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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】偽型化レンチウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/867 20060101AFI20250115BHJP
   C12N 15/50 20060101ALI20250115BHJP
   C07K 14/165 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20250115BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N15/50
C07K14/165
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N7/01
A61P31/14
A61K35/76
A61P11/00
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537353
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 GB2022053351
(87)【国際公開番号】W WO2023118871
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2118685.3
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519340400
【氏名又は名称】インペリアル・カレッジ・イノベーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL COLLEGE INNOVATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ハイド
(72)【発明者】
【氏名】キャムラン・ミア
(72)【発明者】
【氏名】デボラ・ギル
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ダイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA44
4C084MA52
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZB331
4C084ZB332
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA13
4C087MA17
4C087MA44
4C087MA52
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZB33
4H045AA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本発明は、偽型化レンチウイルスベクター、特に、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターのほか、関連の構築物、方法、および治療適応に関する。
【選択図】図4-1、図4-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化され、プロモーターに作動可能に連結されたトランス遺伝子を含み;前記スパイクタンパク質は、
a)配列番号1の498、499、および614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;ならびに
b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失
を含む、レンチウイルスベクター。
【請求項2】
改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化され、プロモーターに作動可能に連結されたトランス遺伝子を含み;前記スパイクタンパク質は、
a)配列番号1の614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;
b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失;ならびに
c)(i)配列番号1の498および499位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;ならびに/または(ii)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異
を含む、レンチウイルスベクター。
【請求項3】
スパイクタンパク質の細胞質テールは、配列番号1のアミノ酸残基1235~1273に対応するか、もしくはこれとアライメントする、請求項1または2に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項4】
スパイクタンパク質の細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、
a)細胞質テールのうちの、少なくとも10のアミノ酸、好ましくは、少なくとも15のアミノ酸の欠失;および/または
b)配列番号1の1255~1273位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸残基の欠失
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項5】
配列番号1の498、499、および614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における、スパイクタンパク質の突然変異のうちの1つまたはそれ以上は、アミノ酸置換であり、好ましくは、突然変異の全ては、アミノ酸置換である、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項6】
アミノ酸置換は、非保存的アミノ酸置換である、請求項5に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項7】
a)配列番号1の498位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、チロシンにより置換され;
b)配列番号1の499位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、トレオニンにより置換され;かつ/または
c)配列番号1の614位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項8】
突然変異は、Q498Y、P499T、および/またはD614Gである、請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項9】
改変スパイクタンパク質は、ヒトアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)の酵素ドメインに結合することが可能である、請求項1~8のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項10】
改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、Wuhan-Hu-1株、B.1.1.7株、B.1.351株、P.1株、B.1.617.2株、B.1.427、C.37、B.1.429、またはAustralia/VIC01/2020(Aus/VIC01)株から選択されるSARS-CoV-2株に由来する、請求項1~9のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項11】
改変スパイクタンパク質は、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体、好ましくは、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体であるMM43またはR001により検出されない、請求項1~10のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項12】
改変スパイクタンパク質は、配列番号13と、少なくとも90配列同一性%を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項13】
改変スパイクタンパク質は、1つまたはそれ以上のさらなる突然変異をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項14】
配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を含むか、または前記1つもしくはそれ以上のさらなる突然変異は、配列番号1の501位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を含み、場合により、
a)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異は、アミノ酸置換、好ましくは、非保存的アミノ酸置換、なおより好ましくは、チロシンによる置換であり;かつ/または
b)1つもしくはそれ以上のさらなる突然変異は、N501Yを含む、
請求項1~13のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項15】
改変スパイクタンパク質は、配列番号20と、少なくとも90配列同一性%を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項16】
前記スパイクタンパク質は、
a)配列番号1の80、215、417、484、501、614、および701位のうちの1つまたはそれ以上に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異であって、好ましくは、これらの残基全ては、突然変異された突然変異;および
b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失
を含む、
請求項2~15のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項17】
a)前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、B.1.351株のスパイクタンパク質に由来し;
b)(i)配列番号1の80位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、アラニンにより置換され;(ii)配列番号1の215位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換され;(iii)配列番号1の417位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、アスパラギンにより置換され;(iv)配列番号1の484位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、リシンにより置換され;(v)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、チロシンにより置換され;(vi)配列番号1の614位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換され、かつ/もしくは(vii)配列番号1の701位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、バリンにより置換され;好ましくは、これらの残基全ては、置換され;かつ/または
c)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、配列番号1の1255~1273位に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基の欠失を含むか、もしくはこれらからなる、請求項16に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項18】
サル免疫不全ウイルス(SIV)ベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ベクター、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクター、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、およびビスナ/マエディウイルスベクターからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項19】
in vivoにおける齧歯動物細胞、好ましくは、in vivoにおけるマウス細胞へと形質導入することが可能である、請求項1~18のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか1項に記載の改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質。
【請求項21】
請求項20に記載の改変スパイクタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子。
【請求項22】
プロモーターに作動可能に連結された、請求項21に記載のポリヌクレオチドを含む発現構築物。
【請求項23】
請求項1~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター、請求項20に記載の改変スパイクタンパク質、請求項21に記載のポリヌクレオチド、または請求項22に記載の発現構築物を含む宿主細胞。
【請求項24】
請求項20に記載の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、ウイルス様粒子(VLP)。
【請求項25】
好ましくは、治療は、遺伝子治療である、治療における使用のための、請求項1~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター、請求項20に記載の改変スパイクタンパク質、請求項21に記載のポリヌクレオチド、請求項22に記載の発現構築物、または請求項24に記載のVLP。
【請求項26】
請求項1~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター、請求項20に記載の改変スパイクタンパク質、請求項21に記載のポリヌクレオチド、請求項22に記載の発現構築物、または請求項24に記載のVLPの、in vitroにおける使用。
【請求項27】
請求項1~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターを作製する方法であって、
a)(i)請求項20に記載の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列;および(ii)レンチウイルスパッケージング構成要素、レンチウイルスエンベロープ構成要素、およびレンチウイルスゲノムをコードする、1つまたはそれ以上の核酸配列を、ウイルスベクター産生細胞へと導入する工程;ならびに
b)レンチウイルスベクターの産生に適する条件下で、産生細胞を培養する工程
を含む方法。
【請求項28】
a)前記レンチウイルスベクターを採取する工程をさらに含み;
b)改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列は、請求項21に記載のポリヌクレオチド分子内、または請求項22に記載の発現構築物内に含まれ;
c)レンチウイルスパッケージング構成要素、レンチウイルスエンベロープ構成要素、およびレンチウイルスゲノムをコードする、1つまたはそれ以上の核酸配列は、(i)改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列と同じ、ポリヌクレオチド分子もしくは発現構築物内、もしくは(ii)1つもしくはそれ以上の個別のポリヌクレオチド分子または発現構築物内に含まれ;かつ/または
d)SARS-CoV-2核タンパク質は、産生細胞の培養時に共発現され、好ましくは、SARS-CoV-2核タンパク質は、Wuhan-Hu-1株もしくはB.1.1.529株に由来する、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽型化レンチウイルスベクター、特に、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターのほか、関連の構築物、方法、および治療適応に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)により引き起こされ、進行中の公衆衛生問題であり続けている。これは主に、全世界にわたるCOVID-19感染患者において生じる、SARS-CoV-2のゲノム内における、新規の突然変異の、持続的な同定および出現に起因する。SARS-CoV-2配列についての、全世界的な、ゲノム規模における、持続的な監視の取組みは、数千に及ぶ突然変異を解明し、これらのうちの多くは、それらの出現の早期において、VOI(variant of interest)を予測するように、さらに検討される。全世界的に発見され(例えば、英国(B.1.1.7、アルファ)、南アフリカ(B.1.351、ベータ);B.1.1.529、(オミクロン)、ブラジル(P.1、ガンマ)、およびインド(B.1.617.2、デルタ)に由来するSARS-CoV-2系統)、ますまず数を増加させつつある、独立のVUI(variant under investigation)またはVOC(variant of concern)は、特に重要であり;VOCは、それらの伝搬傾向の増大、および/または疾患の重症度、処置への耐性、元来、様々な程度で、抗SARS-CoV-2 Spike(S)糖タンパク質ワクチンへの取組みにより誘発されたnAbを含む中和抗体(nAb)からの逃避について、VOCとして規定される。
【0003】
VOCの出現と共に、これらの新たな変異株についての、とりわけ、既存のnAb、ワクチン戦略、および治療法に対する交差検討(cross-examination)の持続に対する必要が増大している。しかし、真正SARS-CoV-2(危険性群3の病原体)の操作は、高度のBSL(biosafety level)3封じ込め施設(そのアクセスおよび利用可能性が限定される)を要求する。したがって、関連の調査研究を支援するために、安全であり、改善されており、容易にアクセス可能であるSARS-CoV-2同等資源が、前例のない程度で必要とされ続けている。この必要を満たす一助となるために、偽ウイルス粒子(PSV)を作出するための、偽型化ウイルスベクターが、感染性/病原性ウイルスをモデル化するのに、広く採用されている。一般に、ウイルス感染のための、最小限、かつ、不可欠の構成要素であり、標的細胞へのウイルスの侵入に寄与するウイルスエンベロープ糖タンパク質(複数可)は、死滅ウイルスベクターの膜上で発現される。これらのウイルス模倣体は、操作が比較的安全であり、生/真正病原体を操作するのに要求される高BSL施設に対する必要を廃する。ヒトアンジオテンシン転換酵素2(hACE2)に結合することにより、標的細胞への、ウイルスの付着を媒介し、ヒトセリンプロテアーゼ(hTMPRSS2)を利用して、ウイルスと、標的との間の膜融合をプライミングする、SARS-CoV-2膜のS糖タンパク質は、有用なSARS-CoV-2 PSVを作出するように目的を変えてたやすく再利用されている。これらの場合、SARS-CoV-2 Sタンパク質は、おそらく、ウイルスベクターの後天性エンベロープ内の、機能的三量体としてアセンブルされる。この機能の、鍵となる利点は、結果として得られるPSVが、その親である病原性SARS-CoV-2と同様の標的細胞侵入機構を採用することである。現在のSARS-CoV-2/COVID-19パンデミックにおける、それらの活用は、ワクチン開発および治療法における取組みを前進させ、加速化させる一助となっている。しかし、十分に確立されたSARS-CoV-2 S PSVは、多数の問題および欠点と関連し、それらの有用性を制限している。
【0004】
特に、現行のSARS-CoV-2 PSVは、偽型化γ-レトロウイルス、ラブドウイルス、または第1/第2世代のrHIV1 LVに基づく。これらのプラットフォームは、稼働するために、なおも、高BSL2状況へと制限されている。偽型化γ-レトロウイルスは、それらの非分裂細胞への形質導入能の限定を、さらに課題としており、これは、SARS-CoV-2関連の調査研究におけるものを含め、PSV資源としてのそれらの有用性を制限する。現行のSARS-CoV-2 PSVレパートリーにもかかわらず、依然として、持続的に勃興/蔓延し続ける、SARS-CoV-2変異株について、ロバストに交差検討するための、高力価であり、アクセス可能であり、操作が容易である、SARS-CoV-2 PSV資源が、全世界的に要求されつつある。Wuhan Hu-1株またはG614株による既往の感染、および様々な程度における、第1世代ワクチンへの取組みに由来する、十分に確立された免疫を回避する、それらの能力を踏まえると、これは、とりわけ、公衆衛生に対して、さらなるレベルの脅威をもたらすVOCについて当てはまる。さらに、第1世代ワクチンのデザインは、もはや、流行する、主要であり、パンデミック規定的なSARS-CoV-2株ではない、Wuhan Hu-1分離株の、SARS-CoV-2 S糖タンパク質に基づく。このデザインの構成は、所与のSARS-CoV-2ワクチン戦略が、最新/新規の新興VOCに対して、どの程度効果的であるのかについての懸念を引き起こしてやまない。したがって、より制御され、標準化された調査研究条件下で、SARS-CoV-2変異株および代表的PSVについて交差検討する、持続的であり、かつ、切迫した必要が存在する。転じて、これは、SARS-CoV-2に関連するnAb、ワクチンの効能および治療法のロバスト性および品質についての検討の標準化を可能とする。
【0005】
加えて、良好な動物モデルおよびin vitroモデルは、予防法、治療法、およびワクチン戦略についての、調査研究および開発の一助となるであろう。現在、真正SARS-CoV-2、および非マウス馴化SARS-CoV-2の感染について利用可能なマウスモデルは、重要な主要例として述べると、hACE2トランスジェニック動物、またはCRISPR/Cas9媒介ノックイン動物の供給と関連する、著明な費用および動物の浪費により、操作が困難である。例えば、複製不能アデノウイルス(AdV)、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはLVベクターを介して、hACE2を、マウスの肺および気道へと、トランスにおいて導入することによる、ヒト化の簡略化、およびマウスモデルの、SARS-CoV-2に対する感作工程であってもなお、選択された遺伝子導入ベクターの指向性によって決まる、マウスの肺内における、hACE2の、生理学的に妥当な生体分布を結果としてもたらす。加えて、動物モデルに、複数のベクター(おそらく、少なくとも2つ異なるウイルスベース物質(i.hACE2のヒト化を達成する遺伝子導入のための、選ばれたベクター、およびii.抗原投与用のPSVまたは真正SARS-CoV-2)が必要である)により抗原投与することの複雑さは、mACE2共許容性SARS-CoV-2により緩和される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの問題のうちの1つまたはそれ以上を克服しようと努める。特に、(i)現行のSARS-CoV-2 PSVと関連せず、(ii)齧歯動物馴化型、特に、マウス馴化型であり、このため、常套的なSARS-CoV-2マウスモデルと関連する問題に遭遇せずに、齧歯動物/マウス細胞へと形質導入することが可能である、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、機能および機能力価が改善された、マウス馴化S-LVベクターを作製し、これにより、SARS-CoV-2のモデル化、前臨床モデル(in vitroモデルおよび動物モデル)に関して、利点をもたらす。本発明のS-LVはまた、hACE2を介して細胞へと形質導入する能力も保持し、このため、潜在的に、前臨床適用と、臨床適用とのギャップに橋渡しする。本明細書で示される例として、より詳細に述べると、本発明者らは、第3世代の自己不活化(SIN)HIV1レンチウイルスベクターを偽型化し、臨床的に妥当である、複数のSARS-CoV-2変異株(Wuhan Hu-1、G614、Australia/VIC01/2020(Aus/VIC01)、B.1.1.7、B.1.351を含む)に由来し、修飾(すなわち、C末端テールを、19アミノ酸だけ切断する修飾)を伴うS糖タンパク質により、これらを偽型化して、「S-LV」を作製した。驚くべきことに、本発明のS-LVは、高力価で作製され、これは、下流における適用、SARS-CoV-2変異株の使用範囲の拡大を可能とする。特に、本明細書で示される例として述べると、S-LVの目覚ましい機能力価は、懸濁293T/17への、eGFPまたはFLucレポーターをコードするHIV1 LVゲノム、HIV1 Gag-Pol、HIV1 Revプラスミド、および目的のS糖タンパク質をコードするプラスミド(複数可)の、一過性トランスフェクションの後に達成された。S-LVは、in vivoにおける適用を含む、下流における使用を拡大するために、さらに濃縮および精製することができる。
【0008】
したがって、本発明者らは、目的のSAR-CoV-2S糖タンパク質のライブラリーまたは臨床的妥当性をモデル化するのに使用され、全てを、標準的な実験用封じ込め条件下として、臨床的に妥当であるVOCの感染性をモデル化し、これについて評価し、これを予測するか、またはCOVID-19から回復した患者に由来する中和抗体もしくは回復期血漿の中和傾向について調べるための手段をもたらすことにより、SARS-CoV-2関連の調査研究を支援するのに使用される、S-LVプラットフォームを提供する。その広範な有用性を踏まえると、このS-LVプラットフォームは、in vitroおよびin vivoにおいて、それらの感染プロファイルについて評価する一助となる、新興/新規のVUIまたはVOCを、迅速にモデル化し、これにより、全世界的衛生に対する、それらの潜在的影響をあらかじめ決定することに寄与する計量をもたらし、天然におけるそれらの潜在的出現の前に、予測される変異株をスクリーニングし、進行中のCOVID-19/SARS-CoV-2パンデミックに直面した場合に、迅速かつ戦略的な応答を容易とするのに、潜在的に利用される。
【0009】
意義深いことに、本発明者らは、初めて、マウス気道のトランスにおけるhACE2の発現を必要とせずに、BALB/cマウスのin vivoにおける、強力な遺伝子導入を達成する、マウス(m)ACE2馴化(ma)S-LVを提供した。例示されるmaS-LVは、SARS-CoV-2 Sタンパク質内に、突然変異である、Q498Y、P499T、およびΔ19を含み、場合により、N501Yもまた含む、多数の突然変異を含む。
【0010】
本明細書で例示される通り、本発明者らは、まず、in vivoにおいて、SARS-CoV-2感染をモデル化する、迅速、かつ、直接的な手段として、hACE2発現に依存せずに、強力な遺伝子導入能を裏付けるように、BALB/cマウスに鼻腔内投与することにより、in vivoにおいて、S-LVを適用することの実証を提示した。全てをまとめると、このS-LVプラットフォームは、真正SARS-CoV-2、特に、SARS-CoV-2 S糖タンパク質のレベルでモデル化された代表的変異株を、正確に表す。このS-LVプラットフォームは、本研究において表される、広範なSARS-CoV-2変異株におけるロバスト性、および高度のBSL要件により制約されないような柔軟性を示す。したがって、S-LVプラットフォームは、使用が容易であり、アクセスが容易であり、進行中のCOVID-19/SARS-CoV-2パンデミックに対抗する、関連の調査研究のための、安全なSARS-CoV-2 PSV資源として機能する。
【0011】
したがって、本発明は、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化され、プロモーターに作動可能に連結されたトランス遺伝子を含み;前記スパイクタンパク質は、(a)配列番号1の498、499、および614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;ならびに(b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失を含む、レンチウイルスベクターを提供する。
【0012】
本発明はまた、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化され、プロモーターに作動可能に連結されたトランス遺伝子を含み;前記スパイクタンパク質は、(a)配列番号1の614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;(b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失;ならびに(c)(i)配列番号1の498および499位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;ならびに/または(ii)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を含む、レンチウイルスベクターも提供する。
【0013】
スパイクタンパク質の細胞質テールは、配列番号1のアミノ酸残基1235~1273に対応するか、またはこれとアライメントしうる。スパイクタンパク質の細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、(a)細胞質テールのうちの、少なくとも10のアミノ酸、好ましくは、少なくとも15のアミノ酸の欠失;および/または(b)配列番号1の1255~1273位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸残基の欠失を含みうる。
【0014】
配列番号1の498、499、および614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における、スパイクタンパク質の突然変異のうちの1つまたはそれ以上は、アミノ酸置換の場合があり、好ましくは、突然変異の全ては、アミノ酸置換である。アミノ酸置換は、非保存的アミノ酸置換でありうる。(a)配列番号1の498位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、チロシンにより置換されている場合があり;(b)配列番号1の499位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、トレオニンにより置換されている場合があり;かつ/または(c)配列番号1の614位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換されている場合がある。突然変異は、Q498Y、P499T、およびD614Gでありうる。
【0015】
改変スパイクタンパク質は、ヒトアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)の酵素ドメインに結合することが可能でありうる。
【0016】
改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、Wuhan-Hu-1株、B.1.1.7株、B.1.351株、P.1株、B.1.617.2株、B.1.427、B.1.1.529、C.37、B.1.429、またはAustralia/VIC01/2020(Aus/VIC01)株から選択されるSARS-CoV-2株に由来しうる。
【0017】
改変スパイクタンパク質は、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体、好ましくは、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体であるMM43またはR001により検出されない場合がある。
【0018】
改変スパイクタンパク質は、配列番号13と、少なくとも90配列同一性%を有するアミノ酸配列を含みうる。改変スパイクタンパク質は、場合により、配列番号1の501位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を含む、1つまたはそれ以上のさらなる突然変異をさらに含みうる。
【0019】
配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異、または配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を含む、1つもしくはそれ以上のさらなる突然変異は、場合により、(a)アミノ酸置換、好ましくは、非保存的アミノ酸置換、なおより好ましくは、チロシンによる置換の場合もあり;かつ/または(b)N501Yを含む場合もある。
【0020】
改変スパイクタンパク質は、配列番号20と、少なくとも90配列同一性%を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0021】
改変スパイクタンパク質は、(a)配列番号1の80、215、417、484、501、614、および701位のうちの1つまたはそれ以上に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異であって、好ましくは、これらの残基全ては、突然変異された突然変異;および(b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失を含みうる。場合により、(a)前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、B.1.351株のスパイクタンパク質に由来する場合があり;(b)(i)配列番号1の80位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、アラニンにより置換され;(ii)配列番号1の215位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換され;(iii)配列番号1の417位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、アスパラギンにより置換され;(iv)配列番号1の484位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、リシンにより置換され;(v)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、チロシンにより置換され;(vi)配列番号1の614位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換され、かつ/もしくは(vii)配列番号1の701位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、バリンにより置換され;この場合、好ましくは、これらの残基全ては、置換されており;かつ/または(c)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、配列番号1の1255~1273位に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基の欠失を含むか、もしくはこれらからなる。
【0022】
本発明のレンチウイルスベクターは、サル免疫不全ウイルス(SIV)ベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ベクター、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクター、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、およびビスナ/マエディウイルスベクターからなる群から選択されるか、またはこれに由来しうる。
【0023】
本発明のレンチウイルスベクターは、in vivoにおける齧歯動物細胞、好ましくは、in vivoにおけるマウス細胞へと形質導入することが可能でありうる。
【0024】
本発明はまた、本発明の改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質も提供する。
【0025】
本発明は、本発明の改変スパイクタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子もさらに提供する。本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含む発現構築物も提供し、この場合、場合により、前記ポリヌクレオチドは、プロモーターに作動可能に連結されている。
【0026】
本発明はまた、本発明のレンチウイルスベクター、本発明の改変スパイクタンパク質、本発明のポリヌクレオチド、または本発明の発現構築物を含む宿主細胞も提供する。
【0027】
本発明は、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、ウイルス様粒子(VLP)もさらに提供する。
【0028】
本発明はまた、治療における使用のための、本発明のレンチウイルスベクター、本発明の改変スパイクタンパク質、本発明のポリヌクレオチド、本発明の発現構築物、または本発明のVLPも提供するが、この場合、好ましくは、治療は、遺伝子治療である。
【0029】
本発明は、本発明のレンチウイルスベクター、本発明の改変スパイクタンパク質、本発明のポリヌクレオチド、本発明の発現構築物、または本発明のVLPの、in vitroにおける使用もさらに提供する。
【0030】
本発明はまた、本発明のレンチウイルスベクターを作製する方法であって、(a)(i)本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列;および(ii)レンチウイルスパッケージング構成要素、レンチウイルスエンベロープ構成要素、およびレンチウイルスゲノムをコードする、1つまたはそれ以上の核酸配列を、ウイルスベクター産生細胞へと導入する工程;ならびに(b)レンチウイルスベクターの産生に適する条件下で、産生細胞を培養する工程を含む方法も提供する。前記方法は、前記レンチウイルスベクターを採取する工程をさらに含みうる。改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列は、本発明のポリヌクレオチド分子内、または本発明の発現構築物内に含まれる。レンチウイルスパッケージング構成要素、レンチウイルスエンベロープ構成要素、およびレンチウイルスゲノムをコードする、1つまたはそれ以上の核酸配列は、(i)改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列と同じ、ポリヌクレオチド分子もしくは発現構築物内、または(ii)1つもしくはそれ以上の個別のポリヌクレオチド分子または発現構築物内に含まれる。SARS-CoV-2核タンパク質は、産生細胞の培養時に共発現される場合があり、この場合、好ましくは、SARS-CoV-2核タンパク質は、Wuhan-Hu-1株もしくはB.1.1.529株に由来する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1-1】A:全長C末端切断型SARS-CoV-2 Sタンパク質、および19アミノ酸を欠失させたC末端切断型SARS-CoV-2 Sタンパク質についての代表的概略(それぞれ、上パネルおよび下パネル)、ならびにアノテーションドメインを示す図である。白三角は、S1/S2フーリン切断部位を指し、黒三角は、S2切断部位を指す。タンパク質およびアノテーションドメインは、縮尺通りではない。aa:アミノ酸(複数可);CT:細胞質テール;FL:全長;FP:融合ペプチド;HR1およびHR2:それぞれ、ヘプタッドリピート1およびヘプタッドリピート2;NTD:N末端ドメイン;RBD:受容体結合性ドメイン;SS:シグナル配列;TM:膜貫通ドメイン;Δ:欠失である。B:代表的なSARS-CoV-2 S偽型プラスミドの構成、およびそれらの関連するS-LV変化形(v01-05)である。C:pGM998(maS498Y,P499T,N501Y+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。D:pGM1000(S1.1.7+1.351 chimera+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。E:pGM1027(SB.1.617.2+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。F:pGM1028(SC.37+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。G:pGM1038(SB.1.617.2,Y501+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。H:pGM1039(SC.37,Y501+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。I:pGM1040(SB.1.617.2,Y498,T499,Y501+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。J:pGM1041(SC.37,Y498,T499,Y501+Δ19aa)についてのプラスミドマップである。概略図は、CMVIEエンハンサーおよびニワトリβ-アクチンプロモーターの制御下で、SARS-CoV-2(co)Sタンパク質を発現させるように作出された、偽型プラスミドの構成を描示する。SARS-CoV-2 S変異体を規定する突然変異の特異的セットは、アミノ酸変化を強調してアノテーションされる:青色でアノテーションされた突然変異は、N末端ドメイン(NTD)内の突然変異を指し;赤色でアノテーションされた突然変異は、受容体結合性ドメイン(RBD)内の突然変異を指し;黒色でアノテーションされた突然変異は、前述のドメイン(すなわち、残りのS1ドメインおよびS2ドメイン)外の突然変異を指す。CBA/RBGイントロン:ニワトリβ-アクチンおよびウサギβ-グロビンキメライントロン;co:コドン最適化;CMVIEエンハンサー:サイトメガロウイルス即初期エンハンサー;UTR:非翻訳領域である。
図1-2】図1-1の続き。
図1-3】図1-2の続き。
図1-4】図1-3の続き。
図1-5】図1-4の続き。
図1-6】図1-5の続き。
図1-7】図1-6の続き。
図1-8】図1-7の続き。
図1-9】図1-8の続き。
図1-10】図1-9の続き。
図1-11】図1-10の続き。
図2-1】rHIV1レンチウイルスベクターを偽型化するのに使用された、Wuhan Hu-1と、SARS-CoV-2 S変異体との間における、cDNA配列についての、複数の配列アライメントを示す図である。下線を付された配列は、AgeI制限酵素部位の、B.1.1.7+Δ19aa cDNA配列へのサイレント導入を指し、タンパク質配列のコードに対して、影響を及ぼさない。
図2-2】図2-1の続き。
図2-3】図2-2の続き。
図2-4】図2-3の続き。
図2-5】図2-4の続き。
図2-6】図2-5の続き。
図2-7】図2-6の続き。
図2-8】図2-7の続き。
図2-9】図2-8の続き。
図2-10】図2-9の続き。
図2-11】図2-10の続き。
図2-12】図2-11の続き。
図2-13】図2-12の続き。
図3-1】rHIV1レンチウイルスベクターを偽型化するのに使用された、Wuhan Hu-1と、SARS-CoV-2 S変異体との間における、SARS-CoV-2 Sタンパク質配列についての、複数の配列アライメントを示す図である。強調され、下線を付されたアミノ酸残基または欠失は、それぞれのSARS-CoV-2 S変異体および/または+Δ19aa誘導体を作出するための、Wuhan Hu-1参照配列と比較した、突然変異/変化を指し示す。
図3-2】図3-1の続き。
図3-3】図3-2の続き。
図3-4】図3-3の続き。
図3-5】図3-4の続き。
図4-1】(co)hACE2およびhTMPRSS2の共発現が、293T/17細胞の、S-LVに対する許容性を有意に改善し、S-LVによる形質導入をレスキューすることを示す図である。SARS-CoV-2(co)S、VSVg、またはbald LVにより偽型化された、表示のLV.eGFPを、記載される通りに(材料および方法を参照されたい)、293T/17 SF細胞の、一過性共トランスフェクションにより作製し、トランスフェクションの72時間後に、粗LVを回収した。希釈率を一定とする、(A)rHIV1.VSVg(n=4)、ならびに原型的SARS-CoV-2で偽型化されたS-LVである、(B)SWuhan Hu-1±Δ19aa(n=4)、(C)SG614±Δ19aa(n=4)、および(D)SAus/VIC01±Δ19aa(n=4)により、hTMPRSS2を伴うか、またはこれを伴わずに(co)hACE2を発現する親293T/17細胞系へと形質導入した。感染の約72時間後、細胞を、EGFPレポーターによる、形質導入効率についてのフローサイトメトリー解析にかけた。形質導入効率を反映する、個々のデータ点を、表示の群の平均値±SDと共に提示する(*****、および****は、それぞれ、P<0.05、<0.01、<0.001、および<0.0001を表す)。親細胞系および操作細胞系の、rHIV1.bald物質と一緒の接種を使用して、フローサイトメトリーにより、EGFP陽性細胞集団についての平均ベースライン蛍光、および低値側のゲーティング閾値を決定し、各グラフを、点線として提示する。
図4-2】図4-1の続き。
図5-1】S-LVプラットフォームが、SARS-CoV-2のVOCまたはVOIをモデル化し、in vitroにおいて、それらの固有の機能を再現しうることを示す図である。表示のS-LVおよびmaS-LV、ならびにrHIV1.baldを、293T/17 SF細胞の、一過性共トランスフェクションにより作製し、トランスフェクションの72時間後に、粗LVを回収した。(A)(co)SB.1.1.7+Δ19aaまたは(co)SB.1.351+Δ19aaで偽型化されたS-LV、およびmaSWuhan Hu-1,Y498,T499+Δ19aaまたはmaSY498,T499,G614+Δ19aa(各々、n=4ずつ)で偽型化されたmaS-LVの希釈率を一定とする、hTMPRSS2を伴うか、またはこれを伴わずに(co)hACE2を発現する親293T/17細胞系である。形質導入効率を反映する、個々のデータ点を、表示の群の平均値±SDと共に提示する(*****、および****は、それぞれ、P<0.05、<0.01、<0.001、および<0.0001を表す)。他方、mACE2細胞侵入受容体を使用して、N501YまたはQ498Y、およびP499Tを含有するSARS-CoV-2(co)Sに対する許容性を裏付けるように、(A)で記載された、選択されたS-LVおよびmaS-LVをまた、(B)hTMPRSS2を伴うか、またはこれを伴わずに(co)mACE2を発現する細胞系へも形質導入した。データは、平均値±SDとして提示する。親細胞系および操作細胞系の、rHIV1.bald物質と一緒の接種を使用して、フローサイトメトリーにより、eGFP陽性細胞集団についての平均ベースライン蛍光、および低値側のゲーティング閾値を決定し、点線として提示する。(C)翌日、親293T/17細胞を、70%のコンフルエンシーとなるように、24ウェルプレートへと播種した。次いで、細胞に、pCMV+eGFPレポータープラスミド200ng、および表示のSARS-CoV-2(co)SまたはmaS偽型プラスミド、またはモック対照としてのpCAG eGFP 100ngを、FuGene 6トランスフェクション試薬との比を1:2として共トランスフェクトした。細胞を培養し、表示の時点において、eGFP蛍光について視覚化した。白色矢印により強調された細胞は、合胞体を呈する細胞を指し示す。スケールバー=500μmである。
