(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
G01R15/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537525
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2022132437
(87)【国際公開番号】W WO2023116280
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111569982.2
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ミンフォン
(72)【発明者】
【氏名】シー、ラン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ソンション
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA08
2G025AA11
2G025AA13
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】段差付き銅バー電流測定装置を提供すること。
【解決手段】装置は、回路基板(3)と、磁気誘導モジュール(2)と、段差付き銅バー(1)とを備え、磁気誘導モジュール(2)は、第1の磁気誘導ユニット(211)および第2の磁気誘導ユニット(212)を備え、段差付き銅バー(1)の磁気誘導モジュール(2)に面する側は、互いに異なる第1の段差(11)および第2の段差(12)を備え、第1の磁気誘導ユニット(211)は第1の段差(11)の上方に位置し、第2の磁気誘導ユニット(212)は第2の段差(12)の上方に位置し、被測定電流は段差付き銅バー(1)に直交する断面を通って流れ、第1の磁気誘導ユニット(211)および第2の磁気誘導ユニット(212)は、段差付き銅バー(1)を通って流れる上記電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で誘導し、差動電圧信号を生成し、差動電圧信号を出力する。装置は、調節可能なコモン・モード磁場動作点を有し、さまざまな磁気誘導ユニットに適用可能であり、調節可能な感度を有し、入力と出力との間の電気的絶縁を実現し、コモン・モード干渉に対する強い抵抗を有し、交流電流および直流電流を測定することができ、大電流を有するという特性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
該回路基板上に固定された磁気誘導モジュールであって、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットを少なくとも備え、該第1の磁気感知ユニットおよび該第2の磁気感知ユニットが同じ水平面上に位置し、該水平面が、該回路基板が位置する面に平行である、磁気誘導モジュールと、
段差付き銅バーであって、該段差付き銅バーの該磁気誘導モジュールに面する側が段差を付けられ、第1の段差および該第1の段差とは異なる第2の段差を少なくとも備え、該回路基板に直交する方向で、該第1の磁気感知ユニットが該第1の段差の上方に位置し、該第2の磁気感知ユニットが該第2の段差の上方に位置し、該磁気誘導モジュールから電気的に絶縁された、段差付き銅バーと、を備え、
被測定電流が該段差付き銅バーに直交する断面を通って流れ、該第1の磁気感知ユニットおよび該第2の磁気感知ユニットが、該段差付き銅バーを通って流れる該被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成し出力することを特徴とする、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項2】
前記磁気誘導モジュールの前記磁気感知ユニットの感度方向が同じであり、前記磁気感知ユニットの該感度方向が、前記磁気感知ユニットの位置で前記段差付き銅バーによって生成される磁場の方向と同じかまたは反対であることを特徴とする、請求項1に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項3】
前記磁気誘導モジュールおよび前記段差付き銅バーを包み込み、固定し、支持する、機械的支持ハウジングをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項4】
前記第1の磁気感知ユニットが少なくとも1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを含み、前記第2の磁気感知ユニットが少なくとも1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを含み、
前記第1の磁気感知ユニットの該磁気抵抗ブリッジ・アームおよび前記第2の磁気感知ユニットの該磁気抵抗ブリッジ・アームが、電気的に接続されて差動半ブリッジ構造出力を形成するか、または接続されて差動フル・ブリッジ構造出力を形成し、すべての磁気抵抗ブリッジ・アームが同じ感度方向を有し、該磁気抵抗ブリッジ・アームが、少なくとも1つの磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成され、前記第1の磁気感知ユニットおよび前記第2の磁気感知ユニットが、同じチップまたは2つの別個のチップ上に位置することを特徴とする、請求項1に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項5】
前記磁気誘導モジュールがまた、閉ループ信号調整回路および磁場フィードバック・コイルを含み、該閉ループ信号調整回路、該磁場フィードバック・コイル、前記第1の磁気感知ユニット、および前記第2の磁気感知ユニットが、閉ループ磁場フィードバック構成要素を構築し、前記差動電圧信号が前記閉ループ信号調整回路によって増幅された後、フィードバック磁場が該磁場フィードバック・コイルを通して生成されて、前記ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、前記磁場の動的平衡に達すると、前記第1の磁気感知ユニットおよび前記第2の磁気感知ユニットが等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に該磁場フィードバック・コイルのフィードバック電流がサンプリング抵抗器を通してサンプリングされて、前記磁気誘導モジュールの出力信号を形成するか、あるいは、
前記磁気誘導モジュールがまた、前記差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施する、開ループ信号調整回路を含むことを特徴とする、請求項1に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項6】
段差付き銅バーと、電流シャント用銅バーと、磁気誘導モジュールと、回路基板とを備え、該磁気誘導モジュールが該回路基板上に固定され、
該段差付き銅バーおよび該電流シャント用銅バーが直列および並列に接続されて、被測定電流入力モジュールを形成し、該磁気誘導モジュールおよび該回路基板が信号出力モジュールを形成し、該被測定電流入力モジュールが該信号出力モジュールから電気的に絶縁され、
該段差付き銅バーの該磁気誘導モジュールに面する側が段差を付けられ、該段差付き銅バーが少なくとも第1の段差および第2の段差を備え、
該磁気誘導モジュールが、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットを少なくとも含み、該第1の磁気感知ユニットおよび該第2の磁気感知ユニットが同じ水平面上に位置し、該水平面が、該回路基板が位置する面に平行であり、該回路基板に直交する方向で、該第1の磁気感知ユニットが該第1の段差の上方に位置し、該第2の磁気感知ユニットが該第2の段差の上方に位置し、
被測定電流が、該段差付き銅バーおよび該電流シャント用銅バーに直交する断面を通って流れ、該磁気誘導モジュールの位置で磁場を生成し、該第1の磁気感知ユニットおよび該第2の磁気感知ユニットが、該被測定電流入力モジュールを通って流れる該被測定電流によって生成される該磁場を差動式で感知し、段差付き銅バーを備えた該電流検出デバイスの出力信号を形成する電圧信号を生成することを特徴とする、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項7】
前記回路基板に直交する方向で、前記回路基板上における前記電流シャント用銅バーの垂直投影が、前記回路基板上における前記磁気誘導モジュールの各磁気感知ユニットの前記垂直投影をカバーし、
各磁気感知ユニットの感度方向が同じであり、前記磁気感知ユニットの前記感度方向が、前記磁気感知ユニットの位置で前記段差付き銅バーによって生成される前記磁場の方向と同じまたは反対であり、前記磁気感知ユニットの前記感度方向が、前記磁気誘導モジュールの面に沿っており、前記段差付き銅バーの段差立ち上がり断面方向に直交することを特徴とする、請求項6に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項8】
前記第1の磁気感知ユニットおよび前記第2の磁気感知ユニットが同じ回路基板上に位置するか、または、
前記第1の磁気感知ユニットおよび前記第2の磁気感知ユニットが2つの別個の回路基板上に位置することを特徴とする、請求項6に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項9】
前記第1の磁気感知ユニットが磁気抵抗ブリッジ・アームで構成され、前記第2の磁気感知ユニットが磁気抵抗ブリッジ・アームで構成され、該磁気抵抗ブリッジ・アームが、直列および並列で接続された1つまたは複数の磁気抵抗感知素子で構成され、2つの該磁気抵抗ブリッジ・アームが、同じ感度方向を有し、電気的に接続されて差動半ブリッジ構造を形成し、あるいは、
前記第1の磁気感知ユニットが2つの磁気抵抗ブリッジ・アームで構成され、前記第2の磁気感知ユニットが2つの磁気抵抗ブリッジ・アームで構成され、該磁気抵抗ブリッジ・アームが、直列および並列で接続された1つまたは複数の磁気抵抗感知素子で構成され、4つの該磁気抵抗ブリッジ・アームが、同じ感度方向を有し、電気的に接続されて差動フル・ブリッジ構造を形成し、
前記第1の磁気感知ユニットおよび前記第2の磁気感知ユニットが、同じチップまたは2つの別個のチップ上に位置することを特徴とする、請求項6に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項10】
前記磁気誘導モジュールがまた、開ループ信号調整回路を含み、該開ループ信号調整回路が、前記差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施し、または、
