(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20250115BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20250115BHJP
H01L 21/223 20060101ALI20250115BHJP
H01L 21/22 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H01L21/316 P
H01L21/316 A
H01L21/318 A
H01L21/223 Z
H01L21/22 Y
H01L21/22 511Z
H01L21/22 511S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537169
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 KR2022020849
(87)【国際公開番号】W WO2023121228
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182550
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522494798
【氏名又は名称】エイチピエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HPSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】26, Samsung 1-ro 1-gil, Hwaseong-si, Gyeonggi-do, 18449, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ ソンギル
【テーマコード(参考)】
5F058
【Fターム(参考)】
5F058BA09
5F058BC02
5F058BC08
5F058BC11
5F058BF58
5F058BF61
5F058BF65
5F058BH01
(57)【要約】
本発明は、薄膜が形成されたウェハを処理室内に配置する段階と、雰囲気ガスを前記処理室に供給して、前記処理室の圧力を大気圧より高い工程圧力に達するようにする段階と、前記処理室を加熱して、前記処理室の温度を工程温度に達するようにする段階と、炭素を含むソースガスを前記処理室に供給して、前記工程圧力及び前記工程温度で前記ソースガスが前記薄膜と化学反応することにより前記炭素が薄膜内に注入されるようにする段階とを含む、ウェハの薄膜の炭素のドーピング方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜が形成されたウェハを処理室内に配置する段階と、
雰囲気ガスを前記処理室に供給して、前記処理室の圧力を大気圧より高い工程圧力に達するようにする段階と、
前記処理室を加熱して、前記処理室の温度を工程温度に達するようにする段階と、
炭素を含有するソースガスを前記処理室に供給して、前記工程圧力及び前記工程温度で前記ソースガスが前記薄膜と化学反応することによって前記炭素が前記薄膜内に注入されるようにする段階とを含む、ウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項2】
前記薄膜は、
酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、及び窒化酸化シリコン膜のいずれか1つを含む、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項3】
前記工程圧力は、
2ATMより高い圧力である、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項4】
前記工程圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲内で決定された圧力である、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項5】
前記工程温度は、
前記ソースガスの熱分解温度未満の温度である、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項6】
前記工程温度は、
400℃ないし600℃の範囲内で決定された温度である、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項7】
前記ソースガスは、
エチレンガス及びプロピレンガスのいずれか1つを含む、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項8】
前記雰囲気ガスは、
H
2、D
2、N
2、及びArガスのいずれか1つを含む、請求項1に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項9】
薄膜が形成されたウェハを処理室内に配置する段階と、
炭素を含有するソースガスを前記処理室に供給する段階と、
前記ソースガスが分子状態で前記薄膜と化学反応して、前記炭素が前記薄膜に化学的に吸収されるようにする段階と、
工程圧力による加圧力によって前記炭素が前記薄膜内に浸透する段階とを含む、ウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項10】
