR
2が、存在する場合、出現ごとに独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、又は-Y-P
gであり、R
3及びR
4が、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し;
EWGは、出現ごとに、独立して電子求引基であり、
前記式Iの化合物が、少なくとも1個のP
g基を含有する、実施態様13に記載の方法。
(15) m及びnが、それぞれ独立して、0又は1である、実施態様14に記載の方法。
【0268】
(16) Yが、出現ごとに独立して、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はこれらの組み合わせである、実施態様14又は15に記載の方法。
(17) P
gが、出現ごとに独立して、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、実施態様14に記載の方法。
(18) Xが、S又はNRである、実施態様14に記載の方法。
(19) EWGが、出現ごとに、シアノである、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記発色団含有モノマーが、式III:
【化24】
の化合物であり、
式中:
m及びnが、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
R
Cが、EWC又は式-T-Y-P
gの基であり、Tが、結合、O、又はNRであり、Yが、連結基であり、P
gが、重合性基であり;
Xが、O、NR、S、又はSeであり;
Rが、出現ごとに独立して、H、C
1~C
6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-P
gであり;
R
1及びR
2が、存在する場合、出現ごとに独立して、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6チオアルキル、C
1~C
6セレノアルキル、C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR
3R
4、ベンジル、又は-Y-P
gであり、R
3及びR
4が、独立して、H若しくはC
1~C
6アルキルであるか、又は2つの隣接するR
1若しくはR
2基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル若しくはアリール環を形成し;
EWGが、出現ごとに、独立して、電子求引基であり、
前記式IIIの化合物が、少なくとも1個のP
g基及び少なくとも1個の酸化可能な官能基を含有する、実施態様13に記載の方法。
【0269】
(21) 前記発色団含有モノマーが:
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルアクリレート;
N-(2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
N-(2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチル)アクリルアミド;
2-(2-シアノ-N-メチル-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)-N-(2-(N-ビニルアセトアミド)エチル)アセトアミド;
2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルアクリレート;
N-(2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
N-(2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチル)アクリルアミド;
2-(2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノ-N-メチルアセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(アクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノ-N-(2-(N-ビニルアセトアミド)エチル)アセトアミド;
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)-2-メチルプロピルメタクリレート;
(Z)-2-(2-シアノ-2-(3-ヒドロキシアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(3,6-ジヒドロキシアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-シアノ-2-(2,4-ジクロロ-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-(2-クロロ-9H-チオキサンテン-9-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-シアノ-2-(2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
(E)-2-(2-シアノ-2-(4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)プロパンアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)ブタンアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-メトキシ-3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)プロパンアミド)エチルメタクリレート;
2-(3-アミノ-3-オキソ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)プロパンアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(10,10-ジオキシド-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
N-(2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
2-(2-シアノ-2-(9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトキシ)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
N-(2-(2-シアノ-2-(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチル)メタクリルアミド;
2-(2-(10-ブチル-2-メトキシアクリジン-9(10H)-イリデン)-2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレート;
2-((9-(ジシアノメチレン)-9H-チオキサンテン-2-イル)オキシ)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(3-(プロピルチオ)-9H-チオキサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
2-(2-シアノ-2-(3-(プロピルチオ)-9H-キサンテン-9-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;
3-((9-(1-シアノ-2-((2-(メタクリロイルオキシ)エチル)アミノ)-2-オキソエチリデン)-9H-チオキサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;
3-((9-(1-シアノ-2-((2-(メタクリロイルオキシ)エチル)アミノ)-2-オキソエチリデン)-9H-キサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;
3-((9-(ジシアノメチレン)-9H-チオキサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;
3-((9-(ジシアノメチレン)-9H-キサンテン-3-イル)チオ)プロピルメタクリレート;又は
これらの2種以上の混合物、
を含む、実施態様13に記載の方法。
(22) 前記コンタクトレンズ前駆体を作製するのに適した前記モノマーが、親水性成分、シリコーン含有成分、又はこれらの混合物を含む、実施態様13に記載の方法。
【国際調査報告】