前記磁気誘導モジュールがまた、閉ループ信号調整回路および磁場フィードバック・コイルを含み、該閉ループ信号調整回路が、前記差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施し、該閉ループ信号調整回路、該磁場フィードバック・コイル、前記第1の磁気感知ユニット、および前記第2の磁気感知ユニットが、閉ループ磁場フィードバックを構築し、前記差動電圧信号が該閉ループ信号調整回路によって増幅された後、フィードバック磁場が該磁場フィードバック・コイルを通して生成されて、ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、前記磁場の動的平衡に達すると、前記第1の磁気感知ユニットおよび前記第2の磁気感知ユニットが等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に該磁場フィードバック・コイルの該フィードバック電流がサンプリング抵抗器を通してサンプリングされて、前記磁気誘導モジュールの出力信号を形成することを特徴とする、請求項6に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項11】
前記電流シャント用銅バーの数が1つまたは複数であり、
前記回路基板の垂直方向に沿って、いずれの電流シャント用銅バーも、前記磁気誘導モジュールの上方または前記段差付き銅バーの下方の位置にあり、前記回路基板が位置する面上の前記電流シャント用銅バーの前記垂直投影が、前記磁気誘導モジュールの各磁気感知ユニットをカバーすることを特徴とする、請求項6から10のいずれか一項に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【請求項12】
前記磁気誘導モジュールの位置において、前記電流シャント用銅バーの前記電流方向が、前記段差付き銅バーの前記電流方向と同じまたは反対であり、
段差付き銅バーを備えた前記電流検出デバイスにおいて、段差付き銅バーを備えた前記電流検出デバイスの前記被測定電流の入力範囲が、前記電流シャント用銅バーおよび前記段差付き銅バーの直列・並列接続モードを設定することによって調節され、ならびに/あるいは段差付き銅バーを備えた前記電流検出デバイスの前記被測定電流の前記入力範囲が、前記電流シャント用銅バーの数を設定することによって調節されることを特徴とする、請求項11に記載の段差付き銅バーを備えた電流検出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気的測定の技術分野に関し、詳細には、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流検出デバイスは、産業オートメーション技術、検出技術、電力監視システム、インバータ電源、電気自動車、および他の分野で広く使用されている。現在、一般に使用されている電流検出デバイスとしては、信号入力を実現する銅バーをベースとするシャント、電磁誘導の原理に基づいた変流器およびロゴスキー・コイル、光ファイバ電流センサ、ならびに導電性材料を使用して磁気誘導素子に対する入力のための磁場を生成する磁気電流センサが挙げられる。
【0003】
シャントは、直流電流が抵抗器を通ると電圧が抵抗器の両端で生成されるという原理に基づいて作られる。基本的には、シャントは抵抗値が非常に小さい抵抗器であり、オームの法則を直接適用して電流信号を電圧信号に変換する。測定される電流ループとシャントの測定用ループとの間に電気的接続があり、信号出力端と測定される電流ループとの間は電気的に絶縁されていないため、それら2つの間に相互干渉が生じる。シャントは低周波数および低電力に適しており、高電圧ループの電流を測定することはできず、高AC電流を測定することも困難である。
【0004】
変流器は、電磁誘導の原理に基づいており、変化する電流のみを測定することができる。閉タイプ変流器は、設置または分解の前にバスバーを取り外す必要があり、複雑な構造を有し、一方、開タイプ変流器の磁気回路は空隙を有するので、製品自体が比較的大きい誤差および大きいサイズを有することになる。ロゴスキー・コイルは、変流器に類似し、空心設計を採用している。ロゴスキー・コイルは、測定する導体に直接付けることができ、AC電流を広い周波数範囲で測定するのに適しているが、DC電流は測定できない。ロゴスキー・コイルは、また感度が低く、サイズが大きい。
【0005】
光ファイバ電流センサの機能性光ファイバ・センサは、磁気光学結晶のファラデー効果に基づいている。機能性光ファイバ・センサは、外部情報に敏感であり、外部情報を検出することができる、光ファイバを感知素子として使用する。機能性光ファイバ・センサは、高い測定精度を有し、小型化が簡単であるが、特別な光ファイバを使用しなければならず、コストがかかる。
【0006】
磁気電流センサは、通電導体材料の異なる構造設計を使用して、空間に磁場を生成し、次にさまざまな磁気誘導素子を使用して磁場を感知し、電圧信号を出力することによって電流の検出を実現する。干渉は電流測定精度に大きく影響する。磁気電流センサの電流測定精度は、磁気電流センサの耐干渉能力を改善することによって改善できる。既存の磁気電流センサの耐干渉能力のために一般に採用される設計は、空間の異なる位置にある通電導体によって生成される磁場の差を使用して、磁気誘導素子を通る磁場の差動試験を実施するものである。
【0007】
ディファレンシャル・モードで実現される電流測定としては、次のものが挙げられる。(1)2つの磁気誘導素子を使用して、同じ環状鉄芯内部の磁場を差動式で感知する、電流検出方法。しかしながら、鉄芯の空隙における磁気漏れの問題があり、磁気リング構造の体積および重量が大きい。同じ環状鉄芯内部の磁力線は磁気感知ユニットを直接通るので、コモン・モード磁場の動作点および入力信号範囲を調節するのは困難であり、大電流を測定する場合、磁気感知ユニットが簡単に飽和する。(2)U字形のワイヤを使用して、反対方向の差動信号を生成するか、または首にくぼみを有する銅バーを信号入力として使用するか、または長方形もしくは丸みを付けた長方形の断面を有する被測定銅バスバー・ワイヤを信号入力として使用するもの。しかしながら、電流が大きい場合、上記ワイヤを通る被測定電流によって生成される磁場は、差動検出のために磁気抵抗感知素子の入力信号として直接使用され、したがって、大電流を測定する場合、コモン・モード磁場が磁気抵抗センサ・チップを飽和し、結果として入力範囲が限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、既存の電流センサの限定された測定精度および測定範囲という問題を解決するため、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスであって、
回路基板と、
回路基板上に固定された磁気誘導モジュールであって、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットを少なくとも備え、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットが同じ水平面上に位置し、水平面が、回路基板が位置する面に平行である、磁気誘導モジュールと、
段差付き銅バーであって、段差付き銅バーの磁気誘導モジュールに面する側が段差を付けられ、第1の段差および第1の段差とは異なる第2の段差を少なくとも備え、回路基板に直交する方向で、第1の磁気感知ユニットが第1の段差の上方に位置し、第2の磁気感知ユニットが第2の段差の上方に位置し、磁気誘導モジュールから電気的に絶縁された、段差付き銅バーと、を備え、
被測定電流が段差付き銅バーに直交する断面を通って流れ、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットが、段差付き銅バーを通って流れる被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成し出力する、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスを提供する。
【0010】
本発明の実施形態はさらに、段差付き銅バーと、電流シャント用銅バーと、磁気誘導モジュールと、回路基板とを備え、磁気誘導モジュールが回路基板上に固定された、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスであって、
段差付き銅バーおよび電流シャント用銅バーが直列および並列に接続されて、被測定電流入力モジュールを形成し、磁気誘導モジュールおよび回路基板が信号出力モジュールを形成し、被測定電流入力モジュールが信号出力モジュールから電気的に絶縁され、
段差付き銅バーの磁気誘導モジュールに面する側が段差を付けられ、段差付き銅バーが少なくとも第1の段差および第2の段差を備え、
磁気誘導モジュールが、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットを少なくとも備え、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットが同じ水平面上に位置し、水平面が、回路基板が位置する面に平行であり、回路基板に直交する方向で、第1の磁気感知ユニットが第1の段差の上方に位置し、第2の磁気感知ユニットが第2の段差の上方に位置し、
被測定電流が、段差付き銅バーおよび電流シャント用銅バーに直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュールの位置で磁場を生成し、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットが、被測定電流入力モジュールを通って流れる被測定電流によって生成される磁場を差動式で感知し、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する電圧信号を生成する、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスを提供する。
【0011】
本発明の実施形態によって提供される、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスでは、段差付き銅バーは、高さの差を有する第1の段差および第2の段差を有し、磁気誘導モジュールの磁気感知ユニットは、第1の段差と第2の段差との高さの差によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、段差付き銅バーの断面電流密度が同じなので、第1の段差および第2の段差の高さを調節することによって、被測定電流のほとんどが、段差付き銅バーの下側の長方形を通って磁気誘導モジュールから離れる方向に流れ、コモン・モード磁場を形成することができ、また同時に、測定電流範囲を拡張できるように、ディファレンシャル・モード磁場のサイズを調節し制御することができる。段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、調節可能なコモン・モード磁場動作点、さまざまな磁気感知ユニットに対する適用可能性、調節可能な感度、入出力の電気的絶縁、強力な耐コモン・モード干渉能力、DCおよびAC電流の測定能力、ならびに大電流の測定能力といった特性を有する。