図5-2】図5-1の続き。
図6】SARS-CoV-2(co)S細胞質テールのうちの、19アミノ酸の欠失、およびD614Gの付加が、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する、許容性293T/17細胞におけるS-LV力価をレスキューすることを示す図である。偽型である、(A)(co)SWuhan Hu-1±Δ19aa、(B)(co)SG614±Δ19aa、(C)(co)SAus/VIC01±Δ19aaに基づくS-LVを作製した。トランスフェクションの72~144時間後の間において、24時間間隔で採取し、次いで、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞に対して滴定した。力価は、形質導入細胞に対するFCS解析の後で決定した。推定小胞体保持シグナルを包含する、細胞質テールのうちの、19アミノ酸の欠失を保有するS-LVは、実質的な改善を示し、それらの全長対応物と比較して、機能力価をレスキューし、IU/mL単位のピーク力価は、トランスフェクションの72時間後に採取された物質について計算された。さらなる偽型である、(D)(co)SB.1.1.7+Δ19aa、および(co)SB.1.1351+Δ19aa、ならびに(E)maSY498,T499±G614+Δ19aaもまた、FCS解析を使用する、目覚ましい力価を伴って、パッケージングの成功、および同様の産出動態を示す。
図7】N501Y含有/マウスACE2馴化S-LVが、(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞に対して許容性であり、これらに対して滴定されることを示す図である。(A)G614、N501Y、またはY498、T499を含有するSARS-CoV-2(co)Sタンパク質で偽型化されたLVにより、(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞へと形質導入した。蛍光顕微鏡法を使用して、N501Y、またはY498、T499を含有するSARS-CoV-2(co)Sで偽型化されたLVは、G614含有S-LVについての許容性の低減/消失への接近と比較して、(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞に対する目覚ましい許容性を示した。(B)SB.1.1.7+Δ19aa、SB.1.1351+Δ19aa、およびmaSY498,T499+Δ19aa-LVを作製し、トランスフェクションの72~144時間後の間において、24時間間隔で採取し、次いで、(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞に対して滴定した。力価は、形質導入細胞に対するFCS解析の後で決定した。
図8】Y498およびT499を介するマウスACE2馴化が、SARS-CoV-2(co)SAus/VIC01偽型に基づくmaS-LVの機能力価を、さらにレスキューすることを示す図である。SAus/VIC01+Δ19aa-LVおよびmaSAus/VIC01,Y498,T499+Δ19aa-LVを作製し、トランスフェクションの72時間後において採取し、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する、許容性293T/17細胞に対して滴定した。形質導入細胞は、FCSにより解析した。SAus/VIC01+Δ19aa-LVおよびmaSAus/VIC01,Y498,T499+Δ19aa-LVについて計算されたIU/mL単位の力価は、突然変異であるY498およびT499が、いずれも、マウスACE2馴化を付与し、SARS-CoV-2 SAus/VIC01により偽型化されたLVの機能力価を、さらに潜在的にレスキューしうることを指し示す。
図9】AEXおよびTFFの後に、S-LVが、高機能力価で作製され、SARS-CoV-2 S VOCの感染性をモデル化しうることを示す図である。AEX/TFF法の組合せにより、表示のS-LV.FLucおよびmaS-LV.FLucベクターを、作製し、精製し、透析濾過し、濃縮した。精製および濃縮されたベクター物質を、(co)hACE2または(co)mACE2(表示の通り)およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞(形質導入の当日に、30~40%のコンフルエンシーを達成するように播種される)に対して滴定した。感染の72時間後、細胞を、採取し、溶解させ、希釈率に従い、ルシフェラーゼ活性を測定した。(A)ウェル1つ当たりのルシフェラーゼ活性は、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞の形質導入時における、p24のng単位のインプット量に対して正規化した。群の平均値±SDを指し示す(ダンの多重比較検定を伴う、クルスカル-ワリス一元ANOVA;****は、P<0.0001を表す)。(B)ウェル1つ当たりのルシフェラーゼ活性は、(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞の形質導入時における、p24のng単位のインプット量に対して正規化した。群の平均値±SDを指し示す(ダンの多重比較検定を伴う、クルスカル-ワリス一元ANOVA;***および****は、それぞれ、P<0.001および0.0001を表す)。
図10-1】maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVが、in vitroにおいて、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対して惹起された、市販の中和抗体により、強力に中和されることを示す図である。表示の作業濃度における、マウスIgG1であるMM43(SARS-CoV-2 S中和抗体;Sino Biological)、またはアイソタイプ対照、およびウサギIgGであるR001(SARS-CoV-2 S中和抗体;Sino Biological)、またはアイソタイプ対照の存在下で、感染多重度を1として、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する、許容性293T/17細胞へと、S-LVを形質導入した。形質導入の48~72時間後、細胞を、FCSにかけて、IC50を計算した。(A)いずれかの抗体の被験範囲にわたる、MM43またはアイソタイプ対照の存在下における、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVの形質導入プロファイルである。(B)MM43による、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVに対する中和曲線であり;中和は、マウスIgG1アイソタイプ対照の形質導入%として計算した。(C)いずれかの抗体の被験範囲にわたる、R001またはアイソタイプ対照の存在下における、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVの形質導入プロファイルである。(D)R001による、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVに対する中和曲線であり;中和は、ウサギIgGアイソタイプ対照の形質導入%として計算した。(E)R001による、G614+Δ19aa;アルファ+Δ19aa、ベータ+Δ19aa、およびmaS2+Δ19aaに対する中和曲線である。点線は、平均IC50が計算される、50%の中和を指す。(F)MM43による、G614+Δ19aa;アルファ+Δ19aa、ベータ+Δ19aa、およびmaS2+Δ19aaに対する中和曲線である。点線は、平均IC50が計算される、50%の中和を指す。
図10-2】図10-1の続き。
図11】フローサイトメトリーによる、予備的rSIV1.S-LV力価を示すグラフである。VSVg偽型化rSIV1レンチウイルスベクター(n=1)またはSARS-CoV-2(co)SG614+Δ19aaおよびmaSY498,T499,G614+Δ19aa(各々、n=2ずつ)について、293T/17 SF細胞の一過性トランスフェクションを使用して、S-LVを作製した。トランスフェクションの72時間後、粗rSIV1.VSVg/rSIV1.S-LVベクター物質を採取し、系列希釈し、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞へと形質導入した。形質導入の72時間後、細胞を、フローサイトメトリーにかけて、eGFPの形質導入に基づき、IU/mL単位の力価を決定した。
図12-1】maSG614+Δ19aa-LV(S-LV v03)、およびN501Yを含有するS-LV(S-LV v04)が、in vivoにおいて、外因性(co)hACE2によるプライミングを伴わずに、BALB/cマウスへと形質導入されることを示す図である。(A)p24の定量(40または166ng)に基づく、表示のS-LV用量による、鼻腔内投与後の表示の時点において、IVISにより、BALB/cマウスについての生物発光画像を捕捉した。IVISの結果は、maS-LVおよびN501Y含有S-LVが、外因性(co)hACE2発現による、気道のプライミングおよびヒト化を伴わずに、マウス肺へと、ロバストに形質導入することが可能であることの証拠を提示する。(B)鼻腔および(C)肺における、群間の発光活性を決定するように、IVIS画像をさらに解析し、maS-LVおよびN501Y含有S-LVが、(co)hACE2によるプライミングに依存せずに、用量依存的に、マウス呼吸器気道へと形質導入することが可能であることをさらに裏付けた。TSSM LV製剤用緩衝剤だけを投与されたナイーブマウスは、陰性対照として用いられ、発光なし~バックグラウンド発光を呈した。i.n.:鼻腔内;ma:mACE2馴化である。
図12-2】図12-1の続き。
図13】in vitroモデルを使用して、SARS-CoV-2 S偽型化LVの遺伝子治療適用を裏付ける、代表的探索計画を示す図である。突然変異株である、SFTPB細胞モデルまたはCFTR細胞モデル(それぞれ、CFTR F508Δを伴う、SFTPBkoモデルまたは16HBE14o-モデル)を是正するように目的の治療用遺伝子:(so)SFTPBまたは(so)CFTR2をコードするS-LV(S-LV v02、03、05;図1を参照されたい)を作製することができる。タンパク質発現プロファイルのレスキューは、ウェスタンブロットによりを裏付けることができる。
図14】SY498,T499,G613 Δ19aa-LV(S-LV maS2)、SB.1.351+Δ19aa-LV(S-LVベータ)、および媒体対照を使用する、in vivoの、肺内における、ルシフェラーゼトランス遺伝子の発現を示すグラフである。(A)IVIS in vivoイメージングを使用して、肺内のルシフェラーゼ発現を、表示の送達後日数において決定した。(B)(A)で提示された曲線の曲線下面積を計算することにより、研究の持続期間にわたる、肺内の累積ルシフェラーゼ発現を決定した。
図15】マウス馴化S-LV(maS3;SARS-CoV-2 SP498,T499,Y501,G614+Δ19aa)により形質導入された、SARS-CoV-2 S許容性293T/17(hACE2およびhTMPRSS2を安定的に共発現する)が、非形質導入細胞のヌルバックグラウンドレベルと比較して、成熟SP-Bホモ二量体を発現することを示すウェスタンブロット(非還元条件下におけるSDS PAGE)を示す図である。GAPDHは、ローディング対照として用いられた。
図16】COVID-19感染をモデル化するように、肺芽オルガノイド(LBO)へと形質導入するS-LVを示す図である。EGFPをコードする濃縮S-LV(G614+Δ19aa;SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa)を、フェノールレッド(比を2:1とする)と混合し、MFD(maximum feasible dose)を、Matrigel内に包埋されたLBOへとマイクロインジェクションした。ヒトIgGをコードするrAAV8のマイクロインジェクションは、陰性対照として用いられた。蛍光顕微鏡法(eGFP)は、EVOS FL Autoを使用して、注射の72時間後に実施した。BF=明視野顕微鏡法である。スケールバーは、500μmを指す。
図17】SARS-CoV-2 2核タンパク質(N)が、組換えHIV1 レンチウイルスベクター(LV)の力価をブーストすることを示すグラフである。(A)hACE2およびhTMPRSS2を安定的に発現する、SARS-CoV-2許容性293T/17細胞上で滴定された、粗ベクター物質に由来する力価である。nt=試験なしである。(B)(A)に由来する、マッチさせられ、log10変換された力価対の間の差違を示すグラフである(対応のあるt検定;P=0.0006)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用される、全ての技術用語および学術用語は、本開示が関する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。Singletonら、「Dictionary of Microbiology and Molecular Biology」、20版、John Wiley and Sons、New York(1994);ならびにHaleおよびMarham、「HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY」、Harper Perennial、NY(1991)は、当業者に、本開示において使用される用語の多くについての、一般的辞典を提供する。用語の意味および範囲は明らかであるものとするが;万一、何らかの潜在的な曖昧さが生じる場合、本明細書で提示される定義が、任意の辞典または明細書外の定義に対して優先される。本発明は、本明細書で記載される、特定の方法、プロトコール、および試薬などに限定されず、したがって、変動しうることを理解されたい。
【0033】
本開示は、本明細書で開示される、例示的な方法および材料により限定されず、本開示の実施形態の実施または試験では、本明細書で記載される方法および材料と類似であるか、または同等である、任意の方法および材料が使用される。本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態について記載することだけを目的とするものであり、特許請求の範囲だけにより規定される、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0034】
本開示の実施形態についての記載は、網羅的であることも、本開示を、開示される正確な形態へと限定することも意図されない。本明細書では、本開示についての具体的実施形態、およびこれについての例が、例示を目的として記載されるが、当業者が認識する通り、本開示の範囲内において、多様で同等な改変が可能である。例えば、方法の工程または機能は、所与の順序で提示されるが、代替的実施形態は、異なる順序で、機能を果たす場合もあり、実質的に共時的に機能が果たされる場合もある。本明細書で提示される、本開示の教示は、必要に応じて、他の手順または方法へも適用される。本明細書で記載される、多様な実施形態は、さらなる実施形態を提示するように、組み合わされる場合もある。本開示の態様は、必要な場合、本開示のなおさらなる実施形態をもたらすために、上記の参考文献および本出願の組成物、機能、および概念を利用するように改変される場合もある。さらに、生物学的な機能的同等性の検討により、生物学的作用または化学的作用の種類または量に影響を及ぼさずに、タンパク質構造において、何らかの変化が施される場合もある。発明を実施するための形態に照らして、これらの変化および他の変化が、本開示に施される場合もある。全てのこのような改変は、付属の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0035】
そうでないことが指し示されない限りにおいて、それぞれ、任意の核酸配列は、左から右へと、5’側から3’側への配向性で書かれ;アミノ酸配列は、左から右へと、アミノ側からカルボキシ側への配向性で書かれる。
【0036】
本明細書で提示される見出しは、本開示の多様な態様または実施形態の限定ではない。
【0037】
動詞と共に使用される場合に、本明細書で使用される、「~ことが可能な」という用語は、対応する動詞の作用を包含するか、またはこれを意味する。例えば、「相互作用することが可能な」はまた、「相互作用する」ことも意味し、「~を切断することが可能な」はまた、「~を切断する」も意味し、「~に結合することが可能な」はまた、「~に結合する」も意味し、「~を特異的にターゲティングすることが可能な」はまた、「~を特異的にターゲティングする」も意味する。
【0038】
他の用語の定義は、本明細書を通して見出される。例示的な実施形態について、より詳細に記載される前に、本開示は、記載される、特定の実施形態に限定されず、したがって、変動しうることが理解されるものとする。本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態について記載することだけを目的とするものであり、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲だけにより規定されるので、限定的であることは意図されないことも理解されるものとする。
【0039】
数値範囲は、範囲を規定する数を包含する。値の範囲が提示される場合は、その範囲の上限と下限との間の、文脈によりそうでないことが明確に指示されない限りにおいて、下限の単位の10分の1までの、各中間値もまた、具体的に開示されることが理解される。言明された範囲内の、任意の言明された値または中間値と、この言明された範囲内の、他の任意の言明された値または中間値との間の、各小範囲も、本開示内に包含される。これらの小範囲の上限および下限は、独立に、範囲内に包含される場合もあり、範囲から除外される場合もあるが、限界の一方もしくは両方が小範囲内に包含される各範囲、または限界のいずれも包含されない各範囲もまた、本開示内に包含され、言明された範囲内の、任意の具体的に除外された限界下に置かれる。言明された範囲が、限界の一方または両方を包含する場合、これらの包含された限界の一方または両方を除外する範囲もまた、本開示内に包含される。
【0040】
本明細書で使用される、「ある(a)」および「ある(an)」という冠詞は、1つまたはそれ以上の(すなわち、少なくとも1つの)、冠詞の文法的対象を指す場合がある。さらに、文脈によりそうでないことが要求されない限りにおいて、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本出願では、そうでないことが言明されない限りにおいて、「または」の使用は、「および/または」を意味する。さらに、「~を含むこと」という用語のほか、「~を含む」および「含まれた」など、他の形態の使用も、限定ではない。
【0041】
「約」とは一般に、測定の性格または精度を踏まえた場合に、測定される数量について許容可能な誤差の程度を意味する。例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の、20パーセント(%)以内、典型的に、10%以内であり、より典型的に、5%以内である。好ましくは、本明細書では、「約」という用語は、それが共に使用される数の数値から、+または-(±)5%、好ましくは、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%として理解されるものとする。
【0042】
「~からなること」という用語は、本発明についてのこの記載において列挙されない、任意の要素を除外する、本明細書で記載される、組成物、方法、およびこれらのそれぞれの構成要素を指す。
【0043】
本明細書で使用される、「~から本質的になること」という用語は、所与の発明に要求される要素を指す。「~から本質的になること」という用語は、この発明の基本的特徴(複数可)、および新規の特徴(複数可)、または機能的特徴(複数可)(すなわち、不活性成分または非免疫原性成分)に実質的に影響を及ぼさない要素の存在を許容する。
【0044】
本明細書で、1つまたはそれ以上の構成「を含む」実施形態として記載される実施形態もまた、このような構成「からなり」かつ/またはこれら「から本質的になる」、対応する実施形態の開示として考えられる。
【0045】
本明細書では、濃度、量、容量、百分率、および他の数値は、範囲フォーマットで提示される。このような範囲フォーマットが、簡便さおよび簡略さのためだけに使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけを含むのではなく、また、各数値および部分範囲が明示的に列挙された場合と同様に、この範囲内に包含される、個々の全ての数値または部分範囲も含むと柔軟に解釈されるべきであることもまた理解されたい。
【0046】
本明細書で使用される、「ベクター」、「ウイルスベクター」、および「レンチウイルスベクター」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターを意味するように、互換的に使用される。
【0047】
本明細書で使用される、「力価」および「収量」という用語は、本発明の方法により作製されるレンチウイルス(例えば、SIV)ベクターの量を意味するように、互換的に使用される。力価は、生産効率を特徴付ける、主要な基準であり、高力価は一般に、より多くのレンチウイルス(例えば、SIV)ベクターが製造される(例えば、同じ量の試薬を使用して)ことを指し示す。力価または収量は、「活性」ウイルス粒子の尺度、すなわち、細胞へと形質導入することが可能な粒子の数である、標的細胞のゲノムへと組み込まれた、ベクターゲノムの数(組込み力価)に関する場合がある。形質導入単位(また、TTU/mLとも称される、TU/mL)とは、ある特定の組織培養物/ウイルス希釈条件下で形質導入された宿主細胞の数についての、生物学的リードアウトであり、「活性」ウイルス粒子の数についての尺度である。「活性」ウイルス粒子の数は、IU/mLなど、単位容量当たりの感染単位(IU)数に関して定量される。ウイルス粒子の総数(活性ウイルス粒子+不活性ウイルス粒子)はまた、どのくらい多くのGagが、被験溶液中に存在するのか、またはどのくらい多くのコピー数のウイルスRNAが、被験溶液中に存在するのかを測定することによってなど、任意の適切な手段を使用しても決定される。次いで、レンチウイルス粒子は、2000個のGag分子、または2つのウイルスRNA分子を含有するという仮定がなされる。全粒子数および形質導入力価/TUが測定されたら、粒子:感染性比が計算される。本明細書では、アミノ酸は、アミノ酸の名称、三文字式略記法、または一文字式略記法を使用して言及される。
【0048】
本明細書で使用される、「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、隣接する残基のアルファ-アミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合により、互いへと接合される、一連のアミノ酸残基を指示するように、本明細書で互換的に用いられる。「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、そのサイズまたは機能に関わらず、修飾アミノ酸(例えば、リン酸化アミノ酸、糖化アミノ酸、グリコシル化アミノ酸など)およびアミノ酸類似体を含む、アミノ酸のポリマーを指す。「タンパク質」および「ポリペプチド」が、比較的大型のポリペプチドに言及して使用されることが多いのに対し、「ペプチド」という用語は、小型のポリペプチドに言及して使用されることが多いが、当技術分野では、これらの用語の使用は重複する。本明細書では、遺伝子産物およびその断片に言及する場合、「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用される。したがって、例示的なポリペプチドまたはタンパク質は、遺伝子産物、天然に存在するタンパク質、相同体、オーソログ、パラログ、断片、および他の同等物、変異体、断片、ならびに前出の類似体を含む。
【0049】
本明細書で使用される、「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸配列」という用語は、リボ核酸、デオキシリボ核酸、またはこれらの類似体の単位を組み込む、任意の分子、好ましくは、ポリマー分子を指す。核酸は、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もある。一本鎖核酸は、変性二本鎖DNAのうちの、一方の核酸鎖でありうる。代替的に、核酸は、二本鎖DNAに由来しない、一本鎖核酸でありうる。一態様では、核酸は、DNAでありうる。別の態様では、核酸は、RNAでありうる。適切な核酸分子は、ゲノムDNAまたはcDNAを含むDNAである。他の適切な核酸分子は、siRNA、shRNA、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むRNAである。「トランス遺伝子」および「遺伝子」という用語もまた、互換的に使用され、いずれの用語も、標的タンパク質をコードする、その断片または変異体を包含する。
【0050】
本発明のトランス遺伝子は、それらの天然に存在する環境から取り出された核酸配列、組換えまたはクローニングされた、DNA単離物、化学合成された類似体、または異種系により生体合成された類似体を含む。
【0051】
本発明のアミノ酸配列内の、微細な変異は、アミノ酸配列(複数可)内の変異が、本明細書の任意の箇所において規定される、本発明のアミノ酸配列またはその断片に対する、少なくとも60%、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を維持し、最も好ましくは、少なくとも97%、または少なくとも99%の配列同一性を維持することを条件として、本発明により包含される変異として想定される。本明細書では、「相同性」という用語は、「同一性」を意味するように使用される。このように、本発明のアミノ酸配列の変異体配列または類似体配列は、置換(典型的に、保存的置換)、欠失、または挿入に基づき異なりうる。本明細書では、このような変異を含むタンパク質は、「変異体」と称される。
【0052】
本発明のタンパク質は、1つの種に由来するアミノ酸残基が、保存的位置または非保存的位置において、別の種における、対応する残基で置換された変異体を含みうる。本明細書で開示されるタンパク質分子の変異体は、本発明において、作製および使用される。多変量データ解析技法の、構造/特性-活性関係への適用における、計算化学の先例[例えば、Woldら、「Multivariate data analysis in chemistry.Chemometrics-Mathematics and Statistics in Chemistry」(編者:B.Kowalski);D.Reidel Publishing Company、Dordrecht、Holland、1984(ISBN 90-277-1846-6)を参照されたい]に従い、タンパク質の定量的活性-特性関係は、統計学的回帰、パターン認識およびパターン分類など、周知の数学的技法[例えば、Normanら、「Applied Regression Analysis」、Wiley-lnterscience;3版(1998年4月)ISBN:0471170828;Kandel,Abrahamら、「Computer-Assisted Reasoning in Cluster Analysis」、Prentice Hall PTR(1995年5月11日)、ISBN:0133418847;Krzanowski,Wojtek、「Principles of Multivariate Analysis:A User’s Perspective」(Oxford Statistical Science Series、22号(論文))、Oxford University Press;(2000年12月)、ISBN:0198507089;Witten,Ian H.ら、「Data Mining:Practical Machine Learning Tools and Techniques with Java Implementations」、Morgan Kaufmann;(1999年10月11日)、ISBN:1558605525;Denison David G.T.ら(編)、「Bayesian Methods for Nonlinear Classification and Regression」(Wiley Series in Probability and Statistics)、John Wiley & Sons;(2002年7月)、ISBN:0471490369;Ghose,Arup K.ら、「Combinatorial Library Design and Evaluation Principles,Software,Tools,and Applications in Drug Discovery」、ISBN:0-8247-0487-8を参照されたい]を使用して導出される。タンパク質の特性は、タンパク質配列、機能的構造、および三次元構造についての経験的/理論的モデル(例えば、接触する可能性が高い残基についての解析、または物理化学的特性の計算)から導出され、これらの特性は、個別に、かつ、組み合わせて考えられる。
【0053】
本明細書では、アミノ酸は、アミノ酸の名称、三文字式略記法、または一文字式略記法を使用して言及される。本明細書で使用される、「タンパク質」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを含む。本明細書で使用される、「アミノ酸配列」という用語は、「ポリペプチド」という用語、および/または「タンパク質」という用語と同義である。一部の場合に、「アミノ酸配列」という用語は、「ペプチド」という用語と同義である。本明細書では、「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用される。本開示および特許請求の範囲では、アミノ酸残基についての、常套的な一文字コードおよび三文字コードが使用される。アミノ酸についての三文字コードは、IUPACIUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に準拠して規定される。遺伝子コードの縮重性のために、ポリペプチドは、1つを超えるヌクレオチド配列によりコードされることもまた理解される。
【0054】
非保存的位置におけるアミノ酸残基は、保存的残基により置換されている場合もあり、非保存的残基により置換されている場合もある。特に、保存的なアミノ酸の置きかえが想定される。
【0055】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置きかえられる、アミノ酸置換である。当技術分野では、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーであって、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、またはヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、またはシステイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、またはトリプトファン)、ベータ-分枝状側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはヒスチジン)を含むファミリーが規定されている。したがって、ポリペプチド内のアミノ酸が、同じ側鎖ファミリーに由来する、別のアミノ酸で置きかえられる場合、アミノ酸置換は、保存的であると考えられる。保存的修飾変異体の、本発明のタンパク質への組入れは、変異体の他の形態、例えば、多型変異体、種間相同体、および対立遺伝子を除外しない。
【0056】
「非保存的アミノ酸置換」は、(i)電気陽性側鎖(例えば、Arg、HisまたはLys)を有する残基が、電気陰性残基(例えば、GluまたはAsp)で、もしくはこれらにより置換されている置換、(ii)親水性残基(例えば、SerまたはThr)が、疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、Phe、またはVal)で、もしくはこれらにより置換されている置換、(iii)システインまたはプロリンが、他の任意の残基で、もしくはこれらにより置換されている置換、または(iv)バルクの疎水性側鎖もしくは芳香族側鎖を有する残基(例えば、Val、His、Ile、またはTrp)が、小型側鎖を有する残基(例えば、AlaまたはSer)、もしくは側鎖を有さない残基(例えば、Gly)で、もしくはこれらにより置換されている置換を含む。
【0057】
「挿入」または「欠失」は、典型的に、約1、2、または3アミノ酸の範囲内にある。可能とされる変異は、組換えDNA法を使用して、アミノ酸の挿入または欠失を、タンパク質内に、体系的に導入し、結果として得られる組換え変異体を、活性についてアッセイすることにより、実験的に決定される。これは、当業者に対して、規定以上の実験を要求しない。
【0058】
ポリペプチドの「断片」は、元のポリペプチドのうちの、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%またはそれ以上を含む。
【0059】
本発明のポリヌクレオチドは、当技術分野で公知である、任意の手段により製造される。例えば、大量のポリヌクレオチドは、適切な宿主細胞内の複製により作製される。所望の断片をコードする、天然または合成のDNA断片は、原核細胞または真核細胞への導入およびこれらにおける複製が可能である、組換え核酸構築物、典型的に、DNA構築物へと組み込まれる。通例、DNA構築物は、酵母または細菌など、単細胞宿主内の自家複製に適するであろうが、また、培養された昆虫細胞系、哺乳動物細胞系、植物細胞系、または他の真核細胞系のゲノム内への導入および組込みのためにも意図される。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドはまた、化学合成、例えば、ホスホルアミダイト法またはトリエステル法によっても作製され、作製は、市販の自動式オリゴヌクレオチド合成器上で実施される。二本鎖断片は、相補性鎖を合成し、鎖を、適切な条件下で、併せてアニーリングすることにより、化学合成の一本鎖産物から得られる場合もあり、DNAポリメラーゼを、適切なプライマー配列と共に使用して、相補性鎖を添加することにより、化学合成の一本鎖産物から得られる場合もある。
【0061】
核酸配列へと適用された場合、本発明の文脈における、「単離された」という用語は、ポリヌクレオチド配列が、その天然の遺伝子環境から取り出されており、このため、他の外因性コード配列、または望ましくないコード配列を含まず(しかし、プロモーターおよびターミネーターなど、天然に存在する5’側非翻訳領域および3’側非翻訳領域は含みうる)、遺伝子操作タンパク質産生系内における使用に適する形態にあることを表示する。このような単離分子は、それらの天然環境から分離された分子である。
【0062】
遺伝子コードの縮重性を念頭に置くと、本発明のポリヌクレオチドの間では、かなりの配列変異が可能である。所与のアミノ酸のための、全ての可能なコドンを包含する縮重コドンは、下記に明示される:
【0063】
【表1】
【0064】
当業者は、各アミノ酸をコードする、全ての可能なコドンを表す、縮重コドンを決定する場合に、柔軟性が存在することを理解するであろう。例えば、縮重配列により包含される、一部のポリヌクレオチドは、変異体アミノ酸配列をコードしうるが、当業者は、本発明のアミノ酸配列への参照により、このような変異体配列を、容易に同定しうる。
【0065】
「変異体」核酸配列は、参照核酸配列(またはその断片)に対する、実質的な相同性または実質的な類似性を有する。他の核酸(またはその相補性鎖)と共に、最適にアライメントされた場合(適切なヌクレオチドの挿入または欠失を伴い)に、ヌクレオチド塩基のうちの、少なくとも約70%、75%、80%、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、またはそれ以上において、ヌクレオチド配列同一性が存在するならば、核酸配列またはその断片は、参照配列と「実質的に相同」(または「実質的に同一」)である。当技術分野では、核酸配列の相同性決定のための方法が公知である。
【0066】
代替的に、「変異体」配列と、参照配列とが、厳密な(例えば、高度に厳密な)ハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリダイズすることが可能であるならば、「変異体」核酸配列は、参照配列(またはその断片)と、実質的に相同である(またはこれと実質的に同一である)。核酸配列のハイブリダイゼーションは、当業者によりたやすく理解される通り、塩基組成、相補性鎖の長さ、およびハイブリダイズする核酸間における、ヌクレオチド塩基ミスマッチの数に加えて、塩濃度(例えば、NaCl)、温度、または有機溶媒などの条件の影響を受けるであろう。好ましくは、厳密な温度条件が利用され、一般に、30℃を超え、典型的に、37℃を超え、好ましくは、45℃を超える温度を含む。厳密な塩条件は、通常、1000mM未満、典型的に、500mM未満であり、好ましくは、200mM未満であろう。pHは、典型的に、7.0~8.3の間である。パラメータの組合せは、任意の単一のパラメータより重要である。
【0067】
当技術分野では、核酸の配列同一性百分率を決定する方法が公知である。例を目的として述べると、核酸配列同一性について評価する場合、規定された数の連続ヌクレオチドを有する配列は、対応する本発明の核酸配列の一部に由来する核酸配列(同じ数の連続ヌクレオチドを有する)とアライメントされる。核酸の配列同一性百分率を決定するための、当技術分野で公知のツールは、ヌクレオチドBLAST(下記で記載される)を含む。
【0068】
当業者は、異なる種が、「優先的コドン使用」を呈することを理解する。本明細書で使用される、「優先的コドン使用」という用語は、ある特定の種の細胞内で、最も高頻度に使用され、このため、各アミノ酸をコードする、可能なコドンを表す、1つまたは少数のコドンを優先するコドンを指す。例えば、アミノ酸であるトレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACG、またはACTによりコードされるが、哺乳動物宿主細胞では、ACCが、最も一般に使用されるコドンであり;他の種では、異なるコドンが、優先的でありうる。特定の宿主細胞種のための優先的コドンは、当技術分野で公知の様々な方法により、本発明のポリヌクレオチドへと導入される。優先的コドン配列の、組換えDNAへの導入は、例えば、特定の細胞型内または種におけるタンパク質の翻訳を、より効率的とすることにより、タンパク質の産生を増強する。したがって、本発明に従い、gag-pol遺伝子に加えて、任意の核酸配列が、宿主細胞内または標的細胞内における発現のために、コドン最適化される。特に、ベクターゲノム(または対応するプラスミド)、REV遺伝子(または対応するプラスミド)、融合タンパク質(F)遺伝子(または対応するプラスミド)、および/もしくはヘマグルチニン-ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子(または対応するプラスミド)、またはこれらの任意の組合せが、コドン最適化される。
【0069】
目的のポリヌクレオチドの「断片」は、前記全長ポリヌクレオチドの配列に由来する、一連の連続ヌクレオチドを含む。例を目的として述べると、目的のポリヌクレオチドの「断片」は、前記ポリヌクレオチドの配列に由来する、少なくとも30の連続ヌクレオチド(例えば、前記ポリヌクレオチドのうちの、少なくとも35、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1000の連続核酸残基)を含みうる(またはこれらからなる)。断片は、少なくとも1つの抗原決定基を含む場合もあり、かつ/または対応する目的のポリペプチドの、少なくとも1つの抗原エピトープをコードする場合もある。典型的に、本明細書で規定される断片は、全長ポリヌクレオチドと同じ機能を保持する。
【0070】
本明細書では、「~を低下させる」、「低減された」、「低減」、または「~を阻害する」という用語は全て、統計学的に有意な量低下させることを意味するように使用される。「~を低減する」、「低減」、または「~を低下させる」、または「~を阻害する」という用語は、典型的に、参照レベル(例えば、所与の処置の非存在)と比較して、少なくとも10%の低下を意味し、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれ以上の低下を含みうる。本明細書で使用される、「低減」または「阻害」は、参照レベルと比較した、完全な阻害または低減を包含する。「完全な阻害」とは、参照レベルと比較した、100%の阻害(すなわち、失効)である。
【0071】
本明細書では、「増大した」、「~を増大させる」、「~を増強する」、または「~を活性化させる」という用語は全て、統計学的に有意な量増大させることを意味するように使用される。「増大した」、「~を増大させる」、「~を増強する」、または「~を活性化させる」という用語は、参照レベルと比較して、少なくとも25%、少なくとも50%の増大、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約50%、もしくは少なくとも約75%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、もしくは少なくとも約100%、もしくは少なくとも約150%、もしくは少なくとも約200%、もしくは少なくとも約250%またはそれ以上の増大、または少なくとも約1.5倍、もしくは少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約2.5倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増大、または参照レベルと比較して1.5倍~10倍以上の間の任意の増大を意味しうる。収量または力価の文脈では、「~を増大させる」とは、このようなレベルの、観察可能な増大、または統計学的に有意な増大である。
【0072】
本明細書で使用される、「シグナルペプチド」、「シグナル配列」、「ターゲティング配列」、「リーダー配列」、および「分泌型シグナル」という用語は、分泌工程の誘発において有益な分泌型タンパク質のN末端において見出される、異種ペプチド配列を意味するように、互換的に使用される。特に、シグナルペプチドは、小胞体へとターゲティングされ、最終的に、細胞の細胞膜内で、特に、1回膜貫通タンパク質として分泌されるか、または保持されるように方向付けられたタンパク質内で見出される。シグナルペプチドは、典型的に、タンパク質の成熟形態を産生するために除去される。シグナルペプチドは、典型的に、約5~約35、または約10~約35アミノ酸の長さ、好ましくは、約10~約30または約15~約30アミノ酸の長さなど、約5~約40アミノ酸の長さである、通常、短鎖ペプチドである。シグナルペプチドは、疎水性アミノ酸のコアを含むことが可能であり、前記コアは、典型的に、約5~約20、約5~約16または約5~約15アミノ酸の長さなど、約4~約20アミノ酸の長さである。存在する場合、シグナルペプチドは、典型的に、タンパク質のN末端に存在する。
【0073】
本明細書では、「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、診断、予後診断、疾患のモニタリング、処置、治療、および/または治療の最適化が所望される哺乳動物対象を指すように、互換的に使用される。哺乳動物は、(限定せずに述べると)ヒト、非ヒト霊長動物、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシでありうる。好ましい実施形態では、個体、対象、または患者は、ヒトである。「個体」は、成人、若年者、または幼児でありうる。「個体」は、男性の場合もあり、女性の場合もある。
【0074】
特定の状態のための処置「を必要とする対象」は、この状態を有し、この状態を有するか、またはこの状態を発症する危険性があると診断された個体でありうる。
【0075】
対象は、処置を必要とする状態、またはこのような状態と関連する、1つもしくはそれ以上の合併症もしくは症状を伴うと、既に診断されるか、またはこれを患うか、もしくはこれを有すると同定され、場合により、本明細書で規定される状態、または前記状態と関連する、1つもしくはそれ以上の合併症もしくは症状のための処置を、既に受けた対象でありうる。代替的に、対象はまた、本明細書で規定される状態、または前記状態と関連する、1つもしくはそれ以上の症状もしくは合併症を有すると、未だ診断されていない対象でもありうる。例えば、対象は、状態、または前記状態と関連する、1つもしくはそれ以上の症状もしくは合併症についての、1つまたはそれ以上の危険性因子を呈する対象の場合もあり、危険性因子を呈さない対象の場合もある。
【0076】
本明細書で使用される、「健常個体」という用語は、健常状態にある個体または個体の群、例えば、疾患の症状を示しておらず、疾患を伴うと診断されておらず、かつ/または疾患、例えば、嚢胞性線維症(CF)、もしくは本明細書で記載される、他の任意の疾患を発症する可能性が高くない個体を指す。好ましくは、前記健常個体(複数可)は、CFに影響を及ぼす投薬を施されておらず、他の疾患を伴うと診断されていない。1つまたはそれ以上の健常個体は、被験個体と比較して、同様の性別、年齢、および/または体格指数(BMI)を有しうる。医学において使用される、標準的統計学法の適用は、健常個体における通常の発現レベル、およびこのような通常レベルからの有意な偏差の決定を可能とする。
【0077】
本明細書では、「対照」および「参照集団」という用語は、互換的に使用される。
【0078】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される」という用語は、米国連邦政府もしくは米国州政府の規制機関により承認されるか、または米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般に認知された薬局方において収載されていることを意味する。
【0079】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日の前における、それらの開示だけについて提示される。本明細書におけるいかなる内容も、このような刊行物が、本明細書に付属の特許請求の範囲に対する先行技術を構成することの容認として理解されるべきではない。
【0080】
本発明の多様な方法と関連する開示は、他の方法、治療的使用、もしくは治療法、データ保存媒体、またはデバイス、コンピュータプログラム製品へも、同等に適用されることが意図され、この逆も成り立つ。
【0081】
レンチウイルスベクター
本発明は、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質で偽型化された、レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターに関する。「レンチウイルス」という用語は、酵素である逆転写酵素をコードするRNAウイルスのうちの、レトロウイルス科の属を指す。