前記ソースガスが分子状態で前記薄膜と化学反応して、前記炭素が前記薄膜に化学的に吸収されるようにする段階は、
前記処理室の温度を前記ソースガスが熱分解される温度未満に維持する段階を含む、請求項9に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項11】
前記ソースガスが分子状態で前記薄膜と化学反応して、前記炭素が前記薄膜に化学的に吸収されるようにする段階は、
前記処理室の温度を400℃ないし600℃範囲内の温度に維持する段階を含む、請求項9に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項12】
前記工程圧力による加圧力によって前記炭素が前記薄膜内に浸透する段階は、
前記工程圧力を2ATMより高い圧力に維持する段階を含む、請求項9に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【請求項13】
前記工程圧力による加圧力によって前記炭素が前記薄膜内に浸透する段階は、
前記工程圧力を5ATMないし20ATMの範囲内に維持する段階を含む、 請求項9に記載のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製作工程においてウェハの薄膜に対して炭素をドーピングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製作工程は前工程と後工程に大別される。前工程には酸化、蒸着、露光、エッチング、イオン注入、配線などの工程が含まれる。
【0003】
蒸着工程はウェハの表面に希望の物質で非常に薄い層を積む工程である。蒸着の具体的方式は、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、及び原子層堆積法(ALD)がある。化学気相成長法は化学反応により薄膜を形成し、物理気相成長法は物理的な方式を利用して薄膜を形成する。原子層堆積法は原子層を積層する方式を利用して非常に薄い膜を形成する。この方式は、化学気相成長法とともに、優れた段差被覆性(Step Coverage)を示している。
【0004】
蒸着工程では薄膜の特性改善のために炭素が添加されることもある。このために、炭素ガスは真空チャンバに対して薄膜成形のためのガスと同時注入(Co-flow)されて、ウェハと反応する。このような方式の炭素添加は薄膜の他の特性を改善させるが、段差被覆性を不良にする問題がある。このような問題は原子層堆積法を利用しても解決されない。不良な段差被覆性は縦横比(Aspect Ratio)が大きい半導体設計において最大の難点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、ウェハの薄膜に炭素が注入されるようにしながらも、それにより薄膜の段差被覆性が低下しないようにする、ウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を実現するための本発明の一側面によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法は、薄膜が形成されたウェハを処理室内に配置する段階と、雰囲気ガスを前記処理室に供給して、前記処理室の圧力を大気圧より高い工程圧力に達するようにする段階と、前記処理室を加熱して、前記処理室の温度を工程温度に達するようにする段階と、炭素を含有するソースガスを前記処理室に供給して、前記工程圧力及び前記工程温度において前記ソースガスが前記薄膜と化学反応することにより前記炭素が前記薄膜内に注入されるようにする段階とを含んでもよい。
【0007】
ここで、前記薄膜は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜のいずれか1つを含んでもよい。
【0008】
ここで、前記工程圧力は、2ATMより高い圧力であってもよい。
【0009】
ここで、前記工程圧力は、5ATMないし20ATM範囲内で決定された圧力であってもよい。
【0010】
ここで、前記工程温度は、前記ソースガスの熱分解温度未満の温度であってもよい。
【0011】
ここで、前記工程温度は、400℃ないし600℃の範囲内で決定された温度であってもよい。
【0012】
ここで、前記ソースガスは、エチレンガス及びプロピレンガスのいずれか1つを含んでもよい。
【0013】
ここで、前記の雰囲気ガスは、H2、D2、N2、及びArガスのいずれか1つを含んでもよい。
【0014】
本発明の他の一側面によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法は、薄膜が形成されたウェハを処理室内に配置する段階と、炭素を含むソースガスを前記処理室に供給する段階と、前記ソースガスが分子状態で前記薄膜と化学反応して、前記炭素が前記薄膜に化学的吸収されるようにする段階と、工程圧力による加圧力によって前記炭素が前記薄膜内に浸透する段階とを含んでもよい。
【0015】
ここで、前記ソースガスが分子状態で前記薄膜と化学反応して、前記炭素が前記薄膜に化学的に吸収されるようにする段階は、前記処理室の温度を前記ソースガスが熱分解される温度未満に維持する段階を含んでもよい。
【0016】
ここで、前記ソースガスが分子状態で前記薄膜と化学反応して、前記炭素が前記薄膜に化学的吸収されるようにする段階は、前記処理室の温度を400℃ないし600℃範囲内の温度に維持する段階を含んでもよい。
【0017】