【0012】
本発明の実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または先行技術での使用に必要な添付図面を以下に簡潔に紹介する。当然ながら、後述する添付図面は本発明のいくつかの具体的な実施形態であるが、当業者にとって、本発明のさまざまな実施形態によって開示され促進されるデバイス構造、駆動方法、および製造方法の基本概念は、他の構造および図面へと拡張し拡大することができ、これらがすべて本発明の特許請求の範囲内にあることは間違いない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスを示す概略図である。
【
図2】
図1に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁場シミュレーション図である。
【
図3】
図1に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのブリッジ構造を示す概略図である。
【
図4】磁気抵抗感知素子の電流検出デバイスの電圧・磁場曲線を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えた別の電流検出デバイスを示す概略図である。
【
図6】
図5に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁場シミュレーション図である。
【
図7】
図5に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのブリッジ構造を示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えたさらに別の電流検出デバイスを示す概略図である。
【
図9】
図8に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁場シミュレーション図である。
【
図10】本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えたさらに別の電流検出デバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決策について、本発明の実施形態において添付図面を参照して、実現例を通して明確かつ十分に後述する。当然ながら、記載する実施形態は、本発明の実施形態の一部であってすべてではない。本発明の実施形態によって開示され促進される基本概念に基づいて、当業者によって得られる他のすべての実施形態は本発明の保護範囲内にある。
【0015】
図1を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの概略図である。本実施形態で提供される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、回路基板3と、回路基板3上に固定された磁気誘導モジュール2であって、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212を少なくとも備え、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が同じ水平面上に位置し、水平面が、回路基板3が位置する面に平行である、磁気誘導モジュール2と、段差付き銅バー1であって、段差付き銅バー1の磁気誘導モジュール2に面する側が段差を付けられ、第1の段差11および第1の段差11とは異なる第2の段差12を少なくとも備え、回路基板3に直交する方向で、第1の磁気感知ユニット211が第1の段差11の上方に位置し、第2の磁気感知ユニット212が第2の段差12の上方に位置し、磁気誘導モジュール2から電気的に絶縁された、段差付き銅バー1と、を備え、被測定電流が段差付き銅バー1に直交する断面を通って流れ、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が、段差付き銅バー1を通って流れる被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成し出力する。
【0016】
この実施形態では、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、段差付き銅バーおよび磁気誘導モジュールを備え、したがって、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、磁気抵抗電流検出デバイスでもある。特定の動作原理は、磁気誘導モジュール2が、段差付き銅バー1の段差状部分を通って流れる被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を、差動式で感知するというものである。
【0017】
任意選択で、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスはまた、磁気誘導モジュール2および段差付き銅バー1を包み込み、固定し、支持する、機械的支持ハウジング4を含む。機械的支持ハウジング4は、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのさまざまな部分を包み込み、固定し、支持するだけではなく、外部境界面も提供する。
【0018】
段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは回路基板3を含む。回路基板3が位置する面は、Z方向に直交すると理解することができる。回路基板3が位置する面に直交する方向Zで、任意選択で、磁気誘導モジュール2、回路基板3、および段差付き銅バー1が順に配置され、つまり、磁気誘導モジュール2および段差付き銅バー1は回路基板3の対向する側に位置する。任意選択で、Z方向に沿って、磁気誘導モジュール2は回路基板3の上方に固定的に配置され、段差付き銅バー1は回路基板3の下方に配置され、段差付き銅バー1は磁気誘導モジュール2から電気的に絶縁され、また段差付き銅バー1は回路基板3からも電気的に絶縁される。
【0019】
段差付き銅バー1の磁気誘導モジュール2に面する側は段差を付けられ、段差付き銅バー1の断面は、X-Z面を切断面として切断することによって得られる断面であり、したがって段差付き銅バー1の断面はX-Z面に平行である。
図1は、磁気誘導モジュール2、回路基板3、および段差付き銅バー1の断面を示している。段差付き銅バー1の磁気誘導モジュール2に面する側は段差を付けられ、第1の段差11および第1の段差11とは異なる第2の段差12を少なくとも含む。
【0020】
磁気誘導モジュール2は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212を少なくとも含み、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は同じ水平面上に位置し、水平面は回路基板3が位置する面に平行である。回路基板3に直交する方向Zで、第1の磁気感知ユニット211は第1の段差11の上方に位置し、第2の磁気感知ユニット212は第2の段差12の上方に位置する。
【0021】
任意選択で、磁気誘導モジュール2の磁気感知ユニットの感度方向は同じであり、磁気感知ユニットの感度方向は、磁気感知ユニットの位置で段差付き銅バー1によって生成される磁場の方向と同じかまたは反対である。この実施形態では、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の感度方向は同じであり、それらの感度方向は、任意選択で、図面に示されるような右向きのX方向である。第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置で段差付き銅バー1によって生成される磁場の方向は、磁気感知ユニットの感度方向と同じなので、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置で段差付き銅バー1によって生成される磁場の方向も、図面に示されるような右向きのX方向である。右向きで示される磁気感知ユニットの感度方向は単なる一例であり、関連分野の実践者が製品要件に従って磁気感知ユニットの感度方向を合理的に設計することができ、図面に示される右向きの方向に限定されないことを理解することができる。
【0022】
被測定電流は、段差付き銅バー1を通って、段差付き銅バー1の断面に直交する電流方向に流れる。具体的には、電流方向は、X-Z面に直交し、また紙面に直交で内向きである。第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、段差付き銅バー1を通って流れる被測定電流によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成し出力する。
【0023】
具体的な分析プロセスは次の通りである。
図2は、
図1に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁場シミュレーション図である。段差付き銅バー1の電流
I1は50A、Z方向に沿った段差付き銅バー1の断面の幅は10mmであり、磁気誘導モジュール2は、段差付き銅バー1の上方0.6mmの水平面位置に位置する。被測定電流が段差付き銅バー1を通ってX-Z面に直交する電流方向に流れると、磁場が磁気誘導モジュール2の位置に生成される。シミュレーション図が
図2に示されており、この図から、段差立ち上がりセクション付近では、第1の段差11および第2の段差12上方の同じ面内の磁場が明らかな差を有し、磁場分布は比較的均一であることが分かる。
【0024】
第1の磁気感知ユニット211が、第1の段差11の上方の均一磁場領域内に位置し、第2の磁気感知ユニット212が、第2の段差12の上方の均一磁場領域内に位置すると仮定する。段差付き銅バー1の材料は均一であるとみなされるので、被測定電流が段差付き銅バー1を通ってX-Y面に直交する電流方向に流れるとき、段差断面の電流密度は同じであるとみなすことができ、つまり電流の大きさは断面積に比例する。したがって、段差付き銅バー1を2つに、つまり、第1の段差11および第2の段差12に従って上側および下側の長方形断面部分に再分割することができる。段差付き銅バー1の分割された下側の長方形の高さは、第2の段差12の高さと一貫しており、下側の長方形の幅は、第1の段差11の幅と第2の段差12の幅の合計であり、上側の長方形の高さは、第1の段差11の高さと第2の段差12の高さの差であり、上側の長方形の幅は第1の段差11の幅と一貫している。ここで、高さはZ方向に沿った寸法であり、幅はX方向に沿った寸法である。