【0082】
本発明における使用に適するレンチウイルスの例は、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、およびビスナ/マエディウイルスを含む。特に、好ましいレンチウイルスベクターは、SIV-AGM(元来、ミドリザル(Cercopithecus aethiops)である、アフリカグリーンモンキーから単離された)など、HIVベクター(全ての株および亜型を含む)、またはSIVベクター(全ての株および亜型を含む)である。
【0083】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、本明細書で記載される、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化される。したがって、本発明の偽型化レンチウイルスベクターは、S-LVベクターと互換的に言及される場合がある。
【0084】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、プロモーターに作動可能に連結されたトランス遺伝子を含む。トランス遺伝子は、本明細書で記載される、治療用タンパク質をコードしうる。治療用タンパク質が、分泌型タンパク質である実施形態では、治療用タンパク質は、シグナルペプチドを含みうるか、またはこれらと関連しうる。トランス遺伝子は、シグナルペプチドをコードする核酸配列(分泌型タンパク質の内因性シグナルペプチドなど)を含む場合もあり、シグナルペプチドをコードする核酸配列を除外する場合もある。治療用タンパク質は、シグナルペプチド(分泌型タンパク質の内因性シグナルペプチドなど)を含む場合もあり、シグナルペプチドを除外する場合もある。適切な場合、内因性シグナルペプチドは、本明細書の配列情報節内で同定されている。本明細書における、全ての開示は、そうでないことが明示的に言明されない限りにおいて、シグナルペプチドを含むトランス遺伝子および治療用タンパク質、ならびにシグナルペプチドを除外するトランス遺伝子および治療用タンパク質の両方に関する。非限定例を目的として述べると、変異体の配列同一性、および/または断片の長さは、シグナルペプチドを伴う配列に基づく場合もあり、これを伴わない配列に基づく場合もある。当技術分野では、適切なシグナルペプチドが公知であり、当業者により、規定の慣行により選択される。適切なシグナルペプチドの非限定例については、参照によって、その全体において本明細書に組み入れる、英国特許出願第2105277.4号において記載されている。
【0085】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、イントロンが、プロモーターと、シグナルペプチドをコードする核酸および/または治療用タンパク質をコードする核酸との間に配置されない場合がある。同様に、ベクターゲノムプラスミド内の、プロモーターと、シグナルペプチドをコードする核酸および/または治療用タンパク質をコードする核酸との間に、イントロンが存在しない場合がある。
【0086】
本発明に従うレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、インテグラーゼ-コンピテント(IC)ベクターでありうる。代替的に、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、インテグラーゼ欠損(ID)ベクターでありうる。
【0087】
本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターは、cPPT(central polypurine tract)、および/またはウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を含みうる。例示的なWPRE配列は、配列番号46により提示される。
【0088】
本発明に従うレンチウイルスベクターなどのレンチウイルスベクターは、形質導入細胞のゲノムへと組み込まれ、長期持続性発現をもたらし、したがって、幹細胞/前駆細胞への形質導入に適するレンチウイルスベクターである。肺内では、再生能力を伴う、誘導気道内および肺胞内において、特異的細胞系統を維持するための一因となる、いくつかの細胞型が同定されている。これらは、上気道内の基底細胞および粘膜下腺管細胞、気管支気道内のクラブ細胞および神経内分泌細胞、末端細気管支内の気管支肺胞幹細胞、および肺胞内のII型肺胞上皮細胞を含む。したがって、かつ、理論に束縛されずに述べると、前記レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、トランス遺伝子を、上気道内の基底細胞および粘膜下腺管細胞、気管支気道内のクラブ細胞および神経内分泌細胞、末端細気管支内の気管支肺胞幹細胞、および肺胞内のII型肺胞上皮細胞など、1つまたはそれ以上の長寿命の気道上皮細胞または気道上皮細胞型へと導入することにより、目的のトランス遺伝子の、長期にわたる遺伝子発現を引き起こすと考えられる。
【0089】
したがって、本発明に従い作製されるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、長期にわたる遺伝子発現を達成するように、肺(気道および呼吸器を含む)内に、潜在的再生力を伴う、1つまたはそれ以上の細胞または細胞系へと形質導入しうる。例えば、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、上気道/呼吸器内の基底細胞などの基底細胞へと形質導入しうる。基底細胞は、上皮の維持過程、および損傷後における修復過程において、中心的役割を有する。加えて、基底細胞は、ヒト呼吸器上皮に沿って、広く分布し、相対分布は、30%(大気道)~6%(小気道)の範囲である。
【0090】
本発明に従うレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、患者への投与の前に、ex vivoにおいて単離および拡大された幹細胞/前駆細胞へと形質導入するのに使用される。好ましくは、本発明に従い作製されるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、in vivoの肺(または気道/呼吸器)内の細胞へと形質導入するのに使用される。
【0091】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、気管支鏡、スプレーボトル、および噴霧器など、臨床的に妥当な送達デバイス内を通過させた場合に、形質導入能の低減を軽微にとどめながら、せん断力に対する、目覚ましい耐性を示す。
【0092】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターが偽型化される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、本明細書で記載される、齧歯動物/マウス馴化改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質である。したがって、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターが偽型化される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、ベクターが、in vitro、ex vivo、およびin vivoにおいて、齧歯動物細胞へと形質導入することを可能とする。特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターが偽型化される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、ベクターが、in vitro、ex vivo、およびin vivoにおいて、マウス細胞へと形質導入することを可能とする。これは、本発明のレンチウイルスベクターを、前臨床調査研究を含む調査研究のために、特に、有用とし、本発明のレンチウイルスベクターは、齧歯動物(特に、マウス)細胞系および動物モデルと共に使用される。これに対し、野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、齧歯動物細胞への侵入を容易とすることが可能ではない。したがって、本発明の偽型化レンチウイルスベクターは、in vitro、ex vivo、およびin vivoにおいて、齧歯動物細胞、特に、マウス細胞へと形質導入することが可能である。
【0093】
加えて、かつ、本明細書で記載される通り、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターが偽型化される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、典型的に、ヒトACEに結合することが可能である。したがって、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターが偽型化される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、ベクターが、in vitro、ex vivo、およびin vivoにおいて、ヒト細胞へと形質導入することを可能とする。齧歯動物/マウス細胞およびヒト細胞の両方へと形質導入する能力は、本発明のベクターが、前臨床調査研究を含む調査研究、ならびに臨床調査研究および臨床適用のいずれにおいてもまた使用されることを可能とするので、有利である。
【0094】
典型的に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、宿主細胞内で発現されるトランス遺伝子を含む。トランス遺伝子は、治療用タンパク質またはレポータータンパク質など、任意の目的のタンパク質をコードしうる。典型的に、トランス遺伝子は、本明細書で記載されるプロモーターに作動可能に連結されている。
【0095】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、高レベル(治療的レベル)の治療用タンパク質の発現を結果としてもたらす、高レベルのトランス遺伝子発現を可能とする。本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、典型的に、患者へと投与されると、高発現レベルのトランス遺伝子をもたらす。本明細書では、「高度の発現」および「治療的発現」という用語は、互換的に使用される。発現は、任意の適切な方法(定性的方法または定量的方法、好ましくは、定量的方法)により測定され、濃度は、任意の適切な測定単位、例えば、ng/ml単位またはnM単位で与えられる。
【0096】
目的のトランス遺伝子の発現は、患者における対応する内因性(欠損)遺伝子の発現と比べて与えられる。発現は、mRNAの発現に関して測定される場合もあり、タンパク質の発現に関して測定される場合もある。本発明のトランス遺伝子の発現は、内因性遺伝子と比べて定量される。非限定例を目的として述べると、本発明のレンチウイルスベクター内に含まれるトランス遺伝子が、機能的CFTR遺伝子である場合、トランス遺伝子の発現は、細胞1個当たりのmRNAコピー数、または他の任意の適切な単位に関して、内因性(機能不全)CFTR遺伝子と比べた発現でありうる。
【0097】
対象へと投与される場合、本発明のトランス遺伝子および/またはコードされる(治療用)タンパク質の、in vivoにおける発現レベルは、該当する場合、肺組織内、上皮被覆液中、および/または血清/血漿中で測定される。したがって、高発現レベルおよび/または治療用発現レベルとは、肺内、上皮被覆液中、および/または血清/血漿中の濃度を指す場合がある。
【0098】
in vitroまたはex vivoにおいて使用される場合、本発明のトランス遺伝子および/またはコードされる(治療用)タンパク質の発現レベルは、馴化培養培地中で測定される場合もあり、細胞内(例えば、細胞の溶解物中)で測定される場合もある。
【0099】
本発明のベクター内に含まれたトランス遺伝子は、発現を容易とするように改変される。例えば、トランス遺伝子の配列は、遺伝子発現を容易とするように、CpG枯渇(またはCpG非含有)形態にある場合もあり、かつ/またはコドン最適化形態にある場合もある。当技術分野では、このようにして、トランス遺伝子の配列を改変するための標準的技法が公知である。
【0100】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、気道細胞への効率的な取込み、トランス遺伝子発現の増強を呈し、反復投与時に、効能の喪失を被らない。したがって、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、不要な免疫応答を誘導せずに、気道細胞内における、長期持続性であり、反復可能であり、高レベルの発現をもたらすことが可能である。
【0101】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、治療用タンパク質の長期的発現を結果としてもたらす、長期的なトランス遺伝子の発現を可能とする。本明細書で記載される、「長期的発現」、「持続的発現」、「長期持続的発現」、および「持続的発現」という語句は、互換的に使用される。本発明に従う長期的発現とは、(治療用)遺伝子および/またはタンパク質の、好ましくは、治療レベルにおける、少なくとも45日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも180日間、少なくとも250日間、少なくとも360日間、少なくとも450日間、少なくとも730日間またはそれ以上にわたる発現を意味する。好ましくは、長期的発現とは、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも180日間、少なくとも250日間、少なくとも360日間、少なくとも450日間、少なくとも720日間またはそれ以上、より好ましくは、少なくとも360日間、少なくとも450日間、少なくとも720日間またはそれ以上にわたる発現を意味する。この長期的発現は、反復投与により達成される場合もあり、単回投与により達成される場合もある。
【0102】
反復投与は、毎日2回、毎日、毎週2回、毎週、毎月、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、6カ月ごと、毎年、2年またはそれ以上ごとに投与される。投与は、要求される限りの期間にわたり、例えば、少なくとも6カ月間、少なくとも1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間、15年間、20年間またはそれ以上にわたり、最長で、処置される患者の生涯にわたり(in vivoにおける適用のために)、または実験の時間経過にわたり(in vitroまたはex vivoにおける適用のために)継続される。
【0103】
レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、典型的に、トランス遺伝子の発現を可能とする、トランス遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。プロモーターは、ハイブリッドヒトCMVエンハンサー/EF1a(hCEF)プロモーターでありうる。このhCEFプロモーターは、hCEFプロモーターの、ヌクレオチド570~709に対応するイントロン、およびヌクレオチド728~733に対応するエクソンを欠く場合がある。本発明のhCEFプロモーター配列の好ましい例は、配列番号43により提示される。プロモーターは、CMVプロモーターでありうる。CMVプロモーター配列の例は、配列番号44により提示される。プロモーターは、ヒト伸張因子1a(EF1a)プロモーターでありうる。EF1aプロモーターの例は、配列番号45により提示される。当技術分野では、トランス遺伝子発現のための、他のプロモーターも公知であり、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターに対する、それらの適性は、当技術分野で公知の規定の技法を使用して決定される。他のプロモーターの非限定例は、UbCおよびUCOEを含む。本明細書で記載される通り、プロモーターは、本発明のトランス遺伝子の発現をさらに調節するように改変される。
【0104】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクター内に含まれるプロモーターは、治療用遺伝子の発現の調節をさらに精緻化するように、特異的に選択および/または改変される。ここでもまた、適切なプロモーター、およびこれらの改変のための標準的技法は、当技術分野で公知である。非限定例として述べると、本発明における使用に適する、多数の適切な(CpG非含有)プロモーターについては、参照によって、その全体において本明細書に組み入れる、Pringleら(J.Mol.Med.Berl.、2012、90(12):1487~96)において記載されている。好ましくは、本発明のレンチウイルスベクター(特に、SIVベクター)は、CpGジヌクレオチド含量が小さいか、またはCpGジヌクレオチドを含有しない、hCEFプロモーターを含む。hCEFプロモーターは、全てのCGジヌクレオチドが、AG、TG、またはGTのうちのいずれか1つで置きかえられる場合がある。したがって、hCEFプロモーターは、CpG非含有でありうる。本発明のCpG非含有hCEFプロモーター配列の好ましい例は、配列番号43により提示される。CpGジヌクレオチドの非存在は、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの性能を、さらに改善し、発現された抗原に対する免疫応答、または送達された発現構築物に対する炎症性応答を誘導することが所望されない状況下では、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの性能を、さらに改善する。CpGジヌクレオチドの消失は、特に、気道へと投与される場合に、構築物の投与から生じうる、風邪様症状および炎症の発生を軽減する。
【0105】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、遺伝子発現の停止を可能とするように改変される。当技術分野では、ベクターを、このようにして改変するための標準的技法が公知である。非限定例として述べると、Tet応答性プロモーターが、広く使用される。
【0106】
好ましくは、本発明は、プロモーターおよびトランス遺伝子を含むレンチウイルスベクター、特に、HIV/SIVベクターに関する。本発明に従う改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質による偽型化は、特に、気道上皮内の細胞のターゲティングにおいて効率的であり、そのようなものとして、治療適用のために、典型的に、気道上皮の細胞を含む、呼吸器の細胞へと送達される。したがって、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、気道、呼吸器、または肺の疾患または障害の処置に、特に、適する。典型的に、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、遺伝性呼吸器疾患の処置のために使用される。
【0107】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、このような疾患、特に、気道、呼吸器、または肺の疾患または障害の処置のために治療的である、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするトランス遺伝子を含みうる。
【0108】
本発明はまた、標的細胞内で、トランス遺伝子を発現させる方法であって、本明細書で規定される医薬組成物またはベクターを、標的細胞へと送達する工程を含む方法も提供する。前記送達する工程は、医薬組成物のレンチウイルス(例えば、SIV)ベクターを、標的細胞のゲノムへと組み込む工程を含みうる。
【0109】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質
SARS-CoV-2スパイクタンパク質(本明細書および当技術分野ではまた、互換的に、SARS-CoV-2 Sタンパク質とも称される)は、S1サブユニットおよびS2サブユニットから構成される、クラスI融合膜貫通型構造糖タンパク質である。SARS-CoV-2スパイクタンパク質の構造は、SARS-CoV-2ウイルスの出現およびCOVID-19によるパンデミック以来、集中的な調査研究の対象となっている。このため、例えば、Almehdiら(参照によってその全体において本明細書に組み入れる、Infection、2021、doi:10.1007/s15010-021-01677-8)に記載されている通り、当技術分野では、その構造および機能の詳細について周知である。略述すると、SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、サイズが180~200kDaとし、全長を1273~1300アミノ酸の間である、ホモ三量体である。
【0110】
SARS-CoV-2スパイクは、シグナルペプチド(アミノ酸残基1~13)、および2つの機能的サブユニットである、S1サブユニットおよびS2サブユニットを含む。S1サブユニットは、N末端ドメイン(NTD)および受容体結合性ドメイン(RBD)を含む。S2サブユニットは、融合ペプチド(FP)、ヘプタッドリピート1(HR1)、中央ヘリックス(CH)、コネクタードメイン(CD)、ヘプタッドリピート2(HR2)、膜貫通ドメイン(TM)、および細胞質テール(CT)を含む。S1サブユニットの機能は、標的細胞上の受容体(ACE2)に結合することである。S2サブユニットは、ウイルスの膜と、標的細胞の膜とを融合させ、これにより、SARS-CoV-2ウイルス粒子の、標的細胞への侵入を容易とするように機能する。S1サブユニットと、S2サブユニットとの境界部には、S1/S2プロテアーゼ切断部位と称される切断部位が存在する。全てのコロナウイルスについて述べると、標的細胞内のプロテアーゼは、S2’切断部位において、スパイクタンパク質を切断して、不可逆的コンフォメーション変化を介して、ウイルスの膜と、標的細胞の膜とを融合させるのに、極めて重要であるタンパク質を活性化させる。
【0111】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、SARS-CoV-2ウイルスの表面から突出し、ここで、標的細胞の表面上において、ヒトアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)受容体を認識し、これに結合することが可能である。ACE2は、大半の臓器内の、特異的細胞型内において見出される。例えば、ACE2は、肺のII型肺胞上皮(ATII)細胞、小腸の腸細胞、動脈/静脈内皮細胞、脳内のグリア細胞および皮質ニューロンにおいて豊富である。SARS-CoV-2偽型化レンチウイルスベクターは、このような細胞を、効率的にターゲティングすることが、妥当に仮定される。
【0112】
SARS-CoV-2の細胞内侵入は、ウイルススパイクタンパク質の、ACE2への結合、TMPRSS2(Transmembrane protease Serine 2)によるスパイクタンパク質の切断により相乗作用化された相互作用に依拠する。ヒトTMPRSS2についての配列は、UniProt受託番号:O15393(2021年10月1日にアクセスされた、version 3の配列)下で寄託されている。
【0113】
しかし、現在同定されている、野生で見出される、全てのSARS-CoV-2天然変異株スパイクタンパク質は、ヒトACE2には結合するが、齧歯動物相同体には結合しない。特に、現在同定されている、天然のSARS-CoV-2変異株は、マウスACE2に結合しない。齧歯動物細胞系および齧歯動物モデルなど、標準的調査研究ツールの使用が可能でないため、SARS-CoV-2、ならびにCOVID-19に対する潜在的処置およびワクチンについて調査研究する場合に、これは、技術的障害を表す。むしろ、ヒト細胞/組織だけを使用して、探索を実行する(これは、前臨床試験の費用を増大させ、その範囲を制限する)か、なおまたは齧歯動物馴化SARS-CoV-2スパイクタンパク質を開発する(これもまた、調査研究の費用および複雑さを増大させる)ことが必要である。
【0114】
この目的のために、マウス馴化SARS-CoV-2スパイクタンパク質の作出に向けて、ある程度の研究が行われている。しかし、現在までのところ、この研究の主要な焦点は、SARS-Co-V2に対する調査研究、ならびにCOVID-19のための処置およびワクチンに対する調査研究において使用されるSARS-CoV-2ウイルス変異株を作出することであった。現在までのところ、SARS-CoV-2と関連して、世界的に行われつつある、全ての調査研究にもかかわらず、COVID-19を越えて、調査研究/治療目的で、マウス馴化SARS-CoV-2スパイクタンパク質を利用して、ウイルスベクターを偽型化しようとする試みはなされていない。
【0115】
本発明者らは、改変マウス馴化SARS-CoV-2スパイクタンパク質で偽型化されたレンチウイルスベクターを開発する、最初の発明者である。したがって、本発明は、本明細書で記載される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質のほか、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化された、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを提供する。
【0116】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、任意のSARS-CoV-2スパイクタンパク質に由来しうる。「~に由来する」とは、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が、それが由来する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上の修飾など、1つまたはそれ以上の修飾を含みうることを意味する。
【0117】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、任意のSARS-CoV-2株のスパイクタンパク質または変異体に由来しうる。例えば、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、Wuhan-Hu-1株、B.1.1.529(オミクロン変異株)、B.1.351株(ベータ変異株)、P.1株(ガンマ変異株)、B.1.617.2株(デルタ変異株)、B.1.621株(ミュー変異株)、C.37株(ラムダ変異株)、B.1.620株、B.1.1.7株(アルファ変異株)、B.1.427株またはB.1.429株(イプシロン変異株)、B.1.525株(エータ変異株)、B.1.526株(イオタ変異株)、B.1.617株(カッパ変異株)、G614株、Australia/VIC01/2020(Aus/VIC01)株、B.1.1.529株(オミクロン変異株)、もしくはこれらの任意の亜株/亜系統、またはこれらのSARS-Co-V-2スパイクタンパク質のうちのいずれか1つに対する、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、もしくはこれらを超える配列同一性を有する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のうちのいずれか1つのスパイクタンパク質に由来しうる。SARS-CoV-2のWuhan-Hu-1株のスパイクタンパク質は、本明細書における配列番号1である。非限定例を目的として述べると、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1に対する、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%またはそれ以上の配列同一性を有するスパイクタンパク質に由来しうる。
【0118】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、典型的に、配列番号1の1つまたはそれ以上の特異的アミノ酸位置に対応するか、またはこれとアライメントする、1つまたはそれ以上のアミノ酸位置における修飾を含む。改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が、配列番号1のSARS-CoV-2スパイクタンパク質以外のSARS-CoV-2スパイクタンパク質に由来する場合、当業者は、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が由来する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、対応するアミノ酸位置を決定することが、たやすくできるであろう。非限定例を目的として述べると、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が由来する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、利用可能なアライメントツール(本明細書で記載されるBLASTツールなど)をたやすく使用して、配列番号1のSARS-CoV-2スパイクタンパク質とアライメントされる。次いで、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が導出され、配列番号1内で同定される残基(例えば、配列番号1の残基498、499、614)とアライメントする/これに対応する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質内のアミノ酸残基は、アライメントを使用して、たやすく同定される。
【0119】
本発明に従うアミノ酸修飾は、関連する開示が、そうでないことを明示的に言明しない限りにおいて、置換、欠失、添加、または翻訳後修飾を含む他の修飾などの突然変異でありうる。好ましくは、前記修飾は、アミノ酸置換である。言い換えれば、SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、指定された位置におけるアミノ酸は、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が由来する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、この位置に存在するアミノ酸と異なる、天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸により置換されている。代替的に、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、指定された位置におけるアミノ酸は、翻訳後において修飾される。翻訳後修飾は、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脱アミノ化、リン酸化、イソプレニル化、グリコシルホスファチジルイノシトール化、および当業者に公知のさらなる修飾を含む。
【0120】
本明細書で記載される、1つまたはそれ以上のアミノ酸位置の修飾は、例えば、特異的突然変異誘発、または当技術分野で公知である、他の任意の方法により実施される。
【0121】
1つまたはそれ以上のアミノ酸位置が、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が由来する、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質と比べて置換されている場合、置換は、保存的置換の場合もあり、非保存的置換の場合もあり、好ましくは、非保存的置換でありうる。
【0122】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、典型的に、配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれとアライメントする、各アミノ酸位置における修飾を含む。典型的に、配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614、またはこれらの任意の組合せに対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置のうちの1つまたはそれ以上における修飾は、突然変異、好ましくは、置換である。一部の、特に好ましい実施形態では、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれとアライメントする、各アミノ酸位置における置換を含む。
【0123】
配列番号1のアミノ酸位置498に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、チロシン残基またはヒスチジン残基により置換されている。
【0124】
配列番号1のアミノ酸位置499に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、トレオニン残基により置換されている。
【0125】
配列番号1のアミノ酸位置614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されている。
【0126】
これらの置換の任意の組合せは、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に含まれる。例えば、(i)配列番号1のアミノ酸位置498に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、チロシン残基により置換されている場合があり、配列番号1のアミノ酸位置499に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、トレオニン残基により置換されているか;(ii)配列番号1のアミノ酸位置498に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、チロシン残基により置換されている場合があり、配列番号1のアミノ酸位置614に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されているか;(iii)配列番号1のアミノ酸位置499に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、トレオニン残基により置換されている場合があり、配列番号1のアミノ酸位置614に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されているか;または(iv)配列番号1のアミノ酸位置498に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、チロシン残基により置換されている場合があり、配列番号1のアミノ酸位置499に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、トレオニン残基により置換されている場合があり、配列番号1のアミノ酸位置614に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されている。好ましくは、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれらとアライメントする各アミノ酸位置におけるアミノ酸置換を含み、この場合、配列番号1のアミノ酸位置498に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、チロシン残基により置換され、配列番号1のアミノ酸位置499に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、トレオニン残基により置換され、配列番号1のアミノ酸位置614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されている。
【0127】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、突然変異である、(i)Q498Y;(ii)P499T;もしくは(iii)D614G;またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたはそれ以上を含みうる。本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、突然変異であるQ498YおよびP499T、突然変異であるQ498YおよびD614G、突然変異であるP499TおよびD614GまたはQ498Y、P499T、およびD614Gを含みうる。
【0128】
本発明はまた、(a)配列番号1の614位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;(b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失;ならびに(c)(i)配列番号1の498および499位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異;ならびに/または(ii)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を含む、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質も提供する。疑念の回避のために述べると、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質と関連する、本明細書における全ての開示は、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に、同等に、かつ、留保なしに当てはまる。非限定例を目的として述べると、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、本明細書で記載される、1つもしくはそれ以上のさらなる突然変異を含む場合があり、かつ/または細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、本明細書で記載される欠失でありうる。
【0129】
本発明者らは、マウス馴化SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターの作出に成功した、最初の発明者である。したがって、本発明は、マウスACE2を介して、細胞への侵入を可能とする、SARS-CoV-2スパイクタンパク質内における、1つまたはそれ以上の突然変異を含む、レンチウイルスベクターを提供する。したがって、本発明はまた、(a)配列番号1のアミノ酸位置498および499に対応するか、またはこれとアライメントする、各アミノ酸位置における修飾;ならびに(b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失を含む、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質も提供する。前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、本明細書で記載される、1つまたはそれ以上のさらなる突然変異を含みうる。非限定例を目的として述べると、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、本明細書で記載される、1つもしくはそれ以上のさらなる突然変異を含む場合があり、かつ/または細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、本明細書で記載される欠失でありうる。
【0130】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、突然変異、典型的に、配列番号1のアミノ酸位置498もしくは499に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の代わりに、または配列番号1のアミノ酸位置498および/もしくは499に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における突然変異に加えて、配列番号1のアミノ酸位置493に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換を含みうる。配列番号1のアミノ酸位置493に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、リシン残基により置換されている場合がある。配列番号1のアミノ酸位置498、499、および/もしくは614、またはこれらの任意の組合せにおける突然変異を含む、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に関する、本明細書における任意の開示は、配列番号1のアミノ酸位置493に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置において突然変異を含む、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に、同等に、かつ、留保なしに当てはまる。非限定例を目的として述べると、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、(i)配列番号1のアミノ酸位置493および498;(ii)配列番号1のアミノ酸位置493および499;(iii)配列番号1のアミノ酸位置493および614;(iv)配列番号1のアミノ酸位置493、498、および499;(v)配列番号1のアミノ酸位置493、498、および614;(vi)配列番号1のアミノ酸位置493、499、および614;または(vii)配列番号1のアミノ酸位置493、498、499、および614における突然変異を有しうる。前記組合せはまた、C末端欠失、および/または本明細書で記載される、他の任意の突然変異もしくは置換も含みうる。
【0131】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、典型的に、それが由来する、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質と比較して、C末端欠失を含む。C末端欠失は、典型的に、スパイクタンパク質の、細胞質テールのうちの少なくとも一部を欠失させる。Wuhan-Hu-1株の、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞質テールは、配列番号1のアミノ酸残基1235~1273に対応する。他のSARS-CoV-2株に由来する、スパイクタンパク質の細胞質テールは、典型的に、Wuhan-Hu-1株の、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞質テールに対応するか、またはこれとアライメントする。
【0132】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、それが由来する、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質と比較して、少なくとも10のアミノ酸、少なくとも15のアミノ酸、少なくとも16のアミノ酸、少なくとも17のアミノ酸、少なくとも18のアミノ酸、少なくとも19のアミノ酸、少なくとも20のアミノ酸、またはそれ以上のC末端欠失を含みうる。本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、全細胞質テールのC末端欠失を含みうる。C末端欠失は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞質テール内の、推定小胞体保留シグナル(ERS)のうちの少なくとも一部を欠失させうる。C末端欠失は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞質テール内の、全推定小胞体保留シグナル(ERS)において欠失しうる。一部の好ましい実施形態では、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1のアミノ酸位置1255~1273に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸のC末端欠失を含みうる。
【0133】
典型的に、本発明のレンチウイルスベクターは、(i)配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における修飾(突然変異、特に、置換などの);ならびに(ii)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失の両方を含む、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む。配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における、任意の修飾は、本発明に従う、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、細胞質テールの、任意の欠失または部分的欠失と組み合わせて使用される。特に好ましい実施形態では、本発明のレンチウイルスベクターは、配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換、ならびに細胞質テールの、少なくとも15のアミノ酸の欠失を含み、この場合、なおより好ましくは、欠失は、配列番号1の1255~1273位に対応するか、またはこれとアライメントする。
【0134】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号13に対する、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうるか、またはこれらからなりうる。
【0135】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、それが由来する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質と比較した、1つまたはそれ以上のさらなる修飾、典型的に、1つまたはそれ以上のさらなる突然変異を含みうる。前記1つまたはそれ以上のさらなる突然変異は、アミノ酸置換でありうる。
【0136】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、さらなる修飾、特に、さらなる突然変異であり、なおより特定すると、置換の例は、当技術分野で周知であり、1つまたはそれ以上のさらなる修飾を選択し、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質へと導入することは、当業者の規定の技術範囲内にある。
【0137】