ここで、前記工程圧力による加圧力によって前記炭素が前記薄膜内に浸透する段階は、前記工程圧力を2ATMより高い圧力に維持する段階を含んでもよい。
【0018】
ここで、前記工程圧力による加圧力によって前記炭素が前記薄膜内に浸透する段階は、前記工程圧力を5ATMないし20ATMの範囲内に維持する段階を含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
前記のように構成される本発明によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法によれば、薄膜が形成されたウェハが収容された処理室に対して雰囲気ガスで工程圧力を造成し、加熱により工程温度を作った後に炭素を含有するソースガスを供給して工程圧力及び工程温度でソースガスが薄膜と化学反応することによって炭素が薄膜内に注入されるので、炭素注入による薄膜の性質改善が行われながらも、すでに作られたウェハの薄膜に追加的に炭素が注入される方式により薄膜の段差被覆性が不良にならないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法の実行に利用されるウェハ高圧処理装置100に対する概念図である。
【
図2】
図1のウェハ高圧処理装置100の制御的作動を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図3の一部の段階をより具体的に説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図3のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法によりドーピングされた薄膜の炭素濃度に対する比較グラフである。
【
図6】
図3のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法によりドーピングされた薄膜のウェットエッチング深さに対する比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法について添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書においては、異なる実施例であっても同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明に置き換える。
【0022】
図1は、本発明の一実施例によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法の実行に利用されるウェハ高圧処理装置100に対する概念図である。
【0023】
本図に示すように、ウェハ高圧処理装置100は、内部チャンバ110、外部チャンバ120、給気モジュール130、及び排気モジュール140を含む。
【0024】
内部チャンバ110は、半導体ウェハを高圧処理するための処理室115を有する。内部チャンバ110は、工程環境において汚染物(パーティクル)が発生する可能性を減らすために非金属材、例えば、石英で製作されてもよい。図面上簡略化されているが、内部チャンバ110の下端には処理室115を開放するドア(図示せず)が備えられる。前記ドアが下降することにより処理室115が開放され、半導体ウェハはホルダー(図示せず)に装着された状態で処理室115に投入される。内部チャンバ110の外側に配置されるヒーター(図示せず)の作動により、処理室115の温度は数百℃に達することができる。前記ホルダーは、半導体ウェハを複数層に積層できるウェハボート(wafer boat)であってもよい。
【0025】
外部チャンバ120は内部チャンバ110を収容する構成である。外部チャンバ120は、内部チャンバ110とは異なり半導体ウェハに対する汚染問題から自由であるため、金属材で製作されてもよい。外部チャンバ120は内部チャンバ110を収容する収容空間125を有する。外部チャンバ120も下部にはドア(図示せず)を備えるが、前記ドアは内部チャンバ110のドアと共に下降し、収容空間125を開放することができる。
【0026】
給気モジュール130はチャンバ110、120に対してガスを供給する構成である。給気モジュール130は、半導体工場のユーティリティ(ガス供給設備)と連通するガス供給器131を有する。ガス供給器131は、内部チャンバ110、具体的に処理室115に対して炭素を含有するソースガスとして、例えば、エチレン(C2H4)、またはプロピレン(C3H6)ガスを提供することができる。ガス供給器131は、処理室115に対して雰囲気ガスとして、水素、重水素、窒素又はアルゴンガスを提供することもできる。ガス供給器131は、収容空間125に対しては保護ガスとして、例えば、不活性ガスである窒素、又はアルゴンガスを提供することができる。収容空間125に注入された保護ガスは、具体的に、収容空間125のうち内部チャンバ110を除いた領域に充填される。これらのガスは、それぞれ内部ガスライン133または外部ガスライン135を介して処理室115または収容空間125に注入される。
【0027】
前記ソースガス及び前記雰囲気ガス、さらに前記保護ガスは、大気圧より高い圧力として、例えば、数気圧ないし数十気圧に達する高圧を形成するように供給されることができる。また、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスの圧力が第1圧力であり、前記保護ガスの圧力が第2圧力である時、これらは設定された関係で維持されてもよい。例えば、前記第2圧力が前記第1圧力より多少大きく設定されてもよい。そのような圧力差は、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスが処理室115から漏れなくなる利点を提供する。