【0025】
これに基づいて、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、両方とも下側の長方形の均一磁場領域内に位置し、第1の磁気感知ユニット211は、上側の長方形の均一磁場領域内にも位置するとみなすことができる。
【0026】
被測定電流をIin、段差付き銅バー1を通って流れる電流をI1とすると、段差付き銅バー1を通って流れる電流I1は、下側の長方形を通って流れる電流I’1および上側の長方形を通って流れる電流ΔI1に分割することができ、式(1)が得られる。
I1=I’1+ΔI1 (1)
【0027】
右向きのX方向を磁場の正方向とし、通電ワイヤが磁場を生成するビオ・サバールの法則に従って、第1の磁気感知ユニット211の位置で段差付き銅バー1の電流I1によって生成される磁場H211は、電流とともに直線的に変化し、第2の磁気感知ユニット212の位置で電流I1によって生成される磁場H212は、電流とともに直線的に変化し、式(2)が得られる。
H211=k1I’1+k21ΔI1;
H212=k1I’1+k22ΔI1 (2)
式中、k1は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置で下側の長方形の電流I’1によって生成される均一磁場の線形定数、k21は、第1の磁気感知ユニット211の位置で上側の長方形の電流ΔI1によって生成される磁場の線形定数、k22は、第2の磁気感知ユニット212の位置で上側の長方形の電流ΔI1によって生成される磁場の線形定数である。
【0028】
式(2)に対して等価変換を実施することによって、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、コモン・モード磁場HCMおよびディファレンシャル・モード磁場HDMに分解され、式(3)が得られる。
【0029】
【0030】
これに対応して、第1の磁気感知ユニット211の位置における磁場および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、コモン・モード磁場HCMおよびディファレンシャル・モード磁場HDMの重畳式に変換することができ、式(4)が得られる。
H211=HCM+HDM;
H212=HCM-HDM (4)
【0031】
上述したように、この実施形態によって提供される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスでは、Iin=I1である。式(3)および(4)を組み合わせると、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、被測定電流Iinに比例し、被測定電流は、ディファレンシャル・モード磁場HDMを測定することによって検出できることが分かる。
【0032】
本発明の実施形態によって提供される、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスでは、段差付き銅バーは、高さの差を有する第1の段差および第2の段差を有し、磁気誘導モジュールの磁気感知ユニットは、第1の段差と第2の段差との高さの差によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、段差付き銅バーの電流密度が断面にわたって同じなので、第1の段差および第2の段差の高さを調節することによって、被測定電流のほとんどが、段差付き銅バーの面上にある下側の長方形を通って磁気誘導モジュールから離れる方向に流れ、コモン・モード磁場を形成し、また同時に、測定電流範囲を拡張できるように、ディファレンシャル・モード磁場のサイズを調節し制御することができる。段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、調節可能なコモン・モード磁場動作点、さまざまな磁気感知ユニットに対する適用可能性、調節可能な感度、入出力の電気的絶縁、強力なコモン・モード干渉抵抗、ならびに大きいACおよびDC電流の測定能力といった特性を有する。
【0033】
任意選択で、磁気誘導モジュールの磁気感知ユニットは、異方性磁気抵抗器AMR、巨大磁気抵抗器GMR、トンネル磁気抵抗器TMR、および超巨大磁気抵抗器CMRのうちいずれかの磁気抵抗感知素子で構成される。
【0034】
任意選択で、第1の磁気感知ユニットは1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、第2の磁気感知ユニットは1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、第1の磁気感知ユニットの磁気抵抗ブリッジ・アームおよび第2の磁気感知ユニットの磁気抵抗ブリッジ・アームは、電気的に接続されて差動半ブリッジ構造出力を形成するか、または接続されて差動フル・ブリッジ構造出力を形成し、すべての磁気抵抗ブリッジ・アームは同じ感度方向を有し、磁気抵抗ブリッジ・アームは、少なくとも1つの磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成され、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットは、同じチップまたは2つの別個のチップ上に位置する。
【0035】
図3は、
図1に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのブリッジ構造の概略図である。ここで、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのブリッジ構造は差動フル・ブリッジ構造である。
図3に示されるように、任意選択で、第1の磁気感知ユニット211は2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211aおよび211bを含み、第2の磁気感知ユニット212は2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム212aおよび212bを含み、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211a、211b、212a、および212bは電気的に接続されて、差動フル・ブリッジ構造を形成する。4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211a、211b、212a、および212bの感度方向は同じであり、すべて水平にX方向右側である。各磁気抵抗ブリッジ・アームは、直列および並列に接続された、少なくとも1つの磁気抵抗感知素子で構成される。任意選択で、磁気抵抗ブリッジ・アームの磁気抵抗感知素子はトンネル磁気抵抗器TMRを採用し、また任意選択で、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は同じチップ上に位置する。
【0036】
上述の分析と
図3に示される差動フル・ブリッジ構造とを組み合わせることによって、第1の磁気感知ユニット211の位置で段差付き銅バー1によって生成される磁場と、第2の磁気感知ユニット212の位置で段差付き銅バー1によって生成される磁場との間に差があることが分かる。具体的には、第1の磁気感知ユニット211の位置で段差付き銅バー1によって生成される右向きの磁場は、第2の磁気感知ユニット212の位置で段差付き銅バー1によって生成される右向きの磁場よりも大きい。4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211a、211b、212a、および212bの感度方向はすべて右向きなので、磁気抵抗ブリッジ・アーム211aおよび211bの位置における右向きの磁場は、磁気抵抗ブリッジ・アーム212aおよび212bの位置における右向きの磁場よりも大きい。したがって、磁気抵抗ブリッジ・アーム211aおよび211bの抵抗は磁気抵抗ブリッジ・アーム212aおよび212bの抵抗よりも小さい。したがって、V2電圧がV1電圧よりも大きいことが得られて、差動電圧信号が形成される。
【0037】
任意選択で、磁気誘導モジュール2はまた、閉ループ信号調整回路および磁場フィードバック・コイル22を含み、閉ループ信号調整回路、磁場フィードバック・コイル22、第1の磁気感知ユニット211、および第2の磁気感知ユニット212は、閉ループ磁場フィードバック構成要素を構築し、差動電圧信号が閉ループ信号調整回路によって増幅された後、フィードバック磁場が磁場フィードバック・コイル22を通して生成されて、ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、磁場の動的平衡に達すると、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に磁場フィードバック・コイル22のフィードバック電流がサンプリング抵抗器を通してサンプリングされて、磁気誘導モジュール2の出力信号を形成する。あるいは、他の実施形態では、任意選択で、磁気誘導モジュールはまた、差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施する、開ループ信号調整回路を含む。
【0038】
この実施形態では、任意選択で、磁場フィードバック・コイル22および閉ループ信号調整回路は、磁気感知ユニットの内部で統合される。例えば、第1の磁気感知ユニット211は、内部で統合された磁場フィードバック・コイル22および閉ループ信号調整回路を有し、第2の磁気感知ユニット212は、内部で統合された磁場フィードバック・コイル22および閉ループ信号調整回路を有し、任意選択で、閉ループ信号調整回路は、ASIC特定用途向け集積回路で作られる。
【0039】
閉ループ信号調整回路は、第1の磁気感知ユニット211と第2の磁気感知ユニット212との間で生成される差動電圧信号に対して、調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施するのに使用される。差動電圧信号は、閉ループ信号調整回路によって増幅された後、磁場フィードバック・コイル22を通過してフィードバック磁場を生成して、ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットする。磁場の動的平衡が達成されると、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は等しいコモン・モード磁場動作点で動作する。最後に、磁場フィードバック・コイル22のフィードバック電流がサンプリング抵抗器によってサンプリングされて、磁気誘導モジュール2の出力を形成する。このとき、磁気誘導モジュール2の出力信号は、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する。