典型的に、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が、1つまたはそれ以上のさらなる修飾を含む場合、前記1つまたはそれ以上のさらなる修飾は、配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における修飾を含むか、またはこれらからなる。配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における前記修飾は、典型的に、突然変異である。配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における前記突然変異は、非保存的アミノ酸置換または保存的アミノ酸置換である、アミノ酸置換でありうる。一部の好ましい実施形態では、配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における前記置換は、非保存的アミノ酸置換であり、チロシンによる置換が、特に、好ましい。したがって、一部の好ましい実施形態では、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換を含むか、またはこれらからなる、1つまたはそれ以上のさらなるアミノ酸修飾を含み、この場合、配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、チロシン残基により置換されている。
【0138】
したがって、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、N501Yを含む、1つまたはそれ以上のさらなる修飾を含みうる。
【0139】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に含まれうるアミノ酸修飾の、他の非限定例は、配列番号1の残基5、69、70、80、95、142、144、154、157、215、241、242、243、253、346、417、452、477、478、484、494、570、981、701、716、859、950、951、957、982、1071、1118、および1191、またはこれらの任意の組合せに対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置のうちのいずれか1つにおける修飾を含む。特に、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に含まれうるアミノ酸修飾の、他の非限定例は、配列番号1のアミノ酸位置5に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置5に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、フェニルアラニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置69に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における欠失;配列番号1のアミノ酸位置70に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における欠失;配列番号1のアミノ酸位置80に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置80に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基もしくはアラニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置95に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置95に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、イソロイシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置142に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置142に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置144に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換もしくは欠失;配列番号1のアミノ酸位置154に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置154に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、リシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置157に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置157に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、セリン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置215に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置215に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置241に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における欠失;配列番号1のアミノ酸位置242に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における欠失;配列番号1のアミノ酸位置243に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における欠失;配列番号1のアミノ酸位置253に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置253に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、グリシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置346に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置346に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、リシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置417に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置417に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アスパラギンもしくはトレオニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置452に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置452に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アルギニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置477に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置477に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アスパラギン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置478に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置478に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、リシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置484に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置484に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、リシンもしくはグルタミン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置494に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置494に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、プロリン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置570に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置570に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置618に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置618に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アルギニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置681に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置681に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、ヒスチジン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置701に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置701に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、バリン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置716に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置716に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、イソロイシン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置859に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置859に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アスパラギン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置950に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置950に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、ヒスチジン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置957に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置957に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アルギニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置982に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置982に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アラニン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置1071に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置1071に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、ヒスチジン残基により置換されている置換;配列番号1のアミノ酸位置1118に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置1118に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、ヒスチジン残基により置換されている置換;または配列番号1のアミノ酸位置1191に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換であって、配列番号1のアミノ酸位置1191に対応するか、もしくはこれらとアライメントするアミノ酸残基は、アスパラギン残基により置換されている置換;またはこれらの任意の組合せを含む。
【0140】
したがって、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、したがって、L5F、T19R、69del、V70F、70del、G75V、T76I、D80G/A、T95I、G142D、Y144Xもしくは144del、E154K、E156-、F157-、F157S、R158G、D215G、A222V、241del、242del、243del、246-252del、D253G、W258L、R346K、K417N/T、L452Q/R、S477N、T478K、E484K/Q、F490S、S494P、A570D、P618R、P681H、A701V、T716I、T859N、D950N/H、Q957R、S982A、Q1071H、D1118H、もしくはK1191N、またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたはそれ以上を含む、1つまたはそれ以上のさらなる修飾を含みうる。
【0141】
本発明のレンチウイルスベクターは、(i)配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における修飾(突然変異、特に、置換などの);(ii)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失;ならびに(iii)配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における修飾(突然変異、特に、置換などの)を含む、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含みうる。配列番号1のアミノ酸位置498、499、および614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における、任意の修飾は、本発明に従う、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、細胞質テールの、任意の欠失または部分的欠失、および配列番号1のアミノ酸位置501に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における、任意の修飾と組み合わせて使用される。特に好ましい実施形態では、本発明のレンチウイルスベクターは、配列番号1のアミノ酸位置498、499、501、および614に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸位置における置換、ならびに細胞質テールの、少なくとも15のアミノ酸の欠失を含み、この場合、なおより好ましくは、欠失は、配列番号1の1255~1273位に対応するか、またはこれとアライメントする。
【0142】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号20に対する、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうるか、またはこれらからなりうる。
【0143】
一部の実施形態では、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1のアミノ酸位置614(本明細書で記載される)に対応するか、またはこれらとアライメントする位置における突然変異を含む場合があり、この場合、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、B.1.351株のスパイクタンパク質(ベータ変異株)に由来する。好ましくは、本発明のこのような改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失(本明細書で記載される)、より好ましくは、細胞質テールの、少なくとも15のアミノ酸の欠失をさらに含み、この場合、なおより好ましくは、欠失は、配列番号1の1255~1273位に対応するか、またはこれとアライメントする。本発明は、D80A、D215G、K417N、E484K、N501Y、D614G、A701V、および配列番号1の1255~1273位に対応するか、またはこれとアライメントするC末端欠失を含む、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を提供する。このような改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、典型的に、B.1.351株のスパイクタンパク質(ベータ変異株)に由来する。本明細書で例示される通り、このような改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、in vivoの肺内における、トランス遺伝子発現の、さらなる増大をもたらしうる。
【0144】
したがって、本発明は、改変2型重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターであって、プロモーターに作動可能に連結されたトランス遺伝子を含み、前記スパイクタンパク質は、(a)配列番号1の80、215、417、484、501、614、および701位のうちの1つまたはそれ以上に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異であって、好ましくは、これらの残基全ては、突然変異された突然変異;および(b)細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失を含む、レンチウイルスベクターを提供する。前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、B.1.351株のスパイクタンパク質に由来しうる。一部の実施形態では、(i)配列番号1の80位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、アラニンにより置換され;(ii)配列番号1の215位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換され;(iii)配列番号1の417位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、アスパラギンにより置換され;(iv)配列番号1の484位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、リシンにより置換され;(v)配列番号1の501位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、チロシンにより置換され;(vi)配列番号1の614位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、グリシンにより置換され;かつ/または(vii)配列番号1の701位に対応するか、もしくはこれとアライメントするアミノ酸は、バリンにより置換され;この場合、好ましくは、これらの残基全ては置換されている。代替的に、または加えて、細胞質テールのうちの少なくとも一部の欠失は、配列番号1の1255~1273位に対応するか、またはこれらとアライメントするアミノ酸残基の欠失を含むか、またはこれらからなる。
【0145】
本明細書で記載される通り、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、齧歯動物馴化型、特に、マウス馴化型である。本明細書で使用される、「齧歯動物馴化型」という用語は、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が、齧歯動物ACE2に結合することが可能であり、齧歯動物ACE2を発現する、標的齧歯動物細胞への侵入を容易とすることを意味する。同様に、「マウス馴化型]とは、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、マウスACE2に結合することが可能であり、マウスACE2を発現する、標的マウス細胞への侵入を容易とすることを意味する。マウス馴化を決定するための方法は、本明細書の実施例に記載されているアッセイなど、マウス細胞への形質導入を決定/定量するためのアッセイを含む。当技術分野では、他の適切な技法が公知であり、不要な負担を伴わずに、当業者により、たやすく選択および使用される。
【0146】
本発明の偽型化レンチウイルスベクター内に含まれる、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、齧歯動物/マウス馴化は、調査研究、例えば、本明細書で記載される、齧歯動物/マウス細胞もしくは齧歯動物/マウス組織を使用する、in vitroアッセイおよび/もしくはex vivoアッセイ、またはin vivo齧歯動物/マウスモデルにおける使用のための、本発明の偽型化レンチウイルスベクターの柔軟性の増大を可能とする。
【0147】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、典型的に、ヒトACE2、特に、ヒトACE2の酵素ドメインに結合することが可能であり、ヒトACE2を発現する、標的ヒト細胞への侵入を容易とする。典型的に、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、齧歯動物/マウス馴化型であることに加えて、ヒトACE2、特に、ヒトACE2の酵素ドメインに結合することが可能である。当技術分野では、結合について評価するための標準的技法(表面プラズモン共鳴など)が公知であり、不要な負担を伴わずに、当業者により、たやすく使用される。
【0148】
本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体により検出される。言い換えれば、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する抗体に結合しうる/これにより認識される。これは、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する中和抗体により中和されることとして記載される。非限定例を目的として述べると、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、MM43抗体および/またはR001抗体(いずれも、SinoBiological:R001=型番:40592-R001、MM43=型番:40591-MM43から入手可能である)に結合する/これらにより検出/認識される。
【0149】
代替的に、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体により検出されない。言い換えれば、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する抗体に結合しえない/これにより認識されない。これは、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する中和抗体による中和から逃避する、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質として記載される。非限定例を目的として述べると、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、MM43抗体および/またはR001抗体に結合しえない/これにより検出/認識されない。好ましくは、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体により検出されない。したがって、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化された、本発明のレンチウイルスベクターは、偽型化レンチウイルスベクターの、前記個体への投与後における個体の免疫系を回避することが可能であり、対応する非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターと比較して、より効果的であり、かつ/またはより長期にわたり、個体の内部に存続する。
【0150】
中和、または本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質による中和からの逃避は、非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する、特定の抗体に特異的でありうる。非限定例を目的として述べると、SARS-CoV-2のB.1.1.7株に由来する、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、MM43による中和から逃避しうるが、R001による中和からは逃避しえない。さらなる非限定例を目的として述べると、SARS-CoV-2のB.1.351株に由来する、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、R001による中和から逃避しうるが、MM43による中和からは逃避しえない。
【0151】
ポリヌクレオチドおよび構築物
本発明はまた、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするポリヌクレオチドも提供する。「ポリヌクレオチド」という用語は、DNA配列およびRNA配列の両方を包含する。
【0152】
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質の組換え発現のために使用される。
【0153】
本発明のポリヌクレオチドは、場合により、特定の細胞型、例えば、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞または植物細胞)、または原核細胞(例えば、大腸菌)における発現のために、コドン最適化される。「コドン最適化」という用語は、ベースのポリヌクレオチド配列内における、少なくとも1つのコドンの、ポリヌクレオチドが発現される宿主生物により優先的に使用されるコドンによる置きかえを指す。典型的に、宿主生物において、最も高頻度で使用されるコドンが、コドン最適化ポリヌクレオチド配列内で使用される。当技術分野では、コドン最適化の方法が周知である。
【0154】
当業者により、遺伝子コードの縮重性の結果として、多数の異なるポリヌクレオチドが、同じポリペプチドをコードしうることが理解されるであろう。当業者は、規定の技法を使用して、ポリペプチドが発現される、任意の特定の宿主生物のコドン使用を反映するように、核酸分子によりコードされるポリペプチド配列に影響を及ぼさないヌクレオチド置換を行いうることもまた理解される。したがって、そうでないことが指定されない限りにおいて、「本発明のタンパク質または免疫原性断片をコードするポリヌクレオチド」は、互いの縮重形であり、同じアミノ酸配列をコードする、全てのポリヌクレオチド配列を含む。
【0155】
本発明はまた、プロモーターに作動可能に連結された、本発明のポリヌクレオチドを含む発現カセットも提供する。プロモーターの選出は、ポリヌクレオチドの最終的発現が、どこでなされるのかに依存するであろう。一般に、構成的プロモーターが好ましいが、誘導可能なプロモーターも同様に使用される。当技術分野では、適切なプロモーター配列が周知であり、本明細書でも、例が記載される。
【0156】
発現カセットは、DNAプラスミドなどのDNAの場合もあり、mRNAベクターまたは自己増幅RNAベクターなどのRNAベクターの場合もある。本発明の発現カセットは、真核細胞内および/または原核細胞内の発現が可能でありうる。
【0157】
ポリヌクレオチドまたは発現カセットはまた、適切なターミネーター配列も含みうる。当技術分野では、適切なターミネーター配列が周知である。
【0158】
本発明のポリヌクレオチドおよび発現カセットは、当技術分野で公知である、任意の適切な工程を使用して作製される。したがって、ポリヌクレオチドおよび発現カセットは、化学合成法を使用して作製される。代替的に、本発明のポリヌクレオチドおよび発現カセットは、分子生物学法を使用して作製される。
【0159】
本発明のポリヌクレオチドおよび発現カセットは、コンピュータによりデザインされ、次いで、常套的なポリヌクレオチド合成法により合成される。
【0160】
作製法
本発明はまた、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを作製する方法も提供する。
【0161】
したがって、本発明は、本明細書で記載されるレンチウイルスベクターを作製する方法であって、(a)(i)本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列;および(ii)レンチウイルスパッケージング構成要素、レンチウイルスエンベロープ構成要素、およびレンチウイルスゲノムをコードする、1つまたはそれ以上の核酸配列を、ウイルスベクター産生細胞へと導入する工程;ならびに(b)レンチウイルスベクターの産生に適する条件下で、産生細胞を培養する工程を含む方法を提供する。前記方法は、レンチウイルスベクターを採取する工程をさらに含みうる。
【0162】
改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列は、本発明のポリヌクレオチドまたは発現構築物に含まれる。
【0163】
前記方法は、コドン最適化gag-pol遺伝子の使用を含みうる。典型的に、本発明の作製法において使用される、コドン最適化gag-pol遺伝子は、作製されるレンチウイルスベクターとマッチさせられる。非限定例を目的として述べると、レンチウイルスベクターが、HIVベクターである場合、本発明の作製法において使用される、コドン最適化gag-pol遺伝子は、HIV gag-pol遺伝子である。非限定例を目的として述べると、レンチウイルスベクターが、SIVベクターである場合、本発明の作製法において使用される、コドン最適化gag-pol遺伝子は、SIV gag-pol遺伝子である。
【0164】
コドン最適化に加えて、本発明の作製法において使用される、コドン最適化gag-pol遺伝子は、翻訳スリップ(GagおよびPolの両方の産生を可能とするように、翻訳が、1つの領域から、別の領域へとスリップすることを可能とする)など、他の修飾を含みうる。(i)RCL産生の危険性を最小化するように、ベクターゲノムプラスミドと、Gag-Polプラスミドとの相同性が低減され、(ii)コドン最適化の後、RREの組入れがなされなくても、十分なGag-Polの産生がなされる(これは、相同性およびRCL産生の危険性をさらに低減する)ことを条件として、本発明のコドン最適化gag-pol遺伝子内では、コドン使用の、任意の適切な変異が使用される。
【0165】
本発明の作製法において使用される、コドン最適化gag-pol遺伝子は完全に(100%)コドン最適化される場合もあり、部分的にコドン最適化される場合もある。部分的コドン最適化は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上のコドン最適化を包含する。
【0166】
好ましくは、gag-pol遺伝子自体は、完全にコドン最適化されるが、非コドン最適化配列の非含有領域を含みうる(例えば、gag遺伝子と、pol遺伝子との間に)。非限定例を目的として述べると、gag遺伝子と、pol遺伝子との間の、リーディングフレームの翻訳スリップを維持するために、翻訳スリップ配列の近傍の領域は、コドン最適化されない場合がある(例えば、正確な翻訳スリップ配列が、この機能のために重要である場合)。
【0167】
本発明の方法は、スケーラブルなGMP適合法でありうる。したがって、本発明の方法は、典型的に、高力価の精製偽型化レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの作出を可能とする。
【0168】
典型的に、本明細書で記載される、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内のC末端欠失は、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と少なくとも同等である、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクター力価の産出と関連する。本明細書で使用される、「同等」という用語は、C末端欠失の使用が、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)の使用と比較して、著明に低下させないように規定される。非限定例を目的として述べると、C末端欠失の使用は、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)の使用と比較して、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価の、2分の1以下、1.5分の1以下、1.0分の1以下、0.5分の1以下、0.25分の1以下、またはこれ未満であるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を産出しうる/これと関連しうる。「同等」という用語は、C末端欠失を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価が、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と比較して、統計学的に無変化(例えば、p<0.05、p<0.01)であるように規定される。
【0169】
特に、本明細書で記載される、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内のC末端欠失は、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)により偽型化されたレンチウイルスベクターと比較した、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターの力価の増大を産出しうる/これと関連しうる。
【0170】
好ましくは、C末端欠失の使用は、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と比較して増大した、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を産出する/これと関連する。レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価は、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価の、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍以上の力価でありうる。
【0171】
当技術分野で記載される通り、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の組入れは、これらの突然変異を伴わない、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質と比較した、力価生産の低下と関連している。しかし、発明者らは、驚くべきことに、SARS-CoV-2スパイクタンパク質による、一部のS-LV、特に、当技術分野で、妥当な力価の産出が困難であることが公知のS-LV(例えば、SARS-CoV-2のAUS/VIC1株)について、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の組入れは、驚くべきことに、S-LV力価を増大させることを示した。配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の組入れによる、S-LV力価の、このレスキューは、本明細書で記載されるC末端欠失により、さらに増大する。したがって、本発明に従い、本明細書で記載される、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異は、これらの位置の一方または両方における突然変異を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して産出される、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と、少なくとも同等である、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクター力価の産出と関連する。本明細書で使用される、「同等」という用語は、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の使用が、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)の使用と比較して、著明に低下させないように規定される。非限定例を目的として述べると、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の使用は、これらの突然変異を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)の使用と比較して、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価の、2分の1以下、1.5分の1以下、1.0分の1以下、0.5分の1以下、0.25分の1以下、またはこれ未満であるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を産出しうる/これと関連しうる。「同等」という用語は、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価が、これらの突然変異を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と比較して、統計学的に無変化(例えば、p<0.05、p<0.01)であるように規定される。
【0172】
特に、本明細書で記載される、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異は、これらの突然変異を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)により偽型化されたレンチウイルスベクターと比較した、前記改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質により偽型化されたレンチウイルスベクターの力価の増大を産出しうる/これと関連しうる。この力価の改善は、特に、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質が、本明細書で記載および例示される、Australia/VIC01/2020(Aus/VIC01)株など、妥当な力価で作製することが、従来困難である株に由来する場合に観察される。
【0173】
好ましくは、配列番号1の498および499位に対応するか、またはこれとアライメントするアミノ酸位置における突然変異の使用は、これらの突然変異を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と比較して増大したる、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を産出する/これと関連する。レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価は、これらの突然変異を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して作製されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価の、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍以上の力価でありうる。
【0174】
典型的に、本発明の方法により、または本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/もしくは宿主細胞を使用して得られるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターなど、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、高力価で作製される。特に、本明細書で記載されるC末端欠失を含む、本発明のレンチウイルスベクターは、高力価で作製される。力価は、本明細書で規定される、形質導入単位を単位として測定される。本明細書で記載される通り、本発明のレンチウイルス(例えば、SIV/HIV)ベクター、特に、本明細書で記載されるC末端欠失を含むレンチウイルスベクターは、対応する非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、対応するレンチウイルスベクターと同等以上の力価で作製される。特に、本明細書で記載されるC末端欠失を伴う、SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、本発明のレンチウイルスベクターは、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)で偽型化された、対応するレンチウイルスベクターと同等以上の力価で作製される。したがって、本発明の方法により、または本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/もしくは宿主細胞を使用して得られるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターなど、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、場合により、少なくとも約2.0×10IU/mL、少なくとも約2.5×10IU/mL、少なくとも約3.0×10IU/mL、少なくとも約3.5×10IU/mL、少なくとも約3.7×10IU/mL、少なくとも約4.0×10IU/mL、少なくとも約4.2×10IU/mL、少なくとも約4.5×10IU/mL、少なくとも約5.0×10IU/mL、少なくとも約5.5×10IU/mL、少なくとも約5.7×10IU/mL、少なくとも約6.0×10IU/mL、少なくとも約6.1×10IU/mL、少なくとも約6.2×10IU/mLまたはそれ以上の力価でありうる。好ましくは、レトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターは、少なくとも約3.0×10IU/mL、少なくとも約4.0×10IU/mL、または少なくとも約6.0×10IU/mLの力価で作製される。
【0175】
本発明の方法は、産生細胞内で、SARS-CoV-2核タンパク質を共発現させる工程を含みうる。本明細書で例示される通り、SARS-CoV-2核タンパク質の共発現は、S-LV産生力価をさらに増大させうる。好ましくは、SARS-CoV-2核タンパク質の共発現は、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して産出された、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と比較して、増大した、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を産出する/これと関連し、この場合、前記方法は、SARS-CoV-2核タンパク質の共発現を含まない。レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価は、SARS-CoV-2核タンパク質の共発現を含まない方法により作製される、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)を使用して産出された、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価の、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも4倍、少なくとも5倍以上でありうる。
【0176】
典型的に、SARS-CoV-2核タンパク質は、産生細胞の培養時に共発現される。SARS-CoV-2核タンパク質をコードする核酸配列は、(i)改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列と同じ、ポリヌクレオチド分子または発現構築物、および/もしくはS-LVベクターを作製するのに必要とされる、他の構成要素のうちのいずれか、または(ii)1つもしくはそれ以上の個別のポリヌクレオチド分子または発現構築物に含まれる。
【0177】
SARS-CoV-2核タンパク質は、本明細書で開示されるSARS-CoV-2株など、任意のSARS-CoV-2株に由来しうる。好ましくは、SARS-CoV-2核タンパク質は、Wuhan-Hu-1株またはB.1.1.529(オミクロン)株に由来する。
【0178】
本発明に従う、高力価レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)ベクターの作製は、結果として得られるベクター産物に対して、他の所望の特性を付与しうる。例えば、理論に束縛されずに述べると、TFFなどの方法による、高度の濃縮を必要としない、高力価における作製は、対応する非改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質、またはC末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)で偽型化された、対応するレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクターより高品質のベクター産物を結果としてもたらすと考えられる。理論に束縛されずに述べると、高力価で、かつ、高度の濃縮を必要とせずに作製されるベクターは、ウイルス粒子およびそれらのRNAカーゴを損傷しうるせん断力に対する曝露が小さいと考えられる。
【0179】