【0028】
排気モジュール140は、前記ソースガス、前記雰囲気ガス、そして前記保護ガスをチャンバ110、120から排気するための構成である。内部チャンバ110、具体的に処理室115から前記ソースガス及び前記雰囲気ガスを排気するために、内部チャンバ110の上部には排気管141が連結される。排気管141にはガス排出器143が設置される。ガス排出器143は、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスの排気を断続するバルブであってもよい。
【0029】
外部チャンバ120、具体的に収容空間125から前記保護ガスを排出するためにも、外部チャンバ120に連通する排気管145とそれに設置されるガス排出器147が備えられる。これらの排気管141及び145は互いに連通するため、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスは前記保護ガスに希釈された状態で排気される。
【0030】
ウェハ高圧処理装置100の制御的構成は、
図2を参照して説明する。
図2は、
図1のウェハ高圧処理装置100の制御的作動を説明するためのブロック図である。
【0031】
本図(及び
図1)を参照すれば、ウェハ高圧処理装置100は、前述の給気モジュール130などに加えて、ヒーティングモジュール150、感知モジュール160、制御モジュール170、及び格納モジュール180をさらに含んでもよい。
【0032】
ヒーティングモジュール150は、前述の前記ヒーターを含む構成である。前記ヒーターは収容空間125に配置されてもよい。前記ヒーターは、前記雰囲気ガス及び前記ソースガスを加熱して工程温度に達するようにする。
【0033】
感知モジュール160はチャンバ110、120の環境を感知するための構成である。感知モジュール160は圧力ゲージ161と温度ゲージ165を備えてもよい。圧力ゲージ161及び温度ゲージ165は、チャンバ110、120ごとに設置されてもよい。
【0034】
制御モジュール170は給気モジュール130、排気モジュール140などを制御する構成である。制御モジュール170は感知モジュール160の感知結果に基づいて、給気モジュール130などを制御することができる。
【0035】
格納モジュール180は制御モジュール170が制御のために参照するデータ、プログラムなどを格納する構成である。格納モジュール180は、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク(hard disk)、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの格納媒体を含んでもよい。
【0036】
このような構成によれば、制御モジュール170は本発明の一実施例によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法を行うために、給気モジュール130などを制御することができる。
【0037】
具体的に、制御モジュール170は圧力ゲージ161から得たチャンバ110、120の圧力に基づいて、給気モジュール130の作動を制御することができる。給気モジュール130の作動によって、チャンバ110、120には前記雰囲気ガス及び前記ソースガス、そして前記保護ガスが前記第1圧力または前記第2圧力で充填される。
【0038】
制御モジュール170はまた、温度ゲージ165から得たチャンバ110、120の温度に基づいて、ヒーティングモジュール150の作動を制御することができる。ヒーティングモジュール150の作動によって前記ソースガス及び前記雰囲気ガスは前記工程温度に達することができる。
【0039】
以上のウェハ高圧処理装置100を利用してウェハの薄膜に炭素をドーピングする具体的方法は、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0040】
まず、
図3は、本発明の一実施例によるウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法を説明するためのフローチャートである。
【0041】
本図(及び
図1ないし
図2)を参照すれば、処理室115には薄膜が形成されたウェハが配置される(S1)。ウェハはウェハボートに安着された状態で、処理室115に投入される。前記薄膜は酸化シリコン膜(SiO)、窒化シリコン膜(SiN)、または窒化酸化シリコン膜(SiON)などであってもよい。これらの薄膜は、化学気相成長法または原子層堆積法により形成されたものであってもよい。
【0042】
処理室115の圧力が前記工程圧力に達するようにするために、処理室115には雰囲気ガスが供給される(S3)。前記雰囲気ガスは、制御モジュール170の制御下で給気モジュール130を介して処理室115に供給される。前記雰囲気ガスは、前記ソースガスよりも高い流量で供給されてもよい。これとは異なり、要求される炭素注入量に応じては、前記ソースガスがより高い流量で供給されてもよい。
【0043】
処理室115の温度が前記工程温度に達するようにするために、処理室115は加熱される(S3)。これは、制御モジュール170の制御下でヒーティングモジュール150が作動することにより行われる。
【0044】