【0040】
この実施形態で提供される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスでは、磁気誘導モジュールの第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットは、フル・ブリッジ回路構造を採用し、同じチップ上に位置し、それによって耐干渉能力および一貫性を向上することができ、段差付き銅バーの段差形状によって、磁気誘導モジュールがディファレンシャル・モード磁場を形成するのを可能にすることができ、磁場フィードバック・コイルは磁気感知ユニットの内部で統合される。これに基づいて、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、単純な構造、小さいサイズ、入出力の電気的絶縁、強力な耐コモン・モード干渉能力、DCおよびAC電流の測定能力、ならびに大電流の測定能力といった特性を有する。
【0041】
他の実施形態では、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのブリッジ構造はまた、差動半ブリッジ構造として選択することができ、その場合、第1の磁気感知ユニットは磁気抵抗ブリッジ・アームを含み、第2の磁気感知ユニットは磁気抵抗ブリッジ・アームを含み、2つの磁気抵抗ブリッジ・アームは電気的に接続されて、差動半ブリッジ構造出力を形成し、すべての磁気抵抗ブリッジ・アームは、同じ感度方向を有し、直列および並列で接続された少なくとも1つの磁気抵抗感知素子で構成され、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットは、同じチップ上または2つの別個のチップ上に位置する。任意選択で、磁気誘導モジュールはまた、差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施する、開ループ信号調整回路を含む。回路の動作原理は
図3に類似しており、ここでは再び記載しない。
【0042】
単に段差付き銅バー1を使用して磁場を形成することで、測定電流範囲をある程度拡張することができるが、拡張の程度は依然として限定されていることに留意されたい。具体的には、コモン・モード磁場HCMを、段差付き銅バー1の断面を通して分離することにより、測定電流範囲を拡張することができ、つまり、コモン・モード磁場HCMは第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212に対して同じ効果を有し、理論上、磁気誘導モジュール2の出力には影響しないが、磁気抵抗感知素子自体の特性により、依然として特定の直線性の一貫性の問題および飽和の問題がある。
【0043】
図4を参照すると、この図は、磁気抵抗感知素子の電圧・磁場曲線の概略図である。任意選択で、磁気誘導モジュール2の磁気抵抗感知素子はトンネル磁気抵抗器TMRである。
図4に示されるように、磁場ゼロ地点の両側に特定の直線区間の範囲があり、それが飽和に近付くと、
図4における曲線の傾斜の変化に反映される、トンネル磁気抵抗器TMRの感度の変化が起こる。具体的には、地点Aは直線範囲内にあり、地点Bは正の飽和接近範囲内にあり、地点Cは負の飽和接近範囲内にある。
【0044】
上記式(4)に従って、3つの事例におけるコモン・モード磁場HCMの動作点は、A、B、およびCであり、H211の動作点はA1、B1、およびC1であり、H212の動作点はA2、B2、およびC2であり、H211とHCMとの差はHDMであり、H212とHCMとの差はHDMであると仮定することができる。
【0045】
直線範囲内の地点Aでは、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の感度は一貫しているが、飽和接近範囲内の地点BおよびCでは、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の感度に誤差があるようになり、つまり、B1およびB2における傾斜は非常に異なり、C1およびC2における傾斜は非常に異なり、それらが電流検出デバイスの測定精度に影響を及ぼすようになる。
【0046】
同様に、異なるサイズの入力電流の場合、生成されたコモン・モード磁場が異なるので、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの感度も全範囲にわたって特定の差を有するようになるため、直線性の一貫性に関する特定の問題が生じる。上述の理由で、測定電流範囲のさらなる拡張が限定される。
【0047】
これに基づき、本発明の一実施形態はさらに、段差付き銅バーを備えた別の電流検出デバイスを提供するが、この実施形態および以下の実施形態で提供される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスには、電流シャント用銅バーが導入されるという点で、上述の実施形態のいずれとも異なる。段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスにおける電流シャント用銅バーの役割は、一方では、被測定電流をさらにシャントし、測定電流範囲を拡張することであり、他方では、磁気誘導モジュールの動作点が飽和接近範囲から直線範囲に戻るように、コモン・モード磁場を低減しオフセットすることができる。そのため、直線性の一貫性を考慮しつつ、測定電流範囲を顕著に拡張させることができる。
【0048】
図5を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えた別の電流検出デバイスの概略図である。
図5に示されるように、この実施形態で提供される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、段差付き銅バー1と、電流シャント用銅バー5と、磁気誘導モジュール2と、回路基板3とを含み、磁気誘導モジュール2は回路基板3上に固定され、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5は直列および並列で接続されて、被測定電流入力モジュールを形成し、磁気誘導モジュール2および回路基板5は信号出力モジュールを形成し、被測定電流入力モジュールは信号出力モジュールから電気的に絶縁され、段差付き銅バー1の磁気誘導モジュール2に面する側は段差を付けられ、段差付き銅バー1は、第1の段差11および第2の段差12を少なくとも含み、磁気誘導モジュール2は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212を少なくとも含み、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は同じ水平面上に位置し、水平面は回路基板3が位置する面に平行である。回路基板3に直交する方向Zで、第1の磁気感知ユニット211は第1の段差11の上方に位置し、第2の磁気感知ユニット212は第2の段差12の上方に位置し、被測定電流は、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5に直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュール2の位置で磁場を生成し、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、被測定電流入力モジュールを通って流れる被測定電流によって生成される磁場を差動式で感知し、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する電圧信号を生成する。
【0049】
この実施形態では、電流シャント用銅バー5が導入され、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5は、磁気誘導モジュール2の上側および下側に位置する。磁気誘導モジュール2は回路基板3上に固定され、回路基板3が位置する面は、任意選択でZ方向に直交する。Z方向に沿って、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5は回路基板3の上側および下側に位置し、任意選択で、段差付き銅バー1は回路基板3の下方に位置し、電流シャント用銅バー5は回路基板3の上方に位置し、磁気誘導モジュール2は回路基板3の上方に取り付けられる。
【0050】
段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5は、直列および並列で接続されて被測定電流入力モジュールを形成し、磁気誘導モジュール2および回路基板5は信号出力モジュールを形成し、被測定電流入力モジュールは信号出力モジュールから電気的に絶縁される。回路基板3が位置する面はZ方向に直交するので、回路基板3の断面はX-Z面に平行であり、したがって、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5の断面は両方ともX-Z面に平行である。被測定電流は、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5に直交する断面を通って流れる。任意選択で、電流シャント用銅バー5を段差付き銅バー1と並列に接続して、被測定電流の共通のシャントを実現することができ、それにより、被測定電流は、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5を通って同じ方向に流れ、両方とも紙面に直交で内向きである。
【0051】
任意選択で、回路基板3に直交する方向Zで、回路基板3上における電流シャント用銅バー5の垂直投影は、回路基板3上における磁気誘導モジュール2の各磁気感知ユニットの垂直投影をカバーし、各磁気感知ユニットの感度方向は同じであり、磁気感知ユニットの感度方向は、磁気感知ユニットの位置で段差付き銅バー1によって生成される磁場の方向と同じまたは反対であり、磁気感知ユニットの感度方向は、磁気誘導モジュール2の面に沿っており、段差付き銅バー1の段差立ち上がり断面方向に直交する。電流シャント用銅バー5は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の上方に位置し、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は両方とも、Z方向に沿った電流シャント用銅バー5の垂直投影のカバー範囲内における均一磁場領域内に位置する。具体的には、第1の磁気感知ユニット211は、第1の段差11の上方の均一磁場領域内に位置し、第2の磁気感知ユニット212は、第2の段差12の上方の均一磁場領域内に位置する。