本発明はまた、SARS-CoV-2スパイクタンパク質偽型化レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)ベクターの力価を増大させる方法であって、SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の、C末端欠失の使用を含む方法も提供する。本発明に従う、レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)ベクター力価を増大させる、前記方法は、力価を、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)で偽型化された、対応するレンチウイルスベクターの産出と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、もしくは少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、またはそれ以上増大させうる。代替的に、本発明に従う、レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)力価を増大させる方法は、力価を、C末端欠失を欠く、対応するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(改変または非改変)で偽型化された、対応するレンチウイルスベクターの産出と比較して、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約500%またはそれ以上増大させうる。好ましくは、本発明に従う、レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)力価を増大させる方法は、力価を、(a)少なくとも5倍もしくは少なくとも10倍;かつ/または(b)少なくとも約100%、より好ましくは、少なくとも約200%、なおより好ましくは、少なくとも約300%増大させうる。典型的に、対応するレンチウイルスベクター/SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、それが、C末端欠失を欠くことを除き、本発明のレンチウイルスベクター/SARS-CoV-2スパイクタンパク質と同一である。レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)ベクターを作製する方法と関連する、本明細書における全ての開示は、本発明の、レンチウイルス(例えば、SIV/HIV)力価を増大させる方法に、同等に、かつ、留保なしに当てはまる。
【0180】
レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの作製は、典型的に、ベクターの作製に必要とされるエレメント:レトロウイルス/レンチウイルスベクターのためのゲノム、Gag-Pol、Rev、SARS-CoV-2スパイクタンパク質をもたらす、1つまたはそれ以上のプラスミドを利用する。複数のエレメントは、単一のプラスミド上にもたらされる。好ましくは、ベクターゲノム、Gag-Pol、Rev、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の各々について、それぞれ、1つずつ、4つのプラスミドが存在するように、各エレメントは、個別のプラスミド上にもたらされる。
【0181】
代替的に、単一のプラスミドが、Gag-PolエレメントおよびRevエレメントをもたらす場合があり、パッケージングプラスミド(pDNA2)と称される。4つのプラスミドが、本発明に従うレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの作製のために使用されるように、個別のプラスミド(それぞれpDNA1およびpDNA3)によって、残りのエレメント(ゲノム、SARS-CoV-2スパイクタンパク質)がもたらされる。3プラスミド法でも、pDNA1およびpDNA3は、本明細書の、4プラスミド法の文脈で記載される通りでありうる。
【0182】
本発明の、好ましい4プラスミド法では、ベクターゲノムプラスミドは、最終的なレンチウイルスベクターへとパッケージングされ、トランス遺伝子を含む、全ての遺伝物質をコードする。典型的に、ベクターゲノムプラスミド内で見出される、遺伝物質の一部だけが、ウイルスにとどまる。本明細書では、ベクターゲノムプラスミドは、「pDNA1」としてデザインされ、典型的に、トランス遺伝子、およびトランス遺伝子プロモーターを含む。
【0183】
他の3つのプラスミドは、Gag-Pol、Rev、およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする、製造用プラスミドである。これらのプラスミドは、それぞれ、「pDNA2a」、「pDNA2b」、および「pDNA3」と名指される。
【0184】
本発明の4プラスミド法では、4つのプラスミド全ては、最終的なレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの形成に寄与する。レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの製造時において、ベクターゲノムプラスミド(pDNA1)は、典型的に、ウイルスの量産に重要である、エンハンサー/プロモーター、Psi、RRE、cPPT、mWPRE、SIN LTR、polyA(例えば、SV40 polyA)をもたらす。RRE、cPPT、プロモーター、トランス遺伝子、およびmWPREは、典型的に、最終的なレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクター内で見出される。SIN LTR(long terminal repeats;SIN/IN自己不活化型)およびPsi(パッケージングシグナル)は、最終的なレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクター内で見出される。
【0185】
pDNA3に由来するSARS-CoV-2スパイクタンパク質は、標的細胞への、最終的なレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの感染、すなわち、患者の上皮細胞(典型的に、本明細書で記載される、肺細胞または鼻腔細胞)への侵入のために重要である。pDNA2aプラスミドおよびpDNA2bプラスミドの産物は、ウイルスによる形質導入のために、すなわち、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)DNAを、宿主のゲノムに挿入するために重要である。プロモーター、調節エレメント(WPREなど)、およびトランス遺伝子は、標的細胞(複数可)内における、トランス遺伝子の発現のために重要である。
【0186】
本発明の方法は、以下の工程:(a)細胞を、懸濁液中で増殖させる工程;(b)細胞に、1つまたはそれ以上のプラスミドをトランスフェクトする工程;(c)ヌクレアーゼを添加する工程;(d)レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)を採取する工程;および(e)レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)の精製を含みうるか、またはこれらからなりうる。本発明の方法は、以下の工程:(a)細胞を、懸濁液中で増殖させる工程;(b)細胞に、1つまたはそれ以上のプラスミドをトランスフェクトする工程;(c)ヌクレアーゼを添加する工程;(d)レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)を採取する工程;(e)トリプシンを添加する工程;および(f)レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)の精製を含みうるか、またはこれらからなりうる。
【0187】
本方法は、本明細書で記載される、4プラスミドシステムまたは3プラスミドシステムを使用しうる。したがって、好ましい4プラスミド法のために、1つまたはそれ以上のプラスミドは、ベクターゲノムプラスミドであるpDNA1;galpolプラスミド(コドン最適化される場合がある)であるpDNA2a;RevプラスミドであるpDNA2b;およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質プラスミドであるpDNA3を含みうるか、またはこれらからなりうる。
【0188】
ベクターゲノムプラスミド:gagpolプラスミド:Revプラスミド:SARS-CoV-2スパイクタンパク質プラスミドの、任意の適切な比は、産出されるレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)力価を、さらに最適化する(増大させる)のに使用される。適切な比は、当業者によりたやすく決定される。非限定例を目的として述べると、20:9:6:12の比が使用される。
【0189】
方法の工程(a)~(f)は、典型的に、工程(a)に始まり、工程(f)まで通して引き継ぎながら、逐次的に実行される。方法は、さらなる精製工程、緩衝剤交換、精製の後における、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの濃縮、および/または精製(または濃縮)の後における、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの製剤化など、1つまたはそれ以上のさらなる工程を含みうる。工程の各々は、1つまたはそれ以上の部分工程を含みうる。例えば、採取する工程は、1つもしくはそれ以上の工程もしくは部分工程を伴う場合があり、かつ/または精製は、1つもしくはそれ以上の工程もしくは部分工程を伴いうる。
【0190】
任意の適切な細胞型は、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを作製するための、1つまたはそれ以上のプラスミドをトランスフェクトされる。典型的に、哺乳動物細胞、特に、ヒト細胞系が使用される。本発明の方法における使用に適する細胞の非限定例は、HEK293細胞(HEK293F細胞またはHEK293T細胞など)および293T/17細胞である。ウイルスの産生に適する、市販の細胞系もまた、たやすく利用可能である(例えば、Gibco Viral Production Cells:ThermoFisher Scientific製;型番:A35347)。
【0191】
細胞は、血清非含有培地を含む、動物成分非含有培地中で増殖させる。細胞は、ヒト成分を含有する培地中で増殖させる。細胞は、合成作製成分を含むか、またはこれらからなる、既知組成培地中で増殖させる。
【0192】
本発明に従い、任意の適切なトランスフェクション手段が使用される。適切なトランスフェクション手段の選択は、当業者の規定の慣行の範囲内にある。非限定例を目的として述べると、トランスフェクションは、PEIPro(商標)、Lipofectamine2000(商標)、またはLipofectamine3000(商標)の使用により実行される。
【0193】
任意の適切なヌクレアーゼは、本発明に従い使用される。適切なヌクレアーゼの選択は、当業者の規定の慣行の範囲内にある。典型的に、ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼである。非限定例を目的として述べると、ヌクレアーゼは、Benzonase(登録商標)またはDenarase(登録商標)でありうる。ヌクレアーゼの添加は、採取前段階における添加の場合もあり、採取後段階における添加の場合もあり、採取する工程の間における添加の場合もある。
【0194】
使用される場合、トリプシン活性は、好ましくは、動物由来酵素非含有である、TrypLE Select(商標)などの組換え酵素によりもたらされる。トリプシンの添加は、採取前段階における添加の場合もあり、採取後段階における添加の場合もあり、採取する工程の間における添加の場合もある。
【0195】
レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを精製するのに、任意の適切な精製手段が使用される。適切な精製工程の非限定例は、デプス/エンド濾過、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)、およびクロマトグラフィーを含む。精製ステップは、典型的に、少なくとも1つのクロマトグラフィー工程を含む。本発明に従い使用される、クロマトグラフィー工程の非限定例は、混合モードサイズ除外クロマトグラフィー(SEC)、および/またはアニオン交換クロマトグラフィーを含む。溶出は、塩勾配の使用を伴って実行される場合もあり、これを伴わずに実行される場合もあり、好ましくは、塩勾配の使用を伴わずに実行される。
【0196】
レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの採取は、トランスフェクションの約12~約144時間後の間、トランスフェクションの約24時間後~約96時間後の間、トランスフェクションの約36時間後~約96時間後の間、トランスフェクションの約54~約84時間後の間、トランスフェクションの約54時間後~約72時間後、またはトランスフェクションの約72時間後~約96時間後の間など、トランスフェクション後の任意の適切な時間の後に実行される。一部の好ましい実施形態では、採取は、トランスフェクションの約72時間後に実行される。
【0197】
本方法は、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを作製するのに使用される。
【0198】
本発明の方法は、高力価レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの作製を容易とするので、コドン最適化gag-pol遺伝子(またはこれらから構成されるか、もしくはこれらからなる核酸もしくはプラスミド)を使用しうる。典型的に、前記コドン最適化gag-pol遺伝子は、本明細書で記載される、コドン最適化gag-pol遺伝子を使用しない、対応する方法により産出される、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と少なくとも同等である、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価を産出するのに使用される。好ましくは、コドン最適化gag-pol遺伝子は、本明細書で記載される、コドン最適化gag-pol遺伝子を使用しない、対応する方法により産出される、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価と比較して増大した、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの力価の産出を可能とする。
【0199】
本発明はまた、(i)本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクター、(ii)本明細書で記載される、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質;(iii)本発明の発現構築物および/もしくは(iii)本発明のポリヌクレオチド;またはこれらの任意の組合せを含む、宿主細胞(ウイルスベクター産生細胞ともまた称される)も提供する。典型的に、宿主細胞は、哺乳動物細胞、特に、ヒト細胞またはヒト細胞系である。宿主細胞の非限定例は、HEK293細胞(HEK293F細胞またはHEK293T細胞など)および293T/17細胞を含む。ウイルスの産生に適する、市販の細胞系もまた、たやすく利用可能である(本明細書で記載される)。本発明の宿主細胞は、ヒトTMPRSS2(hTMPRSS2)、またはその機能的断片を、内因的に発現する場合もあり、外因性の核酸、ベクター、またはプラスミドの導入後に発現する場合もある。発現された、TMPRSS2のアミノ酸配列は、本明細書で記載される通りでありうる。
【0200】
本発明はまた、本発明の方法により、または本発明の発現構築物、ポリヌクレオチド、プラスミド、改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質、および/または宿主細胞を使用することにより得られる、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターも提供する。
【0201】
レンチウイルスパッケージング構成要素、レンチウイルスエンベロープ構成要素、およびレンチウイルスゲノムをコードする、1つまたはそれ以上の核酸配列は、(i)改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする核酸配列と同じ、ポリヌクレオチド分子もしくは発現構築物内、または(ii)1つもしくはそれ以上の個別のポリヌクレオチド分子または発現構築物内に含まれる。本明細書では、本発明の方法における使用のための、例示的なプラスミド系が記載される。
【0202】
ウイルス様粒子
本発明はまた、本明細書で記載される、1つまたはそれ以上の、本発明の改変SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、ウイルス様粒子(VLP)も提供する。
【0203】
本明細書で規定される通り、本発明のVLPは、空レンチウイルス粒子である、すなわち、VLPは、レンチウイルスゲノムを欠く。
【0204】
当技術分野では、VLPを作出するための方法が公知であり(例えば、参照によって、その全体を組み入れる、BruneらSci.Rep.(2016)、19(6):19234を参照されたい)、本発明へと、たやすく適用される。本明細書における、本発明のベクターへの言及は、本発明のVLPにも、同等に当てはまりうる。
【0205】
in vitroモデルおよび動物モデル
本発明はまた、SARS-CoV-2、または他の疾患もしくは障害のための予防法、治療法、およびワクチン戦略の開発における使用に適する、in vitroモデルおよび動物モデルも提供する。
【0206】
本発明は、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを形質導入された、齧歯動物細胞、特に、マウス細胞を含む、in vitroモデルを提供する。このようなモデルは、例えば、所与の抗体は、in vitroにおける、レンチウイルスベクターの、細胞への侵入を防止することが可能であるのかどうかについて評価するのに使用される。
【0207】
本発明はまた、in vivo動物モデル、特に、齧歯動物モデル、とりわけ、マウスモデルも提供する。例えば、候補抗体を発現させるベクターは、マウスへと投与される。前記ベクターを形質導入した後、候補抗体は、in vivoのマウス細胞により作製される。本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターによる、その後の抗原投与は、例えば、所与の抗体は、in vitroにおける、レンチウイルスベクターの、細胞への侵入を防止することが可能であるのかどうかについて評価するのに使用される。
【0208】
治療適応
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明の偽型化レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、典型的に、(i)上皮の完全性を破壊しない気道形質導入;(ii)持続的遺伝子発現;(iii)慢性毒性の欠如;および/または(iv)効率的な反復投与が可能である。好ましくは、治療有効レベルにおける、長期的/持続的な安定的遺伝子発現は、本発明の核酸カセットまたはベクターの反復投与を使用して達成される。代替的に、単回投与は、所望の長期的発現を達成するのに使用される。
【0209】
したがって、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、遺伝子治療において使用されると有利である。したがって、本発明は、疾患を処置または防止する方法における使用のための、本明細書で規定される、核酸カセットまたは遺伝子治療用ベクターを提供する。処置される疾患は、慢性の場合もあり、急性の場合もある。
【0210】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、遺伝子治療において有用である、任意のトランス遺伝子を送達するのに使用される。典型的に、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、気道、呼吸器、または肺の疾患または障害の処置のための遺伝子治療における使用のためのベクターである。
【0211】
例を目的として述べると、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの効率的な気道細胞取込み特性は、それらを、呼吸器(respiratoryまたはrespiratory tract)疾患、特に、遺伝性呼吸器疾患の処置に高度に適切とする。特に、かつ、理論に束縛されずに述べると、SARS-CoV-2により偽型化されたレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターが、肺のATII細胞内において豊富であるACE2に結合することを踏まえると、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、ATII細胞内で、治療用タンパク質を発現させるのに使用される。このような治療用タンパク質の非限定例は、サーファクタントタンパク質A1(SP-A1:SFTPA1によりコードされる)、サーファクタントタンパク質A2(SP-A2:SFTPA2によりコードされる)、サーファクタントタンパク質B(SP-B:SFTPBによりコードされる)、サーファクタントタンパク質C(SP-C:SFTPCによりコードされる)、サーファクタントタンパク質D(SP-D:SFTPDによりコードされる)、ABCA3(ATP-binding cassette sub-family member A)、TITF1(thyroid transcription factor 1;NKX2-1(NK2 homeobox 1)によりコードされる)、およびSLC34A2(solute carrier family 34 member 2)のほか、本明細書で開示される、他の治療用タンパク質を含む。SP-A1および/またはSP-A2の発現は、ARDS、COPD、肺線維症(例えば、IPF)、および呼吸器感染症を含む、多数の疾患を処置するのに使用される。SP-Bの発現は、SP-B欠損症(SMDP1(surfactant metabolism dysfunction,pulmonary,1)ともまた称される)を処置するのに使用される。SP-Cの発現は、SP-C欠損症(SMDP2(surfactant metabolism dysfunction,pulmonary,2)ともまた称される)を処置するのに使用される。SP-Dの発現は、呼吸器感染症を処置するのに使用される。ABCA3の発現は、ABCA3欠損症(SMDP3(surfactant metabolism dysfunction,pulmonary,3)ともまた称される)を処置するのに使用される。SLC34A2の発現は、肺胞微石症およびIPFを処置するのに使用される。
【0212】
本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、ATII細胞内で、2つまたはそれ以上の(例えば、約2つ~約10、約2つ~約5つ、2つ、3つ、4つ、または5つの)治療用タンパク質を発現させるのに使用される。本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを使用する、ATII細胞による、2つまたはそれ以上の治療用タンパク質の発現は、2つまたはそれ以上の遺伝子(例えば、約2つ~約10、約2つ~約5つ、2つ、3つ、4つ、または5つの遺伝子)が関与する疾患または障害の処置において、有用な場合がある。例えば、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、SP-A1、SP-A2、SP-B、SP-C、SP-D、ABCA3、TITF1、SLC34A2、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、テロメラーゼRNA構成要素(TERC)、デコリン、TRIM72、GM-CSF、およびGM-CSF受容体(CSF2RAおよびCSF2RBを含む)から選択される、2つまたはそれ以上の(例えば、約2つ~約10、約2つ~約5つ、2つ、3つ、4つ、または5つの)治療用タンパク質を発現させるのに使用される。このような疾患および障害の非限定例は、肺胞タンパク症(PAP;遺伝性PAP(hPAP)および/または後天性PAP(aPAP))および肺線維性疾患(特発性肺線維症(IPF)を含む)を含む。例えば、aPAPの処置は、GM-CSFの発現を含みうる。hPAPの処置は、CSF2RAおよび/またはCSF2RBの発現を含みうる。IPFの処置は、SP-A2、デコリン、TRIM72、TERT、および/またはTERCのうちの1つまたはそれ以上の発現を含みうる。
【0213】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターはまた、治療用タンパク質の分泌を促進する、遺伝子治療法においても使用される。さらなる例を目的として述べると、本発明は、呼吸器の内腔(例えば、肺内腔)および/または循環系への、治療用タンパク質の分泌をもたらす。このような場合、ATII細胞は、目的の標的細胞ではなく、治療用タンパク質は、呼吸器の内腔(例えば、肺内腔)または循環系へと分泌されるので、本発明の核酸カセットおよびベクターによる、ATII細胞への形質導入は、不可欠ではない場合がある。理論に束縛されずに述べると、ATII細胞による、治療用タンパク質の発現が、循環系への分泌に十分に適しうるように、ATII細胞は、典型的に、呼吸器内の内皮細胞と隣接するので、ATII細胞による、治療用タンパク質の発現は、有利でありうる。したがって、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの投与、および気道細胞によるその取込みは、治療用タンパク質を作製し、次いで、治療用タンパク質が分泌され、治療レベルで全身循環に入り、ここで、治療効果を誘発するように、目的の細胞/組織へと移動しうる「工場」としての、肺(または鼻腔または気道)の使用を可能とする場合がある。細胞内タンパク質または膜タンパク質と対照的に、このような分泌型タンパク質の作製は、特異的疾患の標的細胞への形質導入に依存せず、これは、著明な利点であり、高レベルのタンパク質発現を達成する。したがって、心血管疾患、特に、遺伝性心血管疾患または血液障害、特に、凝血不全症など、呼吸器疾患でない、他の疾患もまた、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、SIV/HIV)ベクターにより処置される。
【0214】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターにより発現される、治療用分泌型タンパク質の非限定例は、AAT、第VIII因子、SP-A1、SP-A2、SP-B、SP-C、SP-D、第VII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、フォンヴィレブランド因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、デコリン、抗炎症性タンパク質(例えば、IL-10またはTGFβ)モノクローナル抗体、抗炎症性デコイ、および感染作用物質に対するモノクローナル抗体を含む。
【0215】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターにより発現される、他の治療用タンパク質の非限定例は、CFTR、TRIM72、CSF2RA、ABCA3、TITF1、SLC34A2、TERT、TERC、およびCSF2RBを含む。
【0216】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、疾患の是正のためのトランス遺伝子をもたらすことにより、疾患を、効果的に処置することが可能である。例えば、伏在する突然変異から独立に、CF患者における肺疾患を改善または防止するためのCFTR遺伝子の機能的コピーの挿入。したがって、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、典型的に、本明細書で記載されるCFTRトランス遺伝子を伴う遺伝子治療により、嚢胞性線維症(CF)を処置するのに使用される。
【0217】
さらなる例として述べると、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、典型的に、本明細書で記載される、SFTPBトランス遺伝子を伴う遺伝子治療により、SFTPB(SMDP1(surfactant metabolism dysfunction,pulmonary 1)としてもまた公知である)欠損症を処置するのに使用される。
【0218】
別の例として述べると、本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、典型的に、本明細書で記載される、AATトランス遺伝子(SERPINA1)を伴う遺伝子治療により、アルファ1抗トリプシン(AAT)欠損症を処置するのに使用される。AATは、主に、肝臓内で産生され、次いで、少量で肺へとトラフィッキングされるが、肺自体においてもまた産生される、分泌型抗プロテアーゼである。AATの主要な機能は、好中球エラスターゼに結合し、これを中和/阻害することである。本発明に従うAATによる遺伝子治療は、AAT欠損症患者において妥当であるほか、CFまたは慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、他の肺疾患においても妥当であり、常套的な酵素置換療法(AATが、ヒト血液から単離され、毎週、静脈内投与される)が遭遇する問題の一部を克服する機会を与え、標的組織(肺/経鼻上皮)における、安定的な長期持続性発現、投与の容易さ、および無限のアベイラビリティーをもたらす。
【0219】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターによる形質導入は、組換えタンパク質の、肺内腔ならびに循環への分泌をもたらすことが可能である。このことの1つの利益は、治療用タンパク質が、間質に到達することである。したがって、AATによる遺伝子治療はまた、それらの非限定例が、1型/2型糖尿病、急性心筋梗塞、虚血性心疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、移植拒絶、移植片対宿主(GvH)病、多発性硬化症、肝疾患、肝硬変、血管炎、ならびに細菌感染症および/またはウイルス感染症などの感染症を含む、他の疾患適応においても有益でありうる。
【0220】
AATは、例えば、糖尿病、移植片対宿主病、および炎症性腸疾患の前臨床モデルにおいて、他の多数の抗炎症効果および組織保護効果を及ぼす。したがって、本発明に従う形質導入後の肺および/または鼻腔におけるAATの産生は、これらの適応を含む適応へと、より広く適用可能でありうる。
【0221】
本発明に従う分泌型タンパク質による遺伝子治療で処置される疾患の他の例は、心血管疾患、ならびに血液障害、特に、血友病(A型、B型、またはC型)、フォンヴィレブランド病、および第VII因子欠損症などの凝血不全症を含む。
【0222】
処置される疾患または障害の他の例は、原発性線毛運動障害(PCD)、急性肺損傷、B型サーファクタントタンパク質(SFTB)欠損症、肺胞タンパク症(PAP;遺伝性PAPおよび/または後天性PAP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、SMDP3(pulmonary surfactant metabolism dysfunction 3)もしくは別のサーファクタント欠損症、急性呼吸器逼迫症候群(ARDS)、COVID-19、肺線維性疾患(特発性肺線維症を含む)、肺アレルギー状態、喘息、肺がん、もしくは肺の異形成性変化、血友病、および/またはリソソーム蓄積症もしくは肺細菌感染症、もしくは他の任意の肺疾患もしくは肺障害など、炎症性状態、感染性状態、免疫状態、もしくは代謝性状態を含む。
【0223】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、患者へと投与されると、典型的に、高発現レベルの治療用タンパク質をもたらす。本明細書では、「高度の発現」および「治療的発現」という用語は、互換的に使用される。発現は、任意の適切な方法(定性的方法または定量的方法、好ましくは、定量的方法)により測定され、濃度は、任意の適切な測定単位、例えば、ng/ml単位またはnM単位で与えられる。
【0224】
目的の治療用タンパク質の発現/分泌/膜挿入は、絶対項で与えられる。代替的に、治療用タンパク質の発現/分泌/膜挿入は、相対項で、例えば、外因性シグナルペプチドを伴わないか、または治療用タンパク質の内因性シグナルペプチドを伴う、本発明の対応する核酸カセットまたはベクターによりコードされる、治療用タンパク質の発現/分泌/膜挿入と比べて与えられる場合もあり、対応する内因性(欠損)遺伝子の発現/分泌/膜挿入と比べて与えられる場合もある。
【0225】
発現は、mRNAの発現に関して測定される場合もあり、タンパク質の発現に関して測定される場合もある。機能的CFTR遺伝子など、本発明の治療用タンパク質の発現は、タンパク質濃度、細胞1個当たりのmRNAコピー数、または他の任意の適切な単位に関して、内因性タンパク質、または内因性(機能不全)CFTR遺伝子などの遺伝子と比べて定量される場合もある。治療用タンパク質の分泌および/または膜挿入は、対応する内因性タンパク質の分泌/膜挿入と比べて定量される場合もあり、外因性シグナルペプチドを欠き、かつ/または治療用タンパク質の内因性シグナルペプチドを含む発現カセットを介して導入される、治療用タンパク質の分泌/膜挿入のレベルと比べて定量される場合もある。
【0226】
治療用タンパク質をコードする核酸の発現レベル、および/またはコードされた、本発明の治療用タンパク質の発現/分泌/膜挿入は、該当する場合、ex vivoで(例えば、細胞を培養するのに使用される馴化培地中で、または細胞自体の中で)測定される場合もあり、in vivoで(例えば、肺組織内、上皮被覆液中、および/または血清/血漿中で)測定される場合もある。したがって、高発現レベルおよび/または治療用発現レベルとは、肺内、上皮被覆液中、および/または血清/血漿中の濃度を指す場合がある。
【0227】
本発明の核酸カセットおよびベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの反復投与は、毎日2回、毎日、毎週2回、毎週、毎月、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、6カ月ごと、毎年、2年またはそれ以上ごとに投与される。投与は、要求される限りの期間にわたり、例えば、少なくとも6カ月間、少なくとも1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間、15年間、20年間またはそれ以上にわたり、最長で、処置される患者の生涯にわたり継続される。
【0228】
本発明はまた、本発明の核酸カセットおよびベクターも提供し、特に、遺伝子治療の方法における使用のための、本明細書で記載される、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターも提供し、この場合、前記方法は、(a)ex vivoにおいて、細胞(例えば、気道細胞)へと形質導入して、目的のトランス遺伝子を発現する改変細胞を作製する工程;および(b)結果として得られる改変細胞を投与する工程を含む。
【0229】
本発明は、疾患を処置する方法であって、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを、対象へと投与する工程を含む方法を提供する。本明細書で記載される、任意の疾患は、本発明に従い処置される。特に、本発明は、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを使用して、肺疾患を処置する方法を提供する。処置される疾患は、慢性疾患でありうる。
【0230】
本発明はまた、本発明の核酸カセットまたはベクターも提供し、特に、疾患を処置する方法における使用のための、本明細書で記載される、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターも提供する。本明細書で記載される、任意の疾患は、本発明に従い処置される。特に、本発明は、本発明の核酸カセットまたはベクターも提供し、特に、肺疾患を処置する方法における使用のための、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを提供する。処置される疾患は、慢性疾患でありうる。
【0231】
本発明はまた、本発明の核酸カセットまたはベクターの使用も提供し、特に、疾患を処置する方法における使用のための医薬の製造における、本明細書で記載される、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの使用も提供する。本明細書で記載される、任意の疾患は、本発明に従い処置される。特に、本発明は、本発明の核酸カセットまたはベクターの使用を提供し、特に、肺疾患を処置する方法における使用のための医薬の製造のための、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの使用を提供する。処置される疾患は、慢性疾患でありうる。
【0232】
本発明はまた、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、レンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを含む細胞も提供する。前記細胞は、本明細書で記載される気道細胞の場合もあり、本明細書で記載される、本発明の前記核酸カセットまたはベクターの産生のための宿主細胞の場合もある。
【0233】
本明細書における、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターと関連する、任意の開示および全ての開示は、本明細書で記載される治療的使用および治療法に、同等に、かつ、留保なしに当てはまる。
【0234】
好ましくは、治療有効レベルにおける、長期的/持続的な安定的遺伝子発現は、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターの反復投与を使用して達成される。代替的に、単回投与は、所望の長期的発現を達成するのに使用される。
【0235】
製剤および投与
本発明はまた、本発明の核酸カセットまたはベクターを含み、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターを含み、場合により、薬学的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、または希釈剤を含む組成物も提供する。
【0236】
本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレンチウイルス(例えば、HIV/SIV)ベクターは、所望の治療効果を達成するために適切な、任意の投与量で投与される。適切な投与量は、標準法を使用して、医師、または他の医療従事者により、それらの通常の診療コース内で決定される。本発明のウイルスベクターの、適切な投与量の非限定例は、1×10形質導入単位(TU)、1×10TU、1×1010TU、1×1011TU、またはそれ以上の投与量を含む。本発明の非ウイルスベクター/非ウイルス性送達手段の、適切な投与量の非限定例は、最大で、投与1回当たり30mL、最大で、投与1回当たり25mL、最大で、投与1回当たり20mL、最大で、投与1回当たり15mL、最大で、投与1回当たり10mL以下、好ましくは、最大で、投与1回当たり20mLを含む。
【0237】
本発明の組成物に含まれる、薬学的に許容される担体の非限定例は、水、生理食塩液、およびリン酸緩衝生理食塩液を含む。一部の実施形態では、しかし、組成物は、凍結乾燥形態にあり、この場合、組成物は、ウシ血清アルブミン(BSA)などの安定化剤を含みうる。一部の実施形態では、長期保存を容易とするように、組成物を、チオメルサールまたはアジドナトリウムなどの保存剤と共に製剤化することが所望でありうる。
【0238】
本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターは、任意の適切な経路により投与される。本発明の組成物(上記で記載された)を、対象の呼吸器系へと方向付けることが所望でありうる。治療用組成物/予防用組成物または治療用医薬/予防用医薬の、呼吸器内の疾患または障害の部位への効率的な伝搬は、例えば、エアゾール(例えば、経鼻スプレー)として、またはカテーテルを介して、経口投与により達成される場合もあり、鼻腔内投与により達成される場合もある。典型的に、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターは、臨床的に妥当な噴霧器、吸入器(用量計量型吸入器を含む)、カテーテル、およびエアゾールなどにおいて安定である。
【0239】
静脈内投与、鼻腔内投与、および胸膜内注射を含むがこれらに限定されない、他の投与経路もまた、本発明により包含される。当技術分野では、適切な投与経路が公知である。
【0240】
一部の実施形態では、鼻腔は、以下の理由:(i)炎症性細胞および痰などの細胞外障壁が、鼻腔内では、それほど顕著ではないこと;(ii)ベクター投与の容易さ;(iii)要求されるベクターの数量が小さいこと;および(iv)倫理的検討事項のうちの少なくとも1つのために、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターを使用する治療用タンパク質に好ましい産生部位である。したがって、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターの経鼻投与は、目的の治療用タンパク質の、効率的(高レベル)であり、かつ、長期持続性の発現を結果としてもたらすことが可能である。したがって、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターの経鼻投与は、好ましい場合がある。
【0241】
鼻腔内投与のための製剤は、経鼻滴下剤または経鼻スプレー剤の形態でありうる。鼻腔内製剤は、おおよその直径を、500~4000μm、1000~3000μm、または100~1000μmなど、100~5000μmの範囲とする滴下剤を含みうる。代替的に、容量の点では、滴下剤は、0.1~50μlもしくは1.0~25μlなど、約0.001~100μl、または0.001~1μlなどの範囲でありうる。
【0242】
エアゾール製剤は、粉末の形態を取る場合もあり、懸濁液の形態を取る場合もあり、溶液の形態を取る場合もある。エアゾール粒子のサイズは、エアゾールの送達能に関連する。小型粒子は、大型粒子よりも、肺胞へと、さらに末端まで呼吸器気道を移動しうる。一実施形態では、エアゾール粒子は、気管支、細気管支、および肺胞の全長に沿った送達を容易とする直径分布を有する。代替的に、粒子サイズ分布は、呼吸器気道の特定の区画、例えば、肺胞をターゲティングするように選択される。医薬のエアゾール送達の場合、粒子は、直径が、おおよそ、0.1~50μm、好ましくは、1~25μm、より好ましくは、1~5μmの範囲でありうる。
【0243】
エアゾール粒子は、噴霧器(例えば、口腔を介する)または経鼻スプレーを使用する送達のためのエアゾール粒子でありうる。エアゾール製剤は、場合により、高圧ガスおよび/または界面活性剤を含有しうる。
【0244】
医薬用エアゾールの製剤化は、当業者に規定の製剤化である(例えば、Sciarra,J.、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(前出)を参照されたい)。薬剤は、乾燥粉末のエアゾール溶液、エアゾール分散液、またはエアゾール懸濁液として製剤化される場合もあり、エマルジョンとして製剤化される場合もあり、半固体製造物として製剤化される場合もある。エアゾールは、当業者に公知である、任意の高圧ガスシステムを使用して送達される。エアゾールは、例えば、経鼻吸入により、上気道へと適用される場合もあり、下気道へと適用される場合もあり、これらの両方へと適用される場合もある。医薬が送達される肺の部分は、障害により決定される。本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターを含む組成物は、保湿剤を含む場合があり、特に、鼻腔内送達が使用される場合、保湿剤を含みうる。これは、粘膜の乾燥を低減または防止し、膜の刺激を防止する一助となりうる。適切な保湿剤は、例えば、ソルビトール、鉱物油、植物油、およびグリセリン;鎮静剤;膜コンディショナー;甘味剤;ならびにこれらの組合せを含む。組成物は、界面活性剤を含みうる。適切な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、およびカチオン性界面活性剤を含む。使用される界面活性剤の例は、例えば、Tween 80、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシエチレン50、フシジン酸塩(fusieates)、胆汁塩、およびオクトキシノールなど、例えば、ソルビトール無水物の部分脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体を含む。
【0245】
場合によって、初期投与の後、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターの後続の投与が実施される場合がある。投与は、例えば、初期投与の後、少なくとも1週間、2週間、1カ月間、2カ月間、6カ月間、1年間またはそれ以上にわたる投与でありうる。一部の場合に、本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、本発明のレトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターは、少なくとも毎週1回、隔週1回、毎月1回、2カ月ごと、6カ月ごと、毎年、またはそれ以上の間隔で投与される。好ましくは、投与は、6カ月ごと、より好ましくは、毎年である。本発明の核酸カセットまたはベクター、特に、レトロウイルス/レンチウイルス(例えば、SIV)ベクターは、例えば、既往の投与の効果が低下しつつある場合は、指示される間隔で投与される。
【0246】
配列相同性
限定せずに述べると、大域法、局所法、および、例えば、セグメント法などのハイブリッド法を含む、様々な配列アライメント法のうちのいずれかが、同一性パーセントを決定するのに使用される。同一性パーセントを決定するプロトコールは、当業者の技術範囲内にある、規定の手順である。大域法は、配列を、分子の開始部から、末端部へとアライメントし、個々の残基対のスコアを足し合わせ、ギャップペナルティーを課することにより、最良のアライメントを決定する。非限定的方法は、例えば、CLUSTAL W(例えば、Julie D.Thompsonら、「CLUSTAL W:Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting,Position - Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice」、22(22)、Nucleic Acids Research、4673~4680(1994)を参照されたい);および反復精緻化(例えば、Osamu Gotoh、「Significant Improvement in Accuracy of Multiple Proteins.Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments」、264(4)、J.Mol.Biol.、823~838(1996)を参照されたい)を含む。局所法は、インプット配列の全てにより共有される、1つまたはそれ以上の保存的モチーフを同定することにより、配列をアライメントする。非限定的方法は、例えば、Match-box法(例えば、Eric Depiereux and Ernest Feytmans、「Match-Box:A Fundamentally New Algorithm for Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences」、8(5)、CABIOS、501~509(1992)を参照されたい);ギブスサンプリング法(例えば、C.E.Lawrenceら、「Detecting Subtle Sequence Signals:A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment、262(5131)、Science、208~214(1993)を参照されたい);Align-M法(例えば、Ivo Van WaIIeら、「Align -M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences」、20(9)、Bioinformatics、1428~1435(2004)を参照されたい)を含む。