前記ソースガスは給気モジュール130を介して処理室115に供給される(S5)。前記ソースガスは炭素を含有するガスであり、前述のようにエチレンガスまたはプロピレンガスなどであってもよい。前記ソースガスも前記工程圧力及び前記工程温度を決定する要因になる。また、前記ソースガスは前記雰囲気ガスと共に処理室115に供給されることもできる。
【0045】
前記ソースガスのうち炭素は前記薄膜内に注入される(S7)。このために、前記ソースガスは前記工程圧力及び前記工程温度で前記薄膜と化学反応する。
【0046】
以上で前記薄膜の形成と前記薄膜に対する炭素注入は同時に行われることではない。すなわち、前記薄膜がすでに形成された状態で、その薄膜に対して炭素が注入されることである。このような炭素注入方式は、前記薄膜の既に設定された形状(ボリューム)をほとんど変化させないため、前記薄膜の段差被覆性を損なわない。
【0047】
以上の3段階(S3ないしS7)のより具体的な内容は、
図4をさらに参照して説明する。
図4は、
図3の一部の段階をより具体的に説明するためのフローチャートである。
【0048】
本図(及び
図1ないし
図2)を参照すれば、前記ソースガスは処理室115において分子状態を維持する(S11)。このために、前記工程温度は前記ソースガスの熱分解温度未満に維持される。具体的に、前記エチレンガス、または前記プロピレンガスに対して、前記工程温度は400℃ないし600℃の範囲内で決定することができる。これは、前記薄膜の蒸着工程の温度に比べて相対的に低い温度である。
【0049】
前記ソースガスは分子状態で前記薄膜と化学反応する(S13)。これは前記工程温度により、前記ソースガスが分子状態に維持されるため可能である。
【0050】
前記ソースガスと前記薄膜の化学反応、具体的に化学的吸収(Chemical absorption)により、前記ソースガスのうち炭素は前記薄膜に吸収される(S15)。
【0051】
炭素は加圧力により前記薄膜内に深く浸透する(S17)。前記加圧力は、前記工程圧力による力である。前記加圧力を作るために、前記工程圧力は大気圧より高い圧力になってもよい。
【0052】
前記工程圧力の設定について
図5及び
図6を参照して追加で説明する。
図5は、
図3のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法によりドーピングされた薄膜の炭素濃度に対する比較グラフであり、
図6は、
図3のウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法によりドーピングされた薄膜のウェットエッチング深さに対する比較グラフである。
【0053】
これらのグラフは、二酸化シリコン膜(SiO2)が形成されたウェハに対して炭素ドーピングを行った実験に対する結果である。本実験において前記二酸化シリコン膜の厚さは50nmである。前記ソースガスとしてはエチレン(C2H4)ガスが使われた。前記工程温度は400℃である。前記工程圧力は1Torrないし20ATM範囲内で調節された。ウェットエッチングに使われた溶液は、純水100重量部に対してフッ酸1重量部を混合したものである。ウェットエッチングは100秒間行われた。
【0054】
図5を参照すれば、前記工程圧力が1Torr、1ATM水準である場合は、前記薄膜内の炭素濃度は不足した水準である。炭素濃度が一定濃度に維持される区間も短い。これは炭素ドーピングの効果が大きくないためである。
【0055】
それに対して、前記工程圧力が2ATM以上である場合は、炭素濃度が1ATMに比べて非常に高くなることが確認できる。2ATMにおいて炭素濃度は1e^10をはるかに超えて、有意義な水準に達する。2ATMにおいては1e^10を超える炭素濃度が維持される区間もより長くなる。前記工程圧力が5ATM、10ATMに高くなるほどさらにそうである。特に、前記工程圧力が5ATM以上であれば、酸素濃度が1e^11を超える区間も存在することになる。
【0056】
図6をさらに参照すれば、前記工程圧力が1Torr、1ATM水準である場合、ウェットエッチング厚さは炭素ドーピングがない場合(レファレンス)とあまり変わらない。
【0057】
それに対して、前記工程圧力が2ATM以上である場合は、ウェットエッチングの厚さが有意義に低くなることが確認できる。具体的に、前記工程圧力が2ATMであれば、ウェットエッチング厚さは確実に減少し、リファレンス対比約90%程度になる。
【0058】
前記工程圧力が高くなるほど、ウェットエッチングの厚さはさらに減少する。具体的に、前記工程圧力が5ATMであれば、ウェットエッチング厚さはリファレンス対比60%中後半程度になる。前記工程圧力が10ATM、さらに20ATMであれば、ウェットエッチング厚さはリファレンス対比60%前半程度としてより低くなる。
【0059】
以上の炭素濃度及びウェットエッチング厚さの観点から、前記工程圧力が2ATM以上であることが炭素ドーピングの効果を有意義に高くする。前記工程圧力が5ATM、さらに10または20ATMである場合に、炭素ドーピングの効果はより強力になる。
【0060】
前記のようなウェハの薄膜に対する炭素ドーピング方法は、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部または一部が選択的に組み合わされて多様な変形が行われるように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ウェハの薄膜に対する炭素ドーピング分野に産業上利用可能性がある。
【国際調査報告】