【0052】
任意選択で、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、同じ回路基板3上に位置するか、あるいは第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、2つの別個の回路基板3上に位置する。
【0053】
任意選択で、磁気誘導モジュール2の磁気感知ユニットは、異方性磁気抵抗器AMR、巨大磁気抵抗器GMR、トンネル磁気抵抗器TMR、および超巨大磁気抵抗器CMRのうちいずれかの磁気抵抗感知素子で構成される。あるいは、任意選択で、磁気誘導モジュール2の磁気感知ユニットは、フラックスゲート、巨大磁気インピーダンスGMI、および磁気電気結合デバイスMEのいずれかの磁気誘導素子で構成される。
【0054】
任意選択で、電流シャント用銅バーの数は1つまたは複数であり、回路基板3の垂直方向Zに沿って、いずれの電流シャント用銅バーも、磁気誘導モジュール2の上方または段差付き銅バー1の下方の位置にあり、回路基板3が位置する面上の電流シャント用銅バーの垂直投影は、磁気誘導モジュール2の各磁気感知ユニットをカバーする。任意選択で、磁気誘導モジュール2の位置において、電流シャント用銅バーの電流方向は、段差付き銅バー1の電流方向と同じまたは反対であり、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスにおいて、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの被測定電流の入力範囲は、電流シャント用銅バーおよび段差付き銅バー1の直列・並列接続モードを設定することによって調節され、ならびに/あるいは段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの被測定電流の入力範囲は、電流シャント用銅バーの数を設定することによって調節される。
【0055】
図5に示されるように、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは電流シャント用銅バー5を導入し、電流シャント用銅バー1は磁気誘導モジュール2の上方に位置し、磁気誘導モジュール2の位置において、電流シャント用銅バー5の電流方向は段差付き銅バー1の電流方向と同じであり、電流シャント用銅バー5は被測定電流をシャントし、電流シャント用銅バー5および段差付き銅バー1の直列・並列接続モードを設定することによって、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの被測定電流の入力範囲を調節することができ、それによって測定電流範囲がさらに拡張される。
【0056】
被測定電流は、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5の断面に直交する電流方向で、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー5を通って流れ、磁気誘導モジュール2の位置で磁場を生成し、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、被測定電流入力モジュールを通って流れる被測定電流によって生成される磁場を差動式で感知し、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する電圧信号を生成する。ここで、電流シャント用銅バー5は、磁気感知ユニットの位置で、左向きのコモン・モード磁場を生成する。
【0057】
具体的な分析プロセスは次の通りである。
図6を参照すると、この図は、
図5に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁場シミュレーション図である。
図6を
図2と比較すると、段差立ち上がりセクション付近では、第1の段差11および第2の段差12の上方の同じ面内における磁場が明らかな差を有し、磁場分布が比較的均一であるという点が類似しており、
図6に示される磁場曲線は顕著な下向きのシフトを有し、つまり、磁気感知ユニットの位置で電流シャント用銅バー5によって生成される左向きのコモン・モード磁場と、段差付き銅バー1によって生成される右向きのコモン・モード磁場とが互いをオフセットし低減し合うという違いがあることが分かる。当然ながら、電流シャント用銅バー5の厚さおよび相対位置を調節することによって、オフセットされたコモン・モード磁場は、同じ方向であるか、ゼロにされるか、または反対方向のものであってもよい。
【0058】
以下、
図6に示される曲線を一例として説明する。電流シャント用銅バー5および段差付き銅バー1のオフセットされたコモン・モード磁場は、同じ方向のものであると理解することができる。
【0059】
電流シャント用銅バー5を通って流れる電流をI5として、式(5)が得られる。
Iin=I1+I5=I’1+ΔI1+I5 (5)
【0060】
右向きのX方向を磁場の正方向とし、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が電流シャント用銅バー5の均一磁場領域に位置すると仮定すると、通電ワイヤが磁場を生成するビオ・サバールの法則に従って、式(6)が得られる。
H211=k1I’1+k21ΔI1-k3I5;
H212=k1I’1+k22ΔI1-k3I5 (6)
式中、k3は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置で、電流シャント用銅バー5の電流I5によって生成される均一磁場の線形定数である。
【0061】
式(6)に対して等価変換を実施することによって、式(7)が得られる。
【0062】
【0063】
これにより、式(4)も得ることができる。
H211=HCM+HDM;
H212=HCM-HDM (4)
【0064】
式(7)から、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置でI’1およびI5によって生成される磁場は、反対方向であり、互いをオフセットし低減し合い、また、ディファレンシャル・モード磁場HDMを生成することなくコモン・モード磁場HCMのみを生成し、それにより、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの電流入力範囲を調整し増加させる役割を主に果たすことが分かる。同様に、式(7)および式(4)を組み合わせることによって、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、被測定電流Iinに比例し、被測定電流は、ディファレンシャル・モード磁場HDMを測定することによって検出できることが分かる。
【0065】
任意選択で、磁気誘導モジュール2はまた、閉ループ信号調整回路および磁場フィードバック・コイルを含み、閉ループ信号調整回路は、差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施し、閉ループ信号調整回路、磁場フィードバック・コイル、第1の磁気感知ユニット、および第2の磁気感知ユニットは、閉ループ磁場フィードバックを構築し、差動電圧信号が閉ループ信号調整回路によって増幅された後、フィードバック磁場が磁場フィードバック・コイルを通して生成されて、ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、磁場の動的平衡に達すると、第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットが等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に磁場フィードバック・コイルのフィードバック電流がサンプリング抵抗器を通してサンプリングされて、磁気誘導モジュールの出力信号を形成する。
【0066】
任意選択で、磁場フィードバック・コイルは、閉ループ信号調整回路、回路基板、磁気誘導モジュールの各磁気感知ユニット、および磁気誘導モジュールの1つの構造に統合される。
【0067】
図5に示されるように、閉ループ信号調整回路、磁場フィードバック・コイル22、第1の磁気感知ユニット211、および第2の磁気感知ユニット212は、閉ループ磁場のネガティブ・フィードバックを構築する。閉ループ磁場のネガティブ・フィードバックの場合、磁場フィードバック・コイル22を、閉ループ信号調整回路に統合するか、または
図5に示されるように回路基板3に統合するか、または
図1に示されるように磁気感知ユニットに統合するか、またはASIC専用集積回路に統合するか、または必要に応じて磁気誘導モジュール2に統合することができる。上述の異なる位置における閉ループ磁場のネガティブ・フィードバック構成要素の動作原理はほぼ同じである。
【0068】
ここで、閉ループ磁場のネガティブ・フィードバック構成要素の動作原理は、
図5に示されるように回路基板3に統合された磁場フィードバック・コイル22を一例とすることによって説明される。磁場フィードバック・コイル22が位置する面は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が位置する面に平行である。磁場フィードバック・コイル22は、中心線の両側でX-Z面の断面に沿って対称的に分配され、断面の一方の側における電流方向は紙面に直交で外向きであり、断面の他方の側における電流方向は紙面に直交で内向きである。
【0069】
磁場フィードバック・コイル22によって生成されるフィードバック磁場の方向に関して、第1の磁気感知ユニット211における右向きの磁場が、第2の磁気感知ユニット212における右向きの磁場よりも大きいという例を挙げる。ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットするために、
図5に示される断面図では、第1の磁気感知ユニット211の下方に水平方向に配置された磁場フィードバック・コイル22の導体の断面積の電流方向は、紙面に直交で外向きであり、第2の磁気感知ユニット212の下方に水平方向に配置された磁場フィードバック・コイル22の導体の断面積の電流方向は、紙面に直交で内向きである。したがって、磁場フィードバック・コイル22は第1の磁気感知ユニット211において左向きのフィードバック磁場を生成し、磁場フィードバック・コイル22は第2の磁気感知ユニット212において右向きフィードバック磁場を生成し、それによってディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、磁場の動的平衡を達成する。