【0247】
したがって、配列同一性パーセントは、常套的方法により決定される。例えば、Altschulら、Bull.Math.Bio.、48:603~16、1986;ならびにHenikoffおよびHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:10915~19、1992を参照されたい。略述すると、2つのアミノ酸配列は、下記で示される通り(アミノ酸は、標準的一文字コードにより指し示される)、10のギャップ開始ペナルティー、1のギャップ伸張ペナルティー、およびHenikoffおよびHenikoff(同上)による、「blosum 62」評定マトリックスを使用して、アライメントスコアを最適化するようにアライメントされる。
【0248】
2つまたはそれ以上の核酸配列またはアミノ酸配列の間の「配列同一性パーセント」とは、配列により共有される、同一な位置の数の関数である。したがって、同一性%は、ヌクレオチド/アミノ酸の総数で除され、100を乗じられた、同一なヌクレオチド/アミノ酸の数として計算される。配列同一性%の計算はまた、2つまたはそれ以上の配列のアライメントを最適化するのに導入される必要がある、ギャップの数、および各ギャップの長さも考慮に入れうる。2つまたはそれ以上の配列の間における、配列の比較および同一性パーセントの決定は、当業者が精通している、BLASTなどの、特異的数学的アルゴリズムを使用して実行される。
【0249】
配列同一性を決定するためのアライメントスコア
A R N D C Q E G H I L K M F P S T W Y V
A 4
R -1 5
N -2 0 6
D -2 -2 1 6
C 0 -3 -3 -3 9
Q -1 1 0 0 -3 5
E -1 0 0 2 -4 2 5
G 0 -2 0 -1 -3 -2 -2 6
H -2 0 1 -1 -3 0 0 -2 8
I -1 -3 -3 -3 -1 -3 -3 -4 -3 4
L -1 -2 -3 -4 -1 -2 -3 -4 -3 2 4
K -1 2 0 -1 -3 1 1 -2 -1 -3 -2 5
M -1 -1 -2 -3 -1 0 -2 -3 -2 1 2 -1 5
F -2 -3 -3 -3 -2 -3 -3 -3 -1 0 0 -3 0 6
P -1 -2 -2 -1 -3 -1 -1 -2 -2 -3 -3 -1 -2 -4 7
S 1 -1 1 0 -1 0 0 0 -1 -2 -2 0 -1 -2 -1 4
T 0 -1 0 -1 -1 -1 -1 -2 -2 -1 -1 -1 -1 -2 -1 1 5
W -3 -3 -4 -4 -2 -2 -3 -2 -2 -3 -2 -3 -1 1 -4 -3 -2 11
Y -2 -2 -2 -3 -2 -1 -2 -3 2 -1 -1 -2 -1 3 -3 -2 -2 2 7
V 0 -3 -3 -3 -1 -2 -2 -3 -3 3 1 -2 1 -1 -2 -2 0 -3 -1 4
したがって、同一性パーセントは、
[同一であるマッチの総数]/[長い方の配列の長さ+2つの配列をアライメントするために、長い方の配列へと導入されたギャップの数]×100
として計算される。
【0250】
実質的に相同なポリペプチドは、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するポリペプチドとして特徴付けられる。これらの変化は、好ましくは、保存的アミノ酸置換(本明細書で記載される)、およびポリペプチドのフォールディングまたは活性に著明な影響を及ぼさない、他の置換である、軽微な性格の変化;典型的に、1~約30アミノ酸である、小型の欠失;ならびにアミノ末端のメチオニン残基など、小型のアミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸張、最大で約20~25残基である、小型のリンカーペプチド、またはアフィニティータグである。
【0251】
20の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチルリシン、2-アミノイソ酪酸、イソバリン、およびα-メチルセリンなど)は、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基で置換されている。限定数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、および非天然アミノ酸は、ポリペプチドのアミノ酸残基で置換されている。本発明のポリペプチドはまた、天然に存在しないアミノ酸残基も含みうる。
【0252】
天然に存在しないアミノ酸は、限定せずに述べると、trans-3-メチルプロリン、2,4-メタノ-プロリン、cis-4-ヒドロキシプロリン、trans-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、allo-トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、および4-フルオロフェニルアラニンを含む。当技術分野では、天然に存在しないアミノ酸残基を、タンパク質へと組み込むための、いくつかの方法が公知である。例えば、化学的にアミノアシル化された、サプレッサーtRNAを使用して、ナンセンス突然変異が抑制される、in vitro系が利用される。当技術分野では、アミノ酸およびアミノアシル化tRNAを合成するための方法が公知である。ナンセンス突然変異を含有するプラスミドの転写および翻訳は、大腸菌S30抽出物ならびに市販の酵素および他の試薬を含む、無細胞系において実行される。タンパク質は、クロマトグラフィーにより精製される。例えば、Robertsonら、J.Am.Chem.Soc.、113:2722、1991;Ellmanら、Methods Enzymol.、202:301、1991;Chungら、Science、259:806~9、1993;およびChungら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:10145~9、1993を参照されたい。第2の方法では、翻訳は、突然変異されたmRNAおよび化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションにより、アフリカツメガエル卵母細胞において実行される(Turcattiら、J.Biol.Chem.、271:19991~8、1996)。第3の方法の中では、大腸菌細胞が、置きかえられる天然アミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の非存在下で、かつ、所望の天然に存在しないアミノ酸(複数可)(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、または4-フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養される。天然に存在しないアミノ酸は、その天然対応物の代わりに、ポリペプチドへと組み込まれる。Koideら、Biochem.、33:7470~6、1994を参照されたい。天然に存在するアミノ酸残基は、in vitroにおける化学修飾により、天然に存在しない分子種へと転換される。化学修飾は、置換の範囲をさらに拡張するように、部位指定突然変異誘発と組み合わされる(WynnおよびRichards、Protein Sci.、2:395~403、1993)。
【0253】
限定数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、および非天然アミノ酸は、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基で置換されている。
【0254】
本発明のポリペプチド内の必須アミノ酸は、部位指定突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発(CunninghamおよびWells、Science、244:1081~5、1989)など、当技術分野で公知の手順に従い同定される。生物学的相互作用の部位もまた、推定接触部位のアミノ酸の突然変異を伴う、核磁気共鳴、結晶構造解析、電子回折、または光アフィニティー標識付けなどの技法により決定される構造についての物理学的解析により決定される。例えば、de Vosら、Science、255:306~12、1992;Smithら、J.Mol.Biol.、224:899~904、1992;Wlodaverら、FEBS Lett.、309:59~64、1992を参照されたい。必須アミノ酸の識別もまた、本発明のポリペプチドの関連する構成要素(例えば、転座構成要素またはプロテアーゼ構成要素)との相同性についての解析から推定される。
【0255】
Reidhaar-OlsonおよびSauer(Science、241:53~7、1988);またはBowieおよびSauer(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:2152~6、1989)により開示される、突然変異誘発法およびスクリーニング法など、公知の突然変異誘発法およびスクリーニング法を使用して、複数のアミノ酸置換が施され、調べられる。略述すると、これらの著者は、ポリペプチド内の2つまたはそれ以上の位置を、同時にランダム化し、機能的なポリペプチドについて選択し、次いで、突然変異されたポリペプチドをシーケンシングして、各位置において許容可能な置換のスペクトルを決定する方法を開示する。使用される他の方法は、ファージディスプレイ法(例えば、Lowmanら、Biochem.、30:10832~7、1991;Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Huse、WIPO公開第WO92/06204号)、および領域指定突然変異誘発(Derbyshireら、Gene、46:145、1986;Nerら、DNA、7:127、1988)を含む。
【0256】
Reidhaar-OlsonおよびSauer(Science、241:53~7、1988);またはBowieおよびSauer(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:2152~6、1989)により開示される、突然変異誘発法およびスクリーニング法など、公知の突然変異誘発法およびスクリーニング法を使用して、複数のアミノ酸置換が施され、調べられる。略述すると、これらの著者は、ポリペプチド内の2つまたはそれ以上の位置を、同時にランダム化し、機能的なポリペプチドについて選択し、次いで、突然変異されたポリペプチドをシーケンシングして、各位置において許容可能な置換のスペクトルを決定する方法を開示する。使用される他の方法は、ファージディスプレイ法(例えば、Lowmanら、Biochem.、30:10832~7、1991;Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Huse、WIPO公開第WO92/06204号)、および領域指定突然変異誘発(Derbyshireら、Gene、46:145、1986;Nerら、DNA、7:127、1988)を含む。
【0257】
配列情報
配列解
配列番号1=Wuhan-Hu-1スパイクタンパク質のアミノ酸配列(pGM887 S-LV v01によりコードされる)
配列番号2=Wuhan Hu-1+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM896 S-LV v02によりコードされる)
配列番号3=S:G614のアミノ酸配列(pGM906 S-LV v01によりコードされる)
配列番号4=S:G614+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM907 S-LV v02によりコードされる)
配列番号5=S:Aus/VIC01のアミノ酸配列(pGM898 S-LV v01によりコードされる)
配列番号6=S:Aus/VIC01+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM904 S-LV v02によりコードされる)
配列番号7=S:B.1.1.7+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM965 S-LV v04によりコードされる)
配列番号8=S:B.1.1351+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM970 S-LV v04によりコードされる)
配列番号9=S:B.1.1.7/B.1.1351キメラ+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1000 S-LV v02によりコードされる)
配列番号10=S:B.1.617.2+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1027 S-LV v02によりコードされる)
配列番号11=C.37+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1028 S-LV v02によりコードされる)
配列番号12=maS:Y498,T499+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM937 S-LV v03によりコードされる)
配列番号13=maS:Y498,T499,G614+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM939 S-LV v03によりコードされる)
配列番号14=maS:Aus/VIC01,Y498,T499+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM938 S-LV v03によりコードされる)
配列番号15=S:B.1.617.2,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1038 S-LV v04によりコードされる)
配列番号16=C.37,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1039 S-LV v05によりコードされる)
配列番号17=S:B.1.617.2,Y489,T499,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1040 S-LV v04によりコードされる)
配列番号18=C.37,Y489,T499,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1041 S-LV v05によりコードされる)
配列番号19=maS:Y498,T499,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM998 S-LV v05によりコードされる)
配列番号20=maS:Y498,T499,Y501,G614+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM999 S-LV v05によりコードされる)
配列番号21=フーリン部位をノックアウトされたS:G614のアミノ酸配列(pGM1026 S-LV v05によりコードされる)
配列番号22=Wuhan-Hu-1スパイクタンパク質の核酸配列(pGM887 S-LV v01内に含まれる)
配列番号23=Wuhan Hu-1+Δ19aaの核酸配列(pGM896 S-LV v02内に含まれる)
配列番号24=S:G614の核酸配列(pGM906 S-LV v01内に含まれる)
配列番号25=S:G614+Δ19aaの核酸配列(pGM907 S-LV v02内に含まれる)
配列番号26=S:Aus/VIC01の核酸配列(pGM898 S-LV v01内に含まれる)
配列番号27=S:Aus/VIC01+Δ19aaの核酸配列(pGM904 S-LV v02内に含まれる)
配列番号28=S:B.1.1.7+Δ19aaの核酸配列(pGM965 S-LV v04内に含まれる)
配列番号29=S:B.1.1351+Δ19aaの核酸配列(pGM970 S-LV v04内に含まれる)
配列番号30=S:B.1.1.7/B.1.1351キメラ+Δ19aaの核酸配列(pGM1000 S-LV v02内に含まれる)
配列番号31=S:B.1.617.2+Δ19aaの核酸配列(pGM1027 S-LV v02内に含まれる)
配列番号32=C.37+Δ19aaの核酸配列(pGM1028 S-LV v02内に含まれる)
配列番号33=maS:Y498,T499+Δ19aaの核酸配列(pGM937 S-LV v03内に含まれる)
配列番号34=maS:Y498,T499,G614+Δ19aaの核酸配列(pGM939 S-LV v03内に含まれる)
配列番号35=maS:Aus/VIC01,Y498,T499+Δ19aaの核酸配列(pGM938 S-LV v03内に含まれる)
配列番号36=S:B.1.617.2,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1038 S-LV v04内に含まれる)
配列番号37=C.37,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1039 S-LV v05内に含まれる)
配列番号38=S:B.1.617.2,Y489,T499,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1040 S-LV v04内に含まれる)
配列番号39=C.37,Y489,T499,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1041 S-LV v05内に含まれる)
配列番号40=maS:Y498,T499,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM998 S-LV v05内に含まれる)
配列番号41=maS:Y498,T499,Y501,G614+Δ19aaの核酸配列(pGM999 S-LV v05内に含まれる)
配列番号42=フーリン部位をノックアウトされたS:G614の核酸配列(pGM1026 S-LV v05内に含まれる)
配列番号43=hCEFプロモーター
配列番号44=CMVプロモーター
配列番号45=ヒト伸張因子1a(EF1a)プロモーター
配列番号46=WPRE構成要素(mWPRE)
配列番号47=(co)hACE2のためのフォワードプライマー
配列番号48=(co)hACE2のためのリバースプライマー
配列番号49=フォワードプライマー
配列番号50=リバースプライマー
配列番号51=hTMPRSS2のためのフォワードプライマー
配列番号52=hTMPRSS2のためのリバースプライマー
配列番号53=フォワードプライマー
配列番号54=リバースプライマー
配列番号55=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)のためのフォワードプライマー
配列番号56=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)のためのリバースプライマー
配列番号57=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)Δ19のためのフォワードプライマー
配列番号58=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)Δ19のためのリバースプライマー
配列番号59=SARS-CoV-2 S Australia/VIC01/2020のためのフォワードプライマー
配列番号60=SARS-CoV-2 S Australia/VIC01/2020のためのリバースプライマー
配列番号61=SARS-CoV-2 D614G変異株のためのフォワードプライマー
配列番号62=SARS-CoV-2 D614G変異株のためのリバースプライマー
配列番号63=SARS-CoV-2 S mACE2馴化のためのフォワードプライマー
配列番号64=SARS-CoV-2 S mACE2馴化のためのリバースプライマー
【0258】
配列
配列番号1=Wuhan-Hu-1スパイクタンパク質のアミノ酸配列(pGM887 S-LV v01によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号2=Wuhan Hu-1+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM896 S-LV v02によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号3=S:G614のアミノ酸配列(pGM906 S-LV v01によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号4=S:G614+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM907 S-LV v02によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号5=S:Aus/VIC01のアミノ酸配列(pGM898 S-LV v01によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号6=S:Aus/VIC01+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM904 S-LV v02によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号7=S:B.1.1.7+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM965 S-LV v04によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号8=S:B.1.1351+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM970 S-LV v04によりコードされる)
図3を参照されたい
【0259】
配列番号9=S:B.1.1.7/B.1.1351キメラ+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1000 S-LV v02によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAISGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVKGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGVENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0260】
配列番号10=S:B.1.617.2+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1027 S-LV v02によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNVIKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYQYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYSPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLNVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0261】
配列番号11=C.37+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1028 S-LV v02によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNVIKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYQYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYSPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLNVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0262】
配列番号12=maS:Y498,T499+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM937 S-LV v03によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号13=maS:Y498,T499,G614+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM939 S-LV v03によりコードされる)
図3を参照されたい
配列番号14=maS:Aus/VIC01,Y498,T499+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM938 S-LV v03によりコードされる)
図3を参照されたい
【0263】
配列番号15=S:B.1.617.2,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1038 S-LV v04によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLRTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLDVYYHKNNKSWMESGVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYRYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSKPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSRRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQNVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0264】
配列番号16=C.37,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1039 S-LV v05によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNVIKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYQYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYSPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLNVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0265】
配列番号17=S:B.1.617.2,Y498,T499,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1040 SLV v04によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLRTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLDVYYHKNNKSWMESGVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYRYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSKPCNGVEGFNCYFPLQSYGFYTTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSRRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQNVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0266】
配列番号18=C.37,Y489,T499,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM1041 S-LV v05によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNVIKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYQYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYSPLQSYGFYTTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLNVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0267】
配列番号19=maS:Y498,T499,Y501+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM998 S-LV v05によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFYTTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0268】
配列番号20=maS:Y498,T499,Y501,G614+Δ19aaのアミノ酸配列(pGM999 S-LV v05によりコードされる)
図3を参照されたい
【0269】
配列番号21=フーリン部位をノックアウトされたS:G614のアミノ酸配列(pGM1026 S-LV v05によりコードされる)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPSRASSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC*
【0270】
配列番号22=Wuhan-Hu-1スパイクタンパク質の核酸配列(pGM887 S-LV v01内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号23=Wuhan Hu-1+Δ19aaの核酸配列(pGM896 S-LV v02内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号24=S:G614の核酸配列(pGM906 S-LV v01内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号25=S:G614+Δ19aaの核酸配列(pGM907 S-LV v02内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号26=S:Aus/VIC01の核酸配列(pGM898 S-LV v01内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号27=S:Aus/VIC01+Δ19aaの核酸配列(pGM904 S-LV v02内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号28=S:B.1.1.7+Δ19aaの核酸配列(pGM965 S-LV v04内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号29=S:B.1.1351+Δ19aaの核酸配列(pGM970 S-LV v04内に含まれる)
図2を参照されたい
【0271】
配列番号30=S:B.1.1.7/B.1.1351キメラ+Δ19aaの核酸配列(pGM1000 S-LV v02内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGACCACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCAGCGGCACCAATGGCACCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGGTGTTTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCGAGTTCCGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACAGATCATATCTTACACCAGGCGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCTGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCACACCGTGTAATGGCGTGaAGGGCTTCAATTGCTACTTCCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCCAGCCTACCtATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGtACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCCTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGtCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGACAGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGGACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0272】
配列番号31=S:B.1.617.2+Δ19aaの核酸配列(pGM1027 S-LV v02内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGAggACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGGCACCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGaTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCgGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACAGATCATATCTTACACCAGGCGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCgGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCAaACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACTTCCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCCAGCCTACCAATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCgTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGACAGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGaACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0273】
配列番号32=C.37+Δ19aaの核酸配列(pGM1028 S-LV v02内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGACCACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGtCAtCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGGTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCGAGTTCCGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCaGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCACACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACagtCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCCAGCCTACCAATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCCTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGAacGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGGACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0274】
配列番号33=maS:Y498,T499+Δ19aaの核酸配列(pGM937 S-LV v03内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号34=maS:Y498,T499,G614+Δ19aaの核酸配列(pGM939 S-LV v03内に含まれる)
図2を参照されたい
配列番号35=maS:Aus/VIC01,Y498,T499+Δ19aaの核酸配列(pGM938 S-LV v03内に含まれる)
図2を参照されたい
【0275】
配列番号36=S:B.1.617.2,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1038 S-LV v04内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGAggACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGGCACCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGaTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCgGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACAGATCATATCTTACACCAGGCGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCgGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCAaACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACTTCCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCCAGCCTACCtATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCgTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGACAGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGaACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0276】
配列番号37=C.37,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1039 S-LV v05内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGACCACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGtCAtCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGGTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCGAGTTCCGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCaGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCACACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACagtCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCCAGCCTACCtATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCCTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGAacGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGGACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0277】
配列番号38=S:B.1.617.2,Y484,T499,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1040 S-LV v04内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGAggACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGGCACCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGaTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCgGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACAGATCATATCTTACACCAGGCGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCgGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCAaACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACTTCCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCtataCTACCtATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCgTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGACAGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGaACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0278】
配列番号39=C.37,Y489,T499,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM1041 S-LV v05内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGACCACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGtCAtCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGGTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCGAGTTCCGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCaGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCACACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACagtCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCtataCTACCtATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCCTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGAacGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGGACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0279】
配列番号40=maS:Y498,T499,Y501+Δ19aaの核酸配列(pGM998 S-LV v05内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGACCACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGGCACCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGGTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCGAGTTCCGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACAGATCATATCTTACACCAGGCGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCTGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCACACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACTTCCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCtAtaCTACCtATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGACGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCCTAGAAGAGCCAGAAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGACAGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGGACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0280】