【0070】
磁場フィードバック・コイル22が他の位置で統合される場合に関して、コイル分布または接続はわずかに異なるものの、磁場フィードバック原理は、ここでは繰り返さないが、磁場フィードバック・コイル22の分布を使用して磁場を生成して、ディファレンシャル・モード磁場をオフセットするというものである。
【0071】
図7を参照すると、この図は、
図5に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスのブリッジ構造の概略図である。
図7に示されるように、任意選択で、第1の磁気感知ユニット211は磁気抵抗ブリッジ・アーム211cで構成され、第2の磁気感知ユニット212は磁気抵抗ブリッジ・アーム212cで構成される。磁気抵抗ブリッジ・アームは、直列および並列で接続された、1つまたは複数の磁気抵抗感知素子で構成される。2つの磁気抵抗ブリッジ・アームの感度方向は同じであり、電気的に接続されて差動半ブリッジ構造を形成する。
【0072】
図7に示されるように、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211cおよび212cの感度方向は同じであり、両方とも水平右向きのX方向であり、差動半ブリッジ構造を電気的に形成する。任意選択で、磁気抵抗ブリッジ・アーム211cおよび212cを形成する磁気抵抗感知素子は異方性磁気抵抗器AMRを採用し、また任意選択で、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は2つの別個のチップ上に位置する。
【0073】
上述の分析によると、電流シャント用銅バー5は、コモン・モード磁場をオフセットし低減することのみができ、ディファレンシャル・モード磁場は生成しないことが分かる。したがって、オフセットされたコモン・モード磁場は、同じ方向であるか、ゼロにされるか、または反対方向のものであってもよい。
【0074】
オフセットされたコモン・モード磁場が同じ方向のものであると仮定すると、ディファレンシャル・モード磁場によって、第1の磁気感知ユニット211の位置における右向きの磁場が、第2の磁気感知ユニット212の位置における右向きの磁場よりも大きくなる。2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム211cおよび212cの感度方向は両方とも右なので、
図7では、磁気抵抗ブリッジ・アーム211cにおける右向きの磁場は、磁気抵抗ブリッジ・アーム212cにおける磁場よりも大きい。したがって、磁気抵抗ブリッジ・アーム211cの抵抗は磁気抵抗ブリッジ・アーム212cの抵抗よりも小さく、磁場から電圧への変化が実現される。したがって、
図7のVoutは被測定電流に応じて変化して、差動電圧信号を形成する。
【0075】
任意選択で、磁気誘導モジュール2はまた、回路基板内部に統合された磁場フィードバック・コイル22と、PCB基板レベルの離散的構成要素回路を使用する閉ループ信号調整回路とを含む。その機能および原理は、
図1における閉ループ磁場のネガティブ・フィードバックと同じであり、ここでは繰り返さない。この実施形態では、磁気誘導モジュール2の出力は、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する。
【0076】
この実施形態では、段差付き銅バーおよび電流シャント用銅バーは並列に接続されて、被測定電流をシャントして被測定電流入力モジュールを形成し、段差付き銅バーはディファレンシャル・モード磁場を形成し、電流シャント用銅バーによって形成されるコモン・モード磁場は、段差付き銅バーのコモン・モード磁場をオフセットし低減し、それによって測定電流範囲を拡張する。第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットは差動半ブリッジ回路を採用し、磁場フィードバック・コイルは回路基板内部に統合される。形成された段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、調節可能なコモン・モード磁場動作点、さまざまな磁気感知ユニットに対する適用可能性、調節可能な感度、入出力の電気的絶縁、強力な耐コモン・モード干渉能力、DCおよびAC電流の測定能力、ならびに大電流の測定能力といった特性を有する。
【0077】
任意選択で、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは2つ以上の電流シャント用銅バーを含み、2つ以上の電流シャント用銅バーは直列および並列接続で使用されて、コモン・モード磁場をさらに調節する。回路基板の垂直方向に沿って、いずれの電流シャント用銅バーも、磁気誘導モジュールの上方または段差付き銅バーの下方の位置にあり、回路基板が位置する面上の電流シャント用銅バーの垂直投影は、磁気誘導モジュールの各磁気感知ユニットをカバーする。任意選択で、磁気誘導モジュールの位置において、電流シャント用銅バーの電流方向は、段差付き銅バーの電流方向と同じ方向または反対方向であり、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスにおいて、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの被測定電流の入力範囲は、電流シャント用銅バーおよび段差付き銅バーの直列・並列接続モードを設定することによって調節され、ならびに/あるいは段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの被測定電流の入力範囲は、電流シャント用銅バーの数を設定することによって調節される。
【0078】
以下の実施形態はまた、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスが2つの電流シャント用銅バーを含む事例を提供する。1つの電流シャント用銅バーを含む上述の実施形態と同じ内容については、詳細に記載しないことに留意されたい。
【0079】
図8を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えたさらに別の電流検出デバイスの概略図である。
図8に示されるように、電流検出デバイスは2つの電流シャント用銅バー51および52を含み、電流シャント用銅バー51は磁気誘導モジュール2の上方に位置し、電流シャント用銅バー52は段差付き銅バー1の下方に位置する。任意選択で、磁場フィードバック・コイル22は磁気誘導モジュール2の内部に統合される。
【0080】
上述の分析を通して、
図5における電流シャント用銅バー5の厚さおよび相対位置を調節することによって、オフセットされたコモン・モード磁場が、同じ方向であるか、ゼロにされるか、または反対方向のものであってもよいことが知られている。
図6に示されるように、電流シャント用銅バー5および段差付き銅バー1のオフセットされたコモン・モード磁場は、同じ方向のものである。
図8における第1の電流シャント用銅バー51の位置は、
図5における電流シャント用銅バー5の位置と同じである。コモン・モード磁場をさらに低減して、直線性の一貫性を改善し、測定電流範囲を拡張するために、任意選択で、新たに導入された第2の電流シャント用銅バー52を段差付き銅バー1の下方に位置させることができ、第2の電流シャント用銅バー52の電流方向は紙面に直交で外向きであり、段差付き銅バー1および電流シャント用銅バー51の電流方向は紙面に直交で内向きである。
【0081】
他の実施形態では、任意選択で、新たに導入された第2の電流シャント用銅バーを第1の電流シャント用銅バーの上方に位置させることができ、第2の電流シャント用銅バーにおける電流方向は紙面に直交で内向きである。
【0082】
図8に示されるように、電流シャント用銅バー52は段差付き銅バー1の下方に位置するように導入され、その電流方向は紙面に直交で外向きであり、電流シャント用銅バー51は、段差付き銅バー1と並列に接続され、次に電流シャント用銅バー52と直列に接続される。このとき、電流シャント用銅バー52の主な機能はコモン・モード磁場を調節することであり、その内部電流は被測定電流と同じであり、シャント作用は生じない。
【0083】
図9を参照すると、この図は、
図8に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁場シミュレーション図である。
図9および
図6の類似点は、段差立ち上がりセクションの付近では、第1の段差11および第2の段差12の上方の同じ面内における磁場が明らかな差を有し、磁場分布が比較的均一であるという点であり、違いは、
図9に示される磁場曲線が下向きにさらに顕著にシフトされ、ゼロ磁場により近いという点である。つまり、磁気感知ユニットの位置において電流シャント用銅バー52によって生成される左向きのコモン・モード磁場、およびオフセットされた右向きのコモン・モード磁場は、さらにオフセットされ低減される。
【0084】
電流シャント用銅バー51を通って流れる電流をI51とし、電流シャント用銅バー52を通って流れる電流をI52として、式(8)が得られる。
Iin=I1+I51=I’1+ΔI1+I51;
Iin=I52 (8)
【0085】
右向きのX方向を磁場の正方向とし、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が電流シャント用銅バー52の均一磁場領域に位置すると仮定すると、通電ワイヤが磁場を生成するビオ・サバールの法則に従って、式(9)が得られる。
H211=k1I’1+k21ΔI1-k3I51-k4I52;
H212=k1I’1+k22ΔI1-k3I51-k4I52 (9)
式中、k4は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置で、電流シャント用銅バー52の電流I52によって生成される均一磁場の線形定数である。
【0086】
式(9)に対して等価変換を実施することによって、式(10)が得られる。
【0087】
【0088】
これにより、式(4)も得ることができる。
H211=HCM+HDM;
H212=HCM-HDM (4)
【0089】
式(10)から、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置でI’1、I51、およびI52によって生成される磁場は、反対方向であり、互いをオフセットし低減し合い、また、ディファレンシャル・モード磁場HDMを生成することなくコモン・モード磁場HCMのみを生成し、それにより、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの電流入力範囲を調整し増加させる役割を主に果たすことが分かる。同様に、式(10)および式(4)を組み合わせることによって、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、被測定電流Iinに比例し、被測定電流は、ディファレンシャル・モード磁場HDMを測定することによって検出できることが分かる。