配列番号41=maS:Y498,T499,Y501,G614+Δ19aaの核酸配列(pGM999 S-LV v05内に含まれる)
図2を参照されたい
【0281】
配列番号42=フーリン部位をノックアウトされたS:G614の核酸配列(pGM1026 S-LV v05内に含まれる)
ATGTTCGTGTTCCTGGTGCTGCTGCCTCTGGTGAGCAGCCAGTGCGTGAATCTGACCACCAGAACCCAGCTGCCTCCTGCCTACACCAATAGCTTCACCAGAGGAGTTTATTATCCCGATAAGGTGTTCAGAAGTAGTGTATTACATAGTACCCAGGACCTGTTCCTACCTTTCTTCAGTAACGTGACCTGGTTCCACGCCATCCACGTGAGCGGCACCAATGGCACCAAGAGATTCGACAATCCTGTGCTGCCTTTCAATGACGGCGTGTACTTCGCCAGCACCGAGAAGAGCAATATCATCAGAGGCTGGATCTTCGGCACCACCTTGGATTCCAAGACTCAGAGCCTGCTGATTGTAAACAACGCTACAAATGTGGTGATCAAGGTGTGCGAGTTCCAGTTCTGCAATGACCCTTTCCTGGGTGTTTATTATCATAAGAACAACAAGAGCTGGATGGAGAGCGAGTTCCGCGTATATTCGTCGGCTAATAATTGCACCTTCGAGTACGTGAGCCAGCCTTTCCTGATGGACCTGGAGGGCAAGCAGGGCAATTTCAAGAATCTGAGAGAGTTCGTGTTCAAGAATATCGACGGCTACTTCAAGATCTACAGCAAGCACACACCCATTAATCTGGTGAGAGACCTGCCTCAGGGCTTCAGCGCCCTGGAGCCTCTGGTGGACCTGCCTATCGGCATCAATATCACCAGATTCCAGACCCTGCTGGCCCTGCACAGATCATATCTTACACCAGGCGATTCGTCAAGCGGTTGGACCGCTGGAGCTGCGGCATATTACGTGGGCTACCTGCAGCCTAGAACCTTCCTGCTGAAGTACAATGAGAATGGTACGATAACCGACGCAGTTGATTGTGCCCTGGACCCTCTGAGCGAGACCAAGTGCACCCTGAAGAGCTTCACCGTGGAGAAGGGCATCTACCAGACCAGCAATTTCAGAGTGCAGCCTACCGAGAGCATCGTGAGATTCCCTAATATCACCAATCTGTGCCCTTTCGGCGAGGTGTTCAATGCCACCAGATTCGCCAGCGTGTACGCATGGAACCGCAAGCGGATAAGCAATTGCGTGGCCGACTACAGCGTGCTGTACAATAGCGCCAGCTTCAGCACCTTCAAATGTTATGGTGTTTCGCCAACAAAGCTGAATGACCTGTGCTTCACCAATGTGTACGCCGACAGCTTCGTGATCAGAGGCGACGAGGTGAGACAGATCGCGCCAGGGCAGACCGGCAAGATCGCCGACTACAATTACAAGCTGCCTGACGACTTCACCGGCTGCGTGATCGCGTGGAACTCTAACAATCTAGATTCGAAAGTTGGAGGCAATTACAATTACCTGTACAGACTGTTCAGAAAGAGCAATCTGAAGCCTTTCGAGAGAGACATCAGCACCGAGATCTACCAGGCCGGCAGCACACCGTGTAATGGCGTGGAGGGCTTCAATTGCTACTTCCCTCTGCAGAGCTACGGCTTCCAGCCTACCAATGGCGTGGGCTACCAGCCTTACAGAGTGGTGGTGCTGAGCTTCGAGCTGCTGCACGCTCCCGCTACCGTGTGCGGCCCTAAGAAGAGCACCAATCTGGTGAAGAATAAGTGCGTGAATTTCAATTTCAATGGTCTAACTGGAACGGGCGTGCTGACCGAGAGCAATAAGAAGTTTCTTCCCTTTCAACAATTCGGCAGAGACATCGCCGACACCACAGATGCTGTAAGAGACCCTCAGACCCTGGAGATCCTGGACATCACTCCGTGTAGCTTCGGCGGCGTGAGCGTGATCACACCGGGTACCAATACCAGCAATCAGGTGGCCGTGCTGTACCAGGgCGTGAATTGCACCGAGGTGCCTGTGGCCATCCACGCCGACCAGCTGACTCCCACTTGGAGGGTATATTCCACGGGAAGCAATGTGTTCCAGACCAGAGCCGGCTGCCTGATCGGCGCCGAGCACGTGAATAATAGCTACGAGTGCGACATCCCTATCGGCGCCGGCATCTGCGCCAGCTACCAGACCCAGACCAATAGCCCTAGtAGAGCCAGtAGCGTGGCCAGCCAGAGCATCATCGCCTACACCATGAGCCTGGGCGCCGAGAATAGCGTGGCCTACAGCAATAATAGCATCGCCATCCCTACCAATTTCACCATCAGCGTGACCACCGAAATATTACCAGTCTCCATGACCAAGACCAGCGTGGACTGCACCATGTACATCTGCGGCGACAGCACCGAGTGCAGCAATCTGCTGCTGCAGTACGGCAGCTTCTGCACCCAGCTGAATAGAGCCCTGACCGGCATCGCCGTGGAGCAGGACAAGAATACCCAGGAGGTGTTCGCCCAGGTGAAGCAGATCTACAAGACTCCGCCGATCAAGGACTTCGGCGGCTTCAATTTCAGCCAAATACTCCCAGATCCAAGCAAGCCTAGCAAGAGGAGCTTCATCGAGGACCTGCTGTTCAATAAGGTGACCCTGGCCGACGCCGGCTTCATCAAGCAGTACGGCGACTGCCTAGGTGATATTGCGGCAAGAGACCTGATCTGCGCCCAGAAGTTTAACGGTTTGACAGTACTACCTCCTCTGCTGACCGACGAGATGATAGCACAATATACGTCGGCATTGCTCGCTGGCACGATCACATCGGGCTGGACTTTCGGCGCCGGAGCAGCGTTGCAAATCCCTTTCGCCATGCAGATGGCCTACAGATTCAATGGCATCGGCGTGACCCAGAATGTGCTGTACGAGAATCAGAAGCTGATCGCCAATCAGTTCAATAGCGCCATCGGCAAGATCCAGGACAGCCTGAGCAGCACCGCCAGCGCCCTGGGCAAGCTGCAGGACGTGGTGAATCAGAATGCCCAGGCCCTGAATACCCTGGTGAAGCAGCTGAGCAGCAATTTCGGCGCCATCAGTAGTGTACTCAACGATATCCTGAGCAGACTGGACAAGGTGGAGGCCGAGGTGCAAATTGATCGTCTTATTACTGGCAGACTGCAGAGCCTGCAGACCTACGTGACCCAGCAGCTGATCAGAGCCGCCGAGATCAGAGCCAGCGCCAATCTGGCCGCCACCAAGATGAGCGAGTGCGTGCTGGGCCAGAGCAAGAGAGTGGACTTCTGCGGCAAGGGCTACCACCTGATGAGCTTCCCTCAGAGCGCTCCACATGGCGTGGTGTTCCTGCACGTGACCTACGTGCCTGCCCAGGAGAAGAATTTCACCACCGCACCCGCAATCTGCCACGACGGCAAGGCCCACTTCCCTAGAGAGGGCGTGTTCGTGAGCAATGGCACCCACTGGTTCGTGACCCAGAGAAATTTCTACGAGCCTCAGATCATCACCACCGACAATACCTTCGTGAGCGGCAATTGCGACGTGGTGATCGGGATAGTCAATAATACTGTCTACGACCCTCTGCAGCCTGAGCTGGACAGCTTCAAGGAGGAGCTGGACAAGTACTTCAAGAATCACACCAGCCCTGACGTGGACCTCGGTGATATTTCGGGAATCAATGCCAGCGTGGTGAATATCCAGAAGGAAATTGATCGGCTCAACGAAGTGGCCAAGAATCTGAATGAGAGCCTGATCGACCTGCAGGAGCTGGGCAAGTACGAGCAGTACATCAAGTGGCCTTGGTACATCTGGCTGGGCTTCATCGCCGGCCTGATCGCCATCGTGATGGTGACCATCATGCTGTGCTGCATGACCTCCTGTTGTTCCTGTTTGAAAGGGTGTTGTTCGTGTGGGTCCTGCTGCTGA
【0282】
配列番号43=hCEFプロモーター
1 AGATCTGTTA CATAACTTAT GGTAAATGGC CTGCCTGGCT GACTGCCCAA TGACCCCTGC
61 CCAATGATGT CAATAATGAT GTATGTTCCC ATGTAATGCC AATAGGGACT TTCCATTGAT
121 GTCAATGGGT GGAGTATTTA TGGTAACTGC CCACTTGGCA GTACATCAAG TGTATCATAT
181 GCCAAGTATG CCCCCTATTG ATGTCAATGA TGGTAAATGG CCTGCCTGGC ATTATGCCCA
241 GTACATGACC TTATGGGACT TTCCTACTTG GCAGTACATC TATGTATTAG TCATTGCTAT
301 TACCATGGGA ATTCACTAGT GGAGAAGAGC ATGCTTGAGG GCTGAGTGCC CCTCAGTGGG
361 CAGAGAGCAC ATGGCCCACA GTCCCTGAGA AGTTGGGGGG AGGGGTGGGC AATTGAACTG
421 GTGCCTAGAG AAGGTGGGGC TTGGGTAAAC TGGGAAAGTG ATGTGGTGTA CTGGCTCCAC
481 CTTTTTCCCC AGGGTGGGGG AGAACCATAT ATAAGTGCAG TAGTCTCTGT GAACATTCAA
541 GCTTCTGCCT TCTCCCTCCT GTGAGTTTGC TAGC
【0283】
配列番号44=CMVプロモーター
CCGCGGAGATCTCAATATTGGCCATTAGCCATATTATTCATTGGTTATATAGCATAAATCAATATTGGCT ATTGGCCATTGCATACGTTGTATCTATATCATAATATGTACATTTATATTGGCTCATGTCCAATATGACC GCCATGTTGGCATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCA TATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCC CATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGT GGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTCCGCCCCCTATT GACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTACGGGACTTTCCTACTT GGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACACCAATGGGCG TGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGG CACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAATAACCCCGCCCCGTTGACGCAAATGGGCGGTAGGC GTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCACTAGAAGCTTTATTGC GGTAGTTTATCACAGTTAAATTGCTAACGCAGTCAGTGCTTCTGACACAACAGTCTCGAACTTAAGCTGC AGAAGTTGGTCGTGAGGCACTGGGCAGGCTAGC
【0284】
配列番号45=ヒト伸張因子1a(EF1a)プロモーター
AGATCCATATCCGCGGCAATTTTAAAAGAAAGGGAGGAATAGGGGGACAGACTTCAGCAGAGAGACTAATTAATATAATAACAACACAATTAGAAATACAACATTTACAAACCAAAATTCAAAAAATTTTAAATTTTAGAGCCGCGGAGATCCCGTGAGGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAGCGCACATCGCCCACAGTCCCCGAGAAGTTGGGGGGAGGGGTCGGCAATTGAACCGGTGCCTAGAGAAGGTGGCGCGGGGTAAACTGGGAAAGTGATGTCGTGTACTGGCTCCGCCTTTTTCCCGAGGGTGGGGGAGAACCGTATATAAGTGCAGTAGTCGCCGTGAACGTTCTTTTTCGCAACGGGTTTGCCGCCAGAACACAGGCTAGC
【0285】
配列番号46=WPRE構成要素(mWPRE)
1 GGGCCCAATC AACCTCTGGA TTACAAAATT TGTGAAAGAT TGACTGGTAT TCTTAACTAT
61 GTTGCTCCTT TTACGCTATG TGGATACGCT GCTTTAATGC CTTTGTATCA TGCTATTGCT
121 TCCCGTATGG CTTTCATTTT CTCCTCCTTG TATAAATCCT GGTTGCTGTC TCTTTATGAG
181 GAGTTGTGGC CCGTTGTCAG GCAACGTGGC GTGGTGTGCA CTGTGTTTGC TGACGCAACC
241 CCCACTGGTT GGGGCATTGC CACCACCTGT CAGCTCCTTT CCGGGACTTT CGCTTTCCCC
301 CTCCCTATTG CCACGGCGGA ACTCATCGCC GCCTGCCTTG CCCGCTGCTG GACAGGGGCT
361 CGGCTGTTGG GCACTGACAA TTCCGTGGTG TTGTCGGGGA AATCATCGTC CTTTCCTTGG
421 CTGCTCGCCT GTGTTGCCAC CTGGATTCTG CGCGGGACGT CCTTCTGCTA CGTCCCTTCG
481 GCCCTCAATC CAGCGGACCT TCCTTCCCGC GGCCTGCTGC CGGCTCTGCG GCCTCTTCCG
541 CGTCTTCGCC TTCGCCCTCA GACGAGTCGG ATCTCCCTTT GGGCCGCCTC CCCGCAAGCT
【0286】
配列番号47=(co)hACE2のためのフォワードプライマー
CGA TCT AGA GAA ACT TGT TTG CAC GT
配列番号48=(co)hACE2のためのリバースプライマー
CGA TCT AGA GAA ACT TGT TTG CAC GT
配列番号49=フォワードプライマー
CGA CTC TAG AGT CGA CGG TT
配列番号50=リバースプライマー
GAT GCG GCC GCT TCA GGC ACC GGG CTT G
配列番号51=hTMPRSS2のためのフォワードプライマー
AAT GCT AGC CAC CAT GGC TTT GAA CTC AG
配列番号52=hTMPRSS2のためのリバースプライマー
GTC TCT AGA GCC GTC TGC CCT CAT TT
配列番号53=フォワードプライマー
ACG TCT AGA GCA ACA AAC TTC TCT CTG CT
配列番号54=リバースプライマー
TAT GCG GCC GCT TAG CCC TCC CAC ACA TAA C
配列番号55=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)のためのフォワードプライマー
CAG GCT AGC CAC CAT GTT CGT GTT CCT GGT
配列番号56=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)のためのリバースプライマー
ATA GCG GCC GCT CAG GTG TAG TGC AGC TTC AC
配列番号57=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1) Δ19のためのフォワードプライマー
CAG GCT AGC CAC CAT GTT CGT GTT CCT GGT
配列番号58=SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1) Δ19のためのリバースプライマー
ATA GCG GCC GCT TCA GCA GCA GGA CCC ACA CGA ACA
配列番号59=SARS-CoV-2 S Australia/VIC01/2020のためのフォワードプライマー
CCT GCA CAG AAA GTA TCT TAC ACC AGG CGA TTC
配列番号60=SARS-CoV-2 S Australia/VIC01/2020のためのリバースプライマー
GCC AGC AGG GTC TGG AAT
配列番号61=SARS-CoV-2 D614G変異株のためのフォワードプライマー
GCT GTA CCA GGG CGT GAA TTG C
配列番号62=SARS-CoV-2 D614G変異株のためのリバースプライマー
ACG GCC ACC TGA TTG CTG
配列番号63=SARS-CoV-2 S mACE2馴化のためのフォワードプライマー
CTA CGG CTT CTA TAC TAC CAA TGG CG
配列番号64=SARS-CoV-2 S mACE2馴化のためのリバースプライマー
CTC TGC AGA GGG AAG TAG
【0287】
実施例
ここで、下記の実施例を参照することにより、本発明について記載される。これらは、本発明の範囲に対する限定ではなく、当業者は、本発明の範囲内では、適切な均等物が使用されることを理解するであろう。したがって、実施例は、本発明の構成部分であると考えられ、実施例で記載される、個々の態様は、独立に、または任意の組合せで開示される通りであると考えられる。
【0288】
材料および方法
合成cDNA配列、プラスミド、クローニング、および部位指定突然変異誘発
Java Codon Adaptation Tool(JCat;http://www.jcat.de/CAICalculation.jsp)を使用して、ヒト(h)ACE2cDNA(NM_021804.2)を、ヒトにおける発現についてコドン最適化((co)hACE2)し、Twist Bioscience(https://www.twistbioscience.com/products/genes)により、制限酵素部位である、5’NheIおよび3’PspOMIを伴うクローニングプラスミド(pGM845)として合成した。GeneArt Gene Synthesis services(https://www.thermofisher.com/order/geneartgenes)を使用して、マウス(m)ACE2(NM_001130513.1)を、ヒトにおける発現についてコドン最適化((co)mACE2)し、そのカノニカル終止コドンを欠失させ、制限部位である、5’NheIおよび3’XbaIを付加した、クローニングプラスミド(pGM942)として合成した。hTMPRSS2 cDNAはpCSDest-hTMPRSS2によりコードされ、Roger Reeves(Addgene、53887;http://n2t.net/addgene:53887;RRID:Addgene_53887)から恵与された。プラスミドであるOCT4-F2A-Puromycin resistance(puroR)およびpHIV1.EF1a-spCas9-FLAG-P2A-Blasticidin resistance(BSR)-WPREは、それぞれ、Jacob Hanna(Addgene、52379;http://n2t.net/addgene:52379;RRID:Addgene_52379)、およびFeng Zhang(Addgene、52962;http://n2t.net/addgene:52962;RRID:Addgene_52962)からの恵与として提供された。Wuhan Hu-1株配列に由来する、コドン最適化SARS-CoV-2 Spike((co)S)は、発現ベクターであるpcDNA3.1(+)SARS-CoV-2(co)SWuhanHu-1-Strep tag IIとして提供され、Nigel Temperton、University of Kentから恵与された。アルファ(B.1.1.7:Δ69-70、Δ145、N501Y、A570D、D614G、9681H、T716I、S982A、D1118H)VOC、およびベータ(B.1.351:D80A、D215G、K417N、E484K、N501Y、D614G、A701V)VOCを規定する、Sタンパク質の突然変異を包含する、部分的SARS-CoV-2(co)S配列(5’NheIおよび3’SbfIに由来し、これらを包含する)は、Twist Bioscienceにより、クローニングプラスミド(それぞれ、pGM964およびpGM969)として合成された。
【0289】
第三世代の自己不活化(SIN)LVベクタープラスミドは、下記で記載される通り、LVゲノムである、pGM285(pHIV1 CMV eGFP WPRE)、pGM836(HIV1 CMV Firefly Luciferase[FLuc]WPRE)、pGM849(pHIV1 CMV(co)hACE2-F2A-puroR WPRE)、pGM889(pHIV1 CMV hTMPRSS2-P2A-BSR WPRE)、およびpGM943(pHIV1 CMV(co)mACE2-F2A-puroR WPRE)を含んだ。加えて、HIV1 パッケージングプラスミドは、Didier Trono(それぞれ、Addgene:12251;http://n2t.net/addgene:12251;RRID:Addgene_12251、およびAddgene:12253;http://n2t.net/addgene:12253;RRID:Addgene_12253)から恵与された、pMDLg/pRRE(HIV1 Gag-Pol)およびpRSV-Rev(HIV1 Rev)を含んだ。最後に、エンベローププラスミドは、Didier Trono(Addgene:12259;http://623 n2t.net/addgene:12259;RRID:Addgene_12259)から恵与された、VSVgをコードするpMD2-Gを組み入れ、pGM887、pGM896、pGM898、pGM904、pGM906、pGM907、pGM937、pGM939、pGM965、およびpGM970は、下記で記載される通りである。
【0290】
(co)hACE2 cDNAを、pGM845から、その野生型終止コドンを欠失させた、NheI-XbaI断片(プライマー対:5’CGA TCT AGA GAA ACT TGT TTG CAC GT 3’(配列番号47)および5’CGA TCT AGA GAA ACT TGT TTG CAC GT 3’(配列番号48)を使用して)としてPCR増幅し、(co)hACE2-F2A-puroRを、最終NheI-NotI断片としてアセンブルするように、T4 DNAリガーゼ(NEB)により、OCT4-F2A-puroR鋳型(プライマー対:5’CGA CTC TAG AGT CGA CGG TT 3’(配列番号49)および5’GAT GCG GCC GCT TCA GGC ACC GGG CTT G 3’(配列番号50)を使用して)から、XbaI-NotI断片としてPCR増幅された、F2A-puroR配列と共にライゲーションした。hTMPRSS2 cDNAを、pCSDest-hTMPRSS2から、その野生型終止コドンを欠失させた、NheI-XbaI断片(プライマー対:5’AAT GCT AGC CAC CAT GGC TTT GAA CTC AG 3’(配列番号51)および5’GTC TCT AGA GCC GTC TGC CCT CAT TT 3’(配列番号52)を使用して)としてPCR増幅し、hTMPRSS2-P2A-BSRを、最終NheI-NotI断片としてアセンブルするように、T4 DNAリガーゼにより、pHIV1.EF1a-spCas9-FLAG-P2A-BSR-WPRE(プライマー対:5’ACG TCT AGA GCA ACA AAC TTC TCT CTG CT 3’(配列番号53)および5’TAT GCG GCC GCT TAG CCC TCC CAC ACA TAA C 3’(配列番号54)を使用して)から、XbaI-NotI断片としてPCR増幅された、P2A-BSR配列と共にライゲーションした。アセンブルされたcDNAをゲル精製し、LVゲノムプラスミドである、pGM849(pHIV1 CMV(co)hACE2-F2A-puroR WPRE)およびpGM889(pHIV1 CMV hTMPRSS2-P2A-BSR WPRE)を作出するように、T4 DNAリガーゼ(NEB)を使用して、制限酵素部位である、NheIおよびNotIを介して、HIVレンチウイルスベクターゲノムプラスミドであるpGM836にクローニングした。(co)mACE2配列を、F2A-puroRのオープンリーディングフレームとインフレームに保って、LVゲノムプラスミドであるpGM943(pHIV1 CMV(co)mACE2-F2A-puroR-WPRE)を作出するように、T4 DNAリガーゼを使用して、(co)mACE2配列を、NheI-XbaI断片として、pGM942から、pGM849骨格へとクローニングした。pcDNA3.1-SARS-CoV-2(co)SWuhan Hu-1-Strep tag II鋳型を、647の全長cDNA(プライマー対:5’CAG GCT AGC CAC CAT GTT CGT GTT CCT GGT 3’(配列番号55)、および5’ATA GCG GCC GCT CAG GTG TAG TGC AGC TTC AC 3’(配列番号56)を使用して;YP_009724390.1に基づき、SARS-CoV-2 S cDNAを回復させるように)、または最C末端の19アミノ酸および小胞体保持シグナルに対応する3’末端の欠失(+Δ19aa;プライマー対:5’CAG GCT AGC CAC CAT GTT CGT GTT CCT GGT 3’(配列番号57)、および5’ATA GCG GCC GCT TCA GCA GGA CCC ACA CGA ACA 3’(配列番号58)を使用する)として使用して、SARS-CoV-2(co)S(Wuhan Hu-1)配列を、NheI-NotIクローニング断片としてPCR増幅し、エンベローププラスミドである、pCAGG-coFct4.1骨格(pGM321)へとクローニングして、エンベローププラスミドである、pCAG.SARS-CoV-2(co)SWuhan Hu-1(pGM887)および(co)SWuhan Hu-1+Δ19aa(pGM896)を作出した。pGM887を、鋳型として使用して、それぞれ、プライマー対:5’CCT GCA CAG AAA GTA TCT TAC ACC AGG CGA TTC 3’(配列番号59)、および5’GCC AGC AGG GTC TGG AAT 3’(配列番号60)、または5’GCT GTA CCA GGG CGT GAA TTG C 3’(配列番号61)、および5’ACG GCC ACC TGA TTG CTG 3’、(配列番号62)を使用する、Q5(登録商標)Site Directed Mutagenesis(SDM;NEB)により、SARS-CoV-2 S Australia/VIC01/2020(Aus/VIC01;S247R)変異株およびD614G変異株をモデル化し;T4 DNAリガーゼを使用して、それぞれ、NheI-BstBI断片またはKpnI-SbfI断片(S247RおよびD614Gを付与する突然変異を包含する)として、pGM887およびpGM896へと、サブクローニングし戻して、エンベローププラスミドである、それぞれ、pCAGG-SARS-CoV-2(co)SAus/VIC01(pGM898)およびpCAGG-SARS-CoV-2(co)SAus/VIC01+Δ19aa(pGM904)、または、それぞれ、pCAGG-SARS-CoV-2(co)SG614(pGM906)およびpCAGG-SARS-CoV-2(co)SG614+Δ19aa(pGM907)を作出した。SARS-CoV-2 VOCである、B.1.1.7およびB.1.351を包含する配列を、プラスミドである、pGM964およびpGM969(それぞれ)から、pGM907骨格へと、NheI-SbfI断片としてサブクローニングし戻して、エンベローププラスミドである、それぞれ、pCAGG-SARS-CoV-2(co)SB.1.1.7+Δ19aa(pGM965)および(co)SB.1.351+Δ19aa(pGM970)を作出した。最後に、プライマー対である、5’CTA CGG CTT CTA TAC CAA TGG CG 3’(配列番号63)、および5’CTC TGC AGA GGG AAG TAG 3’(配列番号64)を、鋳型としてのプラスミドである、pGM896およびpGM907と共に使用する、Q5(登録商標)SDMにより、SARS-CoV-2 S mACE2馴化(maS)を付与するように、突然変異であるQ498YおよびP499Tを媒介し、次いで、T4 DNAリガーゼを使用して、それぞれ、骨格である、pGM896およびpGM907へと、BstBI断片およびKpnI断片としてサブクローニングして、エンベローププラスミドである、pCAGG-SARS-CoV-2 maSWuhan Hu-1,Y498,T499+Δ19aa(pGM937)およびpCAGG-SARS-CoV-2 maSY498,T499,G614+Δ19aa(pGM939)を作出した。
【0291】
細胞系および培養条件
本明細書で記載される、ヒト胎児腎臓(HEK)293T/17細胞(ATC(登録商標)CRL-11268(商標))および派生細胞は、37℃、5%のCO雰囲気下、10%のウシ胎仔血清(Sigma-Aldrich)、1%のペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)、およびGlutaMAX(商標)(Gibco)を補充された、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)中で培養した。該当する場合、hTMPRSS2細胞系を伴うか、またはこれを伴わない、安定的(co)hACE2を、上記と同様に、5μg/mLのブラスチシジンS(Gibco)を伴うか、またはこれを伴わない、3μg/mLのピューロマイシン(MP Biomedicals)を添加した、完全DMEM中で培養した。(HEK)293T/17SF(ATCC(登録商標)ACS-4500(商標))は、37℃、8%のCO雰囲気、および125rpmのオービタルシェーキング下、FreeStyle(商標)293 Expression Medium(Gibco)中で培養した。
【0292】
第3世代SIN rHIV1 LVの作製
S-LVおよびrHIV1.VSVg LVの作製は、PEIpro(登録商標)(Polyplus)を使用する、ヒト胎児腎臓(HEK)293T/17 SF懸濁細胞の、目的のレポーター遺伝子(表示の増強緑色蛍光タンパク質:eGFP、またはホタルルシフェラーゼ:FLuc)、HIV1 GagPol、pMDLg/pRRE、およびHIV1 Rev、pRSV-Revをコードする、第3世代のSIN rHIV1 LVベクターゲノムプラスミドとの共トランスフェクションにより実施した。VSVg偽型化LVは、pMD2-Gを伴う共トランスフェクションにより達成し;SARS-CoV-2 S-LV偽型の場合、pMD2-Gプラスミドを、合成cDNA配列、プラスミド、クローニング、および部位指定突然変異誘発において記載された、SARS-CoV-2 S-LV偽型プラスミドで置換した。トランスフェクションの約16時間後、細胞に、最終濃度を5mMとする酪酸ナトリウム(Sigma-Aldrich)を補充された、FreeStyle(商標)293 Expression Mediumをフィードした。トランスフェクトされた細胞は、合計72時間(または、そうでない場合、言明される通りに)にわたり培養し、この時点において、LV含有培養培地を採取した。次いで、LV含有上清を、1mMのMgCl(Gibco)の存在下、50U/mLのBenzonase(Merck)により、37℃で、1時間にわたり処理した。適応の場合、LV含有上清を、さらに、4℃、4,650×gで、24時間にわたり遠心分離にかけるか、またはアニオン交換クロマトグラフィー(AEX)およびタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により精製した。全ての場合に、LV物質は、フィルターにより滅菌し、-80℃で保存した。
【0293】
SARS-CoV-2 S偽型の発現および合胞研究
翌日、293T/17細胞を、約70%のコンフルエンシーとなるように、24ウェルプレートへと播種した。細胞に、pCMVIE+eGFPプラスミド各ウェル200ngずつ、および表示のSARS-CoV-2 S偽型プラスミド100ngをトランスフェクトした。モックトランスフェクションは、pCAGG-eGFPプラスミド200ngとの共トランスフェクションを伴った。トランスフェクションは、プラスミド対FuGENE 6試薬の比を1:2とする、FuGENE 6を使用して実施した。細胞は、表示のトランスフェクション後の時点において視覚化し、eGFP蛍光画像は、EVOS(商標)FL Auto 2蛍光顕微鏡(Thermo Scientific(商標))を使用して捕捉した。
【0294】
SARS-CoV-2 S-LV許容性細胞系の確立
翌日、293T/17細胞を、約30~40%のコンフルエンシーとなるように、6ウェルプレートへと播種した。OptiMEM-I(Gibco)中で希釈された粗rHIV1(VSVg)CMV(co)mACE2-F2A-puroR WPRE LV、または粗rHIV1(VSVg)CMV(co)hACE2-F2A-puroR WPRE LVを、37℃、5%のCO、8μg/mLのポリブレン(Sigma-Aldrich)の存在下、6時間にわたり細胞へと形質導入し、この後、培地を培養培地で置きかえた。形質導入細胞は、5%のCO、37℃で、合計72時間にわたり培養し、培養培地中に3μg/mLのピューロマイシン(MP Biomedicals)を添加して、ピューロマイシン耐性細胞を選択した。細胞を、3μg/mLのピューロマイシンを伴う培養培地中で、いくつかの継代にわたり保持して、(co)hACE2だけの細胞系、または(co)mACE2だけの細胞系を確立した。この後、両方の細胞系を播種し、上記のrHIV1(VSVg)CMV hTMPRSS2-P2A-BSR WPRE LVを、これらの細胞系へと形質導入した。ピューロマイシン耐性細胞およびブラスチシジン耐性細胞について選択するように、細胞を、3μg/mLのピューロマイシン、および5ug/mLのブラスチシジン(Gibco)を補充された培養培地により選択した。細胞を、3μg/mLのピューロマイシン、および5μg/mLのブラスチシジンを伴う培養培地中で、いくつかの継代にわたり保持して、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞系、または(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞系を確立した。
【0295】
LVの形質導入および滴定
翌日、形質導入およびLV滴定実験のために、表示の細胞系を、約30~40%のコンフルエンシーとなるように、24ウェルプレートへと播種した。形質導入の当日、細胞をカウントし、培地を吸引した。OptiMEM-I中で希釈されたLVの接種物(表示の偽型)を、8μg/mLのポリブレンの存在下で、細胞へと形質導入して、要求される感染多重度(MOI)または希釈系列を達成した。細胞を、希釈されたベクター接種物と共に、6時間にわたりインキュベートし、この後、形質導入ミックスを、培養培地で置きかえた。合計48~72時間の後、細胞を、下記で記載される通り、フローサイトメトリーにかけた。端点を含む2~20%の間の形質導入だけを、力価計算のために解析した。力価は、式:[式中、Nは、形質導入時にカウントされた細胞の数であり、Pは、eGFP陽性細胞の百分率であり、DFは、形質導入時に適用された希釈倍数であり、Vは、ベクター接種物のウェル1つ当たり総容量(mL)であり、IUは、感染単位である]に従い計算した。代替的に、ホタルルシフェラーゼをコードするベクターに関して述べると、系列希釈の前に、ベクター物質を、0.5%のTriton(商標)X-100を伴う、最小容量のアッセイ希釈緩衝液中、室温で、15分間にわたり溶解させる、微細な改変を加えて、製造元の指示書に従い、p24濃度を測定するように、LV物質を、HIV1 p24 ELISA(SEK11695、SinoBiological)にかけた。
【0296】
in vitro S-LV中和アッセイ
翌日、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞を、約30~40%のコンフルエンシーとなるように、24ウェルプレートへと播種した。形質導入の当日、培養培地を吸引し、最終濃度を8μg/mLとするポリブレンを伴う、OptiMEM-I中で希釈された、MOIを1(細胞カウントに基づく)とするS-LV(表示の変異体)を、nAb(40591-MM43、SinoBiological;または40592-R001、SinoBiological)、または対応するヒトIgGアイソタイプ対照(GTX35068、GeneTex)、マウスIgGアイソタイプ対照(MAB002、R&D Systems)、ウサギIgGアイソタイプ対照(AB-105-C、R&D Systems)と共に、細胞へと形質導入した。IgGの滴定については、図キャプション中で指し示す。細胞を、抗体:S-LVプレミックスと共に、5%のCO、37℃で、6時間にわたりインキュベートした。この後、形質導入ミックスを、培養培地で置きかえ、細胞を、最大で72時間にわたり培養した。次いで、細胞を、下記で記載される通り、フローサイトメトリーにかけた。
【0297】
ウェスタンブロット法(WB)
精製S-LVまたは形質導入/トランスフェクト細胞、およびこれらの適切な対照(図のキャプション中に表示される)を、表示の時点において、1倍濃度の氷冷RIPA緩衝液(プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を補充された、150mMのNaCl、1%Triton(商標)X-100[v/v]、0.5%ナトリウムデオキシコール酸、0.1%SDS[w/v]、50mMのトリス-HCl[pH 8.0])中に、速やかに溶解させた。不溶性破砕物は、4℃、最大速度で、30分間にわたりペレット化させ、DCタンパク質アッセイ(Bio-Rad)により、上清を、タンパク質濃度について測定した。試料を、表示の通り、最終濃度を550mMとするβ-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich)を伴うか、またはこれを伴わないLaemlli Buffer中で煮沸した後で、10%のSDS-PAGEを介して、タンパク質溶解物(または精製S-LVについて、約300ng相当のp24)を分離した。次いで、タンパク質を、0.45μmのニトロセルロース膜へと転写し、TBS-Tween(登録商標)20(0.1%)、および5%ミルクで、2時間にわたりブロッキングした。ブロットを、室温で、一晩にわたり、hACE2(R&D Systems、AF933;1:650)、mACE2(R&D Systems、AF3437;1:1000)、hTMPRSS2(Abcam、ab242384;1:2000)、SARS-CoV-2 S2(Thermo Fisher Scientific、MA5-35946[1A9];1:4000)、VSVg(Santa Cruz、sc-365019[F-6];1:1000)、HIV1 p24(R&D Systems、MAB7360;1:700)、またはGAPDH(Merck;CB1001、1:20,000)についての一次抗体と共に、随時インキュベートし、次いで、これらに応じて、室温で、2時間にわたり、抗マウス-HRPコンジュゲート二次抗体(Abcam;ab6789、1:20,000)、抗ウサギ-HRPコンジュゲート二次抗体(Abcam;ab6721、1:20,000)、または抗ヤギ-HRPコンジュゲート二次抗体(Abcam;ab6885 1:20,000)と共にインキュベートした。全ての抗体を、TBS-Tween20(0.1%)/5%のミルク中で希釈した。次いで、ブロットされたタンパク質を、Clarity(商標)Western ECL Substrate(Bio-Rad)により、化学発光を介して検出した。化学発光シグナルを視覚化し、iBright(商標)FL1000(Invitrogen(商標))上で捕捉した。
【0298】
免疫細胞化学(ICC)
細胞系を、24ウェルプレート内の、滅菌No.1.0カバースリップへと播種した。コンフルエンシー細胞およびそれらの適切な対照(図のキャプション中に表示の通り)を、最終濃度を4%とするホルムアルデヒド溶液中、室温で、15分間にわたり固定し、次いで、0.1%のTriton(商標)X-100[v/v]溶液により、室温で、20分間にわたり透過処理した。次いで、ブロッキング溶液(D-PBS中に5mg/mLのBSA[w/v]、5%のFBS[v/v])を使用して、静かに攪拌しながら、2時間にわたり、細胞をブロッキングした。次いで、細胞を、一次抗体:抗ACE2(AF933、791;1:100)または抗TMPRSS2(ab242384;1:100)と共に、4℃で、一晩にわたりインキュベートした。次いで、この後、細胞を、これらに応じて、二次抗ヤギ-Alexa-Fluor 488コンジュゲート二次抗体(A11078、Invitrogen、1:500)または抗ウサギ-Alexa-Fluor 488コンジュゲート二次抗体(A11008、Invitrogen、1:500)と共に、室温で、静かに攪拌しながら、2時間にわたりインキュベートした。工程の間、細胞を、D-PBSで、5回にわたり洗浄した。親293T/17細胞はまた、抗ACE2または抗TMPRSS2、および非特異的一次抗体染色に対する閾値に対応する二次抗体によっても、完全に染色した。細胞を、D-PBSで、5回にわたり洗浄し、次いで、カバースリップを、DAPI含有マウンティング培地(Fluoroshield(商標);Sigma-Aldrich)により、顕微鏡スライドへとマウントした。画像は、EVOS(商標)FL Auto 2蛍光顕微鏡(Thermo Scientific(商標))上で捕捉した。
【0299】
フローサイトメトリー
D-PBS(Gibco)で、細胞を洗浄することにより、細胞を採取し、TypLE Express(Gibco)を使用して、細胞を、ウェルプレートから解離するようにトリプシン処理した。次いで、500×gで、5分間にわたる遠心分離を伴う、D-PBS洗浄により、細胞を製造し、最終濃度を2%とするホルムアルデヒド溶液中、室温で、15分間にわたり固定した。固定剤を除去し、細胞を洗浄し、D-PBS中に再懸濁させ、次いで、BD(商標)LSR II Flow Cytometer Systemを使用するフローサイトメトリーにかけた。FlowJo(商標)v10.7ソフトウェアを使用して、データを解析した。
【0300】
動物研究
実験用マウスに関与する、全ての手順は、Animals Scientific Procedures ACT 1986(ASPA、1986)の条項下にある、UK Home Office approved project and personal licensesに従い実行した。全ての動物手順は、John Radcliffe Hospital、Oxford、UKを本拠とする、University of Oxford’s Biomedical Services(BMS)Unitにおいて実施した。
【0301】
in vivoにおける、S-LV.FLucおよびmaS-LV.FLucの投与
雌BALB/cマウス(6週齢;Envigo RMS、UK)に、表示のS-LV.FLucベクターまたはmaS-LV.FLucベクター(軽度のイソフルラン麻酔下における経鼻吸引を介する、p24の定量(40または166ng)に基づく、表示の用量に対応する)を投与した。S-LV.FLucおよびmaS-LV.FLucは、鼻腔内滴下(i.n.)による、単回滴下および連続滴下(合計100μL)を介して、鼻孔へと、直接送達した。対照マウスには、代わりに、LV製剤緩衝液(TSSM)100μLを、i.n.投与した。
【0302】
in vivoにおける生物発光イメージングおよび定量解析
S-LV.FLucおよびmaS-LV.FLucのin vivoにおける投与において記載された、S-LV.FLuc、maS-LV.FLuc、または対照TSSMを投与した後の、表示の時点において、マウスに、イソフルランによる軽度麻酔下で、i.n.法を介して、15mg/mLのD-ルシフェリン(Xenogen Corporation、Alameda)100μLを投与した。10分間にわたるインキュベーションの後、IVIS spectrum imaging system(IVIS Lumina LT、Series III、PerkinElmer)を使用して、生物発光イメージングを実施した。マウスの鼻腔および肺について標準化組織面積内の光強度を表す擬似カラー範囲を使用して平均生物発光(光子数/秒/cm2/sr)値を視覚化し、定量した。
【0303】
統計学
事後統計学的解析は、Prism8.4.3(GraphPad Software)を使用して実施した。適切な場合、一元ANOVAに続いて、選び出された比較群に対して、ダンの多重比較検定を使用するか、または適切な群としての全ての群についての、テューキーの比較を使用して、複数の群間の比較を実施した。一元ANOVAの仮定に反した場合、ノンパラメトリックのクルスカル-ワリス検定に続いて、選び出された比較群に対する、ダンの多重比較検定を使用するか、または、適切な場合、データを、log10変換し、一元ANOVAに続き、全ての群についての、テューキーの比較により解析した。データは、群平均値として、かつ/またはプロットされた個別のデータ点により提示し、適切な場合は、平均値±標準的偏差(SD)により提示する。全ての場合に、<0.05のP値を、統計学的に有意であると考えた。ns、*****、および****は、それぞれ、>0.05、<0.05,<0.01、<0.001、および<0.0001のP値を指し示す。
【実施例1】
【0304】
SARS-CoV-2 S推定ERSの欠失、ならびに許容性(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞への形質導入は、S-LVの形質導入をレスキューする
後続の滴定およびin vitroにおける中和のため、自社製SARS-CoV-2 S偽型化LV(S-LV)およびBSL1(biosafety level 1)適合SARS-CoV-2 S-LVについて調べ、これらの機能について検討するために、まず、TMPRSS2プロテアーゼを伴うか、またはこれを伴わずに、ヒトACE2受容体を発現する許容性細胞系を操作した。いずれのトランス遺伝子も、CMVプロモーターによる制御下にある、(co)hACE2-F2A-puroRまたはhTMPRSS2-P2A-BSRをコードする、VSVg偽型化SIN rHIV1 LV(図示しない)を使用して、hTMPRSS2を伴うか、またはこれを伴わずに、コドン最適化(co)hACE2を共発現する安定細胞系を、親293T/17細胞系から作出した。
【0305】
安定細胞系を、選択および確立し、hTMPRSS2を伴うか、またはこれを伴わない、(co)hACE2の発現を、免疫細胞化学(ICC)およびウェスタンブロット法(WB)により確認した(データは図示しない)。意図される通り、検出可能なレベルのACE2またはTMPRSS2が、これらのそれぞれの細胞系内において、親293T/17のレベルを、感知可能な程度に上回った。操作(co)hACE2細胞系は、(co)hACE2発現の、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する対応物と比較した、著明な上昇を示し(データは図示しない、P=0.0173、ウェルチの補正を伴う、対応のないt検定)、シグナル強度の、約42.8%の低減に対応した。hTMPRSS2の発現は、親293T/17細胞系および(co)hACE2だけを発現する細胞系を上回って、感知可能な程度に良好であった(データは図示しない)。安定(co)hACE2細胞系の間における、(co)hACE2発現の不均衡に関わらず、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する操作細胞系内において、発現が低度であるという事実は、その後、本発明者らが、hTMPRSS2共発現の文脈および機能において、許容性細胞系の間で、有用な比較を行うことを可能とした。
【0306】
先に進み、かつ、原理実証として、小胞体保持シグナルを保有すると推定される、C末端テールの19アミノ酸残基の欠失(+Δ19aa;アノテーションドメインと比べた、全長SARS-CoV-2 Sタンパク質と、+Δ19aa SARS-CoV-2 Sタンパク質との、グラフによる代表的比較については、図1Aを参照されたい)を伴うか、またはこれを伴わない、以下のSARS-CoV-2 S変異体:Wuhan Hu-1、G614、Aus/VIC01をモデル化した。本研究においてLVを偽型化するのに使用された、モデル化SARS-CoV-2 S変異体を規定する、完全な突然変異プロファイル(Wuhan Hu-1参照プロファイルと比較した)を、表1に提示する。
【0307】
【表2】
【0308】
【表3】
【0309】
配列は、CAGプロモーターによる制御下で、コドン最適化cDNAとして、発現プラスミドへとクローニングした(偽型プラスミド構成、および各SARS-CoV-2 S変異体を付与する、アノテーションされた突然変異に対する概観については、図1Bを参照されたい)。改変SARS-CoV-2 S変異体の配列は、図2にアライメントする。
【0310】
SARS-CoV-2(co)S(19アミノ酸の欠失を伴うか、またはこれを伴わないWuhan Hu-1、19アミノ酸の欠失を伴うか、またはこれを伴わないG614、および19アミノ酸の欠失を伴うか、またはこれを伴わないAus/VIC01)により偽型化されたrHIV1 LV(eGFPをコードする:S-LV.eGFP)による形質導入を、hTMPRSS2を伴うか、もしくはこれを伴わない新規の操作(co)hACE細胞系、または親293T/17において検討した(図4)。
【0311】
予測される通り、rHIV1.VSVg LVは、親293T/17細胞系と、操作細胞系との間で、同様に形質導入した(図4A;P>0.05、ガイサー-グリーンハウス補正を伴う、反復測定一元ANOVA、およびテューキーの多重比較検定)。これに対し、モデル化された非マウス馴化S-LV.eGFPは、(co)hACE2受容体依存性形質導入について、明らかに最小の要求量を示したことから、19アミノ酸の欠失を伴う文脈では、形質導入効率は、一般に、(co)hACE2だけを発現する細胞において、最大の改善を示す(図4B~4D;P<0.05、ガイサー-グリーンハウス補正を伴う、反復測定一元ANOVA、およびテューキーの多重比較検定)。さらに、形質導入は、許容性細胞系による、hTMPRSS2の共発現により、さらに顕著にレスキューされ、とりわけ、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の、19アミノ酸を欠失させたC末端切断を伴うS-LVの文脈では、さらに顕著にレスキューされた(図4B~4D;P<0.001、ガイサー-グリーンハウス補正を伴う、反復測定一元ANOVA、およびテューキーの多重比較検定)。一般に、かつ、19アミノ酸を欠失させた、切断型S-LV.eGFPの被験レパートリーに関して述べると、対数による形質導入の最大の改善を、親細胞系、(co)hACE2だけを発現する細胞系、および(co)hACE2およびhTMPRSS2を発現する細胞系の間で測定した。hTMPRSS2だけを発現する293T/17は、S-LVについて許容性でなかった(データは図示しない)ので、理論に束縛されずに述べると、S-LVによる形質導入の実質的な改善およびレスキューは、ACE2侵入受容体と、hTMPRSS2との間の複雑な相互作用に帰せられる可能性が高い。
【実施例2】
【0312】
S-LVプラットフォームは、VOCまたはVOIに由来するS糖タンパク質を、迅速にモデル化しうる
COVID-19/SARS-CoV-2パンデミックは、全世界的に生じつつある、新規/新興SARS-CoV-2 S VOCの、度重なる急増を伴う、進行中の難題であり続けている。これらのVOCは、潜在的伝染力の増大を示し、これにより、公衆衛生に対して、さらなる懸念をもたらしている。B.1.1.7/B.1.351 VOC S糖タンパク質(+Δ19aa)を、迅速なLV偽型化のためにモデル化した。これに加えて、S-LVプラットフォームが、広範なSARS-CoV-2 S糖タンパク質により偽型化され、これにより、代替的なSARS-CoV-2をモデル化するための広範な資源として機能する能力を捕捉するために、突然変異であるQ498YおよびP499Tを保有するマウス(m)ACE2馴化SARS-CoV-2 Sもまた、モデル化した(これらの偽型プラスミド構成、および各SARS-CoV-2 S変異体を付与する、アノテーションされた突然変異については、図1Bの概観を参照されたい)。これらのさらなるSARS-CoV-2 S/maS変異株(Wuhan Hu-1参照株と比較した)を規定する、完全な突然変異プロファイルもまた、表1に提示する。SARS-CoV-2 S/maS変異株の核酸/アミノ酸アライメントを、それぞれ、図2および3に示す。
【0313】
B.1.1.7(SB.1.1.7+Δ19aa-LV.eGFP)、B.1.351(SB.1.351+Δ19aa-LV.eGFP)、およびmaS(maSWuhan Hu-1,Y498,T499+Δ19aa-LV.eGFP、およびmaSY498,T499,G614+Δ19aa-LV.eGFP)により偽型化され、19アミノ酸を欠失させたC末端切断を伴うS-LVは、SWuhan Hu-1+Δ19aa-LV、およびSG614+Δ19aa-LVと同様の性能を示し;hTMPRSS2を伴うか、またはこれを伴わない(co)hACE細胞系および親293T/17へと、予測通りに形質導入し、(co)hACE2受容体依存性形質導入について、最小の要求量を示し、形質導入は、hTMPRSS2の共発現により、さらに実質的にレスキューされた(図5A;全ての場合に、各S-LV.eGFP形質導入群内、またはmaS-LV.eGFP形質導入群内におけるPを<0.05とする;ガイサー-グリーンハウス補正を伴う、反復測定一元ANOVA、およびテューキーの多重比較検定)。
【0314】
maS(Q498YおよびP499T)-LV.eGFP、およびN501Y含有S(特に、VOCである、B.1.1.7およびB.1.351の偽型に関する)-LV.eGFPは、mACE2発現細胞へと形質導入することがさらに可能であった(図5B)。SG614+Δ19aa-LV.eGFPによる、mACE2発現細胞系への、低度~無視できる程度の形質導入は、rHIV1.bald処理細胞から測定される形質導入に照らして、統計学的に非有意であった(図5B;Pを<0.05とする;ガイサー-グリーンハウス補正を伴う、反復測定193一元ANOVA、およびテューキーの多重比較検定)。mACE2共許容性S-LV/maS-LVによる形質導入は、hTMPRSS2の共発現により、さらに著明にレスキューされる(最大で、1log)ことが見出された(図5B;全ての場合に、各S-LV.eGFP形質導入群内、またはmaS-LV.eGFP形質導入群内における、(co)mACE2細胞系と、(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞系との間のPを<0.01とする;ガイサー-グリーンハウス補正を伴う、反復測定一元ANOVA、およびテューキーの多重比較検定)。最後に、発現されたS糖タンパク質は、親293T/17細胞のトランスフェクション後において、時間依存的、かつ、SARS-CoV-2 S G614含有依存的に、細胞間融合/合胞を媒介する、それらの機能を保持した(図5C)。eGFPおよびSARS-CoV-2 SWuhan Hu-1+Δ19aa、SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa、またはSARS-CoV-2 SB.1.1.7+Δ19aaを共発現する共トランスフェクト細胞についての代表的蛍光イメージングは、対照としての、eGFPモック共トランスフェクト細胞と比べて、SWuhan Hu-1+Δ19aaが、トランスフェクションの72時間後までに、合胞を強力に媒介することが可能であることを裏付けた。培養物中で長期間後(トランスフェクションの144時間後)における、SWuhan Hu-1+Δ19aa共発現細胞について、細胞死および細胞傷害作用が目覚ましかったのに対し、G614含有S糖タンパク質共発現細胞は、トランスフェクションの72時間後における、合胞の目覚ましい減殺を呈し、発症は、トランスフェクションの144時間後まで遅延した(図5C;72時間後のeGFPパネルにおいて、合胞体の形成を強調する、白色矢印を参照されたい)。
【0315】
総じて、これらのデータは、このS-LVプラットフォームが、機能的SARS-CoV-2 S糖タンパク質を、モデル化されたVOCおよびVOIをモデル化し、mACE2共許容性および合胞体の形成の媒介を含む、突然変異プロファイルを規定する、それらのSに従い、固有の機能を再現する、ロバスト、かつ、迅速な能力を示す。特に、置換である、Q498Y、P499T、D614G、およびN501Yは、特に、形質導入を容易とすること、および合胞体の形成を媒介することのいずれの点でも、マウス馴化の達成において効果的であることが見出された。
【実施例3】
【0316】
S-LVプラットフォームは、高力価PSVを達成する
非マウス馴化S-LVに最適の形質導入は、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞を使用して達成し、これを使用して、S-LVの機能力価について検討した。まず、粗LVを24時間間隔で回収する、72~144時間の作製時間経過にわたり、S-LV.eGFP力価を検討することにより、S-LVの最適の採取点を決定したところ(図6)、所与の予備力価は、トランスフェクションの48時間後が、S-LVに最適の採取ウィンドウではなかったことを示唆する(データは図示しない)。基準rHIV1.VSVg力価を、トランスフェクションの72時間後における、約2×10IU/mLとすると(データは図示しない)、mACE2許容性突然変異を保有し、19アミノ酸を欠失させたC末端切断を含む、Wuhan Hu-1、G614、Aus/VIC01、VOC株であるB.1.1.7およびB.1.351、ならびにVOIに由来するS-LVは、一般に、トランスフェクションの72時間後に、ピーク機能力価をもたらし、>1×10IU/mL(それぞれ、図6A~6E)を超える力価を達成し、SG614+Δ19aa-LV、SB.1.1.7+Δ19aa-LV、SB.1.351+Δ19aaLV、およびmaSY498,T488,±G614+Δ19aa-LVについて、5~7×10IU/mLという高値であることが見出された(それぞれ、図3B、3D、および3E)。この規則の例外は、約3×10IU/mLの低力価を達成した、SAus/VIC01+Δ19aa偽型であった(図3D)。19アミノ酸を欠失させたC末端切断を伴わない、SWuhan、SG614、およびSAus/VIC01は、作製時間経過にわたり、性能不良であり(それぞれ、図3A~3C)、図4に記載された、これらのS偽型化誘導体についての初期形質導入傾向と符合した。
【0317】
トランスフェクション後の培養物中では、長期間にわたり、機能力価におけるさらなる利益が測定されず;実際、機能力価は、一般に、トランスフェクションの96時間後以降、減衰し始めた(図7)。さらに、機能力価は、144時間の時間経過にわたり、単量体SARS-CoV-2 Sタンパク質およびHIV1 p24タンパク質の発現プロファイルと相関し、ウェスタンブロットにより測定された、いずれの発現ピークも、一般に、トランスフェクションの72時間後であった(データは図示しない)。緩徐スピン遠心分離による、S-LVおよびmaS-LVの濃縮は、実施可能なプロトコールであることが見出され、また、LVを精製するのに、より常套的な、アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)と、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)との組合せを含む、トランスレーションに関してより適切な手段への関与を許容するようにも実施された。選ばれたS-LVおよびmaS-LV(SWuhan Hu-1+Δ19aa-LV、SG614+Δ19aa-LV、SAus/VIC01+Δ19aa-LV、SB.1.1.7+Δ19aa-LV、SB.1.351+Δ19aa-LV、maSY498,T499+Δ19aa-LV、およびmaSY498,T499,G614+Δ19aa-LV)の遠心分離および容量濃縮は、とりわけ、採取時に回収された、対応する粗S-LV物質の機能力価(SAus/VIC01+Δ19aa-LVについての6.75×10IU/mLを除き、全ての変異株について、>1×10IU/mL)に対して比較した場合に、選択された変異株についての機能力価の改善(≧1×10IU/mL)により指し示される通り、達成に成功した。遠心分離されたS-LVに対する、最大で100倍の容量濃縮が、作出されたS-LVライブラリーにわたり適用された場合、平均138.8±35.22倍の、機能力価の増大が裏付けられた。
【0318】
総じて、とりわけ、19アミノ酸を欠失させたC末端切断を、SARS-CoV-2 S糖タンパク質内に組み入れた、このS-LVプラットフォームは、高機能力価を達成し、深甚な臨床的妥当性を有するVOCをモデル化する能力を付加し、特に、マウス馴化S-LVの高力価の産出を可能とし、このプラットフォームを、潜在的に貴重な調査研究ツールとする能力を示した。例示的な力価を、表2に明示する。
【0319】
次いで、SAus/VIC01+Δ19aa-LVについて観察された低力価が、マウス馴化突然変異を使用して、さらにレスキューされるのかどうかについて探索した。したがって、置換であるY498およびT499が、SAus/VIC01+Δ19aa-LVへと導入された、さらなる変異株S-LVを作出した。図8に示される通り、図6に報告された機能力価と比較して、初期実験は、置換であるY498およびT499が、Δ19C末端切断に加えて、SAus/VIC01-LVの機能力価をさらにレスキューしうることを指し示す。
【実施例4】
【0320】
S-LVは、in vitroにおいて、SARS-CoV-2 S VOCの感染性をモデル化し、推定しうる
多種多様な、臨床的に妥当なSARS-CoV-2 S変異体、または改変SARS-CoV-2 S変異体に由来する、粗S-LVの高機能力価を産出することの実現可能性を確立したので、S-LVライブラリーの有用性を、下流における、さらなる適用のために拡大した。遠心分離の後で、S-LVの著明な容量濃縮が達成されたことを踏まえ、in vivoにおける使用のための、亜臨床的に妥当な標準物質に対しても、S-LVが作製されるのかどうかについて検討した。これを達成するために、ホタルルシフェラーゼをコードし、コドン最適化(co)SG614+Δ19aa、(co)SB.1.1.7+Δ19aa、(co)SB.1.351+Δ19aa、ma(co)SY498,T499,G614+Δ19aaにより偽型化された、S-LVを作製し、AEXと、TFFとの組合せによる濃縮および精製にかけた。加えて、N501Y含有S(特に、VOCである、B.1.1.7およびB.1.351偽型に関する)-LV.eGFPが、置換であるQ498YおよびP499Tを含むmaS-LV(実施例2および図5を参照されたい)について観察される通り、mACE2発現細胞へと形質導入することが可能であったことを踏まえ、N501Yの付加が、maS-LVの機能/機能力価をさらに改善するのかどうかについて探索するのに、置換であるN501Yを、maS-LVへと導入することを決定した。置換であるN501Yを、maS-LV v3偽型であるcDNA(maSY498,T499,G614+Δ19aa-LV;pGM939)へと導入して、maS-LV v5(pGM999;図1を参照されたい)を作出するクローニングを行った。ホタルルシフェラーゼをコードする、ma(co)SY498,T499,Y501,G614+Δ19aaを作製し、AEXと、TFFとの組合せによる濃縮および精製にかけた。結果として得られるS-LV.FLucベクターを使用して、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞へと形質導入し、溶解物を、ルシフェラーゼ活性による機能力価について検討した。
【0321】
(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する許容性細胞から捕捉されたRLUを、形質導入時におけるインプットp24の機能により正規化したところ、各精製S-LV(それぞれ、SG614+Δ19aaのバッチ1~3、およびmaSY498,T499,G614+Δ19aa-LVについて、p24のインプット1ng当たりの溶解物20μLのRLUを、1.57×10±8.01×10、1.19×10±3.07×10、1.49×10±2.44×10、4.15×10±2.31×10、1.38×10±3.06×10とする)の機能品質は、ほぼ同等であり、統計学的に有意ではなかった(図9A;各々、SG614+Δ19aa-LVバッチ1と比較したPを<0.05とする;マン-ホイットニーのt検定)。モデル化されたSARS-CoV-2 S VOC(B.1.1.7およびB.1.351)、およびma(co)SY498,T499,Y501,G614+Δ19aaは全て、SG614+Δ19aa-LV(それぞれ、p24のインプット1ng当たりの溶解物20μLのRLUを、4.15×10±2.27×10、6.45×10±2.77×10、および9.92×10±3.17×10とする;P<0.001およびP<0.0001;マン-ホイットニーのt検定)と比較して、p24のインプット1ng当たりのそれらの機能性の、統計学的に有意な増大を呈したことが注目される。maSY498,T499,Y501,G614+Δ19aa-LV(すなわち、突然変異であるN501Yを付加した)と、G614含有S変異体との間で、約7倍の機能品質の改善が計算されたことは目覚ましい。代替的に、SARS-CoV-2 S VOCをモデル化するS-LVと、G614含有S変異体との間では、p24のインプット1ng当たり、3~4倍の形質導入の改善が計算された。(co)mACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞から捕捉されたRLUによっても、同様の改善が計算された(p24のインプット1ng当たりの、S-LVの機能品質もまた、VOCをモデル化するS-LVが、許容性細胞への形質導入の、2~3倍の改善を示すことを反映した)(図9B;各々、ma(co)SY498,T499,G614+Δ19aa-LVと比較したPを<0.001とする;マン-ホイットニーのt検定)。
【0322】
総じて、これらのデータは、AEXおよびTFFによる濃縮および精製の後における、S-LVおよびmaS-LV精製および濃縮の成功をさらに強調し、モデル化されたVOCが、それらの感染プロファイルを、in vitroにおいて、SG614+Δ19aa-LVまたは適切なPSV参照と比べて、適格化し、確認するように、さらに評価されることをさらに強調した。データはまた、突然変異であるN501Yが、S-LV、特に、maS-LVによる、機能的な形質導入を改善することも裏付ける。
【実施例5】
【0323】
maS-LVは、市販のSARS-CoV-2中和抗体により中和される
次に、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVの、中和に対する感受性を調べることにより、maS-LVが、前臨床/臨床使用に有用な資源であることを実証するのかどうかについて探索した。maS-LVはまた、潜在的なS VOIに対する、前望的中和傾向をモデル化するのにも用いられる。(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞系へと形質導入するのに最適な、形質導入効率の飽和を伴わないMOI(1のMOIは、上方値における、形質導入感受性の飽和を伴わない、高形質導入効率を裏付けた;データは図示しない)を特徴付けした後で、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVを、市販の中和抗体(nAb)による、in vitro中和アッセイにかけた。
【0324】
図10Cおよび10Dに示される通り、RBDターゲティングR001 nAbは、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVの強力な中和を示した(IC50=0.05μg/mL)。図10Aおよび10Bに示される通り、S1ターゲティングMM43もまた、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVを中和することが可能であった(IC50=1.2μg/mL)。
【0325】
しかし、図10Eおよび10Fに示される通り、S-LVは、中和抗体により、SARS-CoV-2 S変異体依存的に中和される。(co)hACE2または(co)mACE2(表示の通り)およびhTMPRSS2を共発現する293T/17細胞(形質導入の当日に、30~40%のコンフルエンシーを達成するように播種される)へと、表示の最終作業濃度における、表示のS-LV.eGFPまたはmaS-LV.eGFP(SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa(G614+Δ19);B.1.1.7+Δ19(アルファ+Δ19);B.1.351+Δ19(ベータ+Δ19);およびSARS-CoV-2 SG614+Y498+T499+Δ19aa(maS2+Δ19));および(E)SARS-CoV-2 S RBDをターゲティングするR001 nAb、または(F)SARS-CoV-2 S1ドメインをターゲティングするMM43 nAbのプレミックスを形質導入した。感染の72時間後における形質導入効率は、フローサイトメトリーにより測定し、中和%は、対応するIgGアイソタイプ対照の平均形質導入に対する%として計算した。点線は、平均IC50が計算される、50%の中和を指す。
【0326】
R001のIC50測定値(ug/mL)は、以下の通りであった:G614+19del S-LVについて、0.06であり;アルファ+19del S-LVについて、0.32であり;ベータ+19del S-LVについて、中和を逃避し;maS2+19del(S-LV v02)S-LVについて、0.05である。
【0327】
MM43のIC50測定値(ug/mL):G614+19del S-LVについて、0.8であり;アルファ+19del S-LVについて、中和を逃避し;ベータ+19del S-LVについて、0.5であり;maS2+19del(S-LV v02)S-LVについて、1.25である。
【0328】
総じて、これらのデータは、S-LVプラットフォームが、nAbを使用して、中和プロファイルまたは中和逃避プロファイルを再現することが可能であることを裏付ける一助となる。
【実施例6】
【0329】
マウス馴化SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、許容可能な機能力価で、SIV1ベクターを偽型化するのに使用される
次に、他のレンチウイルスベクターを偽型化するのに、maSY498,T499,G614+Δ19aaを使用しうるのかどうかについて探索した。SIV1を、概念実証研究のために使用した。
【0330】
VSVg偽型化rSIV1レンチウイルスベクター(n=1)またはSARS-CoV-2(co)SG614+Δ19aaおよびmaSY498,T499,G614+Δ19aa(各々、n=2ずつ)について、293T/17 SF細胞の一過性トランスフェクションを使用して、S-LVを作製した。トランスフェクションの72時間後、粗rSIV1.VSVg/rSIV1.S-LVベクター物質を採取し、系列希釈し、(co)hACE2およびhTMPRSS2を共発現する細胞へと形質導入した。形質導入の72時間後、細胞を、フローサイトメトリーにかけて、eGFPの形質導入に基づき、IU/mL単位の力価を決定した。
【0331】
図11に示される通り、rSIV1ベクターゲノムは、SARS-CoV-2(co)S偽型でパッケージングすることができた。こうして、maSY498,T499,G614+Δ19aaを含むS-LV偽型は、SIV/HIV LVプラットフォームに依存せずに(例えば、SIVctHN偽型と比較して)、6~7×10IU/mLの範囲の力価で、エンベロープへと組み込まれた。
【実施例7】
【0332】
mACE2許容性S-LVは、in vivoにおいて、トランスにおけるhACE2発現に依存せずに、強力な遺伝子導入ツールであることを実証する
in vitroにおける、maS-LVによる形質導入の、mACE2/hACE2共許容性をさらに立証するために、遺伝子導入能へのその橋渡しについて評価するように、精製および濃縮されたmaSY498,T499,G614+Δ19aa-LV.FLucを、in vivoにおいて調べた。加えて、VOC由来S-LVにより呈される、形質導入の観察された利点を踏まえ、S-LVが、実施例4(図9)において報告された、in vitroにおける知見の拡張として、in vivoにおいてもまた、SARS-CoV-2 S変異体をスクリーニングする予測ツールとしてモデル化されるのかどうかについて探索した。用量滴定研究は、非hACE2を発現するBALB/cマウスへの、%を増大させる、MFD(maximum feasible dose)の投与を伴い、ルシフェラーゼ発現動態をモニタリングした。
【0333】
時間経過にわたる、トランスにおけるhACE2発現に依存しない、in vivoにおける生物発光により、maS-LV.FLuc形質導入の、用量依存性増大が観察および推定された(図12)。とりわけ、代表的な図12Aに従い、maS-LVによる形質導入は、マウス肺内で測定可能であったが、被験mACE2共許容性maS-LVにより、マウス鼻腔内で、顕著に測定可能であった。ルシフェラーゼ発現は、マウスの鼻腔(図12B)および肺(図12C)の両方について、ナイーブ動物により推定される通り、バックグラウンドを上回って、十分に検出可能であり、鼻腔内投与の2日後までに、シグナル強度が検出され、投与の約7日後にピークに達し、マウスの鼻腔または肺について、最大で、投与後21日間にわたり持続した(減衰せずに)(それぞれ、図12Bおよび12C)。これに加えて、マウス鼻腔内でも、21日間の時間経過にわたり、類似の形質導入動態を、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVの間で測定したが(シグナル強度の、バックグラウンドを上回る、約1000倍の改善);例外は、シグナル強度の、バックグラウンドを上回る、約100倍の改善を示した、SB.1.1.7+Δ19aa-LV.FLuc 40ngを投与されたマウスであった。マウス肺内では、SB.1.351+Δ19aa-LV.FLucの投与について、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LVのシグナル強度は、シグナル強度の、バックグラウンドを上回る、約10倍の増大(例えば、maSY498,T499,G614+Δ19aa-LV.FLucについてのp24の用量40ngに関して)~約100倍の増大の間の範囲であった。
【0334】
投与されたマウスが、実質的な体重減少を示さず、一般に、TSSMを投与された対照マウス(データは図示しない)と同等であったことを踏まえると、これらの観察は、さらに理解され、これは、被験ng単位の用量における、S-LVの、in vivoにおける遺伝子導入ツールとしての、十分な忍容性を推定した。
【0335】
総じて、提示されたデータは、S-LVプラットフォームが、in vivoのマウスの肺内および気道内の、トランスにおけるhACE2発現を必要とせずに投与されることを裏書きした。
【実施例8】
【0336】
遺伝子治療剤としての、mACE2許容性S-LV
本明細書で例示され、図1で例示されるmaS-LVベクターなどのmaS-LVベクターは、遺伝子治療用ベクターとして使用される。突然変異株である、SFTPB細胞モデルまたはCFTR細胞モデル(それぞれ、CFTR F508Δを伴う、SFTPBkoモデルまたは16HBE14o-モデル)を是正するように目的の治療用遺伝子:(so)SFTPBまたは(so)CFTR2をコードするS-LV(S-LV v02、03、05)を作製した。タンパク質発現プロファイルのレスキューは、ウェスタンブロットによりを裏付けられた。代表的計画を、図13に明示する。
【実施例9】
【0337】
B.1.351+Δ19aa-LVは、SY498,T499,G613 Δ19aa-LVより高度の、肺内におけるトランス遺伝子の発現を方向付ける
in vivoにおける実験を行って、マウスの肺内における、トランス遺伝子の発現を比較した。特に、SY498,T499,G613 Δ19aa-LV(S-LV maS2)を、SB.1.351+Δ19aa-LV(S-LVベータ)と比較した。
【0338】
Y498,T499,G613 Δ19aa-LV(S-LV maS2)、SB.1.351+Δ19aa-LV(S-LVベータ)または媒体を、BALB/cマウス(p24 S-LV 166ngが送達される群1つ当たりのn=6)の肺へと送達した。
【0339】
SARS-CoV-2のWuhan分離株と比較して、SB.1.351+Δ19aa-LV(S-LVベータ)は、以下の配列変異:D80A、D215G、K417N、E484K、N501Y、D614G、A701V、およびC末端における19アミノ酸の欠失を含有した。同様に、SY498,T499,G613 Δ19aa-LV(S-LV maS2)は、Q498Y、P498T、D614G、およびC末端における19アミノ酸の欠失を含有した。いずれのS-LVベクターも、CMVプロモーターの制御下にある、ホタルルシフェラーゼトランス遺伝子を含有した。
【0340】
図14Bに示される通り、SY498,T499,G613 Δ19aa-LV(S-LV maS2)およびSB.1.351+Δ19aa-LV(S-LVベータ)のいずれも、媒体処置動物より有意に大きなルシフェラーゼ活性を方向付けた(それぞれ、47.5倍および107.6倍;p<0.0001;一元ANOVA)。さらに、SB.1.351+Δ19aa-LV(S-LVベータ)は、SY498,T499,G613 Δ19aa-LV(S-LV maS2)の約2.3倍の、in vivoの肺内におけるトランス遺伝子の発現を方向付けた(p<0.0001;一元ANOVA)。
【実施例10】
【0341】
S-LVは、治療用トランス遺伝子を、SARS-CoV-2許容性ヒト細胞へと送達しうる
実施例8に従い、mACE2許容性S-LV(maS3;SARS-CoV-2 SP498,T499,Y501,G614+Δ19aa)は、サーファクタントタンパク質B(SP-B)のトランス遺伝子と共に作製し、100μl、250μl、もしくは500μl(粗)、または1μl、10μl、もしくは50μl(濃縮)の濃度の、粗S-LV形態または濃縮S-LV形態で、SARS-CoV-2許容性293T/17(hACE2およびhTMPRSS2を安定的に共発現する)へと形質導入するのに使用した。形質導入後、細胞溶解物を、成熟SP-Bホモ二量体の発現についてのSDS-PAGEおよびウェスタンブロット解析(非還元条件下における)にかけ、非形質導入細胞のヌルバックグラウンドレベルと比較した。GAPDHは、ローディング対照として用いられた。
【0342】
図15に示される通り、このmACE2許容性S-LV(maS3;SARS-CoV-2 SP498,T499,Y501,G614+Δ19aa)は、粗形態または濃縮形態として送達された場合に、投与された最低容量においてもなお、治療用トランス遺伝子(ヒトSF-B)を発現するSARS-CoV-2許容性ヒト293T/17細胞を駆動することに成功した。
【0343】
加えて、(G614+Δ19aa;SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa)を、トランス遺伝子であるEGFPと共に作製し、ヒト肺芽オルガノイド(LBO)へとマイクロインジェクションした。LBOは、ヒトRUES2胚性幹細胞系から作出し、3Dオルガノイド内のII型肺胞上皮細胞をモデル化した。EGFPをコードする濃縮S-LVを、フェノールレッド(比を2:1とする)と混合し、MFDを、Matrigel内に包埋されたLBOへとマイクロインジェクションした。ヒトIgGをコードするrAAV8のマイクロインジェクションは、陰性対照として用いられた。蛍光顕微鏡法は、EVOS FL Autoを使用して、注射の72時間後に実施した。
【0344】
図16に示される通り、EGFPは、(G614+Δ19aa;SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa)の送達後において、LBO内で発現された。
【実施例11】
【0345】
SARS-CoV-2 2核タンパク質(N)は、組換えHIV1レンチウイルスベクター(LV)の力価をブーストする
以下のS-LVベクターについて調べた:
SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa=G614+Δ19
SARS-CoV-2 SG614+FKO+Δ19aa=G614+FKO+Δ19
B.1.617.2+Δ19=デルタ+Δ19
C.37+Δ19=ラムダ+Δ19
【0346】
Wuhan変異株またはオミクロン変異株に由来するSARS-CoV-2核タンパク質を伴う、EGFPをコードする、これらのS-LVベクター、およびこれらを伴わないS-LVベクターを、上記の「材料および方法」節で記載された通りに作製し、共トランスフェクション時に組み入れた。Wuhan変異株またはオミクロン変異株に由来するSARS-CoV-2核タンパク質の両方について、B.1.617.2+Δ19(デルタ+Δ19)およびC.37+Δ19(ラムダ+Δ19)と共に調べた。Wuhan変異株に由来するSARS-CoV-2核タンパク質だけは、SARS-CoV-2 SG614+Δ19aa(G614+Δ19)およびSARS-CoV-2 SG614+FKO+Δ19aa(G614+FKO+Δ19;ここで、FKO=フーリンノックアウトである)と共に調べた。
【0347】
粗ベクター物質を、hACE2およびhTMPRSS2を安定的に発現する、SARS-CoV-2許容性293T/17細胞上で滴定し、力価は、フローサイトメトリー解析の後で計算した(図17A)。これらの力価を、log10変換し、マッチさせられた力価対の間の差違について解析した。図17Bに示される通り、SARS-CoV-2 N(Wuhanまたはオミクロン)を共トランスフェクトしたところ、収量および力価の有意な改善が観察された(対応のあるt検定;P=0.0006)。
【0348】
考察
高力価SARS-CoV-2 PSV資源に対する要求に応えて、臨床的に妥当なSARS-CoV-2 S糖タンパク質のライブラリーをモデル化するのにたやすく利用される、S-LVプラットフォームが確立されている。これは、VOC(すなわち、G614、B.1.1.7、およびB.1.351)に由来するS、またはS VOIを、潜在的な新興SARS-CoV-2変異株をモデル化するサロゲートとして組み入れた。特に、これは、mACE2共許容性を付与することが本明細書で示されている突然変異であるQ498YおよびP499Tを含む改変Sタンパク質を使用することにより例示されている。
【0349】
S-LVプラットフォーム、およびSARS-CoV-2をモデル化する能力についての包括的検討が提示された。本発明者らは、マウス馴化S-LVの、目覚ましく高度の機能力価を達成した。これは、スケーラブルな293T/17懸濁細胞を使用し、推定ERSを包含する、SARS-CoV-2 S細胞質テールの切断(+Δ19aa)を組み込み、これにより、SARS-CoV-2 Sパッケージング、およびその欠失後における力価を改善して達成した。この細胞質テールの、Δ19aa切断にもかかわらず、本発明者らのS-LVライブラリー内でコードされるSARS-CoV-2 Sは、天然のSARS-CoV-2 Sに従う、それらの天然の三次構造を、実証可能な形で保持し、機能的なSARS-CoV-2 Sタンパク質を再現した(ACE2依存性細胞侵入についての証拠、合胞を媒介する能力、SARS-CoV-2 S三量体の、上記で例示されたS-LV PSV製造物との共精製を踏まえ、IntFOLD tool30を使用する、予測3Dをモデル化、および本発明者らのコードSARS-CoV-2 S配列の構造アライメント(例えば、PDB:7czpA、7cwl、および7a93Aに従い、Wuhan Hu-1Sタンパク質に照らして、信頼できる形で分解された予測3Dモデル)(データは図示しない)を使用した)。興味深いことに、本発明者らのS-LVプラットフォームを使用し、Δ19aa切断を組み込み、ACE2侵入受容体およびhTMPRSS2セリンプロテアーゼの両方を発現する、許容性293T/17細胞の使用を用いることにより、本発明者らは、SARS-CoV-2 S偽型化LVの著明なレスキュー(最大で、所与の製造物中の、対数による機能力価分のレスキュー)を観察した。これは、とりわけ、偽型化することが困難なSARS-CoV-2変異株について当てはまった。Aus/VIC01株、とりわけ全長Sタンパク質としてのAus/VIC01株は、モデル化された他のS-LVと同等の力価まで偽型化することが特に、困難であることが見出されたのである。
【0350】
SARS-CoV-2 S糖タンパク質およびS-LVプラットフォームについての、さらなる精査を実施して、達成される、目覚ましい収量および力価を立証した。特に、本発明の改変SARS-CoV-2 S糖タンパク質が、S-LVプラットフォームの潜在的橋渡しの利益を改善する、周知であり、かつ、特徴付けられた、固有の機能を再現するのかどうかについて検討した。例えば、十分に確立され、市販されている中和抗体に照らして実証可能な中和が達成された。nAbからの逃避を付与する、個別の突然変異プロファイルを踏まえると、モノクローナルnAbに対する中和の逃避は、予測される通り、変異株依存的に実証可能であった。さらに、発現されたSARS-CoV-2 S糖タンパク質は、S2ドメイン内に配置された融合ペプチドに固有である、細胞間の融合および合胞を誘導する、強力な能力を示した。突然変異体であるSG614株は、S糖タンパク質の安定性、未成熟S1の切断および排出の低減を改善し、SD614と比べて、力動的により開放性の融合前コンフォメーションが、ACE2への結合を容易とすることを促進することが見出された。これは、本研究では、トランスフェクション研究における合胞の開始の、実質的な遅延として観察された。
【0351】
さらなる代表的S-LVを介して、本発明者らは、SARS-CoV-2 VOC株(B.1.1.7およびB.1.351)(この場合、PSVは、G614変異株を表す)が、in vitroにおいて、許容性細胞に、基準参照と比べて、目覚ましく感染する傾向をモデル化することに成功する能力をさらに提示することが可能であった。重要なことは、N501Y含有VOCに固有である、測定された形質導入能の、3~4倍の改善を、文献において示唆される、真正SARS-CoV-2変異株の通りに再現することに成功したことであった。全てをまとめると、かつ、SAus/VIC01もまた念頭に置きながら、本発明者らは、SARS-CoV-2の、PSVとしてのモデル化が、関連するS糖タンパク質が、ACE2侵入受容体を介して、許容性細胞に感染する能力について、多くのことを推定しうる例を、おそらく初めて提示する。このS-LVツールは、どの範囲のVUI、VOC、新興SARS-CoV-2変異株、予測SARS-CoV-2変異株が、許容性細胞に感染しうるのかについて、そのS糖タンパク質の文脈において、迅速に検討して、監視の取組みを増強するための、潜在的手段をもたらす。
【0352】
有望なことに、これらの結果はまた、選ばれたSARS-CoV-2 PSVが、突然変異である、SARS-CoV-2 S Q498Y/P499T19を利用し、場合によりまた、突然変異であるN501Yも利用した後、トランスにおいてなされる、hACE2の発現を必要とせずに、in vivoにおいて、直接機能しうることも裏付ける。選ばれたS-LV(および、これを延長して、それらの対応する、真正SARS-CoV-2対応物)が、内因性のmACE2侵入受容体を介して感染する能力は、とりわけ、予防法、治療法、およびワクチン戦略の効能を検討する文脈において、有用な含意を有する。本発明者らは、現在、真正SARS-CoV-2、および非マウス馴化SARS-CoV-2の感染について利用可能なマウスモデルは、重要な主要例として述べると、hACE2トランスジェニック52動物、またはCRISPR/Cas9媒介ノックイン動物の供給と関連する、著明な費用および動物の浪費により、操作が困難であることに注目する。例えば、複製不能アデノウイルス(AdV)、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはLVベクターを介して、hACE2を、マウスの肺および気道へと、トランスにおいて導入することによる、ヒト化の簡略化、およびマウスモデルの、SARS-CoV-2に対する感作工程であってもなお、選択された遺伝子導入ベクターの指向性によって決まる、マウスの肺内における、hACE2の、生理学的に妥当な生体分布を結果としてもたらす。加えて、動物モデルに、複数のベクター(おそらく、少なくとも2つの異なるウイルスベース物質(i.hACE2のヒト化を達成する遺伝子導入のための、選ばれたベクター、およびii.抗原投与用のPSVまたは真正SARS-CoV-2)が必要である)により抗原投与することの複雑さは、mACE2共許容性SARS-CoV-2により緩和される。
【0353】
さらに、S-LVの、個々の変異体は、特に、in vivoにおけるトランス遺伝子発現に関して、全体として、本発明のS-LVの有利な特性を凌駕し、上回る、さらなる利点をもたらす。特に、SB.1.351+Δ19aa-LVは、in vivoの肺内におけるトランス遺伝子の発現の、SY498,T499,G613 Δ19aa-LVと比較して有意な増大をもたらすことが示されている。
【0354】
本発明のマウス馴化S-LVはなお、SARS-CoV-2許容性ヒト細胞へと効率的に形質導入して、治療用トランス遺伝子の発現を駆動することもまた可能であり、SARS-CoV-2 SG614+Δ19aaは、II型肺胞上皮細胞についての、許容可能なモデルである、LBO内のヒト細胞へと形質導入することが可能であった。このように、これらのデータは、本発明のS-LVが、治療用トランス遺伝子を、in vivoにおけるヒトII型肺胞上皮細胞へと送達するのに使用されることを示唆する。II型肺胞上皮細胞は、サーファクタント欠損症(ABCA3欠損症またはSP-B欠損症)および特発性肺線維症など、多数の呼吸器疾患および障害標的細胞型であるので、本発明のS-LVは、遺伝子治療用ベクターとしての潜在的可能性を有する。
【0355】
結論として述べると、本明細書の実施例は、第3世代のSIN HIV1 LVを、SARS-CoV-2 Sにより偽型化(S-LVと称される)する能力を裏付ける。臨床的妥当性がある変異株、または標準的実験の封じ込め条件において使用される、新規のPSV資源として機能する、特に目的の変異株であるVOCに由来するS糖タンパク質を包含し、モデル化する、広範なS-LVライブラリーを確立した。S-LVの目覚ましい機能力価は、懸濁293T/17への、eGFPまたはFLucレポーターをコードするHIV1 LVゲノム、HIV1 GagPol、HIV1 Revプラスミド、および目的のS糖タンパク質をコードするプラスミド(複数可)の、一過性トランスフェクションの後に達成された。S-LVは、in vivoにおける適用を含む、下流における使用を拡大するために、さらに濃縮および精製することができる。重要なことは、COVID-19から回復した患者に由来するnAbもしくは回復期血漿に対する、SARS-CoV-2 S変異体の中和可能性、またはS糖タンパク質を規定する株を介して、SARS-CoV-2変異株の感染可能性を決定する一助となる機能について精査するために、VOCおよびVOIをモデル化することにより、このS-LVプラットフォーム/ライブラリーが、COVID-19/SARS-CoV-2関連の調査研究の進展を、潜在的に支援しうることである。最後に、これらの実施例は、まず、in vivoにおいて、SARS-CoV-2感染をモデル化する、迅速、かつ、直接的な手段として、hACE2発現に依存せずに、強力な遺伝子導入能を裏付けるように、BALB/cマウスに鼻腔内投与することにより、in vivoにおいて、S-LVを適用することの実証を提示する。全てをまとめると、このS-LVプラットフォームは、真正SARS-CoV-2、特に、SARS-CoV-2 S糖タンパク質のレベルでモデル化された、代表的変異株を、正確に表す。このS-LVプラットフォームは、本研究において表される、広範なSARS-CoV-2変異株におけるロバスト性、および高度のBSL要件により制約されないような柔軟性を示す。したがって、S-LVプラットフォームは、使用が容易であり、アクセスが容易であり、進行中のCOVID-19/SARS-CoV-2パンデミックに対抗する、関連の調査研究のための、安全なSARS-CoV-2 PSV資源として機能する。さらに、これらのS-LVベクターがまた、SARS-CoV-2許容性ヒト細胞へと形質導入して、治療用トランス遺伝子の発現を駆動することが可能でもあることは、これらのS-LVが、診療所における遺伝子治療用ベクターとして有用でありうるほか、SARS-CoV-2 PSV資源としても有用でありうることを指し示す。
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【配列表】
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【国際調査報告】