【0090】
図8に示される段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの磁気抵抗ブリッジ・アームは、
図7に示されるような差動半ブリッジ構造を採用してもよく、電流シャント用銅バー51および電流シャント用銅バー52は、ディファレンシャル・モード磁場を生成することなく、コモン・モード磁場のみをオフセットし低減する。それにより、差動半ブリッジ構造の出力信号Voutは被測定電流に応じて変化して、差動電圧信号を形成する。
【0091】
任意選択で、磁気誘導モジュール2はまた、磁気感知ユニット2内部で統合された磁場フィードバック・コイル22と、PCB基板レベルの離散的構成要素回路を使用する閉ループ信号調整回路とを含む。磁気誘導モジュール2の出力は、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する。
【0092】
この実施形態では、第1の電流シャント用銅バーおよび段差付き銅バーは並列に接続され、次いでさらに第2の電流シャント用銅バーと直列に接続されて、被測定電流入力モジュールを形成し、段差付き銅バーはディファレンシャル・モード磁場を形成し、第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーによって形成されるコモン・モード磁場は、段差付き銅バーのコモン・モード磁場をオフセットし低減し、それによって測定電流範囲を拡張する。段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、調節可能なコモン・モード磁場動作点、さまざまな磁気感知ユニットに対する適用可能性、調節可能な感度、入出力の電気的絶縁、強力な耐コモン・モード干渉能力、DCおよびAC電流の測定能力、ならびに大電流の測定能力といった特性を有する。
【0093】
以下の実施形態はまた、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスが1つの電流シャント用銅バーを含む事例を提供する。1つまたは2つの電流シャント用銅バーを含む上述の実施形態と同じ内容については、詳細に記載しないことに留意されたい。さらに、任意選択で、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスは、段差付き銅バーの下方に位置してもよい1つの電流シャント用銅バーを含み、電流シャント用銅バーにおける電流方向は紙面に直交で外向きである。
図10を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による段差付き銅バーを備えたさらに別の電流センサの概略図である。
図10に示されるように、電流検出デバイスは、段差付き銅バー1の下方に位置する1つの電流シャント用銅バー52を含み、電流シャント用銅バー52は段差付き銅バー1と直列に直接接続され、段差付き銅バー1の電流方向は紙面に直交で内向きである。特定の分析プロセスは次の通りである。
【0094】
電流シャント用銅バー52を通って流れる電流をI52として、式(11)が得られる。
Iin=I1=I52 (11)
【0095】
右向きのX方向を磁場の正方向とし、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212が電流シャント用銅バー52の均一磁場領域に位置すると仮定すると、通電ワイヤが磁場を生成するビオ・サバールの法則に従って、式(12)が得られる。
H211=k1I’1+k21ΔI1-k4I52;
H212=k1I’1+k22ΔI1-k4I52 (12)
【0096】
式(12)に対して等価変換を実施することによって、式(13)が得られる。
【0097】
【0098】
これにより、式(4)も得ることができる。
H211=HCM+HDM;
H212=HCM-HDM (4)
【0099】
第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置でI’1およびI52によって生成される磁場は、反対方向であり、互いをオフセットし低減し合い、また、ディファレンシャル・モード磁場HDMを生成することなくコモン・モード磁場HCMのみを生成し、それにより、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの電流入力範囲を調整し増加させる役割を主に果たすことが分かる。同様に、式(13)および式(4)を組み合わせることによって、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、被測定電流Iinに比例し、被測定電流は、ディファレンシャル・モード磁場HDMを測定することによって検出できることが分かる。
【0100】
任意選択で、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212は、右向きの感度方向を有する2つの別個に位置する巨大磁気インピーダンス(GMI)ユニットである。上述の分析によると、第1の磁気感知ユニット211の位置および第2の磁気感知ユニット212の位置において段差付き銅バー1によって生成される磁場には差があり、電流シャント用銅バー52は、ディファレンシャル・モード磁場を生成することなく、コモン・モード磁場のみをオフセットし低減することができる。したがって、2つの別個に位置する巨大磁気インピーダンスGMIによって誘導される磁場に差があり、それによって差動電圧信号を生成することができる。
【0101】
任意選択で、磁気誘導モジュールはまた、差動電圧信号に対して調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施する、開ループ信号調整回路を含む。具体的には、開ループ信号調整回路は、PCB基板レベルの離散的構成要素回路を使用し、開ループ信号調整回路は、第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の差動電圧信号に対して、調整、増幅、温度補償、および直線性補正を実施する。磁気誘導モジュール2の出力は、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの出力信号を形成する。
【0102】
この実施形態では、1つの電流シャント用銅バーが段差付き銅バーと直列に接続され、それら2つの電流方向は互いに反対である。段差付き銅バーはディファレンシャル・モード磁場を形成し、電流シャント用銅バーによって形成されるコモン・モード磁場は、段差付き銅バーのコモン・モード磁場をオフセットし低減し、それによって測定電流範囲を拡張する。この実施形態の電流検出デバイスは、調節可能なコモン・モード磁場動作点、さまざまな磁気感知ユニットに対する適用可能性、調節可能な感度、入出力の電気的絶縁、強力な耐コモン・モード干渉能力、DCおよびAC電流の測定能力、ならびに大電流の測定能力といった特性を有する。
【0103】
電流シャント用銅バーを含む上述のいくつかの実施形態は単なる典型例である。例えば、他の実施形態では、電流検出デバイスは電流シャント用銅バーを含んでもよい。第1の磁気感知ユニットは2つの磁気抵抗ブリッジ・アームで構成され、第2の磁気感知ユニットは2つの磁気抵抗ブリッジ・アームで構成される。磁気抵抗ブリッジ・アームは、直列および並列で接続された、1つまたは複数の磁気抵抗感知素子で構成される。4つの磁気抵抗ブリッジ・アームは、同じ感度方向を有し、電気的に接続されて差動フル・ブリッジ構造を形成する。第1の磁気感知ユニットおよび第2の磁気感知ユニットは、同じチップまたは2つの別個のチップ上に位置する。明らかに、電流シャント用銅バーを含む他の多くの実施形態があり、上述の典型的な実施形態に限定されない。
【0104】
電流シャント用銅バーを含む多くの実施形態があるが、1つまたは複数の電流シャント用銅バーを導入し、直列・並列接続方法を採用した後、それらの分析および計算は上述の分析プロセスとほぼ同じであることを理解することができる。加えて、どの事例が採用されても、電流シャント用銅バーが導入された段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの場合、ほとんどの適用例における理想的条件はコモン・モード磁場が完全にオフセットされるというものである。このとき、段差付き銅バーを備えた電流検出デバイスの測定電流範囲は最大に達することができ、つまり、ディファレンシャル・モード磁場を磁気抵抗感知素子の動作範囲まで十分に拡大することができ、それによって次の式(14)および(15)を得ることができる。
【0105】
【0106】
さらに、理想的状況では、第2の磁気感知ユニット42の位置において上側の長方形の電流ΔI1によって生成される磁場は非常に小さく、k22=0と近似的にみなすことができ、それにより、上記(14)を単純化して次の式(16)および(17)にすることができる。
HCM=0
【0107】
【数8】
H
211=H
DM=k
21ΔI
1/2、H
212=-H
DM=-k
21ΔI
1/2 (17)
【0108】
第1の磁気感知ユニット211および第2の磁気感知ユニット212の位置における磁場は、被測定電流Iinに比例し、被測定電流は、ディファレンシャル・モード磁場HDMを測定することによって検出することができる。さらに、式(16)および(17)を組み合わせることによって、理想的条件下では、コモン・モード磁場HCMは完全にオフセットされ、磁気抵抗感知素子の動作範囲をディファレンシャル・モード磁場HDMによって完全に網羅して、最大測定電流範囲を提供することができる。
【0109】
上述の記載は、好ましい実施形態にすぎず、本発明の技術的原理を使用していることに留意されたい。当業者であれば、本発明は本明細書の特定の実施形態に限定されず、また当業者にとって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な変更、再調整、相互組合せ、および置換が行われてもよいことを理解されたい。したがって、本発明は上述の実施形態を通して詳細に記載されるが、本発明は単に上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく、他のより多くの等価な実施形態が含まれてもよく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。
【国際調査報告】